・万歳!師匠がこれからは危険のない患者はみんな私が診るようにとおっしゃった。 ついに修行の成果を認めてもらえたんだ。期待に応えられるよう頑張るぞ ・師匠に任された永遠亭の雑事と患者の対応で大忙しだが、充実した毎日だ。 人のために働いているときだけは辛い思い出も忘れられる。  いや、ひょっとしたら閻魔様の言っていた罪の清算とはこういうことなのかもしれない。  追記…今後は全ての治療を私が行うよう申し送りがあった。     私の手に負えないとき、珍しい症例の時だけ師匠に報告すればよいそうだ。 ・仕事の合間を縫って先日亡くなったクランケの弔問にいった。  「月人のお医者様が診てくれれば助かったかもしれないのに」だそうだ。  耳が良いのをこうも疎ましく思ったことはない。  こんなことなら  (以下判読不能。『誰が診たってあれは助からなかった』   『わたしのせいじゃない』などと書いたのを棒線で消してある) ・また患者が死んだ。遺族の視線が痛い。師匠は永遠亭の奥でずっと自分の研究をしている。  師匠と話したい。師匠にほめてもらいたい。私は悪くない。 ・忙しくて自分の勉強ができない。  どんなに頑張っても永遠を生きる天才に追いつけるわけがない。  幻想郷にいるかぎり私は死ぬまで八意永琳の下働きとしか見てもらえないだろう。  でも外の世界に出たら私はすぐ月へ連れ戻されて同胞の手で裁かれることになる。嫌だ。嫌だ。嫌だ ・河童に頼んで作らせた『絶対安全カプセル』が届いた。  あらゆる魔術的・物理的攻撃を無効にする優れ物で、 これさえあればもし月の追っ手が博麗大結界を越えてきても安心だ。 ・……固いものを叩くくぐもった音が聞こえなくなった。  絶対安全カプセルは外からも「中からも」あらゆる攻撃を完全にシャットダウンする。  私の狂気を操る能力も毒も通じない師匠には、この方法しかなかった。  師匠に比べればただ死なないだけの姫の始末は簡単についた。  周りには二人は別の星に行ったとでも話すつもりだ。  てゐだけは騙せる気がしなかったので、脳改造して因幡たちに事情を信じさせる係をやってもらった。 ・藤原がしつこく私の永遠亭にやってくる。何を言っても輝夜はどこだの一点張りだ。  今は適当にあしらっているが、歴史を操る牛女の能力は真相を暴く力があるかもしれない。厄介だ。  そんなことよりカプセルが開いていないか不安でしょうがない。  今日はもう6回も様子を見に来ている。でもそうでもしないととても眠れない。 ・博麗の巫女が来た。死ぬほど痛い。死んだら私を地獄行きにすると閻魔が言っていたのを思い出す。  危うく死ぬところだったが師匠譲りの密室の術で永遠亭を外界から完全に隔離し、蓬莱の薬を飲んだ。  これで誰も私を裁くことはできない。私は運命に勝ったのだ。 ・今日は684回カプセルの様子を見た。