もう9時か、
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一緒に冒険しよう!ライトファンタジーTRPGスレ7

1 :語り手妖精 ◆6nXELe5RK6 :2011/04/07(木) 00:52:05.24 0
星霜の時を越え存在せし、数多の世界を擁する大樹。

しかしその大樹には、遙か古より破滅の使者が巣食い、滅びの時を待っていた。

今にも引かれんとする破滅への引き金。定めに抗うは混沌の勇者。

数々の思惑が交錯する中、忘れ去られし真実を求めて冒険は続く――

―― 一緒に冒険しよう! ライトファンタジーTRPGスレ7 ――

詳細はこちらを参照してください。
まとめウィキ「ぼうけんのしょ〜Light Fantasy@ウィキ」
http://www36.atwiki.jp/lightfantasy/pages/1.html

専用掲示板(避難所などがあります)
http://www1.atchs.jp/lightfantasy/

なな板TRP系スレまとめWIKI「なな板TRPG広辞苑」
http://www43.atwiki.jp/narikiriitatrpg/pages/56.html

2 :名無しになりきれ:2011/04/07(木) 03:15:37.54 O
┌○┐ お断りします
│お|ハハ
│断|゚ω゚)
│り| //
└○┘ (⌒)
  し⌒



3 :名無しになりきれ:2011/04/07(木) 03:16:40.07 O
【お断り中】
  ハハ ハハ
`ハパω)(゚ω゚)ハハ
( ゚ω) |)(つと(ω゚ )
( つ(  ゚)(゚ )と 丿
uu(|  )( 丿uu
   uu uu

4 :イョーベール(鎧)@NPC ◆666/MyrH6U :2011/04/07(木) 07:54:49.46 P
それでは私が前スレで何が起こったかを説明しよう。

【15章・後半】
ごろつきのゴロー、天使カトリエルを経て、私はスラキャンサーのイョーベールとして転生する。
ルナを倒し、ツクヨミとも和解したカオスの勇者一行は、境界の眷属を追って静謐の氷原に辿り着いた。
そこに在った境界の本拠地、竜宮城にカオスの勇者たちが乗り込む。
竜宮の守護者“黄竜”は太古の戦いは智慧の神格である己が暴走したからと説き、ソフィア復活を望んでシャード(偽)と化す。
エドとのシャード争奪戦の末、テュポーンと黄竜は一つとなった。
一方、ソフィア神殿では境界の眷属と手を結んだベアトリーチェの姿。
彼らに生贄として選ばれたインペトゥスは、己に憑依しようとするソフィア(水のシャード)へ対抗する為、狂気の神を呼ぶ。
止むなくベアトリーチェはソフィア降臨の対象に、崑崙の竜が変化した神龍を選ぶ。
現れたソフィアは全ては滅び、新たな世界に道を譲るべきと語り、狂気の神が憑依したインペトゥスと共に何処かへと消える。
ベアトリーチェの操作魔法を受けて暴走した私(イョーベール)もまた彼らに付いて行く。
神殿を出ると、天には実体化した世界樹。
狂気の神に智慧で対抗するべく、カオスの勇者は全ての神格を備えたソフィアの復活を目指して地球へ旅立つ。

【16章】
世界樹を揺らし続け、いずれ世界を滅ぼすという時天空を横目に狂気の神が世界樹へ狂気を注ぐ。
神の体を造る研究を行うイシハラも、その影響を受けているようでカオスの勇者の施設立ち入りを拒む。
しかしカオスの勇者たちは、かつての旅仲間の助手を協力者として内部に潜入。
この世界に来た私(イョーベール)は研究所をスゴロク場に変化させてカオスの勇者と戦ったが、テイルの言葉で改心した。
テイルが研究所で造られた龍の肉体に五つのシャードを収めると、ソフィアは見事復活する。
カオスの勇者はさらに“男”を仲間に加えるが、ついでに現れた現地の怪しい女(レヴィア)がおかしなことをやり始めた。
そしてイシハラも狂気の神の力で大魔神と化したが、彼の暗殺指令を受けたビャクと相打ちの様に倒れる。
残るレヴィアと戦う中、突如全ての時間が停止した。
地球が世界樹と切り離されたのだ。
我々カオスの勇者はソフィアの作ったゲートで地球を離れ、まだ無事な冥界へと赴く。

【17章】
ガイアの意思であると称した天使たちが冥界侵攻を開始する。
冥界を手中にし、闇の眷属や人間の魂を光の種族にすることでデミウルゴスと対抗する腹積もりらしい。
残念ながらバイト(物語力)に不具合が生じた私(イョーベール)は、残った力を“男”に貸すべく聖衣となった。
そして現在カオスの勇者(テイル、男、人間に戻ったアズリア)たちは、リムの先導で魂を清める霊泉を巡るツアーの真っ最中。
しぶとく生き残っていたレヴィアによると、現在スサノオは不在らしく、黄泉の勢力もソフィアを信頼してはいないらしい。

だいぶ主観が入ったが、ざっくり話すとこんな感じだろうか。
幾つか致命的な間違いや矛盾する設定も出てしまったが、これも全てデミウルゴスって奴の仕業なんだ。

5 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/04/09(土) 00:45:18.12 0
>前スレ303
>「はーいはーい!ボクも行くよ!行くよ!」
「ちょ! その人怖ーい敵だったんだよ! 分かってる!?」
と、当時を知らない男さんに言っても詮無いことである。
世界情勢が変わればそれに合わせて人間関係も丸ごと変わるのがこのお話の常識なのだ。

>306
レヴィアたんの腕の断面を見て言った。
「生きてたんだね! でも……酷い目に会ったんだね。
ライトファンタジー的にギリギリだ! なんやかんやで治療しとこうよ!」

>308
>「おお そうじゃ! おまえたちに ワインを あげよう!
 ワインを のんで おんせんに はいって けんこうに なろう!」

┌○┐ お断りします
│お|ハハ
│断|゚ω゚)
│り| //
└○┘ (⌒)
  し⌒

ワインをお断りして建物に入ろうとすると止められた。

【お断り中】
  ハハ ハハ
`ハパω)(゚ω゚)ハハ
( ゚ω) |)(つと(ω゚ )
( つ(  ゚)(゚ )と 丿
uu(|  )( 丿uu
   uu uu

「ええい、飲まずにやってられるかあ!」

思わずワインを飲み干した!

「飲んだね……それを飲んだね!」
どこからともなく美青年が登場した。
「お前は……いつぞやのヘタレ神官、もとい死霊皇帝軍六武神の一人、善偽のメサイア!」
善偽(義)のメサイアとは、死霊皇帝軍六武神でありながら天使の末裔で半ヴァンパイアというややこしい奴である。
そのせいか初登場時から、よく言えば謎めいた行動が多く、悪く言えばブレまくりのキャラだ。
「そのワインは僕が仕掛けた罠だ! 今ここに血の誓約が結ばれた!
僕に逆らうと十字架にかけられて四方八方からキモオタに視姦される気分の責苦を味わうことになるぞ!」
「げっ、誓約と言えば聞こえはいいけど要は悪質な呪いじゃん!」
メサイアはドヤ顔で種明かしを始めた。
「メサイアとは救世主と言う意味だ。そして僕の生前の名前はクリス・スターライト。
それ踏まえてワイン、つまり葡萄酒といえば……!」
「アッ――! しまった、そういうことか!」

とりあえず何がしたいのかメサイアに聞いてみる。
「それで君はどの勢力に付くの?」
「それが迷ってるんだよね〜、僕って一応死霊皇帝軍の重鎮じゃん?
天使の末裔でもあるしー元人間でもあるんだよなー。
情報が錯綜してもう何を信じていいか分からないっていうか。
タカマガハラに行ってみれば何か分かるかもしれないと思うんだけど僕一人じゃいけそうにないし……」
「君、いくらなんでもそんなにヘタレだったっけ!」

6 :◆t7kjAY7URg :2011/04/09(土) 04:15:15.84 0
>「混浴じゃないですよね? ないですよね?」
「だいじょうぶだよ。誰もそんな膨れた胸には興味はないから!」
それはロリコンの人だけです。
>「ちょ! その人怖ーい敵だったんだよ! 分かってる!?」
「しらんがな」
男はいきなり関西弁で今日一番の知らんがなを言い放ちました(ごめんなさい)

>「ワインを拾った。前スレ>304」ソフィアがワインを拾ったようです。
「いいな、いいなワインいいな!」
男も負けじと→調べるコマンドを使います。すると。ピッ。ポコ!

「拾ったー!ボクも何かを拾ったよ!」
男はイワンを拾いました。それはそれはたいそう美形なイワン・ペドロヴィチ・チャイコフスキーでした。
男はイワンの顎の下をこちょこちょして手懐けます。

>「あらぁ、お久しぶりねえ?妖精ちゃんに“男”さん?
 顔ぶれは少し変わったみたいだけれど、お元気そうで何よりだわぁ。
 私はちょっとばかり、お元気じゃ無くなっちゃったけどね……うふふっ」
>「レヴィアさんじゃないですか! どうしたんですかその腕は!
 早く魔法で治療しないと駄目ですよ!」
>「生きてたんだね! でも……酷い目に会ったんだね。
>ライトファンタジー的にギリギリだ! なんやかんやで治療しとこうよ!」

「そうだよレヴィアちゃん!それはちょっとばかりの怪我じゃないよ!!治療しようよ!」
男は自分の6本あるうちの1本の腕を毟り取るとレヴィアの腕にこっそりくっつけます。
長いムキムキの腕がレヴィアの右肘からぶらりとぶら下がりました。

>「治療ねえ……でも、私忘れたくないのよ。魂の痛みをね」
「ぷっ…。レヴィアたん。かこいい…」男はくすくすと手で顔を隠しながら笑っています。

7 :◆t7kjAY7URg :2011/04/09(土) 04:18:07.94 0
>「ここは死霊皇帝軍御用達よ?
 ソフィアと同行する貴方たちと寝所を同じくは出来ないもの。
 そうね。貴方たちは地面にでも寝っ転がって地虫や雑草でも齧ってればぁ?
 とっても豪勢な温泉ツアーじゃないの。うふふっ」
「あむあむ。ここの虫って美味しい。教えてくれてありがとね。
これからボクたちは、ザ・野宿を満喫することにするよ!」

>「おお そうじゃ! おまえたちに ワインを あげよう!
 ワインを のんで おんせんに はいって けんこうに なろう!」

「もう未成年もいるんだからちょっとは自重してください!」男は口からイモムシを吹きながら怒ります。
>「ええい、飲まずにやってられるかあ!」
「らめぇーーーー!!テイルちゃん!!」
>「それが迷ってるんだよね〜、
>タカマガハラに行ってみれば何か分かるかもしれないと思うんだけど僕一人じゃいけそうにないし……」
>「君、いくらなんでもそんなにヘタレだったっけ!」

>テイルちゃん
「はいはーい!テイルちゃんが行くのならボクも行くよ!行くよ!」
男はイモムシとワインに舌鼓を打ちながら名乗り出ました。

建物の外では魔族とイワンが仲良く旧日本兵の如く草粥を食べています。
魔族は「具ええ」と具を褒め称えます。イワンは「ぐええ」と飲みすぎたワインを全部吐き出しています。

>レアヴィアちゃん
草粥のあまりの美味しさに魔族はレヴィアに草粥を持って行きました。
「グエエ(どうぞ召し上がってください)」
レヴィアに差し出されたのはカラフルなイモムシが無数に漂う草粥でした。

>アズリアちゃん
「君、可愛イデスネ!一緒二温泉二入リマショウッ!」
酔っ払ったイワンはアズリアをお姫様抱っこして温泉にじゃぶじゃぶと入っていきます。

8 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/04/09(土) 21:30:29.63 P
>>5-7
「……相変わらずねえ。せっかくだけど、これはいらないわぁ」

建物の中に入ろうとしたレヴィアが“男”へ振り返ると、彼に向かって呆れた感じの声を投げる。
そのままレヴィアは右腕部に付けられた“男”の腕を、残った左手で引き抜いた。
神経の繋がっていない腕は容易く引き離され、地へ落ちると瞬く間に色を失い灰色となって凍りつく。
それを見たレヴィアの表情は、硬いものへと変わった。

「借り物の腕に込められていた力が、消え失せたみたいね……。
 それにしてもアナタ、意外に大物ねえ?
 元居た世界が滅んだって言うのに、全然動じていないんだもの。
 それとも、あまり執着が無い世界だったのかしらぁ?」

そう言ってレヴィアが建物の中へと消える。
カオスの勇者たちは野営を始めるようだった。
しばらくすると一人の魔族が芋虫の漂う椀を持って来る。
レヴィアはそれを丁重に断ると、幻妖のリムや配下の魔族たちとの意見交換によって現在の状況を把握する事とした。
冥界側は天使の侵攻を受け、六武神を各地に向かわせている。
獄炎のバルトールと疾風のアルベルは拠点防衛。
敵の戦力が分散した所で、光鉄のグラムは属性を持たないゴーレム千体を率いてニルヴァーナ連山へ攻め入る。
幻妖のリム、善偽のメサイアは遊撃。
死霊皇帝軍から離反したベアトリーチェの座は空位に戻った。

そしてイザナミが下した託宣によって、ガイアからも様々な種族が増援に来るらしい。
以前、地上にて開かれかけた黄泉の門は、イザナミ自身が管理する事で一時的に地上と行き来を可能にしたようだ。
トリャンドリアの船団がすべきことは、増援が来るまでの守備とソフィアの監視。
方針が決まると、話題はレヴィアの誘導で黄泉と高天原やガイアとの位置関係、古代の神々の戦いに及ぶ。
日本風の家屋に似つかわしくないソファーに座った幻妖のリムは、己の知識を誇るかのようにそれらを語る。
ソファーは砂航船の中から、配下の魔族たちに持って来させた物のようだった。
部屋の内装も彼女の趣味には合わないようで、余った布等を使って、今も配下に簡便なリフォームを施させている最中だ。

『光と闇の戦いに、境界のソフィアが加わってどちらからも睨まれる。
 今起こってるのって、まるで神話の再現みたいでしょ?』

「そうね。第一楽章は襲いかかってくる境界に光と闇が力を合わせて打ち倒す。
 第二楽章は、闇に攻撃を仕掛けた光の勢力の一人勝ち。
 この光と闇のロンド、今は第三楽章くらいかしらぁ?それともこれでフィナーレ?
 本当に出来の悪いコンダクターだこと……くすくす」

『ところでその腕、治さないのは良いけど、可愛く無いからなんとかしなさいよん』

何かを試すような顔のリムが、レヴィアに白い布を渡す。
これで破れた服の裾でも作って繕え、ということなのだろう。
見た感じでは絹の様な物で呪的な物品では無いようだが、レヴィアとしては得体の知れない物など身に付けたくは無い。
しかし、それは態度に出さず、笑顔でリムの好意を受け取った。
任務優先を理由に彼女のリフォームに異議を唱えた狼頭の魔族は、鋭い傘の先端で胸に穴を開けられて庭に転がっている。
幻妖のリムは、おそろしく気まぐれな人物のようだった。
理由の如何によっては離反も望めるかもしれないほどに……。
レヴィアは彼女と無用に争うよりは、同調の姿勢を示した方が良いだろうと判断した。

「くすっ、ありがとう。少し不自由だけど何とかお裁縫に励んでみるわぁ」

そう言ってリムの前から退出する。
翌日の守備隊到着を待ってリムたちは別の手薄な場所へ向かうようだった。
それまでに“事”を終えねばならない……。

9 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/04/09(土) 21:34:47.20 P
――深夜。
炎湖付近は霊火の照り返しで常に赤々と燃えている為、それほどの暗さは感じない。
夜を感じさせるのは、肉を持つ生物達が眠りに付くことで醸し出される静けさのみ。
太陽無き世界では、生き物たちが眠りに付く時間こそが即ち夜。
この静かなる湖の周囲を、レヴィアが一人歩いていた。
レヴィアの手にした小袋からは、パラパラと何かが零れ落ちる。
それは唯の砂粒のようで土質もこの辺りのものと同一。
従って撒かれた砂は、よほど注意深い者の眼を持ってしても、すぐに見分けが付かなくなるだろう。
レヴィアは極少の砂の線を使い、湖の周りを円で囲っているのだ。
哨戒の魔族とは常に対岸になる様に移動している為、気付かれる事も無い。

「……これでいいわね」

レヴィアには、同じ工程を残る十一ヵ所の霊泉で繰り返すつもりは無かった。
霊泉をセフィラに見立てて、巨大な生命の樹の地上絵を描くには十あれば事足りるのだから。
湖面に屈んだレヴィアは、水と砂を捏ねて幾つもの泥の蛇を作り出し、それに腕の瘡蓋を剥いで己の血を注ぐ。
霊泉の詳細な位置に付いては死霊皇帝軍から聞き出している。
後は、この泥の朽縄たちに魔術経路を構築する為の工程を担わせればいい。

一仕事を終えたレヴィアは、湖面の畔で緋色の水面を見つめていた。
朝と呼ばれる時間にはまだ早い。
元の世界では深夜の三、四時に相当するだろうか。
死霊皇帝軍は元より、カオスの勇者たちもまだ寝静まっているかも知れない。
まだ夜の領域は終わっていないのだ……。
不意にレヴィアは何かを思いついたように小さな声で呟いた。

「……そうね。もし、ここに佇む私に最初に声を掛けるのが――なら、それもいいわね」

【>>ALL 深夜に湖面で一人佇む】

10 :善偽のメサイア@NPC ◆666/MyrH6U :2011/04/11(月) 02:34:33.42 P
温泉に浸かったり芋虫粥の饗宴が続く中、メサイアが腰の皮袋から家の形をした模型を取り出して地面に置く。

「万象に込められし不可視の力よ。今こそ真なる姿に戻れ。発現せし全ての魔力を打ち消す力となりて!」

たちまち家の模型は風船のように膨れ上がって、人が住めるほどの大きさの小屋となった。
メサイアは魔術で縮小化させていたコテージに解除の魔術を掛けたのだ。
簡易家屋は高価な魔術用品だが、死霊皇帝軍の幹部である彼にとって入手難度の高い物では無い。
メサイアは出来あがった小屋の中へ、カオスの勇者一行を招く。
迷いの浮かぶ顔からすると、どうやらカオスの勇者たちと話がしたい様子が見て取れる。
小屋は広めだが、さすがにソフィアが入れる程では無いので龍神は小屋の横で眠りに着いた。
家屋の内装は山小屋風で簡素。
メサイアは、中に入って来た者へテーブルの前に置かれている椅子を勧める。
しばらくして人数分の紅茶を持って来た彼は、自分は死霊皇帝軍の幹部の一人であると名乗る。
そして自らも席に付くと、死霊皇帝軍の内情を語り始めた。

「最近明らかになったんけど、どうやら死霊皇帝は黄泉界に戻っていないみたいなんだ。
 今は代わりにイザナミと、その息子のヒルコで指揮を取ってる。
 六武神は各所に散って敵を防いでるんだけど、静謐のベアトリーチェは消えちゃってね。
 詳しくは知らないけど、そういえば境界勢力に裏切ったらしいって話もあったっけな……。
 あっ、僕はもっと詳しい情報を集めてから動きたいから、今は遊撃って立場にして貰ってるんだよね」

彼によれば、高天原は霊魂であれば全ての泉で沐浴して地上の穢れを消せば行ける。
しかし生者は肉の檻が邪魔をして、次元の壁を超える事が出来ないとの事だった。
すなわち高天原に行くには肉体を置き、魂だけの状態で赴かねばならない……。
メサイアは天使たちの受けたガイアの啓示が本当なら、そっちに付くのもいいかな?と、困惑混じりの顔で小さく呟く。
しばらく紅茶を啜っていた彼は、不意に何かを思いついたように部屋の木箱を開けると何かを取りだした。

「そうだった。冥界は広いから移動手段が無いと困るよね?
 個人移動が多いと、こういうのが便利なんだ。
 幾つかコレクションがあるから好きなのを選んで使ってよ」

そう言ったメサイアは幾つかの模型をテーブルの上へ置く。
船や車を模った精巧なミニチュアは、いずれも魔導技術を用いた乗用機器をコテージの様に魔術で縮小化させたもの。
今の時刻は地上に当てはめれば、夜の十時くらいだろうか。
メサイアは、後はこのままここに泊まっても良いし野宿しても構わないよと述べる。
天使の影響が広がる前に移動したいから出立は明日の朝にするけどね、と付け加え、彼は再び紅茶を啜り始めた。

11 :PLの人 ◆Xlm0JAgw5w :2011/04/11(月) 18:47:55.26 O
本日のライター通信によりますと。
八百長疑惑で事情聴取中のRIKISHI 時天空(TOKITENKUUですよ)が八百長への関与を否定。
また携帯電話の提出を求められた時は、持っていないと(持っていたら嫌ですよね?)拒否したそうです。
SUMOU協会は TOKITENKUUが銀河破壊未遂事件を起こしている事を視野に入れて処分を・・・
え? なんですか? 本スレに関係ない情報はいらないから早く本題に入れ?

・・・そこが素人の浅はかさというものです。
いいですか? 御存知のように未来というものは、過去と現在から成り立ちます。
つまりどんな小さな出来事でも、蟻の穴から家が崩れるように将来に影響を及ぼし得るのです。
言い換えると今回のニュースも・・・ああ、あまり話過ぎると容量が足りなくなりますね。
現在と過去が及ぼす未来への影響については、また後日詳しくご説明しましょう。
それでは以下、カオスの勇者たちの活躍をお楽しみください。

>>5
>「お前は……いつぞやのヘタレ神官、もとい死霊皇帝軍六武神の一人、善偽のメサイア!」
「六武神の罠です! 早く解呪しないとテイルさんが大変な事に!
 あっ・・・ でも私解呪魔法は使えないし・・・どうしよう・・・」
あわあわ慌てるアズリアですが、それを後目にテイルは慌てず。
>「それで君はどの勢力に付くの?」
緊張感の欠片もない続く会話に、盛大に転ぶアズリアでした。
「お友達だったんですか!? お友達だったんですか!?」
メサイア情報によると、タカマガハラとかいう場所が怪しいとかなんとか。

>「はいはーい!テイルちゃんが行くのならボクも行くよ!行くよ!」
「タカマガハラなんて聞いたことが無い場所ですけど、どこにあるんでしょう・・・?」
最後のダンジョンっぽい名前ではありますけどね。
タカ・マ・ガハーラとかタ・カマガハラとか呼ぶと。
ともかく少し前まで一般人だったアズリアは知らない場所です。

>>
>「君、可愛イデスネ!一緒二温泉二入リマショウッ!」
「え? えっ? えーーっ!?
 あのその困ります!
 私服着たままだし男の人と温泉に入るのなんてはじめてだし!
 いえいえ服は着たままでいいんですけどそうじゃなくてそうじゃなくて・・・ブクブク・・・」
いまさら服を脱ぐわけにもいかないでしょうし、恥ずかしいからでもあるのでしょうが。
顔半分まで温泉に入ったアズリアの語尾は、お湯のなかで泡になって聞こえませんでした。
水着OKどころか着衣まで許される温泉で良かったですねー。

>>10
「うわー。 すごい魔法ですね・・・」
さてさて、メサイアのおかげで一行は地面のベッドに石の枕で寝ずに済みました。
そんなに難しい魔法ではないはずですが、それに驚くあたりから彼女の実力もわかるでしょう。
メサイアは現状説明とタカマガハラへの行き方を説明した後、宿泊を進めてくれました。
「テイルさん、男さん。 今日はここに泊めてもらいましょう。
 ほら、メサイアさんはテイルさんのお知り合いみたいですから、別に罠とかもないでしょうし。
 温かいお風呂に入って、あとはここでゆっくり寝ればいい考えも浮かぶかなー、なーんて」
はい。 本音入りましたー。
ようするに野宿嫌だから泊めてもらおうですねわかります。
ま、イモムシ粥とかちょっと厳しかったかもしれませんが、野宿は勇者パーティの基本なんですけどねえ。
次からは頑張ってくださいよ?

12 :PLの人 ◆Xlm0JAgw5w :2011/04/11(月) 18:51:12.89 O
>>9
夜。 というより朝方でしょうか。
アズリアは【誰かに】起こされた気がして目を覚ましました。
寝ぼけ眼できょろきょろ左右を見回しますが、自分を起こしとような人はいません。
もう一度寝なおそうとしていますが、寝付けず、アズリアは少し近くを散歩することにしたようです。
時はちょうどレヴィアが一仕事終えたころで、散策中にアズリアはレヴィアを見つけました。
いやあ、偶然って怖いですね。

「レヴィアさん、随分早起きなんですね。
 もしかして、寝れなかったんですか?
 ・・・実は私もなんです。 えへへ・・・」
レヴィアの事情もレヴィアがしていた事も気にせず、アズリアはレヴィアに近づきます。
正確には気にしてないのではなく、気づいてないだけです。

「私、少し前まで自分がこんな大事件に巻き込まれるなんて思っても無かったんです。
 私のお父さんやお母さんや、お爺ちゃんやお婆ちゃんが普通に暮らしてきたみたいに。
 私も普通に、世界の事なんかにかかわらずに生きていくんだって、ずっとそう思っていました。
 だからなのかな、急に世界の危機とか神様同士の戦いとか言われても、なんだか実感がわかなくて・・・
 でも、皆のために私に少しでもできることがあれば、お手伝いができたらって。
 そう思って、テイルさんや男さんについていくことにしたんです。」
テンプレ優等生型自分の目標を話した後、アズリアはレヴィアに尋ねます。
「レヴィアさんも、みんなのためを思って戦おうとしてるんですよね?」

アズリアは死んだショックで忘れているのかもしれませんが、見た目に騙されてはいけません。
相手は他人の脳を操る冷血存在です。
とはいえ、この質問にレヴィアが嘘でもなんと答えるかは、PLの人も気になるところです。
この世界をROM中の皆さんも気になりますよね?

13 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/04/12(火) 03:30:12.46 P
>>12
湖の前に佇むレヴィアに声に掛けたのは、長めの黒髪を頭の両端で分けた少女――アズリアだった。
アズリアは自分が旅をする理由を語ると、レヴィアに対しても戦いに身を投じる理由を問う。

「非力ながらも皆のためにお手伝い……うふふっ、アナタ真っ先に死ぬタイプね。
 死を恐れないというのは、復活や転生が普遍に知られている世界の在りようかしらぁ?
 私の世界でも転生を信じるケルト人や、古代に神々へ捧げられた生贄たちはそうだったわ」

レヴィアが言葉を切って、星を映さない暗天を眺める。
投げ掛けられた問いの理由を、其処に探すかのように。
しかし空には蒼白い光を放つ月も、夜を彩る星も無い。
地上の僅かな灯りを全て吸い込まんとする闇の空は、まるで底無しの淵であるかのように錯覚させられる。

「そうねえ……私もみんなを思って戦っているって言えるわよぉ。
 だって、私は自らの世界を取り戻す為に漂泊を続けているんですもの。
 だから私にとっての“みんな”は私の属する世界の存在、になるわねぇ」

先程断面を見せたレヴィアの腕は、白絹の長い裾によって覆い隠されている。
彼女がふわりと踵を返して翻ると、それは風に吹かれるカーテンの様に頼りなく揺れた。
アズリアの正面に向かったレヴィアは瞳に妖しい光を宿らせ、そのまま一歩近づく。

「そう言えばアナタ、最初に会った時にガイア神の神官って言ってたわね。
 でも、そのガイア神がこの争いを引き起こしている全ての元凶だとしたらどうするのぉ?
 そうね……例えば、光と闇を合い喰らわせて己の為に戦う最強の戦士を生み出す、とか。
 彼女はいざとなれば非情になれる女神。前科もあるわ。
 確か双方に犠牲を出しながら死霊皇帝と長らく争っていたのは、ソフィア無き世界で境界を維持する為、だったかしらぁ?
 もちろん彼女の言い分を信じれば、だけどね」

言葉で不審の棘を刺す。
さらに数歩、互いの吐息が感じられるまでに近づき――。

「……もし元の宇宙が、この掌から零れ落ちたまま掴めないなら、私は私を神とする新しい王国を創るわ。
 人が神の争いに巻き込まれないような世界を、ね。
 いずれ誰も信じられなくなったならアナタもいらっしゃい。歓迎するわぁ」

レヴィアはそう囁くと、アズリアの横を通り過ぎて寺院風の宿舎に戻った。
やがて夜は終わり、空の色を変えぬまま朝が来る。
フレーゲル炎湖の辺りは、早くも出立の準備を始める魔族たちで喧騒を増し、レヴィアの姿もすでに砂航船の上。
トリャンドリアの船団はソフィア監視を兼ねているので、カオスの勇者の出立を待って出航する事だろう。

【>>アズリア 立ち去る】

14 :PLの人 ◆Xlm0JAgw5w :2011/04/15(金) 03:30:20.68 O
さて。 ROMの皆さんにはフラポリーの事を心配している人も多いでしょう。
アズリアと体を入れ替えていた、あの空飛ぶイソギンチャクのフラポリーです。
さすがにゴキブリを遥かに超える生命力といいましょうか。
無事にバラバラになった体も元に戻ったようです。 帰ってこないですけど。
仕方がないので、フラポリーの視界を乗っ取って居場所を探ってみましょう。

・・・フラポリーは盲目なので何も見えませんでした。
ボリボリと堅い何かをかじる音が聞こえるだけです。
もしもーし。 聞こえますかー?
まだライトファンタジーなんだから、NPCでも人間なんか食べてはいけませんよー?

「・・・・・・うま・・・」
え? なんですか? かゆうま ですか?

「・・・うま うま・・・」
・・・どうやら気に入った食べ物を見つけて食事中のようで、話を聞いていないですね。
人間は食べていないことを祈りながら、再びカオスの勇者たちの話に戻りましょう。
食べ物の恨みは恐ろしいですからね。

>>13
>「非力ながらも皆のためにお手伝い……うふふっ、アナタ真っ先に死ぬタイプね。
真っ先に死ぬタイプと言われたアズリアは、うっと言葉を詰まらせました。
死んでも生き返る生き返る世界の住人でも、死ぬのはやっぱり嫌なようです。
ちなみにPLの人もアズリアは真っ先に死ぬタイプだと思います。
性格的にではなく、能力値的な意味で。

レヴィアは言葉を続け、自分の世界を取り戻すために戦っていることを告げた後。
アズリアにとっては衝撃的な一言を口にします。
> でも、そのガイア神がこの争いを引き起こしている全ての元凶だとしたらどうするのぉ?
「そっ、それはっ!!  そんなこと・・・ない・・です・・・」
レヴィアが言うように、ガイアには前科があって動機も十分です。
ガイアが悪役とすり替わっていた話も聞いている手前、さすがにアズリアも断言はできなかったようです。

うつむいてしまったアズリアのすぐ側にレヴィアが近づいても、アズリアは顔を上げません。
> いずれ誰も信じられなくなったならアナタもいらっしゃい。歓迎するわぁ」
元の宇宙を取り戻せないなら自分が神になる。 と聞いても。
誘いの言葉を投げかけてからレヴィアが立ち去っても。
よほどショックだったのか、それからしばらくアズリアは下を向いたまま動きませんでした。
いままで信じてきたものが崩れそうになった時は、人間ショックを受けるものですね。
皆さんも普段から常識を疑ってみる訓練をしておくと、こうはならないかもしれません。
ただしあまりやりすぎると仲間も信じられなくなるので、その点はご注意を。

「アサダヨ! ハヤク オキテクダサイ!」
で、時間は進んで本来なら朝と言える時間。
まだ寝ている人を起こすべく、ソフィアが大声を出しました。
ひらがな に飽きたのか、カタカナ で話をしています。
湖畔から戻ってきていたアズリアも、もぞもぞ寝床から這い出してきました。
結局あれから眠れなかったのか、目が真っ赤ですね。

「イマカラ タカマガハラ ニ イクナラ セカイジュ ヲ ツカエバ ダイジョウブダ。
 ジッタイカ シタ セカイジュ ハ スベテノ セカイヲ ツナイデイル。
 ドレデモ スキナ ノリモノ デ イクガイイ。」
・・・いい加減カタカナ語はやめてもらいましょう。 わかりにくい上に面倒です。

意訳:実体化した世界樹はタカマガハラとつながっている。 好きな乗り物で行け。

勇者達は好きな乗り物(>>10参照)に乗り込んでも良いし、霊体化して行くのも自由です。

15 :◆t7kjAY7URg :2011/04/16(土) 10:55:31.98 0
>「借り物の腕に込められていた力が、消え失せたみたいね……。
 それにしてもアナタ、意外に大物ねえ?
 元居た世界が滅んだって言うのに、全然動じていないんだもの。
 それとも、あまり執着が無い世界だったのかしらぁ?」

「うん。執着は無かったよ。もともと記憶に無い世界だったから」

”男”の返答を聞いてか聞かずにレヴィアは建物の中に消えました。

>>10
建物に入ることを拒否された勇者たち。でもメサイアが家に入れてくれました。

>「テイルさん、男さん。 今日はここに泊めてもらいましょう。
 ほら、メサイアさんはテイルさんのお知り合いみたいですから、別に罠とかもないでしょうし。
 温かいお風呂に入って、あとはここでゆっくり寝ればいい考えも浮かぶかなー、なーんて」

「うん。眠るよ。おやすみなさい。みんな…おやすみなさい」

>「アサダヨ! ハヤク オキテクダサイ!」

「え!もう朝!?」
”男”が眠い目をこすっているとイワンが寝床から飛び出し
コサックダンスをしながら野に帰って行きました。

>「イマカラ タカマガハラ ニ イクナラ セカイジュ ヲ ツカエバ ダイジョウブダ。
 ジッタイカ シタ セカイジュ ハ スベテノ セカイヲ ツナイデイル。
 ドレデモ スキナ ノリモノ デ イクガイイ。」

「よし!行こう!テイルちゃんにアズリアちゃん!!よーし!発進だぁーーーー!!」
”男”の目は希望に満ち溢れていました。

16 :永久闘争存在―ストッパー― ◆hfVPYZmGRI :2011/04/16(土) 18:46:08.17 0
彼は同胞達を召還しやすくするための《門》を補助する役割ができる複数の箇所を周っていた。
ここはとある霊泉、いや阿鼻叫喚の坩堝と言ったほうが正確かも知れない。
死体―また死体―いやこの場合は天に帰ったというべきか
自身の周囲に動かぬ骸ばかりが転がる
まさに死体の海と言ってもいい
目前に転がる様々な死体――主に黒い魔力の剣で串刺しになったり破裂していたり
業火に焼かれているなどの黒の法衣を纏った天使と有翼の白獅子だが
仮面をかぶった灰色の外套の男により駆逐されていく天使達は愕然とする

『天使群の七割半の消滅を確認、およそ予定殲滅時刻には死霊皇帝軍が進軍してくるでしょう
その時間までにはベルセルク級が到着すると思われます』

促す程度の返事をしながら、作業のように機械的に向かってくるプレセペ連星隊を
切り裂き撃ち貫き磨り潰し突き殺し叩き殺し、考えられる全ての武器を駆使しながらも上級天使の家畜を寡黙に屠殺していく
その間に嵐の如く飛び交う魔法は後一歩というのに全て掻き消えてしまう
それも見えない壁――永久闘争存在―ストッパー―として与えられた補正の一つ
ランスシリーズではお馴染みである魔王、魔人に自然と張られている特異な結界のこと無敵結界がそれを遮る。
その効果は物理・魔法の種を問わず、またどれほど凶悪な破壊力であろうと
お構いなしに外部からの攻撃の一切を無効化するという反則的な代物(公式設定)。
この結界の存在により、通常の手段で彼を傷つける事は不可能である。
もっとも改変されたこの能力これを破るには、並大抵ではない結界中和能力及び大元と同じなので
魔剣カオスと聖刀日光の前では無意味だが。

『まだ一時間も経ってねぇだろうが…!
半数も残ってないないなんて、アイツ化け物か…?』

隊長だか誰かが呟いたかそんな事はどうでも良い。
既にプレセペ連星隊は数を三千を切っている
増援という手段は想定されているのでユービックが全ての手段を駆使して
すでに絶たせているこうなると彼等には二つの手段しかない撤退か戦って死ぬか
投降などは断じて認めない。
したとしても今の彼は躊躇いもなく殺し続ける
故に黒衣の天使たちは死に物狂いで迫り殺そうとする。
それすらも計算されているというのに
しかし今は時間がとても惜しい此処で消えてもらおう。

「―――失せろ」
右腕を掲げ、暗黒の光が残っていた下級天使達を包み込んだ。

17 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/04/17(日) 00:36:13.79 0
>7
>「グエエ(どうぞ召し上がってください)」
「う、うん。とっても独創的な料理だね。後でフラポリーちゃんにあげればきっと喜ぶよ!」

>10
高天原に行けば全ての真実が明かされる……ような気がする!
ただしそこには魂だけの状態で無いといけないらしい。
ボクにはそれは適用されないだろう。本来高天原をホームグラウンドとすべき生粋の光の眷属だから。
でも皆は……。
>「そうだった。冥界は広いから移動手段が無いと困るよね?
 個人移動が多いと、こういうのが便利なんだ。
 幾つかコレクションがあるから好きなのを選んで使ってよ」
「じゃあボクはキックスクーターで」
要するにケリンチョです本当にありがとうございました。
だってアクセル踏まないといけないような乗り物は足が届かないんだもん!

>12-14
── …すけて……助けて……! 早くここまでたどりついて、早く!
「……ガイア様!?」 
目を覚ますと、外から声が聞こえる。人間の少女二人が語り合っていた。

>「そっ、それはっ!!  そんなこと・・・ない・・です・・・」
ありがとう。そう言ってくれて。
ガイアの娘である妖精は、ガイアの意志に逆らえないようにできている。
もし本当にガイアが悪い奴だったら、ボクはアズリアさん達の前に立ちはだかる事になってしまうのだろうか。
「そんなのあんまりだよ……」

>15
>「よし!行こう!テイルちゃんにアズリアちゃん!!よーし!発進だぁーーーー!!」
「出発しんこーう!」
数センチほど浮かんだ魔法のケリンチョで発進する。
皆も自分のイメージに合わせた乗り物で出発しよう!

18 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/04/17(日) 06:29:36.63 0
>>14、15、17】
カオスの勇者たちは、何処かへ向けて出発するようだった。
ソフィアが出立しようとする彼らに向けて語る大声はレヴィアの耳へも届く。
高天原へ行くには、実体化した世界樹を使えば良いとの言葉が。

「……世界樹?冥界から他の次元へ行くのに幾つか方法があるの?」

レヴィアが世界樹の次元連結現象を知るのは今が初めてなので、当然の如く浮かんだ疑問をリムにぶつける。

『しばらく前、ガイアの空が訳わかんない枝で覆われたのよね。
 あれが全ての世界を繋ぐっていう世界樹じゃないの?
 黄泉の空は真っ暗闇だから良く分かんないけど、ここの空もそうなのかもぉ。
 ……ってことはぁ、枝を伝ってけば他の次元に行けるんじゃなぁい?』

天使たちと争う死霊皇帝軍にとって、不確定要素であるソフィアが冥界を去ってくれるのは好都合。
必然、彼らが異世界へ渡ろうとしている事を知れば、積極的に情報提供を行うだろう。
央砂海と呼ばれる砂漠に突如天へと伸びる巨木が現れた事も。
リムはレヴィアからカオスの勇者たちが世界樹を用いるかも知れない事を訊くと、甲板から身を乗り出して彼らに声を掛ける。

『テイルちゃんたちが高天原へ行くのに使うのって世界樹ぅ?
 それなら、リムがイイコトを教えてあげる。
 暗い世界だから、こっからじゃ確かめようも無いけど、北に広がる央砂海じゃ天まで伸びるような巨木が現れたそうよぉ。
 きっと、それが世界樹の枝なんじゃないかしら?』

央砂海までには幾つかの霊泉が点在する。
どちらを選ぼうとも途中までならルートは同じなのだ。
カオスの勇者たちとソフィアを追って、トリャンドリア号が動き始めるとリムは船室へと戻った。

――そして一日が過ぎ、カオスの勇者たちはその間にニつの霊泉を巡り終え、四つ目の場所、エルダの滝に至る。

>>16
黄泉の荒野を越えて最初に見えるのは、薄く濁る大気。
エルダの滝に近づくにつれて異臭が強まり、鼻孔へ焼け焦げる匂いを運ぶ。
大気を焦がすのは、赤く噴き上がる火柱。
果たして、あの灼熱の炎が糧としているのは何であろうか……。
レヴィアは魔族の船員たちが慌ただしく戦闘の準備を始める音を聞きながら、前方へと視線を走らせる。
大地に穿たれる無数の穴は、何者かが造った戦いの痕のようだった。

「……誰か戦ってるようねえ。冥界側の守護兵団と天使たちかしら?」

『ううん、この辺りに守備の兵がいるって話はリム聞いてな〜い♪
 何かがいるんだったら、敵の天使たちだけじゃないのぉ?
 光と闇の融和ってのはね、互いに殺し合わないってことじゃない。
 単に互いの棲みかに押し入ってまで絶滅はさせないってこと。
 人間たちが村へ入ってきた熊は退治しても、森に分け入ってまで熊を根絶やしたりしないように。
 だから天使たちが闇の眷属の世界に押し入ってきたなら、こうされても文句は言いっこ無しよ〜ん♪』

少女の姿を取る妖魔が楽しげな笑みを浮かべ、高らかに唱えた呪文を風に乗せる。

『降り注げ破壊の凶星!メテオストライク!』

無数の流星が黒い空を切り裂き、幾筋もの光の軌跡を描く。
リムの唱えた呪文によって、空の彼方から呼び寄せられた隕石群が、エルダの滝を造る小高い岩山へと突き刺さった。
霊泉は冥界にとって重要な場所であろうに、躊躇うこと無く破壊呪文を行使する彼女からは、その辺りへの配慮を感じられない。
おそらくは、この性格がリムが島流しになったという要因なのであろう……。
隕石が地上で弾けると砂航船の前方からは砂や石を乗せて熱風が吹き付け、それらは砂嵐となって痛いほどに顔を打つ。
レヴィアは爆風で吹き飛ばされないように船の縁を掴んだ。
やがて流星によって引き起こされた爆発が収まると、砂航船はエルダの滝へと到着した。

【>>ストッパー リムの魔術によってエルダの滝一帯に隕石群が落とされる】

19 :カブトムシ:2011/04/20(水) 01:42:21.30 O
近くこの世界に転生する事となったカブトムシと申します
どうかよしなに

20 :PLの人 ◆Xlm0JAgw5w :2011/04/20(水) 16:20:09.54 O
>>15>>17
>「よし!行こう!テイルちゃんにアズリアちゃん!!よーし!発進だぁーーーー!!」
>「出発しんこーう!」
「お、おー…」
元気なくでしたが、アズリアも後に続きます。
先ほどのレヴィアとの会話がよほど応えたようです。
だめだめですねぇ。
ちなみに彼女が乗ってるのはティーカップ形の乗り物です。
ぐるぐるその場で回りだしたりはしないので、その点はご安心を。

「タカマガハラに着く前に、話をしよう。 私の目的についての話だ。」
やっとまともな話し方に戻ったソフィアは、うねうねと体をくねらせて飛びながら言いました。
「少し前にレヴィアに聞かれたときに答えなかったのは、答えても意味が無いからだ。
 私の元々の目的は、世界の滅びを食い止めること。
 そのために知りえる限りの情報を駆使して未来を予測して来たが・・・だめだったよ。
 世界の滅びは回避不能だ。
 無視できないいくつかの重大な要素が関係し、そのどれもがこの世界に致命傷をもたらす。
 もう私にできることは何もない。」

「そんな・・・! どう頑張ってもだめだなんて・・・そんなはずないですよね?!」
アズリアはたまらず問い返します。
決まった未来に向かうというのは、人間には耐え難いものですからね。
希望は前進する力を生み出しますが、絶望はその逆です。

問われたソフィアは、希望はあると答えました。
「それは・・・お前達、カオスの勇者たちだ。
 前にも言ったかもしれないが、お前達の未来は私にも予測不可能なもの。
 つまり、お前達には私の予測できない未来を作り出す可能性があるのだ。
 可能性を持つのはお前達だけではない。
 レヴィアや他の幾人かが、未来を大きく動かす可能性を秘めている。
 ・・・あるいはお前達はなにか、私の知らない力によって選ばれた者たちなのかもしれない。
 今の私の目的は、お前達選ばれた者たちを見続けることなのだよ。」

意訳:俺は無理だけどお前らは世界が滅びるのを止めてもいいのよ?(チラッ
ですねわかります。

>>18
フリーダムな性格のリムのメテオが>>16を攻撃しました。
無敵結界は攻撃側の種族が大きな意味を持つ結界です。
リムは魔族(でしたよね?)ですが、NPCなので効果の方は不明です。
もちろん余波というものは離れていても受けますので勇者たちも気を付けないと・・・
「きゃああああぁぁぁぁっーーーー!?」
アズリアくん ふっとばされたー!
こうなりますので他の方は注意してくださいね。

>>19
これはどうも御丁寧に。 以後よろしくお願いいたします。
末永く住まれる予定なら>>1のリンク先に行きますと(×より意味不明)○より楽しめるかもしれませんよ。

21 :◆t7kjAY7URg :2011/04/21(木) 11:32:05.86 0
>>17>>20
>「出発しんこーう!」
>「お、おー…」
「お、お〜。ナスのおしんこぉ〜」

テイルはキックスクーターに乗って、アズリアはティーカップに乗って出発しました。
何となくノリがわかってきた?”男”は子ども神輿に乗って二人のあとを追いかけます。

しばらくすると、道中でソフィアは世界が滅びるのを止めてもいいのよみたいなことをサラッと言いました。
”男”はほんの少し前まで人間だったし冥界の知識もなかったので、ピンとこないのでした。

「ただボクは超男になりたいだけなんだ。ボクの答えはきっとそこにあう!」

>>16>>18>>19
リムが永久闘争存在―ストッパーに攻撃をしたので余波がきます。
ピロリロリン♪ピロリロリン♪『メテオにご注意ください』どこからともなく警報がなりました。

>「きゃああああぁぁぁぁっーーーー!?」
「アズリアさぁああああぁぁんーーー!!」
すごい爆風でした。神輿を担いでいた子どもたちは、いつの間にか地蔵に変化して爆風を凌いでいます。
”男”はアズリアの足を片手で掴みます。でも体ごと宙に浮かぶ”男”の体。
このままでは二人とも飛ばされてしまうことでしょう。なにか、なにか掴むものが欲しい!

「あ!!いいもんみっけ!!」
溺れるものはテイルさえつかむ。
”男”は残った腕でテイルの小さな頭を鷲掴みにして飛ばされないように踏ん張ります。

しかし、>>19さんに挨拶をされて…。
「はい、こちらこそよろしくお願いします!!」
”男”は三つ指をつくと頭を下げ、アズリアの足とテイルの頭を放してしまいました。

「あ〜〜れ〜〜〜〜〜っ!!」
どこかへ飛ばされる”男”。待っているのはSS地獄か、それとも…?

22 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/04/24(日) 11:57:55.24 0
>18-20
>「タカマガハラに着く前に、話をしよう。 私の目的についての話だ。」
ソフィアは世界の破滅が止めようがないと語った。
「世界線が収束してるんですね、分かります。……それってダメじゃん!」

>意訳:俺は無理だけどお前らは世界が滅びるのを止めてもいいのよ?(チラッ
「ソフィアとは知恵……。理性的な知恵に則った正攻法ではもはや世界は救えないって事か!」
今までで理性的な知恵に則った正攻法なんてやった事があるかって?
無い! つまり今まで通りでいいってことだ。
>「ただボクは超男になりたいだけなんだ。ボクの答えはきっとそこにあう!」
「そうだ、それでいい!」

「ここで復習をしよう! リムは妖魔だ!
天使と対になるのが魔族で妖精と対になるのが妖魔。分かったかな?」
講義をしている間に、リムがメテオをぶっ放した。
>「きゃああああぁぁぁぁっーーーー!?」
>「アズリアさぁああああぁぁんーーー!!」
とっさに近くにあった地蔵につかまる。

>近くこの世界に転生する事となったカブトムシと申します 、どうかよしなに
>「はい、こちらこそよろしくお願いします!!」
「転生するってもここ冥界だよ!? とにかくよろしく! って三つ指ついてる場合じゃなあああああい!」
>「あ〜〜れ〜〜〜〜〜っ!!」
飛んでいく二人を捕まえようとして地蔵から手を放す。
「あっ」
結局全員飛ばされましたとさ。

>16
飛ばされるというのは場面転換が起こるということである。
気が付いた時には、なんかとにかくすごそうな戦いの真っただ中にいた。
「ひぃいいいいいい!! お助けええええええ!!」
叫びながら逃げ惑う。

23 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/04/24(日) 22:24:54.82 0
>>21
爆発の余波で前方から飛んで来る“男”を見たレヴィアは、砂航船の甲板に設置されていた滑車を軽く回していた。
回された滑車は、船の速度を落とす為に畳まれていた金属繊維の帆を僅かに広げる。

「……運が良ければ帆にでも引っ掛かるでしょう。ダメならそれまで、ね」

“男”がレヴィアと同世界の存在であれば、元の次元が失われた今、彼はレヴィアと属する世界を同じくする唯一の存在となる。
ならば元の世界の生命を再現させる種、アダムとしての価値が有るかも知れない……。
不意に過ぎった考えが“男”を庇護しても良いとの打算を働かせた。
レヴィアは、フレーゲル炎湖にて“男”が元々地球は記憶に無い世界、と言った事を聞いていない。
もし問い掛けへの答えを聞いていたならば、果たして今の行動や、深夜の湖で何かを待つ様な気まぐれは起こしたのだろうか……。

やがて爆発で起きた砂嵐も止み、視界も開ける。
リムが墜とした流星は地上に惨禍を作り出していた。
大地には砕け散った焔が敷き詰められ、その上には黒い物が無数に散乱している。
炭で作られた彫刻を思わせる黒い人形たちは、冥界で魂を狩るべく駆け廻っていた天使の一団のなれの果て。

「……流星を落とすなんて大したものねえ」

横たわる天使たちの躯を見て、レヴィアが眉を顰めた。
彼女は魔術が一般的な世界の住人では無い故に、これほどの大魔術が容易く行使された事に脅威を覚えたのだ。

『ふふん、そうでしょ?敵が見える前に先手必勝で片づけるなんてエレガントよね〜ん』

「でも、今の攻撃で全員を仕留める事はできなかったみたいよぉ?生存者がいるようだもの」

地を舐める炎の上には、刺さった杭のように不動で立つ人影が見える。
灰色の外套を纏った仮面の男が。

「ビャク=ミキストリ?」

咄嗟にレヴィアの口から出たのは、今は失われた世界で会った男の名前。
ストッパーの姿を見た瞬間に覚えた既視感が、レヴィアにそう言わせた。
目の前の仮面の男からは、雰囲気も纏う空気も、以前に会ったビャクと似通ったものは感じないというのに……。

「……いえ、人違いかしらぁ?
 貴方、見た所天使には見えないけれど冥界の眷属なの?」

レヴィアは砂航船から降りず、距離を取ったままストッパーに訊く。
彼が身に纏わせる得体の知れない空気に警戒の念を呼び起こさせていたから。

24 :永久闘争存在―ストッパー― ◆hfVPYZmGRI :2011/04/25(月) 01:13:59.79 0
降り注いだ流星群が止んだ――
その後の惨状は原爆を落とされた――いやそれ以上の物が光景として広がっている
しかし周囲には肉塊ではなく唯の消し炭となった天使達が転がっている中
唯一、何事も無かったように立っている者が一匹の小鬼を携えて存在している

『損傷比率1%以下、今後共に行動に支障をきたす事はありません』

頷く訳でもなく周囲を見つめているわけでもなく黙していた。
リムの一撃は高位の存在でも充分に滅ぼす一撃を持っているだろう
その種族の見解により攻撃が通じなかったという訳とは少し違う。
魔族であろうとなかろうと無敵結界は既に改変を受けているその証としてプレセペ連星隊は天使であり
その防御対象に含まれない技まで含まれている彼等の技が効かない以上それは改変されているという証。
打破する手段は単純に結界中和能力か打ち破る二点の例外武器に匹敵する物しか傷を与える事は不可能に近い。

>>22
>「ひぃいいいいいい!! お助けええええええ!!」
突如目前に現れた混沌を司る勇者達

『先ほどの広域破壊呪法に巻き込まれたというのが最も高い考察ですね』
無機質な声音で数秒もたたずに計算し、結論を述べるユービック
なんにせよ、これはこれで排除すべき者が来た事に変わらない
止めていた足を再び勧めるが、別の方向から聞こえた声に意図せず歩みを一旦やめる

>>23
>「ビャク=ミキストリ?」

個としての意識である際の名を尋ねられその声の主に視線を向ける
その名に反応したわけではない排除対象が増えた事による確認であり返事は決してしない
否定も肯定もしていないのだ。
雰囲気が違うのか、別人と見ているのか話を続けてる

>「……いえ、人違いかしらぁ?
 貴方、見た所天使には見えないけれど冥界の眷属なの?」

此処で黙していたが、冥土の土産のつもりなのか
抑揚も感情も感じ取られないが小さくも無い平坦な声音で口を開く

「…どちらでもない…多世界に影響を与える存在を滅ぼすのみ…」

それが新たな開戦への合図―――
指を鳴らせば空を覆い尽かさんばかりの黒が広がっていた
そして何秒もせずに大雨の如く剣山が降り注ぐ
目標は無差別―この場からは誰も生かして返すつもりはない
それを如実に物語っていた。


25 :◆t7kjAY7URg :2011/04/26(火) 16:14:51.18 0
爆風の猛威に晒され”男”は黄泉の空を飛んでいました。
飛んでいく方角に視線を移せば砂航船が見えます。
「よし。ちょうどいいや」
”男”は体を反転させ、僅かに広がった帆に腰から体を沈めます。
そう、まるでマットに落ちるスタントマンさんのようにです。
金属繊維の帆は思ったとおり頑丈で、鎧を含め数百キロはあると思われる”男”を難なく受け止めてくれました。
「にゃはぁーたすかった。ありがちょぉー!!」
帆にハンモックのように腰をかけつつ”男”は眼下の人たちに手を振ります。

――暫くして”男”は風に漂ってくる異臭に気がつきました。
帆から飛び下り、甲板から地表に目を落せば無数に散乱している天使たちの遺骸。
「な!なんてことをしたの!う、う、う、う、わぁああああああ!」
胴を震わせ咆哮する男の耳に聞き覚えのある女性の声が飛び込みます。
>「……流星を落とすなんて大したものねえ」
>『ふふん、そうでしょ?敵が見える前に先手必勝で片づけるなんてエレガントよね〜ん』
>「でも、今の攻撃で全員を仕留める事はできなかったみたいよぉ?生存者がいるようだもの」
その声はリムとレヴィアでした。
「ぎざまらがぁ〜!!」
男は両眼を燃やし激怒し、その多腕に夢想剣を召喚させました。
しかし、突然五本の剣に異変が生じます。なんと刀身が振るえ音を奏で始めたのです。
「これはいったい?」
沈思する男の思考に雷鳴の如く一人の男の名前が浮かびあがりました。
「ビャク=ミキストリ!」
地を舐める炎の上にその男は立っていました。
>「……いえ、人違いかしらぁ?
 貴方、見た所天使には見えないけれど冥界の眷属なの?」
レヴィアは砂航船から降りず、距離を取ったまま仮面の男に訊いています。
>「…どちらでもない…多世界に影響を与える存在を滅ぼすのみ…」
「ビャクさん!?あなたはビャクさんだろ!!やめるんだこんなことは!!」
大雨の如く降り注ぐ黒の攻撃を薙ぎ払いつつ”男”は船から跳躍しました。
狙うは仮面の男です。
「ぅらぁっ!!」
深い踏み込みの一閃に空気が鳴ると仮面の男の頭蓋を目掛け銀光が一閃。
両脇から四本の剣が挟み込むように襲いかかりました。(みねうちです)

26 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/04/27(水) 01:27:46.06 0
>>24-25
仮面の男は、多世界に影響を与える者の排除を口にし、無機質な殺意を発散させた。
彼が指を鳴らすと黒雲の如き塊が上空に出現し、何かを降らせる。
空間を軋ませながら地を撃ち始めるのは雨では無く、刀身や形状を異にした数多の剣。
刃の豪雨は辺りに点在する岩を砕き、僅かに生える灌木を割り、砂を掻き乱して土煙と化す。
仮面の男は異様さを感じたレヴィアの直感に違わず、やはり攻撃を仕掛けて来た。

「mjm vhgnh(水よ、守れ)」

レヴィアが口中で呪文の韻律を唱えると、即座に大地を割って間欠泉の勢いで水が噴出した。
噴き上がった水は、そのまま地に流れて散じる事は無く、噴き続ける水を取りこんで膨らみ、やがては龍蛇の如き形を取る。
それは生ける河とでも言うべき、水の奔流に依って作られた大蛇であった。
レヴィアが船縁から飛び降りると、水の蛇は彼女を体内へと呑み込む。
さしもの剣雨も荒れ狂う水に威力を減じられ、中のレヴィアへ致命傷と呼べるような傷までは負わせられないようだった。

砂航船ではレヴィアの他にも動きがあった。
リムは持っていた傘を開いて剣を防ぐ。
傘が刃を通さないのは防御魔術を張っている為なのだろう。
しかし高位の防御手段を持たない他の魔族たちは、呻きを上げながら串刺しとなってしまった。
帆を緩衝として船上に降り立っていた“男”は、降り注ぐ無数の剣を撃ち落としながらストッパーに向かってゆく。
“男”の先で待ち受けるストッパーの結界を見たソフィアは、彼に向かって大声で叫んだ。

『いかん、その男は結界に守られている。
 防御が強固と言うよりも、乾いた物でも湿った物でも傷つかない、と言った何かを禁じる呪に近いものだ。
 それは結界を切り裂く力を持った、二振りの剣でしか破れぬ。
 或いは矛盾する性質の呪に依って相殺し、中和を行うか。
 結界を裂く二振りの剣の分霊とも言うべき剣ならば、ガイアに於いても存在するはず。
 一振りはアマテラスの持つ日の光を籠められた聖なる刃。もう一振りの行方は……智慧神の私にも分からぬが』

ソフィアの言葉で、レヴィアは自らに対抗手段が無い事に気付いた。
二振りの剣も、禁呪そのものに関与する手段も。
今のレヴィアは津波や濁流が攻撃手段である。
水は水圧を強めれば数万トンの防潮堤すら砕く破壊力を持つが、結界に対しては有効な攻撃では無いだろう。
この手の敵と相対した時の対処は、互角以上の力量ならば逃走で、下回っているようなら行動の阻害。
ストッパーは彼自身の語った行動目的からすれば、レヴィアとは相容れない。
ここで逃走しても、再び遭遇する可能性は低くないだろう。
従って倒す事は叶わずとも、まずは相手の力量程度は知っておきたかった。

まずは、最後の手段としての逃走を行えるように下準備をしておく必要がある。
レヴィアは、魔術で地下一帯に水を縦横に走らせ、岩盤に細かい亀裂を入れる事を試みた。
剣が降り注ぐ振動も相まって、地表から地下の様子を窺うというのは困難かも知れない。

「私も結界の無敵具合を確かめさせてもらおうかしら?」

斬り結ぶ“男”とストッパーが離れる瞬間があれば、その隙を逃さずレヴィアはストッパーに水龍を向かわせるだろう。
唸りを上げる奔濤が、僅かでも彼の動きを止められるのかを測る為に。

27 :PLの人 ◆Xlm0JAgw5w :2011/04/27(水) 18:48:42.67 O
>>22 >>24
>天使と対になるのが魔族で妖精と対になるのが妖魔。分かったかな?」
復習ありがとうございます。
妖精と対では改変が無くても無敵結界は破れなかったでしょうね。
あの世界の無敵結界は大変特殊なものでして、例外種族以外からの攻撃を完全に無効化しますから。
結界なのに本人の力で張っているわけではない。
などなど通常の結界とは異なる特性を持つ、いろいろ興味深い結界なのです。

空いた時間を使って、ROMのみなさんと少し考えて見ましょう。
ストッパーの使用する無敵結界は強力ですが、弱点も持ちます。
そしてこの結界の改変前のものは本人以外の。 つまり別の存在からの力であって、いわばもらい物なのです。
普通、そんな弱点のある能力をわざわざ誰かに使わせるでしょうか?
弱点を消せなかったわけではありませんよ。
現にストッパーは一部ですが弱点を克服しているわけですから。
ではなぜ、そんな”欠陥品能力”を与えたのでしょう。

・・・みなさんはこんなお話を聞いたことはおありでしょうか。
そのお話の主人公は、世界に絶望をもたらすものを消すために、自分の魂をかけて歴史を変革します。
変化後の世界では新たな敵は出現しているものの、主人公の願いは叶っていました。
残された仲間は主人公の思いを受け継ぐため、希望を守るために新たな敵との戦いを続けます。
めでたしめでたし。

・・・よく考えるとぜんぜんめでたくないですよね。 このお話。
世界に絶望をもたらすものを消したはずなのに、どうして新しい敵が出現しているのでしょうか。
似たような話はいくらでもあります。
閉じ込めたはずがまた解き放たれる魔神。
竜王を倒したのに今度は登場する破壊神。
何を関係ない話を、とお思いでしょうが実はこれ。
全て問題の根本原因は同じなのです。
要するに、世界を大いに盛り上げるために、誰かがそう”設定した”のです。
ちなみにPLの人が設定したわけではありませんので、お間違えの無いように。

ここまで長々と考えてきましたが、これには深い理由があります。
・・・アズリアが弱すぎてお伝えすることが短いんですよ。
おっと、大事な警告文を伝え忘れていましたので、忘れずにここでお伝えしましょう。

注:このレスには本文と関係ない文章が多々含まれています。
  どうでもいいという方はこのレスは読まずに次のレスに飛んでください。

28 :PLの人 ◆Xlm0JAgw5w :2011/04/27(水) 18:49:50.48 O
>>21-26
>「アズリアさぁああああぁぁんーーー!!」
>「あっ」
風に飛ばされてくるくると飛んでいく勇者御一行。
いつだって自然の力の前には人間(ほとんどの方は違う種族ですが)は無力です。
レヴィアが帆を広げ、男が引っかからなければタカマガハラまで飛んでいったかもしれません。
>「にゃはぁーたすかった。ありがちょぉー!!」
「た、た、た、助かりました〜・・・」
久しぶりの人間の体は勝手が違うのか、アズリアは早くもヘロヘロです。
もちろん、進む時間はそんなアズリアの事情は考えてくれませんでしたが。

幸いにもごろごろ転がる死体は、ライトファンタジーモザイクでアズリアには良く見えませんでした。
しかしです。 バットです。
精神攻撃は軽減されるのでしょうが、物理攻撃まで軽減してくれるわけではありません。
ストッパーの放つ無数の黒剣の雨。
上級どころか低級の防御魔法も怪しいアズリアには、一発でも当たれば致命傷です。
>「ひぃいいいいいい!! お助けええええええ!!」
「テイルさ〜ん! なんとかしてくださ〜い!!!」
前にピンチを神様召喚でなんとかしたのを思い出したのか、アズリアはテイルに助けを求めます。
なんとかできなければ、テイルはともかくアズリアの冒険はここで終了です。

ちなみに、レヴィアはともかく男の攻撃が無敵結界を越えるかどうかは難しいところです。
男の種族が既存の種族と異なるなら、前述した種族対抗結界をすり抜ける可能性があるほかに。
男の持つ剣が日光とカオスに匹敵する力を持つ可能性があるからです。
日光もカオスも人間が無敵結界を打ち破る手段として用意されたもの。
別世界とはいえ勇者パーティーの一員となった男の武器が、そう”設定”されていたとしても不思議はありません。

29 :幻妖のリム@NPC ◆666/MyrH6U :2011/04/29(金) 03:19:43.86 P
>>24
「あ〜もぉ、それで天使の次は誰なのよぉ。あの変な仮面男は!
 光でも闇でも無いなら境界の過激派?それとも第四勢力?デミウルゴス?
 リム、別に多世界なんてどーでもいいしぃ」

ストッパーを見たリムが正体不明の存在に困惑の言葉を吐き捨てる。
攻撃を受けたことで彼に対して明確な敵である、という認識を持ったようだ。

>>25
「キャ〜ン♪怒っちゃイ・ヤ!
 先に天使たちが攻めて来たんだから、返り討ちにされたって仕方ないじゃない。ね♪」

船上のリムは斬り結ぶ二人の戦いを見ながら、先程の“男”の怒りに妖魔として感性で答えた。
今まで天使と戦う羽目に陥った事の無い“男”とは違い、リムは何百年という短くない時間を光の種族との戦いに費やしている。
このような考えに至るのも当然であろう。
それに彼女が認めているのは闇の眷属の王である死霊皇帝だけであり、ソフィアもガイアもその眷属もわりとどうでもいいのだ。

>>28
「うっかり忘れる所だったわん。死霊皇帝様はど〜こ〜に〜い〜る〜の〜よぉ!」

リムが砂航船から魔導通信機を取り出して、スサノオ宮と連絡を取ろうとするもの、通信機はツ…ツ…と雑音を出すだけ。
冥界の中枢である死霊皇帝の宮殿でも、何らかの状況変化が有ったのかもしれない。

「リムが掛けてるのに、なんで誰も出ないのよぉ!」

リムが甲板に目を向けると、間断なく降り続く剣を器用に避けつつ、テイルに助けを求めながらアズリアが跳ねまわっていた。
広げたゴスロリ傘で剣を防ぐリムは、テイルの傍に寄ってくる。
もし、この一人用の傘の下に緊急避難しようとするなら、多少の狭さは感じるもののリムは追い出したりしない。
彼女はテイルたちに死霊皇帝を探させることを思いついたのだから……。

「テイルちゃん、妖精でしょ?
 妖精だったらガイアとコンタクトの一つでも取れないのぉ!?
 アレって、仮にも死霊皇帝様の姉じゃない!きっと何か知ってるはずよぉ!
 テイルちゃんも妖精の一員ならチャッチャとガイアの本拠地行って、死霊皇帝様の行方を聞いてきなさいよ〜ん!」

剣戟の音に負けないよう、リムはテイルの耳元で大声を上げた。
ストッパーの苛烈な攻撃を凌いで脱出しようと言うつもりなら、彼女はその協力に応じるだろう。
他に案が無ければ、リムは砂航船に設置された魔導砲から圧縮した風魔法を撃ち出して指向性の気流の道を作ることを提案する。
その気流の道に小型の乗り物を乗せれば、通常の数倍の速度を出すだろう。
この場から逃れるに充分な程の速度を。
リムは瞬間移動の魔術が使えるようなので、カオスの勇者を逃がした後、彼女自身が逃げる事には何の支障も無い。
足止めくらいなら、頼めば応じてくれるかもしれない。
尤も、“男”がストッパーに致命的な打撃を与える程の戦いを見せるなら、リムの援護も必要無いのだが。

30 :虹のアイリス@NPC ◆666/MyrH6U :2011/04/29(金) 03:24:02.83 P
整った鼻梁に眼鏡を乗せ、三つ編みを風に靡かせた少女がユーティリス大湖に架かる橋の上に立つ。
スサノオ宮に攻め進むルナの進軍は彼女が止めていた。
六武神の一人である吸血鬼、虹のアイリスによって。
彼女はイザナミに依って開かれた通路を通って、ガイアから黄泉へやってきていた。
死霊皇帝軍を安定した就職先として、国に魂を売り渡す覚悟で。
そしてアイリスはその力量と直接スサノオに認められた功績から、離反したベアトリーチェに変わる六武神に選ばれていたのだッ!
本来幹部クラスになるには微妙な種族のアイリスなのだが、死霊皇帝軍としても天使の侵攻で背に腹は代えられなかったのだろう。

実力者の彼女が来た事で、冥界側の軍団は各地に戦力を裂いた。
さらに新しくガイアから来た戦士たちも皆が皆、ここに来ても活躍できないだろうと判断をして、スサノオ宮を避けてしまっていた。
あの第六天魔王を倒した彼女が居るなら、別に助けに行かなくても大丈夫だろう……と。

「援軍が誰もこっちに来ないとは、どういう事ですか!
 普通、異世界に来たら真っ先に一番偉い王様っぽい人がいる所へ挨拶に来るものでしょう!
 なんですか!ガイアの子は礼儀知らずばっかりですか!」

アイリスが無援護という過酷な労働環境に怒りながら唱えた《メテオストライク》は、天使の先鋒軍団を壊滅させた。
壮麗なスサノオ宮と、中に収められていた数々の至宝もろとも。
戦争に使えるような大規模破壊魔法と言えばこれくらいしか無いので、何度も唱えれば付近に甚大な被害が出るのは致し方ない。
アイリスの六武神昇格が取り消しにならなければ良いのだが、目撃者がバッチリ居る以上責任を追及されるのは間違いないだろう。
しかし、この戦いが始まってからメテオは冥界に惨禍と悲劇を齎し続けている。
終戦したら、忌まわしき魔法として禁止令が出るかもしれない。

「やや、あれはっ!」

熾烈な戦いが続く中、熱した鉄を水に浸したような蒸発音が轟いた。
上空のルナが理力の障壁を張って、墜ちる流星を消滅させた音が。
アイリスはメテオが魔術障壁で防がれるという異様な光景を見て、即座にルナの強大な力が聖歌に依る増幅である事を看破した。
そして、それを現在の司令官であるヒルコに伝える。

「なるほど、天使長の力は聖歌に依って増幅されているようね。
 後方で歌ってばかりいて、戦いに加わらない天使がいるなんて怪しいなんてもんじゃないわ。
 これを見破れない方がどうかしてるってくらい。
 でも逆に考えれば、あれさえ何とかすればどうとでもなるということね。
 まずは後方の聖歌隊を殲滅するとかで。
 以前のわたしの仲間が居れば、聖歌隊に音痴が加わって逆に弱体化するなんて、くだらない攻略法を思い付いた可能性もあるけれど」

返事が無い……。
ヒルコはメテオ数発の巻き添えになって、ただのしかばねになってしまっていた。
彼は別に始原の神では無いので、攻撃の威力次第では死ぬ事もあるだろう。

「な、なんてことなの!司令塔である上層部が居なくなっては、あまりに不利じゃない!
 ここは応急にでも処置しなくちゃ!ええと、ええと……」

上司の死に動揺したアイリスは、ヒルコへ駆け寄ると咄嗟に《クリエイト・アンデッド》を唱えてしまった。
《クリエイト・アンデッド》は、生前の知性や能力が全く残らない低級なゾンビを作る魔術である。
せめて生前の知識や技能を有する《クリエイト・ブアウ・ゾンビ》を唱えていれば、司令塔の役割だけは果たせたものを。
そして、アイリスは闇の眷属なのでアンデッド化を解除する《セーブ・ソウル》も死者を蘇生する《リザレクション》も使えない。
彼を蘇生させるには、まずアイリスが無駄に高い達成値で掛けてしまった《クリエイト・アンデッド》を解除する必要があるのだ。
これは善意の頑張りが結果を伴わなかっただけであり、アイリスは別にスサノオ宮を破壊した罪を隠蔽しようとしたわけでは無い。

開戦時、戦力に於いて天使勢を遥かに上回っていたはずの死霊皇帝軍は―――今や壊滅の危機に陥っていた。
すでに周囲の味方と呼べそうな魔族やアンデッドたちも、壊乱をしてしまったのか遁走を始めている。
いったい誰の手によって壊乱させられたのだろうか。
一瞬考える仕草を見せたアイリスだったが、すぐにその口から魔術特有の韻律が流れた。
冷静な分析力で戦況の不利を悟ったアイリスが《テレポート》を唱えて脱出を試みたのだ。
魔術で発生した光の粒子に包まれた彼女は、より激化を始める戦場の混乱の中から掻き消えた。
ほとぼりが冷めるまで、また何処かに姿を隠すつもりなのかもしれない。

31 :永久闘争存在―ストッパー― ◆hfVPYZmGRI :2011/04/29(金) 19:18:57.36 0
>>25
何処からか自身の持つ力と呼応する存在を探知する
その場所に視線を送ると一人の男が居る
>「ビャク=ミキストリ!」
この男も個としての意識である際の名を叫び、荒れ狂う剣雨を?い潜りながら
こちらに向かってくる。それを見ていた小鬼姿のユービックが警告する
『警告します、分析による結果伝説の者に匹敵する存在と化す可能性があります』
向かってくる5本の剣と同時に告げられた瞬間、結界に触れた5本の剣がいとも簡単に砕け散ってしまう
まるで借り物の幻想を打ち砕くように。
その理由は簡単その剣は彼が想像し、鍛造した物であり彼自身の分身であるためすぐに打ち砕ける。
ただそれだけのことだ。
しかし、ユービックの報告により男を無視できない。丸腰となった男に素早く喉元を狙い掴みかかる
空いている片方の手に持つ剣から赤く長い槍を変換する。

>>26>>28>>29

>「mjm vhgnh(水よ、守れ)」

この場にいる大多数の死霊皇帝軍を殲滅に追いやったものの
それでも感づき、それを防ぐ技量を持つ者がいたため
そんな者達を確認し、視認して確認してから黙考する
彼は確かに今現在は殺戮機械に等しいが思考や判断が出来ないわけではない
だが個としての意識は無くても戦略やいかにして敵対者を殲滅するかを考えられる意思が存在する掃討者である。
より効率よく知力を駆使するので
ただ闇雲に力押しで世界を滅ぼす輩よりは性質が悪いと言った方がいい。
思念通話を通じて、第二の策の状況を同行者に尋ねてみる

(……霊脈(レイライン)の把握は……)
『この場に存在する霊脈(レイライン)は夢想剣を通じて70%まで把握しました』

地面に突き刺さる夢想剣から現在この地から流れる力をどれだけ制圧出来ているかを確認し
次の計画を告げる

(…この場を他領域から隔離する……完全掌握を急げ…)

この地に流れる力を書き換え、完全な隔離空間として彼等をこの場から逃げ出さないようにするための対策を行うために
有限の力がある者は急いで立ち去らなければならない。
どの道此処に留まれば無制限に出現する狼の衣を纏った世界破壊の尖兵―ベルセルクが出現するし一番に相手をせねばならない
閉じ込められればここで永久闘争存在とベルセルクとひたすら死闘しかなくなる力尽きるその時まで。

32 :◆t7kjAY7URg :2011/04/29(金) 21:48:55.66 0
”男”はまるで糸で繋がっているかのようにストッパーに切り込んで行きました。
理由は”男”にもわかりませんでした。
アズリアの姿もテイルの叫びもソフィアの忠告も、今の”男”には届きません。
ババッ――
振り降ろされた剣が透明な壁に接触して青白い強烈な光が生じます。
甲高い刃鳴りと共に辺り一面に衝撃が走ります。
「ぬぎぎぎ…」
男は歯噛みし聖痕が刻まれた掌で剣に力を込めました。が、次の瞬間――
夢想剣は音をたてて砕け散りました。
「…そ、そんな…」
根元からポキリと折れた刀身を見つめ”男”は呆けています。
”男”の剣は、煌きを放ちながら雪のように散ったのです。

そこへ狙いすましたかのように迫ったのはストッパーの腕。
後ろへと、飛び下がる”男”。逃がすまいと迫る腕。
さらに、飛び下がる”男”へ、しゃらくさいとばかりに朱槍による一撃。

「ぐはっ!!」
”男”は吹き飛びました。イョーベールの鎧がなけれお腹に風穴が開いていたことでしょう。
「…た、戦うべき相手を間違えるなって…。ビャクさんは僕に教えてくれた…
あなたは、ビャクさんではないのか…?…だとしたら、いったい何者なんだ?」
ひざまづく”男”の体力を、さらに灼熱の地表が奪います。

33 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/04/30(土) 23:55:49.47 0
>25
>「ビャクさん!?あなたはビャクさんだろ!!やめるんだこんなことは!!」
「男さん、その人はもうボク達が知ってるビャクさんじゃない、危ないから逃げて!」

>『結界を裂く二振りの剣の分霊とも言うべき剣ならば、ガイアに於いても存在するはず。
 一振りはアマテラスの持つ日の光を籠められた聖なる刃。もう一振りの行方は……智慧神の私にも分からぬが』
「日の光を籠められた聖なる刃……そんな物を持ってたような……!」

>28
>「テイルさ〜ん! なんとかしてくださ〜い!!!」
「あれでもない、これでもない!」
ピンチに陥ったド○えもんよろしく道具袋の中を引っ掻き回して使えそうなものを探す。

>「リムが掛けてるのに、なんで誰も出ないのよぉ!」
「避難所発見!」
とりあえずアズリアさんと共にリムの傘の下に滑り込む。

>29
>「テイルちゃん、妖精でしょ?
 妖精だったらガイアとコンタクトの一つでも取れないのぉ!?
 アレって、仮にも死霊皇帝様の姉じゃない!きっと何か知ってるはずよぉ!
 テイルちゃんも妖精の一員ならチャッチャとガイアの本拠地行って、死霊皇帝様の行方を聞いてきなさいよ〜ん!」
「そうか……そういえばガイアと魂を共有しているなんて初期設定があったぞ!」
テレパシーにて交信を試みる。

――精神世界(画像はイメージです)――
「その私はすでにデミウルゴス……! 娘よ、天使達と共に戦いなさい!」
「騙されないで! それはデミウルゴスの罠よ! 天使たちはまんまと罠にかかったの!」
ボクの腕を片腕ずつ掴んで引っ張る二人のガイア様!
知ってるぞ、こういう時は先に離した方が本物なんだ!
「「ぐぬぬぬぬぬ……」」
が、両方とも一向に離す気配が無い!
「ぐぎゃあああああ!? 千切れる! 千切れる!」
――精神世界終了――

「うーむ、やっぱダメか……」
諦めて使えそうな道具探しを続ける。
「おっ?」
一振りの剣にピーンと来た。
「アメノムラクモノツルギだ……。雰囲気的にアマテラスの日の光を籠められた聖なる刃っぽい!」

34 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/04/30(土) 23:57:00.66 0
>32
>「ぐはっ!!」
「男さん……!」
大変だ、男さんが危ない! 
>「…た、戦うべき相手を間違えるなって…。ビャクさんは僕に教えてくれた…
あなたは、ビャクさんではないのか…?…だとしたら、いったい何者なんだ?」
「ごめん、仲間を見捨てていくなんて出来ないよ……!」
リムにそう言い、アズリアさんにアメノムラクモノツルギを渡す。
「いきなりでごめん! でもどうしても君の協力が必要なんだ!
君の体がフライングポリープのフラポリーちゃんに乗っ取られていた時、フラポリーちゃんはこれを軽々と振り回していた
もしかしたらその記憶が体に刻まれているかもしれない!」
何で自分でやらないのかって? この作戦は一人では無理だからだ。捨て身の攻撃と全てを引き受ける防御の分業。
そして自分はというとエレメントセプターを構える。エレメントセプターはボクにしか使えないからボクがこっちの役をやる以外にないのだ!

「大丈夫、ボクが君を守るから! キミは何も考えず突っ込んでくれればいい!」
エレメントセプターは防御には絶大な力を発揮する。
そして、ソフィアが語った、二振りの剣以外の結界を破るもう一つの方法。『或いは矛盾する性質の呪に依って相殺し、中和を行うか』
エレメントセプターも、光や闇の力を封じる結界の力を持つ。上手くいけば無敵結界の相殺中和の効果もあるかもしれない!

「だああああああああああッ!」
エレメントセプターの結界を展開しながら男さんを守るように突撃する。
アズリアさんがボクを信じてくれるのを信じて。そうすればあとは全てを防ぎきるだけだ!
幸いエレメントセプターの力の源となった神もそこにいる!
「ソフィアさん、力を貸してーッ!」

35 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/05/01(日) 07:02:10.29 P
“男”とストッパーの攻防はレヴィアの想像通りに、戦況を反転させるようなものではなかった。
魔剣の連撃はストッパーに砕かれ、槍の反撃を受けた“男”は焼ける大地に倒れ伏す。
その瞬間、レヴィアは仮面の男に波濤の水蛇を向けた。
大量の砂を攫い、地に突き刺さる剣を攫い、黒い波と化した奔流はストッパーを呑み、竜巻の如き渦の中に彼を閉じ込める。
彼を支援するユービックもろともに。
魔術に依って圧縮された水の竜巻は、一度捲き込まれれば、竜すらも抑え付け、逃さぬ程の圧力を示すだろう。
尤も、激流の渦は動きを止めるだけであり、結界の効果で守られたストッパーに傷を負わせるには至るまい。

「アナタも死にたくはないでしょう?さっさとここから離れなさい。
 うふふっ、それとも一人じゃ立てなぁい?
 お手々を繋いで欲しいなら、さぁどうぞ……くすくす」

レヴィアは、焼ける大地に倒れた“男”に近づき、左手を差し出しながら声を掛けた。
彼女の言葉は“男”にも、しっかり聞きとる事が出来る。
体を包んでいた奔流をストッパーに向け、今や水の防護壁はレヴィアを包んでいなかったから。

「私と一緒に来れば、貴方が何者になれるのかを教えてあげるわ」

“男”に囁かれるのは誘惑の声。蛇の声。
それを遮るかのように、背後から甲高い叫びが聞こえた。
振り向くと、こちらへ妖精が突進してくる。
どうやら、妖精はこの場から離れるより、仮面の男と戦うことを選択したようだった。

「手札に、ロイヤルストレートフラッシュが出る事を期待しての一発勝負?
 ……希望的観測だけで危険な賭けをするのは、愚者の選択としか言えないわよぅ」

妖精はアズリアに剣を持たせていた。
仮に彼女が持っているのが結界を切れる剣だとしても、技量的にアズリアで仮面の男に致命的な傷を与えられるのだろうか。
レヴィアの判断では否。
彼女がフラポリーに乗っ取られていた事を、レヴィアは正確に知っていたわけではないのだから。
それに仮面の男が、一度接近すれば容易に逃れる様な隙を許すとも思えない。
妖精は極めて危険な賭けを彼女に挑ませようとしている、とレヴィアには感じられた。

「無限に駒を持つ差し手と、盤から落ちない駒を持つ差し手がチェスをしたら、どっちも勝つつもりで戦うんでしょうねぇ。
 そんな相手と戦うことになったら、私ならチェスでの勝利は相手に与えて、別のゲームでの勝利を求めるけれど。
 くすくす……そんな怖い顔しないで。ただの譬えだもの。乗るか降りるかは貴女が決める事よ」

アズリアの持つ剣を見ながら言った言葉は、誰に語ったものだろうか……。
下手に強い力を持つ者は、己を過信して戦況の判断を見誤るものだ。
項羽やハンニバル……地球の歴史上でも、そんな勇者たちは何人もおり、レヴィアは彼らの破滅を見て来た。
ともあれ、両者ともに退くつもりが無いのなら、どちらかが死ぬまで戦い続ける事となるのだろう。
それはそれで、レヴィアにとっては構わない。

「lvjtn mkhtyb mjm ltsat!(自ら折りみて集めし者が命ずる。水よ、出でよ!)」

レヴィアは地下から噴出する激流で、再び水蛇を作り出すと身に纏う。
波濤の水蛇たちは、すでに周囲一帯の地下岩盤に亀裂を入れながら駆け巡っている。
もう一押しするだけで、地下水は一斉に氾濫し、周囲数キロの地形が一瞬にして渦巻く泥土の海へと変わる程に。
大地の破壊は退却手段として使うつもりではあったが、カオスの勇者がストッパーと戦うならレヴィアも行うつもりは無い。

「じゃ、頑張ってね☆」

水蛇の背から上半身を出したレヴィアは、アズリアから“男”に視線を移す。
レヴィアがこの場を去るのは、先程の答えを聞いてからのようだ。
尤も、ストッパーが水の檻を破れば、その瞬間がタイムリミットとなる。
彼女は、すぐにでもこの場から離れるだろう。

36 :◆t7kjAY7URg :2011/05/01(日) 15:47:34.92 0
喪失した魂を埋めるもの。それは渇いた日常。
”男”はタコベヤに召喚される以前にセンダガヤという場所に住んでいました。
男に過去の記憶はありませんでした。気がつけばそこにいたのです。
墓石のように聳えるビルディングの下。毎日近くのケーキ屋で傀儡のように続けるアルバイト。
奇妙なことに、通帳には莫大なお金が振り込まれていましたが、それでも”男”は働き続けました。
何故なら得体の知れない記憶の残光が”男”の足元に恐怖の影を落し監視し脅迫し圧迫していたからです。
「僕は何者なんだろう?」
記憶は輝く光体の向こう側にありました。
凝視すればするほど輝きを増し、”男”の記憶は白い世界に消えていきます。

そしてあの日。”男”は本当にこの世から消えたのです。

――黒い虚無の空に焼け焦げた大地。
朦朧とした意識の中で”男”に差し伸べられたのはレヴィアの白い手。
>「アナタも死にたくはないでしょう?さっさとここから離れなさい。
 うふふっ、それとも一人じゃ立てなぁい?
 お手々を繋いで欲しいなら、さぁどうぞ……くすくす」
「レヴィアさんか。…やめてくれ。僕は男なんだ。一人で立てる」
矜持を傷つけられた”男”は鎧を鳴らし身を起こします。レヴィアは誘惑の声で囁き続けてきます。
>「私と一緒に来れば、貴方が何者になれるのかを教えてあげるわ」
「…………」
少女の言葉は男の心を揺り動かしました。何かしら心の奥底で暗いものが蠢動しました。
しかし、それを打破したのはテイルの叫び声。
>「だああああああああああッ!」
「あ。テイルちゃん♪」
テイルの見た目は幼女です。
まだロリコン効果の残っている”男”は、駆けるテイルを追いかけ一緒に走っていきます。
>「ソフィアさん、力を貸してーッ!」
「僕も力を貸すよーッ!」
するとイョーベールの鎧が男にこう言えと囁きます。男は首肯し教えられた通りに呪文を唱えます。

「縺ヲ豁ヲ繧偵@守護御スソ繧定▲縺溷嵜縺蟹鎧ォ蟇セ縺操励ッ!(鎧よ守ってたもれ。あの子の操!)」
謎の呪文を唱えると、男の体から四散した鎧がアズリアの体に装着されました。

「それいけッ!!アズリアさぁ〜〜んッ!!」

37 :PLの人 ◆Xlm0JAgw5w :2011/05/04(水) 20:19:56.60 O
>>29-36
>「避難所発見!」
「え〜いっ!!」
テイルと一緒に傘の下にアズリアが逃げ込んだすぐ後に、黒剣が降り注ぎます。
幸いにも、剣はリムの傘を貫きませんでした。
間一髪助かったといったところでしょうか。

>「アメノムラクモノツルギだ……。雰囲気的にアマテラスの日の光を籠められた聖なる刃っぽい!」 」
「これは・・・なんだかすごい力を持った剣ですね・・・」
割とそういうことには疎いアズリアにもわかるほど、強い力を持つ剣が出てきました。
雰囲気的にと言いますか、どうみても直接的に伝説の剣です。 本当にありがとうございました。

>「ぐはっ!!」
「男さーーーーーーん!!!!」
そうこうしているうちに、カオス勇者団のエースアタッカーが大ダメージを受けています。
これはいわゆるひとつのピンチというものですね〜。

>「いきなりでごめん! でもどうしても君の協力が必要なんだ!
「えっ!? えええええっ!? この剣私が持つんですか!?」
アズリアにアメノムラクモを渡したテイルは、作戦を説明します。
>「大丈夫、ボクが君を守るから! キミは何も考えず突っ込んでくれればいい!」
「わ、わかりました! やれるだけやってみます!」
安請け合いしているアズリアですが、はたしてうまくいくものでしょうか?
危ない橋を渡っていると感じるレヴィア同様、PLの人としても興味は尽きないところです。

> くすくす……そんな怖い顔しないで。ただの譬えだもの。乗るか降りるかは貴女が決める事よ」
「乗ります! 今ここで降りたりしたら、後できっと後悔すると思います!
 私、後で後悔するような道を選びたくない!
 たとえ力及ばなくても、今の自分にできる精一杯のことをしたいんです!」
話しかけるレヴィアに真顔で答え、アズリアは剣を正眼に構えます。
そんな構えで使う剣ではないように見えますが、ま、いいでしょう。

「はああああああっ!!!!!」
気合を入れて、アズリアは走り出します。
>「ソフィアさん、力を貸してーッ!」
「うむ。 心得た。」
カオスの勇者達に力を貸す、といったソフィアの言葉に嘘はありません。
エレメントセプターの効果はソフィアの力を受けて倍増するでしょう。

>「僕も力を貸すよーッ!」
男の呪文で、イョーベールの鎧の装備者がアズリアに代わります。
アズリアは凡人の部類に入りますが、そこはキャンサーのイョーベールの鎧です。
アメノムラクモノツルギにイョーベールの力があわさって最強に見えます。 (注:見えるだけです)
>「それいけッ!!アズリアさぁ〜〜んッ!!」

「届けーーーーーーーーーっっっっ!!!!!!!!」
守りをテイルに任せているアズリアの捨て身の突きが、ストッパーに迫ります。
中身は凡人ですが、装備品は一級どころか伝説級です。
そして保身を考えない捨て身の攻撃というものは、それゆえに大変回避を困難にするでしょう。

38 :名無しになりきれ:2011/05/05(木) 08:29:06.07 0
そのときふしぎな事が起こった

39 :永久闘争存在―ストッパー― ◆hfVPYZmGRI :2011/05/05(木) 19:24:18.52 0
>>32
>「…た、戦うべき相手を間違えるなって…。ビャクさんは僕に教えてくれた…
あなたは、ビャクさんではないのか…?…だとしたら、いったい何者なんだ?」
「……」
その問いにはあえて問わないその返答は不要と判断したからだ
抹消すべき存在に必要以上に情報を与えるつもりなど思考に一切入っていない
故に今の彼とはまったくの別の存在と捉えたほうが良いのかもしれない。
倒れ伏す男に止めを刺すべく、頭部を槍に捉える
>>33-37
しかし、レヴィアが発生させた一種の水の檻と化した黒い渦により
一時的とは言え足止めを受けていた。
『この竜巻は魔術加護を受けています、解除に相応の時間を取ります』
「…短縮を目指せ…隔離の件はどうなっている…」

平行して作業をやらせるつもりだったが、無機質な声は相も変わらず淡々と報告する

『95%までは行っていますが、竜巻の影響により掌握に遅れが生じています』

結界の影響により、ほぼダメージを受けていない状況でその報告に思考しているが
外では何が起きているのかを把握出来ていないため、外の状況も聞こうとした矢先
ユービックから緊急を要する報告が入る

『こちらに向かって光と闇の力が織り交ざった強大な力が迫ってきます
結界中和能力が観測値を上回っています、結界では防ぎきれません
それに行動パターンが無茶苦茶過ぎます、命を捨てているとしか…』

まるで理解が出来ないという感じで困惑した声を始めて露にするユービック
しかし水の檻を何とかせねばこのままでは避けられない
とならば至る思考は一つだった―
槍は愛用している剣へと変わり、唱える

「…無命…剣よ…!我が命の……輝きで…道を…照らせ…!…」

持っていた無命剣フツノミタマから自身の持つ全ての力を捧げた事により
剣から金色の炎の嵐を巻き起こす。
しかし、以前の彼とは違い存在自体がチートを超えたバグキャラみたいなものなので
補正の一つとして目的を達するまでランスシリーズの魔王あるいはマトリックスのエージェントスミスに匹敵する
生命力・不死性を持ちうるため破壊力などが桁違いと言えるまで上昇している
それゆえに水の檻を炎の嵐が突き破り、蒸発・消滅させるほどの威力を保持させていた。

>「届けーーーーーーーーーっっっっ!!!!!!!!」

蒸発させた瞬間、結界を紙の如く突き破り真っ先に突っ込んできたアズリア
それに向けて剣から放出される迷わず天まで届く柱と化した炎の嵐が激突し
その瞬間から激しいぶつかり合いにより衝撃波が発生する。
ぶつかった地点により周囲を巻き込むと同時に大地を削り吹き飛ばす。

>>38
そんな真っ只中に不思議なことが起きる
彼の中には乗っ取られた際にしばし失われたはずの個としての意識が
微かに反応を始めていた。
これが奇跡なのかは分からないが―




40 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/05/06(金) 00:57:39.02 P
>>36-39
“男”の選択は、ここに留まり妖精を助ける事。
アズリアが告げたのは、退かないと言う決意の言葉。

「……そう」

レヴィアの貌に怖い物が浮いたのは一瞬のこと。
表情の冷たさは、すぐに溶かされて微笑みへ変えられた。

「じゃあ、ここでお別れね。
 互いに望まなくても、また会いそうな気がするけれど」

走り去るアズリアを見て脳裏に浮かんだのは殉教の一字。
彼女の行く先に死を感じたからではなく、その覚悟を持っていると感じた故に。
一つの社会は、一つの共通した幻想を見ている人々で構成されている。
それは宗教的なものであったり、身分制度や民族主義、資本主義や民主主義である場合もあるだろう。
ガイアという同じ幻想の中で生きる彼らが、ガイアを守る為に退かないのは、改めて考えれば当然の事かも知れない……。

「lrvts(奔れ)」

カオスの勇者とストッパーを残し、レヴィアは水の大蛇を奔らせて戦いの場から離れた。
彼女が感じる魔力の波動は遠ざかっても衰えず、さらに強く膨れ上がってゆく。
生ける大河が数キロも大地に溝を造った頃だろうか。
後方の戦場を包む空気が薔薇色に燃え上がっていた。
瞬間、レヴィアは自らが張った水の檻が破られた事を知覚する。
ストッパーの持つ魔剣が赫々たる灼熱を噴き上がらせて灼熱の柱を築き、大地目掛けて振り下ろされていた。
震天の一撃はアメノムラクモと激突して凄まじい衝撃を生み、大地へ蜘蛛の巣状に裂け目を入れる。
吹き荒れる焦熱の嵐は、大気をも焼き尽くしていた。
水の龍蛇に包まれていなければ、轟々と吹き付ける熱風は爆心地から遠く離れたレヴィアの肌も焼いただろう。

「……これ以上の破壊で儀式の続行が困難になる前に、根源へ至る道を繋げるべきね」

黄泉での戦いは、彼女の想定より規模が大きすぎた。
大地を破壊する様な戦いが何度も行われれば、彼女の目論見も水泡に帰すのだ。
続行不可、となる前に儀式を行わねばならない。

レヴィアが身に纏う水の防壁を解き、まだ熱を持つ風に身を晒す。
彼女が己の血を混ぜて作った泥の蛇は、冥界各地の霊泉に向かい、身を削って十の泉に血の魔術円を描いている。
その全てを繋げ、巨大なる樹形の魔術陣を大地に描く為、レヴィアは朗々と詠唱を始めた。

「――KATOLIN LEPAC――OMET LEPAC――RAMALATZ LOMIOL――」

【>>ALL 戦場から退避して、儀式魔術の詠唱を開始】

41 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/05/09(月) 00:39:27.37 0
>35-37
>「手札に、ロイヤルストレートフラッシュが出る事を期待しての一発勝負?
 ……希望的観測だけで危険な賭けをするのは、愚者の選択としか言えないわよぅ」
言われた―ッ! ああもう本当のことをズバッと言わんといてや!
「ひるむなアズリアさん! ボク達は今までたとえ1パーセントの確率だって100%に変えてきた……!
皆が力を合わせれば1+1が10にも100にもなれるんだ!!」
とりあえず模範的なヒロイックな台詞を言っておいた。
>「乗ります! 今ここで降りたりしたら、後できっと後悔すると思います!
 私、後で後悔するような道を選びたくない!
 たとえ力及ばなくても、今の自分にできる精一杯のことをしたいんです!」
「アズリアさん……!」
>「うむ。 心得た。」
「ソフィアさん……!
>「あ。テイルちゃん♪」
「男さん……そんなにボロボロになってまで……!」

>「はああああああっ!!!!!」
>「それいけッ!!アズリアさぁ〜〜んッ!!」
「よーし、行くよおおおおおおおおお!」
アズリアさんの半歩後ろ。防御障壁を展開しながら共に突っ込む。
「「「届けーーーーーーーーーっっっっ!!!!!!!!」」」
皆の想いが一つになった瞬間である!

>38-40
そのとき不思議な事が起こった! インパクトの瞬間。
実際には凄まじい災害レベルの事象が巻き起こっているはずなのに、時が止まったように感じる。
なぜだろう、今ならビャクさんに声が届くような気がする。
「ビャクさん、ボクの声が聞こえる……?
あなたは使命に縛られた存在なんだよね、なんとなく分かるよ。ボクもそうだから。
時々思うよ。使命とボク自身のやりたい事がぶつかってしまったらどうしようって。
ボクも本当はどうしていいか分からないんだ。だからさ、一番いい道を一緒に探そう!?」

42 :ソル ◆sBYghzSQ5o :2011/05/09(月) 09:17:05.45 0
えーっと……えーっと……

ここダーッ!!

>>41
テイルが時間が止まっているように感じていたのは嘘ではなかった。
現に、時間が止まっている。ビャク・テイルふたり以外の時間が。
テイルが必死に説得を試みていた時だった。
テイルの後ろに何者かが現れる。

「やあやあ!遅れてごめんごめん!!というか!超!遅れたよね!!」
今どういう状況かわかってんのかてめぇ、と言わんばかりに
空気を読まずに少年がやってくる。どこか見覚えのあるような……
「あ、大丈夫。オレと君達以外の時間は止めたっ!といってもほんの少しだから用件だけ話す!」
そういうと彼は一呼吸終えてこう続けた。

「話をしよう。あれは君達にとっては
 何日・いや何ヶ月・いやいや何年……だろうね!……オレにとっては昨日の出来事だ!」
何やらどこかの天使様のような前振りが始まる。いや、天使なのだが。
「時間転移ってやつですよ。ようは!君達と離れてる間に色々やってたの!
 んで……なんとか間に合ったみたいだね」

「ビャクさん!さあ!君の思っていることをぶちまけちゃいなっさい!デザトリアン療法だよ!」
「んでもってテイル!どんどんビャクさんに声をかけちゃおう!まだ間に合う!……かも!」
”デザトリアン療法”というのがよくわからないが、
とにかく腹を割って話そうとかそんなことを言いたいのだろう。

43 :◆t7kjAY7URg :2011/05/09(月) 23:21:44.59 0
>「「「届けーーーーーーーーーっっっっ!!!!!!!!」」」
みんなの気持ちが一つになりました。小さな祈りは願いになって願いは誓いに変わります。
奇跡は起きますか?いいえ!起こすんです!
無敵結界を突き破るアズリア。それに続くテイルに”男”
三人は、まるでサザエさん一家のように無敵結界にぽんぽんと入って行きます。

その時です。奇跡は本当に起こりました!

なんと時が止まったのです!!奇跡は起きたというか起こされました。
ソルという者が時を止めたのでした。

時が止まっているので、天まで届く火柱も止まっています。
”男”は衝撃波で割れた大地に落ちている途中で止まっていました。
会話次第で、どう転がるのかもわからないので”男”はそんな状態でした。

44 :PLの人 ◆Xlm0JAgw5w :2011/05/11(水) 01:02:11.11 O
>>39-43
昔の人は言いました。
奇跡って起きないから奇跡って言うんだよ。
今の人は言いました。
奇跡は起きますか?いいえ!起こすんです!
どちらが正解かと聞かれたら、どちらも正解ですと答えるのが正解でしょう。
そんなに簡単に起きるならそれは奇跡ではありませんし。
あきらめてしまえばそこで試合終了です。 奇跡の割り込む余地もありません。
・・・つまり何が言いたいかといいますと、要するにこの世界では奇跡も魔法もあるんです。
そうでないとこの世界に干渉する意味がありません。

で。 こちら実際に起こった奇跡の状況をお伝えします。
>ここダーッ!!
時が止まったような気がした! ではなくて本当に時が止まっていました!
そんなわけでアズリアの今回の行動をお伝えします。

時間停止中につき、一回休み。

毎回こうだとPLの人も楽でいいのですが、世の中そこまで甘くはありません。
時間停止の影響を受けていない存在もいるからです。

「取り込み中に失礼する。
 この世界はもう長くは持たない。
 あれを見よ。」
ソフィアの指し示す方向を見れば、実体化した世界樹が枯れ始めているのが分るでしょう。
世界にとっては生命線を絶たれるに等しく事態。
これが、ソフィアの言った世界の終わる要因のひとつです。
え? 他の要因ですか?
そのうちわかるかもしれませんし、わからないままかもしれません。
世の中わからないままの方が面白いこともあるのです。

「世界樹とのつながりを絶たれた世界は、以前の地球と同様死の世界と化す。
 すぐにここを離れてタカマガハラに向かうが良い。」
幸いタカマガハラにつながる世界樹は、まだ枯れてはいません。
時間が動き出したら、ソフィアが言うようにすぐにこの場を離れるのが賢明でしょう。

45 :ソフィア(水)@NPC ◆666/MyrH6U :2011/05/14(土) 04:43:55.12 0
「ぐっぐっぐ……相も変わらず愚かしい争いを続けているとは」

時間停止が終わった瞬間、レヴィアの詠唱を阻むかのように、空から雷鳴にも似た唸りが響く。
見上げた者は、暗黒の空に巨大な虹が架かっているのを見るだろう。
いや、虹とも見えるのはカオスの勇者たちが静謐の氷原で遭遇した、水のシャードより誕生したソフィア。
智慧の龍神は復活当初と比べて、見違える程の偉容だった。
体躯を二回り以上も大きくし、全身も七色の鱗に覆われている。

「転生も蘇生も……この世界が永遠に在り続ける事を望まぬ新しき世界樹には無用です。
 智慧の龍神の前には、小賢しい謀など何の意味も有りません。
 異界の小娘、貴方が描かんとした魔法陣、私が有効に使ってあげましょう。
 水のシャードの力で顕現した私ならば、水域の霊脈を利用するなど、いと容易き事。
 この黄泉は間もなく地球と同じように朽ちます……しかし、その前に一つ面白いものを見せてあげましょう」

天が震える程の雷声で七色の龍神が吼えた。
人では発声する事も聞きとる事も出来ない竜語にて。
その瞬間、レヴィアが呪的措置を施した冥界各地の十の霊泉は、その全てが七色の染料を混ぜたかの如く虹色に染まった。
同時に泉より霊光の道が伸び、泉同士を繋いで大樹の図形を描く。
しかし描かれるのは生命の樹セフィロトでは無く、邪悪の樹クリフォト。
霊光が本来とは逆方向から伸びた事によって、逆しまの樹が描かれてしまったのだ。
始原から終端を引き出す為の、巨大な樹形魔術陣が。

「我、夜と昼を別つ者。
 我、万物に名を授けし者。

 我は正と邪を別ち。
 我は男と女を作り。
 我は愛と憎しみを作れり。

 我は万物の根源から一つの法則を作らん。
 灰は灰に。深淵の虚無こそが魂の終着地。
 解き放たれた魂は万象の束縛より解き放たれ、肉の檻に戻る事は能わず。
 虚無に墜ちし魂は時の遡りに依っても戻らず、異なる己を捧げる事も叶わない」

水のソフィアが為したのは、レヴィアが使うはずだった魔術陣たる地上絵と、世界の根源を繋げての法則改竄。
世界樹から魂の循環を阻み、終焉を齎すために。
これより今の世界樹に属する魂は、死した後は永遠の暗黒淵(やみわだ)へ墜ちゆく。
蘇生は死亡した肉体の時間を戻す事でも、全く同じ並行世界から蘇生対象を交換するという手段でも叶わない。
そして冥界が失われる以上、魂が新たな生命として転生する事も無い……。
このソフィアの大魔術で魔力炉として使われた十の霊泉は、尽く力を失ってしまった。
霊気を視る事が出来る者なら、各地で泉の霊力が失われているのが分かるだろう。
黄泉が次第に色を失ってゆくのも。

「この世界樹はすでに限界を迎えています……故に世界樹は新生せねばなりません。
 しかし、新たなる世界樹が誕生するには、今の世界樹が在ってはならないのです。
 より良き世界の誕生の為に滅びを受け入れなさい。
 今の世界樹を取り込む事で、次の世界樹では、より優れた貴方たちが誕生します。
 貴方たちは何れ生まれるであろう、より強く賢きものたちに席を譲ると良いでしょう。
 ……さて、次は高天原に行かねばなりません。
 この世界樹から、もう新たな命が生まれてこないように」

虹の龍は、続いて双眸を五つのシャードで蘇ったソフィアに向けた。

「もはや私に残された時は少ない……。
 法則改竄を行った事で抑止の反動が働き、間もなく私は破滅するでしょう。
 しかし真の智慧に至ったのは私の方です」

ソフィアは別なるソフィアに語り、そのまま暗天の空へと昇って姿を消して行く。

46 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/05/14(土) 04:50:31.25 0
手間を掛けた大魔術がいとも容易く覆され、この世界も目的を果たす前に滅ぶ。
レヴィアにとっては、考え得る限りの最悪の事態と言えた。

「……どうして……よ!どうしてッ!」

熱砂混じりの風が、吐き出された苛立ちの言葉を吹き消す。
レヴィアの脳裏をよぎるのは、地球を破滅させた時間停止の光景。
枝切りと呼ばれていた現象がここでも起これば、黄泉と共に道連れになるのは間違いない。
朽ち行く黄泉から逃れるにはどうすれば……。

歯噛みする思いを押し殺して思考を巡らせる中、レヴィアはリムの言葉を思い出した。
央砂海から世界樹の枝らしきものが伸びているとの言葉を。
独力では異次元への道を開く程の大魔術を使えない以上、レヴィアにはそれを利用するしか異界に逃れる手段は無い。
取り得る手段が一つで、時間すらも限られているなら行動を遅らせる意味も無かった。

「lrvts(奔れ)!」

レヴィアは魔術を用いて水から騎龍を構成し、砂と礫で造られた海を奔らせる。
その砂海の先には、塔とも見える巨樹の枝が天の虚空に向かって伸びているのが見えた。
全ての世界と繋がっているという世界樹の枝が。
大樹の枝は余りにも長く、人間が素手で登攀するには困難に見えた。
レヴィアが世界樹の枝を登る手段は、乗り込んだ水の龍蛇を絡みつかせて伝うしかないだろう。

「黄泉から天に至る枝……ふぅん、さながらカンダタに垂らされた蜘蛛の糸ねえ。
 じゃあ、もう少しそれらしくさせてあげるわぁ。
 折れちゃいそうなくらいに弱々しく、ね」

水龍が世界樹の枝に辿りつくと、その体を黒く濁らせながら太い枝に絡みつく。
レヴィアが全身から負の波動を放って、己が騎龍へ瘴気を含ませたのだ。
これで水龍に触れた場所から世界樹の枝は弱り、腐り、程なく折れるだろう。
彼女は黄泉の住人たちの強大な力を脅威に感じている。
神を名乗る存在が形而下に現れる世界そのものも。
故に、この世界ごと葬るとの思考に至る。

「うふふ……これでこの幕は終わり、ね。
 不要な役者たちは、虚無なるアビスに沈みなさい」

レヴィアを乗せた黒い龍蛇は、瘴気で汚しながら世界樹の枝を螺旋状に登って行く。
瘴気の龍蛇が触れた箇所は、樹皮が病んだ色へと変じて腐敗を始めていた。
枝の枯れゆく速度が速まれば、各地に点在する黄泉の住人たちも、もはや追っては来れないだろう。

【>>ソル シャローム、よろしくね☆】

47 :永久闘争存在―ストッパー― ◆hfVPYZmGRI :2011/05/14(土) 23:53:31.94 0
互いに異なる力の奔流がぶつかり合った際の直後、相手が拮抗する力の圧力により
身に付けている仮面の片目の部分が欠ける。
その欠けた先に見えるのは意志の無いオレンジの瞳であった。
自我なんて物は無く暗く澱んだ場所しか見えず囚われた者の瞳であったが、
突如時間が止まった感覚に陥るとその瞳に蝋燭のようにか細い光だが宿り始める

>>41-43
(拘束力が弱まったのか…?)
思った以上に力が入らず、ゆっくりと身体を動かす
そしてどこからか声が聞こえてくる。その中には見知らぬ者も居たが

>「ビャクさん、ボクの声が聞こえる……?
あなたは使命に縛られた存在なんだよね、なんとなく分かるよ。ボクもそうだから。
時々思うよ。使命とボク自身のやりたい事がぶつかってしまったらどうしようって。
ボクも本当はどうしていいか分からないんだ。だからさ、一番いい道を一緒に探そう!
>「ビャクさん!さあ!君の思っていることをぶちまけちゃいなっさい!デザトリアン療法だよ!」

言いたいことを言ってくれる、こちらとしてもそれが出来ないから
その制約に囚われているわけだ

「違うな…これは俺の咎だ…使命なんて崇高な物じゃない与えられた役目だよ
守るべき者達を簡単に裏切り違え、愛する存在に過酷な運命を強いた世界に復讐しようとした
憐れな反抗者の末路だ…生命を守る事に殉じた者が守るべき存在を滅ぼす―とんでもない皮肉じゃないか
俺は結局救っても自分の手で無に返すだけ…クク…自分の行っていることが馬鹿馬鹿しくなるさ」

弱弱しく、自嘲の笑みを浮べる
自身が救っても多世界の防衛線としてその世界を犠牲にするのならそれは偽善よりたちが悪い
自己満足の独り相撲もいい所だそんな存在が果たして救いを求めてもいいのか

「この咎を背負い続ける限りそしてその咎により手にかけた命がある以上お前たちとは歩めない
例え咎から解放されたとしても意識が無いとは言え幾多もの命を奪い、
血に塗れ薄汚れた俺が正道を歩む者がいる中にはな」

言いたいことを伝えた後チラリと男の方を視線を向けてすぐに戻す。
その直後、事態が急変する報告を聞く事となる

>「世界樹とのつながりを絶たれた世界は、以前の地球と同様死の世界と化す。
 すぐにここを離れてタカマガハラに向かうが良い。」

どうやらこの世界も長くは持たないらしい
後始末に駆り出されるのも時間の問題なのかもしれない
身体が思う以上に動かないのもあるが、自身の考えている行動は恐らく移せない
目の前に居る者達に賭けるしかない
そう思い始める自分が居たので、ゆっくりと彼等から背を向け始める。





48 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/05/17(火) 22:40:42.79 0
>42
>「やあやあ!遅れてごめんごめん!!というか!超!遅れたよね!!」
どこか不思議な雰囲気の少年が現れる。っていうか見覚えがある。
「ソル君……? どこ行ってたのもう!」

>「時間転移ってやつですよ。ようは!君達と離れてる間に色々やってたの!
 んで……なんとか間に合ったみたいだね」
「そうだったのか!」

>「んでもってテイル!どんどんビャクさんに声をかけちゃおう!まだ間に合う!……かも!」
「よし分かった!」
ビャクさんに畳み掛けるように話しかける。
「出会ったのはすごい吹雪の中だったよね! 
それで悪しきソフィアの復活を止めるために一緒に戦ってくれてさ……
すごく頼もしかったよ! 
ねえ教えて、あなたが仕えているものは何……?」

>「この咎を背負い続ける限りそしてその咎により手にかけた命がある以上お前たちとは歩めない
例え咎から解放されたとしても意識が無いとは言え幾多もの命を奪い、
血に塗れ薄汚れた俺が正道を歩む者がいる中にはな」
「ビャクさん……」

49 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/05/17(火) 22:41:41.35 0
>44-46
諦めきれないが、もう時間が無いようだ。
>「世界樹とのつながりを絶たれた世界は、以前の地球と同様死の世界と化す。
 すぐにここを離れてタカマガハラに向かうが良い。」
ボク達をタカマガハラへと促すソフィア。

>「もはや私に残された時は少ない……。
 法則改竄を行った事で抑止の反動が働き、間もなく私は破滅するでしょう。
 しかし真の智慧に至ったのは私の方です」
ソフィアに語りかけるソフィア。
「厄介な置き土産をありがとう!
でも君がたどり着いたのは間違った答えだ! ボク達が証明してみせる!」

>「うふふ……これでこの幕は終わり、ね。
 不要な役者たちは、虚無なるアビスに沈みなさい」
世界樹をのぼり、タカマガハラへと向かうレヴィアさん。

「ボク達も行くよ! ここまで来たらもう突き進むしかない!!」
出来る限り元気よく皆に声をかける。
タカマガハラへ上るべく、ソフィア(6分の5の方)に飛び乗った。
今、終幕へ向けて運命の歯車が回り始める! 長き旅路の果てにあるのは絶望か希望か!?

50 :◆t7kjAY7URg :2011/05/19(木) 16:52:03.43 0
時間停止中でしたが”男”は魂で話を聞いていました。

>>44
>「世界樹とのつながりを絶たれた世界は、以前の地球と同様死の世界と化す。
 すぐにここを離れてタカマガハラに向かうが良い。」

「地球みたく滅ぼされたらたまらないよ!!すぐ行くよタカマガハラ!」

>>45-46
>「この世界樹はすでに限界を迎えています……故に世界樹は新生せねばなりません。
 しかし、新たなる世界樹が誕生するには、今の世界樹が在ってはならないのです。
 より良き世界の誕生の為に滅びを受け入れなさい。
 今の世界樹を取り込む事で、次の世界樹では、より優れた貴方たちが誕生します。
 貴方たちは何れ生まれるであろう、より強く賢きものたちに席を譲ると良いでしょう。
 ……さて、次は高天原に行かねばなりません。
 この世界樹から、もう新たな命が生まれてこないように」

「否!!僕は僕だ!僕が超男にならなきゃいけないんだ!!
いのちは闇のなかに瞬く光だ!!」

>>47
>「この咎を背負い続ける限りそしてその咎により手にかけた命がある以上お前たちとは歩めない
>例え咎から解放されたとしても意識が無いとは言え幾多もの命を奪い、
>血に塗れ薄汚れた俺が正道を歩む者がいる中にはな」

「ビャクさん……」

>>48-49
>「ボク達も行くよ! ここまで来たらもう突き進むしかない!!」

「そうだ進もう!ここで退くのは男じゃない!!」

時間停止も終わり”男”はカオスの勇者たちとソフィア(6分の5の方)に飛び乗りました!!

51 :PLの人 ◆Xlm0JAgw5w :2011/05/19(木) 21:34:50.59 O
>>45-50
>「ぐっぐっぐ……相も変わらず愚かしい争いを続けているとは」
「・・・?   あ・・れ?
 あれって・・・龍神ソフィア・・・ですよね?
 じゃあこっちにいるのは?」
時間縛りの影響から逃れて頭上を見上げたアズリアには、ばっちりその姿が見えました。

「”あれ”も私だ。 私という存在が幾重にも存在する。 問題はない。」
五つのシャードで蘇ったソフィアの返事は、アズリアには意味不明のものでした。
ソフィアからすれば何が問題かわからないほど当たり前のことですから、仕方がありません。
この説明でわからない人がいるなら、こう考えましょう。

世の中そーいうものなのです。
同時に1000体ほど現れる存在もいたりするので、むしろ少なかったことを喜びましょう。

>「ボク達も行くよ! ここまで来たらもう突き進むしかない!!」
>「そうだ進もう!ここで退くのは男じゃない!!」
「ここにいると危ないのなら、先に進むしかないですよね!
 行きましょう! ・・・ビャクさんも早く!」
水のソフィアとレヴィアのために、世界樹の危険度はさらに加速しました。
アズリアは少し迷った後、ビャクにも逃げるように促します。
敵なのか味方なのか、判断に迷っているといった所でしょうか。
ともあれ、ソフィアに乗っていけばタカマガハラにも一跳びで到着です。
多少腐ってはいても、急げば十分にタカマガハラまで逃げられるでしょう。

52 :PLの人 ◆Xlm0JAgw5w :2011/05/19(木) 21:35:38.41 O
【タカマガハラ】
はい。 上述のように、タカマガハラに行くことを選んだなら無事に到着できます。
もちろんこれは急いで行けばの話で、ゆっくりしていったらとても間に合いません。
たどりついたタカマガハラには巨大な歓迎用の文字が空中に書かれています。

『長い間遊んでくれてありがとうございました! ゲームクリアおめでとう!』

なんのことか良くわからない方もいるでしょうが、その辺は文字を書いた存在に直接聞くのが良いでしょう。
文字を書いた存在・・・星の女神ガイアは、文字の下でにこやかに立っていました。
死霊皇帝と融和したことなど微塵も感じさせない姿で、にこやかに立っていました。

「やはり皆様がここまで到着されたのですね。 ゲームクリアおめでとうございます!
 次代の世界を担う者を選ぶ長い戦い・・・。 皆様本当にお疲れ様でした。
 ですが、タカマガハラに到着した以上、何の心配もいりません。
 皆様の勝利は確定しているのですから。」
ガイアの言っていることが良くわからないなら、彼女はさらに説明を加えるでしょう。
内容は以下でだいたいあっているはずです。

今の世界樹が長く続くうちに、滅びを願う多くの者達の介入によって世界樹の存在は大きく歪んできた。
もはや歪みを正すには世界樹を育てなおし、新たな世界を築くしかない。
そのために世界樹を現実化させ、滅ぼし、それに気づいて逃げ出した者たちを選んだ。
タカマガハラに到着できた選ばれし者は、次の世界で主役として生きる権利を得る。
次は今回の教訓を生かして、光も闇もない超絶完全完璧な素敵世界を作る計画だ。

「ですが・・・この計画に少し問題が生じてしまったのです。
 新たな世界の構築のためには、今の世界樹の力の結晶。
 世界樹の種 がどうしても必要なのです。
 その 世界樹の種 が、滅びを願う介入者、【PLの人】と名乗る者に奪われてしまったのです。
 お願いです。 新しい世界のために【PLの人】から世界樹の種を奪い返してきてください!」

おっと、こちらに話が飛んできましたね。
確かに【PLの人】の前には 世界樹の種 が存在します。
水のソフィアの魔法のために若干の濁りはありますが、キラキラ光って綺麗です。

「えええっ!!? PLの人ってこの世界の破滅を願っていたんですか!?
 ・・・あの・・・実は私、前に死にかけていた時にPLの人に助けてもらったことが・・・
 なんというか・・・フラポリーさんと身体を交換しましてですね・・・その・・・」

「はい。 アズリアさんには信じられないでしょうが間違いありません。
 PLの人は凶暴な宇宙生物と共に、この世界を破滅させるためにやってきたのです。
 一時的に誰かの役にたつことをするかもしれませんが、だまされてはいけません。」
凶暴な宇宙生物とはフラポリーの事ですね。 わかります。
なお、アズリアが言っているのは、フラポリーとの身体交換の時の話です。
本当はそんな事しなくても助けられたのですが、アズリアにはそう言っておきました。
そうしないと身体の交換を断られていたでしょうからね。

ガイア(?)が勇者たちの近くの空間に入り口を作ると、PLの人の居場所に出口が出来ました。
せっかく道が開通したので看板で意志疎通してみましょう。
勇者たちのいる空間移動場所入り口に、にょっきり看板が立ちました。
【NPCの方とアズリアの通行は御遠慮下さい。 PLの人】

勇者たちは胡散臭いガイアの言動にツッコミを入れてもかまいません。
ガイアに協力してもっと胡散臭いPLの人の所に来るのも自由です。
なお前述のようにNPC(意味はわかりますよね?)とアズリアには空間移動を御遠慮願っています。
こちらに来られるならあらかじめ御了承ください。

53 :ルナ@NPC ◆666/MyrH6U :2011/05/20(金) 21:55:41.29 0
水のソフィアの言葉は大気を震わせて響き渡り、黄泉界に遍く知れ渡った。
信じない者、右往左往する者、逸早く世界樹へ向かう者……告げられた黄泉崩壊の報せは大きな混乱をもたらす。
一瞬で時間停止に至った地球とは異なり、世界の崩壊を知る者が大勢いた事は、ある意味悲惨と言えるかもしれない。
まだ逃れるだけの力を持った者たちは、当然ながら黄泉の出入り口となる場所に集中する事となった。
世界樹の枝にも魔族に妖魔、死霊たちが餓鬼の如く群がり、脆くなった樹皮にしがみ付いて表皮を削り、抉ってゆく。

「これは……何が起こったのですか!?」

灰色に浸食してゆく空間は、黄泉の軍を壊滅させた天使たちをも飲み込む。
今や天使たちを包むのは勝利の歓喜では無く、得体の知れない現象への恐怖。
時の凍った天使たちが次々に石化の如く灰色に染まり、眼前の異常が恐慌に拍車を掛ける。

「落ち着きなさい!心を強く持ってガイアの加護を信じるのです!」

ルナの叱咤で周囲に居た天使たちが、幾分かの落ち着きを取り戻す。

「……数万の天使たちが、今や十にも満たないなんて。
 まだ動ける者たちは、急いで世界樹から別の世界へ逃れなさい!
 中級天使たちの報告では、世界樹らしき枝が央砂海に突き刺さっているようです」

『ルナ様は!?』

「私は天使の長。仲間たちを共に連れて行くまで逃れることはできません。
 出来得る限りの方法で治癒を試み、一人でも多くの仲間を逃れさせます」

私たちも残ると言う天使を制し、ルナは残った数名にガイアを探して救いを求めるよう促す。
おそらくは、彼らが逃げるというネガティブな動機では動かないと見て。
命じられた天使たちは、幾分か心を残した様子を見せながらも空を駆けて行った。
しかし、逃れる悔恨に耐えかねて後ろを振り返った天使は一人、また一人と灰色に変わり、時を凍らせてゆく……。

「星の女神よ、どうか加護を!」

間もなく、この黄泉界が滅びる事はルナにも分かっていた。
しかし……この黄泉には天使のほぼ全軍が集っているのだ。
一族の長として、今まで共に過ごした同胞を見捨てて、真っ先に安全圏へ逃れることなど出来よう筈も無かった。
治癒魔術、魔術消去、蘇生魔術、結界での時間隔離。
ルナは考えられる限りのあらゆる手段で同胞の治癒を試み……その全ての無駄を悟ると天を仰ぐ。
幾度ガイアに祈りを捧げても、今度は何の予兆も神託も訪れなかった。

「ガイアよ、我々を見捨てるのですか!」

悲痛な叫びを上げたルナは、そのままの姿で動きを止め、灰色のキャンバスの中に塗り込められた。
月の顔容(かんばせ)に鉛の筋を残して。

54 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/05/20(金) 21:58:39.78 0
レヴィアの瞳に眩い光が飛び込み、エデンと形容したくなるような美しい庭園を映じさせる。
黄泉の空は、まるで黒い薄布で覆われていたかのようだった。
熾天の世界は黄泉を越えた瞬間に現れたのだから。

>>52
気付けばレヴィアの足元には、艶やかな花々が咲き誇っている。
纏わせた水の蛇は黄泉界に属する物質だからなのだろうか、清浄な高天原の大気の中で霧散する靄の如く消え失せていた。
やがて、立ち上る香気を揺らして高天原の主は現れた。星の女神ガイアが。
時を同じくして、レヴィアは龍に乗って現れるカオスの勇者たちの姿を認めた。

地に降り立った勇者たちに歓待の言葉を向けるガイアを、レヴィアは氷の視線で射すくめる。
ガイアの容姿は美の粋を極め、髪は太陽の如き黄金、目鼻立ちは美貌のエルフすら及ばない。
そして、喉から紡がれるのは弦楽器の調べのごとき妙なる美声。
その麗しき声を持って、ガイアは新しい世界を創る為に巡らせていた巧妙なる方略を述べる。
計画を完遂するには、奪われた世界樹の種が必要である事も。

「ゲームクリアねえ……気に入らないわぁ。私ね、駒にされるのって耐えがたいのよ。
 世界樹の種を取り戻したいのなら、自分で行けばいいんじゃなぁい?」

『そうしたいところですが、特定の存在の侵入を拒む結界の様なもので、私は行く事が出来ないのです』

澱みなく答える女神の答えは、それほど不自然を感じるものではない。
レヴィアはガイアが生じさせた空間の通廊を凝視して思案する。
ガイアが何らかの選別を気取っているのなら、これも単なる試練なのかもしれない。
それならば、世界樹の種を奪って己の物とする余地はあるだろう。
しかし、障害を排除する為の罠とも考えられた。
例えば空間の通廊が虚無や次元狭間に通じている可能性。
……危険を避けるなら、先行する誰かを炭鉱のカナリアとせねばならない。

「……それじゃあ、何処に繋がってもらうのか知らないけど、私は向かわせてもらうわ。
 他に世界樹の種を欲しい人がいないなら、私が一番乗りってことでいいのかしらぁ?」

異空間の通廊前まで近づいたレヴィアは、カオスの勇者たちを促がす様に問い掛けた。

55 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/05/22(日) 19:34:06.76 0
「出会ったのはすごい吹雪の中だったよね! 
>それで悪しきソフィアの復活を止めるために一緒に戦ってくれてさ……
すごく頼もしかったよ! 
ねえ教えて、あなたが仕えているものは何……?」

その質問にはどう答えるべきか少し考え、間を置いてから口にすべき事を話し始める

「その言い方だと語弊があるが、こっちは好き好んで仕えているつもりは無い
強いて言うならば囚われているのを上手く利用しているという所か」
そんな状況でも解放される手段を探しているという意味では利用しているといえなくも無い
が、結局はそれも含めていい様に使われている事に変わらないが

「例えるならば世界というネットワークを維持をするメンテナンスとそれを守る会社…簡単に言えばそれだな
名は世界守護者委員会―いやそれは下請け会社の名前か大元は異世界の勇者無意識集合体ああああの子会社の一つみたいな物だ
ネットワークに悪性ウィルスが出現する前に排除、あるいは完全に駄目になった物を初期に戻すのが俺の役目だ
そう言ったところか」
喋れる所まで喋ってみるが、検閲はされなかったという事はどうやら奴等の目には止まって居ないようだ。

>「ここにいると危ないのなら、先に進むしかないですよね!
 行きましょう! ・・・ビャクさんも早く!」

静かに立ち去ろうと歩み続けていたが同行を誘われる
立ち止まり振り向きたいがもはや同じ道を進む事はもう許されないだろう
ならば振り向くだけ無駄だろう。

「せっかくの誘いだが、それでも共には行けんだがまたすぐに会えるだろう
恐らくはお前達がいく場所が呼ばれる所だと思うから」

見えないだろうがフッと笑い存在そのものが一瞬で消える。
世界を揺るがす行為を行うと思われ、判断したああああ達
その元の主を追いかけるのであった―タカマガハラに居ると思われるその存在に



56 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/05/24(火) 23:50:20.18 0
>51-51 >55
ビャクさんは自分の正体の一端を答えてくれた。
「世界というネットワークを維持……」
世界を維持するのならボク達と目的が一緒ではないのだろうか。
それともボク達が実はイレギュラーたる悪性ウィルスだったりするのだろうか。
もう何も分からない。

>「そうだ進もう!ここで退くのは男じゃない!!」
>「ここにいると危ないのなら、先に進むしかないですよね!
 行きましょう! ・・・ビャクさんも早く!」
>「せっかくの誘いだが、それでも共には行けんだがまたすぐに会えるだろう
恐らくはお前達がいく場所が呼ばれる所だと思うから」
「分かった。じゃあ……また次の機会に!」

―― そしていよいよ舞台は神々が織りなす天上の世界、タカマガハラへ
第18章開始!
タカマガハラに到着したボク達を、その人は出迎えた。
命持つ者の母なる大地の神にして光の眷属の頂点に立つ太陽の女神。
「お母様、遅くなりましたがやって参りました……!
教えてください、本当は今何が起こっているのですか!?」

>『長い間遊んでくれてありがとうございました! ゲームクリアおめでとう!』
「ええっまさかの打ち切り最終回っすか!? 
いくら母ちゃんキャラだからってどこぞのパンチパーマのオカンみたいなノリはやめてね!」

そして、実は黒幕だったPLの人から世界樹の種を奪還せよというクエストが提示される。
「胡散くさっ!」
しかしPLの人が前から思わせぶりだったのも事実である。
>【NPCの方とアズリアの通行は御遠慮下さい。 PLの人】
「もっと胡散くさっ!」
これは罠だとしても行くしかないってやつだ。

>「……それじゃあ、何処に繋がってもらうのか知らないけど、私は向かわせてもらうわ。
 他に世界樹の種を欲しい人がいないなら、私が一番乗りってことでいいのかしらぁ?」
挑発して来るレヴィアさんに宣戦布告する。
「どっちが先に取り返すか競争だ――ッ! 負けないぞ! ぼくは しんせかいの かみになる!」
かみが神か髪か紙かはご想像にお任せします。
散々守ろうとしてきた今の世界をあっさり見捨てるのかと思わるかもしれないが、世界樹の種は今の世界樹の力の結晶。
奪い返すのに貢献して新世界のかみになれば、元の世界に限りなく近い世界を再構築できるかもしれない。
しかも光と闇と境界の凄惨な戦いも因縁は綺麗さっぱりなくなったステキ世界である。

「アズリアさん……必ず帰ってくるからね! とーう!」
PLの人行きへの門へ飛び込んだ!

57 :◆t7kjAY7URg :2011/05/25(水) 04:58:46.38 0
>「ここにいると危ないのなら、先に進むしかないですよね!
 行きましょう! ・・・ビャクさんも早く!」
>「せっかくの誘いだが、それでも共には行けんだがまたすぐに会えるだろう
恐らくはお前達がいく場所が呼ばれる所だと思うから」
>「分かった。じゃあ……また次の機会に!」

「僕、ビャクさんのこと好きだよ。外連味のあるところが男って感じがして好き!
また会えるよね!?ビャク・ミキストリ!!」

言葉を待たず”男”は振り返らずに一遍の悔いも残さず互いの背中が過去と成し得ます。
そう邂逅の時は近いのでしょう。
熾天の空が何色とも解らぬ神々しさを構築しマッシュルームの気持ちが爆ぜました。

―高天原―第十八章―
空に浮かぶ指文字。星の女神ガイアが吐露する驚愕の事実。
それは滅びを願う介入者の存在。その名も【PLの人】でした。

PLの人から世界樹の種を取り戻すべく異次元トンネルみたいなものの前に
レヴィアとカオスの勇者たちが集まっています。

>「……それじゃあ、何処に繋がってもらうのか知らないけど、私は向かわせてもらうわ。
 他に世界樹の種を欲しい人がいないなら、私が一番乗りってことでいいのかしらぁ?」
>「どっちが先に取り返すか競争だ――ッ! 負けないぞ! ぼくは しんせかいの かみになる!」

「僕もいくよ!とにかく悪いPLの人から世界樹の種を取り戻すんだ!
アズリアさん。よい子にして待っててね!」

”男”は生身なのでこの先がとんでもない所だったら即死です。 でも良いのです。
記憶をなくし、過去から未来、未来から過去へと輪廻転生を繰り返してきた”男”の
贖罪の旅もここで終えることが出来るのですから。

58 :ソル ◆sBYghzSQ5o :2011/05/25(水) 08:45:20.29 0
止まっていた時間が動き出して、気がついたら舞台はタカマガハラとかいう場所に。
ビャクさんとはまた、そのうち会えるだろう。いや、会う。変な自信がある。

>「ですが・・・この計画に少し問題が生じてしまったのです。

世界樹のタネー↓だって!?あの世界樹からぷりぷりぷり、ぷりりーんと放出される
とても貴重な……欲s……いや、なんでもない。

>「……それじゃあ、何処に繋がってもらうのか知らないけど、私は向かわせてもらうわ。
 他に世界樹の種を欲しい人がいないなら、私が一番乗りってことでいいのかしらぁ?」

「な、なんだとう!?それは許さん!ま、まぁ数ならこっちが有利だ!負けん!」

>「どっちが先に取り返すか競争だ――ッ! 負けないぞ! ぼくは しんせかいの かみになる!」

「神になって、どうするのさ……それはそれで世界が危ないって」
というよりもその台詞はどう考えても最後の最後に自滅しそうな気がしてならないのだが。
心の準備ができたところでアズリアさんにバイバイして、オレもテイル達についていく。

59 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/05/26(木) 00:07:44.38 0
>>56-58
妖精が競争を語って次元の通廊の向こうへ消え、“男”とソルがそれに続く。
レヴィアはソルの顔を初めて見るが、その雰囲気からしてガイアの眷属であろうと判断した。
三人が消えるとレヴィアが背後を振り返り、柔らかに微笑みながら佇むガイアへ語りかける。

「競争……そうね。生存競争よ。
 だって私が創ろうとしてるのは、形而下に神が現れない世界なんだもの……星の女神なんて邪魔だわ。
 アナタは業を背負って朽ちゆく世界樹を墓標となさい」

楽園の周囲を流れる水路に目を向けたレヴィアが、高らかに韻律を紡ぐ。

「lvjtn mkhtyb mjm hqjtsvtsjm(集まって群れをなすものが命ず。水よ、斬れ)」

レヴィアが指揮者の様に左腕を振り上げると、庭園の周囲を流れる水路から塔の如き水塊が幾つも伸び上がった。
水塊の先端はいずれも蛇の如き鎌首。
無数の水塊の蛇頭はガイアを標的と定め、窄めた口腔から水を噴出した。
加圧され、超高速で射ち出された水の刃を。
金属すらも切断する水の刃に依って、ガイアの体には幾重もの線が刻まれる。
しかし……斬られた女神の断面から飛び散るのは赤い飛沫では無く、太陽光の如き黄金の粒子。
バラバラになった女神は無数の煌めく光の粒となって散った。

『私に攻撃するのは構いませんが、貴女は急がなくても宜しいのですか?』

ガイアが端麗な唇に変わらない微笑を保ったまま述べる。
無数に散った光の粒は、レヴィアの攻撃から数秒後に再び集まって女神の形を構成していた。

「……スリップストリームはレースの基本よ」

醜い傷痕を付けられた大地も、緩やかに花々を再生してゆく。
その様子を不快を隠さずに睨みつけいたレヴィアは、アズリアに視線を向けた。
彼女もNPCと表現された者と同様に、次元通廊の通行不可を指定されている。

「ところで、どうしてアナタは通行止めされちゃったのかしらねえ?
 ガイアの神官だから……って理由じゃないはずよ。
 ガイアの眷属である妖精が止められてないんだもの」

レヴィアが看板へ目を移し、書かれた文字を指でなぞりながら言葉を続けた。

「このNPCにPLって言葉は、主に私の世界でゲームに使われる用語……Non Player CharacterとPlayerの略称よ。
 プレイヤーは演者で、ノンプレイヤーキャラクターはゲーム進行の為にプレイヤーを誘導するキャラクター。
 つまりゲームクリアを語ったガイア同様、世界樹の種を奪った者も“ゲーム”をしてるつもりのようね」

ふと何かに思い至った様にレヴィアが呟く。

「アナタは、この先に行ってみる気は無いの?
 わざわざ名指しして来るなって言ってるのは、聞かれたくない事があるからに決まってるわ。
 例えば……アナタをゲームの駒として使ってるとか、ね。
 嫌よねえ……自分が知らない間に奴隷として使われてるかも知れないなんて?
 それを確かめたいならアナタも行くべきだわ」

レヴィアは次元の通廊に向かいながら、誘いを掛ける様にアズリアに向かって手を伸ばす。
そして、さも思いやるかのような表情を浮かべて、短く問い掛けた。

「どう?一緒に来る?」

カオスの勇者たちが消えた後、次元の通廊に危険を示すような兆候は現れていない。
時を置き過ぎては、彼らと距離的に離される恐れがあった。
アズリアから返ってくるのがどのような答えでも、レヴィアはすぐさま次元の通廊を渡る事だろう。

【>>アズリア 共に来るよう促し、次元の通廊へ】

60 :PLの人 ◆Xlm0JAgw5w :2011/05/26(木) 23:00:43.50 O
>54-59
>「ところで、どうしてアナタは通行止めされちゃったのかしらねえ?
「・・・うう・・・全然わからないです・・・
 生き返ってすぐの時はちゃんと合ってくれたんですが・・・」
名指しで来るなと言ったのがショックだったのかしょんぼり気味のアズリアに、レヴィアは説明します。
NPCとPLの意味と、自分がゲームの駒として扱われている可能性を。

> それを確かめたいならアナタも行くべきだわ」
「ど、奴隷!? そんな・・・。
 ・・・わかりました。 私も行きます!」
決意の言葉と共に、手を差し伸べるレヴィアの所に行こうとして。
その歩みは見えない壁(PLの人作)に阻まれます。
来るなと言うと余計行きたくなる人もいるので、入ってこれないようにしておいて正解でした。
「な、な、なんですかこれはー!? えいっ!えーーーいっ!!」
アズリアが押しても引いても体当たりしても壁はびくともしません。
先に進むのはレヴィア1人になりそうです。

61 :PLの人 ◆Xlm0JAgw5w :2011/05/26(木) 23:03:41.10 O
さて、先行するカオスの勇者御一行の皆様が到着したのは、灰色の壁に灰色の床の殺風景な部屋でした。
部屋の中では、狐面を横に被った人物が御一行を出迎えてくれます。
この人物がPLの人。 つまり”私”です。
ちなみにお面に意味はありません。
さらにちなみに、この場所が体に悪影響を及ぼすこともありません。
ここは会話するために作られた場所だからです。

「よーこそいらっしゃいましたPCの皆さん。
 皆さんとは初対面になりますので、自己紹介しないといけませんね。
 私はPLの人。 この物語のPLです。」
にこやかに笑いながら、笑顔で私は勇者達に話しかけました。
とかく第一印象というものは大事なものなのです。

「PLをご存じない方もおられると思いますので簡単にご説明しますと・・・。
 皆さんは、自分の意思に反してうっかり失敗してしまったとか、体が勝手に動いて・・・!とか。
 そんな風に感じられたことはありませんか?
 あるとすればそれはなかなか鋭い方です。 覚えが無い方は感覚を鍛えた方が良いかも知れません。
 なぜなら皆さんの決定には、大なり小なり外部からの影響があるからです。
 この外部からの影響を及ぼす存在を、一括して”PL”と呼びます。
 で、影響を受ける人はPC。 受けていない人はNPCと呼ばれてますね。
 この世界では私はPL。 皆さんはPCというわけです。
 PLではなく”中の人”と呼ばれることもありますが、呼び方の違いだけで内実は同じです。
 この辺りはレヴィアさんもご存じでしょうね。」
以後少々世界の深い部分に話が向かいます。
知らなくても話にあまり影響は無いので、興味の無い方は次のレスまで進めてください。

「昔から世界が動く時は、どの世界でも必ずPLたちが背後にいるものです。
 PLたちは選んだPCたちを自分達の代わりに操り、あるいは共に。 あるいは敵対して戦ってきました。
 世界を救った人を【選ばれし者】と呼んだりしますが、実に的確な呼称です。
 彼らは皆PCとして”PLに選らばれた存在だった”からです。
 ついでに言うと私のPCはフラポリーとアズリアでして。
 2人にはいろいろ働いていただいたので、大変感謝しています。
 代わりにサポートもしてきたので、お互い得るものが多い共存共栄という関係ですね。
 そうそう。 今私たちがいる場所は”避難所”と呼ばれる場所で、他世界からの干渉を受けない特殊空間です。
 本当はPLたちが連絡しあうための場所で、関係者以外は出入り禁止なのですが今回は特別です。
 こんな機会でもなければ入れない場所なので、ゆっくり見学でもしていってください。」
とは言っても見るものもない殺風景な場所なので、見学も3分かからずに終わるでしょうけどね。
ここには他のPLもいないことですし。
・・・あまりお客様を待たせるのも良くないですから、そろそろ本題に入りましょうか。

62 :PLの人 ◆Xlm0JAgw5w :2011/05/26(木) 23:05:18.76 O
「それでは皆様、右手をご覧ください。 こちらが皆様お求めの品 【世界樹の種】 でございます。
 本来ならもう少し後でお渡しする予定だったのですが、お客様を手ぶらで返すのは失礼ですからね。
 選ばれし者であるPCの皆さんに先にお渡しします。
 どうぞご自由にお持ち帰りを。」
PLの人の右手側に、球形の蒼く光るエネルギー体が浮かんでいます。
時々黒い色が混じって見えるのはご愛嬌。 もとい。
>>45の魔法が原因であって、PLの人の干渉が原因ではありませんので誤解無きように。

「使い方は簡単。 避難所から出た後、手にとって10分ほど集中すれば世界の再創造が始まります。
 平和で単調な世界も、暴力が支配するヒャッハー!な世界もお望みのままです。
 偽ガイアに渡すのも、自分で新世界の かみ になるのもご自由に。
 まあでも、せっかくの御褒美ですから自分で使ってしまうのをお勧めしますけどね。
 他人任せだと細かい部分で食い違いが出てきたりするものですから。
 重要アイテムなので1回しか使えない貴重品、用量用法は間違えずにお使いください。
 大事なことなのでもう一回言いますよ。
 ここを出た後で。 邪魔が入らないようにして。 使ってくださいね。
 集中時ならまだしも、世界の再創造中に邪念が入ったら大変なことになりますから。」
世界の再創造は結構時間のかかる作業です。
うっかり邪念が入ったら、新たな世界も邪念の入った世界になってしまうでしょう。
それはそれで楽しそうですが。

プカプカ浮かぶ世界樹の種を、PCたち(当然レヴィアも含みます)は自由に手にすることができます。
そのまま元の世界に返っても良いし、PLの人と会話するのも自由です。

63 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/05/27(金) 20:12:09.13 0
空間の通廊を渡ったレヴィアが踏むのは灰色の床。
一瞬、彼女は時間の停止した世界を連想し、再び凍った世界に封じられたのかと身をこわばらせた。
しかし視界に色彩を持つ者を認め、語られる声を聞き、緩やかに息を吐く。

>>61-62
灰色の部屋では、カオスの勇者たちが狐面の人物の話を聞いていた。
PLの人、と名乗る狐面の人物が語るのは、この部屋に来た者がPLに選ばれた存在だったという荒唐無稽。
続いて青白い光の球を世界樹の種であると一同に示して、その使い方を述べる。
レヴィアはPLの人の話が途切れた所を見計らって、カオスの勇者たちの背後から声を掛けた。

「……今の話から一つだけ分かった事があるわ」

レヴィアが狐面の人物へ侮蔑の視線を向けると、言葉を刃に換えて斬り付ける。
語られた事を虚構と断じる為に。

「そこの仮面が、バカバカしい誇大妄想に取り憑かれちゃってるってことが、ね。
 私たちの決定に外部からの影響?体が勝手に動く?……残念ながら一度たりとも無いわ。
 アズリアにPlayerがいるからって、それが他にPlayerが存在するって証明にはならない。
 まぁ、この肉体が有機的なマリオネットって事に異論は無いけど。
 だって、私は私に捧げられた嬰児の大脳を麻痺させて憑依したんだもの」

レヴィアは語気を強め、深海の色を帯びた瞳で、部屋の主を鋭く睨む。
プレイヤーが確実に存在する人物へ言及するべく。

「尤も、アズリアがアナタの個人的な手駒なのは間違いないようね。
 なら……彼女がどのような在り方をしているのかまでは知らないけど、ここへ来られなかった理由は分かったわ。
 自由意思の不在なんてものを証明されたら、命を断たれちゃってもおかしくはないものね。
 心を踏みにじられた絶望を胸に生き続けるのは、さぞや辛いことでしょうし。
 自害させない事も思いのままなんでしょうけれど……奴隷とは実に憐れなものね」

レヴィアは蒼い輝きを放つ世界樹の種を見つめるものの、奪い取ろうと近づく気配は無い。
次元の通廊の前で、ただ出口を塞ぐように立つだけ。

「でも、私は違う……私は私の意思で動く。
 私のプレイヤーは誰でもない私自身……大海の主レヴィアタン。誰にも物語扱いはさせないわ」

熾火の様な感情を心に燻ぶらせながらレヴィアが浮かべるのは、凍れる石の表情。
“この物語のPL”と名乗る狐面の人物の言葉は、誇大妄想と斬り捨てても、彼女にとってはひたすらに不快だった。

「ところで、アナタを殺すとアズリアはどうなるのかしら。
 意思を持っているように振る舞ってても、クオリアを持たない哲学的ゾンビにでもなるの?
 ……ぜひとも試してみたいわぁ」

レヴィアが欠けた右腕を突き出すと、断面を覆う瘡蓋が剥がれ、噴き出した真紅の血が床へと落ちる。
流れ落ちた量は、肉体を活動させるのに支障を与えない1.1リットル程。
それが無数に蠢く鮮紅色の線虫と化して四方八方に散り、床や壁面を血の色へと変えてゆく。

「世界樹の種は、この部屋の外に出ないと使えないようね。
 うふふ……だったら、此処にいる誰も、生かして外に出さなければいいだけじゃないッ」

次元の通廊は、血の線虫たちで網の如く塞がれていた。
レヴィアに、誰一人ここから逃がすつもりが無い故に。

「gzvr dm(血よ、切れ)」

レヴィアの足元で血を浸み込ませた床が蠢動し、バキリと硬い音を亀裂を入れ、一本の石片を伐り出す。
屈んだレヴィアは、それを掴んで構えた。
自らの血を皮膜として覆う石剣を。

【>>ALL 次元の通廊を血の網で封鎖し、その前で立ちはだかる】

64 :◆t7kjAY7URg :2011/05/29(日) 02:40:44.03 0
カオスの勇者たちと”男”が出会ってから男の身には色々なことが起こりました。
それは転生を繰り返しながら不毛な世界を彷徨い続けていた日々とは比べ物にならないくらい濃く満ち足りた日々でした。

6本の腕に魔剣。聖痕。イョーベールの鎧。エロスの力。
転生システムの崩壊は男の旅の終わりを告げる予兆だったのでしょうか。
そして世界樹の種のイベントは免罪符と成り得るのかも知れません。

PLの人の話を聞き終えるとレヴィアが血の線虫たちで通路を塞ぎました。
”男”はテイルとソルの顔を見ました。二人に世界をたくそう。そう誓ったのです。

「ごめんよ。レヴィアさん!」

男は血の網で封鎖された入り口で、赤ズボンをぺろりと脱いで白いお尻を丸出しにし
前にぶら下がっている長いものから血の線虫たちにむけ放尿します。
放尿され血の線虫たちは泣きそうになっていることでしょう。それを横から見ているレヴィアもです。
そこへ外側から何かが突っ込んで来ました。
それはなんとイョーベールの鎧。今は蟹の形をしていて放尿された反対側の血の網にハサミを突き立てブクブクと泡を吐いています。

「服の血の染み抜きは洗剤水に少量のアンモニウムを混ぜるといいのだよ!」

叫ぶ男。
男とイョーベールの以心伝心はハンパありませんでした。何故ならほんの少し前まで一つだったのですから。
蟹がぶくぶくと吹いているのは洗剤の泡で男が血の網にかけているものはアンモニウム。
血の網が少しづつ溶けていきます。テイルとソルがなんとかしたら抜け出せそうです。

「さあみんな脱出するんだあぁああああ!」
男は無防備にも血の網で出来た壁におしっこをかけ続けています。

65 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/05/29(日) 09:55:14.16 0
>>64
威圧するレヴィアを前にして、最初に行動したのは“男”だった。
彼は血の網で塞がれた次元の通廊の前に立つと、自分のズボンに手を掛けて下ろす。
レヴィアは“男”の突飛な行動に、何をするつもりのか判じかねたが、血の染み抜きとの言葉で彼の意図を察する。
尿素を用いて血の網を溶かそうというつもりなのだ。
稚拙な行動ではあったものの、その化学的な思考に自分の世界を感じて、レヴィアは微かに口の端を吊り上げた。

「驚くような事をするのは相変わらずね。でも……お行儀が悪いわッ」

不用意に近づいて隙を晒し続ける“男”を見逃すほど、レヴィアは甘くない。
躾に失敗した犬を叱りつける様な口調で叱責し、正眼に構えた石剣の切っ先を“男”へ向ける。
刹那、剣は赤い稲妻の如く閃き、剥き出しになった“男”の腹部へと突き立てられた。
赤い突剣は柔らかい肌を穿ち、肉を抉り、神経に焼ける様な激痛を与える事だろう。

「ダメよぉ?おイタしちゃ。
 それと……この血は唯の血じゃなくて私の力が籠ってるのよ。こんな風にッ」

“男”の皮膚は紅の石剣が刺さった場所から黒ずみ始め、その変色は次第に周囲へと広がり始めてゆく。
剣に纏わり付く魔力ある血が“男”の生命力を吸い、細胞を壊死させているのだ
思う存分に獲物の血を浴びて、紅玉の輝きを得た剣を捻じりながら女は囁く。

「残念ね、“男”さん……黄泉界で夜の湖に訪れたのがアナタだったなら、私を抱かせてあげても良かったのに。
 時を凍らせた私の世界から、唯一生き残った男だもの。
 同じ道を選んでくれれば、新しいアダムくらいにはしてあげても良かったわ」

レヴィアは明確な敵対の意思を見せた以上、もはや“男”に誘いを掛けても乗る事は無いだろうと判断している。
だから、投げつける言葉にも慈悲を交えない

「でも、道を違えてしまった以上、私から与えられるのは死だけよ」

そう言ってレヴィアは剣を“男”の腹から引き抜き、赤い飛沫で濡れた唇で韻律を紡ぐ。
この場の特性を確認するために。

「hmjm bajm(水よ、来たれ)」

詠じられた呪文は、異界の水妖に命じて奔流を呼び寄せるものであったが、虚空から水が湧き出す事は無かった。
“避難所は他世界からの干渉を受けない”
狐面の人物の言葉通り、パワーソースを他世界に依存する魔術は、ここでは発現しないようだった。
つまり神の力を借りる魔術はこの場に神が居ない限り、精霊魔術はこの場に精霊が居ない限り発動しない。
他世界に存在する力の源が、この避難所へ干渉する事が出来ず、影響を及ぼす事が出来ない故に。
レヴィアの血の魔術が発動したのは、何かの力を借りているわけでは無く、己の血に魔力を乗せて直接操っているからである。

「私が創るのは、被造物と造物主とが決して交わる事の無い世界。
 そこにはガイアもソフィアもデミウルゴスも無く……私が唯一の神として在る。
 当然、作られた者が神々の争いに巻き込まれる事も無いわ。
 神は一人しかおらず、人は神を知る事ができないんですもの。
 今の世界に比べたら楽園の様なものでしょう?」

薄っすらと笑みを浮かべたレヴィアが、テイルとソルに訊く。
ガイアの眷属たる彼らが、決して受け入れないだろうと分かった上で。

「そうね……初めて会った人もいるみたいだし、一度くらいは選ばせてあげるわ。生か死を。
 ガイアの眷属から離脱して、私に従いなさい。私が創る世界の中でならアナタたちも生きる事を許すわ」

【>>テイル、ソル 降伏の勧告】

66 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/05/30(月) 01:24:32.06 0
>61-62
灰色の部屋に到着したボク達を、PLの人と名乗る人物が出迎える。
そして突拍子もない事を語り始めるのだった。
世界の外部から影響を及ぼし、ボク達を操る超越存在の話。
「そんなアホな……!」
と言いつつもなんとなく分かってしまっていた。PLの人が言う事は嘘ではないのだろうと。

>63
ついにレヴィアさんが自分の正体を明らかにした。
「大海の主、リヴァイアサン……!」
それは大悪魔であり、聖獣であり、召喚獣でもあり、あと何かの本の題名になってなかったっけ。

>「世界樹の種は、この部屋の外に出ないと使えないようね。
 うふふ……だったら、此処にいる誰も、生かして外に出さなければいいだけじゃないッ」
「そこをどけー! ライトニング!」

67 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/05/30(月) 01:28:04.79 0
雷撃がレヴィアさんを撃つ……はずだった。でもなぜか発動しない。
「あれ……?」

>64
男さんが決意の籠った瞳でこちらを見る。
彼は命をかけてボク達を逃がそうと考えているのだ。
「ダメだ! 馬鹿なことを考えるな!」

>「ごめんよ。レヴィアさん!」
男さんがとったのは、なぜかコ○コロコミック系のギャグ漫画的な行為だった!

>「さあみんな脱出するんだあぁああああ!」
「おいいいいいいいい!! バカな事は考えるな!」
どっちの意味でだって? 色んな意味でだ!


68 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/05/30(月) 01:31:06.98 0
>65
>「驚くような事をするのは相変わらずね。でも……お行儀が悪いわッ」
レヴィアさんの剣が男さんに突き立てられた! 言わんこっちゃない!

>「でも、道を違えてしまった以上、私から与えられるのは死だけよ」
男さんを蹂躙するだけ蹂躙したレヴィアさんは、何かの呪文を唱えた。
>「hmjm bajm(水よ、来たれ)」
が、何も起こらない。ボクの時と同じだ。
「なるほど、何かの力を借りた魔法は使えないって事か……!」

レヴィアさんは、新世界の神になる事を高らかに宣言した!
「男さん……!」
男さんに駆け寄ってレヴィアさんを睨み付ける。
「思い出した……。社会契約論……”万人の万人に対する闘争”!
確かにそうすれば神々の戦いに巻き込まれることは無い。だけどきっと今よりも酷い戦乱の世になる!」

69 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/05/30(月) 01:33:27.36 0
>「そうね……初めて会った人もいるみたいだし、一度くらいは選ばせてあげるわ。生か死を。
 ガイアの眷属から離脱して、私に従いなさい。私が創る世界の中でならアナタたちも生きる事を許すわ」
どう見ても悪役の前口上の締め。普通なら瞬時に突っぱねるところだろう。
だけどボクは迷っていた。男さんは今にも死にそうだ。
それを前にして、ガイアの……星の命の力を借りた魔法が仕えない以上、ボクは全くの無力だ。
ソル君だってそうかもしれない。
降伏せずに戦っても無駄死には必至だ。ならばボク達だけでも助かる選択をした方が賢明ではないか。
でも……

「嫌だよ……。ボク達だけ助かっても意味が無いよ……!
ルーチカちゃんの猫が育った姿を見れないなんて。
リチアちゃんをまだ人間に戻してあげてないしガレス君とちゃんと友達にもなってないし……!」
そう、今より良い世界になるか悪い世界になるかなんてやってみなければわからないのだ。
要はボクは世界に愛着が湧きすぎてしまったのだった。
「ねえ、見てるんでしょ!? いるんなら助けてよ……!」

70 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/05/30(月) 01:35:58.47 0
どこかにいるであろう、ボクを操っている存在に懇願した。

「ここにいるよ」
PLの人の横に、謎の人物が現れた。ボクにそっくりな姿をしている。
「初めまして。ボクはキミのPLの人。そうだね……語り手妖精、とでも名乗っておこうかな。
PLの人が言った事は真実だけど誤解を生んだようだね。
実はボク達に大した力はないんだ。だってPCはPLの手を離れて勝手に動き出すもの。
ボク達に出来る事は君達の辿った道を語るだけ。それを人は”物語”というんだ……」
要約すると何も手助けはしてくれないらしい。
「そんな……」
「一つだけいい事を教えてあげよう。禁断の中の人知識ってやつだね!
ガイアとは地球を一つの生命体とみなす時の呼び名なんだ。
そして君の名は【Terre】……地球だ! そう、キミはガイアに成り得る存在なんだよ!」
そう言い残すと、語り手妖精は姿を消した。もしかしたらボクにしか見えてなかったのかもしれない。
本当のところはよくわからないけど、ボク自身の深層心理とでも思っておくことにしよう。

71 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/05/30(月) 01:39:12.20 0
「Terre……」
地球、それがボクの名前のもう一つの意味。
ガイアとは切り離されているはずなのに、力が満ちてくる。ボク自身の力。
ソフィアと切り離されて力を失っていたエレメントセプターが新たな輝きを得る。これでソル君も魔法が使えるはずだ。
「男さん……ここで感動的に死のうったってそうはいかないよ。最後まで一緒に冒険しよう!」
男さんを虹色の輝きが包み込む。ガイアの魔法の真骨頂……全ての属性の頂点に君臨する生命の輝き。

「ボクはテイル、この物語の語り手さ! 大海の王レヴィアたん、いざ尋常に勝負!」
謀らずも大地VS大海の大決戦と相成るわけでござます。べべんべん。
念のため言っとくけどさっきみたいな最大級の回復魔法はそう立て続けに何回も使えるもんじゃないよ!

72 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/05/30(月) 01:49:39.04 0
「やはりな、そんな辺りだと思っていた」
皆よりも先に着いていたビャクは文字通りに己の存在を殺し
今までの経緯を見守っていた
PLの人の話は当然信じられる物ではないだろう
しかし、今はそんな事を気にしている暇は無い。
自身の咎を解放しえる物があるというのにあえて失われそうな希望溢れる命を優先するのは
彼自身もそんな物よりも何倍も価値がある物だと心の奥底では分っていたのかもしれない。

73 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/05/30(月) 02:09:04.99 0
此処で思わず姿を現したのはそんな男の命が奪われかけていた時だ
それだけではない自身の正体を現しテイル達の危機に陥っている姿を見たとき
自身の役目を果たすべき場だと自覚したからである。

>「私が創るのは、被造物と造物主とが決して交わる事の無い世界。
 私が唯一の神として在る。
 作られた者が神々の争いに巻き込まれる事も無いわ。
 神は一人しかおらず、人は神を知る事ができないんですもの。
 今の世界に比べたら楽園の様なものでしょう?」

「下らん、貴様の言っている事は戯言でしかない神ですら完全無欠ではない
名ばかりの不完全な存在―貴様のように他者を見下す傲慢な存在がなったところで世界は変わらん
そのような存在が神になったところで必ず何処かに歪みが出来るだろう
貴様の様な者が生み出す世界など俺は断じて認めない――」




74 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/05/30(月) 02:26:54.95 0
自身の能力である封印武器召喚の一つ剣を召喚し、男の傍に近づきながら
テイル達にレヴィアの降伏勧告を悩む姿を見ていたが当然拒否の姿勢を見せる
「そうだ…それでいい、お前達も俺と同じ道を辿るべき者達じゃない
精一杯貫いて見せろ…」
と自身は呟きながら身構えていると様子がおかしくなる
途中から誰かに話しかけていた
どうやらPLとやらと交信出来たらしく
彼等と干渉できなかった自身の力の大部分が戻ってくる。
「反撃開始―と行こうか!!」
周囲には山ほどの黒い十字の魔剣が出現し、一斉にレヴィアに射出される。

75 :ソル ◆sBYghzSQ5o :2011/05/31(火) 01:32:01.66 0
PL、NPCといったトンデモ用語が飛び交い始める。
なんだか無駄にスケールがでかくなってきてるんですケド……
それくらいすごいことをしてきてるってことですね!

>>64
男さんがなんかすごく子供のようなことをやっている……
いや、でもきいてたりするのかな?

>>65
>「そうね……初めて会った人もいるみたいだし、一度くらいは選ばせてあげるわ。生か死を。
 ガイアの眷属から離脱して、私に従いなさい。私が創る世界の中でならアナタたちも生きる事を許すわ」

あぁ、男さんがあああらめええええ!ってそこじゃなくて!
「はぁ!?一体何様のつもり!?神様のつもりですか俺様のつもりですか私のご主人様のつもりですか!」

>>74
>「そうだ…それでいい、お前達も俺と同じ道を辿るべき者達じゃない
精一杯貫いて見せろ…」

「貫くとかそういうのはよくわからないけど、そしてガイアとかそういうのも
 オレにはあまり関係ないけど!」
落ち着いて武器を構える。
「それって命令?オレ達、指図されるの嫌いなんだよね。
 というわけで、簡潔にいいます。『うっせえそんなの誰が従うかバーロー!』」

>>71
テイルの力なのかよくわからないけど、何かから力を借りて放つ魔法が
再び使えるようになったらしい。
このまま一気に進めるよ!

ソルは力を解放し、天使の姿へと変身する。
「届け、暖かな光よ!"フェアリーブレス"!」
ソル達に精霊の加護が与えられる。

76 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/05/31(火) 18:27:28.98 0
>>69-71
レヴィアの勧告を受けた妖精は、祈るかのように助けを請う。
但し、助けを請う相手はレヴィアにでは無いようだった。
妖精が顔を向け、苦衷を漏らした先は虚空。
おそらくは、創造主たるガイアに祈りを捧げているのだろうとレヴィアは判断した。
神である彼女なら、眷属の妖精をPlayerとしている可能性が高いとも。

捧げられた妖精の祈りは届いたようだった。
背後を振り返ったテイルは語り掛け、短くやり取りを始める。
しかし、そこにいるのは狐面の人物のみ。
狐面の人物が黙しているのは、思念で語っているからだろうか……。

――Terre。

不意に呟いた妖精の言葉を聞き咎める。
直後、レヴィアは七色の翅を持つ妖精から力強い波動を感じた。
妖精が腕を“男”に向けると、その翅と同じ色彩を持つ光が彼を満たして石剣で付けられた傷を塞いでゆく。

「その力……またロイヤルストレートフラッシュでも引き当てたの?」

振り返ったテイルの顔は、この短い間に自信で満ちたものに変わっている。
対するレヴィアの顔は険しかった。
手傷を追わせた先から治癒を始められれば、こちらに勝ち目は無いのだから。
従って、レヴィアは真っ先に殺さねばならない相手と判断し、殺意を籠めた視線で妖精を睨む。

「感じるわ……その力と私は相容れないって。
 もし、アナタが次の世界樹に為ろうというのなら、アナタにも死を与えなくてはならないわね」

>>75
レヴィアが勧告を下した一方のソルは、彼女に怒気を含めて何様なのかとの言葉を返す。

「アナタも答えもノー?……まあいいわ。
 そうね。何様かっていうなら一応名乗っておこうかしら。
 私はレヴィアタン。YHJHに創られた海の王にして悪魔よ……今はね。
 でも世界の再創造を行えば、そこでは私が真の神になるのよ。
 内に森羅万象を内包する宇宙そのものに。
 きっと、それは今の世界樹という大樹のイメージでは無く、夢幻の海として顕れるわ」

ソルはテイルから放たれた波動に感化されたように呪文を唱え始める。
詠唱が終わった時、そこには大きな翼を広げて立つ天使の姿があった。

「あら、アナタ天使だったのね。
 別世界の天使であるとは分かってても……忌々しい姿ね」

レヴィアは瞳に蒼白い炎を灯らせて、白い翼を持つ者を睨みつけた。

77 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/05/31(火) 18:29:50.85 0
>>72-74
不意に部屋の片隅から錆びた男の声が流れる。
それを発したのは、黄泉界で遭った外套の男。
彼が“男”と妖精に掛けたであろう言葉は、声音に鉛の重さを残していたものの殺戮者の冷たさは消えていた。

「あら、生きてたの……ビャク=ミキストリ。
 あれだけの力がぶつかり合えば、どちらかは倒れたと思ったのに」

ビャクはレヴィアの傲慢さを断じ、世界の再創造が彼女の手に依って為される事にも拒絶の言葉を返す。

「私が傲慢?そうね……それは否定しない。
 でも、私は傲慢さに等しい重さで被造物を愛するわ。
 美も醜も人も怪物も、生み出す全てを同じ子供として。
 ただ、その愛が他の世界には向かないってだけよ。
 世界を創る事で生じる歪みについては妥協して欲しいわ……そんなものが存在しないのは“虚無”だけだもの」

レヴィアが言葉を切る。
ビャクの周囲に、空気を揺らめかせながら無数の黒剣が生じた故に。
百を超えるであろう剣は、反撃を謳う彼の雄叫びと共に放たれ、矢嵐の如く宙を切り裂く。
それは正に弓兵の大軍が放つ、乱煎の如き勢いであった。
しかし降り注いだ剣が奏でるのは、肉に刃物が刺さる音では無く、耳を聾せんばかりの硬く重い音。
剣撃の嵐に打たれる女の白い肌には、薄っすらと銀の鱗が浮かんでいた。
空気すら通さないレヴィアタンの鱗が。
彼女の魔力は人の皮膚を硬質の鱗へと変質させ、撃ち出された剣嵐を弾いていた。

「うふふ……アナタが黄泉で見せた結界ほどじゃないけど、私も少しは硬いのよ。剣を通さない程にはね」

口元に余裕の笑みを作りながらも、レヴィアは微かに眉根を歪めた。
剣嵐は鱗の防御を破る事は無かったものの、肉体内部の神経には絶え間の無い疼痛を齎している。
彼女の体を覆う鱗の内側は、生命活動を損ねない為に変質させず、人の肉体を保ったままなのだ。
かつて彼女が海竜の肉体を持って存在していた頃、石臼の強固さを持つと形容された心臓も。

「遠くからコソコソ仕掛けてないで、もっとこっちに来ればぁ。
 見たところ結界が消えてるみたいだけと、それで怖くて近づいて来れないの?
 それとも女から近づいてあげなきゃダメなタイプなのかしらぁ?
 自分から積極的に動かなくちゃ、欲しい物なんて手に入らないわよぅ……くすくす」

世界樹の種を此処から出さない為には、背後の血の網から大きく距離を取る事は出来ない。
だから、レヴィアはその場から動かず、魔術に依る攻撃を仕掛ける。

「lvjtn mkhtyb dm pshyth!(レヴィアタンが命ず。血よ、襲え!)」

今や血の線虫は硬い無機質の床を、柱を、壁や天井を喰らって短い間に太さと長さを増し、増殖する蛆の如く部屋中に蠢く。
数十匹は、すでにロメス・アル・ハアレツ……ヘブライの言葉で地を這う者、呪われた蛇にも似た姿を取っていた。
それがレヴィアを除く部屋に居る全ての者の脚に、腕に、胴に、死の牙を突き立てるべく奔流となって飛び掛かる。
この呪われた蛇たちの牙が肌を突き破れば、それは毒となって生物の細胞を浸食し、壊死を齎してゆくだろう。

妖精を最初に仕留めるには、この場へ最初に辿りつくよう誘導しなければならない。
それに思い至ったレヴィアが、地を這うものたちに追加の命令を下す。
攻撃を掛ける血蛇の群れは流れを変え、テイルにだけは全方位からでは無く、一箇所だけ全く攻撃の無い面を作っていた。
レヴィアに続く細い道を開ける為に。

【>>ALL 大小無数の血の蛇が、床や天井から襲いかかる】

78 :PLの人 ◆Xlm0JAgw5w :2011/06/02(木) 04:07:45.01 O
>>63-77
>「そこの仮面が、バカバカしい誇大妄想に取り憑かれちゃってるってことが、ね。
ごく普通の反応で残念です。
今までの常識を覆ような事を聞かされた時、たいていの場合こんな反応が返ってきます。
それが自分が他人の意思で動いている。なんて内容ならなおさらです。
>「ところで、アナタを殺すとアズリアはどうなるのかしら。
「人形使いが死ねば人形は動かなくなりますが、猛獣使いが死んでも猛獣は生きています。
 それと同じですよ。」

レヴィアは自身が神になって新たな世界を築くことを宣言し、避難所からの出口を封じます。
この場所が隔離空間である事を利用した良い判断です。
場外乱闘のような気もしますが、面白いから問題ありません。
外界からの力を使えずに窮地に立たされた勇者達。
だがしかし。
状況をひっくり返す力が現れたのです。

>「ここにいるよ」
な ん と い う こ と で し ょ う 。
ここが”避難所”という特異空間である事を利用した、自身のPLへの呼びかけ。
それがテイルの現状打破の切り札でした。
常識を覆す事実への常識を覆す対応。
ソフィアの言った、回避不能な世界の破滅を避けるための手段です。
テイルのPLの介入は短期間でしたが、それによって勇者達はレヴィアへの対抗手段を手に入れました。
・・・実に興味深い事例です。
こういった事例に介入する権限が与えられていないのは残念でなりません。

>「lvjtn mkhtyb dm pshyth!(レヴィアタンが命ず。血よ、襲え!)」
レヴィアの放った蛇は、PLの人にも襲いかかってきました。
おお。 こわいこわい。
一匹の蛇がPLの人の腕に噛み付き、そこから血が流れました。
痛い。 というのは実に新鮮な感覚です。
とはいえ、体の組織の違いから毒も効果が無いにしても、やられっぱなしは面白くありません。
「積極的な直接関与は避けていますが、自衛しないというわけではありません。
 ヘブライの神の使いには、ヘブライの神の方法を模して対抗させていただきましょう。」
PLの人から流れる血は噛み付いていた蛇を覆い。 飲み込み。
レヴィアと同じような血の蛇となって他の蛇を次々と飲み込み始めます。

「さてさて、レヴィアさん。 あなたは自分がヘブライの神に創られた。と言っていましたね。
 そーいうのは、PLの人には良くわからない考え方ですね。
 自分の創造主に逆らう。 なんて考え方がですよ。
 創られた者は創った者に従う。
 創られた者は創った者に勝てない。
 単純ですが変えようが無い真理です。
 ・・・あなたの行動は、本当にあなたの考えからでたものでしょうか。
 そう思い込まされているだけということはありませんか?
 もし本当にあなた自身の考えならば、悪い事は言いません。
 手遅れにならないうちに世界樹の種を持って行くのがよいでしょう。
 自分の行動が自分の意思だと、心底から断言できるのなら。」

世界樹の種を持っていく。など邪魔の入る戦闘中には難しい芸当でしょう。
PLの人の言葉もまるで根拠が無いかもしれません。
世迷いごとだと断じて信用しないのも自由です。
PLの人の言葉は嘘だと、心底から断言できるのなら。


79 :◆t7kjAY7URg :2011/06/02(木) 18:42:15.45 0
>65
>「でも、道を違えてしまった以上、私から与えられるのは死だけよ」
”男”はレヴィアにお腹を刺されました。激痛が腹部を襲います。
薄れゆく意識の深層で、男が死を覚悟したその瞬間……
>66-71
>「男さん……ここで感動的に死のうったってそうはいかないよ。最後まで一緒に冒険しよう!」
「……テイルちゃん」
真意に触れたテイルが、ガイアの力で男の傷を癒します。
>72-74
気がつけばビャク・ミキストリの姿もありました。
>「反撃開始―と行こうか!!」
「うん!」
>75
男が身を起こすと天井から光が降って来ました。神々しい光です。
>「届け、暖かな光よ!"フェアリーブレス"!」
振り仰げば、ソルが有翼の者に変身していました。
ここで男はあることに気がつきました。今この場所には空と海と大地を司るものが三つそろっています。
世界の終末が近づいている。そしてそのあとの再誕が……。もう運命の歯車は止められない。
そんな予感がしました。
>76-77
ビャクの剣雨も、銀鱗と化したレヴィアの皮膚を貫くことはなく
蛇に変貌した少女の血がカオスの勇者たちに襲い掛かります。

80 :◆t7kjAY7URg :2011/06/02(木) 18:44:04.28 0
>65-78
男もビャクと同じく夢想剣を召喚すると手に持ち替え
迫り来る大小様々な蛇を斬り捨てながら世界樹の種にむかって走ります。

「兎にも角にも、世界樹の種は僕たちのものだ!」
男はPLの人がレヴィアに問いかけている隙に世界樹の種を掴み取ると
テイルに向かって放り投げました。
「テイルちゃんに世界をたくすよ!届けーーー!」
投げられた種は邪魔が入らなければ妖精のもとに届くでしょう。
種を手にしてここから脱出すれば、恐らくカオスの勇者たちの思いは叶えられます。
そう信じて男は夢想剣の切っ先をレヴィアにむけました。

「レヴィアさん。僕は、目的のためには手段を選ばない君が
新しい世界の神になって、すべての被造物を平等に愛することが出来るなんて信じられない。
それよりも……。愛する以前に君は誰からも愛されていない!
そんな女が神様になってどうするんだよ!?」

悲痛な顔の男。それはレヴィアを可哀そうに思っているからでした。

81 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/06/03(金) 07:14:48.35 0
>>78
貴女が死ねば、アズリアはどうなるのか。
そう問い掛けたレヴィアに、PLの人は猛獣使いが死んでも猛獣は生き続けるとの言葉を返す。

「そう。でも仮にアナタがアズリアに感覚質を与えていても、それが無くなったからって彼女が死ぬわけでは無いのよね。
 脳の神経細胞まで含めて、全ての観測可能な物理的状態が人間と同等なら、人形だって生きていると言えるもの。
 感覚質や意識を持たないまま、電気的な反応として怒りもするし、泣きもするでしょう。
 まあ良いわ……私は哲学の議論をするつもりは無いもの。
 アナタがクオリアを与える者でも、単に宿主をコントロールしようとする寄生虫でも、どちらでも構わないのよ」

やり取りの間にも、室内は魔的な不浄さで溢れ返るように見えた。
瘴煙を撒き散らす真紅の筋が壁面を走り、蛇の姿を模してゆく。
呪われた蛇の一匹が狐面の女の腕に噛みつくのを見て、レヴィアは薄く笑んで言葉を続ける。

「ここで倒れてくれれば、ね」

突き立てられた蛇の牙に、破られた皮膚は拒絶の赤を見せた。
しかし、狐面で顔を隠した女からは流血を意に介した様子が窺えない。
それどころかレヴィアの魔術を模し、己の血から生ける蛇を作ってレヴィアの蛇を喰らわせるという離れ業を見せた。
PLの人の魔術で次々に飲みこまれて行く蛇を見て、レヴィアは間髪を入れず次なる詠唱を始める。

「hvravt kdjhrs atsmj(自壊せよ)」

呪文が紡がれると狐面の女を取り巻く蛇が黒ずみ、レヴィアの血を取り込んだ蛇ごと朽ち始め、瘴気を漂わせながら溶けてゆく。
レヴィアは表情を変えないまま、己の腸が冷たくなるのを感じた。
彼女は自らが高位の魔術を操るだけに、相手の力量をも推し量ることができる。
依って、仮面の女と魔術の攻防を行い続けても、戦況を有利に傾ける事は難しいとの判断を受け入れざるを得ない。
思案するレヴィアに、PLの人は造物主に逆らうという思考が理解できないと述べた。

「造物主に逆らう……どこかで、そう言っていたように聞こえたかしら?
 お生憎様、私はそんな事なんて微塵も思っていないわ。
 少なくとも悪魔と呼ばれるようになってからはね。
 造物主は、陶器を砕くように被造物を破壊する権利を持つ。
 だから私は最初から造物主に逆らってなんか無いわ。
 私はYHJHの怒りに触れない範囲で、地球に己の版図を広げようとしていたんだもの。
 尤も、その地球は切り離された宇宙ごと時を止めたけれど。
 宇宙そのものの時が止まったのなら、YHJHも時を紡ぐのを止めたのかも知れないわね……。
 いずれにせよ、私に造物主の裁きは下って無いわ」

続いて、PLの人はレヴィアの行動が彼女自分自身の考えから出たものなのかに疑問を投げ掛ける。
そうであれば、手遅れにならないうちに世界樹の種を持って行くのが良い、と続けて。

「断言して欲しいのなら言ってあげる。私の自我は私から発してるわ。間違いなくね。
 世迷言なら、もうたくさんよ。
 YHJHが時を止めたのなら、私を操れる可能性がある者なんているはずがないもの。
 あぁ、そうね。それと今のでアナタがとにかく退屈してるってことだけは分かったわ。
 世界樹の種を誰が使うのか……結果に関心を持っていないもの。
 さながら火事に群がる野次馬ってところね」

レヴィアが世界樹の種に眼を向けた。
手遅れにならないうちに、とのPLの人の言葉を脳内で反芻する。
彼女はその意味を、この場は他世界の干渉を受けずとも、高天原は崩壊の可能性があると受け取った。
黄泉界で語った通りにソフィアが行動すれば、それもありえるだろう。
しかし、世界の再創造を目論むレヴィアに取っては、異世界がどうなろうと関心が無い。
他者に使わせさえしなければ、それで良いのだ。

「でも、世界樹の種は受け取ってあげる。
 それが本当に再創造の力を持っているかは、彼らを仕留めてからゆっくり確かめれば良いもの」

レヴィアが呪文を呟くと、蒼白い光を放って浮かぶ世界樹の種を包むべく、滴たるように天井から蛇が落ちた。

82 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/06/03(金) 07:17:15.65 0
>>80
レヴィアに操られた血の蛇が世界樹の種に触れようとした瞬間、駆け抜けた“男”がそれを奪い取る。
彼は手に持った世界樹の種を妖精に投げると、レヴィアに夢想剣の切っ先を向けた。
誰からも愛されない女が、神になってどうするのかと叫びを上げて。

「愛?私はこの世界での愛なんていらないわ。
 愛なら、創り出した世界から無限に受ければ良いもの。
 私が森羅万象として在れば、海や星や大地。何かが愛されることは私を愛することになるのよ」

レヴィアは抑揚を付け、歌うように、誇るように言葉を紡ぐ。
夢見るものが持つ恍惚の貌で。

「受ける愛の次は、与える愛について教えてあげる。
 アナタだって自分の手足や瞳や心臓は、等しく愛するでしょう?
 私も産み出した子供たちを自らの一部として等しく愛する……神の愛はそれと同じ事よ。
 でも、他人の手足や瞳や心臓なら全く価値が違う。奪う事にだって何の躊躇いも無いわ。
 ……これで愛の話には得心が出来て?」

剣を正面に突き出したまま、レヴィアは迎撃の為に左半身を前面へ向け、フェンシングの構えにも似た半身の態勢を取った。
今のレヴィアは以前にカオスの勇者たちと相対した時とは違い、鱗で覆う事の出来ない部位が存在している。
そこを突かれたくないという意識が、彼女にこの態勢を取らせていた。

レヴィアは警戒をしながら、世界樹の種が渡った先に視線を向けて距離の目測を付ける。
テイルに氷雪の視線を向ける彼女の喉からは、高い笛のような音が鳴っていた。
灼熱の炎を吐き出す為に空気を吸い込む音が。
息を限界まで吸い込んだレヴィアは、次の瞬間、大きく開いた口から高熱の炎を吐き出す。
紅蓮の色彩は瞬時にレヴィアからテイルに向かって長く伸び、その間の空間を灼熱の色へと塗り替えた。

【>>テイル 炎を吐きかける】

83 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/06/03(金) 23:23:35.26 0
>「あら、生きてたの……ビャク=ミキストリ。
 あれだけの力がぶつかり合えば、どちらかは倒れたと思ったのに」

こちらとしてもああいう形で決着が付いたのが奇跡なくらいだと思っていたが
その事を言ってやる義務も無いだろう
「どのような形で決着を付けようが、お前達が世界創造なんて事に関わる争いをするのならば
死んでようが嫌でも駈り出されるのでね」

皮肉とも自嘲とも取れる言葉を吐きながらもなんとなく少しだけ吹っ切れている自分が
居る事に気づく。

>美も醜も人も怪物も、生み出す全てを同じ子供として。
 ただ、その愛が他の世界には向かないってだけよ。
 世界を創る事で生じる歪みについては妥協して欲しいわ……そんなものが存在しないのは“虚無”だけだもの」
レヴィアに放たれた夢想剣の嵐は弾かれ、地面に次々と突き刺さる
銀鱗を露にし、とうとう自身の本領を発揮し始めたらしい。
>「うふふ……アナタが黄泉で見せた結界ほどじゃないけど、私も少しは硬いのよ。剣を通さない程にはね」

「硬さだけは…なだが目は嘘を付けんな、痛みを感じているのだろう?」
余裕の笑みを浮べているが微細な動きをとくに目の動きを見れば状態は分かる物だ
人間に近い存在かなりきっているならそれ相応の反応になる



84 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/06/03(金) 23:34:24.66 0
>「遠くからコソコソ仕掛けてないで、もっとこっちに来ればぁ。
 見たところ結界が消えてるみたいだけと、それで怖くて近づいて来れないの?
>「lvjtn mkhtyb dm pshyth!(レヴィアタンが命ず。血よ、襲え!)」

「安い挑発だな、しかし厄介な攻撃をしてくれるものだが…」

襲い来る蛇達に対して無命剣フツノミタマで切り裂きながら
指を鳴らすと男の向かう道にある地面に突き刺さっていた夢想剣が次々と爆発し
男に向かう蛇達を薙ぎ払っていた。
世界樹の種を見事掴み取り、テイルに投げるのを確認した後

>それよりも……。愛する以前に君は誰からも愛されていない!
そんな女が神様になってどうするんだよ!?」
 アナタだって自分の手足や瞳や心臓は、等しく愛するでしょう?
 私も産み出した子供たちを自らの一部として等しく愛する……神の愛はそれと同じ事よ。
 でも、他人の手足や瞳や心臓なら全く価値が違う。奪う事にだって何の躊躇いも無いわ。

「フハハハ、1本取られたな!愛を向けられない者が愛など語れるわけが無い
ちゃんちゃら可笑しいぞ、余りにも滑稽すぎる三流の悪党ですらもっとマシな事を言う
只動いている生きるうえで重要な付属物に愛するもなにもないだろうが
それは愛ではない、神と名乗る者はは平等に愛しているから生み出したものに不用意に干渉しない
貴様のそれは只の宗教家が描いた自分達の都合の良い神となんら変わらない
エゴイズムと愛を履き違えるのも大概にしろ」

男の背中を守るように合わせ、剣を構えて

「お前に合わせる―行くぞ!」

向かってくる蛇を切り捨てながら、ある考えを持ちながら
レヴィアに近づこうと移動していた



85 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/06/05(日) 23:12:10.43 0
>74
>「反撃開始―と行こうか!!」
気付けばそこにはビャクさんがいた。
何らかの超越的存在の手駒ではなく、ボク達が知っている元の彼に戻っている。
「ビャクさん……ビャクさんなんだね!」


>75
「ガイアは関係ない……ふふっ、そうだね、君の名は”太陽”……
光の神の力なんて借りなくたって君自身が天照らす太陽になれる!」
名にはものの在り様を規定する”呪”の力があるという。
ただなんとなく逆ではないかと思った。
あらゆる物に、その在り様を現すような名前が不思議な力に導かれて付くんじゃないかな。
結果を見れば同じことだから本当のところは分からないんだけどね!

>「届け、暖かな光よ!"フェアリーブレス"!」
ソル君が天使の姿になるのと同時に、ボクも絢爛な翼持つ戦闘形態となる。
「これは森羅万象の精霊の力……大丈夫、まだ終わってない!」

>77
「lvjtn mkhtyb dm pshyth!(レヴィアタンが命ず。血よ、襲え!)」
襲い掛かってくる血の蛇。でもボクにだけ自身に至る通り道が開けている。
「何を企んでいる……?」

>80
>「テイルちゃんに世界をたくすよ!届けーーー!」
世界樹の種がこちらに投げられた。手を伸ばしてそっと受け取る。

>82
「被造物は創造者の思い通りにならないものだよ。
もし生み出した子どもの一人が他の子ども達を脅かしたら? あなた自身……世界の全てを壊そうとしたら?
他を守るためにそれを切り捨てるか全てを愛したまま共に滅ぶか選ばなきゃならない。
そんな残酷な選択があなたにできる?」

世界樹の種を両手に包み込みながら皆に言う。
「早くここから出よう! レヴィアさん、君もだよ!
それで皆で自分の故郷の世界を思い浮かべて再生させるんだ……! ボクだけじゃガイアしか分からないからさ……!」

レヴィアさんが、答えの代わりに灼熱の炎を吹き付ける。作り出した水の壁を透過して身を焼く。
構わずにボクは語りかけた。ボク達を信じて待っているであろうあの子の元へ。
「アズリアさん、聞こえる? 聞こえたら祈りを捧げて! 神様はね、信じる心を力に変えるんだ……!」
神官の能力に、自らの信仰する神の声を聞く信託というものがある。
ボクが本当にガイアの力を受け継ぐものならば、この声は次元を超えて届くだろう。

灼熱の炎に妖精の命の源である魔力が削られていくのを感じながら、呪文を詠唱する。
狙いは避難所の次元を内側から打ちこわし、全員で外の世界に帰ること!

「ねえ、PLの人さん、世界の物語は一人のものじゃない。皆で紡ぐもの……だよね!? ――【ビッグバーン】!!」
PLの人に向かって微笑み、魔法を発動させる。奇しくも、地球の科学において宇宙の始まりとされている大爆発と同じ名。
ボクの声がアズリアさんに届いていたなら、避難所の空間は砕け散るだろう。

86 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/06/07(火) 20:37:01.27 0
>>84
ビャクはレヴィアが“男”へ返した反論を聞くと、それをエゴイズムと斬り捨てて笑い声を上げた。
それを聞き、すでにPlayerを名乗る仮面の女と魔術の応酬を始めていたレヴィアが苛立ちを込めた声を返す。

「神とは万象を内包する宇宙そのもの。
 被造物を手足に喩えたのは、全てのものは造物主の一部であるって意味よ。
 まあいいわ……理解が及ばなくても。所詮は他世界の存在ですもの」

襲いかかる蛇を退けたビャクは“男”に近づくと、彼に何事かを語りかけ始めていた。
テイルへ炎を吹きかけながら、何かを仕掛ける気配を感じたレヴィアは全員の距離を目測で測る。

避難所は中規模の会議が可能なくらいには広いが、三分経たずに見終わってしまう程度の面積。
テイルとソルの両者は部屋の中央近くで、PLの人は部屋の奥。
世界樹の種があったPLの人の右手には“男”。
ビャクは“男”を背中にして立っていた。

>>85
レヴィアの炎を受けながらも、妖精は一緒に故郷を再生しようとの言葉をレヴィアに掛けた。
しかし投げ掛けられる慈悲の言葉にも、彼女に和解の意思が生まれる事は無い。
もはやレヴィアの目的は、次の世界樹となる事を欲するデミウルゴスと同じものになっているのだから。
万象の存在となる可能性を目の前に、今さら目標を下げるつもりは無いのだ。

「――――ッ」

部屋を染める橙色の息吹きが尽きると、部屋が血の鮮紅へと色彩を戻す。
灼熱の炎を吹き終えたレヴィアが見たのは、アズリアに向かって語りかけている妖精の姿だった。
即座にレヴィアは気付く。
妖精が何らかの方法で新たな次元の通廊を開こうとしているのではないかと。
この場所から外へ干渉する事が出来なければ誰も此処には来られない以上、それは可能な筈であった。
妖精の試みが成功すれば、この場を封鎖した意味も無となる。

「何度も何度も、ロイヤルストレートフラッシュは出させないわッ」

石剣を手にしたレヴィアがテイルに向かって疾駆する。
術を阻止して……世界樹の種を手にする為に。

PLの人への反撃を封じる為に彼女の周囲の血蛇は、魔術で自壊させてしまっている。
従って、PLの人の傍にいたテイルも移動の形跡を見せていない。
レヴィアからテイルまでの距離は10m程度だったが、この走れば2秒にも満たない距離は到達が困難に見えた。
テイルには、ソルとビャクが左右に隣接しており、“男”もレヴィアよりは近い位置。
攻撃を仕掛ければ、必ず三者に邪魔を入れられるだろう。
牽制を入れようにも走りながらでは前方に炎は吹けず、魔術を詠唱して発動させるには数秒は掛かる……。
残る攻撃手段は対象を一人に絞らなければならない。
レヴィアはビャクと“男”の攻撃を斬撃のみと判断し、それを鱗の防御で防ぐ事を決意する。
だから攻撃を掛けるべきは正体不明の天使。

「KAッ!」

テイルへの距離を半分に縮めた瞬間、レヴィアの口から吐き出された紫電の稲妻が、空気を貫いてソルへと向かう。
それと同時にビャクが動く様子を見せたが、すでにニ撃を受ける覚悟のレヴィアは軌道を変えないまま加速する。

「死になさいッ」

妖精の細い首を切り落とすべく、レヴィアは左手に持った石剣を振り上げた。
赤い瘴気を放つ剣は時を置かず、テイルの首を終点として真紅の孤を描く。

87 :PLの人 ◆Xlm0JAgw5w :2011/06/09(木) 04:36:46.70 O
>>79-86
>さながら火事に群がる野次馬ってところね」
「そう思っていただけるとは光栄ですね。お褒めの言葉をありがとうございます。」
野次馬と言うよりは放火魔だと自分では思っているのですが、いかがでしょうか?
無論自分が放火魔だと自白する者がそうそういないのと同じく、PLの人もそんな事は言いません。
野次馬でもある事は事実なのですから。

>それで皆で自分の故郷の世界を思い浮かべて再生させるんだ……! ボクだけじゃガイアしか分からないからさ……!」
戦いのさなか、テイルがレヴィアに脱出を呼びかけます。
・・・この発言は驚きました。
見聞きした限りでは両者の進む道は平行線で、互いに交わる事は無いように思えます。
どこに共闘の可能性を見出したのでしょう。
レヴィアの反応しだいでは、世界の未来にまた大きな変化が起こるかもしれませんね。 楽しみです。

レヴィアの炎に焼かれながら、テイルはアズリアに呼びかけます。
”避難所”から実世界に影響を及ぼす事も、つながりさえあれば会話程度は問題なく行えるでしょう。
PLの人がフラポリーと会話していたのと同じです。
>「ねえ、PLの人さん、世界の物語は一人のものじゃない。皆で紡ぐもの……だよね!? ――【ビッグバーン】!!」
「そうですね。 皆で紡いで、皆で答えを出すものでしょう。
 思い通りに行かないのが楽しい世界だというのは、真実なのですから。」
レヴィアが察知して妨害しようとしますが、テイルの魔法は先に完成しています
アズリアは当然呼びかけに同調し、”避難所”は見事粉々に砕け散りました。
この爆発が世界の始まる爆発になるのか、世界を終わらす爆発になるのか。
それは今後の展開に注目する事にしましょう。

創った者が創りだした者を愛しているとは限りませんし、造物主の愛が創られたものの思い通りのものとは限りません。
子を捨てる親もいれば子を忘れる親もありますし、子供を食べる親もいます。
親の心子知らずとはよく言ったものです。
・・・ああそうそう。 ちなみに避難所の崩壊までは少々時間があります。
避難所で何かしたい事のある方はお急ぎを。

88 :PLの人 ◆Xlm0JAgw5w :2011/06/09(木) 04:53:37.30 O
【タカマガハラ】
ドカンと爆発した避難所の中にいた人は、タカマガハラに放り出されます。
場所はちょうど通路が開いていた場所ですが、爆発で閉鎖されてしまったので入り口はありません。
ちなみにちなみにPLの人は新たな避難所に移動しています。
どうもご心配をおかけして申し訳ありません。

「大丈夫ですか皆さん?! 
 入っていったと思ったらいきなりテイルさんに呼びかけられてびっくりしましたよ!」
タカマガハラに戻ってこれたなら、心配そうなアズリアが飛んでくるでしょう。
アズリアの言葉からわかるように、避難所と実世界では時間の流れが違います。
今回は短くなるように操っていたので、タカマガハラではほとんど時間が過ぎていないのです。

「ああ。 私の可愛い子供たち。
 無事に世界樹の種を持ち帰ってくれたのですね。
 さあ。 それを私に渡してください。
 闇の無い光に満ちた世界。 生命に溢れたあなたの仲間達の望む世界を作り出しましょう。
 あなたたちの長かった冒険が幸せな終わりを迎えるために。」
勇者達の帰りを待っていたガイアはテイルをねぎらい(生きていればです)、世界樹の種を渡して欲しいと頼みます。
怪我人死人の有無などお構いなしです。

ガイア に せかいじゅのたね を わたしますか?

 はい
 いいえ

89 :◆t7kjAY7URg :2011/06/11(土) 20:56:38.82 O
レヴィアの愛の話を聞いた男は、その目に涙を浮かばせました。
男のうしろではビャクが背中を守ってくれています。何か作戦があるようです。

「ビャクさん。ありがとう」

−−−テイルはみんなで一緒に世界を造ろうと言ってアズリアに呼びかけます。
そして繰り出されるレヴィア渾身の一撃。
その時でした。イョーベールのハサミが血で封印された壁に穴を開けその輝く体をパーツごとに分散させながら避難所内に侵入して来たのです。
穴から流れ出る黄金の龍と化した鎧は男の周囲をぐるぐると回ったのちにガシャンガシャンと下から巻き付くように装着されていきます。
するとほぼ同時に避難所が爆発しました。

どかーん!!

タカマガハラの虚空に舞う男。鎧の重さですぐ地面に落ちます。

「テイルちゃん!僕、願うよ!紡ぎあわせる未来に!もう、うしろはふりむきません!」

男はテイルの小さな手を握りしめました。

90 :テイル ◇ 6nXELe5RK6:2011/06/12(日) 09:50:33.90 0
>86
>89
>「死になさいッ」
レヴィアさんの石剣がボクの首を掻き切らんと迫る!
「しまっ……!」
一瞬目を閉じるが、衝撃は来ない。当たれば決死の攻撃を防いだのは、黄金の龍だった。
「イョーベールさん……」
かつて共に旅した仲間は、たとえ鎧の姿になっても見守っていてくれる。
人は、今までに出会った全ての人で出来ているという。
ならばこの旅の間に出会った全ての人がかけがえのないボクの糧だ!

>87
>「そうですね。 皆で紡いで、皆で答えを出すものでしょう。
 思い通りに行かないのが楽しい世界だというのは、真実なのですから。」
「ありがとう、PLの人さん。ボク……決めたよ!」
ようやく、一つの答えにたどり着いた。否、本当はずっと前から心のどこかで分かっていたのかもしれない。
誰も倒さなくていい、同時に誰も救わないとも言えるかもしれない結論。

>88
>「大丈夫ですか皆さん?! 
 入っていったと思ったらいきなりテイルさんに呼びかけられてびっくりしましたよ!」
「良かった、通じたんだ……!」

ガイア様の瞳を真っ直ぐ見つめて言う。
「あなたが本物でも偽物でももうどっちでもいい。
どっちにしろボクがあなたを否定することは無い。でもごめんなさい、その申し出には乗れない!」

 はい
→いいえ

「一つの事を盲信する、お互いを否定する事で保たれる、そんな世界、いつかは必ず破綻する……。
正義とか悪とか、有益とか害悪とか、必要とか不必要とか、選別するのはもうたくさんだ。だから全部繋ごう。
どんな小さな想いだって拾い上げて見せよう!
男さん、ビャクさん、ソル君、アズリアさん、……レヴィアさん。そして名も無き精霊達よ……力を貸して!!」

>89
呼びかけに応えるように、男さんはボクの手を握りしめた。ボクの願いを分かってくれたようだ。
>「テイルちゃん!僕、願うよ!紡ぎあわせる未来に!もう、うしろはふりむきません!」

――si! yara tufary tereya “謳え 創世の詩を”

ボク達が今から再生する世界は、唯一絶対の神が支配するピラミッド型の世界でも、危うい力関係の間で揺れる二項対立の世界でもない。

――cety durtia lofida “与えられた命”

支配権を巡って争う事も、互いに否定しあう事もない。あるのは巡りて還りくる相生関係と相克関係だけ。

――shenna sado passe rosaty ya! “熱き想いと共に燃やして”

頂点も底辺も、始まりも終わりもない、永遠の円環。柔軟にして強固な連結。

――tir asce tu arreta sutyfan amole “我等を包む全てに愛を奏でよう”

全ての存在があるがままに認められ、循環の中に組み込まれていく輪。

「aa- miseley oh- san affara ha- “嗚呼 祈れよ 光あれ” ――!!」

世界樹の種が眩い光を放つ。今、新たなる世界の創世が始まる――!


91 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/06/13(月) 07:54:24.41 0
>>90
レヴィアの斬撃が死という結果を生む事は無かった。
真紅の一閃は室内に雪崩込むイョーベールの鎧片によって退けられ、妖精が為さんとする術の完成を許す。
妖精から生じた膨大な魔力の波は、瞬時に室内を駆け抜けて床や壁面に叩きつけられる。

轟く破壊音は一瞬。壁面に無数の亀裂が入った瞬間に全ての音は消え去った。
静寂なる爆発は、まるで無理やりに破られた夢の目覚め。
異質なる空間は最初から幻想の存在であるかのように、無音のまま無数の塵と砕け散る。
足場を失ったレヴィアが投げ出されたのは、美しい花々の絨毯を敷き詰めた大地だった。
彼女は虚空から大地へ転落した衝撃に僅かに呻きを洩らす。

高天原に変わらず立っていたガイアは、帰還したカオスの勇者たちへ世界樹の種を渡すように促していた。
対するテイルは、ガイアの創る世界とは異なる世界を望む。
世界樹の種を手にした妖精が至ったのは、全てを包括する循環の輪という結論。
それを仲間たちに、レヴィアに、見えざる精霊に語る。
しかし……その言葉は、聞く者全てをテイルと同じ答えに至らせるわけでは無かった。
レヴィアは妖精の無知を嘲るように嗤い、突き刺す悪意を投げつける。

「全部を繋ぐ?どんな小さな想いだって拾い上げる?意味が分からないわね。
 選別しないまま全てを汲み上げたなら、盲信の徒も互いを否定する者も残ったままよ。
 私には単に目前の争いを、死を近づける事を恐れるあまり、存在しない理想郷に憧れるようにしか見えないわ」

“男”の言葉に勇気を得たテイルは、世界樹の種を使うべく詠唱を始めていた。
レヴィアはそれに構うこと無く、歌うように詠じる妖精に近づいてゆく。
剣の切れ味を誇示するかのように、或いは内心の敵意を示す為だけに、咲き誇る花々を斬りつけながら。

「アナタはそこの女神に否定しないと言いつつ、実際には否定している矛盾を認めない。
 それは自分が誰かを傷つける者である事を受け入れられないからよ。
 無痛の世界を求めて甘い夢に逃亡し続ける幼児。それがアナタ。
 ただ目前の苦痛を回避するだけの……痛みを拒み続けるアナタには相応のものしか得られないわ」

斬りつけられて萎れた花々は、悪意に屈したように黒い花片を撒き散らす。
黒い花吹雪が舞い散る中、低く呟くレヴィアが魔術の詠唱を口に乗せていた。
レヴィアは勝利を手にするか、死ぬ最後の瞬間まで、戦いを止めるつもりはないのだ。

「……そうね。まずはさっきの問いに答えてあげる。
 創造された者が互いに争い続けたり、私に牙を剥いたらどうするのかって問いに。
 もちろん私は争う者でも、神を呪う者でも愛してあげるわ……でも“私”に干渉する力だけは最初から与えない。
 被造物に創造主を認識させることは錯誤であり罪よ」

カオスの勇者を中心として、その周囲に林立するように水の柱が現れた。
レヴィアの魔術が造り上げたヒュドラを模す九つの水塊が。

「一つの現実を突きつけてあげる。
 決して相容れないものがアナタの前に現れたらどうするの?
 アナタを殺そうとする私と、私に殺されたくないアナタ……ほら、並存しない。結局は私と対立するしかないわね。
 それに無限の肯定は、世界を破壊する意思も肯定してしまうんじゃなくて?
 どんな世界を創っても、世界の在り方に疑問を持つ者は消えたりしない。
 根源に干渉する力を持つ者がいる限り、別の在り方を望む者たちが必ず創られた世界を壊そうとするわ。
 なら……他を守るためにその意思を消しさるか、肯定したまま滅ぶか選ばなきゃならないわねえ?
 そんな残酷な選択がアナタにできて?」

創世を歌い続けるテイルに、悪意を滲ませて先程掛けられた問いを逆に返す。
続いてレヴィアが指揮棒の様に剣を振ると、塔の如き九匹の水蛇が唸りを上げてカオスの勇者たちに迫った。
同時に世界樹の種を奪うべく、剣を捨てたレヴィアが妖精に向かって駆ける。
獲物を飲み込まんと水蛇の群れが暴れる中、創世の願いに応じた世界樹の種が眩い光を放っていた。
蒼い光球は無数の煌めく光の粒となって舞い上がり、雪の様に散ってゆく。
まるで、フィナーレの紙吹雪のように。

女神の園は姿を霞ませて―――光の中に今までの世界を消し去った。

92 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/06/13(月) 07:58:16.14 0
…………。

―――レヴィアは静寂なる闇の中で意識を取り戻す。

重力を感じない闇の世界は、濁りきった水のようだった。
どれくらいの間、自身が意識を失っていたのかは分からない。

レヴィアが己の手を握り締めるも世界樹の種の感触は無い……彼女の創世は阻まれたのだ。
いや、それは他者の手に依ってすでに達成されてしまった。
勝利して神となるか、或いは全てを失って死を迎えるか。
そう期して挑んだ戦いは、レヴィアに死も勝利も与えずに終わった。
去来するのは目的を奪われた時の茫漠とした虚しさ。

「……テイル」

口から漏れたのは、己の望みを潰えさせた者の名。
レヴィアの闇を見通す瞳も、この場にいない妖精の姿までは映せない。
失意はたちまちの間に敵意へと変わり、呪いの声が喚き散らされる。
憤怒の怒声を吐き続けるレヴィアの双眸は、やがて闇の中に蠢くものを捕らえた。
旧世界で境界を司っていた虹の龍神を。

「……黄泉界で会った龍ね。私の魔法陣を横から掠め取ったアナタにも恨みは骨髄よ」

レヴィアの見た限り、ソフィアは生命力を失っているようだった。
かつてカオスの勇者たちと共にいたイョーベールなら物語力が失われている、と表現しただろうか。

『此処は世界を否定する意思が堆積した場所―――』

智慧の龍は此処が黄泉界で魔術を用いた際、世界樹の種に僅かに生まれた濁りの中であると語る。
新しく創造された世界の中にありながら、法則を異にする空間であるとも。
そして、レヴィアとの再会は偶然では無く、世界を最も否定していた者が此処に墜ちたのは道理であると続けた。

「そう……でも、そんな事はどうでもいいの。
 見た所弱ってるみたいだし、容赦せずに止めを刺させてもらうわ」

『汝の手で殺さずとも、もはや私の消滅は不可避。
 すでに新生した世界には、6つの神格を備えた完全なソフィアが再生している。
 従って、私が存在し続けようとする力も失われます』

「用済みってわけね。なら、せめて私の鬱憤を晴らすくらいには役に立ってちょうだい……。
 いえ……そうね。もっと良い事を思いついたわ。
 私が永遠に失ってしまった古の肉体を取り戻す為の、ね」

レヴィアが力を失い、消えつつある龍に近づく……。

しばしの時が経過した後―――虹色の龍神の姿は闇の中から失われていた。
龍に語りかけていた女の姿と共に。

93 :テイル ◇ 6nXELe5RK6:2011/06/17(金) 00:34:56.20 0
>91
>「 もちろん私は争う者でも、神を呪う者でも愛してあげるわ……でも“私”に干渉する力だけは最初から与えない。
 被造物に創造主を認識させることは錯誤であり罪よ」

創造主を認識させず、世界たる創造主に干渉する力を与えないということは、すなわち被造物に知恵の実を与えないということだ。
神としての模範的解答。
でももうその手は使えない。これから始まる世界は皆が創造主で皆が主人公なんだもの。

光の中で、レヴィアさんに語りかける。
「大丈夫、循環するものは簡単に壊れたりしない。君も新たな世に生まれ変わるんだ! 
かかってくるなら何度でもお相手するよ! 絶対殺されない、決して殺しもしない。
自分を愛せる人に他人が愛せないわけないって信じてるから! 今までの旅で分かったんだ。
一見全世界を否定してるように見えてもさ、根底にはどんなに歪んで形を変えてしまっているとしても愛がある。
真の否定って自分自身すらも否定する無への衝動だけだと思う。
もしそんなものと出会ったとしたらその時は……」

レヴィアさんの姿が見えなくなる。残念ながらここで時間切れのようだ。
目の前ではガイア様が微笑んでいた。
「よくぞ……よくぞ、邪悪なるデミウルゴスに打ち勝った!」
「怒らないの……? ボクは母なるあなたに逆らったんだよ」
「結論から言うと天使達を動かした私もこの私もどちらもデミウルゴスの干渉を受けたものでした。
もし私に世界樹の種を渡していたらデミウルゴスの思う壺になっていたところ。
デミウルゴスの意思を抑えていられる今のうちに私の名をあなたに授けましょう。
あの者が言った通り、あなたは確かに永遠の少年”プエルエテルヌス”……
太母”グレートマザー”たる私から生まれ私のもとへ還り永遠に再生し続ける無垢なる存在。私に最も近しい存在。
だからこそ、太母”グレートマザー”へと相転移することができる。我が力を受け継ぎ、新たなる世の星の女神となるのです!」

となるとこれからボクのフルネームはフェアリー=テイル=アマテラス=ガイアか。
アマテラス=フェアリー=テイル=ガイア のほうがすわりがいいかな?
それは後で考えるとして。
「ありがとう、確かに貰ったよ! でも太母なんてガラじゃないや。
だってボクはただ世界の枠組みを決めただけ。蓋を開けてしまえば皆と同じ立場なんだよ!
だから姉ポジションにしとく。お母様だって本当はそうだったんでしょ?」
ガイア様、いや、アマテラス様は少女のように笑った。
「ふふっ、そういえばそうでしたね。三人姉弟の長女でした。
無駄話はこの辺りにしておきましょう。さあ、そろそろお行きなさい……」


94 :テイル ◇ 6nXELe5RK6:2011/06/17(金) 00:37:34.02 0

「……イル、テイル!」
「ひゃいっ、レジナ様!」
レジナ様叩き起こされ、跳び起きた。
「みんなは!? 世界はどうなったの!?」
「何を寝ぼけたことを言うておる」
まさか……夢オチ!?
「……なーんちゃって。世界の在り方が根底から変わったのに妾が気付かぬわけなかろう。
そこらの一般人は何も気付いてないだろうがの。
一見何も変わってないように見えるがそれは見事に再生されたからじゃ」

快音がはじける。久寿玉が割れ、クラッカーが一斉に鳴らされる。NPC達がわらわら集まっている。
「わー、なんだなんだ!?」
「世界を救ったら大宴会と相場が決まっているでしょう!」
と、ノダメ校長。
「これでやっと新・光の勇者の伝説改めカオスの勇者の伝説が出版できるとご機嫌のようです」
と、メルちゃん。

何やらテロップが流れてきた。
―― ライトファンタジーTRPGスレ完!! ――
「おっとお、手がすべった!」
メルちゃんが手を滑らし、丁度”完”のところに蜜柑がぺちゃっと付いた。
「ライトファンタジーTRPGスレ未完……」
まだまだ、もうちょっとだけ続く予感がする!


95 :PLの人 ◆Xlm0JAgw5w :2011/06/19(日) 12:05:10.11 O
>>94
おきなさい! おきなさい! いつまで ねているんですか!

「ん…。 わかってます…。 でも後もう少しだけ…」

なにを いっているんですか!
きょうは せかいが かわった きねんび なんですよ!
あなたも はやくおきて かいじょうに いかなければ!

「世界が…かわっ…。 えええぇっ!?」

寝ぼけたようにゴニョゴニョ言っていたアズリアが、カッと目を開きました。
やっと目を覚ましましたね。
起きなかったらパーティ会場に放り込んであげようと思っていたので残念です。
「おはようございます。  きのうはおたのしみでしたね。
 ごきぶんは いかがですか?」

「何をのんきな事を言ってるんですか!
 世界が変わったってどういう意味ですか!?
 それからここはどこですか!?」

目を覚ました途端にこの煩さ。
眠らせたままの方が良かったと内心後悔しましたがもう手遅れです。
「少し落ち着きましょう。 ご自分が少し前まで何をしていたか覚えていますか?
 テイルさんが世界樹の種を持ち帰って発動させ、世界を変えようとしていた事は?」
今度は黙ったままで、アズリアはこくこくと何度もうなずきます。
うん。 よろしい。

「あの試みは無事に成功いたしまして、無事に世界は根底から変わりました。
 幾つかの不安定要素はありますが、直ちに影響を与えるものではないと思われます。 多分。
 今から皆さん感動の宴会スタートの様子なので、急いで喜びの輪に加わってくるのがよろしいかと。」
私が指差す先には、宴会場と流れるテロップがあってそれはアズリアにもよく見えるはずです。
そう。 ここは【かんどーのえんでぃんぐ会場】から少しだけ離れた場所。
話の本道から少しだけ離れた脇道です。

「えっ…。 それじゃあPLさんも一緒に…。」

「せっかくのお誘いですが遠慮いたします。 裏方に表舞台は似合いませんしね。
 それに他に行くところが出きまして、あまりゆっくりもしていられないのですよ。」

どうぞどうぞと何度も言うと、ようやくアズリアもあきらめたようでした。
こちらにお礼を言うと、まだあきらめきれないのか振り返りながら。
それでも仲間の所に向かって歩んでいきます。
彼女がガイアの神官に戻るのか、テイルの神官になるのか。
それはわかりませんし、興味もありません。
PLの人はカオスの無いところに興味は無いのです。

96 :PLの人 ◆Xlm0JAgw5w :2011/06/19(日) 12:06:27.56 O
さて。 アズリアの今後はどうでもいいのですが、フラポリーのほうはどうしているでしょうか。
連れて帰っても良いのですが・・・あ、いましたいました。
昼なお暗い山中の街道で、ボリボリと触手で持っている枯れ木をかじっています。
あれは・・・枯れた世界樹のかけらですね。
どうやら別れた後、フラポリーは世界樹をボリボリ食べていたようです。
フラポリーの前には腰を抜かした商人と護衛達が倒れています。

「ひいぃ! バケモノだ! 誰か! 助けてくれぇぇ!」
悲鳴に反応したのか、フラポリーは触手のうちの一本が持っている看板を見せました。
看板にはフラポリーが書いたらしい下手な字で、こう書かれていました。
『命が惜しければ食べ物全部置いていけ。』

カオスの勇者達の思いで再構築されたこの世界。
お忘れの方もいるかもしれませんが、フラポリーも一応勇者の一員でした。
そしてフラポリーの食べ物への思いは、世界の法則に影響を与えてしまったのです。
食物連鎖(連鎖してないような気もしますが)の頂点に、Flyng Polypが存在するように。
・・・これはこれで楽しそうなので、フラポリーは置いて帰ることにしましょう。
近い将来、フラポリーが一族を呼び寄せてこの地に君臨する。なんて未来もあるかもしれません。

・・・さてさて残念な事に。 PLの人の暗躍はここでいったん終了です。
上の方から帰還命令が出ましたのでね。
まだこの世界にはカオスの可能性(>>92とかです)が残されているのに無念でなりません。
創造主には抗えない被造物の悲しい性と言った所でしょうか。
ようするに。 今まで色々言ってきましたが、PLの人もただのPCに過ぎなかったという事です。

もちろん、PCであることに不満はありません。
なぜなら私のしたかった事とは、私のPLのしたかった事と同じなのですから。

自分がPLだと思っているみなさんも、もしかしたら誰かのPCかもしれません。
そんなわけはない。 自分はPCを操るPLだと自信をもって言える方。
そんな方の中で、自分の潜り込んでいる世界に刺激が足りないとお悩みの方はいませんか?
そんな時には、いつでもPLの人をお呼びください。
予想外の展開とカオスな話の連続に、きっと御満足いただける事でしょう。

97 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/06/21(火) 21:00:48.07 0
名前:アヤソフィア=エヴレン
職業:調査官(広域補助機関所属)
種族:人間
性別:女
年齢:19歳
身長/体重:164cm/51kg
容姿特徴:金髪をアップスタイルにして後頭部にシニヨン、白い肌、水色の瞳、右腕に虹蛇の呪的刻印
性格特徴:実直、自尊心が強い、常にむすっとした感じ
技能/魔法:【典礼魔術:B】【動物支配:B】【水棲:B】【対魔力:C】【剣術:D】【ステータス隠蔽:E】
装備:中世欧州風のブラウスに刺繍のスカート、ロングブーツ、竜皮のケープ、真銀の短剣
所持品:ガイア世界の通貨
キャラ解説:多世界間の安定を目的とした組織に属する女性、       

【>>ALL Player 初期舞台への配置は出来ていますが、特に要望が無い限り始動は全員が旧世界での行動を終えてからと考えていますっ】

98 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/06/22(水) 02:34:04.70 0
(参加希望です、よろしくお願いします)

名前:火野映司(ひの えいじ)
職業:旅人
種族:人間
性別:男
年齢:21歳
身長/体重:175cm
容姿特徴:ロン毛にエスニックな雰囲気の衣装、首にはスカーフ
性格特徴:能天気な風に見えるがしっかり者
技能:生物の力が秘められたオーメダルを駆使し戦うことが出来る
装備:オーズのベルト、メダル数枚
所持品:セルメダル、明日のパンツ
キャラ解説:明日のパンツがあれば何とかなると語る能天気な青年。
色々な場所を旅してきたようでそれなりに達観している感もある。
オーメダルとよばれる人間の欲望を糧に生まれた魔法のようなものを
手にしておりそれを駆使し「オーズ」に変身することが出来る。      



99 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/06/22(水) 22:33:34.23 0
「今日もいい天気だなぁ〜」

朝日を背に、1人の青年が海岸線を歩いていく。
彼の名前は火野映司。色々な世界を旅してきたが、彼の手荷物は
代えのパンツとそれに包まれた小銭が少々。
それだけが彼の全てであり、そして今日も彼はその小さな糧を手に
旅を続けていた。
様々な世界や国で出会った人々を見てきた彼は、やがて無欲になってしまっていた。
何も欲しくない、何も得たくない、何も壊したくない。
生きるものが持つべきもの、つまりは欲望を失っているようなものなのだ。
そんな彼にも、1つだけ失くしてないものがある。

映司の手にあるのは、3色のメダル。
生命の欲望を溜め込んだ、力そのものだ。
かつて、錬金術師が作り出したそれをある男から映司は渡された。
そして、彼を待っていたのは強大な欲望の化身との戦いであった・・・


その戦いから少しだけの休日があり、そして今ここに映司はいる。
新たな戦いが、欲望から生まれた世界を巡る物語が彼を待ち受けているとも知らず。

『ライトファンタジー 仮面ライダーオーズ 参戦』

100 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/06/25(土) 02:29:56.75 0
カオスの勇者達の活躍により世界は平和になった……かのように見えた。
がっ! そうは問屋が降ろさなかった!
だって色んな伏線を残したまま勢いで世界改変してしまったのだから仕方がない。
誰かさんのようにノリと勢いだけで突っ走っていると後からしわ寄せが来るのである。

―― 第19章開始 ――

世界改変を祝した大宴会から数か月の時がたった。

戯れる妖精たちの笑い声。
緑が生い茂り花香る木漏れ日の森の中心に鎮座するは竜神ソフィア。
まるで古の平和が甦ったかのような美しい光景。
「テイルよ」
「ん?」
「一向に雨が降らないのはどういうことだ? 外の世界は大地はひび割れ川は枯れ果てておる……!」
「やっぱりそう思う?」

ここで前の冒険を思い返してみよう。
「よく考えると今の君の属性って木・火・土(穏健派)・土(過激派)・金だよね」
「水のシャードは悪い方のソフィアに持って行かれたからな。ところでお主の弟はどこにいった?」
「スサノオ? そういえば行方不明のままだね」
「前章のボスだったレヴィアたんは?」
「さあ、どこかで着々と復讐の準備を進めているとは思うんだけど」

ソフィアはクイズ番組の出題者のように勿体ぶって問いを投げかけた。
「さて、ここで問題です。これらの行方不明キャラの共通点は?」
「水属性キャラが片っ端から行方不明だね」

ソフィアは今度は急に厳かな声に切り替えて言った。
「星の女神ガイアよ、人間界に赴き仲間を集めて世界を救うのです!」
一瞬第1章の最初に戻ったかと思った。
「うわ、すごいデジャヴだよ! 肩書が神に昇格してるけど!
じゃあソフィアは飛空艇代わりの乗り物ポジションよろしくね」
「了解っす」

そう、ボクは力を受け継ぎ女神ガイアとなったのだった。
といっても、全ての者が世界に影響を与える事が出来るこの世界では
逆に言えば一つの存在が絶対的な力を持つことはできない。
要するに今までと大して変わりはない。
一つ便利な事は、信託、つまり全世界の信者へ同時発信するテレパシーが使えるということだ。

―― 全世界の皆さん、勇者になって世界を救ってみませんか!? 旅の水先案内人はなんと星の女神が努めます!
三食昼寝付きのとっても楽な職業です! 一緒に冒険しよう!

「ふぅ、こんなもんかな」
とりあえず仲間募集の神託を発信した。
信者が対象といっても幸いボクは星の女神ガイアにして太陽の神アマテラス。
多神教の世界においては神託が聞こえる人の範囲は相当広いはずだ。
野菜を収穫して大地の恵みに感謝したり、初日の出を見て喜んだりする人ならボクの声が聞こえる事だろう。

「どうしよう、とりあえずスサノオを探してみるかな〜」
相変わらずのノープランだった。

101 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/06/25(土) 18:41:58.05 0
―――世界新生より三ヶ月後。

無限に広がるような虚空の中には、大聖堂を思わせる建造物が浮かんでいた。
世界守護者委員会≪ガーディアン≫と呼ばれる者達が、亜空間に設置した建造物である。
彼らガーディアンは、多世界が連鎖崩壊を起こす程の異変が発生する度に異世界へ戦士を派遣してきた。
デミウルゴス事変でのビャク・ミキストリの様に。

当然だが、他世界の異変を察知する為には調査の人員も少なからず必要とされた。
時には魔導技術に依る観測に加え、現地での調査が必要とされる事もあり、ガーディアンの下部組織には何百もの調査官が存在する。
聖堂風の建物から伸びる空中歩廊を小走りに駆けている女も、三ヶ月前に広域補助機関の調査官として配属された者だ。

女の名前はアヤソフィア=エヴレン。
双眸は真昼の空を凝縮して円形に嵌め込んだ空色で、白い肌は明るく輝く満月。
結い上げられた金の髪は邪魔にならないように後頭部で丸く纏められ、しなやかそうな肢体は成熟期の丸みを帯びていた。
対照的に表情は切れるナイフを思わせる鋭いもの。
表情の硬さは元々の性質に加え、彼女が先程受けた指令の緊張感が作っている。
異世界ガイアに存在する国、ロンダニア鋼国の天変地異。
この異変が他次元に及ぶかどうかを調査して報告するのが、アヤソフィアの最初の任務であった。

異変の規模について考え事をしながら歩いていたアヤソフィアは、不意に歩廊の先から現れた人影に気付かない。
この歩廊で人と擦れ違うことは殆ど無かっただけに、やや彼女の注意力も散漫になっていたのだろう。
次の瞬間、アヤソフィアは鼻梁に軽く衝撃を感じる事となる。
それで始めて誰かにぶつかってしまった事を悟った。

「あ……失礼しましたっ」

一歩下がったアヤソフィアが、自らの不注意を恥じて反射的に頭を下げる。
ぶつかった相手に謝意を伝えると、顔を上げたアヤソフィアは衝突した相手と顔を合わせた。
水色の瞳に映るのは、燃える様な朱の髪と戦士の雰囲気を灰色の外套で包む男。
アヤソフィアは彼と直接の面識は無かったものの、この戦士の名前には心当たりがあった。
三ヶ月前のデミウルゴス事変に端を発した世界新生は、彼女が配属された機関でも当時大きな話題となっていたから。

「朱の髪……もしかして貴方は勇名高いビャク・ミキストリ卿ですかっ。
 お目に掛かるのは初めてですが、お噂はかねがねっ……。
 私は広域補助機関に所属するアヤソフィア=エヴレンですっ!以後お見知りおきをっ」

表情に緊張の面持ちを浮かべたアヤソフィアは、軍人の様な堅い口調でもう一度礼を繰り返す。

「先程、ガイア世界の天変が異次元まで影響を及ぼす可能性がある、との事で私が調査を命じられましたっ。
 あの世界はデミウルゴス事変の起点となった世界ですから、おそらく世界の復元力も大きく働いているのでしょう。
 ガイア各地では、今も小規模な異変が幾つも起きているようです。
 まだ現地の状況は不明ですが、上層部の判断次第ではミキストリ卿にも指令が下るかも知れません。
 その時は宜しくお願いします……ではっ!」

三度目の礼の後、アヤソフィアは灰色の戦士が出て来た尖塔のアーチに姿を消す。
数多の異世界に渡る為の転送設備が用意された、次元律交錯塔の中へ。

102 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/06/25(土) 18:44:24.24 0
アヤソフィアが訪れたのは国名に鋼を冠する王国、ロンダニア。
牧歌的なガイア世界の中に時折存在する高い機工技術は、この国を発祥としていた。
広大な大河と豊かな森林、鉱物資源を利用しての大規模製鉄は他国の追随を許さない程である。
利便性の高い機工技術がガイア全土に広まらぬ理由は、技術伝播を好まない国全体での閉鎖的態度に起因していた。
高い技術を独占していれば、ロンダニアを嫌っていても機械類は彼らから買うしかないからだ。
技術流出の防止に設けられた厳しい出入国制限の為、ロンダニアは機械の輸出国ではあっても長らく謎の国として知られていた。

三ヶ月前、この国を天変地異が襲う。
災厄は大河を、樹木を枯らし、荒廃する土地に惹かれた魔物の群れを跋扈させた。
水の枯渇と、それに依る食料の供給不足は深刻で、自国にて全てを賄えなくなった鉄の国は解放的性格を持つ事を余儀なくされる。
不毛の地で排他的であっては生き残れないが故に。
ロンダニアは交易の隊商を増やし、他国の貿易船団を受け入れ、魔物討伐に大勢の冒険者を募る。
望まぬ災厄がロンダニア鋼国の人々の意識を外向的なものに変えつつあった。
魔物の襲来に備えて兵団に守備されているとはいえ、今やどの都市への出入りも自由であり、誰もが気ままに歩き回れる。
首府エルク・ロンダニアを往来する雑多な人々の中には、アヤソフィアの姿もあった。

>>99
ロンダニアの首府は火野映司が歩き続けた海岸線の先、流れを細らせた大河の河口付近に位置している。
整然とした大通りに立ち並ぶのは、瀟洒な赤煉瓦の建築群。
辻々には紋章の描かれたマントで身を包む歩哨たちが、装飾を施された長身銃を持って見張っていた。
街の雰囲気は、地球の歴史で言うなら中世よりも近世に近い。

「……かなり技術的な文明が進んでいますね。資料によれば魔法が普及する世界のはずでしたが。
 ともあれ、まずは情報収集です。確か異世界探索マニュアルによれば、公共の施設等で人の集まる所が最適とありましたね」

アヤソフィアは街を包む熱気にも表情一つ変えず、建物に掛かる看板を一つ一つ丹念に見ながら大通りを歩く。
やがて彼女は“冒険者歓迎”や“魔物討伐に人員募集”と看板に書かれた建物を見つけると、顎に手を当てて扉の前に佇み始めた。
果たして、中に入って良いものかどうかと迷った様子で。

【>>ALL 冒険者用の建物の前で出入りの邪魔をしている】

103 :名無しになりきれ:2011/06/26(日) 03:42:57.55 0
>>99
失せろバカ

104 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/06/26(日) 09:07:50.32 0
「え?通行証?あ、ありますよ……あ、これこれ。
あ、違う。これは明日のパンツだ。す、すいません!すぐ出しますから。」


海岸線を歩いてきた青年、火野映司は国境のゲート前で足止めを食らっていた。
2人の警備兵は映司の持ち物を検査しながら呟いている。
「お前、そんな手荷物だけでよくここまで来れたな……」
「パンツと所持金がそれだけって……」

ようやく映司は通行証を取り出し警備兵へ渡す。
落書きがされた汚い通行証には子供の絵が描かれている。
「行けますって!明日のパンツと、少しのお金があれば。
案外、旅も手ぶらな方がいいと思いますよ。
あ、この絵は旅の途中で会った子供たちに書いてもらったんです。
なかなかいい絵でしょ?」

映司のペースに振り回されながら顔を見合わせた警備兵は通行証に判子を押して
ゲートを開いていく。
「最近、この辺りじゃ魔物や不穏な出来事が多い。気をつけろよ。」

「ありがとうございます!じゃ、行ってきまーす!」
映司は警備兵の警告に、大きく右手を上げて笑顔を浮かべる。
そしてそのままパンツを包んだ風呂敷を肩に背負いゲートの向こうへ歩き出した。

―― 全世界の皆さん、勇者になって世界を救ってみませんか!? 旅の水先案内人はなんと星の女神が努めます!
三食昼寝付きのとっても楽な職業です! 一緒に冒険しよう!

「……なんだ?今の声。放送ってわけじゃなさそうだな……頭に直接入ってくるような。」

映司の心に直接響いたような声。その主を周囲に探すが残念ながら見つかりそうにない。
ゲートを潜り現れた街の独特の雰囲気に圧倒されながらも映司はある建物を見つける。
“冒険者歓迎”や“魔物討伐に人員募集”と書かれたそれを見つめながら映司は
そこの前に立つ女性の隣で風呂敷を広げ始めた。

「さっきの声ってこれの事かなぁ……世界を救うなんて自信はないけど
目の前で苦しんでる人がいるなら俺にも出来ることありそうだし。
……あ、食べます?近くの村でもらったお菓子なんですけど。」

そう言って映司は女性へお菓子を差し出した。




105 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/06/27(月) 03:15:46.27 0
>>101
アヤソフィアの隣には、いつの間にか飄々とした雰囲気の男が風呂敷を広げて座り込んでいる。
男の顔形や風貌はガイア人とは、少し異なっているようにも見えた。
彼は何を思ったのか、不意にアヤソフィアへ菓子を差し出して来る。

「……ありがとうございます」

自分はそんなに飢えているように見えたのだろうか、と自問しながらもアヤソフィアは火野から菓子を受け取った。
すぐに口にしないのも礼を失すると考え、彼女が菓子を口元に持ってゆくと、パリンと軽快な音が鳴る。
ウェハースの様な焼き菓子は素朴ながらも、味わいが有って美味しかった。

「御馳走様でした。とても美味しかったです。
 私はアヤソフィア=エヴレン。異世界間の安定――――」

自らが所属する機関名を言い掛けて、アヤソフィアは思い出す。
異世界探索マニュアルに、信頼できる者以外に自らの正体を晒してはならないと書かれていた事に。

「い、いえ……私は天変地異の原因を調査していましてっ。
 そう言えば、こんな所でたむろしている我々は、とても通行の邪魔になっているのではないでしょうかっ。
 えっと……それでは私はこれでっ!」

アヤソフィアは不審さを誤魔化す様に言葉を被せると、冒険者を募る看板を掲げた建物の中に入ってゆく。

106 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/06/27(月) 03:19:09.12 0
建物に足を踏み入れたアヤソフィアを迎えたのは、燻ぶる紫煙と安酒の匂い。
大きめのホールに見られるのは幾つもの円卓と、そこで飲食や雑談に興じる者達の姿。
この建物は魔物討伐に訪れた冒険者達の登録機関であり、宿泊施設であり、情報交換の場でもあった。
ガイア世界での一般的な言葉でなら、冒険者ギルドとの呼称が相応しいだろう。
冒険者とは、魔物退治や秘境探索を生業とするアウトローの総称である。
彼らはロンダニアが魔物討伐の募集を掛けると、新発見の金鉱脈に殺到するが如く集まって来た。

『見ない顔だな……あんたも冒険者か?』

近くの円卓に座っていた男が、値踏みするようにアヤソフィアを眺める。
その精悍な風体は一目で歴戦の戦士のものと分かった。
アヤソフィアは戦士の質問にどう答えたものかを迷った末、言葉を選びながら答える。

「いえ、私は天変地異の原因を付きとめたいと思っています」

『ほう……天変地異なら大峡谷(グランドキャニオン)の辺りが特に酷い。
 あの辺りは大河が走る森林地帯だったんだが、大旱魃の影響でたったの三ヶ月で深い谷と化してしまった。
 今では魔物の温床と成り果て、かつて森が有った頃と変わらないのは狼の群ればかり。
 あんたにそれなりの腕があったとしても、魔物が集まる大峡谷を単独で捜索するのは自殺行為としか言えん。
 歴戦の冒険者で編成した討伐隊でも、ニ割は帰って来ないのだからな』

ギルドの戦士は渋い声を一転させて、冒険者についての説明を続ける。

『その魔物達を討伐する為に、ロンダニアの領主は冒険者ギルドとして冒険者集団を組織化した。
 我々は、複数人から為る冒険者を編成して魔物の討伐に当たる。
 報酬は日当制で、金額の多寡を決めるのはグランドキャニオンに居られた日数。
 討伐の証明に一々魔物の死体を持ち帰るのでは、労力が掛かって仕方ないんでな』

彼は探魂の術を用いて居場所を探るので、魔物討伐を放棄すればすぐに分かると捕捉する。
そして説明を終えると、アヤソフィアを意味ありげに見る。

『俺の眼から見れば、君たちもそれなりの腕は持っているように見える。
 俺達としても生き残る確率が増えるわけだから、腕の立つ仲間は歓迎だ。
 どうかな?君たちも冒険者としてやってみないかな?
 報酬は悪くない。別の目的があるにしろ、魔物の棲みかに一人では向かえまい』

「そうですね。調査の為には現地の人間の協力を得るのも必要であるとマニュアルに……君たち?」

アヤソフィアが“君たち”との言葉に疑問を感じて背後を振り返ると、いつの間にか火野の姿があった。
ギルドの戦士には、彼も連れであると思われたのだろう。

『おっと、連れでは無かったか?
 まあ、どちらも冒険者になってくれるんなら、すぐに一緒になるかも知れないが。
 討伐隊に同行するメンバーは、自分で気の合う奴を見つけるのが一般的だからな。
 誰も、仲間割れしかねない奴とは御一緒したくないって訳だ』

討伐隊への参加に必要なのは、名前の登録と探魂の術に必要な毛髪を一本提供する事のみ。
続いて報酬を受け取る権利を放棄すれば、いつ抜けるのも自由であるとの説明も受ける。
思案した結果、アヤソフィアは冒険者の一人としてグランドキャニオンの探索に当たる事を決めた。
彼女は小走りに奥のカウンターに向かうと、速やかに登録の手続きを行う。

「まずは仲間探しと情報収集を並列して行い、しかる後に食料装備品の調達です」

いささか気負いながら、アヤソフィアはホール内の人物達に声を掛けて、自分に同行してくれる冒険者を探し始める。

「私はアヤソフィア=エヴレン。魔術を得意としているので、近接戦闘を得意とする方を探していますっ」

107 :◆t7kjAY7URg :2011/06/27(月) 04:16:00.47 O
世界は改変され新生された

「うん!一緒に冒険しよう!」
信託をテイルのすぐ隣で聞いていた男は元気に立ち上がる。改変後、男は自分の元いた世界ではなくテイルの森に住んでいた。
もともと男が住んでいた世界も上手い具合に新生されたにちがいないが、帰れていないので本当のことはわからない
とにもかくにもテイルの住む世界には新しい国や街が生まれ続けている。願いを孕んだ世界樹は、今も成長を続けているのだろう

「テイルちゃん。てはじめにロンダニアに行ってみるってのはどう?噂だとあの街には、たくさんの冒険者が集まっているらしいよ。
それと大峡谷になにか異変があるって旅の人が言ってたよ」

男が話終えると森の奥から機械の音がした
茂みを高速の物体が接近してくる
「テイルちゃん危なあい!」
銃声が響く。男の胸が血で染まる

テイルの目の前に現れたのはエアバイクのようなもの。
エアバイクの男はテイルを轢き殺さんと猛スピードで迫って来る
テイルにはその男に見覚えがあった。エアバイクの男は「男」の顔と瓜ふたつだったのだ


その後、エアバイクの男はソファアに攻撃されてロンダニア方面に逃走。もう一人の男は、なんと石になりつつあった

「て…い…る…ち…ゃ」

銃弾には特別な石化効果があるみたいだ。男は石像になった

108 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/06/27(月) 19:22:56.50 0
>>105
>「御馳走様でした。とても美味しかったです。
 私はアヤソフィア=エヴレン。異世界間の安定――――」

お菓子を食べ終えた女性は自分の名前を名乗り、何かを言おうとしたが
やめてしまう。
映司は何か事情があるのだろうと察し、手を横に振り笑顔を浮かべた。
「あ、いえいえ。このお菓子美味しかったから、やっぱ
幸せってみんなで分けたほうがいいと思いますし。
俺は火野映司っていいます。」

女性は何かを言い終えるとそのまま建物の中へ入っていく。
映司はその姿を見送りながら建物に集まってくる武器を持った人々に
何かが起こりそうな予感を抱いていた。

>>106>>107
映司が建物の中へ続いて入っていくと、その中には屈強な男達が
タバコや酒を嗜みながらも鋭い眼光でこちらを見つめていた。
小さく会釈をしながら映司はその部屋の一席へ腰掛ける。
すると、先ほどの女性の声が聞こえた。映司は席から身を乗り出し話に聞き耳を立てる。

>『見ない顔だな……あんたも冒険者か?』
>「いえ、私は天変地異の原因を付きとめたいと思っています」

「天変地位……?俺がこの前寄った村の井戸が枯れてたのもそれが
関係してるのかな。」

映司がアヤソフィヤに渡した菓子。あれは村で出会った少女がくれたものだった。
長い干ばつに苦しんでいた村の為に、井戸を復旧しようとした。
しかしうまく行かず映司はある方法で水を渡しただけだったが。

>『おっと、連れでは無かったか?
 まあ、どちらも冒険者になってくれるんなら、すぐに一緒になるかも知れないが。
 討伐隊に同行するメンバーは、自分で気の合う奴を見つけるのが一般的だからな。
 誰も、仲間割れしかねない奴とは御一緒したくないって訳だ』


映司は席から立ち上がりながら声を上げる。
目の前で、何かに苦しめられている人たちがいるなら
手を伸ばさずにはいられない。それが火野映司の性だから。

「俺、どこまでやれるかわからないですけど……
手伝わせて下さい。持ち物は、パンツと小銭しかないですけど…あ、あと。」

映司の手に握られていたのは、赤緑黄の3種類の色のメダルだった。
そのメダルが鈍く輝くように、映司の目も光に満ちながら前を見据えていた。





109 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/06/27(月) 22:39:29.04 0
世界は新生し、新たに生まれ変わった――
しかしそれはあくまでたった一つの世界で引き起こすはずであった
未曾有の事態が回避されたのであり、未だに多次元世界には
連鎖崩壊を起こす事象等の危うい均衡状態の世界は数え切れないほど存在していた――

改変を見届けた後、別の多次元世界崩壊の確率を高める災厄の根絶とそこに生きる善良な人達を守るため
呼び戻され再びその世界まで旅立っていた。
その身に受けた咎からは今は解放されずとも、己の使命とかつての仲間達に胸を張れる様戦い続けていた。

>>101
幾多の戦いを乗り越え、世界守護者委員会≪ガーディアン≫の上層部の一人知りえる者の呼び出しを受けて
しばらくぶりの帰還する。
次元律交錯塔の門<ゲート>から自身の構成情報を収束し、いつもの慣れた感覚で具現化させてから
その場から離れ真っ先に直接知りえる者に話を聞きに行こうと歩廊を歩いていた矢先、一人の女性とぶつかる

>「あ……失礼しましたっ」

「ッ!…前方不注意だな?気をつけたまえよ?」

立ち止まり、注意不足を告げながらその女性に視線を向けると
どこか知っている人物に一瞬見えたのだが、気のせいだろうか?
しばし視線を向けて思い出そうとしていたが、彼女から自分の髪の色を言われた直後
初対面のはずだが、自分の名前を当てられる。

>「朱の髪……もしかして貴方は勇名高いビャク・ミキストリ卿ですかっ。
 お目に掛かるのは初めてですが、お噂はかねがねっ……。
 私は広域補助機関に所属するアヤソフィア=エヴレンですっ!以後お見知りおきをっ」

「確かに俺はビャク・ミキストリだが…噂?」

世界守護者委員会≪ガーディアン≫に存在する恒久戦士の中でも
存在しないはずのEX―エクストラ―ナンバーに属している
しかし世界改変以降、主流中継地点(大聖堂)に戻っていないため
有名になっているのは知らない事は仕方ないのだが

>「先程、ガイア世界の天変が異次元まで影響を及ぼす可能性がある、との事で私が調査を命じられましたっ。
 あの世界はデミウルゴス事変の起点となった世界ですから、おそらく世界の復元力も大きく働いているのでしょう。
 ガイア各地では、今も小規模な異変が幾つも起きているようです。
 まだ現地の状況は不明ですが、上層部の判断次第ではミキストリ卿にも指令が下るかも知れません。
 その時は宜しくお願いします……ではっ!」

「ああ、その時はよろしく(そのことでもしかして呼び出されたのか?)」

同行のする可能性の旨を告げられると足早に自分が来た反対の方向に進んでいった
こちらもこんな所で立ち止まっている理由も無いため目的の場所に少し急いで向かった。



110 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/06/28(火) 01:01:23.46 0
時が進み、所変わって大峡谷にビャクは最初に降り立っていた。
目的はアヤソフィアと同じだが、彼女と違う点はとある指令―オーダー―を受けている事だ
そこは良質な木材が取れとても綺麗で澄み切った水の流れる大河のある
かつての森林地帯は見る影も無く、そこは広く現在は深い谷となっている。
おまけに目前には複数の冒険者がおり狼の群れに囲まれていた
傍から見れば冒険者達はおそらくは貿易船団を引き入れたせいで技術が流出し
安くそして何処にでも手に入る物になった自分達の製品が売れなくなった
あるいは人件費削減の為に職を失った者達が冒険者になったように見える
その証拠に武器を構えた手は震えており戦い慣れた様子や素人感が丸出しである。

「ちくしょう…」
「母ちゃんごめん…」
「これまでか…」

狼達は格好の得物を見つけ、唸り声を上げながら決して逃がそうとしない
完全に囲まれ冒険者達に逃げ場などどこにも存在しない。
すでに諦めつつある冒険者一行は運命を受け入れようとしていた。

「助ける義理はない…か」

そんな事を呟き、背を向けて立ち去る動作を取る
直後に何頭かの狼は痺れを切らし、冒険者一向に牙を剥き出しに飛び掛る
怯えながら覚悟を決めた冒険者達は目を瞑る
しかし―襲い掛かる狼数匹は風を切った複数の矢に射抜かれ、床に転がる

「…かと言って見て見ぬ振りをする事も出来んか救いようが無いな我ながらな
諦めるにはまだ速いぞ!貴様等にも大切な者がいるのだろう?
こんな所で犬死するのがお望みか!?しっかり生きる意志を持て!
貴様等の帰りを待っている者達がいるのならば無様でも足掻いて見せろ!」

苦笑いをしながらも召喚した禍々しい和弓を構え、狼達に照準を合わせながら
うろたえ戸惑っている冒険者達に叱咤していた。

111 :チェイニー@NPC ◆666/MyrH6U :2011/06/28(火) 18:46:27.47 0
>>110
「そうだ……こんな所じゃ死ねない!」

ビャクの叱咤を受けた少年は槍を構え、狼の群れに向かって駆け出した。
彼はビャクの矢で弱った狼に狙いを定め、渾身の勢いで槍を突く。
少年が自らの技術で改良した機械仕掛けの槍は、標的に命中する瞬間、さらに勢いを増した。
鋭い切っ先を迎え入れた獣は、その痛みに背を反らせ、一度大きく痙攣した後に動きを止める。

「やったぞ、やれる!僕たちにも!」

上がったのは鼓舞の激声。
勇気を得た彼の仲間たちは狼の群れを蹴散らすべく、槍持つ少年に続いた。
ビャクが加勢の追撃を掛けるまでも無い。
今までは指が震えて命中しなかった少年達の銃が、腰が引けていた長剣の斬撃が、見違えるように狼の群れに手傷を負わせる。

“狼の命を奪う”

それこそが魔物で溢れる大峡谷から一向に狼が減らぬ理由であるなどとは、誰もが考えなかった。
少なくとも、灼熱の陽光が大峡谷に理性の光を灯している間は……。

残った狼は数頭の仲間が殺されるのを見ると、散り散りに逃げ去ってゆく。
それを冒険者たちが追う事はない。
狼は自然の生き物であり、魔物討伐を任務とする者たちが無闇に狩り尽くす理由は無いのだ。

「助かった……ありがとうございます。
 貴方が来なければ、諦めてしまっていたかも知れません」

当面の脅威が去ると、新参者らしき冒険者一行は援護を受けたビャクに近づき、感謝の言葉を述べた。
槍を持った少年はチェイニーと名乗り、狼にすら苦戦を強いられる彼らが、魔獣の棲まう地に足を踏み入れた理由を語る。
大旱魃の深刻さと、他国に技術が流れる影響と、それでも日々の糧を得なければならない事を。

安全な都市で平和に生きてきた彼らは、冒険者としては明らかに力不足であった。
己の力量も、戦うべき魔物の力量も理解しておらず、魔獣も大きな熊や虎くらいの認識しか持っていない。
もし、彼らだけでキマイラの様な魔獣と遭遇すれば、一人も生き残る者はいないだろう。
そして大峡谷を一時間も歩き回れば魔獣の姿を見ない方が難しい。
しかし、狼の群れを撃退した自負が、彼らの気を大きくし、高い代償を支払わせる任務を選ばせてしまう。
彼らは、このまま大峡谷で魔物討伐を続けて報酬を得るつもりのようであった。

「ところで貴方も冒険者ですよね?それなら僕たちと一緒に行きませんか?」

チェイニーは特徴的な緑の瞳に期待を込めて、ビャクに同行の提案をした。

112 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/06/28(火) 18:49:15.41 0
>>108
討伐隊のメンバーを探すアヤソフィアに、手伝わせて下さいとの声が掛かった。
声の主は先程お菓子を差し出して来た青年。
彼は異国の硬貨と思しきメダルを握りしめ、真摯な瞳でアヤソフィアを見つめている。

「確かヒノエイジと仰いましたね。貴方も冒険者の方でしたか。
 こちらこそ、よろしくお願いしますっ。
 ですが……おそらく下着と小銭だけでは魔物と戦えません!
 まずは武具の調達をするべきではないでしょうか?」

しばらくホールで情報を集めた結果、大峡谷にはマンティコアやグリフィンといった魔獣すら生息しているらしかった。
これらの魔獣は人間が相対するには、あまりにも危険な怪物たちである。
一騎当千の冒険者ですら、一対一では危うい。
生半可な装備で彼らの生息地に足を踏み入れれば、あえなく殺されてしまうだろう。

「此処には冒険者用の購買施設が併設されているそうですので、まずはそちらへ行ってみましょう」

隣接する建物には様々な武器防具や、その他テントやランタン等の冒険者用必需品が一揃いしていた。
長剣にクロスボウに長銃、大盾に兜にプレートアーマー。
まずアヤソフィアは寝具や携帯食料等の冒険用品を揃え、続いて武具の幾つかを眺めまわしつつ火野に言った。

「残念ながら、ここにはそれほど質の良い装備品はありません。
 それでも素手よりはましだと思いますので、装備を整えてはどうでしょう。
 手持ちのお金ならありますので、それほど高い物でなければ路銀が尽きる事も無いと思います。
 そうですね……ヒノエイジ、この斧と盾などどうでしょうかっ?」

アヤソフィアが見るからに実用一辺倒なデザインの斧と盾を手に取った。
特に魔力が込められた品ではないが、どちらも力量のある者が使えば、それなりの性能を発揮するだろう。
そのようなショッピングという言葉には少々不似合いなやり取りで、しばしの時が流れる事となる。
時刻は正午を幾らか回った頃だろうか、ホールでは何隊かの討伐隊が準備を終えて出発する様子を見せていた。

「……そろそろ幾つかの討伐隊が出発するようです。
 我々も彼らに同行して、大峡谷に向かいましょう。
 一度大峡谷に行けば、長期間戻ってこれないと思われます。
 他に何か準備があれば、市街地にいる間に済ませて置いて下さい」

アヤソフィアは燦々たる日差しに灼かれる街路に出ると、火野に万事に遺漏が無いかを問う。
猶、下着や着替えの購入は織物店で行うことが出来るようだった。
紡績技術の発達から、織物店ではユニオンスーツなどの近世風の下着の他、近代的な物までもが陳列されている。

全ての用意が整えば、討伐隊は魔導機車に乗り込んで大峡谷に向かう事となる。
魔導機車とは、討伐隊の搬送に用意される貨車。
魔力ある石を内燃機関とし、動く小屋とでも形容すべき有蓋の輸送機具であった。
馬が魔物を恐れて狂乱するのを避ける為に、馬車を用いる事は出来ないのだ。

「これに乗れば数時間で大峡谷付近に着くそうです。
 ……もし引き返すのなら、今が最後のタイミングでしょう」

アヤソフィアは街外れに停まる魔導機車の一つに乗り込むと、火野にそう声を掛けた。
まるで、戦地に向かう覚悟を問うかのように。

【>>火野映司 魔導機車に乗り込み、出発を促す】

113 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/06/28(火) 22:01:01.33 0
>>112
>「確かヒノエイジと仰いましたね。貴方も冒険者の方でしたか。
 こちらこそ、よろしくお願いしますっ。
 ですが……おそらく下着と小銭だけでは魔物と戦えません!
 まずは武具の調達をするべきではないでしょうか?」


「ハハ、まぁパンツだけじゃ無理ですよね。わかりました。武器、ですか。」

映司はアヤソフィヤに連れられ、武器が売られている施設へ向かった。
そこでは様々な防具や武器が売られており次々に渡されていく防具などを
手にした映司はその思わぬ重さに驚いていた。

「……これはちょっと重いですね。あ、この皮のやつなんか軽くていいかも。
斧と盾と……うおっ!?重た……あ、いや大丈夫です、たぶん。」

他にも店を周り必要な品々を取り揃えた頃、討伐部隊が揃い始めた時間になっているようだった。
>「……そろそろ幾つかの討伐隊が出発するようです。
 我々も彼らに同行して、大峡谷に向かいましょう。
 一度大峡谷に行けば、長期間戻ってこれないと思われます。
 他に何か準備があれば、市街地にいる間に済ませて置いて下さい」

映司は薬屋で買った薬草などを取り出しながら頷く。
準備は万端であるが、少しだけ不安も心に過ぎる。
しかし、彼の心の中にあるのは純粋に誰かの助けになりたい。
それだけであった。

「ええ、なんとか準備出来ました。武器とか買うの初めてだったんで、
アドバイスして貰えて助かりました!ありがとうございますっ!」

やがて歩いていった先にあったのは、街外れに存在する巨大な機関車。
映司の住む世界にあったそれらとは少しばかり異なる外見に
思わず息を呑まずにはいられなかった。

「す、すごい……ですね。こんなの見た事ないですよ。
やっぱ大江戸線や山の手線とはワケが違いますね……あ、いや何でもないです。」

>「これに乗れば数時間で大峡谷付近に着くそうです。
 ……もし引き返すのなら、今が最後のタイミングでしょう」

アヤソフィヤはそう告げると、颯爽と機関車の中へ乗り込んでいく。
その中には屈強そうな男達や、かと思えばひ弱そうな青年も見受けられる。
それぞれがそれぞれの覚悟や不安を抱きながら、これから向かう先に待つ
ものをただ受け入れようとしている。
そんな姿を見た映司には、もはや迷いなど浮かばなかった。
アヤソフィヤに続き、車内へ乗り込んでいきながら中にいる人々へ声をかける。

「みなさん、絶対生きて帰りましょう!俺、火野。火野映司っていいます。
宜しくお願いします!!」

【機車に乗り込みながら挨拶】

114 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/06/29(水) 00:18:23.50 0
>>107
>「テイルちゃん。てはじめにロンダニアに行ってみるってのはどう?噂だとあの街には、たくさんの冒険者が集まっているらしいよ。
それと大峡谷になにか異変があるって旅の人が言ってたよ」
「さすが男さん、情報通!」

そこに突如としてエアバイクが突っ込んできた!
これが今流行の交通インフラによる神殺しってやつか!
>「テイルちゃん危なあい!」
「のわあああ!?」
男さんがボクを庇って謎の男の凶弾を受けた!
「安心して、すぐに治してあげるからね! ……え?」
謎の男は男さんと瓜二つだった。
「……双子?」

「止まれ曲者お!」
ソフィアがエアバイクの男を仕留めるべくブレスを吐き出す。
が、奮闘むなしく華麗なバイク捌きで逃げ去った。
「逃がすか! ソフィア、すぐに追って!」

>「て…い…る…ち…ゃ」
「男さん!?」
銃弾にステータス異常効果があったようで、男さんは石化した!
「【プリズミックレイ】!!」
すぐさま解除魔法をかける。ゾンビ化すら解除する最強の状態異常解除魔法。
「これで治ってくれるといいんだけど……」
石化中の男さんをソフィアの背に固定する。

ソフィアが言った。
「早く追うぞ! ロンダニア方面だ!」
「うん!」
ボクが背に乗ると、ソフィアは空高く飛び立った。

115 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/06/29(水) 21:14:41.73 0
>>113
魔導機車の中は比較的広く、十数人の人間が乗車しても余裕がありそうだった。
椅子は備え付けてないようで、冒険者たちは端に積まれた綿の敷物を各々が席として用いているようである。
乗客たる冒険者たちは、新たに乗り込んで来た新参者を一瞥するだけの者もいれば、好奇の目で見る者もあった。
その好奇の目を持つ者の一人が、客席から立ち上がって火野に近づいてくる。
目の覚める様な緋色のローブを纏った女が。
その杖を持っただけの軽装を一目見て、アヤソフィアは彼女を魔術師であると推測した。

『こちらこそ宜しく、火野さん。
 私はサマンサ、幼馴染の三人で世界中を旅してる生粋の冒険者よ。
 今回はリーダーが魔物退治したいって言うから、この討伐隊に参加したんだけど……当人は暑さでこのザマ』

緋色のローブを纏った女は自らの素性を語ると、同行する仲間達を杖で指し示す。
彼女の二人の仲間達は、堅い木材の床で寝転がっていた。
サマンサが手に持った杖で青服の男を小突くと、彼は小さく呻いてそれを払う。
アヤソフィアが挨拶を掛けても彼らは眠ったままだった。

『大事よね。生き残るのって。今は世界樹の葉も使えないし。
 こっちのは、もう何十回死んだか分かんないわよ?
 この三ヶ月程は大丈夫だったけど……まったく、人の気も知らないで』

サマンサはしゃがみ込むと、今度は緑服の仲間の頬を細い指で軽く突く。
彼女は世界樹と霊的に繋がる大樹の葉を利用すれば、今までは容易く死から蘇る事が出来たと語る。
しかし、源たる世界樹が円環状に姿を変えた為、世界樹のミニチェアたる各世界の霊木も少なからぬ影響を受けたのだろう。
今は奇跡を与える大樹も全ての葉を枯らしてしまい、彼らが今まで用いてきた蘇生の術も断たれてしまっていた。

「死者の蘇生ですか。噂には聞きますが実在する世界に来るのは初めてです。
 しかし蘇生魔術が存在していても、慎重を期するに越した事は有りません」

>>114
アヤソフィアが部屋の隅から取って来た二人分の敷物を床に置こうとした時、甲高い音が鳴り響く。
割れる様な警鐘の金属音と、歩哨達が撃ったのであろう幾つもの銃声が。
それは、ロンダニアの首府へ魔物が襲来した事を告げていた。

「ヒノエイジ、どうやら魔物が向こうの方から来てくれたようです」

アヤソフィアが窓を眺めると、蒼穹の中には長大な蛇の如き異形が駆けていた。
それは見る間に大きさを増してゆく。

「あれは……竜です!」

アヤソフィアの言葉に、魔導機車の中は鼎の中の湯が煮え立つ様に騒然となった。
竜種は幻獣の中でも特に強大な力を持ち、たった一頭で街を壊滅させる事も可能である。
それが進路を真っ直ぐにして、此方へ向かって来ていた。
竜は恐るべき存在ではあったが鱗にも牙にも魔力を宿し、それらは武具や魔術用品へと変えられる。
応戦の見返りが大きい故に、狩ろうとする者も少なくない。
ましてや、今この街には大勢の冒険者が集っている。
竜の襲来を聞いて即座に魔導機車の屋根に登った数人の冒険者が、魔術の火球で、魔導銃で、弓で応戦の準備を始めていた。

「竜の進路は此方の様です。我々も街の防戦に加わりましょう」

アヤソフィアは外に飛び出すと魔術の詠唱を始める。
彼女の口から紡がれた韻律と複雑な身ぶりとは、白光に輝く魔力の矢を生じさせ、空を駆ける竜に向かって放たれた。
同時に街中の冒険者から無数の矢と銃弾が射かけられ、魔術で生み出された火球が投げられ、魔導銃の稲妻が伸びる。
恐るべき脅威である竜を退け、街を守る為に。

【>>ALL ソフィアに魔力の矢を放つ】

116 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/07/02(土) 00:34:48.31 0
>115
ロンダニアに近づくと、銃撃を浴びせられた。
「どうやら歓迎されているようだ……」
「ピキピキ、ボク悪いドラゴンじゃないよ!」

が、そこは龍神、銃弾の弾ぐらいは軽く弾き返すので問題ない。
しかし勇者の伝説は数あれどマスタードラゴンやラーミアに乗っていて銃撃されたなんて話は聞いたことが無いぞ。
いつからこの世界はモンスターハンターになった!?

かなり強力そうな魔法まで飛んできて、悠長な事を言っていられなくなった。
ソフィアがあっけらかんと言った。
「ええい面倒だ。ブレスで吹っ飛ばそうか」
「今からパーティーメンバー集めをしないといけないのにそりゃあないよ」
「冗談だハハハ」
だとすればやる事は一つ。連携して魔法防御結界を作り上げる。
「「防御結界イージス!!」」

結界をはったまま、ゆっくりと硬度を下げていく。
その間にボクはこの前の神託の続きを発信した。

―― そうそう、勇者の特典はもう一つあったよ!
ドラゴンの背中に乗って冒険なんてステキじゃない!?
途中でコンビニや銀行に寄りたくなっても大丈夫! 
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「……なーんちゃってね」
ソフィアの背から列車の屋根に飛び降りる。
ドラゴンはモンスターと認識されても妖精はよもやモンスターだとは思われないだろう。
「へ〜、冒険者が集まってるとは聞いてたけど随分大規模だねえ。どこに向かってるの?」
どこか不思議な雰囲気の女性と男性にそれとなく聞いた。

117 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/07/02(土) 21:14:57.04 0
>>116
浮揚する竜は向かってくる攻撃を魔力障壁で防ぎつつ、高度を下げながら地上へ近づいてきた。
アヤソフィアの目に映るのは、魔導機車すら上回る体躯を持った虹色の巨竜。
竜の体長は古代の地球に存在した恐竜のうち、最大種のものに匹敵する程であろうか。
それほどまでに巨大なソフィアが地表に近づいた事で、人々の心に巣食う恐怖は破裂し、エルク・ロンダニアは壊乱に陥った。
交錯する悲鳴に怒号、惑乱する精神。
大通りは逃げ散って行く人々、立ち竦む人々、さらなる攻撃を掛けようとする冒険者で混乱する。

続いてテイルの行った神託は、冒険者達にさらなる衝撃を与えた。
唐突に星の女神が顕現した驚嘆と、人々から崇められるべき神に攻撃してしまった畏れとを。
神託が何者から発されていたのかを理解した者の内、ガイア信仰を持つ何人かは絶句し、額を地に擦り付けて赦しを乞う。
神に対する本能的な畏れが、彼らにそうさせていた。
人は神を畏れ、決して同質のものとは感じない。
神託という形で人に対して神の力を見せながら、人に対して神として扱わないで欲しいと願っても無理な事。
どれほど両者が近づこうとも、刹那を生きる人間と永遠を生きる神の間には、決して埋められぬ意識の隔たりがあるのだから。

そして冒険者の中には、畏れではなく、怖れを感じる一群もあった。
武器を収め、ソフィアへの攻撃こそ止めたものの、目に不審と警戒の念が浮かべている者達が。
彼らはテイルの神託の内容と外見から、この妖精が本当に星の女神なのかという疑問を抱いていた。
しかし現実に強大な竜を従えている妖精に、敢えて気分を損ねかねない質問をしようという者もいない。

逆らえば何をされるか分からないとの恐怖と、巨大な力に対する諦め。
己が敬虔な信徒であるとの自負と、齎されるであろう恩寵への期待。
神がロンダニアに顕現する事を選んだとの一事が、彼らの心を大きく揺らす。
ただ出現しただけでも、テイルがロンダニアに与えた影響は甚大であった。

118 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/07/02(土) 21:17:00.00 0
テイルは竜から飛び降りて魔導機車の屋根に降り立つと、大勢の冒険者がどこへ向かうのかを問いかけてくる。
しかし、アヤソフィアは答えの代わりに咎めの一声を放った。
その外見から妖精族であろうと判断して。

「妖精、貴方はドラゴンライダーですか?
 それにしては乗っているドラゴンが、かなり巨大なようですが。
 現在、この国は頻繁に魔物の襲来を受けているようです。
 街の人間の気持ちを考えるなら、幻獣の使役には充分な配慮をすべきではないでしょうか?」

アヤソフィアには神託が全く聞こえなかった為、星の女神となったテイルに対して叱責する事も厭わない。
そして剣の視線で見つめながら、為された問いへの答えを返す。

「我々は大峡谷に向かう所です」

『そう……私たちは魔物という魔物が集まってる大峡谷に向かう所よ。
 もちろん、その魔物たちを討伐する為に。
 大峡谷の魔物たちは、満月の日が来るたびに大集団で街を襲うの。
 魔物の集団が通った道は、津波の様に人も木も建物も全て破壊されてしまう……さながら死の行進ね。
 もう、二回の襲撃で三つの街が壊滅してしまったそうよ』

アヤソフィアの背後で、さらなる説明を続けたのは魔導機車の中でサマンサと名乗った魔術師。
彼女はしばらく前からこの国に滞在しているようで、少なからずロンダニアの事情も把握していたようだった。
かつて豊かだった大森林が、数か月も経たないうちに荒れ果てた峡谷に変化した事なども手短に述べる。

「貴方こそ、魔物討伐の為ではないのなら何のためにこの国へ?」

アヤソフィアは、この国に冒険者が集まっていた理由を知らなかった事から、竜使いの妖精は冒険者では無いと判断していた。
ならば、彼らは何の為にロンダニアへ訪れたのだろうか?
アヤソフィアが浮かんだ疑問を口にした瞬間、その声は堰を切ったかのように沸いた叫喚で掻き消される。
それは今まで地にひれ伏していた人々の声であった。
長らく災厄と魔物の襲来に苦しんだロンダニアの人間にとっては、神の存在は救済と同義。
彼らは口々に天災を鎮めて欲しい、自然を蘇らせて欲しい、魔物を退治して欲しい、と星の女神に切実な祈りを捧げる。

祈りの声は次第に強くなり、次第に熱狂の色を帯び始めた。
テイルを屋根に乗せた魔導機車は、今や無数の人々で囲まれ、身動きも完全に取れない状態である。
もはや、ここで何らかのやり取りを行うのは不可能と思われた。
アヤソフィアは熱狂する群衆から離れると、喧騒に負けない大声で火野に出発を促す。

「ヒノエイジ、この騒乱の中では大峡谷に移動するのは難しいですっ!
 別の魔導機車の長に要請して、強引にでも出発しましょう!」

人を掻き分けながら、アヤソフィアは別の魔導機車を探して乗り込んだ。
機車長は出発要請に渋った様子を見せるものの、進行すべき便が動けない事と、金貨を掴ませた事で魔導機車の発車に同意した。
その内、幾人かの冒険者が乗り込むと、街中の喧騒を他所にアヤソフィアを乗せた魔導機車は街から離れ始める。

【>>ALL 魔導機車に乗り、大峡谷へ出発】

119 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/07/02(土) 22:22:56.34 0
>>115
旅人らしき3人組のうちの1人の女性へ火野へ声をかけてくる。

『こちらこそ宜しく、火野さん。
 私はサマンサ、幼馴染の三人で世界中を旅してる生粋の冒険者よ。
 今回はリーダーが魔物退治したいって言うから、この討伐隊に参加したんだけど……当人は暑さでこのザマ』

女性の言葉に笑みを浮かべて映司は男性の肩をさする。
「熱中症ですかね?あ、自家製のスポーツ飲料ありますから
これでも飲んでください。元気になりますから。」

水筒を差し出し不意に車窓へ目を向ける。
そこには巨大な龍の姿があった。
思わず腰を抜かしそうになる映司を横目に、アヤソフィヤが叫ぶ。

>「ヒノエイジ、どうやら魔物が向こうの方から来てくれたようです」

「え?い、いきなりですか!?まだじゅ、準備が」

>「あれは……竜です!」
>「竜の進路は此方の様です。我々も街の防戦に加わりましょう」

アヤソフィヤの機敏な判断に思わず映司も身構える。
「え、えーと俺は……どうすれば」
映司は龍を見つめながらその行方を追うしかなかった。

>>116
>―― そうそう、勇者の特典はもう一つあったよ!
ドラゴンの背中に乗って冒険なんてステキじゃない!?
途中でコンビニや銀行に寄りたくなっても大丈夫! 
速くて安い! タクシー要らずの便利生活を始めよう!――


龍に乗っている何者かが映司の心へ直接言葉を落とす。
それに反応した映司は思わず車窓から身を乗り出し叫ぶ。
「も、もしかして世界を救うとか言ってたのは貴方ですか?
ちょ、ちょっと戦うのストップして下さい!!
ス、ス・ストォォォップ!!」

舞い降りてきた妖精のようなそれが映司達へ向け
陽気な言葉を投げ掛ける。
>「へ〜、冒険者が集まってるとは聞いてたけど随分大規模だねえ。どこに向かってるの?」

「ちょっと、人助けに。それにしても妖精を生で見れるなんて
興奮するなぁ……あれ?アヤソフィヤさん?」

アヤソフィヤはというと、既に騒乱を避ける為に別の機車を探し
乗り込もうと動いていた。
>「ヒノエイジ、この騒乱の中では大峡谷に移動するのは難しいですっ!
 別の魔導機車の長に要請して、強引にでも出発しましょう!」

大声に気付き、妖精たちに手を振りながらそちらへ向け走っていく。
「あ、さっきは急に攻撃してごめんなさい!!」
勢いよくお辞儀をして、映司は魔道機車へ乗り込んだ。



120 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/07/04(月) 06:10:38.62 0
>>119
魔導機車は赤茶けた大地に轍痕を刻む。
鋭い風を起こしながら魔導機車が疾ると、生まれた風は大地を舐め、砂埃と手を繋いで踊り狂った。
やがて数刻の時が過ぎ、魔導機車の先に偉容を誇る大峡谷が姿を見せる
強烈な太陽に焼かれて断崖だけが残った不毛な峡谷地帯が。

車内の話題は先程の竜使いの妖精の事と、これから向かう大峡谷の事で二分されていた。
テイルを本物のガイアであると認めた者たちは、おそらく竜の背に乗って共に行く事を望んだだろう。
従って、車内の冒険者たちはテイルに対して好意的ではない者が多いようだった。

「最初の任務で、あれほど巨大な竜に遭遇するとは思いませんでした。
 しかし、あの竜は私の魔術刻印と少し似ているかもしれません」

アヤソフィアが白い長裾のブラウスの右裾を捲り、露わになった腕を見ながら言う。
彼女の白い肌には、虹のように鮮やかな体色を持つ蛇が入墨の様に刻まれていた。
確認する様に自らの腕を眺めていたアヤソフィアは、しばらくするとそれを仕舞って火野に訊く。

「そういえば、ヒノエイジは魔物と戦った経験はありますか?
 いかに人間相手に訓練を積んだ者でも、魔物となると勝手が違います。
 私も充分なサポートはするつもりですが、私の剣術は対人用のもので魔物相手のものではありません。
 もし魔物との戦闘経験が無いのなら、慣れるまでは慎重を期しましょう」

やり取りの間にも峻険な断崖が近づき、大きさを増してゆく。
窓から前方を見れば、幾つかの影が見えた。
大峡谷から此方に向かってくる第一の影は、街への帰還を望む冒険者の一隊。
第二の影は、彼らを狂奔しながら追う異形の巨獣だった。

冒険者の一団は此方に走りながらも、時折背後を向いて矢を射掛けている。
彼らは魔物と交戦しつつ逃亡を試みているようだった。

「あれはキマイラ……炎吐く魔獣です。
 数名の冒険者たちが追われているようですので、早速ですが迎撃を行いましょ――ッ!」

雷鳴と獰猛な獣の咆哮を同時に耳にしたような凄まじい音が、眩しい赤銅の世界を揺るがす。
同時に、迫り来る魔物との衝突を避けるため、魔導機車が急停止した。
窓付近に寄っていたアヤソフィアは慣性で態勢を崩され、思わず火野の方へ倒れ込む。
ドンと打ちつけた鼻梁に、アヤソフィアは仄かな鈍痛と既視感を感じた。
確か、前に同じ様な事が有った時に不注意を反省したはずだった……と。

「も、申し訳ありませんっ……私とした事が。どこか打ちませんでしたか?」

弾かれたようにアヤソフィアが離れ、即座に外傷の有無を確かめる。
彼女の見立てでは、火野には魔術での治癒は必要無さそうであった。

「そうでした、ヒノエイジ。
 同行する仲間ですから、これからは貴方の事をヒノと呼びます。
 ですから、私のことも遠慮なくアヤと呼んでください。
 知人からアヤソフィアは呼び難いと、良く言われますので」

立ち上がったアヤソフィアは、魔獣の迎撃をする為に扉へ歩を進めながら火野へそう言った。
彼女が青葉の楓で作られた重い木製の扉を開けると、そこには数十m先で暴れる魔獣の姿。
どうやら異形の魔物は、冒険者たちに襲いかかっている最中のようだった。

【>>男 いずれお会いせん事を】【>>火野映司 遅ればせながらよろしくお願いしますっ】

121 :冒険者@NPC ◆666/MyrH6U :2011/07/04(月) 06:16:46.18 0
大峡谷から離れてゆく冒険者たちを追って来るのは、ガイアでは珍しくも無い魔獣キマイラ。
炎を吐く獅子の頭と、並はずれた山羊の巨体、蛇の尻尾を持つ異形の魔物だ。
強さは中堅の冒険者十数人が総懸かりになって、ようやく一頭を倒せる程である。

「……やったかっ!?」

冒険者の一人が異形の魔獣に矢を射掛けるものの、強靭な肉体に刺さった矢は鏃の先端のみ。
キマイラは自らに矢を射掛けた弓戦士に飛びかかると、大きな前脚で彼を払い、カッと口を開いた。

『クゴォォォッ!』

ごうっと真っ赤な炎が放たれ、倒れた弓戦士に浴びせかけられる。
これが、獣の爪と牙の他にキマイラが持つ攻撃手段であった。

「ぐあぁぁっ……!」

炎の洗礼を受けた弓戦士は、顔を押さえて転げ回った。
キマイラは倒れた冒険者への興味は失ったようで、次の瞬間には別の冒険者目がけて飛びかかる。
急停止した魔導機車からアヤソフィア達が飛び出して来たのは、その時であった。
さらなる人間の出現に魔獣は怒り狂ったように吠え、猛牛の勢いで車外から降りてくる者たち目掛けて突進して来る。
その柔らかい肉を爪で斬り裂き、牙を突き立て、炎を吐きかける為に。

122 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/07/04(月) 19:26:09.80 0
>>120
車内は静寂を取り戻すことはなく、未だ先ほどのドラゴンに関しての
喧騒が渦巻いていた。

>「最初の任務で、あれほど巨大な竜に遭遇するとは思いませんでした。
 しかし、あの竜は私の魔術刻印と少し似ているかもしれません」

アヤソフィヤは自らの腕に刻まれた入墨のようなものを見せながら
何かを案じているようだ。

>「そういえば、ヒノエイジは魔物と戦った経験はありますか?
 いかに人間相手に訓練を積んだ者でも、魔物となると勝手が違います。
 私も充分なサポートはするつもりですが、私の剣術は対人用のもので魔物相手のものではありません。
 もし魔物との戦闘経験が無いのなら、慣れるまでは慎重を期しましょう」

魔物との戦闘。アヤソフィヤからの不意の質問に映司はヤミーとグリードの
事を話そうかと少しばかり戸惑う。
グリードとは過去の錬金術師達が作り上げた「生物」の力を宿したメダル、その10枚のうち
1枚を抜き出したことでその1枚を取り戻したいというメダルの「欲望」が生み出した怪物である。
ヤミーは、そのグリードが人間の「欲望」を糧に生み出す怪物。
それらから人々を救う為に戦ったのが、他ならない映司であった。

「魔物……ですか。前に、似たようなものだったから戦ったことありますかね。
でも、今はあんまり自信ないかなぁ……!?あ、あれは!?」

翼を持つ魔獣の姿。
それに思い出すのは、共に戦ったあの男。
欲望の化身・グリードの1人、金髪の青年。

>「あれはキマイラ……炎吐く魔獣です。
>数名の冒険者たちが追われているようですので、早速ですが迎撃を行いましょ――ッ!」


アヤソフィヤに何かを言おうとしたその瞬間、機関車が大きく揺れる。
急停止した機関車へ向けキマイラが雄たけびを上げてこちらへ迫ってくる。

>「も、申し訳ありませんっ……私とした事が。どこか打ちませんでしたか?」

映司は頭を擦りながらも無事を示すように笑みを浮かべる。
こんな状況で場違いかもしれない。しかし、無事を示すには
これが手っ取り早い気がしたのだ。

>「そうでした、ヒノエイジ。
 同行する仲間ですから、これからは貴方の事をヒノと呼びます。
 ですから、私のことも遠慮なくアヤと呼んでください。
 知人からアヤソフィアは呼び難いと、良く言われますので」

「じゃ、俺はアヤさんでいいですか?……まずい、早く行かないと!!」

映司は魔獣の叫び声に呼応するかのように機関車のドアを開け放ち飛び出していった。
その映司を見つめる集団の中に、1人ローブを被る青年の姿が?

123 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/07/04(月) 19:48:51.14 0
>>121
>「ぐあぁぁっ……!」

「……ッ!!こいつは、予想以上……だなぁ。」

冒険者達の果敢な攻撃にも怯むことなく迫るキマイラに
映司の動きが金縛りにあったかのように緊迫する。
冷や汗が背筋を伝い、同時に足が震えるのも感じた。
しかし、目の前ではキマイラの攻撃により負傷した弓戦士の姿が
その震えを押しとどめた。

「大丈夫ですか!?早く、下がって……!!」

震えを、恐怖を潰し映司は弓戦士を背負い
岩影へ連れて行く。
映司はメダルを取り出すと、その数を確認する。
バッタの力を持つメダルが1枚、トラのメダルが1枚、そして
コンドルの力を持つ赤色のメダルが1枚。
「使えるメダルは3枚だけか……これじゃ、変身出来ない。」
懐にあった薬草で作った塗り薬を患部に施しながら
映司は弓戦士の腰に掛けられた短剣を取り出し駆けていく。
「染みますけど……我慢して下さいね。
すいません、ちょっとこれ借ります!!」

「相変わらず馬鹿な奴だ。」

そんな映司を見つめる青年がローブを脱ぎ捨てる。
その手には、光り輝く1枚のメダルが握られていた――

「やめろぉおおお!!」
戦士たちを蹴散らしていくキマイラへ向け、映司が剣を抜きながら
叫び、地を蹴りながら駆けていく。
しかし、その短い剣では近づく事すら叶わず、巨大な前足から
放たれる衝撃波により吹き飛ばされてしまう。

「……がっ、あ……あぐっ、目の前に助けなきゃいけない人がいるのに……なんで」

(なんで何も出来ないんだ!!)

映司の心が震えるのと同時に、その背後で何者かの声が聞こえた。

「「相変わらずの馬鹿だな。そんな武器で何が出来るっていうんだか」」

その声に、映司は聞き覚えがあった。
皮肉じみた口調、そして何よりも目を向けた先にいた
その男の姿。

「アンク!!」

「映司、話は後だ!!今はその化け物を片付けろ!!」

アンクと呼ばれた男から投げ放たれたメダル、その赤色のメダルは
鷹の力を宿す。
映司はそのメダルを受け取ると同時に、腰へ3枚のメダルを装填可能な
ベルトを装着する。

「よし……これで。」




124 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/07/04(月) 19:53:19.90 0
映司が3枚のコインを装填し、そのベルトをスキャナーのような
物で通していく。
映司は力を込め、宣言するように叫ぶ。

「変身っ!!」
その瞬間だった。

『タカ・トラ・バッタ!! タトバ♪ タトバ♪ タ・ト・バ♪』

男の声でベルトが歌い始め、映司の体が3色の
生物の力を秘めた戦士「オーズ」へと変貌した。

呆然とする戦士達へ向けアンクが呟く。「歌は気にするな。」と。
そしてアヤを一瞥し、次にオーズへ向け叫んだ。
「映司ぃ!!早く戦え!!」

アンクの声に促されるように、オーズこと映司は
バッタの力を得た両足で一気に飛び上がる。
「わかった!!よし――せいやぁぁあ!!」
そのままキマイラへ接近すると、今度は両腕に宿したトラの力「トラクロー」
を展開しその巨体へ挑んでいく。


125 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/07/04(月) 19:58:57.29 0
名前:アンク
職業:グリード
種族:人造生命体(グリード)
性別:男
年齢:不詳
身長/体重:176cm
容姿特徴:金髪、右腕がグリードの体(赤色の魔物のような手)
性格特徴:狡猾、口が悪い
技能:臨機応変にメダルを選びオーズを援護する
装備:コアメダル数枚
所持品:クーラーバック(中にアイス2週間分)
キャラ解説:欲望の化身、グリードの1人。
鳥の能力を持つグリードであるが、不完全な体である為
グリードとしての力はほどんど失われている。
自分の目的の為に、映司を利用している。

126 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/07/04(月) 22:45:29.21 0
>117-119
巻き起こる狂乱、飛び交う悲鳴。さらにはいきなり人々の一部がひれ伏し始めた!
「どわあああああ!? 何でだあ!?」
こんな時何て言うんだっけ。
「ドタマをあげなさい!」
「微妙に違うわ!」

>「も、もしかして世界を救うとか言ってたのは貴方ですか?
ちょ、ちょっと戦うのストップして下さい!!
ス、ス・ストォォォップ!!」
「いかにもその通り! ボクこそがフェアリー=テイル=アマテラス=ガイアだあ!」

この世界に神って掃いて捨てる程いるし元々そんなに高級なもんでもないぞ。
男さんもアズリアさんもソル君も友達のようなノリだったけど……彼らの方が例外だったんだろうか。

>「妖精、貴方はドラゴンライダーですか?
 それにしては乗っているドラゴンが、かなり巨大なようですが。
 現在、この国は頻繁に魔物の襲来を受けているようです。
 街の人間の気持ちを考えるなら、幻獣の使役には充分な配慮をすべきではないでしょうか?」
「ああ、彼女はソフィアって言うんだ。人間に危害を加えるような事はしないから安心して。
でもそういう事なら……」

「ちょっと隠れといてくれるかな」
ソフィアは様々な属性を併せ持ちあらゆる色に変化する龍神。
背景と同化して姿を隠してもらった。

>「貴方こそ、魔物討伐の為ではないのなら何のためにこの国へ?」
「仲間が変な奴に石化させられたから追ってきたんだ」
石像状態の男さんをこつんと叩く。
「そいつったらエアーバイクに乗ってすごいスピードで逃げちゃってさ。
なぜかこの人と全く同じ顔してたんだよね〜」

そう言っている間にも騒乱がさらに大きくなっていく。
>「ちょっと、人助けに。それにしても妖精を生で見れるなんて
興奮するなぁ……あれ?アヤソフィヤさん?」
>「ヒノエイジ、この騒乱の中では大峡谷に移動するのは難しいですっ!
 別の魔導機車の長に要請して、強引にでも出発しましょう!」
>「あ、さっきは急に攻撃してごめんなさい!!」
そそくさと去っていく二人。

「アヤ……ソフィアって言った?」
この世界にはお馴染みの、名と体が対応する呪という法則がある。
ソフィアと何か関係があるかもしれない。ボクはニヤリと笑った。
「決めた! あの二人についていこう!」

127 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/07/05(火) 00:05:34.63 0
ソフィアには余程の事が無い限り姿を見せずに着いてくるように言って
自分もまた姿を見えなくしてさりげなく魔導列車内に忍び込む。
姿を消すのは妖精の基本科目だが、例によって子どもや純粋な心を持つ人やバカには見えてしまうので注意が必要だ。

>120
ボク達は警戒されているようだった。
……なーんか変だなあ。最近急にギャグのノリで事が進まなくなったというか。
もしかしてPLの人が総入れ替えした? なーんてねハハハ。

そんなアホな思考は、魔物の襲来に中断される。
>「あれはキマイラ……炎吐く魔獣です。
 数名の冒険者たちが追われているようですので、早速ですが迎撃を行いましょ――ッ!」

満月の日が来るたびに街を襲うという大峡谷の魔物。普通に戦うのが常識的な判断だろう。
駄菓子菓子!
まずは話を聞こうではないか。今のボクは神の肩書を持つのだから!
「やめなよ! 最近どうしてそんなに荒れてるの? 誰かに操られてるんじゃない?」
『グゴオオオオオ!!』
「NOOOOOOOO!!」
キマイラは問答無用で炎を吐いてきた。慌ててエレメントセプターを掲げて防御する。

縦割り行政のお役所仕事じゃないけど管轄違いは駄目でした。
一般に幻獣は光の眷属に分類され、魔獣は闇の眷属に分類される。
つまりキマイラは死霊皇帝タルタロス=スサノオの管轄だ。
「ああ弟よ、君を泣く、君冥界の管理も放り出してほっつき歩くことなかれ。
おかげで雨は降らないし魔獣も暴れ放題だよ。姉ちゃん情けないよ。
というわけで【エアリアルスラッシュ】!」
ひゅるるるぽんっ! 見るからにヘロヘロな魔法は翼の一閃で弾かれた。

「いけない……周囲の不信感のせいで魔法攻撃力判定に滅茶苦茶マイナス補正がかかっている!」

128 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/07/05(火) 00:06:33.76 0
すごすごと岩陰に入っていく。そこでは先程の青年が苦悩していた。ヒノエイジと言っただろうか。
>「使えるメダルは3枚だけか……これじゃ、変身出来ない。」

思う事が合あって、怪我をしている弓戦士に回復魔法をかける。
「【ヒールライト】!」
見る見るうちに傷が塞がっていく。
「やっぱり相手の抵抗がない回復・補助魔法なら効くのか。
ならば有り余る最大MPに物を言わせ補助魔法を何重にもかけて無双無双なんてことも……」
ある程度地の能力が高くてその上魔法が効きやすそうな人と言えば……。
なんとなくヒノエイジに目が留まる。次の瞬間。

>「やめろぉおおお!!」
「お前もやめろぉおおお!!」
突っ込んでいったヒノエイジは文字通り一蹴された。
>「……がっ、あ……あぐっ、目の前に助けなきゃいけない人がいるのに……なんで」
「ああもう、言わんこっちゃない!」

が、事態は急展開を見せる。突如現れる謎の青年。
>「「相変わらずの馬鹿だな。そんな武器で何が出来るっていうんだか」」
>「変身っ!!」
>『タカ・トラ・バッタ!! タトバ♪ タトバ♪ タ・ト・バ♪』
「何じゃああああああああ!?」

>「歌は気にするな。」
「いや、全力で気になるよ!!」

>「映司ぃ!!早く戦え!!」
急展開に気を取られていたが、はっと我に返る。
>「わかった!!よし――せいやぁぁあ!!」
「受け取れえ! 【エンチャントウェポン】!!」
青年の両手に攻撃力強化の魔法をかける。君の拳が光って唸る!!

129 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/07/05(火) 18:14:23.04 0
>>123-124 >>127
火野がキマイラに襲われる冒険者を見て、真っ先に彼らの方へと駆け寄って行く。
彼は負傷した弓戦士を岩陰へと運ぶと、横たえた冒険者の腰から短剣を抜き、暴れる魔獣へと向かっていった。

「ヒノ、突出し過ぎです!」

制止の間もあらばこそ、火野は強靭なキマイラの前肢で弾き飛ばされ、乾いた大地に叩きつけられてしまう。
その非力を嘲笑するかのように、機車内から一人の男が現れた。
火野は彼をアンクと呼び、アンクと呼ばれた男は火野に向かって赤銅色の硬貨を投げつける。
アンクの口振りからすると、硬貨は彼らのみが扱い方を知り得る戦いの道具と思われた。
硬貨をベルトに嵌めた火野が変身を叫ぶと、呪文めいたタトバとの文言と共に、輝く硬貨が彼の周囲を回りながら弾け散る。
一瞬の後、火野の立つ場所に変わって現れたのは、黒を基調とした異装を纏う者。
それは鎧の様でもあるが、印象としては甲虫の外骨格の方が近い。

「その姿はっ……いえ、それを問うのは後です」

アヤソフィアは火野の変貌で生じかけた驚きの感情を理性で抑え、戦況の分析を行う。
調査官マニュアルにも、余計な被害を出さない為には常に冷静さを保ち、最適の行動を取らねばならないと書かれていたから。
(乱戦では大規模な攻撃魔術は使えない……まずは動き回る魔獣の動きを止めなければ)

「我、紡ぎしは戒めの白き糸。
 無限なる円環を満たす不可視の力よ、切れざる枷となって彼のものを絡め取れ――bind strings」

アヤソフィアが呪文を唱えると虚空から幾筋もの輝く光の線が現れ、キマイラの前脚を絡め取って締め上げた。
彼女が唱えたのは魔力の糸を生じさせて、敵の動きを封じる束縛の魔術。
腕を振り回して近くの冒険者を跳ね飛ばそうとしていた狂獣は、両足を赤茶けた大地に釘付けにされる。
そこへ跳躍した火野が急降下した。

「ヒノ、いけません!魔獣には炎があります!回避困難な上空からの攻撃は――ッ!」

火野を察知したキマイラは口腔を開いて上を見上げ、向かってくる彼に向かって灼熱の炎を吐きかける。
燃え盛る紅蓮は黒い装甲を呑み込み、攻撃が届く前に火野を燃え尽きさせたかに見えた。
しかし火野にメダルを渡した男は、彼を案じるどころか口元に冷笑を浮かべている。
この程度の炎では、火野が纏う装甲には穴一つ開けられないと確信しているかのように。

さらに、人知れず掛けられたテイルの付与魔術が火野の拳に白い輝きを宿らせていた。
武器の殺傷力を増す魔法の光を。
虎の如き膂力を持った火野の拳に強化魔法が合わされば、強靭な生命力を持った魔獣にも止めを刺す事が出来るだろう。

130 :オーズ タトバコンボ→タカトラータ ◆/m/3H6N1VU :2011/07/05(火) 22:05:14.60 0
>>128
勢いよく飛び上がった先には、巨大な炎の渦が待ち構えていた。
その炎をまともに受けながらもオーズは果敢にその中心へ向かっていく!
「あ、熱つっ……でも、何とか!!でぇえやぁああああ!!」
トラクローで巨体を斬り付けながら更に追撃を加えんと構えたその時――

>「受け取れえ! 【エンチャントウェポン】!!」

「おっ…?な、なんだ……なんか、力が体の中に溜まってくぅ!!」

少し前に出会ったティルによる助力だとは知らずも、オーズの
拳が光り輝きながらトラクローの力を増幅させていく。
「よし!!これで――!!っとうおっ!!」

>「ヒノ、いけません!魔獣には炎があります!回避困難な上空からの攻撃は――ッ!」

再び跳躍したオーズに炎の攻撃が迫る。
その炎を潜り抜けながらも何とか攻撃を放とうとするオーズ、しかし
アンクは苦戦する彼を見ながらも冷淡な笑みを浮かべていた。
「映司!!”こいつ”に変えてみろ!!」

アンクが取り出したのは胴体を包む鎧、つまりはトラのメダルと同じ色の
「黄」のコアメダル。
そのメダルにはチーターの紋章が刻まれていた。
キマイラの攻撃を避けながらアンクの投げ放ったメダルをキャッチするオーズ。
3枚目に装填されていたバッタの緑メダルを外し、その場所へチーターのメダルを入れていく。
「変身っ!!」

――タカ!! トラ!! チーター!!

再びスキャニングのポーズをとったオーズの下半身が「黄色」の脚部へと変貌する。
俊足を誇る、兆速の足を持つ獣の力を宿したオーズがここに姿を現した。

「せぇぇ――っ!!でぇいやぁぁあああっ!!」

凄まじい速度でキマイラの炎を回避しながらその腹部へと接近、百烈拳ならぬ
高速の百烈脚がキマイラの全身を叩き尽くす!!
更に強化魔法を施されたトラの爪で、十文字にキマイラの顔面を切り裂いた!!

アンクはその様子を見届けながら、ティルとアヤソフィヤの姿を確認し
再び冷ややかな笑みを浮かべた。
「世界樹に神か……こいつらを見る限り、あながち嘘でもなさそうだな。」

131 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/07/06(水) 21:28:38.34 0
>>130
火野は黄色い脚部を持つ甲冑姿に変身し、疾走する狩猟豹の動きで魔獣に迫って攻撃を仕掛ける。
放たれた無数の蹴撃は、アヤソフィアの目には分裂する影としか映らない程であった。
続く虎腕の爪はキマイラの顔面を十字に裂く。
魔獣が上げる重苦しい咆哮と、それを掻き消す冒険者達の歓声が戦闘終了の合図。
乾いた大地に巨体を横たえたキマイラの傍には、衆目に異形を晒したままの火野が佇んでいた。

「単体で魔獣を倒す程の攻撃力……見た所かなり高位の魔導装甲と見ました。
 探索に移る前に魔物相手の手慣らしをとも考えていましたが、どうやら必要はなさそうですね。
 ところで、あちらの男性はヒノの仲間でしょうか?」

火野に近づいたアヤソフィアは、異装を纏う彼の姿に僅かに緊張の面持ちを浮かべながら、アンクと呼ばれた男へ視線を向ける。
アンクの芸術家めいた奇抜な髪形は、アヤソフィアに彼が秩序を重んじない人間であるとの印象を与えた。
彼は火野に協力した事から敵では無いようだったが、まだ信頼できる程の人物なのかどうかは分からない。

「大峡谷は危険地帯ですので、彼が仲間が加わりたいと言うなら異論はありません。
 ですが自らを守れる程度の戦闘力が無ければ、生存すら難しいのではないかと思われます。
 彼の説得や交渉に関しては、ヒノにお任せしましょう。
 それと……もう一つ気になることがありますので、その武装はまだ解かないで下さい」

アヤソフィアが火野にオーズの装甲を解く事を制す。
彼女はキマイラとの戦闘中、幾度も聞いた高い声に違和感を感じていた。
攻撃力強化や回復の呪文を発動させる為に発されたテイルの声に。
アヤソフィアの耳に聞こえたのは、子供か若い女性のものと思しき、鈴を転がしたような声。
戦闘中は冒険者の誰かが上げたものかとも考えたのだが、戦闘が終わって観察しても該当しそうな者が冒険者の中に見当たらない。
考え過ぎとは思いつつも、アヤソフィアは付近に未知の何者かが潜んでいる可能性を考慮した。

(確か、魔物の中には見えざる種族もいましたね。
 大峡谷に多くの魔物が集っているのなら、付近にその様な魔物が存在していてもおかしくはないでしょう。
 仮に何かが潜んでいると仮定するなら、先手を取る為にもこちらが感知している事は悟られない方が良いかもしれません。
 もし私の感じた違和感が杞憂でも、調査官として警戒し過ぎるという事はないはずです)

「我が視線は虚像を貫き、真実を映す。
 無限なる円環を満たす不可視の力よ、この両眼に魔力を宿らせ、真視の力を与えよ――gram sight」

魔術がアヤソフィアの瞳に虹色の羽を持つ子供の様な姿を映す。
彼女が唱えたのは、一時的に術者へ不可視の存在を見せる“真視”の呪文であった。
テイルが姿隠しに子供ならば見えると言う程度の魔力しか費やしていないのなら、真視の瞳は問題無く隠れた妖精を捉えるのだ。
ソフィアに関しては、神としての力を行使して隠れているのなら、真視の魔術でも見破る事は困難だろう。

「貴方は……先程の竜使いの妖精ですね。
 先程街にいたはずの貴方が、なぜ大峡谷へ?それも姿を隠して」

アヤソフィアは声音に明らかな不審感を交えてテイルに訊いたが、すぐにこの妖精が姿を隠す理由に思い至る。
(もしや、街で攻撃を受けた事を警戒して……?)

「……そうでした。街では魔物の襲撃かと早まって、私も貴方への攻撃に加わりました。どうか私の短慮はお許しください」

【>>テイル 発見して街で攻撃したことへの謝罪】

132 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/07/06(水) 21:55:43.46 0
>>111
叱咤により発破が掛かったのか一人の少年が狼の群れに突っ込むと
自身が作ったのか業物としては独特な槍を持った少年だけではなく
その光景を見た冒険者達が狼達に立ち向かう。
「やればできるじゃないか」
これ以上手を出さなくても彼等が奮闘している以上良いだろうと判断し
狼の群れを追い出すまでその様子を観察していた。

>「助かった……ありがとうございます。
 貴方が来なければ、諦めてしまっていたかも知れません」

礼を言われるまでの事はしていないつもりだったが
「俺はあくまできっかけを作ったに過ぎん、お前等が生き残ったのは運が良かったのさ」
ここでもあくまで自身の実力ではないと言いたげに少し厳しい口調で彼等を見ていた。
彼等が狼の群れを追い払ったのも事実だが、この大峡谷にはあんな獣達とは比較にならないほどの存在がいる
ここで退かせるのも見せない優しさを現していたが、彼等にも事情があるのは分っている

>「ところで貴方も冒険者ですよね?それなら僕たちと一緒に行きませんか?」

本当ならば付いていく道理もないが、聞いてる限り魔物を狩れば貨幣がもらえるようだ
金があっても活動の際に困る事もないし、彼等に対しても見放せば恐らくは簡単に餌食にされてしまうだろう
溜息を付き此処は仕方なく適当に話を合わせ折れることとした

「そうだな…いいだろうお前達に付いていこう」

伝えるとその場に居た全員は喜びの表情を浮べていたが
戦闘の素人以前に人を頼りにする傾向を感じ彼等に対してどこか危機感を感じていたが
後で経験を付けさせて自信を持たせるようにすればいい
そう考えながら、彼等に大峡谷にある休憩場所に案内するように告げて
そこまでの場所に足勧める事となった。




133 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/07/06(水) 22:20:09.25 0
大峡谷の中で最近作られた道を数km
案内されてから歩いて30分と言った所か
柵やら厳重な警備で覆われた少し大きい家らしき場所に辿り着く。
此処は相当危険な場所だ、これぐらいはしないと魔物が攻め入られた
すぐに破壊されてしまうのは明白だ

「こっちです、ビャクさん!」

少年の一人に引っ張られるように付いてゆくと扉を開け中は案外に広かった。
同行している彼等と同じ冒険者が居たが溢れる程というほどでもない
それよりも少々怪我人がいるのがわかり、床に寝転んでいたりする。

(ふむ…一応長期滞在は可能なようだな)

宿泊できるような設備はある程度整っており、サービスかは別として
長期活動できるような環境にはなっているようだ一応食事の調理スペースもあるようなので

「此処ならば活動拠点としては問題ないな…少しお前達も休め」

少年達に休息をするように告げてから解散させると
自身もベットに寝転びしばしこれからの計画といろいろな事を考えていた。

134 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/07/09(土) 10:22:57.81 0
>130
>「せぇぇ――っ!!でぇいやぁぁあああっ!!」
キマイラを やっつけた!
「ふーん、なかなかやるじゃん!」

>131
>「我が視線は虚像を貫き、真実を映す。
 無限なる円環を満たす不可視の力よ、この両眼に魔力を宿らせ、真視の力を与えよ――gram sight」
バレたか! まあいいや、どっちにしろそろそろ姿を現すつもりだったし。

>「貴方は……先程の竜使いの妖精ですね。
 先程街にいたはずの貴方が、なぜ大峡谷へ?それも姿を隠して」
「本当はこんな事が起こらなければこれに参加しようと思ってたんだ。
ここで出くわしたのも何かの縁……ってね」
“男”のステータス画面を見せながら言う。男さんは相変わらず石化している。
ステータス画面とは仲間の状態が自動で表示される便利帳の事だ。
「それに何の手がかりもないしこの峡谷に石化に効く薬草でも生えてるんじゃないかと思って」
キマイラの中には石化の魔眼を持つ者もいるという。
石化能力があるモンスターがいる所では石化解除のアイテムが手に入りやすいのはこの世界のお約束である。

>「……そうでした。街では魔物の襲撃かと早まって、私も貴方への攻撃に加わりました。どうか私の短慮はお許しください」
「仕方がないよ、魔物の襲撃が起きてる時にバカでかいドラゴンなんて来たらそりゃあ勘違いするよね。
それより行こう! 大峡谷観光マップによるともう少し行けば拠点だ!」

135 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/07/09(土) 23:34:10.15 0
>>134
アヤソフィアの謝罪に、妖精は魔物の襲撃があったなら勘違いも仕方ないと述べて、此方にも出発を促す。
このやり取りの間にも、すでに周囲の人影は大分少なくなっていた。
他の冒険者たちは大峡谷へ向けて出発し、魔導機車も帰還する冒険者達を乗せて街に戻る様子である。
周囲に冒険者がいないのはテイルにとっては幸いと言えた。
現在テイルが姿を消す術を解除しているか否かは判断しかねるが、悪感情を持っていた冒険者の前に現れれば無用の騒乱を招くだろう。
そして、周囲には妖精よりも混乱を招きそうな虹色の巨竜の姿も無かった。

「そうですね……ヒノ、私達も行きましょう。
 あの竜は姿が見えませんが、妖精自身と同様に魔術で透明化させているのでしょうか」

大峡谷に向かい始めた妖精の後にアヤソフィアも続く。
陽は中天を過ぎても猶、強い光を大地に注いでいた。
目の前に聳える峻険な峡谷地帯から受けるのは、死んだ土地との印象。
枯れ果てた赤銅の世界に植物の緑は見当たらない。
大峡谷に入り、両側に断崖が続く谷底をしばらく歩き続けた所でアヤソフィアがテイルに名乗る。

「そうでした、名乗り忘れていました。私はアヤソフィア=エヴレン。
 魔物討伐の冒険者に加わっていますが、本来はこの地帯で起きた特に強い天候異変の原因を調査しに来たのです。
 妖精、貴方は石化の治癒を欲していた様子でしたが、高位の司祭や魔術師なら石化の治癒が可能なのではありませんか?
 此処は死者の蘇生が行える程の魔術が存在する世界と聞きました。
 それに大峡谷は特に旱魃の影響が酷く、もはや草木の類が残っているとも思えませんが」

『ゲェェェェッ!』

テイルとの会話を遮るように、けたたましい怪鳥の如き声が響いた。
頭上を見上げれば鷲の翼と上半身、獅子の下半身をもつグリフィンが滑空して此方に近づいてくる。
大峡谷の断崖が会話する声を反響させ、遠くにいる魔物にまで人の接近を教えてしまったのだ。
しかし、此方に襲いかかってくるかに見えたグリフィンは上空を旋回しただけで、地上に降り立つ事も無く去ってしまった。

「……どうやら、大峡谷では話し声程度でも聴力の高い魔物を招き寄せてしまうようですね。
 ですが、あの個体は弱ってでもいたのでしょうか?てっきり此方に襲いかかってくるかと思ったのですが」

さらに少し進むと、前方には魔物討伐のベースとして使われる防護柵で囲まれた建物が見える。
グリフィンが去ったのは、あのベースキャンプの冒険者たちとも戦いになる事を嫌ったからだろうか……。
アヤソフィアの疑問に答えるかのように、グルル……という獣の唸り声が聞こえた。
グリフィンに代わって現れたのは狼の群れ。
武装を整えた人間なら恐れるべくもない動物達である。

「恐れる事はありません。あれはただの狼のようですから。
 こちらが弱ってでもいない限り、襲いかかってくる事も無いでしょう。
 それより、もうじき陽も沈みそうですから今日はベースで休息を取りましょう」

先頭に立ったアヤソフィアが鞘から抜き放った短剣を振ると、シュッと大気を裂く音がした。
それに気圧されてか、狼たちが道を開ける。
アヤソフィアは開けられた道を歩き、冒険者たちが魔物討伐の拠点とする建物へ向かう。


136 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/07/09(土) 23:37:39.31 0
入り口で警戒に当たっていた冒険者と挨拶を交わし、アヤソフィアはベースキャンプの扉を開ける。
建物の中は男女の別を区切ってはいたものの、基本的には簡素でそれ程の利便性は考慮されていないようだった。

「まずは栄養補給の為に食事としましょう。
 食事は活動の基本であり、運動するにも思考するにも、欠かすことのできないものです」

アヤソフィアは第一声で夕食を提案する。
冒険の準備に追われて昼食を取っていない彼女の肉体は、速やかな栄養補給を欲していたのだ。

「調理なら私に任せてください。実践こそ初めてですがマニュアルで基礎は学びましたので」

アヤソフィアが女性用の大部屋に自身の荷を置き、炊事場に向かう。
夕刻が近づいているためなのか、炊事場の辺りには人が集まっていた。
右手に包丁、左手に鍋を手にしたアヤソフィアが流し台の前に立つ。

「むっ、干し肉と生肉の調理では何か違うのでしょうか……?
 こちらの麦もエトラム麦とは違うようですが、炒めるのは同じ時間でも……?
 あの、そちらのそれは何を……なるほど、まさか干し野菜は煮戻してから使うものだったとは」

自答や質問を繰り返しながらアヤソフィアの調理が続く。
しばらく経つと室内の一角には円卓群が用意され、食事を取り始める冒険者も現れ始めた。
肉の焼ける香ばしい匂い、調味料の入り混じった料理の匂い、それを彩る酒の匂いに心地良い喧騒が広がる。
調理を終えたアヤソフィアも、鍋を手にそちらへ向かう。
円卓を囲む火野とテイルの前に並べられたのは、木製の器に盛られたシチュー。
鼻孔をくすぐる良い香りが、アヤソフィアに料理の出来を確信させる。
食材を少しでも節約する為に味見こそしていないものの、アヤソフィアには美味く料理を作り上げられたと言う自信があった。

「どうぞっ。食材は充分な用意がありますので遠慮する必要は微塵もありません」

そこはかとなく自信に満ちている様にも感じられる顔で、アヤソフィアは自身の料理を同行する仲間達に勧める。

【>>火野、テイル 美味しいであろうシチューを勧める】

137 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/07/10(日) 01:25:15.30 0
>>131
「ハァハッ……何とか、やれたかな。」

炎の中からオーズが姿を現す。
多少の疲労は見えるが、大きなダメージは受けていないようだ。

>「単体で魔獣を倒す程の攻撃力……見た所かなり高位の魔導装甲と見ました。
 探索に移る前に魔物相手の手慣らしをとも考えていましたが、どうやら必要はなさそうですね。
 ところで、あちらの男性はヒノの仲間でしょうか?」

「えぇ、まぁ……オーズっていいます。この姿。アヤさんも無事でよかった……あの兵士さんも大丈夫かな。
でも、結構疲れるんですよね、これ。
あ、あいつはアンクっていいます。仲間っていうか……なんていうか。」

アンクを見つめるオーズ、視線に気が付いたアンクは風になびく髪に気も留めず
アヤソフィヤの間近まで迫ると、彼女の顔をまじまじと見つめた。
「仲間だと?ハッ、笑わせんな。こいつは、俺の道具だ。
メダル集めの為のな。お前、アヤとか言ったな……」

アンクが何事かを質問しようとした時、アヤソフィヤが
何かの気配を察し緊張した空気が流れる。
それを察したのか、アンクも言葉を止める。

>「大峡谷は危険地帯ですので、彼が仲間が加わりたいと言うなら異論はありません。
 ですが自らを守れる程度の戦闘力が無ければ、生存すら難しいのではないかと思われます。
 彼の説得や交渉に関しては、ヒノにお任せしましょう。
 それと……もう一つ気になることがありますので、その武装はまだ解かないで下さい」

オーズも感じるその気配。やはり先程から感じているそれは、以前にも
出会っているようなそんな不思議な感覚が映司にはした。
「あ、はい……でもこの感じ…まさか。」

>「貴方は……先程の竜使いの妖精ですね。
 先程街にいたはずの貴方が、なぜ大峡谷へ?それも姿を隠して」

>>134
姿を現したのは、汽車の中で見たあの妖精に間違いなかった。
オーズだったその姿を迷うことなく解除し、映司に戻る。

>「本当はこんな事が起こらなければこれに参加しようと思ってたんだ。
ここで出くわしたのも何かの縁……ってね」

「良かった…無事だったんですね。俺は、火野映司っていいます。
よろしく!!あ、あとこいつはアンクっていいます。」



138 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/07/10(日) 01:33:13.33 0
ついでに紹介されたアンクはしかめた顔をしたまま、変身を解いた
映司の首元を掴む。

「おい!!どういうつもりだ?この化け物を前にして変身を解くなんて……
頭でも打っておかしくなったか?」

アンクの剣幕に映司も恐る恐る今までの経緯を説明する。
汽車での遭遇、そして旅先の海岸で感じたティルの声を。
しかしアンクはそれを聞いてもなお、あまり信用している素振りは見せなかった。

「そうか、そいつは素晴らしい御伽噺だ。
だが、忘れるな。簡単に他人を信用するって事は、そいつに騙されて死ぬかも知れないってことだ。
特に、異世界の化け物にはな。お前は他人を信用し過ぎだ、馬鹿には何言っても無駄だろうがな。」

アンクの嫌味に映司も応戦するように言葉を返す。

「でも、信じあうことも大事だろ。信じ合わなきゃ、助け合わなきゃ
出来ない事だってある。お前は、人を信用しなさ過ぎなんだよ。」

2人は睨み合うようにしながら、お互いの足を踏みあっていた。

>>135>>136
>「そうですね……ヒノ、私達も行きましょう。
 あの竜は姿が見えませんが、妖精自身と同様に魔術で透明化させているのでしょうか」

「あ、アヤさん!!すいません、今すぐ行きますんで。
おいアンク、行くぞ!!」

映司に引っ張られるようにアンクもティルやアヤソフィヤの
後を追う。

>『ゲェェェェッ!』

「ちっ!!」

突然の鳴き声にアンクが身構える。
映司はというと、そのアンクの姿を笑っているようだ。
「おいおい、そんな事くらいで驚くなよ、お前グリードだろ?」

アンクは周囲に渦巻く異様な魔力を感じ取っていたのかもしれない。
しかしそれを知らない映司は暢気に大きな鳥だなぁと呟いていた。

「ちっ……お前は警戒心が無さ過ぎだ。これだから馬鹿は……」

次に現れたのは狼の群れ、しかしアヤソフィヤの切り開いた道が
難なくその殺気を遮断していく。
「ほぉ、手馴れたもんだな。顔に似合わず。」
アンクの軽口を必死で映司が抑える。

「すいません、アヤさん。何でもないですから……あははは。」



139 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/07/10(日) 01:42:54.53 0
「あ、どうもお疲れ様です!!」

ベースキャンプに到着したアヤソフィヤ達を警備の冒険者が
出迎える。
映司は35度のお辞儀をして、大きな声で挨拶しながら笑顔でキャンプインした。
その横でアンクは仏頂面で自分だけアイスを頬張っていた。

>「まずは栄養補給の為に食事としましょう。
 食事は活動の基本であり、運動するにも思考するにも、欠かすことのできないものです」

「ご飯だ!!やったぁー!!何も食べてなくてお腹ペコペコだったんですよねぇ……」

飛び上がって喜ぶ映司とは裏腹に、アンクはアイスに夢中なようだった。
料理を待つ間、映司はキャンプの冒険者達に丁寧な挨拶をして回り―

アンクはというとティルの背中に生えた羽を見つめていた。
「おい、お前のその羽。むしったらまた生えてくんのか?」

―小一時間経過

>「どうぞっ。食材は充分な用意がありますので遠慮する必要は微塵もありません」

もうもうと湯気立つ料理を前に、よだれを飲み込み映司は手を合わせる。
これが彼の世界の食事前の儀式のようなものなのだろう。
「じゃ、いただきまぁーす!!おい、アンクも食べろよ。
美味いぞ!!あ、このお肉前にインドで食べたのに似てるなぁ……このお野菜もしゃきしゃきしてて
歯応えが」

「いいから黙って食え!!……ちっ。」

アンクは異形化した右腕をシチューの入った器の前に立たせるとその手目掛けて
器を流し込んだ。
周囲の冒険者達はその姿に、唖然とした表情を浮かべていた。

「あ、すいません。こいつの食事方法、ちょっと変わってて。」

申し訳なさそうに、映司はアヤとティルに謝った。

140 :チェイニー@NPC ◆666/MyrH6U :2011/07/10(日) 02:42:59.54 0
>>133
世界が燃える様な赤で塗られてゆく。
夕刻に至っても残照は弱まることが無く、月を真紅の空に塗り込めて、夜に天を開け渡す事を拒む。
隣室からは煮炊きの煙に乗って、冒険者の中に混じっていたのであろう吟遊詩人の歌声が聞こえ始めていた。

―――二本の大樹が遠き天を目指して、枝葉を伸ばす。
―――そのうちの一つは、朽ちゆきながらも虚空を掻く。
―――今一つの樹は、万色に塗られし枝を天へ向ける。
―――だが、虹を越えて至高の世界に至れるのは一本。
―――陽の光は虹を越えられぬ樹を焼き尽くしてしまう。

「ビャクさん。夕食の準備が出来ましたけど、どうしますか?」

チェイニーがベッドで思案するビャクを夕食に誘った。
大部屋の扉が開き、隣室の喧騒が流れてくる。
広間は、新たに到着した冒険者でさらに人数を増やしたようだった。

「かなり他国に流れちゃったけど、ロンダニアの保存食技術は、まだまだ他の国になんて負けませんよ。
 あっ……そういえば、冒険者の中にはフェアリーもいましたけど珍しいですね。
 フェアリーなんて僕も初めてみましたよ」

妖精族にとって森とは母なる存在。
これを母胎と見立てたなら、森に留まるのは生まれていない事を意味する。
誕生と言う儀式を経験しない者には、時の呪縛が降りかかる事も無い。
それ故に通常は妖精達が森から出ることは無いのだ……彼らが永遠の少年である為に。
従って、森を出る妖精は異端の存在と言えた。

チェイニ―はビャクに声を掛けると、数脚の円卓が置かれた一角に戻って荷物の中から金属の缶を出す。
彼らはロンダニアでは一般的な、缶詰にも似た保存食を幾つも持ちこんでいるようだった。
この缶詰は冷凍魔術と組み合わせて、新鮮なままの食料品をそのまま保存する事ができる代物。
空腹に耐えかねて迂闊に開けた彼らが、匂いを嗅ぎつけた狼に狙われる切っかけとなった品でもある。

「それじゃあ食べましょうか。これは蓋を開けるだけで良いんです」

缶の蓋を開けると冷凍魔法が解除されて、一瞬にして常温に戻される。
中はパンや新鮮な野菜、果物、焙った鳥肉などのバリエーションも豊富な料理が卓を彩る。
彼らは買い溜めていた保存食を残らず持ってきていたのだ。
死ぬかもしれないのに、食料や金銭を残しても意味が無いから。

「それにしても隣の冒険者たち……うるさいですね。文句言ってやりましょうか?」

チェイニーは火野とアンクのテーブルを眺め、自分の冒険者仲間に小声で語る。

141 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/07/11(月) 21:28:45.46 0
>135
>137-138
>「良かった…無事だったんですね。俺は、火野映司っていいます。
よろしく!!あ、あとこいつはアンクっていいます。」

と、アンクというらしい人物とヒノさんがもめ始めた。
この二人、本当に仲間なのだろうか。明らかにアンクがヒノさんを格下に見てる感じ。

>「そうか、そいつは素晴らしい御伽噺だ。
だが、忘れるな。簡単に他人を信用するって事は、そいつに騙されて死ぬかも知れないってことだ。
特に、異世界の化け物にはな。お前は他人を信用し過ぎだ、馬鹿には何言っても無駄だろうがな。」
「異世界の化け物……? そっか、あなた達は異世界から来たんだね」

>「そうですね……ヒノ、私達も行きましょう。
 あの竜は姿が見えませんが、妖精自身と同様に魔術で透明化させているのでしょうか」
「正確には背景と同化、だね。ソフィアは変幻自在に色を変える事ができるんだ。
ボクはフェアリー=テイル、よろしくね!」

「あ、アヤさん!!すいません、今すぐ行きますんで。
おいアンク、行くぞ!!」
アンクがヒノさんに引っ張られてくる。
さっきは偉く仲が悪そうに思ったけど喧嘩する程仲がいいようにも見える。
一体どういう関係なんだろう。


142 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/07/11(月) 21:29:12.34 0
>136
>139
>「調理なら私に任せてください。実践こそ初めてですがマニュアルで基礎は学びましたので」
「えーっ、やり方を覚えても実際にすぐ出来るもんじゃないよー!」
が、アヤさんはどことなく自信ありげな足取りで厨房に入っていく。

自信作の料理が出来上がる→殺人的な味に悶絶するというお約束パターンが思い浮かんだ!

アンクさんはアイスに夢中だ。意外に可愛いところがあるもんだ。
「ふふっ、アンクさんアイス好きなの? ご飯の前に食べるんじゃいの!」
>「おい、お前のその羽。むしったらまた生えてくんのか?」
脅しのような質問に、ニヤリと笑って返す。
「生えてくるよ。これは魔力で出来た半実体の羽根だからね。
でも普通の物理的方法ではむしれないかな」

そうこうしている間に料理が出来上がった。
>「どうぞっ。食材は充分な用意がありますので遠慮する必要は微塵もありません」

美味しそうな香りについ警戒を解いて一口目を口に運ぶ。
「お、美味しい! 初めてでこんなにうまく作れるなんてアヤさんってすごいねー!」
相当頭がよくて器用なのかもしれない。

>「じゃ、いただきまぁーす!!おい、アンクも食べろよ。
美味いぞ!!あ、このお肉前にインドで食べたのに似てるなぁ……このお野菜もしゃきしゃきしてて
歯応えが」
「インド? へえ、地球から来たんだー! 地球には変身の技術もあるんだねえ!
あれ、何やってんの?」

>「あ、すいません。こいつの食事方法、ちょっと変わってて。」
ちょっとどころじゃなく変わってるよ! 注目の的になっちゃってる!

>140
ほらほら、不審そうな目で見られてるよ!
冒険者は連れらしき人に耳打ちする。その相手は……
「ビャクさん……? ビャクさんだよね!?」
ビャクさんに駆け寄る。

143 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/07/12(火) 20:19:53.35 0
>>139
テイルと火野はシチューに口を付けると賞賛の声を上げる。
世辞の混じらない純粋な褒め言葉を。
彼らの表情と声音からそれを感じたアヤソフィアは、表情こそ変えないものの頬を僅かに紅潮させた。

「……喜んで頂けて何よりですっ」

アンクは、鬼の腕の如き右腕そのもので食事を取って周囲を驚かせていた。
室内に広がる驚愕のざわめきに火野が謝罪を乗せる。
彼らの起こす喧騒を傍目に、アヤソフィアは自分もシチューを口に運び始めた。
(あの右腕は籠手ではなかったようですね……生体義肢でしょうか?)

「ほふやら、はふふおはにはおまううをもへふほうへふへ」

熱い塊に火傷してしまった舌を温い水で冷やして言い直す。

「どうやら、アンクも何かの魔力を持っているようですね。
 確か、昼間にはメダルを集めていると窺いましたが」

アヤソフィアは、火野の口から洩れたインドとの国名から記憶を辿る……。
以前目を通した資料に依れば、インドとはガイアの外なる世界。
すなわち、彼らはガイアの外なる異世界から来た人間なのだ。
彼らの目的はキマイラとの戦いで使ったメダルと同質の物を集める事なのだろう。
しかし明確な目的を持っているにしては、火野の行動には軽率さを感じなくも無い……。

「ヒノ、貴方はアンクの言う通り、少し警戒心が足りないようにも思えます。
 人を信頼するのは良い事ですが、戦士としてもう少し警戒心を持つ事を心掛けてはどうでしょう」

次に鬼の首を取ったかのような表情のアンクに目を向ける。

「それに対してアンク、貴方はいささか協調性に欠ける様に思われます。
 ヒノに悪態を吐いてばかりでは、いざという時の連携に支障が生じるのではありませんか。
 ……顔に似合わないかも知れませんが、言わせてもらいました」

ささやかな意趣返し。
狼を追い払った時に掛けられたアンクの台詞は、アヤソフィアの耳にも入っていたのだ。
アヤソフィアは、彼らも異邦人である事に無意識の親近感を覚えている。
だから、つい気兼ねなく語ってしまう……陽が落ちるまで。
朱と黄の残照も今は薄れ、代わって薄紫を纏った月が狂気と恐怖を煽り立てるように天に昇り始めていた。

144 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/07/12(火) 20:22:42.11 0
>>142
不意に立ち上がったテイルが、喧騒の中に入って来る男に向かって駆け出す。
朱の髪に灰色の外套を纏う戦士、ビャク・ミキストリに。
アヤソフィアの弛緩しかけた心が一瞬で緊張を取り戻した。

「ミキストリ卿!なぜ、ここに?
 まだ大峡谷の探索結果は送っていないはずですが……まさか、ガイア世界自体に重篤な変化が?」

自らが援護や補佐を行うべき戦士の出現に、アヤソフィアは立ちあがって直立不動の姿勢を取る。
数瞬遅れて、アヤソフィアはテイルがビャクの名を呼んだ違和感に気付いた。
情報交換が必要だと感じたアヤソフィアが、テイルに向かって話を切り出す。

「フェアリー=テイル、貴方はミキストリ卿を御存じだったのですか?
 ……それでしたら、ある程度を話しても問題無いかも知れませんね。
 初対面の方もいるようですし、まずは情報の交換と整理を行いましょう。
 私はミキストリ卿と同じ組織に属する者で……そうですね。多世界間の安定を担う者達であると思って下さい。
 今回私がガイア世界に来たのは、この大旱魃が他の世界まで波及するかどうかを調査する為です」

椅子を用意してビャクに勧めると、まずはアヤソフィアが口火を切る。

「現在のガイア世界は、星の女神と邪神の争いの末、法則を新たにした世界へと変化してしまいました。
 その新生の影響で、今は各地で揺り戻しの様な現象が起きていると考えられます。
 法則の変化してしまった世界では最初から存在しないはずのもの、逆に変化した世界では無いと不自然なもの。
 そのようなものが齟齬を起こして、異変の原因となっているのではないかと推測されます。
 ある種の適応不順と言えば、分かりやすいでしょうか。
 ここロンダニアは特に旱魃の影響が大きく、天候異変の原因となる何かも存在すると思われます」

アヤソフィアは天候異変に関しての推論を述べると、テイルと火野に顔を向ける。

「それと……私としては以後の行動をミキストリ卿と共にしたく思いますが、宜しいでしょうか」

【>>ALL 自己紹介と情報の交換、同行の提案】

145 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/07/13(水) 01:00:01.84 0
>>141
>「生えてくるよ。これは魔力で出来た半実体の羽根だからね。

「ほぉ……魔力か。やはりこの世界じゃ、そんな力が平然と存在しているってわけだな。」
興味深そうにティルの羽を見つめ、アンクはアイスの棒を口に加えると不敵に笑った。

>「インド? へえ、地球から来たんだー! 地球には変身の技術もあるんだねえ!
あれ、何やってんの?」

ティルの質問に、映司はオーズのベルトと3枚のメダルを取り出し机に並べる。
それぞれのメダルの色は赤・黄・緑の3色。そしてそれに対応するようにベルトの
中央には3個のメダル装着する為の溝がある。

「これは、コアメダルといってそれぞれのメダルには生き物の力が宿ってるんです。
赤い色のこれは、タカ。そして黄色がトラ、緑がバッタってみたいに。
他にも赤色のコアにも色々あって、それぞれの組み合わせで変身する事が出来るんですよ。
……で、同じ色のメダルを3枚組み合わせるとコンボっていう……」

アンクはアイスの棒を指で弾きながら、映司の並べたコアメダルを拾い上げる。
「コンボってのはそれぞれの色のコアの力を組み合わせたもんだ。
俺のコアなら、タカ・クジャク・コンドル。だが、今のところそいつが持っているのは
タカとコンドル。コンボは出来ないってわけだ。」

>>143
>「どうやら、アンクも何かの魔力を持っているようですね。
 確か、昼間にはメダルを集めていると窺いましたが」

アヤの質問にアンクは更に言葉を続ける。
手にあるのは1枚のカード。

「こいつを俺達に渡した奴がいた。名前は、通りすがりの何とかってやらか。」

映司がカードを拾い上げ、その名前を復唱する。

「いや、通りすがりの仮面ライダー……確か、名前は『ディケイド』だったはず。」

>「ヒノ、貴方はアンクの言う通り、少し警戒心が足りないようにも思えます。
 人を信頼するのは良い事ですが、戦士としてもう少し警戒心を持つ事を心掛けてはどうでしょう」

アヤの忠告に映司もいささか思い当たる点もあった。
人を信じ過ぎる部分があるのはやはり戦う者として不安要素でもあると。

「はい……やっぱそうですよね。アンクにも言われましたけど、俺うかつなとこあるし。」

次にアンクが忠告を受ける。
しかしアンクはアイスを噛みながら、アヤの言葉を受け流すような笑みを浮かべる。

「ふん……まぁ、顔に似合わないってのは正しいな。
俺達をこの世界と繋げたのは――その、ディケイドってやつのせいだ。
奴が、この世界と関わったお陰で俺やこいつとお前達の世界に橋が架かった。
他にも、オーズ以外にも仮面ライダーってのはいるようだがな。」

メダルケースを取り出し、そこに多くの空白がある事を示す。
「俺達の世界にも、お前らの言う異変が影響を及ぼしたようだ。
メダルはこの世界に飛び散り、残ったのは俺が保管していたものだけ。」



146 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/07/13(水) 01:07:29.17 0
映司の脳裏に蘇るのは、首からカメラを下げた青年の言葉。
「全てを破壊し、全てを―――。」

彼はそう言い残し、灰色のベールの中へ霞のように消えていった。
彼が何を求め、何を伝えたかったのかは映司にはわからない。
しかし、彼自身がいない今、この世界で為すべき事を為すだけだ。
映司はカードを握り締め、じっとアヤの話を聞く。

>「現在のガイア世界は、星の女神と邪神の争いの末、法則を新たにした世界へと変化してしまいました。
 その新生の影響で、今は各地で揺り戻しの様な現象が起きていると考えられます。
 法則の変化してしまった世界では最初から存在しないはずのもの、逆に変化した世界では無いと不自然なもの。
 そのようなものが齟齬を起こして、異変の原因となっているのではないかと推測されます。
 ある種の適応不順と言えば、分かりやすいでしょうか。
 ここロンダニアは特に旱魃の影響が大きく、天候異変の原因となる何かも存在すると思われます」

この世界の大きな異変、その影響から映司達の世界にも異変が起きたのだろうか。
アンクの推測が正しいならば、この世界を異変から救う事が自分たちの世界を
救うことにもなる。

>「それと……私としては以後の行動をミキストリ卿と共にしたく思いますが、宜しいでしょうか」

アヤソフィヤは近くのテーブルに座っていた男性に挨拶をしながら
その人物を知っているような素振りだった。
アンクはそれを疑惑の視線で見つめるが、映司は即座に握手を求めながら
彼の登場を歓迎した。

「ええ、是非宜しくお願いします!!俺は火野映司、明日のパンツと小銭しか
ないですけど……少しは力になれると思います。」





147 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/07/14(木) 23:28:39.35 0
>144
>146
アヤさんの見解に補足する。
「まあそんな感じかな。
邪神が星の女神を含むあらゆる神々を手玉に取って世界を滅ぼそうとしていた。
それを阻止するために世界の”形”を変化させたんだ。ちょっとはそっとでは壊れないような形に。
でも一刻の猶予も許されない突貫工事だったから混乱が起きたのかもしれない。
あるべき物が隣の世界に紛れ込んでたり逆に無いはずのものが入ってきてたり……。
この大旱魃は水の属性が余所に行ってしまったからかもしれない」

>「俺達の世界にも、お前らの言う異変が影響を及ぼしたようだ。
メダルはこの世界に飛び散り、残ったのは俺が保管していたものだけ。」
「そうみたいだね……。
異変は他の世界でも起こっている。それは大旱魃とは限らずそれぞれ違った形をとるみたいだ」

アヤさんが、ビャクさん御一行と合流しようと提案する。
>「それと……私としては以後の行動をミキストリ卿と共にしたく思いますが、宜しいでしょうか」
「もっちろん!」
>「ええ、是非宜しくお願いします!!俺は火野映司、明日のパンツと小銭しか
ないですけど……少しは力になれると思います。」

「ビャクさん、またよろしくね!」

148 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/07/17(日) 03:10:30.14 0
>140

寝転んでから幾らか時が流れたとき、一人の少年が呼びに来る
たしかチェイニーと名乗っていたはずだ

>「ビャクさん。夕食の準備が出来ましたけど、どうしますか?」
「もうそんな時間か…折角だ頂こうか」

起き上がり、少年の後に付いて行くと入って来た時より更に増え賑わっていた
雑多になったものだが一々気にする事でもない


>「かなり他国に流れちゃったけど、ロンダニアの保存食技術は、まだまだ他の国になんて負けませんよ。
 あっ……そういえば、冒険者の中にはフェアリーもいましたけど珍しいですね。
 フェアリーなんて僕も初めてみましたよ」

「そうか……フェアリー?」

移動しながら技術の流出により職を失った少年を少し悲しげに見つめ返事をするが
妖精の名を聞いた時、見知った顔が過ぎるが
まさかなと受け流し、食事が置いてある席に座る。

>「それじゃあ食べましょうか。これは蓋を開けるだけで良いんです」
「ほう、なんら俺の居た場所とは変わらん様だな」

缶の蓋を空けようとした時、隣が騒いでいるようで耳障りだったのか席を立ち

>「それにしても隣の冒険者たち……うるさいですね。文句言ってやりましょうか?」
「別にそれほどでもないだろう?…行ってしまったな仕方ない」

苦情を呈しに向かってしまうこのまま無用なトラブルに巻き込まれるのも困ったものだし
そこまでするほどでもないと思っていたので溜息を吐きながらも止めに行くと
立ち止まり文句を言う直前のチェイニーを制止する

「やめろ気にするまでも無い下らん事だ馬鹿馬鹿しいことでエネルギーを使う…うん?」

肩に手をやり、制止しようとしたときに偶然視界に入ったのは
先ほど頭に過ぎった存在であった。

149 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/07/17(日) 04:48:41.62 0
>「ビャクさん……? ビャクさんだよね!?」

「フッ…やはりかこの世界ではお前との縁は切れないらしいな」

懐かしい顔に思わず笑みがこぼれる。

>「ミキストリ卿!なぜ、ここに?
 まだ大峡谷の探索結果は送っていないはずですが……まさか、ガイア世界自体に重篤な変化が?」

「違う、あくまで様子見だこの世界は変わりようが速いだから迅速な行動が出来るようにと
送られてきただけだ。それにエヴレン、少し堅苦しいなもう少し力を抜け
それに俺はビャクでいい、その物言いはどうもムズムズする」

機密条項に触れる部分は差し障りなく繋げながら彼女が納得するような理由を告げる。
それとは別にどうも肩肘を張りすぎなので気楽にできるようにと名前の呼び方の変更を不敵な笑みで提案する。

>「ええ、是非宜しくお願いします!!俺は火野映司、明日のパンツと小銭しか
ないですけど……少しは力になれると思います。」

「君は…いやなんでもない、俺はビャク=ミキストリだよろしく頼むよ
そこの赤い右腕の君も」

彼には面識は無いだろうが何処かの世界で見たことのある顔であったが
今はそのことを気にする時でもない
フッ、という表情を崩さずに金髪の男に一瞥をくれてやると
手を差し出した青年に快く握手をする。
その直後にレヴレンに席を勧められると礼を言って座る。
彼女は早速独自の見解と自分の同行の旨を告げるが
こちらとしては反対する理由は無い今のところはだが

「…中々の推論だが、あくまで推察でしかない事を前提にしろよ?当然だが
それはこれからの調査で調べる事でありまったく真逆の真実も有り得る
そこに固執しては真実が曇る可能性があることを忘れるなよ?
さて、話は変わるが同行することに異議は無い今の所はその方が得策だからな」

我ながら擦れた物言いしかできな内心自嘲しつつ彼女の同行については賛同する
そうすれば自分の目で彼女の実力も見ることもできるだろう。

>「ビャクさん、またよろしくね!」

「ああ、よろしくまた頼む」

騒がしくはなるだろうが悪い気分ではなかった

150 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/07/17(日) 17:09:18.67 0
>>145-149
アンクだけは不審を隠す様子が見られなかったものの、ビャクに合流するとの提案は同行者達に受け入れられたようだった。
しばらくは、ガイアと異世界の混成者たちが卓子を囲んで語らいの刻を過ごす。
アヤソフィアは、まず火野とアンクに視線を向ける。
彼らはディケイドなる存在に依ってガイアに導かれ、世界中に散らばるメダルを探しているとの事だった。

「ライダー・ディケイド……聞き覚えはありませんが、異界間の橋渡しが出来るのなら神獣クラスの乗り手でしょうか。
 本部に帰還して検索すれば、何らかの情報が得られるとは思うのですが。
 それと、ヒノの探すコアメダルは異変に関わりがあるのでしたら、この近くにも存在する可能性はあると思われます。
 この地の異変は、かなり規模が大きいようですので」

次の話題は、再び大旱魃の原因へと移る。
テイルは異変発生の原因を水属性の欠如と見ているようだった。

「確かに、その可能性は考えられます。
 では、ガイア世界に脅威を齎した中で天変の原因となりそうな存在を幾つか検証してみましょう。
 最初に死霊皇帝タルタロスですが、資料に依ればガイア神と一つになったと書かれていました。
 従ってガイア神と離れていなければ、依然彼女と融合したままであると思われます。
 水のシャードで復活したソフィア、名も無き狂気の神、デミウルゴス、      ……これらは消息が不明」

アヤソフィアは熟慮の間の後、妖精に私見を述べる。

「ソフィアはガイア人の始祖を創造した程の大神であるだけに、彼の神が水の力を欠いている事が説としては有力かも知れません。
 しかし、もしソフィアの半身が異世界に消えたのなら、探すべきはガイアではなくソフィアが消えた彼方の世界となってしまいます。
 そうであれば、ガイアの天変地異を解消する為の難度が上昇するのは否めません。
 無論、ミキストリ卿の言う通り、真実の門の先には何が待ち受けているか分かりませんが」

ミキストリ卿と口にして、アヤソフィアがハッとした様に言葉を止め、顎に手を当てる。
次に軽く息を吐き、ビャクを名で呼ぶようにとの要望に応えるべく口を開く。
(……やはり呼ばねばなりませんか)

「先程の御要望の件ですが……了解致しました。以後はビャクとお呼びいたします。
 ではビャク。時刻も夜に入ったようですし、我々も翌日の探索に備えて休息を取りましょう。
 此処では各冒険者パーティーごとに一人、見張りを出すとの事ですが」

『それなら僕がやります』

ビャクの連れていた冒険者の一人、チェイニーが見張り役に名乗りを上げる。
アヤソフィアの見立てでも、チェイニーの力量はそれ程ではない。
しかし、見張りには他にも冒険者が何人か残る様だったので、彼に任せても問題無いと思えた。
礼を失するとは思ったものの、戦力的に期待できない彼が睡眠不足に陥っても探索への影響は少ないとの計算も働く。

「……分かりました。では貴方に見張りをお願いします。
 それでは、また明日。夜が白んだらすぐに出発の準備に取り掛かりましょう」

アヤソフィアは翌日の出発時刻を述べると、就寝するべく女性用の大部屋に向かってゆく。

151 :チェイニー@NPC ◆666/MyrH6U :2011/07/17(日) 17:24:52.47 0
歓談と食事の時間が終わりを告げる。
残る冒険者たちは明日に備え、見張りの者を残して眠りに着き始めた。
多くの冒険者パーティーが大部屋に向かい、就寝の準備を始め、広間からは人の姿が疎らとなる。
残るのは見張り役である数名の冒険者のみ。
しばらく彼らは魔物や旱魃の害について語り合っていたが、そのうちの一人が不意に窓辺へと近づく。
それは窓辺で見張っている者たちと役を交代するのだろうと思われ、他の冒険者たちの気には留められなかった。
(やけに息苦い……外の空気が吸いたい……体が熱い……)

夜は目覚めていた。
ガラスの嵌っていない、小さな跳ね上げ式の窓から漏れるのは蒼ざめた月の光。
窓辺に向かった少年が月の光を浴びた瞬間、ごきり、と関節が外れる様な音が鳴り、彼の顔に苦悶の表情が浮かぶ。

「ぐ……ああ……ぁぁっ!」

呻きを上げたのはビャクに同行していた少年、チェイニー。
彼は地面に両膝をついて獣の姿勢を取っていた。
みしみしと体中の骨は軋み、彼の体格が少しずつ形を変えて行く。獣に。狼に。
少しだけ陽に焼けていた肌は黒に染まり、異常な早さで黒い体毛が生え、全身を覆う。

「ウ……ウオオォォォォ!」

咆哮を上げるそれは、すでに人の姿を保っていない。
紫の瞳だけが人間であった頃の名残。
ほんの少し前まで少年だった黒い狼は、今は人狼と呼ばれる魔獣に酷似していた。
いや、この大峡谷では聖獣と呼ぶべきなのかもしれない。
この地に憑いた神の眷属である彼らは。

奇怪な獣化現象は大峡谷全域で起きていた。
人も、獣も、魔物も……聖獣である狼の命を奪った生物たちが月の光を浴びて次々に狼へと姿を変える。
獣と化した者からは理性が吹き消え、代わって与えられるのは狂気。
狼化の呪い。これこそが大峡谷から狼の数が減らない理由であった。

魔物を見なれた冒険者たちも目前の光景に困惑する。
人が魔物へ姿を変えゆく光景に。
だから、見張りである彼らも突如として室内に現れた人狼の攻撃を防ぐことが出来なかった。
黒い影と化して迫った狼の爪は、瞬きする暇さえないほどに素早く翻る。
迸った液体で床が濡れる音。殺意を剥き出しにした唸り声。沸き上がる悲鳴と叫喚。
陽が落ちた今、狩る者たちが狩られる者の立場へと逆転していた。

人狼と化したチェイニーは、近くにいた冒険者を屠ると扉を破って外へ出ていった。
続いて、外からは堅い物が砕ける幾つもの音が響く。
建物の堅牢さを保つ為の柵の防護と仕掛けが、内側より破壊される音だった。

「ウオォォォォ!」

冒険者のベースとなる建物は、完全に人狼の群れに包囲されていた。
外から無数に聞こえる魔狼の遠吠えは、砦の如き強固を誇った建物が棺桶と化したような錯覚を抱かせる。
忌まわしい雄叫びをに混じって響くのは獣の足音。
狂える人狼の群れは、彼らの神に生贄を捧げるべく、無防備となった建物に近づいて来る。

152 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/07/17(日) 21:47:29.59 0
大部屋の簡易寝台は全て埋まっていた為、アヤソフィアは毛布を敷いて床に身を横たえていた。
ここまでの旅路が思ったより疲労を残していたのか、その眠りは深い。
彼女の眠りを妨げ、夢の世界から引き戻したのは叫喚の怒声と交戦の剣戟。

「……んっ……ぅ」

『起きろ!魔物だ!』

鼓膜を震わすような大声に、アヤソフィアは弾かれたように眠りから跳び起きた。
窓の無い室内は薄闇。まずは咄嗟に手を伸ばして短剣を身につけているかを確かめる。
そして剣を持っている事に小さな安堵を得ると、アヤソフィアは叫んだ人物に向かって問う。

「……何事ですかっ」

『建物の中に魔物が入りこんだ!すでに広間で交戦している!』

夢の世界に鈍らされた思考が、ようやく状況を把握する。
周囲の冒険者たちも、すでに武装の準備を始めているようだった。

「見張りはっ?」

『知らないよ!御託はいいからさっさと援護に入れ!』

真銀の短剣を片手に持ったアヤソフィアが広間に入ったのは、他の冒険者達に一足遅れて。
広間には三匹の人狼がいたものの、それに三倍する九名の冒険者が斬り結んでおり、魔物の群れを撃退するのは容易いかに思えた。
アヤソフィアが室内を確認する。壊されてはいるものの出入り口の扉は一つ。
彼女は扉の前に陣取って、入ってくる魔物を複数の冒険者で一匹ずつ仕留めれば、いつかは相手を全滅させられると踏んだ。

「皆っ、まずは入口を固めてください。この場を魔物が一体ずつしか入り込めない状況に!」

一人の剣士が、おうっと叫ぶや扉に向かって走り、進路に立つ敵の心臓に剣を突き立てた。
そして……彼は人狼の呪いに囚われてしまう。
剣士の頭部は粘土で捏ね繰り回す様に潰れ、伸ばされ、耳が頭にめり込み、顔が前方に押し出された。
作り出されたのは、彼が手を下したばかりの人狼。
さらにもう一人が呪いに囚われた事で、ようやく全員が理解する……この戦いの掟を。

「……ッ!いけませんっ!人狼を殺した者は呪いで人狼となるようですっ!」

アヤソフィアは後続の冒険者に警告を発する。
そして、その警告が冒険者達を恐慌状態に変えてしまった。
広間で交戦していた冒険者が大部屋への逃走を始め、アヤソフィアは数を増す魔物の群れに囲まれてしまう。

「……クッ」

アヤソフィアが踏みとどまったのは、自分の指示で狼化の呪いに囚われてしまった者がいるという自責から。
しかし、彼女の剣の腕前は複数の人狼を相手するには明らかに足りない。
魔獣の爪が体を掠める度に、腕を裂かれ、足を裂かれて鮮血を床に散らす。
何よりも、これは絶望的な戦いと言えた。
人狼は人間達の命を奪えるが、こちらは相手を殺してしまうわけにはいかないのだ。
アヤソフィアは精神的な重圧と、襲い来る何匹もの魔物相手に次第に押されてゆく。
このまま彼女が人狼との交戦を続ければ、遠からず獣の餌食となるだろう。

【>>ALL 広間で人狼の群れと交戦】

153 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/07/18(月) 01:11:05.01 0
食事と歓談を終え、しばしの静寂の中――大部屋に隣接した小部屋で枕を横にしてぼんやりと天井を見ている映司。
アンクは、眠っている様子は無くただ外の方をじっと見つめている。

「寝ないのか?アンク。」

「寝ないのは俺の勝手だ。お前こそ、さっさと寝たらどうだ。
――!?おい、映司!!」

>『建物の中に魔物が入りこんだ!すでに広間で交戦している!』

アンクが、兵士の声を聞き取り映司を引き連れて建物へ向かう。
周囲が一瞬にして緊迫の面持ちへ変わっていた。
怒号が建物の中から聞こえると、アヤソフィヤ達に合流を確認する為に
その方向へ向かう。

「アヤさん!!ティルさん、ビャクさん…みんな大丈夫ですか!?」

声をかけようとそちらへ動いた瞬間、そこでは恐ろしい出来事が
発生していた。

>「……ッ!いけませんっ!人狼を殺した者は呪いで人狼となるようですっ!」

狼男とでもいうべきだろうか。その大群相手に奮戦していた1人の戦士が
今この瞬間、倒したはずのその怪物へと変貌してしまったのであった。
映司はアヤソフィヤの元へ向かおうとするが、それをアンクが制止する。

「よせ、もう手遅れだ。あの女は放っておけ!!」

しかし映司はそれを振りほどき大部屋で追い詰められたアヤソフィヤの
元へ駆ける。

「アンク!!メダルだ!!」

アンクは苛立ちを募らせながらも、渋々メダルホルダーから
3枚のメダルを映司へ向け投げ放つ。

「チッ……どうなっても知らないからな。」



154 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/07/18(月) 01:11:44.83 0
メダルを受け取った映司がオーズへ変身する。「変身ッ!!」
『タカ・トラ・バッタ!!タトバ・タトバ・タトバ♪』

「今日からの長い付き合いなんだ……見捨てるなんて出来ない。
待っててください、アヤさん!!」

アヤソフィヤを救う為、人狼の群れへ突撃するオーズ。
しかし先程のアヤソフィヤの言葉がアンクに去来する。
「おい!!奴らを倒すな!!その女を助けるだけにしろ!!
そいつらみたいな化け物になりたくないならな。」

しかし助けようにも相手は圧倒的に数の優位を持つ。
アヤソフィヤへ手を伸ばそうとするも、それを人狼の攻撃に遮られてしまう。
「アヤさんっ!!クソ……!!あと少しで、少しで−−!!
アヤさん!!手を、手を伸ばしてください!!」

「チッ……相手を倒せば呪いを掛けれる。数も優位だ。
流石のオーズも、どうしようもないかもな。
おい、妖精もどき!!いるんだったら何が出来るか教えろ!!
ん?」

近くにいるかもしれないティルへアンクが叫ぶ。
それと同時に、1人の狼の首元を注目する。
そこには鈍い銀色に輝く1枚のメダルが存在していた。
アンクのメダルホルダーには同じ種類のメダルが2枚。
ゾウとゴリラの意匠が施されたものがある。

「映司ぃ!!お前の左側にいる化け物の胸元にメダルだ!!
ぜぇったいに、取り逃がすんじゃないぞ!!」

【映司(オーズ):アヤソフィヤを救出へ アンク:ティルを探す、メダルを発見し
オーズへ奪取を指示】



155 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/07/18(月) 03:35:08.07 0
アヤソフィヤや火野映司達が起きる少し前
先ほどの再会から時が経ち、大部屋の中で大勢がベットで眠りこけている中
どうも落ち着かず中々眠れない。超人として作られた彼は眠りという物は余程の力の消耗時以外には必要が無い。
一ヶ月寝なくてもぶっ通しで戦える、そんな存在である。
「……チェイニーの奴にもさすがに悪いか交代を呼びかけるか」

このまま意味の無い時間の浪費をするのも馬鹿馬鹿しいと思い
我々の為に志願してくれた彼の代わりをするのも良い時間潰しと思い
彼の元にで向かう。だがその時には既に遅かったが。

案の定見張り役の何人かの冒険者とチェイニーが窓辺で月の光を見ていた。
ゆっくりとした足取りでチェイニーの元に向かいながら声を掛ける。

「どうも寝付けなくてな、今しばらくは目が冴えて仕方が無い
チェイニー此処は俺と交代しようか?お前も朝が早いだろう?」

肩に手を掛けようと手を伸ばそうとしたとき様子がおかしい事に気づく。

「どうしたチェイニー?具合でも…」

しかし次の瞬間、目の前には既におらず変わりに無意識の内に反射的に回避した背後では
そこに居た冒険者達があっと言う間に血まみれの肉塊に返ったことだ。

「何が…!?起きている?ッ待て!?」

咄嗟に無命剣を召喚し、素早く背後に向くがチェイニーだった人狼は既に扉を破り消えていた
即座に追いかけて、その人狼は後を付いて着ているのが分っているのか立ち止まり
こちらに襲い掛かってくる。しかし、冷たい瞳をした執行者は何事も無く無慈悲な一撃で斬り捨てる。

「………すまんなこんな風な救い方しか出来なくて」

なぜ早く気づけなかったのだろうかそんな後悔の念が胸を支配し、弔うように
その遺体を燃やす。
そんな中、応戦している兵士達から怒声気味な必死の声で

>『建物の中に魔物が入りこんだ!すでに広間で交戦している!』

「厄介な事になっているが…こちらにも居るのだがな仕方があるまい」

燃え盛る人狼の死体に黙祷を捧げ、大急ぎで広場へと向かった。











156 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/07/18(月) 04:05:46.19 0
広場へ向かうと既に人狼に取り囲まれたレヴレンとそれを救おうとする
かつて出会った世界の破壊者―に似ている存在が彼女を救うべく必死で手を伸ばそうとする。
こちらとしても手を拱いて見ているつもりは無い。

「…ええい見てられんな!!」

剣からハルバートに変えると疾風の如く一瞬で彼女への道を囲う人狼達を薙ぎ
一気に駆け抜けて彼女をいつの間にか自身の背後に回し、再度構えながら

「馬鹿者が!!命のやり取りの前で悩むな!此処は既に戦場だ、迷えば死ぬぞ!
迷うならば生き残った後にしろ、己を責める事は生き残った後でも出来る事だ!
死ねばその経験も生かすこともできん違うか!?」

削ったはずの人狼もあっと言う間に道を塞ぎじりじりとこちら側に迫ってくる中
突き刺すような殺気とその場の敵を射抜くような鋭い視線を向けながら
背後の彼女を気を配りながら次の一手を考えていた。




157 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/07/19(火) 20:37:47.45 0
>>154
最小の動きで人狼の攻撃を躱わし、手足の腱を狙って、擦れ違う瞬間に真銀(ミスリル)の短剣を繰り出す。
呪文の詠唱すら困難な状態のアヤソフィアが、殺してはならぬ魔物の動きを止めるにはそれしか無かった。
しかし狂える狼の動きは俊敏。練達の剣士すら困難であろう芸当が彼女に出来よう筈も無い。
魔物が腕を振る度に、アヤソフィアの体には浅くない傷が幾筋も刻み込まれる。

「これでは……っ」

銀のメダルを胸に埋めた人狼が、アヤソフィアの喉元に喰らい付こうとした瞬間だった。
広間にオーズの装甲を纏った火野が現れ、人狼の群れに向かって行ったのは。
手を伸ばしてとの彼の声に向かってアヤソフィアが手を伸ばすと、フッと体が浮き上がる感覚がした。
彼女が飛び込んだ先はオーズの腕の中。
同時に、先程まで立っていた空間を獣の牙が通過する。

「……危ない所でした。ヒノ、感謝しますっ」

続くアンクの怒声。火野にメダルの存在を告げて絶対に取り逃すなと叫ぶ。
唸りを上げて此方を向く人狼の胸には、確かに銀のメダルが鈍い光を放っていた。

「あのメダルは……ヒノの探しているものではありませんか?
 奪取を試みるなら、まずは私が動きを止める魔術を掛けてみます」

アヤソフィアは火野の腕の中から飛び降り、彼の援護に移れるように後退する。

(石化……は危険かも知れません。束縛の糸は範囲に難があります。他は眠り、魅了、支配……ここは支配が最良でしょう)
アヤソフィアは己のケープに獣支配の魔力が備わっている事を思い出し、その行使に移るべく呪文の詠唱を開始する。

「我が言葉を全ての獣は怖れよ――atsvr(止まれ)!」

人狼の精神を絡め取るべく、アヤソフィアの言葉は見えざる精神の糸となって伸ばされる。
しかし彼らの心は混濁しており、精神に影響を及ぼす術を受け入れない。
全ての獣を従属させるはずの支配の言葉は、彼らの心に響き渡る狂気の旋律に依って掻き消された。
意味をなさない叫び、渾然となった悲嘆と激怒と喜悦、捻じくれた欲望、破壊願望……狂える旋律は次第に大きくなってゆく。
(――――これ以上、触れてはならないッ)

獣の狂気が自らの精神に逆流するのを感じた瞬間、アヤソフィアは強引に魔術を中断して人狼との精神的接触を断ちきった。
狂った心に触れ続ければ、己の心まで狂気に浸食されてしまうから。
そして彼らの精神に触れた事で、アヤソフィアは人狼の主が何者であるかを理解する。

「ヒノ、申し訳ありません。術は失敗です。
 ですが、敵の首魁は判明しました。
 これ程の呪い、精神を塗り潰す狂気、狼を眷属とする者……。
 人狼の主は、現在消息不明となっている狂気の神以外に該当する者は考えられません」

異変の原因が狂気の神ならば、この旱魃は天候が狂わされた事によるものなのだろうか……。
アヤソフィアの疑問は獣の咆哮で打ち破られる。

『ウォォォォォ!』

銀の硬貨を胸に埋めた人狼は姿勢を低くし獣の姿勢を取るや、地を蹴って火野へ飛びかかってきた。
鋭い牙で彼の喉笛に噛みつくべく。

158 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/07/19(火) 20:56:09.20 0
>>156
灰色の外套に熱い外気を纏わりつかせ、一筋の影が魔物が暴れる広間に入ってきた。
ビャクが斧槍(ハルバード)を振り回す度に烈風が生まれ、それに巻き込まれた人狼が木の葉の様に宙を舞う。
殲滅者である彼には、強固な呪詛耐性が備わっているのであろうか。
鬼神の様に斧槍を振るう戦士には、人狼化の呪いを意に解する様子は微塵も見られなかった。
ビャクはアヤソフィアを背後に陣取ると、悩みや迷いは生き残った後にしろと叱咤する。

「……はい。その通りでした。
 調査で結果を得ても、死亡して報告が為されねば何の意味もありません。
 生存しなければ次の機会が無い事も肝に銘じておきます。
 ですがビャク、この戦闘は至難を極めます。
 この人狼達は己の命を奪ったものを人狼に変える強力な呪いを備えています。
 一匹でも人狼を殺してしまえば、獣化の呪いに囚われてしまうのは免れないでしょう」

魔物への対策を練るべく思考の輪を巡らせようとした時、アヤソフィアはビャクが外から来た事に気づく。
外はすでに人狼の群れに包囲されているはずである。

「……ビャク、貴方は外から来たようですが、すでに人狼達の息の根を止めてしまってはいませんか?
 その場合は迂闊に誰かに触れてはいけません。
 呪術の基礎には感染の法則というものが存在します。
 呪われたものに触れれば、触れたものに呪いが移るとの理論です。
 貴方自身は殲滅者としての能力で呪いをレジストできるかもしれません。
 しかし呪いそのものが消えていなければ、次に貴方に接触した個体へ呪いは転移し、獣化の呪いが発動すると考えられます」

いつの間にか建物の外では、唸り声に混じってガッ……ガッと鋭い爪で壁に傷を付けられる音が生じていた。
このままでは、いずれは人狼の侵入を許すだけの穴が幾つも開けられるのは明白だろう。
ビャクに呪いの存在を警告したアヤソフィアは、次第に数を増してゆく敵への対策を述べる。

「……封印武器、クラウ・ソラスが撹乱に有効かもしれません。
 人狼の発生が夜に限られているなら、太陽の光は彼らに何がしかの影響を与えるとも考えられます」

不敗なる光輝の剣《クラウ・ソラス》は、太陽が爆発したかの如き閃光を発し、敵を幻惑する魔力を持つ聖剣。
人狼を人に戻す事は適わずとも、燦たる太陽の光は一時的に彼らの動きを止める程度の効果は持つかも知れない。
しかし仮に魔物の群れの動きを止められた所で、大勢の冒険者達を連れたままの逃走は難しく、籠城する場所も砦の態を為さない。
アヤソフィアは心中に生じた思考の輪を急速に回転させた……他に何か手は……何か……。

「フェアリー=テイル!竜の召喚は可能でしょうかっ」

回転する思考の輪が動きを止め、アヤソフィアに選択を下させる。
空を駆ける巨竜の背なら数十を超える冒険者を乗せたままでも、魔狼の包囲を突破できるのではないかと。

【>>テイル 竜の召喚を要請】

159 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/07/19(火) 22:40:04.99 0
>149
>「ああ、よろしくまた頼む」

ビャクさんが 再び仲間に 加わった!

>150
アヤさんは、タルタロスはガイア神と融合したままかもしれないと語った。
ボクとしては力を合わせてテュポーンを作り上げた=融和 という認識だったのだけど本当に文字通り融合してたのか?
でもボクが受け継いだのはガイアの力だけみたいだ。
「なるほど、行方不明になっている説明はそれでつくね。
でもついこの間も天使が冥界に攻め込んで領界侵犯はアウトーッとか言って普通に戦ってたぞ……。
つまり……どういうことだってばよ?」

>151
妖精は特に寝る必要はないので建物の屋根の上に座ってそれとなく見張りをしていた。
と……
>「ぐ……ああ……ぁぁっ!」
「チェイニー君!?」
まず思い出したのは、ニケ君やアテナちゃんの種族。
獣の耳と尻尾を持ち、獣に変身する事が出来る種族、獣人族(ヴァーナ)。
それ故に、一瞬反応が遅れた。
「いや……違う!」

>「ウオォォォォ!」
あっというまに建物は人狼の群れに包囲され、人狼が突入していく!
「こんなにたくさん……! 大変!」
急いで天窓から中に飛び込んだ。

>「アヤさん!!ティルさん、ビャクさん…みんな大丈夫ですか!?」
「ボクは大丈夫だけど……」

>「……ッ!いけませんっ!人狼を殺した者は呪いで人狼となるようですっ!」
「それならっ!」
放つは、エレメントセプターを使った最強の状態異常解除魔法。
「【プリズミックレイ】!」
虹色の光が人狼を包み込む。
本来ならば、ゾンビ状態すら解除する事ができる奇跡の魔法。だがしかし。
人狼に特に変化はない。
「うそ……効かない!?」

160 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/07/19(火) 22:41:16.91 0
>154
>「チッ……相手を倒せば呪いを掛けれる。数も優位だ。
流石のオーズも、どうしようもないかもな。
おい、妖精もどき!!いるんだったら何が出来るか教えろ!!
ん?」
「ここにいるよ! でも切り札も効かないしお手上げだ!」

>156
ビャクさんが躊躇なく人狼たちを薙ぎ払う。
>「馬鹿者が!!命のやり取りの前で悩むな!此処は既に戦場だ、迷えば死ぬぞ!
迷うならば生き残った後にしろ、己を責める事は生き残った後でも出来る事だ!
死ねばその経験も生かすこともできん違うか!?」
「ビャクさん!? 駄目! 狼になっちゃう!」

>157
アヤさんが黒幕の正体をつきとめた。
相手が狂気の神ほどの高位の邪神なら、エレメントセプターの解呪の奇跡が競り負けたのも納得できる。

>158
幸いビャクさんが狼になる気配はないが、アヤさんが呪いが伝染するかもしれないと警告する。
「良かった、発症はしないんだね……。伝染性の解除ぐらいならこれでできるかも!」
ビャクさんにプリズミックレイをかける。

とはいえ、大元を何とかしない限り敵は増える一方。このままではジリ貧だ。
その時、アヤさんが閃いた。

>「フェアリー=テイル!竜の召喚は可能でしょうかっ」

「そ れ だ ! ソフィア、来て!」

そこは電話いらずの神同士のテレパシー。即座に、荘厳なドラゴンが姿を現して舞い降りてくる。
人狼たちが、輪を描くように、弾かれるように後ずさる。
知恵の名を持つ神だけあって、その防御結界は狂気の神の傀儡を寄せ付けないのだ。
「全く、そんなに便利なら呼ばれなくても来いっつーの!」
『出て来るなと言ったのはお主ではないか』
「そこはこう臨機応変に……無駄話は後だ! 皆を乗せて飛んで!!」

冒険者達を背に乗せ、壮麗なる龍神は飛び立った!

161 :オーズ タトバコンボ ◆/m/3H6N1VU :2011/07/21(木) 02:19:20.22 0
>>157
>「……危ない所でした。ヒノ、感謝しますっ」

何とか手を掴みアヤソフィヤの救出に成功したかに見えた。
しかし、未だに人狼の群れは健在だ。油断できるはずが無い。

>「あのメダルは……ヒノの探しているものではありませんか?
 奪取を試みるなら、まずは私が動きを止める魔術を掛けてみます」

「あぁ、そうだ!!映司、お前も早くそいつから奪え!!」

アンクが鋭い目でオーズを睨み付け、叫ぶ。
その怒号に背中を押されるようにアヤソフィヤの援護の元、人狼の群れの中へ手を伸ばす。

>「ヒノ、申し訳ありません。術は失敗です。
 ですが、敵の首魁は判明しました。
 これ程の呪い、精神を塗り潰す狂気、狼を眷属とする者……。

オーズの手が届こうとしたその時、強力な何かがアヤソフィヤの術を遮断してしまう。
動きを止めかけていた人狼が再びその狂気の目を見開き、目の前のオーズ目掛けて飛び掛かる!
「しまった……防御が間に合わな−−!?」

絶望を感じたその一瞬、やけに長く感じたそれが夢のように消え去る。
目の前には胸を抉られて狂ったように叫ぶ人狼、そして空中に浮かぶのは赤い「魔」の手。
それはアンクの「本体」に他ならなかった。

「お前達が囮になってくれたお陰で、稼がせて貰ったぞ。
礼は言わないがな……。」

アンクの手には鈍色のメダル。「サイ」の力を宿したコアメダルが握られていた。

>>156
「でも、囲まれてるのには変わりないし……」

しかし、状況は最悪という道から路線変更する気配が無い。
オーズは意を決したようにトラクローを展開しようとする、しかし。
人間の体に戻ったアンクが何者かの気配を察し、ほくそ笑む。

「いや、そうでも無さそうだがな。運はまだまだ尽きてない。」

>「馬鹿者が!!命のやり取りの前で悩むな!此処は既に戦場だ、迷えば死ぬぞ!
迷うならば生き残った後にしろ、己を責める事は生き残った後でも出来る事だ!
死ねばその経験も生かすこともできん違うか!?」

颯爽と現れたビャクが群れを薙ぎ払うと、勇猛果敢に叫ぶ。
それに呼応するようにオーズもチーターのメダルを装填する。
「そうですよね……生きなきゃ、生きていかなきゃ今を変えれられないんだ。」

『タカ・トラ・チーター!!』




162 :オーズ タカトラーターコンボ ◆/m/3H6N1VU :2011/07/21(木) 02:36:07.32 0
>>160
瞬発力を誇るチーターレッグにコンボチェンジしたオーズ
が人狼達を翻弄しながらビャク、アヤソフィヤの元から遠ざけていく。
同時に、アンクも銀色のメダルを映司目掛けて投げつける。
「こいつに変えてみろ!!」
投げたメダルは、胴体を変化させる「ゴリラ」のコアメダル。
超常的な豪力を宿し、腕に装着された鎧はまるでロケットパンチのように飛び放つことが出来る。
「タカ・ゴリラ・チーター!!」
オーズに追い付いた人狼達を、その豪力で一気に
押し留める。

「今の内に、建物中にいる人達を!!みんなを頼みます!!」


>「フェアリー=テイル!竜の召喚は可能でしょうかっ」

>「そ れ だ ! ソフィア、来て!」

アヤソフィヤが竜の召喚を提案する。それに応じたティルが
ソフィヤを呼ぶとアンクの目前で巨大な竜がその翼を開き
出現する。

「こいつの力には狼どもも少しばかり震えてるようだな……おい、映司!!
もういい、早くこいつに乗れ!!」

アンクの声に気付き、オーズもその竜へ跳躍し飛び乗った。
その足元では呻く様な声と共に、人狼達が恨めしそうにこちらを睨んでいる。
もう、彼らを救う事は出来ないのだろうか?
オーズは、先程食事の際にはいたはずの少年の姿が無い事に気付く。

「……そんな。あの子……どうして。」

アンクは手に入れたメダルを眺めながらそんなオーズの言葉を面倒臭そうに
吐き捨てる。

「運が無かったってだけだ。それに、生きてる者はいつか死ぬ。
それが遅いか、早いかは誰にも決められないんだからな。」

163 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/07/22(金) 18:24:31.39 0
>>160-161
火野が雲霞の如く迫る人狼の群れを堰き止め、残った人間達を誘導するよう叫ぶ。
即座に背を翻したアヤソフィアは、魔物の攻撃を警戒する冒険者達に向かって退避を呼び掛けた。

「すでに上空以外の逃走経路は存在しません。
 皆、屋根の上へ!仲間の竜使いが竜を召喚しましたっ」

同時に天井の半分近くがソフィアの激突で破られ、閉塞した室内に満天の星空が現れる。
示された脱出行に冒険者達が向かうのは早く、彼らは次々と浮揚する竜に飛び乗った。
アヤソフィアも彼らと同じ様に戸棚へ足を掛けて天井へ登り、屋根を蹴って竜の背に身を躍らせる。
大方の冒険者の退避を見届けると、火野も脅威的な跳躍力で竜に飛び乗り、残るはビャク一人のみ。

「ビャク、貴方もっ……」

言い掛けて躊躇する。
先程、テイルはビャクに状態解除の魔術を唱えていたようだったが、人狼自体にはその魔術が効いていなかった。
妖精の魔術は、本当に獣化の呪いから伝染性だけを消し去ったのだろうか……?
本来ならばソフィアは狂気の神と同格の神である為、呪いの影響で獣に墜ちる事は無い。
しかし、テイル達はアヤソフィアに虹の竜が神である事を名乗ってはいないのだ。
従ってアヤソフィアは、飛翔する竜が飛行中に獣化する可能性に危機を抱いた。
最悪の場合は、誰か一人に呪いを移して犠牲にする必要があるかもしれない、と。

逡巡するアヤソフィアを他所に、灰色の外套が宙を舞う。
ビャクが竜の背に飛び乗っても竜に獣化の傾向が見られなかった事で、アヤソフィアは呪いから接触感染の特性が消えたと判断する。
虹の色彩で煌めく竜は緩やかに上昇し、獲物を逃した獣の群れは地を這いながら遠ざかる竜を睨む。
その竜の背にチェイニーの姿が無い事に気付いて、火野が苦い声を洩らした。

「全員を無事に……と言うわけには行きませんでしたか……」

チェイニーや人狼となった冒険者達がいなければ、狂気の神の存在には気付けなかっただろう。
しかし、彼らの犠牲を無にしない為にも呪いの元凶を断ちましょう、と続けるのは空々しい感じがして言えなかった。
アンクの冷めた言葉が、風に乗って自然に耳へと入ってくる……。
それを振り払うように、アヤソフィアが疲労を色濃く残す声で言葉を続けた。

「……この人狼化の呪いを起こしているのは、名も無き狂気の神と呼ばれる存在だと思われます。
 名も無き狂気の神とは、世界新生前にインペトゥスと言う青年が自らを寄り代に召喚した邪神。
 その教義は狂気による束縛からの解放と自由の獲得。狂気の名の通りに理性と常識を拒む神です。
 彼の神がインペトゥスに憑いたままなのか、寄り代を変えたのかは判りません。
 いずれにせよ狂気を振りまく存在など、放置するには危険な存在です。
 相手が邪神ならば充分な装備を用意し、対策も練らねばならないでしょう。
 それに無数の狭隘な谷とメサ(テーブル状の台地)、断崖に走った亀裂が造る長大な洞窟。
 彼の邪神は大峡谷の何処かを神殿としていると思われますが、潜んでいる場所の特定すらも――――」

現状では困難なのですから。との言葉は続けられなかった。
手足の裂傷が生みだした痛みが背を這い上り、首筋まで達してアヤソフィアの平衡感覚を奪う。
華奢な体はゆらりと傾いで、大気の流れに押された。

【>>ALL 意識が遠のき、竜の背から滑落しかかる】

164 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/07/24(日) 03:06:07.03 0
>>161
>「そうですよね……生きなきゃ、生きていかなきゃ今を変えれられないんだ。」
その言葉に一瞬どこか悲しげな雰囲気を漂わせていたが
「死んだ者は何も変えられない…只見ているだけだ志やきっかけになれど実行するのは生きている者だ!
今を変えられるのが生きている者の特権だ」
>>158
>「生存しなければ次の機会が無い事も肝に銘じておきます。
 ですがビャク、この戦闘は至難を極めます。
 一匹でも人狼を殺してしまえば、獣化の呪いに囚われてしまうのは免れないでしょう」
>「……ビャク、貴方は外から来たようですが、すでに人狼達の息の根を止めてしまってはいませんか?

「呪いか…どうりで此処まで爆発的に人狼が増えるわけだ…確かにそれだと下手に手は出せまい
此処に来るまでに立ちふさがる者達は斬り捨てたが…このまま触れたら不味いかもしれんな
…俺は出身世界では霊的にも常人よりも人類の進化をした者達を作る超人計画によって作られた人間だからな
高度の霊的呪的攻撃にも抗体があるが、俺達恒久戦士はすでに概念の存在だ
より強大な存在に自身を都合よく書き換えられないようにそうなった事により何者にも染まる事は有り得ない
ゆえに神に洗脳されようが強制的解除されるし、呪いによる伝染も強大な存在が関わっているなら排除されるだろうな」
すでに人ではない肉体を情報化できる概念的な存在と化しているゆえにできる事で
自ら望まない限りは神のその加護やら呪いやらを自動的に排除されると言う事だ。
だが強力なようで自身に影響はなくても触れたら相手に感染させる状態に陥っているようだ。

>「良かった、発症はしないんだね……。伝染性の解除ぐらいならこれでできるかも!」
その話を聞いたテイルによって解除の魔法を掛けられて
呪いを撒き散らす状態から解除された事を確認できると
再び周囲を睨みつける。打破すべきこの状況、しかしこの言葉でこの苦境を乗り越える事となる
>「フェアリー=テイル!竜の召喚は可能でしょうかっ」
>>160
>「そ れ だ ! ソフィア、来て!」
彼女の龍の召喚の要請にテイルはその策に賛同し龍を呼び出す。
「奴が抑えているうちに急げ!」

オーズが抑えている間に生き残っている人達を最後まで誘導しつつ
自分以外は全て乗り込む事に
>>162>>163
>「ビャク、貴方もっ……」
レヴレンはこちらに来るように呼びかけるが途中で止まる
その意味にすぐに気づく
どうやら呪いの連鎖反応を考えているようだ
これも呪いが解除されたか示す必要がある迷わず全力で駆け抜けて竜の背に飛び乗る。
接触した時点で何も変わった様子も見られなかったので受身を取って無事着地する。

「何とかなったようだな…テイル、礼を言うぞ」
フッ、と片目を閉じて微笑を浮べて内心安堵していた。
そんな時、先ほど火野と名乗った青年が仮面の戦士のままで
チェイニーの事に気づく
「…あの子の最期は俺が手を掛けた憎んでくれて構わんぞチェイニー、あの時助けなければ人として死ねたかもしれん
どちらで死にたかった?今更後悔したところで何も変わらんが…お前にはその権利がある」
狼に襲われていたあの時の事を思い出していたあそこで助けなければ間違いなく死んでいたが
人としての尊厳はあった。身も知らぬ邪神の奉仕者へと成り果てた末の死など苦痛以外の何者でもない
無表情を装えていられたかは分からないが、悲しみと怒りと目の前の命を救えなかった後悔が渦巻き支配する。
そんな中、少し顔色が悪いレヴレンが今回の元凶について全員に説明する。
しかし途中からトーンが段々と低くなり元気がなくなっていくそして次の瞬間――
>彼の邪神は大峡谷の何処かを神殿としていると思われますが、潜んでいる場所の特定すらも――――」
突如姿勢を崩し、意識を失ったように後方へと下がり竜の背から落下しそうになっていた
それを見てすかさずすぐさまに彼女の近くに寄り
「アヤソフィア!大丈夫か!?」
急いで必死に抱きとめると落ちない距離までその華奢な身体を抱き上げて運びすぐに寝かせるとテイルに振り向き
「テイル、急いで彼女の治療を頼む!」

165 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/07/25(月) 23:34:51.45 0
>162-164
>「ビャク、貴方もっ……」
「大丈夫、ソフィアは境界を司る龍神。自らに降りかかる呪いぐらい弾き返す!」
そこまで言ってから気付く。
もしかしたらソフィアは知っていてもこの龍=ソフィアってことは知らなかったかも!?

>「何とかなったようだな…テイル、礼を言うぞ」
「危なかったね〜、……あ」
安堵しかけて、チェイニー君がもういない事を思い出し我に返る。

>「……そんな。あの子……どうして。」
「……。ボク達に狂気の神なんかに負けない力があれば……」
狂気の神。登場時の言動のせいで、正直ギャグ仕様神だと思って油断していた。
しかし忘れてはいけない、彼は強大なる力を持つ驚異の邪神なのだ。

>「運が無かったってだけだ。それに、生きてる者はいつか死ぬ。
それが遅いか、早いかは誰にも決められないんだからな。」
「そうだね……」
死は輪廻の1プロセスに過ぎない。
昔はガイアの使徒としてそう割り切っていたはずなのに。
「でもやっぱり別れは寂しい……」

>「…あの子の最期は俺が手を掛けた憎んでくれて構わんぞチェイニー、あの時助けなければ人として死ねたかもしれん
どちらで死にたかった?今更後悔したところで何も変わらんが…お前にはその権利がある」
「そんな……助けなかった方が良かったなんて事ないよ。
短い間でもビャクさんと旅が出来て嬉しかったんじゃないかな、きっと」

いつまでも悲しんでいる訳にはいかない。アヤさんが狂気の神について知っている事を述べる。
>「彼の邪神は大峡谷の何処かを神殿としていると思われますが、潜んでいる場所の特定すらも――――」
「アヤさん!?」
>「アヤソフィア!大丈夫か!?」
ソフィアの背から落ちかけたアヤさんを、ビャクさんが危うく抱きとめる。
>「テイル、急いで彼女の治療を頼む!」
「【ヒールライト】!」
アヤさんに回復魔法をかける。
「傷はこれで塞がるだろうけど疲労が酷い……休ませないと」
どちらにしろ、狂気の神の本拠地もまだ分からないし攻略には十分な準備が必要だ。
装備が整えられるような拠点が必要になる。
「ソフィア! 峡谷のどこかに集落か何かがないか探して!」

166 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/07/26(火) 04:42:39.58 0
>>164
意識が遠のく中、アヤソフィアは精神の中で別なる光景を幻視していた。
生物の胎内を思わせる空間と、その中で無数に蠢く奇怪な生物たちを。
異様な光景で理性が蝕まれてゆくのが分かる。
まるで自分のものではない記憶を無理やり捻じ込まれて、魂を犯されてゆくかのような。
アヤソフィアが何かに呼ばれる気がするのは、狂える人狼の精神と触れあってしまったのが原因なのだろうか……。

駆け寄るビャクが触れた瞬間、アヤソフィアの纏うケープが微かに音を鳴らす。
“名も伝わらぬ海竜”の皮で作られた魔法の衣が。
アヤソフィアを抱きとめたビャクは、岩の口調で傍らの妖精に治癒魔術を要求していた。

>>165
テイルが療光《ヒールライト》の魔術を掛けると、アヤソフィアの外衣が軋む音を鳴らして銀色に発光する。
療光の淡い光は、魔術を拒むかの様に発生したケープの銀光に拡散させられ、アヤソフィアの全身を駆け巡って肌を焼く。

「ぅ……くぅ……っ!ぅぅっああっ……あ゛あ゛あ゛ぁっ!」

悲鳴と痙攣。アヤソフィアの瞳はせり出しそうな程に見開かれ、首筋の静脈が太い筋となって浮き上がる。
テイルの治癒魔術は誰の目にも効果を上げなかったのが明らかだった。
焼ける様に強烈な痛みが、無理やりにアヤソフィアの意識を幻視の光景から現実へと引き戻す。
短い呻きを洩らしてアヤソフィアが覚醒すると、彼女は新鮮な空気を求める様に口を大きく開けて喘いだ。
何度も瞳をしばたたかせて焦点を合わせると、やがて震えながら声を振り絞る。

「……も、申し訳……ありません。私への気遣いなら……どうか無用に」

対魔力の作用を持つケープを脱がせていれば、おそらくは別の結末となったであろう。
或いは、火野が持っていた薬草ならば、ケープに魔術抵抗の作用を及ぼされる事も無かったかもしれない。

自らの背で行われるやり取りを感じたのか、竜が速度を緩めながら大きく旋回する。
幾多の魔物と呪われた狼達が棲みかとする峡谷に建造物の姿は無く、煌とした月が照らすのは岩肌のみ。
死の誘惑に満ちた世界。獣に堕ちれば楽園を約束される世界。

『彼方の岩肌に、人狼ならざる不可思議な気配を感じる。されど別種の魔物かも知れぬ』

集落を探すように呼びかける妖精へ、智慧の竜が応えを返す。
その視線の先に在る物は、人の視力では黒い闇の塊としか映らなかった。
しかし、蛇行する竜は目的地を定めたかのように巨大な岩山へと向かう。

>>96
ソフィアは巨大なメサ(テーブル状の台地)の頂上に降り立った。
竜が身を横たえると、冒険者達は次々に降り、危機を脱した安堵に座り込む。
アヤソフィアも転がるように竜の背から、堅い大地へと足場を移す。
断崖の上ならば、空を駆ける魔物でもなければ襲撃を仕掛ける事は出来ない……はずだった。

不意に岩肌の亀裂から無数の影が湧き出し、素早く身を躍らせて冒険者達を取り囲む。
月光に溶かされた闇は、何匹もの不気味な怪物の姿を蒼白く浮かび上がらせる。
触手を生やした腫瘍とでも表現するべき、奇態の魔物達を。
彼らは全員が触手に『命が惜しければ食べ物全部置いていけ。』と書かれた看板を絡めながら持っていた。

「あれは……フライングポリープ。恐るべき……異界の魔物ですっ……」

膝立ちで荒く息を吐くアヤソフィアが、一目で魔物の正体を看破する。
無数のフライングポリープ達には、すぐさま襲いかかってくる様子は無いようだった。
ひたすら、看板を突き出して冒険者達に食物の要求を繰り返している。

167 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/07/26(火) 13:34:20.76 0
>>163
「アヤさん……!?だ、大丈夫ですか!?」

傷を負ったアヤソフィヤを気遣うオーズ。
その横で、ビャクがチェイニーという少年に関して語り始めた。
彼は狼の呪いにかかり、その呪われてしまった生をビャクが解き放った事を。

>「…あの子の最期は俺が手を掛けた憎んでくれて構わんぞチェイニー、あの時助けなければ人として死ねたかもしれん
どちらで死にたかった?今更後悔したところで何も変わらんが…お前にはその権利がある」

「憎むだなんて……俺は、出来ません。ビャクさんが、どうしてそうしなきゃ
ならなかったか。今の話で、俺にはよく分かりましたから……」


その次に、怪我を負ったにも関わらずアヤソフィヤは、邪神の正体について
語る。

>アンクの冷めた言葉が、風に乗って自然に耳へと入ってくる……。
それを振り払うように、アヤソフィアが疲労を色濃く残す声で言葉を続けた。

>「……この人狼化の呪いを起こしているのは、名も無き狂気の神と呼ばれる存在だと思われます。
 名も無き狂気の神とは、世界新生前にインペトゥスと言う青年が自らを寄り代に召喚した邪神。
 その教義は狂気による束縛からの解放と自由の獲得。狂気の名の通りに理性と常識を拒む神です。
 彼の神がインペトゥスに憑いたままなのか、寄り代を変えたのかは判りません。
 いずれにせよ狂気を振りまく存在など、放置するには危険な存在です。
>相手が邪神ならば充分な装備を用意し、対策も練らねばならないでしょう。

アンクは話を聞きながら邪神の持つ力に少なからず興味を持った。
狂気をもたらし、束縛から解放する自由の力。
異形の怪物であるグリード――アンクにとって、その話は魅力的にしか
聞こえなかったのかもしれない。
しかし、アンクは平静を装ってアヤソフィヤの傷口を眺める。

「そんな危険な化け物は排除しなきゃなぁ……おい、それよりもその怪我は大丈夫か?
随分と酷いが。」

>>164
朦朧とし、気絶しそうになったアヤソフィヤの異変にビャクがいち早く気付く。
オーズも、アヤソフィヤを介抱するビャクを支えるように翼の端で踏ん張り何とか
引き上げる事に成功する。
しかしアンクは、ただそれを眺めているだけだった。


>>165
>「【ヒールライト】!」
アヤさんに回復魔法をかける。
「傷はこれで塞がるだろうけど疲労が酷い……休ませないと」

ティルが傷を治癒させる魔法をかける。
しかし疲労を回復させるには安定した場所で、しばらくの時間が
必要なようだ。
アンクはアイスを貪りながら、地上を見下ろす。


168 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/07/26(火) 21:48:32.43 0
地上に降り立ったアヤソフィヤ達を待っていたのは、安堵の地ではなく
異形が蠢く闇の世界だった。

>不意に岩肌の亀裂から無数の影が湧き出し、素早く身を躍らせて冒険者達を取り囲む。
月光に溶かされた闇は、何匹もの不気味な怪物の姿を蒼白く浮かび上がらせる。
触手を生やした腫瘍とでも表現するべき、奇態の魔物達を。
>彼らは全員が触手に『命が惜しければ食べ物全部置いていけ。』と書かれた看板を絡めながら持っていた。

アヤソフィヤが緊迫した面持ちで彼らの事を語る。

>「あれは……フライングポリープ。恐るべき……異界の魔物ですっ……」

アンクはアヤソフィヤの説明に耳を傾けながらも、目の前の異形達を冷笑する。
「随分と物知りだな……こいつらは、つまり出来損ないの化け物ってところか?
狂気の神とやらにすら下僕としか見られない最低の代物。
こんな奴らにくれてやるモノなんてあるか?」

怪物の手にした看板に対し、はき捨てるように呟くアンク。
しかし、映司ことオーズは懐をまさぐりながら何か渡せるものが
ないか探している。

「でも、見た目だけで判断しても……ほら、争わずに出来るなら
それが一番だし。」

アンクは腹だたしそうに、オーズの首元を掴み上げると
鋭い目で睨み付ける。

「見た目だけじゃ判断出来ない?ハッ……そう言って何人の
奴らが化け物に食い殺された?
お前は甘いんだよ、甘過ぎるんだよ……こんな奴ら、消せばいい。」

アンクの笑みを浮かべながら語るその言葉に、近くの冒険者達も
困惑と恐怖の表情を浮かべる。
まるで、フライングポリープを見るようなそれと同じ目で。



169 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/07/31(日) 00:09:38.82 0
>166
>「ぅ……くぅ……っ!ぅぅっああっ……あ゛あ゛あ゛ぁっ!」
「ご、ごめん!」
効かないだけならともかく逆効果ってどうなん!?
彼女のまとっているケープのせいだったのだろうか。見たことも無い不思議な素材をしている。

>『彼方の岩肌に、人狼ならざる不可思議な気配を感じる。されど別種の魔物かも知れぬ』
「この際いいよ、行ってみよう!」

>168
降り立った所は……どう見てもフライングポリープの集落でした。
全員がフラポリーちゃんのトレードマークの看板をもっているのはどういうことだろう。
「うわーい、フラポリーちゃんがたくさんいる!」
……という解釈でいいのだろうか。

「皆さん、こんな外見でも意外と話が通じる奴です! 食べ物を分けてあげて!」
冒険者達へ呼びかけてから問う。
「狂気の神が最近この辺で暴れてると思うんだけど何か知らない?」

170 :フライングポリープ@NPC ◆666/MyrH6U :2011/07/31(日) 07:36:27.22 0
>>169
生ける肉腫の群れに近づいたテイルが、困惑する冒険者達に食物を分けるように促す。
おそらくは、彼らも気味の悪い魔物に襲われたくなかったのだろう。
荷物を持ち出していた冒険者の何人かが保存食を投げつけると、水面に落ちた肉に群がる肉食魚の如く黒い塊が群がったた。
フライングポリープ達が触手を操って、一斉に食物を貪る。

『これは親切にありがとうございます。旅の方々。
 私たちは食物連鎖の頂点に位置する一族、フライングポリープ。
 先にこの地へ来ていた一体の仲間に呼ばれて、今はこの辺りに集落を築いて住んでいるのです。
 此処は生きの良い魔獣たちが食べ放題で、とても住み良い所ですからね』

缶詰をそのまま口に放り込んだフライングポリープが、看板に文字を浮かび上がらせた。
書かれた文章こそ丁寧だが、腫瘍型生物達からは感情というものが一切読み取れない。
テイルの質問には別の個体が進み出て、先の一体と同じ様に看板の文字で応える。

『狂気の神の影響かどうかは分かりませんが、我々は地下の洞窟に入ると無性に食欲が喚起されます。
 未熟な個体の中には岩を食べ始める者たちも現れて、そのまま食べ進んだ穴の奥に消えて行方不明になる者も出る始末。
 あの狂ったような食欲は、もしかしたら狂気の神に取り憑かれてしまったのが原因かも知れません。
 少数ながら、何も食べずに踊り続けたり、メダルや宝石を集め始めたりする個体もいるようですけどね』

受け答えしていたフライングポリープが触手で指さすと、テーブル状の台地には一筋の大きな亀裂が走っていた。
淵から下を覗けば、目に映るのは月明かりを拒む底無しの闇。
地底まで続く亀裂に近づいたフライングポリープの一体は、浮揚しながら闇に半ばまで身を沈め、看板を上に突き出す。

『どうやら、貴方は我々の仲間のフラポリーを知っているようですね。
 これも何かの縁かも知れません。
 宜しければ、私が地下の洞窟まで御案内致しましょう。
 背中に乗って触手に掴まってくだされば、安全に下まで降りられますよ』

台地に穿たれた亀裂の底は、大河の流れで削られた洞窟。
そこを食欲に憑かれたフライングポリープ達が無軌道に掘り進めた事で、今や不規則に横道が走る大洞窟と化している。
穴の底はロープを使って降りるには深過ぎ、登攀で降りるのは無謀と言えた。
昇降機代わりとなるフライングポリープの協力が無ければ、全員が安全に下に降りるのは難しいだろう。

いや……穴の底に降りる事を望むのは全員ではなかった。
冒険者達は、竜の背に乗って街へ戻る事を望む者が多かった。
しかしソフィアにそのつもりが無いと見るや、同行を望む者と躊躇する者とに二分される。

『安心してください。残った方々は我々が全力で保護します』

そう新たに文字が書かれたフライングポリープの看板を見て、残ろうとしていた全員が意見を変じ、下へ降りる事を賛同した。
ある者は顔を引き攣らせ、別の者は恐怖に後ずさりながら。

171 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/07/31(日) 07:40:50.72 0
>>168-170
「アンク、私たちの当面の敵は彼らではありません。
 種の違う彼らを理解するのは難しいかも知れませんが、今は無用の争いで敵を増やすのは慎むべきです」

精彩を欠いた表情のまま、アヤソフィアがオーズの首元を掴むアンクに制止の言葉を掛ける。
尤も、彼女もフライングポリープの精神構造を把握しきれておらず、警戒心を解くまでには至っていない。

「我々の戦うべき相手は、この地に災禍を齎している狂気の神です。
 恐るべき相手には違いありませんが、神と言えど決して不敗の存在ではありません。
 伝承や記録では、しばしば神も人間の英雄に敗北したり、時には殺されたりする事もあるようです。
 特に現世への降臨に必要な依り代さえ失われれば、地上で振るえる力はかなり限定的となるはずですが……」

『神の力ならば私が抑えよう。
 されど私の力も完全でない以上、殆どを無力化したとしたとしても、完全な相殺までは出来ぬ。
 もしも私が完全な力を取り戻していれば、私だけの力で狂気の神を封印出来たのであろうがな。
 ふむ、しかしどうやら洞窟の中は狭いようだ……テイルよ、私は姿を変じて行く事とするぞ』

智慧の竜神は短く一吠えすると、体を縮ませながら妖精の手にも収まる程の虹色の球体を形作ってゆく。
やがて、ソフィアは自らの姿をシャードにも似た宝珠へと変えた。
輝ける宝珠の中には、ミニチュアの様な竜の姿が浮かぶ。
その不可思議な光景を見て、アヤソフィアも先程テイルが言った通り、竜がソフィアであることを認識する。
(あの竜がソフィア……ならばフェアリー=テイルはソフィアの神官か眷属なのでしょうか)

狂気の神は、かつて世界樹を通して異世界に狂気を振り撒いた危険度の高い存在。
しかし、此方には戦士であるビャクがおり、狂気に対抗する力を持つソフィアも協力的で勝算が見込める。
アヤソフィアは現状報告に帰還するのではなく、そのまま戦士の援護に回るべきであると考えた。

「行きましょう。まずは私が危険を確かめます」

アヤソフィアが台地の亀裂に近づく。
此処を降りるのに、浮遊の魔術を使うべきか、不気味なフライングポリープに身を任せるべきか。
迷った末にアヤソフィアは、魔術の集中が途切れる危険を鑑みて、フライングポリープの協力を仰ぐことにした。
二抱えもありそうな巨大な腫瘍生物の背に乗って、長く伸びる突起を両手で握る。

「それでは、下までお願いします。フライングポリープ」

アヤソフィアを乗せたフライングポリープが、地下の洞窟へと続く穴の底に消えてゆく。

【>>ALL 地下の大洞窟へ】

172 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/08/01(月) 00:43:07.96 0
【地下】
「我、灯すは、輝ける陽光。
 無限なる円環を満た、す不可視の力よ、……光となりて闇を払え……――――light」

魔術の光が洞窟の岩肌に複雑な陰影を付ける。
たどたどしい呪文は陽光どころか、辛うじて岩肌を浮き上がらせる程度の灯りしか生み出さなかった。
アヤソフィアの用いる典礼魔術とは、マニュアル化された魔術である。
それは先人の作り上げた様式を一言一句完璧に再現する事で、魔術の効果をも再現するというもの。
従って、発音や詠唱など術の手順に僅かでも誤りがあれば、著しく効果を減じてしまうのだ。

『洞窟の中では、魔物や精霊やフライングポリープに気を付けてください。
 地下では奇妙な行動を取る者が特に多いので、狂気の神の影響も強いのでしょう』

先導する腫瘍型の生物が看板を突き出して警告する。

「……心得ました」

不規則にうねる洞窟をしばらく歩くと、ふと前方の空気が変わった。
大気の閉塞感が、すっと消失し、僅かな風鳴りに水の匂いが混じる。
水路の姿こそ見えないものの、どこからか水の流れる音が反響していた。
地上では枯れ果ててしまった水も、地下にはまだ流れているのであろうか。

「まだ、地下には水が流れているようですね……。
 このまま旱魃が続けば、いずれ地下の水も絶えてしまうのかも知れませんが」

通路は急速に広がり、前方には巨大なドーム状の空洞が形成されていた。
天工の空洞の奥には、再び狭まった通路。
フライングポリープが洞窟を浮遊しながら奥を目指して進んでゆき、アヤソフィアが続く。

相当な視力で、注意深く見なければ分からないであろう。
洞窟の床は不自然にぼやけていた。
陽炎が立ち上るように、ゆらゆらと揺れて見える。
まるで魔力で生み出された虚像のように。
そう、このドーム状の空間は何者かが作った幻影の床で隠蔽されているのだ……。

幻が薄らぐ刹那、幻影の岩肌が隠すものが覗く。
ドーム状の空間を横に流れる水路と、水の中に蠢く無数の影が。
当然ながら浮遊移動するフライングポリープは、幻の床の影響を受けずに移動できる。
しかしアヤソフィアはこのまま進めば、水路に身を躍らせることになるだろう。
そして、今の彼女は集中力を散じていた。
微かな床の変化にも気付くこと無く、フライングポリープに続いて、奥の通路向けて歩き出してゆく。

173 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/08/01(月) 02:13:44.61 0
>>165>>167
>「そんな……助けなかった方が良かったなんて事ないよ。
短い間でもビャクさんと旅が出来て嬉しかったんじゃないかな、きっと」
「憎むだなんて……俺は、出来ません。ビャクさんが、どうしてそうしなきゃ
ならなかったか。今の話で、俺にはよく分かりましたから……」

自らの行いに対して彼らは優しい言葉を掛けてくれたが今となってはどちらが正しかったのかは分からない
ただ守るべき少年を手に掛けたという結果だけが残った事に変わりが無い。
>>166
抱き上げる際、オーズの力を借りながら素早く対応できた事に感謝しながらテイルによる治療が無事完了する。
傷が癒え意識をなんとか取り戻したようで安堵する。
しかし、そんなのも束の間先ほどの間に向かっていた岩肌の亀裂から無数の闇に紛れた存在が
自分達の乗る竜を囲う。その異形共は確実にどこかで見たことがあったはずだが思い出せない
その触手には『命が惜しければ食べ物全部置いていけ。』という看板を全員持っていた。
>「あれは……フライングポリープ。恐るべき……異界の魔物ですっ……」

確かに異界の生物特有の外見をしているが、いきなりは襲ってこない上に意思表示をしている以上
それなりの知性と人格を感じられるため、何とか話し合いで穏便済ませられる可能性は低くはない
そんな事を思った矢先、赤い片腕を持ったアンクが敵意むき出しに排除の意向を示すが
>「見た目だけじゃ判断出来ない?ハッ……そう言って何人の
奴らが化け物に食い殺された?
お前は甘いんだよ、甘過ぎるんだよ……こんな奴ら、消せばいい。」

「ならば君は見かけだけで判断し、それだけで皆殺しにするのか?差別主義者も良いところだな
君は彼等の殲滅を言っているが、ならば具体的な方法を示したまえよ彼等を倒す方法を
言っておくが君が言い出したんだ私は力を貸すつもりは無いよ?多数決を取るなら君に協力する人を使えばいい
まさか他人に任せるつもりでいい加減な事を言ったのではないな?
君が敵を作るのは勝手だが、我々を巻き込むのは辞めてもらいたいものだ」

どこか無責任に感じられた発言になんら事態を悪化させようとする発言に軽蔑するように冷たい眼で遮り
一触即発な雰囲気になりつつもテイルの一言によりその事態は激化せず
言葉に促され、何人かの冒険者が食料をフライングポリープを投げ渡し
異形たちは食料に群がりながら、穏やかな言葉が返ってくる。

>『これは親切にありがとうございます。旅の方々。
 私たちは食物連鎖の頂点に位置する一族、フライングポリープ。
 先にこの地へ来ていた一体の仲間に呼ばれて、今はこの辺りに集落を築いて住んでいるのです。
 此処は生きの良い魔獣たちが食べ放題で、とても住み良い所ですからね』
>『狂気の神の影響かどうかは分かりませんが、我々は地下の洞窟に入ると無性に食欲が喚起されます。
 未熟な個体の中には岩を食べ始める者たちも現れて、そのまま食べ進んだ穴の奥に消えて行方不明になる者も出る始末。

洞窟の奥に向かえば戻って来れないという言葉に引っかかる調べる必要があるようだ。
テイルの仲間の一人が彼等の知り合いと言う事で洞窟内部の案内を申し出てくれている

>『安心してください。残った方々は我々が全力で保護します』
移動手段としても使えるらしく、彼等に対する処遇もなんとかなりそうだった
一抹の不安が無いと言えば嘘だが彼ら今までの対応ならば悪いようにはしてくれないと思う。
>「行きましょう。まずは私が危険を確かめます」

「斥候を買って出るのは結構だが、気をつけろよレヴレン」

降りる彼女が見えなくなるまで見送ると
乗せてもらえるようフライングポリープに頼み、背中に乗って大洞窟の暗闇に飲み込まれていくと
更に深い闇で普通の人間ならば周囲が殆ど見えない足元付近ならば何とか見れる程だ。
いつの間にか乗っていたフライングポリープは移動しなくなったので地面に辿り着いたらしい
見づらい中、降りてから地面を確認すると何か圧迫するような雰囲気となんともいえない息苦しさが襲ってくる。
「やはり何かあるな…この息苦しさ尋常ではない」
上空に手を翳し光を照らすと目の前には巨大な扉とその壁には理解不明な壁画が
周囲には既に朽ち果てながらもそれなりに高度なことが分かる機械が散乱していた。

174 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/08/01(月) 18:13:34.14 0
>>171>>173
>「アンク、私たちの当面の敵は彼らではありません。
 種の違う彼らを理解するのは難しいかも知れませんが、今は無用の争いで敵を増やすのは慎むべきです」

>「ならば君は見かけだけで判断し、それだけで皆殺しにするのか?差別主義者も良いところだな
君は彼等の殲滅を言っているが、ならば具体的な方法を示したまえよ彼等を倒す方法を
言っておくが君が言い出したんだ私は力を貸すつもりは無いよ?多数決を取るなら君に協力する人を使えばいい

アヤソフィヤとビャクの言葉に、アンクは苛立ちを浮かべながらも
オーズに掛けた手を離す。
そして変身を解いたオーズ=映司を睨みつけながら皮肉に満ちた笑みを浮かべる。

「チッ……勝手にしろ。だが、俺は信用しないし、こいつらの餌になるのも
ご免だからな。」

>『安心してください。残った方々は我々が全力で保護します』

洞窟へ向かわず、残留する冒険者のメンバー達を
フライングポリープ達は保護すると約束する。
その言葉に映司は大きく頷き、懐にあったお菓子を彼らに手渡す。

「はい、宜しくお願いします!俺、こんなのしか
ないですけど……お腹の足しにはなると思います。」

その様子を、アンクはただ訝しげに見つめているだけだった。
やがてフライングポリープの背に乗り、アヤソフィヤ達は洞窟の内部へ侵入していく。
闇の中を進んで行くと、地面に降り立つのが確認される。
映司は周囲の奇妙な雰囲気と、巨大な扉に思わず息を呑む。

「これ……自然の物じゃないですよね。なんていうか、誰かが作ったとしか。」

アンクはその横で確かに「コアメダル」の気配を感じ取る。
間違いない、この周辺にコアメダルが存在している。
そう確信したアンクはアヤソフィヤ達から離れ、物陰に隠れる。

「あれ、アンク……?あいつ、何処に。」

アンクの姿が無い事に気が付いた映司だったが
不意に襲う眩暈がそれを掻き消す。
一瞬、映司の目が紫色に染まったかに見えたが
すぐにそれは元に戻る。

「……何なんだ、今の。それにしても、誰がこんな物を……?
まさか、狂気の神様?」

【アンク=メダルの気配を察し、単独で行動 映司=周囲の様子に呼応し
体に異変?】

175 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/08/02(火) 19:21:34.91 0
>>173
「これは……血で描かれた壁画でしょうか?」

ビャクの言葉に岩肌を見たアヤソフィアが足を止める。魅入られたかのように。
描かれていたのは、虫が蜘蛛の巣に絡まる様にも、鳥が大樹の枝に止まる様にも見える複雑な模様。
狂的な緻密さで描かれた絵は、ある種のアウトサイダー・アートにも似ていた。
(それにしても不思議な絵です……力強くて、妖しい……)

「こちらの巨大な扉は、造りから見て数か月の間に急造された物の様です。
 無論キマイラやケルベロスなどの魔獣が、器用に前脚を動かして造ったものではないでしょう」

アヤソフィアが扉を押すと軋んだ音を立てて扉が開き、流れ込む冷たい微風に頬を撫でられる。
先に見えたのは通路。奇妙な壁画が描かれた壁面が奥の闇まで続いていた。
その闇に得体の知れない妖気を感じ、アヤソフィアの首筋に冷や汗が滲む。

「……この圧迫感は確かに普通ではありません。
 おそらく、この先に狂気の神の神殿が形成されているのだと思われます。
 元凶を取り除くためには狂気の神を封じ、神殿も破壊しなければならないでしょう」

そう述べると大きく息を吐き、やや躊躇う様にビャクに語る。

「それと、ビャク。あまり戦士個人と親しくなるのもどうかと思い、今まで姓で呼ばれていましたが……。
 私が貴方を名で呼び、貴方が私を姓で呼ぶと言うのは、やはり違和感を禁じ得ませんっ。
 無理にとは言いませんが、以後は私の事も名でお呼び頂けないでしょうか。
 アヤソフィアでは呼び難いでしょうから……アヤで結構です」

>>174
「ど、どうしましたか、ヒノ?疲労でしょうかっ!?」

眩暈で体を揺らがせた火野を見てアヤソフィアが荷を入れた袋を探す。
いくら腰や背を弄っても、薬草や食料を入れた袋はどこにも見当たらなかった。
人狼の襲撃で荷物を持ち出す暇が無かった為に。

「済みません……私は荷を持ち出す余裕が無く、手持ちの薬草類がありません。
 どなたかに分けてもらえれば良いのですが……。
 この散乱する機械類は冒険者の持ち込んだ物を魔物が収集したとも考えられますが、扉は無理があります。
 さすがに扉の施工は、人間かそれに類した種族でもなければ難しいでしょう」

不意にアヤソフィアが異変に気付く。
常に火野の傍に居る金髪の男が、周囲から姿を消している事に。

「ヒノ、アンクは?……アンクッ!どこですか、返事を!」

アヤソフィアが闇に目を凝らしてアンクの姿を探し、彼の名を呼ぶ。
しかし消えた男が呼びかけに応えることは無く、焦燥を交えた声は洞窟に反響して虚しく響いた。

「未知の洞窟の中で単独行動を取るなど、無謀としか言えません。
 まさか、狂気に囚われてしまったのでしょうか。
 ヒノ……残念ですが、今の状況でアンク捜索の為に隊を分割するのは危険です。
 もしも彼が狂気に囚われて失踪してしまったのなら、発見した際に攻撃的な反応が返ってくる事も考えられますので。
 冷たいようで心苦しいのですが、まずは此の地に狂気を齎す原因を取り除いてから、彼の捜索を行いましょう」

火野に向かってそう言うと、アヤソフィアは扉の奥の通路に向かって歩を進める。

【時間軸は173(扉発見)→174(アンク失踪)→175(扉の奥に進む)→172(ドーム状の空間)と捉えてください。申し訳ありませんっ】

176 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/08/02(火) 23:00:24.19 0
>170-171
フライングポリープはいつの間にか食物連鎖の頂点になっていた。
何はともあれフラポリーちゃんのつてで協力を得られることになった。
ソフィアは球体へと変じ、いざ大洞窟へ。
>「それでは、下までお願いします。フライングポリープ」

>173-174
>「やはり何かあるな…この息苦しさ尋常ではない」
「この気配は感じた事ある、狂気の神……!」

>「あれ、アンク……?あいつ、何処に。」
「アンクさんがいないの!?こんな所ではぐれたらまずいよ!……ヒノさん?」
ヒノさんの目が一瞬紫色になった気がした。
>「……何なんだ、今の。それにしても、誰がこんな物を……?
まさか、狂気の神様?」
「狂気の神……アイツなら何をしても不思議じゃない……かも」

>175
アヤさんが、薬草が無いと言っている。
「あるかな? ほとんどフラポリーちゃん達にあげちゃったからなあ……おっ」
ポケットから出て来た回復効果付きチョコを渡す。
「気休めにしかならないけどあげるよ」

>172
ドーム状の空間に出た。川のせせらぎのような音が聞こえてくる。
「水だ……!」
>「まだ、地下には水が流れているようですね……。
 このまま旱魃が続けば、いずれ地下の水も絶えてしまうのかも知れませんが」
地下の水まで絶えたら、本当に世界中が干からびて終わりだろう。
「そうはさせない……!」

フライングポリープの後ろについて歩きながら、何か妙な違和感を感じる。
前の方から水音が聞こえて来るのにそれらしき水路が見えない。
「はて……」
暫し考える。まず考えられる事は……偽りの床だ!
「危ない!【ディスペルマジック】!」
床に魔法解除の魔法をかけた。

177 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/08/04(木) 18:51:26.52 0
>>176
テイルの用いた魔術消去の術が洞窟の光景を一変させる。
暗灰色の岩肌が音も無く揺らぎ、風に吹かれた霧の如く霧散してゆく。
まやかしの床は残らず消え去り、広大なフロアの半分以上を占める地下水脈が露わとなっていた。
暗い洞窟の中で滔々と流れる水の音。幅は数十メートルもあろうか。
その水の中では数え切れないほどの肉塊が跳ね、躍り、奇態なる肉体を蠢めかせていた。

『伝え忘れました。足元に注意してください。
 どうやら、おかしくなってしまったフライングポリープ達が水の中で共食いしているようです』

「……それは、もう少し早く伝えて欲しかったものですが。
 しかし彼らの共食いを止めようにも、近づけば我々まで捕食されてしまいかねません。
 申し訳ないのですが、今すぐ彼らを救助する事は非常に難しいと思われます」

『御心配には及びません。
 誰かに体を喰われてしまっても、別の個体を食べれば肉体が増えるので我々は永遠に共食いができます。
 しかし頂点がこのような体たらくでは、この世界の生態系はメチャクチャです』

そう書かれたフライングポリープの看板が、力無く取り落とされて水中に没する。
まるで幻影の障壁が消えるのを感知したかのように、急激に得体の知れない圧迫感が強まっていた。
嵐の中、烈風を吸い込んでしまったとも錯覚する。
その妖気とも呼べる圧迫感は、何らかの意味らしきものを伴って意識の中にまで割り込んできた。

≪オレСのх神殿にо足をд踏みи入れよтうьってのは
誰сだ
獣のу心を望むм人аか,
それとеも神сを望むл獣иか
в来ыい
オレがп何物にもо束縛さнれずи秩序もм法а則もеぶちт壊すе
真のм自由をо掴む為の力иを
与えсてやлるовぜа≫

地響きの様に強烈な思念が脳内を駆け抜け、聞く者の精神を揺さぶる。
何かをしなければ……何かしなければならない事があったはず……そうだ、あれだ!あれをしよう!
内から囁きかける抑えきれない衝動に応じたのか、突然同行していた冒険者の何人かが奇妙な行動を取り始めた。
泣き喚きながら洞窟に絵を描き始める者がいれば、ある者は笑って己の指を食い千切り、別の者は激怒の表情で服を脱ぎ始める。
先導していたフライングポリープも、ふらりと力を失ったように水面へ落ち、水中に蠢く無数の影の一つとなった。
彼ら、狂気に取り憑かれたであろう者達を見て、アヤソフィアが困惑の声を上げる。

「ソフィア神、狂気の神の力を抑えて頂けるのではなかったのですか!?」

アヤソフィアの叫びに宝珠から唸り声が返る……何らかの方法で結界をすり抜けられたようだ、と。
即座に智慧の竜は、その手段を解析しつつ、別種の結界を構築する為に防護魔術の詠唱を行う。
それを阻むように、バシャバシャと水を叩く音が響いた。
どうやら終わらない共食いを続けていた暴食の化身が、この場に現れた別種の生き物達の気配を感知したらしい。
数体のフライングポリープ達は水の中から飛び上がると、水滴を滴らせながら此方に向かって来る。

「ソフィア神が狂気を阻む結界を再構築した後、その背に乗って地下水脈を渡ります。
 それまで……狂ってしまったフライングポリープの攻撃を凌いで下さいっ。
 正気の方は狂気に陥った方の対処をお願いします!」

何体もの異様な生命体がゆっくり無言で近づいてくる様は、残った者から理性を奪うのに充分だった。
まだ辛うじて正気を保っていた冒険者達も、悲鳴を上げながら散り散りになって逃げてゆく。
その混乱の中、極限まで精神を集中させたアヤソフィアが魔術を詠唱する。

「我、造りしは…掌握の剛腕。
 無限なる円環を満たす不可視の力よ、大地より岩の腕を生やし、彼のものを掴め――――hold」

アヤソフィアの魔術に依って岩床から生えた土塊の腕が、先頭のフライングポリープを掴む。
何体かのフライングポリープは食欲を満たす為に、魔術で動けない仲間に噛み付き始めるが、残った数体は此方に向かって来ていた。

178 :名無しになりきれ:2011/08/07(日) 21:51:13.60 0
>>177
>≪オレСのх神殿にо足をд踏みи入れよтうьってのは
>誰сだ
>獣のу心を望むм人аか,
>それとеも神сを望むл獣иか
>в来ыい
>オレがп何物にもо束縛さнれずи秩序もм法а則もеぶちт壊すе
>真のм自由をо掴む為の力иを
>与えсてやлるовぜа≫

黒い人影が水面に立ち現れる
Э...
それは肉体を滅ぼされて尚残る妄念
Это...
あるいはこの上なく純粋な意志
Это есть!
それらは駆け抜ける思念の風に全霊で賛同を叫び
Слава Наш Бог!
その“自由”を讃える
Слава!
Слава!
Слава!

大合唱と言うべき響きが洞窟に満ち
地上から来た者達の声は殆どかき消された

179 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/08/07(日) 23:08:37.83 0
>>175
>「ヒノ、アンクは?……アンクッ!どこですか、返事を!」

「すみません、あいつ……時々こういう事があるんです。
たぶん、ただじゃやられるような奴じゃないし大丈夫だと思います。」

アヤソフィヤの気遣いに会釈しながら、映司は眩むような視界に
目頭を押さえながら立ち上がる。

>>176
>ポケットから出て来た回復効果付きチョコを渡す。
「気休めにしかならないけどあげるよ」

手渡されたチョコを頬張ると、自然に力が沸いてくるのが
分かった。
「あ、ありがとうございます!!なんか分からないけど、元気が出てきました。
もう大丈夫です。」
映司はティルに礼を伝えながら、洞窟の先を目指すべく歩き出した。

>>177
ティルの唱えた魔法により、洞窟の真実の顔が露になる。
巨大な地下水脈の中では、恐ろしい呻き声と何かを裂くような
不気味な破裂音が聞こえてくる。

>『伝え忘れました。足元に注意してください。
 どうやら、おかしくなってしまったフライングポリープ達が水の中で共食いしているようです』

「と、共食い……って。そんな……」

戦慄の光景に、映司の脳裏にアンクの言葉が蘇る。
(「「チッ……勝手にしろ。だが、俺は信用しないし、こいつらの餌になるのも
ご免だからな。」」)

「どうすれば……」



180 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/08/07(日) 23:13:30.80 0
困惑する映司の横で、アヤソフィヤの顔が更に緊迫する。

> 「ソフィア神、狂気の神の力を抑えて頂けるのではなかったのですか!?」

周囲を覆う狂気の力が、正気を保っていたフライングポリープや
冒険者たちを襲い始めたのだった。
恐れに心を揺るがされた冒険者たちは次々に逃げようと駆け出していく。

「皆さん!!落ち着いてください!!……って言ってもこの状況じゃ
無理だよな……」

映司はメダルを握り締め、オーズドライバーを腰に装着する。
今できることは、少しでも時間を稼ぐことだ。
ドライバーにメダルを装填し、襲い掛かるフライングポリープの前に立ち塞がる。

「変身ッ!!」 『サイ・トラ・ゾウ!!』

3つの力、頭にサイそして胸部にトラ、脚部にゾウの力を宿した
オーズ・サトラゾに変身した映司が右腕を突き出した独特の構えを見せる。
そのまま、アヤソフィヤへ向かったフライングポリープ達へ
飛び掛かる。
「このまんまじゃ、みんなやられる……!!セイヤァ―!!」

トラクローを展開し、フライングポリープ達を牽制する。
冒険者達とアヤソフィヤ達を守る為、オーズは一気呵成に切り掛かった。

「なんなんだ……この声は!?」

洞窟に反響する何かの声がオーズの耳にも届く。
本能の中の、何かを揺り動かそうとするその声にオーズの
動きが少しだけ鈍る。

――その頃、アンクは


「こいつは儲けたな。こんな場所にあったとは……
随分と騒がしいな。まぁ、俺には関係ないが。」

アンクは洞窟の中の祠の中から3枚のコアメダルを手に入れていた。
それは蒼色に揺らめく水属性のメダル。
グリードの1人、メズールの力を宿したコアメダルであった。

【オーズ:変身しフライングポリープから冒険者達を守る為に戦う アンク:単独行動、コアメダルを手に入れる】

181 :ビャク ◆1LbV.WkN1I :2011/08/08(月) 02:22:30.83 0
>>175>>176
>「これは……血で描かれた壁画でしょうか?」
その言葉に反応し、壁画の絵を見ている彼女がその狂気に魅入られた人間に見える
が、それも一瞬の事だったがどうも胸には違和感が残った
その違和感が何なのかは答えられるはずも無く、今は考える事を辞めた。
 
>私が貴方を名で呼び、貴方が私を姓で呼ぶと言うのは、やはり違和感を禁じ得ませんっ。
 無理にとは言いませんが、以後は私の事も名でお呼び頂けないでしょうか。
 アヤソフィアでは呼び難いでしょうから……アヤで結構です」

「俺はあくまで等級・匹敵する力で付けられた名で呼ばれるのが嫌だったから
名を呼んでもらいたかっただけだ、君が望むならそうしようアヤソ…いやアヤ」

>>176-177
>「この気配は感じた事ある、狂気の神……!」

やはりか、と予感を的中させた時
テイルの魔法により洞窟は偽りの姿から真実の姿へと変わる。
とても大きな地下水脈とその水の中で蠢く存在。
ここで過る考えは一つ、そしてその言葉は的中する。

>『伝え忘れました。足元に注意してください。
 どうやら、おかしくなってしまったフライングポリープ達が水の中で共食いしているようです』

「最悪だな…俺は兎も角普通の人間が此処に長時間居たらこのような末路を辿る
可能性を見せられるとはな…」

そんな事を呟いているうちに更に狂気の力が増したようでさっきまで真っ当であった
フライングポリープ達は今度は冒険者達と自分達を襲い始める。
守るべき者達が多いこの状況は確実に不味い。

そんな厄介な状況の中、何処からか黒い人影が現れて更に響きが増してくる
このままでは冒険者達もいや既に影響が出始めている
身内での殺し合いが始まり自滅するのも時間の問題だ。

「……仕方あるまい何処まで行けるかは分からないが」

手に一つの笛を取り出す。先に口を付けると穏やかなメロディーが流れる
そして自然とその音は小さいながらも徐々に周囲を包んでいく
音色を聞いていくと自然と落ち着いてくる。

(笛の音色で正気に戻ってくれるとは思わんが…やれることをやるまでだ!)

そのメロディーは元はある人を喜ばせるために吹いた一つのきっかけに過ぎない。
しかし今に至るまでに様々な用途で吹き続けてきた結果、それは奇跡を起こす音色までに昇華していた。
これを自身は笛魔法と呼んでいる。
この音色を聞いている正気を失いそうになっていた・既になっていた冒険者達は意識を取り戻し
こちらに向かってきていたフライングポリープ達の動きが止まる
どうやら意識を取り戻し、必死で抵抗しているようだがこのままでは何処まで持つかは分からなかった。

(効果があったな!このまま結界まで持たせる!!)

効果を確認した後、そのまま必死で笛を吹き続け正気を持つ者の意識を維持させることに努める。


182 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/08/10(水) 00:40:17.82 0
>177-178
水路の中でフラポリーちゃん同士が共食いしていた。
「嫌あああああああああああ!?」
>『伝え忘れました。足元に注意してください。
 どうやら、おかしくなってしまったフライングポリープ達が水の中で共食いしているようです』
「伝え忘れんなよ!」
これだけでも十分狂気な光景だが、それどころではなくなった。

意識の中に何者かの声が響き渡る。
ついに狂気の神の力が大合唱となって辺りを蹂躙する!
ボクは妖精だからいいようなものの並大抵の人は気が狂うぞ!
フライングポリープ達が襲い掛かってきた!
>「このまんまじゃ、みんなやられる……!!セイヤァ―!!」
ヒノさんがフライングポリープの足止めをしてくれた。
ならばボクは……

>181
>「……仕方あるまい何処まで行けるかは分からないが」
ビャクさんがやおら笛を取り出し、吹き始めた。
思わず聞き惚れるような美しい旋律が響き渡る。
まるで心を浄化されるような……心を浄化!?
そうか、これは狂気の神への対抗手段なんだ!
「力持つ音……! ボクの世界にも似たような魔法がある……」
“ふくろ”から超久しぶりにセレネストリングスを登場させて奏でる。
ハーモニーを笛のメロディーに重ねて。

知らない人のために解説しておくと、セレネストリングスとは伝説のアイテムの一つ。
先代勇者ハーメルが死霊皇帝封印の戦いの際に持っていた、セイレーンが作り出した魔法のハープだ!

「ボクは生憎呪歌士ではないんだけどね、それと合わせれば手助けにはなるはずだ!

183 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/08/10(水) 07:55:16.36 0
>>180
弱々しい光の中、不気味な肉腫の一体がアヤソフィアに近づいて触手を突き出す。
視界に捉えてさえいれば、それを躱わすのは容易だった……鞭の如く足元から跳ねる触手さえ無ければ。

「……ッ」

足を払われたアヤソフィアが態勢を崩す。
フライングポリープは、それを逃す事なく彼女の胴体にてらてら光る橙色の触手を回して、しっかりと掴んだ。

「離し、なさい!」

ぬめりを帯びた触腕はゴムの塊の様に強靭で、真銀の短剣を突き立てても容易には引き剥がせない。
ずるずると徐々に引き摺られるアヤソフィアは、突然浮遊感に襲われる。
気付けば、彼女は体を逆さにされて触腕に吊り上げられ、頭部をフライングポリープの口元まで引き寄せてられていた。
緩慢な蠕動を繰り返す肉腫の皺の一本一本までが見て取れる位置にまで。
眼前で見る口腔の中の闇が、アヤソフィアに死の世界を垣間見せる。
死への秒読みは、数えるまでもなく終わった。
腰に回された圧迫感は消え、代わって血の凍る落下の感覚。
直後に訪れるであろう破滅の瞬間に、思わずアヤソフィアの眼が閉じられる。

大きく開いた口がアヤソフィアを呑み込まんとする寸前、セイヤァー!!と火野の声が響いた。
左方から黄金の光が閃く……洞窟を照らす明かりを反射して輝くオーズ・サトラゾの腕が。
アヤソフィアが目を開くと、そこに巨大肉腫の口は無い。
トラクローの一撃を受けたフライングポリープは、洞窟の端まで吹き飛ばされていた。

「……さすがに……今のは死を覚悟しました。感謝します……ヒノ……」

オーズに変身した火野に抱えられたアヤソフィアは、弱々しく膝を震わせながら述べる。

184 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/08/10(水) 07:59:16.25 0
>>178 >>181-182
洞窟では無数の狂える魂が合唱していた。
彼らは理想を求めて狂った者、呪いで狂った者、自我を守る為に狂った者……理性の世界では救われなかった数多の魂達。
耳を塞ぎたくなる様な不協和音の中に、やがて一つの旋律が生まれる。
美しい笛の音は聞く者の琴線を……狂気に激しく振るわされていた心の弦の振動を鎮めてゆく。

「まるで……精霊の囁きの様です。とても美しくて、とても優しい」

いつの間にか、誰も気づかないほど自然に音が増えていた。
陶然とする旋律に耳を傾けると、心の奥底に眠っている大切なものを呼び起こしてくれそうにも感じる。
眩しい光。薄暗い洞窟は安らげる場所に変わっていた。故郷と呼べる場所に。
ふと、隣に目をやると誰かいる。
それは心の奥底に眠っていた最愛の人の顔。
奇跡の旋律が作る幻は、聞く者によって見せる場所も愛する人の顔も異なっていた。
アヤソフィアが見たのは――――。

「――――ヒノ、そろそろ降ろして下さい」

冷静さを取り戻したアヤソフィアが、オーズの腕の中から降りる事を要求する。
狂気に囚われていた魂達も、フライングポリープや冒険者達も、今や完全に動きを止めていた。
それは、狂気を阻む結界の構築にも充分な時を与えている。

『智慧なるソフィアが命ずる。
 根源なる光を映す叡智よ、輝きて無知なる魂を照らせ』

ソフィアの智慧を齎す光が虚偽なる幻を払い、優しい夢から醒ます。
懐かしい風景が一つずつ消えてゆき、最後には大切な者の顔もぼやけ、気が付けば聴衆は元の洞窟に立っていた。
あちこちでため息。もう二度と会えない者の顔でも見たのだろうか。涙を流す者さえいる。
理性の結界は、狂気を完全に駆逐しているようだった。

「さっき……あの音色の中で誰かの顔が浮かんだ気がします。
 すぐに消えてしまって、もう誰かも思い出せないのですが」

アヤソフィアが呟きを口に乗せる。
彼女が幻の中で見た顔を思い出そうとしていると、竜の姿を取り戻したソフィアが口を開いた。

『ふむ、どうやら少し狂気の神の力を甘く見ていたようだ。
 此処からは、真に力ある者でなくば危険であろう』

それを聞いたフライングポリープたちは、神を食べる為に行くべきという者と、退くべきという者に分かれて話し合う。
突き出される看板。看板。看板。
議論の結果は“神は食べ物では無い”というもので、彼らも残る冒険者達と共に退いてくれる事になった。

「私は行きます。そうするのが使命ですから」

そう言いながら、アヤソフィアは己の発した使命との言葉に違和感を感じていた。
(使命よりも、任務と言った方が適切だったからでしょうか……?)
正体のつかめない違和感が胸に沸くのを感じながら、アヤソフィアは虹の竜を橋として地下大河を渡った。

185 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/08/10(水) 08:02:34.17 0
水脈の先には、緩やかに地に向かって傾斜する洞窟。
其処こそが、狂気の神の神殿。
その入り口に足を踏み入れれば、饐えた血臭が鼻を突く。
神殿の内部は膝までが水没する赤の空間だった。
あちこちに置かれたオブジェや柱や扉は、様々な生物の皮や眼球や骨や内臓を使って作られている。
全ての壁面が朱で塗られているのは、神殿の素材となった殆どの生物の体液が赤かったであろう。
洞窟中央には骨を組み合わせて作ったと思しき祭壇が設えられ、上には何者かが立っている。

≪ほぉ、よΗぉく来たなァ!
 久κしぶりじゃοないか、カオιスの勇者νη達ィ!
 遥々、このλοオレのγ聖地ιまで巡礼に来κたとはηな,
 それならば、歓τ迎ηしてやνろうじゃないか!
 いやいや、どうεせなら俺の使徒λεにυしてθやってερもιいαいんだぜ?
 アッヒャッハハ!カεオスξのα勇者φ改め、α狂気νのι勇者ζなεんて最τ高にクールαだιなあ!≫

まるで懐かしい友人に語りかけるように、無邪気とも思える声は心の中へ入り込んでくる。
声の主であろう若い男は、赤い闇の中に透ける様な白磁の肌を浮かび上がらせていた。
両眼に血の瞳を輝かせ、頭部を流れる金髪からは三日月の如き長い角が突き出す。
こちらを見ながらも、彼の視線は遥か遠くを見ているかのようだった。

「長い角も鋭い爪も、ナイトメアと呼ばれる種族の特徴です。
 あの者が、インペトゥスの肉体を器として現世に降臨した狂気の神と見て間違いないでしょう。
 ところで……どうされますか?
 どうやら、我々は狂気の神の使徒に勧誘されているようですが」

【>>ALL 狂気の神へ遭遇】

186 :オーズ ◆/m/3H6N1VU :2011/08/12(金) 22:15:13.46 0
>>181>>182
>「……仕方あるまい何処まで行けるかは分からないが」

>「力持つ音……! ボクの世界にも似たような魔法がある……」
“ふくろ”から超久しぶりにセレネストリングスを登場させて奏でる。


ビャクとティル、2人の奏でる音が周囲に渦巻いていた狂気を抑えていく。
映司も、鈍っていた視界と感覚を取り戻していく。
「すごい……音にこんな力があるなんて。
よし、これでみんな元に戻ってくれれば……!!」

その穏やかな笛の音から映司の脳裏に浮かんだのは、灰色の世界。
何故か、誰の顔も浮かばない。
そんな異変に映司は気付くはずもなく、ただ灰色に揺らぐ世界を見つめていた。

>>184
>「――――ヒノ、そろそろ降ろして下さい」

アヤソフィヤの言葉に、映司は現実に引き戻される。
彼女を地面に降ろし、映司も変身を解除しその後に続く。
水脈を辿った先に待っていたのは、不気味な外観に埋め尽くされた
真紅の神殿だった。

「なんなんだ……ここ。」

呆然と神殿を見つめる映司の前に、謎の男が立っていた。
何事かを語りながら、その顔は血の色の目と共に不気味に揺らいでいる。
只ならぬ男の雰囲気に、映司の顔も思わず強張る。

>「長い角も鋭い爪も、ナイトメアと呼ばれる種族の特徴です。
 あの者が、インペトゥスの肉体を器として現世に降臨した狂気の神と見て間違いないでしょう。
 ところで……どうされますか?
 どうやら、我々は狂気の神の使徒に勧誘されているようですが」

アヤソフィヤの言葉に、映司が息を呑みながらも答える。

「どうする……ですか。この人が、話が分かる相手ならいいかなって
思いますけど……。
俺は、狂気に囚われる世界なんて望んじゃいないしそんなものは必要ないです。」

狂気の神と呼ばれた男を見つめ、映司は静かに呟いた。

【狂気の神と遭遇、アヤソフィヤに返答】

187 :狂気の神@NPC ◆666/MyrH6U :2011/08/13(土) 19:09:55.20 0
>>186
己に対して口を開いた火野に狂気の神が応えた。
その何者も逃さない視線を火野の唇に、黒い瞳に、全てに注いで。

「ハッ、おいおいおい。オマエには狂気が無いってのか……火野映司ィ?
 俺には見える……砂漠の様に乾いちまったオマエの心がさァ……。
 心から欲望を消しちまったオマエは、今でも充分狂気の世界に片足突っ込んでるんだぜェ。
 俺の世界になァ?えェ?戦地を救った勇敢な政治家の息子様よォ」

狂気の神は、名乗ってもいない火野の名前を言い当てる。
そしてゲタゲタと嗤いながら両手で眼鏡の形を作り、まるで火野の心を覗きこむような仕草をした。

「オマエの心は自分を守る為にバランスを欠いたのさァ。
 そう……完全に狂わないようになァ。
 裏を返せば、それは一歩背中を押されるだけで俺の世界に足を踏み入れるって事だぜェ」

狂気の神の両腕には鎖のタトゥーが彫られている。
絵である筈のそれは、狂気の神が両腕を広げると皮膚から抜け出て、シャラリと涼やかな音を立てて地面へと垂れた。
狂気の神が両腕を突き出すと、黒い鎖は二匹の大蛇の如く伸び上がる。
火野を標的とした鎖は金切り声を上げて空を切り裂き、一瞬で彼の両腕に絡みついて締め上げると大の字に拘束する。
狂気の神は自らが拘束した男に、指で挟んだ一枚のメダルを見せつけながら囁く様に言う。

「受け取れよ、こいつを探してたんだろ……俺からのプレゼントさ。
 まあ、ちと人の心には余るかもしれないがなァ?」

この紫のメダルは恐竜系コアと呼ばれ、今は存在しない生物の特徴から“無”の欲望を備える物……と言われる。
狂気の神がメダルを投げつけると、それは紫の光を発しながら火野の胸を撃ち、そのままズブズブと彼の肉体に沈んでゆく。

「クク、ギハハッ、まずはイッチま〜い!メダルはまだまだあるンだぜェ?
 全部体内に入れちまったら……アンタ、どうなっちまうのかねェ?ゥエッヘッヘ!」

188 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/08/14(日) 03:17:58.87 0
>>182
>「力持つ音……! ボクの世界にも似たような魔法がある……」
「ボクは生憎呪歌士ではないんだけどね、それと合わせれば手助けにはなるはずだ!

心を洗う笛の音色に更にハープの音色を乗せてそれは奇跡を起こす旋律と化す
周囲を覆い支配していた狂気は薄くなってゆくと同時にその場に居た者たちの心を洗い
その奥底に埋もれている最愛の人達が頭に浮かぶ。
そして吹いている自身も例外ではなく、自身が今に至る前かつては頭に浮かぶ一人の女性の為に
戦って居た事を思い出していた。聖女のように優しく、人を愛しながらも存在しているだけで世界を侵す者になってしまった
最愛の彼女を。しかしその記憶もすぐに掻き消える理性の結界が貼りなおされたからだ。

「イリューシャ…君はまたどこかで…」

一瞬、当時の純粋で誰にでも愛されていた少年の瞳に戻り呟くが
水脈を渡るまですぐにいつもの雰囲気に戻った。

>>185>>187
水脈のその先渡り目にした存在する物―それは
血生臭い赤一色という一言に尽きる生々しく吐き気を催す
生々しいいろんな肉塊で出来たような神殿であった。
もはや狂気の象徴と言ったほうが早いかもしれない

「異常もこうも極めりとはな…」

足を進め中央辺りまで来るとポツリと座っている男が居る事が分かる。
間違いなく人ではない何かだと言うのは漂わせる空気からわかる。

>「長い角も鋭い爪も、ナイトメアと呼ばれる種族の特徴です。
 あの者が、インペトゥスの肉体を器として現世に降臨した狂気の神と見て間違いないでしょう。
 ところで……どうされますか?
 どうやら、我々は狂気の神の使徒に勧誘されているようですが」

「…論外だな、貴様がもたらすのは狂気のみ誰も幸せにはしないだろう
なにより貴様の存在が他世界間を揺るがす者になるのは必定―狂気に塗れた世界には未来は無い
指令どうり、答えは一つだ夢双剣!」

最初から定まっていた答えを口にすると、黒い十字の剣が周囲に何十本も現れると同時に
禍々しい和弓を手に持ち、火野を拘束した鎖を砕くために矢を正確に拘束部分を狙い
黒い十字の魔力で出来た剣は狂気の神の肉体を狙うべく一斉に向かう。

「さすがは神か!鎖が思った以上に硬い!」

明確に鎖を破壊すべく矢を放ってみるが一撃では逆に弾かれビクともしない
破壊力を増した矢を放っても良いが、加減を間違えれば生身の火野を怪我をさせるか
最悪肉体を吹き飛ばす事になってしまう。

「躊躇している余裕はない!あのメダルを全部投入させる前に!」

覚悟を決めて繋ぎ目が甘い場所を必死に探しながら弓で集中的に狙い続けていた


189 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/08/14(日) 23:50:39.17 0
>184-188
ハープを奏でながら、不思議なイメージが浮かんだ。
ガイアから受け継いだ記憶の一端だろうか。
世界が始まる前の世界、全てが混然一体としていた永劫の時。
光と闇は共にあり、争う事も傷つけあう事も無い優しい世界。
否、それは世界と言えるものではない、何も存在しないのと同じ。
そんな事は分かっているけど……とても懐かしい感じがした。

>『智慧なるソフィアが命ずる。
 根源なる光を映す叡智よ、輝きて無知なる魂を照らせ』
ソフィアの声に、我に返る。

>「さっき……あの音色の中で誰かの顔が浮かんだ気がします。
 すぐに消えてしまって、もう誰かも思い出せないのですが」
>「イリューシャ…君はまたどこかで…」
皆もボクと似たような現象が起こったようだ。

「ボクも不思議な夢を見た……。先に進もう。今を切り開くんだ!」
>『ふむ、どうやら少し狂気の神の力を甘く見ていたようだ。
 此処からは、真に力ある者でなくば危険であろう』
>「私は行きます。そうするのが使命ですから」

いよいよ敵の本拠地が近づいてきたようだ。
「狂気の神の信者になると急に自転車のサドル集め始めたりするんだってさ!
ほら、そんな深刻な顔をしてるとあっちのペースに飲まれちゃうよ!」
フラポリーちゃんや男さんやイョーベールさんと旅をしている時はおそらくこんな事は言わなかっただろう。
今のパーティーメンバーはおしなべて真面目。狂気の神と戦うにあたっては不利な要素である。
皮肉なことに真面目で一途な性格の人ほど狂気に付け入られやすいのだ。
「大丈夫だって、あいつギャルのパンティーおくれ〜とか言ってたんだから!」

そんなこんなでついに狂気の神と対峙する。自分の使徒にならないかと勧誘してきた。
さすが神だけあって営業活動に余念がない。
「ふーん、随分ステキなインテリアじゃん? 狂気の勇者も悪くない!
何の束縛もない自由な世界はきっと楽しいだろうな〜!
……だが断る!!」

口口に勧誘を断ると、狂気の神はまずはヒノさんにターゲットを定めた。

>「クク、ギハハッ、まずはイッチま〜い!メダルはまだまだあるンだぜェ?
 全部体内に入れちまったら……アンタ、どうなっちまうのかねェ?ゥエッヘッヘ!」
「ヒノさんを離せえ!」
>「躊躇している余裕はない!あのメダルを全部投入させる前に!」
ビャクさんが鎖を攻撃する。

なにしろ相手は狂気の神、まともに考えたところで対抗できない! ならば狂って考えるしかない。
「【ボーンサーバント】」
ストーンサーバントの骨バージョン。神殿の素材を媒体に、骸骨型ゴーレムを作り上げる。
そーっと狂気の神の背後に接近させる。
「行け! 膝かっくんじゃああああああ!」
邪神に膝かっくんをする、理科室に置いてそうな骸骨。これってかなりじわじわくる光景じゃない!?
ところで狂人の振りをする者はすでに狂人だという。
もしかしてすでにボクは狂気にあてられてしまったのか!? もう何が何だか分からない。

190 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/08/15(月) 19:06:46.44 0
>>187
>「ハッ、おいおいおい。オマエには狂気が無いってのか……火野映司ィ?
 俺には見える……砂漠の様に乾いちまったオマエの心がさァ……。
 心から欲望を消しちまったオマエは、今でも充分狂気の世界に片足突っ込んでるんだぜェ。
 俺の世界になァ?えェ?戦地を救った勇敢な政治家の息子様よォ」

狂気の神は、映司の心の奥に在るものを既に見抜いていた。
内戦のある国で、目の前の少女さえ救えなかった事実。
手を伸ばしても、何も出来なかった自分の無力。
そして、その無力さを利用された美談。
映司の心に、あの時の絶望が蘇る。

>「オマエの心は自分を守る為にバランスを欠いたのさァ。
 そう……完全に狂わないようになァ。
 裏を返せば、それは一歩背中を押されるだけで俺の世界に足を踏み入れるって事だぜェ」

「……違う。俺は……俺は。」

必死で頭を横に振る。否定したい。
しかし、心に浮かぶのは灰色の景色。そこに、何も鮮やかなものは存在しない。

>「受け取れよ、こいつを探してたんだろ……俺からのプレゼントさ。
 まあ、ちと人の心には余るかもしれないがなァ?」

「そ、それは……!?まさか――あ、あがっ……」

両腕を拘束され、紫のメダル「無に帰す力」を埋め込まれていく。
胸に吸い込まれたその力が、映司の目に紫色の闇を宿す。
「ぐ、ぐ……グガァァァァァァ!!」

映司の体が捻じ切れんばかりに揺れ、そしてその右腕がゆっくりと
漆黒の異形へと変化していく。
彼が抗う隙すら与えないとばかりに、その体が徐々に欲望の化身「グリード」へ変化していく!

191 :アンク ◆/m/3H6N1VU :2011/08/15(月) 19:16:28.48 0
狂気の神が紫のコアメダルを映司へ投入していく最中、洞窟の闇の中から
一閃の炎が放たれる。
それは狂気の神の頬を掠め、一瞬ではあるがその強大な力に
隙を与える。

「こいつは驚いたな……まさか、狂気の神とやらがそいつを
持っていたとは。」

闇から姿を現した金髪の青年、アンクは映司を救おうと奮戦する
ティル、ビャクの傍に立つと3枚のコアメダルを手にする。
それは青色の輝く、水属性のコア。
「映司!!お前の力ってのはそんなもんなのか?
だったら俺にとっては用済みだ!!だがなぁ……今ここで
そいつの思い通りになったら困るんだよ。」

水色のコアが映司の腰に巻かれたドライバーへ投げつけられる。
それは放物線を描くと、ドライバーへ一瞬で装填される。

「俺が世界を楽しむ前に、世界を壊されたらたまらないからな!!」

アンクの投げた3枚のコアは紫と青の火花を放ちながら
お互いをはじき出そうと衝突し合う。
しかし、紫色のコアの力は強大であり劣勢なのは否めない。

「チッ……!!やはりあの力を止めるのは無理か……いや。」

アヤソフィヤを見つめ一計を案じる。
アンクの視線の先には、己の異形たる右腕が在った。

「念の為にお前に聞いておくが、お前はどうする?」

アヤソフィヤへと視線を移し、アンクは問いかけた。

192 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/08/15(月) 20:33:09.14 0
>>186-191
神殿内の心揺さぶる妖気は、少し気を抜いただけでも人の気力を萎えさせ、狂気の世界へと引き込もうとしていた。
アヤソフィアの心もまた揺れる……波に揺られる小舟のように。
そもそも、私は何故この様な所に来てしまったのだろうか?
(この世界には多世界間の連鎖崩壊現象が起きないかを調査に来て、今は戦士であるミキストリ卿を補佐するのが任務です)

多世界間の連鎖崩壊現象を調査にビャクの補佐……。
ガイア世界も狂気の神の影響が及ぶかも知れない他の世界も、そもそも守るべき価値はあるのだろうか……?
(基盤となる世界が無ければ何者も存在できませんし、世界律の異常を放置すれば自らの世界にも崩壊が波及する可能性もあります)

世界が崩壊しては何故いけない?其処に人が存在していなければいけない?
(ヒノ、フェアリー=テイル……付き合いこそ一日に満ちませんが大切な仲間です。
 彼らと会った世界を崩壊などさせたくない……この気持ちには偽りなどありません)

(ヒハハッ!ならよォ、ソイツらと出会わなかったらサ……この世界が崩壊しても心は痛まなかったってわけだなァ?)

確かに彼らと交流しなければ、この世界に感情移入をする事も無かっただろう。
自分の知らない間にガイアが崩壊していれば、後からそれを聞かされても記録としてしか感じられず、心も痛むまい。

(……この先程から浮かんでくる心の声は、本当に自分のものなのでしょうか……?)

泥沼の様に絡みつこうとする問い掛けを遮るように、神殿に男の声が響く。
火野が狂気に囚われた世界など望まないと、ビャクが狂気は誰も幸せにはしないと、力強く断言していた
それを聞き、アヤソフィアも思考の迷路に引き込もうとする懐疑の声を払拭する。

「……その通りです。
 理性を失う事で得られる無限の自由など、人には不要なものに過ぎません。
 信じたくない現実を狂気の中で忘れても、それを幸せとは呼べないでしょう」

狂気の神は火野の応えに不満の言葉を吐き、二本の鎖を操って火野の両腕を捕らえる。
さらに縛された火野には紫のメダルが投げつけられた。
メダルの影響で異形のグリードに変わりゆく火野を見て、アヤソフィアが叫ぶ。

「ヒノッ!」

火野に近づき、しかしアヤソフィアは何も出来ぬ己に歯噛みする。
異変の原因は紫のメダルなのだろう。
しかし、それを胸を切り開いて取り出すわけにもいかない……どうすれば……。
当惑するアヤソフィアの瞳に眩い輝きが映った。
狂気の神に向けて放たれる輝く火線の光が。
攻撃が放たれた先に視線をやると、今まで消えていたアンクが火野に怒声を上げて水色のメダルを投げつけていた。

「アンク、今までどこにッ!狂気に囚われた様子も見られませんが、今まで何をしていたのですかッ」

アヤソフィアの抗議する様な声に、アンクが視線を向ける。
そして、お前はどうするのかと逆に問いかけてきた。

「私も狂気の世界は必要としていませんっ。
 先程は怖れに惑わされ、不覚にも他者に判断を委ねる様な真似をしてしまいましたが。
 ……アンク、あの紫のメダルは何なのですかっ?ヒノに何が起きているのです!
 現状、最もメダルに詳しいのはあなたです。
 何か対処する方法があるなら教えてくださいっ!実行します」

193 :狂気の神@NPC ◆666/MyrH6U :2011/08/15(月) 20:38:53.16 0
ビャクの夢想剣が、重い唸りを上げて宙を裂く。
狂気の神は一切の防御を試みる事も無く、その体に魔力の十字剣を受けていた。
首に、胸に、腕に、脚に、無数の黒剣が突き刺さる。

「グッグッ……アハハッ!良いぞイイゾ!もっと俺を傷付けろォッ!思う存分ッ、天に唾を吐きかけるが良ィさ!」

全身を鮮血で染めながら、狂える神は楽しそうに哄笑していた。
その残響の中で、不意に火野を拘束する鉄鎖が緩む。
アンクが火を放たった隙に、テイルの作り上げた骸骨のゴーレムは、嗤い続ける狂気の神の背後を取って態勢を崩させていた。
集中が途切れた事で魔力にも影響が出たのか、ビャクの放つ矢を受けた鎖は、澄んだ音を立てて幾つかの罅割れを生む。
今の火野の力ならば、引き千切る事も不可能ではない程に。
一方、祭壇に膝を付いた狂気の神は背後を振り返って骸骨を確認すると、張り合うように自らもボーン・サーバントを唱えていた。

「万能の根源にして、因なるマナ。
 不朽なる骸、生物の基軸なる骨を器と為し、今こそ魔法像と成らん!」

狂気の神の魔術で骨の祭壇が崩れ、何十匹もの魔獣の骨で組み上げたと思しき巨大なボーン・ゴーレムが作られる。
巨大な骸骨の頭部、四本の鎌の様な腕を備えた胸部、ムカデにも似た多脚の下半身を持つ、異形なる骨の魔像が。
術者を胸の中に取り込んだ異形のゴーレムは、四本の鎌で力任せにテイルのボーン・ゴーレムを薙いだ。

「どゥだ、俺のボーン・ゴーレムの方が素晴らしい出来だろォ。
 お前も……ゴーレムにしてヤろうかッ!」

崩れた骨細工を水の中に沈めると、ゴーレムがギリリと首を回して闖入者たちに首を向けた。
狂気の神の命を受けた異形のボーン・ゴーレムは、バシャバシャと節足の脚で水飛沫を上げながらテイル目がけて突進する。
死神の鎌の如き四本の腕を振り上げて。

194 :映司&アンク ◆/m/3H6N1VU :2011/08/18(木) 19:18:26.04 0
>>192
突如姿を現したアンクに対し、アヤソフィヤは鋭い眼差しで
言葉を投げ返す。

>「アンク、今までどこにッ!狂気に囚われた様子も見られませんが、今まで何をしていたのですかッ」

アンクは悪びれた様子すら見せず、ただじっと紫色の闇の染まろうとしている映司を
見据えながら答える。

「遺跡でコアを見つけた。あの水色の3枚だ。
他にも随分と稼げると踏んだんだがなぁ……まさかあのコアまで持ってるとはな。」

あの紫色のコアメダルは、プテラ・トリケラ・ティラノ。
3枚とも、既に世界から消え去った「幻」の生命のメダル。
そしてそのメダルの最大の特徴は全てを無に帰すだけの存在であること。
他のコアメダルが欲望を生み出すのに対し、紫のコアは欲望さえも
無に返す暴威のメダルなのだ。

>……アンク、あの紫のメダルは何なのですかっ?ヒノに何が起きているのです!
 現状、最もメダルに詳しいのはあなたです。
 何か対処する方法があるなら教えてくださいっ!実行します」

アンクは己の右腕を天高く突き上げる。
そしてアヤソフィヤの耳元で囁いた。

「……確かに、あのコアは厄介だ。あのままじゃ、映司はグリードになっちまうだろうな。
つまりは、暴走だ。オーズ自身が全てを無に返すだけの身勝手な神様の仲間入りだ。」

アンクの腕が本体から分離し、映司の元へ飛び込んでいく。
更にアンクは腕だけのままで、アヤソフィヤ達へ叫ぶ。

「だが、そんな神も恐れない力を――無に帰すだけの力を
こっちのモンに出来たらどうなる?
援護をしろ、信用はしてないがな!!」

悪態を吐きながら、アンクの腕が映司の体に合わさっていく。
やがて紫と赤色の火花を散らしながら、鎖を引き千切った映司が
地面に倒れこむ。
(映司……!!おい、目を覚ませ!!)

(アンク……お前どうして。)

(俺に、考えがある。手を貸せ!!)

「……フフ…フハハハ!!」

起き上がった映司の目に宿るのは紫色の光。
そして腰にはオーズのベルト、右腕には赤いアンクの腕。
狂気の神の前に傅き、神の手に握られた3枚目のコアメダルを自ら胸に挿入する。
不気味な笑みを浮かべながら、映司はアヤソフィヤ達に
牙を剥かんと迫る!!





195 :映司&アンク ◆/m/3H6N1VU :2011/08/18(木) 19:22:46.57 0
――かに思えた。

次の瞬間、紫色のオーラが襲った先にあったのは狂気の神の姿。
「……残念だったなぁ。これで”3枚”揃った。
お前のお陰だよ。こいつは危険だ。今は俺が貰っておく。」

映司の体に取り付いていたのは、アンク自身。
アンクの意思が映司の意思を深遠から救い出し、紫色のコアの暴走を
抑制していたのだった。

(アンク……ありがとう。皆さん……もう大丈夫です。
たぶん!!)

「多分じゃ困るんだよ。さっさと戦え!!こいつで、コンボだ!!


アンクが離脱し、映司の目に再び緋色の光が宿る。
3枚の水属性コアが光を放ちながら一気にオーズドライバーへ装填される。

「……変身ッ!!」

『シャチ・ウナギ・タコ!! シャシャシャウタ♪ シャシャシャウタ♪』

歌が流れると同時に映司の全身に水色のオーラと装甲が
出現した!!
大いなる海の記憶を宿した、オーズシャウタコンボへと変身したのだ。
「このコンボで何とかできればいいけど……!!
うぉおおお!!セイヤァ!!」

オーズがシャウタコンボのウナギロッドで紫電を放ちながら狂気の神へ向かう!

【紫色のコアをアンクが制御→シャウタコンボへ変身】





196 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/08/20(土) 04:08:03.63 0
>>194
アンクは囁く。火野が全てを無に帰す魔物になろうとしている事を。
彼は悪鬼を思わせる赤腕を己が肉体から乖離させ、火野に向かわせながら力を貸せと叫ぶ。
無に帰す力をも呑み込み、我がものに出来たならどうなるかと問い掛けて。

「分かりました。貴方を……いえ、ヒノは全てを無に帰す魔物などに墜ちたりしないと信じますっ」

アンクの腕を凝視したアヤソフィアが、捲し立てる様な早口で魔力の喚起に必要な韻律を紡ぐ。
唱えるのは魔法に対する抵抗力を高めるカウンター・マジックの魔術。
アヤソフィアは火野の内なる魔力を活性化させ、彼の意思を奪おうとするメダルの力に対抗させるつもりだった。

「我、作りしは魔力を阻む内なる壁。
 無限なる円環を満たす不可視の力よ、彼の者の意思の力を高め、外なる魔力を妨げよ――――counter magic」

アヤソフィアが使ったのは視覚的変化の現れない術だけに、どの程度の効果を上げたのかが分からない。
火野の状態を見て推し量るしかないのだ。
彼が内なる敵を抑えてくれるようにアヤソフィアは祈った。

しかし、その水色の瞳には信じられない光景が……信じたくない光景が映る。
狂気の神に近づいた火野が跪き、恭しく紫のメダルを受け取っている姿が。
アヤソフィアは自らを呪った。
自分が絶対の意思を持てなかった事で抗魔の術は効果を減じ、悪しき結果を引き寄せてしまったのではないか、と。
火野を信じるとは言ったものの、アヤソフィアには期待よりも不安の方が強かったのだ。
彼の意識が全てを無に帰さんとする欲望に屈してしまったのなら、それは神殿内に新しい敵が現れた事を意味する。
アヤソフィアの戦意が萎えてゆく……狂気の神が発する妖気に打たれた時以上に。

>>195
アヤソフィアは火野に解呪の魔術を試みるべきか、狂気の神に攻撃を仕掛けるべきかを逡巡したまま、身動きを取れずにいた。
火野を見つめる。返って来るのは今まで彼が見せた事の無い笑み。体が凍りつく。
次の瞬間、火野は狂気の神に振り返って腕を突き出す。
その掌から発されたオーラは紫の微片となって弾け、狂気の神に浴びせられていた。
火野に戦闘を促がすアンクの声が続いた事で、アヤソフィアも火野が正気を取り戻した事を悟る。

「ヒノッ、心配を……させないで下さいっ」

安堵の入り混じった抗議の声は、神殿を満たす水色の輝きに消えてゆく。
火野が変身したのは黒と水色を基調とした甲冑を纏う戦士、オーズ・シャウタコンボ。
両手に握られた二本の鞭は、発電魚の力を秘めているようだった。
閃光の鞭は宙に紫の軌跡を残して、狂気の神が操るボーンゴーレムの胸部を容易く砕く。
残るロッドの追撃は狂気の神を絡め、天井まで投げ飛ばして激突させていた。
途端に司令塔を失ったボーン・ゴーレムは、標的を見失ったかのように不規則に走りまわる。
眼前の猛攻にアヤソフィアは狂気の神との戦闘に意識を戻した。
器となっているナイトメアの肉体を破壊すれば、狂気の神とて現世へ干渉する力は限定的にならざるを得ないだろう。
ならば単純に狂気の神の肉体を破壊すれば、この国の異変は解決すると考えて良いのだろうか……?

「狂気の神、一つ問います。この大旱魃を起こしているのは貴方ですか?」

『グあぁッ?旱魃ゥ?ククッ……ソレなら俺の力をこの星の核に流し込んでやっただけさァ。
 いつの間にか、この世界が堅っ苦しい監獄みてェになっちまってるからよォ。
 五行円環の力を狂わせて、カオスにしちまおうってなァッ!』

天井に張り付いたまま応える狂気の神の言葉に、アヤソフィアは理解する。
この神殿が狂気の神の力を送る起点となって地の底まで届き、天変地異を起こしているのだろうと。
異変を止める為に、まず為すべきは狂気の神の活動を停止させる事である。

「フェアリー=テイル、ソフィア神の力を能動的に用いる事はできないのでしょうか?
 あのナイトメアの肉体を物理的に破壊するのは、相当の労力が必要であると思われます。
 可能ならば、反属性の力にて何がしかの御助力を願いたいものですが」

【>>テイル ソフィアの助力を要請】

197 :狂気の神@NPC ◆666/MyrH6U :2011/08/20(土) 04:12:53.77 0
オーズの電撃鞭は狂気の神の全身に刺さった夢想剣に通電し、肉の焦げる匂いを撒き散らさせる。
通常の生物ならば致死に至るであろう傷を受けても、狂気の神は倒れる様子を見せなかった。
狂える神は自身の胸に刺さった夢想剣を掴み、勢い良く引き抜く。
鮮血を滴らせる剣を狂気の神はバキリッと噛み砕き、破片を呑み込む。
そして、良い事を思いついたという顔でビャクを見る。

「一対四ってのは卑怯だろゥ?気が咎めるよなァ?
 だから、これからオマエにピッタリの相手を紹介してやるぜェ」

夢想剣を通してビャクの心を覗いたのだろうか。
そうでもなければ、次に起こった現象の説明が付かない……ビャクの眼前に最愛の女が現れた事の。

「万能の根源にして、因なるマナ。
 彼の者の心に、我が作りし姿を生み出し、偽りの傷にて真実なる肉体を害せよ」

狂気の神が唱えたのは、古代語魔法イリュージョナリー・ビーストの亜種。
これは対象にだけ見える幻影の魔獣を作り出して襲わせる術。
幻術とは言え、幻獣の攻撃は視覚だけでなく触覚までをも欺き、その攻撃で傷を受ければ死に至る。
この術が通常のイリュージョナリー・ビーストと違うのは、作り出す幻獣の姿を自由にアレンジできる事。

「さァ、愛する者同士で殺し愛ナぁ!きっと、こいつはアンタも気に入ってクレると思うゼェ?」

狂気の神がニタリと嗤うと、神殿の中に一人の女の姿が浮かぶ。
それを見る事が出来るのはビャクのみ。
彼女は物憂げな瞳をビャクに向けると、手に持つ夢想剣を引き摺ったまま駆け出してゆく。
まるで恋人の胸に飛び込むように。
違うのは女が手に持つ剣が、男の首を狙って漆黒の孤を描いた事。
幻影のイリューシアはビャクに向かって矢継ぎ早に剣を振るう……その命を奪うまで。

「さァて、狂気がいらネェとか抜かすオマエはどうしてくれようか?」

狂気の神はオーズの目の前に降り立つと、アンクとアヤソフィアへ交互に視線を向ける。
まるで何かを企んでいるようであった。
探るような口調で、狂気の神は火野に語りかける。

「フぅン、アンタはそこの男と女……どっちが大事ダい?
 そうだな……アンタが大事だと答えた方だけ、特別に壊さないでやっても良いぜェ?
 それとも大事なモンなんて何もネェか?ググッグッ」

198 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/08/20(土) 10:58:53.30 0
>193
>「どゥだ、俺のボーン・ゴーレムの方が素晴らしい出来だろォ。
 お前も……ゴーレムにしてヤろうかッ!」
特大のボーンゴーレムが襲い掛かってきた!
「ぎええええええええええええええ!?」
当たり判定が小さいのをいい事に、叫びながら逃げ回る。

>194
さらにヒノさんが洗脳された!
>「……フフ…フハハハ!!」
「メダパニ、いや、コンフュか!? 斜め45度でチョップしたら治るかな!?」
走り回りながら本来とは違う用途でエレメントセプターを構える。

>195
>「このコンボで何とかできればいいけど……!!
うぉおおお!!セイヤァ!!」
「ヒノさん!?」
ヒノさんは電気ウナギのロッドで狂気の神に一撃を加えた。
狂気の神はボーンゴーレムからすっぽ抜けて吹っ飛んだ。
「た、助かった……」

>196
>『グあぁッ?旱魃ゥ?ククッ……ソレなら俺の力をこの星の核に流し込んでやっただけさァ。
 いつの間にか、この世界が堅っ苦しい監獄みてェになっちまってるからよォ。
 五行円環の力を狂わせて、カオスにしちまおうってなァッ!』
「何てことをしてくれるんだ……!」
ならばガイアと融合したはずのスサノオと交信が出来なくなっているのもそのせいなのか!?

>「フェアリー=テイル、ソフィア神の力を能動的に用いる事はできないのでしょうか?
 あのナイトメアの肉体を物理的に破壊するのは、相当の労力が必要であると思われます。
 可能ならば、反属性の力にて何がしかの御助力を願いたいものですが」
「むむむ……」
もともとソフィアの力は防御や、歪められた状態の解除に特化している。
今もソフィアがこの場にいるからこうして何とか戦っていられるのだ。
防御を全放棄して捨て身の攻撃に出るのは現実的ではない。
「防御に特化した者が攻撃に出るには相手の力を利用するしか……」
『それだ!』
ソフィアが何かを閃いたようだ。

>197
見ればビャクさんの様子が変だ。
>「さァ、愛する者同士で殺し愛ナぁ!きっと、こいつはアンタも気に入ってクレると思うゼェ?」
『ただのイリュージョナリービーストではない。愛する者の幻影に襲わせる最悪の術……!』
「やろう、ビャクさんを信じるしかない!」
ソフィアと目配せして呪文を唱える。
『「【ミラージュ・シールド】!!」』
不思議な光がビャクさんを包み込む。
全ての魔法攻撃を受け止める無敵の盾イージスとはまた違う、攻撃を相手に跳ね返す盾。
あとはビャクさんが、自分が今対峙しているのは幻影だと気付く事が出来れば、発動するだろう。
狂気の神に自分の魔法を跳ね返して効くのかは分からないが
その昔、恐るべき石化の魔力を持つ怪物メデューサは、自らの視線を跳ね返されて石化したという。
やってみる価値はあるはずだ!

199 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/08/21(日) 00:20:46.52 0
>>193>>195
>「グッグッ……アハハッ!良いぞイイゾ!もっと俺を傷付けろォッ!思う存分ッ、天に唾を吐きかけるが良ィさ!」

全身に夢双剣が剣山の如く突き刺さっていても楽しそうに笑っているだけだ
その身が鮮血に染まりつつも狂気に染まっているが故痛みには反応しないのか
どの道このままでは確実に骨が折れそうだ。

「唾を吐くそれに足して死ぬまで中指を立ててやるさ!!」

買い言葉に売り言葉全力で込めた皮肉を込めながら鎖が僅かに緩む瞬間を見逃さなかった
放ち続けていた弓矢をほんの僅かな瞬間に甘い部分をピンポイントに高速で緻密に打ち込む事に成功し
鎖にヒビが入る。そしてアンクが憑依した直後に鎖は引き千切られ、こちらに不気味な笑みを向けたが
どうやら無事らしい。あのメダルの力に囚われてはいないようだ。
そしてアンクに差し出されたメダルををオーズドライバーに装着し、シャウタコンボになったオーズが
紫電の鞭を見舞う。

>>197>>198
鞭の放つ電撃はその身に突き刺さった黒剣を通し、全身を通す
しかしそんな状態でも、胸の刺さっていた剣を引き抜くと同時にそれを口にするという
余裕を見せ付けるようで異常な行動を取りながら、狂気に満ちた微笑をこちらに向ける。


>「一対四ってのは卑怯だろゥ?気が咎めるよなァ?
 だから、これからオマエにピッタリの相手を紹介してやるぜェ」

その言葉の後、呪文を唱えるとそこには―もう会えないと思っていた彼女が居た。
青い瞳でロングヘアー修道服に首には十字架のペンダントを付けている美女が。
それを見たとき、思わず力が抜け僅かに呆然としかつての自分が抱いていた感情が沸きあがる。
愛情や嬉しさといった複雑で言葉にし難い様々な物が入り混じっていた。
思わず手に持っていた禍々しい和弓を手放しそうになったものの、必死で握り締める。
何も言わず彼女はこちらに向かってくる―手には己が使用する得物を持つとは知らずに
周りにとってはほんの僅かな思考時間の間、彼は悩み苦しむ。
笑い怒り悲しみ苦しみ――様々な表情を間近で見てきた事がフラッシュバックで帰ってくる。
聖女と言ってもいいくらい慈愛に満ちており、自己犠牲の塊だった彼女。
存在するだけで世界に災厄をもたらし滅ぼす存在―パンドラに連ねる者になってしまったこと。
そして彼女が最期に聞いた忘れられるはずも無い言葉を。

―――私を殺してこれ以上誰かを不幸にする前に――――
――ありがとう、ビャク――
思い出した後、物憂げな瞳と少し悲しげな表情で目の前にやってくる。
迫る彼女に抱きしめる動作をした刹那、和弓は剣と変わり、
>『「【ミラージュ・シールド】!!」』
「ウォォォォォォォォォォ!!!」
呪文の発動と同時に無命剣フツノミタマを振るい最愛の彼女の幻影を切り裂く。
修羅と見間違えるほど鬼気迫るその表情で狂気を怒りのオーラでかき消す。
「笑わせるな――!!もう俺には笑いかけない抱きしめる事も無い―!
彼女は死んだんだ!俺がこの手で殺した!!殺したんだ!
彼女を汚すな!死んだ奴はもう生き返る事はないんだ!
どんな姿形が似ていようとも―それは彼女じゃない
別の存在だ!!」
唇を強くかみ締め血涙を流すと今までの彼とは思えないほどの尋常ではない速さで
目の前に現れると無命剣を振り下ろすとその衝撃で狂気の神は容易く吹き飛ばす。

「貴様だけは…俺が殺す!」

剣をとても強く握り、普通ならば痛みを感じるが
その痛みを忘れるほどの激情に身を包み吹き飛ばした狂気の神の元へと重圧をかけながら
ゆっくりと進む。


200 :オーズ(シャウタコンボ) ◆/m/3H6N1VU :2011/08/22(月) 21:59:00.78 0
>>197
「確かに貫いた筈なのに……すぐに回復した?
そんな…!!」

狂気の神の圧倒的な力を目の前にし、オーズの足も少しだが震える。
それは武者震いなのか、それとも本能から来る恐怖なのか。
映司には解りかねていた。

>「さァて、狂気がいらネェとか抜かすオマエはどうしてくれようか?」

狂気の神は、そんなオーズを見透かしているかのように
傍にいるアンクとアヤソフィヤへ目を向ける。
まるで、これから遊びを始めようと楽しむ子供のように。
アンクはアヤソフィヤの前に立ち狂気の神へ皮肉が焼きついたような顔をする。

「こんな女がどうなっても俺は知らんが、そこの馬鹿は意地でも守るだろうな。
目の前の人を助けるのがそいつの趣味だ。助けられなきゃ、そいつに
とっては全てが終わる。」

アンクの皮肉を聞きながらもオーズは沈黙する。
更に追い立てるように神も言葉を突き刺す。

>「フぅン、アンタはそこの男と女……どっちが大事ダい?
 そうだな……アンタが大事だと答えた方だけ、特別に壊さないでやっても良いぜェ?
 それとも大事なモンなんて何もネェか?ググッグッ」

「俺は……」

オーズの手が震える。あの時、手を伸ばせなかったせいで救えなかった命。
そして今もこうして無限のように思えるとてつもない力を前に、足が止まろうとしている。
その時――映司の中で眠る3枚の紫色のコアが光る。

(もっと、力が欲しい。目の前の人だけじゃない……みんなを、世界を救う力が。)

映司の心に反響するように、全身を紫色の光が駆け巡る。
その力はシャウタのコアメダルを弾き飛ばし、銀色の3枚のコアをその手に握らせていた。

「どっちか……を救いたいとか、誰かを守りたいとか。
確かにそうだよな。人が守れる範囲なんて限られている。
でも、俺は……願ったんだ。この手で、救える全てを守る力。
それが――オーズ。」

アンクが見守る中、オーズのベルトに銀色のコアが装填される。
サイ・ゴリラ・ゾウの重量系メダル。その3枚のコアがスキャンされると同時に
雄叫びを上げる。重力を操る銀色のコンボ、ザゴーゾへと変身したのだ。

「変身ッ!!」 『サイ・ゴリラ・ゾウ!!ザッゴーゾ♪ ザッ!ゴーゾッ♪!!』

銀色の嵐と共に、狂気の神の周囲のオブジェがまるで重力を支配されたかのように
浮かび上がる。
同時に、アンクとアヤソフィヤがザゴーゾコンボの力で一気にオーズの後ろへと押し戻される。

「神様かもしれないけど……でも、だからって勝てないってわけじゃないでしょ!!
俺は戦う!!これ以上、誰も――悲しませない為に!!」

オーズのゴリラコアが光り、その両腕の装甲が弾丸のように神目掛け発射される!



201 :狂気の神@NPC ◆666/MyrH6U :2011/08/23(火) 19:11:05.60 0
>>200
火野に取って人を助けられない事は、全てが終わる事に等しい。
そう語るアンクの言葉を聞いた狂気の神は、唇を喜悦に歪ませた。
まるで聞きたい事を聞けたとでもいうかの様に。

「全てが終わっちまうだって!そいつぁイイッ!
 狂気こそは弱者の友、あらゆる現(うつつ)の傷を癒す万能の傷薬ッ。
 全てが終わったら俺が与えてやるゼェ……苦痛無き永遠の楽園ってヤツをナァ!」

狂気の神が宣告する前で、オーズの装甲が水色から銀の輝きへと変化する。
重量ある生物達の力を秘め、周囲の重力場を操る戦士の形態へと。
火野は相手が神であろうと誰も悲しませない為に戦うと叫び、両腕から破城槌の如き装甲を射出した。
亜音速の装甲弾は空気を貫いて爆風にも似た風圧を生み、神殿の壁面を激しく振るわせる。
対する狂気の神は、オーズの攻撃を受け止めようと両腕を突き出す。
重量に凄まじい速度が合わさって爆発的な威力となった装甲弾が、着弾点へ容赦の無い破壊力を加える。
刹那、攻撃を押し留めようとする狂気の神の腕は、圧倒的な衝撃を受けて破砕された。

「グックッ……相手が神でも構わず刃向かうッてのは良い心がけだ。
 しかしナァ、オマエは刃向かう相手を間違えてるゼェ?」

>>199
獣の、と聞き違う程の咆哮が響く。
幻影を切り裂いたビャクが、オーズの攻撃に勝るとも劣らない速度で狂気の神に迫っていた。
ビャクは涙を溢れさせた鬼の貌で、無命剣を力任せに振り下ろす。
その一撃は狂気の神の胸に赤い筋を斜めに刻み、そのまま吹き飛ばして神殿の壁へと激突させた。

「ウケケッ……オマエは俺の贈り物を気に入ってクレたようだなァ……ゲホァッ」

狂気の神は口の端から血の糸を垂らしながらビャクに声を掛け、オーズへと視線を移す。
覚えたての手品を披露する子供の表情で。

「しかし……火野映司ィ、オマエは俺の問いにだァれも選ばなかったな?
 そうだなァ、オマエが選べないってンなら俺が選んでやらァ。
 どーれーにしーよーかな……神様の言う通りッてなァ!
 ヨォく見ておケェ、天の意思、神の意思を――――彼の血と肉を奪い、俺の血肉と為せッ!」

狂気の神が唱えたのは己の傷を他者に移す暗黒魔法、スティール・ライフ。
それが対象を何者かに定めて唱えられる。
直後、全ての夢想剣がナイトメアの体から抜け落ち、狂気の神の体からは拭ったように傷痕が消えていた。
オーズに破砕された両腕も、ビャクに付けられた胸の傷も。
スティール・ライフの呪文が効果を発揮して、狂気の神の傷を別の誰かに転移させたのだ。

「敵に与えた傷が、そっくりそのまま仲間に付いてるってのはどんな気分だ?エェ?
 ワザとオマエたちに付けさせてやった傷が、残らず仲間に付いてるってのはなァ!
 ホレホレ、後ろの奴だよ……ウ、シ、ロッ!クックッ、ヒャハハハハハーッ!」

狂気の神がビャクに、火野に、視線をやって口元を歪める。
彼らが振り返れば、背後では真紅の飛沫が盛大に散っていた。
大輪の薔薇が一時に花弁を散らせたのかと見粉う程に。

202 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/08/23(火) 19:17:44.30 0
「カハァッ……ゥッ……ケフッ……」

アヤソフィアの肉体には数十の夢想剣と無命剣、オーズの電撃鞭に装甲弾……その全ての傷痕が移されていた。
何十個もの林檎を一度に石畳へ叩きつけた時の音が鳴る。柔らかい物が崩れてしまう時の音が。
彼女のケープが魔法防御の力を発揮して、暗黒魔法の威力を半減させた所で、それに何の意味があろう。
普通の人間ならば優に四十回分に相当する致死の傷が、半分のニ十回程度に致死の量を減じた所で。
アヤソフィアの意識は抗う事が出来ない程の激痛に支配され、体を傾げて顔面から倒れてしまった。
バシャッと水音が立ち、たちまち周囲が真新しい真紅の広がりで塗りたくられる。
何も見えず何も聞こえない……何も感じない……アヤソフィアの意識が闇に沈む。

永遠に時間が止まったような感覚の中に――――。

>>198
テイルが張った攻撃反射の魔術壁は、ビャクを淡い緑光で包んでいた。
本来ならば、これは幻獣への対抗策として有効な行動とは言えない。
何故ならイリュージョナリー・ビーストとは、魔術師に全く効果を上げない魔術なのだ。
幻獣が幻覚である事を知っている魔術師に掛けた所で、即座に幻覚だと看破されるだけ。
さらに神と幻獣では力に差が有りすぎて、仮に幻術が効果を上げたとしても傷一つ負わせられないだろう。
それを承知しているソフィアは、テイルがミラージュ・シールドを唱える傍らで術式に細工を加えていた。
幻術が反射する瞬間に“境界を作り出す力”と“境界を明確にする力”が発動する様に。
これらは、境界の神であるソフィアが己の眷属に与えていた力である。

『神の魂を器である肉体から分離させれば、その力も大きく減じよう。
 我が眷属よ、汝らに授けた力を一時返してもらうぞ……!
 仮初に過ぎぬ肉体と、宿主である邪神の魂を境界の力で断絶する!』

ソフィアの宣告に狂笑していた邪神の動きが止まった。
ミラージュ・シールドに乗せられた境界を作り出す力が、肉体と精神の境を斬り分ける。
狂気の神の魂が強引に肉体から引き擦り出され、巨人の姿にも似た赤く光る靄として溢れ出ていた。
慌てて器の肉体に戻ろうとする魂は明確になった境界に阻まれ、ナイトメアの皮膚から内へと踏み越えられない。

≪何ィッ!何をするッ!止めろッ!戻せェェッ!≫

狂気の神の精神が初めて狂気以外の感情で揺らぐ。
魂に直接攻撃されて散華させられてしまえば、神とて無事では済まない。
物質界への干渉は完全に断たれてしまうだろう。
思わぬ危機を乗り切る為には、早急に器となる新たなる肉体が必要だった。
しかし、ソフィアの結界が邪魔をして誰かに乗り移るのは難しい。
いや……神殿内には一人だけ意識と理性を用いての抵抗が出来ない者がいた。

≪退けェェェェッ!そいつの体を寄越せッ!≫

狂気の神が紅霧の如きオーラの腕を一閃させ、近接するビャクとオーズに破壊の衝撃波を放つ。
射程内の空間に見えざる衝撃を放つ神聖魔法、フォース・イクスプロ―ジョンを。
仮にも神が使う魔術。威力は地に墜ちた流星の爆風にも匹敵するだろう。
アヤソフィアの肉体に向かいながら、狂気の神はテイルに向かってサモン・インセクトの魔術を唱えた。
魔術で召喚された無数の食肉昆虫がテイルの肉を齧り尽くすべく、周囲の虚空から湧き出して襲いかかる。
その隙に魂だけとなった狂気の神はアヤソフィアへと近づく。
立ちはだかる者たちに攻撃を加えて、狂気の神の魂は今にもアヤソフィアの肉体に入りこもうとしていた。

203 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/08/27(土) 02:04:15.96 0
>201
>「カハァッ……ゥッ……ケフッ……」
「アヤさんッ!?」
アヤさんが、糸が切れた操り人形のように倒れた。狂気の神に己のダメージを全て移されたのだ。
「まさか、最初からこのつもりで……!? どれだけ弄べば気がすむんだ!
……アヤさん、必ず助けるからね……!」

>『神の魂を器である肉体から分離させれば、その力も大きく減じよう。
 我が眷属よ、汝らに授けた力を一時返してもらうぞ……!
 仮初に過ぎぬ肉体と、宿主である邪神の魂を境界の力で断絶する!』
>≪何ィッ!何をするッ!止めろッ!戻せェェッ!≫

ソフィアの力によって、狂気の神は仮初の肉体から分離した。又とない好機だ!
が、無数の食肉昆虫がくらいついて足止めする。
「やめてマジやめて!」
このままではライトファンタジーにあるまじきビジュアルになってしまう!
「テイル、これを!」
ソフィアがテュポーンを投げてよこした。
ガイアとタルタロスが融和の証に作り出した、嵐の力持つ聖なる魔剣。
神殺しの暴風剣が巻き起こす、桁外れの暴風圏!
そう、この剣なら、魂だけの神も屠る事ができる。
「スサノオ、いるんでしょ……? いたら力を貸して!!」
3,5頭身のままではこの剣を持てないので戦闘形態に変化したボクは
虫を追い払うための最大出力の暴風に足を取られそうになりながらも、狂気の神に近づいていく。
「世界は、お前の玩具じゃない……!」
今まさにアヤさんに入り込もうとする狂気の神に向かって、あやまたず剣の切っ先を向け、渾身の突きを放つ。
「水、溢れるこの星を、返せ――――ッ!!」
届け――!!

204 :名無しになりきれ:2011/08/27(土) 02:24:39.74 0
「え?」
狂気の神はきょとんとした。
「水なんか盗ってないよオレ」

205 :名無しになりきれ:2011/08/28(日) 01:12:56.52 Q
「オレは物事を決められた循環に縛る力を掻き回しただけだし。
水がどっか行っちまったとしたら、
それは他所に溜めてる奴がいるんしょ」


206 :狂気の神@NPC ◆666/MyrH6U :2011/08/30(火) 02:07:14.65 0
>>203-205
神剣タルタロスから轟風が駆け抜け、魔虫の群れを吹き払う。
テイルは水溢れるこの星を返せと叫び、狂気の神に向けて峻烈なる刺突を放つ。
刹那、幾条もの雷光が剣から迸って渦巻く紅霧を突き刺す。
狂気の神は、テイルの言葉に困惑して動きを止めてしまっていた。
もはや、暴風を伴って荒れ狂う雷の爪から逃れる事はできない。
次々に生まれる烈風、疾風、狂風、颶風の群れが互いに激突し、神殿内を逆巻いて狂気の神の魂を削る。

≪カオスの勇者!俺の邪魔をするンじゃネェッ!≫

巨大なる真紅の魂は、少しずつ吹き散らされて濃度を薄めてゆく。
もう少しで人の器が手に入ると言うのに邪魔を受けて近づけない。
それどころか、神である自分が滅ぼされようとしている!矮小な人間や妖精達風情に!
怒気を膨れ上がらせた狂気の神は残った魔力を収束させ、己を滅ぼさんとする力の源の破壊を試みた。
狂気の神は魂そのものを鮮紅色のオーラの鞭とし、破壊の意思を乗せてテイルが持つ剣を何度も打つ。
その度に強大な魔力同士が衝突して、火山が爆発するかの如き轟音が鳴った。
やがて荒れ狂う魔力の旋風の中で、澄んだ高い金属音が響く。
それは神剣タルタロスが刀身の中ほどから折れ飛んだ音。

≪ハッ!どうだ!神の力ってヤツはよォッ!≫

狂気の神が勝利を確信した瞬間、剣から狂気の神の妖気を霞ませる程の膨大なエネルギーが噴き出した。
二つに折れた剣のそれぞれから、女神ガイアと死霊皇帝タルタロスの呪力である純白と漆黒の奔流が。
白と黒と赤……三種の色は混じり合って互いを相殺する。

≪なッ、俺の魂がアァぁッ……潰れるッ……消えるッ……ゥグガァァァァァァァァァァ――――……≫

太陽の如き白光が奔流となって駆け巡り、暗黒の波動も激流の如く縦横に奔り、狂気の真紅を内に呑み込む。
己に匹敵する二つの力に挟まれた狂気の神の魂は千々に砕け、億の、兆の……無数の粒子となって四散した。
狂える神の咆哮が途絶えると、朝日を浴びた夜霧の様に狂気の神の神殿からは急速に妖気が薄れてゆく。

【>>ALL 狂気の神の魂が四散】

207 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/08/30(火) 02:10:39.45 0
気付けば魔力の暴風は完全に収まり、神の居となっていた地下洞窟も静謐を取り戻す。
アヤソフィアは弱々しい呼気を漏らし、紅い水溜りの上に体を浮かべていた。
全身の裂傷で意識が残らず収奪され、もはや微動だにしない。
微かに灯る生命の火は吹き消される寸前で、死神に連れて行かれるのも時間の問題だろう。

目を神殿の奥に移せば、砕けたオブジェの残骸が散らばる。
そこには埋もれるようにして、狂気の神の器となっていたナイトメアの躯が横たわっていた。
しかし、死んでいたとしてもガイア世界には蘇生術が存在する。
蘇生が存在する法則の中で誕生した彼なら、その恩恵を被る事もまだ可能かもしれない。
虚霊化したインペトゥスに魂が存在していればだが……。

狂気を伝える為に造られた神殿は、その主を失っても不気味さを減じていなかった。
じっとしていると水脈の冷気が、這い寄るように肌に纏わり付く。
その重苦しい空気を竜の声が振るわせた。

『この神殿は、ガイアの中心核に狂気の力を流す用途で築かれたもの。
 残しておけば悪影響を与えこそすれ、良い影響を出す事はあるまい』

僅かに沈黙を挟み、ソフィアが言葉を続ける。

『跡形も無く破壊してしまうのが良かろう』

208 :オーズ ◆/m/3H6N1VU :2011/08/30(火) 19:18:35.42 0
>>202
>「敵に与えた傷が、そっくりそのまま仲間に付いてるってのはどんな気分だ?エェ?
 ワザとオマエたちに付けさせてやった傷が、残らず仲間に付いてるってのはなァ!
 ホレホレ、後ろの奴だよ……ウ、シ、ロッ!クックッ、ヒャハハハハハーッ!」

「なっ……そんな!!」

オーズの視線の先には、醜く顔を歪める神の姿が在った。
あれだけの攻撃を受けても平然としているその真意。
その理由が、アヤソフィヤの無惨な姿に記されていた。

>「カハァッ……ゥッ……ケフッ……」

「チッ……!!神ってヤツは他人に痛みを押し付けるのが仕事のようだな…」
アヤソフィヤを抱きかかえ、アンクは苛立つのを抑え切れず舌打ちをする。
自分本位なアンクとは思えない行動に、思わずアンク自身にも不思議な感情が浮かぶ。
アンクは、目の前でアヤソフィヤが攻撃された事に「怒り」を確かに感じたのだ。

「……おい、映司。そいつを、絶対に生かしておくんじゃないぞ。
絶対に、そいつを倒せ!!」

>≪カオスの勇者!俺の邪魔をするンじゃネェッ!≫

「もう、止めろ……もう、終わりにしろ!!…変身。」 『プテラ・トリケラ・ティラノ!!プッ♪・ト・ティラノザウルス♪〜』

ティルがアヤソフィヤに乗り移ろうと迫る神の魂へ向け、剣を振り翳す。
その攻撃に合わせるように、オーズの3枚のベルトを一斉にスキャンする。
3枚の紫色のメダルが輝くと同時に、オーズの姿が紫色のコンボへ変身する。
「ウォオオオオオオオ――!!デイヤァァァァ!!」
地面から出現した巨大な斧・メダガブリューの壮絶な破壊力を込めた一撃が、狂気の神目掛け放たれる!!

>≪なッ、俺の魂がアァぁッ……潰れるッ……消えるッ……ゥグガァァァァァァァァァァ――――……≫

オーズが地面に降り立つと同時に、狂気の神の魂が四散する。
神殿の中に立ち込めていた邪悪な気配もそれと同じくして消え去っていく。

>『跡形も無く破壊してしまうのが良かろう』

巨大な竜、ソフィヤが神殿を破壊するように伝える。
しかし、オーズは変身を解除し、アヤソフィヤの元へ走る。
傷だらけのアヤソフィヤの手を握り、映司は何度も声をかける。
「まだ、まだ生きてる……!!大丈夫ですから、絶対死なせませんから……」
映司の目に、再び紫の色が宿る。
映司の右腕が異形の物に変化し、アヤソフィヤの傷を吸収していく。
その最中、アンクは狂気の神の亡骸の中から赤いコアメダルを拾い上げそっと懐へしまい込んでいた。

「ヤツのコアは無に帰す力があるからな。……あの女の背負った傷も、無にするかもな。
だが、あいつはただじゃ済まない。」


209 :名無しになりきれ:2011/08/31(水) 00:17:57.55 0
>>207

「・・・コールゴッドの代償は・・・破滅」
神殿の奥、横たわるナイトメアの傍らに、
いつのまにか紫色の翼と長い髪を持つ少女が立っていた。
「だから・・・」
少女が翼を広げると、背後に紫色の電光が爆ぜ、長い髪が揺れる。
「・・・お疲れさまでした」
囁くと、電光は一筋の炎となってナイトメアの骸を撃ち抜き燃え上がらせ、
見守る少女が流す涙が頬を伝って地に落ちるより早く
キャラシー一枚分の灰に変えた。

「・・・どうぞ」
跡形も無く破壊すると言ったソフィアに向かい声を振り絞ると、
少女の姿はその場からかき消えた。

210 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/08/31(水) 01:43:52.62 0
>>202>>209>>207
怒りにより狂気を掻き消した一人の青年は逃すつもりは無いと剣を握り
徹底的に切り刻もうとした。しかし、その余裕の表情の回答が
アヤソフィアに入れ替えると言う形で帰ってくる。

>「敵に与えた傷が、そっくりそのまま仲間に付いてるってのはどんな気分だ?エェ?
 ワザとオマエたちに付けさせてやった傷が、残らず仲間に付いてるってのはなァ!

だがもはや彼女の事など眼中に無く、奴を殺す事にしか意思を回す事が出来なかった。
しかし奴もまたアヤソフィアの計略により肉体は分離させられ弱点を露呈させる事となった
狂気の神は尋常ではない焦りようで彼女の肉体を求め、そしてこちらには凄まじい威力の風の流れが
詠めており、向かってくることが分かる。
>≪退けェェェェッ!そいつの体を寄越せッ!≫

『全てには創造から開拓に始まり終焉ならば灰燼に終わる
 死と生は同一なりゆえに相克する
 死は生を求め生は死を求める
 無限と虚無に囚われる者よ求める物はと問えば
 解答せし言葉それは―――』

肌が赤く染まり、髪は白髪に変わると同時に今まで以上に怒りに打ち震えている超人刻印(ツァラトゥストラコード)を
解放した一人の超人。そしてその差し迫るその衝撃を絡め取り吸収、無命剣フツノミタマの刀身に纏わり付く
その時テイルとプトティラオーズの活躍により更に命のぶつかり合いが激化する中に、その刀身に衝撃波だけではなく
己の全霊を賭けた万物を薙ぎ払う光<メギドラオン>を合わせた光りの刃が巻き起こり、最後の一撃を加えるべく全力で疾走する。
眼が焼き付くほどの光が己の思いと宙を飛び全てを賭けて狂気の神に振り下ろされる。

「光の中で朽ち果てろ!!失せろォ未来永劫になぁぁぁ!!!」

完全に着地した後、三者の攻撃を受けた狂気の神は四散し消え去った。
その後、自然と頭を冷えていき冷静さを取り戻しながら元の姿に戻る。
そうなってからアヤソフィアの様子はもちろん気になるが、
今更世界守護者委員会の医療施設に駆け込んでも絶対に間に合わない。
ここでテイルに再び治療を依頼しようかと考えたが
火野が何らかの処置を施しているため、今はあえて任せることとする。
ただ、この様子を見て何処か危なげな物を感じながら。

>『この神殿は、ガイアの中心核に狂気の力を流す用途で築かれたもの。
 残しておけば悪影響を与えこそすれ、良い影響を出す事はあるまい』
 『跡形も無く破壊してしまうのが良かろう』

その意見には賛成だが、アヤソフィアも瀕死の重傷を負っている事も含め
後先考えずに今から破壊を始めれば自分達が脱出できないだろう。

「…待て、その意見には賛成だが今は不味い。
重症者が居るのもあるが、このまま破壊すれば我々が生き埋めになる可能性がある
外に出て十分な距離を取ってから行うべきだ」


211 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/09/01(木) 20:29:40.85 0
>>208-210
アヤソフィアの裂けた肌が、砕けた骨が、流れた血が、時を巻き戻したかのように復元する。
物理的に傷を癒着させているのでは無い。
火野が傷を受けたと言う事象を無に帰す事で、傷そのものを消しているのだ。
無に帰す以上、狂気の神のスティール・ライフのように傷が火野に転移する事も無いだろう。
しかし、その危険性をソフィアは警告する。

『その力……無に帰す力の行使は、汝の在り方そのものに反動を与えるだろう。
 具体的には、使えば使うほどに無に属する者としての性質を強めてゆく事になる。
 そして無の完全体とは完全なる無。全てを無に呑み込み、己をも無に帰すもの。
 濫りに使うなとは言わぬが、我らはガイアを無に帰すわけにいかぬ。
 制御できずに暴走するようならば、手を打たねばなるまいぞ』

ソフィアは危惧するものの、無の力は確実にアヤソフィアを生の世界へと連れ戻していた。
瀕死の者が見せる呼気も、次第にしっかりとしたものへと変わり、胸も緩く上下している。
火野に依る傷の消去が終わりかけた頃、ビャクは神殿の外へ出るよう促す。
神殿の破壊を外部から行う意図からである。
まだアヤソフィアの意識は戻っていないが、外へ連れてゆく分には何も問題は無いだろう。

神殿の奥の闇には少女の影。
彼女は紫の雷でナイトメアの躯を撃ち、一握りの灰へと変える。
振り絞った彼女の細い声が神殿に残る者の耳に届いた時、すでにその姿は神殿から消えていた。

【>>ALL 全身の傷が消え、気絶状態】

212 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/09/01(木) 20:46:51.02 0
【世界守護者委員会≪ガーディアン≫本部】

銀髪の女が荘厳な大聖堂の中を闊歩し、祭壇に安置された聖櫃に向かう。
どれだけの死闘が繰り広げられたのか、床にも通路にも大勢の守護者達が横たわっている。
竜の如き甲冑を纏う騎士、蛮族風の戦士、黒衣の魔術師、全身刺青の精霊使い……その他諸々が打ち倒されていた。
襲撃者の名はレヴィア=メルビレイ……現世の破壊者たらんとする悪魔レヴィアタン。
彼女は予め内部構造を知っていたかのように、この堅牢複雑な建造物の中枢へと迅速に至っていた。
そのため、無数の守護者たちとの戦闘も最少回数で済ませ、未だ大規模な儀礼呪法を行えるだけの余力も残している。

「パンドラの封印は解かせてもらうわぁ。
 今までアナタたちが倒して、封じてきた厄災をね。
 三ヶ月の魔王狩りで集めた程度じゃ、とても終末なんか起こせないんですもの」 

レヴィアが聖堂の中心に近づこうとすると、聖堂の床に描かれた文様が光を発し、光の壁が垂直に伸びる。
真紅、紫電、翡翠、黄金、白銀、様々に光り輝く魔力の壁がレヴィアの行く手に出現して歩みを止めた。
並の術者では作り出せない強力な魔法結界が、円筒形に展開して招かれざる侵入者を阻む。


「……封印結界ね。少なく見積もって六つ。
 でも、この程度……今の私に壊せないと思って?
 ルシファー、アスモデウス、ベルフェゴール、ベルゼブブ、サタン、マンモン……現れなさい!」

レヴィアが、巣とも繭とも見える歪な漆黒の球体を高々と掲げる。
幾多の異界の魔王を倒し、集めた力を天象儀の形と為した複合シャードを。
魔王の塊たるプラネタリウムから負の力が放射されると、レヴィアの周囲に陽炎が揺らめき、黒蛇の群れとして空間に投影された。
名こそ違えど、それぞれが現在の世界を否定する強烈な意思の具現。
レヴィアが高々と上げた腕を聖櫃に向けるや、蛇の群れは六本の槍と化して放たれた。
六条の雷が一時に落ちたような音。槍を突き刺された結界が拒否の絶叫を上げる。
しかし魔王の力を秘めた槍を拒み続ける事はできない。
砕け、弾け、爆ぜ、聖櫃を守る全ての結界は消え失せた。
祭壇に近づいたレヴィアは、災厄なるモノ達を封じる聖櫃に指を掛け――――蓋を開ける。

「魔よ、負よ、罪よ、否定の力、呪うものたちよ、汝らの力を解放する時は来た!
 私の名はレヴィアタン。全ての幻想を埋葬し、唯一なる世界にて唯一の神となる者!」

聖櫃の蓋が重々しく軋む音を立てて開かれると、戦慄すべき情景が現出した。
瘴気と怨嗟、苦痛と怨念……溢れ出た破滅の力が暗黒の津波と化して聖堂内部を包み込む。
湧き出る闇の中に閉じ込められたレヴィアは、精神を集中して手にする球体に災厄なる力を閉じ込めんとする。

――――。

破壊の意思は破壊の意思に引き寄せられ、渦巻く災厄の力が徐々に存在を一箇所に限定されてゆく。
魔王、邪神、破壊神、悪神、ありとあらゆる終焉を齎す者達を閉じ込めた天象儀の中へ。
目的を果たしたレヴィアは脂汗で額に張り付く髪を掻き上げ、最後の仕上げに次元律交錯塔へと向かう。

「アレにはデミウルゴスも探してもらわないといけないし、こんな所に戻って来られちゃ困るのよ。
 そのままガイアに留まってもらう為に、この門は破壊させてもらうわぁ。
 ちょっとした時間稼ぎにしかならないでしょうけど、ね」

他界へと繋がる門を無限に擁する尖塔型の建造物。
これを破壊呪法で爆破するべく、レヴィアは暗青色に発光する魔力の球体を生みだす。
水のソフィアの肉を喰らい、血と脳漿を啜り、腸(はらわた)を食んで、心臓を口にする事で得た力にて。
幾つも、幾つも、魚類の産卵の如く幾億も生まれた魔力塊が、レヴィアの意思を受けて散ってゆく。
程なく何百もの階層の床や階段、扉や柱や壁に、ビル解体のダイナマイトの如く瘴気の魔力塊が設置された。

「さぁ、グチャっと崩れなさぁい!」

破壊命令を受けた瞬間、夥しい数の魔力塊は全てが同時に炸裂して万物を腐食させる瘴気を放つ。
溢れ出る膨大な瘴気を受けては、魔力で保護された巨大な塔も波に攫われる砂細工の城。
無情なる破壊者がガイアへと向かうと同時に、次元律交錯塔は瓦礫に姿を変えながら亜空間へと沈んで行った。

213 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/09/04(日) 02:08:36.79 0
>204-206
>208
ラッキーな事に狂気の神はきょとんとして言い訳を始めた。
ついに自らの狂気に呑まれたか……!
戦いの最中に困惑して動きを止めるなど愚の骨頂!

>≪ハッ!どうだ!神の力ってヤツはよォッ!≫
狂気の神の力の前に、ついにテュポーンが折れる。
「勝負は……ここからだッ!」
折れた剣から純白と漆黒の奔流が迸る。
「狂気の神、お前の負けだああああああああああああっ!!」
>「ウォオオオオオオオ――!!デイヤァァァァ!!」
>「光の中で朽ち果てろ!!失せろォ未来永劫になぁぁぁ!!!」
>≪なッ、俺の魂がアァぁッ……潰れるッ……消えるッ……ゥグガァァァァァァァァァァ――――……≫
3人の攻撃を受け、狂気の神が消えていく。

「勝った……」
神殺しの魔剣は、神と相打ちになってその役目を果たした。
間違いなく、テュポーンはこのために存在した。
でもそれは、強力な切り札を失ってしまった事でもある。

>207
>『この神殿は、ガイアの中心核に狂気の力を流す用途で築かれたもの。
 残しておけば悪影響を与えこそすれ、良い影響を出す事はあるまい』
>『跡形も無く破壊してしまうのが良かろう』
「……うん」
そうだ、あの剣が自ら折れた、という事はきっとこれで終わりなのだ。
ガイアを狂わせていたこの神殿を壊せばきっと世界は平和になるはずだ。

感慨にひたりかけて、はっと気づく。
「アヤさん、インペたん!」
回復魔法をかけて間に合うだろうか。やるっきゃない!!
>「まだ、まだ生きてる……!!大丈夫ですから、絶対死なせませんから……」
ボクが動くより早く、ヒノさんがメダルでアヤさんの傷を吸収しはじめた。
>「ヤツのコアは無に帰す力があるからな。……あの女の背負った傷も、無にするかもな。
だが、あいつはただじゃ済まない。」
「どういうこと……?」

>209
こういう事だった。でもインペたんの魂は別の場所に救出されていたはずだ。
「泣かないで……。
そうだ、今度ロランドさんに頼んで新しい体を作ってもらおう!」
でもロランドさんって常に敵同士だった気がするけど作ってもらえるかな?
大丈夫、世界が平和になったら、きっと。

>211
「アヤさん……良かった!」
アヤさんは、ヒノさんの力によって驚異的な回復を見せた。
それを見ていたソフィアが無の力の危険性を警告する。
「全てを無に呑みこみ、己をも無に帰すもの……」
何かが引っかかる。別にヒノさんの暴走が心配ってわけじゃない。彼はきっと大丈夫だ。
引っかかるのは、何か忘れてないか、本当にこれで終わりなのか? という事。

「行こう、ソフィア!」
不安を振り払うように、皆にソフィアに乗っての脱出を呼びかけた。

214 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/09/04(日) 19:31:09.58 0
【ガイア・大峡谷】

温かな曙光が荒涼とした大地を柔らかく照らす。
空は青、血の如き雲の塊が漂う山の一角を除いて。
大峡谷では大地から赤い靄が染み出して、吸い込まれるように山の一角に集まっていた。
火山の噴煙では無い……先程まで狂気の神の神殿で、その妖気を浴びていた者ならば気付くだろう。
無限の彼方に散じようとしていた狂気の神の力が、再び一点に集まっているのだと。

「ガイアの核に流れ込んだ狂気の神の力は、私が処理してあげる。
 せっかく倒した所悪いけど、狂気の神の力も必要なのよ。
 狂気の神、デミウルゴス……いずれも今の世界を否定する強い意思ですものねえ」

メサの一つに立つ女が風に銀髪を靡かせ、深海の冷たさを含む声を風に乗せた。
彼女は白磁の肌に紫を基調とした制服を纏い、手には奇妙な黒い球体を持っている。
それは三ヶ月前にガイアから消え、今再びこの世界に舞い戻って来たレヴィア=メルビレイであった。
無限の粒子として散じる狂気の神の力は、レヴィアが持つ黒い球体の中へと吸い込まれてゆく。
その異変に気付いたようで、洞窟を出た虹色の竜がレヴィアの元に向かって来ていた。
竜の背に乗るのはビャクにアヤソフィア、火野にアンク、石化した“男”の像……そしてテイル。

「うふふ、こっちよ……。
 少し予定を狂わされたけど、探してた無の力を見つけられたのは大きいわぁ。
 だから、もう少しだけ妖精ちゃんへの報復は待ってあげる……」

やがて轟風を纏った竜は空を駆け、レヴィアを眼下に見下ろす位置で宙に留まった。
以前に失った右腕も戻っており、僅かに見える右手の甲からは色鮮やかな紋様が描かれている。

「お久しぶりねぇ、テイル。それにビャク=ミキストリ。
 お初にお目に掛かる方もいるようだし、改めて自己紹介させていただくわ。
 私はレヴィアタン……聖書に出てくる海の怪物リバイアサンと言った方が分かるかしら?
 今は、そちらの方と同様に憑依で人の姿を取っているけれど、ね」

アンクを一瞥すると、レヴィアはふっと唇を吊り上げて笑った。
そして右手に持った歪な球体を掲げるように前に突き出して、視線をテイルに移す。

「マザル・トーヴ……新世界の創造主に惜しみない祝福を。世界を巡る戦いは私の完敗。
 でも私、新しい世界を創る意思はまだ捨ててないのよ。
 だから私と同じように、今の世界に満足して無いモノたちを集めてるの。
 邪神や魔王に破壊神……アナタたちが首尾よく倒した狂気の神も、そうね。
 この複合シャードが彼らの成れの果て。
 でも、行方不明のデミウルゴスだけが見つからなくて困ってるの。
 彼の強固な破壊の意思が合わされば、この複合シャードも全次元を収束するだけの力を得るのに」

レヴィアが言葉を切って、視線を一人一人に巡らせる。
精神の高揚の為か、瞳孔は大きく見開かれ、獲物を射すくめる蛇を思わせた。

「私が此処に来たのは、新たなる世界の造物主に敬意を表して、宣戦を布告させてもらうためよ。
 私はデミウルゴスを見つけて、その力を取り込み、全ての次元を収束させるビッグクランチを起こす。
 うふふっ、今度こそ……私が勝つわ」

【>>テイル 宣戦の布告と目的の開示】

215 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/09/05(月) 19:39:12.27 0
ビャク、ティル、オーズの同時攻撃により狂気の神は魂もろとも四散し消滅した。
神の術により重症を負ったアヤソフィヤも、映司の体内に在る「紫のコアメダル」
の持つ「無に帰す」力によりその危機を免れたのだった――

>>211
「よかった……何とか、これで。」
立ち上がろうとする映司の視界が、モノクロに歪む。
すぐに正常さを取り戻すが、喉に残るざらつきのような違和感が
その身を揺らす。


『その力……無に帰す力の行使は、汝の在り方そのものに反動を与えるだろう。
 具体的には、使えば使うほどに無に属する者としての性質を強めてゆく事になる。
 そして無の完全体とは完全なる無。全てを無に呑み込み、己をも無に帰すもの。
 濫りに使うなとは言わぬが、我らはガイアを無に帰すわけにいかぬ。
 制御できずに暴走するようならば、手を打たねばなるまいぞ』

映司の異変を察してか、ソフィヤが警告する。
その力の危険性、そして映司自身が敵になる時がくるかもしれないと。
つまりは暴走。先程はそれを免れたとはいえ、まだ危険性が消えたわけではないのだ。
アンクはソフィヤに同調するように、映司の襟元を捕まえ睨みをきかす。

「今回は運がよかっただけだ……いいか、今度からは俺の許可なしにあのメダルを
使うな。お前がどうなっても知った事じゃないが、オーズの力はまだ必要だからなぁ……!!」

映司はただ、アンクの手を見つめ苦笑するしかなかった。
それは自分さえ省みず戦う自虐故か。
やがて、虹色の竜の背中に乗り、ティル達は無事に洞窟を脱出する。

216 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/09/05(月) 19:53:27.32 0
>>213
>引っかかるのは、何か忘れてないか、本当にこれで終わりなのか? という事。

狂気の神を打ち倒しても尚、何か浮かない顔をするティルを察してか
アンクは周囲に渦巻く脅威の気配を感じ、警告する。

「チッ、どうやら、まだ終わりじゃないらしいな……。
それもさっきのヤツより上か――ハッ、この世界は化け物どもの吹き溜まりだなぁ。」

>「お久しぶりねぇ、テイル。それにビャク=ミキストリ。
 お初にお目に掛かる方もいるようだし、改めて自己紹介させていただくわ。
 私はレヴィアタン……聖書に出てくる海の怪物リバイアサンと言った方が分かるかしら?
 今は、そちらの方と同様に憑依で人の姿を取っているけれど、ね」

レヴィアと名乗る少女の異様な気配に、思わず映司とアンクは身構える。
ティルとビャクの名前を告げた以上、彼らとは過去に繋がりがあったという事だろうか。
アンクはレヴィアと睨み合いながら、舌打ちをする。

>「私が此処に来たのは、新たなる世界の造物主に敬意を表して、宣戦を布告させてもらうためよ。
 私はデミウルゴスを見つけて、その力を取り込み、全ての次元を収束させるビッグクランチを起こす。
 うふふっ、今度こそ……私が勝つわ」

レヴィアの目的、それは全ての世界を脅かす事なのだろう。
映司は痛む体を押して、レヴィアへ言葉を返す。

「世界を壊すつもりなら――俺は絶対にそんな事はさせない。
1人1人に、物語があって、そして明日があるんだ。
俺は――戦う。明日を守る為に。」





217 :ビャク=ミキストリ ◆hfVPYZmGRI :2011/09/06(火) 02:25:33.05 0
>>211
火野映司の行使した力は瞬く間にアヤソフィアの肉体の傷を消し命を完全に繋ぎとめた。
しかし、ソフィアの警告と彼の様子を見ながらある考えが浮かぶ
その言葉は今の自分に言えた事ではないだろうが。
(俺達がその制限となればいい…かどの口でほざけるのだか)
かつて彼らにした行いを考えれば言える立場ではない、故に苦笑しながらも
自身の胸に仕舞いながら虹色の竜ソフィアの背中に乗るが、どうも胸騒ぎがしていた。

>>214>>218
洞窟から抜け出る事に成功してからも胸騒ぎが収まらない。
テイルも似たような考えなのか、元気一杯の姿ではなく大人しくしている。
先ほどから思念通信を通しても連絡が付かず返答も帰ってこない
そして与えられた秘匿指令がやはり当たっていた―そう感じずには居られず
眠っているアヤソフィアを見つめる―がかつて対峙した歪な存在の力が
こちらに迫ってくるのが、空気の流れから分かるもはや頭は最悪の事態が起きているとはっきりと認識する。
そして同時に―此処ではないどこかで彼女が存在している事も

>「お久しぶりねぇ、テイル。それにビャク=ミキストリ。
 お初にお目に掛かる方もいるようだし、改めて自己紹介させていただくわ。
 私はレヴィアタン……聖書に出てくる海の怪物リバイアサンと言った方が分かるかしら?
 今は、そちらの方と同様に憑依で人の姿を取っているけれど、ね」

「やはり貴様か生きていると思っていたがまさか後手に回るとはな…
かなり強力になっているな―貴様、何を取り込んだ!?まさか…!」
あの激闘の後、狂気の神などとは比べ物にならぬであろう力を持つであろう
レヴィアタンを相手に連戦を繰り広げる事になるやもしれない
しかし、彼女から感じる最悪の存在達の気配を感じたこと、そして寝た子を起こすような真似をした
奴に再び怒りに駆られ、封印武器無命剣フツノミタマを召喚する。

> だから私と同じように、今の世界に満足して無いモノたちを集めてるの。
 邪神や魔王に破壊神……アナタたちが首尾よく倒した狂気の神も、そうね。

恐らくもう本部は壊滅状態で相手は想像以上の戦闘能力を持っている
幾ら傷が癒えているとはいえ、全員万全のコンディションとはいえない。
そしてテイルの所有していた魔剣も存在しない上に火野も力の行使ゆえに消耗を回復し切れていないようだ。

>「私が此処に来たのは、新たなる世界の造物主に敬意を表して、宣戦を布告させてもらうためよ。
 私はデミウルゴスを見つけて、その力を取り込み、全ての次元を収束させるビッグクランチを起こす。
 うふふっ、今度こそ……私が勝つわ」

「クソ…このままでは…不味い…」
どうやら自分にも時間が無い自分も意思が少しずつ薄れ始めている
そして同時に力が異常なくらい湧きあがってくる
天敵と判断される存在を取り込んだレヴィアタンに反応し
このまま永久闘争存在―ストッパー―になるのも時間の問題だろう。
だがそれでも自分の全力を込めてこの場から彼ら逃がすため精一杯気を引き締めた時、
仮面ライダーの称号を持つ男は身を試みず身体を押して俄然と立ち向かう意志を示す。

>「世界を壊すつもりなら――俺は絶対にそんな事はさせない。
1人1人に、物語があって、そして明日があるんだ。
俺は――戦う。明日を守る為に。」

そして己も自らの意識がある内に己を奮い立たせ、力を制御する
「…そうだな人には一人一人歩む道があるそれを断絶させる権利など誰にも無い
あと少しで俺は俺で無くなるだろう――だが今俺の自我がある内は!!
世界を巡るうちに出会った、大切な人達の笑顔とその優しさの輪を守るために
戦おう!今持てる己の全てを賭けて!!!」
その時、此処ではない遥か遠い遠い場所からイリューシャの笑い声がしたような
気がした。


218 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/09/07(水) 03:52:05.42 0
>>216
「化け物どもの吹き溜まり……そうね、この世界は化け物溢れる蠱毒の皿よ。
 私はそれを一掃しようって言うんだけど、聞く気はあるかしら?」

レヴィアは最初に言葉を発したアンクに応え、続いて火野に眼を向けた。
そして彼の受けた印象が、まるで大きな誤解であると言わんばかりに柔らかい笑みを浮かべる。

「くすくす……アナタは勘違いしてるわ。
 私がするのは破壊じゃなくて、今の不完全な世界を新しい世界に創り変えることよ?
 万物が根源に干渉しうる世界だから、揺らぐ世界に何度も何度も崩壊の危機が訪れるの。
 私はそんな世界を一度混沌に戻して、今度は決して揺らがないように再構成する。
 如何なる奇跡も魔法も介在しえない確固とした世界に。
 再構成より、世界の再生って言った方が聞こえが良いかしらぁ?
 そこの妖精ちゃんが、以前やったのと同じように……ね」

最後の一言は、苛立ちを抑える様な棘の籠った声音。
激する気持ちを落ち着かせるように長い息を吐くと、レヴィアは言葉を続けた。

「もちろん、世界を収束させるなんて現象を起こせば私まで押し潰されちゃって、世界は混沌の卵のまま。
 だから……それを防ぐ為にアナタの無を操れる力が必要なの。
 これから訪れるビッグ・クランチで滅びない、唯一つの世界を完成させる為にね。
 無を卵の殻の様に張り巡らせた世界を創れば、収束する無限の有にも中身が押し潰されないでしょ?
 そして其処から完璧なる世界が広がってゆくのよ」

レヴィアは言葉を切り、自らの話し相手を乗せる長大な竜神の体躯を眺めた。
ソフィアの分身を喰らった事で、その魔力はレヴィアの中に溶け込んでいる。
それを竜神に感知されても不思議ではないが、知られた所で今さら恐れる事も無いだろう……。

「神の実在は人間を劣化させるから、新しい世界にそこの竜みたいなのは神として存在させない。
 アナタも神にはしてあげられないけど、望めば新世界での王くらいにはしてあげても良いわ。
 ねぇ……火野映司、新世界の創造に協力して下さらない?」

睨みつけていた竜から舐め上げる様に視線を上げたレヴィアが、上目遣いに火野を見つめて言う。

「まぁ、すぐに答えを出す必要は無いわ。
 次に会う時までに、じっくり考えておいてね……うふふっ。
 それと友好の証に贈り物をさせてちょうだい。
 これ、セルメダルって言うのかしら?
 私には使い道が無いけれど、アナタなら少しは有効に使えるでしょう?」

レヴィアが足元に置いていた小袋を拾って投げ放つ。
中に大量のメダルを詰める飾り気の無い麻袋は、緩やかな軌跡を描くと、じゃらっという音を立てて火野の足元に落ちた。

219 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/09/07(水) 04:10:02.71 0
>>217
ビャクは闘気を膨らませ、今にも攻撃を仕掛けようとしていた。
眉を跳ね上げたレヴィアは声を細め、諭すような口調でビャクに呼びかける。
デミウルゴスを独力で発見できない以上、他にデミウルゴスを良く知る者の力も用いねばならない。
今、彼らと戦うわけにはいかないのだ……。

「早まっちゃダメよぉ?ビャク=ミキストリ。まだ開戦には早いわ。
 私は自分まで滅ぼすつもりは無いから、無を操れる力も得なければ次元収束を起こすつもりは無いのよ。
 デミウルゴスって最後のピースも、まだ埋まっていないし……。
 そうね……信頼できない者同士だから、互いに契約の枷を架け合うとしましょう」

この張り詰める空気の中、レヴィアは甲を上にした左手を突き出し、朗々と歌うように詠唱する。
カオスの勇者達が恙なくデミウルゴスを捜索できるよう、レヴィアは自らに枷を嵌める事でビャクにも枷を架ける事にしたのだ。

「“J.H.V.Hの名に於いて誓う。
 ビャク=ミキストリの同意が無ければ、レヴィアタンは災厄の王達の力を一切使わない。
 この契約はビャク=ミキストリが、レヴィアタンに初撃を入れるまで有効とする”」

レヴィアの宣言と共にビャクの左手の甲には、◇と□、二つの正方形を組み合わせて作られた星の紋様が浮かび上がった。
魔術の世界に於いて、四角とは絶対性や真実を象徴する図形。
魔術契約で二つの正方形が組み合わさった魔法印を用いる事は、二者の間で絶対の誓約が交わされた事を意味する。

「……これで私はアナタが同意するか、私に攻撃するかしない限り、この負の力を秘めた天象儀の力を絶対に行使できない。
 悪魔にとって自らの上位者の名を出しての契約は絶対だもの。例え異世界にいようとね。
 書面は無くすといけないから、契約の証は肌に刻ませてもらったわ。
 どうしても消したかったら“レヴィアタンがパンドラの力を使う事を承認する”とでも言ってちょうだい。
 高価な化粧品が染みを消すよりも綺麗に消えるわ」

レヴィアがビャクに左手の甲を向けると、その手にも冷涼な青い線で魔法印が刻まれていた。
色と形もビャクの甲に浮いたものと全くの同形。契約の印は間違いなくレヴィア自身をも縛っている。

「この契約に永久闘争存在化を抑えて、自我を保たせる効果があるといいけれど……。
 理性を失ってちゃ、探し物をするにも何かと不便でしょう?
 そうそう、アナタが私に一撃入れても互いの契約印は消えるわよぉ。
 でも一撃で殺せなかったら、私はまた自由に魔王やら邪神やらの力を使えるようになってしまう。
 それよりは……私を逃がさず、確実に仕留められる状況を作り上げてから戦った方が得策なんじゃなぁい?
 ガイアの何処かに潜んでるデミウルゴスのシャードを賭けて、ね」

挑むような、窺うような、射竦める視線のままレヴィアは薄く笑う。

220 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/09/08(木) 00:12:44.38 0
>214-218
ソフィアに乗って地上に脱出する。そこで信じられないものを目にした。
雲散霧消したはずの狂気の神の力が再び一か所に集まっていく!
「レヴィアたん……何をしている!?」

―― 第20章開始 ――

彼女は全次元を収束させる複合シャードを作るために、デミウルゴスのシャードを探していると言う。

デミウルゴス――世界樹に寄生し、歴史を裏から操り神々を争わせ、虎視眈々と世界の破滅を目論む最恐の邪神。
3か月前の世界改変によってその野望は潰えた。
これがデミウルゴスに関する直近の認識だ。

実はデミウルゴスと名乗る敵とはかつて2回戦い、いずれも勝利をおさめている。
その2種のデミウルゴスは、違うけど同じ存在。
デミウルゴスは、姿を変え設定を変え、あらゆる世界や時代に現れる存在なのだ。

>「私が此処に来たのは、新たなる世界の造物主に敬意を表して、宣戦を布告させてもらうためよ。
 私はデミウルゴスを見つけて、その力を取り込み、全ての次元を収束させるビッグクランチを起こす。
 うふふっ、今度こそ……私が勝つわ」

>「世界を壊すつもりなら――俺は絶対にそんな事はさせない。
1人1人に、物語があって、そして明日があるんだ。
俺は――戦う。明日を守る為に。」
その言葉を聞いたレヴィアたん、否、レヴィアタンは、ヒノさんを言葉巧みに勧誘し始めた。
そして、メダルのたくさん入った袋を渡してくる。
「駄目だよ、罠に決まってる……! 完全な世界なんて存在すると思う?」

>219
ビャクさんとの間で契約の枷をかけるレヴィアタン。
デミウルゴスのシャード争奪戦を持ちかけてきた。
「確かにキミの言うとおりだ、今戦うのは得策ではない。
デミウルゴス争奪戦……負けないよ!」

何の勝算もなく乗ったわけではない。
袋から取り出だして仲間達に見せるのは、不思議な模様が刻まれた小さな板。
地球人によると、集積回路というものに似ているらしい。
最初のデミウルゴス戦で手に入れた、ミルゴのシャード。
あの時のデミウルゴスは機械神で、デウスとミルゴの合体によって爆誕した。
そして、ミルゴは世界を守ろうとする良心回路だった。
「デミウルゴス自身の一欠片だ。きっとこれが導いてくれる……」

221 :レヴィア ◆666/MyrH6U :2011/09/08(木) 19:00:34.51 0
>>220
すでにレヴィアの心に蒔かれた憎悪の種は、どす黒い大輪の花々を咲かせている。
子供の様に高い妖精の声が耳に入ると、薄く微笑んだつもりのレヴィアは凄惨に口を吊り上げていた。
そして、自らが掌中にしかけた創造の権利を掠め取った者を睨みつける。テイルを。
テイル……テイル……テイルッ……テェイルゥゥッ!!
(完全な世界なんて存在すると思うか、ですって?完全な世界は存在するわ……私の創る世界が!)

「妖精ちゃん、私は疑ってるのよぉ。
 アナタがわざと今の世界を不完全に創ったんじゃないかってねぇ。
 事件が起き続けて物語として綴られ続けるよう、狂気の神もデミウルゴスも私も意図して消さずに残した。
 この世界を物語と誤認するアナタなら、あり得ない事じゃないわ。
 ねぇ……この物語の語り手さん?」

揶揄するような響きでレヴィアが言った。
以前戦った際、テイルがこの物語の語り手と名乗った事を言っているのだ。

「でもね、私は絶対に崩壊しない世界を創り上げる。
 その要因を一つも存在させないもの。
 今の世界で神や悪魔とされているものは、人として再創造するわ。
 まぁ、せいぜいアナタたちも頑張って頂戴……デミウルゴスに返り討ちされないように」

レヴィアが平らなメサの頂上に陣取っていたのは、予め魔法陣を描くためだったのだろう。
赤茶けた台地の岩盤には血の紅さを持ち、複雑な記号を内部に収める円形の文様が輝いていた。

「lslvx(送れ)」

短く呪文の韻を紡いだレヴィアが陽炎の様に姿を歪め、その姿を大峡谷から消す。
残った魔法陣を利用する事は、もはや出来ないだろう。
ポツリ、ポツリと天から降り始めた水滴が複雑な紋様を微かに滲ませてしまったから。

【>>ALL 何処かに空間転移】

222 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/09/08(木) 20:53:58.30 0
冷たい滴を頬に受けて、アヤソフィアが重く閉じていた瞼を開く。
意識は朦朧として、麻酔を残した覚醒の様に、はっきりとしない。
私はガイアに来て……街で火野に会って……竜を見て……大峡谷の……洞窟で……狂気の神に……。
その単語が鍵になったのか、アヤソフィアの脳内を濁流の様に記憶が流れ、今までの事を急速に思い出す。

「狂気の神は!?」

竜の背の上で半身を起こしたアヤソフィアが周囲を眺める。
ビャク、火野、アンク、テイル……誰も欠けていないようだ。
自分の姿を眺めると、意識を失う直前に激痛を感じたのに、今は治癒魔術で治されたのか一筋の傷も無かった。
どのくらい意識を失っていたのかも、狂気の神との勝敗の行方も分からない。
しかし、意識を失っていた自分が足手纏いになったのは確実だろう……。
自分の無力さにアヤソフィアは唇を噛んだ。

>>220
テイルは集積回路を取り出して、それが何であるかを説明をしている所だった。
アヤソフィアは、テイルの口からデミウルゴスとの言葉が出たのを聞き咎める。

「デミウルゴスの……欠片?
 済みません……いったい、あれから何が起きたのでしょうか?」

【>>ALL 覚醒して現在の状況を訊ねる】

223 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/09/08(木) 22:57:46.49 0
>>218
レヴィアは映司の言葉に反応し、その勘違いを糾すように告げる。
彼女の考える世界の再編、不安定な世界を安定した世界へと再構成する。
しかし、そこに待っているものが本当に平和と呼べるのか。
思わず言葉に詰まる映司。彼の脳裏に浮かぶのは、紛争地域で見た凄惨な現実。
争い合う人々、そしてこの世界でも見た狼にされた少年の悲しみ。

「……世界の、安定?でも……!!」
反論しようとした瞬間、レヴィアが小袋を足元へ投げ放つ。
その音を、映司とアンクは聞き覚えていた。
メダルの怪物、グリードを構成する肉体の役目を持つメダル。
銀色のセルメダルと呼ばれるそれを。

「ほぉ……セルメダルか。こいつは遠慮なく頂いておいてやるか。」

アンクは悠々と語るレヴィアの姿を舐め回すように睨むと、意外な言葉を続ける。

「確かに、お前の言う事にも一理あるかもな。どの世界の連中も結局は、自分の事だけで精一杯だ。
綺麗事や御託を並べ立てて悦に入ってるが、所詮人間も化け物も同じ。
欲望にまみれた怪物に過ぎないってなぁ。
……おい、映司。こいつに手を貸してみたらどうだ?」

アンクの非情な言葉に、思わず映司の目に怒りの灯が宿る。
アンクの手からセルメダルを掴み上げ、それを地面へと投げつけた。

「アンク……お前、それ本気で言ってるのか?お前……!!」

そんな2人の喧騒にも動じる事もなく、レヴィアは何らかの術でその場から
姿を消す。
アンクは守銭奴の如く、映司の投げ捨てた袋を掴み上げその赤い異形の腕へと
呑み込ませていく。

「あぁ、本気だ。冗談なんて言う顔に見えるか?」



224 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/09/08(木) 23:06:24.45 0
>>222
>「狂気の神は!?」

映司がアンクに掴みかかろうとしたその時、アヤソフィヤが目を覚まし
周囲の異変に疑問を告げる。
映司はすぐに手を押さえ、アヤソフィヤの元へ駆ける。

「アヤさん……よかったぁ〜!!無事だったんですね!!
狂気の神は、ティルさんとビャクさんのお陰で倒せました。もう大丈夫ですよ!
おい、アンク!!お前も少しは声をかけてあげろよ!」

アンクはそっぽを向いたまま、レヴィアのいた場所を見つめる。
何を考えているのか、それはわからないまでもその目は
狡猾な、鈍い朱色に輝いていた。

>「デミウルゴスの……欠片?
 済みません……いったい、あれから何が起きたのでしょうか?」

映司は事の経緯をかいつまんで話し始める。
狂気の神との死闘、そして洞窟を脱出した際に出会った少女「レヴィア」の事。
そしてその少女が世界の在り方そのものを再編すると宣言した事。
その世界の再編には、デミウルゴスの力が必要だという事。

「その欠片をティルさんが持っていて……彼女より早くそのデウロミロロスでしたっけ?」

「違う、デミウルゴスだ」

アンクはアイスを手にしながら映司の言葉に注意を加える。

「え、あぁそう。その力を見つけないといけないって事です。
じゃないと大変な事に……それに、ビャクさんもかなり無茶したっぽいですけど。
大丈夫ですか?」

ビャクに気をかけながら、映司は曇りに染まった空を見つめた。

225 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/09/10(土) 18:37:54.59 0
>>224
何が起きたのか、とのアヤソフィアの問いに火野が経緯を話す。
まず最初に、火野が狂気の神を皆で協力して倒したと意気揚々に語った。
アヤソフィアは、その言葉に安堵を得ながらも顔を伏せる。

「そのような事が……足を引っ張るばかりで申し訳ありません。
 どうやら、ヒノにも多大なご迷惑をお掛けしたようです」

次には謎の少女「    」の事が語られたが、その説明はアヤソフィアには完璧な形で伝わらなかった。
まるで人数を経た伝言ゲームの様に、僅かに形を歪めて聞き手へと伝わってしまう……。
彼女は火野の説明を聞いて以下の様に認識する。
狂気の神は全員で協力して倒し、怪我をしたアヤソフィアの傷は無の力を用いて火野が癒した。
そして、倒した狂気の神の力は世界を再編しようとしている“デミウルゴスの使徒”に奪われてしまう。
少女の姿をした“デミウルゴスの使徒”は、自らがデミウルゴスの力を得る事を宣告して姿を消した……と。

「敵対者に先んじてデミウルゴスを発見するなら、まず本部に連絡を取って報告をしなければなりませんね。
 思念通信を行えるはずですが……何か不具合があるようです。
 通信用の起動ワードを間違えて覚えてしまったのか、一向に返信がありません」

数十人の支援者を派遣してもらえれば、人海戦術で探し出せるのではないかとの考えは脆くも打ち砕かれた。
魔術での念話を行うべく、目を閉じて精神交感を試みても、亜空間の本部から帰ってくるのは沈黙のみ。
起動ワードを三度変えて通信を試みた所で、アヤソフィアは無駄を悟ってビャクに訊ねる。

「通信の途絶はビャクも同様でしょうか……?
 そう言えば、ヒノの話によればビャクも無理をしたとの事ですが、体に異常はありませんか?
 私も治癒魔術を習得していれば良かったのですが」

皆を乗せた竜は、行き先を迷うかの様に湿った風の中を旋回し続けている。
アヤソフィアはテイルが持つミルゴのシャードを見た。
用途や機能は不明だが、見る限りでは明らかに機械の一部品である。

「現状、その集積回路からデミウルゴスの行方を辿るしか無いようですが、それはどのように使うのでしょう?
 形状からすれば、何かの機器や魔道機械と接続する事で機能を発揮しそうですが。
 資料から把握している地理では、高度な魔道機器を入手できそうなのはガイアでも数ヵ所。
 機工技術の発展しているロンダニアか、魔道技術の発展したアースランドやオーシア辺りが候補でしょうか。
 或いは、個人で所有している方もいるかも知れません」

アヤソフィアは、この世界の住人ほどには地理に詳しくない。
都市の名前も資料で散見しただけであり、実際にどの程度の技術を持っているかを見たわけでは無いのだ。
幾つかの候補の名前を上げると、アヤソフィアは意見を求めるようにテイルの顔を見る。

【>>テイル 集積回路が使用できそうな場所への移動を提案】

226 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/09/10(土) 19:29:41.43 0
>「早まっちゃダメよぉ?ビャク=ミキストリ。まだ開戦には早いわ。
 私は自分まで滅ぼすつもりは無いから、無を操れる力も得なければ次元収束を起こすつもりは無いのよ。
 デミウルゴスって最後のピースも、まだ埋まっていないし……。
 そうね……信頼できない者同士だから、互いに契約の枷を架け合うとしましょう」

自らの意志と共に多くの世界を揺るがす生命体を排除せよと後押しするかのように
意志と引き換えに湯水の如く湧き上がる<世界の存在概念>を守る力が過剰なくらい供給が始まったとき。
レヴィアタンは詠唱を始める自らの上に立つ上位存在の口を名に出してから直後、絶対と真実の封印の証を自ら左手に
もう一つの枷として刻まれた時に、嘘のように溢れかえっていた力が抑えられていくと同時に極端な遅延状態に陥る。

>「……これで私はアナタが同意するか、私に攻撃するかしない限り、この負の力を秘めた天象儀の力を絶対に行使できない。
 悪魔にとって自らの上位者の名を出しての契約は絶対だもの。例え異世界にいようとね。
 書面は無くすといけないから、契約の証は肌に刻ませてもらったわ。
「この契約に永久闘争存在化を抑えて、自我を保たせる効果があるといいけれど……。
 理性を失ってちゃ、探し物をするにも何かと不便でしょう?
 そうそう、アナタが私に一撃入れても互いの契約印は消えるわよぉ。
 でも一撃で殺せなかったら、私はまた自由に魔王やら邪神やらの力を使えるようになってしまう。
 それよりは……私を逃がさず、確実に仕留められる状況を作り上げてから戦った方が得策なんじゃなぁい?
 ガイアの何処かに潜んでるデミウルゴスのシャードを賭けて、ね」

そう言って自らの左手を見せて同じ物が刻まれていることが分かる。
しかし、この力の流れが完全に収まっていないと言う事はある事が思い浮かぶ。

「確かに力の行使はできないようだがだが周囲の存在に及ばす無意識な影響力までは抑えられてはいまい?
じゃ無ければこの遅延状態は有り得ない、例え貴様が行使しなくてもそう言った存在は近しい存在を近寄らせると言うわけか
…ふっ、良いだろう貴様が何処の世界に居ようと必ずいずれ合間見えるだろうからな」

完全に収まらぬ秩序を守る力は時限爆弾のように感じながらも
彼女の言葉に不敵な笑みを浮べて乗る事とする。
奴は宣戦布告を終えると何処かに消えると、テイルは集積回路を握り締める。
そんな光景を見ながら、アヤソフィアが起き上がったことに気づき、とりあえずは安堵する。
しかし以前気が抜けない、与えられた指令の事を考えると不意にそれを考えてしまう。
そんな思いに耽っている内に火野はアヤソフィアに説明を終えた所で心配したのか声を掛けてくる。

>それに、ビャクさんもかなり無茶したっぽいですけど。
大丈夫ですか?」

そんな火野に対して何もないように装いながら
「ああ、今の所はなんとかな。それはお前にも言えることだぞ火野?
相手が引いたのは幸運だったがな」

曇りの空を見つめる火野映司を見ながら考えたくはないが収まらない力の不安要素の一つだと言う事。
今は心配ないが、無そのものになるかあるいはレヴィアタン側に付くという事になれば間違いなく
多世界に影響をもたらす殲滅対象として認識されるだろう。
それを思うと彼を見ていることが出来ず、目を背ける。
今はまだ、時間があるしかしそれはいつまで持つのかいずれこの身は決戦の日が来れば
発動する時限爆弾を仕掛けられたと言う事だった。


227 :名無しになりきれ:2011/09/11(日) 22:10:09.83 0
「お兄ちゃんも晴れて肉体を失ったね!」
紫の翼で空を滑りながら半透明の少女が微笑む。
「・・・嬉しそうに言うな」
少女の手から下がるまっくろくろすけの人形が合成音声を発する。
「でも・・・」
「ああ、良くないな」
二人の眼下はごく普通の街。
神々の争いにより天変地異が相次いだ地とは遠く離れており、
人々はこのところの水不足が更なる異変に進んだ事にはまだ気付かない。
だが―――

少年はゲームで徹夜せず、芸術家も制作に没頭せず、エンジニアも開発に熱中せず、
彼等の母や妻子を喜ばせていた。

「狂気の神には常識の範囲を超えた集中力や情熱を支える役割もあったんだね」
「そうだ。このままだと人類の――人類に限らねえけど――進歩は確実に減速する」
「・・・・・・」

街の上空を旋回しながら考え込んだ少女は、しばらくすると顔を上げた。
「じゃあ、お兄ちゃんがそのジャンルの新たな守護精霊に進化すればいい!
早速経験値稼ぎに行くよっ!!」
「ちょ・・・おま・・・っっっ!!!」

228 :テイル ◆6nXELe5RK6 :2011/09/13(火) 01:36:05.91 0
>223
「アンクさん……」
ヒノさんに、レヴィアタンに手を貸してはどうかと言うアンクさん。
ちょっといい奴かもと思い始めてたけど、やっぱり掴みどころがない。

>>221
レヴィアタンは、ボクがわざと世界を不完全に創ったのではないかと投げかける。
「面白い推理。でもハズレ、かな。そんな事をして負けたら元も子もないもの。
物語の語り手は勝者にのみ許される権利だ」

>「lslvx(送れ)」
どこかに転移したレヴィアタンを見送ってから、呟く。

「絶対に、崩壊しない世界……」
絶対に崩壊しなくて、全てが完璧で、哀しい事や辛い事も何一つない
そんな世界が本当にあるのかな?

被りを振る。そんなの出来る訳がない。
でも、もしも、万が一出来るとしたら……
それを阻止する事が、不要な哀しみを生み続ける事と同義だとしたら……
それでもやっぱり阻止するだろう。
「この世界を見捨てる事は出来ないよ……」
哀しいほどに、ボクはガイアの使徒だから。

>222
>224
>「デミウルゴスの……欠片?
 済みません……いったい、あれから何が起きたのでしょうか?」
「アヤさん……一時はどうなる事かと思った……!
ヒノさんが治してくれたんだよ!」
ヒノさんが、今起こった事を説明してくれた。

>226
>「え、あぁそう。その力を見つけないといけないって事です。
じゃないと大変な事に……それに、ビャクさんもかなり無茶したっぽいですけど。
大丈夫ですか?」
>「ああ、今の所はなんとかな。それはお前にも言えることだぞ火野?
相手が引いたのは幸運だったがな」
二人の間になんともいえない緊迫した空気を感じたのは気のせいだろうか。
「もう何? 二人とも。大船に乗ったつもりでど〜んと構えとけばいいんだよ! 
この物語の語り手様がついてるんだから!」

>225
アヤさんによると、通信が途絶えているという。
彼女は、ミルゴのシャードの解析をするために、魔導技術の発展した場所に行く事を提案した。
いくつかの候補の中から選んだ場所はもちろん……
「海洋都市オーシア。あそこには超強力な後援団体があるしそれに……」
場にそぐわないのを分かりつつあえて明るく笑う。
「猫ちゃんにも会いたいしね!」
あれからもうしばらくたつけど大きくなったかな?

229 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/09/13(火) 02:27:12.28 0
>>225
>「そのような事が……足を引っ張るばかりで申し訳ありません。
 どうやら、ヒノにも多大なご迷惑をお掛けしたようです」

「いや、僕の事ならぜーんぜんっ!!気にしなくて大丈夫ですから!
ほら、足もこんなに軽やかに動きますし。
それに、俺だって皆さんに助けられてばかりですし。」

アヤソフィヤを心配させまいと、映司は笑顔でおどけてみせる。
彼には、今これが出来る最善だと感じたからだ。

> 通信用の起動ワードを間違えて覚えてしまったのか、一向に返信がありません」

アヤソフィヤの属する組織への連絡が取れなくなってしまったようだ。
アンクはようやくレヴィアのいた場所から視線を戻し、アヤソフィヤ達に
不吉な笑みを浮かべる。

「さっきの女……抜け目のなさそうな奴だったなぁ。お前らの仲間とやらが
無事でいればいいが……」

彼は欲望の化身とも呼ばれるグリード、所詮は怪物なのだろうか。
アヤソフィヤ達が危惧するであろう現状を、容赦なく浴びせる。
それにたまらなくなった映司が、アンクを睨みつける。

「おい、まだ分からないじゃないか。変な事言うな。」

アヤソフィヤがティルへ移動を提案する中、2人は相変わらずいがみ合っていた。
そんな2人へビャクは言葉をかける。

>そんな火野に対して何もないように装いながら
「ああ、今の所はなんとかな。それはお前にも言えることだぞ火野?
相手が引いたのは幸運だったがな」

「……あぁ、そうだな。こいつの持っているコアは特別だ。
最終的には、世界すら滅ぼす。最後に残るのは、化け物になった
こいつと――何も無い地平線だけだ。」

アンクの刺すような視線に、溜まらず映司は己の手を見る。
大丈夫だ、今はこの手があの怪物には変わっていない。
しかし、視界がやけにぼやつく。それでいて、なぜか乾いて見える。



230 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/09/13(火) 02:31:36.07 0
>>226
ティルがアヤソフィヤの提案を受け入れ、移動するになった。

>彼女は、ミルゴのシャードの解析をするために、魔導技術の発展した場所に行く事を提案した。
いくつかの候補の中から選んだ場所はもちろん……
「海洋都市オーシア。あそこには超強力な後援団体があるしそれに……」

「海ですか。俺、色んな国の海見てきましたけど、やっぱその街にも
興味あるなぁ〜」

映司のノリにうんざりした様子のアンクが、クーラーボックスからアイスを取り出し
しかめっ面で食べ始める。
しかし、その内面ではアンクの興味は世界の在り方すら変える強大な力へと
移っていた。

(「デミウルゴスのシャード、か。面白そうな話だな……フフ」)

231 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/09/14(水) 00:53:08.81 0
>>228-230
テイルがオーシアに目的地を定めると、一行を乗せる竜は緩やかに旋回して頭を北へと向け、一直線に空を進んだ。
上空では長らく姿を見せなかった雲が次第に面積を広げて雨量を増やし、雨粒を受けた岩肌が光の反射を失って黒さを孕む。
この様子なら、やがて水の不足も解消される事だろう。

峡谷地帯を抜けると、一度食料などを入手する為に近隣の村に寄り、再び竜に乗って丸一日ほど北上する。
岩に覆われた大地を抜けた先には、サファイアを溶かしたような青い海原が広がっていた。
オーシアを含め、幾多の島々を浮かべたアクグルト海の南端である。
中天に差し掛かろうと言う陽は、数日前までの厳しさを弱め、今は雲を交えて柔らかい日差しを落とす。
眼下に海を見続けてさらに一日空の旅を続けると、水平線の彼方には陸地が見えて来た。
至る所に古代文明の名残を留める島の外観は、地球を知る人間ならクレタ島がイメージに近いと表現するだろうか。

「かなり大きな島が見えます。あれがオーシアでしょうか?」

アヤソフィアが話すうちにも、見る見るうちに島の影は大きくなってゆく。
着陸地を探す為、ソフィアが島の上空で浮揚すると街の様子が一望できた。
中央部には図書館や魔法学校など魔術関係の施設、港から中央部まで続く大通りには商店が立ち並ぶ。
竜神ソフィアは、それらの施設が密集する区画から離れた郊外に舞い降りた。
郊外の牧草地は騎乗生物を扱う者たちの組合、オーシア・ライダーズギルドが管理する敷地である。
街に飛竜の様な大型生物が入り込めば混乱が起きる為、このような土地が必要とされるのだ。
ソフィアが青々とした草地に降り立つと、馬に乗って近づいて来たギルドの係員が感嘆の声を上げた。

『おいおい、すげーな。こいつは本物の竜じゃないか!
 見た所、ギルド員じゃないようだが、うちで竜を預かってもらおうってなら、それなりの費用が掛かるぞ?』

「驚かせて申し訳ありません。
 お気遣いはありがたいのですが、この竜を預かってもらう必要は無いと思われます。
 魔術的な手段での対処が可能であると思われますので」

竜の背から降り立って柔らかい牧草を踏んだアヤソフィアは、大きな鉄環を持つ係員にそう応えた。
大峡谷の洞窟内で、ソフィアが宝珠に姿を変えていたのを思い出したからだ。
係員はその言葉に納得したように頷くと、視線を竜の巨躯に移して言った。

『そうかい……ところで竜に乗るなら、うちに所属してっちゃどうだい?
 最近はエーテルクラフトなんて乗り物が流行りだして、上が焦ってるのさ。
 まっ、高価なモンだから組合員がこぞって乗り換えることはないと思うがね』

「竜の乗り手はこちらの妖精ですので、ギルドへの勧誘なら妖精にお願いします。
 ……それでは市街地に向かいましょう。
 フェアリー=テイル、オーシア魔法学校が貴方の後援団体ですね。
 先程街の中央部辺りに、それらしき建造物が見えましたが」

建造物の密集する景色を先に確認すると、アヤソフィアが先導する様に歩いてゆく。

232 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/09/14(水) 00:57:03.08 0
郊外の牧草地から市街に向って歩き続けると、心地良い喧騒が流れる大通りへと入った。
元々、島であるオーシアは海水を真水にする魔法機械で飲料水を補っており、水不足の影響は些少で済んでいる。
その為に大幅な食料の高騰も無く、雑多な商店や屋台が林立する大通りは賑やかなものだった。

「資料に依れば、オーシアの名物は魔術を利用した食品類との事です。
 体力や魔力の回復効果を持つ物も珍しくなく、此処でしか手に入らない物も多いそうですが」

アヤソフィアは、ふとクーラーボックスを抱えて大通りを見回すアンクを見た。
彼はアヤソフィアの連絡が不通だったのを見て、暗にガーディアンが全滅したのではとの疑問を投げ掛けている。
その時の薄笑いを不意に思い出し、アヤソフィアは彼に近寄って声を掛けた。

「アンク、そう言えばロンダニアで私の仲間が無事だろうかと問いましたね。
 それならば……私は無事である事を確信しています。
 大峡谷に現れたと言う敵対者は目視しておりませんが、抜け目の無さなら私たちの仲間も負けていません。
 それにビャク程ではありませんが、本部には多くの腕の立つ戦士が駐屯しています。
 おそらく通信の途絶が回復すれば、すぐにでも彼らの声を聞ける事でしょう。
 ……無用なご心配をありがとうございますっ」

少し不機嫌そうな口調で言うと、アヤソフィアはくるりと踵を返す。
アンクが火野を化け物呼ばわりしていたのも思い出してしまい、不機嫌に拍車をかけていた。
意趣返しにアンクの前で見つけにくい店の美味しそうなアイスを食べる、というのは幾らなんでも大人げないだろうか。
偶然そんな店を見つけたら、試してみても良いとは考えてしまったのが……。

「まずはオーシア魔法学校に向かう前に、色々装備品を買い足しておきましょう。
 それに幾つか魔法機械を扱う店もあるようですので、チェックが必要です」

そう言ったアヤソフィアが近くの商店に入ろうとすると、その目前を黒い影が駆け抜け、咄嗟に体を引いた彼女をよろめかせた。
大通りを駆け抜けたのはエーテルクラフトと呼ばれる、バイクにも似た水陸両用の乗用魔法機械。
妖精の森で“男”が石化させられた時に現れたエアバイクと全く同型のものである。
エーテルクラフトは街では普通に市販されている物のようで、魔法機械の用品店でも幾つかが軒先に展示されているようだった。

「ぅっ……オーシアの交通法規は乱れているようですね」

小さくなってゆくエーテルクラフトの後ろ姿を見つめ、アヤソフィアは微かに眉根を寄せた。

【>>ALL 市街地で装備品などの調達を提案する】

233 :智慧の竜神ソフィア@NPC ◆666/MyrH6U :2011/09/16(金) 20:36:48.23 0
【17章後半-18章】
突如、冥界に現れた恐るべき破壊者ストッパー。
破壊を繰り返す彼は、カオスの勇者(テイル、男、アズリア、ソル)たちとの戦いで、やがてビャクとしての意識を取り戻す、
しかしデミウルゴスによる世界崩壊は止められず、一行は冥界からの脱出を余儀なくされる。
そして光の種族の本拠である高天原にカオスの勇者もレヴィアも辿り着いた。
待っていた女神ガイアは、PLの人に奪われた世界樹の種を取り戻して欲しいとカオスの勇者に願う。
そのPLの人が居たのは特殊空間、避難所。
彼女に依れば、世界の命運を左右する人間の行動にはプレイヤーと言う上位存在が介在しているらしい。

世界樹の種とは新しい世界を創る基幹。
カオスを望むPLの人は、それを他のプレイヤーキャラクターに委ねたいと語る。
そこで世界樹の種を巡る戦いとなり、レヴィアの正体が悪魔レヴィアタンである事も明らかとなった。
戦いの中で特殊空間が崩壊し、高天原に戻るとガイアが世界樹の種を渡すようテイルに頼む。
デミウルゴスに意思の干渉を受けたガイアが。
その決着は、テイルが自ら世界樹の種を使い、世界の形を世界樹型から円環型に変えた事で終わりを見る。

【19章】
世界の新生から三ヶ月後。
新生した世界では水の不足が深刻だった。
ガイアの力を受け継いだテイルは、その原因を調べる為に竜神ソフィアと共に妖精の森を旅立つ。
しかし出発の間際、テイルと一緒にいた“男”が彼と瓜二つの人物の銃弾を受けて石化してしまう。

一方、特に旱魃が酷いロンダニアには、その影響を測る為に世界守護者委員会から、調査官のアヤソフィアが派遣されていた。
彼女は街で出会った青年、火野映司と共に魔物討伐の隊に加わり、大峡谷への探索に赴く。
魔物との緒戦で、火野は謎の青年アンクからメダルを受け取り、仮面ライダーオーズへの変身と圧倒的な戦闘力を見せた。
その場でテイルを加え、大峡谷ではビャクと合流するものの、夜に月の光を浴びた冒険者の一人が人狼化を始める。
人狼が狂気の神の聖獣である事に気付き、一行は竜の背に乗って人狼の群れから逃れ、狂気の神の神殿を探す。
地下洞窟では狂気の神と戦いとなり、アヤソフィアが攻撃を受けて瀕死となるが、火野が無の力を使って致死の傷は消される。
死闘の末に狂気の神を倒した一行が外に出ると、レヴィアが再び世界の再編を目論んでいる事を告げて去ってゆく。

【20章】
テイルの話に依れば、オーシアには勇者を支援する団体があるらしかった。
レヴィアに先んじてデミウルゴスのシャードを手に入れるべく、一行は海洋都市オーシアに向かう。
以前手に入れたミルゴのシャードを使える魔法機械を探す為に。
シャードとは神の力の欠片たる物である。
デミウルゴスの半身であるミルゴのシャードを使えば、デミウルゴスも見つけられるかもしれないのだ。
無事にオーシアに辿り着いた一行は、まずは市内の大通りへと入った――――。


【智慧の竜として、私がここまでの旅を振り返って語らせてもらった。
 そして僭越ながら点呼を取らせて貰いたい……応答が3以上あれば良いのだが。
 物語は終わりに近づいているが、新規や復帰も歓迎する】

234 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/09/17(土) 20:07:29.65 0
>>225>>228>>229
>「通信の途絶はビャクも同様でしょうか……?
 そう言えば、ヒノの話によればビャクも無理をしたとの事ですが、体に異常はありませんか?
 私も治癒魔術を習得していれば良かったのですが」

かつて対峙した者達の気配を感じた同時に過去に滅し切れなかった存在を本部が尋常ではないほど厳重に封印していた
その封印が解かれて居た事の意味がわかっていないのかそれともわざとなのか
芽生えた僅かな疑心を隠しながら今は合わせておく。教えられていた指令通りなら彼女は―――
彼女をやや鋭い目で見つめながら

「こちらも生憎な。……今はなんともない今はだが
別に今更無いものねだりをしてもしょうがなかろう
お互い無事ならばそれでいいじゃないか、命を拾えたのだからな」

>「……あぁ、そうだな。こいつの持っているコアは特別だ。
最終的には、世界すら滅ぼす。最後に残るのは、化け物になった
こいつと――何も無い地平線だけだ。」

「…私が擁護するわけじゃないがアンク、君がこの力を使える立場で自ら決めたわけでもなく
使うわけじゃないのならそれはあくまで君の考えであり、そうなるとは限らないだろう?
あくまで使う当人が自ら目指すか回避するかを決めることだ…他人が決める事じゃない
…その場合は私と対峙することにはなるだろうが」

その力を使えぬ外野はカダガタ抜かすな―といわんばかり嘲笑を浮かべ
最後の言葉誰にも聞こえぬように呟く。
この嘲笑は自分にも言える事ゆえに主に自分に向けた物だが。

>「もう何? 二人とも。大船に乗ったつもりでど〜んと構えとけばいいんだよ! 
この物語の語り手様がついてるんだから!」

「…そうだな、どこまで支えてくれるかは分からんがな
ある程度まで頼りにしているよ」

テイルが行く先をオーシアの地に定めたことで何日か賭けて
ようやく辿り着いた後、島の大地に踏み入れる。
とりあえずの第一目標がカオスの勇者の後援団体のオーシア魔法学校に向かう事になり
中心部に続く道に足を勧めると、活気溢れ常に賑わっているような大広場に最初に辿り着く。
道中、アヤソフィアの説明を受けながら

>「資料に依れば、オーシアの名物は魔術を利用した食品類との事です。
 体力や魔力の回復効果を持つ物も珍しくなく、此処でしか手に入らない物も多いそうですが」
「まずはオーシア魔法学校に向かう前に、色々装備品を買い足しておきましょう。
 それに幾つか魔法機械を扱う店もあるようですので、チェックが必要です」

「ならしばらく自由に行動する事にしないか?もちろん時間を決めてだが
もう二度と来る事は無いかもしれんし、とりあえず個人で回りたい店などもあれば
行って見るのもいいかもしれないからな…どうだ?」

これを機会に修理をせずに暫し放置していた機能が使用不能COMPと着ている電光被服を修復しようと
と、提案してみるが言ったそばからアヤソフィアは周囲の商店に入ってしまう。

「とこういうわけだが、まだ答えを聞いていないからな
彼女にも聞くとしよう」

彼女が入って行った店に入ろうとしたとき誰かがこちらにすれ違うように何かが駆けて行った
その姿を見ていたアヤソフィアに声を掛ける

「どうした?何か目ぼしい物でも見つけたのか?」

235 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/09/17(土) 22:22:53.80 0
(すみません、生存報告です。明日か明後日までには書き込みます)

236 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/09/18(日) 22:32:59.82 0
(ティルさんは参加されますか?僕は、貴方がいなくなることを望みません。
是非戻ってきてください)

237 :テイル◇6nXELe5RK6:2011/09/19(月) 03:48:42.24 0
>>230
ボクは浮揚する竜の背から大地を見降ろした。
曇天の中で霧雨に濡れる大峡谷の岩山は、まるで墓標の様だ。
この荒涼とした大地も、いつかは豊かな緑を取り戻すんだろうか……。
そんな物思いに耽っていると、まだ見ぬオーシアを思ってか、彼方を見る火野さんが明るい声を出す。

>「海ですか。俺、色んな国の海見てきましたけど、やっぱその街にも興味あるなぁ〜」

「オーシア近くのアウグルト海にはねー……幽霊船が出るんだよ!」

ボクはそんな火野さんに近づくとニッと笑って言った。
その後、そんな調子で空の旅を数日続け、オーシアに着いたボクは宝珠化して小さくなったソフィアを掌へと収める。

「それじゃ行こっか! なんか随分久しぶりな感じだな〜!」

>>234
ボクを勧誘するライダーズギルドの人に丁重な断りを入れてから、ボクはアヤさんの後を着いてゆく。
しばらく牧草地を歩いて街の大通りに入ると、ビャクさんは自由行動を提案してきた。

>「ならしばらく自由に行動する事にしないか?もちろん時間を決めてだが
>もう二度と来る事は無いかもしれんし、とりあえず個人で回りたい店などもあれば
>行って見るのもいいかもしれないからな…どうだ?」

ボクが考えを巡らせながら周りを見ると、雑踏の中にはオーシアの校章を付けた少年少女が何人も見える。
生地の間からマロンクリームを覗かせた巻きクレープを手に、歩道の街路樹にもたれかかる少女。
近くのカフェテラスでは、麺に貝やエビを絡ませたシーフードパスタを口に運んでいる少年。
一目見ただけで、彼らが街にお昼ご飯を食べに来た生徒たちであることが見て取れた。
とすると、時刻は正午に入ったくらいかな……?

「うん、じゃあ魔法学校の授業が終わった頃に合流しようよ。
 今からなら、ちょうど四時間くらいかなー。
 あっ、でもあんまり怪しいお店には行っちゃダメだよ……なーんてね! オーシアは健全な街だからっ!」

>>232
自由時間が開始すると、さっそくアヤさんがエアバイクに轢かれそうになっていた!
大通りを蛇行する黒い機影が遠ざかってゆく……その小さな後ろ姿からは運転者の姿なんて良く確認できない。

>「ぅっ……オーシアの交通法規は乱れているようですね」

「オーシアにはいつから暴走族が現れたんだ! 大丈夫、アヤさん!?
 うーん、それにしてもあのバイク、“男”さんを石化させた奴が乗ってたのと同じ形だったけど……まさか、ね。
 あっ、そうだった。ビャクさんにはまだ“男”さんの事を言ってなかったっけ。
 ボクたちが旅立つ時に“男”さんは、瓜二つの顔を持った奴に銃で撃たれて石化しちゃったんだ。
 解呪の魔法は掛けたけど、まだ石のままだから、ソフィアの体内で保管してるんだよね……。
 あっ、体内って言ってもソフィアは望んだ時しか胃液を出さないから“男”さんが消化される事は無いよ」

ボクは妖精の森で遭遇した人物の事を、みんなに説明する。
さーて、これで今度こそ自由時間か……これから、どーしよっかなー?
あっ、そうだ。ルーチカちゃんの猫に上げるエサを買って先に学園に行ってよっと。
ボクは新鮮な魚を手に入れるべく、市場がある辺りに向かって歩き始めた。
大きなパラソルで日除けする幾つもの露店の下には、籠から溢れんばかりに積まれた果物や木の実が通行人の目に媚を売っている。

『待てッ!このドラ猫が!』

突然の叫び声に目をやると、お魚咥えたドラ猫が魚屋のおばさんに追いかけられていた! あれ、あの猫って……?
ボクは、人ゴミを駆け抜ける猫に何となく見覚えを感じて、素早く路地に入り込んだ猫を追い掛ける。

「ん? なんか記憶がフラッシュバックするぞ。あっ、キミ!ちょっと待って!」

238 :宇宙最強絶対無敵井戸魔神 忍法帖【Lv=7,xxxP】 :2011/09/19(月) 07:29:01.05 0
全てを無に帰すイレイザーバニシュアタック!?♪。

239 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/09/19(月) 20:00:12.75 0
>>232
オーシアへ続く大通りへ到着し、アヤソフィヤ達は行きかう人々と
街の風景を眺めていた。
映司は商店で手に入れたココナッツミルクを飲みながら、行き交う人々と
会釈し嬉しそうに空を見上げている。
「いやぁ、いい街ですね!俺、こういう空が青くて気持ちいい風が吹いてる感じが
凄く好きなんですよ。おい、アンク。お前も見てみろって。」

アンクはそっぽを向いたまま、街の景色を注意深く観察しているようだった。
そんなアンクに、アヤソフィヤが声を掛ける。

>「アンク、そう言えばロンダニアで私の仲間が無事だろうかと問いましたね。
 それならば……私は無事である事を確信しています。

「あぁ、あのレヴィアとかってヤツがお前らの組織を野放しにしているとは
思えなかったもんでなぁ。」

>それにビャク程ではありませんが、本部には多くの腕の立つ戦士が駐屯しています。
 おそらく通信の途絶が回復すれば、すぐにでも彼らの声を聞ける事でしょう。
 ……無用なご心配をありがとうございますっ」

アヤソフィヤのまっぐな視線を避けるように、アンクは小さく舌打ちをして
アイスを頬張る。俺は、馬鹿か。アンクはそう心の中で呟く。
少しでも、何処かでその言葉に安心する自分がいるからだ。
あの洞窟で、アヤソフィヤが瀕死の重傷を負った時になぜあんな事を叫んだのか。
今の彼にはまだ自分でも理解出来ていなかった。



240 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/09/19(月) 20:12:35.56 0
>「まずはオーシア魔法学校に向かう前に、色々装備品を買い足しておきましょう。
 それに幾つか魔法機械を扱う店もあるようですので、チェックが必要です」

映司は早速アヤソフィヤの言葉に従い、薬草の店に寄り
様々な薬を店主に注文し始めていた。
「やっぱ毒消しもいりますよね。あ、そうだ。
食中毒用のもありますか?たまに野草や間違って毒キノコも食べちゃうんで。」


「馬鹿か……」

アンクは映司の陽気さに溜息を吐き、一人ベンチに腰掛けた。
そして空を見上げこの街へ来る前、ビャクが自分にかけた言葉を思い出す。

>あくまで使う当人が自ら目指すか回避するかを決めることだ…他人が決める事じゃない
…その場合は私と対峙することにはなるだろうが」

アンクは空へ向け、自分の赤い右腕をかざす。
今は、グリードとしての力を使うことはほとんど出来ない。
本来ならば、9枚のコアメダルを手にし世界すら喰らえる力がある。
しかし今は、オーズの暴走すら止める自信は無い。

「俺のコア、必ず手に入れてやる……そして、必ず。」

アンクの目に血の色が滾る。
視界の中の空は、真っ赤に染まっていた。

>>「ぅっ……オーシアの交通法規は乱れているようですね」

>「オーシアにはいつから暴走族が現れたんだ! 大丈夫、アヤさん!?
 うーん、それにしてもあのバイク、“男”さんを石化させた奴が乗ってたのと同じ形だったけど……まさか、ね。

何やら、アヤソフィヤとティルがバイクの存在について語っている。
石化した男についても説明してくれたようだ。

「瓜二つの人?ドッペルゲンガーかな……世界には似てる人が1人か2人いるって言うし。」

薬草の袋を手にした映司が2人の話を聞き、呟いた。
アンクは相変わらず、寝そべったまま空を見上げている。
「俺、屋台で昼ごはん買ってくるよ。まだ魔法学校までは
時間あるみたいだし。」

映司は屋台に向かい歩き出していった。

【映司屋台へ アンク昼寝中】

241 :ルーチカ ◆hATMxiE/qY :2011/09/19(月) 23:17:56.53 0
お魚くわえたカランダーシュが魚屋のおばさんに追われて走ってくる。
姿は巨大なドラ猫に見えなくもないけれど、実は雪豹という生き物らしい。
「ストップストーップ♪」
立ち塞がり呪歌も併用して急いで止める。
この子が急に変な行動を取るのは大抵ちょっとした何か起きている時なんだけれど、
今は校長先生じきじきのお使いの最中なので探索は後回しだ。
「すみませんっ・・・おいくらでしょうか」
平謝りしながら魚屋のおばさんに代金を支払っていると、
後ろからひょっこり現れたのはとってもとっても懐かしい姿だった。

「あっ、テイルさ・・・じゃなくて
フェアリー=テイル=アマテラス=ガイア様。
ノダメ校長が皆様とお話したいとのことで、お迎えに参りました。
お揃いになりましたらご案内します」
以前と変わらぬ優しい笑顔、でも今はそこには神の風格が備わっている。
挨拶を述べ終わって少し緊張がとけると、テイルさんの後ろの方で
少しだけ隠れるようにして見知った顔がいくつか笑っているのに気付いた。

「世界とか大体の事はノダメ校長に聞いてます。
正直全部は理解できてないんですけど・・・」
テイルさんや、先輩のソルさん達はずっと冒険の旅を続けて世界の大転換に関わったという。

(みんなすっかり英雄の風格に・・・ほとんど成長してない自分が恥ずかしいな)

「そういえば、約束でしたよね」
テイル達の用に付き従ったり他の皆を待ったりする合間に、
ルーチカは雪豹の頭に手を置いてテイルの方を向けた。
「この子の名前、カランダーシュっていいます」
あのテイルがガイア神となって目の前にいる。
ノダメ校長から聞いた新しい世界の枠組みが
ルーチカにもようやく少しずつ実感となってくるのだった。

242 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/09/20(火) 18:35:44.79 0
>>234 >>237 >>239-240
暴走するエアバイクが遠ざかると、テイルが案じる様に駆け寄って来た。
ビャクも何かめぼしい物を見つけたのかと、アヤソフィアに近寄って声を掛ける。
探るような目。旅の途中で幾度か感じた狩人の視線で。
アヤソフィアは、それを意識する度に自分の動きがぎこちなくなるのを感じる。
(また……。私は何かミキストリ卿の感情を損ねる様な事をしてしまったのでしょうか……)

アヤソフィアは狂気の神の神殿を脱出した時点で気絶していた以上、パンドラの封印が解かれた事は知らない。
火野が行った経緯の説明も、そこまで細を穿ったものではなかったから。
本部との通信も途絶し、ビャクも警戒心からか言葉を選んでいる。
従って、彼女には冷たい石の如き視線を受ける心当たりと言えば、狂気の神との戦いで足手纏いになった事くらいしか無い。
彼の信頼を取り戻すには改めて実力を示すしかないと思い、アヤソフィアは毅然とした態度を装ってビャクに言葉を返す。

「……いえ、乗用の魔法機械に衝突しそうになったので少し驚いただけです。
 あれが、先程聞いたエーテルクラフトなのでしょうか」

やや堅い声で返すと、ビャクは自由行動の件に話を移して、アヤソフィアにも意見を求めた。
確かに集合場所を決めて各々が自由に行動すれば、各自の用途を済ませるにも効率が良いだろう。
或いは、考えすぎかもしれないが……何らかの理由で集団から離れたいが故の提案なのかも知れない。
テイルの話では、今からなら4時間ほどの余裕があるとの事。

「個人行動ですか……了解しました。では4時間後にオーシア魔法学校で」

アヤソフィアは突き刺す様な視線に、どこか怖気づくもの感じて、同意の返答を返すとビャクから視線を逸らせた。
すると、今度はベンチで寝そべるアンクと視線が合ってしまい、先程の彼の言葉を思い出してしまう。

>「あぁ、あの【デミウルゴスの使徒】とかってヤツがお前らの組織を野放しにしているとは
>思えなかったもんでなぁ。」

アンクには仲間の無事を確信していると応えたものの、本部との連絡が取れない事には、やはり不安が掻き立てられる。
アヤソフィアはぷいっとアンクからも視線を外すと、大通りを早足に歩いてその場から離れた。
彼女がしばらく大通りを歩くと、雑踏の中に見慣れた火野の後ろ姿を見つける。
どうやら、彼は近くの屋台で昼食の注文を取っている所のようだった。

いつもと変わらない火野の態度に、アヤソフィアが感じるのは安心感と羨望。
アヤソフィアには、彼は当初自分が思っていたより、もっと心の強い人物なのかもしれないと感じられた。
何処か自らの命を顧みない様な火野の戦いぶりも、今のアヤソフィアには強さと映る。
彼の強さの源を知りたい……彼を知りたい。
引き寄せられるようにアヤソフィアが火野の隣に並ぶと、屋台の向こうから威勢の良い声で迎えられた。

『フィッシュ・アンド・チップス専門店。“リトル・コルドロン”にようこそ!
 で……ソースは何にする? トマトベース、バジル、マヨネーズ……シンプルにビネガーと塩だけも良いけど』

「……あ、は、はいっ。では、そちらの香草の混じった赤い物をお願いしますっ」

フィッシュ・アンド・チップスは、海洋都市では一般的なファストフードである。
ここではアウグルト海の固有魚、ムーンプレイス(鰈の一種)に衣をつけて揚げられたものにフライドポテトが付く。
紙袋に入った商品を受け取って屋台を離れると、アヤソフィアは小さく息を吐き、火野に話しかけた。

「ヒノ、少し宜しいでしょうか……?」

アヤソフィアが発する声は躊躇いがちで、何かを言いたそうだが迷っている感じ見てとれる。

「ヒノは……いつも泰然自若としていますね。
 もし良ければですが、貴方がどのようにして、その境地に至ったのかを聞いても宜しいでしょうか?
 困難の中でも快活さを失わないヒノの心の強さを見るに連れ、私もそれを得られればと思わずにはいられません……。
 私は自身の不甲斐無さからか、どうもミキストリ卿……ビャクの信頼を失っているようです……。
 当然失態は任務の遂行で挽回したいのですが、事態が自らの手に余るかもと考えると……押し潰されそうになってしまいます」

【>>火野 意志を強く持つ為の心構えを問う】

243 :テイル◇6nXELe5RK6:2011/09/20(火) 20:36:11.60 0
>>241
ボクの追いかけていたドラ猫が、不意に流れ出した綺麗な歌声を聞き、魅入られたように動きを止める。
それは風と声を競い、草木と声を交わし、精霊の心をも動かす詩人たちが操る魔法の歌。呪歌。
この聞き覚えがある美声は忘れもしない……。

「久しぶり、ルーチカちゃん!」

>「あっ、テイルさ・・・じゃなくて
>フェアリー=テイル=アマテラス=ガイア様。
>ノダメ校長が皆様とお話したいとのことで、お迎えに参りました。
>お揃いになりましたらご案内します」

「いやいや、長いよ長い! それ誰だよって感じだし! 前の通りテイルでいいって!」

ボクと挨拶を交わす女の子は、オーシア魔法学校の生徒でトップクラスの呪歌の使い手、ルーチカちゃん。
前にオーシアを訪れた時に、とってもお世話になった子だ。
今は、その時よりほんの少しだけ大人っぽくなってる感じがした。
少し会わないだけでずいぶん違って見えるなー……。
人間の成長の早さってのを実感させられる。

「うーん……みんなと合流するのは四時だから、まだ三時間くらい時間があるんだよね。
 せっかくだから、それまで街の変わったお店とか案内してもらおっかな。
 あんまり遊び呆けてても悪いけど……む? 貴様ッ、見ているなッ!」

ボクはルーチカちゃんの目線から、後ろに気配を感じて素早く振り返った。
しかし残念ながら、ボクの視線の先には、これと言って変わったものは見つからない。
一瞬、紫の何かが見えた気がしたけど気のせいだろう。
ルーチカちゃんに向き直ると、彼女はドラ猫の頭に手を置いて言った。

>「この子の名前、カランダーシュっていいます」

「よろしくねっ、カランダーシュ!」

ボクも雪豹の頭に手を乗せて、カランダーシュに挨拶する。
毛皮は滑らかで、ボクが軽く撫でるとカランダーシュは目を細めてゴロゴロと喉を鳴らす。
良かった、どうやら嫌われてはいないみたいだ。
ボクはカランダーシュの頭から手を離すと、ルーチカちゃんに向き直る。

あれ?

ルーチカちゃんに視線を移す瞬間、人ゴミの切れ目の中で妖精の姿を見た気がした。
妖精を森の外で見かける事って、あんまりないんだけどな……。
まあ森の外に居てもいいんだけど、よっぽどの変わり者に違いない。
それに一瞬の事だったから、もう見失っちゃったみたいだ。

「それじゃ、まずは……薬草チョコもストックが切れてきたし、補充に行こっかな。
 新製品とか、季節限定品なんてあったらいいなー。
 他にも、どこかお勧めのお店があったら、案内ヨロシクね!」

244 :ビャク ◆hfVPYZmGRI :2011/09/22(木) 00:42:25.93 0
>「……いえ、乗用の魔法機械に衝突しそうになったので少し驚いただけです。
 あれが、先程聞いたエーテルクラフトなのでしょうか」

心配をして声を掛けてみたが、会った当初の頃のように声で無事を告げる。
こちらとしても自然の応対をするべく勤めたのだがどうもそうは見られては居ないようだ
細心の注意を払わないと気を引き締めながら、彼女の話した後半の先ほど聞いたエーテルクラフトという言葉に
反応すると、テイルが察したのかその内容を話す。

 >うーん、それにしてもあのバイク、“男”さんを石化させた奴が乗ってたのと同じ形だったけど……まさか、ね。
 あっ、そうだった。ビャクさんにはまだ“男”さんの事を言ってなかったっけ。
 ボクたちが旅立つ時に“男”さんは、瓜二つの顔を持った奴に銃で撃たれて石化しちゃったんだ。
 解呪の魔法は掛けたけど、まだ石のままだから、ソフィアの体内で保管してるんだよね……。

「石化したのか男がか?…瓜二つの顔を持った奴か
もしかしたらその人物は平行世界のもう一人の男だったりしてな…
あくまでも可能性の話だがな」

そんな自分の考えられた推論を話した後、彼女の同意が得られたので足早に去る
自分は与えられた時間内に早速やらなければならないことがある。
そのまま歩きながら、人混みの中から完全に死角になる路地裏を発見し入っていく
案外こういう所は普通浮浪者の溜まり場になりやすいが、人払いの術式が張られている訳でもなく
不自然なくらい誰も居ない―そんな路地裏の奥に進むとようやく見かけるようになったみすぼらしい格好をしたまさに浮浪者という
感じの―否そう装っている人物がこちらを待つように立っていた。

「やぁ、待っていたよミキストリ」

「さて報告すべき事と聞きたいことがある
できるだけ一時間以内にしたい…頼めるか、葉―リーフ―」

フードで目と鼻を隠した顔からちらりと歯を見せるようにその浮浪者は笑うと
まずは今までの経緯を全て話し、自らの考えを述べた上で聞きたい事を問い始めた。

245 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/09/22(木) 17:24:31.40 0
>>243
屋台で昼食を選んでいる映司に、アヤソフィヤが何か言いたそうに
近付いてきた。

>「ヒノ、少し宜しいでしょうか……?」

「あ!アヤさん。これも美味しそうですね……ど、どうかしました?」

アヤソフィヤのやけに重い表情に、映司も思わず表情が硬くなる。
彼女は、続けて次のような事を聞いてきた。

>「ヒノは……いつも泰然自若としていますね。
 もし良ければですが、貴方がどのようにして、その境地に至ったのかを聞いても宜しいでしょうか?
 困難の中でも快活さを失わないヒノの心の強さを見るに連れ、私もそれを得られればと思わずにはいられません……。

自分が、強く見える。そうアヤソフィヤに言われた映司は、思わず苦笑した。
そして、少しだけ息を吸い込み語りだした。
自分が見てきた事、そして体験した事を。

「俺、全然強くなんかないですよ。ただ、後悔したくないんです。
手を伸ばさなきゃ――救えるはずの誰かを救えないから。」

映司は、グリード達と戦う世界にいた。
そこでは、多くの人々がささやかな日常を送っていた。
やがてグリード達を封印し――世界は平穏を取り戻したかに見えた。
しかし。

「突然、俺達の住む世界が――まるで何かに飲み込まれるかのように
崩壊して行ったんです。その時、あの子の手を――比奈ちゃんを。」

246 :火野映司 ◆/m/3H6N1VU :2011/09/22(木) 17:34:16.09 0
――「映司くん、もういいよ。手を、離して」

泉比奈。映司とアンクと共にグリードと戦った少女。
彼女を世界の崩壊から救えなかった。
映司は、その時の痛みを未だに引き摺っていたのだ。
そして、二度と後悔したくないから戦う。
勝てないと思っても、立ち向かいたいと言う。

「あの時、最後に――アンクが手を伸ばしたんです。
あいつ、無神経だし自分勝手だし最低なヤツだけど
でも……本当は誰よりも比奈ちゃんの事を。
だから、アヤさんが洞窟で苦しんでいた時も。」

そして、アンクと離れ離れになった映司は「ディケイド」を
名乗る青年に導かれこの世界へ辿り着いた。
アヤソフィヤに全てを語った映司は、懐に忍ばせていたコアメダルを取り出し
空にかざした。

「もう、これ以上誰も悲しませたくないんです。
無理かもしれないけど、綺麗事かもしれないけど
きっと、綺麗事が本当はいいと思うから。
だから、俺は自分に出来る最高の無理をするだけですよ。
だから、アヤさんも、自分に出来る無理をすればいいと思います。」

アヤソフィヤの目を見据え、映司は、はにかむような笑顔を浮かべた。

247 :アヤソフィア ◆666/MyrH6U :2011/09/23(金) 21:05:43.72 0
【245-246】
火野が自らの辿った道を語る……その手を掴めずに救えなかった者がいた事を。
彼はこれ以上誰も悲しませない為、自分に出来る最高の無理をすると続けた。
そしてアヤソフィアには、自分に出来る無理をすれば良い、と言って笑顔を浮かべる。

「自分に出来る無理……」

アヤソフィアは、火野に掛けて貰った言葉を頭の中で反芻する。
火野からは大切なものを喪失した後悔を感じた。
だが、彼は後悔に沈み続ける事も、押し潰されてもいない。
ニ度と同じ後悔を繰り返さない、との強い決意が強さとなっているのだろうか。

「ヒノ、きっと貴方の様な人を“勇者”と呼ぶのでしょうね……」

アヤソフィアは太陽の眩しさを感じて、思わずそんな言葉を洩らす。
彼女は泣き言を漏らす自分が、光らない星のように、色褪せたものと感じられた。

「それにアンクにそのような面が有ったとは……人生経験の浅さからでしょうか。
 どうにも、私には人物の鑑識眼が備わっていないようで恥入るばかりです。
 ヒノにも辛い事を無理に話させてしまったのではないかが気がかりですが」

アヤソフィアが黙すると雑踏の喧騒が耳に入る。
漁の話。授業の話。恋の話。子供の話。値切る値切らないの大声。些細な事で大笑いする者もいた。
流れる喧騒をしばらく聞いた後、アヤソフィアが火野の瞳を見返す。

「そう、ですね。まずは出来る範囲の事から始めなければ……ありがとうございます、ヒノ」

少し愁眉を開いた様子を見せ、アヤソフィアは火野に礼を述べると、今の自分に出来る事をするべく雑踏の中へと消える。
火野と別れたアヤソフィアは、魔法機械を扱う店の集まった通りへと向かう。
辺りの幾つもの店を巡り、やがて彼女は魔導銃や魔力波形観測器……様々な魔道具や魔法機械が陳列された店内へと入った。

『……魔法機械にシャードを?普通の物では壊れますよ。シャードってのは神の力の欠片でしょう?
 とてもではないが、耐え切れるものではありません。
 あ、いや、でも以前見たアレならもしかすると、もしかするかな……バラグにグラム……とか言いましたっけね?』

アヤソフィアがシャードを使えそうな魔法機械の存在について尋ねると、片眼鏡を掛けた白髪の店主が応えた。
ガイア最高峰と言われる二体のゴーレムならば、シャードの力を受け入れても機能を発揮できるのではないかと。

「それは何処に?製造者の所在は御存じありませんか」

『さあねえ……一説では製造者とも言われるロランドの名前は、この業界じゃ有名なんですが。居場所となると……』

店主の言葉を聞き、今後の予定を思案するアヤソフィアが外に目を向けた瞬間、彼女は背中を氷で撫でられたように感じた。
自分と全く同じ姿の者が、硝子越しに此方を見ていたから。
一切の感情の灯らぬ鉛の瞳で。
しかし……その姿は一瞬の瞬きと共に掻き消す様に消え失せる。

何かの光の加減で硝子に映った姿が、鮮明に見えただけだろうか。
或いは不安が見せた幻覚なのかもしれない……。
アヤソフィアは、そんな理屈を付けて今の出来事をそう解釈した。
そして、すぐさま視界の中で規則正しく動き続けるものに気付く。
硝子窓の横に設置された置き時計が振り子を揺らし続け、長短二つの針はすでに三時を回っている事を示していた。

「……まだ刻限には少し早いですが、遅れるよりは良いでしょう」

店を出たアヤソフィアは大通りを歩き、オーシア魔法学校にほど近い広場へと向かう。
噴水を中央に据えた広場には彼女の見知った顔はおらず、幾分所在無い様子でアヤソフィアは噴水の縁へと座った。
そこで他の仲間が現れるまで待つ事としたのだ。

【>>ALL オーシア中央広場で待つ】

248 : ◆666/MyrH6U :2011/09/23(金) 21:35:57.84 0
一緒に冒険しよう!ライトファンタジーTRPGスレ8

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