魔力と神龍と世界の関係   ・世界と神龍の成り立ち この世界は神の絵である。 すなわち、世界は神の力(以下"魔力")で満ち溢れている。 世界の中心を始点とし、東西南北にバランスよく配置された世界は、魔力量を均一にすることで一つの真円を形成している。 そして、繁栄と衰退を繰り返し日々変化する世界のバランス調整役として、神龍は生み出された。   ・神龍の配置 神龍は、各方位に1体ずつ合計4体存在している。 彼らがそれぞれ、この世界を形成する4つの魔力属性を象徴する存在であり、溢れんとする魔力を調整することで世界のバランスを担っているのだ。 ◎北の神龍・火竜ラーヴェ・フロウ   状態:休眠期      常に噴火の危機を抱える北の火山地帯を沈静化している。 ◎東の神龍・地竜   状態:活動期      飽和状態にある魔力を昇華するべく活発に活動している。 ◎南の神龍・海竜ヒソク・カイショウ   状態:活動期      魔力過剰により広がろうとする海を一定に保つべく魔力を消費している。 ◎西の神龍・砂竜アルファルド・ラムル   状態:休眠期      土地的に乏しい魔力を消費しないよう常に身体を休めている。   ・竜熱 この世界における魔物は、世界がバランスを崩した時、その要因を排除するべく世界から魔力を供給された動植物の事をさす。 許容量を越えて魔力を体内に取り込むとコアが形成され、魔物に変化するのだ。 そして、上記の通り竜という存在は世界から直接魔力を供給している分、他の魔物など常に多くの魔力を帯びている。 竜種の近くに長く居ると、まず過剰な魔力を肌で感じることで魔力酔いの状態に陥り、その状態を維持すると高熱などの身体異常を引き起こす。 これが竜熱と呼ばれる魔力過剰症である。 さらにその状態のまま強い魔力に晒し続けると、比較的魔力許容量の大きな人間であっても魔物化は免れない。 この竜熱だが、土地によって掛かるものと掛からないものがいる。 それは、土地の魔力量の影響から、普段から魔力に慣れているか否かの問題だと推測される。 ◎北の住人   基本的に北の住人は平均か、それ以下の魔力容量しかない。   土地の神龍が休眠期であること、また火属性の土地でありながらその魔力を環境維持に消費していることから、人間は魔力を日常で感じる事がないのだ。   魔力そのものを使用するより、加工することで汎用性を求めた民族性も影響しているかもしれない。 ◎東の住人   ほぼ100%竜熱にはかからない。   東の神龍は土地を覆う過剰な魔力を消費すべく常に活動状態にある。   その魔力の影響下にある東の住人は生まれながらに内に溜まった魔力を発散する術を身に着けているのだ。   それが"共感"能力となって現れている。 ◎南の住人   この地方の住人は古くから"竜喰い"という海の魔物を食らう風習がある。   前述の通り魔物は魔力を過剰に内包しているため、それを体内に取り込む住人達は常に竜熱の危険に晒されていた。   しかし、何代にも重ねて竜をその身に消化してきたため、自然と魔力を消費する方法を身につけていったのだ。   現在における南の住人の身体能力の高さは、内に溜まった魔力を無意識のうちに肉体強化に使用している結果と思われる。   また、"呼吸法"などの特殊な技法を取り入れることで、より効率的な魔力運用を可能にしている。 ◎西の住人   砂漠には魔力が極端に少ない。   よって、魔力なれしていない西の住人はふとした拍子に直ぐ竜熱にかかってしまう。   かつては砂漠の温暖な気候が原因と思われていたため、その被害数はかなりの数に昇ったという。   現在では神事である"巫女舞"や、魔力を発散する効果のある"水煙草"などの特産品を使用することで魔力濃度の強い土地を行き来できるようになったが、それでも魔力体性が極端に低いことに変わりは無い。