いぢめスレ提供 *グロとかバイオレンスは無いです *場合によっては結末に不満がある方もいらっしゃるかもしれません *そしてこれが駄文であることは重々承知の上です レミリア・スカーレットが目を覚ますと 地下室の壁にもたれてにいた 腕は壁に、足は床にそれぞれ鉄で固定されている 首に鉄製の太い首輪がついていて壁に鎖でつながっている 手のひらも開かれた状態で鉄板が当てられているため、指を動かすことができない 背中の羽も壁に固定されているらしく動かすことができない 蝙蝠になって逃れようと思ったが、鉄に特殊な加工がされているらしく、それもできなかった 姿勢的には長時間このままでも苦では無さそうだが レミリアは完全に体の自由を奪われている状態だと理解した 昨晩、自分はちゃんとベットで眠っていたはずである 自分が眠っている間になぜ地下室でつながれているのかわからない しかし地下室といえば思い当たることは一つである 「あ、お姉様。やっと起きた」 自分の真横から知っている声がする 「フラン。やっぱりあなたのしわざ・・・・・・・」 ではなさそうだ レミリアの妹。フランドール・スカーレットもまたすぐ隣でレミリアと同じ状態に壁につながれている 「ここ、あなたの地下室でしょ?なんであなたもつながれてるのよ?」 「知らない、さっき起きたらこんな状態だった。そもそもここは私のいる地下室じゃないよ」 「え?」 「広さが違うし、何にも置いてない。天井もなんか違う」 「確かにそうね・・・」 言われて気付いた、ここは紅魔館の地下室ではない ここは何処かと思い体勢を起こそうと体を前のめりにする 「ちょっと、お姉様!苦しい!苦しい!」 「へっ?あっ!ごめんなさい!」 2人の首輪の鎖は裏側でつながっているらしく 片方が前に出ると、もう片方が引っ張られ首輪の内側が絞まる仕組みになっているらしい 「ごほっ、ごほっ」 フランが咽る 「ごめんなさい、こうなってるとは知らなかったの」 このあと2人で相談し、下手に動くのはやめしばらく様子を見ようということにした 大分時間が経ったが地下室にこれといった変化はなかった 時計が無いため細かい時間まではわからない 「あーーもうっ!退屈ね!ここまでやっといて何で誰も姿を見せないの!?」 先に音をあげたのは姉のレミリアだった 「あなた、こんな状態でよく何時間もじっとしてられるわね?」 てっきり、妹のほうが先に退屈だと言ってのたうち回ると思っていた 「え?・・・だって、いつもとあんまり変わらないから」 キョトンとした顔でフランは答えた 「・・・・・・・」 レミリアは軽率なことを言ったと後悔した フランを地下室に閉じ込めているのは自分だ フランは何の気なしに答えたが、レミリアにとってその言葉は重かった さらに時間が経った レミリアは普段から自由気ままに遊びまわるため、他人の都合で拘束され貴重な時間が奪われるのをわがままな性格上ひどく嫌う 長いこと放置されレミリアのイライラは段々と蓄積していった フランは今の状態はそれほど苦では無く、むしろレミリアがいるので退屈と感じていないらしい レミリアは本当なら今頃、神社で霊夢とお茶でも飲んでいるのにと思いはじめた 自分を拘束している物を力づくで壊そうにも今の体勢ではそれはできない 早くと戻りたい一心で妹に尋ねる 「ちょっとフラン、あなたの能力でこの鎖壊せない?」 「無理、手が握れないから壊せない」 それを聞いてレミリアが毒づく 「普段、散々壊すくせにここぞって時に使えない能力ね・・・」 イライラが募り、妹に八つ当たりする フランがムッとして尋ね返す 「じゃあ、お姉様が運命操って壊せばいいじゃない!」 「無茶言わないで!操るにしたって限度ってものがあるわ!」 「じゃあ咲夜たちがここに来るように運命操ってよ!」 「ここがどこかわからないうえに、咲夜たちの場所もわからないんじゃ出来ないわよ!」 「お姉様だって何にも出来ないじゃない!そもそも運命を操る能力ってものを本当に持ってるかどうかすら疑わしいわ!」 「なんですって!フラン撤回なさい!」 「嫌!絶対に嫌!!」 姉妹が言い合っていると 初めて 姉妹を閉じ込めていたものが アクションをおこした ズズズズズズズズズッ 2人は突然部屋に響いた音で口論をやめる 「なに?」 ガリガリと石と石がこすれ合う耳障りな音がする 「お姉さま、アレ!」 フランの見ている方、左の壁を見る 「!!!」 地下室の壁がこちらに迫ってきていた まさかと思い反対側を見ると、そちら側もこちらに迫って来ていた 「うそ!うそでしょ!」 高い再生能力を持つ吸血鬼でも壁に潰されればいくらなんでも死ぬ 2人とも必死にもがくが自分たちを拘束しているものはびくともせず、鎖でお互いの首を引っ張りあうだけだった 突然壁がピタリと止まる 「えっ?」 「止まった?」 助かったと2人は安堵した 安堵し、お互いの顔を見合う 2人とも涙目だった 2人とも喧嘩をしていたことはもう頭に無かった 地下室は4分の1の広さになった 数時間後、再び壁が動き出し2人はまたパニックを起こした そして壁はある程度動き止まった 壁が止まり、再び安堵した2人は気持ちを落ち着かせ相談する 「ねえ、お姉さま。あれって壊れたから止まったんじゃないの?なんでまた動きだしたの?」 「たぶん・・・定期的に動いては止まって、動いては止まってを繰り返すんじゃないかしら」 「そんな!じゃあこのままだと・・・・・」 最悪の光景が2人の頭をよぎる 地下室は4分の2の広さになっていた 脱出する手は無いかと2人で考えていると 「それにしても誰がこんなことを?」 閉じ込められてから、やっと犯人はだれかという話題が挙がった 「咲夜かな?時間を止めて空間をいじって私たちをつないで。それなら私たちが紅魔館からここに運びこまれたのにも納得がいくよね」 「あの子がそんなことするわけないでしょ!私の従者よ」 自分の従者が疑われたことを心外に思い抗議する 「じゃあ、パチュリーと小悪魔。魔法の実験でこんなことしたとか?」 「パチェとは百年近く友達やってるのよ、私にこんなことしないわ」 有り得なくもないが、否定する 「じゃあ、美鈴?」 「一番有り得ないわ・・・・とりあえず、紅魔館でこんなことする者はいないの」 わかった?とレミリアはフランに言い聞かせる 「でも、目が覚めた時、真っ先に私を疑ったよね?」 「うっ」 疑ったのは事実であるため、レミリアには弁解の言葉が見つからなかった 「否定してくれないんだ・・・・・」 フランの表情が曇る ここで2人の会話は途絶えた 沈黙の中、レミリアは一人頭の中で犯人探しを再開する (わがまま言って周りを困らせたことはあるかもしれないけど、ここまでのことをされる覚えは無いわ そもそも私たちを一晩でこんな状態にできるヤツなんてこの幻想郷にいるの?) 知り合いでそんなことができるのはごくわずかだ (咲夜じゃないとしたら・・・・・まさかあのスキマ妖怪が?) それしか考えられない あのスキマ妖怪が主犯なら今の状態全てに説明がつく では何のために? 極限状態に身を置くことで姉妹の絆を深めるためのお節介か・・・・ 私たちが慌てふためくのを見てほくそ笑んで楽しんでいるか・・・・ はたまた 吸血鬼を危険視して本当に抹殺しようと考えているのか・・・・ とりあえず、この件に八雲紫が関わっているのなら 胡散臭いヤツではあるが さすがに命まではとらないだろうと思った 否、そう思いたかった ズズズズズズズズズズズズズ 時間が経ち、三度目の壁の移動が始まった フランがその音を聞いて怯え始める 耳を塞ぎたくても腕が固定されているためそれができない 「まだ大丈夫よ。あと数メートル動いたら止まるはずだから・・・・」 壁が止まる予定の位置に達する 壁がその位置でピタリと止まった ように2人の目には見えた 「ねぇ!ねぇ!止まらない!!止まらないよ!!お姉さま!!」 「そんな!!まだ十分な広さがあったわよ、4分の3のところで止まるはずよ!!なんで!!」 どんどん両壁が2人に迫ってくる (冗談でしょ!!まさか本気で私たちを殺す気!?・・・・!!) と、そこで急にレミリアの首が絞め上げられた 隣でフランが恐怖で暴れ、首をばたばたとさせる そのたびにレミリアの首が絞まる 「ぐぅっ、、、フ・・ラン・・・く・・苦し・・動かな・・いで・・・・・」 「止まって!止まってよ!!お願いだから!!!」 聞く耳を持たない壁にフランは必死に懇願する 自分の声は妹には届いていなかった 壁はすぐそこまで来ていた 両壁が2人のそれぞれの腕に触れるらほど目の前にやってきた そこで壁は止まった それでようやくフランの動きが止まる 「げほっ、げほっ、げほっ、げほっ・・・」 開放され、咳き込むレミリア 落ち着きを取り戻したフランが自分のしでかしたことを知る 「ご、ごめんなさい、お姉様」 咳き込み呼吸を整えている姉にあやまる 「ハァハァハァ・・・・・無防備の状態、で首を絞められるのが、ここまでつらいとは思わなかったわ・・・」 「本当にごめんなさい」 許してもらおうと何度も謝る 「またやったら、一生、紅魔館の廊下すら歩かせないわよ」 フランをにらみつけて言う 「・・・・・・・はい、わかりました」 シュンとなってフランはうな垂れる なんとか許してくれたが、レミリアの怒りは相当なものだった 地下室の広さは4分の1以下 横幅は紅魔館の廊下より狭くなっていた 殺されることは無いだろうと思っていたレミリアもこの状況にきて焦り始めた 本気で私たちを亡き者にしようとしているのでは無いかと考えを改めた 真剣に脱出の方法を考えなければならない 予想では壁が動くのは数時間先ではあるが、今の状況ではその推測は信用できない 「フラン、あなた何か良い考え無い?蝙蝠になれなくてもあなたなら霧になれるんじゃ・・・・フラン?」 フランはレミリアから目を背け自分に近いほうの壁を見ている 「フラン、私はもう怒ってないから。話を聞きなさい」 「壁に何か書いてある」 「え?」 「えーと・・・ココ・・カ・・ラデ・・ホウ・・ホウ・・ハ・・ツ・・・ノ・・ト・・んー字がかすれてて読めない」 レミリアも自分に近い壁のほうを見る 確かに字が書かれていた、こちらは読めないほどかすれていなかった レミリアは文章を口に出す前に一度目を通す 「ぷっ・・・・あはははははははは!」 読み終え突然笑い出す 「え?え?なんて書いてあるの?ねえ?」 フランが興味深げに聞いてくる 「傑作よ、傑作!ここまで定番だと笑らけてくるわ!」 レミリアが壁の文章を読み上げる 『ここから出る方法は一つ、自分一人が生き残ること  一人になるのを拒むなら、2人は平等に潰される。』 「って書いてあるの?」 「って書いてあるわ」 「・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・」 「「あははははははははははははははははははははは」」 2人は同時に笑い出した 「ねえ?フラン、傑作でしょ?あはははははは」 「うん!こんな笑ったのひさしぶり!」 「『ここから出たきゃ相手を殺せ』ってどこの三文小説よ!?ベタもベタ、ベッタベタよ」 「あはははははは、やめて!やめて!腹筋痛い!これ以上笑わせないで!」 「はははははははっだめ!私、過呼吸起こしそう!」 2人はただひたすら笑いあった 「あー笑ったわ」 「私もー」 ようやく2人とも落ち着いた 2人の間に沈黙とも、焦燥とも違う奇妙な空気が生まれる 「というわけで、優しい優しいお姉様。可愛い可愛い妹のためにどうかどうか、死んでは頂けないでしょうか?」 フランが仰々しく言う 「やめなさい、気持ち悪い。あなたに紅魔館の当主はまだ務まらないわ、スカーレット家の者として生まれたのなら  一族の繁栄のため優秀な当主である私のための尊い犠牲となりなさい」 レミリアも負けずと言い返す 「えー?ほとんど紅魔館のことは咲夜が切り盛りしてるの私知ってるんだよ?それに500年も好き勝手に生きてたんだからもお良いじゃない?  そろそろ私もお外に出たいなー、495年の地下室暮らしは辛かったなー」 「何言ってるの?私がいるから紅魔館があるのよ?私が死んだらみんな悲しむでしょう?」 「「・・・・・・・・・」」 「譲る気は無いのね、フラン?」 「うん、そういうお姉様も譲る気は無さそうだね」 「あたり前でしょ、誰だって死ぬのはごめんよ」 「じゃあ、方法は一つだね」 「ええ、そうみたいね」 2人はお互いの首輪の鎖を見合う これを引っ張ることが相手を殺すことのできる唯一の方法である 「お先にどうぞフラン?」 「いえいえ、お姉様がお先にどうぞ」 「あら、珍しいわね、あなたが遠慮するなんて」 「だって、これ引っ張っちゃったら、私もう紅魔館の廊下歩けなくなるもん」 レミリアは先ほどフランを脅した言葉を思い出す、怒り任せに冗談半分で言ったつもりだがここでその話題を持ち出してとは思って無かった 「ふふふふふ」 「え、なんで笑うの!?」 「いやちょっとね、それはあなたと私の間で交わした約束なんだから、私が死ねば簡単に反故にできるのよ?」 「だって、約束は約束だし。それにお姉様死んじゃったら、紅魔館のみんな悲しむし・・・・・・・・・私だってその・・・・悲しいし・・・・・」 ゴニョゴニョと最後の部分は聞き取りにくく話す しかし、レミリアにはしっかりと聞こえていた 「自分が死んで誰が悲しもうが私の知ったことではないわ、そんなことよりあなたが死んで私が悲しい想いをするほうがごめんだわ」 レミリアはフランの気持ちに応えるようはっきりと言い放つ その時 レミリアは優しく穏やかな顔で フランはくしゃくしゃの泣き顔だった 結局2人が選んだのは 『最後まで一緒にいる』という選択だった 「ねえ、お姉様、何かお話聞かせて?」 「時間もかなりあることだし、いいわ、外のお話しでもしましょうか」 「やったー」 あれだけ膨大な時間がありながら雑談をするのはこれが初めてだった 話題は取りとめなく出てきた ほとんどが紅魔館の外の話で 外であった妖怪、人間について これまでに起きた異変について 一部脚色した自分の武勇伝なんかも話した 話すたびにフランは「見てみたかったなー」と言葉を漏らした 「私達って死んだらどうなるの?」 ふいにフランがたずねる 自分達の死後がどうなるかは、やはり気になるところ 「そうね、人間は死んだら天国か地獄に行って生まれ変わるらしいけど。吸血鬼は生まれ変わらずにそのまま消えちゃうんじゃない?」 「それ、ちょっと嫌だな・・・・」 「ええ、嫌ね・・・・・・」 2人が雑談を始めて大分時間が経った そろそろ壁が動き出す時間である レミリアは観念したように目を閉じる (まあ、500年も自由に生きたわけだし、家族や友達にも恵まれたし・・・・まあ充実した人生だったのかしら) 自分が生まれてからこれまでのことを思い返す 長い瞑想のあと レミリアが目を開けると歪な剣を持ったフランが目の前にいた 「お姉様、霧にはなれなかったけど、分身なら一人分、なんとかできたよ」 隣から、今だに鎖につながれているフラン本体が答える 「そうなのフラン?じゃあ早くここを出ましょう。あなたの能力なら簡単に・・・・」 「無理だよ」 「え?」 希望は一瞬でかき消された 「どういうこと、フラン?」 「壊せない、初めから気付いてたけど、この地下室には『点』が無いの・・・・探したけど出口も無い・・・だから、出られない・・・」 「そう残念ね・・・・・」 その顔は本当に残念そうだった 突然フランの分身がレミリアに剣を向けた 「何のつもり、フラン?」 特に動揺するわけでもなく、涼しげな態度でレミリアがたずねる 「私ねいろいろ考えたの。私の人生どうっだったのかな?って」 「人じゃ無いのに『人』生っていうのもおかしな話ね。でどうだったの?」 要らぬ横槍を入れるも、続きを話すよう促す 「私、生まれてからほとんどの時間、地下室だったでしょ。だから友達とか全然いないし  外のことも全く知らない。ただ生きてるだけ。ここで終わっちゃたら、私の人生に意味があったと思う?」 「無いでしょうね」 「そうでしょ・・・・・・だから・・・・・・わかるよね?」 剣を向けたままにこやかにフランが言う 「まあ、考えてもみれば、2人一緒に死ぬより、一人が生き残ったほうがいいに決まってるものね」 「でしょ?」 「でも、あの壁の文章が嘘っぱちなら、私は犬死ね・・・・」 「お姉様は『犬』じゃなくて吸血鬼でしょ。それにアレは本気の文章だってお互い気付いているんじゃない?」 なんとなく2人には壁の文章が嘘ではないとわかっていた フランの分身が拘束されているレミリアに抱きつく 「さよなら、お姉様・・・・・・・」 「ええ、さようならフラン」 別れの言葉を交わす レミリアがこのとき、自分に抱きつくフランの分身の首筋に噛み付き血を吸えば、自分の体力が回復するだけではなく フランの分身は消えて、本体は弱体化する、その隙に思いっきり首輪を引っ張れば妹の首は絞まるどころかへし折ることだってできる しかし その絶好のチャンスをレミリアはあえて見送った ズズズズズズズズズズズズズズズズズッ その音を聞き フランはレミリアから名残惜しそうに離れる (もし最後までフランに私を殺す気が無ければ、散々罵倒してキレさせてでも殺してもらおうと思ったのだけれど) 離れてゆっくりと立ち上がる (まあ、絞殺されるよりはマシか・・・・・) 立ち上がり剣を構える (495年も地下室だったんだし、そろそろ外出させてあげてもいいわね。魔理沙や霊夢、紅魔館のみんなが支えてあげればなんとかなるはずだし) 分身も本体のフランも泣いていたが、その顔は優しく微笑んでいた (本当に可愛い子ね、この子のために死ねるならお姉さん冥利に尽きってものよ・・・・) フランは小さく何かをつぶやいて そのまま剣をつきたてた ドスッと ものが刺さる音がする 不思議と痛みは無く そのままゆっくりとレミリアの意識と体の感覚が消えていった 「・・・・・さま・・・・・おじょうさま・・・・・お嬢様」 「・・・・・・・・・咲夜?」 レミリアは自分の部屋のベットで目を覚ました どうやら起床時間になり咲夜が起こしにきてくれたらしい 「大丈夫ですか?だいぶうなされてましたけど、何か怖い夢でも?」 「夢?別になにも見てないわよ?」 そうですかと咲夜が答え、着替えを置いてそそくさと出て行った いつもなら着替えを手伝うと言い出すはずなのに妙である 「あの、お嬢様」 「何?」 部屋から出る際、咲夜が話しかける 「お早めに、お顔を洗うのをお勧めします」 そういって去っていった レミリアが顔に手を当てると、自分が泣いているのがわかった 今日も博麗神社に遊びにいこうと思った 今ならあの『スキマ妖怪』も冬眠中で霊夢と2人っきりになれる機会が多い 「・・・・・・・・・・・・・・・」 しかし、途中で気が変わり地下室に行こうと考えを変えた なんとなく地下室に行かなければならないと思った 「フラン、私よ。お姉さんよ・・・」 そういって地下室の扉を開ける フランはベットの上ですやすやと眠っていた 妹がちゃんと地下室にいることになぜかレミリアは安堵した 「まったく、せっかく遊びにきてあげたのに寝てるなんて・・・・起こしてあげようかしら?」 フランニチカヅクカナイホウガイイ 「フラン、お姉様が来てあげたわよ、起きなさい」 そう言ってフランの顔をつつく ネテルンダカラヤメマショウ、イマカラジンジャニイキマショウ どこからか聞こえる声を無視する 「こら、起きなさい」 そういってフランの手を取る キヅイチャダメ、キヅイチャダメ、キヅイチャダメ、キヅイチャダメ、キヅイチャダメ、キヅイチャダメ、キヅイチャダメ キヅイチャダメ、キヅイチャダメ、キヅイチャダメ、キヅイチャダメ、キヅイチャダメ、キヅイチャダメ、キヅイチャダメ フランの脈が無かった 「あら・・・・この子案外、低血圧なのね・・・・・」 耳を口元に近づける 呼吸していなかった 「え!?うそっ!ちょっと!フラン!!!」 どれだけ揺すっても反応が無い 「なんで!!なんで!!なんで!!」 オモイダスナ、オモイダスナ、オモイダスナ、オモイダスナ、オモイダスナ、オモイダスナ、オモイダスナ、オモイダスナ オモイダスナ、オモイダスナ、オモイダスナ、オモイダスナ、オモイダスナ、オモイダスナ、オモイダスナ、オモイダスナ 「死んだのは私のほうのはずよ、なんで私が生きていて、フランが死んでるの!おかしいじゃない!!!」 アレホドオモイダスナトイッタノニ・・・・・・・・ ホントウニシンダノハワタシ? さっきから聞こえる声は他ならぬ自分の頭から聞こえる声だった 「だってあの時フランの剣が私に・・・・・・」 夢というひどく曖昧なものを思い起こす 夢は映像ではなく、連続した写真だと学者は定説する 誰でも、自分の都合の悪いシーンを違うシーンに無意識にすり替えることがあるという あの時フランが剣をつきたてたのは、自分にではなくフラン自身だった 最後に「地下室で無意味な人生を送る自分より、みんなから必要とされるお姉様のほうがいい」と言ったのをようやく思い出した 「あっ・・あっ・・・・あっ・・・・・・・・・・・」 だから自分は生きている、だからフランは死んでいる フランの体を思いっきり抱きしめる 「なんで、あなたが死んじゃうの!!なんで私を殺さなっかたの!!私は十分自由に生きたのよ あれほど外に出たいって言ってたじゃない!!あなたはこれからなのよ!!ねえ、フラン!!!」 泣きながら死んでいる妹に向かって必死で叫び続けた フランの顔は死んでいると思えないほど穏やかなものだった fin