名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/12(日) 14:24:12 ID:n7sumb6h<> ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。

○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど)
○ぶつ切りでの作品投下もアリ。

■ヤンデレとは?
 ・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。
  →(別名:黒化、黒姫化など)
 ・転じて、病ん(ヤン)だ愛情表現(デレ)、またそれを行うヒロイン全般も含みます。

■関連サイト
ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫 @ ウィキ
http://www42.atwiki.jp/i_am_a_yandere/

■前スレ
ヤンデレの小説を書こう!Part18
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1219546353/

■お約束
 ・sage進行でお願いします。
 ・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。
 ・版権モノは専用スレでお願いします。
 ・男のヤンデレは基本的にNGです。 <>ヤンデレの小説を書こう!Part19 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/12(日) 14:42:29 ID:mbsV6Mjt<> >>1乙!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/12(日) 14:52:29 ID:62nOQdRd<> >>1乙 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/12(日) 15:32:50 ID:GTxNYF4h<> 1乙です <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/12(日) 16:36:28 ID:4ulifI0Q<> >>1 乙 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/12(日) 16:49:36 ID:Vs+cRd0O<> >>1乙です! <> 名無しさん@ピンキー<><>2008/10/12(日) 17:02:23 ID:o/Ow3zsh<> >>1さん乙です! <> 名無しさん@ピンキー<><>2008/10/12(日) 17:40:22 ID:cr2eroyY<> 乙 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/12(日) 17:42:00 ID:mbsV6Mjt<> 職人カモーン!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/12(日) 18:34:15 ID:kQ9U4+cG<> >>1
おつ。そして期待! <> ワイヤード 第六話  ◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/12(日) 20:24:33 ID:4ulifI0Q<> 先ほどは、お騒がせして申し訳ありませんでした。>>前スレ
投下速度重視なので、書いたら考え無しに即投下してしまっていました。
ゲーパロさんごめんなさい。以後気をつけます。

では、新スレなので気を取り直してワイヤード6、投下します <> ワイヤード 第六話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/12(日) 20:25:49 ID:4ulifI0Q<> 第六話『ダイヤモンド・発光』

お母さんは言っていた。泣いてる子を見たら元気付けてあげなさいって。
お母さんは言っていた。悪い子を見たら、迷わず戦って、勝ちなさいって。
お母さんは言っていた。輝けるものを見たら、一生大切にして、放してはいけないって。
お母さんは死んでしまったけど、息子はずっとその言葉を胸に秘めて生きていた。
――そして少年は、あのとき『輝けるもの』を見つけた。

「うっ……うぅ……」
「なぁー」
「うぅ……うっ……ぐすっ……」
「なんで泣いてんの?」
少年の目の前にうずくまり、泣いている少女。髪は燃えるように赤く、目は鋭い。誰も信じてはいないとでも言いたそうな、攻撃的な姿。
「……だまれ、話かけるな」
「泣いてたんじゃないのかよ……かわいくねー」
「お前に哀れがられるほど、不幸でもない」
「……なー、お前馬鹿?」
「なっ……なんだと!?」
「いや、質問に答えろよ。お前馬鹿かって聞いてんだよ」
赤い髪の少女は困惑しながらも、涙をぬぐい、強い意志のこもった目で答えた。
「馬鹿じゃない。私は……私は母さんの、娘だ。絶対に、馬鹿じゃない。誇りがあるんだ」
「……なら、その涙を止める努力をしろ。でなきゃ――死んでんのと同じだ」
「……」
少女は目を見開き、一瞬硬直した。
が、少ししてふっと表情を和らげ、少年に笑いかけた。 <> ワイヤード 第六話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/12(日) 20:26:39 ID:4ulifI0Q<> 「お前、名前は?」
「人に名前を聞く時は――」
「――ああ、そうだな。私は、ナギ。野々村ナギだ」
「俺は鷹野千歳。呼び方はどうでもいいから適当に考えろ」
「そうか。千歳」
「呼び捨てかよ。はええな」
「不満か?」
「いや、まどろっこしいよりはいいな。よろしくな、ナギ」
二人は顔を見合わせて笑った。どうしようもなく気が会うことを、見た時点で分かり合ってしまった。
これは、紛れもない『運命』だと。二人には無意識であれ意識的にでもあれ、理解されていた。
<> ワイヤード 第六話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/12(日) 20:27:11 ID:4ulifI0Q<> 「で、お前なんで泣いてたんだよ」
「聞くな。恥ずいだろうが」
「そういうわけにもいかんな。大方、その赤い髪にでも関係あんじゃねーの?」
「……勘がいいな、その通りだ。転校してきて、馬鹿どもが群がってきて、赤い髪気持ち悪いとか、何人だとか、宇宙人とか、わけのわからんことを言ってきた」
「よくある話だな。そういう特徴をあげつらって人を自分より下に見る馬鹿。そういう奴の脳こそどうにかしたほうがいい」
「ああ、そのとおりだな」
「でも、その口ぶりだとそのことに対して泣くほど悲しかったってこともないみたいだが」
「そうだな。実際は、『宇宙人の娘だ』とか言われたのがショックだったんだ」
「娘……」
「この赤い髪、母さんと同じなんだ。母さんにもらったこの髪を、私は好きなんだ。だから、馬鹿にされたくない。くやしかった……」
「……なぁ」
「なんだ」
「お前、だいたいどいつがお前を馬鹿にしたか覚えてないか?」
「……何をするつもりだ」
「いいから、質問に答えろよ、ナギ。別にお前に関係していることじゃない」
「……どうだか」
そうは思いつつも、ナギは千歳にだいたいの人数と人相と覚えていた限りの名前を教えた。
千歳は、後は大体聞き込みでなんとかするからと言ってどこかに走っていった。
「あいつ、証拠をあげて教師に密告でもする気か……」
余計なことを。とは思うが、なんだか嬉しくて、頬が緩む感覚があった。
それを自分でひっぱたいて引き締め、ナギは愛する母の待つ家に帰った。
<> ワイヤード 第六話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/12(日) 20:27:57 ID:4ulifI0Q<> 翌日。ナギが学校に行くと、ナギのクラスの教室で、隣のクラスであるはずの千歳が待っていた。
「よお、ナギ」
「何の用だ」
「何のようかって、別にたいした用じゃない。ってか、お前に用があるのはこいつらだ」
「ん……?」
千歳の指の先を見ると、何人かのクラスメイトが土下座をしていた。
「あれはなんだ。新手の我慢大会か?」
「いや、あいつら昨日のことをお前に謝りたいらしいぜ、なあ?」
千歳はリーダー格らしき少年に呼びかけた。
「は、はいぃ! ナギさん、すみませんでした!」
リーダー格らしきその少年は、千歳よりもずっと大柄で強面だ。なのに、今は何故か千歳に怯えているように見える。
それに、良く見ると土下座している連中はみんないたるところに青あざや擦り傷がある。
――そして、千歳の頬にも小さな擦り傷。昨日はなかったはずだが。
「お前、まさか……」
「こいつら、たたりに会ったらしいぜ。俺はなにがなんだか知らねーけど」
「千歳……」
「ん、なんだよ」
「お前、馬鹿なんだな」
ナギはそう言ってけらけらと笑った。
<> ワイヤード 第六話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/12(日) 20:28:28 ID:4ulifI0Q<> 「おい! てめぇ助けられた身分で!」
「見苦しいぞ今更自分の手柄を主張するとは。男らしくない」
「ぐっ……」
「だが――感謝するよ千歳。これはお礼だ」
ナギの笑顔が輝いた。千歳は目を奪われ、硬直する。
「(こいつ、笑うと可愛いんだな……)」
ちゅ。
そんなことを思っている間に、何か柔らかいものが頬に触れていた。
「へっ……?」
「特別だぞ。忘れるな」
恥ずかしそうに頬を赤らめ、ナギはそそくさとその場を立ち去った。
「お、おい! お前今……」
「だーまーれー! 二度目はないからついてくんなー!」
「逃げんな! 今のって……ちょ、お前足速いんだよこら!」
<> ワイヤード 第六話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/12(日) 20:29:14 ID:4ulifI0Q<> 「はぁ……はぁ……。どこいったんだよ、ナギのやつ……」
「ここだ。遅いんだよ軟弱者が。捕まえたい物は絶対に放すな」
見ると、木の上に立っていた。ナギの身体能力は同年代の人間とは比べることができないくらいに高いらしい。
息切れすらしていない。
「……俺の母さんみたいなこと言いやがって……降りて来い!」
「捕まえてみろ」
「んだとぉ……」
しかし、高いしとっかかりがない、上りにくそうな木だ。正直、普通じゃ上れない。
「(どうする……)」
「こないのか? ……まあ、その程度だな、馬鹿の力っていうのは」
「(くそ、この女、絶対殴ってやる……)」
千歳は、上ることをさっさと諦め、降ろす手段を考え始めた。
まずは弱点を探ることにする。基本は、相手を良く観察することだが……。
「ん……?」
「なんだ?」
「くまさんぱんつか」
「なっ!」
とっさに両手を離し、スカートを押さえた。バランスを崩し、ナギは落下する。
「危ない!」
千歳が飛び込み、ナギの地面への激突を防いだ。
「……くっそ、こんな手に引っ掛かるとは……。って、千歳、どこへ行った?」
<> ワイヤード 第六話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/12(日) 20:29:45 ID:4ulifI0Q<> 「ここだ……」
「下……」
気付いたら、千歳の顔の上にしりもちをついていた。
「お前尻柔らか……へヴぁ!!!」
「し……死ね馬鹿!!」
顔を髪と同じくらいに真っ赤にして、ナギはさっと千歳からどいた。
「いってー……危なかったな。これで貸し二つ」
「何が貸し二つだ。お前が勝手にやったことだろうが。それに、ひとつ目はもう返済している」
「それもそうか。じゃあ貸しひとつ」
「初めてだよ、お前みたいな奴……納得いかないが、礼くらいはしてやる」
ナギは魅力的な笑みを浮かべ、千歳に近づき、肩を掴む。
「おい、ナギ、お前何を……」
「わかるだろう。お前も馬鹿じゃないなら。目を閉じろ」
「……わかった」
二人の距離は少しずつ縮まっていく。
時が止まる。全ての音がなくなってしまった世界に放り込まれてしまったようだった。
とくん、とくん。
互いの心臓の音だけが、二人の間に流れていた。生きている証し。確認しあう。
嬉しくなる。
目を閉じる。
唇が近づく。
――どきどきしている。 <> ワイヤード 第六話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/12(日) 20:30:16 ID:4ulifI0Q<> ナギは、どうしようもなく自分が女の子であるということを自覚した。
昨日今日会ったばかりの男に、心奪われた。
理由なんてない。時間経過など、理由にならないということを知った。
この心はなんなのだろうか。
幼い心には、まだ正確には理解できていなかった。
しかし、この感情は嘘じゃない。
こうして、互いに感じあっている。
二人の距離は、あと五センチ。
それだけ。
心の距離は――。もう、あるのかないのかも分からない。
ただ、通じ合って、交じり合って、心地よいさざなみの中にいるだけだ。
二人の距離はあと二センチ。

――小さな恋の炎は、確かに燃え上がっていた。それは確かな経験で、過去で、嘘ではなかった。
<> ワイヤード 第六話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/12(日) 20:30:54 ID:4ulifI0Q<> 「とまあ、こういう出会いがあったわけだ。ずいぶん脚色と単純化を加えてはいるがな」
「っておーい! 肝心のキッスの場面はどうなの!?」
「ああ、あれね。あと一センチほどで授業開始のチャイムがなって、お流れになった。それ以来は、あんな雰囲気になることもないな」
「……そんなぁ、ナギちゃん、そをさぁ、もっと強引にぐいぐいーっと」
「何がぐいぐいーっとだ。つまり、そこで私と千歳のフラグはもう進んでないんだよ。だから私はお前を阻害し得ない」
「……ナギちゃん、ずるい」
「何がだ」
「だって、その話聞いてたら、ナギちゃんもちーちゃんも、両思いだけど遠慮してるみたいじゃん。そんな二人の間に入るなんて、私が邪魔者すぎるよぉ」
「だから、今はそうでもないと何度言ったら……」
「それはナギちゃんがそう思い込もうとしているだけで、本当は違うんじゃないかな。少なくともちーちゃんは、私よりもナギちゃんのことが好きみたいだけど……」
「はぁ……ソースは?」
「女の勘!」
「アホくさい。やってられんな。もう寝るぞ」
「えー! もっとおしゃべりしようよー! これ、私がナギちゃんに勝つために必要なんだよ!?」
「知らん。後はお前の努力次第だろう。未来を信じるなら、自分を信じたいなら、努力しなければ死んでいるのと同じことだ」
「ずるーい。……ぷーん、もういいもんっ! 明日から、本気でナギちゃんに勝つため、たくさん勝負するから、覚悟しててね!」
「ああ、いつでもかかってこい。私はもう寝る……おやすみ、イロリ」
「うん、おやすみ、ナギちゃん……」
イロリは名残惜しそうにしていたが、やがて大人しくなって寝息を立て始めた。
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/12(日) 20:31:35 ID:4ulifI0Q<> ナギはというと、横目でイロリの顔をちらりと見ながら、心の中で悪態をついていた。
「(くそっ、イロリのやつ、余計なことを思い出させたな……。千歳とのキス、か……結局、一回もできなかったな)」
そもそもチャンスが一回だけだったのに、それを逃がしたのだ。
あのときの胸のときめきを考えると、それだけで頬が熱くなる。
「(……私も、前に進むことができるのか……? この西又イロリのように)」
えらそうなことを散々言ったが、ナギは正直イロリのことを尊敬していた。
臆病な自分とは全く違う、ポジティブで純粋なその精神には、感服する。
「(いつか、私も……愛しているなんて言葉、口にできるのだろうか)」
自信がなかった。
愛されて良い自信。愛して良い自信。
成長できていないのは、ほかでもないナギ自信だ。それを彼女は自覚していた。
イロリのように、反省して、成長して、行動して、また反省する。そんな、それだけのことさえできれば、未来を掴むことができるのに。
自分には、できない。
「(イロリ――。お前なら、お前なら、できる。これは、嘘じゃない)」
――今はただ、自分が欲しかったものをイロリにたくしても良いかもしれない。
そんな気分になる。不思議なやつだ。西又イロリという女は。
「(だからこのキスは、私からお前への、お前から私への、『契約』だ。悪く思うな)」
ナギの唇が、イロリの唇に軽くふれた。
――千歳との、間接キスということになるな。
ナギはふっと自嘲気味の笑みを浮かべた。 <> ワイヤード 第六話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/12(日) 20:33:45 ID:4ulifI0Q<> 第六話終了です。あと、上のレス、トリップ抜けてますがあるということにしてください。気合で。
ではまた。 <>
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/12(日) 21:10:16 ID:5QB8COJA<> 前スレで大いなるミスをしました。
事前に基本知識を調べなかったせいです。
申し訳ありません。

>>22
GJです。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/12(日) 21:53:10 ID:NJa4rFPD<> >>22
最初からナギ派でした
ナギかわいいよナギ

>>23
前スレいいところで切れちゃっててきになるから続きカモーンw <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/12(日) 22:01:28 ID:aXCzjKqv<> >>1
乙www <> 名無しさん@ピンキー<><>2008/10/12(日) 22:19:49 ID:AxNX2M5t<> >>23
続き頼むぜ。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/12(日) 22:23:23 ID:4ulifI0Q<> >>23
俺へのGJより、続きを……続きを…… <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/12(日) 22:52:01 ID:muC9TzYz<> >>23
早く続きを
500kb行くともうかけないんだぜ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/12(日) 22:56:34 ID:AxNX2M5t<> >>23
作品自体は出来ているんでしょう?前スレが容量いっぱいになった後の頼む。 <> 奏でる旋律は哀しみの音
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/12(日) 23:12:45 ID:5QB8COJA<> >>24->>29
では…失礼します。
<> 奏でる旋律は哀しみの音
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/12(日) 23:13:25 ID:5QB8COJA<> 僕が音楽を始めたきっかけは、中学時代にとあるバンドとの衝撃的な出会いを果たしたことだった。
そのバンドは90年代でもっとも輝いたとされる有名なグループだった。友人から、余分にとったというチケットをもらい、彼らのライブに赴いた。
そこで初めて聞いた生の音に、力強いヴォーカルに僕は一瞬で魅了された。
それからは、必死に音楽を学んだ。が、当時金がなかった僕はギターなど買うことができず、軽音楽部ではヴォーカルに割り当てられたのもある意味必然だった。
結局、中学時代の僕のバンド活動は高校受験の前に日の目を見ることはなかった。しかし高校入学を果たしてからはひたすらバイトと部活に明け暮れた。
たびたび先輩にカラオケに連れていってもらったこともあった。その時歌ったのはもちろんあのバンドの曲。
先輩曰く、「カラオケの採点なんかあてになりゃしない。お前はいいものを持ってるから、自信を持て」だそうだ。

高校最後の文化祭でようやく僕たちは舞台に立った。コピーバンドとしての登場だったが、オリジナルもいくつか交えた。
観客の反応は僕の予想をはるかに上回り熱狂し、ホールは今までにない最高潮の盛り上がりをみせた。
あの時の感動が忘れられず、僕たちは同じ夢を追い続けてきた。


僕らは皆同じ大学に入り、同じようにバンドを続けていた。コピーバンドはとうに卒業し、オリジナルだけを手掛けた。
そんな中、大学最初の夏にとある無名のレコード会社と契約をした。それからはたびたびライブを行ってきた。
回数を重ねる度にファンも増えていき、初めての単独ライブのころには1万人もの観客を動員した。
その1ヶ月後には念願のメジャーデビューを果たし、シングルは初登場第1位に輝いた。

それから1年が経ったところからこの物語は始まる。
僕の名は、柏木 冬真。ロックバンド"fourth×force"通称「フォース」のヴォーカルだ.
<> 奏でる旋律は哀しみの音
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/12(日) 23:14:34 ID:5QB8COJA<> 最近僕はあることに悩まされていた。それは、一部の狂信的なファンのことだ。
デビューしてから、ファンレターの量はは何倍にも増えた。量だけじゃなく、質も重く、苦しいものが多々見られるようになった。

マネージャー兼ファーストギター担当で4人の中で紅一点の赤城 羅刹によると、髪の毛入りの手紙やら怪しさ満点の手作り菓子、果ては小瓶いっぱいにつまった
…な液体と、とても僕には理解できない物ばかりだそうた。そういったものはマネージャーである羅刹が処分しているので実際にお目にかかったことはあまりないが…。

「ほんっと、どうかしてるわ。いつもいつも懲りずにこんなもん送ってきて…そう思わない?冬真。」
「…そうだね、羅刹。応援してくれるのは嬉しいけど、さすがにこれはちょっと…」
「ええ。それにしても、あんたって本当にもてるわね…。ファンレターの半分以上が冬真宛てよ?
まあ、冬真は歌うまいし、かっこいいし。なんとなくわかる気もするわ…。」
「おだてたって何も出ないよ、羅刹。」

羅刹とは、中学の時以来の付き合いだ。僕が軽音部に入部したのと同時期に入ってきた子だ。
当時から何度かふたりで話をしたことがあった。彼女もまた、あのバンドのファンだというのだ。
お互いよく気が合い、息も合い、辛いときも支えあった。僕の歌…いや、夢は彼女に支えてもらったと言っても過言ではないくらいだ。
言っておくが、羅刹は恋人とかそういうんじゃない。一応フォースはグループ内の恋愛は禁止となっている。
まあ、ドラム担当のノリトもベーシストのソウジも外に恋人を作ってるからもしそうだとしても問題はないのだが…ちなみにこの事は超企業秘密だ。

「ところで冬真、クリスマスのライブだけどプログラムどうするの?」
「うーん…やっぱノリトたちと相談しないとな…ん?」

ふと僕は、テレビのニュースに気をとられてしまった。
内容は、最近多発している連続殺人。
その事件は半年前から起きている。ターゲットはみな女性だ。そして、もうひとつ共通項があった。
それは、被害者はみんなフォースのファンだということ。これに気付いているのは僕らと、おそらくファン達の同盟だけだろう。
なぜ気付いたかというと、彼女たちはいつも最前列を競っている常連だからだ。だから必然的に顔も覚える。
ニュースは、8人目の被害者が出た事を告げていた。被害者は全員、左耳から右耳に向けて鋭利な刃物で貫かれて殺されていた。今回も同じ手口だそうだ。 <> 奏でる旋律は哀しみの音 前編
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/12(日) 23:15:13 ID:5QB8COJA<> 「ひどいな…また被害者が出たのか。」
「…そうね。気分が悪いわ。」

そう言って羅刹はチャンネルを変えた。番組は、「人気ラーメン店特集!in東京」なるものだった。ん?このパターンは…

「あー!これおいしそー!ねえ冬真!今度一緒に食べに行こうよ!」
「う、うん…そだね。」 やっぱり。

羅刹は、極度のラーメン好きなのだ。今までも何度か連れてかれたことがある。
普段クールな彼女も、この時は子どものように無邪気にはしゃぐ。そして僕は、そんな羅刹が好き(父性愛に近い意味で)なのでいつも断れないのだ。


休日、僕らは例のラーメン屋に来ていた。"僕ら"とはフォース全員を指している。カウンター席の右から順に松田 創路、桜庭 祝詞、羅刹、僕だ。
あのあとプログラムについてノリトたちと電話したら、いつの間にか一緒にラーメン屋に行くことになったのだ。羅刹は「目立つ」とか言って機嫌を損ねていたが。

「ちぇっ…せっかく二人きりだったのに…ぶつぶつ…」
「ん、どうかした?羅刹。」
「…なんでもないもん!」
「ラセツは一途だからな。邪魔したかな?」
「ソウジ、どういう意味だ?」
「…ほんっと鈍いよなトーマは。クスクス…」
「ノリトまで…いったい?」

よく分かんない。僕は再び麺をすすり出した。あれ、チャーシューが一枚ないや。こういう時は大抵… <> 奏でる旋律は哀しみの音 前編
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/12(日) 23:16:06 ID:5QB8COJA<> 「羅刹、おいしい?僕のチャーシュー。」

びくっ、と羅刹が震えた。顔が茹でたこのように真っ赤だ。

「欲しかったらあげるよ、ほら。」

僕はもう一枚のチャーシューを差し出した。

「…ありがと。」

羅刹はチャーシューにスープをよく絡め、食べた。さらに顔が赤くなっていく。
そんなにチャーシューが好きだったのか。ならチャーシュー麺にすればよかったのに。

「ほどほどにしとけよトーマ。ラセツが死んじゃうぞ?」とソウジが言った。
「チャーシューで人が死んだらなんにも食えなくなるよ。」
「トーマ…鈍感もそこまでいくと犯罪だぞ?」
「え、なにが?」
「…はぁぁ。まあがんばれ。」

みんなして、今日は変なことばかり。いったい、どうしたんだろうか? <> 奏でる旋律は哀しみの音 前編
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/12(日) 23:17:51 ID:5QB8COJA<> ラーメン屋をあとにした僕らはゲーセンに来ていた。みんなはサングラスや帽子をつけている。僕の場合は、染めた銀髪を隠すためのかつらだ。案外、ばれないものだな。

ノリトは早速太鼓のゲームに手をかけた。さすがドラマーだけあって、相変わらずすごい。

羅刹は、UFOキャッチャーに夢中だ。実は羅刹はこれが妙にうまい。僕の知る限り、ミスをしたことはない。

僕とソウジはアーケードゲームをすることにした。出た当時は青いロボットがタイトルだったのに、
最近は白いロボットが長いライフルを構えるものになってしまったのが残念だ。あの青いの、好きだったのになあ。

僕らが20戦目でようやく敗退したころ、切り上げることにした。ノリトとソウジは北側、僕と羅刹は南側に別れて解散した。

「じゃあ冬真、私はこの辺で。」
「うん。またね、羅刹。」

羅刹とも別れた。僕は1人で家路につく。今日は楽しかったな。羅刹も、あんな
一面があるなんて…かわいいやつ。

でも、この幸せは長くは続かなかった。



翌日、ソウジが死んだと連絡を受けた。 <> 奏でる旋律は哀しみの音 前編
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/12(日) 23:19:09 ID:5QB8COJA<> 前編終了です。
続いて中編に入ります。 <> 奏でる旋律は哀しみの音 中編
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/12(日) 23:20:38 ID:5QB8COJA<> ソウジが死んだ。いや、殺された。耳を貫かれて。
連絡を受けた僕はすぐに警察に向かった。別れたあと、あるいはその前の詳しい状況を訊かれたが、それでも、いつもと変わらなかったとしか答えるほかなかった。
羅刹とノリトの事情聴取は先に済んでいたようだ。

僕らは、深く悲しんだ。高校時代からの大切な仲間を失ったことは、計り知れない無念さと、悲しさをもたらした。


クリスマスのライブは…中止にしようか。僕はそう切り出した。すると…

「だめよ!ソウジのためにも、ライブはやるわ…!」
「でも、そんなこと…」
「わたしからもお願いします。」

声のした方へ振り向いた先には、1人の女性がいた。たしか彼女はソウジの……
「創路くんと…この子のためにも、歌ってください!」
お腹に手をあててそういう彼女。ソウジ…そうだったのか。

「わかりました…ライブは、必ず成功させます。」

僕は、歌う決意をした。 <> 奏でる旋律は哀しみの音 中編
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/12(日) 23:22:11 ID:5QB8COJA<> 当日、観客はいつもの何倍もの動員数だった。前売り券はネット上では2秒で売り切れ、チケット売り場には2日前から列ができていた。
武道館というあまりに広い空間で立ち見が続出している。こんなことは今までなかった。

僕は精一杯歌った。いつも傍らで心地よく響いていた重低音は、今日は僕の手元から聞こえる。ソウジの愛用していたベースで、僕が弾いていたからだ。
ソウジのテクニックには遠く敵わないが、それでも力の限り弾き、歌った。

最後の曲は、ソウジが作詞作曲を手掛けたバラードにした。不思議と、今日はいつもより声が出た。ソウジが支えてくれているからかな。
ふと、羅刹の方をちらっと見る。羅刹は…涙を流しながらギターソロを弾いていた。

観客もみな、涙したようだ。僕らの歌をただ静かに聞き入っている。演奏が終わると凄まじいまでのスタンディングオベーションが沸いた。
その中には、ソウジの彼女もいた。

なあソウジ、これでよかったんだよな。僕は青のベースギターにそう問いかけた。


ステージを終え、僕らはミーティングをした。その席でノリトがこう言った。

「…解散しないか。」

言うまでもないが、僕もそう思っていた。ソウジがいない今、実質フォースをやっていくのは難しいし、なによりソウジの存在が大きかった。
この哀しみは消えないだろう。歌うたびに、僕の手の中でベースが踊るたびにそれを痛いほど実感した。でも…

「…いや。」 <> 奏でる旋律は哀しみの音 中編
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/12(日) 23:24:37 ID:5QB8COJA<> 羅刹は反対した。

「羅刹…悪いけど僕も同じ気持ちだ。…解散しよう。」
「いやよ!今までだってずっとやってこれたじゃない!冬真が弾かないなら私が弾いたっていい!だから…おねがい、解散だなんて…言わないで…!」
「ラセツ…ソウジの代わりなんて誰にもできないよ。」
ノリトは羅刹にそう言った。

「いや!私は…私にはフォースが全てなの!ねえ冬真…続けるよね…?なんとかいってよ…冬真……。」
「…ごめん。僕はもう、歌えないよ。次のライブで終わりにしよう。」


羅刹は、その場にへたりと崩れ落ち、泣いた。僕は、そんな羅刹を抱き締めてやった。

「ごめん…羅刹。」



あれから一週間。その間僕は部屋にこもりっきりで、フォースの最後を締めくくる楽曲を書いていた。そしてついさっきようやく書き終え、久しぶりに部屋を出て風呂に入ったところだ。
タオルで水滴を拭い、衣服を身に付け部屋に戻ったとき携帯が鳴った。―――会社からだ。

「はい、冬真ですけど…」 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/12(日) 23:24:42 ID:AxNX2M5t<> 支援♪ <> 奏でる旋律は哀しみの音 中編
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/12(日) 23:25:51 ID:5QB8COJA<> 「トーマくん、落ち着いて聞いてくれ…。ノリトが…殺された。」

―――その言葉の意味を理解するのに数秒かかった。
「例の殺人犯だろう…ノリトもまた耳を刃物で貫かれて死んでいたそうだ。それで……」
そこから先は聞き取れなかった。ただ僕は意味も分からないまま相槌をうち、電話を閉じた。

あれから何時間が経ったろう。僕はただ呆然としてベッドに腰かけていた。何も考えず、屍のように存在していた。

ふいに、ドアのチャイムが鳴った。誰だろう。…誰でもいいや。もし殺人犯ならむしろ歓迎したい。もう疲れた。殺すならさっさと殺してくれ。

そんな気持ちでドアを開く。が、客人は殺人犯ではなかった。それは、とても良く見知った顔。灰色をしたとても長い髪の、女の子。…羅刹だった。

「…電話、聞いたわね。心配だから来てあげたわ。」
「羅刹…っ!僕は…」
「いいから…ほら。」

そう言って羅刹は、僕を抱き締めてくれた。温かかった。そこでようやく僕は泣いた。羅刹の胸の中で、涙が枯れそうなほどに。
<> 奏でる旋律は哀しみの音 中編
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/12(日) 23:26:51 ID:5QB8COJA<> 「冬真…いま、楽にしてあげるから…。」

ふと、羅刹はいきなり服を脱ぎ出した。僕はそれを止めるでもなく、ただ見とれていた。
綺麗だった。白い肌に灰の髪、まるでこの世のものでないようだった。
―――この世のものでない。そう思ったとき、僕はある恐れを抱いた。
羅刹まで、いなくなるのだろうか?僕を独りぼっちにして。
思い始めたら止まらない。自分でも体の震えが増していくのがよくわかった。

「大丈夫よ、冬真。私はいなくならないから。だから…おいで?」

その言葉はまるで天使の囁きのようだった。僕は言われるままに羅刹のもとへ行き、その体を求めた。



羅刹は純潔だった。それを、下腹部から滲み出たかすかな鮮血が証明していた。
でも、今の僕は羅刹を気遣うことなんかできなかった。ただ自分の欲望のままに、乱暴に抱いた。羅刹は、目尻に涙を浮かべて歯を食い縛っている。それでも決して、痛みを訴えることはなかった。 <> 奏でる旋律は哀しみの音 中編
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/12(日) 23:28:05 ID:5QB8COJA<> 与えられる一方通行の快楽に、僕はついに限界を迎えた。その全てを、羅刹は受け止めてくれた。

「はぁ…はぁ…冬真…気持ちよかった…?」
「羅刹っ…ごめん…僕は…」
「いいのよ…私も、冬真とひとつになれて嬉しかったから…おあいこよ。」
「え…?それってどういう…んっ」

言葉は、途中で遮られた。唇を塞がれ、羅刹の舌がなかに入ってくる。僕も同じように返す。

「私、冬真が好きなの。だから…冬真の全てが欲しかった。冬真の歌声をずっと間近で聞いていたかったの。私には、冬真が全て。だから…」
「…わかってる。次のライブ、二人のためにも最高のものにしよう。」


葬式を終えた僕らは、その次の日から打ち込みの製作に入った。ドラムとベースの穴をふさぐためにどうしても必要だった。
不思議と、もう悲しくはなかった。今は羅刹がずっとそばにいる。それがこんなにも心強いなんて。
夜になれば僕らは互いに求めあった。傷を舐めあうような行為だが、僕らはそれで満足だった。

そして僕らはついに、fourth×force最後のライブの日を迎えた。 <> 奏でる旋律は哀しみの音 中編
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/12(日) 23:28:56 ID:5QB8COJA<> 中編終了です。
後編に入ります。 <> 奏でる旋律は哀しみの音 中編
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/12(日) 23:31:19 ID:5QB8COJA<> 中編終了です。
後編に入ります。後半は短いです。 <> 奏でる旋律は哀しみの音 中編
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/12(日) 23:31:59 ID:5QB8COJA<> ステージには主を失ったドラムとベースが置かれている。今のfourth×forceは、僕と羅刹の二人だけだった。それでも、観客は前回のライブの倍はいた。
僕はそんな観客たちに応えるべく切り出した。

「こんばんは、フォースです。」

瞬間、歓声が沸いた。そのまま僕は舞台裏のスタッフに合図を送り、打ち込みの音を流した。この前まではシンセサイザーとセカンドギターのみ。
今日は、新たにドラムとベースの音が加わっているものだ。
やはり物足りない。が、その空虚さは羅刹のギターが埋めてくれた。そうして、順にプログラム通りに曲をこなしていく。
今日はあえて二人の作った曲を多めにプログラムに入れた。観客は、たびたび涙した。

最後は、僕が先日書き下ろした曲。観客は今だかつてないほどに歓喜し、感動していた。

「みんな、今までありがとう!」

僕は観客に向けてそう言った。凄まじい密度の拍手の海に僕らは見送られた。


ライブが終わったあと羅刹は、用事があるとかで外していた。なので僕は、1人で先に家に帰った。
あの日以来、羅刹と二人で過ごしている。ここは僕の家であり、羅刹の家でもあるのだ。 <> 奏でる旋律は哀しみの音 後編
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/12(日) 23:34:51 ID:5QB8COJA<> ベッドに横たわり、今日のライブを思い返す。
羅刹…今日はすごく調子よかったみたいだ。やっぱり最後だからかな…?表情も心なしか上気したみたいだったし…そんなこと言ったら怒られるかな。


呼び鈴が鳴る。僕はベッドを降り、ドアのスコープを覗く。羅刹だ。
すぐに鍵を開けてやった。

「おかえり……え…?」
「ただいま、冬真。」

そう言った羅刹。しかし僕はその姿に言葉を失った。
羅刹は、全身血まみれだった。手には長いナイフが握られている。そう、ちょうど人間の顔を横から貫通させることができそうな…。

「ら…せつ…?いったい…なにが…?」
「なにって…ああ、心配しなくていいよ。発情期の雌猫を2、3匹駆逐しただけだから。」
「めす…ねこ…?」
「そう、雌猫。あんなやつらに冬真の歌を聴く資格なんてないわ。だから、何も聞こえなくしてやったの。あはははっ…」
それこそ歌うように嬉々として話す羅刹。

「まさか…連続殺人犯って…羅刹が?」
「人聞きが悪いわね。あくまで雌猫を駆除しただけよ?ふふ…」
「ノリトも…ソウジも何で殺した!?」
「だってノリトったら、私と冬真を引き裂こうとしたんだもん…当然よ。ソウジは、冬真の隣にずうずうしく座ってたのがいけないの。
冬真のそばにいていいのは私だけなんだよ?」

―――羅刹は、狂っていた。少なくとも、僕にはそう見えた。 <> 奏でる旋律は哀しみの音 後編
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/12(日) 23:36:04 ID:5QB8COJA<> 「ねえ…これからは私のためだけに歌ってね?ほら…今日だって、冬真の歌を聞いてたらここもこんなになっちゃったんだからぁ…。」

スカートをめくり、下着のなかに僕の手を導きながらそう言う羅刹。手には、ぬるぬるとした感触があった。
それも、半端な量じゃない。まるで粗相をしたかのようだった。

今度こそ何も考えられなくなった。そんな僕を羅刹はゆっくりと床に押し倒し、唇を奪ってきた。

「―――…。――――。――――………」

羅刹が何か言っている。でも、もう何も聞こえない。僕は少しずつ、しかし確実に羅刹に犯され、侵されていった。


無意識のうちに、僕は歌を口ずさんでいた。それは、僕がはじめて聞いた彼らの曲。

"僕はあなたを照らしたい、あの輝ける太陽のように。僕が貴方を守ろう、すべての暗闇から。それは心からの真実――――"



了 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/12(日) 23:37:46 ID:AxNX2M5t<> >>48
ありがとう。良くまとまっているけど新人さんじゃないのかな? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/12(日) 23:39:09 ID:9G/I4MkV<> >>48
乙です  
締めがいいですね <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/12(日) 23:39:28 ID:DColb689<> リアルタイムktkr!!
GJ!!
ゾクゾクきた <> 奏でる旋律は哀しみの音 後編
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/12(日) 23:40:36 ID:5QB8COJA<> 終了です。>>45はミスです。
熱狂的、狂信的なファンって病んでるかなぁと思って書きましたが、最後はこんなんになりました。
前作ではやたらセリフや擬音に頼ってしまったので今回はそういったことに
気を使いました。その分他ででかいミスをしましたが…。本当にすみませんorz <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/13(月) 01:15:33 ID:gd8+XaiE<> その歌詞はラルクのSHINEか?
何にせよGJ! <> 名無しさん@ピンキー<><>2008/10/13(月) 06:27:50 ID:Lx5+Jbty<> ジミーマダー? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/13(月) 09:28:36 ID:tp8G9sE1<> 毎回毎回催促まじでうざいよな
少しは作者の事も考えて大人しく全裸で待機してろよ
紳士だろ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/13(月) 09:58:44 ID:QEW6pOWD<> ようやくこのスレもしおらしくなってきたな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/13(月) 11:03:36 ID:TaKpT79V<> ひらがなばかりでよみづらいじゃないの <> ワイヤード 第七話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 11:58:13 ID:M7IGTwYl<> 投下します <> ワイヤード 第七話  ◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 11:58:43 ID:M7IGTwYl<> 第七話『ファーストバトル・開催』

「なんか、今日は身体だるいんだよなぁ」
「ん、昨日なんかあったの? オナニー八回くらいしたとか?」
「いや、彦馬じゃあるまいし」
「失礼な! 僕は仮にも紳士、一日一回に全てを懸ける!」
学校に行くと、いつもの風景があった。ナギと千歳を出迎える彦馬、各々好き勝手している楽しいクラスメイト達。
だが、同時にいつもと違うものもあった。
「みんなおはよー! そこの君も、あなたも、おはよー!」
元気良く全員に挨拶している女、イロリ。
千歳がナギを迎えに行ったとき、一緒に寝ていたから驚きだった。いつの間に仲良くなったんだ。
ナギに聞くと、「知らん」といってそっぽをむいた。
イロリに聞くと、「へへー、ちーちゃんには、ひ・み・つ」といってにやにや笑いをされた。さっぱりだ。
「いやー、イロリちゃんもクラスに馴染んできたねー」
「二日目にしてあれだからな」
イロリはクラスのほとんどの名前を覚えたようで、ほぼ全員と親しそうに一言二言交わしていた。
陰気な窓際族の、いかにも社交性がなく、嫌われ者で通しているようなやつにすら、陽気に声をかけていた。
これまでの人生でモテた経験のない者にとっては、イロリはまさに天使に見えたろう。
「でも、あんな可愛い子が千歳のお嫁さんだなんて、世の中不公平だよね。僕にも分けてくれないかい」
彦馬はからかうように言った。
「ナギちゃんというものがありながらさ」
「ナギだぁ?」
「そうだよ。ナギちゃんみたいな可愛い子といつもべたべたくっついてるのに、その上嫁を自称する幼なじみ登場だよ。しかも妹さんは可愛いし、これなんてエロゲ?」
「……百歌が可愛いのは認めるが」
「出たよシスコン」
<> ワイヤード 第七話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 11:59:14 ID:M7IGTwYl<> 「出たよシスコン」
「ナギが、可愛い……だと」
机にだらりと身体を投げ出しているナギを見る。だらしなくボサボサの髪、だるそうにあけた口、半分しか開いていない目。貧相な身体。
美人だとかそういう系統の賛辞はとてもじゃないができない。
「見慣れてるからそういうことが言えるのさ」
「そうなのか……?」
「そうだって、ねぇ、ナギちゃん!」
彦馬は大きな声でナギに声をかける。
「なんだ……うるさいぞ彦馬」
だるそうにナギは顔を上げる。いかにも「うぜー」というような顔つきだ。イロリや百歌ならこんな表情死んでもしないだろう。
「ナギちゃん可愛いよナギちゃん!」
「……?」
ナギは働かない頭でしばしその彦馬の言葉をよーくかみしめた。
そして、理解した。
「眼科行け」
再び机につっぷして寝始める。
「ナギちゃん、そりゃないよぉ」
「見た目はどうあれ、ナギは中身があれだからな」
「でも、同じ言葉でも千歳がいうと違うんだよね。ほら千歳、言ってみてよ」
「はぁ?」
「ほらほらー」
「……わかったよ、ったく……。おい、ナギ」
再び声をかける。さっきよりさらに怒りをためながら、ナギが顔を上げた。
<> ワイヤード 第七話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 12:00:24 ID:M7IGTwYl<> 「……なんだ千歳。彦馬よりくだらないことを言ったら唇に瞬間接着剤をつけるぞ」
「ナギ可愛いよナギ」
「……?」
ナギは再びさっきと同じように言葉の意味を脳内でこねくり回して考えた。
そして。
ぼふん。
顔から蒸気があがる。
髪の色と同じ真っ赤に染まった、ゆでだこ状態の顔。鋭い目で千歳をにらむ。
「お……お前……今……今言うことか!!!」
同時に、素早く手を振る。
「(投擲!?)」
敏感に反応した千歳が投擲されたものをぱしりと掴む。常人では考えられない反応と対応だ。
見ると、千歳の手の中にはシャーペンが納まっていた。芯を出して殺傷性をあげている。
「あぶねーぞ!」
「うるさい、お前が悪いんだろうが!」
「可愛いって言っただけだろうが!」
「そういう冗談は性質が悪いから止めろ!」
ここまでナギが興奮するのは珍しい。いつもはもっとだるそうに無視するというのに。
「なになにー? ナギちゃんを『可愛い』っていう大会ー? ナギちゃん可愛いよナギちゃん」
横からイロリが急に首を突っ込んでくる。このクラスにいることがよほど楽しいらしい。さっきからずっとニコニコしている。
「ああっと、イロリちゃん。昨日は自己紹介できなかったけど、僕は千歳の一番の親友の彦馬! よろしくね!」
彦馬はイロリに近づき、手を差し出す。
にっこりと微笑み、イロリも握り返す。
「うん。こっちこそよろしくね。でも、ちーちゃんの一番の友達かぁ……つまり、彦にゃんは、私のライバルってことだね!」
<> ワイヤード 第七話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 12:00:54 ID:M7IGTwYl<> 「へっ……?」
彦馬はぽかんと口をあけた。
「彦にゃんって、なんだよ」
ナギはけらけらと笑いながら、彦馬を指差した。ツッコミどころはそこではない。
「おいイロリ、ライバルって何だよ」
千歳が冷静に聞く。
「ちーちゃんの一番になろうって、昨日決めたの! だから、まずはちーちゃんの一番の友達になって、そのあと一番の恋人になる! それでお嫁さんになるの!」
「……意味わからん」
千歳はあきれ果てる。目を輝かせて力説するイロリには悪いと思ったが、感情的すぎて説明になっていないのだ。
「つまりイロリは昨日こう考えたということだ」
「ナギ……」
「お前の一番になるために、今お前の心の中で高い地位を占めている人間全てに『勝つ』とな」
「どういうことだ」
「お前に認められるため、努力をするってことさ」
ナギは嬉しそうに語った。昨日イロリを応援するといったのは本当なのだろう。
「(でもまあ……)」
千歳も少し嬉しくなる。
好意をもたれてあいてをキライになる奴はいない。イロリは一途で努力家で、純粋だ。
いつか、いつかは、千歳の中でも大きな存在になるかもしれない。いや、きっとなるだろう。
「(って、なに他人事みたいに考えてんだ、俺……。決めるのは俺だろうに)」
そもそも、イロリのことを今自分はどう思っているのだろうか。千歳はそれすら良く分かってはいない。
もしかしたら、好きなのかもしれない。自覚がないだけで。
「(まあ、いずれ分かるか。……今は)」
<> ワイヤード 第七話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 12:01:25 ID:M7IGTwYl<> 「皆さん、おはようございます」
教室に入り、ペコリと頭を下げる大人しい少女。
「やあ委員長、おはよー」
「おはようございます、彦馬さん」
「おはよう。ミクちゃん」
「おはようございます、イロリさん」
「……よう」
「おはようございます、ナギさん」
――井上 深紅。
「……」
千歳は他の人間には気付かれない程度の視線を送り、威嚇する。
視線が帰ってくる。本当に、お互いにしか気付かれないほどに小さな視線の交錯。
「おはようございます、千歳君」
口元だけが、にやりといやらしく笑った。
「ああ……。委員長」
<> ワイヤード 第七話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 12:01:56 ID:M7IGTwYl<> 「今日の体育は男女混合だー」
女子の担当の教師が急な休みらしく、男子担当の筋肉質な教師が男女を全てまとめる。
種目はテニスになった。
「テニス経験者はいるかー?」
「はいはい、僕でーす!」
真っ先に手を挙げたのは彦馬だった。そう言えば、彦馬は中学の時テニス部だった。千歳は思い出し、人間には特技って一つぐらいあるもんだよなと思った。
「他には?」
「私も、少し」
イロリも手を挙げた。
「じゃあ、二人でてちょっくら1ゲームのシングルスて見本試合をしてくれ。ルール説明とか打ちかたとか動き方とか、そのときに説明するから」
男性教師はそう二人に頼むと、いやな顔一つせずに引きうけ、コートに上がった。
「さっそく直接対決だね。ちーちゃんの一番の友達の座、もらうから」
「じゃあ、僕にまけたら僕の恋人にとか……なんちて」
「いいよ」
「へっ……?」
「もし私に勝てたら、だけど」
自信満々で言い放つイロリに、少しむっとして彦馬も言い返す。
「そこまで言われたら、僕も男として引き下がることはできないね。良いよ、僕が勝ったら、千歳は諦めて僕のものになってよね」
「いいよ。サーブはどっちがする?」
「女の子だからね、君にやらせてあげるよ」
「いいの?」
「もちろん」
試合が始まった。
<> ワイヤード 第七話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 12:02:34 ID:M7IGTwYl<> 「おいおい、大丈夫かよ」
千歳が溜め息をついた。
「どっちが?」
「彦馬が」
「だろうな」
ナギも溜め息をついた。
「ふぅー……。この一球に、ちーちゃんを愛する気持ちの全てを懸ける……」
トスを上げる。
「ラブ・ラブ・サーブ!!!!」
きわめてダサい技名を叫びながらイロリはファーストサーブを放った。
が――
「――はやっ!?」
気付いたときには既にネットを越えていた。彦馬はとっさにラケットを突き出し、ボールに当てる。
「(当てるだけでいい、とにかく返して……なっ!?)」
全くボールが動かない。ラケットに吸い付いたように跳ね返らず、彦馬の腕を押し返していた。
「ぐ……おぁ!!」
彦馬が腕を振り切った。
「……」
沈黙。
からんっ。
乾いた音。
吹っ飛んだラケットが地面についた音。 <> ワイヤード 第七話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 12:03:06 ID:M7IGTwYl<> 「私の――サービスエースだね」
周囲がどっと沸いた。
「すげっ! みたか今の!」
「ああ見た、ありゃ波動球だぜ!」
「イロリさんぱねぇっすwwww マジリスペクトっすよwww」
「技名はダサいけど、かっこいい!!」
千歳とナギもあっけに取られる。いや、千歳は、予想通りの展開にあきれ返っていた。
「やっぱりな」
「どういうことだ。あの力は……?」
「あいつ、目的のためだとああいう風にわけわかんねぇパワーになるんだよ」
「目的……? お前のために何かをすることでパワーアップしているということか?」
「まぁ、言うなればそういう感じになる」
「……これは、とんだ大物に出会ってしまったな」
「おいナギ、どこ行くんだ!?」
「確かめる」
「確かめるって何を!?」
――西又イロリ。お前なら、全てを乗り越えることができるかもしれない。
<> ワイヤード 第七話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 12:03:37 ID:M7IGTwYl<> 「そんな……強すぎる……」
彦馬は膝をつき、放心していた。
仮にもテニス経験者だ。力の差は分かる。――いや、その底知れない力の一端に触れることができたのだ。
「あれは、テニスの技術なんかじゃない……もっと根本的な、生物のレベルで……」
――食われた。
完全な敗北。一球で、たった一球ですべてを理解してしまった。
「僕は……なんて思い上がりを……。あんなの、千歳じゃないと……千歳以外には……」
つりあうわけがない。
「そうか。諦めるにはまだ早いとは思うがな」
「!? ……ナギ、ちゃん」
「まあ、お前もまだ成長できる。今は私に変われ」
「……ナギちゃん、戦うのか!? あんなのと……!?」
「あんなのとは何だ。あいつは私の友達であり、千歳の嫁候補であり、お前が一瞬でも憧れた女だぞ」
「でも……」
「……つべこべ言っているひまはない。選手交代だ!」
ナギは大声で宣言した。落ちたラケットを拾い、手に馴染ませるようにぶんぶんと振り回す。
どうみても素人の手つきだった。
「ナギちゃん、テニス経験は……?」
「ないな、一秒たりとも」
「そんな! そんなんじゃイロリちゃんには……!」
「そんなもんで諦めているうちは、強くはなれない。お前が負けた原因がまだわからないか?」
<> ワイヤード 第七話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 12:04:08 ID:M7IGTwYl<> 「え……?」
「お前は精神でイロリに凌駕されていたんだよ。あいつ、『負けたら千歳を諦める』覚悟でお前と戦ったんだぞ。その覚悟につりあう『覚悟』はお前にあったのか?」
「僕は……」
「誰かを上回ろうとするときは、誰かに傷つけられる、誰かに踏みにじられるものだ。傷付かずに前に進む道はない。欲しいもののために前進して、綺麗なまま道を終える奴などいない」
ナギは太陽の光を浴びながら、その赤い髪を輝かせていた。
彦馬にはそれが、まぶしすぎた。
「強くなるということは、傷付いていくということだ。その『覚悟』がなければ、誰にも打ち勝つことなどできない」
ナギはラケットをイロリに向け、宣戦布告をする。
「イロリ、お前は私に勝つといったな。なら、私に負ける覚悟もあるわけだ」
「……うん」
イロリが頷く。いい顔をしていた。迷いのない、戦士の顔を。
「なら、私も母にもらったこの身体が持つ『力』と『誇り』の全てを懸け、お前と戦うことを約束する!」
「……いいよ、私も愛の全てをかけて、ナギちゃんと戦うよ」
イロリの返答は、口調こそ穏やかだったが、静かで、しかし熱い闘志に満ち溢れていた。
戦いが始まった。 <> ワイヤード 第七話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 12:04:39 ID:M7IGTwYl<> 第七話終了です。
展開が遅いのでもうちょい引き締めます。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/13(月) 12:14:06 ID:M7IGTwYl<> >>48 GJ いい病み具合でした。
俺もバンドやればヤンデレの子がくっついてきてくれるのでしょうか <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/13(月) 12:39:50 ID:DTEaU/xo<> >>69
乙乙〜
俺からもナギ可愛いよナギ
しかしイロリはどんどんとんでもないキャラになっていくなw <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/13(月) 12:43:00 ID:FZj7lzGb<> >>69
GJ!
百歌が来るまで全裸待機!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/13(月) 13:27:48 ID:G6+mSpjE<> >>69 GJ!!まだヤんでいるのを見せているのが妹だけなので、他の人がどんな感じでヤむのか楽しみです。
委員長?あれはただのキチガイです。委員長にどんな天罰が下るか楽しみです。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/13(月) 17:04:45 ID:oNdwFhoZ<> >>73
馬鹿!今の委員長に聞かれたらただじゃsま n い ぞ ・・・ <>
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 17:22:21 ID:M7IGTwYl<> >>71 ttp://up2.viploader.net/pic/src/viploader813984.jpg <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/13(月) 18:29:33 ID:4H/Nwz8h<> >>75
おお〜 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/13(月) 20:05:31 ID:7NTvOnok<> ナギかわええ… <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/13(月) 20:17:48 ID:fajBwt5A<> あれ?胸が…あ…る……? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/13(月) 20:21:46 ID:FZj7lzGb<> >>75
GJ!この調子で百(ry

>>78
・・・・・・でもかわええ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/13(月) 21:12:49 ID:LDwTkYaf<> 立ってたのかorz
>>1乙 <>
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 21:34:51 ID:M7IGTwYl<> >>79 ttp://up2.viploader.net/pic3/src/vl2_062016.jpg
絵ばっかり描いてないでそろそろ書くほうに戻ります。
暇があったら色塗りますんで。 <> ワイヤード 第八話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 23:43:28 ID:M7IGTwYl<> 投下します。
落書きは、ナギとイロリです。
ttp://up2.viploader.net/pic3/src/vl2_062086.jpg <> ワイヤード 第八話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 23:43:59 ID:M7IGTwYl<> 第八話『ロールアウト・鉄槌』

「ここが、トウキョウか……」
金髪の少女はきょろきょろと周囲を見渡す。
人、人、人。そして、人。
どこを見ても人ばかり。人口密度の高さは数値では知っていたが、これほどのものとは。頭ではなく感覚が悲鳴をあげそうだ。
「(これでは、誰が敵かもわからんな。急な発砲に対処しきれるか……)」
日本において発砲の可能性など無視してもかまわないほどに小さなものなのだが、彼女の育った環境ではその常識は通用しない。
銃の所持が許可されていた場所で育ったという意味もある、しかし、彼女の場合は大いに『使用する場面』で育った。
「(高いビルばかりだ。空が隠されている)」
こんな所で暮らす人々は、さぞ湿っぽいやつらなのだろうと思い、周囲の人間達を観察する。
思い通り。
どいつもこいつも、目に光が灯っていなかった。強い意志、未来への希望、そんなもん、ゴミほどにも思っていない連中ばかり。
一日一日を『戦場』などと嘯いて、本当の戦いも知らずにただ社会の波に飲まれていく。
金髪の少女に言わせれば、それらは人間というよりもむしろクラゲだった。骨がない。
もちろん、夢や希望をもつ若者たちの姿もいくつか見受けられる。楽しそうに今を生きている。
いつかかなえたい夢があるから、未来があるから。そのために努力し、今を生きている。前に進んでいる。
――だがそれは、夢という言葉そのものに呪われただけだ。
金髪の少女は落胆した。
この街の人間は、誰一人『覚悟』を決めていない。前に進むために傷付いていく覚悟を。
夢や希望や、未来や真実、正義。そんな口当たりや耳に心地がよい言葉の魔力に吸い込まれているだけだ。世界の本当の姿を見ていない。
綺麗な言葉で自分自身を飾っても、それはただのメッキだ。ちょっと雨が降れば、はがれていく。
本当に強くなる道は、自らのこころの中にしか眠っていない。誰かに与えられるものではない。
「(こんなに弱い人間ばかりの場所に、本当に『コントラクター』がいるのか……?)」
疑いすら持つ。
しかし、この情報は教団関係の確かな筋から手に入れたものであったし、それに――。
「(キョウトで会ったあの『ワイヤード』も、トウキョウに来ている……)」
そう。
――十年前、教団が始めて捕獲、分析に成功したワイヤード『西又 イロリ』が、この東京に。
<> ワイヤード 第八話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 23:44:30 ID:M7IGTwYl<> 「3ゲーム先取でいいよね、ナギちゃん」
「かまわん。こい、イロリ」
ナギとイロリ、二人の闘気がコート上でぶつかり、拮抗していた。どちらも引く様子はない。完全に互角だ。
千歳はこの状況に素直に驚かざるを得なかった。
昔知っていたイロリからなにも変わらないどころか、さらにパワーをあげていること。
そして――
「ラブ・ラブ・サーブ!!」
「ふん、ハエが止まるぞ」
――ナギが本気になっている所を初めて見た。
ナギは軽々と数回のステップで波動球に追いつき、ラケットをコンパクトに振り切った。
その細腕で返せるのかとみな疑問だったが、ナギは右腕を全く伸ばさずに左手で支えながら身体全体を半回転させることによって見事にレシーブした。
しかし、その珠のスピードはもちろん遅い。やまなりのチャンスボールとしてイロリのコートに返った。
イロリは目を光らせ、前進しつつジャンプする。
「いただきだよ!」
スマッシュ。
200キロを超えているのではないだろうかと思われる強力なボールがナギのコート、右奥のラインギリギリに向かって高速で飛来した。
ナギは逆側の前に出ている。間に合うわけがない。
――と、誰もが思った。
「ふっ!」
ナギが息を吐き、走り出す姿勢になる。
そして、その場にいる全員が目を疑った。
「(瞬間移動!?)」
ナギは走り出す姿勢をとったとほぼ同時にコートの真反対を襲っていた高速のボールを追い越し、逆に待ち構える体勢をとっていた。
イロリの目をもってしても、瞬間移動にしか思えなかった。
「がら空きだ」
イロリは前に出ていた。さらに、今しがたスマッシュから着地したところである。
その頭上を、悠々とナギが打ったボールが通過した。素人らしい、コントロールのために威力を捨てた軽い珠である。
「お前のスマッシュが速過ぎたな。それに、ジャンプも高すぎた。返球されるまでに着地できないとは」
「そんな……」
<> ワイヤード 第八話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 23:45:08 ID:M7IGTwYl<> イロリの驚愕は大きい。
テニスの技術や経験では絶対に勝っている。それは断言できる。
今回のラリー、イロリは200キロ以上の珠を二球打ち込んだ。大して、ナギは軽い珠を二球打っただけ。
フォームや球種、コントロールは絶対にイロリが勝っていた。
「(……それなのに、ナギちゃんに、圧倒された……? 『ワイヤード』の私が……?)」
ナギの瞬間移動は正直予想外だが、身体能力自体が問題なのではない。
ナギの精神力と、『闘いの感性』の強さに、イロリは圧倒されたのだ。
「おい、イロリ。お前、やっぱりまだ弱すぎるぞ」
「うん、私は、私は……ナギちゃんに、勝てな――」
「イロリー!!!」
二人の会話に、大声で割り込むものがいた。
「ちーちゃん……?」
千歳である。
「お前、いつからそんなに諦め早くなった?」
「でも、ナギちゃんは……ちーちゃんも、ナギちゃんのこと……」
「はぁー? 馬鹿がいうことは聞こえんね。俺は強い女の方が好みだがな」
千歳はわざと意地悪く、軽軽しく言う。
「相手がちょっと強いとすぐ諦める。昔からのお前の癖だ。……信じろよ、お前自信を。俺はお前を信じるぜ」
「ちーちゃん……!」
イロリの顔がみるみる明るくなる。
「うんっ! 私も、ちーちゃんが信じる私を信じる!」
「その意気だ……いっちゃん」
千歳がぐっと親指をたてると、イロリもにっこりと微笑んで親指を立てた。
「……ちーとーせー」
「千歳君、君ねぇ」
「鷹野……てめぇ」
「千歳さん、あなたという人は……」
クラスメイト達の目が凶暴に光っていることに、千歳は気付いた。
<> ワイヤード 第八話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 23:45:38 ID:M7IGTwYl<> 「な、なんだよお前ら」
クラスメイト達(主に男子)が爆発した。
「なんだとはなんだ! くそっ、お前ばっかり、お前ばっかり!!」
「ナギちゃんという子がいながら、あれほどの逸材を……お前マジ死刑!」
「いつの間にあんないい雰囲気になったんだよ! くそっ、まさか昨日いきなり一夜をともに……」
「千歳さんマジでいつか刺されますよ!」
ぶーぶーとうるさくまくし立てる。千歳は思わず耳を塞いだ。
「あーあー、キコエナーイ」
「でも、今回でよく学んだよ」
いつの間にか隣に彦馬が戻ってきていた。
「彦馬、お前生きて……」
「勝手に殺さないでよ! 親友じゃん!?」
「お前その座は早くもイロリに奪われたろうが」
「え、マジ!?」
「いや、安心しろ。お前は俺専用のパシリとして活躍してもらう」
「そんな〜」
「嘘だっつの。それで、何を学んだって?」
「いや、今までは君のこと、ラッキーなだけの男だと思ってたんだけどね、それ、僕の思い上がりだったよ」
「はぁ?」
「千歳はやっぱり、凄いやつだってことさ」
「……さっぱりわからん」
<> ワイヤード 第八話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 23:46:09 ID:M7IGTwYl<> そうこうしているうちに、試合は進んでいた。
ゲームは、イロリが一ゲーム、ナギが二ゲームを取っていた。
「やっぱりナギちゃん、強いね。はじめて見たよ、本気なのは」
「俺もだ」
ナギの動きは明らかにイロリを圧倒していた。
瞬間移動かと思われたナギの動きは、何度か見て目が慣れてきてわかったが、素早いステップと重心の見事な移動による『縮地法』のようなものであると分かった。
これは武術の経験がある千歳にしかわからないことだったろうが、そろそろイロリにも見えていることだろう。
「そこっ!」
イロリの高速ショットがナギのコートを刺した。
イロリにさらに1ゲームカウントが追加される。並んだ。
「イロリも、ナギの動きに一球ごとに対応し始めてやがる。ナギの動きは速いが、テニスの地力の差が出始めたな」
「……千歳、なんか嬉しそうだね」
「そんなことねーよ」
「いや、嬉しそうだって。幼なじみとの距離が近まってくって感じてるみたいな」
「……そうかもな」
昔もこういうことが何度かあった。千歳は、少しずつだが確実に成長する力を持つイロリのバイタリティを尊敬していた。
今も、その力はイロリの中にある。千歳には嬉しいことだった。イロリがまたひとつ、近くに感じられる。
……そして、30−40。ナギのマッチポイントとなった。
「残念だったな。次で勝たせてもらう」
「そうはいかないよ……ちーちゃんが、見てるんだから。私の、一番大切な人が……見てくれてるんだから。『誇り』に懸けて、無様な姿は見せられない」
「ふん、いくら言葉を重ねようが、それは『できなくては』意味がないぞ」
「なら、見せてあげるよ。ナギちゃんが天地を砕く剛力を持っていても絶対に砕くことのできない、この『愛の心』を!!」
ボールを握り締め、イロリはナギに目を向けた。
「(……あいつ、なんという闘気だ)」
この闘いの中で、明らかにその力を増している。ナギともともと互角レベルのその精神の輝きは、もはやその域を越えようとしていた。
ナギという、現実の壁を、イロリの心が凌駕しようとしていた。
「この一球は、唯一無二の一球!!」
トスを上げる。
「いっけええええええええええ!!!!」
爆音。
<> ワイヤード 第八話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 23:46:47 ID:M7IGTwYl<> 空気が弾けとび、もはや摩擦で熱を持った空気の壁と衝撃波が観衆を襲う。
閃光の如く空間を切り裂くその一球は、ラケットから離れたとほぼ同時にナギのコートに突き刺さった。
「っ!?」
予想外のパワーに一瞬たじろぐが、縮地法により何とか追いつき、ラケットを当てる。
「(押し返される!? ならば……)」
完全な両手持ちに変え、強引に返した。ガットが破れなかったのはもはや奇跡である。
ロブ、だがイロリはスマッシュを打たず、地上で待ち構えた。
「まさか『ラブ・ラブ・サーブ・ダブルツインマークUセカンド』を返すとはね。さすがナギちゃん……」
落ちてきたボールをスライス回転をかけながらナギのコートに返球した。
「甘い!」
ここぞとばかりに、ナギが強打を放った。
かなりの強力なコースを通る。今までのイロリに対し打てば、必ず決まっていたコース。
――終わった。
ナギが、観衆が、彦馬が、そう確信した。
だが、
「いや、まだだ」
千歳は違った。
そして、イロリも。
「まだっ!!」
――イロリの姿が消えた。
ぱしゅ。
ナギの耳に、空気を切り裂く音がよぎる。
「……!?」
ボールはナギの後ろに転がっていた。
<> ワイヤード 第八話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 23:47:18 ID:M7IGTwYl<> 「これで……デュースだね」
「なっ……」
「ナギちゃんの瞬間移動、『欲しかった』からじっと見つめてたの。そしたらね……」
イロリは嬉しそうに話し出す。
「私にもできそうだったから、パクっちゃった。ごめんね」
ペロリと舌を出した。
誰もが、言葉を失った。千歳以外の、誰もが。
「技名は、考えたのかよ?」
昔、イロリはいろんなことに技名をつけて喜んでいたことを思い出し、のんきに質問した。
「うん、『ちーちゃんと追いかけっこして、おほほ、つかまえてみなさいー、とか言うときに使うステップ』略して、『オホーツク海ステップ』!」
「相変わらずだな、お前」
思わず千歳は笑ってしまった。
「まあ二人とも頑張れよ。別に勝とうが負けようが、俺は気にしないからさ。……楽しんでくれ」
「うん!」
「ああ、そのつもりだ」
イロリとナギが元気良く答え、デュースから試合を再開した。
二人とも、いい顔になっている。太陽の光に照らされて輝く、とても爽やかな表情だ。
生徒たちも触発され、無言状態から活気を取り戻しつつあった。
「おーし! あと一時間半は自由だ! この試合を見たい奴は残って、他は勝手に打ち合ってろ―!
男性教師は、『生徒の心に火がついた』という事実を敏感に感じ取り、そう宣言した。
生徒たちは歓声を上げ、ラケットとボールを持ち走り始めた。
<> ワイヤード 第八話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 23:47:48 ID:M7IGTwYl<> 「あの、すみません先生……」
そのとき、一人の少女が教師におずおずと話し掛けた。
「日差しが強くて、気分が悪くなったので、休んできます」
「ああ、気を付けろよ。水分をちゃんと補給しとけ」
「すみません……あっ」
少女はバランスを崩し、とっさに教師の出した腕にささえられた。
「おい、大丈夫か? 誰かに支えてもらったほうが良いんじゃないのか?」
「じゃあ……千歳君がいます。千歳君にたのみます」
少女は、さもたまたま千歳が目に入ったかのように振る舞う。
「そうか。おーい鷹野。ちょっと人助け頼む」
「え……俺ですか……?」
「俺は監督してないとだめだからな。頼む」
「わかりました……」
そして、千歳は少女に肩を貸す。
「……ふふっ、やっと、二人きりになれますね」
「委員長……!? お前仮病を……!?」
「人聞きの悪いこと言わないで下さい。運動が苦手なのは事実ですし、身体も本当に弱いんですよ」
「てめぇ……」
「では、その辺りの木の陰で、『休憩』しましょう。千歳君……」
井上ミクは、狡猾な微笑みを千歳に向けた。 <> ワイヤード 第八話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/13(月) 23:48:32 ID:M7IGTwYl<> 第八話終了です。
この更新速度を保つのは無理なので、こっからはちょっと遅くなります。すみません。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/14(火) 00:10:26 ID:9uh/am/S<> >>91
無理に書いて詰まってしまっては元も子もないので自分なりのスピードで書いてくだされ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/14(火) 00:10:45 ID:3CLtPa6i<> ヤンデレは男が嫌ってる女も殺すのだろうか?



男「あのスイーツ(笑)ウゼぇ、俺見て指差して笑ってきやがった」
ヤン「無礼な連中だな。全く然り。
   ともあれ、前頭葉は感情をつかさどる部分なのだが、彼女らにはいらないよな?
   あなたを指差して笑うようなマネをするなら」
 ヤンデレはスパイダルコ社製のハーピーナイフを身につけて忍び出た。

 ───アタシの名前はアイ。心に傷を負った女子高生。モテカワスリムで恋愛体質の愛されガール♪
アタシがつるんでる友達は援助交際をやってるミキ、学校にナイショで
キャバクラで働いてるユウカ。訳あって不良グループの一員になってるアキナ。
 友達がいてもやっぱり学校はタイクツ。今日もミキとちょっとしたことで口喧嘩になった。
女のコ同士だとこんなこともあるからストレスが溜まるよね☆そんな時アタシは一人で繁華街を歩くことにしている。
がんばった自分へのご褒美ってやつ?自分らしさの演出とも言うかな!
 「あームカツク」・・。そんなことをつぶやきながらしつこいキャッチを軽くあしらう。
「カノジョー、ちょっと話聞いてくれない?」どいつもこいつも同じようなセリフしか言わない。
キャッチの男はカッコイイけどなんか薄っぺらくてキライだ。もっと等身大のアタシを見て欲しい。
 「待て。」・・・今度は女か、とセレブなアタシは思った。シカトするつもりだったけど、
チラっとキャッチの女の顔を見た。
「・・!!」
 ・・・チガウ・・・今までのネクラ女とはなにかが決定的に違う。デンジャラスな感覚がアタシのカラダを
後ろに歩かせた・・。「・・(コイツヤバイ・・!!・・これって乙女の危機・・?)」
女は頭オカシイコだった。連れていかれてボコられた。「キャーやめて!」おっきなナイフでお腹刺された
「ガスッ!内蔵デロンッ!」アタシは死んだ。スイーツ(笑)

 
ヤン「殺してきたよ」
男「ようやったwwwようやったwwww」 <> 名無しさん@ピンキー<><>2008/10/14(火) 00:53:24 ID:+dSWdC+f<> 誤
男「あのスイーツ(笑)ウゼぇ、俺見て指差して笑ってきやがった」
ヤン「無礼な連中だな。全く然り。 (ry


男「あのスイーツ(笑)ウゼぇ、俺見て指差して笑ってきやがった」
ヤン「私以外の女なんてどうでもいいじゃない! どうして私以外の女を見てるのよ!」
そして目くるめく監禁の世界へ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/14(火) 00:54:20 ID:+dSWdC+f<> sage忘れスマソ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/14(火) 03:50:33 ID:i8TWte4M<> お腹すいたな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/14(火) 06:57:30 ID:TUAYmpPv<> GJー
あんまり無理なさらんようにな
俺達はいつまでも全裸で(ry


しかし波動球という文字が出るたびにあの御方がチラついてニヤケちまうww <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/14(火) 06:57:56 ID:EHDTb00n<> >>91
テwwwwニwwwwヌwwww



無理しないでくださいね <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/14(火) 07:53:32 ID:v1RecHFq<> >>91
GJ! イロリが無我りやがった…
つうか、ボーボボネタなんて誰がわかるんだw <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/14(火) 08:05:01 ID:nOT24jv5<> >>91
GJ!!
ムリいくない。
俺たち変態紳士は決して急かしたりなどしない。
ゆっくりでもいい。自分のペースで書いてくだされ。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/14(火) 20:56:14 ID:Px8kXQuT<> ボクの考えたヤンデレ黄金比
献身:5
独占:2
依存:3 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/14(火) 20:58:30 ID:iSBkzA7D<> 病みが…無い…だと…!? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/14(火) 21:16:02 ID:6U40opD3<> >>102
独占と依存が病み比だろ。それに献身も行き過ぎれば病む。ヤンデレ黄金比というからには病んでるのが前提だし、実質病み比10割。100%。天然素材の混じり気ナシ。そう言いたいんだろ?>>101わかってるって <>
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/15(水) 00:19:32 ID:Oz0i9diC<> 投下します。 <> ◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/15(水) 00:20:25 ID:Oz0i9diC<> 俺の名は、神坂 飛鳥。成績は中の下、ルックスも普通。悪くもないが、飛びぬけていいわけではない。多分。そんな、ありふれたごく普通の高校生だ。
そして今俺は、ある女子に呼び出されていた。放課後に体育館裏という、あまりにベタなシチュエーションだ。

「好きです。付き合ってください!」
―――やはり。が、俺の返事は決まっていた。
「ごめん。」


そいつは、名を確か………なんだっけ?まあいいや。そいつは決してぶさいくとかそういうわけではない。むしろ、間違いなく美少女の類に入るだろう。そして俺はその美少

女に告白されているわけ。

「そんな……なんでよ!わたしはこんなにあなたが好きなのに……」
「……あのさあ、いい加減諦めてくれないかなあ?もう何度目だよ?」
「……87回目?飛鳥くんこそ、いい加減わたしのものになってよ!」
「だから、無理だって。」

そう、俺は今までこいつに幾度となく告白されている。そして、全て断っている。……は?美少女に告白されて振るやつがあるかって?なら、あんたならどうだ?

毎朝、モーニングコールが50回も来たり。
学校に来てみれば得体の知れない弁当箱が自分の下駄箱に入ってたり。
四六時中、俺が家に帰るまであとを付きまとったり。
家に帰れば寝るまでに着歴が30件。恐らく、表示しきれないくらい電話がキテる。
そしてこうして毎日のように、告白されたり。

俺なら、絶対ごめんだね。そもそもこいつと出会ったのが運の尽きだったのか…?さて、今回はどうやって断ろうか………よし。

「あのさ……みんなには言わないでくれるかな?」
「なによ……?」
「俺…………実はゲイなんだ。だから君とは付き合えない。」

これなら間違いなくドン引きだろう。我ながら完璧だな。はっはっはっはっは。………あれ? <> 天使のような悪魔たち 第一話
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/15(水) 00:21:27 ID:Oz0i9diC<> 「………飛鳥くん……だめだよ、男の子なんて。わたしの飛鳥くんが…汚されちゃうよ……。今なら間に合うよ……。わたしが、飛鳥くんをまっとうな道に戻してあげるから

……ね?」

そうつぶやきながら、この上なく素敵な笑顔でいきなり服を脱ぎだすバカ1名。

―――しまった。こいつにこの手は効かないんだった。
以前、「実はつるぺたロリっ娘が好き」となんちゃってカミングアウトしたときも、
「巨乳の方が絶対いいに決まってるんだから!」
とかいって胸を押し付けられたことがあったのを忘れてた。俺としたことが、戦いの中で、戦いを忘れたか……不覚!

「俺は、逃げる!」
「あっ、待ってよ―――!」
「頼むから上にブラ一枚だけで走るのはやめてくれぇぇぇぇ!」



結局、やつを撒くのに小1時間かけ、ようやく家へと帰った俺。疲れた。もう何も考えたくない。俺は力なく自宅の鍵を回し開け、中へと入った。

「はぁ……ただいま。」
「お帰り。兄貴……また、なのね……」
「ああ。」

こいつは、俺の妹の明日香。どういうわけか、兄妹そろって"あすか"だ。
別に、極度のブラコンとかそういうんじゃない。生まれつきの茶髪をツインテールにまとめた、身内であることを差し引いても余りあるくらい可愛らしい容姿をしている。
まあ年齢の割にはだいぶ、いやかなり幼い体つきをしているが。俺と一歳しか変わらないのに映画館に余裕で小学生料金で入ることができるくらいだと言えばお分かりだろう


それ以外はいたって普通の妹だ。料理も上手いし、家事もほとんどこなせる。成績も、常にトップクラスらしい。

「ごはん、できてるよ。先食べる?」
「そうするよ、悪いな。」

―――♪♪♪♪♪

俺の好きな、某神の集団の着うたが流れる。―――始まったか。
俺はすかさず、マナーモードに切り替え、充電器をさし、放置する。何で電源を切らないかって?そうしたら家の電話に着信が来るからさ。

「なんか、悪いな明日香。」
「いいって。でも、いい加減諦めればいいのにね?」
「ああ。今日なんか、実はゲイですって言ったのに効き目なかったからなぁ。…もう駄目なのか?」
「駄目だよ!兄貴が諦めちゃ!絶対ダメ!あんな雌猫に盗られるぐらいならいっそ………」
「……なあ、最後のくだりがとてつもなく気になるんだが……?」
「な、なんでもないよ!さ、ご飯にしよ!?」

極度のブラコンとかそういうんじゃない……よな?


こうして、ぶるぶると振動する携帯を傍らに夜は更けていった。明日も弁当箱が入ってるのかなぁ……憂鬱だ。
変なものさえ入ってなければ食ってもいいんだけど………絶対入ってるよな……。主に唾液とか髪の毛とか。うん。間違いない。 <> 天使のような悪魔たち 第一話
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/15(水) 00:22:51 ID:Oz0i9diC<> 翌朝―――今日も下駄箱に弁当箱が入っていた。俺の一日は、この弁当箱の中身を捨てることから始まる。放っておいたら腐るからな。
どうせ、あいつが見ているだろう。構うもんか。そうだ、俺はひどい男なんだ。そんでもって、ゲイでロリコンで(無論嘘だが)。

そして俺は親しい友人の一人、斎木 隼(♂)に昨日の顛末を話す。

「っっ……ひゃはははははっ!は、腹いてぇ!くくく……あっはははははは!」
「……そこまで笑うか?ほんと、他人事だよな、お前。」
「だ、だってよぉ……ゲイですって言われて服脱ぐなんて……ぷっ、ははははは!」
「あやうく俺が変質者になるとこだったんだぞ……ったく。」
「はっはっはっは……ふぅ…なあ、飛鳥ちゃん?もう諦めたらどうなんだ?ぶさいくならまだしも、結意ちゃんは充分かわいいじゃないか。
きっと飛鳥ちゃんがいてやれば、こんな痛いことしないって。」

―――結意。そうだ、織原 結意(ゆい)だ。

「…やっと思い出したよ。」
「――ん、何を?」
「名前だよ。今まで忘れてた。」
「……飛鳥ちゃん…それはひどいって。」

思えば、織原 結意との出会いは突然だった。
彼女は、しょーもないチンピラ共に絡まれていた。そこを俺が通りかかったんだ。通りかかって………スルーした。すると、

「ちょっと、た、助けてよ!おねがいぃ!」

声かけんなよ。面倒くさいな。まあ、仕方ない――――
数秒後、チンピラ3人は地面にフレンチキスをする格好で突っ伏していた。

「ありがとうございます!あの、私、織原 結意って言いま―――ちょ、ちょっと!どこ行くの!」
「どこって…帰るんだが?」
「待って!お礼くらいさせてよ!」
「遠慮しとく。」
「そ、そんなぁ―――――!」

で、次の日学校に行ったら、結意と出くわしたわけだ。まさか、同じ学校だったとは……。

「おはよう、飛鳥くん――って、無視しないでよ!」
「ええと……あんた誰だっけ?」
「織原 結意です!昨日助けていただいた!」
「………ああ、あんたか。で、何の用だ?」
「んと……メルアド交換しましょう!って、待ってよぉぉ!置いてかないで――――!」
「………はぁ。」

結局、結意はメアドを交換するまで離れなかった。なぜかとても魅力的な笑顔で喜んでいたな。それからだ。今の悪夢が始まったのは。
でも、これから先さらなる悪夢が俺を襲うことになろうとは、このときはまだ思ってもいなかった。 <> 天使のような悪魔たち 第一話
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/15(水) 00:23:46 ID:Oz0i9diC<> 教室のドアが開け放たれ、人が入ってくる。ん…?

げっ、結意だ。

「飛鳥くん!大事なお話があるの。ちょっとついて来てくれる?」
「いーやーだー」
「いいから!きてってば!」
「唾液入りの弁当ならいらんぞ。」
「そんなんじゃないってば!もう!」
「飛鳥ちゃん、ふぁいと!」
「おい隼!俺を見捨てるのか!…後で覚えてろ!」

情けないことにそのまま結意にずるずると引っ張ってかれた俺。連れて来られたのは、人気のない旧校舎の空き教室。

「で、話って何だ。」
「昨日のことだけど……飛鳥くんがゲイだって。」
「ああ、あれか。あれは―――」
「飛鳥くんはおしりが好きってことだよね!」

―――――(゚Д゚)ハァ? 何言っちゃってんのこいつ。

「いや、だからあれは」
「わたしのおしりでよかったら、好きにしていいから!ね!?ほら!」

そう言ってスカートをめくる結意。…白牌。―――――ぶはぁっ!なんてもん見せやがるこのバカ!思わず鼻血が出そうになったじゃねえか!

「飛鳥くん、顔赤いよ…?やっぱり前がいいの?もう…えっち♪」
「3回生まれ変わって来いこの真性バカ痴女めが!」
「あっ、ちょ、待ってよ!」
「ノーパンで走るな変態ぃぃ!」

全力で逃げる俺。不覚、実に不覚だ。
まさかあんな変態相手に――――反応するなんて。俺、クライマックス……!?

「ちがぁぁぁう!これはなにかのまちがいだぁぁぁ!!」

むなしい叫びが、空に消えた。 <> 天使のような悪魔たち 第一話
◆KG67S9WNlw <>sage<>2008/10/15(水) 00:25:02 ID:Oz0i9diC<> 終了です。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/15(水) 00:28:23 ID:xA5U4R5x<> GJ 乙です <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/15(水) 00:40:39 ID:kwZLgj6g<> シャイ ◆KG67S9WNlw <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/15(水) 00:43:56 ID:/u32HVok<> シャイ(1法)・・・自称イケメン。大学受験版の獨協スレで新入生オフ会を開いた。よくショタと間違えられる。 微妙に変態化してきてる <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/15(水) 00:48:28 ID:Oz0i9diC<> >>111-112
同じトリップ使ってる人がいたんですね…。 次回からなんか新しいのに変えます <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/15(水) 00:52:55 ID:/u32HVok<> そうしたほうがいいでしょうね
なんかイタイ人のようなので <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/15(水) 02:19:20 ID:zToOKdHK<> >>109
GJ! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/15(水) 12:18:02 ID:wFfiiVp+<> >>109 GJ!!ヤんだ娘を助けたのが運の尽きですね。しかも、家の中にもヤんだ妹が……!?
ともかく、次の投下を楽しみに待っています。 <>
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/15(水) 18:52:42 ID:IvAU8Buc<> >>109
素直に萌えるなぁ……。なんというか、王道なヤンデレという感じで受け入れやすいですね。
元々ヤンデレはアウトローな萌え属性だと思うのですが、見事に毒気を抜いていていい感じです。
これから濃くなるかもしれない期待感も楽しめますしねw

では、俺も投下しますね。 <> ワイヤード 第九話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/15(水) 18:54:46 ID:IvAU8Buc<> 第九話『獣のアギト・解放』

果てしないデュースの攻防が続く。
ナギがポイントを取り、イロリが取り返す。イロリがポイントを取ったと思えば、ナギが追いつく。
アドバンテージからの追い上げが互いに強い。
「スーパースライスサーブ!」
イロリのサービスは威力重視型から、バリエーションを増やしている。
このスーパースライスサーブは非常にゆっくりとナギのコートに入った。
甘い球。
「ランバック!」
と――突如進行方向とは逆にバウンドした。
「――っ」
反応したナギが前にでる。
妙に浅い球だったが、イロリのねらいは逆バウンドによってイロリの側のコートに戻すこと。
ひとたびネットを越えてしまえば、ナギがいくら手を出そうがオーバーネットとなりイロリのポイントとなる。
しかし、ねらいどおりにはいかない。ナギがギリギリで追いついてラケットでボールを拾った。
拾うだけ。振りはしない。
ナギは器用にもネットに沿って極限まで浅く低い球を繰り出した。
現在、イロリはサーブした位置とそう変わらない場所にいる。普通は取れない。
が、取れるのはもうナギにも予測できた。
オホーツク海ステップ――縮地法により、一気にネット前まで出る。
同じくネット前に張り付いたナギ、これを振り切る方法は、ギリギリのロブをあげること。
そう、ギリギリだ。
ナギの頭上を飛び越さなければ縮地法でボレーを取られるのは分かっていた。だから高さで取らせないようにしなければならない。
が、通常のロブならボールを追い越してナギが取ってしまう。これでは意味がない。
「ギリギリ限界・過剰ドライブボール!」
<> ワイヤード 第九話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/15(水) 18:55:30 ID:IvAU8Buc<> 安直なネーミングを叫びながらイロリが繰り出した球は、ドライブ回転のロブ。通常のドライブ回転ではない、おそらくプロレベルの二倍の速度の回転。
自由落下に頼るのではナギのスピードを振り切ることはできない、ならば、ドライブ回転による強制落下でスタンピードをかける。
「技名も作戦も安直だ!」
後ろに走っても間に合わない。仮に追いついたとしても、このドライブ回転だとバウンド後のボールの加速に対応できないと予測したナギ。
そんな時取った行動は。
「(ムーンサルト!?)」
斜め後ろに向かって全く前振り無しにジャンプしたナギ。6メートルはあるだろうか、空中で頭をしたに、脚を上に向けて浮いていた。驚くべき身体能力だ。
だが、それだけではない。
「(……まさか、逆光!?)」
ナギの真の狙いは、そのジャンプによって太陽と重なること。
ネット際にまで出てきたイロリから今のナギを見ると、距離が近いために見上げる角度が高い。
この状態だと、ナギが太陽の光を背負ってどう動いているか分からない。
――イロリの後ろでボールがバウンドする音がした。
「(ナギちゃんは最初からこれをねらって……)」
「私の、勝ちだな」
互いに決め手がないことを悟ったナギの『懸け』は成功した。そして、イロリは敗北した。
「やっぱり、かなわないな」
ゲームは3−2で、ナギの勝利となった。
歓声。
誰もが両者をたたえる。全力で戦った二人を比較してどちらかだけを賞賛することなど、できなかった。
イロリは、嬉しいと思った。
こんなに暖かい仲間に囲まれて、ライバルがいて……。
そして、愛する人が……。
「いない……?」
「どうした、イロリ」
「ちーちゃんが、いない」
<> ワイヤード 第九話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/15(水) 18:56:03 ID:IvAU8Buc<> 「ここなら、誰も見てませんね」
「委員長、お前は……!」
「しっ。お静かにお願いします。見えてないとはいえ、大声を出すと見つかります」
千歳はミクに連れられ、グラウンドの隅の草むらにある大きな木の反対側にきていた。
木陰で日射病を避けるという名目でだが、誰にもそこに行くとは伝えていないので実質サボりである。
「それと、二人きりのときはミクと呼んで下さい。命令です」
「……」
「いやですか?」
木にもたれかかり座る千歳の膝に、ミクがなまめかしく座る。千歳はそれに若干反応してしまう自分の男の本能に怒りを覚えた。
「……ミク」
「うん、上出来です」
ミクがにっこりと微笑みかけた。顔が妙に近い。
良く見ると、ミクの顔は整っていて、美女といっても差し支えない。地味な印象が今まで勝っていただけに、そのギャップは強い。
おそらく、その事実に気付いたのは、不本意ながらも急速に距離を縮めた千歳のみだろう。
「どうしました?」
首をかしげる。その動作も、整った顔とあいまって可愛らしいものだ。体格や美人度は百歌と同じくらいかと思われたが、性質は違う。
百歌のような無意識の色気と違い、こちらはおそらく意識的だ。千歳の精神に働きかけるための動作に過ぎない。
しかし、それが、それこそがミクの魅力なのだろう。作られた美しさ、生きていないものの魅力を持っている。過去の映像のような輝きというべきか。
甚だ不本意だが、千歳は理解してしまった。ミクは過去の情報のかたまりのような人間なのだろうと。
「また、だんまりですか。まあいいでしょう」
そんな千歳の思考など歯牙にもかけず、ミクはおもむろに上着をめくり上げた。
「その手のビデオとかマンガを見ていると、こういう体操服を着たタイプのものでは脱がないでめくりあげるのが主流みたいです」
下着が千歳の目のまん前にあった。昨日のように地味なものではない、大人っぽい、黒いブラジャーだった。
「当たり前ですよね、コスプレものなんですから、脱がしちゃったらただのポルノじゃないですか」
くっくっと笑い、黒の下着もめくりあげる。
<> ワイヤード 第九話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/15(水) 18:56:47 ID:IvAU8Buc<> 白い胸が千歳の視界にいやでも飛び込む。脳を覆いつくし、無理に刻み込んでくる。
乳首は、昨日言っていたように、自分でもいじったことがないのだろう。綺麗なピンク色だった。絵や人形のようだ。
「こういうのは、シチュエーションが大切です。そうですね、まずは千歳君、私の胸、吸ってください」
目を背ける千歳の顔を両手で無理に前にむけさせ、胸を押し付ける。ミクは着痩せするタイプのようで、脱ぐと案外大きかった。
無論、イロリほどではなかったが、身長と比較すればそれなりにあるほうだと思われた。
「うっ……」
「どうしました? 汗の匂いがいやなんですか?」
言われてやっと気付く、ミクの汗の匂い。しかし、それは不快なものではない。
前回感じたミクの秘所の香りもそうだったが、ミクの体液や体臭は、何らかのテンプテーションの作用を持っているように思われた。
甘く、性的な匂い。千歳の鼻腔をくすぐり、徐々に判断力を奪っていく。
「んっ……千歳君、急に……あぁ……」
ミクが顔を赤らめて小さく喘いだ。千歳が乳首に急に歯を立てて軽く噛み付いたのだ。
千歳はまだミクを打開する策を見つけてはいない。それは前もって準備しなければおそらく得られないし、この段階では不可能だろう。
だから、この直接対面する時間は早く終わらせようと心に決めていた。動きが徐々に積極的になる。
ミクは感度が異様に高い。攻め立てれば、前回のようにすぐに終わるだろう。そう予測してのことだ。
「そんな……乳首ばっかり……はぁ、ん……」
こりこりと、わざと乳首だけを攻め立てる。わざとらしく舌で弄りまわし、歯で甘く噛む。それを繰り返す。
ミクの身体が徐々に熱を帯びてゆき、ぴくぴくと痙攣しはじめる。
「ふぁ……いいです……そこ……おっぱい、いい……」
しばらくしていると、ミクの目には涙が浮いていた。口もいつもと違い、頭が悪くなったかのようにぽかりとあいており、唾液が零れ落ちていた。
そんな乱れかたをしているというのに、ミクは演技かと見まがうほどに整って見えた。人としての根本にぶれがないように見える。
ミクは、おそらく完成された生物の性質を持っている。
人間とは違う、もっと洗練された理性とともに生きている。それは、獣の持つ合理的な狩りの本能。
欲しいものを手に入れる。子孫を残す。快楽を得る。そんなあらゆる欲求のために、利用するものを利用し、狡猾に実行する。
人間の主張する理性は、利益を否定するもの。ミクにはそんなものはない。本当の理性とは、欲求の実現にある。
そういう考えを形にしたのが、今の井上深紅という人間。
手段を選ばずに千歳を手に入れる、冷酷で知的な顔。千歳の与えた快楽に獣のように喘ぐ、性的で無知な顔。
一見相反する性質を統合する存在こそが、ミクなのだ。
<> ワイヤード 第九話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/15(水) 19:00:41 ID:IvAU8Buc<>
千歳は、かわいそうだな、と思う。ミクには、本当は悪気がないのかもしれない。
ミクはどうしようもない犯罪者だが、ナギの写真を持って千歳に対し要求するのは普通の恋人達がする行為にすぎない。
他人の心を踏みにじるこの行動はゆるせるものではないが、本当は、ミクは……。
「ふぁ……あぁあん……はぁ……ぁ……はぁ……千歳、くん……」
「なんだ」
千歳はその呼びかけに乳首攻めを止め、ミクの顔に向き直った。
さっきまでとは違う意味の汗をかいていて、それがまた魅力的だった。誠に不本意だが、そう思ってしまう。
「余計なこと、考えてます」
「……そんなこと」
「あります。私に同情しようとしていたでしょう?」
「……悪いかよ」
千歳は考えを読まれ、顔を赤くする。何故か、ミクに対する嫌悪が少し減っていた。
もしかしたら、目的を果たせばナギのことを見逃してくれる人種ではないかと思ったからだ。
「悪いですよ。千歳君はなにもわかってないんですね」
「何をだ」
「私のことですよ。……まあ、これからわかってくることですけど」
ミクはそう言うと、千歳の唇に自らの唇を重ねた。
舌を強引にねじ込む。千歳は噛んだり、拒んだりしない。そんな確信があるからだ。
「ふ……ぁ」
吐息が漏れる。下をねっとりと絡み合わせ、ミクは唾液を千歳に流し込む。
びちゃびちゃといやらしい水音をたてながら、ミクは執拗に千歳の口内をむさぼった。
「ぅ……ふぅ……ぁ……ん……」
甘い声を漏らしながら、ミクは何度も、何度も、千歳を求めた。身体も接近する。腕を背中に回し、剥き出しの胸を千歳の胸に押し付ける。
脚も動き、千歳に絡ませ始めた。やはり見た目異常に肉感的なその身体を擦り付けられ、千歳の興奮も高められる。
ミクの体液は、媚薬だ。千歳はここで完全に確信した。甘い匂い、味、ねっとりといやらしい心地。
矮小な男という虫を引きつけるための、蜜。
そうか、ミクをあらわす言葉がもうひとつ見つかった。
食虫植物。甘い蜜で得物を引き寄せ、食らう。
獣というよりむしろ、生物としての『静の性質』と『合理性』の意味では、こちらが正しいかもしれない。
見た目は美しい花だというのに、完成された生き物だというのに。その生き方は、おぞましいのだ。
そして、花はその檻をひとたび閉じると、もう得物を逃がしはしない。
どろどろに溶けてしまうまで、その味を楽しむのだ。
<> ワイヤード 第九話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/15(水) 19:01:18 ID:IvAU8Buc<> 「はぁ……ぅん……」
長い、長い、口付け。二人の口の間から、唾液が流れ出る。どろどろに溶け合った二人分の唾液が、ミクの胸に落ち、身体を伝って流れ落ちる。
こんな光景、絵にだって書けはしない。キスだけだというのに、ミクは限界まで性的興奮を刺激する。
これが、ミクの持つ力。『過去』と『完成』の力。
「ふぅ……千歳君も、舌、使ってください……」
「……命令か?」
「お願いです」
悪戯っぽくわらった。わざとらしいと思う。しかし、それゆえに美しかった。
仕方がない、と千歳は再び唇を重ねた。
今度は、互いに舌を動かす。ミクが一方的に攻めていたさっきまでとは違う。
「ぁ……ぃぃ……」
ぽそっとミクが声を漏らした。目の涙は既に溢れて流れていた。興奮がかなりきわまってきたのだろう。
千歳はミクにさっきまでされていた舌遣いを真似し、ミクの口内に舌を差し込んだ。
甘い世界。ミクの蜜を生み出す場所のひとつに、触れた。
脳が沸騰しそうになる。どんなものよりも、甘い。甘い。甘い。舌が溶けてなくなってしまいそうだ。
――耐えられない、かもしれない。
急に、そんな諦めが千歳の頭をよぎった。20回など少ないと当初は踏んでいた。
だが、このミクの『拘束力』は、予測を大幅に超えている。常人が耐えられるものではない。
例えば、近所でも有名な愛妻家がいたとしよう。彼はとても地位も高く有能で、良い男だとする。
当然、雌猫達はよってくる。不倫を持ちかけ、誘惑する。しかし彼はそれを拒み、いつも愛する妻の待つ家に帰っていくのだ。
そんな男が仮にいたとしても、ミクの誘惑を受けたら三日持てばよいほうだろう。いや、三十分で倫理観を壊されることもありうる。
そのレベルの力。愛などという人間の作った聞こえの良い言葉を簡単にぶち壊せる力がミクには備わっていた。
「ぷはぁ……。はぁ……はぁ……。千歳君、良かったです……♪」
千歳の身体にはもう力が残っていない。返事をすることすらままならない。
「では、お礼に昨日の続きをしてあげますね」
するすると千歳のズボンを脱がし、陰茎を露出させた。もうとっくの昔にそそり立っていた。
「約束どおり、自分で慰めてきてなんて、いませんよねぇ……?」
くんくんと顔を近づけて匂いをかぐ。
千歳は昨日なにもしていないという自信があったため、少し安心した。 <> ワイヤード 第九話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/15(水) 19:01:48 ID:IvAU8Buc<> 「……あれー? なんだかイカ臭いですよ、千歳君?」
にやりと笑って、ミクが千歳の頬を撫でた。
「もしかして、我慢できなくなりました?」
「……!? そんなはずは……」
「別に隠さなくてもいいんですよ。怒ってませんから」
「いや、本当に俺は……」
「千歳君、昨日の私のおまんこ舐めていたことを思い出して、自分でしちゃったんでしょう? 私におしっこ飲まされたことを思い出して、興奮しちゃったんでしょう?」
「……違う」
「本当ですか……?」
ミクは千歳の顔をじっとみつめた。
あいも変わらず,何を考えているのかわからない。複雑すぎる感情を秘めた瞳だ。眼鏡で阻害されているのか。
千歳はその目でみつめられ、どうしようもなく不安になる。何らかの魔力があるようだった。
「……まあ、いいでしょう。しばらく続けていれば、本当に私でしかオナニーできなくなります」
そのことを全く疑わない口調で言った。
ミクは、自分の武器を自覚している。自分の魅力の源とその運用法を最大限に理解している。
千歳を手に入れるために行った脅迫と強姦。これは一見強引で早計な手段に見えたが、ミクだけは、違う。
ミクには、そのまま相手の心すら手に入れてしまう力がある。
恐ろしい力だ。人の意思まで捻じ曲げて、『自分の懐で止めてしまう』。
即ちそれは、過去が未来を縛ってしまうということ。過去の集合体そのものであり、『未来』を持たないミクという存在と、同じになる。
千歳には、それは何をも超える恐怖であるように思われた。
そして――同時に、何よりも甘く、魅力的なことであるようにも思えた。
千歳は未来を信じている。しかし、信じているが故に、その辛い『覚悟』を捨てたくなるのだ。
「許してあげます。でも、今日は気分が乗ってきたので、計画を早めようと思います」
ミクはにんまりと笑って千歳の唇をぺろぺろと舐めた。
「なにをする気だ……」
「簡単なお話です。もっとあとであげようと思っていたプレゼントを、今ここで千歳君にあげます」
「プレゼント……?」
「私の、処女です」
ミクの瞳が鈍く、しかし鋭く光った。
<> ワイヤード 第九話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/15(水) 19:02:19 ID:IvAU8Buc<> 「――っ!?」
金髪の少女は、そのただならぬ気配に歩いていた人気のない道を振り返り、周囲の安全確認をした。
「……なんだ、今のは……」
西又イロリのワイヤード反応を追って歩き続け、少しずつ近づいてきたが、今感じた気配は、それとは全く別のものだった。
ねっとりとしていて、それでいて魅力的で。意識をもっていかれそうだった。
獣のアギト。
そんなイメージが金髪の少女の脳裏を過ぎる。噛みついたらもう話さない、狡猾で獰猛な獣の牙。
いや――
「――もっと甘い、蜜だ……花、か?」
これほどに強力な気配だというのに、その性質は『静』。動的ね表面上の性質と相反しているが、その根本には動くことのない、完成された世界がある。
金髪の少女は、生まれて初めての気持ちを抱いた。
恐怖と一体になった、憧れ。
いや、もともと愛と憎しみは同一の感情なのだ。恐怖と憧れも、表裏一体であろう。
しかし、これほどまでにはっきりとそれらが共存した気配は、感じたことはなかった。
「まさか、西又イロリの他に、この土地にワイヤードが……?」
それも、今までに感じたことがないほどに強力で、美しい力を感じる。
この気配を発したのは西又イロリではないだろう。西又イロリのワイヤード能力はほとんどが純化された『愛』に基づいている。
それは不完全で、不安定で、成長性に富んだ『可能性』と『未来』の力。
これは、違う。もはや完成されていて、強大な力。あらゆる欲望と本能をかなえるための合理性を生み出す、『理』のワイヤード能力。
それは完璧で、安定していて、もう成長しない『確定』と『過去』の力。
「……間違いない。ここに『コントラクター』がいる」
金髪の少女は確信した。
そして、確固たる決意とをもって歩き始める。
その背中には、ワイヤード達の力にもまったく負けていないほどに大きな、『殺気』の鎧をまとって。 <>
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/15(水) 19:05:09 ID:IvAU8Buc<> 第九話終了です。俺ももっと萌えるヤンデレが書けるように精進したいものです。
いちばん需要ないであろう委員長ばっかりプッシュしているのは、単にお気に入りだからです。こんな感性ですみません。
ではまた。皆さんに良いヤンデレとの出会いがあらんことを。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/15(水) 21:12:03 ID:HUn80dtD<> >>126作者自らいらんことを言わなくても良いのです。GJ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/15(水) 21:33:15 ID:Y6nEc9gh<> GJ! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/15(水) 22:01:00 ID:7A/FOtFW<> GJ! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/15(水) 22:15:14 ID:Wpm4Zw/Z<> じーじぇい!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/15(水) 22:48:36 ID:GRhFhb4n<> GJ!!



<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/15(水) 23:36:06 ID:n+U7BbsY<> >>126
充分萌える
GJ! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/16(木) 01:18:19 ID:vejmx5du<> >>109
GJ!
つーか飛鳥くん強ぇw
チンピラ秒殺!?w

>>126
GJっすよ!
うひょーっすよ! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/16(木) 01:43:10 ID:A7tZUHKM<> 死ね <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/16(木) 02:24:58 ID:y4jNeCr2<> 投下します
「Rouge?Noir?」の続きに当たります <> Rouge?Blanc?<>sage<>2008/10/16(木) 02:26:07 ID:y4jNeCr2<> ――今日は卒業式。中学校生活最後の日。私は今日この中学校を卒業する。
その式も終わり、卒業生達は最後の思い出を作ろうとそれぞれ世話になった担任、仲の良かった友達,思いを寄せていた人の元へ足を運ばせている。
私のそのうちの一人にはいるのかな。いろんな男子達から今更ながらの告白を受けたけど全て断り、今は人気のない校舎裏である人を待っている。

しかし、とうとう彼に言い出せないままこの日が来てしまった。今日が彼に会える最後の日だというのに。
私はここを卒業して彼らと違う高校に通うことになる。本当はすごく嫌だったけど、厳格な両親の言うことには逆らえない。
推薦で合格が決定した時は素直に喜べず、みんなが盛大に祝ってくれた時も上辺だけの笑いを浮かべていた。
逆に彼らはこのまま地元の同じ学校に進学すると聞いた時、胸がぎりぎりと締め付けられた。
嫌っ!!置いていかないで!!一人にしないで!!どうして私だけ?!ずっと一緒だって言ったじゃない!!傍にいてよっ!!
ベッドの中で理不尽な怒りと悲しみを強く感じ、幾度涙で枕を濡らしたことだろう。
だというのにどうしても彼に「好き」の一言が言えなかった。
もちろん彼に振られるのが恐いと言う理由もあるけど、最も大きな理由は彼女のことがあるからだ。
その彼女とは私の親友だ。私は彼女に謝らなければいけない。
何故なら私の発言によって今日ついに私達三人の関係が崩れることになるであろうから。

「ゴメンゴメン。なんかたくさん男子に絡まれてさ。今更告白してきてももう遅いってのにね?」
私の親友である『佳奈ちゃん』が息を切らせてやってきた。どうやら私と同じく男子に告白をされていたらしい。
「ふふっ、そうですねー」
いつもよりも声が硬い。うまく笑えない。やはり緊張は隠せないようだ。
「んで話って何?正義と一緒に写真を撮ってこいって親がうるさいから早く行かないといけないのよ。全く小学生じゃあるまいし、困ったもんよね」
いかにも迷惑そうに佳奈ちゃんは言う。でも彼女は気付いているだろうか。
その可愛らしい口の端がつり上がって微かな笑みを形作っていることに。
その表情を見ると言い様のない感情が胸の中で騒ぎ始める。
「あ、あのね。私、佳奈ちゃんにお願いがあるんですけど……」
声が震えてうまく喋れない。
「?」
彼女は不思議そうに私を見つめる。
「――私、よっくんのことがずっと好きだったんです!だ、だからよっくんに告白するのを手伝って欲しいの……」
か細い声をやっとの思いで喉の奥から絞り出す。恥ずかしすぎて彼女の顔を見ていられずに顔を俯けてしまう。
今彼女はどんな顔をしているのだろうか。
「――あ、あのさ」
佳奈ちゃんが口を開く。その声は少し震えている。
「私と正義、実は付き合ってるの。だからゴメン……」
「え……?」
理解できなかった。信じたくなかった。聞きたくなかった。
佳奈ちゃんは今何て言ったの?
「ほ、ほら、私って照れ屋でしょ?みんなに言い出すのが恥ずかしくて正義にも頼んで秘密にしてもらってたの」
佳奈ちゃんが慌てて言い訳をしているようだが私の耳にその声はあまり届いていない。まるで遠い世界の出来事のようだ。
気持ち悪い。足元がよろめく。体の中身全てを吐き出してしまいそう。
「そ、そうですか……ご、ごめんね。変なこと言っちゃって……………………よっくんと幸せにね!」
声は聞き取れないほどに震え、目からは涙が溢れそうになる。
それでもプライドだけで何とか彼女に祝福の言葉と精一杯の笑顔を贈ることはできた。
でもそれが限界だった。もうこれ以上ここにいられない。ましてや、よっくんと佳奈ちゃんが二人で仲良く写真に映る所なんて絶対に見たくない。
私は無言でその場から走り去る。彼女は私に悪いと思ったのか,一言も声をかけてこなかった。
でもそれが今の私にはありがたかった。
今彼女に引き止められたらきっと私は彼女に酷いことを言ってしまう。もしかしたら手を出してしまうかもしれない。
それは嫌だった。だって私と彼女は親友だから……
今は無理だけど時間が立てばちゃんと向き合えますよね?また三人で仲良く遊ぶことができるようになれますよね?

――その日私の初恋は想いを伝えることさえできずに粉々に砕け散った。

<> Rouge?Blanc?<>sage<>2008/10/16(木) 02:29:41 ID:y4jNeCr2<> 「ふふふ、ついに……ついにこの時がキターーーーーーーーッ!!」
おもちゃ屋の入り口を見るまでは我慢していたがもう堪え切れなかった。この喜びを表現するのにはどんなに叫んでも足りないくらいだ。
子供連れのお母さんが子供に向かって「しっ!見ちゃいけません」と言っているが全く気にならない。
『修羅場戦隊ヤンデレンジャー ヤンデレッド Ver.(1/8スケールPVC塗装済み完成品)限定スペシャル版』。
ヤンデレレンジャーファンなら垂涎物のこれを購入するときがついにやってきたからだ。
学生が五千円以上の物を買うというのはバイトをしているなど何らかの収入源を得ていない者にとって財布にかなりのダメージを与える。
実際俺はバイトも何もしていないので毎月の食費を切り詰めてやっと六千円を貯めたぐらいだ。
しかし、先日の佳奈美との一件で散々ケーキだの、アイスだのを奢らされているうちに虎の子の六千円があっという間になくなってしまった。
そこで泣く泣くこのフィギュアを買うことをしばらく断念していたのである。
しかし、財布の中が真冬のシベリアのごとく極寒地獄の俺を見かねたのか、なんと橙子さんが俺に大金を握らせたのだ。
もちろん俺は最初それを受け取ることを断った。しかし、橙子さんは
「いいから、いいから。どうせまた佳奈美が何か言ってマサ君を困らせたんでしょ?
これあげるから佳奈美とどっかに出かけてらっしゃい。あの子、マサ君と一緒に遊びたいばかりについ我侭を言っちゃうのよ」
と今まで見た中で最高の笑顔を浮かべて俺にお金をくれたのだ。
申し訳ない、と心の中でそう思ったが体は正直なもので気が付いたら俺の財布の中に諭吉様が幾人かすっぽり収まっていた。
さっきまでブリザードが吹き荒れていた俺の財布の中は花々が咲き乱れる春に早変わり。いやぁ、お金の力って恐いね。
しかし、だ。俺はこの後に佳奈美とのデート、正確に言うと強制市中引きずり回しの刑が待っているというのにフィギュアを買っていいのか?
いや、よく考えろ。本当ならこの前買えていたはずのフィギュアを今買う羽目になったのは他ならぬ佳奈美のせいである。
少しぐらい俺がいい目を見たっていいじゃないの。
しかし、フィギュアなんか買うと佳奈美に散々文句を言われることは今までの経験で嫌というほど分かっている。
なので「今日は一人で帰るよ」と強引に彼女の制止を振り切り、学校帰りから直行してこのおもちゃ屋に来たわけだ。
この辺りなら知り合いもいないので佳奈美の耳に入ることもあるまい。
だが購入すれば貴重なお金を一気に消費してしまうことになる。佳奈美とのデート?に渡された金だというのに。
嗚呼、なんと罪深いのだろうか、あの子の魅力は。購入することについては全く後悔してないけどな。
まぁ、飯なら一番安いものを頼んで、後は水でも呑んでいれば何とかしのげるだろう。
さすがの佳奈美も高い服を俺に突き出して「これ買ってくれるよね♪」などとは言うまい。
いや、もしかしたら根に持つあいつのことだ。まさか無理やり買わせるつもりじゃ……
普段からの佳奈美の傍若無人な態度を思い出し、さっきまでハイだった気分も少し憂鬱になる。

「いい加減にしてもらえませんか?何度も言われても答えは同じです!」
突然澄んだ張りのある女性の声が俺の耳に入ってきた。
この声、どこかで聞いたことがあるような……
思わず振り向くとそこには美人な女の子が見るからに軽薄そうな男に迫られていた。
この近くにある有名私立高校の制服に身を包んでいるところから見るとこの子は高校生なのだろう。
「そう言うなって。少し話すだけでもいいからさ?」
ナンパ男は拒否されているのにも関わらず、執拗に女の子に話しかけているようだ。
おいおい、顔がよくてもしつこい男はモテないと思うぞ。こういうのは引き際も肝心だぜ?
『彼女いない暦=年齢』の俺がいっても説得力はあまりないだろうけど。
「だから嫌だって言ってるじゃないですか!」
あらら、この子もずいぶんストレートに断っちゃうのね。少しこのナンパ男が哀れに見えてきた。
しかし、この女の子やっぱりどこかで見たことあるような……
「いいからちょっと付き合えって言ってんだろ!!」
「キャッ?!やめてください!!」
そのきつい断り方が気に障ったのだろう。逆上したナンパ男は女の子の腕を掴み、強引に連れて行こうとする。
女の子は必死に抵抗するが男は全く話を聞く様子もなく、為すがままにされている。
このままじゃ彼女が危ない!
<> Rouge?Blanc?<>sage<>2008/10/16(木) 02:30:22 ID:y4jNeCr2<> そう判断した俺は
「おい!その子は嫌がってるじゃないか。やめろよ」
と二人の前に立ちふさがる。
確かにあそこまできっぱりと断られたことには同情するがお前の身勝手でこの子を傷つけていいわけがない。
俺の中の怒りと正義心が急速に燃え上がる。
「あ?!何だお前は?!」
ナンパ男は邪魔をされて気に障ったのか、ものすごい勢いでこちらに食いついてくる。
よし、いいぞ。こいつの注意は引き付けられた。
さぁ、今のうちに逃げるんだお嬢さんよ!
目配せをして女の子に「早く逃げるんだ!できれば警察かなんか呼んでくれ」と念を伝える。
しかし、彼女は突然の乱入者の驚いたのだろうか。俺をポカーンと見つめたまま固まっている。
おいおい、君が逃げてくれなきゃ俺が体張った意味があまりないんだけど。
仕方ない。ここは何とか得意の口八丁で時間を引き延ばそう。
進路相談で毎回水野ティーチャーに頭を抱えさせてるのは伊達じゃないところを見せてやるぜ!
「まぁまぁ、落ち着こうじゃないか。断られたのに見苦しい真似はするんじゃない」
俺としては紳士的に話がしたかったのだが、どうやら彼はそう思っていなかったらしく、
「うるせぇ!!」
と俺の頬をかなりの力で殴ってきたのだ。
おお、痛ぇ。尻餅をつき、無様に倒れる俺。
道路とキスしても全く嬉しくない。するならやはりピンクさんだろう。
いくら俺からナンパ野郎をいきなり殴るわけにはいかないとしても格好悪いなぁ俺。女の子は顔を真っ青にしてるし。
だがヒーローの方から殴るわけにはいかないのだよ。イメージダウンするから。
「お前には関係ないだろうが!!黙ってろ!!」
続いて腹に強烈な蹴りが入る。痛みと気持ち悪さで一瞬気が遠くなり、反撃する力も抜けていく。
やべぇ、昼食った弁当が逆流しそうだ。ヒーローたるもの公衆の面前で嘔吐するわけにはいかないってのに。
「さぁ、こんな馬鹿はほっといて俺と……」
俺を蹴り飛ばし、満足したであろうナンパ男が後ろで顔を青くさせていた女の子に話しかけようとしたとき、それは起こった。

『ゴッ』

突然嫌な感じの鈍い音がしたのだ。そう、例えば鈍器で人の頭を勢いよく叩いたような感じの。
驚いて見上げると女の子が持っていたバッグでナンパ野郎の頭を思い切り殴りつけていた。なんだこの展開?
どさりと俺の横に崩れ落ちる男。よう、地面の味はどうだい?
さっきと立場が逆になったようでポカーンと口を開けて固まる俺。
彼女はこちらに顔を向けると、ニコッと愛らしく微笑んだ。
やばい。状況が状況じゃなかったら俺は浮気していたかもしれない。
え?お前に彼女はいないだろうって?
馬鹿野郎。俺の心の中に住んでいる永遠の女神ことピンクさんのことに決まってんだろうが。
ボケーッとしている俺の手を突然掴むと無理やり立たせる女の子。
「早く逃げましょう!人が集まってきましたし……」
そう言われて慌てて周りを見渡すと確かに人だかりがこちらを興味津々な目で見ている。
まずいな。ここで騒ぎになると佳奈美にフィギュアを買おうとしていたことがバレるかもしれん。
とりあえずここはこの子の言うことに従っておいたほうがいいだろう。
警察沙汰になるのもゴメンだしな。ヒーローが前科者とか洒落にならん。
「ああ、わかった。でどこに……」
「こっちです!早く走って!」
「のわっ?!いきなり引っ張るなって!!」
突然駆け出す女の子。それにつられて引っ張られる俺。
痛い痛い!突然走るなって!腕が抜けるかと思っただろ。
黄昏時の金色の夕日に照らされながら街中を走り抜ける俺と女の子。
ふわふわとした栗色の髪が風に揺れ、そこから仄かに漂う甘い匂いが俺の鼻をくすぐる。
ふと彼女の横顔を覗き見る。何故か彼女は笑っていた。笑いながら走っている。
何故だろう。走るこの少女の背中を見るととても懐かしい感じがする。
一体この女の子は何者なのだろうか……?
疑問は解けないまま、俺は彼女に手を引かれて夕闇に包まれていく世界の中を駆けていった。
<> Rouge?Blanc?<>sage<>2008/10/16(木) 02:31:41 ID:y4jNeCr2<> 「ほら、これでも飲みなよ」
「あ……ありがとうございます」
ベンチに腰掛けている女の子に近くの自販機で買ったスポーツドリンクを渡し、俺もすぐ横に腰掛け、一息をつく。
プシュと小気味のいい音を立てて缶を開け、一気に飲み干す。冷たさが喉奥に広がり、火照った体には心地よい。
あれから結局かなり遠くまで俺達は来てしまい、近くにあったこの公園でとりあえず休もうということになったのだ。
すでに辺りは夕闇に包まれ、薄暗くなり始めている。この公園で遊んでいたであろう子供達の姿もすでに見えない。
彼らは愛する親に手を引かれながら、夕食のことを和気藹々と話しながら帰っていたのだろうか。ふとそんなことが頭によぎる。
「あの……ごめんなさい。前からああいうのにはよく絡まれていたんだけど今日みたいにしつこいのは初めてで……」
突然女の子が申し訳なさそうに俺に謝ってきた。
「別に君が気にすることはないさ。困っている人がいたら助けるのは当たり前だろ?」
そう、彼女は何も悪くはない。むしろあのナンパ野郎の被害者だろう。
俺が勝手に仲裁に入っただけで彼女は何も気に病むことはないのだ。
「それにさ、こういうときは謝るんじゃなくてありがとうっていうべきじゃないかな?」
「……そうですね。助けてくれてありがとう、よっくん」
女の子が柔らかく微笑む。うん、やっぱりこの子には笑顔がよく似合う。まるで華麗に咲く一輪の花のようだ。
……ん?よっくん?そんな変わったあだ名で俺を呼んでいたのは確か一人しかいなかったはず。
――そう、中学時代まで俺や佳奈美といつもつるんで一緒に遊んでいた彼女しか。
「えっと、もしかしてだけど君って……」
「ふふっ、やっと気付きました?ほら」
そう言って彼女は背中まで流れる豊かな髪の毛の一部を両手で二房に纏め、持ち上げた。
その瞬間、俺の中で昔一緒に遊んでいた親友と今目の前でツーサイドアップにしている彼女が記憶の中で強く結びつく。
何故今まで分からなかったんだろう。一緒の時間を共に過ごした人物など佳奈美以外には彼女ぐらいしかいないというのに。

「……全く気付かなかった。すまん、『鈴音』」
「もう!昔からそういうところは鈍いですよね、よっくんは」
俺が彼女を正しく認識できたことに安心したのか、昔と変わらぬ笑顔で屈託なく笑う鈴音。
彼女『白河 鈴音』は俺のもう一人の幼馴染だ。といっても中学校を卒業して以来もう一年以上会ってなかったが。
無難に近くのそこそこのレベルの公立校に進んだ俺と佳奈美たちとは違い、彼女は有名難関私立校に進学してしまったのだ。
非常に礼儀正しく、頭も良くて、その上可愛いときたもんだからまさにアイドルのような存在だった。
中学に上がって徐々に女らしさが出てくるとそれに拍車がかかり、学年の男子の人気を佳奈美と二分していたな。
家が金持ちなこともあって、まさに「深窓の令嬢」と呼ぶに相応しいような少女だった。
「久しぶりだなぁ!元気にしてたか?ってさっきの豪腕を見ればそうに決まってるか」
俺の記憶だと鈴音は頭はいいが運動はあまりできない少女だった。
よく一緒に泥だらけになるまで近所の公園や空き地を駆け回っていたはずなんだけどなぁ。
一年間会っていなかった間に肉体改造でもしていたのだろうか?
笑顔でリンゴを片手でぐしゃりと握りつぶす鈴音を想像する。
……嫌過ぎるな。
「ち、違います!あれは重たい教科書がいっぱい詰まってただけです!」
そう言うと慌てて持っていたバッグを開けて中身を見せる佳奈美。
中には一冊だけでも十分殺傷力が高そうな分厚く重たい参考書や教科書がぎっしり。
そのうち一冊を手に取って開いてみると、難しい数列やら何やらでページが埋め尽くされているではないか。
「うへぇ、見ただけでも難しそうな問題ばかりじゃないか。やっぱり鈴音は頭いいんだな」
「そんなことないです。全国で考えたらとてもとても」
全国って言ってるあたりで既にレベルが違うんですが。俺だってあの学校の中では結構頭はいい方なのに。
<> Rouge?Blanc?<>sage<>2008/10/16(木) 02:33:12 ID:y4jNeCr2<> 「そういえば昔から鈴音は俺達の参謀役だったよな。当然俺がリーダーで佳奈美がストッパー役」
「二人の意見が衝突してよく喧嘩してましたね。それで私が仲裁役になって結局適当に遊ぶのがいつものパターンでした」
呆れたように肩をすくめるその態度に少しムカッときた俺は鈴音に反論する。
「そういうお前達だってヒーローごっこやるときは、どっちがピンク役をやるかでよく揉めてたろ」
「そ、それは……女の子には譲れない戦いってものがあるんです」
「譲れない戦い?何だそれ?」
「……にぶちんなよっくんには教えてあげません」
急にぷいっと俺から顔を背ける鈴音。
あれ?何か鈴音を怒らせるようなこと言ったっけ?

「……懐かしいですね。昔は公園や空き地でよく一緒に遊びましたよね」
ふと鈴音が物憂げな声で話し始める。
「ああ。月日が流れるのはあっという間だな……」
そう、俺達は幼稚園から中学校を卒業するまで常に三人一組で行動していた。
ほとんど俺と佳奈美は同じクラスだったのに対し、鈴音と一緒のクラスになることは少なかったがそれでも一緒に遊び続けた。
戻れるのならばもう一度三人で泥だらけになりながら駆け回っていたあの頃に戻りたいものだ。
「そういえばよく俺だって気がついたな。俺なんか全然分からなかったのに」
「簡単です。よっくんは全然変わってませんから」
「そうか?背は伸びてるはずなんだが」
「そういうところじゃなくて相変わらず優しいところとかです。全然変わってなくて安心しました」
嬉しそうに微笑む鈴音。……なんだか背中がむず痒くなってきたんだが。
「それよりどういうことですか?全然私だって気が付かなかったって」
さっきまで笑っていたと思えばもう頬を膨らませている。どうして女って生き物はこうも感情の切り替えが早いんだろうね?
「だから悪いって言ってんだろ。仕方ないじゃないか。だって……」
「だって……何ですか?」
無邪気に俺の顔を覗きこんでくる鈴音。その顔は少女特有のあどけなさが抜け、大人の女性へと成長している様子が見て取れる。
昔から鈴音はとても可愛らしい少女だった。いや、今の彼女にその表現は相応しくないだろう。
――そう、彼女は綺麗になった。

「って言える訳ないだろ……綺麗になったねとか常識的に考えて……」
「!!や、やめてください!そんなこと言われたら……私……」
声に出したつもりはなかったのだがうっかり漏れてしまったらしい。誰かこの締まりの悪い口をチャックしてくれ。
昔からこの癖が出るたびに何かトラブルが起こる。気が付くと佳奈美にブン殴られてたりとか。
今だってそうだ。鈴音は顔を真っ赤に染めて俯いている。
まぁ、あんな吐き気を催すようなセリフを言われたら誰でもそうなるか。
二人の間に痛々しい沈黙が漂う。これは気まずい。実に気まずい空気だ。
「……ねぇ、よっくん。彼女がいるのに女の子にそんなこと言っちゃダメなんですよ?誰かが勘違いしちゃうかもしれないから……」
どうしたらいいか分からず、とりあえずスポーツドリンクを啜っていると突然鈴音が全く訳の分からないことを言ってきた。
驚いて彼女の顔を見るとその顔はどこか悲しげに見える。
<> Rouge?Blanc?<>sage<>2008/10/16(木) 02:34:02 ID:y4jNeCr2<> 「は?誰に彼女がいて、誰に勘違いするって?」
「え……?だからよっくんには佳奈ちゃんがいるから女の子にそういうことを言っちゃダメって……」
頭が痛い。まさかあれほど一緒に少年時代を過ごした親友まで俺と佳奈美が付き合っていると信じているとは。
確かにいつも一緒にいたのは事実だがそれは鈴音、お前もだろ。
俺と佳奈美のためにもここは一つ、きちんと説明して本当のことを分かってもらわねば。
「……あのなぁ。昔から何度も言ってるように俺と佳奈美は別に付き合ってなんかいないって」
こういうところでちゃんと否定しておかないといつの間にか既成事実になってそうで恐い。
佳奈美が俺なんかと付き合っているという噂がいつまでも流れていると俺はともかく、佳奈美に迷惑がかかる。
この前ずるずると付かず離れずなこの関係をどうにかするって決意したばかりだろ。
「え?だってよっくんと佳奈ちゃんは付き合ってるって……」
鈴音は心底驚いたような顔をしている。そこまで意外だったのか?
俺と佳奈美じゃお似合いとはあまり思えんのだが……もちろん俺が佳奈美に釣り合ってないって意味だぞ?
「だから何度も言わせるな。俺と佳奈美は付き合ってない。これは事実だ」
「……」
すると鈴音は顔を俯けて黙り込んでしまった。
しかし、ここまで俺と佳奈美が付き合っているという噂が広まっているとは。
状況は俺が思っていたよりもずっと深刻なようだ。これからどうやって他の連中の誤解を解いていけばいいのだろうか?

「か…………う………よ……と………だ……!!」
俺が悩んでいると、突然何かぶつぶつ言っていた鈴音が『バッ!』という効果音が出そうなほど勢いよく立ち上がった。
「うおっ?!どうした鈴音?」
「……」
驚いてその顔を見ると元々大きい目がこれ以上はないほどに大きく見開かれ、口元には何故か笑みが浮かべられている。
その目がぎょろりとこちらを向き、俺の目を捕らえる。鈴音の目の中に映った俺の顔は奇妙に歪んで見えた。
「うん。信じますよ、よっくん。だってよっくんは私に嘘をつきませんものね?」
そう言って彼女は笑った。口元はさらに歪められ三日月のごとく弧が描かれる。
彼女の目は大きく見開いたまま、深淵の闇を覗きこんだかのようにどろりと濁っている。
それを見た俺は何故か酷い寒気を感じた。
さっきまで咲いていた可憐に野に咲く一輪の花の笑顔はない。
代わりに毒々しく咲き誇っているのは甘い蜜を垂らしながら獲物を今か今かと待ち構えている食虫花。
「黄昏」という言葉はもともと「誰そ彼」という薄暗く顔がよく分からないので人の見分けが付かないことから来ている。
何故かこんな時に古文の授業でそんなことを習ったのを思い出した。
だからなのだろうか。今俺の目の前に立っている少女が誰だか分からない。少なくとも俺の知っている鈴音の姿じゃない。
一体誰なんだ、この少女は?
「ですよ、ね?」
「あ、ああ。嘘なんかつかないよ」
俺はその問いにただ間抜けな声を出して頷くことしかできなかった。
<> Rouge?Blanc?<>sage<>2008/10/16(木) 02:35:20 ID:y4jNeCr2<> 「そう……ならいいんです」
突然鈴音は急にこれ以上はないって程の明るい笑顔を咲かせる。
俺の動きを止めていたプレッシャーはたちどころに霧散し、消え去った。
「へ?」
「だってよっくんが私に嘘をつくかと思うと、この胸が張り裂けそうなほどに苦しくなってしまうんです……」
大げさに鈴音は両の手を胸に添える。今更気付いたけど鈴音って結構胸でかいな……
って何考えてるんだ俺は?!この浮気者め!!ピンクさん一筋じゃなかったのかお前は!!
「さて。もうずいぶん暗くなってきましたし、名残惜しいですけれどそろそろ帰りましょうか?」
俺の葛藤も知らずに鈴音は涼しい顔をしている。
実に楽しそうな表情である。一年空けただけで男を弄ぶ悪女のスキルを習得してしまったらしい。
「……ああ、そうだな。俺は歩いて帰るけど鈴音はどうするんだ?もし歩きなら送っていくけど?」
そもそもこの公園に俺達が来たのは鈴音がナンパ野郎に絡まれたのが原因である。
このまま一人で返してまた同じ目に遭ってもらっては困る。
「そうですね……では駅まで送っていただけますか?」
「わかった。鈴音がまたさっき見たいな目にあったら寝覚めが悪くなる」
「嬉しいです。よっくんが私のことちゃんと思ってくれて」
俺の言葉を聞いた鈴音は本当に嬉しそうに微笑んだ。ええい、そんな笑顔をされるとなんだか背中がむず痒くなるだろ。
「よし。じゃあ、行くぞ!」

駅に向かう途中、たくさんのことを話した。昔のこと、最近のこと、これからのこと。
久し振りに会った親友との話しは弾み、あっという間に駅に着いてしまった。
「……だからついに異世界から4人目の妹にあたる最後の戦士が登場してだなぁ……おっ、着いたぞ」
「えぇ〜、その兄妹達は最後どうなるんですか?続きが気になります!」
知識欲が強い所は昔と変わらないな。こんなしょうもない話でも何でも知りたがる。
「続きはWebで。っていうのは冗談だが、もう電車が来る時間じゃないか。だからこの話はおしまい」
「そんなぁ……よっくんは意地悪です……」
うげっ、本気で落ち込んでやがる。そんなこと言われてもなぁ。
電車がもうすぐ着くだろうからこれ以上話している時間はないし。
……そうか!あれを使えばいいんじゃないか!
「おい、鈴音。携帯持ってるか?」
「はい。持ってますけど……?」
不思議そうに首を傾げながら可愛い白の携帯を取り出す鈴音。
「アドレス交換するぞ。これなら電話するなり、メールするなり、いつでも話せるだろ?」
「!!」
その言葉を聞いた瞬間、鈴音の顔に笑顔がぱぁっと咲いた。
「します、します!!早くしましょう!!今すぐしましょう!!」
「わかったから少し落ち着けって!はしゃぎすぎだろ!」
無邪気にはしゃぐ鈴音をなだめて、互いのアドレスを交換する。これで互いの電話帳に登録されたはずだ。
「うふふ、よっくんの電話番号とメールアドレスだぁ……嬉しいです……」
登録された俺のアドレスを見て何故かうっとりしている鈴音。
俺のメールアドレスなんて見ても別に面白くも何ともないと思うんだが。
<> Rouge?Blanc?<>sage<>2008/10/16(木) 02:35:52 ID:y4jNeCr2<> 「まぁ、これで何の心残りもなく帰れるだろ。じゃあな……」
そう言って俺は鈴音に別れを告げ、我が家に帰ろうとした。
しかし、がしっと腕を誰かに強く掴まれる。振り向くと俺の腕を掴んでいたのは鈴音だった。
俯いていてその表情はよく見えない。
「どうした?これ以上まだ何かあるのか?」
「……佳奈ちゃんに会ったら伝えて欲しいんです。必ず返してもらう、って」
「は?何だ、佳奈美のやつお前から何か借りたままだったのか?」
「はい。私に嘘をついてそれをずっと自分の物にしていたんです」
「本当か?ったく、佳奈美もしょうがない奴だな。今度会ったら俺からきつく言っておくよ」
「お願いします。『人の物を勝手に取ったら泥棒』って言いますもんね」
そう言って顔をあげた鈴音の表情はいやに爽やかだった。それが何故か俺に違和感を感じさせる。
そう。さっきまで俯いていたため、その表情はよく見えなかったが本当はもっと違う顔をしていたんじゃないかって。
「今日は色々ありましたけどこうやってまたよっくんに会えてとても嬉しかったです。ではそろそろ電車が来るので失礼します。」
「あ、ああ。気を付けて帰れよ。またこうやってたまには会えるといいな!」
背を向けて改札口に向かう鈴音に向かって俺は最後に声をかけたつもりだった。
すると鈴音は立ち止まり、ゆっくりと俺の方を振り向く。
「心配しなくても大丈夫ですよ。またすぐに会えます。すぐに、ね」
鈴音はクスクスと本当におかしそうに笑っていた。
今日彼女の傍でずっと彼女が笑う様子を見てきたが、その中でも最も美しく、そして妖艶に笑っていた。
「ではまた近いうちに」
こちらに一礼をして改札口を出る鈴音。その姿はすぐに混雑する人ごみの中に紛れて消えていった。
何故か鈴音が最後に浮かべた笑みが頭から離れず、俺はしばらくその場から離れることができなかった。
今日鈴音と一緒にいて時折感じたあの違和感について考えていたからだ。
あれは一体……
「――あ」
その時俺は気付いてしまった。何でこんな重要なことを忘れていたんだ。自分の頭の馬鹿さ加減にほとほと愛想が尽きた。
「結局フィギュア買い忘れた……!!」
思わず頭を抱える俺を周りの人たちが危険人物を見るような目で見てくるが、そんなことは最早気にもならない。
俺の哀愁の慟哭は騒がしい雑踏の音にかき消されていった……
<> Rouge?Blanc?<>sage<>2008/10/16(木) 02:37:46 ID:y4jNeCr2<> 私とよっくんと佳奈ちゃんはいつも三人一緒で行動していた。
とても行動的なよっくん。血気に逸る彼を抑える佳奈ちゃん。そして私が二人の後ろで笑っている。
私達三人は幼馴染にして最高の親友でした。
そして私は初めて会ったときからよっくんのことが好きでした。彼のことを思うだけで胸の奥がぽかぽかと温かくなる。
彼と初めて出会ったのは小学一年生の時。内向的で大人しい性格だった私はまだクラスの空気に馴染めず、友達は一人もいなかった。
どこの学校にも悪ガキはいるもので、彼らは下校中の道で私に目をつけると私が付けていた髪留めを面白がって無理矢理取り上げた。
「やめてっ!かえしてよぉ!」
泣きそうになりながらも必死に取り返そうとするが、いじめっ子達同士で私が取り返せないように髪留めを投げあう。
周りの子供達はそれをただ眺めているだけ。そうだ、私には助けてくれる友達はいないんだ。
そのことを理解すると急に涙が溢れてきた。誰も私を助けてくれない。
そう思っていました。

「おい!そのこないてるだろ!かえしてやれよ!」
幼くも力強い声が突然響き渡った。驚いて顔を上げると一人の男の子がいじめっ子のリーダーに詰め寄っていた。
「なんだよ。おまえにはかんけいないだろ!」
「いいからとにかくかえせ。じゃないとこのシュラレッドがおまえをたたきのめすぞ!」
彼はどうやら日曜日の朝にやっているヒーローになりきっているらしい。その時何故か私には彼の姿が輝きに満ち溢れて見えた。
結局いじめっ子達は私に髪留めを返そうとしなかったので、彼は実力行使に出た。
鼻血を流して、体中に痣を作り、ボロボロになりながらも私のために髪留めを取り返してくれた。
それがただただ嬉しかった。
「はい。とりかえしてきてやったぞ」
痣や鼻血で酷い顔になりながらも精一杯の笑顔で私に髪留めを渡す彼。
「ご、ごめんなさい……」
彼に申し訳なくてぼそぼそとした声で謝る私。
「こらこら。こういうときはありがとうでしょー?」
彼が笑いながら言う。私はそれを見た瞬間に顔が熱くなるのを感じた。
「あ、ありがとう……」
何故か彼の顔を見ながら言うことができずに俯きながら言ってしまった。
でも彼はそんなことは気にせずに私の頭を優しく撫でると
「じゃあ、かえろっか。えっと……なまえなんだっけ?」
彼は私に名前を尋ねてきた。今度こそちゃんと言わなきゃ。
「すずね。しらかわすずね」
「ボクはあかさかまさよし。よろしくね、すずちゃん!……あっ、そうだ!ボクこれからかなちゃんとあそぶんだけどいっしょにあそぶ?」
「……うんっ!」
「じゃあ、いくぞー!」
私の返事を聞いた彼は満面の笑みを浮かべると私の手を引いて駆け出した。
小さな手と手が触れ合う。また私の体が熱くなる。でもそれは不思議と心地よい温かさだった。

この時からだった。私『白河 鈴音』が彼『赤坂 正義』に恋焦がれるようになったのは。
<> Rouge?Blanc?<>sage<>2008/10/16(木) 02:38:32 ID:y4jNeCr2<> 気が付くと自然に彼を目で追い、それだけでは満足できず彼の傍に歩み寄ってしまう。
体育の授業中、走るのが遅かった私を慰めて嫌な顔一つせずに一緒に走ってくれたよっくん。
クラスの男子にテストを取り上げられて泣いていた私のために少々荒っぽい手段でだけどテストを取り返してくれたよっくん。
家庭科の授業中、一緒に作ったカレーライスを「これ美味いなー!お前いい嫁さんになれるぞ!」と笑顔で褒めてくれたよっくん。
両親と喧嘩して家出した私を「しょうがないな。今日は泊めてやるけど明日になったらちゃんと仲直りしろよ?」と言ってお家に泊めてくれたよっくん。
彼に会えるかと思うと毎日学校に行くのが楽しみだった。彼とお別れだと思うと帰り道の足取りが重くなった。
中学生になって自慰を覚えると妄想するのはいつもよっくんとの行為。
彼のことを想うだけでこの無駄に大きい胸の先端は硬くなり、秘所は熱く潤ってしまう。
彼と愛を囁きながら交わり合うことを考えるだけですぐに達してしまった。
よっくんに会う度に、よっくんと話す度に、よっくんと触れ合う度に私の心は彼に惹かれていく。
そして今、彼に対する思慕の情はもうどうしようもないほどに膨れ上がっている。
要するに私にとってよっくんはなくてはならない存在なのです。
全部全部私と彼との大切な思い出。大事に大事に胸の奥にある宝箱にしまってあるの。

でもその思い出の中には必ず彼女がいた。いや、正確に言えばよっくんの傍らには常に彼女の姿があった。
私と一緒に走るよっくんの後ろで不満げな顔をしていた佳奈ちゃん。
料理が全くできないので調理に携われなかったカレーライスを無言で食べていた佳奈ちゃん。
私がよっくんの家に泊まりに行ったら、何故かよっくんの家に来て「あ、あたしも泊まる!!」と言って聞かなかった佳奈ちゃん。
誰もが気付いている。佳奈ちゃんはよっくんのことが好きってことに。
佳奈ちゃんは明るくて可愛いし、運動も勉強もできる素晴らしい女の子だ。
彼女は初めて会ったときから私に優しくしてくれたし、口調こそきついものの、ちゃんと人のことを思いやれる人物である。
そしてよっくんとは私が初めて会った時よりもずっと昔から知り合いだったらしい。
そう、きっと佳奈ちゃんは私が知らないよっくんをたくさん知っている。
しかも彼女は家族ぐるみでよっくんとの仲を祝福されている。皆に愛されているのだ。
それに比べて私はどう?
私は誰からも愛されていない……そう、両親さえも私に愛情を注ぐことはなかった。
両親は会社経営のためいつも忙しく、私を構っている暇などなかった。物心ついた時から私は毎日一人でお人形遊びをしていた。
当然そんな子供が社交的に振舞うことができるはずもなく、私はいつも一人ぼっち。
それは小学校に上がっても同じだと思っていた。
でもよっくんという初めての友達ができて私の退屈な日常は劇的に変わった。
あれほど行くのが嫌だった学校も彼に会えるかと思うと行くのが楽しみになった。
よっくんと佳奈ちゃんと一緒に道草を食うのはとても楽しかった。時を忘れるほどに、泥だらけになるまで遊んだ。
しかし、私の両親は昔から毎日泥だらけになって帰ってくる私の行動を快く思っていなかった。
そしてその原因がよっくん達と遊んでいることだと知ると、一時はよっくんと縁を切れとまで言ってきた。
そう、彼らは私のことを会社の跡継ぎに宛がう嫁となる以外価値がない子供だと思っているのだ。
だからそれまでは私に一切男を近づけたくないらしい。私はそれについては特に何も思わなかった。
中学校に上がり、私の体が急激に女らしくなると、急に手の平を返して下卑た視線で私に媚びてくる馬鹿な男どもには興味すら湧かなかったから。
所詮男なんてそんなもの。ステータスの高い女を自分の物にしたいと言う支配欲に突き動かされているだけの獣なのだ。
<> Rouge?Blanc?<>sage<>2008/10/16(木) 02:39:28 ID:y4jNeCr2<> でもよっくんは違う。
私が皆に根暗、鈍臭いと蔑まれ、体の起伏もなかった頃から数え切れないくらい大切な物をくれて温かく包み込んでくれた。
よっくんは私が生きる白と黒の空虚な世界の中で唯一輝く鮮やかな色。一度目にしたらもうモノクロの世界には耐えられない。
そして私にも勝機はあった。普段の二人の態度から察するに、佳奈ちゃんはまだよっくんに告白していないらしい。
もちろん後ろめたさはあった。私はこれから親友の好きな人に告白するためにその親友に手助けしてもらおうとしているのだから。
よっくんのことはもちろん大好きだけど佳奈ちゃんのことも大好きだ。彼女も私に優しくしてくれる唯一無二の大切な友人だから。
でも私にはもうこれきりしかチャンスはない。
このまま仲の良い友達のまま終わってしまうことが耐えられなかった。彼との関係を親友からもう一歩進めたかった。
だから今まで逃げてきた分のツケを今払わなくてはならない。結果次第では彼女ともう二度と親友には戻れないかもしれない。
それは私にとってこの上ない恐怖だ。想像するだけで足がガクガクと震え、呼吸が乱れるほどに恐ろしい。
それでも私は彼が欲しい。彼以外の人など考えられないのです。
だから……下さい。よっくんを私に下さい。
いいじゃないですか。あなたは皆に愛されることができるような人物なのだから。
佳奈ちゃんならきっとこの先彼以外にも良い人を見つけられますよ。
でもね、私には彼しかいないんです。
そう、誰にも愛されなかった私にも彼ならきっと愛を囁いてくれる。私を大事にしてくれる。

そう思い、私は一年前彼にこの想いを伝えようとした。でも告白すらできずに私の思いは砕け散った。

それからの私はまるで抜け殻のようだった。はっきり言ってこの一年間の記憶はぼんやりとしかない。
両親は反抗期を過ぎたのかと安心していたがそうではない。私が全てに対して無気力になってしまっただけだ。
彼という色を失い、再び白と黒しかない世界に放り込まれた私は最早生きる意味すら見失っていた。
勉強ばかりしているのは何かを頭に詰め込んでいる時だけは彼のことを考えずに済むから。
全てのテストにおいて学年一位を取り、学校始まって以来の天才が現れたと周りは喜んだが私自身は特に何も感じなかった。
ここまでしなければ忘れられないほどに彼の存在は私の心の奥深くにまで刻み付けられている。
こんなに辛い思いをするくらいならもうよっくんのことは忘れよう。何度そう思ったか分からない。
『手に入らないものをいつまでも思い続けて一体何になるっていうのかしら?そんな無駄なことはやめて、もっといい男を探すべきだと思わない?』
頭の奥で賢い私が呆れた口調で私を諭す。まさに正論。反論する余地もありません。
なのに頭では理解していても、心が身を引きちぎらんばかりにそれを拒絶する。
「やっぱり好きなんだからしょうがないよ……」
嗚咽が漏れ、涙が溢れてくる。こうなるともう自分を止めることができない。
ベッドの中で縮こまり、ひたすら涙が枯れ果てるまで咽び泣くことしかできない。
疲れ果てて眠りにつくと決まって夢を見る。私とよっくんが恋人になって幸せそうにしている夢。
いっそこの夢がずっと覚めずにいればいいのに。
朝目が覚めるたびに本気でそう思う。夢の中なら私とよっくんは誰に気兼ねすることなく幸せになることができるから。
あれから一度も佳奈ちゃんはもとより、よっくんや中学校の元同級生達とも連絡を取っていない。
彼らと話をしたらよっくんと佳奈ちゃんと仲がよかった私のことだ。二人の動向に付いて話が進むだろう。
彼らが今どう愛し合っているかなど知りたくなかった。それを告げられたら本当に私は立ち直れなくなる。
幸い彼らが通っている高校からは結構遠いので、ばったり出会う心配はしていなかった。

でもいつだって神様は残酷だ。かつてこれ程ほどまでに偶然を呪ったことがあるだろうか。
――だって出会ってしまったんだもの。
<> Rouge?Blanc?<>sage<>2008/10/16(木) 02:40:31 ID:y4jNeCr2<> 「おい!その子は嫌がってるじゃないか。やめろよ」

低脳なナンパ男に絡まれていた私の耳に力強く、それでいて温かみのある声が響く。
そんなまさか。でも私がこの声を聞き間違えるはずがない。
そこには私が未だに想いを捨て切れず、恋焦がれ続けている彼の姿があった。
一年以上経っているので少し背が伸びて、顔つきが男らしくなっているが間違いない。
よっくんだ!!いつも私を助けてくれる永遠に色褪せることのないヒーロー、よっくんだ!!
でも何でこんなところに?それに彼は私が誰だか分かっていないみたいだ。
困惑と動揺で頭の中が真っ白になる。
しかし私が理解する間もなく、この屑はあろうことか、よっくんを殴った上に痛みと吐き気で動けないであろう彼に蹴りまでくれた。
さっきとは違い、怒りで頭が真っ白になる。体中の血液が沸騰するような感覚。
この屑には私が直々に制裁を加えてやらないと。よっくんを傷つけるもの全てを許すわけにはいかないのだ。
だから私は無駄に重たい教科書がぎゅうぎゅうに詰まったバッグを屑の頭上に大きく振りかぶる。
そして、見るだけで吐き気のするにやけ顔を浮かべて振り返った間抜けな男の脳天に思い切り振り下ろした。
『ゴッ』っと嫌な感じの鈍い音がしたが特に気にならない。多分死んではいないから平気だろう。
流石に人を殺すのはまずいだろうし、何より彼が悲しむ。
ポカーンと口を開けて固まっているよっくんを安心させるために私は彼に微笑みかける。
大丈夫ですか、よっくん?別にあんな屑のことなんか心配しなくていいんですよ。だってよっくんは何も悪くないもの。そう、全部悪いのはこの屑。
よっくんのことを殴ったり、蹴ったりしたんだから殴られて当然です。でももう平気です。私がちゃんとお仕置きしてあげましたから。
だから私のこといっぱい褒めてくれますよね。ねぇ、よっくん?
しかし、私の願いは叶うことはなかった。
この馬鹿騒ぎに人だかりができてしまい、こちらを興味津々な目で見ている。その中には当然女性の姿が。
やめろ!!そんな好奇の目でよっくんを見るな!!綺麗なよっくんが汚されちゃう!!
その事を危惧した私はボケーッとしている彼の手を掴み、無理やり立たせる。
「早く逃げましょう!人が集まってきましたし」
彼も周りの様子を見て、状況を理解したらしい。
「ああ、わかった。でどこに」
「こっちです!早く走って!」
「のわっ?!いきなり引っ張るなって!!」
考えもなしに勢いだけでオレンジ色に染まった町を駆け出す私とよっくん。
それはまるで昔の私達のよう。でも一つだけ違うことがある。
昔はよっくんが私を連れまわしていたけど、今は私がよっくんを引っ張っている。
それだけのこと。それだけのことなのになぜか酷く嬉しい。
私は走っている間、ずっと顔に浮かぶ笑みを隠すことができなかった。

それから結局かなり遠くまで私達は来てしまい、たまたま近くにあったこの公園でとりあえず休もうということになった。
太陽が沈み、代わりに夜の闇が顔を出し始める。この公園で遊んでいたであろう子供達の姿もすでに見えない。
彼らは愛する友に別れを告げて帰っていたのだろうか。ふとそんなことが頭によぎった。
「あの……ごめんなさい。前からああいうのにはよく絡まれていたんだけど今日みたいにしつこいのは初めてで……」
とりあえずよっくんに謝る。彼は私のせいであの屑に殴られたり、蹴られる羽目になってしまったのだから。
「別に君が気にすることはないさ。困っている人がいたら助けるのは当たり前だろ?」
しかし、彼は全く気にした様子を見せなかった。
「それにさ、こういうときは謝るんじゃなくてありがとうっていうべきじゃないかな?」
そう言って微笑むよっくんの姿が私と彼が初めて出会ったその瞬間と重なった。
ああ、やっぱり彼は全く変わっていない。私が好きだった彼のままだ。
「……そうですね。助けてくれてありがとう、よっくん」
つい私も笑顔になり、彼の名を呼ぶ。
今日会ってから一度も彼のことをよっくんと呼んでいなかったからきっと鈍感な彼も私が誰だか気付くはず。
ほぉら、よっくんが首を傾げて考え始めた。そして、私の顔をもう一度じっくりと見る。
やだ、そんなにじっと見られたら恥ずかしいです……
<> Rouge?Blanc?<>sage<>2008/10/16(木) 02:41:10 ID:y4jNeCr2<> 「えっと、もしかしてだけど君って……」
やっと気付きましたか。とどめに私だという確証を見せるために髪の毛の一部を両手で二房に纏め、持ち上げる。
彼の中の私の姿は髪型をツーサイドアップにしている少女のはず。
高校生になってから私は伸ばした髪をそのまま背中に流しているので気付かなかったのでしょう。
「……全く気付かなかった。すまん、『鈴音』」
本当に申し訳なさそうに謝るよっくん。なんだか可愛い。
彼は私を正しく認識できたことに安心したのか、私をからかうほどの余裕も出てきたみたい。
私が持っている鞄の中身や、その教科書のないようについて顔をしかめるよっくん。
ああ、やっぱりよっくんと話すのは楽しいなぁ。それだけでなんだか幸せな気持ちになれる。
話しは昔に遡り、必然的に私達三人で遊んでいた頃の話になる。
「そういえば昔から鈴音は俺達の参謀役だったよな。当然俺がリーダーで佳奈美がストッパー役」
「二人の意見が衝突してよく喧嘩してましたね。それで私が仲裁役になって結局適当に遊ぶのがいつものパターンでした」
「そういうお前達だってヒーローごっこやるときは、どっちがピンク役をやるかでよく揉めてたろ」
「そ、それは……女の子には譲れない戦いってものがあるんです」
そう、ピンクは彼が心から愛する理想の女性像そのもの。だから私と佳奈ちゃんはいつもその座を取り合っていた。
「譲れない戦い?何だそれ?」
なのに心底わからなそうに首を傾げるよっくん。
そうだった。よっくんは昔から信じられないほど鈍いのだ。
目の前で自分に想いを寄せる女の子が頬を上気させながら目を潤ませても「風邪でも引いたのか?」と勘違いをするくらい鈍い。
「……にぶちんなよっくんには教えてあげません」
あまりにも鈍感な彼に呆れて少し不機嫌になる私。
彼が私の気持ちに気付いてくれるんじゃないかって少し期待していたのが恥ずかしい。
いくら昔と変わっていないといってもここだけは変わっていた方がよかった。
自然と二人の間に生まれる沈黙。
だがそれは重苦しく圧し掛かるものではない。むしろどこか安心する心地の良さがあった。

……なんだか久し振りだな。こうやって他愛もないことをよっくんと一緒に話すのって。
「……懐かしいですね。昔は公園や空き地でよく一緒に遊びましたよね」
「ああ。月日が流れるのはあっという間だな……」
よっくんも目を細めて懐かしそうに呟く。
そう、私達は幼稚園から中学校を卒業するまで常に三人一組で行動していた。
ほとんどよっくんと佳奈ちゃんは同じクラスだったのに対し、私は一緒のクラスになることは少なかったがそれでも一緒に遊び続けた。
もう一度三人で泥だらけになりながら駆け回っていたあの頃に戻りたい。そうすればきっと今も三人で一緒に……
「そういえばよく俺だって気が付いたな。俺なんか全然分からなかったのに」
突然よっくんが話題を変えてきた。そんな質問はするだけ無駄ですよ、よっくん。
「簡単です。よっくんは全然変わってませんから」
そう、良くも悪くも呆れるくらい彼は何一つ変わっていなかった。
「そうか?背は伸びてるはずなんだが」
「そういうところじゃなくて相変わらず優しいところとかです。全然変わってなくて安心しました」
私の答えに頓珍漢なことを大真面目に言うよっくん。でもそれが妙に嬉しくて、笑みを隠すことができない。
でもこのことははっきりさせておかないといけない。
「それよりどういうことですか?全然私だって気が付かなかったって」
私は声を聞いた瞬間に分かったのに、よっくんは私が「よっくん」と呼ぶまで気付かなかった。
仮にも親友なのにこれはひどいんじゃないか。だから私はわざと意地悪く彼を問い詰める。
「だから悪いって言ってんだろ。仕方ないじゃないか。だって……」
「だって……何ですか?」
罰の悪そうな顔をして、何故か顔を赤くさせるよっくん。やばい、なんだかすごく可愛いです。
私の心はまた愚かにも彼に釘付けになっていた。
だからでしょうか。

「って言える訳ないだろ……綺麗になったねとか常識的に考えて……」
彼がうっかり口を滑らせたその内容が私の心に深く鋭く穿たれてしまったのは。
<> Rouge?Blanc?<>sage<>2008/10/16(木) 02:42:09 ID:y4jNeCr2<> すでに打ち込まれていた楔がさらに深く食い込む。燻っていた炎が再び勢いよく燃え上がる。
「!!や、やめてください!そんなこと言われたら……私……」
やめてやめてやめて!!そんな甘い囁きで私を惑わさないで!!これ以上私を惨めにさせないで!!
だってそんなことを言われたらまた彼のことを愛してしまう。身の程も知らずに手に届かないものを求めてしまう。
『親友をまた裏切るの?』
ふと頭の奥で冷たい声が鳴り響く。
そうです。私は振られて、よっくんは佳奈ちゃんと付き合っているんです。私の入る余地なんかどこにも残されていない。
私にできることは二人の幸せを願うことだけ。それだけなんです……
だから私は何とか震える声を搾り出して言葉にする。
そう、よっくんのために。そして何より自分に言い聞かせるために。
「……ねぇ、よっくん。彼女がいるのに女の子にそんなこと言っちゃダメなんですよ?誰かが勘違いしちゃうかもしれないから……」
よっくんの彼女は佳奈ちゃんで私じゃない。
そんなこと本当はわかっていた。わかっていたのにどうして私は今日よっくんに会ってから子供のようにはしゃいでいたのだろう。
情けない。みっともない。涙が溢れそうになる。
ああ、もう今度こそ本当に私の恋は終わりだ。
本当にそう思っていた。

「は?誰に彼女がいて、誰に勘違いするって?」

よっくんが寝耳に水と言いたげな表情で言った言葉を耳にするまでは。
「え……?だからよっくんには佳奈ちゃんがいるから女の子にそういうことを言っちゃダメって……」
「……あのなぁ。昔から何度も言ってるように俺と佳奈美は別に付き合ってなんかいないって」
よっくんは呆れたように、しかし、強い口調ではっきりと否定した。
彼は昔から嘘とか曲がったことが大嫌いだから冗談は言わないはず。
あれ?おかしいなぁ?だってそうだったら佳奈ちゃんは私に……
「え?だってよっくんと佳奈ちゃんは付き合ってるって……」
そうですよ。そうじゃなきゃおかしいですよ。だって私は佳奈ちゃんから直接聞いたもの。
これが嘘だって言うなら私は一体何のために一年前……
「だから何度も言わせるな。俺と佳奈美は付き合ってない。これは事実だ」
そんな私の願いも空しく、よっくんは気持ちがいいほどに本当だと言い切った。

私は声一つ立てずに考え込む。思考の海の中に散らばった記憶のピースを一つ一つ丁寧に集め、繋げていく。
必ずどこかにある矛盾を探すために。そして紛い物のピースを取り除き、新たに真実という名のピースをはめ込むために。
そうしなければこの苦痛に塗りたくられた一年は一体何だったのか理解することができない。
まず、みんなはよっくんと佳奈ちゃんが付き合っていると思ってる。
実際私もそう思っていました。だって佳奈ちゃんがそう言っていたのを私はこの目で見て、この耳で聞いたのだから。
でもよっくんは違うと言っている。
これはどういうことでしょうか?
もしよっくんが本当のことを言ってるのなら佳奈ちゃんは嘘をついているってことになる。
でもなんでそんな嘘を言う必要があるのでしょうか?
いや、よく考えるのよ。本当はわかっているんでしょ?でも理解したくないだけ。
そしてある一つのパーツがどうしても埋められなかった穴にカチリと音を立ててはまった。
でもそれははまるべきパーツではなかった。私の中で次々と記憶が塗り替えられていく。
そう、私は全てを理解してしまった。
彼女が一年前私に何をしたのかを。いや、それ以前にも彼女がずっと行い続けていたことまで。

<> Rouge?Blanc?<>sage<>2008/10/16(木) 02:42:51 ID:y4jNeCr2<> ――佳奈ちゃんは待っているのだ。
ただの噂が本当になるのを。でも自分から告白して振られるのは恐い。
だからよっくんの方から告白してきて事実として成立するように仕向けている。
それまでよっくんが他の女の子に目を向けないように、他の女の子がよっくんの方を向かないように皆に嘘をついていたってことか。

……ふふ、うふふふふ、ふふはははははははははっ!!!あはははははははははははははははははははははっ!!!!
そうか。そういうことなんだ。
私の中で怒りとも悲しみともつかない感情が爆発した。
気付きたくなかった。でも気付いてしまった。
私の親友だと思っていた女の子は私を騙し、私がずっと恋焦がれていた男の子を奪った。
そして私は愚かにもその真相を確かめずにそのまま逃げ出してしまったことに。
噛み締めた歯と歯が擦れ合い、ギリリと音を立てる。握り締めた拳に思い切り爪が食い込む。
しかし、こんな痛みなど全く気にならない。彼女へと抱くこのドロドロとした全てを焼き尽くす業火の如き暗い情念に比べたら。
可愛さ余って憎さ百倍どころではない。彼女のことを信頼し、慕っていただけにその反動は大きかった。
「佳奈ちゃんは嘘をついてよっくんを私から獲ったんだ……!!」
とても自分の口から出たとは思えないほどに低い声が漏れる。その声はまるで呪詛のように聞こえた。
『よっくんの恋愛対象になりそうな女の子達を排除して選択肢を自分だけにする』
ずいぶん姑息な手を使ってみんなを欺いてくれたじゃない。
でもしょうがないよねぇ?だって佳奈ちゃん本当は自分一人じゃ何もできない臆病者だもんね?
本当は昔からうすうす勘付いていた。
いつも自信満々にしているその瞳の奥に微かな恐怖心、不安感が内包されていたことに。
そしてそれを隠すためによっくんに依存していることも。
そりゃよっくんみたいに自信に満ち溢れた逞しい人の傍にいたいよね?
彼と一緒にいるだけで自分の醜い場所が消えて輝いていられる。きっと彼女は本気でそう思っている。
でもね……そう思ってるのは何もあなた一人じゃないのよ?
そう、私も佳奈ちゃんと同じ穴のムジナ。私の場合、佳奈ちゃんより少し理性とか常識が強かったみたいだけど。
だから一年前あなたの嘘にあっさりと騙され、愚かにもいらぬ遠慮をしてしまった。
でもこれからはそんな遠慮はしなくて済みそうだ。
私と佳奈ちゃんの本質は同じ。私も佳奈ちゃんもよっくんが欲しくて欲しくてたまらない。
一度彼と言う極上の甘い果実を口にしてしまったから。
その優しさがこの上ないほどの猛毒とも知らずに果実を貪り続けてしまった私達はどうしようもない愚か者。
しかもその毒入りの果実は食べれば食べるほどのどの渇きは増し、より多くの果実を求めてしまう。
よっくんがその全てを食らわせてくれなければ私達は禁断症状によって身も心も引きちぎれるような苦しみを味わわなければいけなくなるのだ。
自分でもビックリね。まさか自分がこんな人間として堕ちるところまで堕ちているような女だったなんて。
でも私はあなたとは違うわ、佳奈ちゃん。あなたは彼に依存しているだけ。
醜い自分の姿を覆い隠してくれる優しい優しいよっくんを手放したくないだけなんでしょう?
彼の優しさを食い物にして辛うじて生き延びている醜い怪物。
それがあなたの本当の姿よ。見ていて虫唾が走るわ。
よっくんだってこんな女の元に居たがるはずがない。いつかは必ず可憐な外見の裏に隠された醜い本性に気付くはず。
そして慌てふためき逃げ出してきた彼の震える体を私は優しく受け止めて、こう言うのだ。
「大丈夫。私はあんな女じゃありません。よっくんのことはちゃんと守ってあげますからね。だからあなたはこの胸の中に包まれているだけでいいんですよ?」

<> Rouge?Blanc?<>sage<>2008/10/16(木) 02:46:59 ID:y4jNeCr2<> そう、もうすぐすれば彼は私の所に帰ってきてくれる。だから私はよっくんに問う。
「うん。信じますよ、よっくん。だってよっくんは私に嘘をつきませんものね?」
まさかよっくんまで私を裏切ったりしませんよね?もし私を裏切って、あの女のことを選ぼうだなんてしたら××しちゃいますから。
二度も彼が私以外の人のものになるなんて到底私には耐えられない。私だけの彼になってくれないのならいっそ……
まぁ、そうしようとする前に私が彼の心を捕らえてしまえばいいだけの話で、冷たく光る妄執と情念の鎖で彼を雁字搦めにしてしまうのだ。
そうすれば彼も無駄な抵抗をする気もなくなるでしょう。
あら、やだ。私ったらこんなことを考えてはしたない。
まるで何かに中てられたように残酷で狂気に満ちた傲慢そのものの考え。
ふと頭の中にある単語が浮かんでくる。
『逢魔時』。その言葉の通り、妖怪や幽霊といった異形の存在に出会いそうな時間という意味だ。
もしかしたら私は夜と共にこの世界を訪れた魑魅魍魎に遭遇してしまったのかもしれない。
でもこれは私が最も望んでいた彼との関係なのかもしれません。だって今私はこれ以上はないほどの笑みを浮かべているのだから。
「ですよ、ね?」
「あ、ああ。嘘なんかつかないよ」
よっくんはそんな私を見て怯えたのか、青ざめた顔で少し後ずさる。
うふふ、可愛い。こうやってずっと彼を愛でていたい。
でもこれ以上彼を怖がらせたら逆効果ですね。
彼の知っている『運動は少し苦手だけど、頭がよくておっとりしたお嬢様の白河鈴音』に戻るとしますか。
「そう……ならいいんです」
彼を安心させるために私はとびきりの笑顔を作る。そう、まるで先ほどのことなど何もなかったかのように。
「へ?」
口を大きく開けたまま固まるよっくん。ちょっと間抜けだけどやっぱりそんな顔も可愛い。
「だってよっくんが私に嘘をつくかと思うと、この胸が張り裂けそうなほどに苦しくなってしまうんです……」
冗談ぽく本音を言いながら大げさな動作で胸に手を押し当てる。彼のためなら道化を演じることだって苦にはならない。
だってよっくんが私の胸を食い入るように見ているんですもの。ねっとりと、じっくりと熱の篭った視線が私の胸を貫く。
周りの男どもが穢れた視線で見てくるただ重くて大きいだけの脂肪の固まりと今日までは思っていた。
けど彼がこうして情欲に濡れた目で見てくれるのならばこうして成長してくれてよかったとさえ思える。
よっくんが私のものになってくれるならこの体を好きにしてくれて構わないんですよ?
今まで守り通してきた純潔も彼に散らされるのならばそれはむしろ喜ばしいこと。
やだ、私も少し濡れてきちゃいました。もう,よっくんがあんないやらしい目で見てくるからですよ!
このまま彼とホテルに入ってもいいとさえ思えるけど今日の所は我慢。今まで築いてきた私のイメージが崩れちゃいますからね。
家に帰ってからたっぷりと自分を慰めることにしましょう。
「さて、もうずいぶん暗くなってしまいましたし、名残惜しいですけれどそろそろ帰りましょうか?」
「……ああ、そうだな。俺は歩いて帰るけど鈴音はどうするんだ?もし歩きなら送っていくけど?」
やっぱりよっくんは優しい。さっきのことを心配してくれている。
ならありがたくその好意に甘えるとしましょうか。
「そうですね……では駅まで送っていただけますか?」
<> Rouge?Blanc?<>sage<>2008/10/16(木) 02:47:51 ID:y4jNeCr2<> 駅に向かう途中、たくさんのことを話した。昔のこと、最近のこと、これからのこと。
もちろんその会話の中でさりげなく佳奈ちゃんのことや彼の女性関係について聞き出すのは忘れない。
引き出した情報によるとやはりよっくんは佳奈ちゃんやその他大勢の女どもの好意には気付いていないようです。
これは好都合です。なぜなら彼女達と違って私は彼に女を意識させることに成功したから。
きっと傍に居過ぎて佳奈ちゃんのことは異性として認識することができないのでしょう。
他の雌どものことは得意の鈍感で意識すらしていないようです。
どうやら私が過ごした一年は無駄どころか大きなアドバンテージをもたらしてくれたようです。
つい気分も浮かれ、よっくんと他愛もないことを話しているとあっという間に駅に着いてしまった。
楽しいと感じている時は時間の進みが速く感じられると言いますがどうやら本当のようです。
よっくんと話していた戦隊物の話がちょうどクライマックスに入ったところで「電車の時間が近づいているから」と途中で打ち切られてしまった。
そこで私は大げさに落ち込んだ振りをする。そうすればきっとよっくんは私の望む通りの行動を取ってくれるでしょう。
「おい、鈴音。携帯持ってるか?」
きた!!やはり私の読みどおりです。
「はい。持ってますけど……?」
声が上擦らないように細心の注意を払って、何もわかっていないように可愛く首を傾げながら携帯を取り出す。
「アドレス交換するぞ。これなら電話するなり、メールするなり、いつでも話せるだろ?」
「!!」
パーフェクト!!さすがは私のよっくん!!私の期待に見事応えてくれた。
「します、します!!早くしましょう!!今すぐしましょう!!」
「わかったから少し落ち着けって!はしゃぎすぎだろ!」
つい嬉しくてはしゃぎ回る私をなだめるよっくん。
胸の中で暴れ回る高揚感を必死に押さえつけて、お互いのアドレスを交換する。
これでお互いのアドレスがお互いの電話帳に登録された。
「うふふ、よっくんの電話番号とメールアドレスだぁ……嬉しいです……」
他人にとってはただのアルファベットの羅列に過ぎない物でも私に取っては魔法の呪文。
だってこれからはよっくんといつでも、どこでも話すことができるから。
よっくんの声は私の心を癒してくれる清涼剤。これほど嬉しいことはありません。
「まぁ、これで何の心残りもなく帰れるだろ。じゃあな……」
そう言ってよっくんは私に別れを告げ、帰ろうとする。

そうだ。大切なことを一つ言うのを忘れていた。
彼女のためにもちゃんと言っておかないといけませんよね?
<> Rouge?Blanc?<>sage<>2008/10/16(木) 02:48:33 ID:y4jNeCr2<> 私はよっくんの腕を掴み、引き止める。
「どうした?これ以上まだ何かあるのか?」
「……佳奈ちゃんに会ったら伝えて欲しいんです。必ず返してもらう、って」
そう、今目の前にいるあなたを、ね。
「は?何だ、佳奈美のやつお前から何か借りたままだったのか?」
怪訝な顔をするよっくん。
「はい。私に嘘をついてそれをずっと自分の物にしていたんです」
親友を騙してまで彼を手にいれようだなんてひどいと思いませんか?本当に浅ましい子。
「本当か?ったく、佳奈美もしょうがない奴だな。今度会ったら俺からきつく言っておくよ」
呆れたように肩をすくめる彼。
まったくだ。佳奈ちゃんなんかさっさとよっくんに愛想を尽かされちゃえばいいんです。
「お願いします。『人の物を勝手に取ったら泥棒』って言いますもんね」
そう。佳奈ちゃんが余計なことさえしなければ今頃は私は彼と結ばれて幸せな毎日を送っていたはずなのに。
この泥棒猫!!薄汚い雌猫の分際でよくも人のものに手を出して……!!
はっ、いけない。こんな憎悪に歪んだ顔を見られたらきっと彼は私から離れてしまう。平常心平常心。
「今日は色々ありましたけど、こうやってまたよっくんに会えてとても嬉しかったです。ではそろそろ電車が来るので失礼します。」
少し名残惜しいけどなに、焦ることはない。これからはいつでもよっくんと話すこともできるのだし。
家に帰ってゆっくりよっくんとこれからのことを考えましょう。
「あ、ああ。気を付けて帰れよ。またこうやってたまには会えるといいな!」
背を向けて改札口に向かう私に向かってよっくんは声を掛けた。
多分何気なく言ったのでしょう。
しかし、取り損ねて咀嚼してしまった魚の小骨のような不快感と共に些細な言葉が私の心に引っかかった。
“たまには”?
わかってませんねぇ、よっくんは。これは私がちゃんと教えて上げないといけませんね?
私は立ち止まって、ゆっくりと彼の方を振り向くとニッコリ笑って告げる。
「心配しなくても大丈夫ですよ。また“すぐ”に会えます。“すぐ”に、ね」
そう。私達はすぐに会えるんですよ。
誰にも私達の仲を邪魔する権限はありませんし、邪魔させる気もありません。
もし再び巡り合えた私達を引き裂こうとする輩がいたらそうですね……少し手荒な真似をしてしまうかもしれません。
まぁ、そんなことをする人なんて私には一人しか心当たりはありませんけどね。
「ではまた近いうちに」

それまではしばしのお別れですわ、正義。私の愛しい人。
<> Rouge?Blanc?<>sage<>2008/10/16(木) 02:49:07 ID:y4jNeCr2<> 「クス……クスクス……」
一人電車に揺られながら私は笑い続ける。
周りの人は少し気味悪そうに私を見ているが決して目をあわせようとはしてこない。そのほうが私にとっても都合がいい。
どうしようもなく喜悦に歪んだこの笑顔を人に見せるなんて耐えられませんから。
だってしょうがないじゃないですか?あまりにもおかしくて笑いを止めることができないのです。
そう、今日はとてもいいニュースと悪いニュースが一度に飛び込んできた。
そしてそれは私を狂気へ誘うのに十分過ぎる内容だった。

やってくれるじゃない、佳奈ちゃん?まさかこの私を出し抜いてくれるなんてね。この借りは高くつきますよ?
そうですね。あなたがもう二度と私達の前に姿を現さないって誓うのなら昔のことは水に流してあげてもいいです。
私もあなたのことはまだ大切な友人だと思っているもの。
でもね。身の程もわきまえずにもう一度私から彼を奪おうというのなら――

「クスクス……クスクスクスクスクスクス……」

――最高に惨めな思いをたっぷりと味わわせてから佳奈美、あなたを殺してあげるわ。
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/16(木) 02:52:44 ID:y4jNeCr2<> 投下終了です
ところで前スレでヒーロー気取りの某主人公と書かれてありましたが元ネタが全く分かりません……
分かる方がいたら教えてください <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/16(木) 03:24:49 ID:Pz1kDthH<> >>155
GJ!!起きててよかった!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/16(木) 04:20:04 ID:KzArWWHu<> 多分、衛宮士郎のことだろ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/16(木) 07:07:20 ID:lRzMMbQ8<> GJ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/16(木) 07:43:30 ID:/cCGI8cU<> なんだろチワワの皮をかぶった狼と猫の皮を被った虎の戦いっぽいなw <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/16(木) 07:57:21 ID:Xv9lcDxu<> GJ! みなぎってきたああああああぁぁぁぁあああ! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/16(木) 10:14:35 ID:Xuxc3+f8<> こっちでは、濃いエロ描写はあまり好まれないんでしょうか?
ヤマヤミの18禁版みたいなことやったら引かれますかね… <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/16(木) 10:33:27 ID:wn/O6aN7<> GJ!!!!!!!
これはいいヤンデレ対決。これからどういう展開になるのか非常に楽しみです。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/16(木) 11:32:45 ID:RUz1biyG<> >>155
GJ
車内でニヤニヤしながら読ませてもらいますたww


某主人公ってのは多分衛宮士郎の事かと <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/16(木) 11:39:25 ID:NurRrHOB<> >>161
問題ないと思いますよ
まぁスカとか入れるとアウトの人がいるので、前もって予告する必要があるでしょうけど <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/16(木) 11:43:17 ID:z26cB5RF<> >>155GJ!!これはとても濃いヤンデレ対決が見れそうですね。つづきを楽しみに待っています。

>>161 "こっちでは"ってどこと比較しているのかわからないけど、ここはエロパロ板にあるスレだから
エロは大歓迎だよ。それが濃いエロならなおさら。ただ、特殊な趣向が含まれる場合は、注意書きが必要だけどね。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/16(木) 11:47:01 ID:Xuxc3+f8<> どもっす。そのうち何か考えてみます。
シャイニン●のごとく流血Hとかは…やばいかな…。

なお比較対象はキモウトキモ姉スレw <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/16(木) 14:28:03 ID:e7YmMOwU<> 死ね <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/16(木) 14:43:49 ID:b1cdnV+Y<> つられないくま <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/16(木) 15:43:13 ID:5r7+DMaA<> >>155
( ゚∀゚)o彡°続編! 続編! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/16(木) 20:28:19 ID:naylCE9D<> >>155
続き待ってます!! <> 名無しさん@ピンキー<><>2008/10/16(木) 23:25:18 ID:qa4ZeZsz<> >>155
新キャラナイス!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/17(金) 12:06:48 ID:DEjTAq9X<> GJ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/17(金) 19:27:51 ID:aYBbb0TM<> フルメタの相良ソースケに見えなくもないと思ったのは俺だけ? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/17(金) 21:16:03 ID:pmuyafy/<> く〜るぅ〜、きっとくるぅ〜、きっとくるぅ〜 <> 天使のような悪魔たち 第2話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/17(金) 23:20:43 ID:69OvmC0n<> KG67S9WNlw改め↑です。
第2話投下します。 <> 天使のような悪魔たち 第2話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/17(金) 23:21:17 ID:69OvmC0n<> 「はぁ…はぁ…ここなら…大丈夫だろ……ふぅ…」
あれから結意に終われること二時間。先生の「廊下を走るな」という怒鳴り声を何度聞いたことか。
それでも構わず追ってくるヤツから逃れるために俺はある場所に隠れていた。そこは…
女子禁制の聖地、男子トイレの個室。―――完璧だ!ここなら絶対来ない。あとはほとぼりが覚めるまでずっとここにいれば……そこで俺はあることに気づいた。

ほとぼりがさめるまでって……いつまで?
そのとき、かつーん、と足音がした。情けないとこにびくっとしてしまった。
おおお落ち着け俺。ここは男子トイレ。結意が来るはずがない。きっと個室を求めてここまで来た男子生徒だろう。
だが、譲るわけにはいかない。残念だが、扉の向こうの彼には泣いてもらおう。

「みぃーつけた。」

今度こそ俺は恐怖を感じた。その声の主は……結意だったからだ。
ばかな!?まさか結意がここまで来るなんて!?だがまだ俺だと気づいたわけではあるまい。扉一つへだててるんだからな。
ここで何も言わず、ただじっとしていればやり過ごせるだろう。多分。

「隠れてたって無駄だよ?だって、ここから飛鳥くんの匂いがするんだもん…。いい匂い……はぁはぁ。」

……とりあえず俺は結意に、「ここはトイレだからあんましいい匂いしないと思うぞ?」とつっこみたくなった。
…ガマンガマン。あいつが変なのは今に始まったことじゃない。
そうだ、今こそ隼に助けを求めればいいんだ。そう考えた俺は、早速携帯を取り出し、メールを打とうとした。そのときだ。
携帯が突然振動しだした。着信だ。なになに………

090-XXXX-XXXX

「ほぉら、やっぱり。飛鳥くん、お話しよ?」
<> 天使のような悪魔たち 第2話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/17(金) 23:22:09 ID:69OvmC0n<> ―――しまった!完璧にやられた。着信は、結意からのものだったのだ。
携帯の振動音というのは結構音がするものだ。まして、この狭い空間ではそれを隠すことはできない。
……どうすればいい?きっと結意は俺が個室から出てくるまで動かないだろう。携帯で助けを呼べばいいかもしれないと思ったが、きっと結意の着信で妨害される。
くそっ、簡易留守録をかけておけばよかった!これじゃ八方塞がりだ。

ふいに、がちゃがちゃと何かをいじりだした結意。どうやらドアの鍵を壊そうとしてるようだ。だが、結構頑丈なはずだぞ?ちなみにこのドアは、「開」で白、「閉」で赤が

出る、小学校などによくあるタイプの鍵を備えている。
と突然、鍵の役割を果たしているレバーが勝手にスライドし、そのまま開いてしまった。え、何が起きたんだ?約2秒の間をおいてその意味を反芻する。―――絶対的な危機の

予感。そして、開け放たれるドア。

「やっぱり、飛鳥くんだ。うふふふ……」
「…ばかな!なんで鍵が外れて!?」
「このタイプの鍵ってね、鉄の覆いを外して赤と白のところをくるくるまわせば外からでも開くんだよ。知らなかった?」

と、後ろ手で内鍵をかけながら話す結意。言ってる意味がよく分からないが、今の俺はそれどころじゃなかった。この狭い個室で、結意に閉じ込められたも同然なのだから。

「もう逃がさないよ…飛鳥くん……。」
「ゆ…い…?」
「飛鳥くんは病気なんだよ?男の子が男の子を好きになるなんて、おかしいよ? でも大丈夫、病気なら治せばいいんだよ。私が治してあげる。……女の子のよさ、教えてあ

げる。」

ものすごく真剣な表情で俺を見つめながら、そんなことを言う。どうやら俺のなんちゃってカミングアウトをいまだに根に持ってるようだ。
普通に考えればわかるはずなんだけどなぁ……と、ポケットを探り、何かを取り出した結意。なんだ……?ああ、あれはたしか極限まで実用性を重視した以下略の…… <> 天使のような悪魔たち 第2話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/17(金) 23:22:51 ID:69OvmC0n<> がちゃり、と音をたててそれは装着された。片方は俺の手首、もう片方は結意の手首―――泣きたくなった。
そのまま俺の膝にまたがり、しきりに股間を俺の太ももにこすりつけ始めた結意。前後に動かれるたびに、その小柄な体つきにそぐわぬ豊満な胸が押し付けられる。……やわ

らかい。

「どう?男の子じゃ、こんなことできないでしょ?あれ、飛鳥くんったら、もうこんなに元気になっちゃったんだぁ。」
「くっ……」

当たり前だろうが。俺だって健全な男子だ。こんなことされて反応しないわけない。もし違うというなら、そいつこそゲイだ。……やばいな。
すでに俺の大腿部は分泌液がにじんでいる。そこから、甘い香りが鼻につく。結意の表情はとても上気していて、興奮しているのか、息も荒い。
美少女だとは認識していたが、今の結意はなぜだか言葉に表せないくらい綺麗…いや、艶やかだった。
このまま奪ってしまいたい衝動にかられ始めた俺は、歯をくいしばって煩悩と戦っていた。今も頭の中で必死に九九を唱えている。
なんで九九かって?数学の公式でも唱えれば冷静になるかなぁととっさに思いついたからさ。落ち込むから馬鹿とか消防とか突っ込まないでくれ、頼む。
―――――突然、結意に唇を塞がれた。口内を侵略せんとばかりに舌が入り込んでくる。俺は、そのまま数秒間、結意に捕食された。

「―――ぷは。飛鳥くん……大好きだよ!」

ぷちっ、と俺のなかで何かが弾ける音がした。おそらく、理性が。もう自分でも自分を止められなくなった。
結意の唇を逆に侵略し、その間に器用にファスナーを開く。瞬間、一気に結意を貫く。

「あ……ひっ…!」

苦痛に顔をしかめる結意。それに構わず立て続けに腰を突き上げた。

「いやぁ!痛い!痛いよぉ!あぁぁぁぁぁ!」
「…煩い」
「――ん!――!―――――!!」
再び唇を塞ぎ、無理やり黙らせる。必死にもがく結意を強引に押さえつけ、蹂躙する。結合部分からはぱちゃぱちゃと卑猥な音がし、粘液と血が織り交ざって下半身をべとべ

とにしていた。ここで唇を離した俺は、次に結意の胸を強く吸いだした。

「やだぁ!おなか裂けちゃうよ!飛鳥くぅん!すきぃ!だいすきぃ!」

いつの間にか悲鳴は嬌声に変わっていた。目の焦点が合っていない。結意もまた狂ったように腰を振っていた。個室のなかいっぱいに甘くすえた匂いが広がっている。
それがより一層俺の…俺たちの理性を奪っているようだった。
とうとう限界を迎えた俺は、その全てを結意のなかに放った。刹那、結意はびくんと背中を反らし、嗚咽を漏らして気絶した。
口をだらしなく弛緩させ、体はまだ痙攣している。接合部からはあふれ出る粘液とは別に、生暖かい液体が漏れ出ていた。そこで我に返った俺。 <> 天使のような悪魔たち 第2話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/17(金) 23:24:04 ID:69OvmC0n<> ―――――やってしまった。
きっと結意は「赤ちゃんできた」とか「責任とって」とか「逃げたらレイプされたって言う」とか脅しをかけてくるんだろうか。つまり、俺はもう結意からは逃げられない。
………もうどうでもいいか。過程はどうあれ、俺は結意を求めた。結意に魅力を感じないのかと言われれば、素直にYESとは言えない。
それに、こいつがどれだけ俺を好きかもわかってしまった。隼の言うとおり、そろそろ折れてしまってもいいのかも……いや、もうとっくに折れてるか。

「あひゅかくん……しゅきぃ…」

うわごとのようにそう連呼している。そんな結意がたまらなく愛おしくなってしまった。
俺は結意を起こさないよう優しく、空いている左手で抱きしめ、キスをした。


数時間後―――――

俺たちは旧校舎の屋上にいた。現在時刻は午後7時。空は紫いろに染まり、星が見え始めている。
手錠はとっくに結意が外してくれたし、しみがついて汚れた制服のかわりに学校指定のジャージへの着替えも済んでいる。
俺は結意に大事なことを伝えるべく、切り出した。

「――――え、飛鳥くんいまなんて……?」
「だから……付き合おう、俺たち。」
「あ……あすか…くん……本当に…?」
「ああ、本当に。」
「うれしい……私…もう死んでもいい……飛鳥くん…。」

俺にしがみついて嗚咽をもらす結意。こんなふうに弱々しく泣く結意は初めて見た。俺はただ、抱きしめてやることしかできなかった。

「…帰るぞ。もう夜遅くだ。送ってってやるよ。」
「うん…」 <> 天使のような悪魔たち 第2話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/17(金) 23:25:14 ID:69OvmC0n<> ―――――あれ。どうしたんだ結意のやつ。なぜ立ち上がろうとしない?

「あ…あしに、ちからはいんないよぉ…ふぇぇぇん…」

―――ああはい、そうですか。

「なんで…なんでよお…ぐすっ…立てないよぉ…飛鳥くんに……また置いてかれちゃうよぉ…」

ほんっと、しょうがないな。俺は、結意に背中を差し出した。

「ほら、乗れ。」
「…ごめんね。飛鳥くん…ごめんね。」
「謝るな。その…俺のせいなんだし。」

―――数十分後。早くも後悔していた。
結意のやつ…さっきから人の背中ですーはーくんかくんかしやがって…恥ずかしいったらありゃしない。おかげで、人目につかないよう道を選ばざるをえなくなったじゃない
か。すれ違う人はみんな怪しそうに俺たちを見ているし。……置いてこうかなぁ。

そんなこんなでようやく結意の家にたどり着いた俺。つうか、俺んちの近くじゃん。だからいつもいつも家の前までストーキングできたのか。

「ありがとね、飛鳥くん。」
「ああ、じゃあな。」

さて、今日は帰って寝よう。体力使いすぎた。その……まあ、聞くな。
………が、結意が俺にしがみついて離れない。

「…だめ。」
「おい結意?なんなんだ。」
「こんな夜遅くに一人でいたらごーかん魔に襲われちゃうよ…。せっかく目を覚まさせたのに、また道を踏み外しちゃうよ…。飛鳥くんの処女…奪われちゃうよ…。」

こいつ………まだ根に持ってやがる! しかも、がっちりホールドして腕はなさねえし。
「私の家に泊まってきなよ。ね?ごはんごちそうするから。」

天使のような笑顔でそう告げる結意。いや、まさに天使のようだ。つまり、それだけかわいいってこと。

「…わかった。じゃあ、そうさせてもらうよ。」
「わーい!じゃあじゃあ、はやく上がって―――♪」


このときに気づいていればよかったのかもしれない。が、日ごろの結意の行いのせいでマナーモードの振動を感知できなくなった俺はまったく気づかなかったんだ。自宅から
の着信が30件、おそらく表示しきれないほどにかかっていたことに。 <> 天使のような悪魔たち 第2話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/17(金) 23:27:39 ID:69OvmC0n<> 終了です。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/17(金) 23:29:10 ID:Z49gLh8U<> GJ 乙です <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/17(金) 23:32:47 ID:FPIAWl3n<> リアルタイムGJ!
エロからちょっとワイヤード臭がしたw
けど主人公がヒロインを早い段階で受け入れる作者氏のスタイルは好きだ。
期待してます <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/18(土) 00:23:14 ID:dcdLjjhT<> おお!!やっと来たか!GJ!!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/18(土) 09:33:02 ID:pRAF7xae<> GJ!
妹に次回の妹に期待! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/18(土) 10:15:53 ID:Pz56XLW4<> 次回も期待! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/18(土) 15:33:37 ID:UbHuOyAI<> ツンデレ…憤怒、嫉妬
巨乳…色欲
大食い…暴食
素直クール…傲慢
スイーツ…強欲
依存っ子…怠惰

ヤンデレ「あんな人たちと一緒にいたら、男くんが腐っちゃう」
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/18(土) 16:08:06 ID:CnavF6lm<> >>187
11の眼…いや、なんでもない <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/18(土) 16:27:33 ID:0Y82snVS<> 嫉妬のポジションをヤンデレにあげたらどうだ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/18(土) 18:16:19 ID:7FeVn5m6<> つーかそれでハーレムスレの悪魔のやつを思いだしたぜ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/18(土) 19:32:56 ID:5CaYngk7<> おまえもか…

やべえ…どこか歪な方々が集まってる感じがマジやべえ… <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/18(土) 19:36:08 ID:7FeVn5m6<> 俺的にはリヴァイアサン一択だった
ハーレムスレはたまにおいしいものがあるから困る <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/18(土) 19:58:40 ID:5CaYngk7<> さて、荒れる前に別スレの話題はここまでにしといて、件のネタに戻るか…


戦うのか?聖●戦争みたいな感じで… <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/18(土) 20:09:35 ID:flquowyj<> 聖槍? <>
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/18(土) 20:13:07 ID:jpNcDmls<> >>187 ヤンデレってそれ全部備えている感もありますけどねw

ワイヤード十話 投下します。 <> ワイヤード 第十話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/18(土) 20:13:39 ID:jpNcDmls<> 第十話『ロストマイセルフ・喪失』

信じていたものが崩れる瞬間、人はなにをするのだろうか。
悲しむのだろうか。怒りにとらわれてしまうのだろうか。心を失ってしまうのだろうか。
愛が憎しみに変わるのだろうか。
それは、それぞれが決めて、進んでいくこと。乗り越えること。
鷹野百歌は、愛にしがみつくことを選択した。
「誰だ……近づくな、近づくな……」
がたがたと震える男に、百歌は手を伸ばす。
――百歌だよ……私は、百歌だよ。
「知らない……! 私はそんなやつ、知らない!」
男は、化け物でも見るような目つきで百歌を睨み、その手を払いのけた。
「亡霊め……『あの女』の形をとって、私をまだ……まだ、縛りつけようと……!」
男は、ぶつぶつと呪いの言葉を口にする。
――私は、『あの女』じゃない……百歌なのに……。
百歌はおびえ、抵抗する男に蹴られ、殴られ、突き飛ばされながらも、ただひたすら男を求め、近づく。
「くるな……くるな……」
百歌は信じた。
男が自分のことを思い出してくれることを。自分が生きている証拠をくれることを。
だから、傷ついても倒れなかった。前を向いて、目をそらさず、手を伸ばした。
未来を求めた。幸せを求めた。
――お父さん、私はお母さんの亡霊じゃない……。私は、百歌だよ。お父さんの、娘だよ……。
存在する確信を失った少女は、壊れゆくその心を護るために、ただ、求め続けていた。
――だから、名前を呼んで……。
<> ワイヤード 第十話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/18(土) 20:14:10 ID:jpNcDmls<> 「百歌ちゃん、百歌ちゃん」
「――っ!?」
がばっと身体を起こし、きょろきょろと周囲を見る。
家の中ではない。自分が今通っている中学の、教室の中。しかも授業の真っ最中であった。
右隣を見ると、おっとりとした笑顔を浮かべた少女が座っていた。
――ああ、またこの夢か。
理解した。割り切ることにして、百歌は嫌悪の感情を感情のみに押さえつけた。決して、態度には出さない。
「ありがとっ、ちょっと疲れてて」
ぺろりと舌を出し、隣の少女に笑い返す。
少女は本当に幸せそうに百歌を見つめ、小声で「悪かったかな?」と、イタズラっぽく言う。
――うん、悪いよ。
この悪夢の象徴である少女に対し、百歌は心のなかで精いっぱいの恨みをぶつけた。
あの幸せを途切れさせ、いつも悪夢に引きずり込むナイトメア。百歌はこの少女が本当に嫌いだった。
ああ、憎らしい憎らしい。そうは思うが、そんな化け物でもこの悪夢の中では格段のリアルだった。だから、しがみつく。くらいつく。
教師のつまらない講義を無視しながら、百歌はナイトメアを観察する。
名前は、『メア・N・アーデルハイド』。外国人だ。いや、外国人ですらない。――たぶん、人間じゃない。
真っ白い。
メアは、燃え尽きた灰のように、何もかもが真っ白かった。
ツーサイドアップの長髪、肌、なにもかも。
その瞳だけが、少しだけ青が混じってかろうじて生物としての存在を主張していた。
それがなければ、本当にただ着色していない人形だった。
美しい。あまりに美しい。
<> ワイヤード 第十話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/18(土) 20:14:41 ID:jpNcDmls<> 正直、人形にたとえることすらできない。人形ですら、メアに対しては比較対象にならない。
恐らく、百歌の短い人生での観測史上最大の美女だろう。
百歌は、『クラスか学年で何本かの指に入る可愛い子』という程度の見た目だと、そう自己認識している。
実はその中でも相当な上位であるということまでは知らないし、そこまで自分の容姿には興味も無かったが――ひとつだけ、わかる。
メアは、そういう風に当たり前の世界の中に生きていていい存在じゃない。
それはまるで、夢の中に生きるもののように。
モノクロの夢の中から現実を侵食してくるように。
百歌の心を、悪夢の中に突き落とす。
全てを奪ったこの怪物が、百歌には憎らしくて仕方が無かった。憎くて、憎くて――
「メア……。大好きだよ」
メアにだけギリギリ聞こえる、本当に小さな声で言った。いや、聞こえることすらそもそも聞こえていない。ほぼ独り言だ。
しかししっかりとメアには伝わっていたようで、メアは「もうっ、百歌ちゃんったら……」と白い頬を赤く染めた。
「ボクも好きだよ」
メアが微笑む。
憎い。
その美しい笑顔を、めちゃくちゃに壊してしまいたい。
壊して、壊して、この悪夢から抜け出したい。
だからその笑顔が――何よりも欲しい。愛おしい。
百歌の心と身体は、悪夢の中に堕ちていた。この現実そのものが、百歌にとっては幻想だった。
自分の存在すら保証してくれない、こんな世界が、百歌は大嫌いだった。この中にいたら、いつか壊れてしまいそうだった。
どうしようもない不安のなかで、薄っぺらい幻想――それを人は未来と呼ぶ――を抱いて生きる人間が嫌いだった。
本当の人間じゃない。信じられるものじゃない。
だれもかれも、何も不安が無くて、幸せの意味も知らなくて。こんな現実を何も考えず、生きるだけ。
生きているという気になっていて、ただここに立っているだけ。
それが嘘であることも知らずに。
生きているという証拠も無いのに。次の瞬間には消えてしまっているかもしれないのに。
この世界に生きる人間は、皆偽りに思えた。だれも存在を認め合おうとしない。ふわふわと、クラゲのように漂っているだけだ。
それはもう、人間なんかじゃない。
<> ワイヤード 第十話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/18(土) 20:15:12 ID:jpNcDmls<> 「すみません先生、気分が悪いので少し出てもいいですか」
すっと立ち上がり、教師にそう告げる。
生徒が何をしようが無関心のその教師――偽りの人間は、百歌にも「ああ」とだけ言って、また黒板をかりかりと汚し始めた。
たぶん、百歌の名前なんて覚えてはいないだろう。
百歌はさっさとこの喧騒の中を離れたかった。
知能の低いクラスではない。誰も授業中に耳障りになるほどの大きな私語など発していない。
それどころか、私語をするのはメアと百歌のみだろう。
だが、そんな事実が百歌の耳の奥にまで響いて、切り裂いてしまう。
誰も、リアルな人間じゃない。
悪夢の中で、百歌だけがぽつんと立っていた。
誰もが、百歌の心を引き裂こうと、悪魔の囁きをしているかのようだった。悪魔の声は、百歌には聞こえない。
その中で百歌に話しかけるのは、メアだけだった。この悪夢の主である、メアだけ。
耐えられるわけが無い。
「(もう……いやだよ、お兄ちゃん……)」
おぼつかない足取りで、トイレに向かった。
メアはその後姿を見送りながら、顔を悲しみに歪ませた。
「(百歌ちゃん……。まだ、夢の中に……)」
そして、決心したようにメアが立ち上がった。
「先生、ボク……!」
<> ワイヤード 第十話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/18(土) 20:15:43 ID:jpNcDmls<> トイレに入り、すぐに奥の個室に駆け込む。鍵を閉め、壁を背にして崩れ落ちた。
力が抜ける。
「はぁ……はぁ……」
今にも胸を貫いて、『何か』が飛び出してきそうだった。おぞましい何かが。
百歌には、自分が本当に生きているのか、自身がなかった。
人間とは何かも、分かっていなかった。
ただ、ここにいる自分が『人間』と思い込んでいるだけの、何かなんじゃないだろうかという疑いが消えない。
「お兄ちゃん……助けて……」
ハンカチをポケットから出す。
鼻と口に押し当て、大きく吸い込む。『香り』が百歌の身体いっぱいに広がった。
周りの空気に溶け込んでしまいそうだった。麻薬のように侵食していく。
千歳の匂いだった。
昨晩口でして、ほとんど飲んでしまったが、兄の性器にも精液が残っていた。このハンカチはそれをふき取ったものだ。
「はぁ……お兄ちゃん……切ないよ……会いたいよぅ……」
この『発作』は、一日に一回は絶対に起こる。そのたびに鎮めることが必要になった。
イヤホンを取り出し、耳につける。コードが繋がっている先の機械のスイッチを押した。
――百歌。
「あぁ……お兄ちゃん、お兄ちゃん……!」
――百歌。
「そうだよ、名前を、名前を呼んで……!」
兄の、自分を呼ぶ声。あらゆる場面、パターンのものを録音していたそれを百歌は聴いていた。
兄だけが――千歳こそが、百歌にとっての現実だった。
唯一のリアルだった。
<> ワイヤード 第十話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/18(土) 20:16:14 ID:jpNcDmls<> 過去は嘘をつかない。それは知っている。
そして、千歳はその過去の景色の中から、何も変わらずに存在している。百歌の名前を呼んでくれる。
それは、嘘じゃない。本当のことだ。
兄だけが、百歌を本当だといってくれる。必要だといってくれる。
存在に確証をくれる。
消えてしまいそうな百歌に、手を差し伸べる唯一の存在だった。
兄の声が何度も自分を呼ぶ。百歌の興奮がどんどん高まってくる。
――生きてる。私、いま生きてる……!
百歌は高まった興奮のまま、下着に手をかけた。
「お兄ちゃん……さわって……」
――百歌。
兄の声に包まれながら、百歌は下着をずらし、自らの秘所を触り始める。もうそこは十分に濡れていた。
ちゅく。
「はぁ……!」
びくんと身体が跳ねる。
「(自分でちょっと触っただけなのに……お兄ちゃんにされてると思ったら……気持ち、いい……!)」
指を挿入する。とはいっても、処女膜の手前で止める。その先は、兄のものだ。自分のものじゃない。
入り口で指を出し入れし、快感をむさぼる。
「はぅ……あ、あぁ……ん、んんぁ、ああ!!」
声は抑えない。もうこれ以外のことなんて考えられない。
誰かに聞かれようがどうでもいいことだったし、そもそも授業中だ。誰も来ない。
指を加速する。いやらしい水音がかわいたトイレの空気全体に響き渡る。
じゅくじゅくと、わざと卑猥に音をたて、自らの興奮も加速させる。 <> ワイヤード 第十話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/18(土) 20:16:45 ID:jpNcDmls<> 「ふぁ、あぁん! ……お兄ちゃん、好き! もっと激しくして、いいよぉ!!」
だらしなく涎をたらしながら叫ぶ。
スカートをめくり上げ、下着を下ろし、見せ付けるように足を大きく開いた。
誰も見ているわけではないのに、誰かに見せ付ける。――心の中の、兄に。
愛液でてらてらと濡れて光る秘部がむきだしになり、外気にさらされる。その冷たさすら心地が良い。
「見て……お兄ちゃん……」
両手でそこを押し広げ、心の中の兄に中を晒す。
「お兄ちゃんになら……全部……」
妄想だというのは分かっていた。しかし、この世界よりもよほどリアルな想像だった。
百歌にとっては、これは自慰行為ではない。
兄と繋がる手段のひとつ。
繋がるもの――ワイヤードとしての習性のひとつだった。
「指、増やして……。ふぁあ! ……そんな、いきなりぃ……!」
三本。入り口をかき回す。
「あぅ……ぁああん!! ふにゃああ! いいよぉ、きもちいぃよ! お兄ちゃん!!」」
水音と嬌声が木霊する。
頭の中では、兄の自らを求める声が渦巻く。
「お兄ちゃん……来て……百歌を助けて……!」
<> ワイヤード 第十話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/18(土) 20:17:15 ID:jpNcDmls<> 「……」
耳を塞いでしまいたい。そう、メアは思った。
「ふあぁ……そこ、もっとぉ、もっとぉ!!!」
「(百歌ちゃん……)」
トイレの扉の前に立ちながら、その水音と嬌声が奏でる曲を聴いていた。
気になって百歌を追いかけてみたが、やはりこういうことになっていた。
こんなことは今までにもあった。おそらく気付いているのはメアだけであろうし、メアは他の人間に対しては隠しとおそうと思う。
百歌の不幸な心と、声と、自慰の音を、ただ、聴いている。
メアにできるのは、今は見守ることだけだった。
何度、この中に入っていって百歌を抱きしめて愛を叫びたいと思っただろうか。
名前を呼んでやりたいと思っただろうか。
「(百歌ちゃん……まってて……)」
――だがそれは、今までの話だ。
メアは不幸な百歌に対して、ただまっていることなどもうできなかった。
「お兄ちゃん……助けて……」
百歌の悲痛な叫びが、喘ぎ声に混じってメアの耳に、心に突き刺さる。
「(こうして未来を失ってしまうのが『ワイヤード』の宿命なら……)」
――誰よりも愛する百歌のためなら。
「(百歌の苦しみを……その涙を、ボクが止める)」
ワイヤードを、百歌を苦しませる元凶『コントラクター』。
そう。
鷹野千歳を、殺す。
<> ワイヤード 第十話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/18(土) 20:17:46 ID:jpNcDmls<> 「まただ……。また、ワイヤード。これで三人目だ」
さらなるワイヤードの反応を感知し、金髪の少女は狼狽した。
「一体どうなっている……。この街は」
まだ近くにいないであろうに、これほどはっきりとした気配を持って能力を使用するワイヤードが、三人。
これほどに強力なワイヤードを生み出すコントラクターの存在。
「『アドルフ』の再来、か」
歴史の中で、コントラクターは何人も出てきた。
しかし、その多くは力が弱く一人の人間をワイヤードに変える程度だったり、そもそも力の発現がないこともある。
そのなかで、この力は偉大だった。
かつての強力なコントラクターたち。
彼らはみな、大勢の人間をワイヤードにし、かつ側近をかなり強力に変質させたコントラクター。
世界を変える存在。
今はまだ、数をこなしてはいないが、このコントラクターの生み出すワイヤードの強力さを見るに、ここにいる個体は――
「また、始まるのか……」
――世界を変えるもの。
それをめぐる闘い。
そして――その先にある、『クオリア』。
「私が、私が、世界を救わないと……」
金髪の少女は、底知れぬ恐怖を振り払いながら目的地を目指した。
「まずは西又イロリ。やつを――」 <> ワイヤード 第十話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/18(土) 20:19:23 ID:jpNcDmls<> 終了です。
金髪の娘(アリエスっていう立派な名前があります)はいつまでのそのそ歩いてんだって話ですよねw
もうちょっとで合流します。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/18(土) 21:00:03 ID:Pz56XLW4<> >>205
投下ありがとう <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/18(土) 21:14:50 ID:DORVBjMC<> >>205
GJ!
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/18(土) 23:42:51 ID:UbHuOyAI<> >>207
GJ!


職人さま方の素晴らしい作品には頭が下がるばかりですが、
皆さんはどこで小説の文章能力を学ばれるのでしょうか?
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/18(土) 23:44:43 ID:UbHuOyAI<> すみません、>>207ではなく>>205でした <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/19(日) 00:01:54 ID:WN4xIE8D<> GJ!! 乙です <> 名無しさん@ピンキー<><>2008/10/19(日) 02:48:20 ID:ZkRT/fm3<> GJ!!とてもよかったです

メアも病んでますね <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/19(日) 20:51:58 ID:kXA35oFr<> サルでも出来るマスコミ式発言表

妥協して落しどころを探ると・・・・・・・・・・・・・・・・・・・法案は骨抜きだ
政治に民意を反映させ法案を押し通すと・・・・・・・・一方的だ、独裁だ
部下に大きな権限を与えて任せると・・・・・・・・・・・・丸投げで無責任だ
官邸主導で進めると・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・独裁政治は許せない
決断を下すと・・・・・・・・・・・・・・なぜ急ぐのか、慎重に議論すべき
保留すると・・・・・・・・・・・・・・・・また先送りか
支持率上がると・・・・・・・・・・・人気取りの政策
  〃 下がると・・・・・・・・・・・もっと国民の声に耳を傾けよ
靖国に行くと・・・・・・・・・・・・・・近隣諸国の許可を得たのか?軍歌の足音が聞こえる
 〃 行かないと・・・・・・・・・・・国民との公約を破った
拉致問題に取り組む前・・・・・・北朝鮮との友好を壊すな、拉致は政治的捏造だ
 〃  〃  取り組み後・・・・・なぜもっと早くやらなかったのだ

サルでも出来るヤンデレ式発言表

ヤンデレ以外の女を見ると・・・・・・・なんで他の女の子ばかり見てるの?
男の彼女が身を引くと・・・・・・・・彼を思う気持ちが、それほどなかった
  〃 が譲らないと・・・・・・・私と男くんは恋人同士だから、遠慮してください
ヤンデレ以外の女が近づくと・・・・・・・・・・・・・・・寝取ろうなんて許せない
別れ話を切り出すと・・・・・・・・・・・・・・なぜ急ぐの、家に監禁すべき
保留すると・・・・・・・・・・・・・・・・だよね、あなたは私だけ(ry
男の支持率上がると・・・・・・・・・・・彼の周りにはいつも雌猫がうろついている
  〃  下がると・・・・・・・・・・・やっぱり、彼には私がいないとだめだ
ヤンデレと一緒にいると・・・・・・・・・・・・・・何をしていたのか?あの女の匂いがする。
 〃    いないと・・・・・・・・・・・約束を破った!
監禁に発覚前・・・・・・彼との友好を壊すな、拉致監禁は刑事的捏造だ
 〃  〃 発覚後・・・・・(発覚しません)



<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/19(日) 21:08:17 ID:dVD9/78s<> そういえば、ガンダムOOのヤンデレ姫のMADは病んでいたので
ニコニコでまた新作とか作ってくれないかな

去年はヤンデレアニメ多かったんだけど
今年はヤンデレは0か

だって、放送中止になるから誰もやらなくなったよ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/19(日) 21:42:29 ID:5dr5fy0D<> >>212ワロタwwww
足音がするのは軍歌ではなく軍靴じゃないか?
捏造のくだりが特に秀逸www <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/19(日) 22:28:28 ID:L4rwno4O<> >>213
ニコ厨は寝ゲロして死ね <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/19(日) 22:48:05 ID:6MCpECPx<> >>213場所をわきまえろゲロ
ニコニコにあがってるヤンデレなんかキチガイの間違いだろjk <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/19(日) 23:09:44 ID:Rj7AgqHS<> >>216
しょうがないさ、一般的なヤンデレがこことは微妙に違うみたいだし
ヤンデレの定義自体、人の見方によって変わるようだ
でもニコ厨氏ねには同意、あれは酷い
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/19(日) 23:36:51 ID:B/L41uld<> 一般的なヤンデレとここって同じじゃないか
多分間違えてるのは一部の人間だけだろ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/19(日) 23:40:57 ID:MgH49dUb<> ひぐらしがヤンデレとかまじであれすぎる
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/19(日) 23:47:26 ID:0y/wxpJz<> ヤンデレかどうかってのは一応指標はあるけど基本的にそいつの主観で決まるからな〜
なんとも言えん <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/19(日) 23:51:41 ID:kXA35oFr<> ヤンデレはひそかに笑う

「あはははは――」「うひひひいぃ」とか色々笑い声があるけど、どんなのが好き? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/20(月) 00:01:17 ID:9R4G7E8y<> WRYYYYYYYY!!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/20(月) 00:16:13 ID:9l4zAY/N<> ボンゴボンゴ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/20(月) 00:19:29 ID:g3qY1Pad<> ”発作”を抑えるために薬を飲み始めたヤンデレ。
しかしそれは製薬会社の巧妙な罠だった。 <> 天使のような悪魔たち 第3話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/20(月) 00:31:33 ID:xRLJ+/CC<> 投下します。妹は次回の予定です。 <> 天使のような悪魔たち 第3話 ◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/20(月) 00:32:16 ID:xRLJ+/CC<> 結意の家は、一言でいうととても簡素だった。どうやら独り暮らしをしているようで、あまり物がない。
部屋自体の規模もあまり大きくなく、どこにでもあるありふれたアパートの一室だった。
結意は帰宅して早速晩飯を作る準備をしている。変なものを入れないよう見張っていれは、そこは問題ないだろう。
…歩き方がぎこちない内股ぎみになっていることに対しては、つい責任を感じてしまった。

「まっててね飛鳥くん!今日は飛鳥くんの大好きな焼き魚にするから!」
「あ、ああ。」
―――あれ?こいつにそのこと話したっけ? ……愚問か。87回も告白するようなやつが俺のことを調べててもおかしくはない。

「88回目だよ。」
「!?」
びっくりした…結意のやつ、実は読心術でも使えちゃうのか?
それにしても、実に手際いいな…。やはり一人暮らししてるだけあって料理も上手いんだな。
あっというまに食卓に焼き魚と白飯とその他いろいろが並べられた。明日香も料理はできる方だが…これはもう、どこに嫁に出しても恥ずかしくないレベルだ。

「だからぁ、飛鳥くん以外のとこにお嫁になんか行かないからね!」
「…なあ、さっきから俺の独白への的確なツッコミが気になるんだけど…。」
「飛鳥くんのことならなんでもわかるよ?」

と、まるで「地球が回ってるのは常識だよ?」と言わんばかりに当然のようにそう答えた結意。
そこまで清々しく言われたらなんだか反論する気もおきなくなってしまう。

「ふう…ごちそうさま。」
結意の作った飯は旨かった。魚の焼き加減も完璧だし、付け合わせの品もかなりの出来だ。変なものも入っていないようだし…これなら大丈夫だ。
満腹になったところで俺はシャワーを借りようと切り出した。

「なあ結意、風呂借りていいか?」
「うん、いいよ?廊下でて右だよ。」
「助かるよ。」
<> 天使のような悪魔たち 第3話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/20(月) 00:33:06 ID:xRLJ+/CC<> …結意の家の風呂は意外に広かった。俺はついユニットバス風な造りかと思ってたからこれには驚いた。
しかし、やっぱり風呂は最高だな。こう…なんていうか、一日の疲れが吹き飛ぶというか…そんな感じがする。
と考えていると、突然ドアが開けられた。冷えた外の空気が入り込み、背中がぞくりとしてしまったが、さらなる侵入者への驚きでそれはすぐかき消された。

「えへへ……背中流してあげる。」
「なっ――――結意!?」
そう、結意が風呂場に入ってきたのだ。全裸で。なんだか目がヤバいような気がしないでもない。むしろヤバい。
あ、鍵かけられた。本日二度目の監禁っすよ。

「ほらほらぁ遠慮しないで♪」
「っく……」
だめだ。こんなときでも俺の相棒は空気を読めない。いや…あえて空気を読まない、通称えーけーわい か?
俺が振ればカラカラと音がしそうな自らの頭でそんなことを考えている間に結意はなにやらごそごそと動いて―――

むにっ むにむに…

突然のやわらかい感触に俺の思考はリアルに引き戻された。そしてそのまま異物はどうやら俺の背中を磨いている…?

「あのー、なにをしてらっしゃっるんでしょうか…?」
「なにって、背中洗ってるんだよ、おっぱいで。飛鳥くんこういうの好きでしょ?」

―――――誰か、宇宙人とコミュニケーションをとる方法を教えてくれ。あまりのぶっとび具合についていけそうにない。
結局、結意に背中のみならずあちこち洗われそうになったがなんとかやり過ごすことに成功した。…もうここの風呂を借りるのはよそう。

そのとき、洗面台の上に置いておいた携帯がぶるぶると震えていることに気づいた。着信だ…自宅…!?なんだこれ!

自宅 21:57  自宅 21:57  自宅 21:56…………履歴は、自宅からの着信で埋め尽くされていた。なんなんだ…これじゃあまるで、いつもの結意みたいだ。
とりあえず、電話に出てみる。 <> 天使のような悪魔たち 第3話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/20(月) 00:34:25 ID:xRLJ+/CC<> 「もしもし…?明日香か?」
『あ…やっとでたぁ…おにいちゃぁん…ひっく…』

電話越しの明日香の声は、震えているようだった。「お兄ちゃん」なんて言われたのは小学校以来だ。
俺が帰ってこなかったことがそんなにも不安だったのだろうか。

『お兄ちゃん…今どこにいるのよぉ…?』
「悪い悪い。今友達んちにいるんだ。晩飯ごちそうになったから、今日は俺の分はいいからな。」
まさか結意と一緒にいるなんてこと言えるわけがない。明日香の中ではおそらくたちの悪いストーカーと認識されてるだろうからな。
まあ、ついさっきまでは実際そうだったわけだが。

『そういうことを聞いてんじゃないのよ!!ばかぁ!』
―――耳がイカれるかと思った。明日香め、いきなりでかい声出すなよ。

『私がどれだけ心配したと思ってるのよ…。まさかあの女に捕まって監禁されて××されたり×××されてんじゃないかって…心配だったんだからぁ!
お兄ちゃん…早く帰ってきて…。私…お兄ちゃんがいないと…ねえ……お願い…うぁぁぁぁん……。』
訂正。どうやらうちの妹は極度のブラコンだったようだ。

「…わかった、すぐ帰るよ。だから、大人しく待ってるんだぞ?」
そう言ったとたん、ぴたりと泣き止んだ。よほどうれしいかったんだなぁ。

『うん…待ってるから!早く帰ってきてね!』

――ふう。仕方ない、帰るか。
電話を終えた俺はそそくさと衣服を身につけ、かばんを持って玄関へと向かった。靴を履き、ドアノブへ手をかける。

刹那―――風を切る音がした。

「どこいくの、飛鳥くん?」 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/20(月) 00:35:19 ID:BG4KFN7S<> 支援 <> 天使のような悪魔たち 第3話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/20(月) 00:35:21 ID:xRLJ+/CC<> 振り向くとそこには結意がいた。本来なら目も眩むような魅力的な笑顔の下からは、般若のような冷やかなオーラを感じる。
どこから引っ張り出したのかはわからないが、木刀を構えて氷のように冷たい声で俺にそう問いかけている。一言でいうと…怖い。

「いや…その…」
「ど こ い く の ?」
「ひっ―――!?」
「外に出ちゃだめって言ったよね?飛鳥くんの為なんだよ?外に出たらこわいお兄さんに襲われちゃうよ?」
「だから、いいかげんその発想から離れ――(ヒュンッ)――うわぁっ!?」
名人も真っ青なほどの神速で木刀を振りぬいてきた。あんなもの食らったら男の俺でもただでは済むまい――――っ!?

「飛鳥くん…ごめんね。」

―――時が止まって見えた。結意は木刀をゆっくりと俺めがけて振り下ろそうとしている。俺は、それをただぼうっと見ていることしかできなかった。
それはまるでスローモーションで再生されたムービーのような光景だった。
ばきっ、と鈍い音が響いた。その瞬間、襲いかかった激痛に俺は意識を手放した。

次に目を覚ましたとき、俺は即座に自分が絶対的なピンチに陥っていることを悟った。

まず、両手を後ろにまわした状態でおそらく縛られている。
両足も同じく。足首と、膝元を縄できゅうきゅうに固められていた。そのような格好で俺はベッドに横たわっている。ちなみに服は着たままだ。
肩からは先程の打撃の痛みがずきずきとしみてくる。

「具合はどう?」と結意が尋ねてきた。
「いいわけないだろう。さっさとほどいてくれないか?」
「だめ。だってほどいたら飛鳥くん、出ていっちゃうでしょ?外は危険なんだよ?ここで朝までゆっくりしていきなよ、ね?」
と、あどけない笑顔でそう告げる。普通に考えたら外より今のこいつの方が数倍危険なんだけどな…。

「離してくれ。俺は帰らなくちゃいけないんだ。」
そうだ、家で明日香が待ってるんだ。余計な心配かけちまったからな。早く安心させてやりたいんだ。

「…さっきの電話の女のとこに行くの?そんなにその子がいいの?……私じゃ、足りないの?」
「あのなぁ、明日香は俺の妹だ。足りる足りないとか、そういうもんじゃないだろう。」
「知ってるよ。あの雌猫ったら、私の飛鳥くんになれなれしくして……そのうちひどい目にあわせてあげるわ。それより…」
そう切って、俺のもとに歩み寄る結意。思わず背筋がぞくりとしてしまった。 <> 天使のような悪魔たち 第3話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/20(月) 00:36:21 ID:xRLJ+/CC<> 「飛鳥くんが他の女のことを考えてるのが許せないなぁ。そういうのって、すっごく失礼だよ?飛鳥くんは私のことだけ考えてればいいの。」
結意は俺のズボンのチャックに手をかけようとしていた。俺はとっさに身をよじってかわす。が、縛られているせいでうまく動けない。結果、俺はベッドからずりおちた。
そのまま、馬乗りの形で結意に押さえつけられてしまった。

「すぐ気持ちよくしてあげるからね?大丈夫、飛鳥くんのためにちゃんと勉強したから。」
なにをどう、とは言わなかった。結意の次の行動がそれを示したからだ。いつのまにかズボンは膝までおろされ、わが分身が情けなくあらわにされた。
結意は、それをうれしそうにほおばった。

「ん……ちゅっ…ちゅぱ…あひゅかくんの…おいひぃよ…んぐ……」
「っ、ああっ…やめろ……!」
初めて味わう生暖かい感触から注ぎ込まれる快楽の波に、俺は早くも限界を感じていた。

「ゆいっ…やめろ…もう、でるっ……!」
が、結意は離れなかった。むしろ今の言葉を合図により一層激しさを増した。獣のように俺にむしゃぶりつく結意の姿に、俺はさらに興奮した。

――――我慢できなかった。俺は結意の口のなかに迸りを放った。

「えほっ…ごほごほっ……」
結意は苦しそうにせき込んだ。瞳からはうっすら涙が滲んでいる。が、口の中のものを軽く咀嚼し……飲み干した。

「ん…あんまりおいしくないね……。やっぱ、漫画ってあてにならないなぁ……」
「お前は普段どんな漫画を読んでるんだ!?」
「えっと、(検閲により削除)とか(検閲により削除)とか、あと(検閲により削除)かなぁ。」
「……もういい、訊いた俺がバカだった。で、用は済んだだろ?さっさとほどいて…」

――――――♪♪♪♪♪♪

日本語で"飲み下せ"という意味の曲名の、某スタイリッシュアクションゲームの主題歌の着うたが流れた。
なんていうタイミングだ。このすさまじい皮肉に俺は一気に脱力した。マナーモードを解くんじゃなかった。
なぜか結意のポケットから聞こえているが、このさい考えるのもあほらしい。
まてよ…この着信は確か……自宅だ。まさか、明日香!?ほんっと、なんつータイミング! <> 天使のような悪魔たち 第3話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/20(月) 00:38:23 ID:xRLJ+/CC<> ピッ―――

「もしもし?」
『お兄―――だれ?』
「あ、申し遅れました。私、飛鳥くんの彼女の織原 結意っていいます。よろしくね?」
『…どういうことよ。あんた、まさか例のストーカー女!?兄貴に何したのよ!』
「何って……ナニかな?」
『――――あんたねぇ!あたしの兄貴を汚したわね!?』
「汚したなんて……飛鳥くんのほうからシテきたのよ?」
『…うそ!そんなのうそよ!兄貴がそんなことするわけないわ!』
「本当よ。私がやめてって言っても聞いてくれなかったわ。おかげで私、腰が立たなくなっちゃって飛鳥くんにおんぶしてもらっておうちまで連れてってもらったのよ?」

俺は思った。女って、恐ろしい。まさかこの天然系変態美少女からこんな、相手を的確になじるようなせりふが出てくるなんて。
織原結意……恐ろしい子!

バキン!!

ふと、なにかが砕けるような音がした。床には青い破片がいくつか散らばっている。これは…なんだ俺の携帯じゃないか。
「ってオイ!!なに人の携帯をこんな見事に粉砕してくれちゃってんだよお前!」
「だって…あの女むかつくんだもん。飛鳥くんは私のものなんだよ?なのに自分のものみたく主張しちゃって……だから、ついやっちゃった。てへっ☆」
「てへっ☆じゃねえ!このバカ!」
「…飛鳥くん、もうあの娘と話しちゃ駄目だよ?飛鳥くんには私がいるんだから。」
「無茶言うな!あれは俺の妹だ!そんなこと―――」
「 わ か っ た ? 」

結意は俺に木刀を再び差し向け、そう言った。くそう……木刀なんて、だいっきらいだ!
だけど…そんなこと言われて黙ってなんかいられない。

「…そんなことできない。明日香は、俺の大事な妹なんだ…。」 <> 天使のような悪魔たち 第3話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/20(月) 00:39:11 ID:xRLJ+/CC<> ―――がしかし、次に結意の口からでた言葉はあまりに俺の予測を度外視していた。

「ねぇ…どっちだと思う?」
意味がわからない。なにが、「どっち」なんだ。俺は結意にそう尋ねた。すると結意の回答は……

「私の…ううん、私たちの赤ちゃん!男の子かな?女の子かな?わくわくするね!」
世界が凍りついた。俺の頭の中は「絶望」の二文字で埋め尽くされた。予測してはいたが…実際こうして言われるとダメージがでかい。
もう俺は結意に完璧に囚われた。一生逃げられないのだろうか…?

「今日、いっぱい中に出してくれたよね?だから絶対、飛鳥くんに似て元気いっぱいの赤ちゃんが産まれるよ!」
「―――――くっ…」
もう俺には抵抗する気力もなかった。それを悟ったのか、ふいに結意は俺の手足の枷を解いた。が、最強(凶)の枷をはめられた今の俺には、ロープなんざおもちゃ以下だ。
もはや逃げる気も起きない。俺は死んだも同然だった。そんな俺に結意はさらなる追い討ちをかけてきた。

「でも、元気な赤ちゃんを産むためにはいっぱい栄養が必要だよね!だから…頑張ってね、お と う さ ん !」
そう言いながら服を脱ぎだす。脱ぎながら、結意の手が俺の相棒をさする。こんなときでも相棒は敏感に反応した。この空気の読めなさを俺も見習いたいよ。

…とりあえず、朝になるまで俺は解放されなかったとだけ言っておこう。 <> 天使のような悪魔たち 第3話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/20(月) 00:40:07 ID:xRLJ+/CC<> 終了です。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/20(月) 00:45:57 ID:huLpVivc<> 結局さ、ここにある作品だってニコニコに「オリジナルヤンデレ小説書いてみた」
みたいな感じで投稿したら、ここの住人は「あれ、キメェ」ってなるわけだ…
だからニコニコの話題はやめようぜ…
ニコニコってだけでみんな嫌うんだから <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/20(月) 00:45:57 ID:8eB+tW2C<> >>234
リアルタイムGJ!
監禁は正義だな。どうしても勃起してしまう。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/20(月) 00:49:53 ID:dBY5lelx<> >>234
投下乙 いつも待ってます! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/20(月) 00:51:58 ID:/C8hqFAg<> GJ!
この調子でがんばってくらさい! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/20(月) 01:13:47 ID:hgEWdGZD<> GJ!!
着メロはDRINK IT DOWNだろw
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/20(月) 01:23:48 ID:osTHjYzw<> >>218 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/20(月) 01:27:39 ID:osTHjYzw<> >>218
すまん、ぽちってしまった
あれだヤンデレ大鑑?だったか?
あれ自体が少しおかしかったからな
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/20(月) 02:09:17 ID:e+A0ypPo<> >>234 GJ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/20(月) 03:34:52 ID:uejg2YMZ<> >>234
妹の話も期待してます! <> 名無しさん@ピンキー<>age<>2008/10/21(火) 11:25:45 ID:lRCzRr/4<> 上げるよ <> 天使のような悪魔たち 第4話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/21(火) 18:11:37 ID:K43y8ILg<> 投下します。 <> 天使のような悪魔たち 第4話 ◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/21(火) 18:12:10 ID:K43y8ILg<> 飛鳥が監禁(?)されている時同じくして、別のところではある少女が追われていた。

「はぁ…はぁ…」
「いたぞ!森に逃げ込むつもりだぞ!」
「ばかめ!森には対侵入者用のトラップが山ほどある。袋の鼠だ!」

少女は必死に走っていた。捕まればまた実験道具にされる。そのことへの恐怖心だけが少女の足を動かしていた。

「もう……だめ…。」

一本の木に身を委ね、へたりと座り込む。が、追っ手はすぐそこまで来ていた。

「見つけたぞ!囲め!」
「なんとしても逃がすな!なんなら足の一本や二本、折っても構わん!」

少女の恐れは最高潮に達した。そのとき、森は光……いや、夜の闇より暗い、闇色の光に包まれた。
男たちの断末魔が森にこだまする。あとに残されたのはただ一本だけの木と、少女だけだった。

「…行かなきゃ。"アスカ"のもとへ…。」

少女は、再びゆっくりと歩みだした。 <> 天使のような悪魔たち 第4話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/21(火) 18:12:57 ID:K43y8ILg<> ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

ところかわってここは結意の自宅。
結局俺は朝まで結意と致しまくってた。…むしろ結意に一方的に搾り取られたようなもんだが。

「…うーん、今何時だぁ?」
「えっと…9時47分だよ。」
「はぁ…遅刻か。おい結意、今からでも学校行くぞ。」
「あっ、ちょっ、待って!」
「なんだ。」
「…立てないの。おなかに力はいんないのぉ…。」

ベッドにちょこんと座り込んでそう答える結意…またか。まてよ、これは好都合かもしれない。今の結意は自力では家から出ることすらできないだろう。
そうなると必然的に今日は自主休講、つまりサボらざるを得ない。ならば、俺だけ学校に行くふりして自宅に帰れる!

「…とか考えてるんじゃないよね?」
「なっ!?」
「言ったよね?飛鳥くんのことならなんでも分かるんだよ?あの女のところに行ったら………からね。」

最後の方がよく聞き取れなかったが…はっきりしない分逆に怖い。

でも、結意はなにをそんなに明日香のことを邪険にするのだろうか?
明日香はあくまで妹。だけど結意はもう恋人も同然だ。…さすがに妊娠してもおかしくないくらいシたのはまずったけど。避妊もしなかったし…。
何が言いたいのかというと、今さら俺は結意から離れる気はない。それはあいつだって分かってるはずだ。
だから取り越し苦労だってことをなんとか教えてやりたいわけだが…さて、どうしたものか。とりあえず……

「結意……」
「なに…んっ」

キスをしてみた。ちなみに深い方。軽く舌を動かしたのち、唇を離してさらに追い討ちのひと言をかける。

「…愛してるよ、結意。」

あ…落ちた。うん、安らかな寝顔だ。こうしてれば可愛いんだよなぁ。っと、見惚れてる場合じゃない。
俺はそのまま結意の手足を、昨日俺を捕縛していた縄で固定し、猿ぐつわを噛ませた。よし…これなら心配ないだろう。 <> 天使のような悪魔たち 第4話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/21(火) 18:14:00 ID:K43y8ILg<> 「…ん?んん―――!ん―――!!」
「って、はやっ!」

間一髪。結意のやつ…もう目を覚ましやがった。なにやら必死にもがいて涙目で俺を必死ににらみつけてる。たしかこういうときは……

「…結意。このままおとなしく待ってられたら、 ご ほ う び  あげるからな?」
「……?――!―!」

うんうんと犬のように首を縦にふる結意。…変態め。

そんなこんなでようやく結意の家から脱出できた俺はその足で自宅に向かった。
携帯は粉々だし…結局昨日は帰れなかったからなぁ…。明日香のやつ、俺がいなくて寂しがってるかもな。
そんなことを考えてるうちに、あっという間にに自宅に着いた。徒歩5、6分てとこか…やっぱ近いな。
がちゃりと鍵をあけ、中に入る。


「ただいまー。明日香、いるか?」
…返事はない。寝てるのか。明日香も遅刻か………な!?
ふと、リビングに目をやってみる。そこは、悲惨な状態になっていた。

床には料理と砕けた皿が散らばっていた。さらに、カーテンはぼろぼろに切り刻まれている。電話の子機も真っ二つにへし折れていた。
まず俺が真っ先に疑ったのは強盗の可能性。…だが、財布や通帳は無事だ。じゃあいったい…?
明日香のことが心配になった。俺は慌てて二階へと駆け上がり、明日香の部屋に向かう。

扉を開け放つ。明日香は部屋の中にいた。だが…様子がおかしい。俺はそっと近づいて、声をかけてみた <> 天使のような悪魔たち 第4話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/21(火) 18:14:37 ID:K43y8ILg<> 「明日香………?」
「あ…おにいちゃん?」

明日香は俺の姿を視認するや否や、はじけるように飛びかかってきた。自然と、俺たちの体は重力の法則にしたがって床に倒れこむ形になる。
そのまま明日香は俺の胸元に顔をうずめ、荒く呼吸をしている。

「はー、はー…おにいちゃん…さびしかったよぉ……昨日帰ってくるって言ったじゃない…。ねぇ…なんでよぉ…なんで私を独りにするの…?」
「…ごめんな、明日香。もう大丈夫だから、な?」

涙ながらにそう訴える明日香に対し俺は、ありきたりな慰めの言葉しかかけられなかった。
が、明日香は……

「あは…おにいちゃんの匂いだぁ……いい匂い…」

まるで昨日の結意のようなことを口走った。思わず、肩をつかんで距離をとろうとしたが、がっちりと抱きついて離さない。
その息遣いも、言動も、上気した表情も、結意そのものだった。いや…これは、俺に対して向けられたある共通の生理的反応……すなわち欲情。

「すーはーすーはー……もうだめ、我慢できない…。」
「明日香、やめるんだ!」

が、明日香はとどまるどころか俺のズボンのファスナーに手をかけ始めた。…もう、明日香が何をしようとしているのかは容易に予測できた。

「やめろ!俺たちは兄妹だぞ!」
「もう遅いよ……お兄ちゃん。お兄ちゃんが寝てる間にもう何度も何度もこうしてたんだよ?気づかなかった?」
「え…?うそだろ……それじゃあお前は…っ!」 <> 天使のような悪魔たち 第4話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/21(火) 18:15:19 ID:K43y8ILg<> とうとう俺のモノをほおばりだした。獣のように一心不乱にしゃぶりついている。明日香はそれこそ子供のような体つきだ。払おうと思えばそれは簡単だ。
だが今の明日香からは不思議とオーラが漂っているようだ。あくまで感覚的なものであり、実際に見えるわけでもないのだが…そのオーラが俺にそれをさせない。
今の俺にできることといえば明日香に言葉で訴えることだけだった。

「…頼む、やめてくれ!お前は俺の妹なんだ!汚したくないんだ!」
「いいんだよ?私、お兄ちゃんにならどんなに汚されたっていいの。むしろ、いっぱいお兄ちゃんに汚されて、お兄ちゃんだけのものになりたいの…。だから…」
「……っ!!」

俺はついに限界を迎えた。明日香の口内を迸りの受け皿のようにしてしまった。明日香は、口いっぱいに放出された精液を余すことなく飲み干した。
それだけにとどまらず、俺のモノを舌できれいにせんと精液をなめとりだした。

「ぴちゃ…ぺろ…おいしぃ……お兄ちゃんの味だぁ…。」
「あす…か…何でこんなことを?」
「だって、私お兄ちゃんが好きだもの。いつもずっとお兄ちゃんのそばにいて、ごはん作ってお洗濯して、せーよくしょりだってしてあげたいの。
なのに…どうして?お兄ちゃんがいなくて私、気が狂いそうだったんだよ?もうどうしたらいいかわかんなくて、死んじゃおうとすら思ったの。
それなのに、お兄ちゃんは他の女と一緒で…私、お兄ちゃんに捨てられちゃったの?ねぇ…答えてよ。」

だが、何も言えなかった。今まで明日香が俺をそういう目で見ていたことなんて露ほども知らなかった。
それに、俺たちは血のつながった兄妹だ。俺には明日香を受け入れることはできない。

「……ごめんな、明日香。俺はお前の気持ちには応えられない。」
「なんで?私が妹だから?子供みたいな体で満足できないから?」
「そうじゃない…俺はお前が何より大事だ。お前が好きだよ。
でも、俺にとっては今まで一緒に過ごしてきた大事な家族なんだ。だからこそ、こんな風に汚したくないんだ。」
「…いやぁ!そんなの聞きたくない!私にはお兄ちゃんがすべてなの!…そんなこといわないで…お願い……。」

最後のほうは消え入りそうなほどか細い声だった。それだけで俺が明日香にとってどんなに残酷なことを言ってるのかがよくわかる。
だから、せめて…… <> 天使のような悪魔たち 第4話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/21(火) 18:16:15 ID:K43y8ILg<> 「お兄ちゃん……んっ…」

ちゅぱ……ぴちゃ……ちゅ…

「……ぷは…ごめんな明日香。俺には、ここまでしかしてやれない。」
「……あっ…あぁぁぁん…ふぁぁぁん…ぐすっ…」

大粒の涙を流す明日香。俺は、今にも壊れてしまいそうなくらい細いその肩を抱いてやることしかできなかった。



それから数時間後、なんとか明日香をなだめた俺は部屋の片付けをしていた。
…正直、複雑な心境だ。このまま明日香と二人で今までどおりやっていける自信がない。
いっそ、俺がいなくなれば……だめだ。それこそ明日香が発狂するかもしれない。
自惚れか、はたまた考えすぎかもしれないが…そう思えて仕方がないんだ。
俺は明日香とはひとつになれない。でも、明日香を失いたくない。誰か…教えてくれよ。

「ほんと、どうすればいいんだよ……?」 <> 天使のような悪魔たち 第4話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/21(火) 18:17:43 ID:K43y8ILg<> 終了です。
個人的には結意はヤンデレではなくただの変態キャラになりつつあると感じていますorz

<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/21(火) 18:48:28 ID:3SJkNXCz<> GJ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/21(火) 18:55:30 ID:lRCzRr/4<> GJ
変態でもいいじゃないか! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/21(火) 18:57:11 ID:+v+tTV/7<> GJ
むしろ変態の方向で <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/21(火) 20:34:21 ID:lU0fQa7r<> 飛鳥の精液容量はとんでもないなwww <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/21(火) 20:45:49 ID:PXrnxANS<> だよなw <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/21(火) 21:13:09 ID:0w3wrgdS<> 1回分の精液を10秒チャージ出来るとか出来ないとか <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/21(火) 21:52:55 ID:WmQ6RrVk<> いわゆる主人公補正ってやつだな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/21(火) 22:42:04 ID:pzylaQol<> GJ
次回も楽しみにしてマスオ
どうでもいいけど、マスオさんはサザエの何処に惚れたんだろう <> 名無しさん@ピンキー<><>2008/10/21(火) 23:07:10 ID:8q90zbIP<> GJです
精液の高速リロードw俺とか3発が限界なのに・・・ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/21(火) 23:22:28 ID:psrKcmTo<> >>261
食生活次第で2桁までリロード可能になるからガンガレ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/21(火) 23:36:37 ID:/wAtEr2V<> 僕なんて2発で血出ますからね <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/22(水) 00:05:00 ID:X6iMeIqr<> 病院いった方がいいとおもふ <> 主人公補正
◆wzYAo8XQT. <>sage<>2008/10/22(水) 00:15:38 ID:FVtWq7kL<> 「主人公補正って知ってる?」
 俺は唐突に優にそんなことを尋ねられた。
「なんだ、藪から棒に」
「主人公補正ってのは、主人公はたとえどんな朴念仁だろうと可愛い女の子に愛されたりするってことだよ」
 そういいながら彼女は俺に抱きつき、首に腕を回す。
「へえ」
「私は緋色くんのことだーいすき! だって緋色くんは私の人生の主人公なんだもん!」
 そう話す彼女の表情はまるで年端も行かぬ幼子のように無垢だ。
「お前の人生の主人公はお前だろう。それになんだ、それじゃまるで俺が朴念仁だと言っているようなもんじゃないか」
「そう言ってるのに……気づかないんだから。だから朴念仁なのよ」
「何か言ったか?」
「何も」
 主人公補正か。じゃあ俺がもう時間の感覚が無くなるくらい長期にわたって彼女に監禁されているのに、いまだに俺の体に何の異常もないことも主人公補正なんだろうか。
 もう何回目になるだろうか、彼女の大きく膨らんだ腹部を見て、そう思った。 <>
◆wzYAo8XQT. <>sage<>2008/10/22(水) 00:16:52 ID:FVtWq7kL<> 上のほうを見てついやってしまった
本当は>>212を見てティン!とキタから長文を書いていたんだが、操作ミスで全文消えてあばばばば <>
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/22(水) 00:21:29 ID:wHrqCpJg<> ちょうど直後に来てしまいました……投下してもいいですかね? <> ◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/22(水) 00:28:03 ID:wHrqCpJg<> >>251 GJ! 個人的には変態方向に突っ走ってもらいたいですw
 あと、ラルク好きなんですね。ちょっと僕とお茶(以下略

>>266 確かにヤンデレは主人公補正の産物ですねw 僕のお話もちょうどそんな感じですw

やっぱりしばらく投下する暇があるかないかなので、置いていこうと思います。
上のお二方へのご感想は、アンカーをつけて俺を飛び越していってください。
というわけで、ワイヤード11話、投下します <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/22(水) 00:28:37 ID:mrE1HOoL<> 投下が続くというのは喜ばしいことなのです
さあカモーン <> ワイヤード 第十一話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/22(水) 00:28:49 ID:wHrqCpJg<> 第十一話『ちょっとした休息と・推測』

「私の処女、千歳君にあげますね」
「……!?」
「驚かなくてもいいじゃないですか。期待していたんでしょう?」
――こんなことされてるんですから、行き着く先はおのずとわかるでしょう。
くすくす笑い。それは聞き飽きた。
「お前……なんで」
「何故か、ですか? まだ分からないんですね。ならそれでいいです。一生迷っていてください」
ミクの小さな手が、それにそぐわない腕力で千歳の性器を掴む。
「やっぱり、普通よりちょっと大きいんですね……。こういうの、ちょっと気分がいいです。じゃあ……」
ミクはハーフパンツを脱ぎ去り、下着を露出した。
昨日より何倍も大人っぽい、黒い下着。ぐちゃぐちゃに濡れて、薄い生地が透けている。
ぴったりと肌にくっつき、『そこ』の形をくっきりと浮き出させている。
「……」
思わず、千歳は唾を飲み込む。
「興味、あるんですよね。……いいですよ、千歳君が脱がせてください」
「……っ!?」
「ほら……こっちも、ちゃんと触ってください」
ミクに両手をつかまれ、右手をミクの胸に、左手を下着に導かれる。
「(柔らかい……)」
経験したことのない感触が千歳の手の中にあった。
さっきまでは乳首しか攻めなかったから分からなかった、その胸の柔らかさ。
そして、どろどろに溶けているのが下着の上からでもわかる秘所。
<> ワイヤード 第十一話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/22(水) 00:29:23 ID:wHrqCpJg<> 「ほら、早く……もう、我慢できません」
「う……ぁ……」
ミクがせかすため、仕方なく千歳は下着に手をかけた。
「(そうだ――もともと拒否権はない。迷うな、鷹野千歳)」
しかし、処女を奪うというのは……。
「(何遠慮してんだよ! 相手はもう高校生だぞ。最近の馬鹿な女ってのは、年上の男に憧れて遊ばれて処女だけ奪われて捨てられてんだ……!)」
そう、こんなこと、行動だけ見たら普通のことなんだ。自分が極端に嫌がっているだけだ。
割り切るよう、自分に言い聞かせる。
ゆっくりと、手を動かし、下着を下ろしていく。
昨日はできるだけ目を逸らしていたミクの身体が、今はいやというほどに見えた。
白い太股が、赤く染まっていた。汗が流れ落ち、色づいている。
なんとも、本能というものを見事にダイレクトアタックしてくる。
下着を脱がせる。脚から取り去ろうとした、その瞬間。ミクが静止した。
「ストップですよ千歳君。こういうのは、下着は脚に引っ掛けておくのが作法なんです」
「……どういう意味だ」
「いやですね、怖い顔をしないで下さい。本で読んだだけですよ」
――研究熱心なもので。
千歳は、ミクがよく図書室で本を読んでいたのを思い出した。
思えば、以前は真面目なやつなんだなと、好印象だったはずだ。
なぜ、こうなったのだろうか。
「図書室でも、教室でも、いつも官能小説ですよ。好きなんです。ああいう世界が」
あきれる。
この行動も、官能小説の影響なのだろうか。どうにせよ、真面目な印象などもう完全に瓦解している。
「馬鹿にしていますね、でも、えっちでは『シチュエーション』が大切だと思うんです」
見ていてください、と、ミクは千歳の唇に指を当てた。
脚をゆっくりと広げ、千歳に見せつけるように開く。
「……千歳君、目を逸らさないでください。これは、命令です」
「……俺はっ……!」
「?」
<> ワイヤード 第十一話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/22(水) 00:29:53 ID:wHrqCpJg<> 千歳の震える声が急に強くなる。
冷静さを失っていた。
「お前なんかに――」
「ちーちゃーん! どこー!?」
と――急にイロリの声が近づいてきていた。犬並みの嗅覚で千歳の歩いた跡を追ってきたのだろう。
ミクはちっと舌打ちをし、恐るべき早業で自らの服と、千歳の服の乱れを直す。
「(このまま見せ付けてやってもいいが、まだ早すぎる……。それに、西又イロリの力は今の私には危険か)」
ミクの冷静な打算が、この判断を生んだ。
このときの千歳も、ほぼ似たような理由でその場を取り繕うことを選んだ。
――結果的には、これは正解だった。
「ちーちゃん……?」
がさがさと草を掻き分け、イロリが二人のいる木陰に踏み込んできた。
そこでイロリが見たのは、日射で弱っているミクと、それを介抱する千歳。
「あ、ああ。イロリか。どうした?」
「どうしたって、ちーちゃんが急にいなくなるから。……ミクちゃん、どうしたの?」
「体が弱いもので……。千歳君に介抱してもらって楽になりました」
「そっか。健康は大切だもんね。ダメそうなら、私が保健室に……」
「いえ、私はもう大丈夫です。千歳君、イロリさんの所に戻ってあげてください――お嫁さんを心配させてはいけませんよ」
ミクはそう言って悪戯っぽく笑った。
「……まあ、体育終わるまでそこで休んどけ。委員長」
「優しいんですね。さすがです。いいお婿さんになりますよ」
また、イロリに向かってご機嫌取りのようなことをいう。
しかし、イロリは素直に喜ばずに少し困ったような顔をして返答した。
「まだ、友達だから。もっと未来の話になるかな?」
<> ワイヤード 第十一話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/22(水) 00:30:40 ID:wHrqCpJg<> 「(いろいろあったけど、やっと日曜日だな)」
イロリが来てからもう一週間が経った。
イロリの行動は、この一週間予想通りというか予想外というか、とにかく奇抜なものばかりで、千歳を困らせた。
ぴょこぴょこと後ろをついてきたかと思ったら、急にツンデレ風味に気を引こうとしてきたり。
昼休みにバレンタインでもないのにチョコを差し出してきて、「勘違いしないでよね! 義理なんだから!」と言って来た時はさすがにそのとき食べていたアンパンを吹き出してしまったものだ。その内容物はイロリの顔に盛大にぶっかかり、大惨事を巻き起こした。
結局はイロリが千歳の口の中のものならと、ぺろりと顔についたアンを食べてしまってその件は大丈夫だった。
その後、千歳がイロリにその行動を吹き込んだ犯人であるナギの弱点である脇を十分間くすぐったことで事態は収拾した。
いや、正確には終息していない。くすぐりでナギが妙になまめかしい声を出したせいで男子生徒がみんな前かがみになるという二次災害を巻き起こした。
そのときの声と言ったら、もともとアニメ声なナギが本気で出すものだから……。
一般の声優がエロゲーに出ているときのような、二乗化された興奮度なものだ。男子にとっては仕方がないのである。
トイレに行って、帰って来ると賢者だったものもいた。さすがに声だけでするのはどうかと千歳は思った。
というより、千歳だけはナギの声ではどうともならなかったのである。
これは千歳の精神装甲がゴッグに匹敵するなんともなさだからではなく、単に慣れから来るものだった。
千歳はナギを起こすとき必ず生まれたままの姿を見るし、下着をはかせるとき無毛の割れ目をばっちり見てしまっている。
それどころか、ナギは寝ぼけているとき大股開きをしていたりするから、実は結構詳細に見ている。
いまさらなのだ。
そんなこんなで、千歳はナギに殴られ、彦馬(賢者)に殴られ、クラスメイト(前かがみの男子)に殴られ、クラスメイト(好きな男子をナギに賢者にされた恨みを持つ女子)に殴られ、クラスメイト(千歳に思いを寄せる女子)に殴られ、そのたんこぶをイロリに撫でられ。
帰ったら帰ったで百歌に「けがしたの!?」と騒がれ、「お風呂入ったらたんこぶいたいでしょう、百歌が洗ってあげるね!」と、妙に過保護にされたりと、ストレスが溜まってしまった。
幸運だったのは、ミクがおとなしかったことだ。
<> ワイヤード 第十一話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/22(水) 00:31:13 ID:wHrqCpJg<> ミクは強姦を繰り返すかと思っていたが、案外普通のことにナギの写真を使ってきた。
「図書館で勉強しましょう、千歳君」「この小説面白いから読んで下さい、千歳君」「とってもいい古本屋さんがあるんです、帰りに一緒に行きませんか?」「この本、どう思いますか? 明日までに原稿用紙十枚でレビューしてください」「数学教えてください」などなど。
文面だけ見れば普通だった。しかしこれには殆ど官能小説が絡んでいた。
千歳は、最近になって実はミクは官能小説マニアで、あまりにものめりこみすぎて現実にもやってみたいと思ったのではないか、と思い始めた。
ありそうな話だ。ミクはもともと真面目な性格のむっつりスケベな委員長だったが、勉強や家庭などのストレスと、そして何故か自慰行為をしない性質から、官能小説のシチュエーションをなぞる行動に出た。不自然では全くない。
それに、千歳がその相手に選ばれた理由もなんとなく心当たりがあった。
千歳は文系であり、そこそこ本に慣れ親しんでいるし、読むのは好きだった。図書館も良く利用していた。
ミクにはそこで何度か会って、「本が好きって、良い趣味だよな」みたいなことを千歳が言った。なんとなくそんな記憶がある。
――ミクは、仲間が欲しかったのだろうか。
官能小説のシチュエーションをともに再現する仲間。
官能小説の話をできる異性。
それを求めていたのだろうか。
まだ正確にはわかっていないが、推測できたのはここまでだった。
「(まあ、あいつは極端なだけで、思ったより邪悪なやつじゃないっぽいな。ミクの説得は案外楽か――)」
ここまで考えて、千歳は気付いた。
――最近、頭の中でも普段でも委員長じゃなくて、ミクって呼んでるな。
良い兆候であるのだろうか。
テロリストに譲歩している気分にもなる。
しかし、悪い気分じゃなかった。
<> ワイヤード 第十一話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/22(水) 00:31:43 ID:wHrqCpJg<> 「(ま、今日は休めるんだ。休めるときにゆっくり休まないとな)」
考えるのをやめ、部屋を出ようと立ち上がった。
ナギの家にでもいってだらだらとゲームでもするかと考えたところで、千歳は部屋からでるのをやめた。
「(いや、もうすぐ『六月』だったな。じゃあ、ナギの家には行っちゃだめだったな)」
ナギの、野々村家の『掟』。ナギとは、母親たる頼さん以外、六月の第一週には会ってはいけない。
何故かは知らないが、ナギは一年に二週間、絶対に家から出ないし誰にも会わない時期がある。
その一回目が、六月第一週、つまり来週の終わり頃以降一週間だった。
まだその時期には一週間ほど早いが、ナギがあまりこの時期に訪れても良い顔をしない。
「……ん?」
ぶるぶると、ベッドのしたで何かが震えているのを感じた。
「携帯か」
拾い上げ、着信履歴を見る。
千歳はあまり携帯を使用しない。だからこうして一週間放置することも少なくない。
着信履歴は……。案の定、ある人物でいっぱいだった。
「あのアホ……何通出すんだ」
しかし、今日の目的地は決まった。
<> ワイヤード 第十一話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/22(水) 00:32:14 ID:wHrqCpJg<> 「おい百歌ー! ちょっと出かけてくるわー!」
「お兄ちゃん、どうしたの? もしかして、あの女のメール、また溜まってたの?」
「正解。ちょっくら行ってくる」
「別に行かなくてもいいよ。お兄ちゃん忙しいのに、あの女がお兄ちゃんに迷惑ばっかりかけて……」
「あのなぁ」
千歳が百歌の頭の上に手をぽんと乗せて、軽く撫でた。
百歌は猫のように気持ちよさそうに喉をならした。
「あの女あの女って、俺もお前も、あいつに結構昔から世話になってんだぞ。そんなこと言うような恩知らずに育てた覚えは無いぜ」
「お兄ちゃん……うん。ごめんなさい」
しゅんとして縮こまり、百歌はバツの悪そうに下を向いた。
「分かったら良い。お前は偉いな」
わしゃわしゃと乱暴に撫でた。つもりだったが、千歳は百歌に対してはどうしても優しくなるらしく、実際は丁寧だった。
百歌はまた気持ちよさそうにごろごろと喉をならし喜び、千歳の手に頬を擦り付けた。
「(ああ、可愛いなぁ)」
正直、千歳はものすごくシスコンだった。妹萌えだった。百歌より可愛い女はいないとまで思っている。
別にそういう性癖があるわけではないが、百歌はたぶんロリコンシスコンという名の紳士を目覚めさせる魔力を持っていた。
<> ワイヤード 第十一話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/22(水) 00:32:44 ID:wHrqCpJg<> 人気の無い道路を歩く。季節は五月下旬、ぽかぽか陽気が暖かい。
この街は東京なのにあまり人が多くない。珍しい場所なのではないだろうか。
「ちーちゃん!」
後ろから呼ぶ声に、千歳は振り向いた。
イロリだった。当然のとこながら私服だ。
薄着で、白いワンピースのみ。派手な正確に似合わずシンプルだ。
「ちーちゃん奇遇だね……。あ、この服、どう……かな?」
千歳の、服への視線に気付いたのか、顔を赤らめながらくるっと一回転した。なかなかさまになっている。
「ちょっと地味かなって思うんだけど……」
「いや、むしろ似合ってる。良いんじゃないのか」
「本当!? 嬉しい!」
イロリは勢い良く千歳に抱きついた。
千歳はそのテンションに少したじろぎながら、昔のことを急に思い出した。
イロリは、昔からこういうシンプルなワンピースを好んで着用していた。
そしてその服への意見を一々聞いてきて、千歳は「いいんじゃないかな」と答えていた。
そのたびにイロリは千歳に抱き付き、「うれしい!」と叫んでいた。
「同じだな」
ふっと笑ってしまった。
イロリは顔を上げ、千歳に疑問符の乗った顔を向ける。
イロリの身長はわりと高いのだが、やはり男である千歳とは差が有り、必然的に見上げる形となった。
少したじろぐ。これはさっきとは違う、純粋に心臓が跳ねた。
「いや……昔から、お前は変わらないな、と思って」
「そうかな……。えへへっ、そうだといいな。ちーちゃんは、どっちが好き?」
「ん、なにがだ?」
「昔の私と、今の私」
「どう違うんだよ、今同じって言ったばっかりの俺にはさっぱりわかんねーよ」
イロリは抱きついたまま、ふふんと鼻を鳴らして得意げに解説を始めた。
<> ワイヤード 第十一話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/22(水) 00:33:15 ID:wHrqCpJg<> 「昔の私はちーちゃんの知ってる通りだよ。ちーちゃんには嘘ついたことないから、本当に全部、その記憶のまま」
「へぇ、じゃあ今は?」
「……聞きたい?」
「まあ、ちょっと興味はある」
もじもじと脚をすり合わせて、イロリはもったいぶった。若干可愛かったが、千歳はあえて無視した。
「今はねー。汚い女になった」
「はぁ? 汚いって、なんだよ」
「ちーちゃんのために、嘘つくようになった」
「……嘘って、お前がそんなんに嘘つきだとは思えないけどな。例えば、どんな嘘をついた?」
「前に、義理チョコあげたでしょ?」
「ああ」
「あれ、実は本命なんだ……」
「……」
吹き出すどころか、今回はあきれ果てて笑いすら出なかった。
くだらない、実にくだらない理由でイロリはちょっとした悩みを抱えていたように見える。
「ちょっとぉ、あきれてるなー! 私は本気でちーちゃんのこと……むぐっ」
「あはっ……あははははははははははは!!!!!」
後からこみ上げてくる感情に、千歳はついに笑ってしまった。なぜかイロリの口を手で押さえて。
「ははははは! ……はぁ、はぁ……いや、スマン、笑っちまった。いや、皆まで言うなよ、イロリ」
「ぷはっ……どうして?」
「恥ずかしいだろ。お前に好き好き言われてたらさ、俺も」
イロリの目の光が暗くなる。しょぼんと頭を下げ、今にも崩れ落ちそうだ。
「私……ちーちゃんに迷惑を……?」
千歳は一瞬焦ったが、イロリに対しては無駄だということを思い知った。
昔もこんな展開があった。あの時と同じにすればいいんだと、もう分かってしまった。
「かけてねぇよ、いっちゃん」
<> ワイヤード 第十一話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/22(水) 00:33:45 ID:wHrqCpJg<> 「えっ……」
昔の呼び名で呼ばれたことがそんなに珍しいのか、イロリははっと前を向いた。
目に涙がにじんでいた。昔から泣き虫だった。
「好きだって言ってくれた奴をキライになる奴なんていない。……ちょっと最近のお前がなんつーか……可愛いっていうか」
「ちーちゃん……!」
イロリの顔がぱぁっと輝き始める。ひまわりのようだ。
「その……それ以上されると惚れそうだから、マジでヤバイ。うん、そういうこと」
「ちーちゃん!!」
がばっと、再び千歳に抱きつくイロリ。その顔には、さっきためた涙が流れていた。
流したのは、悲しみの心ではない。幸福。イロリの限りない幸せだった。
「ちーちゃん! 私を好きになってくれてるんだね! なら、何度でもいっちゃう! 好き! 好き! 好きーっ!!」
「こっ、こらお前、公衆の面前で……!」
「この愛は、誰をも超えられる……! どんな視線にも耐えられる……! そうだよ、ちーちゃん! やっぱり結婚しよう!」
イロリは興奮でもう千歳以外の何も目に入らないらしい。
近所の人間が大声につられて好奇の目を向けてもどうでもよいらしかった。
「(――やっぱ、変わってねーよ。昔から、そうやって純粋で、ただひたすら……綺麗だった)」
ふっと、諦めたように千歳が笑い、イロリの手をさっと握って駆け出す。
「ちーちゃん!?」
「ま、結婚は大人になってから考える! とりあえず今日は今日のことだ! お前今日ヒマか!?」
「うん! ちーちゃんと会えたらいいなって、この辺りをぐるぐる散歩してたから、ヒマー!」
風を切るこの感触が懐かしい。
昔は、野原をこうやって手を繋いで走った。
「じゃあ、今日はちょっと懐かしい奴に会いに行こうぜ!」
「懐かしいひと……?」
「会えばわかる!」
悪戯をした時のこと。泥んこになって互いの親に怒られたときのこと。
失敗をして、笑いあった時のこと。
<> ワイヤード 第十一話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/22(水) 00:34:15 ID:wHrqCpJg<> ――二人なら。
「ちーちゃん……こうして走るの、懐かしいね!」
「……ああ!」
――二人なら、怖くなかった。
この街の地図を書いた時のこと。自転車に乗ろうとしてイロリがすべって脚をすりむいたこと。
その傷口をなぜか千歳が舐めさせられたこと。その代わりイロリが千歳の傷を全て舐めて治そうとしたこと。
――二人なら、痛くなかった。
一緒に風呂に入って、お湯を掛け合って湯船を干上がらせたこと。
ボタンが上手くはめられないイロリのボタンをはめてやったこと。
「(イロリ……やっぱお前はすげーよ……!)」
――二人なら、どこにでもいけた。
手を取り合えば、一人でも上れない高い木に上れたこと。
二人で手を取り合えば、怖い夜道も歩けたこと。
――二人なら、淋しくなかった。
泣いているイロリを慰めた時のこと。
反対に、泣いている千歳を、いつもポジティブなイロリの姿が励ましたこと。
――二人なら……。
「(イロリ、お前なら……!)」

――未来だって、つかめるんだ。 <> ワイヤード 第十一話 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/22(水) 00:36:20 ID:wHrqCpJg<> 終了です。
次の話で一旦キャラクター紹介期間みたいなのは終了で、十三話からVSメア編が始まると思います。
そこからはこのグダグダではないので、どうかお付き合いをお願いします。
ではまた。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/22(水) 00:43:04 ID:1nN8wRK1<> リアルタイム盛り上がりGJ。流れに乗るか <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/22(水) 01:20:02 ID:c7FEItLs<> 俺の120ミリライフル砲が大変なことになった。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/22(水) 02:50:58 ID:ZtAvydMD<> GJ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/22(水) 07:28:52 ID:rsDi7aRu<> いいねぇ。
GJ!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/22(水) 08:01:14 ID:NiBjK4mu<> もうイロリとくっついちゃえよw <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/22(水) 17:45:36 ID:TlgMmsLn<> GJ〜! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/22(水) 18:28:34 ID:sLh6LgxP<> わたしたちがヤンデレだ!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/22(水) 19:42:18 ID:C2KNRpxM<> 違う!!!!!貴様は自分のエゴを押し通しているだけだ!!!!
その狂愛……俺が断ち切る!!!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/22(水) 19:58:42 ID:VXpECp8N<> よぉくいったぁ!ヤンデレェーー!!!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/22(水) 20:30:16 ID:fXUMPcgN<> >クラスメイト(千歳に思いを寄せる女子)に殴られ
バカな…まだ増えるというのかッ <> 小ネタ<>sage<>2008/10/22(水) 21:39:34 ID:NRnVBBer<>  説得する
 彼女の愛を否定する  ←
 彼女の愛を受け入れる

「違うッ! 貴様は自分のエゴを押し通しているだけだ!
 その狂愛……俺が断ち切る!」
「……そう」

 彼女は悲しそうに呟き、いったん黙り込む。
 そして、小さな弟を諭す姉のような口調で切り出した。

「人は誰しもエゴや狂気を抱えているものよ。ただ、二種類の人間がいるだけ。
 それを押さえ込むことに理性を従事させている人間と、
 それを後押しすることに理性を活用している人間。
 ――ねぇ、あなた? 一体、どちらのほうが自然だと思う?」

 疑問符を追いかけるように、たん、と小さな靴が石畳を叩く音が響いた。
 それが聞こえたと思った瞬間、酷く楽しそうな瞳と三日月を描いた唇が目前に迫る。
 反応して身体を動かすどころか、視認することすら叶わない。
 次の瞬間に身体の芯を貫いた衝撃は、体格差から考えれば異様なものだった。

「大丈夫、ちょっと寝てもらうだけ。傷なんてつけないから」

 意識が傾いでいく。
 同様に倒れようとする身体は、優しく抱きかかえられている。
 暗転していく視界の隅に、彼女の至極満足げな笑みが見えた気がした。

 ――GAME OVER。


上のほうの台詞を見てやった。今は反省している
ほんの少しだけ、ヤンデレが何で戦闘力高めなのか分かる気がした <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/22(水) 22:35:07 ID:tPE9KWh5<> ところでこのスレ的に止マナイ雨ニ病ミナガラはどう思う?今プレイ中だけど、シナリオもできてるし
キャラもかわいい。しかし、つねに背筋が寒い状態だ。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/22(水) 22:48:11 ID:bnO+EeIV<> 角煮でやれ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/22(水) 23:05:07 ID:mrE1HOoL<> >>293
あれって完成してるのか? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/23(木) 00:05:56 ID:P420JLv9<> 一人のぞけばルートはおおよそ完成してた
でも、結末が不評なルートがあったからシナリオ書き直し中
まぁ、フリゲにしては完成度高い <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/23(木) 00:56:37 ID:BVL550Mr<> 幼馴染:悪くはないが、風呂敷を畳み切れてない印象。一部意味があるのかないのかよくわからないトンデモ設定あり。
妹:NTRで非難轟々、書き直し予定らしい。俺は悪くないと思うが。
先輩:他と比較するとボリューム少なめ。何故か妹エンドありで、これが一番怖いw
後輩:ひたすら長い。正直疲れた。がまだ未完。結末しだいで名作になるかも?


DL販売してたら買ってもいいくらいには面白かったよ。
次回作もヤンデレらしい。百合だけどw <> 名無しさん@ピンキー<><>2008/10/23(木) 02:04:15 ID:8YRTM7xM<> 確かに止マナイ雨ニ病ミナガラはすごかったなw
ヤンデレ好きは一度やってみるべし
背景がリアルすぎてフイタw
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/23(木) 02:09:10 ID:BVL550Mr<> そういえば先輩ルートの人はキモウトスレにも書いてたよ。

>>298
リアルとかそれ以前にアキバがあったりするしなw <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/23(木) 17:45:52 ID:okmCQXSv<> 先輩ルートの人が書いたやつってどれ? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/23(木) 20:05:51 ID:z2TVnPKo<> 「ダークナイト」のジョーカーに恋愛を加えたらいいヤンデレになっていたことだろう。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/23(木) 21:27:30 ID:b+AHEp8r<> >>283
今更なんだけど、すごそうに見えるけど12cmって普通の大きさだよね。
それとも銃とかの「ミリ」ってミリメートルのことじゃないのか?
ほんとにどうでもいいけど。
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/23(木) 21:31:32 ID:tiImqdSr<> >>302
12センチだとやや小さいほうね <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/23(木) 21:36:31 ID:iuRfFWaa<> >>302
本当にライフルなんじゃね?
12センチっつうと完全にカノンの領域だが <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/23(木) 22:11:58 ID:C483eQgP<> 口径のことなら、ザクマシンガンがその大きさだねぇ。

それよりヤンデレが知らないはずの個人情報を使ってストーカーしてるか心理戦がしたい <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/23(木) 22:33:30 ID:J6lqMani<> >>303
たしか日本人の平均が15センチメートルだったキガス <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/23(木) 22:50:57 ID:q6eU0eUE<> 120mmライフル砲は英陸軍の主力戦車チャレンジャー2の主砲だな
第三世代主力戦車(つまり最新型戦車)の主砲が120mmだし陸上兵器の火器としてはかなりでかい
ちなみに他の第三世代主力戦車は120mm滑控砲
現在の主力戦車は使用する砲弾の性質上、ライフルにすると威力が逆に落ちる <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/23(木) 22:57:52 ID:m4AjHW8o<> >>283の局部ってかなり恐ろしいんだな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/23(木) 23:04:08 ID:tiImqdSr<> >>306
13だよ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/23(木) 23:18:17 ID:yy+z+AOC<> そんなことよりおっぱいのサイズについてでも語れよ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/23(木) 23:48:45 ID:Y4OCi/bn<> そんなのデカイ方が良いだろ。ひんぬーもすきだが、顔面挟まれたい <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/23(木) 23:58:13 ID:q6eU0eUE<> ひんぬーを吸いたい
ひんぬーに授乳されたい <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/23(木) 23:58:22 ID:iuRfFWaa<> >>311
ひんぬーのヤンデレがアップを始めました

挟まれるだけならふとともでいいだろ。むしろふとももがいいだろ。ふとももいいよふともも <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/24(金) 00:21:58 ID:xwmkGTN2<> 局部のは長さ。
銃や砲のは口径。

つまりアレが120ミリの場合長さが12センチだが、
砲の場合は弾丸の太さが直径12センチと言うこと。(銃の場合はまた違う)

とここまで書いて、ふとヤンデレ戦車という電波を受信した。
恋人(軍人)を守るためスーパーハッカーの彼女が戦車の制御COMPに電脳ダイブして乗っ取る。
恋人を守るために獅子奮迅するが、整備兵のメス豚が恋人にちょっかいをかけ始めて… <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/24(金) 00:57:42 ID:Tq2xSZjK<> チハ擬人化でヤンデレとか見てみたいな
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/24(金) 01:10:56 ID:MTDbFcae<> どう考えても泥棒猫に勝てそうにねえ… <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/24(金) 03:19:41 ID:M3vK+a9d<> 一番は細い二の腕だろ
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/24(金) 03:50:14 ID:8ER5v7Vw<> >>316
同じ対ヤンデレには非常に弱いけど、しょぼい雑魚を狩るには向いていそう。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/24(金) 06:46:05 ID:MFhJJnRj<> アメリカ人の転校生は強敵
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/24(金) 07:45:17 ID:idiBsvA6<> あれそれって嫉妬スレの作品じゃw <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/24(金) 23:09:15 ID:c1/lpRgy<> >>314
※「口径」は「砲弾の直径の何倍の長さ」という意味で砲身長を指すこともある。
 52口径5インチ速射砲→砲弾の直径5インチ(127ミリ)で砲身長260インチ(6.6メートル)

「えへへ、せんぱぁい
 先輩のずいぶん細長いんですねぇ
 そんなんじゃ女の子に愛してもらえませんよお
 あ、そんな言い方したら失礼かぁ
 じゃあとっても長砲身ですねぇ
 そんな顔しないでくださいよお
 長砲身ほど砲弾の初速は上がるもんですから
 わたしがたっぷり可愛がってあげますからねぇ」

軍事オタっぽくしようと思ったがただの変態オヤジに・・・orz <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/24(金) 23:49:17 ID:sukZEa8P<> ヤンデレつーよりデレデレだが、チハたん擬人化×車長さん(チハ坊)ネタ。

あ、また出てる。
そーろーさんは嫌われるんだよ。君ももうちょっと頑張りなよ。
………私の体が助平なだけだって?君が童女趣味なだけじゃないの?
それじゃなきゃこんな貧相な戦車となんかしないでしょ。
今すぐ突撃一番持ってアメちゃんの戦車とやって来れば?
………馬鹿。
はいはい、わかりました。
私は車長殿の事ばかり考えて、今日も久々に車長殿とできると思って発情して、早々と車長の精子を出させてしまった助平な戦車です。
どうぞ私のお腹の中を車長の精子で征服してください。とでも言えばいい?


でも、君のことばっかり考えてたのは本当なんだから。
私、君のことが大好きなんだよ。
え、いつからって?
君とあった時からずっと。
最初は頼りなさそうで大丈夫かなって思ったけど、君が私を初めて指揮してくれた時、私の車長は君しかいないって思ったの。
満州でも、この島でも、君は私をずっと指揮して、いろんな事を教えてくれた。
そりゃ、やらしい事だっていっぱいされたけど。君なら自然に許せた。
でも段々好きって気持ちが大きくなりすぎて、ちょっと怖かった。
私を捨てないか。って……
ねぇ、私は君が私以外の戦車に乗られるのが嫌なんだよ。
満州にいた時、君が用事でイ号姉さんに乗ってたことがあったよね。
私、あの時本当に嫌だった。イ号姉さん撃ち抜いてやろうかとも思ったくらい。
そのくらい独占欲の強い戦車なんだよ。私。

……それに、君が他の戦車に殺されるのも嫌。
君が私ごとアメちゃんの戦車に殺されるくらいなら、車長ハッチから放り出してでも逃がして、私だけアメちゃんに突撃して自爆する………

え、泣いてなんか、ないよ。
これは……眼からエンジンオイルが漏れてるだけ。
しょっぱいのはしょっぱいエンジンオイルだからだよぉ……
泣き顔なんてしてないんだから、泣き虫なんかじゃないんだからぁぁ………
泣きやませないでよ。どうせ私には君を守れないんだから。
だって、私なんて装甲薄いから、当たりどころが悪くなくても君は死んじゃうんだよ?
……確かに私は君の事大好きだよ。でも心中なんてする気は無い。君には生きていて欲しいの。
もういいでしょ!こんな弱くて気持ちの悪い戦車なんて置いて輸送船で出ていけばいいじゃない!
私はアメちゃんにマワされても感じる変態だもん。さっさと内地の妹たちの車長になって、平和に妹ズコズコ犯してればいいじゃない! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/24(金) 23:50:13 ID:sukZEa8P<> ………本当に馬鹿。
あたしなんかに乗ってたら死んじゃうのに。
そんなに命が惜しくないの?君のお母さんから貰った物なのに、そんなに粗末にしていいの?

……そっか。そうだよね。私は君のお嫁さんだったんだよね。
戦場の中だけの、戦争してる時だけの君のお嫁さん。じゃあ旦那様?お願いがあるの。
旦那様が上になって、私の中に突撃一番なしで精子を……赤ちゃんの素をお腹がいっぱいになるくらい出して。
うん。せっかくある子宮なんだから、赤ちゃんが産めなくてもいっぱいにしてあげたいの。
本当、なんで兵器に子宮なんてあるのかなぁ。


んん、入ってくるぅ……んはぁ。やっぱり生は君が直に感じられていいね……
ほら、私の一番奥に当たってるのわかる?
……うん。きゅん、きゅん、って君を欲しがってる。思う存分可愛がってあげて。
ゃっ、急に、動か、ないでよ。ひぁぁ、チンポ、気持ち、よすぎ、なんだからぁっ。
やだ、はっ………あっ、激しすぎる……
え?チハの顔と体がやらしすぎるって?
……君が、やらしいから、だよ。ふぁ、こんな貧相な戦車相手に、あん、ズコズコ腰振って。やらしく、ああぁぁ、ならないわけ、んっ、ないじゃん。
あ、おっきくなってきてる。もう、出るんだ。ほんとに、そーろーさん。
……い、いよ。にゃぁぁん、わたし、だってもう、ひぁっ!限界、あん、だもん。
出して!お腹、膨らむ、くらい!赤ちゃん!赤ちゃん出来るくらい!いっぱい出して!
やぁっ!きちゃ!きちゃっ!ふぁっ!ふぁぁぁぁぁぁぁああっ!!!


本当にいっぱい出たね。お腹たぷたぷ。
え、なんで抜かないのって?
だって、抜いたら膣に溜ったの出ちゃうでしょ。
なんなら代わりにコルク栓でも詰める?
……ふふ、でも子宮の中の精子は絶対逃がさないよ。やらしい君の精子なんか監禁してやるんだから………

……そっか、明日総攻撃かぁ。
さっきは輸送船でどっかいっちゃえなんて言ったけど、輸送船も来ないんだよね。
GFのばーか。カンタイケッセンなんて結局起こってないじゃん。使えない船ばっか並べて。
……でも、私と車長殿の仲を割らなかった事だけは褒めてやる。
でも、明日が最後なんて寂しいね。
え?私がいるから寂しくない?
………最後まで馬鹿だね。
ね、もう一回しよっか。
夜が開けるまで、ずっと。


チハたん∩(;ω;)∩ばんじゃーい
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/24(金) 23:53:05 ID:E8IrPCfa<> >>322
>私はアメちゃんにマワされても感じる変態だもん。

砲手のアメちゃんに砲塔ぐるぐる回転させられているのを想像してしまった・・・ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/24(金) 23:54:36 ID:iDx/NXDh<> >>323
擬人化総合SSスレ
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1176796139/ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/25(土) 01:05:18 ID:OoIlugRx<> >>323
上手いよ。上手いSSだけどさあ……。
病んでないじゃんコレ! 普通にいい話じゃん!
ここに投下するのはもったいないって。>>325でやってくれよ。
そしたら惜しみないGJを奉げるから。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/25(土) 01:28:38 ID:M6+dMogA<> これ病んでないのか?
戦時下補正があっても、一応病んでるんじゃないのか?
それともここの住人は並みの病みでは何も感じはしないのか <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/25(土) 03:20:52 ID:GtRmZedh<> 「あなたを生涯直掩したい」 <>
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/25(土) 19:40:45 ID:BCBiq9CW<> 投下します。 <> ワイヤード 十二話 前  ◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/25(土) 19:41:44 ID:BCBiq9CW<> 第十二話『きみの散歩道・憫笑』

ひたすら歩く千歳の後ろを、イロリがてくてくとついていく。今の千歳の気分はドラクエの勇者だ。
いや、カモの親か。
どちらにせよ、後ろにいる奴が可愛くてほほえましくて仕方が無い。
「なつかしいね」
イロリが口を開いた。
「ああ、昔はお前と結構遊んだな。ここでさ」
商店街。
ある程度の活気と、ある程度の落ち着きがある街並み。
現代的ではない。ノスタルジックな光景。
昔のままだった。
「走り回って、八百屋さんに怒られたっけ」
「ジャッキーチェンの真似とかしてな。思えばあの頃は馬鹿ばっかしてたな」
「ジャッキーかっこいいし面白いしね。たぶん、男の人の中ではちーちゃんの次くらいに好き」
「なんだよ、それ」
イロリは話すと本当に面白いやつだった。これも、たぶん昔からだろう。
なぜ、忘れてしまったのだろうか。千歳は少し自分の思慮の浅さを恥じた。
いろいろあったからだろう。イロリのいない間に、いろんなことが変わった。同じじゃない。
ずっと変わらないものなんて無い。この商店街ですら、少しずつ変わっている。
しかし、イロリは変わらなかった。
「(やっぱ、俺は駄目だな)」
「どうしたの? 考え込んじゃって」
「いや、ちょっとな」
<> ワイヤード 十二話 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/25(土) 19:42:15 ID:BCBiq9CW<> 「もぅ、教えてくれたっていいじゃない。イジワルー」
「いや、あんまりいいことじゃないしな」
「え、それって、私でえっちな想像してたとか……? ならばウェルカム! レッドスネークカモン! カモンナカモンナマイハウス!」
「意味わからねぇー」
大体、イロリは時代錯誤だ。なぜ東京コミックショーのネタを知っているのだと小一時間問い詰めたい。
が、あえてやめておいた。
「……ねぇ、ちーちゃん」
「ん?」
「私ね、本当に好きだったんだ」
「好き……?」
「ちーちゃんのこと」
どきん。
イロリの悪戯っぽい笑みが、千歳の胸を打った。
心臓が跳ねる。
「ここで、一緒に遊んでたときも、ずっとちーちゃんを見てた。手を繋いだとき、いつもドキドキしてたよ」
しみじみと、身体にこの街の空気を染み込ませるように、ゆっくりと、一歩一歩。
かみしめるように。ふみしめるように進みながら、イロリは夢見がちな――星みたいに綺麗な瞳で空を見ていた。
真っ黒で、宇宙みたいなのに。そんな深みの中にあるはずのない光が輝いていた。
それは、たぶん未来という名の希望。希望という名の光。
「これからは、また、一緒なんだ」
千歳の手を、優しく握る。
千歳がさっき掴んで走っていたときとは全然違う。
「ほんと、面白いやつだな。お前」
千歳もつられて微笑んだ。
――なんで、こんなに魅力的なんだ。
昔は気付かなかった。イロリの、宝石箱のようにたくさんの輝きを秘めた瞳。
今なら、わかる。
たぶん、そう遠くない未来。
もっと近くに。
<> ワイヤード 十二話 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/25(土) 19:42:45 ID:BCBiq9CW<> 「そうだ。ちーちゃん」
「ん、どうした?」
イロリは千歳の惚けを全くスルーして、話題を転換した。
昔から、不安定というか、ころころと変化の激しい奴だった。
変化の激しい点が変わってないなんて。すこし面白い。
「この商店街、ヤクザ屋さんが仕切ってたよね。今はどうしてるの?」
「ああ、そういやそうだったな。『今日からヤのつく自営業』の方々がいたな」
「怖かったねー。でも、迷子になったとき助けてもらった覚えがあるかな。意外と優しいひとだったのかもね」
「……あいつらなら、俺が……。っ!? なんか、騒がしくないか?」
あまり騒がしくないこの商店街で、怒鳴り声。珍しい。
「ヤクザ屋さんかな?」
「わからん」
「私、見てくる!」
「お、おいっ……!」
静止も聞かずにさっさと走り去ってしまった。
「ったく……こういうところも変わってないのかよ」
目を離すと、すぐいなくなった。目を離さないでも、すぐいなくなった。
まるで成長していない。
だが、それがイロリの魅力的なところなのだろう。千歳はうすうす感づいていた。
<> ワイヤード 十二話 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/25(土) 19:43:25 ID:BCBiq9CW<> 「おうおう、アンタがウチらの縄張りになんのようじゃ」
「場合によっちゃ、ただじゃかえさんど」
イロリが見ると、大柄な男が二人、犬を連れた女性に詰め寄っていた。
「あら、何度も言ったじゃありませんか? 愛犬のスティーブの散歩中ですの。わたくし、ゴリラを飼う趣味はございませんので、そろそろついてくるのをおやめくださいな」
「てめぇ! 舐めとんちゃうぞ!」
女性は全く動じないで、逆に男達を挑発していた。
「この街はワシら『九音寺組』のモンじゃ! アンタら『御神グループ』にゃあ、渡すわけにはいかんのじゃい!」
『九音時組』。これはイロリもなんとなく知っていた。
さっき話していた、この街を仕切っているヤクザ。
それと、『御神グループ』。これもうっすらと記憶にある。
関東で最近急激に肥大化し始めた『財閥』。多くの企業を傘下に持ち、その力は政界にまで及ぶという。
少し前までは旧華族の末裔、ただの名家だったのだが、ある少女の登場でこの変化がもたらされたといわれている。
その名は――
「――『御神 枢(みかみ カナメ)』! アンタの好きなようにはさせんのじゃ!」
男が懐からナイフを取り出す。
女――御神カナメは、袖で口元をかくしながら、くっくっと笑った。
その動作の一つ一つにただならぬ威圧が含まれており、男達を警戒させる。
「あらあなた、お若いのに。人を殺す『覚悟』をお持ちなのね」
「『覚悟』じゃとぉ……ワシら極道じゃ! てめぇら成り金に舐められるわけにはいかんのじゃ!」
「そう――じゃあ、お刺しなさい」
「……!?」
平然と、言い放った。
なんの恐怖も感じていないようだった。
男達は呆然と立ち尽くす。イロリも状況が理解できず、止まったままだった。
「(なんで、あのカナメって娘は……)」
男二人の前に、ただ立っているだけで。
――制圧している。
<> ワイヤード 十二話 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/25(土) 19:43:57 ID:BCBiq9CW<> 「どうなさったのかしら。『覚悟』があるのでしょう? 相手を傷つける覚悟があるなら、当然あるのですよねぇ……。『殺されてもかまわないという覚悟』。ならば、試すのが一番早いでしょう?」
「う……ぁ」
「おちつくんじゃ! 『いんてり』の口車にのんな!」
もう一人の男が、ナイフを持った男を諭す。
が、もう遅い。ナイフの男は既に走り始めていた。
「おどりゃー!! もうヤケじゃ!!!」
「(しまった……!)」
イロリの距離からは止められない。状況判断が追いついていない。
このままでは、あの女性は――
「――俺が!」
「ぇ――?」
イロリの隣を、疾風のように駆けるもの。
「(ちーちゃん!?)」
千歳はそのまま異様な素早さ――縮地法によってカナメと男の間に割り込んだ。
「ふっ!」
呼気を入れながら、千歳は男のナイフに向かって真正面から拳を放つ。
衝撃。
次の瞬間には、男とナイフが数メートルほど吹っ飛んで倒れていた。
「……ったく」
千歳が拳を放ったほうの手をぷらぷらと振る。
普通ならナイフが刺さっていたであろうそこだが、全く怪我もなかった。
「な……なんじゃこらぁ! 御神グループのもんかい!」
もう一人の男が千歳に向かって怒鳴る。
「いや、違うけど……って、聞いてないか」
仲間を倒されて冷静さを失った男は、拳を振り上げて千歳に飛び掛かった。
<> ワイヤード 十二話 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/25(土) 19:44:27 ID:BCBiq9CW<> 千歳はやれやれと首を振り、すっと身体を逸らす。最小限の動きで男の拳をいなし、すれ違った。
「がっ……!」
男がうめき、倒れる。
「(そんな……ちーちゃんの攻撃、見えなかった……)」
千歳の動きに。すれ違っただけで相手を倒していたように見えたそのスピードに、イロリは驚愕した。
イロリの知っていた頃の千歳は、決してこんな強者じゃなかった。
「ちーちゃん、大丈夫!?」
しかし今はそんな変化に戸惑うよりも、千歳が無事か心配だった。見た目では傷が無いように見えても、ナイフと正面衝突したのだ。
どこかきられているかもしれない。
「いや、大丈夫だ。……それより、あんたは、大丈夫か?」
千歳は駆け寄ってきたイロリを軽く制し、御神カナメに向き直った。
「はい、ご心配には及びません。この通り、おかげ様でどこにも怪我はございません故」
カナメは穏やかに笑い、千歳の手をとった。
「あなたに助けていただいたことは、決して忘れはしないでしょう。必ずお礼をいたします」
「ん、ああ。べつにいいんだけど」
「そういうわけにはいかないのです。わたくしのプライドが許しませんの。わたくしの名は、御神カナメと申します。どうぞカナメと及びください。……あなた様のお名前を、わたくしにお教えくださいますか?」
「カナメさん、ね。俺は、鷹野千歳。けど、俺に対する気遣いはいいから、今日は気をつけて家に帰ったほうがいい。あいつらには俺が言っておくから」
「千歳さま、ですね。……この恩は、御神の名にかけて、必ず」
カナメはすっと顔を近づける。千歳の頬に、柔らかい唇が軽く触れた。
<> ワイヤード 十二話 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/25(土) 19:45:30 ID:BCBiq9CW<> 「これは、わたくしの約束の証しでございますわ。次にお会いする時は、この続きを……」
ぽっと顔を赤らめ、カナメは犬を連れてそそくさと立ち去った。
「……」
千歳は、その勢いに呆然と立ち尽くすだけだった。
――ふと、背後から強力な怨念を感じる。
「……ちーちゃーん?」
イロリだった。
じとっとした目で千歳をにらみつける。
「なんであんな初対面の女の子にデレデレしてるの……? 私にもあんな顔してなかったのに」
「いや、別にそんなことは……!」
「してるよー! もう、私もちゅーするんだから!」
「ちょ、まっ、あっー!!!」
イロリはがばっと大胆に千歳に飛びつき、頬に吸い付いた。まるでヒルのように強烈に吸い上げる。
「痛い痛い!」
やっとふりほどく。
するとイロリがニヤニヤして千歳の頬を見ていた。
「マーキング成功だね〜」
そこには、真っ赤なキスマークができていた。 <> ワイヤード 十二話 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/25(土) 19:46:00 ID:BCBiq9CW<> 「ふぅ……やだわ。わたくし、なぜあんなに大胆なことを。殿方に……」
カナメははぁはぁと疲れた様子で遠くの公園のベンチに座っていた。愛犬スティーブの散歩コースだった。
「千歳様……。素敵なかた……」
バッグから、さっき隙を見て拾ってきた、ヤクザのナイフを取り出す。
ひしゃげてもう使い物にならないだろう。
「素手でこのナイフをこんなに……。お強いんですのね……」
思い出すと、また顔が赤くなる。
「鷹野、千歳様……。弱きを助け、強きをくじく。あのお方こそ、わたくしの『運命の人』ですのね」
ぱちんと、指を鳴らす。
数秒で黒服の男がどこからともなくあらわれ、カナメにひれ伏した。
「高崎。あのお方の情報を、できるだけ詳細まであつめてくださる?」
「三日ほどかかりますが」
「頼みましたわ。……できることなら、すぐがいいのですが、我が侭は今は無しにします」
「承知」
そして次の一瞬で高崎と呼ばれる黒服の姿が消失した。
まるで忍者のような身のこなしだった。
「スティーブ、あなたもそう思うでしょう? 千歳様と、わたくしの間の、赤い糸。見えるでしょう?」
スティーブのくびすじを撫でる。気持ちよさげにふんと息を吐いた。
「千歳様……わたくしの唇の代金は、高いのですよ……?」
空に向かって、誰にも伝わらない声を飛ばしていた。
周囲の人物は、そんな怪しい少女に声をかけないように避けた。 <> ワイヤード 十二話 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/25(土) 19:46:31 ID:BCBiq9CW<> 「(なんだあいつ、休日だというのに騒がしいな……)」
金髪の少女も、その一人だった。
「(いや、なんだ、この違和感は……あの女、微弱だが……ワイヤード反応がある?)」
ほんの少し。おそらく、今生まれたばかり。
しかし、確実に息づいている。
この近くにコントラクターがいる証拠だ。
「(つかまえたぞコントラクター。もう少しだ。……まずは、あの女に聞き込みを)」
犬を連れた少女、カナメに目を再び向ける。
と、そのベンチには既にその姿は無かった。
「しまった……。ついはしゃいで、目を離してしまった」
若干の自己嫌悪。そして行動。
「だが、近いということは分かったんだ。この脚で、今から探せば……!」
金髪の少女が、ばっと走り出……せなかった。
どてっと倒れ、地面をのたうちまわった。
「くそっ、急に走り出したら腹が……! 腹が減って……」
「ねぇお母さん、あの人ー」
「見ちゃ駄目よ!」
親子が公園から走り去る。
「くそっ、この街の住人は飢えたものに食べ物を恵むという心遣いもないのか……! なんたる……!」
ぐぎゅううう。腹からマヌケな音が漏れた。
「だめだ……怒ったら腹が減る……。もう、だめ……。不覚」
ばたりと倒れ、意識を失った。
<> ワイヤード 十二話 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/25(土) 19:47:02 ID:BCBiq9CW<> 「ちーちゃん、どうするの? ヤクザ屋さん、放って行くの……?」
「いや、そろそろ来るはずなんだが」
「え、誰が……?」
「おーい!」
イロリが言ったと同時に、遠くから男の声。
見ると、スキンヘッドのいかにも悪そうな男が手を振って走ってきていた。
「千歳さん! 今日はウチの馬鹿どもがご迷惑を!」
男は千歳の前まで来ると、即座に頭を下げ、謝罪した。
「いや、いいよ。それより、なんであんたらは御神グプールに突っかかったんだ? それが気になる」
男は倒れている二人の部下をたたき起こしながら答える。
「へい、実は、オレ達『九音寺組』の組長『九音寺 轟三郎(くおんじ ごうさぶろう)』親分が、重いご病気でして、その隙を狙って奴らがこの地域の支配権を狙って圧力を……」
「……なるほどな」
「あの御神の小娘、オレ達を挑発してるんすよ……親分さえ、親分さえいれば、舐められることもないのに」
「けどな。今回は軽率すぎだぞ。力で負けてんだから、お前らこそ冷静になれ。挑発にいちいちかかってんじゃねえ」
「へい、こいつらにはよく言い聞かせます」
「ああ。……危なかったぞ。あのカナメさんって人は、結構抜け目ない。見えないところに銃を持った男を数人配置していた。たぶん、俺が入っていかなかったらその二人は射殺されていたな」
「……すまねぇと思います。千歳さんは俺らの組の人間を何人ももう助けてくださって。……千歳さんがいたら百人力なんですが」
「いや、俺は……。百歌が怒るから、そういう職業は……」
「ははっ! 冗談でさぁ! ですが、ウチの『久遠(くおん)姐さん』は千歳さんのこと諦めてないみたいですぜ! また会いに来てやってください!」
「久遠が……。まあ、ヒマがあれば、そのうち」
「へい! では、オレらはここらで失礼します!」
スキンヘッドの男は二人の部下を引きずりながら、にこやかに去っていった。すさまじい腕力である。
今日からヤのつく自由業とは思えないさわやかさと優しさだった。
<> ワイヤード 十二話 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/25(土) 19:47:46 ID:BCBiq9CW<> 「……いっちゃったね」
「ああ」
「私、私が居ない間のちーちゃんの経歴がすごく気になってきたよ……まさかヤクザ屋さんに敬われる立場だなんて」
「いや、あいつらの組長の娘を助けたことがあるだけだから」
「それって、さっき言ってた久遠っていう人?」
「ああ」
「……さっきの人の口ぶりからすると、その久遠っていう人もちーちゃんのこと好きみたいじゃん」
口を尖らせて問い詰めるイロリ。
ちょっと可愛いなと思いつつも、千歳はがんばってごまかそうと努力する。
「いや、そういうのじゃないって。……会ってみればわかる。っていうか、たぶんそう遠くない日に会うことになるから。久遠とは、さ」
「……ちーちゃん、モテすぎだよぅ。ライバルが多い」
イロリはぶつくさと文句を言いながら、先に進んだ。
「まあ、いいや。今日はどこかに連れて行ってくれるんでしょ? 早く行こうよ!」
「ああ。行くか」
<> ワイヤード 十二話 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/25(土) 19:48:57 ID:BCBiq9CW<> 十二話は長いので、ここで一旦分割します。
文章がめちゃくちゃになっていますが、おおらかに読解してください。
では、後編は今夜か明日にでも。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/25(土) 19:57:10 ID:O1zIqMsV<> 一番槍乙 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/25(土) 20:02:09 ID:KDUInzFW<> GJ!
何で千歳が戦闘用員なんだよwwww <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/25(土) 20:03:10 ID:D/4rka8g<> GJ!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/25(土) 20:59:11 ID:JC4lgpS0<> 金髪の行く末が気になるぜ
GJ!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/25(土) 22:21:25 ID:wgzRoGhd<> てか、投下イラストで見たけどイロリがめっちゃ可愛いなww <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/25(土) 23:27:37 ID:o1LC7T7C<> 主人公が武術の達人
これは……良いw、強いのに女に喰われるんですねw
そのギャップにGJ!
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/25(土) 23:49:53 ID:8Aty13OO<> >>331
>御神グプール(笑) <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/25(土) 23:50:31 ID:8Aty13OO<> みす
>>339 <>
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/25(土) 23:52:55 ID:BCBiq9CW<> それはミスを笑う人もミスするという一発ネタなんですかねw
ってか、誤字はおおらかに見逃してくださいと(ry <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 00:24:54 ID:SYWFi+tW<> うぜえ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 00:30:50 ID:NvWShWFM<> 作者はあんまり自分の意見を出さない方が叩かれずに済む
面倒ごとはさけたほうがいいぞ
スレのためにも自分のためにも <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 00:36:46 ID:+93uePo2<> この作者は妙に正直というか人間臭いからな。前スレから。
話が面白いからつぶされて欲しくない。
的確なツッコミではあるけど、叩く口実になるから控えようぜ。心配だ。あとGJ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 00:43:42 ID:SdEq3LL2<> たまに作者は文章製造機だとでも思ってるやついるよな
言い分はわかるがあんまりだな

>>350
GJ
これからも頑張ってください <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 01:09:29 ID:ZNl8ljDV<> でーれーでーれー <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 07:42:25 ID:HCc9EOQ7<> ででーん! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 08:15:24 ID:yA7o491D<> でででで <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 14:33:55 ID:TWWqUh5Z<> でーん!でーん! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 15:34:12 ID:/aFKEaXV<> でででん <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 15:50:17 ID:HCc9EOQ7<> ででーん! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 16:14:54 ID:p9s5QRjc<> ウィキももうすぐ500000アクセスか
結構増えたなあ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 17:59:06 ID:IgppDcME<> 今朝ヤンデレ幼女に襲われるというやたらに生々しい夢を見た
正夢にならないかな……
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 18:27:01 ID:TWWqUh5Z<> 夢じゃないよ?現実だよ? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 19:59:04 ID:IgppDcME<> >>363
うはwちょっと幼女探してくるw
ちなみに夢の内容はこんな感じだった
<> ヤンデレ幼女の夢<>sage<>2008/10/26(日) 20:00:47 ID:IgppDcME<> 夢の中の幼女とはもともと仲がよかったみたいで、お兄ちゃん、お兄ちゃんって俺のことを慕ってくれていた。
俺も最初の内は大いに彼女を可愛がった。暇な時はよく一緒に遊んでやっていたようだ。
でも幼女はいつでもどこでも俺に引っ付いてくるもんだから俺は次第に彼女のことを疎ましく感じるようになった。
俺が幼女以外の人、特に女性と話していると突然どこからともなく幼女が怒鳴りこんできて、それでも俺が無視していると泣き喚く。
俺にも人付き合いってもんがあるんだ。なのに何で彼女が怒ったり泣いたりするのか理解できない。
彼女が俺のせいで泣いているということで俺の評判が落ちたらたまったもんじゃない。
小さな女の子を泣かせるなんて、と俺の評判はがた落ちするかもしれない。
今後できるだけ幼女とは関わりを持たないようにしよう。
そう思って幼女を避けるように行動をしているはずなのに、彼女はどこからともなく必ず俺の前に現れる。
彼女は俺を見つけると嬉しそうに勢いよく俺に抱き付き、その端正な顔を胸に埋めてくる。
しかし、俺の方はこの頃になると幼女を見ることさえ苦痛に感じるようになっていた。

しばらくして俺は何故か突然遠く離れた所に引越しすることになった。
すると幼女は俺を力の限り抱きしめ、顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしながら、
「行かないで!」「ずっとずっと一緒って言ったよね?」「私はお兄ちゃんのことがこんなに大好きなのにどうしてそんなこと言うの?!」
と喚き続け、一向に俺を離そうとしてくれない。
俺も初めは波風を立てたくないので穏便に幼女と別れようとしていたが、いつまでも泣きやまずに我侭ばかり言っている彼女に腹が立ち、
「うるさい!いつもいつも自分勝手なことばかり言いやがって!お前の顔なんか見たくもねぇよ!」
と彼女に怒鳴りつけ、強引に引き剥がすとその場を去ろうとした。
「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!」
突然気味の悪い声で笑い始めた幼女。
驚いて振り返るとそこには俺の知らない彼女が立っていた。
「そうか。わかったよ。あの女が悪いんだよね?そうだよ。そうに決まってるよ。だってお兄ちゃんが私にそんなひどいこと言うわけないもん。
うん。大丈夫だよ。私全然気にしてないから。悪いのは全部あの女だもん。だからお兄ちゃん。離れるなんて言わないで私とずーっと一緒にいよう?
いつまでも二人だけで一緒に暮らすの。えへへ。私お兄ちゃんのこと大好きだから楽しみだなぁ。ね?ずーっと、ずぅぅぅぅぅぅっと一緒だよ?」
いつ息継ぎをしているのか分からないほどのスピードで恐ろしいことを言い放つ幼女。
その双眸は大きく開き、いつもきらきらと輝いていた瞳に光はなく、代わりにあるのはどろっと濁った深淵の闇。
彼女はその年齢には見合わないほどに美しく笑っていた。そう、寒気がするほどに。
やばい。このままこの場にいたら間違いなくやばい。
そう直感した俺はそんなことを言いながら一目散にその場を駆け出す。
走る走る。一刻も早く幼女の傍から離れたかった。
なのに――

「あははははは♪待ってよー、お兄ちゃーんっ♪」
彼女は俺を追いかけていた。しかも、大人の俺が走るスピードに食いつく速度で。
「くそっ!!な、何なんだよ!気持ち悪いんだよ、お前っ!!こっちに来るんじゃねぇ!!」
普段だったら考えられないような酷い罵声を幼女に浴びせる。それだけ今の俺には余裕がなかった。
「ひどーい、お兄ちゃん。そんなこと言う子にはオシオキだからねっ!」
しかし、幼女は特に気にした様子も見せず、むしろ嬉々とした表情で隙あらば俺の背中に掴みかかろうとしている。
しかもいつの間に取り出したのかその手には鋏が握られているではないか。
ちゃちな作りではあるが仮にも刃物。十分に殺傷力はあるだろう。
わからない。幼女はどうしてそこまでするのだろうか。わからない。
混乱した俺の脳みそじゃその結論に辿り着くことはできず、ただひたすらに逃げろと体中に警鐘を鳴らすことぐらいしかできなかった。
<> ヤンデレ幼女の夢<>sage<>2008/10/26(日) 20:02:53 ID:IgppDcME<> 彼女から逃げ回ってるうちに何故か舞台はうっそうと木が生い茂る山奥に。
後ろから聞こえる幼女の不気味な笑い声がまるで鎖のように俺の体に纏わり付き、耳から離れない。
いつまでこうやって逃げ続ければいいんだ?
こうやって走っていても彼女から逃げられるとは思えない。漠然とした恐怖を感じながらそれでも走り続けるしかない。
もう2,3時間以上は走っているように感じられる。喉が渇いて貼りつく。頭がぼうっとする。
ふと腕を引っ張られる感触。恐る恐る後ろを振り向くとそこには――

「つーかまえたっ♪」

この上ないほどの笑顔を浮かべた幼女が俺の腕を掴んでいた。
「うわあああっ!!!離せっ!!!離せよっ!!!」
怖い。怖い。この年端も行かない彼女の笑顔、行動、あらゆる全てが怖い。
完全に取り乱した俺は幼女の手を振り解こうと暴れる。
しかし彼女は絶対に離そうとしない。しかもその顔は喜悦に歪んだまま。
その表情にこの上ないほどの恐怖を感じ、幼女の可憐な顔を思い切り叩く。
口の中を切ったのだろうか。その可愛らしい口の端からはつーっと一筋の赤い雫が滴り落ちる。
それでも彼女は俺の腕を離そうとはしない。むしろ腕を掴む力が強くなるだけだった。
「このっ、いい加減にしろよっ!!」
なお俺の腕にしがみつこうとする幼女の頭を引き剥がそうと髪の毛を思い切り掴む。
勢い余って彼女のさらさらと流れる美しい黒髪がぶちぶちと音を立てて抜け落ちた。
それでも幼女は何も応えていないらしい。
「あははっ♪痛いよー、お兄ちゃん。でもね、こんなことされても平気なんだよ?」
彼女は最早狂っている。そうとしか思えない。
振り乱した髪の下から覗く瞳は焦点が定まっておらず、片手に握られた鋏はギラリと光る。
「うふふ。だって私、お兄ちゃんのこと」
やめろ!!言うな!!それ以上言ったらわかってしまう。理解してしまう。
だからお願いだ。それ以上は言わないでくれ!!
しかし俺の願いは彼女に届かなかったようだ。

『愛してるから♪』

彼女の口が形作る。声帯が空気を震わす。俺の鼓膜が振動を捉える。脳が信号に変換して理解する。
「う、うわあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」
その言葉が俺の脳内で静かに響き渡った時、俺はついに正気を失った。
助けて。誰でもいい。嫌だ。早く逃げなきゃ。怖いよ。
最早言葉にすら聞こえない叫び声をあげ子供のように喚きながら俺は必死にもがく。
決して幼女が振り回す鋏で傷つくことが怖かったんじゃない。
彼女から俺に流れ込んでくる重苦しく絡み付くような暗い情念を受け続けることに耐えられなかったのだ。
幼女の呪縛から逃れようと目を血走らせ,息を荒げながら彼女と揉み合いになる。
しかし,幼女はこの状況にも関わらず、キャッキャとまるで面白いおもちゃを見つけた赤ん坊のように屈託なく無邪気に笑い続ける。
「えへっ。楽しいね、お兄ちゃん?」
「くそっ!!くそっ!!離せ――」
ふと足元が軽くなる。何だ?
後ろを振り向くと視界一面に切り立った急斜面が映った。
ああ、つまり俺は足を踏み外してこの崖から――

重力に従って俺はそのまま空の底へと落ちていく。奇妙な解放感が俺を包んだ。
やっとこれで幼女から逃げられる。そう、例えそれで命を失うことになったとしてもだ。
そう思うとあれほど混乱していたにも関わらず、不思議と俺の心は安らいでいた。
最後に彼女の方をぼんやりと見る。
崖から転落して落ちていく俺を幼女はじっと見つめていた。
彼女の瞳の中に俺が映っている。その姿は奇妙に歪んでどこか滑稽な姿に見えた。
そして彼女はずっと嬉しそうにニコニコと俺に微笑んでいた。
意識が途切れる寸前、微かに届いた彼女の声。

『えへ。大好きだよ、お兄ちゃん♪』
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 20:04:24 ID:IgppDcME<> 所々支離滅裂なのは夢だからってことで。
ってこんなの書いてる暇があったら早く長編の続き書けって話ですよね……
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 20:31:51 ID:TWWqUh5Z<> こえーな、おい。
しかしウラヤマシス
俺にも幼女が・・・幼女さえ居れば・・っ・・ ・・・!
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 20:33:53 ID:HCc9EOQ7<> 嫌いじゃない。夢を小説に変える力はむしろ好ましいことだ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 20:47:10 ID:iHzZCRKb<> よくそんだけ夢を覚えていられるなw
俺はふたなりに延々と後ろを掘られている夢だけ覚えているぜ…… <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 21:16:08 ID:b20dAgpu<> 俺なんかヤンデレと延々とディープキスの夢しかないな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 21:49:10 ID:Y2tXhxP4<> 最近ヤンデレの夢見てないな
前はちょいちょい見たのに
大昔は、夢に相手が出てくると、相手がこっちのことを考えているから出てくるんだ、と考えられていたらしい
つまり最近ヤンデレが夢に出てこないのは…… <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 21:59:45 ID:ZAamBSi1<> 俺の夢に出てくるヤンデレは母親だから困る。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/26(日) 22:08:33 ID:P7umqAPl<> >>373

さあ、その夢を文章にする作業に戻るんだ! <>
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/27(月) 00:08:47 ID:aOh43Lz2<> 上の方の件はすみませんでした。以後、軽率な発言はできるだけ慎みたいと思います。

投下します。 <> ワイヤード 第十二話 後
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/27(月) 00:09:37 ID:aOh43Lz2<> 「おーす」
「千歳!? 遅いじゃんかよ!」
扉を開けると、即座に駆け寄ってくる、胴着をきた少女。
「すまんすまん。ちょっと面倒があって」
「メールも返さないし……」
「ボックス一杯のメールだともはや逆に返しづらくなるだろ」
「……心配したんだぞ……。罰として今日はいつもよりも稽古を延長するからな」
「マジすか? ……まあお詫びに、懐かしい顔を見せてやるよ。イロリー! そろそろ入っていいぞ!」
「イロリ? ……まさか」
遅れて入ってくるイロリ。胴着の少女と目が合う。
「……いっ……ちゃん……?」
胴着の少女はその名前をしっかりと記憶していた。
対して、イロリはすぐには思い出せなかった。が、その声がなんとなく記憶に残っており、最終的には答えにたどり着く。
「もしかして、りっちゃん?」
「そうだよ! なつかしい、帰ってきたんだね!」
りっちゃんと呼ばれた胴着の少女は、すばやくイロリにかけより、抱きついた。
イロリよりも大きいかもしれないその胸が押し付けられ、若干戸惑う。
「そっか。ちーちゃんが私に会わせたい人って、りっちゃんだったんだ……」
『蒼天院 理科子(そうてんいん リカコ)』。幼稚園の時の友達だった。
少し遠くにすんでいたため校区が違い、学校が同じになったことはないが、千歳とは同じ道場で修業する間柄であり、縁は深い。
そのため、幼稚園時代にいつも千歳にくっついていたイロリも何度も会っていた。
この古武術流派『蒼天院流』の後継ぎであり、蒼天院流の一派『蒼天院炎雷拳』の師範代でもある。
「って、再会の喜びに浸る前に、千歳! 門下生待たせてるんだから、早く『清水拳』教えてよ! ほら胴着!」
指をさした先に、丁寧に折り畳まれた胴着と黒帯が置いてあった。
イロリが視線を移すと、道場の奥に門下生達が座っている。
イロリたちよりも小さな少年少女がおもであり、大人は全くいない。今は思い思い遊んでいる。
<> ワイヤード 第十二話 後
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/27(月) 00:10:08 ID:aOh43Lz2<> 「わかったよ、ったく……」
「文句言わない。『清水拳』はあたしの『炎雷拳』よりも人気なんだ。真面目に教えないとぶん殴るからな!」
「物騒な奴」
面倒くさがりながらも千歳は胴着を拾い上げ、奥の部屋に着替えに入った。
「さて、いっちゃん。あたしらは昔話にでも花を咲かせようか。せっかく再会したんだしね」
「うん。ちーちゃんのお稽古も見てみたいしね」
「……」
「どうしたの?」
「いや、いっちゃん、相変わらず千歳のこと好きなんだなって思って」
「……わかる?」
顔を赤くしてもじもじと照れ始めるイロリ。
それを見て、理科子はイロリが記憶の中にある人物と全く相違点がないことを悟った。
そして、くすっと苦笑いを漏らした。
<> ワイヤード 第十二話 後
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/27(月) 00:10:39 ID:aOh43Lz2<> 「そっかぁ……。道場とかそういうのはあんまり良く覚えてなかったけど、ちーちゃんはここでずっと修行してたんだっけ」
「幼稚園の頃は、あんまり真面目にやってなかったからな。……いつからかな、千歳が強くなったのは」
「私がいた時は、ちーちゃんはあんまり腕っ節のあるタイプじゃなかったからね……」
道場の隅に座りながら、イロリと理科子は互いの記憶を確かめ合っていた。
大抵はイロリがいなかった間の千歳についての質問になっている。
「確かに、昔はそうだった。たぶん、いっちゃんがどこかにいってしまってからかな。千歳が真面目に修行し始めたのは」
「私が……?」
「正確にはわかんないけど、千歳にとってはひとつの変化のきっかけだったんだと思う。……そして、千歳が今みたいに異常に強くなって、『蒼天院清水拳』の師範代になったのは……たぶん『ナギ』って娘と出会ってから」
「え……」
――ナギ……ちゃん?
ナギとの出会いの話は聞いていた。確かに、あの時ナギを護るために不良少年達を一人で倒したと聞いている。あの時はすでにイロリがいなくなってしばらくしていたから、修行の成果は出ていただろう。
しかし、顔に傷がついていたと言っていた。つまり、今の強さじゃない。もう少し弱かった時期だ。
今は――。イロリは千歳が少年達に稽古をつける姿を見る。
今は、もう別次元の存在。恐らく何人の屈強な男がかかってきても傷ひとつつくことのないであろう、別格の拳士。
<> ワイヤード 第十二話 後
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/27(月) 00:11:09 ID:aOh43Lz2<> 少年達の攻撃を受けている千歳だが、全く危なげな様子はない。
この変化は――ナギがもたらしたというのだろうか。
「さて、いっちゃんも道場にきたんだから、稽古体験していきなよ」
ぱんぱんと腰についたほこりを払い、理科子がたちあがった。
「え……?」
「最近門下生が少なくてさ。ちょっとした、デモンストレーション。いっちゃんも、蒼天院流の強さを見たら、入門したくなるよ」
「もしかして、ちーちゃんと戦うところを見せてくれるの……?」
「うん。そのつもり。あたしと互角に戦える人はあんまりいないからね、千歳が来た時は、門下生に清水拳を教えるのとあたしと組み手するのがメインイベントになってるんだ」
「……その勝負、ちょっとまって」
「へ……?」
<> ワイヤード 第十二話 後
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/27(月) 00:11:40 ID:aOh43Lz2<> 「あのなぁ、イロリ」
「ん、どうしたのちーちゃん?」
「無茶だと思うぞ、いきなり理科子と組み手なんて」
イロリは胴着を着てふんふんと息を荒く、士気をあげていた。
「無茶でもいいよ。……私、ちーちゃんに追いつくために、蒼天院流を知らないといけないと思ったから」
「だから戦ってみるのが一番早いってか?」
「うん!」
「……ったく。怪我すんな」
そう言って、千歳はイロリを送り出し、好奇の目で見物している門下生達の隣に座った。
「ねぇ、ちとせおにーちゃん!」
門下生の中でも特に千歳に懐いている少女『ここあ』が千歳に目を輝かせながら話かけてきた。
「ん、なんだ?」
「あのイロリっていう綺麗なおねーちゃん、ちとせおにーちゃんの彼女さん?」
「ばっ……! ちげーよ。アイツは俺と理科子の昔の親友だ。最近この街に帰ってきたんだ」
「ふーん。そうなんだー。でも、イロリおねーちゃん、ちとせおにーちゃんのこと好きみたいだよー」
ここあはニコニコと無邪気な顔をしながらも、真実を敏感に感じ取っていた。
「リカコおねーちゃんのライバルだねー」
「ライバルって、理科子は別に俺が好きなわけじゃねーだろ。ここあ、お前少女漫画読みすぎじゃねーの?」
「えー、本当だってばー。乙女の勘ってやつだよー」
ここあはぶーぶーと口をとんがらせて文句をぶつくさとぶつけた。
「馬鹿言ってないで、組み手の見物でもしてろ。ほら、始まるぞ」
イロリと理科子が互いにお辞儀をして、構えた。
理科子は『蒼天院流炎雷拳』の構え。拳を片方前に突き出し、もう片方を後ろに深くためる。攻撃型の構え。
対して、イロリは適当な構え。格闘技に関しては素人であろうことは傍から見ても分かった。 <> ワイヤード 第十二話 後
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/27(月) 00:12:10 ID:aOh43Lz2<> 「うわー、イロリおねえちゃん本当に素人だねー。あれじゃリカコおねえちゃんには三秒持たないよ」
ここあは素直な感想を口にする。
その推論は恐らく正しい。イロリが技術に見合った強さの人間ならば、だ。
しかし、イロリは違う。
「ここあ、本当にお前はそう思うか?」
「え……うん。確実だと思うけど」
「じゃあ、お前の未熟を悔やむんだな」
「え……?」
ここあが見ると、イロリの姿が消えていた。
「嘘、縮地法……? なんで……?」
「ここあ、よく見てろ。世の中精神だけで『上』に上り詰める人間がいるってことをな」
――長く生きてれば生きてるほど、そういう『絶対に勝てない奴』の存在に気付く。人生はそういうもんだ。
「縮地法か……。あたしと戦うとか言った時はあいかわらず無茶ばっかりすると思ったけど、存外ただの無謀でもないみたいだね!」
理科子は嬉しそうにいいながら、消失したはずのイロリを『目で追っていた』。
「でも――見えてる!」
「!?」
『何も無い空間』を理科子が蹴り飛ばした。すると、イロリが突如出現してその蹴りにあたり、吹っ飛んだ。
「いったぁ〜。りっちゃん、手加減ないなぁ……」
イロリは吹っ飛んだ状態から受け身を取り、一瞬で体勢を立て直す。
「でも、今のはほんの小手調べ! 次は当てるから!」
イロリはまったくダメージがないとでも言うように再び構えた。
「へぇ、あたしの蹴りを受けてそんなにピンピンしてるんだ」
「うん。大体予測できてたから」
「なるほど。こりゃ、本気で行かないといけないかもね」
<> ワイヤード 第十二話 後
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/27(月) 00:12:40 ID:aOh43Lz2<> 理科子が先に動いた。縮地法による一瞬の移動からの拳打。
それを寸前で受け止めるイロリ。そこに理科子の膝蹴りが叩き込まれる。
「(――死角!?)」
すんでのところで身体を後ろに逸らして寸前で頭への直撃を避ける。
「やるね!」
理科子はそのまま振り上げた脚を振り下ろした。
「っ!」
――予測しやすい攻撃!
完全に見切っていたイロリは、その場で両足を振り上げて、理科子の脚を絡み取り、そのまま回転して理科子を浮かせた。
「らいだーきっく!」
イロリはさらに両手を床につけ、逆さに立ったまま浮いた理科子の脚をさらい、体勢を崩してそのままカポエラのようにからだを回転させながらガードの開いた胴体を蹴り飛ばした。
「うぐっ!」
予想外に強力なその蹴りに、理科子が数メートル吹っ飛び、受け身も取れずに床に叩きつけられた。
イロリはさらにジャンプして理科子に追いすがり、追撃を試みる。
「はーとふる……」
「(……まずい!)」
「ぱーんち!!」
ごっ! 鈍い音とともに、道場全体が揺れた。決して立て付けの悪い建物ではない。
イロリのパンチの威力が並外れていた。
「……くっ」
「(……受け止めた!?)」
理科子はギリギリのところでイロリの拳を掴み、直撃を避けていた。
しかし衝撃はしっかりと伝わっており、下側で受け止めた理科子の背中は道場の床にめり込んでいる。
<> ワイヤード 第十二話 後
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/27(月) 00:13:11 ID:aOh43Lz2<> 「まだっ!」
理科子はイロリの腕を掴んで固定したまま、両足でイロリの腹を蹴った。
イロリは後ずさりし、理科子はその隙に立ち上がる。再び、構えたままのにらみ合いとなった。
「……すごい」
ここあは目の前の光景が全く信じられなかった。
いくら修業して、技術をつけても指一本触れられない理科子に、ぽっとでの素人がダメージを与え、なおかつ互角。
「これが、イロリの力ってやつだな」
「もしかして、リカコおねぇちゃん負けちゃうの……?」
「いや、それもないだろ。まあ所詮精神だけじゃどうにもならん壁もある。理科子はそういうやつだ。そろそろ本気だすだろ」
その千歳の言葉通りに、理科子の構えが『変わった』。
「(なに、これ……りっちゃん、さっきとは全然違う)」
見た目上は、さっきと全く同じ、攻撃型の構え。しかし、その本質は全く違う。
その圧倒的な『武力』が、イロリにもはっきり感じられた。これこそが、本物の『蒼天院流』。
さっきまでのは、所詮は素人と戦う程度の型しか使っていなかったということだ。
殆ど相手と同じ状況で戦っていた。
しかし、これからは違う。
オーラとも呼ぶべき、圧倒的な『闘気』が理科子を包んでいた。
「――っ!?」
イロリがその威圧感に気を取られている隙に、理科子は全く見えない速度で間合いまで踏み込んで来ていた。
「すごい! リカコおねえちゃんの縮地法が速く……!」
「いや、ありゃ縮地法じゃねえぞ、ここあ」
「え……?」
「ただ、一歩歩いただけだ」
<> ワイヤード 第十二話 後
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/27(月) 00:13:41 ID:aOh43Lz2<> 理科子の猛攻は続いていた。
さっきまでとは違う、圧倒的なスピードとパワー。
『炎のように激しく、雷のように鋭く』。そんなコンセプトの『炎雷拳』の真髄。
ガトリング砲のような猛烈な打撃の嵐。
イロリは完全に防戦に回っていた。
「くっ……!」
「結構身持ちが硬いね、いっちゃん! しかし……!」
理科子の闘気が膨れ上がる。
「蒼天院流『虎王牙煉牙拳(こおうがれんがけん)』!」
牙のようにくらいつき、ガードを無理矢理こじ開ける。
イロリが無防備になった。
「とどめっ! 蒼天院炎雷拳奥義! 天翔……!!」
「やべぇ!」
千歳がすかさず走り出した。
「神雷……!」
「(……死!?)」
理科子の拳が迫る。イロリはスローモーションのようにそれを見ていた。
見ている事しかできなかった。その拳のあまりのスピードとパワーに、身体はついていかない。
ただ、反応することで限界だった。
その拳から発せられている闘気は、今まで感じていた理科子の身体の中の力全てを凝縮したものだろう。
これがクリーンヒットすれば、人体など次の瞬間には肉片だ。
悲しいことに,引き伸ばされた時間のなかでイロリはそこまでわかってしまった。
「(ちーちゃん、私、まけちゃった……。ごめん……)」
そして、目を閉じた――
「イロリ!」
道場が再び揺れた。
<> ワイヤード 第十二話 後
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/27(月) 00:14:12 ID:aOh43Lz2<> その大きすぎる衝撃に、その場にいた誰もがたじろぐ。
「……千歳、どうして」
「理科子、お前なぁ……」
理科子の拳を、寸前で割り込んだ千歳が受け止めていた。手のひらから血が流れている。
ナイフの時とは違う。無傷で済むような攻撃じゃなかった。
「また勝負に熱くなっちまっただろ。イロリを殺すとこだったぞ……」
「え……そんな。そうだったのか……イロリ、ごめん」
理科子は悲しげに下を向く。
「いや、それはいいけど」
――実際死ななかったし。
「それより、ちーちゃん!」
「ん、なん……っておい!」
イロリがいきなり千歳に抱きついた。
「愛する私を助けるために……! ちーちゃんは宇宙一カッコイイよ!」
「馬鹿、大げさだ! ってか、離れろ!」
無理矢理引き剥がし、一息つく。
「とにかく、だ。理科子、お前が誰に対しても本気出す癖はよーく分かった。だからな、俺が相手してやるよ」
「千歳……」
「言っておくが、イロリを殺そうとした『オシオキ』だからな、本気でやらせてもらう」
「そんな〜」
千歳の強さをよく知っている理科子は、本気でいやそうに文句を言った。
千歳は聞く耳を持たない。
「とにかく、イロリ」
「なに? ちーちゃん」
「よく見てろ。俺の闘いを。たぶん、お前なら分かるはずだ」
「ちーちゃん……?」
「未来を掴みたいんだろ。なら、こんなとこで理科子に負けてるんじゃ話にならないからな」
「……うん!」
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/27(月) 00:14:17 ID:a/tZDQ12<> ヤンデレを外国語に訳すとどうなる?
英語ならstrange loveとか 中国語は病愛とかになるのかな


ともあれ、映画などで危険な行動の比喩をアメリカ風に「美女が素っ裸でハーレムを歩くようなもんだぜ」から
「ヤンデレに別れ話を持ち出すようなもんだぜ」とか
女ならば「ヤンデレの家に行くようなものだ」に変わる日はきっと・・・ <> ワイヤード 第十二話 後
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/27(月) 00:16:33 ID:aOh43Lz2<> 終了です。次の話でキャラクター紹介編から、VSメア編に入ると思います。
ttp://up2.viploader.net/pic3/src/vl2_065752.jpg
落書きは、委員長こと、ミク。
十三話には、おまけで全キャラ分の絵と紹介文をつけますので、お楽しみに。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/27(月) 00:24:56 ID:JbWv/lnF<> GJ!
投下ペースが速くて羨ましい…… <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/27(月) 00:28:28 ID:YtMJYN4r<> GJ!!
イロリは、何でも出来る子、だって愛が有るから <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/27(月) 00:46:22 ID:x0MVHeI5<> >>386
何故strange?どっちかというとcrazyかsick?辺りじゃないか
まあ、外国人からしたら気持ち悪いだけかも知れんな
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/27(月) 01:17:19 ID:pnt8QW5m<> >>387


だがなんだかヤンデレではなく少年誌のバトルものを読んでる気分になるw <> 名無しさん@ピンキー<><>2008/10/27(月) 01:25:46 ID:nd2uiLLj<> GJ!!
一度見た技を使えるなんて・・・イロリ、恐ろしい娘!だがそこがいい!! <> 名無しさん@ピンキー<><>2008/10/27(月) 02:55:22 ID:Q/RqTLrT<> 覚悟と聞いてから…

千歳「その言葉、『宣戦布告』と判断する!!当方に『迎撃』の用意あり!!」
  
千歳「 瞬 着 !!」

  ―――カッ

千歳「『覚悟』完了!!」

これが頭の中にウジのようにわいてくる…ゴメンなさい <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/27(月) 03:19:21 ID:PuDfUyTF<> なんだか知らぬがとにかくよし! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/27(月) 03:40:11 ID:oHqn/OfJ<> ヤンデレ家族こねえな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/27(月) 04:40:19 ID:x0MVHeI5<> >>395
全裸で待機だ、諸君
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/27(月) 05:24:50 ID:vRmCCg2h<> ここでレベル上げしないと死ぬ可能性が <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/27(月) 05:28:05 ID:vRmCCg2h<> すまない誤爆だ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/27(月) 06:05:47 ID:bRwJFnhf<> >>395確かに見ないが待機だ。
ワイヤードの方はGJ。まぁ少年誌っぽいなww <> 天使のような悪魔たち 第5話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/27(月) 13:19:11 ID:m4u6lA7+<> 投下します。ひと段落って感じです。 <> 天使のような悪魔たち 第5話 ◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/27(月) 13:20:52 ID:m4u6lA7+<> 翌朝、俺は拘束しっぱなしだった結意を迎えに行っていた。
明日香はまだ部屋から出てこない。俺に拒絶されたことでかなりのダメージを負っていたようだ。
…正直、とても心配だ。できるならそばについていてやりたい。だけど俺がそばにいたって傷は癒えないだろう。むしろ抉るようなものだ。


「ねぇ飛鳥くん、ごほうびは?」
「…今やるよ。」

こういうときでも結意は結意のままだ。逆に救われるよ。…事情を知らないから当然だけどな。
とりあえず、結意に"ごほうび"をあげた。といってもただのキスだけど。

「ん…飛鳥くん、もっとぉ…」
「悪いが今日はここまでだ。」
「えぇっ…そんなぁ…」
「俺の身にもなってくれよ。これ以上シたら使い物にならなくなる。」

昨日から立て続けに抜かれたからなあ…本気で辛いんだ。わかるだろう?なんつうか…そういうときに勃つと痛い。

「そう。飛鳥くん、そうなんだ。」
「わかってくれたか?」
「うん…昨日は使い物にならなくなるほど他の女としたんだ…。」
「っ!?」
「いったでしょ?飛鳥くんの事ならなんでもわかるって。相手は…あの生意気な妹ちゃん?」
「ち…ちが…」
「今日はもういいよ。使い物になんなくなったら困るから。だから、明日は…ね?」

相変わらずのエンジェルスマイルでなにやら恐ろしいことを言う結意。こいつと付き合うにはそれ相応の覚悟が必要そうだな…と、今になってそれを実感した。 <> 天使のような悪魔たち 第5話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/27(月) 13:21:57 ID:m4u6lA7+<> 朝のホームルームを終えた俺は、隼と屋上に来ていた。
一時間目は数学。聞いてて眠くなるようなこの授業をサボるのはもはや日課だった。同じ眠るならうるさい教師がいないほうがいい。

「で飛鳥ちゃん!昨日はあのあとどうしちゃったのかなー?」
「…なあ隼。遺書の書き方、知ってるか?」
「―――飛鳥ちゃん!?早まるなよ!?」
「いや、書くのはお前だ。」
「って俺かよ!勝手に死なすな!…で?」
「なんだ。手短に済ませ。ただし昨日のことは訊くな。」
「じゃあ単刀直入に…」

一拍置いて隼は切り出した。

「飛鳥ちゃん…結意ちゃんとデキたな?」
「…ああ。」

反論はしない。朝学校に一緒に来た時点で俺たちを知る大勢はそう思った筈だからな…今更無駄な抵抗、だ。

「そーかそーか。これで俺の努力も…」

ん?何か今、聞き捨てならない言葉を聞いたような……
それをいった本人はなにやらばつの悪そうな顔をして、こう続けた。

「…いや、何でもないよ?」
「隼。今度は俺が詳しく話を聞こうか…。」
「まてっ!俺が何をした!?」
「それを今から訊くんじゃないか…ふふ、はははははっ!」
「ひぃぃぃぃっ!?」

―――なんてこった。隼の野郎…結意と裏でグルになってやがった。俺の趣味やら食べ物の好みやらその他色々全部結意にリークしていたんだ。
問題は……なぜこんな真似をしたか、だ。

「さあ隼…なんでこんなことしたか言ってもらおうか。」
「…わぁったよ。でも、結意ちゃんに言うなよ?」
「わかってる。」

俺の返事を聞いた隼はとうとう諦めたような顔をし、語り始めた。
<> 天使のような悪魔たち 第5話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/27(月) 13:22:42 ID:m4u6lA7+<> ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼


今から2ヶ月…いや、もうちょい前かな。結意ちゃんを見かけたのは。
結意ちゃん、泣いてたんだよ。空の弁当箱を持って。それこそ、今にも死んでしまいそうなくらい絶望し
ていた…そう見えた。気になったから、俺は次の日朝早く来て様子を見てたんだ。そうしたら…

「えへへ…今日は肉団子と卵焼きとね、うさちゃんりんごも入れてみたんだ。たくさん食べてね?」

そう言いながら、飛鳥ちゃんの下駄箱に弁当箱を入れてたんだ。
それだけでもうわかったよ、前日の涙のわけを。

それから一時間後くらいかな、飛鳥ちゃんはいつものように登校し、いつものように下駄箱を開け…もうわかるだろ?

「飛鳥くん、肉団子きらいだったの?ごめんね…気づかなくて……ごめん…ね…」

結意ちゃんはただ泣いていたよ。飛鳥ちゃんを恨むでもなく、ただひたすら自分を責めてた。
普通に考えたら、結意ちゃんの行動はあまりに的外れだよな。でも、俺は知ってたからさ。そうまでして好きな人に尽くしたいっていう気持ちを。たとえ何度踏みにじられよ
うと、な。

だから俺は結意ちゃんに協力したんだ。飛鳥ちゃんの情報を教えたりしてな。…弁当はやめとけって言ったんだけど、

「飛鳥くんにどうしても食べてほしいの。」

と言って聞かなかったよ。そして毎日、あまりにきれいすぎる弁当箱を抱えて泣いてた。さすがに我慢できなくてな、明くる日ついに切り出したんだ。

「なあ…あいつの友人である俺がこんなこと言うのもなんなんだけどよ…もうやめたらどうだ?」
「…なにいってるの、隼くん?」
「もう見てらんないんだよ。そうやっていつまでも裏切られて、それでも尽くして尽くして…結意ちゃん、あんなやつのどこがいいんだよ?」

そうしたら結意ちゃん、なんて言ったと思う?

「飛鳥くんはね…私のすべてなの。飛鳥くんになら何度踏みにじられても、たとえ乱暴に犯されても、たとえ殺されたとしても…私はそれで幸せ。だからいっぱい尽くすの。

そしたらいつか、私の方を見てくれるよね?そして、ありったけの汚い言葉で罵ってくれるのを待ってるの。本当に、それだけでいいの…。」

そう、笑って言ったんだ。目にはたっぷり涙を溜めてな……。ほんと、見てらんなかった。だから言ったんだ。
俺がなんとかしてやるって。

それがついこないだ。飛鳥ちゃんのゲイ発言の少し前くらいかな。
<> 天使のような悪魔たち 第5話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/27(月) 13:24:17 ID:m4u6lA7+<> ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

そこまで話して隼は一息ついた。
…何も言い返せなかった。結意を諦めさせるために今まで俺がしてきたことがどれほど残酷だったかを思い知らされたからだ。

「察しの通り、昨日のアレは俺のアイデアだ。飛鳥ちゃんは昔から鬼ごっこのときも隠れるくせがあったからね。」
「隼…。」
「おっと…俺を殴りたきゃ好きにしろ。だけど…わかってるだろうな?飛鳥ちゃんが今までしてきたことを……それでもあの子は飛鳥ちゃんを慕ってるんだ。…もう結意ちゃんを傷つけるなよ?」

わかってる。俺は結意を選んだんだ。だったらそれは当然のことだ。

「…その時は、俺を殺せばいいさ。」
「…しっかり頼むぜ、俺のぶんまで。」

それだけ言い終えて隼は屋上を去った。……あいつはほんと、昔からいいやつだよ。

放課後、俺と結意は一緒に歩いていた。それだけでも結意は本当に幸せそうだった。俺と今こうしていられることがそんなに嬉しいのか…。
正直なところ、未だにわからないんだ。どうして結意はこんな俺を好きなんだ?

でも、とりあえずひとつだけ決めたことがある。

「なあ…明日さ、弁当作ってくれないか?」

今度は、俺が結意に応える番だ。

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

夜の帳が落ち、星が見え始めたころ、少女はようやくこの街に降り立った。

「やっとみつけた。アスカ、待っててね?今すぐ行くから。」

再び歩みを進める。もう追っ手を恐れる必要はなかった。やつらはこの街では問題を起こしたがらない。それに、行く先もおそらくわかってるはず。
たぶん、隠密に先回りしてる。それでも行かなきゃいけない。虎穴に入らずんばなんとやら、だ。

「待っててね…お姉ちゃん、もうすぐ帰るから、ね?」

少女の名は、亜朱架といった。 <> 天使のような悪魔たち 第5話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/10/27(月) 13:25:18 ID:m4u6lA7+<> 終了です。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/27(月) 15:29:17 ID:acnBg5GE<> GJ!!
ククク、面白くなって来たじゃないか・・・。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/27(月) 15:32:26 ID:oIHvn4cg<> ポケモン黒まだー? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/27(月) 17:30:06 ID:mC+1Tb6N<> GJ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/27(月) 22:07:23 ID:hX51jk+G<> ポケモン黒は11月までお預けかのう
早く草香さんの蔓でゴールドを・・・ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/27(月) 22:09:44 ID:R7Z9QTuB<> >>409
気持ちはわかるが作者さんの気を急かす書き込みは自重しようや <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/27(月) 23:36:44 ID:guXcT6hM<> >>405乙、おらぁワクワクしてきたぞ。特に最後のセリフ <> 名無しさん@ピンキー<><>2008/10/27(月) 23:56:43 ID:hdpC8mI/<> GJ!!
え?お姉ちゃんって・・・今後の展開にwktk <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/28(火) 01:06:50 ID:gph/h7Wi<> やべえ続きが気になってしょうがないw <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/28(火) 02:02:08 ID:pr05ysaE<> 短編が読みたい…
<>
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/28(火) 15:39:07 ID:gifGW32h<> >>405 三人目の『アスカ』の登場など、いろいろと加速してきましたね。
 期待度高まってきました。GJ!

投下します。こちらもひと段落……(?) とにかくキャラの顔みせは大体終了です。 <> ワイヤード 第十三話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/28(火) 15:39:49 ID:gifGW32h<> 第十三話『ネクストステージ・始動』

道場の中心で向かい合う千歳と理科子。二人の周囲には誰にも踏み込ませないほどの強力な闘気の壁がある。
見物に回ったイロリと、隣に座るここあももはや言葉を発することができず、ただ見ているのみ。
もはや、この勝負は向かい合った時点から始まっていた。
「(すごい……これがちーちゃんの『清水拳』)」
理科子の微妙な視線の変化と、脚の筋肉の収縮。次の動きへの予備動作。千歳はその全てを見切り、微細な牽制を繰り返していた。
おそらく、かなり修業をつんだものか、感覚の鋭いものにしか見えないであろう、その牽制。
この場では、イロリと、この道場でもトップクラスの実力を持つ数人の門下生達――ここあを含む――にしか気づけなかっただろう。
「(完全にりっちゃんの動きを『殺している』)」
攻めを重視している『炎雷拳』の理科子が攻められない。この時点で理科子は有利な点を全て剥奪されたようなものだ。
膠着状態。
このままにらみ合っていては互いに攻められない。
「(ちーちゃん……どう攻める?)」
と、千歳は急に一歩前に進んだ。
「……!」
理科子が一歩下がる。
牽制から急激に前進に転換した千歳の攻めに動揺したのだ。これがただのハッタリであり、『ただ一歩歩いただけ』だというのにも気付かない。
いや、気付いた時にはもう遅い。
「隙ありだ」
千歳の二歩目はさらに加速していた。理科子はさらに後退する。
戦闘において、近距離での逃げは自殺行為。相手から距離を取れるように見えて、それは防御としての役割を果たしていない。
重心がどうしてもぶれるために相手の攻撃を耐えられなくなるし、そもそも隙ができて絶好の攻めどころを相手に与えている。
千歳はそれを逃がさず、縮地法で間合いを詰め、拳撃を腹部に叩き込む。
上半身を逸らしても避けることはできない。動くなら、左右。
千歳の拳は右から繰り出されている。ならば逃げる時、理科子も自らの右側に動くのが最善だろう。
<> ワイヤード 第十三話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/28(火) 15:40:21 ID:gifGW32h<> 「ところがぎっちょん!」
理科子はその読みを無視して、『前進』した。拳を跳ね除けながら、千歳の突き出した腕の内側。懐にまで身体を小さくして飛び込む。
この場所には攻撃はできない。少なくともとっさには。自分に近すぎると、攻撃に勢いがつかない。
しかし、この距離では理科子もたいした威力の攻撃はできない。少なくともイロリの常識ではそうだった。
理科子の炎雷拳の攻めは、それすら可能にする。
「っふぁ!!」
呼気を入れながらの突き。予備動作は殆ど無い。腕を伸ばしきってもいなければ殆ど引いてもいないショートパンチ。
「がっ……!?」
千歳は腹部にそれをまともにうけ、後ろに大きく後ずさる。
――後退した!
ここぞとばかりに理科子が大技の構えを取り、無防備な千歳に飛び込む。
「蒼天院炎雷拳奥義! 石火煉空迅拳!」
空気を切り裂きながらの超高速の突き。『拳が直接当たる前に衝撃波が相手に当たる拳』。
その衝撃が千歳を襲う。
「(――決まった!)」
「……あめぇな、理科子」
両腕を身体の前に円状に回した千歳。驚くべきことに、その円状の動きに衝撃波がかき消された。
「(けど、この技は二段構え……こっちが本命の拳!)」
直接千歳を殴りに行く。
その瞬間、理科子は確かに見た。
超高速の闘いの中だったが、確かに見えた。
千歳が、ふっと優しげに笑みを浮かべたのだ。 <> ワイヤード 第十三話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/28(火) 15:40:52 ID:gifGW32h<> ――お前の拳は優しすぎる。
そう言っているかのように、優しく相手を見守る目。
理科子は、一瞬その目に目を奪われていた。
「蒼天院清水拳奥義……。金剛柳湖陣」
はっとした頃にはもう遅かった。千歳の奥義は既に理科子を捉えていた。
理科子の渾身の攻撃は千歳の手のひらに止められ、完全に衝撃を吸収されていた。
「(まずい……!)」
「破っ!」
吸収し、倍化し、逆流させる。それが蒼天院清水拳。
静かなる水の力。水面に撃った銃弾がひしゃげるように、水はときに相手の衝撃を全て跳ね返すダイヤモンドとなる。
理科子の拳の力が全て理科子自身に跳ね返り、理科子の身体を道場の端の壁にまで吹き飛ばした。
「うあっ!」
どしんと派手に壁に背中を叩きつけられ、理科子はうめいた。
「っつ〜……千歳め、本気だすこと無いじゃん」
理科子では千歳に勝てない。それは理科子自身が一番良く分かっていた。
武道家としての実力は大体同じだが、相性が絶望的に悪い。というより、千歳の清水拳は流派自体がほとんど最強なのだ。
攻撃系の型の拳法でそもそも勝てる相手じゃない。
「ま、こんなもんか。今日はこれで終了ってことで」
千歳が背を向けた。
理科子が呼び止める。
「ま、待ってよ千歳! あたしはまだ……」
「無理だな。ゆっくり風呂入ってマッサージやらストレッチをしろ。でないと明日たぶん立ち上がれなくなる」
「……わかったよ」
もともと常人では耐えることのできない威力である炎雷拳のダメージをその身に受けたのだ。
いかにタフさのある理科子でも、これ以上の無茶はできない。
この勝負は千歳の勝利だった。
<> ワイヤード 第十三話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/28(火) 15:41:22 ID:gifGW32h<> 「んじゃ、これお礼のアンパン」
「まいどあり。じゃあ、身体に気を付けろよー」
「言われなくても!」
つんとした態度で、理科子が扉を閉めた。何をそんなに怒っているのか。千歳には分からなかった。
門下生達もぞろぞろと各々の家への道を歩き始める。千歳とイロリもそれに交じって帰路を進む。
「じゃあちとせおにーちゃん、イロリおねーちゃん、ばいばいきーん!」
無意味にハイテンションなここあと大げさに手を振って別れたときには、イロリと千歳の二人きりだった。
「ねぇ、ちーちゃん」
「ん?」
「りっちゃんとずっと修業してたの?」
「まあ、そうだな。最近はサボってるけど。あいつメール癖悪いんだよ。やたらとメールしてくるから、定期的にいってやらないとキレて大変なことになる」
「そうなんだ……ねえ、りっちゃんって、ちーちゃんのこと好きなのかな?」
「はぁ? 何年も一緒の道場だが、そんな素振りは見せたことが無い! 断じてないな!」
「そうかなぁ……?」
「そうだっての」
千歳はむすっとして早足になり、理科子からもらったアンパンの袋を指の上でくるくると回す。
「そういえば、ちーちゃんって、昔からアンパン好きだったね」
「ああ、そうだな。母さんの好物だったからかもな。それに、理科子のつくるアンパン、美味いんだよ」
「そうだ! ちーちゃんのご両親に挨拶まだだったね、おじさまとおばさま、元気にしてる……?」
「……」
千歳は答えない。
<> ワイヤード 第十三話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/28(火) 15:41:52 ID:gifGW32h<> 「もしかして……」
「死んだよ。母さんはな」
「! ……ごめん、なさい」
「あっ、いや、気にすんな! 悪かったよ。ちょっとシリアスすぎた。お前が悪いことなんてないから!」
「……ちーちゃん、優しすぎだよ」
「そうでもないっての」
「……おじさまは?」
「……元気だ。と、思う」
「思う?」
「……。単身赴任ってやつ」
「そう、なんだ……」
たぶん、もっと違う。何かがあった。
イロリは敏感にそれを感じ取ったが、聞くことはできない。
千歳が傷付いてしまうかと思った。
たぶん、聞けば千歳は答えてくれるだろう。しかし、それに甘えてしまっては、いけないとイロリは思った。
――愛してるから、近づけない。
イロリは千歳を何よりも大切にしている。だからこそ、知らないままがいいことを知った。
「(でも、そんなの悲しいな……)」
――でも、いつか。
「いつか、さ」
千歳が小さく呟いた。聞き取れるか聞き取れないかの瀬戸際の声。
たぶん、聞こえるようには言っていない。独り言。
しかし、イロリには聞こえた。
千歳の声がなによりも大切な、今のイロリには、はっきりと聞こえたのだ。
「いつか、お前とも親父とも、百歌とも……××とも、一緒に笑って過ごせる日が来るかもな。楽しかった、あの頃みたいに」
一部は、千歳がわざと濁していったようで、全く言葉になっていなかった。
しかし、意味はイロリにもわかった。
<> ワイヤード 第十三話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/28(火) 15:42:23 ID:gifGW32h<> ――何かが、あった。
千歳の未来を奪ってしまうなにか。イロリがいなくなってから、確実に何かが変わった。
ナギの言うとおりだ。
変わらないものなんてない。
変わってしまうのが自然で。
今の千歳だって、イロリの好きだった、あの頃の記憶の千歳とは違う。別の存在なんだって。
「(でも……)」
しかし、イロリは諦めることをしないと誓った。
前に進む。それしかできない。
「でも、私は、ちーちゃんのこと好きだから」
「……お前」
「きっと、また幸せになれる。そんな未来が来るから。だから、三つ目の約束、しよう」
イロリは手を差し出し、小指を上げた。
千歳は黙って自らの小指を絡める。
「三つ目の約束。『私は、何があってもちーちゃんを好きでいる。裏切らない。一緒に、幸せな未来を目指す』」
「……その約束、俺の役割がないぞ」
「ちーちゃんの約束は、ちーちゃんが決めて」
真っ直ぐな瞳で千歳を見るイロリ。
それを見ていると、千歳にもまた、過去を打ち破る活力が出てくるかもしれないと感じられた。
そう感じさせる。やはり、イロリというやつは不思議だ。
昔から、そうだった。
<> ワイヤード 第十三話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/28(火) 15:42:54 ID:gifGW32h<> 「そうだな。俺の約束は……すまん、思いつかない」
「な、なにそれー! 台無しだよー!」
「いや、こういうとき格好いい演説ができたら俺も良い男なんだろうがな……なかなか難しいもんだ」
「ちーちゃんは既にスペース級の良い男だけど、そりゃないよー!」
「わかったわかった。じゃあ今の約束は、『絶対に次の約束を交わす。それまでお前との縁を切らない』だ」
「えー……ずるいよぅ」
「悪いとは思ってるけど、お前みたいに頭の回転は速くないんだ」
「ちーちゃんに褒められた……。うれしい! ……じゃなくて! ……でも、これは逆に言えばチャンス?」
「どうしてだ?」
「次の約束が『無ければ』、つまり私達の縁は一生続くんだよね」
「ああ、まあ、条件はそんな感じだな」
「縁があるなら、私の努力でちーちゃんに愛されるようになるチャンスがいっぱいある!」
「……そうだな」
千歳が苦笑する。イロリは何か言いたげにしていたが、このとき二人の帰路の分岐点に立った。
「じゃあ、今日は付き合ってくれてありがとな、イロリ」
「そんな、付き合うだなんて……ぽっ」
「馬鹿! ……ま、怪我しないように気をつけてさっさと帰れよな」
「うん。ちーちゃんも気をつけてね。明日、学校でまたね!」
「ああ、また明日」
イロリは手を振ってから背を向け、とてとてと家に走っていった。
「また急いで……こけんなよ」
背中を見送りながら、千歳はふと昔イロリに抱いていた心配事を今更思い出した。
さて、千歳は家に向かって歩く。
ふと、途中にあった公園を見た。
意識的にではない。適当に視線を移していたらたまたまうつっただけだ。
「なんだあれ……?」
人のような、ゴミのような何かが倒れていた。
<> ワイヤード 第十三話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/28(火) 15:44:06 ID:gifGW32h<> 案の定人間だった。気絶しているだけのようで、命に別状は無い。
ベンチに寝かせて介抱しているが、この浮浪者(仮)は、わりといい服を来た外国人だった。
十字架をあしらったそのマントなどからして、聖職者なのだろうか。千歳はその辺り、よく知らない。
寝顔を観察する。
金髪に白い肌。整った顔の美少女だった。年齢は同じくらいに見える。
「ん……?」
と、金髪の少女は目を覚ました。
「起きたか」
「あなたは……?」
「通りすがりの人。あんたが倒れてたから介抱してた」
「そうか。かたじけない」
難しい日本語も普通に放している。発音も完璧だ。日本に長くいるのだろうか。
「どうして倒れてたんだ……? 病院に連れて行ったほうが良いか?」
「いや、かまわない。腹が減っていただけだ」
「そりゃまたどうして」
「無一文だからだ」
えっへんと、少女は腕を組み、胸を張った。
そんな誇らしげに言うことじゃないだろうと、千歳は内心あきれる。
<> ワイヤード 第十三話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/28(火) 15:44:37 ID:gifGW32h<> ぐきゅるるるるるるるるる。
凄まじい音に、千歳の思考は吹っ飛んだ。
「なっ……?」
見ると、少女が目を輝かせてアンパンの袋を凝視していた。
指をくわえて、ヨダレを垂らしている。ばっちい。
おそらく、腹の虫も、金髪の少女のものだ。相当腹が減っていたのだろう。
「……」
突如アンパンの袋を上に上げる。ささっと追随して、少女もアンパンを見た。
さらに右に移動させる。つられてアンパンを見る少女。
「……欲しいのか?」
こくっこくっ。少女はさらに目を輝かせながら頷いた。
「やらねーぞ。飯ならいくらでも奢ってやるが、これは俺の大好物で……」
きらきらと輝く眼は、そんな言葉もまったく跳ね返してアンパンを見る。
ただひたすらに、輝く純粋な瞳がアンパンを向いていた。
「……ちくしょー」
<> ワイヤード 第十三話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/28(火) 15:45:07 ID:gifGW32h<> 「♪」
もふもふとアンパンをかじる少女。ベンチに座って脚をぶらぶらさせて上機嫌だ。
結局、アンパンをあげてしまった。特大サイズの理科子特別製『リカコスペシャル』だというのに。
千歳はそれがたまらなく好きで好きでしかたがないというのに。
月数回の楽しみだというのに。
涙をのんで、隣の少女を恨めしく見つめる。
「うん、うまいぞ! こんなもの初めて食った!」
「ああ当たり前だよ。アンパンはうまいんだよ! 人間なら誰だって知ってる!」
「そうか……ならば私はここで初めて人間になれたというのか……!」
少女は素直に驚愕した。
ずいぶんと単純……失礼、天然ボケのようだ。
「あなたはいい人だ。私はこの国でクラゲのようにくだらない人間ばかりを見てきたが、あなたは違う!」
金髪の少女は屈託のない笑顔を千歳に向けた。
「ありがとう!」
――ああ。
千歳は思考を百八十度転換した。
――この言葉が聞けただけでも、アンパンの価値はあったかもな。
だれかに感謝されるというのは気持ちのいいものだ。それは誰だって知ってる。
千歳もそれが好きだ。だから、この言葉さえあれば、大抵のものは失ってかまわない。
「じゃあ、もう行くぞ。さっさと食うあてを探すんだな」
もう満足だと、千歳は立ち去ろうとする。
「アリエスだ」
「え……」
「私の名だ。この街にいるのだから、縁もおそらくあるだろう。私はアリエス。あなたは?」
「俺は……千歳。鷹野千歳」
「千歳殿、か。いい名だ。また会えることを祈ろう」
<> ワイヤード 第十三話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/28(火) 15:45:38 ID:gifGW32h<> 「(今日もいろいろあったが、まあいい一日だったかもな)」
人助けもけっこうできたし、イロリとまた仲良くなれた。イロリと理科子を再会させることもできた。
「(このまま、みんなで幸せになれればいいんだけどな)」
イロリも、家族も、委員長も、彦馬も……そして、ナギも。あのアリエスという少女を加えてもいい。
千歳の目の届かないところでもいい。あかの他人でもいい。
幸せになって欲しかった。
笑っていて欲しかった。
生きていることに感謝して欲しかった。
隣にある幸せに、気付いて欲しかった。
「……あの人も」
京都にいるであろう、『あの人』を思い出す。

♪〜愛が愛を 重すぎるって理解を拒み 憎しみに 変わってく前に〜♪

携帯が鳴った。
「ん、理科子か?」
家族と理科子と彦馬以外、アドレスは知らないはず。
ナギはメールそのものを使用しないため、知っていても使わない。
「差出人……!?」
――『鷹野 万里(たかの まり)』。
「そんな……万里……姉……」
<> ワイヤード 第十三話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/28(火) 15:46:08 ID:gifGW32h<> 一体なんの用だ。
あけるのが怖かった。
しかし、見なければならない。
イロリに、自分の過去と向き合う勇気をもらった。
だから、逃げてはいけない。
よし、あけよう。決心した。
「……ん?」
そのとき、千歳は画面に何か光るものを見つけた。
「(何だ……これは、画面の中のもんじゃない……画面の表面に反射して……)」
――矢!?
「うぉ!!」
とっさに身体を最大限ひねった。さっきまで千歳の頭部があった場所を拘束の『矢』が通過し、そのまま携帯電話に当たる。
矢が携帯を貫通し、それごと地面に突き刺さる。アスファルトに突き刺さるほどの、スピードと威力。そして精度。
「(なんだ、一体これは……ボウガンか!?)」
この際、何が起こっているのだとか、命を狙われているのかとか、誰が狙ってきているかとかは関係ない。
自分の身を守ることを最優先に。今は防御に専念すると決めた。
<> ワイヤード 第十三話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/28(火) 15:48:16 ID:gifGW32h<> 「……やるね」
メア・N・アーデルハイドは、目標の予想外の反応速度に感嘆した。
「ボクの第一射をかわすなんて」
手にもっているのは、大型の弓。西洋で使われていた大型の物。
メアが持っていた『骨董品』であるが、その力は『オーバーテクノロジー』。失われた技術の結晶。
名を『アルバレスト』。石でできた、メアのような中学生の少女には到底扱えない代物である。
しかし、メアはこれを軽々と使用していた。信じ難い筋力だった。
なぜボウガンではなくわざわざこんなにとりまわしの悪い弓を使うのか。その答えは簡単だ。
「目標まで3キロメートル。……狙い打つ」
アルバレストの射程は通常の弓やボウガン、いや、拳銃などとは訳が違う。
使う人間にもよるが、最大射程は5キロメートルあり、現在のメアの力でも3キロまでは米粒に命中させるほどの精度をだせた。
さらに、メアはスコープなど使っていない。
目視である。
その視力と腕力と集中力は、もはや通常の人間のそれを遥かに上回っていた。
「……覚悟しろ、鷹野千歳」
人知れず目覚めた狩人は、今まさに、猛獣達の王に挑もうとしていたのだった。
――百歌のために……ボクは、お前を倒す。

そして戦いは始まった。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/28(火) 16:01:26 ID:rSrP051k<> 支援? <> ワイヤード 第十三話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/28(火) 16:05:54 ID:gifGW32h<> あ、一応十三話は終了です。
これで第一章は終わりって感じですね。
こっからはおまけ。キャラ紹介に入ります。 <> ワイヤード 第十三話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/28(火) 16:28:17 ID:gifGW32h<> 注:このSSのヒロインは「全員ヤンデレ」です。今は違えど将来的には絶対に変質します。

レギュラーヒロインズ

西又 囲炉裏(にしまた イロリ)ttp://wktk.vip2ch.com/vipper1067.jpg
:千歳にはじめて出来た友達であり、幼稚園時代の大親友。ある時、イロリの家の都合(詳細不明)でイロリが京都へ行ってしまったため、離れ離れになるが、イロリは千歳を思い続け、ついに帰ってきてしまったところからワイヤード本編が始まる。
一応はメインヒロインであるが、未だヤンデレの片鱗を見せてはいない。しかし初登場時の口調や性格、行動などを見たナギが「吐き気がする邪悪だ」と認識した事実があり、その根本には何か怪物が潜んでいるのではないかという疑いもある。
どうにしろ今のところは千歳への強い愛を原動力に動く純粋な少女であり、安全株と言える。知識が時代錯誤なところがある。

野々村 ナギ(ののむら ナギ)ttp://wktk.vip2ch.com/vipper1069.jpg
:小学二年生のときに千歳とであったとき、互いに運命を感じたというほどの存在。
現在の千歳からの高感度が最も高い人間であるが、千歳もナギも互いにツンデレっぽく振舞ってしまうため表面上はそうでもない。
千歳が好きだというのになんらかの過去の事件から、千歳をあきらめてしまっている。今はイロリの恋路の応援をする立場に回る。ヤンデレの片鱗はほぼ見せず。
実は重度のオタクであり、家のガラクタはフィギュアやゲーム、漫画などオタグッズがほとんどを占めている。スクールデイズで鬱になった経験あり。

鷹野 百歌(たかの ももか)ttp://wktk.vip2ch.com/vipper1070.jpg
:千歳の妹。おとなしく従順でちょっとぼけているがしっかりしていて可愛いというキングオブ妹であり、千歳からも溺愛されている。
……のだが、その心の病みは深く、あるトラウマから世界の全てを「悪夢」だと認識し、兄以外の人間すべてを憎んでいる。
兄の千歳のみを唯一の現実だと思い込み、徐々に依存を強くしていく。千歳に触れることや、千歳の匂いを嗅ぐこと、声を聞くことなどを欠くと「発作」が起こるために、一日一回は千歳を思って自慰行為をしなければならないという制約がある。
また、夜になるとときたま千歳を眠らせてフェラをするという習慣も持つ。最初からクライマックスのヤンデレ。
<> ワイヤード 第十三話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/28(火) 16:29:18 ID:gifGW32h<> サブヒロインズ

井上 深紅(いのうえ ミク)ttp://wktk.vip2ch.com/vipper1071.jpg
:学級委員長であり風紀委員であり、生徒会役員でもある、生粋の委員長。
学校のいたるところに盗聴器やカメラを仕掛けており、あらゆる人間の弱みや情報を握っているらしい。ナギの盗撮写真をちらつかせて千歳を脅し、千歳を何度も強姦する、こちらも最初からクライマックスなヤンデレ。
だが、一度も「好き」「愛している」のたぐいの言葉を千歳にはかけておらず、また、千歳に対し「なにもわかっていない、わからなくてもいい」というように、その行動理由には単純な好意とは違う思惑があるように見られる。
官能小説オタク。

蒼天院 理科子(そうてんいん リカコ)ttp://wktk.vip2ch.com/vipper1072.jpg
:千歳の二人目の幼なじみ。蒼天院道場の一人娘。出てきたばっかりでよく分からないが、実は結構ストレートなヤンデレだったりして、これから出番が増える。
巨乳。一応現時点では千歳に次ぐ高い戦闘力を見せるが、かませ犬になる可能性は高い。

御神 枢(みかみ カナメ)ttp://wktk.vip2ch.com/vipper1073.jpg
:千歳に助けられて、いきなり一目ぼれしたお嬢様。愛犬スティーブをこよなく愛するが、優先順位はすでに千歳が上になっているらしい。
ただの旧華族だった御神家を一気に大財閥になりあがらせたといわれる、裏社会の女。登場時の高圧的な態度も、そのときの顔である。
素の状態だと照れ屋なのだが、状況が切羽詰ると性格が強引になる。

九遠寺 久遠(くおんじ くおん)
:今日からヤのつく自営業の親分の娘。昔千歳に助けられて以来、千歳が好きらしい。未登場。

鷹野 万里(たかの まり)
:千歳の姉。京都にいるらしいが……? 未登場。

アリエスttp://wktk.vip2ch.com/vipper1074.jpg
:飢えて倒れているところを、千歳にアンパンを与えられ、助けられた「金髪の少女」。「ワイヤード」という存在を捜し、その先にある「コントラクター」を求めているらしいが……?

メア・N・アーデルハイド
:真っ白い美少女。百合ヤンデレであり、百歌のために百歌を苦しめる元凶だと判断した千歳を殺そうとする。 <> ワイヤード 第十三話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/28(火) 16:32:51 ID:gifGW32h<> キャラ紹介終了です。
メアと千歳も描いたのですが、諸事情により次回に見送ります。
ヒロイン多いですが、誰が需要あるんでしょうね。
ではまた。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/28(火) 16:34:21 ID:fOLBGM3V<> 乙!
しかし、ヒロインこんなに出しちゃって収拾付くのか…? <> ワイヤード 第十三話
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/10/28(火) 16:38:19 ID:gifGW32h<> あ、誤字が……久遠は、正式には「九音寺」です。すいません。

あと、百歌の項目で「心の病みは深い」って書いてますが、「心の闇」のつもりでした。
でもあってるので良いです。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/28(火) 17:18:35 ID:6hGgjOGP<> ロックオンがいる……。

続き、楽しみにしてます。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/28(火) 17:29:54 ID:vxKd7gPc<> GJ!!
フフ……役者はそろったな… <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/28(火) 17:35:32 ID:o2w1R0YQ<> 乙。
続きが楽しみだぜ・・・ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/28(火) 18:16:26 ID:xapGNrN0<> GJなのですよー


13話が投下されるまでの俺の千歳vs理科子の勝手なイメージ

千歳「>∩( ・ω・)∩<」
理科子「ちにゃ!」
テーレッテー

いや…流派名からして柔の拳vs剛の拳みたいなイメージがですね…
読んだ後はマ・ワ・シ・受・ケになってしまいましたが

んでここあタソもヤンデレ化するのでしょうか <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/28(火) 19:29:07 ID:o2w1R0YQ<> ロリコン自重汁!




いや、俺のことだ。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/28(火) 20:10:45 ID:rF8C6lZg<> GJ!と言わせて貰おう!
後一言だけ言わせてくれ

















お前がガンダムだ!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/28(火) 20:14:53 ID:9kw7BJJl<> >>433
これだけキャラが居るって事は、かなりの長編に
なるって期待していいんですか? でも最後の方で超急展開で一気にヒロイン
を消化していくのだけは勘弁して欲しいかな。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/28(火) 20:15:41 ID:TfscZwQ2<> 作者自演乙 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/28(火) 20:34:22 ID:9kw7BJJl<> >>443
いや、自演じゃないからww <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/28(火) 20:43:48 ID:GJNcbOWE<> 頭のおかしい奴に構うな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/29(水) 00:13:20 ID:5ggwrk49<> GJ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/29(水) 01:54:43 ID:qZtAhQAl<> すげー今更だが止まない雨ニを初めてやったが

みそぎで勃起した <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/29(水) 03:12:42 ID:d6QsmyIY<> それは報告しなくていいです <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/29(水) 09:45:36 ID:qmTd2du8<> ここはSSスレだと納戸入れ歯 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/29(水) 11:22:19 ID:8XbFCZk8<> 真上から急降下手刀のどこで勃起するんだ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/29(水) 13:09:34 ID:G+EotEW3<> 豪鬼乙 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/29(水) 13:44:39 ID:Bv8I2587<> 急降下爆撃ハァハァ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/29(水) 17:22:14 ID:yqa6DRHZ<> 休校、縛劇ハアハア…

よし、監禁されてくる… <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/29(水) 23:05:17 ID:zf5o7tl7<> ところで香草って何て読むんだ?
こう・・・くさ・・・? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/29(水) 23:26:41 ID:zf5o7tl7<> 自己解決
第一話に書いてたわ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/30(木) 18:53:05 ID:hzEn403/<> ヤンデレの名前を間違えるのは平和で数え役満するくらいヤバい
ってじっちゃが言ってたって誰かが言ってた <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/30(木) 20:25:45 ID:sELFqYmn<> そもそも、一介の雌猫がヤンデレと敵対する時点で負けは確定しているよな。
セガールに銃を突きつけるのと同じ、修羅場シリアスというよりもギャグ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/30(木) 21:19:55 ID:gyNSiT/d<> >>456
なぜか、金婚式で
「この人と離婚しようと思ったことは一度もありませんでしたよ。
殺してしまおうと思ったことは何度かありましたけど」
と微笑むばっちゃの話を思い出したw <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/30(木) 23:16:22 ID:aLNxRfs9<> >>458
素晴らしく微笑ましいな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/30(木) 23:37:12 ID:hfYlU9GY<> 明日はハロウィンだな。彼女らにとっては、大義名分を以って
好きな人に好きなことが出来る日って感じになるのかね
Marriage or treat!ってな勢いで

お菓子? 男は用意してたんだけど、多分当日には一個もないんだよ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/30(木) 23:44:58 ID:Cslbd1iy<> Marriage or bride! って勢いだろう <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/30(木) 23:55:29 ID:GSjP94nZ<> まさかの義姉強襲フラグ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/31(金) 21:55:18 ID:9WN+KCr7<> そいえば弩って3000メートルも飛ぶもんなの? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/31(金) 22:31:04 ID:PBi3Q+98<> 英語版Wikipediaによれば「strongest arbalest」で500mまでは正確に狙い打てる <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/10/31(金) 22:31:41 ID:dDGtEpj/<> >>463
文章読む限り、弩じゃなく固有名「アルバレスト」の弓っぽい
調べてみたら、3000mは狙撃銃や対物ライフルレベル
ちなみに狙撃銃だと1k以上で当てるのは困難。アルバレストまじパネェ <>
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/11/01(土) 01:07:53 ID:SmTe1Fw1<> 投下します。どっかで双子ネタの影響受けてからほとんど勢いだけです
<>
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/11/01(土) 01:08:57 ID:SmTe1Fw1<>  路面には桜の花びらが散りばめられている。日差しは暖かく、心地よい。まさに春の始まりにふさわしい光景だ。
時刻は午後12時。入学式を終えた新入生たちはわれ先とばかりに校門でひしめき合い、徐々に外へとはけていく。
そんななか、その男 ―七瀬 翼― は1人音楽室を訪れていた。

部屋の中には一台のグランドピアノが置かれている。七瀬は椅子に腰掛け、ふたを上げて鍵盤を弾き出した。
お世辞にも広いとは言えない、ちょうど一般的な教室およそ二部屋ぶんの空間に旋律が響きわたる。―――が、1分ほどで七瀬は指を止める。

「…はぁ、やっぱり鈍ってんな、指。」

七瀬の唯一の趣味であるピアノ。しかし彼の家はけして裕福とはいえない。七瀬は中学時代、学校のピアノでひたすら欲求を解消し続けてきた。
彼の技術はアマチュアのそれにしては優れていたものだった。教師にも、コンクールに出てみないかと何度か誘われたことがある。が、彼は断り続けてきた。
あくまで、趣味は趣味。弾くのは楽しかったが、プロを目指す気持ちはまったくない。しかし中学卒業から今日までの期間、七瀬がピアノに触れる機会はなかった。
多少は鈍っているのも当たり前といえよう。
七瀬はため息をつき、部屋をあとにしようとした。そのとき、音楽室の入り口から声がした。

「―――最後まで弾かないの?」と、少女の声。
「とっても上手でしたよ。」さらにもう1人。

七瀬は、声の主たちに目をやる。
1人は、肩の長さに切りそろえられた真っ赤な髪の少女。もう1人は、青い髪の少女。どちらもそっくりな顔をしている。
髪の色さえ同じなら区別がつきそうにない、双子だった。

「……ああ、今日は調子が悪いんだ。」七瀬は言い返した。
「明日もここに来るの?」といったのは赤髪の少女。
「そうだな…たぶん来る。」

少女たちは互いに目を合わせたあと、自己紹介を始めた。

「僕は、藤堂 朱音(あかね)。こっちは、妹の浅葱。よろしくね。」
「…ぼく?」
「ああ…癖なの。気にしないで。君は?」
「俺は七瀬 翼。よろしくな。」 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/01(土) 01:09:18 ID:lseGmKG0<> 1km先まで照準がついてる「拳銃」があるよ、とプチミリオタが発言して消える。
ヤンデレ娘さんに愛されたくない。でも愛したい。 <>
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/11/01(土) 01:10:23 ID:SmTe1Fw1<>
* * * * *


 それからというもの、昼休み、放課後と彼らは決まって音楽室に集まっていた。じきに梅雨に入る。ピアノの知識を持つ七瀬ならその管理もぜひ、と担当教員に頼まれてい

た。それによってこうしてほぼ自由に出入りできるようになったのだ。
七瀬は簡単な曲を弾き、姉妹はそれを聴き入る。時には楽しく漫談も織り交ぜる。それが彼らの日常だった。

ある日の昼休み、彼らは同じように集まっていた。

「…ねぇ七瀬、プロは目指さないの?」質問をしてきたのは朱音だ。
「同じことを中学の先生にも訊かれたよ。ピアノは俺にとっては単なる趣味だ。そんなやつが出たところで意味はあるまい?」七瀬は、二人にむけてそう説いた。
「…そういううものなのかな?」
「いいじゃない。」と、浅葱が口を開いた。「七瀬くんのピアノはすごくきれいな音だもん。それを二人じめできてる私たちは幸せ者よ?」
「うん…そうだよね!七瀬のピアノは僕たちだけが知ってるんだよ!」負けじと、朱音が続ける。
「…なんだか、恥ずかしいな……。でもまあ、お前たち聴いてくれるだけで十分だよ。」

ぽんぽん、と双子の頭をたたいてやる七瀬。姉妹はなにやらくすぐったそうに顔をはにかませた。

「そうだ、今日は七瀬のぶんも弁当作ってきたんだよ!」
「……ここ、飲食禁止じゃなかったか?」
「? そうだっけ。ま、いいや。でさ、浅葱ったら妙にはりきっちゃって。今日なんか5時起きだよ?」
「朱音ちゃんっ!そんなこといわなくていいよっ!もう…」

といいつつ、床に広げられる弁当箱。三つあるうちのひとつ、一回り大きい箱はどうやら七瀬のためのものらしかった。
早速、箸をつける七瀬。それを追って姉妹も食事を始める。

「うん…うまいよ。これならいつ嫁に行っても大丈夫だな。」と、七瀬は率直な感想を述べる。
「よ 嫁!?七瀬くんっ!?」浅葱は顔を真っ赤にしてうろたえている。
「浅葱は七瀬らぶだもんね、そのままくっついちゃえば?」
「馬鹿いうな。こんないい娘、俺なんかにはもったいないよ。」

こうして、いつまでも楽しく過ごしていられると、このときは誰も信じて疑わなかった。 <>
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/11/01(土) 01:11:50 ID:SmTe1Fw1<>
* * * * *

 夏が過ぎ、秋も終わりかけた、とある寒い日にそれは起きた。

音楽室には七瀬と、赤い髪の少女の2人。

「…今日は浅葱はいないのか?」七瀬が問う。それに対し朱音は、こう答える。
「あの子は今日は委員会の仕事なんだ。だから、今日は僕だけだよ。それとも、浅葱がいなくて残念?」
「いや…珍しいな、と。お前と二人きりなんて初めてだからな。」
「そうだね。僕は嬉しいよ?七瀬と二人っきり。」

朱音はひと息つき、こう続けた。

「僕、七瀬のことが好きだから…二人っきりになれて嬉しいんだ。七瀬は嫌?」

いきなりの告白に驚く七瀬。が、それも一瞬のこと。次の瞬間、七瀬は朱音の唇を奪っていた。

「嫌じゃないよ。俺も、朱音が好きだからさ。」
「七瀬っ…!」

互いの気持ちを知り、それを噛み締めるかのように抱きしめあう2人。だが、それを見ている人物に気づくことはなかった。

ドアの隙間からこっそり中を覗いていたのは青い髪の少女―――浅葱。
彼女は涙を流していた。目を背けたい。今すぐここから逃げ出したい。なのに、足が動かない。

「朱音ちゃんっ…七瀬くん…どうして…?」

その場にへたりと座り込んで、声を殺して泣きたかった。だが、予鈴がなるまであとわずか。
どうにか壁伝いに立ち上がり、おぼつかない足取りで音楽室を離れた。

それから浅葱は音楽室を訪れなくなった。行けばまた現実を見せつけられる。そのことへの恐怖が、彼女をそうさせた。
しかし家に帰れば朱音と顔を合わせることになる。そうなれば当然訊かれる。どうして来ないんだ、と。
今の浅葱にとって心休まる居場所はなかった。正確には、それらはすべて自分の半身である朱音に奪われた。そう思っていた。
それでも、彼女なりに気を遣い、応援しようとした。…祝福しようとした。
そして2週間が経ったその日、浅葱は再び音楽室を訪れた。

ドアに手をかけ、中に入ろうとしたそのとき、声が聞こえた。

「―――っ ――――! ―――!!」

もはや限界だった。自分と同じ声の、まるで発情した猫のような嬌声。その猫の名を呼びながら荒い吐息をもらす思い人の声。浅葱が聞き取ったのはまさにそれらだった。
浅葱は逃げるようにトイレへと駆け込んだ。これ以上なにもないというまでに吐き、涙が枯れんばかりに泣いた。狂ったように自慰行為もした。
そんな彼女に唯一…いや、ふたつ残ったのは張り裂けそうなほどの七瀬への愛。そして自らの半身への狂いそうなほどの憎しみだけだった。 <>
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/11/01(土) 01:13:22 ID:SmTe1Fw1<>
* * * * *

翌朝、七瀬は音楽室に来ていた。朱音と愛し合うようになってからは朝にも会うようになっていたのだ。
彼女をを待つあいだ、ピアノで曲を弾きこなす。それはいつの日か朱音が教えてくれた、彼女のお気に入りの曲だった。
ひととおり弾き終わり、ふたを下ろす。ふと、ドアのほうから声がした。

「相変わらず、とっても上手だね。」

声の主は赤い髪の少女。だが、七瀬はすぐ違和感に気づいた。

「おまえ…浅葱か?髪染めたんだな。まるで朱音みたいだ。」
「そう…髪染めたの。七瀬くんが好きなのは朱音ちゃんだから、このほうが喜ぶかなぁって思ったんだ。ほら、見て?真っ赤でしょ。」
「ああ…でも、不思議ないろだ。朱音の髪よりももっとこう…まるで血みたいだ。」

浅葱の髪色に対してそう表現した七瀬。浅葱はこう返した。

「よくわかったね。そう、これは朱音ちゃんの血で染めたの。どう、似合う?」

一瞬、その言葉の意味がわからなかった。が、よく見れば彼女の手もまた髪と同じいろの何か…血で染まっていた。

「まさか……お前、朱音を…」殺したのか、と続けたかった。だが、それは言葉にならなかった。
浅葱は、七瀬の唇を自らのそれで塞いだ。数十秒、当事者である彼らからしたら数分にも思える時間だった。
やがて唇は離され、浅葱がこう言った。

「七瀬くん…翼が好きなのは浅葱じゃないんだよね?僕だよね?」

たどたどしいながらも、彼女の言葉遣いはまるで朱音のものそっくりだった。このとき七瀬は理解した。
浅葱は、"朱音"になることで自分に愛されたかったのだ、と。
七瀬は、自分に愛されたいがために自分自身を"殺そうと"している彼女を哀れに思った。しかし、浅葱のこの悲痛な思いをないがしろにすることはできなかった。

「…浅葱。お前がそこまですることはないんだ。だから…もうやめろ…!」

浅葱を抱きしめてそう訴えた七瀬。だが彼女はすでに―――――

「…なにいってるんだい?僕は朱音だよ。浅葱は死んじゃったんだよ。…もうどこにもいない。だから、気にすることないよ。浅葱なんか忘れて、僕と愛し合おうよ、翼。」

すでに、壊れていた。彼女はもはや浅葱であって、浅葱じゃなくなっていた。
今にも泣きそうな瞳で必死にすがりついてくる浅葱。その体は震えていた。
拒否されることへの恐怖からか…?拒めばきっと…いや、間違いなく今度こそ……。七瀬はそう思った。だからこそ、彼女の願いに応えてやるべく、こう言った。

「…ああ。愛してるよ、朱音。」


了 <>
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/11/01(土) 01:15:19 ID:SmTe1Fw1<> 終了です。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/01(土) 01:22:40 ID:awU976Vq<> >>472
gj <> 名無しさん@ピンキー<><>2008/11/01(土) 01:23:36 ID:Sp/0MzHD<> GJです <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/01(土) 01:24:55 ID:SbzJ2g/1<> いいねぇ、双子って
かなりのGJ!
しかしヤンデレものって、結構主人公は墜ちるね。やはり意志薄弱だからヒロインにストレスがたまるのか……? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/01(土) 01:26:24 ID:lseGmKG0<> 正直すまんかったorz

>>472
GJ!マジごめん。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/01(土) 09:20:44 ID:g9qMDXo5<> >>472 双子が二人ともヤンデレだったらもっとよかった。そうすれば、双子で骨肉の争いが始まりそうなのに……。
まっ、いっか。GJ!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/01(土) 11:40:06 ID:YiMR8LSp<> >>472
これは萌えたw
テラGJ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/02(日) 00:15:36 ID:Xqeh1fmP<> ♪ヤンヤンヤン ヤンピューター 男を離さぬヤンピュータ
  今日も懲りずに 開いてみようかな

 ヤンピューターとはコンピューターの究極形の一つ。
 男のパソコンが受信する女の情報を全てウイルスと見なして削除する。
 また、男を監禁するかのように中毒性のあるコンテンツをプレイさせようとする。

エロ画像・動画保存→自動削除
PCでエロゲー→ヒロインの顔がジャック・ニコルソンになる。
女性アーティストの音楽ファイル→クリス・バーンズ(元カンニバル・コープス)並のデスヴォイスに
女からのメール→自動で受け取り拒否
ウイルスが侵入→女のパソコンへ転送
オンラインゲーム→超ハイスペックになる、滑らかな動作で男を離さない
携帯性→持ち運びに便利な大きさ。どこでもネットに繋がる
USB端子→なんかの液で濡れてます。あなたのUSBメモリを挿入してください
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/02(日) 00:39:44 ID:fdqEvqBE<> ネトゲで自キャラの性別を♀にしてたり他の女性プレイヤーと仲良くなったりしたらどうなるんだろうな?
そのネトゲ友がキャラ♀中♂・キャラ♂中♀・キャラ&中共に♀とかでも反応変わるかも <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/02(日) 00:51:46 ID:dLEEBN0D<> >>479
お山の狐か。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/02(日) 06:52:16 ID:ekT8L5up<> 病んでるコンピューターといえばパラノイア

コンピューター「市民、幸福は義務です」 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/02(日) 15:17:00 ID:1KAeMP8h<> 健康のためなら死んでもいい <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/02(日) 15:19:14 ID:XwinDT3F<> >>482
スレチ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/02(日) 15:28:48 ID:1KAeMP8h<> 誤爆した。すまない。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/02(日) 16:16:10 ID:m+9sl9vF<> デレの表現がフライパンで殴るとかそういうのはヤンデレになるの? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/02(日) 16:17:45 ID:XwinDT3F<> デレ故に病んだ行動をとればおk
デレ関係ないのとかは違う
曖昧なのは荒れるもと <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/02(日) 16:19:29 ID:NOvoU8bm<> >>486
それは普通DVって呼ぶと思うよ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/02(日) 16:19:45 ID:be6LQtcX<> >>483
なつかしい
タモリ倶楽部ですね <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/02(日) 22:41:50 ID:24WTXqTj<> 投下が無い・・・だと・・・? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/02(日) 22:46:51 ID:VE9aOcKn<> 銃なんて捨てて、かかってこいよヤンデレ!!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/02(日) 23:14:42 ID:h3feFgYg<> ヤンデレが男を見つけました!一体、何が始まるんです?

第三次世界大戦だ。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/02(日) 23:37:14 ID:Xqeh1fmP<> ・とんでもない、待ってたんです
・ヤンデレはギリシャ(メデイアな)で生まれました。日本の発明品じゃありません
・一番気に入ってるのは貞操だ
・何でこの歌手が女なんだ?女が私だけならすっきりするのに
 →もー、ヤンデレったら古いんだ(フリーセックスの風潮てきな意味で)
・無事帰りたければに彼と別れろ!OK?→OK!(グエーッ!
・追ってくるぞ、あの馬鹿
・誰が忘れるものか、この糞野郎
・ツンデレ!死んだはずじゃ…?
・残念だったなぁ、トリックだよ
・くたばりやがれ
・必ず戻ってくるぞ
・ヤンデレ、楽しみに待ってるぞ
・彼女が生きていればまだ死体は増えるはずだ!
・面白いやつだな、気に入った。殺すのは最後にしてやる
・手荷物はございますか?→いや、これだけだ
・今度余計なことを言うと下の口を縫い合わすぞ
・彼女を起こさないでくれ。死ぬほど疲れてる
・おたくみてえな卑しい雌はもっと慎んで生きなきゃだめだよぉ。やめて!あたしにかまわないで頂戴
 →ケッビッチが!
・だめよ7時半に男とデートがあるの。→今日は休め
・すいません、むこうに黒のトレンチコートを着た女が居るんだけど、彼女まともじゃないの、SASTUGAIされかけた
わ。助けてください!
・クール聞こえるか。頭のイカれた女がいる。ひとりでは手に負えん。応援を頼む
・男君への愛を見せましょ
・容疑者は少女、150p、髪は黒、やたらと目が黒くて濁ってる変態だ
・携帯だ!携帯を出せ! <> わいやーどみにまむ 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/03(月) 01:12:44 ID:mo1fLUoX<> 投下します。
ワイヤード本編はイロリが来た後の話なので、これは補足です。
一話完結の外伝だと思ってください。 <> わいやーどみにまむ1 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/03(月) 01:13:14 ID:mo1fLUoX<> みにまむ1『たちどまったとき』

千歳とナギが、小学六年生くらいだったころのお話。
六月のこと。ナギと千歳は、ナギの部屋で二人遊んでいます。
まだこの時期のナギの部屋は、今と違い普通の整頓された部屋でした。
「なぁ、お前さ……」
「なんだ?」
千歳の呼びかけに、ナギは振り向きもせず答えました。
「さっきから卑怯じゃね」
「だから、なにがだ」
しらばっくれるナギ。千歳の怒りゲージが少しずつたまっていきます。
「いや、だからさ、さっきからナギナギ言い過ぎなんだよ!!」
「何を言っているんだ。ナギは私だ」
「違う、こっちの話!」
千歳は二人の前のテレビ画面を指差します。
「いや、ただの北斗の拳だろう」
「トキだよトキ! トキ使いすぎなんだよ! ナギナギうるせーって! まじ勝てないから!」
二人は、仲良く並んでゲームをしていました。
ゲーム画面には、ナギ操るストロングな病人にいたぶられる千歳の聖帝様のお姿が移っていました。
哀れなことです。ほとんど無理ゲーダイヤに等しいこの対戦をひっくり返すプレイヤー性能は千歳にはありませんでした。
ナギナギと小うるさく瞬間移動を繰り返す白い病人は柔の拳とは名ばかりの剛拳でまた、聖帝に有情破顔拳を繰り出しました。
テーレッテー。
フェイタル・ケー・オー。
<> わいやーどみにまむ1 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/03(月) 01:13:44 ID:mo1fLUoX<> 「鳳凰の夢は潰えたか……お師さん……」
感慨深くナギはつぶやきます。
「お前、マジ卑怯だっつの……」
「卑怯もクソもあるまい。大体、中野TRFのとある修羅はトキすらフルボッコだと聞く」
「そりゃ全一の話。俺は普通の人間。そしてこのゲームはお前の持ち物。接待プレイを覚えるか、もしくは強キャラの使用を控えるくらいしてくれないと」
「千歳、お前ともあろうものが、なにを甘えている」
「はぁ……?」
「トキの柔拳のパクリのような拳法を使うくせに。お前とリアルファイトしたらどうやっても正統派の拳法では勝てんぞ」
「清水拳のことか……?」
――ありゃお前のために……。
そうは思いましたが、照れくさくて千歳にはとても言えませんでした。
「つまりだ、世の中には格の差なんてあって当たり前なんだ。平等じゃないのが当然なんだよ。いちいち下の基準に合わせていたら、世の中悪くなる一方だ」
ナギが得意げに言います。
「そりゃ屁理屈だろ」
むっとして千歳が言い返しました。
千歳は差別なんて大嫌いです。純粋な正義感から、ナギの理論に嫌悪を覚えたのです。
「そうか? なら、男と女のどうしようもない差はどうだ?」
ナギは千歳の怒りなどまるで無視して、続けます。
「男女平等などと、フェミニストは口にするがな。実際男と女じゃ生物としての性質が全く違う。男は力を使って社会を形成し、女や子供を護るようにできている。対して女は、子孫を育てるために出来ている」
「そりゃそうだけど……」
「つまり、社会的格差があると女は男に文句を言っているが、女はそもそも社会のなかで男に勝れるような構造をしていない。女って言うのはな、『生む機械』なんだよ。極端な表現をするがな」
<> わいやーどみにまむ1 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/03(月) 01:14:15 ID:mo1fLUoX<> 千歳は目を丸くしてナギを見ました。
こいつは本気なのだろうか、と。しかしナギの表情は巧妙に本心を隠すもの。よくわかりません。
「お前だって女だろ。そんな不平等じゃだめだって思わないのかよ」
「私には、盲目的な平等の狂信こそがむしろ危険に見える。『違い』があるから、それを埋めるために人は努力するんだ。だから、違いを認め、前に進まなければならない。なのに……」
――完成された平和が目の前にあったとして、それが長く続いた先の未来、人はまだ平等を保てるのか?
ナギはくっくっと笑いながら、そんな質問を千歳に投げかけます。
「答えは、『NO』だろう? 人は忘れる。目の前に完成されたものがあれば、そこで成長を止め、また間違いを犯す」
「……だったら、どうしたっていうんだよ」
「学ばなければならない。私は未来などというものは全く信じてはいないが、人はそれを信じるという。だから変わってゆき、忘れていく。ならばそのつど、学ばなければならない。それが――」
ナギはゲームのコントローラーを手放し、千歳に飛びかかりました。
とっさのことで、千歳も反応が遅れます。
床に組み伏せられてしまいました。ナギは千歳よりも遥かに力があるので、振りほどくことはできません。
「――前に進む、ということ」
「お前……。離せよ」
「いやだ、と言ったら?」
「くっ……」
「何も出来ないだろう。なぜなら、この体勢では私は『絶対的強者』だからだ」
ナギはのしかかったまま、顔を近づけます。
「ナギっ、お前……あぅ!」
ぞくぞくっと、千歳の頭を刺激が駆け抜けました。
ナギが、千歳の首筋を舐めたのです。
「千歳、このまえ学校で性教育を受けたよな。覚えているか?」
「あ、ああ……」
「なら、いくら鈍いお前でももう分かるよな。私は『生む機械』とやらになってみようと思うんだ。これが私の、女としての『学び』だろう」
「――っ!?」
<> わいやーどみにまむ1 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/03(月) 01:14:45 ID:mo1fLUoX<> そのとき見たナギの表情は、小学生とは思えないほどに大人っぽく、艶やかで、そして……。
「怖い、か?」
がくがくと震える千歳。どう見ても普通の状態ではありませんでした。
そう――千歳は昔、姉から受けた仕打ちのことを思い出しているのでした。
その記憶が、今の千歳を縛り付ける鎖なのです。
ナギは、そんな事情つゆも知らずに千歳の上着を脱がし始めました。
「……」
「なんにも喋らないんだな。つまらない」
目がうつろになっている千歳を全く歯牙にもかけず、今度は自分の上着を脱ぎます。
ほとんど膨らんでいない胸があらわになりました。
「なに、ちょっとした子供の遊びだろう。ほら、性的な遊びと言うやつは、幼いうちはよくあるらしいからな」
そう言うと、馬乗りになったまま下にいる千歳のからだに、ぴったりと身体を重ね合わせました。
あらわになった上半身同士が触れ合います。
「ほら、聞こえるか、心臓の音が。これが、私の今の気持ちだ」
とくん。とくん。
確かにナギは今、ただの女の子でした。しっかりと生きて、そして学ぼうとしていました。
しかし、千歳は答えません。
ナギがぴったりとくっつけ合った身体をすこしずつ動かしてすり合わせても、反応がありませんでした。
「(ああ……気持ちいいな)」
互いの体温を感じあい、肉感から実在を確認しあう。ナギにはとてつもない快感でした。
「はぁ……はぁ……」
だんだん息が荒くなってくるナギ。
「(乳首、すれて……気持ち、いい……)」
だんだん強く、速く、激しく身体を擦り付け始めるナギ。
<> わいやーどみにまむ1 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/03(月) 01:15:16 ID:mo1fLUoX<> 千歳は、そんな光景にも反応せず、ただ虚ろな目で天井を眺めているだけです。
「はぁ……はぁ……ちとせぇ……好きなんだ、本当は……私は、ただの女だ……」
たぶん、こんなことしか出来ない。
ナギは、自分にあまり自信を持っていません。
だから、女としてこうして千歳に近づいています。
「でも、これしか出来ないから……お前には……」
独りよがりな自慰を続けるナギ。千歳の姿など目に入っていませんでした。
「……まりねぇ」
「――っ!?」
不意に、ぽつりと千歳がつぶやいたのに驚き、ナギは身体を止めました。
「万里姉……もう、やめて……」
虚ろな表情の千歳から、一筋の涙が流れ落ちます。
「ぁ――」
ナギは、ようやく気づきました。
千歳が今まで抵抗しなかった原因。
全て、理解してしまったのです。
「千歳……」
「万里姉……万里姉……」
呪文のようにつぶやく千歳。
「千歳……お前は……」
<> わいやーどみにまむ1 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/03(月) 01:15:46 ID:mo1fLUoX<> 千歳を家まで送っていったナギは、はれた頬を押さえながら家に帰っていました。
無気力になった千歳を送り届けると、妹の百歌はそれを見て「お兄ちゃんになにしたの!」とナギを殴ったのです。
異常に強い力でした。
ナギが素直に「すまない」と頭を下げていなければ、たぶん殺されていたでしょう。
すくなくとも、あのときの百歌の剣幕だと、そうなってもおかしくはありませんでした。
家につくと、心配そうな表情をした母、頼さんが迎えました。
「ナギ、もしかして、千歳君に……?」
「……私は、なんであんなことを……」
「……ナギ、あなたは、やっぱり私と同じなのね」
頼さんの暖かくて柔らかい手が、ナギの赤い髪を撫でました。
「ナギはね、大人になったの」
「大人に……?」
「発情期っていうのかな……。お母さんもね、昔そんなのがあって」
「発情……?」
昨日受けた性教育には、そんなものありませんでした。
人間にはなくて、動物にあるもの。そう思っていました。
「そう。無いわね。『ホモ・サピエンス』にはね」
頼さんは、優しい目でナギを見つめます。
まるで、昔の自分を思い出し、重ねているようでした。
「いつか、全てを話してあげる。その時がきたら、全部……。だから、今は。千歳君には会わないほうがいいわ」
「母さん……。うん、わかった」
素直にこくりとうなずくきます。
「しばらく、学校はお休みしなさい。わかった?」
「うん……。わかった」
千歳に会えないのは残念でしたが、、ナギは母の言葉には逆らいません。
母も千歳も、同様に大切だったからです。
<> わいやーどみにまむ1 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/03(月) 01:16:17 ID:mo1fLUoX<> 「ふぅ……」
ぱたんと、ナギは自分の部屋の扉を閉めました。
「しかし、発情期とは。……私は、一体……。ん?」
部屋を見ると、千歳の上着がおいてありました。二枚着ていたうちの、一枚を着忘れて帰ったようです。
「忘れ物か……」
――いや、私が着せるを忘れたんだ。過失は私にあるな。
自己嫌悪しながら、上着を拾い上げます。
「(……なんだ?)」
妙な違和感を感じます。
「(なんで……。なぜ私は、今)」
――匂いをかいでみたい、なんて思った?
頭では、そう思っています。
しかし、その思考は既に行動にまで移されていました。
ナギは無意識のうちに、千歳の上着に顔を押し当て、大きく息を吸っていました。
「(なんだ……私は、なぜ……)」
そう戸惑う間に身体が勝手に動き始めます。
千歳の上着を顔に押し付けながら、千歳がさっき座っていた自分のベッドに倒れこみました。
「(おい、なにが……一体、どうして)」
わけもわからないままに、身体だけが暴走してナギはいつの間にか下着を取り去っていました。
千歳の上着を、まるで千歳自身のように抱きしめ、匂いを嗅ぎます。
「千歳の匂いだ……」
ここで初めて、思考と行動が一致しました。
<> わいやーどみにまむ1 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/03(月) 01:16:49 ID:mo1fLUoX<> ナギのさっきまでの戸惑いは千歳の匂いの認識と共に完全に崩れ去りました。
股の間に手を伸ばし、むき出しのそこに触れます。
「……ぁ……んっ」
くちゃ。と、液体が糸を引いて指に絡みつきました。
まるで小さな子供のようなその一本筋は、今は一人前の女のようにいやらしく湿っていたのです。
「どうして……こんなに」
思い返せば、千歳に身体を擦り付けたときには既に股間に疼きがあった気がしました。
なら――千歳とただ一緒にいただけで?
ある種の恐怖と、それを超える背徳への興奮がナギを襲いました。
ナギは指でしばらく秘所をこすったあと、我慢ができなくなりました。
「……千歳、ごめん」
千歳の上着を、股に挟み込みました。
その上から指で秘所にこすりつけます。
千歳の匂いが染み付いていくようで、快感はもうどうしようもないほどに加速します。
「う……あぁ、ちとせ……ちとせぇ……」
だらしなくあけた口から漏れる言葉は、その全てが快楽への嬌声か、千歳を呼ぶ声でした。
「私は、生む機械なんだ……」
そういいながらも、更に指を速くします。
「あっ、あぁ……! ちとせ! もうっ……なんかくるっ!」
びくんとナギの身体が跳ね、ぞくぞくと快感が全身を貫きました。
「はぁあ……んぁ……ちとせ……私は……」
初めてのその感覚に、若干の戸惑いを覚えましたが、ナギはもう分かってしまっていたのでした。
「私は、最低だったんだな……」
<> わいやーどみにまむ1 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/03(月) 01:17:20 ID:mo1fLUoX<> 数日後。
自慰行為ばかりをして過ごした『発情期』も終わり、千歳と会ってみると、案外千歳はいつもどおりでした。
変わらない、優しい千歳でした。
しかし、このときからナギは変わってしまったのです。
部屋は、千歳が触れたもので埋まっていきました。
気づいたら、服を脱いで千歳の触れたもののコレクションの山の中で寝ていることが多くなりました。
千歳を思い、衝動的に自慰をしてしまうことが多くなりました。
だから、ナギは変わってしまったのです。
――私は、千歳にふさわしくないんだな。
幸せな未来を捨ててしまったのでした。

ナギはこの日から、少しだけ立ち止まってしまったのです。
それは小さな一歩だと分かっているのに。
その一歩が、踏み出せなくなってしまったのです。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/03(月) 01:19:25 ID:O+5yoh2T<> そろそろ華分と朝歌分補給したいお
上書きもずっと待ってるお <> わいやーどみにまむ1 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/03(月) 01:20:28 ID:mo1fLUoX<> 終わりです。
キャラは多いですし、これからかなり急速展開なワイヤード本編ですが、たまにこういう息抜きをいれていきたいと思います。
誰かがいっていましたが、ヒロインの急激な切捨てとかはやはり良くないので。
これでイロリ以前のキャラクターの掘り下げもできたらいいと思っています。
では、本編は明日にでも。
みにまむ2もお楽しみに。次は理科子の予定ですが、リクエストがあればそのキャラの過去編もやりますので。
では、また <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/03(月) 01:24:42 ID:O+5yoh2T<> うお更新しなかったせいで嫌みみたくなってしもた
そんなつもりはなかったっす <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/03(月) 01:36:52 ID:uBg+A8TZ<> >>505
GJ!こうやって補完していくのも良いです

>>506
ドンマイwまあ、分かってくれるさ
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/03(月) 01:49:18 ID:5GoqKhQu<> 長編が多いんだけど、短編って需要ないの?
短いのなら何個か書けそうなんだけど <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/03(月) 01:52:57 ID:ok2LXcss<> >>508
全然OK <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/03(月) 01:59:07 ID:EM7CMAuN<> >>508
需要ありまくり
楽しみにしてる <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/03(月) 03:05:40 ID:I1WTUF9V<> >>505
やはり北斗プレーヤーだったかw
もしかして有名人だったりして、違ったら一度中野に来てください僕の汚物でレイプして(ry
ともかくGJでした <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/03(月) 09:46:48 ID:xbJizSBo<> >>505
てかメインヒロインだけで良いから、それぞれにルート作って欲しい・・・
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/03(月) 11:28:57 ID:0PDTDIm9<> ナギッナギッ激流に身を任せナギッ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/03(月) 12:21:08 ID:kAHgc3gM<> ジョインジョイントキィ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/03(月) 12:31:56 ID:4gXIqeD9<> 最初に話題振った俺(>>439)が言うのもアレだけど程々にな〜
ついていけない人の事も考えないといかんのだぜ <>
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/03(月) 12:54:50 ID:mo1fLUoX<> ttp://up2.viploader.net/pic3/src/vl2_068294.png
イロリに色塗ってみました。他のキャラにも色塗ろうかと思っています。

>>512 まさか北斗ネタがここまで話題になるなんてこちらも予想外でした。
    自重します。

短編のアイデアを思いついたので、今日は短編にしようかと思っています。夜にまた来ます。 <>
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/03(月) 13:00:50 ID:mo1fLUoX<> ミス、>>515です……。

>>512
最後の最後でルート分岐あるかもしれません。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/03(月) 13:41:27 ID:DzrUaObQ<> GJ!!
たまには逝きぬきもいいね〜。
イロリ胸でけぇwだがそこがイイ! <>
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:22:27 ID:Z1lt/1ae<> 予告どおり、短編投下します。
ちょっとながいかもです。 <> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:23:01 ID:Z1lt/1ae<> 『二人なら』

嘘ばかりついているから、みんなに見放されたんです。
どうしても正直ではない私は、生まれてから一度も本当のことを言ったことがありませんでした。
だから、誰もが離れていく。
私が誰も信じていなかったから。信じられていないみんなは私を信じない。
分かっていました。でも、分かっていてもどうしようもないことでした。
正直な気持ちは私の中にしかなくて。口に出してしまえば幾つかの意味はもう失った、ただの言葉になってしまうのです。
本当のことをいえないと分かっているから、本当のことを言おうともしない。
誠意が無い。
こうして、私は少しずつ孤立していき。
今は、もう一人だけのただの孤独な動物でした。
物語をする存在『人間』とは、もはやとてもいえない、ただの有機物。
それが今の私でした。
「またあの子ボーっとしてる……気持ち悪い」
「放課後なのにね。いっつも最終下校までああして座ってるのよ」
「……ほら、見てよ。やっぱりまばたきしてない……。やばいんじゃないの?」
「クスリとか、やってるのかもねー」
「やだ、最近大学とかでも流行ってるらしいから、ウチらの高校も……?」
「ありえるー」
クラスのみんなは、いつもこうして私を不審者のように扱います。
ただ、こうして座っているだけ。
なにもかもがおっくうで、誰かと関わることも、誰かを観察することも。ただ面倒で。
こうして流れ込んでくる言葉の意味も、本当には分からなくて。
ただ、私は見放されたんだと、そんな自覚だけが心の中に残って。
「あ、チャイム鳴っちゃった。帰らなきゃ」
「あたしもー」
「そうだ、スイーツ食べに行こうよ!」
「マジ、おごりー?」
「んなわけあるかって」
「あたっ」
<> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:23:34 ID:Z1lt/1ae<> 二人はチャイムを聞くとすぐさまカバンを持ち、教室を出ました。仲がよさそうで、何よりです。
私は立ち上がることすらもう面倒で、そのまま座っていました。
このまま、この場所で石になってしまえば良いのに。そうすれば、何も変わらないまま。
『過去』になれる。本当になれる。本物になれる。
でも、それは許してはくれない。
たぶん、あの人が来ます。
「はいどうも、風紀委員ですよー。この時間になっても残っているお馬鹿さんはここですかー?」
がらりと勢いよく扉を開けて入ってきた人。
井上先輩。二年生の、風紀委員。
黒のショートヘアに眼鏡の、一見真面目そうな女性。
実際、生活態度も真面目そのもので、統率力やリーダーシップ、能力が高くて、学校でも優等生。
でも、私は知っている。この人は、私と同じだって。
嘘ばかりついている。
「やっぱり、希望(のぞみ)さんですか。いつもお勤めご苦労様です」
特徴的なくすくす笑いとともに、井上先輩は私に歩みより、肩にぽんと手を置いた。
「でも、このままここにいたら、石になっちゃいますよ。帰りましょう」
優しい手。でも、とても冷たかった。
服の上からでも分かる。とっても、冷たかった。
たぶんそれは、心が冷たいから。
「どうして……?」
「なにがです?」
「どうして、私にこんなにかまってくれるんですか?」
隣に並んで歩く井上先輩に、私は以前からの疑問をついに投げかけた。
<> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:24:05 ID:Z1lt/1ae<> 「かまってるって、そんなに執着しているように見えますか、私は」
井上先輩は、小ばかにしたような笑みを浮かべる。
実際は、穏やかな笑みだった。けど、私にはその心の中にある邪悪が見えるようでした。
「なら言いますけど、私はあなたのことなんて虫けら程度にも気にかけていません。ただ、たまたま帰る方向が同じで、帰る時間が同じだという、ただそれだけです」
「……そう、ですか」
「怒らないんですね。女の子なのに。女性はえてして感情的です。ここは怒る所ですよ、希望さん。そうすれば楽になれます」
「楽……?」
「いつか、分かりますよ。楽に生きるということがどういうことか」
井上先輩は、気分がよさそうにカバンをぶんぶんと振って歩きます。
その姿が、私にはどうしようもなく輝いて見えました。邪悪なのに、なぜか美しく見えたのです。
「私は、あなたの生き方でも悪くないとは思いますけどね」
「え……」
井上先輩が急に放った『好意的な言葉』に、私は一瞬反応できませんでした。
「私は、食虫植物が好きなんですよね。だから、『花』みたいに生きることを目標にしていますし、たぶん成功しています。あなたは、たぶん『石』ですかね」
「石……」
「花も石も、あんまり動かないところは似てますよね。でも、石のほうが、たぶん楽に生きる可能性があります」
――だって、もともと生きてないんだから。
生きていることも、死んでいることも同じでしょう? くすくすと、井上先輩は笑った。
よく見ると、その顔は整っていて、美しいといっても過言ではありません。
いえ、美しいと呼ばなければ、たぶん間違いになるでしょう。
私は、やっぱり井上先輩は嫌いです。
私と同じなのに、違う。決定的な何かが違う。
<> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:24:35 ID:Z1lt/1ae<> 「ただいま……」
家に帰ると、いつもよりにぎやかな声が聞こえてきました。
「お父さん。帰ってるの……?」
「希望。おかえり。さあこっちへ来なさい」
お父さんに連れられて、客間へ向かいます。
この時点で、これ以降がどういう展開になるか、大体予測はついていました。
「よぉ希望ちゃん、久しぶりやなぁ。美人になったやないか!」
「ほほぉ、これはこれは。とんだ上玉ですね」
二人の男。一人はガラの悪い関西人。もう一人は、キャリア風の男。
どちらも、たぶんお父さんの仕事相手か『オトモダチ』。
関西人の方は、以前も会ったことがある。目的は明白。もう一人も、たぶん同じでしょう。
「悪いね、希望。いつも父さんのために……」
お父さんは申し訳なさそうに私に言った。嘘つき。
私の事情になんて蓋をして、この人は被害者ぶって私に自らのエゴの反動を押し付けてくるだけなのです。
でも、もうこれは帰られない現実です。
だから、受け入れてしまうことしかできませんでした。
「じゃあ、ごゆっくりお楽しみください」
お父さんが客間に鍵をかけ、私と男二人が取り残されました。
制服が汚れるからいやなのですが。まあ、これも『仕方の無いこと』なのかもしれません。
「ほらさっさとその制服、ぬぎぃや」
「はは、まあまあ。もう少し楽しみましょうよ、西野さん」
「東郷はんがいうんやったら……」
東郷というエリートサラリーマン風の男は、にやにやといやらしい目で私を見る。
上から下まで、舐めまわすように。
汚らわしいです。えさを目の前にした、豚のよう。
まるで、社会そのものの家畜。
世界の歪み。
<> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:25:10 ID:Z1lt/1ae<> 「そうですね、まずは、スカートを自分の手であげてください」
「……」
無言で従う。両手で、のろのろとスカートをあげ、下着を男に晒しました。寒い。
「ピンクですか。可愛らしいものを。これも、お父さんに頼まれたんですか?」
「……」
「そう言えば、始めましてでしたね。私は東郷、お父さんと、そこの西野さんのお得意さまみたいなものです」
東郷は、礼儀正しく挨拶をしたかと思えば、また下衆な顔にもどって私に近づく。
スカートの中身をまじまじと観察して、顔を近づける。
域が当たってくすぐったい。
「君のお父さんはひどい人ですね。仕事を取るために、可愛い娘さんを売春婦にするだなんて……。もともとあの取り引きはお受けするつもりだったのに、これはとんだ儲けものです」
べろりと、私の太股を舐める。不快感が前進を走り、びくりと震えた。
「敏感なんですね。本当に、上物ですよ」
勘違いをしているようです。
あなたのような人に性感なんて抱いたことはないんですよ。
例えば、今後ろでマヌケ面をして見ている西野。
この男は幾度となく私を汚しつづけましたが、この男の独り善がりなセックスは、もうセックスではありませんでした。
ただの自慰行為。
私の身体を玩具にしているだけ。
この東郷も、たぶん同じ人種でしょう。自分に正直すぎるから、他人のことなんてまるで見えていない。
こういう極端な生き方をする点は、私と同じなのかもしれません。
「さて、下着をおろしてください。ゆっくりと、じらすように……。私にこびながら、ね……」
「……」
ためらいはない。
下着に手をかけ、指示どおりにおろしていく。女の大切な部分があらわになってゆく。
もっとも、私にとってはもうただの穴に過ぎませんでしたが。
さて、今日の夜も長くなってしまいそうです。何時間くらいで飽きてくれるでしょうか。
二人相手だと、しばらくは終わりそうにありません。
獣のように私の身体をむさぼる男達のことなど既に脳内から消去されていて、私はただ今夜の深夜にあるマイナー映画を見られるかが気がかりなだけでした。
<> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:25:40 ID:Z1lt/1ae<> 次の日も、同じです。
睡眠時間が三時間にも満たない私は、授業中も殆ど目を開けたまま寝ていました。
休み時間も、同じ。
寝ていることも、起きていることも、私にはほとんど同じ状態になっていました。
それはたぶん、生きていることと死んでいるということが同じだと、そういう私の現状と同じなのだと思います。
しかし、その日は違いました。
「ねぇ、なんてあんた目を開けたまま寝てるの?」
「――ぇ?」
「あれ、寝てたんじゃないのか。いや失敬。あたしはてっきり目をあけたまま寝ているのかと」
「いえ、寝ていました……」
何故、わかったのですか?
「なんとなく。だってさ、起きてるといろいろ考えちゃって、あんたみたいには静止できないよ。だから、寝てるんだって思った」
「それは……そうですね」
「あ、あたし、同じクラスだけど一応自己紹介しとくね。涼子(りょうこ)。涼ちゃんって呼んでいいよ」
「涼……さん?」
「ちょっと違うんだけどなぁ。まあ、いっか。じゃあ、こんどはあんたの番。クラス同じだから知ってるけど」
「私は、希望(のぞみ)といいます」
「ニックネームをつけるのが難しそうな名前だね」
あはは、と、涼さんは笑った。もしかしたら、生まれて初めてみたのかもしれません。こんな笑顔を。
純粋で、なんの邪悪も無い。
本当に、綺麗な笑顔。
「あの、涼さん」
「ん、なに?」
「私に話し掛けたりして、いいんですか? 見られていますよ……。もしかしたら、あなたも……」
「あんたと同じになるってか?」
先読みされてしまいました。あたりまえでしょうか。
こういうときのいじめられっこのセリフは、大抵同じです。
手を差し伸べて欲しいのに、強がって。誰かの優しさに甘えて。
そんなに弱いから、味方がいないんだって、分からなくて。
<> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:26:10 ID:Z1lt/1ae<> 「ないない! んなわけないって!」
「え……」
涼さんは元気良く私の机の上に座ると、私の顔の前に顔を持ってきました。近いです。
目と目が合う。
一瞬、どきんと心臓が跳ねました。
「ねぇ、希望。あんた、いじめ、止めて欲しい?」
「……私は、いじめられてなんか」
「いないって? 嘘だね。私は知ってる。あんたの体操服ずたずたにされたり、あんたの下駄箱にゴミが入ってたり、お弁当捨てられたり……。全部、知ってんだから」
「……私は」
「ま、ただじゃないんだけどね。先に言わないと詐欺だから言うけど」
「え……」
「あたしの『おもちゃ』になりなさいよ。そうすれば、いじめ、止めてあげるわ。あたし犯人知ってるから、そいつらシメちゃえばいいんでしょ?」
「でも、そんなこと……」
女の子には、無理です。
私の敵は、結構多いんです。
「だいじょーぶだいじょーぶ。あたしはこう見えて、『オトモダチ』がいっぱいいるんだ。こわーい、『オトモダチ』がね」
「……」
「で、あんたは、この状況で立ち止まるか。それとも前に進むか、どっち?」
もう、答えは決まっていました。
いえ、この人に会ったときから、すでに全ては私のなかで決まったのかもしれません。
私は、涼さんのその綺麗な笑顔に、心奪われていたのです。
だから、迷わず首を縦に振りました。
「じゃ、今日からあんたはあたしの『おもちゃ』。あたしはあんたの『御主人様』。わかった?」
「……はい」
<> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:26:41 ID:Z1lt/1ae<> そうして、その日は放課後、すぐに涼さんに誘われて一緒に帰ることになりました。
「ねぇ、あたしの家、こない?」
「え……」
「いいじゃん。あたし、一人暮らしなんだよね。だから家族はいない。誰にも迷惑かかんないし」
「あ、はい。わかりました」
「えらいえらい」
涼さんは私の頭を優しく撫でました。
気に入った玩具を磨く子供のその手に似ていて、私は心地よくて。
顔を真っ赤にしてしまって、涼さんに笑われました。
「ほら、そんな緊張しない」
「はい……」
フローリングに正座してしまった私をソファに導き、涼さんも隣に座りました。
「お菓子とか、好き?」
「あの……それって、スイーツっていうやつ、ですか?」
「へっ……?」
ぽかんと、涼さんは目を丸くしました。
「あの、私、なにかおかしなことを?」
「あはっあははは! 希望おもしろい! あんたの口から、『スイ―ツ』って! こりゃ傑作すぎる!」
「え、そんなに変なことを……?」
「いやぁ、あんたも女の子なんだなって。機械みたいな奴だから興味沸いたんだけど、こんな可愛いやつなんて! ……こりゃ、とんだ拾い物だね」
「そ、そんな……」
――可愛い。
先日、あの男達に散々言われたことでした。
でも、それはただの言葉。なんの意味ももっていないと、そう思っていました。
なのに、涼さんの口から出たその言葉は。
「可愛いよ、希望。あたし、ずっとあんたのこと見てたんだからね」
<> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:27:11 ID:Z1lt/1ae<> ――可愛い。
その言葉が、意味のあるように思えて。
「ロボットみたいに動かなくて。可愛いのにいじめられてて。なんだか、ほっとけなくてさ」
「涼、さん……?」
涼さんは、持ってきたお菓子をひとつ口にくわえます。
チョコレート。たぶん、手作りのトリュフでしょう。とてもとても、甘そうで、綺麗なんビーダマみたいに光っていました。
「涼さん……あっ」
涼さんは突然私の身体を掴んでソファに押し倒すと、私に覆い被さって唇を重ねました。
強引に、チョコレートを私の口の中にねじ込んできます。
「ん……んぅ」
焦って呼吸困難になる私を、冷静にくみふせたまま、舌で攻め立てる涼さん。
私の口の中にねじ込んだチョコレートを舐めとり、私のしたと絡ませあいます。
食べ物が口の中に入ったことで自然に沸いて出た私の唾液を強欲に吸い取り、ずるずると音を立ててむさぼります。
ああ……。その甘美な感触は、すぐに私の脳を沸騰させて機能停止させました。
「んぁ……ん……」
目を閉じ、舌の感触に集中し、正直な気持ちに身をゆだねました。
涼さんの舌にこちらからも絡ませ、涼さんの口の中にも、私達の舌の温度で溶けたチョコを流し込みます。
甘い、甘い。キス。
唇の間から、チョコの混ざった唾液が流れ出て、下にいる私の制服を汚します。
「はぁ……んっ……」
吐息が漏れる。
涼さんは興奮した様子で私をさらに攻め立てます。
私の、チョコで甘くなった舌を一気に涼さんは自身の口の中に吸い上げます。
むさぼるように、互いに顔を近づけ、唾液で口の周りがぐちゃぐちゃになっても気にしないで、長い長いキスは続きました。
<> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:27:41 ID:Z1lt/1ae<> 「……ぷはぁ……。どう、希望。スイ―ツの味」
「……涼さん」
「ん」
「キスって、こんなにも甘いんですね」
「あたしも、今初めて知ったよ」
「そうですか……うふっ」
「あ、あんた、初めて笑ったね」
「そうですか?」
「そうだよ」
「そうかもしれませんね」
「……やっぱ、可愛いんじゃん」
涼さんは、私の上に重なったまま、私の服を脱がし始めました。
昨日の男達と、同じ。
でも違う。
独り善がりじゃない。
「……希望、いい?」
「何を言っているんですか。私は涼さんのおもちゃですよ?」
「そうだったね……。可愛いよ、希望……」
<> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:28:12 ID:Z1lt/1ae<> それからは、まるで夢のような日々が続きました。
私のいじめはなくなり、私は放課後になるといつも涼さんの家でえっちをしました。
とっても気持ちよくて、いままで男達にされていたものはただの自慰行為の手伝いのようなものだと、本当に実感しました。
それでも、私は何度も男達に犯されました。
時には、お父さんにさえも。
処女だって、お父さんに奪われた覚えがあります。
でも、私は抵抗しませんでした。だって、そんなもの私の生活の中では通過点に過ぎなかったからです。
涼さんと一緒にいれば、そんなもの乗り越えることができました。
しかし、そんな夢はたぶん、ただの幻想で。
永遠では、ないのです。
「ねぇ、涼ちゃんって、二年の北林と付き合ってるんだって」
「え、知らなかったの? 有名だよー。涼ちゃんに逆らったら、北林にぶっ殺されるって」
「やっぱり……だから最近涼ちゃんが気に入ってる、あの子。いじめられてないんだ」
「まあ、いい傾向じゃん。あいつ変な奴だからあたしはそんな好きじゃないけど、いじめって言うのはね。短絡的っていうか」
「そうだけど、やっぱり……」
「気にし過ぎだってば。あいつらの問題。あたしらはいつも通りでいいの」
「うん」
そんな会話を耳にしてしまいました。
……恐怖が、私を支配しました。
――付き合っている?
涼さんに、彼氏?
そんな……。
「その話、くわしく聞かせてください」
私は思わず二人に声をかけていました。
あまり性格がよくは無いし、私を好いてくれているわけではありませんが、他の人よりよっぽど正直で、信用できたからです。
案の定、私の剣幕に押されて、詳しい説明を聞くことができました。
<> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:28:42 ID:Z1lt/1ae<> 二年の北林。
悪名高い不良。ごつくて、人相が悪く、見た目は最低最悪。
しかし、その腕っ節で逆らう人間はいません。
こんな類人猿のような男と、あの涼さんが、付き合っている?
ありえない。
涼さんは、天使のように綺麗な人です。
それが、あのゴリラと?
話を聞いてから、私は何度か北林を遠くから観察しましたが、酷いものでした。
威張りちらし、教師すら見下し、本当に、根元から腐った男だと、一目でわかりました。
弱点も、同時にわかってきました。
二年の鷹野先輩を見ると、急に威張った動作を少し緩和する傾向にあります。
鷹野先輩のことは良く知りませんが、たぶん正義感のある人間なんだろうなと思います。
北林が必要以上に威張り散らすのをみると、鋭い眼光を浴びせ掛け、止めさせるのです。
しかし、この弱点を知っても特に使い道はないだろうと思います。私は鷹野先輩と知りあいではないのです。
――弱点?
なぜ、私は弱点なんて調べていたのでしょうか。
わたしは、涼さんのおもちゃであって、親兄弟、ましてや、恋人でもないのです。
涼さんの彼氏――愛した人――を、なぜ私が審査しているのでしょうか?
それどころか――私は北林を倒そうとしていた気がします。
なぜ、そんなことを。
分からない。
分からないんです。
私は、私自身のことすらわからないんです。
<> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:29:13 ID:Z1lt/1ae<> 「涼さん……涼さんっ! 気持ち良いですぅ!」
「あたしも……一緒に、一緒にイこうっ、希望!」
イくのはいつも同時です。そんな些細なことさえ今の私にはうれしいことでした。
「はぁ……希望ぃ、よかったよ……」
「はい、涼さんも……」
ベッドの上で、手と手を重ねあう。
「ずっと、二人でこうしていられればいいのにね……」
「……はい」
ずきん。心に皹が入る。
涼さんは、私のことはおもちゃとしか思っていない。
気に入った玩具で、一生遊べると勘違いしている子供と同じ気持ちなんだ。
それは、人間に対する愛の形じゃない。いつかは、飽きてしまう。終わってしまう。
涼さんが本当に愛しているのは、あの北林。
私は、それに口出しすることは許されません。
なぜなら、私はおもちゃだから。快楽を与える道具だから。
おもちゃは、持ち主を傷つけた瞬間にはただの不良品。
スクラップで、ジャンク。
私は、そこで立ち止まってしまう。
でも、それが正しいと、分かっているんです。
涼さんを愛してしまったから、傷つけたくないんです。
「では、今日は失礼します」
「うん、じゃあね。また、明日」
「はい」
ぺこりと頭を下げ、涼さんの家をでる。
ふりをして、さっき涼さんがシャワーを浴びている好きにあけておいたトイレの小窓から再進入する。
どうしても、黙ってはいられませんでした。
これが現実だと、認めることができませんでした。
だから、確かめようと思いました。 <> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:29:43 ID:Z1lt/1ae<> トイレから物置に移動し、中に入ってじっと待つ。
北林を調べていたとき、偶然、今日涼さんの家に来るという情報を手に入れました。
それが本当なら、あと少しで来るはずです。
……インターホンが鳴りました。
すきまから、少し覗くと、涼さんの顔が見えました。
何故か、悲しそうな顔をしていました。
私には笑顔ばかり見せていた、あの明るい涼さんが、こんな悲しそうに。
何故?
「おう、涼子。来てやったぞ」
北林は偉そうに上着を脱ぎ、涼さんに渡しました。
「うん……シャワー、浴びてきて」
「面倒くさい。今すぐ脱げ」
「え……でも」
「いいから早くしろ!」
北林は涼さんの服に手をかけ、一気にびりっと破ってしまいました。
乱暴に涼さんをベッドに放り投げ、上から覆い被さります。
ベッドは私の角度からは良く見えません。声を聞くしかないみたいです。
「お前、もう濡れてんじゃねえか」
「これは……」
そう、私とさっきまでしていたからです。
「淫乱女が。俺が来るからって、オナニーでもしてたか?」
「ちが……んっ!?」
「はぁ……はぁ……もう我慢できねぇ、ほら、脚開け」
「んっ、やだ、そんな乱暴に……きゃ!」
「ははっ、てめぇなに抵抗してんだ。俺のおかげでいじめられなくなって、俺のおかげでお友達のいじめも止まったんだろうが! その分ご奉仕しろよ!」
そんな……。
北林の力で、私は助けられたんだ。
そんな真実に放心する間に、涼さんの声は大きくなってきました。
<> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:30:31 ID:Z1lt/1ae<> 「いたい……いたいよぅ……」
「ほら、もっと泣けよ!」
「うぐっ……だ、だめ、中は……今日は駄目ぇ!!」
「ほら出すぞ!」
「やだ、やだぁ!」
……もう、いや。
耳を塞いでも聞こえてくる声。
涼さんが、苦しんでる。
これは、私とあの男達の時と同じ。
独りよがりな自慰行為。
もう……。
いつの間にか、涙が流れていました。
いつからだったでしょう。でも、もしかしたら。
生まれたときから、ずっとずっと、泣いていたのかもしれません。
<> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:31:02 ID:Z1lt/1ae<> ――終わった?
気がつくと、北林は帰っていました。もう、深夜。
物置の中で、ずっとすすり泣いていました。
耳を物置の壁につけてよく聞いてみると、外では涼さんのすすり泣きが響いていました。
「希望……希望……」
――私の名前を、呼んでる?
「うぅ……希望……」
すすり泣きながら、私の名前を呼んでいます。
……ここで私は、出て行きたい衝動に駆られました。
でも、ここで出て行ったら、私はただの不法侵入者。救世主ではないのです。
私はおもちゃ。
決して、恋人じゃない。
……。
――また、ここで立ち止まるんですか?
突然響いてきたのは、井上先輩の声。
でも、私は……。
――そうやって言い訳して、ばつの悪い事情に蓋をして。そうして生きてきたから、あなたは孤独だったんです。
分かってる。分かってるけど、どうしようもないよ……。
「希望……」
――聞こえているんでしょう? あなたを呼ぶ声が。
それでも、私は戦う人間じゃありません。涼さんを守れないんです。
――あなたは、今の自分を守るために逃げているんじゃないんですか?
そうだけど……でも、私は、それ以外できないから。
今の、夢見たいな幸福を逃がしたくないから。
だから、何もできない。
――戦うのは、いつだって自分のため。
……でも。
――人間は、自らのエゴのために生き、そしてそのために戦っています。
……でも、私は。
――それを綺麗な言葉で否定して、誰かのために今の世界を守るんだって、変わっていくことから逃げて。
……私と、涼さんは……。
――自分の引き金くらい、自分で引かないと。
……恋人じゃないのに。
――その『覚悟』があれば、たぶん。
……なのに、なんで……。
――もっとちゃんと、自分の足で前に進めると思うから。
「希望……助けて……」
私は――っ! <> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:31:32 ID:Z1lt/1ae<> 「希望……どうして……?」
物置を飛び出して、とうとう涼さんにかけよって抱きしめてしまった。
恋人じゃないのに。人間を気取って。
「涼さん……いえ、涼ちゃん! 私は……私は、涼ちゃんを愛しているから……!」
「希望……」
「だから、その涙を、止めてみせます……!」
「希望……!?」
押し倒し、唇をむさぼる。
あの男の精液を流し込まれたその口の中に舌をねじ込み、あの男の残滓を、掠め取っていく。
「んっ……希望、汚いから、そんなっ……」
「汚いものは、私にこそお似合いなんです」
そう言って、全身を舐めまわす。北林の薄汚い汗や精液を舐めとり、きれいにしていく。
そして、秘所にたどり着いた。
「ん……あ、あぁっ!! だめぇ!!」
涼ちゃんが、感じてる。
北林の時とは違う。もっと大きな快感に身体を震わせている。
「そこは、だめっ、だめ……汚いよぅ……」
「涼ちゃんの身体に、汚いところなんてありません……。それに、あの男の――」
――あの男の残りかすを、全て取り除かないと。
中に放たれた精液を、舌を奥までいれてかきだしていく。
そのたびに快感で涼ちゃんがびくびくと振るえる。可愛いです。
北林はしらない。涼ちゃんがどうすれば感じるか。どうすれば喜んでくれるか。
私は知ってる。私は、涼ちゃんのおもちゃだから。
「あっ、だめ、そこはぁ……! のぞみ、のぞみぃ、そこ、だめぇ!! んあぁあ!!!」
何回目かも分からない絶頂に涼ちゃんは叫ぶ。でも私は、やめない。
綺麗になるまで、バター犬みたいに、機械的に、ずっと、ずっと。
<> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:32:02 ID:Z1lt/1ae<> 「はぁ……はぁ……希望……なんであんたは……」
「すみません……。私、涼ちゃんに彼氏さんがいることを知って、いてもたってもいられなくて……」
「そっか……」
「余計なことをして、すみませんでした……。あの人が、涼ちゃんの愛した人なんですよね。なのに、私はその間に入ろうとして……」
「愛、ねぇ。そんなもん、あんのかなぁ」
「え……」
「聞いてたんでしょう? あたしと北林、利害一致してんの」
「それって、一体……」
「あたしね、本当はバイじゃなくて、レズなんだ」
「……」
「でも、昔そのことがばれて、気持ち悪いって、執拗にいじめを受けるようになった。そのとき、北林が現れてね、あたしにあるセリフを言ったの」
「もしかして……」
「そう、いじめを止めてやるから、おもちゃになれってね」
「そんな……」
「そういうこと。わかった? ……つかれたから、今日はもう寝よう、ね?」
「はい……」
その夜は、綺麗な月の夜でした。たぶん、もう少しで満月になる。
もう少しで。
そして、私達はいつしか手を繋いだまま眠りに落ちていました。
繋いだ手は、互いに強い力で結ばれていて。
決して放さない。
そんな夢物語も、今なら信じてしまえそうでした。
<> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:32:33 ID:Z1lt/1ae<> 「……」
起きると、涼ちゃんはもういませんでした。
先に学校に行ったのかと思いますが、学校にはまだ早い時間です。
見ると、机の上に書きおきがありました。
'ちょっと体調悪いから、病院行ってから学校行くね。先に行ってて。また後でね"
しょうがないと、私は制服を着ました。
置き手紙の横には、私に作ってくれた朝食がありました。
おいしい。
不思議です。涙が流れていました。
ただのサンドイッチなのに。
こんなに……。こんなに、心に染み込んでくるなんて。
そうして、私は学校に行きました。
いつ涼ちゃんが来るか、ずっとどきどきしながら待っていても、涼ちゃんは現れませんでした。
「……涼ちゃん」
ぽつんと、呟く。
でも、誰もいない教室に響くだけです。
放課後になっても、結局姿を見せなかったのです。
涼ちゃんと出会う前と、同じ。まばたきもせず、ただ、石のように固まっていました。
と――がらりと扉が開きました。
「お久しぶりですね。シンデレラさん」
井上先輩は、くすくすと花のように笑いました。
<> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:33:03 ID:Z1lt/1ae<> 「そうですか。あなたは、恋人じゃないから迷っているんですね」
「はい……。私は涼ちゃんの恋人じゃないから」
「で、それに何の問題があるんですか?」
「え……?」
「私は、今とてもとても手に入れたい人がいます」
井上先輩は、とてもきらきらした目をして放し始めました。
まるでそれは、無垢な乙女のように。
似つかわしくない、夢見たいな心で、ふわふわと、楽しそうに。
「その人のことが好きなのかは、私自身にもわかりません。でも――」
「……」
「――私は、後悔しない生き方のために、嘘をついてきたんです。だからこの正直だけは、絶対に逃がしたくないんです。彼を手に入れたいという気持ちだけは、絶対に……」
「井上……先輩……」
「だからっ」
にっこりをこちらを振り返ると、いつもの先輩でした。
「楽に生きるって言うのは、努力を放棄することじゃないんです。欲しい未来のために努力するのも、それは楽に生きてるってこと」
――自分を押さえつけるんじゃ、その嘘は嘘の意味、ないじゃないですか。
くすくすと、井上先輩は笑った。
「……はいっ!」
私は、決心した。
井上先輩のおかげだ。
そういったら、彼女は「なにがです?」と、とぼけていた。
けど、私は知っているんです。井上先輩は、たぶんいろんなことを知っているから。
だから――知らない振りしているんだろうなって。
それが、楽に生きるということ。
悲しい未来にならないために、努力するということ。
強くなるということ。
他人に嘘をついても、自分には嘘をつかない。そんな生き方。
だから――。
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/04(火) 01:33:07 ID:1W2weFdT<> 支援 <> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:33:34 ID:Z1lt/1ae<> 「ねぇ、北林先輩」
「あぁ……? なんだよお前、涼子のダチ……うごっ……?」
マヌケな声をあげて、北林はうずくまりました。
「てめぇ……いきなり……ナイフ……」
おなかを押さえていますが、黒い血がどんどん流れ出ています。
放っておけば、もう、死ぬのも時間の問題でしょう。
でも、楽には死なせません。
「まずは、目です……」
「う、あ、まて、待ってくれ……おい……ああ、あぎゃああああああああああああああ!!!」
「うふっ」
何故だか、笑いがこみ上げてきます。
楽しい。
何故でしょう。私は今、返り血を一杯浴びて、不快で。
でも、楽しい。
「うふっ、うふふふ」
楽しい。楽しい。
涼ちゃんに褒めてもらった笑顔を、今浮かべているんだろう。私は。
この笑顔を、涼ちゃんに見せてあげたいくらいです。
「あはっ、あはははははははははははははははは!!!!! 楽しい、楽しいよぉ!!!!!!」
<> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:34:05 ID:Z1lt/1ae<> 「うふ、ふふふ……」
壊れたオルゴールみたいに笑いながら、私は山に死体を捨てに行きました。
誰かに見られてもかまわない。
返り血を拭かないまま、乱暴に北林を袋に詰めて、お父さんの車を勝手に運転して山に入り、引き摺っていきます。
できるだけ、人に見つかりそうにない場所……。
そう思って探していると、おあつらえ向きに誰も入らなさそうな険しい場所を見つけました。
……ん?
人影。
まずい、隠れないと。
「ねぇ、ちょっと!」
見つかった……! でも、この声は……。
「涼……ちゃん……?」
「うん。こんなとこで会うなんて、奇遇だね」
「はい……。涼ちゃん、その袋は?」
「ああ、これね」
袋をめくると、見知った顔が現れました。
「お父さん……?」
「うん。そうだよ。あと、西野っていうひとと、東郷っていう人は、既に埋めちゃったから」
涼ちゃんは、いつもの純粋向くな笑顔でえへへと笑いました。
「褒めてよ、希望」
「涼ちゃん……」
「ま、いいや。で、それは?」
私の引き摺っている袋を指差す涼ちゃん。
「これは……」
――涼ちゃんの、彼氏。
いえるわけが無かった。彼は涼ちゃんを守るもの。
おもちゃの私がそれを壊してしまった。なら、私は……。
<> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:34:40 ID:Z1lt/1ae<> 「じゃあ勝手にみるね」
「だ、だめ……」
「ご開帳ー! ……へぇ、北林じゃん。昨日ぶりー」
「え……?」
のんきに涼ちゃんは、北林の死体に挨拶をしました。
「いやぁ、相変わらず、死んでもこいつは仏さんっていうよりゴリラだよね。希望もそう思うでしょ……?」
「希望ちゃん、どうして……?」
「そりゃ、あたしのおもちゃを勝手に使う馬鹿は駆除しないと」
涼ちゃんはちらとお父さんを見て言った。
憎悪のこもった目。
でもお父さんのことなんてどうでもよかった。
「この人、涼ちゃんを守ってたんだよ……?」
「いいよ別に。私は、もっと大切なものを手に入れたんだから」
「もっと、大切なもの……?」
――何、それ?
涼ちゃんの大切なもの?
もしかして、おもちゃの私はもう、次の何かにとってかわられて……。
「それはね、希望だよ」
「え……私……?」
「そんなに意外そうにしないでよ。気付いてるとおもったんだけどなぁ、あたしが希望のこと、本気で愛してるって」
「でも、わたしはおもちゃで……」
「おもちゃだけど、代わりはいないでしょ。希望っていう名前の、ひとつだけのおもちゃ」
――だったらそれ、人として立派に生きてるってことでしょ?
涼ちゃんはそう言って私に微笑んだ。やっぱり、この笑顔はすごいです。
私の、皹の入ったこころを一瞬で潤わせてくれます。
<> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:35:11 ID:Z1lt/1ae<> 「ねぇ、希望……。あたしね、ずっと前からあんたのこと、見てたよ。前にも言ったでしょ」
「……でも」
「あたしがレズだからとか、あんたが好みだからとかじゃない。あんたのこと知りたくなって、調べてみたら、なんかあんたのことが、何よりいとおしくなって……だから、あたしは」
涼ちゃんは。
「あたしは、嘘ばっかりついてきた。でも、あんたはそんなあたしを許してくれた。だから、希望には、もう少しだけ正直になろうと思って……」
涼ちゃんは。
「だからさ、この殺人の罪は全部あたしが引き受けるからさ。ばれるまで、ちょっとだけ時間を稼いだから……その時間だけは、一緒にいさせて欲しい」
涼ちゃんは、最初から私を救うつもりだったんだ。
私をただの人形から、人間に変えるために。
でも、それは。
涼ちゃん自身が義性になるということ。
「涼ちゃん、私は……」
「三人も殺したあたしと一緒にいたくないのはわかる。でも、今あたしは正直になったから、だからお願い……!」
「私は、涼ちゃんのこと、誰より愛しているんです。これは、本当の気持ちです」
「……!」
「私も、涼ちゃんと同じ。嘘ばかりついていました。でも、涼ちゃんと二人なら……変われる。前に進める。そう、思ったんです」
これは、私の本当の気持ち。
嘘じゃない。
この気持ちは、絶対に嘘じゃないと、確信しているから。
「だから、涼ちゃんだけが罪を背負うんじゃなくて、二人で……。二人で、ずっと一緒に」
「希望……」
歩みより、涼ちゃんの手を取ります。
小さくて、柔らかくて、暖かい手。
本当のぬくもり。
これは、嘘じゃない。
<> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:35:41 ID:Z1lt/1ae<> 「今夜は、月が綺麗ですね。涼ちゃん」
「うん、そうだね、希望」
見上げると、山奥の森の木々の間から、満月が見えていました。
まるで私達を祝福する光のようで。今の私には、その光すら心地よくて。
「旅に出ましょう。永遠の旅に」
「そうだね、二人なら……」
「死ぬまで……。いえ、私達なら、死んでも手を繋いで……」
「行こう。ここから、また生まれたんだ。あたしたち」
こうして、手を取り合って私達は歩き始めました。
月明かりが照らし出す新たなる旅路。
人としての人生。人として生きられないかもしれない人生。傷付いてしまった人生。
変わっていくこと。それは自然なこと。
変えていくこと。そえは傷付いていくこと。
私達は、変えていくことを選んだ。
それは、前に進むということ。
強くなるということ。
またここで、生まれるということ。

ここでまた、二人の生命を確かめるように、私達は唇を重ねました。
――それはまるで、チョコレートのように。

甘い甘い、約束の味がしました。 <> 二人なら 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/04(火) 01:37:42 ID:Z1lt/1ae<> >>540 支援ありがとうございます。

終了です。ちょっと哲学ちっくになりましたが、退かずに読んでくれると嬉しいです。
短編はまとめるのが難しいですね……。
では、また。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/04(火) 01:39:40 ID:Mby792yb<> >>546
引くなんてとんでもない。リアルタイムGJ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/04(火) 01:40:31 ID:1W2weFdT<> リアルタイムGJ!

切なくてかわいくて悲しくてきゅんと来たぜ… <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/04(火) 01:47:25 ID:CtUU7hgN<> >>546
GJ
いいぞ、もっとやれ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/04(火) 02:00:02 ID:DQD0l2Wd<> とりあえず百合って注意は必要じゃなかったか?
しかしさすがにヤンデレってより、普通に欝系百合話って感じがするな・・・ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/04(火) 03:08:11 ID:F9uCo0ps<>  ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/04(火) 07:21:47 ID:ATNfGRSf<> 具体的基準はないから個人裁量だろうが、まあ予告した方がベターかな
次からは気をつけた方がいいと思われ

話は良い! ちゃんとヤンデレだし、二人ともかわいい! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/04(火) 09:40:28 ID:wAcvtCNp<> GJ!!
百合?イイヨーイイヨー <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/04(火) 14:03:16 ID:i+oGE3yK<> 注意書きはつけてほしいな。
百合苦手な人間も少ないないんだから。 <> 名無しさん@ピンキー<><>2008/11/04(火) 17:33:03 ID:W1q3m/+j<> ・・・・・。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/04(火) 18:11:12 ID:onJ3mvkK<> >>554
イヤなら来るなよ、クソ野郎が。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/04(火) 18:32:25 ID:ATNfGRSf<> >>556 まあまあ、気持ちは分からんでもないが、そう怒りなさんな
ここは百合スレじゃなくてヤンデレスレだから、百合に対してはそういう意見の人もいてしゃーない
来るなとは少なくとも言えない

>>554 あんたも気持ちも分からんでもないが、上の方で作者氏への忠告は完結している
せっかくへの力作にねぎらいもなくまた話題を掘り返して愚痴るのは、あまり好印象じゃない
作者氏も、もしかしたら面白くなかったかもしれないと不安になるかもしれない

ここは小説スレであるから、本来は作者本位のはず
気持ち良く作品を読むためにも、読者もいい雰囲気で作者を迎えるべきだと思う

何度も書き込んですまん
最近多かったから… <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/04(火) 18:39:59 ID:dgW/u7OM<> >>556>>552がとても同一人物とは思えん <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/04(火) 18:40:34 ID:9OcYWsjC<> >>556
テンプレに書かれていることを守ってないんだから言われるのも致し方ないかと
まあ、他の人も注意してるし何度も言うことではないと思うけどね <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/04(火) 20:07:17 ID:3sSacoPP<> ガチホモ耐性は無いが百合は想像もつかないから大丈夫な俺は勝ち組 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/04(火) 21:50:21 ID:Mby792yb<> >>560
なんとなく分かる <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/04(火) 22:01:09 ID:/HmeOot3<> ちょっと前のキモ姉キモウトスレの惨状を見たばかりに少々不安だ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/04(火) 22:08:38 ID:CpGc4m0X<> まぁあっちは姉・妹っていう性別の縛りがあるからな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/04(火) 22:19:52 ID:uN5a6A7w<> 他スレの事情をここに持ち込むな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/04(火) 22:36:01 ID:DqfIoM1e<> いちいちケンカ腰なのはどうにかならんかね <>
◆wzYAo8XQT. <>sage<>2008/11/04(火) 23:39:19 ID:NWqJVb6T<> ハロウィンss投下します
おかしいなあ、今日は十月三十一日のはずだったのに
というわけで、十月三十一日のつもりでお読みください <> Trick or!
◆wzYAo8XQT. <>sage<>2008/11/04(火) 23:40:29 ID:NWqJVb6T<>  ガンガンという音が響いてくる。
 うるさい。
 何なんだ、人ん家の玄関を乱暴に叩きやがって。せめて呼び鈴押せよ。いや、迷惑度

は呼び鈴のほうが高いか?
 俺は布団から体を起こすと、寝巻きのまま着替えもせずドンドンという音を立ててい

る玄関に向かう。
 来客か? だとしたら俺の名前を呼ぶはずだ。宅配便? だとしたら呼び鈴鳴らすだ

ろうし、「宅配便でーす」のような感じのことを告げるはずだ。となると……宗教勧誘

か新聞か? もしそんなことで俺の安息の時間をかき乱したなら、俺は決して許しはし

ない。ドアを即閉めてやった後、ネットにお前らの悪口、というか事実を書き込んでや

る。覚悟しやがれ!
 俺はそんな陰湿な思考をしつつ、玄関ドアについている魚眼レンズを覗いた。が、真

っ暗で何も見えない。誰もいない?
 とりあえずドアを開けてみる。すると何か硬いものにぶつかる感覚と、ガン、という

音とともに「痛っ!」という可愛らしい声が聞こえてきた。
 恐る恐るドアを引いてみると、そこにはデコを抑えた、黒いトンガリ帽子とマントを

羽織った、顔が見えないから断言は出来ないが、多分少女がうつむいて立っていた。お

そらくうつむいているのは俺の所為。
「うわっ!」
 つい驚きが声に出てしまう。誰もいないかと思って開いたのにこんなおかしな格好し

た少女がいたら普通驚くとは思う。というか、冷静になって考えてみれば人がいないな

ら真っ暗じゃなくて外の景色が見えるはずだ。多分この少女がドアにかなり近付いてい

たので、この帽子がちょうど魚眼レンズをふさいでしまっていたから真っ暗になってい

たのだろう。
「だ、大丈夫?」
 結構強く開いたからな。そこそこのダメージだろう。
 俺はとりあえず少女に声をかける。事情を聞くのは後だ。
「は、はい」
 少女の声は若干かすんでいる。両手をデコからどかすと、確かに目の端には涙の粒が

あった。
 ……というか、涙とかそういう以前に、なんだこの確定少女の可愛さは。
 パッチリと開かれた目に、すっと整った鼻。そして柔らかそうな唇! ほのかに朱が

さした頬と潤んだ瞳のコンボはまさしく反則! ドアぶつけてよかった! さらにボブ

カットの黒髪が黒の衣装とあいまってどこかミステリアスな雰囲気を出していて最高だ


 と、いかん、あまりの可愛さにテンションが明らかにおかしくなってしまった。しか

し、本当に五年後が楽しみな逸材である。 <>
◆wzYAo8XQT. <>sage<>2008/11/04(火) 23:41:35 ID:NWqJVb6T<> すいません、手違いで改行がおかしくなったので、初めから投下しなおします。上のは見なかったことにしてください <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/04(火) 23:42:08 ID:7VCCD1G+<> うむw頼むぞよ <> Trick or! ◆wzYAo8XQT. <>sage<>2008/11/04(火) 23:44:08 ID:NWqJVb6T<>  ガンガンという音が響いてくる。
 うるさい。
 何なんだ、人ん家の玄関を乱暴に叩きやがって。せめて呼び鈴押せよ。いや、迷惑度は呼び鈴のほうが高いか?
 俺は布団から体を起こすと、寝巻きのまま着替えもせずドンドンという音を立てている玄関に向かう。
 来客か? だとしたら俺の名前を呼ぶはずだ。宅配便? だとしたら呼び鈴鳴らすだろうし、「宅配便でーす」のような感じのことを告げるはずだ。
 となると……宗教勧誘か新聞か? もしそんなことで俺の安息の時間をかき乱したなら、俺は決して許しはしない。ドアを即閉めてやった後、ネットにお前らの悪口、というか事実を書き込んでやる。覚悟しやがれ!
 俺はそんな陰湿な思考をしつつ、玄関ドアについている魚眼レンズを覗いた。が、真っ暗で何も見えない。誰もいない?
 とりあえずドアを開けてみる。すると何か硬いものにぶつかる感覚と、ガン、という音とともに「痛っ!」という可愛らしい声が聞こえてきた。
 恐る恐るドアを引いてみると、そこにはデコを抑えた、黒いトンガリ帽子とマントを羽織った、顔が見えないから断言は出来ないが、多分少女がうつむいて立っていた。おそらくうつむいているのは俺の所為。
「うわっ!」
 つい驚きが声に出てしまう。誰もいないかと思って開いたのにこんなおかしな格好した少女がいたら普通驚くとは思う。
というか、冷静になって考えてみれば人がいないなら真っ暗じゃなくて外の景色が見えるはずだ。多分この少女がドアにかなり近付いていたので、この帽子がちょうど魚眼レンズをふさいでしまっていたから真っ暗になっていたのだろう。
「だ、大丈夫?」
 結構強く開いたからな。そこそこのダメージだろう。
 俺はとりあえず少女に声をかける。事情を聞くのは後だ。
「は、はい」
 少女の声は若干かすんでいる。両手をデコからどかすと、確かに目の端には涙の粒があった。
 ……というか、涙とかそういう以前に、なんだこの確定少女の可愛さは。
 パッチリと開かれた目に、すっと整った鼻。そして柔らかそうな唇! ほのかに朱がさした頬と潤んだ瞳のコンボはまさしく反則! ドアぶつけてよかった! さらにボブカットの黒髪が黒の衣装とあいまってどこかミステリアスな雰囲気を出していて最高だ!
 と、いかん、あまりの可愛さにテンションが明らかにおかしくなってしまった。しかし、本当に五年後が楽しみな逸材である。
 しかし、こんなおかしな格好をした美少女に俺は一切の覚えはないのだが。
 ハッ! もしかしてこの子は魔界からの使者で、実は俺が魔王の血を引く唯一の存在とかで、魔王が崩御したため俺が時期魔王に就任することになって、そのことを伝えに来たとか!? 
うはーーーーー!! 俺始まった! 始まったよ! もしかして魔界にはこんな可愛い子がゴロゴロ!? うひょー! ハーレム作っちゃうぜえええええええええ!!
 ……ねーよ。アニメの見すぎだカス。
「あ、あの」
「は、はい!!」
 いかん、妄想にふけっていて目の前の景色を認知していなかった。
 少女に声をかけられたことで俺は正気に返る。
「とりっくおあとりーと!」
 少女は先端に星を模した――厳密に星を模しているのなら五角形などではなく円であるべきなのだがそれは置いておいて――構造物のついた長さ三十センチほどの棒でビシッと俺を指しながら、とても可愛らしい声でそう言った。
 トリックオア……なんだって?
 俺はしばし静止し、少女の言った言葉の意味を考えてみる。そして十秒ほどの思案の後、ようやく今日はハロウィンだった、という事実に突き当たる。
 ああ、ハロウィンだから、こんな安アパートにまで回って菓子を掻き集めているというわけか。……この西洋かぶれめ! 非国民め!
日本にハロウィンを祝う風習など存在しない! なんでもかんでも祝えばいいってもんじゃねーぞ! マスゴミに踊らされるな! 自分の脳で考えて判断して行動しろ!
 俺は脳内でどこか的外れなツッコミを高速で展開する。が、無論口に出したりはしない。こんないたいけな少女にこんな罵声を浴びせるのはあまりにも酷に思われたからだ。これが男だったりしたら思いっきりにらんで罵っていたことだろう。可愛いは正義!
「お菓子……ねえ」 <> Trick or!
◆wzYAo8XQT. <>sage<>2008/11/04(火) 23:46:20 ID:NWqJVb6T<>  トリックオアトリート。つまり「お菓子くれなきゃいたずらしちゃうぞ、てへっ」ってことだ。なんという恐喝。でもこの少女にならいたずらされるのも悪くな……悪いに決まってんだろ。俺はロリの趣味はないんだ。
 ならば菓子を与えて追っ払うしかないが、家に菓子なんていうそんな非経済かつ無駄なものはない。お兄さんには金がないんだ! パソコン買う金はあるがな! 出せそうなものは作り置きのカレーくらいしかない。先生、カレーはおやつに入りますか!
「か、カレーならあるけど」
「カレー? もしかしてカレーがお菓子に分類されるとでも思ってるんですか?」
 おほう! なんとクールなツッコミか。お兄さん傷心! 先生によると、やはりカレーはおやつには入らないそうだ。つーかカレーを一体どうやって持ち帰らせる気だよ。
マントにでもかけるか? それなんて嫌がらせだよ。警察呼ばれるよ。まあ俺みたいな人間失格者がこんな国家によって保護さるるべき天使と会話してる時点で、人によっては十分通報モノだと思うだろうけどね!
「お菓子、ないんですね」
 ゾクリとするくらい、少女の声が冷たくなった。帽子の広い鍔に隠れて、表情が伺えないのがより一層恐怖を助長する。
 お前どんだけ菓子好きなんだよ! このスイーツめ! 括弧と笑を付けてやろうか!
 こんなバカなことを考える余裕もまだあったが、俺は内心かなりビビっていた。可愛らしい容姿を持つ少女なだけに、シリアスになったときのギャップはでかい。
「そ、そういうことだから」
 いたずらをされてはたまらん、と俺はドアを閉めた。が、締め切る前に少女はスルリと玄関に滑り込んだ。予想外の行為と素早さに、俺はまんまと少女に俺の城、いや、絶対守護楽園サンクチュアリ! という名のボロアパートへの進入を許してしまった。
どのくらいボロいかというと、幽霊がビビッて近寄らないくらいボロい。なんということだ。これでこの少女がちょっと大きな声を上げようものなら、きっと公僕が一ダースも飛んできて、俺は未成年者略取の疑いで手が後ろに回り、「
刑事さん……なんで俺、こんなことになっちゃたのかな」とか言いながら熱々のカツ丼を顔面に押し付けられ、独房でスタンドの光と刑事の禿頭のコンボによりで蒸し焼きにされてしまうんだ!
 完全に支離滅裂な思考で頭が埋め尽くされる。しかし彼女は冷静そのもの、といった様子で、マントから目と口がギザギザに切り取られた橙色のかぼちゃを取り出した。
ヘタがあるべき部分からは、見事な導火線が伸びていた。ハロウィン定番のキャラクター(?)、ウィル・オー・ウィスプをともすジャックさんのランタンである。
 ウィル・オー・ウィスプはあくまで種火程度のはずだろ! 爆発とか種火ともいたずらともスケールが違うだろうが!
 俺は完全に恐怖し、思わず後ずさる。しかしここは玄関。そしてこんな古アパートにバリアフリーが施されているわけもない。玄関の縁の段差に足を引っ掛けて、そのまま仰向けで転倒してしまった。
「お菓子がないなら、いたずらしちゃいますね」
 少女、いや美少女は俺のそんな様子を見てクスリと微笑み、かぼちゃの顔を俺の顔に向け、頭の導火線を引き抜いた。
 やられる!
 かぼちゃの目と口から噴き出した煙を見て、俺は死を確信した。なんてことだ! ああああよ、しんでしまうとはなさけない! そんなクソッたれな王様の台詞が脳裏をよぎったのを最後に、俺の思考は停止した。おい走馬灯よ、話が違うぜ……。

 ガンガンという痛みが響いてくる。
 頭が痛い。あの世でも身体感覚はあるのだろうか。
 そんなことを思いながら、恐る恐る薄目を開ける。
 まず目に入ったのは木の天井。
 やたら暗いことから、今が太陽が沈みきった後の時間だということが分かる。ずっと目を閉じていたため、闇に目が慣れていなければおそらくまったく何も見えなく暗さだ。 <> Trick or!
◆wzYAo8XQT. <>sage<>2008/11/04(火) 23:47:20 ID:NWqJVb6T<>  そして次に目に入ったのは床に乱雑に置かれた――ばらまかれたわけではない。他人から見たら散らかり放題に見えるだろうが、俺にとってはこれがデフォルトなのだ。
別に俺以外の人間の入ることのない家だ、別に構うまい?――紙やビニール袋、食べたまま放置された食器類。
 ここまでは何の異常もない、平時の俺の部屋の光景だった。あの世ってのが気を利かせてくれて普段と変わらぬ状況を再現してくれているのか、それとも、というかやはり、というか俺は普通に生きていて、なぜか布団の上に安置されているのか。
 そもそも、俺はあのかぼちゃから煙が噴き出してきたのははっきりと見たが、爆発したのを見たわけではない。まあ爆発なんて見たら死んでるだろうけどさ。
となると、あの煙は催眠ガスか何かと考えるほうがつじつまは合う。……どうして少女がそんなものを持っていて、なぜ俺は昏倒させられたのか、という説明を無視すれば、の話だが。
「あ、目が覚めたんですね」
 あの少女の声が聞こえてきた。これで確信できた。俺はまだ生きている。
「おい、いったいこれはどういう……」
 そこまでいって起き上がりかけて、俺は初めて気づいた。俺の両手は畳に突き刺された棒と手錠によって固定されている。足も同様だ。「刑事さん……俺、なんでこんなことになっちゃったのかな」が冗談ではなく事実として起こってしまった。
 いや、事実ではない。刑事が俺を逮捕したのであれば拘置所の床に、あの少女と一緒ではなく、俺一人で転がっているはずなのだから。
 というかどうすんだよ、ここ賃貸物件だぞ!? いくら古いからといって、「ある日突然地面から四本の柱が伸びてきて……」なんて言い訳が通用するとはとても思えん。
「うふふ、とっても素敵でしょう、それ。ホントはクリスマスにサンタクロース姿で乗り込もうと思っていたんですけど、ハロウィンでもなんとかなるんじゃないか、と思っちゃったらもういてもたってもいられなくなっちゃって……。
でもよかった。うまくいって。もし失敗したらどうしよう、って、胸が張り裂けそうだったんですからね」
 彼女はどこかおどけるような、責めるような調子でそう言った。
 これが素敵とは、いい趣味してんな。同じ目に合わせてやろうか。ロリっ娘地獄の監禁調教! ……うへへ、俺のほうがよっぽどいい趣味してるぜ。
 そもそもクリスマスとかハロウィンとか、彼女が何が言いたいのかがいまいちよく分からない。
 唐突な状況。かみ合わない会話。もしかしてこれが巷で話題のいわゆるヤンデレという奴なのだろうか。ええい、俺はクーデレ派なんだ! クーデレこそ至高! ヤンデレなんて興味ないんだ! 流血沙汰なんてごめんだぜ!
「なんで、こんなことをした?」
 悲しきかな、いまや俺の生殺与奪はすべてこのいたいけな少女に握られている状態だ。俺は媚び諂わないながらも、言葉を選びながら彼女に尋ねた。
 返答に彼女の意識をそらさせながら、俺は状況を確認するために首を起こして彼女の声のするほうを見る。すると俺の目に映ったのは、闇に浮かび上がるむき出しの彼女の白い肢体だった。
 彼女の体は本当に白くて美しく、まるで光を発しているようですらあった。どこか生者離れした、静物染みた白さと美しさ。目をそらしたくない。触れてみたい。そんな欲望が頭を擡げる。
ああ! 床に詰まれた本が邪魔で女の子の大事な部分がよく見えん! 糞、誰だこんなに散らかしやがった奴は! 俺だった!!
 待て! 落ち着け俺! 紳士の方ですらYesロリータ、Noタッチ! だ。紳士ですらない俺がこんなガキに欲情してどうする!
 必死に葛藤し、何とか意識を彼女の体から引き離す。部屋は彼女の乱雑に脱がれた服以外に増えたものは見当たらない。おそらく今俺を拘束しているこれらの道具はマントに隠してあったのだろう。 <> Trick or!
◆wzYAo8XQT. <>sage<>2008/11/04(火) 23:47:57 ID:NWqJVb6T<> 「ごめんなさい、こんなことをする子は嫌いですか? どうしても気持ちが抑えきれなくなっちゃったんです。ホント、あたしって駄目な子ですよね……。でも安心してください! すぐにあなたを私なしでは生きていけないようにしてあげますから」
 そう言って彼女はくねくねと恥ずかしげに身をよじらせる。
 うーん、彼女の返答を聞いても、いまいち理由がよく分からない。何せ俺は彼女に対して一切の心当たりがないのだ。こんな可愛い子と面識があったら、例え子供でも忘れるわけがない。
「あの、もしかして人違いじゃない?」
 人違いでこんな目にあっているのならそれはそれでえらい話だが、とりあえず彼女にそう尋ねてみた。
 失敗だった。俺はいわゆる地雷という奴を寸分違わず正確に踏み貫いてしまったらしい。
「ふざけないで!」
 彼女は突然激昂し、俺の上に飛び掛った。
 思ったより衝撃は少なく、俺は内臓破裂の憂き目に会わずに済んだ。しかし、俺はようやく、俺自身も服を脱がされ、全裸にされている、ということを彼女の肌の感触で気づかされた。
「ふ、ふざけてません!」
 俺は慌てて否定する。全紳士の皆様! これは不可抗力でございます! 私めにはどうしようもなかったのであります!! ですから私めは無罪なのであります!
「あ、ああああなたもしかして本当に私のことがわ、わわ分からないっての!?」
 彼女は激しく取り乱している。細い腕で俺の肩を掴み、揺さぶる。なんて滑らかな肌だろう。
「わ、分かりません!」
 彼女の勢いに押され、俺は取り繕うこともせず、正直に答えた。
 その返答がよっぽどショックだったのだろう。彼女はピタッととまったかと思うと、仰向けに俺の上に倒れた。
ああ、俺の息子が彼女の背中に密着して! 彼女の滑らかな背中に圧迫された所為で、我が股間に鎮座している邪気棒――ダークネススティック――が膨張を開始してしまった。鎮まれ……鎮まれ俺の邪気棒よ……。
「ホントに……ホントに私のこと、覚えてないの?」
 彼女は明らかに泣いているようだった。こんな美少女を泣かせてしまったというのは、俺に過失がなくても罪悪感を感じる。
「毎日……毎日すれ違っていたのに……毎日あなたに会うことだけを楽しみに生きていたのに……」
 毎日すれ違っていた? そんなバカな。何せ俺は自宅を守る使途。休みがちの学校に行く以外は人のまったくいない夜中に食料の買出しやゴミ出しに出かけるほかに一切の外出を行っていないのに、毎日すれ違っているわけがない。
「ほ、ホントに分からないの? 私、毎朝あなたのことを眺めていたって言うのに!」
「……ごめんなさい、分かりません」
「バスからあなたの部屋の窓越し私の視線、感じなかったって言うの?」
 ……ちょっと待て。 <> Trick or!
◆wzYAo8XQT. <>sage<>2008/11/04(火) 23:49:40 ID:NWqJVb6T<> 「今なんていった?」
「だから、私の視線が――」
「その前」
「バスからのあなたの部屋の窓越しの――」
「そこおおおおおおお!! 毎日会っていたってバスの中から見ていただけかよ! 分かるかよ! まさか家から一歩も出ずに見ず知らずの人間と毎日会うことができるとか考えもしねーよ!
 つーか俺ほとんど常にカーテン閉めっぱなしで、開けてることすら滅多にねーよ! ふざけてるにもほどがあるだろ!」
 思わず怒鳴る。しかし、俺に非はないだろう?
 が、正論だの何だのが通じる相手ではなかったのが俺の不幸だ。
「なんで分かってくれなかったんですか? 私はちゃんと分かっていたんですよ? その他大勢に混ざっていても、窓越しでも、カーテンが閉まっていても、あたしは一目であなたのことを見つけることが出来ます。それなのに……それなのに!」
 彼女は体を起こすと、そのまま俺の口にキスをした。
 そのまま唇を舌でねじ開けられ、舌をねじ込まれる。
 なんとか拒否しようと首をそらすも、俺の首のふりに彼女も合わせてきて、それを拒むことが出来ない。
 どれだけの時間、くちづけをしていただろうか、息が詰まるような長い時間の後、彼女は頬を紅潮させ、うっとりとした表情で俺から唇を離した。彼女の舌と俺の舌の間に銀の橋が架かる。
「は、初めてだったのに……もうお婿に行けない!」
「ホントに!? あたしも初めてだったの! 嬉しいなぁ」
 愛想を尽かさせようと空気を読まずに冗談を言ったのに、まったくの逆効果だ。
「……まだ今なら引き返せるぞ。お前が俺の両手両足の手錠を解いて、服を着てそのまま帰るなら見逃してやる。だからもうこんなことはやめろ」
「やめるくらいなら、最初からこんなことしません、私だって、これが犯罪行為だってことくらい分かってます。でも、あなたのことを思うと、抑えられなかったんです」
「……お前は俺のことなんて何も知らないだろ。ただバスからほんの一瞬見ていただけだ。悪いことは言わない、もうやめるんだ。俺は人の下だぞ」
「うふふ、あたしがそんな考え無しの子に見えるなんて、ちょっとショックだなあ。あたしはただ見た目だけで人のことをここまで好きになったりなんかしません。
初めて見たあの日、なんとか人ごみからあなたを見つけ出して、そのままずっと後をつけたんです。そしたら毎日バスで前を通る家に住んでいたって分かって! あたし、これは絶対に運命だって確信したんですよ。
それからあなたのパソコンの情報を見せていただいて、どんなものが好きなのか調べたりとか、買い物の様子を観察させていただいて、
どんなものが好みなのか調べたりとか、ゴミを回収させていただいて、一体どんなものを買っているのか調べたりとか、ちゃんとしたんですよ?
 そしたらますます好きになっちゃったんです。合鍵を作れなかったのはあたしの及ばぬところだったと反省していますが、でも、ちゃんとあなたの趣味も分かるし、あなたの好みも分かります。あたしには、あなたを幸せにしてあげられる自身があります!」
 気が遠くなった。おいおい、一体何してやがる。アパートの共同回線がこんな形で裏目に出ることとなるとは、夢にも思わなかった。
 というか、一目見ただけでこんな行動に出てる時点で、十分好きになりすぎてるというか、狂っているというか。そもそも、俺を詳しく知ってなおさら好きになるとか、脳に致命的な障害を持っているとしか思えん。
 俺は彼女の体温を感じているのに、寒気を感じた。邪気棒も、先ほどよりもしょんぼりとしている。
「だから、あたしは引き返すつもりなんてこれっぽっちもないんです。だって、あなたが好きだから」
 彼女はそう言って、俺の邪気棒に手を伸ばした。
「ちょ、待てまずいってそれは!」
 彼女の思惑を理解した俺は慌てて彼女と止める。
 彼女はおそらくこのまま既成事実を作る気だ。そうなっては俺がいくら言葉を並べ立てようとヤムチャほどの価値もない。
この国の司法はただでさえ女性に甘いのだ、この天使を救うためなら、俺みたいなゴミ虫の一匹や二匹、なんの逡巡もなく平気で牢屋でも火山の火口にでも放り込もう。
 逆レイプ、ダメ! ゼッタイ! <> Trick or!
◆wzYAo8XQT. <>sage<>2008/11/04(火) 23:50:13 ID:NWqJVb6T<>  しかし俺の邪気棒は彼女の愛撫の前にあっさりと陥落した。彼女の細く柔らかく、ひんやりと冷たい手の前に、俺の理性はあまりにも無力だった。邪気棒は邪気を先端ににじませながら、起き上がって天を睨んでいた。ええい、それでも貴様それでもワシの息子か! 情けない!
「早まるな、君にはまだ未来がある!」
「はい、あなたと一緒に過ごす未来です。そのために、今やらなきゃならないんです」
 あああああああ。ダメだ、彼女のフィルターを通したら、どんな言葉も彼女の行動を肯定するものになってしまう!
 少女は腰を浮かせると、俺の邪気棒の真上に据えた。彼女の局部は俺も彼女も触れてもいないのに、すでにテラテラと濡れていた。
「毎日この日のことを思って一人で慰めてたけど、こんなに大きいの、入りきるかな……」
 頬を一層紅潮させ、そう呟いたかと思うと、彼女は腰を一気に落とし、俺の邪気棒に貫かれた。
「ああああああああああ!!」
 悲鳴とも嬌声とも付かない声を上げ、体を仰け反らせた。
 同時に、俺の邪気棒に衝撃と強い快感が走る。
 接合部からは、彼女の白い肌との対比で、かすかに黒いものが見えた。
「もしかして、初めてだったとか?」
 俺は状況的には正しいが、脈絡的にはすっ飛んだことを彼女に尋ねる。
「はい……初めてはあなたで、って決めてましたから……」
 なんとか搾り出すように、少女はそう答えた。
 なんともったいないことを。また地球上から貴重な処女が喪われたというのか! ……いや、別にこの場合はいいんじゃないか? 俺から見たら、だが。
 彼女は荒い息をしたまま、俺の上にしな垂れかかってきた。ちなみに、繋がったままである。
 ああもうダメだ、可愛すぎる。こんな状況で、自分を抑えられるはずがないだろう。
 幸いにも、というか、これが彼女の狙いだったのかは分からないが、拘束されているのは両手両足のみ。つまり胴部はある程度動かすことが出来るのだ。
「動くぞ」
 俺はそう告げると、腰を上下に動かし始める。
「あっ! まだダメです、まだ動いちゃあああああ!!」
 彼女は俺を止めようとするが、後半は言葉にならなかった。中はかなりきつい。きっと痛いのだろう。だが、止まりたくない。それに、彼女のほうからこんなことをしてきたんだ、俺に罪はないさ。
 俺は夢中で腰を打ちつけ続ける。彼女は息も絶え絶えで、悲鳴ともあえぎ声ともつかぬ声を上げている。彼女のよだれで、俺の右肩付近がベチャベチャになってきた。
 次第に彼女の声は獣染みたものになっていき、眼の焦点が合わなくなっていく。ときおり不意に締め付けが強くなり、ひときわ大きな悲鳴を上げ、ガクガクと崩れ落ちそうになる。おそらく、そのたびにイッているのだろう。一体何回イッているのか、数える気も起きないほどだ。
 一方の俺の邪気棒は一人プレイによって鍛え上げられていたので、すぐに邪気を発するようなことはなかった。しかし、この五感に訴えてくる攻撃は強烈で、ほどなくして俺も絶頂を迎えた。
 しかし、彼女の中に邪気を放っても、俺の邪気棒はまったく衰える様子を見せず、精神のほうも、虚脱感も腰の疲労も感じずに、すぐに注挿運動を再開してしまう。手を使えないのがもどかしくてしょうがない。
 そうして俺達は、カーテンを通して強い光が差し込み、俺が意識を保てなくなる時間まで、互いの体を貪りあった。 <> Trick or!
◆wzYAo8XQT. <>sage<>2008/11/04(火) 23:50:46 ID:NWqJVb6T<>


 これは俺の腰折れたかも分からんね。
 腰に走る激痛で目を覚ました俺は、まずそんなことを考えた。同時に、この痛みで、今までのことが夢ではなかったことを嫌でも自覚させられる。
「おはよう、あなた」
 ゆっくりと右を向くと、少女が幸せそうな顔をして添い寝していた。
 俺は俺の両手足の手錠が外されていたことに気づく。
「だって、もう必要ないですよね。もう逃げられませんよ」
 俺がそのことを彼女に言うと、彼女は手をいとおしそうに腹部に伸ばし、笑顔でそう言った。
 やっちまった。
 さあっと血の気が引いていくのがはっきりと分かる。彼女の体温で暑い位のはずなのに、歯の根が合わず、ガチガチと歯が鳴り始める。
「寒いんですか? なら、私の体で暖めてあげます」
 そう言うと彼女はただでさえ密着状態である体をさらに密着させ、俺に痛いほどの力で抱きついてきた。こんな少女の細腕なのに、俺の力ではどう頑張っても解けそうにない。
「うふふ、もう絶対に離しません」
 そういとおしげに言う彼女を見て、俺は自分の今後の人生がどうなるか確定したことを理解した。

 その後?
 監禁フラグや心中フラグを何とか回避し、幾千の修羅場と死線を潜り抜け、ずっと二人で幸せ……に暮らしましたとさ。 <>
◆wzYAo8XQT. <>sage<>2008/11/04(火) 23:52:23 ID:NWqJVb6T<> 終わりです
ミスやら明らかに遅れたネタやら、申し訳ないです

ぽけもんのほうは「今月暇だろうし普通に楽勝だろwこれ週間更新も夢じゃないんじゃね」 <>
◆wzYAo8XQT. <>sage<>2008/11/04(火) 23:53:30 ID:NWqJVb6T<> のように調子こいていたらむしろ普段より忙しくなるという罠が発動し、まったく進んでおりません。こんなチラ裏が操作ミスにより分割されてしまったことも重ねてお詫び申し上げます <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/04(火) 23:56:17 ID:YNrC8Zf+<> 一行が長い・・・ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/05(水) 00:30:10 ID:XlGSIppu<> >>578
テンポ良いねえ!
GGGGJ! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/05(水) 03:08:35 ID:fBrifMKf<> >「あ、ああああなたもしかして本当に私のことがわ、わわ分からないっての!?」

なぜかここに激しく萌えたw <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/05(水) 05:18:29 ID:yGUxDgx2<> >>581
そこだけ何故か釘宮ボイスで再生されたオレガイル <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/05(水) 08:40:29 ID:1nEEPQgs<> >>581
某兄の名前を呼んでもらえない人を思い出した
しっかし、Trick or Treatなんて日本じゃ滅多に聞けない台詞だよな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/05(水) 12:36:45 ID:jIRdftQ0<> (*´Д`)ハァハァ
GJ!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/05(水) 14:40:37 ID:7X7G5xpG<> >>578
GJ!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/05(水) 16:12:52 ID:zQ9dk1vD<> >>583
昔の日本人はトリックオアトリートを
チッカチーって言ってたらしいぞ
まぁ親から聞いた話だが <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/05(水) 17:36:17 ID:mgkFwDZO<> イングリッシュのことをエンギリシって言ってたのと同じようなもんだな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/05(水) 19:01:05 ID:MC3/uzGw<> 何かエリンギについて語ってると思った俺はキノコ中毒 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/05(水) 19:26:03 ID:jxbcvVAb<> 安心しろ、俺もだ

ヤンデレ茸ってあったらいいなぁ…… <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/05(水) 19:33:44 ID:Kjkm+NxG<> メインに据えた料理を作ると良い味を出すけど他の食材をメインにした料理に入れると毒素を出すんだな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/05(水) 19:39:00 ID:imcLNr+X<> ある意味タンパク質みたいなものだよな
アミノ酸までで熟成がとまればいいが・・・ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/05(水) 20:36:25 ID:QYKTlTBg<> そういった食材か。
俺はてっきりセイカクハンテン茸みたいに食べると病み化する茸だとばかり。

…いや、むしろ食べると病みを受け入れる思考になる茸とか面白いな。

食べる前
「ちょ、やめてよ!血入り料理なんて食べないし両親に恋人ですだなんて嘘つくなよ!」
食べた後
「毎日美味しい料理ありがとう貧血には注意してね。あと両親への挨拶は何日が都合がつく?」 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/05(水) 21:17:47 ID:zQ9dk1vD<> >>592
それどこに売ってるの? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/05(水) 21:24:10 ID:XRhrfHiB<> そんな茸を料理してくれる子がいない・・・ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/05(水) 21:40:45 ID:jIRdftQ0<> >>594
まだそんな事言ってるのか。
居るじゃないか、俺たちの脳内に!
( ゚∀゚)アハハハ八八八ノ ヽノ ヽノ ヽ/ \/ \/ \ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/05(水) 21:41:31 ID:PfQzKRmz<> >>594今もヤンデレの子がどこかでお前のことを見てるさw <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/05(水) 21:50:58 ID:uOFHLT/v<> >>595
ヤンデレの脳内に男がいるのと同様にな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/05(水) 22:22:39 ID:XRhrfHiB<> なるほど そういう発想か、ありがとう
そう思えば元気も出てくる・・・あれ誰かが窓をノックしてるな

ここ二階なのに <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/05(水) 22:25:49 ID:Kjkm+NxG<> 胞子吸い込んで幻覚見せられてねえか? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/05(水) 23:49:03 ID:uOFHLT/v<> 「私は>>599くんがいないとダメなの」
>>599くんは私がいないとダメなの」 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/06(木) 02:37:20 ID:67sfSmFX<> きのこ、の〜こ〜のこ ヤンきのこ

ギブ。思いつかん <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/06(木) 03:19:20 ID:R+Qb8FmQ<> ワイヤードまだー? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/06(木) 03:23:04 ID:4kZGyvbu<> 作者自演乙 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/06(木) 03:28:29 ID:R+Qb8FmQ<> >>603
お前ずいぶんヤンでるな・・・ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/06(木) 10:03:05 ID:6fkPUS5E<> そんなあからさまな釣り針に引っかかってちゃいかんぜ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/06(木) 12:28:00 ID:SqNzCPD/<> 真のヤンデラーならば釣り針がどれだけ大きかろうが飲み込んでやるさ。

見せてやれ、ヤンデラーの諸君。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/06(木) 14:00:57 ID:sLo1jjwm<> ヤンデレの罠にはまりたい <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/06(木) 14:03:21 ID:ZYB/o3nT<> >>606

トライヤンデラー <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/06(木) 14:14:02 ID:H3id0D0Q<> ヤンデレの手の平で踊らされたい <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/06(木) 15:40:56 ID:/IFHqj4g<> 二人ならを読んでたらなんか寒気がした。俺はヤンデレというモノを見誤まっていたらしい。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/06(木) 21:14:11 ID:ZItjdu86<> ヤンデレの仕掛けた罠が見え透いた物でも
あえて掛かりに行く。本当のヤンデレ好きとはそう言うものだ。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/06(木) 21:54:06 ID:jS88+BWO<> いや、本当のヤンデレ好きは見え透いた罠をわざとすり抜け、
安心したところを巧妙な罠に引っ掛り、ヤンデレに「あなたの事は何でもわかるわ」
と、言わせるだろjk <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/06(木) 21:54:40 ID:LoxQ0s2u<> 漢だな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/06(木) 21:59:23 ID:7q3lx91z<> 投下カモン! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/07(金) 00:14:46 ID:kPSbnlRN<> 映画、小説、漫画、ゲームなどに登場するヤンデレを観て「これくらい私も人を好きになってみたい」 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/07(金) 00:27:37 ID:NVzm9AFG<> 映画、小説、漫画、ゲームなどに登場するヤンデレを観て「ぬるいな〜私ならもっと……」 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/07(金) 08:33:49 ID:LVnr4EsD<> 小説に登場するヤンデレ代表 ヤン提督監禁したいなあ ハアハア
フレデリカはヤンにデレです 
少女時代に出会った青年を追いかけて、職場に乗り込み正妻に納まる。
きっと天然のヤンがフラグをそこらじゅうに立てまわって、それをへし折り続ける毎日が報われたのだろう。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/07(金) 12:14:36 ID:m7+2GNDj<> え!?フレデリカってヤンデレに分類されるの?同じ職場に就くのだって単に一途なだけじゃない?
それにもしヤンデレだったら、ヤンが暗殺されたきに敵陣に突っ込むぐらいのことしてるんじゃ? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/07(金) 13:43:02 ID:r0VJWDOn<> 心じゃなくて身体が病んでるフレデリカなら知ってるんだが当然スレ違いだな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/07(金) 16:22:37 ID:CKV1voGD<> このスレなんかスゴいな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/07(金) 19:46:24 ID:kPSbnlRN<> >>619
あのゲームではエカテリーナが該当するだろう <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/07(金) 23:04:59 ID:YQG1RQzy<> >>618
ヤンにデレなので、名誉ヤンデレ(名誉市民みたい感じで)ってことでひとつ。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/08(土) 00:07:31 ID:F8DS3ZC0<> 男が喧嘩とかボクシングの対戦相手の反則攻撃とかで頚椎損傷して、全身麻痺になった。

こんな体になって生きたくないから、安楽死させてくれとヤンデレに頼む

ヤンデレ断る

男が舌を噛み切って自殺未遂

薬漬け、口には詰め物をされた男を見て、ヤンデレは男の希望に沿うことにした

夜、病室へ、人工呼吸器を外して致死量のインスリンを注射して楽にしてやる

その後のヤンデレの姿を見た者はいない

ミリオンダラー・ベイビー的な話もいいかもしれませんね <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/08(土) 00:25:20 ID:mqtSKJZR<> ミリオンダラー・ベイビーってそんな重い話だったのか…… <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/08(土) 00:36:18 ID:F8DS3ZC0<> >>624
男と女の立場は逆ですが


初心者におすすめ元気が出る映画

ミリオンダラーベイビー:女版はじめの一歩。ボクシングで成り上がるサクセスストーリー!!
ダンサーインザダーク:弱視の女性と息子との日常を描いたほのぼの感動作!!
ジョニーは戦場へ行った:戦争でのランボーの如きジョニー活躍を描いた痛快アクション!!
レクイエムフォードリーム:夢見がちな4人の若者の生活を描いた笑える能天気コメディ!!
ディアハンター:鹿狩りのオラが戦争に連れて行かれただ、田舎の男たちが巻き起こすはちゃめちゃ大騒動!!
震える舌:娘が風邪をひいた!?お父さんと娘の爆笑闘病記!!
ソナチネ:沖縄の大自然を描いた心洗われる感動作!!
真夜中のカーボーイ:田舎から出てきたカーボーイが都会とのギャップにドジするコメディ!!
ジェイコブズラダー:ジェイコブが梯子に登るただそれだけの作品!!
ファニーゲーム:凸凹コンビが幸せな家族に巻き起こす大騒動コメディ!!
          \(^ν^)/
\(^ν^)×(^ν^)/ | |\(^ν^)/
  | |     | |  <>  | |
  < >   />      /\
   だまされちゃ、ダメ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/08(土) 00:39:31 ID:DRnTPY3I<> >>625

    /\___/ヽ   ヽ
   /    ::::::::::::::::\ つ
  . |  ,,-‐‐   ‐‐-、 .:::| わ
  |  、_(o)_,:  _(o)_, :::|ぁぁ
.   |    ::<      .::|あぁ
   \  /( [三] )ヽ ::/ああ
   /`ー‐--‐‐―´\ぁあ
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/08(土) 02:08:40 ID:lE5gywHZ<> たまにはこちらからヤンデレのお尻を触って逃げたい <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/08(土) 02:12:47 ID:ZEMcre8K<> しっかり愛してあげて他の女性と殆ど縁が無ければ無害な気もするが…
何か穴がある気がする <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/08(土) 07:56:57 ID:3Xu0cTpo<> >>628

穴だらけだろw
ヤンデレの妄想力にかかればコンビニとかでレジ対応してくれた女性店員すら泥棒猫。

監禁されて家から一歩も外に出ない、衣食住全て管理してもらえば、良いと思うの。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/08(土) 10:04:48 ID:Bgy4gUA4<> 近幼馴染の様子がおかしい。
いや・・・おかしいのは以前からだったのだが最近は特におかしくなっている。
具体的に言えば通学途中に電柱の陰に隠れながら後をつけてきていたのが最近では毎日玄関で待っていて無理やり一緒に登校させられる。
なぜこんなことになったのだろう。
俺の腕に自分腕を絡ませながら歩く幼馴染の横顔を見ながらふとそんなことを思う。
大体俺とその幼馴染は一緒に登校するような仲ではないはずだ。
確かに小学生低学年まではよく一緒に遊んだりしたが、高学年に入ってから女子と話すという行為がなんだか恥ずかしくて意図的に避けるようになった。
そして中学にあがってからもそんな状態が続き会うことも会話を交わすことも無くなっていった。
だから二人の進んだ高校が同じだったのも偶然だったのだろう。
しかしいつからか登校中に視線を感じるようになった。
そして振り返ってみると必ず電柱の横から学校指定の制服を着た肩や長い黒髪の端が飛び出ていたりする。
とりあえず声でも掛けてみようかと思ったがやめた。
ストーカー紛いの行為をしている人間と積極的に関わりたい人間などいない。
少なくとも俺はそう思っている。
確かにいい気はしないが特に被害があるでもなし別にいいだろう。
それに相手は女のようだし万が一なにかあっても全力で逃げれば何とかなるだろう。・・・とかそんなことを思っていた。
その女が幼馴染だと気づいたのはもう少し後で、通学中に俺の後姿を見て走ってきた友人の
「電柱の陰に3組の〜〜〜がいたぞ?」
とゆう目撃証言があってからだった。
幼馴染だと分かったものの、もう5年以上もまともに話してない相手になんて声を掛ければいいのか分からなかったので、そのまま放置していた。
そしていまに至る。
いま彼女は何を考えているのだろう・・・?


<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/08(土) 10:05:24 ID:Bgy4gUA4<> 続き

自分でもちょっと大胆だったと思う。
いままで陰で眺める事しかしていなかったが今では彼と腕を組みながら一緒に登校している。
心音がどんどん加速していく。
ひょっとしたらこのまま私の心臓は破裂してしまうんじゃないかと本気で心配になってくる。
だがこれでよかったのだ・・・。
手遅れになってしまってからでは遅い。
最近彼と同じクラスの女子が彼の事が好きだという噂が流れていた。

私の〜〜〜君を奪おうとする泥棒猫・・・事故にでも遭って死ねばいいのに・・・。

いざとなったら私の手で殺してやってもいい。
むしろ殺してやりたいくらいだ。
だがそれはあくまで最終手段。
だから私はそんな最終手段を使わなくてもすむ様に行動を始めた。
中学生の頃、彼に避けられるようになってから嫌われたのではないかと思い、怖くて話しかけることもできなかった。
電柱の陰からコッソリと後をつけて眺める事しかできなかった。
しかしいまはそんな事を言っている場合ではない。
泥棒猫は顔立ちもよくスタイルもいい為男子達から人気があった。
もしその泥棒猫が彼に色目を使ったりしたら流されやすい性格の彼は過ちを犯してしまうかもしれない。
想像しただけでも心の奥底から憎しみが這い上がってくる。
愛しい彼に獣姦なんて真似させるわけにはいかない。
だから私が彼を安全な場所に連れて行ってあげなくては。
そのためには少しずつ以前のような仲に戻り普通に会話できるようにならなくては。
そしてさり気なく家に招き私の部屋に用意してある手錠で拘束する。
きっと彼は嫌がるだろう。私の事を嫌いになるだろう。
しかしそれは一時的な事だ。
じっくりと時間を掛けて私の事を好きにさせる。
きっとうまくいくはずだ。
彼が私の事を好きにならないなどあるハズがないのだから。
私と彼は生まれたときから結ばれる運命なのだから。
そして永遠に私と彼との二人だけで幸せな毎日を送るのだ・・・。

フフフッ・・・楽しみだね〜〜〜君・・・。
きっとこの為に・・・たパパとママも喜んでくれるよ・・・。
二人で世界中の誰よりも幸せになろうね・・・。

続かない

暇だったので勢いで書いてみた。
ちょっとだけ後悔している。
公開して後悔・・・
いや・・・忘れてくれ。
こんな駄文投下して本当にスマンかった。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/08(土) 10:39:09 ID:uliTbE+t<> 良いじゃないの。萌え萌えだぜ
ヤンデレの基本形って感じだよね <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/08(土) 11:40:57 ID:WFRw/m9C<> かなりいいんだぜ、是非とも続きを読んでみたいさ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/08(土) 13:06:40 ID:ky9NMaSx<> 病んでるねぇ〜、GJ!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/08(土) 15:47:17 ID:RejzSR0o<> GJ! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/08(土) 18:18:07 ID:VdcObOiX<> 良い感じGJ!
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/08(土) 20:51:15 ID:UZaYy+YW<> >私と彼は生まれたときから結ばれる運命なのだから。
>そして永遠に私と彼との二人だけで幸せな毎日を送るのだ・・・。

ああ素晴らしい。
見事なヤンデレの様式美だ。

<>
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/08(土) 22:56:01 ID:1vyrf8ck<> 投下します。
注意書きをつけないと散々注意されてしまいましたが、これは僕自身の基準の甘さが原因です。
自分で書いたものは自分では見えにくいので、これからは1レス目に内容をある程度予告することにします。
お騒がせしてすみません。

わいやーどみにまむ2、投下します。
なんで本編じゃなくてみにまむかは、まあいずれわかることかと。
ロリ注意。北斗ネタ注意。 <> わいやーどみにまむ2 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/08(土) 22:56:33 ID:1vyrf8ck<> みにまむ2『磐宝典論争(ボアソナード)』

ワイヤード読者のみんなー、ここあこと、『磐宝典 心愛(ばんほうてん ここあ)』でーっす!
今日は、作者が本編の書き溜めを全てデータ消失させちゃった悲しみから、ロリ注意の短編になっちゃった。ごめんね!
でもそのおかげでここあが主役になれたんだから、その運命に感謝すべきかもね。
え? データ消去したのお前だろって?
んふふ〜。ここあ子供だからわかんないなー(暗黒微笑)

ここあは、今小学五年生。
ここでは、イロリおねーちゃんが出てくる、ちょっとだけ前のお話を紹介するね。
だいたい、私が小学四年生のときの冬かな。風邪が流行ってた頃だから。
何度も言うけど、ロリ注意だよ。
ロリコン死ねって言う人は、見ちゃだめ! めっ!
この先は、『こどものじかん』なんだからね。
<> わいやーどみにまむ2 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/08(土) 22:57:30 ID:1vyrf8ck<> ある日、珍しく蒼天院道場のお稽古にちとせおにーちゃんが来たとき。
「……ぢどぜー。よぐぎだねー」
理科子おねーちゃんは鼻水をずるずるにしながらちとせおにーちゃんを出迎えた。
「お前、風邪ひきまくってんじゃねえか」
「いや、ぞんなごどわ……げっほ、ぐほっ」
「バカだろお前。ちゃんと寝てろ。今日の稽古は俺が代わりにやってやるから」
「……でも、あだじが休んだら……じばんだいのあだじが……」
「そんな気負うなって。俺も師範代だ。任せろ」
「……ありがど」
ちとせおにーちゃんが優しく説得すると、理科子おねーちゃんは真っ赤な顔をして奥に引っ込んじゃった。
「さてと……今日は、お前だけか?」
ここあを見てちとせおにーちゃんは言った。嫌そうな表情。
「うんそうだよー。みんな風邪ひいちゃったんだってさ!」
「なんつーか、個人稽古ってのは、あれだな。めんどいなぁ」
「じゃあ、別にお休みでもいいよー」
「いや、理科子に約束した手前そういうわけには」
ちとせおにーちゃんは変なとこで真面目だなぁ。まあ、そこがいいところだけど。
理科子おねーちゃんも、そういうところを好きになったんだろうなぁ。
それに、ここあも……ね。
「じゃあ、お稽古の時間だけ、ここあに付き合ってよ!」
いいこと、思いついちゃった!
<> わいやーどみにまむ2 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/08(土) 22:58:00 ID:1vyrf8ck<> 「だからって、お前を連れて遊びにいくとか。……なんでそうなるって話だよな」
「そんなこと言っちゃって、ちとせおにーちゃん、ちゃんとついてきてるじゃん」
「そりゃ、今はお前の保護を任されてる立場なんだから、当然だろ」
「話がわかるぅ!」
ここあとちとせおにーちゃんは、繁華街に出て二人で遊び歩いていた。
「えへへー。理科子おねーちゃんには何度か連れてきてもらったけど、ちとせーにーちゃんとはなんか新鮮だねー」
腕にしがみついてみる。
「お前、なにしてんだよ」
「ここあ子供だもん。こうしないとダメダメでしょー」
「まぁ、そうだけど。……お前は年の割りに賢いから、いらんだろ」
褒められちゃった。うれしい。
でも、ちとせおにーちゃんも薄々感づいてたんだね。ここあのこと。
せっかく、バカっぽい喋りかたしてるのにね。
「あ、ちとせおにーちゃん、スイーツ食べようよスイーツ!」
「スイーツって……」
ほら、バカっぽいと思った。
でもこれが、楽に生きる秘訣だもん。
「別に、いいけど。なに食う?」
「んっとねー。おいしいクレープ屋さんがあるから、そこに行こうよ!」
クレープ屋さんで二人分のクレープを受け取って、ちとせおにーちゃんが片方をここあに渡した。
「おいしー」
「ああ、予想外に美味い。初めてだ。洋菓子が美味いと思ったのは」
ちとせおにーちゃんは結構古風だね。
<> わいやーどみにまむ2 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/08(土) 22:58:30 ID:1vyrf8ck<> 「理科子おねーちゃんのアンパンより?」
「それとこれとは別。譲れないものってのはあるもんだ」
「愛だねー」
思わず笑っちゃった。
「なにがだよ」
「ちとせおにーちゃん、理科子おねーちゃんのこと、好き?」
「お……おいおい、なに言ってんだよ。そりゃ、幼なじみだし好きだけど、別に変な意味じゃ……」
困った顔。
たぶん、本当にそうなんだ。理科子おねーちゃん、報われないね。
でも、一生そのままでいいんだよ。
「そっか。なら、ここあのことは好きー?」
「……犯罪臭がする質問だな。黙秘権を行使させて貰って良いか?」
「だめー!」
不意をついて、ちとせおにーちゃんのクレープに噛み付いた。
「あっー!!」
「答えてくれないのが悪いのー!」
うん、ちとせおにーちゃんと、間接キス。
おいしい。
クレープより、おいしいよ。ちとせおにーちゃん。
<> わいやーどみにまむ2 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/08(土) 22:59:02 ID:1vyrf8ck<> 「ゲーセン行こうよゲーセン」
「ガキが行く所かよ……」
「これでもトッププレイヤーなんだからね!」
「さいですか」
ちとせおにーちゃんの手を引いて、とっておきのゲーセン『シューティングスター』に入った。
古臭い建物だけど、各ゲームのトッププレイヤーが集まる場所で、レベルは高い。
「やあ、『魔法少女CCA』ちゃん。今日は、お兄さん連れかな?」
山田さんが声をかけてくる。
山田さんは、この『シューティングスター』にある全ての筐体のランキング一位を取っている猛者。
眼鏡をかけた、インテリ風のお兄さんだった。高校三年生で、ちとせおにーちゃんとは違うところにかよっているらしい。
「お兄ちゃんじゃないよ。ここあ一人っ子だから。……んーとね、彼氏だよっ!」
「はぁ!?」
ちとせおにーちゃんの声が裏返る。可愛いなぁ。
「ははっ、羨ましいね。僕は全然もてないから」
そう言うと、山田さんは挑戦者の呼びかけに答えてぱたぱたと小走りで筐体に座った。
山田さんを打ち負かそうとする人は多い。けど、いまだに成功した人は見たことが無い。
「おいおい、あの人にロリコンだと思われたかも……」
「ロリコンじゃないの?」
「断じてない!」
必死で否定するちとせおにーちゃん。やっぱり、かわいいよね。
<> わいやーどみにまむ2 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/08(土) 22:59:33 ID:1vyrf8ck<> 「つーかお前、魔法少女だかなんだかって、なんだよそれ」
「ここでの異名だよ。意味は、たぶんすぐわかると思う」
「異名? お前はトッププレイヤーなのか?」
「うん。そうだよ」
「信じられんな……」
ちとせおにーちゃんは小さい女の子がゲーセンで上位になれないと思い込んでいるみたいだった。
差別的というか、釈然としないなぁ。
「ま、いいや。ちとせおにーちゃんも対戦しようよ!」
「別に良いけどな。……できるゲームはあんまり無い」
「北斗は?」
「それならまあまあ」
「じゃ、決まり!」
とりあえず、ここあの実力を見せてあげるのが一番早いよね。
<> わいやーどみにまむ2 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/08(土) 23:00:07 ID:1vyrf8ck<> 「ばかな……俺の聖帝がこんな汚物に……」
対戦前に「汚物は消毒せねばならんな」と言ったにも関わらず、ちとせおにーちゃんの聖帝様はここあのジャギ様に消毒されていた。
「27は大魔法の数字だよ!」
ブースト小パン連打からのラカンから、大魔法が発動して、バスケ開始。
最後はさらにラカンでドリブル。さよーなら。鳳凰の夢はついえたか、お師さん……。
ちとせおにーちゃん涙目だね。
「馬鹿な……ナギに散々いたぶられて鍛えた俺が……」
自信を喪失するちとせおにーちゃん。
かわいいけど、かわいそうだからそろそろ慰めてあげないとね。
……?
ちとせおにーちゃんの肩にポンと手を乗せる人。
女の人。
「……ナギ?」
ちとせおにーちゃんがぽつりと漏らした。
ナギ。知ってる。
ちとせおにーちゃんと話していると、たまにその名前を聞くことがある。
ちとせおに―ちゃん自身は「腐れ縁だよ」といっていたけど、その目は輝いていた。
たぶん、ちとせおにーちゃんはこの人のこと、好きなんだ。
「千歳、おちぶれたな。こんなガキに負けるとは」
「ナギ、お前何故」
「こんなところに、とでも聞くつもりか? 愚問だな。ここは私のゲーマーとしての本拠地だよ、千歳」
赤い髪に鋭い目付き。ここあと変わらないくらいの幼い体。
ナギという人は、ちとせおにーちゃんをどかすと、筐体に五十円を入れた。
このシューティングスターにある殆どの筐体は五十円で稼動する。
<> わいやーどみにまむ2 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/08(土) 23:00:37 ID:1vyrf8ck<> 「おい、そこのお前。噂には聞いたことがある。『魔法少女CCA』だな。ロリコンゲーマーには天使扱いすらされているそうじゃないか」
「ナギ、お前知っているのか?」
「ああ。一度戦ってみたいと思っていた相手だ」
キャラクター選択。……何を選ぶ?
ジョインジョイントキィ。
「……なるほどね」
思わずナギさんに話しかける。ここはプレイヤーのマナーがいいから、規則として口プレイは禁止されていない。
「どうした? まさかキャラ性能程度で諦める程度の『魔法少女』ではないよな?」
にやりと、意地の悪い笑みを浮かべるナギさん。
「……ちとせおにーちゃんは、今はここあのものだもん……!」
小さく呟く。
闘いは始まった。
ジャギ様とトキが対峙する。
「(……これは)」
戦闘の中で、気付いた。違和感。
これは……。
「気付いたようだな。お前の思っているとおりだ。キャラ性能がでかいからな、ナギ無しでやっている」
「(くっ、ナギって名前のくせにぃー! 金返せ!)」
そんなこんなで、ナギ無しトキに一ラウンド取られた。 <> わいやーどみにまむ2 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/08(土) 23:01:08 ID:1vyrf8ck<> 怒りすら覚える。
手加減されている。この盤宝典ここあが。
こんな……こんなやつに……!
「(……もらった!)」
ブーストは溜まっている。ここで中段が入れば、永久コンボ、通称バスケに移行できる。
星も溜まっている。ここでワンチャンとれば、次のラウンドは有利。ここあの勝ちは近い……!
中段がトキに迫る……!
「激流では勝てぬ」
トキとナギさんがシンクロして呟いた。
「えっ……」
――当て身!?
中段に反応した『神の1F当て身』が、ジャギ様を画面端に吹き飛ばしていた。
トキが悠々と胡座をかき、両手を上げてビーヌを放つ。
北斗有情破顔拳。
ちにゃ。天国を感じた。
ジャギ様は死んだ。スイ―ツ(笑)
<> わいやーどみにまむ2 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/08(土) 23:01:39 ID:1vyrf8ck<> 「そんなぁ……」
ここあの唯一の得意なものであるゲームで負けるなんて……。
ナギさんは、ちとせおにーちゃんに愛されててしかも、ここあより強いんだ。
理解はできる。でも、納得はできない。
……。
なんでだろう。
「こらナギ、子供に本気出すな。あと、そのキャラ差はナギ無しでも結構でかいだろう」
「馬鹿か。やつが自分で選んだキャラだ。性能うんぬんで文句を言うなら、レイでも使えばいい」
「そういう問題じゃねーっての!」
ぽかりとちとせおにーちゃんがナギさんの頭を小突いた。
ちとせおにーちゃんが怒っているのは、ナギさんに対して。ここあは擁護されている。
でも……。ちとせおにーちゃんの心は、ナギさんに向いている。
ここあじゃない。
理解はできる。
でも……やっぱり、駄目。納得できないよ……。
なんでなんだろう。わからない。
ここあは、ちとせおにーちゃんのこと……。
もしかしたら……。
「もう、やだ……」
いつの間にか、走り出していた。
ナギさんとちとせおにーちゃんが仲良くしてるのを見るのが耐えられなくて。
ここあがちとせおにーちゃんの心の中にいないなんて、思いたくなくて。
もう、見たくなくて……。
<> わいやーどみにまむ2 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/08(土) 23:02:09 ID:1vyrf8ck<> そうだ、なんで気付かなかったんだろう。
今までは、かわいくてカッコイイおにーちゃんへの親近感かと思ってた。
年上の人に憧れるなんて、女の子だったら普通のことだと思っていた。
一過性で、いつかは離れてしまうものだと思ってた。
でも、そんなもんじゃなかった。
気付いちゃったんだ、ここあは……。
ここあは、ちとせおにーちゃんのこと愛してるんだ。
本当に好きなんだ。

それを知ったから、今までのここあが全部潰れてしまって。
今のここあは、ただ空虚なここにいるだけ。
それを知ってしまったから。
消えてしまいそうなほどに……。

だれもが交じり合って消えてしまいそうなほどに危ういこの街のなかで。
ここあは、孤独以上に狂おしい、『愛』を噛み締めていた。

続く <> わいやーどみにまむ2 前 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/08(土) 23:04:12 ID:1vyrf8ck<> これもちょっと長いので、一旦きります。続きは深夜にでも。
ワイヤード本編、続きは長いのでデータ消失はかなりこたえます……。

とりあえず、バトル展開ばかりになると思うのでそのあたりは注意、ということで。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/08(土) 23:14:22 ID:2lKKbm48<> バンホーテンココアフイタ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/09(日) 00:14:13 ID:KM5y4rDc<> まさかのバンホーテンwww <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/09(日) 00:34:46 ID:Sq8w59Qs<> 投下GJでした
クソルアミバ自重wwwww
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/09(日) 01:48:53 ID:5RvSt8vX<> クソル VS QMZですねwwwww分かりますwwwww

<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/09(日) 01:50:06 ID:4ArDNZ+S<> VIPじゃねーんだから草生やすなよ <>
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/09(日) 01:54:18 ID:Hb+DCbze<> 続きです。
超ロリ注意。エロ注意。 <> わいやーどみにまむ2 後 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/09(日) 01:55:11 ID:Hb+DCbze<> 「この馬鹿。ここにいたのか。千歳とさんざん探したんだぞ」
路地裏で泣いていたここあの背中に、ナギさんの声が投げかけられた。
「私に負けた程度でここまで落ち込むとはな。子供らしいとは思うが、あまり褒められたものじゃない」
ナギさんはここあの腕を掴み、引っ張る。
「放して!」
思わず、強引に振りほどいてしまった。
「……なにを怒っている。私が手加減してしまったから、プライドに傷がついたのか? なら、謝罪はするが……」
「そうじゃない……そうじゃなくて……」
「なら、なんなんだ」
「ちとせおにーちゃんを、取らないで……」
「……」
意味がわからない。なんでこんなこと、言っちゃってるんだろう。
ここあは、年齢の割りにはかしこい。なのに、なんでこんな、変なこと。
だって、ちとせおにーちゃんがナギさんのこと好きなのに……。
なんで、ここあはナギさんのこと、恨んでるの……?
「お前も、『そう』なのか……」
「え……」
「不幸だとは思う。だから、私はもう、擦り切れたよ。でも、お前は諦めていないんだな」
理解できない。
ナギさんが何を言っているのか。
「そんなんじゃ……そんなんじゃ、わかんないよ!!」
分からない。
ここあがこうして、ナギさんに殴りかかってく理由。
分からない。 <> わいやーどみにまむ2 後 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/09(日) 01:55:41 ID:Hb+DCbze<> 「っ!」
ナギさんは素早い身のこなしで初撃をかわし、距離を取った。
「逃げないでよ……ちとせおにーちゃんを奪って、逃げないで……!」
なんでだろう。
なんで、ここあはこんなにわがままなんだろう。
分からない。
だけど、ナギさんを殺してしまいたい。そんな気持ちが今は、何よりも重要だった。
ナギさんを倒しても、ちとせおにーちゃんが自分のものになるわけじゃない。
でも、負けたくなかった。
負けたままじゃ、ここあは前に進めない。
「蒼天院炎雷拳……瞬影烈脚!」
縮地法と攻撃技の同時使用。
加速から蹴りに繋げる、ここあの得意技。
常人では目視不可能の速度でナギさんに迫り、右斜め下から蹴り上げる。
「それがどうした」
ナギさんは全く動じずにかがみこみ、ひょいとかわす。
「遅すぎるぞ」
ナギさんの脚がここあの軸足である左足をちょいと蹴り、ここあはバランスを崩した。
「くっ!」
ここあはとっさに身体を後ろに逸らし、後方に空中回転してさがった。
着地して、体勢を整える。
「何を混乱している。私を倒しても、千歳を手に入れることはできない」
「でも……でも……!」
話が頭に入ってこない。
<> わいやーどみにまむ2 後 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/09(日) 01:56:12 ID:Hb+DCbze<> こいつは敵だ。そんな囁きがここあの頭のなかで渦巻いて、それ以外の声を全て掻き消していた。
「でも……ここで勝たなきゃ……前に進めない!」
構え。これは大技。
危険だから、理科子おねーちゃんも教えてくれなかった。だから勝手に見て覚えた。
「蒼天院炎雷拳奥義……」
再び高速で接近する。縮地法はあくまで移動技であり、攻撃技との併用はかなり限定される。
けど、ここあはほとんどの技を移動中に出すことができる。
これは、理科子おねーちゃんにもちとせおにーちゃんにもできない、自分だけの力。
付け焼き刃の大技でも、予備動作を高速移動でかき消せば当たる。
『攻撃を当てるスピード』。このことに関しては、ここあは誰にも負ける気は無い……!
「天翔……神雷覇!!!」
全身の闘気を凝縮し熱にまで転化されるほどの圧倒的な衝撃。
空気を一瞬で膨張させ、その爆音は『雷』にも似た力強さを感じさせる。
これが、『蒼天院炎雷拳奥義 天翔神雷覇』。
これが当たれば、人体くらい余裕でこなごなになる。
ナギさんはこのおそらく反応している。しかし、この技の性質までは見切っていない。
余裕の表情で、防御姿勢すらとっていない。
――殺せる!!
見事に計算されたコースで、ここあの拳がナギさんの腹部にめり込んだ。
凄まじい爆音。ナギさんの華奢な身体は、一瞬で吹き飛んでしまうだろう。
<> わいやーどみにまむ2 後 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/09(日) 01:56:42 ID:Hb+DCbze<> ……?
ナギさんは、顔をここあにむけ、さっきと同じ。
――意地の悪い、笑み。
「これが、お前の本気か」
……そんな。
「教えてやる。『一撃必殺』とは、こういうことだ」
ナギさんが拳を握りなおす。
まずい、防御しないと――
「――ぇ?」
そう思考したときには既に、ナギさんの拳がここあの腹部を捉えていた。
人間の脳の伝達速度ではおよそ捉えられない、ここあの縮地法なんて比較対照にすらならない。
暴力的な速度。
「……負けちゃった」
十五メートルほどふっとばされて、水たまりに落ちた。
路地裏で、しかも舗装されていたから、少し前の降水が乾いていなかったのだろう。
冬だから、当然冷たい。
でも、今のここあのこころのほうが、ずっと冷たかった。
――ここあ、負けたんだ。
<> わいやーどみにまむ2 後 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/09(日) 01:57:13 ID:Hb+DCbze<> 「おーい、ここあー!」
ちとせおにーちゃんの声。ここあを探しに来てくれたんだ。うれしい。
「千歳か。こっちだ」
ナギさんがちとせおにーちゃんを呼んだ。すぐに、ちとせおにーちゃんは路地裏に姿をあらわした。
「……ここあ! なんでこんな濡れて……!」
「それは私が……」
「えへっ、ちょっと転んじゃって、水たまりに……」
ナギさんの言葉を遮って、嘘をついた。
ナギさんに負けたなんて、知られたくなかった。
たぶん、真実を知ったら、ちとせおにーちゃんはナギさんの方を叱るだろう。
でも……だからこそ、言いたくなかった。
「そうか、すまん。俺がちゃんとしてれば……」
ちとせおにーちゃんは、全然悪くないのに謝った。
わからない。全然わからないよ。
悪いのはここあで、ちとせおにーちゃんは悪くない。
「……なんにしろ、そろそろ私は失礼する。まだ山田と戦っていないんでな」
ナギさんはそう言うと、さっさと歩いてシューティングスターに帰った。
ずぶぬれのここあと、おにーちゃんだけが残された。
<> わいやーどみにまむ2 後 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/09(日) 01:58:00 ID:Hb+DCbze<> 「……くちゅん!」
「あーあ。お前、風邪ひいたんじゃないのか?」
「そうかも……くちゅん!」
恥ずかしい。ちとせおにーちゃんにずぶぬれで風邪っぴきの、こんな惨めなとこを見せちゃった。
負け犬で、わがままで、最低だ。
自分では賢いと思ってたのに、ここあはとんだお馬鹿さん。
「ったく、しゃーない。家まで送ってやる。ほら、背中に乗れ」
「……でも」
「子供なんだから、わがままになれ」
「……うん」
ちとせおにーちゃんにおぶさると、ちとせおにーちゃんはいきなり全速力を出した。
ちとせおにーちゃんの縮地法。速い。ここあとは大違い。
すぐにここあのうちに着いた。
「おとーさん、おかーさん。……まだ、帰ってないの?」
鍵を開けると、電気がついていなくて、人の気配も無かった。
玄関の外で待っていたちとせおにーちゃんに、事情を説明する。
「……だから、ちとせおにーちゃん、ここあと一緒にいて……」
また、わがままを言った。
ここあは、駄目な奴だ。ちとせおにーちゃんのこと好きなのに、頼ってるだけ。
弱い。
何もできない。
「……わかったよ。俺は、保護者だからな」
ちとせおにーちゃんは、凄く優しい目をここあに向けながら言った。
その姿に、ここあの心臓はどきんと跳ねた。
<> わいやーどみにまむ2 後 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/09(日) 01:58:31 ID:Hb+DCbze<> 「こけちゃったから、身体、痛くてうごかないよぅ……。ちとせおにーちゃん、脱がせて」
濡れた服は脱ぎにくい。半分は本音だった。
でも、もう半分はただのわがままだった。
「脱がせろって、お前、俺に捕まれってか?」
「……くちゅん!」
「……」
震えるここあを見て、ちとせおにーちゃんは困った顔をしながらも、ここあの服に手をかけてくれた。
べったりと重くなって張り付く冬ものの上着を脱がし、洗濯籠に入れていく。
ひらひらした子供っぽいスカートも、今は脚に張り付いている。それもちとせおにーちゃんはゆっくりと脱がした。
上は肌着、下はぱんつ。まだブラをつけていないから、これで残り一枚ずつ。
ここで、またちとせおにーちゃんは躊躇した。
「……おにーちゃん……さむいよう」
震える声で言った。半分、演技だった。
ちとせおにーちゃんは、意を決した様子でここあの肌着に手をかける。
「ほら、ばんざいしろ」
ここあが両腕を上げると、一気に取り去った。
ここあの膨らみかけの胸が、今はかがんでいるちとせおに―ちゃんの眼前に晒しだされた。
ちとせおにーちゃんはそれをばっちりと見てしまったと自覚したあと、急に顔を赤くして目をそらした。
「ぱんつも……お願い」
ここあの懇願に、ちとせおにーちゃんはまたここあを見た。そうしないと脱がせられない。 <> わいやーどみにまむ2 後 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/09(日) 01:59:01 ID:Hb+DCbze<> ああ……ちとせおにーちゃんがここあの裸の胸をみてる。
なんだか、恥ずかしくて。むずがゆくて……。
でも、ちょこっとだけうれしくなった。
濡れて透け透けになって、しかも肌にしっかり張り付いた白いぱんつ。たぶん脱がすのは難しい。
いちいち引っ掛かるのを、ちとせおにーちゃんは強引にじゃなく、丁寧におろしていく。
ゆっくり、ゆっくりと、ここあのぱんつを脱がしていく。
ちとせおにーちゃんの視界には、もうここあの大事なところが見えているかもしれない。
恥ずかしい……。
「足上げろ」
「う、うん」
一番下までおろされたぱんつから、脚をひきぬく。脚を上げると、本当にちとせおにーちゃんの位置からここあの大切なところが丸見えだった。
むずがゆい。胸の奥になにかもやもやしたものが湧き上がってくる。
緊張感から介抱されたのか、ちとせおにーちゃんはふぅと息をつき、下着を洗濯籠に放り込んだ。
「全裸のままじゃこじらせるぞ。さっさとシャワー浴びてこい。そのあと寝ろ」
「うん」
一緒に入ろうって言おうとしたけど、それは無理だと思った。
それに、今のここあは変だ。ちとせおにーちゃんに近づきすぎたら、もしかしたら……。
おかしく、なっちゃうかも。 <> わいやーどみにまむ2 後 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/09(日) 01:59:36 ID:Hb+DCbze<> シャワー室。ぺたりと座り込み、シャワーを出す。
あったかいお湯が気持ちいい。
「……やっぱり、もやもやする」
ぽつりと呟く。お風呂場の中で響いて、ここあの耳の中で無意味に反響する。
「……おまた、あついよぉ」
分からない。
なぜこんなことになるのか。
さっき、ちとせおにーちゃんに服を脱がせてもらったとき。
たしかに、感じたもやもや。
それは今、ここあの女の子の部分に影響を及ぼしていた。
触って確認する。
じめっとしめっている。
さっきの水たまりのせいじゃない。指にからみつくこの液体。
「……これが、あいえきっていうのかな……?」
気持ちよかったらでるお汁。ここあはおませさんだから、知っていた。
「さっきちとせおにーちゃんに服脱がされて、おっぱい見られて……気持ち、良かったんだ……」
ここあは、変態さんなのかな。
不安になる。
でも、もう後戻りはできない。
指で、そこを撫でる。今まではほとんど触ったことが無い。
「はぅ!」
びくっと、新鮮な快感にここあの身体が跳ねた。
「ふぅ……ふぅ……」
だめだ。こんなの……。普通に、身体洗って、さっさと寝よう。
息が荒くなってきた。たぶん、風邪がこじれる前兆。興奮なんてしてないもん……!
ここあは、えっちな娘じゃないもん。こんな、こんなこと……。
<> わいやーどみにまむ2 後 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/09(日) 02:00:06 ID:Hb+DCbze<> シャワーを再び当てる。
暖かくて、やっぱり気持ちいい。皮膚を撫でるそのお湯の感触が、たまらない。
――これ、おまたにあてたら、どうなるかな……?
一瞬、邪悪な考えが脳裏を過ぎった。
なんでこんなこと考えてしまったんだろう。
シャワーはそんなことのために使うものじゃない。これは、悪いことだ。
でも……。その誘惑に、ここあは耐えられなかった。
脚をゆっくりと広げる。そんな背徳的な行動にも、自分で興奮してしまった。
そう、ここあは興奮しきってしまっている。
ちとせおにーちゃんに服を脱がされて、たぶん「えっちをこれからする気分」と錯覚しちゃったんだ。
恋人でもないちとせおにーちゃんで、勝手に変な妄想しちゃったんだ。
……馬鹿だ、ここあは。
でも、やめることができない。
広げてあらわになった大切な場所に、シャワーを当てる。
「んあっ!!」
全身が大きく跳ねた。さっき指で触ったときよりも、何倍も大きな快感。
「うっ……ん、あぁ……ひっ……ぐぅ……うん……!」
今まで出したことの無いような声を漏らしてしまう。
肺から空気が押し出され、自然に声が出るんだ。それほど、気持ちいい。
「ひぁあん……!!」
浴槽内に寝そべってしまう。不潔だとはわかってる。変だって分かってる。
でも、とまんないよ。
「ちとせ……ちとせおにーちゃん……気持ち良いよぉ……ここあ、変態さんだよぉ……!」
腰が浮いて、脚を思いっきり広げてシャワーを近距離で当てていく。
その部分から全身につたわる、電気みたいな衝撃。
脳をとろけさせて、ここあを駄目な子にしていってしまう。
「だめぇ……こんな……ここあ、だめだよぉ……」
でも、勝手に身体が動く。片手でシャワーを押し付けながら、あいた手で胸を掴んだ。
乱暴に刺激する。乳首をつまみ、くりくりと弄りたおす。
ちとせおにーちゃんの視線の跡が、焼けるように快感を押し付けてくる。
腰も勝手に動き出した。行き場の無い欲望をどこかに求めるように、くねくねと前後運動を始める。
たぶん、男の人を――ちとせおにーちゃんを、もとめている。
<> わいやーどみにまむ2 後 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/09(日) 02:00:36 ID:Hb+DCbze<> 「ちとせおにーちゃん……みないでぇ……」
見せたくなかった。こんなここあの駄目なところ。
おまたをひらいて、シャワーで快感をむさぼって、ちとせおにーちゃんに見られた胸を弄って、腰を勝手に動かして。
まるで、動物みたいな、馬鹿みたいな光景。見せたくない。
でも、同時に見せたくもあった。
ちとせおにーちゃんに裸を見られて、ここあはその気持ちよさに気付いてしまった。
その快感が、今のここあの行動を導いてる。
何よりも気持ちが良かったのは、たぶん今のこの行動自体より、ちとせおにーちゃんに見られたという事実。
なら、今この瞬間の痴態を見られたら、どうなってしまうのだろうか。
想像しても足りない。
「……ふぅ……あ、ふあぁ……ん……なんか、きちゃううぅ……!」
何かが。
もやもやしたものが、全ておまたの中に集まってる。
子宮らしきところがきゅうきゅうと『何か』をもとめ収縮して、その中でここあの欲望も渦巻き始めた。
「ふぁ……あぁああぁ……ひぃあああああああああああああああん!!!」
とてつもない大声をだして、ここあはのけぞった。
浴槽のなかでのたうち回り、唾液を撒き散らしながら身体を痙攣させ、叫んだ。
「だめぇ……だめっ!!! あああああああああ!!!」
<> わいやーどみにまむ2 後 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/09(日) 02:01:07 ID:Hb+DCbze<> 長い、長い痙攣。頭の中が真っ白になって、冷静さを失う。
おまたが凄く熱くなって、そこからどろっとした液体が流れる。
――汚い、流さないと……。
どうして、そんなことを考えてしまったのだろうか。
ここあは、シャワーをさらに押し付けた。
「――っ!? そんなぁ、だめえええええええええええ!!!」
第二波。
ここあは、まだ自慰に関する知識と、絶頂が連続してくる状態を知らなかった。
だから、異様に快感を長引かせてしまった。
「ふぐぅ……うあ、はっうぅ……ぅああああん……あああああああああああ!!!」
獣のように激しく、乱暴に自らの身体をむさぼった。
乳首を指ではさみ、ひっぱる。シャワーを放して、手で直接おまたを触る。
再び絶頂。
手がどろどろにぬらされていた。これは、シャワーのお湯じゃない。
でも、あつい液体。
ぐちゅぐちゅと乱暴に割れ目に指をねじ込む。若干痛かったけど、快感がそれに勝った。
「ひっ……ひぃあああああああん!!!」
四度目の絶頂。
「はぁ……はぁ……」
浴槽の中で倒れながら、ここあは働かない頭を必死で再起動しようと努力した。
結論から言って、とりあえず身体はあったまった。
そういうことにした。
もう、何も考えたくは無かった。
<> わいやーどみにまむ2 後 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/09(日) 02:01:37 ID:Hb+DCbze<> 「おい、なんか悲鳴がしたけど、大丈夫か? 浴槽の中でもこけたのか?」
脱衣所の扉を開き、ちとせおにーちゃんがここあに呼びかけた。
シルエットがみえる。
ここあはとっさに平静をとりつくろって、ちとせおにーちゃんに、そうではないと――
――そうだ。嘘をつこう。
「えっと、やっぱり身体が動かなくて」
「おいおい、大丈夫かよ。マジで、医者とかつれてってやろうか?」
「う、ううん。ちょっとのぼせちゃっただけだから。大丈夫だよ。それよりちとせおにーちゃん……もう、あがるから、身体……拭いて」
お願い。
弱弱しい、病人らしい声で懇願する。
ちとせおにーちゃんの性格はよーくしってる。これでは断れない。
「……わかったよ」
脱衣所で、ちとせおにーちゃんはここあの身体をバスタオルで拭き始めた。
髪は、あまり長くないとはいえ、丁寧に拭かなければならないし時間がかかるから、少し水をとっただけで後回しにする。
まずは身体から。
首筋から丁寧に張り付いていた水滴を取っていく。
ちとせおにーちゃんには中のいい妹がいるらしい。たぶん、それで同じようなことをしてなれているんだろう。
気持ちがいい。ちとせおにーちゃんの手は丁寧で、優しい。
触られているだけで、おまたがしめってくる気がする。
ちとせおにーちゃんは、また目を逸らしながら胸を拭く。
今回は、どうしても触れなければならない。バスタオル越しとは言え、その感触は伝わる。
ここあの胸を拭く。ちとせおにーちゃん。
ここあのふくらみかけの胸を撫でるその手が、気持ちいい。
ふにふにと、柔らかいその部分が変形する。
バスタオルと乳首がすれて硬くなる。まだそこまで大きくないから、硬くなってきたのはばれなかった。
「――ぁっ」
すこし、ぴくんと震えてしまった。こえももれた。まずい。
<> わいやーどみにまむ2 後 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/09(日) 02:02:08 ID:Hb+DCbze<> 「っ! すまん、痛かったか!?」
ちとせおにーちゃんは慌てた様子でここあを気遣った。ほんとに、優しいんだね。
「ううん。大丈夫。続けて……」
「ああ……」
ちとせおに―ちゃんは、背中を拭き始めた。そのまま、下にすすみ、ここあのおしりに到達する。
ふにふにと、バスタオルで撫でる。ぴくぴくと、身体がまた震える。
今回は、隠しとおさないと。
おしりを撫でられて、おまたがまたじんじんする。
ちょっとずつ、また息が速くなってくる。でも、必死で隠しとおす。
ちとせおにーちゃんは後ろからここあの脚をさっと拭いて、やっと完了したと、立ち上がった。
「まだ……残ってるよ、ちとせおにーちゃん」
勇気。
これは、勇気だった。
でも、限りなく邪悪で、後ろ向きな勇気。
「ほら、ここあのおまた、拭いてないよ。ここ、おしっこするところなんだから、ちゃんとしないと」
――色々大変なんだから。
わざと、何も知らない子供のように振る舞う。
しかし、ここあのそこは、もう子供らしい無邪気さなんてなかった。
ちとせおにーちゃんに触って欲しいって、ずっと泣いてる。
涙が、出てる。
涙は、おまたからとろとろと流れ落ちて、脚を伝って床にまで落ちていた。
今なら……全身まだ少しずつ湿っている今なら、拭いていない所の水滴が落ちたって言い逃れできる。
「……」
ちとせおにーちゃんは、顔を真っ赤にしながら従った。
たぶん、こう思ってる。
相手は純粋な子供なんだ。過剰に女扱いしてしまったら、逆にロリコンになってしまう。と。
それはただしいよ、ちとせおにーちゃん。
でも、ここあの思う壺だった。
<> わいやーどみにまむ2 後 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/09(日) 02:02:38 ID:Hb+DCbze<> バスタオルを持ち、手を、脚と脚の間に差し込む。
「――っ!」
ぴくん。身体が跳ねた。ちとせおにーちゃんは緊張のあまり気付いていない。助かった。
そっとおまたを撫でる。
愛液がバスタオルに絡み付いていく。でも、あとからあとから溢れてくる。
気持ちいい……。気持ち良いよぉ……。
ちとせおに―ちゃんは、なかなかとれない水気と格闘している。
ごめんね。これ、ここあの中からでてくるんだ。だから、とまんないよ。
ここあは、今、全裸でたっていて、大好きなちとせおにーちゃんにおまたを撫でられている。
ちとせおにーちゃんは気付いていない。けど、これはここあにとって、一番興奮する状況なんだ。
あんまり自信は無い、膨らみかけの胸が見られて、恥ずかしい。
幼稚な体系を見られて……ちょっとぽっこりしたおなかを見られて、恥ずかしい。
おまたを撫でられて、そこから愛液をとろとろに出して、恥ずかしい。
声出しちゃいそうで、聞かれたら恥ずかしい。
恥ずかしいだらけのこんなことが、こんなに気持ちが良いだなんて……!
びくびくと、また絶頂に達した。
愛液が一気にかきだされ、これで打ち止めとなる。
ここあの愛液も無尽蔵じゃないし、たぶんこのまま隠しとおすのは困難。
ここらで切り上げよう。
「はぁ……はぁ……ありがと、ちとせおにーちゃん。あとは、パジャマ着せて。そうしたら、寝るよ」
ちとせおに―ちゃんは安堵して息をつき、下着をここあに穿かせた。
そのとき、また脚をあげたからおまたがちとせおにーちゃんに見られてしまったかもしれない。
愛液でぐちゃぐちゃになったおまた。
みられたら、頭が沸騰しちゃう。
でも、いやじゃない。それは、気持ちがいいことなんだ。
<> わいやーどみにまむ2 後 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/09(日) 02:03:09 ID:Hb+DCbze<> そうこうしているうちに、パジャマを全て着せられ、ベッドまで運ばれた。
「じゃあ、俺はもう帰るから、親が帰ってくるまでは少なくとも大人しくしとけ」
「うん、ばいばい、ちとせおにーちゃん。今日は、ありがとう」
ありがとう。
記憶では、ちとせおにーちゃんはこの言葉がとっても好きで、言われたらどんなことがあろうと許せる。
今日の我が侭も、これで許してくれるだろう。
「ああ、しばらくは無茶すんなよ。じゃあな」
ちとせおにーちゃんもうれしそうな顔をして、ついにここあの家から出て行ってしまった。
「……ちとせおにーちゃん」
呟く。あの人の名前。
愛しい。
全部。
ちとせおにーちゃんの全てが、いとおしい。
欲しい。
ナギさんには、渡したくない。
理科子おにーちゃんにも、渡したくない。
もしあの二人がちとせおにーちゃんを奪ってしまうようなことがあれば、ここあは……。
ここあは、たぶん殺してしまうかもしれない。
でも、まだその力が無い。
理科子おねーちゃんも、ナギさんも、ここあよりもずっと強い。
実力行使では、勝てない。
でも、ちとせおにーちゃんを普通に魅力で落とせるかといえば……。
そこまででもない。
今日、ここまでアピールしたんだ。たぶん、理科子おねーちゃんが同じことをしてたら……。
――ちとせおにーちゃんは、おちちゃっただろう。
<> わいやーどみにまむ2 後 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/09(日) 02:03:39 ID:Hb+DCbze<> 「勝ちたいよ……」
いつの間にか、また手がおまたを撫でていた。
はしたない。馬鹿っぽい。そう自分を罵る。
でも、止まらなかった。
「ちとせおにーちゃん……欲しいよぉ……」

いつか。
いつか、強くなって。
ちとせおにーちゃんの周りにいる女全員を殺して。
たぶんちとせおにーちゃんはここあに振り向いてくれないけど。
その時はなにがなんでも……汚いことをいくらしてでも。監禁でも誘拐でも、なんでもしてやる。
ちとせおにーちゃんを手に入れたい。
永遠に、ここあのものにしたい。
いや、絶対にする。

この思いは、永遠なんだ。一緒にいなきゃ、壊れちゃうんだ。
ここあがここあでいるためには、もう、ちとせおにーちゃんは欠かせないんだ。
絶対に……他の女には渡さない。
誓う。
ちとせおにーちゃんは、この盤宝典ここあが手に入れる、と。

それがここあの、ただひとつ、生きていく方法だったから。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/09(日) 02:04:37 ID:ieksx22V<> 支援 <> わいやーどみにまむ2 後 
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/09(日) 02:06:04 ID:Hb+DCbze<> 終了です。
北斗ネタに反応してくださる方がいて嬉しいのですが、
ここはヤンデレスレなので、あまり偏りすぎにならないよう、お願いします。
分からない方にはあまりよくない流れになってしまうと思いますから。
こんなこと僕がいうのもなんなのですが、お願いします。すみません。
では、また。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/09(日) 03:42:39 ID:tSAU6jmY<> ワーイここあタソも病み始めたぞ
でもロリから脱却する位まで成長する頃には全てが決着済みになってるよなぁ… <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/09(日) 06:49:55 ID:YQM+8/UP<> GJ <> 名無しさん@ピンキー<><>2008/11/09(日) 10:59:59 ID:vjLtT5fJ<> GJ!!としかいいようがない! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/09(日) 13:44:30 ID:ieksx22V<> gj!
しかし、今回は作品が多いな。もう450kbだぜ <>
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/11/09(日) 19:31:39 ID:ZLAFCsLQ<> 投下します。ワイヤード氏へのレスは僕をすっ飛ばしてお願いします。 <> 天使のような悪魔たち 第6話 ◆UDPETPayJA <>sage<>2008/11/09(日) 19:32:39 ID:ZLAFCsLQ<> 午後8時、結意と別れた俺は夕食の買い物をするために最寄りのスーパーを訪れていた。入り口付近から順当に歩き、目当ての品々をかごに入れてゆく。
さすがに時間が遅かったから、残っていた品揃えも微妙だが…。今日のメニューは…そうだな、明日香の好きなオムライスにでもしようか。

明日香は…まだふさぎこんでるだろうか?俺とて、明日香のことが嫌いなわけじゃない。むしろ、愛している。だが結局、あくまで家族としてのそれでしかない。
俺は…どうすればよかったんだろう。あのまま明日香の気持ちに応えればよかったか?それとも、もっと冷たく突き放せばよかったのか?
馬鹿な俺にだってわかる。このまま中途半端にずるずると引っ張ることがもっとも残酷であることぐらいは。
だから…いずれはっきりさせなければいけない。もう、答えは決まっているんだから。

♪♪♪♪〜♪♪〜♪♪♪〜

焼き芋の機械に備えつけられたスピーカーから鳴る軽快な音楽によって俺の思考は現実に引き戻された。
そのまま、とりあえず会計を済ませることにした。今は早く家に帰ろう。その上ではっきりと言わなければならない。

俺は…家を出る。


夜の闇を薄暗い電灯が照らしている、人気の少ない道をひとり歩く。一歩踏みしめるたびに決意を反芻する。
今度こそ逃げちゃだめだ。明日香がどんなに悲しもうと、はっきり言う。それがきっとお互いのためだから。
明日香だってこれから先いくらでも出会いがあるだろう。俺よりもいいやつなんかごまんといる。
だから…きっといつか傷は癒えるはずだ。自分勝手な願望ではあるが、今の俺にはそうなってくれることを祈るしかできない。

そんなことを考えているうちに、とうとう家の前に着いた。一度深呼吸をし、ドアノブに手をかける。

「ただいま、明日香。」と、決まりの挨拶をする。が…当然返事はない。俺は靴を脱ぎ、中へと上がった。ふいに、あることに気付いた。 <> 天使のような悪魔たち 第6話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/11/09(日) 19:33:27 ID:ZLAFCsLQ<> ―――明日香の靴がない。外出しているのか…こんな遅くに、一体どこへ?
いろいろと思案してみる。まず昨日のこと…あんなことがあったからにはやはり家には居づらかったのだろうか?
そこで、俺の思考はひとつの可能性にたどり着いた。…家出か?
とにかく、明日香が心配だ。俺は再び靴をはき、外に出ようとした。

「待ちなさい、飛鳥。」

誰かに呼び止められた。俺は声がした方へ向き直る。そこにいたのは…明日香そっくりの少女だった。
もし髪がストレートではなくツインテールであれば、明日香にしか見えないだろう。けど、俺はこの少女を知っていた。

「亜朱架姉ちゃん…?なんでここに?」
俺が疑問に思ったのは当然だ。なぜなら姉ちゃんは父さんたちと一緒に海外へ行っていたはずだから。

「帰ってきたのよ…久しぶりね、飛鳥。」



亜朱架姉ちゃんは、神坂家の長女だ。今年でたしか20になる…が、どうみても幼女だ。最後に会ったのが四年前だけど、その時から全く変わってない。ただ、やはり言動は大人びいているが…。

「明日香を探すんでしょ?私わかるわよ、居場所。」
「どこにいるんだ!?姉ちゃん!」
「あんたの彼女のとこよ、間違いないわ。」


…おかしい。なんでついさっき再会したばっかなのに結意のことを知ってるんだ?それに、明日香の居場所も…だめだ、今はそれどころじゃない。
俺はすぐさま結意の家に向けて走り出した。
<> 天使のような悪魔たち 第6話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/11/09(日) 19:34:31 ID:ZLAFCsLQ<> それから数分後、目的の場所へたどり着いた。ドアを引く。…鍵がかかっていた。俺は乱暴に呼び鈴を数回押し、怒鳴った。

「開けろ結意!俺だ、飛鳥だ!」

だが、いっこうに開かれる気配がない。

「どきなさい、飛鳥。」

あとを追ってきた姉ちゃんが俺を押し退け、ドアに正対する。すると、目を閉じて手をドアにかざした。

直後、閃光がまたたいた。いや、正確には光と言うより…闇。さしずめ黒い光、か?それからドアは、音もなく開いた。

「姉ちゃん…今のは?」
「鍵を破壊したのよ。緊急事態だし…。」
「そうじゃねえよ!今の光はなんなんだ!?」
「…後で話すわ。それより……」

そう言って姉ちゃんは部屋の中を指さす。俺は黙ってうなずき、部屋へと上がり込んだ。なにか声がする。…どうやら、明日香は本当に来ていたようだ。

「この泥棒猫!あんたなんかがいるから兄貴は…兄貴は私を見てくれないのよ!」
「あなたは飛鳥くんの妹なのよ?私がいなくても、飛鳥くんはあなたには振り向かないわ。」
「うるさい!あんたなんか…死んじゃえ!」
<> 天使のような悪魔たち 第6話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/11/09(日) 19:36:19 ID:ZLAFCsLQ<> 明日香は激昂し、手にもったナイフを結意に差し向けた。俺はすかさず止めに入る。

「やめろ明日香!こんなことしてなんになる!」
「どいてよお兄ちゃん!そいつ殺してやるわ!」

結意に向けてナイフごと突貫せんとばかりの明日香。とりあえず、後ろから羽交い締めにした。

「離して!あの泥棒猫殺さなきゃいけないの!」

こんな小さな体のどこにそんな力があったのか、今にも振りほどかれそうだった。

―――――そのとき、再び黒い光がまたたいた。その一瞬で、ナイフは失せていた。明日香も、気を失っていた。

「…間に合ったわね。」

肩で息をしながら姉ちゃんが近づいてきた。どうやらあの光を放つのは体力を消耗するみたいだ。そのまま明日香の額に手をかざし、三たび黒い光を放つ。

「飛鳥くん…この子は?」
いきなりの明日香に瓜二つな幼女(?)の登場に結意は戸惑っていたようだ。

「俺の姉ちゃんだよ。亜朱架ってんだ。」
「…また"あすか"?」
「ああ…親父たちもなんたってこんな紛らわしい名前つけたんだろな?」と、少しでも場をなごませようとおどけて見せる。

「飛鳥、もう行きましょう。あ…結意さんでしたっけ。鍵、壊しちゃったから。明日すぐ業者をうちから手配するから今夜はチェーンロックで代用してね。
…ごめんなさいね?」
姉ちゃんは丁寧に謝り、軽くお辞儀をした。俺は、明日香を担いで結意の家を後にした。
<> 天使のような悪魔たち 第6話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/11/09(日) 19:37:40 ID:ZLAFCsLQ<> 「なあ…さっき明日香になにをしたんだ?」俺は姉ちゃんへそう問いかけた。至極当然な質問だ。

「記憶を奪ったわ。正確には、明日香があんたに拒絶された日の記憶をね。」と、姉ちゃんは答えた。
「じゃあ、あの光はなんなんだ?鍵を壊したり、ナイフを消し去ったり…普通じゃないだろ、あれは!」
すると姉ちゃんは一考したあと、語りだした。

「私…人間じゃないのよね。」
「…はぁ?だって姉ちゃんは…」
「普通に見れば人間と変わりないわ。でも、厳密には違うの。あんた、生物の授業で習わなかった。2n=46って。」
「それなら習った。人間の染色体の数だよな。」
「そうよ。でも私は…49本あるの。」
「…多くねえか?なんでそんなにあるんだよ。」
普通に考えて意味が分からなかった。人間の染色体が49本なんて、聞いたことない。

「たぶん…いえ、絶対お父さんのせい。あんた、お父さんがなんの研究してか知ってる?」
「いや…興味なかったからな。」
「…私の遺伝子の研究よ。普通なら、こういうのは染色体異常の類として扱われるんだけど…ダウン症とかがそのいい例ね。でも私はなんの欠陥も今現在は見当たらないわ。そのかわり……」

はぁ、とため息をつき、姉ちゃんは続けた。

「年とらないのよ、私。それに、さっきの光。見たでしょ?あれは…そうね、"消去の光"ってとこかしら。」
「消去の光?なんだそりゃ。」
「任意のものを消し去れるのよ。さっきのナイフみたいに……。記憶だって、この光で奪えるわ。………こんなのって、人間じゃないでしょ?」
少し哀しそうな表情で微笑みながら姉ちゃんはそう言った。
<> 天使のような悪魔たち 第6話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/11/09(日) 19:38:59 ID:ZLAFCsLQ<> 「お父さんたちの研究テーマは…そうね、"新人類"とでもいったところかしら。今も、日本のとある極秘の施設で研究してるはずよ。海外なんてのはたんなるカモフラージュ。それとね……」
そこで切り、俺…いや、俺たちへと向き直る姉ちゃん。

「あんたたちもそうなのよ。49本。」
「……俺たちも?でも…」
「なんの変化も見られない、でしょ?それもそうよ。それこそが私だけが研究材料として適任だった理由なんだから。でもね…一つ問題があるのよ。」
「…? 言ってみろよ。」
「………飛鳥、もう結意さんとはセックスした?」

―――――な、なんてことを訊いてくるんだ姉ちゃん!あまりに突然だったため、どう答えたらいいかわっかんなくなってしまった!
まあ…それだけで見抜かれたみたいだけど。

「…やっぱり。」

ほら、"やっぱり"!

「飛鳥……言っとくけどあんた、結意さんとのあいだに子供つくれないわよ。」

……今度は、姉ちゃんの言ってることの意味がわからなくて沈黙してしまった。子供ができない?俺と結意の?
<> 天使のような悪魔たち 第6話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/11/09(日) 19:40:00 ID:ZLAFCsLQ<> 「まだ授業で教わってないのね…ほんと、ゆとり教育ってダメね。いい?たとえば、犬とネコが交尾したとしても子供はできない。これはわかるでしょう?」
「ああ。」
「それと同じ。"種"が違うの。わかりやすくいうと…おたがいの染色体の本数が一致しないと子供はできないの。つまり、ヒトと猿が交配しても子供はできない。
だから……私たちは普通の人間とのあいだには子供はつくれない。わかった?」
「……なんとか。」実際頭のなかごっちゃだけど…言いたいことはわかった。
「一応、方法はあるわ。」再び姉ちゃん。「それはいったい?」とりあえず尋ねてみる。

「近親相姦なら子孫を残せるわ。あんたと明日香がくっつけばいいのよ。」
「…………!?あ、明日香と!?」
「そ、明日香とよ。私、べつに子供ほしくないし…でも明日香はその気満々みたいだし。はやいとこくっついちゃいなさい。うん、それがいいわ。」

なんかとんでもないことを言ってる気がするが………いや、言ってる!

「でも、俺たち兄妹だぞ!そんなこと―――――」
「あんた、明日香が嫌いなの?私はどうしてもあんたと明日香がくっついてもらわなくちゃ困るのよ!」

…なんで困るんだ?とは言い返せなかった。姉ちゃんの鬼気迫る表情に怖気ついてしまったからだ。

「どうしてもっていうなら…しかたないわね。」俺に手をかざす姉ちゃん。

瞬間、黒い光がまたたいた。対象は…どうやら俺みたいだ。 <> 天使のような悪魔たち 第6話
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/11/09(日) 19:41:06 ID:ZLAFCsLQ<> * * * * *

「…あれ、姉ちゃん。俺何してたんだ?」
「なんか、ぼーっと考え事してたわよ。しゃきっとしなさいしゃきっと!」

なんだ…?このもやもやした感覚。まるで、
「ねえ奥さん、こないだのアレお買い得だったわよねぇ!」「アレって?」「だから、アレよアレ!えっと…なんていったかしら?」みたいな感じだ。
まあ、いいか。明日になればまた結意特製の怪しさマックスの弁当箱が下駄箱に入っていることだろう。そして繰り返される日々、か。
そう思うと足取りが重く感じられたが…まあめげずにがんばろう、俺!

「飛鳥…ごめんなさいね?」突然謝りだした姉さん。
「何がだ?」と思わず聞き返す。理由がわからなかった。何を謝ってるんだ?



「ううん…なんでもないわ。ただいま、飛鳥(明日香)!」 <>
◆UDPETPayJA <>sage<>2008/11/09(日) 19:43:53 ID:ZLAFCsLQ<> 終了です。
染色体のくだりは…つつけばいくらでもボロが出てきそうなのでノータッチでお願いします。
>>675 GJ! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/09(日) 19:54:41 ID:Hb+DCbze<> 今回も面白かったです。
でもネタかぶりました、ごめんなさいw これ以降ワイヤードでパクッてるっぽいとこが出ても見逃して欲しいです。
黒い光って、強いですね。もしかしてバトル展開になるのでしょうか。なら大好物です。
なんにしろ、続きが楽しみです。期待してます。がんばってください。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/09(日) 20:29:46 ID:PkVWcNKA<> 今日も大漁、大漁。
おなかいっぱいだ、。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/09(日) 20:39:14 ID:tSAU6jmY<> GJ。なんだが…
この展開だとアレがああなってるから結意が可哀想すぎる…
報われる事を祈るしかない <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/09(日) 21:15:11 ID:s5GgjPPY<> GJ! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/09(日) 21:25:01 ID:YQM+8/UP<> GJ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/09(日) 22:20:59 ID:R2q+e33y<> GJ!
ところでヤンデレ家族ずいぶん見てないと思うんだけど作者さん忙しいのかな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/09(日) 22:40:47 ID:yqSsMytb<> >>695
気長に待とうぜ
俺もその一人だ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/09(日) 23:04:13 ID:ecGUupnG<> 心配ならブログ見に行けばいい <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/09(日) 23:51:42 ID:qmKrK4Qm<> なんでもブログによれば、展開に詰まってしまったんだそうな。

さあ、気長に待とうか。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/09(日) 23:51:57 ID:vHuxCQOy<> >>697そういえばブログもってる人他にもちらほらいたな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 00:06:36 ID:oji113CX<> 誰か代わりに書いてくれ
とにかく続きが読みたいんだ! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 00:09:08 ID:h72ogn5B<> >>700
作者さんを素直に応援しようぜ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 00:10:02 ID:vUHbK0iq<> >>700
代わりに書けって、修羅場スレみたくなったらどうするんだよ
お前少し自重しろ
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 00:12:33 ID:UhrdKCoH<> おっと修羅場スレの話はそこまでだ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 00:31:39 ID:o+jOjcQZ<> ヤンデレに『付き合うかどうかをコイントスで決める』とか言ってみたい <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 00:31:39 ID:CjTaLOsA<> 寒さも厳しくなってきたが全裸に正座で待機の心はまげないつもりだ


さぁ、今日も待機だ… <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 00:39:52 ID:Svu7qbUM<> >>704
ヤンデレがサイコキネシスを会得します <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 00:48:22 ID:ZmyGMAA/<> >>704
いつのまにか両方が表のコインとすり替えられてます <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 00:51:04 ID:FKElutJp<> >>704
ヤンデレなら運命までもあやつりそうだ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 01:13:18 ID:MsvpAtYZ<> >>704
ヤンデレが刃物片手に「○○君、もちろんコインはオモテだよね?ね?ね?」 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 01:30:16 ID:Yu9vWArA<> >>707
ばれなきゃイカサマじゃない <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 02:07:20 ID:ZsrE4n/b<> わんわん泣きながら好き好き言ってくるよ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 02:14:39 ID:mk758T1a<> >>705
俺は最近寒いから裸に靴下とマフラーをつけて正座してる <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 02:33:30 ID:RIWkHEIL<> 彼女の異常な愛情
〜または私は如何にして心配するのを止めて彼を愛するようになったか〜
ストーリー
ある都心のマッドな女子高校生が一人の少年を愛す。
彼は虐められており、怒った彼女は独断で相手を謀殺するが、彼に幼なじみが接近した。
幼なじみは彼女を爆殺しようと手作り爆弾を仕掛ける。
彼女はサリンを充填した皆殺し装置を町中に仕掛ける。
発動条件は彼女の死亡、スイッチ一押し。
少年は未曾有のサリン事件を防ぐ為彼女と幼なじみを説得しご機嫌を取ろうとするが…


元ネタ…今日借りた映画  <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 03:03:24 ID:Yw67nDpZ<> ところで男も女もヤンデレなカップルってどうなるんだ? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 03:47:40 ID:Jy7KsUFu<> 心中? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 03:51:18 ID:VQW4ZWtv<> 女「あなたさえいればそれでいい」
男「お前さえいればそれでいい」

幸せじゃね? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 04:10:20 ID:h72ogn5B<> ただの周りを巻き込む迷惑なバカップルになるかと <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 06:29:04 ID:cCMMZPTE<> >>716
しかし、人はそれだけでは生きていけないのだよ
しかも男は合理的な生き物だ
女のためにしたことが裏目に……
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 23:00:28 ID:8wQ3NxIf<> …修羅場スレが消えた? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 23:04:12 ID:xXPy3ME6<> >>719
あるじゃん <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/10(月) 23:46:49 ID:7oBAd9Ph<> 源氏物語アニメ化か・・・
ヤンデレの始祖の登場だな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/11(火) 00:33:43 ID:AMwX7wsr<> >>721
幼女をさらってきてセクロスとな?

つーか源氏物語はエロすぎて漫画化すら不可能だろ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/11(火) 00:41:45 ID:1CON9MLX<> >>722
いや、六条の御息所のこと言ったつもりだったんだが <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/11(火) 00:52:17 ID:dEmuc9G5<> >>722
津田塾の創始者が「ポルノ本読ませるんじゃない!!!」って切れたぐらいだしな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/11(火) 01:52:06 ID:VFXbPmbT<> >>722
漫画化は江川達也がやったが、たしかにセクロスしっぱなしだったな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/11(火) 08:46:50 ID:X5OzDSas<> >>722
「あさきゆめみし」って有名な漫画があってだな…… <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/11(火) 13:18:16 ID:817ESDQM<> >>726
そのアニメ化が中止になって源氏物語がアニメ化なんだよ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/11(火) 18:11:44 ID:Jc2wLUvC<> ヒント:あさきゆめみし=マンガ版源氏物語 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/11(火) 18:19:59 ID:VA7OTHTa<> あさきゆめみし:アニメ化の企画が中止に 出崎監督オリジナルの「源氏物語」に変更

 フジテレビで09年1月から木曜深夜のアニメ枠「ノイタミナ」で放送予定だった、「源氏物語」の世界を描くテレビアニメ「あさきゆめみし」のアニメ化が中止となり、
「源氏物語」を原作としたオリジナル作品「源氏物語千年紀 Genji」を制作することに変更されたことが10日、分かった。
宣伝のアスミック・エースによると、監督の出崎統さんの制作上の意向のためという。
 アニメは当初、79〜93年に講談社の月刊マンガ誌「mimi」などで連載された大和和紀さんのマンガ「あさきゆめみし」を原作とする作品を制作する予定だったが、
出崎監督の「『源氏物語』をきちんと描きたい」という意向から企画が変更されたという。
出崎監督は「誰もが魅入ってしまう『源氏物語』は魔物である。自分自身の手で新しい表現の境地に挑んでみたい」とのコメントを発表している。【渡辺圭】
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/11(火) 19:32:56 ID:e1POl/0z<> これでコケたら、アホだなこの監督 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/11(火) 20:38:42 ID:Jc2wLUvC<> なん…だと……っ!

ようするににわかは俺なんですね。
 
吊ってくる…。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/11(火) 21:12:25 ID:s8ichCn4<> もちろん会話は古語なんだな
もしくは普通に現代語か
下手に妙な間違いだらけのそれっぽいセリフを話させたら承知せんぞ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/11(火) 21:51:31 ID:FSF+epur<> 734君、逃がさないよ? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/11(火) 21:54:04 ID:OWR1wx77<> \早くお兄ちゃんに見せたくて、急いで走ってきたんだよ
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  ⊂二 ̄⌒\  ハァハァ          ノ)
     )\   ( ∧_∧         / \
   /__   )*´Д`)    _ / /^\)
  //// /       ⌒ ̄_/
 / / / // ̄\      | ̄ ̄
/ / / (/     \    \___
((/         (       _  )
            /  / ̄ ̄/ /
           /  /   / /
         / /   (  / 
        / /     ) / 
      / /      し′
    (  /         
     ) /    
     し <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/11(火) 21:54:36 ID:OWR1wx77<> すいません誤爆です <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/11(火) 22:05:20 ID:bdGnlpRw<> ワロタww <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/11(火) 22:07:28 ID:FSF+epur<> キャッチアンドリリースするか・・・ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/11(火) 23:06:11 ID:jliBBwk0<> 痛くて熱くて苦しくて悲しくて辛くて泣きたくて耐えられなくて逃げられなくて逆らえな
くて終わらなくて背けたくて叫びたくてもがきたくて吐きたくて止めたくて抵抗したくて
刃向かいたくて抗いたくて逃げ出したくて ____ 隠れたくて避けたくて篭りたくて
拒絶したくて噛み付きたくて跳ね除けた /ノ   ヽ、_\ くて振り払いたくて追い詰め
られて捕らえられて引きずり出されて /( ○)}liil{(○)\ 攻め立てられて強制され
て赦されなくて束縛されて締め付  /    (__人__)   \ けられて押し付けられ
て引き千切られて投げつけられ  |   ヽ |!!il|!|!l| /   | て虐げられて呻きたく
て喚きたくて狂いたくて堪えられ .|     |!!il|!|!l|     | なくて掴まれて殴られて
裂かれて砕かれて蹴られて焼か |     |!!il|!|!l|     | れて刻まれて焦がされ
て穢されて破られて荒らされて  |     |!!il|!|!l|     | 壊されて嬲られて弄ば
れて潰されて踏みにじられて飽  |     |!!il|!|!l|     | きられて放り出されて
打ち捨てられて気を失って痛み  |     |!!il|!|!l|     | も麻痺して心が壊れて
涙も出なくてでもまた拾われてま \    |ェェェェ|     /  た掴まれてまた殴られ
てまた穢されてまた破られてまた砕かれてまた切られてまた刻まれてまた焼き焦が
されて嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌
なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに
嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに嫌なのに <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/11(火) 23:56:36 ID:TY99UoT/<> 角煮でやれ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/12(水) 00:27:57 ID:6NoLAE3/<> スレストくらって落ちたもよう <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/12(水) 20:14:44 ID:RZ/Zb+t6<> 角煮って何? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/12(水) 20:26:24 ID:YWdA4qPK<> >>741
18歳未満は(・∀・)カエレ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/12(水) 21:36:58 ID:FT4OW6fK<> >>741
料理デスw
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/12(水) 21:58:31 ID:nAl5eVNp<> ・デス料理
ヤンデレが主人公の家に来た泥棒猫に出す料理のこと <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/12(水) 23:08:52 ID:9+gQ9KMP<> ヤンデレに勝てるヤツはいるのか?

女「大層、自分に自身があるようだけど、あなたは『私を殺せる人がいる?』と三回言えるかな?」
ヤンデレ「そんなのは何万回でも」

ヤンデレ「私を殺せる人がいる?」
「私を殺せる人がいる?」
「私を殺せる人が――」
馬岱『ここにいるぞ!』
ヤンデレ「げぇっ、馬岱!」 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/12(水) 23:24:29 ID:Pmm5YSzy<> 先生!僕はデス料理を食べられますか!? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/12(水) 23:59:57 ID:2XkBLaFi<> >>745そこで馬岱はねえよwww <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/13(木) 00:07:54 ID:w+PG5uBN<> ヤンデレ=魏延ですね <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/13(木) 06:50:33 ID:SDiDKRZF<> それは反骨です <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/13(木) 17:13:01 ID:yAKrSubE<> ヤンデレなら張春華だろ…常識的に考えて、司馬懿はいい嫁に恵まれたな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/14(金) 00:09:19 ID:XlZkQgRP<> 中世の封建主義に刃向かう女、反逆のヤンデレ

ヤンデレが公爵令嬢をメス猫呼ばわりしたとのことで訴えられた。
裁判長はヤンデレに言った。
「あなたには罰金を科す。二度と公爵令嬢のことをビッチなどと言うのではないぞ」
「わかりました裁判長様。二度と公爵令嬢のことをカントとはいいませんが、
娼婦のことを公爵令嬢と呼ぶのもいけないのでしょうか」
「それはあなたの勝手だ」
「わかりました。さようなら、公爵令嬢」 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/14(金) 00:15:19 ID:XlZkQgRP<> ヤンデレが、死の床につく友人の手を握っている。

ヤン友:「ヤンデレ、わたし・・・・わたし、お別れする前にどうしてもあなたに言っておきたいことがあるの」
ヤンデレ:「言いたまえ、どんなことをしたにせよ、わたしはもう怒ってはいない。
      何も心配することはない」
ヤン友:「いいえ、ヤンデレ。わたしは長い間、この秘密を抱いて苦しんできたの。
     でも、もう白状しなければならないわ。わたし・・・わたしずっとあなたを裏切っていたの。
     あなたの彼氏の男くんと、あなたの目をしのんで何度もやってたの。
     本当に、本当にごめんなさい」
ヤンデレ:「それは分かっていた。わたしがなぜあなたにポロニウムを盛ったと思う?」 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/14(金) 00:44:46 ID:paGb54vU<> >>751が妙につぼにはまったw <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/14(金) 02:11:40 ID:rDqUy8Kl<> >>751
ブラックジョークだな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/14(金) 04:37:54 ID:YKYQWTw5<> ってかブラックジョークのコピペ改変やん <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/14(金) 11:58:56 ID:7lsx03sP<> ちょうど480KBか。
次スレ立てたほうがいいかな?
反対なかったら一時間後に立てる <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/14(金) 12:58:55 ID:7lsx03sP<> 立てた
ヤンデレの小説を書こう!Part20
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1226635080/l50 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/14(金) 13:04:24 ID:i8wvpIaU<> もつ煮込み <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/14(金) 13:58:14 ID:XlZkQgRP<> 特攻隊は陛下にヤンデレ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/14(金) 15:44:38 ID:7O0PiuKV<> っ♂×♂
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/14(金) 16:34:49 ID:XlZkQgRP<> お国にヤンデレ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/14(金) 16:48:24 ID:5knKdxX9<> FUKINSHIN <> 名無しさん@ピンキー<><>2008/11/14(金) 17:28:03 ID:KTERV6vH<> てかお前らの紳士度には脱帽するわ……。
ずっと裸なんだろ? <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/14(金) 20:06:31 ID:XlZkQgRP<> 男「ヤンデレの料理より美味ーい」
男「ヤンデレよりもかわいいよ」
男「いいなあ、ヤンデレより胸が大きいし」
男「ヤンデレよりはやーい」

ヤンデレと他の女を比べて、他の女を持ち上げることなかれ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/14(金) 20:46:08 ID:tV/64shO<> 一番下…
彼女がエンディングにてナイフで刺されるのが確定したな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/14(金) 20:52:41 ID:N9lgGBbm<> ヨヨはトラウマ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/15(土) 00:18:44 ID:MzquCprt<> >>750
お前とはいいハンガーストライキができそうだ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/15(土) 17:38:41 ID:IOVHgHqD<> >>757
乙 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/16(日) 01:53:41 ID:CHBpoi2H<> 最近のファイアーエムブレム風のヤンデレを妄想

男:ヤンデレと支援レベルA、女ユニットと支援レベルC
ヤンデレ:男と支援レベルA
女ユニット:男と支援レベルC

ヤンデレが女ユニットを撃破するのかな

と思っていたら、マジであった。私怨レベルとは上手いことを言ったもんだ
ttp://www.pegasusknight.com/cgi-bin/bbs/search.cgi?room=fe10_clear&query=%BB%E4%B1%E5%A5%EC%A5%D9%A5%EB <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/16(日) 02:37:08 ID:/h3SvxHr<> 版権モノは専用スレでお願いします <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/16(日) 02:41:48 ID:Hu4icJ2P<> >>769
自演乙 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/16(日) 10:18:08 ID:V85YKKw0<> お前も飽きないなー…とつられてみる <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/16(日) 10:20:09 ID:N9puVh4P<> ほトトギすを全裸で待ってるのだが…
最近夜さむいよ…
全裸の方々は風邪に気をつけてくださいね <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/16(日) 12:41:55 ID:GpG7/v8R<> ネクタイとくつ下で防寒対策ばっちりです <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/16(日) 13:43:42 ID:gEwLM05l<> かちかち山の続きを野球帽だけを被って待ってるんだ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/16(日) 17:07:38 ID:g1Bglg8R<> よづりの続きを全裸で… <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/16(日) 17:08:18 ID:npdvOGuT<> 網タイツ・・・ゴクリ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/16(日) 17:19:18 ID:sPcrH6oE<> お前らどんだけ服持ってないんだよw
俺はリッチに段ボール敷いてるから全裸でも暖かいしww <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/16(日) 20:21:25 ID:8tFAtTzr<> >778
分かってないな。
全裸正座にネクタイと靴下は紳士の正装なんだよ。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/16(日) 23:53:15 ID:KXwGlHEt<> 俺はヤンデレを椅子にしてるよ <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/17(月) 00:33:41 ID:O1ds2/98<> >>779
ネクタイは蝶ネクタイでもいいですか?
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/17(月) 01:27:20 ID:zTwt96Cp<> 分かってないな。

紳士の手袋にシルクハット。これだけだろ。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/17(月) 01:44:16 ID:9W6iecPa<> 流派の違いを云々しても詮無いこと

それぞれの全裸道にしたがい、SSの投下をお待ち申し上げるのが
よろしかろう <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/17(月) 01:47:55 ID:7bgirFil<> 何だ…この全裸待機ネタの流れ…

どうでも良いが、悩み相談に乗ってやってくれないか?
某県M.I君からのお便り。
僕の彼女は、鋸の扱いが異常に上手いです。木を一瞬で切り落とします。 
この間、クラスのSさん(仮名)にキスされました。
Sさんと性行為に及んでしまい彼女にしました。
すると元カノになったKさん(仮名)は私の彼女だと言い張りました。
Kは周囲から孤立してなお主張し続けました。
ある朝、Sと二人で歩いているとKの得意技である鋸一文字がSに炸裂しました。
彼女と一緒に海外に高飛びするべきでしょうか?  <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/17(月) 01:56:57 ID:PchDqWdS<> Sさんが照英で、Kさんがケインか <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/17(月) 02:02:00 ID:EgZWSKRO<> >>785
それは俺もヤンデレにならざるを得ないな <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/17(月) 18:27:13 ID:A6jINbBe<> 催促するわけじゃない、催促するわけじゃないんだが傍観者の人はまだだろうか <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/17(月) 21:32:10 ID:ZbznvJrE<> >>787
あの人は今までがハイペースすぎたんだ。じっくりと腰をすえて待つべし。

読み手のなかでも話がよくわからなくなってきてる人がいたが、作者氏も
そうなってたのかもしれんね。
展開に詰まってしまったってことは。

とにかく、紳士ならじっくりと腰をすえて待つべし。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/17(月) 22:51:14 ID:LYEhs4TK<> 傍観者の作者は生存確認ができるだけで安心できるしねえ。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/18(火) 12:14:01 ID:jYvTo3Kf<> 待つなんて事はとうに慣れたさ
毎週日曜日、今日は来るかな?来るかな?と待つ事さえ苦ではないとも <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/18(火) 22:59:21 ID:RMcZLcJ1<> ヤンデレの“待ち”に比べりゃ俺たちはまだまだだろうよ

「どうしてわたしのところに来てくれないの?ずっとずっと待ってるんだよ?
 幼稚園からずうっと一緒だったのに、夫婦みたいだってからかわれるくらい仲良かったのに・・・
 大人になったらお嫁さんにしてくれるって約束、まさか忘れちゃったの?
 ねえ、いつまで待てばいいの?
 
 ・・・・そうか、大事な約束を忘れて道に迷っちゃったんだ・・・
 なら、わたしが思い出させてあげるね
 そして迷子にならないようにずうっと手をつないであげるからね
 
 だからシラナイヒトとかホカノヒトについていっちゃダメだよ
 ソコにいて、イイコでまっていてね・・・」

 
  <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/18(火) 23:06:02 ID:bIrZXnUt<> 「待ち」でも結局自分から会いに行くのね <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/20(木) 02:13:06 ID:B14DBDRr<> 痴漢と被害者から“強制”痴漢者と病んだ女という電波が…
少年最初の痴漢は、その少女だった。毎朝会うその娘はいつしか、彼に愛情を抱いた。
そして、出会いから数カ月後、彼は彼女専属の痴漢にさせられていた。
立場はストーカーと元痴漢に変わってしまった。  <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/20(木) 20:03:49 ID:hitG+2it<> よし、その電波を受信して文にしてくる <> 名無しさん@ピンキー<><>2008/11/21(金) 20:42:06 ID:jhVxUc0C<> . <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/22(土) 00:07:03 ID:jteNKyO4<> 埋めヶ丘 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/22(土) 10:24:00 ID:jteNKyO4<> 梅梅梅梅梅               梅梅梅梅梅
 梅梅梅梅梅             梅梅梅梅梅
  梅梅梅梅梅           梅梅梅梅梅
   梅梅梅梅梅         梅梅梅梅梅   
    梅梅梅梅梅梅梅梅梅梅梅梅梅梅梅 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/22(土) 19:56:00 ID:3r/ZDq4I<> 梅? <> 名無しさん@ピンキー<><>2008/11/22(土) 20:11:03 ID:p6iiTmOv<> ヤンデレな子は梅が好きそう <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/22(土) 20:41:08 ID:azLRwfSS<> こういうのうざい <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/23(日) 00:31:07 ID:JEjPvlm5<> うざいって言うヤツがうざい <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/23(日) 01:45:41 ID:wgkoTSJJ<> >>794はまだか!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/23(日) 09:42:41 ID:a0NqhCmj<>
「お兄ちゃんどいて! ソイツ殺せない!!」

「そんなのダメだ!!


 それは駄目だケンシロウ……ラオウを倒すのは私の柔の拳!!」


「ぬはははははっ! 愚弟が揃っても、このラオウに勝つ事などできぬわ!!」 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/23(日) 09:53:38 ID:KHxkzEwD<> ワロタwww <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/23(日) 17:35:06 ID:ytm4ntKd<> ヤンデレ=クラウザー二世
「私は男くんに感謝している。男くんがいなかったら
猟奇殺人者になっていたから……」

曲目リスト
1. ヘルズ・ヤンデレルーム
2. KANKIN
3, マッド・ブッチャー
4, あの女を解体
5, デスガール
6, ビッチキラー
7, 暴力的シーンを含みます
8, 恋の恨みはらさでおくべきか
9, デスアックス
10,  病女王
11,  メス豚葬送曲
12, 私の恋人

「ヤンデレさん…やめて下さい。その女とっくに…死んでますから!!」 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/23(日) 17:42:53 ID:ytm4ntKd<> 私は学校のテロリスト
昨日は素クール殺したぜ
明日はツンデレ轢いてやる
殺せ殺せ殺せ ビッチなど冷やせ
TENCHU下せよ
TENCHU下せよ
教室を血で染めてやれー

次回には依存子大食いねぇ
それは私が殺したから
次回には男と雌猫いねぇ
それは私が殺したから
TENCHU下せよ
TENCHU下せよ <>
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/24(月) 21:36:09 ID:HOJieKTt<> 埋めネタ落としてみます <> 埋めネタ ヤンデレ茸にご注意 ◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/24(月) 21:36:49 ID:HOJieKTt<> 1.ヤンデレ茸カタログ

ある日、鷹野百歌は非常に困っていた。
「今日のお夕飯、どうしよう……」
一大事である。
「お兄ちゃんにおしいいご飯を食べさせるのが私の存在意義なのに、これじゃあ、だめだよぉ……」
涙目になりながら、必死で打開策を考えた。
兄に、鷹野千歳に出すメニューが全く思いつかない。
この時期旬の食材などはひとしきり使い切ったし、もはや兄の舌を楽しませることができない。新鮮さがない。
もっとも、その考えは全くの思い込みであり、千歳は百歌の作った料理ならなんでも喜ぶのだが、百歌の認識は違った。
「お兄ちゃんに、つまんない女だって思われたら、百歌、死んじゃう……」
料理番組を見たり本を見たり、ネットでいろいろ探したりしても、ピンと来るものが無い。
新鮮というか、奇抜なメニューはあっても、兄の口に入るに足るようなレベルのレシピが見つからない。
今までは、百歌はその若い発想力でこのような苦境も乗り切ってきたのだが、今日ばかりは完全にお手上げだった。
「せめて、何かおもしろい食材でも……」
ガコン。
そのとき、郵便受けに何かが入る音がした。
「ん、夕刊かな?」
気分転換にもなるだろうと、郵便受けに向かう。しかし、中にあったのは新聞ではなく、チラシだった。
「なんだろう、これ……。きのこ……?」
いくつかの茸の写真が並んでいる。見たことの無い色と形。
「ヤンデレ……茸?」
チラシによると、ヤンデレ茸などという高級食材を近くのスーパーが入荷したらしい。
しかも、国産なのに値段は手ごろだという。
ピンときた。
「そうだ、これを買いに行って、今日のお夕飯にしよう!」 <> 埋めネタ ヤンデレ茸にご注意
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/24(月) 21:37:24 ID:HOJieKTt<> 2.ヤンデレ茸・媚薬型

「たくさん種類があったけど、全部買っちゃった♪」
買い物袋に、色とりどりの怪しい茸を入れて、百歌はるんるん気分で家のキッチンに立った。
「やっぱり、色々あるけど、これがおいしそうかな」
ひとつを拾い上げ、見つめる。ごつごつとして、卑猥な形状をしている。
くんくんと匂いをかぐ。独特の匂い。人間の体臭――いや、兄の体臭と似ている。
思わず目がうっとりとなり、百歌は顔を赤くしてぶんぶんと振った。
「だめだめ! いきなりしゃぶりつきそうになっちゃった!」
茸にフェラをしようとしていた自分に気付く。
「お兄ちゃんの匂いににてたからって、やりすぎだよぉ……」
しかし、その魅力的な形状と匂いに、心を惹かれてしまうのも事実。
「ちょこっと……ちょこっとだけなら、いいよね」
その誘惑に耐え切れず、端のほうにかじりつき、少しだけ飲み込んだ。
「ん……お兄ちゃんのせーえきの味だぁ……」
また、うっとりとして身体が熱くなる。
「あはっ、あはははは……! お兄ちゃんが身体の中に広がって……気持ちいい!!」
その場にしゃがみ込み、自分の腕で自分自身を抱きしめる。
「あははははははは!! 気持ちいいよぉ!!」
いつの間にか手が股間をまさぐっていた。もはや止める術は無かった。

「……」
賢者タイム。
「……ま、まあ、この茸はお兄ちゃんに後で食べさせるとして」
――性欲が増強されて、百歌を襲ってくれるかもしれないし。
「とにかく、今のことは忘れよう。うん、そうしよう!」
自分の秘所に出し入れした茸など、自分自身で食べる気にはなれなかった。 <> 埋めネタ ヤンデレ茸にご注意
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/24(月) 21:37:54 ID:HOJieKTt<> 3.ヤンデレ茸・病み型

「とにかく、他のもお兄ちゃんに食べさせる前に『毒見』しないと……」
適当に袋から出す。
地味な色と地味な形状のものがあったので、それを手に取った。
「こういうのがむしろ安全なんだよね。マツタケみたいでおいしそうだし」
端をちょっと切って口に放り込む。
「うん、味はなかなか。香りもいいし。これならお兄ちゃんも喜んで……。っ!?」
がくがくと身体が震えだす。
――まさか、毒……!?
身体の力が抜けて、百歌は崩れ落ちた。
しかし、すぐに立ち上がった。
「ふふ……ふふふ……」
明らかに尋常な様子ではない。
「お料理なんてまどろっこしいことをするのは、もうやめよう。うん、そうしよう……ふふっ」
ニヤニヤと笑いながら、包丁を持ち、ぶんぶんとい振り回す。
「お兄ちゃんがいつか私を愛してくれるなんて、幻想なんだよ。私は妹。所詮、妹なんだから……。ちょっとくらい強引じゃないとガンダムは口説けないって、私の心の師匠も言ってたもん」
冷蔵庫から生肉を取り出し、包丁を突き立てる。
「ふふふっ……やっぱり、お兄ちゃんに近づく雌猫を全員ぶっ殺して、そのあとお兄ちゃんを監禁して調教しちゃえば一番早いんだよ……」
ざくっ、ざくっ。小気味のいい音を立てて、生肉が穴だらけになる。
「そうだよ、お兄ちゃんは世界一かっこよくて優しいから、勘違いした雌どもが擦り寄ってきちゃうんだ……。お兄ちゃんがそんな輩に騙されちゃう前に、消さないと……」
くっくっと笑い、百歌は包丁を持ったまま身支度をする。
「早速、お兄ちゃんとの仲を取り持ってなんて私に頼んじゃったあのお馬鹿さんから殺しに行っちゃおうかな♪」
靴を履く。が、なんだか上手く履けない。目の焦点が合わない。靴が三つに見える。
「んっ……頭が……」
くらくらする。そのまま力が抜けて倒れた。しかし、またすぐ立ち上がった。
「あれ、私何を……。そうだ、夕飯作らないと、お兄ちゃんが帰ってきちゃう」 <> 埋めネタ ヤンデレ茸にご注意
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/24(月) 21:38:25 ID:HOJieKTt<> 4.ヤンデレ茸・自律型

「他にはどんなのがあるかなー」
がさがさと、なにかのゲーム感覚で買い物袋をあさる。
「これだっ!」
取り出したのは、これまた奇妙な茸だった。某ドコモのマスコットのように、人間的なデフォルメを加えられている。
人間っぽい手足がついていたり、目のような部分があったりする。
「なに、これ……」
『ふふふっ、やっと私に気付いてくれたのね』
「喋った!?」
『驚くことないじゃない。私、あなたとスーパーで目が合ってから、ずっと好きだったのよ。だから、あなたに食べられるためにあなたの手にしがみついたの』
「私に、食べられるため……?」
『くくくっ、やっと、茸としての本懐を遂げられるわ……。愛するあなたに食べられることで、あなたの血となり、肉となる……あはははは!! 最高の死に様だわ!!』
「……」
『さあ、早く私を食べて! その可憐な唇でむしゃぶりつき、その白い歯で噛み千切り、蹂躙しなさい! そうして私はあなたと永遠に同化する……そう、私達の愛が永遠になるのよ!』
「……気持ちわるーい」
百歌は、茸をぽいとゴミ箱に投げ捨てた。
『ちょっと、出しなさい! 私とあなたの愛は……!』
「気持ち悪いよぉ……まさか、喋る茸があるなんて」
『出せー! ちょ、マジで出してください! 生ゴミとして朽ち果てるのは嫌なのよ! 後生ですから!』
「しかたないなぁ、近所の猫の餌にするけど、それでもいいよね」
ゴミ箱から救出する。すると、茸は再び高飛車になった。
『ふふふ……やはり、口では生意気でも、心の奥底では私を愛しているのよね。分かっているわ。さあ、私を喰らいなさい……!』
「気持ちわるーい」
ぽいっ。
『きゃー!』 <> 埋めネタ ヤンデレ茸にご注意
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/24(月) 21:38:55 ID:HOJieKTt<> 5.ヤンデレ茸・幻覚型

「もう、ろくなのが無いよ……。最後のこれは、どうなんだろう」
端を少し切り取り、口の中で咀嚼する。
「うん。これは今までで一番おいしい。マツタケ以上かも……」
百歌は笑顔になり、料理を始めた。
「じゃあ、これと、最初のあの媚薬みたいなやつで今日は炊き込み御飯とお吸い物でもつくろうっと♪」

「お帰りお兄ちゃん。ご飯できてるよ」
「おお、じゃあ早速食うか。……今日のは美味いな」
「今日は変わった食材を使ったから(ふふっ、それは媚薬茸入りのお吸い物……さあ、私の身体を求めて、お兄ちゃん!)」
「ん、なんだか、俺……身体が熱くなって……」
「お兄ちゃん、大丈夫?(きたきたきたー!!)」
「百歌……お前、可愛いな」
「え、急にどうしたの、お兄ちゃん?(もしかして、これは非常に美味しい展開!?)」
「百歌、俺もう、我慢できない!」
がばっ。
「きゃ、お兄ちゃん、私達兄妹だよっ!(あくまでお兄ちゃんから襲ったという形にすれば、これ以降もお兄ちゃんに責任を取ってもらえる……♪)」
「悪い兄貴ですまん! でも、お前が可愛すぎて、もう我慢できない! 入れるぞ!」
「お、おにいちゃん、そんな、いきなり……いたいよぅ……」
「動くぞ、百歌!」
「ああ、お兄ちゃんに無理矢理犯されてる……♪」
「百歌……俺、もう、出る……!」
「だめ……だめだよぉ……(くく……くははははは!!! 計画どおり! 思い通り! ここまで上手くいくなんて!)」
「うおぉ!!!」
「お、お兄ちゃんに無理矢理中だしされてるよぉ……!!! ……責任、取ってよね」
「ああ、百歌とちゃんと結婚して、子供を産むよ。愛する百歌と一緒に生きていく」
「お兄ちゃん……! 私も愛してる!!」

「……って、ドリームか!!!」
はっと意識が戻ると、さっきから全然時間がたっていなかった。
「早くお料理作らないと……! でも、今の夢いいなぁ……げへへ」
思わず、変な笑い声が出てしまった。非常に下品である。いけない、よだれも出ている。 <> 埋めネタ ヤンデレ茸にご注意
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/24(月) 21:39:28 ID:HOJieKTt<> 6.平和が一番

「ただいまー」
「お帰りお兄ちゃん。ご飯できてるよー」
「そうか。ならすぐ食わないとな」
兄はそう言うと、荷物を降ろして手を洗い、すぐに食卓に座った。
「いただきまーす」
「いただいてくださーい♪」
炊き込み御飯に箸をつける千歳と、それを見つめる百歌。
「ん、どうした? 食わないのか?」
「うん。味見して、おなか一杯になっちゃった」
――お兄ちゃんの顔を見てて、おなか一杯になっちゃった。
とは、照れるのでいえなかった。
「ど、どうかな。今日のお夕飯」
「ん、美味い。いつもより手間がかかっている感じだ。それに茸も変わってるな」
「そ、そうかな……えへっ」
そのとき――千歳の手が百歌の頭に触れた。
「お兄ちゃん……?」
「いつも、ありがとな。家事が全然できないから、俺は。役立たずな兄貴のために……。感謝してるぞ、百歌」
「お兄ちゃん……そんな、私がしたくてしてることだし」
「でも、お前はえらいよ。早くに母さんが死んで、家族の皆は……ほら、あんなだったし……。そんな中で、お前は良い子になった。俺は、嬉しいんだ」
「なら……ごほーび、ちょうだい」
「なんだ? バイト代も入ったし、なんでも買ってやるぞ」
「百歌に、『好き』って、言って」
「なんだ、そんなことか」
勇気をもって提案したのに、千歳は簡単に承諾してしまった。
「百歌、俺はお前が大好きだぞ」
にっこりとして言う千歳。
「お兄ちゃん……! 私も好き!!」
そんな兄に、百歌は飛びついた。
なにもかもが、平和だった。

めでたしめでたし <> 埋めネタ ヤンデレ茸にご注意
◆.DrVLAlxBI <>sage<>2008/11/24(月) 21:40:03 ID:HOJieKTt<> 終了です。元ネタは、言うまでもなくこのスレの上のほうにある話題です。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/24(月) 21:55:16 ID:PAUjoIRi<> 面白すぎる…まともな人でも食ったら(思考が)イッてしまいそうだな。 <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/24(月) 22:09:57 ID:PFjMM0vu<> 百歌の心の師匠と俺の心の師匠同じだ!!
<> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/24(月) 22:33:39 ID:oNp1k0iO<> 君の存在に心奪われたものだ!アッ――――!! <> 名無しさん@ピンキー<>sage<>2008/11/24(月) 23:54:13 ID:OUz7LRZ4<> こいつが書く『ヤンデレ』ってメンヘラじゃん。愛が無い <>