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ウーパールーパーで創作するスレ+(・─・)+

1 名前:創る名無しに見る名無し:2009/08/11(火) 17:58:40 ID:YM4UgUt3
時代はうなぎよりウーパールーパー!ミ(゜θ゜)彡
モバイラーもあるよ!(εё)

前スレ:俺スーパーモバイラー
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1239426090/
http://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/pages/149.html

関連レス:これから書いていこう
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1239915589/1-51

 ┌─┐  ┌─┐
 │ウ│  │トン│
 │パ│  │トン│
 │子│  │  │
┌*─*┐┌*─*┐
┴──┴┴──┴

2 名前:創る名無しに見る名無し:2009/08/11(火) 17:59:30 ID:YM4UgUt3
ちなみにウーパールーパーってメキシコサラマンダーらしいよ!
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%82%B3%E3%82%B5%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC

3 名前:創る名無しに見る名無し:2009/08/11(火) 18:02:38 ID:q4zXj9b4
ちょw
こっちにもかよwww

4 名前:創る名無しに見る名無し:2009/08/11(火) 19:04:01 ID:YM4UgUt3
向こうは削除依頼を出したのでなかったことでお願いしますw

5 名前:創る名無しに見る名無し:2009/08/12(水) 21:04:06 ID:1dl/ro4v
うぱるぱage

6 名前: ◆91wbDksrrE :2009/08/14(金) 21:22:22 ID:hSujykPv
「はい、今日の五分間クッキングのお題はー!?」
「えーっとですね、今日はこの可愛い子を料理しちゃいます!」
「先生相変わらず発言が危ないですねー。で、その可愛い子とは?」
「この子です!」
「きゃあ、ヒョコヒョコ歩いてるぅう! かわいいー!」
「まさに食べちゃいたいくらい可愛いですよねー」
「だから先生発言が危ないですって。でも、この子を料理しちゃうんですか?」
「ええ。実はこの子、見た目が可愛いだけの両生類かと思ったら、
 意外や意外、あの北大路魯山人が。すっぽんとフグの中間のような、
 上品な味があると絶賛しているのです!」
「それは意外ですね」
「まあ、私は食べた事無いんですが」
「おいまてこら」
「さて、そんなこんなで五分が経ちました。こちらに調理済みのウパちゃんが!」
「こんな番組だったか……?」
「これで私もウーパールーパー処女を脱し、大人の女になれますね!」
「性転換でもするつもりかおい♂」
「さて、では食してみましょう!」
「スルーしやがった……まあいいか」
「うん、その某姉のようなポジティブさこそ、私の弟子に相応しい!」
「じゃあ、早速試食してみましょうねー」
「スルー返しか……もうおぬしに教える事は何も無い……っ!」
「ああもううざい……」

「何見てんだ、ウパ太郎」
 私がテレビを見ていると、それに気づいたスーパーモバイラーがやってきた。
「ああ、この番組か。料理番組の名を借りた漫才垂れ流しだよな」
 まったくもってその通りだ。料理する過程を流さない料理番組など、
料理番組としての体を為していない。だが、それでもこの番組は人気
なのだという。まったく、人間の感性というものは、相変わらずよくわからない。
「でも、最近平気になってきたんだな」
 何を、と問い返そうとした時に、私は気づいた。今日の食材が何だったかを。
 進化、と言えるだろうか。進歩、とは言えるかもしれない。あるいは退化
かもしれないし、退歩かもしれない。でも結局は――これは、慣れなのだろう。
「……お前は、違うよ。あそこで食われてる奴とはな」
 気遣いだろう。スーパーモバイラーはそう言った。
 だが、果たしてそうだろうか? あそこで食されている同族と、この私との
間に如何様な違いがあるというのだろうか。
 神の配剤。天使の気まぐれ。あるいは、運。それがあそこにいる存在と、
ここにいる私との違い。それ以外、何も違う事はない――なかったはずだ。
「ま、程ほどにしとけよ。辛かったら無理すんな」
 そう言って、スーパーモバイラーは部屋を後にした。
 私は、再び画面に視線を戻す。今日もやはり、アシスタントが先生と
呼んでいる男にキレ、スタジオを破壊するといういつもの終わり方のようだ。
 私はそれを見て笑みを浮かべた。いつの間にか、わからないと言いながらも
私もその光景を“楽しい”という感情と共に捉えるようになっている。人がそれを
楽しいと想い、また見たいと想うのと同じように、私も想うようになっている。
 これは慣れでも退化でもなく、進化である――そう、思いたい。
 画面はしばらくお待ちくださいを表示し、止まった。いつもの如く。

 終わり

7 名前: ◆91wbDksrrE :2009/08/14(金) 21:22:48 ID:hSujykPv
ここまで投下です。

8 名前:創る名無しに見る名無し:2009/08/14(金) 21:29:04 ID:r0fabHRw
投下乙!
進化しつつあるウーパールーパーがかっけぇ

9 名前:創る名無しに見る名無し:2009/08/14(金) 21:31:11 ID:Fphw1rTG
魯山人とかwwwwテキトー言うな先生wwwwww

10 名前:創る名無しに見る名無し:2009/08/14(金) 21:48:07 ID:hWS+uCCF
ついに投下がきたか
進化を続けるのがウーパールーパークオリティ

11 名前:創る名無しに見る名無し:2009/08/14(金) 22:19:04 ID:zooHChc7
即死越したのか
大丈夫なんだろうな

12 名前:創る名無しに見る名無し:2009/08/18(火) 02:08:28 ID:dzCAXYvx
最近、私には一人の友人ができた。名前を阿成僅子(あなりわずこ)と
いう。なんでも、有名な料理人であるらしい。彼女は私がウーパールーパ
ーであることを奇異に思ったりはしなかった。
「私はウーパールーパーが好きだからね」
そう言って快活に笑っていた。私は彼女の裏表のない明るい性格を気に
入っている。

今日の彼女はやけに上機嫌だ。私は理由を問うてみた。
「今日はね、ペットショップにウーパールーパーを引き取りに行く日なの
よ」
なるほど、ウーパールーパー好きの彼女がウーパールーパーと共に暮ら
したいと考えるのは自然なことだ。その生活が今日から始まるので、自ず
と心が弾むのだろう。
「引き取ってくる子はブロッケンマンって呼ぶことにしたよ」
ブロッケンマンか。いい名前だ。彼女と一緒なら、きっとブロッケンマ
ンも幸せに暮らせるだろう。
「さて、今日の晩ご飯はラーメンね」
彼女はそう言うと、期待と興奮を隠しきれない足取りで帰っていった。

13 名前:創る名無しに見る名無し:2009/08/18(火) 22:39:05 ID:e8gvh5hZ
らめぇぇえええええ! ジュニアじゃない方だかららめぇえええ!!

14 名前:創る名無しに見る名無し:2009/08/19(水) 23:12:24 ID:vFAk8/fN
ウーパールーパーって美味いんだろうか……

15 名前:創る名無しに見る名無し:2009/08/19(水) 23:20:49 ID:P4171Er7
魯山人が(ry

16 名前:創る名無しに見る名無し:2009/08/27(木) 00:43:47 ID:p2i7qfBw
 一方ウーパールーパーは佇んでいた。
 浴槽の中でただ孤独に、寂しそうに。
「何故私は核戦争さえも切り抜けてしまったのであろうか。
 自明である。神が生きよと言っておるのだ。
 では生きなくてはなるまい。だが、何ゆえに? 何のために?」
 そのとき、一人の人間がその浴槽に近づいて来た。
 ウーパールーパーは期待も失望も、はたまた絶望も感じずに、その人間を眺めている。
「思えば、沢山の仲間達が人間に食われてしまったと聞く。
 この荒廃した世界において、我が輩もまた貴重なタンパク原であろう。
 臆せぬ。我が輩に希望はない。ただ、自然の摂理に身を委ねるだけだ――」

 一方、高熱の油が香ばしい匂いを放っていた。


:某スレ見て思いついただけの電波につきry

17 名前:創る名無しに見る名無し:2009/08/27(木) 10:49:47 ID:G+jhiE+S
あのプリプリしてそうな肉は唐揚げにしたらおいしそうだ

18 名前:創る名無しに見る名無し:2009/08/27(木) 16:51:27 ID:g1R2bpqQ
ジューシーなから揚げが楽しめるな

19 名前:創る名無しに見る名無し:2009/08/28(金) 11:19:45 ID:gN7qUoJM
連載中のモバイラー関連作品を貼っておこうか

第一回 天下一暗黒史的創作発表会
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1219829790/273-

20 名前:創る名無しに見る名無し:2009/08/28(金) 17:40:38 ID:SwvwkPPf
東亜板にスレ立ってたw
愛らしいウーパールーパーを食べる日本人に、韓国人が犬を食べることを非難されるいわれはないとさw

21 名前:創る名無しに見る名無し:2009/08/29(土) 02:11:41 ID:lqwuq1oF
犬っておいしそうだと思うんだけど、実際のところ味はどうなの?
食べたことある人いる?

22 名前:創る名無しに見る名無し:2009/09/03(木) 09:11:52 ID:lsEtD+oJ
俺も機会があれば食べてみたい。
自主的に探すほどじゃないけど。

23 名前:創る名無しに見る名無し:2009/09/09(水) 00:19:50 ID:fczbjGww
 スパゲッティの具材で一番好きなのはたらこだ。
 明太子も好きだが、少々押し付けがましい味付けになっている店も多いので、両者が並んでいれば間違いなくたらこを買う。
ちなみに明太子の語源は明太と書いてミョンテ、直接的に韓国起原と言えなくもなかろう。私は嫌韓ではないので韓国起原だからたらこを選んだ訳ではないが、だがたらこが好きである。
 今日もまた苛立たしい進捗会議を終えてそのまま会社近所のパスタ屋に赴いたのだ。この店はさほど美味くはないが、大好きである。
なぜかと言われると「漁師風ペスカトーレ」というパスタがあるからだという一言に尽きよう。
あのな、ペスカトーレって「漁師風」って意味だぞ? と内心突っ込みながら無視してたらこスパを頼むのが至福である。
 しかし、今日は少々様子が違う。
 たらこスパを頼んだ直後に、店内が静まり返り、ぶつくさと小声が響くのである。あるものは聞こえよがしに言う。「このたらこスパ野郎……っ」なんの事だろう。俺が俺の給料でたらこスパを食って何が悪い。俺は無視して一服した。
「たらこスパ野郎、煙草吸いやがった」「あんちくしょう五寸釘で呪い殺してやる」「踵落としで潰した大量のトマトを投げつけてやろうか」
 誹謗中傷である。いったいこれは何事か。そもそも目の前に灰皿が用意されている店で喫煙を非難される覚えはない。
ふと見回せばあたりは全員俺を睨みつけている。なんだおまえら、そんなにたらこスパが嫌いか。ええ? なんなのだこの視線は。
だが我が覚悟はむしろ固まった。不条理に強いIT戦士を舐めてもらっては困る。俺に課せられた使命は一つ。堂々とたらこスパを美味そうに食し、悠々かつ威風堂々と、職場へと凱旋するのみである。というか元よりそれ以外に目的はない。
 店員がたらこスパを持って俺に近づいて来た。
「こ、こ、この。たらこスパ野郎!」
 店員はそれだけ言うと、俺の目の前にたらこスパを置いた。
 俺は唖然としながらもそれを食した。美味である。
 まあ美味であればいいのである。俺の神経は細い方だが、出張ばかりの身には屁でもない。昼飯が美味なら、食事代を払って店を後にすれば十分なのだ。
 会計を済ませて店を出てから、改めて異常さを思い返して、店の入り口を振り返る。

 入る時には気付かなかったが、店頭には
「本日、たらこスパツンデレDAY!!!」
 という張り紙があった。

 なあるほど。
 俺は溜息を吐いた。やはりアメリカはまだまだツンデレを理解していない。
 まあ、この歪みともそろそろお別れだ。
 来週でこの出張も終わる。
 久々に通い慣れたツンデレ喫茶に赴いてみるとするか。



24 名前:創る名無しに見る名無し:2009/09/09(水) 00:25:40 ID:4zP9RA27
絶対誰かやると思ったw
ていうかウーパールーパー関係ねえじゃねーかw

25 名前:創る名無しに見る名無し:2009/09/09(水) 00:27:15 ID:fczbjGww
具材にまぜるの忘れてたorz

26 名前:改稿:2009/09/09(水) 00:29:41 ID:fczbjGww
>>23改稿

スパゲッティの具材で一番好きなのはたらこだ。
 明太子も好きだが、少々押し付けがましい味付けになっている店も多いので、両者が並んでいれば間違いなくたらこを買う。
ちなみに明太子の語源は明太と書いてミョンテ、直接的に韓国起原と言えなくもなかろう。私は嫌韓ではないので韓国起原だからたらこを選んだ訳ではないが、だがたらこが好きである。
 今日もまた苛立たしい進捗会議を終えてそのまま会社近所のパスタ屋に赴いたのだ。この店はさほど美味くはないが、大好きである。
なぜかと言われると「漁師風ペスカトーレ」というパスタがあるからだという一言に尽きよう。
あのな、ペスカトーレって「漁師風」って意味だぞ? と内心突っ込みながら無視してたらこスパを頼むのが至福である。
 またこの店は、ボイルされた後にスライスされたウーパールーパーが食感を広がらせるのも特徴である。別になくても大差ないが。
 ところで、今日に限って少々店内の空気が違う。
 たらこスパを頼んだ直後に、店内が静まり返り、ぶつくさと小声が響くのである。あるものは聞こえよがしに言う。「このたらこスパ野郎……っ」なんの事だろう。俺が俺の給料でたらこスパを食って何が悪い。俺は無視して一服した。
「たらこスパ野郎、煙草吸いやがった」「あんちくしょう五寸釘で呪い殺してやる」「踵落としで潰した大量のトマトを投げつけてやろうか」
 誹謗中傷である。いったいこれは何事か。そもそも目の前に灰皿が用意されている店で喫煙を非難される覚えはない。
ふと見回せばあたりは全員俺を睨みつけている。なんだおまえら、そんなにたらこスパが嫌いか。ええ? なんなのだこの視線は。
だが我が覚悟はむしろ固まった。不条理に強いIT戦士を舐めてもらっては困る。俺に課せられた使命は一つ。堂々とたらこスパを美味そうに食し、悠々かつ威風堂々と、職場へと凱旋するのみである。というか元よりそれ以外に目的はない。
 店員がたらこスパを持って俺に近づいて来た。
「こ、こ、この。たらこスパ野郎!」
 店員はそれだけ言うと、俺の目の前にたらこスパを置いた。
 俺は唖然としながらもそれを食した。美味である。
 まあ美味であればいいのである。俺の神経は細い方だが、出張ばかりの身には屁でもない。昼飯が美味なら、食事代を払って店を後にすれば十分なのだ。
 会計を済ませて店を出てから、改めて異常さを思い返して、店の入り口を振り返る。

 入る時には気付かなかったが、店頭には
「本日、たらこスパツンデレDAY!!!」
 という張り紙があった。

 なあるほど。
 俺は溜息を吐いた。やはりアメリカはまだまだツンデレを理解していない。
 まあ、この歪みともそろそろお別れだ。
 来週でこの出張も終わる。
 日本に戻ったら、久々に通い慣れたツンデレ喫茶に赴いてみるとするか。



27 名前:創る名無しに見る名無し:2009/09/09(水) 00:43:09 ID:naEZKeyo
ろくに違いのない作品で連投すんなよ。きっちり推敲してから投稿して。
みんながなにか指摘されるたびに同じ事やったらこの板混乱するよ。

28 名前:創る名無しに見る名無し:2009/09/09(水) 00:50:06 ID:EgwxemXZ
そんなカリカリすんなw
ウパタラコスパゲッティーでも食べて落ち着きたまえ

っていうかたらこスパツンデレDAYってなんだww

29 名前:創る名無しに見る名無し:2009/09/09(水) 08:02:08 ID:luBphJUj
IT戦士が格好良すぎですw

30 名前:創る名無しに見る名無し:2009/09/14(月) 20:23:35 ID:0o6Slfju
「秋来ぬ」

「地球温暖化対策のため、本年度は秋をキャンセルするという政府決定が発表されました」
 昼食中にテレビでその報道を聞いて、俺は茶碗をとり落とした。ウーパールーパーの刺身ごと座布団の上に撒き散らしたまま、俺は呆然とテレビを凝視する。
 秋をキャンセルだと。いったいそんな事が可能なのか。いや。問題はそんな事ではない。もっと根本的かつ火急的な不安が喉元に込み上がる。
 俺は慌てて某出版社に電話した。
「はいはい。担当の植田ですね。少々お待ち下さい。え? はい。伝えます。あ、ええとですね今植田は手を離せないのですが、秋キャンセルの件でしょうか」
「そうです。どうなるんですか。あの。まさか」
「はい、結論だけお伝えするように言われましたのでお伝えすると、今秋刊行予定の新人賞分もキャンセルとなります」
「そんな。ご無体な。あの。い、印税」
 通話が切れてしまった。畜生。雑誌掲載分の原稿料だけで一年糊口を凌げる訳がなかろう。どうするんだ。結婚指輪買っちまったんだぞ。そして今日はデート。無理だ、渡せぬ。売却して職探ししなければ。
 これは今日のデートも一流ホテルのコース料理からファミレスに変更した方がいいかもしれぬ。いかんなあ、約束したしなあ。下手すると別れ話に。
 一体なんでこんな事になったんだ。判り切っている。秋がキャンセルされたせいだ。こんちくしょう、一体なんで温暖化対策になるっていうんだ。
「……による爆弾の効果によって冬を前倒しするという気象コントロール技術であり、近隣諸国も某国を除けば賛同を得られた、という事です。
 某国についての首相の見解としては、謝罪と賠償を再度検討するだけしてみるフリくらいはしてやらんこともない、との事です」
 テレビが説明を続けている。うっさいハゲ。取って付けたような設定振り回しやがって。
 俺は取り急ぎ、郵便貯金に入れてある預金を銀行口座にまとめておこうと思い立った。予定の前に我が資産を再計算しなくてはいかん。
デートをせめてそこそこのイタリアンにする事が可能かどうかについても検討しよう。
 外に出るとつららができていた。早過ぎるだろう。畜生いったいどんな技術で冬にしやがった。俺の財布も冬じゃないか。
 町の大通りに出ると、冬タイヤにしていない車が手当たり次第滑っていた。タンクローリーがガソリンスタンドに突っ込んでおり、冬だというのに春のような暖かさを感じさせる。いや秋だが。畜生俺様の秋を返せ。
 俺のすぐ目の前で、電柱に激突した乗用車が炎上した。まさに火の車。俺の財布も火の車。ざまあみろ。みんな死んでしまえばいいんだ。みんな死んでしまえ。くけけけけ。
 電気屋の前でテレビが並んでいる。
 ウーパールーパー味のポテトチップスのCMがやっていた。突如CMが途切れて、緊急報道がはじまった。ニュースキャスターが不自然な笑顔を向けていた。
「政府は爆弾の使用量を間違った事を発表し、全員自殺しました。皆様も節度ある最期をお楽しみください。うひょ」
 え、なにそれ。ほんとにみんな死ぬの。ちょっとまって。
 不意に暗くなったので俺は空を見上げてみた。すると



31 名前:創る名無しに見る名無し:2009/09/14(月) 20:36:09 ID:ICWiNbsi
混ぜりゃいいってもんじゃねえだろwwww
だがGJとは言わせてもらおうwww

32 名前:創る名無しに見る名無し:2009/09/14(月) 20:39:58 ID:snKqCQk2
ウーパールーパーの刺身はやっぱり、醤油に

33 名前:創る名無しに見る名無し:2009/09/14(月) 20:41:43 ID:Q1B8VGRU
ラー油を垂らし

34 名前:創る名無しに見る名無し:2009/09/14(月) 20:44:51 ID:0o6Slfju
ちょっとだけゆず胡椒を添えて

35 名前:創る名無しに見る名無し:2009/09/14(月) 22:56:15 ID:N4XMsTBd
鮮度を損なわないよう、お早めに

36 名前:創る名無しに見る名無し:2009/09/19(土) 00:41:43 ID:thl4pIoI
ウーパールーパー食べるオフをやります。
http://jfk.2ch.net/test/read.cgi/offevent/1253230863/l50
http://mixi.jp/view_event.pl?id=45434103&comment_count=34&comm_id=124821


37 名前:創る名無しに見る名無し:2009/09/25(金) 22:32:31 ID:CUPyW2+b
釣りかと思ったら本気なのかww

38 名前:創る名無しに見る名無し:2009/09/25(金) 23:59:27 ID:IH1CmWiN
オフ者の感想を聞き逃さないようにしなければ

参加?いえいえいえいえどうぞどうぞ

39 名前:創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 20:49:42 ID:BDhnE7iV
「 グレートサラマンダーZ 」


 :エピローグ 

 それは異形だった。
ある者はナマズの化け物と言い、ある者はワニの突然変異と言った。
全てのものを飲み込まんとする大きく開いた巨大な口は、禍々しい蝿取り草を想わせ、ぬめり
がかった黒に近い赤茶色の身体と、巨大な頭部に比べあまりにも貧弱な手足は、おたまじゃくしの
でき損ないを想わせた――

 西暦2009年
日本のある場所に存在する独立国家、うぱるぱ王国。
人間と「ペット」として共存していたウーパールーパーは幸せな日々を過ごし、うぱるぱ
王国の住民も人間の知識文化を取り入れウーパールーパーとして独自の文化を築き上げていた。
 しかし、ある日を堺に状況が一変する。
「ペット」として可愛がられていたはずのウーパールーパーが、何故か「食用」として人間
から注目を浴びるようになったのだ。
 うぱるぱ王国の住民は困惑した。
「我々を食べても美味しいはずは無い!」
多くのうぱるぱ王国住民が声をあげた。しかし、その声は人間には届かなかった。
ウーパールーパーは食用として、踊り食い、活き造り、刺身、唐揚げ、天ぷら、丸焼き、
姿煮、フライ、炒め物などに調理されていた。
 それでもウーパールーパーを食する人間は、まだマイノリティだった。
だが、ある巨大匿名掲示板にウーパールーパーを食べてみた。という書き込みがあってから、
ウーパールーパーは食用可。という認識が、人間社会に瞬く間に広まっていった。

 その悪夢のような状況下、うぱるぱ王国の1人のエンジニアが立ち上がった。
天才エンジニア、マッドサイエンティスト、何でも作る何でも修理する便利屋、トンデモ発明家……
うぱるぱ王国でも一目置かれている男。人は彼をドクターうぱ松と呼んでいた。

 そのうぱ松が渾身の怪作を作り上げた。
クローン技術、遺伝子工学を駆使し作られた、大山椒魚そのままの外見をしたハイテクモビルスーツ。
 彼はその怪物を『グレートサラマンダーZ』と名づけた。
 うぱ松自らがパイロットとしてグレートサラマンダーZのテストを行い完成させたが、ある日
グレートサラマンダーZの遺伝子と共鳴する力を持った少年がいることが判明する。
うぱ松とグレートサラマンダーZ。そして平凡な少年うぱ太郎が加わり、物語は動き始める――

未完で終わらないようとりあえず冒頭だけ晒してみる

40 名前:創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 20:56:31 ID:/fEIqY1s
なんか長編始まったwwwww
しかも、まさかのロボットものwwwww

41 名前:創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 21:04:09 ID:wecWyw8W
>>39
エピローグから始まるんだwww
凄いね。

42 名前:創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 21:09:51 ID:g2f4tazH
>>41
こらこらww

43 名前:創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 21:15:53 ID:BDhnE7iV
>40
長いぜ。予想では1500行くらいなる予定w
4章構成で1章(約400行)は出来上がっている。問題はこれからw

>41
やべっ、素で間違えたw
しかしこうなったらこのまま突き進みエピローグをプロローグにするぜw


44 名前:創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 21:23:28 ID:BDhnE7iV
やっぱあげると喰いつきがいいなw
ゆるゆる脱力系テキトー設定ロボ物トンデモSFを目指している

とりあえず1章の冒頭だけ晒してみる

45 名前:「 グレートサラマンダーZ 」 :2009/10/14(水) 21:26:16 ID:BDhnE7iV
 :第1章 「 グレートサラマンダーZ、出動する。」


「見てくれ。これが対人バリアフリー構造、特定うぱるぱシンクロ可能、水陸両用モビル
スーツ、グレートサラマンダーZだ」
「で、でか!」
 うぱるぱ王国科学技術省特殊銃器開発課特殊車両部の所有する、小学校のプールにカモフ
ラージュされた秘密基地。そこに王国の秘密警察により強制的に連れ込まれたうぱ太郎は
パドックに佇む怪物を目の前にし、ただ呆然とそれを眺めることしかできなかった。
 その横でグレートサラマンダーZの開発者、うぱるぱ王国科学技術省特殊銃器開発課
特殊車両部第二班メカニック担当うぱ松が、不敵な笑みを浮かべながら言う。

「まずはスペックについて。全長3250mm、立ち上がった時の全高は1800mm、重量は約500kg
四肢での陸上移動時の最高速は150km/h。障害物のない河川の水中なら約40ノットで遊泳できる。
パドルシフト付きのオートマ、ETC、HDDナビ、オートエアコン付きの特別仕様だ。
油圧式パワステだからハンドル操作は軽い。姿勢制御としてABS、VDC、アクティブサス
そして7箇所に組み込んだ重力バランスセンサーで空中での姿勢変化にも抜かりはない。
GPS連動型レーダー探知追尾式オートパイロット機能も備えてるから、もしパイロットが負傷
しても操縦に影響は少ない。なにか質問はあるか」

 怪物の前で呆然としていたうぱ太郎は、うぱ松の話をほとんど聞いていなかった。
「……え? あ、これ大山椒魚だがらジャイアントサラマンダーZになるんじゃないですか?」
うぱ太郎は思春期にありがちな、見栄を張ったまったくもって見当違いな質問をする。
「細かいことはいいんだ。気にするな」
うぱ松の答えもまったくもって答えになっていなかった。
(自分から質問ってふったのに、なにそれ)
うぱ松に疑念や憤りをおぼえながら、うぱ太郎は話を聞き続ける。

「次は操縦に関してだ。グレートサラマンダーZは何も人間と戦う為に作られたわけではない。
人間に喰われようとしているうぱるぱを救う為に作られたのだ。だから基本的に人間を攻撃する
能力は備わってはいない。
簡単に説明しよう。ハンドルアクセルブレーキ。何も難しいことは無い。ゲームセンターに
あるクルマのゲームと同じだ。そして攻撃ボタン。さっき言ったように――」
「ちょっと待ってください!何なんですか!」
うぱ太郎は話し続けるうぱ松を遮った。

 うぱ太郎は戸惑っていた。授業中、突然職員室に呼び出され、目隠を強要されたのちクルマに
無理矢理押し込まれた。そして気が付けば訳のわからない山椒魚の化け物の前に立っていた。
隣にいるいかがわしいサングラスを掛けた男は自慢げにその化け物の性能を語っている。
(僕が何をしたっていうんだ。こんな理不尽な扱いを受けるおぼえは無い!)
若き衝動がうぱ太郎の中で暴れだした。
「さっぱり意味が分からない!あんなでっかい化け物見せる為に僕を誘拐したんですか!
全然話が見えない!いったいあなたは何がしたいんですか!ちゃんと僕に説明してください!」
うぱ太郎は語気を荒げた。が、所詮13歳の脆弱で繊細な少年でしかなかった。その声は怒り
のあまりうわずり、幼きエラは小刻みに震えていた。

「……うぱ太郎、君は選ばれたんだ」
うぱ松は静かに言う。うぱ太郎はじっとうぱ松を睨んでいる。
「……君は、グレートサラマンダーZのパイロットに選ばれたんだ。その虹色に輝くエラ
がその証だ。君は今、グレートサラマンダーZと共鳴している。己の姿を見るがいい!」
うぱ松は強引にうぱ太郎を鏡の前に立たせた。
それは虹色ではなかった。数々の原色がうぱ太郎のエラの中でおぞましく混じりあっていた。
「うわぁあああああぁあああああ!!!!!」
その恐怖に、うぱ太郎は絶叫した。その瞬間グレートサラマンダーZの目が光った。
「う”わ”ぁ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!」
突然、数枚の窓ガラスが割れた。凄まじい咆哮がパドックを震わせ蛍光灯が砕け散った。
誰の指図も受けずグレートサラマンダーZは叫んでいた。

今後の投下は未定だす。

46 名前:創る名無しに見る名無し:2009/10/14(水) 21:32:37 ID:HcDklxjB
なんぞこれw

続き期待しとくわw

47 名前::「 グレートサラマンダーZ 」 :2009/10/14(水) 22:13:33 ID:BDhnE7iV
「…………何、……これ」
奇怪な現象を前に、うぱ太郎は立ち尽くしている。
「……これは君の力だ。君はグレートサラマンダーZのパイロットなんだ。うぱ太郎、
君は選ばれた者の宿命として、危機に瀕したうぱるぱを救わなければならない義務がある。
そこの机に座ってくれ。これから詳しくグレートサラマンダーZについて説明する」
「ちょっと待ってください!」
「いいから早く座れ!」
(なんで僕なんだ…… そんなこと急に言われたって僕に出来るわけがない……)
虚ろな表情のまま、うぱ太郎は古ぼけた木製の椅子に座った。

(なんで僕なんだ……)
「滅多にいない1メーター級の山椒魚から細胞を勝手に拝借しバイオテクノロジーとDNA
操作で、細胞組織の根本から見直し、伸縮性に富み自然治癒力を大幅に向上させた本体を作った。
グレートサラマンダーZの動力源は半永久機関の特殊モーター。その力を駆動系と電力発電系に
分配している。充電用バッテリーは5年間メーカー保証付きのメンテナンスフリータイプを――」
(なんで…………)
混乱していた。うぱ松の説明は、うぱ太郎には届かなかった。

「グレートサラマンダーZの動力モーターには幻の金属と呼ばれるオリハルコンを使用している。
ただ、オリハルコンだけでは動力にならないからそこに、うぱるぱ王国特産の希少金属、
オリアキコンを組み合わせる。簡単に言えば両者は反発しあう磁石だ。それをもとに一旦
廻り始めたら無限に廻り続けるモーターができた。ただしそれだけではモーターのトルクが足り
ない。そこでさらに反発しあう王国名物の希少金属、オリフユコンとオリナツコンをペアで
使用してリピートリングとパワーリングというリングモーターを作った。
 そのリングをメインモーターの回転軸に組み込み摩擦抵抗を完璧に抑え、反発力を極限まで
高めた。そのおかげで一気にトルクが跳ね上がった。が、それを制御出来なければ意味は無い。
 ここで王国幻の逸品の希少金属、オルシーズンの登場だ。純度100%オルシーズンを使用し、
職人が精魂つめて作ったスピードバルブ。このスピードバルブがこのモーターの要になる。
 リピートリングとパワーリングの相乗効果で、回転エネルギーは倍々ゲームで加速していく。
ただ、そのままでは、行き着く先は暴走だ。そうならないための制御バルブがスピードバルブだ。
通常スピードバルブは自動制御だが、手動操作に切り替え可能だ。ただ、それはあくまでも
緊急用だ。短時間で遠くに逃げるための手段と思って欲しい。計算上ではスピードバルブを
手動制御で全開にし、10秒以上アクセル全開にすれば動力モーターは異常回転をきたしグレート
サラマンダーZは暴走する。基本的にスピードバルブ制御を手動にする必要は無いが、もし
その必要があった場合はくれぐれも注意して欲しい。
万が一グレートサラマンダーZが暴走した場合うぱ太郎、君の生命の保証は出来ない……。

 ……おい、聞いてるのかうぱ太郎! 重要な事だぞ!」
「…………」 

 うぱ太郎は机に突っ伏して寝ていた。
うぱ松の講義はうぱ太郎にとってあまりにも退屈で長かった。
「おい!ちゃんと話を聞け、うぱ太郎!」
「…………」
うぱ太郎は目覚めたばかりでぼーっとしている。うぱ松は怒った。
「コラ!うぱ太郎!しゃきっとしろ!しゃきっと!」
「うるさいっ!」
うぱ太郎は逆ギレした。勢いあまってエラが輝いた。その刹那グレートサラマンダーZの目が光った。
「う”る”さ”い”っ”!!!!!!!!」
グレートサラマンダーZの咆哮が、またもやパドックの窓ガラスを割った。
「うるせーボケっ!」
うぱ太郎はマジギレした。グレートサラマンダーZはしゅんとした。うぱ松は頭をかかえた。


週2,3スレの投下を目指す。来週のストックはあるがその先の分は無いw

48 名前:創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 12:12:05 ID:5vTk7zEa
色々と突っ込みたいが取り敢えず期待w

49 名前:創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 13:46:34 ID:gYY+M36K
しゅんとする巨大ロボ・・・萌え?

50 名前:「 グレートサラマンダーZ 」 :2009/10/15(木) 21:05:42 ID:hH6uDLRL

「……まぁ、なんだ。俺が色々話すより実際に操縦したほうが早いだろ。うぱ太郎、ちょっと
グレートサラマンダーZに乗ってみてくれ。別に今日は操縦を楽しめればそれでいい」
呆れ顔のうぱ松は、煙草に火をつけ溜め息混じりに煙をはき出した。
「……どうすればいいんですか?」
「どうもこうもない。君が近づけば、グレートサラマンダーZは反応する。それだけだ。
まずグレートサラマンダーZの正面に立ってくれ。あとはこちらから指示を出す」
「……分かりました」
うぱ太郎は他愛も無いことでキレてしまったことが恥ずかしくなったのか素直に従った。
無線通話用イヤホンセットを付け、グレートサラマンダーZに向かって行った。


 ちかっ!
「!」
うぱ太郎が近づいたときだった。一瞬グレートサラマンダーZの両目が赤く光った。
「…………」
うぱ太郎は一旦退き、今度は斜め前方からこっそり近づいてみた。
 ちかっ!
またもや一瞬グレートサラマンダーZの両目が赤く光る。
続けて何度かグレートサラマンダーZの前を行き来した。そのたびに両目は赤く光った。
(……なんか可愛い)
うぱ太郎は最近の車に装備されているキーレスエントリーシステムを知らなかった。
うぱ太郎はわくわくしていた。今さっき「うるせーボケっ!」と怒鳴ったことは完全に忘れている。
さらにそろりそろりとグレートサラマンダーZに近づく。

 ぱかっ!
「うわっ!」
突然開いたグレートサラマンダーZの巨大な口に驚き、うぱ太郎は思わず飛びのいた。
『うぱ太郎、そんなにびびるな。口の中がコックピットの出入り口だ。左側にはしごがあるだろう。
それを登ればコックピットだ。操縦席座ったらシートベルト忘れるな』
うぱ松の、そんなにびびるな。という言葉に軽く敵意をおぼえたが、うぱ太郎は素直に指示に従い、
どぎついピンク色の口の中の梯子を登った。

「うぱ松さん、操縦席座ってシートベルトしたんですけど、どうすればいいですか?」
『ハンドルの右側に青く光ってるボタンがあるだろう。それを押してくれ。それがメインスイッチだ。
休止モードだからすぐにグレートサラマンダーZは起動する。視聴覚モニターが立ち上がったら
セレクターをオートパイロットに合わせろ。それだけだ。肝試しだ。ちょっとアクセル踏んでみろ』
 指示に従いうぱ太郎はメインスイッチを押した。視聴覚モニター、ステータスモニター、HDD
ナビモニターと次々に画面が立ち上がる。うぱ松が言った通りそれらはゲームセンターのシミュ
レーションゲームを彷彿させた。
(カッコいい!)
うぱ太郎は燦然とそびえ立つモニター群に感激した。まだまだ子供だった。

 シートポジションとアクセルブレーキペダルを確認し、ハンドルを握る。
セレクターをニュートラルのままに、うぱ太郎はアクセルを軽く踏む。
 ヒュイーン、ヒュイーン、ヒュイイイイーン
アクセルと連動したモーターが独自の回転音を発し、ステータスモニターに表示されるタコメーターの
針が踊った。そしてハンドルを大きく右に切ると270度視野の視聴覚モニターの景色も右に移った。
「うぱ松さん、これ動かしてみてもいいですか?」
『ああ、ちょっと場所は狭いけどやってみろ。ただアクセルはゆっくり踏めよ。オートパイロットでも
加速は強烈だからな』
「わかりました」
(すごい。僕の10倍以上ある怪物を、僕が操縦するんだ……)
うぱ太郎は胸を躍らせた。そして期待感からくる興奮からかエラは虹色に輝いていた。
慎重にセレクターレバーをオートパイロットにし、そっとアクセルを踏み込んだ。


51 名前:「 グレートサラマンダーZ 」 :2009/10/15(木) 21:07:07 ID:hH6uDLRL

 のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし、のっし――――
「おおっ!」
グレートサラマンダーZはゆっくりと歩き始めた。ハンドルを切ればその通り曲がり、視聴覚モニターの
景色もきっちり連動していた。興奮したうぱ太郎はさらにアクセルを踏んだ。

 のしのしのしのしのしのしのしのしのしのしのしのしのしのし――――
「うわっ!早っ!」
うぱ太郎は調子に乗ってさらにアクセルを強く踏み込んだ。
グレートサラマンダーZは一気に加速し、たちまち壁面に迫った。
「やばっ!」
壁に激突しそうなところ、わずか3センチ手前でグレートサラマンダーZは止まった。


『おいおい、いきなりやらかすなよ』
「すいません、ついおもしろくて……」
うぱ松は苦笑いしていた。
『どうだ、凄いだろう。作った俺が言うのもなんだがこのオートパイロット制御はほぼ完璧だ。障害物は
よけるし、ナビで場所を指定すればあとはアクセルを踏むだけで到着できる』
「ええ、凄いです。僕感動しました」
うぱ松におぼえた疑念や憤りが、いつのまにか尊敬に変わっていた。うぱ太郎は続ける。
「あの、外でグレートサラマンダーZを試してみてもいいですか?」
『まぁ、落ち着け。これから攻撃ボタンについて説明する。ボタンは3種類。立つ、跳ねる、しっぽを振る。
以上だ。ボタンに記入されてるからすぐわかるだろう。そのままの意味だ。
 まず、立つ。普通の人間なら、いきなりグレートサラマンダーZが立ち上がっただけでびびって逃げるか
腰を抜かす。威嚇用だ。それでもダメなら口を最大限開けろ。はっきり言って相当怖い。気絶ものだ。
次は跳ねる。通常は移動時に使うが、人めがけて跳ねればボディアタックになる。これは荒業になるから
あまり使うな。しっぽを振る。これも単にしっぽを振って敵を払うだけだ』
うぱ太郎は早速その場で動きを確認した。グレートサラマンダーZは思いのほか軽快に動いた。

『あと重要なことを3つ。コックピットの後ろのボックスにオーナー整備マニュアルと困ったときのQ&A集が
入っている。別に見なくてもいいが、場所だけは覚えとけ。そして助けたうぱるぱは必ず予備シートに座ら
せてシートベルト必着だ。最後にナビにあるサーチモードだが、緊急を表示させておいてくれ。そうすれば
喰われそうになってパニックに陥ってるうぱるぱが発する、人間には聞こえない特定周波数のSOS信号を拾う
ことが出来る。使うことは無いと思うが通常表示だと人間と一緒に幸せに暮らしてるうぱるぱも検索してしまう。
そんなところへ行ってしまったら双方とも気まずくなってしまう。
 あ、すまん。あと1つ追加だ。人間と揉めそうになったら【僕はオオサンショウウオです。僕に手を出し
たら日本の法律で罰せられます】と言え。それで人間は手を出せなくなるはずだ』
冗談とも本気とも言えないうぱ松の言葉に、思わずうぱ太郎は笑った。
「それってまずくないですか? 外見は大山椒魚だけど中身は別物ですよね」
『なに、嘘も方便だ。誰も傷つけないでうぱるぱを救えるならそれに越したことはない』
「わかりました、そうします」
(僕がグレートサラマンダーZを操縦して、うぱるぱを助けるんだ!)
うぱ太郎の胸が高鳴る。小さな正義感がうぱ太郎の中に芽生え始めた。

『よし、早速予行練習も含めて実践だ。とりあえず街を流して、もしナビでSOS信号拾ったら現場に
向かってみろ。普通のクルマ並みの加速力とスピードがあるから車道を走っても問題ないが、保険きかない
から交通事故には気をつけろ。喰われそうなうぱるぱがいてもいなくても2時間以内に帰って来い。
グレートサラマンダーZの初出動だ。がんばれよ、うぱ太郎』
「わかりました!グレートサラマンダーZしゅちゅじょお…………。」
うぱ太郎はかんだ。
『……分かったから、さっさと行け』
「……すいません。うぱ太郎いきます」
 恥ずかしさに顔を赤らめながら、うぱ太郎はグレートサラマンダーZのアクセルを踏んだ。


52 名前:「 グレートサラマンダーZ 」 :2009/10/15(木) 21:12:16 ID:hH6uDLRL
秘密基地を出発して20分、うぱ太郎とグレートサラマンダーZは街の主幹道路を流していた。
(さすがにそうそう食べられそうなうぱるぱはいないみたいだ)
10分ほど試しながら操縦しただけで、うぱ太郎はグレートサラマンダーZの扱いにだいぶ慣れた。
グレートサラマンダーZの性能は素晴らしく、モーターの強力なトルクのおかげで、発信加速では
隣に並んだ車を置き去りにした。信号待ちの交差点で右左折しようとしたときはナビとオートパイロット
の機能か、ウインカーの代わりに目が赤く点滅し、前足を水平にして手信号まであげた。
 対向車や並列車のドライバーは一様に驚き、その行方を目で追った。歩行者はじろじろ見るものの、
話しかけたりさわりにくる者はいなかった。そのおかげでうぱ太郎は比較的気楽にグレートサラマン
ダーZの操縦に専念できた。

 ぴこーん!
「あっ?」
突然、ナビから発信音が鳴り、ナビモニターの画面に警告表示がなされた。
グレートサラマンダーZをコンビニの駐車場に停めて、うぱ太郎はナビ画面に注目した。

【 !SOS受信! 現場到着予想時間:ファステストモード6分、ノーマルモード15分
  どちらかを選択してください。
  なお、ファステストモード選択の場合、道路交通法を若干無視する場合があります 】

(もちろん現場にはすぐ到着したほうがいいけど、道路交通法を若干無視って…………)
どちらを選択するかうぱ太郎は迷った。うぱ松や秘密警察の強引なやり方を体験しているだけに
ファステストモードを選択するのは抵抗があった。
「とてつもなく嫌な予感がする……けど、逃げちゃダメだ」
覚悟を決めてうぱ太郎はファステストモードを選んだ。

 ヒュイン!ヒュイン!ヒュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ――――ン!
勝手にモーターがうなり始め、タコメーターの針が跳ね上がった。
「うわっ!」
強烈な加速重力がうぱ太郎をシートに押し付けた。コンビニの駐車場を出たほんの2〜3秒で、
ステータスモニターの速度表示は時速60キロを超えていた。
うぱ太郎の嫌な予感は的中する。グレートサラマンダーZはさらに加速を続け赤信号の交差点
に向かっていく。減速する気配はまったく無い。
「若干じゃねーっ!」  
グレートサラマンダーZは信号待ちのクルマを全速ですり抜けて、赤信号の交差点に突っ込んだ。
「死ぬっ!」
うぱ太郎は思わず目を瞑った。その瞬間、グレートサラマンダーZは飛んだ。
その短い手足からは想像のつかない跳躍力で、交通量の多い片側2車線の交差点を飛び越えにいった。
「ひゃあああぁぁあああぁあ!!!」
殺人的なジェットコースターばりの重力変化にうぱ太郎は悲鳴を上げる。
しかも当然それだけでは済まなかった。
「ぐふっ」
着地のショックでうぱ太郎の身体は激しく上下する。そしてそのたびにシートベルトが無理矢理
うぱ太郎の身体を押さえ込む。
激しい姿勢変化にグレートサラマンダーZの後ろ足が滑り重心が流れる。すぐさまVDCが
作動し強制的に姿勢を安定させ無理矢理速度を上げていく。
そしてヘロヘロになっているうぱ太郎にはお構いなく、グレートサラマンダーZは正気の沙汰
とは思えないスピードでSOSを出したうぱるぱの居場所へ向かっていった。


第1章 のこりは来週投下…予定
突込みどころ満載は百も承知!
ゆるゆる脱力系テキトー設定ロボ物トンデモSFだから細けぇことは気にすんなw

53 名前:創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 21:22:42 ID:WcA6sYRf
↓マシンに対するミリオタのツッコミ

54 名前:創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 21:25:01 ID:KOhe3h8D
                          /^`''-..,
                          //  /`〉゙'., 
                         //  / / ;;::|
                        //  / / ;;:::/
                       ヤ,\/ / ;;::/  ミ
            乗せてやんよ!   ヤ, V/ ;;::/ ミ バリバリ
               ,... -―――――ヤ, //7::/  __
            ,,..-''"(´・ω・`)     ヤ,/_;;:::/ヽ、\皿#,,\
      ,,.. - ''"゙゙;>ー―---――;=''''"゛゛⌒ヽ, ̄ィ7  /〉  ''´ ̄`i
   ,,. '"  ,,. '"        /    /   ヽェソ 乃▲ /,r'⌒!'  マジックテープ式!?
 ∠二フ/___,___/∠二フ/  r'⌒ヽヽ_/´   // ∩ i    lヽ,,lヽ
〔`゙`ー―――――――――'''''"゙´   ノ/ ∩ |   ̄__!/ノ ∪ノ   (    )
 〉同〉―― [二二] ―――j同>=:;つ_ノ ∪ノ/ ̄   `ー―''´    と   i
  ̄ ̄ー― ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  `ー―''´               しーJ

55 名前:創る名無しに見る名無し:2009/10/16(金) 01:31:14 ID:7fJiLich
>>53
2、3秒で60は遅すぎるよね
まあストーリーが面白いからいいのさ

56 名前:創る名無しに見る名無し:2009/10/16(金) 01:55:54 ID:dNAYRuD6
>>52
投下乙だぜ
つかぬことを聞くけど、一年くらい前に「シェアード・ワールドを作ってみよう」スレで連載してなかった?

57 名前:創る名無しに見る名無し:2009/10/16(金) 18:33:06 ID:Mfxej0LN
>53-55
レスさんくす。どう返せばいいか分からんw
>56
あり
その人とは別人だ。というか創作発表板に来てまだ3ヶ月目の新参者だ
ずうずうしく居座っているがw



58 名前:創る名無しに見る名無し:2009/10/16(金) 20:27:15 ID:dNAYRuD6
そうか
スレ汚しスマソ

59 名前:「 グレートサラマンダーZ 」:2009/10/19(月) 18:31:16 ID:aKyFvL7s
 うぱ太郎はSOS信号を出したうぱるぱがいると思われるアパートの前にいた。
グレートサラマンダーZの傍若無人なファステストモード移動でかなりダメージを受けていたが
芽生えたばかりの正義感からか、その玄関を前にして闘志を燃やしていた。
(よし、ちょっとずるいけどいきなり大山椒魚を名乗ろう。そのほうが話が早いと思うし)
うぱ太郎はグレートサラマンダーZを立ち上がらせた。そしてパドルシフトで前足を操り、チャイムを
押した。
「はーい」
ドア越しに女の声がする。怖い人は嫌だな、と思っていたうぱ太郎はちょっとだけ安心する。
ガチャ、とロックを解く音がする。ドアが開く前から女は話しはじめていた。
「おかえり、今日早いね」
「あ、こんにちは」
ドアを開き顔を出した女にうぱ太郎はグレートサラマンダーZの外部スピーカー越しに挨拶をした。
「ひぃぃぃっ!!! なななな何、ああああ、あなた何っ!!!」
いきなりの化け物訪問に女は腰を抜かした。
「あの僕、通りすがりのオオサンショウウオなんですけど、こちらに僕の友達のウーパールーパー
がいると思うんですけど、それで、もしかしたら苛められてるような気がして寄ってみました」
「なななななな何を根拠に、いい苛めてなんてません。おおお、ば、晩のおかずに……」
尻もちをついた女は手の力だけで懸命に後ずさりをしている。……こんな綺麗なひとが。うぱ太郎は
悲しくなりながら、ぱかっ! とグレートサラマンダーZの口を開けた。
「ひっ!」
うぱ松が言ったとおり、女は小さく悲鳴をあげて気絶した。
「うわっ本当に気絶しちゃった……」
ちょっとやり過ぎじゃ……と思いつつも、気絶した女を横目にうぱ太郎はグレートサラマンダーZの
姿勢を元に戻しアパートの中に入った。

「…………」
テーブルには小さめの水槽にうぱるぱが閉じ込められていた。そしてその前には、まな板、出刃包丁、
刺身包丁、キッチンはさみ、醤油のはいった小皿とチューブ入りの山葵、生姜が綺麗に並んでいた。
「……なんか、むごいな」
なまめかしく輝く包丁とキッチンはさみは、うぱ太郎に残虐な拷問器具を思わせる。
水槽に閉じ込められたうぱるぱは涙目になりながらグレートサラマンダーZの挙動を凝視していた。

「もう大丈夫ですよ、いま助けます」
うぱ太郎はグレートサラマンダーZを操りうぱるぱが入っている水槽をひっくり返した。
「ああ、ありがとう。き、君ほ本当にオオサンショウウオ? そそそ、それともうぱるぱ王国の人?」
うぱるぱは、目前に迫った死の恐怖からか激しく震えている。
「あ、王国からきました。あとこれはグレートサラマンダーZといって、王国の人が開発した
大山椒魚のロボットです。別に怖くないですから安心してください。いま入り口開けますから」
 ぱかっ!
グレートサラマンダーZは大きく口を開けた。
何も言わずにうぱるぱは気絶した。

「……もしもし? ……安心して気を失ったのかな」
うぱ太郎は、気絶したうぱるぱを何とかコックピットに引きずり込みシートベルトをつけた。
そしてナビの、秘密基地へ帰還。をノーマルモードで選択する。
うぱるぱを無事救出したうぱ太郎とグレートサラマンダーZは、意気揚々とうぱ松の待つ秘密基地に戻った。


 

60 名前:「 グレートサラマンダーZ 」:2009/10/19(月) 18:34:29 ID:aKyFvL7s
「ただいま戻りました!」」
うぱ太郎とグレートサラマンダーZは基地に到着した。救出したうぱるぱはまだ気絶したままだった。
「おう、お疲れさん。どうだ、うるるぱは救出できたか」
「はい。でも救出は出来たんですけど収容しようとしたとき気絶しちゃって……。
安心して気が抜けて気を失ったと思いたいけど、グレートサラマンダーZの口をみて驚いて気絶
したのかもしれません。僕も前置きなしで、いきなり開けちゃったんで……」
二人が会話しているうちに救出されたうぱるぱが基地の医療スタッフによって運ばれてきた。
あいかわらず気絶したままのうぱるぱに医療スタッフは軽いショックをあたえた。

「化け物!喰われるーっ!!!  …………あら?」
うぱるぱは意識を戻したが状況を理解しておらず、おどおどと辺りを見まわした。
「あの、化け物は…………?」
「……もう大丈夫ですよ」
やるせない笑みを浮かべながらうぱ松は言った。
「ちょっと手荒な真似をしましたが我々の力ではあのような形でしか、皆さんを救出することが
出来ません。うぱるぱ王国科学技術省として、皆さんが安全に暮らせるよう日々製品の研究開発、
改良を重ねていますが、皆さんも自己防衛をするに越したことは有りませんので、怪しいと思われる
人間には隙を見せぬようご注意お願いします」
「すみません。私も気をつけます。でもなぁ、あの女の人も出会ったときは凄く優しくて幸せに暮らし
てたんだけど、半年くらい前から急に私を見る目が変わったような気がして……
いずれにしても助けていただきありがとうございました。ただ、正直に言うと、サラマンダーZ?
……怖かったです。食べられるかと思いました」
そう言い残し救出されたうぱるぱはスタッフに案内され部屋を後にした。

「なんか最後の一言、とげのある言い方でしたね……」
「まぁ、あまり気にするな。さっき、彼が言ったように、人間がうぱるぱを喰うようになったのは
ここ1年くらい前からのことだ。いままで人間と幸せに暮らしていたのにある日突然喰われそうに
なったら、それはショックも受けるし動揺もするだろう。彼が悪いんじゃない。
 あとは、バランスの問題だ。もしグレートサラマンダーZがあの容姿でなく、うぱるぱ型だったら
どうなる。ファニーフェイスのでっかいうぱるぱ。行く先々で遊園地の着ぐるみアトラクション状態
になるのが関の山だ。女子供にウケてもしょうがないだろう。それにうぱるぱを喰う奴らに襲われる
危険が高くなって救出どころの話でなくなる。あのくらい怖くて迫力があるほうがいいんだ」
「……そうですね」
うぱ太郎はうなずいた。しかし心の中でどこか寂しさを感じていた。
(僕はヒーローになった訳じゃない……。だけど……)
グレートサラマンダーZの初出動。うぱ太郎には、ちょっとだけしょっぱい初救出になった。


61 名前:「 グレートサラマンダーZ 」:2009/10/19(月) 18:38:41 ID:aKyFvL7s
「うぱ松さん、口の開け閉めのスピード変えること出来ますか?」
「ああ、制御プログラム修正だけだから時間はあまりかからない。やっておくか?」
もし、グレートサラマンダーZの口の開くスピードが遅かったらあのうぱるぱは気絶しなかった
のでは、とうぱ太郎は考えていた。変に怖がられるのも嫌だし簡単に出来るなら、と依頼した。
「お願いします。……あと、あのナビのファステストモードってやり過ぎじゃないですか?」
「えっ、おまえいきなりファステストモード使ったのか?」
「ええ。なるべく早く着いたほうがいいと思って……」
うぱ松は、うぱ太郎の顔をまじまじと見つめた。
「ははは、さすがグレートサラマンダーZのパイロットだ気合入ってるな。くくく、なかなかどうして
人は見かけによらないものだ」
「どういう意味ですか!」
にやにや笑ううぱ松にうぱ太郎はむかつく。
「あ、すまんすまん。あのモードは俺のエンジニアとしての才能を見せつけたかったというか
グレートサラマンダーZの性能をフルに発揮したかったというか、早い話が俺の自己満足のための
モードだ。どうだ、スリル満点で楽しかっただろう。腕のいいバイク便のライダーを意識した」
「スリルどころじゃないですよ。赤信号の交差点に突っ込んだときは死ぬかと思いましたよ、もう」
「くくくく。すまんすまん。次からはノーマルモード選択して、遅いと思ったら追加でアクセル踏ん
でくれ。それで信号無視はしないで出来る限り早く到着するようグレートサラマンダーZは移動する。
ノーマルモード選択時もファステストモードにいつでも切り替え出来るから、状況で使い分けてくれ」
「……わかりました。でも、ほかにも何か変な仕掛けあるんじゃないですか?」
「心配するな、あれぐらいだ」
うぱ松はまだにやにやしていた。絶対なんか仕組んでいるな、と思いながらもうぱ太郎はうぱ松を
信頼しはじめていた。

「うぱ太郎。今日から君には運転手が付く。家から学校、基地への送り迎えをする運転手兼護衛だ。
明日、明後日とグレートサラマンダーZでの救出活動はしないのでそのつもりでいてくれ。別に暇なら
基地に遊びに来てもいい。お茶くらいはだす」
毎日でもグレートサラマンダーZに乗りたい。と思っていたうぱ太郎は肩透かしをくらった。
「えっ? 何か都合悪いんですか?」
「都合というか、グレートサラマンダーZの存在がニュースになるかどうか確認する。今日の救出
は、気絶はさせたが人や器物に損害は与えていない。それで相手がどう出るのか。それと移動中の
グレートサラマンダーZを見た人が保健所や動物園、警察に連絡したかどうかを王国のリサーチ部隊
を使って徹底的に調べる。別に悪いことをしているわけではないが、一部の人間には悪者扱いされる
ことも考えられるからな。それらを確認して今後の救出活動を計画する」
「悪者なわけないじゃないですか!だってあの女の人包丁準備してうぱるぱを食べようとしたんですよ!」
残忍な輝きを放つ出刃包丁と刺身包丁が、うぱ太郎の脳裏をよぎる。
「そんなに熱くなるな。言いたいことは分かるがある種の人間にとって我々うぱるぱは単なる食料だ。
そんな人たちが今回の救出をどう受けとめるかだ。すんなり引き下がってくれる人もいれば、逆に
生意気な。と思う人もいるだろう。極端な例えになるが、うぱるぱ王国によるテロ活動だ。と思う
人もいるかもしれない。なので当面は3日に1回程度の出動で人間社会の動向を見ながら救出活動を
行う。うぱ太郎のはやる気持ちは理解できるが、俺の言ったことも分かって欲しい」
「……そうですか。分かりました。でも僕、もっとグレートサラマンダーZを上手に操りたいんです。
だから用が無くても毎日基地に来ます!」
「……あぁ、そうしてくれ。俺も制御プログラム追加したあと、人間の動向を調べにはいる」
「分かりました、明日も来ますのでうぱ松さん、よろしくお願いします!」
そう言ってうぱ太郎は部屋を後にした。
(やれやれ、まだまだ子供だな……)
うぱ太郎の後姿を見送りながらうぱ松は苦笑した。
(初出動でうぱるぱ1匹無事に保護できたなら上出来だろう)
確かな手ごたえを感じながらうぱ松は、パドックで静かに佇むグレートサラマンダーZを見つめていた。


:第1章 「 グレートサラマンダーZ、出動する。」 完

:第2章 「 うぱ松、苦悩する。」 来週からちまちま投下予定




62 名前:創る名無しに見る名無し:2009/10/25(日) 23:25:45 ID:ynTWrnMr
続き楽しみ

63 名前:創る名無しに見る名無し:2009/10/26(月) 21:37:55 ID:yuq+9eBD
>62
そんなあなたが僕のやり貝w
レス付かなくても、面白くないと思われようとも(自爆)
あげあげ露出狂なんでキッチリ今年中には終わらせるぜw
ストック無いので製作中。今週中に投下するのでちょっと待ってください。

64 名前:「 グレートサラマンダーZ 」:2009/10/27(火) 21:31:44 ID:rzWoWzqD
:第2章 「 うぱ松、苦悩する。」


 洒落た住宅のインターホンを押すうぱ太郎。
「こんにちは。あの僕、通りすがりのオオサンショウウオなんですけど、こちらに僕の
友達のウーパールーパーがいると思うんですけど」
「えっ、もう食べちゃいましたよ」
「…………」

 めげずにうぱ太郎とグレートサラマンダーZは、ナビに従い次の現場へ向かう。
新築高層マンションの11階の部屋から、うぱるぱのSOS信号が発せられていた。
「…………」
マンションの入り口はオートロック式の自動ドアで外側からは開かなかった。

 うぱ太郎がグレートサラマンダーZとうぱるぱ救出活動を行うようになって1ヶ月が過ぎる。
しかし救出活動は思うようには捗らなかった。
原因のほとんどが充実したセキュリティ設備を構えるマンションの出入り口にあった。
部外者には敷居の高い訪問者確認用小型レンズ付きのインターホンや、暇そうにしながらも
ずっと見張っている管理人や警備員。
そんなセキュリティ陣を前にして、うぱ太郎はマンション内部に入るのを躊躇した。

「すまん。どうやら俺の見込みが甘かったようだ……。
最近のマンションが、これほどまで出入り口のセキュリティが強化されているとは思いも
よらなかった。俺のミスだ」
うぱ松は自らの非を素直に認めた。田舎の清流住まいのうぱ松は人間社会の住宅事情に
疎かった。
「……これはしょうがないんじゃないですか。この際、SOS発信源の住所がマンション
だったら諦めたほうがいいかもしれませんね」
神妙な顔つきでうぱ太郎は言う。
「うむ、検討せざるをえないな……考えておく。ただ、当面は現状のまま救出活動を進めていく。
救出率は低いが、いままで11匹のうぱるぱを救出できたんだ、それは誇っていいだろう」
「わかりました。じゃあ今日はこれで帰ります」
お疲れさん。とうぱ松に見送られながらうぱ太郎は運転手と共に部屋を出て行った。


 渦を巻く煙草の煙を眺めながらうぱ松は考える。
――うぱるぱ救出活動にあたってうぱ太郎に、人間を傷つけない、器物を破壊しない、無理
無茶はしない。このことを厳守するよう指示した。
 うぱ太郎も自分なりに考えたのだろう、救出先での第一声はなるべく人間を刺激しないよう
威嚇しないよう、そして脅迫的にならないように言葉を選んで対応し、基本的な会話パターン
が出来上がった。
それが良かったのだろう、グレートサラマンダーZの存在は今のところ世間を騒がすような
大きなニュースや事件にはなっていない。
 不法侵入と言われれば反論は出来ないが、いままで気絶させたことはあるが人間を傷つけ
たり、器物破損などは一度も無い……。しかしこれでは救出活動に限界がある――

 一ヶ月に渡り12日出動、38件SOS受信。救出成功10件11匹。
救出成功率は、うぱ松が当初想定していた5割はおろか、3割にさえならなかった。

――喰われそうになっているうぱるぱを救う。単純にそう考えていたが意識を改めないといけ
ないかもしれない…… うぱるぱを喰おうとするとでかくて怖い大山椒魚が現れて、うぱるぱ
喰う悪い子はいねがー!と怒られてしまう秋田の「なまはげ」パターンも悪くはない。
付随してウーパールーパーを喰ったら大山椒魚に祟られた。などデマを流しておけばそれが
自重作用として機能することも考えらなくもない。……しかし、そんな子供騙しでいいのか?――
 
 うぱ松の前にある灰皿は既に吸殻の山になっていた。
――まだ一ヶ月で結論を出すのは早い。しかしこのままではなにも進展しないかもしれない――
うぱ松は最後の1本になった煙草に火を着けた。


65 名前:「 グレートサラマンダーZ 」:2009/10/27(火) 21:33:17 ID:rzWoWzqD
 じたばた、じたばた。
「…………」
グレートサラマンダーZは仰向けにひっくり返っていた。うぱ太郎もシートベルトに支えられて、
コックピットの中でひっくり返っていた。
うぱ太郎はカッコよく180度サイドターンを決めるべく程々のスピードで、えいや!とハンドル
を切りそれと同時に、うりゃー!とサイドブレーキを引いた。その瞬間、遠心力に負けてグレート
サラマンダーZはひっくり返った。

 じたばた、じたばた。
「…………」
グレートサラマンダーZはひっくり返った亀のように手足をぱたぱたさせている。
「とりゃー!」
しっぽを振るボタンを連打する。
ばいばいーん!
数度左右に振られたしっぽが上下に振られ、その反動用いてグレートサラマンダーZはひっくり
返った体勢を立て直す。
「うぱ松さんにサイドブレーキと足の制御を聞かないと無理かな……」
懲りずにうぱ太郎は助走をつけて強引にサイドブレーキを引いた。
案の定グレートサラマンダーZはまたひっくり返った。

 救出活動が行われない日うぱ太郎はグレートサラマンダーZを流麗に操縦すべく技を磨いた。
うぱ松の故意か偶然か、アクセルブレーキと攻撃ボタンとの組み合わせでグレートサラマンダーZ
は予期せぬ動きやへんてこなポーズをとったりする。
(シェー!とか、あぃーん。とかやられてもなぁ。相撲の突っ張り前進は使えそうだけど……)
どれもこれも救出活動に役立ちそうな気はまったくしなかったが、それでもうぱ太郎はグレート
サラマンダーZの挙動を事細かにノートに記入した。

 そしてうぱ太郎は交通量の少ない直線道路に出向いては、最高速チャレンジやゼロヨン発進加速を
確かめ、曲がりくねった山道に出向いてはハンドリング性能を試していた。
250CC以上のバイクや、純然たるスポーツカーにはかなわないものの、リミッターが作動する時速150
キロまでの加速ならそこらを普通に走っているクルマにグレートサラマンダーZの敵はいなかった。
(スピードバルブ手動制御にしてみたいけど、うぱ松さんに怒られるだろうな……)
透明なプラスチックで厳重に封印されているダイヤル式の切り替えスイッチ。そこには
Auto(150km/h) M220km/h M300km/h M∞ とあまりにも露骨で分かりやすい目盛りがふられている。
 グレートサラマンダーZを初めて操縦したときはその性能についていけなかったうぱ太郎だったが
日々の自主トレのたわものか、もはや最高速150キロには満足できない体になっていた。
(もっと速く、もっと俊敏に…… 史上最速の大山椒魚になりたい!)
250cc400cc750ccそして更なる狂気の世界を求め逆輸入1000cc超モンスターマンシンへエスカレート
する単車乗りのように、うぱ太郎はいつしかスピードの魔力に取り憑かれていた。



66 名前:「 グレートサラマンダーZ 」:2009/10/27(火) 21:37:29 ID:rzWoWzqD

 うぱるぱ救出活動が始まり2ヶ月が過ぎる。
活動一ヶ月目は当初想定していた救出率を下回っていたが、うぱ松がうぱ太郎には教えずにナビの
SOS信号受信範囲を半径10キロから半径7キロに変更し、7階建て以上の建物から発せられた
信号は非情ではあるがナビで検出しないようプログラムを変更してから、じわじわと救出成功率が
上がっていった。
 うぱ太郎グレートサラマンダーZコンビも特に人間と揉め事を起こすことも無く、引くところは
引き、押すところは押す駆け引き上手になっていた。

 2ヶ月目。14日出動、31件SOS受信、救出成功13件17匹救出。
いまだうぱ松の想定した救出率より低い数字だが、その結果にうぱ松とうぱ太郎は、救出活動
は着実に実を結びつつある、と大いに喜んだ。


 しかし、それはほんの束の間の喜びでしかなかった……


「……やられた」
王国のリサーチ部隊から提出された週刊誌を眺めながらうぱ松は苦虫を噛み潰していた。
政治経済からスポーツ、エロまで。B級若者文化を面白おかしく、時には真面目に記事にする
雑誌、週刊プレーボーイ。
『 噂はホンモノ!? ウーパールーパーを救う巨大山椒魚、ついに実物を激写! 』
と銘打たれた記事で、目線の入ったグレートサラマンダーZのカラー画像がでかでかと
紙面を飾っていた。
「目線入れてどうする?意味ないだろ……」
紙面にどうでもいいツッコミを入れ強がるしかうぱ松には出来なかった。
『 燃える友情!両生類の熱き助け合い 』 
『 ウーパールーパーを大山椒魚と同じ道を辿らせてはいけない! 』
『 ウーパールーパー。そもそも食べてもそんなに美味しくない(笑)』

 記事の内容や使用されている画像を見る限り特に悪意は感じられず、どちらかと言えばうぱるぱ
に対して友好的なものだった。しかしうぱ松は全国で販売される雑誌によってうぱるぱ救出活動が
ウーパールーパーを食べない人間にも伝わってしまったことを危惧した。

 そして2週間後うぱ松の恐れていたことが現実となる…………




 今週はここまで。
 やっつけ気味になってきた自分に渇!


67 名前:創る名無しに見る名無し:2009/10/30(金) 22:00:35 ID:x+WeNhCy
来週もwktk
がんばれ!

68 名前:創る名無しに見る名無し:2009/10/30(金) 22:24:09 ID:dA6zc5ei
>67
あり!
くだらない(本人は大絶賛w)オチを成立させようと引っ張っているので
無駄に長いのだが、きっちり大円団?で終わらせるつもりでいるので
お暇なら付き合ってください。

うおー!規制解除がこんなにうれしいとは思いもしなかっただぜw

69 名前:「 グレートサラマンダーZ 」:2009/11/03(火) 15:44:59 ID:vaWykvJu
 秘密基地のミーティングルーム。いつもの打ち合わせのはずだった。 
「うぱ太郎。今日から10日間、救出活動を一旦休止する。パドック内で騎乗するのは構わ
ないがグレートサラマンダーZは当面の間、外出禁止だ」
「えっ、何でですか?」
 日々向上する救出率にやりがいを感じていたうぱ太郎は、突然のうぱ松の言葉に戸惑い
を隠せなかった。
うぱ松は週刊誌の切り抜き記事をうぱ太郎の前に放り出す。
「……それを見てくれ。そこらへんのコンビニで普通に売っている週刊誌の切抜きだ。
週刊プレーボーイ。若者向けの雑誌とはいえ全国で発売されている歴史ある週刊誌だ。
どのくらいの影響力があるかは何とも言えないが、グレートサラマンダーZの存在が
全国の人間に知れ渡ってしまったのは間違いない。
 グレートサラマンダーZの存在が人間社会に露呈された以上、救出活動の方針を根本から
見直さなければならない必要もあるだろう。そして、いままでうぱるぱを食べなかった人間
がグレートサラマンダーZを見てみたいという単純な興味本位から、うぱるぱを食べよう
とすることも考えられる……
 10日間の期日で人間のうぱるぱやグレートサラマンダーZに対する動向を調査する。
その期間中はグレートサラマンダーZは出動停止だ」
「……わかりました」
力なくうぱ太郎はうなずいた。

「あ!」
「ん、どうした?」
切り抜き記事を見ながらうぱ太郎が声をあげる。
「この人ですよ。レポートに書いた、救出後にすぐに繁華街に繰り出した人……」
 記事の画像にはグレートサラマンダーZの巨躯に隠れ、食べられそうになっていたうぱるぱが
体の一部を晒している。
 眩しすぎる蛍光ピンクの体。そしてうぱ太郎の言葉で、うぱ松は全てを察した。
「嵌められたようだな」
「!」
 瞬時に蛍光ピンクうぱるぱ救出時の光景がうぱ太郎の脳裏をよぎる。
古ぼけた一軒家。SOSを受信したものの、緊迫感のかけらも感じられなかった現場。
グレートサラマンダーZを見ても驚いた様子もなく、あっさりと引き下がった男3人。
そしてろくに会話も交わさないままグレートサラマンダーZを降りたピンク色のうぱるぱ……
うぱ松のいった事をうぱ太郎も労せず理解する。
「どうしてこんなこと……」
やるせない表情のまま、うぱ太郎はつぶやく。
「どちらから持ち掛けたか分からないが、金が欲しかったんだろう。こんな綺麗
な色の体を維持するには美容に相当の金がかかるはずだ。グレートサラマンダZをおびき
寄せる役で雑誌社から結構な額を貰ったのかもしれないな」
「…………」
「まぁ、起きてしまったことはしょうがない。気を引き締めて進んでいくしかないだろう。
とりあえず俺は明日から単体のうぱるぱSOS受信機を持ってルートを巡回してみる。その
結果を見て今後の救出活動の展開を検討することにしよう。今日は以上だ」
「……わかりました」
 うぱ松は忙しそうにミーティングルームを後にする。
うぱ太郎は一人、椅子に座ったままその場から動くことができなかった。

 猫のように尻尾を丸め、こじんまりと佇むグレートサラマンダーZを眺めながら
うぱ太郎は思い悩んでいた。
(あのとき、カメラ持った人はいなかった……。隠し撮りされたのかな……?)
いままで救出活動が順調に推移していたせいもあり、うぱ太郎は自身に非が無いにも
かかわらず己の浅はかさを悔やむ。
(僕がもっと慎重に行動してれば…………)
うぱ松やグレートサラマンダーZに迷惑をかけたことが申し訳なく思え、うぱ太郎は
グレートサラマンダーZに近づくことをためらった。
(……別に悪いことしてる訳じゃないのにどうしてこうなっちゃうんだろう?)
初めて味わう挫折感に、うぱ太郎は身を震わせる。
そして唇を噛み締めるパイロットを前に、救出活動が再開される日をグレートサラマンダーZ
は静かに待ち続けていた。


70 名前:「 グレートサラマンダーZ 」:2009/11/03(火) 15:46:52 ID:vaWykvJu
グレートサラマンダーZの記事が記載された翌日、うぱ松はうぱるぱSOS受信機を
備えつけたクルマで市街を周回していた。
「……異常だ」
 うぱ松が懸念したように、その日のSOS信号受信は11件と救出活動を始めてからの最高
受信回数を記録した。うぱ太郎とグレートサラマンダーZで巡回したときの最高値が5件。
記事の影響によるものか、うぱるぱSOS信号は一気に2倍に跳ね上がった。 
「あの記事を見た人間達による一過性のものか、それともこれが続くのか……?」

 うぱ松の不安をよそに、うぱるぱSOS信号は記事が記載された5日後には減り始めていた。
記事が発表された当初はSOS信号受信11件、8件、10件と高めの数字を残したが、4日目
からは5件、2件、3件と安定し、その後も1日のSOS受信数を5件を超えることは無かった。
 うぱ松はこの結果を、物珍しさによる一過性のもの、と判断し、予定通り10日間の活動休止
が終えてからグレートサラマンダーZの救出活動を再開させた。
そして、当初うぱ松自身が操縦する予定だったので準備していなかったが、グレートサラマンダー
Zの視聴覚データーをリアルタイムで確認できるようシステム開発の準備に取り掛かった。
 

「えっ、5匹?」
うぱ太郎は、ナビモニターに表示される情報に目を疑った。

 グレートサラマンダーZの記事が記載されて2週間、10日間の活動休止を明けてから
初の出動だった。
いままでのSOS信号1件におけるうぱるぱの数は多くても3匹だった。5匹という尋常では
ない数にうぱ太郎は力がはいった。
「よし、久々の救出活動だ。気合いれるぞ!」
うぱ太郎は迷わずナビに表示されるファステストモードを選択した。
その瞬間、グレートサラマンダーZは矢のような勢いで飛び出していった。


「…………ここで間違いないのかな?」
うぱ太郎とグレートサラマンダーZは町外れのバイパス沿いにある、潰れたコンビニ
の前にいた。
 午後3時、快晴。しかし商品どころか商品棚も、そして照明機器も何も無いコンビニ
の店内は殺伐としている。
「誰かのイタズラかな……。まず入って確認してみよう」
出入り口の自動ドアは開けっ放しだった。うぱ太郎は慎重にグレートサラマンダーZを前進させる。
店内に人影は無く静寂で包まれていた。それでもいつもの挨拶をうぱ太郎は繰り出す。
「こんにちはー、誰かいますかー? あの、僕――」
「やぁ、こんにちは。君が最近噂の『通りすがりのオオサンショウウオ』君か。噂どおり大きいな」
レジカウンターに隠れていた男達がいっせいに立ち上がった。
「!!!!!っ」
反射的にうぱ太郎はグレートサラマンダーZを立ち上がらせ口を最大限開ける。
しかし話し始めた男に動揺は伺えなかった。
「まぁ、そんなに威嚇しなくても。しかし確かにその容姿は怖いな。ある意味グロテスクでもある。
女子供や、爬虫類、両生類が苦手な人ならトラウマになっても不思議ではない」
穏やかな口調だが、男の顔に笑みは無かった。

――同じ制服を着た4人の男っ!
 何者か確認すべく、うぱ太郎は4人を凝視する。
話をする目つきの鋭い初老の背の高い男、がっしりとした体つきの男もまた目つきが鋭い。
残り二人はそんなに大きくない。それで緊張気味にも見える。
そして4人が4人とも腰に何かをぶら下げている…………。
 うぱ太郎は自身の持つ情報を懸命に探し出す。
――警備員とかガードマンじゃない。腰に下がるあれは……


――拳銃っ!



71 名前:「 グレートサラマンダーZ 」:2009/11/03(火) 15:47:45 ID:vaWykvJu
「警察の人がなんで……」
うぱ太郎は動揺を隠せなかった。
僕は何も悪いことはしていない。食べられそうになっているうぱるぱを助けてるだけだ。
誰も傷つけてないし暴れたりもしていない。
うぱ太郎は自身の正当性を心の中で唱えた続けた。
 初老の警察の口元が緩む。しかし目は笑っていない。
「窮地に追い込まれたウーパールーパーを救うオオサンショウウオ。同じ両生類同士助け
合ういい話だ、美談になりうる。
 しかし、何の罪もない料理を作る女性をその容姿で脅かしてまでウーパールーパー奪回
するのはいささかやりすぎではなかろうか?
表立った事件にはなっていないものの、現に警察には数件苦情が上がっている。
私自身は、ウーパールーパーを食べたことはないし食べる気にもならない。そして個人的には
君のような熱血溢れるオオサンショウウオの存在に心躍るものを感じている。
しかし、私も警察官として職務をまっとうしたいと常々思っている。悪く思わないでくれ。
……通りすがりのオオサンショウウオ君。
迷惑防止条例違反の重要参考人として、署までご同行願いたい」

 グレートサラマンダーZのコックピットの中でうぱ太郎のエラが震える。
――どうしてこうなるんだ……? 僕は何も悪いことはしていない!
 うぱ太郎の衝動を表すがごとく、うぱ太郎のエラは虹色に輝き始めた。

「僕は何も悪いことはしていないっ!!!!!」
うぱ太郎は叫ぶ。負けじとがたいの良い警察が声を張り上げる。
「両生類のくせに生意気なこと言うなっ!」
「よせ、清水」
「真田さんっ、しかし!」
「少し落ち着け。あと鈴木と瀬川もな」
初老の警察真田はグレートサラマンダーZに今にも飛びかからんとする清水をなだめた。
そして残る二人、鈴木、瀬川にも冷静さを求めた。
その瞬間うぱ太郎の頭の中はフル回転する。
――警察に連れて行かれるのはまずい。逃げる?でも5匹のうぱるぱが人質になってるし
逃げたところでまた罠をはられれば結局は同じことだと思う……。
素直に警察に連れて行かれて何もかも喋って、うぱるぱ王国の秘密基地を知られるのは
もっとまずい気がする。……またうぱ松さんに迷惑をかけちゃうのかな?
「オオサンショウウオ君、素直に我々について来てはもらえないか?」
はっとする。思考中のうぱ太郎を、真田の言葉が呼び戻す。
しかしその一瞬でうぱ太郎は決意を固めた。
――ちょっと手荒な真似をするかもしれないけど5匹のうぱるぱを救う。
  僕はグレートサラマンダーZのパイロットだ!

「僕は悪いことをしているつもりはありません」
うぱ太郎は、はっきりと答える。
「……それは我々と一緒に同行する意思はないと言うことかな?」
真田の表情が少しだけ険しくなる。
「はい。それとあなた方に捕らわれてるウーパールーパーの開放を要求します」
「貴様っ、図に乗るな!」
いきがる清水を手で制し真田は続ける。
「迷惑防止条例違反の重要参考人、および公務執行妨害、場合によっては傷害罪
も付加された上での現行犯逮捕となるが、……引いてもらえる気にはならないか?」
「すみません。力ずくでも僕はあなた方に捕らわれている5匹のウーパールーパーを
救うつもりです」
よどみの無いうぱ太郎の返事に真田は寂しそうに笑う。
「そこまでの志を持っているなら仕方あるまい。我々も職務を遂行する。
国の特別天然記念物に指定されている君を傷つけるのは忍びないが、やむを得まい。
通りすがりのオオサンショウウオ君。公務執行妨害の現行犯で逮捕する」



72 名前:「 グレートサラマンダーZ 」:2009/11/03(火) 15:49:01 ID:vaWykvJu
 真田がそう言った瞬間、鈴木、瀬川がしゃがみ何かを手にする。
うぱ太郎はグレートサラマンダ−Zの開いた口を素早く閉じ臨戦体勢に入る。
 鈴木、瀬川が立ち上がる。
 うぱ太郎、鈴木、瀬川の手を見る。
「あ、網!?」
 しゅばっ!!!
 鈴木、瀬川が網を放り投げる。
「そんなのに捕まるか!」
 うぱ太郎、瞬時に跳ねるボタン押す。
 グレートサラマンダーZ渾身の垂直飛び。
 ばぎゃ!!!
 グレートサラマンダーZの上半身がコンビニ店内の天井板を突き破る。
「!!!!!っ」
 警察4人、グレートサラマンダーZの動きに驚愕。
 網、虚しく床に落ちる。
 じたばたじたばた。
 グレートサラマンダーZ、天井に突き刺さったまま動けない。
「落ち着けっ!」
 うぱ太郎、しっぽ振るボタン高速連打。
 グレートサラマンダーZ、しっぽの反動で天井から抜け出す。
「やばっ!!!」
 グレートサラマンダーZ、背中から床に落ちそうになる。
 ぎゅいん。
 その刹那、バランスセンサー作動! 
 グレートサラマンダーZ、子猫のように身をひるがえす。
 びだっ!
 かろうじて着地成功。
 うぱ太郎、即座に立つボタン押す。
 グレートサラマンダーZ、立ち上がりファイティングポーズ!

「うぉおおおっ!!!!!」
 清水、気合と共にグレートサラマンダーZにタックル!
「負けるなっ!」
 うぱ太郎、来るべく衝撃に備える。
 グレートサラマンダーZ、瞬時にしっぽに重心移動。
 どんっ!
 グレートサラマンダーZ衝撃に耐える。
 清水、うぱ太郎の視界から消える。
「!っ」
 うぱ太郎あせる。 
 清水、電光石火の背負い投げ!
「ぐっ!」
 清水、グレートサラマンダーZの手の短さと重量に背負い投げ不発。
 うぱ太郎、すかさず立つボタン解除。
「うおっ!」
 清水、たまらず逃げ出しグレートサラマンダーZと間合いをとる。


「……真田さん。自分こいつを見くびってました。すいません」
「清水、心配するな俺もそうだ。……どうやら相当の手練のようだな。
しかし、まだまだ手は残っている。みんなしっかり頼むぞ!」
「はいっ!」
4人の警察官が気勢をあげた。

――まだ手は残ってる??? 一体どんな手で来るんだ……
  ……でも大丈夫だ。僕はいま乗れている。
うぱ太郎のエラは虹色に輝きつづけていた。そしてグレートサラマンダーZの
操縦に確かな手ごたえを感じていた。


73 名前:創る名無しに見る名無し:2009/11/03(火) 15:50:43 ID:vaWykvJu
今週分投下。まだまだ先は長い……

74 名前:創る名無しに見る名無し:2009/11/03(火) 21:44:10 ID:hvPbY1wR
今週分キター!

まだ先は長いのか〜でも頑張れ!うぱ太郎も頑張れ!w
最後まで付き合うぜw

75 名前:創る名無しに見る名無し:2009/11/04(水) 19:16:52 ID:CtZmeKHH
可愛いスレタイだな+(・─・)+

76 名前:創る名無しに見る名無し:2009/11/05(木) 00:53:33 ID:ZvjdRvxT
続き待ってるぜ……

77 名前:創る名無しに見る名無し:2009/11/05(木) 19:34:01 ID:BtMptZUS
>74 >76
あり!
話は全然進まないが4レス分たまったのでこれから投下する。

>75
スレタイは可愛いがw

78 名前:「 グレートサラマンダーZ 」 :2009/11/05(木) 19:37:36 ID:BtMptZUS
 グレートサラマンダーZ立ち上がる。
「あなた方に僕を捕まえることは出来ません。5匹のウーパールーパーを解放して
くれれば僕もあなた方を傷つけなくてすみます。お願いします」
 うぱ太郎、強気に出る。
「ぬかせ、化け物がっ!」
 清水、闘志に衰えは無い。
 鈴木、瀬川、構える。
「行けっ!」
 真田の合図と共に鈴木、瀬川それぞれロープの両端を持ってグレート
サラマンダーZに挑む。
「ロープ!?」
 うぱ太郎、一瞬怯む。
 その隙、鈴木、瀬川グレートサラマンダーZの周りを駆け抜ける。
「無駄だっ!」
 ロープ、グレートサラマンダーZに2週巻かれる。
 うぱ太郎立つボタン解除、即アクセル全開!
「うわっ!」
 ずざざざざ。
 鈴木、瀬川、グレートサラマンダーZにロープごと引きずられる。
 2人思わずロープを放しグレートサラマンダーZから距離をとる。
 うぱ太郎、急ブレーキ、立つボタン押す。
 すかさず跳ねるボタン小刻みに連打。
 グレートサラマンダーZ小さなジャンプ繰り返しロープ振り落とす。
「何だと…?」
 真田、表情から余裕が消える。
「喰らえっ!!!!!」
 清水、グレートサラマンダーZに向かって再びタックル。
「負けるかっ!」
 うぱ太郎、冷静。
 ぶすっ!
「!?」
 グレートサラマンダーZに小さな衝撃。
「化け物っ!ライオンも秒殺の麻酔薬を打った。お前もこれまでだっ!」  
「なっ!麻酔っ!!!」
 瞬間うぱ太郎、我を忘れる。グレートサラマンダーZ動作止まる。
 捨て身の一撃。清水、快心の笑み!
 うぱ太郎、気付く。
 動作チェック、跳ねるボタン小刻みに連打。
 グレートサラマンダーZそれに応え小刻みにジャンプ。
 大山椒魚の生体細胞を持っているが、グレートサラマンダーZはモビルスーツ。
 麻酔が効いたかに見えたグレートサラマンダーZ、再始動。
「ば、馬鹿な……」
 清水、茫然自失。
「麻酔なんか効くもんか!」
 うぱ太郎、グレートサラマンダーZ立ち上がったままアクセル入れてパドルシフトで前足操作。
 ずだずだずだずだっ!!!!
 グレートサラマンダーZ、小錦PUSHで清水を粉砕!
「ぎゃっ」
 小さな悲鳴をあげて清水、吹っ飛ぶ。
「清水っ!!!」
 真田、悲痛な叫び。
「……すいません。……右肩もってかれました」
 清水、床に転がり激痛に耐えながら真田に報告。
「分かった。おと「この化け物がーっ!」はまかせろ!」
 真田の声に瀬川が重なる。
 ぱん!ぱん!
 ぼよん、ぼよん。

「…………?」


79 名前:「 グレートサラマンダーZ 」 :2009/11/05(木) 19:41:03 ID:BtMptZUS
 うぱ太郎、混乱。何が起こったか分からない。
 確かなことはグレートサラマンダーZに衝撃2つ。
「馬鹿野郎っ!早まるなっ!」
 真田の制止、瀬川無視。
「死ねっ!!!」
 ぱん!
 ぼよん。
 

 瀬川の手にした拳銃から白煙が上がっている。
 うぱ太郎、全てを理解する。

「…………う、撃たれた?」

 悲しみ、そして怒りがうぱ太郎の中を駆け巡る。
 うぱ太郎のエラがひときわ激しく輝く。そして生まれるどす黒い衝動。

「うわぁあああああぁあああああっ!!!」
 うぱ太郎、あらん限りの声で叫ぶ。グレートサラマンダーZ共鳴。
「う”わ”ぁ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁ”あ”あ”あ”あ”あ”っ”!!!」

 ぱしゃーん!!!!!!!!

 窓ガラス、綺麗に砕け飛ぶ。まるでダイヤモンドダスト。
「!?っっ」
 警察官4人、突然砕けた窓ガラスにたじろぐ。
 うぱ太郎、アクセル全開。立ち上がったまま瀬川に突っ込む。
 グレートサラマンダーZ、瀬川を押し倒す。
「がはっ」
 瞬間でも500キロの巨躯。押し潰された瀬川、悶絶。
 うぱ太郎、すぐさま目標を探す。
 迷わない。ハンドルを切りアクセル全開。同時に跳ねるボタン。
 グレートサラマンダーZ、鈴木めがけてボディアタック。
 ごっ!
 鈴木激しく床に頭部を強打。頭を抱えたまま起き上がれない。
 もう、まともに動けるのは真田一人。

 グレートサラマンダーZ、立ち上がる。
「僕は5匹のウーパールーパーを解放してもらいたいだけです。
さっきも僕は警告しました。……それでもまだあなたは僕と戦うつもりですか?」
 うぱ太郎、極度の怒りせいで声が裏返る。
「……君がこれほど動けるとは予想していなかった。私の負けだ。しかし私も警官
のはしくれ。凶悪犯を前にして逃走する気は微塵も無い」
「僕は凶悪犯じゃないっ!!!!!」
 びりびりびりびり…………。
 グレートサラマンダーZ共鳴、空気を震わす。
 しかし真田は怯まない。
「ウーパールーパーはカウンターの裏にいる。君をおびき寄せるため脅したが
傷つけてはいない。安心してくれ。
……しかし、たいしたものだな。数が多いほうが罠に掛かりやすいだろうと
思っていたが、まさか正確な数までも把握できるとは。
人智を超えた、両生類の友情が成せる技か…………。我々もそうありたいものだ」
「…………」
 うぱ太郎、言葉を出せない。
 真田、小さく笑う。
「無駄話が過ぎたようだ。通りすがりのオオサンショウウオ君。公務執行妨害
ならびに、傷害致死罪の現行犯として君を逮捕する。
……たとえこの手錠が君の手首に廻らなくてもな!」

80 名前:「 グレートサラマンダーZ 」 :2009/11/05(木) 19:42:08 ID:BtMptZUS
 真田、渾身の力で手錠を投げつける。
 うぱ太郎、かわす。
 真田、何かを手にグレートサラマンダーZに突っ込む。
 ぴちっ!ぱちっ!
 真田の手にする、青白く光る何か。
 うぱ太郎、それが何か分からない。
 真田、右手を伸ばしグレートサラマンダーZに触れる。
 うぱ太郎、右手のそれを理解する。 
「スタンガンっ!?」
 ばちっ!!!
「うわっ!」 
 グレートサラマンダーZ内コックピット、一瞬暗闇に包まれる。
 瞬間停電発生!
 視聴覚モニター、ナビモニター、リブート。起動時間約5秒。
「早く!早くっ!!!」
 視界を奪われたぱ太郎、焦燥。
 真田、間髪いれずスタンガンを押し付ける。
 ばちっ!!!
 再び瞬間停電、視聴覚モニター、ナビモニター再起動。
 うぱ太郎混乱、グレートサラマンダーZ動けず。
 真田、スタンガンの威力を確信。
「おとなしくしろっ!」
 真田、何度もスタンガン押し付ける。
「うわーっ!!!!!」
 うぱ太郎パニック。闇雲にしっぽ振るボタン、跳ねるボタン連打。
 落ちてるのはモニターのみ。
 グレートサラマンダーZ、でたらめにしっぽを振る。
「がっ………」
 しっぽ、真田の体を二つに折る。
 かつーん。
「しまっ――」
 真田、しっぽの衝撃でスタンガン放り出す。
 スタンガンを追う真田。
 その瞬間うぱ太郎、立つボタン解除!
 みしっ!!!
「!!!っっっ…………」
 グレートサラマンダーZ前足、真田の左ひざを直撃。
 真田、左足。ありえない方向へ曲がる。
「ぐぁああああああっ!!!」
 うぱ太郎、真田の悲鳴に気付き立つボタン押す。
 グレートサラマンダーZ立ち上がる。
 視聴覚モニター起動。
 左ひざを押さえ苦悶で顔をしかめている真田、表示……



「……僕がやってしまったんだ……」
怪我を負い、戦意喪失した警官達を前にうぱ太郎はつぶやく。
――人間を傷つけない、器物を破壊しない、無理無茶はしない。
うぱ松の言葉が頭の中で何度も復唱される。
(でも、じゃあどうすれば良かったんだ……?)
グレートサラマンダーZを操り、レジカウンタの裏でバケツに閉じ込められている
ウーパールーパー5匹を救出する。
「……ありがとう」
5匹はいずれも激しく震え、衰弱していた。うぱ太郎はいつものように
励ますことや優しい言葉をかけることが出来ず、ありがとうの言葉にも
力の無い笑顔でうなずくしか出来なかった。



81 名前:「 グレートサラマンダーZ 」 :2009/11/05(木) 19:44:15 ID:BtMptZUS
 5匹のウーパールーパーを収容し終え、グレートサラマンダーZを窓枠だけに
なった自動ドアの出入り口に向かわせた時だった。
「待て」
呼び止める真田の声に、うぱ太郎はグレートサラマンダーZを立ち上がらせ振り返る。
左足を負傷しながらも愚直なまで基本に忠実に、両腕で銃を構える真田。

「…………」
「…………」

 張り詰めた静寂が、いる者すべてを無言にさせる。
ふぅ、と息を吐き出す。もうエラは輝いていない。うぱ太郎が沈黙を破る。
「……僕には拳銃の弾も効かないみたいです。さっき撃たれたけどなんとも
なかったです。それでも、撃って気が済むなら撃ってください。
 あなた方を怪我させたことは申し訳ないと思うけど、僕はあなた方に従うつもりは
ありません」

 ぱんっ!
 ぼよん。

 グレートサラマンダーZを真っ直ぐに見据え、真田は撃った。
グレートサラマンダーZの体の中心を弾丸が射抜いたはずだった。
しかし僅かに皮膚に突き刺さっただけでそれは役目を終えた。 
「……僕はウーパールーパーを助けることを悪いことだと思っていません。
だけど、警察まで出てきて、拳銃で撃たれた……」
 うぱ太郎の声が震える。
「……あなた方の正義ってなんですか?」
「…………」
うぱ太郎は涙声になっている。真田は静かに銃を下ろした。
「僕に教えてください!仲間を助けちゃダメなんですか!」
「…………」

 うぱ太郎の涙の問いに、応えられる者はだれもいなかった。
沈黙の後、真田が口を開く。
「……君には君の想いがあるだろう。……だが、私には私の立場と責任がある。
答えにならず申し訳ないが、私に言えるのはそれだけだ」
うぱ太郎のうせび泣く声が響く。真田の表情から険しさが消える。
「……さぁ、もう行ってくれ。我々4人は病院直行だ。救護班に見つかればまた君は
厄介な状況に追い込まれる」
「……すいません」
うぱ太郎はグレートサラマンダーZの姿勢を戻し、真田達を残しコンビニを後にした。
 
――そして秘密基地に戻る移動中、うぱ太郎はずっとコックピットで泣きつづけた。



今日はここまで。

82 名前:創る名無しに見る名無し:2009/11/08(日) 01:18:55 ID:w+Wx3Fjf
…うぱ太郎…真田さん…泣けるぜっ…!
しかし、途中ちょこちょこと笑ってしまったんだぜw

続き待ってる

83 名前:創る名無しに見る名無し:2009/11/19(木) 03:45:36 ID:6hVLnRTE
忙しいのかな?
続きは気になって仕方ないけれど、自分のペースで頑張って欲しい

84 名前:創る名無しに見る名無し:2009/11/20(金) 22:35:46 ID:lZ5RYovX
>83
申し訳ねー。今週あたまから急に忙しくなって続き書けないでいた。
あと他にも考えてるのがあってそっちを先にでかすつもりでいるので
それができ次第こっちに復帰する。目標来週木曜日。
たいして上手くもない文だが暇なら付き合ってくだされ。

85 名前:創る名無しに見る名無し:2009/11/26(木) 17:56:42 ID:JvwxT9Ze
大丈夫、取り敢えず気長に待ってる

86 名前:創る名無しに見る名無し:2009/11/28(土) 14:15:33 ID:uiySCe6m
自分のペースで書いてくれ

87 名前:レス代行:2009/11/30(月) 22:06:48 ID:IssAkPzP
意気揚々と「 グレートサラマンダーZ 」3レス分、投下しようと思ったら規制中だったw

今日はここまで。
当初は週一回投下、今年中に完結を目指していたが忙しくなって時間が取れなくなった為
月3回投下、今年度中完結を目標に続けていく。
小学生の作文レベルwの文だが、一応くだらないがオチはあるので意地でも完結させるぜ!

と、後書きまで作ってたのに何たる仕打ちw
2〜3日待っても規制解除されないようなら長くて面倒をかけるが代行職人に依頼します。
うおー!マジで投下分は出来ているんだー!時間稼ぎしてる訳じゃないんだー(魂の叫びw)

88 名前:「 グレートサラマンダーZ 」 :2009/12/02(水) 06:54:18 ID:87weKCH2

「……ただいま」
「お疲れさん……。どうした、暗い顔して。何かあったのか?」
救出した5匹のうぱるぱと共にうぱ太郎は秘密基地に戻った。
しかし、煙草を吸いながらねぎらううぱ松の姿をまともに見ることは出来なかった。
――事情はどうあれ、僕は約束したことを破り人間を傷つけてしまった……
うぱ太郎の青さがその事実を許そうとしなかった。

「…………うぱ松さん。僕、約束破っちゃいました。僕にグレートサラマンダーZ
に乗る資格はありません」
うぱ太郎の返事に一瞬うぱ松の表情が曇る。
「……話が見えないな。何があったか説明してくれ」
うぱ太郎は重い口を開く。
「……SOS信号拾って、5匹だったんで大至急現場に向かったら警察の罠でした……。
グレートサラマンダーZの素性がばれたらまずいかなと思って、逃げようかと思ったんですけど
5匹もうぱるぱ人質に捕られてて、また罠仕掛けられれば同じ事だなと思って警察と喧嘩したら
いきなり拳銃で撃たれて、それでパニックっていうか頭に血が上って思いっきり暴れてしまって、
4人警察いたんですけど1人は間違いなく足を折って、残り3人もかなりの怪我だと思います」
沈痛な表情でうぱ太郎は語る。間を持った後、うぱ松が切り出す。

「なんだ。そんなことで思いつめてたのか?」
「えっ?」
うぱ松の思いもよらぬ返事にうぱ太郎は耳を疑った。
「大したことはない。俺なんて白バイからパトカーからいろいろぶっ壊したぞ」
「は? ……あの、うぱ松さん? ……話が飛躍しすぎて意味不明です」
うぱ松はニヤリと笑う。

「昔、人間の暴走族に入ってたことがあってな。廃車の軽のターボオートマ車貰って、それ
走りに関係ない内外装全部取っ払ってターボの加給高めてマフラー替えて、コントローラーで
運転できるように部品制作して乗りまわってたんだ。
単車にゃ負けるがバギースタイルでかなり軽く仕上げたからそれなりに速くてな。
音速のうぱるぱ、とは俺のことだ。
原型をとどめないミラターボ。しかも乗ってるのが俺だから注目度は高い。無人の骸骨車が街を
徘徊してる。って新聞沙汰にもなったな。
当然そんな馬鹿なことやってれば警察とか暴走族の奴らに目をつけらる。そのうち一人の暴走族
の頭と意気投合して客人としてチームに招かれた。
俺のいた暴走族は走りのチームだから意図的に警察に喧嘩ふったり、破壊行為をしたりは無かった
が、警察に集会邪魔されて追っかけられたときの気合は凄かった。
俺達も若かったし警察もメンツがあるから意地の張り合いだ。追う側も追われる側も事故者
続発、よく死人が出なかったものだ。数台のパトカーと白バイは事故で潰れたな。
俺もパトカーならなんとかなったがさすがに白バイに追われたときは焦った。頭がケツ持ってくれ
て助かった。若かったな…… 奴もいまは出世して――」
「うぱ松さん。話、長すぎです」
「あぁ、すまん……。ようは気にするなってこった。そんなの気にしてたら俺なんか生きて
いられないぞ。若気の至りだ、小僧はそれでいい。気にするな」

――この人はいったい……
うぱ松の豪快さにうぱ太郎は唖然とする。
「……本当にそれでいいんですか?」
うぱ太郎は戸惑いの表情のまま尋ねた。
「あぁ。歌にもあるだろう、盗んだバイクで走り出すってな。警察とぶつかるのは青春の証だ。
そんなに思いつめる必要は無い。それに危険な者と対峙するのも警察のひとつの仕事だ。
グレートサラマンダーZが危険とは言わないが、得体の知れないものと隣り合わせになるんだ、
それなりの覚悟はしてるだろうし、もっと言えばそういう気概が無い警察を俺は信用しない」
「 …………。」
道交法を無視して純粋に速さだけを求めるファステストモード。そして、人間と戦う為に
作られた訳ではないと言いつつもそれなりに応戦できるフットワークの軽さ。
――うぱ松さん、族上がりっていうか元ヤンだったんだ……。僕と棲む世界が違う……。
驚きの表情で口を開けたまま、うぱ松が作ったグレートサラマンダーZの意味不明な高性能
の訳をうぱ太郎は初めて理解出来た気がした。

89 名前:「 グレートサラマンダーZ 」 :2009/12/02(水) 06:55:56 ID:87weKCH2

「あ、あの……」
うぱ松とうぱ太郎の会話に入れず、傍らでそっと話を聞いていたうぱるぱが2人に声をかける。
医療スタッフに付き添われ、点滴を射した痛々しい姿をしている。
「助けていただいてありがとうございます。警察の人に傷つけたり食べたりすることは無いとは
言われたんですが、毎日毎日定期的に包丁突きつけられて脅されて……生き地獄でした」
「毎日? 毎日とはどういうことですか?」
救出されたうぱるぱの言葉を理解できずうぱ松は聞きなおす。
「正確には三日間ですが、ペットショップから引き取られたら何故か警察署に連れて行かれ
まして、そこで、最近ちまたを騒がしているオオサンショウウオを捕まえるため、人質に
なってもらう。と拘束されて、毎日午後1時から晩の8時くらいまで包丁を突きつけられました……
三日目の今日、助けていただいたわけです」
やつれてはいるものの、ペットとして生まれたそのうぱるぱは、華やかなパステルカラーの身体
がなまめかしかった。
「警察が罠を仕掛けるため、あなた達を三日間に渡り拘束したということですか?」
「……はい、助けて貰えなければ、まだまだ続いたと思います」
「むごいことを」
沈痛な表情でうぱ松は煙草をもみ消す。
「初老の警察の人が世話をしてくれたので、食事や衛生面は問題なかったんですが……」
困った笑顔を浮かべながら救出されたうぱるぱが話す。

「……真田さんだ」
「えっ……。いま真田と言ったか?」
ぽつりと言ったうぱ太郎の一言にうぱ松は動揺する。
「……はい。僕が足を折った、4人いた警察のリーダーみたいな人です……」
「……その人は、……その人は小さくてずんぐりした人か?」
ちょっとだけうぱ松の言葉が詰まる。
「いえ、背が高くて痩せ型でした。知っている人ですか?」
「……いや、違うな。……どうやら人違いだ」
うぱ松は考え込む。
「……どうしてその真田さんが世話をしてくれたと思う?」
「……そういう感じのする人としか言えないんですけど、なんて言うか、立場としてグレート
サラマンダーZの敵だけど、本当は好き。みたいな……。あと、警察の応援の人が来る前に
僕達を逃がしてくれたし……」
気まずそうにうぱ太郎は下を向いている。
「そうか……。……まぁ、そういう警察の人がいるなら嬉しいな」
そう言ってうぱ松は新しい煙草に火を着けた。

「あの、うぱ太郎君?」
「は、はい…」
綺麗なお姉さんうぱるぱに名を呼ばれてうぱ太郎は緊張する。
「助けてくれてありがとう。君とサラマンダーZ? カッコよかったよ。仲間同士助け合う
ことは悪いことじゃないんだから、うぱ松さんの言うように警察の人怪我させたのはそんなに
気にしなくていいんじゃないかな。拳銃で撃たれたんだから正当防衛にもなるしね」
「……あ、ありがとうございます。そう言ってもらえるとなんか救われたような気がします」
うぱ太郎は照れくさそうに笑う。
「……うぱ太郎。おまえ、俺の言ったことじゃ救われなかったってことか?」
綺麗なうぱるぱを前に動揺しているうぱ太郎を見てうぱ松はにやけている。
「いえ……、その、うぱ松さんは豪快すぎて僕には無縁の世界だなって……」
「まぁいい。誉め言葉として受け取っておく。俺はこれからグレートサラマンダーZの様子を
見る。うぱ太郎、おまえは明日、明後日と基地には来ないで静養してくれ。おまえの思うところ
もあると思うが、まず今日のことは余り気にするな。これからもっと厳しいことがあるかもしれ
ないしメンタル面でタフなことがあるかもしれない。だがおまえはグレートサラマンダーZの
パイロットだ。多少の事で弱音を吐かれても困る。少し落ち着いて考えてみてくれ」
――僕に足りないのは勇気と覚悟だ……
「……わかりました」
答えはすでに出ていた。しかしうぱ太郎の心の中で小さな葛藤が芽生え始めていた。

90 名前:「 グレートサラマンダーZ 」 :2009/12/02(水) 07:00:38 ID:87weKCH2

――何故、真田のおっさんが……? あの人はもう現場に出るような歳でも役職でもない……
  
 グレートサラマンダーZに聴診器をあてながらうぱ松は考え込んでいた。
うぱ太郎が気にしないようにと人違いだと言ったが、グレートサラマンダーZが足を折った真田は
うぱ松が知る真田と同一人物だった。

――曲がったことが嫌いな人だ。うぱ太郎が言うようにうぱるぱの世話をしたのは充分ありえる。
 しかし、真田のおっさんは人質をとってまでグレートサラマンダーZを捕まえようとするタイプ
 の警官ではない。 
 いろいろぶつかったし、随分世話にもなった。……だが、何故今更出てくる?
 考えすぎだろうか? 単なる偶然と思いたいが……

 グレートサラマンダーZの皮膚にめり込んだ弾丸を取り除き、傷口に塩を塗りながら
グレートサラマンダーZとうぱ太郎の前に突如現れた、縁故ある警官の名にうぱ松は困惑する。


 うぱ松の荒治療でグレートサラマンダーZの弾痕の跡はあっさり消えた。
そしてうぱ太郎も開き直ったのか覚悟を決めたのかあっさりうぱるぱ救出活動を再開した。
警察の罠にはまり、真田の足を折った3日後のことだった。


「またしても、とてつもなく嫌な予感がする。……けど、逃げちゃダメだ」
うぱ太郎とグレートサラマンダーZは、とある地区のコミュニティセンターの前に立っていた。
小さなホールや会議室があり、その地区での催し物や会合、懇談が行われる2階建ての施設だった。
広い駐車場には多くの車が停まり、妙なアンテナをつけた車もある。
「……まさか、うぱるぱクッキングセミナーとか開かれているんじゃ……」
ナビに表示されたうぱるぱは3匹。けして多い数ではないが、SOSの発信場所とその数が
うぱ太郎を不安にさせる。
「逃げちゃダメだ。……気持ちを強く持て。行こう!」
警察の罠のことは忘れられない。しかし、うぱ太郎は覚悟を決めた。

「あの、すいません。僕通りすがりのオオサンショウウオなんですけど、なぜかこちらに
3匹のウーパールーパーが迷い込んだみたいで探しに来ました」
「えーと、山椒魚さん。奥のホールでなんかやってるからそっち行ってみて」
眼鏡をかけた施設の管理人と思われる者が応える。
「……ホールですか。わかりました、ありがとうございます」
緊張と不安と共に、うぱ太郎はグレートサラマンダーZをホールに向けて前進させた――


 コーヒーと煙草をやりながら図面を引いてる時だった。秘密基地のスタッフが大慌てで
うぱ松のいる部屋に飛び込んできた。
「うぱ松さん大変です!一大事です!」
「どうしたそんなに慌てて。熊でも出たか?」
コーヒーに口をつけうぱ松は軽口をたたく。
「何馬鹿なこと言ってるんですかっ!これを見てください!!!」
「ぶはっ!!!!!!!」
うぱ松はコーヒーを噴き出した。
「馬鹿な……。何が起こってる……?」
製図机の図面はコーヒーでびだびだになった。
しかし、それすらも忘れてしまいそうな程の衝撃をうぱ松は喰らった。


【 緊急特別番組 ウーパールーパーを食するのは是か非か!?
 ウーパールーパーを救う通りすがりのオオサンショウウオ氏、生出演 】


 スタッフが大慌てでつけたテレビ画面の向こうでは、番組案内のテロップと共に
心もとなげに立ち尽くしているグレートサラマンダーZの映像が流れ続けていた――――

91 名前:創る名無しに見る名無し:2009/12/02(水) 07:02:47 ID:87weKCH2
今日はここまで

92 名前:創る名無しに見る名無し:2009/12/02(水) 19:18:39 ID:kbVQZtrV
ウーパールーパーの天ぷら

93 名前:創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 04:51:37 ID:8x8XTX2T
投下お疲れ様。

94 名前:「 グレートサラマンダーZ 」:2009/12/10(木) 23:07:00 ID:vS9jeUZI

「こんにちは。僕、通りすがりのオオサンショウウオなんですけど、管理人さんに言わ……?」
グレートサラマンダーZを立ち上がらせ、観音開きの大きなドアを開けホールの中に入った。
そこでうぱ太郎を待っていたのは、なぜか数台のテレビカメラとマイクを持ったレポーターだった。

 照明係がグレートサラマンダーZに光をむける。コックピットの視聴覚モニターが一瞬真っ白に
なり徐々に色をとり戻す。。
テレビカメラ、眩しい照明、マイクを持った人達がモニターに映し出される。
状況を理解出来ないうぱ太郎とグレートサラマンダーZはただ呆然と立ち尽くす。

「……何ですか、これ?」
やっとの思いで発した一言を皮切りに、一人のレポーターが話し始める。
「はい、最近ちまたで評判になっているウーパールーパーを救う大山椒魚さんにぜひ
お話を伺いたいと思いまして、申し訳ないですがウーパールーパー3匹にご協力いただいて
大山椒魚さんをこちらに呼んでいただきました」
紺のパンツスーツの女子レポーターは屈託のない笑顔で、グレートサラマンダーZにマイクを
向けた。

――また、罠?
うぱ太郎の表情がよどんだ。
しかし気持ちとは裏腹に、思いがけないことを口にする。

「…………どっきりカメラですか?」
「いえ、正真正銘のテレビ番組です。いま生放送で全国に放送されています」
「……生放送? ……僕、いまテレビに出てるんですか!?」
「はい。懸命にウーパールーパーを救出している大山椒魚さんをぜひとも見たいと視聴者の
皆さんからたくさんのご要望がありまして、誠に勝手ではありますがこの場を設けさせて
いただきました」
女子レポーターの笑顔は絶えなかった。

――すごい。僕、いまテレビに出てるんだ。……誰か録画しててくれないかな。
罠に嵌められてテレビに出ているという事実を忘れ、うぱ太郎は浮き足立った。



――のん気に構えてる場合じゃないぞ、うぱ太郎!
テレビ画面に映るグレートサラマンダーZにうぱ松は苛立っていた。
「何故こんな番組を流しているのか大至急、テレビ局に問い合わせろ。念のためこの
コミュニティセンターの使用予約をとった人物も調べてくれ」
早急に指示を出し、テレビを険しい目で眺めつづける。

――平日の午後2時とはいえ、全国ネットの番組で露呈されるのは週刊誌に載ったどころ
 の話じゃない。 誰かが仕組んでいるのか……?
戦慄をも覚えるうぱ松に対し、画面の中ではうぱ太郎がテレビカメラを意識してか妙なテン
ションの高さでレポーターの質問に答えていた。



95 名前:「 グレートサラマンダーZ 」:2009/12/10(木) 23:09:50 ID:vS9jeUZI

「ある一部の地域で、ウーパールーパーを食べようとすると、大きな山椒魚が現れて
ウーパールーパーを救っていくということが起こって話題になっていますが、それは
大山椒魚さんのことで間違いないですか?」
「はい。多分僕で間違いないと思います!」

「大山椒魚さんの仲間といいますか、ほかにもウーパールーパーを救う大山椒魚は
存在するのでしょうか?」
「多分、僕だけだと思います!僕みたいに大きい山椒魚はあまりいないと思うし」

「何故、ウーパールーパーが危機に面していることが分かるんですか?」
「なんていうか、そういう電波感じちゃうんですよ。ウーパールーパーの悲痛な叫び
が聞こえると言いますか。まぁ僕も毎日パトロールしてるわけじゃないんで残念ながら
聞き漏らすというかその電波を拾えないときもあるんですが」」
女子レポーターの明るく調子よさげな雰囲気にうぱ太郎も饒舌になっていた。

「大山椒魚さんの姿を見た一部の人が、すごく怖かった、と言っていますが、大山椒魚
さん本人はそれについてどう思われますか?」
「容姿が怖いのは自覚しています。水中でも陸上でも口閉じてのしのし移動している
ときは自分で言うのもなんですが可愛いというか愛嬌があると思っているんですけど、餌を
とるときやウーパールーパーを救うために威嚇で大きく口を開けたときはかなり怖いと思い
ます」

 レポーターの目が好奇心でキラキラと輝いている。
「……失礼ですが、怖いもの見たさなんですけど口あけてもらっていいですか?」
「……いいですけど、ショック受けられると僕もショックなんですが……。
……ついでに言うとテレビで放送するのには適していないと思うんですけど……」
うぱ太郎、ちょっとだけためらう。

「……大丈夫です。……心の準備は出来ています。それに視聴者の皆さんも望んでいます」
「そうですか……。……じゃあ、威嚇のポーズとります」
グレートサラマンダーZの頭をぐるりと回した後、うぱ太郎は口を開けた。

 ぱかっ!

「うわっ!怖っ!!!」
心の準備は出来ている。と言ったにも関わらず、レポーターは派手に飛びのいた。
「……だから言ったのに」
「……すいません。大山椒魚さんかなり怖いです。エイリアンも真っ青ですよ」
すぐさまレポーターに笑顔が戻った。
「……エイリアンですか。さすがにそれはショックですよ」
と言いつつもコックピットの中でうぱ太郎は笑っていた。
――楽しい。気持ちいい。
テレビカメラを向けられ、ちやほやされて、うぱ太郎は完全に舞い上がっていた。


96 名前:「 グレートサラマンダーZ 」:2009/12/10(木) 23:12:09 ID:vS9jeUZI

「すいません。私からもいいですか?」
女子レポーターとじゃれあうグレートサラマンダーZに男が声をかけた。
平凡なスーツと眼鏡。しかし男はきわめて挑戦的な目つきをしていた。
どうぞ、と声をかけ女子レポーターは場所を男に譲る。

「早速ですいませんが大山椒魚さん。あなた、実は大山椒魚の格好をしたロボットで、中で
ウーパールーパーが操縦している。という噂を聞いたことがあるのですが、それについて
どう思われますか?」
「!?」


――馬鹿な!何故そんな噂が流れる! 
テレビ越しにうぱ松が凍りついた。
しかし心配するうぱ松をよそに、画面の中のうぱ太郎は滑らかな口調で答えた。


「やだなぁ。そんな馬鹿なこと有る訳ないじゃないですか。僕のどこを見たらロボット
なんですか。そりゃあ普通の大山椒魚に比べればちょっと大きいですけど、れっきとした
平凡な大山椒魚ですよ。まぁ、この地区ではあまりほかの大山椒魚見ませんけど」
「失礼、あなたの大きさはちょっとどころじゃないですよね。普通の大山椒魚ならいくら
大きくなっても全長1.5メーター。大抵は大きくても1メーター前後です。
しかし、あなたはその2倍いや3倍近くもある。人為的作為的なものを感じるのですが」

男の際どい質問にもうぱ太郎は動じなかった。
「あー、もしかしたら僕、ゴジラみたいに放射能で突然変異で大きくなったかもしれませんね。
あれ?近くに原子力発電所あったかな?
いずれにしても生身の大山椒魚なことは確かですよ。なんでしたら僕の口の粘膜とか皮膚の
一部でDNA鑑定でもしてもらいますか?」
「……いえ、結構です。あくまでも噂話ですので」

男はあっさり引き下がる。しかし眼鏡の奥の眼差しは死んでいなかった。
「話は変わりますが、あなたはウーパールーパーを救う一方で、人間を襲っているらしいですね?
それについて話をお伺いたいと思います」

――え?
うぱ太郎は凍りついた。

 ざわ・・・ ざわ・・・
ホールに緊張が走る。しかし男の眼差しはグレートサラマンダーZを捕えつづけていた。



97 名前:創る名無しに見る名無し:2009/12/10(木) 23:14:40 ID:vS9jeUZI
今日はここまで

98 名前:グレートサラマンダーZ:2009/12/31(木) 15:36:33 ID:Mg9N5d9j
 ワインレッドのカーテンときれいにワックスの掛かったフローリングの床。
壁に収納された階段式客席がなければ、小さな幼稚園の体育館を思わせるホール。
ざわつく10数名のテレビ放送スタッフレポーター。そしてグレートサラマンダーZに
鋭い視線を浴びせ続ける男。
 その中で無言のパイロットを乗せたグレートサラマンダーZは、見捨てられたマネキン
人形のように身動きひとつ出来なかった。

――警察とケンカしたこと言ってるのかな。でもしょうがなかったんだ。正当防衛だし……
 この人たちから見れば僕とグレートサラマンダーZは悪者なのか……
 バカだ。罠だと分かっててなんでテレビなんかに舞い上がってしまったんだろう?
 

「……僕は、……僕は人間を襲ったりしてません」
 重い空気の中、うぱ太郎の口が動く。しかし、その言葉に覇気はなく歯切れも悪い。

「私の確認したところでは、あなた3日前、警察官4人を半殺しにしたそうじゃないですか?
これは噂話でも何でもない。私はその4人の警察官と面会している。
命に別状はないものの、左膝複雑骨折、右肩脱臼右腕骨折、頭がい骨ひび割れ骨折、肋骨
骨折と四人が四人とも骨折という重傷だ。
 普通、警察に呼び止められたり職務質問をされた場合、常識のある人や身に覚えのない人
ならけして暴れたりはしない。まして相手は4人の警察官、まともな人なら無駄な抵抗は
しないはずだ。しかし、あなたは警官相手に派手に暴れてしかも重傷を負わせている。
 大山椒魚さん。ウーパールーパーを救うと言うのは建て前で、あなたは本当は単に人間を
傷つけたいだけじゃないんですか?」
勝ち誇ったような笑顔で男はグレートサラマンダーZに問い掛ける。

「……違います」
うぱ太郎のエラが虹色に輝く。か細い声は僅かに震えている。

「いや、違わないでしょう。現にあなたはウーパールーパーを救う際も、さっき見せた凶暴な
姿で人々を脅してウーパールーパーを無理矢理奪回している。直接危害を加えてはいないが
平和的解決とは程遠い暴力行為そのものだ。精神に与えるダメージは計り知れないものがある。
それでもあなたは人間を襲ってないと言えるのですか?」
「違うっ!!!!!」
 ぴしっ!
「うわっ!!!」
1台のテレビカメラのレンズが割れる。
ホールに仕付けられたガラス、照明器具は防音対策がなされているのか惨事には至らない。
 男の言葉が終わる間際だった。
うぱ太郎は叫んだ。グレートサラマンダーZが共鳴し空気が揺れた。
瞬時にしてテレビスタッフ達の顔色が変わった。もうそこに友好的な笑顔は無かった。

99 名前:グレートサラマンダーZ:2009/12/31(木) 15:37:17 ID:Mg9N5d9j
「……すみません興奮しました。悪気はないんですゴメンナサイ」
騒然とするテレビスタッフに対しうぱ太郎はカメラを壊してしまったことを素直に謝った。
そして震える声で続けた。

「……確かに僕は警察の人に暴力をふるいました。でも、……言い訳にしかならないけど
僕だって好きで怪我させた訳じゃないんです。
あのとき警察は僕を捕まえようと5匹もウーパールーパーを人質に捕ったんです。
それで問答無用で僕を警察署に連れて行こうとした。
僕はウーパールーパーを助けることは悪いことだと思っていません。それは今もかわりません。
生意気な言い方かもしれないけど、僕はウーパールーパーを助けることに使命を感じています。
 ……でも警察は違った。
『両生類のくせに生意気なこと言うな』と罵られた。それで僕も頭に血がのぼってちょっと
手荒な真似はするけど意地でも5匹のウーパールーパーを救おうと思って反抗した。
警察があの手この手で僕を捕まえようとしました。当然僕は捕まりたくないから抵抗しました。
その際、警官1人を跳ね飛ばしました。
 ……そうしたら、いきなり拳銃で撃たれた」
脳裏に浮かんだ白煙の上がった拳銃がうぱ太郎を苦しめる。

「暴れる凶悪犯を前に、警察が威嚇射撃するのは別に問題ないと思いますが?」
思わぬ展開に進んだ話を修正すべく男が言う。

「……僕は凶悪犯じゃありません。それに威嚇射撃じゃなかった。警告も何もなくいきなり
2発拳銃で撃たれた。責任者みたいな警察官は止めてくれたけど拳銃を撃った人は聞く耳持たずで
さらに『死ね!』って言いながら僕を撃った……
 一瞬、何が起こったのか分かりませんでした。幸か不幸か僕の身体は頑丈だったので死なないで
済みましたけど、拳銃を持った警官からは言葉通り『殺意』を感じました。
 僕は見た通りウーパールーパー……。ウーパールーパーと同じ両生類でしかも、他の固体から
比べればかなり大きな山椒魚で化け物に見えても仕方がありません。
でもそれだけの理由でこんなにも憎まれないといけないんですか?
ウーパールーパーを救おうとしただけで拳銃で撃たれて死ななければならないんですか?」
うぱ太郎は震える声で静かに答えた。そしてうぱ太郎のエラも静かに輝きつづけていた。

「あなたの言いたいことも分かります。しかし警官が発砲するのはそれなりの訳があってだ。
そしてその理由を作ったのは大山椒魚さん、あなた自身ではないのでしょうか?」
想定していたシナリオからずれたのか、男の表情は渋い。
うぱ太郎の返事はない。
そして重苦しい雰囲気の中、グレートサラマンダーZの小さな変化に女子レポーターが気付く。

「……大山椒魚さん。もしかして泣いているんですか……?」

100 名前:グレートサラマンダーZ:2009/12/31(木) 15:37:44 ID:exJVU0W1
 食い入るようにテレビを見つめるうぱ松のもとに秘密基地スタッフが飛び込んでくる。
「うぱ松さん。どうやらこの放送はある特定の企業もしくは人物が、お金にものを言わせて
テレビ局に無理矢理ねじ込んで放送させているようです」
「馬鹿な。金にものを言わせてって生放送で全国放送だぞ。それにこう言うのもなんだが
この地区でしか通用しない通りすがりの大山椒魚だ。こんな訳の分からない番組を全国放送
で流されたら番組スポンサーだって黙っていないだろう」
あまりに突拍子のないスタッフの言葉にうぱ松は耳を疑った。

「……それが」
「それがどうした?」
スタッフもにわかに信じがたい表情をしていた。が、気を取り直し続ける。
「今日を含め前後3日間、午後1時から5時までの時間帯、いつでも番組の差し替えが出来る
ようにその企業もしくは人物がその時間帯の番組枠を莫大な金額を払って買い取ったようです。
たぶんその中には正規の番組スポンサーへの迷惑料も含まれているでしょう。
さらに今グレートサラマンダーZがいる施設も、以前からあった予約はすべてキャンセルされ
無理矢理押さえられたようです。お金のなせるわざですが……
推測ですが、既に3日前から罠は張られていて、テレビ局の人はずっとあそこで待機していたの
ではないかと思われます」
「馬鹿な……」
うぱ松は絶句する。

――週刊誌、テレビ放送。グレートサラマンダーZがロボットという事実を知っている男。
 グレートサラマンダーZがロボットだと言うことを知っているのは基地のスタッフ、救出
 されたうぱるぱ以外知る者はいない。
  ということは以前週刊誌に写っていたあの蛍光ピンクのうぱるぱが絡んでいることに
 間違いはない……。
  そしてグレートサラマンダーZの出動パターンや移動ルートを調べあげたのだろう。そうで
 なければピンポイントでテレビで放送する時間帯を狙って罠を仕掛けることは出来ないはずだ。
 疑いたくないが最悪の場合、この基地に内通者がいることも考えなければならない……。
  ここまで来れば警察の罠も偶然ではあるまい。そして俺と真田のおっさんの関係も調べあげた
 と考えたほうが妥当だろう……。
 ……巨大な何かが動いている。……グレートサラマンダーZを晒しあげてどうするつもりだ?

「……その企業か個人、特定することは出来ないのか?」
姿の見えない揺るぎない圧力にさいなまれながらも、うぱ松は口を開く。 
「ある程度は把握出来ていますが、事を起こしている黒幕なる人物が特定できません。
少し時間をいただければなんとかなると思います。かなりの大物なのは間違いないでしょう」
「分かった、ありがとう。引き続き調査を宜しく頼む」
はい。と返事を残しスタッフは部屋を後にした。

――うぱ太郎すまない。今の俺には何もしてやれない。つらいだろうが乗り越えてくれ……。
圧倒的な現実を前に、うぱ松にはグレートサラマンダーZが映るテレビをただ眺めることしか
出来なかった…………

101 名前:グレートサラマンダーZ:2009/12/31(木) 15:38:29 ID:Mg9N5d9j
今年の投下はここまで。正月は暇。次は早めの投下を目指す。

102 名前:「 グレートサラマンダーZ 」 :2010/01/11(月) 21:21:38 ID:+LizPzyG

「……大山椒魚さん。もしかして泣いているんですか……?」

――!?

 女子レポーターの呟きに、うぱ太郎は無意識に自分の瞼を拭う。

「え……? ……いや、泣いていない……です」
「でも……」
 女子レポーターの表情には同情の色が見え隠れしている。

 思いださずにはいられない罠の悪夢がうぱ太郎の心に重くのしかかる。
うぱ太郎と共鳴したグレートサラマンダーZのつぼらな眼からは、まるで人知れず浜辺で産卵
する海ガメのようにさめざめと涙を流れ続けていた。
 悔しかった。苦しかった。
ウーパールーパーを救うことが認められなかったこと。人間を傷つけたいだけではないんですか?
と男に問われたこと。理由はどうであれ、警察官4人を骨折という重傷を負わせたこと。
煉獄の炎のようにそれらはうぱ太郎の青き心を炙り続けた。


 しかし折れかかった心を奮い起こすかのように、うぱ松の言葉がうぱ太郎の頭の中にこだまする。

(おまえはグレートサラマンダーZのパイロットだ。多少の事で弱音を吐かれても困る)

――そうだ。泣いてちゃダメだ。気持ちを強く持て!


 うぱ太郎は大きく深呼吸をして感情を整える。
そして流れる涙を拭いコックピットの中で自らの頬を叩き気合を入れ直した。

「ああ、すいません。目から出てる涙というか液体ですよね?
これあれですよ。大山椒魚って興奮したときとか外敵を威嚇するとき、嫌な感じの粘液を
出すんですよ。本当は体からしみ出るんですが僕の場合何故か目から出るんですよね。
スイマセン。さっきちょっと興奮しちゃって今頃出てきちゃいました。気にしないで下さい」

 うぱ太郎は意地を見せた。
 依然としてグレートサラマンダーZは涙を流し続けている。絵になると判断したのか
テレビカメラがここぞとばかりグレートサラマンダーZの表情をアップで追い電波に乗せる。
それでもうぱ太郎は涙やテレビスタッフのことは気にせずに喋り続けた。

「取り乱してすいません。えー、ご指摘の通り警察の人に危害を加えたのは事実です。
それにウーパールーパーを助けるときに人間を怖がらせて気絶させたりしたこともあります。
でもそれはあくまでウーパールーパーを救うためであって、僕自身が率先して人間を襲ったり
脅したりしたことはいままで一度もありません。
 これからも僕はパトロールを続けるし、その際食べられそうになっているウーパールーパー
がいたら出来る限り助けたいと思っています。その時はさっきみたいな怖いポーズをとるかも
しれません。だけどそれはあくまでもウーパールーパーを食べようとする人に対してであって、
ウーパールーパーを食べない人にはけして暴力をふるったり脅したりはしません。
普段の僕はいたっておとなしいので安心してください」

 うぱ太郎に声の震えはなく、しっかりとした口調に替わっていた。
しかし何故かグレートサラマンダーZは延々と涙を流しつづけていた。



103 名前:「 グレートサラマンダーZ 」 :2010/01/11(月) 21:22:39 ID:+LizPzyG

「あなた開き直ってるんですか? その言い方じゃウーパールーパーを食べる人には
暴力をふるうということじゃないですか、冗談じゃない。
大山椒魚さん。あなたは素直に罪を認め、今すぐにでも警察に自首すべきだ!」

 眼鏡の男は食い下がる。しかし他のテレビスタッフは涙を流す大山椒魚に夢中で
男の質疑に耳を傾けるものは誰もいなかった。

――逃げるなら今だ!
 
 グレートサラマンダーZの涙が幸いし、テレビスタッフは珍獣や愛くるしい小動物を見る
ような和やかな瞳でグレートサラマンダーZの周りを取り囲んでいる。
この時を待っていたかのようにうぱ太郎は声を大にして主張した。

「ゴメンナサイ。僕の犯した罪は認めます。
ただウーパールーパーを食べようとする人がこの世にいる限り、僕はパトロールを続けます。
警察に出頭する気はありません。すみません。
ウーパールーパーと人間が仲良く暮らせる日が来たら、喜んで警察に出頭したいと思っています。
 皆さんもご存知の通り、僕ら大山椒魚は共食いのせいもありますが、過去に多くの数を人間に
食べられたり、自然環境の変化悪化により住める場所が少なくなったりと年々減少の一途を辿り、
絶滅の危機に瀕しています。
 同じ両生類の仲間として、ウーパールーパーが僕たちと同じ道を辿って欲しくないんです。
単なる一過性のブームでゲテモノ趣味です。食べてもそんなに美味しくないと思います。
だからどうかお願いします。ウーパールーパーを食べるのはやめてください。そしていままで
通りペットとして可愛がってください。全国の皆様、どうぞよろしくお願いします!!!
ご清聴ありがとうございました。そろそろ時間なんで僕はこれで失礼します」

 言い終わるやいなや、うぱ太郎はハンドルを切りアクセルを強く踏み込んだ。

「おわっ!」
 突然きびすを返したグレートサラマンダーZに驚き男はよろける。

「ちょっと待ってくださいっ! 逃げるんですかっ!!!」
 しかし男が呼び止めても無駄だった。グレートサラマンダーZはすたこらさっさと逃げだした。
その逃げ足の速さにあっけにとられながらも、よろけている男を横目に女子レポーターは笑っていた。
そして思い出したように、あっ!とひと声あげる。

「大山椒魚さーん。ウーパールーパー忘れてまーす!」

 確かにその声はうぱ太郎に届いた。
しかし、グレートサラマンダーZは振り返ることなくテレビスタッフの集まったホールを後にした。


104 名前:創る名無しに見る名無し:2010/01/11(月) 21:24:52 ID:+LizPzyG
今日はここまで。
次回投下で前半終了。まだまだ先は長い。

105 名前:創る名無しに見る名無し:2010/01/11(月) 21:27:23 ID:Hycs1bKj
規制解除おめ

106 名前:創る名無しに見る名無し:2010/01/11(月) 21:56:56 ID:+LizPzyG
>105
あり!


107 名前:「 グレートサラマンダーZ 」 :2010/01/17(日) 09:23:29 ID:bIQQPjt0

 コミュニティセンターを飛び出したうぱ太郎は目的もなくただひたすらにグレート
サラマンダーZを走らせていた。

――なんとか誤魔化せたかな……?
 ある意味警察に宣戦布告したんだから、罠とか気をつけないといけないな。
 うぱ松さんの影響か。僕はもう戻れないところまで来てしまったのかもしれない……

 つい今しがたの出来事がうぱ太郎の脳裏をよぎる。
グレートサラマンダーZまでもが涙を流すというアクシデントはあったが、ウーパー
ルーパーを食べる人々に自分の考えをテレビを通じて投げかけられたこと。そして
その後、するりとその場から逃げ出せたことをうぱ太郎は少なからず満足していた。

(盗んだバイクで走り出すってな。警察とぶつかるのは青春の証だ)
どこまであてにしていいのか分からないうぱ松の言葉を思い浮かべ、うぱ太郎は苦笑する。

――パトロールって気分じゃないし、基地に戻る気にもなれない。……海にでも行こうかな?

 グレートサラマンダーZを道路脇に停め、ナビ画面を操作しルートを検索する。

【 行き先『海』現場到着予想時間:ファステストモード25分、ノーマルモード40分
  どちらかを選択してください。
  なお、ファステストモード選択の場合、川を泳いで河口を目指します 】

「あはははは、川を泳いでってなんだ?」
ナビモニターの表示する思いがけない文字にうぱ太郎は独り喜び笑う。

――僕は無力だ。……でもグレートサラマンダーZに乗れば僕は自由だ。

 投げやりになっている訳でも自暴自棄になっている訳でもない。
それでもうぱ太郎はファステストモードを選択せずにはいられなかった。
 覚悟を決めるというほど大袈裟なことでもない。
しかし少し無茶をすることによって弱い心を打ち消せるような気がした。
そして過去の涙を忘れ強い心を持てるような気がした。
シートベルトを締め直し、うぱ太郎は意を固めナビのタッチパネルに指を伸ばした。

 ヒュイン!ヒュイン!ヒュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ――――ン!

 勝手にモーターがうなり始め、タコメーターの針が跳ね上がる。
 アスファルトを蹴りつけ、グレートサラマンダーZは猛然と走り出す。
 加速重力に耐えながらうぱ太郎はナビ画面や周囲の状況を確認する。
 疾走を続けるグレートサラマンダーZ。3分程で幅広の川に沿って走る道路に辿り着く。

 ここだっ!!!
 うぱ太郎の意思にシンクロするかのようにグレートサラマンダーZ、大ジャンプ。

 ざっぱぁああ―――んっ!!!

 ガードレールを飛び越えて一気に川に着水。
 グレートサラマンダーZはその身を雄大にくねらせて川の流れに乗る。
 警察はおろか人間さえいない水の中。
 うぱ太郎とグレートサラマンダーZの行く手を遮る者はもはやどこにもいなかった――――



108 名前:「 グレートサラマンダーZ 」 :2010/01/17(日) 09:26:07 ID:bIQQPjt0

 グレートサラマンダーZの姿を流すテレビ放送が終わり、うぱ松はなんとかその場を
無事に切り抜けたうぱ太郎を心の中でねぎらっていた。
そして煙草を咥え火を点けようとしたところで、再び秘密基地スタッフが飛び込んでくる。

「うぱ松さん。黒幕が判明しました……」
「……早いな。一体誰の差し金なんだ?」
「俗称で申し訳ないのですが老人Xと呼ばれる謎の人物です。氏名年齢経歴不詳でけして
表に出ることはない人物ですが、かなりの力をもった大物のようです」
「……老人Xだと?ふざけてるのか?」
あまりにも訳の分からない情報にうぱ松の表情は険しくなる。

「いえ、大真面目です。信じられないような逸話しか確認できませんがとんでもない
大富豪で、各界への影響力もとてつもなく大きいようですです。例えば経済面についてですが、
老人Xが今の円高は宜しくない。と呟いたら5分で1円、ドルが急騰したらしいです。
その後、さっきのは失言じゃ。と言ったら5分で2円、逆に円高が進みました。
どうやら為替市場を混乱させるだけの影響力を老人Xは保持しているようです!」
これでどうだと言わんばかりにリサーチスタッフは力説する。

「……悪いがその逸話のどこが凄いのか俺には分からん。他に何かないのか?」
経済問題はさっぱりなうぱ松の返事に、リサーチスタッフはすかさず新たな逸話を切り出す。
「じゃあ、これはどうでしょう? 老人Xの初孫が『遠足でディズニーランドに行きたい』
と言ったら『よし。おじいちゃんが手配してあげよう』と言って孫の通っている幼稚園の
遠足のためだけに東京ディズニーランドを1日貸切にしたそうです」

「……ディズニーランド貸切って幾らかかるんだ?そもそも貸切にできるのか?」
「さぁ、見当もつきません。まだあります。老人Xの親戚の娘さんの結婚式の際ですが、
その娘さんがファンと言うことを聞きつけたらしく、さして立派でもない結婚披露宴で、
余興のカラオケで歌を歌わせるためだけにセリーヌディオンを来日させたらしいです」
あまりにも馬鹿げた話にうぱ松は呆れ顔を隠せない。
「……タイタニックのテーマでも歌わせたのか?」
「トゥー・ラヴ・ユー・モアじゃないでしょうか? まだまだあります――」
「……もういい」
煙草をくゆらせ諦めたかのようにうぱ松は煙を大きく吐き出した。
「とにかく我々一般人には想像もつかないような大富豪なのは間違いないようだな。
しかし問題はその老人Xが何故グレートサラマンダーZにちょっかいを出してくるかだ」
「それなんですが、老人Xは大のウーパールーパー好きで有名らしいのです……」
リサーチスタッフの表情が曇る。

「……いや、それならグレートサラマンダーZを支持してもおかしくないだろうに」
「勘違いしないでください。好きは好きでもウーパールーパーを『食べるのが好き』です。
どうやら今のウーパールーパーを食べるブームも、老人Xが影で巻き起こしたようです。
それゆえウーパールーパーを食べるのを阻止しようとしているグレートサラマンダーZは
老人Xにとって厄介者なのです……」
「……金持ちのうえにゲテモノ趣味か。最悪だな」
うぱ松は頭をかかえた。
「えぇ、最悪です」
リサーチスタッフも頭をかかえた。

「ありがとう。まだまだ仮想の敵の域は出ないがどんな些細なことでもいい。
その老人Xについて出来る限り情報を集めてくれ」
「分かりました」

――老人Xか……。我々は魑魅魍魎の世界に踏み込んでしまったのか?

 スタッフが立ち去り、独り残った部屋でうぱ松は溜め息をつく。 
そしてあらためて煙草に火を点け、資料を収めている机から1枚の図面を取り出した――――


109 名前:「 グレートサラマンダーZ 」 :2010/01/17(日) 09:27:32 ID:bIQQPjt0

「うおーっ!!!!!」
誰もいない浜辺でうぱ太郎ははしゃいでいた。
グレートサラマンダーZをアクセルを踏み込み、寄せては返す波と戯れる。
川を泳いでいる際に動作は確認したが川の中と海の中では勝手が違いスムーズにグレート
サラマンダーZを動かすことが出来なかった。だが逆にそのことがうぱ太郎の闘志を燃やす。

「とりゃー!!!!!」
波に乗れと言わんばかりにひたすらうぱ太郎はグレートサラマンダーZを泳がせた。
しかしいまいちグレートサラマンダーZの泳ぎはぎこちない。
水中を華麗に舞うイルカのイメージで操縦するうぱ太郎だったがグレートサラマンダーZの
泳ぎはばたばたとのたうちまくり、イメージとは程遠い。

「……もともとの生まれが川だから海は苦手なのかな?」
海から上がりグレートサラマンダーZを砂浜で歩かせる。
固い地面を移動している時と違い砂に足をとられるのか、グレートサラマンダーZの
動きには精彩がなくもっさりした足取りだった。

 気の赴くままに海に来てしまったので確認の為、うぱ太郎はグレートサラマンダーZを
立ち上がらせて周囲を確認した。海に入り込む河口のせいか海水浴場になりうるような施設
も無く静かな場所だった。釣りにでも来ているのか遠くに数台のワゴン車が停まっている。
 グレートサラマンダーZの姿勢を戻し、足場のいいところまで移動させる。そして
疲れた。とひと言呟いてうぱ太郎はぼんやりと海を眺め始めた。


――!?っ

 少しの時間眠っていたのだろう。
うぱ太郎が気がついた時、視聴覚モニターには既に小さな女の子の姿が映っていた。
女の子の無垢な瞳はグレートサラマンダーZにまったく動じていない。

――急に動いたらびっくりするだろうな。……そっと逃げよう。

 うぱ太郎はゆっくりとグレートサラマンダーZのアクセルを入れた。その瞬間だった。

「お母さーん、見て見て! でっかいトカゲいるーっ!」

――トカゲ!?

 思わずうぱ太郎は笑い出した。そしてアクセルから足を離し女の子の周囲を見渡す。
散歩にでも来ていたのか少し離れた場所に大型犬に引きずられるように歩く母親らしき
人がいる。そして娘の声に誘われるようにグレートサラマンダーZに近づいてきた。



110 名前:「 グレートサラマンダーZ 」 :2010/01/17(日) 09:29:35 ID:bIQQPjt0

「あら、こんにちは。テレビ見ましたよ大山椒魚さん」
「えっ……? えー、こんにちは。そうですか見られちゃいましたか……」
テレビカメラの前で泣いたのを思い出しうぱ太郎は急に恥ずかしくなり赤面する。
「お母さん、トカゲに乗ってみてもいい?」

――えっ!?

 女の子の大胆な発言にうぱ太郎は身を硬くする。
「だめだめ。まずはじめにこの人はトカゲじゃないの。オオサンショウオさんだよ。
それにオオサンショウオさんお仕事で疲れてるから無理なお願いしちゃダメ」
「おーさんしょーお?」
「そう、オオサンショウウオ。オオサンショウウオさん毎日困っているウーパールーパー
ちゃん助けているんだよ。偉いね」
「へー、えらいね」
「…………」

――僕のしてきたことは間違いじゃないんだっ!

 何気ない親子の会話に感動し、案の定うぱ太郎の瞳は涙で潤む。

――僕のことを認めてくれる人がいる。

 嬉しかった。偉いね。と言ってくれる人がいるだけでうぱ太郎には充分だった。
そして感激のあまり速攻で安請け合いをする。

「あの、ちょっと背中汚れてるけどそれでも良かったら乗ってください」
「えっ、でも……」
母親はためらう。しかしその隣で女の子はらんらんと目を輝かせている。
「お名前はなんていうの?」
「その子ですっ!」
「いくつですか?」
「5さいですっ!」
「その子ちゃん、背中乗りたい?」
「うんっ!」

 女の子の歯切れのいい返事にうぱ太郎の心も弾んだ。
「いいんですか?」
「ええ、どうぞどうぞ。短い時間なら構いません」
決めかねる母親を促すようにうぱ太郎は明るく答える。
「背中滑るから気をつけてね。両手もついてなきゃだめだよ?」
「うん、わかったっ!」
「すいません。じゃあ、お言葉に甘えて、そのちゃん。落ちないようにしてね」
そう言って母親は娘をグレートサラマンダーZの上に抱えあげた。

 そっとそっとうぱ太郎はグレートサラマンダーZを動かした。
 のっし。のっし。のっし。のっし。のっし。のっし…………
「わー、うごいた。すごいすごい!」
グレートサラマンダーZの背中の上で、四つん這いになって乗っている女の子の声が弾けた。
母親に連れられて隣を歩く白いグレートピレニーズは、ゆったりと大きく尻尾をふりながら
珍しいものを見るかのようにグレートサラマンダーZをおとなしく眺めていた。



111 名前:「 グレートサラマンダーZ 」 :2010/01/17(日) 09:30:33 ID:bIQQPjt0

「僕も大きいですけどその犬も大きいですよね?」
「そー、たいへんなんですよ。散歩が」
「その子ちゃんはその犬にも乗りたがるんですか?」
「それはもうお約束ですね。幼稚園の友達が遊びに来たときは大騒ぎです」
母親とありきたりな世間話をしながらうぱ太郎はゆっくりとグレートサラマンダーZ
を歩かせ続けた。

――みんながみんなウーパールーパーを食べる訳じゃないんだ。いい人もいるんだ!

 うぱ太郎は感動に満たされていた。
無理もなかった。グレートサラマンダーZを操りうぱるぱ救出活動をする立場上、
どうしてもウーパールーパーを食べようとする人間と接する羽目になる。
そこにグレートサラマンダーZに好意をもってくれる人はいない。
 たまたまテレビを見ただけかもしれないが、グレートサラマンダーZを初めて見た人に
偉いねと誉められたことで今までの苦労すべてが報われたようにうぱ太郎は感じていた。

「そのちゃん、そろそろ降りようか?」
「うんっ!」
グレートサラマンダーZの背中に女の子を乗せて3分ほど歩いた頃、母親が娘に声を掛ける。
うぱ太郎はゆっくりと歩みを止める。グレートサラマンダーZの背中から母親が娘を抱き降ろす。

「そのちゃん、オオサンショウウオさんにお礼言わないといけないね」
「うん。おおさんしょーおさん、ありがとう!」
「いえいえ、どういたしまして」
女の子の笑顔のお礼に、うぱ太郎もグレートサラマンダーZの中で笑顔で答える。
「大山椒魚さん、ありがとうございました。私の家ではウーパールーパー食べないし
これからも食べるつもりはありません。いろいろと難しい問題だとは思いますが応援して
ますのでこれからも頑張ってください」
「ええ、ありがとうございます。そう言ってもらえると嬉しいです。頑張ります」

 母親の別れの言葉にまたしてもうぱ太郎は感動する。
一生懸命バイバイと手を振る女の子にうぱ太郎はグレートサラマンダーZ尻尾を振って
応える。

 些細な偶然が重なっただけだった。たまたま運が良かっただけだと言っていい。
それでもうぱ太郎は優しい人間とふれあえたことに喜びを感じ幸福感に身をゆだねていた。

――海に来てよかった。僕は間違っていないんだ!

 ナビを操作し、うぱるぱ秘密基地帰還画面を呼び出す。
夕暮れにはまだ時間がある。しかしうぱ太郎の心ははやる。
 一刻も早く秘密基地に戻りたかった。
そして見ず知らずの人に偉いねとグレートサラマンダーZが誉められたことを、うぱ松や
秘密基地のスタッフに報告したかった。

【 秘密基地帰還 現場到着予想時間:ファステストモード25分、ノーマルモード65分
  どちらかを選択してください。
  なお、ファステストモード選択の場合、道路交通法を若干無視する場合があります 】

ファステストモード選択。うぱ太郎の小さな指には、もう何の迷いも無かった――――


112 名前:「 グレートサラマンダーZ 」 :2010/01/17(日) 09:32:00 ID:bIQQPjt0

【  GS―R(グレートサラマンダーレーシング)                 】
【  :眼からレーザービーム(たぶん無理)                    】
【  :口から催涙ガス、もしくは空気銃、水鉄砲(コンプレッサの性能次第)     】
【  :尻尾からスカンク並みの嫌な匂い(コンプレッサの性能次第。だがカッコ悪い) 】
【  :手足に隠しナイフもしくは隠し爪(一番現実的)               】


「俺も馬鹿だな…………」

 お蔵入りになったグレートサラマンダーZのプロトタイプの設計図を眺めながら、うぱ松は
ぽつりと呟いた。

 ウーパールーパーが人間に食べられてしまうようになってから1年以上経とうとしていた。
グレートサラマンダーZの開発成功。そしてグレートサラマンダーZを意のままに操るパイロット
の出現。何事も無く進むと思われていたうぱるぱ救出活動……
しかし当初のうぱるぱ救出活動計画は警察や何者かの暗躍でけして成功したと言えるものでは
なかった。

――うぱるぱ救出活動……。グレートサラマンダーZうぱ太郎コンビだけで何とかなる
 と思っていたが対抗する人物が現われた以上、こちらも次の手を打たなければならない。
 しかし、これから開発を始めて間に合うだろうか……?
  人間を傷つけるつもりはない。だが老人Xなる人物の出方次第ではある程度の武装が
 必要かもしれない……。いずれにしてもグレートサラマンダーZの2号機は必要だが……


 安っぽいアルミの灰皿は吸殻の山になっている。
週刊誌にグレートサラマンダーZをすっぱ抜かれたこと。うぱ松と縁のある警察官が
グレートサラマンダーZを逮捕しようとしたこと。莫大と思われる費用をかけグレート
サラマンダーZの姿をテレビで放送し、その存在を派手に世間へ露呈されたこと。
秘密基地リサーチスタッフが懸命に老人Xについて調べたように、老人Xがうぱるぱ救出活動
について念入りに調査しているに間違いないとうぱ松は考える。

――ここまで来たら行くしかないのか……?

 咥えた煙草から灰が落ちる。
見えない敵、老人X。しかし直接的な危害迫害を受けていないことがうぱ松を迷わせる。

 うぱ太郎とグレートサラマンダーZはまだ帰還していない。
居慣れたうぱるぱ王国秘密基地の一室。うぱ松は独り苦悩する……。



:第2章 「 うぱ松、苦悩する。」 完

次回より 第3章 「 うぱ太郎、絶叫する。」へ突入



113 名前:グレートサラマンダーZあらすじ :2010/01/17(日) 09:34:34 ID:bIQQPjt0

いままでのグレートサラマンダーZ

:プロローグ
>39
プロローグとエピローグを間違える。
 
:第1章 「 グレートサラマンダーZ、出動する。」
>45>47>50-52>59-61
うぱるぱ王国秘密警察によって強制的に秘密基地に連行されたうぱ太郎は
うぱ松と出会い、無理矢理グレートサラマンダーZのパイロットに任命される。
そこでいきなりグレートサラマンダーZに乗り込みパトロールに出動する。

:第2章 「 うぱ松、苦悩する。」
>64-66>69-72>78-81>88-90>94-96>98-100>102-103>107-102 
うぱるぱ救出に励むも、週刊誌に載ったり警察に捕まりそうになるなど、にわかに
グレートサラマンダーZの周囲が騒がしくなる。そしてまさかのテレビ出演。
うぱ松はうぱ太郎達を援護する為グレートサラマンダーZ2号機の開発に着手しようかと迷う。


これからのグレートサラマンダーZ

 :第3章 「 うぱ太郎、絶叫する。」
テレビ出演をきっかけにグレートサラマンダーZは一躍人気者になる。
また、うぱ太郎の涙の主張が功を奏したのかウーパールーパーを食べる人は激減する。
そんなある日うぱ太郎はパトロール中、久しぶりにうぱるぱSOS信号を受信する。
グレートサラマンダーZと共に駆けつけたうぱ太郎は廃墟の中の地獄絵図に愕然とする。
そしてうぱ太郎とグレートサラマンダーZは最悪の状況に追い込まれていく……

 :第4章 「 グレートサラマンダーZ、○○○○○○る。」
適当超展開。

 :エピローグ

大ボケかましたのでプロローグにする。
いまのうち謝っておいたほうがいいような脱力系のオチ。


約1500行×40文字で完結のつもりが前半終了で既に改行込みで2000行突破wと
かなり長くなっているが、なんとか今年度中の完結を目指す。



114 名前:創る名無しに見る名無し:2010/01/21(木) 21:57:56 ID:NiDCltU6
テストテスト
ウーパールーパーで創作するスレ+(・─・)+



115 名前:創る名無しに見る名無し:2010/01/21(木) 22:13:36 ID:NiDCltU6
テストテスト
ウーパールーパーで創作するスレ+(・─・)+

116 名前:創る名無しに見る名無し:2010/01/22(金) 01:24:23 ID:63pmp/4P ?2BP(0)
ししゃもLv.2があらわれた!
http://geki.excite.co.jp/watch/s_04b4b86e6f1a5462cea09d4fe72ff28e/

すれち?まぁ箸休めて気に。。。

117 名前:創る名無しに見る名無し:2010/01/22(金) 10:23:51 ID:mp7ntI3W
>116
作った人なのか?
ほのぼのしてて面白かった。
しかし何故にししゃも。どこでレベルアップしたのか気になるぜw

118 名前:創る名無しに見る名無し:2010/02/22(月) 05:31:03 ID:5jdExKip
神スレ

119 名前:創る名無しに見る名無し:2010/03/06(土) 17:23:34 ID:BCQ4HHQV
この世にウーパールーパーなどという名前の生き物はいない。
あれは商標。
シンディ・ローパーから層化信者の企画会社が考えた名前

120 名前:創る名無しに見る名無し:2010/03/06(土) 17:23:34 ID:UTok6vV4
まぁ、そのあれだ。
来月から本気出すw

121 名前:創る名無しに見る名無し:2010/03/08(月) 16:22:34 ID:9+mFJK3t
http://loda.jp/mitemite/?id=924.jpg

122 名前:創る名無しに見る名無し:2010/03/09(火) 16:17:13 ID:xjgyGX3U
>>121
こんな生き物とリアルに遭遇したらきっと逃げるw

123 名前:代行:2010/03/09(火) 22:16:04 ID:TdFRq+Af
>121
乙。しかし正直ちょっと怖いw
そして思い浮かべるのは太陽の塔。

124 名前: ◆VECeno..Ww :2010/03/13(土) 10:55:52 ID:Boy1p5gi
>>121
初めまして。
創作発表板内でクロスオーバー企画「マジック・ザ・モナリングin創発板」を行っている者です。
企画に使用するために貴方の絵をお借りしてもよろしいでしょうか?
お返事をお待ちしております。

125 名前: ◆VECeno..Ww :2010/03/13(土) 10:58:21 ID:Boy1p5gi
【企画の概要】
2ちゃんねる 創作発表板を題材にトレーディングカードゲーム「Magic the Gathering」(通称「ギャザ」「MTG」等)の二次創作を行う企画です。
イラストには皆さんが創作発表板内に投稿された絵を、(許可を戴いた上で)用いて、創作発表板内の人気スレを紹介しつつ
最終的には全249種類のエキスパンション(カードセット)完成を目指します。
・最終的にはプリントアウトして遊べるようになります。
・セット内には創作発表板内の他のスレッドのカードも含まれます。
・商業、営利目的ではありません。コミケ等への出店予定もありません。

カードに加工する際にはイラストはタテ228×ヨコ311までトリミングor圧縮されますが、基本的にそれ以外の加工は一切行いません。

現行スレ
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1230763934/l50
まとめ
http://miacis-joke.hp.infoseek.co.jp/mtm/souhatsu/index.html

126 名前:創る名無しに見る名無し:2010/03/13(土) 21:13:18 ID:bhs5dYCL
久々に見た気がする
しかし毎度ながら誰得な企画だ

127 名前: ◆VECeno..Ww :2010/03/14(日) 11:05:02 ID:EgSKV3rQ
>>126
企画を通じて板内の他のスレを紹介したり、創発板全体の外部への宣伝になってみたり、総じて板の活性化に繋がればと。

128 名前: ◆VECeno..Ww :2010/03/21(日) 19:57:27 ID:zcqXdsf9
>>121
ありがとうございました。

----
これ以降に投下されるイラスト募集については>>490のまとめスレ内で行います。
興味のある方は是非。

129 名前:創る名無しに見る名無し:2010/03/23(火) 18:08:18 ID:Kcoe2Fei
「ねえ知ってる?ウーパールーパーって唐揚げになっても笑顔のままなんだよ」

130 名前:創る名無しに見る名無し:2010/03/23(火) 18:29:34 ID:Kcoe2Fei
130get

131 名前:創る名無しに見る名無し:2010/05/26(水) 00:18:26 ID:D5Uo55bf
 男は名を上げたかった。俺はいつまでもこんな所でくすぶっているような器じゃない。
そういう自負があった。生まれ育ったこの地の景色も見飽きた。外の世界に出る。
そしていっぱしの人物になって、故郷に錦を飾るのだ。そう決意した。

「母ちゃん、止めるなよ。男にはやらなきゃならねえ時があるんだ」

「でも、外は怖いところだし、お前の事が心配で……」

「心配すんなよ。俺はそう簡単にはくたばらねえ。夢がかかってるからな」

 夢――それは彼にとって、何物にも代え難い代物だった。小さな故郷から一歩も出た事がなく、
たいした知恵も、何の権力もない彼が唯一人に自慢できるもの、それが腕力だ。
だから彼は、それにすがった。こぶし一本で這い上がってやる。その思いだけで生きてきた。

「ぜってえチャンピオンになって帰ってくるぜ」

 母は何も答えなかった。ただ、袖を濡らして泣いていた。彼はその姿を脇に見て、
振り返ることなく去っていった。時がくるまで帰ってくるまいと誓って。








「おい、これやっぱりいまいちじゃねえか?」

「贅沢言うなよ。出された食い物は文句を言わずにおいしく頂いとけ」

「だってよう、ただでさえ見た目まずそうなのに」

「だから言ったじゃねえか。ウーパールーパーの唐揚げなんてやめようって」

 男――ウパ太郎が創発トーナメント会場に辿り着く事はなかった。

132 名前:創る名無しに見る名無し:2010/06/25(金) 02:26:44 ID:LtISg8u5
http://u6.getuploader.com/sousaku/download/265/%E3%82%A6%E3%83%91SD.png

133 名前:創る名無しに見る名無し:2010/06/25(金) 02:48:58 ID:ysKaiujm
可愛いのになんかキモいwww

134 名前:創る名無しに見る名無し:2010/06/25(金) 08:06:25 ID:Ct7tjIw6
熱線吐きそうなウパだなw

135 名前:創る名無しに見る名無し:2010/06/27(日) 20:45:52 ID:tCzTY2zS
ああん? あに見てんだよコラァ

って感じw

136 名前:創る名無しに見る名無し:2010/07/14(水) 11:34:07 ID:J2XoHFVD
バイオミラクル ぼくってウーパー


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