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【処女】ボーイッシュ【貧乳】

1 :半漁 :2006/05/25(木) 21:45:29 ID:5efJ5Z0H
第一人称が僕もしくは俺の女の子が好きな人の為に作られました。
ボーイッシュに萌え

2 :名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 22:29:26 ID:b5p1oRBV
一人称が「僕」、「ボク」ならいいが「俺」はいやだなぁ

3 :名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 23:32:14 ID:0+qWDuqU
ボーイッシュといえばスパッツ

4 :名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 23:40:33 ID:49ocTpl/
スカートの中はブルマがデフォ

5 :名無しさん@ピンキー:2006/05/25(木) 23:42:47 ID:5efJ5Z0H
オナニーすらした事のないボーイッシュに俺は・・・・・テラ萌えす(´∀`)

6 :名無しさん@ピンキー:2006/05/26(金) 03:08:03 ID:IH2LJ0Zo
関連するかもしれないスレ

気の強い娘がしおらしくなる瞬間に… 第5章
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1147086214/
男装少女萌え【7】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1135621044/

7 :名無しさん@ピンキー:2006/05/26(金) 18:44:30 ID:iMvqp2Si
保守

8 :名無しさん@ピンキー:2006/06/01(木) 12:28:14 ID:hZ7mYiHb
>>4
スカートの中はスパッツでしょーやっぱ

9 :名無しさん@ピンキー:2006/06/02(金) 00:14:05 ID:WeNzcpuo
ボーイッシュおにゃのこには角オナニーが良く似合う
スパッツ少女が昇り棒や一輪車のサドルでアソコの気持ちよさに気付いちゃう話きぼん

10 :名無しさん@ピンキー:2006/06/02(金) 19:07:41 ID:O+e8jWS7
ルキアたん

11 :名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 13:14:11 ID:y+rf0/fm
保守

12 :名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 13:34:59 ID:nb2UUp+J
「あたし」とか「うち」はダメ?

13 :名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 23:43:19 ID:nb2UUp+J
投下したいんだがここ何人くらいいる?

ついでにあげ

14 :名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 23:48:10 ID:0HFgBo2V


15 :名無しさん@ピンキー:2006/06/03(土) 23:54:32 ID:H6R9sgcC
おいっす。 楽しみにしてます。

ところで、長髪のボーイキャラってあり?

16 :名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 00:25:32 ID:5gObSH0m
ノシ
俺の好みタイプなので発展期待。

17 :名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 00:49:32 ID:DFP4rkEl


激しく希望

18 :名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 00:58:35 ID:yTkxBXP7
自分が思うボーイッシュを書いてくれぃ(´∀`)ノシ

19 :13:2006/06/04(日) 01:11:30 ID:+NCzmbfu
・幼なじみではないが腐れ縁
・1人称あたし、二人称あんた
・強がりの恐がり
・やや貧乳の処女
・黒髪ショート
・エロの序盤はやや強引系

‥‥といった感じの予定。明日移項に完成しだい投下しまつ。

20 :名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 04:42:51 ID:IQG5JMg3
楽しみっす

21 :名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 05:33:57 ID:5gObSH0m
楽しみに待ってます。頑張って下せぇ。

22 :名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 08:48:03 ID:wZPgP+Yq
2人称アンタに萌え(*´Д`)

23 :名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 08:50:01 ID:X0eLO1uU
wktk

24 :名無しさん@ピンキー:2006/06/04(日) 15:29:37 ID:DFP4rkEl
wktkしてお待ちしておりますw

25 :名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 02:38:20 ID:HLK255ot
このスレはオリキャラ限定スレですか?
一人称が僕の女の子・・・漏れはキノとビコと・・それ位しか思いつかんorz

ボーイッシュ萌え(*´Д`) >>19氏に禿しく期待w

26 :名無しさん@ピンキー:2006/06/05(月) 23:55:08 ID:74Wjw1fB
なんでもいいんじゃね?
まぁ、自分的にはオリキャラの方がいいかな。

27 :名無しさん@ピンキー:2006/06/06(火) 05:53:27 ID:nD1UrQb1
・従姉妹
・ブラは未だ付けてないがちょっと膨らみ始めた頃。
・耳年増な処女。自分のに触れたこと無い。
・スパッツを愛用。スカートはいた事無い
・水泳部。水着の日焼け跡がくっきり。
・一人称がアタシ。二人称が君。
・黒髪で、ショートかポニテ
・八重歯
・自分より背が小さい
・ハスキーボイス


こんなかんぢの少女に萌えますな。どうでしょう?

28 :名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 00:59:19 ID:F7dzWZny
良いではないか。

29 :名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 01:37:52 ID:jXqX7uRd
個人的には長身ボーイッシュというのも趣があって良いと思います

30 :名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 02:50:32 ID:XymVUaZ9
一人称がアタシならポニテかな
ボクならショートも可

31 :名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 06:33:39 ID:zb9dm11Z
>>29-30
ふと長身ポニテ娘とショートのボク娘が初めての性教育後、百合に走り出しそうになるという混同デムパが来ますた









ごめん、暗号解析後の文章化誰か頼みます
(´・ω・`)

32 :名無しさん@ピンキー:2006/06/07(水) 15:40:20 ID:jXqX7uRd
擦れ違うけど
BLEACHのたつきがドストライクです。

33 :名無しさん@ピンキー:2006/06/08(木) 00:16:47 ID:+GDk9A3U
>>31
とりあえず、解析を箇条書きで。

・ヒロインAは長身ポニテ娘
・ヒロインBはショートでプチばボクっ娘
・出だしは保健体育
・ムラムラきちゃってヒロイン同士でキス
・慌てて其処で終了
・処女なのにムラムラ感が納まらず彼氏を誘っちゃうポニテ娘
・ムラムラ感が治まらず、知識だけはあったので初めてのオナヌーをしようとしたところを従兄に見られちゃうボクっ娘

・セクロス
・セクロス

こんな感じでヨロシかろうか?
文章化は職人さんに依頼する。

34 :名無しさん@ピンキー:2006/06/08(木) 15:21:03 ID:ddooPgK1
んー、処女っつーことで、セクロスまで逝かず、ペッティングかヲナヌー迄ってのが良いっす。


セクロスしても、ボーイッシュ≒元気ハツラツなため、膜は既に破けてたーってなかんぢ?
(激しいスポーツをしていると、未通でも破けて無い時が有るとか無いとか…)

35 :名無しさん@ピンキー:2006/06/08(木) 22:49:52 ID:0AhqXVX6
なんかボーイッシュな子と言われると幼馴染みがイメージとして出てくるのは俺だけか?
因みに俺の彼女(幼馴染み)、ソフトボールやってて、お互い初めての時
処女膜が無かったorz・・あいつもボーイッシュだもん・・スカートも穿かねえし・・
何度も問い詰めたよマジで・・

取りあえずSS一本書いてみまつ。気長にお待ちくださいな♪

36 :名無しさん@ピンキー:2006/06/09(金) 20:44:28 ID:zyYIwIzg
ワクワクテカテカ(0・∀・)

37 :名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 05:41:24 ID:0BPt1g+N
ボーイッシュな女の子が短パンの股の部分ずらして勢い良く立ちションするシーンは萌える?

38 :名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 12:55:25 ID:JpDHjZ3e
http://www.tora-gy.com/

39 :名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 17:42:42 ID:KcMJfVhW
>>37
かなり萌えるよ。
>>35
期待して裸で待っている。
いつまでも・・・・・・・・・

40 :37:2006/06/10(土) 17:55:12 ID:0BPt1g+N
>>39
股の部分ずらしてから元に戻すまでの全手順は、どんなのがいい?

41 :名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 18:02:42 ID:GSgyDk7H
男装スレと話題が重複している件

42 :名無しさん@ピンキー:2006/06/10(土) 21:35:11 ID:RAObJDw3
>32
幼馴染でボーイッシュで空手少女でCには見えなくていいキャラだ。
問題なのは作中で殆ど出番がな(ry。スレ違うから以降は黙る。

43 :名無しさん@ピンキー:2006/06/11(日) 00:30:01 ID:27g29hVR
>>41
そのうちずれると思う。

少女男装とボーイッシュは違う。

44 :名無しさん@ピンキー:2006/06/11(日) 09:49:00 ID:Lj4pholR
リアルな話はこちらへどうぞ。

ボーイッシュな彼女って part2
http://sakura01.bbspink.com/test/read.cgi/hneta/1142755191/l50

45 :名無しさん@ピンキー:2006/06/11(日) 10:50:22 ID:d3ThLk+d
ボーイッシュな女の子が短パンの股の部分ずらして勢い良く立ちションするなら、どんな場所がいいかな?

46 :名無しさん@ピンキー:2006/06/11(日) 14:02:22 ID:Rd6qNYGe
陸上とか自分の出番がせまってるのに尿意を催してトイレに行ったら清掃中で
「えーいっ!物陰のとこでやっちゃえ!」
で変態に見つかってレープ

47 :45:2006/06/11(日) 14:30:32 ID:d3ThLk+d
>>46
股の部分ずらして立ちションするの?

48 :名無しさん@ピンキー:2006/06/11(日) 15:34:10 ID:+X/69IjI
一言…


ボーイッシュな処女だから良いのだよ!
性に溺れていない乙女だから良いのだ!



やはり、皆はレイープ願望や、バージンゲット願望ですか?

49 :45:2006/06/11(日) 15:40:12 ID:d3ThLk+d
>>48
それは同意できる部分が多い・・・
ボーイッシュな女の子は処女のほうが価値があると思う
強姦されて処女を奪われるのはエロいシーンかもしれないが、処女の価値を失う萎えのほうが大きい
だから、強姦などされずに処女を守り抜くほうが萌えるよ

50 :名無しさん@ピンキー:2006/06/12(月) 18:53:19 ID:n3Aopoib
自分の家で尿意を催してトイレに行ったら家族が使用中で
「えーいっ!庭木のとこでやっちゃえ!」
で短パンの股の部分ずらして勢い良く立ちションする

51 :名無しさん@ピンキー:2006/06/13(火) 12:27:19 ID:IN8f7LI5
ボーイッシュと親父クサイの境目は?

52 :名無しさん@ピンキー:2006/06/13(火) 23:26:44 ID:lRV8/BPq
というか何故に立ちションの話がある?
外見ボーイッシュでも恥じらいは最低限あるだろ。

53 :名無しさん@ピンキー:2006/06/14(水) 00:27:44 ID:4jy4ubXW
男装スレで何かと理由付けて主人公の前で立ちションしなきゃいけないってネタシュチュ引きずってるだけ
つかこのスレで男装スレ覗いてるヤツ挙手


54 :名無しさん@ピンキー:2006/06/14(水) 01:16:21 ID:r+EbOCOn
まぁ、区別出来て無いのが結構居るんだろうな。


55 :41:2006/06/14(水) 01:40:58 ID:OS2bBykZ
ノシ

しかし点呼してどうするんだ?

56 :名無しさん@ピンキー:2006/06/14(水) 05:16:19 ID:ys/duzeH
)ノ

57 :48:2006/06/14(水) 05:59:05 ID:KR+9ZUrx
おいらはみてないーよ
(∞゚=゚∞)

58 :名無しさん@ピンキー:2006/06/14(水) 17:28:12 ID:oBVsLaJR
えちねたのボーイッシュスレなら見てるが

59 :名無しさん@ピンキー:2006/06/16(金) 18:34:32 ID:GOszgZKZ
誰か書いてクレー

60 :名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 01:07:26 ID:Tt6ZAjYI
唯ひたすらに待つ

61 :名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 18:19:16 ID:KvUlsOqy
オレも待つ。

62 :名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 21:35:08 ID:lg9ZxW0V
まだまだ待つ。

63 :名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 23:47:15 ID:y+P11TIh
待ち続けるそして、神が・・・・

64 :ネ申:2006/06/21(水) 23:50:04 ID:0xUrHaJi
>< 

65 :名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 13:40:43 ID:HzfPDzq+
ただひたすらに待つ。

66 :伊南屋 :2006/06/22(木) 18:31:07 ID:Jf+yy9Do
出張SS書き伊南屋(いなみや)です。
シチュエーションやらキャラ設定やらしてくれたら書きます。

67 :名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 19:03:40 ID:VHoW6HxM
【シチュエーション】
●ボーイッシュな女の子が短パンの股の部分ずらして勢い良く立ちション

【キャラ設定】
北野由香・・・10歳、ボーイッシュな女の子、一人称は「僕」
いつも立ちションで、座ってすることは滅多に無い

68 :名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 19:09:14 ID:d1YiwdBw
http://music.geocities.jp/mkyph564/h.htm

69 :伊南屋 :2006/06/22(木) 19:40:43 ID:Jf+yy9Do
あ〜…書くって言っといてなんだが立ちションはいくら何でもファンタジー過ぎて無理。
だっていくらなんでもそこはしゃがむだろう。

70 :名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 20:39:25 ID:d6zYqsbe
俺的にはスパッツより腿丈くらいのハーフパンツかキュロットも良い

71 :名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 21:09:17 ID:VHoW6HxM
【シチュエーション】
●水着を着た女の子が股の部分ずらして勢い良くおしっこ出す

【キャラ設定】
北野由香・・・10歳、ボーイッシュな女の子、一人称は「僕」
水泳が得意で、水着を脱ぐのが面倒だから股の部分をずらしておしっこする

72 :名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 21:12:56 ID:0JvDv218
シチュエーションってか妄想

主人公は明るい色のショートヘアの女の子。バスケ部でキャプテンやってたり、スポーツ万能で明るい人気者だけど彼女には悩みがある。
それは貧し過ぎる乳房ともう一つ。
とりあえず揉まれれば乳房が発達すると聞いた彼女は幼馴染みに協力してもらい、巨乳大作戦を始める。
そして幼馴染みは彼女がショートヘアにしている理由が明るい色の髪が嫌だからだと知り……。


すみません、ただの妄想です。

73 :伊南屋 :2006/06/22(木) 21:55:53 ID:Jf+yy9Do
72のネタ使って良い?

74 :名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 22:45:35 ID:bVXtmN+n
人からネタをもらわないと書けないような字書きは要りません><;

75 :伊南屋 :2006/06/22(木) 22:52:36 ID:Jf+yy9Do
それもそうですね…
自力で頑張ります

76 :名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 23:57:17 ID:vqXZRbld
立ちション立ちション言ってるやつ多いな・・・

77 :名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 00:13:32 ID:BseBBq5k
自分もそう思う

78 :名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 01:49:27 ID:QnIHAKko
>>74
人からネタっていうか、リク貰うの他のスレでよく見るけど。
てか、まだこのスレには一つも投下されてないからそんなのいってられないと思うけど……。

79 :名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 02:28:31 ID:lyxTv2zk
おにゃのこがたとえボーイッシュだろうと、立ちションはおっさんぽくってやだな…
ボーイッシュってのは、男の子っぽい。でも実は秘めた乙女心を持ち合わせてるところが良い!

一切恥じらいなく、オッサン的な行動多いと逆に萎える…

80 :名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 06:08:32 ID:cJBfmRnv
ボーイッシュとボーイッシュの百合なんかどうだい

81 :72:2006/06/23(金) 08:19:23 ID:F0SblzjG
自分としては使って貰えるなら、全裸で待つ構えです。

82 :名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 18:19:56 ID:DiZtcjTm
すでに全裸だオレ

83 :かがり :2006/06/23(金) 18:22:59 ID:t5kebr9p
それは違うと思います。

84 :名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 20:01:16 ID:lyxTv2zk
>>80
wktk

85 :名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 19:48:15 ID:6spWpiOG
ごめん・・・百合はちょっと・・・

86 :名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 21:04:11 ID:/mbxahsb
男に黙ってりゃ可愛いとか思われるのが好み

87 :名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 18:33:57 ID:XxCFXxcS
性知識が全くないぐらいがいいな

88 :名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 20:07:55 ID:G7Ujm80x
妄想膨らみっぱなしだよ・・・

89 :名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 20:14:17 ID:iaMsFAr0
>>87
『アタシ保険体育の時間ずっと寝てたんだよね〜♪…え、教えてくれるの?ラッキー♪明日のテスト内容友達に聞きそびれちゃってたんだよ〜』てな感じで、幼なじみの男子宅へ


こうですか?

90 :名無しさん@ピンキー:2006/06/27(火) 20:58:14 ID:6CdxVGr+
jj

91 :87:2006/06/27(火) 21:16:34 ID:XxCFXxcS
>>89
そのまま続きを

92 :89:2006/06/28(水) 06:21:50 ID:gen4eUqo
>>91
残念ながら、私の文章力は皆無なので続きは脳内ホカーンですorz

93 :89:2006/06/28(水) 19:17:56 ID:gen4eUqo
非常に幼稚&読みにくい文&中途半端で書き逃げでも良ければ早くて今晩書けるかな…シチュエーションは組めるが、いかんせん小説を余り読まんもんでな。

94 :87:2006/06/28(水) 19:20:47 ID:nhRzRafV
>>89
裸でブリッジしながら待ってる

95 :名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 19:40:08 ID:OeAJ8u45
>>93
なあに、最初は誰でも上手くはいかないもんさ。
期待してる

96 :89こと『る』:2006/06/28(水) 23:25:14 ID:gen4eUqo
この世では無い世界…この世に近い世界…この世と同じで…




…違う世界…




「ねーカルト。明日テストが有るんだけどさぁ。教えてほしい教科があるんだよね〜」
「ん〜?何?」

「保険体育!」

「ぶっっ!!…ゲホッゲホッ…なっ!?」

事の始まりは帰宅時。幼なじみの一言だった…。

隣を歩くのは『鬼ノ部 ヤケル』。長身で、髪を短く切り揃えている。『美男子?』とよく言われるボーイッシュな女の子だ。
バスケ部所属の何時も笑いを絶やしたところを見たことが無い。僕より背が高く、幼なじみ(腐れ縁か?)ということもあって、一つ下でもタメ口で話しかけてくる。

「けほ…なんで僕なんだよ!学校で友達に聞けばよかっただろ?!」

歩きながら飲んでいたミルクティーを思わず吹いてしまった。…あーもったいない…

口を拭きつつ睨みながら問い返す。悪びれる事なく、笑いながら彼女はその問いの答えを返す。

「さっき思い出したんだよね〜、明日テストあること。ほら、アタシ携帯持ってないからさ。授業も体育の次だから、疲れて爆睡だたしぃ。それに…」
「それに…?」

ゴクリッ…まさか、ゲームみたいな展開が、今僕の目の前で?そんな事が脳裏を過ぎる。
ほのかな期待を胸にして彼女答えを待つ。

「それにさぁ、ヤケルのお母さん、アタシの学校の保険医でしょ?もしヤケルがわかんなくても、聞く相手いるしさ♪」

あー、どーせそーだと思ってましたー。
うなだれながら足を進める僕を見て、ヤケルはにこにこしながら首を傾げついてくる。
期待していた僕が馬鹿だったよ…。

「で?内容は少しでもわかってるの?」
横目でヤケルの事を見る。
こいつには異性から教えてもらうことに恥じらいは───

「全然?ページ数だけしかしらなーい」

無い以前の問題か…

「はぁ…わかる範囲は教えてやるよ。制服着替えてから僕の家来なよ。」

「あは、ラッキー♪助かったよ。あ、アタシんちこっちだから。後でね〜。」
そういうと、手を振りながら去って行く。

大きな脱力感とひそかな期待を胸に、僕は家路へと着いた。

97 :◆lVeVYOSS0s :2006/06/28(水) 23:31:41 ID:gen4eUqo
えー、第一弾投下でし。

あ、挨拶遅れました。89ことハンドルネーム『る』でござ!
見直さずに投下したから誤字脱字多いかも(=∞=`;)

まぁ、今回はこれまで。続きは文章が下りて来たらかきますよ。…こんな文でよければですが…

ほなな〜(=∞=)ノシ

98 :◆lVeVYOSS0s :2006/06/28(水) 23:35:52 ID:gen4eUqo
ぐは…ヤケルの発言内で、名前を間違えてら…「ヤケルのお母さん〜」じゃなく、「カルトのお母さん〜」だな…

反省…ぺこりm(=∞=`;)m

99 :名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 00:18:22 ID:lhfardQ3
>見直さずに投下したから誤字脱字多いかも(=∞=`;)
自慢にも何にもならないんだから反省したら今度からきちんと読み直そうね。

続きに期待して取り敢えずGJ!

100 :名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 01:49:05 ID:/D0nOWqa
もういいだろコレw

101 :◆lVeVYOSS0s :2006/06/29(木) 06:24:43 ID:EJFQvoSY
>>100
…?…もう書かなくて良いという事かな?多分sageてないからただの書き逃げだろうけど…

まぁ、そういう意見があるなら書きませんよ、今後は。
(いるかどうかは知りませんが、)続きを期待していた方々、申し訳ないです。こういう心ない行為嫌いなので…。怨むなら、ID:/D0nOWqa氏を怨んでください。



では、又何時か何処かで…(=∞=)ノシ

102 :◆lVeVYOSS0s :2006/06/29(木) 06:33:32 ID:EJFQvoSY
あ、>>100氏はちゃんとsageてましたね。すみません…リアルで寝ぼけてましたよ…"f(=∞=;)

まぁ、書かない事には変わり有りませんが…

103 :名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 07:53:22 ID:lhfardQ3
それじゃ、>99のGJは取り下げ。

104 :◆VKb./t4AEE :2006/06/29(木) 10:26:41 ID:EJFQvoSY
>>103
わざわざGJしていただいたのに、申し訳ない…(=∞=)

105 :名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 11:07:28 ID:MQiJN9+w
一人の書き手として言わせてもらうなら、る氏は甘いと言わざるを得ない。たかが一部を否定(かどうかも曖昧)されただけで書くのを止めるなんて……。
人にケチ付けられて当たり前。その上で書かなきゃいつまでたっても書き上がらんわ。

106 :◆lVeVYOSS0s :2006/06/29(木) 11:22:31 ID:EJFQvoSY
>>105
うぬ、すまんとです…
んー……まぁ、続きまとまり次第時間あれば投下してみまふ。お叱り感謝です

107 :名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 14:37:29 ID:bgapPQn4
コテで全レスするのはうざいからやめれ。

108 :87:2006/06/29(木) 18:36:22 ID:rJ0sA1ze
る氏GJ
書き逃げなどせずにまだ書き続けてくれ。
せっかくの少ないというか唯一の書き手が消えたら誰が書くんですか?

109 :名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 18:55:37 ID:cyFopNAd
駄コテがうろついてるとまともな書き手が来なくなる

110 :名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 20:14:17 ID:3AaqVl7z
顔文字に怒りを覚える

111 :名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 20:37:31 ID:bqCPdOLL
流れも読まず、ちょいと訊きたいんだが。
スポーティな面はあまりないけど、ボクっ娘ならここに投下してもok?

112 :名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 21:34:16 ID:rJ0sA1ze
あくまでボーイッシュにはスポーティーが必要であるというわけではないのでOK

113 :名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 22:24:56 ID:bqCPdOLL
うい、出来たら投下に来るわ。

114 :名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 23:07:37 ID:FsNU/BGX
>>111
ボーイッシュな女の子ならなんでもおk
スポーティ、僕っ娘、処女、貧乳、スパッツなどは代表的なボーイッシュ娘の特徴なだけ

115 :名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 23:16:02 ID:uZhfYeSp
上も下も男兄弟で、女という意識がそもそも希薄。
かつ女性的な意味での情報に疎くて、主人公に対しても
ナチュラルに親友感覚で接近してきてしまうとか、
そういうバカっぽいのもぜひ仲間にっ。

116 :111:2006/07/01(土) 07:53:19 ID:Jl6fA+fL
前言い訳。

書いてみた。
最初、ただ単にぼくっ娘ものにしようと思ったが。スレの流れを読み路線変更。
だがしかし後悔してない、角オナニー物。

注意点
・携帯で書いたため1行が36字
・あんまり面白くない。
・色々ふぁんたじぃはいってます

では、投下↓

117 :1play 1/4 ◆DppZDahiPc :2006/07/01(土) 07:55:10 ID:Jl6fA+fL
 確かに悪いのは私だし、言い訳のしようもないのは分かってるけど。
「…………はぁ」
 ちょっと突き指したくらいでプールにいれてくれないとは、横暴じゃないか。
とクラスメイトたちが居なくなった教室で、四葉唯は一人黄昏ていた。
 むかついたからと男子と喧嘩して、ソイツを泣かしてやったものの、自分が突
き指してるのが馬鹿みたいで。家から服の中に、水着を着てきていたことが、更
に輪をかけて唯の心を苛んだ。
 去年買ったまま、まだ買い換えていない水着は苦しくて、憂鬱さを増進させて
くれる。
「……うぅ」
 プールを楽しみにしていた分だけ後悔が強く。
 暇つぶしになにかしようとしても、手につかない。
 せめて水着だけでも脱ぐか、と唯は考え。教室の扉に鍵を閉めた。
 ピンク色の生地に大きくハートマークの描かれたTシャツを脱ぎ、膝丈のスパ
ッツを脱ごうとして上靴の踵がひっかかり上手く脱げず。上靴を脱ぎ、靴下を汚
さないように脱いだ上靴のうえにつま先立つ。
「おっと」と転びそうになりながらも、汗を掻いているせいで肌に張り付くスパ
ッツを脱いだ。
 藍色のスクール水着に、スヌーピーの描かれた靴下だけになると、少し休んだ。
  ニスの塗られた椅子にぺたりと座ると、水着越しに感じる固い木の感触。ずぅ
っと着たきり、直してなかったせいでズレたままで半分水着の外にでていた小ぶ
りなお尻に、直に触れた冷たい木の触り心地に思わず。
「ひゃっ」と悲鳴をあげ、直ぐに「あはははは」と笑った。
 少女にしては短く切られた髪のように、さっぱりとした唯は快活に笑い。
 ふと気づいた。
 水着を脱いで座ったらどうだろう?
 ひやっとした感触がお尻全面に感じれて気持ちいいんじゃないか?
 なにより、この茹だるような暑さ。服を着ているのも暑苦しいというものだ。
そうと決めるや、唯は躊躇もなく汗をしっとり吸い込んだスクール水着を脱ぎ捨
てた。
 女性的曲線のない少女の身体は、尖っている部分といえば、ぽっこり浮き出る
鎖骨と僅かに突き出た乳房とも呼べない膨らみだけ。
 クラスメイトには、服の中にテニスボールかなにかでも隠しているような胸の
者もいて。触らせてもらったら柔らかくて暖かくて、ぼくの胸もああいう風にな
らないかなぁと唯は考えていたが。それはまだ、大分先のことだろう。
 それほど唯の身体は幼く脆い、腕や脚なんかはひょろりと長いだけだ。

118 :1play 2/4 ◆DppZDahiPc :2006/07/01(土) 07:56:12 ID:Jl6fA+fL
 軽くて細い方が走るには速くていいと兄は言っていたが、熊みたいに大きく強
そうな兄には分からない悩みだと唯は考えていたので、そういう時には思い切り
ばーかと言ってやるのだが。熊みたいに丈夫そうな兄は、精神的にも強いらしく、
微笑むばかりだ。
 唯はドキドキしながら、腰を降ろしたが思ったほどではなかった。
 なんでだろう? 唯は考え。
「ああ、そっか」
 椅子に体温が移ったからだと気づき、なら別の、と思考を巡らせ。唯は最初に
目にはいった――目の前に置かれた、机ならどうだろう。
 机の横に立つと、静かにゆっくり腰を降ろしていくが、立った位置が悪かった
のか上手く座れず。机の角に腰掛ける形になったのだが、本当に立った位置が悪
かったらしく。
 無毛の割れ目が机の角によってむにっと押し開かれ、唯は先ほどとは違う背筋
のぞくぞくに、
「ひっ――!?」
 と可愛らしい悲鳴をあげた。
 なにが起きているのか唯には分からないが、机の角が自分の中に触っているこ
とだけは分かり。
 それがこの背筋のぞくぞくの元であり。
 お尻に冷たい物を触れさせることなんて、目じゃないほどの気持ちよさだとい
うことは分かったが。
 同時に、なんで机の角が触れただけで、こんなに気持ちいいのか分からなくて、
少し不気味で。人より好奇心の旺盛な唯は、机の角に割れ目を押し当てたまま、
指をやり。机によって産まれてから初めて割られたクレバスに触れ、ふにっと指
先が中に入ったことに驚き。中がびっくりするくらい熱く、指を食いちぎっちゃ
いそうなくらいの締め付けてくるのに、更に驚き。慌てて指を離した。
「な、なに今の……」
 食いちぎらそうになった指を顔の前に持ってきて、じろじろ観察したが。見た
目は変わらず、少しおしっこの臭いがするくらい。
 唯は首を捻ると、うーんと唸り。それほどせず、見てみることにした。
 机の角から離すと、ソコはジンジンと熱く膿んだ。
 唯はこんどこそ机の上に座り、机のひやっとした感触を楽しんだ後。脚を広げ
られるだけ広げ、めい一杯広げて。身体を丸めた。
「あれ」
 ダンゴ虫の如く丸めているつもりなのに。
「あれれ? みえないや」
 ソコは見えず、諦めて身体を起こすと妙案を思いついた。唯は今日の自分は冴
えてると心の中で自画自賛しつつ、友達の机まで行き。ごめんね、と小さくつぶ
やいて鞄の中を漁って手鏡を取り出した。

119 :1play 3/4 ◆DppZDahiPc :2006/07/01(土) 07:57:03 ID:Jl6fA+fL
 しかし手鏡を使っても何かに座りながらでは見えない。
 となると立ったまま、それでは脚の間に手鏡は入らない。
 唯は学校でトイレする時のように腰を屈めた。
 これなら脚も広げられ、手鏡で見える。
 よし、と唯は気持ちも新たに手鏡を股の下へと持っていく。
 手鏡に写ったのは一本のすじ。
 おしっこ穴とうんち穴の間に走る、指より短い線。
「これ……なに?」
 触れてみると熱く。
 線をなぞるように指を動かしてみると、
「ふぁあっ」
 得体の知れない気持ちよさがある。
 そういえば先ほど、ここに机の角と指がはいったのだと言うことを思いだし。
唯はおそるおそる、熱をもったクレバスへ指先を入れた。
 先ほどと同じ熱さと締め付け、思わず指をびくりとさせると、中を指がひっか
き。声も出せないようなぞくぞくが、唯の全身に走った。
 思わずごろんとその場に転んで、理科の時間に見たカエルのようなポーズをす
ると。唯は胸が高鳴るのを感じながら、ソコをマッサージし始めた。
 割れ目の上で指をぐにぐに動かし、少し中へ指が入ると手が止まるほど気持ち
よく。更に、その気持ちよさを求めて指先を動かす。
 唯はその行為に夢中になりながらも、頭の中では。教室で裸になって、こんな
ことをしている自分に罪を感じ。それがかえって指の動きを速める。
 指をぐにぐに動かし続け、気持ちいい場所を探すが、だんだんと物足りなくな
ってくる。手に持ったままの手鏡、その持ち手の部分を秘部に押し当てると。そ
の無機質な感じが気持ちよく、自分が動かしているのに他人に触られているよう
な感触が心をそりたてる。
「う……あ、にゃ…………あ」 
 短い吐息が漏れ、身体中から汗が吹き出てくる。汗で全身を濡らしながら。唯
は一生懸命手鏡の持ち手を割れ目にこすりつける、これを中へ入れれば気持ちい
いかもしれない――いや、絶対。
 しかしなかなか上手く入らない、滑りが悪い、どうしたら…………そうだ。
 唯は今日は本当に自分は冴えてると感じた。
 投げ出していた手を口元にもってくると、指先を口の中へ入れ、指先を涎でべ
とべとにすると。手鏡でごしごしし続ける割れ目に、指先を濡らす涎をこすりつ
けていく。手鏡はまだ上手く入らないが、指先は少しは入り、中も涎で濡らし。
入るならと、指先で割れ目を押し広げた。

120 :1play 4/4f ◆DppZDahiPc :2006/07/01(土) 07:57:58 ID:Jl6fA+fL
 そこへ手鏡の先端を押し込んでいく――うまく入らない。
 唯はじれてきて、強引にも
「入れっ」
 力づくで割れ目の中へ持ち手を押し込んだ。その瞬間、
「あ、ぁあああっ?! なっ――なにこれぇっ!!?」
 味わったことのない全身を貫く、禁断の感触。
 開いた手で胸をかきむしり、身体をうねらせる。身悶えしてしまう、そうして
いるとちゅるんっと持ち手が割れ目から出てしまい。気持ちよさは薄れてしまっ
た。
 早く、代わりの、なんでもいいからココを触っていたい。
 唯は求めるように身体を動かし、そこにあった机の脚へ割れ目を擦りつける。
冷たい鉄の感触が言いもしがたき快感を与えてくれるが、こんなものでは足りな
い。できるならこの鉄パイプを割れ目の中へ入れたい、入れたい……そうだっ。
 唯は震える脚で立ち上がると、椅子の背もたれに淫らにかわいい尻を向け。割
れ目を自分で押し開いた状態で、背もたれ板を自分の中へ誘う。
「ひゃうんっ!!」
 少しづつ広がってきた唯の秘唇は背もたれの角を、すんなり招きいれ。離さな
いようにしっかりくわえる。
 唯はいてもたってもいられず、腰を動かし始める。
 ぐいぐいと椅子に割れ目を押しつけるたびに身体が震え、前のほうがこすれる
とそれは一段と強くなる。
 三角の背もたれの角を中に入れるたびに、割れ目が広がるようですごく気持ち
いい。
「ひゃっ、あはっ、うん、んぅっ、ひゃあんっ」
 擦りつけるように、押し込むように、その動きに段々と慣れていき、早くなっ
ていく。
 教室の中には針がチクタクする音と、唯のあえぎ声、こすれる音、椅子が暴れ
る音に、唯は自分の心臓がばくばくいっていることを感じ。
 普段、勉強して、おしゃべりして、遊ぶ。教室の中で裸になって、こんなに気
持ちよくなっている自分。それを考えるともっと気持ちよくなり。
「ひっ……あはっ、いや、あんっ――い……ひはっ、え、え、――あアっ!!?」
 全身を迸る極大の悪寒に、立っていられなくなり、その場に崩れた。
「は……はっ……ハァッ…………ハァ……」
 なにが起こったか分からないまま、そこに触れると。ソコはしっとりと
「……なに、これ? …………おしっこ、じゃないよね?」
 濡れていた。


――おしまい

121 :名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 08:20:27 ID:IxVoaNmq
書く前から言い訳すなやボケ!!
あとつまんないです。

122 :名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 09:50:19 ID:Q0F9RMFO
GJ
変なのが沸いてるが気にするな
だけど人物描写が少なくて脳内補完しなきゃならなかったのは少しマイナスかと思う
この娘小学生?

注、あくまで個人的な感想です

123 :名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 16:47:46 ID:uvMcWLf+
GJ
よかったですよ。
少量荒らしみたいなのがいますが無視してくださいね。

124 :名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 17:33:05 ID:5gmrWo0T
 さよなら、そしてよろしく。


 時速は百キロ。
 これがこのバッティングセンターでは一番の速い球だ。
 コキンッ
 しかし金属バットが奏でる小気味いい快音は、先程から僅か一球たりとも途切れたりしない。
 コキンッ
 だがその素晴らしいバッティングを披露している女の子の顔は、ち〜〜っとも嬉しそうではなかった。
 このぐらいは女の子からすれば当然なのである。
 時刻は六時過ぎで夕飯前なのだが、こんなものは朝飯前という奴なのだ。
 ま、とはいえ。
 コキンッ
 こうしていればオナカは減るわけだし、気分だって、そりゃ慣れているとはいえ、決して悪くなるもんじゃない。
 コキンッ
 なのに今日は表情が冴えなかった。
「あのさ」
「うっさい黙れ」
 その理由を少女は知っている。
 気づかないふりをしてはいるが、気づいても認めやしないだろうが、ちゃ〜〜んと少女はわかっている。
「そんなに悔しいの?」
「なに言ってんのか全然わかん……ないっ!!」
 スカッ
 今日初めての空振り。
 サイズの合ってないぶかぶかのヘルメットが、クルンッと、漫画みたいに頭で回ってすっぽ抜けた。
「ギャグ?」
「うっさい黙れっ!!」
 バットを握ったまま振り向いた顔は、夕焼けに負けないくらいに、耳の先っぽまで真っ赤に染まっている。
 大胆に短くしている髪。
 思いっきりキッと睨まれても、思わずほにゃっと微笑んでしまいそうになる、まだまだあどけない可愛らしい顔立ち。
 制服をまったく盛り上げてないフラットな胸。
 女性らしさは全然ないけれど、見事にきゅっとくびれている腰。
 こちらもいささか脂質は足りないが、スカートから伸びてる健康的に日焼けした脚。
 巧野真緒。
 この年頃にしかない魅力を持ってる少女だった。

125 :名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 17:34:24 ID:5gmrWo0T
「ぼくがまっちゃんを抑えたのは、今日が初めてなんだしさ、気にすることはないと思うよ?」
「む」
 バックネットから眺めてる男の子は、そんなことを言いつつも、真緒にはどこか得意気に見えてしまう。
 勿論そう見えるだけで、そう見えてしまう自分に、またまた真緒は腹が立ってきた。
 そんなわけないのは自分が誰よりも良く知っている。
 福屋春彦。
 薄々は真緒も幼馴染の変化に気づいていた。
 中学に入ってから急に春彦は、身体つきが男らしくなってきている。
 昔は自分より背が低かったのに、今でもほとんど変わらないのに、二人の間には、確実に残酷に男女の差が出始めていた。
 もう勝てそうもない。
 三打席三球三振。
 認めたくはないが思い知らされた。
「機嫌直してよ。今日は夕飯、まっちゃんの好きな甘口カレーにするからさ」
「むむ」
 真緒の片方の眉がぴくりとする。
 二人の両親は同じ職場で、週に一度は泊まりの日があるので、二人はどちらかの家に行って自炊を(主に春彦が)したりしてるのだ。
 そしてそのまま泊まって学校に行く。
 二人は知る由もないことだが、さすがに《そろそろやばいのでは?》と、思春期の子供を持つ両親同士は話し合っていた。
 でも《そうなったら結婚すればいい》と、しっかり結論も出ていたりする。
 両親同士のご挨拶はすでにさらっと済んでいた。
 二人の全然知らないところで。
「御飯食べ終わったら、宿題も手伝ってあげるし」
「むむむ」
「まっちゃん、数学苦手でしょ?」
「…………」
 真緒はぷいっと拗ねたみたいに、春彦から目線を逸らすと、カランッとバットを置いた。
「プリンはある?」
「あるよ」
 春彦はにこにこしてる。
「ぷっちんプリン?」
「ぷっちんプリンだよ」
 何だか真緒はその笑顔にむかむかしてきた。
 自分の悩みがはたして、わかっているのかいないのか、横目で窺うと、春彦はのほほんと、お気楽に幸せそうな顔である。

126 :名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 17:35:40 ID:5gmrWo0T
 あたし、どうしちゃたんだろう?
「じゃ、……帰る」
 春彦の顔をまともに見ることができない。
 負けて悔しいのはそりゃあったけれど、淋しいというのも、やはり正直あったけれど、この気持ちはそれだけではない気がする。
 とまらない。
「うん? どうしたの?」
「…………なんでもない」
 経験したことのない痛みに、真緒の胸の奥はむかむ、いや――ドキドキとドキドキと、甘く切なく高鳴っていた。


今回はここまで。

127 :名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 20:33:19 ID:uvMcWLf+
GJ
自分的にはまだよくもなくわるくもなく。って感じですかね

128 :名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 21:13:01 ID:hZqr+SKV
GJというより、まだwktk
今後どうなるか楽しみだ。文章はサッパリな感じで良い。

>>127
>よくもなくわるくもなく
くが<に見えて、なんかワロタ

129 :名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 01:19:00 ID:xgOuQ4r2
新たな神に期待

130 :名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 15:55:55 ID:jRk1Ikfk
やべぇ・・・マジ続き気になるんスけど・・・

131 :名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 16:39:11 ID:dJekQ3LW
待ち続けるんだ。
さすれば、神はきっと期待に応えてくれる。

132 :名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 18:18:27 ID:GJL9cZ5U
毎朝六時に起きて水垢離します。

133 :名無しさん@ピンキー:2006/07/04(火) 23:51:35 ID:ZwD/mSFl
だーれもいないのか?

134 :名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 00:47:46 ID:i5KfbLyn
いるよ〜

135 :agtak ◆PKZ3hJg6ts :2006/07/05(水) 10:14:43 ID:3c5XI+2I
>126が途中だが、できたので投下。
オリキャラ、破瓜アリ(でもヨガる)。
つまらなかったらスルーで。

136 :『マコト』 ◆PKZ3hJg6ts :2006/07/05(水) 10:16:07 ID:3c5XI+2I
「ねえ、ボクとセックスしてもらえないかな?」
「……………………はあっ!?」
 幼馴染の真琴が妙なことを言い出したのは、俺の部屋の中でのことだった。
 自分のことを『ボク』と呼ぶ少女は、髪は短く、いつも元気に飛び回っており、セックスのセの字も思い浮かばないほど、性差を感じさせない。
 まあ、だからこそ俺も、互いに高校生になったばかりとはいえ、遊びにきたよ、の一言であっさりと部屋に上げられるわけだったのだが……。
 あまりの驚きで声が出ず、多分間抜け面で口をパクパクさせていた俺に、真琴が上目遣いでさらに懇願してきた。
「ダメかな?」
「い、いや……駄目っていうか、その、急にそんなこと言われるなんて思ってもみなかったし……っていうか、どうしてそんなこと言い出すんだよ」
 幼馴染でお互いの家にもよく行く間柄ではあるが、俺たちは恋人同士と言う関係ではない。
 少なくとも、今はまだ。
 真琴は、んー、と普通の表情で――本当にセックスしたいのかよと思うくらいいつもの表情で、思い出すようなしぐさをした。
「実はさ、今日聞いちゃったんだ。レミちゃんが彼氏に処女あげちゃったらしいんだけど、それがすごく気持ちよかったらしいんだ」
 レミちゃん、というのはクラスメートの女子のことだ。
 俺は思わず顔をしかめる。
「初めてって痛いんじゃないのかよ?」
「うん、ボクもそう聞いてたんだけど、でもレミちゃんはすごく嬉しそうに言ってたんだよね」
「だから試したくなってみた、と?」
「うん」
 あっさりと頷いてくる真琴に、俺は溜め息をついた。
 真琴はたまに、こういう破天荒なことを言い出したりやったりすることがあるのだ。
 今回もそうだろう、と俺は言い聞かせてやる。
「そういうことを言うってことは、お前まだ……その……し、処女なんだろ?」
「うん、そだよ」
「だったら尚更だな。いいか、初めてってのは、大切な人にあげるもんなんだよ。少なくとも、この人ならあげてもいい、っていうくらいの人間じゃないと駄目だ。だから俺とやるのは――」
「ああ、だってキミ、ボクにとって十分どころか、1番大切な人だから大丈夫だよ」
「そう、大丈夫――って、え?」
 ……なんですと?
 なんか今、聞き捨てならないことを耳にしたような気がしたのだが。
 呆気にとられる俺を、しかし真琴は落ち着いた表情で――しかも今気付いたが、真剣な思いを瞳に浮かべて見つめてきた。
「こんなこと、キミ以外に頼みたいなんて思わないよ。だって、キミのことが好きなんだから」
 決定的な一言。『好き』。
「え?」
「だから、キミが好きだよって言ってるの」


137 :『マコト』 ◆PKZ3hJg6ts :2006/07/05(水) 10:16:52 ID:3c5XI+2I
 驚いて動けない俺に、いきなり真琴が覆いかぶさってきた。
「まこ――」
「大好きなんだ……」
 笑顔で、キスをされた。
 ベッドに押し倒され、男の俺が下で、それまで女として考えたこともなかった少女に。
「ん……」
 至近距離の顔の、そのまぶたが下ろされた。
 それで気付く。コイツ、肌が綺麗だ。
 肌理細やかな、化粧などまったくしていない顔。そしてなにより、唇に感じる、真琴のそれの温度。
 ――俺はもう、堕ちかけていた。
「っぷは……どう、信じてもらえた?」
「あ? あ、ああ……」
 長く感じられて、実際はほんの十秒に満たない口付け。
「ボクの処女、もらってくれないかな?」
 かすかに潤む、幼馴染の瞳。
「きっと気付いてないとは思ってたよ。そういうふうにボクも振る舞ってたしね。でも、本当の、本気の気持ちなんだ」
 それまでの俺たちの思い出が、俺の頭の中を駆け巡る。
 そうだ、確かにコイツはいつも俺のそばに居た。
 少年っぽい言動は地だとしても、それを超えたところに、真琴の思いはあったのだ。それに気付けない俺が、悪かったのだ。
 じゃあ、俺はどうか、というと――
「今まで……」
「うん?」
 俺は顔をあげ、押し倒されたままという無様な状態ではあったけれど、しっかりと真琴の目を見た。
「今まで、お前のこと恋愛対象だとさえ思ってなかったんだぞ。そんな俺でもいいのかよ?」
 一瞬真琴はきょとんとして、そしてすぐにくすくすと笑い始めた。
「な、なに笑ってんだよ」
「ふふ……いや、別に……くっくっ……」
 なんで笑っているのかわからなかったけれど、それが否定ではなく、別に問題ないのに、という笑みであることくらい、俺にだってわかった。
 笑い終えるのを待って、俺は真面目に言った。
「俺に、お前の初めてをくれ」
 真琴は、笑顔で答えた。
「うん、ボクの処女、もらってください」


138 :『マコト』 ◆PKZ3hJg6ts :2006/07/05(水) 10:17:30 ID:3c5XI+2I
 西日がまぶしかったのでカーテンを閉め、そして俺たちは互いに服を脱ぎ、生まれた時の姿になっていた。
 シャワーは浴びていない。そんなこと、別にどうでも良いと思えたからだ。
 おあつらえ向きに、家族は誰もいなかった。
 先ほどとは違い、真琴をベッドに寝かせ、その上に俺が押し倒すようにかぶさる。
「いいな?」
「うん」
 真琴はずっと笑顔だ。それが俺に安心感を与え、冷静にさせてくれる。
 ちなみに俺も初めてだ。だけど、うまくやれる自身が、真琴の笑顔のおかげであった。
 そっとキスをしてから、俺はまず、真琴の薄い胸に手を置いた。
「ん……くすぐったいよ」
 それを聞いて安心し、俺は手を動かし始めた。
 まな板程度のものだ、とずっと思っていたが、しかしやはり女の子、かすかではあるが、しかしそのふくらみは彼女が女の子であると主張していた。
 ……なんか、興奮してきたぞ。
「あん……あはっ……」
 真琴の声色も、少しずつ変わってきた。
「ちょっとは、気持ち良いか?」
「うん……なんか、いやらしい気分になってきちゃったよ」
 艶が出てきたその笑みに、俺はドキリとさせられる。
 でも、我慢。真琴は初めてだ。俺が暴走して傷物にするわけにはいかない。やっぱり優しくしないと、俺もきっと後悔するだろう。
 俺は自分を抑える意味でも、また真琴にキスをした。
「ん……ちゅぷ……」
「……!?」
 いきなり、俺の口の中に真琴の舌が入り込んできた。
 これがディープキスというやつなのだろうか。
 雰囲気を考えて閉じていた目を思わず開くと、トロンとしながらもいたずらっぽい視線をこちらに向けてくる真琴が、すごい近くにいた。
 なんか、むかついた。
「ちゅ……んひゃぁっ!?」
 真琴が跳ねる。俺がその乳首をつまみ上げたのだ。
 同時に真琴の舌の攻勢が止む。それを狙って、今度は俺が舌を真琴の口に差し込んだ。
「んぷぅ……」
 俺は真琴の口の中を蹂躙した。
 気付けば、いつの間にか真琴もその動きにあわせて舌を動かしてくれている。
 たっぷり数分は舌の応酬をして、唇を離したときには、お互いの口からよだれが溢れていた。
 俺のブツは、興奮で固くそそり立っていた。
 真琴も、そんなおれの勃起を見て頷いた。
 真琴の股間は、すでに濡れていたのだ。


139 :『マコト』 ◆PKZ3hJg6ts :2006/07/05(水) 10:18:10 ID:3c5XI+2I
「いくぞ、力を抜けよ」
「うん」
 真琴の足の間に俺の体をねじ込む。そして、肉棒を真琴の入り口に当てた。
 処女のはずの彼女の女性器は、ぴたりと閉じているようで、その実、ひくひくと動いていた。早く俺を受け入れたがっているようにも見える。
 その外側の肌を広げ、その中身を見えるようにする。そして本当の意味での入り口を、俺は見つけた。
「は、恥ずかしいってば……」
「わ、わりぃ……」
 慌ててそれにあてがい、そして、力を入れる。
 つぷ、と音がした。
「ん〜〜〜〜〜〜〜っ!?」
 真琴が眉をしかめた。
「だ、大丈夫か!?」
 だけど真琴は、首を振ってこちらを見た。
「お、お願いだから……全部、い、入れて……んつっ……」
「真琴……」
 やめたほうが良いような気がした。でも、俺は真琴の思いに応えたかった。
 真琴は痛そうにしていたが、実際はまだ先っぽだけしか入っていない。
 それだけでもかなりの締め付けで、しょうじきめちゃくちゃ気持ち良かったけど、それも真琴の痛そうな顔で吹き飛びかけていた。
 ただ、優しくしなきゃ、という思いで腰を進める。
「んっ……くぅっ……」
 愛液のおかげで、挿入はスムーズだった。処女の肉は硬いというが、俺にはよくわからない。わかるのは、真琴の中が暖かくて、俺を締め付けてくるという事実だけだ。
 そして、俺は壁にあたる。
 処女膜だ。
 辛そうにしている真琴が、そんな躊躇しかけた俺を見る。
 やめないで、という視線だった。
 俺は頷いた。
「一気にいくからな」
 うん、と真琴が頷く。
 そして俺は、最後のひと突きを見舞った。
 何かを破る感触があっただけど、音はしなかった。
「う、あああああぁぁぁぁぁ!」
 真琴が悲鳴をあげる。
 俺はすぐさま真琴を抱きしめた。
「う、痛い、痛いよ……」
「悪い、でも、大丈夫だ、俺がいる」
「うん……うん……」
 真琴の目からはポロポロと涙がこぼれ出ていた。
 そんなに痛かったのか、と思うと俺の胸も痛い。
 なのに、真琴は。
「痛いけど……ボク、今、すごく幸せだよ……」
 にっこりと笑って、そんなことを言ってくれたのだった。


140 :『マコト』 ◆PKZ3hJg6ts :2006/07/05(水) 10:18:52 ID:3c5XI+2I
 しばらくすると、真琴の涙も止まった。さすがに肩が大きく上下するのは止められないみたいだったが。
「ねえ、動いていいよ」
「でも、痛いだろ」
「わかってないな、キミは。やっぱりさ、相手にも気持ち良くなってもらいたいもんなんだよ、ボクはね。それに……」
 にやりと真琴が、ちょっと無理やりではあったけど、笑う。
「キミ、今すぐにでもガンガンやりたいでしょ?」
「う……」
 図星だった。
 っていうか、膣の中がこんなに気持ち良いなんて、思ってもみなかった。オナニーの数倍は気持ち良いぞ、まじで。
 そんな内心を悟られたらしく、真琴はお願い、と言ってきた。
 そう言われれば、俺も拒否はできないので……。
「じゃあ、動くからな」
「うん……んくっ……」
 一度それを始めてしまえば、止まりそうにもなかった。
「つっ……あ、かはぁっ……」
 ひゅーひゅー言う真琴に、少しでも気持ち良くなってもらいたいのに、それでも腰は止まらない。
 俺はなんて無力なんだ、と思い始めた、そのときだった。
「あんっ……」
 え、と思った。
 一瞬ではあったけれど、確かに真琴が快楽に反応したのだ。
 俺は慌てて、声をあげたときに擦りあげた場所を、もう1度確認していく。
 突き上げたり、擦ってみたり、ただ出し入れしてみたり。すると――
「んあぁっ……ひゃあぁっ……!」
 真琴が戸惑った表情で嬌声を上げる。
 ここだ。
 俺は今までとは打って変わり、本気でその場所だけを擦りあげた。
 真琴の体が、急に跳ね上がる。
「んああぁぁんっ、ど、どうしてぇ、き、気持ち良いよおおおぉぉぉっ!」
「そうか、気持ち良いのか、真琴!」
「うん……うんっ! ああぁっ、な、なんかぁ、やばいよおぉっ!」
 それがどういう意味の『やばい』かはわからなかった。
 だけど、締め付けは急に強くなり、俺の肉棒が限界に達しようとしていた。
 それを察したのか、真琴が喘ぎながら叫んだ。
「だ、射精すなら中に、中にいいいぃぃぃっ!」
 その言葉が、俺の理性を吹き飛ばした。
 最後の勢いで、思い切り腰を突き出す。
「い、イくぞ!」
「う、うあああああぁぁぁぁぁ!」
 絶頂に達したのか、腰を浮かした真琴の膣内に、俺は精液をぶちまけた。


141 :『マコト』 ◆PKZ3hJg6ts :2006/07/05(水) 10:19:30 ID:3c5XI+2I
 事後、俺は真琴と一緒にベッドで休んでいた。
「やっぱり、セックスって気持ち良かったんだね」
「……そうだったのか?」
 ちょっと自信がなかったので、思わず聞いてしまう。
 真琴はその真意を見抜いたらしく、今度は無理のない笑みを見せてきた。
「大丈夫。最後に中出しされた時、本当にボクもイっちゃったからさ」
「う……そういえば、中に出しちゃったんだよな」
 1発で妊娠、というのはさすがにない気もするのだが、しかしその確率も十分にある。今度やるときは、ちゃんと避妊をしよう。
 そう心に誓っていると、あ、と真琴が声をあげた。
「どうした?」
「あ、いや、さっきの精液が出てきたみたいで」
「……」
 想像してしまった。
 めちゃくちゃエロい絵が頭に浮かんだ。
「ま、真琴!」
 がばっとまた真琴に覆いかぶさる。
 真琴は、しかし慌てて俺に手を出してきた。
「ちょ、その前に、ひとつだけ!」
「む、なんだ?」
 真琴は顔を赤くして言った。
「ボクのこと、好きだ、って言って欲しいんだ」
「な、なんですと?」
 そんな恥ずかしいことを、こんな雰囲気で言えというのか。
 それはなかなかヘビーなように思われた。が。
「わかった」
 でも、そうだ。
 真琴に言わせたのに、俺が言わないのはおかしい。
 だから俺は、真琴の目を見つめて、言った。
「好きだ、真琴」
「うん、ボクもだよっ!」

おしまい


142 : ◆PKZ3hJg6ts :2006/07/05(水) 10:22:40 ID:3c5XI+2I
ボクっ娘というのは、名前も男でも通用しそうな音であったほうが良い気ガス。
なので、名前が真琴。
決してアイマ○に影響されたわけじゃないぞ、自分は衛萌えなんでね。
じゃ、このスレの繁栄を願って退散。

143 :名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 13:27:13 ID:JQn8qOVj
キタ━━(゚∀゚)━━!!
乙です!


144 :名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 20:52:45 ID:m3CuimUH
ボクっ娘いいなぁ・・・(;´Д`)ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ

145 :名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 22:02:15 ID:6Bk2s7SQ
>>142
GJ!&禿同
ボクっ娘なのに名前が栞とか桜とか藍とかだと萎える
服装や体の描写がほとんど無くて残念だったが、だからこそ脳内補完が活きた

146 :名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 22:27:13 ID:bPQBYD0l
非常にGJ!!!!!
もう、あれだ言葉に出来ないくらいGJだ。
例えるならば拾った宝くじが当たったぐらいよかった。
そんな感じで乙(゚◇^)

147 :名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 15:09:40 ID:zdZEbukh
保守(゚◇^)


148 :名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 15:31:49 ID:Ccbsi8lK
神はまだなのだろうか?
(゚ω゚)ノシまたくるね

149 :名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 18:38:37 ID:oIqlnB+5
期待アゲ

150 :かなり ◆WT4p4fROmI :2006/07/08(土) 19:03:47 ID:BQM8Ahyz


151 :名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 23:39:26 ID:W+bPyCNc
二つの意味で泣きたくなった

152 :名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 16:17:47 ID:/zLPV1qs
新しいボクッ娘はまだかな・・・

153 :名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 19:37:08 ID:OMVfMiv8
やっぱり待つことしか出来ないのかな?

154 :名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 20:40:37 ID:9BJMVPvg
今はボクっ子以外の需要は無いのかな?

155 :名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 21:48:15 ID:OMVfMiv8
さぁ?どうだろ?

156 :名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 00:37:54 ID:u3ToXHEh
人間なんて皆同じような物だと思っていた。
そんな自分の目の前に現れた少女。
名前も知らないが自分は直感的にこの子しかいないと思った。
現れたと言いはしたが実際ただ視界に入っただけ正面から顔も見ていない。
『あの・・・・』
思わず自分はその娘の肩に手を置き呼び止めてしまった。
『はい?』
振り返る彼女の顔が視界に入った瞬間自分に雷が落ちたような感覚に襲われた。『その・・・・自分と』
もう、止まらないおそらく自分のどこかのダムが決壊したのだろう。
『付き合って下さい!!』
『名前は?僕は夏って名前なんだ』
夏は人懐こそうな笑顔で自分に名前を聞いてきた。
彼女の予想外の答えに自分は何も言葉に出来なかった。
『ほら、名前だよ。な・ま・え。君の名前を僕に教えてよ』
夏は自分の眼前、彼女の吐息が掛かるくらいまで顔を近付けた。
彼女は自分より背が低いので背伸びをしていた。
そんな姿が自分には可愛くて仕方がなかった。

157 :名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 01:11:04 ID:u3ToXHEh
『蓮です。自分は山霧蓮と申します!!』
突如叫んだ自分に夏は驚いていた。
『は、はは・・・・君、じゃなくて霧君だっけ?面白いね。うん、いいよ。僕と付き合って下さい』
夏はとびっきりの笑顔で言ったのだと思う。
まだ会って十分もたっていない、けどなぜか自分にはこれが彼女の最高の笑顔だとわかった。
『ありがとう』
『?・・・・何で泣いてるの?』
夏の言葉に驚いた。
涙など流しているつもりはなかったのに自分はいつの間にか涙を流していたのだ。
『嬉し泣きだよ』
そう言って自分は夏を抱きしめ唇を奪った。
夏は心底驚いただろう。
唇を離した時には顔を真っ赤にしていた。
『いきなり何するんだよぅ・・・・。でも、少し嬉しかったよ。こんな僕でもいいの?君は』
夏にそう言われ彼女を見てみると、髪は黒いショートで顔は自分から見ると確実に美少女で背は低め胸は自分よりあるかないか程の物だった。
『僕ね、こんな話し方だし、オッパイもないし・・・・学校でも男じゃないのかって・・・・』
夏は体を小刻みに震わしながら泣いていた。
さっきまでの笑顔が嘘のようだった。
『いいも悪いもいいに決まってる。自分は夏が可愛く思ったからああ言った。他の人にはあんなこと言わないよ』
彼女は男性からこのような事を言われた事は無かったのだろう。
泣きながらも必死に笑顔を自分に見せようとしてくれた。

158 :名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 01:13:50 ID:u3ToXHEh
携帯から失礼しました。
とりあえずこれだけしかありません。
エロなしすみません。
まぁ、希望があれば書きますが・・・・期待はしないで下さい。
これでスレに活気がもどればいいが・・・・

159 :名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 00:18:27 ID:GjWZymNh
まーとりあえず乙
最近誰も書き込まんけどさこれはエロいの無しかかれてもな・・・・・

160 :名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 14:37:52 ID:toxIonII
ボクっ娘幼馴染まだかな・・・

161 :名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 19:24:32 ID:W7GpCJTh
ボクッ娘萌え!

162 :名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 19:25:31 ID:jomQePRr
俺の姪はボクっ娘

163 :名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 20:10:49 ID:ktsTBQuJ
ボクっ娘以外の作品もお待ちしております

164 :名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 20:14:49 ID:R++yW6MT
オレの大学にはボクっ娘がいる。正直あんまり可愛くないのでなんだかな〜と思っていたのだが
友人はソレがあまりにもツボだったらしく、付き合っていた彼女を捨ててまでこのボクッ娘をげっとした。
正直引いてしまった。

165 :名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 21:21:19 ID:vFeMKimc
>>19のシチュが好みだったんだがもう来ないのかな

166 :名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 22:46:57 ID:EUJ4pg1f
>>164
明らかに意図的な腐女子のボクっ娘には萌えないどころか萎える
意識しないでのボクっ娘に萌える

167 :名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 23:19:17 ID:9vl74IXe
意識しない年頃のボクっ娘って現代日本じゃ有り得ないだろうな・・・

168 :名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 23:30:27 ID:GjWZymNh
まぁありえないことはない小学生ぐらいならそんなやつもいるよ
人の出入り盛んだな今日

169 :名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 23:44:22 ID:ktsTBQuJ
声優の渡辺明乃さんは普段からナチュラルに一人称がボクらしいってなんかで読んだ

170 :名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 23:51:40 ID:GjWZymNh
今読んでる人で何か書ける人いる?

171 :名無しさん@ピンキー:2006/07/12(水) 00:37:35 ID:+fdSmCTf
努力すれば書けんこともないが生憎もうすぐ試験

172 :名無しさん@ピンキー:2006/07/12(水) 00:55:38 ID:eJOktlLg
試験終わったらでいいから書いてくれ
おねげーだ

173 :名無しさん@ピンキー:2006/07/12(水) 10:26:39 ID:/2fXjs61
書いてたがボクっ娘じゃないから需要ないかと

174 :名無しさん@ピンキー:2006/07/12(水) 13:20:37 ID:Hg9H9XzY
んなこたあない

175 :名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 10:09:00 ID:iewmhBwA
リアルの話だが、小さい頃からほんとに仲の良いやつで、男の子っぽいのがいた。
あいつに限った話ではなく、俺の住んでいた地域ではわりと男女関係なく遊んでいた。
それでも特にあいつは見た目も仕種も男の子のようで、「こいつは女だ」って意識は殆どなかった。
特に仲の良かった俺はよく一緒にプールや海に行ったりして、帰宅すると一緒に風呂に浸かった。
あいつの身体を見たって小さい頃からずっと見てきたし別に何とも思わない。ただちんこがないだけだ。
しかし中学に入ると皆、制服を着るようになる。あいつも。
あいつの制服姿はちょっと想像できなかったが、実際に見てみると、これが似合ってたり。
ああ、そういやこいつ、女なんだよなあ…
「あー!やだやだやだ!なんでスカートってのはこう…」そんなこと、俺に言われても…
それでも俺たちの仲は相変わらず。しだいに俺とあいつが付き合っているなんて噂も。
そんな噂も気にしたりしなかったりだが、日常の何気ない会話でも当然出てくるのがこんな話題。
「好きな人とかいないの?」「いや、いないけど」「そっか…」
なるほど。こいつ、親友の俺に恋の相談をしようってんだな。力になってあげないとな。
それにしても、一体誰なんだか。こいつが好きになるような男…いや女かも?
瞬時に想像をかき立てる俺の頭。どんどん想像を膨らませているとあいつが話し始めた。
あいつが好きなのは俺と同じサッカー部のやつだという。よかった。レズビアンじゃなくて。
それから数日後、打ち合わせをして俺は彼をあいつのもとへ連れて行った。
結果は…惨敗。あいつは今にも泣き出しそうだった。
「泣きたきゃ泣けよ。泣いていいんだよ」
俺がそう言うとあいつは泣き出した。しかしなぜ俺の胸で。俺はあいつの背中をぽんぽんと叩く。
こいつのこんな姿、初めて見た。どうしよう。ミルクティーでもおごってやろうか。
その日は泣くだけ泣いて帰った。夕陽がきれいだった。

176 :名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 10:45:36 ID:IkY4IG2t
とても……キモイです……。

177 :名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 14:08:07 ID:G+zKpFWi
運動系の女の子は男のまたぐら好きだよな、
あぐらかいて座ってると、上にちょこんとのってくる。

ぬくいのが好きなのか、帰巣本能なのか。

178 :名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 16:07:58 ID:GDlOD7G+
スポーツ系ボーイッシュは知識は少なくて本能に忠実なイメージ
お勉強系ボーイッシュは知識は沢山あるけどいざとなると恥ずかしくなっちゃうイメージ

179 :名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 17:02:00 ID:6AJVHM47
親子仲が良い子が多いから、親から受ける愛情表現をそのまま男に求めるんだろな、
好きな男に対してはスキンシップ過多、落ち着きがなく大人しくなるのは体が引っ付いてる時だけ。
まさに暴れマグロ。

180 :名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 19:15:26 ID:WiJI8Wy+
神降臨を期待してアゲ

181 :名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 20:05:13 ID:hPHBFcf1
名前は祐とか薫とか純とかどっちでもイケそうなのがいいな。

182 :名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 20:34:13 ID:QqDa38MW
うん。基本だな。

183 :名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 20:37:04 ID:BtjxgOpg
神じゃなくてもいいなら

184 :名無しさん@ピンキー:2006/07/16(日) 21:02:45 ID:H6jmsAz7
お持ちしてます。

185 :名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 01:14:12 ID:OiZPsCjL
ここは活発でスポーティで明るい女の子が基本ですか?
影があっておとなしい感じの子はだめ?

186 :名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 01:20:01 ID:IVYBav5H
いいと思う。
要は男の子っぽい女の子ならOKってことでしょ。
影があるボーイッシュ少女ってけっこう好みだぞ。

187 :名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 01:36:06 ID:OiZPsCjL
じゃあその内投下しますね!
考えている話は男装スレの方が良いかも…
男装スレは言葉使いや仕草は女で
ただ変装してるだけって感じなんですかね?

188 :名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 03:53:04 ID:MP3bmxq+
>>187
一応「周りから男に見られてる」ってのが前提
ただし最近? はただの変装だったり性同一障害だったり趣味だったり親に強制されてたりとバラエティ豊か

189 :名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 08:34:32 ID:3mPyzbB3
ここはあくまでボーイッシュなだけでちゃんとした女の子
女の子っぽい男と女装してる男の違い

190 :名無しさん@ピンキー:2006/07/17(月) 12:52:21 ID:M/hEbxss
そして>>188のIDがMP3(それがどうした)

191 :名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 00:43:08 ID:Jc+q+bLZ
身体は女の子で心は男の子なんだけど
それでいてゲイボーイで男の子と付き合ってて
男の子のほうはバイ

ってのはアリ?

192 :名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 00:46:10 ID:Ro6hzf0g
本人が自らを男の子と自認しているならそれはすでにボーイッシュ少女ではないな。

193 :名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 14:40:14 ID:RggdtT6c
>>191
それは俗にFtMゲイと言われるものです
完璧に男装スレの範囲ですね

194 :名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 21:59:13 ID:TL5y/QGa
あー、元気なボーイッスもいいけどCoolなボーイッスもいいなぁ。サクラ大戦のレニみたいな

195 :名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 00:35:33 ID:EGkEV+3B
某一種免許を取得。

196 :名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 18:38:34 ID:7zFLOm6s
>>195
ワロタww

197 :名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 20:27:47 ID:UVhJ9Mz+
ttp://www.toei.co.jp/tv/sh15uya/C822766655/E361202661/index.html
↑こういう場合は?

198 :名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 17:40:27 ID:PJwwW9qy
和登サンはボクっ娘。
サファイアは男装。
どろろは?

199 :名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 18:21:04 ID:LYIEqYi6
百鬼丸は(;´Д`)ハァハァだけど
どろろには萌えないな〜

200 :名無しさん@ピンキー:2006/07/22(土) 19:04:33 ID:5rMFgc2n
ビジュアル思いっきり野郎だしな

201 :名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 18:06:30 ID:jXfnodWR
和登サンはイイぜ。

202 :名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 03:40:23 ID:PXr5BBu+
保守

203 :名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 14:52:21 ID:KRqx+T4B
ボクッ娘まだかな・・・

204 :名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 21:20:45 ID:cECOcgFe
待ちの一手

205 :名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 21:51:01 ID:PqZXDkNI
>>199つPS2どろろ

206 :名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 23:40:06 ID:Ju5iMHXA
>>199つttp://www.dororo.jp/

207 :名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 00:12:15 ID:yvqW9Eb1
年の割に発育良好、かつ無防備なボク娘はありですか?
「お前、もう少し意識しろよ……(汗」
「ん、何か言った?」
みたいな。

208 :名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 00:28:50 ID:OwnjLzJi
アタシは田中優。17歳。高校生だ。
友人と組んだバンド、ザ・ブルーバーヅでベースを弾いている。
他のメンバーは全員男だ。まあ、一応紅一点か。
そして今、アタシの隣にいるのは久藤隆志。同じく17歳。ブルーバーヅのドラマーだ。
「本当はかわいい女の子と見たかったんじゃないの?w」
花火は次々に打ち上げられる。
「だから優と見てるんだよ」         「…え?」
「いや、だからさ…かわいいよな、って。優が。」
隆志とは随分長い付き合いになるが、こんなことを言われたのは初めてだ。
かわいい?アタシが?チビだし、胸もないし、性格だってちっとも女の子っぽくないのに?
「俺は優のこと、好きなんだ」
そんな、いきなり言われても…今まで女の子として見られたことすらほとんどないのに…
「アタシも隆志のことは昔からよく知ってるし、大切な友達だと思ってるんだけど…」
…あれ?なんでどきどきしてるんだ?あー、困った。気まずいな、こりゃ。どうしよう。
「…ごめん、変なこと言っちゃったね。今言ったことは気にしないでいいから」
そんなこと言われたって…無理だよ…今すぐに誰かにすがりつきたい気分…
…え、何考えてるんだろ。だって、隆志は親友…いや、それでもいい。
アタシはそっと隆志の腕に抱きつく。いいよね、たまには。
アタシだってこれでも女の子なんだ。男にすがりつくくらい…



すいません、えろくないですね。

209 :名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 07:49:51 ID:OwnjLzJi
うわー。
改めて見てみたら本当文才ナサス…
いやあ恥ずかしいわ。

打ち切り!

210 :名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 16:26:25 ID:AnRRk+RV
いや、PS2のどろろも持ってるけど微妙だろ〜。
最後はマシになるけど。

211 :名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 21:43:16 ID:mw6ZXQHo
>>208
これはひどい

212 :名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 22:28:20 ID:togI/bQw
「ふぅ〜!終わったぁ〜!」まだ5分の1だけどな。
俺、河田亮輔は今、夏休みの宿題を2日で終わらせるべく、親友のゆうきと勉強合宿中。
両親は温泉旅行に出かけていて、家には2人だけだ。
いやしかし暑い。キリのいいところだし、風呂に入るとするか。
最初は一番風呂は客であるゆうきに譲ったのだが、逆に譲られてしまった。
あぁ…いい湯だ…風呂というのはなぜこんなにも気持ちいいのだろう……そのときだ。
ガチャッ―な、何?「入るよー」
ゆうきが入ってきた。風呂なので当然ながら全裸である。
「せっかくだし、一緒に入ろ?」
「え、いや、その…」
「ボクとは入りたくないって?ボクのこと嫌い?」
「そうじゃなくてさ…」
少し幼さの残る整った顔。小柄で華奢な身体に薄い隠毛。そしてちんこは…ない

「お前、もう少し意識しろよ……(汗」
「ん、何か言った?」
ゆうきは軽くシャワーで流し、湯船に…狭っ!湯があふれる。
おい、俺。何を動揺しているのだ。どうかしてるぞ。
こいつは友達じゃないか。ただ、ちんこがないってだけ…
ちんこがないだけ…ちんこがない…ちんこがなくて、…お、おま、おま、お*@£♀#☆§¥!?
「…ねえ、聞いてるの?」うわ、やべっ、もうビンビンだよ…俺、最低…
それにしても、服の上からだとよくわからないけど少しは胸もあるんだな。ほんの少しだけ。
…いかんいかん、また変なことを。
「ねえ!」「え?」「もういいよ…」
ゆうきは立ち上がり、…うわっ、目の前に!まn…湯船から出て頭を洗い始めた。
「りょうもこっち来なよ。洗ったげるよ?」
しかし出ようにも出られない。…って、おい、ひっぱるな、や、あ、うわ…ゴメン。
「…ううん、ボクは全然気にしてないから…いいからいいから」
そう言いながらも顔が赤いぞ。でも、おまえのせいだなんて言えないよ。
場所を交代して、さっきまでゆうきが座っていた椅子に座り、頭を濡らした。
ゆうきはシャンプーを手にとり、泡立て、俺の頭を洗う。気持ちいい。こいつ、上手だな。
そして身体。…ん、どうした?……!!!
「りょう…」
「何?」
「ボク、君が好きなんだ」
ゆうきが後ろから抱きつきながら言う。
どうする、俺!?さあ、どうする!?

213 :名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 23:01:28 ID:OwnjLzJi
やっぱ俺は物書きにゃ向いてないね。(´・ω・`)
あまりに恥ずかしいのでこのへんで。

214 :名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 23:12:50 ID:PnwZcTp2
rア本能のままに!
 やっぱり友情!
 怖くなって逃亡!

215 :名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 23:51:56 ID:D5+8Mt4A
せっかくね書き手だ
文才ないとかいわずに居てくれ。
期待はしてるよ

216 :名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 23:53:28 ID:D5+8Mt4A
せっかくの書き手
文才ないとかいわずに居てくれ。
期待してるぜ

217 :名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 13:21:53 ID:DhSCBFXB

リンダ・リンダ
僕の右手
ハスキー
青空
トレイン・トレイン

俺が好きなブルーハーツの曲

218 :名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 15:51:26 ID:GS7HRC+L
>>217
えッ・・・何かの暗号?

219 :名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 17:31:12 ID:kPvAaZBS
棒一種

220 :連投スマソ。:2006/07/27(木) 19:31:34 ID:kPvAaZBS
>>217
ハスキーはハイロウズじゃないか。

ってか、
>>208
THE BLUEBIRDSは俺のバンドじゃないかw

221 :名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 22:42:22 ID:6G+D5oHA
>>220


222 :名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 19:39:53 ID:2M6maTez
>>212
【本能】
【友情】
【愛情】
【スルー】
【逃げる】

223 :名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 23:25:27 ID:V9a4qs6B
なんでもいいから続きハァハァ

224 :名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 00:19:01 ID:Aa8jEspi
会社と自宅を往復するばかりの毎日で、転勤してきたばかりの俺には
とりわけ友人もおらず、ましてや恋人なんかもいなかった。

アパートの自宅で一人食べるコンビニ弁当にもそろそろ飽きが来た。
しかし外食は金がかかるし、自炊など出来やしない。
会社の上司や同僚など飲みに行く事はあったが、それも大して楽しくは無かった。
まだ転勤して来て2週間という短い期間では、気ばかり使ってしまい逆に疲れるのだ。
気の合った同僚を探すにも、もう暫らく時間がかかりそうだ。

シャワーを浴び、冷えたビールを一気に飲みほすとソファーに腰を降ろした。
コンビニで買って来た弁当と二本目のビールを机に置くと、おもむろにテレビを付ける。
どの番組にも大して興味が湧かないが、
適当にドラマでも見て夜の時間を潰すのが日課になっている。

「はぁ……明日も仕事か…めんどくせぇな」

その時、インターホンが鳴った。
こんな時間に誰か訪ねて来るのは珍しい、
大屋かと思い玄関を開けた先には一人の女性が立っていた。

「あの〜、木村さんですよね?夜分遅くすいません…隣の広瀬ですけど」

そこにいたのは隣の部屋に住む広瀬という女性だった。
何度か挨拶する程度でまともに言葉なんて交わした事なんて無かった彼女が
どうして今頃……不思議に思ったが彼女の口から出た言葉に更に驚く。

「あの〜、申し訳無いんですけど…風呂貸してくれません?
なんかうちの風呂壊れちゃったみたいなんですよ、こんな遅くだし業者の人とか呼べなくて」

「え?……風呂…?いいですけど…え?……」

俺男だからまずくない?と言葉を続けようと思ったが、
厭らしい事を考えてると思われそうで何故か言えなかった。

「いいっすか?すいません。じゃ、お邪魔しまーす」
「え!?ちょ……」

止める間も無く、彼女は部屋に足を入れた。
そのまま風呂借りますねーと言うとそそくさと風呂場へと消えて行った。

225 :名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 00:20:33 ID:Aa8jEspi
「はぁ〜気持ちよかった。有難う御座います」

何分かして彼女は風呂から出てきた。
あつかましいと言うか、しっかりしていると言うか、
男の部屋に何の戸惑いも無く足を入れる彼女に俺は僅かながら脱却していた。

「ビールあります?」

「は?てか風呂だけだろ?」

「いいじゃん別に。堅い事言わない」

彼女はそう言って冷蔵庫からビールを取り出すと、俺の隣に腰かけた。
彼女を初めて見た時は高校生ぐらいの顔が整った少年だと思ったほどだ。
中世的な外見と言えば良いのだろうか、化粧気が無く、
服装も男性的で髪は肩に掛かるくらいのミディアムショートだ。
しかし、透き通る程白い肌が何処か女性的なものを強調させている。
真っ黒な髪と、紅も引いてない赤い唇が余計そう感じさせるのかも知れない。

「ねぇ、あんたさ。挨拶は良くするけど喋った事無かったよね?名前は?歳は?」

「え?あぁ…木村アキラ……24…だけど…君は?」

「広瀬ユカリ、20歳だよ。あ、僕、男に興味無いから」

「は?え…レズ?」

「……ふ…はははは…冗談だよ、やだなぁ…本気にしないでよ。
でも男みたいでしょ?昔から良く言われるからね」

それからたわいもな会話を交わしたが、彼女は本当に少年のようだった。
私では無く、僕と自分の事を呼び、男性のような口調で。
名前だけは女の子らしいのに、と思いながら俺は深夜まで彼女と喋った。
こんなに久しぶりに誰かと言葉を交わし、大笑いしたのは久しぶりだったから。

226 :名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 00:21:17 ID:Aa8jEspi
適当に書いてみた。
気が向いたら続きはまた今度投下します。

227 :212:2006/07/29(土) 06:55:10 ID:U+wy7Gw1
…どきどき。背中に素肌を感じながらも言葉が見つからない。なんだ、この気持ちは。俺は…
「好き…ボクは…りょうが……好き…」
ゆうきは繰り返す。そうだ。ゆうきは俺が好きだと言っているんだ。
俺はゆうきの手をほどき、うしろを向き、向かい合う。そして…
お互いの心臓の音が聞こえる。……。
「…ちょ、りょう…きついよ」
「あ、ごめん」
咄嗟に手をはなす。
「あのさ…」    「何?」
「さっきの続きしてくれる?」    「はいはい」
背中はゆうきに洗ってもらい、前は自分で洗う。
「こっちむいて」
流し終わってゆうきが言う。俺はゆうきのほうを向く。
…ちゅっ。にこり。

風呂から上がり、仲良く身体を拭くとまた部屋に戻る。もう、一緒にいるだけで幸せなのだ。
さてと、第二部に突入だ。………宿題を終わらせねば。

228 :名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 06:56:46 ID:U+wy7Gw1
どなたか続きをおねがいします。
どうにもエロにいきづらい…


229 :名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 17:34:21 ID:Z31ts+Mp
おっともう寝る時間だ!


230 :名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 18:23:58 ID:yNyjAW23
│    _、_
│  ヽ( ,_ノ`)ノ 残念、それは私のおいなりさんだ。
│ へノ   /
└→ ω ノ
      >

231 :名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 16:18:36 ID:QqIox/3p
>>224-225
いいっすねぇ〜
期待してますよ。

232 :名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 00:32:32 ID:Zb2mXw3/
一人旅が好きだ。特にどこへ行こうわけでもなく気分でバイクを走らせ、適当なところで寝泊まりするのだ。
金があれば宿を探し、空きがあればそこに泊まるし、どれもなければ野宿だ。
今日はあいにく、宿も見つかりそうにない。野宿にはもう慣れている。
安全かつ寝心地のよさげなところを見つけ、小さなテントと寝袋を広げる。
特に何もすることがないのでCDを聞く。このCDプレイヤーは中学生のときから使っている。
   北のはてにも人生があり   南のはてにも歴史がある
30年も前の作品だが、俺はこれが好きだ。と、まったりしていると何かの気配…
ガサッ。 まさか、オヤジ狩り!?いや、夏は潮干狩、冬はオヤジ狩りだろ?というかオヤジじゃねえよ。
念のため外を確認してみる。誰かいるようだ。若い少年のようだ。
「あの…すいません」
少年が言う。
「ボクも一緒に寝てもいいですか?」
「いいけど…狭いぞ?」
俺は少年にテントの中を見せる。1人用だからほんとに狭い。幅は1メートルもない。
「いいんです、寝られれば」
そうして少年をテントに入れてあげることになった。
少年の名はヒロミという。19歳。休みを利用して旅に出てみたが、あまりに軽く考えすぎていたようだ。
免許もない、テントもない、寝袋もない。
「あのなあ…せめて寝るのと食うのだけは準備しとけよ…」
「はぁい。オジサンはいくつ?普段何やってるの?」
「オジサンて…俺まだ24だよ?俺は原田。仕事は…まあ、謎があったほうが面白いか。いや、ニートじゃねえぞw」
しかしこいつ、綺麗な顔してるなぁ…っとあぶない。俺はそっちの気はないっ!
「ねえ、念のため言っておくけど、ボクが寝てる間にえっちなことしないでよ?」   おいっ!
「いや、俺、そういう趣味はないからさ」
「え、インポ?」
「そうじゃねえーー!!」
「ボク、まだ処女だからね」
ん、処女?…え?こいつ…女の子???あぁ…そういうことか。
まあいいや。もう寝よう。…寝つけねえや。あれ、こいつの寝顔、可愛い…

233 :名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 10:05:12 ID:oRfUui/i
>>224-225
続き期待。

>>227>>232
もういいよ。

234 :232:2006/07/31(月) 22:10:42 ID:Zb2mXw3/
そうですね。
せっかくの良作、邪魔しないほうがいいですね。

235 :名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 23:52:20 ID:aBmgF9pv
いや、続きかいてくれよ232

236 :名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 12:09:27 ID:urJE0RIO
232木更津好きなのかい?232
「普通」でいいからさ…
処女膜突破まではイッてくんないとさ……

237 :名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 13:55:02 ID:jlkau+EP
せっかく書いてくれてるんだからさ、問答無用の切り捨て発言はやめようぜ。

238 :名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 23:51:28 ID:SciWw5jO
232さん 続き書いて下さい 楽しみにしてます。 アホなこと書いてるやつなんか無視して

239 :232:2006/08/01(火) 23:58:42 ID:bJgRQzrL
かわいいな…こんなに近くに…
『ボクが寝てる間にえっちなことしないでよ?』
さっきの言葉が頭をよぎる。えっちなこと……『ボク、まだ処女だからね』
………ぁぁぁあああああーーーーーー!!!!!
俺、最低だorz   とりあえず外に出よう。
そういえば、セックスは久しくしてない。
   一発やらせろこのやろー  外でな  外でな
   青姦やらせろこのやろー  外でな  外でな
なぜかこんな歌が頭の中で流れた。あれは10年前、中3のときだったな。
セックス・ピストルズの再結成公演で前座のバンドが演奏した、ベイ・シティ・ローラーズのサタデーナイトの替え歌だ。
そうか、あれから10年もたったのか。そしてかれらは活動休止し、また新しいバンドを結成したという。
10年…思えばいろんなものに出会ってきたな。映画や舞台、音楽、本、そして自然、それから…
女に関する記憶は極端に少ない。別に、女というものが嫌いなわけではない。
初恋は中1。同じクラスの子だった。しかしクラスが変わるとどうでもよくなってしまい、
中3の修学旅行のときにその子に告白されたのに、俺は自分はひどいやつだと考え、断ってしまった。
初めて女の子と付き合ったのは高校に入ってすぐ。彼女とは2年ほど付き合って別れた。
その後、何事もなく時は過ぎ、高校を卒業すると俺は大学に進学した。
彼女のことを忘れかけていた頃、突然の知らせが入った。
19歳の誕生日の6日前、彼女は死んでしまったという。事故だった。
俺は彼女の死をすんなりと受け入れてしまった自分を憎んだ。
そしてどうしようもなくなった俺は旅に出た。
そこで旅の魅力につかれ、今では長い休みに旅に出るようになったのだ。
で、今日、カオルと出会った。これほどまでに女を感じさせないのは初めてだ。
それでいてカオルには何か不思議な魅力がある。なぜだ。

240 :232:2006/08/02(水) 00:04:03 ID:RbORN7dV
うおっ!?

重大なミスを犯した!orz


あー、どうしよ。カオルじゃねえよ。ヒロミじゃねえかよ。

241 :名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 00:12:07 ID:doEEZsmV
薫て…MAJORか?w


とりあえず232はCharと木更津キャッツアイとハイロウズとピストルズが好きだということがわかったw

242 :232:2006/08/02(水) 00:54:11 ID:L1kc4hfX
お察しのとおり、メジャー読んどりますw

いやー、野宿なんてしたことないのにこんな書くなんて…書いてから困った。
おまけにヒロインの名前間違うし。
俺にゃ最初から無理だったんだよ…

243 :名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 08:14:18 ID:4qgXyO6T
言い訳は全て書き上げてからにしてくれ

244 :名無しさん@ピンキー:2006/08/02(水) 21:01:49 ID:HR2hlQka
うむ、一々駄目だ駄目だというより先にかきんさいよ

245 :232:2006/08/02(水) 23:56:11 ID:L1kc4hfX
わかりました。とりあえず書きます。


「…原田さん?」
気が付くとヒロミが隣にいた。
「ごめん、起こしちゃった?」
「ううん、別に原田さんのせいじゃないよ」
「そっか。なあ、明日からどうするんだ?」
「どうしようね。ハハハ…何も考えてないや」
うーん、先が思いやられる。このままだと行き倒れになりそうだ。
「俺と一緒に行くか?」
「いいんですか?ボク、バイクで旅してみたかったんだー!」
ヒロミと2人旅…タンデムツーリング?…まあ、それもいいだろう。
そう決まると、2人でテントに戻る。今度はよく眠れた。
次の朝、簡単な朝食をとるとヒロミをここに残し、俺は急いで街に出て必要なものを買い揃え、再びここに戻ってきた。
俺とヒロミのいきあたりばったりタンデムツーリングが始まった。
いつものように適当に走り、昼になるとまた適当なところで休憩する。昼食もここでとることにした。
「そういえば昨日、処女だって言ってたけど、男と付き合ったことはある?」
「ないよ」   即答。
「じゃあ男とこれだけくっつくのも」
「初めてだけど…原田さんなら大丈夫そうだし。寝てる間にえっちなこともしなかったしね」
しそうになった…とは言えないがな。
「そういえばあの、オートバイの出てくる曲、あれいい曲ですね」
俺が買い物に行っている間にヒロミは俺のCDプレイヤーを使っていたようだ。
CDはCharの他にも俺は何枚か持ってきている。
「オートバイの出てくる曲って、いっぱいあるんだけどw」
「これが最後じゃないのかといつもそんなせつなさでぎりぎりのキスをしよう、ってやつ」
「え、付き合ったことはないけどキスしたことはあるの?」
「いや、ないけどさ。まあ何だ、憧れかな?」
うーん、やっぱ女の子なんだな。

246 :232:2006/08/02(水) 23:59:18 ID:L1kc4hfX
ちなみにここまで全部携帯で。
パソコンもあるんだけど、ベッドに寝っ転がりながらのほうが落ち着いて作業できるんだよね。

247 :名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 08:23:49 ID:D+QrFlyI
いいよ いいよ 頑張れ

248 :名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 11:22:43 ID:Tq8NP4AF
>>239
ttp://www.youtube.com/watch?v=aAUs0_a26XI

249 :名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 19:12:40 ID:Rk3WlAxO
この書き手が少ない場所で頑張ってくれるあなたにGJを捧げます。

250 :232:2006/08/04(金) 00:13:51 ID:0fI6Imej
よく考えたら、実在する曲の歌詞を載せるのはちょっとマズーな気が…

251 :名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 01:07:51 ID:NuZzpfJs
ジャスラックの者ですが…

252 :名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 01:10:48 ID:t3QbfrOY
商業利用じゃないんだから気にするな。

253 :名無しさん@ピンキー:2006/08/04(金) 14:38:52 ID:e6rBkvlz
Char/空模様のかげんが悪くなる前に
木更津キャッツアイ/木更津キャッツアイのテーマ
ベイ・シッティー・ローラーズ/SOTOデナ
真島昌利/風のオートバイ

254 :232:2006/08/05(土) 09:29:22 ID:M1Thos8z
昼食を終えるとまた走り出す。途中で温泉とコインランドリーに寄った。
そして今日も野宿。次の日も野宿。3日連続の野宿だ。
4日目の夕方。
「お願いがあるんだけど」
ヒロミが言う。俺に頼みごと?
「今日はベッドで寝たいな…安っっすいとこでいいから」
「安っっすいとこ?」
「うん…いや、寝るだけだからさ、どんなところでもいいから…」
3日連続の、それも初めての野宿で疲れたのか、それとも……何を期待してるんだ、俺は!
その夜、俺達はあるホテルに到着した。飛び入りでも泊まれる安いホテル。
「おい…本当にこんなところでいいのか?」
「うん、寝るだけだから」
中に入る。初めて見る光景にきょろきょろする姿はやはり少年のようだ。
鍵を開けて部屋に入るなりヒロミはベッドに転がる。
「原田さんは今まで女の子とキスとか…えっちとかしてきたんですよね?」
「まあな」
「ボク、原田さんに…してほしい」
はじめてのチュー、俺とチュー?
「いいナリか?」
「うん……え、『ナリ』?」
「ごめん、変なこと考えてた」
せっかくのムードがぶち壊しではないか!ここはキスしてほしいにしておくべきだったな。
「俺、風呂入ってくるわ。それからにしよ?」


255 :名無しさん@ピンキー:2006/08/05(土) 09:46:06 ID:M1Thos8z
パトラッシュ、僕はもう疲れたよ。。

256 :名無しさん@ピンキー:2006/08/05(土) 09:52:21 ID:dJFygVfS
書きたいのなら応援するけど辛いのならやめてもらっても結構だよ。
どっち?

257 :名無しさん@ピンキー:2006/08/05(土) 11:01:51 ID:qusNuf8u
やめちゃえば?

258 :名無しさん@ピンキー:2006/08/05(土) 13:16:17 ID:THf2rgcr
続けて欲しいな まあ辛いならいいよ また気が向いたら書いとくれ

259 :山田奈緒子:2006/08/05(土) 18:05:31 ID:VrjKeQKV
こんな糞スレ立てたのはお前か上田(>>1)!!

260 :上田次郎:2006/08/05(土) 19:45:01 ID:aEt9IrNx
おぉう!?YOU、どっから現れたんだ脅かすなよ!
それに俺はこんなカススレなど立ててはいないぞ。高みの見物をしていただけだ・・・

261 :1:2006/08/05(土) 22:59:49 ID:wbUh7K5P
悪かったなぁ!!!
糞スレでよー!!!

262 :名無しさん@ピンキー:2006/08/06(日) 01:04:13 ID:Ck4a3iy+
書くなら男らしくすぱっと書けばいいじゃない
疲れたよ、とかいらんよ

263 :232:2006/08/06(日) 08:43:54 ID:tgOVYDOt
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨・・・・・・
何だ、一体何が起きた!?地面が揺れている!地震だ!
俺はフルチンで外に飛び出した。
すると次の瞬間、ハンドル操作を誤った10tトラックが俺めがけて突入!
俺は死にました。

完。

264 :名無しさん@ピンキー:2006/08/06(日) 15:41:25 ID:GVPpPt/l
なんじゃこりゃ。

265 :名無しさん@ピンキー:2006/08/06(日) 23:48:19 ID:e1ROMWOW
終わり。

266 :名無しさん@ピンキー:2006/08/07(月) 00:07:02 ID:JhAZMufa
落ち着くんだ

267 :名無しさん@ピンキー:2006/08/07(月) 00:35:05 ID:NxQ+Q+Al
そうだ、こんな時は
素数を数えるんだ

268 :名無しさん@ピンキー:2006/08/07(月) 08:14:05 ID:gjIyq9cP
2,3,5,8,13,21,34,

あれ?

269 :名無しさん@ピンキー:2006/08/07(月) 09:55:23 ID:x0c1Kw4W
大丈夫か? ギャグだよな 2 3 5 7 11 13 17 19

270 :名無しさん@ピンキー:2006/08/07(月) 12:11:39 ID:u7noeCMy
2,3,5,8,13,21,34,

2+3=5
3+5=8
5+8=13
8+13=21
13+21=34

一つ前と二つ前の数を足してるのか

271 :名無しさん@ピンキー:2006/08/07(月) 13:56:26 ID:pbfmgAVg
>>268
フィボナッチ数列かよw

272 :名無しさん@ピンキー:2006/08/07(月) 16:48:49 ID:09GaEBw7
博士の愛した貧乳

273 :名無しさん@ピンキー:2006/08/07(月) 20:23:49 ID:4UMuW7td
兄さん5時にセブンイレブン父さんいいなとついていく

274 :名無しさん@ピンキー:2006/08/07(月) 21:32:25 ID:6SGj4Rd4
貧乳姉妹物語

275 :名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 21:16:59 ID:cUOWFRTV
大貧乳

276 :名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 22:59:24 ID:LMy0ksVi
貧乳街

277 :名無しさん@ピンキー:2006/08/09(水) 01:28:36 ID:iEvi6qfj
貧乳に負けた

278 :名無しさん@ピンキー:2006/08/09(水) 07:16:19 ID:VtnbUVFj
乳なんていらねえよ、夏

279 :名無しさん@ピンキー:2006/08/12(土) 20:59:31 ID:33cyedhK
貧乳に相談だ。

280 :名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 16:29:10 ID:RJRSEYob
やっぱ貧乳でしょ。

281 :名無しさん@ピンキー:2006/08/15(火) 00:35:51 ID:Uw0w02wy
貧乳暇なし

282 :名無しさん@ピンキー:2006/08/15(火) 08:57:08 ID:Wv+bn8wB
咳をしても貧乳

283 :名無しさん@ピンキー:2006/08/15(火) 09:01:57 ID:U74SGmqc
A HAPPY 貧NEW YEAR!

284 :名無しさん@ピンキー:2006/08/15(火) 15:09:17 ID:0d5E7rNn
貧乳は食わねど高楊子

285 :名無しさん@ピンキー:2006/08/16(水) 20:16:35 ID:0HS4g1cK
貧乳問答歌

286 :名無しさん@ピンキー:2006/08/16(水) 21:40:56 ID:I2qlzri/
ブラも貧乳からは落ちる

287 :名無しさん@ピンキー:2006/08/16(水) 23:18:55 ID:kYOaS3cj
ボーイッシュはどこ逝った?

288 :名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 01:09:23 ID:wXzwX/eo
>>287
オレのベッドで寝てるよ

289 :名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 17:30:32 ID:ehPhhWdh
本当ならば今頃僕のベッドに…

290 :名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 17:35:44 ID:AVnsKw/6
ntrは勘弁

291 :名無しさん@ピンキー:2006/08/18(金) 05:20:40 ID:HUzTQuga
脳内派生嘘貧乳

292 :名無しさん@ピンキー:2006/08/20(日) 22:53:29 ID:aNoP0o32
今月の魔性はすごかった

293 :名無しさん@ピンキー:2006/08/21(月) 10:12:25 ID:zT7McO0h
貧乳が好っきー好っきー好っきー
貧乳が好っきー、好っき♪

294 :名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 16:59:35 ID:i7Imf8oB
べ、べつにあんたのためにageてageたわけじゃないんだからね!

295 :名無しさん@ピンキー:2006/08/22(火) 19:52:54 ID:JvLtHs3m
じゃあ、そのズボンをsageてみようか

296 :名無しさん@ピンキー:2006/08/23(水) 08:04:22 ID:GbwnLk5m
わかったよ。sageりゃいいんだろ、sageりゃ。
…な、なんだよ。
言っとくけど、これっぽっちも恥ずかしくなんかないんだからね!

297 :名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 20:00:54 ID:TOcifRlc
お前…結構可愛いぱんつ履くんだな。

298 :名無しさん@ピンキー:2006/08/25(金) 10:02:07 ID:8wxuVGfQ
↑なんてのはどうだろう。


もしくは

「おっぱい揉んで!」
「な、なんだよいきなり。それに揉むほどもないのに」
「だから揉んで大きくしてほしいんだよ。こんなこと頼めるの君くらいだし」
「あのなー…だいたい、似合わないと思うぞ?」

なんてのをきぼん

299 :名無しさん@ピンキー:2006/08/27(日) 09:58:24 ID:OVI0FFqX
一度ボーイッシュな子と付き合ったことがあるんだけど、
なんだか全く性を匂わせないんだよね。
おかげで健全。超健全。
ちょっとでもえっちなことになると顔を真っ赤にして黙りこんじゃって。

300 :名無しさん@ピンキー:2006/08/29(火) 15:38:05 ID:wQ/k7fJh
「お前って女だよな?」
「何だよいまさら。当たり前だろ。」
「べつに。」
「なんだよそr」
チュッ
「なっ、ななっ、なにすんだよ////」
「お前がかわいかったからさ」
「・・・・・・・」←赤くなって声が出ない。
「うん、やっぱりお前は立派な女の子だ。」
「・・・・・・・(真っ赤になりつつ)バカ」

301 :名無しさん@ピンキー:2006/08/29(火) 22:14:08 ID:zX7XVC0a
ここを俺の安息の地にする事に決めました。

302 :名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 00:13:55 ID:QR0lHWqp
この板の女の子が渚カヲルっぽく思えて萌えられません

303 :名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 10:39:48 ID:SHSwKv9X
じゃあ港カヲル

304 :名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 11:57:57 ID:LhyiMFXK
東カホルはどうか

305 :名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 17:39:35 ID:no0Z8acq
>>302
板かよ

306 :名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 07:28:35 ID:8ZRu8Oi9
「ねえ、好きな子いないの?」
「なんだよ、いきなり。そりゃいるけどさ」
「そっか…」
「おまえはどうなんだよ」
「いるよ。いっつもその人のこと考えてる。
でも、ボクって男の子みたいだし」
「はははwそりゃ相手にされんかもな」
「うん…その人、ボクのことは男の子みたいな扱いだし
それに、好きな子がいるんだって…そりゃそうだよね。
ボクなんか最初から眼中にないよね」
「少なくとも俺は好きだけどな」
「え?好きな子いるんじゃなかったの?」
「うん。ここにな」



みたいなのきぼん

307 :名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 21:52:55 ID:C6FFNQIu
「ねえ」
「ん?」
「なんで僕?」
「…好きだから」
「いや、だからなんで?」
「知るか。俺はお前が好き。お前は俺への気持ちとコンプレックスに板挟みにされて戸惑いつつも、俺がぶつける想いが満更でもない。それだけだろ」
「…自意識過剰。っていうか、僕は別にコンプレックスなんかないし戸惑ってもない」
「強がるなよ。男に見えるぞ」
「どうせ僕は男っぽ…」
「………」
「………バカ」

308 :名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 22:22:13 ID:ao9flgaL
自分には昔からずっと一緒にいる奴がいる。
そこらの友達よりも仲がよく、ほとんどいつも一緒にいて月に数回だけお互いの家で寝泊まりする。
名前は光(ひかり)、女だ。
とはいってもやましい事など一切していない。
俗にいうボーイッシュというやつで話していても女と話しているような感じはほとんどしない。
今日は光が自分の家に泊まりに来る日だ。
光が来るのは朝の10時頃でそろそろ来る頃だ。
自分は床に寝転び光が来るのを待った。
数分後すぐに彼女は来た。『・・・・おはよう』
光は表情を変えずに玄関に立ち挨拶をしてきた。
『おはよう』
光は普通のボーイッシュとは少し無口というかクールだ。
光の親によると、明るい子になってほしいと思いつけた名だそうだ。
しかし光はそれに反する様な風に育っていた。
『まぁ、上がれよ』
『うん・・・・。お邪魔します』
ちなみに今日みたいにどちらかが泊まりに行く日は親はいない。
気を使ってくれてるらしいが光とは何もない。
『さてと、宿題やるか。夏休みの』
『嫌だよ。僕、あんまり頭使いたくないもん』
『こんな時だけはっきり意思表示しやがって。お前、一人じゃ全然やらないじゃん』
本当に光は勉強が出来ない。
運動能力には長けているが部活には入っていない。
練習が面倒らしい。
『・・・・わかった。でも僕がわからない所教えてよね』
なんて事をいいながらウインクをしてきた。
もう少し女らしかったら多分宿題そっちのけでいちゃついただろう。
『はいはい。もし、昼までにこの問題集終わらしたら、何でもいう事聞いてやるよ一つだけなら』
光は餌で釣った方が通常よりも効率がよい。
『いいよ・・・・別に・・・・』
いつもそういうが意地でも言った事をやってしまう。
自分の宿題は後読書感想文ぐらいなので昼まで本を読んでいるだけでいい。
そして昼までの間に時々、光を見たが一生懸命に宿題をしていた。
何と無くだが光が少し震えている気がした。
『・・・・ねぇ。終わったよ』
いつの間にか自分の隣には光が立っていた。
その手には問題集が抱えられていた。
『っえ!?もう?』
『・・・・・・・・』
光は無言で頷いた。
何故か光は内股で顔を赤らめていた。
『トイレか?いってこいよ。問題集出来てるか確認しとくからさ』
『っち、違うよ!!』
珍しく感情剥き出しだな。
問題集をチェックしてみる。
間違いが所々あったが、宿題分は終わっていた。
『へー、すごいじゃん。さてと何なりと申し付け下さいお姫様』
『・・・・・・・・・うん』
少しふざけてみた。
さっきより顔が赤くなっている気がする。
『・・・・助けて、僕なんだか変なんだ。最近いつも君の事を考えて・・・・考える度にここがジンジンするんだ。さっきだって君が近くにいると思うとここが・・・・・・・・助けてよぅ』
いつの間にか光は股間を両手で押さえていた。

309 :名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 06:32:41 ID:L2/2tmbj
wktk

310 :名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 15:25:56 ID:xi+hpJye
ちょwww続き続き!


311 :308:2006/09/04(月) 21:59:59 ID://HmbNPF
潤んだ瞳で自分を見つめる光は恐らくこういった事は初めてで処理の仕方がわからないのだろう。
『何でもいう事聞いてくれるんでしょ?僕を助けてよ!!』
気迫は伝わって来るがそんな潤んだ瞳で言われても困る。
光は気付いていないが自分の股間はズボンにテントを張っていた。
股間が限界とばかりまでにでかくなっている。
股間だけではない自分の理性も限界だった。
『光よっっっく聞けよ。これからお前を治してやる。その時に俺のいう事は絶対に聞けよ?』
『わかった。何でもいう事聞くから早く僕を治してよぅ・・・・』
声が弱々しく顔も耳まで真っ赤になりもう瞳からは涙を流していた。
『本当だな?じゃあ、まず服を脱いで。下着も全部ね』
『っえ・・・・・・・・』
一瞬、反論しようと口を開いたのだろう。
しかし約束をしたため文句を言えない様だ。
光は中々律儀な奴でここで待っておけと言えば戻って来るまで待っているような奴である。
服を脱ぎ捨て下着姿になり残るはスポーツブラと飾りっ気のない純白ねパンツだけだった。
『ほら、下着も』
『・・・・・・・・・・・・わかってるよ』
おずおずとブラを外しほとんど膨らみのない小さな胸が姿を見せた。
光のピンク色の乳首が自分の股間に負けないくらいに勃っていた。
『後パンツ・・・・』
自分はそう言って光の胸に吸い付いた。
『っん!!オッパイ吸うなんて赤ちゃんのする事だよ?』
光はそう言いながらもパンツに手を掛け少しずつ下ろしていった。
パンツと光のアソコからはいくつかね糸がひいていた。

312 :308:2006/09/04(月) 22:03:27 ID://HmbNPF
はじめまして
いきなり投下でした
すみません
光クールって設定だったけどなんか違うね
きにしない

313 :名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 00:03:10 ID:3YrUuGPd
誤字は気になる。

314 :名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 01:03:59 ID:ISUjmlh8
気にすんな

315 :名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 15:07:03 ID:galC7off
ちゃんと書き上げてくれるまで言っちゃいけない。

316 :名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 21:32:02 ID:Q7PklJRo
いいから続き

317 :308:2006/09/05(火) 23:01:03 ID:/ZEejjnh
『服、脱いだよ・・・・』
光が服を全て脱ぎ終わったのを確認して吸い付いていた胸から口を放した。
『僕は何されるの?』
光は心配そうな表情で自分を見つめていた。
『・・・・・・・・』
自分は無言で光の胸を片手で揉み始めた。
そして、もう片手でズボンとパンツを下ろした。
『あ・・・ん・・オッパイ揉まないでよぉ』
光は胸に気を取られて自分がズボンとパンツを脱いで膨脹したペニスを出している事に気がついていないらしい。
『っもう!!やめてよ!!』
突如光が叫び光の胸を揉んでいた手を掴まれた。
『全然ここのジンジン治らないじゃんか。それどころかさっきよりジンジン大きくなってるよ。・・・・嘘つき』
そう言って光は自分に背を向けしゃがみ込み泣き出してしまった。
多分この言葉で自分はキレたんだと思う。
光は処女だからできるだけ濡らしてから自分のを挿入しようと思っていたが、やめにして一気にやる事にした。
『・・・・』
無言で光の肩に手を置く、光は反射的に振り向きその瞬間、光の唇に自分の唇を重ねそのまま光を押し倒した。
『ンーーッ!!』
いきなりの事に光は悲鳴を上げたが口は自分に塞がれていたので曇った声になっただけだった。
そのまま舌を光の舌に絡めていった。

318 :名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 23:11:30 ID:HMoWkTQD
おー 焦らなくていいんでゆっくり
頑張ってください

319 :319:2006/09/07(木) 05:17:34 ID:ZRExZT7q
いつも同じ電車、同じ車両に乗る少年は何処か中性的で幼い少女のような面影を残している。
満員電車という他人の肌が触れ合う、窮屈で居心地が悪いこの空間。
誰もが眉を歪め、怪訝な面持ちで電車から降りて行くのに、
彼だけは嫌な顔一つせず、人形のように美しい表情でただ窓の外を眺めている。
彼だけが、まるで別世界にいる住人のように酷く澄んでいた。

自分より幾つか年下の、しかも少年をこんな風に見てしまうのは何処かおかしいのだろうか?
頭のネジが一本足りてないような、思考が歪んでいるような気がする。
別に俺は同性愛者という訳では無いし、女に興味が無いという訳では無い。

それに今まで、女に困る事は余りなかった。
女から声を掛けられたり、コンパではそこそこモテてる方だと思う。

連日の残業で疲れているからだろうか。
毎朝、彼を目に焼き付けておく事で「今日も一日頑張れる」そう自分に言い聞かせている。
まるでくだらないマジナイみたいだ。



終電を乗り終え、自宅に付く頃にはもうヘトヘトだ。
5階にある部屋までの長い階段をのぼると、
空き部屋だった隣の玄関前のダンボール箱に目が行った。
誰か新居者でも入ったろだろうか。
俺が鍵を開けると、その音に気付いたのか隣人が玄関を開ける。

その姿に俺は心臓が止まる程驚いた。
そこにいたのは、毎朝見るあの少年だったから。

320 :319:2006/09/07(木) 05:20:32 ID:ZRExZT7q
「こんばんは、隣に越して来た黒崎です。
隣なんで色々お世話になると思いますが、宜しくお願いします」

控え目に挨拶をする少年は、いつもと同じで人形のように無表情であった。
陶器のような白肌と、大きな瞳、伏目がちの所為で睫が酷く長く見える。
漆黒に輝く髪はその白肌を強調させており、余りの美しさに俺は生唾をごくりと飲み込んだ。

「あ、あぁ…こんばんは。夏目です。こちらこそ宜しく」

少しも笑わない少年は軽く会釈をし、部屋の中に消えて行った。
俺は未だ身震いしてるかのように、身体全身がぞくぞくした。
あの少年がまさか隣に越して来るなんて何かの夢だろうか。信じられない。

同時に自分の思考が狂っていた事にも気付かされたのだ、
どうやら俺は中世的な少年に興奮してしまう変態野郎だったらしい。

風呂から上がり、ビールを飲みながら簡単な夕食を取る。
いつも見ている番組にこんなにも集中出来ないのは初めてだった。
気になって仕方が無い、隣の部屋が。

「どうしました?」

気付くと俺はインターホンを押していた。
風呂上りなのか、石鹸の香りが鼻を掠める。
いつ見ても全身黒服の彼は寝巻きも黒らしい。

「あ…いや。何か困る事無いかなって。
つーか無いよな?はは…ごめんね、こんな夜中に」

俺は何をしてるのだろうか。
少し首を傾げると、少年は無表情のまま、「お酒でも飲みます?」と訪ねて来た。
予想もしなかった返答に俺は驚いたが、内心嬉しさの余り飛び跳ねそうだった。
尻尾を振る犬のように、招かれた部屋に足を踏み入れた。

321 :319:2006/09/07(木) 05:29:00 ID:ZRExZT7q
今日越してきたばかりなのに、荷物は少なく殺風景な部屋である。
リビングの中央に置かれた小さめの机の前に腰を降ろすと、
少年はグラスに氷が入ったコップとカクテルを持って来た。

「つーか…黒崎君?君…未成年だよね?」
「凌でいいよ、えっと……夏目さん名前は?」
「え…明宏だけど…」
「そう、じゃあ明宏でいい?未成年に見える?これでも21だよ」

何故か急に親しげに話し出す彼だが、22歳という年齢に驚いた。
俺と5歳しか変わらない。てっきり16、7歳だと思ってたから。

「15歳までイギリスに住んでたんだ、父がイギリス人でね」

ハーフなのか。
だからそんなに美しいのか、そしてタメ口も…妙に納得した。
細い手首は真っ白で、重そうに持ち上げられるカクテルビン。
どうぞ、と出されたカクテルは思った以上に濃かった。

「いつもこんな濃いの飲んでるの?」
「気分によってはね、酒が無いと寝れない日もあるんだ」

悲しい程儚げな瞳は少し笑っていた。
何か深い意味があるのだろうか。

煙草に火を付けようとした時、
「ごめん、煙草だけは止めて」と彼の細い指先が俺の手の甲に触れた。
冷えた指先が僅かに震えている。
そういえば、暖房が付いていない事に今更ながら気が付いた。

「少し寒いね」

リモコンに手を伸ばそうとした時、再び凌の手が俺に触れた。
今度は触れるだけでは無く、しっかりと感触が伝わる。
ひんやりした空気は肌の体温を奪っていく。
しかし、先程飲んだ酒の所為で身体の芯は熱いような気がした。

濃い酒が回ったのか、凌の頬は僅かに染まっており、大きな瞳は少し潤んでいた。
このままだと、おかしくなってしまいそうだ。

322 :319:2006/09/07(木) 05:33:10 ID:ZRExZT7q
「ぁ……えっと…ちょっと酔ったかな?
本当は君…あんまり酒強く無いんだろ?無理して飲んでない?」

何とか誤魔化そうと必死に話題を出すが、この空気は変わらない。

「そ、そうだ。テレビでも――」

そう言った瞬間、凌が俺の懐に飛び込んで来た。
やばい、このままだと自制が効かない。
自分の鼓動が煩いくらい鼓膜に響き、下半身が熱くなって行くのが分かる。

「ねぇ…見てたんでしょ?僕の事。知ってたんだよ、ずっと」
「なっ…」

余りに驚いた
そのの言葉に俺は喉が詰まる感覚を覚えるくらいで。
気付いてた――?俺の事――。

「まさか、隣に住むなんて思ってもいなかったけど、奇遇だねぇ」

人形のような表情を崩し、口角を上げ、笑む凌。
初めて見る彼の笑顔は酷く妖艶であり、まるで悪魔のように美しく、そして愛らしい。

見えない糸で引かれているのか、操り人形のように指が勝手に動き、
気付いたら彼の髪を梳いていた。

「ねぇ…寒いよ。温めてくれるよね?」
「……そ、それは――。それに君は男だろ?駄目だろ、そんな事……」

情けない程、今の俺は弱気だろう。
今まで付き合ったどの女よりも、この少年は魅力的に感じる。
美しすぎる顔立ちと、男とは思えない華奢な身体――。
男とは思えない――?まさか――。

自分の懐に俺の手を当てる凌。

何故今まで気付かなかったのだろうか、どうして男と思い込んでいたのだろうか。
身体のラインを隠す真っ黒な服装と、ハーフという中世的な顔立ちに惑わされたのか。
しかし、普通は気付くだろう。誰が見ても彼、いや彼女は――。

「残念…女だよ」

そう言うと凌は俺の唇に噛み付くようなキスをした。
未だ彼女の懐に当てられた俺の手。
感じるのは男には決して無い、柔らかい乳房の感触であった。

323 :名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 05:42:22 ID:ZRExZT7q
はじめまして。
このスレかもう一個のスレどっちに投下すれば良いか迷ったけどこっちにしました。
皆さんが望んでるのとかなり違うボーイッシュかも知れません。
でも大目に見てくれ。

324 :名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 07:04:46 ID:FOJ5Yp+G
もう一個のスレ?
エロパロにボーイッシュスレは一つしかないのだが…
リアルネタならえちねたのボーイッシュスレだけどね。

325 :名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 07:06:34 ID:2AqODiVz
グッジョブ!

大目に見るどころかストライクど真ん中ですよ

326 :名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 16:44:53 ID:yQfNhzqC
どうか続きをお願いします神様

327 :名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 23:24:34 ID:oq1JVDtJ
私からもお願い申し上げます

328 :名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 23:37:12 ID:X1uun4vp
ヤベェ・・・・・・バイトの疲れが吹き飛んだよww

329 :319:2006/09/09(土) 01:22:41 ID:WZXfalkw
「ぁ…んっ…」

凌の声は予想以上に甘く、その鼻に掛かった声が否が応でも興奮を誘う。
俺の唇を自分の唇で挟み、時には歯を立て、乱暴に舌を動かしながら、
それがまるで義務のように、彼女は必死に唇を貪った。

熱い吐息がかかり、行き場を無くした唾液が顎まで伝い、妙に卑猥に見える。
先程まで少年だと信じ込んでいたのが嘘のように、彼女は女の顔をしていた。

「ちょ…駄目だよ…、いくな何でもいきなりこういう事は…」

キョトンとした表情で凌は俺を見つめた。
何を正義ぶっているのだろうか。
普段なら喜んで行為に及んでいるだろう。
やはり、相手が彼…彼女だからなのか。

それに加えて、女だったいうショックと安心が入り混じる。
俺は変態野郎じゃ無かったんだ、という安堵の気持ちと
男じゃなかったという事で、スリルを味わえなかった落胆の気持ち。

それに…思っていたイメージと違った。
その外見からも彼女は純粋だという事が伺える。
しかし、期待を裏切られた。
本来ならここで幻滅する筈なんだろうが、今の俺は違うらしい。
淫乱かも知れない彼女に酷く興奮し、下半身は徐々に熱くなりつつあるだ。
やはり俺は狂っているかも知れない。

「もっと自分を大事にしなきゃ駄目だ…、さあ…」

俺は平素を装い、未だ彼女の懐に置かれていた手を離した。

「何言ってんの?偽善振っちゃって。本当はしたくて堪らない癖に」
「――っ!?」

嘲るように言い捨てると、凌は服の上から俺の股間を撫で回した。
一気に快楽が押し寄せ、硬くなって行くのが分かる。

「ほら、こんなに硬くしちゃってさ。もう我慢出来ないんでしょ?」

妖しく頬笑みながら、彼女は尚も俺の股間を撫で続ける。
先程まで澄んでいた漆黒の瞳は暗く澱んでいるように見えた。
彼女から危険な香りがするのは確かで。
だが、目の前にいる彼女の妖艶な誘惑から逃れる術は無さそうだ。

330 :319:2006/09/09(土) 01:23:34 ID:WZXfalkw
「どうしたの?黙っちゃって。……そう…、我慢する気なんだね?」

凌の指が俺のベルトへとかかる。
まるで映像がスローモーションで動いているかのようで、
その指の動きから目が離せない。
細い指先はゆっくりとチャックを下げ、大きく勃起したペニスに触れた。

「は…ぁ…」

思わず声が漏れる。
冷えた彼女の指先が更なる快楽を誘うのだ。

「大きいね」

凌はゆっくりと指を動かし、ペニスを刺激した。
既に先端から先走りの汁が溢れている、思った以上に興奮しているようだ。

浮き出た太い血管をなぞり、根本から濡れている先端まで指先でなぞって行った。
その光景は酷くいやらしく、今まで見たAVやましてや今までの情事とは比べ物にならない。
天使のような凌の外見がより一層そう思わせているのか。

先端から溢れ出る液体を指先で拭うと、
赤い舌を覗かせ、俺に見せ付けるかのように妖しく微笑みながら、それを舐め始めた。

もう、限界だ。
このままだと我を失いそうだった。
現に頭の芯がクラクラしている。

「―っ…!」

今まで舐めていた指先を再びペニスにやると、今度は口を使って舐め出した。
柔らかい舌の感触や生暖かい唾液の感触が、酷く敏感になっている事でよく感じられる。
感覚が研ぎ澄まされているのか、舐めるいやらしい水音が鼓膜に響き、
自分の吐息さえも良く聞こえた。

ペニスは益々硬くなり、彼女の小さな口では咥え込めない程の大きさになっている。
それにも拘らず、凌は裏スジを丁寧に舐め上げ、亀頭を咥え、必死に舐め続けていた。

やばい、もう限界だ――。
と思った瞬間、凌は咄嗟に口を離した。

331 :319:2006/09/09(土) 01:24:25 ID:WZXfalkw
「な…」

俺は呆気に取られ、彼女を見つめた。

「何て顔してるの?もう少しでイキそうだったのにって?
そうだね、もう限界だよね…。血管が脈打ってるよ」

おあずけを食らった犬のようだ。
あと刹那で達する筈のそれは、ドクドクと脈を打ち、餌を待っている。
彼女はわざと止めたのは勿論、俺がその気になるように誘っている。
先程まで偽善ぶっていたが、今はもうそれどころじゃなかった。
自分で処理しても良いだろうが、目の前に美味しそうな餌がある。
それを我慢しろ、というのは余りに残酷すぎる――。

「ふふ…、良くここまで我慢したね」

妖しく微笑むと、凌はゆっくりと服を脱ぎ出した。
露になった肌は驚く程美しく、新雪のように真っ白で、
絹を練ったような木目細やかな肌の上には、控え目の乳房が女を強調していた。

再び、凌は俺の手を導き、懐へとやった。
先程の服の上からよりも、乳房の柔らかい感触がよりリアルに伝わる。

「抱いていいよ…」

僅かに震えた声がした瞬間、俺の理性は刹那で吹っ飛んで行った。
細い手首を掴み、乱暴に凌を組み敷いた。

332 :名無しさん@ピンキー:2006/09/09(土) 01:25:56 ID:WZXfalkw
褒めて頂き嬉しいです。
とりあえず、続きだけどこれ最後まで書いていいのやら。
スレ違いかも知れん、結構重い話しです。
苦手な方はスルーしてね。

333 :名無しさん@ピンキー:2006/09/09(土) 03:09:48 ID:ljkntV4Y
そ、そんな・・・。こ、ここでやめられちゃったら私ッ・・・!

334 :名無しさん@ピンキー:2006/09/09(土) 09:38:53 ID:d9xGOQy3
ら、らめぇ・・・らめえええええええ!!!!111

335 :名無しさん@ピンキー:2006/09/09(土) 11:28:29 ID:6ejrQBIM
>>334
途中からシフトキイから指が離れてるwwww

336 :名無しさん@ピンキー:2006/09/09(土) 11:42:50 ID:ovRVV58K
それだけ取り乱してるってことさ。


337 :名無しさん@ピンキー:2006/09/09(土) 18:11:57 ID:hAreBFRy
おあずけを食らった犬のようだ。(俺が)

338 :名無しさん@ピンキー:2006/09/09(土) 18:35:33 ID:ecA744jM
このスレにもとうとう神が…!
読ませ方がうまい。ドキドキする。
続きかもーーーん!!

339 :名無しさん@ピンキー:2006/09/09(土) 23:48:45 ID:1DTulAJ2
同じく続きPLEASE

340 :名無しさん@ピンキー:2006/09/11(月) 14:53:19 ID:Nd4aXUIv
続きを待ちながら。

341 :319:2006/09/12(火) 04:03:50 ID:VGu6xYlX
我慢し続けた俺の理性は、少しも残ってはおらず、余裕は一切無かった。
21歳という彼女の年齢に、そぐわない少女のような幼い身体に俺の性は酷く煽られる。

丸味を帯びた腰は華奢すぎる程で、酷く抱いたら壊れてしまいそうなくらいだ。
彼女の下半身を必死に弄り、衣服を乱暴に剥ぎ取り、
そして下着さえも引き千切るように剥ぎ取った。

露になった凌の身体に吸い込まれるように魅せられて行く。
しかし、うっとり見ている余裕なんか無く、
俺は白く柔らかいその肌にむしゃぶり付くと、幼さ残る乳房を口に含んだ。

「ぁ…あぁ…」

鼻から抜けるような甘い声がした。
それは俺が想像していた彼女の声とは全く別のもので、
そのギャップが堪らなく興奮を促す。
先程まで弄ばれていた股間は破裂しそうな程、硬くなりそそり立っていた。

乳房を舐め、その頂きにある幼い乳首を刺激すると見る間に硬くなり、
それと同時に彼女の息も上がる。
冷えいた肌もいつしか熱を帯び始めていた。

長く伸びる白い脚を強引に開いた。
既に濡れ、やらしく光る彼女の秘部はやはり少女のように幼く見える。
しかし、鼻を突く香りは女独特のものであり、酷く淫猥に俺を誘っているように見えた。

指を伸ばし、クリトリスを刺激すると、凌は猫のような声で鳴いた。
そのまま、滴る液を指に絡ませ、膣へ指を入れ、乱暴に掻き混ぜる。

生娘で無い事は確かだろう。
この天使のような少女は、性を一切匂わせない純潔な感じがした。
それは女だと気付く前からだ。
しかし現実は、何人の男に抱かれて来たか分からない、恐らく性にだらしが無い少女。
そのギャップに俺は落胆や軽蔑などでは無く、確実に興奮し、悦びさえも覚えていた。

初めて感じる感情のような気がする。
それは恋とはまた別の物だろう。
今までこんな感情を女に抱いたことは無かったのだから。

「はぁっ…ん…そうだよ、もっとだよ、もっと…乱暴にして…優しくなんかしないで…」

俺の首筋に手を伸ばし、首から鎖骨へ爪を立てる凌。
何処か怯えているような彼女の顔が印象的で、
俺は言われるがままに乱暴に、十分に潤ったであろう彼女の膣にペニスを宛がい、一気に挿入した。
まるで自分がレイプでもしているのでは無いか、そんな錯覚さえする程、
俺は乱暴に彼女を抱いた。

342 :319:2006/09/12(火) 04:05:08 ID:VGu6xYlX
「あぁっ…ん…ああっ…はぁ…もっと…っ…」

幼い膣が自分のペニスを咥え込む様に、酷く興奮を覚え、俺は構わず最奥まで突き上げる。
狭い彼女の膣内は熱く、激しく腰を打ち付ける度に
肉壁が擦れ、痺れるような快感が突き抜けた。

「はぁ…あ…凌…」

身体が蕩けてしまいそうな程熱く、彼女の湿った肌に舌を這わせた。
グチョグョと粘膜の擦れる音が妙にやらしく、その音が徐々に大きくなって行く。
貪るような口付けをを何度も交わし、彼女の唾液の味さえも味わった。

限界が近い。
彼女の膣内が激しく収縮し、ペニスが刺激され血液が滾る。

「いいよ…出してっ…中に…ぁああっ――」

俺は何度か腰を痙攣させ、これまでに無い快感を彼女の中に吐き出した。
奥まで腰を打ち付け、最後の一滴さえも絞り出すように吐き出した。

ゆっくりとペニスを引き抜くと、白濁液が糸を引きどろっと垂れ出る。
その光景が余りにエロティックで俺は罪悪感どころか、優越感に浸っていた。
何度も彼女を抱けそうな気がして、
現に今吐き出したばかりなのに、下半身は再び熱くなって行く。

呼吸を整えている凌の乳房に触れ、膣に触れようとした時

「帰って」

と冷めた声がした。
誘って来たのは彼女からで、拒否される事など一切頭に無かった俺は呆気に取られた。

「…誘って来たのは君の方だ」

構わず俺は、硬くなったペニスを彼女の膣に宛がった。

「や…やだっ…嫌……いやぁ!」

凌は必死に脚をばた付かせ、身体全身で俺を拒んだのだ。
先程とはまるで人が違ったように、彼女は必死にもがき、叫んだ。
目の前にいるのはあの妖艶な悪魔のような少女では無く、普通の可憐な少女であった。
全く、訳が分からない。

その後、俺は一応謝り、部屋を後にした。
少し精神を病んでいるのだろうか。
もう関わらない方が自分の為だろう、やはり彼女は危険な香りがする。

だが、目を閉じれば先程の光景が鮮やかに浮かび、あの言い様も無い興奮が蘇る。
暫らくは他の女じゃ満足出来なさそうだ。

343 :名無しさん@ピンキー:2006/09/12(火) 04:06:46 ID:VGu6xYlX
まだ続きます。
長くなりそうだけど良い?
あとH場面はこれからちょっと減っていくかも知れない。

344 :名無しさん@ピンキー:2006/09/12(火) 06:03:58 ID:UfxBSbcF
続きwktk

345 :名無しさん@ピンキー:2006/09/12(火) 16:00:02 ID:+wEjBZCK
頑張ってください。ディ・モールト待ってます。

346 :名無しさん@ピンキー:2006/09/17(日) 19:13:41 ID:Gmy0uE4I
あげ
続きまだー?

347 :名無しさん@ピンキー:2006/09/20(水) 21:31:33 ID:iqbV+Ygh
保守

348 :名無しさん@ピンキー:2006/09/20(水) 21:59:59 ID:Di0PzoZG
test

349 :名無しさん@ピンキー:2006/09/21(木) 07:04:14 ID:VLqtg14k
レイープ凌辱スレのほうに闘神都市IIの葉月の凌辱モノがのってた。
僕っこだがまあ貧乳ではないと思う

350 :名無しさん@ピンキー:2006/09/23(土) 12:14:49 ID:AfnX5Wcz
デブスレにもオリジナルのボクっ娘凌辱モノがのってた
貧乳だったかもしれない


351 :名無しさん@ピンキー:2006/09/24(日) 14:23:16 ID:WiHBTNEd
ツヅキマダー?

352 :名無しさん@ピンキー:2006/09/24(日) 20:11:34 ID:NCBwBppf
騙しリンクや広告の少ない優良アダルトサイトリンク集
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/frontire1017


353 :名無しさん@ピンキー:2006/09/26(火) 23:41:03 ID:x8LGD7CD
星野氏が保守することに特に異論はないが、せめてその捕手に補習をさせてバビハロン捕囚の意味を解らせ、ついでに家の屋根の補修を頼みたいが、いかがなものか?

















































保守。

354 :名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 19:41:39 ID:38gpgHKP
ツヅキマダカナー・・・

355 :名無しさん@ピンキー:2006/10/09(月) 15:41:32 ID:auofq+u8
こいつぁただ事じゃないぜ。

356 :名無しさん@ピンキー:2006/10/09(月) 22:36:34 ID:hCvHECGs
>>355
なんかあったの?

357 :名無しさん@ピンキー:2006/10/13(金) 20:22:39 ID:E5Pibxac
職人さんどないしてんやろ

358 :名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 01:27:59 ID:ylDc7tls
age

359 :木陰:2006/10/24(火) 22:17:45 ID:ZHnZcNBr
初めまして、えーと・・いきなり質問なんですが、僕って女なのに『ボク』って言ってるから『ボクっ娘』に入るんですか?

360 :名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 22:20:29 ID:ZHnZcNBr
あー、つたない質問でゴメンナサイ。↑

361 :名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 22:53:13 ID:92ZB1mdS
>>359
広義では単純に女の子の一人称が『僕(ボク)』だから、いいんじゃない?

362 :名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 11:05:04 ID:Lxc9RqJ5
一人称が僕や俺じゃなくてもいい?

363 :名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 12:49:41 ID:j50bcVd/
若干ジャンルが変わってくるかも。

364 :木陰:2006/10/25(水) 22:06:15 ID:OPzBWLal
そうなんですか〜。質問に答えてくれてありがとうございます。

365 :名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 22:20:56 ID:Y6mHbTMp
わかったからsageろ

366 :名無しさん@ピンキー:2006/11/03(金) 14:24:14 ID:zVvgAVlQ
hosyu

367 :名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 13:19:03 ID:p/wCTypD
小学校の頃の体育の時間、ボーイッシュで無防備な女の子が柔軟する時、裾からパンツが見えてしまうことが多々あった。当時は『アホめ』位にしか思ってなかった

高学年の時、仲のいい男女数人でおばけ屋敷に入ったら、びっくりしたそのボーイッ(ryに抱きつかれ
『ああ、こいつ胸ないなぁ』
とか考えてたら真っ赤になったそいつにハタかれて小さいプールみたいのに落とされた

そいつとは中学高校は違ったけど交流はあって、産まれた猫を見せてやった時に、抱かせてやろうと渡そうとしたら偶然手が胸に当たった
『…ん』
とか唸ったせいで不覚にも萌えて、謝りながら(そいつの)頭撫でてたら
キツめにその手を噛まれた

その後ちゅーちゅー吸ってたけど

あんなちっこいの(身長150ない)でも胸は一応成長するんだと感心した
顔は童顔だけど可愛いし
気が付いたら同じ大学で、大学出たらそいつと結婚することになってるわけだが

368 :名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 14:22:26 ID:QUqnxxCS
一行目に女の子と書いてあるにもかかわらず、最後までホモネタだと思ってた俺は2chに毒されすぎorz

369 :名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 19:01:10 ID:AVcVZcpE
これ先月ボーイッシュな彼女スレで見たな

370 :名無しさん@ピンキー:2006/11/08(水) 00:15:34 ID:4aT3yrZZ
>>367
良いな。萌えた。

371 :名無しさん@ピンキー:2006/11/08(水) 23:46:03 ID:YezHfv4w
これ先月偶然、女友達のマンコorパイに触れた時のエピソードで見たな

372 :名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 20:23:07 ID:Gs7n9FyS
ほしゅ

373 :名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 11:11:49 ID:Q+G2T5wn
待ち続けます。

374 :名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 12:27:44 ID:jL8jk0oT
age

375 :名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 19:42:07 ID:cITcDF6h
今日も今日とて保守

376 :名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 22:24:59 ID:b2Kp1HzR
エロアニメの方も寒いな・・・

377 :名無しさん@ピンキー:2006/11/13(月) 13:47:15 ID:Dbenmox6
春を待ちながら。

378 :名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 02:38:13 ID:BT9FHGgo
続きマダー?

379 :名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 09:19:55 ID:uMuLKBkR
ほしゅ

380 :名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 18:45:17 ID:PDbWtUpl
外見一人称は普通の美少女で正確が男っぽいのが一番好きなおれはスレ違い?

381 :名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 20:41:07 ID:jFEt418q
書き手さん来ない(´・ω・`)

382 :名無しさん@ピンキー:2006/11/20(月) 13:19:53 ID:tqZLAdMq
いったいどうしちまったんだ?

383 :名無しさん@ピンキー:2006/11/22(水) 00:50:22 ID:m1l8MI8p
捕手

384 :名無しさん@ピンキー:2006/11/22(水) 17:43:06 ID:udNnyVrY
魁皇勝利記念保守

385 :名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 08:21:28 ID:pY637ieg


386 :名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 23:11:41 ID:QCaT8Xgb
ほせ・あるかでぃお

387 :名無しさん@ピンキー:2006/11/24(金) 11:18:47 ID:/g4NiMAn
ほほほほ

388 :名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 03:11:14 ID:5baRYjNZ
ほしゅ

389 :名無しさん@ピンキー:2006/11/27(月) 16:48:22 ID:zcKPwGLh


390 :名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 17:37:27 ID:rvs/hqWI
誰もいない・・・

391 :名無しさん@ピンキー:2006/11/29(水) 01:58:09 ID:YnwAHHiL
だが俺はいる

392 :名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 03:55:03 ID:DLkuZKbu
俺もいる


393 :名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 13:42:40 ID:5goZsfzj
今頑張ってる俺もいる

394 :名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 15:38:47 ID:URLddRbR
久々に来たのが・・・・・・
状況は好転せず、か。

395 :名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 22:38:45 ID:5goZsfzj
ファンタジー
エセ軍人者
エロ未到達
投下させていただきます


 少し、肌寒いだろうか。
 ヴィクターは書類を睨んでいた目をふと上げて、既に夜を迎えている窓を見た。
 後回し後回しにし続けて、ついにデスクから崩れ落ちんばかりにまで積み重なった書類
の山は、今や朝の三分の一以下にまで減っている。
 珍しくデスクワークを頑張った。就業時間はとうの昔に過ぎている。そろそろ仕事を切
り上げてもいい頃ではないだろうか。
「手が止まってますよ、少佐」
 冷徹な声に貫かれ、ギクリと身を強張らせる。ヴィクターは深い嘆きのこもった溜息を
吐き、デスク正面に設置された応接セットに向き直った。
「休んでる時間はありません。とっととその書類全部に目を通して、サインを書いて、不
備があるようならば部下を呼び出して、問題がないようならば保管の方に回さないと、い
つまでたっても帰れませんよ」
 短く切りそろえられた亜麻色の髪と、絶望的に女性的曲線を欠いた肢体。少年だと紹介
されても違和感のない小柄な少女が、おぞましい量の書類に向かって座っていた。
 愛らしい顔立ちに鉄の無表情を張り付かせ、紙の束にさらさらとペンを走らせては、
とんとんと書類の束を整えて、ドサリと横に積み重ねる。その書類の量たるや、ヴィクターの
倍はあるだろう。
「なぁ、ちょっとでいいから休憩を……」
 ヴィクターが恐る恐る問いかけた。
 少女はまるで聞こえていないかのように次の書類に手を伸ばし、本当に読んでいるのか
疑問に思えるような速度で紙をめくる。ペンを走らせ、再び書類を積み重ねる瞬間、ふと、
少女がヴィクターに振り向いた。
「はい?」
 破顔一笑。
 その満面の笑みの下に隠された凶悪な殺意に射抜かれて、ヴィクターは慌てて書類の山
に飛びついた。その様子に満足し、再び少女が鉄の無表情を取り戻す。
 あぁ、怒ってる。チラリと少女――クロルの方を盗み見て、ヴィクターは広い背中を丸
めてひっそりと溜息を吐いた。
 いつもの明るいクロルとは、まるで別人のようである。その上、普段なら使いもしない
敬語などを使ってくるから、クロルは今、ヴィクターにとって完全に苦手なタイプの人間
と化していた。
 できるなら、どんなに文句を言われてもいつものクロルであって欲しい。しかしクロル
の怒りが当然であるからこそ、ヴィクターは今の彼女に逆らえなかった。
 つまりは、現在クロルが猛烈な勢いで処理している書類の山は、全てヴィクターが目を
通すべき報告書の類なのだ。
 もちろん、サインもヴィクター以外が行ってはならない作業である。
 しかし自分一人ではどうにもならない事を悟ったヴィクターは、有能な部下――つまりは、
クロル曹長に泣きついた。
 デスクワークは嫌いだと嫌がるクロルを拝み倒し、この部屋に連れ込んでそろそろ八時
間が経過しようとしている。
 ヴィクターの筆跡を真似たクロルのサインは完璧で、プロの鑑定士に見せてもまず偽装
を見破る事はできないだろう。
 ヴィクターは心底からクロルに感謝していたし、クロルも初めの内はぶつぶつ言いなが
らも広い心で付き合ってくれていたのだが、何時間経っても一向に減らない書類の山に、
当然と言おうかクロルが切れた。
 そして、現在のクロルが出来上がったのである。
 不本意な仕事を押し付けられている上に、時間外労働だ。怒るのは無理も無い。

396 :名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 22:39:33 ID:5goZsfzj

――もう、帰らせてやるか。

 残りの書類の山を全て自分で処理できる自信は無いが、この調子だと帰宅は深夜を過ぎ
てしまう。
 クロルに声をかけようと書類から顔を上げると、不思議とそこにも書類があった。
「不備」
 ずい、と書類がヴィクターに迫り、顔面に押し付けられた。クロルの仕業である。
「あ、おお。すまん」
 きびすを返し、再び応接セットに向かう。その背中を、ヴィクターは思い切って呼び止めた。
「なにか?」
 また、休憩の交渉だと思ったのか、クロルは冷ややかな声を出した。
 足を止めることもなく、ソファに座って書類に手を伸ばす。
「……なんか、飲むか?」
 そして、何故か結局休憩の交渉をしている。
 ヴィクターは内心、自分のふがいなさを罵った。
「あ、いや、もちろん飲みながら仕事するし、ちょっと喉でも渇いたんじゃないかと……」
 クロルがちらりと時計を見た。それが、今のヴィクターには「早く仕事しろ」の暗示に見える。
「だめ、だよな……はは……仕事、仕事……っと」
「オーケー。休憩にしよう」
 とうとう幻聴まで聞え始めたか。
 ヴィクターは乾いた笑いを唇に刻み、のろのろと書類に手を伸ばした。
「ヴィクター。休憩」
 二度目の幻聴。――いや、現実か?
 幻聴だった時の衝撃を最小限に抑えるために、ヴィクターはほぼ期待をゼロに保った
ままクロルを見た。
 書類をテーブルに投げ出して、両腕を天井に突き出して長々と伸びをしている。
 そして、何を思ったかぱっと立ち上がった。
「で、場所がえ。君の部屋行こう」
 言いながら、未処理の紙の束を沢山重ねて、小さい体で持ち上げる。その間、ヴィクターは
呆然とクロルを見ているだけだった。
 長時間のデスクワークで半ば脳が死んでいる。
「ヴィクター?」
「は?」
「君の、部屋に、いきますよ?」
 一言一言、言い聞かせるようにクロルが言う。
 そこでやっと、ヴィクターは慌てて立ち上がった。そしてふと、疑問に思う。
「……なんで、俺の部屋?」
 疑問をそのまま口にすると、クロルは呆れたような顔で溜息を吐いた。
「終わらないから、泊り込みで手伝う事にした。お腹もすいてきたし、お風呂入りたい。
僕みたいな下っ端の部屋に少佐殿はお連れ出来ないでしょ? だから、君の部屋でお風呂
はいってご飯食べて、終わるまで書類と睨めっこする」
 そう言われれば、なる程そうかと頷くしかない。かき集めた書類を抱え上げ、ヴィクターは
のそのそとクロルをつれて部屋を出た。

 長い廊下を歩く。いくつかの階段を降り、いくつかの階段を上る。
 その間中、ヴィクターは奇妙な違和感に首を傾げ続けていた。何か、根本的な部分で間
違いを犯しているような気がする。
 現在の状況を順を追って考えてみるが、その原因は分からない。自室に到着し、ロック
を外して部屋に入る。クロルも後に続いた。
 散らかっている室内に書類を重ね、ヴィクターがばたばたと作業スペースを確保する。
「ほーう。これがヴィクター少佐の部屋ね。想像どおり、うん、汚い」
 クロルが面白そうに室内を歩き回っている。そういえば、こいつを部屋に上げたのは初
めてだな、と、ヴィクターは思った。
 クロルとは仲がいい。親友と言ってもいいかもしれない。食事にも行くし酒も飲む。
それなのに、何故今までクロルを部屋に入れようと思わなかったのだろうか。
 行きたいとも言われなかったし、誘おうと思った事もないからか。


397 :名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 22:42:47 ID:5goZsfzj
「お風呂場どこ? 僕シャワー浴びたい」
「玄関のすぐ脇。バスタオルもそこだ。着替えは俺のを適当に――」
 クロルが笑った。
「君の服なんて着たら、大きすぎていやらしい事になっちゃうよ。制服の下にタンク
トップ着てるから、それで大丈夫。じゃ、おさきー」
 ひらひらと手を振って、クロルがバスルームに消えた。
 ややあって、シャワーの蛇口を捻る音がする。その間、ヴィクターは全く動けなかった。
 腐っていた脳がよみがえる。思考回路が回復し、現状を一つ一つ整理し始めた。
 そして、今まで完全に無視していた大前提を思い出す。
 ヴィクターの腕から、抱えていた荷物が落下した。

「何やってんだ俺! あいつ、女じゃねぇか!」
 違和感の原因がようやく分かった。今の今まで、クロルの性別を完全に失念していた
のである。
 夜中に女を自分の部屋に上げ、あまつさえ女は今、シャワーなどを浴びている。
 これ程艶めかしい状況が他にあるだろうか。ヴィクターは狼狽えた。
「……よし、とりあえず、飯」
 面倒な事はとりあえず後回しにする男である。
 ヴィクターは夜中に女を連れ込んでしまったと言う事実に気付かなかった事にして、
冷蔵庫を覗き込んだ。
 パン、卵、ベーコン、ミルクを選び出し、料理とも呼べない単純作業に取り掛かる。
 パンを焼く。バターを塗る。卵を焼く。ベーコンを焼き、ミルクを出す。完了である。
 いつもは朝に行う一連の作業を終えると、ヴィクターはようやく冷静に物事を考え
られるようになってきた。
 そして、連れ込んだのは女ではなく、有能な部下で友人であるクロルなのだと思い出す。
クロルはクロルであって、性欲の対象となるような存在ではない気がした。クロルに
とってもヴィクターは男ではないのだろう。
 実際、全裸で同じ空間に存在しても何も起こらない気さえする。
 なんだ、ならば問題ないではないか。ヴィクターはぽん、と手を打った。
「いやっはっは、焦って損した」
「何一人で笑ってんの……?」
 不気味だよ。などといいながら、クロルが部屋に戻ってきた。
 予告どおり、服装は黒のタンクトップと、制服のズボンである。無いに等しい胸のせい
か、ここまで薄着でも見ようによっては少年に見える。亜麻色のショートヘアから水滴が
滴りそうになり、クロルは頭に引っ掛けたタオルでわしわしと髪を拭いた。
 どこから見つけ出したのか、足にはスリッパを突っかけている。
「あ、ご飯作っといてくれたんだ。さすが少佐、気が利きますねぇ」
 仏頂面だと少年だが、笑うとなる程、女に見える。クロルは椅子を引いてテーブルに腰
掛け、まずミルクを飲み干した。
 ヴィクターもクロルの正面につく。食べたら自分も軽く汗を流そうと考えながら、
ヴィクターはパンにかじりついた。
 クロルがまた時計を見る。指針は九時半を指す直前だった。
「時間、気になるか?」
「ん……一時には寝たいからね。三時間で終わると良いけど……」
 サクサクと音を立て、目玉焼きを乗せたパンにかじりつく。


398 :名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 22:43:50 ID:5goZsfzj
「悪いな、手伝わせて」
「高くつくよ」
「体で払おう」
 一瞬クロルが驚いたような顔をして、直後にゲラゲラと笑い出した。
「そりゃいいや。その一級品の体で僕に何をしてくれるんだい?」
「天国につれてってやるよ」
 にやりと笑うと、クロルがふざけて「きゃあ、こわあい」などと言う。
 ヴィクターは安堵した。やはり、クロルはクロルである。女と言う性別で見るのは友人
として失礼だ。

 軍人は、食事が早い。
 ものの数分で夕食とも夜食とも言える食事を終えると、早速脳を腐敗させるデスク
ワークに取り掛かった。
 クロルの許可を得てヴィクターも体を清め、後は仕事を終えれば眠るだけと言う状況である。
 クロルは三人掛けのソファに長々と横になり、ヴィクターはその向かいのソファに深く
腰掛け、足をテーブルに投げ出していた。基本的に読んでサインするだけの作業なので、
楽な姿勢でいるのが一番はかどる。
 もうすぐ終わりだと思うと仕事にも俄然身が入り、ヴィクターもクロルに負けじと
せっせと書類を消化していった。
 半分以上がクロルの偽造サイン書類と言うのが若干後ろめたい気がするが、上や下は書
類が形を成していればそれで良いのだから気に病むほどではないだろう。
 しばらくは無言で仕事をこなし、ついにクロルが書類を投げ出して「終わったー」と叫んだ。
 クロルの割り当て、終了。しかし書類処理能力の差は歴然としており、クロルが手を出
す事の出来ない、言わば重要な書類の数々は、未だにヴィクターの傍らに積み重ねられていた。
 その数、六。やれば終わらない数ではないが、ヴィクターは再び死に掛けていた。
「傭兵になりゃよかったのに。戦ってりゃいいんだから、向いてると思うよ」
「書類を処理する時期が来るといつもそう思う」
「及ばずながら応援だけはしてあげよう。頑張れーガンバレー」
 嫌がらせだろうか。嫌がらせなのだろう。ヴィクターは恨めしげにクロルを睨み、しか
しその恨みもお門違いだと気がついて嘆息した。
 諦めて、再び書類に目を落とす。おいおい、この作戦、一体何人死者出してんだよ。報
告書の内容さえも、ヴィクターのやる気をそぐ。
 投げ出して、明日にするか。クロルの様子を伺うと、不思議そうに見つめ返された。
すぐに眉間に皺がより、とっととやれと睨まれる。
 渋々報告書に目を落とすと、不意にクロルが立ち上がった。
「暇。探検」
 寝ろよ、大人しく。
 内心思ったが口にはしない。ここでクロルを怒らせると、書類整理において金輪際クロ
ルの助力を望めなくなるからだ。
「ねーヴィクター。君、エロ本ってどこに隠してんの?」
 突然の精神的攻撃に、ヴィクターは危うく書類を真っ二つに破きかけた。
「何を突然! ねぇよそんなもん!」
「嘘だ。あるね。あー、わかった。寝室だ」
 事をいたすのは寝室だからね。などといいながら、ばたばたと部屋を走る。ヴィクターは
書類を投げ出した。
「まて! お前男の部屋を漁るなんて趣味悪いぞ!」
「僕の事はほっといて仕事しろよ。ここが寝室か。お邪魔しまーす」
「クロル! てめぇ上官をなんだと思って……!」
「僕、今夜ここで寝る。夜這いすんなよ?」
 追いすがったヴィクターの鼻先で、ドアが無情に閉ざされた。内側から鍵をかける音が
する。淫猥な書籍の類はクロルの言うとおり寝室で、しかもベッドの上である。隠す必要
が無いから全く隠していないのだ。

399 :名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 22:44:52 ID:5goZsfzj
 数秒後、寝室からクロルのけたたましい笑い声がした。
 いやらしい、だとか、少佐の変態、だとか、言いたい事を言っている。ドアをぶち
破って殴ってやろうかと思ったが、結局ヴィクターはすごすごと退散し、再び書類へと向
き直った。
 寝室の中ではしばらくクロルの精神攻撃が続いたが、鋼の根性で無視を続けるとそれも
やがて収まった。
 これでようやく仕事に集中できると一瞬だけ思ったが、ヴィクターは数分後にそうでも
ない事に気がついた。
 先程までの能率は、クロルの脅しが在ったからこそ成立していた奇跡のような物であり、
抑止力がなくなった今、ヴィクターは完全にサボリモードに入っていた。
 クロルが「判断力が鈍るからダメ」と言って飲ませてくれなかったビールも、今ならば
飲みたい放題である。
 ヴィクターは早速立ち上がり、こっそりと冷蔵庫に歩み寄った。
 自分の部屋なのになぜこそこそ酒を飲まねばならないのか分からないが、クロルにばれ
ればお目玉を食うのは明らかだ。
 細心の注意を払って扉を開く。ひやりとした冷気が皮膚を撫でた。ビールの缶に手を伸
ばす。獲物を手にしてゆっくりとドアを閉めようとした瞬間、ぽん、と肩を叩かれた。
「終わったの?」
 クロルの絶対零度の微笑である。

 結局、ビールを没収されたヴィクターは、再びクロルの管理下で仕事をする事となった。
 ヴィクターが書類を睨むすぐ正面のソファでは、クロルが毛布に包まりビールを片手に
エロ本を読んでいる。
 女が堂々と男の前でそんな物読むなと言いたいが、「なんで?」と聞かれると返答に困る
のでヴィクターは何も言えなかった。慎みを持てなどと、言った所で肘鉄が飛んでくるく
らいだろう。
「傾向に偏りがあるねぇ」
 また、クロルが何か言い出した。こんな状態でも、ヴィクター一人の時よりも能率が上
がるのが不思議である。残り四通。大分気が楽だ。
「巨乳より美乳派。強姦より和姦派。浮気よりも一途派。要するに君は、純愛が好きなんだ」
「お前、俺を動揺させるのがそんなに楽しいか」
「動揺したんだ。正解ですね?」
 にぃっと笑って、本を閉じる。
「やっぱりこういうのは人柄が正直にでるね。なんせ興奮しないといけないから、みんな
思い切り好みど真ん中の物ばっかり揃える」
 この口ぶりだと、ヴィクター以外にも犠牲者が出ているのはまず間違いないだろう。男
の性的嗜好を調査して一体どうするつもりなのか、クロルはメモまで取り始めた。
「おまえ、そのメモどうするつもりだ……」
「ファイリングして保存するの」
「何のために」
「売れるんだよ? こういう資料」
 副業かよ。
 ヴィクターは頭を抱えた。一体誰にどう言う目的で売られていくのか非常に不安である。
「僕の資料もある。売ろうか?」
「いらねぇよ!」
「恥ずかしがるなって。知ってた? 僕って胸小さいけど案外美乳なんだよ」
 クロルが親指でタンクトップの肩紐を引っ張って、服の中を指差した。からかうように
舌を出す。

400 :名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 22:45:37 ID:5goZsfzj
「お前な、最近忘れてるみてぇだが俺は男でお前は女。そんな危険なポーズで俺を誘惑す
んな。襲うぞマジで」
 男はみんな狼なんだぞ、とでも言わんばかりの口ぶりに、クロルは意外そうに大きな
目を瞬いた。
「襲う? 君が? 僕を?」
 ひどく引っかかる物言いである。そう思った瞬間、クロルがげらげらと笑い出した。
「またまたぁ。そーんな甲斐性ないくせに」
「か、甲斐性?」
「娼婦が裸で部屋にいても手を出さない男として有名だよ、君は。一時期同性愛者の噂も
立った。だから君の資料は男にも売れる。知ってた?」
 知らなかった。
 だが、知ってみればなる程と思う事象は多くある。ヴィクターは数人の部下を無言で
射殺したい心境に陥った。
 帰宅したら裸の娼婦が部屋にいたら、誰でも叩き出すだろう。だからと言って同性愛者
とは、あまりといえばあまりである。
「あれ? 落ち込んだ?」
「うるせぇ」
 これが落ち込まずにおれようか。
 部下や上司に尻や股間の一物を狙われていると言うのもショックだが、クロルにまで男
として終わっていると思われていたのだ。
 これは最早信頼というようなレベルではない。勃起不全の老人として見られているよう
なものである。
「ヴィクター?」
 ヴィクターのただならぬ落ち込み方に、クロルが初めて心配そうな声を上げた。
 ビールの空き缶を絶妙なコントロールでゴミ箱に投げ入れて、頭を抱えてしまった
ヴィクターの顔を覗き込もうと身を乗り出す。
 この女は、こういう動作でさえ男を煽る事を知らないのだろうか。ヴィクターならば
煽っても大丈夫だと高をくくっているのだろうか。
 クロルが反応しないヴィクターを心配し、テーブルに座り込んだ。おーい、などと間の
抜けた声をかけながら、ヴィクターの肩に手をかける。その手を静かに払いのけ、ヴィク
ターは酷く緩慢な動作で顔を上げた。
「おまえ、俺の階級言えるか?」
「自分の階級忘れたの? とうとう脳まで筋肉になった?」
「真面目に答えろ、曹長」
「はっ。恐れ多くも少佐殿であります」
 テーブルの上に正座して、上半身だけ模範的な敬礼をしてみせる。
「じゃあもし、俺がお前に命令を下したら、お前どうするよ」
「そりゃ従うよ。上官だもん。なんで?」
 クロルが怪訝そうに首をかしげる。
「だろうな。そこが問題なんだ」
「意味わかんない。何の話?」
 ヴィクターは嘆息し、ソファに身を預けて思い切り背をそらせた。一息ついてから、
気合を入れなおすように背筋を伸ばす。
「もし俺が、お前に服を脱いで両手を壁につけって命令したら、お前それにも従うだろ」
 さすがにクロルが絶句した。
「そ、そんな命令……!」
「無視するか?」
 ぐっとクロルが言葉に詰まる。しばらく苦い表情で思案した挙句、クロルはしかめっ面
で小さく「従う」と呟いた。


401 :名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 22:46:54 ID:5goZsfzj
「と、時と場合によるけどね! 君のマジ具合とか、作戦に必要とか……」
「何も今命令しようなんて思ってねぇよ。じゃあ次。お前、俺に奇襲されて逃げられる自
信あるか?」
「それは無理。自信ある」
 クロルが自信を持って断言した。
 さすがに身の程を知っている。
「つまりお前は、立場的にも実力的にも、俺が本気になったら逆らえないって事だな?」
「……それ、認めるのすげー嫌なんだけど」
 クロルがテーブルの上で胡坐をかいて、不機嫌そうな声で言った。
 身の程を知っている負けず嫌いは、随分と苦労するだろう。
「いや、まぁそれを頭に置いてくれればいいんだ。つまりな、お前でさえそうなんだよ。
今俺の前ですげー偉そうな態度取ってるお前でさえそうなんだから、お前以外の女は――
まぁ部下に限るが、俺に全く逆らえないと言っていい。むしろ、俺が少しでも気のある素
振りを見せたら進んで服を脱ぐんじゃねぇかとさえ思う」
 自信過剰だと罵られるかと思ったが、クロルは素直にそうだろうねと頷いた。
「俺は立場や腕力で女を抱くのは大嫌いだ。だから、そういう女には手を出さねぇ。俺の
性欲処理の相手をしようとしてくれる従順な部下も、俺を利用しようとするしたたかな部
下も、俺としては願い下げだ」
「もったいないなぁ」
「もったいなかねぇよ。で、幸か不幸か俺の同僚や上司にはフリーの女がほとんどいねぇ。
金で買った女を抱くのは知っての通り趣味じゃねぇ。かといって外部の人間とロマンスが
生まれるような奇跡的な出会いもねぇ。結果として、俺の周りには浮いた話が全く無い。
溜まったら処理は手でしてる――なんだその面」
「ちょっと胸が苦しくて……」
 クロルが目頭を片手で押さえ、俯き加減で呟いた。冗談でやってるのか本気で同情して
いるのか微妙だが、どうやら馬鹿にしているわけではないようだ。
「勘弁してよヴィクター。部下に手を出すのためらってたら、君その内チェリーボーイに
退化しちゃうよ? 本気で君の事好きな子だって沢山いるんだから、妄想に近い恋愛理論
とはおさらばして特定の相手見つけなよ!」
「クロル。俺は何も説教くらうために赤裸々な性生活を語ったわけじゃねぇぞ」
 妄想に近い恋愛理論で悪かったな、と怒鳴りたくなるのをぐっと堪えて、ヴィクターは
なるべく真剣な表情で真っ直ぐにクロルを見た。
 クロルが目を瞬き、話を真面目に聞く体制に入る。
「つまりだ……確かに俺は自分でも泣けて来る程ご無沙汰だが、同性愛者でも女に興味が
無いわけでもねぇんだよ! 言うなれば俺は吐き出せない欲望を抱えた飢えた狼だ! 手
負いの虎だ! しかもここは俺の部屋なんだ! 俺の理性は今極限まで低下している! 
ここまで言えば何が言いたいか分かるだろ!」
「娼婦でも呼ぼうか?」
「違う!」
 思わず両手でテーブルを叩いた。
 想像以上に大きな音が弾け、ヴィクターの方が驚いた。
 クロルは相変わらず、天下泰平とテーブルに胡坐をかいている。
「まぁ、ちょっと落ち着きなよ。君の苦悩は良くわかった。つまり、恋愛をしようにも適
当な相手がいなくて、君は心身ともに旺盛な欲望を持て余しているわけだ」
 本音を言ってしまえば、娼婦相手でもいいから一発やりたい。しかしクロルの言う妄想
に近い恋愛理論が邪魔をして、ヴィクターにはそれが出来なかった。
「それで、ちょっとでも性的興奮を刺激されると、君の高潔な恋愛理論をぶち壊して本能
むき出しの野性の君が暴れだすと」
「そうだ」
「君は皆が思ってる程安全な聖人君子じゃないと」
「そうだ」

402 :名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 22:47:40 ID:5goZsfzj
「それって立場も腕力も総動員してって事?」
「そ……う、なる……かな?」
 ひどく歯切れの悪い返答をして、ヴィクターは顔を顰めた。
 今まで女に対して理性を失った事は一度も無い。だから、切れると何をしでかすか
まったく想像がつかなかった。
 立場はどうか分からないが、力に物を言わせる事はあるだろう。ヴィクターが力でねじ
伏せようと思ったら、男も含めて大概は思い通りにできる。
「それは、大分危険な人物だねぇ」
 クロルが声を上げて笑い出した。
 明らかに面白がっている。さすがに少し腹が立った。
「お前な、わかってねぇだろ! 危険なのはお前なんだぞ! 大体今ふと思い返してみれ
ば、お前は男に対して警戒心が無さ過ぎる!」
「だって僕強いもん。大概の男になら襲われても勝てる」
「いや、まぁ、そうだが……」
「それに僕、処女ってわけでもないし」
「何!?」
 驚愕の新事実である。
「それに、僕のさりげない色気にあたふたする年下の部下を見るのは凄く楽しい」
「悪趣味だぞ」
「どうとでも」
「よく知りもしない男にやられちまっても、お前平気なのかよ」
 クロルは少しだけ、考えるような仕草を見せた。
 考えるまでも無いだろう。嫌に決まっていると答えればいいだけだ。
 だが次の瞬間、クロルは無邪気に微笑んだ。

「平気」

 ヴィクターは凍りついた。
 
 クロルはからかうような目でヴィクターを射抜く。
 平気、と言って笑った顔に、悪ふざけの色は見えなかった。
「おまえ……平気なわけ無いだろ! 何考えてんだ一体!」
「見返りが全てだよ。僕は女で、軍人だよ? 名前も知らない男に抱かれる事なんてよく
ある事さ。君だって一度くらいあるだろ? 拷問で女を犯したこ――」
「クロル!」
 たまらず叫んで立ち上がると、クロルは困ったような表情でヴィクターを見上げた。
「……ごめん。君があんまり純な事いうから……つい」
 この少女を、諜報活動に使った者が上にいる。
 ヴィクターは怒りで眩暈がした。クロルの口ぶりから察するに、一度や二度ではないの
だろう。
「ヴィクター、そんな顔すんなよ。あぁ、もう。だから言うの嫌だったのに、なんで
言っちゃったかな。ほら、僕君と違ってセックスにそんな理想とか持ってないから気にし
てないよ。特別手当もいっぱいもらえるし。僕かわいいからさ、仕方ないって。そういう
任務、必要だもん」
「そういう問題じゃねぇだろ! くそ、何で俺に言わない!」
「うん、ごめん。ほんとごめん」


403 :名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 22:49:25 ID:5goZsfzj
 いつもなら、言ったって仕方ないだろうと笑うだろうに――。
 それ程、クロルから見てヴィクターは取り乱しているのだろう。テーブルの上に立ち上
がり、クロルがヴィクターの頬を撫でた。
 思わずその体を抱きしめる。クロルが驚いて短く叫んだ。
「ったく、君って奴は。図体に似合わずお坊っちゃんだなぁ」
 ぽんぽんと、子供のように頭を叩かれる。
 どっちが年上だと思ってるんだ。だがヴィクターは反論できなかった。
 思ってもみなかったが、自分はまだまだ青二才のようである。
「もう、すんな。そんな任務、お前が受ける必要ねぇだろ」
「馬鹿言うなよ。そんな事したら、僕以外の女の子がやる事になるんだぞ?」
「だからってお前が汚れ役かぶる事ねぇだろう!」
 思わずカッとして叫ぶ。両腕を掴んで体を離すと、クロルはダダをこねる弟を見るよう
な目でヴィクターを見た。
「……馬鹿か、俺は。みっともねぇ」
 クロルの腕を拘束していた手を下ろし、どさりとソファに座り込む。クロルもテーブル
から飛び降りて、ヴィクタ−の隣に腰を下ろした。
 報告書の残りは三通。最早手を出す気力はわいて来ない。
「僕を軽蔑する?」
「しねぇよ!」
「僕のやってる任務は汚いかい?」
「お前、何が……!」
「じゃあ、汚れた任務を沢山やってきた僕は?」
 穏やかだが、責めるような口調でクロルが言った。
 急速に頭が冷えて行く。瞬間、ヴィクターは自分が何を言ったか気付いて愕然とした。
「悪い……俺、そういうつもりじゃ……」
「僕、部屋に戻るよ。どうやらこの部屋には飢えた狼がいるらしいし」
 静かにクロルが立ち上がった。
怒っているように見えた。今まで見た中で一番冷たい笑顔を浮かべている。
「クロル!」
「さわんな。君が汚れる」
 その言葉が、全てを物語っていた。
 目の奥が白くなる。
 気がついたら、ヴィクターはクロルをソファに引き倒していた。



切らせていただきます。
                         次回本番。
                         もし何か要望があると反映されるかもしれない

404 :名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 23:23:02 ID:5rq3OIqg
おおっ!
半年振りにスレを覗いてみたらちょうどよかった!

405 :名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 23:23:37 ID:Qqu/gDng
できればラブラブな純愛モノで。

しかし、バックでガンガンやるような激しさ、荒々しさもあったらいいなー。

406 :名無しさん@ピンキー:2006/12/01(金) 03:42:21 ID:3jKy9Kco
こういう雰囲気好きだ
純愛路線に一票


407 :名無しさん@ピンキー:2006/12/01(金) 06:45:27 ID:1IcOOHKw
をぉ!良かった!
大の漢が、萌えころがってのた打ち回るような、
阿鼻叫喚の純愛路線を希望

408 :名無しさん@ピンキー:2006/12/01(金) 23:54:51 ID:WD6L9Dvv
(´・ω・`)<一気に読んじゃた、面白かた

409 :名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 00:19:55 ID:SzYDUN4P
面白かった!
自分も純愛希望です。

410 :名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 08:14:01 ID:84hgtBNm
エロ無しなのにここまで引き寄せられた、凄い
純愛希望。

411 :名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 08:58:04 ID:sRARpjiX
続ききになる
イイヨイイヨー

412 :名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 13:36:44 ID:9XFbZQIR
ぐぁああ、なにこのクリーンヒット。
続きを、一心不乱に続きをっ!

413 :名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 01:49:47 ID:wVo8ri2e
保守し続けた甲斐があった(ノ∀`)続き期待してますよ〜

414 :名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 18:48:39 ID:NCbjeXzx
クロルもヴィクターもいいね〜
こんな展開gj!


415 :名無しさん@ピンキー:2006/12/04(月) 03:05:14 ID:SqU3c7oe
一気に読んでしまった。良いなぁ。

416 :名無しさん@ピンキー:2006/12/05(火) 03:32:36 ID:9TWLX4cZ
続きマダー?

417 :名無しさん@ピンキー:2006/12/05(火) 22:43:28 ID:/CJUu4I0
続き期待保守

418 :名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 14:45:49 ID:R+wxa0qm


419 :名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 15:14:27 ID:S3GftaYu


420 :名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 17:37:41 ID:I3w9GrNC
ま、まだですか・・・
もう破裂しちゃいそうです・・・

421 :名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 18:34:25 ID:h3sophdI
個人的金冠セリフ

>「何やってんだ俺! あいつ、女じゃねぇか!」

希望はありますが……
作者様の進展を妨げるわけには行かないので言わない、で。
ということで保守

422 :名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 19:55:28 ID:fCzT89OY
俺は凌の話も心待ちにしているのだが……

423 :名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 20:24:27 ID:h3sophdI
っとと
そっちのほうの金冠セリフ

>「残念…女だよ」

基準は漏れ自身なので気にしないように

問うことでサイド保守


424 :名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 02:30:39 ID:WQ3lPfbF
>>317
>>254の続きが激しく見たい
保守

425 :名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 07:40:10 ID:4R/3a9/r
ボーイッシュ少女を妄想する力はあるんだが文才がない…
誰かオラに文才とついでに絵心を分けてくれ

426 :名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 19:01:04 ID:968pklcT
>>425
プロットだけでも出してみるんだ
文才のある神が文章に起こしてくれるかもしれない

427 :名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 14:06:11 ID:wMm/W/JF
捕手

428 :名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 11:03:10 ID:/Ak6fsqJ
独立せよ

429 :名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 03:14:01 ID:gX8TIFPQ
神降臨待ちながら捕手

430 :名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 06:55:35 ID:GNx+rJEn
age

431 :名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 16:16:16 ID:gX8TIFPQ
捕手

432 :名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 15:38:45 ID:PIGJjwit
今日も保守る

433 :名無しさん@ピンキー:2006/12/12(火) 01:35:55 ID:zhu35pyO
>>319の凌書いてたモンです。
だいぶ前なのに、まだ待ってくれてる方いたんですね
嬉しいです
今時間が無いし、他の職人さんもいるのでまた後日投下しますね
相当ダークな話しでも良ければ……

434 :名無しさん@ピンキー:2006/12/12(火) 03:21:51 ID:ViBUiZzR
ボクっ娘、ショートヘア、スポーツ少女スキーだが
この上に巨乳がつくのがスキな俺は少数派?

435 :名無しさん@ピンキー:2006/12/12(火) 03:55:19 ID:iBS8el3/
つーか、夢見すぎ。
寧ろ、マザコン?w

436 :名無しさん@ピンキー:2006/12/12(火) 19:11:24 ID:H+Lxl0kX
保守

437 :名無しさん@ピンキー:2006/12/12(火) 20:17:54 ID:+hpy7N7C
>>435
お前のカーチャンはボクっ娘か

438 :名無しさん@ピンキー:2006/12/12(火) 20:30:06 ID:NVsTLAN1
>>437 (゚∀゚)!
叱るときなんか、「ボクの言うことが聞けないの?」
とか言ったりするわけだ。
エプロンして、お玉持って。
ひんぬーショートカットの、少年みたいな見かけのおかんが。

439 :名無しさん@ピンキー:2006/12/12(火) 20:47:42 ID:f5A4G+f8
>>438
しかも親父と再婚した年下の義母な。
ついでに親父が海外単身赴任とかしたらもう無敵。

440 :名無しさん@ピンキー:2006/12/12(火) 21:32:23 ID:s0QviORO
お前等幸せだなwwww

441 :名無しさん@ピンキー:2006/12/12(火) 21:47:04 ID:f5A4G+f8
ああ、幸せだとも!

442 :名無しさん@ピンキー:2006/12/12(火) 23:01:12 ID:vo333RvU
>>437-438

よし、おまえらそれで一本書け!!

443 :名無しさん@ピンキー:2006/12/12(火) 23:48:57 ID:l85onnuH
>>442
IDが東京タワー

444 :名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 02:06:15 ID:cRbFE18h
ファンタジー
エセ軍人者
>>395後編投下させていただきます

 突然襲った衝撃に、クロルはしばらく状況がつかめなかった。
 背中から腹に抜けていった衝撃に、声を上げる事もままならない。思わず呻いて身を起」こすと、恐ろしい力でソファに押さえつけられた。
 ようやく視界が戻ってくる。そして、クロルは絶望的な状況を理解した。
「――どうしたの? 部下を性欲処理の道具に使う気になった?」
「ふざけるな」
 あぁ、怒った。クロルは内心苦笑した。
「ふざけてなんかいないさ。どけよ。純真なお坊っちゃんが、僕みたいな女に触っちゃいけない」
 わざと挑発するように言う。ヴィクターの表情が変わった。
「本気で言ってんのか」
 ヴィクターが低く、呻くように言った。怯えて身を竦ませるように、周りの空気がチリ」チリと緊張するのが分かる。
「俺がお前を汚い女だと思ってるって、てめぇ本気で言ってんのかよ!」
 押さえつけられた肩が痛い。
 思わず全身が強張った。さすがだな、と頭の隅でぼんやりと思う。精神よりも先に、本」能が恐怖する威圧感。
 クロルは芽生えた恐怖心を隠すため、挑むようにヴィクターを見た。
「実際、思ってるだろ? 高潔な恋愛思想をお持ちの君に、僕がどんな風に映るかくらい」誰だって想像出来る。どうしようも無い淫乱で、誰にだって足を開く色狂いだって思って」るんだろ?」
「思うわけねぇだろ! てめぇいい加減にしろ!」
「じゃあ、これは何だよ。ソファなんかに押し倒して、一体僕をどうするつもり? 僕が」そういう女だと思ったから、やっちまって言う事聞かせようと思ったんじゃないの?」
 自然と口角が持ち上がる。凄く、嫌な笑い方をしているんだろうな、と思った。
 ヴィクターがそんなつもりじゃない事は分かっている。見苦しい八つ当たりだった。後」で謝ったら、笑って許してくれるだろうか。
 ヴィクターの表情が強張る。歯軋りが聞こえた。気が弱い人間だったら、ヴィクターの」この表情だけで失禁してもおかしくなかった。絶対にありえないと分かっていても、殺さ」れそうな気さえする。
 す、と肩から手がどいた。
 なんだ、引くのか。あっけないな、と思った瞬間、乱暴に左腕を掴まれた。
 ――折られる!
 反射的に逃げようとしたが遅かった。悲鳴を上げたくなるような激痛が腕から肩にかけて突き抜ける。
 だが開いた口から悲鳴が漏れる事は無かった。かすれた息だけが抜けて行く。
 うつ伏せにソファに押さえつけられて、クロルはようやく折られたわけではないと気がついた。
 ヴィクターの体温を背後に感じる。背中に回された左腕が限界まで捻り上げられており、
少しでも動けば激痛がクロルを襲った。
 ヴィクターの表情は分からない。痛みと恐怖で全身から脂汗が噴き出した。
「舐めるなよ。曹長。相手を屈服させるのに、俺がそんな面倒な手ぇ使うとでも思うのか」
 すぐ耳元で、脅かすような声がした。
 苦しくて、自由な右手でソファの表面をかきむしる。息が上手く入ってこなくて、頭痛
と共に眩暈がした。
「いた……い」
「折れる寸前まで捻ってんだ。当たり前だろ」
「うぁああ!」
 逃れようと身を捩ると、更に拘束の手が強まった。
 骨が軋む音がする。後、数ミリで折れるだろうか。涙で視界が霞んだ。
「このまま折っても、折らずに何時間もこの状態を続けてもいい。折った場合は右手も折
るだろう。場合によっては指もだ。洗脳が目的なら相手に恐怖心を与えればいい。一言発
言するたびに一本ずつ折って行く。試すか?」
 ヴィクターの指が、ソファに爪を立てているクロルの指に添えられた。ぞくりと背筋が凍りつく。


445 :名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 02:07:14 ID:cRbFE18h
「や……」
「一声上げるたびに、関節を一つだ。今ので親指の第一関節が折れてる」
 理性では、はったりだと分かっていた。ヴィクターが部下にそんな事をするはずが無い。
それでも、恐怖心を振り払う事は出来なかった。
 涙が溢れた。痛みに対する恐怖で泣くなど、これ程みっともない事は無い。クロルは
ソファに顔をうずめ、こみ上げてくる嗚咽を押し殺した。
「……クロル?」
 異変に気がついたように、ヴィクターが腕の拘束を緩めた。長時間無理な方向に捻じ曲
げられた関節は、それだけで激痛を生む。思わず呻いて身を捩ると、ヴィクターが弾かれ
たようにクロルから飛びのいた。
「ぁ……ぐ」
「悪い! クロル、大丈夫か!?」
 指先が痺れ、感覚がなくなっていた。激痛に呻きながら、痛む腕を抱え込む。
 肩にどっしりと圧し掛かる疲労感に、クロルは気だるげにヴィクターを見た。
 さっきまでどんな顔をしてクロルを拘束していたのか疑問な程に、狼狽え、心配した
表情を浮かべている。
 腕の痛みさえなかったら、勘違いだったんじゃないかと自分自身を疑いそうだった。
 肩から腕にかけてをさすりながら、のろのろと起き上がる。助け起こそうとしたヴィクターの手を、
クロルは受け入れなかった。
「触んな」
 ヴィクターが凍りつく。ひどく傷ついた表情で何事か言いかけて、崩れるように、力なく
その場に座り込んだ。
「そう……だよな。悪い……」
 今にも泣きそうな顔を隠すように頭を抱え、呻くように言う。
 しばらく沈黙が続いた。腕の痛みが治まらない。ヴィクターの様子を伺い見て、クロルは
ひっそりと溜息を吐いた。
「泣くなよ、ヴィクター。卑怯だよ、そんなの」
「泣いてねぇよ! ガキか! 俺は!」
 気付いていないのか、強がっているのか知らないが、クロルはヴィクターの対応に
思わず軽く吹き出した。
 眉間に深く皺を刻み、あらぬ方向へ顔を逸らしたヴィクターの目元に親指を滑らせる。
ヴィクターが驚いたようにクロルを見た。
 その眼前に、濡れた親指を示してみせる。
「泣いてる」
 にっとクロルが微笑んだ。ヴィクターが慌てて顔を逸らし、目元を乱暴に拭った。
 かわいいやつ、と思ったが、言うと怒るので口には出さなかった。
 元はといえば、自分がヴィクターを煽ったのが原因だ。ヴィクターを責めるのはお門違い
と言えるだろう。腕はまだ痛むが、ヴィクターは泣く程傷ついている。
 どちらの罪が重いかは明白だった。
「……ごめん」
 クロルが一言謝罪すると、ヴィクターが愕然と振り向いた。ヴィクターが口を開く前に、
クロルが静かに言葉を続ける。
「傷つけるつもりじゃなかったんだ。君がそんなつもりで言ったんじゃないって分かって
たのに、八つ当たり。酷い事言って、君の事怒らせた」
「ば……かやろう! 何でお前が――!」
「謝らせろよ。僕は君を怒らせようとしたんだ。だから、君は怒って当然だった。ごめん、
ほんと、あんなに怒るとは思わなくって……」
「謝るな! お前はなんも悪くねぇだろうがよ! 押さえつけられて、泣かされて、
傷ついてんのは明らかにお前じゃねぇか! それに俺はお前を――!」


446 :名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 02:07:59 ID:cRbFE18h
 言いかけて、ヴィクターが口を押さえた。
 苦々しげに顔を歪め、誰に対する物かわからない悪態をつく。
「あのままだったら多分、強姦してた……」
 ひどく言いにくそうにしながら、ヴィクターが搾り出すように言った。まさか、と思う。
ヴィクターが他人を脅かすために、わざわざそんな手段を選ぶとは思えない。
 実際に、ヴィクター本人だって言っていたではないか。
 ヴィクターが相手を屈服させるのに用いるのは、痛みや恐怖心だけである。
「あぁ、クソ! なんでお前女なんだよ! 俺、親友に何やってんだ……!」
 ヴィクターが荒々しくソファに拳を打ち付けた。肉厚のソファは壊れる事は無かったが、
スプリングが悲鳴を上げる。
 隠すように手の平で覆った瞳から、涙がこぼれているのが見えた。顔を逸らし、息を詰めて泣いている。
 ひどく愛おしく思えた。かわいいやつ、とまた思う。だが口には出さなかった。軍人の、
しかもこんな大男に対して、その言葉は侮辱に他ならなかったから。
「……コーヒーある? いれるよ。少し落ち着こう」
「あ――じゃあ、俺が……」
「僕が、君に、いれたいの。いい?」
 一言一言、言い聞かせるように言う。ヴィクターは口を閉ざし、大人しく浮かせかけた腰を下ろした。
 クロルが立ち上がり、給湯室へ向かう途中、もう一度小さくヴィクターが悪態をつく声が聞こえた。


「はいよ。ミルクと砂糖のインスタントコーヒー風味」
 数分も待たずに、クロルが両手にカップを持って戻ってきた。
 テーブルに置かれたカップには、言葉どおり、コーヒーよりも遥かにミルクの比率が
高そうな液体が満たされている。
「お子様にはピッタリっしょ?」
 クロルが意地悪く笑ったが、ヴィクターは大人しくカップを傾けた。クロルはソファに
腰を下ろし、どうやら普通のコーヒーを傾ける。
 顔を洗ったのだろうか。眼が若干赤いだけで、クロルが泣いた痕跡は完全に消えていた。
 自分も顔を洗った方がいいだろうか。きっと酷い顔をしているだろう。
「うわ、甘」
「スティックシュガー4本だからね」
 嫌がらせに違いない。それとも、ささやかな報復だろうか。クロルはまだ、痛そうに肩をさすっていた。
 筋くらいは違えたかもしれない。
「肩……平気か?」
「折れる寸前まで捻られてんだ。平気なはず無いだろ」
 思わずコーヒーとは名ばかりの乳飲料を吹き出しそうになる。
「なんちって」
 意地の悪い無表情のままクロルが舌を出した。
「……悪い」
 呻くように謝罪すると、側頭部にクロルの蹴りが飛んだ。素足だからそれ程痛くは無いが、
そのままぐりぐりと踏みにじるようにされるとさすがに辛い。
「何で蹴る」
「その、今にも泣きそうな顔やめろ。卑怯だ。軟弱者。純情可憐」
 最後の台詞が一番の侮辱である。
「本気で折ろうとしたくせに。今更心配するなんて不自然だぞ」
「……悪い」
 つい、謝ってしまう。すると一瞬足が離れ、直後に恐ろしい勢いで側頭部を蹴り飛ばされた。


447 :名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 02:08:43 ID:cRbFE18h
「い、今のは効いた……!」
「謝るな。怒るぞ」
「わる――」
 最後まで言う前に、再度頭を蹴り飛ばされる。三度目の襲撃を察知して、ヴィクターは
反射的クロルの足首を捕らえて攻撃を阻止した。
「これ以上やられると、俺が脳震盪で失神する」
「嘘つけ。不死身のくせに」
「肩見せろ。冷やした方がいいんじゃねぇか?」
 足を解放すると確実に、しかも数段威力の上がった蹴りが飛んでくるのが容易に予想で
きるため、ヴィクターはクロルの足を捕らえたまま、膝立ちでソファへ移動した。
 クロルが放せとギャーギャー喚くが、いつものように無視をする。
「なんで逃げる」
「うっさい。いい。いらない。くんな」
 単語を四つ並べて拒絶される。これは、相当痛いのだろう。クロルは傷の度合いが
酷い程、相手に隠す傾向があった。
 力加減を間違えただろうか。訓練された男の軍人に比べ、クロルの骨は脆いのかもしれない。
 折れた感触もヒビの入る音もしなかったが、ヴィクターは急に焦りを覚えた。
「痛むのか」
「痛くない」
「何でお前はそうやって見え透いた嘘ばっかり……!」
「うっさい泣き虫! お坊っちゃんが年上面すんな!」
 確かに泣いた。お坊っちゃんと言われても仕方ない。だが、それとこれとは別問題だろ
う。ヴィクターは毅然として暴れるクロルを押さえつけ、むき出しの肩に手をやった。
「よせ! さわんな! いた……」
「ほら、痛いんじゃねぇか」
 クロルが慌てて唇を引き結ぶが、もう遅い。触れると肩から二の腕にかけて熱を持って
いて、明らかに炎症を起こしていた。
「……くそ、やぶ蛇」
 クロルが苦々しく呟いた。
「どれくらい痛む?」
「……動かすと、ちょっと」
「冷やした方がいい。氷を――」
 立ち上がり、踵を返したヴィクターの服を、クロルが慌てて引っつかんだ。
「なんだ?」
「いらない」
「なんで?」
「欲しくない」
「クロル……」
 なだめるように言うが、クロルは手を放さない。氷を当てて冷やすだけの治療の何がそ
んなに嫌なのか、クロルの意思は硬くゆるぎない。
 前に無理やり捻挫の手当てをしたら、一週間口を聞いてくれなかった事があるが、今回
もそうなるのだろうか。
「嫌いなんだよ……人に手当てとかされるの。本当に、いやなんだ……」
「だから、なんでだって聞いてんだ」
 クロルが言い淀んだ。
「そんなん、関係ないだろ。嫌なんだ」
「じゃあ、このまま担いで病院に連れてくぞ」
「くそ! なんだよ、卑怯だぞ! いきなり強気になりやがって!」
「頼む。氷を当てて冷やすだけだ」
「……折れてない」
「知ってる。――俺がやったんだ」
 ヴィクターの服を掴んだまま、クロルが憎憎しげに呻いた。たっぷり数秒悩んでから、
渋々手を放す。


448 :名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 02:10:20 ID:cRbFE18h
自由になったヴィクターは氷とタオルで即席の氷嚢をこしらえると、完全にふて腐れて
いるクロルに差し出した。
 バスルームに行ったついでに顔を洗ったので、大分気分が落ち着いていた。
「ほんとに、いらないのに……」
 ぶつくさと文句を言いながら、クロルが嫌々氷嚢に手を伸ばす。
 受け取って肩に当てると、冷たい、やら濡れる、やらと更に文句を重ねていたが、
ヴィクターは何とか手当てが出来た事に安堵した。
「明日、病院行けよ」
「やだよ。医者嫌い」
「せめて医務室にいけ」
「あそこは僕のトラウマスペースだから無理」
 トラウマ? と聞き返そうとすると、クロルはじっとヴィクターを見上げた。にやりと
口角を持ち上げて、ぽんぽんと隣を示す。
 促されるまま隣に座ると、クロルはヴィクターの膝に片足を投げ出した。
「……マッサージでもしろって?」
「違うよ馬鹿。まぁ僕の話を聞きたまえ」
「話?」
「ん。えー、ごほん。――昔々のお話です。僕はその時、まだ戦い方も知らない訓練生でした」
 まるで物語を語るような口調である。ヴィクターは何となくクロルの足を揉みながら、
昔々のお話に耳を傾けた。
「僕はその日、戦闘教練で捻挫をしました。とても痛くて、真っ赤に腫れて、まともに歩
けない程でした。あ、そこ気持ちいい」
 クロルから指示が飛び、痛くならない程度に親指で足の裏を押す。
「僕は教官に言われて、医務室に行く事にしました。もちろん、一人でです。医務室には
軍医のお兄さんがいました。お兄さんは僕に足を見せるように言いました。ソファに
座って、丁度今の僕たちと同じような体制です」
 嫌な予感がした。
 クロルの声が場違いに明るい。
「僕はそのまま押し倒されて、逃げようとしても、無駄でした。僕は人に手当てを受ける
のが大嫌いになりました。この日、僕は晴れて処女を失ったのでした」
 ドラマチックでしょ? とクロルが笑う。
 とても笑えるような内容ではないはずなのに、クロルはまるで面白がっているようだった。
「よし、ちょっと軍医ぶっ殺してこよう」
「やめろ短絡思考」
 立ち上がりかけたヴィクターの横腹を、クロルの足が直撃した。鈍痛が襲う。
ヴィクターは悶えるようにソファに座り込んだ。
「なんで蹴る!」
「君が比喩じゃなくて真面目に殺しそうな顔してたからだよ」
「安心しろ。暗殺は得意な方だ」
 自信を持って言うと、今度は鳩尾にかかとがめり込んだ。
「冗談、冗談だ! 人体急所は止めろ!」
 本当は冗談でもなかったのだが、ここでそう言わないとクロルが攻撃を止めてくれそうに無かった。
 訓練生時代と言うと、ヴィクターと出会う前か、出会った直後かのどちらかだ。常々鈍
感だと周りの者にからかわれているが、そんな重大な事件が起こった事にも気づかない程、
自分は鈍感だったのだろうか。
 そんな事をされたと言うのに、クロルは軍人を続け、明るく陽気に振舞っている。強い
女だと思っていたが、ヴィクターが思っていたよりずっと、クロルは強い女のようだった。
 それにしても、右も左も分からない、しかも負傷した訓練生を医務室で強姦するとは、
男として許せない。
 どう料理してくれようか。あれこれと考えをめぐらせていると、クロルが小さく吹き出した。


449 :名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 02:11:04 ID:cRbFE18h
「いいんだよ、別に。訓練生時代なんて昔の事だし、今思えば上手だったし。戦場で敵兵
に強姦されて失うよりは、僕ははるかにましだと思うよ」
「ましじゃねぇよ! 全然ましじゃねぇ! いいかクロル。処女を失うってのはな、女の
人生の中で一度しかない最も大切な一大イベントの一つなんだよ。男はそのイベントを成
功させるために最大限の努力を払い、最高の思い出にする義務がある! それをお前はト
ラウマにしちまってるんだぞ! 許される事だと思うのか!」
「純情可憐」
 また言われた。
 ヴィクターは渋い顔を作っておし黙り、発散しようの無い憤りと不満をぶつけるように、
クロルの足へのマッサージを再開した。
「よせ、気持ちよすぎて寝そう」
「寝ちまえ! ちくしょう、強がりばっか言いやがって」
「強がりじゃありませんー。本当になんとも思ってないんですー」
 爪先、足の裏、足首からふくらはぎにかけてを丹念に揉み解す。大分疲れが溜まってい
るようだった。そういえば最近、戦闘教練で訓練生に怒鳴り散らすクロルをよく見かける。
 どう考えても白兵戦向きの体ではないのだが、小さなクロルが大柄な男に土を舐めさせ
ると言う場面が訓練生達のやる気を盛り上げているのだろう。
 身体的特徴など関係ない。ようは努力しだいでいくらでも強くなれるのだと。
「ねー、ヴィクター。一個聞きたい」
「あー?」
「さっき、僕に欲情したの?」
 力加減を誤って、足裏のツボに思い切り指が食い込んだ。
 クロルが悲鳴を上げてヴィクターを蹴り飛ばす。ついでとばかりに、溶けかけた氷嚢を
投げつけられた。
「なんって事すんだよ! 今の腕より痛かったぞ!」
「てめぇがとんでもない事聞くからだろ! そんな事聞いてどうする!」
「知りたいんだ」
 クロルがキッパリと言い放った。
「知りたい。気になる。夜も眠れない」
「じゃあ寝なきゃいいだろ!」
 恐らく真っ赤だろう顔を見られたくなくて、ヴィクターは手の平で顔を覆ってそっぽを向いた。
 ネチネチと追求が襲ってくるかと思ったが、クロルは何も言わなかった。
 恐る恐る振り向くと、予想もしていなかった真剣な表情にぶち当たる。
「……知りたい」
 悪ふざけや嫌がらせで聞いているのでは無いのだと気がついて、ヴィクターは困窮して口ごもった。
 なんと答えたらいいのだろう。事実を言ったら軽蔑されるのは目に見えている。
 ヴィクターが何も答えないでいると、クロルは少し、残念そうに眼を伏せた。自嘲気味に笑う。
「なんてね。びびった?」
 ぱっと顔を上げると同時にいつも通りの笑顔を浮かべ、クロルはぽんぽんとヴィクターの肩を叩いた。
「じょーだんだよ! そんな困った顔すんなって! 分かってるよ。僕の痛がる姿を見て
興奮しちゃったんだろ? なぁに、恥ずかしがらなくたっていい。僕はその程度で君を軽
蔑したりしないから」
 隠れサディストって案外多いよね。と、クロルが笑った。ふっとクロルの視線がそらさ
れる。ヴィクターは何も言えなかった。
 事実だった。
 クロルが激痛に眉を寄せ、苦しげにもがく姿に心が滾った。今でさえ、思い出すとゾクゾクする。
「俺は……」
「そーゆー事にしといてよ」
 クロルがのんびりと、不自然な程平然と呟いた。


450 :名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 02:11:54 ID:cRbFE18h
「皆、僕が任務で男に抱かれてるって知ると、僕の事娼婦みたいな目で見る。僕は任務な
んかより、それが凄く嫌だ。君にまでそう見られて、こいつには強姦が、苦痛を与える手
段として妥当だろうって思われたなんて、思いたくない」
 頼むよ、と唇だけで呟いて、クロルはゆっくりと立ち上がった。
「あーあ、一時過ぎちゃったよ。もう寝ないと。寝室、つかっていいんだよね」
 歩き出そうとするクロルの腕を、ヴィクターは何も言わずに掴んだ。
 クロルが一瞬、怯えたように身を竦ませる。また、ソファに引き倒されるとでも思ったのだろうか。
 数秒の沈黙を挟み、クロルが子供を咎めるようにヴィクターに振り向いた。
「こんどはなに? 添い寝でもして欲しいの?」
「欲情したんだ」
 口の中がからからに乾いていた。胸の奥がひどく痛い。こんな事だから、クロルに純情可憐と言われるのだ。
 座ったまま俯いているヴィクターに、クロルが嬉しそうに微笑みかけた。
「ありがとう。君ってほんと、いいやつ」
「違う! 本当にそうなんだよ!」
「ヴィクター?」
「俺……ほんと、最低だわ……」
 クロルに恋愛感情はない。少なくとも、ヴィクターはそう思っている。それなのに、
部下で、しかも親友のクロルが激痛にもがく姿に情欲を覚えたのだ。
 最低所の騒ぎでは無い。自己嫌悪で吐き気がした。
「ヴィクター。ちょっと顔上げろ」
 クロルの命令するような口調に、思わず言われるままに顔を上げる。
 瞬間、クロルの指が頬を撫で、唇が重なった。呆然とするヴィクターの舌を、クロルの舌が絡めとる。
 クロルの体重を肩に感じた。ずるずると、クロルの腕を掴んでいた手が落ちる。
 すっと唇が離れていって、クロルが勝ち誇ったように笑った。
「奪っちゃった」
「てめ……離れろ! 一体何考えて――!」
 怒鳴ろうとした唇を、再び唇で塞がれる。引き剥がそうとした手が止まった。舌が
絡まり、愛撫するようにクロルの指が首筋をなぞる。
 頭の中が白くなった。理性が追いつかない。
 たまらずクロルの腰を引き寄せて、噛み付くように唇を貪った。唇がわずかに離れた隙に、
クロルがクスクスと楽しげに笑う。
 その笑い声を奪うように唇を押し当てると、しばらくしてクロルが軽くヴィクターの肩を押し返した。
 唇が離れ、いくらか正気を取り戻した頭でクロルを見る。
「ふうん。中々。予想外に上手じゃん」
 クロルがからかうように言った。唾液で濡れた唇の奥から、赤い舌がちらちらと顔を覗かせる。
「どういうつもりだ」
 ほんの少し前に、娼婦のように扱われるのが嫌だといったばかりだというのに――。
 ヴィクターの険しい表情に睨まれて、クロルは不本意なお咎めを受けた猫のように、軽く
肩を竦めて見せた。
「君があんまり無防備だからいけないんだ。そんなんじゃ、唇の一つも奪われる」
「無防備なのはお前だろ! お前、この状況でも俺がなんもしないと思ってねぇか!?」
「僕に欲情した男なら、きっとこの続きもするんだろうね」
 膝の間にクロルの膝が割り込んだ。服の中に細い指が滑りこみ、無数にある傷跡を探るように這い回る。
「証明しろよ。君が本当に僕に欲情したんなら出来るはずだ。傷さえつけなきゃ何
したってかまわない。したいようにすればいい」
 首筋に生暖かい舌が触れた。傷跡をなぞっていた指が離れ、下へ下へと降りて行く。す
ぐにズボンに行き当たり、クロルは器用にボタンを外すと、ファスナーを引き下ろした。
「よせ……性欲処理にお前を使いたくない」
「使えばいい。僕は気にしない」
「親友でいたいんだ……!」
「親友だと思ってるよ」
「クロル!」
「親友じゃなきゃ、こんな事しない。深く考えるなよ。マッサージと同じだ。チェリー
ボーイじゃないんだろ? 僕を気持ちよくしてくれたら、お礼に君を気持ちよくして
あげる。それだけだ」


451 :名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 02:12:39 ID:cRbFE18h
 昔、聖書で読んだ悪魔の誘惑に似ていた。
 クロルが体重をヴィクターに預け、耳たぶに舌を這わせる。こうやって、クロルは何人
もの男を騙し、任務を遂行してきたのだろうか。
「それともやっぱり、僕なんかじゃ勃たない? 苦痛を与える目的が無かったら、僕なん
て犯す価値もない?」
「そんなわけねぇだろ! どうしてそうやって俺の事追い詰める! 俺が今どんだけ我慢
してると思ってんだ!」
「なんで我慢するんだよ。僕がいいって言ってんだ。こう思えよ。君は僕の性欲処理に
つき合わされてるんだって」
 そんなに簡単に、割り切れるはずが無いではないか。
 だが、これ以上クロルの誘惑に耐え切れるとも思えなかった。クロルの指や唇や、皮膚
の触れた所全てが熱を持っている。
 この体を思う様蹂躙したら、どれ程の快楽を得られるのだろう。想像するだけでたまら
なかった。
 クロルが耳元で、甘い誘惑を囁き続ける。理性を緩やかに突き崩し、理想や倫理を奪い
去る。限界だった。とてもじゃないが、逆らえない。
「くそ……! 歪んでるぞ! お前!」
「男を乗せるのは得意だよ。汚いだろ。嫌なら突き飛ばして逃げればいい。君は僕より強
いから、選択肢は常に君にある」
 恐る恐る、タンクトップの上から探るように胸に触れると、思っていたよりもずっと柔
らかい感触に驚いた。
「君の手、あったかいね」
「あぁ……昔はパン屋になるつもりだった」
「ははっ。どこでどう、間違ったんだか……は、ん……」
 やわやわと、感触を確かめるように小さな乳房を揉みしだく。それだけで、クロルは息
を乱して声を漏らした。満足そうに目を細め、ついばむようにヴィクターにキスの雨を降らせる。
 少しくすぐったい気もするが、それよりも心地よかった。もっと無機質で冷たい行為に
なる事を想像していたヴィクターは、それだけで、行為に対するためらいや背徳感が薄れ
ていくのを感じ、自嘲気味に唇をゆがめた。
「なんだよ、その笑い方。君らしくない」
「この状況自体、俺達らしくないだろ」
布越しに軽く乳首を引っかくと、クロルは小さく悲鳴を上げて逃げるように身を引いた。
落ちそうになる体を、腰を支えて引き戻す。
 演技なのでは無いかと思う程感じやすい。立ち上がってきた乳首を優しくつまみ、指の
腹でこね回すと、クロルは惜しげもなく甘い声を漏らした。
「演技してんじゃねぇだろうな」
「ば、か……言うなよ。任務でもないのに、そんな事、しない」
「ならいいけどな」
「僕が不感症だって言いたいわけ?」
「感じすぎだ。異常に」
 正直な感想を伝えると、クロルはたちまち顔を真っ赤に染めて、怒ったように顔を
逸らした。これも演技なのだろうかと思うのは、クロルの対する侮辱だろうか。
 舌にたっぷりと唾液を乗せて、布地を湿らせるように固くしこった乳首を舐め上げる。
音を立てて吸うと、爪が肩に食い込んだ。


452 :名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 02:13:25 ID:cRbFE18h
「く……ふッ……ぁ!」
クロルが講義するように、潤んだ瞳でヴィクターを睨む。
 無視して空いた手をタンクトップの中に滑りこませ、二本の指で乳首を挟むようにして
胸を揉むと、クロルが歯を食いしばって息を詰めた。
「んだよ……よそう、がい……ッ」
「何がだ?」
「もっと、下手糞だって……思って……あッ」
 胸を触っているだけで、下手も上手いもあるのだろうか。
 任務を含めて経験豊富なクロルがそう言うのだから、そういう事も在るのだろう。
 十分に堪能してから唇を離すと、タンクトップは唾液でぐっしょりと濡れていた。皮膚
にべったりと張り付いて、布越しにも胸の先端が固く尖っているのがわかる。
 ヴィクターは一旦クロルの腰から手を放し、タンクトップに手をかけた。
「脱がすぞ。腕上げろ」
「いいよ、自分で……」
「言う事きかねぇと破いちまうぞ」
 一瞬、クロルが物言いたそうな目でヴィクターを見たが、すぐに諦めてのろのろと腕を上げた。
 少しずつ、両手でタンクトップをずり上げて行く。服が時々敏感な部分を掠ると、
クロルはそれだけで大げさに反応した。
 黒い布地を鎖骨辺りまでゆっくりとまくり上げると、ヴィクターは形の良い乳房に思わず目を奪われた。
 ヴィクターの手の平よりはるかに小さな膨らみではあるが、クロルが自分で言うとおり、間違いなく美乳である。
 タンクトップをクロルの腕から引き抜いてソファの後ろに放り捨て、ヴィクターは鎖骨
から乳房にかけて指先を滑らせた。
 ろくに肌の手入れも出来ない軍隊生活では、美しい肌を保つ事など不可能だろう。
ヴィクター程では無いにせよ、傷もそれ相応にある。
 それでも、綺麗だと思った。触れる場所全てが柔らかく、触れているだけで満足だとさ
え思う。舌先で傷をなぞると、クロルが苦しげに小さく喘ぐのが聞こえた。
「焦らすな……性格悪いぞ」
「そんな高等な事出来るか。どれくらいぶりだと思ってんだ」
「だって……」
 クロルが焦れたように舌打ちし、ヴィクターの手をとって下半身へ導いた。
「ボタン、外せ。ファスナーも」
「おう」
 言われるままごついボタンを外し、ファスナーを引き下ろす。その状態で次の指示を
待ってると、クロルが突然ヴィクターの肩に噛み付いた。
「痛ってぇな!」
「うるさい! 天然か!? それともただの変態か!? 僕に言わせないと気がすまないのかよ!」
「待て、落ち着けなんの話しだ。言われた通りにしただろうが」
「その意味を考えろよ! なんのためにはずさせたかくらい察しろよ逆行形童貞が!」
 凄まじい暴言である。
 だが、何のためにかと言われると、思い当たる事は一つしかない。あぁ、そうか。
ヴィクターは内心、拳と手の平を打ち合わせた。
「なんだ、触って欲しかったのか」
 今度は拳で思い切り頭を殴られた。
「なんで殴る!」
「うるさい。もういい!」
「怒るなよ」
「怒るだろ普通! そんなんだから恋人が出来ないんだよ!」
 全く意味が分からない。
 ヴィクターはぶつくさ文句を言いながら、クロルのズボンを下着ごと、腿半ばまでずり下ろした。


453 :名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 02:14:10 ID:cRbFE18h
 すべすべとした腿を撫で、クロルの反応を探るように内側に手を滑らせる。色素の薄い
茂みの奥に指先が到達すると、そこは既にじっとりと濡れていて、指を滑らせるとぬるぬ
ると愛液が指に絡みついた。
「濡れてる……」
 うっかり言ってしまってから、また殴られるのではと思ったが、どうやらそれは杞憂に
終わった。クロルが動く気配は無い。
 中指の半ばまで指を埋めると、あっさりと飲み込んでゆるゆるとヴィクターの指を締め
付けた。
「痛くねぇか?」
「処女……相手にしてんじゃ、無いんだぞ……」
それならばと、一本指を増やして軽く中をかき回す。するとクロルはヴィクターの首に
腕を回し、縋り付くように髪を掴んだ。
「あ……そこ、もっと……」
「ここ?」
「あ……ッ。そう、そこ……あぁ、や、もっと、ちゃんと……」
 もう少し、乱暴に扱っても大丈夫という事だろうか。完全に首にしがみ付かれてし
まっているから、クロルの表情は伺えない。
 悩んだ挙句にクロルに指示された位置を重点的に責めながら、親指の腹で入り口の肉芽
を押しつぶすと、クロルが驚いたように身を引いてヴィクターの腕を掴んだ。
「馬鹿! よせ、ヴィクター! そこ、触んな!」
「へぇ……そんな顔するのか。なる程」
 怯えたような、懇願するような、そんなクロルの表情に苛虐心がくすぐられる。
 クロルの制止を無視して指を動かし続けると、たちまちクロルの全身から力が抜けて、
抵抗らしい抵抗が無くなった。
 苦しげにいやいやと首を振り、逃れようと弱々しく身を捩る。そのまま胸の突起に
しゃぶりつくと、クロルが泣きそうな声を出した。
「よせ、よせヴィクター……! やだ、いく……やだ、やだ! や……ッ!」
 クロルの膝ががくがくと震え、首の後ろに抉られる程深く爪を立てられる。仕返しのつ
もりで口に含んだ乳首に軽く歯を立てた瞬間、クロルはヴィクターの頭を抱え込むように
して全身を引きつらせた。
 同時に、痙攣するように指が何度も締め付けられる。
 数秒置いて、崩れるようにクロルがへたり込んだ。
 中をかき回していた指を引き抜く。透明な粘液が糸を引き、ふと見ると手の平まで
べっとりと濡れていた。
「……指でいかされた……屈辱」
 乱れた呼吸を整えながら、クロルがぼんやりと呟いた。
「ひでぇ言い草だな」
「屈辱……」
 疲れ切ったように、繰り返し呟く。
 クロルはのろのろと一旦立ち上がり、身につけている物を全て脱ぎ去ると、改めて
ヴィクターに圧し掛かった。
「君は服、脱がないの?」
「そんな暇なかっただろうが。それともあれか、他の男はあの状況でも気がつくと脱いで
るもんなのか」
 だとしたら、自分にそんな器用な真似は一生できそうにない。
「んー……そうでもないかな」
「よかった。ストリッパーに弟子入りする必要は無さそうだ」
 ヴィクターが天を仰ぐと、クロルが小さく吹き出した。
「君のストリップか。興味あるね」
 くすくすと笑いながら、ヴィクターの下半身に手を伸ばす。既に充血し硬くなっている
物を見つけ出すと、クロルはそれを取り出そうと下着の中に指を滑りこませた。
「お、おい!」
「硬い…・・・けど、まだおっきくなりそう……もういれていい?」
 ねだるようにクロルが聞いた。


454 :名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 02:14:58 ID:cRbFE18h
 絡み付いてゆるゆるとしごき上げるクロルの指に急き立てられ、今すぐにでも突っ込み
たい衝動に駆られる。だが、ヴィクターはその衝動を押し殺した。
 クロルが答を急かしてヴィクターに何度も口付ける。
「ねぇ、いいでしょ? 僕、早く欲しい……ねぇ、ねぇ」
「まてまてまて! ちょっと手ぇ放せ!」
「一回抜いといた方が長持ちするよ?」
 暗に手に出せと言っているのだろうが、何故かそれはプライドが許さない。
 ヴィクターは無理やりクロルの手を引き剥がし、まんまと誘導されつつあった射精への
欲求が収まるまで数秒間目を閉じた。
「目、閉じても収まるもんじゃないと思うけど……」
「うるせぇ。なぁ、ベッドいかねぇか? ソファだと窮屈だろう」
 突然の提案に、クロルがきょとんとしてヴィクターを見返した。そして軽く左右に首を振る。
「無理。僕、寝室まで歩けないもん」
「おいおい、一体誰に物を言ってんだ? 歩けない奴は担ぐのが軍人ってもんだろう」
 何を今更言うのやら、クロルを担いで走り回る事くらい、ヴィクターにとっては猫を
抱えて走る事と同義である。
 にやりと口角を持ち上げて、ヴィクターはクロルを抱えて立ち上がった。下半身が若干
窮屈だが、歩けない程ではない。
「うわ……お姫様抱っこだ」
「そんな乙女チックな単語を知ってるとは思わんかった」
 言ってしまってから後悔する。
 案の定、両手の塞がったヴィクターの頭に連続して拳が飛んだ。
「なんかこれ、気恥ずかしいね」
「誰に対してだよ。誰も見てねぇだろ」
「自分に対してだよ。僕だけ服着てないし」
「自分で脱いだんだろうが」
「君だって脱がしただろ!」
 そう言えば、脱がしたような気がしないでもない。
 そんなとぼけた事を考えながら寝室の戸を開けると、室内は明るかった。先程、クロル
が立て篭もった時に電気をつけたのだろう。
 こういう時は明かりを消した方が良かったのだっただろうか。ヴィクターがスイッチに
手を伸ばすと、クロルが慌ててその手を制した。
「消さなくていい」
「なんで?」
「君を見てたい」
 この女、なんて事を真顔で言うのか。
 危うくクロルを落としかけて、ヴィクターは慌てて持ち直した。クロルがヴィクターの
顔を見て、意外そうな顔をする。
「あれ? 照れたの? 顔真っ赤」
「うるせぇ!」
 短く吼えて、クロルをベッドに放り出す。
 シャツを脱ぎ捨てて横たわった体に覆いかぶさると、クロルが静かにヴィクターの背に腕を回した。
「……今更だけど、痛くする?」
「しねぇよ。本当に今更だな」
「そっか……よかった。実は僕、痛いの嫌いなんだ」
 少しだけ、ばつが悪そうにクロルが笑った。
 今の今まで、ずっと痛めつけられる事を意識しながらヴィクターに体を預けていたと言うのだろうか。
 そう思うと突然、今まで漠然としか思っていなかった“優しくしてやろう”という気持ちが大きくなる。
 自分でも驚く程固く張り詰めた物をズボンの奥から取り出して、ゆっくりと入り口にあてがった。
「いいか、何度も言うようだが、マジで久々なんだ。痛かったらすぐに言えよ」
「処女じゃないんだ。大丈夫。だから早く……我慢できないよ」
 クロルが早く早くとせがむように、腰を前に突き出した。先端が柔らかい肉壁に埋まり、
ぞくぞくと背筋を快感が駆け抜ける。
「……待て、俺ゴムつけてねぇ」
「いらないよそんなもん! 任務で男とやってる女が避妊してないわけないだろ!」
 そういえばそうかもしれない。
 クロルの許しが出たのでそのまま腰を進めると、クロルの表情が苦悶に歪んだ。


455 :名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 02:15:54 ID:cRbFE18h
「おい、痛いなら……」
「黙れチェリー! くそ! 息子まで図体そっくりかよ……!」
 褒められているのか貶されているのか、微妙な発言である。表情に似合わず大丈夫そう
なので更に腰を深く埋める。
 思わず女のような声が漏れそうになった。やはり、手で処理するのとは全く違う。一旦
全て埋め込んでから、抜くギリギリまでゆっくりと引き抜くと、クロルが苦しげに喘いだ。
 縋るように、背に回された腕に力がこもる。再び奥まで突き入れると、今度はヴィクターが
声を漏らした。
「クロル……そんな、締めんな」
「知らないよ! そんなの、君のがデカすぎるんだろ!」
「なんで怒るんだよ!」
「うるさ、うるさい……あぁ、も……くそ……!」
 クロルが涙目になりながら悪態をついた。どう見ても辛そうなのだが、ここで止めたら
どんな修羅場が待ち受けているかわからない。
 どうしたもんかとその状態で考えていると、背中に回っていた腕がするりと落ちて、
クロルが弱々しくヴィクターの胸を叩いた。
 顔をそらされているため、身長差も手伝って表情は伺えない。
「……焦らすな」
「え、あ……いや、でも……」
「なんど、も……言わすなよ! 動けよ、早く……お願いだから……」
「だから、いてぇなら無理はす――!」
 無理はするな、といい終える直前に、腹に激しい鈍痛が襲ってヴィクターは思わず身を引いた。
 喉仏を親指で押さえられると同時に体を支えていた腕を強く引かれ、逆らえずベッドに
仰向けに転倒する。
反射的に、手が枕の下に隠した銃に伸びていた。これがクロルの襲撃だと理解していな
かったら、反射的に発砲する所である。
「クロ――」
「動くな!」
 クロルが潤んだ瞳で鋭く睨み、ゆっくりとヴィクターの首を開放した。真っ直ぐに視線
を絡めたまま、クロルがゆっくりと後退してヴィクターの腹に両手を付く。
「おい、お前何やって……」
「君が動いてくんないなら、自分でやるしかないだろ……! もう、これ以上君にまかし
といたら、僕がどうにかなっちゃうよ……」
 言いながら、クロルがゆっくりと腰を落として行く。きゅうきゅうと締め付けながら、
奥へ奥へと誘い込まれる感触に、ヴィクターはぞっとしてクロルの腰に手をやった。
「は……ほら、こっちのが……奥まで、くる……」
 クロルが満足げに笑い、ゆっくりと腰を揺らし始めた。すぐにでも中にぶちまけてしま
いそうで、ぐっと歯を食いしばる。
「あぁ、ん……く……ぁ!」
 探るようにゆっくりとしていたクロルの動きが、少しずつ早く、大きくなりつつあった。
 ヴィクターの脳裏から、気遣いや遠慮が急速に失われていく。クロルの腰を両手で
掴んで抉るように腰を突き上げると、クロルが甘い悲鳴を上げた。大丈夫かと不安になる程
乱暴に腰を突き上げると、すぐにクロルの中が激しく収縮を繰り返した。
 あぁ、いったんだろうな、と頭の隅で思いながらも、ヴィクターは行為を中断する事が
出来なかった。
 クロルが驚いたようにヴィクターの名を叫ぶ。だが、ヴィクターは聞こえないふりをし
た。クロルの声に切羽詰った息遣いが混じり、ヴィクターから逃げようと、繋がったまま
身を捩る。


456 :名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 02:18:24 ID:cRbFE18h
「や、やぁ……も、や、ヴィクター! ヴィク……タ、ゆるし……あぁああぁ!」
 立て続けにもう一度、クロルが絶頂に達してのけぞった。
 同時に、ヴィクターもクロルの中に思い切り注ぎ込む。腰が砕けそうな射精感に全身の
力を持って行かれ、ヴィクターは全てをクロルの中に吐き出すと、息も整わぬままベッド
に乱暴に倒れこんだ。
 繋がった状態のまま、クロルもヴィクターの胸に倒れこむ。
 しばらくは、二人の乱れた呼吸の音だけが部屋に響いていた。クロルは一言も発しない。
 怒っているのだろうか。どう考えても最後の方は、優しく出来たとは思えない。
 恐る恐るクロルの頭を軽く撫でると、クロルが嫌がるように身じろぎした。
「……やめろって、言ったのに……」
 やはり怒っている。いや、怒っていると言うよりも拗ねていると言うべきか。
「聞こえなかった」
「嘘つけ。死ぬかと思った……」
 クロルが一度達してから、それ程経たずに射精したつもりなのだが、クロルからしてみ
ればそうでもなかったらしい。
 クロルを胸に抱いたまま半身を起こすと、クロルが小さく喘いでびくりと肩を震わせた。
「ばか、まだ、中入ってんだから……変に動くな。っつか、なんでまだ硬いんだよ……!」
「さぁ……いつもは一回抜きゃ収まるんだがな」
「……もう一回とか言っても、だめだぞ。明日仕事できなくなる」
 もう一回か。
 考えもしていなかったが、それもいいかもしれない。ヴィクターが考えるような表情を
見せると、クロルがしまったと口を押さえた。
「じゃ、もう一回」
「やだ! やだよふざけんな! 明日歩けなく……」
「じゃあ、休暇にしといてやるよ」
 直属の上司とは、こういう時に便利である。クロルが言い訳を失って、懇願するように
ヴィクターを見た。
「……やだ」
 視線を外して呟いたクロルの首筋に、唇を滑らせる。するとクロルが慌てたように
ヴィクターの顔を引き剥がした。
「言っとくが、俺にこの味を思い出させたのはお前だぞ」
「ぼ、僕はしょ……証明して欲しかっただけだ! もう、これで十分わかったから、もう、
終わり! おしま……ひぁ! ば、ばか! 動くな、よせ! や……だめ、だめ……!」
 クロルをベッドに押し倒し、暴れる体を押さえつけて奥の方まで突き立てる。クロルが
罵詈雑言を喚き散らしながら、ヴィクターの首にしがみ付いた。
 その腕の拘束を潜り抜け、胸元に舌を這わす。鎖骨の辺りに唇をあて、音を立てて吸う
と、クロルがじたばたともがいた。
「よせ! あ、痕……つけんな……!」
「制服に隠れる。誰もみねぇよ」
「だめ、だめだ! だぁ、め……きょうか……んに、怒られ……」
 確かに、クロルが目立つ所にキスマークをつけて歩いていたら、男などに現を抜かすと
は……などと怒り出す者がいないとも限らない。
 実際、軟弱な事が大嫌いな軍人が、クロルの教官の中には一人いる。やたらと声のでか
い、厳格で迷惑な爺である。
 そう考えると無理やり痕をつけるのも申し訳ない気がして、ヴィクターは胸にひとつだ
け付けた痕だけで満足し、クロルとの行為に没頭した。

 次の日の朝、クロルに頬が真っ赤に腫れるほどの勢いで殴られたとか、軍医が何者かに
襲撃されるという事件が起きたというのは、また別の話。

                               終わり

>>421氏の言わずじまいの要望が激しく気になる
皆さま、コメント本当にアリガトウございました


457 :名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 03:56:28 ID:7X2IJbCc
ヴィクターとクロル待ってましたー。
職人さんどうもありがとう。
また、ふたりの物語書いてくださいねー。

458 :名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 04:09:08 ID:CDtPvu7V
グッジョブですぜ
夜中にええもん読んだわ〜


459 :名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 05:32:24 ID:/4+zJ6oe
乙でした
寝る前にチェックしてよかった〜


460 :名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 06:52:55 ID:wfMgVjWa
GJ〜

ただ二人が気持ちを確かめてないのが気になるから、
この意地っ張りな二人のその後も期待します

461 :名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 07:19:25 ID:hnac0GQi
おはよう神様。

462 :名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 17:48:40 ID:gSKIoby5
>>444
こんばんわ神様。素で十回読み直したよ。
げに素晴らしき萌エロなり…。

463 :名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 22:29:59 ID:+Jf6cxWf
今日初めてこのスレッドを知ったんだが………


もう最高!書き手さんありがとう!

464 :名無しさん@ピンキー:2006/12/14(木) 04:43:55 ID:dKPnoUgu
GJGJ!!素晴らしいー!!
続編期待しています!

465 :名無しさん@ピンキー:2006/12/14(木) 20:41:20 ID:91SsAaX8
保守

466 :名無しさん@ピンキー:2006/12/15(金) 16:29:10 ID:iwqnz15h
今日も保守

467 :名無しさん@ピンキー:2006/12/15(金) 16:44:22 ID:Fdhfet12
ほす

468 :名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 17:04:05 ID:xSpr1tXG
保守

469 :名無しさん@ピンキー:2006/12/19(火) 01:26:54 ID:NpRklt44
GJ!感動したっ!

470 :名無しさん@ピンキー:2006/12/19(火) 21:02:54 ID:KwTPIpHe
ホシュ

471 :名無しさん@ピンキー:2006/12/20(水) 22:38:31 ID:uUV+49mQ
hosyu

472 :名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 01:52:05 ID:KlW982Mj
保守

473 :名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 12:11:58 ID:Xj4YiyUw
クリスマスか……
もてない男にサンタ服きて『今日は僕をプレゼント』とかしてくれる
ボーイッシュ娘が欲しい

474 :名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 19:56:51 ID:UF7pLBA9
所詮叶わぬ夢だとしても・・・

475 :名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 16:44:07 ID:AQI3Rrku
夢だからいいんじゃないか・・・

476 :名無しさん@ピンキー:2006/12/25(月) 11:52:36 ID:+BpV74XW
夢が欲しい

477 :名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 23:23:07 ID:Vrfef+6V
保守

478 :名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 19:11:23 ID:+CdjVB4l


479 :名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 02:38:19 ID:XrKBQIfw
ボクっ娘がボーイッシュの条件ではないと思うんだがなあ

480 :名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 13:56:51 ID:rvYdlxK/
ボーイッシュ【boyish】
(女性の身なり・物腰などが)男の子のようであるさま。少年風。

481 :名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 21:13:40 ID:/3JTvC2D
なんというか、ボーイッシュ娘は本人に自覚のないエロさがいいんだ。
男の子っぽいから肌の露出や乳揺れやスキンシップを気にしないで近づいてくるところとか、そんな子がふとした時に女であることを自覚して急に恥じらうとかがいいんだな。

482 :名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 22:22:17 ID:MkvLS6uy
「おっ、お前、ノーブラなんだな…(乳首が浮いてる……)」
「そうだよ、どうせ胸なんてないからさ〜、ってなに見てんだよ〜(真っ赤)」

483 :名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 23:32:56 ID:2NlyxUfs
女っぽくない(と、自分だけ思い込んでる)ことにコンプレックスもってるボーイッシュ少女に無理矢理女っぽい格好をさせたりする羞恥プレイも悪くない。
普段はショートカット微乳の活発系ボクっ子に、少女趣味全開の服を着せてデートに誘うとか。
普段活発な子が別人みたいにしおらしくなってるのも悪くない。

484 :名無しさん@ピンキー:2006/12/29(金) 23:43:16 ID:dWmRhHyQ
突然にぎわってきたのは何かの前触れか。

485 :名無しさん@ピンキー:2006/12/30(土) 01:24:43 ID:VTPTtjK8
オレっ子も悪くないと思うんだがどうか。

486 :名無しさん@ピンキー:2006/12/30(土) 04:33:13 ID:+2dWWWCU
>>485
ロリなオレっ娘のみ認める。

487 :485:2006/12/31(日) 02:17:58 ID:4yBNqVpr
>>486
年齢不相応に発育して無い、で我慢してくれ

488 :名無しさん@ピンキー:2006/12/31(日) 02:24:39 ID:8XqDUMJF
方言ぽくてなぁ…オレって言うのは。


489 :名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 12:25:01 ID:/xai5bWp
はぴにゅいやー

490 :名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 23:09:05 ID:nbZIcD3L
・貧に見えて標準。尻藻同じ
・チョンマケボニテ、もしくは針金ショート
・アタシ・キミ・呼び捨て・名字サン
・緩いTシャツとショートパンツ
・スポーツブラ・下はよう解らんけ
・意地っ張りな寂しがり
・年下の幼なじみ
・男役の胸くらいの身長・150cmてとこか

娘だけ構築してもシチュが思いつかねー

491 :プレゼント系:2007/01/02(火) 00:44:28 ID:Im8A2C2c
流れを読まずにボクっ子短編投下ー
このスレでは初SSなので、感想とか批判とかヨロです

492 :プレゼント系:2007/01/02(火) 00:45:03 ID:Im8A2C2c

あけましておめでと〜!今年もヨロシクね!
…ってナニ?その袋

プレゼント?ボクに?

わ〜!ありがと!あ、そ〜いえばクリスマス貰ってなかったもんね!
ボクはちゃんとキミにあげたんだけどさ、シルバーの指輪。
今日もちゃんと着けてる?……ダメダメ右手じゃ!ちゃんと左手の薬指に着けてよ!

で、一週間遅れのクリスマスプレゼントの中身はっと…
……デニム…?

お〜!ボクがジーンズ好きなのよっくわかってんじゃん!さっすが彼氏!
あ、そうそう、このジーンズどう?
初売りで買ってみたんだけどさ、いいっしょ〜?
もともと細身のなんだけど、サイズひとつ落として更にライン出してみたんだ!

へ?いつもと変わんない?
え〜!よく見てよ!全然違うじゃん!
長さもくるぶしぐらいだからいつもより短いし、
色もいつもより濃いし、ローライズ気味だし…

…そりゃあ足首まで隠すようなデニムのパンツってのはいつも通りだけどさ。
ホラ、素人にはわからない細かい違いってモンがね…
いいじゃん!他のパンツなんて似合わないんだし、スカートなんてもっての他だし!
これがボクのファッションスタイルなんだから!

ま、いっか。
今から一緒に初詣行くっしょ?
じゃ貰ったコレに着替えてくるからちょっと待っててね〜!
楽しみだなぁキミのセンス。ジャケットかなぁ?パンツかなぁ?
へへへ……


493 :プレゼント系:2007/01/02(火) 00:45:56 ID:Im8A2C2c


……ね、ねぇ……
コレ…確かにデニムだけどさ…
まさか…ジャケットでもパンツでもなくて……ミニスカートって……

しかもコレ…いくらなんでも短すぎ……
…なんか…脚がスースーするし……
つか…石段上ってたら…後ろから見えちゃうじゃんか……
い、いや…キミが後ろにいてくれるのは嬉しいけどさ…
もっと根本的な問題がね…こう……
うー……


はぁ……ホンット恥ずかしかった……
お陰でお参りに集中できなかったよ……
さ、終わったコトだしさっさと帰ろ!帰ろ!……早く着替えたいし……

………へ?
………もうひとつのプレゼントも着てるとこ見せてくれ?…って

ちょっ…!それは流石に無理だって!
無理無理無理!絶っ対に無理!

そ、そりゃあ、クリスマスに、キミの左手の薬指にハート柄の指輪着けさせて
友達にひけらかしまくったのはボクだけどさ…
ソレとコレとは話が……

……せ、せめて家に帰ってからじゃ…ダメ?
いくら人がいないからって…こんなトコじゃ……

た、確かに「ボクは胸もないしスタイル悪いから
ハダカ見られても恥ずかしくない〜」って言ったことあるけど…
それは…その…キミと二人のときだけの話で…ね……?

……もう…わかったよ!
ホンットにちょこっとだけだからね!
…ったく新年早々スケベなんだからキミは…!


494 :プレゼント系:2007/01/02(火) 00:47:22 ID:Im8A2C2c



……こ、これで見えるでしょ……?


……も、もっとスカート上げてって……


……これ以上は無理だって……


……もう…わかったよ……


……こ、これでいい…?…まだ……?


………………っ……!




……あー!もうっ!信じらんないっ!
百歩譲ってデニムのミニスカートは許すとして、
なんでクリスマスプレゼントが、セクシーな下着なんだよっ!
紐付きTバックなんて履いてないのと一緒じゃんか!
お尻に冷たい風は当たるし!紐は解けそうになるし!
どっかの変態に外で下着見せるハメになるしっ!

……で?ブラはどこで見せればいいのっ!
キミのことだからまたヘンなこと考えて……


……ブラはベッドの中で……?
……もう……キミはホンットに変態なんだから…っ!!


495 :プレゼント系:2007/01/02(火) 00:48:24 ID:Im8A2C2c
以上です
いまいちボーイッシュでもなかったかな

496 :名無しさん@ピンキー:2007/01/02(火) 05:48:46 ID:sWeNiLO7
ボーイッシュらしさが出ててよかったよ。GJ
なんていうか
ボーイッシュ=原っぱや公園を駆け回ってる女の子
って、イメージがあるなぁ。見た目や行動からそう見えればボーイッシュだな

497 :名無しさん@ピンキー:2007/01/02(火) 22:10:27 ID:8bHb56x2
>>490
あと、ボーイッシュ娘は陰毛が薄いほうがなんとなくいいと思うw
で、男に指摘されて「どうせボクは子供だよっ!」と拗ねてくれると萌え。

498 :名無しさん@ピンキー:2007/01/03(水) 01:33:01 ID:ZC5TEx2S
>>491

GJ!

499 :名無しさん@ピンキー:2007/01/03(水) 23:26:46 ID:JvGWD01k
セーラー服で一人称アタシ、ブラバン所属はこのスレ的に有り?
多スレとの差別を考えてたこんな造形になったんだが

500 :名無しさん@ピンキー:2007/01/04(木) 02:25:22 ID:r5fdNE5G
>>499

アリ

そして華麗に500ゲトォー

501 :名無しさん@ピンキー:2007/01/05(金) 07:08:57 ID:HmHDuW2B
保守

502 :名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 13:16:35 ID:82Z1MAWo
保守

503 :名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 16:24:40 ID:pSjgf73b
保守


504 :名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 19:46:41 ID:NggHDC5e
じゃあ保守

505 :名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 20:37:29 ID:gpRgFvMv
それなら保守

506 :名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 10:38:13 ID:AiXbTW5g
プレゼント系の続き待ち保守

507 :名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 15:57:31 ID:NfHKWDlg
神光臨待ち保守

508 :名無しさん@ピンキー:2007/01/07(日) 19:43:59 ID:ThUMj+gx
さあ保守保守

509 :名無しさん@ピンキー:2007/01/09(火) 05:44:49 ID:IngJqW7q
今日も保守

510 :名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 09:17:26 ID:hFfa2Q4r
死んでも保守

511 :名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 16:23:02 ID:4MF3bpaU
落ちても保守

512 :名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 22:23:38 ID:zHZTA7kV
ボクっ娘って皆は貧乳なイメージがあるみたいだけど
俺は巨乳のイメージがあります。悪の女を屠るスレを観てから

513 :名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 22:44:19 ID:S3OEYcP+
無理やり女の子チックな服来てデートに連れてかれるボクっ娘って需要ある?(´・ω・`)

514 :名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 23:04:11 ID:yprsKlDI
ある「どきっぱり」

「自分で可愛いのは似合ってないと思い込んでる」子は
間違いなくボクっ娘だ


515 :名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 14:26:32 ID:BRHLHIJT
ほしゅ

516 :名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 15:11:33 ID:FsBUfzxp
俺も保守

517 :名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 16:35:26 ID:vZH5DvmK
>>367
の俺だが、たまたま眺めたスレに張ってあってびびった

518 :名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 22:47:26 ID:y8aYmcFv
>>513
需要どころかこのスレにぴったりジャマイカ

519 :名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 03:48:37 ID:AR+VPnLU
「ね・・・ねぇ!?やっぱりやめようよ!?」

困惑したような困ったような声が後ろから響く。
だが少年は声をあげた少女の手を引き歩みを止めない
後ろは振り返らず前を向いたまま声だけで相手に返す

「なんでだよ?」
「ぅ・・・駄目なものは駄目なんだよっ!」
「理由になってねぇよ」

ぅー・・・と不満そうな声が後ろから上がるが無視しつつ
なぜこんな事になったのだろうと発端を振り返るのだった・・・・・




それは午前中の事だった
今日は夏休みで夏祭がある程度で後は特に予定もなく惰眠を無駄に貪っているときだ

「光治ー?光治ー?」
「・・・・ぁー?」
「今日から母さん達、お隣の樹山さんの所と3日くらい旅行に行ってくるから」
「・・・・んー」
「というわけで、美咲ちゃんと二人で仲良くしておいてね」
「・・・ぁぃょー」

こんな会話があったような気がするがもう覚えていない
起きた頃には母達はもう荷物をまとめて出発していたのだった
気が付けば残されたのは俺と美咲の二人だけだった
樹山美咲。俺と同じ高校に通う幼馴染という奴だ
といっても俺にとっては下手な男より気を許せるしフランクに付き合える俗に言うボーイッシュな少女だった

520 :名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 03:51:03 ID:AR+VPnLU
「や。光治、今日からしばらくよろしくね」
「お前気楽だよなぁ・・・・?」
「まぁ、正直親がいなくて色々やりたい放題だしね?」

微笑みながら片手にボストンバッグを下げた美咲が尋ねてきたのは昼過ぎ頃だった
いつものように無造作に後ろで纏めた背中まで伸びた髪にTシャツに短パンジーンズといういつもの格好で立っていた
靴を脱ぐために前かがみになったTシャツの隙間からブラ見えてたりすることに気付いてるんだろうか?
いくら親友感覚とはいえブラジャーが見えたりするのはさすがにあれかなー?
とか普段考えないような事を考えていたせいか
気付くと俺は切り出していた

「んー・・・俺が言うのもあれだけどさ?」
「ん?何?」
「もう少し女っぽい格好しねぇのか?」
「・・・・んー?別に興味ないしね?軽装って楽だし?」
「いや、でもさ?もう高校なんだし?」
「別に年は関係ないでしょ?それにボクには似合わないよ」
「んー・・・似合うと思うけどな?」
「ぅ・・・どーせ似合わないから」
「そこまで言うなら着てみないか?」
「む・・・んー・・・まぁ、人に見られるような事もないし・・・」
「そうそう、確かワンピースっぽいのがあった気がするから待っててな」
「あ!?まだ着るとは言ってないぞ!?」

そんな抗議の声を無視して俺は今は使われていない姉の部屋に踏み込んだ。
確か結婚して家は出て行ったがたまに帰ってくるから服は残ってるはずと踏んで踏み込んだ
軽くタンスを開けるとそこに目当ての品があった

「と、お待たせ。これな」
「ぅわっ!?」
「そいじゃ待ってるからな」
「ちょっ!?ちょっと光治!?ボク着るなんて言ってないよ!?」
「よろしく」

そう言って笑いかけ手に持っていたワンピースと残っていた化粧道具を投げて渡してさっさと扉を閉める
扉をはさんだ向こうから戸惑った声が聞こえてくる

「ねぇ・・・?ほんとに着ないと駄目?」
「駄目」
「ぅぅ・・・・はぁ。分かったよ。まったく」

521 :名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 03:51:52 ID:AR+VPnLU
そういって扉の奥から布が擦れる音が聞こえてくる
ていうかよく考えたらこの家にいま俺とあいつだけなんだよな・・・
なんか無駄に意識して緊張してきたなとか無駄な考えをしている間にその声は聞こえた

「・・・終わったよ?」

聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声が後ろから聞こえてきた
心臓がバクバク言っている。落ち着け意識する必要なんかないと自分に言い聞かせて
扉に手をかけ一気に開いた先に一人の少女がいた
淡いブルーのワンピースに身を包み普段は後ろでまとめている髪の毛を今は降ろし
ワンピースの裾をきゅっと握り真っ赤な顔をしながら俯いている

「・・・・・」
「・・・な、なんだよ!?着ろって言うから着たんだぞ!?」
「えーと・・・・」

こんな格好してると普段とは全然違う。
細い肩に真っ赤になって目をそらしている少し濡れた大きな瞳


「だからなんだよ!?だからボクは着たくないって言ったんだ!」
「いや・・・違うって、予想外に・・・その・・・可愛かった」
「そう。可愛いって・・・・可愛い?・・・・?誰が?」
「お前が普通に可愛いからびっくりしたんだよ」
「ぅ・・・・嘘だ。こーいうのは似合わないんだよボクは」
「まさか、ここまで似合うとは・・・と、そろそろ飯の時間か・・・」
「・・・褒めても何も出ないからな」
「よし、このまま祭りいくぞ。夜店でなんか飯買うぞ」
「えぇ!?待ってよ!?着替えさせてよ!?」
「駄目、売店人が多くなるだろ?」

そういって彼女の手を引き俺は祭の会場へと繰り出した・・・・


こんな感じかね?
突発的に書きたくなったんで書いてみた。

522 :名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 04:02:18 ID:qRic1yd2
GJ。
2ちゃんが封鎖されそうなふいんき(←なぜか変換できない)の今になって、初めてリアルタイムで良い作品に出会う事が出来るとはな…

523 :名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 10:59:23 ID:lApnWT3v
つ雰囲気(ふんいき)が正解。↑

続き読みたい・・

524 :名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 11:00:16 ID:v4sRYSU8
ネタにマジレスカコワルイ

525 :名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 13:15:54 ID:LvBoCMTz
ネタをネタと(ry

526 :名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 15:21:48 ID:z+9fLpTC
逆に考えるんだ
>>523が釣りなんだと

527 :名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 15:50:25 ID:5R8ze8p2
1セット乙

528 :名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 20:13:28 ID:/ivEOai0
俺のボーイッシュ娘のイメージ的に
・一人称ボクかアタシかオレ、二人称キミ、アンタ、相手の名前。
・スカートは履かないが短パンは履く。
・下着(上)は着ない。パンツは予報以上に子供っぽい。
・照れ屋。で年下、小ちゃい。
というカンジ。

529 :名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 20:30:19 ID:8YCK9Abf
>・下着(上)は着ない。パンツは予報以上に子供っぽい。
ノーブラは垂れますのよ。
処で、それなんて予報?

530 :名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 21:11:44 ID:z+9fLpTC
パンツ予報だろ

531 :名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 21:37:27 ID:ndhECKYl
着ないとあるのでキャミソールなどでは

532 :名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 01:20:00 ID:ReLx45ZE
相手の名前呼ぶ時に

「〇〇くん」

と付けるのもアリだと言わせて頂こうッ!

533 :名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 03:53:56 ID:Qk4ZikM1
「センパイ」はカタカナだっ!

534 :名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 16:17:48 ID:SzWwCJw5
ほっしゅ

535 :名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 17:06:15 ID:tqcRMOkO
ちょっと妄想。

ボーイッシュ少女が自室の中で一人で少女趣味な雑誌とかを読みながら
「あ〜ぁ……ボクもこんな格好したいなぁ……」
などと頬杖つきながら独り言を言ってたりする。
で、そんなところにノックもしないで入ってくる♂。
あわてて引き出しの中に隠そうとしてかえって怪しまれる。
で、結局見つかって♂に
「なんだお前、こういう趣味あったのか?」
などと本をひらひらさせながらからかわれて、顔真っ赤にしながら
「わ、わるいかっ!」
なんて食って掛かる。

個人的に、ボーイッシュ少女には隠れ少女趣味属性とかもほしいなあと思う俺。

536 :名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 00:44:36 ID:VDy7qebT
親にムリヤリスカートはかされてムクレている所に、親友の男の子がきて真っ赤になったなんてのも悪くないかと…

537 :名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 02:13:37 ID:rAhLWlne
親友の男の子が来た時には親は席を外してて、

538 :名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 02:15:48 ID:rAhLWlne
途中で送っちまった…orz

親は席を外してる時に、親友の男の子が来て
「君誰?」って言われるが恥ずかしくて逃げ出す。

539 :名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 08:01:49 ID:LFvTERb8
「似合うね」でさらに真っ赤になるのも良いな

540 :名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 20:33:56 ID:ScsrL1qP
じつは着やせするタイプで、海水浴とか連れて行くと意外と巨乳だったとか。
ひんぬーにこだわらなくても、そういうギャップがあるボーイッシュ少女もいいかも。

541 :名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 13:19:32 ID:cIGipAx6
>>540萌え〜

542 :名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 14:26:57 ID:/qbA9enR
自分の巨乳にコンプレックスがあって普段はさらしを巻いてるって言うのはあり?

543 :名無しさん@ピンキー:2007/01/16(火) 16:03:24 ID:5FhYcbR9
>>542
お前は何を言ってるんだ?…最高じゃないか!是非書いて下さい御願いします。


544 :名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 11:41:53 ID:B9u3mpJx
神が舞い降りることを祈りほしゅ

545 :名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 03:10:12 ID:tnapcQV0
「ちょ、おま、そっちは女子トイレだぞ!!」って言って半殺しにされるのが夢です。

546 :名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 03:44:59 ID:EdlpOhX0
>>542
暁は、さらしを自らの手で外すと、恥ずかしそうに俺に向き直った。
その瞬間、瞳に移ったのは、視界を埋めんばかりに広がる巨大な胸、胸、胸。
「うお……!?」
思わずうめきのような声をあげてしまった俺に、暁は傷ついた顔をした。
「や、やっぱり、変……だよね……。こんなに胸が大きな娘なんて、いないもんね……」
一瞬前まで恥じらいの中にも強い輝きを放っていた暁の目が、寂しげに伏せられる。
「かっこ悪いし……肩だってこるし……いい事なんて何も無いよ……こんな胸……」
気のせいか、目の端には違う光が見える。
……いや、気のせいじゃない。
「んなことねーよ」
俺は意識して普段のような声を出した。
「だって……」
「俺が無いって言ったら無いの!」
言いながら、俺は暁の零れ落ちそうになっていた涙をぬぐってやった。
「……嘘」
嘘なんかついちゃいない。確かに、大きさは爆乳ってな感じのレベルだが、
それでいて形は整ってるし、張りだってある。この大きさで垂れもしていない。
「……普段、暁はこれを隠して、俺たちと野球してたのか」
「……うん」
どうやってこんなのがさらしで収まってたのかは疑問だったが、んな事をわざわざ聞いても仕方がない。
俺は違う事を聞いた。
「……なあ……他の奴に見せた事、ある?」
「他の、奴?」
「俺以外の男に」
「……ない、よ」
「親父さんとかには?」
「………………胸が大きくなりだしてからは、ない」
という事は、この胸を知っているのは、俺だけって事か。
……なんか、妙な嬉しさが沸いてくるな。
「……暁、聞いてくれ」
「……なに?」
「俺は巨乳萌えなんだ」
「巨乳、萌え?」
萌え、という言葉がボキャブラリーにないらしい暁は、首を傾げた。
俺は、その、少しだけ頬を赤く染めた、けど不安気な顔を見ながら、言った。
「でっかいおっぱいが大好き、ってことだ」
「…………え」
「だから――」
俺は一旦言葉を切り、息を吸う。世界を漂う勇気の欠片が、赤血球に運ばれ、酸素と一緒に俺の体を満たす。
「――お前のおっぱい、俺だけのものにして、いいか?」
それは、少し風変わりな、愛の告白だった。



こうですか!?わかりません!><

547 :名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 08:48:34 ID:6KG4JZ/Y
GJ!
想像以上の破壊力だ!

548 :名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 00:12:33 ID:U3Nlc31o
悶えすぎて吐血した

549 :名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 02:11:08 ID:NRQNWpBw
「ほら見ろよ、ここが…」
「バカモノ!」
俺はシャツを脱ぎだした奴の胸から、慌てて目をそらした
一瞬目に焼き付いた、微妙な白い膨らみと、ピンクの頂点を頭から振り払うのに専念する
「ナンダヨ〜、親友が体の痛みを訴えているのに」
奴は、事態も理解せんと、むくれやがった
「女の子が胸をほうり出すな、タワケ」
「いいじゃん、こんなささやかな胸。
最近まで一緒にお風呂…」
「中坊の三年前は最近とは言わん!」
年長者として毅然とした態度でたしなめる
「とにかく!女の胸のことなど俺が知るわけないだろう」

550 :名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 02:13:03 ID:NRQNWpBw
「パソコンの空き箱」
奴がボソッと呟いた
「いっぱい隠してるじゃん」
ダラダラ
脂汗がふきでる
「あんなのばっかし見てるくせに、僕のはどうでもいいんだ」
声が震えている
「お前…」
「迷惑だよな、こんな男の子みたいな胸見せられても…」
部屋から出て行こうとする奴を抱き留める
「離せよ、バカぁ!」
「今更離せるか」
腹を据えた
昔から女の子扱いすると、怒り狂っていたくせに
俺がどんなに我慢していたかしらないくせに
「何だよ、こんな小さい胸興味ないんだろ」
奴はこの期に及んで、憎まれ口を叩きやがった

551 :名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 02:15:00 ID:NRQNWpBw
「ひとつ教えてやる
オッパイで大事なことは、サイズでも形でもない」
暴れる奴を取り押さえながら諭す
「どこに付いてるかが、一番大事なことだ」
奴が動きを止めた
「お前が女の子として、俺に見せてくれるなら、あんなものはゴミだ」
「………かよ」
奴は小さな声で呟く
「んっ」
「欲しいのはオッパイだけかよ」
俯いたまま挑発的に問い掛けてきた
このアマ
「だったら我慢なんかするか
欲しいのはお前だ」
半ば本気で怒鳴る
「返品不可だからな」
親友だった奴は、今、俺の腕の中、女の子の表情で微笑んでいた


おわり

552 :名無しさん@ピンキー:2007/01/19(金) 08:37:01 ID:7FwWlFhN
GJ!
なに気に男のキャラもいい感じだ
続きに期待してもいいのかな?

553 :書く人:2007/01/20(土) 02:17:35 ID:M2gY4w99
保守あげついでに短編を入れてみる。エロなしだが。

554 :書く人:2007/01/20(土) 02:19:14 ID:M2gY4w99
 優希はコンプレックスを持っていた。
 それは男と思われることがある名前だったり、薄い胸だったり、癖が強くて伸ばしにくい髪だったり、太目の眉毛だったり…。
 だが、それ単体ならそれほどのコンプレックスにはならなかったろう。直接的な理由、それは彼女の想い人の行動にあった。


「ん、今日も女装か、ユーキ?」
「だから女だ」

 朝の通学路で、無表情なメガネの男に優希が言い返す。
 男の名前は薫。優希の幼馴染で、180近い長身は、150少々の優希からは見上げるような位置にある顔は、女性的といっていいほど整っていた。ただしその綺麗な顔は能面のように無表情だった。
 薫は無表情かつ平坦なハスキーボイスのままで、器用にも驚いた風な演出をしてみせる。

「なんと!私は十年以上も騙され続けてきたのか?」
「うっさいな、オカマの癖に!」
「心外だな。私は女体の神秘を妄想して嗜むのが常の健全な高校一年男子だが?」
「そういうエロいことばっかり言わない!このムッツリスケベ!」
「それは違う。ムッツリスケベは黙って卑猥な事を考え、指摘されると否定する奴の事だ。その点私はオープンだが?
 大体、君も男の端くれなら、つまらない授業中などはエロイ妄想を一人で嗜むくらいするだろう?」
「しない!つか、僕は女の子だよ!」
「偽証は罪だぞ、ユーキ。そんな真っ平らな胸の高校生など詐欺げぶっ!?」
「死んじゃえド変態!」

 結局、切れた優希のコブシが薫を黙らせるというのが、いつもの落ちだ。
 この十年以上ネタを微妙に変えたり繰り返したりしながら続けてきた毎朝の遣り取りだ。

(毎朝、よく飽きないよね。薫も僕も…)

 言い合いに一区切り付いてから、優希はため息混じりに思う。
 横斜め上を見れば、一歩半ほどの距離に、無表情な幼馴染の顔がある。いつもの取り立てて感情を読み取れない無表情。
 それを見て、優希は暖かい気持ちと、そして僅かな痛みを得る。
 暖かさの理由は、愛おしさだ。

(やっぱり、僕…好きなんだな…)

 自覚したのは、薫の身長が急激に伸び始めた中学二年の頃だった。何気なく話しかけて、自分より背が低いと思っていた薫の目線がいつの間にか自分より上にあるのを自覚した時、初めて薫が異性である事を、そして自分が女性である事を感じた。
 惹かれたのはいつかはわからないが、自覚したのはその瞬間だった。そして、それは同時に優希のコンプレックスが確定した瞬間でもあった。

555 :書く人:2007/01/20(土) 02:20:18 ID:M2gY4w99
(薫は男らしくなってるのに…僕はまだコレだもんね…)

 昔確実に女の子と間違えられていた薫は、今ではそんな事もなくなってきた。普通と比べて骨格は細めだが背も高ければ肩幅も広く、男性的な姿だ。ブレザー姿もよく似合う。
 しかしそれに引き換え自分はどうだ?
 慎重は小学校の頃から数センチ伸びただけ。スリム、というより貧相な肉付きの体。女らしさなど欠片もない。

(……薫がこんな言い合いに付き合ってくれるってことは…やっぱり異性としてみてくれてないんだよね…)

 毎朝、好きな人と気兼ねなく話せるこは掛け値なく嬉しい。だが、その気安さが異性として見られていない故だと思うと、僅かに胸の奥が疼く。

(もし…僕が女の子らしい格好をしたら…)

 例えば髪を伸ばしたり、アクセサリーをつけたり、『僕』ではなく『私』といってみたり…

(ううん。駄目だよね。似合わないもん)

 そんなの、失笑を買うだけだ。それに万が一、変に異性と意識されて距離を置かれたらと思うと…。

(そんなの…嫌だよ)

 今の一歩半の距離感は居心地がいい。時々発作的に襲ってくる、僅かな胸の痛みさえ無視すれば、ずっとこのままでも良いと思える。
 彼女が一人称を僕から直さないのも、言動や格好が全体的にボーイッシュなのも、それが理由だ。
 異性として見られて、二人の距離が二歩分になってしまうのが怖い。だから、あえてオトコっぽく振舞って、今の気の置けない友達という距離をキープしている。

(もう少し…せめてもうちょっと胸が大きくなってから…)

 さっきも薫に指摘された真っ平らな胸。
 厳密に言えば平らではない。しっかりAでは小さくBでは大きいといった微妙なサイズではあるが確かに実在する。
 だがそんな些細な膨らみなど、身長が伸びることを(希望的観測で)見越して買ったサイズ大き目のブレザーの布地に埋もれて、あってなきが如し。
 巨乳じゃなくてもいい。せめて…せめて服の上からしっかり確認できる程度になってから…そいしたら…

「ユーキ!」
「へっ?」

 不意に、薫の声が飛んだ。思考の海から這い出してみると、目の前にすぐに自転車。

556 :書く人:2007/01/20(土) 02:20:57 ID:M2gY4w99
 ぶつかる。衝撃への恐怖に体を竦める優希。しかし、ぶつかる直前、彼女の体は横からさらわれた。

「――?」

 いきなり事態に優希の思考が止まる。目に見える風景がぶれた後、体が暖かくしっかりとした何かに受け止められた。
 視界の半分はブレザーの布に埋もれ、半分で止まった自転車が見えた。

「気をつけてくれ。こちらもぼうっとしていたのは認めるがね」

 声は、すぐ耳元で聞こえた。
 聞きなれた薫の声。そして、優希は自覚する。
 自分は…薫に、抱き絞められている。

「あ、ああ。すみません」

 自転車に乗っていた学生服の少年(たぶん中学生)は言葉少なげに謝ってから、自転車をこぎ出した。
 だが、自分とぶつかりそうになった優希は、そんな少年など既に意識から吹っ飛んでいた。頭の中をめぐるのは、布越しに伝わる薫の体温だけで…

「…大丈夫か?」
「っ?」

 めずらしく、本当に心配そうな感情が読み取れる薫の声に、優希は我に帰る。そしてはじかれた様に薫の胸の中から飛びのいた。

「だ、大丈夫!僕、怪我してないから!」
「そうか?」
「ほ、本当だよ!っていうか何ドサクサにまぎれて抱きしめてんだよ!」

 照れ隠しに、自分でも言いがかりだと解るようなことを言う。
 それに対して、薫は少し考えるような沈黙をはさんでから…

「……ずいぶんと酷いことを言うんだな」
「え?」
「私は…君を助けようとした。抱きしめたのはその過程で仕方なくしたに過ぎない。」

 いつもの無表情で語られる言葉に、優希は二重の意味で震えた。
 理由の一つは仕方ないという言葉が示す、自分を異性として見ていないという証拠。
 そしてもう一つは、自分の照れ隠しが薫の感情を傷つけたという事実。

(違うって…照れ隠しだって言わなきゃ)

 思考があせるばかりで言葉が出ない優希より早く、薫はこう続けた。 

「それ以外の意図がないのに…それなのに―――

 ――――ホモ扱いとはあんまりじゃないk「僕は女だよ!」がぼぅっ!?」

 優希が殊勝な態度をとる前でよかったと思いつつ放った拳が薫のレバーに入る。
 頬を膨らませながら歩き出す優希。
 背後から、薫がついて来る気配を感じながら、優希はまだ少し早い心音を確かめるように右手をそっと胸に当てる。
 ―――悲しいほど平べったい。

(やっぱり、もう少し大きくなってからにしよ)

 少なくとも、抱きついた時に薫がドギマギするぐらいのサイズになってから。
 全てはそれからだ。
 それまで愛しい彼が独り者であることを願いながら、優希は歩みの速さを緩めて、再び薫の隣一歩半の距離を歩き始めた。

557 :書く人:2007/01/20(土) 02:21:29 ID:M2gY4w99
需要があったら来週辺り続きを書くが?

558 :名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 03:05:07 ID:laG4GvKm
gjです〜
もちろん希望しますですよ ノシ

559 :名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 08:53:48 ID:i+qjJjQT
>>557
GJ!
駄菓子菓子、AとBの間くらいあるのにまっ平らという表現は看過できない。
自分で言うのもなんだが、Aくらいあればどれだけいいかと思うAAAに対する挑戦なのかと(ぉぃ

560 :名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 09:39:30 ID:gBvt9NKV
GJ!
続き期待

AとBの間なら、膨らみが少しある程度じゃまいか?
少なくとも掌からはかなり余るハズ
胸を気にしてるオンナノコからすれば「まっ平ら」と表現してもおかしくないかと

561 :名無しさん@ピンキー:2007/01/20(土) 09:47:26 ID:FSLKXpmR
GJ!!
そして>>559
「これが一人称の心理描写」だということを忘れてはいないかい?
彼女にとっては「あってもまったいら」なのだよ

逆に言うなら「たった一人が認めれば無くても有る」のだがね

そうなるかどうかは「書き手」氏のみぞ知るといったところか

562 :俺と奴:2007/01/20(土) 23:46:18 ID:fNZIDJV0
「揉め」
奴は何をトチ狂ったのか、年頃の女の子らしからぬ要求をした
「肩でもこったか」
取り敢えず、スルーしてみるが
「胸に決まってるだろ」
ダイレクトに言い返す
先日、思い出すのもこっばずかしいやり取りの末、返品不可の貰い物をしてしまった
まあ、ずっと欲していたものではあるし、嬉しかったことも認めよう
しかし、それは扱いが非常に難しく、かつ危険なものでもあった
親友と呼んでたソレが、呼称を恋人と変更するにあたって、ますます扱いに困ることをしでかすように…
「大きいのが好きなんだろ、ホラッ」
「出すな!」

563 :俺と奴:2007/01/20(土) 23:48:14 ID:fNZIDJV0
「何だよ、もうお前のものなんだからな
ちゃんと管理しろよ」
「恥じらいを知れといってるんだ、タワケが」
「だって…」
奴は急にしょんぼりとうなだれた
まるで、雨にうたれた仔犬のように…
エライ罪悪感が、俺を襲った
「なんでそんなことを」
ヘタレた俺は、トーンを落として、なるべく優しく問いただした
「…」
ヤバイ
完全にむくれている
しかたない
俺は、奴が爆発しないように注意しながら、ゆっくりと抱きしめた
「…さわんなよ」
奴はぶすっくれたまま言い放ったが、抵抗せずに腕の中にいた
「あのな…」
俺は本音を吐く

564 :俺と奴:2007/01/20(土) 23:50:34 ID:fNZIDJV0
「正直、見たいし触りたい」
顔を見られないよう、しっかり抱きしめながら話しだした
「だけどな、それで止められる自信がねえんだよ
情けないことに」
自分を騙して、興味がない振りでもしてなけりゃ、何をしでかすか分からない
「だからな、あんまり挑発しないでくれ
お前を傷付けたくない」
「………」
俺のかなりみっともない発言を聞いて呆れたのか、奴は腕の中からスルリと抜け出した
んでもって、スルリとシャツを脱いだ
「なっ、なにやって…」
「動くな!」
慌てて止めようとした俺を、殺気の篭った一声で制する

565 :俺と奴:2007/01/20(土) 23:53:02 ID:fNZIDJV0
完全に気合い負けした俺は、奴を止められなくなった
シャツの次は、カットジーンズ、後はシンプルなパンツのみ
俺の目の前で、奴はあっさりと素肌を晒した
「………」
『なに考えているんだ!バカヤロウ』
いつもの俺なら、そう言ってるはずだった
『男と変わりない身体晒してんな!ドアホウ』
機嫌が悪ければ、そのぐらい言ったかもしれない
実際、奴の身体は女らしさなんてかけらもない
顔も手足も真っ黒に日焼けしている
服に隠された地肌は透き通るような白さだ
ブラを全く必要としない胸
ほんの少しだけど、膨らみつつある美しい…

566 :俺と奴:2007/01/20(土) 23:55:24 ID:fNZIDJV0
ガリガリで肋骨まで浮いている
しなやかに引き締まった身体
毛も生えていないガキの股間
慎ましい割れ目に、ほんの少しだけ光る露が…
『さっさと服着て出てけ!クソガキ』
背を向け怒鳴りつける
それが俺のとるべき行動の筈だ
なんで奴の前にひざまづいているんだ
いつから、この小さな乳首に貧りついている
片手でたいらに近い胸をまさぐりだしたのは
もう一方の手を、薄い尻に伸ばし揉みしだき始めたのは…
「アッ、ヒアッ」
俺が動く度に、奴の泣き声が聞こえた
穏健派の俺を、超武闘派に切り替える合図だったはずだ
それが今は…

567 :俺と奴:2007/01/20(土) 23:57:42 ID:fNZIDJV0
乳首から口を離せないまま、顔だけ上げて奴を見る
泣いている
泣かしてしまっている
反射的にパニックに陥りかけたが
「かわいい…」
何故か、絶対に奴に言ってはならない禁句を口にしてしまった
『可愛いは侮辱だ』
常々奴は主張していた
実際、可愛いらしいから仕方ないのだが、しょちゅう言われ、その度にむくれていた
泣かしてしまったうえ、可愛いなど口走った俺は、どんな制裁を受けるか…
思わず硬直した俺の頭を奴が抑えた
チュッ
思いがけず柔らかい感触が唇に触れる
「…アリガト」
「………」
真っ赤になってテレる奴が…

568 :俺と奴:2007/01/21(日) 00:00:07 ID:fNZIDJV0
キレた
完全にキレた
さっきまでのように、体が勝手にではない
自分の意志で奴を貧る
悲鳴も涙も構わない
寧ろ興奮の材料として奴に挑みかかった
そのまま固い床に押し倒し、唇を奪う
舌でたっぷり口を犯した後、首筋を通り胸へ
望みどうりたっぷり揉みしだく
俺のものだ
所有権を主張するように、いくつものキスマークや歯型を残した
足りない
まだ足りない
喘ぎ続けて、細い身体からぐったりと力が抜けている奴を、抱き抱える
ベッドに下ろし両手で細い足首を掴む
グイッ
肩に担ぐように、思い切り開いた
「ヤッ、ヤダッ」

569 :俺と奴:2007/01/21(日) 00:02:36 ID:fNZIDJV0
一切無視する
と、言うか耳に入らない
奴の女の子である所に魂を奪われる
足を大きく拡げてもピッタリ閉じた割れ目
まだ生えていないのも相俟って、シンプル窮まりないソコに何故こんなに惹かれるのか
事実、昔一緒に風呂に入っていた頃と、たいした違いはない筈だ
こんなに濡れている以外は
染みでた露の香が俺を誘った
奥まで味わう為に、指で拡げる
シンプルな割れ目の中に、複雑なひだが現れた
肌の白さと対称的な赤み
ほんの小さな窪みに吸い込まれる
「ヒャウッ」
舌を突っ込むと奴の悲鳴を産んだ
最高のBGMだ

570 :俺と奴:2007/01/21(日) 00:05:11 ID:fNZIDJV0
楽器を奏でるかのように、舌と指で責め立てる
ひだに舌を這わせ、指を膣穴に押し込む
上の小さな突起に軽く歯を当てる
膣のさらに下の可愛いすぼまりにまで、舌を這わせた
すべての感覚で奴を味わい尽くしてなお、物足りななにかを感じる
奴を得る
唯一無二のこの存在に、俺のものである証を刻みこむのだ
俺はギンギンに立ち上がった肉棒を奴のアソコに当てた
「俺のものだ」
奴に宣言する
「大事にしろよな」
少しだけ怯えが見えるが、奴はいつもの減らず口を叩く
たまらず一気に貫いた
「ッ!」
俺は、烙印を捺した満足感に浸った

571 :俺と奴:2007/01/21(日) 00:07:48 ID:GQJn/yN9
『やった』
『やっちまった』
体の下に組み敷いた、小柄な肢体
いつも男の子みたいな格好で跳び回っていた
小生意気で短気で負けず嫌いで…
寂しがり屋で泣き虫で嫉妬深い…
優しくて勇敢で可愛いくて可愛くてしかたがないコイツに、俺は自ら傷をつけちまった
満足感と後悔の入り交じった心とは裏腹に、身体は快楽を求め動き続けた
苦痛に耐える奴を見ても、押さえる事が出来ない
熱く締め付ける奴の中で、俺はあっという間に果ててしまった
 
………
息も絶え絶えな奴の上からそっとどいた
奴はゴロンと体を丸め、俺に背を向けた

572 :俺と奴:2007/01/21(日) 00:10:59 ID:GQJn/yN9
『嫌われちまったか』
当たり前だよな
偉そうなこと吐かして『好き』とも言えなかったヘタレが、ちょっと誘った途端、初めての子に気遣いもせず…
自己嫌悪に浸っているヒマはない
せめて俺の気持ちを伝えねば
「…なあ」
奴の短く苅られた頭に触れる
ビクッ
一瞬身を竦めるが、逃れようとはしなかった
「ゴメンな、優しく出来なくて」
少しでも癒しになれと、髪を撫でなから謝る
「俺が嫌になったなら、もうこんな事しないから」
ガバッ
奴は跳び起きるやいなや、猛烈な張り手を放つ
まともに喰らって倒れた俺に、馬乗りになった

573 :俺と奴:2007/01/21(日) 00:15:32 ID:GQJn/yN9
目が据わっている
次の行動を間違えたら命の保証はない
そんな目だった
「分かった、嘘だ」
素直に認める
この期に及んでまだ見栄を張っていた
「次は優しくする
少なくとも努力する」
今更、別れられるわけがない
コイツが俺のことを好きなうちは、俺から離れる権利など認められないのだ
ようやく人の目に戻った奴にもう一仕事
頭に手をかけ引き寄せる
長いキスの後、開いた目は、女の子のものに戻っていた


おわり

574 :名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 00:23:01 ID:GQJn/yN9
>>549-551の続きです
単発のつもりが期待してくれた人がいた(単に、ものたりねーよの可能性大だが)ので、調子に乗ってまた書いてみました
自己批判(言い訳)
一、なんか男のほうがメインになっちまった
二、名前を決めかねているうちに、出せるタイミングを逸した
三、そのため「奴」だの「コイツ」だの見苦しいとこが多い
四、細切れなのは携帯厨のため
ネタがあったらまたお目汚しします

575 :546続き こうですか?わかりません>< :2007/01/21(日) 04:09:52 ID:b4J2D/DJ
「そ、それって……」
頬どころか、全身をゆであがった蛸のように真っ赤にしながら、暁は俺を上目遣いで見た。
恥ずかしげに隠した手の隙間からこぼれる爆乳は、さながら蛸の子のようで……ってどんな例えだ、俺?
「……そうだよ」
暁が何を聞きたいのかは、わかった。
――それって、愛の告白ですか?
だから、俺は頷いて見せた。
――そうですよ。俺はお前が大好きなんです。
「ホント?」
「ほんと」
「ホントのホント?」
「ほんとのほんと」
笑顔が咲いた。
『輝くような笑顔』というのは、こういう笑顔の事を言うのだろう。
暁はおずおずと胸を隠していた手を下ろし、後ろ手に組んだ。
「……じゃあ、君のものに、して?」
意識してるのかいないのか。胸を殊更強調するようなポーズ。
唾を飲み込む音が、他人事のように大きく響く。
その音をスターターピストルにして、俺の理性は消し飛んだ。
「んっ」
むしゃぶりついた。文字通りに。
「んやっ……は、恥ずかしいよ……」
朱色に染まった乳房を揉み上げるようにしながら、少しずつ桜色の頂点へと手を近づけていく。
鞠のような弾力と、マシュマロのような柔らかさが同居するそれは、一つの奇跡だった。
……と言っても、他に女子の胸を触った事があるわけじゃないが、少なくともエロいビデオの中で
見たようなそれとは、桁が違う程に凄い胸である事は、見るだけでわかる。
「くすぐったいよ……」
「それが段々気持ちよくなるんだぜ?」
「……ホントかなぁ……きゃっ」
桜色の乳首を右手の指で摘むと、暁の体が小さく跳ねた。
「んっ……やっ!」
優しく、優しく、指の腹で転がしてやる。その間も、左手は乳房をこね回す。
面白いように形が変わるそれの感触を楽しみながら、俺は感じたままを言葉にした。
「段々固くなってきてる」
「……言わないでよ……」
「お餅みたいだ。だんだん膨らんで……」
「言わないでって言ってるの……にっ……!」
少しずつ、暁の体は快感の味を覚え始めたようだ。
俺は固くしこった乳首を、今度は口に含んだ。
「ん……っぁ!」
そのまま、舌の上で味わうように転がす。少し、しょっぱい味がした。
「あっ……なんかっ……へ、へんだよ……!」
「……こんだけでかいのに、敏感なんだな、胸」
小さい方が感度がいい、って俗説はよく聞くが、暁のそれは大きさに似合わず敏感だった。
「私の胸……あっ……いい、のっ?」
両の乳首を弄り、乳房を揉みしだく。
「ああ、凄くいいよ」
胸の動きに同調するように、体をくねらせ始める暁。
「変じゃ……ない、んっ……の……?」
「……凄く綺麗で、柔らかくて、揉み心地がよくて……」
「んぁ……っ!」
「……最高だ」
乳房を挟み込むようにして寄せる。
乳首と乳首を重ね合わせ、そこに舌を這わせる。
「……嬉し、いっ……あっ!」
うっとりとした表情で目を閉じ、快感を貪ろうとしている暁の顔は、どんな打球も体で止める、
ガッツ溢れる三塁手のものとは思えない程に、綺麗で、そして淫らだった。
「……暁」
「ん?」
「えっと、だな……俺の、これ……何とかしてくれないか?」

576 :名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 20:00:09 ID:y2KIkgeG
保守

577 :名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 21:43:52 ID:YT67iBKP
いつの間にかGJな作品が山のように
神よありがとう!

578 :名無しさん@ピンキー:2007/01/24(水) 14:01:12 ID:x+bygvyf
ちょっと来ないうちに神が続々と降臨されてるな。

579 :名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 04:04:51 ID:7u5At3iX
保守

580 :名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 19:08:31 ID:FJsZL7gn
>>575
「ガッツ溢れる三塁手」で某侍な選手を連想してしまったorz

581 :名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 13:34:18 ID:skQPpzR5
金村と小笠原の絡みですか><

582 :名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 23:03:06 ID:CdsN802Q
つかぬことをお伺いしますが、
書く人様の続きは、
もうないのですか?

583 :名無しさん@ピンキー:2007/01/30(火) 13:46:18 ID:CDHaKAPH
ほっしゅ

584 :書く人:2007/01/30(火) 20:03:48 ID:GPAMhwm0
では>>582さんのリクエストにお答えして続きを。

585 :書く人:2007/01/30(火) 20:06:00 ID:GPAMhwm0
 運動はやや苦手だが、成績は常にトップクラス。既に中学の時点で大検(今では高等学校卒業程度認定試験と名前緒を改めた)に合格した上、センター模試で9割を取ったそうだ。
 だが、勉強に脳の用量の大半を傾けたせいなのか、言動があまりにもはっちゃけているのだ。



「む?学園祭実行委員とはなんだね?田中君」
「薫、桃ちゃんは安田だよ?」
「それはいいんだけど、そろそろ企画書提出してくれない?」

 昼休み、優希と薫が弁当を広げているところに桃ちゃんこと安田桃子がやって来て話しかけてきた。
 桃子は学級委員長であり、その役職にふさわしくメガネに三つ編みの少女だ。

「強いて言うなればもう少し性格がきつい方が委員長らしいが、そこまで求めるのは酷というものだろう。隠れ巨乳というキャラで十分補填が効いている。おっとりお姉さん系委員長というのもマイナーながら良き物だ」
「桃ちゃんゴメン。この馬鹿にもう少し説明してあげてくれない?」

 壊れたテレビに対してするように、なにやら妙な電波を受信した薫の頭へ、斜め45チョップを打ち込みながら優希が言う。

「ウチのクラスは第三講堂使って巨大迷路作る予定でしょ。その企画書、期限は今週までなのよ。
 そろそろ出せって生徒会からせっつかれてるのよ」
「ふむ」

 薫は頷いてから焼き卵を口に運んで、もぎゅもぎゅと食べてから一言。

「それは大変だね。しかしその実行委員という奴もけしからん。仕事を滞らせて人に迷惑を「だからそれが薫なんだよ!」ぶぷっ?」

 優希の打撃突っ込みに、薫は一度、目を白黒させてから問い返した。

「なに?私はそのようなものを引き受けた覚えは…」
「この間のホームルーム!薫が目玉を二つ描いたサランラップを顔に巻き付けていた時に、桃ちゃんにやってくれない?って言われて頷いたじゃないか!」
「ん?目玉?サランラップ?―――おお!あの新発明試作三号機をテストしていた時のことか」
「…参考までに聞くけど、何の試作?」
「うむ。授業中に教員の心象を傷つけることなく睡眠を取るための器具の事だ。瞼にあたかも起きている時のような迷彩を施す一号機、パンスト地に目を書いてカモフラージュする二号機に続く最新作だ。
 一号機の毎回の設置にかかる手間と、二号機のパンストの色と肌の色の違いによる露見という二つの問題を解決した逸品だ。素材がポリ塩化ピリニデンなだけに機密性が高く蒸れてしまうのが唯一の欠点だがな。
 しかし…やはり至近距離からよく知る人物に見られるとばれてしまうのか。通気性の他にも改良の余地があるな…。どう思う、ユーキ?」
「自分から聞いといてなんだけど全部無視するね。
 でさ、ともかく薫はその時指名されて断らなかったどころか頷いてたじゃないか!」
「…だから?」
「だぁかぁらぁっ!薫がその学園祭実行委員なんだよ!」
「!それは本当かね山田君!?」
「もう一度言うけど彼女は安田だよ!」
「ホント、仲いいよね、二人とも」

 諦観交じりに桃子は肩をすくめる。

586 :書く人:2007/01/30(火) 20:07:36 ID:GPAMhwm0
「ともかく、今日は水曜だから明後日までに二人で企画書作って提出ね?」
「二人って、どうして僕も入ってるのさ?」

 不満げに言う優希に桃子は笑顔で言う。

「連帯責任よ。だって優希ちゃんは薫君の飼育係でしょ?」
「……桃ちゃん、なんか結構凄い毒吐かなかった?苗字間違えられるの怒ってる?」
「うふふ。何のことかな?
 あ、ひょっとして、本当は飼育係じゃなくて奥さん、って呼んで欲しかったの?」
「っにっ!?」

 桃子の言葉に優希の顔が赤くなる。
 この奥さんネタは桃子に限らず優希と薫の二人を知るものなら必ず使ってくるお馴染みのネタなのだが、しかしそれでも慣れるものじゃない。
 そして、この後に続く展開もお馴染みだった。慌てるあまりちゃんと喋れない優希の横で薫が間髪いれずに口を開いて曰く

「何を言っているのかね、田原君?私にゲイの趣味はあべふゅっ!?」
「もう一々言葉にはしないからね!?」

 薫の右頬にコブシを叩き込みつつ優希はようやく落ち着きを取り戻す。
 そんな二人の様子を、桃子が楽しそうに眺めながら言う。

「ま、兎に角お願いね、優希ちゃん。薫くんだけに任せるとどんなとんでもないのが出来るかわかったもんじゃないし」
「う、うん…仕方ないよね」
「それに…」

 桃子は微笑んでからそっと耳元に口を寄せて

「放課後に二人っきりで作業――チャンスだよ?」
「…!?も、ももも!」
「じゃあ、ヨロシクね」

 優希がまともな言葉で反応を返す前に、桃子は身を翻して去って行った。
 残されたのは顔をいよいよ赤くした優希と、相変わらず何を考えているのか解らない無表情の薫だけ。

「ま、まったく、桃ったら何を言ってるんだよ…」

 独り言を吐いてから、優希はちらりと、隣に座る薫の顔を盗み見る。
 薫は、何もなかったかのように、悠然と白米を口に運んでいた。

(聞こえて…なかったよね?)

 言動が一々馬鹿だが、薫は頭がいい。桃子の一言でこちらの好意に気付いてしまう可能性だってない事はないのだ。

(けど…ちょっと残念かな?)

 薫が自分の気持ちに気付いてくれたら…この胸を苦しめている感情にも決着がつく。だが…

(……やっぱり、怖いな…けど…)

 振られて、ギクシャクして、二人の距離が遠ざかってしまう。女としての魅力に欠ける自分の想いの結末などきっとそうなることだろう。
 けれど…

587 :書く人:2007/01/30(火) 20:13:16 ID:GPAMhwm0
(もしも…もしも僕の気持ちを受け入れてくれたのなら…)

 好きだといわれて、手をつないで歩いて、キスをして、それから…それから…

(それから…家に誘われて…押し倒さ…れて…ぅぁっって!僕は昼真っからなんて妄想を…!)
「ユーキ?」
「ふひっ!?」

 ぼそりと、まるでふしだらな自分を見咎められたかのようなタイミングでかけられた声に、優希は体を硬直させる。

「にゃ、にゃにかにゃ、薫君!?」
「すまないが、少し真面目な話だ。ふざけないでくれ」
「ふ、ふざけてなんか―――それで、何?」

 やや不機嫌な様子を取り繕う優希に、薫は何の躊躇いもなく切り出した。

「うん、ずっと考えていたんだが―――付き合って欲しい」
「え?」

 鳩が豆鉄砲を食らったような表情で、優希は目を見開く。
 付き合う?誰が?薫が?僕と?

「うぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
「嫌かね?」
「い、嫌も何も!えっ、どうして!?」

 どうしていきなりそんなことを言うのか?というか、どうして自分の気持ちに気付いたのか、という問いに薫は何のためらいもなく…

「?黒田君の発言が理由なのだが?」
「―――っ」

 桃子は安田だという突っ込みも忘れるほどに、優希は混乱する。
 やっぱり!あの時聞かれていたんだ!で、それで気付かれて…それで…薫が…僕に告白を…。
 コレは夢かもしれない。優希は現状が夢である事を確かめるように、しかしそれが夢であることを恐れるかのように問い直す。

「ほ、本当に、本気なの?」
「ああ。何をそんなに驚いている?私には君しかいない」
「えっ、あ、う、うん…」

 照れの要素が欠片も見えないまっすぐな言葉に、優希は顔を赤くして俯くしかできない。
 そ、そんな、僕だけなんて…だ、だって、そんなこといわれちゃうと…ぁぁぅっ…
 何を言おう、何て言おう?
 混乱する頭で必死に考えているところに、薫が更にこう付け加えた。

「では、今日の放課後、君の部活が終わったらすぐ家に来てくれ」
「―――今日!?」

 い、いきなり家に誘われる!それは、つまりそういうこと!?手をつないでデートも、ロマンチックなキスもすっ飛ばして、いきなり!?
 嫌ではない、嫌ではないけれど、少し急すぎる!

「急すぎるんじゃないかな!?あ、もちろんいずれはって思ってるけど、僕としてはもう少し段階を踏んでから…!」
「すまないがそんな時間はない。それほどまでに、私は差し迫っているんだ」
「が、がっつくのはカッコ悪いよ?それに僕、逃げたりしないし…」
「君が逃げようと逃げまいと提出期限は迫ってくるが?」
「提出期限って言われても………提出期限?」

 恋愛とは無縁な四字熟語に、優希は眉根をひそめ、少し冷静になった脳味噌で考える。

588 :書く人:2007/01/30(火) 20:14:00 ID:GPAMhwm0
 期限?何の?付き合うって…つまり…

「ひょっとして……
 ……企画書作るの手伝って欲しいってこと?」
「なんを勘違いしていたのかね…というか、他に何があると?」
「……」

 再び鳩が豆鉄砲な顔になる優希と、そしてそれを眺める薫。
 しばらく長閑な時間が流れた後

「薫の……バカァァァァァァァァァッ!」
「な、なぜばぶふぉっ!」

 理不尽とは思いつつも、弄ばれた怒りは消えるはずもない。
 思わず放ってしまった拳は、薫を殴り飛ばした。


「き、極めて理不尽な気がするのだが…?」
「知らないよ、馬鹿!」

 コンクリートの上でのびる鈍感な幼馴染を尻目に、優希は残った弁当をやけ食い気味にむさぼった。




つづく

589 :書く人:2007/01/30(火) 20:15:05 ID:GPAMhwm0
即興気味ですがどうぞ。
好評いただければ明日にでも書きます。

590 :書く人:2007/01/30(火) 20:17:54 ID:GPAMhwm0
う゛あ゛っ!頭一行抜けてる。
↓を脳内補完してください。

――優希は、薫の変人っぷりを誰よりもよく知っていた。薫は典型的な勉強が出来る馬鹿だった。――いや、馬鹿と天才は紙一重というのを実現しているといった方が正しいだろうか?

591 :名無しさん@ピンキー:2007/01/30(火) 20:46:49 ID:Cv6krm6P
もぎゅもぎゅ

カーラスレに来ておくれよ・・・

592 :名無しさん@ピンキー:2007/01/30(火) 23:27:22 ID:GPAMhwm0
…カーラスレって何?
この間カレーライスの神が降臨した【気の強い子が素直になる瞬間】のこと?

593 :名無しさん@ピンキー:2007/01/31(水) 14:52:50 ID:v6d1Sqz9
あ〜、もぎゅもぎゅって物食ってるから、通じると思ったんだが・・・

カレーライスといえばみすずさんだろ。

594 :名無しさん@ピンキー:2007/01/31(水) 17:52:06 ID:uB3FjZMH
書く人様、GJ!!
あのクオリティで即興って、その文才にGJ!!

595 :書く人:2007/02/01(木) 01:29:49 ID:EY8eLhJG
ごめんなさい。まだエロなしです。

596 :書く人:2007/02/01(木) 01:30:26 ID:EY8eLhJG
「ふぅ…ま、待たせすぎちゃったかな?」

 軽く息をついてから、優希は立ち止まる。立ち止まったのはマンション――それも入り口で暗証番号を入れなくてはならないタイプのマンションだ。

「あ、汗臭く…ないよね?」

 マンションの入り口で、優希が自分の身なりを確認していた。
 ジーパンにトレーナー。足元はスニーカー。手に提げたバックの意匠は少々女の子っぽいかもしれないが、それを抜きにしてみると、どこからどう見ても…。

「…女の子っぽくないなぁ…」

 ガラスに映る自分の要望に、優希はため息をつく。


 屋上では殴り倒してしまったものの、やはりあの薫にだけ任せては何をするかわからない。結局優希は薫を手伝う事にして――その段になってはっとした。
 そういえば、薫の家に行くのは小学校以来だ、と。
 そう。内容はどうあれ薫の、好きな異性の家に招かれたのだ。
 こうしてはいられない!
 優希は授業終了とともに教室を飛び出し――

「東三条さん!今日は試合よ!」

 しかし校門の所で苗字を呼ばれて捕まった。
 立ち止まって背後を見てみれば、そこにいたのは柔道部部長。さらにその背後には空手、剣道、長刀など、格闘技系の部活の部長が勢ぞろい。
 その面子を見て、優希は思い出す。

「あ、そういえば今日は…」
「ええ。西高との交流試合よ」

 言われて、優希は頭を抱えた。

597 :書く人:2007/02/01(木) 01:31:51 ID:EY8eLhJG
 雰囲気で理解できるとは思うが、西高は優希が通う高校のライバル校。そして優希は毎月の対抗試合に助っ人として借り出される。
 優希の家は武家の末裔であり、優希も幼い頃から武芸百般を仕込まれている。
 その事について、優希は自分を不幸だとは思わなかった。今日、この瞬間までは。
 一刻でも早く家に帰り、おめかしの一つでもしたいところだ。しかし約束を破ることも出来ない。
 結局校門で右往左往しているところにやって来た薫に

「約束を破るのは男らしくないぞ?
 私の方は終わってからでいいので、その破壊的なパワーで全てを雄雄しく薙ぎ払ってきたまえ」

 と言われ、とりあえず「男らしくってなんだよ!」と薫をなぎ払ってから、試合に臨んだ。
 柔道では全てを一本勝ちで沈め、空手では30秒で三本先取し、弓道では的の中心に数ミリ誤差で矢をぶち込んで―――


「私は、あそこまで燃えていた東三条を見たことがない。
 あの気迫―――関羽呂布も避けて通るだろう」


 試合に立ち会ったとある生徒が、その時の優希のことを後述したとかしないとか。
 ともかく、乙女の純情が伝説の武将を上回ることを証明した優希は、交流試合最高の結果を記念した打ち上げを辞して、ダッシュで帰宅。
 これ以上待たせる訳にはいけないと、箸って帰ってシャワーを浴びて、適当に目に付いた服を着て薫の家に走ったのだった。

598 :書く人:2007/02/01(木) 01:32:24 ID:EY8eLhJG
「うううっ…。やっぱりちゃんとおしゃれしてきたほうが良かったかな…」

 後悔先に立たず。優希はガラスに映る自分の姿にため息をつく。
 スカートや化粧、とは言わない。せめて上をトレーナーじゃなくてブラウスにして来た方が…。
 いや、しかし家が近いとは言え、今から帰って着替えると言うのも…

「…って、何を考えてるんだよ、僕は!今日は学園祭の企画書手伝いに来ただけじゃないか!
 それに、霞さんだっているだろうし」

 薫は一人暮らしではない。大学生の姉である霞と二人暮らしだ。ちなみに両親は外国の大学で、よく解らない研究をしているらしい。

「……何を変な風に意識してるんだろ?」

 状況を少し冷静に鑑みれば、気持ちは急激に冷めていく。
 別に、薫は自分を女の子として家に招くつもりはない。あくまで企画書を作る手伝いとして呼んだだけだ。
 彼が自分をあっさりと呼べたのは、そもそも薫が自分のことを異性と認識していないからだ。
 お洒落をしたところで「罰ゲームかね?」と言われて終わりだろう。

「……なんか本当に言いそうだなぁ…」

 自分の想像に凹みながら、優希は呼び出しのボタンを押したのだった。




「遠慮なく入りたまえ」
「う、うん」

 やや緊張した面持ちで部屋に入った優希は、その部屋の様子を見て緊張を解く。

「意外と…普通だね」
「何を期待していたのかね?」

 不思議そうに言う薫の部屋は、想像に反して普通だった。
 窓際にベッドと勉強机。本棚が一つ。唯一個性的と言えるものは勉強机以外にもう一つテーブルがあり、そこには妙にサイズの大きなコンピューターと、それに接続された何かのグラフを表示している複数の画面。
 ボタンが三つ以上ある機械(携帯電話含む)が苦手な優希は、首をかしげてたずねる。

「これって…なに?」
「ああ。最新モデルの漬物石だ。今は沢庵を漬けていごぅっ!?」
「いくら機械音痴の僕だってコレがコンピューターだってことぐらい解るよ!
 これで何をしてるのかって質問してるんだよ。
 最近話題になってる「おんらいん・げーむ」っていうやつ?」 
「オンラインゲームは既に最近話題の物ではないが…まあ、ゲームと言えばゲームだね。
 マネーゲームと言ってね。ニューヨーク、東京、ロンドンを舞台に、現実的には鼻をかむ以上の利用価値のない紙切れを、あたかも金銀財宝のように価値があるものとして扱って、安く仕入れたそれを法外な値段で売りさばき、暴利をむさぼると言う趣旨のゲームだよ」
「よくわかんないけど…あんまりそういうの、はまっちゃ駄目だよ?
 薫は何かに嵌ると周りが見えなくなるタイプなんだからね。
 引き篭もりにならないか心配だよ……って何だよ、その微妙な視線は?」
「いや、君はもう少し新聞を読んだりニュースを見たりするべきだなと思ってね」
「なっ、ど、どういう意味だよ!」
「そのままの意味だ。……では、少し出かけてくる」
「え?」
「食料の備蓄がなくてね。6時から近所のスーパーがタイムセールに入るので、私と姉の分の食料をそこで調達せねばならない。
 ついでに君に出すジュースとお菓子でも買ってくる。リクエストはあるかね?」
「あ、別にいいよそんな気にしなくても…」

 と、優希が言い終わるより早く、彼女の消化器官は主人の意思に反した声を上げた。
 即ち

 ぐ〜〜〜〜

599 :書く人:2007/02/01(木) 01:32:55 ID:EY8eLhJG
「……ぁぅっ」
「……ふむ。ハングリー精神旺盛「聞くなぁっ!」こぉっ!?」

 恥じらい真っ赤になった優希は、恥じらいとは程遠いハイキックを薫の即頭部に叩き込む。
 理不尽と言えばあまりに理不尽な攻撃だったが、そこは流石に慣れたもの。薫は軽く頭を振ってから、壁のハンガーにかけていた上着を手に取る。

「――ううむ。少し世界が揺れるね。
 兎に角。何か腹に貯まる物でも買ってくるよ。君も試合でカロリーを消費しただろうからね」
「そ、そうだよ!僕のお腹が鳴ったのは今日は沢山動いたからで、いつもはこんなんなじゃいんだからね!?」
「了解した。それはそうと、机の上にとりあえず書いてみた企画書がある。完璧は期してはいるが、私が帰ってくるまでに問題点をチェックしておいてくれ」
「OK」

 腹の虫の泣き声を聞かれた事の恥ずかしさが抜け切れない優希は、まだ赤さの残る顔のままか薫の勉強机に向かう。
 薫は彼女が企画書を手に取るのを確認してから歩みだし、

「あ、そうだ。ユーキ」

 彼が部屋から出る直前、薫は何かを思い出したかのように立ち止まる。

「言っておく事があった」
「何?」

 背もたれのスプリングを軋ませながら、薫の方をみずに返事を返す優希。
 薫はそれに気を悪くしたような様子もなく続けた。

「部屋は自由に使ってもらってかまわないが、ベッドの下だけは覗かないで欲しい」
「別に覗くつもりはないけど、何で?」
「エロ本がある」

 がたーん

 優希が椅子ごとひっくり返った音だ。
 受身も取れずにフローリングに叩きつけられた優希だが、その物理的衝撃よりも精神的衝撃の方が大きかった。
 一瞬呆然としたまま、天地真逆な薫を眺めた後、勢いつけて(その上ベッドの下が目に入らないように)立ち上がり、烈火のごとく食って掛かる。

「な、ななななな、何!?どうして!?」
「質問の意図が不明だ、ユーキ。それと、痛くはなかったかね?」
「痛くないよ!それよりなんでそんなもん持ってんだよ!」
「なぜと言われても、私は健全な思春期の男子だ。当然性に関する興味もあり、また欲求も貯まっている。その興味と欲求を満たすために、しかるべき文献、資料を持っているのは普通の事だろう?」
「そ、それはそうかもしれないけど……ど、どうして僕に言うんだ!?」
「もちろんみられると恥ずかしいからだ」
「じゃあそもそもそんな物がどこにあるかなんて言うなぁっ!」
「仕方あるまい。女性とは男の部屋に入ったらエロ本を探し、確実に見つける生き物なのだろ?」
「どこでそんな歪んだ知識を…」
「霞が言っていたし、実行していた。実に羞恥プレーだった」
「あ・の・ひ・と・かぁぁぁぁっ…」

 目の前の変人に輪をかけて掴みどころのない女性の笑顔を思い浮かべながら、優希はやり場のない怒りに脱力する。

600 :書く人:2007/02/01(木) 01:33:26 ID:EY8eLhJG
 床にへたり込む優希を尻目に、薫は言うべきことは全て言ったというふうに、きびすを返した。

「では、出かけてくる。
 くれぐれもベッドの下は覗かないでくれたまえ?私にも人並みの羞恥心というものがあるのだからね」
「覗かないよ!」

 追い出すように優希は叫び、そして薫は出ていた。
 扉を閉めて、次いで玄関が開け閉めされる音がする。

「全く、あの変態は…」

 赤さが引かなくなった顔で、優希は一人で呟く。
 その呟きに、返答はもちろんない。
 部屋に満ちる沈黙。時々、起動させっぱなしのPCから、カリカリという音がするだけ。

「き、企画書!そうだよ、企画書を検査しないと!」

 突然優希は大声で叫ぶと立ち上がり、なぜか天井を見ながら机に歩み寄る。

「そうだ!まずは椅子を立てないと」

 またもや大声の独り言を口にしてから、しゃがんで倒れた椅子に手をやる。
 その時、偶然ベッドが目に入った。厳密にはベッドの下の空間が。

「―!?僕はき、気になんてならないぞ!ならいったらならないんだから!」

 誰にともなく言って、椅子を立ち上げ座る。

「さぁて!企画書にはどんな事が書かれてるかなぁっ!」

 明るい口調を心がけつつ、企画書を手に取る優希。だが…

「ふんふん、ヤッパリ壁は新聞紙が素材かぁ…」

 だが、その意識は――

「一定間隔ごとにダンボールで三角形の柱を作ってビニール紐で…」

 ――手に取った紙切れなんかより――

「あっ、なんだよこの赤外線センサーって!」

 ――ベッドの下の暗闇に――

「電撃って死人が出るよ!っていうか、心臓が弱い方はご遠慮って言われても…」

 ――正確にはその暗闇の中にあると言われたものに――

「全く何を考えて…」

 ――興味が―――

「何…を…」

 ――興味が惹かれるのだ。

601 :書く人:2007/02/01(木) 01:33:58 ID:EY8eLhJG
 鳴らした喉の音が、物凄く大きく聞こえた。
 目は既に、ベッドの下に釘付けになっている。
 興味があった。それはもう物凄く、だ。
 それは単純な性的な興味だ。次の誕生日で十六になる少女にとってみて、そういう方面への興味は無尽蔵といっても過言ではない。
 まして彼女の家はそういうのには厳しく、優希はその方面の知識を得る機会がない。故に、その反作用的に、まるで不足した栄養を求めるかのように、精神がその知識を求める。
 だがそれ以上に、優希は気になることがあった。

(どんな…女の人だろう?)

 本に描かれている女性はどんな感じだろう?
 スレンダーか、豊満か?
 背は高いか低いか?
 胸は?腰つきは?肌の色は?
 それは―――自分と比べてどうなのか?

「どう…なのかな?」

 不安と、期待と、そして嫉妬。
 自分の想い人が獣欲を叩きつける対象に対する興味とそれ以外の様々な感情。


 気づいた時には、優希はベッドの前にしゃがんでいた。



 つづく

602 :書く人:2007/02/01(木) 01:34:31 ID:EY8eLhJG
続きは明日か来週に。

603 :名無しさん@ピンキー:2007/02/01(木) 02:07:32 ID:P4z5EH6Y
>>602
イイヨイイヨー
マターリ待つから気楽に書いてくれ〜

604 :名無しさん@ピンキー:2007/02/01(木) 08:42:49 ID:LF2jclYg
>>602
面白くて読んでいて自然に顔が緩んでしまう。
続き待ってます。

605 :名無しさん@ピンキー:2007/02/01(木) 09:44:50 ID:161N3F4J
ていうか

ネ申

だよ、貴方。どう考えても。

606 :名無しさん@ピンキー:2007/02/01(木) 17:21:22 ID:7JO86hrE
イイヨイイヨー

607 :名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 00:20:47 ID:xo/M+jH8
薫くんのエロ本はどんなんだろう?
いや、それより次の話で、本番にハッテンするのだろうか!?

608 :名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 09:12:20 ID:02wSDbkr
某小説の某キャラ達を思い出したww
だがGJ

609 :名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 11:04:42 ID:hSxKUnVj
悪役かww

610 :書く人:2007/02/05(月) 19:51:08 ID:TGT9IzQt
ええ、悪役です。しかしあの悪役よりは慎ましやかな男ですよ、薫は。
では続きを…。

611 :書く人:2007/02/05(月) 19:51:52 ID:TGT9IzQt
 優希は知らなかった。彼女に向けられた視線のあることを。




「本っっっ当に、どういう神経してんだろ?」

 優希は正座してため息を付く。
 彼女の目の前に置かれているのは桐の箱。
 そのフタには、草書体で一筆したためられていた。

『ゑろ本』

「しかも妙に達筆だし…」

 優希が見つめる箱は、ベッドの下から取り出したものだ。
 その蓋に書いている文字と、薫の言葉からして、この箱の中身は間違いなく

「薫の……おっ、おかず、って奴なんだよ…ね?」

 改めて、緊張に背筋を伸ばす優希。戸惑いはあるが、しかし躊躇いはなかった。

(だって…チャンスじゃないか)

 兵法に曰く、敵を知り己を知らば百戦危うからず。
 そういう意味では、これは薫の嗜好を知るまたとない機会だ。
 自分もそれに合わせていけば、ぐっと戦いは楽になる。
 まあ、薫の趣味がボン♡キュッ♪パーン☆の金髪美人とかだとしたら優希には成すすべもないのだが…。

「(ごくっ)」

 生唾を飲んで、小さく深呼吸。

「いきます」

 そうしてから、まるで遺跡から出土した副葬品の入った箱でも開くような気分で、その箱の蓋を取り…



 電子音が、鳴り響いた。

612 :書く人:2007/02/05(月) 19:52:55 ID:TGT9IzQt
「ひっ!?な、何!?」

 耳を劈くようなピピピピという電子音。それは目覚ましと言うより防犯ブザーの音。
 箱の中から聞こえるその音は、隣のお宅にまで届きそうだ。

「と、止ま!止まぁぁぁっ!」

 混乱した優希は蓋を閉めるが、電子音は健在なまま、高級木材越しに鳴り響く。
 その駆り立てるような電子音に優希の混乱は増す。
 音がする!警報だ!お巡りさんだ!逮捕だ!裁判だ!どうしようどうしようどうしよう!?
 支離滅裂な思考のまま、とりあえず音を抑えなくてはと、優希は反射的に目に付いたものを手に取る。
 それはベッドの上の掛け布団。優希は手に取るとそれを箱の上から被せ、さらに上から覆いかぶさる。
 布団の中の羽毛は音を吸収し、音をずいぶんと小さくする。
 だが、それは小さくなっただけで厳然として部屋中に響いている。

「と、止まれ!お願い、止まってぇぇぇぇっ!」
「スイッチを切れば止まるのではないかね?」
「はっ、そうか!」

 背後から差し出された助言に従い、優希は起き上がると毛布を取り払う。
 再び大きくなった電子音にひるまずに、蓋を開ける。その中にはなにやら小さなプラスチックの箱。
 箱には発光ダイオードとスイッチが付いている。

「コレだ!」

 優希はその小さなスイッチに手を伸ばす。
 かち、という音がすると、警報は止まった。
 打って変わって部屋に満ちるのは、耳が痛くなるような沈黙。

「はぁ…た、助かったぁ…」

 尻餅をついてその場にへたりこむ優希。

「大丈夫かね?」
「う、うん。ありがと。スイッチの事、教えてくれて」

 薫のいつも通りの落ち付き払った声に、優希は驚愕に乱れた呼吸を整えながら返事をした。
 そこで優希は気が付いた。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」
「声にならない悲鳴と言う奴だぼひゃっ!」
「なななんあ何でこんな所にいるんだよ!?」
「…、き、君はここが私の部屋である事を忘れていないかね?」

 軽く頭を振ってから、部屋の持ち主である薫は頭を振る。

「出かけたんじゃなかったの!?」
「ああ、出かけたとも。ただ、財布を忘れたのを口実に戻ってきたのだよ。
 そうしたら偶然にも君がエロ本を見ようとしていた、と言うわけだ」
「…っ、そ、れは…」

 優希は思わず視線をそらす。その視線は偶然優希があけた箱の中に入った。
 中身は…

「……デカメロン?」

613 :書く人:2007/02/05(月) 19:53:27 ID:TGT9IzQt
「うむ。西洋文学史上最初の官能小説といわれる作品だよ?」

 騙された。
 デカメロンなる作品がどんなものかは知らないが、その文庫本の装丁からみて、年頃の青少年がハァハァするようなものではないだろう。
 騙された。見事に騙されたのだ。
 巧みな発言に踊らされ、誘導され、そして…

「しかし、よもやこれほどあっさり引っかかってくれるとは思わなかったよ、ユーキ」

 …エッチな本を見ようとするところを…

「ああ、安心してくれたまえ。別にとやかく言うつもりもはない。私も男だ、君のエロい気持ちはよくわかる」

 …見られた。

「まあ、流石にお宝を本当に披露するのは……ユーキ?」
「えっ?」

 声をかけられて、優希の思考は現実に帰還する。
 不審そうに見つめてくる薫の視線を受けて優希は―――笑ってみせた。

「アハハハッ!確かに思いっきり引っかかっちゃったよ!?」
「――そうだね。見事な引っかかりっぷりだったよ」
「うん!全く人が悪いな、薫は。けど、そうなるとやっぱり本物はどこか別の場所にあるわけだ」
「あ、ああ。もっとも、流石にその場所は教えられないがね」
「ふうん…探しちゃおっかな?僕、結構興味あるし」
「それは勘弁してもらいたいね。もっとも、君に探し出せるような場所には置いていないがね」
「ふうん…そりゃ残念。で、もう買い物は終わったの?」
「いや。玄関を開け閉めした以降は廊下に潜んでいただけだから…」
「じゃあ早くしたほうがいいね!タイムサービス終わっちゃうよ?」
「―そうだね」

 優希はそういうと、薫の背中を押して、まるで追い出すように見送る。
 その態度に、薫は強い違和感を感じたものの、それが何か全くわからず、首をかしげながらも部屋を出る。

「それでは行って来る。ああ、それはそうとエロ本を探すために部屋を散らかすなどと言った事はなしにしてくれよ」
「しないよ!ほら、いったいった!」
「―――うむ、行って来る」

 違和感を拭い去れないまま、薫は玄関へと行き、今度は本当に家を出た。
 扉が閉まる音を聞きながら、薫はとりあえずの結論に達した。
 どうやら自分は、優希の気分を損ねたらしいということだ。理由はわからないが、そういうことなのだろう。

「―――たしか…優希はカリントウが好きだったな」

 ならばジュースより茶の方が良いかと、薫は足早に歩きながら考えた。

614 :書く人:2007/02/05(月) 19:54:24 ID:TGT9IzQt
 薫が去った後も、優希は笑顔だった。
 ただ笑顔のまま、手を握り締める。
 その時だった、電子音がした。だがそれは先ほどの警報とは違う、一定間隔のリズムのある音だ。

「…携帯?」

 自分のは何の反応も示してこない。
 となると、別の電話だ。優希が部屋を見ますと、机の上の充電器にその音源を見つけた。

「薫…忘れていったのかな?」

 近づいて、出るべきかどうか悩んでいると、折りたたまれた表側の液晶に流れるドット文字に見知った名前が見えた。

 KASUMI

「霞さん?」

 知っている相手なら、出るべきかな?
 優希はそう思って携帯を手に取り通話ボタンを押す。

「もしもし?」
『お、女の子ぉぉぉぉぉぉぉっ!?』

 受話器越しに飛び出てきたのは、驚愕に彩られたハスキーボイスだった。
 薫の声に似ているが、少し音程は高く、感情に彩られている。

『えっ、どうして!?これ、薫ンの番号で…ってことは出ているのは薫ンなんだらしてかおるが女の子に完全変態!?
 …あ、待てよ。そうか!薫ンも男になったんだぁ…』
「えっと…何か勘違いしてると思うよ、霞さん」
『む?勘違い?ってーとまだ薫ンはCherry?ひょっとして、挿入直前に電話かけちゃった?萎えさせちゃった?
 って、おや?この耳に心地よいソプラノボイスは…ひょっとて優希っち?』
「うん。僕だよ」
『おおう!なんと!
 我が親愛なる弟君の童貞貰ってくれるのはやっぱり君だったか優希っち!
 実に本命だ!ディープでインパクトな程に手堅いね!末永く薫ンの馬鹿をよろしく頼むよ?』

615 :書く人:2007/02/05(月) 19:56:30 ID:TGT9IzQt
 ハイテンションに続く霞の声。その言葉は勘違いに彩られている。
 そう、そんなんじゃない。だって…

「ふふっ。何言ってるんだよ?僕、薫とそんな関係じゃないよ?」
『またまたぁ〜。そんな事言っておいて奥さん♪二人とも凄くお似合いじゃないですかぁ?』
「本当にそんなことないよ」

 そう、そんな事はない。ありえるはずない。

「だって…」

 なぜなら…

「僕…薫に…」

 エッチな本を見ようとしているところを見られて―――

「かお…る…に…H、な、奴だって…女の子ってだって…見られ…て、なくて…」

 途切れる声で、言葉をつなぐ優希。
 自分は、女の子だと思われていない。思われていたら、あんな悪戯はされないだろう。
 それにもし、女の子だって思われていたとしても、あんな…エッチな本を見ようとしていた所を見られたら、軽蔑されるに決まってる。
 目頭が熱くなって、涙がこぼれそうになる。
 けれど、それを意地で堪える。
 だって、もし、もしも少しでも許してしまったら、きっともう止まらないから…。
 だが、それほどに必死で我慢しているところに

『……優希ちゃん?』

 携帯越しに、霞の声が届く。
 軽薄さが抜けた、気遣いを含んだ落ち着いた声は、どこか薫の声に似ていて…


 限界だった。


「う…うぁ、ぁ、ああああああああああああああああああああああああっ!」


 ああ、こんなに泣いたの、いつくらいぶりだろう?
 自分の声を聞きながら、優希の心の中のどこかが、冷静に呟いていた。

616 :書く人:2007/02/05(月) 19:57:08 ID:TGT9IzQt
『落ち着いた?』
「うん…」

 泣いたのは、十分程度で済んだ。
 やはり電話越しであっても、誰かに聞いてもらえたからだろうか。
 少し軽くなった胸で、優希はお礼を言う。

「ありがとう、霞さん。それと…ごめんね」
『いやいや…馬鹿な弟がしでかした事だからね。こっちこそゴメンね、優希っち』
「ううん…僕が悪いんだよ。覗くなって言われてたのを覗いたのは僕なんだから…」

 そう。客観的に見れば、覗くなといわれたのを覗いた自分にこそ非がある。
 それに、薫はその事で、本気でからかってはいないし、軽蔑もしていない。
 覗いたのも自分なら、泣いたのも自分だ。
 自業自得だね。
 優希はそう結論付けるが、しかし電話の向こうの聞き手は、全く同意できないらしかった。
 携帯越しに、身もだえる気配が伝わってくる。

『…ぅああああっ!もう、健気だなぁ、優希っちは!それに引き換えあの玉無し薫ンは…!』
「か、霞さん?」
『にょわぁぁぁっ!もう辛抱たまらん!もう少し薫ンの可愛くも無様な姿を見ていたいと思っていたけど、中止!
 これ以上こんな良い子を辛い目にあわせるわけにはいきません!
 ―――優希っち!』
「は、はい?」

 電話越しにも伝わる気迫に、優希は素直に返事をする。
 霞は少し神妙な口調に戻る。

『こういうのは、第三者の介入で解決するようなもんじゃないとは思うけど…ここは、助けさせてもらうわ。
 …口でどうこう言っても信じてもらえないでしょうから、証拠を見せるわ。
 優希っち、英語とドイツ語の本が詰まってる棚わかる?』
「えっ?――う、うん」

 優希は壁際に立てられた本棚の前に立つ。確かに一列、アルファベットが表題になってる本が詰まっている本棚が合った。

(こんなの読めるのかな?)
『うん!じゃあさ、その中の本を全部引っ張り出して?』
「ぜ、全部?」
『そっ!終わったら上の段の棚を底を下から覗き込んでみ』
「う、うん」

 やっている事の意味が解らぬものの、優希は素直に従ってハードカバーを取り出す。
 それから身をかがめて。開いた隙間から、しゃがみこむようにして、上の棚の底を見上げる。

『PINK天国』『ドピュドピュ倶楽部』『オレンジ写真堂』

「――――!?!?!」
『よっしゃ!ビンゴ!そこだったか!』
「な、なんあなっ!?」
『落ち着きなよ、優希っち。それらこそ、我らが薫ンの夜のお供、E・RO・HO・N様だ!』
「ど、どうしてこんな所にっ!?」

 まるで裏帳簿か何かのような隠し場所に、優希は目を丸くする。

617 :書く人:2007/02/05(月) 19:57:44 ID:TGT9IzQt
『そりゃま、私が部屋に入るたびに探し当てるからじゃない?
 最近は武士の情けでわざと指摘しないでおいてやってるけどぉ〜』
「……僕、薫がなんであんな性格になった理由がわかった気がするよ」
『うっふっふ、照れるなぁ。
 ま、そんな事よりも―――開いてみて?』
「えっ…?」

 霞の指令に、優希は初めて躊躇いを覚えた。
 もし、コレを見てしまったら…本当にHな本を見てしまったら、そして、万一それをかおるに見てしまわれたら、言い訳が出来ない。
 薫を怒らせてしまうかもしれないし、今度こそ本当に、スケベな女だと軽蔑されてしまうかもしれない。

『遠慮しなさんなって。ここまで来ちゃえば毒食わば皿まで。
 それに、万一の時は私に無理やり言うことを聞かされたってことにすれば良いからさ…』
「け、けど…」
『いいから…信じてよ』

 エロ本を読めという命令に対して信じるも何もないとは思ったが、ここまでしてしまえばもはや今さらだ。
 霞の言うとおり、毒食わば皿まで、だ。

「……うん」

 優希は恐る恐る、嵌め込まれた本を取り、開く。

「うわぁ…っ」

 言葉が、出なかった。そこで繰り広げられる痴態は、もはや優希の想像をはるかに超えていた。
 まず、撮影場所が布団やベッドの上でないどころか、お風呂やソファーだったりする。それだけでも想像の埒外だというのに、中には公園で撮影されたものもある。
 やってる事も彼女の常識を突き破っていた。被写体は見せ付けるように(実際見せ付けているのだが)、様々な格好で股を開きながら、秘所を見せ付ける。
 しかも見せ付けるだけに留まらず、あるときは自分で開き、あるときは指やよく解らないおもちゃ、野菜をくわえ込む。男根などむしろ入っているのが当たり前という勢いだ。
 極めつけは、口だ。男も女も、平気で相手の性器に口をつけ、舌を這わせる。
 特に女達は、必ずといって良いほど、白い粘着質の何かを口に含むカットを撮影している。
 精液。
 本能的に、その粘りの正体がわかった。
 そして、それと同時に、本の何ページかが、まるで水を零して乾かしたかのようになっている理由についても心当たってしまった。
 ここに…薫が…アレを吐き出したんだ…。
 そう考えると、まるで、薫の匂いがしてくるようで、優希は酩酊を覚えた。
 衝撃に近い感情を得ながら、もはや内容すら頭に入らず、機械的にページを捲ってゆく優希。
 その途中、一枚の紙切れがページの隙間から舞い落ちた。

「あっ…」

 落ちたのは写真だった。
 表向きに落ちたそれを見て、優希は息が止まるほど驚いた。
 それは、今彼女が手にしている本のどのページを見たときよりも、はるかに大きな衝撃だった。
 一人の、ブレザー姿の少女の写真だった。
 髪は癖っ毛。眉毛は太め。サイズが若干大きすぎるブレザーに袖を通したその姿は―――


「…私?」


 優希が写真の中で、薫の隣に立ちながら笑っていた。


 つづく

618 :書く人:2007/02/05(月) 19:58:41 ID:TGT9IzQt
優希が女になるのは次回かその次になると思います。

619 :名無しさん@ピンキー:2007/02/05(月) 21:14:09 ID:chUB6Gtj
うおお!遂にその時が来るのですな!!股間を硬くしてお待ちしております。

620 :名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 12:36:12 ID:7YyW3KVN
やべえwマジ最高!!
wktk!!

621 :名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 13:03:49 ID:dPMn+E5q
wktkwktkwktkwktkwktkwktkwkt(ry


622 :名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 13:21:18 ID:lTr/ya6F
最後まで読めたら留年してもいい。

623 :名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 15:41:10 ID:W9edlS0i
イイヨイイヨー




イイヨイイヨー!!!

624 :名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 22:18:00 ID:xE6QTrzX
薫の射精時はやはり、優希の写真見ながら

う…ゆ、優希!!

だろうか?

625 :名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 00:55:37 ID:iwVzHYp+
続き W! K! T! K!

626 :名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 12:24:41 ID:hTGKEA9X
きっと写真にも乾いた跡が…(*゚∀゚)=3

627 :名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 00:40:34 ID:gvLr29rE
ワッフルワッフル

628 :書く人:2007/02/08(木) 01:06:58 ID:gilIV+o2
ワッフルの元ネタSSってどこにあるんだろう。
さて、今回は寸止め。

629 :書く人:2007/02/08(木) 01:07:41 ID:gilIV+o2
『ふぅん…優希っちって『私』って言ったりするんだぁ〜』
「え?今、僕、私って…けど、だって、似合わないし…」
『うっふっふ。そんな事ないわよ。だって…濡れてるでしょ?』
「っ!!」

 言われて優希は初めて自分の股間部分――秘口が湿り気を得ているのに気付いた。
 何で解ったのか?優希ははっとして

「か、隠しカメラはどこ!?」
『あ、やっぱ濡れてた?
 んっふっふ〜、お姉ちゃんの勘に間違いはなかったわねぇ。
 っていうか、傍から見ても解るくらい濡れてるなんてぇHっ♪
 のほほほほっ!」
「ぅぅ…」

 妙な笑い声を上げる霞に翻弄される優希。
 通話を切ってやろうかとも思った頃、不意に霞が声のトーンが和らいだ。

『優希ちゃんは女の子よ』
「ぇ…」
『女の子なのよ。それも飛び切りカワイイ、ね。
 具体的にはウチの弟が毎晩ネタにして、一人でハッスルしちゃうくらいに』
「ま、毎晩!?」

 改めて、優希は床に落ちた写真を見る。
 薫が…毎晩僕の事を想像して…一人エッチをしてる…。僕を、私を抱くのを想像してる…。
 想像によって、いよいよ体は熱くなる。
 溶け落ちた欲情は、雫となって花園を濡らす。

630 :書く人:2007/02/08(木) 01:09:19 ID:gilIV+o2
 駄目だと、こんな想像しちゃ駄目だと自分に言い聞かせるが、しかし脳内に浮ぶ映像は消えるどころか鮮明になる。
 薫に――好きな男に女として―――雌として滅茶苦茶に犯される自分。
 その想像の中で、しかしその陵辱を、自分は嬉々として受け入れている。
 それは同時に、自分が自らを慰める時にした想像と同じだった。

『私、今晩、教授の実験に付き合って帰れないから』
「ふえ?」
『電話した理由よ。じゃ、薫に伝えといて
 ――自信もって、優希ちゃん』

 霞はそういうと、電話を切った。
 ツーツーという音も、すぐに消える。
 残るのは、戸惑った優希だけ。
 
「……僕、薫は…私を…」

 ぐるぐる、思考が頭の中をめぐる。
 女としての自分。友人としての自分。
 異性としての薫。幼馴染としての薫。
 熱に浮かされたように、思考は空転を続ける。
 今、自分が考えている事が何かすら解らなくて。
 今、自分が感じている感情が何かすら分からなくて。

「これで…薫は…」

 落ちた写真を拾って優希は座る。
 写真の中で笑っている女。自分のはずなのに、しかし優希は暗い感情を覚えた。
 それは嫉妬だった。
 現実にいる自分には、薫は全然そんなそぶりを見せないのに、写真の中の自分は欲望の対象になっている。
 それが、悔しい。

「変だよ……僕、自分に嫉妬してるよぉ…」

 本物の自分はここにいるのに…。本物の自分はすぐ隣にいるのに…。

「薫…見てよぉ…。僕を見てよぉ…僕を…私を見て欲しいよぉ」

 涙声で呟く優希。
 頬から涙が零れて、ジーパンのデニム地に零れる。

「薫ぅ…」
「――――ユー、キ?」

 掠れた声に、優希は顔を上げた。

「…薫」

 顔を上げたそこには、扉を開けたままの体勢で、青ざめた表情の薫がいた。

631 :書く人:2007/02/08(木) 01:11:35 ID:gilIV+o2
 薫は視線を優希の泣き顔から、床に置かれた本、そして優希の写真に移し、そして一瞬で赤面した。
 強張った表情で、まるで襲い掛かるように優希に詰め寄り、写真を毟り取るように奪う。

「っ!」

 圧し掛かられるような恐怖を感じ身を竦める優希。だが、薫はそれ以上何もしなかった。
 薫は優希にしたのと同じような、普段からは想像のつかない粗暴な動作で床に散乱した卑猥な本を拾い上げると、机の引き出しに放り込み、力任せに閉める。
 普段から冷静な薫には考えられない、焦り、混乱し、狼狽した動き。
 引き出しは、紙が無理に圧縮されるクシャリと言う音がして、完全には閉まりきらない。
 ページが折れ曲がっているのだ。薫は何度か力任せに閉めようとして、ようやくその事に気づいたのか諦める。
 そうすると、急に部屋から音がなくなった。
 いつの間にか日も傾き、暗くなって来た部屋。
 少し普段よりも荒い二人の吐息だけが、空気を揺らす。

(…怖い)

 優希は思った。怖い、と。
 その沈黙と、物言わぬ薫の背中が、優希にはたまらなく怖い。
 背中からは、感情が読み取れない。
 単に自分のプライベートを覗かれて、羞恥心に震えているのか。
 それとも、怒っているのか?
 ひょっとしたら、自分を軽蔑しているのかもしれない。
 恐怖が想像を呼び、想像が恐怖を深くする。
 舌が、喉が、痺れたように上手く回らない。
 魂を削るような沈黙を、破ったのは薫の方だった。

「―――――――――すまない」

 砂から搾り出したような、掠れた、小さな声は、謝罪だった。
 そして謝罪は、優希が全く想像していなかった言葉だった。
 驚きで真っ白になる優希の耳に、もう一度、薫の声が届く。

「すまない…」

 今度は、はっきりと聞こえた。
 すなまい、と。聞こえた。

632 :書く人:2007/02/08(木) 01:13:14 ID:gilIV+o2
 薫は続ける。

「すまない…私は…、君を……君の友情を裏切った。…すまない」

 そのフレーズで、優希は薫の言わんとしていることが理解できた。
 薫は、自分を―――友人を性欲の対象にしたことを、謝っている。
 それが理解できたと同時に、優希は薫の声と背中が、酷く震えていることに気付いた。

「赦してくれ等とは、言わない。ただ…すまない。
 ごめん…なさい」

 まるで親に罰を受けるのを待つ子供のように、裁きを待つ咎人のように震える薫。
 普段の、腹立たしいまでのふてぶてしさや、呆れるほどの自信が、欠片も見られない少年の背中。
 気付いた時には、優希は立ち上がり――――薫の背中を抱きしめていた。
 突然のことに、身を硬くする薫。
 背中を抱きしめる優希は、自分でも何をしているのか分からなかった。
 ただ、自然と抱きしめていた。抱きしめたいと思い、抱きしめていた。
 そして、同じように自然と、言葉が口から零れ出た。

「―――嬉しいよ」

 その言葉に、優希はさっきからずっと胸中で氾濫し続けていた感情の方向性を、理解した。
 それは、喜びだった。
 薫が、自分のことを異性としてみてくれていた。想ってくれていた。その事に対する喜び。

(オナニーのオカズにされて喜ぶなんて…僕って変態だなぁ)

 内心は呆れ苦笑するものの、けれども想いと言葉は止まらない。

「謝らなくて良いよ?僕、嬉しいから、謝らないで」
「…ユーキ?どうして…」
「だって僕も…私も、想ってたから。
 薫のこと――好きです」

 数年間、胸につかえてきた想いは、実に簡単に、あっさりと、自然に口から零れた。

633 :名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 01:13:55 ID:xUNBHM1v
>>630
こんなところで寸止めかよ(´・ω・`)

ワッフルワッフル





ワッフルの元SSは『気の強い娘がしおらしくなる瞬間に…』スレのはず

634 :書く人:2007/02/08(木) 01:14:07 ID:gilIV+o2
 一度出てしまえば、もう簡単だった。

「好きだよ…薫のこと、好きだよ。僕も、何回も薫でしたよ?
 薫を想うと切なくなって、苦しくなって、熱くなって、何度も一人で慰めたよ?
 今も、薫を想うと凄く切ないよ?」
「…ユーキ」

 薫が振り返る。
 体を離して、顔を上げると薫の顔があった。
 驚いたような、嬉しがっているような、信じられないと言うような、複雑な表情。
 薫の体は、もう震えてなかった。
 優希の方と背中に、薫の手が添えられる。
 大好きな大きな手。
 言葉もなく、ごく自然に、優希は少し背伸びをして、薫は身を屈めて、距離はゼロになる。


 唇が、とても柔らかかった。



 つづく

635 :書く人:2007/02/08(木) 01:14:51 ID:gilIV+o2
次回本番。
無駄に長い前振りだった。少し反省している。

636 :名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 01:17:44 ID:xUNBHM1v
割り込みスマソorz

梅岡に掘られてくる

637 :名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 01:36:33 ID:1KbzC7N8
いやいや、書く人様のじらし絶妙ですね!!
次回、二人の激甘ネトーリH、期待してます!!

638 :名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 01:40:17 ID:yIPLGVWd
GJ!




…ただ、631に何ともアレな誤植が…

すなまい

639 :名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 02:53:40 ID:dCCpbb4d
GJ!
余裕たっぷりの変人が、本心がばれ、しょぼくれる
からかわれていた子が、優しく慰める
逆転の快感というか…
いいなぁ

640 :名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 05:17:05 ID:RZsmy2sX
そこそこのペースで伸びてるが
このスレを保管しているところはないのかのお?

641 :名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 12:24:22 ID:hRo4Zd1C
神降臨スレがあると聞いて飛んできました

642 :名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 15:22:02 ID:O13aGjW+
イイヨイイヨイイヨー!!!!!

643 :名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 19:44:11 ID:RZsmy2sX
GJですよ!
経過があるからこそ萌えるのであります。

644 :書く人:2007/02/08(木) 21:17:30 ID:gilIV+o2
最終投稿。長ぇ…OTZ
全投稿でメモ帳で70KB。
兎に角どうぞ

645 :書く人:2007/02/08(木) 21:18:00 ID:gilIV+o2
 体に直接当たるシーツの感触。ベッドの上には、優希が身に着けていたほとんどの物が、脱ぎ散らかされている。
 ついばむようなキス。もう何回目だろう。
 キスを終えた後、優希は恐る恐るといった感じに問う。

「僕の体……どうかな?」

 優希は既に、ショーツだけになっている。
 恥ずかしそうに自らの体を抱きすくめる優希。視線が向くのは、自分に覆いかぶさるようにする薫の顔。

「ああ」
「…それじゃわかんないよ」
「そうだな…その…綺麗だ」

 珍しく歯切れの悪い薫の返事。

(薫も緊張してるのかな?)

 だとしたら、嬉しいかもしれない。
 お礼の意味を込めて、優希も感想を口にする。

「薫も――綺麗だよ」

 薫は、上半身だけを全て脱ぎ捨てた格好だった。メガネは外され、端正な顔にあった二重の目が見える。
 薫の体は優希が見慣れた体育会系の異性とは異なり全体的に細身で、けれど女の子とは違って余計な脂肪も付いていない。
 白い肌の下に、うっすらと筋肉の存在が見て取れる。
 綺麗だと、優希は思った。
 だが褒められた当人は、あまり気に召す表現ではなかったようだ。

「……褒められているのかね?」
「そのつもりだけど?」

 不機嫌そうな顔をする薫に、優希は微笑み返す。
 少しだけ、両者の間から緊張が取れた。

「胸を触ってもいいかな?」
「…うん」

 薫は、いつもの無意味に自信ありげで率直な物言いで許可を求め、優希は躊躇いがちに胸を突き出す。
 薫の右手が優希の胸にふれた。

646 :書く人:2007/02/08(木) 21:20:31 ID:gilIV+o2
「…っ」

 優希は反射的に体をビクつかせる。薫は一瞬だけ躊躇うが、それでも止めずに愛撫を始める。
 全体を優しく持ち上げるようにしながら、手のひらで乳首を押しつぶす。

「上手…だね…」
「そうか?良かった」
「……ひょっとして、経験者?」
「いや、恥ずかしながら童貞だよ、今はまだね」
「そっか…」

 つまり自分が初めての相手という事。優希はその事にくすぐったい嬉しさを感じる。
 薫はもう片方の手を空いたほうの胸に伸ばす。
 だが、右手とは異なり、乳首には触れない。
 乳首には、顔を近づける。

「吸わせてもらうよ?」
「…ゃっ!」

 許可を求めるためのではない、確認のための言葉。
 優希が上げた声は拒絶か驚きか、自分でも解らなかった。薫はそれを拒絶とは取らなかった。
 色素の薄い乳首に、手とは違う暖かく湿った感触がきた。

「…!――ふぅっ!」

 優希は唇を噛み声を堪える。
 その努力を無視するように、薫はより一層熱心にキスを続ける。

「……、ひっ、ぁ…」

 染み込むような舌の感触と、吸引の刺激。
 交互に押し寄せる感覚に少しずつなれた優希は、視線を自分の胸元に寄せる。
 肌の感覚が知らせている通り、そこでは薫が自分の胸を吸っていた。
 一心不乱。そんな感じだった。
 その姿に、優希はなぜか愛おしさを覚えた。

(かわいい…赤ちゃんみたいだ…)

 だとしたら、ずいぶんと大きな、可愛げのない赤ちゃんだ。
 優希は両手で抱え込むように、薫の頭を撫でる。

「?どうしたのかね」
「ううん。なんでも―――あっ」

 赤ちゃん。その単語で、優希は重要な事を思い出した。避妊のことだ。

647 :書く人:2007/02/08(木) 21:23:25 ID:gilIV+o2
 コンドーム、と考えてその案を否定する。
 自分はもちろん、多分薫も持ってないだろう。
 今から薬局まで買いに行かせるのもなんだし、それに――

(今回は、何もつけないで…して欲しいな)

 自分の中に、愛しい人以外の存在を入れたくない――少なくとも、初めてだけは。
 幸い、優希は排卵期はとっくに終えて二、三日後には生理―――つまり今は安全日だ。

「どうした?」
「う、ううん。なんでもないよ…。
 それより…ごめんね?」
「何がだね?」
「その…おっぱい、ちっちゃくて…」

 恥ずかしげに言う優希。
 薫の持っていた『本』に出てきた女性達は、みんな胸が大きかった。
 具体的には男のアレを簡単に挟めるくらい。
 それに、今日の昼にも薫は委員長――桃子の胸に言及していた。
 やっぱり、大きい方がいいのだろう。
 少し気持ちが萎える優希。だが、薫は否定する。

「そんな事はない。むしろ想像以上だ」
「け、けど…桃ちゃんとかより全然ちっちゃいし」
「それは仕方ない。彼女が一般的に言うところの『巨』であるからだ。
 それは先天的な特質であり、言わば彼女はエリート。乳貴族だ。
 一般人に過ぎない君と比較するのが間違っている」
「…なんか、よく解らないんだけど…いいの?この胸で?」
「ああ、なんと言っても君の胸だ。
 それに吸い心地、揉み心地も抜群ぬごっ?」
「も、揉み心地とかいうなぁっ!」

 あまりに明け透けな感想に、思わず拳打を放ってしまう優希。
 だがゼロ距離だったのと、愛撫による脱力で、威力はいつもに比して極めて小さかった。 
 いつもにも増して平気な顔で、薫は口を開く。

「さて、程よく緊張がほどけてきたところで、次のステップに進んでよいかな?」
「ぅ、け、けどあまり特殊なのは駄目だよ?」
「では―――コレは特殊か?」

 薫は言うと、優希の下半身―――蜜に濡れた花弁に手を伸ばす。
 ショーツの布越しに触れる。

「ぁっ!や、やぁっ!」
「ふむ?そうは言いつつ濡れているな」
「だ、だって…薫が、あ、ふゅ…!」

 至近距離に近づく薫の顔をから、顔を背けるように首を振る優希。
 薫は、見えていないはずなのに、まるで見えているように、指で的確に弱い場所を愛撫して行く。
 いや、厳密には違う。既に優希の秘花は爛熟し、その土手に触れる刺激の全てが快感と認識するほどに出来上がっていた。
 まして、触れるのは薫の――自慰に際して、想像していた指なのだ。

「ぅ、ぁっ!ぇぁ…!」

 優希は薫の愛撫のなすがままにされながら、声を堪える。
 堪えるのは優希の羞恥心ゆえの行為だったが、薫にはそれが気に入らなかったようだ。
 いや、むしろ気に入ったからこそ、もっと苛めたくなったのかもしれない。
 とにかく、彼は優希の耳元で囁いた。

「直接、触れるよ」

648 :書く人:2007/02/08(木) 21:25:10 ID:gilIV+o2
「ぁ、な、何にぃ…?」

 快楽に濁った意識は、薫の言葉の意図を取れなかった。
 薫は応えずに上体を起こし、彼女の足を持ち上げ、ショーツを引っ張る。

「糸を引いている…」
「ぁっ!イヤァ…!」

 優希のほっそりとした足をショーツが通り抜ける時、パンツと優希の秘裂の間に、銀色のアーチがかかって、そして切れた。
 自分の愛液が、あんなに粘ついて…。
 それを見せ付けられ、優希は泣きたくなるほどの羞恥心に襲われる。
 だが、薫は泣く暇すらも与えるつもりはない。
 止め処なく愛液をあふれ出す泉に、顔を近づける。
 薫の意図に気付き、そこで初めて優希は抵抗を試みた。

「だ、だめぇっ!汚い!汚いよぉっ!」
「…すまない。止まらない」

 言葉少なく、薫は優希の中心に襲い掛かった。

「!?はぅ!」

 どうにか押しのけようとした優希だったが、彼女が薫を止める前に、薫の舌が優希の花弁に届いた。
 湿った布越しとは全く異なる、はるかに強い刺激が、背筋を突き抜け脳で弾ける。

(ビリビリ、くるぅ…!)

 その刺激に堪える事に必死で、もう薫を押しのける余裕などない。
 薫は容赦なく、口撃を咥え、さらには両手も加勢する。
 片方の手で優希の太ももを愛撫し、もう片方の手は、その指先でピンク色のラビアを引っかくように刺激する。
 そして口は、まるで先ほど乳首にしたように、優希の体の中で一番敏感な、肉芽を吸い上げた。

「〜〜〜〜〜〜〜っ!」

 最大級の刺激。
 快感や苦痛という枠を超えた刺激に、全身が硬直する。
 流石に強すぎたと悟ったのか、薫のクリトリスへの責めは弱まったが、それでも乙女に過ぎない優希には強すぎる刺激だった。

649 :書く人:2007/02/08(木) 21:26:24 ID:gilIV+o2
「ふっ!ふえぇ!だ、だめぇ!ひゃ、あ、だめ!あああん!イク!イっちゃう!あん!きゅふぅぅっ!」

 澄んだ高い声が奏でる嬌声。
 その音色に誘われるように、薫はより熱心に愛撫を続け、愛撫はより一層、その音色を引き出す。

(と、止まらない!イってるのに―――止まらないぃっ!)

 優希は、押し寄せてくる快感に恐怖を覚えた。
 自慰によって辿り付ける終着点など、とっくに越えていた。つま先は丸まり、太ももは痙攣している。
 だが薫の愛撫は、さらにその先、さらにその奥へと自分を押し上げ、あるいは引きずりこんでゆく。
 戻れないところまで、連れて行かれる!
 優希は無意識にすがる物を求め、近くの枕を見つけて思い切り抱きしめる。

「ぅ、ふぅっ!…ぅぅっ!」

 薫の匂いがする枕を抱きしめ、顔を埋め、自分が消し飛びそうなほどの快楽の嵐に、優希は必死に耐え―――そして耐え切った。
 薫が、優希の泉から顔を上げた。
 顎まで垂れた愛液を拭って、一言。

「結構なお手前で」
「ば、かぁ…」

 荒い息をつきながら、優希はそういうのが精一杯だった。
 蹴りの一つでも叩き込んでやろうかとも思ったが、下半身が言う事を聞かない。
 叩き込まれた快楽が、甘い痺れになって残っている。
 だから優希は、せめてもの意思表示と、自分でも解るほど惚けた表情を無理やり引き締めて、薫をにらめつける。

「次…イヤって言っても続けたら…怒るからね?」
「つまり、今回は起こってないということだな」
「!――屁理屈言うなぁ!」

 言われて、自分がそれほど怒っていない事に気づいた優希は、恥ずかしさをごまかすように叫ぶ。
 まったく、さっきのしおらしさが嘘みたいだ。
 優希は膨れっ面でそっぽを向く。
 それを見て、薫は苦笑交じりに近づいてきた。
 なるべく不機嫌を装って、優希は聞く。

「…何?」
「ユーキ、キスをしたい。いいかな?」

650 :書く人:2007/02/08(木) 21:27:02 ID:gilIV+o2
「…勝手にすれば」

 キス一つでなんて誤魔化されないぞ、という意思表示をしつつ目をそらしたまま言う優希。

「うん、勝手にしよう」

 薫はそういうと、キスをした。首筋に。

「―っ!?」

 唇に来るだろうと予想して、ちょっと唇を窄めていた優希にとっては、不意打ちだった。
 さらに薫は、まるで優希のが「キス一つでなんか〜」と考えていたのを見越していたかのように、次々とキスの雨を降らす。
 しかもキスだけでなく、優希の肌に舌を這わせる。
 首筋に、頬に、額に、顎に…そして最後に、唇に。

「はむぅ…」

 ディープキスだった。
 優希は自分の口内に、薫の舌が侵入したのを感じる。
 一瞬、薫が自分のをさっきまで舐めていた事を思い出し、若干の嫌悪感を覚えた。
 だが粘膜が味わう生まれて初めての、食以外の心地よい刺激に溶かされていく。
 くちゅくちゅと交換される両者の唾液。
 優希は自分と薫が溶け合って繋がっているかのように錯覚する。
 けれどもそれは錯覚に過ぎず、やがて薫はその融合を解く。

「あっ…」

 思わず上げてしまった優希の切なげな声。
 離れようとする薫の体を、抱き寄せる。
 薫は少し困惑したように、彼には珍しい曖昧な微笑を浮かべる。

「ユーキ、少し離してくれないか?これでは脱ぎにくい」

 優希は薫が自分との体の間で、何かをゴソゴソとしているのに気付き、視線を下げた。
 薫が、ズボンのボタンを開け、チャックを下げていた。
 優希が手の力を緩めると、薫は起き上がり、パンツごとズボンを下げた。
 そこには、いきり立った薫の一物があった。
 血管を浮き立たせ、硬く反り上がったそれに、優希は思わず生唾を飲む。
 これが、自分の中に入る。
 愛おしさとも似た、しかしどこか違う感情が、胸を締め付ける。
 一方の薫は、そんな優希の様子を、怯えていると判断した。
 気まずげに、薫は言う。

「もしも…もしもイヤなら、止めてもいいぞ?」
「薫?」
「君に怒られたくはないからね」
「―――イヤなんかじゃないよ?」

 優希は言うと、薫に迫る。正確には薫の分身に。
 そして、恐る恐る手で取った。

651 :書く人:2007/02/08(木) 21:28:32 ID:gilIV+o2
 驚く薫に、優希はうっすらと緊張が見える笑顔を向ける。

「お返し」

 それだけ言って、優希は薫の根を口に含んだ。

「ぅぉっ…!」
「ん…」

 口の中で、薫が跳ね上がる。
 薫の熱と、匂いと、そして味。
 そんな体験した事もない感覚に驚きながらも、優希はさっき見た薫の本と、そして少ない知識をフルに活用して、薫の先端を舐め上げ茎をしごき上げる。

「や、めろ…ユーキ!」
「っぷはぁっ!ふふ、イヤだよ。お返しだもん。ん、ちゅりゅぅ…」

 優希は一度口を離して、悪戯な笑顔を浮かべる。
 そう、コレはお返し――仕返しなのだ。さっき、イヤだといったのに散々自分のを嘗め回し、弄り回した薫への罰だ。
 自分以上に切なく、気持ちよくなってもらわなくてはならない。
 優希は、薫の喘ぎ声を心地よく思いながら、薫の分身を舐め上げ、しゃぶり上げる。
 だんだんと薫のペニスはより一層に太く、固く、熱くなり、優希が仕返しという大義名分も忘れかけた頃、破裂した。

「で、出るっ…!」

 びゅるりと、最初の一撃が口の中に溢れた。

「ん!?」

 ドクドクと、二撃三撃と口の中に精液が流し込まれていく。
 最初の一撃では目を白黒させた優希だったが、3度目の震えの時にはそれが射精だと、口の中に溢れるのが精液だと理解した。
 となれば、後は本に描いていた通りにするだけだった。
 その独特の匂いはきつかったが、薫のものだと思うとイヤじゃなくなった。

「ほら、吐き出したまえ」

 枕もとのティッシュを手に取り、口元に広げる薫。
 その気遣いをありがたいと思いつつも、優希は無視して、その粘り気に苦労しながら飲み込んだ。

652 :書く人:2007/02/08(木) 21:29:14 ID:gilIV+o2
「ぅぇ…なんか、喉がイガイガするね」
「当たり前だ。アレは本来飲むものじゃない」
「けど、本ではみんな飲んでたよ」
「彼女達は特殊――その道のプロだ。君がそこまでしなくても…」
「けど、薫は一人でする時、飲んでもらうのを想像してたんでしょ?」
「……」

 沈黙する薫。優希は適当に言ったのだが、どうやら図星だったらしい。

「僕は…薫がして欲しいって思うこと、出来る限りしたいって思う」
「無理は…しなくていいんだぞ?」
「してないよ、無理なんか」

 けれどあまり変態チックなのはイヤだよ、と付け加えるて微笑む優希。対する薫の鉄面皮も、どこか柔らかく感じた。
 和やかな雰囲気を交わす二人だったが、しかし心臓は大きく早く鳴り響いていた。
 二人とも、なんとなく気付いていた。
 ついに…その時が来ると。

 優希の手に薫の手が重なった。
 そして、優希はそれを握り返した。

「ユーキ…」
「うん…」

 薫は優希の肩を抱き、優しく押し倒す。
 優希は祈るように胸の前で両手を組んで、呟いた。

「薫…僕を―――私を、女にしてください」

 薫は無言で頷くと、その先端を優希の中心に向けた。
 一度、射精したはずのそれは、しかし十分な硬度を保っていた。
 薫の亀頭が優希の花弁にあてがわれる。優希は来るであろう痛みに目を閉じると薫にしがみ付く。
 薫は片手で一物の方向をそろえ、もう片方のてで優希の肩を抱き――貫いた。

「んっっっっ!?」

 何かが、自分の中で裂けるような感じがした。
 錯覚かもしれない。だが今まで誰にも許した事のない深くに、自分以外の誰かが到達したというのが、解った。
 胎内で薫を感じながら、同時に薫を抱きしめる。

「ほ、本当に…入っちゃったぁ…。薫が、入っちゃったよぉ」

 惚けたような表情で、優希は全身で薫を感じる。
 それは薫にしても同じだった。優希のもっとも深い聖域に到達しながら、それでも足りないという風に優希を抱きしめる。
 互いの呼吸が落ち着いてから、薫が優希に尋ねた。

「もう、大丈夫か?ユーキ」
「うん。痛いけど想像や、友達に聞いていたのよりは、痛くなかった。
 鷲に内臓を啄ばまれる様な痛みだって、脅かしすぎだよ」
「それはまたギリシャ神話的表現だね。それで、もう動いても平気か?」
「う、うん。けど、ゆっくりだよ?」
「ああ、善処する」

 薫は言うと、まずは動きやすい体勢を作ろうと体を起こし…その瞬間、優希の体に電撃が走った。

653 :書く人:2007/02/08(木) 21:29:56 ID:gilIV+o2
「っはひゃん!?」
「ユーキ?」
「ば、バカッ!ゆっくりって言ったのに…!」
「痛かったか?」
「痛くは…ないけどぉ…」

 涙声で言う、優希。
 電撃の正体は、薫の一物が優希の中を擦った刺激だった。
 外気に触れた事のない敏感な膣壁にとって、肉棒との摩擦はかつてない刺激だった。
 そして…、それは間違いなく快感だった。

「すまん…コレでもゆっくり動いたつもりだったんだが…」
「今度は、気をつけてよね?」
「ああ」

 薫は応えて、今度は慎重に動かし始める。

「ふぁ、ぁ、ぁぁっ…」

 一呼吸程の時間をかけて、抜ける直前まで引き抜き

「きゅふぁ、ぁぁぁっ…!」

 同じだけのペースで根元まで突き込む。

「どう…だ?」
「う、うん、いい、よぉ…」
「なら…続けるぞ?」

 薫はそういうと、まるで機械のように同じペースで優希の中に肉棒を打ち込む。
 一呼吸ごとに突きこみ、引き抜く。

「くぅふ…ひふぅ…!ぅぁっ…はぁぁ…!」

 単純二拍子の粘膜刺激に、優希は酔いしれる。
 だが、それが続くにつれてその刺激に慣れ、体はもっと求めるようになる。
 もっと欲し。もっと激しく、もっと強く…!
 優希はそんな自分に戸惑いながら薫を見る。
 そして、薫の表情が険しくなっているのに気付いた。
 焦れているような餓えているような、まるでお預けを食らった空腹の犬のような表情。

(薫…もっと激しく動きたいんだ…)

654 :書く人:2007/02/08(木) 21:30:51 ID:gilIV+o2
 薫が必死で我慢してくれている事に気づいた優希は、その事を嬉しく、そして申し訳なく思いながら、鎖を解き放ってやる事にした。
 抱きしめ、耳元で囁く。

「いいよ」
「…ユーキ?」
「好きに動いて、いいよ。もう、慣れてきたから」
「だが、辛いんじゃ…」
「ううん。大丈夫。大丈夫だから…ね」
「…止まらないぞ?」
「うん」

 優希の頷きに応えず、薫は止めていた腰を動かし始めた。
 今度もまたゆっくり引き抜いていって、しかし今度は一気に突き込んだ。

「あんっ!」

 優希が弾むような嬌声を零す。
 それに触発されるように、薫の動きは激しさを増す。
 一呼吸で一往復。それも、突くたびに息が荒くなり、速度が増す。

「あん!やん!はぁん!あん!きゃん!」

 声が弾み、速度が増す。
 やがて薫の腰が優希の尻とぶつかり合い、パンパンという音を立て始める。

「ひぅ!あひっ、やぁ!あっ!へふっ!ひぎゅぅ!んんぅっ!」

 薫の一物に抉られるたびに、優希の膣はヒクつき艶声が上がる。
 それに刺激され薫はより一層激しく優希を攻め立て、一物自身も固く大きく膨れ上がる。無限連鎖だった。

「あああっ!はっ、い、イくぅ!は、初めてなの、に!ん゛ンっ!
 イく!イっちゃう!やぁ!あ゛っ!あああぁっ!イクゥゥゥッ!」

 ついに絶頂を迎える優希。薫は止まらない。
 先ほど、クリトリスを吸われたときと同じ要に、連続的にイきつづける状態に陥る。

「りゃめぇ!これ以上、イクの、だめぇ!イク、イ゛グゥゥゥッ!
 はへ!はへぇ!ま、たぁっ!あ、ぎぃっ!ひ、ひくぅっ!あん!ああっ!」

 数えるのも馬鹿らしいくらいの絶頂の波。
 まるで雲に乗っているような浮遊感と体の芯を走り抜ける刺激。
 手足の末端と、下腹部から広がる痺れるような甘い感覚。
 それに意識が飲まれ始める。
 それは優希が体験したことのない感覚―――本物のオーガスム

655 :書く人:2007/02/08(木) 21:31:25 ID:gilIV+o2
「あ゛あっ!へぁ、ひぃん!ああん!な、なんか!何か来る!
 怖い!薫!薫!薫、薫ぅっ!」

 どこかに飛んでいってしまいそうな、消え去ってしまいそうな感覚に恐怖し、優希は薫を抱く腕に力を込め、無意識のうちに背中に爪を立てる。

「ユーキ…ユーキィ!」

 薫も、限界が近かった。狂ったように、それ以外の全てを忘れたかのようにひたすら腰を叩きつけ、一物を叩き込む。
 そして…先に果てに達しのは優希だった。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」

 一瞬で全身が緊張し、そして脱力。
 己が消え去ったような感覚の中、優希は抱きしめたかおるの体が震えたのに気付いた。

「くぅっ…」

 薫の声が聞こえたような気がした。
 それと同時に、体の奥で薫の一物が振るえ、何かが注ぎ込まれるのを感じた。

(射精…してる)

 本能的に、優希は察した。
 薫が…自分を犯している雄が、自分の中に精子を注ぎ込んでいると。
 薫の射精は、口の中で感じたのよりはるかに長く、勢いよく、多量だった。
 薫に、犯されている。
 薫に、奪われている。
 自分を薫の物にされている。
 薫を自分の物にしている。
 薫と一つになっている。

「か、お…るぅ」

 震える声で、愛しい相手の名前を呼ぶ。
 答えはすぐに帰ってきた。
 最初はキス、声はその後だった。

「ユーキ…」

 そして、薫は優希を抱きしめる。
 薫の声を聞きながら、薫の体温に包まれながら、優希の意識は闇に落ちていった。

656 :書く人:2007/02/08(木) 21:32:09 ID:gilIV+o2
「誘っているのかね?」

 風呂からあがった薫が真っ先に言ったのはそんな言葉だった。
 先に風呂を頂いていた優希は赤面して言い返す。

「そ、そんなわけないだろ!
 僕のどこが誘っているように見えるのさ!」

 腰に手を当てて仁王立ちしようとして

「うあっ!?」

 と、腰砕けに転んだ。
 転んだ彼女が着ているのは、薫のワイシャツ一枚きりだった。

「大丈夫かね?」
「だ、大丈夫だよ…」

 優希はテーブルに捕まりながら立ち上がり、再び椅子に腰掛ける。
 それから、もう一度胸を張って文句を言い直す。

「で、僕のどこが誘っているように見えるんだよ?
 コレだって見ようによってはワンピースみたいに見えるだろ?
 そ、そりゃ下着はつけてないけどさ…」
「…あー、ユーキ。裸ワイシャツという単語は知ってるか?」
「は、はだっ!?ど、どうすればそんな卑猥な言葉を思いつくんだよ!?」
「……私が考えたものではないんだが…まあいい。
 味噌汁を作ってくる」

 言いながら、薫はダイニングキッチンに向かう。

「あの…晩御飯、ご馳走になってもいいの?」
「良いも何も…それ以外選択肢はない。
 それに、今日は霞が帰ってこないのだろ?
 ならば材料が余ってしまう。処理してくれると助かる」

 薫は振り向きもせずにそう言うと、鍋でお湯を沸かし始める。
 優希はその後姿を複雑な心境で眺めていた。



 気絶するように意識を失った優希と薫(彼も同様だった)が目を覚ましたのは、優希の門限である7時直前だった。
 目覚めた優希は大いに慌てた。

657 :書く人:2007/02/08(木) 21:32:58 ID:gilIV+o2
 優希の親は門限に煩い方だ。門限を破ったら外出禁止にされてしまう可能性だってあった。
 だが、帰るには問題が二つあった。
 一つは単純に肉体的な問題。立てなかったのだ。処女喪失に初オーガスムという体験は、堅牢な優希の肉体といえど負担が大きかったらしい。
 まるで歩き方を忘れたかのように、思うように立てない。
 もう一つは、服。特にショーツは壊滅的なほどに愛液で濡れていた。
 こうなればノーパンでズボンをはいて這ってでも…!と悲壮な覚悟を決める優希だったが、そんな彼女を半ば無視する形で薫が冷静に動いた。
 まずは学園祭実行委員の仕事を手伝ってもらい遅くなる。ついでに夕食を一緒にするという旨の連絡を東三条家に伝えた(優希の親にとっても薫は良く知った間柄なので疑わなかった)。
 次いで優希のショーツを洗濯機に放り込み、さらには風呂を沸かして優希を入れ、次いで自分も入った。
 もちろん、その合間に米を研いで炊飯器にセットするのも忘れない。
 実に無駄も卒もない行動だった。
 それこそ、初めて女性を抱き処女を奪ったというイベントなどなかったかのような平然ぶりだった。



(どうしてこうも平然としてられるんだよ?)

 優希はテレビを見ながら、胸中で呟く。
 正確には、テレビを見る振りをしながら、テーブルの反対側で茶を入れている薫を見ながら、だ。
 風呂から上がった後も、薫にはなんら変わった様子はなかった。
 普通に味噌汁を作り、買ってきた惣菜をさらに盛り付け、炊けたご飯を盛って食事。
 それが終わると食器を片付け、洗い、今はこうやって茶を入れている。
 その間に洗濯が終わったショーツを、乾燥機に移した。
 乾燥が終わるまであと十分。優希の足腰も、最低限歩く程度には回復している。
 問題はない。唯一つ、薫が何も言ってこない点以外では。

(…どういうつもりなんだろ?)

 結局、風呂から上がった薫と交わした会話は、必要最低限以上の物ではない。

「足腰は大丈夫か?」
「お代わりはいるか?」

 等の、いわば業務連絡的なものばかり。

(…もっと、いろいろあるじゃないか!)

 「付き合おう」とか「責任は取る」とか「なんか照れくさいね」とか、そういうのがあってもいいはずだ。

658 :書く人:2007/02/08(木) 21:34:32 ID:gilIV+o2
 しかし優希の期待に反して、薫がそういうことを言う気配など欠片もない。
 あと10分で乾燥機も止まり、後は帰るだけなのに…。

(…って、ひょっとして。向こうもこっちが何かを言うのを期待してる?)

 優希は、はっとする。
 そうか!向こうも何を言うべきか解らなくて、こちらの出方を伺っているのかもしれない!

「…ユーキ」
(…普通、女の子に言わせるかな?こういう状況で…)

 苦笑する優希。だがそんな彼の性格もカワイイと思ってしまう。惚れた弱みだ。

「…ユーキ?」
(えっと…まずはやっぱり「上手だったよ」って…)
「ユーキ!」
「じょ、上手だったじょ!?」

 優希は唐突に(少なくとも彼女の主観では)かけられた声に飛び上がり、思わず思考中の言葉をそのまま流す。
 薫は胡乱な目つきで優希を眺める。

「何がかね?」
「あ、な、なんでもないよ!で、何?」
「緑茶が入った」
「あ、うん、ありがと」

 バクバクする心臓を押さえながら、緑茶を貰ってすする優希。温度は65度。甘みが出ている。

「あ、おいしいね」
「ああ。良い葉を使ってるからな」

 薫はそう言った後、思い出したようなタイミングで付け加えた。

「ユーキ?」
「?」
「結婚してくれ」
「ぶぷふぅ!」

659 :書く人:2007/02/08(木) 21:35:16 ID:gilIV+o2
 緑色の霧を噴出する優希。
 ゲホゴホとむせ返る優希を、薫は厳しい顔で見る。

「勿体無いし汚いね」
「そういう問題じゃないよ!
 付き合おうとか、責任取るとか、全部吹っ飛ばしていきなり結婚!?
 しかもあのタイミングで!?」

 テーブルが間に入っていなかったら殴り飛ばしていただろう剣幕で怒鳴る優希。
 熊も逃げるような迫力に、しかし薫には暖簾に腕押し。

「仕方があるまい。タイミングを計っていたら残り時間が10分だ。
 パンツが乾いてしまったら君が帰ってしまうだろう。
 ならば、今しかないと思った」
「だからって……もっとシチュエーション考えようよ。
 例えばベッドの上で抱き合って、とか。
 一緒にお風呂に入っている時、とか」
「不可能だ。私とて非常に混乱していたのだよ。
 落ち着いた思考を取り戻せたのは、夕食を終えて腹に物を入れてからだ」
「……混乱していたの?そんな風には見えなかったけど」
「混乱しない訳がなかろう?懸想の相手と両想いになり、あまつさえ避妊もせずにセックスしたんだからね」
「セッ―――!ま、まあ、そうだろうけど…」

 言われて、優希は改めて状況を認識する。
 そう、薫のリアクションなどには変化は見られないが、それでも関係は大きく変化したのだ。
 幼馴染から―――両思いの恋人に…

「って、だからっていきなり結婚は飛躍してるよ」
「していない。
 この場合、定型表現としては『もしもの時は責任を取る』だろう?
 それはつまり結婚という事だ。
 もう一つのパターンとしては中絶というものもあるが…私は、産んで欲しい」
「う、産むって…」

 言われて、優希は赤面する。

(それはつまり、ママになるって事?)

 その場合、薫がパパでありつまりは夫で、毎日こんな風に食後にお茶を飲んで、けどそこには二人の愛の結晶が…

「―――もちろん、君がイヤだと言うのであれば、中絶の費用は…」
「するわないだろう!産むよ!―――っぅぁ」

 叫んで、さらに赤面する。
 馬鹿みたいだ。まだ出来てないし、そもそも安全日の今日は出来る確率が低いって言うのに…。
 なんてフォローしようかと思っていると、再び何の前触れもなく薫が立ち上がった。

660 :書く人:2007/02/08(木) 21:36:23 ID:gilIV+o2
「えっ?」

 そして、優希の前に立つと

「ありがとう」

 そういって優希を抱きしめた。

「え、ええっ!?」
「大丈夫だ。必ず守る。ユーキも、お腹の子供もだ。経済的には可能だ。株式運用で稼いだ資産が2千万――」
「ちょ、ちょっとタンマ!お腹の子って、まだ出来てないよ!」
「しかし避妊など欠片もしていないわけで――」
「あ、安全日なんだ。生理まで後三日だから、多分、大丈夫だよ」
「……嘘をついているのではないか?
 私に迷惑をかけないようにと、数ヵ月後には姿を消し、遠くの町で母子だけで生きていこうと…」
「するか!本当に安全日なんだって。安心してよ」
「…そうか」

 ようやく信じたのか、薫は頷くと隣の椅子に座る。
 その姿は、どこか残念そうだ。
 それを見て、優希は赤面しつつも聞いてみる。

「あ、あの、ひょっとして…ほ、欲しかった?
 その、赤…ちゃん……」
「いや、それほどでも」
「なんだよそれ!」
「落ち着けユーキ。私達は高校、しかも一年だ。
 私はまだ結婚出来ない。仕込むとすれば早くとも高校三年の二学期だろう」
「ぐ、具体的だね…」
「本気だからね」

 言いながら、薫は湯飲みを口に運ぶ。
 本当に、憎たらしいほどに落ち着いている。

(ひょっとして…あの時写真を見つけられた時のって、演技?)

 違うとは思いつつも、そんな邪推までしてしまう優希。

「まあ、子供が出来るかどうかは関係ない。付き合おう」
「……いきなり素直クールだね」

 変わらないのは不安だったが、変わりすぎても困ったもんだ。

661 :書く人:2007/02/08(木) 21:37:07 ID:gilIV+o2
「両想いで、しかもここには二人、万一妊娠していた場合であっても三人しかいない。照れることもないだろう」
「だからそんなすぐに出来るわけないだろう!」
「そうだな。それで…どうだね?」
「どうって…」
「付き合って…くれないだろうか?出来れば結婚を前提に、だ」

 だからなんでそう急ぐんだよ!
 と、優希は言いかけて、思いとどまる。
 この変人の思考や感性を理解するのは不可能に違いないし、それに…

(薫は…真面目だから)

 変な奴だけど、変わった奴だけど、決して悪い奴ではない。
 だが、そう簡単に言ってやるのもつまらない。だから少しひねくれる。

「いいよ。君みたいな変なのに付き合えるのはきっと僕だけだもん」
「うむ、同意だ。君のような無差別打撃兵器の管理を名乗り出るような自己犠牲の精神を持っているのは私だけ痛い痛い頭蓋骨がみしみしいっているのだが」
「無差別じゃないよ!こんな事をするのは君にだけだよ!」

 優希は両手で薫の頭を掴んで握力を加えることで打撃以外の攻撃方法があるのを証明しながら―――

「――こんな事もね」

 ―――その困った恋人に、真っ赤な顔でキスをした。



【終】

662 :書く人:2007/02/08(木) 21:39:02 ID:gilIV+o2
分量に対してエロが薄いorz
課題だなぁ…兎に角、二人の物語は、ここまで。
気が向いたら続編が出るかも。
では

663 :名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 21:42:25 ID:dngE36ES
リアルタイムGJ!
イイ! イイねコレ!
無理を承知で言わせて貰えば、まだまだこの不器用な二人のその後が読みたいっす。
これからも楽しませてくださいな。

664 :名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 23:20:13 ID:YTtTXphj
書く人様>
こんばんは、神様。
漏れ式でよければ薫と優希がセックスするより以前
薫&優希の自慰シーンを書いてもいいかな?

665 :書く人:2007/02/08(木) 23:24:59 ID:gilIV+o2
神などと恐れ多い。
どうぞ、どうぞ。っていうか野郎のオナニーって(笑)

666 :名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 23:36:55 ID:RZsmy2sX
いいですねえ。
初心で不器用なカップルは成立後も周囲からイジられたりしそう
後日談あったりすると萌え死にます。

667 :名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 23:54:40 ID:xUNBHM1v
>>662
なんという神SS
読んだだけで一種の感動が生まれてしまった
私の意思は間違いなく続編希望

668 :名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 23:55:48 ID:dCCpbb4d
つ素直クール
なんか引っ掛かって、いってみた
この人か〜
確かにいたわ

669 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 00:17:57 ID:uG9HY7Co
書く人氏超GJ!
おっきしますた(*´▽`)

670 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 00:22:04 ID:AAW18JJt
GJです、書く人神様
 続編として高三の二学期頃のお話など読ませていただければなお幸いです

671 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 11:50:17 ID:lhdfj0CU
神GJあげ!
素直クールの他にも無口と擬人化動物♀逆レイプスレで見かけたよ、この神

672 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 11:58:05 ID:48Y+FDcl
あなたが神か?

GJ!!

673 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 12:16:17 ID:btIu34G0
ファンタジー
エセ軍人者
エロ未到達
投下させていただきます

 正午を少し過ぎた辺りだろうか。
 窓から降り注ぐ柔らかな日差しに、クロルはぼんやりと目を開けた。
 目を擦ろうと腕を上げかけ、首筋まで響く激痛にギクリとする。
「……くそ、いっそ折ってくれりゃよかったのに」
 吐き捨てるように悪態をつき、腕をさすりながらベッドを出ると、胃袋が盛大に空腹を主張した。
 肩の負傷を理由に一週間もの長期休暇を賜ってから、二日目の朝――否、昼である。

 ヴィクターとの取っ組み合いに近い情事から一晩明けて、クロルは左腕が全く動かせな
くなっていた。動かさなければどうという事は無いのだが、動かすとなると胸まで腕が上
がらない。その状況にヴィクターは閉口し、完治するまでの一切の仕事を禁止した。
 横暴だと喚いてみても、事実腕が動かせないのだから仕事などできようはずもなく、結局の所現在に至る。
 クロルが遂行するはずだった任務は、珍しく有能ぶりを発揮したヴィクターによって丸く収まったらしい。
 クロルの任務中の負傷と言う情報に踊らされた同僚や部下達は、仕事の暇を見てクロルの見舞いに訪れた。
 大した怪我でもないのに心配をかけて、申し訳ない限りである。
 積み重なった果物や酒の中からリンゴを選び出してかじりつき、クロルは眠たげに窓の外に視線を投げた。

 ――実に、いい天気である。
 
 ふと、部屋に軽やかなノックが響いた。
 こんな時間に来客とは、見舞いにしても珍しい。もしゃもしゃとリンゴをかじりながら、クロルは扉へと歩み寄った。
 だがクロルが招き入れるより先に、扉が勝手に開かれた。ドアノブに伸ばしかけた手が間抜けに止まる。
 この、人がドアを開ける前に勝手に入ってくる癖を、クロルはよく知っていた。
 なんど注意しても飄々とするだけで、改めようとしてくれない。
 目に入った胸の階級章に促されるように視線を上げて、クロルは呆然とその温和な表情を凝視した。
「うぃる――ウィルトス教官!?」
 ごとん、と音を立ててリンゴが落ちた。突然の来訪者が、ひょいとそれを拾い上げてクロルに返す。
「ちょっと時間が出来たので、お見舞いに来ました。本当は昨日のうちに来たかったんで
すが、どうしても時間が作れなくて……」
 長身の、有体に言ってしまえば軟弱そうな青年が、すまなそうに眉根を寄せてかりかり
と赤茶けた髪を掻き乱した。
 ウォルンタリア連合国第一師団参謀――ウィルトス少佐。クロルの元教官である。
「って……うわ、僕パジャマじゃん! 申し訳ありません、今すぐ着替えて――!」
「いえいえ、いきなり来たのは僕ですし、怪我人が寝巻きなのは当然です。どうぞおきになさらず」
「でも……」
「大丈夫。よくお似合いですよ。所でお見舞いにケーキがあるんです。中でご一緒しても構いませんか?」
 すい、と部屋の中を指差して、ウィルトスが入室を乞う。そしてまた、クロルが入室を
許可する前に、当然のように上がりこんだ。
 もとより、クロルに拒絶の意思は無いのだから別に構わないのだが、ウィルトスはよそ
でも平気でこれをやる。常識外れである事は自覚しているらしく、洒落にならない場面で
は自粛しているらしいのだが、ウィルトスにとっての洒落にならない場面と言うのが極端
に少ないため、周りのものはいつもひやひやさせられてばかりいた。
「さて、それじゃあお茶をいれましょう。クロルさんは怪我人らしく、ソファでくつろいでてください」
「あぁ! お、お茶だったら自分が――」
「だめです。僕がいれます。譲りません」
「いえ、しかし……」
「はい、これ。ケーキです。きっとおいしいです」
 ずい、と差し出されたケーキの箱を思わず受け取ってしまい、クロルは軍服のまま
ティータイムの用意を始めたウィルトスの後姿を引き止める事ができなかった。


674 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 12:17:03 ID:btIu34G0
 仕方ないので言われた通りソファに座ってウィルトスを待ちながら、クロルは箱を
開けて中のケーキを覗き込んだ。
「うわぁ。サーナビルムだ」
 比喩表現ではなく、きらきらと輝いているホールケーキを前に、クロルは小さく感嘆の声を上げた。
 連日少女達が行列を作り、夕刻には売り切れで閉店してしまう有名店のケーキである。
時間的余裕のない軍人がそんな商品を買い求められるはずも無く、クロルもここのケーキ
は一度しか食べた事が無い。
「おや、知ってましたか。さすが、クロルさんも女の子ですね」
 キッチンで水を火にかけながら、ウィルトスが楽しそうに言う。
「どうやって手に入れたんですか? まさか、並んだわけじゃないですよね」
「はい。僕は並んでません」
 つまりは、“僕”以外の誰かが並んだと言うのだろう。
「……誰が並んだんですか?」
「バルスラー二等兵です。見た所退屈そうだったので、お使いに行ってもらいました」
 クロルが知る訓練生の中でも、飛びぬけて人相の悪い巨漢である。
 反抗的な態度が目立つ男だが、恐らく適当にやっている所をウィルトスに見咎められ、
懲罰の意味を込めてケーキを買いに走らされたのだろう。
 フリルとレースで完全武装した少女達の集団に混じってケーキショップの列に並び、
無事生還を果たしたバルスラーには勲章が贈られてしかるべきではないだろうか。
 このケーキ、心して食わねばなるまい。
「彼は――」
「バルスラーですか?」
「クロルさんの事が好きなんですねぇ」
 ウィルトスの楽しそうな声色に、クロルは音も無く固まった。
 バルスラーが? いや、それだけは無いだろう。他の誰に愛されていたとしても、バル
スラーにだけは好意をもたれている気がしない。
 だが、ウィルトスはほとんどの場面に置いて、間違った事を言ったためしがなかった。
 冗談だろうか。それとも混乱を誘って遊んでいるのだろうか。激しく苦悩する部下をよ
そに、ウィルトスは暖めたティーカップをテーブルに並べ、クロルの隣に腰を下ろした。
カップにミルクを先にいれ、後から紅色の液体を注ぎこむ。
「教官が気に食わないから、やる気がでなかったそうです。例え欠片程の色気も無い女で
も、ごつい男よりはずっといいと言っていました――知ってましたか? いま、君の教え
子をしごいているのはヴィクター少佐です」
「ヴィク――ター少佐殿が、でありますか……」
 思わず呼び捨てようとして、クロルはすんでの所で留まった。
「はい、他の任務をほったらかして」
「あん――ッの」
 糞馬鹿が、と心の中で罵って、クロルは即座に殴りに行きたい衝動を押さえ込んだ。
 ウィルトスがクロルの様子を楽しげに見つめ、ケーキを皿に取り分ける。
「怒らないであげてください。彼なりに頑張ってるんです。――なぜかは知りませんが、
クロルさんの負傷にいたく責任を感じている様でして」
 ぎくりとしたクロルの前に、真っ白なクリームと桃の果肉で飾られたケーキが差し出される。
 召し上がれ、と言われて逆らうわけにも行かず、クロルは平静を装ってフォークをスポンジに突き刺した。
「肩の捻挫と聞きました。見た限り、聞いていたよりは大分具合が良さそうです。安心しました」


675 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 12:17:50 ID:btIu34G0
「あ……はい。昨日は腕が全然上がらなかったんですけど、もう大分いいんです。元々
大した事無かったんですけど、ヴィクター少佐が大騒ぎして……」
「なる程。彼はクロルさんの事になると一切手を抜きませんからね」
 妙に含みのある言い方である。
 様子を伺うように視線をやると、ウィルトスはふと、思い出したようにクロルを見た。
「ちょっと嫉妬してます。彼はこんなにも貴方への愛情を行動に示せるのに、僕は貴方に何一つ示せません」
「……は?」
 上官に対する態度では無いだろう。
 だが、どうにも聞き流しがたい事を言われたような気がしてならなかった。
 さっきこの男は、確かバルスラーがどうとか言っていたのではなかったか――。
「あの、教官?」
「なんでしょう」
「教官は、凄く忙しいのに会いに来てくださいました。僕、それだけで嬉しいです」
 とりあえず、ヴィクターうんぬんについて触れるよりは、ウィルトス本人の行動について
触れておいた方が妥当だろう。
 ここしばらくプライベートで顔を合わせる事はなかったし、無理に時間を作って会いに
来てくれた事は、本当に抱きつきたくなる程嬉しく思う。
 ウィルトスは何を感じた風もなくクロルを見つめ、また、ふと思い出したように――今度はケーキに取り掛かった。
「ヴィクター少佐は、お見舞いに来ましたか?」
 見舞いと言うか、昨日は同じベッドで朝を迎えた。その後任務の振り替えに走り回って
いたヴィクターは一度もこの部屋に来ていなかったが、これは、来ていないと言っていい
のだろうか。
 来てないから、いいのだろう。
「来てません」
 ウィルトスが驚いたように振り向いた。
「来てないんですか?」
「はい、来てないです」
「どうして?」
「忙しいから……じゃ、ないかと……」
「じゃあ僕は暇人ですか?」
「いえ、誰もそんな事は……」
 明らかに、気分を害したようだった。
 難しい性格だ。ヴィクターとは比べ物にならない程扱い難い。と言うより、ウィルトス
を扱う事など永遠に出来そうにもない。
 クロルは難しげな表情を浮かべて押し黙ってしまったウィルトスを、どうなだめていい
かわからずしばらく沈黙し、結局どうする事も出来ずに生クリームのたっぷりのったケーキを一口食べた。
「――嫌な仮定を、一つ思いつきました」
 クロルは胃が痛み出すのを感じた。
 あまり聞きたくない類の仮定である事は間違いない。
「ちょっと失礼します」
「は……は?」
 ウィルトスの指がすいとこちらに伸ばされて、クロルは何事かと目を瞬いた。
 パジャマの一番上のボタンが外される。
 ぞくりと、背筋に悪寒が走った。
「きょ、教官!」
 叫んで身を引こうとしたクロルの胸に、とん、とウィルトスの指先が突きつけられた。
 鎖骨の下。やや、心臓より。
「鬱血の痕です。この場所に痕をつけるには、大概の場合服を脱がないと無理です。開襟
のパジャマでも、ボタンを一つ外す必要がありました。ですがここ数週間、君にその手の
任務は与えられていないはず」
 ――だから、痕をつけるなと言ったのに。


676 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 12:18:54 ID:btIu34G0
「こ……これは……」
「二、三日前の物でしょう。クロルさんが負傷した日と重なります。実は疑問に思ってい
ました。戦闘教練で負傷したわけでは無いとバルスラー二等兵から聞いてから、貴方は何
処でその肩を負傷したのか」
 ――あぁ、確認に来たのか。
 疑問を持ったら、それを解決しなければ食事も出来ない男である。
 その明晰な頭脳で信じがたい量の可能性を考えて、その中から最もありえそうな仮定を
選び出し、その確認のためにこの部屋に来たのだろう。
 見舞いの大義名分を携えて。
 そしてウィルトスは、クロルのある発言をもって仮定を確信に変えたのだ。
 クロルは内心、自分がひどく落胆するのを意識した。
「その日、ヴィクター少佐は溜め込んだ書類の整理のために書斎に缶詰だったと聞きます。
そして君は、ヴィクター少佐を手伝って彼と書斎にいたはずです。勤務時間内には終わら
ずに、君なら彼の部屋を徹夜の場に選ぶでしょう」
 忙しい時間の合間を縫って、よくも調べ上げた物だ。
 ウィルトスが解を導き出すまでの証明を聞きながら、クロルは控えめに俯いた。
「だとすると、その日君に怪我をさせられる人物は一人しかいません。その肩は
ヴィクター少佐が原因で、このささやかな所有権の主張も彼がつけたもの――と、僕は
そんな仮定を思いつきました」
 そして、彼はいつもこう締めくくる。
「正解ですか?」
 俯いたまま、クロルは小さく苦笑した。
 ――もう、確信してるくせに。
 そんな言葉が頭に浮かんだ。
「どうしていきなり、そんな仮定、思いついたんですか?」
「でなければ、ヴィクター少佐がまじめに仕事なんかして、クロルさんのお見舞いに来な
いなんてありえません。関係をもってしまって気まずいのか、それともその肩に後ろめた
さを感じているのか、彼は君を避けてるんでしょうね」
 避けられているのか。
 純情可憐なヴィクターらしい。
「正解です。僕がヴィクター少佐に喧嘩を売って、あっけなく腕を取られて捻られました。
その後、いろいろと理由をつけて、少佐に抱いてもらいました。ヴィクター少佐は次の
ターゲットに少し似ていて、彼を練習代にしたんです」
 やや歪めた事実をウィルトスに与え、クロルは溜息さえ付いて力なく微笑んだ。
「ヴィクター少佐に非はありません。全部僕が悪いんです」
 これで、ウィルトスの疑問は解決した。ついで程度に考えていたクロルの見舞いも、もう済んだ。
「それじゃあ……そこまで見送ります。忙しいのにわざわざ会いに来てくださって、
ありがとうございました。動機は不純でしたけど――嬉しかったです」
 立ち上がると、ウィルトスがきょとんとした表情でクロルを見上げた。
 立ち上がる様子もない。
「……あの、教官?」
「まだ帰るとは言っていませんが」
「……帰らないんですか?」
「僕、今日は半休を取ってしまったので、ここで追い返されると非常に暇です。困ります」
 唖然として、クロルは無礼にもウィルトスをまじまじと見下ろした。
「だけど、ここにはその、確認に来ただけなんじゃ……」
「それはついでです。主目的はもちろんクロルさんのお見舞いです」
「そー……ですか」
 呆然と呟いて、仕方なく再びソファに座る。
 ウィルトスは何事もなかったかのようにケーキを食べ、あぁ、本当においしいですね、
などととぼけた事を言っている。
 どうも、わけが分からなかった。
 見舞いが主目的で、確認がついでで、半休を――。


677 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 12:19:39 ID:btIu34G0
「半休!?」
 クロルは愕然とウィルトスを見た。
「教官、休み取れたんですか!」
「はい。師団長に四六時中文句を言ったら、泣きながら半休をくれました。これもクロル
さんの怪我のおかげです」
 クロルの見舞いを理由に休暇を取ったのだろうか。
 師団長を泣かせる様な文句がどういった物か興味が湧くが、聞くと師団長への哀れみで
泣いてしまいそうな気もする。
「なので今、僕はこの持て余している時間を大安売り中です。お買い得です」
 この人、時給換算で給料いくらもらってるんだろう。
 そんな疑問が浮かんだが、クロルは慌てて考えるのをやめた。自分の仕事が惨めに思え
てきそうだからである。
「ちなみに、おいくらでしょう」
 恐る恐る聞いてみる。
 ウィルトスは一瞬、考えるような仕草を見せると、すっと両腕を開いた。
「ハグしてください。それで、一時間売りましょう」
 良識的な要求にほっとした。
「そんなんでいいんですか」
「大安売りですから」
 買わなきゃ損です、と胸を張るウィルトスに、恐る恐る両腕を伸ばす。
 失礼します、と呟いて背に腕を回すと、ぬいぐるみでも抱くように思い切り抱きしめられた。
 かすかに男物の香水の香りがする。少し、控えめすぎるだろうか。
 ウィルトスの頬が髪に押し付けられ、子供のように背を撫でられる。
 こんな所をヴィクターに見られたら、数週間はお嬢ちゃんと呼ばれるだろう。主観的に
考えても、これは兄に甘える妹である。
「ところでクロルさん」
 およそムードとはかけ離れる事を考えていると、ウィルトスにのんびりと名を呼ばれた。
 閉じていた目を開き、体を離そうとしておや、と思う。
 動けなかった。
 ウィルトスの腕が、はっきりとした意思を持って解けない。
「あの、教官……」
「さっきの話の続きなんですが、僕は今、激しい嫉妬に燃えています」
 実に暢気な声色である。とても嫉妬に燃えている男の声とは思えない。
「し……嫉妬ですか?」
「君は人間関係において、非常に冷めた面があります。人と一線を引く事を忘れません。
言ってしまえば、君は殆どの人間を信頼していない」
「はぁ……」
 信頼に足る人間を、ただ選んでいるだけなのだが。
「そんな君が、ヴィクター少佐にだけは心を許す。彼を気遣い、彼を庇うために僕に対して嘘までついた」
「嘘なんて――!」
「君は本当に……」
 す、とクロルを拘束する腕が解けた。
 困ったように、笑う。
「ヴィクター少佐の事が好きなんですねぇ」
 唖然として、クロルはウィルトスの笑顔を凝視した。
 咄嗟に言葉が出てこない。
 残念そうな、つまらなそうな、そんな溜息をウィルトスが吐いた。


678 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 12:20:31 ID:btIu34G0
「君たちは本当に、運命的に相性がいい。君たちが惹かれ合うのは、最初から分かって
いました。考えていたよりも遅いくらいです」
「ち……ちが、違います! そんなんじゃありません!」
 ようやく出てきた否定の言葉に、クロルは勢いづいて立ち上がった。
「確かに僕はヴィクター少佐が好きですし、少佐になら抱かれてもいいって思いました。
でも、あくまで抱かれてもいいってレベルです。それに、ヴィクター少佐は凄く嫌がって
――本当に、僕が無理やり犯したって感じなんです!」
 だから、惹かれ合ってなどいない。
 ただお互いの利害が一致して、クロルが持ちかけ、ヴィクターが折れた。それだけだ。
「君の力で、ヴィクター少佐を無理やりどうこう出来ますかねぇ」
「だから! あいつは優しくて、極限にいいやつで、僕がどうしてもって言って引かな
かったから我慢して僕に付き合ってくれたんです!」
 実際、あれがクロルでなくても、恐らくヴィクターは折れた。
 否、クロルでなければ、もっとあっけなく折れただろう。クロルはパジャマの胸元を握
り締め、睨むようにウィルトスを見た。
「だから、教官が嫉妬するような事ありません。僕も、少佐も、お互いの事恋愛の対象と
してなんて見てないんです」
「なに、それはその内分かります。そんなに怒らないで、とりあえず座ってください、お
茶を入れなおしましょう」
 なだめるように、ウィルトスが微笑んだ。
 クロルは無言のまま、微動だにしない。
「だけどクロルさん」
 ティーポットを持って、ウィルトスが立ち上がった。
 キッチンへと向かい、クロルに背を向ける。
「バルスラー二等兵との関係については無視できたのに、ヴィクター少佐に話が及ぶとそ
んなにもむきになる――それが、君の感情を何よりも証明してると思いませんか?」
 思わず、顔を上げた。
 背を向けたウィルトスの表情は分からない。
「それは……だって、少佐は、親友だから……」
 言い淀むクロルをよそに淡々とポットを火にかけ、ふと、ウィルトスは振り向いた。
「いけない。大事な事を忘れてました」
 一言呟き、立ち尽くす事しか出来ないクロルにつかつかと歩み寄る。
 そのまま両肩を掴まれて、ソファに向かって押された。
 倒れこむように座り、肩の痛みに意識を取られる。瞬間、胸にチリリと熱が走った。
鎖骨の下、やや心臓より。
「きょ……教官!?」
 驚いて、思わず叫んだ。
「これでよし」
 満足げに呟いて、ウィルトスが離れる。
 胸に残る唇の感触に、クロルははだけた胸元をかき合わせ、声も出せずに赤面した。
「おや、可愛らしい反応」
「からかわないでください! な、なんですか! いきなり! なんなんですか!」
「ささやかな独占欲です」
「どく――」
 あったのか、そんな物。
 思った瞬間、はっとしてはだけた胸元を見る。
 先ほどよりも、鮮やかに紅い――。
「あ……」
「僕はね、クロルさん。ただ奪われるなんて嫌です。ただ君が奪われていくのを蚊帳の外
で眺めているなんて、僕には我慢できません」
 唇を拭う仕草が、ひどく色っぽく見える。
 クロルは思わず視線を反らした。
「今まであまり特権を行使した事はありませんが、これからは恋人と言う立場をおおいに
利用していこうと思います。いいですか?」


679 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 12:21:27 ID:btIu34G0
 例え駄目だと答えても、ウィルトスは聞こえないふりをして強行するに違いない。
 クロルはウィルトスの言う恋人の特権とはどういった物なのか考え、すぐに考えても無
駄だという結論に行き着いた。
 どうせ拒否権は無いのである。
「お湯が沸きました。それじゃあ、お茶にしましょうか」
 いつ来るとも知れぬ不意打ちに備え、パジャマのボタンを留めなおしているクロルをよそに、
ウィルトスはのんびりと微笑んだ。

 ***

 クロルが担当していた訓練生の教官代行を遂行するのは、他ならぬヴィクター本人であった。
 通常ならば佐官のヴィクターが訓練生を指導する暇などあるはずもないのだが、その暇
を作り出すのがヴィクターである。
 その、無理に作り出した暇の皺寄せが結局クロルに巡ってくるのだが、その辺りはあま
り深く考えないのもまた、ヴィクターのヴィクターたる由縁と言えよう。もう少し思慮深
ければ、あるいは将官も夢ではない男である。
 クロルに代わって初めて戦闘教練に顔を出した折、ヴィクターは十七名の訓練生を
ざっと眺めて、中に女性が混じっている事に驚いた。
 しかもなかなかの美女である。
 先日のクロルの衝撃の告白の事もあり、ヴィクターは教練を終えた後、アウラと
名乗った二等兵に心配事は無いかと声をかけた。
 アウラは折り目正しく敬礼し、問題は無いと答えた上で、質問をよろしいでしょうかと
緊張で上ずった声を上げた。
 許可するとたちまち相好を崩し、直後にクロル曹長のお怪我はどの程度の物でしょうか
と不安そうに眉根を寄せた。
 ヴィクターとしては、実に答え難い質問だった。なにせ、負傷させた張本人である。
大した事はない、と当たり障りのない答を返し、ヴィクターは何かあったらすぐにクロル
か俺に言え、とだけ言って逃げるようにその場を去った。
 それが、昨日の夕刻である。

 そして今日の戦闘教練中、ウィルトスがやって来てバルスラーを拉致していった。
 今でこそ階級は同じだが、ウィルトスはヴィクターの元上官である。
 逆らえるはずも無くバルスラーを見送ったが、結局人相の悪い大男が教練に戻ってくる事は無かった。
 昼になって見かけた時、随分と疲弊していた事だけは確かである。
 何があったのか声をかけて見たが、マニュアル通りの返答を帰して去っていった。どう
考えても、ヴィクターはバルスラーに嫌われていた。
 そして今に至る。

 クロルがヴィクターの元に配属されて以来、ほぼ数える程度しか経験した事のない、
一人きりの昼時である。

 ヴィクターは一人、目の前の食事を食べるとも無く食べていた。
 食べるというよりは既に、機械的に摂取しているに近かったかもしれない。
 日々あまり考え事をしない人間が突発的に深く考え込むと、その他の何かがおろそかに
なるものである。


680 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 12:22:13 ID:btIu34G0
 どうかしていた、と言うべきだろうか。
 それとも、どうにかなってしまったのだろうか。
 ぼんやりと自分の無骨な手を睨み、ヴィクターはクロルの苦しげな悲鳴を思い出していた。
 かっとなったら、何をするか分からない。
 確かに自分でそう言った。
 だが、まさかあの小さな体を組みふして、細い腕を捻り上げ、苦しげにもがく姿に欲情
するとは思わなかった。
 しかもその後、情けなく泣いた。痛めつけた女に慰められ、迫られ、簡単に陥落した。
 触れても骨の感触しかしないのでは無いかと勝手に思っていた。骨とささやかな筋肉で
出来ていて、女性的な柔らかさなど皆無なのだろうと思っていた。
 だが実際触れてみると驚くほどに、驚くのは失礼かもしれないが、本当に驚くほどに、
クロルの体は女性の物だった。
 触れるのが怖くなる。
 平気で、あの体を使ってきた。
 戦闘向きではないと知りながら、前線に立つ自分の隣に置いてきた。
 大きな怪我をさせた事もある。あの体に庇われて、命を永らえた事さえある。
 戦友と思って来た。親友として接してきた。それは、あの小さくか弱い体には、きっと負担だっただろう。
 クロルが副官として配属されて以来、頼り続けてきたと思う。
 使うのが、触れるのが、恐ろしいなどと思うのはあまりにも今更過ぎる。
 自分で自分が滑稽だった。
「つくづく……」
 ――純情可憐。
 クロルが揶揄する通りである。
「ヴィクター教官」
 誰が教官だ。いや、俺か。
 一瞬奇妙な間を空けて、ヴィクターは声に振り向いた。
 一つに結わえた金色の髪に、緑がかった青い瞳。
「お一人ですか?」
「は?」
「ご迷惑で無かったら――あの、隣、よろしいでしょうか」
 おずおずと、ヴィクターの隣の席を指す。
 女性的と言うよりは、人間として端整な顔立ちが印象的な訓練生だ。
 アウラ二等兵だった。
 味気の無い食堂の、人気の無い片隅である。
「あぁ……まぁ、勝手に」
「ありがとうございます!」
 勝手に座れ、と言い終わる前に、アウラは端整な顔立ちに似合わず子供のように破顔した。
 失礼します、と断って、ヴィクターの隣に腰を下ろす。
 先程戦闘教練を終えたばかりとはとても思えない快活さである。ぼんやりと、いい体をしているな、と思った。
 女性にしては背も高く、骨も丈夫そうである。
 思った瞬間、クロルの腕を捻った時の感触を鮮明に思い出し、ヴィクターはアウラから
視線をそらして眉間に深く皺を刻んだ。
「クロル教官の肩、一体何があったんでしょうね」


681 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 12:24:02 ID:btIu34G0
 まるで見計らったようなタイミングだった。
 会話のきっかけとばかりに最も突かれたくない核心を容赦なく突かれ、ヴィクターは
危うくスプーンを圧し折りかけた。
 かき込むようにパンとシチューを平らげながら、アウラが横目でヴィクターを見る。
「まだ、お見舞いに行けていないんです。クロル教官に全治一週間の怪我を負わせるなんて、
余程強敵だったんでしょうね」
 強敵か――これでも一応、大隊長である。ヴィクターは不自然に曲がったスプーンで、
ぎこちなくシチューを流し込んだ。
「クロル教官は、ヴィクター教官の副官でしたよね。さぞお怒りでしょうに、その冷静さ
に感服します。何か心当たりとか――そうだ、例えば報復とか、考えたりしないんですか?」
「……いや、別に」
 自分で自分に報復か。
 上官に尻でも掘られれば、自身に対してきつい戒めになりそうである。
 アウラの悪気の無い攻撃に晒され、ヴィクターは内心身悶えた。
「そうすよね。クロル教官は、報復とか闇討ちとか、そういうジメジメした事お嫌いですもんね」
 クロルを強姦した報復に、軍医を闇討ちしたヴィクターにはあまりに重い一撃である。
「それにしても、私より小さなクロル教官を襲うなんて、とんでも無い暴漢ですね。
いくらクロル教官がお強くても、腕力では圧倒的に劣る事を分かっていながら……」
 憤慨したように、卑劣な男、と吐き捨てた。
 なぜアウラは、クロルが男に襲われたと知っているのだろうか。それとも、単にそう
思い込んでいるだけなのだろうか。
 どちらにせよ、これでノックアウトである。立ち直れないダメージをヴィクターに与え、
アウラは自身のあずかり知らぬ所で大隊長に勝利した。
 ヴィクターは手の平で目を多い、致命傷を与え続けられたガラスのハートを服の上から握り締めた。
「教官……? あの、どこかお加減でも?」
「いや……いいんだ、気にするな」
 後ろめたい思いがある者に対し、純真な心とはここまで破壊力を持つ物か。
 ヴィクターは改めて思い知り、ふらふらと立ち上がった。
「悪い……俺、仕事あるから、これで……」
 ようやっとそれだけ伝え、覚束ない足取りでその場を去る。
 卑劣――そう、あまりにも卑劣だ。
 そもそもクロルをソファに引き倒したりしなければ、クロルがヴィクターに抱いて見せ
ろと迫る事も無かったのだ。
 クロルの顔を見るのが怖い。
 きっとクロルは、罵りもせずに平然と接してくれるのだろう。そのクロルの強さに甘え
てしまうのは、卑劣な上に卑怯である。
 だが、このまま見舞いにも行かずに避け続けるのは、それよりも卑怯な行為では無いか。
 ――見舞いか。
 ぼんやりと外を見る。
 クロルの好きな物は、なんだったか――。


                          以上
切らせていただきます。


682 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 12:59:22 ID:mlTu8w5B
お久しぶりGJ!
続くとはおもわなんだ!

683 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 13:10:02 ID:48Y+FDcl
>>681
ヴィクター×クロル続きktkr!
GJ!

684 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 14:09:40 ID:69rzitf3
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !!!

文体非常に好きな作品なんで続き楽しみにしてます!

685 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 15:01:31 ID:lyHH7o8O
GJだし続きが読めるのは嬉しいのだけど
NTRになるのは勘弁してくれ


686 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 15:49:58 ID:mlTu8w5B
前回の話がウィルトスからクロルをヴィクターが寝取ったと考えるべきか?
今回クロルがウィルトスに寝取られそうになってると読むべきか?
それが問題だ。

687 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 16:03:04 ID:CnHfyD4N
gdgdにならなければそれさえOKと思ってしまうほどウィルさんがいい男だと思った漏れガイル。

688 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 20:38:29 ID:elSHtTzk
確かにNTR展開はちょっとモニョるかも・・・

689 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 22:25:27 ID:0/sFAX+m
無闇に野郎供がかわいいスレはここですか?



せっかくだから俺はバルスラー二等兵にかけてみる。

690 :名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 23:04:28 ID:btIu34G0
エセ軍人物書いてるヤツです。
寝取られるというか、クロルがヴィクター以外と関係を持つ場合、
寝取りスレに移動したほうがよろしいでしょうか?


691 :名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 00:15:37 ID:rR7hz1xd
そうかもわからんね。
このスレもヴィクターが多いから。
でも、基本クロルがいればスレ違反ではないのでOK。
気に入らない人はスルーすればいいが。

692 :名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 00:27:16 ID:OD+EYrhw
俺は関係を持ったってだけならまだ大丈夫だと思う。多分。
最終的にヴィクターに戻ってくるならOKって意味で。
取られたままエピローグに行くなら事前に警告が欲しいな。

693 :名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 00:27:45 ID:kgxkt9uC
投下前にそういう注意書きを書いたほうがいいかも。
というか、クロルとウィルトスは恋人なの? 付き合ってるの?

694 :名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 00:36:59 ID:jK6Z20Tg
>>690
 個人的にはそのようにしていただけると嬉しい。

695 :名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 01:37:43 ID:ytYqcerz
前作の『教官に怒られる』って、これの伏線なんじゃないか?
ウィルトスが『恋人』つってもクロルが否定してないって事は、普通に恋人同士だろ。
つーか寝取り寝取られスレって、終わり方がダークじゃないと見たいな雰囲気あるから、
作者さんがそういうつもりじゃないならそぐわないかも。

俺はどっちでもいいとおも。

696 :名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 02:53:09 ID:7B2QJdYp
NTRはいやだなぁ
軍医生かしておいただけでも、物足りなかったのに
でも作品書くのは作者さんの権利ですから、好きなように書いて下さい
NTRスレに投下したら、こちらにも御一報お願いします

697 :名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 08:10:41 ID:tCcLQ/L6
>>689
確かにここの作品は、野郎がかわいいのが多いなw

698 :名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 08:31:47 ID:w6UApWmk
このスレは「ボーイッシュ」な女の子が主であることが大事なお約束なので、クロルがボーイッシュである以上は、どのシチュでも問題ないかと。ボーイッシュは性格ですしね。
(ここが「シチュ系」スレで、NTR等、別シチュが主を追いやる場合か、クロルがボーイッシュでなくなり、尚も、延々と続く場合なら、続きは適正スレで、という流れになるのですが…)

>>690
現状で、現在までのあらすじと、今後の大まかなあらすじを教えていただくと有難いです。
個人的には前回で完結したのかな、と思っていたので、続きが投下されて非常にビックリしてると共に、作品が独特な雰囲気を持っていて良い感じなのです。

699 :名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 08:52:04 ID:w6UApWmk
あ、現在までのあらすじは、仕事に付き合う以前の話の事です。
紛らわしくてスイマセン…。

700 :名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 09:42:17 ID:vNNnHOPO
>>698
基本的にはそうなんだけど、どのジャンルで書くかに限らず好き嫌いが大きくわかれる特殊なシチュとか展開ってあるよね
たとえばキャラの性格がどうあれ鬼畜ものや残酷描写の激しいやつは専用スレにって流れになると思うし
個人的にNTRは微妙なラインじゃないかと思う。
二次系スレッドでカプ表示が推奨されてるみたいに、危険だと思ったらタイトルや冒頭に注釈つける手もあるかと
最終的には書き手さんの判断ですけどね

701 :名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 14:16:25 ID:R/QvSD1a
カプ付ければ何書いてもいいっていうのは違うけど、カプ付けは、スレの範囲を逸脱しない程度で使うものだしね。もし、今作で付けるならカプ付けのいい例になりそう。

702 :名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 16:43:40 ID:1OAVpn09
NTRから純愛までほぼすべていける俺はどこに行けばいいですか?

703 :名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 18:12:39 ID:fwjzEkxo
ここにいろよ

704 :書く人:2007/02/10(土) 20:14:56 ID:tCcLQ/L6
ども、なんかリクがあった上に思いついちゃったので続編を。
続きは再来週くらいになるかも…。

705 :書く人:2007/02/10(土) 20:15:25 ID:tCcLQ/L6
『師匠』

 それは、安田桃子の女生徒の間でのみ通じる通称だ。
 中学の時点で脱処女。その後、相手とは解れ現在は別の彼氏と交際中。しかも高校に進学してから既に二人目。
 その経歴だけ見れば、いかにも遊び人な人物像が連想されるが、その実体は三つ編みメガネの委員長だ。
 成績も優秀な部類で、お洒落だってさりげなくセンスが良い。真面目だが気さくで人当たりも良い。
 着やせするタイプなので男子共で気付いている者は少数だがスタイルだって平均以上。

『師匠』

 それが彼女の実体を知る友人達が使用する、彼女の呼び名であり、その名の通りしばしば相談ごと――特に恋愛関係を持ちかけられる。
 そのアドバイスがまた的確で、最近では上級生が相談を持ってくることすらあるほどだ。
 そして今日もまた、迷える少女がその経験にすがるべく、相談を持ちかけてきた。



「―――つまり…優希ちゃんは彼が中出ししてくれないのに不満って事?」
「べ、別に不満ってわけじゃ―――って言うか僕の事じゃなくて僕の友達の事だよ!」

 桃子の確認に相談者の優希は真っ赤になって言い返す。
 ああ、昔の私もこんな風に素直な頃があったなぁ、とおばさん臭いことを桃子は思った。

 彼女の隣で赤い顔で座っているのは優希――桃子の友人だ。
 クラスで隣の席になったことが縁。
 タイプは一言で言ってボーイッシュ。
 小柄で細身。やや太めの眉と勝気な瞳。胸はAとBの中間で、自身は『ちっちゃい』とコンプレックスに思っているようだが、桃子に言わせて貰えば程よい上に形も良くて羨ましい。
 今の優希の服装は着物―――剣道で使うような袴姿だ。
 その袴の裾を弄りモジモジしながら、優希は『トモダチ』の事で相談をする。

「不満って言うか…不安なんだよ、その子は。
 その子の恋人って、普段はそんなそぶりはないんだけど、二人きりになると…なって言うか、真面目な素直クール系?でね。
 初めての(ゴニョゴニョ)した後すぐに『結婚しよう』って言って来てさ。その時は出来なかったかったんだけど。
 それで、まあ、二人は付き合い始めたんだよ…その、結婚を前提にね」
「ふんふん。それで?」
「それでね、その後、何回か…その…したんだけど…安全日だよ、って言ってもコンドームをつけるんだよ。
 アイツも僕―――じゃなくて友達も初めて同士だし、病気とかもないのに…。
 だからさ、その子、不安なんだよ。…なんていうか、つまり、えっと…」
「その彼が、生でしてくれないのは、自分のことを本当は好きじゃないんじゃないかって?」
「う……うん」

 桃子に言われて、優希は赤い顔で頷く。
 桃子は、呆れながらため息を付く。
 当然のことながら、優希の相談内容は友達のことではなく、優希自身のことだ。

706 :書く人:2007/02/10(土) 20:18:23 ID:tCcLQ/L6
 秋の初め頃、優希は彼女の幼馴染の薫と付き合いだした。
 本人達は秘密にしているようだったが、傍から見れば一目瞭然――ではなかった。
 表面上、二人の関係が以前と変わらなかったからだ。

(そもそもあの関係で二人が付き合ってなかったのが異常だったのよね)

 かなりの確率で一緒に登下校し、ほぼ毎日一緒にお弁当を食べ、普段から呼び捨て。
 しかしお互い照れ屋なのか、人前ではキスは愚か手すら繋がない。
 唯一解る表面上の違いは、歩く時の距離が少し縮まった事ぐらいだ。

 閑話休題。

(正式に付き合いだしたんなら教えてくれても良かったのに)

 なんとなく、秋ごろから二人の様子が違うと思っていたら、もうこんなに進んでいたのか。
 自分は二人の間を積極的に取り持ったはずなのだが、それなのに、正式に付き合い始めたのを報告しないなんて。

「も、桃ちゃんはどう思う?」

 固唾を呑んで回答を待つ優希。
 一瞬、『あ〜、アンタ、そりゃ分かれたほうがいいわよ』と、某もんた風に言ってからかってやろうかとも思ったが、

(それじゃ、可哀想かな)

 と思い直す。優希は初心な上に真面目であり、下手な事を言うと拗れてしまう可能性もある。
 結局、真面目に応えてやる事にした。

「う〜ん。多分、それはその子の勘違いだと思うよ?」
「勘違い?」
「うん。だってその彼氏さん、真面目で優しいんでしょ?
 だったら避妊するのは当然よ。だって妊娠したら、困るのは女の子のほうよ。
 安全日だって絶対安全、って訳じゃないし」
「で、でも…結婚まで考えてるって…」
「それならなおさらよ。結婚するってことは、産んで育てるってことなんだから。
 経済的な理由とか進路とか、しっかりお互いの将来の事を考えているから避妊をしっかりするんじゃないかな?」

 桃子は、それとも、と言ってから眉根をひそめる。

「ひょっとして…その子、彼氏の事、信用してないの?」
「し、信用しているよ!」
「そうかなぁ?ひょっとして…子供出来ちゃったの、承認してね、とかいって無理やり繋ぎとめようとしてるんじゃ…」
「桃ちゃん!いくらなんでも怒るよ!?」

 流石に険しい表情で睨んでくる優希。
 しかし経験値の差か、桃子は一転して表情を笑顔――それもチェシャ猫のような笑顔に変える。

「あれ?何でそこで優希ちゃんが怒るの?優希ちゃんのことを言ってるんじゃないのに」
「そ、それは………っと、友達のことを悪く言われたら怒るのは当たり前じゃないか!」
「はいはい。そういうことにして置いてあげる。
 けど…よかった。薫君とは上手く言ってるみたいね」
「!……!?…!!!」

 どうやらバレていないと思っていたらしい優希は、いよいよ真っ赤になって、口をパクパクさせる。

707 :書く人:2007/02/10(土) 20:20:01 ID:tCcLQ/L6
 優希が何かまともな言葉を放つより早く、

「東三条!準備できたぞ!」

 先生の声が飛んできた。

「〜〜〜〜〜〜〜っ、い、今、行きます!」

 先生に返事を返してから優希は泣きそうな顔で両手を合わせる。

「も、桃ちゃん!この事は誰にも…!」
「はいはい。了解。ほら、行こう」

 こんなにカワイイ女の子を捨てるような男はいないと、桃子は思いながら手を取った。



(流石桃ちゃんだな…あんな簡単にばれちゃうなんて…)

 校庭で、優希は『師匠』の実力に慄いていた。

(まぁ、今日までばれなかったんだから、よくやった方だよね)

 実はとっくにばれていたのに気付かずに、自分を納得させる優希。
 そんな彼女の耳に、マイク越しの声が聞こえた。

『それでは、東三条優希さんによる東三条流剣術演舞です』
「さぁ、頼むぞ」
「はい」

 隣に立っていた教師に応えてから、優希は進み出た。右手には木製の黒漆塗りの棒―――鞘。
 落ち葉が掃き清められた校庭には人垣根が出来ており、その中には三本の巻き藁が立っていた。


 東高――公立東山高校はスポーツ、特に武道が盛んである。
 『健全な肉体に健全な精神が宿るとは限らんが、肉体が健全なのはいいことだ』
 というのが、校長の言で。
 だが、やはり今日この頃の風潮ではやはり入学希望者は増えない。
 おまけに数年前に設立された私立西川高校に圧され、今年はついに定員割れが危惧されるまでになった。
 そこで企画されたのが、生徒による武術の実演である。
 そしてそのメイン企画として、優希の演舞が企画されたのだ。

708 :書く人:2007/02/10(土) 20:21:15 ID:tCcLQ/L6
(あんまり、見世物にするような物じゃないんだけどなぁ)

 苦笑が浮びそうになって、しかし引き締める。
 どんな理由で振るうにせよ、これは真剣だ。
 下手に振れば怪我をするし、礼を欠く。

(薫がいなくて良かったよ)

 今日、薫は遠くから来る友達を迎えに行くといって、先に帰ってこの場にはいない。

(もしいたら、気が散っちゃうからね)

 もし薫がいたなら、格好良く見せようと意識が向かっていただろう。
 一応、ギャラリーを見回してみる。
 見物人の半分はブレザー姿の東高の生徒。残りは学生服やセーラー服の、多分中学生。
 そしてちらほらと一般人。中には金髪の外人の女性や、目の部分に穴を開けた紙袋を被った不審人物までいる。
 どうやら、全員あまり武芸に詳しい面子ではないらしく、結構好き勝手に騒ぎている。
 戸惑いながら愛想笑いを浮かべて周囲を見ると

「かわい〜〜〜!」
「がんばって〜〜〜!」
「あれって男?女?」
「Oh!袴美美少年Moe〜〜〜!」

 無視決定。
 重要なのは薫の姿はないことだ。そのことに残念半分安堵半分。

「さて…切り換えよ」

 優希は呟き目をつぶる。そして小さく息を吐き、吸い、目を開く。

 切り換わった。




「あ、スイッチ入ったわね」

 ギャラリーの中で桃子は呟く。
 その横で金髪の外人の女性が

「Wow!Cuteデース!持ってるニホントーが巨大サイズなところが萌pointsデース!
 けど、ちょっと大きすぎじゃないデスカァ?」

 と感想を漏らしている。
 そのコメントの後半部に、桃子は少し感心した。
 優希が持っている剣は柄まで入れておよそ6尺近く――刀身だけでも4尺以上ある。
 少し解説してあげようかと思ったがそれより先に、桃子がいるのと反対側の隣から、解説が入った。

「ユーキが持っている通常の日本刀よりはるかに長大な大太刀と呼ばれるものだ。
 東三条流は特殊でね。作法が緩いだけでなく、あのような巨大な剣を使うのが特徴なのだ。
 鞘の鯉口近くに数十センチの切込みがあり、抜きやすくなっている」
「Hum〜、詳しいデスネ。アリガトウ、カオル!」
「えっ!?」

 優希は驚いて、声のしたほうを見る。
 そこには、目の部分に穴を開けた紙袋を被った、長身の男がいた。
 優希が剣を抜いたのは、その時だった。

709 :書く人:2007/02/10(土) 20:22:13 ID:tCcLQ/L6
 右手で鞘、左手で柄を逆手で持つ。
 抜刀。
 涼やかな音がすると、白刃が現れる。
 喧騒が、一瞬で静まる。
 優希の静謐な表情と動作、そして日本刀特有の神秘的な輝きが、まるで神事のような印象を与える。
 神秘性すら感じる雰囲気に、全てが飲まれていた。
 誰もが自然と息を潜める沈黙の中、霊を降ろした神子の様に左手に逆手の日本刀、右手に鞘を持って、優希が進み出る。
 校庭の中央に巻藁――藁を束ねた試し切りの相手――が三つ、正三角形の配置で並んでいた。
 優希が立ち止まったのはその中央。
 背後に一本、前方左右に一本。
 構える優希。張り詰めた空気に、観客達はまるで物言わぬ試し切りの藁が生きた敵であるような幻想を持つ。
 だが、その仮想の敵たちは、自分達の領域に踏む込んできた人物に打ち込めない。
 それほどまでに、優希の構えは隙がない。
 数秒の拮抗の後、優希の切っ先が僅かに揺れてから―――優希は、背後に向けて山形に鞘を投げる。
 多くの者の視線が鞘に集まった瞬間――

 ――優希が疾った。

 方向は左。すれ違いざま、逆手に持った刀で、巻藁が斜め下から斜め上に斬り上げる。
 真っ二つ。
 立ち止まる優希は右斜め後ろに一歩。それと同時に頭上に上がった柄に空いた右手を添え、左手に持ち帰る。
 振り下ろす。
 二本目を、斜め上から斜め下に切断。
 鞘に気をとられた観客の大多数が優希が動いたのに気付いたのは、その頃だった。
 最初に斬った巻藁が地面に落ちた音がする。
 優希は振り下ろした刀身の重みを足腰のバネで支え、その反動で跳躍。
 後方に向けて身を捻らせながら跳躍。空中で放物線の頂点に差し掛かった柄を追い抜く。
 視線の先にあるのは最後の巻藁。
 一足飛びに最後の一本の前に立つ。その時点で、刀は腰ダメに構えられている。
 震脚、紫電一閃。
 最後の巻藁が、真横一文字に両断された。


 優希は空いている左手を宙に。
 そこに測ったかのように鞘が落ちてくる。
 当然キャッチ。手のひらと鞘が当たるぱしっ、という音と最後の巻藁が落ちるどさっ、という音が同時に聞こえた。
 優希は深く、ゆっくりと息を吐きながらそれを受け止め立ち上がる。
 それから右手で刀を逆手に持つと、鯉口から先端に向けて入っている切れ込みに被せるようにして、鞘に戻す。
 かちん、と音がして、刀身が完全に鞘の中に飲み込まれる。
 その後、優希は刀をもって振り向き、ゆっくりと礼をする。


 歓声が爆発した。

710 :書く人:2007/02/10(土) 20:23:39 ID:tCcLQ/L6
「すげぇぇぇぇっ!」
「きゃぁぁぁぁぁっ!カッコイイィィィィッ!」
「こっち向いてぇぇぇっ!」
「私…ここに入学してよ」
「あ、あたしも。そしてあの先輩と…キャッ♡」
「抱いてぇぇぇぇぇっ!」
「つきあってぇぇぇぇっ!」
「兄貴って呼ばせてくれぇぇぇぇぇぇっ!」
「いや、東三条って女だぞ、あれでも?」
「はぁっ!?マジか!?」
「だ、騙されたぜ…!」
「剣道美少女キタ―――(゚∀゚)―――!!」
「えっ、女の子!?……けどそれもありかも…」
「本場のJapanese美少女!激Moeデェェェェェス!」

 何やら突っ込みどころが無茶苦茶あったが、とりあえず無視する。
 一々突っ込んでいたらきりがない。
 目立つのもイヤなのでさっさと帰ろうとするが、その途中、紙袋覆面の言葉が聞こえた。

「ふむ、相変わらず見事なものだなユーキ」
「…!?」

 思わず刀を取り落としそうになりながら、怪しい紙袋男を見る。
 私服のそいつが紙袋越しに伝えてくる声は落ち着いた―――というより棒読みに近い無感情なハスキーボイス。

「薫!?」
「ふむ、ようやく気付いたか」

 謎の覆面男は紙袋に手を破る。

「こんにちは、優希」
「な、なんでそんなもん被ってたんだよ!」
 
 紙袋から出てきたのは、予想通りの無表情。
 文句を言いつつも、優希は顔が緩むのを感じた。
 さっきの演舞は中々いい出来だった。それを薫が見てくれた。
 だがそんな良い機嫌も、薫の余計な一言によって帳消しになる。

「変装に決まっているだろう?」
「どこが変装だよ?そんなの小学生の工作じゃないか」
「今目の前に、その小学生の工作で見事に騙された人物がいるのだが?」
「ぐっ…け、けど何でまたそんな不審な格好を…」
「気遣いさ。小学生の変装に引っかかる、幼稚園児並みにお子ちゃまな君の事だ。
 知り合いが見ていると知ったら格好をつけようとしてミスをするかと…」
「するわけないだろ!っていうかなんだよ―――」

 と、近づいていつも通りの一撃を咥えようとして…

「美少女GEEEEEEEEEEEEEEEEET!」
「うわぁっ!」

 唐突に、柔らかいものが優希の顔面を覆った。

711 :書く人:2007/02/10(土) 20:24:24 ID:tCcLQ/L6
「本物デェス!本物の生美少女デェス!Ah…美少女の体臭ハァハァ(´Д`)」
「にゃ、うわゃ!うわぁぁっ!?何だ!?何だよこれ!?」

 頭の上から降ってくる日本語っぽい何かに一層混乱しながら、どうにか顔に当たるそれを手で力任せに引っぺがす。
 何とか数十センチの距離をとり、優希はようやく、自分の顔に押し付けられたものの正体に気付く。
 それは―――おっぱいだった。

「デカ!?」

 それも特大サイズ。
 生乳ではない。それはスーツに包まれていた。冬物レディースのスーツ。
 だがその厚手の生地すら圧倒する、ボリュームとインパクト。
 その未体験の存在感に、優希は畏怖し、恐怖し、狂乱する。
 ありえない!こんなもの人間が持っていていいもんじゃない!
 恐る恐る見上げると、そこにいたのは金髪碧眼の…

「な、南蛮人!?」
「そう言う君は何時代人かね?」

 混乱する優希に、冷静な薫の突っ込みは届かない。

「ほ、ほ、ほ、本物!?これ、本物!?パックンやケント・デリカットみたいな偽者と違う!?」
「Yes!手術なしの天然デスヨ?」
「わっ、マシュマロが!マシュマロが!」
「Aha!ハクチュードードー揉むなんてイヤデェス。あ、もちろんコレは日本語特有の『イヤもイヤよも好きのうち』という奴デスヨ?」
「うわわわわっ…」

 もう一度抱き寄せる外人さん。香水の程よく甘い香りにくらつく優希。
 抵抗できない優希を撫でながら、外人さんは背後で無表情に立っている青年に問う。

「カオル?お持ち帰りはありデスカー?」
「なしだ。落ち着きたまえ」
「Muu…いつにもましてColdネ、カオルゥ…」
「かかかかか薫!?こ、このオッパイさんとしりあいデスカー!?」
「君も落ち着きたまえ、優希。口調が感染しているぞ?」

 応えながら薫は状況を確認。
 隣を見てみると、怒涛の展開で硬直している桃子。
 うむ、黒田君は使い物にならんね。
 薫は自分で何とかしなくてはならないと確認すると、重々しく頷く。
 こういう場合は仕方ない。目の前の優希に抱きつく友人の冥福を祈りつつ、

「優希、この場合は仕方ない。殴って止めることをゆす。得意のメガトンパンチで解決したまえ」

 言われた優希はとりあえず、条件反射で薫を殴った。


 ともあれ、コレが優希と困った金髪美女――レジーナ・セルジオとの出会いであり、ちょっとした事件の始まりだった。


 つづく

712 :書く人:2007/02/10(土) 20:25:54 ID:tCcLQ/L6
我ながらホント、エロくないなぁ…。
じゃ、そういうことで。

713 :名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 21:02:53 ID:zANWdT1p
うおおGJ!
つーか、3Pフラグがたったと見ていいのか!?

714 :名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 21:28:41 ID:tCcLQ/L6
3Pフラグが立ったのはクロル×ヴァルター×ウィルトスじゃないか?

715 :664:2007/02/10(土) 22:45:29 ID:r2bPZRSO
神様、書くの早すぎデスヨ。
漏れまだ3行しか書いてナイヨ!

716 :名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 23:51:11 ID:vNNnHOPO
そーか、ボーイッシュな娘には女子に可愛がられるとかイジられるってお約束もあったな

717 :名無しさん@ピンキー:2007/02/11(日) 00:16:24 ID:pHZB0GS3
ボーイッシュはGLもアリでない?
ハブなんかボーイッシュCP多いし
 
てかボーイッシュはスク水みたいなコスをするとかなり映える

718 :664:2007/02/11(日) 00:34:46 ID:ouR0XEKl
「最低!この馬鹿、どっかいっちゃえ」
「をををを!?落ち着けユーキ、泣くことはない君は強い男の子だろう?」
「なワケあるか!僕は女の子だ!」

始まりはいつもの朝だった。
通学路での痴話喧嘩。
当人達に言ったら二人とも完全否定すると思われる.。
が、それは傍目からみれば、二人の愛情表現だという事を認めざるを得ないだろう。

原作:書く人
『薫と優希』

「ったく…ほーんと頭くるなー」
「まーまー、優希ちゃん、落ち着いて落ち着いて。」
昼休み、薫が私用で席を外している為、桃子とランチを取っている東三条 優希。
ショートにした髪とやや太めの眉にきりっと結んだ唇。
その瞳は禀とした輝きと意志の強そうな印象を与える。
身長はそこそこであるが肉付きは少々。彼女のコンプレックスはその『胸』であった。
太腿から臀部、つまりお尻にかけてのラインはふっくらとして思春期の女子そのものだが…
女性の象徴でもある肝心の乳房は平均値よりもやや小さい。
「薫君との痴話喧嘩はいつもの事でしょ?」
「な、ち、痴話喧嘩って…もー桃ちゃん、僕、怒るよ!」
ボッと真赤になって否定する同級生に桃子はあわてて言った。
「冗談だよ、じょーだん」
「全くもう…」
(冗談じゃないけどね〜)と心の中で舌をだす桃子はクスっと笑って見せた。
そしてランチを終え、今は食後のジュースにお喋り。
「話は変わるんだけど優希ちゃん」
「ん、どうしたの?」
「優希ちゃんのオナニーのオカズってやっぱり薫君?」
どんがらがっしゃん。
きょとんとする委員長を前に盛大にこける優希。
「な、な、な…お、オナニーって」
「あ、ドイツ語だからわかりにくかったかな…日本語でいうと『自慰』とか『手淫』て言うんだけど、妄想に耽りながら−−」
「知ってるから、いくらそっちの知識が乏しい僕でも知ってるから」
「アハハ、じゃあ教えてくれる?じゃあ言い出しっぺの私から−−」

「はぁ〜…何か最近、桃ちゃん薫に似てきたような…」
その夜、自室の布団の上で優希は携帯電話を片手に息をついた。
半ば強制的に桃子の体験談を聞かされた優希は軽い目眩いと頭痛を理由にその場を辞した。
その後、桃子の話が脳裏の中でぐるぐると巡るため授業もろくに耳に入らなかったのだ。
「さっすが師匠……と言うべきかなぁ…電話でせ…せっくす…て、てれほんせっくすなんて…」
自分の言葉にまた頬が紅潮する。
「そ、そりゃ…僕だってさ…一人で…エッチするけど…」
ろくに女性雑誌など読まない優希にとって、性の知識は保健体育の授業程度。
自慰もほとんどは妄想の中で薫を想いながらするもので、直に声を聞きながら自慰するなど想像もできなかった。

719 :664:2007/02/11(日) 00:36:52 ID:ouR0XEKl
神様には遠く及ばないけど続きます。
あとエロがないのは寂しいので今夜は即興で委員長のコレを。

おまけ

「ひっ、そ、それいいの!あはっ!ひい、はおおおっ、チンポいいっ!もっともっと滅茶苦茶にして!チンポ、チンポッ!!いいの!あああああっ!!」
髪を振り乱して絶叫する桃子の豊満なバストがゆっさゆっさと揺れる。
「は、はああっ!ああっ出る!イクッ!イクよ桃子!」
「あおおおっ!チンポミルク!いいっ!射精して、私の膣にぶちまけてっ!も、もうあはああっ!」
桃子の感極まった声と共に股間から背筋へとぞくぞくとすり上がってくる快感。
「ああああっ出る!出る出るっ!射精(で)るよ桃子――――うっ!!」
鈴口を引き裂きように飛び出す精液。
「はおおおっ!すごすぎるの!チンポミルク最高気持ちいひいいっ!死ぬっしんじゃううっ!」

「−−だって、私の彼ったらさ〜優希ちゃん聞いてる?」
「あ…な、何か気分が…」
「も〜まだ半分の話してないよ。だからその彼がテレホンセックスをー」
「あの…ごめん桃ちゃん、許して」
「ダメダメ〜あ、それ、その優希ちゃんが今飲んでるヨーグルトが精液って考えればいいの」
「………」
優希はその言葉にがくんと頭を垂れた

720 :690:2007/02/11(日) 03:02:19 ID:ptjs/Dl4
エセ軍人物書いたヤツです。
スレを混乱させてしまって申し訳なく思います。

展開として、寝取られというよりは、主人公の総受け感が強いかと思います。
クロルとウィルトスは一応恋人同士です。
内容的に、寝取られスレもスレ違いの様な気がするので、もしよろしければ注意書きつきでこちらに投下させて
いただきたいと思っています。
読みたくない方は、『690』をNGワードに指定していただけたらと思います。

>>書く人氏
ちょww演舞クソかっけぇww
ギャグのテンポが飛びぬけてて楽しく読ませていただいています。

>>664
オナニーネタイイね!
みさくらワロタ

これだけではアレなんで、閑話など



721 :690:2007/02/11(日) 03:03:44 ID:ptjs/Dl4
 日が暮れかかっていた。
 沈みかけた太陽に染まった街は赤く燃え、仕事を終えたばかりの労働者達はその炎の中を足早に進む。
 その中に、一際目立つ影があった。
 服装は極一般的であり、いささか地味と言ってもいいだろう。
 長身だが、飛びぬけて背が高いというわけでもない。
 それでも、嫌でも目を引いた。
 猛獣を素手で殴り殺しかねない体躯である。
 それでも、武器の類を扱う店の前にいるならここまで目立ちもしないだろう。彼の存在をここまで際立たせ
ている唯一にして最大の原因は、彼が大通りに面したショーウィンドーを鎮座する愛らしいぬいぐるみの数々
を、極真剣に睨みつけている所にあった。
 女子供の夢の詰まった愛らしいぬいぐるみを、人相の悪い軍人が視線で射殺そうとしているのである。
 道行く人々はまるで打ち合わせでもしたかのように、行過ぎてから必ずその姿に振り向いた。
 あまりにも不釣合いで、滑稽だと笑うには異様過ぎて、人々は恐怖さえ覚えて慌てて男から視線を外す。
 連合国一の“プッツン”士官。ヴィクター大隊指揮官である。
「よし、熊だな」
 ヴィクターは一人呟くと、人々から向けられる恐怖と懐疑の視線を物ともせずに、軍隊仕込みの乱れない足
取りで、少女や家族連れで賑わう大手ぬいぐるみ専門店に突入した。
 いらっしゃいませ、と言い掛けて、店員の動きが制止する。
 笑顔でぬいぐるみを選んでいた少女達が、ヴィクターの存在に気づくなり、あんぐりと口を開けてその姿を凝視した。
 無理も無い。あまりにも――異質である。
「お客様……何か、お探しでしょうか?」
 勇気ある女性店員が、やや恐怖で引きつり気味の笑顔でヴィクターに問いかけた。
 ちらりと見やり、あぁ、とだけ返事を返す。
 暫く店内を見回して、ヴィクターは店の一角を指差した。
「熊……が、いいんだが。それ程大きくない……」
 もしもクロルがこの場にいたら、腹を抱えて笑い転げているに違いない。
 店員はヴィクターの指差す一角に視線を向けて、すぐに畏まりましたと頷いた。
「色は何色がよろしいでしょうか?」
「あー……じゃあ、亜麻色で」
 僅かな会話でヴィクターが見た目程恐ろしくない事を悟ったのか、店員はたちまち鉄壁の笑顔を取り戻し、
あれこれとぬいぐるみを披露して気に入った物を選ばせた。
 生地がどうの、メーカーがどうの、服がどうのと言う話はヴィクターには全く理解できなかったが、見た目
と手触り程度の好みはある。結局、軍服を着た熊のぬいぐるみを買う事に決めた。士官の階級章も華々しい、
恐れ多くも大佐殿である。
 メッセージカードが付けられるという事で、ヴィクターは悩んだ挙句に極短いメッセージを依頼した。
 花柄のメッセージカードが、プレゼント用のラッピングの上に熊顔のピンバッジで固定されて出てきた時は、
さすがに苦笑いが浮かんだ。
 純情可憐と、また言われるのだろう。ひょっとしたら、少女趣味かもしれないが――。
 ようやく店を出る頃には辺りはもう薄暗く、ヴィクターは時計を覗いて基地のほうへ視線を投げた。
 左官になると流石に門限というのも無いが、昔から叩き込まれた癖のようなものである。
 酒でも買っていこうか。基地に戻る頃には、クロルも夕食を済ませているだろう。
 そういえば、クロルの部屋に上がった事は一度も無い。どんな部屋か興味が湧いた。
 少年の様ななりをしているくせに、妙に几帳面な女である。きっとヴィクターの部屋とは比べ物にならない
程に、きちんとしているに違いなかった。
 ヴィクターは派手なリボンで飾り付けられたプレゼントを小脇に抱え、やはり道行く人に驚愕と恐怖を与え
ながら歩き出した。
 酒のつまみにケーキを食って喜ぶ女に、飛び切り甘いバターケーキでも買って行こうかと考えながら――。

                              以上。
 

722 :名無しさん@ピンキー:2007/02/11(日) 03:16:40 ID:h005qklB
なるほど女性主人公総受けですか。
男性だと専用のハレムスレ(とあと修羅場スレ)がありますが、女性総受けスレはないですね。
今後そういう作品を多数書かれるなら、いっそジャンルとして立ち上げるつもりで
スレッドを作って見ると需要があるかも。

723 :名無しさん@ピンキー:2007/02/11(日) 10:29:02 ID:wJrYjPM2
パンプキンじゃないけど不思議な作だねえ。多分、どのスレにもマッチはしないと思うから、ここで続き書きなよ。

724 :名無しさん@ピンキー:2007/02/11(日) 14:27:33 ID:Knv0VaZE
総受けか…
ビィクターが他の男をほっとくとは思えんが、どうさばくか楽しみです
ウィルからみれば寝とられてるわけだし…

725 :名無しさん@ピンキー:2007/02/11(日) 15:41:41 ID:HFv/uAau
うーむ、ヴェクターがいい味出してて好きな作品だったのですが、
こっから先は読まない方がよさそうですね。

投下の時には注意書きお願いします。

726 :名無しさん@ピンキー:2007/02/11(日) 15:42:44 ID:HFv/uAau
ビィクターだった、すまん。


727 :名無しさん@ピンキー:2007/02/11(日) 18:02:21 ID:MX/R0dFN
ヴィクターだろ?

728 :名無しさん@ピンキー:2007/02/11(日) 21:08:06 ID:dxbpyv/i
まずウィルとクロルが付き合っている事にショックを受け、さらにそのあと3Pしちゃって「俺ってホントに駄目人間……
。」とヒザを抱えてシクシク泣きむせぶヴィクターを妄想して興奮した俺は破廉恥な男かもしれん……。

729 :名無しさん@ピンキー:2007/02/11(日) 21:25:31 ID:MJymF+4G
安心しろ

ウ゛ィクターがウィル&クロルに強姦されて泣き咽ぶ様子を思い付いた俺ガイル

730 :名無しさん@ピンキー:2007/02/11(日) 23:09:10 ID:hYE40yxA
ここ最近投下多いなぁ
俺はどんな作品でも平気だから期待してる

731 :名無しさん@ピンキー:2007/02/11(日) 23:49:00 ID:Fd5yAc0I
>>728-729
いつの間に書き込んだんだ、俺。

732 :名無しさん@ピンキー:2007/02/12(月) 21:22:51 ID:nFRyTwp6
誰かボーイッシュタチのGLSSを書いてくれ!!
いや書いて下さい
いやもうNLも良いけどGLもかなり良いんだ

733 :名無しさん@ピンキー:2007/02/12(月) 21:34:03 ID:tAMdERVE
>>732
ねだるな、書き込め、さすれば与えられん。

Let's 自給自足

734 :名無しさん@ピンキー:2007/02/12(月) 21:36:07 ID:Xbp0052a
GLは苦手です(>_<)

735 :名無しさん@ピンキー:2007/02/12(月) 22:19:39 ID:GhnL8b3G
GLやらNLの意味がよくわからんのだけど


736 :名無しさん@ピンキー:2007/02/12(月) 22:47:03 ID:kd6Bc/+5
GLはタチという言葉があるから連想できるのは百合ものかな?
NLは普通の男女恋愛ものじゃないかな。
GL=girls love NL=natural loveの略じゃないかなーと推測する。

737 :名無しさん@ピンキー:2007/02/12(月) 23:20:23 ID:Q864vdD4
もしそうならGLはスレ違いかと。専用スレに頼め。もしくは妄想しろ。

738 :690:2007/02/13(火) 04:30:30 ID:ep/DHuIO
エセ軍人物
エロ未到達
ヴィクターが激しくヘタレ
>>721続編投下させていただきます

 口より先に、と言うよりは、口と同時に手が出るタイプの性格だった。
 周りが逞しい軍人なので、割と平気で思い切り殴りつける。
 しかし今回、クロルは癖と言ってもいい自分のその性格を、なんとかせねばと真剣に考えた。
 事もあろうに、ウィルトスを殴りつけてしまったのである。
 しかも、顔面を。
 原因は、どちらかというとウィルトスにあった。
 会話も減り、なんとなく手持ち無沙汰になったクロルは、場の雰囲気に任せてウィルトスに口付けた。
 甘い雰囲気になる事を期待したが、ウィルトスは相変わらずマイペースで、不思議そうに首を傾げて
クロルを見た。
 そして、言ったのである。
「男の子に、キスされてるみたいですね」
 反射的に、殴っていた。
 ほんの数分前の事である。

「痛いです……」
 盛大に腫れた頬を氷で冷やしながら、ウィルトスが肩を落として呟いた。
「も、申し訳ありません……いつもの癖で、つい……」
「いえ、いいんです。失礼な事を言ったのは僕ですし」
 全くその通りである。
 だがクロルは完全に萎縮してしまい、自分が怪我人である事も忘れてせっせとウィルトスに世話を焼いた。
 ウィルトスは平気だと言うのだが、どう見ても平気とは思えない程に腫れていた。歯でも折れたかと
心配になる程である。
 こんな威力で殴っていたのか――ヴィクターもさぞや痛かった事だろう。
「ヴィクター少佐ならこの程度、虫が止まった程度にしか感じないんでしょうね……悔しいです」
「い、いえ、そんな! だってあれは見るからに例外じゃないですか! 教官が普通なんです、標準
なんです、人間なんです!」
「でも、僕も軍人です……」
 さすがにフォローできなかった。
 確かに、常日頃からヴィクターを殴っているが、ヴィクターがそれでどうこうなった事は一度も無い。
 なにより、まず顔面に当たる事が無い。
 今更ながら、上手く避けていたのだなと思う。あるいは、攻撃を食らうにしても急所は外す――軍人
ならば、それくらいは出来て当然の事なのかも知れないが――。
「情けないですね……」
 クロルの思考を呼んだように、ウィルトスが鬱々と呟いた。
「で、でも……凄く、頭がいいです」
「学者になるべきでした……」
 それは確かにそうかも知れない。
 素直に肯定しかけて、クロルは慌てて首を振った。
「そんな事ありません! 僕知ってます! 教官が戦術の手ほどきをされた司令官は皆優秀ですし、教
官は戦略家で戦上手です! 戦車をなぎ倒すモンスターを小隊でやっつけた武勇伝は有名です! ほ
ら、教官すごく軍人向きじゃないですか!」
「そうでしょうか?」
「そうなんです!」
 うーむ、とわざとらしく考え込む仕草に、クロルは冷や冷やしながらウィルトスの決断を見守った。
 うっかりすると、「よし、軍人やめます」などとふざけた事を言いかねない。しかも一度何か言い出
すと、周りの言葉に全く耳を貸さないのである。
 迷惑極まりない性格だった。
 ふと、ウィルトスが時計を見た。つられてクロルも時計を見ると、夕飯時を過ぎている。どうりで、
少し空腹だ。


739 :690:2007/02/13(火) 04:31:27 ID:ep/DHuIO
「困りました。そろそろネタがありません」
「はい?」
 ウィルトスが唐突に話題を変えた。
 ウィルトスのとんでもない会話の飛躍にも比較的付いていけるのがクロルだが、今回は流石に置いて
いかれた。何の話か分からない。
 とりあえず、軍人に向いている向いていない論争には飽きてくれた様だ。一安心である。
「えーと、なんの話でしょう……」
「ほら、前回の時間の取引からそろそろ一時間が経過しようとしています。でも、さすがに要求する物
がなくなってきました。どうしましょう」
 しりませんよ、そんな事。
 言いたいのを必死に我慢した。
「別に、要求が重複してもいいんじゃないでしょうか……ハグからやり直すとか」
「ダメです。面白みがありません」
 この時間取引の何処に面白みを見出しているのか甚だ疑問である。
「でも、要求してくれないと何もできません」
「正論です。考えましょう」
 そして三秒。
 ウィルトスは軽やかに弾指した。
「食事に行きましょう。お腹が空きました」
 素晴らしい提案だった。
 腕を負傷しているクロルは、自分ではまともな食事が作れない。
「でも、教官軍服です」
「そうでした。勤務時間外に軍服でうろつくのは軍規違反です。クロルさん、流石です」
「はぁ……」
「仕方ない。脱ぎましょう」
「止めてください」
 思わず制した。
 師団参謀が、全裸でないにしろ半裸で街を出歩いたとなれば、第一師団の沽券に関わる。
「だめですか」
「あたりまえでしょう」
「わかりました。では僕の部屋に来てください」
 一瞬、クロルは呼吸を止めた。
 半ば呆然として、相変わらず笑顔のウィルトスを見る。
「きょ、教官の部屋に……ですか?」
「はい。僕の部屋にです」
「えぇと……でも、何しに……」
「食事をしに」
 着替えに。ではない辺りが、実にウィルトスらしい。
「……教官の部屋にですか?」
 数秒前と同じ質問を繰り返すと、ウィルトスが華やかに微笑んだ。
「実は先日、パスタを食べようと思い立ってトマトソースを作りました。とてもいい出来だったので、
誰かに振舞って自慢したかったんです。しかし驚くべき事に、僕には友人が居ません」
 友人が居ない理由がわかっていないのが、逆に驚くべきである。
「と言うわけで、クロルさんには僕の手料理を食べてもらいます」
「教官の……手料理……」
「それで三時間売りましょう。タイムサービスってやつです。どうで――」
「よろこんで!」
 思わず叫んでいた。拳さえ握り締めて、思い切り。
 想像もしていなかった幸運である。
「僕、着替えてきますね!」
「ドレスでも着てくれると、エスコートのしがいがあるんですが」


740 :690:2007/02/13(火) 04:32:18 ID:ep/DHuIO
「嫌です」
 即答した。笑顔で。
 ウィルトスが笑う。
 片腕で着替えるのは大変だろうと、ウィルトスに手伝ってもらってようやくまともに身支度を整えて、
クロルは子供のようにはしゃぎながらウィルトスについて部屋を出た。


 他に、誰か見舞いの者がいるのではないかと、今更ながらしり込みしていた。
 私服の上官が酒を持って自室に訪れた所を他の者に見られれば、男と女だ、嫌でも妙な噂が立つ。
 また、連絡も取らずに私室を訪ねるのは、礼儀を欠いた行為と言えるのでは無いだろうか。クロルを
困らせる事になるかもしれない。
 何より、私室まで赴くという行為が、下心と受け取られたりはしないだろうかと不安だった。
 先日クロルを抱いてしまったせいもあるだろうか。その時は夢中で後先考え無かったが、後になって
しまえば嫌でもクロルの性別を意識した。
 悶々と思いながらも、結局官舎まで来ていた。外見に似合わず、いまいち煮え切らない性格である。
 廊下を歩き、階段を昇りかける。ふと、聞きなれた笑い声がした。
 足を止め、思わず見上げる。
 予想だにしていなかった人物が視界に飛び込み、ヴィクターは瞠目した。
 赤茶けた髪に、明るいブラウンの瞳。
「ウィルトス少佐……?」
 ヴィクターの声に呼ばれるように、ウィルトスが足を止めた。
 驚いたように目を瞬く。
「教官?」
 その後を追う様に、クロルがひょいと顔を出した。
 直後にヴィクターの存在に気づき、笑う。
「ヴィクター! ……少佐」
 思い出したように階級を取ってつける。ウィルトスの存在に遠慮しているのだろう。
「どうしたんですか? こんな時間に」
 クロルが不思議そうに首をかしげた。
「あ、いや、時間ができたんで、見舞いでも……って」
 ウィルトスとクロルが、同時に顔を見合わせた。
「お見舞いですって」
「想像以上に立ち直りが早い。第三者の介入があったみたいです」
 ヴィクターには何の事だか分からない話をしながら、二人並んで階段を降りてくる。
「で、あの、なんでここにウィルトス少佐が……?」
「僕もクロルさんのお見舞いです。実に奇遇です」
「これからウィルトス教官の部屋で手料理をご馳走になるんです」
 ねー、などと、女同士がやる様に笑い会う。
 クロルとウィルトスがワンセットでいる事自体驚きだと言うのに、ウィルトスの手料理を二人で食う
等と言い出されては、ヴィクターには最早何も言えなかった。
 どこにどう突っ込んでいいかも分からない。
「少佐、その頬は……」
 とりあえず、明らかに殴られた痕跡のある頬について聞いてみる。
 ウィルトスは困ったように眉根を寄せて、それがですね、と切り出した。
「クロルさんに殴られました」
 愕然としてクロルを見た。
 クロルが反射的に身を竦ませる。
「おま……おまえ! 殴るか普通! この人を!」
「だ、だって教官が……!」
「だってじゃねぇだろう! 上官だぞ! 申し訳ありません、うちの部下が!」
「あぁいえ。原因は僕ですから、どうか気にしないで」
 何処まで寛容なんだ、この男。
 普通上官を殴ったら、懲罰房行きは免れない。しかも相手が相手である。ウィルトスがその気になれば、
降格や免職など当たり前に言い渡される。
 ヴィクターは心底から、ウィルトスの温和な性格に感謝した。


741 :690:2007/02/13(火) 04:33:20 ID:ep/DHuIO
 軽く睨むと、さすがに反省しているのかクロルが肩を落としてうな垂れる。
 その様子にウィルトスは困ったような笑顔を浮かべ、ぽんぽんとクロルの髪を撫でた。
「気にしてません。だから、そんなに落ち込まないで」
「でも……」
「ほら、かわいそうに、落ち込んでます。部下を苛めるのはよくありません」
 逆にこちらが責められた。
 ヴィクターが眉間に皺を寄せると、すっとウィルトスが腰をかがめた。うな垂れるクロルの頬を捉えて、
目頭に唇を落とす。
 一瞬、思考が完全に停止した。
 重たげな音を響かせて、持っていた酒瓶が廊下に落ちる。
「き……教官!?」
「はい、なんでしょう」
「なんでしょうじゃありません! ヴィクターの……ヴィクター少佐の前ですよ!」
「いけませんか」
「ひ、人前でキスするなんて……!」
 人前か否かは、この際関係無いのではなかろうか。
「でも、まぶたです」
「場所の問題じゃありません!」
 顔を真っ赤にしてクロルが怒鳴った。
 こんなキャラじゃ無かっただろう。キス一つでこうも動揺するならば、先日のあれは何だったのだ。
「でも、人前でいちゃつくのは、恋人の特権でしょう?」
「――教官!」
「……恋人?」
 無意識に反応していた。
 ふと、思い出したようにウィルトスが振り返る。
「しまった。ばれました」
「明らかにばらす気まんまんだったでしょう!」
 クロルが怒鳴るが、ウィルトスは気にした風もなく、クロルの肩を抱き寄せた。
「ばれてしまったらしょうがありません。実はクロルさんは僕の恋人です。仲良しです。ラブラブです」
 見せ付けるように、頬や首筋に口づける。
 クロルが抵抗してもがくが、嫌がっている風には見えなかった。ヴィクターに助けを求める様子も無い。
 悪い冗談――というわけでは無さそうだった。
「クロルさんが、仕事がし辛くなるからと言って秘密にしていたんです。クロルさんは特殊な任務を
遂行する事も在りますから、そんな時、公然と恋人がいると、倫理がどうのとうるさい人達も出てきま
すからね」
 すぅ、と頭が冷えていった。
 特殊な任務と、この男は今、そう言ったか――。
「あんた、まさか知って……」
「諜報活動ですか? もちろん、初任務の時から知って――」
 殴りかかっていた。
 先程クロルを叱った事など、最早頭の片隅にもない。
 ウィルトスがクロルを突き飛ばし、心持腰を落とす。半身、横に避けた。
 振りぬいた腕を取られ、景色が回る。
 ――畜生。
 内心、罵った。
 背中から、廊下に激しく叩きつけられる。激しくむせ返った。


742 :690:2007/02/13(火) 04:34:05 ID:ep/DHuIO
「ヴィクター!」
 クロルが駆け寄ってくるのが分かる。
 足音が止まった。ウィルトスがクロルを制したのだろう。
 ありがたかった――見られたくない。
「怒れますか?」
 上から、冷静な声が飛んだ。
「最近まで知りもしなかった君に、僕を殴る権利がありますか?」
 返事も出来なかった。
 ただ、奥歯を噛み締める。
「僕は全力でクロルさんを見てきました。君と違って、始終傍にいられる立場ではありません。
それでもずっと、訓練生の頃から見てきました」
 ようやく整った呼吸で、重い体を起こす。
 顔を上げると、ウィルトスが笑っていた。
「君は僕に勝てますか?」
 思わず、呆けた。
 ウィルトスが背を向ける。
「行きましょう、クロルさん。運動したらお腹が空きました」
立ち尽くしたクロルの背を、ウィルトスが静かに促した。しばし躊躇し、促されるまま歩き出す。
クロルは振り返らなかった。振り返る事が、ヴィクターに対する侮辱だと分かっているのだろう。
 角を曲がり、二人の背が見えなくなって暫くも、ヴィクターは廊下に座り込んでいた。
 ――勝てますか?
 男として、友人として、上官として。
 あるいは、軍人としてさえ――。
「勝てるわけ……ねぇだろ」
 あまりにも惨めで、滑稽で。
「は……はは……」
 気が付くと、笑っていた。

      以上。切らせていただきます

743 :名無しさん@ピンキー:2007/02/13(火) 07:06:23 ID:TeczJrNc
話の筋書きが見えてきた。


744 :名無しさん@ピンキー:2007/02/13(火) 09:08:21 ID:yEwE26yW
いやぁ、ウィルさんいい男やわ。クロルが妙に可愛いし。

745 :名無しさん@ピンキー:2007/02/13(火) 10:22:59 ID:X/n6Xakj
ひたすら続きにwktkwktk!

746 :名無しさん@ピンキー:2007/02/13(火) 15:43:06 ID:gQa4CZQS
ヴィクター頑張れ、超がんばれ……!

747 :名無しさん@ピンキー:2007/02/13(火) 18:00:49 ID:1z0HUORg
クロは感情的に、ウィル=恋人で、ヴィクター=親友ってことかいな?
ユリア奪われたケンシロウより、もっと憐れなヴィクター(T_T)
ところで作者の人は女性でしょ

748 :名無しさん@ピンキー:2007/02/13(火) 22:05:47 ID:X/n6Xakj
つかレスとか読んで思ったんだけど、ここって女子率高くない?
下手すると書く人さんも女かもしれんし…。
ちと女性は挙手してみてくんない?
ちなみに漏れはオトコノコ!

749 :名無しさん@ピンキー:2007/02/13(火) 23:00:45 ID:Djy00LXg
女が書いちゃ駄目なのか?

750 :名無しさん@ピンキー:2007/02/13(火) 23:35:33 ID:x1m0rysp
面白ければいいじゃな〜い

751 :名無しさん@ピンキー:2007/02/13(火) 23:35:42 ID:OgDIr/nU
もちろん良いに決まってる!

しかし、ヴィクターには頑張って欲しいけど、個人的にはこれがきっかけになって軍を辞めてどこか田舎の町でパン屋
さんを開いて気立ての良い女の子と結婚してささやかな幸せをつかむ、というのもいいんじゃないかと妄想した。

752 :名無しさん@ピンキー:2007/02/13(火) 23:42:29 ID:IYCQSmPn
荒れる(荒らされる)元だから性別点呼は止めてくれ。

753 :名無しさん@ピンキー:2007/02/13(火) 23:51:29 ID:X/n6Xakj
>>748だ。あ〜すまん、ダメって訳じゃなくてだな、ちと興味がわいただけなんだ。

754 :名無しさん@ピンキー:2007/02/14(水) 01:38:49 ID:JogQhQh/
まあ止めておけ。

755 :名無しさん@ピンキー:2007/02/14(水) 03:48:12 ID:AQZOJ3SM
なんで作者さんの性別が分かるのか俺にはわからん。
男の少女漫画家もいるんだから、読めば分かるってもんでもない気がするんだが……

>>751
それだ!

756 :664:2007/02/15(木) 17:41:24 ID:HUhGYA+r
718の続きです。

原作:書く人氏
優希の自慰 

「えっと……ん…」
その夜、優希は引き出しを開けると薫だけが写った写真を取り出す。
「薫……」
薫の格好は水着一枚のみ。水泳の授業の時にこっそりと隠し撮りしたものだ。もちろんその仕掛けは『師匠』こと安田桃子。
数種類のバリエーション写真とネガ込みで自分の月イチの小遣いをはたいて購入した謂わくつきの写真である。
もちろんそれは優希のオナニーのオカズであった。
「薫の写真……こんな事に使ってるって知ったら桃ちゃん…驚くだろうな…」
その桃子はもちろんそのつもりで仕込み、撮ったものなのだがその辺りの事に全く気付かない優希。
それが優希らしいと言えば優希らしいのだが。
「は…だ、誰も…来ないよね…」
部屋の施錠を確認、窓にカーテンをしき、蛍光灯を3段階中、1に設定して布団を壁際に敷き直す。
その最中に少しでも薫と性交しているという臨場感を出す優希のささやかな演出でもあった。
優希は一仕事終えると『ふぅ』と息をつき壁に背を預けた。

757 :664:2007/02/15(木) 17:43:11 ID:HUhGYA+r
「…ん…んしょ…」
パジャマのボタンを外し、ズボンを下げると僅かに湿った白いシンプルな下着が現れた。
(薫のこと想うだけで濡れるなんて桃ちゃんには死んでも言えないよ)
その辺りはさすがに桃子も知らない。
思い切ってズボンを太腿まで下げ、下着も脱ぐ優希。
ふるんとした柔尻が現れ、カモシカのような美しい曲線を描いた足が布団の上に投げ出された、うっすらと茂った秘所が顕になる。
「僕の胸…やっぱり小さいな」
上着を払い小振りな胸を露出させると左手で乳房をゆっくりと揉みし抱き始める優希。
乳首をくりりっと摘み、その繊細な指でピンと弾いく。
「んっ…ふぁ…」
優希は眼を閉じ、薫の姿を想像しながら己の各処を刺激していく。
妄想の中の薫がいつもの口調で語りかける。
『小さな胸…ユーキはやっぱり男の子だな』
「う…うるさい…よ…はっ…く」
『揉み心地もなかなか…吸ってもいいかね?』
「ん…いいよ…薫」
そこで優希はいっそう乳首を強く摘み上げた。
「んくっ…い、いいよ薫、もっともっと強く吸って」
ぎゅっと痛いくらいに乳首をつまみ上げ、こりこりと指で転がすとジンと下腹部から熱のこもった感覚が優希のまぶたをうっすらと開けた。
秘所がさっきよりも濡れている。
(あ…もうこんなに……はぁ…僕は…もう)
少し冷静さを取り戻したのか、優希はさっと立ち上げるとバスタオルを己の下に引き、その上に小振りな尻をおろした。
「胸は小さいけど…お尻なら…」 
優希は少し思案すると意を決して四つん這いの姿勢になり、尻を高く上げた。
「薫…後ろから…ね、来てよ」
写真の薫に声を掛ける優希。顔はぼんっと爆発したように真赤だ。
『ああ、いくよ。ユーキのケツは私のモノだ。』
「ぼ…僕のお尻は僕のモノだっての……あ…ふ」
くちゅっと中指を後ろから秘所に挿入するとゾクゾクした感覚が一気に子宮の内部までピンと一直線に届いた。
「はっ…」
くちゅくちゅ…ちゅぶ…
そして挿入した中指を時には深く、浅く、また時折、膣壁にすりつけるように指を動かしていく。
「や…やん…ふ、ふあ…か、薫…薫」
今日はこのままイけそうだ。優希は霞がかった思考でそう決断すると指を激しく動かし始めた。

758 :664:2007/02/15(木) 17:44:01 ID:HUhGYA+r
「は、はあああ…だ、だめ…だめだよ薫…ん…き、今日は…危険日…あっ」
妄想の中で薫は優希を激しく責め立てていた。妊娠など関係ない、雄としての本能の赴くままに腰を尻に叩きつけている。
それを必死で、哀願するように拒む自分、そのシチュエーションが最高に興奮する。
(ああ…僕ってへ、変態…ん、あ、ああ…も、もうイ、イきそう−−−)
その時だった。優希の携帯のバイブが激しく振動した。
「えっ!?」
強制的に現実に引き戻された優希が携帯をひったくるように掴み、光るディスプレイを見た。
そのデイスプレイには『かおる』の文字が。
「か…薫?も、もしもし!?」
『やぁ、こんばんは。おっとすまない、寝ていたか。すまなかったな。では安眠の妨げになった事を許してくれ。ではまた明日』
携帯電話越しに聞こえるいつものハスキーボイス。脳裏に浮かぶあの無表情の顔、薫であった。
「なっ!ね、寝てないよ!っゆーか何なんだよ!用件は何っ!」
『いや、何。今日、披露した新発明試作ニ号機の感想を聞こうと思って掛けたんだが、どう思うユーキ』
「………」
今までのムードも妄想も欠片も残さないほど木っ端みじんに打ち砕いてくれたオリジナルの薫に優希は殺意さえ覚えた。
ミシミシと音を立て始める優希の携帯。
『いや、飯田君に電話したところ優希に聞いてみたらと言われてね』
(安田だってのっ!このバ―――!!―――桃ちゃん……電話……あ!)
思ってもみない展開だ。これならいろんな意味でイける。これぞ天佑だ。
「と…とりあえず言っておく。最低。」
『これは手痛い感想だね。』
携帯を片手に秘所に手を伸ばす優希。今度は背を壁に預け両脚をM字に開いた。そして薫の写真をその足下にばらまく。
「そ、それでさ…か、改造とかしないの?」
くちゅ……
『うむ…そうだなパンストの色と肌の色の違いが今回の敗因である点は否めな

759 :664:2007/02/15(木) 17:44:59 ID:HUhGYA+r
「は、はあああ…だ、だめ…だめだよ薫…ん…き、今日は…危険日…あっ」
妄想の中で薫は優希を激しく責め立てていた。妊娠など関係ない、雄としての本能の赴くままに腰を尻に叩きつけている。
それを必死で、哀願するように拒む自分、そのシチュエーションが最高に興奮する。
(ああ…僕ってへ、変態…ん、あ、ああ…も、もうイ、イきそう−−−)
その時だった。優希の携帯のバイブが激しく振動した。
「えっ!?」
強制的に現実に引き戻された優希が携帯をひったくるように掴み、光るディスプレイを見た。
そのデイスプレイには『かおる』の文字が。
「か…薫?も、もしもし!?」
『やぁ、こんばんは。おっとすまない、寝ていたか。すまなかったな。では安眠の妨げになった事を許してくれ。ではまた明日』
携帯電話越しに聞こえるいつものハスキーボイス。脳裏に浮かぶあの無表情の顔、薫であった。
「なっ!ね、寝てないよ!っゆーか何なんだよ!用件は何っ!」
『いや、何。今日、披露した新発明試作ニ号機の感想を聞こうと思って掛けたんだが、どう思うユーキ』
「………」
今までのムードも妄想も欠片も残さないほど木っ端みじんに打ち砕いてくれたオリジナルの薫に優希は殺意さえ覚えた。
ミシミシと音を立て始める優希の携帯。
『いや、飯田君に電話したところ優希に聞いてみたらと言われてね』
(安田だってのっ!このバ―――!!―――桃ちゃん……電話……あ!)
思ってもみない展開だ。これならいろんな意味でイける。これぞ天佑だ。
「と…とりあえず言っておく。最低。」
『これは手痛い感想だね。』
携帯を片手に秘所に手を伸ばす優希。今度は背を壁に預け両脚をM字に開いた。そして薫の写真をその足下にばらまく。
「そ、それでさ…か、改造とかしないの?」
くちゅ……
『うむ…そうだなパンストの色と肌の色の違いが今回の敗因である点は否めない。』
「だ、だから…あ…こ、今度はと、透明に…か、変えるとか?」
『ふむ、透明か…が、それは――――ん、待てよ』
ちゅぶ、くちゅくちゅ、ちゅぶぶ…
「か、薫?」
『…………』
「か、薫、こ、声を、き、聞かせて…か、かおる…こ、こえぇ」
『グレイト!さすがは我が心の友よ!素材がポリ塩化ピリニデンのモノを起用すれば問題は解決できる!やはりユーキ君!
君は素晴らしい、では、これより三号機の開発に取りかかる、披露は明日だ!期待していてくれ!では、また明日』
「ま、待って…も、もうすぐ…あと少しだから」
『ん?ああ、そうか電話越しにでも完成報告を聞きたいのだな?』
「あはっ、そ、そう。か、薫…き、聞かせて…もっと声、声聞かせて」
『そんなに完成が楽しみなのかね。ユーキ、大丈夫、心配は無用だよ』
「あっ…はっん、んんんっあと少し…は、はぁ…はぁ…ご、ごめん。薫、ちょっと今、お風呂だから」
『え――――』
有無を言わさず一方的に優希は携帯の電源を切り、布団の上に放りだした。
かなり無理な返答だなと思いつつも手は止まらない。
「ご…ごめんね…ごめんね薫、薫、かおるぅ!」
ビクンビクンッと優希の身体が引きつり、ゾクゾクゾクッと身体の真から込み上げてくる快感に優希は身を震わせた。
「はぁ…はぁ…はぁ…ん、薫…ごめんね僕…嘘ついちゃった。」
火照る身体を沈めるため荒い息をつく優希は愛液でグショグショになったバスタオルを見て、深く後悔した。

760 :664:2007/02/15(木) 17:54:31 ID:HUhGYA+r
あ…ミスって投下、すまん。
自慰編・薫バージョンは今月末くらいに投下する予定。

>>690
前回のレス、ありがとうございました。
軍人モノ、いつも楽しく読ませてもらってます。
漏れ的にはウィルトスさんの生き様が好き。
クロルの任務を理解して、全てを知った上で付き合っている。
その愛っていうのは常人には真似できないな。
ヴィクターがどういう行動にでるのか非常に楽しみです。

761 :名無しさん@ピンキー:2007/02/15(木) 19:09:53 ID:8b+T4rzg
GJ!

762 :書く人:2007/02/15(木) 20:16:22 ID:wxNOwpui
GJ!
センセー!
なんで原作者より上手いんですか!?


…がんばります OTZ

763 :名無しさん@ピンキー:2007/02/19(月) 03:14:04 ID:HWP2Uu6l
「男子校なのに自分以外、妙に女顔の生徒ばっかりだなぁ…」
なんて思ったら、他は皆男装してた実質女子校だったらどうする?

764 :名無しさん@ピンキー:2007/02/19(月) 04:06:26 ID:kAnkk28g
気付かずに友情を築く、とマジレス

765 :名無しさん@ピンキー:2007/02/19(月) 04:20:58 ID:np7XYG5w
気づくけど何事も起こらず、一人寂しく終わる

766 :名無しさん@ピンキー:2007/02/19(月) 05:50:40 ID:lD8pxbxh
まとまった女ほど恐ろしいものはないぞ

767 :名無しさん@ピンキー:2007/02/19(月) 14:18:37 ID:qK0qqkTF
本人気付かぬまま実は周囲で暗闘が繰り広げられている
→修羅場スレ、あるいはヤンデレスレへ

768 :名無しさん@ピンキー:2007/02/19(月) 22:07:03 ID:Lcb84NkW
待て、これは孔明の罠だ

769 :名無しさん@ピンキー:2007/02/19(月) 23:47:21 ID:n/soIyZg
いや、むしろ薫の罠だ。

770 :名無しさん@ピンキー:2007/02/20(火) 00:22:40 ID:pyqZ7JMq
花山さんの漢立ち

771 :名無しさん@ピンキー:2007/02/20(火) 11:44:05 ID:kvS5zloA
まだやるかい?

772 :名無しさん@ピンキー:2007/02/20(火) 14:43:39 ID:r7TSzw+c
ぜひお願いします(;´Д`)

773 :名無しさん@ピンキー:2007/02/22(木) 17:20:21 ID:kYb9yU99
保守

774 :名無しさん@ピンキー:2007/02/23(金) 18:53:00 ID:ZPJPbG6q
  、、、、
 ミ・д・ミ<ほっしゅ
  """"


775 :664:2007/02/24(土) 00:43:12 ID:r9+PGq6P
原作:書く人
 
薫の自慰

親愛なる弟・薫るんるんへ
君の姉は大学のサークルの都合で友人宅に宿泊するので帰りませぬ。
※男の友人ではないのでエロイ妄想しないソコ!
ご飯を食べて風呂入ってハッスルして寝ること。
神聖なるマイ・ルームに一歩でも入ったら滅殺するのでよろしくね♪
                    霞より
「……霞は今日も残業か…」
帰宅した薫はキッチンの上の書き込みを見て軽くため息をついた。
「我が姉よ……実に羞恥プレイだ。学業を終えれば探偵にでもなる気かね。全く…」
その書き置きは普通のモノである。家族である姉が弟宛てに書いたお伝え事。
問題はその紙であった。
それは薫の秘蔵してあったH本の付録ポスターにわざわざ別紙で作った吹き出しを張り付け、そこに書き込んだモノであった。
「何故あそこに隠してあるのをこうやすやすと見つける事ができるのだ。囮部隊には目もくれず、主力部隊を叩くなど常人ではないな。」
デンデンとテーブルに積まれている主力部隊
『PINK天国』『ドピュドピュ倶楽部』『オレンジ写真堂』 。
ちなみに囮部隊
『官能柔肌図鑑』『お姉ちゃんと一緒』『誘惑の女子高生』。
薫は肩を落とし、主力部隊を回収する。
目には目を歯には歯を!とつまるところの『報復』(この場合は姉の部屋に入り、姉専用のBL本を探すの意)をしようとしない薫。
が、過去に一度だけ報復を心みたことがあった。姉の部屋に入ったのだ。結果は―――死。
薫は姉の部屋に入った日から1週間程、学校を休んだ。毎日、優希が見舞いに来てくれたのだが会えなかった。実際のところ自力で歩行する事が困難なくらい『お仕置き』され、玄関まで行けなかったのである。
「ハッスル…か」
薫は食事を取りながらそんな事をつぶやいた。
今日の献立は白米に豆腐とわかめの味噌汁、主食はスーパー閉店30分前の特売品であった刺身の
切り身盛り合わせにひじきの油炒め。
「ふむ…確かに」
この後の予定は風呂そして株のマネーゲーム。就寝前には試作品三号の製作。
「どの時間帯であれば可能なのだろう。ユーキを起こすのは忍びない」
食器を洗い終え、薫は食後のお茶を啜りながら決断した。
「就寝直前だな」

776 :664:2007/02/24(土) 00:44:57 ID:r9+PGq6P

薫はベッドの上で壁にもたれかかっていた。
足元には主力部隊の旗艦『オレンジ写真堂』
薫はこの手の写真集にはあまり魅力を感じないのだが、購入したのにはワケがあった
「ユーキ…」
カメラ目線で胸の谷間を強調するように前屈みになっている写真の中の女性が優希に似ていたからだ。
それだけではないその他の定期購入本にも優希に似た女性のページのみ使用された形跡があった。
(………ユーキが知ったら…どんな顔をするだろうな)
ズボンを脱ぎ、ゆっくりイチモツを扱きながら薫は思った。
(いつも友人のように接している私が毎晩…ユーキに似た女性の写真集をみながら自慰の興じている
…と知ったら。)
しかしPCや電子機器に精通している薫がいささか時代を感じるゑろ本で抜いているのか、それにはワケがあった。
一度、ユーキ似のAV女優のDVDをヘッドホンをつけ堪能していた時に部屋の鍵を霞に破壊され、
射精直前に部屋に侵入された事があったのだ。
タイミングがタイミングだけにどうしようもなかった薫。
そしてそれを見て爆笑した霞。
薫はその後、寝しばらく寝込んだ。

777 :664:2007/02/24(土) 00:46:02 ID:r9+PGq6P
(ん……く…ユーキ…)
感情が高ぶってきたのか薫の手がやや速くなる。
薫も優希同様、妄想にふけながら自慰を行うが、薫の妄想する優希は普段とは違った。
(ふふ…薫、もうこんなにして…僕の身体を見てこんなに勃起してるなんて嬉しいなぁ)
「ああ…ユーキ…とても綺麗だ」
(嬉しい…じゃあご褒美に僕が薫のチンポ食べてあげる)
薫の妄想の中の優希…いや、ユーキはいささか度を超した痴態を晒す女性――――痴女であった。
「ユーキ…ん……そこを…」
(薫ってカリの裏が弱いんだよね…はむ、ん…んふ、はあ…くちゅ…ちゅちゅぶ…)
優希がかつて傾国の美女と言われた楊貴妃のような眼で薫を見つめた。
(薫って頻繁に僕を視姦してるよね…登校の時だって、胸とかお尻によく視線感じるし、
今日のプール…薫の眼が気になって…僕、少し濡れちゃった。)
「そんな眼で…君を見た覚えはないな…自信過剰だね」
それはウソであった。薫はいつも無表情ではあっても、その眼は密かに、誰にも気付かれずに優希の挙動
を追っている。特に優希の肌が露出する体育の授業ではなおさらだ。
「…さすがだ…うまいね…賞賛に値するよ…」
いずれ訪れるかもしれない本番ではこんな台詞は吐けないだろうなと思いつつ、
薫は優希の口淫を賛美する。
(んちゅ……カウパーでてるよ薫。もう出ちゃうようじゃあ…僕を満足させるなんて無理だよ?)
「それは悪かったね。生理現象だよ、男の悲しい性とも言うがね」
(『理屈』って書いて『言い訳』って読むんじゃない、そういうの?何にせよ、僕にもそろそろ…ね?)
薫の妄想の中で優希が脚をM字に開き、膣口に指を這わせ、くぱぁと口を開かせる。
(舐めて、薫)
「仰せの…ままに」
薫はゾクゾクと睾丸からせり上がってくる感覚に背筋を震わせた。
射精が近いのかせわしく本のページを捲る。
「ユーキ…ユーキ」
(あはっ…上手…上手…薫…僕の感じるトコ…はああ…くすくす…犬みたいだね。)
その手がいままでにないくらいの速さでイチモツを扱く。
薫はくっと眉を潜めると、ぎゅっとイチモツを握り閉め、射精の高ぶりを沈める。
「はぁ…はぁ…」
(僕が飼ってあげるよ…首輪つけてさ。薫を僕のぺットにしてあげる。)
いつもの無表情な顔で携帯を操作し、捲った本の間に挟んである写真を取りだした。
それは優希が自分の横で笑っている写真であった。

778 :664:2007/02/24(土) 00:48:41 ID:r9+PGq6P
携帯の番号をプッシュし、首に挟んで再び手はイチモツへ。
プルル…プルル…何コールかした後、待ち望んでいた相手の声が聞こえた。
『か…薫?も、もしもし!?』
寝ていたのだろうか、妙にあせった声だな。
『やぁ、こんばんは。おっとすまない、寝ていたか。すまなかったな。では安眠の妨げになった事を許してくれ。ではまた明日』
ビリビリっと下腹部から背筋に走った快感に思わず声を出しそうになった。
それを必死にこらえ、務めて冷静ないつもの口調で話しかける。
「なっ!ね、寝てないよ!っゆーか何なんだよ!用件は何っ!」
『いや、何。今日、披露した新発明試作ニ号機の感想を聞こうと思って掛けたんだが、どう思うユーキ』
そんな事はただの口実だった。実際のコンセプトは頭の中で完了済みであった。
「………」
このまま切られるかもしれない…そう思った薫はとある級友の名を出した。
『いや、飯田君に電話したところ優希に聞いてみたらと言われてね』
「と…とりあえず言っておく。最低。」
ビンゴ。正解は『安田』なのだがこれも無視。薫の手はシュッシュと必死で扱き上げる。
『これは手痛い感想だね。』
はぁはぁ…ユーキの瞳…ユーキの唇…
「そ、それでさ…か、改造とかしないの?」
ユーキの胸…くびれた腰…
『うむ…そうだなパンストの色と肌の色の違いが今回の敗因である点は否めない。』
ユーキの小振りな尻…ユーキの…ユーキの…秘部。
『ふむ、透明か…が、それは――――ん、待てよ』
一端、携帯を離すと薫は本の何ページ目かを適当に開き、ユーキの写真をその上に置く。
『…………』
ティッシュの上にだすつもりはないユーキとの擬似性交にリアリティを求める薫のこだわりだった。
『グレイト!さすがは我が心の友よ!素材がポリ塩化ピリニデンのモノを起用すれば問題は解決できる!やはりユーキ君!君は素晴らしい、では、これより三号機の開発に取りかかる、披露は明日だ!期待していてくれ!では、また明日』
こらえきれない、限界であった。
「ま、待って…も、もうすぐ…あと少しだから」
『ん?ああ、そうか電話越しにでも完成報告を聞きたいのだな?』
「あはっ、そ、そう。か、薫…き、聞かせて…もっと声、声聞かせて」
グググッと精液が昇ってくる感覚に薫は目を閉じた。
『そんなに完成が楽しみなのかね。ユーキ、大丈夫、心配は無用だよ』
ユーキの焦った声、着替えでもしているのか、風呂から上がった後なのだろうか。
びゅくん…びゅ…びゅ…びゅううう…
ユーキの裸体を想像しながら薫は盛大に射精し、その精をページの上にまき散らした。
「あっ…はっん、んんんっあと少し…は、はぁ…はぁ…ご、ごめん。薫、ちょっと今、お風呂だから」
『え――――』
ブツ………ツーツーツー……
薫は呆然としながら携帯を耳から外し、ベットの上に手を力無く置いた。
ふぅ…と息をつく。
「今まで試みたことのなかったテレホンセックスがこれほど良いモノだとは…中田君には感謝せねば。」
薫はそう思いながら精の掛かったユーキの写真を丸めた。
「ふ…明日、また写真の現像を依頼するか…」

END

書く人氏>完成しました。
原作の優希と薫に少しでも似てたら幸いです。

779 :名無しさん@ピンキー:2007/02/24(土) 02:46:56 ID:/PcIw4ID
GJ!GJ!GJ!GJ!

780 :名無しさん@ピンキー:2007/02/24(土) 03:55:44 ID:CTnWhF5N
これだけ書けるんならオリジナルで書いたら

781 :名無しさん@ピンキー:2007/02/24(土) 15:51:27 ID:GQyvUENs
他人の設定を使うから楽しいのだ

782 :名無しさん@ピンキー:2007/02/24(土) 22:44:42 ID:6TKcy+hU
すげー!

GJGJGJGJGJGJGJ!

783 :書く人:2007/02/24(土) 23:38:29 ID:q2fXpazw
>>664さん超GJ!最高でした。

とりあえず続編を投下します。今回はエロなし。
次回の投稿はエロありで、多分月曜になるかと。

784 :書く人:2007/02/24(土) 23:39:19 ID:q2fXpazw
 東山高校の近くに、生徒の集まる店がある。その名も重食喫茶店『満腹亭』―――『軽』食ではなく『重』食。
 食べ盛りのスポーツ少年、少女をターゲット層にしたレストラン――というより食堂だ。
 サンドイッチが厚めの文庫本と同じくらいのサイズだという事実と、その店名からどんな店かは一目瞭然だろう。
 かつて倉庫だったものを改築した店内は広く二階建て。しばしば打ち上げなどの場所になる。
 優希も頻繁に利用している、リラックスできる気安い場所だった。
 そのいわゆるホームで、今日の優希はアウェーにいるかのように緊張していた。
 胸を必要以上に張り、肩は上がり、手は膝の上で握りこぶし。
 擬態語をつけるならカチンコチン。
 彼女が硬化している理由は、四人用のテーブルを挟んで反対側に座っている人物だった。
 性別は見まごうことなく女。その豊満なシルエットを男と思うことなど不可能だ。しかし、いやらしい印象はなかった。皺のないレディースのスーツとシックな夜会巻コームでまとめられたロング。化粧は濃いはずなのに上品。
 言わば大人の女性【完全版】。それだけでも優希には慣れていないタイプなのに、もう一つ絶対的に彼女を緊張させる要素がある。
 ブロンドの髪とエメラルドの瞳。
 彼女は明らかに日本人ではない。海外からいらっしゃったお客様―――外人さんだ。
 苦手科目英語の血統書付き日本人の優希には、鬼門というべき相手。
 対するレジーナには緊張は見えない、というよりむしろリラックスした、どこか嬉しそうな表情を浮かべて話しかけてきた。

「私、United Statesから来まシタ、レジーナ・セルジオと言いマス」
「えっ!アメリカじゃないの!?」
「……ユーキ。United Statesはアメリカだよ。それと何でアメリカだと思った?」

 返事を返したのは優希の隣に座る薫だった。先ほど優希に殴られた額に氷入りのグラスを当てている。返された質問に優希は戸惑いつつ応える。

「えっ、だって外国から来たならアメリカからかなって…」
「君の脳内世界地図には日本とアメリカしか存在しないのかね?」
「うっ、煩いなぁ!
 えっと、ふぇ、ふぇあ、あーゆー、けぇいむふろぉむ?」
「Oh my。ゴメンナサイ、ユーキタン。私、英語と日本語以外にはFrenchとChineseしか喋れまセン」
「ユーキ、彼女は語学には堪能だが平仮名英語は喋れない。日本語で頼む。あと正しくWhere do you come from?だと思うぞ」

 申し訳なさそうに言うレジーナと中学生レベルのミスに明らかに呆れたように言う薫。

785 :書く人:2007/02/24(土) 23:41:03 ID:q2fXpazw
 優希は自分の英語力の不足を思い知らされながら、とりあえず言い直す。

「えっと、セルジオさん。その「ゆないでっとすていつ」ってアメリカのどの辺り?太平洋側?大西洋側?」

 その質問にレジーナは目を見開く。それからゆっくりと目尻を下げ蕩けるような笑みを浮かべながらユーキを指差し

「カオル、ヤバイデース。抱きしめてもいいデスカ?」
「ダメだ。と言うよりもわざわざアメリカではなく合衆国と言ったのは確信犯かね?」

 薫の指摘にレジーナは子供のようにペロっと舌を出し

「Sorry。なんと言うかリアクションが一々可愛くてつい…」
「まぁ、気持ちはわからんでもないがね」
「……えっと、馬鹿にされてる?僕、馬鹿にされてるの?」
「NO!むしろその小動物的可愛さを褒め称えているところデスヨ、ユーキタン」
「ああ、獰猛な野生動物も小型な種は可愛い場合があると言う事を話し合っている」
「誰が獰猛だ!あとセルジオさんもその変な呼び方やめてください!」
「OK、ユーキ。その代わりユーキも私のことレジーナって呼んでネ」
「わ、わかりました。レジーナ…さん」

 呼ばれたレジーナは嬉しそうに頷く。

「それはそうと、何でユーキは、私の出身地にこだわるんデスカ?」
「えっ?べ、別にこだわってないけど…」

 思わぬ指摘に優希は鼻じろむ。優希がレジーナの出身について聞いたのは、自分の英語力で聞けるのがその程度の内容だったからだ。
 まあ、相手は日本語喋れるからそんなの気遣う必要ないとか、喋るべきことがないなら黙ってればいいとかいう説もあるが、初の生外国人との遭遇で、優希もそれなりにテンパっていたのだ。

「けれど聞いて―――Gee!そういう事デスカ!?
 オネーサンちょっと困っちゃうデス!」
「そういうこと、て…?」
「Ah me!照れちゃって!ユーキは…私に気があるんで「あるわけなかろう」Ouch!」

 優希の否定の前に、薫の突込みが入った。薫のでこピンがレジーナの額を捕らえ良い音を立てる。

786 :書く人:2007/02/24(土) 23:42:47 ID:q2fXpazw
「珍しいね、薫が突込みなんて…」
「不本意だがね。しかしレジーナは放っておくと一日中ボケ倒す。君も外国人という属性に騙されずに、相手をコテコテ大阪人とでも思い、容赦なくドツキ突込みを入れたまえ。息の根を止めるつもりで頼むよ?」
「Yes!むくつけき男にでこピンされるより美少女に『なんでやねん』ってされる方がはるかに気持ちいいデス!なんならピンヒールで踏んでくれてもかまいまセンヨ?」
「えーっと、ごめん、薫。これ、僕には手におえそうにないよ。
 …っていうか、学校につれた来たのって、僕に突っ込みを入れさせるため?」
「いや、それだけでもない。彼女は仕事で日本に来ているのだが、今日は休日でね。旧知である私を訪ねに来たのだが、その際、今日の演舞を思い出したのだよ。
 レジーナは普段はこんな感じの異常者だが、「異常は酷いデース!」普通の異邦人と同様アキバ系以外の日本文化への興味があってね。ちょうど良い機会だから見せてやろうと思ったのだ」
「Uh-huh!無視デスカ?シカトデスカ?コレがいわゆるJapanese I・ZI・ME!?」
「人聞きが悪いな。別にイジメは日本特有の物ではない」
「イジメのところは否定なしないデスカ!?」

 子供っぽく頬を膨らませながら不機嫌そうに言うレジーナと、面倒くさそうに辛らつな事を言う薫。だがそれほど怒っているようにも見えなければ、本気でうざったく思っているようにも見えない。
 口ではなんのかんの言いながら、気安い感じだった。
 それを見て…

 ちくり

(あ、あれ?)

 痛みが胸の奥に生じた。そして痛みの後、妙な感じの胸騒ぎがした。
 気持ち悪く、居心地悪く…

「こういうわけだが、理解してくれたかな、ユーキ?」
「あ、うん。仲がいいんだね。どういう経緯の知り合い?」
「うむ。一昨年まで霞がアメリカ留学をしていたろう。そのホストファミリーがレジーナの叔父だったのだよ。その繋がりだ。」

 薫は優希の内心の変調には気付かなかったようで、続きを言う。

787 :書く人:2007/02/24(土) 23:44:54 ID:q2fXpazw
「小学高学年から中学の始めころまで、頻繁に学校を休んでいたろう?」
「ああ、確か霞さんに呼び出されて…」
「そうだ。毎週のように味噌やら梅干やら納豆やらをもってこいと言われてね」

 頭痛でもするかのように、薫は顔をしかめる。

「…小学生単独で国際便に乗った回数では日本屈指の記録保持者だと自負しているよ」
「大変だったんだねぇ…」
「けれど、私は嬉しかったデスヨ、カオル」
「えっ?」

 優希が見ると、レジーナが能天気な笑顔とは一転した、穏やかな笑顔で言う。

「私にとってカスミはもちろん、カオルも大切なFamilyみたいなものデス。
 特にカオルは弟が出来たみたいで嬉しかったデスヨ?
 カスミが帰って、カオルも来てくれなくなって、私、すっごく寂しかったんデスカラ」
「レジーナ…
 ―――単に私が一緒に持ってくる漫画がなくなって残念だっただけではないのかね」
「いや、それもありマスけど〜♡」

 薫の冷めた言葉に、レジーナは再び一転。HAHAHAという擬音が似合いそうな表情に変わる。
 冷たい視線を照射する薫。その隣で、優希は言い知れぬ嫌な感情を覚える。
 理由はレジーナの表情と、言葉。
 レジーナが先ほど浮かべた表情は、同性である優希から見ても魅力的なものだった。まして異性である薫から見たらどんなものか。薫はいつもどおり口では突き放している。けれども本心では?
 さらにレジーナの言葉が優希の不安を増す。レジーナは薫の事を弟のようなものだと言っていた。だけれど、それは本当だろうか?弟以外の存在としてみていないだろうか?
 例えば…異性として。

「やっぱり聖地で買ってきてもらったのと、通販で買ったものじゃあ違うじゃないデスカ、オーラとか」
「同じだ。というかオーラなぞ知らん」

 軽口を交わす二人。薫とあんな風に話せる女は、自分と霞くらいなものだった。けれど、目の前で近い位置で言葉を交わしているのは、自分でも薫の姉でもなく、新たに来た飛び切り魅力的な女性。

「―――ユーキ?」
「えっ?」

 呼ばれて、はっとする。薫が不審そうに言ってくる。

「どうしたのかね?レジーナの巨乳でも見てエロイ妄想でもごぼっ」
「しないよ!薫こそなんだよ!鼻の下伸ばしてデレデレしてさ!
 レジーナさんも気をつけたほうがいいよ?コイツはムッツリスケベなんだからね」
「…スケベは認めるがムッツリではないのだがね?
 とりあえず、トイレに言ってくるよ。ユーキはレジーナが何かしないように見張っていてくれ」
「Muu、信用ないデスネ」

 不服そうに言うレジーナを置いて、薫は店の奥のトイレに入っていった。

788 :書く人:2007/02/24(土) 23:46:32 ID:q2fXpazw
 薫がいなくなると、自然と会話がなくなる。困るのは優希だった。

(ど、どうしようかな…)

 もちろん、最初の頃より大分緊張はなくなっているが、それでも何かを話すべきかわからない。優希自身は人見知りするタイプではないが、それでもいきなり国際派になれるわけでもない。

(英語でしゃべらナイトをもっと見とくんだったなぁ)

 益体もない事を考えているときだった。

「ユーキ?つかぬ事を聞くですがいいデスカ?」
「ん?何?」

 向こうから話し掛けて来てくれたことに安心しかけたが、それは罠だった。

「薫とは肉体関係デスカ?」

 ぶびゅ!

 飲みかけたアイスティーのほとんどが噴出し、一部が気道に入る。

「Oh,ダイジョーブですか、ユーキ」

 激しく咳き込む優希に、レジーナは心配そうにハンカチを差し出す。アイロンがかけられ綺麗に畳まれた―――メイド服を着た犬耳少女がプリントされたハンカチ。

「……ありがとう」

 一瞬躊躇ってから、優希は受け取って顔を拭く。

「イエイエ…で、どうなんデスカ?」
「どうって…そんなんないよ、僕は」

 ほとんど条件反射で首を横に振る優希。恥ずかしいと言う感情がまだ強いのだ。

789 :書く人:2007/02/24(土) 23:47:51 ID:q2fXpazw
 だが、優希はその判断を後悔することになる。

「そーデスカ!良かったデス」
「――っ?」

 レジーナの言葉に、優希は凍りつく。

「うむ、待たせたね」

 どういうことかと優希が問う前に、薫がやって来て席に着く。

「お帰りカオル、早かったデスネ?いわゆるソーローという奴デスカ?」
「……用法の間違えだとは思うが、酷く傷ついたよ?あと普通に用を足してきただけだ.
 で、さっきと言い今と言い、どうしたのだね、ユーキ。顔色が悪いが?」
「…何でもないよ。なんだよさっきから」
「―――そう、か」

 優希は、内心の動揺を抑えて返事をする。その中に僅かに余人には感じられない程度の違和感が出る。そして、薫はそれに気付く。
 問い詰めようと思ったが、しかしどう切り出していいか思いとどまる。
 その微妙な雰囲気に気付かず、レジーナが切り出した。

「カオル?ちょっといいデスカ?」
「ん、何かね?」
「実は今日来たのは観光以外にも理由がありマス」
「というと?」

 レジーナは、にへら、とした笑顔を引き締め、背筋を伸ばし襟を正す。

「アメリカに来て欲しいんです。
 私のパートナーとして」

 レジーナの、奇妙な語尾を廃した誠意を感じる言葉。
 その響きと内容に、優希は頭の芯が凍りつくような感じがした。

 つづく

790 :書く人:2007/02/24(土) 23:48:35 ID:q2fXpazw
とりあえずこんな感じです。
次回で最終回。エロエロで行く予定です。

791 :名無しさん@ピンキー:2007/02/25(日) 00:01:58 ID:O3IZgycL
うっひょ〜〜wwGJGJ

792 :空気詠み人知らず :2007/02/25(日) 01:34:37 ID:QPBglHk6
いつもと同じ朝。
いつも通りに目を覚まして、
いつも通り朝ご飯を食べて、
いつも通り家を出る。
でも、一つだけ、いつも通りでもまだ慣れないことがある。
「ユウジー!!行くぞー!!」
向かいの家に住んでる幼なじみへの声かけ。
いや、慣れていたのに慣れなくなったと言うのが正しいかもしれない。
「おおー。ちっと待ってろ。」
この返事の声を聞くだけで心臓が張り裂けそうになる。

あたし─瀬田奈月は高校二年生。
一応空手部の副主将だ。大学推薦の話も来るくらいだから腕前には自信がある。
「んでよー、そしたら犬が追っかけてきてさー。まいったよ。」
で、隣を歩いてるのが幼なじみの山部祐二。
中学まで一緒に空手やってたけど、医者になるとか言って空手はやめちまった。
あたしも身長は170pを超えているから大きい方だけど、こいつは180pもあって更にデカい。
手足も長くてリーチが長いから相当強くなれるのになんだって医者なんかに・・・
「おい、聞いてんのか奈月!」
「えっ!?な、何?」
不意に有事が覗き込んできてびっくり。一気に顔が熱くなる。
「だーから、今日の少テスト。お前まずったら補習だろ?」
かろうじて働く思考で考え、思い出す。
「げ!忘れてた!」
さすがに副主将が補習とは下級生に示しが付かないと主将にも釘を刺されていたんだっけ。
「悪い!先行くわ!」
「お、おう。」
返事を聞く前にあたしは走りだしていた。
もちろん、少テストは大事だけど、それよりも今は耳まで赤くなりかけている顔を祐二に見られたくなかった。
いつからだっけ?祐二の顔がまともに見られなくなったのは。
通学路を走りながら考える。
最近はいちいちあいつの顔が頭に浮かぶようになってしまった。
大好きな空手の稽古中でさえも・・・。

793 :空気詠み人知らず :2007/02/25(日) 01:35:19 ID:QPBglHk6
「病気かな、あたし。」
まだ人気の少ない教室の片隅で奈月は呟いた。
やはり気もそぞろというか、目の前のテキストに集中できないでいる。
「そんな事無いと思うにゃ〜♪」
「わぁ!?あっ、綾香!?いつからそこに?」
気付けば奈月の前には髪の長い少女が座っていた。ニヤニヤといやらしい笑いを浮かべながら。
「ず〜っといたけど、気付かないとは・・・よっぽど集中してたのね〜。」
「そっ、そうなn「祐二きゅんのことに♪」ッブふぅ!?」
図星を付かれ思わず吹き出す奈月。そしてそれを見てケラケラと笑う綾香。
「なっ!?なっ、な、何を!?」
まだ周囲には自分が祐二に好意を寄せていることがバレていない(つもり)の奈月は首をブンブン振って必死に白を切り通す。
「またまた〜、見・た・よ。2人で仲良く歩いてるとこ。
で、どこまでイったの〜?ほらほら、お姉さんに話してごら〜ん?」
が、そんなバレバレな態度でまかり通るわけもなく、質問と同時にジリジリと綾香は詰め寄っていく。
(うう、この女〜・・・!!)
祐二と奈月と綾香の3人は住む家も近く、小中高と同じ学校。
気心の知れた仲間といえば聞こえは良いかもしれないが、
その実、他の友達には決して知られたくないことまで知っていてなかなかやっかいな存在でもある。
しかし自分よりも男女付き合いの経験が多いであろう綾香に教えを乞いたいと思うのもまた事実。
話すかどうか迷ったものの、結局奈月は今朝の出来事を洗いざらい白状した。

「あんたねぇ〜中学生じゃないんだから・・・。」
「うう・・・。わかってるけど・・・。」
見事にテストをまずってしまった奈月は課題の山に埋もれつつ(実際はそこまでないのだが)呻いた。
「やっぱね〜ここらで一歩踏み出した方があんた達の為だと思うよ。」
「一歩?」
いつの間にやら牛乳を飲み始めサンドイッチを頬ばりながら奈月は頭にクエスチョンマークを浮かべる。
「告るのよ!コ・ク・ハ・ク!」
「ッブふぅ!?」
またも盛大に吹き出す。本日2回目。
牛乳を拭いつつもお得意のニヤニヤ笑いを浮かべる綾香を、奈月は口をあんぐりと開けてただただ呆然としていた。


794 :空気詠み人知らず :2007/02/25(日) 01:35:53 ID:QPBglHk6
どれくらいの時間テキストと睨めっこしていたのだろう。
鉛筆をくわえつつため息を漏らす。
奈月は放課後の教室で一人補習に勤しんでいた。
それというのも綾香が部活に逃げようとする奈月を無理矢理引き留めたからだ。
『いーい!?お馬鹿なアンタはここで勉強!そこに成績優秀な祐二がさっそうと現れて課題をお手伝い!
 二人っきりの共同作業で2人の間に良い空気が流れたところでズバッと告白!どーよこれ!?』
妄想垂れ流し女。今の綾香にはそんな言葉がぴったりだと一人心の中で頷く綾香だった。
『あー、あたし部活g『口答えしないっ!』はい・・・。』
『とにかく、私が祐二と話つけてくるから、“絶対に”逃げたりすんじゃないわよ!?』
まるで鬼のような形相の綾香を前にして奈月は首を立てに振るしかなかった。
思い出すのも馬鹿らしい。
「大体話つけてくるって、ヤンキーの喧嘩じゃないんだから。」
ぐるぐると奈月の頭の中に言葉と考えが渦巻いていく。
「そりゃーあたしは奥手かもしれないけど、空手で培った精神力てもんがあるし・・・。」
もはや今朝一人で赤面していたことは記憶にないようである。
「そんな大事なこと一人でできるっつーの!」
「本当に一人で出来んのか?それ。」
奈月がバンと机を叩いたのとほぼ同時に声がした。
祐二だった。静かにドアの所に立っていた。
(・・・え?・・うそ・・聞かれたの・・・?)
頭が真っ白になりそうだった。胃液がグツグツと煮えたぎって昼食を戻しそうになる。
全身の毛が逆立って、嫌な汗どっと吹き出す。心臓も今にも破裂するか、もしくは止まってしまいそうな勢いだった。
「かなりあるんだろ?課題。」
カダイ かだい 課題
「あ、ああ、うん。そう。」(聞かれてなかったんだ・・・。)
一気に緊張が解ける。まさに生き返るというのはこういう気分なんだろうなと実感した。
「にしても、結局無駄だったわけだな、お前の全力疾走。」
ケタケタと笑う祐二に綾香の姿が重なり、急に腹が立った。
大事な親友は殴れないけどこいつなら。
そう思った時、すでに渾身の正拳は祐二をダウンさせていた。
「馬鹿で悪ぅございましたね、未来の医学部生様。」
「い、いえ、めっふぉうもござびばせん。」
床に倒れた祐二にキツい言葉を投げかけながらも内心ほくそ笑む奈月であった。
(ありがと、綾香。)
「ほら、いつまで寝てんの!さっさと起きて手伝ってよ!」
「ぐべっ!?」
今度は蹴りが入れられ、祐二は起きあがりつつも痛みに悶えていた。

795 :名無しさん@ピンキー:2007/02/25(日) 01:48:51 ID:sZhB7p0W
おや、今日はコレで終わりですか?
続きを期待してます。

796 :名無しさん@ピンキー:2007/02/25(日) 10:39:30 ID:Hg54RbJH
そーいえばこのスレって、どこの保存庫にも保存されてないよね?

797 :664:2007/02/25(日) 18:17:26 ID:eK6/vits
原作者に誉められる事こそ我が名誉。
次回はレジーナも混じって3Pデスカ?

798 :名無しさん@ピンキー:2007/02/26(月) 00:04:41 ID:ND+YV1MB
↑いやや

799 :空気詠み人知らず :2007/02/26(月) 00:40:35 ID:lG5x/xb8
「だ〜か〜ら〜!この場合意味上の主語はItじゃないって言ってるだろこんバカ!」
「うっせーなー!わかる言葉で説明しろってーの!!イミジョウノシュゴってなんだよ!?」
こんなやりとりが1時間以上は続いただろうか、日はすっかり傾き空を赤く染めている。
なんだかんだ言いつつ、奈月は順調に課題をこなしていた。それでも半分程度なのだが。
恐らく一人で取りかかったら今の三分の一も進まずに撃沈していただろう。
ただ問題は
「なんだよ待っている部屋って!待合室だろ!」
「あ〜!同じようなもんだろ!!」
綾香の考えた良い空気というのは全く流れていないこと。そして奈月自身も
(さすがに今日は・・・いいよね。)
もはや告白など出来る心境ではなかった。
何度も似たような口論が続いていたが、下校時間を知らせるチャイムが鳴る。
「おっと、こんな時間か。よし、続きはお前ん家な。」
さらっと祐二が放った一言に奈月は耳を疑った。
「え?来んの?」
祐二は至極当然のように頷く。
「だ、ダメダメダメダメ!!!絶対ダメ!つーか無理!!」
首が取れそうな程ブンブンと振る。
「何でだよ?終わってねーだろ、課題。」
「何でって・・べ、別に明日提出しなきゃいけない訳じゃないしさ!」
「明日提出じゃなくたって、どーせお前一人じゃわからないんだからいつだって同じだろ。
 それに、人の親切には甘えとくもんだ。」
確かに奈月一人では課題をこなすのに一ヶ月はかかりそうな量。
しかし、彼女にはどうしても祐二を部屋に招きたくない理由があった。
断りにくい雰囲気も手伝い、渋々と提案を受け入れることにした。
「で、でもさ、あたしの部屋汚いから、片づけなきゃダメだからさ、晩飯食ってからにしてくれよな!」
「お、おう。別にいいけど。」
「じゃ、あたし先に帰って片づけするから!」
朝と同様に返事を聞く前に奈月は急いで帰路へとついた。

800 :名無しさん@ピンキー:2007/02/26(月) 19:30:53 ID:lbInrqFq
wktkだけどさ、もちっと纏めて投稿した方が…。

801 :書く人:2007/02/27(火) 01:00:00 ID:wneROsMh
(一体どうした事なのだろうか?)

 薫は、困り果てていた。
 大野 薫はそれなりに自分の知能に自信があった。だが、その頭脳を以ってしても、現状の把

握は困難だった。
 現状とは即ち、自分の唇を優希が積極的に吸っている―――キスしている状態だ。

「…っ…ぁん…ちゅ……ぷちゅ…ん……」

 積極的に舌を絡ませ、唾液を交換する優希。
 普段は消極的――というよりマグロといってもいいほどにさせるがままの優希の口撃に、薫は

戸惑いいつもと逆の立場で蹂躙されている。
 嫌ではない。

(むしろドンと来いといったところだが…)

 しかし、何か違う。何かがおかしい。
 具体的には優希の様子だ。
 いつもの優希は恥ずかしがりながら、おっかなびっくりといった風にこちらを求めてくる。散

歩近づいて二歩下がり、しかし耐え切れずまた寄ってくる。
 さしずめ野生動物の餌付けのような感じだ。

(今日のユーキは違う)

 今日の優希はまるで餓えた野獣のように、こちらをひたすらに求めてくる。
 餓えて、空腹に追い詰められた獣。

「っはぁ…はぁ……」
「ユーキ、今日はどうして…ぅむっ」

 問い返そうとしたら、またキスで口をふさがれた。
 そしてそのままベッドに押し倒される。
 そのベッドは、薫の使い慣れた物ではなかった。仰向けにされた視界は天井――の、鏡。
 そう、鏡。天井全体を覆うガラス体。部屋の壁も一面が鏡でもう一面はガラス張りの向こうに

風呂場。
 ラブホテル。

(なぜ私はここにいるのか?)

 優希の舌を感じながら薫は三十分の事を回顧する。

802 :書く人:2007/02/27(火) 01:00:35 ID:wneROsMh
「アメリカに来て欲しいんです。私のパートナーとして」

 レジーナの言葉に衝撃を受けたのは優希だけではなかった。同じ以上に、薫は驚いていた。

 実は、薫はアメリカの一部――株・証券取引業界では少々有名人だった。
 転んでもただでは起きないというか、薫は霞に呼び出された時、その元を取るべく行動した。
 それは、大学に通うことだ。正確には大学の講義を聞くことだが。
 潜り込んだ先は経済学部。ちょうど霞のホームステイ先の人の伯父が教授をやっていたため、

厚意で受けさせてもらえた。そして霞が帰国する直前、薫はアメリカでの勉強の集大成として株

価のシミュレートソフトを作った。
 ネット上にフリーソフトとして公開されたそれは、機関投資家に大きな衝撃を与えた。偶然そ

のプログラムをDLして、プログラムが示す通りに投資していった配管工が、一ヶ月で二百ドル

を二十万ドルにまで増やしたのだ。
 その噂がネット上に広まり、薫の作ったプログラムは多くの人がダウンロードした。その使用

者の多さのあまり株の動きが変化し、薫のプログラムの予想を外れてしまったほどだ。
 市場という系の中に想定していなかった自己という要素が加わり、結果として薫のプログラム

は予想を外し、多くのダウンロードした者達は、配管工が単に幸運だったと結論付け、薫のプロ

グラムを捨ててしまった。
 一方そのプログラムの優秀性を認めた投資家は、そのプログラムの製作者を血眼になって探し

た。しかし、よもや日本から姉にお使いを頼まれてやってきた十三歳の少年が、力試しに作った

物とは考えもよらず、薫に辿りついた者はいなかった。
 ただ一人、一緒に隣り合って講義を聞いていた経済学部のセルジオ教授の娘、レジーナを除い

ては。


「―――と、まあ、大体こういう経緯でね」

 満腹亭から出た後、レジーナとの会話の間、ずっと沈黙していた優希に言った。
 レジーナは既に去っている。電話で霞に飲みに誘われたからだ。

「一緒に来てくれるなら共同経営者の椅子も用意しマスヨ?」

 レジーナは23歳の若さで、既に年商億ドル単位の投資ファンドの経営者だ。会社自体は父親の

それを株分けしてもらった物だが、親の七光りなどでなく、彼女が本格的に経営に乗り出してか

らは業績を伸ばし、経営規模を拡大していてる。その辣腕と美貌は注目を集め、雑誌の拍子にな

った事さえある。

803 :書く人:2007/02/27(火) 01:02:10 ID:wneROsMh
 その人物からの誘い。薫自身は金や地位や名誉などといった物にはあまり価値を見出さない性質だ。しかし、

「…どうするの?」
「―――何がだね?」

 優希の呟きに、まるで心を見透かされたような気がして、薫は少しバツが悪くなりながら答える。

「残念ながら彼女とコンビを組んでアメリカでデビューする気はないよ。
 するとすれば吉本でだね。強烈なハリセンを開発してからの話だが…」
「真面目に…答えてよ」

 いつもの張りがない優希の声。盗み見るが、俯き加減の優希の顔は、前髪に邪魔されてみる事ができない。
 少し迷ってから、薫は正直に答えた。

「―――惹かれていない、といえば嘘になるね」

 自分の能力が認められ、そしてそれを欲せられるというのは、悪い気がしない。

「そう…」

 優希は、ただそれだけ答えた。
 薄い反応に、薫は不安になり、何かを言おうとして―――唇を、奪われた。

「っ!?」

 その行為に薫は驚く。
 優希は、極めて恥ずかしがりやだ。二人きりのときですらキスを躊躇う。まして人通りのある路上でなど。
 しかし現実、優希はキスをしてきた。唇を重ねるどころか舌を入れる。通行人の何人かがこちらを見てくるが、それでもやめない。
 十秒ほど経ってから優希は唇を離す。

804 :書く人:2007/02/27(火) 01:03:35 ID:wneROsMh
「ユーキ?」

 戸惑う薫に優希は答えずに手を掴むと、強引に引っ張り無言で歩き出す。

「…?ユ、ユーキ?どこへ…」

 それでも優希は答えない。薫の手を引いて歩いてゆくのは、裏の路地だ、そこを抜けて進んでいく。
 答えを得られないと判断した薫は、抵抗を完全に諦めれると、手を引かれるままに優希についていく。
 右へ左へ…。やがて二人はいかがわしい店が集まる地区―――いわゆる歓楽街に入っていく。
 薫は私服だが優希は学校指定のブレザーのまま。流石にまずいだろうと、薫は優希を止めようと思う。それより早く、優希が立ち止まった。ビルの前だった。
 薫は不審に思って顔を上げて、固まった。

「ここ、入るよ」

 優希は薫と視線を合わせずに宣言すると、固まった薫の手を引っ張ってそのビルに入っていった。
 そのビルこそがラブホテルだった。



(つまりどういうことだね?)

 回想を終えて薫は現実に戻ってくる。
 現実世界では、ベッドに腰掛けた薫の一物を、優希が咥え奉仕していた。

805 :書く人:2007/02/27(火) 01:04:39 ID:wneROsMh
「んっ、んっ、ちゅっ、じゅぱっ、ちゅりゅるるぅっ!…ちゅ、はぅ、むぅ」

 一心不乱に舌を這わせ、吸い上げ、扱き上げる。普段より雑だが、勢いと思い切りがよく、いつもと違う感覚に薫は少しずつ追い詰められていく。
 手のほうはといえば、片方は肉棒を支え、もう片方は自分の秘裂にやり、引っかくように刺激している。薫の位置からは見えなかったが、既に指の一本が埋まり、奥まで刺激していた。
 唾液の音と混じり、淫液が空気と掻き混ぜられ、泡立つ音さえ聞こえてくる。

「今日は…激しいね、ユーキ」

 かけた言葉にも、ユーキは反応せずにひたすら口淫と自慰に没頭する。
 その様子に、薫の中の違和感はだんだんと増していく。
 心が食い違っている感覚。
 手を伸ばせばすぐ触れれるところにいるはずの優希が、だけれどもずっと遠くにいるような感覚。
 心が、触れ合っていない。

(このような状況で、抱くわけにはいかないね)

 セックスは、体と一緒に心が触れ合ってこそ。薫はそう考えている。
 幻想だとは思っていない。生理的な開放、快楽が欲しいなら自慰で十分事足りる。
 それでもなぜ人間は、わざわざ相手を探すなどの手間や妊娠のリスクを得てまでセックスをするかといえば、それは体温と、受け入れあうことの充足感を得るためだ。
 今、優希を抱いたら、生理的な快楽も、体温も手に入る。だが…

(心は、得られない)

 今日はやめておこう。
 薫は優希の顔に手をやり腰を引き、そっと自分の一物を優希の口内から引き抜く。

「もういい、ユーキ」
「じゃ、入れるよ」
「それもいい」
「…っ!」

 床に跪くようにしていた優希が、打たれたように顔を上げた。まるで裏切られたかのような、ショックを受けた瞳。
 その目に、理由のわからない罪悪感を覚えるが、それでも言うべきことは言わなくてはいけない。

「今日はもういい。今日の君を、抱くわけにはいかない」

 言い終えると薫。優希は再び俯き…

「そんなに…」

 そして叫んだ。

「そんなにレジーナさんの方が良いの!?」

806 :書く人:2007/02/27(火) 01:05:27 ID:wneROsMh
 何を言っているのか、そう問い返す前に、薫は押し倒された。

「ユーキ!落ち着…」
「渡さない!僕、嫌だよ!薫は僕のだもん!渡さないんだから!」

 かんしゃくを起こしたように叫びながら優希は薫に跨る。
 優希はその体格からは想像がつかないほどに力が強く、そして重心のあつかい方も心得ている。その資質と技術は、男女の力差を十分屈返す。
 薫を押さえつけながら、優希は薫の一物を自分の中に導こうとする。
 まだコンドームをつけていない一物を…

「ユーキ!ダメだ!避妊を…!」
「嫌だ!」

 一周すると、優希は秘裂に薫の先端を押し付けて、力を込めた。
 だが、薫の一物を簡単に飲み込めるほど、優希の淫孔は開いていない。
 愛液に滑る花弁を擦りあげるだけ。

「あ、あれ?入らない…僕のに、薫が入らないよ」

 焦ったように優希は腰を動かすが、それでも優希は自分の中に薫を導くのに失敗する。
 優希は手で薫のそれを掴んで方向を決めて入れようとするが、一度焦った意識はその動作を失敗させる。まして、いつも挿入は薫がやっていて、優希はひたすらマグロだった。
 焦りと経験不足で、優希は薫を導き入れれない。
 その姿を、薫は痛々しいと思った。
 原因は解らない。何を優希が思っているのかも解らない。
 しかし、それでも優希が辛そうなのは―――泣いているのは事実だ。

「ユーキ」
「っ!?」

 薫が優希の頬に手をやって涙を拭う。優希が驚いたのは薫の手のためか、それとも自身が知らないうちに流していた涙のためか。
 その時が、満腹亭をでてから初めて、まともに優希と目が合った瞬間だった。
 優希の目には、怯えが見えた。
 だから薫は、少しでもその恐怖が和らぐようにと撫でながらいう。

「ユーキ。落ち着いてくれ」

 自分の鉄面皮を呪いながらも、それでも可能な限りの笑顔を作って…。
 自分のぶっきらぼうな物言いを呪いながらも、それでも可能な限りの優しさを込めて…。

「ユーキが泣いていると、私も悲しい」

 抱き寄せる。
 優希は先ほどまでの暴れっぷりが嘘のように、軽く倒れこんでくる。
 薫自身が若干のコンプレックスを抱いている『板」というにはあまりに薄い胸板に顔を埋めてから、優希は力なく、言葉を零した。

「ゴメン…薫…ゴメンナサイ…」

 その言葉の後に、堪えるような嗚咽を、薫は自分の胸元から聞いたのだった。

807 :書く人:2007/02/27(火) 01:06:19 ID:wneROsMh
 つづく


 ゴメン…読者の皆様…ゴメンナサイ…。
 本番は次回、最終回も多分次回。

808 :名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 01:11:46 ID:rMp1O0Ye
GJ。
最終回とは寂しいが、wktkして待ってます。

809 :名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 01:57:07 ID:oThoAryg
GJデーース!

810 :名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 02:47:51 ID:h85rW07m
優希さんテラ積極的

811 :690:2007/02/27(火) 03:58:00 ID:Kz7Rm4c8
ファンタジー
エセ軍人物
ウィルトス×クロル
ローションプレイ
本番なし
続編投下させていただきます

 軍服を脱ぐと、まるで軍人に見えない。
 筋肉も、人並み以上にあるとは思えない。
 エプロン姿に全く違和感が無い。
 それなのに、よく――。
「よく、ヴィクター少佐、投げられましたね」
 楽しげにパスタを茹でていたウィルトスが、独り言のようなクロルの問いかけに首だけで振り向いた。
「投げたんじゃありません。避けたんです」
「……いや、でも、回ってましたよ。綺麗に」
「えぇ。彼は力が強いですから」
「はぁ……」
 勝手に自滅してくれます。などと、恐ろしく失礼な事を平気で言う。
 クロルは頭の中でウィルトスとヴィクターの体格を比べ、そんなものかなと首をかしげた。
「傍にクロルさんがいるのに殴りかかってくるなんて、余程僕に腹が立ったんでしょうね。見ま
したか、あの顔。殺されるかと思いました」
 笑い事では無い事を、笑いながら話す。
 冗談ではなく、あの時のヴィクターの拳を正面から食らっていたら良くて病院、悪くて墓場行きである。
 クロルは咎めるようにウィルトスを睨んだ。
「教官が挑発するような事言うからです。大事になる所だったんですよ。ちょっとは反省してください!」
「大変だ。パスタがのびます」
 言うだけ無駄か。
 クロルはがっくりと肩を落として溜息を吐き、テーブルに突っ伏した。
 あの後、ヴィクターはどうしたのだろうか。
 少なくとも、ひどく混乱しているだろう。
 恋人がいる身で他の男に迫る女の神経を、ヴィクターが理解できるとは思えない。
 そして、恋人のいる女を抱いてしまった自身に対し、激しい嫌悪を覚えるに違いなかった。純
愛を夢見るヴィクターには、あまりにも状況が重過ぎる。
 クロルは盛大に溜息を吐いた。
「……なんで、ばらしちゃったんですか……」
 責めるような口調で呻く。
「彼が君を抱いたからです」
 振り向かずに、ウィルトスが答えた。
 むっとして顔を上げ、後姿を睨む。
「だから……少佐はなんも知らなかったんです! 僕が無理やり犯したんだって言ったじゃない
ですか! それなのに、あの人、絶対自分で自分を責めます……」
「じゃあクロルさんは、ずっとヴィクター少佐を騙し続けるつもりだったんですか?」
 騙す。
 ウィルトスがあえて選んだその表現に、クロルはぐっと言葉を詰めた。
「よ……余計な情報を与えないだけです。僕に恋人がいるって知らないままなら、きっと少佐も、
そんなに悩まないですみました」
「そして、自分の感情を自覚して、君に思いを伝えるでしょう。君に恋人がいると知らないまま
ね。その時、君はどう答えるつもりだったんですか? 確かに、断る理由はいくらでもでっち上
げられます。しかし残念ながら、彼はそんじょそこらの男と違う。そう簡単には諦めません」
 根性の塊です。と呟いて、やれやれと首を振る。
「だから、ヴィクター少佐は僕の事なんか――!」
「愛していなかったかもしれません。でも、君が彼に抱かれた事で、彼は君を意識します。男女
間の友愛は恋愛感情に非常に近い。男同士ですら、同性愛に走りたがる。今まで彼が君をどう思
っていたかは無関係です。君は引き金を引きました。状況が変わったんです」
「そんな……!」


812 :690:2007/02/27(火) 03:58:37 ID:Kz7Rm4c8
「君はヴィクター少佐にとって部下であり、副官であり、戦友であり、親友です。その上君は、
男性に抱かれる事が前提の様な任務に赴く。彼にとってクロルさんはタブーです。禁忌です。絶
対愛しちゃいけない対象です。それでも君を愛するぞ、と決めたヴィクター少佐に、一番最初に
与えるべきだった情報を、一番最後に、絶望を与える目的で突きつけるんですか? 恋人がいる
んだと、その時になって言う気ですか? それともそこでも嘘を付いて、彼が自分で真実を知る
まで騙し続けるんですか? そんなのはだめです。いくらクロルさんでも、そんな卑劣な事は許
しません」
 世間話のような口調で、しかし口を挟む間は与えず、ウィルトスはごくごく静かに言い放った。
 無意識に、奥歯に力がこもる。
 それでも、一言でもいい。何か、反論をしたかった。
 言いたい事は確かにどこかにあるはずなのに、焦燥が募るばかりで上手く言葉が出て来ない。
 俯き、唇を噛んで黙っているクロルの前に、重たげな音を立てて皿が置かれた。
 グラスにワインを注ぐ音がする。
 ウィルトスが正面に座る気配がしても、召し上がれ、と言われても、クロルは顔を上げる事が出来なかった。
「怒ってるんですか?」
 困ったような声に、クロルはようやく顔を上げた。
「ごめんなさい。でも、これはどうしても譲れない。嫌いになりましたか?」
「違います! 僕、怒れる立場じゃ……でも……僕たちは、今までずっと親友で……一回抱かれ
たくらいじゃ、なにもかわりません……」
「変わりますよ。劇的に」
「僕の恋人は教官です! 僕は教官が好きなんです! これからもずっと教官が好きで、それに、
ヴィクター少佐は、恋人がいる女に手を出したり出来るような人じゃ……」
 だから、何も変わりはしない。
 例え、ウィルトスが言うとおりヴィクターの中で何かが変化したとしても、状況は何も変わらないのだ。
「クロルさん。僕は彼が女性を愛している所を見た事が無い。だから、これは賭けです。恋人の
いる君を、彼がそれでも欲しがるか。僕から奪ってでも、君を手に入れようとするかどうか」
 ヴィクターがクロルに恋愛感情を持つ事は、ウィルトスの中では最早大前提の様だった。
 クロルはそれさえ否定したかったが、それは、ウィルトスの言うとおり、そのうち分かる事である。
「なにせ、女性に対する思い入れや行動は、人柄にあまり反映されませんからね。こればかりは
予想もできない。もし彼がこのまま君を諦め、思いも伝えずに現状維持を選ぶとしたら、彼の心
神に多大な悪影響を及ぼす事になりますねぇ」
 そうなれば、毎日失恋の対象と顔を合わせる事になるのだ。誰だろうと憂鬱になる。
「僕としては、『思いだけは伝えておくぜ』って感じが有力だと思うんですが、どうでしょう?」
「ただ、後悔と自責で首括るだけかもしれませんよ……純愛まっしぐらだったのに、突然ドロド
ロ愛憎劇の真っ只中に引っ張り込まれたんですから」
「ですから、引っ張り込んだのはクロルさんで……」
「だから、教官がばらしたのが……!」
 言いかけて、やめた。
 自分がヴィクターに迫ったのがそもそもの原因である。
 感情が先行しすぎて、軽率だったのは明らかだ。
「ところでクロルさん。今、重大な問題が現在進行形で起こっているのですが……」
 すい、とウィルトスがテーブルの上を指差した。
「冷めます。なおかつ、伸びます」
 ようやく、出された料理に目をやる。
 とても、物を食べるような気分ではなかったが――。
「……いただきます」
 一口食べる。
 飲み下すと、空腹を思い出した。
 ウィルトスが満足そうに頷く。
「おいしいでしょう」
 満面の笑みで聞かれ、クロルはしばし躊躇した。
「あれ? おいしくないですか?」
「いえ、あの……」
「正直に言ってください。覚悟は出来ています」


813 :690:2007/02/27(火) 03:59:12 ID:Kz7Rm4c8
 戦に望むような顔で言われ、クロルは悩んだ挙句にフォークを置いた。
「少し、セロリの香りが、きついですね」
「はい。多めに入れましたから」
 苦笑いが浮かぶ。
「僕、セロリ嫌いなんです」
 ウィルトスの笑顔が固まった。
 奇妙な沈黙を挟んで、ウィルトスが溜息を吐く。
 静かに席を立ち、戸棚の引き出しから手帳を取り、めくる。
「クロルさん」
「はい……」
「今更ですが、君の好物と嫌いなものを教えてください。メモします」
 思わず、二人して吹き出した。
 
         *
 結局、ウィルトスに出してもらったトーストで食事を取った。
 恋人になってから随分経つというのに、お互いの食べ物の好みも知らない事にはさすがに呆れる。
 しかしこれを好機と考えた二人は、お互い交互に質問をし、嘘を付かずに答えるというゲームを開始した。
 これで教官のデータも売れますね、などと不埒極まりない事を言うクロルに、ウィルトスは寛容である。
 売り上げの三割で手を打つと、澄ました顔で言ってのけた。
 何時間かはそうして、ただ喋る事を楽しんだ。ウィルトスが時々思い出したように持ち掛けて
くる時間の取引に戸惑う事はあったが、それさえも楽しいと思う。
 膝枕をさせろと言われた時は流石に困ったが、恥ずかしいと言うのも癪なので了承した。
 ソファに座ってどうぞ、というと、きょとんとした顔でそうじゃないという。
 それではと言われるままに動いたら、ソファに寝転がったクロルの頭をウィルトスが膝に抱く形に落ち着いた。
 普通逆ではないかと思うが、ウィルトスに普通が通用しないのは今に始まった事ではない。
 そして質問も付きかけてきた頃、クロルはふと、腫れの引いてきたウィルトスの頬に目をやった。
 青く変色しつつあるそこは、見るだけで痛い。
「……まだ、痛いですか?」
 ウィルトスは頬に手を添えて、少しだけ考えた。
「触ると痛いですが、放って置けばどうって事ありません」
「ヴィクター少佐の時は避けられたのに、変ですね」
「彼とは喧嘩なれしてますから」
 平然と答えたウィルトスに、クロルは目を丸くした。
「びっくりですか?」
「び……びっくりです」
 ウィルトスが自慢げに笑う。
「昔、彼がまだ僕の部下だった頃です。あまり年の変わらない僕が上官なのが気に食わなかった
のか、見るからに軟弱な僕に命令されるのが気に食わなかったのか、やたらと突っかかってきま
してね」
 あの、ヴィクターが?
 クロルは信じがたい思いで絶句した。
「何度か殴り合いの喧嘩になりました。もちろん、僕は全勝してます。一発でも食らうと本当に
命が危ういので、必死でした」
「よく、ご無事で……」
 そうとしか言い様が無い。
 ヴィクターの拳が一発でも直撃していたら、ウィルトスが今、五体満足で歩けている保証はないのである。
「その頃から、かっとなると真っ直ぐ懐に突っ込んでくる癖は変わりません。なんども直せと忠
告しましたが、頭に血が上るんでしょうねぇ。なので、彼が殴りかかってくる前に思い切り挑発
して、なるべく思考力をそいでおけば助かります。猪突猛進タイプと戦う場合、この方法は最高
にオススメです」
 お試しあれ、と言われても、さすがに試す勇気は無い。
 頭に血が上ったヴィクターが加減して殴ってくれるとは思えないため、当たれば確実に死亡コースだろう。
 自分が死ぬのも嫌だが、その後のヴィクターを思うととてもじゃないが、挑戦する気は起きなかった。
 巨大なデメリットに反してメリットが一つもない。


814 :690:2007/02/27(火) 03:59:56 ID:Kz7Rm4c8
「指揮官としては、それ程無能じゃないんですけど……」
 思わず、庇うような言葉が出た。
 一応自分の一番身近な上官であり、何より大隊指揮官である。遠まわしに単純馬鹿と言われて
は、弁解の一つもしたくなる。
「客観的にコマを動かすのと、主観的に自分が動くのとでは根本的に違います。だから僕は彼を
指揮官に推しました。彼は指揮官としては有能です。何せ迫力と人望がある」
 褒められると、今度はなんとなく照れくさかった。
 自分が褒められている様な感じがしてくすぐったい。
「そんなに嬉しそうにしないでください。妬けます」
「う……嬉しそうになんて……!」
「してました。客観的事実です」
 髪を撫でていたウィルトスの手が止まり、ふと、思い出したように唇をなぞった。
 感触を楽しむように撫でる指を、追いかけて咥える。
「あ、噛んだ」
「くぁえてうんでふ」
 いつも手袋をして生活しているウィルトスは、肌も綺麗でさわり心地もとてもいい。
 逃げられないように手を添えて、指を一本一本丁寧にしゃぶると、ウィルトスが楽しそうに笑った。
 ヴィクターなら、顔を真っ赤にして怒鳴るだろうに。
「なんだか、赤ちゃんみたいですね」
 これである。
「色気的なものはありませんか……」
「残念ながら皆無です」
 流石に落ち込んだ。
「じゃあ、教官はどうすれば僕に色気を感じてくれるんですか」
 唇を尖らせて聞くと、ウィルトスは虚空を睨んでわざとらしく唸った。
「難しい問題です。まず、色気の定義が曖昧だ」
「質問を変えます。どうしたら教官は、僕に欲情してくれるんですか?」
 いちいち面倒な男である。
 クロルが溜息さえ吐いて投げかけた質問に、ウィルトスはしばし考え込んだ。
 これだけストレートに聞けば、回りくどい定義がどうのという話になってはぐらかされる事はないだろう。
 裸で迫っても、『お風呂にでも入りたいんですか?』と聞くような男である。どんな答が出てくるか楽しみだった。
「過去の例を鑑みるに、概ね、クロルさんの感情に依存している気がします」
 よく、意味が分からなかった。
 クロルが眉間に皺を寄せてウィルトスを見返すと、ウィルトスが嬉しそうに微笑み返す。
「つまり、クロルさんが僕に性的興奮を覚えると、僕もその感情に引っ張られるという事です。と言うわけで、どうぞ遠慮なく僕に欲情してください」
 あまりにも受身である。
 積極性がまるで無い。
 クロルは深く落胆し、もういいですと呟いてウィルトスの膝に顔をうずめた。
「あれ? どうかしました? 僕、何か悪い事しました?」
 ――どうせ僕は、セックスアピールゼロですよ。
 そんな捻くれた思いを胸に秘め、頑なに顔を上げずに押し黙る。
 ウィルトスが髪を撫でたり、声をかけたりと機嫌を取ろうとしてくれたが、クロルはヘソを曲
げたまま何の反応も返さなかった。
「わかりました。じゃあ、お風呂に入れてあげましょう」
 これでどうだと言わんばかりに、ウィルトスが最終兵器をクロルの鉄壁の城砦に突きつけた。


815 :690:2007/02/27(火) 04:01:09 ID:Kz7Rm4c8
 隔壁が一枚突き崩される。クロルは思わず、ウィルトスの表情を伺った。
「もちろん僕が綺麗に洗ってあげます。マッサージのサービス付です。お風呂上りに冷たい
ミルクもおいしいです」
 全てが素晴らしく魅力的である。これら全てを無視するのは、あまりにも辛い。
「……卑怯な」
 思わず呻いた。
 ウィルトスが胸を張る。
「参謀ですから」
 葛藤は長くは続かなかった。
 腕を負傷して以来、髪も思うように洗えなかった今のクロルに、この取引はあまりに甘い誘惑に満ちている。
 そして、クロルは陥落した。


「普通、お風呂に二人で入ると、エロ本もかくやな事になるんだけどなぁ……」
 ふぅ、と泡を溜息で飛ばし、呟く。
 腕まくり膝まくりで湯船のクロルを洗っていたウィルトスは、クロルの呟きに動じた風もなく、
シャワーの蛇口を捻ってクロルを包む泡を洗い流した。
「だいたい、教官服脱いでないし。変ですよ、これ、契約不履行ですよ」
「僕は“おふろに入れてあげる”と言ったんです。約束の通りです」
「詐欺だー!」
 文句を言って暴れるクロルに、頭からシャワーを浴びせてシャンプーを洗い流す。水に遮られ
て言葉が意味を成さなかったが、それでもクロルは文句を言い続けた。
「はい、これで綺麗になりました。気持ちよかったでしょう?」
 湯船に湯を張りながら、ウィルトスが楽しげに聞いた。
 少し熱めの湯が少しずつ水位を上げて行く湯船に収まりながら、クロルが唇を尖らせる。
「教官と一緒に入りたかったのに……」
「入浴剤をいれましょう。実は先日、あらゆる種類の入浴剤の試供品を大量にもらいました。
なんでも、その中から寮の大浴場に使う入浴剤を選ぶらしいです」
「いらないでしょう、そんなもん」
「女性寮限定だそうです。軍人でもお肌は気になるとか……」
 それを男の僕が選ぶんだから、妙ですよねぇ、と暢気に言いながら、ウィルトスは一旦浴室を
出て、ダンボールを抱えて戻ってきた。
 なる程、試供品の山である。
「僕が選んでいいんですか?」
「はい、どうぞ」
 湯船から半分身を乗り出して、中身を漁る。
 少し機嫌が直った。ウィルトスにしてやられ続けている感が否めないが、わくわくしているの
は否定できない。
「なんか、明らかに女の子向けな入浴剤ばっかですね」
 ピンクやらブルーやら、ポップなロゴも愛らしい包装ばかりである。中にいくつか疲労回復や
らをうたった正統派が混ざっているだけで、後は殆ど、美肌やらお肌の引き締めやらを全面に押
し出している。
「今回使用するのが女性ですから、企業も女性受けするのを選んだのでしょう。残念ながら、選
ぶのは僕ですが」
 作戦は見事に空振りといった所か。
 ウィルトスが愛らしい包装に踊らされて妙な物を選ぶとは思えない。
「あ、これ面白い」
 ぱっと選び出した包装に記された商品説明を読んで、クロルは思わず呟いた。
「お湯がとろとろするんですって。髪に付いたら厄介かなぁ……あ、でも髪についても大丈夫っ
て書いてある」
 ――お湯を淡いピンクに染め、花の芳香とかすかなとろみが、貴女の心も体も柔らかく揉み解します。
「……狙い過ぎ。却下」
 ぽい、とダンボールの中に放り出す。
 するとウィルトスがそれを拾い上げ、制止する間もなく浴槽に流し込んだ。
「ちょ……ちょっと教官!? なにやってんですか花の香りですよ! 乙女街道まっしぐらじゃ
ないですか!」


816 :690:2007/02/27(火) 04:01:55 ID:Kz7Rm4c8
「いいじゃないですか。面白そうです。あ、本当にとろみがついてきた。薄めのローションって
感じですね。全開コラーゲンって感じです」
「やだ。出る」
「だめです。よーくあったまらないと、湯冷めします」
 立ち上がったクロルを、たしなめる様な視線で見上げる。
 強行して出ようとすれば、恐らく大惨事になるだろう。クロルは常識人の心でぐっと堪え、大
人しく湯で満たされつつある湯船に体を沈めた。
「うわぁ、な、なんかぬるぬるする」
「そういう入浴剤ですから」
 透明なピンク色に染まった湯から、甘すぎる花の香りが立ち上る。
 これで、世の少女達は安らげると言うのか。クロルには到底理解できそうもない世界である。
「うぅ……モンスターの口の中って感じで……」
「入った事あるんですか?」
「ないですけど……」
「歯の無いタイプの分類不能種の口の中には、口に入れた生物を捕らえて逃げられないようにす
るための触手がある事が多いんです。知ってました?」
「知ってますよ、それくらい」
「さすがクロルさん。勉強してますね」
 ウィルトスが風呂の湯でぬる付く指で、蛇口を閉める。
 急に静かになった浴室が妙に寒く感じて、クロルは粘り気を帯びた湯を手ですくい、恐る恐る
全身を湯船に沈めた。
「……慣れれば、どうってことない……かな」
「ふうむ……感慨深い」
「はい?」
「そそりますね、この絵は」
 さすが、いくら若く見えても三十路過ぎである。やや発言が親父臭い。
「悪戯したくなります」
 言うなり、ウィルトスが手を湯船につけた。
 指先がつ、とクロルの腹部を滑る。
 驚いて、クロルは反射的に体を引いた。
「動かないで。狭い所で暴れると、色んな所をぶつけて酷い目にあいます。激しく動くのは、
その肩にもよくない」
「きょ、教官……!? いた、悪戯って、ちょ、ふ、服が……汚れ……!」
「気にしません」
 ウィルトスの指先が、緩やかに線を描くように下へと下りて行く。立てた両膝を割って内腿を
くすぐり、ウィルトスは面白そうに笑った。
「のぼせましたか? 真っ赤です」
「鼻血出そうです……」
「お風呂場ですから、構いません。思う存分出してください」
 普通、それじゃあ出ましょうか、とか言ってくれる物ではないのか。
 クロルが講義の声を上げようとすると、それを察したウィルトスが攻撃を仕掛けてきた。
 乱暴に唇を奪われる。
「ま、まって……! きょうか……ちょ……んぅ……!」
 本気でのぼせそうだった。
 頭の芯がくらくらする。
 感触を楽しむように腹や脚を撫でていた手が、いつの間にか胸に触れ、小さなふくらみをやわ
やわと揉みしだいていた。


817 :690:2007/02/27(火) 04:02:32 ID:Kz7Rm4c8
 重なった唇と、絡んだ舌が喘ぎ声を許さない。
 息が苦しかった。
 逃れたくて、ウィルトスの肩を叩く。あっけなく許され、クロルは必死に息を吸い込んだ。
 浴室の熱く湿った空気が、肺まで水分を運んで行く。
 甘過ぎる香りに体の中まで侵食されて、クロルは軽く咳き込んだ。
「まだ慣れませんか。確かに、少し香料がきついかも知れませんねぇ」
「それにつかってる身にもなってください! もう、十分あったまりました。もう、出ていいで
しょう? お願いします……おねが……ぁう!」
 偶然を装うように、ウィルトスの指が胸の赤い突起に触れた。
 何度も、何度も、かするように触れてはまたやわやわと胸を揉む。
 ぬるぬるとぬめる風呂の湯が、ウィルトスの指が動くために粘っこい水音を立て、クロルは耳
を塞ぎたい衝動に駆られた。
 この程度の事、任務ではいくらでもある。
 それでも、相手がウィルトスだと思うとたまらなく恥ずかしかった。
「あぁ、いいですね、その顔。とてもいい」
 耳元でウィルトスが囁く。
「自分が今、どんな顔で僕を誘っているかわかりますか? そんなに苛めて欲しそうな顔をして」
「し、してない……そんな顔! 苛めて欲しくなんて……!」
 指先で乳首を弾かれ、クロルは思わず言葉を詰めた。
 なおも言い返そうとするクロルを許さずに、指の腹で押しつぶし、こねるように刺激する。
 クロルは突然与えられた強い刺激の連続に、ウィルトスの服を掴んでいやいやと首を振った。
 浴室に響きすぎる自分の声を押さえ込もうと、自らの指に歯を立てる。
「声を殺せば、男は声を上げさせようとより執拗に責め立てる」
「ぁ、や……やだ、きょうか、ダメです! だめ、入浴剤、口に……!」
 ベッドで男を操る基礎ですよ、と微笑んで、ウィルトスは粘り気を帯びた風呂の湯でてらてら
と光るクロルの乳房に舌を這わせ、乳首を強く吸い上げた。
 ぞくぞくと、背筋に言いようのない感覚が走る。
 暑いはずなのに、全身に鳥肌が立った。
「ぁ……あぁ、ひ……ん……」
 ウィルトスの頭を抱えるように、柔らかな髪を掴み、掻き乱す。湯船の中で足が踊り、ウィル
トスが強い刺激を与えるたびに水音が跳ねた。
「君は本当に、ここが弱いですねぇ」
 感心したように呟き、尖らせた舌で押しつぶす。クロルは震える声で悲鳴を上げた。
 快楽が苦しい。
 苦しい。苦しい。
 ようやくウィルトスが唇を離すと、クロルは浅く長く息を吐き、溢れてきた涙を拭いもせずに
小さく首を左右に振った。
「おや、泣かせてしまいましたか」
 さして驚いた風もなく、ウィルトスがクロルの目元から涙を拭う。
 クロルが嫌がって顔を背けると、機嫌を取るようにその頬に口付けた。
「ごめんなさい。でも、君の泣き顔は凄くいい」
「変態ですよ……そーゆーの」
 鼻をすすって横目で睨むと、ウィルトスが深く頷いた。
「知りませんでした? 僕は相当に変態です。だから、泣いてるクロルさんにこんな追い討ちをかけちゃいます」
 下腹部にウィルトスの指が触れた。
 まさか、と思う間もなく、薄い茂みの奥に長い指が滑りこむ。
「だめです! やだ、教官! 教官!」
 慌てて足を閉じるも、無駄だった。
 ローションの様な湯がウィルトスの動きを助け、拒もうと伸ばした腕が虚しく滑る。


818 :690:2007/02/27(火) 04:07:01 ID:Kz7Rm4c8
 熱い湯と共にウィルトスの指が胎内に侵入し、クロルは悲鳴を上げてのけぞった。
「や、ぁ……あつッ……やめ、きょうか……!」
「ここでやめたら間抜けでしょう。意味のない要求はしない方が懸命です」
 激しく、巧みに、浅く深くかき回す。
 視界が霞んだ。
 逃れようの無い快楽に全身が引きつる。
 絶頂に、果たして達したのだろうか――?
 息苦しい程甘ったるい香りの中で、クロルは気を失った。

以上

切らせていただきます。
>>書く人氏
せ、積極的なユーキたんカワユス


819 :名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 11:35:49 ID:cosx10kB
待ってました!! GJです!
しかし>>751が本当にありそうな気が……。

820 :名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 14:23:18 ID:3QQVMFUk
GJ!
ウィルはウィルでいいキャラだ
まあ、ヴィクターにこだわらなきゃ素直に面白いんだが、奴が哀れでならない
ハーレム物は嫌いじゃないのに勝手だよナァ

821 :名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 15:28:11 ID:9HyadnGU
俺としてはここまで来たら>751よりも、
いちゃいちゃし続ける二人をどうする事もできず横目に見ながら、彼女とつながりを無くしたくないので軍隊から抜ける事も出来ない、
位のオチの方がいいぜ。
感情移入する性質なんでイタイ話は読んでて胃が痛くなるんだけど、多分一番好きなんだよな。
そういう話に限って、690氏しかり文章力のある人が筆をとる事が多いような気もするし。

822 :名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 16:33:14 ID:E7/9t2QK
せつないのはいやだ

823 :名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 21:44:56 ID:EODRnHQc
現在446kb 保管どーするよ

824 :名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 22:49:03 ID:wneROsMh
作るっきゃねーだろ。
俺は作り方わからんが。

825 :名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 11:12:05 ID:3llnt4Yu
どこかの保管庫に保管依頼を出すのも一手

826 :名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 23:44:52 ID:gzJsZc0x
@wikiでいいなら作れるぜ
しかし俺が作ると更新は人任せか遅くなるぞ……

827 :名無しさん@ピンキー:2007/03/01(木) 22:11:15 ID:stCJrYVP
住人が自由に保管できる保管庫か。
あれやせんかと不安だが、一人に負担が掛からなくていいかもね。

しかしこのスレは投下がある日が密集してるな。
職人さんいつもgjです。

828 :名無しさん@ピンキー:2007/03/02(金) 01:59:51 ID:kYU+gLdo
ウィルの喋り方を読んで何故か右京さんを思い出した。
それはともかくGJ!
まぁ最終的には作者氏の好きなように書いてかまわないかと。
書き手が楽しんで書いてる作品は読んでも楽しいもんです。

829 :名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 01:15:51 ID:YqVtm47d
容量微妙だし、保管庫ないと職人さん投下しづらいのか・・・
だ、だれぞ勇者はおらんか。

830 :名無しさん@ピンキー:2007/03/05(月) 23:33:51 ID:yBxui3Oj
素直ヒート属性を誰か書いてくれないかな?


こんな感じ

女「好きだーーーー!」
男「うるせえって」
女「好きだああああああァァァァァァーーーーーーー!!」
男「黙れってば」
女「‥
ハイ!黙った!抱きしめろ!」

831 :名無しさん@ピンキー:2007/03/06(火) 02:58:22 ID:xDtz3m/t
>>830
ボーイッシュと微妙に違うような気もするな。
ボーイッシュは男の子っぽい女の子であって、男らしい女ではないと思う。

832 :名無しさん@ピンキー:2007/03/06(火) 20:04:39 ID:pQbDWmyZ
>>830
俺は好きだよ

833 :名無しさん@ピンキー:2007/03/07(水) 00:06:44 ID:+xeVNHvn
良スレがまとめがないって理由で落ちるのは悲しいな……
とりあえず明日、仮のまとめwiki作るわ

834 :名無しさん@ピンキー:2007/03/07(水) 03:29:48 ID:2COwtUYL
>>833
神来たる

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