このスレッドは1000レスを超えています。もう書き込みはできません。次スレを建ててくださいー

別に新ジャンルじゃない「ひょんなことから女の子」

1 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/20(金) 21:15:50.18 ID:xx8bjFg0
ここは「ひょんなことから女の子」スレです。

誰かが女の子になったり、何かが女の子になったりしています。
デフォのキャラがいないので、自由にキャラを作って下さい。
別に新ジャンルじゃないし既出も上等。何でも自由、ただし節度を持って。
あなたも「ひょんなの子」を妄想してみませんか?

・過度のリアル報告・自虐、自動保守は避けましょう。
・書きたければ迷わず書こう。長編でもSSでも何でもおk。
・投下する時はコテや作品名をつけるとまとめやすいです。

まとめwiki http://www12.atwiki.jp/hyon/
避難所 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/31732/
2 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/20(金) 21:53:07.81 ID:FOwsKW2o
やっと落ち着くな。一乙
3 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/20(金) 22:12:44.56 ID:EP3xmag0
>>1
4 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/04/20(金) 22:28:25.37 ID:xx8bjFg0
いきなりこっちに立ててしまったから
しばらくは誘導兼ねてVIPにも立てたほうが良いのかもしれない
5 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/20(金) 22:49:06.97 ID:VPEkb0wo
>>1
ついに移ったか。
これはかなりのGJ。そして乙。
6 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/21(土) 12:31:01.96 ID:l6yOxH2o
過疎ってレベルじゃねーぞ
>>1
7 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/21(土) 16:45:58.60 ID:eW/C5260
>>1

ここでの投下もVIPと同じ感じでいいの?
書けたら投下、みたいな
8 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/21(土) 17:22:56.18 ID:rJSaTTEo
>>7
同じ感じだったと思う。
投下してくれるのwwktkしてるからよろしく。
9 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/23(月) 13:57:51.68 ID:9IDqsrA0
ん〜、すばらしく過疎
10 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/23(月) 16:55:15.58 ID:z4DgWt2o
すげぇ、書き込みがほとんどない。
いきなりパー速きたから迷ってんのかな?
それとも・・・・・・
11 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/24(火) 00:16:05.66 ID:Wr3InCI0
寂しいのぅ
ガス欠気味ではあるけど何か書いてみようかなぁ……
12 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/24(火) 00:44:28.41 ID:CZE1d2Io
よろしくたのんまさぁ
13 :名無草 :2007/04/24(火) 01:31:14.40 ID:Wr3InCI0
二つ目の話を書かせていただきます
タイトルは「日輪の照らす花」
序章「芽吹く花に罪はない」
ですが
明日、ってか今日朝早いんで凄い短いですけど投下しますね。
14 :名無草 :2007/04/24(火) 01:31:52.17 ID:Wr3InCI0
朝、薄暗い部屋の中で携帯が喧しい着信音を振りまく。
ワタシノアンミンヲサマタゲルノハダレダ……
画面を睨み付けると幼馴染の“男”からだった。
何であいつが……。
そうは思っても出ない訳にもいかないだろう。
私が朝に弱いのは知ってるはずだし、そんなあいつがこんな時間に電話してくるなんてよっぽどのことだろうから。
 「もしもしー」
自分でもびっくりするくらいの不機嫌な声。
 「あ、あのさ。家、行って良い?」
何だって?
 「あー、聞き間違えたみたい。もう一回言ってみて」
 「だから、今からお邪魔しても良い?」
何考えてんのよコイツ!
仮にもうら若き乙女に向かっての第一声がそれか!
 「何考えてんのよ!」
イライラも極限、一叫びして電話を切ってやった。
すると10と数える間もなくまた鳴り出す携帯。
一体何考えてんのよ全く!
 「何よ」
 「ごめん、大事な、事なんだ……」
その声は翳っていて、やけに私を冷静にさせた。
 「それで、何時に来るの?」
声を落ち着かせて聞いてみる。
 「今からじゃ、ダメかな?」
何だろう、さっきから違和感を感じる。
 「あー、もう。分かったわよ。鍵開けとくから勝手に入ってきて」
そう言って電話を切って、布団に潜り込む。
やけに深刻な声と、僅かに感じた違和感。
その二つが頭の中を行き来して、
 「もう! 何なのよ一体!!」
誰に言うでもなく叫ぶより、私の体は早く動いていた。
15 :名無草 :2007/04/24(火) 01:32:15.21 ID:Wr3InCI0
家には誰も居ないみたい。
時刻は8時過ぎ、おまけに今は春休み。
とどめにうちの両親は共働きで私は一人っ子なんだから当たり前と言えば当たり前か。
そんなことを思いながら服を着替えて身支度を終わらせる。
するとタイミング良く家のドアの開く音が聞こえた。
 「お邪魔します」
恐々とした声色で入ってくる様子はまさにアイツそのもの、なんだけど……。
 「あんた、誰?」
目の前に居るのは私の知る幼馴染、“男”ではない。
服はアイツのだけど、それを着ているのは小柄な女の子で、もしかして私より小さい?
その女の子は私の言葉に一瞬顔を曇らせて、
 「僕、“男”、だよ」
それだけ言い終えると俯いてしまった。
16 :名無草 :2007/04/24(火) 01:33:04.28 ID:Wr3InCI0
以上です
すいません
明日から、つか今日の夜からはもうちょっと頑張って書いてみます
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/04/24(火) 01:39:06.32 ID:KNbHPMoo
こんな夜遅くにGJ!
18 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/24(火) 02:30:56.34 ID:qM/kfLI0
GJ!
19 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/24(火) 17:47:22.25 ID:QTvshewo
おぉ、投下きてた!
続きwwktk!
20 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/24(火) 20:41:08.92 ID:7ixMilQo
ファンタジー物のHKOKを書いてる俺が今北
まぁ設定を練ってる所だがナー
21 :名無草 :2007/04/24(火) 21:47:56.19 ID:Wr3InCI0
それじゃ序章終わらせたいと思います
22 :名無草 :2007/04/24(火) 21:48:26.14 ID:Wr3InCI0
 「そんな訳ないでしょ? アイツは男で、あなたはどう見ても女の子じゃない」
私の言葉に、僅かに身を震わせて、それでも返事をする。
 「信じられないかもしれないけど。朝起きたら、女の子になってたんだ」
何を言ってるんだろう……。
 「冗談でしょ?」
冗談としか思えない。
なのに私にの言葉に顔を曇らせるこの子は、
 「本当、なんだよ」
――硝子よりも脆い、砂で形作った仮面のような―――
今にも崩れてしまいそうな、儚げな表情は何故こんなにも美しくて、それなのに見ていたくないなんて思ってしまうんだろう?
例えば桜は、散りゆくがあるからこそその美しさを人は愛でるんだろう。
そんな危なげな美しさを放つ少女を、けれどその通りになってさせる訳にはいかない。
そんな気がして、
 「……分かったわよ。仮に、あなたが“男”だったとしましょう」
その一言で、予感は予感のまま消え去ってくれたみたいだ。
 「それで、どうして私の所に来たの?」
私には計り知れない感情を湛える彼女の顔はどこまでも悲しそうで、辛そうで。
それでも、これだけは聞いておかないといけない。
信じるにしても、信じないにしても……。
23 :名無草 :2007/04/24(火) 21:49:10.08 ID:Wr3InCI0
 「言ったよね、朝、起きてたらいきなり女の子になってたんだって……」
思い出したく、ない。
でもそれは許されないだろう。
とりあえうでも、話だけでも、“女”は聞いてくれると言ったんだから。
だから、僕は思い出さないといけない。
例えそれが、どれほど辛いことだったとしても……。
 「女の子になったのに気付いたのは、兄さんと会った時だった」

起きて、体に少し違和感を感じたけれど、気にも留めずに部屋を出た。
 『お前、誰?』
聞きなれた兄さんの声。
何をふざけているんだろう、そう思って振り返る。
その時の兄さんの目を、多分忘れることはないと思う。
不信感、警戒心。そんな物に彩られた視線。
 『何、言ってるの?』
そうして自分の声に、異変に、気が付いて。
 『だから、お前は誰なんだよ』

 「それで、怖くなって……」

必死に、自分が“男”ってことを伝えようとして。
でも、出来なくて……。
 『それで、“男”はどこなんだよ』
だから、僕が“男”なんだよ――言おうとして、思った。
兄さんは、僕を信じてはくれないんじゃないか……
もしかしたら、いや、きっと誰だって信じてくれないかもしれない。

だって、一番近しいはずの家族ですら信じてくれないんだから。
24 :名無草 :2007/04/24(火) 21:49:32.42 ID:Wr3InCI0
声から気付いた体の異変。
外見上、今僕は女の子になっている。

なんで?

昨日まで、僕は確かに男だったはずなのに、なんで?
何か原因があった訳でもないのに、なんで?
こんなことが起こる訳がないのに、なんで?

――兄さんが、訳の分からない物を見るような目で見つめているのは、なんで?――

……嫌だ。

嫌だ、嫌だ、いやだ、いやだいやだいやだイヤだイヤだイヤダイヤダイヤダイヤダ!!!

僕はここに居るのに、なんだってそれを信じてくれないなんて、嫌だ!!

それで、家を飛び出して、帰ることも出来なくて。
帰る所なんて、もう僕には無いんだって、初めて気が付いて……。
25 :名無草 :2007/04/24(火) 21:49:58.11 ID:Wr3InCI0
嘘や冗談を言っているようには見えない。
 「それで、私のところに?」
なんで、私のところなんだろうか。
 「……うん、なんで、なんだろうね」
 「こっちが聞きたいわよ」
目の前で沈んでいる少女は、このまま放っておいては壊れてしまうんだろう。
自称“男”のこの女の子の仕草や言動は確かに“男”そのものだけれど、それでも私には見ず知らずの女の子だ。
それでも、話を信じる信じないなんて関係なく、このまま知らん顔なんてしていて良いんだろうか?

――良い訳が、ないでしょう。

少しだけ、信じてみることにしよう。
もちろん今すぐに、話全部を信じることなんて出来ないけれど。
それでもこの子が味わった苦しみを疑うなんて事、私には出来ない。
思い出しただけで震えの止まらないか弱い女の子、その震えは確かに本物だって私には分かる。
それが分かるんだもの、きっと、いつかこの子を分かることが出来るだろう。
本当にしても、嘘にしても。
 「分かった、ちょっとだけ信じてあげる」
彼女の体が大きく震える、それは驚きからだろうか?
上げられた顔には、瞳には涙が溜まっていて、
 「うん、とりあえず座ったら?」
上手い言葉が見つからずに、隣に座るように手招きする。
ふらり、ふらり。
踏み出す姿は弱弱しくて、きっと家を飛び出してから休む暇も無かったんだろう。
ソファーに腰を下ろして、涙はついに零れ落ちる。
それほどまでに辛かったのなら涙が枯れるまで泣いても良いんだと、私よりも華奢な背中を撫でながら、止まった震えに安堵する。
26 :名無草 :2007/04/24(火) 21:50:17.91 ID:Wr3InCI0
 「泣き疲れて眠っちゃったか」
その小さな体をソファーに預けて、毛布を取りに行く。
これからどうしようか。
そんな事を考えながら部屋に戻る。
 「……よく見ると可愛いよね」
なんか、ちょっと嫉妬しちゃうなぁ。
女にしては高い身長のせいか、可愛いなんて言われたことないもんね、私。
どれくらい縮んだんだろう? 男だった頃は私より頭一つ分くらいは大きかったよね、コイツ。
それでも男の中では普通くらいの身長だったけど。
部屋に戻る時とはえらく違う事を考えてるな……。
思って、なんだか面倒になって。
 「まぁ、なるようになるでしょ」
窓から見える空はこれでもかって言うくらいの快晴。
うん、良い天気。
春の陽気に誘われて、なんだか眠くなってきて、
 「私も、もう一寝入りするとしましょうか」

春空の下、野に咲く花が二つ。
彼女達はきっと、同じ夢を見ているんだろう。
季節の風も手伝って、その夢はきっと暖かいに違いない。
27 :名無草 :2007/04/24(火) 21:51:21.71 ID:Wr3InCI0
序章終了しました

はてさて、この物語はどこまで続くんでしょうか
28 :名無草 :2007/04/24(火) 21:53:44.18 ID:Wr3InCI0
>>22
散りゆくがあるからこそ

散りゆく予感があるからこそ
に脳内修正してくれると嬉しいでs
29 :名無草 :2007/04/24(火) 21:55:40.08 ID:Wr3InCI0
読み返すと誤字脱字多くて鬱になってくるorz
30 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/24(火) 22:04:31.64 ID:7ixMilQo
>>29
読み返しても、一つ二つ残ってる時があるよな
まぁ細かいことは気にシナーイ
31 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/04/25(水) 19:05:50.35 ID:ThKOB4c0
凄い勢いで迷子になってました
名無し草さん乙です!
32 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/25(水) 19:16:06.56 ID:5wbFfX6o
やっぱり、VIPの方に誘導スレ立てた方が良さそうだな
33 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/25(水) 20:31:05.74 ID:Y.Sw9ako
http://wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1177500536
立ててみた
34 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/25(水) 21:51:43.89 ID:5wbFfX6o
あれ、もう落ちたのか…
35 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [#f4qdm4cl]:2007/04/26(木) 00:09:11.86 ID:a0cF.Kk0
いくら設定を練り直してもうまくいかない
もういいや!どうせ考える脳みそなんかないんだい!
というわけで投下します



「金で買えないものってある?」という、よく聞かれる問いがある。
これに対し、「あるよ」と返すのも、またよく見られる光景だ。
ある人は「命」と答え、またある人は、「愛」と答えたり。その答えは様々だ
しかし、やむにやまれぬ事情で、本来金で買えないものを売ってしまう人もある。
俺も、そんな人の一人だ。ん…俺が何を売ったかって?
俺が売ったもの、それは―

「君ぃ、可愛いねぇ。いくつ?おじさんといいことしない?お金はあるよ」
「20っす。絶対嫌っす。じゃ」
「……へ?」

―俺の、「男」……いや、いやらしい意味じゃなくてね



36 : ◆KjoXDJ3iYI :2007/04/26(木) 00:14:42.14 ID:a0cF.Kk0
何で目欄にトリ入れてんだ俺orz
ちょっと後でトリ探してこよう……俺に成りすます人なんていないと思うけど

俺の名前は朝日洋一。一応大学の三年生だ。ちなみに自宅生だ。
俺の朝は早い。まずは二人分の弁当作りから始まる
今日は豚の生姜焼きだ。ぶっちゃけ一番の得意料理だったりする
「ああ、洋一。おはよう」
「おはよう母さん」

5年前に父さんが死んでから、うちの生活は変わった。
母さんが働きに出るようになり、家事の担当は俺が引き受けた。
そして、生活は少し厳しくなり、大学も自宅から通えるとこにした。
本当は就職でもよかったんだけど……母さんのおかげで何とか通えている
以上、説明終わり。朝からこんなこと考えるのは耐えられない
それよりもポジティブに行こうじゃないか

「じゃあ、行って来るから」
「うん、行ってらっしゃい。母さん」
母さんも朝は早い。そして帰るのは遅い。ちょっと俺としては心配だ
ああ、心配といえばもう一つ……
俺は階段を上がり、つきあたりの部屋に入る
「おら、由佳利、起きろ」
「ふぇえぇええ……もうお腹いっぱいだよ〜」
「……さっさと起きんかこのバカタレがぁー!」
「きゃあぁああああ!?あ、お兄ちゃん。おはよー」
「何で目覚ましが3つあって起きられねえんだよ?」
「目覚ましなんてただのうるさい音を出す物体ですよ。偉い人にはそれが―痛っ!」
朝日由佳利。俺の妹。グータラで困る。
大体ですね、妹というのは「おにいちゃん、朝だよ〜おきてよ〜」ってフライパン片手にやってくるもんじゃないんですかね?
で、布団をはいだら朝勃ちしてて、「きゃあっ!?……お。男の人ってこんなんなるんだ」ってなるもんじゃないんですかね?
それをこいつは朝は遅いし家事はできないし、そのくせ胸だけは人並み以上で……お兄ちゃん悲しいよまったくッ!
「お兄ちゃん、なにぶつぶつ言ってるの?」
「いや、なんでもない」
ちなみに俺は貧乳派だ。いや、ロリではない。多分。
37 : ◆KjoXDJ3iYI :2007/04/26(木) 00:16:09.59 ID:a0cF.Kk0
「行ってきまーす!」
で、奴に弁当を持たせて、俺も大学へ行く用意を―
「よーちゃーん!おはよー!!」
「朝から元気だなお前」
こいつは幼馴染の市川あおい。何の因果か知らんが大学まで一緒になっちまった
まあ、見ての通り元気だけがとりえの……
「せいやっ!」
「ってー!何すんだよ」
「聞こえてるんだけど?」
グーパンチはダメだろ……常識的に考えて

そんなこんなで大学に到着
「よう洋一、あおいちゃん。」
「『ようよういち』って言いにくくね?」
こいつは……もう説明がめんどい。武田裕二、以上。詳細はそのうちわかるだろ
「俺は省略かよ」
「何でお前ら俺の心の声が聞こえるの?」
「いや、思いっきり聞こえてるし」
と、こんな奴らに囲まれて、忙しいながらもそれなりに楽しくやってる。
そして、こんな日々が続けばいいなと……そう思う

「んあー!終わったぁー!!」
本日の講義終了。あとは帰るだけ
「帰りにユニクロいかね?」
「なぁ裕二、たぶんマック感覚でユニクロ行こうとするのはお前くらいだぞ」
「えー?ユニクロいいじゃん。安いし、けっこう丈夫だし、見てるだけで楽しいし」
「お前は本当にお坊ちゃんなのかと小一時間……あ、電話」
「失礼な!正真正銘のお坊ちゃんだ。こら、聞け」
ちなみにこいつが言ってることは事実だ。だが自分で「お坊ちゃん」はどうよ?
いやそれより電話を……って由佳利か
38 : ◆KjoXDJ3iYI :2007/04/26(木) 00:16:55.65 ID:a0cF.Kk0
「どうした?何か用か?」
「ぐす……ひっく……おにいちゃん……」
「……どうした?何で泣いてんだ?」
「えぐ…あの……あのね……」
何だ?何なんだ?
こいつが泣くとこなんて、父さんの葬式以来見てないぞ。
「どうした?落ち着け。何があった?」
そういう俺も声が上ずる。何か嫌な予感がする
「何だ!?泣いてちゃ分からん!」
「あ、あのね…お母さんが……おかあさんがぁー!」

それからのことはよく覚えていない。とにかく必死になって大学病院に駆けつけた
そこで聞いたことは、母さんが珍しい病気であることと、治療に多額の金が必要なこと
けど……うちにそんなお金は……
「どうしよう……どうしようおにいちゃん……ひっく……」
「わかんねえよ……」
本当に、どうしたらいいんだろう……
ただ一つ、分かることは
「おかあさん……どうなるんだろ……」
このままじゃ、俺たちはまた、大切な家族を……
「ねえ……おにいちゃん……」
父さんが死んだときのことがが頭によみがえる
心を突き刺すような悲しみと、絶望と、そして不安―
「ねえ……」
「うるせえ!……いや……すまん」
こいつに当たってどうすんだよ、くそっ!
39 : ◆KjoXDJ3iYI :2007/04/26(木) 00:18:00.99 ID:a0cF.Kk0
「朝日……洋一君。ちょっと話があるんだけど」
どのくらい時間がたったのだろう……夕日が沈むころ若目の女医が俺に話しかけてきた
俺は一人で彼女の診察室らしきところに入る
「何ですか?」
「単刀直入に言うわ。お母さんの治療費が今すぐ手に入る方法、あるわよ」
「え!?ほ、本当ですか?」
「ええ、そのかわり……あなたはすべてを失うことになるかもしれないわ」
「いや、母さんが助かるならどんなことでもします!だからその方法を!!」
「分かりやすく言うと……あなたの男を売るのよ」
「え?……売春……ですか?」
つーか、それで稼げるもんなのか?
「ああ、違う違う。要するに、女の子になる薬の実験台になれ、ってこと」
いや、こっちのほうが分かりやすいだろ……って
「そんな薬があるんですか!?」
「まだ実験中。だからこその実験台。下手すると命さえも失うかも」
「なッ……?」
「うまく女の子になったとしても、もう普通の日常には戻れない」
「う……」
「うまく女の子になれても、今まで生きてきたことのすべてを失うかもしれない。それはとても辛いことよ。それでも……やる?」
そこまで……正直そこまでとは考えてなかった。

40 : ◆KjoXDJ3iYI :2007/04/26(木) 00:21:14.29 ID:a0cF.Kk0
どうする?俺はどうすべきか……いや、悩む余地はあるまい
辛い……辛いというのなら……
「今目の前でまた家族を失うほうが辛いです。もしかしたら妹は許してくれないかも知れないけど……それでも、俺にできることがあるなら……」
もう、あんな思いはごめんだから。できることがあるならしたいから
「そう、じゃあこれにサインして、そこに寝て頂戴」
俺は言われるままにサインをして診療台に寝る
「怖くない?やめてもいいのよ?」
震える俺を見て、先生が尋ねる。
「怖い……です。正直めちゃくちゃ怖い……あれだけ言っといてかっこ悪ぃよ俺……」
ここにきて初めて実感する自分の「死」の恐怖。頭に浮かぶ様々な光景。

「四人」だった日のこと。「あの日」のこと。「三人」が始めて笑った日のこと―
母さんが、由佳利が、そして俺が笑っている
その笑顔が、俺に力をくれる

「俺はやめません。みんなでまた笑いたいから……俺も母さんも生きていたいから」
「そう……それじゃあ……麻酔投与開始」
その声とともに口に呼吸器のようなものが当てられる。
意識が遠く……なる

「ごめんなさいね。巻き込んじゃって……」

その言葉を最後に、俺は意識を失った
41 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/26(木) 00:28:50.08 ID:a0cF.Kk0
以上です。一応続きますが、前ほど長くはならないと思います
あとタイトル募集していいですか?
最初は「Dear My Family」略してDMFってしてたけどこれはあまりにもあれなんで……

ところで、言っといてなんですがトリ変えた方がいいですか?
42 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/26(木) 00:35:05.75 ID:Cr9JcRc0
GJ!
一応変えた方がいいかもな
43 : ◆qaQu5EGERs :2007/04/26(木) 03:01:12.82 ID:a0cF.Kk0
>>42
了解です。
では今後はこれでいこうと思います
44 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/26(木) 23:51:10.55 ID:lZcR7c2o
ん〜、過疎過疎
45 : ◆qaQu5EGERs [旧◆KjoXDJ3iYI ]:2007/04/27(金) 22:30:30.26 ID:vQBCu.E0
うーむ……過疎ですね……
とりあえず少し続きできたんで投下しますね

46 : ◆qaQu5EGERs :2007/04/27(金) 22:32:33.99 ID:vQBCu.E0
眩しい……あたりが白い
「洋一……洋一」
俺を呼ぶ声がする。次第に目が慣れてくる
「ん……あ、父さん!?」
目の前には、いつの間にか父さんが立っていた
なぜ?父さんは死んだはずじゃ?
「立派になったな。みんなを、頼むぞ」
それだけ言うと父さんは振り向いて歩き出す
「ちょ、待ってよ父さん!行かないでよ!!」
「お前は生きろ。何があろうとも生きろ。みんなと一緒に」
「父さん!どこに行くんだよ!!帰ってきてよ父さん!もうどこにも行かないでくれよ!」
「大丈夫。お前なら……こんなにみんなを大事に思えるお前なら……」


「父さ……ん」
気がつくと俺は、白い天井を見上げて寝ていた
どうやら夢を見ていたらしい
「はぁー……くっそ、なんちゅう夢を」
父さんの夢なんて、今まで見たこと無かったのに何で今になって……

47 : ◆qaQu5EGERs :2007/04/27(金) 22:36:30.15 ID:vQBCu.E0
「あ!起きた!!」
「ん……ああ、由佳利」
「あの……お兄ちゃん……なんだよね?本当に」
「ん?何のこと―」
問いかけようとしたとき、部屋のドアが開いた
「そう、中身は正真正銘のあなたのお兄さん。朝日洋一君よ」
入ってきたのは、昨日の女医
「あ、先生……」
「どう?気分は。三日も寝ていたわけだからね」
三日!?昨日じゃなかったのか
「そうですね……ちょっとだるい感じですね」
三日……そういえば何で俺はそんなに寝てたんだ?
というかここはどこなんだ?
「じゃあ改めて質問。どう、女の子になった気分は?」
「女の子?」
なんだ?わけの分からないことばかりだぞ?
「え?もしかして気付いてなかった?見事に女の子になってるのに」
「へ?」
言われて俺は自分の体を見る。うむ、まず明らかに縮んでいる
そして髪が長くなっている。しかし胸は……
「ああ、もしかして胸があまり無いから気付かなかった?」
「……」
とりあえず股間も確認。立派だった伝家の宝刀(鞘入り)は綺麗になくなっていた。
そう……股間は綺麗になっていた……
「どう?ちゃんと女の子になってたでしょ」

確かに……女の子は女の子だが……

「あのー?」
「つるぺたか!?俺は今つるぺた少女なのか!?」
二十歳だぞ?俺二十歳なんだぞ!!なんで毛とか毛とかがないんだよ!?
「ちょ、ちょっと落ち着いて……」
「落ち着いていられるか!俺が少女で少女が俺で俺は誰?ここはどこ―」

ぷす

あれ?また気が……遠く……
48 : ◆qaQu5EGERs :2007/04/27(金) 22:37:07.25 ID:vQBCu.E0
「落ち着いた?状況は理解した?」
「はい……」
どうやら鎮静剤を打たれたらしい。気がついたのは2時間くらい後のことだった。
どうやら例の薬の実験は成功し、俺はつるぺた少女になったらしい
「うーん、まずは大成功ってとこね」
笑顔の先生。しかし対照的に不機嫌な俺
「大成功って……なんでつるぺたなんですか!?」
「大丈夫。そっちのほうが好きな人もいるから」
「大丈夫じゃないですよそれはちょっとアレな人たちでしょーが!!」
「まあ、とりあえず健康データに問題はないから、退院してもいいわよ」
「ちょ、少しは人の話を―」
「ええ、あとお母さんも無事よ。もっともこちらは退院には一ヶ月ほどかかるけど」
「え…ほ、本当ですか!?」
よかった……本当によかった……
「ええ、あなたの決断が、お母さんを助けたのよ」
「はは……やった。やったぁああああー!!」
「まあ、とりあえず今日のところは帰りなさい。まだ会えないから。ああ、そうそう―」

49 : ◆qaQu5EGERs :2007/04/27(金) 22:41:52.65 ID:vQBCu.E0
翌日
「えー!?よーちゃんアメリカに留学したって本当なの?」
「はい、なんかいきなり」
「もう!よーちゃんのバカ!なに考えてんのよいきなり!!しかも私に何も言わずに行くなんて」
迎えに来たあおいはたいそうご立腹のようだ
いきなり大好きな幼馴染がいなくなったのが気に入らないらしい。ういやつだ
……何言ってんだ俺
「で……代わりといっちゃなんですけど……」
「あれ?そういえばそっちの子は?」
「あ、その子は親戚の子で―」
「朝日……茜です。今日から同じ大学に通うことになりました」

「朝日茜」―それは女になった俺の新しい名前。そして、一生付き合うかも知れない名前
俺は今日から、この名前で女としてで生きることになった。

50 : ◆qaQu5EGERs :2007/04/27(金) 22:44:40.43 ID:vQBCu.E0
はい、こんだけです。そして続きます
そんなに長くはならないと思うんだけど……長くなりそうだなぁ……
51 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/27(金) 23:01:07.82 ID:dBybk7A0
GJ!
52 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/27(金) 23:19:10.06 ID:M/HsAngo
GJ!
未だに設定が固まらないぜぇ
53 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/29(日) 08:29:21.09 ID:6SfRT8s0
まとめ更新されてなくね?
とりあえず乙
54 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/29(日) 09:05:33.46 ID:6SfRT8s0
>>49
GJ
55 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/29(日) 11:32:20.30 ID:6SfRT8s0
てか名無し草さんの作品1とかkjoさんのって完結してるのかな?

まとめ更新されないから見れなくて続きが気になって仕方が無いんですが
56 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/29(日) 16:40:45.04 ID:zAuJjvc0
よし、じゃあ自分も続き書いてきます
57 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/29(日) 17:18:49.91 ID:/8VJQZA0
作品のあるスレのログは10月あたりを除いて全部まとめサイトに上がってるから気になるならそれをみるんだ
で、やる気があるならまとめてくれると嬉しい
wikiのパスは、全く使われなくなったテンプレその2にある
58 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/29(日) 18:15:58.22 ID:zAuJjvc0
7時になったら投下しまふ
どなたかおります?
59 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/29(日) 18:41:36.06 ID:zSxIGsEo
>>58
俺がいるぞ
60 : ◆wjOmYNm0Aw [星の無い空の下で]:2007/04/29(日) 19:01:01.42 ID:zAuJjvc0
第6章:旅行初日

第一話

勇人「はぁ・・・」

最近溜め息の頻度が異常に上がってる気がする

トモ「おいおいどうした?せっかくのスキー合宿だというのに」

そう、今日は学校行事でスキー合宿に来ているのである

鈴が現れた土曜日から数日が経過した今日水曜日

本来なら、これは学校行事だから

鈴「スキー楽しみだなぁ。ワクワクテカテカぁ」

こいつがいるはずないんだけど・・・

トモ「あぁ・・・もしかして」

勇人「その通りだ。僕の憂鬱は溜まる一方としか」

トモ「なんというか・・・頑張れ、な?」

下手に煽らない分、余計に怒りたくなる

勇人「ちくしょう・・・人事だと思って」
61 : ◆wjOmYNm0Aw [星の無い空の下で]:2007/04/29(日) 19:01:48.21 ID:zAuJjvc0
トモ「実際人事だしな」

前言撤回、煽っても煽らなくても怒りたくなる

優「あはは、僕は自由に過ごせるからね。僕としては嬉しいかな」

その分、鈴の面倒を見る必要があるがな。世話好きの優ならそんなこと苦痛じゃないのだろう

トモ「しかし、まさか鈴ちゃんと優さんがこんな方法で来るとはな・・・」

そう、学校行事である以上、鈴が参加出来るわけないのである

だが、不可能を可能にするのが秋空家クオリティー。自分で言ってて悲しくなるが・・・

とりあえず、何でこうなったのかを説明しようじゃないか
62 : ◆wjOmYNm0Aw [星の無い空の下で]:2007/04/29(日) 19:02:10.12 ID:zAuJjvc0
第二話

トモ「じゃーなー。明日は俺も休むから。また月曜に」

時は土曜日。僕はトモと遊んでいる。そろそろ解散のふいんき(何故かry

勇人「ん、じゃーねー」

現在時刻、午後6時。いつもこの時間に解散するのである。だがこのとき、トモが余計な一言を・・・

トモ「そうそう。水曜からのスキーの準備しとけよ?優さんも担任から何か聞かされてるんじゃないかな?」

そう言ってトモは玄関を出た。そういえば水曜からスキーだった・・・

勇人「あ、やべ。全然準備してないかも」

優「じゃあ明日まとめて準備しよっか」

どうやら優はもう既に担任からスキーのことを聞かされているらしい

鈴「え、スキーって?勇人と優さんスキー行くのぉ?」

優「うん、学校の友達と一緒にね」

鈴「えぇー、私も行きたいー」

勇人「却下。お前は生徒じゃないだろ」

鈴「じゃあ二人がスキー行ってる間は私一人なのぉ・・・?」

・・・そういえばそうだな。こいつ一人で心配というより、何かやらかさないか不安という
63 : ◆wjOmYNm0Aw [星の無い空の下で]:2007/04/29(日) 19:02:34.63 ID:zAuJjvc0
勇人「うーん、けど学校行事だし・・・。」

鈴「むぅー、私も行きたい・・・。それに一人ぼっちはヤダもん」

一度捨てられた身だからか・・・言葉に重みがあった

優「あ、じゃあ僕スキー行かないよ。世話は僕がやるから、勇人は楽しんできて」

勇人「おいおい、せっかくのスキーなのにか?」

鈴「えぇー、二人とも一緒がいいー」

勇人「ん・・・じゃあ僕も休むよ。これでいいか?」

鈴「うーん・・・でもスキー行きたいよぉ」

結局スキー行きたいだけじゃねーか

勇人「注文の多いやつだな。注文の多い料理店に出てくる猫よりも注文多いぞ」

鈴「あの猫は貴金属をはずさせたり顔にクリーム塗らせたり荷物預けさせたりしたじゃん。私のほうが少ないよ」

何でこいつが注文の多い料理店を知ってるんだ。まぁそれはいいや

勇人「だが何度も言うようだけど、学校行事だから生徒じゃないお前は参加出来ないんだ」

鈴「むぅー・・・」

鈴が不満を顔で表す。頬を膨らますな
64 : ◆wjOmYNm0Aw [星の無い空の下で]:2007/04/29(日) 19:02:53.45 ID:zAuJjvc0
優「あ、じゃあさ。個人で行くのはどうかな?」

勇人「個人で?」

優「そう。つまり個人のスキー旅行として同じ場所へ行くってこと」

・・・余計なところで無駄に素晴らしいアイデア出すなって

勇人「マジで言ってるのか?」

優「そうでもしないと鈴ちゃん、納得しないでしょ?」

・・・

優「じゃあ僕と鈴ちゃんは『個人で』スキー合宿行くから。そこのところ、宜しく♪」

それで、僕が親に連絡して優と鈴、二人分の旅費を頼んだ。親は地味にブルジョアなので快く承諾してくれた

・・・秋空家クオリティー、流石だな
65 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/04/29(日) 19:03:18.13 ID:zAuJjvc0
以上です。夕食いてきます
66 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/29(日) 20:11:23.28 ID:zSxIGsEo
GJ!
67 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/29(日) 20:25:52.83 ID:6SfRT8s0
>>57
把握した

俺がやらなきゃ誰がやる
という訳で初挑戦してきます

>>65
( ゚∀゚)b GJ!
68 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/29(日) 20:38:48.50 ID:6SfRT8s0
大抵の作品は目を通してあるから既出かどうか分かるので少し楽だな

というか作者様の投下が続いていて嬉しい
もし未完結で終わったら[ピーーー]る
69 :きじょ〜 ◆qaQu5EGERs :2007/04/29(日) 21:12:06.75 ID:NSBmjrE0
>>68
何なの!?その[ピー]は何なの!?
怖いよママン(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
何はともあれまとめ更新がんばってください!

で、更新してる隙に続き投下と……  
70 :きじょ〜 ◆qaQu5EGERs :2007/04/29(日) 21:13:18.52 ID:NSBmjrE0
「あなた、大学どうする?」
「大学、ですか?」
「今のあなたは朝日洋一であって朝日洋一でない存在よ。今の大学にそのまま通い続けることはできないわ」
「どうするって……選択肢があるんですか?」
「別人として大学に通うか、それともこのままやめるか。もしくはまったく別のところにいくか。今の所に通いたいって言うなら手続きはしてあげるけど。ただ……」
「通えるものなら通いたいですけど……ただ?」
「あなた、友達にあったとき耐えられるかしら」
「何をです?」
「あなたは、朝日洋一とは別人として扱われる。それは親しい友人であればあるほど辛いと思うわ。さらにもしあなたが朝日洋一だと主張しても、信じてもらえるかどうか分からない」
……親しい友達に、他人として扱われる。確かにそれは辛いかもしれないけど
「先生が証明してくれれば……」
「それはできないわ。この研究の存在自体が極秘ということになってるし、たとえ私が何を言おうと信じない人は信じない。」
「そんな……」
「もし信じてほしいなら……自分で証明しなさい。そして友人を信じなさい。それだけよ」
友達が信じてくれるのを信じる……ということか。
「けど、もし親しい友達が信じてくれなかった時は……」
「俺にとっては……辛いでしょうね。そいつを信じていた分だけ」
「そうね。で、どうする?別の大学に行ってもいいのよ。その辺は何とかしてあげられるから」
「俺は……今の所に通い続けます。そりゃああいつらに信じてもらえなかったら辛いだろうけど、今は何よりあいつらと離れたくないんです」

71 :きじょ〜 ◆qaQu5EGERs :2007/04/29(日) 21:14:12.50 ID:NSBmjrE0

あおいが朝迎えに来て、裕二と馬鹿やって、あおいをバカにして、殴られて。
あおいが笑ってて、裕二が笑ってて、俺が笑う
そんな毎日の生活が楽しいから。離れたくないから

「最初は信じてもらえないかもしれないけど、けどあいつらを信じたいから」
「……そう。あなたはどうしても辛いほうに行きたがるのね」
「え、いや、そんなつもりは……」
「男前ね。見た目は幼女なのに」
「大きなお世話です!」
「分かったわ。大学のほうには手続きしてあげとくわ。あなたは今日から……そうね。朝日茜ちゃんね」
「茜……ですか?」
「そう。茜色の朝日。素敵じゃない?」
「……ノーコメントで」
72 :きじょ〜 ◆qaQu5EGERs :2007/04/29(日) 21:16:53.17 ID:NSBmjrE0
「朝日……茜です。今日から同じ大学に通うことになりました」
というわけで俺は、「朝日茜」としてあおいと対面しているというわけだ
「……え?大学生?あなたが!?」
「はい。そうです」
何だその珍しいものを見る目は。
「じーっ」
「な、何ですか?」
あまり見つめるな。素直におしゃべりできなくなったらどうする
「……可愛いーっ!!」
「ちょ……やめ」
抱きしめるな!苦しいだろうが!!
「すごいすごいー!こんなに小さいのに大学生なんだ。漫画みたい!いくつなの?」
軽々抱き上げるな!何かムカツクから
「え……二十歳、です」
「えー?私と同い年なの?こんなに小さくて可愛いのに?」
小さい小さい言うな!悲しくなるから
「あ……私、市川あおい。はじめまして茜ちゃん。よろしくねっ!」
「は……」
「ん?どうしたの?
「いえ……はじめ…まして」
「うん!」

はじめまして……か。分かってたことだけどさ。
幼馴染に実際に言われると……ちょっとな……

73 :きじょ〜 ◆qaQu5EGERs :2007/04/29(日) 21:18:16.49 ID:NSBmjrE0
「おっはよー!裕二君」
「おう。あれ、洋一は?」
「何か急にアメリカ行っちゃったんだってさ」
そういえばそういう設定だったな。普通に考えて無理があるだろ。信じないそ普通……
やっぱアホだこいつ
「ア、アメリカ!?何でまた……しかも何も言わずに」
「それがよくわかんないんだよ。」
「ふーむ……よっぽどなことがあったんだろうな……俺たちに何も言わないとこを見ると」
「うーん……ちょっと心配だよ〜」
「そうだな……ところでその子は?」
「あ、そうだ。この子よーちゃんの親戚なんだって。で、今日からここに通うんだって」
「朝日茜です。よろしくお願いします」
「ああ、よろしく。しかし大学に転入生とは珍しいな。まあその辺はイロイロあるんだから聞かないとして……君いくつ?」
やっぱりそこは気になるのか
「二十歳です」
「……二十歳?まじで!?同い年なのかよ!!」
まあ、どう見ても○学生だよな見た目は……中身はヤラハタの男だが
「ごほん……申し遅れました。武田裕二です。よろしく、茜さん」
お、急に態度変えやがった。そういえばこいつの性癖は……
まさか「二十歳だから喰っておk」とか考えてねーだろーな
「困ったことがあったらどうか僕に……ってどこ行くんだよあおいちゃん?」
「あの人ロリコンだから気をつけてね」
「そうなんですか?でも私二十歳だから……」
我が親友をロリコン呼ばわりするとは……まあその通りだが。
俺が男だったときには無乳貧乳論争をよくやったものさ
そうか……もうあれもできないのか……悲しいな
74 :きじょ〜 ◆qaQu5EGERs :2007/04/29(日) 21:21:28.47 ID:NSBmjrE0
今日はここまでです。もう長くなるの確定だなこれ

あと、無乳貧乳論争はリアルでしたことがゲフンゲフン……ではまたノシ
75 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/29(日) 21:24:55.41 ID:zAuJjvc0
きじょ〜さん乙です!
じゃあ自分もそろそろ投下しますけど、大丈夫ですか?
76 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/29(日) 22:26:56.86 ID:NSBmjrE0
>>75
いつでもいいんだぜ?
77 : ◆wjOmYNm0Aw [それでは早速]:2007/04/29(日) 22:30:12.95 ID:zAuJjvc0
第三話

トモ「まぁ勇人の家も流石と言えば流石だよな」

勇人「僕の親があんなに豪快だったとはな。思ってもいなかった」

優「いやー、ホント有難う。とても感謝してるよ」

感謝されてもあまり嬉しくないな・・・

鈴「優さんー、はやく行こうー!」

遠くから鈴の声が聞こえる。どうやらもう滑りに行くらしい

優「あ、ごめん。じゃあ僕は行くね」

勇人「ん、怪我するなよ」

優「大丈夫、大丈夫ー」

そう言って優は鈴のほうへ走って行く。僕とトモ二人だけが残った

トモ「じゃあ俺たちも行くか。そろそろ時間っぽいしな」

勇人「よし、スキーとか久しぶりだからな。オラワクワクしてきたぞ」

というわけで外に出てスキー開始
78 : ◆wjOmYNm0Aw [星の無い空の下で]:2007/04/29(日) 22:30:59.33 ID:zAuJjvc0
数時間経過、一日目のスキー終了。現在、食堂にて夕食タイム

勇人「つ・・・疲れた」

物凄い勢いで疲労が溜まっている。正直、死にそうである

トモ「勇人ー、お疲れ様。どうだった?」

隣にいるトモが話しかけて来る

勇人「正直、ヤバいです。ハイ」

トモ「明日は一日中、明後日は午前中、また滑るんだけど。大丈夫なのか?」

大丈夫じゃないかもね。いや、マジで

勇人「これは予想外だった。まさかここまで体力の必要なスポーツだとは・・・」

トモ「ははっ、まぁ頑張れや。俺はまだまだ余裕だし」

勇人「そうかい。とりあえず僕はもう部屋戻るぞ」

トモ「おう、後でお前の部屋遊びに行くからな」

勇人「ふざけるな、ボケナス」

トモ「冗談、冗談」

というわけで部屋に帰還。だが部屋の扉を開けた瞬間
79 : ◆wjOmYNm0Aw [星の無い空の下で]:2007/04/29(日) 22:31:42.09 ID:zAuJjvc0
勇人「ぐはっ!」

一瞬何が起きたのか分からなかった。冷静に状況判断すると、どうやら僕の顔面に何かがぶつかったらしい

委員長「おっ、勇人遅いぞ!今盛り上がりレベルMAXだ。それに我が軍が劣勢だ。助けてくれ」

何だ何だ?と思って部屋の中を見ると、恒例のマクラ投げバトルが繰り広げられていた

勇人「疲れてるけど・・・とりあえず僕も参戦するぜえええええ!」

委員長とタッグを組んでバトル開始

クラスメイトA「甘いぞ!秘技:ファイブピローズ!」

マクラが星の形になって5個一気に飛んでくる。これを全て避けるのは困難。ならば

勇人「チャンスガード!」

布団の端をめくって、自分の前に壁をつくる。ぶつかったマクラは力なく地面に落ちて僕の武器となる

勇人「反撃。くらえ、五花月光斬!」

相手5人に向かってマクラを投げつける。全員HIT

勇人「完璧」

委員長「流石だな、兄者」


結局その後もバトルが続き、見回りに来た先生に怒られて僕たちは就寝した
80 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/04/29(日) 22:32:17.92 ID:zAuJjvc0
以上で第6章終わりでっす
次の章で少し話が進むかもです
81 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/29(日) 22:49:55.69 ID:BlqsJzs0
GJ!
82 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/29(日) 23:59:53.31 ID:6SfRT8s0
とりあえず◆KjoXDJ3iYIさんの2つめの作品まとめ終了
明日又違うのまとめなきゃ・・・
83 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/30(月) 00:03:20.84 ID:dxYDYvco
>>82
がんがれ!
84 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/04/30(月) 00:09:45.39 ID:w4gCFgQ0
>>83
俺と一緒にやらないか?(まとめ)
85 :今すぐNHKFMかけろwww :2007/04/30(月) 13:49:32.50 ID:w4gCFgQ0
マジでまとめの援護欲しい
中見出しと←と↑と→さえ使いこなせれば誰でも出来る
出来ないなら俺が付けておく
だから誰でもいいから作品をまとめてくれ・・・
俺はkjoさんの作品まとめてるんだけど、どこか見落としてるのか2つ完結してねぇ・・・
86 :きじょ〜 ◆qaQu5EGERs [旧◆KjoXDJ3iYI ]:2007/04/30(月) 14:36:09.81 ID:YKssGzI0
>>85
まとめおつかれさまです!そしてありがとうございます。
えーと……作品についてですが、まとめで言うとこの作品3は諸事情により完結してません。ごめんなさい
1については、完結してはいるはずですが……最後あたりのログがなかった気が……
もし文章が残ってたらまとめにあげときましょうか?

それにしてもやたら投下してるな俺……その割に文章うまくなってる気がしないし……
87 :037:「コンバトラーVのテーマ(LIVE)」水木一郎[超電磁ロボ・コン・バトラーV] :2007/04/30(月) 16:00:43.36 ID:w4gCFgQ0
>>86
お願いします。

あと作品をたくさん投下してくれるのは嬉しいですよ。
まとめだって皆にその作品を読んでもらいたくてやってる事ですし、
だから自分の好きな作品から中心にまとめちゃうわけですが。
文章については見やすくていいと思うんですけどね・・・
88 :名無草 :2007/04/30(月) 16:05:55.62 ID:ObcR6m20
まとめ乙です

>>55
遅レスですが一つめは終わってますよ
日輪の方は明日の朝6時過ぎに第二章投下しようかと思ってます
89 :040:「渚の「・・・・・」」うしろゆびさされ組[ハイスクール!奇面組] :2007/04/30(月) 16:24:57.87 ID:w4gCFgQ0
>>88
把握しました

今日の夜にでも探してみるかな
90 :きじょ〜 ◆qaQu5EGERs [旧◆KjoXDJ3iYI ]:2007/04/30(月) 17:26:40.56 ID:YKssGzI0
>>87
うれしいこと言ってくれるじゃないの。あれ?目から汗が……

で、作品1についてですが、一応あげたつもりなんですけど……あれでいいの?
というかあれ以上どうやるのかよく分からない……オレガアホナダケナノカorz
もしおかしいなら申し訳ないけどよろしくおねがいします

よし、元気でた。今夜分書いてこよう。
91 :064:「四方八方肘鉄砲」忍ジャーズ[忍たま乱太郎] :2007/04/30(月) 18:12:14.37 ID:w4gCFgQ0
>>90
お疲れ様ですww
92 :075:「Rose」Anna Inspi' Nana (Black Stones)[NANA] :2007/04/30(月) 19:30:26.59 ID:NtTaLmk0
えっとー
投下していいですか?
93 :080:「乙女のポリシー(LIVE)」石田燿子[美少女戦士セーラームーンR] :2007/04/30(月) 19:57:41.59 ID:w4gCFgQ0
>>92
どうぞ
投下しづらい空気になりそうなのでまとめ側の俺は自重しますねwwwwww
94 : ◆wjOmYNm0Aw [まとめ有難うございます]:2007/04/30(月) 20:05:19.08 ID:NtTaLmk0
第7章:死の宣告?

第一話

勇人「ん・・・」

何故か目が覚める。けど、いつもと違う

勇人「あぁそっか。スキー合宿だったな」

そう。だから、いつもと違う風景、いつもと違う雰囲気でもおかしくはない

けど・・・

勇人「何で・・・こんなに暗いんだ?」

窓にはカーテン。だが朝ならカーテン越しに光が部屋に注ぐはずである

しかし、この部屋は完全に暗闇状態である

勇人「携帯、携帯・・・」

いくら雪が大量に降るような場所でも、朝になっても暗いままというのは無いはず

そうなると時間の問題か・・・

勇人「うげ・・・」

現在時刻、午前3時。何でこんな中途半端な時間に目が覚めたんだ
95 : ◆wjOmYNm0Aw [星の無い空の下で]:2007/04/30(月) 20:06:19.16 ID:NtTaLmk0
勇人「それにしても・・・喉が渇いた」

目が覚めた原因は喉が渇いたからなのだろうか。とりあえずまた寝るのは水分補給してからだな

あいにく、荷物の中に飲み物は無かったので部屋を出て近くの自動販売機に行くことにした

勇人「あぁ・・・眠い・・・」

マクラ投げバトルの後に寝て3時に起きたとなると、4時間くらいしか寝てないことになる

・・・ちょっと、いや、かなりきついな。僕的に

勇人「さて、何飲もう」

自動販売機に小銭を入れてポカリを購入。このフロアの自動販売機は階段の近くか、覚えておこう

部屋に帰ろうと歩き出した。だが、ふと階段の踊り場を見ると

勇人「あれ?」

そこには鈴がいた

鈴「あ・・・勇人・・・」

勇人「お前、こんな時間に何してるんだ?」

鈴「うん・・・ちょっとね・・・」

・・・
96 : ◆wjOmYNm0Aw [星の無い空の下で]:2007/04/30(月) 20:07:23.75 ID:NtTaLmk0
勇人「鈴」

鈴「うん?」

勇人「優と喧嘩でもしたのか?」

鈴「ううん、違う。ただ・・・ちょっと一人になりたくて・・・」

一体、どうしたのだろうか・・・

勇人「鈴、何があった」

鈴「・・・別に何も無いよ」

勇人「嘘をつくな。優と喧嘩したわけじゃないのは分かる。だが他に何があった」

鈴「・・・」

勇人「話さなければ一生分からない。話さなければ一生苦しみから逃げられない」

鈴「・・・」

勇人「僕でいいなら、話してみろ」

自分の悩みを人に打ち明けるにはたくさんの勇気が要る。だから話してもらえなくてもいいと思った。けど・・・


鈴「うん・・・。じゃあ、お願い。私の話を聞いて・・・」

鈴は、あっさりと承諾した
97 : ◆wjOmYNm0Aw [星の無い空の下で]:2007/04/30(月) 20:07:47.98 ID:NtTaLmk0
勇人「・・・いいのか?」

鈴「話さなければ分からないって言ったのは勇人じゃん」

まぁ・・・そう言えばそうだけど

勇人「そうだな。じゃあ頼むぜ。長いのは苦手だから出来るだけ分かりやすく頼む」

鈴「え、私にそんな文章力無いよぉ」

真剣な話なのだろう。だからこそ、僕は明るい雰囲気を無理に作り出そうとした

勇人「とりあえず頑張ってみろ。僕も出来るだけ頑張って理解する」

鈴「うーん・・・じゃあ結論だけ先に言うのがいいかも」

勇人「いい方法だな。じゃあそれで頼む」

鈴「じゃあ、話すね」

結論を何て言うか考えているのであろう。空白の時間が流れる。

それから少し経って・・・鈴はゆっくりと口を開いてこう言った

鈴「私・・・数日後、もしかしたら今週の土曜日ぐらいに・・・」


---------------もう二度と、人間として生きていけないかもしれない---------------

衝撃の・・・告白だった・・・
98 : ◆wjOmYNm0Aw [星の無い空の下で]:2007/04/30(月) 20:08:15.90 ID:NtTaLmk0
第二話

勇人「・・・」

あまりにも唐突すぎる告白、理解するのに時間がかかった

いや、脳が理解しようとしなかったのだろう・・・

鈴「・・・」

待った、待ってくれ、こいつは何て言った。人間として生きていけない?イキテイケナイ?

モウニドト、ニンゲントシテイキテイケナイ・・・?

それも・・・今週の土曜日ぐらいに・・・?

勇人「鈴・・・」

鈴「・・・」

勇人「それ・・・本当なのか?」

本来なら、今週の土曜日に自分が死ぬなんて適当すぎる予言を信じるわけがない

けど・・・鈴の・・・あまりに暗い表情を見ていたら・・・


信じられないものだって・・・本当のように、思えてしまう

鈴「・・・うん」
99 : ◆wjOmYNm0Aw [星の無い空の下で]:2007/04/30(月) 20:08:46.97 ID:NtTaLmk0
勇人「待ってくれ。本当にいきなりすぎる。疑問がとんでもない勢いで発生してる」

生きていけないということは、イコールで死を意味する

今週の土曜日・・・生きていけなくなる・・・

あと数日で・・・鈴は死んでしまうのか・・・?

勇人「おい・・・何でそんなこと言うんだよ・・・」

鈴「だって、勇人が話せって」

独り言のつもりだったのだが、鈴が律儀に答える

いくら出会ってから数日って言ったって・・・

たった数日じゃない、数日もの間なんだ・・・

勇人「・・・生きていけなくなるのは・・・本当なのか?」

鈴「うん・・・『あの時』と同じ感覚が、ちょっとだけする」

『あの時』?

勇人「『あの時』って、いつのことだ?」

鈴「あ、えっと。勇人が私のことを拾った日の夜のこと。翌日、私が人間になる直前の感覚と同じ」

勇人「それで、今もその感覚がするのか・・・」
100 : ◆wjOmYNm0Aw [星の無い空の下で]:2007/04/30(月) 20:09:10.28 ID:NtTaLmk0
・・・ということは

勇人「人間じゃなく、鈴は猫に戻ってしまうということか?」

鈴「うん・・・多分ね」

勇人「だから、人間として生きていけなくなると言ったのか?いや、それより猫に戻らないでそのまま死んでしまうことは・・・」

鈴「あ、大丈夫。猫には戻るかもしれないけど、死ぬことは無いと思うから」

勇人「・・・根拠は?」

鈴「死んじゃう程の大きな変化だったら、私、普通に耐えられないもん」

またもや適当な理屈を並べる。けど、何処か頼もしい

それに・・・鈴は猫に戻るだけだ、死ぬわけじゃない

二度と話せなくなるかもしれないけど・・・

大丈夫、絶対に大丈夫

鈴と同じ、根拠の無い理論だった・・・

けど、鈴の理論よりは、ちょっと頼りなかった
101 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/04/30(月) 20:10:41.08 ID:NtTaLmk0
第6章第一話&第二話でした
さて、名無草さんの作品&kjoさんの作品がある以上、僕の作品を読んでくれる有難い人はどのくらいなのやら・・・
102 :099:「ハッスル・パンチの歌」大山のぶ代、水垣洋子、松島みのり、西六郷少年合唱団[ハッスル・パンチ] :2007/04/30(月) 22:03:12.32 ID:w4gCFgQ0
>>101
GJ

とりあえずまとめは新作は後回しにして完結してるのに途中でまとめられてない作品からまとめようと思ってます
つまり自分が読んだことあるのから優先的にまとめて行くって事です
なんかミスや手違いあったら報告下さい
103 :122:「Eternal Blaze」水樹奈々[魔法少女リリカルなのはA's] [sage]:2007/04/30(月) 23:39:00.36 ID:ElNAIOIo
104 :名無草 :2007/05/01(火) 06:57:27.22 ID:FwBHcOQ0
バイトが予想外に急がしかtt

とりあえずちょこっとだけ投下
105 :名無草 :2007/05/01(火) 06:58:37.85 ID:FwBHcOQ0
春の昼下がり、
 「お腹、減ったぁ……」
空腹に目を覚ます。
時間は12時を回った辺り。
あれ、私なんでソファーで寝てるんだっけ?
身を起こそうとして、もたれ掛かるどこか心地良い重みを感じて。
 「気持ち良さそうに寝ちゃって」
安堵からか、本当に安からに眠っている自称“男”。
――嘘でも、本当でも。この子がいつでもこんな風に眠れるように守ってあげたい。
女の私がこんな事を思うのは変だろうか? でも、変でも構わないと、本気で私はそう考えてるみたい。
無垢で、本当に可愛いと思えるその寝顔を堪能してから彼女を起こさないようにソファーから抜け出して。
さぁ、ご飯はどうしよう?

結局、手軽にパスタにすることにした。
寝起きで手の込んだものを作るなんてめんどくさいし。
106 :名無草 :2007/05/01(火) 07:00:04.62 ID:FwBHcOQ0
以上ですた

やべぇ、みじけぇ。
いろいろとすみません、むしろ生まれてきてすみません。
ちなみに第二章は「枝垂桜」です
この後新キャラ登場
107 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/01(火) 18:31:49.23 ID:NjGNXCw0
俺も何か書いてみたいねぇ。

まとめるのが先かな。
書き手さんにも十分に足りてるし。
108 :名無草 :2007/05/01(火) 21:41:59.45 ID:FwBHcOQ0
それじゃ第二章終わらせます
109 :名無草 :2007/05/01(火) 21:43:09.97 ID:FwBHcOQ0
ご飯を作り終えて、“男”を起こそうとソファーに近づく。
 「……泣いてる?」
考えればそれも当然、か。
いきなり女の子になって、気持ちの整理も出来ていないまま家を飛び出して。
少しくらい安心感を得られたってそれでも不安が消えてくれた訳ではないんだろう。
そんなことを考えながら気付けば私はその涙を拭っていた。
 「ぁ……」
寝起きの、焦点の定まらないような目が私を――そして私も彼女を――覗き込んでいて。
なんだか気恥ずかしくなって、
 「おはよ、ご飯食べる?」
無理矢理に挨拶。
 「おはよう、ご飯?」
小さく欠伸して訊ねてくる“男”、なんだか仕草一つ一つが可愛いなぁもう。
 「そ、ご飯」
言ってテーブルを指差す。
 「うん、食べる」
僅かに赤くなった目を擦りながらテーブルに歩いていく。
その背中は見た目以上に小さく見えて、

――どうにか、彼女を支えることが出来ないだろうか。

出来ることはほんの些細なことしかなくて、自分の無力さが恨めしい。
それでも、ほんの少しでも。
彼女の不安を紛らわせることは出来ないものか。
考えながら、“男”の向かいに腰掛けて食事を始めることにした。
“男”は美味しいと言いながら食べてくれて、朝よりは少し元気になったかな?
110 :名無草 :2007/05/01(火) 21:43:51.44 ID:FwBHcOQ0
ご飯を食べ終えて、後片付け。
後片付けと言っても食器洗い機に放り込むだけだけど。
うん、文明は偉大だ。
なんと言っても水仕事を機械がやってくれれば、女の人は手についてあれこれと悩むことも少なくなるんだから。
時計を見るともう2時前。
 「あ」
思いっきり変な声を出してしまった。
 「どうしたの?」
驚いたように聞いてくる“男”。
 「そういえば、これからどこに住むとかの予定というか当てはあるの?」
多分無いから私の所に来たんだろうけど、それでも一応聞いておこう。
 「ない、かな」
やってしまった、返答は予想通り。
けれどおまけで悲しげで不安げな表情をする“男”。
少し考えればこうなることは分かるだろう、何を考えてるんだ私は!
 「じゃぁ今日はとりあえずウチに泊まっていけば?」
こいつ女の子の友達なんてほとんど居ないし、これだけ可愛いと野郎の所に行かせる訳にもいかない。
 「でも、良いの?」
“男”は迷惑になるんじゃないかと言いたげな表情をして訊いてくる。
 「良いの良いの。お父さんもお母さんもそう言うの大好きだし」
本当にあの二人は子供みたいにそう言うのが大好きだ。
私に催促してくるくらいに。
 「……うん、それじゃ、一日だけお世話になります」
一日だけ、か。
女の子になって、自分のことすらどうしようもない状態で遠慮なんてするんじゃないってぇのよ。
 「その後はどうするつもりよ」
不機嫌そうな声に、自分でも驚く。
“男”は何も言えずに俯いていて、
 「もっと回りに甘えてみなさい。あんた見てると逆に不安になってくるのよ」
続けて驚く、なんで私はこんなに優しそうな声で、こんなことを言っているんだろう?
111 :名無草 :2007/05/01(火) 21:44:14.41 ID:FwBHcOQ0
それから、なんとなく気恥ずかしいような気まずいような、そんな沈黙のなか時間を過ごして気が付けば5時。
二人の帰ってくる時間だ。
 「正直に、あんたが“男”だって言ってみる?」
最後に確認。
 「まかせても、良い?」
 「じゃぁ任せてもらう」
その言葉を合図に、計ったようにドアが開いて。
 「「ただいま」」
二人の声が聞こえる。
さぁ、勢いで任せてもらうなんて言ったけど、どう話そうかな。
 「あ、“女”、友達が来てるんだね」
 「可愛い子ね、なんだか妹のこと思い出しちゃうな」
言いながら入ってきた両親に、
 「うん、今日ウチにこの子泊まってもらっても良い?」
どう切り出そうか、迷って、結局言いだせずにそれだけを確認する。
 「ん、構わないよ」
 「そうね、布団は出しておくから」
そう言れだけ言って奥に引っ込むお父さん。
お母さんはそのまま台所に入っていって、多分夕食の準備だろう。
お母さんの妹と言うとあの叔母さんだろうか。
と言うかその叔母さんしか居ないのだが、やけに小柄で、本当子供を二人も生んでいるのかと疑いたくなるような童顔を思い出しながら。
なるほど、確かに似ているかもしれない。
そんなことを思いながら“男”の顔を眺める。
112 :名無草 :2007/05/01(火) 21:45:04.24 ID:FwBHcOQ0
その後、ご飯を食べて、お風呂に入って、私と“男”は私の部屋に引っ込んだ。
 「んー、どう切り出そうかなぁ」
未だに言い出せずにいた。
だってこんなこと信じられる訳がないし。
その時不意にドアが開いて、
 「はい、布団。困ったことがあったら言ってね」
布団を下ろして、そのまま出て行こうとするお母さん。
 「あ、お母さん」
思わず呼び止めてしまった。
 「何?」
真っ直ぐ見つめてくるお母さん。
もう正直に言ってしまおう、考えるだけ無駄な気もするし。
 「あのね、この子。“男”なんだ」
なんて捻りの無い言葉だろう。
 「“男”って、あのあんたの幼馴染の?」
驚いた風でもなく聞き返すお母さんの表情は、気のせいか呆れているように見える。
 「そう、信じられないかもしれないけど、あの“男”なの」
“男”を一瞥して、
 「そう、久しぶりね、“男”くん。今は“男”ちゃんの方が良いのかな?」
何なんだろう、疑うでもなくふざける様でもなく、そんな言葉を返してくるお母さん。
 「お、お久しぶりです」
困ったように返す“男”。
 「え、と。信じられるの?」
聞かずには居られなかった。
 「ええ、だって私の妹、あんたから見れば叔母だけど、あの子も元々は男の子だったのよ」
衝撃の新事実発覚。
 「え!?」
我ながら分かりやすい驚きの表現だと思いながらも思わず叫んでしまった。
113 :名無草 :2007/05/01(火) 21:45:43.28 ID:FwBHcOQ0
 「まぁそんな訳だから、そう言うことには慣れてるのよ」
そう言って笑うお母さんはどこか懐かしそうに続ける。
 「それじゃぁ妹呼んでみようか? 明日は休みだし、何か役に立つこと聞けるかもよ?」
子供っぽく言うお母さん、なんて言うか新鮮で、いつも以上に若々しく見える。
 「えと、お願いします」
 「それと、しばらくこの子ウチに泊めても良い?」
その一言で察したのか、
 「ええ、別にずっと居ても構わないけど。あの時も居候なら一人居たし、もしかしたら今回も増えるかもしれないわね」
言いながら部屋を出ようとドアノブに手を掛けたお母さんは、
 「世の中案外どうとでもなるものだから、あんまり落ち込んだり考え込んだりしすぎないようにね」
“男”にそんな言葉を送って、部屋を後にした。
 「僕だけじゃ、なかったんだね」
そのあと“男”はそんな言葉を漏らした。
時計を見ればもう11時に差し掛かっていて、
 「それじゃ、もう寝よっか」
明日は叔母が来るらしいし、きっと騒がしい一日になるんだろう。
明日一日騒ぐためにも、今日は早めに眠っておこう。
 「うん、おやすみ」
 「おやすみ」
それを合図に電灯を消して、それぞれ寝床に潜り込む。
 「“女”、ありがとう」
 「私は別に何もしてないじゃない」
 「うんん、信じてくれたでしょ?」
その言葉に答えられず、ゆっくりと瞼を閉じた。
 「疑う要素が無かったんだもん」
それだけ言って、ゆっくりと眠りに就いた。
114 :名無草 :2007/05/01(火) 21:46:02.70 ID:FwBHcOQ0
 「疑う要素がなかったんだもん」
“女”はそう言った。
でも、それを言うなら信じる要素だってどこにもないんだよ。
それでも彼女は僕を信じてくれた。
 「ありがとう」
もう一度、小さくそう言って瞼を閉じる。

春の夜。
風はまだ冷たくても、側に居ればその冷たさもしのげるはずと寄り添って。
もう目の前の夜明けを今か今かと待ちわびる。
115 :名無草 :2007/05/01(火) 21:46:55.11 ID:FwBHcOQ0
以上
第二章「枝垂桜」でした

というかふと思うと序章の次って第一章でしたっけ?
116 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/01(火) 22:16:10.11 ID:NjGNXCw0
>>115
知らん!本当に知らん!
117 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/01(火) 22:48:34.88 ID:Za/k6FI0
続きwktk
118 :きじょ〜 ◆qaQu5EGERs [旧◆KjoXDJ3iYI ]:2007/05/01(火) 23:28:41.47 ID:6NgiJro0
>>115
第一章らしいっす。

さて、VIPの某スレで昔のこと思い出してリアルに泣いたきじょーです。
というわけで読みにくいところや誤字脱字あったらごめんなさい(言い訳)
119 :きじょ〜 ◆qaQu5EGERs [旧◆KjoXDJ3iYI ]:2007/05/01(火) 23:29:49.44 ID:6NgiJro0
「ふぇ〜……終わったぁ……」
朝日茜の大学初日は大きな問題が起こることなく終わった
「茜ちゃんあかねちゃんあっかねちゃ〜ん!」
……前言撤回。どうやら我が親友に完全ロックオンされたらしい
「何ですか?」
「今日さ、飲みに行かない?歓迎の意味で」
『だが断る』と言いたいのを必死にこらえる
「ごめんなさい。今日は入院してる母のお見舞いがあるから」
「あ……そうなんだ。じゃあ明日は?」
こいつ、必死だな。でも困ったな。断る理由がない
しかたねぇな……全額出させよう
「明日なら……多分大丈夫です」
「いやっほーい!じゃあ予約しとくからね」
「はーい!私も行きまーす!!」
「あ、あおいちゃんも?」
ナイスあおい!さすが空気の読めない子!!
「私も、あおいさんがいたほうがいいです」
こいつと二人っきりは流石にマズイ。性的な意味で
「しくしく……分ったよ……」
「やったー!じゃあまた明日ね。いこっ、茜ちゃん」

「完全にロックオンだね。気をつけてね」
「あはは……」
笑えねえ……まじで笑えねえ……
120 :きじょ〜 ◆qaQu5EGERs [旧◆KjoXDJ3iYI ]:2007/05/01(火) 23:31:58.93 ID:6NgiJro0
さて、ところ変わって病院。
「朝日茜」と母さんの初対面である
「えーと……というわけで、俺が洋一なんだけど……」
「ご理解いただけましたでしょうか?」
先生と俺が説明するが……信じてもらえるんだろうか
息子が女の子になったなんておとぎ話に近い話を……
「……先生、由佳利。この子と二人にしてもらえないかしら?」
「わかりました。」
先生と由佳利が部屋から出て行く
「……」
部屋が沈黙に包まれる
「えーと……」
「馬鹿ねぇ……」
「え?」
「何も私なんかのためにこんなことしなくてもいいのに。ごめんね『洋一』」
今……洋一って
「信じて……くれたの?」
「親ってね、子どもが嘘ついてるかどうかなんてのは、目を見れば分かるの。それが分からないのは、ただ子を産んだだけの人」
「か……母さん……」
「ごめんね洋一。辛い思いさせて……これからも辛いだろうに……ごめんね……」
「いいよ……母さんが無事なら……それより、もう…誰も…どこにも……ひっく……行かないでよぉ!」
あの夢が不意に浮かんできて、色々なものが混ざって、涙になって出てくる
そういえば俺が泣くのも……あの時以来か
「あら?泣いてるの?ダメよ、いい年した男の子が泣いちゃあ」
「今は……えぐ……女の子…だよぉ……うわぁあああぁあん!」
「うん……ありがとう……いい子ね、ほんと。」
母さんが長くなった俺の髪をさらりと撫でた。何か懐かしい感触
「にしても……可愛い〜っ!ぎゅ〜ってしていい?むしろする!」
「ちょ、苦し……」
「ほーら!高い高ーい!!」
「だから抱きかかえるな!ていうかアンタ病人でしょうが!!」
まあ、元気そうでなによりだけどさ
121 :きじょ〜 ◆qaQu5EGERs [旧◆KjoXDJ3iYI ]:2007/05/01(火) 23:33:16.01 ID:6NgiJro0
翌朝
「うおーい。朝だぞ由佳利」
まあ、女の子になっても、俺の朝は変わらないわけで
「うみゃー?おふぁおーおぁああー」
「日本語でおk。それより顔洗ってご飯。」
「ふあーい」

「にしてもさー」
「何?」
「なんか今のお兄ちゃんが料理してるとこみるとすごく可愛くみえる」
「うるせえ」
今の俺は背が届かないから椅子の上に立って料理をしているわけで……
「大体お前はなんで料理できねえんだよ……体ばっかり成長しやがって」
「あー、お兄ちゃんいつもそういうこと考えてたんだ。やらしー」
「そういう意味ではない。ついでに家事のできない女には興味ない」
いや本当に。本当だよ?だって俺ひんぬー派ゲフンゲフン……
「そ・れ・と・もこの豊満なバディがうらやましいわけですか?」
くっ……俺が今一番気にしていることを……
「お前豚のしょうが焼き豚肉抜きな。胸なんて脂肪の塊だからな。二倍食えばおれも……」
「ひどい……それただのもやし炒めだよ〜この鬼!悪魔!無乳!!」
「お前弁当抜き」

122 :きじょ〜 ◆qaQu5EGERs [旧◆KjoXDJ3iYI ]:2007/05/01(火) 23:34:13.96 ID:6NgiJro0
ピンポーン
「あっかねちゃんガッコいこ〜!」
「なんか懐かしい響きだね」
「ギリギリだな……」
あおいが「いつものように」迎えにくる。しかし朝から騒々しい奴だ

「でね、よーちゃんは―」
「うん。」
「―なんだよ」
大学へいく道中、こいつは俺の話ばかりしてくる。まあ他愛もない昔話だが
つーかよく覚えてるなこいつ
「そんなによく覚えていますね」
俺はほとんど忘れた話ばかりだぞ
「え、そりゃおさなな―」
「昔からあおいちゃんは洋一にぞっこんだからな」
「ちょ、ちょっと裕二君!?」
ぞっこんは古いだろ……おっさんかお前は
「あいつがいなくなって寂しくない?なんなら俺が」
「そ、そんなことない。寂しくなんかないからね!茜ちゃんいこっ!!」
おい、少しくらい寂しいと言ってくれ。悲しくなる
「あ、それと今日の飲み会悪いけど延期。予定がはいっちゃってさ。」
「えー?、まあ仕方ないか。でも二人っきりで行ったりしたら駄目だよ!」
「……分かってるよ」
今の間は何だ今の間は!!
123 :きじょ〜 ◆qaQu5EGERs [旧◆KjoXDJ3iYI ]:2007/05/01(火) 23:34:39.95 ID:6NgiJro0
お昼
「むぐむぐ……ば、ばふぁねちゃんおふぇんとうなんだね……むぐむぐ」
「何言ってるのかわかんないんですけど……」
口に食べ物を入れたまま喋るなと教わらなかったのか?
「ふぁ、ごべん……んぐ。茜ちゃんおべんとうなんだね。自分でつくったの?」
「はい。」
「しょうが焼きか。そういえばよーちゃんも得意だったなそれ。料理得意なの?」
「まあまあ……ですね」
「じゃあ料理教えてくれない?昔よーちゃんにバカにされたから悔しくって……」
「別にいいですけど」
しかし、そのバカにした奴に教わるとは思ってないだろうな
得意料理『ゆで卵』。これだけでこいつの腕前がわかるってもんだ。ていうか料理かどうかも怪しいし
ま、こいつに料理教えとけば将来役に立つかも……なに言ってんだ俺
「わーい!じゃあ今日はもう授業ないから今からでいい?」
相変わらず計画性のない奴だな。けどここであっさり流されるのが朝日洋一クオリティ
「はい、いいですよ」
今日は暇だしね。そういえばこいつの家にいくのも久しぶりだな
124 :きじょ〜 ◆qaQu5EGERs [旧◆KjoXDJ3iYI ]:2007/05/01(火) 23:39:40.54 ID:6NgiJro0
今日はここまでです。
あと次回では、一度やってみたかったことをやるつもりです
まあ、あまり期待せずに待ってて下さいです
125 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/01(火) 23:43:42.07 ID:Za/k6FI0
GJです
126 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/02(水) 00:06:20.41 ID:ZkJQfcY0
GJ!
127 :名無草 :2007/05/02(水) 20:40:32.78 ID:p/EsaMU0
>>118
ですよね
じゃぁ「枝垂桜」が第一章で
今からのが第二章と言う事でお願いします
それでは「勿忘草」
128 :名無草 :2007/05/02(水) 20:40:56.12 ID:p/EsaMU0
 「“女”、おはよう」
春の朝、その日差しと同じように優しい声に起こされる。
 「ん、あ。“男”、おはよう」
時計は8時を指している。
……寝すぎだ。
たぶん、叔母さんが来るのは9時くらいだろう。
急いで支度しないと。
見れば“男”の方はそういったことは完全に終わらせているようだ。
七分袖のシャツと膝より少し上くらいのスカートを穿いている。
 「……待て、その服どうしたの?」
なんとなく見覚えのある服、なんとなく予想できる答え。
 「……“女”のお母さんに、着ろって渡されたんだけど」
やっぱりか、これ以上聞くのはやめておこう。
きっと“男”に、できたばかりのトラウマを掘り起こさせることになる。
後でお母さんに聞いておこう。
どういうつもりで私の古着なんかを出したのか。
129 :名無草 :2007/05/02(水) 20:41:21.68 ID:p/EsaMU0
ゆっくりのんびりと歯を磨いて顔を洗って。
それが終わって鏡を覗き込む。
あ、寝癖ついてる。
さっきは「急いで」と言ったわりには急いでるように見えないとか思ったあんた。
これでも急いでるつもりなのよ、朝に弱くて悪い?
と、誰にともなく文句を零して、今日は何を着ようか。
クローゼットを開いてあれこれと試してみる。
着替え終わって、時計は8時50分。
うん、思ったより早く終わったよね。
人と比べると確実に遅いんだろうけど気にしない。
そうして今に行くと、従弟が居た。
 「あ、“女”か。おはよう」
従弟と言っても同い年で、しかも通ってる学校も同じなのだが。
さらに言うなら、ここだけの話。
クラスまで同じと言うのは誰かの陰謀だろうか?
にしても、そうか。叔母さんが来ると言う事はコイツだって来るかもしれないってことだったのか……。

私はコイツが嫌いだ。
チビのくせに生意気で、いや、チビだから生意気なのか。
そんなことはどうでもいいけど、そんなことに腹を立てるなんて、私もまだまだ子供みたいだ。

――だから、嫌いなのかもしれない。
私はまだまだ子供で、コイツはそのことを思い出させる。
もしかしたら、いつまでも子供のままなんだって思わせる。
たぶん、だから私はコイツが嫌いなんだ。
 「ん、おはよう」
適当に返事を返して、部屋を見渡す。
ソファーに腰掛けてテレビを見ている一つ下の従妹。
台所から聞こえる音、お母さんと叔母さんはそっちでご飯でも作ってるんだろう。
それじゃぁ“男”はどこだろう?
見れば洗面所のドアが半開きで、従妹に「おはよう」とだけ言ってそちらに歩き出す。
130 :名無草 :2007/05/02(水) 20:41:45.74 ID:p/EsaMU0
 「で、何やってんの?」
ドアに背を任せて立ち尽くしている“男”。
 「え、うん。いや、“友”が……」
“友”? つまりウチの従弟が何かしたんだろうか。
そんなことを考えて、思い出した。
コイツ、あいつと仲良いんだっけ。
こそあどが続くと分かり難いとか思いながらもふと思う。
こいつは一度実の兄から――信じてもらえなくて――逃げ出している。
その傷は、相手と近しければその分だけ苦しいものになるのは想像に難くない。
だけど、それで逃げて、どうするんだ。
中には時間が解決してくれる問題も確かにあるだろう。
でも、これはそういう問題じゃないでしょ。
いつかは、信じてくれなくたって、それで傷ついたって。
面と向かって話をしないといけないことじゃないの?
 「で、いつまでも隠れてるつもりなの?」
“男”は俯いている。
 「黙ってちゃ解決することも解決しないよ?」
その肩は僅かに震えていて、それでも、私の言葉で後押しできるのなら。
私は鬼にだってなってやる。
 「信じてくれるとか信じてくれないとか、そう言う問題じゃないでしょ?」
上がらない顔はきっと見ただけで、悲しみで胸が痛むくらいに歪んでいるんだろう。
 「いつまで逃げてるの? ちゃんと自分の声で叫ばないと誰にも届く訳がないでしょ!?」
大きく震える“男”の体、今にも折れてしまいそうで、
 「大丈夫、今は私だってついてるんだから」
折れて、崩れ落ちてしまいそうなその体を抱きとめて、
 「頼りないかもしれないけど、精一杯支えるから」
出来るだけ優しく、少しでも伝えられるように。
131 :名無草 :2007/05/02(水) 20:42:03.66 ID:p/EsaMU0
柔らかくて、優しい温もりが――“女”の両腕が解けて――離れていく。
 「ぁ」
その温もりに少しでも縋っていたくて、そんな声が漏れた。
 「だから、ね。一緒に頑張ろ?」
照れ隠しのように笑って、鼻の頭をかきながら言う“女”。
 「う、ん」
溢れそうになる涙に耐えようとして、
 「もう、泣かないの」
ダメだったみたい、“女”が流れ落ちた涙の跡を拭ってくれて。
 「ありがとう」
“女”は困ったように笑みを作る。
 「ごめん」
彼女の胸に抱きついて、
 「ごめん……」
涙は止まってくれなくて、そんな僕の頭を撫でてくれる“女”。
 「もう……」
暖かな優しさに包まれて、そのまま泣き続けた。

姿形は変わっても、その心は変わらないと。
誰一人信じることがなくても信じ続けると言った僅かに背の高い、けれど小さな花。
その優しさはきっと傍らの花を勇気付けて。
132 :名無草 :2007/05/02(水) 20:42:49.64 ID:p/EsaMU0
以上
第二章「勿忘草」でした
何か書く量減ってきた気がすr
133 :名無草 :2007/05/02(水) 20:50:46.06 ID:p/EsaMU0
>>129
11行目の今は居間の間違いです
それと勿忘草ではなく「勿忘草-白-」が正解でしt
134 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/02(水) 22:56:37.69 ID:yt.6unM0
GJ!
135 :名無草 :2007/05/03(木) 00:43:26.21 ID:3S.VEWI0
ぬくぬくしたの書きすぎて頭がおかしくなってきt
って事で三作目書くとしたら鬱エンドになるかもしれませn
136 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/04(金) 22:30:01.12 ID:Hmkxc.M0
まとめの俺は最近ちょっと忙しくてまとめがおろそかになってました
明日まとめ作業再開します
137 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/05(土) 01:21:50.31 ID:h/mf046o
乙です
138 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/05(土) 19:35:54.87 ID:nZzCz3go
投下途絶えてるなぁ・・・
139 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/05(土) 23:42:28.02 ID:xX0G39Ao
パー速に移ったのか
開発スレで宣伝したら?
140 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/06(日) 01:05:22.49 ID:hTyfrFM0
>>139
宣伝頼む
次は愛謝さんのまとめなきゃな
141 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/06(日) 17:29:57.89 ID:IC/dp9Ao
過疎いな
142 :きじょ〜 ◆qaQu5EGERs [旧◆KjoXDJ3iYI ]:2007/05/06(日) 21:45:28.61 ID:y.wQc..0
うわぁ……連休中に過疎ってる。みんな楽しいGW過ごしてたのかな?
俺は……風邪引いて寝てたよorz


というわけで誤字等あったらごめんなさい。投下行きます

143 :きじょ〜 ◆qaQu5EGERs [体調管理って大事だよね]:2007/05/06(日) 21:46:54.76 ID:y.wQc..0
「うーんと……」
ここはあおいの家。ひょんなことからこいつに料理を教えることになったんだが
「あはは、失敗失敗」
いや、失敗ってレベルじゃねーぞ!!何でチャーハンが床に散乱してるんだ?
俺が一瞬目を離した(というかトイレに行った)隙に何が!?
「ほら、よくある『ジャッジャッ』ってやってみたくて」
そんな『チャーハン作るよ!』のAAをリアルに再現しなくても……
「あはは……ごめんなさい……」
もうこいつは料理の腕前以前の問題かもしれんね……
「とりあえず片づけを―」
「ただいま」
あれ、女の子の声?
「……何してるのお姉ちゃん。ていうか何これ、前衛芸術?」
「うわぁー!!み、翠!?お願い見ないで!!ちょ……写メはだめぇえええええ!!」
翠?ああ、そういえばこいつも妹いたんだっけな。うちのよりはしっかりしてそうだが
「いいものとれた。満足wwwwww」
「ああもう!腹立つ!」
仲いいなこいつら。
「ん?」
「……じー」
なんだ?めっちゃ見られてるぞ俺。
「お姉ちゃんの友達ですか?」
「はい。朝日茜っていいます。」
軽く自己紹介
「市川翠です。姉がいつもお世話になってます」
「いえ、そんな」
まあ、あながち間違っちゃいないがな。
「ダメ姉ですがよろしくお願いします」
「ああー!ほんとにむかつくー!!」
いや、人前でダメ姉はダメだろ……いくら事実でも
144 :きじょ〜 ◆qaQu5EGERs [ともねぇは俺の嫁]:2007/05/06(日) 21:52:49.46 ID:y.wQc..0
「あー……疲れた」
「今度からは気をつけてくださいね」
どうにか片づけを終え、とりあえずあおいの部屋にいくことになった
「ま、入ってよ。ちょっと散らかってるけど」
そして俺は、全国の男が夢見る幼馴染の部屋にはいr……
「……汚なっ」
思わず声がでる。ちょっとどころじゃない。
なんつーの?ねぇやの部屋に入った空也の心境?
「あはは……まあ押入れに突っ込んどけば大丈夫」
なんで俺の周りの女はこんなに家事ができないやつばかりなんだ?

「うわー、きれい!」
「あー……疲れた」
一時間後、ようやく整理を終わらせた。
「えへへ……ごめんね」
「可愛い笑顔はいいですからもっと真剣に反省してください」
「可愛いなんてそんな……もう、茜ちゃんったら」
……真に受けるなアホ
「昔からよーちゃんによく掃除しろって言われてたんだけどね。あはは」
そういや前に行ったときも……少しは反省しろ!
145 :きじょ〜 ◆qaQu5EGERs [ちなみに俺の部屋も汚い]:2007/05/06(日) 21:55:33.46 ID:y.wQc..0
「けどよーちゃんってすごいよね。家事なんでもできるもんね。でも私は……」
「どうしたんですか?」
急にあおいの表情が暗くなる。
「お父さんが亡くなってもあんなに頑張ってるのに……私は何もよーちゃんにしてあげられないんだよね」
「……」
「はぁー……ダメだね私。」
「そんなことないですよ。あおいさんにずいぶん励まされたって言ってましたよ」

父さんが死んで、みんなはなんとなく気を使っていたけど、こいつはいつも通りで……
だから俺もいつも通りにいつの間にか戻っていて、いつの間にか笑っていて。
何も考えていないようで、本当に何も考えていないのかも知れないけど……
それでも、こいつが笑顔にしてくれたのは本当だから
こいつがそばにいると楽しいから

「バカなんだから笑ってればいい。それだけで十分だ……って言ってました」
「そうなんだ……なんかバカにされてるみたいだけど……でもちょっと嬉しいかな」
まあ、半分は本当にバカにしてるんだけど、バカにしてるように見せないと伝えられないこともあるわけで……まあ、お前はそんな顔してないで笑ってろってこった。

……けど少しは反省しろよな

146 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/06(日) 21:56:08.25 ID:JLc7eooo
パー速でリアルタイム投下ってある意味奇跡だよな
wktk
147 :きじょ〜 ◆qaQu5EGERs [だが残念、これでラストだ]:2007/05/06(日) 21:58:18.32 ID:y.wQc..0
「失礼します」
こんな話をしていると、妹ちゃんが部屋に入ってきた
「え?翠、アンタ何しに……」
「お茶とお菓子をお客様に出すのは常識。何か問題でも?」
「……ありません」
どっちが姉か判んないなこれ
「友達もどっちが姉かわかんないって」
「い、いや、そんなことは」
ばれてる!?心読めるのこの子?
「まあ、こんな気が利かないから大好きな幼馴染の男の子に女の子として見られないんですけどね」
「ちょ、ちょっと翠!?」
「いいじゃん女の子同士なんだし。仲間は多いほうがいいでしょ?」
「……それはそうだけど」

まて、その幼馴染ってのは俺のことなわけでそれはつまり……

「お……お兄ちゃんのこと……そんなに好きなんですか?」
危なっ!思わず俺って言いそうになった
「そりゃもう、1万年と2千年前から愛してるんですよ」
それなんてアニメの主題歌?
「あれ?そういえばさっきお兄ちゃんって……」
「えと……親戚、なので」
「じゃあ心強いです。どうか姉のこと応援して下さい。妹としておねがいします」
「え……と」
「ちょ……翠?」
「こんな姉ですけど、彼への思いは誰よりも深いですから。私には分かりますから」
「……」
「だから、お願いします」
「……はい」

はいって言っちゃったよ俺!でもそれ以外言えねぇだろこの場合……
どうすんだよ俺……いや別にこいつのことは嫌いではないし……ってそういうことじゃなくて!

俺、元に戻れるかどうかわかんないんだぞ……
148 :きじょ〜 ◆qaQu5EGERs :2007/05/06(日) 22:10:23.45 ID:y.wQc..0
頭が働かない時にアホな幼馴染の話を書くと本当にアホになりそうだ……
え?元からだ?サーセンwwwwwwwwwwww

というわけで今夜は以上です。
149 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/06(日) 22:19:08.07 ID:JLc7eooo
乙でした
150 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/06(日) 23:34:42.15 ID:aiqi40I0
ずっとVIPで探してたオレがバカみたいだorz
明日投下しますね。
151 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/07(月) 00:33:31.07 ID:tdjM1mk0
wktkしながら待ってます
152 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/07(月) 01:06:00.37 ID:2VsLN7wo
wwktk
153 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/07(月) 08:17:15.25 ID:8.FNTcAO
>>150
あれ?俺がいる?
154 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/07(月) 12:56:32.90 ID:mcY35AAO
連投規制とかあります?
155 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/07(月) 19:42:59.65 ID:OhqhMTwo
過疎過疎〜♪
156 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/07(月) 21:31:03.92 ID:LQuo17g0
じゃあ投下しますね。
157 :Shizuoka Ego ◆iqP3HuSAqU :2007/05/07(月) 21:32:22.85 ID:LQuo17g0
ピピピピピピピピッ♪
四月も半分を過ぎた時分の朝、聞き慣れた目覚ましの音で目を覚ます。
今月から始まった一人暮らしにもすっかり慣れ、大学生活にも慣れてきた。
目を開ければもう見慣れてしまった天井が瞳に映る。
何もかもがいつも通りだった。
だからボクはいつも通りに目覚ましを止めようとした。
ピピピピピカチッ…………
目覚ましの音が止んだ。目覚ましのスイッチを押したからだ。
しかし、そのボクの手と目覚ましの間には、

何者かの手が挟まっていた…………




             終
158 :Shizuoka Ego ◆iqP3HuSAqU [ハジマタ\(^o^)/]:2007/05/07(月) 21:34:06.40 ID:LQuo17g0
いやいや、終わるワケにはいかない。
しかし一体誰なんだ?
友達を泊めた覚えはない。
とすると、不法侵入しか考えられない。
ナンテコッタイ/(^O^)\
とりあえず落ち着こう。
うまく開かない目を擦り、どうにか相手を見る。
「…………誰?」
先に口を開いたのは相手だった。
さあボクは誰でしょう?
実のところボクにも分からない。
いや、哲学的に考えて自分が何者かを答えられる人はそういないだろうけど、ボクの場合は違った。
本当に分からないからだ。
何故なら、今ボクの隣りで寝ていて、ボクに「誰?」と尋ねた人物は、ボクがボクだと思っていた人物だったからだ。
159 :Shizuoka Ego ◆iqP3HuSAqU [目指せ!千の名前を持つ男!]:2007/05/07(月) 21:35:53.05 ID:LQuo17g0
目の前にいるボクが知らないなら、当然ボクも知らないだろう。
「ちょっとごめん」
そう言ってボクの上を跨いでベッドから降りる。
そして鏡の前に立った。
「…………誰?」
思わず呟いてしまった。
鏡に映っていたのは、かわいい女の子だったからだ。
気付いてみると、確かに胸が少し重い気がする。
「えと…………キミ、誰?」
ボクが聞いてくる。
「さあ?」
ボクはそう答えた。
「さあ?って……」
「ボクとしてはキミのつもりだったんだけど、どうやら違ってたみたい」
「え?」
うん、話が通じない。
160 :Shizuoka Ego ◆iqP3HuSAqU [フルメタおもしれーw]:2007/05/07(月) 21:37:25.98 ID:LQuo17g0
とりあえず、ボクはボクだった、ということをボクに話し、ボクしか知らないようなことを幾つか話した。
「…………ホントにボクなの?」
「うん」
どうやら多少は理解してくれたようだ。
「えっと…………どうしよっか?」
「どうしよっか?」
同じ人間なんだ、相手から良い意見が出るワケない。
「今日の授業、4限の体育だけだよね?」
「うん、ボクは出れないけれど」
何気なく言ってから、悲しくなった。
ボクはもう、聞きたい講義も聞けないんだ。
「…………少しなら、ボクが教えるよ」
察したんだろう、ボクがそう言ってくれた。
「ありがとう」
ボクはそう返した。
161 :Shizuoka Ego ◆iqP3HuSAqU [自炊? 都市伝説か何かですか?]:2007/05/07(月) 21:39:21.67 ID:LQuo17g0
お昼を過ぎてから、男の方のボクがジャージで出掛けて行った。
家にいてもゲームかパソコンしかすることもないし、ボクは買い物に出掛けた。
近所のスーパーは歩いて10分ほどのところにある。…………ハズだったんだけどなぁ。
歩幅の問題か、どうも足が遅くなったらしく、15分掛かってしまった。
まあそんなことはどうでもいい。
二人分の食料だから、今までより多く買わないと。
えーっと、食パン食パン……っと、あった。
あ、コーヒー牛乳が98円だ。買っておこうかな?
あとはお弁当を二つ…………でも、折角ヒマなんだから何か作ってみようかな?
料理なんてしたことないけど、レシピぐらいネットで探せるもんね。
よし、それじゃあ適当な食材でも買って帰ろっと♪
162 :Shizuoka Ego ◆iqP3HuSAqU [タイトルなんて適当ですよね?]:2007/05/07(月) 21:40:33.09 ID:LQuo17g0
…………重かった。
体力もないみたい。
こんなに沢山買うんじゃなかった。
大量の食材を冷蔵庫に入れるのも億劫だ。
ボクが帰ってくるまであと一時間ぐらい……
じゃあ三十分ぐらいゆっくりしてても平気かな?
レシピでも探しながらネットやってよっと。
163 :Shizuoka Ego ◆iqP3HuSAqU [いやいや、実はとっても深い意味があるのですよ。]:2007/05/07(月) 21:41:37.78 ID:LQuo17g0
…………あれ?
あ、イケナイイケナイ。
もう少しで寝ちゃうトコだった。
「あ、起きた?」
「ふぇっ!?」
声のした方を見るとボクがゲームをやっていた。
「なんて声出してんのさ」
そう言って笑い出す。
どういうことだろう?
なんでボクが帰って来て……
「……今何時?」
「6時20分ぐらいかな?」
どうやら寝ちゃってたみたいだ…………
「あ、ご飯。すぐ作るから待ってて」
「いいよ別に。どうせ料理なんてしたことないんだし」
「それは、そうだけど……」
「カップラーメン食べよ」
「でも食材買っちゃったし……」
「じゃあさ、明日作ってよ。うん、それが良いよ」
「…………じゃあそうする」
ちょっと不満だけど、料理が上手く出来る自信もないので、ココは素直にしたがっておこう。
明日は美味しい料理を作って「ギャフン」…………は言わないか。
じゃあ「ゥンまああ〜いっ」って言わせてやるもんねっ!
164 :Shizuoka Ego ◆iqP3HuSAqU [オレの専ブラが対応してないorz]:2007/05/07(月) 21:45:04.55 ID:LQuo17g0
以上です。
続きは明日?

あ、そうそう。タイトルは『あいまい☆さんせんち』で。
え? らき☆すた? 知らないなぁ〜(ーзー)
165 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/07(月) 22:10:03.43 ID:tdjM1mk0
wktk
166 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/08(火) 23:06:46.10 ID:3qXFlKco
だれもきてない〜・・・(´;ω;`)
167 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/09(水) 00:07:31.25 ID:vCpdqa.0
来てるぜー
書いてないだけで
168 :名無草 :2007/05/09(水) 07:10:21.23 ID:1cT.0Oo0
ようやくメランコリー状態から回復
とりあえず第三章ちょびっとだけ投下します
それでは「クロッカス」
169 :名無草 :2007/05/09(水) 07:16:00.98 ID:1cT.0Oo0
泣き止んだ“男”の肩は小さくて、なんだか守ってあげないといけない気にさせられた。
 「うわ、目、真っ赤だよ」
とりあえず顔を洗わせて、少しはマシになったけどそれでもまだ赤みがかっている。
まぁ、この際細かいことは放っておこう。
 「それじゃ、いこっか」
踵を返してドアノブに掛けられた“男”の手は、けれどなかなか動かない。
 「どうしたの?」
振り返って“男”が言う。
 「だって……」
なんだってこういうとき、吹っ切れないんだろうなぁ男ってやつは!!
 「ほら、とっとと腹括りなさい」
“男”の後ろにあるドアノブに手を掛けて一気に開ける、と同時にコイツも押し出す。
 「わ、ちょ、ちょっと待ってよ」
十分に待った、もう待ちくたびれた。
 「もう待たない、さっさと済ませてきなさい」
170 :名無草 :2007/05/09(水) 07:18:06.37 ID:1cT.0Oo0
続きは今日の夜にでも
五章で完結の予定です
171 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/09(水) 13:50:30.02 ID:t3aiu4.o
wktk
172 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/09(水) 16:55:11.48 ID:F/nnoxY0
>>168
メランコリーって感傷的なって意味だっけ?

続きwwktk
173 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/09(水) 18:32:46.26 ID:vCpdqa.0
前から気になってたんだけど"w"wktkって何?
174 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/09(水) 21:11:46.64 ID:OYL4IpUo
パー速ではwが勝手に連続して出るみたい
175 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/09(水) 21:35:15.14 ID:cV7rcjQo
新参が未完成品を投下してもいい?
三十分以内にレスなかったらすねる
176 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/09(水) 21:56:30.95 ID:1cT.0Oo0
wwktkwwktk
177 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/09(水) 22:00:18.38 ID:5TZzJ9oo
www
178 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/09(水) 22:07:53.74 ID:cV7rcjQo
あぶねえwwwwすねるところだった


「そいじゃ、お先失礼しまーす!」
定時になったので仕事を切り上げると、
俺は神業のようにタイムカードを切ってゲーセン『アドアッー!!ス』に直行する。
仕事のストレスをゲームで発散するダメ人間っぷりは、社内でももっぱらの噂だが気にしない!
オフィス街を抜けたら、ネクタイを緩めて周囲の目も気にせずひた走る!
商店街のゲートを右に曲がればお目当てのゲーセンに到着だ。
はやる気持ちをおさえながらゲーセンの自動ドアを開くと、
クーラーの冷気が、頭冷やせよw、とでも言いたげに俺の身体を包んだ。
俺がここに来た目的はただ一つ! 一部地域で超人気のカードゲーム≪カード・ドミネイト≫だ!

カード・ドミネイトとは、最大八名までプレイできる超巨大筐体で、
名刺ほどの大きさのカードをタッチパネル上に配置し、
そのカードを”一部隊”として操作するリアルタイムウォーシュミレーションだ。
カードには武将や軍師などのイラストが描かれており、これらのカードは一枚一枚能力が設定されていて、
複数のカードの中から自分好みの部隊(これをデッキという。ハズ)を作り上げる楽しみもある。
まぁ、この手のゲームにはバランスブレイカー的な高性能カードが往々にしてあるわけだが、
それも、自分の戦略で叩き潰すのも楽しみの一つだ。
なんせ、シュミレーションといっても、六角四角ヘクスではなく、
カードの動き、向きをタッチパネルが読み取って、ゲーム上で再現するのだから柔軟性が段違いに高い。
俺は、このゲームの全国大会で三位に入賞したことがある。
その時の一位のヤツもこのゲーセンの常連なのだが、今日も来ているだろうか?
「おお、やっと来たっふ。サラリー遅いっふ」
「しかたないでヤンス! サラリーはボキ達のようなニートとは違うでヤンス!」
筐体の前で、いつものドミネイト仲間達が待っていた。
語尾に≪ふ≫をつける巨漢が「[ピザ]リ」。あだ名だ。命名人は俺だ。理由は[ピザ]だからだ。
語尾に≪ヤンス≫をつける痩身長躯が「ガリアン」。もちろんあだ名で俺がつけた。ガリだからだ。
俺のあだなは「サラリー」。これはさっきの二人が命名してくれた。ネーミングセンスは五十歩百歩だ。
179 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/09(水) 22:09:43.83 ID:cV7rcjQo
「うぃーっす! あれ? チャンプはまだ来てねえの?」
チャンプはこの店の常連で、俺達のドミネイト仲間であり最大のライバルだ。
先程の≪全国大会一位のヤツ≫ってのはこのチャンプのことで、
仕事終りには、俺とチャンプ、デフ”リとガリアンの四人で、いつも閉店になるまで遊んでいる。
チャンプは四人の中では最年少の15才で、どこかのお坊ちゃまなのか経済力はハンパない。
「遅いっふね。いつもならワンゲームやってるハズっふよね?」
「多分トイレにでも行ってるでヤンスよ!」
「そっかぁ。こないだオークションで≪無敵将軍ル=ブ≫入手したからさ、デッキが機能するか試してみたかったんだよね」
「うひょーーー!! 無敵将軍ktkr! アッシで良ければ相手になるでヤンス!」
「サラリー! おれも戦いたいっふ!」
「いだだだだだだだだだだ!!」
「クスクス……」
デフ”とガリに腕を引っ張られ、大岡裁きスタイルの俺を見て、見知らぬ少女が微笑んでいる。
誰だ? このゲーセンではあまり見ない顔だ。
流行のものとは思えない地味目のワンピースに、これまた地味なサンダル。
背中あたりまで伸びた髪を二つに分け、先端を髪留めでまとめて首筋から胸に流している。
身にまとうファッションが幼さを増長させていて、少女の年齢を把握しにくくさせている。
ただ、少女の表情はどこか大人びていて、白い肌に映える赤い唇が妖しく、美しく思えた。
「か、可憐っふ……」
「可憐でヤンス……」
どうやらこの少女に見とれていたのは俺だけではなかったらしい。
ロリコンなのも俺だけじゃなかった! 俺だけじゃなかった!!
少女はそんな穢れた俺達を無視してカード・ドミネイトの筐体に腰掛ける。
「……よっと」
(ちょwwwwww子供がドミネイトをプレイするのかよwwww2プレイ500円だぞ!)
そんな俺の勝手な懸念も無視して、少女は男物のサイフから100円玉を五枚投入してみせた。
少女のサイズでは大きすぎる椅子に座って、ぷらんぷらんと足を振り子のように動かしている。
その可愛い振り子動作を見ているうちに、いつの間にか俺は向かいの筐体から対戦を挑んでいた。
180 :名無草 :2007/05/09(水) 22:28:05.91 ID:1cT.0Oo0
GJ
ところで投下良いですか?
181 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/09(水) 22:34:31.15 ID:wd/cTks0
どっちもwktk
182 :名無草 :2007/05/09(水) 22:37:43.16 ID:1cT.0Oo0
とりあえず第三章「クロッカス」途中まで
久々に書いたら筆が進みませんorz
183 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/09(水) 22:38:10.04 ID:qXuunyY0
>>180
GOGO!!俺は日付か変わったくらいに投下しよう

ところで、>>178読んでて思ったんだけど、パー速ってNGワードみたいなのがいくつかあるの?
あと、少女が大きな椅子で足をプラプラしてるところが大好きな俺はもう駄目なのか?
184 :名無草 :2007/05/09(水) 22:38:52.56 ID:1cT.0Oo0
居間に出て、やはり“男”は押し黙っている。
 「……どうも」
“友”の、どこまでも無関心な挨拶が聞こえる。
そうして訪れる沈黙。
空気が思い……。
“男”は一層深く黙り込む。
このままじゃ埒が明かない。
 「この子ね、“男”なのよ」
驚いてこっちを振り向く“男”、“友”は訝しむように目を細めている。
 「え、ちょ、“女”?」
間抜けな声を上げる“男”はこの際無視しよう。
 「昨日の朝からずっと一緒に居るけど、まず間違いないわ」
その言葉を受けて、“友”の視線は“男”に向けられる。
 「本当、なのか?」
“男”は儚げな動作で頷く。
“友”は考え込むように俯いて、
 「駄目だ、そんなことは信じられない」
――こいつは、何を言いやがった?
今の“男”にそれ以上辛い言葉は無いっていうのに、よりにもよってアンタの口から!!
声を上げようとして、
 「たとえ本当だとしても、今すぐにはな」
その言葉に遮られた。
185 :名無草 :2007/05/09(水) 22:40:36.53 ID:1cT.0Oo0
 「え?」
不意を突かれたような“男”の声。
 「どういう意味?」
多分、今私は眉を顰めているだろう。
 「“男”が今何をしてるかは知らない、つまりあんたが“男”かどうかは知らない。
  もしあんたが本当に“男”なら、そのうち信じるんじゃないか?」
……分かりにくい奴だ。
つまりは、
『一応“男”として接するけど、まだ信じたわけじゃない』
そう言いたいんだろう。
素直じゃない、遠まわしったらない、こいつはこんな言い方しかしない。
それだけを聞けばどこまでも冷たく聞こえるかもしれない言葉。
だから私はこいつが嫌いなんだ。
 「だってさ」
“男”へと言葉を投げかける。
 「うん」
“男”もその辺りは分かっているだろう、無関心なその言葉の本当の意味を。
 「“友”、ありがとう」
そう言葉を漏らす“男”。
 「何で礼なんか言ってるんだよ」
そっぽを向いて言う“友”。
良いタイミングでご飯を運んでくるお母さんと叔母さん。
そうしてみんなで朝食のような昼食のようなご飯を食べて、
お母さんと叔母さんの二人は仕事があるらしくそのまま出て行ってしまった。
186 :名無草 :2007/05/09(水) 22:41:49.84 ID:1cT.0Oo0
その後私と“男”に“友”、それと従妹の“妹”ちゃんの四人で話をして、
昼前に出て行った二人と、お父さんと叔父さんも帰って来ず空腹に耐えかねていると、
 『あ、“女”? 私たち今日は遅くなるから、晩御飯は自分達でなんとかしなさい』
と電話があった。
仕方なく私と“友”で晩御飯を作ることにした。
……にしても、何で“友”は私より料理上手いのよ!!
“友”曰く、
 「お前が面倒臭がってやらないからだろ、毎日やってりゃ嫌でも上達する」
とのことらしい。
ほっとけ。
187 :名無草 :2007/05/09(水) 22:42:19.24 ID:1cT.0Oo0
以上でした
実は「クロッカス」の本編は次の日からでs
188 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/09(水) 22:44:58.02 ID:cV7rcjQo
(なんで俺はこんな子供に……。まぁいい。デッキも未完成だし、本気出すまでもないだろ)
少女の方に目をやると、もうデッキを展開し終えたのか、棒付きキャンディの袋を開いていた。
海外の菓子会社の商品で、ツッパツァップスというやつだ。チャンプがこれ好きだったからよく覚えている。
少女がそのキャンディを口に含む。
開かれる口元。キャンディを受け入れる舌。綺麗に整った白い歯。キャンディを受け入れて柔らかく歪む唇。妖しく光る唾液。ふくらむ頬……。
キャンディを口に含む、ただそれだけのことなのに目が離せなかった!
彼女のひとつひとつの動作が脳裏に焼きついて離れない。まるで女性の裸を始めて目の当たりにした時の興奮にも似ている……。
俺が見蕩れていると、少女の口元がわずかにつりあがった。どうやら少女を凝視しているのに気付いたっぽい。
(やっぺ、見とれてる場合じゃねえ! デッキ展開しねえと……)
俺は慌ててデッキケースからカードを引き抜いた。
スリーブに包まれた5枚の我が精鋭がタッチパネルの前に躍り出る!
≪無敵将軍ル=ブ≫。ホロの箔押し仕様のまさにレア!とでも言わんばかりの存在感&光沢感……!
実力も超レア級! これに勝るカードはまずないだろう。あえて挙げるとするなら≪義兄弟ヒゲヲ≫か≪無傷武将フォンダム≫あたりだろうか。
≪十文字槍ユキムラス≫。攻めてよし守ってよしの優れた武将だ。ただ、フレーバーテキストの『ふぇぇぇ〜、おやかたさま好き好きですぅ〜〜(はぁと)』と
女にしか見えない、目のくりっとした半ズボン姿のショタイラストが嫌いだ。
≪怪鳥軍師イャンカック≫。無敵将軍ル=ブを縦横無尽に活躍させるためには欠かせない軍師カード。
戦闘は苦手だが、その分策略でカバー。アンコモンながらスペックは高いが、エリマキトカゲのような鳥のイラストが嫌いだ。
≪踊り子二喬ダイチョウセン≫。そのテの人達に媚び媚びのロリキャラ。俺はイラストでなく実力でデッキを作っているのを先に言っておく。
≪泣いて斬られろ!バーショック≫。コストが余っていたから突っこんだ。おとりにでもなれば御の字だ。

続きはまたいつか
189 :Shizuoka Ego ◆iqP3HuSAqU :2007/05/10(木) 00:09:47.28 ID:neevoQk0
GJです。
じゃあボクも投下しますね。
190 :Shizuoka Ego ◆iqP3HuSAqU [投下が遅れたのはフルメタのせいじゃないよ。]:2007/05/10(木) 00:11:06.27 ID:neevoQk0
「…………ん」
もう朝みたいだ。
…………眠いけど。
今何時だろう?
そう思って時計を見ると、針は8時を示していた。
…………とりあえずトイレにでも行こ。
しかし、さっきから聞こえているジャーって音は何なんだろう?
うるさいなぁ…………
トイレに入り便座を上げ、チャックを下ろす。
…………あ、そういえば女の子になっちゃってたんだ。
そう思い出して、ズボンを下ろし便座に腰掛ける。
…………と、さっきまでの音が止み、隣りのシャワーカーテンが開いた。
「なっ…………」
「…………あっ」
ボクがいることをすっかり忘れてた。
「な、何やってるんだよ!っていうか人がシャワー浴びてる時に入って来ないでよ!」
「…………別に良いじゃん、同じ人間なんだし」
…………とは言ったものの、流石に音を聞かれるのは恥ずかしい。
でもそんなに我慢出来るほどこの体に慣れてない。
「そっちは見慣れた体かもしれないけど、こっちは見慣れてないんだよ!」
そっか、確かにそうだった。
でも見慣れないのは案外お互い様だ。
ボクって思ってたよりデカかったもん。
191 :Shizuoka Ego ◆iqP3HuSAqU [学校やだなぁ・・・・]:2007/05/10(木) 00:35:36.59 ID:neevoQk0
そんなこんながあった後、朝食を食べ、今はゲームをやっていた。
「あ〜……また嫌な所に止まった」
「それはダイスに心が込もってないからだよ」
「むむぅ」
それにしてもさっきから高い領地にばかり止まる。
クリーチャーカードさえあれば戦えるのに。
「ボクのターン、ドロー!モンスターカード!ボルカニックドラゴン!!」
よし、これで攻めれる。
あとは相手のアイテム次第だけど、大したのはなかったハズ。
「また高額…………ボルカニックドラゴン召喚!」
敵はキメラ、お互いに先制だからボクが先攻。
土地レベルは4、アイテムは…………使わない!
「「デュエル!」」
相手のアイテムは……
「チェインメイル!?」
これで向こうのHPは50+30で80か。
「そっちがアイテム無しの巻物攻撃で来るのなら体力増やせばいいだけ!」
「ふっ、甘かったね…………ブレイブソングの効果発動!攻撃翌力+20!!」
「あっ、ブレイブソングかっ!? 60に+20だから…………」
「ボルカニックドラゴン!滅びのバーストストリーム!!」
勝った!第三部完!!
192 :Shizuoka Ego ◆iqP3HuSAqU [センコロおもしろいよ。]:2007/05/10(木) 00:36:11.96 ID:neevoQk0
結局、土地を一つ奪った程度じゃ大した打撃にもならず、ダイス運の無さで負けました。
「さてと、そろそろ2限始まるから行くね」
「うん、いってらっしゃい」
「いってきま〜す」
ボクが出て行ったので鍵を掛ける。
さてと、センコロでもやろかなぁ……
リリ使いを目指してみよっと。
193 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/10(木) 00:44:21.77 ID:7lvgodA0
wktk
194 :Shizuoka Ego ◆iqP3HuSAqU [VIP規制解除ktkr]:2007/05/10(木) 01:04:09.52 ID:neevoQk0
「また負けた……」
でも大分上手くなってきたと思う。
ふと気がつくと、もう四時すぎだった。
そろそろ夕飯を作らないと。
とりあえず献立を決めてレシピを探さないと。
パソコンを起動して、『夕飯の献立おしえて\(^O^)/』っと、スレ立て完了!
…………まあね。マトモな意見なんて出るワケがないよね。
オムライスにでもしようかな。
玉子が失敗してもどうにかなりそうだし。
そうと決まればレシピレシピ〜♪
195 :Shizuoka Ego ◆iqP3HuSAqU [短いのはご愛嬌。]:2007/05/10(木) 01:04:43.45 ID:neevoQk0
よし、どうにか食べられそうだ。
…………でも味見はしないでおこっと。
時刻は五時五十六分。
あと十分くらいで帰って来るかな?
楽しみだなぁ♪
196 :Shizuoka Ego ◆iqP3HuSAqU [オレは料理できません。]:2007/05/10(木) 01:05:25.19 ID:neevoQk0
ガチャ
「ただいま〜」
「おかえりっ!ご飯にする? ご飯にする? それとも……ご・は・ん?」
「……じゃあご飯で」
「えっへへ〜♪ ガンバって作ったんだよ?」
そう言ってオムライスを見せる。
「…………オムライス?」
「うんっ!早く食べてみて」
ボクがスプーンで玉子とチキンライスをすくい、口に入れる。
「……どうかな?」
「…………すごくまずくない」
「ということは……」
「うん、おいしいよ」
やったー!良かったー!ちゃんと作れてたよー!
「じゃあボクも…………うん、おいしい」
「…………味見してなかったの?」
「…………」
「…………」
「…………てへっ♪」
197 :Shizuoka Ego ◆iqP3HuSAqU [ロスプラも楽しいよ。]:2007/05/10(木) 01:08:15.34 ID:neevoQk0
今日は以上です。
眠いです。
気づいたら月曜から見始めたフルメタも、もうふもっふ最終回。
いい加減ダメになるんでガンバって続き書きます。
198 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/10(木) 02:29:16.70 ID:wbljrxs0
一気に投下来てた。GJ

>>183
たとえば「死 ね」が[ピーーー]になる
「鮫 島」が[禁則事項です]になったり
199 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/10(木) 17:16:17.00 ID:Ok2wx9.0
>>197



200 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/10(木) 19:28:13.62 ID:8XY0KoAo
>>199
どうした?
201 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/10(木) 22:23:47.41 ID:hjVTNQko
「まけないからね、サラリー!」
我が精鋭部隊を展開し終えると同時に少女が口を開いた。
少女の方へ目を向けると、挑戦的な、それでいてどことなく人を惹きつける、そんな不思議な微笑を浮かべている。
≪小悪魔の笑み≫といった表現はイメージしにくいんだが、多分こういう笑顔の事なんだろうと勝手に納得した。
「ん? 待てよ、なんで俺のあだ名知ってるんだ?」
「そりゃきっと、さっきのやりとり聞かれてたでヤンスよ!」
「そっか。まぁそうだろうな」
言ってみたが、何かが心に引っかかった。
あだ名の事じゃなくて、少女の口調が誰かに似ているような……。そんな気がする。
俺の頭の中のモヤモヤは、ゲーム開始を知らせる銅鑼の音が掻き消した。

少女の部隊は俺と同じく5枚で構成されていた。
≪南蛮巨人ゴツコツゴツ≫強力な攻撃翌力の為に他の全ての能力を捨て去った、活用タイミングが限られる尖ったカード。
初心者の頃はパワーの大きさだけでデッキ作るから、簡単に〆られるんだよな。俺もそうだった。
≪蛮族王シャーマカーン≫可も無く不可もない、無難なコモンカード。備え付けのゴミ箱によく捨ててある。
≪弓の達人コーチウ≫可も無く不可もない、無難なアンコモンカード。備え付けのいらないカードBOXでよく眠っている。
≪隻眼マサムネン≫俺の≪ユキムラス≫と同等クラスの武将。例によってイラストはショタ全開だ。
≪虎戦車考案者ゲツエ≫レア軍師。最大の特徴として部隊の移動旋回速度を速める計略が使える。
この計略で足の遅いゴツコツゴツを活かそうと目論んでいるに違いない。なかなか考えている。

見た感じ、我がル=ブに匹敵するカードは存在しない。ゴツコツゴツのパワーは脅威になるが、
移動力が無きに等しいレベルなので実質は5対4の戦いになるはずだ。
一気呵成に攻め立てて、敵部隊を揉みに揉む。それで、決着はつくだろう。
だがそれではル=ブの初陣に相応しくない。
俺は戦略など一切考えずに≪無敵将軍ル=ブ≫を単騎、敵陣に突っ込ませてみた。
──速い!!
ル=ブの愛馬≪レッド・セキトーバー≫のスペックを再現しているのだろうか。
敵のエリアまであっという間にたどり着いてみせた。
この速度に俺はリ○ジのデビ○カーに初めて対峙した時のことを思い出していた。
「サラリー! 自分の世界に浸ってる場合じゃないでヤンス!」
そうだった。単騎で敵陣に特攻するのは、いくらル=ブのようなレアカードでも自殺行為に等しい。
202 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/11(金) 22:25:57.13 ID:3vxchGQo
俺は慌ててル=ブのカードを自軍エリアにUターンさせる。
現実と同じく背後や側面からの攻撃には弱いもので、
去り際に背後から集中砲火を受けてしまう。ル=ブが自軍エリア到着時にはライフ20%を切っていた。
「ふっふーん!」
少女の満足そうな呟き。
この少女の言動、仕草にはなにか心にひっかかるものがある。
「でも良かったでふ。もしかしたら≪ドミネイト≫されてたかもしれないっふ!」
「まぁサラリーもそこまでアフォじゃないでヤンス」
≪ドミネイト≫とは、このゲーム最大の売りのひとつで、敵のカードを四体のカードで取り囲むことに成功すると、
その敵のカードを自軍の部隊として操る事が可能になる、一発逆転の必殺技だ!
≪ドミネイト≫、つまり”威圧”のことを指すが、
その能力から、スラングで「心変わり」、「裏切り」または「誘惑」という意味で使われている。
(まぁ画期的なのは認めるけどさ、『初心者いじめ』のあだ名の通り、
新参を参加させにくくしてるんだよな。このシステム)
俺は意識をパネルに戻して部隊を再編する。
ル=ブを後衛に下がらせると同時にライフ回復効果のあるダイチョウセンを隣接させて、
さらにユキムラスとバーショックを前衛に出して戦線を押し上げた。
俺の陣形を見て、少女も適時陣形を変えてゆく。
──俺は正直舌を巻いた!
少女の敷いた陣は、明らかにこちらのカードのスペックを知った上で作られていたからだ。
こちらかの攻撃を最小限に受け流し、チャンスが訪れたら最大限の打撃を間断なく与え続けるだろう。
俺が考えうる限りで、最善の陣容なのだ。それが、じわりじわりと迫ってくる。
(なんなんだ一体! いったい何なんだこの少女はッ!)
「……こっからが勝負だからね!」
いかにも愉しそうな少女の言葉と、敵部隊への焦りが、俺の心をかき乱した。
203 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/11(金) 22:26:37.70 ID:3vxchGQo
戦況は膠着状態に陥った。
俺の部隊を火に例えるなら、少女は水だった。
こちらの攻撃を柔らかく受け止め、隙あらば火をかき消さんと総力でぶつかってくる。
たまらず手負いのル=ブを前に出せば、少女は必ずこれに二部隊使ってせき止める。
二対一の闘いは下策もいいところなので、こうなると退くしかない。
お互い部隊は疲弊している。大した能力を持ち合わせていないバーショックなどは虫の息だ。
(ル=ブのライフは60%まで回復したか……。そろそろ攻め時だな)
ル=ブが戦場へ躍り出る。
駈けた勢いを殺さないように≪隻眼マサムネン≫に特攻をしかけた。
それと同時に≪怪鳥軍師イャンカック≫の策略、≪攻撃翌力UP【大】+体力アップ【大】≫を使用する。
強化したとはいえ、一撃でマサムネンの部隊は全滅した。これでしばらくは戦場へ戻れないだろう。
敵もさるもの、≪虎戦車考案者ゲツエ≫の、≪移動旋回速度UP≫の策略を利用して、ル=ブの攻撃をかわしてみせる。
「へへっ、”兵は拙速を尊ぶ”ってね!」
見事なカードさばきだ、と俺は素直に感動した。
実際にここまで部隊を操れる人は、俺の周りではチャンプぐらいしか知らない。
(この子、もしかしてチャンプの妹か? でもあいつって一人っ子だったような……)
戦場では依然、敵を捉えられない自部隊が必死の抵抗を続けていた。
俺は逃げ回る敵部隊に業を煮やし、≪南蛮巨人ゴツコツゴツ≫に狙いを定めた。
こいつは計略で速度UPしてても依然鈍足だ。
単騎で攻める事になるが、強化している状態ならまず当たり負けしない。
距離を詰めて一撃を見舞う。
ライフゲージの色が、黄色から赤に一気に変わる。残りのライフは10%ほどだろうか。
「やったぁ!!」
攻撃を受けたというのに、少女は歓喜の声をあげている。
その理由はすぐにわかった。残りの三部隊が一斉にル=ブ目掛けて突進してきたのだ。
俺はUターンして一度自軍エリアまで退くことにした。
──退けなかった。
移動ルート上に、≪蛮族王シャーマカーン≫が取り付いて行く手を遮ったからだ。
間髪いれず、側面に≪弓の達人コーチウ≫反対側に≪虎戦車考案者ゲツエ≫が取り付いた。
正面には先程の≪南蛮巨人ゴツコツゴツ≫が近づいてくる……。
「ちょwwおまwwww、来るな、来ないでくれぇ〜〜!!」
ゆっくりと巨人が迫ってくる。巨人の足音は敗北へのカウントダウンに他ならない。
「全国大会3位のこの俺が! ドミネイトされるなんて! 恥ずかしすぐる!」
そんな俺の気も知らず、筐体に備え付けられた大型画面は【ドミネイト成功!】の文字を立派に表示してみせた。
204 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/11(金) 22:27:01.74 ID:3vxchGQo
【我が軍の完敗ですぅ!】
画面上には藤甲鎧に身を包んだマスコットキャラ(幼女)が自軍の惨状を知らせてくれていた。
(……それくらい分かってるつーの)
一度深呼吸し、高翌揚していた気分を落ち着かせる。
相手が誰であろうと負けは負けだ。今回の敗因を糧にしてまた強くなればいい……。
「トントントントン……」
何かを叩く音が聞こえて、俺は少女に眼を向けると、
少女は筐体に肘ついて、自身の右のこめかみを人差し指で叩いていた。
それは、頭の出来が違うんだよねwwww、とアピールしているようにも見える。
口元にはあの≪小悪魔の笑み≫があり、思わず魅入ってしまう。
トントントントントン……
その音を聞いているうちに俺は、自分の心に引っかかっていたものがひとつひとつ解氷していった。
どことなく気になっていた少女の言動、あれはチャンプそのものだ。
少女が使っていた男物のサイフ、これもチャンプが使っていたものと同じものだ。
巧みな采配も、あれもチャンプしか出来ない芸当だ。それは、戦った者同士でしか分かり合えない。
そしてこのこめかみを叩くポーズ。実際にチャンプもやっていたことがある。
彼女がチャンプなら全てに説明がつく! 俺は思わず立ち上がっていた。
何故女の姿をしてるのかはわからない。けど、彼女は間違いなく……。
「おまえ……、チャンプ、なのか?」
少女、いやチャンプは、答えの代わりに≪天使の笑み≫を俺に向けた。
205 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/11(金) 22:30:47.65 ID:bDwpg/k0
wktk
206 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/11(金) 23:14:30.37 ID:3vxchGQo
「だーかーらー、朝起きたら女になってたんだって! 」
「原因とか心当たりないっふ? 新薬の臨床実験とか……」
「そんな危険なバイトしないよ、お金ならあるもん!」
「いやー、最近の新薬はオトコノコをここまで可愛くできるんでヤンスねー」
「だから違うってば! ねぇ、サラリーはどう思う?」
「ん? 特に何も」
「特に何もってナンだよ! 俺はこの身体で悩んでるんだぞ! サラリーはひどいやつだ」
「ごめん、言い方が悪かった。でもさ! どんな姿になってもチャンプはチャンプだろ? 
俺にとってはかけがえの無い仲間なのは変らないよ。それは皆だって同じなはずだぜ?」
「そりゃモチロンでヤンス!」
「こんごともよろしくっふ!」
「むぅ〜、、、ま、いっか! 俺、女になっちゃったケド、これからもよろしくね!」
彼女、チャンプはそう言ってペコリと頭を下げた。揺れ動く頭髪からシャンプーの甘い香りが鼻をくすぐる。
チャンプの仕草ひとつひとつがいとおしい……。
確かに性は変わったが、それは瑣末な問題だ。
──俺はこの少女を真剣に欲している。
この気持の昂りは自分で抑える事は出来ないだろう。
何故なら棒付き飴をくわえるあの仕草を見た時から、俺の心はチャンプに≪ドミネイト≫されていたのだから。
 
207 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/11(金) 23:24:04.89 ID:3vxchGQo
>>178 >>179 >>188 >>201 >>202 >>203 >>204 >>206

一応これで完結です。
ゲームは三国志対戦をイメージして勝手にデッチあげました(プレイ経験なし)
改めて読んでみるとクドい上にオナニー臭ぷんぷんしてるぜ!反省はしている。
このキャラの後日談的なものを書いてもよろしい?

208 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/11(金) 23:26:52.00 ID:63wj.Zoo
面白ければいいんだよwwwwぜひ頼みますww
209 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/12(土) 00:44:11.76 ID:0rFWncA0
待ってるよ
210 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/12(土) 15:26:51.13 ID:p0cT0y6o
タイトル 【誕生日】

ひょんなことから女の子化して三ヶ月後
『アドアッー!!ズ店内3F・巨大筐体専門フロア』

デ ブ リ 「そういえばもうすぐサラリーの誕生日っふね」
サラリー「ああ、正確には一週間後だな。プレゼントよろしく!」
ガリアン「ドミネイトのカードでいいでヤンスね? ちょうど≪怪鳥軍師イャンカククカ≫が余って……」
サラリー「アンコモンカードなどいらん! せめて≪あいまい三寸ノブナガン≫クラスのカードを所望する!」
デ ブ リ 「ノブナガン……、オクでも二万円越えが相場の超レアカードっふ!」
ガリアン「サラリーの奴、わかってて無茶言ってるでヤンス」
チャンプ「──へぇ、もうすぐサラリーの誕生日なんだ」
サラリー「おぉ、チャンプ遅かったな! プレゼントよろしく!」
ガリアン「そればっかでヤンスな……」
チャンプ「別にいいけど、プレゼント渡す時に条件があるんだけど……いい?」
サラリー「何だあらたまって。……で、条件って?」
チャンプ「うん、サラリーって普段タバコ吸ってるよね、それをプレゼント渡す時まで禁煙してほしいんだ」
サラリー「そりゃまあ構わないけど、でも何で」
チャンプ「えへへ、秘密っ!」
サラリー(禁煙? 俺の口に関する事……? 息? 唇? 舌……、もしかして、キスか!?)
チャンプ「にひひひ〜」
サラリー(この笑顔、間違いない! よーし、お父さん頑張っちゃうぞ!!)
 〜一週間後〜
チャンプ「サラリー誕生日オメデトー! はい、プレゼント!」
サラリー「ありがとう。おぉ……、禁煙パ○ポがこんなにも沢山……」
チャンプ「一年分あるから禁煙頑張って! ところでそのネクタイの柄、珍しいね」
サラリー「ああ、これか。らき☆○たOPの指紋柄だ。わざわざオーダーメイドで作ったんだぜ!」
チャンプ「どれ、見せて?」
サラリー「わっよせ! 引っ張るなって、ちょwwwwww顔が近いwwwwww」
チャンプ「にひっ」
サラリー「な、なんだよ……?」
ちゅっ
サラリー「ちょ、唇に柔らかくて暖かいのが!? ええっ!?」
チャンプ「きししししっ! ちょっとしたイタズラだから本気にするなよー! じゃーなー!!」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
マサオ「ママー、いま女の人が顔真っ赤にして走っていったよー?」
未亡人「うふふ、あれはねぇ、ストライド走法よ……」

サラリー(本気にさせておいて「本気にするな」か……、まったく! チャンプめ俺の心を弄んでくれるぜ)
211 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/12(土) 15:36:32.64 ID:p0cT0y6o
タイトル 【お兄さん】

ひょんなことから女の子化して六ヶ月後
『アドアッー!!ズ店内3F・巨大筐体専門フロア』

チャンプ(この身体になってから、もう半年……。)
チャンプ(男の頃のようにみんなでバカやりたいのに、俺だけいっつも女扱い……)
チャンプ(俺が女だから距離を置かれるの? これって仕方の無い事なの?)
チャンプ(それもこれも、この身体のせいだ! こんな身体、こうしてやる!)
どん どん どん

マサオ「ママー、女の人が自分の胸を叩いているよー?」
未亡人「うふふ、あれはねぇ、パッション屋良よ……」
212 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/12(土) 22:54:02.30 ID:p0cT0y6o
タイトル 【物陰から】

ひょんなことから女の子化して三ヶ月後
『アドアッー!!ズ店内3F・巨大筐体専門フロア』

デ ブ リ 「さらりー! いくら誕生日だからって、キスしてもらえるなんてうらやましすぎっふぅ!!」
サラリー「なんだ、覗いていたのか。……いい趣味とは言えないな」
ガリアン「そっちこそ! チャンプのような幼い女の子相手にキキキキ、キスするなんていい趣味とは言えないでヤンスゥゥ!」
サラリー「ガリアンまで覗き見してたのかよ……。お前の言葉、そっくりお返しするぜ!」
ガリアン「……と、いうことは──」
デ ブ リ 「何の因果か──」
サラリー「偶然にも、このアドアッー!!ズに!」
三人「「「いい趣味してない男たちが! 三人集ったァァ!!!」」」
サラリー「時を同じくして俺達が集ったのは、定められし運命に違いない!」
デ ブ リ 「太古からDNAに刻まれていた、逃れられぬ宿命という名のメビウス……」
ガリアン「今日この時を境にして、新たな歴史が刻まれる」
デ ブ リ 「恐るべき運命のメカニズム!」
サラリー「バンダイのプラモデル」

チャンプ(いーなー。俺もあっちに参加したいなぁ……)
213 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/12(土) 22:57:18.47 ID:p0cT0y6o
タイトル 【告白?】

ひょんなことから女の子化して七ヶ月後
『駅の近くにある公園・夜』

サラリー「悪ぃ悪ぃ! 仕事長引いちまったせいで遅れた!」
チャンプ「いいよ。わざわざ来てくれてありがとね」
サラリー「おう、チャンプの為ならいつでも馳せ参じるぜ! 遅刻してるから説得力はないけどな!」
チャンプ「クスッ」
サラリー「それで、大事な話ってなんなんだ?」
チャンプ「うん。単刀直入に訊くよ。……サラリーって、俺が女になってから接し方変わったよね?」
サラリー「ま、まぁ、確かに……。変ってしまったかな」
チャンプ「俺、男の頃のようにみんなと接したいのに、女になってしまったから拒絶されている……」
サラリー「ちょっと待て! 誰も拒絶なんかしてないぞ」
チャンプ「してるよ! 実際、俺をのけものにして、三人で仲良くやってる事の方が多いじゃん!」
サラリー「そ、そりゃあ……」
チャンプ「言い訳なんて聞きたくないよ……」
サラリー「結果的に……、拒絶してしまったのは確かだよな……。
俺は大人なのにチャンプの気持ちを考えてやれなかった。……すまん、この通りだ」
チャンプ「わかれば良し! 許す!」
サラリー「へっ?」
チャンプ「分かってくれればそれでいいの。どうせ俺が可愛くなりすぎたから、女として意識しすぎちゃったんでしょ?」
サラリー「そ、そ、その通りと言えなくも、な、無きにしも非ずにして、つまり、……(俺ダセェorz)」
チャンプ「にひひっ! じゃあ俺もサラリーの事を男として意識してもいい?」
サラリー「え? それってどういう……」
チャンプ「さぁ〜ねぇ〜? 細かい事はキニスンナ! そんな事よりゲーセン行こうぜ〜!」

マサオ「ママー、女の人がサラリーマンの手を引いて爆走してるよー?」
未亡人「うふふ、あれはねぇ、借り物競争。夜の借り物競争よ……」
マサオ「”夜の”を付けるだけで随分エロティックになるよママ!」

サラリー「なぁチャンプ……」
チャンプ「なーにー?」
サラリー「俺、本気になってもいいか?」
チャンプ「ん〜、何のこと〜?」
サラリー「おまえとの……」
チャンプ「はいっ、ゲーセン着きました〜! ……で、何だっけ?」
サラリー「はは、は、何でもない……」

サラリー(さっきチャンプが言っていた『サラリーの事を男として意識してもいい?』。この言葉は本心なのか……?)
214 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/12(土) 23:01:30.26 ID:0rFWncA0
GJ!
このシリーズ好きだ
215 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/12(土) 23:05:11.46 ID:p0cT0y6o
長編を書いてから、そのキャラ使ってSS書くってスタイルはラクで楽しい。
これで評判が良ければいいんだけどな……。技量が……

216 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/13(日) 14:21:39.36 ID:MI/V56AO
気にすんな!技量なんてなくたって書いてるオレがいる!
…………ただ、途中で投げる癖をどうにかしたいorz
217 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/13(日) 19:23:54.04 ID:vnWq8RUo
前回までのあらすじ
あるところに、元気な憑依霊がおりました。
憑依霊は男にとり憑いて仲良く暮らしていましたが、死にかけの子猫を助けるために消えてしまいました。
男はたいへん悲しみましたが、霊のぶんまで子猫を大切にすると誓ったのでした。

そして次の日、そこには元気に走り回る猫耳幼女の姿が!

「ひょんなことから猫が女の子」
http://vipdeekaku.run.buttobi.net/cgi-bin/src/up0034.jpg
 男「お前、ホントに霊か?」
 猫「霊だよ〜。なんか融合したみたい。猫と。」
 男「う〜む、信じられないが本当みたいだな・・・」
 猫「ホラホラ、しっぽもホンモノだよ。」
 男「耳もホンモノだな。毛が生えてる。」
 猫「へへ〜、でもココはつるつるだよ〜?」
 男「なっ・・・」
 猫「あ〜、見とれてる〜! 男のえっち〜!」

(前回までのお話を詳しく知りたい方は、「新ジャンル『元気な憑依霊』まとめサイト(http://www.geocities.jp/vip_hyouirei/)」をドウゾ。)
218 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/13(日) 19:28:41.66 ID:9TueLeso
元気な憑依霊スレまだ生きてたのか
219 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/13(日) 19:52:56.66 ID:vnWq8RUo
服を買いに行こう!
http://vipdeekaku.run.buttobi.net/cgi-bin/src/up0035.jpg
 男「そもそもなんでそんな子供なんだ。お前、幽霊やってたとき結構な年だったろ。」
 猫「知らないよそンなの。子猫だからじゃないの?」
 男「まあとにかくだな。」
 猫「うん。」
 男「こうなったからには服を買いに行かなければなるまい。うちには女の子の服なんて無いからな。」
 猫「そうだね。持ってるほうが問題だもんね。」
 男「とりあえずTシャツ貸してやるから、これ着ろ。」
 猫「おっけー! ・・・男のにおいがする・・・ エヘ。」
 男「くすぐったいこと言うな。行くぞ。」
 猫「おー!」
 男「ちょ・・・ 尻が見えてる! 尻が!」
220 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/13(日) 20:37:01.39 ID:vnWq8RUo
服を買いに来た!
http://vipdeekaku.run.buttobi.net/cgi-bin/src/up0036.jpg
  とりあえずしっぽの穴を開けた。
 店員「いらっしゃいませ〜」
 猫「こんにちは〜!」
 店「あら、かわいいお嬢さんですね! 妹さん?」
 猫「恋人です!」
 男「お、おい、やめろよ・・・」
 店「耳としっぽのアクセサリーもかわいいですね。」
 男「は、はあ・・・ まあ・・・」
  ・・・
 猫「これは!?」
 男「うんうん、かわいいかわいい。」
 猫「えへへ〜、それじゃあこっちは!?」
 男「似合う似合う。」
 猫「それじゃあ・・・」
 男「はしゃいじゃってまあ・・・ (9800円!? 子供服ってこんなに高いのか? やばいな、金が・・・)
 猫「! ・・・」
  ・・・
 猫「あの〜・・・」
 店「はい?」
 猫「服やめます。かわりにこれください!」
  ・・・
 男「服、ほんとによかったのか?」
 猫「いいの! 男がくれたシャツで十分よ。」
 男「・・・(ゴメンな・・・)」
221 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/13(日) 21:01:43.97 ID:vnWq8RUo
風呂に入る!
http://vipdeekaku.run.buttobi.net/cgi-bin/src/up0037.jpg
 男「風呂でも入るか・・・」
 猫「あ、あたしも〜!」
 男「お前・・・ すこしは恥じらいとかないのか?」
 猫「なによ〜、こんなカワイイ猫耳美少女と一緒にお風呂に入れるのよ! もっと喜びなさいよ!」
 男「自分で言うなよ・・・」
 猫「それに幽霊時代はアンタのひとりエッチだって見ちゃったんだから。恥ずかしいことなんて無いわよ。
 男「なななななんだと?」
 猫「あはは、冗談よ。」
 男「お前〜(ドキドキ)」
  ・・・
 猫「ねえねえ。」
 男「ん?」
  ぐいっ!
 猫「ふんどし!」
 男「・・・」
 猫「・・・」
 男「アホやってないでさっさと入るぞ。」
 猫「ううう・・・」
222 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/13(日) 21:04:18.24 ID:vnWq8RUo
今日はここまで。
ちなみにふんどしネタは実家の猫をいじってて思いついた。
いまでもよくやる。しっぽを股にはさんで「ふんどし!」って。
猫はすっごく嫌がるけどね。あと妹に怒られる。
223 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/13(日) 23:19:18.55 ID:9TueLeso
遅くなったがGJ!
224 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/13(日) 23:56:45.85 ID:umjDodY0
GJ!
いらっしゃるのを待ってました!
225 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/14(月) 03:02:26.98 ID:wuVT5WEo
絵が
226 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/14(月) 03:03:01.20 ID:wuVT5WEo
超ヘタwwwwwwwwwwww
227 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/14(月) 03:57:12.30 ID:nSqq67g0
>>217
ページが見つかりません

まあ見つけたので

17 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/02(佐賀県教育委員会) 23:23:04.84 ID:I9wGwucL0
朝に投下したやつ再

散歩する男と霊、そしてたまたま通りかかった幼女ミクちゃん。
http://vipdeekaku.run.buttobi.net/cgi-bin/src/up0810.jpg
  その辺の魚屋の売り物をおもむろにつかむ霊
 幼「おさかながとんでくる!」
 男「?」
 幼「うわぁぁぁぁん!」
 男「霊、おまえ何かした?」
 霊「ううん、してないよ〜」
 男「???」
 霊「♪〜」

21 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/02(佐賀県教育委員会) 23:32:34.69 ID:I9wGwucL0
引き続き散歩する霊。
http://vipdeekaku.run.buttobi.net/cgi-bin/src/up0814.jpg
 霊「たまには知らない街を散歩するのもいいわね〜 でもあたし憑依霊なのに、いいのかしら。」
  ・・・
 霊「あれ、あの子、死んでる・・・ もしかして、ゾンビっていうやつ?」
  その夜
 霊「ねえねえ。」
 男「なんだ?」
 霊「たとえ腐ってたとしても、実体ってあった方がいいかなあ・・・?」
 男「??? 意味ワカラン・・・」

37 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/03(佐賀県と汚職) 00:48:12.66 ID:2EnlLtzC0
またまた散歩してる男と霊。
http://vipdeekaku.run.buttobi.net/cgi-bin/src/up0841.jpg
 男「あ、子猫だ。」
 霊「ほんとだ。カワイイね〜」
 男「なんかグッタリしてるな。」
 霊「・・・もうすぐ死んじゃうよ、このコ。」
 男「え?」
 霊「長いこと幽霊やってるとね、分かるんだ。」
 男「・・・つれて、帰るか。こんなことろで死ぬより、少しでも静かな方がいいよな。」
 霊「ウン、そうだね・・・」
228 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/14(月) 04:00:16.63 ID:nSqq67g0
43 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/03(佐賀県と汚職) 01:47:44.27 ID:2EnlLtzC0
http://vipdeekaku.run.buttobi.net/cgi-bin/src/up0844.jpg
 霊「この子、助けられるんだ・・・」
 男「え? どうやって?」
 霊「あたしの霊気をあげるの。」
 男「へぇ〜、便利だな。」
 霊「でも、その代わり私は・・・」
 男「そ、そんな! そんなこと絶対・・・」
 霊「聞いて! このままずっと憑依霊やってるより、小さな命を助けてあげたいの!」
 男「でも・・・」
 霊「あたし、あなたと一緒で幸せだった。今度はこの子のこと大事にしてあげて。」
 男「・・・」
 霊「最後にお願いがあるの。・・・キス、して・・・」
 男「霊・・・」
  霊を抱き寄せる男。もちろん実体は無い。だが2人は唇を重ねる。身体ではなく心で交わすキス。
 霊「さよなら、男。いままでありがとう・・・」

49 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/11/03(佐賀県と汚職) 02:07:34.50 ID:2EnlLtzC0
http://vipdeekaku.run.buttobi.net/cgi-bin/src/up0845.jpg
 いつのまにか、泣き疲れて眠ってしまったらしい。
 男「あれ、ネコは?」
 元気になったとたんこれだ・・・ 生まれ変ってもヤンチャぶりは相変わらずだな・・・

 猫「じゃ〜ん!!!」
 男「!?」
 猫「あたしよ、あたし〜 霊だよ。」
 男「はぁ?」
 猫「えへへ〜、あのね。言いにくいんだけど・・・
 男「なんだよ・・・
 猫「幽霊長かったから、なんか霊気強すぎてさ。融合しちゃったみたいなの。ネコと。」
 男「エエエエエエエエエエエエ!!」
 猫「そーゆーわけでさ。これからもよろしくね!」
 男「子供服買ってこないとな・・・」
 猫「これからは触れるよ! 生身だし。プニプニだよ! うれしい?」
 男「・・・」
 猫「もー! 待ってよ〜!」
 男「(・・・お前が帰ってきたのが一番うれしいよ・・・)」

 HAPPY(?) END



http://nullpo.vip2ch.com/dl.php?f=ga5470.zip
229 :名無草 :2007/05/14(月) 06:03:24.32 ID:/WXrogs0
時間を……誰か時間をください………orz
とりあえず「クロッカス」途中まで投下します
230 :名無草 :2007/05/14(月) 06:05:54.31 ID:/WXrogs0
 「……え?」
夕食、“妹”ちゃんに“男”の事を話して。
 「まぁ、すぐには信じられない、か」
“妹”ちゃんは困ったように視線を泳がせて、結局その視線を“男”に向ける。
 「本当、なんですか?」
“友”と似た反応、でも“妹”ちゃんには強さみたいなものが足りない。
“男”は無言のまま頷く。
“妹”ちゃんの眉を、表情を歪めるのはどんな感情なのか、遠く手の届かない星を眺めるように、
 「そう、ですか」
それだけ言って、静かに水を口に運ぶ。
そのあと、“妹”ちゃんはすぐに席を立った。
いつもの半分くらいしか食べていない。
どうしたんだろう、そんなことを考えていると目に映った“友”も似たようなことを考えているんだろうか、僅かに俯いている。
そうして不意にこっちを見て、
 「“女”、“妹”の話を聞いてやってくれないか?」
そう言葉を漏らした。
 「私が? あんたが聞いた方が良いんじゃない?」
コイツにしては珍しい、どこか悲痛な面持ちで。
 「いや、女同士の方が話しやすいこともあるんじゃないかと思ってな」
何か、知っているんだろうか?
 「……分かったわよ」
私の予想が正しいのなら、確かに“友”よりは私の方が話しやすいかもしれない。
とすると、問題はどうやって聞きだすか、か。
時計を見るともう9時。
 「あ、お風呂沸かさないと……」
お風呂、か。
よし、早く沸かそう。
231 :名無草 :2007/05/14(月) 06:07:46.03 ID:/WXrogs0
 「そろそろ、かな」
“男”を先に入らせて、今は“妹”ちゃんがお風呂に入っている。
 「お邪魔しまーす」
言いながら風呂場に入る。
 「え、“女”さん?」
シャワーを浴びながら振り返る“妹”ちゃん。
 「そ、女同士なんだし別に良いでしょ?」
“妹”ちゃんはなにやらあたふたと慌てている。
 「え、でも。えっと」
何なんだこの反応は。
 「ほら、後で“友”も入らないといけないし」
そう言いながらお湯を浴びて湯船に浸かる。
“妹”ちゃんはこっちを気にしながら頭に残っているシャンプーの泡を流している。
――丁寧だけどなんだか弱弱しい、繊細な動作だった。
髪を流し終わって、“妹”ちゃんも湯船に入ってきた。
 「晩御飯の時ちょっと変だったけど、どうかしたの?」
“妹”ちゃんは驚いたようにこっちを見て、
 「それは……男の人がいきなり女の子になったら誰だって驚きます」
それはそうだ、でもあのときのこの子の様子は少しその驚きとは違っていたと思う。
 「それだけ?」
俯く“妹”ちゃん、なんだか責めているような気がしてくる……。
 「私は」
俯いたまま、小さく、何かにけじめをつけるように小さく言葉を切って。
 「私は“男”さんが好きでした」
そう声を発した。
232 :名無草 :2007/05/14(月) 06:09:37.46 ID:/WXrogs0
 「その“男”さんが、いきなり女の子になってたんですよ?」
一度吐き出した言葉はもう止まらないみたいに、
 「ずっと、遠くから見てるだけだったけど」
俯いたままに、
 「その“男”さんが……」
私は何一つ声を掛けることが出来ない。
 「それで、女の子になって、一番に頼ったのが“女”さんなんです」
見れば“妹”ちゃんの瞳には今にも零れそうな涙が溜まっていて、
 「多分一番仲の良かった兄さんじゃなくて、“女”さんなんです……」
俯いたまま、零れた雫が作る波紋が広がっていく。
泣かしちゃった、か……。
 「アイツね」
“妹”ちゃんを抱き寄せて、言う。
 「お兄さんに、信じてもらえなかったみたいなのよ」
泣き止ませるために、
 「アイツが、アイツだってこと」
痛みを少しでも和らげられるように。
 「一番近しいはずの家族に、信じられなかったんだよ」
“妹”ちゃんの嗚咽が聞こえる。
 「その苦しさが分かる訳ないけど、近しい人に信じられないこと、
  その人と近ければ近いほど苦しいってことは分かるよね?」
こんな言葉で伝わるだろうか、
 「そう言う意味で、“友”は近すぎたんだよ」
こんな言葉で、この子の涙が止められるだろうか。
 「私はね、アイツにとって、丁度良い距離に居たって、それだけだよ」
233 :名無草 :2007/05/14(月) 06:11:12.56 ID:/WXrogs0
 「それとね」
“妹”ちゃんの顔は見えないけど、それでも肩の震えは止まっている。
 「恋愛は性別でするものじゃないでしょ?」
“妹”ちゃんの顔が上がって、
 「え?」
何だか惚けたような顔をしている。
 「今でも“男”のこと、好きなんでしょ?」
“妹”ちゃんの表情が変わる、
 「はい」
迷いのない瞳と、声。
 「それなら、今からでも遅くないんじゃない?」
私に出来るのはこんな後押しだけだけど、
 「はい!」
それでこんなに可愛い女の子の笑顔を取り戻せるのなら、
 「それじゃ、頑張ってね」
それも良いかもしれない、そう思いながら出来る限りのエールを。
 「あの、“女”さん」
少し不安げな表情で“妹”ちゃんが言う。
 「なに?」
出来るだけ優しく返す。
 「もう少し、このままで居て良いですか?」
そんなことで不安になるなんて、
 「ええ、気が済むまでこうしててあげる」
なんだか笑いそうになったけど、なんとか出来る限り優しい声でそう言葉を返す。
234 :名無草 :2007/05/14(月) 06:12:58.42 ID:/WXrogs0
 「ありがとうございます」
そう言って離れていく“妹”ちゃん。
 「もう良いの?」
そう聞くと笑顔で、
 「はい、このままだとのぼせちゃいます」
そう言って扉の方に歩いていく。
扉に手をかけて、
 「本当は、“女”さんのこと、好きでした」
振り返りながら言う“妹”ちゃん。
 「でも、そんなのダメだって。“女”さんに迷惑だって思って言えませんでした」
どう言葉を返せば良いんだろう、
 「そう」
そんな言葉しか返せない。
 「“男”さんと同じくらい、今でも“女”さんのことも好きです」
真っ直ぐ見つめてくる“妹”ちゃんから目を逸らすなんて事は出来ない。
 「ありがとう」
それはきっと自分を見つめるようで、自分から目を逸らすなんてことはしたくないからかもしれない。
 「だから、もしふられちゃったら慰めてくださいね?」
悪戯っぽく笑って“妹”ちゃんは言った。
 「考えておいてあげるわ」
それを聞いて、もう一度私に笑顔を向けて“妹”ちゃんは風呂場から出て行った。
それにしても、
 「ある意味、私ってピンチだったんだ」
そんなことを呟いて、溜息を一つ。
235 :名無草 :2007/05/14(月) 06:14:26.01 ID:/WXrogs0
お風呂から上がって、
 「“女”、ありがとう」
“友”がそんなことを言った。
珍しい、コイツがこんなにストレートにお礼を言うなんて。
 「気にしなくて良いわ、私も気になってたし」
そう言いながら冷蔵庫からお茶を取り出してコップに注いで、
 「どさくさに紛れて告白されちゃった……」
そう呟いてから一気に呷る。
 「ん、何か言ったか?」
“友”がこっちを向いている。
 「何でもないわよ」
言いながらぞんざいにコップを流しに入れる。
 「寝る部屋だけど、“友”が二階の奥、“妹”ちゃんが手前で良い?」
髪を乾かすために洗面台に向かいながら訊ねる。
 「ああ、布団は自分で出すが場所は変わってないよな?」
 「あー、変わってない変わってない」
おざなりな言い方をしながら洗面台に入っていく。
236 :名無草 :2007/05/14(月) 06:16:17.95 ID:/WXrogs0
髪を乾かして、自分の部屋に戻る。
“男”は昨日と同じように私の部屋で寝ることになった。
部屋に入るなり“男”が一言。
 「“妹”ちゃんに告白されちゃったんだけど……」
そう言った。
 「そ、良かったわね」
あの後すぐに告白したらしい。
 「どうすれば良いんだろう。僕、女の子になっちゃったのに……」
そう言いながらこちらを見つめてくる。
 「そんな細かいこと考えないでさ、自分の気持ちに素直になってみれば良いんじゃない?」
そう答えると何か考え込んでいる。
 「まぁ、とりあえずおやすみ」
言いながら消灯。
 「あ、まだ……もう。おやすみ」
“男”が何か言っているが気にせず布団に潜り込む。
昨日はそんなことを気にする暇もなかったけど、『おやすみ』なんて言い合って寝るなんてなんだか凄く新鮮な気がする。
考えながらも、意識は少しずつ薄れていって……。
その日、なんだか懐かしい夢を見た。
237 :名無草 :2007/05/14(月) 06:17:53.33 ID:/WXrogs0
ここは近くの公園だろうか。
春には桜で一杯になるそこを私は走っていた。
誰かを追いかけてるみたい。
視線の先には見覚えのある男の子。
活発そうな、でも気難しそうな。
――思い出した、この男の子は“友”だ。
たぶん、小学校に入ったかどうかというくらいの頃だろう。
季節は夏みたいで、日差しはこれでもかってくらいに降り注いで眩しいくらい。
そんな晴れた日、私は“友”を追いかけていた。
置いていかれないように必死になって。
思えばいつだってアイツを追いかけてた気がする。
それがいつの間にか私とアイツの距離は遠くなっていて、気付けば追いかけることもなくなってたっけ。
そんなことを思いながら、懐かしい思い出の情景に見入っていた。
238 :名無草 :2007/05/14(月) 06:20:25.51 ID:/WXrogs0
誰かが誰かを呼ぶ声が聞こえる。
どうやら私を呼んでるみたいだ。
もう、起きないと。
何か夢を見た気がするけれど、それよりも呼び声が気になって。

目を覚ますと、辺りはまだ少し暗かった。
まだ日が出てないんだろう、とすると、今は五時を過ぎたくらいだろうか。
 「“女”、おはよう」
“男”の声がする。
 「おはよう」
続けて声が聞こえる。
女の人の声みたいだけど、“妹”ちゃんの声ってこんなに低かったっけ?
と言うか、気のせいだろうか、いつも聞いている声に聞こえるけれどどこか調子が外れているような……。
 「おはよう」
考えるだけ無駄な気がして、とりあえず声を返して起き上がる。
と、“男”と、あと一人。
見覚えのあるような、ないような。
それでいて毎日見ている気がする顔が私を覗き込んでいた。
 「あー、まだ寝惚けてるみたい。おやすみー」
そう言ってもう一度布団に潜り込む。
 「あ、待て“女”!」
聞き覚えのあるような声が私の眠りを妨げる。
 「あ゛ー、何よ。ってかアンタ誰よ」
言いながら再び体を起こす。
 「いや、俺は……“友”なんだが………」
そう言いながら顔を伏せる女の人。
 「ああそう、“友”、おやすみ」
言って、
 「って“友”!?」
思わず飛び起きてしまった。
239 :名無草 :2007/05/14(月) 06:21:42.89 ID:/WXrogs0
以上ですた
とりあえず「クロッカス」はもうちょっとで終わります
と言うかこの話自体もうちょっとで終わるんですが
如何せん時間が無いもんでどれくらいで終われるかわかりませんorz
240 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/14(月) 08:42:45.71 ID:dBuOnIAo
>>227
挿絵をセルフで描けるなんて羨ましいんだぜ!
一部イラストがゴミ箱や80年代風ロボットアニメの雑魚メカになっててバロスwwww


>>230
GJ!
続き気長に待ってます
241 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/14(月) 23:07:27.56 ID:dBuOnIAo
タイトル 【108その1】

ひょんなことから女の子化して四ヶ月後
『商店街・夕方』

チャンプ「あれ、サラリーじゃん! おーーい(手をぶんぶん振り回す)」
サラリー「よおチャンプ。これからゲーセンか? よかったら一緒に行こうぜ!」
チャンプ「うんっ!」

チャンプ「ねえ、サラリー? こうして二人で歩いてると……」
サラリー「うん?」
チャンプ「俺達って、周りからカップルのように思われてるのかな……?」
サラリー(ここ、この子ってば、いつの間にこんなトキメキ言霊を操れるようになったんだ! おおおお、落ち着け俺!)
サラリー「そ、そりゃねえな! せ、せいぜい援交か誘拐犯あたりが関の山だろうぜ! ゲハ! ゲはハハ!!」
チャンプ「………………っ!」
サラリー「じじじじじょ、冗談だよ。冗談に決まってるだろ! ……だからそんな泣きそうな顔しないで下さいお願いします赦して下さい」
チャンプ「もう怒ったっ! サラリーは本当にひどいやつだ! (サラリーの胸の中に飛び込み、胸板をぽかぽかと殴る)」
サラリー(こ、これは古典的ながらもクルものがあるな。……でもチャンプってこんなキャラだっけ?)
サラリー「は、ははは、ゴメンな……、あれ? チャンプ何か落としたぞ。──本?」
チャンプ「…………ん? ああーっ! ダメッ! 見るな! 見ちゃダメだーっ!」
サラリー「『超図解! わかりやすい妹入門 〜兄を落とす仕草は百八式まであるぞ!〜』……なんだこりゃ?」
チャンプ「いやだーーっ! 見ないで! 黙って返してくださいお願いします赦して下さい[ピーーー]ぞ!」
サラリー「ほほう、『第一章 暮らしの中にフラグあり、じゃ!』……なかなか興味深い」
チャンプ(ぴょんぴょん跳んで本を奪い取ろうとするが、届かない)
チャンプ「もうだめた、こうなったら本と一緒にサラリーを葬るしか……! ──殺って[ピーーー]、殺って[ピーーー]ぞ!」
サラリー「こりゃガリアン達に見せない訳にはいかないなwwwwww 早くゲーセン行こうぜ〜♪」
チャンプ「あ、アア、だメだ俺の人格ガ崩壊するヲれのじんカくガほうカいすルほウかイ──」
242 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/14(月) 23:16:29.45 ID:dBuOnIAo
”殺 る”と”殺 す”が[ピーーー]になってる……
なんか、へこむ。
243 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/14(月) 23:25:22.00 ID:ZwgkBeE0
GJです
244 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/15(火) 01:07:12.32 ID:y9.qXC6o
>>227-228
消えてたか・・・
とりあえず自前のまとめです。時間によっては重いけど。
http://adult.csx.jp/~kabuso/HYOUIREI.htm
245 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/15(火) 22:14:52.86 ID:g/h1.xYo
タイトル 【108その2】

ひょんなことから女の子化して四ヶ月後
『アドアッー!!ズ店内3F・巨大筐体専門フロア』

ガリアン「なるほど〜、チャンプがその手の本を読むようになるとは。もう身の心も女の子でヤンス!」
デ ブ リ 「サラリーも人が悪いっふ。意地悪してないで、すぐに本を返すべきだったっふ!」
サラリー「……そう言いながらも妹入門を手放さないのはどこのニートかな?」
デ ブ&ガ リ「「おれだ!」」
チャンプ「モウダメダミラレタクナイヤツラニミラレテシマタ」
三人「「「 ウ ッ シ ッ シ 」」」
チャンプ「ソウダシノウ! ヒトリジュカイニオモムキヒッソリシノウ。ジュカインノリーフブレードコウカハバツグンダカラシノウ」
サラリー「ちょ、早まるな! 謝る! いくらでも謝るから自決だけはダメー!!」
ガリアン「そ、そうでヤンス! 死んで花実が咲くものかでヤンス!」
デ ブ リ 「兄を落とす前に、命落としちゃ意味無いっふよ!」
チャンプ「はぁ……。もういいよ。まあ、見られちゃったもんは仕方ないか」
サラリー「そうそう! 人間諦めが肝心だぜ! ……って嘘です反省してます」
ガリアン「サラリーのこの性格、一生直らない気がするでヤンス……」
デ ブ リ 「同感っふ」
サラリー「そうだ! ちょうどここにチャンプの兄貴分が三人いるんだ!
 入門書でわからない項目あったら、俺達が協力してレクチャーするぜ?」
チャンプ「そ、そう? じゃあお願いしよっかな……」
三人「「「 ウ ッ シ ッ シ 」」」
チャンプ「ナナナナナンカアヤシイカラヤッパリシノウ! ヨシシノウホントジャヨシヌトイッタラシヌヨホントジャモーン」
三人「「「すいませんでした」」」
246 :名無草 :2007/05/16(水) 14:50:27.83 ID:KNJr1PU0
プロット見直してたらいつの間にか長さが倍程に……
あとどれくらいで終わるのか
気長にお付き合い下されば幸いです
と言うことで「クロッカス」続き投下します
ゆっくりとね
247 :名無草 :2007/05/16(水) 14:55:54.90 ID:KNJr1PU0
 「で、朝起きたら女の子になってたって訳?」
“男”の時と同じか。
 「まぁ、そうなるな」
つまり手掛かりとかそう言うのは無いって事、か。
 「それじゃあ“男”を信じない訳にはいかなくなったわけね?」
不敵な笑みで問う、そう、笑って……。
――でもこの胸のもやもやは何なんだろう。
 「にしても誰かに似てるような……」
 「お前、気付いてないのか?」
何か驚いたようにこっちを見ている“友”。
 「何よ」
すると“友”は鏡を指差す。
その指を辿って鏡に目を向ける、と。
 「えっと……私が、二人?」
248 :名無草 :2007/05/16(水) 14:59:22.11 ID:KNJr1PU0
どこかで見たことがあると思ったら、“友”は私と瓜二つになっていた。
意識すると声までそっくりで、
 「ようやく気付いたか……」
そんな事を言いやがる。
 「鈍くて悪かったわね」
 「誰もそんなこと言ってないだろ」
 「言いたいんでしょ?」
 「……否定はしない」
 「やっぱり言いたいんじゃない!」
 「はいはいそこまで」
“男”の声に引き戻されて、
 「これから、どうしようか」
“友”の声に冷まされて。
なんだかもやもやしていた胸が、いつの間にか小さな、小さな痛みを発していた。
249 :名無草 :2007/05/16(水) 14:59:58.72 ID:KNJr1PU0
今のところ以上です
サーセン
書く時間がありませんorz
250 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/16(水) 15:11:10.98 ID:xy1uUgoo
GJGJGJ
251 :以下、テスト中 :2007/05/16(水) 21:39:57.31 ID:sbjzM6oo
タイトル 【108その3】

ひょんなことから女の子化して四ヶ月後
『アドアッー!!ズ店内3F・巨大筐体専門フロア』

デ ブ リ 「この本、入門書にしてはマニアックな内容目白押しっふね」
ガリアン「フライパンとおたまで『死者の目覚め』、寝ているベッドに飛び乗る『妹ダイブ』
お兄ちゃんの起こし方だけでも数多の技があるでヤンスなぁ」
サラリー「おお! この胸をポカポカなぐる技喰らったぜ! 『妹音撃・一気呵成の型』って名前だったのか!」
デ ブ&ガ リ「「う、うらやまスィィィん!」」
チャンプ「はずかスィィィん!」
ガリアン「おお! ラストの108番目の技、かなりムチャでヤンスね〜!」
デ ブ リ 「兄を想う恋心を気弾として解き放つ、その名も『妹魂弾(シスコンダン)』……?」
252 :以下、テスト中 :2007/05/16(水) 21:40:12.30 ID:sbjzM6oo
サラリー「すごいな……、妹と書いてシスと読ませる無茶っぷりもアレだが、第一飛び道具を使う必要性がどこに……」
チャンプ「それそれ! その技だけ出来なくて諦めかけてたんだよ!」
三人「「「マジスカ?」」」
チャンプ「必殺技は男の憧れさっ! にひー」
デ ブ リ 「もう女っふ」
サラリー「まあまあ、我等のチームワークを活かして必殺技を会得させようではないか! 面白そうだし」
ガリアン「賛成でヤンス! ではまず『妹魂弾』の使い方をば……」

『恋する妹はせつなくてお兄ちゃんを想う気持ちを丹田にためて両の掌から発射しちゃうの』

デ ブ リ 「な、なんだっふ、この説明文?」
サラリー「我慢だ……。この本にいちいちツッコミ入れてたら閉店時間になりかねない……」
253 :以下、テスト中 :2007/05/16(水) 21:42:05.76 ID:sbjzM6oo
ガリアン「確か”丹田”って、へその下あたりでヤンスね」
チャンプ「丹田に想いを溜めてっと、──えいっ!!」
サラリー「ハッハッハ、そう簡単に必殺技を会得する事などウボァ!!(白目をむいて大の字に倒れる)」
チャンプ「やった、やったぁ! できた〜! みんな出来たよ〜!!」
ガリアン「おおおお、必殺技習得おめでとうでヤンス!」
デ ブ リ 「チャンプ凄いっふ! 今の一体どうやって撃ったんでふか?」
チャンプ「んー、丹田に溜めた想いの動きを矢印で現すと↓\→。最後の→と同時にパンチを放つ感じ? う〜ん、自分でもまだよくわからないや」
デ ブ リ 「まるで格ゲーっふな!」
ガリアン「ってことは……」
チャンプ「?」
ガリアン「もしかして↓\→↓\→+Pだと、もっと強力な『超必殺技』になるんじゃ……」
チャンプ「(ごくり)……やってみる!」
254 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/16(水) 22:32:06.67 ID:1zBsKlY0
wktk
255 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/17(木) 11:35:01.71 ID:UvMPg9Ao
大技wwwwwwwwwwwwww
256 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/17(木) 20:44:44.88 ID:Tjuqd5ko
ひょんなことから女の子化して四ヶ月後
『アドアッー!!ズ店内3F・巨大筐体専門フロア』

サラリー「よし、この完全防備のデ ブ リをお兄ちゃんだと仮定して超必殺技を放つんだッ!」
デ ブ リ 「どんとこいっふ!」
チャンプ「いくぞー、──えいっ! えーいっ! えいやっ!」
ガリアン「……だめでヤンス。妹魂弾のままでヤンス」
? ? ? 「(キュピーン) ──LEVEL1!」
チャンプ「あれ? 今何か聞こえなかった?」
サラリー「外人のナレーションっぽかったな。……そんなことより集中集中! デ ブ リもまだイケるだろ!?」
デ ブ リ 「問題ないっふ! どんどん打ってくるっふ! ハァハァ」
チャンプ「なーんか悪寒がするけどまあいいや。──はっ! どりゃあっ! ええいっ! お願い! 超必出ろ出ろ〜!」
? ? ? 「(キュピピーン) ──LEVEL2! (ギョピピーン)──LEVEL3!!」
ガリアン「さっきからうるさいでヤンスねえ。どこのゲームのSEでヤンスか?」
257 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/17(木) 20:45:16.44 ID:Tjuqd5ko
チャンプ「なんだろう、今ならうまく出せる気がする。──いくぜ、俺の超必殺技! (フロアの時が一瞬静止し、辺りが暗くなる)」
三人「「「こ、これは! スーパーコ○ボ!!」」」
チャンプ「すごい……!五倍以上のエネルギーゲインだっ! (両の掌に1メートル級の気が集まり、ゆらゆらと揺らいでいる)」
デ ブ リ 「あわわわ……」
サラリー「よけろ、デ ブ リ ──ッ!!」
デ ブ リ 「あわわわ、ふがふが(巨体に似合わぬスピードで緊急回避)」
チャンプ「俺の超必殺技、パートワンッ!!」
ド   ゴ   ー   ン   ヌ
サラリー「あちゃー……」
ガリアン「カードドミネイトの筐体が地面ごと消滅したでヤンスなあ」
デ ブ リ 「こんなのよく避けられたっふ。GJ俺」
チャンプ「やりすぎちゃった。てへっ!」
サラリー「こら! 『てへっ!』で許されると思……。可愛いは正義!」
デ ブ&ガ リ「「可愛いは正義!」」
店長他その他大勢「「「「「「可愛いは正義!!」」」」」」
258 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/17(木) 20:45:30.09 ID:Tjuqd5ko
未亡人「!! この技は……」
マサオ「知っているのか未亡人!?」
未亡人「ええ、あまりにも危険すぎるため、千年の間封印され続けていた裏の妹奥義……」
マサオ「まさか……!」
未亡人「察しの通りよ。妹奥義裏百八式、兄想大妹魂(ケイソウダイシスコン)ッ!!」
マサオ「……よもや、この現代に妹奥義の使い手が現れるとはな」
未亡人「恐るべきはあの少女ね。なんという内力の持ち主!」
マサオ「これからも監視の目は光らせておく必要があるようだな」
未亡人「ええ、忙しくなるわ。──色々とね」
259 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/17(木) 21:49:09.58 ID:Tjuqd5ko
タイトル 【108その4】

ひょんなことから女の子化して四ヶ月後
『帰り道』

サラリー「いやぁ、散々だったぁ」
チャンプ「『事故』ってことで穏便に済ませてもらえたのは良かったよ」
サラリー「必殺技で壊しましたーww って言ったところで誰も信じないだろうしな!」
チャンプ「これからはTPOをわきまえて超必使うよ!」
サラリー「い、いや、もう二度と使ってくれるな……」
チャンプ「ぶー!」
サラリー「それよりさ、チャンプって一人っ子だろ。覚えた妹技を誰に使うんだ?」
チャンプ「え、それは……」
サラリー「『妹音撃・一気呵成の型』も『妹魂弾』も俺に使ったってことは……」
チャンプ「ち、違うよ! それはサラリーを練習台にしただけだもん!」
サラリー「またまた〜^^」
チャンプ「サラリーなんてモルモット。そう、モルモット部隊だよ!」
サラリー「青運命かよwwww でもま、そういう事にしておこうかな〜^^」
チャンプ「なんだかすっごい敗北感……」
サラリー「ウッシッシ。そんな顔するなってww」
チャンプ「はぁ〜っ、サラリーといると白髪が生えてきそう……」
260 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/17(木) 21:49:26.64 ID:Tjuqd5ko
サラリー「何? それはいかん! 手をつなごう!」
チャンプ「ちょwwww 脈絡なさすぎwwwwww」
サラリー「ええいっ、脈絡なんてどうでもいいんじゃあ! 手をつなぎたくなったからつなぎたいんじゃあ!」
チャンプ「サラリー、キミはだだっ子か……。まあいいよ、はい(白い手を差し出す)」
サラリー「(優しく握り返す)……ひんやりしてる」
チャンプ「ああ、それ低血圧のせい。女になってからの悩みのひとつだよ」
サラリー「女をやるってのも色々と大変なんだな」
チャンプ「大丈夫! 四ヶ月あれば馴れちゃいます。サラリーも一度女やってみなって!」
サラリー「俺が女になったところで、チャンプほど可愛くなるとは思えんよ」
チャンプ「………………」
サラリー「な、何でいきなり黙るかな〜」
チャンプ「──ねえ、サラリー、こうして手をつないで歩いてるとさ」
サラリー「ああ(この台詞って、まさか……)」
261 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/17(木) 21:51:27.46 ID:Tjuqd5ko
チャンプ「今度は援交か誘拐犯なんかじゃなくて、普通のカップルに見えるよね……?」
サラリー「あ、ああ」
チャンプ「なら普通のカップルらしく、キス、しよっか……(そう言って大きな石の上に乗る)」
サラリー「ああ……」
チャンプ「お願い、目を閉じて……」
サラリー「ああ、わかった」
チャンプ「じゃあ……」
パシャッ
サラリー「フラッシュがっ! うおっまぶしっ!」
チャンプ「へへっ! サラリーのキス顔いただきました〜」
サラリー「くぬやろっ! どこいきやがったぁ!! 目が、目がぁ!」
チャンプ「本を見せびらかした罰だっ! さ ぁ 反 省 す る が い い !」
サラリー「むむむ! いつかぶっ飛ばす!」
チャンプ「なにがむむむだ! ガリアンに、……送〜信っと♪」
サラリー「あ、アア、だメだ俺の人格ガ崩壊するヲれのじんカくガほうカいすルほウかイ──」
チャンプ「にひひひ! じゃあまったねーん♪」

サラリー(くうぁぁぁっ、我が人生最大の不覚! でもキスをねだるチャンプは可愛かった…… 可愛いは正義!!)
262 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/18(金) 00:35:20.32 ID:Hi0u4Lc0
えーと……入りづらいんだけど、投下していいんですかねコレ?
263 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/18(金) 00:49:03.87 ID:DGY3j26o
wwktk
264 : ◆qaQu5EGERs [トリあってるよな?]:2007/05/18(金) 01:05:48.51 ID:Hi0u4Lc0
わお!人がいた。正直放置プレイくらうかなと思ったんだ。時間が時間だけに。
というわけで久々なんだけど>>147の続きです


「健康データ……問題なしと。OK、今のところ安定してるわね」
俺が女になって一週間。例の薬の影響を調べるための検査を受けている
「先生……」
「何?」
「俺……やっぱりこのまま永遠に女のままなんでしょうか?」

「こんな姉ですけど、彼への思いは誰よりも深いですから。私には分かりますから」
この前の翠ちゃんの言葉が頭に浮かぶ
この言葉が本当なら、あおいは俺のことが好きなわけで……
もし戻れないのなら……それはあいつにとって残酷なことじゃないのだろうか?
そしておれ自身も、あいつに嘘をつき続けなければならないわけで
あいつの思いを知っていながら、嘘を……

265 : ◆qaQu5EGERs [トリあってるよな?]:2007/05/18(金) 01:09:50.77 ID:Hi0u4Lc0
「どうしたの?やっぱり後悔してるの?」
「はぁ……後悔、とはちょっと違いますけど」
「ふーん、好きな女の子と両想いだったことを知ったとか?」
「ちょ、そ、そんなんじゃないでつよ」
「……噛んだわね?」
俺のバカ!本当にかっこ悪いなぁ……
「その……嘘をつくのが、あいつに申し訳なくて……」
「ふーん……今更実感が湧いてきたってところかしら。自分であって自分でなくなったことに」
「そう……ですね。それでも母さんたちが信じてくれているのは救いですけど」
「けど、自分自身で選んだ道だからね」
「……はい」
そう言って俺は俯いた

そう、俺は母さんの命を助けて欲しくて、それで女になることを選んだんだ
だから、今のこの状況も自分のせいだ。先生はそう言いたいのだろう
そして、その通りだから……俺も言い返せない
266 : ◆qaQu5EGERs [よし、あってる]:2007/05/18(金) 01:16:22.22 ID:Hi0u4Lc0
「まぁ、あの状況で断れる人なんてそうはいないわよね。だから私もこの話を持ちかけたわけだし」
「……え?」
「この研究は。30年ほど前から行われていた。そしてあなたのような少年が実験台になったの。同じような条件で。それも何万という数で」
「な、何万!?」

なんだ、なんだそれ?まるで漫画の世界じゃないか
そんなことがこの現実の世界で?

「けど……成功したのはわずか数例。残りの人は……亡くなったわ。全員」
亡くなった?数万人が?俺と同じような人たちが?20歳前後の人たちが?
「そんな……そんな馬鹿なことがあるか!」
「信じられないと思うけど、現実よ。そしてこの研究に携わる人々は、それを当たり前と思ってる。あなたもそうなる可能性があったのよ」
そう、俺もたまたま生きてるだけなのだ。この話を信じるなら……
「私たちを恨んでもいい。人でなしと罵ってもいい。けど……あなたのお母さんも助かった。そしてあなたも女としてだけど生きている。これもまた現実よ」
「けど……今の話を聞くと素直にそれも喜べませんよ……」
「……あなたはいろんなこと気にしすぎかもね。ま、人間らしいといえばそうなんでしょうけど」
267 : ◆qaQu5EGERs [ラスト]:2007/05/18(金) 01:21:52.76 ID:Hi0u4Lc0
「人間らしい……ですか?」
「私はもう……あなたたちから見れば人間とは思えないことをしてるからね。ああ、男に戻れるかどうかの話だったわね。」
「え?ああ……」
そういえばもともとはそういう話だったんだよな
思わぬほうに話が進んでたから忘れちまってたよ
「あなた次第、ってところかしらね。あなたというサンプルが入ったことでようやく研究が進むわけだし」
「なるほど……しばらく、もしかしたらずっと戻れないかも知れないということですね」
俺は先生の言葉に隠された意味を即座に理解した
「まあ、ぞんなとこね。ただ、私は全力をかけて研究するわ。それが唯一の罪滅ぼしになると思うから」
罪滅ぼし……ね
「じゃあ、今日はここまでね。ご苦労様」
「はい」

言いたかった言葉を引っ込めて、俺は診察室をあとにした

268 : ◆qaQu5EGERs :2007/05/18(金) 01:26:37.58 ID:Hi0u4Lc0
というわけで以上です
体調が悪かったりレポート続きだったりして久しぶりの投下でした。構成がおかしかったら指摘してください
ようやく安定飛行できそうです

正直書き手さん増えてるので忘れ去られてないか不安……
269 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/18(金) 02:01:03.86 ID:EhRqLR2o
ねこにかつぶし!
http://vipdeekaku.run.buttobi.net/cgi-bin/src/up0119.jpg
 男「なあ。」
 猫「なに?」
 男「学校帰りに乾物屋によってコレ買ってきたんだ。好きだろ?」
 猫「なにこれ。」
 男「かつぶし。」
 猫「削ってないやつじゃない! 失礼ね! アタシこれでも半分は人間なんだからね!」
 男「いらないのか? じゃあしまっとくか・・・」
 猫「ち、ちょっと待って! せっかくだからよこしなさいよ!」
 男「え?」
 猫「・・・ガブリ! ガツガツ! むしゃむしゃ!」
 男「・・・食ってるじゃねーか。」
270 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/18(金) 08:42:52.64 ID:AS.BQQko
>>262
本当すんません……『今日はここまで』報告を怠ってました
271 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/18(金) 12:38:02.40 ID:XJ4lTZAo
wkwkwkwkwktktktktktkttktk
272 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/18(金) 20:50:54.01 ID:toCh5BUo
「なっ…なんだこれ…」。
昼過ぎに目が覚め、気づけば…身体が女になっていた。
――「これが、俺?」。なんていうおなじみ?のイベントを軽く済ませつつ、冷静になろうと必死になっていた。
昨日寝るまでは、確実に男だったはず。
それが、朝目が覚めれば女になっている。
「ありえないだろ…」
しかしまぁ、現実に女になってしまっているのはどうしようも無く。
どこかにナニが落ちているわけもない。

「あぁ、でもさ…NEETでひきこもりな俺には関係無い……ってわけにはいかないよなぁ」
さて、これからどうしようか。


っていう具合に過疎支援してみる
273 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/18(金) 21:41:46.86 ID:UtfHY.g0
最近忙しくてまとめられない俺
274 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/20(日) 10:34:56.25 ID:7v6g9A.o
かそ
275 :横長 :2007/05/20(日) 16:00:37.91 ID:XVjmo4Mo
タイトル 【能登半島】

ひょんなことから女の子化して一週間後
『アドアッー!!ズ店内3F・大型筐体ゲーム用交流テーブル』

サラリー「ジュース買ってきたぜー。ほい」
チャンプ「ありがと! (ごきゅごきゅ) ぷはーっ、檸檬の皮入り蜂蜜檸檬ウマス!」
サラリー「ところで、ひとつ聞いてもいいか?」
チャンプ「(ごきゅごきゅ) ……んー?」
サラリー「チャンプってオナニーするの?」
チャンプ「ブ────ッ!! (口に含んだジュースをサラリーに噴射)」
サラリー「何をするだぁー! イタリア、アマルフィの知恵を全身で浴びてしまったではないか! (とても嬉しそう)」
チャンプ「ごめん、でも変なこと聞かないでよ……」
サラリー「変なものか! 15才という多感な時期に身体だけが少女へと変貌したのだ」
サラリー「ならば、自身の躰に興味沸かない筈がないッ!」
チャンプ「た、確かにその通りだよ? でももうちょっとオブラートに包んだ言い方しようよ」
サラリー「かわりにビブラートをかけて発音した」
チャンプ「……その行為に何の意味が?」
サラリー「まぁまぁ。質問に答えれば、スーツ汚したことをチャラにするってことでひとつ^^」
チャンプ(サラリーめ仕組んだな! 相変わらずひどいやつだ……)
サラリー「いいじゃん、ひょんなの子ならみんなやってることなんだから」
チャンプ「ねーよww」
サラリー「オナニーは悪いことじゃないよ。チャンプもオナニーしてるんでしょ」
チャンプ「うーん……することもあるけどさ……」
サラリー「そうかそうか^^ もう躰の反応は愉しんだのだな!?」
チャンプ「(顔を赤らめてうつむきながら)………………う、うん。一通りは……」
サラリー「ひっ、一通りだとぉーっ!? もうア○ルも開発済みなのか! ……ゴクリ」
チャンプ「な、なんでそうなるー!」
サラリー「みんなーチャンプはア○ルオナニーしまくりですよーーw」
チャンプ「しまくりじゃないですー」

チャンプ(くぅぅ、恥ずかしい……。今なら某声優の気持ちが痛いほどわかるよ)
276 :横長 :2007/05/20(日) 16:08:35.21 ID:XVjmo4Mo
以上です
コテつけてみました。今後はこの名前でよろしくお願いします

名無しだった頃の作品

本編
タイトル 【カード・ドミネイト】 >>207

本編のSS
タイトル 【誕生日】 >>210
タイトル 【お兄さん】 >>211
タイトル 【物陰から】 >>212
タイトル 【告白?】 >>213
タイトル 【108】 >>241 >>245 >>251-253 >>256-261
277 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/20(日) 16:40:09.42 ID:bBX8Fsw0
GJ!
278 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/20(日) 21:36:51.12 ID:pA6zmrUo
イイネイイネ!
279 :横長 :2007/05/21(月) 21:40:08.44 ID:aEsG0pMo
タイトル 【HANDS UP&PASS】

ひょんなことから女の子化して二ヵ月後
『アドアッー!!ズ店内3F・大型筐体ゲーム用交流テーブル』

着信音 『♪スパムスパムスパムスパムおいし〜いスパムスパ〜ム』
ガリアン「お、メール来たでヤンス」
サラリー「……ちょい待ち (むんずと腕を掴む)」
ガリアン「な、なんでヤンス?」
サラリー「今の着信音、……チャンプの声だな?」
デ ブ リ 「あぁ、それはチャンプに作ってもらったらしいっふよ。俺も持ってるっふ!」
サラリー「何故だ! 何故そんなお宝を今まで隠してたっ!?」
チャンプ「──それは、俺がお願いしたからだよ」
サラリー「チャンプおいすー^^ ってどういう意味さソレ!」
チャンプ「だって、サラリーの仕事場で鳴ったら大変じゃん。それが取引先相手との商談中だったらどうするのさ?」
サラリー「どうもしない! おや、可愛らしい歌ですね→そうでしょう^^この写真の娘なんですよ→これまた可愛らしい!
──と、着メロが会話の突破口になるのは間違いないな!!」
チャンプ「楽観的すぎ…… って! 俺の写真いつの間に撮ってたの!?」
サラリー「それは企業秘密だぜ^^ ほら、この笑顔最高に可愛くないか?」
チャンプ「う……っ、この笑顔出されたら男の頃の俺なら一発で落ちちゃうな。……消去、っと」
サラリー「フハハ! バックアップは無数に取ってある! むだな足掻きよ!」
チャンプ「あっそ。じゃあバックアップ取ってなさそうなもの消そうっと」
サラリー「な、何を……」
チャンプ「(サラリーの鞄からPSPを取り出し、手際よくメモステフォーマットする)……ほい、エミュマシン破壊完了!」
サラリー「アアアアアアアア! 俺の……、俺のゲーム&セーブデータがッ! やっと上位クエ行けたというのにィ!!」
チャンプ「隠れてコソコソしてるのがいけないんだよっ」
サラリー「じゃあ堂々と写真取るぜ! チャンプ、さぁ笑って!」
チャンプ「怒ってるのに、なんで笑わなきゃいけないの!」
サラリー「なぜチャンプに笑って欲しいかというと、僕はくふ楽でボランティア活動をはじめました」
チャンプ「ぶーっ! なにその理由! そもそもくふ楽ってなんなのさ、あはははっ」
パシャリ
サラリー「……いい笑顔だ! 新たなコレクションが一枚増えたぜ^^」
チャンプ「サラリー? キミは本当に懲りない人だね……(ゴゴゴゴゴという擬音をバックに全身からオーラを発する)」

END
280 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/21(月) 21:51:14.46 ID:aEsG0pMo
以上です。
着メロ元ネタ → ttp://www.youtube.com/watch?v=ODshB09FQ8w

ラブひなのように一つ屋根の下で男の主人公が同居人の女の子に好意を抱かれている。
しかしその男主人公がひょんな子化……というのを考えたが、
ものを書く力、表現力を鍛えないと形に出来そうにもない。
キャラクター案はもう頭の中で固まってるので、なんとかカタチにはしたいんだぜ。
(男の頃は見向きもしなかったのに、ひょんな子してから溺愛するようになる百合キャラ等)

281 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/21(月) 22:25:46.43 ID:ftAbXJk0
終わっちゃったのか
このシリーズ好きだったよ
新しいのもwktk
282 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/22(火) 10:53:49.12 ID:crh9nRwo
乙い
283 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [嬉しい事言ってくれるじゃないの]:2007/05/22(火) 20:12:30.93 ID:7kXXdek0
>>281
ひゃあ! まだ終わっていません〜
SSとは別に長編を書かないと完結できません〜。
(予定:一ヵ月後・新キャラ登場、五ヵ月後・プール、八ヵ月後・ゲーム全国大会、11ヵ月後・異変、一年後・決着)
一番最初の新キャラ登場を書くのでしばらくSS休止
ラブヒナもどきを書くのは最低でも半年先くらいかかるかも。その時はドミネイトと同時進行で
284 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/22(火) 22:12:41.54 ID:Ku1e5KY0
>>283
続くのか、よかった!
楽しみに待ってるよ
285 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/22(火) 23:55:02.53 ID:azSNUugo
今までENDしてなかったから最終回かと思ったwwwwwwwwwwwwww
wktk継続
286 :名無草 :2007/05/23(水) 03:10:02.47 ID:NI5G2DI0
続きwwktk
というわけでとりあえず「クロッカス」終わらせます

ついでに「クロッカス-黄-」と言うことにしまs
287 :名無草 :2007/05/23(水) 03:12:38.13 ID:NI5G2DI0
「それで、これからどうしようか?」
“男”が言った。
 「こんな場合、どうすれば良いんだろうな」
“友”が繋いだ。
 「あんたたち、やけに冷静ね」
私は呟くように声を漏らす。
 「まぁ、慌てても仕方ないからな」
そう答える“友”の声は調子外れな私の声で、
 「まずは服でも買いに行こう」
その言葉に難色を示す二人。
 「そんな場合か?」
 「他にすることがあるんじゃ……」
そんな異論は即却下。
 「他に思いつかないなら、思いついたことから始めるしかないじゃない。」
私の言葉に反論出来ずに“男”は小さく唸り声を、“友”は顔を顰めている。
 「決まりね」
――私は、一体何を考えてるんだろう……。
疑問にもならない疑念を振り払って、二人のスリーサイズを採寸。

“男”は、っと。
まるっきり○学生じゃない……。
身長も低いし、“妹”ちゃんの服を着せても大きいんじゃないだろうか。

“友”の方は……。
――なんでスリーサイズまで私と同じなのよ……。
 「“友”の胸、大きいね……」
横から見ていた“男”の声、
 「「うるさい」」
何故かハモる私と“友”の声。
288 :名無草 :2007/05/23(水) 03:13:27.70 ID:NI5G2DI0
身を寄せ合った花は風に吹かれ揺れ、今にも体を折ってはしまわないだろうか?
見上げる曇り空、きっと降り注ぐ雨。
その冷たさに凍えてしまわなだろうか?
289 :名無草 :2007/05/23(水) 03:16:40.38 ID:NI5G2DI0
以上第三章「クロッカス-黄-」でした
タイトルクロッカスにするんじゃなかtt
とか思いながらも黄ってのを付け足しただけと言う手の抜きっぷり
ちなみに第四章は「アマリリス」で
今週中に半分くらいは投下出来れば良いなぁ……
290 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/23(水) 11:57:58.67 ID:OE1llG.o
おちゅ
291 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/24(木) 19:21:53.91 ID:kiXnQd6o
過疎過ぎ
292 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [グランディア3って、ここじゃ知名度あるかな?]:2007/05/24(木) 21:07:24.32 ID:7cuqfdko
タイトル 【デイ・オブ・ネコニング】

ひょんなことから女の子化して六ヵ月後
『商店街・大通り』

猫耳の少女「買い物かいもの楽しいな〜!」
短髪の青年「お前・・・ 少しはおちつけ。デパートは逃げも隠れもしないぞ。」
猫耳の少女「えへへ〜、久しぶりのデートだから嬉しいんだもん!」
短髪の青年「ば、ばか言ってると置いてくぞ!(どきどき)」
OLその一「きゃあっ可愛い〜!この娘猫耳付けてる〜」
OLその二「あれ、いま猫耳動かなかった?」
短髪の青年「あぁ、これはバン○イの試作品なんですよ!(・・・これで誤魔化せるかな)」
OLその三「ひこひこ動いている〜。・・・触ってもいいですか?」
猫耳の少女「さ、触るぐらいなら別にいいわよ?」
OLその三「・・・あったかくてやっわらかーい!これ、本物の猫の耳みたいですよ!」
OL一&二「「あたしもさわる〜♪」」
猫耳の少女「・・・ふみゅ〜ぅ(代わる代わる撫でられてちょっと気持ちいい)」
OLその一「すごいですねコレ!絶対ヒットしますよ!私買いますもん!(興奮気味に短髪の青年へにじり寄る)」
短髪の青年「そ、そうですか〜、あははは。」
猫耳の少女「こ〜ら〜!でれでれしない!」

同時刻
『大通りに面したファーストフード店・がのととととす2F窓際席』

チャンプ「あ、あの娘猫耳付けてる! 嫉妬なんかしちゃって、可愛いな〜!」
サラリー「うむ、確かに可愛い。……可愛すぎる。 ……欲 し い」
チャンプ「ちょwwww欲しいってwwww 誘拐は犯罪っ!」
サラリー「彼女が頭から猫耳を生やしているのは人間ではなく野生動物であることの証……。捕獲しても何ら問題あるまいッ!」
チャンプ「大ありだよ! ほら、これで我慢して……(両手で即席の猫耳を作り、ひこひこさせる)」
サラリー「そ、そんなもんはダメだっ! 認めんぞ! (これはこれでクルものがあるのだが……)」
チャンプ「ぶー」
サラリー「こんなこともあろうかと、猫耳カチューシャを用意してあるのだっ! さあ!」
チャンプ「しかたないなぁ…… にゃん! (なんだかんだでこのチャンプ、ノリノリである)」
サラリー「なんじゃあその『にゃん!』はぁ! 違うだろう! 正確には『ニャン☆!』だッ!!」
チャンプ「わがままだなぁ…… (引きつった作り笑顔で)ニャン☆」
サラリー「違う、違うんだよチャンプ……。ニャンの後に☆と!が続かなきゃ意味がないんだ……」
チャンプ「うぅ……わかったよ。(ヤケになりながら両手を丸めて猫のポーズを取り) ニャン☆!」
サラリー「グゥレィト! それだ、それだよチャンプ!! もう思い残す事はなにもない……」
チャンプ「そう? じゃあさよならだねサラリー。──兄想大妹魂ッッ!!」
サラリー「フハハ! 当たらねばどうということはない! また会おう諸君!!」

チャンプ(俺あの人の頭の中を初期化してあげたい…… どうしたらいいの!)

END
293 :横長 :2007/05/24(木) 21:15:43.67 ID:7cuqfdko
以上です
長編が行き詰ったので、保守代わりに勢いで書きました。コテ使え俺。ダメ人間め!
なんか別の書き手のキャラを使っているようにも見えますが……
すみません。先に謝っておきます。
本当は、何故かマタタビの鉢植えを持っていたチャンプに猫まっしぐらな話を書こうかと思いましたが
イメージ崩すので自主規制。妹魂弾と肉球弾の飛び道具対決……、これも同じく自主規制しました。

294 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/24(木) 22:59:29.36 ID:jRfmmXE0
GJ!
295 :名無草 :2007/05/24(木) 23:09:48.97 ID:fErfbzg0
GJです
と言う訳で第四章「アマリリス」途中まで投下したいと思います
誰か時間を下さい・・・・・・orz
296 :名無草 :2007/05/24(木) 23:11:18.71 ID:fErfbzg0
私と“男”、“友”に“妹”ちゃんと叔母さんとで服を買いに行くことになった。
お母さんは先日の仕事でダウンしている。
そう言う訳で家から車で三十分程の距離にあるショッピングモールまで。
そうして今は行きの車の中。
先日お母さんから聞いたこと、その真偽を確かめてみよう。
そう思って言葉を発する。
 「あの、叔母さん」
バックミラー越しに叔母さんと目が合う。
 「何? “女”ちゃん」
本当に子供を産んだのかと疑いたくなる程に若々しい顔だち、きっと私たちと並んで歩いていても同い年と思えるくらいに。
 「叔母さんは……」
そこで詰まる。
何と訊ねれば良いのか……。
 「叔母さんも昔は男の人だったって本当なんですか?」
悩んで居たって仕方ない、単刀直入に聞いてみることにした。
 「あ、姉さんから聞いた?」
返事は思ったよりも呆気ないものだった。
 「あ、はい」
“友”と“妹”ちゃんは驚いている様子で、
 「え、本当なのか?」
 「嘘!?」
こんな感じの反応をしている。
鏡の向こうの叔母さんは幼ささえ感じられる笑顔を作って、
 「隠してても仕方ないし、普通に喋っても良いかな?」
真っ直ぐに私を見つめて言う。
 「喋りやすいように喋って下さい」
297 :名無草 :2007/05/24(木) 23:14:12.20 ID:fErfbzg0
 「そっか、じゃぁ普通に話すね」
そして話し始める叔母さんの瞳は、なんだか……そう、少年みたいな輝きを湛えていた。
 「男から女になったのは丁度“友”や“男”君くらいの年だったかな」
叔母さんがよく未成年と間違えられてお酒が買えないとぼやいているのを思い出して、
確かに間違えられてもおかしくない、なんて考えてると。
 「女として生きてる時間は“女”ちゃんと同じくらいだね」
つまり実質女としての年齢は……、二十歳弱。
十八歳か十九歳なら納得出来るくらいに幼いんだ。
 「二人と同じように朝起きたらいきなり女になってた」
その時の瞳だけは年相応な、遠く昔を懐かしむような目をしていたと思う。
 「俺の時は周りの人達に随分助けられたな」
特に姉貴、“女”ちゃんのお母さんにね。
そう付け足して先を続ける。
 「うん、あの時は助けられてばっかりだったし。今度は俺が助ける番だよな」
言ってクシャクシャな笑顔を作る叔母さんは、チグハグで、幼げで、何より魅力的で。
純粋な笑顔ってこんなにも人を惹きつけるものなんだ、なんて思った。
 「ほい、到着っと」
そうして気付けば目的地に到着していて、
 「それじゃぁ今日は張り切って買い物しちゃおっか」
“男”と“友”の手を掴んで歩き出す、“妹”ちゃんは遅れまいと“男”の隣を歩いて。
私たちの少し後ろ、微笑んで見守る叔母さんの笑顔を盗み見ながら歩いて行く。
298 :名無草 :2007/05/24(木) 23:17:41.02 ID:fErfbzg0
服と下着を買って、それだけで時刻は昼前。
買い物風景はお決まりなイベントなだけに割愛させてもらう。
お昼ごはんはこの近くにあるお母さんとお父さん、それと叔母さんと叔父さんが経営している喫茶店で食べることになった。
でもその喫茶店に行くまでの間にもいろんな店があって。
折角だからと言う事で歩いていく事になって、今はその道中。
 「あ、懐かしい。ここ俺が女になった頃に姉貴とお袋に連れてこられた店なんだよ。
  まだ店あったんだ。こっち側あんまり来ないからなー」
なんて言いながら妖しげな店に入っていく叔母さん。
えっと、入り口にメイド服ってどうなのよ?
 「……どうする?」
問いかけてくる“友”。
 「待ってる訳にも、いかないんじゃない?」
そう言う“男”。
そうして一行は昼なお暗い魔窟へと足を踏み入れる……。
299 :名無草 :2007/05/24(木) 23:18:12.79 ID:fErfbzg0
今日は以上です
四章は思ったより短くて済みそうです
300 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/25(金) 10:04:13.83 ID:CRiTZVIo
乙です
301 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/25(金) 22:01:33.66 ID:b9Q4z7ko
>>299
GJ!
名無草さんの描写、好きだな。魔窟ww
302 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/26(土) 21:23:21.66 ID:E.80HEQo
見事に過疎
303 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/27(日) 01:49:26.81 ID:5ovPvb.o
vipで宣伝とかしなかったしな
304 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/27(日) 20:32:57.38 ID:yORGk2Eo
今は作者どれだけいるんだ?
305 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/28(月) 17:04:20.43 ID:F.s4L0co
確認に来たら投下途絶えてる・・・
306 :名無草 :2007/05/29(火) 07:59:34.83 ID:IRt/dbo0
>>301
嬉しいこと言ってくれちゃってまぁ
それだけで向こう一年間は頑張れます
ありがとう

にしても何という過疎……
とりあえず「アマリリス」途中から投下しますね
俺程度でこの過疎を打開出来るとは思いませんが……
307 :名無草 :2007/05/29(火) 08:01:22.70 ID:IRt/dbo0
店内には節操がない程の服、服、服。
西へ東へ昔へ今へ。
よくもまぁこんなにも集めたものだ。
そんなことを思っていると、
 「“女”ちゃん、こっちこっち」
私を呼ぶ叔母さん。
 「何ですか?」
近づく、と、いつの間にか手には巫女装束が……
 「これ着てみて」
笑顔で言う叔母さん。
その笑顔は反則です……
思うも逆らえず身に纏うは巫女装束。
おまけに叔母さんに髪を結われてポニーテール。
 「似合う似合う」
ちょ、写真は勘弁して下さい。
 「うん、似合ってるよ」
“男”が言う。
 「うっさい」
しばらく放っておいて欲しい……。
 「“男”君、ちょっとこっち来て」
そうして不用意に近付く“男”、こいつ絶対バカだ。
308 :名無草 :2007/05/29(火) 08:03:19.74 ID:IRt/dbo0
太陽の光、それは全てを照らす希望の光で、全てを責める断罪の光で……。
今の私にはその光は眩し過ぎる。
それは“男”や“友”、“妹”ちゃんにも同じようで、みんな俯き気味で歩いている。
あの店に入るまでは、そんなことは考えもしなかったのに。
それは全て今の格好が原因だろう。
今の私は、似非巫女さんなんだから……。
私だけではなく、“男”はゴスロリ(?)、“友”はチャイナドレスで“妹”ちゃんはメイドさんだ。
そんな私たちの前を歩く叔母さんも婦警さんで、
 「なんでこんな事に……」
思わず呟いてしまった。
 「あの店に入ったのが間違い、だな」
私の声に返事する“友”。
そうして二人で“男”の方を見る。
“男”は全くの無反応。
 「ん?」
“友”が変な声を上げる。
 「どうしたの?」
聞いても、
 「いや、なんでもない」
そうとしか答えない。
もう一度“男”の方に目を向ける、と。
その向こうに歩いているのは何だか型破りな着物を着た男女の二人組みで、良く見るとその他にも普通は着ない服を着ている。
つまりはコスプレ(?)している人が居る。
それは、この辺りがそう言う場所だってこと?
叔母さんの方を見るとこっちを見て微笑んでいて。
後でまた話をしないといけないな……。
そんなことを考えている間に目的の喫茶店に着いた。
309 :名無草 :2007/05/29(火) 08:04:19.76 ID:IRt/dbo0
とりあえずランチセットを頼んで、
 「それで、何であんな店に入ったんですか?」
単刀直入、本題だけを切り出す。
 「んー、何か他人行儀だよねぇ。普通に喋って欲しいな」
はぐらかす叔母さん。
 「叔母さん、何であの店に入ったの?」
仕方なく言い直す。
 「気付かない?」
何となくは察しが付く、けれどそれ以外に何か意味があったんじゃないだろうか。
 「あの店に入る前までは、辺りの様子も分からないくらいに余裕がないみたいだったからね」
それは……確かにそうだろう。
現にあんな服装をした人達とすれ違っていたのにずっと気付かなかったんだから。
 「それだけ、ですか?」
その問いに叔母さんはこっちを真っ直ぐに見て、
 「強いて言えば、見てみたかったから。かな」
そう言った。
 「まさか母さんにこんな趣味があったとはな」
フォークを動かすのを止めて、“友”が言う。
 「露とも思わなかったね」
“妹”ちゃんが後を続ける。
310 :名無草 :2007/05/29(火) 08:05:39.09 ID:IRt/dbo0
“妹”ちゃんの方を見たときに“男”が目に入って、
 「どうしたの? 食べられないなら無理しなくても良いわよ」
体が小さくなったからか、出された量の半分くらいから全然減っていないようだ。
 「うん、大丈夫だから」
そう言いながらまだ食べ続けようとする。
――なんでこいつはこんなに無理しようとするんだろう。
私の所に来た時だってそうだ。
涙を溜められるだけ溜めて、止まらなくなるまで溜め込んで。
それでも必至に止めようとするんだもの……。
 「まだデザートだって残ってるんだから。ほら、残りは私か“友”が食べるから」
そう言いながら“男”のお皿を取り上げる。
 「あ、大丈夫だよ」
まだそんな事を言いやがる。
 「ダメ、もう私のだもん」
そう言うと諦めて、幾分安堵したように肩の力が抜けるのが分かる。
さて、私が食べるって言っても、ここのセットは量が多いんだよなぁ……。
どうしよう……。

結局、“男”が残した分は“友”と半分ずつ食べた。
満腹だ、けどデザートは別腹と言うのは伊達ではない。
特にここのデザートは美味しくて難なく食べられるんだ。
“男”の方もデザートは問題なく食べられるようで、小さく一口ずつ食べている。
311 :名無草 :2007/05/29(火) 08:09:18.09 ID:IRt/dbo0
“妹”の声に視線をずらした“女”ちゃんは“男”君が辛そうにしているのに気付いて。
 「どうしたの? 食べられないなら無理しなくても良いわよ」
そう言いながら“男”君の方を見つめる。
 「うん、大丈夫だから」
大丈夫そうには見えないのだけど、“男”君はそう言った。
まぁ、頼んだ手前意地みたいなものがあるんだろう。
私だって男だったんだから分からないでもないけど、今は女の子なんだから程ほどにね。
そんな事を考えていると“女”ちゃんは“男”君の料理を強奪してしまった。
男だった頃にこんなことをされれば表情は不満で一杯になるだろう、けれど今の“男”君はほっとしたような顔をしている。
“女”ちゃんはそんな“男”君の様子に満足した様子で、一頻り頬を緩めた後料理に向かい表情を引き締める。
――姉貴に似てか、気が利くんだね。
気が強いところとか、ちょっと強引なところ。
それに勘も鋭いところも似てる。
でもちょっと詰めが甘いかな。
二人を眺めながら取り留めもなくそんな事を考えていると電話が鳴った。
 「あ、ちょっと席外すね」
そう言ってから店の外へ。
 「姉貴、どうしたの?」
携帯電話を耳にあて訊ねる。
 「頼んでた四人の写真、撮れた?」
 「ああ、バッチリ撮れたよ」
つまりはそう言うこと。
四人には悪いけど、俺は姉貴には逆らえないんだ。
いろんな意味で。
312 :名無草 :2007/05/29(火) 08:11:22.78 ID:IRt/dbo0
寄り添う花は、ただただ寒さや強い風に耐えるのに必死で。
見兼ねた赤い花は少しの悪戯と、小さなエールを送る。
どうかこの幼い花たちが枯れてしまわないように。
313 :名無草 :2007/05/29(火) 08:13:03.68 ID:IRt/dbo0
以上
第四章「アマリリス」でした
遅くなってすいませんでしたorz

え? お呼びでない。
それは失礼致しまして
314 :名無草 :2007/05/29(火) 08:18:17.83 ID:IRt/dbo0
あっと>>311で叔母の一人称変えてるのはわざとです
何かの暗号かもしれません
一応書いておきます
315 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/29(火) 08:42:34.02 ID:igOFUI.o
>>314
来た来た
続き待っていますた!
316 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/05/29(火) 21:11:17.26 ID:RZ81TEAO
名無草さん乙。
317 :きじょう ◆qaQu5EGERs :2007/05/30(水) 21:39:16.56 ID:pqlYS1o0
ずいぶん久しぶりの投下行きます
>>267の続きです

何で今年はこんなに忙しいんだろうorz
318 :きじょう ◆qaQu5EGERs :2007/05/30(水) 21:41:22.55 ID:pqlYS1o0
「いただきまーす!」
学食に響くあおいの声。正直うるさいのでやめて欲しい
そこの男、こっち見んな。恥ずかしいから
「うーん、やっぱりうちの学食のカレーは最高だよ」
「そうなんですか?」
ちなみに俺はいつも弁当だから食べたことはない。
「そうだよ。だから毎週金曜日をカレーの日にして一週間頑張ってるんだから」
どこの海軍の伝統ですかそれは?
つーか本当にうまそうに食べるなこいつ
「茜ちゃんは今日もお弁当なんだね。料理が上手でいいよね」
「料理なんて慣れですよ。いつも作っていればできるようになります」
「そう思って最近練習してるんだけど、やっぱり難しいよね。」
ふーん、練習はしてるんだな。感心感心
「翠に教えてもらってるんだけどさ。あの子ああ見えて料理もうまいから」
「……」

「こんな姉ですけど、彼への思いは誰よりも深いですから。私には分かりますから」
あおいの家に行ったあの日の翠ちゃんの言葉が不意に蘇ってくる

319 :きじょう ◆qaQu5EGERs [なんかブラウザの調子が…]:2007/05/30(水) 21:42:56.62 ID:pqlYS1o0
「はふはふ……ふむ…ふぉーしはの?」
「とりあえず口の中を空にしてからどうぞ」

こいつが俺のことを……ねえ
まぁ……黙ってりゃ可愛いんだけどさ

「べ……ごべん…んぐ……げほっ…み、みずぅー!」
これだもんな……色気というもんがないんだよなこいつには
「はいどうぞ。」
「あ、ありがどー……あー、死ぬかと思った」
「で、何を言おうとしてたんですか?」
「あ、なんかちょっと暗い顔してたから、どうしたのかなと思って」
「暗い顔、してましたか?」
「うん、ちょっとそうみえたから」
「そうですか……」
「どうか……したの?」

「翠ちゃんの言ってたこと……おにいちゃんのこと、好きなんですか?」
320 :きじょう ◆qaQu5EGERs [ちゃんとできてるかな?]:2007/05/30(水) 21:45:03.01 ID:pqlYS1o0
何を聞いてるんだ俺。第一それを聞いてどうする?

「えっと……うん、好きだよ。」
「……そうですか」
俺にとっては最高かもしれない、けれど最悪な答えが返ってくる。

「なんていうんだろう……いつから好きかなんてことはもう分からないんだけどね……」
笑いながらあおいは続ける
「今、よーちゃんが遠いところに行っちゃって、それでとても寂しくて、とても心配で……帰ってこなかったらどうしようって思うとすごく不安で」
少しあおいの顔が曇る
俺は、ただその言葉を聞くだけ
「それで、やっぱりよーちゃんのことが気になって気になって仕方がない自分に気付いたんだ。うん、私はよーちゃんのこと、大好きだよ」
そう言ってあおいはまた笑った。
言った本人が予測してないこの「告白」は、伝えたい相手に確かに届いた。
けどその相手は、今は何もできなくて……
「そうですか」
「うん」
こうして何食わぬ顔で、話を聞くだけ
321 :きじょう ◆qaQu5EGERs [ちゃんとできてるかな?]:2007/05/30(水) 21:46:54.20 ID:pqlYS1o0
「で、どうしてそんなことを聞こうと思ったの?」
「え……えっと……」
うろたえる俺。ほんと、何で聞こうと思ったんだろうな……
どっちの答えであっても俺に得することはないのに
「え、えと…き、気になったから……ちょっとだけ」
「ふーん、そっか。気になったんだぁ」
そう。多分、気になっていることがあるからだな。
「ちょ…なにニヤニヤしてるんですか?」
勘違いすんなよ?頼むから。
たぶんお前と俺の認識には違いがあるからな
「暗い顔してたからさぁ。私もどうしてか気になっちゃう〜」
俺が気になることは……
俺の……俺たちの今後に大きくかかわること
「教えなよ〜何が気になったの?」

「もし、もしもですよ?」
「ん?」
「もしも、お兄ちゃんが二度と帰ってこなかったら、どうしますか?」
「えっ?」
322 :きじょう ◆qaQu5EGERs :2007/05/30(水) 21:50:28.28 ID:pqlYS1o0
とりあえず今日は以上です。
また間が空くかもしれませんが忘れないでもらえると嬉しいです。

ていうか、誰か俺に時間をくれ……
323 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/30(水) 22:04:37.86 ID:UM9rfvUo
>>322
GJ!
時間は・・・がんばれ!
324 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/31(木) 16:20:10.34 ID:t7mBkEAO
>>322
GJ!!
気長に待ってるから気にすんな
頑張れ!!!
325 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/31(木) 19:44:25.14 ID:MFaRO6DO
パー速に来てたことを今知って来たら過疎どすか。そうですか
326 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/05/31(木) 19:51:17.29 ID:BskV.nko
>>325
パー速へようこそ!
あなたがROM専だろうと作者だろうと

絶 対 逃 が さ な い 。
327 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/06/02(土) 02:46:25.53 ID:n11pKwAO
ROM専だが文才があればいつかは書いてみたいな…
328 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/03(日) 07:38:21.19 ID:V1Yz2Rk0
ひょんなのこ×ひょんなのこって新しいと思うけど書けない
329 :横長 :2007/06/05(火) 22:24:30.98 ID:.hWKLtEo
ほしゅ保守

悲しいくらいに過疎ってきてる……
長編早く書き終えなきゃ
330 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/06(水) 00:18:47.48 ID:AMNrH.Ao
>>329
wwktk
後パー速は保守いらないはず
331 :きじょう ◆qaQu5EGERs :2007/06/06(水) 00:48:37.78 ID:Dp6Cndk0
過疎だなぁ……もうこの時間に人なんていないよな
というわけで投下します
332 :きじょう ◆qaQu5EGERs :2007/06/06(水) 00:56:16.33 ID:Dp6Cndk0
「もしも、お兄ちゃんが二度と帰ってこなかったらどうしますか?」
「え?」
俺の質問に、あおいは何を聞かれてるのか分からないという顔をする
「よーちゃんが、帰ってこなかったら?」
「はい」
俺はいま、こうして女になってしまっている
そして、再び男に戻れるかどうかは分からない状態だ。もしかしたらこのままということもある
だからこいつは、もう好きな人に二度と会えないかもしれないわけで
「それ……よーちゃんが死んじゃったらってこと?」
「あ…えと……」
「そんなことないよ!よーちゃんはきっと帰ってくるよ!!」

食堂に響くあおいの声。食堂が静まりかえる

「よーちゃんはきっと帰って……かえっ…てくる…からぁ……」
あおいの声がとぎれとぎれになる
「あ、えと……落ち着いて」
「かえって……くるもん…うぇ…ふぇええええ……」
とうとう泣き出してしまった。
「かえってくるよぉ!帰ってこないわけない!絶対そんなことない!!」
「わ…分かったからちょっと落ち着いて……」
泣き叫ぶあおいとなだめる俺。どちらも必死。
当然食堂の皆様の目は俺たちに釘付け。
いったい彼らはこの光景を見て何を思うのでしょうか……
333 :きじょう ◆qaQu5EGERs :2007/06/06(水) 00:57:18.51 ID:Dp6Cndk0
「ごめんね。迷惑かけたね」
「いえ、こちらこそ」
「はー……よーちゃんが帰ってこなかったら、か。考えたことなかったなぁ」
やっと落ち着いたあおいが話し始める
「すごく心配だけど、でもどこかできっと帰ってくるって思っちゃってた」
「うん……」
「いや、考えないようにしてたのかな?だからさっき、なんだか急に怖くなっちゃったんだと思う」
「……」
「はぁー……なんかすごく会いたくなっちゃったよ……今頃どうしてるのかなぁ」
「たぶん、元気にしてますよ。」
「だといいんだけどね。」
心配だからだろうか、不安そうなあおい。
「きっと元気で、帰ってきます」
「うん……」
いつもの元気がないあおい。
こいつのこんな顔なんてみたくないけど、こうしてしまったのは俺なわけで
「きっと帰ってきます!だから、信じてて下さい!きっと元気で帰ってきます!!」
「あ、えと」
「だから笑ってて下さい!きっと、きっと帰ってくるから!!」
だから俺は必死になって、
「えと、落ち着いて、ね?」
「あ……」
ここは食堂なわけで……やっぱり周りの目は釘付けなわけで
「ち、ちょっとトイレ」
334 :きじょう ◆qaQu5EGERs :2007/06/06(水) 00:59:33.56 ID:Dp6Cndk0
「ちくしょう!ちくしょう!!」
思わず駆け込んだトイレの中。
冷静になろうと思ったのだが、冷静になったせいで思い浮かぶこともあって
それで結局また熱くなってしまっていた
「帰ってくるだと!?本当に帰ってこれるのかよ!!嘘ばかりついてていいのかよ!!」
あいつを勝手に不安にさせて、元気付けようと嘘をついて
このままではいけないと思うけど
「けど……本当のことなんて……今更言えねぇだろ!」
そんなことを言ったら、あいつがどうなってしまうのか分からない。今日のことを考えると強くそう思ってしまう
「どうすればいいんだよ……誰か教えてくれよぉ……」
そんなことを言っても誰も教えてくれるわけがない。そんなことは分かっている
分かっているけど……分かっているのはそれだけで

いや、違う。まだ分かってることがある。
正確には、さっき分かったことだけど
335 :きじょう ◆qaQu5EGERs :2007/06/06(水) 01:00:17.93 ID:Dp6Cndk0
「きっと帰ってくるから!」

あれは、俺の本音。あいつのところに帰ってやりたいと思う俺の思い
叶えられる根拠なんて何もないけれど、叶えられない可能性が大きいけど
それでも叶えたい思いに対する決意
だから、俺は……
「俺はきっと戻れる。戻ってあいつに……」
そのための希望だけは捨てないでおこう。
あいつに笑ってて欲しいから

「ごめんなさい、お待たせしました」
「いや……お待たせはいいんだけどね……」
「え?」
「いや、何で男子トイレから出てきたのかなって……」
「あれ?」
わーい。まわりの男の子がやけに見てくるなと思ったらそういうことか
今日はよく注目を浴びる日だなぁ……

336 :きじょう ◆qaQu5EGERs :2007/06/06(水) 01:04:29.72 ID:Dp6Cndk0
以上です。本当は前の分とまとめるべきだったんだけど……
けどとりあえず重要イベントは終わったからもうちょいで終りそうです。
もう少しお付き合いいただけたら幸いです
337 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/06(水) 02:37:43.41 ID:5Og5XLU0
GJ!
338 :きじょう ◆qaQu5EGERs :2007/06/06(水) 03:24:16.15 ID:Dp6Cndk0
「もしも、お兄ちゃんが二度と帰ってこなかったらどうしますか?」
「え?」
俺の質問に、あおいは何を聞かれてるのか分からないという顔をする
「よーちゃんが、帰ってこなかったら?」
「はい」
俺はいま、こうして女になってしまっている
そして、再び男に戻れるかどうかは分からない状態だ。もしかしたらこのままということもある
だからこいつは、もう好きな人に二度と会えないかもしれないわけで
「それ……よーちゃんが死んじゃったらってこと?」
「あ…えと……」
「そんなことないよ!よーちゃんはきっと帰ってくるよ!!」

食堂に響くあおいの声。食堂が静まりかえる

「よーちゃんはきっと帰って……かえっ…てくる…からぁ……」
あおいの声がとぎれとぎれになる
「あ、えと……落ち着いて」
「かえって……くるもん…うぇ…ふぇええええ……」
とうとう泣き出してしまった。
「かえってくるよぉ!帰ってこないわけない!絶対そんなことない!!」
「わ…分かったからちょっと落ち着いて……」
泣き叫ぶあおいとなだめる俺。どちらも必死。
当然食堂の皆様の目は俺たちに釘付け。
いったい彼らはこの光景を見て何を思うのでしょうか……
339 :きじょう ◆qaQu5EGERs :2007/06/06(水) 03:25:48.06 ID:Dp6Cndk0
ちょ……ごめんなさい>>338は手違いです……
ちょっと吊ってきます
340 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/06(水) 14:08:13.95 ID:qn2b0QAO
>>336
GJ!
>>338
きにすんなw
341 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/08(金) 09:57:29.95 ID:QjdIRNAo
過疎過ぎワロタ
342 :横長 [sage]:2007/06/08(金) 17:25:59.77 ID:ErABkgko
カード・ドミネイト 長編その1
タイトル 【ダイナミック・ポゼッション】

ひょんなことから女の子化する一週間前
『都立振降高等学校・昼休みの教室』

「ほら、急がないと休み時間おわっちゃうよ。あたしが食べさせてあげよっか?」
「ちょ、委員長、みんな見てるって……」
「ん〜? いつもの事じゃない。あたしは気にしてないから、キミも気にしないでね。はいっ」
「そ、そんな勝手…… はむっ、はふはふ ……おいしい、です」
「ふふ、ありがと! 早起きして作った甲斐があったわね」
「で、でも、俺なんかのためにに毎日弁当作ってもらって、……いいのかな?」
「もしかして負い目感じてる? 元々料理好きだから気にしないで。それに……」
「?」
「それに、好きな人の為を想って料理を作るのって楽しいんだから!」
 わたしがそう言うと、”彼”は視線を下に向けて顔を赤らめた。
 ──も〜っ、なんて可愛いんでしょ!
 若干たれ目がちな瞳はくりっと大きく、それが温和な印象を与えていて、
他の同級生(高校一年生)と比べて明らかに幼さの残る顔立ちは、小学生と言われても通用するぐらい。
 短く切り揃えられた柔らかそうな髪は、見ていると頭を撫でたくなる衝動に駆られてしまう。
 まるで、某少年合唱団の子供達のように穢れを知らなさそうな彼の風貌は、
まさに美少年という形容がぴったり。
 わたしは、彼の全身から発している少年オーラも含めて彼が好き!
もう好きで好きで! うは〜……(悶絶)
「……委員長っ、いいんちょってば! よだれ出てるっ!」
「うはぁ、イカンイカーン!!」
 彼を見とれていたうちに垂らしていたよだれを、慌ててティッシュで拭いとる
「にははっ、委員長面白いね」
どことなく大人びてみえる彼の唇から笑顔がこぼれた。
 以前、わたしが廊下で資料をばら撒きながら転んでしまった時に
『ちゃんと前見ないとダメだよ』って、彼が助け起こしてくれたんだっけ。
 ──その時と同じ、少年っぽい笑み。
 わたしはこの笑顔を見た時から恋に落ちてしまったんだ。
 ああもぅ我ながら、なんてベタ……。
343 :横長 [sage]:2007/06/08(金) 17:26:17.99 ID:ErABkgko
「ごめん、ちょっとお手洗い行ってくるね」
 彼はそう言って彼は席を立った。いつのまにか食べ終えていたお弁当はキチンと弁当袋に収められている。
「おーおー、飽きもせず毎日頑張りますなー! 恋する乙女は格が違った」
「でも恋愛までには進展しないでしょ。色恋沙汰に興味なさそうだもん、彼」
 入れ替わりに、親友のAとBが呼んでもいないのににじり寄ってきた。
「いくらショタ趣味だといえ、委員長レベルの女子が毎日弁当作ってくれたら普通オチるとおもうんだけどなー」
「あ、あたしはショタなんかじゃ……」
「……こないだ貸したBLのソフト、年下キャラしか攻略してなかったよね?」
「うっぐ! ……そ、それは年功序列っ! 心だけは体育会系! アハハハー」
「うそばっか」
「でもこれだけ尽くしても反応が無いのって、委員長が女に思われてないんじゃない?」
 思わずハッとした。
 わたしと彼の関係って、恋人未満、いや、もしかしたら友達どまり?
単に『世話好きなお姉さん』程度にしか思われてなかったりして……。うは〜……(落胆)
「進展ならあったよ〜。委員長の猛烈プッシュでデートまで漕ぎ着けたって!」
「マジスカ! それは詳しく訊かせてほしいなー」
「訊かせてほしいねぇ」
 ネガティブシンキングに浸っていたわたしをよそに、友人のCも加わり、
まるで獲物に喰らいつくかのように迫ってくる。
「ちょww それって昨日の事じゃない! どこで聞いたのよ?」
「彼と委員長はこの学校じゃ目立つから〜。黙ってても色々と情報入ってくるんだ〜」
「「「とゆことでkwsk!」」」
「kwskもなにも、まだ口約束だけだし話す事なんてないよ。……もしかしたら断られるかも」
「はぁ〜。委員長って押しが強いんだか弱いんだか、微妙に判断付きかねるよね」
「うっさい!」
「でも、デートまで漕ぎ着けたら、あとは勢いで……」
「スキみて押し倒しちゃえ〜! ○○・テスカトリの猛ダッシュのように!」
「唇を奪って、ついでに○貞も奪っちゃいなよー。○TAで車を窃盗するように!」
「Gファ○ターとガン○ムがドッキングしてGアー○ーになるように、委員長も彼と一つになればいい!」
「まじうっさい! つうか、あんた達の例えは分かりづらいからヤメレ」
「なんだか楽しそうだね。何話してたの?」
 穏やかに微笑みながら渦中の人物が戻ってくる。
 表情から察するに、わたし達の会話内容は聞かれてないみたい。
「ん? 委員長の惚気話に付き合ってただけだよ〜。この、幸せもの〜」
 Cなりに気を利かせたつもりなのだろうが、
それを聞いた彼の顔は、ぽんっ!と擬音が聞えるくらいに紅く染まってしまい、
居心地悪そうに頭をかいた。
344 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/06/08(金) 17:26:38.43 ID:ErABkgko
ひょんなことから女の子化する一週間前
『都立振降高等学校・帰り道』

「お昼はごめんね? わたし達をからかうのが趣味みたいな所があるから。A達って」
「いいよ、気にしてないし」
 少しは気にしてほしかった…… orz
「そ、っそそそそそ、それよりも、あ、あの、デートの事、なんだけどっ!」
 勢いつけて切り出したせいか語尾が荒くなった。おかげで周りの視線を集めまくりんぐ。
これだけ照れているのって、やっぱりわたしを女として意識してるからだよね?
「ええ。来週の日曜でよければ! でも無理なら諦めるから」
 思わずうつむいてしまう。ええい! 強気で行けあたし! 守ったら負ける!
「無理じゃないです。……予定、空けましたから」
 福音のような彼の声がわたしの耳に届き、嬉々として顔をあげる。
 彼の表情は曇っていた。
 その表情を見て、ああ、やっぱりか、と思った。
 所詮わたしは『世話好きなお姉さん』なんだろう。
 このデートも弁当のお礼のつもりで付き合うだけ。
 恋人としてではなく、『世話好きなお姉さん』として。
 ──それでもいい。
 こうして二人でいられれば。
 そりゃ、出来ればお付き合い出来れば最高だけど、
今はこうやって彼を≪占有≫していられるだけで、充分満足。
 満足、なんだ、ゼイタク言うな、わたし……。
「委員長、大丈夫? 気分悪い?」
 彼が心配そうに私の顔を覗いている。
「え? ええ、大丈夫!」
「そうかな。無理しないでどこかで休んだら?」
「へーきへーき! それより予定空けてくれてありがとね?」
「うん……」
 彼は右手でグーを作り、第二関節あたりを下唇に当てて彼独特のシンキングポーズを取った。
 本人としては渋く格好つけているつもりなのだろうが、少年らしい幼さがそれを可愛くみせていている。
今はその可愛らしい仕草を見ても心癒されなかった。
(彼のキモチ、分かっていたつもりなのに。こう露骨に顔に出されると、きつい。きついよ……)
345 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/06/08(金) 17:26:55.17 ID:ErABkgko
「よーし、日曜は楽しもうね!」
 あたしは心配かけまいと無理くり笑顔を作った。
 彼もホッとした表情で優しく微笑んだが、その微笑もだんだん険しくなる。
「委員長っ!」
「な、なに? いきなり」
「……俺っ、委員長のキモチに答えないとっ、い、いけないって! それで、あ、あのっ!」
またもや語尾が荒くなり、再び視線のシャワーを浴びる事になる。
「あ、ああ、その事なら急いで答え出さなくても……」
「それじゃ!」
「いいのいいの。ゆっくり考えて欲しいな。急いでいる訳じゃないから」
「そんな、でもっ!」
「じゃあ、デートの後に聞かせてよ。ね?」
 しぶしぶといった感じで、なんとか引き下がってくれた。
 彼の答えなら聞かなくても分かっている。
 NOだ。
 それを受け入れてしまったら、デートすら立ち消えになるかもしれない。
 せめて、デートだけは……。
 せめて、日曜になるまでは、彼を≪占有≫していたい……。

 でも、その望みは叶うことはなかったんだ。
 ──突然の転校。

 この次の日から彼の登校拒否が続き、何の連絡もないまま転校してしまったのだ……。
346 :横長 [sage]:2007/06/08(金) 17:32:19.87 ID:ErABkgko
今日はここまで。
時間食った割には大した話じゃないなあ。しっかりしろ俺。
タイトルにもある『ポゼッション』は占有という意味で捉えてください。
(エキサイト翻訳によると”所有物”と出るけど、まあこれでも。)
そして困った事に結構長くなりそう。モン○ンする時間がなくなるぜ!
347 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/08(金) 18:33:18.27 ID:TcKkLiE0
待ってたよ、GJ!
チャンプか、チャンプなのか?
348 :横長 :2007/06/09(土) 19:49:01.54 ID:uAcQAcgo
モンハン板(携帯ゲー攻略板)がVIPPERに占領されとるwwww

>>347
わかってもらえてよかった……。
明日には続きの一部投下できそう
349 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/09(土) 22:01:24.03 ID:0G/4myEo
wwktk
350 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/09(土) 22:32:20.35 ID:YO26MUs0
wktk
351 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/09(土) 23:38:17.74 ID:Q8l0eJIo
wktk
352 :横長 [sage]:2007/06/10(日) 19:25:01.84 ID:IrBtbrMo
>>345続き

ひょんなことから女の子化して一ヵ月後
『都立振降高等学校・昼休みの教室』

 自分を責めた。
 ひたすら、自分を責めた。
 そりゃもう、A達が『自殺だけはしないでね?』とマジ心配をするぐらいに。
 彼がいなくなったのは、わたしの押しが強すぎたからからに違いない。
 彼がいなくなったのは、実は彼には元々付き合っていた人がいたからに違いない。
 彼がいなくなったのは、わたしが原因で彼がいじめにあっていたからからに違いない。
 ……ネガティブな思想が次から次へと湧き出てしまう。
 それも仕方ないことかもしれない。
 何故なら彼の転校の真相が、一ヶ月経った今でも不明のままだから。
 転校してから数日は、転校の理由を聞きだそうと職員室へ通い詰めた。
 けれど、彼の転校先や引越し後の住所については、
ウチの担任はおろか、校長ですら詳細を知らないという有様だった。
 いくらわたしを避けたいからといって、普通そんなことってありえるの?
(あの時、告白の返事を聞いておけば……。振られたとしても、彼が去ることなんてなかったんだ……)
 過去の自分の選択に後悔をしてもどうにもならない。人、それをタラレバという。
「あきらめきれないよ……」
 机の上につっぷしながら、声が出るか出ないかくらいの小さな呟きをもらす。 
 彼をあきらめきれない。でも今は彼に会って、あやまりたい、のに……。 
「もうっ! 一ヶ月近くもその調子じゃない! アクティブだった頃の委員長はどこへいった?」
「さぁ。もうわたしの中には自責の念しか残ってないよ……」
「委員長! その自責の念で何を手に入れた?」
「(脱)力と迂闊さだ! さすれば勝つ!」
「私は人は殺さない!その無念を[ピーーー]!! ……とゆことで、はいこれ」
 聖戦士ダンバ○ン(Aが最近ハマっていている模様)ごっこに脊髄反射で付き合いつつ、
手渡されたメモを無気力に眺める。
「何? これは、地図?」
 明らかに役に立たない事必至の、イラスト入りの地図だ。
 なぜ道案内にスプーのイラストが必要なのですかAさん?
353 :横長 [sage]:2007/06/10(日) 19:31:12.87 ID:IrBtbrMo
今日はここまで
久しぶりにVIPサービスの文字変換にひっかかった・゚・(つД`)・゚・

[ピーーー] → 殺 す で各自変換よろしく

■チラ裏■
モンハン2ndでハンターランクが5になりますた。
ラオシャンロンの亜種じゃない方はいつになったら出てきてくれるのでしょう。
354 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/10(日) 21:49:20.81 ID:KA7o2Cco
なつかしいなMHP2
集会所☆3,4全部クリアだったはずだよ

何はともあれ乙
355 :横長 [sage]:2007/06/11(月) 18:03:31.46 ID:cJOaK5.o
>>352続き

「そ。彼の家の地図! といっても転校する前のだけどね」
「なら役に立たないんじゃ?」
「どうかなー。転校したからといって、学校だけ変えて引越していないケースもあるでしょ?」
「…………」
「それに彼の近所の人なら、何も知らされてない先生達よりかは手がかりを持っているはず!」
「……ありがと、A。……でも彼がわたしに会いたくなかったら」
「もーっ! すぐそうやってネガティブモードに入るーっ! 大丈夫。彼は委員長の事嫌ってないって!」
「なんで、そう言い切れるの……?」
「ん〜? だって彼、委員長に欲情してたもの」
 初めて聞くAの衝撃の告白に、わたしの全身の血が顔に集まったんじゃないかってくらいに火照り出す。
「な、な、な?」
「欲情してたの。無理もないよね。委員長ってばこれだけの胸を持て余してるんだもん」
 わたしの背後に回ったAが腕を伸ばし、ガッシィィーンと胸を鷲掴みにする。
「ひゃあ!」
「傍から見てれば一発でわかるよ。本人としては隠していたつもりだったんだろうけどさ」
「そ、そんな……、わたしのこと、を?」
「それにしても、委員長はDカップだったっけ? これだけの質量があれば立派な兵器だよ。……D兵器」
 喋っている間もAはわきわきとあたしの胸をもみしだく。
 クラスの男子の好奇の視線が限りなく鬱陶しい。
「ちょ……、もう、やめ、……っ」
「冗談はこの辺にしといて……。続きは彼にやってもらいなさい!」
 A自作の地図を目前につきつけられる。
 確かに真実を知らぬまま日々を送るよりかは、答えを知っておいた方がいいのかも……。
「ありがと。一度行ってみようかな」
「よし、がんばれ。彼に会って、彼の気持ちと白濁液を躰で受け止めてこい!」
「……”白濁液”って何?」
「ちんぽみ○く^^」
 ……聞いたわたしがバカでした。伏字の位置が適切でないのもAクオリティといったところか。
「放課後の掃除なら肩代わりするから、放課後になったらすぐ行きなよ? 正直ネガティブな委員長は見ていてつらい」
「ごめん……、迷惑かけてるね。わたし」
「だーっ! シュンとするなってば! そんな顔してたら嫌われるよっ。笑顔笑顔!」
 Aの激励に自然と笑顔がこぼれる。
 それを見てAも満足そうな笑みを返す。
 友達の存在はありがたいと、心から思う。Aの想いに応えるためにも頑張らなければ……。
(よし、覚悟決めた!)
 会いに行こう。
 会って、彼の答えを聞くんだ。
 その答えがどういうものであれ、わたしは受け止めなくちゃいけないんだ。

 いま、会いに行きます
356 :横長 [sage]:2007/06/11(月) 18:07:55.07 ID:cJOaK5.o
今日はここまで。
Aのキャラが徐々に動き出したけど、もう登場しません。イェーイ
これからの話の展開で、チャンプの本名が必要になりそうです。
誰が名付け親になってみませんか?
357 :横長 [sage]:2007/06/11(月) 18:10:43.26 ID:cJOaK5.o
>>354
情報サンクスコ!
黄金魚のクエは本当にイライラするんだぜ。
358 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/11(月) 18:27:33.94 ID:A9sO/0g0
>>356
だが断る
359 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/14(木) 17:15:57.05 ID:geEn9ego
何という過疎・・・
もう飽きちゃったのか
360 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/14(木) 21:32:48.77 ID:5886rJ6o
作者さんこない・・・
361 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/14(木) 22:14:15.09 ID:Nz06GK6o
vipでやれ
362 :横長 [sage]:2007/06/15(金) 21:02:57.91 ID:O64ldOko
「えーと? もうちょっと先なの、かな……?」
 先ほどからAの地図を片手に彼の家を捜しているのだが、
 この地図、駅と目的地、それを道路でつないだだけの単純なもので、
目印になりそうな建物のかわりに、中国産ドラえ○ん等のイミフなイラストが所狭しと書き込まれている。
 かろうじて住所は記載されていたので、今ではそれを頼りに彼の家を捜している。
(ったく、Aったらマトモな地図を用意しておいてよ! 早く見つけないと陽が落ちちゃう)
 初めて訪れる住宅街は、まるでゴーストタウンのように閑散としていて不安を掻き立てる。
 それでも彼に近づけるヒントが得られるのならば、そんな不安もなんのそのだ。
(にしても、彼がわたしに欲情……してた……?)
 彼のような幼い少年(同級生だけど)でもやはり、男、なのだろう。
 あたしに対してそういう感情を持っていたことに、嬉しくもこそばゆくなる。
 浮世離れとはいかないまでも、俗っぽさを持たないピュアな少年。
 それが、あたしの中の彼のイメージだ。
 それゆえ、彼が同年代の男子と同じ思考を持っている事にギャップを感じてしまう。
(……身体で詫びるってのも、悪くないよね。ウヘヘ)
 ついつい頭の中で妄想が膨らんでしまう。
 全裸に犬のしっぽと犬の耳を付けて四つんばいになり、小動物のような潤んだ瞳でわたしを見上げる彼……。
 そんな彼にリード付きの首輪をはめ、下卑た微笑でご満悦なわたし……。
(うぁあ! なーに考えてんだ! しかも『身体で詫び』てないじゃない!)
 ふるふると頭を振って、自分の頭の中の妄想をかき消そうとする。
 こんなBLでもありえないシチュばかり妄想していれば、彼が逃げるのも当然、か……。
 当初の目的を忘れそうになってしまう自分の心を戒めつつ、
自ら作り上げた妄想から逃げるように足取りを速めた。
363 :横長 [sage]:2007/06/15(金) 21:12:47.90 ID:O64ldOko
今日はここまで。
なんだが俺しか書き手がいなくなったような錯覚を覚えるが気のせいに違いないなぜなら土日になればたくさんの書き手さんが戻ってくる予感が的中するのだろうか?

チラ裏
2ndの異常震域まで来てしまった。ラオ亜種以上にキツイ。
逆鱗状態でもないのにダメージ食らってしまう凡骨プレイヤーの俺には
2体同時クエなんて蟹料理が精一杯
364 :パズー「シータ・・・シータ!・・・大丈夫?」 :2007/06/15(金) 22:51:27.17 ID:36YzKCw0
楽しみにしてたよ、GJ!
365 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/06/16(土) 01:25:03.00 ID:Mp6or6Io
同じく、楽しみにしてるよ。
366 :横長 [sage]:2007/06/17(日) 21:59:18.66 ID:ThA01Q2o
 あたしは近所に配置してある地図とAの地図の大雑把っぷりに辟易しつつも、
なんとか住所の番地あたりまで近づいた。
 もうすぐだ。彼の家付近で聞き込みをすれば彼に近づくヒントを教えてもらえるはず……。
 そう思うと、自然と身体に気力がみなぎってくる。
(念の為、彼の写真を用意しておこうかな。──なんだか刑事ドラマっぽいかもっ)
 あたしは財布の中から雑誌の切り抜きを取り出した。
 これは彼がアーケードゲームの大会で優勝した時に掲載されたもので、
 そこにはニカッと満面の笑みの彼(背後にオタク2人とサラリーマン風情がいてとても邪魔)がモノクロで写っている。
 以前に彼に写メ取らせてとお願いしたこともあるが、写し出されるのは大抵照れか困り顔のどちらかで、
今にも彼の『にはは〜』と声の聞えてきそうなこの切抜きは、あたしにとって値千金の価値がある。
(でも、照れ顔も困惑顔も可愛いんだけどね〜……)
 ──とてててて
 背後で人の走る音を聞き、なんとなしにふり返る。
 そこには、こんな住宅街には不似合いなほどの美しい容姿を持った少女が商店街の方へ走って行くところだった。
 年は12,3才くらいだろうか?
 濃い藍色のダッフルコートに灰色のマフラー、レザーのロングブーツといったいでたちだ。
 ダッフルコートはぶかぶかで、サイズが合っていないのか袖から手が出ていない。
 でもそれが結果的に少女の愛らしさを増加させている。
 雪のように白い肌には、少女に似合わぬ大人びた紅い唇が美しいコントラストを生み出していて、
スラリと肩のあたりまで伸びたストレートヘアには、ツヤによって天使の輪が比喩ではなく実際に浮かび上がっている。
 そして、何よりも心惹かれたのは彼女がまとっているのは『彼』だけが持ちえる少年のオーラ。
 あたしのショタセンサーが、あろうことかこの彼女に対してバリ3超反応している。
 彼の血縁者だろうか? でも彼は一人っ子だったはず……。
 もしかして、彼の彼女……?
 あたしは居ても立ってもいられず少女を尾行した。
 ここまでの道のりは大体覚えたし、聞き込みならば日を改めてすればいい。
 今はこの少女こそが、彼に近づくキーになりえるかもしれない……。
 あたしは自分の直感を信じ、気付かれないように彼女の後を追いつづけた。
367 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/06/17(日) 22:05:14.23 ID:ThA01Q2o
今日ここまで。

何だが長くなりすぎているような……。

チラ裏
異常震域クリア。時間かかってでもタイマン貫いてたら勝てた。
368 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/17(日) 22:58:52.17 ID:UkJy4H2o
>>367
乙!
369 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/17(日) 23:07:45.21 ID:Y2adc2M0
むしろ長いと嬉しい

GJ!
370 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/18(月) 00:20:28.47 ID:hhJ5sKIo
おちゅ!
371 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/19(火) 19:51:03.47 ID:DE27nDco
wikiの編集しようとしたが、訳がわからん
ログインするのが精一杯
372 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/06/20(水) 22:56:17.77 ID:2E3fjbso
intelのCMワラタwwwwwwww
転校生といいテレビでTSネタ二つも見るとは
373 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/06/20(水) 23:27:37.91 ID:poWKWtso
「おいすー^^!」
「おうチャンプ、遅かったな!」
「ねぇねぇ、今日って妙にプレイヤー多いよね。……もしかしてドミネイトの新シリーズ入った?」
「……相変わらずチャンプは鋭いでヤンスなぁー」
「ご名答! 待望の新エキスパンション登場っふ! その名も『ダイナミック・ポゼッション』!」
「ダイナミック・ポゼッション?」
「そうっふ、今回追加されたカードは、戦場を≪占有≫することをメインに考えられたカードばかりっふ!」
「ドミネイト(敵部隊を捕獲して自部隊として運用する技)を成功させやすくする変り種カードも増えたぜ!」
「うわぁ、俺好み〜! 新カードみせて〜!」
「おk。これとかスペックも高くていい感じだぜ ≪仙人医師サジマジバーツ≫。
チャンプなら気に入るんじゃないか?」
「ふむむ……、”これが攻撃するかわりに部隊の背後に張り付き、
その部隊とシンクロして移動/旋回する”……?」
「あきらかにドミネイトを成功させやすくするための能力だが、
足の速い自分の部隊に取り付いて運用とか出来るんじゃないかな?」
「そっか! 取り付く対象は敵部隊でなくてもいいんだ!」
「そういうこと。そのカードあげるから一戦交えないか?」
「ありがと! お礼にサラリーをフルボッコしてあげるね!」
「言ってくれる……。この俺様が黙ってやられるものかよ! ……さぁデッキをセットしな!」
「あ、その前に両替っ!」
 折角キメたところを肩透かしにあい、軽くずっこける。
 そんな俺の気も知らずにとてててて、と小走りに両替機へ向かうチャンプ。
 ──やはりチャンプは可愛い。
 チャンプがひょんなことから女の子化してから一ヶ月、
 謎の美少女ドミネイトプレイヤーの噂は意外すぐるほどのスピードで広まった。
 今ではチャンプ目当てに足を運ぶ輩もいるぐらいだ。
 俺達の存在が集客に役立っているのだから、店側はプレイ代金を無料にしてもいいくらいだぜ……。
 話が逸れた。
 つまり、チャンプは可愛い。そして、好意を寄せている男性がかなり、多くなった。
 といっても、チャンプの取り巻きが俺やデ ブガリコンビの怪しい面々なせいもあって、
チャンプに話しかけてくるものは皆無に等しい。
 つうか、自分自身を怪しい面々と認めてしまったが、チャンプに近づくものがいなくなるのなら、まあよし、だ。
374 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [ミラボレアス、むりぽ]:2007/06/20(水) 23:32:03.44 ID:poWKWts0
今日ここまで。

何故コテ使わないんだ俺。ダメ人間!まるでダメ人間!


>>372
今度、父親と娘が入れ替わるTSのドラマが始まるっぽい。
375 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/20(水) 23:43:01.72 ID:kGjMh9E0


「リヴァースキス」買ったよーヾ(*´∀`*)ノ
結構面白かった
376 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/21(木) 02:57:34.02 ID:LbIQzRw0
GJ!
377 :横長 [sage]:2007/06/21(木) 21:35:44.55 ID:ucVFEGUo
 チャンプが好かれる理由は外見だけに限ったことではない。
 どこぞのお嬢様と言われても信じてしまいそうな、美しいがどことなく近づきがたい外見に、
元々人当たりの良い性格(多少生意気だが)が組み合わったことにより、
ラノベのヒロインにありがちな”快活で天真爛漫な美少女”を地でいく存在になりえたのだ。
 現実世界では国宝級に珍しいこの少女に、好意を寄せる男が集まるのは必然なのだろう。
 そして何より、チャンプといると、楽しい。
 ちゃんと聞いたことは無いがデ ブガリコンビもチャンプを好いていると思う。
 無論、俺もチャンプの事が好きだ。友達としてではなく、異性としての好き、だ。
 だがこの想いを打ち明ける事は出来ない。
 女の子化して一ヶ月、チャンプは女としての自分に不慣れであるはず。
 チャンプが変ってしまった今も、以前と変らずに接している俺達の存在は、
チャンプの心の支えになっていると自負している。
 そんな最中に想いを打ち明けたところで、今の俺達の関係が崩れ去るのは確定的に明らか。
 そんなこと俺は望まないし、チャンプも望んではいないだろう。
 それでも自らの気持ちを抑えられなくなる時もある。
 まあ、その時は若干セクハラ気味のジョークで乗り切るわけだ^^(SS【能登半島】参照)
 チャンプ自身は茶化されてると思っているだろう。
 俺も茶化してると思われるぐらいがちょうどいい。
 俺の想いを伝えるのは、チャンプが自らを女として認めてから……。
 それがいつになるのか……、一年後、いや、十年後になるかもしれない……。
 ひょんなことから男に戻る可能性だって捨てきれないのだ。
 もし自らを女として認めたとしても、チャンプと俺の年齢差は10才前後の開きがある。
 これは正直分が悪い。
 ロリコンは世間的にも肩身が狭い。
 それでも俺はチャンプの変化を待つ。待ち続ける。これも惚れた弱みというヤツだ……。
「ツラいぜ……」
「どしたの、妙にシリアスな顔しちゃってさ」
 上目遣いで顔を覗き込むチャンプ。
 彼女の表情を真正面から見れるのは俺達だけの特権だ。
 取り巻き連中のくやしそうな顔を想像して、妙に誇らしくなる。
「おぉ戻ったか。……なんでもね。それより対戦しようぜ!」
「のぞむところだっ!」
「フッ、自信だけはあるようだな。この俺様を見くびらないでもらおう! さぁデッキをセッ……!」
「あ、その前に新カードでデッキ作る!」
 再度キメたところを肩透かしにあい、再び軽くずっこける。
 ──やはりチャンプといると楽しい。
378 :横長 :2007/06/21(木) 21:39:27.38 ID:ucVFEGUo
今日はここまで。

簡潔に話をまとめるスキルが欲しい。
379 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/21(木) 22:42:06.71 ID:iSvQadco
オツ

380 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/21(木) 22:48:27.58 ID:LbIQzRw0
GJ
381 :横長 [sage]:2007/06/22(金) 19:11:21.86 ID:TybqaL2o
【我が軍の完敗じゃ。しっかりせい!】
 画面上には藤甲鎧に身を包んだ少女(年寄り口調)が自軍の惨状を伝えていた。
(毎度の事だが、やはりチャンプは強い……)
 基本的に俺のプレイスタイルは攻撃一辺倒だ。
 最高のタイミングで最大のダメージを与えるお膳立てとして策略も使いこなす。
 だが、チャンプは対戦相手のやりたい事を瞬時に見抜き、
時には全部隊で、時には策略で、的確なインターセプトで無力化してくるのだ。
 自惚れているわけではないが、俺はこのゲーセンで五本の指に入る実力がある。
(何たって全国大会三位だぜ!! ……チャンプは一位だから自慢にもならないが)
 そんな俺が、気付かないうちにチャンプの掌の上で遊ばされてしまうのだ。
 これはゲームの知識はもとより、部隊全体の観察力、猛攻に身をさらしても動じない度胸、
そして何よりセンスが無ければ出来ないプレイスタイルだ。
 これはチャンプのような若い柔軟な脳だから成せる技なのだろう。恐るべし。
382 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/06/22(金) 19:13:28.50 ID:TybqaL2o
今日ここまで。

なんだろう、俺が長編書き出してから他の作者さんが……。
15才まで童貞なら女体化スレに流れてしまったのかな……。
383 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/22(金) 21:04:15.98 ID:rPXqxoAO
>>328
GJ!
続きがwktk
384 :横長 [sage]:2007/06/23(土) 20:52:21.17 ID:w8KmWE6o
 チャンプの方へ目をやると、筐体に肘をつき、トントントンと右人差し指でこめかみを叩いていた。
 これは彼女独特の勝利ポーズだ。チャンプの男の頃からのクセで、当時は憎たらしいだけだったが、
少女の姿だと小悪魔的な魅力があり、思わず顔がほころびそうになる。
 実際にほころぶと『キモい……』と一蹴されてしまうのだが。
 正直かなり傷つくので、俺はキッっと平静を装う。ちんちんキッ!キッ!
(それにしても……、なんなんだ、このギャラリーの数は!)
 チャンプの背後には、チャンプのプレイ見たさ、もしくはチャンプ自身見たさに
20人ほどのギャラリーが肉の壁を作っていた。
 ギャラリーの視線からしてゲーム展開に興味を示している数の方が少ないようだ。
(大抵の奴はチャンプ目当てかよ……。ん? 珍しいな。女の子も混ざってる……)
 ゲーセンに女性が来るのは別段珍しいことではないが、
カードを使用してプレイする、明らかに初心者お断りなこのゲームに興味を持つのは珍しい。
 それに加えてドミネイトのプレイ人工が20代のフリーターから30代のサラリーマンあたりが主なので、
その輪に入って女の子がプレイするとなれば相当の勇気が要るだろうし、抵抗もあるはずだ。
 となると、この女の子もチャンプ目当てだろうか? どことなく思い詰めた表情でチャンプを見つめている。
 年齢は15〜16才位。
 年の頃にしてみればかなりの長身である。
(大体160、それ以上はあるだろうか。それに較べてチャンプは140前後…… 勝った!)
 全体的に我の強さが垣間見える顔立ち。チャンプとはまた違ったベクトルの美少女だ。
 もちろんこの少女が可愛いからといって浮気する事はないから安心して欲しい。……誰に言ってんだ俺。
 肩あたりまで延びた髪をカチューシャで後ろにまとめて、惜しげもなくオデコを晒している。
 ふっくらとした唇は笑うと可愛らしいのだろうが、今は残念ながらへの字口だ。
 切れ長の若干つり上がった目に、黒斑フレームの眼鏡が良く似合っている。
 それらのパーツが見事に合わさって、彼女を見た人はあるイメージを浮かべるだろう。
 彼女はまさに……。
「委員長っ!!」
 チャンプ、それ、俺の台詞……
385 :横長 [sage]:2007/06/23(土) 20:53:49.42 ID:w8KmWE6o
今日ここ

遂に委員長とチャンプが出会うわけですが、あんまり今後の事考えてないや。
プロットというものを勉強する必要性が出てきたようです。
ついでに数稿も。
386 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/23(土) 23:11:44.63 ID:cHUHl4I0
wktk
387 :横長 [sage]:2007/06/24(日) 12:15:06.99 ID:YYxqaOUo
wktkしていただいたところ申し訳ない。しばらくSSお休みさせてください。
388 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/26(火) 17:53:40.15 ID:j5044wEo
過疎すぎ・・・
389 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/27(水) 11:53:12.72 ID:66Y0yGQo
過疎でも何でもいい。作者はSSを完結させてくれ
ソードマスターヤマトくらいのレベルでも構わない
390 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/28(木) 09:38:19.32 ID:r3lI7AAO
文才のない俺は待つことしかできない
391 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/06/28(木) 20:37:54.58 ID:zqTJCygo
タイトル 【ダイナミック・ポゼッション】 その2

ひょんなことから女の子化して一ヵ月後
『アドアッー!!ズ店内3F・大型筐体ゲーム用交流テーブル』


 多分この時のわたしは、鳩が豆鉄砲喰らったような顔をしていたと思う。
 初対面の少女が自分のあだ名を知っていたのだ。普通驚く。
(まぁ、委員長ってあだ名は見た目だけで付けられたワケだし、ありえない事もない、のかな……)
「へぇー、その子はチャンプの知り合い?」
「うん! 委員長。……といっても、実際は委員長どころか部活の部長でもない、バキバキの帰宅部だよ」
「ちょ、ちょっと待って! なぜアンタがそこまで知ってるのよッ!?」
「え? あっそうか……、俺だよ俺。納槌 龍(ナヅチ リュウ)。久しぶりだね」
「……なッ!!」
「納槌って、……あぁ、そういやチャンプの本名、そんな名前だったでヤンス」
「チャンプとしか呼んでないから、うっかり忘れそうになったっふ」
「俺、ひょんなことから女の子になっちゃったんだ。信じてもらえないかもしれないけどさ……」
 彼の名を名乗るこの少女は、自らに起きた変化について事細かに説明した。
 その説明を聞くまでもなく、彼女の持っている雰囲気や言動が彼のものと合致していて、
性別が一晩で変ってしまうような『奇跡』が現実に起きたのだと、本能で理解できた。
 けれど、それを素直に「はいそうですか」と納得するなんて絶対にできない!
 それはつまり、わたしの彼への想いが永遠に叶わなくなるということ……。
 そんなの嫌。ぜったいに嫌っ!!
「ふッざけないでッッ!!!」
 吼えた。自分でも驚くぐらいの大声。周囲の視線を集めたが、そんな事はどうでもいい。
 この少女は何だ? 何の権限があって彼の名前を騙っている?
 許せない……!!
 怒りの視線で人を殺せるのなら、あたしはこの少女を10回は殺してる。
「い、委員長、ごめん……なさい……。でも、これは本当なんだ……」
 小動物のように怯えた瞳でわたしを見返す少女。
 困ったことにこの少女が持つ彼の面影は千の言葉より説得力がある。
 認めたくない現実。そして、認めそうになる自分。トクントクンと心臓が早鐘を打つ。
「仮に、仮によ? 仮にアンタが納槌クンだとして……」
 一呼吸置く。心なしか息苦しい。嫌な汗が体中から噴き出てくる。
「納槌クンは……、性転換してまでわたしから逃げたかったの?」
392 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/06/28(木) 20:38:54.96 ID:zqTJCygo
「え? 逃げたかった、俺が? なんでそうなるの?」
「しらばッくれないで!!」
 彼女を見つめているだけで、悲しみと怒りをごちゃ混ぜにしたような感情が沸々と湧きあがる。
 ヤバイ、わたし泣きそう。いや、もう泣いてるのかもしれない。
「お、おい、委員長だっけ? 少し落ち着こう! な?」
「黙れサラリーマン風情ィ!」
「はぃ……」
「……委員長?」
 彼の名を名乗る少女のか細い声に振り向く。
 愛らしい少女の顔は悲しみに包まれ、今にも崩れ落ちてしまいそう。
 でも、今のわたしには罪悪感を感じる余裕などない。
「俺、委員長のこと、好きだったよ……」
「委員長がデートに誘ってくれて嬉しかった。本当だよ」
「嘘だっ! ……彼はデートの約束しても、ちっとも嬉しそうじゃなかったもの!」
「それは、デートの日に前からサラリー達と遊びに行く約束があったんだ。それで罪悪感が……」
 彼女はそう言い、視線をサラリーマン風情に向けた。
 成程、サラリーというのはこの男か。よく見れば彼の写っている雑誌記事にも小さく写っている。
 小さく写っているだけに人間的にも小物だろう。ルックスは悪くないが年上は守備範囲外。
 どうでもいい。
 それよりも今は彼女だ。何としてでも彼女が彼ではないという確証を掴まねば……。
「俺、女の身体になっちゃったから恋人にはなれない……。けどっ…………」
 先程から感じていた息苦しさが急激に増して、動悸が激しくなる……。 
 頭をぐわんぐわんとかき混ぜられるような感覚。視界がブレる……。
「委員長とはいままで通り友達として、仲良くしてほしいんだ。女友達として。ダメかな…………?」
 彼、いや彼女が何かを喋っている。耳には入ってくるのに理解することが出来ない……。
 そのうち、視界だけではなく、脳が、意識が、身体中がブレ始める……。
 もうまともに立っていられない。おぼつかない足取りで後ずさり、壁に背をつける。
「……きもちわるい」
「…………ッ!!」
 わたしは糸の切れた操り人形のように崩れ落ち、気を失った。
 薄れ行く意識の中で最後に見たものは、逃げるように走り去る、顔面蒼白な彼女の姿と、
まるで般若のように怒りをあらわにしたサラリーマン風情の姿だった。
393 :横長 [sage]:2007/06/28(木) 20:43:27.81 ID:zqTJCygo
今日ここ

しばらくスパロボ三昧なのでSSお休みします。
チャンプの本名は適当に決めました。元ネタは透明になる龍。

>>390
明らかに文才のない俺はどうしたら?
394 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/28(木) 23:14:12.60 ID:y.eKtzs0
帰ってくるのをwktkしながら待ってる
395 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 :2007/06/28(木) 23:17:38.73 ID:r3lI7AAO
>>393
修羅場ktkr!
続きが気になるな



こんなに良いのが書けて文才ないて・・・

俺はゴミ以下になるぞorz
396 :名無草 :2007/06/30(土) 13:38:56.10 ID:HWVRbRI0
うわぁ、随分と間隔開いたな。
楽しみにしてた人、もし居たらですがすみませんorz
それでは第五章「御辞儀草」
投下したいと思います
397 :名無草 :2007/06/30(土) 13:40:10.41 ID:HWVRbRI0
春休みの半分が過ぎて、私は少し気の早い五月病に陥っている。
五月病、とは少し違うか。沈んだ気持ちが重く私の両肩にのしかかるようで、
 「はぁ」
漏れるのは溜息ばかり、何でこんな気持ちになっているのかすら分からないなんて……。
外は俄かに活気付いて沈んだ私なんて忘れ去られてしまいそうで。
 「はぁ……」
もう幾度目とも知れない溜息が漏れる。
この気持ちはどこから来るんだろう?
考えたところで分かるわけもない、なんだってこんな気持ちになっているかすら分からないんだから。
五人で買い物に行ってから四日が経って、“男”と“友”はもう以前と変わらないくらいなのに。
 「はぁ」
二人の代わりに私が沈んでどうするんだ。そうは思ってもこの重い気持ちは消え去ってくれなくて。
何だかもう自分が嫌になってきた。
398 :名無草 :2007/06/30(土) 13:41:46.02 ID:HWVRbRI0
その後も溜息は止まらなくて。それがどれくらい続いただろう、お母さんと叔母さんが仕事に向かった頃。
 「はぁはぁ煩いな、お前はいつから変質者になったんだ?」
いつの間にか“友”が部屋に入ってきていた。
 「うるさい、ほっといてよ」
ベッドに倒れこんで言い放つ。
 「放っておけるか、同じ家で生活してる奴がそんなじゃ気になって仕方ない」
言いながら近付いてきた“友”はベッドに腰掛ける。
 「女の部屋に勝手に入ってきておいて、どっちが変質者よ」
うつ伏せのまま言う。
 「ちゃんとノックしてから入ったよ」
視線を感じるけれど知らん振りで話す。
 「了解も取らずに入ってきたらノックしたって同じよ」
今度は“友”が困ったように溜息を吐いて、
 「ノックどころか部屋に入ったことすら気付かない奴から了解が取れるのか?」
そんな事を言う。
 「だから入ってくるなってこと、分かったら出て行って」
声を張ろうにも力が入らなくて、空気が抜けるような声は聞き取りづらいだろうに、それでも“友”は返事をする。
 「出て行っても良いけどな、いつまで閉じ籠ってるつもりだ?」
春休みが終わるまでよ。そう言うと“友”は諦めたように溜息を吐いて、
 「そう言うなら出て行くけどな、飯の時くらいは降りて来いよ」
それだけを言うと部屋から出て行ってしまった。
 「はぁ」
ドアの閉まる音を聞いて、また溜息が漏れた。
399 :名無草 :2007/06/30(土) 13:44:53.43 ID:HWVRbRI0
行き交う人、住宅街のただ中にあるこの家からはそう多くの人影を見ることはないけれど。
それでも目前の道を右から左へ、左から右へ。数え切れない程の人達が通っていって。
――私は、きっとあんな風には歩けずに道端で立ち止まって、しゃがみ込んでしまっているんだろうか。
普段の自分からは想像も出来ないそんな事を考えながら。
 「お昼ご飯、出来たよ」
後ろからそんな言葉が聞こえた。
 「何で勝手に入ってくるのよ」
振り向きもせずに答える。
 「ノックしても返事が無かったし、そのまま放っておいたら絶対下りてこないと思ったから」
振り返ると“男”はいかにも心配していると言う表情で――実際心配しているんだろうけど――こっちを見ていて。
 「……気が向いたら食べに行く」
それだけ言って、また窓の外を見る。“男”の視線に耐えられずに、振り払いたくても出来ないくせに。
それでも“男”は動かない、私も振り返れない。
背中に刺さる視線が痛くて、だからって追い出すことも出来なくて。
こいつが女の子になって初めて思ったことを思い出して。なんて自惚れ、私に誰かを守ることなんて出来ないのに。
それなのに思ったことは『この子を守ってあげたい』だなんて。
勘違いも甚だしい、私はそんなに強くないのに。
沈黙に耐えられず言葉を零す。
 「何で食べに行かないの?」
 「“女”が食べに行かないから」
 「“男”は食べに行けば良いじゃない」
 「“女”が食べないなら僕も食べない」
 「私が食べなくても関係ないでしょ?」
言いながら振り返る、と。

“男”はなんだか怒ったように私を睨みつけていた。
400 :名無草 :2007/06/30(土) 13:46:47.16 ID:HWVRbRI0
 「関係なくなんてないよ」
睨みつけていた目は形を変えて、
 「“女”が居ないと、なんだかご飯が美味しくないんだ」
表情は見る見る弱弱しくなって、
 「女になって、自分で自分が分からなくなって。不安で、怖くて潰れそうだった時に言ってくれたよね」
目が僅かに潤んでいる。
 「『ちょっとだけ信じてあげる』って。僕はその一言に救われたんだ」
瞳にこれでもかってくらいに涙を溜めて、
 「“友”と会った時だって、『今は私がついてる』って言ってくれたじゃないか!」
涙が音も立てずに零れ落ちる。
 「中学に入った頃からずっと話しすらしなかったけど、それでも“女”は僕が好きな“女”のままだった」
涙は止まらず零れ続ける。
 「その“女”が苦しそうにしてるんだよ?」
涙でクシャクシャな顔で、“男”が叫ぶ。
 「好きな人が、ずっと閉じこもって俯いて。それが関係ない訳ないじゃないか!!」
嗚咽に負けないように、ちゃんと伝えられるようにと祈るように。
 「ずっと強かった人が、好きな人がそんなで、心配にならない訳ないじゃないか!!」
何故だか、“男”を見ることが出来なくて、
 「私は、強くなんてない」
目を逸らしながら、呟く。
 「強いよ、僕も“友”も。“女”が居るから潰れないで居られるんだから」
401 :名無草 :2007/06/30(土) 13:48:30.61 ID:HWVRbRI0
違う。
 「私は、二人も支えられない」
支えたくても、私はどうしようもなく潰れそうで。
 「自分だって支えられないのに、何で誰かを支えられるのよ」
何で潰れそうになってるのかすら分からなくて。
 「潰れそうなのに誰かを支えて、それじゃあ誰が私を支えてくれるのよ!」
その苛立ちを“男”にぶつけても仕方ないのに、
 「私は、どうやって立てば良いの!?」
分かっているのに、止まらない。
 「僕が、支える」
なのに“男”は、
 「“友”も“妹”ちゃんだって支えてくれるよ」
そう言いながら私を抱き寄せる。
 「頼りないかもしれないけど、頑張って支えるから」
いつもと逆だな、なんて考えながら、
 「精一杯、支えるから」
今は、なんだかこうして居たい。
 「……バカ、泣きながらそんなこと言っても説得力ないよ」
そんなことを思って。
細くて弱弱しい腕が、なんだって今はこんなに頼もしいんだろう?
私を必死に抱きしめる腕が、なんだかとても愛しくて。
気付けば頬が暖かい、泣くのも久々だな。
不思議と涙を止めようとは思わなくて、そのまま泣き続けた。
402 :名無草 :2007/06/30(土) 13:49:33.25 ID:HWVRbRI0
小さな花はいつの間にか少し強くなっていて。
少し背の高い花を支えようと背伸びして。
支えられた花はどうだろう? いつだって支え続けたその花は。
403 :名無草 :2007/06/30(土) 13:51:50.97 ID:HWVRbRI0
以上、第五章「御辞儀草」でした
カタカナの方が良い気がする……
というわけで第五章「オジギソウ」でした

文才云々言う前にまず書いてみれば良いじゃない
俺だって文才無いけど頑張ってますよ!
文才があるから書くんじゃない、書きたい物語があるから書くんですよ!!

と言うのは文才の無い俺の言い訳
404 :横長 :2007/06/30(土) 17:25:49.96 ID:LWq6gKIo
>>名無草氏
GJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ず、ずっと帰りを待ってたんだからねっ……!

SS書くに当たって必要なのは、周りからけなされようが馬鹿にされようが
お構いなしに書き続ける”雑草魂”だ!
……一番レベルの低い俺が偉そうなこといってサーセンwwwwwwwwww
ROM専の人も気が向いたら、自分がカタチにしたキャラをパートナーに、SS道を七転八倒してみるといいよ。
その様を諸先輩方は笑って見物してくれるはずさ。優しい眼差しでね。
405 :名無草 :2007/06/30(土) 21:22:09.92 ID:HWVRbRI0
横長氏が良いこと言った!
ここテストに出ます、ノート取る奴はさっさと取るように。

にしても、待たせて申し訳ないorz
これからは心を入れ替えて書かせてもらいます










この一ヶ月グロいの書き続けてたとか言えない
406 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/06/30(土) 22:04:36.83 ID:jDvQ5gAO
>>403
GJ!感動した!
wktkが止まらない
407 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/07/05(木) 18:49:31.58 ID:G6tTumgo
また過疎・・・どうしよこれ・・・
408 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/07/06(金) 01:06:28.17 ID:tKwr4Sc0
ksk
409 :横長 [sage]:2007/07/10(火) 20:58:48.15 ID:5GezG56o
 久々に、ブチギレた。
『きもちわるい……』
 チャンプの知り合いらしき少女の、この心無い発言で俺はブチギレていた。
 会社では自分の事を小馬鹿にされても笑っていられたが、
 チャンプのこととなると感情が昂ってしまい、自分でも抑えられなくなってしまう。
(なんだと……、チャンプが、気持ち悪いだとッ? 貴様はチャンプの気持ちがわからないってのかッ!)
 眼の前のこの少女に憎しみが募ってゆく。全身の血が頭に集中して沸騰するかのような感覚……。
 今の俺の感情をひと言で表すなら”怒髪天”がしっくりくる。
 この少女を本気でひっぱたいてやろうかと、俺が憎しみの視線を送った直後──、
 どさっ……
 壁にもたれかかっていた少女が、そのまま気を失ったかのように床へ滑り落ちた。
 いや、気を失ったようにではない。実際気を失っているようだ。
 先程までの激しい感情はなりをひそめ、血の気を失った蒼白な表情が痛々しい。
「だっ、大丈夫でヤンスか?」
「どうやら、気を失ってるっぽいっふね……」
「サ、サラリー、どうすればいいでヤンスか?」
「とりあえず救急車呼ぼう。それまではお店の休憩室借りて横にさせてやるといい」
「りょ、了解でヤンス! ぁ、サラリー! どこいくでヤンスー?」
「俺は、チャンプを追う。後は任せるッ!!」
「任されたっふよ! サラリーもチャンプの事よろしく頼むっふ!」
 俺はこの場を二人に任せ、チャンプの後を追った。
 3階のフロアから階段を3段飛ばしで駆け下る。すれ違うカップルが短い悲鳴をあげながら大袈裟に回避する。
 ゲーセンの入口に着くと、チャンプが薄着のまま駅前方向へ逃げ去るのが見えた。
 ダッフルコートもマフラーもゲーセンに置いたままだ。今日の冷え込みなら余裕で風邪引ける。
 俺は周りの通行人の迷惑を顧みず全速力で後を追う。
 自慢じゃないが俺は高校のとき陸上部に所属していた経験があるんだぜ!
 ……三日で辞めてしまったがな!
410 :横長 [sage]:2007/07/10(火) 20:59:05.59 ID:5GezG56o
 駅前の公園に、チャンプはいた。
 ブランコに腰掛け、背中を丸めてうずくまっている。
 表情は見えないが、泣いていることくらいは雰囲気で分かる。
「ぜぇぜぇ……、おっ、ゼェゼェ……、おぃ……、ゼェゼェ……」
「…………」
「ゼェゼェ……、チャ…、はぁはぁ……、ふぅ〜ぃ、お、おい、チャンプ……」
「……何?」
 丸まったままの姿勢で返事をするチャンプ。その言葉は冷ややかで拒絶の色がありありと浮かんでいた。
 チャンプと知り合って約一年。初めて見るチャンプのただならぬ雰囲気に、
かける言葉が思い浮かばず。バカの子のように立ちつくしてしまう。
「サラリー……?」
「……ん?」
「サラリーも……、俺のこと……、俺のこと……」
 チャンプが顔をあげる。顔をくしゃくしゃにして号泣していた。
 辛そうで、淋しそうで、まるで自分の事のように、いやそれ以上に胸が苦しくなる……。
「俺のこと! 気持ち悪いって、思ってんだろッッ!!」
411 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/07/10(火) 21:06:36.27 ID:5GezG56o
今日はここまで。

過疎なのは悲しいな。
提案だが、普段はVIPを使用して
保守が厳しくなったらこちらに戻るというのはダメなんだろうか?

チラ裏
スパロボOG1、リオがトップエースに。熱血30はエロい
ドラマ、パパと娘の七日間(性別が入れ替わるトランスもの)が、微妙に面白い。
ガッキーの「用立てしてスマンね」萌えるww
412 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/07/10(火) 21:13:30.68 ID:Xf1zbAEo
>>411乙!
VIPの方がいいんじゃないかとは思ってるけど・・・
どうするべきか・・・
413 :横長 [sage]:2007/07/10(火) 21:56:41.30 ID:5GezG56o
このままだと俺と名無草さん専用SSスレになってしまうんだぜ。
こちらを分家という形で利用するのはどうだろうか?
あわよくばP90さんのような凄腕SS書きが参加してくれたらいいな〜なんて。

自分はDION軍(ひとりのDQNのために連帯責任で全鯖規制、しかも長引く)
なのでここが定位置になると思います。

414 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/07/10(火) 22:35:28.55 ID:b937Fto0
待ってたよGJ!
415 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/07/11(水) 16:26:37.18 ID:bbXqlcEo
夜中に出かける!
http://www.usamimi.info/~tenohito/cgi-bin/anka/src/vipankae5745.jpg
 猫「すやすや・・・」
 男「ぐうぐう・・・」
 猫「・・・あ、そうだ。」
  ・・・
 男「こんな夜中にどこ行くんだ? あいつ。」
416 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/07/11(水) 16:27:38.24 ID:bbXqlcEo
猫の集会!
http://www.usamimi.info/~tenohito/cgi-bin/anka/src/vipankae5746.jpg
 男「お、あれは・・・」

  (゚д゚)なー  (゚д゚)ナー  (゚д゚)なー  (゚д゚)ナー  (゚д゚)なー
      (゚д゚)ナー  (゚д゚)なー  (゚д゚)ナー  (゚д゚)なー  (゚д゚)ナー

 猫「うんうん、そうよね〜、ちかごろはネズミもトカゲもめっきり少なくて・・・」

  (゚д゚)なー  (゚д゚)ナー  (゚д゚)なー  (゚д゚)ナー  (゚д゚)なー
      (゚д゚)ナー  (゚д゚)なー  (゚д゚)ナー  (゚д゚)なー  (゚д゚)ナー

 猫「あらそー、あそこまだペットボトル置いてあるの。バカよねー、意味無いのに・・・」
 男「・・・ 猫の集会、か・・・」
417 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/07/11(水) 16:28:13.99 ID:bbXqlcEo
忘れたころにこっそり投下。そして去る・・・
418 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/07/11(水) 18:56:55.39 ID:N712AoA0
忘れる訳ないだろ
猫かわいすぎるGJ!
419 :横長 [sage]:2007/07/12(木) 19:27:59.16 ID:fe9rfP2o
「思ってねえよ……」
 チャンプの悲痛な叫びに面食らってしまったが、
何事もないように平静を装って答える。
 ヤバい、こんなチャンプ見ていられない。まるで悲しみの牙で心臓を引っ掻き回されるかのような感覚だ。
「そんなの、信じられない! サラリー達だって心の奥底では俺の事バカにして笑ってんだ!!」
「もちつけ、一体どうしたんだよ……?」
「こんな身体になっちゃったせいで……! 嫌だ、嫌だよ!! いやだぁーっ!!」
 こんなに感情を剥き出しにしたチャンプは初めて見る。
 どうしたら……、一体どうしたらチャンプにいつもの笑顔が戻ってくるんだ? どうしたら……
 俺がいくら焦ったところで、チャンプの悲しみは晴れず、またうつむいてしまう。
「大好きだった人に気持ち悪いって言われたんだぞッ…… こんなのって!!」
「…………!!」
 やはりそれか。
「『気持ち悪い』って、委員長だろ? あれは、気分が悪いからそう言ったんだ。チャンプのことじゃない」
「嘘だッ!!」
「本当だ。ガリアン達が救急車呼んだから、今頃搬送されてる頃だろう」
 はっとした表情で顔をあげるチャンプ。チャンプにとっては思いもしない展開だろう。
「それ本当、なの?」
「……何なら病院に電話するか?」
 俺はチャンプが逃げ去った後の事を説明した。
 誤解が原因だとしても、一度心に受けた傷はそう簡単には癒されることはない……。
 当然、表情も曇ったままだ。
「でも、俺が委員長を傷つけたのは事実だよ……。皆といるのが楽しくて、一ヶ月の間連絡もしなかった……」
「むっ、それは……」
「それに、俺の事気持ち悪いってのが誤解だって保証、どこにも無いよ……」
 そう言って俺から逃げるようにふらふらと、あてもなく去ろうとする。
 心の傷に黙って耐えているこの少女はとても儚くて、今にも崩れ落ちてしまいそうに思えた……。
「な、なにすんだよっ……」
 俺は、チャンプを抱きしめていた。
 まるでそうするのが当たり前のように無意識に彼女を抱きしめていた。
 そうしないと、チャンプが崩れてしまう……。この時の俺はそんな感覚に囚われていたのだ。


マサオ「ママ〜、まだまだ続くみたいよ〜!」
未亡人「うふふ、あの二人投げ間合いに入ったわね! いけっ、そこよっ! レバー二回転っ!!」
マサオ「ママって時々意味不明……」
420 :横長 [sage]:2007/07/12(木) 19:32:17.96 ID:fe9rfP2o
今日ここまで

やっと未亡人&マサオ登場させられた……。この二人に関しては登場時からツッコミ待ちなんですけど……
まぁ、ツッコまれても返答に困るけどな!!!

>>415
ほのぼの可愛い系GJ!!
ぬこカワイイけど、こっち見るなww
>>292で勝手にキャラ借用してスマソ
421 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/07/12(木) 19:57:26.09 ID:HPBU6jso
>>420
乙!
422 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/07/12(木) 21:42:59.72 ID:s5CYZsEo
スレ欄からきて感動した
423 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/07/13(金) 12:14:33.85 ID:ldYL3A6o
このまま過疎脱却いくか?
424 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/07/13(金) 12:20:28.99 ID:nY/bmYMo
さてどうでしょう?
425 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/07/14(土) 11:17:23.36 ID:5T4W8.AO
ひょんなどうでしょう
426 :横長 [sage]:2007/07/16(月) 17:20:47.26 ID:sF.ZJuko
(やばっ、つい勢いで抱きしめちまったが……、どうする……俺……)
 俺とチャンプの身長差は約30cm。必然的に俺の胸板にチャンプの頭がおさまる形になる。
 高鳴る心拍音が聞かれまいかと余計にドキドキしてしまう。
「ちょ、いい加減離せよっ!」
 目線を下に向けると、眉をしかめて睨みつけるチャンプの顔が。
 振りほどこうと動いた際に、チャンプ独特の、ふわりとしたシャンプーの香りが漂ってくる。
「なぁ、チャンプ……。俺はチャンプの事を大切な親友、だと思ってる……」
 チャンプの甘い香りに蕩けそうになる自分を戒めつつ、言葉を続ける。
「俺だけじゃない。デ ブガリコンビだってそう思ってるはずだ。……チャンプはどうだ?」
「なんだよ、いきなり……」
「チャンプにとって、俺達は単なるゲーム仲間止まりか?」
「そんなこと! 俺にとっても皆は大のつくくらいの親友だよ!」
 名残惜しいがチャンプを抱きしめていた腕を離す。しつこすぎると嫌われてしまう。
「なら、独りで苦しむな! チャンプの辛さを俺達にも分けてくれよ!」
「……え?」
「さっきの委員長との会話で俺はまったく無力だった。チャンプその身体の解決法だって見当もつかない。
……それでも親友が苦しんでいるのを黙って見てられるほど薄情にはなれない!」
「…………!」
「些細なことでもいい。チャンプの力になりたい。……俺達じゃ頼りにならないか?」
「そんなことないよ。そんなこと……。俺が女になっちゃった日、サラリーが言ってくれたよね?
『チャンプはチャンプだ』って。あの言葉が無かったら俺──」
 思い詰めた表情のまま、チャンプは途中で黙りこくってしまう。
 そして、時が止まったかのように沈黙が続く。
 言葉の続きは大体想像つく。場の雰囲気からして、この後愉快な言葉が続くとは到底思えない。
 俺の表情から何かを察したチャンプは、わざと元気に振舞ってみせた。
「……な、な〜にシリアス顔作っちゃてんだよ〜。似合わね〜!」
「失敬な! シリアス顔作ったら世界で五本の指に入りたい俺に向かって何たる暴言!」
「入ってないのかよっ!」
 言いたくない事は無理に聞かない。言わせるつもりもない。
 今はチャンプの空元気に付き合うことが先決だ。
「俺のようなシリアス男が親友なんだ。学校で自慢していいぞ!」
「親友、親友かぁ……。うん、親友だよねっ! 俺、サラリー達と親友で良かった!」
 さっきとは打って変わって満面の笑み。
 不意打ち気味に飛び出たこの笑顔に、心臓が飛び出そうになるほどときめいてしまう。 
「にひひ〜、サラリーってば、なに照れてんだよっ」
 どうやら今の俺は顔が真っ赤らしい。それを親友と言われた事による照れと誤解したようだ。
 チャンプの誤解にほっと胸をなで下ろす。
427 :横長 [sage]:2007/07/16(月) 17:21:48.53 ID:sF.ZJuko
今日ここまで。

過疎……
ああ……
428 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/07/16(月) 20:21:17.19 ID:NGu456AO
GJです!!
429 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/07/16(月) 22:30:51.57 ID:B39PjIg0
GJ!
430 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/07/17(火) 20:18:22.16 ID:Kz7laQAO
GJ!!

続きに期待
431 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/07/18(水) 00:33:15.48 ID:oK.wDXoo
VIPに一度立ててみます?
432 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/07/18(水) 00:43:00.42 ID:.h6fhK6o
まだパー速にあること知らない人がいるかもしれないし一度立ててみてもいいかもね
問題は人が集まるかどうかだけど
433 :佐白 [sage]:2007/07/18(水) 03:06:01.62 ID:0u0VpL.0
シュポッ―
使い慣れたライターに手慣れた感じで火を付け、咥えているタバコを近づける。
「…はぁ〜」
まだ寒い三月の夜に、俺の吐き出した白い息がよく映える。
しかし、俺は向こうから見知った人影が現れたのに気付き、急いで吸いかけのタバコを地面に捨てて踏みつぶした。
「よっ…。悪いなこんな夜に呼びつけちまってさ」
寄っかかっていた壁から体を起こすと、話しかけた相手に数歩近づく。
しかし、近くで見る彼女は思っていたよりも暗い顔をしていた。
「マジでごめんな!でもどうしても今日伝えたくて!」
「・・・」
やはりこんな時間に女の子を呼び出すのはまずかったか、彼女はさっきから一言も口を開かない。
「あのな、俺が今日伝えたい事ってのは―」
「待ってください」
俺は急に話を遮られ、生唾を飲んだ。静かな夜の公園にゴクリと音が響いた気がした。
「斉藤君には悪いけど・・・、こういうことされるの迷惑なんです」
「え?あ!」
突然の拒否に狼狽える俺を尻目に、彼女はさっさと来た道を戻って行ってしまった。
そんなに広くない公園に、俺一人だけがポツンと取り残されてしまった。
「マジかよ・・・」
俺はポケットからタバコの箱を取り出したが、目当てのタバコはさっきので終わりだったようだ。
舌打ちをして空箱を投げ捨てた。
どうも最近何もかもが上手くいかない。今日だってそうだ。
冷たい風が吹き、体が無意識に強ばる。そろそろ夜の寒さも本格的に我慢できないほどになってきた。
「いい加減タバコ止めるかな」
そうつぶやき、俺は背を丸めてトボトボと家路についた。
434 :佐白 [sage]:2007/07/18(水) 03:43:57.86 ID:0u0VpL.0
俺は斉藤昭人。地元の有名私立大学の経済学部に通うどこにでもいる男だ。
顔だって可もなく不可もなくで正確も明るく社交的・・・まぁ自己評価だけど。
実際は、他人にどう思われてるかなんて知るわけ無い。現に今さっきイケると思った女の子に振られたのだから。
まあ振られるのは不本意ながら慣れているためそんなに辛くはないが、明日からはもう彼女に話しかけられないのかと思うと・・・。
「気が重いっつうの・・・」
自然と愚痴がこぼれる。無理もない、彼女とは同じサークルなのだから。
明日からどうするか、そんなことを考えながら歩いていると、タバコの自販機が目についた。
ついさっき止めると決めたにもかかわらず、俺は夏の虫のように自販機の光に吸い寄せられていった。
目当てのタバコを見つけ、ポケットから小銭を取り出そうとした。
「あ・・・。あ〜ぁ、ありえねぇ」
指がかじかんでいたため、掴んだはずの小銭はチャリンと音を立てて自販機の下に潜っていってしまった。
取れるかどうか下を覗こうとしたが、客観的に無様すぎるその光景が頭をよぎり、やめた。
「泣きっ面に蜂っていうのはこういう事か」
タバコを諦め、俺はさっさと家に帰ろうと早足で家路を急いだ。
暫く歩き道を曲がると、前方から走ってきたポンチョのような物を着て顔が隠れるくらいすっぽりとフードを被った人とぶつかりそうになった。
俺は慌ててひょいっと右に避け・・・れなかった。なんとその人も俺と同じ右側に避けようとしたのだ。
その結果、俺はその人とガチで正面衝突してしまった。その衝撃で俺ははね飛ばされて尻餅をついた。
「つぅ〜〜〜痛ぁ・・・。おいどこ見て走ってんだよ!」
俺はぶつかってきた相手を睨みつけようとして―
「へ?」
間抜けな声を上げた。何故なら、とても不思議な事が起きたのだ。既に目の前には誰も居なかったのだ。
「そんな馬鹿な・・・。一瞬で人が消えるなんて事があるわけ―」
そこである物に気がつき、俺はソレを手に取った。
「なんだこれ?タバコ?」
俺が手に取ったのは、見た目こそタバコの箱そのものな真っ白い箱だった。
中を見てみると、まだ封を開けたばかりなのか隙間無くタバコが入っていた。
俺は立ち上がり尻についた土を払うと、その箱から一本タバコを取り出し、火を付けて吸ってみた。
「ふぅ〜〜。変な味だけど普通のタバコか・・・」
俺は箱をポケットにしまうと、そのタバコを吸いながら何事もなかったかのように家に帰った。

これがこれから俺に降りかかる災難の原因だった。
435 :佐白 [sage]:2007/07/18(水) 04:04:31.13 ID:0u0VpL.0
(もう朝か・・・)
目が覚めるときは、なんとなく朝だって自分で気がつくからだ。
例え夢の途中でも、朝だと感じれば勝手に目が覚めてしまう。昔からの俺の生活リズムだ。
目を開けると、眩しい光がもろに眼球へと直撃する。
反射的に手をかざし光を遮り、ゆっくりと体を起こす。今日は体調が良いのか、いつもより体が軽い。
立ち上がり俺は大きく体を伸ばして、寝間着を脱ぎ捨てて着替えようとして―
「なんじゃこりゃああああああ!」
ジーパン刑事の代役になれるのではないかというくらい絶叫した。
「んなアホな・・・」
俺の視線は自分の胸に集中していた。別に変態的な意味ではなく、大きく腫れてしまっている胸に目が釘付け状態なのだ。
というか、腫れたってレベルでは無い・・・。これはもはや、本やビデオで見慣れた女性の胸そのものだった。
慌てて部屋に置いてある姿見の前に行き、自分の今の体を見て更に絶叫した。
驚くのも当たり前だ。俺が写っているはずの鏡には、顔が引きつった可愛らしい女の子が映し出されていたのだ。
そこで俺はとある事に気がついた。
「そっか!これは夢なんだ!」
こんな簡単なことに気がつかなかった自分の頭をトントンと叩き、俺はすぐに布団に潜って目を閉じた。

しかし、この後携帯のアラームで目を覚ました俺の鏡に映った姿は、さっきの夢のままだった。
436 :佐白 [sage]:2007/07/18(水) 04:22:46.81 ID:0u0VpL.0
そ〜っと、物音を立てずに部屋のドアを少し開け、廊下に誰も居ないことを確認する。
さっきまで散々ほっぺたをつねったり壁に頭を打ち付けたりしたが、そこにはリアルな痛みしかなく―
「夢じゃ・・・ない」
そう認めざるを得ないと悟った。
しかし、人間こんな時でも生理現象には勝てないらしい・・・。
こんな状況でも、朝一番の尿意は既に我慢の限界に達しようとしていた。
普段なら何も考えずにトイレに行けばいいのだが、今のこの姿で家族と鉢合わせするのは避けたい。
だから、こうしてこそこそと廊下を伺っているのだ。
俺の部屋は二階の端。二階のトイレに行くには姉貴と両親の部屋の前を通過することになる。
もしそこで誰かと鉢合わせすれば・・・。
そう考えている間にも、着実に限界は近づく。というか、なんか男の体よりも我慢しにくい。
誰も出てこない事を祈りつつ、忍者のように抜き足差し足でトイレを目指す。
漫画ならここで何かハプニングが起こるが、意外にあっさりとトイレへと辿り着くことが出来た。
早速便座を上げ、ぶかぶかになってしまったスウェットとパンツを下げ、一瞬クラッと目眩が襲った。
「そう言えば、下の確認はしていなかった・・・」
視線の先。つい昨日まで男だった俺には相当ショッキングな光景であり、とてつもない喪失感に襲われた。
俺は上げたままの便座を力なく下げると、失意のままそこに座って用を足した。
夢なら寝ションベンでも良いから早く覚めてくれ!そう願った。
437 :佐白 [sage]:2007/07/18(水) 04:26:43.22 ID:0u0VpL.0
『シガレット→しがれっと』第一話 終わり
438 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/07/18(水) 05:34:38.14 ID:315DGMAO
>>437
wkwktktk
439 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/07/18(水) 13:10:06.55 ID:yhfTckAO
GJ
440 :横長 [sage]:2007/07/19(木) 20:17:12.72 ID:vw/q6Eko
「いい年して照れ屋ってのもどうかと思うよ〜 にひっ」
「う、うるせっ! ……それより戻るぞ。デ ブガリも心配してる」
 照れ隠しの話題変えのつもりで言った言葉だが、 委員長のことを思い出したのだろう。
 チャンプの表情から明るさが消え、淋しそうな視線を足元に向ける。
「大丈夫。俺が、俺達がついてる……」
 俺はチャンプの肩を抱きそう言った。
 大丈夫なんて言えるほどの確信なんてどこにもない。
 だが、チャンプの助けになることなら何だってするし、チャンプの障害が現れたなら全力でブチ抜いてみせる……!!
 女として好きだからでも親友だからでもない。まして憐みといった感情でもない。
 初めて自分の本音を明かし、初めて生の感情を爆発させたチャンプ。
 そしてボヘミアングラスのように儚いチャンプの姿に俺の決意は固まっていた。
 ──俺は、こいつを守る。
 人間、進むべき道、そして目的を持つと力が沸いてくるものだ。
(たとえ世界中が敵でも俺は、守る……、守り抜く!!)
 心の中でそう呟く。
 それだけで全身に気力がみなぎってくる。真冬だというのに全身の血が沸騰してしまいそうだ!
「ふーん。それだけ自信たっぷりなら、考えでもあるの?」
「ない!」
 即答した。いくらなんでも無い袖は振れない。
「なんだよそれ! もういい! 帰〜ろっ」
「……ぅお〜ぃ! 待ってくれ〜ィ!!」
 俺をおいて一人先行くチャンプ。それをダバダバーと追っかけるダサカッコイイ俺……。
(あぁ……。今の俺ってばダサ輝いてるぜ! こんな俺が好き! チャンプも俺を好きにな〜れ!)
 さっきの決意はどこへやら。イミフな事を考えつつ後を追った。
441 :横長 [sage]:2007/07/19(木) 20:19:56.15 ID:vw/q6Eko
今日ここ

最近俺のSSが面白いのかどうか不安でしょうがない。
あとチャンプは可愛いのかどうかも不安。
この方向でいいのだろうか?

>>433
GJ! 続きが気になります!wktkwktk
442 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/07/19(木) 22:42:08.67 ID:CwJn45c0
>>441
GJ!
いつも楽しみにしてます
443 :佐白 [sage]:2007/07/19(木) 22:55:42.75 ID:QEk9woQ0
『シガレット→しがれっと』第二話

現実は残酷だ。
昨晩は仲の良かった子に勇気を出して告白し、見事撃沈。
そして今朝はどういう訳か体が女の子になっていた。
一体俺が何をしたというのだろうか、誰か知っているなら是非教えて欲しい。その時はもちろん男に戻る方法も一緒に。
そこまで考えて、俺は思考を払うように頭を振った。
とにかく今はこの現実を受け止めて、これからどうするかを考えなければ。
幸い今は春休みで大学は無い。携帯電話の待ち受けには、無機質なデジタル数字が10時過ぎを示していた。
「とりあえず、メシ食うか」
ここで問題がいくつかできた。
まず、服だ。こんなぶかぶかで、ズボンなんか手で引き上げてないとすぐにずり落ちてしまうくらい体のサイズが違うのだ。
そして、さらなる問題はやはりこの体のことを家族や知り合いになんと説明するか。いや、正体を明かすべきなのか。
もし誰かが面白がってマスコミなんかに連絡した日には・・・、想像しただけで背筋が凍る。
しかしそれでも、家族には教えるべきなのだろうか。いや、血を分けた肉親なんだし、父さんも妹もきっと力になってくれるだろう。
よしっ!意を決して立ち上がると部屋を堂々と出た。さながらBGMは威風堂々がベストマッチだろう。
もちろん、ずり落ちそうなスウェットを両手でしっかりと押さえて・・・。
444 :佐白 [sage]:2007/07/19(木) 23:23:14.49 ID:QEk9woQ0
階段を下りると、リビングから話し声がする。どうやら父さんもマキも居るようだ。
丁度良い、俺は一瞬躊躇った後、思い切ってリビングへのドアを思いっきり開けた。
「おはよー!」
元気良く中に入る。案の定、二人はソファーに座ってTVを見ていたようだ。その二人の視線が一斉にこちらを向く。
「いや〜、朝起きたら女になってたよ!あはは―」
俺はなるべくいつも通りに明るく振る舞う。しかし、なんだこの温度差は・・・。二人の視線は冷たく、痛い。
「すみません、どちらさまでしょう?」
父さんはソファから腰を上げると、まるで他人行儀のように聞いてきた。
「いや、だから俺は昭人だから、マジなんだよ!」
どんなに必死に伝えても、やはり父さんの顔には困惑と疑いが色濃く出ている。
「もしかして、アキ兄ぃのカノジョ?」
そんな的はずれな答えを口にするのは、ソファから身を乗り出して興味津々に俺を見る馬鹿妹マキ。
「ちょっと待てよ二人とも!本当に俺は俺なんだって!」
「そんな事言われても・・・ねぇ?」
マキはわざとらしく父さんに同意を求め、父さんもそれに答えて頷く。
よく、感動する話として家族の絆がドラマや本で題材となる。家族の絆ほど強い繋がりは無い―と。
しかし、そんなものはやはり希なのだろう。現実は正に我が家のように薄情な家庭が多いのでは無いだろうかと疑ってしまう。
この後俺は必死な説得を続け、やっと信じてもらえた頃にはTVからタモさんの歌が流れてきていた。
445 :佐白 [sage]:2007/07/19(木) 23:43:35.43 ID:QEk9woQ0
「不思議なことがあるもんだねぇ〜」
食後のお茶をずずっと啜り、マキはまだ信じられないと言わんばかりの目で俺を見てくる。
父さんは父さんで、ショックなのかさっきから一言も口に出さない。
「とりあえずさ、このことは家族の秘密な?」
「あったりまえだよ〜!こんなこと高校で喋ったら、入学早々に頭おかしい子って思われちゃうよ!」
マキはどっかぬけてる所があるから、早かれ遅かれ変な子だとは思われてしまうだろうが・・・。
そんな事は口に出さず、俺は父さんにも目をあわせて同意を求める。
「あ、ああ・・・。わかってる」
よし、これで問題の一つは解決した。後は―
「おいマキ。お前の服俺にくれ。出来れば下着もくれると助かるんだが」
「い・や!」
暫く粘ってみたが、マキはなかなか頭を縦に振らず・・・。
仕方なく、とりあえずはぶかぶかのTシャツに短くしたベルトでズボンを固定し、外に服を買いに行くことにした。
自分の服を貸すのは嫌だと言ったマキも一緒に行くー!と提案してくる。
まあ、俺は女物の服を買ったことなどは有るはずもなく、心細いこともあり同行を了承する。
心配性な父さんも一緒に行こうと言ってきたが、さすがに断った。
女物の服や下着を買いに行くのだから、それに父親を同伴させるのも嫌だったのだ。
そんなわけで、寂しく見送る父さんを尻目に、俺は妹と一緒に隣の街にある大きなショッピングモールに向けて出発した。
446 :佐白 [sage]:2007/07/19(木) 23:47:15.55 ID:QEk9woQ0
『シガレット→しがれっと』第二話 終わり
447 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/07/20(金) 00:02:49.42 ID:botidC.o
>>436では姉と書いてあるが妹で合ってるんだよな
448 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/07/20(金) 21:39:13.61 ID:UFui1IAO
皆さんGJ!!

続きに期待
449 :佐白 [sage]:2007/07/21(土) 00:41:06.39 ID:aEw0/N.0
>>447
おっしゃるとおりです。混乱させてしまい済みませんでした。

>>この話を読まれている皆様
一話の「姉貴と両親」という表現を「家族」という表現に変換してお読み下さい。
補足しますと、主人公・斉藤昭人の家族構成は父親・妹真希・昭人の三人です。
450 :横長 [sage]:2007/07/24(火) 18:39:45.68 ID:05AlbY.o
 チャンプと二人、肩を並べてゲーセンへと向かう。
 先程までの思い詰めた表情はなりをひそめ、安心しているかのような微笑を浮かべている。
(笑顔でいるってことは、俺のしたことは間違ってなかったんだな……)
 ふと、先程までのことを思い出す。
 ──チャンプの溢れんばかりの悲しみ、自分への怒り、俺達への不信、友情の再確認、そして……
(抱きしめちまった……)
 まるで超低反発の抱き枕を抱きしめているかのような、やわらかい抱擁。
 少年の頃の逞しさはなく、少女特有のやわらかさと匂いがそこにあった。 
(許されるのなら、ずっと抱きしめていたかったぜ……) 
 脳内で何度も抱擁シーンをプレイバックし、年甲斐もなく顔を赤らめてしまう俺。
 そんな俺の心の内を読んだかのようにチャンプが詰め寄ってくる。
「と・こ・ろ・でっ!」
「どどどどうした?」
「さっきは何で俺を抱きしめてきたのさっ?」
「ぅわわわわ! なななな、な〜んのことかニャ〜?」
 俺はチャンプから目を逸らし、両の掌を後頭部にやって口笛を吹く。
 これは昔の漫画に良くある伝統的しらばっくれ方であり、
完成されたこのフォームによって、現状の危機回避率が80%まで上昇するのである!
「しらばっくれてもダメっ」
 80%の壁を易々と突破してくるチャンプ。お前はスパ□ボのティター□ズか……。
「んそそそれはだなぁ……、そうそう! 薄着だったから暖めてやろうかと思って、つい。な!」
「な!って言われても納と……へくちっ!」
「おほっ! リアルで『へくちっ』なんてクシャミする奴初めて見たぜ〜^^ ワンモアセッ!」
「なにバカなこと言って、へくちっ! ……るんだサラ、へくちぃっ!」
「いいぞ〜^^ もっと聞かせてくれ!」
「んもうっ! からかうん……、へくちっ! じゃない〜っ!!」
 結果的に期待を裏切らないチャンプ。こんなチャンプが大好きだ!
451 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/07/24(火) 18:41:49.38 ID:05AlbY.o
今日ここ。

夏風邪にはご注意を
452 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/07/24(火) 19:31:18.08 ID:1sJ2SR.0
GJ!
453 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/07/27(金) 10:16:54.04 ID:lX8HW6Eo
なんという過疎
454 : ◆yuri2zLV1o [sage]:2007/07/29(日) 22:34:17.13 ID:0yggXbwo
やることない
455 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/07/29(日) 22:34:29.36 ID:0yggXbwo
誤爆しました
456 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/07/30(月) 10:31:42.47 ID:cyeAS6AO
あの、まとめは更新しないんですか?
457 :横長 [sage]:2007/07/31(火) 18:12:36.54 ID:/HjQqowo
 ゲーセンへと戻った俺は、デ ブガリコンビに事の顛末を教えてもらった。
 心配で心配で、今すぐにでも病院へ行こうとした俺を、
サラリーに『また気絶したらどうすんだ?』と注意され、
仕方なくお見舞いは翌日にいくことにしたんだ。

 そしていま、委員長の病室の扉の前にいるわけなんだけど……。
(やっぱり、怒ってるかなぁ。……当然怒ってるだろうな)
 昨日の『気持ち悪い』発言を思い出し、二の足を踏んでしまう。
(でも、委員長を傷つけてしまったんだから当然、か……)
 彼女の口からどんな暴言が飛び出ても受け止めなきゃ……。
 それがたとえ罪滅ぼしにならないとしても……!
 委員長が望むなら、俺はいくらでも傷つこう。
 ──これは罰。女になってしまった俺への、罰。
 こればかりはサラリー達に助けてもらうわけにはいかない。
(しゃっ!)
 自らの心にに活を入れ、意を決して病室の扉を開く。
「あ、納槌く〜ん! お見舞い来てくれてありがとー!」
 扉の先には、はじけるような眩しい笑顔の委員長。
 昨日の事なんて無かったかのような委員長の表情に、思わず目をぱちくりする。
「そーんな入口にポケーと立ってないで! こっち来て」
 言われるまま、委員長の寝ているベッドのそばへゆく。
 緊張の為、かなり動きがぎこちない。
「なぁに? 緊張なんかしちゃって」
「え? あぁ、その、ごめんなさいっ!!」
458 :横長 [sage]:2007/07/31(火) 18:14:35.98 ID:/HjQqowo
狂はここまで。


>>456
更新やり方ワカンネ。
459 :佐白 :2007/07/31(火) 22:52:12.69 ID:IKAoA.s0
『シガレット→しがれっと』第三話

そういえば、妹と二人だけで一緒に買い物なんていつ以来だろうか。
俺が小学生の頃に母さんがいなくなり、家事は俺とマキの仕事になった。
昔はよく2人で食材を買いにスーパーなどに行っていたが、いつしか家事は全てマキがやるようになっていた。
俺もそれに甘え、買い物すら手伝わなくなっていたのだ。
よく考えれば、駄目な兄貴だな。いや、よく考えなくても駄目か。
「ねえ、さっきからずっと黙ってるけどどうしたの?」
隣街に向かう電車の中、どうやら考え込んでしまっていたようだ。
「いや、ちょっとな・・・」
「アキ姉ぇも悩める年頃なんだね〜」
「いや、別にそういうわけじゃ・・・って、アキ姉ってなんだよ!?」
何でも、外で今の俺に向かって兄と呼ぶのもおかしいというマキなりの気遣いらしい。
「それとも、お姉さまぁ〜が良い?」
それはそれで悪くないかもと思ってしまう俺は、やっぱり駄目兄貴のようだ。
暫くして、電車は隣街に停車した。電車から降り、改札を抜けると、たくさんの人で混雑していた。
「うわっ」
体の変化に合わせ身長も縮んでしまったせいで、人ごみがまるで高い壁のようだ。
しかしマキは慣れているらしく、この状況に呆然としていた俺の腕をガシッっと掴むと、
「こっちこっち!」と強引に人ごみの中をすり抜けていった。
そして、ついに目的のショッピングモールに到着した。
460 :佐白 :2007/07/31(火) 23:13:15.61 ID:IKAoA.s0
「とりあえず、アキ姉ぇはどんな服が着たい?」
俺たちはショッピングモールの案内板を前に、どの店に行くかを話し合っていた。
「いや、女の服とかよくわからないし、何も考えてなかった」
別に好みがない訳ではなかった。しかし、こんなときにナース服やセーラー服なんていったら兄としての威厳が・・・。
「ん〜、それじゃぁ私の好みでアキ姉ぇに合った服を買う、で良い?」
マキは見た感じシンプルで可愛い系の服を好んでいるみたいだし、お任せで大丈夫だろう。
そう思い、俺は躊躇うことなくその提案に乗ることにした。しかしこれが悪夢の始まりだった。
初めに入った店は、なにやら予想に反して物々しい雰囲気だった。
店内には、やたらへヴィな音楽が流れている。陳列されている品も─
「ってか、ここってパンク系の店じゃん!」
「うん、そだよー」
「そだよーって、お前の好みってこれか?こんな服着てたとこ見たことないぞ?」
そう言いながら、俺は近くにあったすっとんでるパンクファッションのマネキンを指差した。
「私は着ないけど、折角だしアキ姉ぇをナナみたいにしたいなぁ〜って」
ちなみに、マキの言うナナとは、アニメ化・映画化までされた超人気少女漫画の登場人物だ。
「じゃあ早速試着してみよう〜!」
ビシィッ!
はしゃぐマキに脳天チョップを食らわすと、マキを引きずりながら店を出た。
461 :佐白 :2007/07/31(火) 23:42:10.89 ID:IKAoA.s0
次に入った店は、まるで別の国のようなフリフリの服ばかり置いてある店だった。
「おいマキ、この店は何だ?」
「んとね、ゴスロリの店だよ〜」
「ゴスロリ?」
普段あまり聞きなれない単語につい聞き返してしまう。ロリって部分にはもちろん反応したが。
「んとね、ゴシックロリータだったかな?簡単に言えば萌えぇ〜な服だよ」
いったいマキはどこでこんな知識を仕入れてくるのやら・・・。
「つまり、やっぱり普段自分は着ないけど、俺に着せてみたいっと?」
「うん!」
頭が痛くなった。こいつは真面目に俺の服を選ぶ気はあるのだろうか。
とりあえず、お構いなしにはしゃぐマキにまた脳天チョップを食らわし、店を出た。
そして暫くお説教タイムに入り、改心したと思われるマキに連れてこられた3軒目の店は普通の服が並んでいた。
あれがいいこれがいいと大量の服をマキに渡され、何度も試着を繰り返すことになった。
そして─
「うん、すごく可愛いよアキ姉ぇ!」
散々悩んだ挙句、やっとのことで服が決まった。ほかにも何着か選びレジに持っていく。
店員に今着てる服をまま着ていくことを告げ、タグを外してもらい会計を済ませ店を出る。
マキは相当俺の姿が気に入ったのか、ずっと俺を見てはニヤニヤしている。
「アキ姉ぇもすっかり女の子だねぇ〜」
「ほっとけ!」
しかし、店のショーウインドウに写った俺の姿は、フツーに可愛いおしゃれな女の子だった。
「んじゃ、帰るとすっか」
「え?まだ下着買ってないじゃん」
まだまだ悪夢は続く・・・。
462 :佐白 :2007/07/31(火) 23:42:57.21 ID:IKAoA.s0
『シガレット→しがれっと』第三話 終わり
463 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/08/01(水) 01:00:32.85 ID:xk3SliEo
>>462
続きが来るのを密かに待っていたぜ
464 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/08/01(水) 10:48:57.70 ID:vbf7DQAO
続きを期待しながら待ってるぞww
465 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/08/03(金) 10:18:01.47 ID:UuMfA.AO
二人ともぐっじょぶ!
わくてかしてまってるぜ!
466 :佐白 :2007/08/05(日) 00:45:13.93 ID:9pqZDuQ0
『シガレット→しがれっと』第四話

「ま、待った!ちょっと待って!」
躊躇いもなくランジェリーショップに入っていこうとするマキの腕を引き慌てて止める。
振り返ったマキは哀れみを含んだ笑顔で小さくため息を吐いた。
「観念しなよぉ〜アキ姉ぇ」
「いや、でも、なぁ・・・。俺はここで待ってるからマキに買ってきてもらうのは出来ないか?」
「だ〜め!サイズを測らないと駄目だし、スケスケの下着でも文句言わせないよ〜」
どうやら年貢の納め時、男のプライドを捨てなければいけないようだ。
・・・まあ、男のプライドなんて、既にスカートを着た時点で無いにも等しいけどな。
勇気を出してランジェリーショップに足を踏み入れる。
(うひゃぁ〜)
店内は想像通り男にとってはピンクで夢のような空間だった。
右を向いても左を向いても、目に映るのはブラジャーやショーツのみ。正直、目のやり場にすごく困る。
「いらっしゃいませー」
不意に後方から声をかけられ、慌てて振り向くとそこには若い女性店員が笑顔で立っていた。
「何かお探しのものはございますか?」
「あー、えっと、その・・・」
突然の接客に戸惑っていると、そばに居たマキが一歩前に出る。
「このお姉ちゃんの下着を買いに着たんですけど、サイズを測っていただけますか?」
「かしこまりました」
マキの要望に店員は控えめに頷くと、懐からメジャーを出し手早く俺の体に巻きつけて測りだした。
467 :佐白 :2007/08/05(日) 00:51:02.48 ID:9pqZDuQ0
測定結果が出ると、マキはなにやら複雑そうに俺の胸と自分の胸を交互に見比べ、ガクリと肩を落とした。
「先ほど測りましたサイズですと、こちらに並んでいるものがちょうどかと」
案内された場所には下着が壁に陳列されている。しかしまあ、いろんな下着があるんだなぁ。
一つ手にとって見るが、それは下着というよりどう考えても紐にしか見えない。
「それではごゆっくり」
そう言い残し、店員は別の客の接待に向かっていった。
「さあアキ姉ぇ、好きなのを選んでよ」
「好きなのをって言われてもなぁ・・・」
一通り目を通し、青と白のチェック柄のシンプルな下着を手に取ってみた。
「へ〜、アキ姉ぇって清楚なのが好きなんだぁ〜」
隣ではマキの奴がニヤニヤと笑っている。とても気まずい。
「う、うるせっ!こんなもん誰に見せるわけでもないし何でもいいんだよ」
そう言って適当に何着か選ぶ。自然と自分好みになってしまうのは男の性と言うことで・・・。
「店員さんに言って試着させてもらう〜?恥ずかしいなら私がモデルやってあげようかぁ?」
マキは俺が持っていた下着の一つを奪うと、自分の体に重ねた。
「ばっ、バカ言ってないでとっとと買うぞ!」
「つまんないの〜」
危うく妹の下着姿を想像してしまうところだった。
468 :佐白 :2007/08/05(日) 00:53:18.34 ID:9pqZDuQ0
こうして、何とか全ての買い物は終わった。俺は男にとって大切な何かを一日で失った気分だ。
それにしても、最近あまり構っていなかったせいかマキは終始はしゃいでいた。
今日一日振り回されてばかりだったが、こうも喜ばれると悪い気はしない。
たまにはこうして一緒に出かけてやるのも悪くないかもな。
そう思った一日だった。
無事家に帰ると、リビングから父さんが飛び出してきた。よほど心配していたのだろう。
「はい、アキ姉ぇ。これは私からのプレゼントだよ〜」
そう言ってマキから手渡されたのはランジェリーショップの紙袋だった。
「大切に使ってね」
妹から女物の下着をプレゼントされるのは複雑だったが、一応受け取って中身を─
取り出して思考が停止した。
もちろん、そのプレゼントを隣で見ていた父さんも硬直していた。
マキからのプレゼント、それは俺があの店で最初に手に取った紐下着だった・・・。
469 :佐白 :2007/08/05(日) 00:54:00.51 ID:9pqZDuQ0
『シガレット→しがれっと』第四話 終わり
470 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/08/05(日) 03:40:08.02 ID:SMix/YQ0
GJ!
471 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/08/05(日) 20:26:48.25 ID:gAf8gYAO
>>469
激しくGJ!!
妹のプレゼントがツボったwwwww
472 :佐白 :2007/08/06(月) 00:12:20.67 ID:cLznhkY0
『シガレット→しがれっと』第五話

忙しかった昼間から一変、夜は静かなものだった。
マキは自分の部屋で春に入学する高校から出された宿題と格闘中。
父さんは明日は早いからと既に寝てしまった。
一人暇になってしまった俺は、自室の鏡の前でそこに写る自分の姿を見ながらこれからのことを考えていた。
「さすがに大学は休学だよなぁ」
財布から取り出した学生証には本来の姿、男の俺の顔写真が貼られている。
大学は休学届けさえ出せばいいが、バイトは辞めなければいけないだろう。
不幸中の幸いは、俺には友人と呼べる存在が少ない事か。俺が突然居なくなっても騒ぎにはならないだろう。
まあ、それはそれで少し寂しいわけだが・・・。
それにしても、何で急に女になってしまったんだ?
そういえば、朝から混乱していたせいでこうなった原因を考えることをすっかり忘れていた。
「何かあるとすればやっぱり昨日か?」
昨日あった出来事と言えば、俺が告白して玉砕したことと、それから─。
「あ!」
そういえばあの夜、変な奴とぶつかったことを思い出した。そしてそのとき拾ったものを俺は・・・。
急いで昨晩あの場所で拾ったタバコを探してみる。しかしなかなか見つからない。
もしかして、どこかに捨ててしまったのだろうか?悔しいことに失恋のショックで昨晩の事をあまり思い出せない。
「もしかして!」
とある可能性を思いつき、俺は急いでハンガーにかけて吊るしてあった上着のポケットを探る。
「・・・あった」
ポケットから引きずり出したのは、確かに昨夜拾った真っ白なタバコの箱だった。もちろん中身もちゃんと入っている。
473 :佐白 :2007/08/06(月) 00:18:24.48 ID:cLznhkY0
俺は布団の上に座ると、その箱をまじまじと観察した。
しかし、文字はおろか模様すらなにも書かれてはいない。どこの銘柄のタバコかは不明だ。
その箱からタバコを一本取り出し口に咥える。そして火をつけようとライターの火を近づけて、止めた。
もしこのタバコを吸ったことが原因で俺が女になってしまったのだとしたら、もう一度吸うとどうなってしまうのだろうか。
そんな恐怖が頭をよぎったのだ。俺は咥えていたタバコを箱にしまおうと─
「バカな割には、賢明な判断ね」
突然の声に、俺は驚きのあまりタバコをぽろっと落としてしまった。
「だ、誰だ!?」
声のした方─ベランダの方を振り向くと、そこには見覚えのある格好をした人物が窓を開けて部屋の中に侵入していた。
「お・・・お前は、昨晩俺とぶつかった不審者!」
「不審って・・・。まあいいわ、アンタが手に持ってる箱を取り戻しに着たわ」
いきなり現れた不審者は、じりじりと俺に詰め寄ってくる。
俺は驚きのあまり腰が抜けてしまい、その場から動けずにいた。
「か、勝手に部屋に入ってきて何言ってんだ!」
「無断で部屋に入ったことに関しては悪いと思ってるけど、こっちもちょっと緊急事態なのよ」
「話が出来るなら正体を見せろ!この不審者!」
そのとたん、不審者と立ち止まると被っていたフードに手をかけ─
「不審者不審者ってうるさいわね・・・。どうせ信じてもらえないだろうけど、仕方ないわね」
不審者がフードを取った。その瞬間、俺は言葉を失ってしまった。
なぜならば、フードの中に隠れていた不審者の素顔はめちゃくちゃ美人な女性だったのだ。
何かの雑誌でモデルをしていてもおかしくない顔立ち。それに髪の色も明らかに地毛の色と思われる綺麗な金髪だ。
「私はこの世界の人間じゃないの。そう言ったらアンタは信じる?」
「・・・は?」
誰か、俺にも理解できるように今の日本語を日本語に翻訳してほしい。
474 :佐白 :2007/08/06(月) 00:21:23.66 ID:cLznhkY0
目の前に居る金髪の美人なお姉さんは耳を疑いたくなるような事をサラッと言ってきた。
この世界の人間じゃない、だって?もしかしてテレビか本か何かの影響か?もしや宗教!?
とすると、不法侵入+電波発言=結構やばい人なんじゃ・・・。
「ちなみに、頭は至って正常よ。もちろん今の発言は妄想なんかではない、真実よ」
「いやいや、そんなバカな」
どう考えても信じられないことなのに、俺の態度に呆れてかお姉さんは大きなため息を吐いた。
顔は良いがなんか嫌味な女だ。呼び方をお姉さんから女に格下げだ。
「あのな、急にそんなこと言われて『はいそうですか』って頷ける訳ねーだろ」
「ふ〜ん・・・。それじゃ、アンタが急に女になったのはこの世界では当然のことなんだ?」
「!」
揚げ足を取れて満足したのか、女はニヤリと笑みを浮かべる。
確かに、俺が急に女になったのも普通なら有り得ない事なのだ、この世界では。
「どう?信じてもらえたかしら?」
「ああ。出来れば今を含めて今日全部の出来事が夢なんてことは─」
「残念ながら全部現実よ。この期に及んで見苦しいわね」
女は勝手に椅子へと腰掛けると、何も言わずに手を差し出してきた。
とりあえず握手してみる。キツイ性格の割には白くて小さく手触りもよかった。
「誰が握手なんてしろって言ったのよ、このバカ!」
すらっとした白く細い足で見事顔面を踏みつけられました。ツッコミも性格同様キツイな。
まあ踏まれた瞬間しっかりと白い下着を見てやったけどな!
「さっさとその箱を寄越しなさいよ!」
「あ、これね・・・。はいドーゾ」
俺が箱を差し出すと、女はフン!と鼻を鳴らして箱を奪い取った。
「私にも説明する義務があるの。だから今回のことについて今から話すから、ちゃんと聞きなさいよ」
目の前に座る自称この世界の人間ではない女は、冷静かつ真面目な口調で話し出した。
475 :佐白 :2007/08/06(月) 00:22:07.96 ID:cLznhkY0
『シガレット→しがれっと』第五話 終わり
476 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/08/06(月) 03:05:50.35 ID:PKDP2bY0
これは面白いです!
期待しとこう
477 :息抜きに 書いた話は 駄作です :2007/08/07(火) 00:04:10.16 ID:9H0mSIA0
神奈川県北西部に位置する静かな村で、一人の女子高生が痴漢に逢うという事件が起きた。
当初、我々県警は同じ村に住む者の犯行だと暫定して捜査を進めていた。
しかしながら、半年が過ぎても一向に犯人の目星は付かずじまいであったのだ。
事件は迷宮入り─そう思われたとき、村の駐在から犯人逮捕の知らせが捜査本部に届いた。
今まで我々の捜査で影すら出さなかった犯人がなぜこんな急に捕まったのか、私を含め捜査本部の面々は首を傾げた。
調べた結果、この事件の捜査の裏でもう一つの捜査が被害者の同級生達によって行われていたのだ。
はたしてその捜査とはいったい・・・。

俺が住む美府村は夏を向かえとても暑い日が続いていた。通う学校には冷房機器が無く、教室内は熱気が篭っていた。
暑さに弱い俺は、必死のジャンケンで勝ち取った窓側の席に座りながらうつ伏せになっていた。
「あぢぃぃ〜〜」
口癖のように出る言葉を繰り返しては、頭の中で早く家に帰り最近買ったクーラーで涼むことを考えていた。
そんな時だった。教室のドアが乱暴に開かれ大きな音が響いた。俺を含め教室内にいた生徒は何事かとそちらを向いた。
そこには、汗だくで息も絶え絶えな幸一の姿があった。
「だ、大ニュースだぁ!この学校の生徒が痴漢被害に遭ったらしいぞ!」
『『『えええ〜〜〜〜〜!!!』』』
幸一の爆弾発言に、教室内が一斉に騒がしくなった。幸一は質問してくる生徒を押しのけ俺の側にやってきた。
「ひろゆき、お前には更に悪いニュースだ。襲われたのは2組の椎名さんだ」
「な、なんだってーー!?」
俺は飛び起きると事件について幸一に詳しく聞いた。
幸一が知っている限りでは、椎名さんが襲われたのは昨晩の部活帰り、ほぼ18時を過ぎた頃らしい。
彼女が一人で帰宅していると、草むらから大きな男が現れて自らの裸体を椎名さんに見せ付けたらしい。
「なんてハレンチな!けしからん!それで、犯人は捕まったのか?」
幸一は頭を横に振った。
「警察にも昨日のうちに届けたらしいが、まだ何も掴めてないらしい」
「く・・・、よくも俺(の彼女になる予定)の椎名さんを汚しやがって!ゆるさん!」
決めた。犯人は俺の手で捕まえてやる。そして今度こそ椎名さんに俺の気持ちを伝えてみせる!
また始まったと言わんばかりに、幸一は肩をすくめる。
「別に止めはしないが、何か良い手はあるのか?」
「ふふん、聞いて驚け!俺が女装をしておとり捜査をするのだ!この学校のセーラー服なら持ってるぜ!」
一瞬にして俺を見つめる皆の目が冷たくなった気がする。でもそんなの関係ねぇ!今は犯人逮捕が優先だ。
見ててくれよ椎名さん。俺はキミの為に見事犯人を捕まえてみせる。
俺は自分の机に上ると、拳を高らかに掲げ皆の前で宣言した。
「待ってろよ犯人、俺がお前を絶対に捕まえてやるぜ!」
こうして俺の女装によるおとり捜査が始まった。特別な夏が、幕を開けた。
【【ひょんなことから女装っ子〜おとり捜査と僕の夏〜 完】】
478 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/08/08(水) 15:18:20.51 ID:PpE.e0Eo
酔っ払い!
http://vipmomizi.jog.buttobi.net/cgi-bin/uploader/src/37232.jpg
  ビールでも飲むか。
 猫「あたしにもちょーだい。」
 男「子供だからダメ。」
 猫「なによ! ほんとはアタシの方が年上なんだからね!」
 男「でも今は子供だろ。」
 猫「フーッ!」
 男「かわりにこれやるよ。効くかどうか実験だ。」
  つ[またたび]
 猫「・・・また猫だからってバカにして!」
 男「いらないのか?」
 猫「・・・・・・・・・・・・・・・いる。」
  ・・・
 猫「ふにゃ〜ゴロゴロ」
 男「・・・」
 猫「♪きっみがくれ〜たゆーうーきーはーおっくせんまん!おっくせんまん!」
 男「効くんだな・・・」
479 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/08/08(水) 18:07:28.64 ID:6LXhagUo
おい、もしかして
ひょんなの子は今日で1周年じゃないのか
480 :横長 [sage]:2007/08/08(水) 18:22:38.51 ID:ozIj//Qo
「どうしたの? わたし納槌クンに謝ってもらうほどヒドい事されたっけ?」
 きょとんとした表情で小首をかしげる委員長。
 その表情は自分の知る委員長のままで、俺を拒絶する様子は見受けられない。
「えっ? ええと……、俺がこんな身体になっちゃったから……」
「”女”なっちゃったって、今でも信じられないけどね……。
 でも、そうなったのは納槌クンに原因があるってことかなー?」
「原因は自分でもよく分からないんだ。何の前触れもなく女になってて……」
「それなら謝らないでよ〜」
「う、うん。ゴメン」
「納槌く〜〜ん? 人の話聞いてた?」
「あわわわっ、ゴメン……って、このゴメンはその言葉に対するゴメンでして……」
「ふ、ふふっ、あはははっ!」
「……? 委員長、どうしたの?」
「アハハ、ごめん。性別が変っても、中身は私の知っている納槌くんなんだなって!」
「委員長は、……俺の言う事信じてくれるの?」
 俺は委員長の心変わりに少し動揺していた。
 会うのにそれなりの覚悟をしていたので、正直肩透かしをくらったような気分。
「……もしかして、昨日の『気持ち悪い』って言葉、気にしてたりする?」
「…………!!」
「お昼にサラリーマン風情がお見舞いに来てくれて、
 納槌クンがわたしの言葉で傷ついているって教えてもらったの。
 ……謝るのはわたしの方だよね。本当にごめんなさい!」
「や、やめてよ! ……おねがいだから頭あげてよ。
 俺は一ヶ月も委員長に連絡もしないで心配させちゃったひどいヤツなんだ。
 だから頭下げる必要ないって」
「ん〜、それなら連絡しなかった事を許してあげるから、昨日のわたしの言葉も許してもらえる?」
481 :横長 [sage]:2007/08/08(水) 18:23:50.21 ID:ozIj//Qo
今日ここ

アニバーサリーな日に駄作投下してスイマセン
482 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/08/08(水) 20:41:24.85 ID:9/obSXs0
一周年記念
483 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/08/08(水) 20:52:05.44 ID:u0kTVIAO
もう一年か・・・


早いな・・・
484 :スピカ :2007/08/09(木) 04:25:11.07 ID:W96ipmo0
書き込むのはお初です。
1年たったんですか…

ということで(何が
自分もなんか書いてみようかなと執筆中です。
完成したら投下するかも。うん…多分
485 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/08/09(木) 16:15:39.12 ID:3aum.E60
GJ&wktk
486 :横長 [sage]:2007/08/09(木) 18:25:09.33 ID:Jk2Hzf2o
「うん、わかった……」
 一ヶ月もの音信不通と昨日の誤解では全然重さが違う。
 それでも委員長の望むことならと、この提案を受け入れた。
 ──断じて委員長が否定を許さない笑顔で微笑んでいたからではない。……断じてない。
「よっし、これでもうゴメンなさいする必要は無いかな」
「え? うん、多分」
 委員長は嬉しそうな表情を浮かべながら、ベッドから上体を起こし俺の手を握る。
 委員長の暖かくて柔らかいてのひらの感触を感じる間も無く──
「うぁわっ!!」
 俺は委員長におもいっきり腕をひっぱられ、乱暴にベッドに引き寄せられた。
 ひとつのベッドに俺と委員長。突然の出来事に照れることすら忘れてしまう。
 そんな混乱中の俺のことなどお構いなしに、がばっと抱きしめてくる委員長。
「んふふ〜。わたしね前から納槌クンとこういうことしたかったの〜」
 普段の委員長からは考えられないほどの甘ったるい口調。
 学校ではしっかり者のお姉さんキャラだった委員長の口からこんな台詞が出たことにひどく驚いてしまう。
 これでは妹キャラ……というより、幼女キャラだ。
「ねぇ、ちょっと、委員長ってば! くすぐったいっ」
 委員長の顔が間近にあるので、目を逸らして必死の抵抗を試みるが、
逸らした視線を追うように委員長が身体の位置を変える。
 俺が必死の抵抗を繰り返していたら、いつの間にか委員長が
上からのしかかるような姿勢になったので、俺は抵抗をやめた。
「納槌クンだって、わたしとこういうことしたかったんでしょ〜?」
「あっ、そんなこと、思ってないってばっ! だからぁ、もぅ、やめて……」
 抱きしめてくるだけでなく、耳に息をふきかけてきたりと、いいように委員長の玩具にされている俺……。
 困ったことに、委員長の束縛はゾクゾクするほど気持ちいい。
 委員長の吐息、委員長の視線、委員長の感触。それらに過敏に反応してしまうのは(元)男のサガなんだろうか?
 このまま全てを委員長に委ねて堕ちてしまいたいと、この時は本気でそう考えていた。
 俺は、マゾなのかもしれない……。
「ん〜ふふ〜ん。わたし知ってるんだよ〜?」
「あふぅ、な、何をぅ……、んくっ」
「納槌クン、わたしのことえちぃ目で見てたんだよねー」
「ブーーーッ!!」
 コーヒー飲んでたら吹いてたところだった。
「Aから教えてもらったんだよ〜? 納槌クンが私で欲情してたって!」
 あっけらかんと言い放つ幼女委員長……。
487 :横長 [sage]:2007/08/09(木) 18:26:13.93 ID:Jk2Hzf2o
今日ここ

もうすぐ終わる、ってか終わらせるから……
いやまだ終わらないな。ストーリー簡潔にまとめてえええええええええ
488 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/08/10(金) 21:10:50.52 ID:9jfcYcAO
GJ!

続きに期待!!
489 :横長 [sage]:2007/08/11(土) 18:13:48.87 ID:7m7YL0Uo
「そ、そんなことないよ! 第一Aの言う事を信じるのっ!?
 あの人、いつも俺達のことからかってばかりじゃん!」
「わたしは信じるよ〜。だって心当たりがあるもの〜」
「うっううううううううううそだぁああっ!」
 俺は愕然とした。学校では委員長のことをそういう目で見ないように自制していたのに。
どこかで気が緩んでいたのかも……。
「納槌クンはわたしをどういうカタチでズリネタに使ったのかな〜? ふふん、肖像権侵害だぞっ?」
「ズ、ズリネタって……、しかも肖像権って妄想の中はノーカンでしょっ」
「ええいっ! 男の子なんだから、四の五の言わずにおしえなさーーーい!!」
「いやだぁ! それに今は女の子ですーーーっ!!」
 委員長は心底嬉しそうに、しかし抵抗を許さない口調でそう言いながら、
たわわな胸を俺のほっぺに押し付けてくる。この胸は、兵器だ。……D兵器。
 逃げようのないこの状況では降参するしかない。このまま組み合ってるのもいろいろヤバイ。
「いう! 言うから、離れてっ、ちょ、息出来ないよぉ!」
 そうは言いながらも、この状況が嬉しくないわけでもない。
 もういいや、このまま全てを委員長に委ね、蕩けてしまおう……。
 と堕落系な考えが頭をよぎったところで、委員長のD-1とD-2が俺の顔面からテイクオフした。
490 :横長 [sage]:2007/08/11(土) 18:14:08.50 ID:7m7YL0Uo
今日ここ

熱くて続き考えてられない……
491 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/08/12(日) 16:20:10.67 ID:Vudky6AO
GJ!
492 :横長 [sage]:2007/08/13(月) 17:30:25.99 ID:go.XXlco
 俺は息を整え委員長を見遣る。ワクテカした彼女の笑顔はとても綺麗なのに、
高校生のものとは思えない、とてつもないプレッシャーを醸し出していた。
 まるで、魔王……。
 委員長と対峙することで、俺は魔王から逃げられない勇者の気持ちを理解できてしまった。
 もう覚悟決めるしかない。というより早く喋ってプレッシャーから逃れたい。
「わかった。言うよ……
 シチュエーションは学校の放課後。だれもいない教室で委員長と……、その、キス……しちゃった。
 ……って、当然これは俺の妄想の中の出来事だからねっ!」
「…………それだけ?」
「へ?」
「それだけなワケがない! 露出は? 触手は? なにより陵辱がないでしょッッ!!!
 納槌クンの頭の中にはとことん陵辱されて性の虜になった挙句、
 ヤリ飽きて放置プレイ中のわたしが存在している筈ッ!!」
「そ、そんなこと考えないよ。第一えっちな委員長の妄想したのって三回くらいだし」
「う、うそ……。普通なら定番のローパーで触手絡ませたりしない?」
「普通しないよ! それに、委員長と知り合ってから一週間もしないうちに俺、本気で好きになったから」
「へ?」
「委員長レベルの女の子が毎日弁当作ってくれたら、俺じゃなくても恋に落ちちゃうって。
 でね、女の人を本気で好きになると、妄想の中で汚す事すら出来なくなるんだ。
 これは俺だけかもしれないけどね」
 その時の委員長の顔は、色々な感情が混ざり合ったような、そんな表情だった。
 俺が「委員長?」と声をかけても、まるで放心状態のように反応がない。
493 :横長 [sage]:2007/08/13(月) 17:37:07.17 ID:go.XXlco
今日はここまで

一気に書いて一気に投下の方がいいですか?
494 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/08/13(月) 18:16:36.69 ID:j/NCLpI0
どちらでも作者さんの負担にならない方で大丈夫です

サラリーがどうしてるのか気になる…
495 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/08/19(日) 10:18:21.65 ID:m0Mf/Jco
VIP
496 :横長 [sage]:2007/08/19(日) 18:46:02.51 ID:dzoLYKco
 しばしの静寂ののち、委員長がどこかぎこちない表情のまま口を開く。
「納槌クン、さっき言ったよね? 『俺の言う事信じてくれる?』って」
「え? う、うん。女の子になっちゃったことだよね」
「わたし、信じるよ! だって、わたしの大好きな人の言葉だからっ!」
 微笑みかけてくる委員長。だがその笑顔はどこかいびつに見える。
「委員長……」
「周りが何を言ってもっ、わたしは納槌クン、あなたを信じるよ! 絶対信じる。信じるよ……」
 『大好きな人』、そう言ってもらえるのは嬉しい。俺も好きだったから尚更。
 けれど、最後の『信じる』という言葉は、委員長自身に言い聞かせているようで、
それがどこか痛々しくて、素直には喜べなかった。
 そんな委員長の姿に、俺はずっと胸の内にあった疑問を投げかけていた。
「委員長は何で俺なんか好きになったの? 俺よりカッコイイ人、クラス内でもたくさんいたよ」
 委員長は一瞬きょとんとした表情になったが、次第に優しげな表情に変わり、
まるでいたずら坊主にするかのように、俺のおでこを指でつつく。
「わたしにとって、納槌クンが最高にカッコイイ人なのっ!」
 自分の言葉に赤面しつつ、委員長はいかに俺が好きかを語りだした。
 ──初めて納槌クンに出会った時、笑顔を一目見て恋に落ちたこと。
 ──実は自分と納槌クンが一緒のクラスだと知った時、心臓が飛び出そうになるぐらい嬉しかったこと。
 ──授業中はとっても真面目なのに、ゲームの事となると見た目以上に子供になる納槌クンが可愛いこと。
 ──もっと納槌クンのことを知りたいと考えているうちに、これが本気の恋なんだと自覚したこと。
 ──どうすれば納槌クンの笑顔が見られるだろうと考えていたら、いつの間にか朝になっていたこと。
 ──考えあぐねた結果の手作り弁当を、『とてもおいしいです!』と満面の笑みで返してくれたこと。
 ──初めてのデート、誘いを受けてくれて本当に嬉しかったこと。
 ──俺と過ごした学園生活は今までの人生の中で一番しあわせだったこと……。
「ごめんね〜、重い? 引いた?」
497 :横長 [sage]:2007/08/19(日) 18:49:04.22 ID:dzoLYKco
今日ここまで

もっと書かなきゃ腕上がらないのはわかっているのですが……
PSPばっかりやってて時間とれないっす。KAIが楽しくてしょうがない
498 :佐白 [sage]:2007/08/19(日) 20:48:05.14 ID:ZGiKPIg0
『シガレット→しがれっと』第六話

目の前に座る女は長い説明を終えて一息ついた。
一方俺は、彼女の話を素直に信じられずに面食らっていた。しかしこれは夢ではないのだと正座で痺れた両足が語っていた。
もう一度頭の中で、俺が今の彼女の話の中で理解できた部分を繋ぎ合わせて簡潔に纏めてみた。

彼女の元居た世界はこの世界、つまり俺が生きている世界から遠い昔に分裂した別の世界だという。
向こうの世界ではこっちと比べものにならないほど文明が進み、こちらで夢とされている事以上の事が現実として存在しているらしい。
そんな彼女の世界に住む学者たちは、かなり前からこちらの世界の存在を何らかの形で発見した。
そして何年か前にこちらの世界に移動できるパラレルワープという装置が完成し、こちらの世界への干渉が可能になったそうだ。
かくして、こちらの世界で時々起こる不可解な事件こそ、その”干渉”の仕業によるものらしい。
しかし干渉行為の中にはこちらの世界の理を無視するものもあり、彼女の世界の政府はそれを重大な犯罪として罰するようになった。それにより干渉行為は激減した。
それでもごく一部の人間が自らの欲を満たしたいが為に、こちらの世界への干渉が無くなる事はなかった。
そして、彼女の世界で最重要危険人物とされる一人の科学者が数ヶ月前にこちらの世界に逃亡、行方を眩ました。
その科学者はタカサ博士と呼ばれ、生物研究の第一人者であったが、近年は人体実験によりDNAを違法に改造しているとの報告があった。
その報告の後、急いで政府機関が博士の身柄を確保しに向かったが、その時彼は既に姿を消し、後の調査でこちらの世界に居ることが判明した。
そして、大きな干渉を防ぐために少人数で編成された捜索部隊がこちらの世界に派遣され、そのメンバーの一人こそ自分であると彼女は言った。
「難しいが、少しは理解できた・・・・・・と思う。ところで、名前をまだ聞いてなかったけど、教えてくれるか?」
「そう言えばそうね。私の名前はタカサ・カグヤ。年齢はこちらの時間で考えると大体21歳くらいよ」
一目見たときから思ってはいたが、やはり年上らしい。それよりも、彼女の名前に気になることがあった。俺は少し悩んだ後、尋ねてみた。
「ちゃんと話を聞いてくれていたのね、驚いたわ。別に隠すつもりはなかったけど、今アンタが考えているとおり、私はタカサ博士の実の娘よ」
「そうか。自分の父親を追わなければいけないなんて大変だな」
俺の言葉が気に障ったのか、彼女は少しムッとした表情になる。
「捜索隊には私が自分で志願したの。あの男は私と母さんを裏切ったんだもの、ゆるせない」
そう語る彼女の目にははっきりとした憎悪が浮かんでいた。よほどのことがあったのだろう。
それにしても、理由はどうであれ親子が憎み憎まれの関係になってしまうのは悲しいことだと思う。もちろん俺も人のことは言えないが・・・・・・。
499 :佐白 [sage]:2007/08/19(日) 21:27:28.47 ID:ZGiKPIg0
「んじゃ、もしかしてそのタバコは博士が作ったものか?」
彼女が手に持っているタバコと言われればタバコに見えてしまうその物体を指さす。
「ええ、これは口にくわえて吸うことにより、体質を変化させ肉体の怪我を治す効果があるの」
でもね、と彼女は続けた。
「アンタは火を付けて吸った。それによりこれの性質が偶然変化してしまい、元と違った効果が出てしまったみたいね」
「そんな馬鹿な・・・・・・」
そして彼女が言うには、俺の体は完璧に女へと変化してしまい、このままいくら待っても元に戻る可能性はゼロに等しいらしい。
俺は目の前が真っ暗になってしまった。このままこうして女として生きていかなければならないのだろうか。
「頼む!そっちの力でなんとか元に戻せないか!?このままだなんてあんまりだ!」
女になり涙腺が緩くなっているのか、俺は頬を伝う涙を感じながら彼女にしがみついた。
しかし、無情な感じで彼女は立ち上がってすがりついていた俺を振り解いた。彼女の表情は見るからに怒りを孕んでいる。
「鬱陶しいわね!泣きたいのはこっちだって同じよ・・・・・・。あの夜、アンタとぶつかりさえしなければあいつを見失うこともなかった!」
・・・・・・かもしれない、と彼女は小声で付け足した。泣きたいのは彼女も同じみたいだった。
「ここまで知ってしまった以上、アンタもタカサ博士の捜索を手伝いなさい。博士の身柄を確保できればアンタの体だって治せるかもしれないわ」
拒否、という言葉はまったく頭に浮かばなかった。彼女の最後の一言で既に答えは決まっているのだ。
俺は服の袖で涙を拭うと、立ち上がって彼女の目を正面から見つめた。顔立ちはこちらの世界の人間と変わらないが、彼女は真の意味で違う世界の人間なのだ。
本当に全てを信じて良いのだろうか。いや、今の俺は彼女を信じる意外に元に戻る方法はないのだ。
「解った。俺に手伝えることがあるなら、なんだってするさ。でも、家族は巻き込まないと約束してくれ」
こんなおかしな、こちらでは非現実的なことになるのは俺だけで十分だ。
「ええ、約束するわ。けど、貴方から話すのもダメよ。こちらとしてもこれ以上干渉は避けたいもの」
「それと、アンタってのも止してくれ。俺のことは昭人って呼んで欲しい」
そう言って、俺は一回り小さくなってしまった右手を彼女の前に差し出す。
彼女は一瞬疑問を浮かべたが、すぐに納得したように自分の右手で差し出した手を握ってくれた。
「協力してもらうからには甘やかさないからな、昭人」
「善処してみるさ、カグヤさん」
この日、二人だけの、世界を超えた同盟が組まれた。
500 :佐白 [sage]:2007/08/19(日) 21:55:51.08 ID:ZGiKPIg0
気が緩んだのか大きな欠伸が出そうになり、慌てて噛み[ピーーー]。時計に目をやると既に2時を過ぎていた。
「眠いの?大体話もしたし、今日はもう終わりにしましょ」
見るとカグヤさんも小さな欠伸を手で隠していた。キツイ性格の割に仕草は可愛いと思ってしまった。
「捜索の手伝いに関しては、朝起きた後にまた話すわね。ところで・・・・・・」
「ん?どうかした?」
「お風呂を借りることはできるかしら。私は寝る前と起きた後には必ずお風呂に入らないとダメなのよ」
お風呂?もしかして彼女の拠点にはお風呂がないのだろうか?別にこの時間なら家族も寝てるし構わないだろう。
「ああ、使って良いよ。家族を起こさないようになるべく静かに入ってくれるならね」
「そ、それくらい心得てるわよ・・・・・・」
とか言いつつも、すぐにでもお風呂に行きたそうにソワソワしている。
とりあえず、下の階にあるお風呂場に隣接した脱衣兼洗面所まで彼女を連れて行く。
お風呂の説明をしようと思ったが、それぐらい知っていると言われ、すぐに追い出されそうになった。
「それじゃ、俺はもう先に寝てるから、好きなだけ入ってよ」
「ありがと、助かるわ」
脱衣所のドアを閉めると、俺は何らかの興奮を感じた。何故なら妹以外の女性が自分の家のお風呂に入っているのだ。
しかし不思議とその興奮はすぐに収まり、覗こうとも思わずにさっさと自分の部屋に戻ってきてしまった。
彼女が風呂から上がるのを待ち、帰りを見送ろうとも考えたが、かなりの眠気に堪らず布団に潜り込む。
彼女には悪いが先に寝かせてもらおう。
「おやすみ・・・・・・」
照明を消し真っ暗になった部屋で、彼女に向けて言った言葉を最後に、俺はすぐ眠りに就いた。
そして、翌日――
いつもと違う窮屈感によって目を覚ますと・・・・・・。
何故か隣で彼女が気持ちよさそうな寝息を立てていた。
501 :佐白 [sage]:2007/08/19(日) 21:56:39.31 ID:ZGiKPIg0
『シガレット→しがれっと』第六話 終わり
502 :佐白 [sage]:2007/08/19(日) 21:59:13.01 ID:ZGiKPIg0
第六話3/3でモザイクが入っておりますが、それは「欠伸が出るのを抑える」表現です。
それでは。
503 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/08/20(月) 02:09:21.34 ID:o4hteAAO
二人ともGJ!
504 :横長 [sage]:2007/08/21(火) 17:45:39.83 ID:GKYgcY2o
 そう言って何事もないようにからからと笑う委員長。口調は軽く表情は明るい。
 だがそれはうわべだけのことで、胸の奥底には深い悲しみが渦巻いているのを俺は知っている。
 そして、その悲しみをもたらしたのが、他のだれでもない俺自身であることも。
 思い返せば、俺は委員長の事は本気で好きだったが、委員長が俺に向けるほどの強い想いは抱いていなかった。
 サラリー達と遊ぶ事の方が楽しいから一ヶ月も連絡せずに放置できたのだ。
 結果、俺は委員長のキモチを踏み躙ってしまった。
 なんて薄情なんだろう。
 なんて情けないんだろう。
 こんな俺をカッコイイって言ってくれる委員長に会わせる顔がない……。
 委員長のキモチが真っ直ぐで力強いから余計に、きつい。
 俺に心配かけまいと笑顔を見せる委員長。
 それがまた俺の胸をきりきりと締め付ける。
「ごめんっ、ごめんね?……委員長ごめぇ……えぐっ」
 俺の胸に溢れていたさまざまな感情が、こらえきれずに爆発した。
 情けないことに、俺は委員長の胸に顔をうずめて号泣していた。
「なぁに突然? もうごめんなさいすることは無いでしょ?」
「だぁって! ひぐっ、委員長が俺みたいな、ダメ人間に優しいからぁ! えぐっ」
 俺は号泣しながら、いかに自分がダメ人間で委員長が素敵な女性であるかを力説した。
 ぐっずぐずの涙声だったので、俺の言った事は理解してもらえなかったと思う。
 しばらくそうしていたら、委員長の両の腕が俺の背中にまわった。
 先程の拘束するような抱擁ではなく、母親が子にするような優しい抱擁。
「ごめんね……。納槌クン。これを最後の≪占有≫にするから、……お願い、しばらくこうさせて」
 俺はこくこくと頷く。委員長に抱きしめられている間も涙は止まりそうになかった。
 やがて、俺以外の泣き声に気付く。
「納槌クン、ぐすっ、わたし。納槌クンのこと、大好きだったよっ」
「俺も、委員長が、大好きだった! えぐっ……」
 もうこれ以上は言葉は必要ない。俺達はお互いに抱きしめあって号泣した。
 俺は委員長のぬくもりを求めるように強く抱き、委員長もそれに応えるかのように強く抱き返してくれる。
 砕けた想いの行き先なんてどこにもない。
 それはわかる。痛いほどにわかる。
 だが今は、今だけはこうしてお互いの想いを確かめあっていたい……。


 こうして、俺と委員長の恋はあまり人に見せられないような形で幕を閉じた……。

 余談だが、担当の看護婦及び、仕事帰りに再度お見舞いに来たサラリーとデ ブガリコンビに
この一部始終を見られていたのを俺が気付くのはあと五分後のことである。
505 :横長 [sage]:2007/08/21(火) 17:46:39.52 ID:GKYgcY2o
今日ここまで
 
もうちょっと続けてもいい?
506 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/08/23(木) 15:42:42.52 ID:rdYjKKko
>>505
かなり遅れてのGJ!
続けてもよかったよ
507 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/08/23(木) 16:37:03.41 ID:6OidtX20
>>505
もちろんです
508 :横長 [sage]:2007/08/24(金) 18:05:41.92 ID:bhfjam6o
日本語微妙におかしいですがありがとう。もう少しだけ続けますね。
今のシリーズが終わったらしばらく修行の旅に出ます。戻るのは年明けくらい
509 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [最高にハイってほどでもない。]:2007/08/29(水) 03:54:31.34 ID:1tYo8Tco
夏休みの宿題に手をつけてないけど、何か短編書く。
短編ならきっと最後まで書けると思うから。
510 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/08/30(木) 01:06:36.31 ID:xGSokOA0
>>502
正直オマエの話には萌えがない。更新する気がないならもうこの板には要らん

>>508
がんばれ!残りすっげ楽しみにしてるぞ!サラリーwwktk

>>509
ktkr!期待してるぞー!

511 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/08/30(木) 03:37:00.63 ID:cIVMT0g0
>>510
作者さんにむかってその言い方はないだろ…
作品を楽しみに待ってる人間からすれば、お前の方がよっぽどいらん
512 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/08/31(金) 02:02:11.16 ID:BjGR4iw0
いらんは言いすぎだが神格化もどうかと思う
513 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/08/31(金) 14:40:13.92 ID:eEMI00Q0
神格化もアレだが、この手のスレだとどうしても
SS書き>越えられない壁>読み専
になると思うんだが。
514 :510 :2007/09/01(土) 00:22:21.49 ID:R9vIl020
>>512のコメントからも解かるように、お前は必要とされて無いぞ佐伯ww
「いらんは言いすぎ」→「別にあっても無くてもいいよwwwwwwww」→「必要はない←結論ww」
わかったら消えろ、な?
悔しいと思うなら続き書いてみろよ、書けるならなww

>>511>>513
なにムキになっちゃってんのwwwwwwワロスwwwwwwwwwwwwwwwwww
意見を言って悪いなら掲示板の意味ないだろwwwwwwwwwwwwwwww
515 :510 :2007/09/01(土) 00:25:33.81 ID:R9vIl020
そんなにSSが欲しいなら俺が書いてやるよww

ある日、僕は女になっていました。でも別に不便ではなかったので、戸籍の性別を女に変更してそのまま生活を続けました。しかし数年後。昔の僕の姿を知っている男が現れ、黙っている代わりに肉体関係を要求されました。でもその時奇跡的に男の体に戻ることができました。おしまい。
516 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/09/01(土) 00:33:30.79 ID:fUF09c6o
>>515
正直オマエの話には萌えがない。
517 :510 :2007/09/01(土) 01:26:09.65 ID:R9vIl020
正に今、僕の目の前にある鏡はどこかで見覚えのある女の子を映し出していた
直前までは僕を移していたはずなのに、急に意識が消えて目覚めたときにはこの姿、女になっていた
オーマイガ!と僕は叫びたかった。それにしても本当にどこかで見覚えのある顔だ・・・
ママ・・・、そう、写真でしか見たことがないが、今鏡に映っている僕の姿は何年も前に死んでしまったママに似ていた
工作の時間に作ったフォトフレームに収まったママの写真。今は僕の部屋の机の上に置いてある
のどの渇きを覚え、現実に戻る。僕はどうしたら男の子に戻れるのだろう。ねえ、どうしたらいい?と鏡に映る自分に尋ねる
話しとして昔に聞いたことがある。男が急に女になってしまうという怪談話を
にっこりと笑ってみた。鏡に映る自分もにっこりと笑う。自分の笑顔なのに、なぜか照れてしまう
はっきり言ってしまえば、今の僕の姿はとても可愛らしい少女だろう
萌香ちゃんよりも、もしかしたら可愛いのではないだろうか。明日クラスに行けば僕が一番人気の女子になるだろう
え?そういえば忘れていたけど、もし元に戻らなければ僕はどうすれば良いのだろう。もしかして、転校・・・
がーん・・・。皆とお別れなんてしたくない・・・
なら、僕はどうすれば良いのだろう。暫く悩んでみたものの、答えはなかなか出てこない
いっその事、実は女でしたーっとでも言ってしまうのはどうだろうか。僕は必死に対策を考えた。あまりに必死すぎて、自分の体が男に戻っていたのにも気がつかなかったのだ

>>516
まあ萌えなんて人によって感じ方や好みは違うよな?まあその小豆のような小さい脳では理解できないかwwwwwwwwwwサーセンwwwwww
518 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/09/01(土) 02:01:17.19 ID:fUF09c6o
>>517
そりゃ違うだろwwwwww
519 :羽付き ◆iqP3HuSAqU :2007/09/01(土) 02:43:07.00 ID:F.qBY.Eo
オレ、田中翔太はどこにでもいるような普通の男子高校生である。
…………であった。
そう、今のオレはもうどこにでもいるような普通の男子高校生ではなくなっていた。
どこにでもいるような普通の高校生でないのはもちろん、男子ですらなくなっていたのだ。
520 :羽付き ◆iqP3HuSAqU [そんなワケで始まりました。]:2007/09/01(土) 02:43:53.42 ID:F.qBY.Eo
こなあああああああああああああゆきいいいいいいいいいいい
ピッ
朝、携帯のアラームもとい着うたで目を覚ます。
カーテンから漏れる朝日が少し眩しい。
朝日が眩しい、それはつまり今日の天気が晴れであることを指す。
ということは今日の合宿が楽しいものになるということだ。
そう、今日は合宿なのである。
高校に入学したてでまだクラスの結束のない今、寝食を共にすることで結束しよう。
ま、要は自然教室みたいなもんだ。
高一にもなって自然教室ってのはアレだけど、オレはこういうイベントは大好きだ。
だから今日が晴れであることがすごく嬉しい。
521 :羽付き ◆iqP3HuSAqU [連投規制と表現規制がわからない。]:2007/09/01(土) 02:44:55.42 ID:F.qBY.Eo
「おい、起きろ大輝!もう朝だぞ!」

なんだか興奮のせいか声が裏返ったみたいに高かった。
で、大輝っていうのはオレの双子の兄の名前だ。
一応大輝が兄でオレが弟なんだが、性格的には大輝の方が弟っぽい。
ちなみに二卵性だからこの歳になるともうあまり似ていない。
背格好はほとんど同じだが、顔は普通の兄弟ぐらいなもんだ。

「ん……翔太?」
「今日は合宿だぞ」
「…………そういえばそうだったね」

ったく、オレが起こさなかったらいつもの時間まで寝てたんじゃないか?
とりあえず勉強机の脇に置いてあった学校指定のジャージに着替えることにする。
…………と、違和感を覚えた。

「……翔太、おっぱい」
「……うん」

大輝の言葉に頷くことしか出来なかった。
昨日までは何もなかったオレの胸に、二つの膨らみが出来ていたからだ。
うん、もうホント、意味が分からない。

「翔太? 大丈夫?」
「……お、おう」
522 :羽付き ◆iqP3HuSAqU [オレからエロを取ったら何が残る?]:2007/09/01(土) 02:46:10.14 ID:F.qBY.Eo
落ち着け、落ち着くんだ。
今すべきことは何だ?
KOOLになれ田中翔太!
…………そうだ現状の把握が最優先だ。

「おっぱいだけじゃないみたいだね、完全に女の子だよ」

大輝がそう言った。
オレのズボンを脱がした状態で。
オレの股間を見ながら。

「声も高くなってるし、確定だね」

…………KOOLになれ、田中翔太。
コイツは現状を把握しようとして股間の状態を確かめたにすぎないさ。
冷静なだけさ。

「でも女の子の体ってこうなってるんだね。指入れてみてもいい?」

KOOLになれ、田中翔太。
そう、KOOLになるということはバットでやっちまうということさ。
523 :羽付き ◆iqP3HuSAqU [オレはきっとダメ人間]:2007/09/01(土) 02:46:56.62 ID:F.qBY.Eo
「OK、歯を食いしばれ」
「OK? じゃあ入れるよ」
「ひっ!?」

思わず飛び退いた……というか後ろに倒れちまった。
ってか指入れんなよおい、なんかスゲー寒気がしたじゃねえか。

「……ってか指入れんなよ!」
「え、だってOKって……」「そういう意味でOKじゃねえよ!」
「あー…………舐めれば良かったの?」
「どこのエロ漫画だっ!?」
「さあ? パソコンに入ってる内のどれかじゃない?」
「ってかお前の脳みそ腐ってんだろ」
「やだなぁ、僕は腐兄じゃないよ」
「いや、意味わかんねえし……」

ダメだ、埒が明かねえ。

「とにかくだ、オレに変なコトすんな!」
「うん、わかったよ」
524 :羽付き ◆iqP3HuSAqU [オレはきっと、いや確実に変態]:2007/09/01(土) 02:49:29.56 ID:F.qBY.Eo
それから5分ほど、オレの体の変化を調べた。

「顔は少し女の子っぽくなってるけど、そんなに違和感ないね」
「胸もそこまで大きくないし、包帯か何か巻いとけば誤魔化せるよな?」

そう、体の変化を調べたのはみんなにばれずに合宿に行くためだ。

「でも声が高くなってるから喋ったらアウトだね」
「そんなに高い……か?」
「うん、現に今、バリバリ違和感ありまくりマクリスティーだよ」

ラクリマクリスティーネタかよ。
でもそんなに変なのか、喋ってるオレとしてはちょっと高いかなくらいなのに。

「喉の風邪をひいたみたいで喋れないってことにでもする?」
「それだ!」

なんだ、結構あっさりと障害クリアーじゃないか。

「そういえばお父さんとお母さんに説明する?」
「……どうする?」
「自分で決めたほうがいいと思うよ」
「そっか」

家族には話すべきだよな。常識的に考えて。
でもそしたら合宿に行くのを止められるかもしれない……
525 :羽付き ◆iqP3HuSAqU [ホントは羽付きよりバイク派]:2007/09/01(土) 02:50:20.10 ID:F.qBY.Eo
「……合宿が終ってからという方向で」
「いえっさ」

親が知ったところで、合宿に行ってる間はどうしようもないんだ。
別に2日ぐらい言わなくたって問題ないさ。

「じゃあ僕は包帯持ってくるよ」
「おう、頼んだ」

大輝が部屋から出て行くと、オレは改めて自分の姿を確認した。
自分で言うのもなんだが、元々カッコイイ系だったが、女になった今は綺麗系。
太ってるワケでも痩せすぎってワケでもないからプロポーションも悪くない。
確かに胸は小さいが…………でかけりゃいいってモンでもないしな。
つまりアレだ、オレ様ってばマジ美人なワケだ。
そんな女性を見ると男ってヤツは興奮するワケで。
オレは今女性なワケで。

「……こ、これも体を調べる上で必要なことだっ」

そう言い訳して、とりあえず胸を揉んでみた。
うん、コレは中々。
というよりもポッチのトコが気持ちよすぎる……

「ぁ……」

思わず甘い声が漏れるが、そんなコトは気にしてられない。
526 :羽付き ◆iqP3HuSAqU [この時間は流石に眠い]:2007/09/01(土) 02:51:01.42 ID:F.qBY.Eo
しかし、胸でコレなら下を弄ったらどんだけ凄いんだろうか?

「……こ、これは普段関わりのない女性器の構造を勉強するためさっ」

言い訳が苦しくても気にしない。
今のオレの頭はコレから感じる快楽のコトで一杯だからだ。
左手は胸に置いたまま、右手を下着の中に入れる。

「そ、そうだ、これは勉強なんだ。決してやましい気持ちはないんだ……」
「なら僕も一緒に女性がオルガスムを感じるとどうなるのか勉強するよ」
「うわっ!?」

気がつくといつの間にか大輝が背後に立っていた。

「双子の弟だと分かっていてもえっちぃね」

コイツは…………っ!
もうね、オレ顔真っ赤。
もちろん、怒りでなく恥ずかしさで。
527 :羽付き ◆iqP3HuSAqU [むしろ眠すぎて頭が痛い]:2007/09/01(土) 02:51:46.91 ID:F.qBY.Eo
「はい、コレ」

そう言って包帯を渡される。

「サンキュな」
「巻く前に一回やりたいのなら部屋から出るけど?」
「…………結構だ」

コイツはもう、ホントに…………
オレにだってプライドぐらいあるんだ。
誘惑に打ち勝って断ったオレを褒めてやりたい。

「なら早く巻きなよ」
「おう」

包帯の長さは足りそうだな…………ん…………

「…………巻いてくれ」
「いいの?」
「巻き方がわかんねえんだよっ!」
「おっぱい揉むかもしれないよ?」
「……変なコトしないんだろ?」
「うん、しないよ」

そう言って包帯を巻き始める。
528 :羽付き ◆iqP3HuSAqU [宿題やってないオレは負け組]:2007/09/01(土) 02:52:45.87 ID:F.qBY.Eo
「出来たよ」

鏡で確認してみる。
と、全くと言っていいほど目立たなくなっていた。
まあその分苦しいんだが。

「ところでさっき気づいたんだけどさ」
「何だ?」
「体が少し小柄になってるみたいだよ」
「小柄に?」
「ほら」

そう言って鏡の前に立っていたオレの隣に立つ。
すると、オレより大輝のほうが2、3センチぐらい背が高いようだった。

「ま、そんな気になんないだろ?」
「まあね、流石に僕と並んでると違和感があるだろうけどさ」
「そっか、じゃあ今日からオレの半径2メートルに入るの禁止な」
「ええ〜やだよぅっ!」

半径2メートルに入るなと言ったのを拒否られた。
ってか抱きつかれた。
うん、なんか大輝って意外と大きくて男らし…………じゃないっ!

「離れろっ!」
529 :羽付き ◆iqP3HuSAqU [オレ\(^o^)/オワタ]:2007/09/01(土) 02:54:05.57 ID:F.qBY.Eo
「離れろってコトは今の翔太の力じゃ僕を振りほどけないってコトかな?」

しまった、っていうかコイツ何考えてるんだ?

「キスしちゃおうかな?」
「やめろ」
「体中撫で回しちゃおうかな?」
「きしょい」
「二人で大人になるってのもいいかもね」
「HA☆NA☆SE」
「うん、わかった」
「へ?」

意外や意外、あっさりと解放された。
ホントに何考えてるんだ?

「今の翔太くんはかよわい女の子なのでした」
「まあお前より弱いもんな」
「…………何かあったら体裁なんて気にいないで大声で叫んでよね」
「……お、おう」
「すぐに駆けつけるから」
「ん、…………サンキュ」

少しだけ、大輝が兄らしく見えた。
530 :羽付き ◆iqP3HuSAqU [オレのIDカッコよくね?]:2007/09/01(土) 02:58:27.23 ID:F.qBY.Eo
とりあえず第一話?終了です。
一話って言うよりもとりあえず区切ったって感じですが。
予定よりだいぶ長くなってます。
さて、そんなワケで色々とヤバイ状況です。

一応タイトルは『濃厚いちごホイップ』です。
ちなみに特に意味はありません。以上。
531 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/01(土) 13:40:13.14 ID:d.NQ1bk0
↑書き手には悪いが、正直な感想は気持ち悪くなった
使っている言葉も一部にしか解からない言葉だったり、無駄にエロく書こうとしているのを感じた
この書き方で書いていきたいならVIPをお勧めする
532 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/01(土) 17:05:57.20 ID:yIwP.Gc0
何か最近変なのいついてるな…

普通に面白かった
続きwktk
533 :名無し :2007/09/01(土) 17:57:27.58 ID:278yJZg0
http://s.z-z.jp/?kiwing_my_way3
http://girl.from.jp/mu/robom.cgi?nonono=8174
http://girl.from.jp/mu/robom.cgi?nonono=8175

wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
534 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/01(土) 19:06:39.56 ID:d.NQ1bk0
>>530
もしこのまま書き続けるのであれば、せめて妙な日本語をどうにかしたほうが良い
自分では納得しているつもりだろうが、読み手には伝わりにくい言い回し等が多すぎる
一言で言えば、この1話は作者のオナニー小説と言える

例えば、528の添削

「ふぅ・・・、出来た!」

オレの体にサラシを巻き終えた大輝は、額にうっすらと汗を滲ませていた。
鏡で確認してみると、お世辞にも上手いとは言えないが、しっかりとサラシは巻かれていて胸の膨らみは隠れていた。
サラシは生まれて初めて巻いたが、結構苦しいもんだな。

「ねえ翔太、今気が付いたんだけど、背も小さくなってるんだね」
「ん?」
「ほら、見て」

そう言ってオレの横に大輝が並んでみせる。
鏡で確認すると、確かに大輝のほうが2、3センチほど背が高かった。
[*これ以降の2人のやりとりは意味不明で必要性が感じられないが一応添削]
「ま、オレが女になった以上、そんなことは気にならないだろ?」
「そうだね、流石に僕と並んでいると違和感があるだろうけどね」(←なぜ違和感があるのか・どんな違和感か意味不明)
「確かに・・・。よし、大輝は今日からオレの半径2メートルに入るの禁止な」
「ええっ!?そんなの嫌だよぉ〜!」

オレの申し出を大輝は拒否し、おもむろに抱きついてきた。

「ちょ、大輝!抱きつくなって!」
「だって翔太の側を離れたくないんだもん」

大輝の体は意外と大柄で力が強く、なかなか振りほどくことが出来ない。
今までは大輝を弟の様に感じていたが、意外と男らしいところも・・・って何を考えているんだオレは!

「わかったわかった、ともかく離れてくれ!」
535 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/02(日) 00:48:18.57 ID:fFooFeE0
>>534
おまえの読解力のなさはわかったから二度と来ないでくれ
536 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/09/02(日) 01:55:07.20 ID:5q/g4QAO
>>534の人はもう少しちゃんと読めば?

双子設定だから身長差とか女性になった顔とかの違和感だろうに…
537 :534 :2007/09/02(日) 10:44:04.27 ID:DJ8CgPU0
>>535
この掲示板上で他人の閲覧及び書き込みを制限する権利なんてキミごときにはないよ(笑)
自分の意見と違う書き込みを嫌うなら、キミこそ二度と来ない方が良いと勧めておくよ(笑)

>>536
問題は、「僕と並んでいると」ってところにある、解かるか?
これは大輝から見た違和感ではなく、翔太または第三者が見たときに感じる違和感を指す。
もし大輝が違和感を感じたなら、「翔太と並んでいると」という書き方が正しい。
で、翔太が違和感を感じているのなら自分から言うだろうし、大輝のこの発言によって「そっか」と初めて気がついている。
そうなると第三者が2人を見て違和感を感じるという意味に捉えるのが適切であるだろう。
しかし、第三者が現状の2人を見て果たして違和感が沸くだろうか?
傍から見れば、ただの男女のペアだろう。
そこで、なぜ違和感を感じるのか?という問題に行き着いたのだ。
どうだろうか?この意見を踏まえてから、もう一度キミの意見が聞きたい。
538 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/09/02(日) 11:48:48.13 ID:YeQb7ngo
せんせー!
なんでアナタはそんなに上から目線でエラソーなんですか〜?
誰も添削なんてたのんでないですよぉ?
539 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/09/02(日) 14:40:35.00 ID:BWDZunQ0
>>531
お前こそVIPでやれ
540 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/09/02(日) 16:15:14.59 ID:5q/g4QAO
>>537
さらし云々から女になった事を隠そうとしてる。
つまり第三者からの目を気にしてる。

隠すと言う事は自分を知ってる人間にわからない様にするって事。
親に合宿行きを止められかねないって書いてあるだろう?
兄が縮んだ事に気が付いた様に、普段から二人を見てる人間には、縮んだ事がばれるかもしれない。並んだら余計に縮んだ事に気付かれ易いわけだ。双子だからな。

並ぶ事で親や知り合いに違和感を感じられると、合宿行きを止められかねないから離れてろって流れになるわけだ。

ちなみに「僕と並ぶと」って、「(弟が)僕(比較対象)と並ぶと」って意味だろうから間違いではないと思うぞ。

これでわかった?
もう丁寧に解説しないよ。
面倒だし、スレ違いだし、作者じゃないから見解の相違があって他の人に変な先入観与えたくない。
最後にもう一度、もう少しよく読んでくれ。

縮んだ事と並んだら違和感ってのが繋がらないとか言わないよな?ww



ところで作者はKOOLってわざとだよね?(´・ω・`)
541 :534 :2007/09/02(日) 16:33:01.02 ID:pGLB7iQ0
>>538
そう感じるのは、きっとキミがネガキャン真っ最中だからと思うよ(笑)
指摘をする度に「何で上から目線?エラソー」とか言われても困る(苦笑)
誰からも添削なんてたのまれてないですよぉ?(笑)

>>539
その理由を添えて、もう一度その言葉を聞きたいもんだぁ(笑)

>>540
なるほど、不可解だった点が解消できました。
貴方は他の住人に比べて筋の通ったレスをしてくれますね。
もしかして過去の作者様でしょうか?
そうであり、もし佐伯氏であるなら、貴方に対する今までの暴言を撤回させてください。
542 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/09/02(日) 17:10:34.39 ID:5q/g4QAO
>>541
過去の作者でもないし、佐伯氏でもない、普段はROMの単なる住人。

ただ、過疎で作者も少ないのに作者のモチベーションを下げる行為は少し控えて欲しい。
書く事は大変だろうし、どんな表現が好きかなんて人それぞれだから。

>>541が気に入らない作者や作品でも、それを楽しみにしてる住人がいる。
作者も好きで書いてるだろうが、やはり貶されていい気はしないだろう。

>>541が気に入ってる物事を貶されていい気はしないだろう?
特に理由もなく、気に入らないから叩くってのはやめた方が良いぞ。
自分の中で叩くなら、好きなだけすれば良いけどね。
543 :534 :2007/09/02(日) 17:34:18.29 ID:pGLB7iQ0
>>542
待ってくれ、理由もなく叩いているという部分については、大いに心外だ。
なんでオレが書き込みしているかは、その書き込みから「読み取れる」だろう?
理解はしなくても良いが、たとえ気に要らない書き込みだとしても意味くらいは汲み取って欲しい。
544 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/09/02(日) 17:57:06.43 ID:5q/g4QAO
私が気に入る気に入らない、>>543の意思を読み取る読み取らないは関係ないよ。
>>543の書き込みは私だけが見てるわけではないんだし。

少なくとも>>543は自分でも暴言と認める様な書き込みをしたわけだ。
そういうのを控えて欲しいと言っているんだ。

間違いの指摘と表現への意見をきちんと使い分けて欲しい。
545 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/02(日) 22:50:41.04 ID:YeQb7ngo
最高のタイミングで投下

テーブルをキレイにしよう!
http://vipmomizi.jog.buttobi.net/cgi-bin/uploader/src/6502.jpg
子猫を飼っているとこういうことがよくあって楽しい。
546 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/09/03(月) 01:13:27.42 ID:ZldmBlU0
熱くなってる中悪いけど二人とも頭冷やせば?
547 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/03(月) 01:23:02.36 ID:hezwLQgo
>>545の絵の2人に言ってるのかと思った。
548 :横長 [sage]:2007/09/03(月) 18:43:54.49 ID:K7pPzJ.o
「サラリー達は本当に、ほんっーーーーとーーーーうにっ!!ひっどいやつだ!!」
「悪かった! 悪かったって。だからそろそろ怒りを静めよう! な!」
 病院から帰る間、チャンプが病室での一部始終を見ていた俺達に対しブチギレだした。
 ぷりっぷりに怒ったチャンプの顔も愛らしくて、本人には悪いのだがつい口元が緩んでしまう。
「お見舞いに来てるなら来てるで、声かけてくれればいいじゃんっ!」
「そりゃ無理ってもんでヤンスよ。ねぇ?」
「そうそう。あの状況に踏み入るなんて、空気読めない奴しかできないっふ」
「……なら空気を読んで黙って帰ればよかったのに」
「ひでー。折角お見舞いに来たのにその仕打ち?」
「と、とにかくっ! 俺は怒ってるんだぁーっ!」
「あ、話そらした^^」
「大体デリカシー無さ杉だよ。最近みんなのこと見直してたのにな〜」
「まぁそうカリカリすんなって! それに委員長自身、大して気にしてなかったじゃないか」
「そんなことない! 委員長は俺なんかより繊細で、可愛くて、……その、とっても素敵な人なんだっ!」
「へぇ、まぁ知り合ったばかりだし、俺にはよく分からないな。……うむむむ」
「なんだよサラリー? いきなり考え込んだりして」
「……これは俺一個人の意見なんだけどな」
「?」
「委員長とやらよりも、チャンプの方が可愛いぞ^^」
「ほぇ?」
 一瞬何を言われたのか理解出来なかったチャンプだが、みるみる顔を紅潮させてゆく。
「なっ、んななななななぁ!!」
「なーなーなななー?」
549 :横長 [sage]:2007/09/03(月) 18:48:50.18 ID:K7pPzJ.o
今日ここ

所用でしばらく書けませんでした。いつの間にかスレが悪い意味で盛り上がってる……。
自分からしてみればどの作者もレベル高いし、学ぶべき点も多いっす。

>>545
GJ!ぬこ飼いたくなりますた
550 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/03(月) 22:58:00.24 ID:IAZRIqI0
GJ!続きが気になって夜も眠れません、ついでに夏休みの宿題も手に付きません(汗
551 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/09/04(火) 23:15:40.30 ID:EV.0Gic0
なんだろこの流れ・・・
やっぱ某スレとはジャンルも書き手さんの方向も微妙に違うんだよな。
HKOKって風呂敷がでかすぎて広げにくいぜ・・・
552 :横長 [sage]:2007/09/05(水) 20:55:41.47 ID:rs795Qgo
「な〜にバカなこといってんだぁーーーーーっ!!」
「「「うおっ!! 鼓膜破れるッ!!」」」
 不意打ち気味の可愛い発言に、チャンプは恥ずかしさのあまりバインドボイス【大】を炸裂させた。
「ふんっ! サラリーがバカなことばかり言ってるのが悪いんだっ!」
 叫んだ事により気分が落ち着いたのか、羞恥に染めたその表情は、次第に嘲るような下目使いになる。
「それにしてもさぁ、サラリーってデリカシーだけじゃなく女を見る目もないんだね。
 委員長の良さが分からないなんて、男としてどうかと思うな!」
「そっか? 俺じゃなくても大多数の人間はチャンプを選ぶと思うぞ〜」
「「俺達もサラリーに同感でヤンス&っふ〜」」
「デ ブガリコンビまでもかぁ……。みんな分かってないよ!
 委員長はね、可愛いさだけでなく料理の腕も最高なんだ」
「へえ。でも俺は委員長とやらの手料理食べたことないからなぁ」
「それに友達も多いし、クラスの皆から慕われてるんだっ!」
「チャンプ〜。そんなの分かりようがないっふ〜」
「それに、それにねっ……、、、、」
 突然チャンプの言葉が詰まる。
 チャンプはうつむきながら身体を震わせて涙を堪えていた。
 長すぎるダッフルコートの袖をぎゅっと握り締め、涙を見せまいと必死に耐えている。
「チャンプ……」

□今日はここまで□
553 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/05(水) 22:33:49.68 ID:B5F6J2s0
GJ!
554 :ここの書き手 [sage]:2007/09/05(水) 23:26:12.00 ID:.X1B.RY0
>>551
某スレについてkwwsk
555 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/09/06(木) 18:44:04.97 ID:ddgw0O20
>>554
向こうもみてるここの住人はけっこう居そうだし、下手に挙げると向こうに迷惑掛かりそうだけどな。
VIPの某スレだ。題材の都合で学園モノが多いのかと思ってたらそうでもなくてな。
「最近はそのSSそこの題材と関係なくね?むしろここでやってくれ」
みたいなのもちょくちょく見かけるな。私見だけど。
VIPの女体化SS投稿スレとしては間違いなく向こうの方が活気がある。

とりあえずニュー速VIPのスレ一覧からそれっぽいスレタイで検索かけるといいと思うよ

556 :横長 [sage]:2007/09/06(木) 19:14:01.93 ID:6wfpV5go
「ねぇサラリー……。俺、どうしたらいい? どうすれば委員長の傷を癒せるの……?」
「無理、だな」
 即答した。無い袖を振らないのが俺のポリシーである。
「そんな! 俺にできること、絶対あるはずだよ!」
「厳しい言い方になるがな、彼女が求めているのは男の頃のチャンプで、今のチャンプじゃない。
 それは自分自身で痛感してるだろ?」
「でも! このまま何もしないなんて出来ないよ。
 俺、委員長のためなら何だってするよ! 本気だからね!」
「チャンプの気持ちは分かるぞ。分かるがな。いくらその気になっても無理なものは無理だな。
 ……男に戻らない限り」
「それこそ無理だよ。俺が女になった原因すら分からないのに戻るなんて……」
「だな。つまり無理、ってことだ。まぁ彼女の傷は時間が癒してくれるだろうさ」
「でも、でもでも! ねぇ、おねがいだよサラリー! 
 俺、委員長に罪滅ぼししたいんだ! 委員長を傷つけたまま放っておくなんて、そんなの嫌だ!」
 上目遣いに俺を見上げるチャンプ。不安げな瞳は潤み、白い頬には涙が伝っていた。

□今日はここまで□
某スレはVIPの15、16歳まで童貞だったら女体化スレと思われる。
総じて作者のレベルが高く、ROM専の保守も多い。
557 :横長 [sage]:2007/09/07(金) 21:48:08.87 ID:zNBWSZ2o
 委員長は失恋の傷を、チャンプは女体化してしまった自分への罪の意識をそれぞれに抱え、
 それでもなお互いを思いやろうとする。その姿勢は美しいと思えた。そして悲しいとも。
「ぐすっ……。おしえてよ……」
 方法が無いわけではない。委員長に新しい恋人が出来れば丸く収まるのだ。
 だが、それには委員長がチャンプへの想いを断ち切らなければならない。
 先程の病室では、委員長は女になってしまったチャンプを拒絶しなかった。
 それだけでなく、チャンプを受け入れ、心配かけまいと明るく振舞ってみせていた。
 それは、委員長のチャンプへの想いが、チャンプとの関係が生半可なものではない証明でもある。
「おねがい……。えぐっ、ひっぐ……」 
 それにしてもチャンプは凄いな……。
 巧みに女の武器を使いこなし、俺の心を激しく揺さぶってくる。
 上目遣い、涙、懇願。女の武器をフルに活かした即死コンボ。
 打算や計算がない分、破壊力は天井知らずだ。
 こんなせつない顔されたら、ポリシーなんかかなぐり捨てて、無い袖振り回したくなってくる。
 気が付くと、いつの間にかデ ブガリコンビがチャンプの後ろから、
 『あ〜あ、泣〜かせた〜』とでも言わんばかりのジト目で俺を睨みつけていた。
 あれ? 俺、いつの間にかヒールに仕立てられてる?
「もういいっ! 俺一人でなんとかしてみせるからっ」
「ちょ、待てチャンプ! 今考える! 考えてるから!」
「サラリー、もういいよ。どうせ『無理』なんだろっ!?」
 涙の痕を残した頬をふくらませ、ぷいっと顔を背けられる。
 やばい、完全にヘソ曲げた。
 考えろ! 考えるんだサラリー! KUULになれ、平更利一(ヒラサラ リイチ)
 委員長への謝罪、委員長がもとめるもの、委員長の望む事……。
 そう、チャンプだ。男の頃のチャンプ。そして男のチャンプはもうこの地球上には存在しない。
 …………QUULになれ、平更利一(ヒラサラ リイチ)
 男の頃のチャンプ、女になったチャンプ。そして叶うことのない想い。それでも何か、何か方法があるはずだ……。
 ぽくぽくぽくチーン! ぽくぽくチーン! ぽくチーン!ぽくチン!ポクチン!ポクチンポクチンポクチンポクチンポクチンポクチンポクチン……
 頭の中でおぼろげにアイデアが浮かんでは消え、浮かんでは消えてゆく。そして──
「Eurekaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 もうこれ以上はない、そしてもうこれしかないアイデアが浮かび、俺は人目もはばからず快哉をあげた!!
 チャンプ達は、もういなかった。

□今日はここまで□
平更利一(ヒラサラ リイチ)はサラリーの名前です。
558 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/11(火) 22:26:52.76 ID:g8KFD7c0
wktk
559 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/14(金) 20:51:01.29 ID:eXR8s3w0
爆笑しますた
VIPの某スレが最近またにぎわってるようだね
560 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/16(日) 14:50:07.01 ID:UlMj1/U0
今北だが
シガレットが面白すぎる!
作者大変だろうけど続きwktkしながら待ってる!
がんがれ!
561 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/20(木) 18:59:43.52 ID:GUvYqgg0
過疎ってレベルじゃねーぞwwwwww
562 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/09/22(土) 21:50:49.22 ID:NHY.TWo0
なんでだろうな・・・HKOKより某所の設定の方がSS書きやすいきがするんだ
563 :VIPにかわりましてパー速からお送りします [sage]:2007/09/22(土) 22:18:35.52 ID:qRMAWWgo
まぁ縛りが少しあるほうが書きやすいとはいうな
564 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/22(土) 22:19:06.86 ID:5RmbbfM0
じゃ、書き手さんが来るまでの間
場繋ぎの為に何か書かせて頂こうかな
565 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/22(土) 22:37:39.02 ID:NVZcyZ.0
wktk
566 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/22(土) 22:57:46.18 ID:5RmbbfM0
「うはぁ、かわええのぉ。」

換気扇から漏れる外の明かりが、埃をキラキラと輝かせている。
暗い部屋にボンヤリ浮かび上がる、制服姿の女子高生。
何を隠そう、私は制服好きの23歳、ニートだ。

ああ、笑いたければ笑えばいい。
私もかつてはそちら側の人間だった、だからこそ君がどう思っているかは解る。
しかし、人の運命とは解らない物だよ。
成績優秀、将来有望と言われたこの俺が、この有様さ。
なぁに、脅迫とかじゃないさ。
ただ、君にもこちら側に来る権利、そして可能性があるって事だ。

「あーあ、俺がこんな可愛い女子高生だったらのぉ。」

じわりと脳内に染み出す妄想に五感を澄ます。
あまりにもリアルな風景は温もりすら感じられた。
567 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/22(土) 22:58:42.90 ID:5RmbbfM0
女子高生、きっと金には困らないだろう。
親からのお小遣い、男からのプレゼント
そして夜の仕事…。っと、これは少し違うか。
飛びっきりのお洒落に身を包み、夜の街を彷徨うんだ。
嗚呼、振り返る男達の視線が痛い。
たった一言で男達を狂わせるんだ、何て罪な女なんだ…。

「ねー、カノジョー!」

また、一人。
甘い香りに誘われた。
男とは、なんて単純な生き物なのだろうか。

「俺と、お茶しない?」

私は艶やかな唇から溜め息を漏らす。
そして、愚かな男に言ってやるんだ。



(  ゚Д゚)⊃旦 < 茶飲めやフォルァ!!



「…ああっ!何でここで顔文字がっ!?」

いつもと変わらない朝がまた、始まった。



読み切り小説〜Labyrinth love〜



ミーンミーンミーンミーンミーンミーンミーン

「あっぢいいぃいぃぃ…。」

止め処なく滲む汗を袖で拭う。
8月の日差しが容赦なく体力を奪っていく。

「や、やばい…このままじゃ……ライフがゼロに…。」


【||||      】ピコーンピコーン


揺れる視界。
霞みゆく景色の中で俺が最後に見たのは…。
568 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/22(土) 22:59:59.81 ID:5RmbbfM0
「だ、大丈夫ですか!?」


女子高生だった。


「心配無用でござるよ。」

【||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||】うぃーん

「きゃっ!?」
「それより、助けて頂いたお礼をしたい。」

小さな手を取り跪いた。
待ちゆく人々は白眼視していた、でもそんなの関係ねぇ。

「お礼って、私何もしてないですから結構ですよぅ…」

もじもじもじもじ
と、恥らう女子高生。
かわええのぅwwwwwwww

「いや、君が居なければ俺は二度死んでいた。」
「二度…ですか。」

少し微笑んだ彼女、手応えは悪くない。
このまま上手く事が進めば、念願の女子高生の彼女が!
毎日、制服でセクロス出来る!
落ち着け、落ち着いて考えれば問題ない。
『練習通り』のセリフを言えばいいんだ。

━━いける。
569 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/22(土) 23:02:22.92 ID:5RmbbfM0
「あの。」
「なんだい、女子高生?」

苦笑する彼女の唇からは、思いもしない言葉が漏れた。

「急いでますので、これで…。」

マズイ、待て、待ってくれ!
行くんじゃNEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEET!!!!

「ま、待ってくれ!!」
「はい?」

少し離れた場所で振り返った彼女。
こんなチャンスは、もう二度とないんだ。

確かに、人生は失敗だったかもしれない。
周りには馬鹿にされ、精神的に参ってしまって。
何をするのもバカバカしくなって、夢さえも諦めて。

でも、もう後悔はしたくないんだ。
だから………。


「セクロスしよう」
「はぁ!?ばっかじゃないの!?」


ばっち〜ん。


激しい音と共に、肩を揺らしながら視界から消える彼女。

「…いてぇ。」

まぁ、大人気ないと笑ってくれ。
俺は街中で大声を上げて泣いていた。

〜第一話完〜
570 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/22(土) 23:03:42.34 ID:5RmbbfM0
読みきりじゃなくなった…orz
三話位で打ち切るようにするので、見守ってやってください
571 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/23(日) 09:16:51.29 ID:8ZhhE.AO
そんなこと言わずに長々とやっちゃいなYo〜ww

何はともあれGJ!
572 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/26(水) 01:06:17.26 ID:0MJLYnU0
>>570ですが
ヤケドしない間に打ち切りとさせていただきます。
やはり、面白い物を書く自身が無くて…
始めるだけ始めておいて身勝手に打ち切って申し訳ございませんでした
573 :VIPにかわりましてパー速からお送りします :2007/09/26(水) 01:17:08.60 ID:0MJLYnU0
>>570ですが
皆様に楽しんで頂ける内容の物語を提供する技量が著しく欠けており。
大火傷しない間に、打ち切りとさせていただきます。
始めるだけ始め、身勝手に打ち切り大変申し訳ございませんでした。
574 :VIPにかわりましてパー速からトップ絵募集中 [sage]:2007/09/27(木) 23:05:18.48 ID:A6GdPu60
ええええええええええまだHKOKしてないのに
575 :VIPにかわりましてパー速からトップ絵募集中 [sage]:2007/09/27(木) 23:19:25.38 ID:yODnFvEo
>>570
なんだそりゃ・・・
あ?
576 :VIPにかわりましてパー速からトップ絵募集中 [sage]:2007/09/28(金) 00:11:46.66 ID:jkBTTq20
>>570
自分のやりたいようにすると良いよ
無理して書き込む必要はないし、掲示板にはそんな拘束性はないのだからね
それよりもROMしてる人の質が悪い気がする・・・
577 :VIPにかわりましてパー速からトップ絵募集中 [sage]:2007/09/29(土) 17:42:33.29 ID:/YyFFsMo
というか、本を読んだりするのも大事だけど
何よりも、下手でもどんどん書いて「完結させる」
これをやっていかないと一向に上手くならないぜ

とはいっても、書く書かないは個人の自由。
ちょっと書いてみたけど、話が気に入らないとかで
ゴミ箱にポイすることも結構あるしなww
578 :VIPにかわりましてパー速からトップ絵募集中 :2007/09/30(日) 02:22:00.04 ID:287f1Fko
そういうときは発表しなければいい。
ぶち上げておいて捨てるなんて冨樫といい勝負。
579 :VIPにかわりましてパー速からトップ絵募集中 :2007/10/02(火) 04:46:36.87 ID:A0woCBQ0
もっと書けばいいのに〜
580 :VIPにかわりましてパー速からトップ絵募集中 [sage]:2007/10/02(火) 21:52:55.32 ID:9.CIV/A0
>>570
「火傷が怖いから打ち切る」そう書き込まなければ叩かれる事なんかなかったんじゃないのかな?
書き手が楽しく書けるのも大事だけどな。自己満足になり過ぎないのも大事だし、
難しいところだよな。
別にぶち上げてポイな作品なんてそこら辺に山ほど転がってるし、気にする事ないさ。
どうせ逃げるなら「火傷が怖いから」よりも「風呂敷を広げすぎてどう畳めばいいか分からなくなったから」
のほうがいいんだよ。やっぱり。

581 :VIPにかわりましてパー速からトップ絵募集中 [sage]:2007/10/08(月) 23:35:47.57 ID:6pbutwAO
この遅さなら言える

ぬるぽ
582 :VIPにかわりましてパー速からトップ絵募集中 [sage]:2007/10/08(月) 23:57:20.00 ID:/ZbYdmU0
ガッ
583 :VIPにかわりましてパー速からトップ絵募集中 :2007/10/09(火) 18:35:47.80 ID:f1u./V.0
ぬるほ
584 :VIPにかわりましてパー速からトップ絵募集中 :2007/10/09(火) 22:42:50.85 ID:YtJmLwAO
カッ
585 :VIPにかわりましてパー速からトップ絵募集中 [sage]:2007/10/11(木) 18:53:16.32 ID:9H0GqXc0
思ったんだ。某スレみたいに安価でSS書けばいいんじゃね?と
586 :VIPにかわりましてパー速からトップ絵募集中 [sage]:2007/10/12(金) 23:58:27.35 ID:KoAK6SY0
なるほど
じゃあ>>587
587 :VIPにかわりましてパー速からトップ絵募集中 :2007/10/13(土) 02:46:36.73 ID:IQX2Nhs0
元男のお姉ちゃんと弟
588 :VIPにかわりましてパー速からトップ絵募集中 :2007/10/14(日) 02:53:15.03 ID:h9S6ukDO
>>585
俺その某スレでコテ酉もってるやもしれん
589 :VIPにかわりましてパー速からトップ絵募集中 [sage]:2007/10/20(土) 11:54:55.16 ID:ik1NNnU0
しなくていいけど保守
590 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/10/22(月) 00:59:02.71 ID:RvKENUA0
保守
591 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/10/24(水) 20:23:29.75 ID:xkFcMfU0
はしゅ
592 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/04(日) 16:50:44.01 ID:701LOls0
ほっしゃん
593 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/05(月) 02:06:39.97 ID:GzFRlYAO
>>587でちょっと書いてみる


弟「なぁ兄きぃ。」
兄「ん?なんだぁ?」
弟「今は一応女なんだからさぁ、もうちょっと女
らしく出来ないのか?」
兄「つい一昨日まで男だった俺に何寝ぼけたこと
言ってやがんだこのボケ!」
弟「でもさぁ、見た目かなり綺麗なのにがに股で
歩かれたりしたら嫌だろ。」
兄「うーん・・・・・なら俺が今日から三日間、
女らしく出来たら何でも言うこと聞けww」
弟「えぇ!兄貴には絶対に無理だろwwww」
兄「なにを!!」
弟「ってかこんなの賭けになんねぇよwwwwwwそれ
に、兄貴が負けたらどうするんだよ?」
兄「その時は、ずっと女らしくしててやるよww」
弟「いやいやいやいやいや!!!それこそ無理だろww」
兄「さぁー弟くぅーん!!その頭今すぐかち割っ
て差し上げますわぁ!!」
弟「兄貴キメェ(AAry)wwwwww」
兄「マジでテメェの短小包茎チ○コ引きちぎって
お前も女にしてやる!!!」



父「本当に仲がいいな。」
母「本当にねぇ。」



そんな休日の昼下がり
594 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/05(月) 02:31:52.34 ID:vORIhc.o
いいじゃない
595 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/06(火) 02:07:53.10 ID:YpCptYAO
ってか過疎りすぎだろww
596 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/09(金) 10:52:55.27 ID:EZwurYAO
友「で、だ」
男「ん?」
友「なんでそこまで冷静で居られるのか」
男「もともと女顔だしなぁ、普通にしてたら気にならなくないか?」
友「そんなもんか」
男「そんなもんだ」

友(んなわけないだろ! 何で平気な顔してんだよこいつ!!)

男「どうした? 顔赤いぞ」
友「何でもねぇよ」
男「まさか俺の魅力に今更気付いたか?」

友「……」

男「黙んなよ」
友「・・だ」
男「ん? 何か言ったか?」
友「そうだよ」
男「おいおい、マジかよ」
友「悪いか?」
男「昨日まで男だったんだぞ?」

友「だから何だよ、今の俺は女だぜ?」
597 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/09(金) 11:00:09.82 ID:EZwurYAO
男「……そーだな」
友「ちゃんとこっち見ろ」
男「見れない」
友「何で?」
男「んー、よく分かんねぇんだよ。どう接すれば良いのか、とかさ」
友「今まで通りで良いじゃねぇか」
男「でも今まで通りじゃない」
友「男だった時みたいに、女として扱え」
男「難しいな」
友「……」
男「んな顔すんなよ」
友「…………」
男「はぁ。分かったよ、努力する」
友「……頼む」

男(俺も男だからなぁ、どっかで間違いそうで怖いんだ……)
598 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/09(金) 11:08:26.46 ID:j35hMaM0
>>597
もともとガチホモだったのかwwwwww
599 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/09(金) 11:11:28.44 ID:EZwurYAO
二週間後

友「で、だ」
男「どっかで見た出だしだな」
友「うるせぇ。二週間も泊めてもらって何だが金とか大丈夫なのか?」
男「今更だな」
友「……さっき気付いた」
男「おせぇ。まぁどうにでもなるさ」
友「遅くて悪かったな。でも、なんか悪い」
男「今更だ、それに俺とお前の仲だぞ?」
友「それでも、悪いよ」
男「水くせぇ。立場が逆でも同じようになってたろ」
友「それは……多分な」
男「何だよ今の間。まぁ気にすんなって」
友「……」
男「はぁ。なら今までの分払ってくれるってのか?」
友「……払うよ」
男「どうやって? バイトにも行けねぇだろ?」
友「払う」
男「……」
友「俺のこと……」
男「待った、その先はなしだ」
友「っ、でも!」
男「良いんだよ、ニートでもやってりゃ。お前来てから部屋も綺麗だし」
友「でも……」
600 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/09(金) 11:16:35.44 ID:EZwurYAO
男「家に帰った時にさ」
友「うん」
男「誰かが待ってくれてるって、それだけで元気になれる気がするんだ」
友「……」
男「飯も美味いし、掃除洗濯はしなくても良い。最高じゃねぇか」
友「……そんなもんか」
男「そんなもんだ。な? お前が気にするようなことはないんだよ」

男(家にこんな可愛い女の子が居たら文句ねぇって、家事も完璧だしな)
601 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/09(金) 11:20:51.88 ID:EZwurYAO
>>598
いや、女顔からかったりしてたってだけ。
冗談でエスコートしてみたりね
友の方は女になったせいで錯乱気味
言うなれば刷り込みかな
女になって初めてまともに話聞いてくれたのが男みたいな
602 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/09(金) 11:25:24.57 ID:EZwurYAO
忘れてた
今日はここまでで
603 : ◆kQAPVSZN4E :2007/11/09(金) 11:48:01.21 ID:EZwurYAO
一応トリ
今更だが
604 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/09(金) 15:44:35.27 ID:S5aQM6M0
GJ!
605 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/11(日) 17:41:20.59 ID:SKyD.gDO
昔から、女性として生きてみたいと思ってた。
小学生くらいの時からずっとそうだった。
自分を重ねた漫画やゲームのキャラクターは半分以上女の子だった。
高校くらいの時にやっと疑問に思い始めたが、ずっと童貞で性欲溜まってて、それが歪んだものだと思ってた。実際女性の裸見て興奮はするし。

でも二十歳過ぎて社会に揉まれる機会もあって、やっと、違う事に気づいた。
エロ本やDVD見てて、ずっと俺は、男じゃなくて女性に自分を重ねていた。
そりゃナニ握ってシコれば気持ちは良いけどさ。

でも多分真性の性同一性とかではないと思う。
男の裸は興奮するけど好き好んで見ようとは思わないから。
それに、生活しててそんなに悩んでないから真性を名乗るのは本当に苦しんでる人に失礼だと思うし。


なんかいきなりな上に意味分からんカキコを許してくれ。
何となく、誰かに知ってて…最悪目に留まるだけで良かったんだ。
しちれいしやした。
606 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/11(日) 22:13:32.38 ID:f8sPJOMo
>>605
大丈夫、俺も似たようなもんだ。そこに書いてある部分だけみると全く同じ。
いやちょっとまて、俺か?ww

女装とかしてみたけど、ハタチ越えてどんどんオッサンになってく今はもう苦しい
結局ふつうのオッサンになるしかないんだわな。悩みが増えるばっかりww

ただ、声変わりが嫌で、だけど誰にも相談できなくて、
結局独学で女声曲歌えるようにはなったんだわ(下手だけど)。
んでニコニコとかで、女だろ?とか言われて喜んで、自我を保ってる状態ww

ひょんなことから女の子になればなー、そんな妄想を描きながらこのスレを見続ける………
607 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/11(日) 23:47:42.01 ID:rlVIBLEo
こういうスレだとそんな感じの話よくでるな
自分は別の理由でこういう展開が大好きだけどね

なんとなくお題くれ↓
608 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/12(月) 00:29:27.40 ID:7gXJykDO
何かもう返事どころか話題に普通な反応でふれてくれるだけで嬉しいな。ありがとう。

お題なら「寝顔」で頼む
609 : ◆kQAPVSZN4E :2007/11/12(月) 22:07:11.36 ID:xoid2cAO
一週間前

友「で、だ」
男「どうした?」
友「野郎二人でこんな時間に何してんだろうな」
男「そりゃ……何もしてねぇな」
友「お互い寂しい者同士ってのは分かったよ」
男「俺はそうでもないかな」
友「……初耳なんだが、まぁ邪魔しちゃ悪いし今日は帰ろうかな」
男「いや、そういう意味じゃねぇよ」
友「じゃあどういう意味だよ」

男「……お前と居たら何となくな」

友「俺にそんな趣味はねぇ」
男「いや、俺もそうなんだが……あー、何て言えば良いかな」
友「知らねぇよ」
男「だろうな」

男(何となく、男って感じがしないんだよな)

友(何考えてんだか。でも、こいつになら……)
610 : ◆kQAPVSZN4E :2007/11/12(月) 22:15:45.19 ID:xoid2cAO
三日前

男「珍しいな、お前から呼び出しなんて」
友「そんなこともあんのさ」

男「で、どうしたよ?」

友「うん……」
男「……はぁ、まぁ話したくないなら良いけどな」
友「……すまん」
男「気にすんな、話したくなったら話してくれりゃ良いさ」

友「なぁ、男」
男「ん?」
友「最近気付いたんだけど、俺さ」
男「どうした?」

友「女に、なりてぇのかも」

男「……十分女顔だけどな」
友「そういう話じゃねえよ!」
男「分かってるよ」
友「分かるかよ」
男「分かるさ」
友「分かんねぇよ!」
男「……」
友「……すまん」
男「気にすんな」
611 : ◆kQAPVSZN4E :2007/11/12(月) 22:23:13.60 ID:xoid2cAO
男「落ち着いたか?」
友「……多分な」
男「そうか」
友「なんか、すまん」
男「だから気にすんなって」
友「……」

男「多分、無い物ねだりだよ」

友「……」
男「俺にもそういう時期あったしな」
友「そう、なのか?」
男「まぁお前程悩みはしなかったけどな」
友「……」
男「でもまぁ、お前が女になったら嬉しいかな」
友「どういう意味だよ」
男「別にー」
友「……」
男「あんま思い詰めるなよ」
友「……努力する」
男「無駄な努力だな」
友「うっせ」
男「ようやく調子出てきたか?」
友「うぜぇ」
男「ひでぇwwwwwwwwww」

友「……ありがとな」

男「気にすんな」
612 : ◆kQAPVSZN4E :2007/11/12(月) 22:25:51.70 ID:xoid2cAO
ひょんなの子化当日から見た時差なんでよろしく

>>605
実は俺もそんなところあったり
なかったり

実際あるからこんなの書いてるんだろうけどね
613 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/12(月) 22:31:56.99 ID:xoid2cAO
忘れてた
今日はここまでで

あとwwが二倍になるのも忘れてた
614 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/12(月) 22:39:38.44 ID:W.i69k20
GJ!
615 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/14(水) 23:25:28.06 ID:2WsFiYU0
しばらくここ来れなかったけど、久しぶりにみたらそこそこ盛り上がってて嬉しい

ずっと前に中断していた物語書きたいけど、◆kQAPVSZN4E さんの邪魔にならないかが不安
616 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/15(木) 07:34:34.27 ID:VbsmE6AO
邪魔な訳ないじゃない
良いから書くんだ
トリにこなあああああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいいいいいって入れてたら使えなくなった訳だが
617 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/15(木) 08:27:31.65 ID:j2r8vrQ0
http://p.pita.st/?ce6msxve
618 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/11/15(木) 21:14:54.34 ID:/NpSYrE0
>>616さんの言葉を有難く受け取り、『星のない空の下で』の続きを書こうと思います
話の途中からになるので内容知らねーよという方は
http://www12.atwiki.jp/hyon/の作品→◆wjOmYNm0Aw へ
それでは第8章を書いてきます

それと、第6章の第3話が抜けているので、他力本願だとは思いますが編集出来る方宜しくお願いします・・・
619 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/15(木) 22:14:37.07 ID:T3lB5mY0
wktk
620 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/11/16(金) 00:16:21.07 ID:sXXy9/U0
明らかに以前より書く速度が落ちている・・・
今日はこのくらいにして(と言っても一つも投下していませんが)
抜けているEP2第6章の3話と続きとなる第7章の第3話を投下します
それでは失敬
621 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/11/16(金) 21:04:28.28 ID:sXXy9/U0
えっと、9章がそろそろ終わりそうなので6章3話を投下することにします
622 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/11/16(金) 21:05:42.66 ID:sXXy9/U0
第三話

トモ「まぁ勇人の家も流石と言えば流石だよな」

勇人「僕の親があんなに豪快だったとはな。思ってもいなかった」

優「いやー、ホント有難う。とても感謝してるよ」

感謝されてもあまり嬉しくないな・・・

鈴「優さんー、はやく行こうー!」

遠くから鈴の声が聞こえる。どうやらもう滑りに行くらしい

優「あ、ごめん。じゃあ僕は行くね」

勇人「ん、怪我するなよ」

優「大丈夫、大丈夫ー」

そう言って優は鈴のほうへ走って行く。僕とトモ二人だけが残った

トモ「じゃあ俺たちも行くか。そろそろ時間っぽいしな」

勇人「よし、スキーとか久しぶりだからな。オラワクワクしてきたぞ」

というわけで外に出てスキー開始
623 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/11/16(金) 21:06:45.33 ID:sXXy9/U0
数時間経過、一日目のスキー終了。現在、食堂にて夕食タイム

勇人「つ・・・疲れた」

物凄い勢いで疲労が溜まっている。正直、死にそうである

トモ「勇人ー、お疲れ様。どうだった?」

隣にいるトモが話しかけて来る

勇人「正直、ヤバいです。ハイ」

トモ「明日は一日中、明後日は午前中、また滑るんだけど。大丈夫なのか?」

大丈夫じゃないかもね。いや、マジで

勇人「これは予想外だった。まさかここまで体力の必要なスポーツだとは・・・」

トモ「ははっ、まぁ頑張れや。俺はまだまだ余裕だし」

勇人「そうかい。とりあえず僕はもう部屋戻るぞ」

トモ「おう、後でお前の部屋遊びに行くからな」

勇人「却下。疲れすぎて死にそうなんだ」

トモ「冗談、冗談」

というわけで部屋に帰還。だが部屋の扉を開けた瞬間
624 : ◆wjOmYNm0Aw :2007/11/16(金) 21:07:05.65 ID:sXXy9/U0
勇人「ぐはっ!」

一瞬何が起きたのか分からなかった。冷静に状況判断すると、どうやら僕の顔面に何かがぶつかったらしい

委員長「おっ、勇人遅いぞ!今盛り上がりレベルMAXだ。それに我が軍が劣勢だ。助けてくれ」

何だ何だ?と思って部屋の中を見ると、恒例のマクラ投げバトルが繰り広げられていた

勇人「疲れてるけど・・・とりあえず僕も参戦するぜえええええ!」

委員長とタッグを組んでバトル開始

クラスメイトA「甘いぞ!秘技:ファイブピローズ!」

マクラが星の形になって5個一気に飛んでくる。これを全て避けるのは困難。ならば

勇人「チャンスガード!」

布団の端をめくって、自分の前に壁をつくる。ぶつかったマクラは力なく地面に落ちて僕の武器となる

勇人「反撃。くらえ、五花月光斬!」

相手5人に向かってマクラを投げつける。全員HIT

勇人「完璧」

委員長「流石だな、兄者」


結局その後もバトルが続き、見回りに来た先生に怒られて僕たちは就寝した
625 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/17(土) 15:11:17.98 ID:1jckYQI0
乙!
626 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/26(月) 22:17:10.88 ID:6cDIr6AO
ていうか早くまとめ更新して欲しいぜ
627 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/27(火) 15:32:32.44 ID:6Ba/ONI0
言いだしっぺの法則
628 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/28(水) 13:03:22.36 ID:Ex6FDYDO
携帯からできるのなら俺やるよ?
629 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/30(金) 17:37:27.54 ID:n7n4WEU0
このスレ終わったのか
630 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/12/01(土) 01:55:21.74 ID:cllKBcSO
まだだ!まだ終わらんよ
631 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/12/05(水) 00:25:36.95 ID:9KWM67c0
書き込めるかテスト
632 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/12/05(水) 21:40:12.98 ID:zAPv6MAO
何度でも蘇るさ!
633 :佐白 [sage]:2007/12/09(日) 00:44:48.31 ID:Gddp6lQ0
『シガレット→しがれっと』第七話

いつもと変わらない朝、いつものように目を覚ますと、見知らぬ美女が同じ布団の中で寝息を立てていた。
いや、この女には見覚えがあった。俺は寝起きでぼやけている思考をなんとか稼動させて記憶を探る。
そうだ、昨晩にいきなり現れた”違う世界”の人間、タカサ・サクヤさんだ。
あまりにも非現実的な彼女の発言を、どうやら俺は無意識の内に夢だと思い込んでしまったようだ。
そう、夢なら良いのだが、視線を下に向けると、あるはずのなかった自分の胸の膨らみが嫌でも目に付く。
とりあえず、なんで彼女がここで寝ているのか聞かないといけないな。
「カグヤさん、起きてくれ」
「ん・・・。もう少し・・・寝かせて・・・すぅ」
そういって、カグヤさんは布団に包まってしまった。
昨日は口調からして厳しい性格の人かと思っていたが、案外子供っぽい所もあるんだな。
「おい、朝起きたら詳しい説明してくれるんだろう?というか、この家に泊まるなんて一言も言ってなかったじゃないか」
しかし、俺がいくら話しかけても返事はなく、安らかな寝息しか聞こえてこない。
カグヤさんはまったく起きる気配がなかった。こうなった最終手段を執るしかないようだ。
俺は布団の端を掴んで思いっきり引き上げた。
「喰らえ!必殺布団剥がし!」
すると、角度が付いた布団からコロコロと転がる様にカグヤさんが布団から出てきた。
「痛ぁ!いてて、一体なんなのよ、もう」
何が起こったの解からず困惑しているカグヤさんと目が合った。
「昭人、アンタなにしたのよ!起こすならもっと優しく起こしなさいよ!これだから童貞は・・・」
童貞・・・その言葉に何か言い返すべきだったが、俺は目の前のショッキングな出来事に声を失っていた。
「何さっきから呆然と立ってるのよ・・・ん?」
カグヤさんもやっと自体が把握できたらしく、ピシィっと音を立てて硬直した。
本当なら目を逸らすのが紳士というものだろうが、童貞の俺は彼女の体から目を離せなかった。
予想外なことに、彼女は正に布団から「生まれたままの姿」だったのだ。・・・・・・誰が上手いことを言えと。
「いつまで見てんのよアンタは!」
目にも留まらぬ速さで、カグヤさんのハイキックが俺の顎にクリーンヒットし、そのまま俺は気を失った。

意識が薄れる中、俺は確かに天国を見た・・・。
634 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/12/09(日) 01:51:32.85 ID:VQbTE9g0
お久しぶりです!
635 :佐白 [sage]:2007/12/09(日) 02:01:41.56 ID:Gddp6lQ0
「つまり、シャワー浴びるだけじゃ飽き足らず、勝手に冷蔵庫を漁って買い置きのビールを全て飲んだ挙句に、酔っ払ってそのまま全裸で寝た、と?」
「はい・・・、その通りです」
思いっきり蹴られ、じんじんと痛む顎をさすりながら、俺は着替えが済んだカグヤさんに経緯を訊いていた。
「こっちとしてはやっと一息つけて、お酒の一杯でも飲みたい気分だったのよ」
カグヤさんはさっきまでしおらしかったのに、段々逆ギレ気味になってきた。
「俺はね、カグヤさんはクールでしっかりした性格の人だと勘違いしてたよ」
「何よそれ。私だって世界は違えど、殆どアンタと同じ人間なんだからね」
確かに、俺だって羽目を外す時もあるし、これ以上彼女をきつくは怒れないな。
「それでも、勝手に他人の家の冷蔵庫は漁らないだろ・・・。別に一言言ってくれれば付き合ったのにさ」
「ふん・・・、部屋に戻ってきたら気持ち良さそうに寝てたのは誰よ・・・」
「うん?なんだって?」
「何でもないわよ!」
よく解からないが、どうやら機嫌を損ねてしまったらしい。単純なマキは例外として、女というのは難しいな。
とにかく、昨夜の話─俺がカグヤさんを手伝うという話について知りたかった俺は、とりあえず訊ねてみた。
「ああ、協力・・・。そうだったわね、その話をしておかなくちゃね」
今までの態度から一転、カグヤさんは昨夜同様に凛とした態度に戻った。お仕事モードとでも名付けておこう。
「とりあえず、昭人にやってもらいたいのは普段通り生活してくれればいいわ」
「へ?なんだそりゃ!」
「言葉の通りよ。あいつはコレを熱心に研究してたみたい。きっと昭人の存在を今頃嗅ぎつけて、その内何らかの接触を昭人にしてくると思うの」
カグヤさんは、机の上にそのまま置いてあったあのタバコのような箱を大事そうに手に取った。
「あいつを逃がした今、残る手がかりはこれと・・・昭人、アンタよ」
「せ、接触って、具体的にはどんなことをされるんだ?」
そのとたん、カグヤさんの顔が険しくなったのを感じ、俺は言ってから後悔した。
「そうね・・・。物が物だけに、遠くからの観察だけというわけには行かないでしょうね」
カグヤさんは数秒目を閉じて何かを考えてから口を開いた。
「サンプルの採取をしに来るのは、まず間違いないでしょうね」
「サンプル?」
「これを使って体質が変わった、彼の研究の中で予想外のサンプル。つまり、昭人自身の事よ」
背筋がゾッとした。つまり、俺自身が得体の知れない奴に狙われるということなのか?
その時、ピピピと聞き慣れない電子音が彼女の上着から発せられた。
「あ、本部からの通信だわ」
そう言って、カグヤさんは上着から携帯のような物を取り出して、画面を見始めた。
それにしても、俺の生活はこれからどうなってしまうのだろうか。まさか女になるばかりか、生命の危機に発展するとは・・・。
「お待たせ、本部から新しい指示がでたわ・・・」
本部からの通信を読み終えたであろうカグヤさんは、明らかにテンションが沈んでいた。
「いやに暗い表情だけど、何かあったのか?」
そう訊ねると、はぁ〜と重いため息を吐かれた。一体どうしたというのだろうか?
「不本意だけど、本部からの指示だし仕方ないわね・・・」
「だからどうしたのさ?」
「本部から私だけ本隊から別行動で、アンタを守れとの指示よ」
それが何で暗くなるのか、まったく理解できない俺に向って、カグヤさんはビシッと人差し指を指した。

「つまり、24時間!この家に下宿しつつ!いつでもアンタの側から離れずに、危険からアンタを守ってあげるってことよ!この私が!」
要約すると、同棲するって事か・・・って─
「何だってぇぇーー!?」
636 :佐白 [sage]:2007/12/09(日) 02:04:55.64 ID:Gddp6lQ0
今日はおしまいです。やっと書き込めました。(原因不明のエラーのせいで、今まで書き込めませんでした)
今更なので数ヶ月前のレスに関してはノーコメント・ノータッチの方向でいきます。
637 :佐白 [sage]:2007/12/10(月) 01:24:43.64 ID:n.oxu8k0
父さんとマキをリビングに呼んだ。二人とも何事かと言いたげな顔をしつつソファーに座って俺の言葉を待っている。
「実は、2人に頼みがあるんだ」
「頼み?どうしたんだそんなに畏まって」
俺はドアに向って声をかけた。それに応じて、リビングにカグヤさんが恐る恐る入ってくる。
リビングに緊張が走り、父さんとマキは見知らぬ女性の登場に困惑した様子だった。
「昭人、このお嬢さんは?」
「アキ兄ぃ・・・まさか子供が・・・」
「ば、ばか!」「なにぃ!」
マキの斜め上を行く予想に、俺と父さんは同時に声を上げた。
「そうなのか、昭人!?」
「違う!違うよ!この人はタカサカグヤさんといって、今は訳あって家に帰れないから、暫く家に居させて欲しいんだ」
父さんは一先ずほっとした様子を見せたが、すぐにカグヤさんを心配そうに見つめた。
「お嬢さん、いや、タカサさん。昭人とはどういった関係なのかな?」
父さんの問に、カグヤさんはしっかりと正面を向いて返答した。
「将来を約束した仲です」
「ちょっと待て!なんだそれは!?」
予定にはなかったとんでもない発言をしたカグヤさんは、声を上げた俺には一目もくれずにずっと二人を見つめたままだ。
「なるほど、それなら問題はないか」
「父さん!?何を─」
「見ての通り、息子は今こんな姿だが、それでよければいつまでもこの家に居てくれて構わないさ」
「ありがとうございます、お父様」
どう考えても営業スマイルなカグヤさんは、既に父さんと馴染んでいる。
父さんも父さんで、たったこれだけの会話で何かを勘違いしたのか、一人納得している様子だ。
「お父さん!」
そんな中、マキが急に大声を上げた。今まで黙って話を聞いていたマキだが、やはりこの異様な展開に納得できないのだろう。
「もう部屋は余ってないんだから、カグヤさんはマキの部屋に泊まってもらうんだからね〜」
「・・・は?」
「マキね、実はこんな美人なお姉ちゃんが欲しいって思ってたの〜」
マキは目をキラキラさせてカグヤさんを見つめている。マキの反論に期待した俺が馬鹿だった。まあ反論されない方が良いのだから問題はないが。
「マキちゃん・・・だったかしら?よろしくね」
「カグヤお姉さまぁ〜」
予想していなかった超展開に唖然としていると、父さんがポンっと俺の方に手を置いた。
「なあ、昭人」
「父さん?」
「今までお前から女性の気配を感じられなかったが、裏では上手くやっていたんだな」
はいはい、どうせ俺は彼女居ない暦イコール年ですよ。しかもカグヤさんとの事は嘘だから現在進行形だしね。
「男として、責任は・・・取るんだぞ?」
「は、はい・・・」
肩に置かれた父さんの手は痛いぐらいに力が篭っており、俺は素直に頷くしかなかった。
こうして、カグヤさんが加わり、我が家は数年ぶりに4人で生活することになった。
638 :佐白 [sage]:2007/12/10(月) 02:09:52.50 ID:n.oxu8k0
とある町の外れに位置する、今はもう人々から忘れられた病院の廃墟に、一人の男が足を踏み入れた。
昼間だというのに建物の中は真っ暗な闇が広がる空間になっていた。そんな中、彼は迷うことなくとある部屋に向かい足を進めた。
彼はもうこの建物に数年通っている。闇によって視界がなくとも、目的の部屋までのルートは体が覚えているのだろう。
彼は開業していた頃は存在しなかった地下へ続く階段を黙々と下りていく。
そして、どれくらい地下に来たか解からないくらいの所で、階段は終わっていた。
目の前には、暗闇の中に青白く光る板のようなものが浮いている。彼はそれに自分の掌を合わせた。
すると、重たいものを引きずるような音を立てながら、目の前の壁は横にスライドし、隠し通路が現れた。
彼はその通路に入って行った。また音を立てながら、壁が元に戻る。
その通路を抜けると、暗闇から一転、蛍光灯の光が彼を迎えた。
その部屋は様々な機器やら道具が存在し、壁に埋め込まれている大きな試験管の中には人間の死骸が何かの液に漬けられて保存されていた。
死骸は全て彼がこの町の墓場から取ってきたものだった。
この町の風習で、死体は焼かずにそのまま生めるのだが、そのことを彼の依頼主は狂ったように喜んでいたのを、彼は覚えている。
「どうだった?」
何かの実験機器の陰から、背中が曲がり顔を垢で真っ黒にさせた男─彼の依頼主が姿を現した。
「アレは見つかったか?」
「いいえ、やはりあの夜我々を追っていた捜索隊員の手に渡ってしまったと考えるのが良いかと」
「そうか・・・。まあ良い、また作れば良いだけの話だ。それよりも、問題はあっちの方だが・・・、あったか?」
「はい、流石に数年立っているので状態はあまりよくないですが、間違いなく貴方が探していた物です」
「おお、そうか!早く、早く見せてくれ!」
彼は背負っていた巨大なカバンを大きな机の上に置き、丁寧に開いて中身を取り出した。
その取り出したものを一目見て、男は大笑いをし始めた。
「くくく・・・ははははははは!これだ!これこそ私が求めていたものだ!これで、条件はほぼ揃った!やっと・・・、やっと!」
狂喜する男を尻目に、彼は声をかけずにこの部屋から出て行った。
彼は思う。自分のしていることは正しいことなのかと。
しかし、すぐにその考えを止めた。彼はなんであろうとやらなければいけないのだ。
彼自身、実現させたい事があり、その為にはあの男の手を借りなければいけないのだから。
彼は廃墟から外に出ると、そのまま自分の居場所に帰っていった。
639 :佐白 [sage]:2007/12/10(月) 02:12:38.09 ID:n.oxu8k0
『シガレット→しがれっと』第七話 終わり

次回から数話は本筋から離れ、昭人の大学が新学期を向かえラブコメ的な話をし、その後本筋に戻ります。
本筋のコンセプトはシリアスなので、それを忘れずに読んで頂ければ良いと思います。
萌えだけ希望の方は、お手数ですが私の書き込みをNGに設定するなりしてください。
それでは、また次回に続きを書かせていただきます。
640 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/12/10(月) 02:43:21.45 ID:O5YVEfQ0
乙!
641 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/10(月) 03:27:51.97 ID:orz/56AO
記念パピコ
642 :佐白 [sage]:2007/12/11(火) 00:55:48.23 ID:PYx64SU0
『シガレット→しがれっと』第八話

春休みももうすぐ終わりに近づいていたある日、カグヤは呼び出しがあったと一言メモを残して朝から姿を消していたが、夕方くらいになってふらっと戻ってきた。
「昭人、アンタにプレゼントよ」
「へ?うわっと!」
カグヤは帰ってくるなり、いきなり俺に何かを放り投げた。それを何とかキャッチをし、確認する。
「・・・タバコ?」
渡されたものは、見たことも無い銘柄だが、確かにタバコのようなものだった。
「そう、アンタ最近タバコ吸ってないでしょ?だから特別にプレゼント」
確かに、俺は女になってしまってからというものの、服やら身の回りの物への失費が重なり貯金すら尽きかけていたため、節約生活を強制されていたのだ。
しかし、急にカグヤがプレゼントなんて・・・何か怪しいものを感じてしまう。
それと補足だが、この家にカグヤが正式に居候することが認められた日に、カグヤから「さんは不要よ」と言われているため、その日からは呼び捨てをしている。
「ん〜、なんだか怪しいなぁ」
「あら、怪しいとは失礼じゃない?女の子から折角のプレゼントなのにそんなことを言うなんて」
「女の子・・・ねぇ」
その言葉を聞いて、カグヤは一瞬はムッとした顔をした。
しかし、俺としてはカグヤを女の子としては見れないのは事実だった。彼女は「子」と呼ぶには大人しく美人すぎるのだ。
「ま、折角の好意だし、ありがたく受け取っておくよ」
「あれ?今吸わないの?」
ポケットにタバコをしまおうとすると予想外に呼び止められた。
「ん、今はそんな気分じゃないというか、この姿になってから吸いたい気が起こらないんだよ」
「良いじゃない、今吸ってみてよ」
そんなに言うなんて、よっぽど自分のプレゼントしたものがちゃんと使ってもらえるかが気になるのか。
「そこまで言うなら」
それは箱を空け(なぜかビニールで封はされてなかった)、慣れた手つきで一本取り出した。
机の上に置きざりにしていたライターを手に取り、咥えたタバコに火をつける。
「すぅ〜・・・、はぁ〜・・・」
一瞬、頭がクラっとした。ヤニクラだ。久しぶりに吸うのに、以前のように一度に一杯吸ってしまったからだろう。
「どうかしら?」
「ん〜、不味くは無いね」
「そうじゃなくて、体に異変とかない?」
「少しクラっとしたくらいだ。それも特に問題は無い現象だから」
「そう、クラっとしたのね・・・」
その時、確かにカグヤは妖しくにやりと微笑んだのを俺は見逃さなかった。
そして次の瞬間、俺の視界はブラックアウトし、その場に倒れこんだ。
643 :佐白 [sage]:2007/12/11(火) 01:22:38.75 ID:PYx64SU0
「・・・ん」
目を覚ますと、見慣れた天井がそこにはあった。
俺はいつの間に寝ていたのだろうか。そもそも、寝る前の記憶がぼやけていて思い出せない。
それにしても、体が締め付けられるような、異様な窮屈感がしていた。
俺は布団をめくって原因を確認してみて、驚いた。
「元に戻ってる・・・。は、ははは!夢じゃない!体が元に戻ったぞ!」
古風にも頬を抓って現実を確認しながら、思わず歓喜の声が漏れてしまった。
そう、何があったか知らないが、俺の体は本来の男の体に戻っていたのだ。
そのせいで、女物の服がきつくなり体を締め付けていたのだ。
着ていた服を脱ぎ捨てると、タンスにしまってあった着慣れたスウェットを取り出して早速着替える。
ブカブカじゃない。本当に元に戻ったのだと再確認する。
俺は急いでカグヤを探した。当の本人はリビングでマキと共にテレビを見ていた。
「なあ、見てくれ!男に戻ったぞ!」
しかし、2人の反応は思ったよりよくなかった。
「へ〜、良かったねアキ兄ぃ」
「そうか、無事成功したのね」
マキの淡白すぎる態度も気になるが、カグヤは今「無事成功した」と言わなかったか?
まさか・・・。
「なあ、カグヤ。俺に何かしたのか?」
「タバコをプレゼントしたわ。それだけ」
「まさかそのタバコは・・・」
「ええ、私の世界の政府が設けた例のアレの研究チームが作ったものよ。以前頼んでおいたそれがやっと届いたのよ」
なるほど、つまりカグヤは俺の体を元に戻すために、裏で手回しをしてくれていたのか。
「ちなみに、それは試作品だからすぐに元に戻るかもしれないけどね」
「はぁ?なんだそりゃ!かも知れないってどういうことだよ」
「だって、アンタ以外にそのタバコを実験する相手はどこにも居ないもの」
なるほどと納得はできるが、つまり俺は未知な薬の実験台にされていたのか?
「でも良かったじゃない。念願の男に戻れて─」
バシッ─
俺の平手がカグヤの頬を叩いた。
カグヤは何が起きたのか解からない風に、ただ唖然と赤く染まりだした左頬に手を添えていた。
「この・・・馬鹿野郎!」
俺はそう言い捨てると、咄嗟に家から飛び出した。
カグヤに悪気はあったかどうかは俺には解からない。
だけど、些細なことでも彼女に騙されていたという事実は、今の俺にはすごく辛かったのだ。
だって、彼女が嘘を吐く人間なら、彼女が今まで話してくれた話の中に嘘があるかもしれないじゃないか。
今の俺にとって、彼女の言葉を信じるしか術はないというのに、それはあんまりにも・・・酷いと感じた。
闇雲に走り、そろそろ体が疲れたと悲鳴をあげその場に立ち止まると、タイミングを見計らったように雨が降ってきた。
雨は次第に強くなっていく。しかし、あたりには雨をしのげるような場所は無かった。
そして、何の前触れも無く俺の体は女に戻ってしまった。
644 :佐白 [sage]:2007/12/11(火) 01:52:16.84 ID:PYx64SU0
びちょびちょに濡れて冷たく、そして雨を含み重くなったスウェットのズボンをずり上げながら、俺は土砂降りの中、当てもなく無く彷徨っていた。
冷静に考えれば、カグヤはカグヤなりに頑張ってくれたのだろう。
何も言わずにあの試供品を俺に吸わせたのだって、多分照れくさかったのだろう。
数日共に生活をしてきて、彼女には少しあまのじゃくな所があるとわかっていたのに、俺と言う奴は・・・。
まさか、この年になって女性に手を上げるなんて、俺は最低な男だ。いや、今は女か・・・。
「はは・・・」
どうしようもない自分に思わず嘲笑ってしまった。
雨のせいで、段々と体温は下がっていき、ガクガクと体が無意識に身震いをし始めた。
「寒い」
ついに俺はその場でうずくまってしまった。もう一歩も動けなかった。
このまま死ぬのだろうか?いや、人間そこまで弱くは無いだろう。しかし、死んだほうがマシなのだろうか。
不毛な考えが俺の頭の中で堂々巡りしていた。その時、俺の周りだけ雨が急にやんだ。
「こんなになってまで、何ですぐ戻ってこないのよ・・・ばか」
すぐ後ろから、今俺が一番顔を合わせ辛い人の声がした。恐る恐る振り返ると、やはり彼女が傘を差して立っていた。
「昭人、ごめんなさい!辛いのはあなたも一緒なのに、つい甘えて、酷いことしちゃって」
カグヤは、そう謝りながら初めて俺の前で涙を流した。ぼろぼろと、止まるのか心配になるほど泣いている。
普段の行動からは予想できないほど心は繊細なんだ、彼女も俺も。そう思った。
だから、俺は立ち上がって彼女の手を握った。とても暖かかった。
「・・・帰ろう、カグヤ」
「うん・・・、うん・・・」
カグヤのほうから迎えに来てくれたのに、今度は俺がカグヤの手を引いて帰ることになった。
ブカブカでびしょ濡れな服を着た小柄な少女と、その子に手を引かれて泣きながら歩く美女。
すれ違った人はその光景を見ては何事かと思っただろう。
遠くのほうに我が家が見えてきた。その時、散々に降っていた雨はピタリと止み、曇天の隙間から眩しい光があたりを照らし始めた。
幸先は良い。もう後ろ向きに考えるのはやめよう。
俺は、繋いだままの手に少し力を加えた。すると、カグヤもそれに答えてか握り返してきた。
カグヤとの距離が少し縮まった、そんな気がした。

「体冷えたし、一緒に風呂に入るか?」
「・・・調子に乗りすぎよ」
645 :佐白 [sage]:2007/12/11(火) 01:54:29.75 ID:PYx64SU0
『シガレット→しがれっと』第八話 終わり

2夜連続更新。書けるとき書いておかねばという感じです。次はいつかわからない、それが私のスタイルです。
それでは、また次回。
646 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/12/11(火) 22:40:13.05 ID:c8Xsnjg0
GJ!
647 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/12/13(木) 05:36:13.93 ID:PF19Z9E0
まとめの更新半年くらいとまってるなww
648 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/12/15(土) 00:00:12.14 ID:YEh84O60
編集・更新をどうやってして良いか解からない人が多そう
簡単なガイドラインとか作ると良いかも
例・このページのフォントは○○で・・・みたいな
649 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/12/15(土) 00:46:14.75 ID:vpigfr2o
http://www12.atwiki.jp/hyon/pages/354.html
このページじゃ駄目なのかい?
仕様が古そうだが
650 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/12/31(月) 14:28:47.48 ID:QMIzPr60
みょんなとこから女の子
651 :A Happy New Year 2008 ! [sage あけおめ]:2008/01/01(火) 21:55:38.57 ID:xyFz9Kc0
>>650
みょんみょんみょんみょん(ry
652 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/01/08(火) 16:09:58.63 ID:PUOupsDO
age
653 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/01/26(土) 11:57:38.43 ID:ReUq99M0
age
654 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/01/27(日) 16:30:12.39 ID:NEzOBEDO
個人的に大いに楽しませてもらったこのスレがこのまま忘れ去られてゆくのは悲しいので、いっちょ何か書(描)いてみる

誰か見てたらお題をおくれ?
655 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/01/27(日) 16:58:04.15 ID:fbhPtl60
ヒーロー
656 :佐白 :2008/01/27(日) 20:09:46.72 ID:a.7O5AQ0
『シガレット→しがれっと』第九話

季節は桜満開の春。そこらじゅう新生活の新鮮な雰囲気に溢れかえっている。
そして、今日は恐れていた大学2年生最初の授業日だった。
俺が通っている大学では、必修単位とそうでないものの講義体系が違っている。
必修単位の授業は20人ほどの少人数制の講義を受け、そのほかの単位の講義は300人は余裕で入る広い講義室で講義を受けるのだ。
後者は学生証に内蔵されているICチップを講義室の入り口にあるカードリーダーに通せば出席扱いになり、本人確認などは行わない。
つまり、今の姿の俺でも講義を受けることができるのだ。
問題は前者の少人数制の講義だ。今の俺の姿では、どう考えても講義を受けるのは無理だろう。
なにせ、その講義を受け持つ講師の大半が1年次にお世話になった講師の方達なのだ。顔も覚えられているだろう。
しかし、必修単位を取らないでいると、3年に上がれない─つまり、留年になってしまうのだ。
どうすれば良いものか前々から悩んではいたが、結局良い案を一つも思い浮かばないまま今日を迎えてしまった。
俺は暗い気持ちで朝食を食べ終えると、すぐさま自室に戻り身支度を始めた。
ちなみに、妹のマキは先日から夢にまで見た高校生活が始まっており、今日も元気に登校して行った。
早速友達もできたみたいで、それは何よりだ。
話を戻すが、今日は最悪な事にどちらの講義もあるのだ。必修のほうはどうするべきか。
俺は対策を考えながら、女物の服を着こなし、軽く化粧をすると、鏡で自分を見てみた。
・・・・・・うん。どこからどうみても女の子だった。
「うん?昭人、そんなにおめかししてどこへ行くんだ?まさかデートだなんて言わないでよ」
何しに来たのか、マキの部屋に居るはずのカグヤが扉から頭だけ出して俺の部屋を覗いていた。
「あのなぁ・・・。昨日も言っただろうけど、今日から俺は大学が始まるんだ」
そう告げると、カグヤは直ぐに昨日の会話を思い出したのか、ぽんっと手を打った。
「そういえばそうだったわね。すっかり忘れていたわ」
カグヤは何かを思い出したのか、急いでマキの部屋に戻っていった。
それにしても、昨日した会話くらいは覚えていてくれれば良いのに。
「まあ、いいけどさ・・・」
結局、俺は不安を抱えたまま大学に向った。
657 :佐白 :2008/01/27(日) 20:45:03.70 ID:a.7O5AQ0
俺が通う大学へは、バスに乗り40分ほどで行くことができる。
今日もいつものバスに乗り込むと、空いている座席に腰を降ろした。
久しぶりに大学へ行くため、少し懐かしい感じがして、嬉しくなった。
高弘や明美は元気にしていただろうか?メールでは何度か連絡を取っていたが、会うのは久しぶりである。
そんなことを考えながら外の風景を眺めていると、バスはトンネルの中に入ったらしく、窓には自分の顔が映し出された。
そうだった。いくら期待したところで、今の姿じゃあいつらには会えないじゃないか・・・。
窓に映る女の子の顔は、とても悲しそうな表情をしていた。
いくつかの停留所に止まり、次第にバスの中は人で溢れてきた。その殆どが学生だった。
そんな中、一人のお婆さんが困ったように立っていた。お婆さんの視線の先には、優先席で馬鹿みたいに騒いでいる男たちがいた。
なぜ誰も注意しないのだろうかと思い周りを見渡してみると、殆どの乗客は友達と喋っていたり、携帯を弄っていたりと、自分たちのことで周りにまで気が回っていないようだった。
仕方ない、俺はお婆さんに優しく声をかけた。
「あの、良かったらここに座りませんか?」
そう言って席を立つと、お婆さんは気品のある笑顔でありがとうと答えてくれた。
「助かったわ。私はこの通り足が悪くてね、立ってるのが辛いのよ」
お婆さんの手には頑丈そうな杖が握られていた。
「優先席はほら、あの通りだしねぇ。最近の子は怖いから注意もできなくて・・・」
「本当にすみません」
同年代の奴らが起こした迷惑行為だったため、気持ち的につい謝ってしまった。
「あらあら、お嬢ちゃんが謝ることないのよ。貴女はとても優しいじゃない」
「あはは・・・、当然のことをしたまでですし」
「貴女、もしかしてこの先にある大学の学生さんかしら?」
「ええ、そうです。今日から二年生になります」
すると、お婆さんは少し驚いた表情を見せた。何か変なことを言ってしまっただろうか?
「偶然ねぇ、私の孫娘もその大学に通っているのよ。学年も貴女と同じよ。保母さんを目指してる優しい子なの」
「そうなんですか!?それはすごい偶然かも。将来の夢が保母さんなら同じ教育学部かもしれませんから」
教育学部は学年の人数が他の学部よりも随分少ないため、もしかすると知っている子かもしれない。
「まあまあ、そうするとお嬢さんと私の孫はお友達かもしれないわねぇ」
「ええ、よろしければお名前を教えていただけませんか?」
「琴美ちゃんっていうの。佐宗琴美。今時珍しく綺麗で長い黒髪の女の子なのだけれど・・・」
その名前を聞いて、俺は凍りついた。
その娘の事はよく知っている。佐宗琴美、入学した当初から仲の良かった女の子だ。

そしてつい最近、告白して見事に振られた相手なのだから・・・。
658 :佐白 :2008/01/27(日) 21:11:06.15 ID:a.7O5AQ0
こんな偶然があって良いのか、最近の忙しさでやっと忘れかけていた失恋相手をこんな形で思い出すなんて。
これは神様が俺に与えた更なる苦痛か、それとも何かの前触れか・・・。
「あら?もしかして知らなかったかしら?」
どうやら、暫くの間返事をしていなかったらしく、お婆さんの心配する声で我に返った。
「あ、ええと、多分知らないです・・・。ごめんなさい」
「あらあら、謝らなくて良いのよ。でも、もしも会う機会があったら仲良くしてあげてね。琴美ちゃん、最近元気が無いみたいで」
俺はそれを聞いて少し心配になった。佐宗さんは元々明るい子ではなく、どちらかといえばクールな女の子だったが、元気が無いという様子を見たことは無かったからだ。
「お病気・・・ですか?」
「いいえ、体調は問題ないみたいなんだけどね。何か辛いことがあったのかしらねぇ」
辛いこと・・・・・・、まさかね。彼女は俺の告白ぐらいではどうもならないだろう。
暫くして、俺が降りるバス停に到着する旨を伝えるアナウンスが車内に響いた。
「お婆さん、それじゃあお・・・私はここで降りますので」
「今日はありがとうね。助かったわ」
お婆さんは優しく手を握ってくれた。しわしわだけど、暖かかな手だった。
「あの子は友達も少ないみたいだし、もしよかったら友達になってあげてね」
「はい、わかりました」
そしてバスを降りると、佐宗さんのおばあさんを乗せたバスは直ぐに発車していった。俺はそれを暫く見送っていた。
あのお婆さんと出遭った事により、俺の中で冷めかけていた気持ちが、また加熱し始めたのを感じた。
佐宗さん、そういえば彼女とはあの日以来、何の連絡も取っていなかった。
毎日のようにしていたメールのやり取りもあの日を境に途絶えてしまっていた。
もうあの頃には戻れないと一人諦めていた。
そんな時、窓ガラスに映った自分の姿を思い出した。そして、最後のお婆さんの言葉が脳裏をよぎる。
「(あの子と友達になってあげてね)」
そうか、そうだ!この姿なら、もう一度友達になれる!また佐宗さんと話すことができる!
俺は居ても立ってもいられなくなり、突然駆け出した。さっきまでうだうだ考えていた悩みもどこかに行ってしまったような、そんな爽快感があった。


659 :佐白 :2008/01/27(日) 21:13:56.32 ID:a.7O5AQ0
『シガレット→しがれっと』第九話 終わり

>>654の気持ちを汲んで、大学のテスト勉強そっちのけで短いですが書かせていただきました。
春になれば、このスレにも活気が出ることを願っています。
660 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/01/27(日) 22:08:54.24 ID:NEzOBEDO
佐白さん…あんた男の中の女だよ!マジサンクスです。

(´・ω・)…安価って難しいんですね…
661 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/01/28(月) 01:29:13.87 ID:AIo8MsDO
>>655もうね、自分でもアカンのは分かるけどね、何をどう直したらええかも分かんないからそのままだすさ。匿名って素晴らしい。

あの人の顔が思い出せない。いつも苛められていた幼い頃、いつも僕を守ってくれたあの人の顔を。
表情は何となく思い出せても、細かいパーツは記憶に霞がかかったように雰囲気だけを残して文字どおり消えていった。
ずっと僕の目標だったはずだけど。今僕はあの人のようになれているだろうか…?
僕は生徒指導室の前に立ち、どこか上の空に考えていた。

授業態度が怠慢だと、高い理想を掲げた新米教師に何かと難癖をつけられ続け、ついには名指しで呼び出される羽目になってしまった。
「失礼します」「どうぞ」

澄んだ声を耳に意を決して部屋に入る。
珍しく人気の無い生徒指導室で彼女の作った笑顔は、僕の記憶を呼び起こすには十分なものだった。
662 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/01/28(月) 17:33:26.46 ID:Ts/Zopk0
どっちもwktk
663 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/07(木) 07:14:59.57 ID:AmLfpW.0
ここ最近毎日見てたけど、驚くほど誰もいねぇ
664 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/07(木) 07:48:27.51 ID:AmLfpW.0
薄暗い部屋の中、うな垂れながら並んで壁にもたれかかる男女。
二人とも気まずそうに黙り込んでいる。
顔を上げ、男のほうが口を開く。
以降会話――
 男「なぁ……」
 女『あ?』
 男「せっかく可愛い女の子になったんだから外に出てみないか? お前の妹ちゃんの服でも借りてさぁ」
 女『無理だ』
 男「なんでだ?」
 女『……オレは朝起きたら突然こうなってたんだぞ? 少し考えてみろ』
 男「……? それはわかってるけど?」
 女『街中で突然戻ったらどうする』
 男「……!!」
 女『目の前の女の子の服が突然裂け始め、背は伸び、手足は太く、硬く、筋肉に覆われ――』
 男「も、もうやめてくれ……」
 女『――全てが終わったとき、そこにいるのは全裸の男……』
 男「やめろ……」
 女『……まだ、外に出たいか?』
 男「やめよう……」
――以降再び沈黙
男は口を閉じ、また下を向く。
二人とも気まずそうに黙り込んでいる。
薄暗い部屋の中、うな垂れながら並んで壁にもたれかかる男女。

沈黙は、まだまだ続く――
665 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/07(木) 16:40:25.89 ID:4.EhQkg0
wktk
666 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/08(金) 17:22:01.91 ID:ae3M4sc0
陽は傾き始め、薄暗かった部屋を更に濃い闇が満たす。
微かに差し込む夕日の赤だけがこの部屋に存在するものの輪郭を教えてくれる。
壁にもたれかかりうな垂れる男と女。
時と共に増していく気まずさに耐えかねたのか、沈黙を破り男が口を開く。
以降会話――
 男「なぁ……」
 女『……あ?』
 男「なんで一番最初に俺に連絡くれたんだ?」
 女『……迷惑だったか?』
 男「いや、なんか頼ってくれたのがうれしくてさ。他にも友達はいただろうに」
 女『……ちょっとこれみてみろ』
 男「携帯?」
 女『アドレス帳のとこ』
 男「……!!」
 女『4件。父さん、母さん、妹、そしてお前』
 男「お前……もしかして」
 女『友達……いないんだ……』
 男「ごめん……」
 女『謝るなよ……』
 男「……」
――以降再び沈黙
男はもう何も言えず、気まずさは更に加速する。
壁にもたれかかりうな垂れる男と女。
二人の存在を照らし出すのは、微かに差し込む青い月の光だけ。
陽はとうに沈み、部屋の殆どを闇が支配する。

沈黙は、まだまだ続く―
667 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/08(金) 17:42:43.18 ID:IXo1pjo0
続きwktk
668 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/08(金) 19:18:27.91 ID:ae3M4sc0
雨音が耳を叩く。
月は雲に隠れ、部屋の中にはもう闇しか存在しない。
そこには確かに俯き座る男と女がいるのだが、
それを知らせるのは口を開いた男の声と、それに答える女の声だけである。
以降会話――
 男「なぁ……」
 女『ん……?』
 男「なんでこうなったのか心当たりあるか?」
 女『いや……』
 男「昨日は何してたんだ?外で何かあったとか……」
 女『ずっと家にいたよ……』
 男「じゃ、じゃあ二日前は?」
 女『ずっと家にいたよ……』
 男「三日前は……」
 女『ずっと……家にいたよ……』
 男「……うん」
 女『なんか、ごめんな……』
 男「いや……気にするなよ……」
 女『……』
 男「……」
――以降沈黙
もはや声を上げるものは無く、
沈黙と闇に包まれたそこに二人がいることを証明するものも無くなった。
雲は厚みを増し、闇は部屋の中で深みを増す。
雨音だけが、耳を叩いている。

沈黙は、いつ終わるとも知れず――
669 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/09(土) 02:06:16.38 ID:pVple9E0
このふたりに進展はあるのか
GJ!
670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/09(土) 09:11:15.06 ID:l.yJMg20
雨は止み、静寂が訪れる。
依然雲は晴れず、闇はそこに居座り続ける。
全てが黒く溶けてしまったような世界の中で、二人の会話は再び始まる。
口を開く男、答える女。
刻々と変化を続ける部屋の中で、変わらないのはそのルールだけ。
以降会話――
 男「なぁ……」
 女『……ん?』
 男「明後日の同窓会、サボって二人で鍋でもしようか」
 女『……同窓会?』
 男「中三の時のクラスのやつらで集まろうって、こないだ昔の連絡網で……き……て……」
 女『……』
 男「……ごめん」
 女『……謝られても……』
 男「……ごめん……」
――以降沈黙
変わらないものは、変わりゆくものの中でどんな役割を果たすのか。
口を閉じる男、俯く女。
二人の会話は止まり、残るのは黒と沈黙の世界。
しかし厚かった雲の隙間からは、微かに糸のような光が覗き始める。
雨は止んだ。静寂も永遠ではないかもしれない。

沈黙の終わりは――
671 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/09(土) 09:58:02.93 ID:l.yJMg20
陽光は雲を突き破り、光の矢を地上へ突き刺す。
部屋を満たす闇を追い払い、二人は輪郭を取り戻す。
見えなかったものが見え始め、それはいつからそこに流れていたのか。
たった一つ変わらなかったルールは今、沈黙と共に崩れ去る。
以降会話――
 女『……なぁ』
 男「ん?」
 女『…………一緒に鍋、してくれるか……?』
 男「もちろんだ」
 女『……同窓会はいいのか?』
 男「昔からお前と一緒に居たほうが楽しかった」
 女『……』
 男「泣いてる女の子を放っとく訳にもいかないしな」
 女『……泣いてない、オレは男だ』
 男「目を真っ赤にして上目遣いで言われても説得力皆無だな」
 女『うるさい!』
――沈黙はもう訪れない
静寂は消え去り、ルールなど元々必要なかった。
いつからか不安で流れ続けていたそれも、見え始めたことで拭う手を得た。
闇は部屋の隅に追いやられ、二人は確かにそこに在る。
雲は掻き消え、空は青く。

――沈黙は消え、もう少しだけ話しは続く――
672 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/09(土) 11:08:42.79 ID:l.yJMg20
鍋を囲み向かい合う男と女。
 女『なぁ、本当に迷惑じゃなかったのか?』
 男「何がだ?」
 女『いや……だから、同窓会とか……こないだだっていきなり呼び出して一晩中気まずい思いさせちゃったし……』
 男「安心しろ、そのくらいでお前を嫌ったりはしない」
 女『こ、答えになってないぞ!』
 男「迷惑をかけて俺がいなくなるのが心配なんだろ?」
 女『え……あ、いや、そりゃ…………まぁ』
 男「なら一番分かりやすい答えになってると思うんだが」
 女『そうかもしれないけど……でも何でここまで――』
言葉の途中で男に強く引き寄せられる女。
二人の間に距離は無くなり、その一瞬は永遠にも感じられる。
我に返り身体を離した女に向かい、男は言う。
 男「一目ぼれだった。惚れた弱みってやつだ」
顔を赤くして言う様は多少の情けなさを纏うが、それはもう一人も同じことで。
 女『だっ……だからってお前!いきなりそんな……キ……キ……キ……』
 男「キ?」
 女『うるさいっ!大体、オレは男だ!』
 男「今は女だろ」
 女『それだっていつ戻るか分からないし……』
 男「戻らなけりゃいいのか?」
 女『い……いや、ほら!友達いないぞ!?』
 男「俺がいる」
 女『家からも出ないぞ!?』
 男「俺が連れ出す」
 女『同窓会ハブられてるんだぞ!?』
 男「俺が一緒にいてやる」
 女『……』
 男「お前はどうなんだ……?」
 女『…………あぁもう……馬鹿野郎…………これはアレだからな?
    オレも突然体が変わって情緒不安定になってるんだ、じゃなきゃお前とどうこうなんてそんな馬鹿なことはないんだからな?
    こないだ呼んだらすぐ来てくれたのが少し嬉しかったり、何も文句言わずに一晩中隣にいてくれたお礼とか、な? な?
    戻るまでの間、そう、戻るまでの間だけならオレもお前のことなんていうか……その…………女に言わせるなよ……』
 男「……好きです。一目見た時から……いや、お前がお前だったからこそ。
    俺と……付き合って下さい。」

――男の気持ちに女がどう答えたのか。
二人はこれからどうすごしてゆくのか。
一から十までを書き記すことは可能かもしれないが、それはやはり野暮というもの。
唯一つ言えるのは、この部屋を沈黙が満たすことは当分無いということ。

静寂を掻き乱す二人の声は、いつ終わるとも知れず――
673 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/09(土) 11:12:26.68 ID:l.yJMg20
なんという打ち切り展開
674 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/09(土) 16:17:59.63 ID:pVple9E0
面白かった
GJ!
675 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/02/21(木) 05:08:29.36 ID:/A72epU0
このスレ終わったの?ぬるぽ
676 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/02/21(木) 13:45:04.10 ID:Fmwm1J6o
さあ? ガッ
677 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/21(木) 23:36:42.42 ID:UiT/xwAO
まだだwまだおわらんよww
678 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/02/23(土) 13:43:25.07 ID:fcej9S.o
そういえばHKOKって女体化じゃなくてもOKだっけ?
679 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/02/25(月) 11:34:23.78 ID:v0Y2hyU0
女体化と擬人化
680 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/03/09(日) 01:57:24.42 ID:rTBOCGI0
ぬるぽ
681 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/03/09(日) 03:42:29.88 ID:JeciC6AO
>>680
ガッ
682 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/03/13(木) 21:02:34.79 ID:KU.6bH20
まとめ読んだ感じじゃあ、投稿もいっぱいあって活気だって昔はあったようなのに、
なんでこんなにまで寂れているんだ?
683 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/03/13(木) 21:18:04.64 ID:SwK4k6Eo
パー速ってそんなもんだと思う。
684 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/03/13(木) 23:30:39.66 ID:ctOOycMo
初スレが立ってから随分経ってるしね。
それでもチェックしてるけど。
685 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/03/18(火) 18:42:12.33 ID:iBD5ggAO
涼宮ハルヒ系ので似たようなスレ建ったな



けっこう面白かったが
686 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/03/21(金) 02:02:37.13 ID:xMs6bOg0
ぬるぽ
687 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/03/21(金) 10:54:50.38 ID:LqNdC9g0
ガッ!
688 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/03/21(金) 23:40:36.77 ID:rvS1R0so
恐ろしく懐かしいな・・・
久々に投下してみようかなと思ったりする
689 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/03/22(土) 01:35:31.36 ID:0HlMSOQ0
wktk
690 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/03/22(土) 02:04:41.55 ID:nwH1p5co
ある夕刻、その日は昼ごろから土砂降りの雷雨が降っていた
降りしきる雨の中、二人の男子生徒がずぶ濡れになりながら細い道を走っている
男「朝の天気予報じゃ晴れって言ってたんだけどなぁ」
友「え?ぼくが見たのは曇りのち雨って言ってたよ?」
男「やっぱりヨシ○ミの予報じゃだめかぁ」
友「そうだよー」
この二人、男と友は幼馴染みであり親友である
男「それにしても雷ひどいな」
友「どこかで雨宿りする?」
男「うん、そうだな」
その時、すさまじい轟音と共に青白い光が辺りを包んだ
男「うわぁぁぁっ!」
友「ぎゃぁぁっ!」

気がつくと、目の前には心配そうに覗き込む母親の姿があった
男「・・・ん、あ、あれ?」
母「よかった!無事でよかった!」
男と友の二人は落雷を受け、救急車で近くの病院へと運ばれたのだ
奇跡的にも二人とも無傷であり、医者も「これは奇跡だ」と話した
しかし、まだ落雷で「それ」が変わってしまったことには誰も気づいていなかった
男「そういえば、友は大丈夫なのか?」
母「まだ意識が戻らないらしいけど、命に別状はないらしいわ」
男「そうか、それならよかった」
医「失礼します、ちょっとお聞きしたい事がありまして」
母「先生、何かあったんですか?」
医「いえ、男君のことではないんですが・・・」

『友君の性別は、女性なんですか?』

691 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/03/22(土) 17:00:52.34 ID:0HlMSOQ0
wktk
692 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/03/25(火) 04:38:01.66 ID:XBWFx3o0
wktk
早く次の話を頼む
693 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/03/26(水) 05:44:40.53 ID:9510Cjw0
ぬるぽ
694 :690 :2008/03/26(水) 08:05:20.88 ID:6.XSb3Eo
wwktkしてくれてるのは大変ありがたいんだ
だがパソコンがぶっ壊れて書いてたSSが消えた\(^o^)/
どうしようorz
695 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/03/26(水) 15:25:00.18 ID:5x/GKqco
KIAIを入れて書き直せ
696 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/04/02(水) 01:09:26.53 ID:fo7mZkDO
Wikiのまとめ見ると今だにアクセス数は100手前くらいまでいってるんだから、
まだまだ復活できそうなもんだが…実際どうなんだろ?
697 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/04/03(木) 08:40:10.27 ID:3QyEr42o
たぶんTS系のアンテナから来てる人じゃないかな
そういうのを見てる総人数は多そうだし
698 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/04/06(日) 02:45:22.56 ID:ferKUBo0
ぬるぽ
699 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/04/06(日) 03:01:15.92 ID:BV2m75Qo
ガッ
700 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/04/17(木) 21:21:03.76 ID:s4Lqecko
さすがに保守しておかないといかんな…
700get
701 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/18(金) 00:15:23.15 ID:Aic7Q1Qo
一年ぶりくらいに見たわ
702 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/04/19(土) 05:09:54.49 ID:oIVJMPw0
ぬるぽ
703 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/22(火) 10:56:36.65 ID:smATtTQo
いきる
704 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/27(日) 01:28:15.97 ID:T/z22ew0
VIPに立てるか?
705 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/04/28(月) 02:28:43.85 ID:l0hJL.DO
人集まんなそうじゃね?
投下する人がいなきゃ人集まっても微妙だろうし…


あ〜ぁ…朝になったら俺の体が女の子になってればいいのに。
706 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/28(月) 12:27:03.72 ID:BKdINCoo
それはあさおんスレだろwwwwww
707 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/04/29(火) 14:34:19.30 ID:5wioiEUo
朝起きたらおんなのこになっていようがその日が15,6歳の誕生日で童貞だろうが、
ひょんなことから女の子には変わらんだろう
708 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/07(水) 20:46:13.16 ID:GOHHmC2o
あさちん
709 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/10(土) 01:55:06.80 ID:pWBNs4M0
寂れているなこのスレ
710 :(・・) :2008/05/10(土) 03:23:37.92 ID:pWBNs4M0
いきなりであるが投下させてもらう。
文章的にアレなのはご愛嬌ってことで。
711 :(・・) :2008/05/10(土) 03:27:01.79 ID:pWBNs4M0

「何やってんだよ、あいつはよぉ…」
ぼやきながら俺、三ツ屋浩輔は奴のアパートへ向かう。

奴とは俺の親友、近江由雄のことである。
俺と同じ大学であり、高校時代からの付き合いである由雄はいつもつるんで行動する事が
多かったのだが、ここ最近すっかり顔を会わす事が無くなっていた。

俺自身もバイトで忙しくなっていたのも原因の一つではあるのだが、由雄の奴も
ここ数週間ほど大学の講義に顔を出さなくなっていた事の方が大きい。

とりあえずメールや電話でお互い連絡を取り合っていたのだが、それもここ1週間ほど
音信不通の状態が続き、不審に思った俺は講義とバイトの合間を縫って奴のアパートへ
来た次第である。

ピンポーン

呼び鈴を鳴らす。



…返事が無い。

えい、もう一度だ。
ピンポーン、ピンポーン





…やっぱり返事が無い。

う〜ん、留守かな? 仕様が無い、帰るか…と思った時
由雄の部屋からわずかながら小さな物音がしたのを俺の耳は聞き逃さなかった。

奴が居る事を判断した俺は迷わずドアを何度も強くノックした。
「由雄!居るんだろ!! 俺だ、浩輔だ!」

相変らず反応は返って来ないが俺は呼び掛けを続ける。
「おい!由雄、コラ!! 居留守使うんじゃねぇ! 俺には分かってるんだ!
黙っていたって仕方ねぇだろが! 何があったか知らんが親友の俺を無視するなんて
いい度胸だ! いいから男らしく出て来い!! 」



…反応が無い。

…やっぱ、居ないのか? 
俺は完全に肩透かしを喰らった気分になり、すっかり諦めモードに入ったその時、
由雄の部屋の扉が僅かながらも開いたのを見た。
712 :(・・) :2008/05/10(土) 03:29:08.77 ID:pWBNs4M0
「…」

扉の隙間は約1センチ切るかどうかという程度であったが、
俺の呼び掛けに反応して由雄が開けてくれたものと俺は判断した。

「…由雄、居たなら居たで返事しろよ。全く、俺は心配してんだぜ。
でもまぁ、とりあえず開けてくれて嬉しいぜ。」

「…」

由雄は何も言わない。
でも誰かが扉の前にいる事は確かであり、人の気配がする。

「由雄、居るんだろ? 黙っていると何だか不気味だぞ。
とりあえず中に入るぞ?いいな?」

このままでは話が進まないので俺は意を決し、扉を開けた。

「…」

「…お? あれ?」

「…」

「…え〜っと、あれ?」

「…」

「…ここは近江 由雄君の部屋ですよね?」

「…」

この時の俺はどれだけ間抜けな対応をしていたのか分からない。
でも、自分の予測が大きく外れた状況でどれだけ冷静な反応ができるのかと
他の奴らに問いたいものである。

俺が部屋の扉を開けるとそこには少女が立っていた。

部屋の中はカーテンで閉め切っていた為 暗く、少女の顔の表情を窺い知ることが
出来なかったが、間違いなくそこには由雄では無くこの少女が立っていた。

「…」

「…」

俺と少女、二人とも無言でお互いを見つめ合いながら固まっている時間が続いた。

「…とりあえず、上がれよ」

この状況にしびれを切らしたのか少女が小さな声で俺に話しかけた。
何となくその口調は「もうどうにでもなれ」といった投げやりな感じがした。
713 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/10(土) 11:39:22.30 ID:UmXeAJUo
wwktk
714 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/10(土) 14:17:18.88 ID:9F2fFsIo
wwktk
715 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/10(土) 16:18:33.87 ID:pAaQE/s0
wktk
716 :(・・) :2008/05/11(日) 06:43:02.77 ID:g1WbK1M0
「なんだ…これは」

少女の招きで部屋の中に入った俺はその惨状に唖然とした。

薄暗い部屋の中は衣類や雑誌、ペットボトル、食料パック類のゴミなど散らかり放題で
荒れ果てていた。俺の知る限り、この部屋の住人が由雄であるならば
この様な状況を放置している人間ではない。奴は自分の部屋をいつも綺麗に
していてかなり几帳面なところがあるのを俺は知っている。

…という事はこの部屋の住人はもう由雄では無いと言う事か。
では、由雄は何処に行ったのか? そして俺の前に居る少女は何者なのか?

正直、あまり長居したくない状況ではあるが俺自身の疑問が
解決するまではここから出るわけにはいかなかった。

少女は、と言えば辛うじて座ることが出来そうな衣類の山と山の間に挟まるような
感じで膝を抱えて座りこんでいる。

「…」

相変わらず無言のままで先刻からずっと俺を見続けている。
ううっ、何だか非常に居心地が悪い。

「何て言うか…、散らかっていて酷い部屋だよな。手伝ってやるからまずは掃除しようぜ。」
俺はそう言うと閉め切っていたカーテンを開け、窓を開けた。

部屋の中が急に明るくなる。少女は一瞬眩しそうな顔をしたがその後は特に反応せず
無言で俺の行動を眺めていた。

俺は今の状況だと間が持たないというのもあり、とりあえず身体を動かす事で
現状の解決みたいなものを図ってみるつもりであった。
717 :(・・) :2008/05/11(日) 06:44:20.27 ID:g1WbK1M0
「…」

「…」

無言の時間が続いた。相も変わらず少女は膝を抱えて座り込んでいる。
俺は黙々と部屋の片付けをしている。

…しかし、時間が経つにつれて俺自身の疲労もあり
「何で俺がこんな事せにゃならないんだ」といった鬱積した気持ちが自分自身の中で
充満していくのを感じていた。
元々俺はそんなに掃除とか得意じゃない。散らかすのは得意だが、片付けるのは苦手だ。
そんな俺が先刻から黙々と片付け作業をしているのだ。

少女はそんな俺の働きをぼんやりと見ている。
たぶん部屋を散らかした張本人であるにも関わらず、俺の掃除の手伝いもしようとしない。

俺の中でイライラした気分がどんどん大きくなっていくのを感じていて、
ある程度までは我慢していたがついに耐えられず爆発した。

「おい!コラ! ふざけんなよ!! 俺はお前の召使でも何でも無いんだ!!
自分の部屋だろ! 俺ばっかやらせんな!!」

「!」
いきなりの俺の爆発に少女はビックリしたのか目を見開いたまま固まっていた。

「聞こえて無いのかよ! お前も片付けをしろって言ってんだよ!!」
初対面の相手、しかも女の子に対してかなりキツイ口調であったが
俺は遠慮なく怒鳴った。
後で冷静に考えるとあの異様な状況に対し、解決の糸口らしきものが見当たらないこともあってか
俺自身かなりフラストレーションが溜まっていたのかも知れない。
718 :(・・) :2008/05/11(日) 06:47:40.46 ID:pl9xkyg0
ともかく俺は謎の少女に対しかなりの事を言ったわけだが
次の瞬間、少女の反応は俺を驚かせた。

「…知るかよ」

「…ん? 何かいったか?」

「知るかよって言ったんだよ! ここは俺の部屋だ! 別に浩輔に掃除して欲しいって
頼んだ憶えも無いし、寧ろ余計な事をするなよ! なんで浩輔なんかに怒られなきゃなんないんだよ!
これ以上俺に構わないでくれ!!」
少女は叫ぶと立ち上がり、俺を部屋から追い出そうとした。

「ええ? な、なんだぁ?」
俺はいきなりの少女の行動に戸惑う。しかも今、俺の事を「浩輔」って…。

「このっ! このぉぉぉぉっ!!」
顔を真っ赤にしながら少女は必死に俺を部屋から押し出そうとしている。

俺はそれほど背が高いわけではないがそれでも170以上の身長がある。
それに対し、少女は俺より頭一つ分低い身長。たぶん150ちょいか。

「〜っ! 〜!」

俺とこの少女の体格差、体力差を考えるとどう考えても
俺を部屋から力づくで追い出す事なんて無理だよなと混乱した状況に
おいても判断してしまう。
719 :(・・) :2008/05/11(日) 06:54:30.37 ID:pl9xkyg0
「…はぁ、はぁ」

間も無く少女は体力の全てを使い果たすと、多少は片付いた部屋の絨毯の上に
突っ伏してゼイゼイ言っていた。

俺はというとそれ程疲れてなかったので少女の様子を見ながらアパートに来る前に
コンビニで購入していた由雄へ差し入れ用のコーラを開け、コップにそれを注ぐ。

「…ほら、疲れたろ。これでも飲めよ」

「…」

少女は俺の差し出したコーラと俺の顔を交互にジト目で見る。

「いらないなら俺が飲むけど、いいか?」

「…駄目だ、俺が飲む。」
少女はゆっくり身体を起こすと俺の手のコップを受け取るをその中の
コーラを美味しそうに飲み出す。

「お前、美味そうにコーラ飲むなぁ。そういや、由雄の奴もお前みたいに
美味そうに飲むんだよなぁ。」
俺自身先刻まで冷静で無かったのでじっくり観察していなかったが、
俺の前にいる少女は15、16歳位?割と幼い印象を受ける。
目鼻立ちがハッキリしていて中々の美少女である。
肩までかかる髪の毛が乱雑にしているせいかボサボサなので最初は見た目が悪く感じたが
綺麗にまとめてみたらかなりいい線いくのではないだろうか。

落ち着いて観るとさらに気になってくるのが彼女の着ている服装である。
どこかで観たことのある男物の洋服。しかし、サイズがまるで合っていない。
裾を何度も折り返して丈を合わせているようであるがかなりフカブカである。

そんな感じで俺が少女を観察している間、黙ってコップのコーラを飲んでいた少女で
あったが先刻の俺の呟きを聞いていたのか俺の顔をじっと見つめてきた。

「ん?どうした?」

「…どうしたもこうしたも無い。浩輔、お前先刻俺のことを由雄みたいって言ったけど、
みたいじゃなくって俺自身が由雄本人だから。」
720 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/11(日) 15:42:08.32 ID:2EVDL4Y0
続きwktk
721 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/12(月) 11:23:59.76 ID:rAB0gkso
wwktk
722 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/13(火) 16:14:41.59 ID:Mj7NuB6o
ho
723 :(・・) :2008/05/13(火) 21:21:47.76 ID:2UIUIXU0
「…だから何度も言ってるだろう、なんで判んないかな?」
散らかった衣類を折りたたみながら少女は俺を睨みつける。

「いや、だから何度言われても分からないから。」
俺は突っかかってくる少女の言葉をかわしつつ、ビニール袋にゴミを入れていく。

「自分が由雄である」という少女の衝撃(?)の告白ではあったが
到底納得しない俺に対して先程からこの様なやり取りが続いている。
とりあえず話の進展は進まなくとも部屋の掃除は着実に進んでいた。

まあ、確かにこの部屋に居るべき人間は俺の親友の近江 由雄であり、
この少女の「自分自身こそが近江 由雄、その人だ」という主張は
「ここの部屋の住人=近江 由雄」という点ではある意味正解なのかも知れない。
しかし、あまりにも違いすぎるだろう、容姿も性別も。

何かが吹っ切れたのか初めの頃とは打って変わり、少女は俺と一緒に部屋の片付けをしながら
自身が「由雄」であることを一所懸命に話していた。

「! なんだ? 何でそんな事まで知っていいるんだよ?」

「だ・か・ら! 俺が由雄だから知っているんだって!
何遍言ったら分かるんだよ、あ〜、もうお前は…」

なかなか納得しようとしない俺に対し、高校時代の頃からの思い出話や
俺と由雄の間でしか分からない話題とか
少女の話はあっちへ行ったりこっちに行ったりと様々な方向へと進んだ。

「う〜む、ここまで俺の過去を知っているとは…」
目の前の少女に自分のあられの無い過去話を遠慮なく言われ、
すっかり青ざめた俺は色んな意味で精神的にダメージを受けてしまった。
724 :(・・) :2008/05/13(火) 21:23:55.32 ID:2UIUIXU0
「どうよ? これで俺の事、由雄だってわK」

「おまえ! 俺のストーカーだな!!」

「なんでそうなる!!」
顔を真っ赤にして少女は地団駄を踏む。
少女のもどかしくてどうしょうも無い気持ちが伝わってくるのだが、
その仕草が妙に微笑ましくて笑ってしまう俺。

「何、ニヤニヤしてるんだよ? 俺はニブイお前に怒っているの!
この、バカバカ! ○○○! ピー(以下、自主規制)」

「ハハハ、まぁ落ち着け。とりあえずお前の言いたい事は分かったよ。」
俺は少女の肩をポンポンと叩いて落ち着かせる。

少女は起こしかけた癇癪を落ち着かせると、俺の上着の両袖を両手でぎゅっと掴む。
「…もぉ、俺がどれだけ苦労しているか分かって無いだろ?
俺はこんなになっちゃって、どうしたらいいのか分かんなくって
ほんっっとぉ〜に困ってるんだぞ!!」

上目づかいで俺を睨み付ける少女。すっかり涙目になっている。

「そ、そう言うけどよ、普通は分からないぞ? どこの世界にこないだまで男だった奴が
ここまで女みたいになっちゃうんだ?」
少女の仕草に不覚にも萌えてしまう俺。口調が上ずってしまった。

「俺だって知らないよ!気がついたらこうなってたんだから!」

「でもよ、漫画や小説じゃあるまいし ここまで変わってしまうと…その、何だかなぁ…」

「…な、何だよ? なにジロジロ見てんだよ?」

少女の身体を上から下までじっくりと観察する俺に対し
何か良からぬものを感じたのか少女はパパッと俺から離れた。
両腕で自分の身体を隠すように抱えこんで、俺の出方を伺っている。

「何警戒してるんだよ。幾ら可愛くてもお前は『由雄』なんだろう?
流石の俺も自分の親友を襲う程 変態じゃねーよ。」
言葉とは裏腹に正直なところこの少女にときめいているのだが、
その気の無い素振りを見せる俺。

「あ、そ、そうなの? なんだ……ちぇ。
…って! え? 浩輔、それって… 」
俺の言葉にホッとしたの警戒を緩める少女であったが
次の瞬間、何かに気付いたのか慌てて反応する。

「…何驚いているんだよ。まあ、何だ、お前の言う事を信じるよ、由雄。」
725 :(・・) :2008/05/13(火) 22:11:28.67 ID:2UIUIXU0
読み返すと誤字とか変なところ多いな…orz。

726 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/13(火) 22:38:09.28 ID:BjpD5Hw0
いえいえ、GJです
727 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/14(水) 00:06:01.72 ID:uJX6FwY0
久々にwktk
こういう話がいっぱい書かれてたのが昔のひょんなのこスレなんだよな
今じゃ俺が15、16(ryに移住してしまったから困る
728 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/14(水) 19:55:22.17 ID:TKfiAzYo
15,16からこっちに来た俺もいるから困る
729 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/05/14(水) 20:00:50.33 ID:mlrCP/Yo
昔からひょんなのこ一筋です^q^

3レスくらいで終わる超短編でも書こうかしら?
ってか書ければ書きたいZE!
730 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/14(水) 20:11:24.74 ID:TKfiAzYo
書けよ
っていうか書いてくださいおながいします
731 :(・・) :2008/05/15(木) 01:30:16.98 ID:Kg4h4pw0
気がついたらすっかり外が暗くなっていた。

少女は部屋の掃除をしながら俺を納得させるという器用な芸当をしたせいか
すっかり疲れきって布団の上で横になっている。

いまいち腑に落ちないところもあるが、
とりあえず俺はこの少女が「由雄」本人であるという事を信じることにした。

それは少女との会話の内容、そして時折見せる少女の仕草等…様々な要因から
俺自身「少女=由雄」という結論に達することができたからである。

二人がかりで作業したせいか思いのほか早く片付いた部屋はすっかり以前の
綺麗な状態に戻っている。

当初、由雄は自身の変化に身体だけでなく精神的にもついていくことが出来ず
結果として部屋を荒らしまくったり無気力状態が続いていたとのことで、
俺に会ってすっかり正気を取り戻した由雄は
自分の荒らした部屋の状態を恥ずかしく思ったのか、
「へへ…ごめん。まさか浩輔に自分の部屋の掃除をさせてしまうなんてさ。
こんなの全然俺らしくないよな…」
そう自嘲気味に言うと顔を赤らめた。

その後、少女は部屋の掃除が完了したのと俺が「少女=由雄」だと納得したのを確認した後
「ごめん、本気で疲れたから横になる」といってさっさと布団に寝入ってしまった。

ゴミ出しを終えて煙草をふかしながら俺は少女の寝顔を見つめる。

小柄で華奢な身体、透るような白い肌、整った目鼻…。以前の由雄の面影は一応はあるものの、
全くの別人になってしまった自分の親友の姿に俺はかなりの戸惑いを感じていた。

とりあえず本人の前では納得したように見せてはいるのだが、それは少女を
安心させるためという部分が大きい。
実際のところは納得し切れない部分があるのは言うまでも無い。

だってそうだろ?
こんな事見たことも無ければ聞いたことも無いぞ。
こないだまで男だった奴が女に、…それもこんなに美少女になってしまっているのだからな。
732 :(・・) :2008/05/15(木) 01:45:12.70 ID:Kg4h4pw0
会った当初とは打って変わり、安堵の表情を浮かべて眠る少女の顔を
見つめながら俺は「この少女を何とか助けてやれるのは自分しかいない」
…などと妙な使命感を持ち始めていた。

また、それとは別にこの少女に対し由雄の頃とは違った感情が俺の中で芽生えていた。

正直こうして眺めているとあまりにこの少女が俺のストライクゾーンど真ん中なのだ。
「う〜む、可愛過ぎる…」

布団の中の少女はそんな俺の様々な気持ちなど露知らず呑気にスヤスヤと寝息を立てている。

「やべえな…」
俺はとりあえず立ち上がり、自分の感情を落ち着かせようと部屋から出ることにした。

「…浩輔?…どうした?」

そんな俺の物音に目を覚ましたのか少女はのそのそと布団から身を起こすと、
俺の後について来た。

「わ! な、何起きているんだよ、そのまま寝ていればいいだろうが!」

「? 何焦っているんだ? 別にいいだろ、起きちゃったんだから。
あ〜、でも良く寝た。色々有ったけど落ち着いたかな。…一応は。」
軽く目をこすりながら少女は俺の横に立つと欠伸をする。

「そうか、まだまだ大変なのはこれからだろ。」

「ううっ、言うなよ。そこんところは分かっているから。」
嫌な事を言うなよ、といった表情を浮かべる少女。

「ああ、そうだよな…」適当に相槌を打つ俺。

「…うん」少女も意味も無く反応する。

「…」

「…」

ちょっと沈黙。シリアスな展開か? と思ったのも束の間、

きゅ〜るるる…、俺の横からお腹の鳴る音。

「…え〜と、腹減ったよな。まずはメシ喰いに行こうぜ(///)」
自分のお腹を押さえ、恥ずかしそうな仕草をする少女。

やれやれといった表情を浮かべ俺は苦笑いする。
「しゃあないなぁ…。じゃ、駅前の牛丼家でいいか?」

…実のところ、その少女の仕草に激しく萌えている俺であった。
 
733 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/15(木) 16:22:18.76 ID:Kz7SU1o0
GJ!
734 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/15(木) 17:08:26.43 ID:BIYU8g60
ええね。相手がTSってのも新鮮だ。続きwktk。
735 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/15(木) 20:51:22.66 ID:BtND1Ag0
ちょwwwwwwこのスレ続いてたのかよwwwwww
一年と一か月振りに復帰あげ
736 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/15(木) 21:45:55.48 ID:o3po4hw0
ニュー速と違って長持ちだよな。というか落ちないのか。
さて、俺も今久しぶりに書いてる。今日中の投下はたぶん無理だが。
737 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/15(木) 22:43:19.63 ID:Kz7SU1o0
wktk
738 :(・・) :2008/05/16(金) 02:35:24.13 ID:YLy00Ak0
「…俺、実際のところどうすればいいのか分かんなかったんだ。
だから浩輔が来てくれてホント良かったよ。」

駅前の吉○家で牛丼並盛を頬張りながら少女=由雄は俺に語る。

「思えば1ヶ月前から兆候はあったのかもしれない。
俺、初めの1週間ずっと謎の腹痛に襲われたんだ。そして2週目は身体の自由が利かなくなって
3週目には高熱にうなされてさ、そして気がついたらこうなってたんだ。
俺の顔や身体が以前の自分とは全然違うし性別も女みたいになっているし、
正直、俺自身何が何だか訳が分かんないよ…。」

由雄は自分の顔や髪の毛、身体を軽く触って自分自身がこんなに変わってしまったことを
俺にアピールする仕草をしてみせた。

「…そうだったのか。そう言えば俺と由雄が音信不通の状態になったのも丁度その頃だったよな。」

「自分の姿、形がこんなになってからは毎日何をすればいいのか分かんなくって…
浩輔が俺のところに来るまでずっとあの部屋に篭り切りでさ、正直なところ精神的にかなり
参っていたんだろうな。だから折角心配して来てくれたにもかかわらずあんな態度を取って
しまって…すまなかったな。」

由雄はそう言うと牛丼を食べるのを止め、黙り込んでしまった。

「お、おい、別にそんなこと気にすんなよ。第一、俺とお前は昔からの付き合いじゃないか。
お前がどんな事になっても俺はお前の親友として出来る事は協力してやるから。
ここのところまともに食事もとって無かったんだろ?まずはメシでも喰って体力でもつけろよ。
今後のことはそれから考えようぜ。
今日は俺の奢りだ! よーしパパ、牛丼特盛頼んじゃうぞー!!」

由雄の落ち込んだ姿に慌てた俺は何とか元気づけようと明るく振舞った。

「あははっ、そんなに食べられないって。
…でも、ありがとうな。その気持ちだけで何だか元気になれたよ。
そうだよな、俺には浩輔がいるんだよな。お前が居てくれてホント良かった。」
由雄はそう言うと俺に向かって嬉しそうに笑った。

「! …お、おう、そうか! それは良かった、あはは…」
俺の牛丼を駆け込む手が思わず止まった。

ヤバイ。マジヤバイ。
由雄の今の笑顔は俺にとって物凄く萌えのツボであるようでして、
胸のあたりがえらくドキドキしているんだが…。まいったぜ…。

「…?」
動揺している俺の姿を見て由雄は軽く首を傾げる。

739 :(・・) :2008/05/16(金) 02:36:36.56 ID:YLy00Ak0
吉○家を出て俺と由雄はアパートへ向かう。

自分のアパートに向かう足取りは勝手知ったる何ぞやというか、
由雄は先導切って俺の前を歩いている。
俺は、と言うとそんな少女の姿をぼんやりと見ながら歩いている。

歩くペースは少女の方が早いのだが、如何せん歩幅は俺のほうが大きいので
実際の歩行スピードは同じ位である。

「なあ 由雄。」
その名前を呼ぶには明らかに不似合いな程 俺の目の前を歩く少女は可愛らしいのだが
他に呼び方が無いのでそう呼ぶ。

「どうした?」
何の躊躇いも無く俺の呼び掛けに振り返る少女。

「俺さぁ、さっきから思ってたんだけど…その服装、全然似合って無いな。」
タボダボの男物のYシャツとジーンズ。
女の子が着るには明らかに違和感があるその格好は夕方の人で賑わう駅前通りの中においても
人の目を引いていた。

「仕方無いだろ? 俺はこんなになっちゃったし、服だってこんな物しか無いんだから!」
由雄も自分の服装が似合っていない事に気付いているようで、
気になる事を言われたせいか少々口調が怒っている感じに聞こえる。

「もしかして気にしてたのか? だったらワリィ。何か気になってサ…。」

「そりゃ、これだけブカブカだと俺だって気になるよ。これじゃ外出も厳しいよなぁ。
…今してるけど。」

俺は少々考え込む。
それから駅前の街並みを見渡し、自分の時計を確認した後
ある考えが俺の中で浮かんだ。
「まだ店も開いている時間だからさ、どこかでお前の普段着れるような服を買いに行かないか?」

「え?」
予期せぬ俺の提案に由雄は驚いた。

740 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/16(金) 11:30:48.88 ID:64BPl.Uo
wwwwkktktk
741 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/16(金) 13:08:10.01 ID:7qm86.Y0
GJ!!
やっぱTSっ娘は萌えるぜぃ。
 
742 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/16(金) 19:05:31.07 ID:QSRqa1o0
さて、誰もいない見たいなんだが投下しておkなんかね?
(・・)さんと被ったら申し訳ないし様子見るべきか?
743 : ◆c0NQxleFhE :2008/05/16(金) 21:42:21.19 ID:QSRqa1o0
何と言う過疎ww
つーわけで、保守がてらに投下しますよっと。
暫くss書いて無くてリハビリ代わりの作品なんで、文章がちとあれなのはご愛嬌として下さいな。
744 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/16(金) 21:43:27.62 ID:QSRqa1o0
『ぐーたっち』
プロローグ

 死というものは、生きているのならば赤ん坊だろうが老人だろうが、女だろうが男だろうが、貧者だろうが金持ちだろうが誰にでも訪れるものだ。
 求めれば必ず応え、求めずとも時期が来れば必ず訪れる。
 死にたいものは死に、生きたいと願うものも死ぬ。
 人はそれに逆らえず、希望のままに、絶望のままに、ただ受け入れるよりほかは無い。
 死を求めるもの、自殺したいやつの心境なんて俺には理解できないししたいとも思わないが、今俺は生きたい者、生を希望するものとして、迫り来る死というものにどうしようもない絶望と恐怖を覚えながら、対峙していた。
 ソレは、中学生のころに理科の実験かなんかで見た、牛の頭蓋骨にそっくりの頭をしていた。
 だが、その頭には羊のようなねじくれた角が生えていて、また口に生えた歯はまるで恐竜の牙のように鋭い。
 ぽっかりと空いた眼窩に眼球は無く、だが、そこはぎらぎらと赤色に光る何かが嵌っている。
頭以外は人間に近いのだろうか。少なくとも直立し、全身を真っ黒いローブのようなもので覆っていた。
 ローブが地面に引きずられるほどに長い為足は見えないが、180を超える身長の俺が見上げなくてはならないほどにでかい奴だ。
 そして、ローブの隙間から伸びた手は学校の理科室にあったような完全な白骨。その禍々しい頭や全身のでかさからは考えられないほどに華奢なその腕は、だが、逆に不気味さをいや増していた。
 細く白い、その指を絡めるようにして持っているものも俺がそう感じた要因だろう。
2メートルをらくらく超えていそうなほどに巨大な鎌。それを両手で、胸の前に抱えるようにして持っている。
 死神だ。誰がどう見たってそう思う。
 あまりにも非現実的な光景。それでいて、死神は圧倒的な存在感を持っていた。現実も何も関係ない。こいつを目の前にしたら絶対に死ぬ。全身がそう主張して、びっしょりと冷や汗がにじみ出ていてひどく不快だった。
 悲鳴も上げず、失神もせずに、俺がそれと相対していられるのは、俺の目の前にそいつが現れたことに心当たりがあったからだ。
 いや、心当たりと言うほどのものでもないけど。
745 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/16(金) 21:44:01.07 ID:QSRqa1o0

 今俺は、真っ暗闇な空間に立っている。と言っても夜の比喩と言うわけではない。
 真っ暗闇よりも漆黒と言ったほうが伝わり易いだろうか。地面すら、足元の感触が無ければそこにあるのがわからないほどなのだ。
 それでいて、自分の姿ははっきり見える。目の前の死神も同様だ。
 星も何もないが、まるで宇宙に立つとこんな感じなんじゃないだろうか。
 明らかに、尋常ではない。現実に、こんな場所があるわけもない。
 俺は、ここに来る直前に事故にあった。
 信号無視のトラックに轢かれ、跳ね飛ばされたところまでは覚えている。
 んで、全身に痛みとショックを感じたと思ったらそれが唐突に消えて、気がついたら今の状況というわけだ。
 俺でなくても、まあ想像はつくだろう。
 気は進まないが言葉にするなら、俺はトラックに轢かれ死んだか、そうじゃなくても意識不明の重態といったところ。
 ここは死後の世界か三途の川原。俺の目の前に居る死神は、俺の命を刈り取りに来たか、もう刈り取り済みで俺を死後の世界に連れて行くために来たとかそんな感じか。
 冗談みたいな話だし、俺だって本来なら夢かなんかだろうと思うところなんだが、目の前の死神の存在のおかげで自身がなくなって来ている。
746 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/16(金) 21:44:29.02 ID:QSRqa1o0

「…………」
 つーか、もう俺がここに来て、目の前に死神が現れてからたぶん十分ぐらいは経ったんだが、いつまでこうしてればいいのだろうか。
 さっきから死神は何も言わない。ただ、目とおぼしき部分をぎらぎらと輝かせて、黙然と突っ立っている。
「…………」
 正直、こんな死と言うものが凝縮されたような奴と二人っきりで居るのは、そろそろ俺の精神が限界だ。
 落ち着いているように見えるかもしれないが、俺だってこの若い身空で死にたくは無い。ただ、そういうのを考えられなくするほどに、目の前の存在が圧倒的で完全にあきらめていると言うだけなのだ。
 ただ、人間の精神と言う奴は意外と脆い。追い詰められれば追い詰められるだけ、限界は近くなり、そして遠からず切れる。
 パニックになるかぶっ壊れるかはわからないが、死んでから発狂というのは正直頂けない。
 生まれ変わると言うのならともかく、もし死後の世界というものがあるのならきっとそこでの暮らしは長くなるだろう。もしかしたら永遠にかも知れない。
 永遠に狂ったままと言うのは、できれば勘弁願いたい。
「…………く」
 あー駄目だ。もう限界。これ以上沈黙に耐えられない。
747 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/16(金) 21:45:30.86 ID:QSRqa1o0

「あ、あの……」
 裏返りかすれた酷くおかしな声になってしまったが、どうにか声は出せた。
 俺の声に反応したように、死神は顔を俺のほうに傾けた。どこ見てるんだかわからない目らしきものも、俺を見ているらしい。
 バクバクと心臓が早鐘のように鳴り始めた。こんなおっそろしい死神に話しかけるなんて、もしかしたら俺は自分で自分に止めをさしてしまったのではないかと言う後悔も浮かんだが、最早後戻りは出来ない。
「――いつまで突っ立ってるつもりだ! 俺を[ピーーー]んなら殺せ! あの世に連れてくんなら連れてけ!! どうでもいいから早くしろ!!」
 後悔とともに、色んなものが切れてしまったらしい。とにかく、この状況から逃れたくて、気づけば大声を上げていた。
 言ってしまってからやっぱり後悔の二文字が脳裏をちらつくが、こうなったらこのまま突っ切るだけである。
 俺の啖呵を聞いて、しばらく死神は考え込むように俯いていたが、突然空を仰ぐように顔を上げ、
「……はぁ」
「…………え?」
 なんか、例えとして死神の外見とは非常に合わないと思うんだが、まるで仕事に疲れた中年サラリーマンの様なため息を吐いた。
748 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/16(金) 21:46:07.24 ID:QSRqa1o0

「正直困るわけですよ。私こう見えて死神としてもう300年も経つベテランなんですけどね、今回5度目の査定でして、ようやく内地への栄転が決まりそうだったんです」
「はあ、そうなんすか」
「実際死神稼業なんてのは苦労の多い割りに実入りの少ない仕事でして、まあ、地方公務員っていうのは下っ端のうちはどこでも同じなんですけどねぇ。ははは」
「へぇ、大変なんすねぇ」
「そうなんですよ。ここから裁判所までどれだけかかるか知ってます? 一月ですよ一月。今現世じゃあ世界一周するのにも一月とかからないそうじゃないですか。 なのにこちらの世界ときたら移動手段は未だに馬車ですよ。私も一度、飛行機とまでは言いません。車とか言うのに乗ってみたいものです」
「まあ、速いっちゃ速いですねぇ」
 いったい何がどうなったのか、俺は今、先ほどまであんなに恐れていた死神と普通に雑談していた。
 実際中身がこんなんと判ればいくら見た目と雰囲気が恐ろしくても今更怖がる気にもなれない。
「それを半年に一度死んじゃった人たちを連れて行くわけですけどね、もうそれが通夜帰りもかくやと言うほどに暗くて暗くて、こっちが鬱病になりそうなほどでしてね?」
「ええと」
 まあ、自分が死んだと判った後に、こんな見た目と雰囲気のおっそろしい死神につれられて閻魔翌様とか言うのが待つ裁判所に連れて行かれるんじゃあ、暗くもなる気がする。
「と・に・か・く。 もう嫌なんです。御免です。これ以上この仕事を続けたら冗談じゃなく本当に鬱病になりかねない。多いんですよ。鬱病になる死神って。なのに国とき たら労災もおろしやがらない。何度か裁判も起こってはいるんですが、勝てやしない。まったく酷い職業を選んでしまったものです」
「大変っすねぇ」
 公務員には労災はおりなかった気がするが、あの世も同じなのか。
「と、長々と話しちゃいましたね。とにかく、私が言いたいのはですね、あなたに死なれたら困ると言うことです」
 ようやく話が戻ってきた。
 つまり、このおっさん死神は、俺に死ぬなと言っているらしい。

749 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/16(金) 21:47:04.04 ID:QSRqa1o0

 死というものは、生きているのならば赤ん坊だろうが老人だろうが、女だろうが男だろうが、貧者だろうが金持ちだろうが誰にでも訪れるものだ。
 求めれば必ず応え、求めずとも時期が来れば必ず訪れる。
 死にたいものは死に、生きたいと願うものも死ぬ。
 人はそれに逆らえず、希望のままに、絶望のままに、ただ受け入れるよりほかは無い。
 俺はそう思っていた。まあ自殺に失敗する奴ってのはどこに出も居るが、それはただそいつの覚悟が足りなかっただけだと、死というものは避けようと思っても避けられず、望めば万人が手に入れられるものだと、そう、思って……いたんだが、まさか、死神に受け入れ拒否なんてことがあって、しかもそれを俺が味わうことになるなんて思わなかった。

 俺の目の前では、死神のおっさんが長々と熱弁を振るっていた。どうしても、俺に死んで欲しくないらしい。
「この300年で初めてなんです。ここまで死者が少ないのは。奇跡ですよ奇跡。ぎりぎりで昇進に邪魔な死者数を上回っていない。 とはいえこれ以上一人たりとも増えては駄目なんです。微妙な線なんですよ。そもそも私ではどうしようも無いことで私の成績が決まるこの現行法にもいろいろ と不満はあるんですが、まあそんなことはこうなっては関係ない。要するに、あと一人でも死者数が増えたら私の昇進は白紙になるということだけなんです」
「ええと、ちょっといいすか」
「あ、はい。何でしょうか?」
 それを遮る。
「俺だって死にたくは無いんですけど、実際問題死んでますし……」
 先ほどおっさんが説明したことだ。俺は死んで、今死人の待合所のような場所にいる状態らしい。ここは入り口みたいなところで、今も奥にはたくさんの死人が居る。
 奥ってのがどっちかわからんが、聞いても仕方ないしそれは置いておこう。
 とにかく、本来は待合所で死人たちは死神が現れて裁判所に連れてかれるまでの時間を過ごすそうだ。

750 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/16(金) 21:47:32.35 ID:QSRqa1o0

「そうですか! 死にたくないですか!! そりゃあよかった!」
 なんか一人で喜び始めたぞおい。
「あの……?」
「大丈夫です! 私に任せてください! ちょうど今、まだ肉体的に死んでない身体がありましてね、それを使えば生き返れますよ!」
「はい?」
 それって、どういうことだ?
「いやぁよかった!! 本当に良かった! ついに、ついに私も内地に帰れるんですね。長かった。ああ、最後に家族にあったのはいつ以来でしょうか。娘ももう340歳。思えば40歳のころから300年もほったらかしだったんですね。いやあ、私は悪い父親だったなぁ」
「お〜い。詳しい話を聞きたいんですけど〜」
「これからは違いますよ。ええ、違いますとも。家族を大事にする、よき父親になるんですから。ああ、長かった。長かったなぁ」
 聞いちゃいねぇぞこいつ。
 というかぶんぶん手に持った鎌を振り回さないで欲しい。危ないから。そもそも案内役が仕事なら何に使うんだその鎌。飾りか?
 結局、おっさんが落ち着くまで、時計も無いんでわからないが、たぶん体感時間でさらに十分ぐらいの時を要した。
 怖くないのはいいが、むしろだんだんこのおっさんの性格がうざくなってきたな。
751 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/16(金) 21:48:01.16 ID:QSRqa1o0

「自殺者の身体、ですか?」
「はい。そういうことです」
 おっさんの話をまとめるとこうなる。
 なんでも、俺がここに来る直前、自殺者の魂がここに来たらしい。おっさんはもうこれ以上魂こないでくれこないでくれと念じてたそうだが、かなわなかったそうだ。
 で、おっさんはまだ大丈夫。もう一人来なければセーフだと思いつつ奥の待合所で待つよう告げたそうだが、そこで気づいたらしい。
 その自殺者の身体が、まだ死んでいないことに。
「脳死状態とでも診断されてるんじゃないですかね。それともただの意識不明でしょうか。人間って、未だに魂を科学的に証明できてないそうですし」
 そこに希望を見出したおっさんは、何とそいつに生き返るよう説得したらしい。が、そいつも自殺者。望んで死を選んだそいつがそんな言葉にうなずく訳も無い。
 結局説得に失敗。それでもまだ大丈夫だと気を持ち直し、再びおっさんはもうこれ以上魂こないでくれこないでくれと念じてたそうだが、そこに俺が現れてしまったという事だ。
752 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/16(金) 21:48:34.13 ID:QSRqa1o0

「というわけで、いいですね? 今から生き返しますんで」
「はあ、いいっすけど」
 別人になることに多少の不安はあるが、その自殺者の記憶も俺がそいつになれば手に入るらしい。脳みそに入ってるそうだ。しばらくはそいつの振りをして、徐々に地を現すようにすれば大丈夫だろう。
 俺が頷いたのを確認して、おっさんは鎌を下に置いて白骨の指を俺に向けた。
 白い指先は青白い炎を灯し、その軌跡は消えずに宙に留まって、なんだかゲームとか見る魔方陣を描き始める。
 死神の魔法かなんかなのだろうか。
 中身はあれとは言え外見と雰囲気は完全に死神。いまさら魔法を使い始めても驚きはしないけど。
 ……鎌はやっぱり飾りなんだろうな。
「じゃ、がんばってくださいね。私もがんばりますんで」
「そうっすね。そちらもがんばってください」
 不気味な外見で、性格も多少うざいが、まあこれっきりというんだったらそこまで嫌いにはなれない。ましてや俺はこのおっさんのおかげで生き返れるわけだし。
 だから本心からそう言って、おっさんも、牛の骸骨みたいな顔だがどうやら笑ったみたいな気配が伝わってきた。
 それに一礼をして、魔方陣が強く輝き始めたのに気づく。
 そして。
 
 直後、俺の意識は闇に呑まれた。

753 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/16(金) 21:49:15.18 ID:QSRqa1o0


 目が覚めると、俺はベッドの上に寝ていた。
「…………えっと」
 さて、唐突だがここで自己紹介をしておこう。本当に唐突で恐縮なんだが、今の俺の状況を説明するにはどうしても必要なんだ。黙って聞いてほしい。
 俺の名前は芳田次郎。法戸大学経済学部二年生。中学、高校と野球をやっていたが甲子園には後一歩及ばず。
 現在は大学の部活には入らないでたまに近所の草野球の助っ人をやる程度。
 家族は居るが家を出ていて、友人と金を出し合って大学近くのアパートを借りて住んでいる。
 勉強は中の上程度。出来ないほうではないと思うが、上にとんでもなく優秀な兄が居るためにどうしても自分が出来るほうだとも思えない。
 彼女は今はいない。どうにも女性との付き合いは苦手だ。高校時代に付き合ってた彼女との関係は卒業と同時に自然消滅。まあ、その程度の付き合いにとどまっていたと言うことだが。
「…………違う。そうじゃない」
 家族とか女関係とかはどうでもいい。名前すらもどうでもいい。とにかく俺が言いたいのは、俺は間違いなく、男だったというその一点のみだ。
 だってあの死神のおっさんとの会話は覚えているし。正直夢かとも思ったが、実際俺の中には間違いなく別人の記憶があった。
 あのおっさんの言ったとおり、俺は別人として生き返ったんだろう。それはいいんだ。うん。
 固いベッドに仰向けに寝転んだまま、白い天井に向けて右手を伸ばす。
 昔ほどではないとはいえ、今も野球を続けている俺の手は無骨で大きい。豆は無いが、それはずっと野球を続けていたために皮が厚くなっていたからだ。
 筋肉だってボディビルダーほどじゃないが同年代の連中に比べても太いほうだった。
 その、無骨で太いはずの手が、なにやら白くほっそりとしている。

754 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/16(金) 21:49:53.50 ID:QSRqa1o0

 白いのだっておかしい。これも昔みたいに真っ黒に日焼けしているわけじゃないが、それにしたって俺の肌はもともと白いほうじゃ無かった。
「……っく」
 起き上がろうとして、ぎしぎしと軋む体に思わず呻く。それを押して、俺は上半身を起こした。
 ベッド脇のダッシュボードの上に手を伸ばす。そこにあるのはこの体の元の持ち主の物である、自殺者のバッグだ。両親か誰かが持ってきたのか。
 俺の記憶と自殺者の記憶がごっちゃになりそうなのに少々混乱しながらバッグを開き、中に入っていた手鏡を取り出す。
「さて……」
 いや、この体の元の持ち主の記憶がある以上今の自分の顔も判ってはいるが、どうしても納得いかない。
 いわばこれは儀式みたいなものだ。
 俺が、こいつになってしまったことを受け入れるための、儀式。
 そして、俺は手鏡を覗き込む。そこに映っていたのは、少々頬がこけてはいるが俺から見て十分に可愛らしい女の子。
 髪は女性としてはかなり短い。男でもこれより長い奴は多そうなくらいだ。うなじをぎりぎり隠せるくらいのショートヘア。
 目は二重だがパッチリと大きい。少々つりあがった勝気そうな瞳で俺をにらんでいる。俺がにらんでいるのか、いや、一緒か。
 鼻筋は、少々つぶれ気味であるんだか無いんだか判らなかった俺がうらやましくなる程に整っていて真っ直ぐで細い。
 ぷっくりとした唇は少し紫がかっているが、これは血が足りないからだろう。多少薄いがそれでも女の子らしく柔らかそうでいかにも魅力的だ。
 すべてが、俺の中にある自殺者の“少女”の記憶と一致していた。
 わなわなと、可憐な唇が細かく震える。
「……あの腐れ死神め」
 一瞬でも感謝して損した。
 そう、思わず口走っていた恨み声も、記憶どおりの可憐なソプラノボイス。
 胸に手を当てれば、そこに感じるのはささやかなふくらみ。
 手鏡をバッグに戻し、体を投げ出すように再びベッドに寝転がる。
 認めざるを得まい。もうしょうがないというかどうしようもない。

755 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/16(金) 21:50:49.16 ID:QSRqa1o0


 私の名前は水城鈴菜。法戸大学付属中学高等学校高等科一年C組。所属部活なし。
 家は大金市樫場町×−×−×。両親と子一人の三人家族。
 性格はどちらかというと暗めで無愛想。集団活動が苦手で、しかも回りに合わす気が全く無いという、よく言えば孤高だが実際はただの困ったちゃん。
 現在それが原因で絶賛苛めの対象になってます。
 苛めの首謀者その他、見てみぬ振りをする大多数の生徒、学校の教師に復讐をするために、昨日手首を切って自殺してみました。テヘッ(はぁと)。
 もちろんただ自殺しただけじゃありません。遺書には私を苛めていた人たちの名前、彼女たちが私にした苛めの詳細を書いています。切り裂かれた教科書やスクールバッグ、ノートにされた落書きなどの証拠もきっちり取っておいてあります。
 そんな顔はかわいくても正直お近づきになりたくないようなメンヘラな性格をした少女が、今の俺。

 ……………最悪だ。
 女になっているだけでもアレなのにそれがこんなメンヘラ女とは。
 精神科医に通った実績もあるんだぞ、おい。正真正銘のメンヘラじゃねえか。
 いつの間にやらあの腐れ死神相手に嫌がらせをするために真剣に自殺を検討している自分に気づく。
 もしかしたら、もうこのメンヘラに毒されて始めているのかも知れない。
 死にたい気持ちが、いっそう強まった気がした。

756 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/16(金) 21:52:02.24 ID:QSRqa1o0
投下終了。
とりあえず主人公が女性化するところまで。
757 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/16(金) 22:21:07.07 ID:KmF33Sso
これはwktk

何やら良い流れになってるなー。
758 :(・・) :2008/05/16(金) 22:22:33.05 ID:YLy00Ak0
続きwwktk
759 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 00:11:46.78 ID:rbVk7Gw0
どうもお久しぶりです、ようやく念願のインターネット環境を手に入れました!
ので、wikiの編集をしてみようと思うんですが…一応許可を取ろうと思ってレスしました。
どーなんだろ?
760 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 00:31:38.56 ID:SiazFbo0
どうなんだろ?
昔からの人も結構減っちゃったしもともと責任者みたいな人も居ないし、勝手にやっちゃっていいんでない?
報告とかはこっちにしたほうがいいと思うけど。
職人さんに確認とれるなら聞いたほうがいいかもしれないけど、何ヶ月も前の作品とかだと今もこのスレ見ててくれるのかなぁ。
761 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 00:35:59.54 ID:rbVk7Gw0
個人的には、離れてった職人さんなんかも戻って来やすい状況作っときたかった。
…とりあえず取り掛かってみるわ。
762 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 00:42:36.87 ID:PoOBGOEo
VIPでやってたときに途中まで書いてた俺が来ましたよ
wiki編集はありがてぇす
763 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 01:01:01.75 ID:rbVk7Gw0
お、丁度いいとこに。
いま「おせち(150j)」って人のを上げてみたんだが…確認頼む。

あと、個人的な燃料のホットミルクが切れそうだ。
764 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 01:03:47.26 ID:PoOBGOEo
久々にwiki見たけど最初自分のがわからなかったwwwwww
あれ?こんなの書いたっけ、別の人の混じってね?とか思ったらパソに原稿が残ってたww
暇が出来たらまた書きに来ますねwwww
765 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 01:11:33.11 ID:PoOBGOEo
>>763
wikiモードにしたほうが良い気が
766 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/05/17(土) 01:13:31.16 ID:8KI/ooco
昔wikiいじってた人が通りますよ
wiki立ち上げた初代編集人がダレでも編集おkみたいなこといってた記憶なんで
どんどん編集しちゃっていいと思われ
むしろやってくれるとうれしいぜ
767 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/05/17(土) 01:14:04.82 ID:bDRMe2Io
VIPでやってたときに投げまくったオレはROMってますよ。


久しぶりにwiki見たら黒歴史過ぎて死にたくなったorz
768 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 01:14:35.08 ID:rbVk7Gw0
すまない…wikiモードって何ぞ?

あと、編集できるのが管理者のみってページが出てきたんだが…?
769 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 01:17:27.13 ID:PoOBGOEo
>>768
http://www1.atwiki.jp/guide/pages/137.html

あと、名前欄強制のときのはIDでわけてるみたい
770 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/05/17(土) 01:20:25.44 ID:bDRMe2Io
wikiに置いてあるテンプレを見るといいよ。
771 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 01:24:45.18 ID:rbVk7Gw0
さんくす!
772 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 01:25:31.09 ID:PoOBGOEo
とりあえずモード変更して、別のページみながらいじってみたよおせち

ってテンプレあったのかorz
773 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 01:28:14.33 ID:SiazFbo0
>>764
期待して待ってる!
>>771
頑張ってくれ!

さて、自分も自作の続き書くかな。
明日は久しぶりの休日だし。
774 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 01:30:31.46 ID:tqDqEBYo
>>767
自分の見ると、あまりの出来に無性にリライトしたくなるww

>>まとめの方
グッジョブ!

それにしても、結構人いるのねww
775 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 01:32:58.43 ID:2ppekRMo
いきなりのびまくってワロタ
ここ数日がんばってレスした甲斐があるってもんだ
776 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 01:35:55.82 ID:rbVk7Gw0
すまん、おせち消しちゃった…
モード変更ってどうやるんだ…
777 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 01:45:58.13 ID:PoOBGOEo
>>776
上のほうにある「編集」から「このページの編集モードを変更」で、「アットウィキモード」を選ぶ。
てかページ作るときにデフォがwikiモードだからあまり気にしなくていいかと。
778 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 02:08:41.94 ID:rbVk7Gw0
分かった、とりあえずこのままやってみる。
とりあえず「こうした方が」って言うのがあったら遠慮なく言ってくれ。
まあネット暦一日だからアテにはなんないだろうから、「こうしておいた」とかなら助かります。
779 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/05/17(土) 03:13:26.49 ID:aMoz0ADO
>>759ですが…ネットの接続が切れたまま復活してくれないので落ちます。
明日解決して早めに作業に戻れれば良いんだけど…。
780 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 15:11:06.97 ID:hJfVg8w0
何度もすまない…管理者のみ編集可能なページって出てきて編集出来んくなった。
これってログイン…てゆうか登録しなきゃ編集不可なのだろうか?
781 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 15:16:23.21 ID:PSIGTawo
管理者のみ編集可能→管理者しか編集できない
メンバーも編集可能→登録してれば編集可能
誰でも編集可能→登録もいらない
782 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 15:26:28.26 ID:hJfVg8w0
即レスサンクス。つまり…管理者のみ編集可能→俺には編集不可って事?
783 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 15:29:23.15 ID:PSIGTawo
っていうかwiki作った人しか編集できないと考えるのが最短かもしれない
784 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 15:38:27.43 ID:MKq1migo
何を編集するんだ?
785 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 15:50:35.65 ID:MKq1migo
あ、なるほど。作品のページはほとんどが管理者のみ編集可能になってるな。
昔からの人はパスワード知ってる(はずだ)けど、ここに書くのはまずいかな?
ちょっとした事ならやっとくけど。
786 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 15:56:23.85 ID:qkXVuuw0
何か本格的に編集するならどこ開いても管理者専用になってるから、過去ログのを全部移そうと思ったら管理パスがないときついと思う。
ウィキってそういうもんなのかな?
787 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 15:59:34.89 ID:MKq1migo
なぜか最近作られたと思われるページまで管理者のみになってたので、
一応その部分は制限なくしときました。たぶんそこかな困ってたことは。
788 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 16:05:12.55 ID:qkXVuuw0
ありがとう!今日は雨だから心置きなく編集頑張るぜい。
789 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 16:06:42.88 ID:MKq1migo
すいません、勝手ながら設定変更しました。
デフォルトの編集権限が管理者のみになっていたので、
(ページ作るのは自由だけど作った後は編集できないという変な状況)
誰でも可に変更しました。これでパスワード公開しなくても自由に編集作業ができるはずです。

てかパスワードの扱いは流石に自分では決められないので、どうしましょう?
790 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 16:10:25.39 ID:wtxbvpYo
荒らす馬鹿が出るまでは無くていい
出はじまったらこのスレにいつも居る人なら分かる言葉をパスにすればいい
791 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 16:10:49.02 ID:qkXVuuw0
流石にここで公開って訳にもいかないし…とりあえずはこのまま一部の人(>>789含)が必要な時に操作してくれれば大丈夫なのでは?
792 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 16:22:13.91 ID:MKq1migo
一応、管理者権限が必要なのは編集する必要がないページなので、
これを「だれでも編集可」にして、スパムの危険にさらす事もないと思うです。
設定を変えたので、新しいページを作って作品をまとめるぶんには全く支障はないはずです。
ただ今編集してくれてる人が知らなくて何もしてない俺が知ってる、という状況が気になったわけで。
793 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 16:29:24.84 ID:qkXVuuw0
あー…すまん、昔の職人さんのページへの更新したいんだが…
794 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 16:35:20.90 ID:MKq1migo
あひゃwwwwwwどうしようww
目次ページだけ編集可にすればいい?本文はいらんよね?
795 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 16:37:19.70 ID:qkXVuuw0
?よく分かんないけど…昔の職人さんのページに新たに作品を入れたい、って事で通じる?
796 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/05/17(土) 16:38:10.88 ID:MlvlHY.o
だからwikiに置いてあるテンプレを見れば良いっていってるジャマイカ!

http://www12.atwiki.jp/hyon/pages/342.html

ユーザー名は省略可能。
797 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 16:38:23.12 ID:MKq1migo
おkたぶん把握した
798 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 16:40:53.66 ID:MKq1migo
>>796
おおはやく言ってくれたまえよハニー
昔のことなんでどういう状況かすっかりわからないんだ
>>795とりゃえず>>796見たらおk
799 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 16:43:40.57 ID:qkXVuuw0
さんくす!おまいら大好きだ。
800 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/05/17(土) 16:44:24.54 ID:MlvlHY.o
>>768>>770
801 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/05/17(土) 17:19:20.17 ID:MKq1migo
>>800
サーセンwwwwww
802 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/17(土) 19:13:45.27 ID:qkXVuuw0
とりあえず2007/1月分までウィキに乗せました…が、ネット暦2日なんでかなりのミスが予想されます。
何かありましたら連絡もらえれば直そうとは試みますが、皆さんにも協力を仰ぐ事になると思います。その折は頼むぜ皆!
803 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/18(日) 01:19:29.55 ID:zqiPYzc0
>>802
まとめ乙!

うーん、やっぱ投下無いと過疎るねぇ。
804 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/18(日) 03:11:05.15 ID:zqiPYzc0
というわけで、寂しいんで投下。

ぐーたっち
第一話

 リノリウムの緑の床を、一人の男が鬱々とした足取りで歩いていた。
 右手に落ち着きが無いのはタバコが恋しいのだろうか、何度も懐に手を伸ばしては慌てたように戻している。
 彼は別にヘビースモーカーというわけでは無い。不安な時や苛々している時など、精神が不安定になってくると吸いたくなるだけで、タバコを吸わないと精神が不安定になる程に喫煙という行為に取り付かれている訳ではないのだ。
 しかも彼が今歩いているのは病院の廊下である。
 当然彼もそれを良く弁えてはいるのだろうが、それでもつい吸いたくなるらしい。
 つまりそれは、現在の彼の精神状態が非常によろしくない事の証明でもあった。

805 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/18(日) 03:11:54.78 ID:zqiPYzc0


 彼は、所轄の警察署の生活安全課に所属する警官である。
 今年でもう40も半ばを超える年齢の彼にとって、最も愛するべきは己の生活の平穏だった。
 若い頃、それこそ警察に入りたての頃の彼はもっと市民の生活の安全を守る警察官としての使命感に燃えていたように彼には思えたが、さすがに家庭を持ち、相応に年も取った今は以前の情熱は残っていない。
 そんな彼であるから、半年前に部下が受け持ったという少女の相談は非常に頭を悩ませるものだった。
 警察にとって、虐待と並んで非常に対応の難しい、学校でのいじめの相談だ。
 彼女は何度も繰り返し警察に相談に現れた。
 まだ課に配属されて日の浅い部下は、対応に非常に苦慮したらしい。それは何度も部下に相談を受けた彼には良く分かった。
 彼は何度も学校や児童相談所に任せるべきだと助言をしたのだが、相談者の少女が警察での対応を強く望んだこと、そしてまだ若く正義感の強いその部下もまた彼女の要望に真摯に応えようとしていた事が問題を複雑化させた。
 部下はそう思っていなかったようだが、一度少女の相談の時部下に付き添った際の彼の目には、そう喫緊の問題に映らなかったのも大きいだろう。
 何せ聞けば彼女は両親にすら相談していないのだ。
 今思えば、それは彼女と両親の間に大きな溝が出来ていていた為と分かるが、その時の彼はそうは思わなかった。
806 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/18(日) 03:12:42.00 ID:zqiPYzc0
 家族への相談などの順序を無視し、直接警察に訪れて苛めの詳細や首謀者の名前等を淡々と述べる少女は、彼にはいじめの解決よりも彼女をいじめる者たちへの復讐心の方が強いように思われたのだ。
 彼は面倒を厭い部下の足を引っ張るようになり、横槍の入ったいじめへの対応は遅々として進まず、そして一昨日、相談者の少女は自宅の浴槽にて手首を切っての自殺を図った。
 そこまで回想して、彼はふと笑い出したくなった。
 回想にまで建前を挟んでいる自分への、自虐の嗤いだ。
 少女の思惑がどうだったかなど全て建前。面倒を厭ったなんて全部嘘。本当は、彼自身が少女の相談に対してどうしても警察を動かしたく無かっただけなのだから。
 そしてその気持ちは今でも変わらない。部下に不審と恨みを抱かれながら、彼は一命を取り留めた少女から話を聞くためにこうして病院を訪れている。
 いや、話を聞くためとは少し違う。彼は、少女に警察で対応は出来ないときっぱりと告げるためにここに来たのだ。
 目的の病室を目指して暫く歩き、ようやくドアの横にあるネームプレートに、彼の知る名前を見つけた。
『水城鈴菜』
 緊張と不安と、それよりもっと大きな良心の痛みを押し殺して、彼は扉を二度叩いた。
807 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/18(日) 03:13:21.24 ID:zqiPYzc0


 白い室内着を着た少女は、青白い顔でベッドに上半身だけを起こしたまま座っていた。
 未だ目覚めたばかりの病み上がりの為か頬は多少こけて、いつか見た彼女よりもずっと弱々しく彼の目には映った。
「すいません、こんな格好で」
「いや、気にしなくていいよ」
 彼女の性格から、皮肉の一つでも覚悟していた彼は少々面食らいながら挨拶を交わす。
「どうぞ、そこ、座ってください」
「ええ。あ、これをどうぞ。何にしようか迷ったんだがね、やはりお見舞いと言ったらこれだろう?」
「お見舞いに、来たんですか?」
 そして、彼が差し出した果物の詰め合わせを受け取りながらの彼女の言葉に、すっと顔を引き締めた。 
「もちろん、お見舞いの意味もあるよ」
 それは一瞬のことで、すぐ彼は柔らかな笑みを浮かべて安心させるような言葉を返す。
 だが彼女は取り合わずに、更に言葉を紡いだ。
「手紙、受け取ってくれたんですよね。だからここに来たんでしょう?」
 淡々と、少女は言う。
 自殺直前に彼女が出したと思われる警察宛の手紙。彼は無論読んでいた。警察では、彼しか読んでいないが。
 彼女が受けたいじめの詳細。首謀者の名。そして、一週間以内に行動を起こさない場合同じ内容の手紙を主要マスコミに送るよう両親に頼んであると言う、恫喝にしか思えない最後の文。
「もちろんだ。それで、今日は少し話があって来た訳だが……」
 この少女は、やはりどこかおかしい。そう思い、それを免罪符に何とか説得を始めようとして。
「あの、手紙に書いてあったことは全部無しってことでお願いします」
「……なんだって?」
 あまりに予想外で、それでいてあまりに彼にとって都合の良すぎる言葉に、彼は思わず己が耳を疑った。
 
808 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/18(日) 03:14:04.20 ID:zqiPYzc0
 

 さて、俺が“水城鈴菜”として生き返ってから約一週間が過ぎた。
 マジで自殺も考えてはいたが、さすがにあの腐れ死神に嫌がらせをするだけが目的で死ぬというのはむかつくし、早計だろう。
 あんまりこの身体で生きていける自信は無いが、さすがに少しは頑張ってみるのもいいのではないかとようやく前向きに考え始められたところ……なん……だが。
「本当にご迷惑おかけして申しわけありませんでした。ほら、鈴菜も頭を下げなさい。ほら!」
「す、すいませんでした」
 俺が自分を水城鈴菜だと受け入れた後すぐに、医師に連れられて鈴菜の両親が現れた。
 想像はつくと思うが、この子にしてこの親ありか、いや、実際の用法は逆だがそれは置いておいて、とにかく鈴菜の両親もどっちも碌な奴じゃない。
 会う前から、鈴菜の記憶で十分に分かっていたことだが。
 母親は泣いて俺に縋り、父親は自殺という過ちを犯した娘を厳しく、でも助かった安堵のためか暖かな目で見つめている。
 ここまでならいい両親に見えるが、その態度が、どうにも俺には嘘くさく思えたのだ。
 世間一般のいい母親、いい父親を演じて、その自分に酔っているかのような、そんな不快さを彼らの動向の端々に感じる。
 鈴菜の記憶を持つ俺は、その原因も良く知ってはいる。だから尚更、分かってしまうのだろう。
 そして手首を切って自殺を試み、一日ぶりに息を吹き返した少女とその両親の対面という、“とても感動的な場面”が終わったのが一週間前。
 そして今日、俺は両親とともに退院の手続きを行っているというわけである。
「すいません。本当に、本当に申し訳ありませんでした」
「いえ、もう鈴菜ちゃんも直ったことですし、ああその、どうか頭を上げてください」
 受け付けの看護師を相手に、もうこの母親は5分くらいは頭を下げ続けている気がする。
 俺……というか鈴菜もこの看護師さんに世話になったわけじゃないし、彼女に謝っても仕方ないんじゃないだろうか。ほら、彼女も困ってるし。
 父親に目配せするが、彼は俺の視線には気づいても何やら暖かさを込めているつもりなんだろう表情で笑いかけてくるだけ。
809 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/18(日) 03:15:21.56 ID:zqiPYzc0
 なにやら勘違いさせてしまったらしい。
 仕方ない。俺が言うしかないのか。
 そう諦観し口を開こうとして、母親が言った言葉に愕然と固まった。
「はい。申し訳ありませんでした。もう二度とこんなことでお世話にならないよう気をつけますので。ね、鈴菜」
「…………」
 おいおい。
 あんまりな言い分に思わず舌打ちをしようとして、それは何とか思いとどまる。
「鈴菜?」
「まあまあ、お母さん。鈴菜ちゃんだって昨日の今日です。まだ落ち着いていないところもあるでしょうし、今はやさしくしてあげて下さい」
 こんなこと、だって? 自[ピーーー]るやつの気持ちを理解しようとは思わなかったが、幸か不幸か俺はそれをこの上なく実感している。
 確かに鈴菜は馬鹿なことをしたと思うし、動機も最悪だ。
 でも、鈴菜は自[ピーーー]るほどに追い詰められていたのは確かで。こいつらがそんな娘の様子に気づけなかったのも事実だ。
 子の甘えというものなのかも知れない。親だって完璧な人間じゃない。
 それは分かる。だが、それにしたって今の言い分は、自殺しようとした娘にかける言葉じゃないだろう。
 鈴菜じゃない俺が何か言う資格もないけどな! くそっ!
「さ、そろそろ行こう。弘子、ほら」
「え、ええ。ごめんなさいね鈴菜。今のは……」
 今更失言に気づいたって遅い。いや、何もかもが遅すぎる。
 鈴菜は死んだ。その元凶とまではいかなくても、少なくとも一因を担った両親。
 なにやら謝罪と言い訳を繰り返す母親を無視して、出口に向かう父親の後を追う。
 ちらちらと気遣わしげに振り返る父親の態度も、何かあざと過ぎて苛々する。
 ああ、この両親も、好きになれそうに無い。そう思いながら、俺はただ黙って歩き続けた。

810 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/18(日) 03:16:14.50 ID:zqiPYzc0

 車で30分。ようやく“自宅”に辿り着いた。
 車の中に居るときから何やら色々と話しかけて来た母親を徹底無視して、とにかく“自室”に向かう。
 鈴菜の家は大金市の東にある樫場町の住宅地の一角。
 俺が住んでいたアパートからも結構近い。実際ここらに来た事はないが。
 二階建て4LDKの間取りは三人家族には少し広い。
 両親共働きの上に母親の実家が結構な金持ちの為、こんな家が買えたのだろうが。
 二年前までは父方の祖母も同居していたのだが、脳卒中で帰らぬ人となっている。
 そんな基本情報をつらつらと頭に浮かべながら階段を上り、“自室”に入る前に奥の部屋に向かう。
 ドアを開けると、線香の香りが鼻をついた。
 部屋には殆ど物が無く、唯一少し奥まった場所に仏壇が置いてある。
 鈴菜の、祖母が生前使っていた部屋だ。
 飾られた写真の中で、鈴菜の記憶と相違ない笑顔で、一人の老婆が笑っていた。
 仏壇の前に座り、線香を上げる。祖母が死んでからの、鈴菜の習慣。
 両親はあんなだが、いつも優しかった祖母には鈴菜もよく懐いていた。
 と言うより、共働きでいつも忙しく家を空けていた両親のかわりに、祖母は殆ど一人で鈴菜を育てていたというだけの話だが。
 だからこそ、祖母が亡くなった途端にまるで手のひらを返すように、仕事を減らし急に母親面をし始めた母親や、休日に家族で外出や旅行を計画する父親に反発したのだろう。

811 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/18(日) 03:16:46.60 ID:zqiPYzc0

 鈴菜はいつもここで今日あったことなどを祖母に報告するのだが、さすがに俺はそれをする気になれない。
 俺は鈴菜ではないし、何より死人の裏事情の一端を知っている。
 言っても届きやしないのだ。
 きっと鈴菜の祖母も、とっくにあの腐れ死神が裁判所とやらに連れて行った後だろう。
 祖母の部屋を出、今度こそ“自室”に向かう。
「うわ」
 思わず、呆れと驚嘆の入り混じった複雑な声を上げてしまった。
 クリーム色のドアの向こう。そこに広がるのは、分かってはいたが何とも殺風景な部屋。さっきまで居た祖母の部屋にも負けては居ない。
 あるのはベッドと箪笥をクローゼット。そして勉強机とその上に置かれたノートパソコンくらい。
 それ以外は本当に何も無い。記憶があるため間違いじゃないとは理解しているが、それでも本当にここに生活していたのかと疑問がわく程だ。
 俺が生前、友人の澤田と金を出し合って借りていたアパートに比べると尚更そう感じる。
 まあ、あの部屋はむしろ雑然とし過ぎていたとも言えるけど。何せ男二人の共同生活だったからな。
 そう言えば、せっかくここからも近いのだし、あの部屋にも出来るだけ早く向かう必要があるだろう。
 俺の、芳田次郎の趣味の物がいっぱいある。どうにかしないと、全部澤田の物になっちまう。
 通帳とかへそくりも回収しなくちゃな。財布は諦めるしかないだろう。俺の死体と一緒だろうし、だとしたら家族の手に渡っているはずだ。
 可能なら、澤田の奴に俺を俺だと信じさせたくもあるな。
 本当にガキの頃からの親友だしな。弱みを握って脅しでもすれば、糸口はつかめるだろう。
 丁度いいタネもあることだし。
 そう考えながらバッグを床に投げ置き、ベッドに向かう。放り投げられたバッグが床に落ちがちゃんと音をたてたが、入っているのは化粧道具やら何やらだ。
 正直、俺が気遣う気はしない。
 仰向けに、ばたんと倒れこむ。
 柔らかい。病院のベッドよりはいい材質を使っているみたいだ。ましてやアパートの煎餅布団なんかとは比べようも無い。
812 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/18(日) 03:17:19.81 ID:zqiPYzc0
 そのまま暫くぼんやりとする。
「……無趣味ってのも問題だよな」
 暇だ。パソコンでも起動しようかと思いながら起き上がり、ふと気になることに思い当たった。
 立ち上がって箪笥に向かう。少々ずぼらだった鈴菜は、自分の服やらをほとんど把握していない。
 まあ、学校に友人も居ずどこかに遊びに行くことも少なかった彼女は、学校の制服のほかは着やすいのが数点あればいいと思っていたらしいが。
 同感だ。俺だって、いくら今女の子になってしまったからといっても精神的女装をするのは気が進まない。
 学校に行くのは仕方ないし、故に制服を着るのは避けられないだろうが、それ以上は最低限にしたいのが本音だ。
 が、だからといって、女の子の服に興味が無いわけじゃない。女性と付き合うのは苦手だが、女性に興味が無いわけじゃないし、可愛い服を着た女の子は好きだ。
 がらりと引き出しを引っ張れば、そこに畳まれていたのは鈴菜のイメージに合わないような可愛らしい服ばかり。
 鈴菜の記憶にも、これらを着た記憶は無い。
 両親が、鈴菜にプレゼントした物だったか。
 少しいやな気分になったが、それだけだった。
「……よく考えりゃ、女物の服だけを、しかも自分が着るかもしれない服なんか見たって楽しいわけが無いよな」
 思わず独り言をつぶやいて、引き出しを戻す。
 そのまま何の気なしにすぐ下の引き出しを引き抜いて、俺は固まった。
 そこにあったのは、ピンクやら黄色やら白やらの、下着の、山。
 俺は全身を強張らせたまま、腕だけを動かして引き出しを戻した。
「か、考えてみれば当然だ。うん。当たり前の事だよな。だって、鈴菜は女の子なんだし。今だって――」
 俺は、女物の下着を着けているのだ。
 変なことじゃない。今の俺は女の子、なの、だから。
813 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/18(日) 03:17:49.66 ID:zqiPYzc0
 現状の確認と、鈴菜と言う女の子になってしまったことの驚愕、そして嫌悪感で正直そう言ったことを考えている余裕は無かった。
 更に意識して考えないようにしていた。
 俺だって成年男子。女体への興味は思春期の中学生ほどじゃないが人並みにある。あるが、だがすぐ手の届くところにある女体は俺の体なのだ。
 なんというか、背徳感とでも言えばいいのか。澤田に言わせれば潔癖とでもなるんだろうが、これが俺の性格なのだから仕方が無い。
「……っ」
 拒否感を宿した思考はそのままに、手は自然に胸と股間に伸びていた。
 俺は、知っている。鈴菜は、友人の少ない内向的なこの少女は、自慰を覚えるのが早かった。
 それがどれほどの気持ち良さなのかも、私は知っている。
 私の記憶を持つ俺は、今もそれを明確に思い出していて――。
 突然、刺すような恐怖が全身を駆け抜けた。
 その正体に唐突に気がついて、
「――――だあぁああ!!」
 全身の力を振り絞って、手の動きを止めた。拳を、思いっきり握り締める。
 逆に言えば、それだけ必死にならなければ、手は止まってくれなかったろう。
「俺は、俺だ」
 自分に言い聞かせるように呟く。心の中では叫んでいた。芳田次郎。水城鈴菜として生まれ変わったが、俺は芳田次郎なんだ!
814 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/18(日) 03:18:20.84 ID:zqiPYzc0
「はぁ、はぁ」
 別人の記憶が丸々頭の中にあると言う事は、こういう事なのか。
 うすうす感づいてはいたとは言え、これは、俺が鈴菜に染まるとか言うレベルじゃない。
 一週間。病院に入院している間にも、何か漠然と恐怖を感じることがあった。例えば、着替えているとき。初めて今の自分の身体を隅々まで見た時や、看護師さんに身体を拭いてもらっている時。傷が塞がって、ようやくシャワーを浴びる許可を貰って入った時など。
 あくまで漠然とした不安。その時は、それが何だかなんて分かって居なかった。
 だが、もう分かってしまっている。
 これは……、これは俺の記憶と鈴菜の記憶が混じりあおうとしてやがるんだ。
「冗談じゃ、ない」
 そんなことになったら、俺は俺じゃなくなってしまう。
 芳田次郎という人間が、この世から消えて無くなってしまう。
 そこに残るのは、かつて芳田次郎であった水城鈴菜という新しい人間だけ。
「……俺は、俺だ……」
 酷く、頭痛がする。圧迫されるような痛み。
 とある違和感を思い浮かべる度に、それは強くなっている気がする。
 二人分の記憶が脳内で鬩ぎあうのが、物理的な痛みをもたらすのか。
 いっそ混じりあってしまえば楽なのかも知れない。
 でも怖かった。
 あの死神に、初めて相対した時にだってこれほどの恐怖は味わってはいない。
 自分の心が、存在が、完全に別人へと変わってしまう。それこそ、真の死と呼べるのではないだろうか。
815 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/18(日) 03:18:51.32 ID:zqiPYzc0
 俺も、鈴菜も人間だ。
 人の心ってのは以外に柔軟で、誰でも共通する何かを持っている。共感とはそういうものだ。
 良心への反発。友人関係の煩わしさ。自殺したこと。苛められていたこと。クラスで孤立していたこと。その他全ての鈴菜の経験、それに付随する彼女の思考の記憶。
 ある一つの事柄を除いて、俺はそれを理解できなくも無い。共感できなくも無い。
 その記憶を、俺は自分の記憶の延長線上に持ってくることが出来る。制御し、自分のモノにすることが出来る。
 でも。
 鈴菜の“女”。それについては全く理解できない。共感出来ない。
 それを理解し、共感出来るのは、俺じゃない。
 その記憶に触れるたびに、俺は俺じゃ無くなっていくだろう。
 避けることは出来ない。水城鈴菜は女なのだ。俺は、これから女として生きていかなくてはならないのだから。
 今はまだ大丈夫だろう。だが、一年後は? 五年後は? 十年後は?
 それを考えると、怖くてかたかたと身体が震えてくる。
 別に下着や生理など女性特有のものでなくても、全ての思考の根本には多かれ少なかれ性差というものがあるのだ。さらに、この身体は、女だ。
 あまりにも、分が悪い。
「……負けねぇぞっ」
 俺は、俺であることを辞めはしない。絶対に。
 いざとなったら性同一障害とでも主張して、性転換してやる。
 気を抜くと弱気になりそうな心を鼓舞するかのように、俺は固い決意を込めて言葉を吐き出す。
 それでも、その声はどう聞いてもか細い女の子のものでしかなかった。
816 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/18(日) 03:19:38.12 ID:zqiPYzc0
投下終了。
くそ、NGワード気をつけていたのにorz
817 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/05/18(日) 03:39:07.69 ID:m1jpUo6o
「自"殺 す"る」っていうのはさながら「むらさ"きいろ"」みたいなもんですからね。
818 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/19(月) 00:42:33.79 ID:Hiqq5cgo
自ピーるワロrタwwwwwwwwww乙
819 :佐白 :2008/05/19(月) 16:55:57.83 ID:vORy/rs0
『シガレット→しがれっと』第十話

 久しぶりの大学は、春休みに入る前とまったく変わっていなかった。よく目にしている掲示板には、学生課からの張り紙や新入生に向けたサークル勧誘のポスターが所狭しと貼られている。
 その中には、俺が所属する演劇サークルの勧誘ポスターも貼られていた。もちろん、この体になってからは一度も顔を出していない。
「そこの君!新入生?」
 不意に後ろから声をかけられた。相手は数人の男達で、見るからにチャラい格好をしている。
「今、そこの勧誘ポスター見てたでしょ?オレらのサークルはチョー楽しいぜ?試しに入ってみなよ」
「い、いえ・・・・・・。興味ないですから」
 そうか、今は女の姿をしているからこういう奴等が寄ってきてしまうのか。女も大変だな。そう思いながらその場を離れようとしたが、いつの間にか俺の周りは男達に囲まれていた。
「あの、すみません。どいてくれませんか?」
「そんなつれない事言わないで、さ。良いじゃん良いじゃん、見学だけでもしてよ」
 俺は身の危険を感じ始めていた。この数人の男達に対し、今の俺は狼に囲まれた兎なのだ。
「あー、メンドいな!良いじゃんかよ!」
「あっ!」
 一人の男が俺の態度に痺れをきたしたのか、乱暴に腕を掴んできた。
「やめっ・・・・・・、離してください!」
「いいじゃんか、減るもんじゃないし」
 助けを求めて周りを見回してみても、仲間の暴走を止めるどころか他の男達もニヤついた顔で見ているだけだった。
──ヤバい!そう思った時だった。
「お前等、そこで何をしている!」
 凛と澄み切った声がその場に響き渡った。
「やべぇ、風紀がきちまった。おい皆、逃げるぞ!」
 リーダー格の奴がそう叫ぶと、俺を囲んでいた男達は蜘蛛の子を散らすように逃げていってしまった。
 俺はというと、安心したせいで体から力が抜け、その場に座り込んでしまった。
820 :佐白 :2008/05/19(月) 16:56:58.34 ID:vORy/rs0
 驚いたことに、俺を助けてくれたのは女性だった。腕には”風紀”と書いてある腕章を付けている。
「大丈夫か?」
「はい・・・・・・。助けていただいてありがとうございます。ところで、あなたは?」
「私は法学部3年の厳島綾。見ての通り、風紀委員会の一員だ」
「あいつ等は度々問題を起こすサークルでね。今日も見回りに来て正解だったよ」
 とても勇ましい風格の彼女は、近くで見ると意外と小柄で可愛らしい顔付きをしている。噂には聞いていた風紀委員を、まさかこんな可愛い女の子がしていたなんて、驚きだ。
 風紀委員会とは、この大学内で最も権限を持っている大学自治体の事だ。パワハラをする教授を独断で解雇したり、構内でのトラブルに介入し事態収拾をするなど、一部からは憧れの対象であり、一部からは畏怖される存在なのだ。
「さて、私は先ほどの奴等に制裁を与えなければいけないから、これで失礼するよ」
「はい、ありがとうございました!」
 厳島さんは、まるで突風のように走って行ってしまった。
 それにしても、今回は助けが来たから良いものの、次からは気をつけないとな。なんてったって、今の俺は非力な女の子なんだから。
821 :佐白 :2008/05/19(月) 16:58:05.25 ID:vORy/rs0
 気を取り直して、俺は教室に向った。1限目の講義は個別に出席確認をしない先生だったため、難なく講義を受けることが出来た。しかし、問題は2限目だった。2限目は必修単位の講義であると共に、教授が一人一人の名前を呼び上げて出席確認をするため、今の俺では講義に出席できないのだ。
 どうしよう、どうする?俺は解決策を必死考えてみるが、良い案は一向に浮かんでこない。
 その時、ポンッと肩を叩かれた。
「ひゃいっ!」
 不意打ちに、つい驚きの声を上げてしまった。
「あはは、ひゃい!だって。何をそんなに怯えているのよ?まるで本物の女の子ね」
「え?」
 そこにはスーツ姿のカグヤが居た。なんでカグヤがここに?
「言わなかったかしら?アンタが元に戻るまで、私たちが生活をサポートするって」
 私たち、とは勿論カグヤが所属する団体のことだろう。
「サポートって、具体的には?」
「んー、昭人が今まで通りの生活を送るためのサポート」
 全然具体的じゃなかった。
「とにかく、大学に関してはもう心配要らないわよ」
「どうしてさ?」
「アンタの必修講義は、全部私がすることになったから」
「な、なんだって!?」
 カグヤが言うには、あっちの世界のありがたーい技術を駆使して、この大学の講師に成りすまし、俺の必修講義を受け持ったらしい。さらに、俺が他に履修している授業の講師も、全員カグヤたちのスタッフらしい。ということは、さっき出席した講義の講師も・・・・・・。
「なんていうか、やっぱ無茶苦茶だよな。そっちの世界は」
「その言葉は心外ね。もっと感謝の言葉を言って欲しいくらいよ」
「はいはい、ドウモアリガトウゴザイマス」
 何はともあれ、こうして俺の安らかな大学生活は保障された、この時の俺はそう思っていた。
822 :佐白 :2008/05/19(月) 17:00:52.19 ID:vORy/rs0
『シガレット→しがれっと』第十話 終わり

やっと再開しました。
823 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/19(月) 17:09:48.24 ID:XPhZMDg0
おお、めっちゃ久しぶりじゃないか! GJ!
俺も大学生活サポートされたいww
824 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/05/20(火) 02:38:08.15 ID:lRITagc0
GJ!!
825 :(・・) :2008/05/20(火) 10:01:09.57 ID:W1pUtnE0
投下が増えてきたかな。
よい傾向だ。
826 :(・・) :2008/05/20(火) 10:02:06.02 ID:W1pUtnE0
「さて…」

「どうしようか…」

いきなり提案したのはいいけれども、具体的に何処に行って
何を買おうかという細かいところまでは考えておらず、俺と由雄の二人は
ぼんやりと駅前のショッピングモール内のとある店先でぼんやりと佇んでいた。

目の前には若い女性客たち(高校生位であろうか)が女性物の服を品定めしている。
その店内は割りと賑わっている。
正直なところ俺はこのような状況には慣れておらず、女性の群れる店内に入って
服を選んだりすることに抵抗を感じた。

「…」

少女も俺と同じ思いなのか、店に入ることを躊躇しているようだ。
多くの女性の賑わいを見て引いている感じがする。

やはりそれは元々少女が由雄、つまりは男であったからか。
昔から由雄は女の免疫が無い奴だったからな。このようなシュチュエーションは苦手だろうなぁ。
…俺も似たようなものではあるが。

「…ん?」

さて、どうしたものかと考え込んでいると由雄が俺の服の袖を引っ張ってきた。

「ど、どうするんだ? 浩輔? やっぱ、止めとく?」
明らかに逃げ腰の由雄。顔が引きつっている。

「何いってんだよ。ここまで来て後に引けるかよ。お前だって着れる服が欲しいんだろ。」

「ううっ、そうだけどさぁ…。流石にこんなに女が沢山居ると入り辛いよぅ…」

「あのなぁ…お前も女だろうが。正直、俺の方が入りづらいぜ。」

「お、俺だって好きで女になったわけじゃないよ! 」

「その話はいいから、とりあえず入ろうぜ。俺も付き合うからさ。」

「う、…うん。」

ここまで来た以上帰るわけにも行かないので俺と由雄は意を決し店内に入ることにした。
827 :(・・) :2008/05/20(火) 10:05:04.61 ID:W1pUtnE0
外から店の中を見た時には入り辛い雰囲気を醸ち出していていたが
 店内に入ってやっぱり俺と由雄は激しく後悔していた。

今どきのファッションに身を包んだ若い女性客達のなかで明らかに俺たちの存在は
浮いているように感じる。

ブカブカな男物の服を着る不思議な格好をした少女とそんなにイケ面でも無いし
最新の流行とは縁遠い格好の俺。ちなみに今日の服のチョイスは近所の洋服屋の
在庫セールで買った無名ブランドのジーンズとパーカー。

パーカーのバックには大きく「 鰹 」という字がプリントされているのが
この装いの程良いアクセントになっているような、いないようなwwww

とりあえず入ってしまった以上この雰囲気に呑まれたままでいるわけにもいかず、
俺と由雄は服を選び始めた。

「これなんてどうだ?」
俺は目の前の少女に合いそうな服を見せる。
薄いピンク色のブラウスと短めの赤いプリーツスカート。
妄s、いや想像力豊かな俺の頭の中にこの装いをする少女の姿が浮ぶ。
…これは萌える、激しく萌える。

「…何ハァハァしてるんだよ。キモイよ、浩輔。」
俺に冷たい視線を浴びせる由雄。

「キモ…」
まさか元男の親友にそんな事言われるとは予想だにしておらず
ダメージを負う俺。

「俺はそんなにフリフリしたものやギャルっぽいのとかそんなに『女の子』を
意識したものなんて要らないから。あくまで普段着として着れるもので充分なの。」
由雄は割と地味めの白のブラウスと、これまた地味めの黒のレディースジーンズを
引っ張りだす。

「これだと上下合わせて7千円位か。もう少し服のバリエーションを増やしたいけど
予算もあるし、この辺りで妥協するべきか…。」
さすがに自分が着るだけあって由雄の選択は堅実である。

「なぁなぁ、これ買えよ。これはかなり可愛いぞ」
「キモイ」と冷たくあしらわれたにもかかわらず
俺はフリフリのワンピースとかミニスカート(ニーソックス必須)、
明らかに可愛い「女の子」を意識した装いを薦める。

「…しつこいな。そんな服はお前の彼女とかに着せればいいだろ。
こないだまで男だった俺がそんなもの恥ずかしくて着れるかよ。」
冷たく言い放つ由雄。

「俺に彼女なんて居ない! それは由雄も知っているだろ!」

「胸張っていうなよ…。堂々としているのはいいけど、それはそれで恥ずかしいぞ…」
苦笑いを浮かべる由雄。
828 :(・・) :2008/05/20(火) 10:08:20.00 ID:W1pUtnE0
「言っておくけどな、俺は由雄が着て似合うものしか選んでいなんだからな。
他の女が着てもそこそこ似合うかもしれないが、俺はお前以上に似合う奴は居ないという
絶対の自信を持ってお前に薦めているのだ!」
えらく強気の俺。こうなってくると俺の妄想力全開である。

「え…、ち、ちょっと何言ってんだよ? 恥ずかしい事言うなよ…。
ホント昔から浩輔って突拍子も無い事言ってくるよな…」
困ったように笑顔を浮かべて俺の薦める洋服を手に取る由雄。
心なしか頬が赤く染まっているのは俺の気のせいか。

「…お前自身のファッションセンスはゼロに近いものがあるけど、
不思議とお前の薦めるものはセンスが良いのが意味不明だよ。」
俺の薦めた衣類を吟味する由雄。

「それ褒めてんの?」

「うん、馬鹿にしてるの!」
由雄は俺にニッコリと笑顔で答える。


一通り服を選んだあとで俺と由雄はレジで会計を済ませた。
買った洋服の中には俺の薦めた洋服も数点含まれていた。
ちなみに俺の薦めた洋服の代金は何故か俺持ちである。

買い物を終えて外に出ると賑やかな駅通りも落ち着きを見せ始めていた。

閉店の準備に取り掛かる店もちらほら見かける。

「あ〜、色々買ったなぁ…」

「まさかこんなに買い込むなんて考えて無かったよ。」

829 :(・・) :2008/05/20(火) 10:09:27.00 ID:W1pUtnE0
それぞれ大きな紙袋を持って俺と由雄は満足げにアパートに向かう。

「それにしても今日は色々あったな」
俺は妙に感慨深げに呟く。

「…俺も久しぶりに浩輔に会ってここまで展開が進むことになるなんて
考えてもいなかった。あれだけ部屋で悶々としていたのが嘘のようだよ。」
由雄も落ち着いた声を出した。昼間会った時とは随分違って見える。
表情に由雄本来の明るさが戻っているのが俺には分かった。

「…でも色々取り組まねばならない問題もあるよな。」
そう言うと若干表情に翳りをみせる由雄。

「…まあな。でも俺が出来る限りで協力してやるから大船に乗った気でいてくれよ!」
妙に明るく振舞う俺。折角ここまで元気になったのに振り出しに戻す訳にはいかない。

「ふふっ、そうだな。浩輔がいるんだから大丈夫だよな。
良かったよ、俺にはこんなにいいダチが居るんだからな。」
暗い表情から一転、俺の言葉に安心したのか由雄は若干照れ臭そうな笑みを浮かべる。

「そうそう、問題無しだ。」

「そうだな…!あっ!」
思わず立ち止まる由雄。何かを思い出したような顔をしてそれからすぐ深刻な表情になる。

「? …どうしたんだ? 何か問題あったか? 」

「…大アリだよ。どうしよう…。下着を買い忘れた…」
やや顔を赤らめ、少女は恥ずかしそうに言った。
830 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/20(火) 10:54:42.13 ID:bwtgZ1Yo
ワワワワワクテカ
831 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/20(火) 13:04:11.54 ID:.JYpqH20
GJです!
しかし人いないなぁ。一時期に比べればマシかも知れんのだけど。
832 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/20(火) 20:30:06.79 ID:lRITagc0
GJ!!
さて、俺もそろそろ投下するか。
833 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/20(火) 20:31:44.37 ID:lRITagc0
ぐーたっち
第二話

 ドッドッドッ!
 大きな音を立てて、黒色のRZが走り出す。
 徐々にフェードアウトしていくその音が完全に聞こえなくなるまで待って、俺は隠れていた物陰から身体を出した。
「あの野郎……、早速人のバイクを使いやがって」
 思わず、まだ微妙にむず痒さの残る左手首を包帯の上から摩りつつそう毒づいていた。
 はっと思って周囲を見渡す。
 休日だがもともと町の雑踏から少し離れた位置にあり、更に朝の9時半という中途半端な時間のせいか周囲に人影は少なく、幸いにも俺の呟きに気づいたものはいないらしかった。
 ふう、と息をつく。
 何だか、この身体になってから独り言が増えているな。
 この外見で、俺の地の口調が出てしまう独り言を聞かれるのはちとまずい気がするし、俺の今のこの特殊な状況を差っ引いたって、独り言を聞かれるのを好む人間は居ないだろう。
 因みに人と話す時には、と言ってもまだこうなってから数人としか話していないが、俺は鈴菜の口調で話すことにしている。
 生き返り先の身体が女だと分かる前はだんだんと地を出していこうと考えてはいたが、もうそれは適わない。
 俺はこれからずっと鈴菜の口調、最悪でもこの外見からよほど不自然さを与えない程度の口調を強いられるのだ。
「っくそ、あの腐れ……っと」
 犬の散歩らしいおばさんが歩道を歩きながらこちらを眺めていることに気づき、慌ててまた自然に出ていた独り言を打ち切る。
「……?」
 不審そうに俺を見つめるおばさんに軽くお辞儀をしてなるべく自然な所作で目的地へと歩き始めると、向こうもわざわざ見知らぬ少女に声をかける程のおせっかいさも無いのか、視線を外して通り過ぎていった。
「はぁ……」
 ため息を吐いて、もう一度周囲を見渡す。
 自意識過剰なのは分かっては居るが、どうしても今の俺がこれからしようとしていることを他人に見られるのに抵抗がある。
 別に疚しいことをしている気持ちなんてさらさら無い。
 なのに何故、かって知ったるこの辺りを歩くのにこんな指名手配犯の如くびくびくしなくてはならんのか。
 どこにぶつけたらいいか判らない憤りをとりあえず心の中で腐れ死神にぶつけ、俺は目の前のアパートの敷地内に足を踏み入れた。
834 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/20(火) 20:32:35.72 ID:lRITagc0


 大金市初井町、大金街道から西に少し外れた所に、俺が少し前まで住んでいたアパートはあった。
 築13年、三階建て。1LDKの風呂トイレ付きで8万円は学生には結構きついランクだったが、友人の澤田と二人暮しだったため何とかなっていた。
 俺が死んだために澤田はこれから家賃の全額を払わなければいけない身となったが、どうするんだろう。
 あいつも実家はかなり金持ちだし仕送りも結構貰っていた筈だから、大丈夫か。それとももう少し安いところに引越しするのだろうか。
 俺が死んでからもう一週間も経ってるのにまだここに住み続けている上、暢気に休日の習慣に繰り出しているところから見ても、まあ前者だと思うが。
 建物に入ってすぐの場所にある集合郵便受けの前に立ち、少し息をつく。
 結構疲れるな。
 運動なんて学校の体育でしかしない上それだってお世辞にもまじめに授業を受けていなかった鈴菜の体力は、はっきり言って下の下だ。
 たかだか一キロも離れていないこの場所まで歩いただけだってのに、なんだかデニムのパンツに包まれたふくらはぎが張ってきた気がする。
 軽く舌打ちをして、俺が住んでいた302号室の郵便受けにかけられた番号錠に手を伸ばす。
 かなり、いや相当にずぼらな性格をしていた澤田はしょっちゅう部屋の鍵を忘れる癖があった。
 俺と一緒に行動をしていたり俺が部屋にいる時はいいんだが、何せあいつと俺はいくら大学が同じでも学部が違う。
 しょっちゅう閉め出されていた。
 柄でもないオートロックは澤田のずぼら対策だったんだが、そういう意味では裏目に出た。まあ、鍵をかけ忘れたままにするよりはマシだと思うけど。
 そのため苦肉の策として、家を出るときに俺は合鍵を郵便受けに入れる事にしていたのだ。
 正直毎度毎度あいつが家を出るときに、女相手でもないのに鍵を持ったかどうか聞くのに嫌気が差していたというのもあるんだが。
「おし、入ってるな」
 さすがに俺が死んで一週間ちょっとじゃあポカはしなかったか。一月にいっぺん位の頻度だったしな。
 しっかり入っていた合鍵を回収して番号錠を戻す。
 そして、俺は自宅に向かうために階段を登り始めた。
 一応見知らぬ女の子が大学生の男二人が住んでいた部屋に入って行くように見えるという客観的事実を承知していた俺は、誰にも見られぬようかなり慎重に足を進める。
 そして、部屋の前に立つと改めて周囲を見渡し、誰も見ていないことを確認して急いで鍵を開けて部屋に飛び込んだ。
 気分はまるで泥棒か何かだ。
835 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/20(火) 20:33:23.07 ID:lRITagc0
「ただいまっと」
 懐かしき我が家へ一週間ぶりの帰宅だ。
「ん?」
 そこで俺は違和感に気づいた。何かいやに片付いている。それが俺の物がまとめられているということにはすぐに気づいた。
 澤田にこんな甲斐性はない。これは……。
「姫香か」
 澤田の妹である澤田姫香。これまでもちょくちょく来ては掃除やら洗濯をしに来てくれていたあいつと血が繋がっているとは思えないほどにいい子だ。
 おそらく昨日ぐらいに掃除に来たのだろう。
「澤田のやつ戦々兢々だったろうな」
 あいつは自分の趣味を妹に知られないようかなり気を使っている。
 ま、だからこそ、種になるわけだが。
 さて。
 細かい持ち物は全部部屋の隅のダンボールの中に収められていた。俺の実家にでも送るつもりだったんだろうか。
 そこから、とりあえず通帳や印鑑を取り出す。一応、目的の半分はこれで果たした。
 あとは……。
「お、これもあったか」
 ふと、ダンボールの奥のほうに入っている物に目が留まった。
 俺が愛用していた銘柄のタバコだ。
「うーん、まぁ、もう俺の体だしいいだろ」
 少し考えてそう結論を出し、部屋の隅に転がっていた居酒屋の名前の入ったマッチに手を伸ばした。
 一本取り出したタバコをくわえ、火をつけて、
「〜〜〜〜!! っげほっこほっけほっ!! 」
 きついっ、頭が、喉が、むせてっ。
 思わずじたばたしそうになるのを、火のついたタバコを持っているのを思い出して堪えたためか余計に苦しくなった。
「はぁはぁ、……あかんなこれは」
 あわてて灰皿に押し付ける。
836 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/20(火) 20:33:52.70 ID:lRITagc0
 さすがに、初心者にいきなりショートピースはきつかったか。
 いや、この体でタバコを吸うのはやめといた方がいいって事かも知れない。あれだけ好きだったタバコが、何か根本的に好きになれない気がして来る。
 かつての俺を確認する、いい手段だと思ったんだが。
「とりあえず、二十歳になるまではやめておこう」
 うん。それがいい。
 持っていたタバコを、ちょっと考えて、勿体無いがゴミ箱に放り込む。
 無駄な時間を潰したな。そろそろ、もう一つの目的を果たしに行くとするか。
 時計を見る。ここからの所要時間を考えれば、少し早いがまあ頃合だろう。
 ダンボールからさらに去年の手帳とデジカメを取り出す。
 携帯を取り出し、手帳のアドレス欄に書かれたメールアドレスの中からとある人物のものを探して携帯のアドレス帳に打ち込んだ。
 無駄な習慣だとは思っていたが、どこで役に立つか判らないものだ。永い人生、いつか役に立つ日が来るかもしれないと思ってはいたが、まさか人生一回短く終わってから役に立つ日が来るとはね。
 運命の皮肉という奴に少し笑って、立ち上がる。そろそろ行くかな。
 信じてるぜ、親友。
 そう心の中でつぶやいて、俺は部屋から立ち去った。
837 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/20(火) 20:34:27.59 ID:lRITagc0


 190に届かんとする長身、道を歩けば思わず女性が振り返るほどの整った甘いマスク。幼少の頃から続けていた野球におかげか、黒いジャケットの上からでも分かるほど引き締まった肉体。
 頭脳も大学では主席に後一歩及ばないほどに優秀で、将来の夢は弁護士。周囲の人間は、家族も友人も、彼ならきっと立派な弁護士になるだろうとの信頼を寄せている。
 そんな勝ち組人生をまっしぐらに駆け抜ける青年、澤田治。
 だが彼には、もう一つの顔があった。
「お、お帰りなさいませ。ご主人様」
 休日の昼間。歩行者天国に多くの人がごった返す秋葉原にあるとある店舗。
 そこに、彼の姿はあった。
 黒のジャケットの下に黒のシャツ、首にはごついシルバーアクセ。ジーンズ生地のズボンにコンバットブーツを履き、おまけにグラサンをかけた姿はその長身もあいまって場違いな怖さを演出していた。
 周りの人たちがどこか彼を避けるように歩くのは気のせいだろうか。
 目の前の少女の声が少々震えているのもまた気のせい?
 しかし彼はそんな周りの動向を気にする様子も見せずに、口を開く。
「ただいま〜」
 あまりに外見からは考えられないような猫なで声に、正しい言葉を返されたはずの少女はびくりと身体を震わせた。
 が、やはり彼は気にしない。気にしないことに決めている。俺の事を知らないって、この子は新人かな? 始めてみる顔だし。と、そんなことを考えていた。
「で、では、ご案内しますので、こちらにどうぞ〜」
「うん、よろしく」
 そう言って、前を歩く少女の後ろを、てくてくとついて行く。
 その、サングラスの下に隠された顔は、例えば彼を尊敬し慕う妹が見ればショックで寝込みたくなるだろう程に、やに下がっていた。
 彼を先導する少女が着ているのはメイド服。彼が少女を追って入ったその店はメイド喫茶。彼の普段のファッションとはあまりに違う格好は、じつは知り合いに見られてもすぐに気づかれないための変装だ。
 端的に言って、彼、澤田治は隠れオタクだった。
 それも、一週間前に死んでしまった親友のほかは家族にすらばれていなかったほどの筋金入りの。
838 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/20(火) 20:34:59.55 ID:lRITagc0


 およそ二週間ぶりの来店だというのに、あまり気分が盛り上がらない。
 先ほどここに来た当初は、久しぶりに目にするメイド服の少女にあれほど癒されたというのに。
 その原因が分かるだけに、彼、治の内心は更に強く沈み込む。
「どうしたんですかぁ? せっかく久しぶりに来たっていうのに〜」
 この店の中では自分的に一番かわいいメイドであるサヤの声に、治はうん、と生返事を返しながら食後のコーヒーを口に運ぶ。
 治にとって、毎週の日曜にこのメイド喫茶に来て昼食を取り、そして食後に満ち足りた気分に浸りながらメイドさんとおしゃべりをすることは殆ど習慣のようなものだった。
 実家からの仕送りを潤沢に貰っている治は、バイト代の殆どを遊行費に当てることが出来る。
 それを店に来るたびに惜しげもなく使い、更に去年からの常連でもあるために、彼はこうしてそれほど店が込み合っていない時間ならば可愛いメイドさんとおしゃべりを楽しむことが出来る。
 その周りの客から見れば非常に羨ましい状況を自覚しつつも、彼の沈んだ心はサヤとのおしゃべりを楽しむ気持ちになれない。
「本当に〜、変ですよぉ? 今日のご主人様は」
「そうかな」
「そうですっ」
 それでも、サヤの優しい言葉は落ち込んだ治の心に染み渡った。
 こんな優しい女の子に自分を気にしてもらって、それでもそれを無視して悲劇のヒーローを気取るのはへたれのすることだ。
 少々エロゲに毒された脳内でそんなことを考える。
 ここは、自分の内心を打ち明けるべきだろうか。そうして、慰めてもらうべきなんだろうか。いや、そうするべきだ。きっと、あいつだって俺がこんなうち沈んだ心のままで居るよりは早く立ち直ったほうがいいと思うはずだ。妹の姫香だって、この前うちのアパートに来たときにそんなことを言っていた。
「なあ、サヤちゃん。ちょっと、暗くなるような話をしてもいいかな」
「え? いいですけど……」
 店内は、外からは見えない造りになっている。その為彼はサングラスを外していた。
 例え知り合いに見つかっても、店内で出会ったならばきっと同好の士になれるだろうという思惑も働いた結果だ。
 その、切れ長の瞳でサヤを見つめると、サヤは少し恥ずかしそうに顔を赤らめた。
 この子ならきっと自分を癒してくれる。そんな根拠のない確信が心に浮かぶ。
「その、さ。先週、俺ここに来なかったよね。それってさ、子供の頃からの、本当に餓鬼の頃からの親友が……」
839 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/20(火) 20:35:37.83 ID:lRITagc0
 そしてそんな優しいメイドであるサヤに、先週起こった彼を酷く落ち込ませる要因となった事件のことを話そうとして。
「お帰りなさいませ、お嬢様! って、あの、ちょっと……!」
 何が、と考える余裕も無かった。
 パシャリとシャッターの切られる音と共に、フラッシュの閃光が彼の目を焼いた。
「んな……?」
 一瞬、きかなくなった視界が戻る。
 そこに居たのは、メイド服では無く普通の私服を着た少女。
 白のブラウスに黒のショートベスト。下はスキニーデニム。髪は短すぎるほどにカットされたストレートショート。
 ボーイッシュな服装で顔立ちも髪がかなり短いことも相まって中性的に見えるが普通に、いや相当に可愛い女の子だ。
 ことメイド喫茶内において治にはメイド服以外の女の子に価値は見出さないが。
 それよりも問題なのが一点。
 彼女は右手にデジカメを持っていて、それで今、治を撮ったということだ。
 自分の今の状況を思い出す。
 4人用のテーブル席に座り、左手には寄り添うようにサヤが座ってる。いや、重要なのはサヤがメイド服だということだ。
 そして今彼は彼にとって大事な話をする為に、サヤを正面にするように身体を左に向けている。
「…………」
 例えば、治は想像したことがあった。
 もし、メイド服に通いつめている自分を知り合いに見られたら? もし、写真を撮られてそれを種に脅されたら?
 そんな、ありえてはいけない最悪の想像が、今現実となって襲い掛かっている気がした。
「お客様っ! 困ります、店内での撮影行為等は禁止させていただいています!」
 呆然とする治を尻目に、状況は動く。
 少女を追うように現れたメイドが詰め寄り、捲くし立てられた少女は少し戸惑ったようだった。
「え? 撮影禁止って……、そうなの?」
「そうなんですっ。そこにきちんと書かれているでしょうっ!」
 メイドが壁に張られた注意書きを指差し、それを追った少女の目が軽く見開かれる。
840 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/20(火) 20:36:16.48 ID:lRITagc0
「あー、ホントだ。悪い、知らなかった」
 とはいえ言葉と裏腹に少女の態度には悪びれた様子は無い。
 そのことが気に入らなかったのか、サヤもまた少女に対してきつい目をくれ始めた。
 だが少女は気にせずに、
「えーと、何々? 『そのような行為をなさったお客様に関しては、ご退店頂く場合がございます』。なるほど。それじゃあ帰るよ」
 そう言って、一瞬のためらいも見せずにそのまま店を出て行った。
 残されたのは、少々ざわめいた店内だけ。
「な、なんだったんでしょう?」
 サヤが呆けたような声を上げるが、治に分かるはずも無い。
 だが、写真は撮られた。それも、治にとっては最悪の写真を。
 あっさりと帰った少女の様子から見るに、初めからそのつもりで、治の写真を撮ることだけが目的でこの店に来たのだろうか。
 そのことに思い当たり、すっと胸の中を恐怖心が浸透した。
 いや、大丈夫だ。見たことも無い女の子だった。彼女に写真を撮られたからといって、別になんでもない。そもそも向こうだってこちらを知っているはずが無いんだから。俺がこのメイド喫茶に通いつめていることは、今は死んだ親友を除けば家族だって知らないんだぞ? だから大丈夫なはずだ。
 そう、治は自分に言い聞かせるが、心は晴れない。
「それで、さっき言いかけていたお話はなんだったんですかぁ?」
 いつの間にか店内のざわめきは落ち着いて、サヤもまた先ほどの出来事なんか無かったかのように治に構い始めた。
 それでも、先ほど少女に撮られた写真のことが気になって、治は結局サヤに慰めてもらうことが出来なかった。
841 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/20(火) 20:36:52.38 ID:lRITagc0


 ため息を吐きながら店を出る。
 後ろ手に聞こえる「いってらっしゃいませ〜」という声も、本当なら明日から一週間大学生活を行うための活力になる筈だというのに、一向に治の心には響かなかった。
 先ほど撮られた写真の事が頭を離れない。腹が痛くなるほどの不安に押しつぶされそうになる。
 癒されに来たというのに、ここに来る前よりも最悪の気分だった。
 筋違いと分かっていても、メイド喫茶に恨みを抱かずに居られない。
 いや、メイド喫茶に罪は無いだろうと、慌てて治は首を振る。恨むべきは間抜けな自分……でもない。そうだ、あの少女が全部いけないんじゃないか。あいつのおかげで俺はこんな気分にならなくちゃ行けなかったんだ。
 不安がそのまま怒りへと摩り替わる。
 いつもならこの後エロゲショップ等を冷やかしに行くのだが、さすがに今の治はそんな気にはなれなかった。
 今日はもう帰ろう。そう決め、サングラスのブリッジを押し上げて荒々しく雑踏の中を歩き出そうとして、
「やっと出てきたか。何時間待たすつもりだよ?」
 後ろからかけられた声に、ぎくりと足を止めた。
 こわばる身体で、それでも無理やりに振り向いて、予想通りの光景に声を失う。
「こんにちは、澤田治さん」
 そこに立っていたのは、先ほど店内で彼の撮られたくない写真を撮った少女。右手には先ほどと違って携帯が握られていて、左手は後ろ手に何かを隠している。そう言えば先ほども治は良く見てはいなかったが同じような体勢だった気がした。
 いや、今気にするべきは少女が言った言葉だ。
「な、なんで、俺の名前……」
 先ほどまでの怒りなど、あっという間に霧消した。
 ただ、自分の名前を知っている少女への恐怖心が治の心を満たす。
「さっきの写真、よく撮れてましたよ? ほら」
 少女が携帯を突き出す。SDカードか何かで移したのだろうか、携帯の画面には、はっきりとさっき撮られた写真が写っていた。
 メイド服の少女に向かって、真剣な表情で何かを喋っている自分。
「……なんのつもりだ」
 強く言ったつもりだったが、かなり情けない声になってしまう。
842 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/20(火) 20:39:24.75 ID:lRITagc0
 自分を知っている少女に、こんな写真を撮られた。
 絶望的な心境だ。
 だが、続いて喋った少女の言葉は、更に治を絶望のどん底に落とし込むものだった。
「××××××@××.ne.jp」
「え……?」
「そこにこれ、送ったとしたらどうなるんでしょう?」
 携帯を見ながら呟く。
 彼女が今言ったメルアドは、治の良く知るものだった。
「あ、言い忘れてましたけど、私、姫香さんとはクラスメートなんですよね」
「う……ぁ」
 自分がオタクであることを知られたくない面子の中でも、一番知られたくない妹の名前。
 それが少女の口から出た時点で、治は抵抗する気力も失ってしまった。
「何が望みだ……」
 吐き出すように言う。少女はその言葉を待っていたとばかりににやりと笑って、口を開いた。
「とりあえず、澤田さんのお部屋に行きましょうか?」
 そう言って、隠していた左手を突き出す。そこに持っていたのは、ヘルメットだった。
「澤田さん二輪免許を取ってから先月で一年経ってますよね、なら二人乗りも問題ないですし」
「…………うぅ」
 何でそんなことまで知っているのか。聞きたかったが、聞けない。
 ただ頷きながら、治は自分の胸の高さまでしかない少女に、底知れぬ恐怖を感じていた。
843 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/20(火) 20:39:59.41 ID:lRITagc0


 いくらなんでも、びびらせ過ぎただろうか。
 がちがちに緊張した様子の澤田を見て、少しそう思う。
 ま、人のバイクを勝手に使った罰だと思え。これ手に入れるために俺はどれだけバイトをしたと思っているんだ。
 そう思いながら、バイクを降りてメットを脱ぐ。続いて、澤田もあからさまにぎこちなくバイクを降りた。
 と思ったらこちらを見てびくりと固まった。
 なんだ?
 澤田の視線を追う。俺の左手、バイクに乗っていたためか少しめくれて、真新しい包帯が見えていた。
 ……あー、そりゃ驚くか。
「すいません驚かして、これ、この前転んだときに切っちゃって。私ってドジなんです」
「そ、そ、そう、なん、だ……」
 意図せず更にびびらせてしまった。
 怖がるのも無理ないけどな。今の俺、というか鈴菜って正真正銘のメンヘラだったし。
 そんな女に自分の事を色々と知られていて、更に脅されている、と。
 向こうからしたら下手なホラーより怖いだろ。うん。俺でも同じ状況になったらびびるわ。
844 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/20(火) 20:40:36.34 ID:lRITagc0
「早く行きましょう。案内してくださいよ」
「わ、分かった」
 がくがくと頷いて、逃げるように歩き始める。
 ……さすがに可愛そうになってきたな。これ以上びびらすのは止めておこう。
 黙ってついていく。
 敷地に入り、階段を上り、今朝にも来た部屋へ。
「あ、あれ?」
 だが、澤田は部屋の前に立ってごそごそとポケットの中をやっているだけで入ろうとしない。
 というかこいつまさか。
「どうしたんですか」
「いや、部屋の鍵を忘れたみたいだ。い、いや、本当に!」
 呆れの目つきが、どうやら苛立ちに見えたらしい。澤田は大仰に手を振って弁解し始めた。
「そ、そうだ。郵便受けに合鍵を入れてあるんだよ。今取ってくる!」
「待って下さい」
 静かに声をかけただけで、飛び上がるようにして立ち止まる。
「これ、どうぞ」
 それを冷ややかに見つめつつ、俺はポッケの中に入れっぱなしだった鍵を差し出した。
「え? これって」
「合鍵ですよ? 郵便受けに入ってました」
「ひぃいいぃい!!」
 自業自得だ、馬鹿野郎。
845 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/20(火) 20:41:05.62 ID:lRITagc0


 部屋に入って、澤田は少し落ち着いたようだった。
 ま、こいつにとってはホームグラウンドに帰ってきたようなものだし、当然だろう。
 俺にとってもホームである訳だけどな。
「飲み物は要りません。のど、かわいてないですし」
 真っ先にキッチンに向かおうとした澤田を止める。
「わ、分かった。そこに座ってくれ。これ、座布団」
 姫香が片付けに来たからだろうか、少し片付いているリビングに入り、受け取った座布団を敷いてその上に座る。
 澤田は、正面に座った。
「それじゃ、話を聞こうか。何が望みだ?」
 落ち着いたと同時に、肝も据わったらしい。もともと、脅しに屈するような奴じゃないのだ。
 ここで金でも求めようものなら、断固として断るだろう。さらに、恐喝の現行犯で警察に突き出されかねない。
 ま、そんなつもりさらさらないが。
「別に大した要求をするつもりじゃない。一つだけ、信じてほしい事があるだけだ」
「何だって?」
 急変した口調と、おそらく予想もしていなかった言葉に、またペースを乱されたのか澤田は戸惑ったように聞き返してくる。
 ごくり、と唾を飲み込む。さすがに緊張してきた。不安が、俺の心を蝕み始める。
 信じてるぜ、親友。
 そう心の中で呟いて、口を開く。
「俺は、芳田次郎だ」
「………………は?」
846 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/20(火) 20:41:38.27 ID:lRITagc0


 何を言ってるんだ? この子は。
 思わず、治はぱちくりと目を瞬かせた。
「信じろ。それが俺の要求だ。……質問なら受け付けるぜ?」
 そう言って笑いながら携帯をちらつかせる少女に、治は心が急速に冷え込んでいくのを感じた。
「そうだね、じゃあ一つだけ」
「おう、どんと来い」
「帰ってくれないか?」
 怒りを押し殺しながら言葉を吐き出す。彼女が女の子で無かったら、治はぶん殴るくらいしていたかも知れない。
 自分の秘密を種に脅されることよりも、それを一番知られたくない妹に知られることよりも、得体の知れない少女に感じた恐怖よりも。
 一週間前に死んだ、治の親友。それをこんな冗談みたいな話にされることに、治は激しい怒りを感じていた。
「……ぁ、はは、まさか、こうも完全に拒絶されるとは予想外だったな……」
 治は怒りを押し殺したつもりだったが、充分に外に出ていたようだった。
 戸惑ったように、怯えたように少女は呟いて、携帯を突き出す。
「そんな事言っていいのか。これが……」
「好きにしろ。妹にでも何でも送ればいい。だから早く帰ってくれ。……それとも警察を呼んだほうがいいかな?」
「…………治っ」
「気安く呼ぶな!!!」
 一瞬、治を呼ぶ少女の姿に親友がダブった気がして、怒鳴りつけるような声になってしまう。
「……ひっ」
 子供のころから野球をやっていて、ポジションはずっと変わらずキャッチャーだった治の声量はかなりのもので、それを真っ向からたたきつけられた少女は恐怖にか、肩を震わした。
 安普請というわけではないそれなりの厚さの壁をも突き抜けるだろう大声を上げたことに、一瞬治の脳裏に近所迷惑の言葉が浮かぶが、今の彼にそれを気にする余裕は無い。
 ほら見ろ。次郎なら俺とずっとバッテリーを組んできたんだ。俺の大声に驚くなんてあり得ない。
 お前は、次郎じゃない。
 そう自分に言い聞かせている。別に少女が次郎だと信じかけている訳ではなく。あり得ない希望に思わず縋りそうになる自分に活を入れるためだ。
 だが、少女の怯えは一瞬で消えて、またふてぶてしい(次郎を思い起こさせるような)表情で口を開く。
847 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/20(火) 20:42:14.52 ID:lRITagc0
「……はは、ったく、相変わらず声でかいな。覚えてるか? キャッチャーは声張り上げなきゃつとまらないってお前少年野球のコーチに言われてさ、カラオケボックスに餓鬼の頃とは言え野郎二人で初めて行ったよな」
「もうやめてくれ!!」
「あの頃のお前ってかなり華奢だったしさ、ピッチャーの俺より声出ないのにセンターまで届くような声出せるようになるのか正直疑ってたけど、中学にあがる頃には……」
 最早、少女がどうしてそんなことを知っているのかも聞く気がしない。
 再びもたげた恐怖は恐慌となって治の怒りに火を注いだ。
 土足で、次郎の大切な思い出にずかずかと踏み込んでくる少女。
 身を焦がす怒りに突き動かされて、治は立ち上がって座っていた少女の腕を掴んだ。
「痛っ、ち、何しやが……」
「出て行け!!」
 折れてしまいそうなほどの華奢な感触に一瞬戸惑い、それでも治は強引に少女を立ち上がらせてどんと押した。
 軽い。190に迫る長身に、だが痩せては見えないほどに筋肉もついている治にとって、少女の体は想像以上に軽かった。
 自覚せず、次郎に対する時のような力を込めてしまったのか。治ほどではないとはいえ長身でがっちりと筋肉質だった次郎とは違い、少女はほとんどリビングから放り出されるような形で吹き飛ばされ、腰から落ちる。
 やりすぎたという気は起きない。
 痛そうに腰をさすりながらこちらを怯えたような目で見上げる少女を、次郎はただ冷ややかに見下ろしていた。
「もう一度言う。出ていけ」
 大声ではなく、だがそれゆえにぞっとするほどの冷たさがこめられた声。
 少女はそれを、泣き出しそうな顔で聞いていた。
「次郎はそんな顔はしない」
 続けて言う。
「どこで調べたのか知らないが、本当にいい加減にして欲しいんだ。腰が抜けたんならそのまま座っていてもいいさ。警察を呼ぶから」
 そう言い放って、少女に背を向けて電話へ向かう。
848 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/20(火) 20:42:45.98 ID:lRITagc0
 その時治は、ぶちりと、何かが切れるような音が聞こえた気がした。
「……おい」
 そして、背中越しにかけられた、押し殺したような声。
 立ち止まり、思わず振り返った。
 少女の態勢は変わらない。相変わらず痛そうに腰をさすっている。
 だが、表情は一変していた。先ほどの泣きそうな顔はなんだったのかと問いたくなるほどに、般若のごとく歪んでいる。
 瞳は怒りに満ち満ちて、治を真っ向からにらみ付けていた。
 やばい、と治は思った。あれはいつのことだったか、そう、まだ幼稚園に通っていた頃、初めて喧嘩をしたとき、彼の親友は同じ目をしていなかったか。
 下らない事で怒られて、つまらないことに意地を張って、幼馴染の少年に冷たく当たってしまった時。
 あの時、散々無視され蔑ろにされながらも少年は治を元気付けようとしていて、でもいい加減限界に来たのかいきなり切れ始めたのだ。
 そして、
「ぐぇ……!」
 治が昔を思い出している間に、唐突に立ち上がった少女は一気に治との間合いを詰めて、思いっきり治の鳩尾に拳を突きこんだ。
 思ったよりも軽い。そう安堵した直後にさらにもう一発。
「がはっ!」
 肺から息が搾り出される。悶絶するまもなく、痛みに俯いた治の鳩尾にさらにもう一発、アッパーの要領で下から突きこまれた。
「……!!」
 それはいつかと同じだった。渡された玩具を投げ返すと、それは偶然にも少年の頭に当たって。
 痛そうにうつむいた直後、いきなり飛び掛ってきて治を殴ったのだ。三発なところも、同じ。
「三倍返しだ、馬鹿野郎!!!」
 そして、吐き捨てるように言い放った言葉もまた、同じだった。
849 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/20(火) 20:43:27.22 ID:lRITagc0
「……ま、さか、本当に、次郎なのか?」
「……!」
 思わず蹲って、その体勢のままに見上げて言う。さっきとは逆の、見下ろす側になった少女は治の言葉に目を見張った。
 泣きそうに、嬉しそうに、整った顔立ちをくしゃくしゃに歪めた。
「気づくのが――」
 すぐにその顔は、怒りに染まる。色白の為か、真っ赤になっているのが治には良く分かった。
 少女は、きしむ音がしそうな程に強く握りこまれた拳を振り上げ、
「――遅ぇんだよ、この馬鹿野郎が!!」
 脳天に振り下ろされた。治は目から火が出たかと思った。
「〜〜〜〜〜!!」
 物凄く、痛い。
 三倍返しといいながら四倍返しになったのも、いつかと同じだな。
 そう思いながら、痛む頭をさすって立ち上がる。
「……俺たちってなんでこうなんだろ?」
 死んだと思っていた親友との再会。状況だけ言葉にすればどんな感動的なシーンなんだと思うだろうが、彼らの場合はこれだ。
 まだ格闘漫画とかで、死んだと思っていた友が主人公のピンチに颯爽と訪れる場面の方が感動できると治は思う。
「へ?」
 苦笑いしながら言うと、少女は戸惑ったような声を上げた。
「いや、次郎と親友になった時のことを思い出してさ」
「あ、ああ。なるほど。……ぶっちゃけ俺もあの時の事思い出してた」
 それを聞いて少女も笑う。そして、何かを思いついたかのようににやりと、唇の端の角度をさらに上げた。
850 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/20(火) 20:43:54.84 ID:lRITagc0
「なら、どうせなら最後までやっておくか?」
「そうだね。これが無いと俺たちって締まらないし」
 少女とかがみ合わせに向かい合って、胸の前で拳を握った。少女も同じようにする。
「つーか、大の大人が泣きそうになってんじゃねえよ」
 言われて、治は視界が滲んでいる事に気づいた。
「ったく、泣きそうなのはこっちだっての」
「あれ、そうなんだ。なら胸ぐらい貸すけど?」
「男の胸なんぞ勘弁こうむるね」
 冗談を言い合う。いつもの、二人の調子が戻ってきていた。泣きそうに顔を歪めて笑う少女の顔は、どきどきするほどに魅力的でとても次郎とは思えなかったが、それでも目の前の少女が次郎であることに治はもう疑いを持ってはいない。
「何の記念だろうな?」
「うーん、じゃあ、次郎の生還祝いってことで」
「なるほどな、はは。よっし、俺が女だからって手加減すんじゃねえぞ?」
 もちろん。そう頷きあって。
 治と次郎は、思いっきり拳をぶつけ合った。
 かつては初めて親友になったときに。野球を始めてからは、勝利をおさめる度に。最近では、互いに大学の合格を確認したときに。
 幾度となく繰り返した“ぐーたっち”を、治と少女は、再び繰り返した。
851 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/20(火) 20:45:29.88 ID:lRITagc0
投下終了。
ひょんな子スレに憑依モノはちとジャンル違いじゃないかと思い始めた今日この頃。
852 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/20(火) 22:36:50.90 ID:4ZjmcIc0
そんなことないですよ
GJ!
853 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/20(火) 22:41:46.66 ID:SLTTMqwo
某ネトゲネタで書こうかなーと思ってはいるが冒頭から話が作れない悲しさ
854 :佐白 :2008/05/20(火) 23:18:45.99 ID:CJbaKv60
『シガレット→しがれっと』第十一話
 2限目の講義室に入ると、4年間一貫の講義なだけに、去年とメンバーは殆ど代わっていない。見知った顔を見つけたが、すぐに近づくのも変な気がして、適当な席に腰を降ろした。
 教室の前のドアから、カグヤが入ってきた。カグヤが教壇に立つなり、周囲が騒がしくなった。それもそうだ、元々この講義の講師はじいさん教授。それなのに、胸元がきわどい白いワイシャツに黒いスーツ でビシッときめた美人がいきなり入ってくれば当然だ。
「お、おい、この講義を担当してるのって確か片岡じいさんだよな?」
「なんで片岡先生じゃなくて、あんな見たこと無い人が教壇に立ってるのよ」
「でもかなり美人じゃね?新任の講師かなぁ」
 カグヤの唐突な出現に他の学生達は困惑しているようだった。カグヤに対する意見は様々だったが、やはり見たことの無い美人講師という点が大半学生の興味を独占していた。
「はい、静かにしてください。私は急な都合により片岡教授からこの授業を任された高狭かぐやです。急な講師の変更でみなさんが動揺するのも解かりますが、任された以上は責任を持って一年間みなさんに講義をしていきたいと思っています。どうぞよろしく」
 最後に、カグヤは学生達に向ってお得意の営業スマイルを見せ付けた。きっと殆どの男子学生が、この瞬間彼女の手に落ちてしまっただろう。
「それと、片岡先生のゼミも私が担当することになっています。片岡ゼミを取っている学生は安心してください」
「よっしゃー!!!」
 突然、聞き覚えのある歓喜声が教室に響き渡った。声の主は俺の親友である木村高弘だった。高弘は明るい性格でノリが良いことから、俺にとっては最高の悪友だった。さらに付け加えると、とんでもない女好きだ。
「ちょ、高弘!恥ずかしいでしょ」
 隣の席から高弘を小声で制したのは、これまた悪友の日比野明美が座っていた。彼女はショートカットで性格もボーイッシュな感じの女の子であり、反面ものすごい心配性でもあった。俺と高弘が馬鹿をやっては明美が叱る、大体こんな関係を俺たちは幼稚園の頃から続けていた。
 そして、明美の隣にはもう一人、女子学生が座っていた。
「あ・・・・・・、琴美・・・・・・」
855 :佐白 :2008/05/20(火) 23:19:50.35 ID:CJbaKv60
俺は思わずつぶやいてしまった。明美の隣に座っていたのは、俺が思いを馳せている女性、佐宗琴美だった。彼女は大学から俺ら3人の輪に入ってきた唯一の人間だった。彼女は俺たち以外に友達を作ろうとはせず、同じ講義の時は必ず俺の隣の席で静かに座っていた。しかし、俺が彼女に告白し、彼女がそれを断ったことでこの関係は崩れてしまったと俺は勘違いしていただけに、彼女がちゃんと高弘や明美の横に居ることに安堵した。
 ちなみに、どういうめぐり合わせなのか、俺たち4人は全員同じゼミ──片岡ゼミに組み込まれている。
 そして、カグヤの講義が始まって30分が経過した。周りの学生──特に男たちは必死に講義を受けている。俺はというと、片岡教授よりも小難しく早口な講義のせいで眠気と格闘をし始めていた。まぶたが重く、こくこくと何度も船を漕ぐ。
「(あー、だめだ。相手はカグヤだし寝ちまおう)」
 そう思ったが最後、俺は机に突っ伏すと眠りに入ってしまった。
──なんだ?なんかふわふわするぞ?
 目を開けると、俺は何もない空間に一人浮いていた。ここは一体どこだろう。もう一度目を瞑る。もう一度目を開いたとき、俺はさっき居た空間ではなく、見たことも無い部屋のソファーに座っていた。
「カグヤ、ご飯よ。お父さんを呼んできて」
 どこからとも無く、優しそうな女性の声が頭の中に入ってきた。この懐かしさのある声は、どこかで聞いたことがあるような気がする。そんなことを考える間に、俺は無意識の内に見知らぬ扉の前に移動していた。自分の意思とは関係なく、そのドアをノックする。
「父さん、ご飯ができたみたい」
「わかった。もうすぐ仕事が一区切りするから、先にリビングに行って待ってなさい」
 見知らぬドアの向こうから、厳格で、でもどことなく優しさが含まれた声が頭の中に入ってきた。この声も聞き覚えがある。
 俺は一体どうしてしまったのだろう。俺の意識はあるのに、体はまるで別物の様にまったく言うことを聞かない。そんな時、ふと窓のほうに視界が移った。外はもう夜なのか真っ暗で、窓ガラスには俺の姿が映し出されていた。
 その姿は、正しく今の俺の姿だった。少しだけ違うのは髪が金髪である、それだけだった。
──こら。
 どこからか、若い女性の声が聞こえる。これは・・・・・・、これはカグヤの声だ。
──こら、起きなさい。
 ああ、なんだって?愛の告白ならあとでしてくれ。帰国チケットは受け取ってやるから。
──帰国チケット?何を言ってるのよ・・・・・・はぁ。仕方の無い奴ね。
 バシーン!
「あいたー!!!」
 後頭部に突然激痛が走り、俺は思わず体を起こした。
856 :佐白 :2008/05/20(火) 23:20:36.35 ID:CJbaKv60
「あ、あれ?」
 教室には、既に講義が終わったのか学生は一人も居らず、目の前にただ一人、白く綺麗な額に青筋を浮かべたカグヤが仁王立ちをしていた。
「あ、あっれ〜?もう講義は終わったのかなぁ?」
「そうね、アンタが1時間も爆睡している間に、とっくに終わったわよ。それにしても良い度胸ね?今の講義であんなに堂々と寝たのはアンタだけよ」
 カ、カグヤさん!?マジギレですか?目が全然笑ってないです。
「いや、ほら、あれだ!さっき講義とかをサポートしてくれるって言ったじゃん!?」
 プチっと、何かが切れたような、嫌な音が聞こえた。
「アンタね・・・・・・、サポートするとは言っても、無条件で単位あげられる訳ないでしょ!!サポートはあくまで最小限って本部からも通達が来てるし、甘えるんじゃないわよ!!」
「は、はいぃぃ!すみません・・・・・・」
「とにかく、今日は帰ったらたっぷりとシゴいてあげるわ。覚悟なさい」
 今夜は徹夜が確定した瞬間だった。
「そうそう、次のゼミの時間は健康診断だから、早く支度しなさい」
「あー、そっか。新学期の初めはそれがあったっけね・・・・・・ん?」
「今は同じ女子とはいえ、あまり他の女の子をジロジロ見るんじゃないわよ」
 俺は今、この一言を大声で叫びたいね。
「(キターーーーーーーーーーーーーーーーーーー!)」
857 :佐白 :2008/05/20(火) 23:30:00.76 ID:CJbaKv60
『シガレット→しがれっと』第十一話 終わり

急いで書いたから改行ミス等が多々あり・・・。というか、私の書き方と掲示板の横書き表示は相性が抜群に悪いですね。見難い。

追伸,c0NQxleFhEさんの書く物語、すごく好きです。
普段こういったコメントは控えていたのですが、とても感心・感動したので激励申し上げます。
858 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/21(水) 11:55:38.69 ID:3CQduYko
otunnpo
859 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/21(水) 13:41:01.55 ID:Yj693dY0
>>857
GJ!
最後、カグヤがツンデレになったかとオモタww
>>853
いや、頑張ってくれ。そんなこと言われると期待しちまうww
860 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/21(水) 16:03:10.83 ID:qOSfZxI0
>>857
グッジョーブ!!
861 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/22(木) 10:45:07.96 ID:2CgCyvI0
まとめの人がんばってるよな。
どこに書いたらいいかわかんないんでここに書いておこう、GJ!
862 :(・・) :2008/05/23(金) 00:19:02.26 ID:XLBMan20
また、過疎ってきたな。投下する人が少ないとスレも盛り上がらないね。
保守の為の投下。
863 :(・・) :2008/05/23(金) 00:23:06.72 ID:XLBMan20
翌日、俺は再び由雄のアパートの部屋に向かった。
今後の事について手を打つべきところは打たなくてはならないからだ。
由雄にも約束したしな。

アパートに向かう足取りが妙に軽やかに感じるのは俺の気のせいでは無いだろう。

俺の親友、近江 由雄。
奴が男だった時はここまで気分が高翌揚する事は無かった。当然だけど。
しかし由雄が女の子になった今の状況においては自分でも信じられない位の
気持ちの盛り上がりを感じる。原因は変化後の由雄にある事は言うまでも無い。
しかしあそこまで変わってしまうなんて反則だろう…。

昨日はアパートまで由雄を送って俺は家に帰った。

問題(?)の下着についてはコンビニで購入し、とりあえず解決したが
手に入ったのはショーツのみで上(ブラ)は購入できてない。

華奢な体つきをしている由雄にブラが必要なのかどうか俺には分からないが、
「…そんなに胸は大きくないような気がするけど
シャツで擦れるのが気になるし服の上から目立つのが嫌だ」
などと言うので下着一式は専門店で後日購入することになった。
昨日のショップでのこともあり俺としてはできれば女性ものの専門店への
同行はご遠慮蒙りたいところだが。
しかしチャンスといえばチャンスかも。実のところ俺は縞パン萌えなのだ。
この機に奴に縞パンを買わせて穿いてもらうのも悪くない。
…絶対見せてくれないと思うけど。

などと様々な思いに捉われつつ、気がつくと俺は由雄のアパートの前にいた。
864 :(・・) :2008/05/23(金) 00:24:31.84 ID:XLBMan20
「浩輔、早かったな。」
呼び鈴を鳴らすと昨日とは打って変わってすぐに由雄が出てきた。

「お、おう。」

「…」

「…何、じっと見ているんだよ。…変か?」
俺の視線を気にしながら由雄は自分の格好を見渡す。
由雄は昨日買った服を早速着ていた。ちなみに今着込んでいるのは由雄自身がチョイスした
大人しめのデザインの黒のカットソー、紺色デニム地のハーフパンツ。

カットソーの胸元に小さな白地のリボンがついているのが可愛らしさを演出している。
服装を変えれば他のところも気になるところなのか、肩までかかるボサボサの髪の毛は
長さ的に足りない気がするものの綺麗にポニーテイルで纏められ、
すっきりしていてちょっとアクティブな印象を受ける。

さすがに昨日の格好と比較にならない位、由雄の姿は女の子らしく尚且つ可愛らしい。
俺はそんな由雄の姿にしばし見惚れてしまうのであった。

しかし…
「俺の服は着てくれないんだ…」

「いきなりミニスカは無理というか、俺には不可能だから!
 これでも俺自身かなり頑張った方なんだぞ、この格好でも!」
明らかに落胆した俺の姿にムッとしたのか由雄は今の装いを精一杯アピールする仕草をする。

「…まあ、悪く無いというか…。確かに良く似合っているかもな。」

「そうだろ! 分かればヨロシイ!」
どんなもんだというように由雄は胸を張る。

おいおい…可愛い格好を褒められて嬉しそうにしている元・男が何処にいるんだよ
などと思ったが口に出さない。

そんな俺自身も由雄の女の子っぽい格好に萌えているのは言うまでもありません。
865 :(・・) :2008/05/23(金) 00:36:05.40 ID:XLBMan20
今日はここまで。
内容少なくてすまん。
866 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/23(金) 00:38:30.80 ID:wwALujgo

しまぱん期待age
867 :(・・) :2008/05/23(金) 00:41:47.53 ID:XLBMan20
しまった。誤字発見。863 6行目 高翌翌翌揚→高翌揚
脳内修正願います orz
868 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/23(金) 01:23:53.54 ID:sZlDJBo0
GJ!
869 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/05/23(金) 01:38:51.51 ID:ae.uCrA0
GJ!
しかし、翌って勝手に入っちゃうのか?
870 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/23(金) 14:56:59.51 ID:OCyUdiIo
勝手に入るぞ
871 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/23(金) 16:10:22.81 ID:VarpGbIo
872 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/23(金) 17:14:58.85 ID:b/JvAWI0
>>871
テストすんなw
873 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/05/23(金) 17:20:01.93 ID:6c8jHRQo
http://chubei.myminicity.com/
874 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/23(金) 17:40:47.25 ID:FkvrvAQo
高翌揚
875 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/23(金) 17:41:24.21 ID:FkvrvAQo
これはひどいwwwwww
876 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/23(金) 18:03:22.77 ID:b/JvAWI0
だからテストすんなってww
877 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/23(金) 23:15:16.01 ID:VarpGbIo
高翌翌翌揚
878 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/05/23(金) 23:58:25.46 ID:ae.uCrA0
さてと、投下しますかね。
あ、佐白さん、言い忘れてましたが激励ありがとうございます。
酉使い慣れていないんで自分の事を言ってくれてるって気づきませんでしたw
879 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/23(金) 23:59:34.97 ID:ae.uCrA0
ぐーたっち
第四話

 澤田治は、割と単純で多少間の抜けた性格ではあるが基本的にまじめな好青年である。
 親友である芳田次郎が策を弄するタイプの、悪く言えば腹黒な性格なのを考えれば、治が彼の影響を受けず素直に育ったのはある種の奇跡と呼べるのかもしれない。
 治ほどではないが次郎との付き合いが長い治の妹である姫香が、次郎を反面教師として注意深いしっかりとした性格に育ったのを考えると、なお更にそう思えるだろう。
 治と次郎の関係は、例えば指揮官と一兵卒のような、次郎がいろいろ考えて治が行動するという、そんな悪友のような関係では無かった。
 野球に関して言えば二人はまさしくそういう関係だったが、それは置いておこう。
 彼らの関係は、次郎がいろいろ悪戯を考え、それに治が嵌まり次郎に笑われるという、ある意味それ親友としてどうなのよ的な関係に終始していたのだ。
 次郎に言わせれば、だってあいつ単純だしドジだしで、俺がいくら最高の悪戯考えたって絶対にあいつのせいで破綻するから、ならむしろ嵌めた方が面白い、となるが。
 ……やはり、治が素直に育ったのは奇跡と呼べるかも知れない。

 そう、傍目には思われていた。
 流石に大学生になって半自立した生活を始めた次郎は高校生の時ほど無茶な悪戯は実行に移すことが少なくなり、必然治にちょっかいをかける機会も無くなる。
 だから、気づかなかった。
880 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/24(土) 00:00:43.78 ID:lbmkQ/w0

「名前は水城鈴菜って言うんだ。ふーん、可愛い名前だね。見た目も可愛いし」
「中身はメンヘラだったけどな。で、今の中身は男だ。なんとも人格に恵まれない身体だよ」
 治が、目の前の少女を次郎だと信じてから、少しの時間が過ぎた。
 久しぶりに親友と本気でぶつかって、泣いて、怒って、また泣いて、笑って。柄にもなくセンチな気分にでもなったのだろうか。治の冗談交じりの言葉に含まれた意図を解することなく、少女は少しピントのずれた冗談を返す。
「にしても相変わらずだよね、次郎は。あ、その外見なのに次郎って呼ぶのはちょっと変かな?」
「二人っきりの時は次郎でいいだろ。外とかじゃあ少し不味いかも知れないけどさ」
「そうかな、俺としては今の次郎を次郎と呼ぶことに違和感を感じるんだけど……いや、次郎が次郎なのは分かってるよ! もちろん!」
 言ってる途中で少女の顔が赤く染まり始めたのに気づいた治は慌てて言葉を連ねた。
 その変化を羞恥だと勘違いするほどに、二人の関係は短くない。
 しかし、かつて男だったときとは違い今次郎である少女はかなり色白で、ずいぶんと感情が表に出やすいようだ。
 それにしてももし治が次郎の立場だったら落ち込んでいたかも知れないほどに無思慮な言葉だったが、それが怒りに直結するところが如何にも次郎らしいと治は思う。
 いくら目の前の少女を次郎だと確信し出来ていても、見た目は可憐な美少女である。
 どうしても人間の印象というのは視覚に依存して、いちいち次郎らしい姿を見せる少女に感心してしまう治であった。
「ま、いいけどさ。好きに呼べよ。十年そこらの付き合いじゃねーんだ。いまさら名前が変わったくらいじゃ俺らの友情は変わらない……よな?」
 随分と恥ずかしい台詞だったが、後半自信なさげになったのは羞恥のためではないらしい。
 弱気な次郎というのは治は殆ど見たことがない。常に自信満々で、飄々としているようでその実かなり怒りっぽい。それが、治が抱いていた次郎の印象である。
 だが、きっとこれも次郎の一側面であって、治の印象に残っていないだけなのだろう。
 それでも、縋るような目でこちらを見る少女に思わず治は鼓動が早くなる。
881 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/24(土) 00:01:37.60 ID:lbmkQ/w0
「それじゃあ、鈴菜って呼ぼうかな」
「おう、好きに呼んでくれ」
 正直、ドキドキしながらも、治は治を信じ切れてない次郎への怒りもまた覚えていた。だが次郎に殴られるまで気づかずに、彼女を傷つけたのは治自身。更に今さっきの無思慮な言葉。怒る資格なんてないだろう。
 だから戸惑いと不安は裡に沈め、治は普段どおりの、一週間前に途切れた筈のやり取りをただ続ける。
 今の状況こそ異常で、遠くない未来にまた、互いの胸の裡を平気にさらけ出せる友人関係に戻れると信じていたから。
「んで? さっき言いかけてたのはなんだったんだ? 相変わらず――の後だよ」
 次郎も――いや、これからは鈴菜と表記しよう――鈴菜もまた、僅かに残るわだかまりに気づいていたのだろうか、むしろ一瞬でも弱気になった自分に怒りを覚えてのことかもしれないとも治は思ったが、とにかくずれた話を戻しにかかる。
 それが、彼女にとって特大の地雷と気づくことはなく。
「ああ。いやさ、あんな風に嵌められるのも久しぶりだなって思って。今までで一番悪質だったけどね」
「む、そうか?」
 治にとっては、アレはまさに恐怖体験だった。特に鈴菜がこの部屋の合鍵を出した時など、冗談じゃなくちびりそうになったぐらいなのだ。
「そうだよ。本気で怖かった。サスペンスホラーの主人公にでもなった気分だったよ」
「つっても、あの様子じゃ真正面から説得にいったって信じちゃくれなかったろ?」
 だが鈴菜は特に悪いことをした気分ではないらしい。
「人のRZを勝手に使って、ついでに中々信じてくれなかった罰だと思え」
 当然、治の内心にも気づかない。
「それにしたってやり過ぎだよ。あんな写真を撮って脅しまでしてさ」
「……なんだ、やけに絡むな。もしかしてお前怒ってる? はは、悪かったよ。今度飯奢るからさ」
 これもまたいつものやり取り。普段は例え双方笑って済ませたとしても、少しでもやりすぎだったかなと自分が内心で思った時は、次郎はこう言って侘びをしていた。
882 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/24(土) 00:02:27.31 ID:lbmkQ/w0
 今回は治は笑っていないが、それだけに鈴菜も少し悪いことをしたと思ったのか。
「ご飯はいいんだけど、ちょっとやってもらいたいことがあるんだ」 
「ん? 何か困ってんのか? 俺に出来ることなら何でもするぜ?」
 治の言葉に鈴菜は軽く頷く。治の性格を知っているからこその安請け合い。別に治なら自分に厄介な頼みごとをしてこないという風に考えているわけではない。
 鈴菜は本気で、それがたとえ犯罪すれすれの頼みであろうと親友に頼られたのなら喜んでやる。
 それが彼女にとって当たり前のことだからだ。
 だが、今回に限って言えばそれはあまりにも早急すぎる判断だった。
「昼に撮った写真のことだけど」
「なるほどな。OK。今すぐ消す。別にこんな写真があったからってお前を脅したりしないけどさ」
 目的がどうあれ、先ほどまさに治を恐喝していた者の台詞ではない。
 そんなことを思いながら、治は少々自分が緊張している事に気づいた。
 とはいえここでやめる気もまた、起きなかったのだが。
「いや、消さなくていい」
「はあ?」
「俺が恥ずかしい写真を撮られたんだ。鈴菜も恥ずかしい写真を撮られるべきだよ」
「はあ!!??」
 それは、初めての、治の逆襲であったのかも知れない。


 大学生にもなれば、次郎も高校生のときほどの無茶をやらかすことは殆ど無くなった。
 それでも友人数名と、来月にある大学の文化祭で屋外の特設ステージを乗っ取ってのゲリラライブを画策していた次郎だが、その面子に治の名前は無かった。
 ついでに言えば、次郎はどんな小さな悪戯にも常に全力を注いでいた。
 だから誰も気づかなかった。
 いつだって次郎の悪戯の被害者だった治が、次郎の悪戯をかわせる程では無かったが十分に彼に染まっていたことを。
 彼は確実に次郎に影響を受けていたのだ。それも、妹とは違い間違いなく悪い意味で。
 考えても見れば、一年以上も隠れオタクを続けている治である。その辺りにすでに明確に現れていたのかもしれない。
883 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/24(土) 00:03:56.46 ID:lbmkQ/w0
 
「おい、マジか? それはマジなのか!!?」
 赤くなったかと思えば青くなり、また赤くなる。
 少女の顔色は、その感情を反映してか目まぐるしく入れ替わっていた。
「本気。鈴菜だって何でもやってくれるって言ったじゃないか」
「お、お前、だからってそんな……」
 治が手に持つものを指差しながら。
 赤から青へ、また赤へと入れ替わる少女の顔が、今度こそ羞恥でこれまでに無いほど真っ赤に染まる。
「いや、そんなに照れられたら俺の方も困るんだけど。まあ恥ずかしい写真を撮ることが目的なんだからこれでいいのかも知れないけどさ。でも、ただのコスプレだよ?」
 そう、治が今まさに手に持っているもの。
 それは、メイド服だった。もちろんオタク仕様のフレンチメイドタイプだ。
 白のブラウスは肩の部分がパフスリーブになっていて、その上に着るのは濃紺のフレアーワンピース。ペチコートは白く、裾にはフリルがついている。純白のエプロンは腰だけのカフェエプロンタイプで、これにも無論フリルがつく。カチューシャが黒地なのは、治の嗜好の表れなのか。
 デザインどころか素材の段階から選んだ、無駄に金のかかっている治こだわりの一品だ。
 一緒に住んでいる訳では無いとは言え、時折掃除などに訪れる妹にも見つからず、良くもまあこんな物を隠していたものである。
 無論それにはそれだけの苦労と努力があって、鈴菜は男だった頃にそれを治がメイド服を手に入れる段階から見ていた訳だが、何でそんなもののために厄介な苦労を背負い込むんだかと呆れて笑いながら、生暖かく見守っていた。
 まさか、それを自分が着させられようとしている、この今の状況なんか想像することも無く。
 彼女の失敗は笑えまい。そんなこと、想像できる方がおかしい。
884 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/24(土) 00:04:32.65 ID:lbmkQ/w0
「まあ待てよ。確かに俺もやりすぎたとは思う。けどいくらなんでもこれは……」
「だからただのコスプレだって。そう言えば高校の時、結構コスプレしてたじゃない。やくざとか暴走族とか、後は先生にも」
「あれはコスプレじゃなく変装だっ!! なあおい、考え直せって。俺は男だぞ。なりはこんなんでも中身は芳田次郎だ。それがメイド服着た女装姿を考えて見ろって」
 流石は高校の頃は友人どころか教師にまで厄介ごとの影には芳田がいる、と言わしめた程の黒幕。
 子供だましの悪戯から犯罪すれすれの企てまで、学力以上にその手のことには頭の回る次郎だ。
 正確に、治が萎えるようなポイントを突いてくる。
 これでもう少し鈴菜が可愛くなければ、いまさらではあるが、治も冗談だよと言って笑って、それで済んだかも知れない。
「それが女装になるのなら今もしてるじゃん。それに、……そういえば一回、中学の頃に俺も女装させられたなぁ。文化祭の時に。写真もまだ残ってるんだよ。実家に帰れば妹まであの時の事を持ち出して俺を笑うんだ」
 それともう少し、次郎によって治が被った被害が少なければ、本当に飯を奢るだけで済んだかも知れない。
「根に持ってる!? お、おい、何かお前、キャラ変わってないか?」
「そうかな? まあ、でも鈴菜の姿ほどじゃないよ。さ、早く着替えて。それとも手伝おうか?」
「間違いなく変わってるって! ある意味じゃあ俺の姿より確実に!! って、マジでちょっと、ちょっと待てぇえええ!!」
 昼の恐怖体験への不満から噴出した永い付き合いの間に積もりに積もった恨み――というほどどろどろとしたものでは無いが――と、可愛いメイドへの飽くなき欲求。
 それらに後押しされた治を止める術を、とうとう鈴菜は思いつかなかった。
 加えて言うなれば、彼女自身、自覚は無いが治に対してそれなりに罪悪感を募らせていたのかも知れない。

885 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/24(土) 00:05:40.22 ID:lbmkQ/w0

 何故こんなことに。
 あまりにツキの無い最近の自分に、あの腐れ死神に心の中で怒りをぶつけるのも慣れてきてしまった気がする。
 俺は神なんて信じない。いや、確かに死神の存在は認めるほか無いが、そうじゃなく人の運命とやらすら決める全能の存在のことだ。
 己が不運を神に嘆いたことなんて無い。
 大抵の事は本人の努力で何とかなる。実際俺はずっとそうして来て、事故で死ぬなんて最悪の不幸に見舞われても、俺の努力とは関係ないがとにかく今こうして生きている。
 だがこれは……。
「うぅう」
 ある意味じゃあこれまでで最強の敵なんじゃないだろうか。
 渡されたメイド服を泣きたいような気持ちで眺めながら、俺はなんとかこの状況を打開する策が無いか頭をめぐらせていた。
「なぁ……」
「駄目」
 取り付く島も無いってのは、こういうことを言うんだろう。
 即答する澤田にこれ以上の説得は無理そうだ。ってか本当に誰だお前。
 仕方ない。覚悟を決める。何、澤田の言う通り今だって俺は女装してるようなもんなんだ。
 それに鈴菜だってメイド服を着た記憶は持ってはいない。互いに初体験なら、記憶が混じるということも無いだろう。
「っち、仕方ねえな。ちょっと持っててくれ」
 そう言ってメイド服をつき返す。
 なら後は、この身の程知らずにせめて反抗をしてやろうか。俺がやられっぱなしになるなんて、そんな楽観抱いてるんじゃねえぞ馬鹿野郎。
886 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/24(土) 00:06:32.16 ID:lbmkQ/w0
 そう決意を固め、俺はおもむろにパンツのベルトを緩めた。
「え……?」
 ぽかんとする澤田は放っておき、そのままジーンズを一気に下ろす。
「ちょ、ちょっと鈴菜!?」
 おお、戸惑ってる戸惑ってる。女受けのするツラして未だに童貞だからな、こいつ。は、そんなんでよく『手伝おうか?』なんて言えたもんだ。
 少し気が晴れた。精神的優位はこれで完全に逆転したのだ。やはりこうでなくちゃいけない。
 実際現在進行で俺も猛烈な羞恥に見舞われているのだが、それは強引にねじ伏せる。
 ジーンズの下に穿いているのはスパッツのような形状のボーイレッグショーツだが、それでも下着だ。男に見られれば恥ずかしいのは当たり前だろう。
 女なら。
 そう、ならば、この恥ずかしさも鈴菜の記憶があるからこそ感じるのであって、俺はそれに負けるわけにいかない。
「男の下着姿に何照れてるんだよ、おい」
 笑いながら、片足づつ上げてジーンズを完全に脱ぎ、そのまま上に来ているベストとブラウスも脱いでしまう。
 鈴菜の胸はアンダー70のCカップ。そう大きいほうじゃない。それを、ハーフトップのスポーツブラで覆っている。
「な、そんなこと言われたって……!」
 そう色気のある格好じゃないってのに、少し恥ずかしがり過ぎだろうこいつ。
 こっちまで我慢してる羞恥がこみ上げてくるっつーの。
「ほら寄越せ」
 真っ赤になってかちこちに固まってる治からメイド服をひったくる。
「…………う」
 く、こんなフリフリのついた服を今から着るのか、俺。
 ある意味、下着姿よりもずっと恥ずかしいぞ……。

887 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/24(土) 00:07:17.71 ID:lbmkQ/w0

「おぉおおお!!」
 雄たけびを上げる。
 今まさに、治の目の前には彼が夢にまで見た光景が広がっていた。
 メイド服姿の女の子はある意味見慣れた治にとっても、自分の部屋にメイドがいるというこの状況は新鮮なショックを受けるものだった。
 デリヘルなど昨今はその手のサービスも充実してきてはいるが、チキンな治にとってそれらはあまりにも敷居が高い。
 それでもいつかは、と思っていて、それが思いがけない形で果たされたのだ。
 しかも、かなりの美少女メイドである。彼にとっては興奮するなというのが無理な話だ。
「……人の趣味に口出すなんざ無粋って思って放置してきたんだが、あれだ。今はっきりと確信したぞ。お前はビョーキだ」
 濃紺と純白で構成されたメイド服に身を包む少女。平静を装ってはいるがその顔は首筋まで赤く染まって、こちらを睨む勝気そうな瞳にも力が無い。
 憮然としてそう言い放つ姿すら、今の治には彼女の魅力を引き立てるスパイスにしかならなかった。
 デジカメを構え、とりあえず一枚。全身を写してシャッターを切る。
 隠れオタクで、しかも実家が名家のためお盆と大晦日に開催されるとある祭典に参加できない治にとって、メイド服の少女を撮る機会なんてこれまで殆ど経験したことが無かった。
 家宝にしよう、そうしようとご先祖様に顔向けできない事を考えながら、彼はこの振って沸いた幸運を深くかみ締める。
 だが、彼の幸運もそこまでだった。
「はいそこまで」
「え……?」
 いきなり、シャッター越しの世界が暗く染まる。驚いて顔を上げると、鈴菜が、デジカメを手で覆っていた。
「な」
 んで、と問う暇も無い。そのままデジカメをひったくられてしまった。
「鈴菜、ちょっと、どうして!?」
「俺が撮ったお前の恥ずかしい写真とやらは何枚だったけか?」
「ぐ……」
 そう言われては、これ以上鈴菜の写真を撮る大義名分は治には無い。
 結局、反撃は出来ても、治にはそれ以上のことは出来ないのだ。
 いかに次郎に染まってようとも、三倍返しとまでは行かなかったところが、治の生来の性格を明確に示していた。
「ま、頑張ったほうだと思うぜ? 弟分の意外な成長を見られて俺は嬉しいよ」
 そう言って、腕を組んでふんぞり返った鈴菜が笑う。それを聞きながら、あまりにも短かった天下にがっくりとうな垂れる治。
 傍目には美少女メイドの前に跪く長身の美青年という、主客の逆転した異様な光景にもうつるのだが、別に不思議なことではない。
 どんな姿であろうとも、片方の性格が少しばかり黒くなっても、例え片方が一度死んで女の子になりさらにメイド服を着るというわけのわからない状況になったとしても。
 彼らの関係は変わらない。これからもずっと変わらない。
 それを、端的に示しているだけなのだから。
888 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/24(土) 00:10:29.34 ID:lbmkQ/w0
投下終了。
本当はこの話は番外編みたいなつもりだったんだけど、以外に長くなっちゃったし次の話を書くのに梃子摺ってるしで、本編に昇格。
次はちょっと遅くなるかも。
889 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/24(土) 00:37:10.46 ID:Gon.9EEo
いやいや、面白かったんだぜ
乙高翌翌翌翌翌翌翌揚
890 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/24(土) 00:37:59.15 ID:jUyiQiUo
乙高翌翌翌翌翌翌翌翌翌翌翌翌翌翌翌揚
891 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/24(土) 09:26:46.72 ID:huZGesDO
頭の中で冒頭だけを考えたネトゲの話を数レス投下しますお

今回無いけど全体ではエロあり予定
……ってこのスレはエロOKだっけ?
892 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/24(土) 09:31:56.84 ID:fx82STEo
おk
893 :お薬はぷにんぐ 1/? :2008/05/24(土) 09:34:14.49 ID:huZGesDO

事の始まりは、ある夜。
僕は宿屋の一室で眠っていたんだけど…

「起きて、ルーク」
「んにゅ…?」

リリーお姉ちゃんに起こされて、
「ごめんね。ちょっとこれ飲んでみて」
とコップに入った液体を渡されたんだ。
普段なら飲まないんだけど……
この時は寝ぼけてて、
言われるままに飲んじゃったんだ。

「ありがとっ。おやすみ」
そう言って出ていったお姉ちゃんを見送って、
僕はまた眠りについた。

体の変化にも、気づかずに。
894 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/24(土) 09:37:05.11 ID:fx82STEo
のっけからわっふるわっふる
895 :お薬はぷにんぐ 2/? :2008/05/24(土) 09:39:28.21 ID:huZGesDO
次の日の朝。

目が覚めた僕は、自分の体を見て、

「ふぇぇぇえええ!?」
とか叫んでた。

隣のベッドで寝てた、僕の親友…クロスが、
その声で起きたんだ。

「朝からどうした?ルー……」

僕を見て固まった。
それはそうだろう。

女の子になってる僕が、目の前にいるんだもん。
896 :お薬はぷにんぐ 3/? :2008/05/24(土) 09:49:21.64 ID:huZGesDO
「……朝の可愛らしい絶叫はこれが原因か」

レインさんが、皆に体のことを話した後の静寂を破った。

クロスの意識を取り戻して、
とりあえず着替えてお決まりの場所へ。
僕の声を聞いて、皆もう起きてた。
リリーお姉ちゃん以外は。


あ。自己紹介とかまだだっけ。

僕はルーク。魔術師。
三色メイジ。…本当は男。18歳…でも、
ちびで童顔だからもっと子供に見られやすい。
一部が意味わかんない?
うーん……まぁ、後で説明するね。

「…ま、誰がやったかは予想付くな」

クロスがそう続けた。

クロスはブラックスミス。製造型。同い年。
有名ではないけど、常連さんはいる。
見た目も年相応。
897 :お薬はぷにんぐ 4/? :2008/05/24(土) 10:04:35.17 ID:huZGesDO
「十中八九リリーだろうな」

レインさんが続ける。

レインさんはハイウィザード。
とんでもなく強い。なんかオーラ出てるし。
22歳、うちの一番上のお姉ちゃんの恋人さん。
僕もすごく頼りにしてる。

「全く、リリー姉にも困ったもんよね」
「ホントだよ」

フレイアとレイミィ。
双子の僕の妹。剣士。Dカップ。
彼氏なし、ていうか基本僕ばっかり構うから
恋愛に興味あるのかどうか。
……あるはずなんだけど。

僕ら姉弟は僕以外皆女の子、って言うの忘れてたね。

僕の体の原因のリリーお姉ちゃんは、アルケミスト。Dカップ。
ふつうじゃない薬ばっか作ってる。
で、その薬のせいで大騒ぎになる。
今回みたいにね。
898 :お薬はぷにんぐ 5/? :2008/05/24(土) 10:25:46.27 ID:huZGesDO
ついでだからほかのお姉ちゃん達についても。

一番上のマリアお姉ちゃんはハイプリースト。
22歳。Hカップ。
支援魔法の使い方がすごい上手。
さっきも言ったけどレインさんの恋人。

最後に焔(ほむら)お姉ちゃんと冷(れい)お姉ちゃん。
ウィザード。Fカップ。
ぶらこん。落ち込むと僕を呼んで抱きしめる。

そんくらいかな。

リリーお姉ちゃんの事を話していると、
「みんなおはよーん」
と起きてきた。

「おいリリー……」
レインさんを無視して僕のとこに来た。
「うん、女性化薬は成功だね」
納得したように頷く。
僕がむくれるのも気にせず、
おっきくなった僕の胸を……って!

「な、何するのっ!?」「ふむ、この感じからしてEはあるかな?
 羨ましい柔らかさだねぇ」
触るって言うか揉んでる!
「ちょ、や、ぁ」
「ふふふ、女の子の気持ちよさはどう……」
ごす。

「………痛いじゃないかクロス」
グーでリリーお姉ちゃんを殴ってた。クロスが。
899 :お薬はぷにんぐ 6/? :2008/05/24(土) 10:37:49.74 ID:huZGesDO
「俺がやばいんでその辺で」
顔を背けつつ言うクロス。
……えっち。

「ところでさっき女性化って言ったよな?」
レインさんが聞くと
「うん、言ったよ」
と答えた。

………あれ?もしかして。
「元に戻す薬は?」
「今から作るとこ」

…………一同静寂。
こんな気はしてた。

「まぁ服はあるからさ。
 さ、着替えるよー」

僕の首根っこを捕まえて歩いていく。
引きずられる僕。
抵抗する気力?ある訳ないでしょ。

数分後。
「できあがりー」
リリーお姉ちゃんと一緒に戻った。

「…………」
く、クロス、お願いだから胸に釘付けはやめて。

肩にマフラー、下はぱんつの上に前掛け、
上は胸をカバーする奴………

なのに胸の半分しか隠せないのはわざと!?
僕のだけだし!
「ごめんねー、そこまででかくなるとは思わなかったんだ」
サイズが足りないのか。
お外歩けないよ……。

だからクロス、生唾飲まないで。怖いよ。
900 :お薬はぷにんぐ 7/? :2008/05/24(土) 10:48:19.57 ID:huZGesDO
「でもゲフェンじゃないとないみたいだよ」
がっかりした。

ちなみに此処はプロンテラ。

「っていうか部屋割りは?」
それもあった。
親友のはずのクロスが狼に見えるから変えてほしいけど。

「平気だろうから変えない」
死刑宣告された。
小さくガッツポーズのクロス。

「襲ったら屋上から落とすよ」
リリーお姉ちゃんの一言で考えを改めたらしかった。

「まぁー薬が完成するまでだから我慢しなって」
「それはいつ?」
「来年?」

………もういいや……。

「ま、まぁ俺が護っててやるから」
クロスが言ってくれたけど。
「正直、クロスが一番怖いよ」
言ったらぐさっと刺さったみたいだった。


………僕、どうなるの?


序章、終わり。
901 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/24(土) 10:51:35.06 ID:huZGesDO
冒頭は以上。

姉妹の並びは

マリア
焔・冷
リリー
ルーク
フレイア・レイミィ

元ネタはラグナロクオンライン。
ファンタジー系統になるお。
902 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/24(土) 21:48:19.40 ID:kxpAS7w0
>>901
GJ!! 843の人かな? だとしたら期待して良かった!

てか、パー速て500KB超えても大丈夫なのか?
903 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/24(土) 23:19:54.22 ID:SqPASYEo
 〇∧〃 でも、そんなの関係ねぇ!
 / >      そんなの関係ねぇ!
 < \     そんなの関係ねぇ!
904 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/24(土) 23:41:56.12 ID:huZGesDO
8……43………?
某ネトゲでー、とは言ったが全く違うんだが……
905 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/24(土) 23:54:22.25 ID:HuQh2/2o
ああ853と間違えたのか
>>904です

スレが落ちる直前なのにちょっとアンケート
お薬はぷにんぐのエロなんだが

1 襲われ→純愛
2 純愛のみ

のどっちがいいかな?
906 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/25(日) 05:16:58.90 ID:QfDZlQDO
書きやすい方選んだらエエさ。

でも個人的には両方見てみたいかな
907 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/25(日) 22:31:47.81 ID:FbIuD0A0
じゃあ1で
908 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/26(月) 01:05:35.22 ID:Z.7CKac0
1!!
909 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/26(月) 10:37:17.46 ID:e4CqJwAo
ちん
910 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/26(月) 10:42:24.07 ID:44OClUDO
1把握

襲われシーン要るか否かの問題だから両方は書く意味がないという
911 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/26(月) 19:59:13.67 ID:zYdvGDQ0
どうも。管理人代理(仮)補佐です。
おかげ様でwikiにある分の過去ログの移動を完了しました。
これも単に俺のおかg……皆様のおかげです。

ですがやはり転載ミスや誤植は少なからずあると思うのですが…何だかスレチになりそうなんで、見つけた方は避難所にスレを立てて置きますのでそちらまでご一報をお願いします。
ついでに要望や意見、不足分の過去ログや、wiki掲載分で抜け落ちている部分のデータがあるかたもそちらにお願いします。
912 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/26(月) 20:39:46.66 ID:44OClUDO
乙!
913 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/26(月) 23:34:59.52 ID:mpX.mt20
>>911
乙!!
vipの頃に続き書けなくて投げたのが保管庫に入っててちとびびった。これ終わったら続き書くかなぁ。
>>905
スマヌ、普通に安価ミスったww

ほいじゃ続き投下します。
914 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/26(月) 23:35:45.87 ID:mpX.mt20
ぐーたっち
第四話

 早朝の空気というのは心地いいものだ。
 ひんやりとして、澄んでいる。都会の空気は汚いなどとはよく聞く言葉だが、なかなかどうしてまだ捨てたものではないと俺は思う。
 特にこの季節はいい。今は9月の終わり、ようやくしつこい残暑も引いてきて、涼しい風が俺の顔を撫でていた。
 うるさい工事の音も、車の音も聞こえない。完全な静寂という訳ではないが、遠く聞こえる鳥の声や、どこかでもう店開きの準備に入っているのか聞こえてくるシャッターの音などは、趣とか言うのに入るものだろう。
 家の前に立って、朝の空気を胸いっぱいに吸い込む。
 だが、そんな静かで心地いい朝は、あまりにも無粋な闖入者によって妨げられてしまった。
「鈴菜? こんな朝早くにどこに行くつもり?」
 後ろにドアの開けられる音が聞こえたかと思うと、そんな言葉が投げられてくる。
 ため息を吐いて、俺は振り返った。
 そこに立っていたのは鈴菜の母親だった。まだ寝ているかと思ったが、俺が家を出る音で起こしてしまったか。
「別に、ただのランニングだけど」
 鈴菜の言葉遣いで、俺は両手を広げて今着ている上下のジャージを示す。
「そ、そうなの? でも鈴菜、そんな習慣無かったわよね? なんで今朝になって突然?」
「何か問題ある?」
「そういうわけじゃないんだけど」
「ならいいでしょ?」
「で、でも、まだ退院したばかりじゃない。大丈夫なの?」
「傷はもう塞がってる。医者に運動を止められてるわけじゃない」
「そう。ならいいのよ。うん」
 娘の身体の心配なんて、ずいぶん母親らしい行動をする。鈴菜の自殺は、防げなかったくせに。
 それきり興味を失って、視線を外した俺は準備運動を始めた。
 屈伸から始まって腕や足などの軽いストレッチ。鈴菜は体力こそ無いが、体は俺よりもずっと柔らかい。昔からずっとストレッチを続けた割に、俺の体は結構かたかった。
 これぐらい体が柔らかければ、野球を続けることも出来たかもしれないな、とストレッチをしながらふと思う。
 そこで、まだ母親がドアの前に突っ立てるのに気づいた。
「何か用でもあるの?」
「え? そ、そういうわけじゃないんだけど……」
 じゃあ何で家に戻らないんだ?
 気が散る、と言って追い返すのは簡単だがまあ別に必要ない。
 そのまま、こちらを心配そうに見つめる彼女に軽く苛立ちを覚えながら、俺は逃げるように走り出した。
915 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/26(月) 23:37:20.83 ID:mpX.mt20


 ランニングを終えて部屋に戻ってきた俺は、僅かに汗ばむ体を濡れタオルで拭った。本当ならシャワーを浴びたいところだが、諦めるしかないだろう。
 予想通りに体力の無い鈴菜の体を考慮して短い距離をゆっくりと走ったのが功をそうしたのか、あまり疲れてはいない。
 その代わりに、時間があまり無かった。
 俺が鈴菜の身体で生まれ変わってから、今日で十日目となる。今日は月曜日。そして鈴菜は高校生。
 大学と違って、高校は朝のホームルームから出席を取られるのだ。加えて、一週間も入院をしていた鈴菜は退院したことを担任に報告するために、少し早めに学校に行かなければならない。
 鈴菜は自殺して、今のこの体は俺のものだ。わざわざ鈴菜の生活を続ける必要など欠片も感じない。
 それは澤田への説得に苦労したことで十分に分かった。俺の、そして鈴菜の、今の状況は普通あり得ない。
 俺が今すぐにでも地を出してそのままに振舞ったところで、自殺の影響で性格が豹変したとしか思われないだろう。
 だが地を出すことによって不審に思われ、それによって増える厄介ごとは出来れば避けたいし、それに鈴菜としてこれから生きていかなければならない以上高校くらいは出ておきたい。出来れば進学もしたいと思っている。
 こんな細腕の小娘が一人で生きていけると思うほど、俺は世間を舐めちゃいないのだ。
 いや、生きていく事自体は容易いだろうが、フリーター生活のワーキングプアーなんか御免だし男に養ってもらう気も無い。
 本当なら、今すぐにでもこの不快な家を出て一人暮らしを始めたいくらいだが、卒業して自立できるようになるまでは我慢するべきだ。耐えられないほどじゃない。
 下手に連れ戻しにかかられたら厄介だし、住む部屋にバイト。探さなければならないことも、しなくてはならないことも山ほどある。
 ならせめて卒業するくらいまではこの家に住むべきだし、ならば退院直後のサボりは避けるべきだろう。
 殺風景な部屋の壁に取り付けられた洋服箪笥の扉を開き、制服を取り出す。
 鈴菜の知識があるため着方には迷わないが、どうにも抵抗を覚えるな。
 今更なことを考えながら、手早く身に着けていく。
 さらに、昨日しっかりと今日の時間割の教材を入れておいたスクールバックを持ち上げれば、準備は完了だ。
 部屋を出、階段を下りて玄関に向かう。
 その途中で、母親に呼び止められた。
916 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/26(月) 23:38:04.14 ID:mpX.mt20
「あ、鈴菜、もう出るの? 朝食準備しておいたけど食べるかしら?」
「…………」
 とっさに無視しかけたのを思いとどまり、立ち止まって少し考える。
 鈴菜はいつも朝食を摂らない。それなのに母親は毎日鈴菜の分も朝食を作っている。
 すでに作ってしまっているというのに、食べろと言わずにわざわざ聞くあたりが卑屈な感じだ。
 鈴菜が朝食を摂らないのは、小食なのもあるが、それ以上に両親と食事を摂る機会を減らしたいためだった。
 俺だって遠慮したいところだが、だが今朝は鈴菜の習慣には無いランニングを行ってしまっている。
 きっと昼前は猛烈にお腹がすくだろう。
 早弁をすればいい話ではあるが、そもそも弁当を持ってない。
 途中でコンビニに寄って買って行くことは出来るが、女の子が早弁をするという光景は例え自分であっても出来れば見たくない部類のものだ。
 それに、学校に行けばかなりの厄介ごとが待っている。お腹がすくだろうなんて小さな問題は、少なくとも今日は避けるほうがいい気がする。
 時間も、まあ少し急いで歩かなくてはならなくなるが大丈夫だろう。
 うん。シャワーよりも飯を優先するって言うのも、いかにも男の発想だしな。
 そう決断を下して頷くと、母親は少し驚いたようだった。
「え、本当に?」
 何と言うか、最早笑い出したくなってくる。
「なにそれ? 食べるって聞いたのはお母さんなのに」
 好意的に見れば喜びの類の驚きだと取れなくも無いが、相変わらずこの人は言葉に思慮が足りていない。
「そ、そういう意味じゃないのよ? ごめんなさい。じゃあ、一緒に食べましょう」
 だから、今更謝っても遅いっての。
 母親の後に続いてリビングに入れば、新聞を読む父親と目が合った。
 こちらもまた、鈴菜が入ってきたことに目を見張らせている。
 やっぱりあのまま学校に向かうべきだったかなと後悔して、俺は内心でため息を吐いた。
 本当に、彼らも好きになれそうに無い。
917 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/26(月) 23:39:29.70 ID:mpX.mt20


 とても、居心地が悪い。
 64もの瞳にさらされて、俺は落ち着き無く身じろぎしていた。
 法戸中学高等学校高等部――めんどいから以下法戸高校と略す――一年C組。
 鈴菜としては一週間ぶりで俺としては初めて登校して、職員室にいる担任に挨拶したのが凡そ三十分前。
 その後相談室でスクールカウンセラー相手にいろいろと質問をされた後、俺は担任に連れられて、今こうして鈴菜のクラスに入ったというわけだ。
「病気で一週間入院していた水城鈴菜さんが、一昨日退院して、今日ようやく登校して来ました。勉強も一週間分の遅れもあるでしょうし、先生ももちろんサポートしますが、皆さんも支えてあげてください」
 俺の隣に立つ担任の教師が、そう言ってクラスを見回す。
 自殺でなく病気といったのは、学校側の気遣いだろう。まあ、自殺を試みて入院してましたなんて普通言わないだろうが。
 いじめにあっている生徒としてはとてもありがたくない言葉だったが、仕方ないところもある。この教師は自分が担当しているクラスでいじめが行われていることに気づいてはいないのだ。
 鈴菜は最初っから警察に相談しに行っていた。教師も両親も、相談したって役に立たないと思っていたためだ。別に昨今のいじめを取り扱ったニュースやら特番やらの情報を踏まえての事、だけではない。
 真実、鈴菜にとってはそれらの相談は意味を為さなかったのだ。
 それ故に鈴菜は一度もこの教師に相談しなかったどころか、むしろ被害にあっていることも隠していた。
 だから彼の態度は気にしないようにして、俺も教師に倣って教室内を見回した。
 さすがに事情は知られているのか、大多数の生徒は俺の視線に晒されると気まずそうに目を逸らす。
 まあ、彼らのほとんどは鈴菜のいじめには参加していない傍観者だ。気持ちは理解できなくも無い。
 その中に、“俺”が見知った顔を見つけた。
 澤田の妹の、澤田姫香。記憶にあったため同じクラスなのは知ってはいたが、俺が鈴菜になってから会うのは初めてだった。
 彼女もまた、俺の視線に気づくと慌てたように目を逸らした。
「…………」
 鈴菜はともかくとして、俺は姫香の態度を責める気にはなれない。姫香の気持ちは、痛いほどに分かる。
 そうはいっても、彼女の幼馴染のお兄さんとしては、彼女の態度はやはりショックだったけど。
918 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/26(月) 23:40:40.22 ID:mpX.mt20
「分かりました。鈴菜さんのことは任せてください」
 その時、唐突にそう言って一人の女生徒が立ち上がった。
「そうですか。それではよろしくお願いしますね、加瀬さん」
 女生徒の言葉に、教師は満足そうに目を細める。
 まあ、言葉だけ聞けばなんとも心優しい女の子だしな。
 内心苦笑いしながら、俺も加瀬と呼ばれた少女に目を向けた。
「大丈夫よ、鈴菜、任せて。私たち友達でしょ?」
 目を合わせると、にっこりと微笑んでそんなことを言う。
「……」
 どう答えるべきだろう。一瞬迷った。
 鈴菜ならあなたと友達になった覚えは無いとでも言うのだろうが、いくらなんでも教師の前で言う台詞ではない。
 彼女は、それを見越して鈴菜をダシにして教師の評価を上げるつもりだったんだろうが。
 それにもう一つ。俺は、鈴菜ではない。鈴菜が求めていたことなんて、俺は求めない。
 だからとりあえず、この場は目を伏せて頷くだけに留めておく。
 同時に、それは俺が鈴菜としてこの学校に通う上での方針を決めるものでもあった。昨日の夜にいくつか考えていたうちの、恐らく最良の道。
 徹頭徹尾俺からはもっともかけ離れた性格の少女を装わなければならないことが、ちと面倒だが。
 加瀬はおや、という風にちょっと驚いたような目で俺を見て、彼女の周囲に座っている女生徒達は俺を何かものすごい目で睨んでいた。
 ちょっと、笑いそうになってしまい、慌てて堪える。
 先ほど俺が視線を向けたときに、気まずそうに目を逸らしたのが大多数の傍観者。
 そして、それに当てはまらない態度の彼女たちこそ、鈴菜へのいじめの主犯たちというわけだ。
 いくら女子高生として高校に通うことは我慢出来ても、いじめにあうのは勘弁である。
 さて、少しでも快適な学校生活を送るために、頑張ってみるとしようか。
919 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/26(月) 23:45:52.27 ID:mpX.mt20


 それは、意外なほどに早くやって来た。
 俺を席に座らせ、朝のホームルームを行った教師が教室を出て行ってすぐに。
 俺は、席に座ったまま数人の女生徒に囲まれていた。
「あんた、さっきのはどういうつもり?」
 机にどんと手を突いて、俺の正面に立った少女がそう言い放つ。
 持田圭子。鈴菜をいじめていた主犯の一人だ。
「え? さ、さっきのって?」
 俺は不安そうに、戸惑ったように聞き返す。
「なにとぼけてんだよ! あんたのせいで先生に翠がお前なんかの友だちだって勘違いされちゃったじゃん!」
 女の子としては少々乱暴な言葉遣いで、左側から怒鳴ってきたのは吉野美香。彼女もまた、主犯の一人。
 鈴菜は、このクラスの生徒の名前を全員フルネームで覚えている。
 警察への相談などで何度もメモを取ってるうちに自然に覚えたものだが、何でこの根性をいじめの解決に持っていけなかったのか。
「ご、ごめんなさい……」
 ま、それは今更だ。とにかく、俺は俺なりにやる。慌てて謝って見せると、吉野は露骨に驚いたような顔を見せた。
 だがそれは、すぐにイラつきを帯びた顔に変わる。
「お前なに猫被ってやがんだよ!」
 おお、大正解。確かに俺は猫を被っている。良く見抜けました。ぱちぱち。そう心の中で拍手を送る。
「……そ、そんなつもりじゃ!」
 でも、鈴菜が俺だという事は、被った猫が二重になっている事は分からないだろう?
 裏の裏は表と同じ。鈴菜だってこういう行動を取る可能性はある。でも、俺が求める結果は鈴菜とは間逆のもの。
 だから俺は、ただただ萎縮したように俯くだけ。
「…………」
 そんな俺を、持田はじろりと疑わしげな目で見つめていた。
 逆に今度こそ、吉野は戸惑いの気持ちが勝ったらしい。毒気の抜かれたような表情で、どうなってるんだなどと呟いている。
920 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/26(月) 23:46:31.06 ID:mpX.mt20
 もう一押し必要か。
 顔を上げて、持田と目を合わせた。鋭くこちらを観察するような視線を一瞬だけ見つめ、すぐに怯えたような素振りで顔を伏せる。
「え……?」
 それでようやく、持田にも困惑の声を上げさせることに成功した。
「ね、ねえ、どうなってんの水城の奴?」
「私に聞かれても……」
 とうとう二人は目の前でひそひそと話し始める。先ほどまでの威圧的な態度が嘘のようだ。やはりこの方針は間違ってないな。そう確信する。
 彼女たちは、誰一人として元々陰険ないじめに手を染めるような性格じゃない。彼女たちにそれをさせていたのは……。
「からかわれているわよ、二人とも」
「あ……」
「翠?」
 唐突に吉野たちの後ろから上がった声に、こそこそと何やら話していた二人が俺の机から離れる。
 そして俺の前に、一人の少女が進み出てきた。
 ようやくの、ご登場か。
 顔を上げる。
 中身を知っていなければ男として見とれそうなほどの美少女が、そこに立っていた。
 シャギーの入ったロングの黒髪は軽くカールがかかって、彼女の明るそうな雰囲気をより際立たせている。
 陸上部に入っているせいか肌は健康的な肌色をしているが、褐色というほどではない。よく日焼け対策をしているのだろうか。
 鈴菜も女性としては背が高いほうだが、彼女はそれよりも2、3cm高いようだ。奥二重の切れ長の目のためか、可愛いというよりも美人、といった印象を強く受ける。
 彼女が、加瀬翠。このクラスにおける主犯の一人にして、その中心人物。
「久しぶりね、鈴菜。元気にしてた?」
 あからさまに白々しい台詞だが、皮肉と分かっていても中々にむかつく物言いだなおい。
 にこにこと笑いながらのたまう彼女に苛立たなかったといえば嘘になる。
 流石に、夏休みを挟めば半年近くもの間鈴菜とやり合っただけのことはあるな。……勿体ない。こんなに美人なのに。
「……う、うん」
 そう思いながら、慌てた様に頷いてまた顔を伏せる。
「あら、随分とそのキャラを引っ張るのね? どういうつもり?」
 問われても、答えない。とにかく、俯いたまま加瀬たちが居なくなるのを待つ……演技を続ける。
921 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/26(月) 23:47:31.64 ID:mpX.mt20
「翠、どうしよう? 何か今日の水城って……」
「あの鈴菜がこんな態度を取っているのに、理由が無いと思うの? 美香は」
「そ、そりゃ、思わないけど」
「でも本当に変だよ? これじゃ私たちが悪者みたい」
 そろそろ詰めか。不自然にならないよう、慎重に。そう心がけながら居心地悪そうに身じろぎさせて、ほんの少し、ブレザーの左腕の袖先から包帯を覗かせる。
 最初に、ソレに気づいたらしい持田が身体を強張らせた。
「そ、それって……」
 続いて、吉野も気づく。教室内もざわめき始めたのは、こわごわとこちらを伺っていた生徒たちの中に気づいた連中が現れ始めたのか。
 狙い通りだ。
 加瀬たちもうすうすとは鈴菜が自殺を試みたことには気づいていただろうが、実物を見るのはやはりショッキングだったのだろう。
 これの効果は、昨日澤田に見られたときに実証済みだしな。
 そこで俺は再び顔を上げる。加瀬たちは怖いがそれでも皆がざわめいている理由が気になって思わず……という風に見られるようタイミングを見計らって。
「あ……!」
 そして、始めて気づいたとでも言うように声を上げ、慌てて見えてしまっている包帯を手で押さえるようにして隠し、更に机の下に引っ込めた。
「…………」
 誰も、何も言わない。おずおずと顔を上げると、持田と吉野は顔にありありと罪悪感を張り付かせて、加瀬も何も言わずに黙って俺を見つめていた。
 俺はそれを確認して、また顔を伏せる。
 成功の手ごたえはあった。身内ドッキリ(被害者は主に澤田だが)の経験は腐るほどあるし、昨日も同じ事をしたばかりだ。
 今回はネタばらしをする予定は無いが、それはともかく今の俺の態度が演技だということにばれた様子は無い。
 澤田は例外として、どんな阿呆でも三回同じことをやられれば学習する。
 澤田以外に、例えば姫香なんかに仕掛けたドッキリは、ばれたことは二度三度じゃきかない。そのときに彼女は騙されているフリを続けて、ここぞという場面で逆襲してくるのだ。
 その為、俺はドッキリがばれたかどうかにも気を使うようになって、それを踏まえた二重三重の備えも心がけるようにしてきた。
 だから分かる。誰も俺が演技をしていると気づいては居ない。
 それでも、俺は心の裡に奇妙なしこりを感じていた。
 加瀬の目に、奇妙な光が宿っていた気がするのだ。それが何かまでは分からないのだが。
 そもそも、この段階で加瀬が持田や吉野のように罪悪感を顔に浮かべていないのはおかしい。
 そう表情を顔に出す性格ではないといっても、この場合それを隠す理由など無いのだから。
 顔を伏せたまま俺の思考は深く沈み、また教室内の誰も、ただ動けずに黙っている。
 重苦しいほどの沈黙が教室を包み込み、それは一現の鐘がなるまでずっと続いた。
922 : ◆c0NQxleFhE [sage]:2008/05/26(月) 23:49:31.86 ID:mpX.mt20
投下終了。
キャラが増えてきて、自分でもたまに訳わからなくなってきたww
923 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/27(火) 00:54:40.51 ID:T2hEJJMo
おつんぽ
mobの名前まで考えるのは大変そうだなぁ
924 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/27(火) 01:27:39.97 ID:bb5TmqQo
乙〜
925 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/27(火) 09:41:50.17 ID:2EAE.6DO
おつ!

あれ、512以上いける?
926 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/27(火) 09:42:35.92 ID:2EAE.6DO
あ、512kb以上ね
927 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/28(水) 09:06:29.86 ID:TYMhgmUo
突然の過疎
928 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/28(水) 10:33:58.20 ID:8LQ5IE60
投下無いからねぇ。
俺はまだ少しかかる。だれぞ書かんかなぁ。
929 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [♯キラケジ]:2008/05/28(水) 23:34:19.31 ID:OE3ACnk0
人が居なくなる前に投下!

ぐーたっち
第五話


 その後暫くは、何が起きるということも無かった。
 俺はずっと如何にもいじめにあっている気弱な少女の振りを続け、加瀬たちはそんな俺をじろじろと観察はしていたようだが、ちょっかいを出してくることはない。
 他の生徒たちも俺の態度に戸惑いながら、こちらは普段から傍観者という立場だったためか鈴菜の記憶と変わらない対応だった。
 たとえいじめという形であっても、それが何ヶ月にも渡って続けられてきた“普段”といえるものだったのか。
 鈴菜という歯車がずれた教室の雰囲気は、授業のたびに来る教師たちに怪訝そうな顔をさせるに足るものだったようだ。
 授業自体は、鈴菜の記憶と俺の記憶両方を持つ俺には正直簡単だった。鈴菜は勉強が出来ないほうでは無かったし、それは俺だって同じだ。
 インチキしてるようなものなんだが、罪悪感なんかは特に無い。
 俺の記憶を使わないなんてのは無理な話。精々、テストの時には、不自然に映らないようこれまでの鈴菜とそう変わらない成績を取ろうかなとは思ってはいる。
930 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [♯キラケジ]:2008/05/28(水) 23:34:53.91 ID:OE3ACnk0


 事が始まったのは、昼休みに学食で昼食を食べ、戻ってきた時だった。
 教室内は静まり返って、先ほどまでの微妙な空気とは一線を画する異様な空気に包まれていた。
 やっぱり、起きてしまったらしい。鈴菜へのいじめの、再発。
 流石にこの程度で無くなるほど根の浅いものじゃないかと思いながら席に戻ろうとして。
「んな……!?」
 予想を遥かに上回る光景に、俺は思わず目を疑った。
 いくらか覚悟してはいた。鈴菜は、教科書やらノートやらを切り裂かれたり落書きされたりした経験がある。
 故に最近では席を離れるたびに、教室後方の鍵付きロッカーの中に仕舞う様にしていた。
 それを俺は、自分の行動がどの程度効果を上げたのかの確認のためにわざと、まだ新しい教材を机の中に入れっぱなしにしたまま昼食に行ったのだが。
 何だ、これは?
 切り裂かれるどころでは無い。殆ど紙屑になるまで、ノートも教科書もずたずたのバラバラにされていて、机の周りに散乱している。
 恐らく、鈴菜の机の上に置いて、カッターで何度も何度も強引に切り裂いたのだろう。
 机にまるで網の目のように走っているささくれ立った傷を見れば、それくらいすぐに分かった。
 更に机の上には、一本一本ご丁寧に折られたシャープペンの残骸が転がっている。
 ふと机の横にかけられたスクールバッグを見ると、それもまた、きれいに×印の傷が走っていた。傷は深すぎて、どうやら殆ど四分割されてしまっているみたいだが。
「…………」
 間違いなく加瀬たちの仕業だ。それは分かる。他にこんなことをする奴はこのクラスには居ない。
 ……だが。
 あいつら、いったい何を考えているんだ?
 俺の行動は何の意味も無かったのか? 演技と見破られた?
 でも、それにしたってこれは何なんだ?
 改めて、俺は壮絶とも言える光景に目を向ける。
 こんな、あまりにもあからさまないじめは鈴菜の記憶には無い。
 そもそもあいつらのいじめは教師にばれないよう慎重に行われていたはずだ。
 それがどうしていきなりこうなった?
 もうすぐ五限も始まるのだ。これでは、最悪加瀬たちの仕業とはばれなかったとしても、鈴菜がいじめに合っていることは確実にばれる。
 そこから事が明るみに出るかも知れないことくらい、予想がつかない奴らじゃないはずだろう!?
「鈴菜!? いったいどうしたのこれ!?」
 後ろから肩に手を置かれ、心配そうにかけられた声に俺はゆっくりと振り返った。
 加瀬、翠。 お前、いったい何を考えている?
「とにかく、片付けよう。ね? これじゃ次の授業を受けられないじゃない」
「う、うん」
 流石に、怒りを抑えるのにかなりの力を要した。俺を心配そうに、元気付けるように見つめるその顔を、ぶん殴ってやりたいという衝動が俺の中で燻る。
 だが、それよりも。
 加瀬は、こんな奴だったのか?
 視線を、彼女の後方に向ける。そこに加瀬に控えるように立っている持田と吉野の顔色は、控えめに言っても良いものではない。吉野などはもともと言動は粗暴でも実際気の強いほうではないためか真っ青にすらなっている。
 俺の方針は、やはり間違っていないらしい。持田と吉野を見れば分かる。
 彼女たちの態度は鈴菜の記憶と矛盾しない。だがそれだけに、加瀬の態度はあまりにも異常だった。
931 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [♯キラケジ]:2008/05/28(水) 23:35:26.03 ID:OE3ACnk0

 
「大変悲しい事が起きてしまいました。昼休みの間に、水城さんの私物が壊されたそうです」
 折良く六現がこのクラスの担任である幸田靖教諭の授業だったこともあり、授業は中止されこの1年C組の六現はLHRとなった。
 幸田教諭は今年で57にもなる老齢の教師だ。温厚な性格のためか一部の生徒からは幸田のじいさんとも呼ばれている。
 教卓の前に立つ彼の顔色は、薄い白髪を覗けば一面青色に染まっていた。
 定年前の最後の担当クラスでこんな事が起こったのだ。無理もないと思うが。
「皆さんの中にはそれを見ていた生徒も居るでしょう。もしかしたら、この中にそれをやった子が居るかも知れません」
「先生! 先生は、クラスのみんなを疑っているんですか!?」
 立ち上がって発言したのは加瀬。あまりにも白々しい言葉だが、それに対してクラスの皆は何も言わない。
 無論、俺も。
「ええ。残念ながら、疑っています。本当に悲しいことです。自分の生徒を疑わなければならないなんて」
「そんな……!」
「誰がこんな事をしてしまったのか。知っている方が居ましたら、……ここでとは言いません。放課後職員室の私の元まで来てください。もしこの中に鈴菜さんの私物を壊した生徒が居るのなら、言いに来てください。私は、こんなことをした生徒を叱らなければなりません」
 いい先生だな。なぁ鈴菜。本当に、お前のやっていたことは馬鹿なことだったよ。
 俺も、自分のしていることに自身が無くなってきたけど。
 ふと、視線の端に姫香が映った。思いつめたような顔で、幸田教諭を見つめている。
 ちっ、あいつも予想通りの行動に出るか。これまでならともかく、モノホンを放って置ける奴じゃないのは知っていたが、……まずいな。
 くそ、本当に何で加瀬の奴だけ……。
932 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [♯キラケジ]:2008/05/28(水) 23:37:26.89 ID:OE3ACnk0


 幸田先生の言葉は、下手をすればこのクラス内に疑心暗鬼の種を撒き散らすようなものだった。
 そうならなかった訳を、彼女は知っていた。いや、恐らくこのクラスの中に、無実の生徒を疑うものは居ないだろう。
 彼女を含めて、このクラスの誰もが、水城鈴菜の私物を壊した生徒を知っているのだから。
「それでは、HRを終了します。……皆さん、私はあなたたちを疑わなければならないことをとても悲しく思っています。それでも、きっと名乗り出てくれることを信じたい。……失礼します」
 その、教室を出て行く彼に声をかけようとして。
「――――! 何で……」
 彼女――澤田姫香は結局立ち上がれもせずに、いすに座ったまま拳を強く握り締めた。
 臆病な自分が嫌になる。
 決心したはずだったというのに。
 水城鈴菜。彼女のクラスでいじめにあっていた少女。
 もう二度と、いじめにかかわりたくない。そんなエゴのために、彼女はあれはいじめなんかじゃないと自分に言い聞かせ、ずっとずっと見ていない振りを続けて、見殺しにしてきて。
 ついに鈴菜は先週、自殺を試みた。
 今朝それを聞いた時にも、姫香はまだ臆病なままだった。きっとうわさに過ぎないだろうと、鈴菜が自殺なんてするわけが無いと。
 そんな臆病で卑怯な思いは、彼女の左手に巻かれた包帯を見たときに吹き飛んだはずだったのに。
 昼休みにだって、姫香は動けなかった。昼食はいつも中庭で友達と食べる彼女だが、それでも戻ってきたときに見た光景が、それを作り出したのが誰かなんてすぐに分かったというのに。
「ひ〜め〜か!」
「え!?」
 俯いて自分を自己嫌悪していた彼女は、いきなり正面から掛けられた声に慌てて顔を上げた。
 姫香の一番の友人である春日結子が、いつの間にか正面から姫香の机に両肘を立て、その上に顔を乗せてこちらを見つめていた。
 友人の顔のドアップに、一瞬声を失う。
 そんな姫香を少し笑って、結子は立ち上がった。
「放課後どうしよっか? 今日部活ないし、世年寺で降りて遊んでく?」
 世年寺は法戸高校最寄の東大金駅から二駅のところにある駅だ。畑と緑と住宅街しかない大金市に比べると飲食店やデパート、カラオケ、ボーリングも多い繁華街の世年寺は、法戸校生としても学校帰りに遊ぶところとして最適であり、彼女ももう何度も友達と訪れている。
「え、えっと、悪いんだけど今日は」
「ん? なんか用事あんの?」
「一応、あるっていうか……」
 姫香はまだ諦めては居ない。これから、職員室に行けばいいのだ。それでも目の前の友人に言う勇気すら、彼女は持てないでいた。
「煮え切らないな〜。珍しいね? どうしたの?」
「別に、そんなこと無いと思うけど」
 結子の追及をかわすように、姫香は視線を逸らす。
 そして、見てしまった。
 水城鈴菜が、翠たちに囲まれて何やら話しているのを。
933 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [♯キラケジ]:2008/05/28(水) 23:37:50.27 ID:OE3ACnk0
「……これから?」
「そ。どうせ暇でしょう。久しぶりに登校してきたんだし、積もる話もあるじゃない? それに昼の件もあるし。一人で行動するのは危険かも知れないわよ?」
「で、でも、何で屋上で……」
「いいじゃない。別にどこだって。いいから来なさい。ほら、早く!」
 彼女たちの話し声も、聞こえてしまった。
「うわ、本当にどうしちゃったんだろ翠も水城さんも。あれじゃまるで……」
 同じくその光景を見ていた結子が思わずといった風に呟く。
 最後の言葉は小さくて聞き取れなかった。言い淀んだのかも知れない。口に出してしまったら、それが事実になってしまうのではないかと、それを恐れているのだろう。
 姫香には結子の気持ちが理解できる。自分と同じだ。だからこそ、彼女が言い淀んだ言葉が分かった。
 翠たちに連れられて、鈴菜が教室を出て行く。
 そこで、ようやく彼女の覚悟は固まった。
 結子の言葉の続きを、姫香は心の中で呟く。
 あれは、いじめだ。
「ごめん結子、やっぱり用事あった。長くなるかも知れないから先帰ってて」
「え? ……ちょっと姫香、あんたまさか――」
「それじゃ、急ぐから。また明日ね!」
 そう言って、鞄も持たずに席を立つ。
 どうして今まで動けなかったのかとか、そんな自虐が脳裏をかすめるが気にしない。
 もう決めた。過去は過去などと割り切れるほど彼女は年をとってはいなかったが、その分前だけを見つめられる若さを持っている。
 どちらにしろ、これから取り返すしかないのだ。
934 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [♯キラケジ]:2008/05/28(水) 23:41:41.96 ID:OE3ACnk0
 すうっと、大きく深呼吸した。
 姫香が今いるのは職員室の扉の前。鈴菜が翠たちに連れられて教室を出てから、姫香はほとんど全力疾走でここまで来た。
 一刻の猶予も無い。いじめと言う行為に関してこれまでずっと臆病だった彼女にとっては、その切羽詰った状況もプラスに働いたのか。
 職員室の前まで来て、一瞬躊躇したがそれを深呼吸一回で押さえ込んで、彼女は扉に手を掛けた。
 そして中に入ろうとして。
「ちょっと待って」
 そんな声と共に腕をつかまれて、止められた。
 声だけで、誰だか分かった。何せ姫香は今、彼女のことだけを考えていたのだから。
 水城鈴菜が、姫香を見つめながら彼女の手をつかんでいた。
「……水城、さん? なんで――」
 止めるのか。若しくはここにいるのか。
 おかしいことは二つあったが、緊張の極地にあった姫香はそこまでは考えられない。
 ただ頭の中にはどうしてという疑問が踊っていた。
「ここにいるのは他の人に邪魔だよ。場所を移そう」
 鈴菜は姫香の疑問には答えずに、つかんだままの姫香の腕を引っ張って歩き出す。
 振り絞った勇気をよりによって当事者に邪魔されたという状況のためか、緊張の糸を解かれた姫香は呆然としたまま、なすがままに連れられていく。
「ここでいいか。ごめんね澤田さん、無理に連れてきちゃって」
 姫香が連れて行かれたのは、使われていない多目的教室だった。
 ガラリと扉を引いて中に入り、そこでようやく鈴菜は姫香の手を離す。
 残暑もようやく引き始めたこの季節。つるべ落としの言葉どおりに日の入りは日に日に早くなっていて、放課後が始まって幾ばくも無い時間だと言うのに既に太陽はかなり傾いていた。
 西日が差し込み、燃えるように赤く染まった教室の中央まで歩いて、鈴菜は逆行を背に振り返った。
「水城さん、あなたさっき加瀬さんたちに――」
「ああ、見てたんだ」
 クスリと笑って、少女は口を開く。
「ちょっと用事があるから先に屋上に行っててって頼んでおいたんだ。加瀬さんに却下されそうだったけど、吉野さんと持田さんが取り成してくれたよ。あの二人、今の私をいじめるのに抵抗があるみたい」
「え?」
 あまりにも今朝とは違う態度。それに姫香が疑問を抱くより早く、更に鈴菜は言葉を続ける。
「さてと、今度はこっちの番でいいよね? 澤田さん。一つ聞きたいんだけど、さっき何をしようとしていた?」
「何って、それは……」
「困るんだよ。勝手な事をされると」
「か、勝手って何よそれ! 私はただお昼の事を先生に……!」
「私を助けてくれようとするのは嬉しいけど、大きなお世話」
「……なっ!」
 そこでようやく、姫香は鈴菜が、先週までのいつもどおりの態度であることに気づいた。
 今朝からの、別人のような気弱な少女の影はなりを潜め、どれだけのいじめを受けても表面上は平然としていた、かつての鈴菜の姿だ。
「あ、あなた――」
「ああ、ようやく気づいたんだ? そうだよ、猫被ってたんだ、私」
 にいっと、唇の端を歪めて鈴菜は言う。いつだってこの少女はそうだった。嫌がらせも、暴力も。
 姫香が目を背ける中で、彼女はただの一度も萎縮した態度を取らなかったのだ。
 今朝のも、結局は演技だったと、そういうこと。
「……そう、なんだ」
「だから澤田さんが何かする必要は無い。これまでどおりに……」
「――放っておくことなんて、私にはもう出来ない」
「放っておいてくれて結構……って、何だって?」
 それでも、姫香にとってそれはもう己の決意を揺らがす要因にはなり得ない。
 どんなに平然とした態度を見せていても、鈴菜は一週間前に自殺を試みたのだから。
935 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [♯キラケジ]:2008/05/28(水) 23:42:06.99 ID:OE3ACnk0
「無理しなくてもいいよ。いじめの辛さは、私にもよくわかる」
「な……! おい姫――じゃなくて、澤田さん!?」
「ごめんね、これまでずっと何も出来なくて。でもこれからは違うから」
 そう言って、真っ直ぐに姫香は鈴菜を見つめた。いじめが始まってから、疚しさ故に一度も見ることが出来無かった鈴菜の瞳を、今度こそ真摯を込めて。
 鈴菜はそんな姫香の視線を睨むような態度で見つめ返していたが、結局根負けしたように瞳を逸らした。
 小声で、何か呟く。
「…………こっちも結局予想外。なんでこうなるんだか。嬉しいけど複雑だなこりゃ」
「え?」
「いや、何でもない。……ありがとうって言うべきかな。優しいんだね、澤田さんって」
「そ、そんな……」
 こと無い。そう言いたくて、それでも姫香は言わなかった。どんな誤解も、今は解いている暇などないのだ。
 今は早く、彼女へのいじめを無くさなければ。
「とにかく、職員室に行こう? 加瀬さんたちに呼び出されてるのもあるし、先生に言えば」
「却下。気持ちは有難いよ、本当に。でも余計なことをして欲しくないってのも本音」
 彼女としては精一杯心を込めたつもりだった。だが、その返答は逡巡すらしない拒絶。
「水城さん!? どうして――!!」
「ねえ、澤田さん。なんで私っていじめられてたのかな?」
 夕日が差し込む、赤い世界。逆行を背にした少女は一歩、姫香に近づきながらそう言った。
「そ、それは、その……」
「なんで澤田さんは見ているだけだったのかな? なんで他のみんなも何もしてくれなかったのかな? 鈴菜を、助けなかったのかな?」
 もう一歩、近づく。姫香の心の傷口をえぐるような、クラスのみんなを責めるかのような問い。
 赤い世界の中で、細身の少女のシルエットだけが黒く切り取られている。
 気圧されないよう、姫香は下肢に力を込めた。
 ここで一歩でも後ずさったら、自分はもう二度と前を向けて歩けなくなる。そんな気がした。
「やっぱり凄いな、姫香は。もう克服したのか」
「え、な、何?」
 がらりと変わった、男のような口調。でも、姫香にはそれがとても優しく聞こえた。
 鈴菜に下の名前で呼ばれたことなんて無い。なのに、何度もそう呼ばれてるような、そんな不思議な感覚が残る。
 何でもない。そう言って誤魔化す様に笑い、鈴菜は更に一歩姫香に近づいた。
「過去に澤田さんに何があったかはわからない。でも、優しすぎて、強すぎて、澤田さんは一つ勘違いをしちゃったんだ」
「勘……違い?」
「そう。勘違い。さっきの質問ね、一つも答えられないでしょう。優しいから、澤田さんには答えられない」
「水城さん……」
「それは前提が間違っていたからなんだ。
 自分で言っても、もう澤田さんはそれを自分への言い訳にしか取らないだろうから、――――私が言うよ?」
 真っ直ぐに、意思を込めて姫香を見つめる。
 姫香は違う、と思った。これまでの鈴菜でも、今朝の鈴菜でもない。
 これが、彼女の本質。
「私は……鈴菜はね、いじめられてなんていなかったんだよ」
936 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [♯キラケジ]:2008/05/28(水) 23:44:10.38 ID:OE3ACnk0
投下終了。
話進まないな〜。
937 :♯キラケジ :2008/05/28(水) 23:45:45.41 ID:OE3ACnk0
って、やってもーた!
これじゃあきじょうさんとか笑えないorz
938 : ◆c0NQxleFhE :2008/05/28(水) 23:46:31.20 ID:OE3ACnk0
恥の上塗り。
もう俺駄目かも知れんね。
939 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/05/28(水) 23:50:34.02 ID:luR4RcSO
乙!リアルタイムで読めて嬉しかった
940 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/05/28(水) 23:52:23.76 ID:luR4RcSO
ドンマイwwww
941 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/29(木) 00:06:57.82 ID:9tcHuaMo
クソワロタwwwwwwwwwwwwwwwwww
942 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/29(木) 13:00:35.45 ID:SPaIYKYo
おk
943 :(・・) :2008/05/30(金) 01:16:36.21 ID:e77i2CY0
過疎過疎。投下。
944 :(・・) :2008/05/30(金) 01:19:40.82 ID:e77i2CY0
「まあ、入れよ」

「ああ」

俺は由雄の招きで部屋に入る。
昨日あれだけ散らかっていた部屋は俺と由雄の二人で片付けたので
すっかり整理されているのだが、どうやらあの後由雄はさらに色々手を入れたらしい。
すっかり部屋は模様替えされていて由雄共々雰囲気が随分変わっている。

「あれから部屋をちょっといじってさ。多少は変わっただろ?」

由雄はウーロン茶のペットボトルとコップを2つ テーブルに置くと
ウーロン茶をコップに注ぐ。

「ああ、変わったといえば変わったよな。」
お前程じゃ無いけどな…と思いつつ、俺は由雄からお茶の入ったコップを
受け取る。

「でも、一体どうしたんだ? ここまで模様替えするのも大変だったろ?」

「ま、何だろうか。 心境の変化って奴かな。 こないだまでの自分と今の自分を
区別するって感じかな。今の俺に前の部屋の雰囲気は合わないというか、…ね。」
さばさばした表情で俺の問いに答える由雄。

何か思うところがあったのか由雄の立場に無い俺には皆目見当が付かなかったが、
由雄は昔から形から入る人間だったので今回の模様替えは現状の自分を受け入れる為の
一連の儀式みたいなものなのかも知れない。

確かに部屋の状況を今と昔と比較してみると通常使用しているものは当然同じもので
あるのだが、昨日までの整理整頓されて綺麗にしているが何処と無く殺風景な状態の部屋に
対し、たぶんタンスの奥にでも入りっ放しだったのかも知れないカラフルな彩りの
シーツ類や、放置気味であった観葉植物を使って部屋の要所要所をコーディネートして
どこか女性的な雰囲気を醸し出している今の部屋の状況とでは随分な変化を感じる。
由雄の言う通りここに住んでいる人間の姿に合わせたといったところか。
945 :(・・) :2008/05/30(金) 01:23:14.12 ID:e77i2CY0
「…で、このあとどうするって?」
由雄は俺とテーブルの向かい合わせで座り込むとお茶を口にする。

「まずは由雄はどうしたいのかが重要だよな。
まずそれからじゃないと何も出来ない。」

うーん、と由雄は考え込み
「そうだな、元の男に戻りたいというのが正直なところだよな。」

「…そうか、そうだよな」

「ん? どうした浩輔? 何か急に元気が無くなったけど。」

「…いや、別に。」
俺にも良く分からないが、由雄の「戻りたい」という言葉に少々気持ちが萎える。
元に戻ってしまう事を想像すると何か残念な感じがするのは由雄には悪いが言えない。

「でもまぁ、由雄のいう通りだな。男から女になったんだ、その逆の事も
当然あるはずだよだ。そう考えると…。」

「ふんふん」
身を乗り出す由雄。

「とりあえず病院に行って診てもらうのがいいかな?」

思わずテーブルからズレ落ちそうになる由雄。
「…あのなぁ、それで解決するなら初めから病院に行っているって。
でも考えてみろよ、どこの世界に『男が女になりました』って話があるんだよ。
漫画やテレビじゃあるまいし、精神的にキタコレって扱われるのかオチだよ。」

「まあ、誰も信じないか。俺だって由雄と会った時も当然ながら信じることなんて
出来なかったもんな。」
俺は昨日の由雄とのやり取りを思い出していた。

「普通に考えればこんな事有り得ないからな。俺だって浩輔が俺の事信じてくれるかどうか
わかんなかったし、まして他人なんかが俺がこないだまで男だったのが女になったなんて
話、信じれるわけないよなぁ。」
由雄は座り直すとお茶請け用に準備したと思われるクッキーを口にする。

…あれ? 確か由雄は昔から辛党だったよな。甘いものは苦手だったはずなんだが。
だから奴の用意するものは煎餅とか珍味類とか糖分の少ないものばかりだったんだけど。

「でさ、元に戻る為のいい解決策を見つけないとな。」
由雄は俺の視線を気にせず美味しそうにクッキーを食べている。

「でも由雄、原因が分からないとその解決策だって浮ばないよな?
お前自身の身体の状態がどうなのかも知らないとならないし。」
946 :(・・) :2008/05/30(金) 01:24:14.13 ID:e77i2CY0
「う…まぁ、そうなんだよな。外見上はどこからみても女なんだけど
ホントにそうなのかと言われたら自信無いし、そもそもなんでこうなっちゃったのかも
全然分かんないからな…。」
由雄のクッキーを食べる手が止まる。

「…そうなるとやっぱり病院に行く事になるよな。」
 
「…」
由雄の表情が一瞬曇る。

「そんな顔すんなよ。俺だって病院に行ったところで難しいのは承知済みだよ。
で、俺は考えた。俺の知り合いに病院の医師をしている人がいるんだ。
実はもうその人に由雄のことを相談したんだけど、その人の友人で性転換について研究している
人が居るらしい。まずはその人の研究所で診てもらったらどうだ、と言うことになったんだ。」

「研究所か…。まるでモルモットみたいだよな、俺はいい研究対象ってとこか。」
少々自虐的に由雄は呟く。

「何言ってんだよ、研究対象だろうと何だろうと今の自分自身が何なのか分からない以上
手の打ちようがないだろ。考えようによっては自分自身の現状を知るいい機会じゃないか。
俺も付き合ってやるから、まずは行こうぜ。」
俺はそう言うと残りのお茶を飲み干し、立ち上がる。

「え? 今から?」
いきなりの展開に驚きの表情をする由雄。

「当然だろ、善は急げって!」

「…何か違うような気がするけど、まあいいか。」
由雄は苦笑いを浮かべた。
947 :(・・) :2008/05/30(金) 01:30:07.81 ID:e77i2CY0
今回はここまで。久々の続きなので忘れ去られている気がするが、まあいい。
…前回は誤字の修正でヒドイ目にあったけど、今回は大丈夫かな。
948 : ◆c0NQxleFhE :2008/05/30(金) 01:40:32.98 ID:2qXZHZw0
乙!!
戻りたい言いながら順調に女性化しとる由雄萌えww
949 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/30(金) 02:04:09.43 ID:0.ZCiSoo
気がつかずにクッキー貪るワロタ
950 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/30(金) 15:52:49.44 ID:73PWTZgo
おちゅんぽ
951 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/31(土) 01:09:05.72 ID:hrJ4qTwo
死んでたな
952 :(・・) :2008/05/31(土) 01:16:08.78 ID:jw6HROQ0
では、続きをば。投下。
953 :(・・) :2008/05/31(土) 01:17:30.69 ID:jw6HROQ0
俺と由雄はある研究所に行く為、電車の中で揺られている。
流石に通勤通学のピークを過ぎた時間なので乗客の数も疎らで妙にゆったりとした
時間が過ぎている感じがする。

空いている席に適当に座り、窓から見える外の風景を俺達はぼんやりと眺めていた。

「なあ、今日はお前いいのか?」
俺のすぐ隣に座る由雄が俺の顔を覗き込む。

「ん?何が?」
一見何事も無い素振りをしているがその由雄の仕草と表情にドキドキする俺。

由雄は女になってからこれだけ近距離で俺に近づいている事に気付いてないのだろうか。
アパートを出てからずっと緊張した表情を浮べている由雄は
その緊張を和らげるためか先程から俺の側を離れない。これだけ電車のシートが
空いているのだから余裕を持って座ればいいものを、密着するような感じで俺の横に座っている。

そうなってくると俺の鼻に由雄のいい香りがやってくるのは言うまでもない。
元々由雄は綺麗好きなので毎朝のシャワーは習慣であったが、シャンプーの香り以外にも
何とも言えない良い香りがするのは俺の気のせいであろうか。

勿論伝わってくるのは香りばかりでは無い。
由雄からのほんのり暖かい体温とか柔らかな身体の感触(といっても腕だけだが)とか
今まで体験したことの無い女性独特の雰囲気そのものが俺に伝わってきて
俺は俺である意味至福の時を過ごしていたのは言うまでも無い。

「確か、今の時間だと丁度必修の講義の時間だよな。受けなくていいのか?」

「あー、それね。まあ、いいんじゃね? 俺は後からノート借りればいいし、
出席も代返頼んでるしな。」
俺は今朝から由雄の事で予定を変更したり、事前に色々と手を打っていたので
特に事も無げに答える。

「おいおい、いいのかよ、それで…」

「今の俺にとって最優先事項はお前なの。まずはお前の問題を解決しないと
お前もそうだけど俺が安心できないからな。」
困惑の表情を浮かべる由雄に対し、俺は全然平気な振りをして安心させようとする。

「そう…浩輔、ありがと…」
一瞬、複雑な表情をしたがすぐに笑みを浮かべる由雄。
心なしか由雄の緊張がほぐれてきたような気がする。
954 :(・・) :2008/05/31(土) 01:22:35.78 ID:jw6HROQ0
「…」 「…」

「〜間も無く○○、○○に到着します 」

その後 俺と由雄は特に会話することなくぼんやりと電車に揺られていると
俺達の下車する駅名を告げる電車のアナウンスが流れる。

「お、着くぞ」

「…うん」

俺の呼び掛けに由雄の身体がピクンと反応する。
再び由雄の表情に緊張の色が走る。

「大丈夫だから、安心しろ。」

「…うん」
俺の呼びかけに頷く由雄。これから由雄に起こる事を考えてみると
緊張するなというのも無理な話ではあるのだが、俺は俺で由雄の気持ちを和らげてやれればと
気にかけていたりする。

程無く俺達は電車から降りた。

「プッ、クス、クスッ…」
改札に向かう途中、何かを思い出したかのように由雄は笑い出す。

「? どうしたんだ?」
怪訝な表情を浮かべる俺。

「…クス、悪ぃ、急に笑っちゃってサ。でも可笑しくって、ホント。
正直、…浩輔がこんなに頼もしく感じたのは初めてだよ。普段はだらしなくて馬鹿で変態で
見た目もキモイのにな、って思ったら…何だか笑っちゃった。」
さっきの緊張の表情から一転、由雄は楽しそうに笑っている。

「…キモ」
俺は俺なりに由雄の為にと考えていたのだが、そんな風に思われていたのかと思うと
正直、ダメージを受ける。
奴が男の時であればそんなに気にならないセリフではあるのだが、
こんな可愛い女の子の姿で言われると受けるダメージは随分変わってくるものだ。

「アハハ、嘘だって!」
予想以上に落ち込んだ俺を見て何を思ったのか由雄は俺の手を取り、改札へと駆け出す。

「…浩輔、…(ボソボソ)…だから。」

「え、え?」
何が起こったのか、由雄が何を言ったのか理解できない俺。

由雄の顔を見ようとするが、俺の前にいて顔を見せようとしないのでその表情が読めない。
でも何だか照れくさそうにしている、そんな風に俺は思った。
955 :(・・) :2008/05/31(土) 01:26:11.23 ID:jw6HROQ0
支援投下、本日分終了。
スレが全然盛り上がってこない。
あと、今更だがまとめ人乙。
956 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/31(土) 01:28:38.96 ID:hrJ4qTwo
どうみても由雄(♀)は俺の嫁
957 : ◆c0NQxleFhE :2008/05/31(土) 21:28:19.30 ID:n8H18eI0
>>955
乙!!
>>956
まあ待て俺の(ry

そういや次スレどうしようかね? ニュー速に戻すか?
自分ocn規制にしょっちゅう巻き込まれるんで保守とか出来ないが。

958 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/31(土) 22:02:46.32 ID:tiS8Lt2o
いったんVIPで立ててからパー速に戻ってくるとか。住人増やしたいしねぇ。
959 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/01(日) 23:34:59.99 ID:IeST/rk0
そして過疎っと。確かに住人増やしたいww
投下無いと一週間でも止まってそうだもんな。
960 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/02(月) 01:28:58.31 ID:K5a8jIYo
maso
961 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/02(月) 02:23:24.72 ID:0o8wV1A0
すげぇぇ まだ続いていたのね
懐かしさがこみ上げてきたよ
支援あげ
962 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/06/02(月) 09:15:06.23 ID:SA3CQ8Uo
>>961みたいな奴がまだいると思うからVIPに宣伝スレ建てたいな・・・
963 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/02(月) 09:33:36.90 ID:RUU8Ow2o
やべぇ、お薬はぷにんぐの続きが思い浮かばねぇ
964 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/06/02(月) 15:22:15.34 ID:Wg3MyFIo
>>957
新鯖になったからocn規制ないよ!
でもどうせその内されるよ!
965 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/03(火) 01:00:44.24 ID:26Tnj3Io
ぐろまんこ
966 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/03(火) 08:31:57.07 ID:Z9cPrfM0
今VIPに立てるんならyutoriオススメ
967 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/03(火) 13:25:20.47 ID:PU4fIiwo
新スレのわだい
968 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/06/04(水) 17:08:58.75 ID:gWnpdIQo
「別に新ジャンルじゃない「ひょんなことから女の子」@パー速 Part2」としてとりあえずこっちに次スレ建てて、
それとは別にVIPに宣伝用スレを建てるのはどうだろう
969 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/04(水) 21:33:53.88 ID:Q5w.3zw0
その宣伝用ってのがよく分からんのだが
まさかこっちに誘導するだけじゃないだろうな
970 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/04(水) 22:33:22.62 ID:3cLrDKo0
そりゃ何本か投下せにゃならんだろーね。
誰か書けるか?
あと宣伝っつーより生存報告の方が正しい気がする。
971 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/06/04(水) 22:35:37.88 ID:XoVLUvE0
VIPかあ…荒らしもかなり来るんだろうなあ。
職人さんやスレ住人の増加(新規開拓)が目的なら別にVIPじゃなくてもいいんじゃないか?
まあこのスレ自体VIP産みたいだし何とも言えんけど。
972 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/06(金) 15:31:42.01 ID:iykPUIAO
うわ、1日止まってたのか。
なんつー過疎。
みんな新スレ立つまで投下を自重してると思いたい……。
973 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/06/06(金) 16:59:15.35 ID:yF30DVgo
最近の速さが異常だっただけさ。
974 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/06/06(金) 19:58:16.67 ID:N8GyU3.0
よく考えたら避難所あるんだから次スレの話なんてそこですればいいんじゃね
975 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/07(土) 11:55:37.31 ID:eUvZ9Koo
つづき
976 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/09(月) 11:15:01.24 ID:4nccy1Yo
おわったな
977 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/10(火) 13:00:43.52 ID:vtaj2wA0
次スレ「別に新ジャンルじゃない「ひょんなことから女の子」@パー速 Part2」を
ここで立ててOKでいいのかな?
たぶんこのままだと誰も投下してくれないような気がする。
978 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/06/10(火) 16:34:36.54 ID:nj9WAOUo
おk
979 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/10(火) 18:22:20.91 ID:vtaj2wA0
次スレ 別に新ジャンルじゃない「ひょんなことから女の子 Part2 たてますた。

パート2 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1213089411/

おながいしまつ。
980 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/06/11(水) 13:45:08.17 ID:lhVA.IEo
本日6月11日、VIPの投票が始まった!おまいらの出番だ!
@ここで投票コード取る! http://zenita.binboserver.com/ ※PCは10分待ち、携帯は即時発行
A投票所スレに行く!http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/vote/1213121448/
Bコードを上書きして、この3行で投票してくれ!
[[2ch**-********-**]]
<<ニュー速VIP>>
FROM VIP
わからなかったらココに来てくれ!http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1213111384/
本スレhttp://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1213144895/
981 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/13(金) 15:31:22.15 ID:RRarwlUo
いきなり減速しすぎだろ
なにやってんの
982 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/06/13(金) 16:20:32.78 ID:QFnbub.o
>>981
>>979
983 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/19(木) 13:44:36.61 ID:eN2b69Q0
パート2じゃないだろ
984 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/06/19(木) 19:09:25.77 ID:sZsK68Io
パー速ではパート2。
985 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/06/20(金) 03:00:25.14 ID:PqBF.XIo
まだ16も残ってたのか。こっちに書いたらよかったな
986 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/20(金) 11:38:48.30 ID:m55c6QQ0
うめ
987 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/21(土) 02:15:33.87 ID:lsYA5ao0
988 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/06/21(土) 02:17:49.08 ID:dd./5IMo
UME
989 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/21(土) 13:04:12.36 ID:dd./5IMo
ume
990 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/21(土) 14:21:28.18 ID:dd./5IMo
10
991 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/21(土) 14:21:37.70 ID:dd./5IMo
9
992 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/21(土) 14:21:49.88 ID:dd./5IMo
8
993 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/21(土) 14:22:00.68 ID:dd./5IMo
7
994 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/21(土) 14:22:09.50 ID:dd./5IMo
6
995 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/21(土) 14:22:26.30 ID:dd./5IMo
5
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/21(土) 14:22:38.46 ID:dd./5IMo
4
997 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/21(土) 14:22:47.77 ID:dd./5IMo
3
998 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/21(土) 14:22:56.96 ID:dd./5IMo
2
999 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/21(土) 14:23:05.20 ID:dd./5IMo
1
1000 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/21(土) 14:23:39.63 ID:dd./5IMo
0

別に新ジャンルじゃない「ひょんなことから女の子」Part2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1213089411/
1001 :1001 :Over 1000 Thread

 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
  | |  (・)。(・);    このスレッドは1000を超えました。|
  | |@_,.--、_,>    このレスを見たら10秒以内に次スレを建てないと死にます。
  ヽヽ___ノ    次スレを10秒以内に建てても死にます。

パー速@VIPService
http://ex14.vip2ch.com/part4vip/

1000超えたのでHTML化の依頼をするでござるの巻
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1195554932/

1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
妹「ねぇお兄ちゃん?」 @ 2008/06/21(土) 14:04:30.21
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4vip/1214024670/

びんちょもるめらん 5時間目 @ 2008/06/21(土) 13:28:32.82 ID:dzPBh5Io
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1214022512/

やったー!365連休だよー! @ 2008/06/21(土) 13:24:24.09
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/vip4classic/1214022264/

名古屋周辺で暇な腐女子 @ 2008/06/21(土) 12:28:52.56 ID:59u3KyU0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1214018932/

【東方(笑)】居場所がない東方アンチが集うスレ【神主(笑)】 @ 2008/06/21(土) 11:37:52.58 ID:tiREpEUo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1214015872/


Powered By VIPService http://vip2ch.com/

555.29 KB Speed:2.3   [ CD KISS [Limited Edition] ¥ 3,059 (税込) Amazonで発売中!] 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50 専用ブラウザに切替 検索 新着レスを表示 荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2008/1/14 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.3.0 2007/2/8 (by fla@Thanks!)