一つの大陸があった そこでは、人々が暮らし そして、 争いがある。 大陸には数多くの国が存在し 大陸には争いがあふれていた ある時代から、国々は争いを武力ではなく対話で解決するため 集まり、 『連合』を作った。 『連合』は数多くの争いを回避し、大陸には一時の平穏な時代が訪れた。 しかし、その平穏は長くは続かなかった。 『連合』の内部での力の強弱があり、主導権争いが起こり、 そして、 『連合』内で最大の国力を有していた『帝国』は自らの覇を唱え『連合』を脱退した。 『帝国』は『連合』の愚鈍さを嫌い、自国による大陸の統一を目指し、近隣諸国に一方的に侵攻した。 『連合』は『帝国』の暴挙に対し、軍事行動を始める。 またもや、大陸に争いが巻き起こる。 〜某国〜 帝国近隣の小国 その、王家の城の一室から物語は始まる 「なぜですか、なぜ、このようなことを!」 叫ぶ彼女の足元に横たわる二人と、対峙する一人 二人からは、どくどくと血が流れだし、彼女の足元を赤く染め 一人は煙の上がる銃口を彼女に向ける 「なぜって、こちらの指示に従わなかったからですよ。」 そういって、口角を上げ笑みを浮かべる男 「これでわかりましたよね姫様、抵抗なさらないでくださいよ。」 そういって、男は彼女に手を伸ばす。 「姫様ーっ!!」 そこに、声を上げ割り込む男が一人 「イドルフ!?」 彼女はその男の名を呼ぶ。 割り込んだ男は、銃口を向けていた男に飛び掛かり、 「姫様、お逃げください!」 叫ぶ 「しかし。」 躊躇する彼女に 「ここであなたが囚われればすべてが終わりです、姫様!」 その声に 「すまぬ、死ぬな。」 彼女は意を決して、走り出す。 「くっ、待て!邪魔だ、離せっ!」 銃口を向けていた男は割って入った男に邪魔され、彼女を追うことはできない。 「ちっ、だが、この城の中には私の仲間がいる。どうせ逃げられんさ。」 男は、追うのを諦めながら、そうつぶやく。 「なんだとっ、姫様。」 割って入った男はそれを聞き、彼女を追おうとするが 「いいのか、今離せば、俺はお前を撃つぜ。」 「くっ。」 もみ合いながら膠着状態となる二人には、もう、彼女をどうすることもできなかった。 彼女は走った、どこが安全かはわからない。 なにせ、一番安全だった城の中で起こったこと ここより安全な場所などないはずだった。 だが、今やここが一番危険な場所となっていた。 走る、走る、走る、 どこが安全かはわからない だが、安全な場所までと走る。 しかし、 「あっ。」 動きにくい服装をしていたためか、 服の裾を踏み、 彼女は倒れる そして、そこに 人影が 見上げた彼女の前には 一人の男がいた。 彼女にとっては絶望的だった。 なぜなら、その男は先ほど彼女を狙ったあの男の縁者のものだったからだ。 「あ、あの、姫様?」 しかし、 彼は、何がどうなっているのか全く分からないといった表情を浮かべ彼女を見ていた。 「だ、大丈夫ですか?」 本気で彼女を心配する彼 「お前は、違うのか」 手を差し伸べてくる彼に、彼女は問う。 「はい?」 だが、彼にはその問いの意味は分からない。 そして、 「こっちだ!」 後方から声がする。 その声は明らかに彼女を追う者たちのもの。 「くっ。」 彼女は、また走るべく、足に力を籠めるが、 その瞬間に、足に痛みを覚える。 「こんな時に。」 先ほどの転倒で、どうやら足をくじいたようだった。 「ひ、姫様!?だ、大丈夫ですか、い、今救急箱を!?」 「待て。」 慌てて、救急箱を取りに行こうとする彼を彼女は制し。 「お前、私を担げるか?」 彼女は問う 「は、はい?で、ですけど、私のようなものが触ったら、いや、そのダメです、もしハプニング的にどこか触れたらそれこそ俺の首が!?」 「そんなことはよい!」 「えーっ!?い、いいんですか!?そ、その、いや、別に触ろうとかそういうわけじゃないけど。」 「はやくせい!」 「は、はいぃっ!」 彼女の一喝で、彼は彼女を抱える、いわゆるお姫様抱っこというやつだ。 「助かる。」 彼女は彼をねぎらい、落ちないように手を彼の首の後ろに回し抱きつくような格好になる。 「な、な、なーっ!?」 彼は、顔を真っ赤にし、うろたえる。 「すまぬ、我慢してくれ。」 「い、いえ、こ、光栄です!」 「いたぞ!」 彼が彼女を抱えた直後、 後方の曲がり角から、男たちが飛び出してくる。 「へ?」 彼は、いまだに事態を呑み込めない様子で、 「逃げよ!」 彼女の声にはすぐには反応できない 「おぃ、そこを動くんじゃねぇぞ。」 彼が動けたのは、男たちが、胸元から銃を抜き彼女たちに向けたときだった。 「ぎゃーっ!?な、なんで銃!?ち、違うんです、これは俺の所為じゃ!」 どうやら、彼女のケガの原因をとがめられていると思ったのか、彼が弁解するが バンッ! 「ひゃーっ!」 銃声とともに、彼の足元のタイルがはぜる。 「ま、マジかよ。問答無用とか、酷すぎる。裁判を、せめて公正な裁判を!」 いまだに事態を呑み込めない彼だが、 発砲した男が、もう一度銃を彼らに向けると 「ぎゃーっ!話にならないしーっ!」 悲鳴を上げながら、駆け出す彼、 バンバンと後方から銃声がする。 「ひーっ!ひーっ!」 その音にビビりながら、彼は彼女を抱えたまま駆け抜けていく。 彼は走った。 走って 走って どこをどう走ったかは覚えてない。 後ろからは追われる気配を感じ、 人を一人抱え なぜそうなったかは分からない。 だが、彼はそうしなければと思った。 彼が抱える彼女がこの国の姫であったが。 彼にとってそれはさほど大きなことじゃない。 彼は走る。 走り続け そして、 「い、行き止まり!?」 立ち止まる。 彼は、振り返り来た道を戻ろうとするが、 その時、 爆音と振動が伝わる。 「な?!な、なんだ!?」 「どうやら、奴らは手段を選んでおれなくなったようだな。」 「やつら?何のことですか?」 彼は彼女に問う。 だが、 「なっ!?」 「へ?」 先ほどの振動よりも強い揺れが響き、 二人の足元が崩れ、 二人は崩落に巻き込まれてしまう。 「っつっー。だ、大丈夫ですか姫様。」 彼はあたりを確かめながら、声を掛ける。 「あぁ、大事ない。」 その声に返事を返す彼女 彼は、彼女のもとへ駆け寄る。 「あわわ、け、ケガとかしてませんか?」 慌てた様子で彼女の様子を調べる彼 「あぁ、大丈夫だ。それに、そんなにジロジロ見るもんじゃない。」 「あ、し、失礼しました!」 少し頬を赤らめ目をそらす彼。 少しの間気まずい時間が流れるが、 それもつかの間、 「ここは、」 そういって彼女は周囲を確認する。 と、そこには、 「これって、」 そこには、真紅にカラーリングされた一機のBRが鎮座していた。 「BR、しかし、なぜこんな場所に。」 彼女はいぶかしむ、ここは城の地下、格納庫ではあるが、近衛のBRが保管されている場所とは違う。 施設自体は近衛のBRが関係しているのだろうが、近衛が使うBRとはまた系統の違うBRでしかも、この国で一般的に使用されているものとも違う。 「だが、これは好機か。」 彼女は決心する。 「お前、BRは操縦できるか?」 「え?俺、あ、いえ、私ですか?」 「そうだ。」 「えっと、できなくはないですけど。シュミレーター実習は規定時間やってますし。」 「そうか、なら、これを使い。脱出を試みるぞ。」 彼女はそう言い放ち。 「え?えーっ!?」 彼は驚く。