July 07, 2008
テレビや音楽業界が動画共有サイトを嫌う理由。作品のイメージを壊す言葉「昔の方が良かった」・・って?
これまで、テレビ局や音楽業界がYouTubeやニコニコ動画を嫌う一番の理由として「利益が下がる」というデメリットがあります。角川グループがYouTubeに専用チャンネルを設置したり、前向きな方向には進んでいると思いますが・・テレビ局もアニメもコンテンツを製作して会社を運営している訳ですから、作成したコンテンツを無断で公開されて、ムキになって怒るのも当然の話だと思います。
ただ、最近になって「テレビ局や作者(特に、テレビ局)は、どうしてあんなに怒るのだろう?」と考えている内に、DVDの売り上げや番組の視聴率が下がった時の損失よりも、昔の作品や番組と比較される事のデメリットの方が、大きいんじゃないかと思い始めてしまったんです。
前の作品は面白かったけど、今回の作品はイマイチだよね・・・
昔は勢いがあっけたけど、今はゲストに頼ってばかり・・・
(↑)テレビ番組や映画を見ていると、作品の感想程度の意味で言ってしまっているセリフ。
視聴者側としては、気軽な気持ちで言ってしまっていると思うんですが・・作品を製作している人からしたら、こんな辛いセリフはありません。それに、テレビ番組がYouTubeやニコニコにアップされて「昔の方が面白かった」なんて比較されてしまったら、番組の面白さが下がってしまいます。
ユーザー側にとっては、昔の番組や作品が視聴できるのは嬉しいです。
でも、作者や製作者側からしたら、昔の作品に100%満足していない場合もあったりするんですよね。
大人になって、学生時代の写真を見るのが恥ずかしかったりするように・・・。
さらっと書きましたが、テレビ局や音楽業界が具体的にどの部分を比較されるのが嫌なのか?
番組や作品を例にして、もう少し詳しく説明して行きたいと思います。
テレビ番組 比較対象:放送終了の番組
ここ最近になって、「テレビが面白くない」とか言われ始めたりしていますが(まぁ、事実として視聴率は下がっているので、つまらない可能性も否定出来ません)・・昔の番組と今の番組の比較話が出始めたりも、ニコニコ動画やYouTubeに昔の番組が公開されるようになった事が大きいんだと思います。
・痛いニュース(ノ∀`):TV番組製作者「今のテレビはつまらないとは思わない」…ネットの影響だという意見も:
やっぱり、10年近く放送している長寿番組となると、開始当初の年齢から10歳も老けてしまう訳で・・・
体を使った企画も少なくなりますし、出演者のギャラも高くなりますし、長寿番組の大半が(個人的な感想ですけど・・・)番組スタート時よりも面白くない感じがします。ただ、「慣れ」とか「充実」とかがあるので、ある程度の限界はあるのかもしれません。
それが、ニコニコ動画やYouTubeに公開されて「昔の方が面白かった」とか言われても、スポーツ選手が20代の記録と30代の記録を比較されて「昔の方が早かったね」と言われるのと同じで、10年近い月日がたってしまったら、環境も体も変わってしまいます。番組の例で説明すると・・(↓)
・はねるのトびら - Wikipedia:
2005年8月30日の放送で、水曜19:57〜20:54のゴールデンタイムに昇格、放送時間も拡大されることが発表され、10月19日からゴールデンでの放送が開始した。夜時代はコント中心だった番組内容が、ゴールデン進出後からコント以外の企画が増えたため、「深夜の方が面白かった」との声もあることから、ファン離れを起こしている状態に悩まされている。ただ、7月以降はコントが激減しており、2002年以来毎年発売されていたDVDも発売されなかった。上記の通り一部の視聴者からは「コントをメインにして欲しい」という意見も多いが、当然ながら深夜時代を知らないファンが多くなった。1月23日の放送で視聴率24.1%を獲得し、超人気番組の仲間入りを果した「はねるのトびら」。
ゴールデンに進出した今では「ほぼ100円ショップ」や「回転SUSHI」といった番宣ゲストが登場する企画が大半を占めていますが、深夜放送時代はコントが中心の番組で、クォリティの高いコントが視聴者の人気を集めていたんです。(↓)
DVDの売り上げも好調だったんですが、ゴールデンの進出でコントや企画が激減してしまい、深夜時代のファンから「深夜の方が面白かった」という声も上がっているんです。ただ、(↑)でも説明したように、番組開始から7年近く経過してますし、深夜放送とは視聴者層が異なるゴールデンに進出した訳ですから、環境(場所)が全然違うと思うんです。やっぱり、CM料金も深夜とケタ違いの差(日経エンタテイメントの情報によると、めちゃイケのCM30秒×4本で3500万円)があると思いますし、局のメイン収入源となる番組ですから、深夜放送時代のような視聴率の稼げない(実験的な?)コントや企画を放送するのが難しくなってしまいます。8時代ですから、○○的な発言も厳禁ですし・・・。
確かに、クォリティの高いコントや企画は面白い。
テレビ局にも「挑戦的な番組の方が良い」と思っている人もいるのかもしれませんけど、安定的な収入を稼ぐ必要があるゴールデンタイムですから、安定的な視聴率が必要だと思うんです。スポンサーは宣伝が目的で広告費を投入している訳で、週毎に違う企画を放送したり、視聴率が大きく変動してしまう番組だったら、特定の視聴者に商品の宣伝が出来なくなってしまいます。だから、はねとびの「ほぼ100円ショップ」や「回転SUSHI」のようなレギュラー企画を用意したりして、安定的な視聴率と収入を確保しようとしているんです。
挑戦的なコントや企画も可能なのかもしれませんが・・そうしてしまうと、全体的にバラつきが出てしまって、全体的にイマイチな印象を与えてしまうと思います。(↓)
○○クイズ 視聴率20.5% 感想:面白かった
□○×コント 視聴率12.3% 感想:イマイチ
○×は可能? 視聴率17.5% 感想:そこそこ
△△△の限界に挑戦 視聴率10.2% 感想:つまらない
平均視聴率:15.1%
逆に、レギュラー企画で安定的な視聴率を狙うと・・。(↓)
○○寿司 視聴率16.2% 感想:まあまあ
△△チェンジ 視聴率15.6% 感想:そこそこ
○○寿司 視聴率16.0% 感想:まあまあ
△△チェンジ 視聴率15.7% 感想:そこそこ
平均視聴率:15.8%
20%を超える高視聴率は獲得出来ませんが、平均視聴率では(↑)よりも0.7%近く上回っています。
なので、ゴールデンタイムの番組では意図的に「中くらい」の面白さに設定しているのかもしれません。
そうすれば、物凄い面白い番組でもなく、つまらない番組でもなく、そこそこの番組になるはずです。
テレビ局はCMの収入で運営されているので、CM収入が入れば中身は関係ないのかもしれませんね。
その辺も、「テレビが面白くない」と関係あるのかもしれません。
って、かなり話が関係ない方向に進んでしまいましたね・・(笑)
話を本題に戻して、テレビ局がYouTubeやニコニコ動画を嫌う理由を考えると・・(↑)でも説明したように、テレビ局には時間帯やCMの関係で「中くらい」の面白さの番組を(意図的か知りませんが・・)製作しているので、昔の放送や番組比較されて「視聴者に面白さの上下」が付いてしまったら(バレてしまったら)、放送中の番組の面白さが「中くらい」⇒「下」に下がってしまう可能性があります。
イマイチ分かり難いので、だんご屋の例で説明しますが・・・(↓)
例えば、ここに「中くらい」の旨さのだんごを売っているお店があるとします。
そのお店のだんごが特別に美味しい訳でもありませんが、周りに競合的やライバルが存在していないので、購入している人からは「まあまあ」の評価を受けていました。
それが、近所に美味しいだんご屋が出来てしまったので、ライバル店の美味しさと比較されてしまい、それまで「まあまあ」だった評価が⇒「イマイチ」に下がってしまいました。(↓)
近所の住民の話によると、「旨屋」のオープンから5ヶ月後に「団子屋」は閉店し、大手コンビニチェーン「エイトイレブン」になっていたんだそうな・・。(うっそ!)
テレビ局的には「団子屋」みたいな状態になるのが嫌なんだと思うんです。
ニコニコ動画やYouTubeに無断で公開されて「昔の方が面白かった」なんて思われてしまったら、確実に放送中の番組の「満足度」が下がってしまいますし、視聴者のレベルが上がってしまったら、安定的な視聴率を稼ぐのが難しくなってしまいますからね。
でも、個人的には昔の番組の印象が強いので、(↑)のような状態なんですけどね・・。
「なすびの懸賞生活」とか・・(↓)
CD 比対象:自分のリリースしたCD
CDが売れない今日この頃。CDが売れない理由として、音楽業界は「ネットに無断でアップされているからだ。」という言葉を口を揃えて言っています。確かに、携帯の音楽配信は違法の方が圧倒的に多いですし、ナップスターの影響は測り知れないモノがあったと思います。
違法配信が音楽業界に深刻な影響を与えるいるのは事実。
でも今回は、違法配信の話というよりも・・iPodや動画共有サイトの登場によって、時代の垣根が無くなった事の影響?について説明して行きたいと思っています。
・音楽繰り越し制度の導入。
ネット配信が普及する前の曲やCDと言えば、映画のように「話題の間に1回か2回見る」ような感じだったと思います。例えば、ドラマの主題歌になった曲であったり、学校や職場で流行っている曲だったり、記録するメディアにしても、MDやカセットテープが主流だったので20曲とか1時間とかの容量が限界だったと思います。
それに関しては、以下のブログで詳しく紹介されています。(↓)
・「終わりの始まり」―― 音楽業界の2007年と2008年 - くだらない踊り方:
10年前、売れていたCDとはドラマやCMのタイアップ曲だったり、カラオケで歌いやすい曲だったりした(ヒット曲がカラオケで歌われるのではなく、カラオケで歌われる曲がヒットした)。昔はニコニコ動画の「○○メドレー」や「100万曲販売しているCDショップ」や「Amazon」なんて普及してませんでしたから、流行の曲以外を聴く方法が少なかったですし、1人が聴ける曲数が300曲ぐらいに限られていましたからね。(音楽好きの人は別にして・・)
学校や職場の友達とドラマの話をし、カラオケに遊びに行く。そんな場面のひとつのピースとして音楽があった。音楽はコミュニケーションのネタであり、関係性を築くタネだった。
だからこそ、「みんなが聞くからみんなが聞く」というインフレーションを起こし、ミリオン・ヒットが量産されていった。それが10年前だ。
それに、CD単位で曲を聴いていた訳ですから・・新しい曲を聴くためにはCDを入れ替える必要があるので、昔のCDを聞く機会は減ってします。今の本やDVDに近い感覚だったんじゃないでしょうか?電車で読めるのは1冊だけですし、テレビで見られる映画も1本という。
簡単に図解で説明すると・・(↓)
それが、iPodや動画共有サイトの登場によって、これまで「CD単位」だった音楽の扱いが「曲単位」に変化して、1人が同時に扱える曲数が圧倒的に増えてしまいました。携帯の料金プランじゃないですけど、音楽を年代を隔てて「繰り越せる」ようになってしまったんだと思うんです。(↓)
・時代の垣根が無くなったことで、昔の自分と比較されるようになる。
これが、個人的にはCDが売れなくなった原因の一つんでもあうるんじゃないかと・・・。
iPodの登場や動画共有サイトの登場によって「時代の垣根」が無くなった事で、同じ週や月に発売されるCDだけじゃなく、自分が昔に発売した曲も比較対照になっているんじゃないでしょうか?
昔の比較対照
・同時期に発売されるCD
・自分の持っているCD
・テレビやラジオで聴いた曲
iPodや動画共有サイトが登場する以前であれば、(↑)比較される対象は限られていたと思います。
今の比較対照
・同時期に発売されるCD
・自分の持っているCD
・テレビやラジオで聴いた曲
・YouTubeやニコニコ動画で公開されている曲
・YouTubeに公開されているアマチュアの曲
・自分が昔に発売した曲(YouTubeやニコニコ動画)
・iPodやミュージックプレイヤーに収録されている曲
曲数も圧倒的に増えましたけど・・比較される対象が「プロ」だけじゃなく、YouTubeやニコニコ動画の「アマチュア」まで及んでいます。それに、他人が発表した曲以外にも「自分が昔に発売した曲」までもが比較対照になってしまっていて、YouTubeやニコニコ動画に公開されている曲を聴いて「声質が悪くなった」とか「昔の曲の方が良かった」とか、明確に比較されるようになってしまっています。
この記事とかも、YouTubeやニコニコ動画に曲がアップされている影響もありますよね。(↓)
・痛いニュース(ノ∀`):ELT持田香織にあつまる歌唱力の悪評:
12/6の19時から4時間半の生放送だった「FNS歌謡祭2006」。 民放でただひとつの20%をこえる音楽番組として注目が毎年集まる。 28組以上の出演者の中でひときわネットで話題が集中したのは。 Every Little Thingの持田香織の歌! ネットの書き込みに「放送禁止の域にきている」とまでいわれたその歌とは! ねっとりとした巻き舌の歌い方と、苦しそうな発声にネットでは「持田香織の歌が凄く下手になりましたね」とか「もはや放送禁止の域まで来ているぞ 」「申し訳ないですが聴いてる方が恥ずかしくなっちゃいました。。。」などと悪評が書き込まれている。
まぁ、今は前に比べると声質も良くなってます。(↓) って・・関係ない話ですね。^−^
もう、CDが音楽配信や着メロの普及で「曲単位」の扱いを受けるようになっていますし、音楽を聴く場所が「iPod」のようなデジタルプレイヤー全盛の時代になってしまっているので、人気歌手や無名歌手やアマチュア歌手の違いは無くなりつつありますよね。自分がその曲を気に入るかどうかが重要という「OK Go」の例がそうですけど・・(↓)
CD不況が叫ばれていますけど、これだけ比較する対象が存在してしまったら、原価の何十倍もするCDが売れないのも無理はないのかもしれませんね。
でも、良い曲は売れているのも事実なんですよね「千の風になって」とか・・。
▽サクラビト
▽千の風になって
まとめ
はてな村?でも「ニュースサイトが無断で記事を紹介して、無名のサイトにアクセスを大量に送るのはどうなんだろう?」みたいな議論とか「ニュースサイトの引用元の表示は必要か?」みたいな議論が話題になっていましたけど、コンテンツを自身で管理出来ないっていうのは、凄いリスクですよね。
・過去記事にスポットライトを当てる個性派ニュースサイトの威力 - すちゃらかな日常 松岡美樹:
・ニュースサイトに紹介されるときのブロガーとしての心情 - 北の大地から送る物欲日記:
ブログの炎上とかが良い例かもしれません。
・ネットコミュニティが崩壊するとき - GIGAZINE:
自分の発言が知らない間に広まってしまって、自分は広範囲に発言した訳でもないのに、大問題に発展しまっているという・・。
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