いぢめスレ提供 〈注意〉 暴力的表現ありです レミリアは思った 最近、紅魔館以外のみんなが自分を避けているのではないかと 神社に遊びに行っても、宴会に参加してもどこか自分を除け者にしようとしている。そんな気がした なぜ自分は嫌われてしまったのだろうか 思い当たるふしが無いわけでは無いが、こうも避けられると精神的にかなり堪える 咲夜に相談したら、女同士のコミュニティーでは必ずこういうことが起きるものだと話し それはいつの間にか無くなっていくものだと説明した ここのメイド同士でもそういうのは良くあることですと付け足し、レミリアを安心させた 実際に咲夜の言う通りで、この頃にはレミリアへの仕打ちは大分緩和されていた 放っておけば元通りの関係に戻る、その程度のものだった そんな時、レミリアは久しぶりにフランドールのいる地下室を訪ねた フランドールなら自分が来れば歓迎してくれるからだ みんなから避けられるレミリアにとって、それはありがたかった 今夜は満月 レミリアの気持ちは知らず知らずのうちに昂ぶっていた 自分のイライラも妹と遊ぶことで解消できると思った レミリアが地下室の扉を開ける 扉の開く音に過敏に反応して、フランドールが嬉々とした表情でこちらを見てくる 妹の自分の期待通りの反応にうれしくなる 「フラン、遊びま・・・ レミリアを見た瞬間、フランドールが少しだけ残念な顔をする 「なんだ、お姉さまか・・・・・・」 魔理沙じゃ無いんだ、と小さくつぶやき、しかしすぐ喜びの表情に戻る フランドールにとって、普段、あまりかまってくれない姉が遊んでくれるのは素直にうれしい 最初扉の開く音がしたとき、魔理沙が来たのだと思っていた しかし魔理沙ではなくレミリアが来て自分の予想が外れたことに対して「なんだ」と言った ただそれだけの理由だった フランドールは決して悪気があって、そんなことを言ったわけではない 外に出してもらえないフランドールは、今姉がみんなからどんな扱いを受けているかなど知らない だからレミリアも悪気はないのを十分わかっていた わかっていたが今の自分に対してその言葉が許せなかった その一言でレミリアが今まで溜め込んでいたものが爆発した 「ねえ、お姉さま何して遊んでくれるの?弾幕ごっこじゃなくても全然いいよ」 喜びの表情を浮かべるフランドールに対してレミリアの表情は硬かった 冷たい声で妹に質問する 「フラン、あなた今何て言ったの?」 「え?弾幕ごっこじゃなくても全然いいよって」 「もっと前よ」 「???・・・・遊んでくれるのって言ったこと?」 「そうじゃないでしょう!!!!!!」 姉の突然の怒声にフランドールが怯え上がる レミリアは一直線にフランドールに歩み寄る 妹を睨み付ける目は本来、家族に向けるべきものでは無かった その目に射すくめられ、フランドールは足が震え動くことが出来ない 「どうしたの、お姉さま?」 突然の姉の豹変に混乱する妹の肩を骨がきしむほど強く掴む 「痛い!痛い!」 掴んでお互いの鼻同士が触れ合うほど顔を近づける、近づけてレミリアはこれでもかというほど声を張り上げる 「自分の言ったことも覚えてない頭の悪いあなたのために教えてあげるわ!!!!!!」 「あなたはね!!!貴重な時間を割いてわざわざ来てくれたお姉さまに対して!!!!」 「『なんだお姉さまか』と言ったのよ!!!私に向かって『なんだ』って言ったのよ!」 レミリアがこれまで溜まったストレスは、自分より立場の弱い妹に向けられた 姉の怒りの理由を理解して、フランドールが怯えながらも謝ろうとする 「ごめんなさい、わたしそんなつもりじゃ・・・・」 「うるさいわよ!!!」 「きゃっ」 両手でフランドールの両肩を押して、床に倒す 欲しいのは謝罪の言葉では無く、ストレスのはけ口だった 「ごめんなさ・・・・ 謝ろうとしたフランドールの頬をパシンとレミリアが思いっきりひっ叩く 突然のビンタと遅れてきた痛みにフランドールの思考が一瞬停止する レミリアが今度は反対側を叩く 3発目を入れようとしたがフランドールがとっさに両手を出して顔を庇い防がれた フランドールがガードしたことでレミリアの暴力はエルカレートする レミリアはフランドールのお腹を思い切り蹴り上げる 「ぐぅ!!」 お腹を押さえフランドールがうずくまる うずくまり貝のように体を丸めることしか今のフランドールに出来なかった そのフランドールを容赦なく蹴る お腹を庇えば顔を、顔を庇えばお腹をレミリアはひたすら蹴り続けた 蹴るのに飽きたら、床にうずくまる妹に向かって、部屋にあるものを手当たり次第掴んでフランドールにぶつけた 痛みに耐えながらフランドールは必死に姉に許しを請う 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい もう二度と言いませんもう二度と言いませんもう二度と言いませんもう二度と言いません」 「しゃべるな!!!」 壊れた椅子の脚で思いっきり妹を殴りつける 脚が折れ、残った柄の部分を投げつける 痛めつけるたびに発せられる妹の悲鳴と怯えた表情がレミリアのこれまで溜め込んだストレスを段々と発散させていった レミリアにとってそれはひどく心地良いものだった 満月で気持ちの昂ぶったレミリアは その声をもっと聞きたい、その顔をもっと見たいと思った そう思い 今度は無理やり仰向けにしたフランドールに乗っかり、自分の両膝で妹の両腕を押さえ、ひたすら引っ叩いた 叩けば叩くほど自分の欲しいものが妹から出てきた その平手もいつしか握り拳に変わっていた 吸血鬼はこの程度では死なない、すぐに傷も再生する。その考えがレミリアに手加減をさせなかった レミリアの耳には届かなかったがフランドールは暴力を受けている間ひたすら「ごめんなさい」と繰り返し続けていた 495年もお前が今日まで生きてこれらたのはだれのおかげだと思っている 私がお前に食事を与えなければ、とうの昔にお前は餓死している 私が地下室に水を流し込めば、お前など10分とかからず殺せる 私がパチェに頼めば今すぐにお前を砂漠のど真ん中に飛ばすせる 私が咲夜に命令を下せば、死んだと自覚する間も与えずに殺せる 私が運命を操れば、お前なんか明日にでも、勝手に自殺している 私の妹として生まれたことに感謝しろ でなければお前はとうの昔に死んでいる だからこの程度どうってことないだろう 頭の中で響き渡るその声が、妹への暴力を正当化する レミリアは溜まっていたストレスが解消して理性を取り戻しつつあった 段々といつもの自分の感覚がはっきりしてくる 気がついてみれば 自分は最愛の妹を殴り続けていた 綺麗な妹の顔は 顔中アザだらけで 両頬が腫れ上がり 唇はズタズタで 左耳からは血が流れていた 目も見えているのかいないのかわからなかった 口を開いたらもしかしたら歯も折れているかもしれない 試合後のボクサーのほうがまだ綺麗な顔をしていると思った 体のほうは 両膝で押さえていた腕はうっ血しており 手足もところどころ擦り傷、切り傷だらけで 服の下も恐らくアザだらけだろう ズタズタの唇が何かを言おうと蠢いている (ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい) 妹の声にならない声がようやく姉に届いた レミリアは完全に理性を取り戻した 理性を取り戻し振り上げた拳が空中でピタリと止まった時 「何やってんだお前!!!」 その声と同時に後ろから顔の真横、耳のある辺りを思いっきり何者かに殴られた 殴り飛ばされながら、吸血鬼の動体視力が自分を殴った者を捉えた 見ると箒を持った魔理沙がスイングした姿だった 魔理沙は本を借りに来たついでにフランドールの部屋に遊びに来た 扉を開けるとレミリアが妹のフランドールに暴力を振るっている様子だった 考えるより先に箒を魔法で強化して、フランドールに乗りかかっていたレミリアを思い切り殴り飛ばした レミリアが箒で殴られ床を転げて受身を取った時には、魔理沙はフランドールを抱きかかえていた 「大丈夫か、フラン?」 「うぅ・・・魔理沙・・・・・怖かった・・・怖かったよぉ・・・」 魔理沙は泣きながら自分にしがみつくフランドールの体をやさしく抱きしめ、頭を撫でて落ち着かせる 「私が来たからにはもう安心だからな」 フランドールにやさしく語りかける 語りかけフランドールを抱きしめたままレミリアを睨み付ける 「どうしてこんなことをした?」 手にしたミニ八卦炉に力を込める しかし弁解を始めたのはフランドールだった 「違うの・・・魔理沙、わたしがお姉さまに・・・せっかく来てくれたお姉さまに、気を悪くすることを言ったからこうなったの 私が悪いの・・・ね?ほら傷ももうほとんど治りかけてるし、もうどこも痛くないよ。ほら?」 フランドールが魔理沙の顔を見上げ訴える 強がっているのは誰の目にも明らかだった 彼女の言うと通り、怪我は治り始めていたが、ところどころに痛々しいアザがまだ残っている フランドールのレミリアを庇う言葉が、本心からそう言っているのか、恐怖心でそう言わせされているのかは魔理沙にはわからなかった しかし姉からの虐待の原因はわかった 「おい!!レミリア!!!お前そんな理由でここまでやったのか!?」 「・・・・・・」 満月で気持ちが昂ぶっていたとはいえ 自分は『そんな理由』で妹をここまで理不尽に痛めつけたのだ 言い訳などできるはずもない 2人が対峙して長い沈黙が続く 魔理沙に抱きかかえられ安心したのかいつの間にかフランドールは眠っていた 「おい、本のついでにこいつも借りてくぜ、私がものを『借りる』って意味わかるな?」 魔理沙は眠ったフランドールを抱きかかえ扉の方へ歩いていった 扉は入って来るとき開けっぱなしだったため、開いていた 「お前まさか495年もフランにこんなことしてたのか?」 扉を閉めるとき吐き捨てるように魔理沙が言った 魔理沙がフランドールを抱えて去ってからどれだけ時間が経ったのかわからない レミリアは扉の真横の壁にもたれかかるように座っていた 今度はレミリアが閉じ込められる形になっていた 地下室にいる間、ずっとレミリアは聞こえるはずのない妹の「ごめんなさい」の声が部屋中にこだまする幻聴を味わい続けた 耳をふさいでもその声は自分の頭の中が発信源らしく、聞こえなくなることは無かった 地下室の扉はフランドールを外に出さないために内側からは簡単に開かない仕組みになっている 本来レミリアもフランドールもその気になればこの扉は壊せるのだが、今のレミリアにその気力は無かった ふと扉が開く 「お嬢様?」 彼女の従者、十六夜咲夜だった。その後ろにはパチュリーと小悪魔がいた レミリアの目に生気が宿ってないことが3人ともすぐわかった 咲夜が今の状態の主に渡してもいいものか迷ったが今渡す必要があると思い手紙を手渡す 「なにこれ?」 「美鈴からです」 読んでみると、フランドールに暴力を振るったことへの抗議文と勝手ながらしばらく休暇をもらうという内容だった 「仲直りするまで帰ってこないつもりよあの子」 「そうみたいね・・・」 フランドールは紅魔館で孤立している。美鈴はレミリアの次にフランドールと話をする頻度が高い 妹に情がかなり移っていたから、美鈴がこういった行動を起こすのには納得できた レミリアがだれにともなく話し始める 「どうすればあの子私を許してくれるかしら? 私の一方的な都合で何の非も無いフランを理不尽にあそこまで痛めつけたのよ お詫びといって外に出すわけもいかないから・・・1万回土下座したら許してくれるかしら?私も同じ目にあえばいいのかしら? それとも死んで償うべきかしら?みんな・・・私どうしたらいいと思う?ねぇ、どうしたらあの子の気が晴れるのかしら?」 その問いにだれも答えることができなかった 長い沈黙が続く 再びレミリアが口を開く 「悪いけど、もうしばらく一人にしてくれないかしら・・・その間に仲直りの方法考えるから」 「わかりました、ではお部屋に」 「ここでいいわ、人間の里じゃ悪戯をした悪い子供は物置とかに閉じ込めるんでしょ? ここは少し広いけど、反省するにはちょうどいいわ」 フフッと自嘲気味に笑った 明日にでもまた来て欲しいと付け足し、3人に扉を閉めてほしいと言った 扉は小悪魔が閉めると申し出た 扉が閉まりそうな時、わずかな隙間から小悪魔が顔を覗かせて言う 「反省するためにここに閉じ込もるというのなら、495年もここに閉じ込められていた妹様は、お嬢様にとって悪い子なんですか?」 魔理沙の時のように吐き捨てるように言う 扉が閉まり静寂が戻ってくる 小悪魔の言ったことが頭にこびりつく 「そんなわけ・・・・フランが悪い子なわけ・・・・ないでしょう・・・・」 小悪魔の発言で今の自分の反省の態度こそが妹にとっての最大の侮辱だと気付かされた 「ごめん・・ごめんなさいフラン・・・」 本人を前にしない謝罪など自己満足に他ならない 自分はどこまで汚くずるいのかと自己嫌悪に陥る レミリアは一晩中泣き続けた 妹は戻って来てくれるだろうか? 紅魔館はこの先やっていけるだろうか? 運命を操る力を持ちながら、レミリアにはそれがわからなかった