ルシア+ノイン+バルト。ある雨の日の話と言うことで。 ルシア 「(船長室の窓に雨の雫が打ち付けられる)・・・あ、雨」 ルシア 「通り雨かな?早くやめばいいんだけど」 ルシア 「・・・あ」 ルシア 「(扉を開けて、扉の近くにいるバルトに)バルト!濡れるから中に入ったら?」 バルト 「・・・・・・」 ルシア 「お〜い。ここにいたら風邪引いちゃうよ?」 ルシア 「う〜ん・・・。入る気がないのかなぁ。でも、このままじゃびしょ濡れだし・・・」 ルシア 「・・・あ!ノイン!」 ノイン 「? ルシア姉ちゃん?」 ルシア 「ちょうど良かった!ちょっと手伝って!」 ノイン 「?」 ルシア 「ありがと、バルトを中に入れるの手伝ってくれて」 ノイン 「それは別に良いけど・・・」 ルシア 「あのままじゃびしょ濡れになっちゃうからね。あ、ノイン、これタオル」 ノイン 「あ、ありがとう」 ルシア 「でも、どうして中に入ろうとしないのかな・・・。外が好きだって言ってもおかしくないけど・・・びしょ濡れになってまで」 ノイン 「・・・俺が聞いてみようか?」 ルシア 「え、分かるの?」 ノイン 「当然。俺はビーストテイマーだからさ。任せておいてよ」 ノイン 「・・・」 バルト 「・・・」 ノイン 「・・・うん。で・・・」 バルト 「・・・・・・」 ルシア (・・・会話してる、のよね?) ノイン 「ふうん、そっか」 ルシア 「分かったの?」 ノイン 「うん。こいつ、姉ちゃんの番犬のつもりでいるんだよ」 ルシア 「番犬?」 ノイン 「そ。姉ちゃんの部屋に悪いやつが来ないように見張ってるんだって。だから、部屋の中にいたんじゃダメなんだってさ」 ルシア 「悪いやつって・・・ここは飛行船よ?関係ない人がそう簡単に入ってこれるわけ・・・・・・」 ルシア 「・・・一部例外はいるけど」 ノイン 「まあね。でも万が一のことがあるかもしれないから、見張ってるんだってさ」 ルシア 「でも、なんでそこまで・・・」 ノイン 「えっと、変な魔女のせいで動物が人間の姿にされた時、こいつもそれに巻き込まれたんだってさ。で、どうしたらいいか分からずにいたら姉ちゃんたちが来て、そいつを追い払ってくれた。だから、感謝してるんだってさ」 ルシア 「え、そうだったの?」 ノイン 「うん。で、自分を助けてくれたルシアに恩返しがしたくて、ルシアについてきたんだってさ。見張りもその一つ。ルシアが助けてくれたんだから、今度は自分がルシアを助ける番だって、そう言ってるよ」 ルシア 「そうだったんだ・・・。だからあのとき、あの場所にいて、私についてきたのね・・・」 ルシア 「ありがとう、バルト」 バルト 「ワフっ」 ルシア 「・・・あ(バルトが船長室から出て行く)」 ノイン 「いいんじゃない?動物って結構タフだし、本人がやりたいなら、やらせていてもさ」 ルシア 「う〜ん・・・でも、ねぇ・・・」 ノイン 「なんか気になる?」 ルシア 「まぁ、バルトが良いならいいんだけど・・・でもやっぱりちょっと気になるし、それに、“怪しいやつ”とうちの船員を間違えたりしないかなぁ・・・とね」 ノイン 「それは教えれば大丈夫だと思うよ。あいつ結構頭良いし、ちゃんと区別できるよ。なんだったら、俺が教えておくよ?」 ルシア 「いいの?じゃあ、お願い・・・」 ノイン 「・・・あ(窓の外を見る)」 ルシア 「どうかした?」 ノイン 「なんか、手遅れみたいだ」 ルシア 「え」 トーイ 「ぎゃああああ!!」 ルシア (・・・とりあえず、ノインの教えで船員を勘違いで噛むようなことはなくなったみたい。でも、なぜかトーイだけは今でも噛まれるのよね。甘噛みで済まされてるみたいだけど・・・)