日本が男女差別主義的で抑圧的な文化を持ち、政府が問題からわざと目を背けて いると批難するのは非常に簡単です。実際一部ではそういった側面があるのかも しれませんが、日本のように進歩的な国においてhentaiが栄える理由には複雑な 文化的な問題が存在します。 日本に[分校を置く]テンプル大学のカイル・クリーブランド社会学准教授は「日 本における若者と倒錯的サブカルチャー」という名の講座を教えています。 信じられないかもしれませんが、[日本のhentaiなどは]きちんとした大学講座を 丸々やるのに見合うほどの量がたくさんある題材なのです。クリーブランド氏の 説明によれば、批難する人間の憤慨は自らの文化背景によって形成されたプリズ ム[偏向ガラス]、即ち日本に存在する文化基準とは全く異なった西洋の感性から 生み出されるものであるとしています。 「日本は男性優位社会です。歴史的にも、今日に至ってもそのままです」と語る クリーブランド氏。「それがマスメディアやポルノの中で反映されるのはあまり 驚きに値しません。日本を凝視している道徳事業家[1]らは日本においては通用 しないフェミニスト論的歴史観と文化的歴史背景を持っているのです」 2009年に発表された世界経済フォーラム ジェンダー・ギャップ[性別格差]報告 書によれば、日本は134カ国中101位とされ、女性団体からは世界第二の経済大国 にしては極めて低い指摘されています。 このように、女性が権力のある地位についていないことが、この国でhentaiゲー ムを繁栄させる文化的背景となっているのです。 「日本において、政策立案者や政治家達がこうした問題に無関心である理由は、 政治に関わる階級は年老いた男性主体で、ジェンダー基準(男女価値観)が異な っていた頃に育って人達であり、フェミニスト理論を取り込んだアメリカや西欧 の意識を認識する必要がなかったのです。日本ではこういった意識されないさま ざまな問題が政治の議論から完全に乖離しているので、ほとんどの日本人の方々 の意識に浸透する機会がないのです」と語るクリーブランド氏。 しかし我々の国境無きデジタル世界においてはこれらは問題となります。日本の 内閣府に所属する男女共同参画局はCNNに、これらのゲームに対して世界社会が 憤慨しているのを政府は認識している、と証言しています。 現在、日本政府は児童ポルノの所持を禁止する法案を検討中ですが、現時点では 違法ではありません。この法律の変更の可能性も国内からの抗議ではなく、外圧 に起因するものです。 日本には世界の中でもっとも極悪な児童ポルノが存在するとクリーブランド氏は 証言。「この国は人身売買や女性虐待をめぐって国連から批難されています」 「西洋の感性からは事実上、解読不能の形で日本は自らの性意識を表現し、しか もそれが社会的に受け入れられているため、日本人にはそれらに対する批判を理 解したり、認知する事が出来ません」とクリーブランド氏。 クリーブランド氏は世界的な議論が日本に法律を書き換えるような圧力になり、 hentaiゲームの発売・配給がより難しくなるであろうと予想しています。氏は日 本が世界に合わせて変更する動機は、倫理的なものではなく「政治的に都合がよ いから」となるだろうと推測しています。 しかし氏は慄然とする人間に対して、自らの文化も見直すべきだと警鐘をならし ます。 「日本に対して人々を触発させるのは、そこに文化的な距離があるために、西洋 の基準の規格から掛け離れた形で性意識を表現しているのを見て、日本を突出し てドギツイ、変態じみていると思えるように感じさせる傾向があるからです。あ る意味日本は他の文化、例えばアメリカのようにはっきりとジェンダー(男女性 意識)問題を抱えている文化とそんなに違わないといえるでしょう」