ヨヨギ公園のティターニア寝取り 一  ヨヨギ公園の妖精達のリーダーであるオベロンが、渋面を作って僕を見ている。  気持ちはわかる。  僕達はつい先程サカハギを倒したばかりだ。立場的には「妖精達の恩人」となる。  しかし、邪魔をする鬱陶しいピクシー達を衝撃魔法で撃墜しながら前進した僕達は、  同時に、「妖精の虐殺者」でもある。妖精王としては複雑だろう。  顔を顰めつつ、オベロンが尊大に言った。 「まあいいでしょう。我々に非がなかったわけでもありませんし。  貴方達の活躍に免じて今回のことは水に流して差し上げましょう」  僕は笑顔で答えた。 「ふざけるな」  拳を握り、オベロンの華奢な腹部に打ち込む。  僕は前々からこの妖精王の態度が気に食わなかった。  既に何十回も「悪魔の千年王国」を打ち立ててきたが、その旅路一回ごとに、この妖精王夫妻への怒りは高まってきた。  なので、今日は趣味と実益を兼ねた意趣返しをしようと思う。  蝶を思わせる華奢な妖精王は、仮面のように整った顔を苦痛に歪め、無様に地面に這いつくばって悶絶した。  周囲の妖精達が悲鳴が上げて騒ぎ出すが、僕の頼れる仲魔達が一瞬で制圧する。所詮は妖精だ。虫けらと変わらない。  マントラ裁判の時、衆人環視の中で失神するまで犯してやった鬼女ヤクシニー。  サティの頃からじっくりと調教して専用性奴隷に仕立て上げた人妻地母神パールヴァティ。  強い男が好きだと言うから、召喚したその日に下着めいた衣装をずり下ろして、力尽くで屈服させた女神スカアハ。  主に僕の下半身の世話を焼くのを任務とする可愛い仲魔達だ。  仲魔達が、他の妖精達の排除と、妖精王夫妻の拘束を終えた。  僕はそれを見届け、封魔の鈴を鳴らした。これで次の静天まで妖精達は寄ってこない。  高慢で秀麗。まさに「女王様」といった風情の顔立ちのティターニアが、ヤクシニーの力強い腕に捕まえられたまま僕を睨む。 「貴方達、こんなことをして許されると思っていますの!?」  前々から思っていたが、妖精の女王と言う割に、随分と若々しい。  女子大生と言っても通用するし、その一方で、二十代半ばと言われても納得できる。  とは言え、いずれにせよ、祐子先生よりも年上であるようには見えない。 「許される? 誰に? 僕が誰かに許して貰う必要があるの?」 「ふざけないで! 私は真面目な話をしているのですよ!」  ティターニアが険しい顔で鋭い叱責の声を飛ばす。 「うーん……僕は、同じ口でするならお話よりこっちがいいなぁ」 「こっちって……貴方、一体何を?」  ティターニアに近づき、ヤクシニーに目配せした。  ヤクシニーが「はいよ」と頷き、ティターニアを僕に向かって突き飛ばす。 「きゃあっ!」と悲鳴を上げ、ティターニアがよろめきつつ飛び込んでくる。  それを抱き留め、腕と脚を使ってしっかりと拘束する。  一見華奢だが、大きく開いた胸元から覗く谷間が示す通り、つくべき所にしっかりと肉がついている。  着痩せしているだけなのだ。 「や、やめてくれ! 私はどうなってもいいから、妻に手を出さないでくれ!」  スカアハの不思議な力――僕は冗談混じりに「気功」と呼んでいる――に縛られたオベロンが悲痛な声を上げる。  だがその悲鳴は望むところだ。そうでなくてはつまらない。  ティターニアの顎関節を指で押さえて口を閉じられないようにし、 「こっちっていうのはね、これのことだよ」と笑いかけ、  だらしなく半開きとなった口に、アバドンのような勢いでむしゃぶりつく。  ティターニアが声にならない悲鳴を上げて暴れるが、華奢な妖精女王が僕を振り解けるはずもない。  ティターニアの口の味は、僕の素晴らしき仲魔達に優るとも劣らない。  しっとりと湿った艶やかな唇は、ひんやりとしていて弾力があり、  こちらから唇を押しつけてやると、グミのような抵抗を示す。  歯並びは整っており、舌でなぞると何の抵抗もなく表面を滑る。  歯自体も清潔で、歯垢はおろか食べカス一つついていない。  歯茎も歯槽膿漏とは無縁で、しっかりとした弾力を保っている。  怯えたように縮こまり、逃げようと暴れる舌はねっとりと温かく、こちらの舌先に心地良い感触を伝えてくる。  口の中に湧き出す唾液は、水のように清らかで、果汁のように甘い。  僕は夢中になってティターニアの口を貪った。  獣のように鼻息荒く、果物のようなティターニアの口を味わい続ける。  下品な音を立てて唾液を啜り上げ、舌を絡め取り、口内を舐め回す。  ある程度堪能したら、今度はお返しとばかりに、こちらの唾液を流し込む。  ティターニアは拒むように顔を背けようとするが、僕を振り解くことなどできるはずもなく、  また口を塞がれているので吐き出すこともできず、互いの唾液が入り混じった液体を何度か往復させた挙句、  往復によって量を増したそれを喉を鳴らして飲み下す。  人妻妖精との淫らなキスは、人間の時間間隔で言うところの三十分ほども続いた。  僕が初めて口を離した頃には、ティターニアはすっかり蕩けていた。既に足に力が入らないようで体は僕に預け切りで、  仄かに汗ばんだ体からは発情した雌の匂いと温もりが、緑の清楚なワンピースドレス越しに伝わってきた。  興奮のあまり、既にパンツの中で硬くなっていた肉棒の先から、透明な我慢汁が溢れ出し、パンツを汚す。早く脱ぎたい。  ティターニアの口の周りについている唾液を丁寧に舐め取ってから、ちらりと哀れなオベロンの顔を見る。  オベロンの整った顔は怒りで醜く歪んでいた。まるでオニから愛嬌を取り去ったような表情だった。  僕はにっと笑った。 「奥さん、キス上手だね」 「貴様……貴様ァァァ!」  オベロンが喚きながら暴れ出すが、抵抗は空しかった。スカアハの「気功」を妖精如きが跳ね返せるはずがないのだ。  僕は余裕に満ちた一瞥を送り、ティターニアに視線を戻した。  華奢な妖精女王の意外に豊満な体をもう一度強く抱き竦め、倒れてしまわないように気をつけながら手を離す。 「あ……え?」  余韻に蕩けた顔つきのティターニアは戸惑っている様子だ。  僕は穏やかに告げた。 「それじゃ奥さん、服脱いで」 「そ、そんな……! 無理に決まっていますわ!」  ティターニアが怯えたように後ずさった。自分で自分を抱き締めるようにして縮こまっている。 「あ、無理なの? そうか。じゃあ、旦那さんに痛い思いして貰うことになっちゃうかな」 「ニア! 私のことはいいから!」 「旦那さんはちょっと黙っててくれるかな」  僕が言うと、すかさずスカアハが「気功」で黙らせる。 「ありがとう、スカアハ。後でゆっくり可愛がってあげるよ」  スカアハの真っ白な顔に朱が差した。目を逸らしながら、微かに、本当に微かに首を動かし、「うむ」と頷く。可愛い奴だ。  視線をティターニアに戻す。 「で、どうする、奥さん。僕はワンピースの下見たいんだけど、奥さんは嫌なんだよね?   でもそうすると、旦那さんがつらい目に遭っちゃうんだよ。それでもいいって言うなら、僕も無理にとは……」 「わ、わかりましたわ! 脱ぎます、脱ぎますから、主人には手を出さないで!」 「そう。嬉しいよ。ありがとう。それじゃあ、早速脱いでね」 「……お願いですから、せめて向こうを向いていていただけないかしら……」 「駄目だよ。脱ぐところも見たいんだ。さあ、脱いで」  ティターニアは迷う素振りを見せたが、僕がわざとらしくオベロンに視線を走らせると、  涙目になりながらワンピースに手をかけた。  のろのろとワンピースを脱ぎ捨てた妖精女王は、羞恥に震えながら下着姿を僕に晒した。  僕は生唾を飲み込んだ。 「隠さないで」  手で下着を隠そうとするのを制し、じっくりと眺める。  ティターニアの下着は上下揃いで、色はその火照った肌と同じく、清楚な純白だ。  しかし、可愛らしいフリルで飾られた下着のデザインは酷く淫らだった。  豊かな胸を覆い隠すブラジャーは、隠すべき大事な部分を除き、半ば透けている。  しかもその隠す部分にしても、貞節を守るために覆っているのではなく、  むしろ、見る者の意識をそこに集中させ、興奮させるために覆っているかのようだ。  柔らかそうな太腿の付け根、女の最も神聖で卑猥な部分を隠すパンツも、ブラジャーと同様で、  中央部分以外はほぼ透けていると言ってよく、また布地の面積自体も狭い。  ティターニアは恥ずかしげに小さく身を捩っている。 「奥さん、普段からそんなにいやらしい下着つけてるの?」 「し、失礼なことを仰らないで! 私はそんな破廉恥な女ではありませんわ!」 「そうか。今日は特別ってことか。あ、旦那さんと盛り上がる予定だった?」 「……知りません!」  ティターニアは顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。  その拍子に胸が揺れ、僕は「おお」と声を漏らした。 「じゃあ次はその場でゆっくり回ってくれるかな。お尻や背中も見たいんだ」  唇を噛みながら、ティターニアがゆっくりと指示に従う。  長い金髪が風で舞い、少女のように白く滑らかな背中が露わになり、  ほとんどTに近い、尻の大半を丸出しにしたいやらしいパンツがそれに続く。  一通り眺め回したところで、目を血走らせてこちらを睨むオベロンをからかう。 「奥さんにこんないやらしい下着つけさせるなんて、妖精王なんて立派な肩書きがあるくせに、スケベ親父みたいだね」  例によってオベロンの返答は声にならない憎悪の言葉だった。  僕はティターニアに次の指示を出した。 「それじゃあ、次は下着を脱いで貰おうかな。奥さんの体を見せてよ」  ティターニアは悲痛な声で訴えてきた。 「そ、それは駄目ですわ! お願いです、それは許してください!」 「まあ、どうしても駄目なら……」とオベロンを見る。 「ああ、そんな……でも……」  ティターニアは泣きそうな顔で、オベロンと僕を交互に見た。  夫の身も大事ならば自分の貞操も大事なのだ。これだから貞淑な人妻はいい。 「ああ、やっぱり一人だけ裸になるのは恥ずかしいよね。僕も脱ぐよ。これなら恥ずかしくないよね」  僕はついにズボンとパンツを下ろした。  窮屈な拘束から解き放たれ、限界近くにまで怒張した肉棒が勢い良く立ち上がり、音を立てて下腹にぶつかった。 「ほら、奥さん、僕も脱いだよ。これで恥ずかしくないよね」  最終兵器である肉棒をティターニアに見せつける。  幼児の腕のような太さは肉穴を我が物顔で拡張し、蛇のような長さは一回の動きで大きくしつこく肉を擦り、  茸の傘のように広がる特大の雁首は引き抜く時に襞をねっとりと擦り上げ、  ミミズのように浮き出た何筋もの太く堅い血管は抽迭の際に独特の刺激を与える。  慣れるまでが苦しいが、慣れたらそれなしではいられなくなる、女殺しの魔剣。  これに興味を持たない女はいないし、これを味わって堕ちない女もいない。  史上初の子持ち人妻にして離婚経験者である夜魔リリスは、  かつて、うっとりとした様子で僕の股間に顔を埋めながら、僕の肉棒をそう褒め称えた。  ならば同じく女であり、しかも性の味を知っている成熟した人妻であるティターニアに、これが通じないはずがない。  案の定ティターニアは、下着姿でいることへの羞恥心や  僕の要求への拒絶などを忘れ去ったかのように、僕の股間を茫然と注視している。 「そんなにじっと見られたら恥ずかしいよ」 「えっ……い、いえ、違いますのよ! み、見てなんか……」 「じゃあ僕の勘違いかな。まあそれはそれとして……ほら、僕も恥ずかしいのを我慢して脱いだんだから、奥さんも脱いで脱いで」 「それは……」  顔を背けるティターニアは、時折僕の肉棒を盗み見しつつも、まだ踏ん切りがつかないようだった。  僕は肉棒を見せつけつつ、パールヴァティを呼んだ。 「ちょっとこれを預かっててくれる?」 「わかりましたわ、人修羅様」  良妻賢母を地でいくパールヴァティは僕の服を受け取った。  パールヴァティはそのまま僕のパンツに顔を埋め、恍惚とした溜息を漏らした。 「ああ、人修羅様の匂い……男性の、男らしい匂いがしますわぁ……」 「ちょ、ちょっと……貴方、シヴァ様の奥様のパールヴァティ様でしょう?  そんな……夫以外の男性の下着の匂いを嗅ぐなんて……」  ティターニアは同じ女が蕩けた表情を示したことに動揺しているようだった。  今がチャンスだ。  パールヴァティを抱き寄せ、ティターニアの呟きに横から答える。 「パールヴァティはもうシヴァのものじゃないよ。  僕の方が旦那さんよりいいんだってさ。ねえ、パールヴァティ、そうだよね?」 「はい、人修羅様。パールヴァティは人修羅様のものです」  パールヴァティが愛おしそうに僕の胸に頬を寄せ、すべすべした手で肉棒を撫でさする。 「この素敵なおチンポ……もう離れられませんわ」  ティターニアは慈愛に満ちた笑みを浮かべるパールヴァティと、彼女がさする僕の股間に、交互に視線を注いでいる。  そろそろ頃合だ。僕はパールヴァティを離し、殊更に股間を誇示するようにしながらティターニアに語りかける。 「さっきのキス、良かったでしょ? 奥さん、途中からすっかり夢中になって、足に力が入らなくなっちゃったよね」 「あ、あれは……あれは、息が苦しくて、眩暈がしただけですわ!」 「ふうん、そうなの? それならそれでいいんだけど、奥さんはさっきのキスなんかよりもっと凄いことに興味ないかな?  僕は奥さんと一緒に気持ち良くなりたいんだけどなぁ」 「も、もっと凄いこと……」とオウム返しに呟いて怒張する肉棒に視線を走らせるも、  慌てて首を横に振り、ティターニアは泣きそうな声で言った。 「駄目、駄目ですわ! そんな、そんなこと……」 「でも、奥さんも気持ち良くなりたいんでしょ? パンツが湿ってるみたいだけど……」  最初に服を脱いだ時から、僕はそのことに気づいていた。  ティターニアのパンツの中央部分は、何かの液体で湿って色が濃くなっている。 「これは……これはその……汗……そう、汗ですわ!」 「へえ、見かけによらず汗っかきなのかな? まあいいや。本当かどうかは一緒に確かめればいいよね。  ほら、奥さん、嘘か本当か確かめるためにも脱いでよ」 「い、嫌ですわ……主人以外の男性となんて……」  口では拒否しつつも大分ぐらついているようだ。ティターニアは太腿をもじもじと擦り合わせている。 「そうだよね、奥さん、旦那さん以外とじゃ浮気になっちゃうよね。  でも、今はそんなこと言ってる場合かな。  僕の言う通りにしないと旦那さんが酷い目に遭っちゃうよ。旦那さんが大事なら……ね」 「う、うう……わ、わかりましたわ。下着も脱ぎます! 脱ぎますから、主人に酷いことしないでくださいね……」  堕ちることを望んでいる者は、口実を与えれば簡単に堕ちる。それは人も悪魔も変わらない。  既に諦めているのか、或いは覚悟を決めたのか。  ティターニアは「向こうを向いていろ」などとは言わず、羞恥に顔を染めながら、僕の目の前で下着に手をかけた。  最初に胸が露わになった。水をよく弾きそうな艶のある肌。  それに包まれた柔らかそうなお椀形の肉。  先端部分を彩る色素の薄い大きめの乳輪と、先端部分を飾る吸い甲斐のありそうな大きめの乳首。  重力に逆らってやや上を向くそれは、見ただけで男の欲望を掻き立てる邪悪な乳房だと言える。  パンツに手をかけたところでティターニアの動きが停まった。躊躇いがちにこちらを見てくる。 「奥さん、下も見せてよ」 「こ、こんなこと、駄目なのに……」  そう言いつつも、おずおずと際どいパンツに指をかけ、ゆっくりと下ろしていく。  布が股間から離れる時、粘液質な糸が見えた気がした。  脱いだ下着を纏めて服の横に置き、ティターニアが蹲る。 「それじゃ見えないよ。ちゃんと見せてくれないと」  ティターニアは渋々といった風に立ち上がったが、往生際悪く、手で胸と股間を隠し、脚を堅く閉ざしていた。 「ほら、隠さないでよく見せてよ」  オベロンに視線を向けながら言うと、  ティターニアは、いかにも本意ではないと言いたげな態度で手を下ろし、足を自然な形に直した。  恥ずかしげに顔を背けるティターニアの頭の先から足の先までを舐めるように眺める。  実に良い体をしている。流石は妖精の女王というだけのことはある。  顔が整っていることは言うまでもないとして、全身の肌は少女のように綺麗だし、  胸も祐子先生の少し垂れ気味のそれと違って上向いている。  肩から腰にかけても滑らかなくびれの曲線を描いており、腿や尻辺りには撫で回したくなるような形の良い肉がついている。  そして本丸である脚の付け根には、産毛と大差のない柔らかそうな慎ましい毛と、  あまり使い込まれていないように見える綺麗な裂け目が見える。  もう我慢できない。ティターニアに触れたくて堪らない。 「奥さん、こっちに来て」  僕は軽く手を広げ、ティターニアを手招きした。ティターニアは逡巡する素振りを見せたが、  しつこく手招きを続けると、心の中で折り合いがついたのか、ゆっくりと寄ってきた。 「あっ…!」  僕は獲物を捕らえるカマキリのようにティターニアを抱き締めた。  最初にキスをした時のようにきつく拘束するようなことはせず、  しかしあの時よりも体を強く密着させ、発情した人妻の体を楽しむ。  温かく火照った肌は滑らかで心地良く、その下の肉も柔らかい。  体の間で柔らかく潰れる胸の感触は気持ち良く、触れてもいないのに膨らんだ乳首の弾力が興奮を誘う。 「奥さんの肌気持ち良いよ。すべすべしてて、柔らかくて温かくて……」  そう言って背中に回した手で体を撫で回すと共に、強く体を――  特に怒張して先走りを垂らす肉棒を――ティターニアに押しつける。  欲情して敏感になった先端が柔らかくて滑らかな腹部の上を滑る。  ティターニアが小さく悲鳴を上げて身を引こうとするのを押さえ、耳に熱い息を吹きかけながら囁く。 「奥さん、僕の、奥さんの体見てこんなになってるんだよ。わかる?」 「し、知りませんわ……そんなの知りません!」 「じゃあそういうことにしておくよ。それより、またキスしようよ」  嫌々をするように首を振るティターニアを押さえ、再び妖精女王の美味しい唇を奪う。  今度は顎の関節を押さえて口を開けさせる必要はなかった。  手を離しても口を閉じようとはせず、口内を舐め回してやると、舌で追いかけてくる。  もっとも、ティターニアの舌が僕の口に入り込んでくる気配はないが。  このティターニアの微妙な反応は、彼女の手が僕の腿に軽く触れている事実と併せて、  彼女の心理状態を象徴しているように思える。つまり、消極的に僕を受け容れているのだ。  口を味わっていると、剥き出しになった腿に粘り気のある生温かい液体を感じた。ティターニアの女陰から滴り落ちる愛液だ。  唇と唇を啄み合い、舌先と舌先を絡め合い、唾液を啜り合い、肌を押しつけ合う。そんなことをじっくりと三十分ほども続けた。  僕が唇を離すと、互いの口に唾液の橋が架かり、すぐに千切れて肩の辺りに落ちた。  ティターニアの体はすっかり快楽に蕩けており、既に体重の大部分を僕に預けていた。  体を支えたまま、啄むようなキスと官能を刺激する緩やかな愛撫を繰り返しつつ、  パールヴァティが用意しておいてくれた軟らかい布の上にティターニアを寝かせる。  ティターニアがそのことに気づいて何かを言おうとするよりも先に覆い被さり、三度目のキス攻勢を始める。  ただし、今度は今までほど長くはやらない。本格的に責める前の肩慣らしだ。  十分ほど舌を舐め合った後、僕は脱力したティターニアの体の上を這うようにして少しずつ体を動かし、  首筋、鎖骨、胸元、と順番に口づけと愛撫を加えていった。  唇と舌先が胸の膨らみに触れた途端、ティターニアの体が拒絶するように小さく震えたが、  構わずに愛撫を続けると、やがてそれも治まり、素直に指と舌と唇を受け容れ始めた。  いきなり乳首や乳輪に手を出すような真似はしない。  まずは膨らみの外側を撫で、舐め、吸う。切なげな吐息も無視し、周辺を徹底的に責める。  続いて、ティターニアの無言の期待を感じ取りながら胸の中心に向かって舌を滑らせ、  舌先が乳輪に差し掛かったかどうかというところで方向転換し、また外側へと向かう。  そんなことを繰り返して散々焦らした挙句、まだ触れてもいないのに興奮と欲情で膨らんだ乳首を不意打ちで甘噛みしてやる。  効果は覿面だった。  咄嗟に口を押さえたティターニアは、 「ひっ!」と息を呑むような声を上げ、背筋を仰け反らせた。  吸われるためにあるような大きめの乳首を咥え、吸い、舐め、噛み、摘み、捻り、引っ張る。  一つ一つの愛撫をするたびに見ていて征服感が込み上げる押し殺した嬌声が上がった。  胸への愛撫はもう充分なので、僕の唾液に濡れて光る乳首に挨拶代わりにキスをし、再び体をずらして滑らかな腹部に向かう。  沁み一つない肌に口をつけ、唇と舌による愛撫を加える。  それと並行し、指先で脇腹をなぞり、くすぐったさと紙一重の快楽を与えてやる。  舌をナメクジのように動かしてすべすべの肌に唾液の線を描き、しばらくティターニアを悶えさせた後、臍に舌先を押し込む。  ティターニアが驚いたように震え、僕の頭を掴むが、気にせず続けていくと抵抗も止み、僕の為すがままとなった。  ゴマなど一欠片もない清潔な臍を丹念に舐めたところで、次の目標へと移る。  体を更に下にずらしていき、ティターニアの脚と脚の間に割り込む。  脚を持ち上げてM字に開かせようとすると、抵抗があった。 「い、嫌ですわ! こんな格好、恥ずかしい……!」  僕は気にせず手に力を籠めた。  既に力が入っているのか、はたまた力を入れなかったのか、ティターニアのすべすべの太腿は呆気なく持ち上がり、  夫にしか見せてはいけないはずの部分が無防備に曝け出された。  あまり使われていないようにも見える綺麗な裂け目からは、やや白く濁った愛液が流れ出し、  人の生臭いそれとは違う、花のように爽やかで快い香りを放っている。  僕は興奮に喉を鳴らしつつ裂け目を観察した。 「色も形も凄く綺麗だね。人妻とは思えないよ」 「嫌! そんなところ、見ないでください!」 「そんなこと言わないでよ、奥さん。恥ずかしがらなくても大丈夫。とっても綺麗だよ。それに良い匂いがするし……」  そっと開いてみると、より濃密な香りと一緒に、色の濃い愛液が流れ出してきた。 「だ、駄目ぇ! 匂いを嗅いでは嫌ですわ! おやめなさい……!」 「こんなに良い匂いなんだからいいでしょ。こんなに零れて……勿体無いなぁ」 「やぁっ、駄目、駄目ぇ……そんなところ、汚いからぁ……!」  本能的な衝動に駆られて溢れ出る蜜に口を付けると、ティターニアの体が撥ねた。  脚を閉じて僕を締め出そうとしているようだが、むしろ脂の乗った柔らかな太腿で僕の顔を固定し、  より激しい愛撫をねだる結果にしかならない。  太腿に手を回してこじ開け、その滑らかな手触りを堪能しつつ、蜜と熱く発情した花弁の甘い味わいに舌鼓を打つ。  既に諦めたのか、ティターニアは手で顔を覆って啜り泣くような喘ぎを漏らし、  僕の舌の動きに応えるように体を震わせるだけだった。  舌先でそっと口を開き、とろりと流れ出てきた熱い液体を音を立てて啜る。  自然に流れ出てくる分がなくなったら、舌を奥に滑り込ませて催促する。  すると、刺激に応じてまた蜜が湧く。この繰り返しだ。  甘い蜜のおかげで喉が大分潤い、精力もついたような気がする。  礼を兼ねて張り裂けそうなほどに膨らんだ陰核を唇で挟み込み、舌先で激しく摩擦を加える。 「あひっ、ひぃっ、それ、それ駄目ですわぁ!  や、やぁ、やあぁぁっ、駄目、駄目ぇ……! は、激し過ぎますわっ、嫌、嫌ぁぁぁ!」  普段の淑女ぶりが嘘のような声を上げたかと思うと、  ティターニアは背筋を大きく仰け反らせて一際激しく体を震わせ、そのまま糸の切れた人形のように脱力し、静かになった。  快楽の余韻を長持ちさせるために肌への緩やかな愛撫を加えながら、  体を上にずらして覆い被さり、荒い息を吐くティターニアの髪を撫で、頬に口づける。  唇を頬から耳元に滑らせ、ねっとりと熱い息を吹きかけつつ訊く。 「ねえ、もう入れてもいい?」 「え……?」  ティターニアが陶然と訊き返す。  僕は先走りを垂らす肉棒の先端を熱く潤んだ女陰に押し当てた。熱い蜜が先端を濡らし、発情した花弁が吸いついてくる。 「わかってるでしょ。これだよ、これ」 「あっ……」  体を撫で回して情欲を高めてやりながら続ける。 「もう奥さんの中に入りたくて入りたくて仕方ないんだ。わかるでしょ?」 「や、やだ、そんなの、押しつけないください……」 「でも、もう限界なんだ。入れたいんだ。ねえ、奥さん、一緒に気持ち良くなろう」  ティターニアは切なげな顔で口を噤んでいる。もう一押しだ。 「それにほら、旦那さんのこともあるし、ね?」 「ひ、卑怯ですわ……そこまでしたら、もう取り返しが……ああ、でも……」 「……入れていいよね?」  泣きそうな顔で苦悩した後、高慢な妖精王の妃は、無言で、小さく、しかしはっきりと頷いた。 「嬉しいよ、奥さん」  汗ばんだ額と頬にキスして腰を進める。 「あっ、ああ……」  ティターニアが苦悶とも歓喜とも取れる切なげな吐息を漏らし、微かに脚を開いて僕を迎え入れるような動きを見せる。  そこで僕は動きを停めた。怒張した肉棒は、先端を熱い女陰に食い込ませたところで停まった。 「え……? あの……?」  疑問の声を上げるティターニアの顔には、期待を裏切られた失望と凌辱を免れられるかもしれない希望とが浮かんでいた。 「君は人妻だよね。やっぱり、人妻さんが旦那さん以外とセックスするのはいけないことだと思う。要するに浮気だしね」 「なっ!? 私が好き好んでこんなことをしていると仰りたいの!? 貴方が、貴方がやらせているんじゃ――むぐっ」  小うるさいことを捲し立て始めたティターニアの口を唇で塞ぐ。  そのまま口の中を舌で掻き回して妖精女王の唾液を味わい、ティターニアの表情が蕩けてきた頃を見計らい、続ける。 「勿論、これは仕方のない浮気だよね。旦那さんを助けるためなんだから。  でも、やっぱりいけないことはいけないことだよね。だから、ちゃんと旦那さんに謝ってからしようね」  僕の目配せに応じ、スカアハが、絡み合う僕とティターニアの近くにオベロンを連れてきた。 「そ、そんな酷いこと、言えません! 主人に、あ、謝るだなんて……そんな残酷なこと、させないで……」 「ほら、旦那さん来たよ。ちゃんと旦那さんに言って。今から他の男とエッチします、ごめんなさいって」  ティターニアにそう囁いてから、僕は優越感を籠めてオベロンに微笑んだ。  声を封じられたオベロンは、鬼の形相で涙を流している。  何とか拘束を解こうと無駄な足掻きをしながら、表情でティターニアに「やめろ」と訴えかけている。  僕は耳を甘噛みし、肉棒で陰核を擦りつつ、囁く。 「ほら、奥さん、旦那さんに一言断ってくれないと、いつまで経っても入れらないんだ。  だから、旦那さんのためにも、早く旦那さんに謝ろう。僕と一緒にね」  ティターニアは悲痛な表情でオベロンを見た。  オベロンは何事か――何かは明白だが――を訴えかけるように、激しくもがき、暴れた。  僕はティターニアの頬にキスする様子をオベロンに見せつけながら、ティターニアに優しい声で促した。 「ほら、旦那さんに……ね?」 「わ、わかりましたわ……オ、オベロン様……あなた……ごめんなさい  ……私は、私は……ああ、もう駄目、駄目ですわ! これ以上……」  ティターニアは消え入りそうな声で告げ、オベロンから顔を背けた。  僕はティターニアを優しく抱き締め、啄むようにキスをした。 「奥さん、ありがとう。それに、つらいことを言わせてごめんね。  もう充分だから、安心して。じゃあ、奥さんの中に入るよ。いいね?」  ティターニアは無言で頷いた。  この瞬間、ティターニアは貞操を投げ捨てたのだ。 「じゃあ旦那さん、僕が奥さんを満足させてあげるのを見ててね」  僕の言葉にオベロンが激しい怒りと憎しみの声なき声で叫び、  ティターニアが今更ながらに後悔の念が込み上げてきたのか身を硬くしたが、  折角陥落させた妖精女王が翻意するのを待つような真似はしない。 「奥さん、いくよ……」  僕はゆっくりと腰を進め、男を待ち侘びている様子の花弁に肉棒を沈めていった。 「いっ、痛い! 痛いですわ! お、大き、大き過ぎますぅ!」  ティターニアの呻きは快楽ではなく苦痛のそれのようだ。 「うっ、きつ……」  僕もティターニアの穴の狭さに呻きを漏らさずにいられなかった。  ぴっちりと閉じた肉の穴は、異物を締め出そうとするかのように、僕の肉棒を締めつけてきた。  まるで処女のように、きつく、狭く、硬い。  もっとも、処女がどうたらと得意気に語れるほど処女との経験があるわけではないが。僕が知っている処女は千晶くらいだ。 「も、もうやめ……」  泣き言を漏らすティターニアの口をキスで塞いで落ち着かせ、ゆっくりと語りかけた。 「大丈夫だよ。女の人の体はこれが入って気持ち良くなるようになってるんだから。  最初はきついだろうけど、ゆっくり慣らせば良くなるよ」 「で、でも、本当に、痛いんです……」 「大丈夫。さあ、僕にしっかりと掴まって……そうすれば痛みも和らぐから……そう、腕を背中に……脚は腰に絡めて……」  まるで恋人や夫を迎え入れるような形にしがみつかせる。  ティターニアはそこまで積極的になることに抵抗があるようだったが、  執拗な愛撫と優しいキスを繰り返していくと、おずおずと、躊躇いがちに、しかしがっちりと僕に抱きつくに至った。 「そうそう。ほら、前よりも痛くなくなったでしょ?」  ティターニアがそっぽを向きつつも頷く。 「じゃあまた動くよ」  ゆったりとした前後運動を繰り返し、少しずつティターニアの狭い肉道を開拓していく。  たっぷり二十分以上もかけ、僕は痛いほどに張り詰めた肉棒を妖精女王の中に収めた。  体全体を隙間なく重ね合わせ、体温と鼓動を全身で感じながら告げる。 「奥さん、ほら、全部入ったよ」 「はぁ……はぁ……へ……? ほ、本当ですの……?」  苦しげに問い返すティターニアにキスし、頷く。 「うん。入ったよ。凄いよ、奥さんの中。熱くて、ぬるぬるで、きつきつ。入れてるだけでイっちゃいそうだ」 「そ、そういうことを言うのはおよしになって!」 「本当のことなんだからいいじゃない。それよりね、ちょっと訊きたいことがあるんだけど……」 「な、何ですの……?」 「奥さん、もしかして、最近エッチしてない?」 「な、何を急に!?」  ティターニアは羞恥に顔を染めてうろたえている。図星のようだ。 「中が凄くきつかったし、使ってないのかなって」  思えば、サティを初めて抱いた時もそうだった。  体に纏う炎のせいで夫シヴァに触れて貰えなかったという彼女の中も、処女かと思うほどにきつく、狭く、硬かった。 「……そ、そうですわ。主人との、い、営みは、ここ百余年ほど……」 「へえ……旦那さんの気が知れないよ。僕だったら、こんなに綺麗な奥さんをほったらかしになんかしないよ。  毎日……は無理でも、しょっちゅう可愛がるね」 「しょ、しょっちゅう……」 「あ、そうか、ということは、今日のエロい下着は、百年ぶりのセックスのためにわざわざ準備した奴なんだね」 「し、知りませんわ、そんなこと!」 「だとしたら、旦那さんには悪いけど、凄く嬉しいなぁ。  だって、今日の奥さんは、百年分楽しむ気でいたんでしょ? そんな準備万端の奥さんを抱けるんだから、凄くラッキーだよ」 「だから、そんなんじゃありませんわ! そんなんじゃないんです! ……もう、馬鹿なこと言わないで!」  ティターニアは怒ったように言い、恥ずかしげに僕の肩に顔を埋めた。可愛くて堪らない。  この可愛さが夫ではなく僕に向けられている事実が堪らない。 「ごめんごめん。あ、馬鹿なことついでにもう一つ訊いていい?」  髪と背中を撫でながら問いを重ねる。 「……今度は何ですの?」 「うん。奥さんの中に入ったチンポって、これで何本目?」 「チン――何本……貴方、私を馬鹿にしてらっしゃるの!?」  ティターニアの顔が羞恥と怒りに染まった。 「そんなつもりはないよ。ただ、自分が抱いてる女の人のことを全部知りたくて……」 「そんなの……そんなの……主人だけに決まってますわ!」 「凄いね。何百年も、何千年も旦那さん一筋だったんだ」 「そう、そうよ! あの人が他の女悪魔にちょっかいをかけても、何年も何十年も放っておかれても、私は主人一筋で……」 「でも、今は違うよね」 「ううっ……」 「二本目のチンポが入っちゃってるよ。でも、そっか、僕で二人目か」 「ひっ! ま、まだ大きくなるんですの!?」 「あ、ごめんね。僕が二人目だって思ったら、何か興奮しちゃって……」  僕が二人目の男、それも一人目の男の目の前で、その立場を奪い取った。  そう考えるだけで興奮して股間が疼く。大切に守られてきた貞節の味は格別だ。  それが年上の人妻のものとなれば特に。年上の貞淑な人妻の征服は男の夢だ。 「ああ、何だろう。凄く嬉しい。旦那さんしか知らない奥さんを抱けるなんて凄く幸せだなぁ」 「お、お願いですから、主人のことは言わないで……」 「ああ、野暮なこと言っちゃってごめんね。そのお詫びも含めて、今日は二人でたっぷり気持ち良くなろうね。  奥さんも、僕のチンポをよく味わって、一本目と味比べしてみてね」 「だ、だから、主人のことは言わないでって……お願いだから、そんな言い方しないで……」  ティターニアの目には涙の粒が浮かんでいた。少しやり過ぎてしまった。  キスの雨を降らせて謝罪する。 「うん、ごめんね。反省するよ」 「こんな、キスなんかで……むぅ……ごまかされたり……んぅ……」  口先ではそう言いつつも、絡め取るようなキスを続けていくと、ティターニアは満更でもない様子で大人しくなった。  唇を離し、見つめ合いながら告げる。 「そろそろ動くよ」 「あっ、お願い、待って! まだ無理ですわ……じんじんして……あ、あそこが痛いの……」 「大丈夫だよ。最初は慣らすだけだから。僕は奥さんを壊したいんじゃなくて、一緒に気持ち良くなりたいだけなんだ。  だから、僕を信用して、僕に任せて」  キスを交えた説得でなだめ、僕は静かに腰を動かし始めた。 「ほら、これなら痛くないでしょ?」 「あっ、あぁっ、は、はい……痛くないですわぁ……」  最初は体を密着させたまま、スリコギでゴマをするように腰を動かし、ティターニアの中を解きほぐしていく。  三十分ばかりが過ぎた頃には、ティターニアの中はすっかり軟らかくなり、  最初は異物として吐き出そうとしていた僕の肉棒に、ねっとりと愛しげに絡みついてくるようになっていた。  ティターニア自身の態度も大分軟化してきていた。  背中に回された手は僕を愛しげに撫でているし、脚もいやらしく絡みついてきている。  その上、僕の動きに合わせて腰も動いている。  更に、キスを自分から求めるようにもなったし、舌を出せば吸いつき、口を離そうとすれば追いかけてくるようにまでなった。  ふと、ティターニアが、切なげにこちらを見上げているのに気づいた。  何が言いたいのか、何を求めているかは明らかだ。  だが、察してその通りにするのでは駄目だ。自分の口から言わせなければ。  僕は知らんぷりをしてスリコギ運動を続けた。 「あの……もう、痛くなくなりましたわ……」  おずおずとティターニアが口を開いた。僕は我慢比べに勝ったのだ。 「ふうん、だから? どうしたいの、奥さん」 「それは……そ、そんなこと、女に言わせないで……」  赤面し、僕の肩に顔を埋め、拗ねたような声を上げる。  真っ赤になった耳元に囁く。 「……物足りなくなっちゃった? もっと激しくして欲しい?」  答えは無言で返された。小さな頷き。イエスだ。 「わかったよ。少しずつ激しくしていくから、しっかり掴まっててね」  こちらもしっかりとティターニアの柔らかな体を抱え込み、腰を前後させ始める。  初めはゆっくりと少しずつ、少しずつ速さと幅を増やして、ティターニアの居心地の良い体内を掻き擦る。  動きが大きくなるにつれ、ティターニアの反応も大きくなった。  最初は心地良さそうな吐息、やがて微かに漏れる声、遂には紛うことなき喘ぎ声と、  妖精女王は快楽の階段を真っ直ぐに駆け上っていった。 「ああっ、そこっ、いいですわぁっ!」  角度を付けて深く貫き、擦ってやると、ティターニアの体が撥ねた。ティターニアはここが特に感じるらしい。  ならば、とそこを重点的に責めてみる。反応は激しかった。数十秒ばかり責め続けただけなのに、  がっちりと抱きついてくるティターニアは、一突きごとに嬌声を上げ、  濃厚なキスをしながら深く突き込んだ途端、全身を痙攣させるように達した。  熱く濡れた肉襞が脈動し、精液を搾り出そうとするかのように絡みついてくる。  その刺激がもたらす快楽は凄まじく、それに抗うことは拷問に等しいようにすら思えたが、僕は堪えた。  最初の射精をこんな簡単に済ませる気はない。こちらにも段取りや計画というものがある。  動きを止めて体を密着させ、魔性の脈動を味わいつつ、キスを貪る。  やがてティターニアの体から快楽の津波が去ったところで、まだ微かにひくつく肌を愛撫しながら、  ねっとりとした腰遣いで嬲るように責め立てる。 二  随分と眩しい。  すっかり僕を受け容れるために整ったティターニアの中をこねくり回していたら、いつの間にか煌天になっていた。  夢中になって貪る内に随分と時間が経ってしまったと思うのは、僕が元々人間だったからだろう。  シブヤのデカラビアが良い例だが、とにかく悪魔の時間間隔は異常だ。とにかく気が長い。  要するに時間単位が根本から違うのであり、物事に対する執着や欲求などが違うのだ。  性愛においても例外ではない。悪魔同士の交わりは、とにかく長いのだ。  互いがじっくり楽しむつもりでいるのならば、  短くともカグツチ齢が変わるくらいは、長ければカグツチが数回明滅するほどにもなる。  僕達はずっと交わり続けていた。脇目も振らず、ただ互いの肉体を味わっていた。  ずっと抱き締め合っているため、体位は今も変わらず正常位だが、僕達がそれに飽きることはない。  動きの角度を変え、緩急と大小をつけ、愛を囁き、小まめな愛撫やキスを忘れなければ、  正常位でどれだけ抱き合っていても飽きたりはしないものだ。 「あっ、あっ、あ、あぁぁっ!そこ、そこですの!人修羅様ので……もっとぉっ、もっとぉ!あふぅっ、キスぅ、キスしてぇ……!」  煌天の光を浴び、ティターニアはますますの昂りを見せた。  自ら腰をくねらせて僕を奥へ誘い込み、顔を近づけてキスをねだる。最初の固い拒絶の態度からは想像もつかない乱れ方だ。  興奮を抑えきれない。  ねだられた以上に濃厚なキスを交わした後、首筋を舐め上げ、耳元で囁く。 「気持ち良い?」 「は、はいぃっ、と、とっても……とってもいいですわぁ……!」  ティターニアが僕の首筋にキスをしながら、蕩けた声で答える。 「旦那さんとどっちがいい?」 「そんなの、そんなのぉ、こっちに決まってますわぁ! あの人なんかより、人修羅様の方が逞しくて素敵なのぉ!」 「そう、よかった。僕も凄く良いよ、奥さん」  それにしても、この「奥さん」という言葉は酷く興奮する。一回口にするごとに股間の熱が増す。 「凄く良いよ! 可愛いよ、奥さん!」 「やぁっ! 駄目ぇっ、奥さんなんて嫌ぁ! ニアって呼んでぇ!」 「ニア? でも、それは旦那さんしか呼んじゃいけないんじゃないの? 僕が呼んじゃってもいいの?」 「あうぅ、それはぁ……でもぉ……」  甘い表情で苦悩するティターニアの心と体は、大分蕩けてきているようだ。  そろそろ勝負をかけよう。  僕は腰の動きを停めて密着し、ティターニアの体を拘束した。 「ど、どうしたんですの?どうして……どうして動いてくださらないの!? あっ、あぁっ、意地悪をなさらないで、人修羅様ぁ!」  人妻が可愛らしく悶えながら哀願してくる様は、それだけで腰の動きを再開したくなるほどだが、ここは心を鬼にして堪える。 「ねえ、奥さん。やっぱりこんなのいけないよね」 「え……?」 「もう遅いかもしれないけど、今すぐやめて、今日のことはもう忘れよう」 「え、な、何を仰っているの……? あ、駄目っ、抜かないでぇっ、行かないで……!」  僕が腰を引く素振りを見せると、逃すまいとしがみついてくる。 「き、気持ち良くありませんでしたか!? 私、頑張りますから……お願いですから、やめないでください……!」 「奥さん、そういうことじゃないんだ。奥さんの体は気持ち良い。でも、奥さんは他人の奥さんだから……」 「そんな……ここまでしておいて、酷いですわ……どうすればもっとしてくださるの……?」  かかった。これで僕の目的が達成される。 「そうだなぁ……奥さんが旦那さんと別れて僕の奥さんの一人になってくれるんなら……」 「しゅ、主人と別れろと仰るの!?」 「うん。まあ、嫌なら、僕も諦めるよ。奥さんからも離れるし、旦那さんも放してあげる。  もう二人には何もしない。でも……別れて僕のものになってくれるんなら……このまま二人で気持ち良くなりたいなぁ」  ティターニアは僕を咥え込んだまま苦悩している。  僕が本当に言った通りにすると、脅しでも冗談でもないと悟り、追い詰められているのだ。  しかし、元々、悪魔は快楽に弱い。天秤がどちらに傾くかは火を見るより明らかだ。 「……なりますわ」 「え? 何だって? よく聞こえなかった。もう一度はっきり言ってくれる?」 「うぅぅ……わ、わかりましたわ……私、主人と……オベロン様と別れて、  人修羅様のものになります……わ、私のこと……貰ってくださいますかしら?」  少女のように頬を染め、淑女のように恥ずかしげに、ティターニアが求婚の言葉を口にした。  横目で窺うと、憎悪と憤怒に顔を歪めたオベロンが血の涙を流しているのが見えた。  征服感と優越感が込み上げてくる眺めだ。これだから人妻を奪うのはやめられない。  年上の美しい人妻を屈服させ、その夫から奪う。これ以上の快楽はない。  僕は深いキスで応え、それから言葉で答えた。 「勿論だよ、奥さん……いや、ニア。君は今から僕の奥さんだ。みんなと仲良くしてくれよ」 「みんな……? パールヴァティ様達のことですの? ……ああ、やっぱり皆さん、人修羅様のものだったのですね」 「幻滅したかな、この女たらしって」 「そんなことありませんわ。こんな素敵な男性を他の女性が放っておくはずがありませんもの。  ただ、私のことも忘れずに、ちゃんと可愛がってくださいね」  何百年、何千年と生きている妖精女王は、そうとは思えない初々しい仕草で僕の胸元に顔を埋め、上目遣いに見つめてきた。 「勿論だよ。こんな美人の奥さん、嫌だって言われても抱いちゃうよ」 「まあ、嬉しいですわ、ふふ……不束者ですけれど、今後ともよろしくお願いしますわ」 「こちらこそ」 「ねえ、人修羅様……いいえ、あなた」 「何かな?」 「あの……もう、私達の間には何の邪魔もないのでしょう?」  もじもじと身体を動かし、伏し目がちに問いかけてくる。  可愛過ぎてつい意地悪をしたくなる。 「そうだね。それが?」 「……う、動いてくださらないの?」 「動いて欲しいの? 一杯突いて欲しいの?」 「……は、はい……もう切なくて堪らないんです……」 「ごめんね、つらい思いさせちゃって。じゃあ、今からその分も含めて目一杯掻き回してあげるね」  ティターニアの返事は喜びの悲鳴に紛れて消えた。  僕はそれまで堪えていたものを解き放つように腰を動かし、ティターニアの、新妻の綺麗な裂け目を穿り返した。  この綺麗な裂け目がぐちゃぐちゃのアワビになるまで責めてやる。そんな欲望を持って腰を動かし続ける。  ティターニアは声にならない声を上げて悶え、ほとんど断続的に達し続けていた。  快楽の津波に翻弄されているようで、意識朦朧とした漂流者が  本能で流木にしがみつくようにして僕にしがみつき、だらしない顔で喘ぎ声を漏らしている。  腰の奥の熱が高まってきた。騙し騙し堪えてきたが限界だ。  腰の中で沸騰している欲望を吐き出すのだ。  腰を深く突き込んで密着し、スリコギのように動かしながら、ティターニアに話しかける。 「ニア、ニア」 「あっ、ひぅっ、んっ、な、何です、あっ、の、あなた……」 「そろそろ出そうなんだけど、出していい?」 「か、構いませんわ。私はあなたの妻ですもの。お好きなだけ中に注いでくださいませ」 「でも、ただ出すだけじゃつまらないから、君の元旦那さんにもじっくり見て貰わない?   君が僕のものになる瞬間の立会人になって貰うんだ」 「あの人が……立会人……」 「うん、ニアが嫌ならいいんだよ。でも、僕としてはその方が興奮できていいんだけどなぁ」 「……もう、意地悪な方ね! そんな風に言われて、私が嫌だなんて言えるわけのを知っていて……」 「じゃあ、いいんだね? いいんなら、君の方から前の旦那さんに頼んでみてくれる?  私が種付けされるところを見ていてくださいって」 「た、種付けだなんて……そんな……わ、わかりましたわ、あなたのためですもの!」  貴婦人らしく「種付け」という言葉に拒否感を示しはしたが、既に堕ちてしまった女がこの期に及んで拒むはずもない。 「ありがとう。じゃあ、ほら、そこに元旦那さんがいるから……」  察しの良いスカアハがすぐ横にオベロンを待機させていた。  オベロンの顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃになっている。  整った顔が台無しだ。爽快感が湧く。  頬を染めたティターニアが、僕に突かれて悶えながら、かつての夫を見る。 「あ、あなたぁ……じゃなくて、オベロン様ぁ。  あっ、ひぁっ、駄目、いけません、人修羅様ぁ……そこは駄目ぇ、喋れなく、んひっ、なっちゃいますぅ……」  腰を動かして悪戯をしたら叱られてしまったので、しばらく腰を停めることにした。 「あっ、停まっちゃ嫌ですぅ、やめないでぇ……あっ、ありがとうございますぅっ、  き、気持ち良いですわぁ……ひぅっ、そ、そうそう、オベロン様、あぁっ、私がっ、人修羅様、にぃっ、  種付けしていただくぅ、あふっ、ところに、立ち会ってぇ、あ、はひぃ……く、くださるかしらぁ?」  オベロンの答えはない。  それは口を封じられているからでもあるが、たとえ口が利けたとしても無理だろう。  どこの世界に自分の妻が他の男に種付けされるところを見届けたがる夫がいるだろう。  どこの世界に、他の男との交わりを見届けて欲しいと頼まれて頷ける夫がいるだろう。  そもそもそんな問いや望みに応える気になる夫がどれだけいるだろう。  その問いや望みが発された時点で、その夫は夫としての権威を喪失した敗北者だ。  僕は若干の哀れみと多大な優越感と共に、オベロン――とそれを拘束しているスカアハ――に言った。 「折角ニアがこう言ってるんだから、頷くくらいしてくれたっていいだろう」  真意は確かに伝わった。  オベロンは驚愕した風に目を見開き、必死に首を動かし始めた。スカアハの「気功」に抵抗しようとしているのだろう。  だが無駄な足掻きだ。非力な妖精に女神の力を破れるはずもない。  鶏が首を捻られるようにゆっくりと、着実に、震えるオベロンの頭が下がり、元の位置に戻った。 「ほら、ニア、前の旦那さんは頷いてくれたよ。僕達が夫婦になるところをじっくり見て貰おう」 「はい……お好きなだけ注いでくださいね」 「言われなくたって。期待しててよ、僕のは凄く濃くて粘っこいから。  スライムみたいに粘っこくて、ライジュウみたいな色をしてるってよく言われるんだ」 「スライム……ライジュウ……」  ティターニアの顔に受精を望む欲情した雌の表情が浮かんだ。 「そうだよ。ニアの一番奥で出してあげるからね」 「……はい。楽しみですわ、あなた……んむぅ……」  快楽に蕩けた笑みを浮かべたティターニアは、首に手を回して僕の顔を引き寄せ、ねっとりとしたキスを贈ってきた。  それが始まりの合図となった。  僕は大きく速く腰を動かした。  今までの、ティターニアの理性を蕩かすための技巧的な動きではなく、  僕自身が快楽を突き詰め、射精に達するための動物的な動きだ。  獣のような息遣いと腰遣いで責め立ててやると、  ティターニアも、理性の感じられない獣じみた嬌声と力強い抱擁、そして悪魔的な肉襞のうねりで応えてくる。  やがて僕達は仲良く揃って絶頂に達した。 「ニア、出る……出すよ!」 「はぁ、はひぃっ、出してぇ、一杯出してぇっ……!」  僕の下腹部に押し込められて沸騰していた熱が一気に噴き出し、  僕を包むティターニアの肉襞が痙攣するように蠢き、僕の脳に暴力的な快感を叩きつけてくる。  美しい女悪魔との交わりの結末はいつもこれ、この破滅的な快楽だ。これだから女悪魔とのセックスはやめられない。 「う、うあぁぁっ……!」  僕は悲鳴とも嬌声ともつかない声を上げてしまった。  限界まで押し込んだ肉棒が脈打つたび、腰から魂を抜かれていくような快楽が駆け巡る。  地獄のような快楽に目の前が真っ白になった。 三  全てを出し終え、打ち込んだ肉棒はそのままに、僕はティターニアに覆い被さった。  体重をかけ過ぎないように気をつけながら肌を重ね合わせ、興奮と快楽の余韻に火照る肌の熱さと、脈打つ鼓動を感じ取る。 「人修羅様ぁ……」  だらしなく緩んだ、快楽の余韻に浸るような表情のティターニアが僕に微笑みかける。  僕はしっとりと汗ばんだ体を抱き締め、微笑む顔に口づけた。 「凄く、よかったですわぁ……」  僕の唇を啄みながらティターニアが満足気な吐息を漏らす。 「……前の旦那さんと、どっちがいい? もう一度感想が聞きたいな」 「……もう。そんなこと、何度も訊くものではありませんわ」  ティターニアが恥ずかしげに顔を背ける。 「でも知りたいなぁ」 「いけません!」  そうぴしゃりと言った後、小さな声で付け加える。 「だって、そんなはしたないこと……それに、あの人が惨め過ぎますわ。言うまでもないことを言うなんて……」  もう答えを言ったも同然だ。  僕にも情けというものがあるから、これでひとまず満足しておくことにする。  僕が納得したのを察したらしく、ティターニアが甘えた声で肌を押しつけてきた。 「ねえ、あなたぁ」 「どうしたの? もっと欲しい?」 「それもありますけど……あの、しばらくこのままでいていただいてもよろしいかしら?  このまま、人修羅様の温もりを感じていたいんです」 「勿論だよ」  僕はまだ硬さを保っている肉棒をしっかりとティターニアの中に打ち込み、  手足をしっかりと絡め、唇を合わせて舌を絡ませ、まるで一体の生物のようにしっかりと繋がった。 四  下腹部で欲望が爆発し、頭の中を電流のような快楽が駆け巡る。  弾けた欲望が流れ出そうとする気配に応え、堪らず腰を突き出し、ティターニアの温かな花弁の奥底へと肉棒を突き立てる。  それに一拍遅れて、肉棒の口から大量の熱い液体が噴き出す。  身悶えしながら抱きついてくるティターニアを抱き締めて押さえつけ、今日何度目になるかもわからない種付けを果たす。  射精が一段落し、一仕事終えた達成感と共に溜息をつくと、横からパールヴァティの清楚な声が聞こえた。 「人修羅様、そろそろ静天ですわ」  静天が近いことを知らされたことで、僕は我に返った。そろそろ鈴の効果が切れる。  体の下では快楽の虜となったティターニアが恍惚とした表情で僕を見上げている。  改めてこれまでの流れを振り返り、僕は嘆息せずにいられなかった。  最初の種付けの後、僕らは、ティターニアの要望通り、体を繋げたまままったりと時を過ごしていた。  しかし、それもほんの束の間の休息だった。  僕らはすぐに互いの欲情が抑えられなくなり、なし崩し的に二回戦目に突入してしまった。  それからは獣のように激しく交わった。暴力的な快感を相手に与え合う、悪魔の交合だ。  周囲の空気が雄と雌の臭いに変わってしまうほどの交わりを経て、  今、ティターニアは、上気した顔に満足しきった雌の表情を浮かべている。  ティターニアの柔らかい金髪を撫でながら優しく語りかける。 「今は取り敢えずこれで終わりにしようか」 「……また後で可愛がってくださる?」 「勘弁してくれって言われたって離してあげないよ」 「それなら、今は我慢しますわ……」  ティターニアは不満そうにしながらも納得してくれた。 「じゃあ抜くけど、ちょっと待っててね」  僕の目配せに反応し、スカアハがオベロンを引っ立ててきて、僕らの結合部付近――つまり僕らの尻の辺り――に這い蹲らせる。  僕は丁度尻を向けているのでわからないが、きっとオベロンの表情は壮絶なものだろう。この目で確認するのが楽しみでならない。 「準備もできたし、抜くよ」 「準備というのは――あ、んっ……」  力を失ってなお長大な肉棒をゆっくりと抜く――と言うよりも引き摺り出す――  と、それに快感を刺激されたらしく、ティターニアが可愛らしい声を上げた。  ぐちゃぐちゃになった裂け目から、ライジュウのような色をした、スライムのように粘っこい液体がどろどろと溢れ出し、  しかもその流れはなかなか留まる気配を見せない。  これが全て僕が吐き出したものだと思うと、我ながら随分と出したものだと感心せずにいられない。  立ち上がり、振り返ってオベロンを見る。  僕は満足を籠めて頷いた。  オベロンの顔は、あの秀麗さが幻であったかのように、醜く歪んでいた。  目は血走り、噛み締められた唇は腫れ上がり、表情筋は強張って歪み、その顔は最早、オニよりも醜い哀れなものに変貌していた。  その顔で憎悪と敵意が籠もった眼差しを向けてくるのだから、ぞっとしない。長い間眺めていると気分が悪くなる。  目の保養代わりにティターニアに視線を転じ、そのまま背後に回る。  脱力しきった上体を支え、起こさせる。 「えっ、あの、人修羅様? 何を……?」 「ほら、見てご覧。君の前の旦那さんがいるだろう」  僕がどいたことにより、必然的に、這い蹲ったオベロンの眼前に、彼の妻だった女の女陰が突きつけられることとなる。 「嫌ぁっ、見ないでぇ! 見ていいのは人修羅様だけなのぉ!」  今までオベロンに対して捧げられて貞淑さは、今度は僕に捧げられることになったらしい。  ティターニアは悲鳴を上げ、かつての夫の目から股間を隠そうとした。  しかし、今ばかりはオベロンに見て貰わなければ困るのだ。ティターニアの手を押さえつけ、ぐっと脚を開かせる。 「あ、離してぇ……! どうして? 何でこんなことをなさるの!?」 「最後の仕上げだよ。前の旦那さんに、僕らが愛し合った印を見て貰うんだ。  ほら、お腹に力を入れてご覧。中の物を前の旦那さんの目の前で出すんだ」 「そ、そんな、はしたないですわ……でも、あなたが望むんでしたら……」  恥ずかしげに目を伏せ、ティターニアが僕の指示に従う。  空気が抜けるような間抜けな音と共に、粘っこい塊が何度も噴き出し、零れ落ちる。 「駄目、駄目、駄目ぇっ! 聴かないでっ! こんな音、聴かないでください!」  恥ずかしい音を掻き消すように叫ぶティターニアを後ろから抱き締め、キスを交えて落ち着かせる。 「僕はニアの恥ずかしいところも全部知りたいな。だからそんなこと言わないでよ」 「い、いくら人修羅様がお望みでも……私だって、女なのですよ!  ま、まあ、人修羅様がどうしても聴きたいと仰るなら……でも、こんな外では嫌です!」 「うんうん。じゃあ、今度はベッドの上で、二人っきりの時にね」  ティターニアは小さく頷き、色々なものをごまかすようにキスをせがんできた。  僕はそれに応えた後、顔を離して膝立ちになり、雄と雌の体液でどろどろに汚れた肉棒をティターニアの眼前に突き出した。 「な、何ですの……?」 「お掃除フェラしてくれないかな」 「お掃除……フェ……ですの?」 「そう。もしかして、何のことかわからなかったりする?」 「い、いえ……存じておりますわ……ただ……」 「汚いから嫌?」 「そ、そんなことありませんわ! 人修羅様のですもの!  人修羅様さえ良ければ、一日中だって……いえ、違いますわ、そうじゃありませんの!  そう、話を戻しますわ。私が心配しているのは、人修羅様の、その、それが逞し過ぎて、  上手くお口に入るかどうか……人修羅様に満足していただけるか不安で……」  僕は今の今まで、ティターニアがここまで可愛い女だとは思っていなかった。  どうやらティターニアは、パールヴァティと同様、「尽くす女」のようだ。  ただし、どこでも夫を立てるパールヴァティとは違い、尽くすのはベッドの中でだけだ。  ティターニアとオベロンの普段の関係からそれが窺える。ベッドの外では誰に対しても傲慢で強気な姿勢を崩さないのだ。 「そんなの気にしなくていいよ。僕はただ、ティターニアに舐めて欲しいだけなんだから」 「そ、それでしたら……あの、気持ち良くなかったら、仰ってくださいね?」 「気持ち良くなかったら、気持ち良くなるように教えてあげるから大丈夫だよ」 「ふふふ……ご指導よろしくお願いしますね」  清楚な笑みを浮かべたティターニアは、その笑みとの対比がおぞましい僕の汚れた肉棒に顔を近づけ、先端にキスの雨を降らせた。  ひとしきり挨拶が済むと、今度は温かい舌を伸ばし、アイスを舐めるように肉棒の上を這わせた。  満足できないなどとはとんでもない。ティターニアの舌遣いは一流だ。  単なるお掃除のはずが、欲望が刺激され、肉棒が再び硬さを取り戻してしまう。  それを見たティターニアは嬉しそうな顔をし、ますます激しく、そして的確に僕の弱いところを責めてくる。  下品な音を立てて肉棒にしゃぶりつくティターニアの頭を撫でながら、オベロンに視線を転じる。  かつての妻が他の男に奉仕する様を眺めることを強制されている男が、どんな表情を浮かべているのか気になったからだ。  僕は「君の元奥さんのお掃除フェラ、凄く丁寧で、愛情が籠もってるよね」とでも言ってからかってやるつもりでいたが、  オベロンの顔を見てその気をなくした。  オベロンの顔には最早何の表情も浮かんでいなかった。  仮面のように秀麗な顔は、仮面そのものに成り果てていた。  絶望の果てにオベロンの心は壊れたのだ。  もうこの男に興味はない。  すっかり硬さを取り戻した肉棒をティターニアから取り上げる。  不満そうにこちらを見上げるティターニアの頬を撫でて宥めた後、正式に仲魔に加入させ、ストックに入れた。  ティターニアはパーティから離れることが不満な様子だったが、  後で必ずメンバーに入れると説得し、何とかストックに戻って貰うことに成功した。  ティターニアを戻した後、先程から欲情しきった視線を向けてくる仲魔達に告げる。 「みんな、ご苦労様。もうここに用はないから、みんなさえよければ、  これからシブヤのホテルにでも行こうかと思うんだけど、どうかな?」  異論など出るはずもなかった。  ズボンと下着を差し出すパールヴァティは期待に満ちた眼差しを向けてきている。  スカアハは「最初に可愛がって貰うのは私だ」とでも言いたげな目をしている。  ヤクシニーは獲物を前にした肉食獣のような視線を僕に注いでいる。  全員が全員とも発情している。  僕の「第一夫人」に当たるパールヴァティの顔には、威圧感に満ちた清楚な笑顔が張り付いている。 「ねえ、人修羅様。私達一人一人も、ティターニアさんと同じくらい、激しく可愛がっていただけるんですよね?  ……そうですね、まずは一人当たりカグツチ一周として……それから、三人でカグツチ三周くらい……  最後に、ティターニアさんの歓迎会代わりに、またカグツチ三周くらい……」  パールヴァティは普段通りの笑顔で恐ろしいスケジュールを立て始めていた。  しばらくの間、地獄とも天国ともつかない日々を送ることになりそうだ。 了