昨日は、お姉ちゃんがレスタリアに行く日でした。  エルちゃんはなんとか止めようとしていたようです。ワタシも行かないでほしいと思 っていました。  出発日の前日、お姉ちゃんは、怪我をして帰ってきました。  ワタシもエルちゃんも死なないでと泣きました。  一日経ったけど、お姉ちゃんは起きません。  揺っても起きない。  ずっと一緒にいてほしいと願ったけど、 「こんなんじゃダメだよ。一緒にいることにならないよ……」  涙が止まらない。咳も止まらない。 「おーい。起きてるか?」  オットーさんだ。ワタシは涙をぬぐって息を整えてドアを開けました。 「起きてて大丈夫か?」 「うん。大丈ッ……」  言いかけて咳が出た。 「ぜんぜん、大丈夫じゃないのようじゃのぉ?」  オットーさんの後ろからおばぁちゃんが顔を出しました。 「お友達ですか?」 「そんなところかな?」 「まぁ、よろしく頼むぞい。それと、期待する前に言っておくがワシは医者ではない」  お医者さんじゃないなら誰だろう。 「おヌシたち二人をちょっと助けてやろうかと思っての」 「助ける?」 「うむ。まあ、言うよりして見せたほうが早かろうて」  おばぁちゃんはワタシをお姉ちゃんの横に立たせ、 「ヒールフィールド」  おばぁちゃんの淡い光がワタシとお姉ちゃんを包みました。 「心持ち、楽になった気がするか?」 「うん。そんな気がする」  おばぁちゃんは、「そうかそうか」と笑いました。 「ありがとう。おばぁちゃん、オットーさんもありがとう」  オットーさんも安心したように笑っています。 「明日の昼頃にでも目覚めるじゃろて」  ほんとうはよくわからなかった。けど、お姉ちゃんの身体の傷が治ってもうすぐ起き ると感じられただけでワタシは満足でした。