1 名前: ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/07/22(日) 20:35:32 0
魔法学園で次々に起こる怪事件。  
消える生徒、暗躍する危険な影。  
果たして誰が犯人なのか。そして、彼の真の目的は。  
学園を揺るがす大事件が、今、静かに幕を開ける ――――。  


―――― 魔法少女と冒険するスレ 4thシーズン 〜合わせ鏡の果てに〜 ――――  


【スレのお約束】  
・決定リール&変換受けありです。  
(用語については、なな板TRPGまとめサイト「千夜万夜」参照)  
・コテ付き参加大歓迎。途中参加も初心者も悪役さんももちろん大大大歓迎!  
・名無しさんネタ投下ももちろん大歓迎。  
・拾えるネタは極力拾います。ただし自治、荒らし、ストーリーの破壊を狙うような投下は華麗にスルーです。  
・好きな時に好きなように投下してOKです。ただしチャット状態はついていけない場合があるので自重して下さい。  
・魔法学園が舞台ですが、参加資格は生徒、学校関係者限定というわけではありません。  
・版権キャラで登場する場合は、可能ならファンタジーテイストにアレンジして下さい。(原典があれば教えてね)  
 なお最強クラスのキャラで参加しても、必ずしも周りが最強認識してくれるとは限らないかも・・・です。  
・大切なのはスレを楽しむ気持ち、コテならなりきりとしてなりたっていることです。  
・もし何かわからない事があったら、避難所でお気軽にどうぞ。  

【過去ログ】 
 魔法少女達と冒険するスレ 3rdシーズン(前スレ)  
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1181023531/

魔法少女達と冒険するスレ 2ndシーズン  
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1173987357/

魔法少女と冒険するスレ  
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1167716362/


【みんなの憩いの場(質問、打ち合わせ等はこちらでどうぞ) 】  
魔法少女と冒険するスレ避難所  
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1171556198/

(元避難所。メモなど)  
http://yy32.kakiko.com/test/read.cgi/trpg/1119683611/

各キャラクターのプロフィールやTRPに関する用語の確認はこちらでどうぞ  
TRPGまとめサイト「千夜万夜」  
PC:http://verger.sakura.ne.jp/  
携帯:http://verger.sakura.ne.jp/top/top.htm  

2 名前: ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/07/22(日) 20:36:41 0
テンプレはこちらです。  

名前・  
性別・  
年齢・  
髪型・  
瞳色・  
容姿・  
備考・  
(以下は任意解答欄)  
得意技・  
好きな食べ物・  
好きな偉人・  
好きな生物・  
嫌いな食べ物・  
嫌いな金属・  
今一番欲しい生物の毛・  
保険に入りますか?・  

【備考】  
全部埋める必要はありません。  
ただ、今は学園が舞台なので、知り合いの度合いにあわせてある程度データを明かして下さると嬉しいです。  
(たとえばクラスメートなのに、どんな人なのか全く知らないのでは変ですから)  
それ以外の、たとえばキャラの過去などは、レスの中で徐々に明かして下さいね。  

【テンプレ記載例】  
名前・ リリアーナ  
性別・ 女  
年齢・ 16  
髪型・ 金髪のストレートロング  
瞳色・ 青  
容姿・ 色白で華奢。背はあまり高くない。スタイルは年相応  
備考・ イレブン襲撃事件の被害者。その後ギルハートとも不可抗力で接触。  
    脅迫され、学園長室にある『鏡の部屋』からあるものを盗み出すはめに。  
    現在魔法が使えない。  
       
得意技・雷系、回復、補助魔法系 (現在使用不能)  
好きな食べ物・甘いもの  
好きな偉人・(なぜか赤面)・・・ナ、ナイショです。  
好きな生物・犬  
嫌いな食べ物・ゲテモノ系  
嫌いな金属・合金。(肌が弱いので、肌に直接触れるものだとかぶれる場合があるのよね)  
今一番欲しい生物の毛・ フェニックスの羽根。・・・あ、これって毛じゃないよね。  
保険に入りますか?・学園入学時に強制加入した気が・・・あれ?気のせいかな?  


3 名前: ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/07/22(日) 20:37:36 0
【学園の説明】  
・舞台はファンタジー世界。フィジル島にある魔法学園が主な舞台です.。  
・現在学園の建物は消え、代わりに塔が出現しています。(塔については後述)  

【学園内の現状】  
この学園にいた生徒の多くは、召喚された悪魔から逃れるためにゲートから避難をした。  
しかし、校舎が崩壊した今、ゲートは閉ざされ、彼等は学園に戻る事ができない。  
だが、今学園に残っているのはリリアーナ達だけではなかった。  
数は少ないものの、避難できずに取り残された生徒や教師達がいるのだ。  
ある者は遠くから校舎が塔に変形するのを見た。  
また、ある者は校舎内にいたために塔の中にそのまま巻き込まれてしまった。  

塔に入る目的も様々である。  
ある者は生きる道を探し、ある者は悪魔と死闘を繰り広げ、  
また、ある者は好奇心のおもむくまま塔内を散策したりしていた。  

【塔について】  
闇の魔法使いギルハートが封印される寸前、学園を壊し塔へ再構築したもの。  
そのため避難用に使われていた転移ゲートは使用不可となり、事実上学園からの逃亡も事実上不可能。  

塔内部について  
建物の内部というよりは、別世界に迷い込むというイメージ。 
学園を再構築しているので、学園の教室などがそのまま残っている場所もある。 
フロア内のどこかに存在する魔法陣に入れば、別の場所へ転移できる。  
内部の世界はマリアベルに縁のある場所のようだが、キャラ視点では今のところ共通項は見出せない。  

塔内部の様子(暫定的に「○階」と仮称する)  

1階・・・密林。クドリャフカによって魔法陣までの道が切り開かれている。  

2階・・・聖堂のような建物。だが神にまつわるものは無く、オブジェやステンドグラスのモチーフは微妙なものばかり。  
    入り口付近は瓦礫が散乱している。  
    聖堂内部の壁は一部壊されている。壊れた穴の中にある階段を登ると、黒焦げの廊下に出る。  
    その更に先に魔法陣が存在する。  

3階・・・戦禍によって廃墟と化した街。  
    目から黄色いビームを放つ巨大な鋼の蟻が闊歩していたが、現在は活動停止している。  
    4階へ転移する魔法陣付近には数キロ先からでも見えそうな巨大な櫓があり、  
    ド派手なネオンとデコレーションで飾り付けられ、「ウエルカム!魔法陣はここ↓」と書かれている。  
    ただし巨大櫓は幻影であって実体は無い。                  

4階・・・雪山。  
    一部雪崩でかき消されているが、人のものとは思えない巨大な足跡が山頂まで続いている。  
    (ただし足跡を追って山頂に向かった場合、高確率で行き倒れorモンスターに食われる@中の人情報)  
    山小屋にはシバという老女が住んでいる。  
    彼女の小屋の隣には、雪で出来た城が建っている(着色済、小屋サイズ)  
    山小屋から下った地点に雪が解けた場所があり、周囲には円形に血が流れた跡がある。  
    山肌が露出しており、そこに直径約15センチほどの穴が空いている。   
    (中に入るには体の大きさを変える「レイアの魔法の粉」が必要) 

    山頂には闇の魔法使いマリアベルがいる。  
    山頂は決して広くはないが温暖でエデンのような場所となっている。  
    地には若草や薬草が生い茂り、樹齢を何百年も重ねたイチイの木が一本生えている。  
    木の近くには美しい銀色の泉がある。泉には、自分にゆかりのある死者の姿を写す力がある。 
    ラルヴァの血を浴びた草木は急成長している。 


4 名前: ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/07/22(日) 20:38:16 0
――――――――(以下は参考資料)――――――――  

【学園についての説明:通常時】  

・舞台はファンタジー世界。フィジル島にある魔法学園が主な舞台です.。  
 フィジル島は「魔海域」と呼ばれる、法則を無視した魔の海域の中にあります。  
 (魔海域は、「法則を無視した潮流、乱気流」「突然の魔法無効旋風」  
 「召喚生物強制送還地帯」などが特に有名です)  
・一度学園に入学したら卒業(三等課程合格)まで島を出ることは叶いません。  
・学園は全寮制、男女共学です。  
・魔法学園の施設は西洋のお城のような外観をしています。  
・女子寮、男子寮は校舎と同じ敷地内にあります。カフェテリア等一部の施設は男女共通です。  
・女子寮内外には侵入者避けのトラップがあります。要注意。  
・校舎には校庭があります。  
・ 校舎の裏手には霧のかかった森があります。 森の奥深くには強力な魔物や貴重な生物が住んでいるという噂です。  
・描写されていない施設等に関しては、整合性さえ保っていれば好きに設定投下してOKです。  
・三等過程卒業者には指輪が与えられ、学園内の立ち入り禁止区画に出入り可能です。  
 また、「ゲート」を使用し街へ出られるなど、一般生徒より優遇されます。  
・寮部屋に関しても一般生徒は大部屋ですが、三等課程卒業者以上になると個室が与えられます。  
(生徒での参加者は、基本的に三等過程卒業者以上とさせていただきます)  

・学園地下には広大な図書館があります。管理人はオルビア・ターナー先生です。  
・薄暗く本を読む時は上に持っていく、またはランプを貸してもらうという珍しい図書館です。  
・置いてある本は古今東西から集められたもので膨大です。  

・なお、一般生徒立ち入り禁止区域であるDレベル以下の階層には危険な本が多く保管されています。  
 地下にどれだけ広がっているのか不明の階層で、そこに在るのは全て魔本です。  
 本から漏れ出たモンスター、怪異現象が巻き起こっている世界でもあります。  

(補足)  
ちなみに第二部で学園長の力が弱まったのは、課題中の生徒がこの場所で本棚を倒してしまったため。  
散らばる本からは無作為に魔力が、現象が、本の世界が現実に溢れかえり、お互いをを刺激しあって混線、暴走を始めた。  
その後生徒は無事救出されたが、暫くの間学園長と教頭は図書館制御の為に大きな力を割かなければならなくなった。  

現在の学園内の混乱は、その隙をギルハートに付け入られた結果とも言える。  

【カリキュラムについて】  
卒業までには幾つか試験があります。  
最初の卒業試験に合格すると、三等課程卒業という事になります。(第一部参照)  
・次に各分野を広く浅く学ぶ二等課程へ進学します。二等過程卒業すると、一等課程へ進学。  
・一等課程は二等課程で選択した分野を使った応用編。より実践的な分野を深く学びます。  
・なお、二等課程(2ndシーズン)から月一の割合で課題や指令が出されます。  


5 名前: ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/07/22(日) 20:40:21 0
・・・・・では、波乱万丈で素敵な学園生活を!

6 名前:マリアベル ◆jWBUJ7IJ6Y [sageスレ立て乙、そしてドンマイ] 投稿日:2007/07/23(月) 20:49:04 O
それぞれのメンバーが、マリアベルが放った大量の針をそれぞれの方法でしのいでいる。
「ウォ・ダ・シェンティ・ヘンハオ…
 ウォ・ダ・シェンティ・ヘンハオ…」
その間マリアベルは首筋に杖を当て呪文を唱えていた。
はた目からはわからないが、実は呪文を一回唱えるごとにマリアベルの負荷が20kgずつ減少しているのだ。
「ウォ・ダ・シェンティ・ヘンハオ…」
三回目の永昌。これで残る負荷は20kgだけだ。

前スレ>>310
マリアベルはメラルが自分に近づいて来たのに気づいた。
たいした脅威では無いと感じたのか、それとも負荷を取り除く事を最優先にしたかったのか、
いずれにしろ、マリアベルはメラルに何も仕掛けなかった。
「ウォ…」
マリアベルは四度目の永昌を始めていた。

7 名前:ユユ ◆LZfunhEVsc [sage] 投稿日:2007/07/23(月) 21:52:20 O
>310 etc

「…気を引けばいいのね?わかったわ。」
………おや?意外にすんなりと引き受けて頂けました。
怖く無いってか?ホント魔術士は底が知れない。
………まぁ、オレはオレでやる事をやるだけさ。
身近な草花を出来るだけ沢山、引き千切る。
(形状変換、材質改変、魔力付与!)
さっきよりはやや荒く、まずは大量の矢を作る。
(形状変換!)
そしてそれを一つの矢に圧縮する。
衝撃を与えれば多数の矢に拡散する、言わば散弾の様に成った訳だ。
(あとは、チャンスを待つだけか………)
こればかりは運任せ。メラル嬢は信頼は一応しているが、過度の期待はしていない。

「弾けて突き立てよ!」

「!!」
何か術を使ったのか?一面に撒き散らされる針。
どうする?どう避ける?
上に飛ぶか?高いの嫌なんだけどな………
それとも発生源を吹き飛ばすか?

そんな心配は無用の様だった。メラル嬢が元の水柱が上手い具合に針を弾いている。
さぁ、皆で動け。野郎に決定的な硬直を作れ。そうしたら串刺にしてやる。

8 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/07/23(月) 21:52:32 0
>308>310
一気に薬を飲み込むロック
それとは対照的に怪訝な表情をするメラル
>「フリージア、悪いけど…これは、リリアーナに預けるわ。」
彼女はあっさり試験管をリリアーナに渡してしまった
「え?」
そして前に出てしまうメラル
「・・・・・ああ!!そういえば!?」
やっとメラルがこの薬の事についてよく知らないことに気が付くフリージア
知っているのなら薬を飲まずに前に出るなんて行動はとらないだろう

かといって今、目の前にマリアベルがいるこの状況で
薬の効果を言うわけにもいかないだろう
>309
>「さて、お仕置きの時間だ。」
>「弾けて突き立てよ!」
飛んでくる大量の針
このままでは蜂の巣である
ピンチ!!

「あ!あれは!?」
目の前にリリアーナを引っ張るときに手放した氷結根があることに気が付いたフリージアは
すぐに拾い上げ、高速回転させることによりその大量の針をはじき返した

「あ、危なかったですわ・・・」
ちょっとでも遅れればハリセンボンかサボテンの様になっていただろう
まさにぎりぎりのタイミングだったのだ

>6
>「ウォ…」
目の前を見るとなにやら別の呪文を唱えようとしているマリアベル
氷結根と一緒に拾った石を
「手投げ式メテオストライクですわ!!」
と、杖を狙って思いっきりぶん投げた

9 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/07/23(月) 22:08:04 0
>308-309
>「カドゥケウスは知恵と医療の力を宿した杖だ。その力は死者をも蘇らせると聞く。 
> リリアーナ、奴の目標は死の克服だ。奴はきっと誰かを生き返らせたいのさ。」 
「カドゥケウスで?・・・正気なの?」
リリアーナはなんとも言えない顔をした。
ロックが死者を蘇らせることの危険性をリリアーナに話して聞かせた。
「マリアベルがいったい誰を蘇らせるかは知らないけど、相手の人物に同情を禁じえないわ」
ロックの視線に気づいた彼女は肩をすくめて見せた。
「だってあのマリアベルが蘇らせたいと願うんだもの。
 死んでしまった人にとっても彼は特別でしょう?
 ならその人、今のマリアベルを見ていったいどう思うかしら?」
ロックそっくりの闇の魔法使いが、哀れな吸血鬼を容赦無しに蹴りつけている。

リリアーナはマリアベルに視線を固定したまま、なおも続ける。
「ねえロック、あなたいつまで杖を探すつもりなの?
 私の知っているロックは、杖なんか全然使ってなかったんだけどな」
どうしても杖が必要なら、レイドが保管しているライールの杖を渡してやればいいことだ。
だが、さっきはああいったものの、リリアーナ自身にはロックに杖を渡す気など無い。
「ロック、あなたマリアベルと戦うって言ってたわよね?
 だけど結局、最後の最後は自分自身じゃなくマリアベルの魔法に頼るつもりなの?」

ラルヴァはひどいけがを負ってしまったようだ。
闘争心は消えていないようだが、まだ起き上がる気配は無い。
さっきフリージアに返した魔法薬が、なぜかメラルから戻ってきてしまった。
「役立たずの私より、他の誰かが飲むべきなんだけどな」
リリアーナは水に包まれた魔法薬を受け取った。

>「リリアーナ、こいつはカドゥケウスを持てるような器ではない。 
> 嘘はもっとうまくつくもんだ。」 
リリアーナは軽く肩をすくめた。
「闇の魔法使いにふさわしい杖とも到底思えないんだけど?」
どうやらマリアベルは、誰がカドゥケウスを持っているかまでは分からないようだ。
それがわかっただけでも収穫といえよう。

>マリアベルは銀色の玉を杖から出した。 
>「弾けて突き立てよ!」 
避けることも隠れることも出来なかったリリアーナはまともに針を食らってしまった。
悲鳴一つあげずに倒れた彼女は、それきりぴくりとも動かない。
幸いなことに、庇った魔法薬の試験管は割れずに済んでいるようだ。

10 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 [sage] 投稿日:2007/07/24(火) 00:31:45 O
前スレ>302>「ディ・ベクトル!」
俺の放った銃弾、6発中4発は空中で止まってしまった。
が、それでも2発命中。
さっきの分と合計して80kgある。
>「…良かったな。これで俺は自力では動けない。」
「ああ、これで存分に痛めつけられるぜ。
腹くくっといた方が…」
「…しかし、俺自身が動く必要は無い!」
マリアベルの手元に一本の杖が収まった。
「ちっ!やるねぇ、君!」
急いでバックステップを使い間合いを取るが…
「エクスペリ・アルマ!武器よ去れ!」
マリアベルの武装解除魔法により俺の武器は消えてしまった。
本来なら吹き飛ばされるだけなのだが、召喚した武器は還ってしまう。
つまり、もう一度召喚しなおさなければならない。
「ちっくしょ〜。
どうにも上手くいかんなぁ…。」
>305>「レイド先生!例の物ですわ!!」
フリージアが俺に向かって試験管を投げてきた。
「ナ〜イスコントロール。」
アベコベールだっけ?
これどんな効果があんだっけか?
薬の効果について普段あまり使っていない頭をフル回転させて考えていると、
>309>「さて、お仕置きの時間だ。」
>「弾けて突き立てよ!」
マリアベルが全体攻撃を仕掛けてくる。
「バリア!
この野郎…生意気にも全体攻撃とは…」
>306>「ウォ・ダ・シェンティ・ヘンハオ…
 ウォ・ダ・シェンティ・ヘンハオ…」
マリアベルは俺が聞いた事の無いような呪文を唱えていた。
俺はとりあえず試験管を懐にしまった。
「何の魔法を唱えてるか知らないけど、そう簡単にやらせる訳にはいかないなぁ…」
両手に出来る限りの魔力を込める。
この技は威力と派手さは申し分ないが、魔力の消費が半端じゃない。
一日一発が限度だ。
約15秒程で右手に炎の渦、左手には雷の渦が完成した。
マリアベルに向け、両手を波動〇の様に構える。
「クレイジーストーム!」
二つの渦が絡み合いながらマリアベルに向け放たれる。

11 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/07/24(火) 21:54:06 O
>9
>「ねえロック、あなたいつまで杖を探すつもりなの?」
「えっ?」
ロックはハトが豆鉄砲をくらったような顔をした。
>「ロック、あなたマリアベルと戦うって言ってたわよね?
> だけど結局、最後の最後は自分自身じゃなくマリアベルの魔法に頼るつもりなの?」
「お前が言った事じゃないか!」
ロックは怒った。核心をつかれた事でさらに腹が立つ。
その通りだ。マリアベルを滅するのに、結局彼の力を使うのであれば、
マリアベルと縁を切ることなどできる筈はないのだ。
しかし、自分に何ができようか?武器である鉄球は塔の一階で失ってしまった。
硬化魔法は防御用の魔法だ。無論、硬化状態のまま殴りつける方法もあるが…
まさかマリアベルはそこまで接近を許さないだろう。
圧力波は決定的な攻撃とは言えない。尻餅をつかせるのが関の山だ。
ゴーレムは?…駄目だ!逆にマリアベルに利用される可能性がある。
俺がマリアベルに勝る要素なんてないじゃないか!!


…ふとロックの頭にある光景が浮かぶ。真っ青な空がどこまでも広がる光景。
そうだ、あれを忘れていた!マリアベルには真似できない、俺だけの力だ。
ロックは拳を天に突き上げた。そして力の限り熱く叫ぶ。
「来たれ!フォルティシモ!!」
ロックはリリアーナの方を向いた。
「リリアーナ、俺は俺なりのやり方で強くなる。」
それと同時の事だった。ロックはリリアーナをかばう事も避ける事もできなかった。
>「弾けて突き立てよ!」
その言葉と共に襲いかかる針によってリリアーナは倒れた。
ロックも平気ではなかった。いや、体は平気だった。硬化していたからだ。
しかし、目は例外だ。ロックはその痛みに絶叫した。
その時、狂暴な力が彼の足を引っ張り、体をひこずった。
ロックはわけがわからなかった。なにせ目が見えないのだから、
誰が自分を引っ張っているのかわからない。



ロックを引っ張っていたのはレイアだった。
ロックだけではない。リリアーナも彼女にひこずられている。
レイアはその怪力で二人をイチイの木の陰まで運んだ。
マリアベルからは死角となる安全な位置だ。


12 名前:マリアベル ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/07/24(火) 21:57:22 O
>>8>>10
フリージアの投石と、レイドの炎雷の渦が同時にマリアベルを襲う。
マリアベルは呪文の永昌を中断し、杖をフリージアに向けた。
マリアベルが杖で払うような動作をすると、石は同じ勢いのままフリージアに返球された。
マリアベルはフリージアに杖を向けたまま、別の手をまた草むらに向ける。
すると、またしても草むらから杖が飛んできてマリアベルの手に収まった。
俗に言う二刀流の状態である。
その飛んできた杖をレイドに向ける。
しかし、ここでマリアベルにレイドの攻撃がヒットした。
マリアベルを中心にして発生する大爆発。
もうもうと土埃が舞い、マリアベルがどうなったのか確認できない。
しかし、その場にいる全員が同じ直感を抱いていた。
マリアベルはそう簡単に死にはしないと。

13 名前:クドリャフカ ◆WHO16bBEDg [sage] 投稿日:2007/07/24(火) 22:22:07 0
洞窟入り口で戦いを見物しているミニアルナワーズ。
時折やる気なさげな「頑張れ〜」という応援をする以外、何をするわけでもない。
ただ、隣にいたヴァンエレンが突如現れた黒い球によってマリアベルの元へ移動されたときは思わず括目をしてしまう。
「良かった〜、吸血鬼さんだけで。」
汗を拭いながら蹴られるヴァンエレンを笑ってみていた。

繰り広げられる波状攻撃と攻防。
その最中、マリアベルの攻撃が一瞬早く発動した。
針はあたり一面に散らばり、ミニアルナワーズのすぐ脇にも数本突き刺さる。

危うく難を逃れたが、逃れられなかった者もいた・・・

########################################

その頃・・・・
雪山の中腹。
シヴァの小屋で、アルナワーズは目を見開き硬直していた。
額には玉のような汗が浮かび、一点を凝視している。
「・・・シヴァさん・・・」
「・・・なんじゃい?」
真剣な眼差しで見つめるアルナワーズと、それを真っ向から受けるシヴァ。
二人の間の空気が熱く凝縮されるような時間が過ぎる。

「一回だけ・・・待ったお願いできる?」
「あーかーん!これで7手先にチェックメイトぢゃ。諦めい。」
「や〜ん。もー。まさかこんなに早く決着がつくだなんてぇ。」
アルナワーズの真剣なお願いもさらっと断るシヴァ。
ぐったりと椅子に持たれながら敗北を認めるしかないのであった。

「ふぇふぇふぇ。ええタイミングじゃないかえ。そろそろ山頂に行ってやってええんじゃないかえ?
あのマリアベル相手じゃ。お前さんも手伝ってやらんと全滅するのは目に見えとるわ。」
そんなアルナワーズに魔力回復カクテルを差し出しながらシヴァは言う。
それを受け取り、グラスを傾けながらアルナワーズは不敵に笑う。
「あらやだわ〜。生身の私が行って危険な目にあったら嫌じゃなぁい?
それに、大丈夫よぉ。私なんかが行かなくてもあの子達にはたくさんの味方が一緒なのだから。
そんなことより、もう一局よ!」
くいっとカクテルを呷って気力を回復させると、駒を初期配列に戻し始める。

########################################

ロックとリリアーナをイチイの木の陰まで引き摺ったレイアの前に、ミニアルナワーズが現れる。
その表情にはいつもの笑みはなく、冷たい光のみが宿っている。
>「ま、私は運が良いから平気。だからアル、心配しないで。
> でも・・・そうね・・・不幸にもそんな時が来たら、アルはどんな手を使ってでも止めてね」
脳裏には廃墟での会話が思い起こされている。
「はぁい、レイア。どう?
汚れ役を頼まれているからこうして来たのだけど、二人ともどのくらい生きてる?」
不思議な尋ね方だが、生きているか死んでいるかだけでなく、生きていても回復可能か不能か、まで尋ねているのだ。

14 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/07/24(火) 23:24:13 0
>9
自分の身を守るのに精一杯でリリアーナの負傷に気が付かなかったフリージア
>12
跳ね返される石!
あわててしゃがみこむフリージア
いつもだったらこれで完全回避出来る筈であった・・・が
さっきまでフリージアの頭があった場所にちょうどギズモがいたため
ギズモに石が命中した
「ギ、ギズモちゃん!!」
ギズモの頭には大きなたんこぶが・・・
ギャグ属性が無かったら脳みそかち割れスプラッタだったに違いない
「・・・たいしたこと無さそうね」

「ドウシテ タテヲ ダサナカッタノ?」
涙目で痛い頭をさすりながら氷の結晶の盾をなぜ出さないのかと問うギズモ
「もう魔力が無いのよ」
答えるフリージア
「ダッタラ ボクノヲ ツカエバイイヨ」
そのセリフを聞いて使い魔についての授業の内容を思い出すフリージア
「そういえば使い魔の分の魔力も使えるのでしたわね」
いわば使い魔を外部バッテリーすることが出来るのだ

「早速、使い魔契約ですわよ!」
フリージアは氷結根ですばやく魔方陣を地面に書くと
その上でギズモにキスをした

これによりギズモは正式にフリージアの使い魔になったのである
>11
魔法が使えるようになり、リリアーナを援護しようとしたフリージアだが・・・
「あれ?いないですわね」
そう、すでにレイアによって連れて行かれた後だったのだ


15 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 [sage] 投稿日:2007/07/25(水) 08:15:40 0
前スレ>309
ヴァンはなにかあればすぐにでも洞窟に逃げる姿勢で構えていた。
相手に攻撃や異変などの予兆があれば、持ち前の逃げ足ですぐにでも逃げることができる。
…はずだったのだが、マリアベルは転移を利用して自分の前に吸血鬼を移動させた。
>「ずいぶん勇敢だな。俺の前に立つなんて。」
「いや、無理っす」
自分でやったくせにと言いたい吸血鬼だが恐ろしい相手に本音は言えず、皮肉の言葉に対して高速で首を横に振る。
マリアベルより停止させていたレイドの銃弾をゴチになり、付加効果により体がずしりと重くなる。
吸血鬼にはこの重みは地に膝がつくほどの重みではない。
だが、いつもとは違う感覚に違和感を感じて眉を曲げた。

マリアベルがヴァンを蹴った。
更にもう一度、今度は少し強いくらいのヤクザキックだ。
足の脛部分にジャストヒットして悶える。
かの弁慶も泣いたのだから、ヘタレ吸血鬼に耐えられるはずもなく撃墜。
「もうやめてください…イケナイ感情が芽生えてしまう」
降り注いだ針の雨が追い討ちとばかりにヴァンに突き刺さりまくった。
「うぐぐ、おもいたいぃ〜!」

針抜きで丁寧にひとつひとつ抜いては投げ、抜いては投げ…。
そんな途方もない作業をしている最中なのだから、周りをまったく見ていないのがいけなかった。
レイドが放った『くれいじーすとーむ』なる必殺技のようでいてそうでないような名前の魔法がマリアベルに直撃していた。
大爆発がマリアベルを襲う。
範囲が大きい爆発は当然、側にいる吸血鬼にもバッチリ範囲内だったのである。
「出番少ないよーーーー!!」
巻き込まれたヴァンは安物のくだらない漫画の様にぶっ飛んで星になってしまった。
使い魔のコウモリたちは主人の後を慌てて追っていった。


ヘタレ吸血鬼 退場っ!!!


いなくなったはずのコウモリの一匹がレイドの肩に乗った。
それはレイドの魔眼に魅入られたコウモリで、すでに魔力抵抗が働いて魔眼の効果が薄れている。
そのためレイドにはもう従うような理由はないのだが…。
どうやら主人である吸血鬼よりもレイドに懐いてしまったようだ。

16 名前: ◆jWBUJ7IJ6Y [sage勝手にごめんねリリアーナ] 投稿日:2007/07/25(水) 20:18:39 O
>>13
>「はぁい、レイア。どう?
>汚れ役を頼まれているからこうして来たのだけど、二人ともどのくらい生きてる?」
「彼は…」
そういいながらロックに手を伸ばすレイア。両目に何本か針が刺さっている。
>「よせっ!やめろ!」
何もわからないロックはレイアの手を払った。
「命に別状は無いけど、目は使い物にならないと思うわ。
 …問題は彼女の方よ。とても危険な状態だわ。」
レイアはリリアーナを指した。
…ここで、リリアーナの体に信じられない変化が現れていた。
驚くミニアルナワーズ、申し訳ない顔をするレイア。
「…あの…その…ごめんなさい!」
レイアはそういって二つの小さな容器を出した。
どちらも元は何か液体が入っていたようだが、今は空っぽだ。
「こっちは10歳若返る薬、そしてこっちが10歳老ける薬…」
なんとレイアが紹介した老け薬は先程レイアがリリアーナに飲ませたものだった。
「うっかりヤクルトだと思ってリリアーナに老け薬を渡しちゃったの…」
そう、リリアーナはレイアが間違って渡した薬によって今26歳の体になっていたのだ。
「…でも今はそれどころじゃないわね。」
レイアは薬草をかき集め始めた。


17 名前:マリアベル ◆jWBUJ7IJ6Y [sageマリアベル、第二形態行きまーす!!] 投稿日:2007/07/25(水) 20:56:07 O
もうもうと土埃が舞い、見えないマリアベルの姿。
「ウォ・ダ・シェンティ・ヘンハオ・ラ!」
マリアベルの声が響きわたった。四度目の呪文を永昌したのだ。
「ははっ、さすがだレイド。よく鍛練されている。すばらしい闇の魔法使いだ。」
マリアベルの声は皆の頭に直接響くような声だった。どうやらテレパシーのようた。
「お前の技には…愛もある、哀しみもある。しかし、凌辱が足りない。」
土埃が収まってくると何かの巨大な影が見えてきた。
「…さて、君が本気を見せてくれた以上、こちらもそれ相応に応えるのが礼儀だ。
 見せてやろう、お遊びはもう無しだ。悪夢を楽しめ。」
土埃がおさまり“その姿”がはっきりと現れた。
それは大蛇だった。それも特大の大きさ、口を開けば大人の体がスッポリと入りそうである。
アスファルト色の鱗はそれと同じくらい頑丈そうだ。
血のような真っ赤な目には縦に細長い瞳孔が入っている。
その目がその場にいる全員を油断なく見た。
「…体を変えて、俺参上。」
その大蛇こそがマリアベルだった。ついにその本性を露見させたのだ。

18 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/07/25(水) 22:10:53 O
「娘…おい…」
……ん……誰だろう…私に言っているのか?
………面倒だ……寝て過ごそう。
そう思った瞬間、私は今まで感じたことのない殺気を当てられた。
「…起きろと……」
私が目を開けた瞬間、私によく似ている女が天をも突かんばかりの巨剣をかざしている。
「ゆうておるだろうがぁ!」
気合いと共に降り下ろされたそれを私はかろうじて避け、飛び起きた。
「…ふぅ……やっと起きたか」
私に似た女の人は悪びれもせず無邪気に笑っている。
たが、その笑みに反して先程まで私が寝ていた場所には、まるで隕石が落ちたように地面が抉れている。
「何するんですかぁ!………あれ?」
あれ?ここはどこだろう?
…うまく思い出せない。
「あまりの状況の変化に頭がついてこないようだな」
動揺する私に女は続ける。
改めて彼女の容姿を確認する。
甲冑は腰から上は着てなく、そのかわりに胸に紅蓮のサラシをまき、何かの毛皮で作ったマントを羽織っている。
大剣を振るう両腕には切り傷が無数についている。
私はその人をしっていた。いや、私が最も忌み嫌い、そして、憧れた人物。
最強にして最低の騎士アイアス・カタストロフ


19 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/07/25(水) 22:59:47 O
「馬鹿な!あなたは…貴女は私が生まれるずっと前に死んでいるはずだ」
そう、アイアスは私の生まれる二世紀前に味方に裏切られて死んだはずなのだ。
「貴様が言えた口ではあるまいアルテリオン我が愛しくも愚かな孫よ」
彼女は不敵な笑みを浮かべ、降り下した大剣を軽々と担ぐ。
「…可笑しな話だな…誇り高きカタストロフ家の唯一の汚点と美点が同じような死に様なんだからな」
「煩い!貴女と同じにするな」
ついカッとなって私は声を荒立てて否定する。
だが、彼女は表情は変わっていない。
「いんや、同じだ…貴様と儂は同じさ…いや、未練たらしくこの世にへばりついているお前のほうが儂よりも…」
「黙れぇ!」
私は彼女を拳で殴りつけた。
「…ここで手ぇ出すってことは図星か……」
彼女の雰囲気が徐々に変わり始める。
立ち上がり彼女は続ける。
「覚悟できてんだろうなぁ!」
次の瞬間、私の腕が宙に舞った。
「………え」
私が其を確認したとき、彼女の大剣は私を二分していた。
「…期待外れにも程があるな」
遠退く意識の中、私は彼女の顔が見えた。
ひどく冷徹だった。

20 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/07/25(水) 23:37:06 O
薄れいく意識の中で、私の脳裏にある場面が浮かぶ。

それは叶うはずのない夢
探し求めていたはずの幸せ

あぁ声が聞こえる。皆の声が…………


私は…



「待ってくださいよ」
背後からその声を聞いた瞬間、アイアスは凍りついた。
「…貴様…面白いな」
彼女は振り返り、復活したアルテリオンを視認し、大剣を構え直す。
「次は再生できねぇようにミンチにしてやんよ」


……………私を慕う者を守る。私を愛す者を守る。全てを護って見せる。


体が無意識のうちに走り出し彼女に向かう。
神速で舞う大剣を紙一重でかわし、間合いを詰める。
「うおぉぉぉ!!!」
砕け散った鎧の欠片を彼女の脳天に降り下ろす。

21 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/07/26(木) 01:11:59 O
「ウオッシャア!…………あれ」
また場所が変わったようだ。
いや…あれが夢だったのか?
そう思い込み私は辺りを確認した。
どうやらどこかの山小屋の一室のようだ。
「…やっぱり夢だったのかな」
だが、夢ではなかったようだ。
窓に写った私は、アイアスの鎧を身に付けていた。
「うわぁ!」

22 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M [sage] 投稿日:2007/07/26(木) 17:07:52 0

マリアベルは自分に気付かずに詠唱しているように見えるが、
メラルはそれをそのまま受け取るつもりはなかった。
(下手を打ってまた人質みたいにされるのは論外。気付いてるのを前提に考えないと…)
背後ではユユが準備を進めている事だろう。メラルは慎重に攻撃を防ぎながら近づいていった。

ロックとリリアーナに針が命中したようであるが、レイアが引っ張っていったらしい。
こちらについては…今はどうにも出来ない為、メラルにはアクションを取れなかった。
マリアベルに対しフリージアが投石を。レイドが炎と雷の渦の術を放っていた。
投石はあっさり返されていたようだが、レイドの放った二つの渦は吸血鬼まで巻き込み大爆発、
その熱風の余波はメラルの元にも届くのは明白であった。
(っ…冗談じゃないわね……!詠唱を留保して…)
メラルはハイドゲイサーを解除し、改めて自らの周囲…自らを中心に半径1m程の円の円周となる位置から
水流を噴出させ、雷の余波を受け流し、熱風の余波を相殺する。まだ少し距離があるので、メラルの位置であれば、
一般的な術師であればわざわざこんな措置を取らずとも、通常の魔力障壁だけで防げる程度の余波なのだが、
メラルは元々極度に炎を苦手とし、今は雷も苦手としている為ここまでの対応をせざるを得なかったのだ。
マリアベルの様子は確認できないが、これで倒せたなら何も気にする必要は無く、
倒せていないなら当然警戒する必要がある。しかも実際問題倒せたにしてはあっけなさ過ぎるのだ。
当然メラルは警戒を解かず、術の詠唱を進めながら近づいていった。
>「…さて、君が本気を見せてくれた以上、こちらもそれ相応に応えるのが礼儀だ。
> 見せてやろう、お遊びはもう無しだ。悪夢を楽しめ。」
レイドの術に触発されるようにマリアベルが宣言すると、
霧が晴れ…マリアベルが大蛇の姿となってそこにいた。
油断なく周囲を見回している。
(…手加減していてくれた方が助かったんだけど…大きくなった一点だけはありがたいわね。
マリアベルは馬鹿じゃない。潜り込まれた時の対策も当然出来ているはず。
でも、それが…いくらマリアベルとはいえ咄嗟に使えるレベルの術で皆への有効な攻撃にもなるとは
ちょっと考えずらい。それをどう凌ぐかが、勝負…。)
「黒天砲」
メラルはすぐさま術を放った。魔法陣が展開され、そこから重力砲が放たれる。
そう。暴走していた時に非常識な破壊力を誇った、あの技である。
しかし、今のそれは…影響を及ぼす範囲は五分の一ほどで、圧縮率もそこそこ低下しているのか、地面の陥没も、
中心部直下でせいぜい1m程である。つまるところ、暴走時とは比べ物にならないほど弱い代物である。
それでも十分強力な代物であるのだが、マリアベルとの絶対的な能力差を考えれば、この術すらも
もぐりこむ為の道具以上にはならないだろう…。そうメラルは考えていた。

メラルは、自分自身が砲の余波に耐えるために背に大量の斥力球を用意していた。つまり、
撃ち終わった時にそれを消さなければ…それは推進力となってマリアベルに突進する為の道具となる。
メラルは撃ち終わった直後、術の詠唱と共にマリアベルに向けて突進していき…至近距離で術を放った。
「クイーンズ・ハンド!」
メラルの杖を持っていない方の手が、白く輝きだす。片手表面全体に擬似的に絶対零度を生み出し、
マリアベルに叩き込み…触れた部分を消滅させるつもりなのだろう。しかし、メラル自身そう上手くいくとは思っていない。
むしろ、命中か否かよりもマリアベルの迎撃手段の方に意識を向けていた。元々援護的色合いの術や
トリッキーな術ばかり多く、直接的で純粋な破壊力を誇るタイプの…雷の術は使えなくなっている
今の自分では、大技で挑まなければ時間稼ぎにすらならないという判断だろう。


23 名前:マリアベル ◆jWBUJ7IJ6Y [sageおかえりアルテリオン] 投稿日:2007/07/26(木) 20:22:21 O
>>22
>「黒天砲」
大蛇マリアベルは大きな口をあんぐりと開けて…何もしない?
顔のすぐ前まで重力砲がせまっているのに大蛇は口を開けたままで待ち構えている。
そして口内に着弾した重力砲をそのまま飲み込んでしまった。
はたから見ただけではこの現象はわけがわからないだろう。
しかし、マリアベルはもともと空間を操る魔法使いである。
正面からわかるように攻撃すれば、別の空間に転移させられたりするのは必定だ。
今回それがたまたま口から行われただけである。
メラルの黒天砲は無効化されたが陽動としての効果は十分だった。
>「クイーンズ・ハンド!」
黒天砲に気をとられメラルの急接近を許してしまった。
メラルの手が大蛇マリアベルの鱗に食い込んでいく。
マリアベルはシューシューと怒りの声をあげながら、尻尾で彼女をなぎはらった。
吹き飛ばされ転倒するメラルにマリアベルの追撃が迫る。
マリアベルはメラルに噛みつきを仕掛けた。


24 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg [sage] 投稿日:2007/07/26(木) 20:51:19 0
ロックは命の別状話。
リリアーナは危険だが、何とかなりそう。
レイアの答えを聞いて、ほっとするミニアルナワーズ。
幸い手を汚す必要はなかったようだ。

そんなほっとしたのもつかの間。
リリアーナの身体に劇的な変化が現れる。
「うあ・・・」
思わず目を多い、呻き声に誓う声をあげてしまう。
ミニアルナワーズの眼前に、26歳の身体になったリリアーナが横たわっていたのだから。
手足が伸び、顔が落ち着きを持った大人びた姿だ。
見入ってしまった意識を引き戻したのは、レイアの声。

そう、今はそれどころではないのだ。
今は危険な状態であっても、このままにしておけば程なくして約束を果たさなければいけなくなる。

薬草をかき集めるレイアを他所に、ミニアルナワーズはリリアーナの胸元を広げる。
アレさえあれば傷は関係なくなるはずなのだ。
そう、カドゥケウスの杖!
随分とはだけさせてから、ミニアルナワーズはあることに気が付いた。
リリアーナの胸は10年分成長しても殆ど大きさが変わっていない!
「うぅ・・・リリィ・・・あなたって子は・・・貧乳の星の下に生まれてきたのね・・・」
10年後の姿ではなく、10年老化した姿なので、これが未来の姿とは言い切れないのだが・・・
フリージアが胸の谷間に使い魔収納カプセルをしまい込んでいたので胸元を探していたのだ。
しかし、リリアーナにはそんな芸当できるはずがないと今更ながら気付き、がっくりとうなだれてしまう。

仕方がなくあれこれ探す。
身につけているはずだ。
髪を解き漁り、ポケットを引きずり出しす。
「・・・それにしてもいかにも窮屈そう。」
16歳のリリアーナにはぴったりの服でも、26歳状態のリリアーナには枷か拘束具のようだ。(胸部分以外)
カドゥケウスの杖を探すののついでに、パツンパツンになっていたズボンの裾に大きく切れ目をいれスカート状態にして解放する。
「う〜ん、襟をはだけて髪も乱して、太ももまでのスリット四つ入ったスカートで寝そべっている美女・・・のはずなんだけど・・・
なんていうか、色気がないのよねえ・・・。」
結構緊迫した場面のはずなのに、関係ない溜息を漏らさずに入られなかった。
肌も露にというより、ボロキレを纏ったとなってしまっているのだから。

結局見つけたのはぎゅっと握り締められた手の中だった。
ペンサイズに知人だカドゥケウスの杖も、30センチサイズのミニアルナワーズが握れば立派な剣となる。
「あったわ!レイア、もう大丈夫よ。リリィ、ロック、今助けてあげるわ〜。」
二人に向け傷よ回復せよと、軽快にカドゥケウスの杖を二人に向けて振るう。

25 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/07/26(木) 21:09:40 0
>17>22>23
>「ウォ・ダ・シェンティ・ヘンハオ・ラ!」
その呪文が終わったとき
マリアベルの姿はとてつもなく大きな蛇と化していた
「へ、へびですわ!?」
驚くフリージア
「・・・・あまりおいしそうじゃないですわね」
訂正・・・・驚いたわけではなさそうだ
鬼のような祖母のせいで雪山でのサバイバルの経験があるフリージアは
蛇を食べたこともあるらしい・・・いや普通雪山に蛇はいないだろう

改めてその巨体を眺めるフリージア
「これだけ大きいと攻撃が当たりやすそうですわね」
そんなことを言っているが足元は震えている
武者震いか?それとも単純に怖いのか?

「それに爬虫類だったら寒さに弱いはずですわ」
・・・この前戦ったアイスクリーマーもトカゲなんだが
突っ込みどころがたくさんあるセリフを言うフリージア

その間にもメラルが魔法を唱えたり
他のものが攻撃を仕掛けようとする
メラルの攻撃魔法を飲み込むマリアベル
それを陽動にして接近戦を挑むメラル
ダメージは与えたようだが簡単に吹き飛ばされ今にも噛み付かれようとしている

「メ、メラルさん!」
フリージアは同じ教室で学んだ学友を救おうと
「といやぁ!!」
ダッシュで加速をつけ大きくジャンプ!

冷気で輝く銀色の足がマリアベルを襲う
「レオ先生直伝のキックをお食らいなさい!!」

26 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 [sage] 投稿日:2007/07/26(木) 21:17:54 0
鳥人間ならぬ鳥吸血鬼。
ぐんぐんその飛距離を伸ばしております。
爆発により頂上からものすごいスピードで雪の中を突っ切っている。
コウモリたちは全力で主人に追いつこうと空を行くが弾丸のように速い吸血鬼とは距離が大きくなる一方だ。
長いとも短いともとれる時間を空の旅もどうやら終わりがみえたようだ。
山の一角につくりがきちんとしている小屋が一軒ある。
このまま行けばその場所にちょうど突っ込むような進路。
それに気がついたが今更抗っても後の祭りで、そのまま小屋の入り口をぶち抜いて小屋の中に転がっていった。
ヘタレ街道八十年、ここで機転を利かすのは訓練されたヘタレだ。
…は嘘として、いつも(できれば)優雅にかつ(生命の危険を感じない程度に)美しくが信条のヴァンはただでは起きない。
転がり減速していく過程でごく自然に空気イスのきつい姿勢になっていき、またまたどこからか取り出した紅茶を片手に。
そして、追いついたコウモリがすかさず薔薇をあたりにちりばめた。
(ふっ…いまの私は百点だな)


誰もいないと思っていた小屋の室内で、一人の人間と目が合った。
「げえ、また人間!?」
窓付近にいたアルテリオンと吸血鬼の初の会合である。
「貴様、頂上にいたタテロールとか貧乳とか双子とか前髪が長い奴とかの仲間か!?」
しかしこの人物は人間に似せてはいるが、その性質はまったく違うことに気がついた。
「ん、お?ありゃりゃ。えーとキミはなんですか?」
人間でもないし魔物でもなさそうな人物からは血の匂いはまったく感じられない。
不思議に思ったヴァンは思わず敵か味方かもわからない相手に聞いてしまう。

27 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/07/26(木) 23:45:22 O
私が何故アイアスの装飾品を身に付けいることに動揺していると、背後にあるドアが勢いよく開く音がきこえた。
「!!!」
慌て私は振り向き、侵入者を視認する。

「…………」
>「げぇ人間」
「失礼なっ!私は獣人です」
私は珍妙な形式で紅茶をたしなんでいる男に対してそう言い返した。
というか、よくそんな短時間でやれたものだ。
冷静に振る舞っている私とは違いこの奇人はたいそう慌ているようだ。
こちらが黙っているのに勝手にベラベラと喋っている。
ここがどこだか分からないが、この山の頂上にはリリアーナさん達らしい人物がいるようだ。
「自分の名を明かさない輩に教える名などない」
正直、自分でも自分が何者なのかも分からないのに答えられるわけがない。
こんなときに騎士の礼儀が役立つとは…
「まぁいい…山頂へ連れてけ、今の無礼はそれで許してやる」
久々に上から見下した言い方をし、様子をみる事にした。
「不服か?まぁ働き次第じゃ褒美でもくれてやってもいいがな」
私はサディスティックな笑みを浮かべながら、只でさえ胸元を強調している服装なのにさらに強調してみる。
正直、壊れたドアからは遠慮なしに冷風が遠慮なしに肌を刺している。
正直寒い。

28 名前:ラルヴァ ◆sy1IQNBWp6 [sage] 投稿日:2007/07/27(金) 10:43:01 0
一面に広がった血はゆっくりとその主、ラルヴァの下へ集ってゆく。

>「弾けて突き立てよ!」
飛来した銀の針がラルヴァの全身に突き刺さってゆく。
メラルの魔法により逸らされ一部は軽減されたが、その姿は針山のようになる。
「■■■■■■ーーーー!!!」

それは苦痛の叫びか、怒りの咆哮だろうか。真実は彼の心の奥底にある・・・。

 
       何処とも知れぬ闇の中で向かい会う二人。
どちらも同じ容姿をしているが・・・
一人は鎖と、その先端の鉤にその全身を穿たれ、束縛され
一人はまるで悪魔のような凍える笑みを湛えている
 「いよいよ、物語も佳境だな。えぇ?」
「みんな・・・」
 「お前はそこで黙って見てろよ、クク・・・」
 「オレに敵意を向ける奴は皆殺しにしてやる、それが俺の役割なんだからな」
「やめ・・・ろ・・・!」
 「やだね、誰が仕向けたか知らんが久しぶりに外に出られたんだ。ほう!あいつ、大蛇の姿になったか」
 「ならば、相応の技で歓迎してやろう。術式中断!残存魔力を異式へ転送!」

   そしてその外側では・・・・・・
ようやく立ち上がったラルヴァの周囲に寄ってきた血は、一瞬停滞した後再び動き出した。
彼の周囲に膝までつかる血の池を生み出し、徐々にその径を狭めてより高く深く。
そこに展開されるのは4つのオブジェクト。

彼の背後には地面と垂直に六芒と五芒を主とする魔法陣が一つ。
彼の掲げる右腕の先には、リンゴ程の大きさの正二十面体の黒い塊。
彼の全身を覆うのは、直径6mの赤い円錐。
彼の眼前には、黒い長方形の大きな板のようなもの。

黒い色をしたものは、血が濃密に凝縮したことによって生じているらしい。
他が赤いのは血自体の純粋な色だ。
やがてラルヴァの掲げる正二十面体から細く赤い光が走り、正面の板へ刻み付けられる
そこに描かれるのは複雑な形状をした魔術文字だ。
黒板に、赤く描かれる字。そこにはこう書かれている。

  我 悠久の時に漂う 定命なる者 我は 真なる理を修め 魔の法を司りし者也
  汝 神木を食らいて 地の底に封じられし邪龍よ ・・・・・・

まだ字は描かれ続けている。と同時に、ラルヴァの背後の魔方陣から濃密な魔力があふれ出す。
その向こう側からは、うっすらと瘴気が流れ出し始めた。

29 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/07/27(金) 11:09:00 0
>11
さて。
大口を叩いていたリリアーナは、今日何度目かの危険な状態に陥っていた。
だが生死の境をうろうろしている当人はいたってお気楽である。
現状を自覚していないのだから当然といえば当然だろう。

夢うつつの中、リリアーナはぼんやりと考えていた。
(・・・・・・さっきのロック、すごーく怒ってたわよね・・・)
それはそうだろう。
「杖を探せ」って言い出した人間が舌の根も乾かぬうちに「いつまで探してる」と言ったのだから。

あの時、ロックが杖を得たらいいと思ったのは本当だった。
自分がへまをしたせいで、ロックは大事な武器を手放すことになってしまったからだ。
だがそれも、杖を探していたロックの表情に気づくまでの話だった。
杖を探すロックは、暗い決意に満ちていた。
杖を手に入れたら最後、ロックは手段を選ばない。そんな予感がした。
だから思わず止めてしまったのだ。

(・・・まあいいか〜結果オーライってことで。・・・・・・・・・・あれ?)
そういえば、今の私はここで何をしているのだろう?
確か今は山頂で、マリアベルと戦っていたはずなのに。

>24 >16 >17
一気に現実に引き戻されたのと、アルがカドゥケウスを振ったのはほぼ同時だった。

「痛たたたた・・・」
リリアーナが身じろぎすると、突き刺さっていた針がばらばら抜け落ちた。
「ああ最低。まるでサボテンダーにでもなった気分よ」
まだあちこち血がにじんでいるが、レイラの言う『危険な状態』は去ったようだ。
アルの活躍も知らず、リリアーナは両手で顔を押さえている。
「あー。今すっごく変な夢見てたのよね〜
 学園長先生と教頭先生がカドゥケウスの杖についていろいろ教えてくれるの。
 だけど二人とも、「これは仮の姿、本当はカドゥケウスの蛇だ」なんて言い張るのよね。
 おまけに二人はヘビの着ぐるみ姿だったし私は私でカエルの着ぐるみ姿――――・・・あれ?」
ここでようやくリリアーナは正気づいたようだ。
「何よあれ・・・!!」
視界に飛び込んできたのは、不気味に輝く特大のヘビだった。

アレがいったい誰なのかはわざわざ問う必要など無いだろう。
「・・・・・・もしかしてアルとレイアがここまで運んでくれたの? ありがと。
 それにしてもラル君といいマリアベルといい・・・だんだん人外魔境大バトルと化してきたわね」
冷や汗を流しながら、リリアーナは乾いた笑みを浮かべた。
内心の焦りを誤魔化すためか、いつも以上に饒舌だ。
「あの魔力と障気・・・ 味方のうちは心強いけど、敵に回ったら厄介極まりないわね」
マリアベルも多分同じ事を考えているだろう。
「ところでロックもヘビに変身出来るの?
 私はどっちかっていうとヘビよりバッタ人間のほうが好み――・・・ ロック、どうしたの?!!」
リリアーナは、ロックの様子がおかしいことに気づいた。
ロックは手で両目を押さえていた。彼の手には血がついた針が握られている。
「まさか目が?!ちょ、ちょっとロック手を離して。見せなさいってば!!」
リリアーナは慌ててロックの目から手を引き剥がそうとした。

・・・・・・・・・ちなみにいろいろありすぎて、今の自分の姿に気を回す余裕は無いようだ。

30 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 [sage] 投稿日:2007/07/27(金) 17:00:28 O
>12俺の放った技は見事に命中する。
爆発とともに土埃が舞い、マリアベルの姿は確認する事が出来ない。
「……ハァッ…ハァッ…」
ヤバい、結構疲れたぞ…。
これで生きてたら面倒な事になるな…。
>15いつの間にか俺の肩には一匹の蝙蝠が乗っていた。
疲れた俺を心配してくれてんのか?
可愛い奴め。
>17>「ウォ・ダ・シェンティ・ヘンハオ・ラ!」
マリアベルの声が響き渡りやがった。
やっぱり生きていやがったか…。
>「ははっ、さすがだレイド。よく鍛練されている。すばらしい闇の魔法使いだ。」
うるさいな。
お前に褒められる筋合いはねぇよ。
>「お前の技には…愛もある、哀しみもある。しかし、凌辱が足りない。」
分かった様な口をききやがって……この三流が…。
>「…さて、君が本気を見せてくれた以上、こちらもそれ相応に応えるのが礼儀だ。
 見せてやろう、お遊びはもう無しだ。悪夢を楽しめ。」
お前に礼儀なんてもんがあったとはね、ビックリ仰天だよ。
で…本気ってのが、その姿って訳ね……。
本当に面倒な奴だ…。
つーか俺爬虫類あんまり好きじゃなかったりして…。
「ハァッ……ハァッ…クソッ…。
気色悪い変身なんかしやがって…。」
ちくしょう…目眩してきやがった…。
立っていられない。
俺は地面に片膝を着く。
魔力の使い過ぎかな?
「残りの魔力は多く見積もって約3分の1…。
なかなかのピンチだね、これは。」

>23>25俺が不様な姿を晒している間にもメラルとフリージアはマリアベルと戦っていた。
何をやってんだよ俺は…。
マトモに生徒も守れないで何が教師だ……生徒を守ってやるのが教師の役目だろ?
さっさと動けよ、俺の体。
ここで生徒を守れなかったら一生後悔する事になるんだぞ。
「そんなのは…絶対に勘弁だね。」
俺は誰にも聞こえないようにボソッと呟き、立ち上がった。
「召喚………夜鳴き鴉。」
これで魔力はほぼすっからかんになっちまった。
俺が召喚したのは妖刀と呼ばれる刀だ。

31 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 [sage] 投稿日:2007/07/27(金) 17:01:52 O
この刀は常に紫色の妖気を放ち、血に飢えている為、斬った者の血を吸えば吸うほど切れ味が増す。
この刀に斬れない物はこの世に無いと言われる程切れ味は抜群だが…。
刀を使うにはある事をしなければ使えない。
そのある事とは……敵を斬る前に自分の血液を刀に吸わせなければならない。
その血の量が多ければ多い程、より凶暴に、より切れ味は良くなる。
「コイツだけは使いたくなかったんだけどな……。
ふぅ……」
刀を鞘から抜き、腹部に思いっきり突き刺す。
「ぐっ……痛ぇなこんちくしょう…
これだから嫌なんだよ……さて、存分に吸ったか?」
刀を抜き腹部に残り少ない魔力を使い治癒魔法をかけて、傷口をふさぐ。
刀は紫色の妖気を放ちながらドクドクと心臓の様に脈をうっている。
「我ながら恐ろしい武器を喚んじまったな。
じゃ、行くぞ。」
右手に刀を構え、マリアベルに突進して行く。
「存分に吸って良いぞ。
……まずは…目だ。」
思いっきりジャンプをしながら、マリアベルの右目めがけて刀を突き刺す。

32 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 [sage] 投稿日:2007/07/27(金) 17:52:25 0
自称獣人のアルテリオンはよくよく見ると、なるほど猫耳が頭部についていた。
ピコピコと時折動くその耳は偽者ではないようだ。
「そーなのか」と最初から疑うつもりはないヴァンは一言そう漏らした。
>「自分の名を明かさない輩に教える名などない」
名も名乗らずコウモリを従えて背中にコウモリの翼を持つ不審者に普通は名を明かすわけがない。
にも関わらずなぜ言わないのかと不満そうな顔をする常識はずれの吸血鬼がここにいた。

>「まぁいい…山頂へ連れてけ、今の無礼はそれで許してやる」
「誰が貴様なんぞの命令なぞ聞くか。
 教育がなっとらん親の顔が見てみてみたいわ!」
命令口調で上から物を言うアルテリオンに憤りを感じたヴァンはその申し出を却下した。
人に物を頼むときはまず態度を改めてお願いしますの一言もつけなさいと親に習わなかったのかしら!
と、近所の口が達者なザマスおばさんの如く批判する。

>「不服か?まぁ働き次第じゃ褒美でもくれてやってもいいがな」
きわどい胸の絶対領域が展開している。
曰く、究極の武装。
曰く、永遠の探求。
ヘタレ吸血鬼は世界をみた!


「むぅ…とりあえずこれを着ろ!」
顔を赤らめて帽子を深く被ることにより顔が隠れて表情がみれなくなった。
ヴァンは自らが羽織っていたマントを無理やり纏わせる。
これで強調された胸が隠されて寒さと外の雪は防げる筈だ。
「ここでいつまでもお話をしていても埒があかないか。
 しょうがないけど頂上まで連れてってやる」
コウモリたちがアルテリオンの全身に纏わりついてがっちりと足で掴む。
「雪山から脱出する方法も探さねばならぬからな。
 時間が惜しいのですぐに飛ぶぞ!」
ヴァンは先んじて出口より外へ移動して地を蹴って飛翔した。
導かれるままにアルテリオンは外へ、コウモリたちも一斉に羽ばたくのを開始して大空を飛んだ。
「こう見えても猫には優しいんでな」
口の牙をわざと相手に見えるように妖しく微笑んだ。
雪が視界を拒むがあんな目立つ頂上は他にないため、目標が霞むようなことはなかった。


頂上上空を吸血鬼と獣人は飛んでいる。
「さて…なんだかんだと着いたわけだが、私はここまでだ。
 べ、べつに下の連中にいじめられたから、怖くて下までいけないなんてことはないからね!」
岩の要塞に囲まれた静かな空間はいまや阿鼻叫喚と化している。
そんな中へ危険を冒してまで飛び込む奴の気がしれない、と降下していくアルテリオンを見て思うヴァン。
どうかわが身に不吉なことが起こりませんように「くわばらくわばら」と昔のおまじないを言ってみたりしている。

地に足がつくぐらいの高さになって、コウモリたちはアルテリオンを解放すると一目散に主人のもとを急いだ。

33 名前:マリアベル ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/07/27(金) 20:20:26 O
>>25
メラルを噛み殺さんとマリアベルの顔が素早く彼女に迫る。
>「レオ先生直伝のキックをお食らいなさい!!」
フリージアに頬を蹴られたマリアベルはメラルではなく横の地面に顔をぶつけた。
「そんなもの効くか!」
マリアベルは何もなかったように顔をもち上げた。
マリアベルが顔をぶつけた地面が枯れ葉のような色に変色している。
この事からこの大蛇が牙に毒を仕込んでいるのは明白だ。
「死ね雪女共!」
マリアベルはシャーと唸りをあげフリージアとメラルに毒液を吐きつけた。

>>31
その時マリアベルの右目は迫るレイドを捉えた。
「ぐはっ!?」
レイドの刀はまるでバターを切るように簡単にマリアベルに突き刺さった。
ただし、マリアベルがとっさに頭を動かしたため右目は無事だ。
今、刀は右目の下に刺さっている。ちょうど刀を持ったレイドがよく見える。
「この野郎!!」
マリアベルは頭を激しく振り、レイドを振り払った。二人の距離が離れる。
「味方の攻撃で死ぬがよい!!」
マリアベルが口を大きく開くと、そこから重力砲が放たれた。
先程メラルが放ち、マリアベルが吸収(あるいは保管)した黒天砲だ。

>>24
マリアベルは突然ピタリと動きを止めた。そして、イチイの木をじっと見つめる。
少しの間沈黙したがすぐに歓喜の声をあげた。
「…見つけたー!!」
マリアベルはするすると移動した。
カドゥケウスを持ったミニアルナワーズに向かって…

34 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/07/27(金) 20:58:39 O
>>29
>「まさか目が?!ちょ、ちょっとロック手を離して。見せなさいってば!!」
>リリアーナは慌ててロックの目から手を引き剥がそうとした。
「よせっ!来るな!」
ロックはリリアーナを拒絶するそぶりを見せたがすぐにおとなしくなった。
「…リリアーナなのか?」
ロックはゆっくりと両手を目から離した。
左目は駄目だった。痛々しく血を流し、まぶたを固く閉じている。
右目はどうだろうか?ロックは右のまぶたをパチパチさせた。
刺さっていた筈の針の傷はすっかり無くなっている。
外見の上では右目は回復したようだ。
「リリアーナ、そこに居るのか?」
リリアーナの服は激しく…激しい事になっている。
ロックの目にもそれが入っている筈だが、鼻血を吹き出すような事も、
異性として激しく動揺する事も無かった。
それは、ある残酷な事実を物語っていた。
「リリアーナ、カドゥケウスを使ったな?」
ロックは深刻な顔をした。
「…なら彼が来るぞ。」
その時だった、まさに“彼”が現れたのは。
イチイの木の影から大蛇マリアベルがぬっと現れたのだ。
マリアベルはカドゥケウスの波動を感じとったのだ。
>「まさかお前が持っていたとはな。」
マリアベルはミニアルナワーズを睨みつける。
しかし、ここで視線をロックに移す。
>「おや、ロックそこにいたのか?
 どうした?見えないのか?俺はここだぞ?」
マリアベルは大蛇の姿になってからはテレパシーで会話している。
そのためロックは声の方向からマリアベルを感知する事ができないのだ。
しかし、ロックはある音を敏感に感じとっていた。
細長い物がごうごうと唸りをあげこちらに近づいて来る確かな音を。
>「…考えが浅はかだ、ロック。」
こちらの心を読んだようなマリアベルの発言に、ロックは動揺した。
(まさか、ばれたのか?フォルティシモの事。
 いや、別にばれても良い。フォルティシモ、あの強い箒が来れば、奴とうまく闘える!)
フォルティシモこと、ロックの空飛ぶ箒が上空に現れた。
主人であるロックの姿を確認すると、一直線にそちらへ飛んで来る。
フォルティシモはロックの姿から深刻な状況を理解したのか、ロックを叩く事はしなかった。
「フォルティシモ…我が愛しの強き箒よ、俺の目になってくれ。」
ロックはフォルティシモをがしっと握った。その時だった、悲劇が訪れたのは。
>「ボンバータ!」
マリアベルの永昌、右手に確かに握っていた筈の箒の柄。
それが今粉ごなに砕けてしまった。
「う…うわぁあ!!」
ロックは悲鳴をあげた。フォルティシモはマリアベルの呪文で砕かれてしまったのだ。
ショックで声が出なくなったロックにマリアベルは残酷に言い放つ。
>「残念だったなぁ、たった今お前の唯一の強みは砕け散った。」

35 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/07/28(土) 00:39:38 O
「ふん、話せば分かるじゃないか」
私は奇人が押し付けてきたマントを羽織ったが…まだ寒い。
先ほど脱ぎ捨てた毛皮も上から重ねた。
幾分楽になったところで奇人は行動を起こした。
辺りにいた蝙蝠が一斉に私に襲いかかってくる。
「うわぁ!お礼は体で先払いってことですか!」
誤解し状況が掴めぬまま、私の体は空へ舞い上がった。


フライトの最中、奇人がこっちに話かけてきた。
確かに必死でマントにくるまりながら飛ぶ姿は母猫に運ばれている子猫だった。
「猫に親切ならもっと丁重に扱って欲しいですよ!」
そう皮肉をいって奇人を睨む。
薄々は感じてはいたが、やっぱり吸血鬼だったか
とはいえ、人間として見られてない以上危険はないだろう。

どうやら頂上についたようだ。
ゆっくりと高度が下がっているのがわかった。
「本当にありがとうございました。次に会った時は本当にお礼させてください」
山小屋でのサディスティックな対応を止め、私は尻尾を巻いて逃げる吸血鬼にそう別れを告げ決戦の地に降りた。

36 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/07/28(土) 01:08:34 O
山頂は予想外に暖かったので、貰ったマントは蝙蝠達に預けた。
「さて………アッチか」
空から見下ろした時、大蛇が暴れる姿が見えた方角を睨み、走り出した。
さほどの妨害が無い限り、数十秒で現場につけるだろう。
「誰も………殺させはしない」
大きな爆発が見えた………急がねば…あの時見た夢を護るため

大蛇の姿が見えた瞬間、私は飛び掛かった。
「雷打あああああああキックぅぅぅぅ!」
蹴りはクリティカルヒットしたはずたが、蛇はピンピンしているようだ。
まぁ手応えはこの際どうでもいい。
再登場なのだ。再登場なのだぁ!!!
「幾多の苦難を乗り越え…私!参上!」
ノリに身を任せ、私は叫んだ。
登場シーンが決まった所で、私は大蛇を睨み、そして、微笑みを浮かべる。
「一言言わせてもらう…私の耳は本物だ」
駄目だ。テンションが上がりすぎて本来の目的を忘れている。

37 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/07/28(土) 09:18:01 0
>33
何とかメラルを救えたフリージア
だが打撃攻撃はあまり効かないようだ
鱗が衝撃を吸収したのか?

マリアベルが顔をぶつけた地面の色が妖しく変わったのを見たフリージア
「ま、まさかこれは!?」

>「死ね雪女共!」
飛んでくる毒液
とっさに雪の結晶でガードしなければ
フリージアも毒の影響を受け
青白い顔がもっと青白くなってしまっていただろう
下手をすれば死んでいたかも知れない
「あ、危ないですわね!!」
>31>33
簡単にマリアベルを貫くレイドの刀
「さすがは先生ですわ!」
どうやら斬撃は有効のようだ

そしてマリアベルはレイドに向かって口から重力砲を吐くとどこかへ移動しようとした
あわてて追いかけるフリージア
>24
そこでフリージアはとんでもないものを見た
大きくなったリリアーナである
「・・・・リリアーナさんってお姉さんいましたっけ?」
と・・・リリアーナの変貌ぶりに放心したフリージア
>34
マリアベルと交戦するロック
フォルテシモを折られて大ピンチである
>36
そこに救いの女神が現われた
>「雷打あああああああキックぅぅぅぅ!」
アルテリオンである!

ノリノリでポーズを決めるアルテリオン
今にも電気で動く汽車にでも乗りそうな勢いである
「あ、アルテリオンさん!本物・・・ですわよね」
黒いのに襲われたフリージアは一応確認してみた
「その蛇にはレイド先生の斬撃が良く効きましたわ」
とりあえず弱点ではないかと思われるものをアルテリオンに伝えるフリージアであった

38 名前:ラルヴァ ◆sy1IQNBWp6 [sage] 投稿日:2007/07/28(土) 10:21:48 0
>31>33-36
現在のラルヴァは声が出せないために、文字を刻むことで詠唱の代わりとしているが・・・
しかし、ターゲットのマリアベルはこちらを警戒する余裕はないらしい。好都合。

>「存分に吸って良いぞ。……まずは…目だ。」
>「雷打あああああああキックぅぅぅぅ!」
突然登場した獣人に対して、誰だコイツ?と言いたげな視線を一瞬投げかけるが
とりあえず毒にも薬にもなってなさそうなので放っておくことにした。

黒板にとうとう最後の文字が刻まれる。

 我が血と肉を以って 汝を縛せし鎖より 今一度の解放と自由を与えん
 ならば 汝が我が意に従うは 道理なり! 魔竜招来・咆哮破(エル・ネイダック・ブラム)

すべての文字が刻まれた黒板は砕け散り、その欠片はラルヴァの掲げる正二十面体に吸い込まれる。
背後にある地面と垂直な魔方陣がゆっくりと前に進み出、その中心点へと彼は漆黒の正多面体を投げ込んだ。

魔方陣から多量の瘴気をまとって現れたのは、巨大な龍の頭!
直径6m程の魔方陣をもってしても頭しか出てきていない。
>「味方の攻撃で死ぬがよい!!」
マリアベルが口を開けたのと、召喚された龍が息を大きく吸い込んだのがほぼ同時。
そこから放たれる黒天砲へと、邪龍は衝撃波を伴う咆哮を解き放った!

咆哮は多量の瘴気と魔力を纏うことで、真空の砲弾と化して黒天砲へと突き進む!
さらに、その咆哮に付き従うようにマリアベルの周囲の大地がめいめい巨大な槍と化して突き上げる!
その魔法を解き放ったと同時にラルヴァを囲う赤い円錐は中が見えないほどの真紅に染まった。

39 名前:ユユ ◆LZfunhEVsc [sage] 投稿日:2007/07/28(土) 11:16:34 O
>33 etc

蛇か。なんだ蛇か。
めまぐるしく変わる状況の中、オレが知らなくてはいけないのはそれだけ。誰かが援軍に来たって知った事か。
予定とは少し違うが、アルナワーズ嬢が巧い事蛇を引き付けてる。
頂きだ。
「上手く避けろよ!」
そう、前置きして矢を上空に放つ。そう、これで良い。
そして素早く二の矢をつがえる。タイミングが命の技だから、しくじれない。
そこか?いや、もう少し…………

ここ!
二の矢をさっき放った矢に当てる。場所は丁度蛇とアルナワーズ嬢の真上付近。
「………爆ぜろ」
ボソリと呟く。この言葉に意味は無い。言わば癖みたいなモノ。
が、最初の矢は見事に百幾十の矢に別れた。
まるで弓兵隊の斉射のお手本の様な矢の雨。
実際に標的に当たるのは2割も無いだろう。
しかし、この矢の雨は相手の心を折る。よしんば傷が浅くともくすぶる恐怖心はもう抑えられない。


………あれ?アルナワーズ嬢が近くに居たんだっけか?
まぁ、上手く逃げるでしょ。蛇を盾にするとかさ。
……はい、スイマセン。アルナワーズ嬢の事を忘れてました。一つの事に集中すると周りが見えなくなってしまうのは悪い癖です!

って何を心中で懺悔してんだ、オレ………

40 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg [sage] 投稿日:2007/07/29(日) 01:23:31 0
マリアベルの巨体がうねり、イチイの木に向かってくる。
死角になっていたはずだが、強力なマジックアイテムを使えばそういうこともあるだろう。
覚悟はしていたものの、流石にメラル・フリージア・レイド・ラルヴァとの戦いを目の当たりにしているのだ。
>「まさかお前が持っていたとはな。」
マリアベルに睨み付けられれば蛇に睨まれた蛙状態。
いつもならなんらか話して煙に巻くところなのだが、生憎その準備はできていない。
何の準備もなしに出なければならなかったから。

顔を引きつらせながらフェイドアウトしようと微妙に動いていると、マリアベルはロックの企みを阻止すべく動く。
あっという間に回り込み、ロックが手に取った魔法の箒フォルテッシモを砕いてしまったのだ。

それはそれで衝撃的な出来事だが、ミニアルナワーズにとってはその結果より過程の方が衝撃的だった。
徐々に距離をとり、注意がロックに逸れたにも拘らず逃げられなかった。
マリアベルが回り込んだ軌道はミニアルナワーズの逃走経路としっかり重なっていたからだ。
偶然にも回り込まれた状態になり、逃げ場を失うミニアルナワーズ。

しかし不運があれば幸運もあり。
あたふたするミニアルナワーズには救いの女神に見えただろうか。
空から降ってきたアルテリオン(?)が飛び蹴りをくれながら登場してくれたのだ。
が、あまりダメージがない様子。
「ああん。蛇は鱗とフォルム、それに何よりも柔軟な筋肉が打撃を無効にさせちゃうのよ〜。」
せっかく登場してくれたが、マリアベルはけろりとしており下手に動けば襲ってきそうな状態には変わりない。
もどかしげに原因を叫んでいると、打開策をフリージアが叫んでくれた。

これで何とか事態は好転?
しかし幸運あれば不運もあり。
まさに禍福は糾える縄の如し。
アルテリオンの次は百以上の矢の雨!
思念体であるミニアルナワーズは物理攻撃は無効だが、魔力付与をされている武器ならば話は別になる。

刹那の間に上を見、右を見、左を見、前を見る。
もはや逃げ道はなし!
このまま貫かれるか、マリアベルの牙にかかるか。
座して死を待つより死中に活あり。
ミニアルナワーズが嫌いな言葉だ。
そもそも死地に身を置く事自体愚の骨頂なのに、今その愚の頂点にいる。

「ユユ〜〜!この貸しの返済計画はきっちり話し合うわよ〜!」
あらゆる状況データを即座に組み合わせ、はじき出された結論に呪いの言葉の一つや二つは出るというものだ。

泣き笑いしながら飛び込むはマリアベルの元。
寄らば大樹の陰だが、この場合寄らば大蛇の陰だ。

全力で飛び、マリアベルの元へ滑り込む。
眼を瞑り、身を硬くするが衝撃はやってこなかった。
その代わり妙に生暖かいクッションに包まれたような・・・。
間一髪で矢の雨から逃れたのだが、ミニアルナワーズの滑り込んだその先はマリアベルの巨大な口の中。

その状態に気付いた時にはカドゥケウスの杖を持ったまま、ミニアルナワーズはマリアベルの喉に滑り落ち、飲み込まれてしまった。

41 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/07/29(日) 01:49:35 0
>「リリアーナ、そこに居るのか?」 
リリアーナはとっさに言葉が出なかった。
ロックは何も見えていないのだ。

>「リリアーナ、カドゥケウスを使ったな?」 
ロックの予告どおり、イチイの木の影からマリアベルが現れた。
その後を追いかけてきたフリージアが、リリアーナの姿を見て絶句している。
「・・・・リリアーナさんってお姉さんいましたっけ?」 
リリアーナは訳がわからないという顔をし、自分の姿に目を向けた。
「キャ――!! なんで服が?!・・・はっ!まさか針攻撃のせい?!」
リリアーナは慌てて身なりを整えた。
ズボンに関しては手の施しようが無かったので、上着を腰に巻くことにする。
あまりに焦ったので、フリージアが驚いた真の理由には気づかなかった。

マリアベルは視力の回復していないロックをあざ笑った後、彼の大切なフォルティシモを攻撃した。
止める暇も無かった。
>「う…うわぁあ!!」 
>ロックは悲鳴をあげた。フォルティシモはマリアベルの呪文で砕かれてしまったのだ。 
>「残念だったなぁ、たった今お前の唯一の強みは砕け散った。」 

リリアーナは震える手で箒の残骸を拾った。
そう、動揺してる暇なんか無い。
マリアベルの隙を突き、視力を失っているロックを安全な場所まで移動さなくては。
>「ロック。私達魔法使いにもっとも必要なものは何?」
これはアルに諭された言葉であり、学園に入って一番最初に教えられる言葉でもある。
リリアーナはロックの手をぎゅっと握り締め、『合図したら走って』と耳打ちする。

「唯一の強みが砕け散ったですって? それ本気で言ってる?
 ロックの強みだったら、ここに何人もいるじゃないの!」
>「雷打あああああああキックぅぅぅぅ!」 
―――― 今だ!
「走って!!」
リリアーナはロックの手を引いて走り出した。
同時にキサラもレイアを安全な場所へと避難させている。
当然アルは置き去りだ。(ロックの目が見えなくて好都合だった)
別にあんなことやこんなことの恨みがあるわけではない。
リリアーナなりの思惑があったせいだ。

「ロック、何でフリージアや私がこんなところまで来たと思う?」
息を弾ませながらリリアーナが叫んだ。
「女の子は守るってロックの信念は立派だと思うわ。
 だけど私たちはただの女の子じゃないの、魔法少女でロックの友達よ!
 だから・・・その・・・少しくらいは頼りなさいよね!」

だがユユの攻撃を受けたとき、こともあろうにアルはフリージアでなくマリアベルの元へと。
正直殺意が沸いた。
リリアーナはこわばった顔のまま左手をかざした。
夢に現れた『カドゥケウスの蛇』の言葉が真実なら、本当に杖に選ばれたのなら出来るはずだ。
『来たれ、カドゥケウス!!』

42 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/07/29(日) 09:44:11 0
>39-41
リリアーナは自分の肉体の変化に気が付いていないようだ
だがフリージアはその反応から
この大人の女性がリリアーナ本人であることに気が付いた
「・・・・不憫ですわ」
主に胸あたりがである
後でリリアーナにバストアップ体操を教えようと心に誓った

>「女の子は守るってロックの信念は立派だと思うわ。
>だけど私たちはただの女の子じゃないの、魔法少女でロックの友達よ!
>だから・・・その・・・少しくらいは頼りなさいよね!」

>「そうですわ!リリアーナさん・・・ですわよねやっぱり(ぼそり)
  の言うとおりですわ!!」

すばらしきかな友情!!
その友情のために私ことフリージアはここまで来たのだ!
たとえ男女の違いがあっても友情に変わりはない
・・・・リリアーナさんがロックさんに抱いている感情が本当に友情かはわからないですけどね

空から飛んでくる数百の矢
「もうちょっと味方の位置を把握して撃ちなさいな!!」
ユユに抗議するフリージア
危ないったりゃありゃしない
もう少しマリアベルに近かったら自分にも当たっていたところだ
実際問題アルナワーズが巻き込まれたようで・・・
>「ユユ〜〜!この貸しの返済計画はきっちり話し合うわよ〜!」
矢を避けようとマリアベルの元に・・・・口の中に逃げ込んだ

「・・・・って自分から食べられてどうするのよ!!」
もしかして一寸法師作戦?
とも思ったりしたがどうやら本当にミスったようだ
しかも彼女は大切なカドゥケウスの杖を持ったままだ
それがマリアベルに飲まれたということは・・・
マリアベルにカドゥケウスの杖を取られたということだ!!
「ピ、ピンチですわぁ!!」

>『来たれ、カドゥケウス!!』
カドゥケウスの杖を呼ぶリリアーナ
はたして杖は来るのであろうか?

43 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/07/29(日) 10:00:53 O
少々冷めたリアクションだったので異様な感情は急激に静まる。
「本物?何寝ぼけたことをいっているのですか?」
私は不思議そうな顔をしながらフリージアにそういった。
覚えていないのだ。
自分という存在が3つに分かれ、そして、一つ欠けた状態で戻ったことも
その後の暴走も…一切の記憶がなくなっていたのだ。
「まぁそんなことはどうでもいいんですよ。」
そうフリージアに告げながら、私は今にでも消し炭の用に崩れそうな狂影に手にする。
否、それは狂影という刀ではない。
私にはそれがわかった。
いつの間にか帯びていた刀なのに、今こうして触れた瞬間、吐き気を感じる程の違和感を覚えたからだ。
そう、これは『刀』として存在しているが此が本物の姿ではない。
いや、コレにはオリジナルの姿など存在しない。
「そろそろ私に合わせてもらえませんか?」
まるで仕立て屋に頼むが如く、私はそれに言った。

概念武装『無形の刀剣』
決められた形を持たず、持ち主に適合するように己が身を変える。
代々カタストロフに伝えられるハズのそれはある代でその姿を消した。
一度他人の手にそれが渡った時点で探すのは不可能に近い。

44 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/07/29(日) 11:07:53 O
長い輪廻の果てに遂に正統な持ち主に正統な持ち主の手に戻った。

無形の刀剣はまるで鳥獣類が産まれるが如く古い己の姿を崩し、その下から新しい己の姿を表す。
質量保存の法則など犬に喰わせろと言わんばかりに新しい姿は巨大な剣になると予測させる。
だが、アクシデントは無形の刀剣の変化を待たない。
いきなり注ぐ矢の雨、常人なられ恐怖するだろう。
たが、私は違う。
今まで嫌に成る程、この光景を目にした。
私だけなら、どうにかなるが…
リリアーナさん達はなんとか逃げているようだが…レイド卿が逃げ切れていない。
「全くどこの弓兵だ!素人丸出しじゃないですか」
この雨を降らせた奴に腹を立てながら、私はレイド卿の側へより、毛皮と変化が終わってない剣で矢を叩き落とした。
「レイド卿…大丈夫じゃないですね。ここは私に任せて下さい。」
レイド卿に背中を向けたまま、そう言った。
無形の刀剣の変化も終わった。
手にしている剣の名前を私は知っている。

竜殺剣バルムンク
北欧神話でジークフリートなる王が振るった一本だ。
無形の刀剣は持ち主に力さえあれば、神話上の武器ですら模範してしまう予想外に凄い武器だったことに驚いた。
「王立図書館で読んだ代物を手に出来るなんて…感動です」
まじまじとバルムンクを眺め、私は大蛇を改めて睨んだ。
「私が生きていた時代ですらドラゴンは空想の生物ですが………馬鹿デカイ蛇ぐらいなら三枚に下ろせますね」

45 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M [sage] 投稿日:2007/07/29(日) 12:57:21 0
マリアベルはあっさり重力砲を飲み込んでしまうが、陽動としての効果は十分だったようで、
マリアベルに多少のダメージを与える事はできたようだ。
(やっぱりアレは当たらなかったわね…。多分フリージアのアレの場合はゲートで
受け流されかねないけど…。でも、流石に…絶対零度は効果があるようね。
…なっ…予想以上に…!)
しかし、メラルはマリアベルの考えているであろう潜り込み対策を見誤っていた。
メラルの想定していたのは、自分の体を中心とした短射程全方位攻撃であり、
それに対抗する術は用意されていた。しかし、マリアベルの攻撃は単純な物理攻撃。
元々背に用意していた斥力球を動かし、防御はするものの…マリアベルの圧倒的な力で
斥力球ごとボロ屑のように吹き飛ばされ、斥力球で多少の調整はしたものの
衝撃緩和で精一杯で姿勢制御まではいかず、背から地面に落ちた。
そこにマリアベルの口が迫ってくる。メラルは、術を解除して
空いた手で左目を押さえようとし…直後、即座に手を目から離した。
フリージアの援護でマリアベルの攻撃がそれたからだ。
メラルはすぐに飛び起き、マリアベルに向き直ってからフリージアに言った。
「ありがと。…助かったわ。」

マリアベルは即座に次の攻撃を仕掛けてくる。が、メラルの眼前に
氷の壁がせり出し、それはメラルに届く事はなかった。
あの状態から牽制はあってしかるべきだと思っていたようだ。
が…マリアベルは、メラルの先程の攻撃を保管していたようで、
マリアベルに一撃を入れたものの振り払われてしまったレイドに対し、
重力砲を放つと、アル達の方に向かっていってしまった。
途中アルテリオン先生が援護に来てくれたようでもある。
「…レイド先生!」
メラルはレイドの側を見て、声を上げた。

>「上手く避けろよ!」
ユユの声に、そちらを見る。…と、一見理想的な。
しかし味方を巻き込む洒落にならない位置へ矢の雨を降らせていた。
(…人間相手の時に考えた手法を、無理やり使った…?
いずれにせよ、あの吸収再利用がある以上普通の射撃攻撃は
危険すぎるわね。なら…失敗したのを除けば現実的なのは…
この杖で出来るか不安だけど…ロックにしろリリアーナにしろ…
状況はかなりまずいわね…。今まで大技ばっかりだった上更にこれだし、
残りの魔力の大半を使う事になるけど…使う機会はここしかない…!)
「二重積層術式…展開…。」
メラルが術の詠唱をし始める。…と、少しして杖の先に光が現れた。
それを用い、メラルが立体的な魔法陣を描き始める。他の状況からも、
マリアベルの意識はそちらに向いたままであろうと推測し、更に強力な術を準備しているようだ。


46 名前:マリアベル ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/07/29(日) 15:13:19 O
>>39
上空から大量の矢が降り注いできたが、マリアベルは何もしなかった。
やろうと思えば、先程レイドの弾丸を止めたようにディ・ベクトルの呪文で防げる。
しかし、あえて何もしないのは、きっと周りの奴らも巻き添えになると考えたからだ。
ただの矢ごときならこの堅い鱗で弾かれる。
マリアベルがそう判断した通りユユの矢は彼の鱗を突き通すことはなかった。
…ある例外を除いて。
「…痛っ!?」
マリアベルの体の一部だけに何故か何本か矢が刺さっていた。
誤算だった。そこはメラルがクイーンズ・ハンドで攻撃したため、鱗が薄くなっていたのだ。

>>40
しかし、思わぬ幸運も転がりこんできた。
カドゥケウスが(厳密にはそれを持ったミニアルナワーズが)自ら口の中に転がりこんできたのだ。
マリアベルがこんなチャンスを逃す筈がない。間発入れずにそれを飲み込んだ。
マリアベルが高らかに笑い、時の声をあげる。
「はははっ!やったぞ!
 ついにカドゥケウスを手に入れた!」
しかし、幸せは長くは続かない。

>>41
>リリアーナはこわばった顔のまま左手をかざした。
すると、急にマリアベルの体が浮き上がった。そして急発進!
「でえぇええぇぇ〜!?」
マリアベルは(本人の意思に関係なく)リリアーナに突進した。


47 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 [sage] 投稿日:2007/07/29(日) 21:50:03 O
>33>「ぐはっ!?」
「ちっ…。」
刺さるには刺さったが…これじゃ致命傷は与えられないな。
>「この野郎!!」
「うおっ!」
マリアベルが激しく頭を振った為、俺は吹き飛ばされてしまった。
刀は右手にしっかりと握っている。
>「味方の攻撃で死ぬがよい!!」
マリアベルが大きく口を開けるとメラルの黒天砲が放たれた。
>45>「…レイド先生!」
大丈夫だ、メラル。
俺にはとっておきの技がある。
「そーらよっ!!」
俺は黒天砲が放たれた瞬間に刀を大きく縦に振り下ろした。
刀から紫色の衝撃破が放たれ、黒天砲を相殺する。
>39「ふぅ…ちょっと焦った。
あの野r…!
あらら〜…今日の天気は天気予報士じゃ予測出来ないだろうな〜。
なんてったって矢の雨だもんな〜。
ど〜しよ…。」
上空には無数の矢が降り注いで来るのが見えた。
と、そこへ救世主が現れた。
>44>「レイド卿…大丈夫じゃないですね。ここは私に任せて下さい。」
アルテリオンは矢を叩き落としてくれた。
グッジョブ。
そしてナイス猫耳。
「助かったよ、アル。
サンキューな。」
さて、猫耳と乳も拝んだ事だし、もう少し頑張ろうかな。

48 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/07/30(月) 00:22:36 O
「…これが…魔法」
………ついていけない……
魔法が使えない僕は…まったくの………無力…



カプセルから出たキサラは、マリアベルと戦う一行をすこし離れた場所から傍観していた


初めは自分も何かできると思っていた
魔法なんかなくても戦えると思っていた
皆の力になれると―――思っていた
だが現実はどうだ
アイツの言葉一つで……僕は殺されるかもしれない
そんな戦いの中に……何故入っていけようか?
「……僕は…なんて……無力……」
時折吹き付ける風に髪をなびかせながら、
彼はただただその戦いを見ていることしかできなかった――――

49 名前:ラルヴァ ◆sy1IQNBWp6 [sage] 投稿日:2007/07/30(月) 08:59:29 0
状況がめまぐるしく動くなかで、ラルヴァは眼を閉じて意識を集中していた。
幸い、マリアベルに向けて放たれた矢の雨の射程の外にあるようだ。
マリアベルはリリアーナへ向かって突進していく。このままマリアベルに向かって魔法を放てば
場合によってはリリアーナをも巻き込むかもしれないというのに、ラルヴァは止まらない。

黒い正多面体から放たれる赤光は続き、黒板にとうとう最後の文字が刻まれる。

 我が血と肉を以って 汝を縛せし鎖より 今一度の解放と自由を与えん
 ならば 汝が我が意に従うは 道理なり! 砕け、その穢れたる牙と吐息を以ってして
 魔竜招来・咆哮破(エル・ネイダック・ブラム)

すべての文字が刻まれた黒板は砕け散り、その欠片はラルヴァの掲げる正二十面体に吸い込まれる。
背後にある地面と垂直な魔方陣がゆっくりと前に進み出、その中心点へと彼は漆黒の正多面体を投げ込んだ。
魔方陣からゆっくりと、大量の瘴気をまとって龍の頭が現れる。
魔方陣すべてを使っても頭しか現せないほどの巨龍の頭だ。

【みんな・・・!みんな避けてーーーーーーーー!!!!!】
その場にいたマリアベル以外の全員に、ラルヴァの悲痛な叫びがテレパシーと化して伝わる。
切実でかなりあせったような声だ。

ゆっくりと顎を開く巨龍は、瘴気と魔力を纏う暴力的な咆哮を放つ!
さらに、その咆哮に付き従うようにマリアベルの周囲の大地がめいめい巨大な槍と化して突き上げる!
その魔法を解き放ったと同時にラルヴァを囲う赤い円錐は中が見えないほどの真紅に染まった。

50 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/07/30(月) 12:18:04 O
引きずられるようにリリアーナらに突進する大蛇を私は長い目で見ることは出来なかった。
「私なんて…眼中にないってことかぁぁああ!」
アイアスとの一戦でどうやら怒りっぽくなっているようだ。
激昂した私はバルムンクを振り上げ、大蛇を猛追する。

だが、一瞬頭の中で誰かが警告した。
私は足を止めた。
その時だった。背後から地獄の業火にも似た閃光が迫っていたことを
弾く?酔狂にもほどがある。
避ける?巨大過ぎるし、リリアーナさん達も危うい。
一気に絶望的な状況に叩き落とされても打破しようと思考を巡らせるが…この巨大過ぎる閃光には無駄な行動になる。
だが、体は勝手に動く、まるでこの状況を打破する術を持っているかのようだ。
毛皮を裏返し、裏面にある魔方陣を露にする。
そして、私はバルムンクで手のひらを傷つけ、血塗れの拳を魔方陣に叩きつける。
その時、私の体は何か巨大なものに引っ張られた。

51 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/07/30(月) 12:45:20 O
白い巨大な影がリリアーナらを拐う。
その疾走する影はリリアーナらを安全な場所へ避難させると、その姿を表した。
それは白いサーベルタイガー……いや、猫だった。

私が気が付いた時、私はそれに跨がっていた。
「……………これは………三尾の剣猫」
私は驚きのあまり身震いする。
三尾の剣猫………元々カタストロフ家は人間の家系だった。
しかし、初代カタストロフ公の愛娘が三尾の剣猫の子を孕み、初代カタストロフ公はこれに激怒して
三尾の剣猫を殺した。その恨みが呪いとなりカタストロフ家は猫科獣人の家系になったと言われる。
だが、その忌み嫌われた剣猫を駆り、武勲を立てた者がいた。
そう…アイアス・カタストロフである。

「………いや!そんなことはどうでもいいんです!」
直ぐにリリアーナ達の無事を確認し、振り返った
大蛇………そして、あの絶望的な閃光を放ったやつを確認しなければ落ち着けない。

52 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/07/30(月) 15:16:03 0
>43>46>51
>「でえぇええぇぇ〜!?」
突っ込んでくる巨大な蛇!!
>【みんな・・・!みんな避けてーーーーーーーー!!!!!】
そして迫り来る恐ろしい魔力を秘めた攻撃魔法
絶体絶命のピ〜ンチ!?

と思われたその時である
救いの神!いや猫が現われた!!

「ね、猫ちゃんですわv」
その姿にふにゃふにゃになるフリージア
本当に猫が大好きなようである

早速なつかせるために胸の谷間からまたたびを取り出そうとするフリージア
だが今はそれどころではないと思い直し
「猫ちゃんのやわらかい感触を堪能する前にあれを何とかしなくちゃいけませんわ」
とビシっ!とマリアベルを指差した
だが目は猫のほうをちらちら見ているので
まったく迫力がない

さっきのメラルさんの魔法は吸い込まれ吐き出された
もしかしたらこの魔法も吸い込まれてしまうかも知れない
だが吸い込むためには口を開かねばならないはずだ
口を開かなければ攻撃は命中するだろうし
吸い込もうと口を開けば杖とアルナワーズは脱出できるはずである・・・多分

「ギズモちゃん!あなたの魔力借りますわよ!!」
「ワカッタ」
「凍結のフリージア!最大の奥義!!フリィィィジング!ディストラクショォォォォン!!」
発射される壮大な魔力の冷気!

魔力の消費で無理なダイエットをしたように痩せていくギズモ
「ちょ!ちょっと!大丈夫なの?」
「ダイジョウブ ガンバル」

いきなり最大奥義は無理があっただろうか?
なにはともあれ魔法は発射されたのだ



53 名前:マリアベル ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/07/30(月) 20:36:32 O
>>49
体が勝手にリリアーナに引き寄せられるマリアベル。
そこにラルヴァの魔法が炸裂する。
マリアベルは口を開けようとしたが、何故か閉じてしまった。
「プロテゴ!!」
マリアベルは魔法障壁を展開した。
バリアとは性質がやや異なる魔法だ。
瘴気と魔力を纏う龍の咆吼がその障壁に阻まれ止まる。
しかし、プロテゴのエネルギーではそれを止めておくのが精一杯。
次に襲いかかる大地の槍は防げなかった。
バリバリという音を立てながらマリアベルはそれをもろに受けた。
堅い鱗に阻まれ砕けた槍もあれば、鱗の境目を突いてうまく刺さったものもある。
いずれにせよ、マリアベルは動きを封じられてしまった。

>>52
>「凍結のフリージア!最大の奥義!!フリィィィジング!ディストラクショォォォォン!!」
>発射される壮大な魔力の冷気!
それを避ける能力は今のマリアベルに無かった。

マリアベルは真っ白に燃え尽きた…

いや、失礼。間違えた。

マリアベルは真っ白に氷ついた。

プロテゴのエネルギーが消失し、止められていた龍の咆吼が解き放たれた。
その膨大な魔力は、氷ついたマリアベルをコッパミジンという表現が生ぬるいほど細かく砕き、
そこにあったマリアベルの肉体は跡形もなく消えてしまった。


54 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/07/30(月) 21:08:13 0
>46
カドゥケウスを呼び寄せたリリアーナの目の前で、信じられないことが起きた。
マリアベルの巨体が浮き上がったかと思うと、自分の方に向かって猛スピードで突進してきたのだ。
どうやらカドゥケウスを飲み込んだマリアベルごと呼び寄せてしまったらしい。このままでは潰される。

>49
>【みんな・・・!みんな避けてーーーーーーーー!!!!!】 
リリアーナは振り向き、顔を引きつらせた。
いつのまにかラルヴァが描いた魔方陣からは、障気を放つ巨龍の頭が出現していた。
あまりの大きさに、大蛇のマリアベルすら小さく見えてしまう程だ。
>その場にいたマリアベル以外の全員に、ラルヴァの悲痛な叫びがテレパシーと化して伝わる。
(逃げろといわれたって・・・どこへ逃げればいいのよ?!)
ラルヴァの召喚した巨龍の標的は、リリアーナを追いかけてくるのだ。
それ以前にマリアベルに追いつかれたら巨体で圧し潰されてしまう。
自分の迂闊さで自分が死ぬのはしょうがないが、誰かを巻き添えにするのはごめんだ。
一瞬の逡巡の後、リリアーナは小脇に抱えていた箒の穂をロックの胸に押し付けた。
「ロックごめん!」
フォルティシモを抱えたロックを渾身の力で突き飛ばし、少しでも皆から距離を取るべく必死で走った。

>ゆっくりと顎を開く巨龍は、瘴気と魔力を纏う暴力的な咆哮を放つ! 
ざんねん! リリアーナの ぼうけんは ここで おわってしまった
―――と思った刹那、救いの神ならぬ猫が現れた。アルテリオンの使い魔のようだった。

>51-52
リリアーナは子猫よろしく猫に襟首を咥えられていた。
リリアーナは脱力しつつも、一緒に回収されたロックをちらっと盗み見た。
あんなに距離を取ったつもりだったのに、魔猫にとっては殆ど意味が無かったようだ。
>「猫ちゃんのやわらかい感触を堪能する前にあれを何とかしなくちゃいけませんわ」 
「フリージア・・・どこ向いて叫んでるのよ・・・」
あの猫好きは今に身を滅ぼすに違いない。
だが悲しいかな、あの暴走ラブラブっぷりは例え神といえども止められそうにない。

「アルテリオンさん有難うございました! 助けていただいたのは今日で二度目ですね。
 例の黒い偽者はどうなりましたか?」
アルテリオンさんは訳がわからないという顔をした。
リリアーナは、助けてもらったとき自分がロックに化けていたせいだと受け取ったようだ。
今のアルテリオンさんはいつもどおりの彼女だった。
鎧は形を変えているようだが、いちいち細かいことを気にするのは止めた。

巨龍を確認するアルテリオンを尻目に、リリアーナはフリージアの元へと急いだ。
走りながらアベコベールを一気に飲み干す
とにかくアルとカドゥケウスを回収しなければ話にならない。
場合によってはマリアベルの口へと飛び込む覚悟があった。

カドゥケウスが異空間でなく、マリアベルの体内に保管されているのは確かだった。
(杖を召喚したとき、マリアベルの体ごと引き寄せられた事実がそのことを証明している)
今から思えば、雪山でキサラやラルヴァを全快させたのはカドゥケウスの威力なのだろう。
だがアルがカドゥケウスを使ったとき、なぜか全快はしなかった。
このことに関してはいくつも原因が考えられる。だがこの際真実はどうでもいい。
要は、マリアベルがリリアーナのはったりを信じるか否かだった。
「残念だったわねマリアベル。カドゥケウスの所有者は私。
 だから私が生きている限り、杖は貴方のものにはならないわ!」

>「凍結のフリージア!最大の奥義!!フリィィィジング!ディストラクショォォォォン!!」 
マリアベルの防御を突き破り、フリージアとラルヴァの攻撃が巨大な蛇を捕らえた。
『来たれ、カドゥケウス!』
大蛇の体が砕け散った瞬間、リリアーナは間髪いれずにカドゥケウスを召喚した。
マリアベルの生死は不明だし、カドゥケウスが無事かどうかも分からない。
だが、マリアベルを出し抜くには今を置いて他に無い。
「アル、消滅してないのならさっさと姿を見せなさい!」

55 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg [sage] 投稿日:2007/07/30(月) 21:15:05 0
凄まじい魔力の奔流と轟音。
それぞれの最大級の術が炸裂し、マリアベルは跡形もなく消え去った。
何もなくなったその場所で、小さく声がする。
「魔力枯渇していると思ったらみんな結構元気じゃな〜い〜。」
その声はだんだん大きくなって・・・いや、だんだん近づいてきたのだ。

ひゅ〜〜〜〜・・・トスッ

マリアベルのいた場所に落ちてきたのはカドゥケウスの杖。
まるで墓標のように突き立っている。
そしてその杖の先には目を回したミニアルナワーズがしがみついていた。

「生きてるって、す・て・き・・・
リリィ、もう少し優しくしてくれても罰は当たらないと思うの〜。」」
直接晒されてはいないが、マリアベルの体内であの攻撃を体験したのだ。
生を実感してしまうのも無理ないだろう。
そんなミニアルナワーズに叱責するような口調で呼ぶリリアーナに恨めしそうに文句をつけるが・・・
くったりと杖の飾りに絡みつくように身を持たせ、暫く動けそうになかった。

56 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 [sage] 投稿日:2007/07/30(月) 21:54:48 O
>49>【みんな・・・!みんな避けてーーーーーーーー!!!!!】
マリアベルを追いかけようとした直後、頭の中に聞いた事のある声が響く。
「へ?」
次の瞬間、瘴気を纏った咆吼がマリアベルに向けて放たれる。
>53マリアベルは魔法障壁を展開するが、大地からの槍は防げなかったみたいだ。
>52身動きのとれないマリアベルにフリージアが追撃をする。
マリアベルはフリージアの攻撃によって氷漬けになった挙句、先ほどの咆吼によってこの世から跡形も残さずに消えてしまった。
ご愁傷様です…
「ヒュ〜。やるぅ〜。
完全に消滅しちまったね〜…。
せっかく無理して召喚したのに出番無しかよ〜…。」
まあ、出番が少ない事に超した事は無いがね…。
俺ももう歳だしさ。
そろそろ身を固めないとなあ…。
先生の中でも9割くらいは既婚でさ〜、なんだか俺だけ取り残されそうな予感…。

57 名前:ユユ ◆LZfunhEVsc [sage] 投稿日:2007/07/30(月) 22:22:52 O
>44 etc

「全くどこの弓兵だ!素人丸出しじゃないですか」
ヘイヘイ、素人ですよ。だからガッコにいるんすよ。サーセン。
実際大して矢も通ならかったし、氷漬けになって霧散したし、オレあんまり存在意義の無い要らない子じゃないか。
やはりマジックに武器は勝てないのか。ハイハイ、魔法万歳、魔法万歳。(激棒読み)
自分でも腐ってるのが自覚出来る位の腐りよう。今ならノリで味方を誤射して射殺しても笑って誤魔化せる気がする。
それはマズイ。………けどせめて肉片でも有ればメタメタにして暴れられたのに。
………あぁ、忘れてた。
「アルナワーズ嬢。生きてるって良いだろ?」
今のオレは超絶に不機嫌。気分の波が激しいのは如何なものか。
願わくば顔に不機嫌さが出てません様に。
だから魔法も、魔法使いも嫌いだ。

「…………で、どうやったら学校は元に戻るんだよ………」
なんとなく呟いたけど、これが一番重要じゃないか?

58 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M [sage] 投稿日:2007/07/31(火) 09:49:29 0
メラルは、魔法陣を書き進めながらもしっかり状況は確認していた。
マリアベルがリリアーナの方に引き寄せられるのも。レイド先生が
紫色の衝撃波で重力砲を迎撃したのも。
(先生は無事だったみたいね…。…この機会に、しっかりと詠唱を済ませて…)
そして、メラルは更に魔法陣を書き進めながら詠唱も続けた。

魔法陣自体は完成し、メラルを全方位取り巻くようにして光る文字が浮遊している。
それが、メラルの杖の先に集束し始め、ついには野球ボール大にまで小型化した。
しかし…メラルの詠唱が止まる気配は…全くない。…が、そこに思わぬ横槍が入った。
>【みんな・・・!みんな避けてーーーーーーーー!!!!!】
(…逃げる…?…まさか!まだ詠唱は半分だって終わっちゃいないのに…。)
そして、ラルヴァの方を見る。すると…巨大な龍が巨大な閃光を放つ。
とてもじゃないがよけられるような代物ではない。
(…詠唱中断…しても、別の術なんて唱えたらこの術が暴走する…。
目なんて持っての外…。もう、万策尽き…え?)
唐突に猫に助けだされ、射線外に連れ出された。その課程で実は詠唱途中だった中途半端な
術が強制解除され、残留魔力が暴走を起こしかけていたのだが…ラルヴァの放った
圧倒的な術によりその魔力が全て押し流された為、暴走は起こらなかった。
「…助かった…みたいね。」
またたびを取り出そうとしていたフリージアを半目で見つつ呟いた。

マリアベルは相手の魔力を抑え、串刺しにされ…そこを、フリージアの
奥義で粉々にされた。しかし、メラルには違和感しか残らなかった。
その違和感の理由を考えていると、ユユの言葉が聞こえた。
>「…………で、どうやったら学校は元に戻るんだよ………」
(…どうやったら学校は元に戻る…?…あ…。)
>「マリアベルが死ねば、この塔は魔力を失い崩れ去る。
> 呪いを受けた先生達も助かるかもしれない。
ロックの言葉である。しかし…塔が崩れる予兆はまだない。
メラルは、唐突に呟いた。
「そもそも…ユユ。私達、マリアベルを本当に倒せたのかしら?」

59 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y [sage『ロック、リリアーナにセクハラする』の巻] 投稿日:2007/07/31(火) 21:06:23 O
>>54
>「アルテリオンさん有難うございました! 助けていただいたのは今日で二度目ですね。」
「リリアーナ、アルテリオンさんが居るのか?」
ロックは即座に立ち上がり言った。
「アルテリオンさん、ご無事で何よりです!」
しかし、顔はアルテリオンではなくあさっての方向を向いている。
「リリアーナ、さっきからえらい音がしているが、マリアベルはどうなったんだ?」
やはりリリアーナではなくあさっての方向を向きながらロックは尋ねた。
「…消えた?」
ロックは考えこんだ。
マリアベルの生死をリリアーナをはじめ他のメンバーにも尋ねられたので、
ロックは思っている事を正直に話した。
「…彼は、マリアベルは死なないよ。だって俺が生きているのだから。」
その意味を聞かれたロックはやや申し訳なさげに応えた。
「わからないかい?俺は彼で、彼は俺なんだ。
 十年間ものあいだ常に一緒だったんだ。簡単に縁が切れるわけがない。
 俺が生きている限り彼はいつかまた戻ってくるよ。今日のようにね。」
ではどうやって学園を元に戻すのか?
「俺が戻せば良い。」
ロックはあっさり答えた。
「…俺はマリアベルだ。だから戻せる。…最初から心の奥ではこの可能性に気づいてたんだ。
 …でも頭の中から閉め出そうとしてた。できる筈が無いって。
 俺は無意識の内に彼に協力してたんだ。」
ロックはここで一旦話を切り、大きく深呼吸した。
「マリアベルは幼少の頃、戦争で母を亡くした。
 彼はカドゥケウスの力を使って母親を生き返らせようとしていたんだ。
 …俺も会いたいと思ったんだ。彼の母親に。
 もしかしたら俺の母になってくれるかもしれないと思ったから。
 …馬鹿だよな俺、本当に馬鹿だ。」
ロックはおおいにがっかりした後、イチイの木に向かって言った。
「…リリアーナ、ライールの杖を今一度俺に使わせてくれないか?
 ん?リリアーナ?いつからこんなにゴツゴツになったんだ?」
ロックはそういいながらイチイの木を触っている。
「ん、あ?悪い。こっちがリリアーナか。」
そういいながらロックはリリアーナを撫で回した。
「…あれ?本当にリリアーナか?なんか前より大きくなったような…
 ぐはっ!?」
ロックが何をされたかは言うまでもない。

60 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/01(水) 00:44:31 O
「……終わった……………?」
辺りが収まり、音が引いていく
周囲の安全を確認し、キサラはリリアーナ達のいるところへ近付いて行った
マリアベル戦には一切干渉しなかった(正確にはできなかった)ためか、何故か久々に会った感じだ


(……にしても………本当にとんでもない力だ…
………これが…お姉ちゃんの言っていた……?)

61 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/08/01(水) 00:50:19 0
>「生きてるって、す・て・き・・・ 
>リリィ、もう少し優しくしてくれても罰は当たらないと思うの〜。」
「自分から危険に飛び込む人なんて知りません!」
リリアーナはカドゥケウスを拾うと、えいっとアルの額をデコピンした。
「・・・あんまり心配させないでよね。また縮んでるわよ全く」
弾き飛ばされたアルは、ふわふわと幻灯機の上に着地した。

ロックに尋ねられ、リリアーナはラルヴァやフリージアの魔法でマリアベルの身体が消滅した事を話した。
「あ、マリアベルが飲み込んでいたカドゥケウスは無事よ?
 でもね、塔も消滅しないし、学園も元通りにはならないのよね。一体どうなってるのかしら」
ロックはしばらく考え込んだ。

>「…彼は、マリアベルは死なないよ。だって俺が生きているのだから。」 
>「わからないかい?俺は彼で、彼は俺なんだ。 
> 十年間ものあいだ常に一緒だったんだ。簡単に縁が切れるわけがない。 
> 俺が生きている限り彼はいつかまた戻ってくるよ。今日のようにね。」 
「そっか・・・じゃあ例の鏡だけじゃ役不足だったのね」
リリアーナは肩を落とした。
「ま、マリアベルが戻ってくるならその時はまたその時!また協力するわ。
 だから元気出しなさいよ!」

マリアベルがカドゥケウスを欲しがったのは、戦災でなくなった母親を蘇生させるためのようだ。
「彼の母親を蘇生? カドゥケウスで?
 でも彼女が命を落としたのは、少なくとも10年以上も前のことなのよね?」
リリアーナは深刻そうな顔で何事か考え込んでいた。
ロック相手に話すか話さざるべきか迷っているようだった。

>「…リリアーナ、ライールの杖を今一度俺に使わせてくれないか? 
> ん?リリアーナ?いつからこんなにゴツゴツになったんだ?」 
「ロックロック、私はこっち」

>「ん、あ?悪い。こっちがリリアーナか。」 
>そういいながらロックはリリアーナを撫で回した。 
リリアーナは声にならない悲鳴をあげた。魂が口から抜けかけているようだ。
>「…あれ?本当にリリアーナか?なんか前より大きくなったような… 
> ぐはっ!?」 
「わっ、ご、ごめん!」
我に返って慌てて離れようとしたリリアーナの肘が、ロックの鳩尾にクリーンヒットしてしまった。
「ごめんその・・・びっくりしちゃって・・・で、でもロックが悪いんだからね! それに前って何よ前って!」
どこ触ってるのよ全く!と憤慨するものの・・・目が見えないから仕方が無い・・・のかもしれない。
「目が見えないのって不便ね」
リリアーナは目の傷を癒そうとカドゥケウスを振り上げた。
だが、なぜか途中で止めてしまった。
どうにも腑に落ちない。彼は本当にロックなのだろうか?
ロックなら、例え目が見えなくともリリアーナを無遠慮に撫でまわしたりしないと思うのだが。

リリアーナはしばらくこの件で悩んでいたようだが、何か思いついたようだ。
「そんなに恋しいなら、今だけ私がお母さんになってあげなくも無いわ」
何となくロックの背が縮んだ気がするが、多分気のせいだろう。
リリアーナは怪我に障らないよう注意しながら、ぎゅ〜っとロックを抱きしめた。
「あはは、お母さん相手に何照れてるのよ!」
口でそう言いながらも、リリアーナの目はロックではなくレイドの方へと注がれている。
ロックに杖を渡しますか?と無言で問うているようだ。
杖を渡すのはリスクが高い。だからこそどうするのかの判断はレイドに一任する気らしい。
何せ杖を得たロックの中にマリアベルが入り込もうとするのは、1分後なのか50年先なのかすら分からないのだから。

「ライールの杖なら、私じゃなくレイド先生が持っているわ。
 キサラ、ご苦労様。避難させたレイアは?」
ようやく気が済んだのか、リリアーナはロックの頭をくしゃくしゃにかき回した後キサラに手を振った。

62 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/08/01(水) 08:13:49 0
>53
マリアベルが木っ端ミジンコ・・・・もとい木っ端微塵になったのを確認したフリージア
もしかしたらそれがフェイクでまだマリアベルが生きている可能性があるというのに
「さぁ〜て猫ちゃんをもふもふしますわよv」
と三尾の剣猫をもふりだした
「ほ〜らマタタビですわよぉ」
「肉球ぷにぷにですわぁ」
「ボクモ サワル」
「毛並みもいいですわねぇ」
色々蹂躙される三尾の剣猫・・・・哀れ
>54>55
そしてカドゥケウスを召喚するリリアーナ
びゅんと飛んでくるカドゥケウスとそれにつかまったアルナワーズ
>「生きてるって、す・て・き・・・
>リリィ、もう少し優しくしてくれても罰は当たらないと思うの〜。」」
「ごめんなさいそれ私ですわお〜ほっほっほっほ」
笑ってごまかすフリージア
その手は猫をなで続けている
>56
>「ヒュ〜。やるぅ〜。
>完全に消滅しちまったね〜…。
>せっかく無理して召喚したのに出番無しかよ〜…。」
「まあ今回はたまたま的が大きかったからですわ お〜ほっほっほっほ」
今度は調子に乗っているようだ
さっきと高笑いのトーンが違う
まあ実際、人間サイズの敵に当たったためしがないのだが
>57>58>60
>「……終わった……………?」
>「…………で、どうやったら学校は元に戻るんだよ………」
「・・・・あ」
そういえばマリアベルを倒したというのに
ゴゴゴゴゴ…という音も何もしない
これはおかしい
>「そもそも…ユユ。私達、マリアベルを本当に倒せたのかしら?」
もし倒せてなかったら・・・・その時はどうしよう
フリージアにもギズモにももう魔力は残っていない
不安になるフリージア
「本当にマリアベルは死んだのかしら?」
>59>61
>「あ、マリアベルが飲み込んでいたカドゥケウスは無事よ?
>でもね、塔も消滅しないし、学園も元通りにはならないのよね。一体どうなってるのかしら」
>「…彼は、マリアベルは死なないよ。だって俺が生きているのだから。」

その問いに答えるロック
マリアベルは戦争で母をなくしているという
「そう・・・」
フリージアも病で母親を亡くしているので
どんなことをしても蘇らそうというマリアベルの気持ちは少しはわかった
たまに死に掛けるとアケローンの辺で普通に顔を見られるが・・・・これはあくまでギャグだからである


>「ま、マリアベルが戻ってくるならその時はまたその時!また協力するわ。
>だから元気出しなさいよ!」
「そうですわ!いつかはわからないけどその頃には私ももっと強くなってるはずだから安心しなさい お

〜ほっほっほっほ」

ロックがリリアーナを撫で回している・・・・とりあえず見なかったことにしましょう
しかしあの様子を見るとまだ気が付いてないようだ
・・・・面白そうだからもう少し黙ってましょっとv

63 名前:ラルヴァ ◆sy1IQNBWp6 [sage] 投稿日:2007/08/01(水) 09:44:45 0
 偶然にもフリージアとの連携攻撃となった魔法は、マリアベルの体を微塵に砕いたらしい。
皆がようやく一息吐いたその背後で、ドサリと何かが倒れる音がした。

中身が見えない程の真紅に染まった円錐は、力を失って霧散していく。
円錐の中で赤い鱗を全身に纏っていたその姿は、地面に倒れ伏す寸前で
まるで蝉の抜け殻のようにひび割れを起こし、倒れた所でその衝撃に砕ける。
中にいたのは生まれたままの姿のラルヴァだ。

しかし、血色が悪く唇も紫に近い色になりつつある。
その体からは、死の匂いがした。

64 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg [sage] 投稿日:2007/08/01(水) 21:09:38 0
「全くよね。」
幻灯機の上でぐったりしながら、ユユに応えるミニアルナワーズ。
流石に突っ込む気力も残っていない。

レイドのぼやきもメラルの危惧も、すぐ近くで話されている事なのに随分と遠くに聞こえる。
緊張した連続だった一日がようやく終わろうとしている。
完全解決ではないが、とりあえずの危機は過ぎ去ったのだ。
ロックとリリアーナのじゃれあい、弛緩した空気。
このまま眠りにつけたらどれだけ心地良いだろうか・・・

>「ライールの杖なら、私じゃなくレイド先生が持っているわ。
> キサラ、ご苦労様。避難させたレイアは?」

だが、リリアーナの台詞にミニアルナワーズの目がカッと見開かれる。
そしてぐったりと伸びたままの体勢でジャンプ!
思念体だからこそできる運動機能を無視した体勢の動きだ。
着地したのはキサラの頭の上。
「キサラ!右手を高くあげてぇ!振り下ろす!」
有無を言わさぬ命令口調でキサラを従わせる。
キサラが思わず指示通りに動けば、位置関係上リリアーナの脳天にチョップが直撃するだろう。

「リリィ〜?ちょっと無用心じゃないぁい?
マリアベルは生きているのでしょう?姿を消して、今この場にいるかもしれない。
こんな塔を建ててしまうくらい空間の術に長けているのだから、レイド先生のアナザーゲートにも干渉できるかもしれない。
亜空間補完は取り出しを専用ゲートでしか出来ないという前提だから安全な保管場所とされているのよ。
逆に言えば、亜空間に干渉されてしまうと防衛手段がないという事にも繋がるの。
もし私がマリアベルなら今邪魔者が疲弊しきったこの時を逃しはしないわよ。」

勿論これが杞憂なら単なる笑い話で終わるのだが、ライールの杖の保管者を口にしてしまうのは致命の分岐となりえるのだ。
そんな言葉を遮るような音に思わず振り向いてしまう。
そこには音を立て砕けるラルヴァ(異形形態)。
そしてその残骸から急速に生気を失っていくラルヴァ(本体)だった。

65 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/08/01(水) 21:59:15 O
「その通りです!」
いつの間にか剣猫の下敷きになっている状態で私は相槌を打つ。
「戦い疲れ、油断したところを攻める。邪道ではありますが、恐ろしいほどに効果はある戦術です」
酷く間抜けな状態で私は続ける。
「仮にロックさんがロックさんだとして、この塔が崩壊する可能性があることを分かっている人は居ますか?」
剣猫から抜け出し、立ち上がる。
「とりあえず、そのような事態を考えて行動するべきでは?」

66 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 [sage] 投稿日:2007/08/01(水) 23:15:27 O
>57ユユがボソりと呟いた。
>「…………で、どうやったら学校は元に戻るんだよ………」
うん、知らない。
そういやマリアベルを倒したってのに何にも変化が起きないね。
どうすりゃ治るかってのは俺には全く見当がつかないっすよ、先輩。
>59>61学校を元に戻す方法を頭の片隅で考えつつ、ロックとリリアーナのイチャイチャっぷりを生暖かい目で眺めているとリリアーナの視線が俺に注がれる。
何だよ、見るなってか?
……いや、どうやら違うみたいだな…。
あ、ロックに杖を渡すか否かってか?
念のためまだ渡さない方が良いと思うけどね…。
>64アルナワーズ曰く、マリアベルの奴がアナザーゲートに干渉する事が出来るってんなら話は別だけどさ。
そんな事された日には手の施しようがないって。
>65「とりあえず、杖はまだ俺が管理しとく。
今はアルの言う通り行動を起こした方が…」
>63>皆がようやく一息吐いたその背後で、ドサリと何かが倒れる音がした。
「うわぉっ!
おい、大丈夫かラルヴァ!」
まずいな……死にそうな予感…。
「誰か、回復魔法出来る奴は居るか!?
こりゃちょっとシャレにならんぞ!」

67 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/02(木) 00:39:45 O
>>61
「…レイアさんなら、指示通り安全な場所に退避させました……とりあえず身に危険はないと…思います」
カプセルから無事(?)脱出したキサラは、一旦洞窟の入口付近に戻り、レイア避難させた
一応、『ここを動くな』とは言っておいたのだが、レイアは体の大きさを変化させる粉を持っているので、
危険を感じてどこか遠くに逃げただろう
「それから…一応できるだけ早く戻ってきたつもりだったんですけど……」
と、そのとき
>>64
>「キサラ!右手を高くあげてぇ!
「……えっ?…えっ?」
頭の上から(軽くトラウマなのは内緒だが)声が聞こえる
有無を言わせない命令口調は、多少戸惑い気味のキサラを問答無用で従わせるには十分だった
少しパニクっているようにも見える
>振り下ろす!」
言われた通りに振り下ろす……
…いや、むしろ言われた通りというよりは条件反射的なものかもしれない
そしてアルワナーズの目論見通りキサラのチョップがリリアーナの脳天に直撃
「あ…っ…!ごめんなさい!ごめんなさいっ!!」
絵文字で書けば両目が@になり、リリアーナにひたすら謝るキサラ
アルワナーズのせいだとは最後まで一度も言うことはなかったが

「リリィ〜?ちょっと無用心じゃないぁい?
そんなことお構いなしに話を続けるアルワナーズ
キサラもパニックから回復し、話を聞く
何やら難しい話をしているのは…いつものことか
「……あの…もしよかったら…僕にもわかるように状況を説明してもらえますか?
…知らない人も増えてるみたいですし…」

68 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/02(木) 00:58:23 O
>>63
そんな話をしてる中、ふと何かの物音がする
フッとその方向を見るとほぼ同時に、漂ってくる『死』の臭い
今まで何度もかいできたものの、それと今は状況がまるで違うのだ
>>66
>「うわぉっ!
おい、大丈夫かラルヴァ!」
レイド先生が声をあげる
ラルヴァの姿は、今日初めて会ったその少年とは、もはや似ても似つかない
「……酷い…」
キサラの口からも、思わず声が溢れた

69 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/08/02(木) 11:07:18 0
>64
いまだに猫をなで続けているフリージア
猫の下にはアルテリオンが下敷きになっている
何があったんだ?
「おなかも気持ち良いのかしら?」
その様子を見てフリージアはつぶやいた

>63>66>68
ドサリと横たわる血まみれのラルヴァ
早く何とかしなくてはいけないのだろうが
フリージアには回復の手段などない
>「……酷い…」
「全裸……ですわね」
いきなりのことでよっぽど混乱しているのかどうでもいいことをつぶやくフリージア
男の裸をじろじろ見るのは恥ずかしかったが今はそれどころではなかった
人が一人死にかけているのである

>「誰か、回復魔法出来る奴は居るか!?
こりゃちょっとシャレにならんぞ!」

「こういうときはリリアーナさんですわ!!」
フリージアが知っている回復能力を持つ人間は彼女だけだ
「回復が終わったら使い魔カプセルに入ってもらいましょう」
フリージアはそう提案した


70 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/08/02(木) 19:46:16 0
レイラの無事を聞き、リリアーナはホッとした顔になった。 
「そっか。ご苦労様キサラ・・・・・・ふぎゃ」
キサラに頭を叩かれ、リリアーナはその場に蹲った。
>「あ…っ…!ごめんなさい!ごめんなさいっ!!」 
気にしないで、と涙目のままリリアーナは手を振る。
だがそうさせた張本人のアルはそんなことお構いなしだ。
>「リリィ〜?ちょっと無用心じゃないぁい? 
そういってアルはリリアーナの無用心さを諭した。
>「その通りです!」 
>「戦い疲れ、油断したところを攻める。邪道ではありますが、恐ろしいほどに効果はある戦術です」 

「私はレイド先生が持ってるとしか話してないわよ〜
 アルのほうこそアナザーゲートのことまで喋っちゃってどうするのよ〜!!」
リリアーナは涙目になりながら、痛む頭をさすった。
「まあいくらマリアベルといえども、杖無しで異空間に干渉できるとも思えないけどね。
 それが可能なら廃墟の街で、杖と人形を取り戻すために蟻地獄にダイブしたりしないでしょ?
 ロック自身も学園を元に戻すのには杖が要るって言ってるし」

>「仮にロックさんがロックさんだとして、この塔が崩壊する可能性があることを分かっている人は居ますか?」
「さっきロックが教えてくれたから、ここにいる皆は聞いてると思うわ。
 でもユユさんみたいに巻き込まれた人は知らないんじゃないかな?」
あっと声をあげるとリリアーナは一人で焦りだした。
「ねえ、この塔ってまるで大掛かりなゲートの集合体みたいよね?
 って事は崩壊前に塔から脱出しないと、雪山とか密林にぽつんと取り残されちゃう・・・って事?!」
 学園の皆は危ないとなったら逃げ出すだろう。だがクドリャフカはどうだろうか?
 確か分厚い氷の中に本ごと閉じ込められていたはずだ。
「まずいよ〜早くクドリャフカさんを回収しないと!!」
>「とりあえず、杖はまだ俺が管理しとく。 
>今はアルの言う通り行動を起こした方が…」 

背後で誰かが倒れるような音がした。
>「誰か、回復魔法出来る奴は居るか!? 
>こりゃちょっとシャレにならんぞ!」 
>「こういうときはリリアーナさんですわ!!」 
「あ、うん!」
リリアーナはラルヴァの慌ててラルヴァに駆け寄った。
ラルヴァの容態を見るなりリリアーナは息を呑んだ。
「・・・カドゥケウスを使ってみる。ちょっと離れてて」
リリアーナは胸の前で手のひらサイズのカドゥケウスを握りしめると、小さく呪文を詠唱し始めた。
彼女の身体が淡い水色のオーラに包まれると、ペンのように小さかったカドゥケウスが杖へと姿を変える。
リリアーナは目を開けると、杖で銀色の泉を指した。
噴水のように天高く吹き上がった水が淡いオーラに包まれる。
リリアーナは真剣な顔をしたまま杖を横に一閃した。
淡く輝く水は細かい雨となり、この場にいる全員の上へと静かに降り注ぐ。
上手くいけば身体の傷以外も回復してくれるだろう。
「回復魔法じゃ無理だったの。敵に塩を贈ちゃったかも。・・・ごめん」
リリアーナは疲れた顔で乾いた笑いを浮かべると、足元に横たわるラルヴァを抱き起こした。
「ラル君しっかりして。私が誰か分かる?」
そういってぺちぺちと軽くラルヴァの頬を叩いた。

71 名前:ユユ ◆LZfunhEVsc [sage] 投稿日:2007/08/02(木) 20:23:22 O
>58 etc

「そもそも…ユユ。私達、マリアベルを本当に倒せたのかしら?」
「………さぁ?これで終わりなら楽だけどさ。」
別にオレに害が無いなら蛇一匹の生死にこだわる事は無い。
真面目な意見を求めていたであろうメラル嬢には済まないと思いつつ、そんな返事。
野郎とその取り巻き(?)が母云々の杖云々言ってる。まさかこの元凶はたかが杖一本か?
「ならそんな杖焼くなり煮るなりして棄てちゃえよ。」
じゃないと迷惑だろ………。如何に優れた物でも利より害が大きいなら破棄すべきだ。

ヤバそうな奴……訂正。ヤバそうだった奴もあっと言う間に人になり、何かやって生気が戻った。
あぁ、便利な魔法に花束を。
この世には魔法を嫌う者が居ると聞いたが、今なら解る。………気がする。

蛇が戻ってくるみたいな話をしている様だったが………
皆実は疲れてないだろ?あと蛇5回はこなせるんじゃないか?
これが見習いなら本物の魔法使いはどんなだろう?

72 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/02(木) 21:04:56 O
>>61
>「そんなに恋しいなら、今だけ私がお母さんになってあげなくも無いわ」
「はぁ?」
>リリアーナは怪我に障らないよう注意しながら、ぎゅ〜っとロックを抱きしめた。
「やめろよ!俺はそんなの望んでない!」
>「あはは、お母さん相手に何照れてるのよ!」
「十年早いんだよ!!」

>>66>>68>>69
>「誰か、回復魔法出来る奴は居るか!?
> こりゃちょっとシャレにならんぞ!」
>「……酷い…」
>「こういうときはリリアーナさんですわ!!」
足音から察するに、リリアーナはラルヴァの方へ移動したようだ。
「アルテリオンさん、まだそこにいますか?」
ロックは周りの音をうかがいながらアルテリオンに話かけた。
「俺の事は“ロック”と呼び捨てにしてくれて結構です。
 それが駄目ならせめて“ロック君”と…」
ここでロックは急にはずかしくなったのか大きな咳払いをした。
「いや…、何でもないっす!」

>>70
「ん?何だ?雨か?」
それがただの雨でない事はすぐに気づいた。
ロックの右目に光が戻ったからだ。体も軽い、グラビティの影響も完全に消えたらしい。
左目の傷も癒えた。でも開かない。ロックは考えた。
(この左目は開かなくてもいいかもな。この目はマリアベルの目だし、
右目だけでも生活はできるさ………あれ?)
ロックはふっとある考えが浮かんだ。
(もしかしたら、俺とマリアベルはこの目を通して繋がっているんじゃないか?)
そう思ったロックはゆっくり左目を開いてみた。
すると信じられないことに、銀の泉から音も立てずにゆっくりと大蛇が首を持ち上げているではないか!
「走れリリアーナ!ラルヴァ!」
大蛇はカドゥケウスを持ったリリアーナと、側にいるラルヴァに噛みつきを仕掛けた。
そう、マリアベルが復活したのだ。ロックの仮説が確信に変わる。
マリアベルはロックの左目に連動しているのだ。
さっきマリアベルが倒されたのも納得できる。
その時ロックの左目は潰れていたため、マリアベルは力を失いつつあったのだ。

>>71
ロックは急いでユユのもとへ走った。ユユの持つ物が必要だったからだ。
「ユユ!矢を俺に貸せ!」
ロックは有無を言わさずユユから矢をひったくった。それを自分の顔に向ける。
「ぬおおぉぉっ!!」
気合一閃、ロックはそれを自身の左目に突き刺そうとした。
しかし、左目に矢が到達する前にびたりと体が止まった。
見ればマリアベルがこちらをじっと見つめている。
チッチッチッ、とでも言いたげに首を横に振った。
>「エクスペリ・アルマ!」
マリアベルが呪文を唱えると持っていた矢がポーンと飛んでいってしまった。
「なぁ…ユユ。」
ロックは小声でユユに話しかけた。
「奴がよそ見した瞬間に俺の左目を射抜けるか?」

73 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg [sage] 投稿日:2007/08/02(木) 21:26:00 0
「う・・・リリィ、強くなったわね。」
ラルヴァの元へ急ぐリリアーナの背中を見ながらミニアルナワーズはしみじみと呟いた。
ロックと分離した事により状況は変わっているが、それでもリリアーナの反論は正しいだろうから。
正しいと認める一方で、イジメがいがないとちょっと寂しかったりもしたのだった。

それはそれとして、キサラの頭の上に乗ったまま説明を始める。
「状況は、悪い魔法使いが大暴れしてたから皆でシバキ倒したってトコロねえ。
ただ微妙に引っかかるものはあるのだけど・・・。
増えたメンバーは、あの猫耳騎士がアルテリオンさん、だと思うわぁ。
確か鎧に取り憑いた死霊だった筈なんだけど、イメチェンしたのかしらぁ?
そしてあっちの目つきの悪いのが魔法弓兵のユユ。厭世的で韜晦したナイスガイよ。」
ラルヴァのように、脳みそに手を突っ込んで直接情報を刻み付ければ早いのだが、キサラの場合そうは行かない。
体系の違う心理ブロックに暗示を重ねがけしており、これ以上下手に手を加えて不安定にする事は避けたいから。

そんな説明をしながら、裸のラルヴァを抱きかかえるリリアーナをニヤニヤしながら生暖かく見守るミニアルナワーズ。
そのひと時を切り裂くのはロックの叫び声。
>「走れリリアーナ!ラルヴァ!」
>大蛇はカドゥケウスを持ったリリアーナと、側にいるラルヴァに噛みつきを仕掛けた。
「あらあら、予感はしてたのよね。キサラ、第二ラウンド開始よ〜。
私はそろそろ準備に入るから、頑張ってね〜。」
なんのかんのと理由をつけながらミニアルナワーズは戦闘に巻き込まれないよう、キサラの頭の上から飛び立って言った。

74 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/02(木) 22:12:34 O
>>70>>73
軽く涙目なリリアーナに、まだ少し負い目を感じながらも、
頭の上のアルワナーズが説明を始めたので、そちらに耳を向けるキサラ
>「状況は、悪い魔法使いが大暴れしてたから皆でシバキ倒したってトコロねえ。
「……シバキ倒した…って……」
(またイジられそうな気がしたから)言葉にこそ出さなかったが、女の人が使うには少々物騒な単語が混じっていた……気がする
そんなキサラの内心を知ってか知らずか、アルワナーズは説明を続ける
>増えたメンバーは、あの猫耳騎士がアルテリオンさん、だと思うわぁ。
確か鎧に取り憑いた死霊だった筈なんだけど、イメチェンしたのかしらぁ?
そしてあっちの目つきの悪いのが魔法弓兵のユユ。厭世的で韜晦したナイスガイよ。」 ……とりあえずメンバーは把握した
…現在のところはここにいるのは全部味方―――ということを認識していれば大丈夫だろう
>>69
>>「……酷い…」
>「全裸……ですわね」
「……え?……いや…そうじゃなくて……」
あまりに予想外の反応が返ってきたので、一応慣れないツッコミ(?)を入れるキサラ


75 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/02(木) 22:21:59 O
と、そのとき
>>72
>「走れリリアーナ!ラルヴァ!」
不審な気配に気付くとほぼ同時に、巨大な蛇がリリアーナ達を襲う
あまりに突然だったため、リリアーナとラルヴァまでは届かなかったが、
傍らのフリージアを抱えて、バックステップで大蛇から離れるキサラ
>>73
>「あらあら、予想はしてたのよね〜。キサラ、第二ラウンド開始よ〜。
そう言い残し、アルワナーズは何処かへ行ってしまう
「…わ…わかりました………やってみます」
とはいったものの、魔法が使えない自分に何ができるのか―――
と、キサラに一つのアイデアが浮かんだ
「………フリージアさん……こんなことって……出来ますか?」
フリージアに耳打ちして伝えたキサラの案は、
要約すると、フリージアの氷の魔法で、自分の腕に氷の鉤爪を作ってほしいというものだった
ただ、返しをつけてほしいなど、動きを制限しないように大きさは小さめにしてほしいなど、
利腕を開けるために右手につけてほしいなど、色々と注文も多かったが
自身は魔法を使えないが、魔法によって作られた武器なら、相手が魔法使いであっても干渉できるかもしれないと考えたのだ
魔法が使えない分は、自分の身体能力でカバーするしかないが、はたしてうまくいくのだろうか?

76 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/08/03(金) 09:24:30 0
>70
「雨ですわね・・・・」
降り注ぐ雨…………なんだか体が軽くなった気がする
それでも猫をなで続けるフリージア

>72>74
キサラによって猫から引き剥がされるフリージア
「ああ!猫ちゃんが!!」
一体何事かと見てみたらなんと自分が粉々にしたと思った大蛇が
いつの間にか復活しているではないか
「そんな!?早すぎますわ!!」
あれだけ粉々になったのだから復活するにしても何年も掛かるだろう
そう思っていたフリージアにとってはこれは驚くべき事態だった

>75
>「………フリージアさん……こんなことって……出来ますか?」
その注文を聞きギズモにアイコンタクトするフリージア
何をするにしてもフリージアの魔力は切れている
したがってギズモから搾り出すしかないからである
ギズモはなぜかニヒルに笑うとサムズアップをした
なんだかやけに艶々している……さっきの雨の効果なのだろうか?

「凍傷になっても知りませんわよ」
フリージアは頭の中に設計図を描くと意識を集中する
細かい注文があったので逆にイメージはやりやすかった
フリージアの魔力によりキサラの右手に集まる雪の結晶
それは次第に鋭い鉤爪となっていった
ちなみに攻撃力はメロウポイズン並だと思われる
強いんだか弱いんだか微妙だ

77 名前:ラルヴァ ◆sy1IQNBWp6 [sage] 投稿日:2007/08/03(金) 09:26:32 0
>66-70>71-75
みんなが周囲で心配する中、リリアーナが活力を伴う雨を降らせる。
「う・・・ぐうう・・・。」

>「ラル君しっかりして。私が誰か分かる?」
「・・・・・・ぁ・・・・・・。」
>「走れリリアーナ!ラルヴァ!」
うっすらと眼を開け、声を出そうとしたまさにその時。
心配そうなリリアーナの背後から、鎌首をもたげるマリアベルの姿が眼に映った。
「リリアーナ!危ない!」
咄嗟に出た声と共にリリアーナを思いっきり突き飛ばし、マリアベルとの間に割って入る。
ということはつまり、ラルヴァはマリアベルの牙へ身を晒す事になる。
そして、今のラルヴァにそれを避ける術はない。

「がはっ・・・・・・うぐぅうう・・・・・・。」
大蛇の牙が体に食い込み、せっかく回復しかけていた体力や魔力は
血と共にマリアベルの咥内へと流れ落ちてゆく。

78 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/08/03(金) 13:35:25 O
「私は物理的に危険だと言いましたが…まぁどちらにしろ、脱出またはすぐに脱出出来るようになってからのほうが…」
と気が付くと皆の視線は先ほどの閃光が放たれた方を見ている。
遠くてよくわからないが誰かが倒れている。
ここは皆に任せよう。
私がどうにか出来る問題じゃない。
「ロックさん、私が呼び捨てにする時は、完全にその人を道具として見ていないことになります。また、君、ちゃん付けけは子供扱いしていることそれでもいいのですか」
呼び方に不満を抱くロックにそう言って、私は剣猫の方へ視線をやる。
先ほどのリリアーナさんの慌てぶりを見ると、どうやら誰かが置き去りになっているようだ。
『フミャア』
フリージアに撫でられながら、顔を洗う。
どうやら、雨が降るみたいだ。

と間髪を入れず、雨が降り始める。
その瞬間だった。剣猫は撫でられている時とはうって変わって、乱暴にフリージアを振り払うと無理やり私とレイド卿を乗せ疾走する。

79 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/08/03(金) 13:52:45 O
剣猫が睨む先には、先ほど砕け散ったはずの大蛇が救助した生徒を襲う様だった。
体の中を走る激情を抑え、震える声で背後にいるレイド卿に伝える。
「レイド卿…我々が成すべきことは生徒達を守ることです。まずはあの生徒を助けましょう」
剣を握る手に力が籠る。
「接近して、私が牙ごと生徒を叩き落とすので、受け止めて下さい。」
そう言って、私は剣猫の頭を軽く叩くと剣猫は加速し、大蛇との距離を詰める。
岩場を利用し、大蛇の目の前まで来た。
「行きます!」
私は剣猫から飛び降り、生徒に食い込んでいる牙にバルムンクを振り下ろした。

80 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M [sage] 投稿日:2007/08/03(金) 19:08:49 0

>「………さぁ?これで終わりなら楽だけどさ。」
「確かに…そうね。そう上手くいくといいんだけど。」
ユユの真意はともかく、メラルはユユも倒したと確信できていないと受け取ったようだ。
>「本当にマリアベルは死んだのかしら?」
フリージアも同様の疑問を持ったようだ。そして、その疑問はロックの言葉で確信に変わる。
>「…彼は、マリアベルは死なないよ。だって俺が生きているのだから。」
それを聞き、メラルは周囲への警戒を強めつつ、考えた。
>「わからないかい?俺は彼で、彼は俺なんだ。
  十年間ものあいだ常に一緒だったんだ。簡単に縁が切れるわけがない。
  俺が生きている限り彼はいつかまた戻ってくるよ。今日のようにね。」
そして、続けてロックは状況の解決方法を提案するが…途中でおふざけが過ぎて
リリアーナに鳩尾への肘撃ちを食らっていた。少なくともメラルの目には故意のそれに見えたようだ。


ロックの求めに対し、リリアーナが杖の場所を教え、
判断をレイド先生に丸投げしようとして、アルに怒られていた。
だが、メラルは口を出す気はなさそうだ。
(亜空間って、下手に変な場所に穴を開けると空間ごと消えちゃうらしいから、
いくらマリアベルとはいえそうそう簡単に出来ないとは思いたいけど…。)
因みに、リリアーナの反論には納得したような素振りを見せていた、
そして、アルテリオン先生の意見についてもわざわざ口を出しはしない。
素直に従う気のようだ。そして…レイド先生の声を聞き、ラルヴァに視線を向ける。

ラルヴァの倒れた姿を見て、すぐさまメラルはリリアーナを見た。
リリアーナは周りに声をかけられ、杖の力で広範囲の回復魔法を使ったようだ。
>「回復魔法じゃ無理だったの。敵に塩を贈ちゃったかも。・・・ごめん」
「いえ、当然の判断だわ。」
すかさずフォローを入れる。ラルヴァに対しては色々と思うところがあるようだ。
(回復魔法、その杖の以外にも今は使える…魔力が戻ったって事ね…。
よかった…。…!)

>「走れリリアーナ!ラルヴァ!」
ロックの声で二人の方に視線をやると、マリアベルが二人に噛み付こうとし、
ラルヴァがリリアーナを庇った為にラルヴァが噛まれる事態になっていた。
アルテリオン先生がラルヴァを助ける為に向かっていく。
(先生の近接戦闘能力は…うんざりするほど思い知らされたもの。
下手に手を出したらマリアベルに利用される…。それより、さっきから
私は考えすぎて初動が遅れる節があるわね。気をつけないと…)
そして、改めて状況を見回すと、ロックがユユに近寄り、…
よりによって矢を自分の目に突き刺そうとした。が、マリアベルの術がそれを止めていた。
(何を考えて…これって…まさか!)
メラルは、極力冷静を保ったように演じ、ロックとユユに近づいた。
そして、小声で声をかける。
「あなた…死ぬつもり?」
もちろん、本気でそう思ったわけではない。死ぬつもりならば狙うのは首か左胸だろう。
それを分かった上であえてそう聞いた。

81 名前:マリアベル ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/03(金) 20:45:22 O
>>77>>79
マリアベルの文字通りの毒牙に襲われていたラルヴァが地面にぼとりと落ちた。
アルテリオンの一撃がマリアベルの牙を破壊したからだ。
それだけではない。大蛇マリアベルの顔が二つに割れ、びりびりと痙攣しながら倒れた。
しかし、まだ終わりではない。
「ラルヴァよ、苦しみながら死ぬがいい。」
マリアベルの声が全員の頭に響く間は戦いは終わらないのだ。
二つに別れた頭が再生を始め、今マリアベルは二つの頭を持つ大蛇になったのだ。
一つの頭はリリアーナを探してきょろきょろしている。
目的は一つ、彼女を殺して自らがカドゥケウスの所有者になるためだ。
もう一つの頭はロックを見張っていた。
ロックは心底、なんと面倒だろうという顔をした。

>>80
>メラルは、極力冷静を保ったように演じ、ロックとユユに近づいた。
>そして、小声で声をかける。
>「あなた…死ぬつもり?」
ロックは熱く答えた。
>「左目の一つや二つ!どうという事はない!!」
ここでロックはある事に気づいた。
何故左目を潰す必要があるか説明していないではないか。
>「ユユ、メラル、俺の左目…。」
「タン・ロック!」
ロックが説明しようとした時、マリアベルの舌縛りの呪いが飛んできた。
しかし、逆にマリアベルの一つの頭に呪いがかかった。
舌が上顎に張り付いてしまい、あぐあぐしている。
>「へっ、ざまみろ。」
ロックの飲んだ呪い返しの薬アベコベールの効果が現れたのだ。
いやはや、これでやりにくくなったぞ。
こちら側がアベコベールを飲んでいるとわかったらマリアベルは迂濶に呪いは使わないだろう。
>「俺の左目がどうやらマリアベルと連動しているらしい。
 だから俺が左目を潰せば奴も力を失うはずだ、さっきみたいに。
 …危ない!来るぞ!」
マリアベルの口(呪われてない方)からちろちろと炎が見える。
「カーナム・インフラマレイ!!」
マリアベルは口から変幻自在の炎を吐き出した。
その炎は螺旋状に広がり、辺りを呑み込んだ。

82 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg [sage] 投稿日:2007/08/03(金) 21:56:20 0
「うん、もう・・・ギャグ畑のキャラが色気出すと碌な事がないのに・・・」
ギリギリであるはずなのに、フリージアに魔力を渡すギズモを見てミニアルナワーズは小さく苦笑した。

状況は正直最悪と言っていい。
魔力の枯渇、満身創痍、そしてマリアベルはアルテリオンのざんげ気を受けたにも拘らず、頭を増やすヒドラっぷりを披露。
螺旋状に広がる炎を見て、ミニアルナワーズは覚悟を決めた。

「アリアベル!頭増やして勝ち誇っているんじゃないわよ!
あなたは学園に喧嘩売った以上、今目に見えている以上の人数を敵に回しているってことを教えてあげるわっ!」
いつもの口調とは全く違う激しい口調で宣言し、ミニアルナワーズは飛んで行く。
その先はリリアーナの腰に結び付けられた幻灯機。

「レッツコンバイン!メカアルナワーズ・・・・展開っ!!」

掛け声と共にミニアルナワーズを吸い込んだ幻灯機が光りだし、リリアーナの腰から離れる。
宙に浮き、外装が開かれ変形していく。
幻灯機から光が投射され、空は大画面と化す。
そして山頂は大歓声に包まれた。

空に映し出されたのはフィジル島から避難している学園関係者達だった。
生徒、教師、多くの人間が歓声を送っている。
「さあ、学園を襲ったマリアベルとの戦いもいよいよ佳境を迎えておりますっ!
偽ロックの正体は闇の魔法使いマリアベル!大蛇となって暴れまわる!
リリアーナ愛の劇場いよいよ最終幕!!
ここで各自紹介とオッズ、そして応援メッセージをお送りいたします!!」

83 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg [sage] 投稿日:2007/08/03(金) 21:59:07 0
画面隅に別ウインドで映し出されたアナウンサーが唾を飛ばしながら紹介を始める。

『キサラ』
廃墟で出会った謎の少年。
その姿に母性本能をくすぐられたのか?
しかし強すぎる母性本能は恋愛感情へ至る障害にもなりかねない!
オッズは3.5倍だぁ!
【ショタを愛するお姉様の会・キサラに女装をさせたい支部】
「キサラ頑張って〜。お姉さん達がぎゅ〜ってしてあげるわよ〜。」
【キサラなら男でもいいんじゃない会】
「兄貴と呼んでいいぞぉ!」

『フリージア』
涙目で熱い抱擁!
一生ついていくわ宣言もどこへやら。
やっぱり友達でしかないのかそれとも白百合は密やかに進行中か!
オッズは3倍!
【チームM】
「フリージア様!俺達もしばいてください!」
【白百合騎士団】
「事件が終わったらリリアーナとセットで入団許可を出すわよ!」

『レイド先生』
禁断度はフリージアと同等かそれ以上!?
生徒と教師の壁を突き破るのかレイド先生!
あなたならやっちゃいそうだから怖いぞ
オッズは3倍!
【教師一同】
「わははは!レイド先生!生徒に手を出したら懲戒免職ですよ〜!」
【教頭】
「レイド!生徒の使い魔に対するセクハラ行為とは何事かぁ!減法三ヶ月!ボーナス50%カットだ!」

『メラル』
極端に情報が少ないのは一帯何故か!?
秘密をを穿り返し、火がなければ砂煙でも立てるアルナワーズらしくないぞ?
しっかり仕事してください!
情報不足でオッズは大穴相当8倍!
【クラスメイト一同】
「メラル!無理しすぎるなよ!俺達が着いているぞ!」

『ラルヴァ』
全くノーマーク!存在すら誰も知らなかったダークホースが今や立派な対抗馬!
肌と肌と温めあい、口移しのディープキスと、雪山のお約束を全てクリアーしたツワモノ出現!
ロックと男と男の殴り合いまで演じて見せたラルヴァ!
オッズは堂々1.5倍だ!
【ショタを愛するお姉様の会・キサラの童貞を守る支部】
「ラル君!蛇よりリリィに食べられちゃ駄目〜!」
【漢団】
「ラルヴァ!ロックと女の取り合いで殴り合いとは見直したぞ!」

84 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg [sage] 投稿日:2007/08/03(金) 21:59:26 0
『ロック』
さーてでました本命大本命!
前半でポイントを稼いだものの、中盤すっかり影が薄くなっていた本命ロック!
ここに来ておそろいのペアめがねを誕生日プレゼントに事前に用意していたという爆弾投下で一気に本命返り咲き!
キャラじゃない事をさらっとやってしまうのは相思相愛なればこそか!
リリアーナのない胸をもみ尽くし、熱い抱擁も理由なくクリアーしてしまうのは技か愛か、恐るべし、大本命!
オッズは本命らしく1.2倍。
【漢団】
「ロック!偽者にいいようにやられてんじゃねえ!熱い漢の魂を見せろ!」

『リリアーナ』
全ての事態の中心にいる不思議な存在。
何が特に秀でたわけでもなく、何かの宿命があるわけでもない。
今回魔法が使えなくなる謎の状態にも拘らず、渦の中心のように皆を引き寄せる!
それは魅力かヒンヌー教の加護か!?
リリアーナ!愛の劇場行き着く先はどこへ!?
【ヒンヌー教徒一同】
「我が教団の御神体になってください!」
【クラスメイト一同】
「リリィ!がんばって!」

あっと、ただ今資料が届きました。
新たに二人、ユユと用務員のアルテリオンさんが現場に入っているようです!
急なことで紹介資料が間に合わない事をお詫びいたします。


「今ここにいない学園関係者。でも、彼らはこの幻灯機を通して、同じものを見、同じものを聞き、体験を共有してきた!
そのシンクロにティを呪的システムに組み込むことによって魔力の共有作用を引き起こすのよ!」
上空大画面で紹介と応援が繰り広げられる中、幻灯機と合体したミニアルナワーズが説明をする。

そう、幻灯機を通じて全てはリアルタイムで中継されていたのだ。
シヴァの小屋でラルヴァに「後からネタにすることはない。」と明言したが、それもそのはず・・・
こんな美味しいネタを後までとっておくことなどできはしないのだから!
その場で直でネタにしていたのだった。


普段、個人で魔力タンクを背負って魔法を行使する。
タンクが空になれば魔法を行使する事は出来なくなる。
だが、このシンクロにティ儀式魔法によって、シンクロしている全ての人間が魔力タンクを共有する事が出来るようになるのだ。
すなわち、今ここにいるメンバーに学園中の人間の魔力が注ぎ込まれる事になる。


『みんな、魔力の事は気にしなくていいわよ〜。がんがんやっちゃってねえ〜。
あ、ちなみにみられたり知られたりして不味そうな事はちゃんとリアルタイム修正編集してあるから安心してねえん。
特にメラルやラルヴァはね。
あ、ついでにリリィのお肌はカメラアングルでごまかしたわよん。』

大声援が響き渡る中、メンバーにテレパシーで語りかけるメカアルナワーズ。
幻灯機を使っての中継くらいなら独力で出来ただろう。
だが、シンクロにティを利用した魔力共有の儀式魔法はアルナワーズの力量を超えている。
ならばなぜそれが実現できたのか。
それは、アルナワーズが学園長の依頼によって動いていたからだ。

アルナワーズの役目は果たされ、魔力は満ちる!

85 名前:ユユ ◆LZfunhEVsc [sage] 投稿日:2007/08/03(金) 22:07:39 O
>72 etc

「奴がよそ見した瞬間に俺の左目を射抜けるか?」
「無理」
コイツは弓を銃器か何かと勘違いしてるんだろうか?
「つがえる、構える、狙いを定める。
この三つを一瞬じゃ無理だ。どんなに優れたヤツだろうと3秒は掛る。
速さなら先生の銃で撃ち抜いてもらった方がまだ確実だ。」
実際やるとなるとどっちみちギャンブルなんだけどね……

そうこうしてる内に案の定蛇復活。そして素人よばわりした奴のせいで分裂。
面倒臭い。あぁ、面倒臭い。アレは効かなかったしなぁ………多分次はないだろうしなぁ……でも仕方無い。
「名誉挽回と行きますかね。」
ニマリと笑い、草を引き千切る。幸いなのは矢には困らない事だけか。
(簡単だ。思い、そしてそのままに造れ。
触れれば断ち切れる螺旋の軌道。)
お前の眼なんて知るかよ。第一そんな事したら夜寝れなくなるだろ!
睡眠は大事です。
そうこうしてる内に炎がこっちに襲いかかってくる。魔法使おうかな………?やっぱり面倒臭い。魔法は手順を践まなきゃならないのが面倒臭い。
「………あーあ」
矢、無駄になったな。なんて矢を捨てる。まぁ、仕方無い。
湖まで一瞬で駆ける。転移じゃ無くて、あくまで脚に魔力を込めて跳躍しただけ。弓兵にとって場所取りは命だから、これは出来ないとさ。
そこの水から矢を沢山造り、………と言っても水を矢の形にして魔力で膜を張って形を保たせてるだけの物。
それを例の如く今度は二つにする。人指し指と中指の間に一つ、中指と薬指の間に一つ持ち、暴れまわる炎に向かって狙いを定める。その時に蛇の位置もチラッと確認
勿論、精製中に少し細工をした。まぁ、圧力をちょっと掛けただけ。大体水圧25kg。当たれば………死ぬね。
一本目は暴れまわる炎に射つ。恐らく炎に当たった時の衝撃で爆るだろう。
文字通り矢継ぎばやに二の矢をつがえて、蛇に射つ。
「自分の望みに潰されろ、爬虫類。」
実際当たれば潰れるだけで割れたりしない。

あと、アルナワーズ嬢!うるさい。

86 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 [sage] 投稿日:2007/08/03(金) 22:21:51 O
>69->70フリージアの提案によりリリアーナに回復を任せる事になった。
ま、十中八九リリアーナになると思っていたが。
リリアーナはカドゥケウスを使い、淡く輝く雨を降らせた。
ただの雨ではない。
>72その証拠にロックの右目に光が戻っている。

やっと…全てが終わったのか……
>「走れリリアーナ!ラルヴァ!」
「へ?」
>78->79アルテリオンの剣猫が状況を上手く飲み込めないでいる俺を乗せて疾走する。
マリアベルはラルヴァとリリアーナに襲いかかっていた。
>77ラルヴァは身を呈してリリアーナを守った。
馬鹿野郎が…無理し過ぎだ。
マリアベルの野郎…絶対に許さねえ。
>「レイド卿…我々が成すべきことは生徒達を守ることです。まずはあの生徒を助けましょう」
>「接近して、私が牙ごと生徒を叩き落とすので、受け止めて下さい。」
>「行きます!」
>81アルテリオンがマリアベルの牙を破壊する。
落ちてきたラルヴァを受け止め、少しでもマリアベルから遠ざけた場所へ移動する。
「ラルヴァ、少し待っててくれ…。
マリアベルの野郎…俺を怒らせた事を後悔させてやる…。」
刀を右手に構え、マリアベルの元へ直行。
>「カーナム・インフラマレイ!!」
マリアベルは螺旋状に広がる炎を吐き出す。
>82->84それを見たミニアルナワーズによって展開された幻灯機から、避難している学園関係者が写し出される。
しかも教頭の野郎……全部見てやがったのかよ。
こんちくしょうめ。
減法のうえにボーナス50%カットって…。
でも…何だかちょっと冷静になれた……。
「マリアベル…お前は絶対に許さない。」
刀を横に一閃すると、赤い衝撃破が炎を消し去る。
「絶望と苦しみを嫌という程味あわせてやる。」
続けざまに刀を大きく縦に振り下ろし、衝撃破をマリアベルに向け放つ。

87 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/04(土) 03:43:01 O
>>76
>「凍傷になっても知りませんわよ」
「……そんなやわでもないんですよ…こう見えて」
フリージアの言葉に、滅多に見せない微笑を漏らすキサラ
もっとも、そのすぐ直後には、鉤爪を構えて大蛇に向かって行ったため、ほとんど見えなかっただろうが
>>79>>81
アルテリオンが牙を斬り落とすのに合わせ、爪を構えて突撃する体勢のキサラ
だが、目の前の大蛇の様子が何やらおかしいことに気付き、一旦着地し、様子を見る
>「ラルヴァよ、苦しみながら死ぬがいい。」
すると、頭の中に声が響いてきた
(………この蛇が……マリアベル……?
………ラルヴァを狙って……?)
敵の動きが落ち着いたところを、すかさず跳躍から高速機動による、文字通り目にも止まらぬ斬撃を放つキサラ
ただ、一つ不安要素があった
いくらフリージアによって付加された魔力の爪があっても、
非力な自分の力で、この鱗を切り裂くことができるのだろうか?
>>82-84
と、そんな中、何か色々と声が聞こえる
>廃墟で出会った謎の少年〜(中略)
>「キサラ頑張って〜。お姉さん達がぎゅ〜ってしてあげるわよ〜。」
「―――ッ―――!!///」
戦闘中にも関わらず、顔が真っ赤になるキサラ
一応動きに差し支えはないようだが、それこそ遠くから見てもわかるほどだ
相手がアルワナーズでなければ、一言叫んでいたのだろうが、
相手が敵わない相手だからとわかっているからか、一人何か呟いているキサラだった
>「兄貴と呼んでいいぞぉ!」
「………遠慮します……謹んで」
キサラにはその真意はわかっていなかったのか、これには顔色一つ変えることはなかった

88 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/04(土) 03:50:14 O
>>81
>「カーナム・インフラマレイ!!」
そんなこんなしているうちに、マリアベルが大量の炎を吐き出す
それはまるで生き物のように動き、螺旋状に辺りを呑み込む
だが、キサラは臆することはなかった…
少なくとも、周囲にはそう見えたはずだ
生き物のように辺りを包む炎を、最低限の動きで、且つマリアベルまでの最短ルートを辿りながら突き進んでいく
キサラの特異な能力の一つ、超反応が可能にした動きである
炎の中を突き進むキサラ
鉤爪が炎で溶けなければいいのだが

89 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/08/04(土) 12:15:28 0
>82
魔力を受け渡したギズモ
その体は空気が抜けたようにしぼんでいる
「ちょ、ちょっと!?ギズモちゃん!!」
ぶっちゃけるとまじで死にそうだ

>83
「私にはそんな趣味ありませんわよ!!」
どうやら妖しげな団体に目をつけられているようだ
しかも二組も・・・
「・・・Mって何の頭文字かしら?それに白百合騎士団っていったい」
なぜそんな妖しげな団体が学校にあるのか不思議だ!
とりあえず事件が終わったらリリアーナさんに聞いてみようとフリージアは思った
>84
>「今ここにいない学園関係者。でも、彼らはこの幻灯機を通して、同じものを見、同じものを聞き、体験を共有してきた!
>そのシンクロにティを呪的システムに組み込むことによって魔力の共有作用を引き起こすのよ!」
「な、なんですって!!」
つまるところ全部見られていたのである・・・雪だるま作って遊んでいたのも

まあそんなことよりも学園の人間すべての魔力が使えるというところが重要だ
「早速ギズモちゃんに魔力を受け渡しましょう!」
魔力を受け渡されてどんどん膨らんでいくギズモ
まさに元気百倍アソパソマソ!!
あっという間に元に戻った
「・・・・すさまじいわね」
>81
>「カーナム・インフラマレイ!!」
炎を吐くマリアベル!
そのすさまじい熱にフリージアは・・・・あれ?
先ほどまでフリージアがいたところにはでっかいカマクラのようなものが出現していた
どうやら雪の結晶のドームで身を守ったようである
学園の人間の魔力を使ってその厚さはいつもの6倍である
「お〜ほっほっほ!さすがにこれだけ厚くすれば防げますわ!!」

「反撃よ!!フリージングドール・マリオネット!!」
大量の魔力により一瞬で組みあがった本人より大きいフリージア人形がマリアベルに殴りかかった


90 名前:マリアベル ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/04(土) 20:09:54 O
マリアベルに襲いかかる大きな氷の人形、水の矢、斬激波。
氷の人形がマリアベルに殴りかかろうとした時、ふっとマリアベルの姿が消えた。
その時である。斬激波が氷の人形を両断し、25kgの水圧を持った矢がそれらを粉ごなに砕いた。
ゴツゴツと落ちてくる氷の塊、その中心にヌッと現れたのは人の姿をしたマリアベルだった。
攻撃を避けるためにマリアベルが考えた最も効率のよい方法は人の姿に戻ることだったからだ。
「お前ら、もうちょっとお互いに協力しようとは思わないのか?」
マリアベルは今両手に一本ずつ杖を持っている。
その一本をレイドに向けてマリアベルは弓を引くような仕草をした。
「こんな感じか?」
すると杖の先端から水の矢が発射された。
マリアベルは今度はフリージアに向けてナイフで切るような仕草をする。
「それで…こう?」
フリージアにレイドが放ったような斬激波が飛んでいった。
そう、マリアベルは術を模倣して見せているのだ。
「最後は少しアレンジしようかな。」
マリアベルがそういいながら似合わない踊りをすると、
ユユの上に氷でできた巨大な足が現れ、彼を踏みつけるべく落下した。
「…ちょっと遊びすぎたか?」
マリアベルはロックの姿を探した。
ロックが左目を潰そうとするなら今が最高のチャンスだったからだ。
しかし、ロックはアルナワーズに怒りをぶちまけていた。
左目の事は今はどうでも良いらしい。
>「なんて事を言うんだ、アルナワーズ!これではまるで俺がリリアーナの恋人候補みたいじゃないか!」
マリアベルはもうしばらくロックに怒っていてほしいと思った。
ところで、こちらに音も立てずに俊足で向かってくる少年(キサラの事)がいるが、どうしたものだろうか?
マリアベルは両手を左右に開き、キサラにわざとノーガードで構えてみた。
先程、つまり蛇の姿の時に彼の攻撃を受けているが、たいしたことはなかった。
今度はどうする?また同じ事をするのか?
マリアベルは、初めての物語を読む子供のような期待を持ちながらキサラを迎えた。

91 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/08/04(土) 21:36:02 0
>77
ぐったりとしていたラルヴァがうっすらと目を開く。リリアーナは心底ホッとした顔になった。
>「走れリリアーナ!ラルヴァ!」 
>「リリアーナ!危ない!」 
「ラル君!!」
あっという間の出来事だった。
ぐったりとしていたはずのラルヴァが、肉薄するマリアベルに気づき咄嗟にリリアーナを庇ったのだ。
身代わりになったラルヴァはマリアベルの餌食になった。
だがラルヴァは、巨大化した青草の茂みの中へとリリアーナを突き飛ばしていた。
この時点で、マリアベルはリリアーナの姿を完全に見失った。

ラルヴァを救うため、アルテリオンがマリアベルへと剣を振り下ろした。
顔を真っ二つにされたマリアベルの口からラルヴァが落ちてくる。
無事受け止めたレイドが、彼を安全な場所へと移動させた。
頭を割られて死なない蛇などいない。だが終わったと思ったのはいささか早計だったようだ。
>「ラルヴァよ、苦しみながら死ぬがいい。」 
頭を割られたというのにマリアベルは倒れなかった。それどころか双頭の蛇へと進化している!
「死なせるもんですか!」
リリアーナは小さく呟いた。
二つの頭のうち、一方は何かを探すようにせわしなく動いている。
何を探しているのか見当がつかないほどリリアーナもバカではなかった。
(本性が蛇だけあるわね、なんてしつこいのかしら!)
リリアーナは背丈ほどに成長した茂みに身を隠しつつ、ラルヴァの元へと急いだ。
(途中、彼の持ち物とおぼしき品を幾つか拾えたのはラッキーだった)

「ラル君!」
リリアーナはようやくラルヴァの元へとたどり着いた。
毒を受けて冷え切ってしまったラルヴァの身体に羽織を巻きつける。
「なんて無茶するの、死んじゃったらどうするのよ!!」
カドゥケウスを使いたかったが、それはマリアベルに大声で居場所を教えるのと同義語だった。
ここで使用しては自分だけでなくラルヴァまで危険に晒してしまう。
リリアーナはラルヴァの容態と傷口を検分した。
苦しみながら死ねというだけあって、マリアベルの毒は遅効性だった。
リリアーナは手早く解毒剤を調合すると、ラルヴァの傷口へと擦り込んだ。
レオ先生直伝の解毒薬は完璧だったはずだ。後はラルヴァの気力や体力次第だ。
「ラル君しっかりするのよ、ルーナやシャニィを泣かせちゃだめよ!」
リリアーナは冷たいラルヴァの手を握りしめた。
>マリアベルの口(呪われてない方)からちろちろと炎が見える。 
――――来る。
リリアーナはラルヴァの手を離し、カドゥケウスを構えようとした。

>82-84
>「アリアベル!頭増やして勝ち誇っているんじゃないわよ! 
>あなたは学園に喧嘩売った以上、今目に見えている以上の人数を敵に回しているってことを教えてあげるわっ!」 
>掛け声と共にミニアルナワーズを吸い込んだ幻灯機が光りだし、リリアーナの腰から離れる。

>「レッツコンバイン!メカアルナワーズ・・・・展開っ!!」 

・・・。

・・・・・・・・・・そこから先のことは、あまり話したくないです。

どうも今までの出来事は全部学園の皆に筒抜けだったようです。

つまり、あんなことやこんなことも・・・・・・

\(^o^)/

92 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage 遅れた上に長文ごめんね] 投稿日:2007/08/04(土) 21:37:28 0
「・・・・・・あ・・・明日からどんな顔して皆に会えば・・・?!」
真っ赤な顔のまま一人悶絶していたリリアーナの耳に、ラルヴァを応援する皆の声が届いた。
>「ラル君!蛇よりリリィに食べられちゃ駄目〜!」 
>「ラルヴァ!ロックと女の取り合いで殴り合いとは見直したぞ!」 
とんでもない誤解があるようだが、とりあえず無視した。
「ラル君、ほら、皆の声が聞こえる?
 ここにいなくても、学園の皆はラル君のこと応援してくれてる。・・・だから、戻ってきて・・・!」
必死でラルヴァに呼びかけていたおかげで、ロックの紹介が耳に入らなかったのは幸いだった。

>「我が教団の御神体になってください!」 
リリアーナは壊れた仕掛け人形のように首をぶんぶん横にふった。
「だが断る!・・・なんてね。ごめんね、10年後の私を見てからどうするか決めてね!!」
リリアーナの言葉にヒンヌー教徒一同が絶句したのは幸いだった。
>「リリィ!がんばって!」 
クラスメートの応援を聞き、ぱあっとリリアーナの顔に赤味が差した。
リリアーナはこっくりと頷いた。
(そうよ、皆にもう一度会いたい。そのためには・・・)
リリアーナはマリアベルに視線を移した。
「マリアベルをどうにかしなくっちゃ」

>81
>「カーナム・インフラマレイ!!」 
変幻自在な炎がリリアーナ達を飲み込もうとする。
リリアーナはカドゥケウスで空間に魔方陣を描いた。
真っ黒な扉がリリアーナの前に浮かび上がる。冥界へと至る扉だ。
リリアーナは杖を一閃させた。業火は全て扉の向こうへと吸い込まれていった。

炎は無事退けたものの、杖を使ったせいで居場所がばれてしまった。
「ラル君、また後で」
リリアーナはラルヴァを巻き込まないよう距離を取った。
少し離れた場所ではロックが怒り狂っている。
>「なんて事を言うんだ、アルナワーズ!これではまるで俺がリリアーナの恋人候補みたいじゃないか!」 
リリアーナはロックの頭を手加減無しで殴りつけた。
「そんな事を叫ぶためにここまで来たの?!
 皆が何のためにここまで苦労してるのかわからないの?!
  平常心を保てないなら引っ込んでなさい、足手まといだわ!!」
いつのまにかマリアベルは蛇の姿から人型へと戻っていた。
おまけに自分が受けた攻撃を真似て攻撃を返している。
マリアベルは遊んでいるのだ。今更ながら恐ろしい魔法使いだと思った。
「だけどロック、死を選ぶのは許さないわ」

『跳躍せよ』
リリアーナは杖を振った。彼女の靴に小さな羽が生える。
メラルの推察は半分当たり、半分外れといったところだった。
カドゥケウスに選ばれてしまった者は、古き神の守護する魔法しか使えなくなる。
リリアーナが魔法を使えなくなったのも当然だった。
今までリリアーナが学んできた魔法とは発動原理が根本的に異なるからだ。

マリアベルはキサラを待ち構えていた。
まるで珍しいおもちゃを手に入れた子どものような目をしている。
狙うのは、マリアベルの杖と目。
だがマリアベルの隙を作るにはどうすればいい?
リリアーナは手の中のカドゥケウスに視線を落とした。
ロックバスターの前に、見せつけるようにしてカドゥケウスを翳す。
「こんな杖があるからいけないんだわ! だったらいっそ壊れてしまえばいいのよ!!」

93 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg [sage] 投稿日:2007/08/04(土) 23:29:30 0
人工衛星のように空中を漂い、投影し続けるメカアルナワーズ。
魔力のシンクロ共有をなしたが、マリアベルはそれだけで勝てる相手でないことは明白。
恐るべき強さで押し寄せる攻撃を悉く返している。

だが、それを見ているしか出来ないのだ。
メカアルナワーズも今となっては呪的システムの一部なのだから。

>「なんて事を言うんだ、アルナワーズ!これではまるで俺がリリアーナの恋人候補みたいじゃないか!」
そんなメカアルナワーズに文句を言うロック。
そしてそのロックを張り倒して去っていくリリアーナ。
「あらロック、私が言った訳じゃないのよ〜。文句を言うならアナウンサーに言ってちょうだい?」
メカアルナワーズがくすくすと笑いながらロックに返す。
そう、あの紹介文はあくまでアナウンサーの言った事だ。
勿論、リリアーナ愛の劇場を流していたのはアルナワーズだし、賭けの胴元もアルナワーズなのだが、わざわざ口にすることはない。

「それに、意外だわあ〜。ロックはリリィがそんなに嫌いだったの?
あなたの為にリリィがどれだけの艱難辛苦を乗り越えてきたか・・・
それなのにそんな全否定してはリリィも怒るわよ。」

微妙に論点を変えていきながらロックを諭す。

「悪かったと思うのなら、言葉より態度で示すことねぇん。
リリィは平常心とか言ってたけど、そんなもの糞よ。
ロックにはロックの、熱い漢の魂を燃やす!でいいのよ。
たったそれだけなのに、あなたは一人で空回り・・・。
周りを良く見て。あなたの為に集った皆を!
熱い友情に応える時よお!」

努力・友情・勝利!黄金の熱血パターンを盛り込みながらロックを焚き付けるよう促すのだった。
そこには既にリリアーナ愛の劇場問題は綺麗に摩り替えられていたのだった。

94 名前:ラルヴァ ◆sy1IQNBWp6 [sage] 投稿日:2007/08/05(日) 10:15:02 0
>79>81>83>86>91-92

牙がぎりぎりと食い込んでくる。
あまりの激痛に呻くことすらも出来ない。流石にこれは死ぬ・・・かも。
>「ラルヴァよ、苦しみながら死ぬがいい。」
この苦境を救ってくれたのは鎧の騎士とレイド先生だった。
だが、遠くへ移された所で先ほどのマリアベルのセリフの意味を思い知る事になる。

神経に食い込む激痛が走る。ぎちぎちと毒が自分の痛覚と感覚の神経を食い荒らしていく。
それを助けてくれたのは、学園のみんなの声とリリアーナの怒りの混じった声だ。
>「ラル君しっかりするのよ、ルーナやシャニィを泣かせちゃだめよ!」
体内で毒と解毒剤の効用が激突し、自分の中を魔力が濁流のように流れ込んでくる。

>「ラル君、また後で」
その声を遠くに聞いて、意識が暗闇の底へと遠のいていく。

   そしてその暗闇の中
『偽善者め、オレを封じ込めた途端このザマとは笑えないな。』
  もう一人のボクが笑う。だからどうしたっていうんだ。
『分かってるだろ、魔力は確かに俺達の身体能力を底上げしてくれるが、マイナスをプラスにする訳じゃない。』
  ・・・ボクは、死ぬのかな。
『頭の回転の悪ィ奴だなぁ。おい、死んでもらったらオレも困るんだよ。』
  お前が死ぬんならそれも悪くない。
『だからさせねぇって。お前はオレを受け入れろ、そして認めろよ。
 お前の周りの人間を死なせたくないんだろう?』
・・・・・・ボクは、『「ぼくらは・・・・・・」』

深い草むらの中、ラルヴァの体は動かない。まだ、動かない・・・・・・

95 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/08/05(日) 11:13:58 0
>88>90
簡単に真っ二つにされるフリージングドール
「そ、そんな!!」
そして現われる人の姿をとったマリアベル
フリージアは内心舌打ちをした
あの大きさではフリージング・ディストラクションは当たらないだろうからである
>「お前ら、もうちょっとお互いに協力しようとは思わないのか?」
レイド先生なら兎も角、ユユのことは良く知らないから無理である

>「それで…こう?」
飛んでくる斬激波!!
「!?」
フリージアはとっさに雪の結晶の盾を5枚重ねで作り出し防御した
・・・・だが
「あ〜れ〜!!」
盾のおかげで切り傷こそはないが衝撃を消しきれずにフリージアは吹き飛んだ
そのまま壁にぶつかるフリージア

「・・・・あら?痛くないですわね?」
良く見ると背中でギズモが目を回している
壁にはギズモ型の凹みが刻まれた

キサラを舐めているのか、大の字になるマリアベル
今ですわ!!
心の中で叫ぶフリージア
フリージアはいつもの数倍の数の雪の結晶を作り出しキサラの陰になるようにマリアベルに飛ばした
そしてキサラが攻撃を仕掛ける瞬間、雪の結晶はキサラを避けるようににカーブする
回転し切断するタイプの雪の結晶は杖を狙うように
凍らせるタイプの物は足を狙うように

どうせ倒してもこのままではまた復活してしまうだろう
だから相手の戦闘能力や移動能力を奪うことを最優先した攻撃を仕掛けたのだ

はたしてその試みは成功するのだろうか?


96 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/08/05(日) 22:51:01 O
牙を砕くつもりが、以外にもあっさりと大蛇の頭は真っ二つになった。
だが、これで終わりではないことは皆も承知だ。
また頭の中で声が聞こえる。
先程の声とは違うが、ただ言えることはこの声の主があの大蛇だということ。
直ぐに振り返り、奴を見る。

「……………ごめんなさい」
正しい判断を下したと思ってはいたが、更に厄介なことになってしまった。
双頭になってしまった大蛇を見て、何故か後ろめたさを感じてしまい、謝ってしまった。
しかし、皆はそんなことは気にせず……ちょっと嫌な視線は感じるが、果敢に大蛇へ攻撃を仕掛ける。
丁度、大蛇の後方にいる私はノーマークだ。
私以外のメンバーならば、ここは絶対に攻め時と判断し、行動を起こしている。
だが、私には其が出来ない。
騎士としての誇りが、足枷になり私を縛り付ける。
まごまごしているうちに、頭上から氷塊が落ちてくる。
「え……そんなッ!あり得ないッ!」
そう、落ちてくる訳が無いのだ。フリージアの氷人形の残骸が落ちてくるとすれば、大蛇の前に落ちるはず…それがなんで…いや、まずは避けなければ!
私はとっさにバックステップで下がり氷塊を辛うじて避けた。
だが、最悪なことに氷塊が山になってしまって断絶されてしまった。
不幸中の幸いと言えば、氷塊の透明度が抜群によく、大蛇だった者の姿もしっかりと把握出来る。
そして、これが二度目のチャンスだというのも判断できる。
「アル!下らないプライドは捨てろ!」
どこからかナナさんの声が聞こえる。
気が付けば、辺りは皆の歓声に沸いている。
さながら闘技場のようだ。
振り向くと私の真後ろでナナ先生が私を見守っている。
「ナナ…さん」
「1日で随分変わったわねぇ…まぁ話は後にして、護るものがあるなら私は汚名を背負ってでも護る………かなり前にそう言ってなかったかい?」
かなり前にナナさんと酒を飲んだとき…まぁ飲んでいたのはナナさんだけだが、その時に言った一言だった。
「………」
何かが取れた気がした。
「ほら!さっさと行きな!」
「ハイ!」
タイミングよく来た剣猫を駆り、氷山を駆け上がる。
奴の注意は前にしか向いてない。
ヤるなら今!
「喰らえぇ」

97 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/05(日) 23:06:05 O
>>90>>95
マリアベルの身体に氷の爪が届く距離まであと数秒……
突如現れたフリージアの雪の結晶は、自分を隠すように動く
だが、それによって自分の視界も奪われる寸前、彼は妙なことに気づく
マリアベルが両手を広げ、ノーガードの姿勢をとった
(……舐めた真似を………!!)
だが、逆に冷静になったキサラは、巨大な雪の結晶の盾があるにも関わらず、
左右に交互に飛び出す形でステップを踏み始めた
そのあまりの速さに、正面から見ているマリアベルには、
まるでキサラが二人いるようにすら見えるだろう
このまま真正面から斬りかかるのでは、相手の思うツボだ
(なら………相手の裏をかくしか…!)
自分の細腕では、どう頑張ってもダメージは小さい
なら、相手の急所を確実に引き裂く
雪の結晶がマリアベルの杖と足元を狙い、二手に別れる
そして、二人のキサラが、ワンテンポ遅れて左右から爪を振るう
だが、誰か気付いただろうか?
キサラは確かに左右からマリアベルに爪で攻撃し、その斬撃とダメージは確かに本物である
だが、肝心のキサラ本人は、氷の結晶を足場にして、マリアベルの頭上に跳躍し空いている左手で音もなく愛銃を抜いていることに

98 名前:ユユ ◆LZfunhEVsc [sage] 投稿日:2007/08/05(日) 23:22:07 O
>90 etc

「お前ら、もうちょっとお互いに協力しようとは思わないのか?」
「そんな気は特に無いかな。群れる生き物じゃないかもだ、オレ。」
……実際は、初見のヤツらと上手く連携取れる筈は無いんだけどね。まぁ、強がり。
「最後は少しアレンジしようかな。」
次々と技をコピーしていったヤツは最後に氷の足をオレの頭上に出した。
個人的には矢じゃなくて良かった。氷は訳もなく回避。うん、問題無い。
「さて………」
今回で解った。弓はイマイチだ。
しかし、格闘は論外。意志疎通が十分で無いから味方に殺されるかも知れない。………でも。

そして蛇は何をトチ狂ったのか両手を広げて悠然と構えている。
久しぶり、全開のオレ。
多分全身にどす黒いオーラを纏ってるんじゃないかな?
黒いのはオレの魔力の色で、別に大した意味は無い。生まれつきだ。
「白色の………」
術、発動。弓をなお離さないのは杖の代わりにもなるからだ。便利な相棒に無限の感謝を。
………いや、少し待て。さっきは思い思いのタイミングでアタック掛けてしくじった。って事は………
術キャンセル。
失敗するのは悪くない。挑戦の結果だから。でも、同じ失敗を何度もするのはただのアホだ。
オレは馬鹿。だけど、アホにはなりたくない。
と、言う訳で蛇がちょっかい出さない限り今は皆の動きを見ていよう。

99 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2007/08/06(月) 09:20:17 0
壁をぶち破る80先生

100 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2007/08/06(月) 13:29:41 0
ウルトラマーン 80−

101 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M [sage] 投稿日:2007/08/06(月) 15:36:52 0

>「左目の一つや二つ!どうという事はない!!」
(もう少ししっかり説明は欲しい所だけど…。)
一瞬意味を図りかねたが、自分の左目を潰そうとしているらしい。
それがマリアベルに何らかのダメージを与える事を前提に。
そして、ロックが詳しい説明をしようとしたところで
マリアベルがロックにかけた呪いが跳ね返され、
マリアベルに効果を及ぼしていた。
>「俺の左目がどうやらマリアベルと連動しているらしい。
 だから俺が左目を潰せば奴も力を失うはずだ、さっきみたいに。
 …危ない!来るぞ!」
(…私が止めても、説得力なんてないわね…いえ、止める権利もない。
私は"左目の力"を恐れて、今までずっと封印していたんだから…。)
そして、考えつつもロックの言葉に反応してマリアベルを見る。
「カーナム・インフラマレイ!!」

螺旋状に広がる炎を見て、対抗手段を考えた。
が…メラルに火力で勝る相手の炎を正面から防ぐ手段はない。
(回避しか…間に合わない?)
回避しようと飛び退いたものの、その広がりは予想以上で
半ば諦めかけたが…唐突に魔力が増す感覚を感じ取った。
(これは一体…。でも、おかげで何とかなる!)
メラルは立ち止まり、炎に包まれた…傍目からはそう見えただろう。



リリアーナの生み出した扉によって炎が吸われた後、メラルは
少し息が荒いものの、まるでそこにいるのがあたりまえでもあるかのように
マリアベルから少し距離を取った位置に立っていた。
そう、転移で離脱したのである。そして、魔力が無尽蔵に使える状況での
戦術を考えつつ、身体能力強化に注ぐ魔力を高める為、
常時使用しているそれとは別の術を詠唱しなおしていた。
(アル…今は信頼させてもらうわよ。魔力を気にしないでいいと言うのなら…
この転移だって精神力さえ持てば気兼ねなく使える…。
それにしても、意外に私って頼りないイメージがあったのね…。
まぁいいわ。どちらにしろ、私がロックを止める事は出来ないなら…
マリアベルの余裕を奪えるだけ奪うしかない。)
身体能力強化の術が終わり、マリアベルが相手の術の鸚鵡返しのようなことをしている間も、
冷静に状況を見ていた。そして…接近戦を仕掛けている二人を巻き込まない事を考えると、
落ち着いてきた為か今までとは少し毛色の違う考え方になってきた。
(下手に私が手を出すよりも、援護に徹するべきね。目の力なんて論外。
実戦で使い方の分からない力を試すくらいなら、撤退した方がまだマシ。
…冷静に、確実にやらなきゃ。そして、今の私に出来る有効な援護は…
あのやり方しかない。恐らく、マリアベルはあのやり方の恐ろしさは、それこそ
…ここにいる人間の中じゃ一番…私なんかよりよっぽど理解しているはず。
なら、どこまで持つか分からないけど…注意をひきつける!)
メラルが、レイド先生に近づいていき、小声で声をかけた。
「先生。…転移を使った一撃離脱をしてみませんか?…乗ってくださるなら…私が運びます。」


102 名前:マリアベル ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/06(月) 19:23:02 O
>「こんな杖があるからいけないんだわ! だったらいっそ壊れてしまえばいいのよ!!」
リリアーナはカドゥケウスを壊すぞ、と脅迫したいらしい。
マリアベルは呆れた。神々の道具をそんな小物で壊せるわけがない。
君は見なかったのか?氷づけにされ、膨大な魔力により破壊された俺の中にその杖はあったのだ。
そして、その杖カドゥケウスには傷一つ付かなかったではないか。
マリアベルはそう言おうと思ったが、そんな時間はなかった。
キサラとフリージアの氷が迫る。まず来たのは手元の杖を狙う氷の結晶だ。
これを防ぐのは簡単だった。マリアベルは両手の杖をすっと落としたのだ。
氷の結晶はあるはずだった杖を斬るようにマリアベルの手の前を通りすぎた。
次はキサラだ。左右から振り降ろされる刃がマリアベルの首の血管を裂いた。
「よく跳ぶなぁ…」
跳躍したキサラを見上げながらマリアベルが呟く。
両足が氷ついて動かないが一顧だにする様子もない。
マリアベルは首から血しぶきをあげ、前を向いたままこんな事を言い出した。
「やぁ、待ってたよアルテリオン!」
そして振り降ろされたアルテリオンの剣がマリアベルを打った。
右肩から食い込んだ刃が心臓の付近まで達している。
マリアベルはそこで動きを止めた。


103 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/07(火) 01:42:16 O
>>102
マリアベルの頭上に跳んだキサラは、そのまま首元をめがけて爪を向ける
が、そのマリアベルは、こちらを見てニヤリと笑ったのだ
それも、首からは大量の血を吹き出しながら
「……っ!こいつ…っ…!!」
そのあまりに異様な光景に、さすがにキサラも一瞬臆した
確かに先程の左右同時の斬撃で、手応えはあった
だが、そのときに既に、あっけないとは思った
こんな簡単に終わるのか―――?と
だが、目の前の人間は、確かに生きて、こちらを見て、笑った―――




爪の標的は喉から少しずれ、
ちょうどアルテリオンの剣とクロスするように、左肩から心臓にかけて食い込んだ
その爪が止まった位置は、アルテリオンの剣のすぐ上で止まった

104 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/08/07(火) 17:38:46 0
さっきアルテリオンの背後に、ナナの姿が見えたような気がした。
彼女は今、ギルハートの呪いによって塔の外で眠りについているはずだ。
誰か――オーラの色から察するにたぶんエイティだろう――の借り様子を見に来てくれたに違いない。

>102
カドゥケウスを壊すぞと叫んだリリアーナに、マリアベルは心底呆れた顔をみせた。
気をそらす作戦は成功するにはしたが ――――敗北感がじわじわ湧いてくるのはなぜだろう。

>95-97
手元を狙ったフリージアの攻撃を、マリアベルは杖を落とすことで対処した。
フリージア、キサラ、アルテリオンが連続攻撃をしているうちに、落下した杖をロックバスターで破壊する。
杖を壊しても、他の予備を召喚するに決まってるのだが・・・時間稼ぎとはいえやらないよりはマシだ。

足元を凍りつかされ身動きが取れなくなったマリアベルだが、頚動脈を裂かれても顔色一つ変えなかった。
背後(!)からアルテリオンさんに串刺しにされても、全く変わらない。
リリアーナはギルハートの戦闘を思い出していた。
ギルハートは、からくりが分かるまではまさに無敵だった。
どんな攻撃も彼には通用しなかった。
それはギルハートが老人型のデコイに攻撃を集め、自身は黒猫に変身することで戦闘を有利に進めていたからだ。 

キサラはマリアベルの心臓を貫いていた。
「・・・やったの?」
――――まずい、死んでない!
「ダメ、皆離れて!」

リリアーナは一旦フリージアの場所まで後退した。
メラルは今レイドと打ち合わせをしている。
学園の皆から魔力供給を受けている今、どんな大技でも思いのままだろう。
だが、効かなければ意味が無い。
「ダメだわ、まるで攻撃が効いてない! フリージア、どうすればいいの?
 今のマリアベルはまるで、ギルハートが使ってた身代わり人形みたいだわ!!」
そう叫んだリリアーナははっとした。
ギルハートは老人型の身代わり人形を使い、自分は黒猫に変身して戦況を有利に運んでいた。
では、マリアベルは?

そういえば先ほどマリアベルが、ロックに舌縛りの呪いをかけようとしていたのを思い出した。
呪いは当人に跳ね返っていたが・・・マリアベルは何のためにロックを黙らせようとしたのだろう?
3人で一体何の話を?
リリアーナは周囲を見渡した。
あの時ロックと話していたのは、たしか目つきの悪い生徒とメラルだったはず。

>96
リリアーナは位置的に一番近かったユユへと詰め寄った。
「コウモリ捕まえてくれた君!さっきロックと何を話してたの?」
リリアーナはユユの腕を掴むと、じれったそうに揺さぶりながら熱血しているロックを指差した。
「さっきロックが舌縛りの呪いを受けたときよ!
 戦闘中にわざわざ呪いをかけたのよ、絶対マリアベルにとって都合の悪い事を言ったに違いないわ!
 さあ、何を喋ってたの? 怒らないから教えてちょうだい!」

105 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/07(火) 20:02:06 O
アルナワーズの言葉はある意味でリリアーナの拳骨よりも強くロックの心を打った。
「…そうか、俺は一人じゃないんだよな。
 俺が間違ってたよ、アルナワーズ!(燃)」
ロックは考えた。アルナワーズはただからかったわけじゃない。
表向きはそう見えても、その裏に深い意味があったのだ。
その意味を汲み取れずにあんな発言をすればリリアーナが激怒するに決まっている。
そう、俺は一人じゃない。アルナワーズが見せてくれたように、たくさんの仲間がいて、そして俺がいるんだ。
アルナワーズがそれを俺に気づかせてくれた以上、俺は俺が出来る事をやらなければ。
ロックは先程マリアベルの武装解除魔法で飛ばされたユユの矢を拾った。
しかし、その瞬間手に衝撃が走り、また矢が飛ばされてしまった。
武装解除魔法?しかし、マリアベルは(少なくとも今は)死んでいるように見える。
ロックは負けじと今度はポケットからスプーンを取り出した。
しかし、これも飛んでいった。ロックはきょろきょろと原因を探したが見付からない。
それもその筈だ。マリアベルの杖が一本ロックの後頭部にぴったり張り付き、
ロックが武器を持つたびに武装解除魔法をかけてるのだ。
ロックはさらに負けじと今度は懐からバナナを取り出した。
これは飛んでいかなかったが、バナナを出しても意味がない!
いや、待てよ。何も目を潰す(あるいは取り出す)のに道具が必要だろうか?
ロックは自分の手を見つめた。そして、決意を固める。
「やるしかないだろ、俺!」
ロックはポケットからハンカチを取り出すとそれを口に挟み、強く噛んだ。

106 名前:謎の生徒[sage] 投稿日:2007/08/08(水) 01:29:53 0
     \ │ /
 ピカッ  _  。 _
     Å  / 丶 
   ヽ('A`)ノ、 ニフラム!
    / ( ) \
    んヘヽヽ〜'


 サ----
     Å:. ..
   ヽ('A:: .. . . ウワァァ
    / ( ):... .. .
    んヘヽヽ .. .

107 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/08/08(水) 07:52:28 P
リリアーナは言った
あれは以前見た身代わり人形のようだ・・・と
「私に言われても・・」と返答につまるフリージア
リリアーナの言うことから導き出されるのは、あれは本体ではないということだ
どおりでさっきからアルテリオンやキサラが致命的とも思える攻撃を食らわせても平気そうな顔をしているはずだ
だったら本体はどこにいるのだろう
やはりロックさんの中にまだいるのだろうか
そう考えていたらなにやらロックさんが自分の目を潰そうとしているのが目に入った
「なぜ自分を傷つけようとしてらっしゃるの?」

108 名前:マリアベル ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/08(水) 19:50:37 O
結論から先に言えば、マリアベルは生きていた。
そして、思った。こいつらいつまで人を串刺にしとくつもりだ?
残心というか何というか、少し間をあけていた二人に苛立ちを感じるマリアベル。
ここで、マリアベルの指がぴくりと動いた。
落としていた杖はそれに反応して再びマリアベルの手に収まる…筈だったが、
リリアーナに既に破壊されていた。
マリアベルは仕方なく素手でキサラの爪とアルテリオンの剣を体から抜いた。
「フリージア、これ邪魔だから壊してもいいかな?」
マリアベルは彼の足を拘束している氷をさした。
マリアベルはフリージアに話しかけているようで、その実、彼女を全く見ていない。
だからこの時、フリージアがロックの側に来て彼に話しかけている事も全く気づいてなかった。
「答えは聞いてない。」
マリアベルはフリージアが喋ろうとした途端に冷たく言い放った。
でも、壊すにはとりあえず杖が必要だ。
「さてと…アルテリオン。」
マリアベルは振り返れないので、仕方なく背中を向けたままアルテリオンに話しかけた。
「後ろから襲ってくるとは驚いたな。騎士としての誇りは今は留守なのかい?」
マリアベルの背中が皮肉たっぷりに言った。
「ところで…剣とは騎士の魂の象徴であると心得るが…
 まさか、それを自分から手放すような事はないだろうな?」
意味深なマリアベルの発言、次の瞬間その意味を嫌というほど味わう事になる。
何かがアルテリオンの首をきつく絞めたのだ。
彼女の首に絡みつく真っ赤な手、それは彼女の剣からはえていた。
それは、マリアベルの血だった。
剣についた血が手の形となり、アルテリオンの首を絞めているのだ。
「あと…君は手放したくても手放せないんだな。」
マリアベルは正面にいるキサラを見ていた。
やはり彼の爪にもマリアベルの血がべったりと付き、
そして、その血がキサラを絞め殺そうとしていた。


109 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 [sage] 投稿日:2007/08/08(水) 21:48:32 O
>90>「お前ら、もうちょっとお互いに協力しようとは思わないのか?」
この野郎…全く攻撃が当たってないな。
頭に乗るなよこんちくしょう。
「お前の口から協力なんて言葉が出るとはな。
似合わないぞ。
それに、お前の様な雑魚相手に協力なんてしたらただの弱い者虐めになっちまうじゃないか。」
な〜んて、強がりな発言してられんのも今のうちだな。
>「こんな感じか?」
マリアベルの杖の先端から水の矢が発射される。
「ちっ…グランドウォール。」
矢を防ぐ事は出来たが…魔力がそろそろ底を着きそうですよ…。
さて、次はどう出ようか…
>101>「先生。…移転を使った一撃離脱をしてみませんか?…乗ってくださるなら…私が運びます。」
よし、乗った!
だって俺の考える作戦よりメラルの考える作戦の方が何か成功しそうじゃん。
「乗るに決まってるじゃないかメラルちゃ〜ん。
よろしく頼むよ。
俺も気合い入れてくからさ。」
見てろよ糞蛇。
一泡吹かせてやるぜ。

110 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M [sage] 投稿日:2007/08/09(木) 13:13:47 0

>「乗るに決まってるじゃないかメラルちゃ〜ん。
  よろしく頼むよ。俺も気合い入れてくからさ。」
「わかりました。…先生も準備をお願いします。それと、先生の攻撃が
 終わり次第再転移しますので気をつけてください。」
言うと、メラルはマリアベルの隙を伺い始める。すればマリアベルはすぐに
察するだろうから詠唱はしないようだ。


アルテリオン先生とキサラがマリアベルを串刺しにする。
が…なんと、自らの血を腕の形に変化させて二人の首を絞めようとしている。
>「ダメだわ、まるで攻撃が効いてない! フリージア、どうすればいいの?
  今のマリアベルはまるで、ギルハートが使ってた身代わり人形みたいだわ!!」
リリアーナの叫び声が聞こえてきた。
(…本体に攻撃しても無駄ね。でも、二人をあのままには出来ない。それに…)
メラルはロックに視線をやる。いや、ロックの後頭部近くに浮いている
マリアベルの杖にだ。
(…あの杖、どう考えても一つの術しか使えないとは思えない。
…あれがある限りロックは行動を取れない。…仕方ないわね。
一つなら使えるし…失敗しても意識を逸らす囮にはなるはずね。)
メラルは小声で呟いた。
「先生。…陽動の攻撃を仕掛けた後で…行きます。イーグルエッジ…ステルス…スパークリング…つっ…。」
メラルが先に氷製の鳥をマリアベル目掛け放ち、後で氷を半透明にし、その姿を見えにくくする…
と同時に、急旋回させた。同時に、杖を持つ手の表面の一部に漏電を起こし、服を焦がしつつも光の輪をコントロールし、
縦回転させて放物線に近い軌道を取りながらマリアベルの方に向かわせる…と、途中でマリアベルからは見えにくい…
そしてロックからは一番見やすい、輪の中央に光が集束し始め、ロックの後頭部近くのマリアベルの杖に向け、
唐突に小型の雷砲が放たれた。更に、時間差で直上からステルス状態の氷の鳥が杖を破壊せんと迫ってくる。
そして、メラルは術のコントロールを手放し、レイド先生の背に手を触れると…二人はマリアベルの真後ろに転移した。


111 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/08/09(木) 18:38:59 O
剣を振り下ろした瞬間、私は背筋がゾッとする感覚に教われた。
この奇襲が奴の計算内の出来事だったというショックではなく、もっと次元の違う…そうシンプルな不気味さ…
決して恐怖を覚えた訳ではない。

………何が狙いだ…………手応えは確かにあった、即死のはず…

一瞬だけ戸惑っているつもりだが、私はかなりの間、そのまま固まっている。

その時だ…死体であるはずの奴が動き出したのは!
ならば、次は首を飛ばしてやる!
そう頭で思っても体が満足に動かない。
だが、お構い無しに皮肉を言ってくる。
「名乗らぬ相手は獣と同じ、獣に礼節など不要であろう!」
強がって私はそう返した。
だが、この状況…圧倒的に私が不利なのではないだろうか?
と奴は急に意味深なことを言い始める。
「何を………ッ!!」
油断した…まさか、自分の血を利用してこうくるとは………
剣を手放したら離れるか?
いや、駄目だ!いくら模造品とはいえ、威力は本物とは変わらない魔剣だ!
奴に渡った時点で一巻の終わり…
………ならば…………これしか…………ない
薄れゆく意識の中で、私は手の生えた剣を振りかざした。

112 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/08/09(木) 20:04:10 0
>106
突然現れた謎の生徒が、敵払いの呪文を唱えた。
だが、なぜか生徒自身が光の中に消え去ってしまった。
何アレ?と唖然とするリリアーナの目の前で、一匹の蝙蝠がよろよろとレイドの方へと戻っていった。
どうやらレイドになついた蝙蝠が、魔力を振り絞って助太刀しようとしたらしい。
だが自分の呪文で、自分自身が払われていては意味が無かった。
「ド・・・ドジッ娘?」

>108
ユユに詰め寄っていたリリアーナは戦慄した。
べっとりと得物についた返り血の中から、真紅の手が生えてきたからだ。
今もキサラとアルテリオンを絞め上げている手は、マリアベルの血で出来ていた。
「二人を助けないと!」
ひとまずユユへの追求は後回しだ。

リリアーナはロックバスターを向けた。だがどうしても引き金を引けなかった。
ロックバスターは高い命中度を誇るが、盾にされている二人に命中する可能性はゼロではない。
だが、だからといって血で出来た「手」を撃ってダメージを与えられるだろうか?
なんと言っても相手は液体なのだ。
(―――― 液体?)

リリアーナは足元に杖を向けた。靴に生えていた羽根が大きくはばたいた。
リリアーナの身体は宙へと浮き上がった。
そのまま何も無いはずの宙を蹴り、一気に上空へ駆け上がる。
幻灯機と同化したアルナワーズのさらに高みへと駆け上ったリリアーナは
「こっち映したら怒るわよ!」と叫んでスカートのスリットを直した。
ロックとフリージアは何か話をしており、メラルとレイドは何事か相談しているようだ。
ラルヴァは気絶しており、アルテリオンとキサラは人質となっている。
今自由に動けるのは、リリアーナとユユだけだった。

>111
リリアーナはマリアベルの頭上で魔方陣を描いた。
空間に青い扉が無数に浮かび上がる。
「これだわ!!」
気合を込めてリリアーナは杖で扉の一つを差した。彼女の選んだ扉を残し、他は全て霧散する。
「マリアベル、血の穢れを洗ってあげるわ!」
もう一度リリアーナが杖を一閃させると、青い扉は轟音とともに開け放たれた。
足を氷で封じられたマリアベルの頭上へと、膨大な量の水が降り注ぐ!
「聖地ルルードの泉の底へと続く扉よ!
 あふれる水は全て 霊験あらたかな霊水!
 天然の聖水と銘打たれて土産物屋では小瓶で100ギコ!
 王侯貴族でも味わえない高級シャワーよ、感謝しなさいよね!」」

一つ気になるのはアルテリオンだ。
生者でない彼女が霊水を浴びるとどうなるのだろうか?
危険な香りがしないでもないが・・・何となく大丈夫な気もする。

113 名前:マリアベル ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/09(木) 21:03:13 O
頭上から降り注ぐ水!水!水!
霊水はキサラとアルテリオンの武器についていた血をすっかり拭ってしまった。
マリアベルは舌うちをした。さて、悪い事は大概続けて起こるものである。
メラルがロックの後頭部についた杖に気づき、フェイントをかけて破壊しようとしたのだ。
「こいつっ!」
マリアベルはメラルにファイヤーボールを放った。
術者を攻撃するのがこの状態ではベストだと考えたからだ。
しかし、予想外の事態が起こる。メラルと、隣にいたレイドが消えたのだ。
その結果、マリアベルの攻撃は空振りし、
メラルの術でロックの後頭部にあった杖は砕けてしまった。
ロックは頭のすぐ後ろで術が炸裂したのに動じる気配がない。
顔に何かしているようだが、マリアベルとフリージアに対して顔を背ける体勢をしているためわからない。
しかし、見なくてもマリアベルにはわかっていた。ロックが何をするかを。
「やめろぉぉぉっ!!」
その声と共にマリアベルは再び巨大な蛇に姿を変えた。
これにより足を拘束していた氷が砕け、自由を取り戻す。
ここで、マリアベルに激痛が走った。
見ればアルテリオンが無我夢中で剣を振り、
それがサックリと自身の尻尾を切り落としたではないか。
「貴様は後から殺してやる!!
 ぬおおぉぉおぉっ!!」
大蛇マリアベルはその巨体から想像できない速さでロックに(そして側にいるフリージアに)迫った。
その時だ、レイドとメラルが自分の背後に現れたのは。
その殺気に驚き、振り返るマリアベル。

そして…

114 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg [sage天罰?相変わらずギャグ畑で遊んでいますw] 投稿日:2007/08/09(木) 21:27:14 0
ロックの熱血本能が目を醒ましたのを見て、メカアルナワーズは高笑いと共に空へと登っていく。
呪的システムの一部となっている今、出来るのは口出しくらい。
やる事をやれば後は動けるものに託すしかない。
流れ弾などで魔力リンクシステムに影響が出ないように高度を上げたのだ。

高いところからは戦いの様が一望できる。
だが、本当に一望できるだけなのだ。
なにも手を出す事の出来ない自分に(退屈と言う意味で)歯がゆさを覚えていたとき、運命は回転する。

一瞬でメカアルナワーズの高度を抜き去る影。
>「こっち映したら怒るわよ!」
そういわれれば、「どっち?」と向いてしまうのが自然の反応だろう。

そして見た!映した!
リリアーナがまるで天使のように空を駆け、空中に魔法人を描く雄姿を!
超超ローアングル・・・と言うか真下から!!!
「キャー!リリィったら、もう!いくらでも怒ってえぇ!」
暇を持て余していたメカアルナワーズに巡ってきた最高の瞬間。

そして最高の瞬間だったのはメカアルナワーズだけではない。
「キターーーーー!
おっぱいで勝負できないのなら美脚で勝負!
深いスリットはこのためだったのか!!
まぶしいチラリズム!ご馳走様ですっっっつ!!!」
アナウンサーは狂喜して実況し、空に映る学園関係者達からどよめきと歓声が沸き起こっていた。


そんな目かアルナワーズの至福の時間は長くは続かなかった。
突然降りしきる聖水の雨に打たれたのだ。
幻灯機形態のときならともかく、展開している状態では漏電の一つや二つ起ころうというもの。
勿論その程度で術に影響があることはないのだが、合体状態のミニアルナワーズは別口だ。
「あばばばばばば!!しび・・・痺れりゅう・・・」
光るたびに骨が透けて見えるお約束状態になりながらフラフラと高度を上げ、ゲートの更に上に位置を取り難を逃れたのだった。

115 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 [sage] 投稿日:2007/08/10(金) 00:17:11 O
>110やはりメラルの作戦は素晴らしい。
無駄が無い。
冷静な判断力、観察力、これは大きな武器になる。
こりゃ将来は化けるな…。
俺も抜かれないように頑張らないとね、うん。

>113メラルの術によりマリアベルの背後を取る事が出来た。
マリアベルは再び大蛇の姿になっていた。
ラッキー。この方が切り刻み易い。
「マリアベル、討ち取ったあぁぁあ!」
刀でマリアベルの頭部をこれでもかと言うほど連続で斬りつける。
体に大量の返り血がかかっているがそんな事を気にしている場合じゃない。
このチャンスを逃せば次は無いかもしれない。
頼むからくたばってくれよ。

116 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/10(金) 00:23:12 O
>>104>>108
>「ダメ、皆離れて!」
リリアーナが叫んだ頃にはもう遅かった
マリアベルはアルテリオンの剣とキサラの爪を素手で抜き、キサラの方を向いたまま話し始めた
>「さてと…アルテリオン〜まさか、それを手放すような事はないだろうな?」
まるで謎かけのようにマリアベルがアルテリオンに背中越しに話す
そして、その瞬間、アルテリオンの首を、赤い『何か』が絞める
「あ……アルテリオンさん!!」
再び臨戦体勢をとり、爪を構えるキサラだが、再び攻撃することはかなわなかった
>「あと…君は手放したくても手放せないんだな。」
「………化け物……!!」
それだけキサラが言うと、その先は悲痛な声に変わった
「…ああっ……ぐ…っ……!」
キサラの爪にべっとりとついたマリアベルの赤い血が、キサラの首を締め始めたからだ

117 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/10(金) 00:41:30 O
(これは……まずい…!)
―――意識が薄れていく―――


>>112
そのとき、上空からリリアーナの声が響く
>「王候貴族でも味わえない高級シャワーよ、感謝しなさいよね!」
武器についたマリアベルの血が洗われ、絞められていた首も解放される
「…がは…っ………た…助かりました……」
リリアーナに一言礼を言い、再び蛇と化したマリアベルに斬りかかるアルテリオン
キサラは一旦下がり、メラルとロックに合流する
(……ここにも…策士がいたか)
無論、メラルのことである
「………口惜しいですけど……僕一人の力では…あの皮膚は切り裂けない……
かといって……僕は魔法も使えない…
……それに……僕達一人一人がバラバラに戦って…勝てない相手なのも事実
………僕は…貴方に従います」
相変わらず口下手というか何というか…
だが、とりあえず言いたいことはメラル達に伝わっただろう

118 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/10(金) 18:52:16 O
ロックはフリージアが話しかけてきても、それを無視して何かに没頭していた。
しきりに自分の顔を押さえているようだが、
フリージアには背を向けているため彼女からは何をしているかは見えない。
しばらくして、ロックは顔から手を離し、口からハンカチをとった。体が震えている。
「フリージア、何か包帯になるものをくれ。」
ロックはフリージアからそれらしい物を受取り、左目を隠すように頭に巻いた。
そういえば三ヶ月前にも同じように目に包帯を巻いたっけ。
ロックはフリージアに振り返り、ニッと笑った。
その間、大蛇のマリアベルがこちらに迫ってきていたが、ロックは気にしなかった。
マリアベルが突然くるっと向きを変える。
そこには剣を構えた(本当は刀だがロックには違いがわからない)レイド先生がいた。
>「マリアベル、討ち取ったあぁぁあ!」
そう言ってレイド先生はマリアベルの頭をみじん切りにする。
マリアベルは頭から血を盛大に噴き出し、倒れた。
しかし、すぐに起き上がる。まるで、不死身であるかのように。
>「はははっ、貴様の攻撃など蚊ほども効かぬわ。
 …ぶっ殺してやる。」
「マリアベル!」
ロックが叫んだ。そして、手にしたそれをマリアベルに見せつける。それとは眼球だった。
ロックの左目であり、マリアベルの左目であり、彼の不死の正体であり、マリアベルそのものだった。
それが今ロックの体から、彼が指でえぐり取ることによって引き離されたのだ。「お前はもう、死んでいる。」
ロックはなるべくかっこうつけて言った。
>「貴様っ!不死…」
マリアベルのセリフは途切れてしまった。
レイドに頭を斬り刻まれ、それを回復する手段をたった今、失ったからだ。
マリアベルは地に倒れ、今度こそ起き上がらなかった。
ロックはそれを確認した後、へなへなとその場に座った。
何せ、めちゃめちゃ痛いからだ。
ほどなくして、マリアベルの大きな体がぼっと燃え、灰に変わってしまった。
そして、塔の崩壊が始まった。辺り一面の空間という空間に歪みが生じる。
「くそっ!どうすればいい!?」
ロックは混乱した。マリアベルを自分から切り離したため、この先はロックにも予想できないのだ。

119 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg [sage] 投稿日:2007/08/10(金) 20:47:15 0
レイドの斬撃によりマリアベルは倒れ、動かなくなった。
それと同時に塔の崩壊が始まり、あたり一面の空間がゆがみだす。
「ま、まずいわ・・・!魔力リンクが・・・!」
空に映し出された大画面も、歓声も歪みノイズが入りだす。
それは魔力リンクの効力が及ばなくなっている事を現していた。

メカアルナワーズはギリギリまで調整を続け、幻灯機とリンクしているメンバーの魔力を満タン状態にすることに全力を注ぐ。
誰だけの魔力補充が出来たかはわからないが、ついに画面は途切れ、魔力リンクも途絶えてしまった。
こうなっては目かアルナワーズでいる必要もなくなったわけだ。
合体を解き、幻灯機に騎乗したミニアルナワーズが山頂へと降下していく。
向かう先はロック。
ラルヴァも気になったが、回復はリリアーナに任せていいだろう。
ロックはアベコベールを飲んでいる為、リリアーナの回復魔法が効かないからだ。

「・・・うわ・・・」
ロックの顔を覗き込んで思わず言葉を失うミニアルナワーズ。
柚木で眼球を抉り取ったのだ。
傷口の損傷が酷く、血も流れ続けている。
激痛の為に気絶していないロックを尊敬してしまうほどだったが、今はそれどころではない。
「フリージア、ロックの傷口を凍らせて!呪いや祝福は効かなくても、凍らせる事はできるはずよ。」
とりあえずは止血。
そして冷たさは痛覚も麻痺させてくれるだろう。

空間が歪み学園側との通信も途切れた今、脱出の算段まではまだ思いつけずにいた。

120 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 [sage] 投稿日:2007/08/10(金) 21:09:14 0
強敵マリアベルは勇者たちの手によって頭をこれでもかとばかりに切り刻まれてお亡くなりになりました。
子供にはとても見せられないありさまの死体は全身を炎が覆い、とうとう灰になり風になって消えた…。
生徒とラスボスの熾烈な戦いを空で見下ろしていたのは、すでに冷め切った紅茶を片手にした吸血鬼だった。

聖水の雨は広げた大きめの傘によって魔の属性である吸血鬼の肌を焼くことを防いでいる。
ただでさえ流れる水『雨』の耐性がないのにこんな魔物に優しくない現象はない。
すぐにでも洞窟に隠れて雨宿りをしたいはずなのだが、ヴァンはただ黙ってこの戦いを見届けていた。


雪山が綻び仮初の世界が崩壊がはじまった。
空が欠け、地鳴りがし、すべてを洗い流すかのように雨はふり続いている。
ここではじめてヴァンが動いた。
空から降り立ち、第二の敵の出現に身構える人間たち。
「先ほどの戦い、見物させてもらったよ。
 いや、お見事」
中身が空のカップを懐に仕舞い、距離の離れているロックへ歩み寄っていく。
「私は別にいま戦いがしたいわけではない。
 ご存知の通り、いまこの世界は崩壊を迎えようとしている。
 早くこの場から脱出しなければここにい全員の身の保証はないわけだ。
 さきほどそこの貧乳はこの私を『扉』として別の場所へと行き、鏡を手にした。
 それを利用してここより脱出を試みようと思うのだが、いかがかな?」
普段はいがみ合う者たち同士で相反し、顔を合わせたら即戦闘という敵対ぶり。
しかし、この場この状況より協力を提案せざるおえない。
残念ながらこの場より抜け出す知恵はこの吸血鬼には無かったのである。

121 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/08/10(金) 21:43:58 P
>118>119
フリージアはロックに布のようなものを差し出した
それはTENUGUIと呼ばれる東方のハンカチーフだ
母親の友人(30代独身女性)の土産物だがこの際仕方がない
包帯になる大きさの布が他に無かったからだ

ロックは・・・・なんと自分の眼球を握っていた
「え?」
あまりのことに反応できないフリージア
どうやらそれが・・・マリアベルの本体のようだ

レイドに止めを刺されるマリアベル
そして空間は歪みだす、今度こそ本当に終わったのだ

フリージアはアルナワーズの言うとおりに目の傷を凍らせた
まるで雪の結晶の眼帯だ

122 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/11(土) 18:52:58 O
「ありがとう、フリージア。」
ロックはフリージアに礼を言った。
「これは綺麗に洗って返すよ。」
>「私は別にいま戦いがしたいわけではない。
> ご存知の通り、いまこの世界は崩壊を迎えようとしている。
> 早くこの場から脱出しなければここにい全員の身の保証はないわけだ。
> さきほどそこの貧乳はこの私を『扉』として別の場所へと行き、鏡を手にした。
> それを利用してここより脱出を試みようと思うのだが、いかがかな?」
吸血鬼の提案にロックは恐い顔をした。
「…それで、あんたはどうするんだ?」
ロックは詳しい事はわからなかったが、
今の話を聞くかぎり吸血鬼本人はここに取り残されるのではないかと思ったのだ。
「どうせなら一緒に生き残ろうぜ!」
ロックはそう言って親指をぐっと上げ、ニカッと笑った。
ここで歯がキラーンと光るのは演出だ。

123 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2007/08/12(日) 01:23:43 0
>113-117
アルの自滅(?)をなんともいえない表情で見ていたリリアーナだったが、
レイドがマリアベルを切りつけるのを目撃するに当たって表情を強張らせた。
だが、やはりレイドの攻撃も致命的なものにはならなかった。
ロックそっくりの容貌を血に染めながら、マリアベルは再び立ち上がった。

>118
>「マリアベル!」
>ロックが叫んだ。そして、手にしたそれをマリアベルに見せつける。それとは眼球だった。
ロックの左目であり、マリアベルの左目であり、彼の不死の正体であり、マリアベルそのものだった。
>「お前はもう、死んでいる。」
ロックの言葉どおり、マリアベルは倒れ臥しニ度と起き上がらなかった。

(・・・終わったの?)
呆然としていたリリアーナは、青白く光る蝶がマリアベルの骸へと止まるのを見た。
半透明の女の幻が少年の手を掴んだように見えたが、よくわからない。
マリアベルの大きな体は燃え上がり、灰に変わってしまったからだ。

>119-122
> さきほどそこの貧乳はこの私を『扉』として別の場所へと行き、鏡を手にした。
> それを利用してここより脱出を試みようと思うのだが、いかがかな?」
「だーれーがー貧乳ですって〜!!」
リリアーナは落下する勢いのまま吸血鬼に飛び蹴りを食らわせた。
>「…それで、あんたはどうするんだ?」
>「どうせなら一緒に生き残ろうぜ!」
「いいこと言うじゃない」
リリアーナは立ち上がると、ロックへと向き直った。
氷の眼帯姿を見てリリアーナは一瞬言葉を失ったが、気を取り直すとすばやく呪文を詠唱した。
雨を降らせたときと同じ呪文だったのに気づいただろうか?
リリアーナはロックの傷を覆う氷に回復の力を付与したのだった。
「・・・・・・よく頑張ったわね、ロック」

「吸血鬼、あなた一人だけなら私の方で何とかできるわ。
 知ってる?カドゥケウスは別名『伝令使の杖』っていうのよ?」
リリアーナは杖をひらひらと振って見せた。
本当は空間が歪み始めたため、杖の力が正しく使えるかどうかの保証は無い。
だがそんな様子はおくびにも出さなかった。
「それより問題なのは、クドリャフカさんや本体のアルをどうするかね。
 ミニアル、本物のアルナワーズはどこで何をしてるかわかる?」
まあ彼女のことだ、どこかでちゃっかり無事にいるだろうが。
「まあアルはともかく氷漬けのクドリャフカさんを雪山に置き去りになんて出来ないわ。
 ところでクドリャフカさんの居場所がわからないんだけど、誰か知らない?」
ラルヴァが目印をつけたということを気絶していたリリアーナは知る由も無い。

リリアーナはちょいちょいとキサラとユユに手招きした。
「キサラにユユ・・・さんだっけ?二人とも顔色悪いけど大丈夫?
 もし動けるなら手を貸してくれない? ラル君運びたいから」


124 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2007/08/12(日) 01:25:32 0
>>123はリリアーナ ◆7O/3IU/E7Mの代理投稿です。


125 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/12(日) 10:22:12 O
(………これで……終わり…?)
マリアベルは倒れて動かなくなった
何故そうなったのかは、キサラからは見えていなかったようだが


>>123
>「キサラにユユ…さんだっけ?二人とも顔色悪いけど大丈夫?
もし動けるなら手を貸してくれない?ラル君運びたいから」
キサラは無言のままリリアーナの方へ向かった
思ったより余裕はあるようだ

126 名前:ラルヴァ&狐&鯱 ◆sy1IQNBWp6 [sage 杖回収に新キャラ二人。] 投稿日:2007/08/12(日) 10:44:20 0
マリアベルが倒れても尚、ラルヴァはぶっ倒れたままだったのだが・・・。
>「まあアルはともかく氷漬けのクドリャフカさんを雪山に置き去りになんて出来ないわ。
>ところでクドリャフカさんの居場所がわからないんだけど、誰か知らない?」

「クドリャフカというかどうかは知りませんがこの氷柱の事を言っているのかしら?」
突然の女性の声が割り込んでくる。
そちらを見れば、一本の氷柱を担ぐ女性。そしてラルヴァを抱きかかえる女性の二人組みがいる。
・・・いつの間に?

氷柱を担いだ方は、黒いぴったりとしたスリーブレスシャツに短パン。ラルヴァを抱える方は白襦袢といった姿だ。
が、それよりも目を惹くのは黒い方の背中に生えるヒレのようなモノと
白い方に生える狐のような耳と背中側で揺れる9本のふさふさとした尻尾だ。
白い方は艶やかな声を紡ぐ
「詳しい紹介は省きますが、こちらの主様の使い魔と考えてくださいな。」
黒い方はやや粗暴な感じのする口調だが。
「ったく、ラル坊の反応追ってたらこんなでけぇ氷塊に出くわすんだもんな。あいつの杖が巻きついてなきゃ
 死んでると思って放置してるぜ。」

「「さて、それじゃ脱出といきますか?」」

>「吸血鬼、あなた一人だけなら私の方で何とかできるわ。
>知ってる?カドゥケウスは別名『伝令使の杖』っていうのよ?」
「だったらその吸血鬼さんは、あの幻燈機の魔力を追うといいでしょうね。
 先ほどからここと向こうはその幻燈機の力で魔力がつながっているのですから。
 その反応を追いかければきっと脱出できますよ。」

127 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/08/13(月) 00:14:39 O
「……あの………あのぉ!難しい話はまだ続くんですか!?」
びしょ濡れの私は寒さに震えながらリリアーナさんの背後から現れた。
剣猫を毛皮に戻し羽織ればこの程度なら耐えられるが…あえて戻さなかった。
「とりあ…クシュッ!…成功率の問題なら剣猫の近くにいるかぎり…多分問題はありませんよ
 私の故郷では…白い猫は幸運の象徴なんで…私の家は違いますがね………善は急げ!ここも危ないですしね」


128 名前: ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/13(月) 07:39:53 O
一同が脱出方法に思案していたその時、遠くの空からポォーッという音が聞こえた。
見れば空に光の輪が浮かんでいるではないか。
「お前らぁ!俺の魂の叫びが聞こえるかぁ!?」
と、いきなり熱い叫びがその場に響いた。
ノリは似ているかもしれないがロックが叫んだわけではない。
声の主は光の輪からその姿を現した。
現れたのは正面に大きく80と書かれた機関車だ。
それが、空を飛んでこっちにやってくるのだ。
厳密に言えば、空中にひとりでに線路が現れ、それにのっかってこの機関車は進むらしい。
「まもなく汽車が到着します!皆さま、白線の後ろまで下がりやがれ!」
線路より早く白線が現れ、一同は慌てて道をあけた。
直後に機関車が到着し、乗っていたエイティ先生が降りて一同に近づいた。
「さぁ、ここはもう危ない。脱出するぞ。早くこの汽車に乗るんだ!」
見ると、機関車には既に何人もの生徒が乗っていた。
彼等も塔の中をさまよっていたところをエイティ先生に回収されたのだ。
見ると本物のアルナワーズと、何故かシバまで機関車に乗っている。
エイティ先生が有無をいわずに乗せたからだ。
シバは「なんでわしが…」とかブツブツ言っているが、
エイティのノリは苦手らしく、それ以上の事はしなかった。
「さぁさぁ、乗った乗った!」
エイティはリリアーナやフリージア達生徒とレイド先生やアルテリオンは勿論の事、
キサラや、ラルヴァの使い魔や、剣猫や、ヴァンエレンまで次々と機関車に押し込んだ。
「そこの妖精も!死にたくないならついてこい!」
エイティ先生がそう叫んだのは岩の後ろで文字通り小さくなっていたレイアだ。
一通り乗せ終わるとエイティ先生は運転室に戻った。
隣にはやはり石化が完全にとけていないタロウ先生がいる。
>「エイティ先生、なんで学園に関係ないものまでどんどん詰め込むんですか?」
「老婆も魔物も吸血鬼も、みんなまとめてクライマックスだぜ!!」
>「いいかげん、そのテンションなんとかしてくださいよ。
 ていうか答えになってないし!」
「この汽車の行き先は過去か…未来か…」
>「いや、行かなくていいから!」
そして、機関車は発車した。
空間を越え、塔の外に飛び出すエイティ先生の機関車から見えたのは、
糸の切れた操り人形のようにもろく崩れ去るマリアベルの塔だった。

129 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 [sage] 投稿日:2007/08/13(月) 07:58:53 O
>118ふぅ……。
ちょっと一瞬焦ったぜ〜…。
ロック君の度胸に感謝、感謝。
つーかアイツ、無茶し過ぎだろ…目玉を抉るなんて並大抵の度胸じゃない…。
まぁ勇気あるロック君のお陰で復活は阻止出来たんだ。
良かった、良かった。
っと、安心してる場合じゃないね、これは…。
塔が崩れる前にさっさと脱け出さないとお陀仏だ。
>120>123脱け出す方法はさっきリリアーナが使った方法で何ら問題無い。
ヘボ吸血鬼はリリアーナがカドゥケウスで何とかしてくれるから、これも問題無い。
しかし、アルナワーズの本体とクドリャフカが何処に居るのかは分からないぞ…。
今から探して間に合うのか……。
>126>「クドリャフカというかどうかは知りませんがこの氷柱の事を言っているのかしら?」
と、そこへ怪しい二人組が現れた。
しかしまあ、話を聞く限り敵では無いようだ。
そんなに簡単に信用して良いのかよ、って思うかもしれないが、状況が状況だ。
信用するしかない。
それに……あの白い方……素晴らしい毛並みだ。
触ってみたいが、そんな時間は無い+セクハラになってしまうので我慢。
さて、クドリャフカとラルヴァは彼女達に任せるとして、後はアルナワーズだな。
アイツなら大丈夫そうだが、万が一という事もある。
教師として見捨てて帰る訳にもいかないしね。
>127さっさと探して帰らないとアルテリオンが風邪引いちまいそうだけど…。
早く出てきてくれ、アルナワーズ。

130 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 [sage] 投稿日:2007/08/13(月) 08:17:14 O
>128>一同が脱出方法に思案していたその時、遠くの空からポォーッという音が聞こえた。
「機関車の音?
こんな所に機関車なんか来る筈が…」
>「お前らぁ!俺の魂の叫びが聞こえるかぁ!?」
> と、いきなり熱い叫びがその場に響いた。
「……来ちゃった。
あの人出張から帰って来たのか…。
また職員室が暑苦しくなるな…。」
エイティ先生の言う通り、キチンと白線まで下がり、機関車の到着を待った。
機関車の中には学園の生徒の他にシバと本物のアルナワーズの姿があった。
途中で拾って来たのかね?
なんかもうノリで皆乗せちゃって、機関車は出発した。
運転室の隣には石化が完全に解けていないタロウ先生の姿があった。
「もう少しの辛抱だ…
学園長なら何とかしてくれる。
無事に魔法が解けたら、職員全員集めて宴会でも開いて馬鹿騒ぎしようぜ…。
…流石に今回は……ちょっと無理しちまったかな…。」
魔力の使い過ぎか、緊張の糸が切れたせいか…眠くなってきたな。
俺は血まみれのスーツを脱ぎ捨て仰向けに倒れ眠りにつく事にした。

131 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M [sage] 投稿日:2007/08/13(月) 15:28:17 0
>「マリアベル、討ち取ったあぁぁあ!」
>「お前はもう、死んでいる。」
レイド先生がマリアベルの頭部を連続で切りつけている。
マリアベルの再生はロックが自らの眼球を抉り出して阻止したようだ。
眼球を抉り出した後で無駄に余裕を見せる根性には心底驚いたが。
マリアベルが灰に転じていくのを見て、メラルは考えていた。
キサラの言葉について、だ。
(…従うとは言っても、あくまでマリアベルとの戦闘の間の事。
でも、何か思惑がある人間があそこまで言うのも、不自然な気がするわね。
…なっ…!)
周囲の空間に歪みが走る。塔の崩壊が始まったのだ。
ヴァンエレンの言葉のおかげかリリアーナ達は離脱の術を見出し、
クドリャフカもラルヴァの使い魔が保護したようだが、
メラルは…小さな、しかし聞こえる程度の声でポツリともらした。
「…エミューと…アンジェリーナさんはどうすれば…。それに、アルも…。」
そして、とりえる手段をメラルなりに考えていたが、思いつく様子はない。

このまま無駄に時間が過ぎていくかと思われたが、なんとエイティ先生が
マジックアイテムらしき機関車で皆を回収しに来たようだ。
白線の後ろに下がって列車が止まるのを待ち、窓から中をのぞくと
実際、既に生徒や部外者が有無を言わさず乗せられたようある。
そして、メラル自身も有無を言わさず押し込まれる形になった。

中に入ったメラルは、地面に転がっていたある物を目にした。そう…メラル愛用の水晶球である。
それは、普段に比べて明らかに帯びる魔力が弱っていたが、メラルはそれを一撫ですると、
安心したように息をついた。そして呟く。
「エミュー…。…無事だったのね…。」
そして、振り向き、近くにいたキサラに言った。視線は別の誰かを探しているようだが。
「あなたは…これからどうするつもりなの?」


132 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 [sage] 投稿日:2007/08/13(月) 17:14:24 0
>122
>「どうせなら一緒に生き残ろうぜ!」
ニコリと笑いかけて白い歯を光らせていい男演出がなんとも眩しい。
笑う爽やかなロックに吸血鬼は戸惑いを隠せなかった。
まさかこんな反応が帰ってくるとは考えられなかった。
協力などしないと突っぱねるか、心底苦渋の決断をして渋々協力するといったような予想だったのだが…。
予想は覆されてしまいただ呆然とし、目の前の『ロック』という人間が心底わからなくなっていた。

ロックが目の前にいる男は吸血鬼で人間の血を餌とする魔物である。
人とは及ばぬ強さを持つ異端を恐れる生き物ではなかったか?
恐れるものを徹底的に焼き尽くし、滅ぼしていくようなそんな存在ではなかったか?
ヴァンの中で人間という存在の認識が変わろうとしていた。


>123
なぜ、どうして?
数々の疑問文がヴァンの頭の中を埋め尽くしている。
だからその間に不意の飛び蹴りが来ようがその衝撃で地面を転がろうが、特になんのリアクションもなく上の空だった。

>「吸血鬼、あなた一人だけなら私の方で何とかできるわ。
> 知ってる?カドゥケウスは別名『伝令使の杖』っていうのよ?」

>126
>「だったらその吸血鬼さんは、あの幻燈機の魔力を追うといいでしょうね。
> 先ほどからここと向こうはその幻燈機の力で魔力がつながっているのですから。
> その反応を追いかければきっと脱出できますよ。」
幻灯機とはミニアルナワーズが騎乗していたあれ。
それを追えば『きっと』脱出できるらしい。
そう、『きっと』…。
曖昧な言い回しは、即ちたどり着くかどうかは不明ということ。
そうとは知らずなるほどなるほどと、バカみたいな顔してうんうん頷いているヴァンは純粋だ。


>128
音がする。
それと厳つい熱い魂(ソウル)が感じられる声もした。
シュッポシュッポと車輪を世話しなく動かし、空を飛ぶ機関車が山頂へと降り立ったのだ。
すげぇすげぇ、とはしゃいでる田舎吸血鬼は機関車の先頭部分にぺたぺた触れて「顔がないな…。それに喋らない」と残念がっている。
ヴァンエレンよ…そんなにいじると危ないぞ、色々と。

>「老婆も魔物も吸血鬼も、みんなまとめてクライマックスだぜ!!」
「なに?私も乗っていいのか?本当にいいのか!?」
はじめての電車に若干興奮気味で返事を待たずして汽車に乗り込んだ。
窓に身を乗り出して風景を、塔が崩れる様を眺める。
レイドに懐いてしまったコウモリがヴァンの元に帰ってきて肩に止まった。
ヴァンはしばらくじっと窓の外を眺め、使い魔と一緒に車窓の風景を存分に楽しんだのであった。
「ところで、私は一体どこに連れて行かれるのだ?」
ドナドナと子牛が連れて行かれる歌が聞こえてきた気がした。

133 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg [sage] 投稿日:2007/08/13(月) 22:52:01 0
「みんな〜。お疲れ様〜。」
機関車の中にどやどやと入ってくるメンバーを笑顔で迎えたアルナワーズ(本体)。
ミニアルナワーズを吸い込み、久しぶりに戻った幻灯機を手に上機嫌だ。
無事【塔】からの脱出も出来、後はエンディングロールを残すばかりといわんばかりの勢いであった。

>「あなたは…これからどうするつもりなの?」
「その痩せ兎はな、学園への留学生ぢゃ。何をどうしてかこんなところに迷い込みよって。」
メラルの問いにキサラが答える前にシヴァが応えた。
「シヴァさんはねえ、学園長の古い知り合いで学園の非常勤講師というか相談役なのよ〜。私もびっくりだわ〜。」
突然の横槍におどろ二人に解説を入れるアルナワーズ。
エイティ先生の強引な乗車に激怒するかと思いきや、一応は素直に乗車したのはそういうわけがあったのだった。

「リリィ〜。ゴメンねえ。全部白昼の元に晒しちゃったけど、私も辛かったのよぉ。
学園長の命令であなた達を救う最後の手段だって言われたから仕方がなく・・・。しくしく。」
メラルとキサラに解説を入れた後、リリアーナに泣いて謝っている。
勿論嘘泣きだ。
「それにしても、ラルヴァって顔に似合わずハーレムな子なのねえ。
そこら辺も鑑みて・・・結局誰と付き合うの?」
シャチと狐の獣人二人に囲まれているラルヴァを横目で見ながらリリアーナに尋ねる。
その表情は既に嘘無きはどこへやら。
好奇心一杯で尻尾を振る子犬のようだ。
「・・・・・・・・あ、やっぱりいいわ。その表情だけで十分だから。」
敏感に危険シグナルを感じ取ったアルナワーズは、リリアーナが答える前にさささっと距離をとる。
ゆれる車内をすべるように移動し、シヴァの座る一番後ろの席まで移動してしまった。

「あら、吸血鬼さん。洞窟ではどうも〜。」
シヴァの席に移動する途中、ぽつんと外の景色に魅入るヴァンエレンに声をかける。
ただ挨拶に声をかけるような人間ではない。
「どうだったかしら?私の言うとおり、血は飲めたかしら?」
勿論結果はわかっている。
水溜りのようになっていた血や、ハンカチに染み込んでいた血ではあったものの、確かに血は飲めたのだ。
そしてヴァンエレン自身は未だにリリアーナの腕から生き血を吸ったと思い込んでいる。
「そう・・・飲めたのね。行き倒れで死に掛かっていたあなたが、血を飲めたのね・・・。ふふふふ・・・・。」
ちょっと怖い笑みを浮かべながらヴァンエレンに圧し掛かるように覆いかぶさっていくアルナワーズ(心理的視点)。

そして・・・
「さ、シヴァさん。ちょっとごたごたしたけど続きをしましょう?
あの局面に持っていくのに苦労したのだから、途中中止なんてさせないわよ〜。」
シヴァとアルナワーズのチェス勝負はまだ続いていた。
先に一敗しているアルナワーズが、ようやく有利な展開に持ち込んだときにエイティ先生がやってきたのだ。
ワインとチェス盤をもって乗車しているので、ここで続きを、と言っているのだ。
「やれやれ、意外と勝負に拘るタチなんだねえ。」
ワイバーンの幼生を膝に乗せ撫でながらチェス盤に向かうシヴァはどこと無く嬉しそうだ。

そんな二人のやり取りの間で何故か四つんばいになっているヴァンエレン。
背中にチェス盤を乗せられ、頭にはワイングラスを乗せられている。
人間テーブルにされてしまっているのには勿論訳がある。
アルナワーズへの【恩】はもはや【呪い】となって、ヴァンエレンを縛っていたのであった。


134 名前:リリアーナ ◇7O/3IU/E7M の代行[sage] 投稿日:2007/08/13(月) 23:00:44 0
>「さぁ、ここはもう危ない。脱出するぞ。早くこの汽車に乗るんだ!」
エイティはそう告げると、居合わせた者全員を機関車に乗せてしまった。
機関車の中にはアルナワーズやシバ、そしてレイアも居たが、アンジェリーナの姿だけは無かった。
多分無事だと思いたい。――― 聖堂で起こった事が夢でなければ。

機関車の中は快適だった。
この分なら水攻めにあったメンバーも風邪をひくことはないのだろう。
「アルテリオンさん、くしゃみしてたようだけど大丈夫ですか?
 やっぱりゴーストでも風邪をひくのかしら?」
質問の形を取っていたが、答えは特に期待していない。
リリアーナは愛想よく微笑みかけると本題を切り出した。
「アルテリオンさんさえ良かったら、ウィル君の看病をお願いできますか?
 もう治療に関してできる事はありませんし、あなたが傍に居てくれたほうがウィル君も喜ぶでしょう」
『ウィル君』とは勿論ロックのことだ。
「レイド先生はお休みになってますし、
 まさか職員のアルテリオンさんまで怪我した生徒を放置したりしませんよね?
 ―― じゃ、後のことはお任せします」
リリアーナはそう言い残すと、さっさと別の車両へ移動してしまった。

「これ、あげる」
リリアーナは通りすがりにラルヴァの頭に猫耳をのせた。
「これで使い魔の皆とおそろいね」

去り際に吸血鬼が色々質問していた気がするが、気づかなかったことにした。
その場に居合わせた誰かが答えてくれるに違いない。
キサラの相手はメラルがしてくれているようだ。
いい感じなので放置して構わないだろう。

なんだか、どっと疲れてしまった。

リリアーナは荷物室へと移動した。
荷物室には巨大な氷柱が安置されている。
分厚い氷から透けて見えるのは、一冊の魔道書。その中にはクドリャフカが居るはずだ。
「・・・レイド先生が斬ってくれたら楽だったんだけどな〜。フリージアなら拳で砕けるかしら・・・?」
リリアーナはため息混じりに呟くと、ロックバスターを構えた。
どうやら彼女は、氷の中から魔道書を取り出したいようだ。
もちろん上手くいかなければ、すぐに誰かを呼びに行く気のようだが。

135 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/14(火) 00:22:41 O
塔の崩壊が始まり、あーでもない、こーでもないと皆して話しだす
「……手段は何にしても……ここから出ることが最優先…
……このままじゃ皆ゲームオーバーですよ?」
そう言ったときだった
遠くから、キサラのまた苦手なタイプのセリフが聞こえてきたのは
>「お前らぁ!俺の魂の叫びが聞こえるかぁ!?」
声の方向からは、銀河●道さながらの汽関車が向かってくる
>「まもなく汽車が到着します!皆さま、白線の後ろまで下がりやがれ!」
「……敬語を使うのか使わないのかどっちかにしてください」
珍しく声に出してツッコミ
もっとも、ボソッと喋ったので、とても聞こえにくかったが
>「さぁ、ここはもう危ない。脱出するぞ。早くこの汽車に乗るんだ!」
キサラはどうすべきか迷った
自分は流れ的にもこのままこの塔から一緒に脱出すべきなのだろうが、
自分が共同前線を張るのは、あくまでこの戦いの間だけのつもりだ
このままここで別れれば、まだ断ち切れる―――
が、
「さあさあ、乗った乗った!」
半ば無理矢理に、機関車に入れられてしまった




――――何故だろう
――――この人達は―――僕の計算を狂わせる―――
キサラの表情が僅かだが緩み、「飽きないな」と小さく呟いた

136 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/14(火) 00:40:42 O
機関車の中には、先程のお婆さんや、アルワナーズさんの本体、
他にも、学園の生徒と思われる人達など、多くの人間がいた
レイド先生は疲れたのか、その場で倒れて眠ってしまったようだ
キサラ自身も、壁を背にもたれかかり、立ったまま休むことにした
座ってしまうと眠ってしまいそうだったからである
>「あなたは…これからどうするつもりなの?」
「……えっ?」
少しは警戒心を解いてくれた証拠なのか、メラルさんが自分に話し掛けてきた
その目線は誰かを探しているのか、少しキョロキョロしているが
思えば、自分とこの人は少し似ている気がする
「……僕は…」
………僕には貴方達の仲間になる資格なんてない……
それだけ言って、機関車が止まったら、黙って消えようと思っていた
だが、そのキサラの計算は、やはり『あの人物』によってまたも打ち砕かれることになる
>「その痩せ兎はな、学園への留学生ぢゃ。何をどうしてかこんなところに迷い込みよって。」
「……え…っ…?」
驚きを隠せないのは皆同じだが、それはキサラも例外ではなかった
>「シヴァさんはねえ、学園長の古い知り合いで学園の非常勤講師というか相談役なのよ〜。私もびっくりだわ〜。」
「あ…アルワナーズさん……僕は……!」
もちろん反論するが、それが効く相手ではない
全て計算済みなのか、次の単語を発する前に、会話が聞こえていた女子生徒達に質問責めに逢い、
否応なしにキサラの留学編入が決まった

137 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/08/14(火) 01:48:57 0
>122
>「これは綺麗に洗って返すよ。」
「別にかまいませんわよ。私同じ物をもう一枚持ってますもの」
と言ってフリージアは同じような材質の布を取り出した
・・・・なぜかそれには紐が付いている
フリージアはTENUGUIの親戚だと思っていたそれが
HUNDOSIという東方の下着だとはまったく気づいていなかった

>128
80先生の機関車に乗るフリージア
どうやら学園関係者は全員いるようだ
なぜか吸血鬼も乗っているようだが・・・まっいっか

機関車に乗ってやっとこれで終わったと胃が安心したのか
お腹がぐぅと鳴いた
「この機関車、食堂車はありませんの?」

>133>136
>「その痩せ兎はな、学園への留学生ぢゃ。何をどうしてかこんなところに迷い込みよって。」
「な、なんですって!?」
あっとおどろくためご・・・じゃなかったフリージア
その割には魔法をぜんぜん知らなかったみたいだが・・・まっいっか
「で、どこのクラスに編入するのかしら?」
このときフリージアはキサラが自分と同じ氷魔法を学ぶなんて考えもしなかった

>134
しばらく経つとリリアーナが一人、別の車両に移動した
一体なんだろう?
気になったフリージアは音を立てないよう後ろから付いていった
そこで見たものは巨大な氷柱に対峙するリリアーナであった
>「・・・レイド先生が斬ってくれたら楽だったんだけどな〜。フリージアなら拳で砕けるかしら・・・?」
その言葉を聴いてフリージアは思った。下手に砕いたら中のものまで砕けてしまうのでは?と
「中の物を傷つけずに斬る・・・これはもしかしたらアルテリオンさんの出番かしら?」
そう思ったフリージアは急いでアルテリオンを呼びに行った


138 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/14(火) 15:55:24 O
ロックは機関車の窓から外を眺めていた。
崩れ去った塔は今や瓦礫の山だ。しかし、その瓦礫は動き出し、
あるべき姿へと戻ろうとしている。
ロックは今までの出来事を頭の中で整理しようとしたが、わからない事ばかりだった。
でも、世の中にははっきりわかる事の方が少ないのだとロックは思い、
あれこれと考えるのはやめる事にした。
ロックは周りの生徒達を眺めた。
彼等は今回の事件はロックの偽者が起こしたものと思っている。
それどころか、左目を怪我した事で同情の念さえ抱かれている。
ロックはいたたまれない気持ちになっていた。
しかし、自分の中のもう一人のロック(マリアベルではない)がこう言うのだ。
お前は何も悪い事はしていないじゃないか。お前は今回の事件の被害者だ。
ロックにはそれがとても甘美な提言であると感じた。
しかし、ロックの心がそれを拒否する。理由はわかっている。自分の弱さが許せないのだ。
ロックの手には箒フォルティシモの残骸が握られている。
ロックの右目からツーッと涙が流れ、その残骸を濡らした。
よくできたファンタジーなら、ここで箒の残骸がよせ集まり、
折れた木の繊維が互いに手をとり、綺麗に治ってしまうだろう。
そして、誰かが叫ぶのだ『見ろ、愛の奇跡だ』と。
しかし、生憎現実はそうじゃない。
どんなに悲しくても、悔やんでも、箒は壊れたままだ。
涙で目が滲んでいたロックは、前に誰かが居る事にすぐに気付かなかった。
ロックはゴシゴシと目を擦り涙を拭った。
しかし、涙はなかなか止まらない。
「…泣いてるわけじゃありません!心が汗をかいてるだけです!」
男が泣く事はかっこ悪いと考えているロックはそう言い訳した。
前に居たのはアルテリオンだった。
リリアーナに言われてこちらに来た事はロックの知るところではない。
その時、ガコンという小さな衝撃が車内全体に響いた。
機関車が地面に降り、停車したのだ。
生徒の一人が「おい、見ろよ。」と言った。
そして、乗っていた生徒達は笑顔と一緒に次々と下車していった。
ロックも窓からそれを見た。そこにあったのはいつも通りの学園だった。
立派な石作の外壁も、オークの木から削り出した扉も、繊細な彫刻も、
授業の始まりと終わりを教えてくれる古い時計台まで、なにもかも元通りだ。
ロックは、何でもないような事が幸せだったんだと思った。


139 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/08/14(火) 17:28:30 0
>137
>「中の物を傷つけずに斬る・・・これはもしかしたらアルテリオンさんの出番かしら?」
まさにロックバスターを撃つ直前、背後のフリージアに気づいた。
リリアーナは慌てて荷物室から身を乗り出した。
「ああ、待って待ってフリージア! 今はまずいわ。アルテリオンさんを呼びに行かないで!」
リリアーナはこっちこっちと手招きする。
不思議そうな顔をするフリージアに気づき、珍しく曖昧な笑みを浮かべた。
「ほら、ウィル君も色々あったからね。
 憧れの人がそばにいてくれたら少しはウィル君も気が紛れるでしょ・・・。
 だからフリージア、悪いけどアルテリオンさんじゃなくあなたが氷を消すのを手伝ってくれない?」

リリアーナはこつこつと氷を指で叩いた。
「多分なんだけど、この氷ってフリージアの氷人形が原因で出来たんだと思うのよ。
 フリージアの魔力で作った氷なんだから、氷の結晶を消すのと同じやり方で消えるんじゃない?」
フリージアが考え込んでいるので、リリアーナは少し不安になったようだ。
「やっぱりダメ? だったらレイド先生を起こしてこなくっちゃ。
 ―――― 私としては、クライマックスは皆揃って迎えたいと思うのよ。
 ああ・・・だけど、完全にハッピーエンドと言い切れないのが辛いところね」
リリアーナは窓の外に目を向けた。
ちょうどマリアベルの塔が、砂の城のように脆くも崩れ去っていくところだった。
闇の魔法使いが消えた証だというのに、リリアーナは少しも嬉しそうではなかった。

「ねえフリージア、もし死者を蘇らせる方法があったら、あなたならどうする?
どんな犠牲を払ってでも手に入れたいと思う?」

140 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 00:53:07 0
学園を再建したのは
生徒会長、ザックス・刹那・エターナルマスター
1秒間に敵を数十人殺せる設定。

http://vista.crap.jp/img/vi8680123382.jpg

141 名前:140[sage] 投稿日:2007/08/15(水) 00:55:42 0
間違えた
これが顔
http://sylphys.ddo.jp/upld2nd/game2/src/1187106918445.jpg

142 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/08/15(水) 04:01:24 0
霊水攻撃の寒さも抜けたころ、私は呆けながら自分の最新の記憶を辿った。
正直、私には今朝の記憶がない。
ただ覚えていないんじゃない。完全に欠落しているのだ。
それに学園に変化が訪れる前からの記憶にも何かが思い出せない。
あの時、私の後方で誰が箒を持っていた?
なぜ私は折り紙や釘を大量にもっていたのか?そして、それらが何故動き出したか?
考えれば考えるほどに、記憶がなくなっている部分が強調される・・・

そのときだった。背後からリリアーナさんがやってきたのは
「いやぁ・・・それが、その・・・本来ならあの時もこの時も食らわないはずだったんですがね?
 う〜ん・・・なんというか・・・その・・・・幽体ではなくなっているみたいでハハハッ」
本来の状態なら寒さに震えたり、首を締め付けられる行為はないはず
そこの・・・まぁ、疑問のひとつなのだが・・・まぁ後からわかるでしょう。
リリアーナさんは私にロックさんの面倒をまかせ、後ろの車両へと向かった。
正直、あっちには行きたくない。
いや・・・ロックさんを嫌っているわけではなく・・・その後ろのハーレムの中の一人が気に入らないだけ
なんというか・・・剣猫の血がそうさせているのだ。

143 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/08/15(水) 04:43:22 O
それとこれは別だ。
小爆発を起こしそうな怒りを押し殺し、私はロックさんの前に座る。
話の事情は私にはまだ不透明なままだ。
何せ私の記憶の中では、まだあの変態タイツマンの一件すら終わっていない。
だがら、私は自ら話かけず、待つことにした。
彼の目から涙が落ちた瞬間、やっと私のことに気が付いたらしく必死に言い訳を始める。
私はロックさんの膝元にある破片を見て、彼が何故泣いているか判断できた。
「私が幼いころ……誕生日の祝いに一頭の子馬をくれたことを覚えている………」
私には慰めは出来ない…
「名前をつけて…日が暮れるまで遊んで…でも…長く続かなかった…」
だから、私は
「ある日……遠出の際に野犬群れに襲われました…あの頃はまだ今みたいな剣技も剛腕もなかった…なす術は無く、囲まれ…もうお仕舞いか」
「そう思ったとき、馬が身を呈して私を守ってくれたんです。そのおかげで私は助かりましたが…馬は死にました。」
「それがきっかけで騎士としての修行を初めました」
「…………だから、前を見ましょう…きっと何かがあるはずだから」

144 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/08/15(水) 09:49:04 0
>139
>「多分なんだけど、この氷ってフリージアの氷人形が原因で出来たんだと思うのよ。
>フリージアの魔力で作った氷なんだから、氷の結晶を消すのと同じやり方で消えるんじゃない?」

>「やっぱりダメ? だったらレイド先生を起こしてこなくっちゃ。
>―――― 私としては、クライマックスは皆揃って迎えたいと思うのよ。
>ああ・・・だけど、完全にハッピーエンドと言い切れないのが辛いところね」

「いえ・・・本当に私の魔力で編まれているなら何とかなる・・・はずですわ」
そういって端のほうからどんどん氷を消していくフリージア
さすがにこれだけ大きいと消すのも大変だ
「何でこんなに大きくなっちゃったのかしら?」

>「ねえフリージア、もし死者を蘇らせる方法があったら、あなたならどうする?
>どんな犠牲を払ってでも手に入れたいと思う?」

「私は・・・そうですわね。私のお母様も死んでしまったけど存在が無くなったわけではありませんし
 死者の都合を考えずに生き返らせたら、死者本人にとっても迷惑だと思いますわ」
だから必要とは思わないとフリージアは続けた

「それに死んでいたとしても二度と会えないわけじゃないですわ」
とりあえずアルテリオンさんのような幽霊は横においておいて
夢や思い出、記憶という形で会うことも出来ると続けるフリージア

実際は二度目に死に掛けたときお気楽な様子でアケローンの渡し守のバイトをしている母親を見て
少しショックを覚えたのは秘密だ!!

そんなこんなを話しているうちにすっかり氷は溶け中の本を取り出せるようになったようである

145 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2007/08/15(水) 12:26:55 0
まるで何事も無かったようだ

146 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/15(水) 14:28:24 O
>>143
>「…………だから、前を見ましょう…きっと何かがあるはずだから」
「前…ですか。」
アルテリオンの話しを黙って聞いていたロックはここに来て初めて口を開いた。
ちょうど前にはアルテリオンさんがいるが、
別に彼女を見ろというわけではないと、すぐ気付いたのは幸いだった。
「それは、つまりこういう事ですか?
 今度の休みに、俺は箒屋にいって新しい箒を買うんです。
 前のより、もっと俺に合った箒を。
 その箒を気に入れば、俺はフォルティシモの事を忘れられるかも。」
ロックは決して皮肉を言うつもりはない。
しかし、口下手ゆえか(馬鹿ゆえか?)やや皮肉めいた話しをしているのも事実だ。
「いや、別に箒に限った話しじゃない。
 何か別の楽しい事を見付けてもいい。本を読んだりとか。
 ストイックに鍛練に打ち込んで、頭から余計なものを締め出すのも俺らしい。
 最近は天気がいいから、森を散策するのも一考かな。
 人は悲しい事や、苦しい事があれば、そうやって逃げる事ができる。
 ………マリアベルもそうすればよかったんだ。」
ロックはここでふと、アルテリオンさんはまだ知らない筈だと思い、説明を始めた。
「マリアベルってのは……ほら、あの大蛇になってた…
 闇の魔法使いで、今回の騒動の黒幕です。」
ロックは、マリアベルが実はもう一人の自分であるとは言わなかった。
よくよく考えれば、アルテリオンさんはマリアベルを斬った時に、
ロックとマリアベルが同じ容姿をしていると気付いた筈だが、
別に今は偽ロックと思ってくれていいとロックは思った。
「彼は幼少の頃に戦争で母を亡くしたんです。
 彼はいつか母を取り戻せると信じて一生賢明魔法を学んだ。
 そして、この学園に死者を蘇らせる神器があると知って、襲撃したんですよ。
 今その神器はリリアーナが持ってますけどね。
 ………あ!」
ロックは頭から猫耳バンドを外した。
マリアベルがいなくなったんだから、区別するための印はもう必要ない。
「これフリージアに返さなきゃ。…すみません、アルテリオンさん。」
そう言ってロックは席を立ち、フリージアを探しだした。
ロックは全ての車両を見てまわったが、フリージアはいない。
リリアーナなら彼女がどこに居るか知ってるかもと思ったが、
リリアーナの姿も見つからない。(アルナワーズは見つかったがあえて聞かなかった。)
フリージアとリリアーナは今荷物室にいるのだが、ロックの知るよしのない事だ。
二人とも、もう外に出たのかな?と思ったロックは機関車から降りて探し始めた。

147 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 [sage] 投稿日:2007/08/15(水) 20:01:49 0
なぜこうなってしまっているのか。
思い返せば長くなるのだが、結果だけ言うとヴァンは四つん這いになってテーブルを模している。
頭を垂れて涙を流し、背中ではシヴァとアルナワーズがチェスという静かなる戦闘が繰り広げられている。
前に洞窟でかけられていたアルナワーズとの対話を思い出し、この人間のおかげで血を飲めたという結果が吸血鬼を苦しめていた。
ときたまワイバーンが鼻をガジガジと凶悪な顔をして噛み付いているのが痛々しい。
これはじゃれるとかそんな生易しいものじゃない。
あきらかに彼は捕食者の眼をしてまるで目の前に羊がいるようなそんな雰囲気をかもし出している。
やがてチェス盤が揺れだした。
機関車が動いてるし別に揺れるのなんてあたり前なのだが、それでも度が過ぎている。
それでもこの状態でチェスをするには困難だというのに両者まったく微動だにしない。

「きぃっ いい加減にしろ!」
とうとう震源のガマンの限界がきたようだ。
チェス盤がひっくり返ってバラバラと駒があたりに散らばった。
ワインだけはシヴァがまるでそのことを予想していたかのように爆発する寸前に手に持って避難させていた。
まだ目的地についたわけではないのに、自慢の羽を羽ばたかせて窓より出で学園の空へと消えていった。
……と思ったら途中で太陽の光をもろに浴びたために上空より落下し、どこかの屋根を突き破って不時着してしまった。
太陽にやられずとも学園の一部と化しているヴァンは出られない。
それをどうにかするまではしばらくこの学園に潜むことしかないのだが、果たしてそれはいつになることやら…。

148 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/08/15(水) 23:28:10 O
ロックさんは自暴自棄になったように私に返す。
その間にマリアベルなる人物の過去も話してくれた。
……でも、このままじゃ駄目だ。
いや、それ以上に許せない!
「…………待って…待ってください!」
すぐに立ち上がって私はロックを追った。
だが、ロックは止まらないだろう。
やんちゃ坊主のイメージはあるが、肝心なところはしっかりしている。
しかし、頭ではそう考えても、彼を一歩追うごとに増す怒りはなんだろうか?
先程の怒りとは違う。根本から違う怒りが溢れてくる。
ロックが下車し、辺りを見回しているのを見計らい私は駆け寄った。
「ロック!歯を食いしばれぇ!」
私は無理やり彼を振り向かせ、思いっきり殴りつけた。
「………この………このウジ虫がぁ!」
先程とは180度違う声色で奴に罵声を浴びせる。
完全に頭に血が登り、女を捨てて私はロックの前にいる。
「………お……立てオラァ……立てよ!」
倒れている奴の襟首を掴み無理やり立たせた。
「逃げる事が出来るだぁ!?テメェ舐めてんのか?」
鞭に打たれたような音が響き渡る。
「…逃げてんのはお前なんだよ!」
また響く
「お前…そんな目で見てたのか!」
もう一度、思いっきり殴りつけた。

149 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/08/16(木) 00:07:03 O
また先程の状態になった。
ただ今回は無理やり立たせようとはせず、そのままだ。
「……箒が壊されたのは全部テメェが雑魚だからだ!」
出来るだけ、頭を冷やしつつまた話を始める。
「箒…ここはあえて彼女!彼女は…雑魚のお前を助けるために死んだんだよ!」
奴が睨むのが分かる。当然だ…少しでも怒りを出してくれなきゃ意味がない。
「お前がさっき言ったことだと…私は自分のせいで死んだ馬のことを忘れたいが為に騎士になったてことだよなぁ!」
私はゆっくりと彼との間を開けつつ旋回する。
「私はそんなに安っぽいか!そんなに弱い人間に見えるのか!?」
「私はなぁ!苦しみや悲しみを背負って前を見ろといったんだ!そうやって強くなれと言ったんだ!精神的にも肉体的にも全ての意味を含めて強くなれと言った!」
「…だが、お前はなんだ?たった箒一本から逃げている…これじゃフォルテッシモも無駄死だな!」
「マリアベルだってそうだ!あれはお前じゃねぇんだろうが!いくらお前そっくりも…お前はお前しかいねぇんだよ!なぁ…」
めちゃくちゃ熱いこと言ってはいるが冷えてはいる。
「人は苦しみや悲しみ…罪から決して逃げられない…死と同じように…」

150 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/08/16(木) 00:34:59 O
「だから…だから…全て背負いなさい!痛みも罪も思い出も財産も全て
そして、成長しなさい…………」
一通り言い切り、私は大きく深呼吸しロックさんに微笑むかける。
「まぁ全部…母からの受け売りだったりしますけどね…じゃあ、ロックさん…殴ってください」


151 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/16(木) 10:31:22 O
>>148>>149>>150
>「ロック!歯を食いしばれぇ!」
と、いきなりロックはアルテリオンに殴られた。ロックはわけがわからず、倒れたまま彼女を見ていた。
>「………この………このウジ虫がぁ!」
ロックはあからさまにショックを受けたようだ。
>「逃げる事が出来るだぁ!?テメェ舐めてんのか?
> …逃げてんのはお前なんだよ!
> お前…そんな目で見てたのか!」
再びアルテリオンの拳がロックの顔を打った。
>「……箒が壊されたのは全部テメェが雑魚だからだ!」
この言葉は、計二発の鉄拳よりも強く、ロックの心を打ち据えた。
なぜなら、彼女の言葉はロックの核心をついたからだ。
ロックの心の中に、その通りだ!という感情と、
それは違う!どうしようもなかったんだ!という相反する感情が生じた。
>「箒…ここはあえて彼女!彼女は…雑魚のお前を助けるために死んだんだよ!」
「うるさい!!」
ロックは怒鳴り、アルテリオンを睨んだ。
ロックは今逃げようとしていた。
箒が壊れた事実から、自分の責任であるという事実から、アルテリオンに叱られている事実から。
>「お前がさっき言ったことだと…私は自分のせいで死んだ馬のことを忘れたいが為に騎士になったてことだよなぁ!」
「違う!」
そんなつもりはなかった。
>「私はそんなに安っぽいか!そんなに弱い人間に見えるのか!?」
「違う!違う!違う!」
ロックは激しく否定したが、自分でもその理由がわからなかった。
いや、わからないのは論理的な理由であって、感情的な理由はわかっていた。
俺はあなたの事を弱い人間だと思ってはいない、と。
>「私はなぁ!苦しみや悲しみを背負って前を見ろといったんだ!そうやって強くなれと言ったんだ!精神的にも肉体的にも全ての意味を含めて強くなれと言った!
> …だが、お前はなんだ?たった箒一本から逃げている…これじゃフォルテッシモも無駄死にだな!」
ロックは怒って怒鳴り返す。
「アルテリオン!あんたは本当に俺がフォルティシモを、
 まるで今朝食べた朝食のメニューのように忘れてしまうと思っているのか!?
 確かに俺は言ったよ、何か楽しい事を見つけたら、悲しみが紛れるかもしれないって!
 でも、簡単に忘れられるわけないじゃないか!
 フォルティシモは三年間いつも一緒だった俺の大切な箒だ!
 あいつはもう俺の一部だったんだ!
 あんたはフォルティシモが壊れる所を見たわけではないくせに!」


152 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/16(木) 10:32:30 O
>「マリアベルだってそうだ!あれはお前じゃねぇんだろうが!いくらお前そっくりでも…お前はお前しかいねぇんだよ!なぁ…」
ロックはハッとして口をつぐんだ。この人は俺とマリアベルの関係を知っているんだ。
その上で俺は俺、ロック・ウィルであると認めてくれているんだ。
ロックの怒りの感情はすっと消えてしまった。
>「人は苦しみや悲しみ…罪から決して逃げられない…死と同じように…」
ロックは、まだ手に持っていたフォルティシモの破片を見つめた。
俺は何故悲しむ事しかできなかったのだろうか?
命をかけて共に戦ってきたこの箒に何故、『今までありがとう』と言えなかったのか?
>「だから…だから…全て背負いなさい!痛みも罪も思い出も財産も全て
そして、成長しなさい…………」
ロックは心の霧が晴れる心地がした。
今なら『ありがとう』と言えるかもしれない。
フォルティシモにも、アルテリオンさんにも、リリアーナやフリージア、
いや学園の同胞達にも、ちょっと変な人だけど、レイド先生も俺の大切な人だ。
そして“例のあの人”にも言いたい。本当の俺を教えてくれた人だ。
俺は一人であって一人ではない。皆、見えないけど絆で結ばれているんだ。
だから、俺は大きな声で皆に言いたい『ありがとう』!
…でも実際には言わなかった。少なくとも今は。

>「まぁ全部…母からの受け売りだったりしますけどね…じゃあ、ロックさん…殴ってください」
あぁ、アルテリオンさんの笑顔が眩しい…でも何故?
「何故あなたを殴らなければいけないのですか?」
ロックはアルテリオンから理由を聞いても、彼女を殴ろうとは思わなかった。
それは、単にロックの信念、つまり女に暴力をふるわないという問題だけではなかった。
「アルテリオンさん、この拳はとっておきます。
 俺が強くなったら…失う事を自分の強さに変える事ができるようになったら、
 その時、この拳を受け取ってください!」
ロックはゆっくり立ち上がり、ズボンの泥を払ってアルテリオンの顔を正面から見た。
「ありがとう。」
ロックはそういってくるりと向きを変え、ダッシュした。
とりあえずフリージアを探して、この猫耳を返さなくては。
(ところでロック、その猫耳はもともとリリアーナの持ち物なんだけどな。)
ちなみにロックはまるで眼中になかったが、アルテリオンとの一連のやりとりで、
ずいぶん周りの生徒の注意を引いてしまったようだ。


153 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 [sage] 投稿日:2007/08/16(木) 12:57:45 O
う〜ん……よく寝た。
清々しいとまでは言えないが、大分体が楽だ〜。
しかし…学園長に色々と掛け合わないとなぁ…。
今回頑張った生徒達のテストの免除、タロウ先生の石化の解除、俺の新しいスーツ……etc
面倒だな〜…。
>145それにしても…学園は見事に元の状態に戻ってるなぁ…。
まるで何事も無かったみたいだ…。
あんだけ頑張って戦ってたのが信じられないね。
さて、そろそろタロウ先生を担いで下りるか…
>148->152「ロック!歯を食いしばれぇ!」
………俺は何も聞いてない。
俺は何も聞いてないぞ!
アルテリオンの声に聞こえたが彼女がそんな事を言う筈が…
>「………この………このウジ虫がぁ!」
おいおい…今度はウジ虫とか言っちゃってるよ…。
でもさっきとは別の人の声に聞こえるぞ。
とりあえずタロウ先生を担いで声のする方に行ってみようか……怖いもの見たさってやつだよ。
>「………お……立てオラァ……立てよ!」
>「逃げる事が出来るだぁ!?テメェ舐めてんのか?」
>「…逃げてんのはお前なんだよ!」
………ガクガクブルブル。
俺は現場から少し離れた場所で生徒の陰に上手く隠れながらガクブルしていた…。
何をやっちゃってるんすかアルテリオンさん…。
俺にはロックをボコっているようにしか見えないんですが…。
そんな事したら虐待とか何とか言われるから!
何かマリアベルがどうとか箒がどうとか話してるみたいだけどちょっと冷静になった方がよろしいんじゃないでしょうか…。
結構な数の生徒も見てますし……その辺にしといた方が…。
え?俺が止めに入れって?
それはちょっと御免こうむりたい。
普通に怖いもの。


あれ?いつの間にか声が聞こえなくなったな?
終わったのか?
………良かった……。
どうやら終わったっぽいぞ。
バレないうちにさっさと降りちまおう…。
行くぞ、タロウ先生。
俺はタロウ先生を担ぎながら機関車を降りた。

154 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/08/16(木) 13:45:15 0
>144
フリージアは巨大な氷を着々と消し去りながら、淡々と話してくれた。
>「私は・・・そうですわね。私のお母様も死んでしまったけど存在が無くなったわけではありませんし 
> 死者の都合を考えずに生き返らせたら、死者本人にとっても迷惑だと思いますわ」 
>だから必要とは思わないとフリージアは続けた。
その様子はなんの気負いもなく、ごく自然だった。
リリアーナは目を丸くしていたが、やがて我に返りくすくすと笑い出した。
ごめんごめんと身振りで謝りながらも、笑いは止まらない。
笑いすぎたのか眦に涙まで滲ませたリリアーナは、息絶え絶えになりながらようやく口を開いた。
「死者の都合・・・!・・・そ・・・そうよね、本当にその通りだわ・・・!!」
愛する者を失えば、もう一度逢いたい、蘇って欲しいと望むのが人の性だ。
そして、死者をも蘇らせると謳われるカドゥケウスを目前にして、
こうもあっさり誘惑を退けられる人間は、どれほどいるだろう?
伝説のカドゥケウスが学園に存在していたことは、メガアルナワーズを通して広く世間に知れ渡ってしまった。
人の口に戸は立てられない。
この先どうなるかは、リリアーナ自身にも分からなかった。

>「それに死んでいたとしても二度と会えないわけじゃないですわ」 
>夢や思い出、記憶という形で会うことも出来ると続けるフリージア 
リリアーナはフリージアをまぶしげに見あげた。
「あなたの友達であること、心から誇りに思うわ。―――― 大好きよ、フリージア」

リリアーナはカドゥケウスを取り出すと、いたわるような手つきで優しく撫でた。
「カドゥケウスは知恵と医療の力を宿した杖。その力は死者をも蘇らせるとも言われているわ。 
 だけど神々でさえ世界の理に縛られているように、カドゥケウスもまた万能じゃない。
 マリアベルはずっと見果てぬ夢を追いかけていたの」
杖に巻きついた蛇が頭をあげ、リリアーナの指に身を摺り寄せた。

窓の外では、塔の欠片が校舎を再構築し始めていた。
「今でも分からない事があるの。
 廃墟の街で二人きりになった後も、なぜマリアベルはロックのふりを続けたのかしらって。
 本来なら私相手に、あんなまだるっこしい手を使う必要なんて無かったはずなの
 天使の人形が欲しかったのなら、手っ取り早い方法は他にいくらでもあった。
 なのにどうして私に杖を渡す危険を冒してまで、彼はロックになりきろうとしたのかしら?」
あのときのマリアベルだけは、ロックでもなければ恐ろしい魔法使いでもなかった。
それはただの演技だったのかもしれない。だが、リリアーナにはそれだけとは思えなかった。

フリージアは困った顔をしている。
「やだな、変なこと話しちゃってごめんねフリージア!
 ・・・ただね、ちょっとだけ思ったのよ。
 ロックを通して見た10年間、マリアベルは心を動かされるものは無かったのかなって。
 闇の魔法使いとは違う人生を見せつけられて、何も感じなかったのかなって。
 だったらちょっと・・・可哀想だなって・・・やだな、私何言ってるんだろ!」
リリアーナも自分が何を言いたいのか良く分からなかった。
マリアベルが消滅してしまった以上、仮説は仮説でしかなく確認の方法など残っていない。
考えても詮無きことだった。

155 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/08/16(木) 13:46:00 0
リリアーナが話している間も、フリージアは手を休めなかった。
巨大な氷柱は消え、クドリャフカの魔道書が荷物室の床に落ちている。
「やっぱりフリージアは凄いわ!後はクドリャフカさんを救出して――――あれ?開かない?!
 もしかしてこれ、中から封印されてるの?どうしよう、フリージア・・・」
魔道書を矯めつ眇めつしていたリリアーナは、迷子の子犬のような顔でフリージアを見つめた。

>「ぶるぁぁぁぁ!!!なぁにぃをやっとるかぁ!
>偽ロックと戦った生徒に学園関係者!大至急!学園長室へ来るように!」
「きゃあぁぁああ?!」
強烈なテレパシーは、頭の中にガンガン響く。例え気絶していたとしても、今の一声で目を覚ましてしまうだろう。
「何か呼ばれてるみたいね・・・クドリャフカさん・・・どうしよう・・・」
教頭や学園長なら封印を解除できるだろうか?
>148-150  >152
ゲートを通って戻ってきた生徒たちが、機関車の回りに集まりだしている。
何か人だかりが出来ているようだが、誰かが取り囲まれているのかもしれない。
「そういえば、幻灯機を通して今回のこと全部学園中の皆に見られてたのよね・・・
 あんなこととかこんなこととか・・・ううっ!」
リリアーナはがっくりとその場に膝をついた。
「ううっ!私皆とどんな顔して会えばいいのよぅ・・・」


156 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg [sage] 投稿日:2007/08/16(木) 20:44:41 0
チェス盤をひっくり返し飛び去るヴァンエレン。
突然の行動に驚きながらも、日光に晒され墜落するその姿を見送りながらつい笑いが漏れでてしまう。
「さて、行きましょうか。」
勝利に突き進んでいた対局を少々名残惜しそうに感じながらも、頭に鳴り響く教頭の声には逆らえない。

席を立ち、移動しながら窓から見えるアルテリオンとロックの熱血劇場を見物。
「若いのぉ。」と言う、シバの呟きにしみじみと頷いてしまう。
色々あったがようやく大団円の扉が開こうとしているのだ。
「さあみんな、凱旋よ〜。」
機関車を降りつつ手を翳すと、大きな花火がいくつも空を彩った。
何だかんだ言いつつ、お祭り騒ぎがすきなのだ。

特設会場で実況をやっていたアルナワーズの仲間達が用意していたのだ。
「パーティーの準備をするぞ〜!」
そこらここらでそんな声が上がり、機関車を取り囲んでいた生徒達が歓声を上げて動き出す。

「あらリリィ、こんな所で二人っきりだなんて。勝者はフリージアだったようねぇ〜。」
くすくすと笑いながら擦れ違いざまに囁き、そそくさと降車してしまった。
ゆっくりと歩いているはずなのに、何故か妙に素早い動きで再生した校舎へと入っていってしまったのだった。

157 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/08/16(木) 20:52:52 0
>154
>廃墟の街で二人きりになった後も、なぜマリアベルはロックのふりを続けたのかしらって
その言葉でフリージアは色々と考えた・・・が結局困った顔をするしかなかった
自分はマリアベルではないのだから分かるはずが無い

誰の言葉だったろうか?所詮他人同士は分かり合えない
だが分かろうと努力することは決して無駄ではないというのは

>155
>「やっぱりフリージアは凄いわ!後はクドリャフカさんを救出して――――あれ?開かない?!
 もしかしてこれ、中から封印されてるの?どうしよう、フリージア・・・」
>「ぶるぁぁぁぁ!!!なぁにぃをやっとるかぁ!
>偽ロックと戦った生徒に学園関係者!大至急!学園長室へ来るように!」
「・・・・いつもながら強烈ですわね」

>「ううっ!私皆とどんな顔して会えばいいのよぅ・・・」
「うなだれていても仕方ありませんわ!
 もしかしたらクドリャフカさんも出していただけるかもしれませんし
 とっとと学園長室にいきますわよリリアーナさん!」

>156
>「あらリリィ、こんな所で二人っきりだなんて。勝者はフリージアだったようねぇ〜。」
きょとんとするフリージア
しばらくたってからやっと意味を理解する
「だぁかぁらぁ!違いますわ!!リリアーナさんはあくまでお友達ですのよ!!」
>145
学園長室に向かう途中
フリージアは驚くべきものを目にした
そう………完全に何事も無かったかのように元に戻っている学園である
「破壊された寮も元通り・・・・どうやら今夜は野宿せずに済みそうですわね」
雪山での野宿に比べたらここでの野宿はまるで天国なのだろうが
やはりやらないに越したことがない

そして学園長室の扉は開かれた
「フリージア・ノクターン参りましたわ」

158 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/17(金) 02:34:25 O
アルテリオンとロックの熱血(青春?)劇場で、キサラの周りの女子生徒が呆気に取られ、キサラはやっと解放された
「…あの騎士さんは……いつもああなんですか…?」
アルワナーズの隣で、若干小声で聞いてみる
もっとも、アルワナーズの隣に来たのは別の理由があったからだが
「……アルワナーズ・アル・アジフ……」
いきなりフルネームで呼び始め、普段女性のようなアルトから、テノールぐらいまでトーン下がり、その表情も真剣だ
いわゆる『シリアスモード』というやつだ
「……大方、学園への編入の話も、キミの仕業だろう
………なぜ…僕を信頼するんだ?……もとい、僕はキミ達の敵だと言ったはずだ
………キミだけじゃない…リリアーナも…皆、そうだ
……何故僕を認め、信頼し……仲間だとする?
……たった一度共闘しただけだ……それに……」
ここまであくまで無表情で冷静に、淡々と話してきたが、
ここで一旦言葉を切り、目線を外すキサラ
「……僕を仲間にしても…ろくなことはないぞ」
その瞳にはどこか切なさと冷たさが見え隠れするようだった



>「ぶるぁぁぁぁ!!!なぁにぃをやっとるかぁ!
>偽ロックと戦った生徒に学園関係者!大至急!学園長室へ来るように!」
脳内に響く声…
テレパシー…というやつなのだろうか?
「……やっぱり……これって…僕も含まれるわけですか?」

159 名前: ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/17(金) 07:27:43 O
>「フリージア・ノクターン参りましたわ」
最初に部屋に入ってきたフリージアを学園長は満面の笑みで迎えた。
「やぁフリージア、いらっしゃい。
 あぁ、リリアーナも一緒じゃな。ずいぶん大人っぽくなったのう?」
フリージアの後ろからバツが悪そうなリリアーナが入ってきた。
雪山でレイアに飲まされた薬のせいで、リリアーナはまだ大人の体のままだ。
「これは、わしの友人から預かった若返り薬じゃ。
 一口だけ飲むがよい。じゃが気をつけろ、飲みすぎるとどうなるか説明する必要はあるまい。」
こんなやりとりをする間にも、学園長の部屋に次々と生徒と先生が入ってきた。
いづれも、塔の最上階でマリアベルと戦った者達だ。
しかし、ロックはいつまでたっても来なかった。
「さてと、教頭先生。しばらく席を外して頂こうかの?」
学園長はそう言って、教頭先生を部屋から出した。
「さて、それでは話しをしようかの。何しろわしには説明する義務がある。」
ここで、何故ロックがいないのか?と指摘された学園長は答えた。
「彼には、わしよりもずっとふさわしい人物がついておる。
 彼女が彼の疑問に答えてくれるじゃろう。わしがこれから皆にするようにな。」
その人物とは誰なのか?察しがついている者と全くわからない者に分かれた。
「まぁ、その事はおいおい話そう。
 さて…わしはどこから話し始めればよいのじゃろうか?
 何しろ、わしを含めて年寄りというものは全ての事を話そうとするあまり、
 ついつい、話しが長くなりがちじゃからのう。」


160 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/17(金) 08:13:05 O
気がつくとロックは、自分の部屋のベッドにあおむけに寝て、天井を見つめていた。
これはおかしい、とロックは思った。何だか腰のあたりに重い物が乗っている気がするが…
それよりも、なによりも、何故俺はここにいるんだろうか?とロックは何があったか思い出そうとした。
そうだ、機関車から降り、アルテリオンに殴られ、
フリージアを探しに校舎に入った。
そこで、ロックは突然思い出した。
後頭部に走る衝撃、そして転倒、朦朧とする意識の中で足首を掴まれ引っ張られていく自分…
>「気がついた?」
ロックは自分の上に乗っかり、自分の顔を覗きこんでいる女の人に気づいた。
「ぬあっ!?」
ロックは驚いて、ベッドから跳ね起きた。
ロックに乗っていた女の人は、そのせいでベッドから落ちて引っくり返ってしまった。
「あっ、すまない。」
>「…乱暴なのね。あと、どうしてあなたはすぐに気絶から回復するの?」
「知るもんか。」
ロックは、むくりと起き上がり髪の乱れをなおすその女の人を見つめた。
その人は特徴的な服装をしていた。ロックはその服装の名前は知らないが、
確か、お城の貴族はこんな格好の人に掃除をさせていたような気がする、と思った。
髪の毛は、燃えるような赤毛だった。瞳は緑色、翡翠のようだとロックは思った。
二人は長い間だまったままだったが、ロックはとうとう間がもたなくなって口を開いた。
「アンジェリーナ…さんですね?」
女の人はこくりと頷いた。
>「そういうあなたはロック・ウィルね?」
「からかわないでください。ところで、一体何なのですか?
 俺を殴って連れ去るなんて。俺は学園長室に行かなければいけないのに。」
>「行く必要はないわ。」
「どうして?」
>「あなたには、これから私の事を知ってもらうからよ。
 ………変な事を想像してない?」
「してません!」
ロックはここで沈黙し、深く考えた。そして、彼女に言った。
「…あなたが何者なのか、実は薄々わかってましたよ。
 なんというか、あなたは遠い昔に離れ離れになってしまった、
 自分自身の一部のような気がするんです。」
アンジェリーナは黙って聞いていた。ロックは単刀直入に聞いた。
「ずばり、あなたは俺の母親ですね?」
このロックの問いにアンジェリーナも単刀直入に答えた。
>「違うわ、お父さん。」
お父さんと呼ばれたロックは愕然とした。

161 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/08/17(金) 12:47:22 0
>157
> とっとと学園長室にいきますわよリリアーナさん!」 
「は・・・はぁい・・・」
クドリャフカの魔道書を手にした、リリアーナはとぼとぼとフリージアの後に続いた。
彼女の気持ちとは裏腹に、空には大きな花火が打ち上げられている。
それを合図に、列車周りの生徒が移動し始めた。リリアーナはホッと胸をなでおろした。

アルの姿を目にしたリリアーナは、烏に睨まれた猫のようにフリージアの背中へと逃げ込んだ。
>「あらリリィ、こんな所で二人っきりだなんて。勝者はフリージアだったようねぇ〜。」 
「???」
リリアーナの頭上に大量の?マークが浮かんだ。
前にいたフリージアも似たり寄ったりだったが、先に我に返ったのは彼女の方だった。
>「だぁかぁらぁ!違いますわ!!リリアーナさんはあくまでお友達ですのよ!!」 
「そ・・・そうよそうよ、だいたいアルは前提が間違ってるわよ、相手だって選ぶ権利があるのよ!
 付き合うって言ったって、相手が私のこと恋愛対象として見てなければ意味ないじゃない!!」
まるで聞いていない様子のアルに腹を立てたリリアーナは、思わず叫んでしまった。
「ああそう、分かったわよ。
 私が交際を申し込んだら、誰もが二つ返事でお付き合いするってアルは思ってるのね!
 じゃあアルナワーズ・アル・アジフ!あなたが私と付き合ってよ!!」

もちろん本気ではなかった。
・・・・・・しかしこの場合、時と場所と相手が悪すぎた。


>「破壊された寮も元通り・・・・どうやら今夜は野宿せずに済みそうですわね」 
がっくりと肩を落としたリリアーナは無言で頷いた。
確かに学園は元通りになった。
だが、全てが元通りになったわけでも、起きてしまった事件が無かったことになるわけでもない。
それはリリアーナ自身よくわかっていた。

学園長室にたどり着くまでの間、いろんな人に話し掛けられたが、殆ど耳に入らなかった。
デマも多く流れているようだ。学園を再建したのは生徒会長らしいが、さすがにこれは眉唾だろう。

>159
学園長室に入室する寸前、リリアーナはクドリャフカの魔道書をフリージアに手渡していた。
学園長はリリアーナ達を満面の笑みで迎え入れた。 
>「やぁフリージア、いらっしゃい。 
> あぁ、リリアーナも一緒じゃな。ずいぶん大人っぽくなったのう?」 
リリアーナは頬を染めながらも、廃墟の街で銃弾から守ってくれた御礼を述べた。
急にボロボロの服が気になったようだが、この場合の『大人っぽく』は、まさに文字通りの意味だった。

>「これは、わしの友人から預かった若返り薬じゃ。 
> 一口だけ飲むがよい。じゃが気をつけろ、飲みすぎるとどうなるか説明する必要はあるまい。」 

「・・・え?若返り薬??」
全く事情が飲み込めていないリリアーナは驚きから立ち直ると、慌てて傍らの書架を覗き込んだ。
鏡のように磨きこまれたガラスの中では、母親そっくりの女性が驚いた顔でこちらを見つめている。
「え?これ私?な・・・なんでこんな姿に?・・・え?いつの間に???」
パニック寸前のリリアーナの手に、そっと学園長が若返り薬を握らせた。
ヤクルトそっくりの小瓶を見たとたん、リリアーナは全てを理解した。
リリアーナは恐る恐る自分のシャツの胸元に視線を落とした。
世界は一度死んだ。

学園長室にはマリアベルと戦ったメンバーが続々集まってきている。
その影でリリアーナが、世を儚んでしまいそうなくらい落ち込んでいたのを・・・蛇足ながら追記しておく。

162 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/08/17(金) 12:47:58 0

学園長室にはロックは来なかった。学園長の話では、ロックへの説明は別の誰かが当たるそうだ
学園長が「彼女」と口にしたとき、知らずリリアーナの顔が綻んだ。
多分今ごろロックは、鳥で、赤毛で、美人で、乱暴もののメイドから色々話を聞かされているのだろう。
(うんとアンジェリーナさんに叱って貰えばいいのだ。――――ああ、もちろん手加減は必要だけどね)
そうすればきっと、ロック・ウィルという存在がどれほど必要とされているか実感できるだろう。
(まあ、既にアルテリオンから特大の雷を落とされていたのだが)

> さて…わしはどこから話し始めればよいのじゃろうか? 
「10年前のことを全部。それから、アンジェリーナさんとロック・ウィルとの関係を。
 彼女は随分前からウィル君のことを熟知していたようですが、マリアベルの関係者でしょうか?
 また、今回出現したカドゥケウスの今後の処遇についても聞かせていただければありがたく。それから・・・」
リリアーナは何度か躊躇いながらも、再び口を開いた。
「マリアベルの両親とロックの両親は、同一人物と捉えてよいのでしょうか?」


163 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M [sage] 投稿日:2007/08/17(金) 17:54:53 0

視線を彷徨わせてもアンジェリーナの姿はない。
その点は心配ではあったが、今何を出来る訳でもない。
>「……えっ?」
>「その痩せ兎はな、学園への留学生ぢゃ。何をどうしてかこんなところに迷い込みよって。」
>「シヴァさんはねえ、学園長の古い知り合いで学園の非常勤講師というか相談役なのよ〜。私もびっくりだわ〜。」
「…留学生…ですか。」
メラルは、それだけ呟くとキサラにしっかりと目線を向ける。見定めるかのように。
(中に取り込んで口外を防ぐ為、かしら。)
>「あ…アルワナーズさん……僕は……!」
アルに抵抗しようとしていたようだが、周囲の女子生徒の質問攻めにあって
それも無駄に終わりそうだった為、藪蛇を防ぐ為にその場から立ち上がり、
視線をアルとシヴァのチェスに向けた。哀れな吸血鬼が窓から
飛び出して墜落するまでずっと。

ロックとアルテリオンの熱血劇場は…関わると無駄に疲れそうなノリだと判断した為か、
一人大人しく考え事を始めるメラル…だったが、それは教頭先生の脳を震わせるような
テレパシーによってすぐに中断された。小声で水晶球に向けて呟く。
「…後で考えればいいわね。後で探せばいいわね。私達には…十分時間があるんだから。」
アルの凱旋を促す言葉に追従するように、後ろから歩いていく。と、
場の空気という器に、アルが火をくべ、フリージアが水をかけ、
リリアーナがダイナマイトを放り込んだ。
> 「あらリリィ、こんな所で二人っきりだなんて。勝者はフリージアだったようねぇ〜。」
> 「だぁかぁらぁ!違いますわ!!リリアーナさんはあくまでお友達ですのよ!!」
>「ああそう、分かったわよ。 私が交際を申し込んだら、誰もが二つ返事でお付き合いするって
  アルは思ってるのね! じゃあアルナワーズ・アル・アジフ!あなたが私と付き合ってよ!!」
もう、結果は見えている。メラルは溜息をついて言った。
「これは…大穴中の大穴ね。」
それだけ言うと、さっさと降車し…リリアーナに追いつかれないように、
意図して早く校舎に逃げ込もうとした。もちろん、本気で言った訳ではないが。

メラルは、早く校舎に入り込んだにもかかわらず、
学園長室に姿を見せたのはかなり遅めだった。
教頭先生が部屋から出た後で、真っ先にロックの事を質問し…
メラルのこの事件における、重大な関心事の一つが、あっさり解決した。
アンジェリーナは生きているのは間違いないようだ。
(良かった…。)
そして、メラルは大人しく黙っていた。リリアーナに任せれば
聞きたい事の大半は聞きだせるだろうから。

164 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 [sage] 投稿日:2007/08/17(金) 22:59:19 O
タロウ先生を担ぎ、学園長室に向かっていた俺は教頭に出会った。
マズイ……これはマズイ。
教頭が何かを言い出す前に喋らなければ。
「あっ!丁度良かった教頭先生!
タロウ先生の石化を解いてもらおうと思ってたところなんすよ〜。
はい、じゃ、後はヨロシク。」
教頭に喋る隙を与えない様にタロウ先生を押し付け速効で学園長室に向かった。
「レイドで〜す。
入りますよ〜。」
中に入ると既に大半のメンバーが揃っていた。
居ないのはロックだけだな。
また俺が一番最後か。
リリアーナが校長に何やら色々と聞いているみたいだ…。
話が長くならなきゃ良いけど…。
つーか頼むから早めに終わらせてくれ。
俺はシャワーを浴びてさっさと寝たいのだ。
血の臭いってさ、なかなか落ちないんだよね。
昔から散々血を浴びてきて何を今更って思うかもしれないけど、やっぱり気になるじゃん?

165 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/08/18(土) 00:53:39 0
>161>163
>じゃあアルナワーズ・アル・アジフ!あなたが私と付き合ってよ!!」
もちろんフリージアはリリアーナにそんな趣味があるなんて欠片も思ってはいなかった
が・・・メラルが聞いていたようで、そそくさと行ってしまった



学園長室ではリリアーナに若返りの薬が手渡されていた
>「・・・え?若返り薬??」
>「え?これ私?な・・・なんでこんな姿に?・・・え?いつの間に???」
そして自分の胸を見るリリアーナ
「・・・・・不憫ですわ」
思わずそうつぶやくフリージア
とりあえず自分が14の頃に試して効果があった豊胸サプリメントを薦めようと
フリージアは心に誓った
ちなみにそのサプリメントの名は豊乳丸といい
腐ってない限り必ず胸が大きくなるという代物である・・・・そう腐ってない限り
>162>164
>「マリアベルの両親とロックの両親は、同一人物と捉えてよいのでしょうか?」
その言葉に驚くフリージア
「えぇ!?一体どういうことですの?」
ロックとマリアベルの両親が同一人物?
でもロックの両親を殺したのはマリアベルのはず
自分で殺しておいて自分で生き返らそうとしたってこと?
フリージアはもうわけが分からなくなっていた

そうやって話している間にみんなやレイド先生が学園長室に入ってきた

「ああ!そういえばクドリャフカさんを元に戻していただきたいのでしたわ!?」
フリージアは突然何かを思い出したように発言した
このまま忘れ去っていたらどうなったんだろうか?

166 名前:ラルヴァ&狐&鯱 ◆sy1IQNBWp6 [sage] 投稿日:2007/08/18(土) 10:31:48 0
エイティ先生の駆る汽車の中。強引に放り込まれたラルヴァや使い魔達もまた
席について休養をとっている。ぼんやりとした表情で、鯱と狐の獣人に挟まれたラルヴァは
窓を眺め茫洋とした表情を浮かべている。

今回の騒動で自分の《本質》の一部が露呈してしまった。
マリアベルとの戦いが途中からはよく覚えていないのだが、
もう一人の自分の放った一撃は、間違いなくマリアベル以外の、友達を傷つけかねない一撃だった。

ちなみに鯱と狐の使い魔は少し前に「負担になるから」ということで還っている。
「もう、この学園にいられないかな・・・・・・。」
ほう、と溜息を吐く後ろではアルテリオンさんがロックをぼこぼこにしている音が聞こえる。
ラルヴァは落ち込む事もできないこのシュールな状況に苦笑を浮かべていた。

時は変わって、汽車が学園に到着していた。
ラルヴァは降りる時、普段と同様に目深にマントのフードを下ろしている。
それぞれが避難していた生徒達にもみくちゃにされる中を、ラルヴァはすり抜けていく。

学園長室へ呼び出され向かう途中、ふとこんな怒鳴り声が聞こえた。
>じゃあアルナワーズ・アル・アジフ!あなたが私と付き合ってよ!!
声の主はすぐ分かる。リリアーナだ。多分乗せられて怒鳴った拍子に言ってしまったんだろうけど・・・
「リリアーナ、自分の声が結構大きいって分かってるのかな・・・。」
結構距離は遠そうだけれど、それでも届くのだ。聞こえた人間は結構多いんじゃないだろうか。

そして現在学園長室。
ラルヴァは話を聞きながら、一言も発さずに考えている。
ただ、考えている。

167 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/18(土) 12:36:12 O
結局学園長室に連れて来られ、学園長と思われる人物の話が始まった
話の内容は、ロックとマリアベルについて
「………………」
しばらく話を聞いた後、急にキサラはくるりと後ろを向き、スタスタと歩き始めた
「どこ行くの?」と尋ねるリリアーナに
「……帰る
…僕には関係のない話だ」と残し、ドアに向かう
ちなみに、またシリアスモードに入っているようだ
そしてキサラは、ドアの付近でメラルとすれ違い、小さな声でメラルにこう言った
「…少しは信頼したが、まだ信じられない…という目をしているな」
それだけ言い残し、キサラはドアから出ていってしまった
メラルにまだ何か話があるという意味だろうか?

168 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/08/18(土) 19:35:22 O
「そうですか…では、気長に待たせてもらいますよ」
申し訳ない気持ちでロックさんの後ろ姿を見る。
その背中には先ほどとは違う何かがあった気がした。
その時、教頭の怒鳴り声が頭に響き渡る。
どうやら、急いで学園長の元へ行かなければならないようだ。

「失礼します。用務員アルテリオン・カタストロフ只今ここに」
私がついたころには、あの場にいたメンバーがほぼ揃っていた。
この場にロックさんがいないことに関しては別に気にしてはいない。
いや、別の意味で気にしてはいる。
2m近い大剣を軽々と振るう人物に全力で殴られたのだ。もしかしたら、今頃は保健室で頬を風船のように腫れあげながら寝てるのかもしれない。
そんなどうでもいい心配はよそに、学園長はその重い口を開く。
学園長の話は今回の事件の真相らしい。
だが、今日一日の記憶がない私にとってそれは退屈な話に過ぎなかったが…ロックさんがここにいないことは幸いだったと思う。

169 名前: ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/18(土) 23:07:29 O
>「ああ!そういえばクドリャフカさんを元に戻していただきたいのでしたわ!?」
フリージアから魔本を受け取った学園長は、ひとまず机の上にそれを置いた。
「今説明を聞いても、恐らく混乱するだけじゃろうな。
 アルナワーズ、塔の中でその後何があったかを含めて後から説明してあげるとよい。
 幻燈器が役にたつじゃろう。」
アルナワーズにそう言った後、学園長は改めてここに集まったメンバーを見た。
「では一つ一つ答えて行こうかの。」
学園長はそう言いながら書棚に歩み寄り、そこから黒いノートを一冊取り出した。

「10年前の事をわしは話すつもりはない。」
学園長がノートを皆が見える位置に置いた。
すると間もなく、ノートがひとりでにぺらぺらと開き、あるページで止まった。
「…見せるつもりじゃ。」
ノートから白い光がほとばしり、辺りを包み込んだ。
全員の視界が真っ白になった。

再び目が見えるようになった一同が見たのは学園長室の中だった。
しかし、さっきとは様子が違う。全てが白黒の、色の無い光景になっている。
赤く煌めいているはずのロウソクの炎も真っ白だ。
そのロウソクを挟んで、学園長と、母と子と思われる二人組が椅子に腰かけていた。
今学園長は日記に記録されたこの日の出来事を、皆に映像として見せているのだ。
母親らしい人物が学園長に話しかけている。
モノクロのこの世界でも、彼女の瞳は水晶のようにやけに輝いて見える。
髪の毛は黒色か、あるいはかなり濃いめの色らしい。
六歳くらいに見える男の子の方は、かなり長い髪をしていて、それが左目を隠してしまっている。
母親よりも髪の毛の色は明るいようだ。
右目は母親と同じ輝きを持ち、二人が実の親子であることを証明していた。
>「…はい、この子に魔法を学ばせたいのです。
 魔法使いになるという事は厳しい道のりであると存じております。
 でも、私はこの子の魔法の才能をできるだけ伸ばしてやりたいのです。」
ここで、記録の中の学園長が答えた。
「あぁ、ごもっともで。それでは入学を許可しましょう。」
>「はい、ありがとうございます。」
母と子は二人そろって頭を下げた。
「えぇと…ところで、お母さん。あなたのお名前は何と言いましたかな?」
>「私の名前?…エレンと申しますが、それが何か?」
「あぁ、そうでしたな。失礼しました…ブランエンさん。」
母親の表情が固まった。子供の方はあからさまに不快そうな顔をしている。
>「私はブランエン・ウィルではありません。エレンです。」
「はて?私はブランエンとは言いましたが、ウィルとは一言も言ってませんよ?」
母と子はそれを聞いて押し黙ってしまった。
「…ブランエンは優秀な生徒であり、良き友人だった。」
学園長が諭すように話し出した。
「しかし、軍が街に放った殺戮兵器に殺されたと聞いておる。
 そして、彼女に一人息子がいたことも聞いておる。
 その息子は後に、魔法使いギルハートの養子となり、
 彼の技を全て受け継いだ闇の魔法使いになった事も、
 そして、転生して若い体をとり戻し、
 今まさにブランエンの精巧な操り人形と一緒に、
 わしに会いに来てくれた事もみな知っておる。」
ここまで言った所で、子供はうつ向き、小刻みに体を震わせた。笑っているのだ。
> 「ふふふっ、ばれたか。あんたが母を知ってるとは知らなかった。」
その笑いに、子供らしい純粋さは感じられない。
「やっと会えたね、マリアベル・ホワイト。」


170 名前: ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/18(土) 23:09:20 O
>「俺の噂は聞いてるのかい、じいさん?」
「聞いとるよ、なんでも死の克服が目標らしいのう?
 それで、その目標は達成されたのかな?」
>「まもなく達成されるさ。」
ここで、マリアベルは顔を上げた。髪の毛が逆立ち、爬虫類のような左目が露出する。
>「あんたが俺にカドゥケウスを渡せばな。」
「生憎じゃがのうマリアベル、お主にあの杖を預けるわけにはいかんのじゃ。
 生と死は表裏一体、死を除いてしまえば、生もまたその意味を失ってしまう。」
>「説教を聞きに来たわけではないぜオーラー(闇祓い)!
 俺はただブランエンを、俺の母親をこの世に返したいだけだ!
 彼女は死ぬべき人ではなかった。他人のエゴに巻き込まれて、
 奪い去られた幸福な人生を、返してあげたいだけなのに!
 あんたも彼女の事が好きなら、俺に手を貸せよ!」
「駄目じゃマリアベル、それはならん。
 お主は強い魔力を持ち、魔法の術も数多くしっておる。
 そして、何よりも根が純粋そのものじゃ。」
>「そうさ…俺こそがカドゥケウスの持ち主にふさわしい。
 俺がカドゥケウスを一番上手に使えるんだ!」
「しかし、悲しむべきか…お主は純粋ゆえに道を外してしまった。
 失う事への恐れ、存在するものへの執着が、お主を忌むべき魔法使いに変えてしまった。
 ゆえに、お主にカドゥケウスは預けられぬ。」
>「…東方には便利な言葉があるがご存知か?“問答無用”という言葉だ。」
「…同感じゃ。」
ここで、再び視界が真っ白になった。

気づいた時には元の学園長室(つまり白黒でない方)に戻っていた。
「マリアベルは、昔ここの生徒じゃった魔女、ブランエン・ウィルの一人息子じゃ。
 マリアベルという名はギルハートがつけたものじゃ。
 ゆえに、わしにも彼の本当の名はわからん。」
ここで、学園長は深い溜め息をついた。心底話しづらいといった感じだ。
「ロックの両親について尋ねたのう、リリアーナ。…しかし、できればその答えは保留しておきたい。
 何故なら、それはロックにとって非常に残酷な事実ゆえに、
 わしの口から今話すべき事ではないからじゃ。
 いつかロックがその事実を受け入れ、自ら話せる日が来るまで皆には待って貰いたい。」
学園長はそこまで話した後、気をとり直して話しを続けた。
「さて、あの場面の後、わしら二人はちょっとした“男同士の殴り合い”をしたわけじゃ。
 その場面は見なくても良かろう。少々、刺激が強すぎるからの。
 わしはマリアベルを追い詰めた後、彼の記憶を全て消したのじゃ。
 その後の事は想像できるな?わしは彼をロックと名付け、学園に置いたのじゃ。」


171 名前: ◆jWBUJ7IJ6Y [sage連投すまん、ひとまずこれで今日は最後] 投稿日:2007/08/18(土) 23:23:20 O
>「……帰る
> …僕には関係のない話だ」
ここまで話したところで、突然キサラが退出しようとした。
キサラは何かメラルに耳打ちをしている。
学園長はその様子を見た後、メラルに意味ありげな目線を送り、話しを続けた。
「わしとアンジェリーナが教会で出会ったのは、それからしばらくたってからの事じゃ。
 彼女は自分がマリアベルの娘であると言った。
 理由は最後まで教えてくれなんだが、彼女の心はマリアベルへの恨みと憎しみで満ち満ちていた。
 アンジェリーナは独自に魔法を学び、復讐のためマリアベルを探し求めておったのじゃ。
 そして…見つけた。つまり、ロックを…じゃ。」
ここで学園長の顔が険しくなった。
「今回の騒動を引き起こしたのはアンジェリーナなのじゃ。」

172 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/08/19(日) 22:56:59 0
学園長はクドリャフカを後で魔本から出してくれるらしい。
説明はアルに任せるそうだが・・・どんな解説がつくのだろう?
リリアーナは今すぐ幻灯機を壊したい衝動に駆られた。

リリアーナの質問に、フリージアが珍しく素っ頓狂な声をあげた。
学園長は10年前を「見せる」事で、彼女達の質問の答えに代えた。
来賓用の椅子にちんまりと腰掛けている子どもにリリアーナは見覚えがあった。
(この頃のロックは可愛くて、しょっちゅう女の子に間違えられていたものだ)
白と黒の世界の中、リリアーナはロックの隣にいる女性を見てあっと声をあげそうになった。
強制されて赤い石を取りに行ったとき、道を示してくれたフードの女性にもよく似ていた。
だが何よりも!
(このひと、レイド先生に預けた天使像にそっくりじゃないの!!)

二人の会話を聞きながら、なぜマリアベルが躊躇無くアリ地獄へ飛び込めたのか分かった気がした。
(天使の像を手にすればマリアベルの攻撃の幅が広がることを、リリアーナは知る由も無い)
> 俺がカドゥケウスを一番上手に使えるんだ!」
マリアベルの叫びは以前ロックを怒らせたときの台詞とそっくりだった。
二人は一枚のカードの表と裏のようだとリリアーナは思った。

マリアベルは母親さえ蘇れば、他のことはどうでも良かったのだだろう。
ではロックは?
死者に逢える泉を見つめながら、彼は一体何を思ったのだろう?
これほどまでにマリアベルが欲したカドゥケウスは、今はリリアーナが手にしている。
後ろめたく思う必要は無いはずなのに、リリアーナはロックがこの場にいないことに少しホッとしていた。

>170
皆に一時の「時間旅行」を体験させた学園長は、ロックの両親についての質問については珍しく言葉を濁した。
ロックの出生が複雑でない筈が無かった。少し考えれば分かることだったのに。
「いえ・・・私の方こそ配慮が足りませんでした。その件は撤回させてください」
自分の質問の無神経さに気づいたリリアーナは深く恥じ入った。

>>167
>「……帰る
>…僕には関係のない話だ」と残し、ドアに向かう
どっぷり自己嫌悪に陥っていたリリアーナは、とっさに反応が遅れた。
声をかけようにも、キサラはドアの外に消えていた。
(お礼もちゃんと言ってないのにな・・・)
さりとて話の最中に追いかけることも出来ない。リリアーナは深いため息をついた。
まあ、ゲートを使わないと学園の外には出ることは出来ないし、
偽ロックと戦ったキサラを見つけたら、生徒達―― 主にお姉様方 ―――が放っておくはずも無い。
学園中を連れまわされてくだびれた頃、また逢えるだろう。

リリアーナは重要なことをすっかり忘れていた。
そう、三等過程卒業者である証の指輪をキサラに預けたままだということに。
ちなみに自分の指輪を他人に預けるということは、当魔法学園においては特別な意味がある。
ずばり、指輪を交換すれば二人は恋人同士というわけだ。
さて、我らがキサラ君は当学園に編入することが既に知れ渡っている。
そんな彼が持っているはずの無い女生徒の指輪を持っていると知れたら・・・・・・
どうなるかは想像に難くないだろう。

遠慮がちなノック音が響き、一等過程の生徒が顔を覗かせた。たしか名前はザックスだったはずだ。
>「お話中失礼します。レオ先生が、そろそろ負傷者を保健室まで運んで欲しいとの事ですが・・・」
―――― 堅苦しい話が苦手な人なら、この場から抜け出すのにまたとない口実だろう。

173 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage ロック乙よ〜無理しないでね] 投稿日:2007/08/19(日) 22:57:50 0
>166
ラルヴァは思いつめた顔で何か考え込んでいる。
リリアーナが頭に乗せた猫耳バンドに気づく余裕も無いようだ。
猫耳は元気がなく、しょんぼりと垂れていた。
(巨大化した映像は編集でカットされてるらしいから、心配しなくても大丈夫なのにな〜)
学園長が退出したキサラに気を取られているのをいいことに、
「猫耳似合ってるよ〜。ところで元気ないけどどこか痛むの?」とジェスチャーしてみた。
ラルヴァが気が付いたかどうかは怪しいが。

>171
学園長の話はロックの両親からアンジェリーナへと移った。
彼女はマリアベルの娘だということを聞き、リリアーナは自分の耳を疑った。
「え?彼女がマリアベルの娘?!」
にわかには信じがたい話だった。なぜなら、リリアーナは彼女の本性を知っていたからだ。
だが、まだ驚くのは早かった。
>「今回の騒動を引き起こしたのはアンジェリーナなのじゃ。」 

「それは・・・どういうことなのでしょうか?」
驚きのあまり、それだけを口にするので精一杯だった。

174 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/08/20(月) 06:27:49 P
この事件は私を感電させた女
アンジェリーナによって起こされたものらしい
なぜ?
どうして?
疑問詞ばかりが浮かび上がる
ここは黙って話の続きを待つべきだろう
とりあえずリリアーナが続きを促したのでそれを聞くことにした

175 名前:メラル+エミュー ◆1LtyyBHC/M [sage] 投稿日:2007/08/20(月) 15:08:35 0
メラルは学園長が見せた10年前の出来事をただ無言で見ていた。
礼儀の都合かサングラスは外していたようだが…
左目は普通の目のようにしか見えない。
来る前に目に封印を施したのだろう。

話の途中でキサラがすれ違い際に話しかけてきた。
>「…少しは信頼したが、まだ信じられない…という目をしているな」
そして、キサラが部屋を出て行く。
(まだ話はありそうだけど…今追いかける訳にもいかないわね。
…学園長のあの目。どちらを意図しているかは微妙な所があるし。
でも…機会があったら行ってもいいかもしれない。
…エミュー。そろそろ起きてもいいんじゃないかしら?)
(…うっせぇナ…一体誰が俺を起こしやがるんだヨ!って、
一人しかいねぇよナ。てめぇ無事だったんカ。心配かけやがってヨ…。)
(悪かったわね。でも、もう大丈夫よ。もう少ししたら
出番が来るかもしれないからそれまでに目、覚ましといて。)
(チッ、人使い荒いゼおめぇもヨ。)

メラルは水晶球の中のエミューを起こし、話の続きを聞いていたが…
途中で一瞬頭が真っ白になった。アンジェリーナがマリアベルの娘で、
騒動の首謀者だと聞かされたからだ。
>「今回の騒動を引き起こしたのはアンジェリーナなのじゃ。」
(彼女の行動を見る限り、どう考えてもマリアベルとは…。どういう事?
訳がわからなくなってきたわね…。)
そして、横を見ると一等過生の先輩が一人。そう言えばさっき
負傷者を保健室に運んで欲しいという声が聞こえたような気がする。
しかし、さすがに目に見える傷は多い物のそう重くは見えない
メラルがそれを抜け出す口実にするのはいささか苦しい。本人はそう考えたようで…
しかし、キサラの方を放置するつもりもなく。メラルは呪文を呟いた。
「契約の糸」
(…エミュー。外に出て、キサラって子を探しなさい。容姿は…)
(知ってるから説明はいらねぇゾ。)
(ええ。…頼んだわ。見つけたら適当に張り付いてて。)
少しして、水晶球が学園長室から飛び出していった。


そして、暫くしてエミューがキサラを見つけると…
水晶球の状態のまま、キサラの真上少し後方をついて行き始めた。

176 名前: ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/20(月) 20:44:20 O
塔の中で(もっとも、それ以前に会っている者もいるが)、
アンジェリーナに会ったことのあるメンバーは、学園長の発言に衝撃を受けたようだ。
何故なら、塔の中のアンジェリーナは、
事態の収拾にそれこそ命をかけて奔走していたからだ。
また、アンジェリーナが人ならざる人である事を知っている者なら、
アンジェリーナとマリアベルの関係に頭を悩ませるに違いない。
学園長室はさっきより人が少なくなっていた。
学園長が去る者を引き止めることもなく、
また、退出するに足りる理由がいくらかあったからだ。
「アンジェリーナは嘘をつかない女性じゃ。
 ゆえに、アンジェリーナは正真証明のマリアベルの娘…」
学園長はここでわざと間を空けた。
「である、と本人は思っておる事は間違いない。
 しかし、ここで気をつけねばならぬ事が一つある。
 主観的な事実は、必ずしも客観的な事実と一致しないことじゃ。
 養子なのか、それとも…いや、やめておこう。」
学園長はさっき見せた険しい顔をまたした。
「さて、塔の中でアンジェリーナに会った者は、わしが言った事をさぞかし不思議に思うじゃろうな。
 しかし、アンジェリーナが今回の騒動の原因である事は紛れもない事実じゃ。
 …理由?簡単じゃよ。アンジェリーナはマリアベルには復讐できても、
 “何も知らない”16歳の少年には復讐できなかった。
 だからロックを変えようとしたのじゃ、“全てを知る”16歳の少年にの。
 アンジェリーナは記憶を消したり、また逆に思い出させる術に長けていた…
 しかし、その事で、封印されていたマリアベルの記憶と力が覚醒してしもうた。」
ここで学園長は頭を傾げて一人で悩みだした。
「…はて、アンジェリーナは、どうやってロックとコミュニケーションをとったのじゃろうか?
 ロックの性格からして、自分の部屋に見知らぬ女性が現れれば大騒ぎする筈じゃし…
 校舎の中に居たなら、まっさきにわしが気づく筈じゃ、はて?」


その頃、ロックは自分の部屋でアンジェリーナから、学園長が皆に話した内容とほぼ同じ事を聞き、
そして、アンジェリーナに激怒しているところだった。
>「友達だと思っていたのに…裏切ったんだ…友達だったのに!!」


再び学園長室、学園長が説明を続けていた。
「賢者と言われる者でも、一時の激情で愚かな行いに走る事がある。
 今回のアンジェリーナがまさにそれじゃった。
 全ての運命の歯車が回り初めて、やっとアンジェリーナは事態の深刻さと、自身の愚かさに気づいた。
 その後、彼女が何をしようとしたかは、わしよりもずっと君達は見て知っとるじゃろう。
 アンジェリーナは愚かだったかもしれんが、誠実な愚か者でいられた。
 ただ、やはり今回の件は笑って済ませられるほど軽い問題ではない。
 彼女には罰を受けてもらわねばなるまいな?」
学園長は、どうする?といった感じで上目づかいに皆を見た。

177 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 [sage] 投稿日:2007/08/20(月) 21:04:39 O
正直言った話、俺にとっては今回の騒動の黒幕があのメイドさんだろうが、そのメイドさんがマリアベルの娘だろうが娘じゃなかろうが、どうでも良かった。
俺達は今、間違いなく生きている。
生を実感している。
それで良い。
複雑な話は苦手だ。
ついでに暗い話も好きじゃない。
>170それにしても勿体無いね。
マリアベルも真面目に魔法の勉強をしてれば俺よりも強い魔法使いになれただろうに…。
親の死を受け入れる事が辛いのは痛い程よく分かる。
俺の場合はホントの親じゃなかったけどさ。
でも、大切な人を自分のせいで死なせちまったんだぜ?
マリアベルと同じように生き返らせようと思った時もあった。
しかしそんな事はきっと二人は望んでいないと思った…。
俺も一歩間違えればマリアベルの仲間入りしてたんだろうなあ…。

>167話の途中でキサラは出ていった。
それに便乗して俺も出て行きたかったけど、そういう訳にもいかない。
今回は何としてもスーツ代を出してもらわねばならんのだ……
>176って、何言ってんすか学園長。
アンジェリーナに罰を与えるつもりか、この人は…。
しょうがない……。
「学園長、俺、スーツ代要らないっすわ。
だから、彼女の罰を無しにして下さい。」
今月も貧乏生活決定か…。
はあ…。
「今回の件は笑って済ませられるレベルの話じゃないのは百も承知です。
怪我人も出たし、俺なんて死にそうにもなった。
でも、だからこそ、これ以上辛い思いをする奴を増やしちゃいけないと、俺は思います。
なんだったら、ボーナス無しでも良いですから……お願いします。」

178 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg [sage] 投稿日:2007/08/20(月) 21:59:19 0
>「今説明を聞いても、恐らく混乱するだけじゃろうな。
> アルナワーズ、塔の中でその後何があったかを含めて後から説明してあげるとよい。
> 幻燈器が役にたつじゃろう。」
「わかりましたわ〜。」
学園長の言葉に恭しく頭を下げ、クドリャフカの入った本を受け取る。
クドリャフカを救出する為に、またひと騒動あるのだが、それを語るのはまた別の場所、別の機会にしよう。

今は学園長が今回の事件の真実を語っている。
が、アルナワーズはそれを真摯に聞いているというわけではない。
学園長が映像を見せている隙に、シヴァは戸棚にある高そうなブランデーやワインをおもむろに取り出していたのだ。
これに便乗しなければ女が廃ると言わんばかりに嬉々として加わっていたのだ。

学園長室の隅にある応接セットでボトルを開けながらチェスの続きを始めてしまっているのだ。
学園長の話に興味がないのか、興味がない振りして聞き耳を立てているのか。
はたまた全く別のことを考えているのか・・・。
その表情からは読みとることができなかった。

リリアーナとフリージアが狼狽し、ラルヴァはローブを目深に被りただの一言も発していない。
途中、キサラが退出し、ザックスが負傷者の件について顔を出す。
そして、エミュが飛んで行く。

そこでチェスに興じていたアルナワーズの表情がニタリと歪んだ。

その後も続く学園長の語り。
その内容は驚くべきものであった。
そしてそれに対するレイドの応え。
やり取り・・・
にも拘らず、アルナワーズがチェスをさす手を止め反応する事はなかった。

###########################################

「ねぇ、こうしているとキサラと始めてあった時の事を思い出すわねぇ。」
キサラの真上少し後方についていく水晶級状態のエミュに話しかけるのはミニアルナワーズ。
メラルによってエミュが放たれたのと時同じくしてミニアルナワーズも放たれていたのだった。

キサラと出会ってまだどれほども時間がたっていないのだが、色々ありすぎて随分と時間がたったようにも思える。
そんな感慨を込めてしみじみと語りかけるのであった。

179 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/08/20(月) 23:42:17 O
「お言葉ですが、学園長。それはつまり…そのアンジェリーナの血で償え…ということですか」
先程とはうって代わり、私は冷めた目付きで学園長を睨みつつそう告げる。
「………私にはそう聞こえたもので……ですが、いくら学園長の命令でも従うつもりはありません」
内心…かなりビクついてはいたが、私はそういうと踵を返し、ドアへ向かった。
「…………ですが、もし今言ったことが全て真実ならば、ロックさんの身が危ういのは必然です…失礼しました」
部屋を出るときにそう一言残し、私はロックさんを探し始めた。
早くしなければ…取り返しのつかないことになる。

180 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/21(火) 00:44:31 O
部屋から出たはいいものの、半ば無理矢理連れて来られ、まったくもって始めて来た学園の構造もわかるわけもなく、キサラはアテもなくただ廊下を歩いていた
幸い、お姉さま方に会うことも、今のところはなかった
そして、ふと水晶球とミニアルワナーズが自分をつけていることにも気付いた
(アルワナーズはともかく……メラルは……監視のつもりか?
………いずれにしろ、ここは気付いていないフリの方が後々楽か…)
何もなかったかのように、廊下を歩き続ける
すると、視界に入ったのは、先程共闘したうちの一人…
……名前は…確か、アルテリオン…だったっけ?
どうも何かあったらしく、表情がやけに真剣だ
「……騎士のお姉……じゃなくて、アルテリオンさん………でしたっけ?
……どうかしたんですか?」

181 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/08/21(火) 13:45:47 0
>176
アンジェリーナはマリアベルの娘だと(少なくとも本人はそう思うだけの理由があると)学園長は語った。
全く想像がつかなかった。
母親のことしか頭に無かったマリアベルに、母親以上の存在がいたとは到底思えない。
もし存在していたのなら、そもそもこんな結末は迎えなかったはずだ。
彼が人外に限らず誰かと結婚できる解消がアルとはは思えなかったし、
ロックがアンジェリーナを可愛がる(!)姿などリリアーナの想像力の限界を超えていた。
(愛されなかったからマリアベルに復讐したい・・・なーんて単純な話でも無さそうよね・・・)
学園長の様子を見る限り、アンジェリーナの件もロックのご両親と同じように深刻で複雑な事情があるようだった。

>「…はて、アンジェリーナは、どうやってロックとコミュニケーションをとったのじゃろうか?
リリアーナはロックの手紙を取り出した。あて先は全てアンジェリーナとなっていた。
「試験合格の翌日、ロックはフクロウを手に入れたと聞いています。
 私自身は直接接触が無いので、彼のフクロウがどんな姿までかまでは知りませんが」
口に出してみると思いのほか皮肉めいていたことに自分でも驚いた。
学園長にじっと見つめられ、リリアーナは居心地悪そうに視線を逸らした。

――― 手紙を読んだ印象では、ロックにとってアンジェリーナは大切な存在だったようだ。
アンジェリーナも事情があったのは分かるが、
マリアベルに復讐するために自分に近づいたと知ったら、ロックはどれほど傷つくだろう?
アンジェリーナもそういう面では不器用そうなので、変に話が拗れていないといいのだが。

>やはり今回の件は笑って済ませられるほど軽い問題ではない。
> 彼女には罰を受けてもらわねばなるまいな?」

>「お言葉ですが、学園長。それはつまり…そのアンジェリーナの血で償え…ということですか」
「ええぇぇええ?!そ・・・それはさすがに無いのでは・・・」
リリアーナは遠慮がちに意見を述べてみたが、アルテリオンの耳には届かなかったようだ。
>「………私にはそう聞こえたもので……ですが、いくら学園長の命令でも従うつもりはありません」 
「・・・・・・・・・・」
命令も何も・・・だめだ、熱血してしまって手がつけられない。
騎士の彼女と小娘の自分では、生き方考え方が根本的に違うのかもしれない。
だからといって彼女が好きなことに変わりは無いが。

>179 >174-175
アルテリオンはロックの身を案じて学園長室を出て行ってしまった。
閉まるドアを見ていたリリアーナは、ふとメラルと目があった。リリアーナはなぜかぎくっとしたようだ。
「わ、私はアンジェリーナさん達を探しになんか行かないからね!
 私はアルテリオンさんよりは少しだけ彼女のことを知っているもの。
 彼女はロックに危害を加えたりしないわ」
ロックは今“全てを知る”16歳の少年にかなり近づいたが、もうマリアベルではない。
そのことはアンジェリーナが一番良く知っているはずだ。
「ロックだってそうよ、例えどんなに腹を立てたとしても、女性に手を上げたりしないはずだもの!」
どことなく居心地悪そうなリリアーナは、傍らのフリージアに話を振った。
「ね、フリージアだってそう思うでしょ?」

>177
>「学園長、俺、スーツ代要らないっすわ。 
>だから、彼女の罰を無しにして下さい。」 
レイドの発言は実に男気にあふれていて、リリアーナは今まで以上にレイドが好きになった。
だが、リリアーナが発した言葉は意外なものだった。

182 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/08/21(火) 13:46:59 0
「私は、アンジェリーナさんにもちゃんと罰を与えるべきだと思います」
リリアーナはきっぱりと言い切ったあと、慌てて付け足した。
「あ、とりあえず『血で償う』のは無しの方向でお願いします。
 レイド先生のお給料も・・・私、先生の大切な指輪を壊しちゃったんです」
リリアーナは真っ二つに切れた指輪を申し訳無さそうに差し出した。
「とても高価なものだと聞いています。
 雪山で死にかけたとき、この指輪とラル君の命がけの協力が無ければ、私は生きて帰れませんでした」
リリアーナはラルヴァの部分も強調した。

「確かに学園を滅茶苦茶にしたのはマリアベルですが、きっかけが彼女なのですよね?
 私は全ての彼女のせいにする気などありません。
 ですが、いくら私たちが彼女を許しても、今の状態ではアンジェリーナ自身が自分を許せないでしょう。
 誰が知らなくても、彼女自身が自らの罪を自覚しているのですから。
 ―――― だったら、贖罪の機会を与えてあげるべきだと私は思います」

だが罰を与えるといっても、何をしてもらえばいいのだろう?
リリアーナはうんうん悩んでいたようだが、何か思いついたらしくぽんと手を叩いた。
「マリアベルの娘なら、忘却術だけでなく色々な魔法に通じているのでは?」
例えば古い魔法や、闇の魔術や、それに対する対抗魔法など。

183 名前: ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/21(火) 21:27:56 O
「おぉ、これこれアルテリオン、どこへ行く?」
学園長の制止もむなしく(と言っても、とても本気で止めようとしているようには見えないが)、
アルテリオンは学園長室から出ていってしまった。
「まったく、困ったせっかち者よのう。」
その言葉とは裏腹に、学園長は少し嬉しそうだ。
>「学園長、俺、スーツ代要らないっすわ。
>だから、彼女の罰を無しにして下さい。」
「スーツ代?いつからわしはお主にスーツ代を出す約束をした事になっとるんじゃ?」
>「今回の件は笑って済ませられるレベルの話じゃないのは百も承知です。
>怪我人も出たし、俺なんて死にそうにもなった。
>でも、だからこそ、これ以上辛い思いをする奴を増やしちゃいけないと、俺は思います。
>なんだったら、ボーナス無しでも良いですから……お願いします。」
「ほほぅ、レイド、わしが見てきた中でも今日のお主は一番いい顔をしておるぞ。カッコいいのう。」
おちょくってるようにしか聞こえないが、学園長は一応本気で言っている。
「さて、我らがレイド君にここまで言わしめるアンジェリーナ、
 わしはどうしてよいやらわからなくなってきたぞ?」
>「私は、アンジェリーナさんにもちゃんと罰を与えるべきだと思います」
学園長はリリアーナをじっと見つめて、彼女の言い分を静かに聞いてた。
>「マリアベルの娘なら、忘却術だけでなく色々な魔法に通じているのでは?」
「そういえば、薬草の扱いは上手じゃったな。」
学園長はそう言いながら遠くを見るような目をした。
頭に浮かぶのは、小さな子供達と一緒にムヨウギクの根を刻むアンジェリーナの姿だ。
「のう、リリアーナ。君の話しは、わしにはこんな風に聞こえるのじゃ。
 アンジェリーナを私達の先生としてこの学園に置いてください、との。
 …違ったか?年寄りは勘繰り深くなっていけんのう。」
学園長は朗らかに笑った。
「アンジェリーナを教師にするのはそうとう怖いぞい。
 きっと不真面目な生徒は容赦なく殴り倒しそうじゃからのう。ほっほっほっ。」
学園長はそうとう笑った後に意味深な事を言った。
「まぁ、もっとも彼女に殴られても平気な生徒がいれば別じゃが、
 はたしてそんな生徒がこの学園におるかどうか?
 まぁ、おらんじゃろうな。うむ、それはよい。」
学園長はその場にいるメンバーを優しい目で眺めた。
「実はのう、アンジェリーナの償いはもう始まっておるのじゃ。」
学園長はその意味を聞かれても答えなかった。
「内緒、内緒、内緒じゃあ!ほっほっほっ。
 わしとアンジェリーナだけの秘密じゃよ。」
学園長は心底楽しそうだ。
「さぁ、わしから話すことはもうこのへんでよかろう。
 行ってもよいぞ。まだまだこの年寄りと話しをしたいという奇特な者は別じゃがの。
 …ラルヴァ、ちょっと待ちなさい。」
学園長はラルヴァを呼び止めた。
「悩んでいるね?ラルヴァ。自分の生い立ち、宿命、本能に。
 君は道に迷っている。目に見える道ではなく、目に見えない道にじゃ、そうじゃろ?」
学園長はそう言いながら、優しくラルヴァの頭を撫でた。
「ラルヴァ、自分がどういう人間であるかを決めるのは、
 生い立ちでも、宿命でも、本能でもないとわしは思うぞ。
 何よりも大切なものは、君の中にもちゃんと入っておる。
 君自身がそれを見つけるのじゃ、そして手放さずに大切にしなさい。」


184 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/08/22(水) 04:32:55 O
学園長の前で大見得をきったはいいが、肝心なロックさんの居場所が全く掴めていない。
先程の仮説が正しければ…と保健室へ足を運んだが、負傷者の数が多く探すことは出来ない。
それに…先程の真相を知らないロックにあの事実を伝えるとしたら、この場は適正ではない。
そう判断し、私は二人きりで話が出来そうな場所をしらみ潰しに探すことにした。
もちろん、見つかる訳がない。
ロックは自室にいるのだから
焦りを覚える私に何者かが声をかけた。
声の主を確認した。
そこにいたのは、確かあの時の鉤爪の少年だった。
「いえ……その…先程の一件で少々殴りすぎたらしく、ロックさんがどこかで倒れているらしいんですよ」
苦笑しながら、私は嘘をついた。
本当は助けを請いたかったが、何せ少年の背後には、水晶と小うるさい小動物がいたため
下手にことを荒立てるかもしれない人物の前で、それは出来ない。
とはいえ、つき慣れない嘘をついている私は冷や汗が滝のように出てしまいいかにも怪しい雰囲気が漂ってしまう。

185 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/08/22(水) 05:38:52 P
リリアーナさんの言うとおり
ロックさんは女性に手をあげるような人間ではない
ああいうのをフェミニストと言うのだろうか?
「ええ…私もそう思いますわ ロックさ…もといロックはフェミニストの精神をお持ちですもの…」
あまりよく知らない単語を使ってみるフリージア

話の流れによるとどうやらアンジェリーナが罰として教師をやることになりそうである
本物のドSな彼女が教師…なんて恐ろしい

186 名前:メラル+エミュー ◆1LtyyBHC/M [sage] 投稿日:2007/08/22(水) 11:49:59 0
>「アンジェリーナは嘘をつかない女性じゃ。
  ゆえに、アンジェリーナは正真証明のマリアベルの娘…」
>「である、と本人は思っておる事は間違いない。
  しかし、ここで気をつけねばならぬ事が一つある。
  主観的な事実は、必ずしも客観的な事実と一致しないことじゃ。
  養子なのか、それとも…いや、やめておこう。」
(それにしても…間の使い方も計算しつくされてるわね…。
知っているけど話せないのか否かはわからないけど…。)
学園長が事件の周辺事情を話した上で、最後に皆に問いかけるように言った。
>「彼女には罰を受けてもらわねばなるまいな?」
レイド先生は学園町の説得に走り、アルテリオン先生はその場を出て行ってしまった。
リリアーナも、血で償う、には否定的なようだ。だが…アルワナーズは何も言わないようだ。

メラルは、皆の様子を見つつ考えていた。
(…そもそも、不自然なのよ。学園長はこの皆の反応を想定していたはず。
それに、学園長が血で償わせるつもりで言っているのならば、
今ここで言う事。"それ自体が不自然"。先に処罰を済ませてから
呼ぶ方法だっていくらでもある。それをしないって事は…決まりね。
そもそもそうでなければ本人にわざわざロックに説明させるなんて事、
するわけがない。皆の反応を見て決めるつもりだった…
というのもありえなくは無いけど…その場合でも
血で償うという結果にはならないし…ね。)
しかし、けして口には出さない。
結局、学園長の話が終わるまで沈黙を保ち、
最後に「失礼しました。」と頭を下げて部屋から出て行った。

「あの人が先生…もし本当にやって下さるのなら、
 私にとってはかなり助かりそうだけど…一部の生徒にとっては
 悲劇以外の何物でもなさそうね。後エミューも。」
しかし、何故かすぐにエミューの方に向かう気はないようで、女子寮の方に向かっていった。


==========================================================================================

>「ねぇ、こうしているとキサラと始めてあった時の事を思い出すわねぇ。」
「全くだナ。あんな緊迫した状況だってのにテメェときたら…ああだもんナ。
 あの時の事を忘れるなんて、それこそ忘却の術使われでもしないと無理だゾ。
 それに…テメェといると向こうから見世物がやってくるしヨ。」
小声で話しつつ、追尾がばれる可能性を度外視して幼氷竜の姿になって、アルテリオンを指し示した。
アルテリオン先生が性格上自分達を無視してくれるとは思えなかったのだろう。
実際はとっくにばれているのだが…。
「倒れてるらしいって事は、人から聞いた事のはずなのに…
 どこかでって言っている…つまり場所は聞いてないんだからヨ。
 そっちは何か知らねぇカ?」
そして、小声で続ける。もちろん、アルワナーズの本体が"アルテリオンが居た"
学園長室に残っていた…事情を知っているであろう事を見越して。

187 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/08/22(水) 13:26:41 0
>「のう、リリアーナ。君の話しは、わしにはこんな風に聞こえるのじゃ。 
> アンジェリーナを私達の先生としてこの学園に置いてください、との。 
> …違ったか?年寄りは勘繰り深くなっていけんのう。」 
>学園長は朗らかに笑った。 
リリアーナは悪戯を見られた子どものような顔をしていたが、やがて釣られてくすくす笑い始めた。
やはり学園長には、何もかもお見通のようだ。

>「実はのう、アンジェリーナの償いはもう始まっておるのじゃ。」 
>学園長はその意味を聞かれても答えなかった。 
>「内緒、内緒、内緒じゃあ!ほっほっほっ。 
> わしとアンジェリーナだけの秘密じゃよ。」 
リリアーナもそれ以上は追求しなかった。
学園長ならきっとアンジェリーナを悪いようにはしないだろう。
リリアーナはふと、学園長は最初からこうなることを見越していたような気がした。
(・・・まさか、ね)

学園長はやんわりとリリアーナ達に退出を促す。
何かとても大事なことを忘れている気がしたが、どうしても思い出せない。
「ま、いいか!」
あっさり思い出すことを諦めたリリアーナは、先を歩いていたレイドを呼び止めた。
「レイド先生、あの・・・お疲れのところ申し訳ありません」
しょんぼりしながら、恐る恐るといった感じで壊れた指輪を差し出す。
「あの・・・せっかく貸してくださったのに壊しちゃって・・・本当にすみませんでした」

「それから・・・あの・・・」
リリアーナは何度か逡巡したあと、やっと重い口を開いた。
「ライールの杖と天使の人形を、まだお持ちですか?
 あれは・・・ロックに返すべきなのでしょうか・・・」

188 名前:ラルヴァ ◆sy1IQNBWp6 [sage] 投稿日:2007/08/22(水) 14:19:45 0
どうやら状況は一件落着といった状態らしい。
アンジェリーナに対するペナルティは苦痛などを伴うものではなく
恐らく労働とかになるんじゃないだろうか。

>183
>「さぁ、わしから話すことはもうこのへんでよかろう。
> 行ってもよいぞ。まだまだこの年寄りと話しをしたいという奇特な者は別じゃがの。
> …ラルヴァ、ちょっと待ちなさい。」
呼び止められるまでもなく、ラルヴァはみんなが学園長室から立ち去るのを待っていた。
そう、自分にはまだ。誰にも言えなくとも、学園長にだけは言わなくてはならないことがある。

>「悩んでいるね?ラルヴァ。自分の生い立ち、宿命、本能に。
> 君は道に迷っている。目に見える道ではなく、目に見えない道にじゃ、そうじゃろ?」
>「ラルヴァ、自分がどういう人間であるかを決めるのは、
> 生い立ちでも、宿命でも、本能でもないとわしは思うぞ。
> 何よりも大切なものは、君の中にもちゃんと入っておる。
> 君自身がそれを見つけるのじゃ、そして手放さずに大切にしなさい。」
「―――だからこそ。」
そう、口を開く。
「だからこそ、僕は自分の意思で。《これまで》ではなく《これからの為に》
 失ったものの為ではなく、失いたくないものの為に僕は一つの決断を下さなくてはいけないんです。
 僕の中にある、僕の牙を見定めなくてはいけない。」

「今回のロックさんとマリアベルの騒動にかかわった時、まるで自分の例と似ているように感じました。
 だから、自分の手で・・・・・・みんなを失う事にならないように。もう一度大切な人たちを殺める事のないように。
 僕は、一度みんなの下を離れます。」
学園長室の扉を開けると、ふわ、と風が流れ込む。
僕が言いたいのはそれぐらいです。とだけ残してラルヴァは立ち去る。
学園長の机の上に、風に乗って流れてきた封筒。そこには【退 学 届】の三文字が書かれていた。

189 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/22(水) 16:30:35 O
>「いえ……その…先程の一件で少々殴りすぎたらしく、ロックさんがどこかで倒れているらしいんですよ」
「ロック………ああ、あの青春劇場のことですか?」
なんのためらいもなくそう言い切る辺りは、キサラも少々天然混じりらしい
それはいいとして、そういう相手の顔には、冷や汗が文字通り大量に吹き出しており、嘘をついているのは明白である
(………嘘つくの、苦手なんですね…)
……と、言おうと思ったが、自分の後ろには、エミューはともかく、ミニアルワナーズがいることを思い出した
アルワナーズさんに知られたら、また何かのネタに使われてしまうのだろう
「………そうなんですか…
……じゃあ、見つけたらまたお知らせしますね?」
そう言って、キサラはその場を後にする
この場はこう言うのが一番良いのだろう………多分
………それにしても、騎士のお姉さんが出てきたってことは、話はもう終わったのだろうか?
だとしたら、エミューをつけさせている以上、メラルはこっちにくるだろう
こっちから探しに行く必要はなさそうだ
……それから、この指輪…
…リリアーナに借りてから、そのままである
返すタイミングがなかなかつかめなかったが…一見落着した今なら、そのうち渡す機会もあるだろう
次に会ったときにでも渡そう

190 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/22(水) 20:18:40 O
ロックは男子寮69号室のドアをバタンと閉めた。
とりあえず、ロックは先程そうだったように激怒はしていないし、
それどころか、少し落ち着いていた。
別にアンジェリーナにそういう類の魔法をかけられたわけではない。
ロックがアンジェリーナを許すに足りる話しを彼女から聞いたからだ。
ロックは誰もいない男子寮の廊下を見渡した。
そう、誰もいない。きっと皆、食堂にいるのだろう。
皆、今朝の騒ぎのせいで朝飯はおろか、昼飯も食べれなかったはずだ。
もう、太陽が西へ傾きかけているというのに。
ロックもまた、お腹を空かせた生徒の一人だ。
というわけで、ロックは食堂に移動を開始した。

191 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 [sage] 投稿日:2007/08/22(水) 21:19:32 O
>179あ〜あ…。
ついにアルまで出て行っちまった。
学園長は全く止める気無いし…。
>181->183つーかこの爺さん……最初から全部読んでやがったな…。
リリアーナがアンジェリーナを教員にしてくれと言うのも、俺がスーツ代又は給料等でアンジェリーナの罰を取り消しにしろと言うのも…。
結局アンジェリーナの償いとは何なのか、最後まで教えてくれなかった。
しかしまあ、血の償いじゃない事は確かだ。
学園長は最初から血の償いなどさせる気は無かったんだろうね、多分。
クソッ…スーツ代損した。
…ホントにこの人は良い性格してるよ。
殺しても死なないタイプ。

学園長の話が一段落つき、生徒達は退室し始めた。
そういや、退室する前に学園長に言う事があったな。
「学園長、今回の件に関わった俺の可愛〜い生徒達のテストを免除してやって下さい。
あ、メラルは普通にテスト受けるそうなんで。
んじゃ、ま、ヨロシク。」
何か言われる前に俺もさっさとずらかりますか。
>187廊下を歩いているとリリアーナがしょんぼりした様子で壊れた指輪を差し出してきた。
>「レイド先生、あの・・・お疲れのところ申し訳ありません」
>「あの・・・せっかく貸してくださったのに壊しちゃって・・・本当にすみませんでした」
「まあ、壊しちゃった物はしょうがないって。
怒ったところで壊れた物が直る訳でもないしな。
形あるものは遅かれ早かれ必ず壊れるのさ。
むしろこれでお前の身を守れたなら、安いもんだよ。」
>「それから・・・あの・・・」
>「ライールの杖と天使の人形を、まだお持ちですか?
 あれは・・・ロックに返すべきなのでしょうか・・・」
そういえばまだアナザーゲートに入ってたな…。
「ちょい待ち。
……アナザーゲート。
……………あった。
ほれ。これはお前がロックに渡してやれ。
きっとその方が良い。
んじゃ、俺は色々と用事があるんで、バイバイ。」
リリアーナに2つの品を渡し、俺は自室へと向かった。

192 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg [sage] 投稿日:2007/08/22(水) 21:55:38 0
 【女子寮】

「あら、メラル。はぁ〜い。」
女子寮に戻ったメラルに声をかけたのはアルナワーズだった。
しかも女子寮から出てきたのだ。
手にはクドリャフカの入っている本が抱えられている。

「そういえば一度ゆっくりお話しするって事になっていたわねえ。でも・・・」
共に学園長室におり、メラルがでてきた時にもアルナワーズはチェスに興じていた。
にも拘らず既に寮から出てきた事について疑問に思うのは当然だろう。
が、その事については全く触れなかった。

女子寮では多くの女生徒があわただしく動き回っており、まるで大掃除か模様替えでもしているかのようだ。
「ごめんなさいね。色々と忙しくって。
ほら、皆もパーティーの準備に大忙しよ。夜には間に合うかしらぁ〜。」
ホッホッホッホ、と楽しげな笑いと共に小さく手を振り出て行ってしまった。

「サティヤム エーヴァ ジャカテー 苦・集・滅・道 我、四諦を越えん 気遊別霊・・・汝が名はドーパー・・・!」
歩きながら歌のようなアルナワーズの本来の呪文が流れる・・・


 【学園長室】

学園長の話が終わり、皆が部屋から出て行ってもアルナワーズは何の反応も示さなかった。
ただ同じようにチェスをさす手を止めることなく、シヴァと向かい合っている。
「・・・やれやれ、もういいだろう。」
シヴァが肩に手を当てならがふー、っと息をつくと、その吐息にアルナワーズの姿が歪む。
そしてまるで花びらが散るようにその姿は塵と消えてしまった。

アルナワーズは雪山の小屋でチェスに興じながら、学園長の話と同じことをシヴァから聞いていたのだ。
それ故、シヴァに協力してもらい、途中から幻影と入れ替わり寮に戻っていたのだった。
勿論悪巧みをするために。
「・・・若いっていいねえ。」
膝に乗るワイバーンの幼生を撫でながらしみじみと呟くシヴァであった。


 【キサラの背後】

宙を漂いながら幼氷竜形態となったエミュと談笑するのはミニアルナワーズ。
見つからないように小声で、などと言う遠慮などあったものではない。
「さあ、それがさっぱり。
倒れているなら誰かが運ぶだろうし、保健室にいなければ自分の部屋じゃないかしらぁ?
それとも・・・恋人達が使う秘密スポットをいくつか知らないこともないけどぉ。」

使い魔であるエミュと違い、思念体であるミニアルナワーズは独立した意思を持つが本体のアルナワーズと同一でもある。
本体が知ることは当然ミニアルナワーズも知ることとなるが、本体が学園長室からさっさと抜け出しているのでは仕方がない。
とはいえ、元々まじめに探す気もないのか、大して悩む素振りすら見せずにさらりと応えた。

「それより私は私でキサラに用事があったのだけどぉ、全然気付かないしぃ〜。」
これだけ普通の声で話していれば、当然気付かれているはずだ。
そんなこと判りきっていながら、気付かない振りをしているキサラに乗っかっているのだった。
「そうそう、エミュのお友達のメラルとも私っていいお友達になれたのよ〜。
気が合いそうな予感はしていたのよねえ。
だ・か・ら・私の用事はメラルとキサラの話が終わってからでいいわ〜。」
女性と同士が何気ない会話をするような雰囲気でエミュと楽しそうに話すミニアルナワーズであった。




193 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 [sage] 投稿日:2007/08/22(水) 22:46:58 0
屋根に大穴を開けて潜入した部屋にはさまざまな物があふれた場所だった。
幸いなことにひとが一人もいなく、隠れるにはうってつけだ。
近くのタルを頭からかぶればあら不思議。
身を隠せる上にちょっとした防具にもなる。
吸血鬼の移動式タルの出来上がり。
帽子が潰れてしまって型が崩れてしまうのなど気にしない。
前が見えないから移動できても、まともに歩くことは不可能なところがただ一つそして最大の欠点といえる。


あたりをぶつかりながら強引に突き進んでいった。
目指すは最初にこの学園に召喚されたときに隠れていた図書室。
あれほどの知識の海であれば学園の縛りを解く術について記述されている本があるに違いないと踏んだのである。
ただ一人光無き暗黒の中(ヴァン視点)を一歩、また一歩とぴょこぴょこと足の生えたタルが歩いている。
人に見られて、人に不審に思われ、人にぶつかり「すいません」と一礼して何事もなかったかのように歩きだす。
あくまで図書室に行くまでの道程を吸血鬼が入った怪しいタルではなく、歩くちょっぴりおちゃめな謎のタルを貫きとおすつもりである。


行けども行けども目的地にはまだ着かない。
それも当たり前、なにせ図書室への道など知らないのだから…。
人に道を聞くこともできず、学園の地図もない当然ありはしない。
この絶望的な逆境は奇跡が起こらないければ決して着くことはない。
さすがに焦りが見え初めて速度を上げた途端に足がもつれて転んでしまった。
そのままバウンドを繰り返してタルは転がっていく。
「止めてくれぇぇぇぇ!!」
もはや手のつけられないほどタルは暴走してしまっていた。
タルの中で目を回しながら絶叫する吸血鬼の進路の先には自室に向かっていたレイドがいた。

194 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/08/23(木) 11:01:37 0
>191
レイドは壊れた指輪を見ても大人の態度を崩さなかった。
それどころか、自分の命が助かったのなら安いものだとまでいってくれた。
リリアーナは感動し言葉も出なかった。
今は無理でも、いつかきっとこの恩に報いようと固く誓った。

リリアーナが目を潤ませていると、レイドが杖と人形をアナザーゲートで取り出してくれた。
>ほれ。これはお前がロックに渡してやれ。 
>きっとその方が良い。 
レイドは彼女にマリアベルの遺品を手渡し、そのまますたすた立ち去ってしまう。
「渡すって言ったって・・・。フリージア、どんな顔して渡せば良いと思う?」
これはロックのものだが、マリアベルに深いゆかりの品々でもあるのだ。
リリアーナは途方に暮れた。

道すがらクレティアンに会えたのは幸いだった。
「やあ少女よ、今回の活躍はなかなかのものだったな。
 それにしても少女よ、その服は実に似合っていないな。いったい何が足りんのだろうか?」
クレティアンはじろじろ無遠慮にリリアーナを見つめたあと、ああと納得した。
「そうか分かったぞ! 少女には胸と色気が足りんの・・・ぐはっ!な なにをするきさまrー!! 」

リリアーナはクレティアンの 好 意 で、彼愛用のローブを借りることになった。

クレティアンのローブには教会の聖印が刺繍されており、人目で彼のものだと分かる。
そして彼が、少しだけ変わっているのは皆の知るところである。
そんな『クレティアン』がローブを目深に被っていても、誰も注意を払わないのは幸いだった。

リリアーナはまず保健室をたずねた。
「え?まだ来てないんですか?」
片目を失う大怪我をしたというのに、、ロックはまだ一度も保健室に顔を出していないという。
(どこで何やってるのよ、ちゃんと診て貰わないとダメなのに!!)
回復魔法は完璧にかけたつもりだし、アンジェリーナもついているはず。
アルテリオンも探しに行ってくれた。
だが心配なのに変わりは無い。
レオ達と無事再会できた挨拶もそこそこに、リリアーナは慌しく保健室を飛び出していった。

195 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/08/23(木) 23:39:27 O
「ア………アハハァ……えと…見つけたら知らせなくていいので…見張っててください」
水晶から変体した幼竜に矛盾点を突かれて、焦る私を哀れんだか、それとも、騙されたかは定かではないが
とりあえず、事情を話さずにすんでよかった。
「では…私はロックさんの部屋を訪ねますから…これで」
そう言い残して、私はその場から立ち去り、ロックさんの部屋へ急いだ。

だが、それは階段を昇ろうとした瞬間
その焦りは無駄になった。
丁度上の階から降りてきたロックさんと鉢合わせしたからだ。
「…………」
あまりにも突然すぎて一瞬だけ、真っ白になったが、直ぐにロックさんを捕まえ抱き締め安否を確かめる。
目立った怪我もないし…少しばかり早いが脈も異常はない。
照れる素振りも見せているし、大丈夫だ。
確認が出来たところで、ロックさんを解放した。
「………ハァ…よかったぁ」
緊張の糸が切れたらしく、私は安堵の声をあげて腰が抜けたようにその場に座りこんだ。
しかし、これで安心してはいけない。
「…アンジェリーナさんには…何かされませんでしたか?」


196 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 [sage] 投稿日:2007/08/24(金) 12:03:15 O
自室に向かう俺の目の前に何故だか分からんが高速のタルが向かって来る。
>193「止めてくれぇぇぇぇ!!」
この声はどっかで聞いた事があるぞ…。
「そ〜らよっ!!」
全力で樽に蹴りを放つ。
砕け散った樽の中から出てきたのはヘボ吸血鬼だった。
「………何でお前が居るんだよ。
あ〜、聞くの面倒だから説明しなくて良い。
俺は今忙しいんだ。」
実際、そんなに忙しい訳じゃないがヘボ吸血鬼に付き合ってる暇は無い。
「お前な、あんまり学園内をウロチョロすんなよ?
吸血鬼だってバレたら興味を持つ生徒が居るからな。
ま、人体実験されたいってんなら話は別だが…。
んじゃ俺は部屋に戻る。
じゃあな。」
ヘボ吸血鬼に別れを告げ、再び自室へと向かう。

―――数分後
俺は部屋に入るなり速効でスーツを脱ぎ捨て、シャワーを浴びた。
(あ〜あ……スーツどうすっかな…。
エース先生と賭けチェスでもして儲けるか…。)

風呂から上がり、かなり長くなった自分の髪を指でつまむ。
(そろそろ切りますか…
サングラスでも掛ければ問題無いし…)
という事で久しぶりに髪を切る事にした。
勿論、自力で。
―――10分後
う〜ん…大分短くなったな。
眉毛が少し隠れる位の短さにしたのは何年ぶりだろう。
これじゃサングラスなかったら完全に目を見られるな。
まあ、サングラスの代えならいくらでもあるし、安心、安心。
とりあえずシャワー浴びたし、髪切ったし、寝よう。
結構マジで疲れた。
俺はベッドに仰向けに倒れ眠りについた。

197 名前: ◆T1En5N0PeU [sage] 投稿日:2007/08/24(金) 18:02:44 0
名前・ボギー・デラクゥード
性別・男
年齢・86歳
髪型・ツルッパゲ
瞳色・黒
容姿・モジャモジャの白髭が特徴的な小柄な爺さん
    お粗末な枝の杖を持ち、ボロボロのステテコパンツを履いて上半身は裸
備考・数十年前に漂流し、奇跡的にフィジル島に流れ着いたという自称・大魔法使い(全て本人談)
    魔法は一応使えるが大したことは無く、学園の新入生にも遥かに劣る腕前
    自作の盗撮魔法なるものを使い、女生徒を盗み撮りするエロジジイ
    課外授業で出てきた女子生徒を盗み撮りするのが日課だが、時折学園の敷地内にも侵入する
    周辺の森に、魔物除けの魔法結界を張って野暮らしをしている
得意技・盗撮魔法(爺さん開発のオリジナル魔法、女生徒の盗み撮りに使う)
      結界魔法(狭い範囲しか張れないが、上級クラスの魔物をも寄せ付けないほどの出力を誇る)
      各種基礎攻撃魔法(護身用らしいが、ほとんどイタズラ程度にしか使えない)
好きな食べ物・森の幸
好きな偉人・ワシ以外に居るかよ!
好きな生物・若い人間の女
嫌いな食べ物・魔物の肉(食ったことはないが、きっとあれは食えたもんじゃないぞい!)
嫌いな金属・錬金術で練成された金(言うな、聞くな、尋ねるな、昔を思い出すわい!)
今一番欲しい生物の毛・女の子の髪の毛
保険に入りますか?・んなものに入らんでもワシャ元気で居るわい!

198 名前:メラル+エミュー ◆1LtyyBHC/M [sage] 投稿日:2007/08/24(金) 19:41:05 0

>「あら、メラル。はぁ〜い。」
「…こんにちわ、アル。」
(…何かの術が関係してるのは、間違いなさそうだけど…
聞いて答えるとも思えないわね。体力を大きく消耗してる様子はないから、
転移…は流石にないと思うけど。)
女子寮に到着した時、アルが女子寮から出て来るのが見えた。
心の内ではかなり驚いているが、それを表情には出さず話を聞いていた。

>「そういえば一度ゆっくりお話しするって事になっていたわねえ。でも・・・」
>「ごめんなさいね。色々と忙しくって。
  ほら、皆もパーティーの準備に大忙しよ。夜には間に合うかしらぁ〜。」
「話は後ででも出来るわ。…私はまだ色々用事があるけど…頑張ってね。」
(パーティー、少し気をつけたほうがいいかもしれないわね。)
そう言うと、メラルは女子寮に戻っていった。

============================================================================
>「さあ、それがさっぱり。
  倒れているなら誰かが運ぶだろうし、保健室にいなければ自分の部屋じゃないかしらぁ?
  それとも・・・恋人達が使う秘密スポットをいくつか知らないこともないけどぉ。」
「ホントいい性格してやがるゼ。テメェはヨ。」
くくくっ、と笑って立ち去るアルテリオンに視線をやった。そしてキサラについていく。

>「それより私は私でキサラに用事があったのだけどぉ、全然気付かないしぃ〜。」
>「そうそう、エミュのお友達のメラルとも私っていいお友達になれたのよ〜。
  気が合いそうな予感はしていたのよねえ。
  だ・か・ら・私の用事はメラルとキサラの話が終わってからでいいわ〜。」
「そいつはありがてぇナ。暇な時にテメェの所に顔を出しやすくなるしヨ。」
(…お友達、か…まさかな。)
一抹の不安を抱えつつも、エミューは暫くミニアルとの会話を楽しんだ。
もはや小声でなどということはなく、やかましくてしょうがないだろう。

=============================================================================

暫くして、キサラの向かいからメラルが歩いてくる。そして、少しの間
キサラの少し後方をじっと見てから溜息をつき、言った。
「……一体何がどうなってこうなったのかしら?」
メラルの視線の方を見ると…延々としゃべくっている二人(?)の姿があった。

199 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/24(金) 20:11:38 O
ロックは何と言ってよいやらわからず、顔を真っ赤にしたまま口をパクパクさせていた。
「……何で?」
それが、やっと出てきた言葉だった。
>「…アンジェリーナさんには…何かされませんでしたか?」
「いいえ、何も。」
本当は、殴られたり、拉致されたり、上に乗られたり、足に座られたりしているが、
そんな事を言っても仕方がないと思い、ロックはアルテリオンに言わなかった。
そもそも、実はロックも彼女が今回の事件の原因であると聞いて激怒した拍子に、
アンジェリーナに非道い事をしたのだ。
それこそ、ロックのイメージが壊れるくらい非道い事だ。
もちろん、ロックはこの事もアルテリオンに話さなかった。
「アルテリオンさん、お腹空きませんか?
 俺、これから食堂に行くところなんです。一緒にどうですか?」
ロックはそう言ってアルテリオンの手を持ち、引き起こした。
「…よく出来てる。」
ロックがそう呟いたのは、アルテリオンがまた人形に入っていると思ったからだ。
以前、アルテリオンがまだ霊体だった時、
彼女を勝手に人形に入れ、不埒な悪戯をする生徒がいる事は、ロックの知るところだった。


食堂までの道すがら、ロックはアンジェリーナの事を話していた。
「アンジェリーナは魔法薬学の非常勤をするそうです。でも、俺達の学年ではありません。
 本人の強い希望と、学園長の一存で幼年部の担当になりました。彼女、子供が大好きなんです。
 …え?彼女は今どうしているかですか?
 さぁ…俺が部屋を出た時はベットで寝てましたが、用が済んだのだから、勝手に出ていくでしょう。」
ロックは話しながらも、周りに探している人がいないか目を光らせていた。
「…はぁ。」
とうとう溜め息が出た。
「俺、今フリージアにどうしても会いたいんですが。なかなか、会えないもんですね。」
ロックは今度はふと考え事を始め、独り言を呟いた。
「リリアーナとカドゥケウスはどうなるんだろうか?」
考えてみれば、女性を一人エスコート(?)しているのに、
口を開けば別の女性の事ばかり言うのだから、ロックもなかなかデリカシーの無い男である。


200 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/08/24(金) 20:17:08 0
保健室を出たリリアーナは、中庭を走っていた。この先には男子寮がある。
リリアーナは少し離れた場所で足を止めた。
女子寮と違ってトラップなどないが、誰かに見られたらいろいろまずいことになる。
(誰か知り合いが通りかからないかな〜)
リリアーナはしばらく待ってみたが、誰も中から出てこない。
それどころか人の気配も無さそうだ。皆どこに行ったのだろう?

リリアーナが困っていると、一人の男子生徒が通りかかった。
「あ、良いところに!!」
相手が不思議そうな顔をしたので、リリアーナは被っていたフードを外した。
「私よ私。ふふ、びっくりした?ねえ、今から寮に入る? だったら頼みたいことがあるの」
リリアーナは相手が断る隙も与えないまま腕をとると、すたすた寮の方へと歩き始めた。
相手に断られる可能性は微塵も考えていないようだ。
「実はね、ウィル君の様子を見てきて欲しいの。
 大怪我したのにまだ保健室に行ってないらしいから・・・。
 もし部屋にいたり中で会えたら、悪いけどちゃんと診察を受けるよう伝えてくれない?」

「・・・あれ?何で寮の入り口扉が開けっぱなしなの?」
あたりに人影が無いのをいいことに、リリアーナはそっと寮の中を覗き込んだ。
そして目撃してしまった。
アルテリオンとロックが堅く抱き合っている場面を。

リリアーナはフードを目深に被り直した。
「気が向いた時でいいから、ウィル君に「ちゃんと保健室で診てもらえ」って伝えてくれる?」
リリアーナは相手の返事も聞かず、その場から立ち去った。

今日はもうくたくたで、生きて学園に戻ったらすぐベッドに飛び込むつもりだった。
なのになぜ私はこんな所を歩いているのだろう。
何だか自分がとんでもなく間抜けに思えてきた。
予定通りさっさと寮の部屋に戻って寝てしまおう。
どうせパーティの前には、誰かが起こしに来てくれるのだろうから。

201 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/24(金) 23:45:24 O
>>192>>198
頭上ではミニアルワナーズとエミューが、もはや小声でも何でもなく、普通に会話している
(……うるさいなぁ……)
さすがアルワナーズ…といったところか
もう最初の思惑とかは全部忘れても、ここまで来ると個人的にも無視したくなるくらいの遠慮のなさだ
>「それより私は私でキサラに用事があったのだけどぉ、全然気付かないしぃ〜。」
とか言いながら、ミニアルワナーズが頭の上に乗ってくる
ここまでされるとさすがに無視できない
「……気付いた方が…良かったんですか?…やっぱり
……とりあえず、他人の頭上で騒ぐのはやめてください
……それからそっちの……エミュー…でしたっけ」
何だかんだで、やっぱりまたアルワナーズのペースに知らず知らずにのせられるキサラだった
-----------------------------------------
>>198
そうこうしてるうち、向かいからメラルが歩いて来る
(……やっぱり…来ますよね
……あれだけ真意を隠せば、この人の性格なら気になるのは当然…かな)
>「……一体何がどうなってこうなったのかしら?」
メラルは現れるなり、軽く溜め息をついて言った
「……えっと……それって……僕に?
………それとも……こっちに?」
キサラは指だけ後ろに向け、アルワナーズ達を指した

202 名前: ◆T1En5N0PeU [sage] 投稿日:2007/08/24(金) 23:53:46 0
学園の魔法障壁を結界魔法で中和し、女子寮の敷地内に忍び込もうとする影一つ
木の枝をちょっと削っただけのお粗末な杖を持ち、ボロボロのステテコパンツを履いた猿のように小柄な老人
というか猿そのもの

「最近お嬢ちゃんたちが課外授業に出て来んから暇で仕様がないわい。
仕方ないのう、久々に侵入してみるか!」

男の名はボギー・デラクゥード、86歳エロジジイ
いつの頃からかこの島に住み着き、学園の女生徒の写真アレコレを盗撮し続けて幾年月
自分の趣味のためには努力を惜しまぬこの老人は、盗撮魔法なる仕様もないものを編み出していた
肉眼で捉えた映像を紙に現像するなど、様々なバリエーションを持つ一種の立派な魔法にまでなっている
しかもその現像精度は非常に高く、文明社会の「カメラ」にも劣らぬ鮮明さであった

「秘密の花園…、女子寮じゃ!
ここに忍び込むことができれば、ワシのコレクションは無尽蔵に増えおるわい!
むふふふふ、早速侵入じゃ。
どうれ、この辺りの罠などチョチョイノチョイで…。
ってあれ…、ひ、ひぎゃあああああああっ!?」

勇んで塀を飛び越え、女子寮の敷地に降り立った瞬間であった
突如雷撃魔法のトラップが発動し、爺さんは黒焦げに感電してしまった

「そ、そんなバカな…!
このトラップの位置は確か今はここのはずじゃ…!
トラップの配置位置もその位置の自動変更の規則性も全て把握しておるはずなのにいいぃぃぃぃっ!
…はっ、ま、まさか、全部変更しおったな!
やりおるわ…、ワシが大人しくしておったここ数年の間に、トラップ全ての変更パターンを変えおったな!」

そして、爺さんは動けなくなった

203 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 [sage] 投稿日:2007/08/25(土) 15:19:25 0
>196
レイドの蹴りによってタルはそりゃもう粉々ってぐらいにバラバラになりました。
目を回してぐったりとしている吸血鬼が現れた。

>「お前な、あんまり学園内をウロチョロすんなよ?
>吸血鬼だってバレたら興味を持つ生徒が居るからな。
>ま、人体実験されたいってんなら話は別だが…。
>んじゃ俺は部屋に戻る。
>じゃあな。」
「おう、いいところに。
 図書……て待て、話は済んでおらん!!」
こちらの静止も聞かずに行ってしまった。
帰りたくても帰れず、その術を知るためにはまずは図書室を探すしかない。
そのために彷徨っているわけで好きでウロチョロしてるわけじゃない。
レイドが去っていった方向を睨みながら口を尖らせた。
「しかしあの人間もおかしな奴だ。
 吸血鬼がいるってのにひとつ忠告して野放しにしておくとは…。
 平和ボケしてるのか?」
ただ単に臆病すぎて害はないとなめられてるだけかと…。


タルもなくなったのでは潜入捜査もままならぬ。
牙と翼がある以外は人間と変わらぬのだから、むしろ堂々としていたほうが誰にも気付かれずに行けるのではなかろうか?
何食わぬ顔でその後も徘徊していたわけだが、一人も気がついている様子はない。
しまいにはそこらにいる一人の生徒に図書室の場所を聞き出しても、まるで疑われることはなかった。
ヴァンはおかしな『人間たち』という認識から、ココはおかしな『学園』なのだなと改めた。

そんなこんなで図書室についたわけだが、まさか地下にあるとは思いもしなかった。
驚きを隠せない吸血鬼、それもそのはずその場所は『室』というにはあまりのも大きな場所だったからだ。
広大なそれは『図書館』というべきだろう。
どうやら最初に召喚されて隠れていた場所はひとつの資料室だったようだ。
薄暗い場所で普通の人間ならば明かりを持ってくるなりしなければならないのだが、吸血鬼は夜目がきくのでその場で読みふける。
さて、いつになったらこの知識の宇宙から目当てのものを見つけ出して縛りを解くことができるのやら…。

204 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/08/25(土) 17:29:39 P
>194
>「渡すって言ったって・・・。フリージア、どんな顔して渡せば良いと思う?」
「私に言われましても・・・」
困った顔をするフリージア
正直アドバイスすべき言葉が見つからなかった
しばらく経ってリリアーナと分かれたフリージア
目指すは寮の自分の部屋である
「・・・ほんとに元通りになってますわ」
改めて信じられないと言った表情でつぶやく
それもそのはずフリージアの部屋はいろいろあって壊滅状態であったのだが
それを微塵も感じさせないぐらい元に戻っている
まるであの戦いが無かったかのようだ
とりあえず氷の棺を作り出すフリージア
「今日は本当に忙しい日でしたわ」
やれやれとギズモごと棺に入ろうとした・・・が
「ツメタイ!ムリ!ムリ!!」
どうやらギズモはこのベットをお気に召さないようだ
「・・・・まだ時間もあるしギズモちゃんの寝る道具を買いに行きましょ」
フリージアはギズモの寝具を買いに再び寮の外に出て行った

205 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/08/26(日) 15:05:36 0
リリアーナは歩きながら、ロックに渡すものがあったのを思い出していた。
でも今のこのこ出て行って、馬に蹴られるのも邪険にあしらわれるのも業腹だった

本当はカドゥケウスについても学園長と相談しなければならないのかもしれない。
薮蛇になりそうだったので、あえて自分から話を切り出さなかったのだが。
(話さないって事は学園長にとっては取るに足らないって事よね〜。
 別に確認するのが今日でなくたっていいじゃない、私だって疲れてるんだし〜)
リリアーナは都合よく曲解し、自分の処遇を確認することを先延ばしにしていた。

>202
さて、あまり知られていないが、女子寮への近道は中庭の木立を突っ切ることだ。
うっそうとした木々を突っ切れば、通常の半分くらいの時間で寮に戻ることができる。

不機嫌な顔でずかずか歩いていたリリアーナは、何か柔らかいものに躓いて転んだ。
カシャ、と変な音がした気がした。
「痛〜い!!何でこんなところに荷物が転がって・・・・・・・ん?」
リリアーナは何かやわらかいものの上に座り込んでいた。
今度は足元でカシャっと変な音がした。
リリアーナは恐る恐る自分の足元にいるモノに視線を落とした。
真っ黒な何かには、目がついていた。リリアーナは戦慄した。
・・・・・・この得体の知れない生き物はなに?
こんな生物は、獣人とも魔物とも違う。動物でもなさそうだ。幻の生物の本にも載っていなかった気がする。
(も・・・もしかして吸血鬼みたいに、ギルハートが召喚した悪魔の生き残り?!)
恐怖は時に雷に撃たれた小柄な老人をも怪物にみせてしまう。
リリアーナはじりじりと後退し始めた。
少なくともこのときの彼女には、老人が得体の知れないものに見えたのだった。

そして―――― 足元の生き物と目が合ったとたん、リリアーナの中で何かが切れた。
「キャ――――――――ッ!!!お化け――――――――!!!」

リリアーナは悲鳴をあげながら滅茶苦茶に走り出した。
あまりに慌てていたので、荷物を落としたり誰かにぶつかったりしたのは当然の結果だった。
だが、ぶつかった相手が知り合いだったのは幸運だったといえよう。

「ごめんなさ・・・あ!ユユさんじゃない! ちょうど良かった、お化けが出たのよお化けが!」
リリアーナは慌てふためいて事情を説明しようとした。だが説明は全く要領を得ないものだった。
そうこうしているうちに、一人焦りまくっていたリリアーナはまた悲鳴をあげた。
「私のポーチが無い!!きっと怪物にびっくりして落としちゃったんだわ!!どどどどうしよう!!」
拾いに行きたいが、一人でなんて怖くていけない。

困り果てたリリアーナは、ユユをじいっと見あげたかと思うと腕を掴んだ。
「ユユさーん、助けると思って一緒に来て来て来て!!
  ポーチにはお財布も入ってるから、無事見つかったら何か奢るから!!ねっ?だからお願いっ!!」
リリアーナは半べそになりながら、ユユを引きずるようにして今きた道を戻り始めた。

そして、怪物と遭遇した木立のあたりで彼女が見たものは――――。

206 名前:エロジジイ ◆T1En5N0PeU [sage] 投稿日:2007/08/26(日) 16:06:03 0
>205
少女が走り去ってしばらく後、その黒い生き物が立ち上がる
黒い生き物とは、先ほどの電撃魔法の罠に掛かって黒焦げになった爺さんであった
爺さんは顔に付いた黒ズミを腕で吹き払うと、ニッコリといやらしい笑みを浮かべた
手には、少女の落としたポーチが握られていた

「ひひひひ…、眼福じゃ眼福じゃ!
あのお嬢ちゃんのご開帳をバッチリとこの目に捉えることができたわい!
綺麗な柄の可愛らしい下着じゃったわい、ひひひひ…!
しかも戦利品まで落としていきおって、気が利くのう。
ケガの功名、不幸中の幸いとはこのことよ、ここで待ち伏せしておった甲斐があったわ!」

勝ち誇った爺さんは、喜びの余り少女のポーチに頬ずりしている
久々に下着の盗撮に成功したのだ、その喜びは半端ではないだろう
しかし、爺さんにはまだ仕事が残っていた

「パンチーを撮ったのは久しぶりじゃからのう、今すぐ現像しとうてたまらんわい!
お気に入りのこのネガは、ワシが10年前にここの卒業生から頂戴したバスタオルに現像しようかの。」

そう言うと、爺さんはステテコパンツの中から薄汚れたピンク色のバスタオルを取り出した
爺さんの体よりも遥かに幅の広い代物である

「実はここだけの話、このステテコパンツはワシの荷物袋でもあるのじゃ。
魔法の袋を縫い直して作ったものでな、ワシが普段の生活に使う日用品は全てこの中にある。
じゃが、ワシが命よりも大事にしておるコレクションはここには無いぞい!
どこにあるかなど教えてやらんわい!」

と、隣にある木に話しかけるように独り言を口走っている
ともかくも、バスタオルを取り出したじいさんはそれを目の前で広げ、呪文を唱え出した
するとどうしたことか、バスタオルの表面に爺さんが盗撮魔法で捉えた少女の下着写真が写し出された

「おお、スウィートォー!
何と素晴らしく美しく神々しく初々しい光景なんじゃ!
これこそワシの求めておった最高の芸術じゃ、完璧なるパンチーじゃ!
ほうれほうれ、今日からワシが可愛がってやるからのう!
ひひひひひひ!」

怪物と遭遇した木立の辺りで少女が見たものは、バスタオルに頬ずりしている黒焦げの爺さんだった
しかも、そのバスタオルはピンク色で表面にははっきりとあるモノが鮮明に写し出されていた
少女自身が穿いている下着である、しかも、下の下着である
真下から綺麗に撮られ、実に鮮明に写し出されていた

207 名前:ユユ ◆LZfunhEVsc [sage] 投稿日:2007/08/26(日) 17:29:02 O
>206 etc

色々あって、でも無事に帰れて。今回の事はオレにまだまだ力不足だという事を認識しさせて。
なんだかなぁ………。強くなってた自信は無い訳じゃなかったのに。少し悔しい。
なんて考えてボケーっと歩いてると、
ガツン!
「って〜!」
何かにぶつかるから気をつけような。ちなみにオレは昔からガラスにぶつかり木にぶつかり。
で、今回は?
「ごめんなさ・・・あ!ユユさんじゃない! ちょうど良かった、お化けが出たのよお化けが!」

「はぁ……」
なんかどっかで見たような顔。うん、不思議空間に居たような気がしなくも無い。
いちいち憶えられないんだよな。何と無く暗記に苦手意識が有ったりしてさ。
話の内容はと言えば。さて、お化けが出ました。と。
で、どうしろと?ぶつかった負い目が有るから言えないけど、そんな事。
「ユユさーん、助けると思って一緒に来て来て来て!!
  ポーチにはお財布も入ってるから、無事見つかったら何か奢るから!!ねっ?だからお願いっ!!」
お願いされてしまった。仕方無い。行くしかない。
無下に断れる程に強くない。
もし万が一生粋のアンデットだったら逃げれば良い。色々あった後だから枯れ尾花が幽霊に見えた可能性だって無いわけじゃない。
「ああ。」
さて、何を奢って貰おうかな?

そんな下らない事を考えてると現場到着。相棒も呼ぶ、念のため。
目を凝らす。
うん。確かに何か居る。それも、生理的に受け付けそうに無いのが一匹。
「ポーチ、取って来ればいいんだったっけ?
あれを始末すればよかったんだっけ?」
生理的に受け付けそうに無い生物の手に有るポーチを見る。距離にしたら遠くは無い。けどここは林の中。それが少し嫌だなぁ………
「チョコパフェごちっす!」
そう自分を鼓舞して跳ぶ。弓兵は足が速いとより有利。
一瞬。ほんの一瞬で距離を詰め、ポーチを引ったくって木を蹴り生理的に受け付けそうに無い生物から距離を開ける。
「はい」
ポーチを彼女に渡し、その辺に落ちている木の枝を軽くあつめ、精製。
受け付けそうに無いヤツの持っている物へ射る。
「爆ぜろ」
勿論その矢は幾十もに別れる。
これで終わる訳は無いだろうな〜。と薄々思ってる。だから、こんな細やかな賭け。こんな時のオレは凄く楽しそうだと言われる。
「なあ、オレがあれを生け捕りにしたら、お前一日男子寮お茶係の刑な。」
このフィールド、オレを活かしてくれる。
そんな打算も無きにしもあらず。

208 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg [sage] 投稿日:2007/08/26(日) 21:29:34 0
【キサラ】
キサラの頭の上でエミュと騒いでいたが、メラルがくるのを見て少し口をつぐむ。
そして少し考えた後・・・
「やっぱり私の用事を先に済まさせてもらうわん。
キサラに気付かれちゃったしぃ。二人のラヴ空間を邪魔しちゃ悪いもの〜。」
エミュに笑いながらそう告げる。

「キサラ、機関車の中では話せなかったけど・・・」
ミニアルナワーズがふよふよと高度を下げ、キサラの耳元まで降りてくる。
そうして耳たぶを掴んで位置を固定すると、更に続ける。
「私は一生徒よ?学園編入については私は何の手も加えていないわよ。
貴方がどうやってあの廃墟にいたのかも知らないし、どこで話が通っているかも知らないもの。」
汽車の中ではお姉さま方が多く、落ち着いて話していられなかったから。
その時の返事をさらっと返す。

そして表情を変えず声だけが僅かに低くなる。
それはどんな表情の変化より豊かに言葉の質の変化を伝えるだろう。

「敵と言う概念は関係性に埋没した人間の言葉。
私の観点から言えば敵も味方もないのよ。
信頼するも仲間とするも私にとっては単なる相対的関係に過ぎないもの。」
ここで一旦言葉を区切り、キサラの顔の前に回る。
その距離僅か数センチ。
顔を逸らせないようにぎゅっと頬を抱えるように掴み

「碌な事?別に求めていないわ。
貴方と言う因子が加わる事で業に新たなる展開が加わる。
どの結果が碌な事だろうが碌な事でなかろうが、些細な事よ。私的にはね。
ただ、貴方がこの学園に入る意図がどこに渦巻いていても一つだけいえることがあるわ。」

ここで寮のアルナワーズと、ミニアルナワーズの言葉が重なる。
「「この学園は全てを受け入れられる器。貴方も、私も例外じゃない。」」

「あなたにどんな因縁があろうと、この学園はそれごと受け止めるわ。」
そう締め括るとようやくミニアルナワーズはキサラの顔を離し、少し離れて笑みを浮かべる。
「メラル、お先にゴメンナサ〜イ。
いい男は早めに唾をつけたくなっちゃうの、判るでしょう?
さあ、もうすぐパーティーよ。苦労した後は楽しまなきゃ。
話が終わったら二人揃って楽しみなさいよ。
あ、そうそう。リリアーナの指輪。これって学園生徒にとってはとても大切なものなの。
本来簡単に人に渡すものではないのにね・・・。リリィに感謝しなさい。」
いつの間にとったのか、ミニアルナワーズはキサラが持っていたリリアーナの指輪を抱えていた。
「私が返しておいてあげるから」と、言う言葉を残してミニアルナワーズは姿を消したのだった。

その暫く後で、パーティー開始の花火が打ちあがる。

209 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg [sage] 投稿日:2007/08/26(日) 21:31:07 0
 【ラルヴァの部屋】
ラルヴァが部屋に入ると一陣の風が仄かな香りを伴って頬を撫でる
戸締りはしっかりしておいたはずなのに。
学園や寮が塔になっていて、それがまた戻ったのだからどこかに歪みでも生じたのだろうか?
否。そんなことはない。
ただ単に侵入者によって窓がぶち破られていただけだ。

その侵入者はラルヴァの帰宅に気が付くとにこやかに振り向いた。
「はぁい。ラル。間に合ってよかったわぁ〜。」
当然のように部屋の中にいる侵入者はアルナワーズ。
部屋の壁には何枚もの呪符が張られており、アルナワーズは最後の香炉を部屋の隅に置いたところだった。

驚くラルヴァを部屋の中に引き寄せると、ドアは勝手に閉じる。
ラルヴァは気付いただろうか。
自分の部屋がまるで結界装置の中のような雰囲気になっている事に。
しかもその結界は、外からの進入を防ぐというより中からの流出を防ぐ事を主たる目的としている事に。
そう、まるでラルヴァ自身に施された封印にも通じるものがある。

「ラル、休学届けだしたんですってね。んふ〜。私の耳は早いのよぉ?」
なぜ部屋の中にいて何をしているか。
そんなラルヴァの疑問など歯牙にもかけず勝手に話を切り出す。
シヴァを通してラルヴァが退学届けを出した事は知っている。
だがそれでもあえて休学届け、といったのだ。

「あなたが選んだ道なら私は支持するわ。でも、その前に、ね。
雪山であたなの内を見たわ。
血の池の中で棘だらけの逆十字架に磔にされた姿・・・
とっても美しかったから。」
香炉の香りが立ち込める中、ラルヴァに絡みつくように話を続ける。
「美しいといっても、別に造詣じゃないわよ。
私達幻術科の人間は目に見える造詣で美醜を語らない・・・
力の在りようが美しかったのよ。」
ゆったりとした口調で微笑を湛えながらラルヴァを見つめ、アルナワーズは上着を脱ぎ落とす。

「そして、あなたは私と同じだった。
だから、幻術を纏っていない私も見せたくなったのよ。貴方がここから去る前に。」
その言葉と共に、民族衣装に身を包み漆黒の髪をなびかせるアルナワーズの姿が変わっていく。
力の本質が、突出したエントロピーがあふれ出す。
部屋の封印装置がカタカタと震えだすが、効力を発揮して部屋の外には一切影響を出さずにいる。

「貴方が悩み、苦しみ、道を探し、牙を見定める。
私も同じ道を歩いているから、聞いて欲しいの。
私も貴方も、メラルやロック、他にも多くいるわ。
その見に器以上のものを宿したもの、宿業を背負ったもの。
そんな者達の集まりがこの学園・・・だから、覚えておいいて・・・」

210 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg [sage] 投稿日:2007/08/26(日) 21:31:20 0
ここで寮のアルナワーズとキサラと共にいるミニアルナワーズの言葉が重なる。
「「この学園は全てを受け入れられる器。貴方も、私も例外じゃない。」」

「だから、見定めたら戻ってらっしゃい。みんないつでも受け入れるから・・・」
言葉を締めくくると、アルナワーズは元の姿へと戻っていく。
そして・・・
「さ、荷造りはパーティーが終わってからでもいいでしょう?今夜は楽しみましょう。」
ぶち破った窓の方まで行き、にこやかに振り返る。
ラルヴァをパーティーに誘うと、猛一度呪文を唱え始めた。

「サティヤム エーヴァ ジャカテー 苦・集・滅・道 我、四諦を越えん 気遊別霊・・・汝が名はドーパー・・・!」
歌う様に踊る様に呪文を唱えるとアルナワーズの後ろ髪が変化しバレーボール大の毛玉に代わった。
「うっ・・・」
直後、首筋を押さえその場に崩れるようにしゃがみ暫しの沈黙。
沈黙の間に毛玉はパキパキという乾いた音を立てながら蝙蝠状の翼を広げていた。
ようやく立ち上がり、顔を上げるアルナワーズの笑みは興奮の色が浮かんでいた。
ドーパーが首筋に興奮剤と加速剤を打ち込んだからだ。

翼を生やしたアルナワーズは部屋をそのままに窓から飛び出ていった。

その暫く後で、パーティー開始の花火が打ちあがる。

211 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/27(月) 00:35:07 O
>>「ええ。当事者に聞いても誤魔化そうとする可能性が高いし、
 第三者に聞くのが筋だと思ったから。迷惑かしら?」
「……確かに、そうですね…相手が相手ですし」
軽くアルワナーズに喧嘩を売っている感が否めない気がするのは気のせいだ
「……迷惑…ではないです
…まあ、僕もこの状況を説明できないですけど」
>>209
>「キサラ、機関車の中では話せなかったけど・・・」
メラルが現れ、アルワナーズは退席する…つもりだったらしいが、先に用事を済ませるらしい
また無遠慮に耳を掴み、位置を固定し、話し始める
>「私は一生徒よ?学園編入については私は何の手も加えていないわよ。
貴方がどうやってあの廃墟にいたのかも知らないし、どこで話が通っているかも知らないもの。」
(……さっきの…返事…ってところかな?)
耳を掴まれてはいるが、アルワナーズの言葉を聞くキサラ
そして、その表情は変わらないまま、声が一段低くなる
「敵と言う概念は関係性に埋没した人間の言葉。
〜〜この学園は全てを受け入れられる器。貴方も、私も例外じゃない。」
「…………………」
キサラの方も、表情を崩すことはなかった
相変わらずのポーカーフェイスである
>「あなたにどんな因縁があろうと、この学園はそれごと受け止めるわ。」
「………因縁……ですか」
本当に因縁なのか、それとも別の違う何かなのか
キサラは今それを明かすことはなかった
そして、指輪をいつの間にか持って去ろうとするアルワナーズ
「………アルワナーズ…さん」
それを呼び止め、一言こう言った
「…………後悔しても……知りませんから」
言っているセリフとは裏腹に、その表情は微笑と呼ぶべきものであった

212 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/27(月) 00:42:41 O
やがて廊下にはメラルとキサラの二人になる
「……そういえば…自己紹介とか…してませんでしたよね
………僕は…キサラ・トールフェルド」
当然、キサラもメラルもそんな話をしに来たわけではない
「………さっきの言葉の真意……ですか?
その前に一つ聞きたい……いや、聞いておきたいんですけど」
ここで一息置き、続ける
「……アルワナーズさん……はまあいいとして
……リリアーナさんとか…フリージアさんとか………
不思議なんです…何で突然現れた僕みたいな人間を……こうも簡単に信頼するのか
……貴方みたいに…警戒するのが…当然なはずなのに…」
もちろんこれは、前菜に過ぎない
キサラの聞きたいメインディッシュは、この質問の先にある

213 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/08/27(月) 12:39:10 0
大きな買い物袋をつり下げた16歳の金髪タテロールの少女
そうフリージアである
どいうやら学園近くの寝具店からギズモ用の寝具を買ってきたようだ
「それにしてもなんでハンモックと寝袋なのかしら?」
使い魔用の寝具はどんな物が良いかと店の主人に訪ねたら
この二つを勧められたのでとりあえず両方買ってきたのだ
その店主、実にいい加減である

>208
寮の自分の部屋についたその時、パーティー開始の花火が打ちあがった
「正直、魔力の使いすぎで疲れて寝たいんだけど・・・参加しなくちゃ駄目かしら?」

「ダメジャナイ?」

「そうよね・・・」
フリージアはギズモの寝具を部屋の隅に置くと
パーティーに着ていく服を選ぼうとした・・・・・が
「そういえば・・・・普段着は青いワンピースしか持ってませんわ」
タンスにはグラデーションのように少しずつ色が違うワンピースがいっぱい並んでいた
普段制服ばかり着ているのであまり必要性を感じずお洒落な服を持っていなかったのだ・・・女の子なのに

「仕方ありませんわ。これを着ていきましょう
芸術を司る色彩の精霊よ・・・・」
単色では何か寂しかったので色彩の精霊の力を借りて服の色を蒼銀に変え雪の結晶の模様をちりばめた
次に氷の精霊の力を借りて簡単には溶けない雪の結晶をちりばめる

「お〜ほっほっほ!これで完成ですわね!!」
さっきまでの地味なワンピースはいつの間にか豪勢な雪の結晶のドレスへと変貌していた
スカート丈は雪の結晶で延長され色彩の精霊の魔法によって模様を付けらている
もはや元の面影は全くない・・・まるでシンデレラの魔女の魔法の様である
だてに美術の授業をとっていないらしい

「さてと!行きますわよギズモちゃん!!」
そうしてフリージアは蝶ネクタイを付けたギズモとパーティー会場に向かった


214 名前:メラル+エミュー ◆1LtyyBHC/M [sage] 投稿日:2007/08/27(月) 15:51:30 0

>「……気付いた方が…良かったんですか?…やっぱり
  ……とりあえず、他人の頭上で騒ぐのはやめてください
  ……それからそっちの……エミュー…でしたっけ」
「細かい事は気にすんナ。そんなんじゃ人生楽しめないゼ?」
エミューがとんでもない事を言い切った。

===========================================================================

>「……えっと……それって……僕に?
  ………それとも……こっちに?」
キサラが聞き返してくる。それに対し…間を空けずに答える。
「ええ。当事者に聞いても誤魔化そうとする可能性が高いし、
 第三者に聞くのが筋だと思ったから。迷惑かしら?」
>「……確かに、そうですね…相手が相手ですし」
メラルは、その指す所がどちらに向いているのかおおよそ察してはいたが…
あえてエミューを見て言った。
「もう少し大人しくして欲しい所よね。全く。」
エミューは何か言いたそうではあるが、黙り込んでいる。
>「……迷惑…ではないです …まあ、僕もこの状況を説明できないですけど」
「ありがとう。その言葉だけでも十分判断材料になるわ。なら本人に聞くほかないわね。」

そして、アルがキサラと話し始めてから暫く。メラルは寄ってきたエミューとコンタクトを取っていた。
(…何のつもり?)
(しゃあねぇだロ。つけてたらあの女もついてきて大声で話しかけてきたんだからヨ。)
(まぁいいわ。結局見失わなかったんだから。
私がこう言う事もわかっててやった気がしないでもないけど。)
(気のせいだロ?きっと。)
(後、パーティーの間は私の部屋の警備お願いね。)
(…やっぱりカ。わぁったヨ。)
因みに、メラルはそこそこしっかりしたローブ姿に着替えており、
パーティーにはそのままでも十分行けそうな感じである。

話し終わったのか、ミニアルが声をかけてきた。
その後の指輪のくだりは、あえてここでは突っ込みをいれずエミューと共に普通に見送った。
「ええ…二人で、かはともかく…パーティーには顔を出させてもらうわ。また後で会いましょう。」
「おお、次会うの楽しみにしてっからヨ。またな。」
そして、メラルが手を出すとエミューが水晶球に戻り、メラルの手に収まった。
メラルが目で促すと、キサラが話の続きを始める。
>「……そういえば…自己紹介とか…してませんでしたよね
  ………僕は…キサラ・トールフェルド」
「私も…忘れてたかしら?メラル=エルディーンよ。
 あなたの事は…アルから聞いたわ。まぁ、それは置いといて…」
自己紹介を軽く済ませ、本題に入ろうとすると、キサラが本題の前に質問をしてきた。
何故リリアーナ達が簡単にキサラを信用するのか、と。メラルは少し考える素振りを見せてから答えた。
「私も、はっきりとわからないわ。」
ごく普通に話しているように見える。ただし…そこには、メラルの本来の考えと大きく違う部分が混ざっている。
「でも…多分、リリアーナ達は純粋なのよ。ただただ純粋に、人を信じられる…そんな、
 人のドス黒い面を…心に巣食う闇をあまり見ないで…歪まずに生きてきた人だと思うの。」
(リリアーナはただ優しいだけじゃなくて、間違いなく人を見る目はある…。
多分、実際は…信頼に足る何かをキサラに見つけたんでしょうね。
でも、表面を見ればこの答えにこそ違和感がないはず。この推測をそのまま口に出して間違っていたら
それこそリリアーナに恨まれても文句は言えないもの…)
私と違って…。最後に、聞こえるか聞こえないかといった声で付け加えて、キサラの返答を待った。

215 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/08/27(月) 16:56:20 0
>206-207
ユユはリリアーナに引っ張られるまま現場に到着した。
いつのまにかユユは緋色の長弓を手にしている。

ユユとリリアーナが目にしたもの、それは小柄な老人が、バスタオルに頬擦りしているシーンだった。
だが問題は、バスタオルに『 何 が プ リ ン ト さ れ て い た か 』 だ!!!
>「おお、スウィートォー! (中略)
これこそワシの求めておった最高の芸術じゃ、完璧なるパンチーじゃ! (中略)」 
>「ポーチ、取って来ればいいんだったっけ? 
>あれを始末すればよかったんだっけ?」 
大体状況を把握したらしいユユがのんびりと話し掛けてきた。
だがリリアーナは返事をするだけの心理的余裕は無かった。
顔を真っ赤にしながら絶叫している。
「ななな何を現像してるのよほお擦りしてるのよー!!っていうかおじいちゃん誰よっ!!!」
握りしめた拳が震えている。怒りと羞恥のあまり今にも卒倒しそうだ。
ユユがため息をつく気配がした。
>「チョコパフェごちっす!」 
ふっと目の前からユユが消えた。虚をつかれ、リリアーナはようやく我に返った。
「え?ユユさん?!」
>「はい」 
「え?・・・・・・ええ??」
いつの間に取り返してくれたんだろう?
リリアーナは状況をつかめず、戻ってきたポーチとユユを交互に見ていた。
ユユは木の枝を集め弓に精製すると、老人のバスタオルを狙って弓を射た。
>「爆ぜろ」 
>その矢は幾十もに別れ、的をずたずたにした。 
そう、これはマリアベル戦で目の当たりにした技だ。
バスタオル(のゴニョゴニョプリント)を射た腕前の見事さに、リリアーナはほうっとため息をついた。
「すごい・・・」
キサラに射撃を教えると言わしめた、リリアーナの射撃の腕前とは雲泥の差だ。
>「なあ、オレがあれを生け捕りにしたら、お前一日男子寮お茶係の刑な。」 
「えっ?お茶係?!」
リリアーナは一瞬言葉に詰った。
一日男子寮お茶係・・・なんだかこき使われそうな予感がする。
だが、背に腹はかえられない。
「わ・・・分かった約束する!だけどそれは、例のゴニョゴニョ写真のネガも消滅させたらね!!」
そう、あのおじいさんをこのまま帰すわけには行かない。
いつのまにか私のゴニョゴニョ写真を現像したおじいさんは、どこかに写真のネガを持っているはずなのだ。
(たしかそんな話を光画科の友達から聞いた気がする)

リリアーナも年頃の女の子だ。
あんな写真を誰かが持ってると考えるだけで夜も眠れなくなる。

写真のネガを見つけ出すか奪うかして、この世から消滅させなくては!!!
「おじいちゃん、おとなしーくネガを渡してくれたら痛い目にあわずに済むわよ?!」

216 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y [sage] 投稿日:2007/08/27(月) 21:01:06 O
「むっ!何ですか?」
いきなり、頭をガッチリ掴まれたので、驚いたロックはアルテリオンにこう聞いたのだ。
ロックは最初、アルテリオンが自分の頭をわし掴みにしたものと思ったが、
アルテリオンの両手はロックの頭から離れている。
それに、アルテリオンさんの手はこんなにチクチクしないはずだ、とロックは思った。
では、今ロックの頭を掴んでいるのは何なのだろうか?
>「ホー」
ロックの疑問は、頭の上から聞こえてきた鳴き声が解決した。
ロックの頭に、彼のペットである白いフクロウ『アウル』が乗っていたのだ。
何しろ、フクロウは目が良いし、音をたてずに飛ぶ、生粋の暗殺者だ。
ロックの頭に、本人に気づかれないうちに泊まる事など、朝飯前というものだ。
「今まで、どこにいたんだよ?」
ロックは、いたって真面目にフクロウに聞いた。
>「ホー」
フクロウは、いたって真面目にロックに答えた。実にフクロウらしい回答だ。
「…そうか。」
ロックは半分納得して、半分疑っているような感じで言った。

食堂まで、もう少しという所、空に色鮮やかな花火が輝いた。
「何だ!?何だ!?」
ロックは必要以上に驚いた。それがどれくらいかと言えば、
学園に良からぬ者が侵入した事を知った時くらい驚いたし、
実際ロックは、学園に何か大変な事が起きたものと思ったのだ。
「赤い花火…という事は!あれは救難信号に違いない!待ってろ!今すぐ助けに行くぜ!!」
ロックは魂を燃やしながら、花火が上がった方へ走りだした。
わざわざ説明するのもやぼというものだが、もちろん救難信号の花火ではない。
上がっているのは赤い花火だけではないのだから、ちょっと考えればすぐわかる事だ。
その上、エスコート(?)していた女性をほったらかして走り去ってしまうのだから、
ロックはこの上なく、紳士には向かない人間であることを身を以って示したわけである。


217 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/08/27(月) 23:32:35 O
あまりにもロックさんエスコートぶりの酷さに少々腹が立った私は、脳天にチョップを叩き込もうとしたが、その時、ロックさんを守るかのようにフクロウが降り立つ。
そのタイミングの悪さに私はその手を引っ込めた。
どうやら、ロックさんの愛鳥らしく私なんか目に入っちゃいない。
そして、そのままロックさんは何か勘違いをして私は置いてきぼりを喰らった。
「……全く…」
仕方ないので、私は一人で食堂へ向かい。
久しぶりの晩餐にすることにした。

「……ちょっといいか?」
食事中、教頭が私の前にやってきた。
いつもの食堂ならば、軽くパニックが起こりかねないが…どうやら全員外で騒いでいて私と教頭、それと食堂の皆さんだけだ。
「…どうぞ」
いつもの反応をするなら、今食べているツナサンドを吹き出し、ひたすら謝るが…
どうやら、教頭もいつもと様子が違うらしく
お互い、いつもと違う反応をして向かい合った。
しばらくの沈黙が続いたので、私はまたカチャカチャと食器を鳴らしながら食事を再開する。
気が遠くなるぐらいに久々の食事、もう感じられないと思っていた五味、食感、胃袋に物が入る感覚
教頭が目の前に居なかったら、狂喜乱舞する所だ。

218 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/28(火) 00:18:17 O
>>214
>「細かい事は気にすんナ。そんなんじゃ人生楽しめないゼ?」
「……また随分なことを言い切りますね…この小動物」
小動物…という部類に当てはまるのかどうかは別として
どちらかといえば、メラルにあてられた言葉だった
------------------------------------
>「私も、はっきりとはわからないわ。」
メラルが少し考えてから出した答えは、この出だしから更に続く
>「でも…多分リリアーナ達は純粋なのよ。ただただ純粋に、人を信じられる…そんな、
人のドス黒い面を…心に巣食う闇をあまり見ないで…歪まずに生きてきた人だと思うの。」


キサラは、メラルの話を黙って聞いていた
そして、しばらく間をとってから、口を開く
「………リリアーナ達『は』……ってことは、貴方はそういうわけじゃない……と
そうとっていいんですよね?」
メラルは普通に喋っているように『見えた』
その裏にある真意をキサラが気付いたか気付いていないのか
そして、メラルが最後に呟いた、『私と違って…。』という言葉が聞こえてか聞こえずか、
キサラは更に続ける
「……やっぱり…貴方は僕に似ている」
聞こえる程度に小さく呟くキサラ

219 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/08/28(火) 00:22:23 O
そして、更に続ける
「……アルワナーズさんとリリアーナさんは知ってますし、
今更影響はないと思いますから、言いますけど」
「………僕は貴方達の敵…です
そういう見方をすれば……ですけど」
一度間を置きメラルの反応を見るキサラ
「……それでも貴方も……僕を信じるつもりですか?
……もっとも…僕は信じない方をオススメしますけど……ね」

一瞬

たった一瞬だが、キサラの目が鋭くなった気がした

220 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/08/28(火) 00:31:14 O
「……よく食べるな」
「150年振りの食事ですから」
淡々とそう返して、私はカルボナーラを口に運ぶ。
確かに量に関しては、かなりあると私も自覚していた。
「……んく……話…あるんですよね」
何を躊躇しているか分からないが、正直イライラして症がない。
いつもプレッシャーを与えられている鬱憤を晴らすつもりではないが、フォークで皿の縁を叩きプレッシャーを与える。
「………………済まなかった!」
視線から消えたと思ったら、教頭は土下座していた。
しかし、私はそれに動じず…また、カルボナーラを口へ運ぶ。
「…………洗いざらい全て話してください。話はそれからです」


「つまり…私に冤罪をつけ、反逆者にしたのは教頭の祖父だった…と」
食事を終えたころ教頭の懺悔が終わった。
いつもの高圧的な雰囲気はなく、そこには、ただ震え怯えているハゲオヤジしかいない。
「それだけではなく…無形の刀剣を奪ったのも、アイアスをいち早く裏切ったのも教頭の家」
教頭は黙ったまま、ただ頷くだけ、私はそれを気にもとめず続ける。
「………事件が起こる数日前、騒ぎに乗じて無形の刀剣と代々伝わる日記が盗まれた。もう1人の私とやらに」

221 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/08/28(火) 00:54:17 O
記憶には無いが、居たのだ。
もう1人の私が…認めるしかない。
「『私は復讐したいだけ』そう言って彼女は消えた」
名探偵よろしく、私は捲し立てる。
「そして、その次の日…日記だけがある場所へついてしまった…そう、教会」
「そして…今日、国王陛下の前で裁判が行われ。」
「今日…丁度皆さんが戦っているとき、私から反逆者の汚名は取られ、英雄として国史に刻まれた。」
「それとアイアスの力、によって私の霊としての位が上がって英霊となったんですね」
全ての話が終わり、また食堂に沈黙が訪れる。

222 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2007/08/28(火) 08:45:09 O
当時生まれてもいなかったような教頭が土下座?
これって何て言う朝鮮思考?

223 名前:ラルヴァ ◆sy1IQNBWp6 [sage] 投稿日:2007/08/28(火) 09:52:25 0
なんとなく僕は学園内を歩き回っていた。
恐らくここに戻ってくることはまずないだろうという、感傷によって。
そこに話しかけてくるのは・・・

>200
>「あ、良いところに!!」
「クレティアン?いや・・・リリアーナ?」
なんでここに・・・という前に一気にまくしたてられている。
なんとなく流されるようにリリアーナについていくと、目撃した。
その・・・抱き合っている場面だ。
>リリアーナはフードを目深に被り直した。

「リリアーナ、一つ言っておくよ。人間は自分の都合のいいものしか見ないよ。
 雪山の鏡の泉のように、それは現実でもね。」
走り去っていく時、涙を流していたように見えたのは気のせいだろうか。

>216
で・・・ころあいを見てロックに話しかけようと思ったんだけれど。
>「赤い花火…という事は!あれは救難信号に違いない!待ってろ!今すぐ助けに行くぜ!!」
とばかりに走っていった。

「あー・・・ロック・・・・・・・・・。」
病み上がりの体では走る訳にもいかず、呆然と見送るしかないのだが。
リリアーナの頼みを果たさない訳にもいかないし・・・。

しょうがないのでラルヴァは手元のメモに言伝を書いて、ロックへ宛てて
ロックの部屋のドアの下に挟んでおくことにした。
わざわざ魔法で発光する力を付与したのだから、魔法使いなら多少反応はするだろう、多分。
【ロックへ、 男子寮とはいえ迂闊な行動はしないほうがいいよ。
 リリアーナに騎士さんと抱き合っているのを目撃、誤解されてる。
 多分内心ボロボロだからフォローしてあげるよーに。 後、目の傷についてリリアーナは心配してたからね
 ラルヴァ より。 P.S ちゃんとフォローしてあげないとリリアーナが誰かにとられちゃうよ。じゃ。】

「・・・・・・こんな感じでいいかな。」
とりあえずロックの部屋のドアの下に挟んでから、自分の部屋へ戻ることにした。
荷造りしないとな・・・。

224 名前:ラルヴァ ◆sy1IQNBWp6 [sage] 投稿日:2007/08/28(火) 10:12:23 0
>209>210
自分の部屋のドアを開ける寸前、第六感が自分に語りかける。
「うわー・・・なんかとっても開けたくない。」
なんていうか、すごい苦手な食べ物が入っている皿の蓋を開ける瞬間のような。
そんな気持ちで扉を開ける。

中にいたのは・・・アルナワーズ(多分本体)。
別に窓をぶち破られるなんて一度や二度じゃないからいいけれど。でも・・・・・・
「いきなり人の部屋に結界作るのはどうかと思う・・・・・・。」

>「ラル、休学届けだしたんですってね。んふ〜。私の耳は早いのよぉ?」
>「そして、あなたは私と同じだった。
>だから、幻術を纏っていない私も見せたくなったのよ。貴方がここから去る前に。」
露となるアルナワーズの本体、から現れる本質。それをラルヴァは黙して、相対する。
その圧力に怯えるように、顔を隠すフードの【闇】そのものが逃げ出してラルヴァの影に沈む。

目深にかぶったフードの影は消え、そこから見えるのは7対14の瞳。
14の内、4対8つの虹彩には無色ではなく色が付いている。即ち、金・銀・紫・蒼。
「参ったな・・・隠してた影が逃げちゃった。確かにみんなそういうのを抱えているのは多少分かるけどね。
 そもそも、オレの場合は再封印をしていないんだから元に戻る訳はないからな。」

>「「この学園は全てを受け入れられる器。貴方も、私も例外じゃない。」」
>「だから、見定めたら戻ってらっしゃい。みんないつでも受け入れるから・・・」
「見定める・・・。正直、僕の場合は力がコントロール外だからね。それをどうにかしないといけないから。
 僕が召喚契約できるのは7体。つまり後3人・・・。それを探さなきゃいけない。僕を食らった片割れをね。」

アルナワーズがパーティに誘ってくれたが、正直どうしたものだろう。
あまり感傷的な気分になるのはよくないのだけれど・・・・・・。
自分の部屋の中央で溜息をつく。

「とりあえずこの結界を解除するか・・・解呪って苦手なんだけれど・・・」

225 名前:エロジジイ ◆BvcplLXSGo [sage] 投稿日:2007/08/28(火) 22:46:04 0
>>207>>215
>「ななな何を現像してるのよほお擦りしてるのよー!!っていうかおじいちゃん誰よっ!!!」
「何じゃ、騒がしいのう…。
って…、お、おまえさんらいつからそこに居ったんじゃ!?
し、しかも、お嬢ちゃんはさっきの…!
撮ったエモノをプリントしたバスタオルに夢中になっていた爺さんも、ようやく二人に気付く
そして、当然のように自らの知らぬ間に接近していた学内の人間に困惑する
しかもその中の一人は、我が自分がターゲットにしたエモノの主ではないか!

「うぬぬ…、ワシとしたことが、パンチーを愛でるのに夢中で気付かなんだわ!
…まあよい、バレてしまった以上は仕方あるまい。
何を隠そう、ワシこそはこの学園の女生徒を盗撮し続けてウン十年のプロフェッショナルじゃ!
見よ、この洗練された現像精度を!
まるで直ぐそこにでもあるかのような感を漂わせる至高の一品!
これこそがワシがウン十年の盗撮生活の中で編み出した、その名も「盗撮魔法」の成せる業なのじゃ!」
そう言うと、開き直った爺さんは、自身のウン十年に渡る恥を自慢するように力説しだした
エモノの写ったバスタオルを二人目掛けて掲げ、目を血走らせながら語りまくる
見ているだけで吐き気を催す光景である
だが、二人は会話に夢中で爺さんの自慢話などほとんど聞いていなかった

「…はあはあ、どうじゃ、分かったか!?
お、おまえさんら、人の話を聞いて…って、えええええええっ!?」
丁度話し終わってバスタオルに目をやった爺さんは、目の前の光景に絶望的に驚愕した
何と、エモノの写っていた部分が綺麗に無くなっているではないか!
ユユの放った幾十もの矢が、写真部分をズタズタの細切れにしてしまったのだ

「あ、ああ…、そ、そんな…。
マイ…スウィートォ〜…。」
爺さんは余りのショックに、バスタオルを両手に抱えてその場に泣き崩れた
一生の宝になると思っていた「至高の一品」が、目の前でボロ布にされてしまったのだ
そのショックは爺さんの視点からして計り知れない

「…おのれぇ〜、小僧!
ワシのマイ・スウィートをよくもこんな姿にしおったな!
許せん、絶対許せん、男なら尚更許せんわ〜い!」
怒りの炎を身にたぎらせ、ユユを睨み付ける爺さん

「この悪ガキめが、ワシがお仕置きしてやらねば将来ロクな大人にはなるまいて〜!
…ふふふ、このワシをただの盗撮ジジイと思ったら大間違いじゃ!
何を隠そう、ワシはこの森にウン十年間過ごした仙人、もとい大魔法使いなのじゃ!
貴様のようなクソガキに遅れを取るようなことなど無いから覚悟するんじゃな!」
誇らしげに自らの偽りの強さを語る爺さん
しかし、二人はそれすらお茶係がどうとかいう会話で聞いていなかった
全く聞いていなかった
本人は無視されているなどとは思いもせず、哀れで滑稽な寸劇のようであった

>「おじいちゃん、おとなしーくネガを渡してくれたら痛い目にあわずに済むわよ?!」
「お嬢ちゃん、何か勘違いをしておるようじゃな?
大人しくするのはおまえさんらの方じゃ。
一体誰を敵に回しておるのか、よ〜く考えてみぃ。
ワシは今、虫の居所が相当に悪いからのう。
この小僧を片付けたら、代わりにお嬢ちゃんの生パンチーを頂くから覚悟しておくことじゃ。」
リリアーナの方を振り返り、いやらしく笑いながらとんでもないことを宣言する爺さん
そして、杖を構えると、呪文を唱え始めた

「我が杖に集え、猛り狂う火の元素霊たちよ、今こそワシの声を聞き届けよ!
…ふふふ、小僧、ワシの炎、受け切れるか、受け切れるか!?
焼き尽くせい、ファイアアアァァァァッ!」
杖の先に火の粉が集まり、赤く輝き始める
そして、杖が振り下ろされると、線香花火のような可愛らしい火の粉が宙を舞った…

226 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/08/29(水) 02:25:11 O
「……教頭が謝っても……意味は無いと思うんです。」
一瞬、教頭の表情が強張るが、それを気にもとめず私は続けた。
「…だって、カタストロフ家は私の代で終わったんですよ。教頭が謝っても、裁判で無実になっても…家は無いんです。」
淡々と話すつもりが、徐々に視界が歪む。
「…許す許せないの返答は出来ません…ただ、私は…その罪を忘れません。」
「…………そうか」
お互い…何かから解放されたかは分からないが…さっきよりも爽やかな感じになっている気がする。
「……よかった」
そう言い残して私は席を離れ、用務員室へ向かう。

227 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/08/29(水) 17:49:54 0
>225
ずたずたになったバスタオルのゴニョゴニョ写真にリリアーナは少し溜飲がおりた。
「お嬢ちゃん、何か勘違いをしておるようじゃな? 
大人しくするのはおまえさんらの方じゃ。 
一体誰を敵に回しておるのか、よ〜く考えてみぃ。 
ワシは今、虫の居所が相当に悪いからのう。 
この小僧を片付けたら、代わりにお嬢ちゃんの生パンチーを頂くから覚悟しておくことじゃ。」 
ニヤニヤ笑いを浮かべたおじいさんの姿にリリアーナは総毛だった。
幼少の頃から学園で過ごしている彼女は、俗に言う好色な視線に耐性が無いのである。

(ところでパンチーって何?・・・・・・・・・・・・・・・・・・!わかった、パンチのことねっ!?) 
「お、女の子だからってあんまり舐めないでよね!!」
リリアーナは涙目で拳を構えると、シュッシュとシャドウボクシングのようにジャブを繰り出した。
かみ合っているようで全くかみ合わない会話である。

>「(略)…ふふふ、小僧、ワシの炎、受け切れるか、受け切れるか!? 
>焼き尽くせい、ファイアアアァァァァッ!」 
>杖の先に火の粉が集まり、赤く輝き始める。
「キャーッ!ユユさん危なーい!!」
リリアーナはユユを突き飛ばすと、自分も慌てて地面に身を伏せる。

老人が杖を振り下ろした。

(――――あれ?)
何も起こらない?
リリアーナが恐る恐る頭をあげたとたん、どーんと腹に響く音が当たりに響いた。
「キャ――――――――!!」
頭を抱えるリリアーナの背後では、色とりどりの花火が夜空を彩っていた。

打ちあがったのはパーティ開始の花火だったのだが、そうは考えなかった少女がここに約一名。
「お・・・おじいさん、なかなか派手な魔法じゃないの、まるで花火みたいね」
リリアーナは体についた草を払うと、ビシィっと老人にひとさし指を突きつけた。
「だ、だけど当たらなかったら意味無いわっ!! 
 人のゴニョゴニョ写真を合意もなしに撮って喜ぶだなんて・・・。
 いくらおじいさんが人生の先輩だからって許せない!人として間違ってるわ!
 さあユユさん、このいけないおじいさんを懲らしめてやっちゃって!!」

228 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M [sage] 投稿日:2007/08/30(木) 15:57:35 0


>「………リリアーナ達『は』……ってことは、貴方はそういうわけじゃない……と
  そうとっていいんですよね?」
「…ええ。そもそも、私がリリアーナ達とは異質な存在だからこそ…今私達は話してる。
 そうでしょ?」
メラルは冷静に返答し、続きを聞いた。

>「……やっぱり…貴方は僕に似ている」
(…考え方、…ということかしらね。これは、深く掘り下げても
解決はしなさそうだわ。…藪蛇は面白くないわね。)

>「……アルワナーズさんとリリアーナさんは知ってますし、
  今更影響はないと思いますから、言いますけど」
>「………僕は貴方達の敵…です
  そういう見方をすれば……ですけど」
>「……それでも貴方も……僕を信じるつもりですか?
  ……もっとも…僕は信じない方をオススメしますけど……ね」
メラルが暫く黙って考えている。
(…私の考えが読みきれないから聞いてきた…そうは考えられないわね。
それならば直接聞いても本音が聞けるとは限らない。いえ、本音なんて聞けるわけがない。
狙いは…言質でその先に何かがあるのか、それともその言葉を元に何かを判断するのか…。
前者で少し掘り下げてから判断するつもりか、後者かはわからないけど…対応は一つ。
『わかりやすい理由』をつければいいのよ。…本音に近い事も言いつつね。)
そして、口を開いた。
「ええ。…と言っても、信頼じゃなくて信用だけど。」
(正直、リリアーナの顔を立てて…という部分は強い…のかもしれないわね。)
「本当に信用できない人間は自分を信じさせようとするものだから。
 それに…自ら相手の指示に従わざるを得ない状況に自分を置く事はないわ。」
(単細胞な小悪党ならともかく、切れる人間なら裏の裏くらいは考えるから…これは詭弁だけれど。)
「…と言っても、私がこの学園の中で信頼する人間なんて本当に一握りしかいないし…
 そもそも、親族でさえ信頼していない相手はいる。それに…そういう人間だって
 疑うに足る行動を取れば私はすぐに疑う。そういう意味では…あなたの言う
 『信じる』って事になるんじゃないかしら?」
(それこそ、相手が何をしたって疑わないだろう相手もいるけれど…。)

=====================================================================

少しして、パーティー開始の花火が打ちあがる。
「…私も…そろそろ行かなきゃいけない様ね。それじゃ、パーティー会場で会いましょう。」
メラルはそのままそこそこの早足で去っていってしまった。

229 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/08/31(金) 12:58:37 0
地面に突き刺さる何本もの矢。
戦闘の爪あとを色濃く残す中庭では、例の老人が目を回していた。

「さっすがユユさん!」
見事仇を討ってもらったリリアーナは大喜びだ。
逃げないようにとロープを取り出しぐるぐるに縛り上げる。
老人が目をさまずんじゃないかと多少おっかなびっくりだったのだが、幸い杞憂だったようだ。

「ふふん、さすがにこれじゃ逃げられないでしょ。
 さ、あとは警備員のエイさんを呼んでくれば万事解決!・・・でもその前に〜」
彼女は老人の目の前で、人差し指をくるくる回し始めた。
「今からおじいちゃんは女の子になる〜女の子になる〜」
リリアーナはお仕置きとして、老人に暗示をかけたようだ。
もし老人が鏡を覗き込んだなら、きっとナルキッソスの二の舞を演じることになるだろう。
もっとも暗示自体はアルが使うような本格的なものではなく、悪戯レベルのかわいいものだが。

気が済んだらしいリリアーナは、ユユに向かってにっこりした。
「ユユさん、何から何までありがと!今度約束どおりチョコパフェ奢るからね!
 じゃ、私は警備員のエイさんを呼んでくるね〜

――――

日ごろの行いが良かったのか、用務員室の途中でタアン・エイに会う事が出来た。
エイは、侵入者の老人の話を聞いたとたん呆れた顔になった。
「あのじいさん、まだそんな事やってたのか。ここ数年はおとなしかったんだがなぁ」
エイの話では、老人は以前から似たようなことを繰り返していたらしい。
「後のことは自分がやるから、リリアーナは寮に戻って着替えた方がいい。
 クレティアンがローブを貸してくれたようだが、それじゃ食堂でご飯も食べられないだろ?」
ローブの下から覗いているズボンの残骸を指差し、エイが優しく促す。
焦ったリリアーナはエイへの挨拶もそこそこに、寮に戻ることにした。

さて。
このときエイは警備員のお仕着せではなかったのだが、果たしてリリアーナは気づいただろうか?


女子寮はなんだかいつもと雰囲気が違っていた。
「た・・・ただいま〜」
リリアーナはそーっと扉をあけると、物慣れない猫のように中を覗き込んだ。

230 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 [sage] 投稿日:2007/08/31(金) 19:17:37 O
………花火の音がする。
あれから何時間寝たんだろう?
時間の感覚が全くないんですが…。
これはパーティの合図かな?
しょうがないから古いスーツを着てくか……。

俺は予備の古いスーツとサングラスを身に付け、パーティ会場へと向かった。

――――数分後
パーティ会場には復活した職員や生徒達が沢山集まっていた。
「ど〜も、エース先生。」
>「お久しぶりです、レイド先生。
今回は色々と活躍なされたようじゃありませんか。」
「な〜にを言いますか。
俺はほとんど活躍してないっての。
今回活躍したのは生徒達だよ。
俺もそろそろ歳かな〜。
生徒に抜かれる日もそう遠くはないね、きっと。」
>「またまた〜、そんな謙遜しなくても良いのに…。
ところで先生、そのサングラスは…?」
「あ、これ?
ただのイメチェンだよ、イメチェン。」
「でも髪も大分短くなったような…」
「まあまあ、そんな事は置いといて、今はパーティを楽しもうじゃないか〜。

>「ふふっ…そうですね。
それじゃ、乾杯。」
「おう、乾杯。」
ふう……やっと本当に全てが終わったんだなあ…。
長かった。
実に長かった。
しかしまあ、生徒達の成長ぶりは素晴らしいものだった。
多分今3対1でやったら負けるだろう

231 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg [sage] 投稿日:2007/08/31(金) 21:58:24 0
 【女子寮】

リリアーナが女子寮に戻ると、中はさながら戦場であった。
気合の入ったメイクと衣装で女生徒達が駆け回っている。
既にパーティー開始の花火は上がり、個々に残っているのは後発組と言うわけだ。

「リリアーナ、あんたパーティーの主役がこんな所で何しているのよ!
早く用意して、行くわよ。急いで急いで。
あ、それからトラップの位置、パターンGに変更してあるから気をつけて。」

リリアーナに気付いた一人の生徒がせかすようにまくし立てる。
侵入者を防ぐ罠は定期的に配列が変えられるが、今回のような事があり急遽変更されたのだった。
しかもパターンGは半年前に新設された新配列。
エロ爺が簡単に罠にかかってしまうのも無理もない。

「ハイハイ、ボーっとしてないで、おいで。みんな、リリアーナが来たわよ!」
強引に手を引かれてつれてこられた先はリリアーナの自室ではなく談話室。
そこには既にドレスとコスメセット、そして数人の女生徒達が待ち構えていた。
「主役がもたもたしてちゃ話にならないんだから。さっさとやっちゃうわよ!」
号令一過、リリアーナは数人の友人に取り囲まれ身支度を強引に整えさせられていく。
立った数分ですっかりパーティーに行ける姿になっていた。

「それから、アルナワーズから伝言よ。
【親切もいいけど、後始末まで考えないと大変な事になるわよ。】だって。」
伝言と共に渡されたのはリリアーナの指輪だった。
「さあいくわよ!はやく!もうパーティーは始まっているんだから!」
激流の様な寮での身支度を経て、リリアーナを引っ張り押すように女子生徒の一団はパーティー会場へと向かうのであった。

232 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/09/01(土) 00:11:27 O
>>228
キサラの問いに対し、メラルは暫く考えた末に、やっとその口を開いた
>「ええ。…と言っても信頼じゃなくて信用だけど。」
>「本当に信頼できない人間は自分を信じさせようとするものだから。
それに…自ら相手の指示に従わざるを得ない状況に自分を置く事はないわ。」
>「…と言っても私がこの学園の中で信頼する人間なんて本当に一握りしかいないし…
そもそも、親族でさえ信頼していない相手はいる。それに…そういう人間だって
疑うに足る行動を取れば私はすぐに疑う。そう言う意味では…あなたの言う
『信じる』って事になるんじゃないかしら?」
キサラは、メラルの言葉を黙って聞いた後、暫く間を置いて口を開いた
「……………結局…あまり本音は聞き出せなかった…かな」
心の中で言えばいいことを、あえて口に出すキサラ
一体何の意味を暗示しているのか?
「……試すような真似をしてすみませんでした
………僕はただ、貴方が僕に似ていたから、
ちょっと話を聞いてみたかっただけです」
そして、一瞬間を空けて、言った
「……あ、もちろん、考え方が……ですよ?」

233 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/09/01(土) 00:22:36 O
「……お腹すきました」
試すような冷静な顔から、16歳の少年の顔に、
そして、普段の女性と間違えそうなぐらいのアルトの声に戻る
メラルに言ってもしょうがないだろというツッコミは無しだ
そして、パーティー開始の合図である花火が打ち上げられる
「………何だろ…あれ……また魔法…かな?」
驚いたことに、キサラは花火の存在も知らなかった
もっとも、彼の生い立ちを考えればあり得ないことではないとも言えるが
「………そういえば……この辺り人が少ないし…
…向こうの方はうるさいですけど…
……何かあるんですか?」
人の話はちゃんと聞きましょう、キサラくん

234 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/09/01(土) 17:36:38 P
その頃のパーティー会場

「このブドウジュースおいしいわねぇ」
お〜ほっほっほと笑うフリージア
「ソレワインダヨ オカアサン」
フリージアの周りにはブドウジュース(仮)の瓶が散乱していた
お酒が入っているせいか無駄に色っぽいフリージア
まさに魔女は妖艶に笑うといった風情である
誰だ?学生のパーティーにお酒なんて用意したのは
まあ二日酔いとかは毒消しの魔法で消えるから問題ない
アルコールは毒物と判断されるからである・・・ってそういう問題でもないか


「あら〜遅かったじゃないの お〜ほっほっほ」
誰か知り合いを見つけたのかパーティー会場で後輩を集めてやっていた
フリージアのバストアップ体操教室を中断しそう呼びかけた
ちなみに内容はと言うといわゆる合掌運動を取り入れたものであり
個人差はあるが効果は抜群だ!

235 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y [sage良い子のみんな!お酒は17才になってから飲もうぜ!] 投稿日:2007/09/01(土) 20:12:14 O
「とああぁぁっ!!」
やかましい雄叫びと共に、林の中からロックが飛び出した。
それに一調子遅れて、白いフクロウが飛んできて、ロックの頭の上に停まる。
「みんな!俺が来たからにはもう安心だ!さぁ、早く!安全な所に逃げるんだ!」
ロックはその場にたまたまいた幼年部の生徒達に避難を促した。
ロックの頭の中で、避難するのは子供、女、老人、男の順と決まっているのだ。
もちろん、パーティを楽しんでいる少年少女達にとっては、
一人で勝手にバトルモードに入っているロックは非常に迷惑な存在だ。
しかし、彼等にとって幸いだったのは、ロックがすぐにパーティ会場の中心に走って行ったため、
ロックの避難勧告を無視しても、全く問題がなかったことだ。
事実子供達は、ロックが頭から落としたフクロウと遊びながら、パーティを楽しみ続けた。

さて、ロックはと言うと。頭に乗っていたフクロウがいなくなった事にも気づかず、
パーティ会場の中心へ走り込もうとしていた。その時だ。

>>234
>「あら〜遅かったじゃないの お〜ほっほっほ」
「おう、フリージア!」
ロックはフリージアの呼び掛けに威勢よく応えた。
「助けに来たぜ、フリージア!…フリージア?」
ロックはフリージアと普段あまり接点があるわけではないが、
それでも、今宵のフリージアがいつもと違う事にすぐ気づいた。
顔色も良いし、いつもより(言葉通りの意味で)輝いているように見えた。
「一体、何があったんだフリージア?」
ロックはフリージアの傍らにあった瓶に気づき、それを取った。
中の液体がまだ残っているのを確認、そしてロックはそれを一気にラッパ飲みした。
「ブフーッ!!」
そして、ロックはそれを一気に吐き出したのだ。
「これはお酒じゃないか!未成年はお酒を飲んじゃいけないんだぞ!…あ、そうだ!」
ロックは本来フリージアに果たすべき用事があった事を思いだし、
ポケットから猫耳カチューシャを取り出した。
「ありがとう、フリージア。だが、もうこれは俺に必要ない。
 男の俺が装備するには、あまりにプリティーすぎる。だから、返すぜ。」


236 名前:ユユ ◆LZfunhEVsc [sage] 投稿日:2007/09/01(土) 22:53:43 O
花火、終わったのかな?残念。
アルナワーズ嬢がまた何やら暗躍しているニオイがするが、知った事か。
後に残ったオレは矢を元の草に戻し、自室に籠るべく寮へと向かった。
まぁ、なんと言うか………要らんトコで人酔いするだよな。密度が一定以上になるとさ。
道中、暇を持てあましたから鳴弦をしながら帰る。
ひゅーん、ひゅーん。
これは遠い異国では魔を祓う儀式に使われてるらしい。ちょっとした豆知識。
フラフラって寮に戻ると、何となくみんなが浮足だってる様な気がしてきた。
おめかししてるヤツに、これを機に女に近付こうというヤツ。実に楽しそうに見える。
まぁ、皆精々楽しむが良いさ。それくらいの苦労や努力はしてるだろうからな。
何も無いと退屈で死にそうだけど、人が多い雑踏でも気持ち悪くなるという複雑な人間なんだ、うん。
それが転じて出不精で、お天気屋。人嫌いとか言われてるような気もしなくはない。実際居たら扱いに困りそうだ。

居たら困るなら居なければ良い。だから部屋に………って、それも退屈いな。
弓術の練習でもするか。じゃあ、何処か場所を探さないと。

またフラフラと寮を出る。人気の無い方へ、人気の無い方へ。

237 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/09/02(日) 06:07:29 0
寮の中は女の子達の戦場だった。
>気合の入ったメイクと衣装で女生徒達が駆け回っている。 
リリアーナは戸口で立ち往生していた。一体何が始まったのだろう?

>「リリアーナ、あんたパーティーの主役がこんな所で何しているのよ! 
>早く用意して、行くわよ。急いで急いで。 
「・・・・・・え?パーティ?」
(そういえば、列車から降りるときアルのお友達が、パーティの準備がどうとか言ってたっけ)

>「ハイハイ、ボーっとしてないで、おいで。みんな、リリアーナが来たわよ!」 
リリアーナははっと我に返った。
正直気が進まない。あまり顔を合わせたくない相手もいる。
「・・・いや、悪いけどそんな気分じゃないし・・・疲れたから私は欠席ということで・・・」
しかしリリアーナのささやかな辞退など誰も聞いちゃいなかった。
>「主役がもたもたしてちゃ話にならないんだから。さっさとやっちゃうわよ!」 
「だから行きたくないって・・・ち・・・ちょっと待っ・・・止め・・・!!
 わかった、わかったから!ちゃんと自分で出来るから脱がさな・・・キャー!!」
(暗転)

数分後、綺麗にドレスアップさせられたリリアーナが談話室に立っていた。
魔女たちは自分たちの仕事ぶりに満足そうだ。
文字通りのシンデレラ状態である。
だが、当の本人は何となくやつれているようなのだが・・・多分、光の加減だろう。

>「それから、アルナワーズから伝言よ。 
>【親切もいいけど、後始末まで考えないと大変な事になるわよ。】だって。」 
「あ。」
手渡されたのは、キサラに貸していたはずの指輪だった。
確かにこれを無くしたら、リリアーナにとっては大惨事である。
(アルにまた貸しが増えちゃった・・・)
いつもの癖で髪に手を差し入れそうになったが、セット担当だった女子にぴしゃりとやられた。

気を利かせてくれたアルには、後でちゃんとお礼を言わなくては。
これをネタにちくちくからかわれそうだが、それとこれとは話が別である。
>「さあいくわよ!はやく!もうパーティーは始まっているんだから!」 
リリアーナは半分引きずられるようにして、パーティ会場へと連行されていった。

さっさと切り上げて帰ろうと思っていたのだが、実際来てしまえばそう悪いものでは無かった。
せっかくなのだから、精一杯楽しんだほうがいい。

復活した教員たちの姿を見て、リリアーナは嬉しそうな顔をした。
早速楽しそうに談笑するエースとレイドに駆け寄る。
「エース先生、良かった、ギルハートの呪いから無事回復なさったんですね!」

次にリリアーナは今までとは印象の違うレイドに目を留めた。
「レイド先生、髪を短くされたんですね、いつのまに!
 サングラスとってもお似合いだけど、夜は見えにくくないですか?!」
リリアーナはレイドの長い前髪やサングラスが、彼の目を隠すものだとは知らなかった。

話題を変えようと思ったのか、リリアーナはレイド達の前でくるりとターンしてみせた。
「どうですか? 今回友達がパーティの支度を手伝ってくれたんです。 ・・・・・・かわいい? 馬子にも衣装?
 レイド先生〜将来有望な私にプロポーズするなら今のうちですよ〜。
 手始めにダンスの申し込みなんかどうですか〜?」
リリアーナは茶目っ気たっぷりにレイドに微笑みかけた。もちろん冗談である。

「ああそうだ、忘れるところでした」
リリアーナはひとしきり笑った後、ふっと表情を改めた。
「・・・これ。やっぱりレイド先生からロックに渡してくれません?」
彼女が差し出したのは、マリアベルの杖と人形だった。

238 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M [sage] 投稿日:2007/09/03(月) 15:54:08 0

>「……………結局…あまり本音は聞き出せなかった…かな」
(よくあるブラフね。相手を選ばないと失礼な場合もあるけど
…生憎、私は使われても不自然でない相手。対処法は判断材料を最小にする事。)
メラルは一切反応を見せなかった。表情一つ変えることもない。
すると、キサラが話を続けた。
>「……試すような真似をしてすみませんでした
  ………僕はただ、貴方が僕に似ていたから、
  ちょっと話を聞いてみたかっただけです」
>「……あ、もちろん、考え方が……ですよ?」
「気にする必要はないわ。」
(実際、そういう会話になるというのは、覚悟していたし。)
相変わらず、全くの嘘ではないが全て打ち明ける訳でもない返答をした。

>「……お腹すきました」
>「………何だろ…あれ……また魔法…かな?」
「花火。観賞用の娯楽ね。」
(あれは魔術とかよりは、銃器とかそういうものに近い代物。
 本当に知らないのか、それともわざとか…まぁ、どうでもいいわ。)
>「………そういえば……この辺り人が少ないし… …向こうの方は
  うるさいですけど… ……何かあるんですか?」
立ち去ろうとした時に、後ろから声が聞こえてくる。
「…祝勝パーティーみたいなものかしら。…一緒に行くのは
 冷やかしが面倒だから駄目だけど…会場まで後ろからついてくるのは自由。」
(…狙いが何かは知らないけれど…まぁ、これくらいなら別に構わないわね。
一緒に行くとアルに何か言われそうだから…そうもいかないけど。)
振り向かずに言い残すと、立ち去っていってしまった。

===============================================================================

パーティーが始まって暫くして…。メラルは学園の裏の森の上を…目を瞑って飛んでいた。
最初は普通にパーティーに参加していたものの…それはあくまで心配をかけさせない為か。
そして、マリアベルと戦った…ある意味主賓扱いされるであろう人達の一人が一切
顔を見せないわけにもいかないと考えたからか。どちらかだったのだろう。
早めに切り上げて一通り学園の上を飛び回ってから、エミューのいる水晶球も連れて
森の上を飛び始めた。因みに杖は最初に持っていた方の杖(水晶球付)である。
「……彼の魔力…中々捉えられないわね・・・。手遅れじゃないといいけど・・・。」


239 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/09/03(月) 16:09:11 P
>235
>「ありがとう、フリージア。だが、もうこれは俺に必要ない。
>男の俺が装備するには、あまりにプリティーすぎる。だから、返すぜ。」

それを一度は受け取ったフリージアだが・・・

「あ〜らロックありがとう。でもそれはもともとリリアーナさんのですわv」
とロックに改めて渡した
完全に酔っ払っているのか声が甘ったるくなっている

「だ・か・ら・直接リリアーナさんに渡して差し上げなさいなv」
なにがだからなのか分からないがフリージアはロックにリリアーナの元に行くように急かした
・・・・が

「そういえばリリアーナさん今どこにいらっしゃるのかしら?」
根本的なことがわかっていなかった

パーティー会場は広い、そのうえ人が多い
たとえ同じ空間にいたとしても見つけるのは困難だろう
「まあそのうち見つかるわよね。お〜ほっほっほ!!」
まさにご機嫌な酔っ払い状態のフリージアは大きな声で笑った

240 名前:ロック ◆jWBUJ7IJ6Y [sageエピローグかもしれない] 投稿日:2007/09/03(月) 19:52:53 O
「またリリアーナか!」
ロックは呆れたような声をあげた。
「あいつは、俺を猫耳にするだけじゃ気が済まないらしいな。
 わかった、フリージア。ひとまず俺がこれを預かる。
 ところで、この騒ぎは何だ?何があったんだ?…何?パーティ!?」
ロックは怒った。怒りながらも、その手はテーブルの上にある豚肉の腸詰めを掴む。
「フリージア、俺は帰るぜ!大空への、ロマンと言う名の恋人を失った俺は、
 とても今、何かをお祝いするような気分にはなれそうにない!」
ロックは料理を適当に食べさらえた後、さっさとパーティ会場から出て行った。
ポケットには、リリアーナの猫耳が入ったままだが、授業が明日から始まれば、
嫌でも顔を会わせることになるだろうと思い、あえてリリアーナを探そうとはしなかった。


しばらくして、ロックは男子寮の自分の部屋に戻っていた。
アンジェリーナは、もう何処かへ行ってしまったみたいだ。
アンジェリーナはともかく、俺のフクロウまで何処に行ってしまったんだ?
ロックは、空っぽのフクロウ小屋の餌箱を満たしながらそう思った。
そんなこんなで、ロックがラルヴァの手紙に気づいたのは、ずいぶん経ってからだった。

【ロックへ、 男子寮とはいえ迂闊な行動はしないほうがいいよ。
 リリアーナに騎士さんと抱き合っているのを目撃、誤解されてる。
 多分内心ボロボロだからフォローしてあげるよーに。 後、目の傷についてリリアーナは心配してたからね
 ラルヴァ より。 P.S ちゃんとフォローしてあげないとリリアーナが誰かにとられちゃうよ。じゃ。】

ロックは珍しく無言で(普通、手紙を読む時はいちいち喋らないが、ロックはそうではなかった)
それを読み、そして、それが意味する事を深く考えた。
「馬鹿馬鹿しい!何でアルテリオンさんが俺を抱き締めたら、
 リリアーナの心が痛むんだ?風が吹けば、桶屋が儲かるような話だぜ!」
ロックはこんな感じで、手紙の前半部分を全く問題にしなかった。
しかし、手紙の後半部分はロックも、まさにもっともだと思った。
「しっかりフォローしないとリリアーナが誰かにとられる(殺られる)…か、
 そうだな、ラルヴァ。今やリリアーナはカドゥケウスの所有者、
 この世界に今だに残っている闇の魔法使いや、強欲な商人、
 詮索好きな冒険者が、リリアーナとその杖を狙って来るかもしれない。
 そして、リリアーナをフォロー(助け)できるとしたら…」
ロックはそう言いながら、左目を覆う白い布を掴み、引っ張った。
「ライバルの、この俺しかいないってわけだな!よくわかってるぜ、ラルヴァ!」
白い布はするするとほどけ、ロックの新しい左目がたった今、開放された。

241 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 [sage] 投稿日:2007/09/03(月) 19:56:48 O
>237エース先生との談笑中、ドレスアップしたリリアーナが駆け寄ってきた。
サングラスの事に関して深く質問されなかったのは幸いだ。
それにしてもまあ、なかなか可愛いじゃないか。
本人は冗談で言ってるつもりだろうが、マジで将来有望だぞ。
これで胸があれば…なんて、有りもしない希望を抱いたりしてはいけない。
>「レイド先生、彼女、随分と可愛くなりましたね〜。
今のうちにプロポーズしといた方が…」
「アホか。
自分の生徒にプロポーズする教師が何処に居るんだよ。
ってか、俺の好み知ってんでしょうが。」
>「そうですか…。
やれやれ。
貴方はホントにそういう所だけは頑固ですよねぇ…。」
「うるへー。ほっとけ。」
ちなみにこれは全部俺とエース先生のテレパシーのやりとりであって、リリアーナには聞こえていない。

>「ああそうだ、忘れるところでした」
リリアーナはマリアベルの杖と人形を俺に差し出す。
やはり俺に渡して欲しいとの事らしい。
何故?
「ん?俺は別に構わんが……。
もしかして痴話ゲンカでもしたのか?」

242 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg [sage] 投稿日:2007/09/03(月) 20:31:07 0
【パーティー会場】

「はぁ〜い、リリィ。
将来有望といっても、十年後の姿も胸の大きさはそんなに変わっていなかったじゃなぁい?
レイド先生はヒンヌー(貧乳)教徒じゃないから無理よ〜。」
ニコニコしながらレイドとリリアーナの会話に割り込むアルナワーズ。
たわいもない会話を交えながら、パーティーを楽しむのだった。

今回の騒動の無事決着を祝うパーティーはにぎやかに進んでいく。
武勇伝を聞く人だかりや、共に祝う声から全く関係ない馬鹿騒ぎなど。
せっかくのイベントごとは何はともあれ乗っておく、と言うのがこの学園の流儀だ。
ふんだんに用意された食べ物と飲み物、おもいおもいに咲かせる話の花。
突発的な一発芸などなど・・・

辺りもすっかり暗くなって、パーティーも佳境になった頃、一段と大きな花火が打ちあがる。
『さあ皆さん!今回の騒動は学園の襲撃者との戦いでもありましたが・・・
もう一つ!私達が固唾を飲んで見守ったことがありました!
そう!【リリアーナ愛の劇場!誰と付き合うのかトトカルチョ!】
その結果発表をしますので空を見上げてくださいっっ!!!!』
アナウンサーの血管が切れそうなくらい気合の入った声と共に、夜空は大型スクリーンへと変わる。
フィジル島どこにいても空を見上げればそれが見えるだろう!

そこに映るのは真剣な表情のリリアーナ。
「じゃあアルナワーズ・アル・アジフ!あなたが私と付き合ってよ!!」
怒って口走った台詞ではあるが、その怒りの表情は前後のやり取りをカットされたこの一コマにおいては真剣な表情に見て取れる。
「「「「うおおおおお!!!」」」
パーティー会場で湧き上がる驚きの声と歓声。
リプレイされ続ける映像。

『な・な・なあああんとぉおおお!
大外も大外!まさに枠外のアルナワーズだああああ!
誰かアルナワーズに賭けた人はいるのかっつ!?・・・いました!
なんと!学園長、図書館管理人ターナー先生、そしてクレティアンの三人が的中うう!!』
どこを光源にしているか謎なピンスポがリリアーナとアルナワーズを闇に浮かび上がらせた。

全ての生徒達の視線が二人に注ぐ。
「ちゃんと忠告したのだけど、ちょっと遅かったわねぇ。」
肩をすくめながらそっと囁くアルナワーズ。
誰が手遅れにしたのかなど当然問題になどはしない。
リリアーナに向ける笑顔は優しいが、おそらくリリアーナには悪魔の笑みに見えただろう。

243 名前:アルナワーズ・アル・アジフ ◆WHO16bBEDg [sage] 投稿日:2007/09/03(月) 20:33:00 0
周囲の視線に応えるようにアルナワーズがそっと手を差し出すと・・・
その指に嵌められた指輪が光り、空中にはっきりとその名を示す!
***リリアーナ=W=モントローズ***
と。
そう、アルナワーズの指に嵌っているのはリリアーナの指輪なのだ。
そしてそれに呼応するようにリリアーナの指に嵌っている指輪が光りだす。
確かにリリアーナの指輪だったが、光と共にかけられていた幻術が解け、元の指輪の姿を現す。
そして、空中にその名を示す。
***アルナワーズ・アル・アジフ***
と・・・!

三等過程卒業者である証の指輪の交換。
この意味を今さら説明する必要はないだろう。
既に会場中がどよめきと祝福の声に満たされている。
『な・な・なああんとぉ!既に指輪の交換まで完了済だぁ!!
この会場にいる全員が証人となりますっ!
リリアーナ=W=モントローズとアルナワーズ・アル・アジフは学園公認カップルとして認められますっ!
そしてええ・・・・・!』
興奮気味なアナウンサーの声と共に、上空にリプレイし続けるリリアーナの姿が消える。

代わりに映ったのは、見慣れない部屋。
壁には一面びっしりと封印術式が彫り込まれており、そこら中に香炉や御札が張ってある。
アルナワーズがラルヴァの部屋に勝手に施した封印をグレードアップさせたような封印の部屋。
家具も独特なものが多い。
しかし、部屋の雰囲気とは全くそぐわないインテリアや家具もある・・・
当人にはわかっただろう。
封印術式の壁や独特な家具はアルナワーズなものだ、と。
そして部屋から妙に浮いてしまっている家具の類はリリアーナのものである、と。

『学園公認カップルの特典として、特別に相部屋を用意!
引越しにはアルナワーズと白百合騎士団、そして女子寮の皆さんに協力を頂きました。ありがとうございます!
勿論学園長の許可もとってあるので遠慮なく使ってください!おめでとう!!!』
そう締めくくり、空の映像はまたリリアーナの映像に切り替わった。

アルナワーズとリリアーナの元へ一斉に押し寄せる友人達。
「私って弱い女だからぁ、あんなふうに迫られたら断れなかったのよ〜。ほほほ。」
指輪をちらつかせながらアルナワーズの高笑いが響き渡る。
そう、アルナワーズは面白ければ人を不幸にもするし、自分が道連れになるのも全く厭わないのだった!

一際大きく夜空を彩る花火の群れは学園のほんの一ページの歴史を景気良く祝福するのだ。

244 名前:ラルヴァ ◆sy1IQNBWp6 [sage エピまではまだありそう(?)] 投稿日:2007/09/04(火) 10:16:10 0
>238
学園裏の森―深部:旧魔法実験室跡―

魔法学園の裏の森の奥深く。以前に新魔法の研究の為に使われていたと思われる施設。
そこを改修した庭園にラルヴァはいた。
夜中にそんな庭園にいるのはあまり褒められた事ではないが、名残惜しさに来てしまった。

咲いた花も、未だ咲かぬ花も、どれも外では見られない奇怪な植物だ。
その庭の中で、ラルヴァは横たわり空を見上げていた。
パーティには・・・何となく気後れして参加していない。
そんな気分にはなれなかったし、そんな気分になれない者がいていいところでもないだろう。

「もうすぐお別れかぁ・・・。」
スプリンクラーから吹き出す水が夜の星に煌めいて、二重の星空のように見える。
「ボクはこれからどうなるのかな・・・・・・。」
正直言って恐ろしくもある。封印を施す為の杖は返却した。
ここからは自分と中のモノとの戦いなのだ。そして、その戦いを続けながら自分のパートナーを探していく。

「残るは、赤・黒・白・・・。」
《外》のとある火山では、火竜が暴れているという。まずはそこに向かうべきだろうか。
赤といえば、やはり火。火といえば龍が代表格・・・。
「己の半身を求め、手に入れた先・・・・・・。」

マリアベルは己の肉親を復活させようとしていた。
そこに共感できてしまう自分がいる。例えこの身が塵となり、消え果ても
あの日犯した罪を贖えるなら――
「・・・・・・無理か。」

例え永き年月を生きた魔法使いでも不可能だった事を、自分には。
「・・・・・・いっそ。」
いっそ死んでしまっていればよかったのに、と今でも思う。
家族に恐怖の目で、その手に握った刃を付きたてられたあの時に。

・・・・・・星空が、滲む。
「どうしたものかな・・・・・・。」

245 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/09/04(火) 18:45:55 O
それは、数分前の出来事だった。
用務員室に帰る道中、学園長からの手紙が来た。
何やら先程の話とは別に個人的な話があるようだそうだ。
すぐに、私は学園長室へ向かい話を聞くことにした。
「…ほっほ、どうやらロックは無事だったようじゃな」
全て分かっているのにわざとらしく学園長は言う。
「あの…お話とは何ですか?まさか、そんなことを言うために」
「まぁまぁ落ち着いてそこにかけなさい…お前さんはせっかちすぎるところがあってしょうがない」
「…はぁ」
私は来客用のソファーに腰をおろしたら。
私がここに座るのは20年ぶりだ。
思えば、ここから私の用務員生活が始まったんだな
「……教頭からは、話を聞いたかね?」
思い出に浸る暇もなくあの件について学園長にとわれる。
「以外……としか言えません。まさか教頭が一番信用していた者の孫だったなんて」
「……恨んでおるか?」
「……私の生き方が間違っていなかったのか…ただそれだけが知りたかっただけなので…」
月明かりと花火の光で彩られた部屋はとても綺麗だが少しばかりの哀愁も感じる。
「………お話は?」
まさかそれだけ?と言いたいような顔で学園長を見た。どうやら、これから本題のようだ。

246 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/09/04(火) 22:51:12 O
学園長が重い口を開けて話したのは転勤についてだった。
どうやら古い友人がやっている学校の人手が足らないらしい。
そこで用務員兼体育教師として5年やることになるそうだ。
もちろん、その間に魔法の修行をその友人がつけてくれるらしい。
「……私なんかでいいんですか?」
一通り話を聞き終えて、私は学園長に訪ねる。
「それに関しては流石のワシも少しばかり迷ったが…アレを見たら迷いが消えたよ」
学園長は自分の顔に拳を付けてそういった。「………え」
あんな感情だけ突っ走ったアレが決め手なんていいの?
「………さて…お前さんはどうするつもりだ?」
ポカンとした私を畳み掛けるように決断を迫る。
「……はい」
いってしまった。
そして、今…会場が最高潮に達している中、アルテリオンはレイドの前に立った。

247 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/09/04(火) 23:25:05 O
ナナ借りたシンプルなドレスとアッサリめなメイクは十二分にアルテリオンの魅力を引き出し…騎士としてではなく、女としてそこにいる。
女として人生最大の決戦に向かうには十分だ。
しかし、今までに愛だ恋だのといったうわっついた事とは無関係な私は緊張しまくっている。
「…………あ……あのぉ!レッレイドきょ…違った。レイドさん!おっおっお話がぁあります!」
顔から火が出るとはこう言うことか
「あのぉあのぉ!えーと…その……あのぉ私…い…以前からレイドさんのことが……」
急に声が出なくなる…緊張かそれか恐怖からかはわからない
たったの一言でいい…たった一言言えれば…
体全体に力を込め…体の底から声を絞り出す。
「…………す『ドーン』」
………終わった。
肝心な一言がよりに花火にかき消されるなんて……いや……まだだ!まだ終わらんよ。
私はレイドさんの頭を掴み、そのまま無理やりキスをした。

248 名前:フリージア ◆cOOmSNbyw6 [sage] 投稿日:2007/09/05(水) 07:01:12 P
いつの間にか眠ってしまったらしいフリージア
ふと上を見上げると
なにやらリリアーナがアルナワーズと公式カップリングにされたみたいな事が聞こえて来た
「……ご愁傷様」
あまりにも気の毒でそれしか言いようがない
フリージアの両手は合掌の形に組まれた

他にやることもないのでとりあえず寮に帰るフリージア
男からのダンスの誘いはガン無視した
今日は本当に色々あった
明日も色々あるだろう
さあ明日からまたがんばろう
そう決意するフリージアであった
そしてフリージアの一番忙しい日は終わりをつげるのであった

249 名前:ヴァンエレン・ブランカート ◆u1rU/e.jL2 [sage] 投稿日:2007/09/05(水) 17:34:41 0
ギルハートが展開した魔方陣より大量の悪魔や魔物が喚起された。
その際にヴァンエレンが過去に契約を結んでしまったがために、下位の悪魔たちと一緒に学園へと降り立ったのだ。
あっちからこっちへと呼び寄せられたときに起こった『バグ』が今回ヴァンを学園に縛りつけた。
『バグ』という鎖の正体を明かさない限りは、永遠にこの境界より外へ出ることは不可能といっていい。
魔法による呪いならばいくらかやりようもあったのだが、召喚術の際によるエラーが起こった事例など皆無だった。
そのため『バグ』の正体が記載されている書物は一切なく、片っ端から召喚や解呪に関する知識を読み漁っている最中である。
あれでもない、これでもないと高速で読んでは投げ、使い魔が本棚から漁っては積んできての繰り返しだった。


「蛇よ、蜘蛛よ、鼠の尾よ、いずこにいるか問い掛ける。
 叩き、今こそ答えるとき。
 彼方より降りかかる外よりの念を解放させたまえ」
 
本より得た新しい解呪の呪文を唱えるが自身にはまったく効果がなく、枷が外れた様子もない。
見事な失敗具合に思わずため息がひとつこぼれた。

いま学園中はお祭り騒ぎになっているため、この図書館には人の気配はカケラもない。
それにいまヴァンが机に寄りかかり、知識の海を乗りこなそうと四苦八苦しているこの場は一般生徒立ち入り禁止区域の階層だ。
祭りをやっているのにそんな危険で目立たぬ場所に誰が好き好んで来るだろうか?
なのに、吸血鬼の失敗を笑う何人かの声が聞こえた。
囁くような音量ではなく、合唱で狂ったように笑う何者たち。
そのあまりの五月蝿さに集中力が途切れたヴァンは「うるさい!」と叱りつけると声はぴったりと止んだ。
大方この図書館に潜む、悪霊か魔物かが久々の同種の来訪に歓喜しているのだろう。
悪霊が笑い、どこかより足音が聞こえ、本から魔物が飛び出し、嬉しいくらいに本が読みにくい環境だ。
かくして困ったやつらに囲まれ、ときたまイタズラをされながら吸血鬼の学習は続いたのだった。

250 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/09/05(水) 18:09:57 O
>>238
>「…祝勝パーティーみたいなものかしら。…一緒に行くのは
冷やかしが面倒だから駄目だけど…会場まで後ろから着いてくるのは自由。」
メラルは振り向かずにそう言うと、立ち去って行ってしまった
(……冷たいなぁ……
…まぁ、あんな会話の後……当然か)
若干早足のメラルを、しばらく遅れて着いて行くキサラ
だが途中ではぐれて、結局迷って大幅に遅れたのは、メラルも知らないかもしれない
===================================
迷いながらも、音を頼りに何とかパーティー会場に着いたキサラ
「わぁ〜〜〜………」
とりあえず驚いた様子で、且つその表情を輝かせていた
何に驚いたかというと、その活気と人の多さであった
キサラは今までこれほどの数の人間を見たことがなかったからだ

251 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M [sage] 投稿日:2007/09/05(水) 19:02:47 0
暫くして、メラルの捜索する場所が次第に奥に
なっていくにつれ、ラルヴァの魔力を感じ取り易くなり、
その位置に向かってメラルが飛んでいった。
そして、庭園の上空で斥力球を使って急停止し、
ゆっくりと降りてくる。ちょっと息が荒いようだ。
「…こんばんわ。ラルヴァ。…マトモに話すのは…これが始めてかしら?」
そして、メラルがラルヴァの近くに着地し、地面に座ると…
サングラスをわざわざ外してラルヴァを見た。そして、話を続ける。
「…あなたも下らない、場を繋ぐ為の話をする気分じゃないでしょうし…
単刀直入に本題を言わせてもらうわ。」
(彼がどうしようと考えているのか。私にはわからない…。
ならば、危険は伴うけど、話を持ちかけることで聞き出すしかない…。
そもそも、今の彼にこの話に乗る行動力はないはずだから…。)
「互いの力について知る為にも…今度、手伝って欲しい事があるの。
恐らく、立ち入り禁止区域の本なら…相応の情報もあるはずだから。」


252 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage マリアベルの遺品を渡したかどうかは、先生にお任せします] 投稿日:2007/09/05(水) 19:11:47 0
>「はぁ〜い、リリィ。 
>将来有望といっても、十年後の姿も胸の大きさはそんなに変わっていなかったじゃなぁい?
>レイド先生はヒンヌー(貧乳)教徒じゃないから無理よ〜。」 
相変わらず神出鬼没である。
どんよりと地面に膝をつくリリアーナを尻目に、アルはコロコロ笑いながら人ごみへと消えた。

>241
>「ん?俺は別に構わんが……。 
>もしかして痴話ゲンカでもしたのか?」
「ロックとは話すらしてませんよ。「心配してたのに損しちゃった。バッカみたい。
 それとロックとははただの友達です。レイド先生まで変なこと言わないでください!」
リリアーナはぷいとそっぽを向いた。
トカルチョの件で本命云々と言われていたのを嫌がっていたから、
皆の誤解を回避すべくロックを苗字で呼んでいたようだが、そんな気配りも吹っ飛んだようだ。
>「まあまあリリアーナさん。まずはこれでも飲んで落ち着いて」
変に頬を上気させた後輩が、リリアーナの手にグラスを押し付けてきた。
話の腰を折られた形になったが、喉が渇いていたのでそのまま飲んでしまった。

――――とたん、リリアーナの顔が真っ赤になった。
どうやら彼女が飲んだものは、フリージアの「ブドウジュース」と同じだったようだ。

極端に酒に弱いリリアーナは、完全に出来上がっていた。
とろんとした目でじいっとレイドを見上げる。
「レイロ先生聞いてくらさいおー。
 らいたいねえ、仲間仲間っていう割にロックはいっつも薄情なのろ。
 馬鹿だから人の気持ち全然考えないろよね〜もうね、付き合いきれらいわよ。
 今日らってアルテリオンさんといちゃくらできるくらい元気なら、
 クドリャフカしゃんのお見舞い行けば良かったのお。あのバ―――― カッ!!
 ね、レイロ先生もそう思うれしょ? 思うわよね?」
まさに言いたい放題である。
エースがあっけに取られているのにも気づかず、リリアーナは尚も続ける。
「なによ何よ、よくよく考えたら年上の素敵な人と文通なんてしちゃってさ。
 いいもんれー。あたしらってラブレターくらいもらうんらから。レイド先生も貰うわおね?
 ・・・っていうかねー私にはフォルティシモなんて一度も貸してくれなかったのにあの人だけずるいわお」
レイドの腕にぶら下ってべらべら喋っていたリリアーナだが、ふいに黙り込んだかと思うと
「フォルティシモ、壊れちゃった・・・・・・・・」
今度はぽろぽろ泣き出した。完全に酔っ払っている。

>「あ、あら〜リリアーナったら気分でも悪いのかなぁ?
 レイド先生〜、ちょっと彼女を保健室連れて行きますね〜」
ここへきてようやく異変に気づいたのか、クラスメート達はそそくさとリリアーナを引きずっていった。

リリアーナがパーティ会場に戻ってきたのは、それから随分後の話だった。


253 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/09/05(水) 19:12:25 0
――――

遠くからワルツの旋律が聞こえてきた。
空からは使い魔達が花びらや、キラキラ光る七色の粉を振りまいたりしている。
とても華やかな夜だった。
あちこちから楽しげな話し声が、漣のように静かに聞こえてくる。宴もそろそろたけなわのようだ。

>250 
「一人で学園長室から消えちゃうから心配してたのよ。迷子にならなくて良かったわね」
ようやく酔いの抜けたリリアーナは、壁の花と化しているキサラに声をかけた。
「指輪、アルから受け取ったわ。ありがと。で・・・どう、楽しんでる?
 ダメだよ〜パーティ会場でそんな愛想の無い顔してたら。誰もキサラに寄って来れないよ〜?
 今回のパーティはキサラの歓迎会もかねてるんだからね〜」
そうはいったものの、反応はイマイチだ。
リリアーナはちょっと考えた後、悪戯っぽく微笑み手を差し出した。
「踊っていただけますか、キサラさん」
何か言いたそうな顔をしたキサラをさえぎり、リリアーナは強引に腕を引く。
「知ってる?この学園ではね、女の子からダンスに誘われたら断わらないのが礼儀なのよ!
 女の子に恥をかかせたら大変よ〜ちっちゃいフィジルカエルに変えられちゃうかも!」
もちろん大嘘である。
「もしかして踊れないの? なら私が教えてあげる。
 キサラは運動神経良さそうだし、すぐに覚えられるわよ〜。ところでメラルさんは?」
リリアーナはきょろきょろ周囲を見渡したが、姿を見つけることは出来なかったようだ。
「まあいいわ。後でメラルさんもダンスに誘ってあげてね。
 ・・・では先輩リリアーナから新入生のキサラ君に質問です。
 この学園に来た感想は? ―――― 皆と上手くやっていけそう?」

254 名前:レイド ◆M07.CI9OF2 [sage] 投稿日:2007/09/05(水) 22:37:55 O
>252誰だ〜、酒なんか用意した奴は〜。
リリアーナさんが酔っ払ってしまわれたぞ〜。

でもまあ、なんだかんだ言って結局はロックの事が好きなんだよな。
ロックは鈍感だからリリアーナの気持ちに気付いてやれないんだろうけど…。
困ったものだね、ロックの鈍感にも、リリアーナの酒癖の悪さにも…。

途中で突然泣き出したリリアーナを何人かのクラスメートが保健室に連れていく。
フォルティシモを壊してしまった罪悪感を感じているんだろうな、きっと…。
「お大事にな〜。」

>242->243それにしてもアルナワーズも随分手の込んだ事をするもんだな。
つーかアレか、リリアーナはそういう趣味だったのか。
まあ、恋には色々な形があるからな、別に止めはせんよ。
好きなものは好きだからしょうがない。
命短し恋せよ乙女、ってな。
>247>「…………あ……あのぉ!レッレイドきょ…違った。レイドさん!おっおっお話がぁあります!」
うわぉ。ビックリした。
俺の目の前にはいつもと違った感じのアルテリオンが立っていた。
鎧ではなくドレスを着てるし、メイクもしている。
こんなアルテリオンは始めて見た。
うん。シンプルな感じのドレスがまた良いね。
っていうか珍しいな、アルテリオンが人をさん付けで呼ぶなんてさ。
>「あのぉあのぉ!えーと…その……あのぉ私…い…以前からレイドさんのことが……」
おろ?
これはもしかして愛の告白ってやつですかい?
>「…………す『ドーン』」
オイ!
ベタ過ぎだろ花火!!
空気読めっての!
しかし次の瞬間アルテリオンは俺の頭を掴むと無理矢理キスをした。
何秒経っただろうか?
俺は唇を離すと、サングラスを外し、アルテリオンの目を見た。
「ありがとうな、アル。
そしてスマン。
こういう事は男の俺が先に言うべきだったんだろうけど…。」
そしてもう一度アルテリオンを強く抱きしめ、彼女にだけ聞こえるように囁いた。
「俺もずっと好きだったよ。」

255 名前:ラルヴァ ◆sy1IQNBWp6 [sage] 投稿日:2007/09/06(木) 11:33:15 0
>251
茫とした瞳で空を見上げていると、誰かが降りてきた。
あれは・・・
>「…こんばんわ。ラルヴァ。…マトモに話すのは…これが始めてかしら?」
「やぁ、パーティはどうしたのかな?ボクは人が多いところが苦手だから、不参加ってやつだけど」

寝転がったままでメラルに挨拶を返す。メラルの側からは、やはりフードの闇が顔を隠して
《瞳》は見えなくなっているはずだ。
>「…あなたも下らない、場を繋ぐ為の話をする気分じゃないでしょうし…単刀直入に本題を言わせてもらうわ。」
>「互いの力について知る為にも…今度、手伝って欲しい事があるの。恐らく、立ち入り禁止区域の本なら…相応の情報もあるはずだから。」

「んー・・・・・・ん、ん。残念だけどね、メラル。それはできないんだ。
 まだ殆どの人には知られてないはずだけれど・・・。ボクは今度学園を自主退学して外に出るからね。
 だから何か手伝えるとしたら今ぐらいしかないけれど・・・?」
ラルヴァの顔は目深にかぶったフードでほぼ口元ぐらいしか見えない。
故にそこから感情を読み取るのはかなり困難だ。

256 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M [sage] 投稿日:2007/09/07(金) 14:58:06 0
>「やぁ、パーティはどうしたのかな?ボクは人が多いところが苦手だから、不参加ってやつだけど」
「私は…そういう気分にもなれなかったから、心配かけない程度の顔出しをして抜けてきたわ。」
メラルには、フードの奥は当然見えない。感情を表情から読み取るのは・・・無理だった。
もちろん、この話で判断できる事は…対応がしっかりしているという事だけだ。

そして、メラルの持ちかけた話に、ラルヴァが答えた。
>「んー・・・・・・ん、ん。残念だけどね、メラル。それはできないんだ。
  まだ殆どの人には知られてないはずだけれど・・・。ボクは今度学園を自主退学して外に出るからね。
  だから何か手伝えるとしたら今ぐらいしかないけれど・・・?」
(自主退学…。原因は、言うまでもないわね。でも、これをこんなにあっさり話すってことは…。)
メラルが、暫し悩んでから・・・話を続けた。話の内容の割には、表情には真剣さ以外の感情が現れていない。
何か別の考えがあるのだろうか。それとも、単にポーカーフェイスなだけか。
「…今しかない…なら、いくつか、お願いがあるの。」
そして、ラルヴァの顔を見て、少し間をおく。そして話を再開する。
「あなたは自主退学する事をこんなにあっさりと話してくれた。
 多分…相応の覚悟をしてるんでしょうね。昔の私みたいに、
 自棄になって、死ぬ為に動いてる訳じゃない。
 …もちろん、私に止める事なんて出来ない。でも…」
メラルが杖から水晶球を外し、占術の準備を始める。
「知っての通り…いえ、それ以外も含めて私も色々と抱え込んでるから、かしら。
 あなたの件を、他人事と割り切れないの。」
そして、また間を少しおく。ここで…初めて表情に柔らかさが出た。
「…だから…私に出来る、手伝いをさせて欲しいの。」

先日リリアーナ達に行った占いとは違い、紙すら用意していない…
一件簡素に見える占い。その準備が…整った。
「後、これは出来たらだけど…もし、状況が好転したらこれで
 知らせて欲しいの。きっと、励みになりそうだから。」
メラルが、ポケットから指輪を取り出して手渡した。
「…知ってるかもしれないけど…これは普段どこにいるかもわからない
 旅行者に円滑に手紙とかを届けたり、逆に出させたりする為のマジックアイテム。
 もちろん…調べて欲しい事がある時も連絡してくれて構わないわ。私なりに調べてみるから。」
言うまでもないことだが、初対面ではないにしろ、今までろくに話もしなかった
相手に対してする行動としては…行き過ぎている。自分と似た…いや、ある意味自分以上に辛い
制御しきれない力という業を背負っている相手だからこそか。それとも、それ以外にも何かあるのだろうか。

「じゃあ、始めるわね。」
そして、メラルが占いを始めた。

257 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/09/08(土) 13:02:47 O
>>253
> 「一人で学園長室から消えちゃうから心配してたのよ。迷子にならなくて良かったわね」
暫くして、リリアーナが話しかけてくる
辺りは音楽や人の声などで、とても騒がしい
銃の轟音よりもザワザワとうるさいが、銃の音と違って…どこか心地良い
(…ホントは迷った…けど)

> 「指輪、アルから受け取ったわ。ありがと。で・・・どう、楽しんでる?
「こんなに人がいて……どうしたらいいかわかりません…」
>  ダメだよ〜パーティ会場でそんな愛想の無い顔してたら。誰もキサラに寄って来れないよ〜?
「え…っ……」
もっともキサラにとっては、
これでも自分でも不思議なぐらい表情が出ているのだが
>  今回のパーティはキサラの歓迎会もかねてるんだからね〜」
「そ……そんなこと…言われても…」
そもそも、キサラにとってこの学園にいることが想定外の出来事なのだ
いずれにしろ、人付き合いが苦手な彼にとって、自分から出ていくのは難しいだろう
反応が薄いのも無理はない


258 名前:キサラ ◆h9ZTufDZPo [sage] 投稿日:2007/09/08(土) 13:20:53 O
すると、しばらく考えたリリアーナは悪戯っぽく微笑み手を差し出した。
> 「踊っていただけますか、キサラさん」
「は…はい?」
予想外云々を通り越した発言だった
キサラの発言を待たず、リリアーナは強引に腕を引く
> 「知ってる?この学園ではね、女の子からダンスに誘われたら断わらないのが礼儀なのよ!
>  女の子に恥をかかせたら大変よ〜ちっちゃいフィジルカエルき変えられちゃうかも!」
「は……はあ………」
まぁ、当の本人は何を言っているのかわからないようすだが
>「もしかして踊れないの?なら私が教えてあげる。
キサラは運動神経良さそうだし、すぐに覚えられるわよ〜。
(…なんだか最近アルワナーズさんに似てきたのは気のせいかな…)
最近もなにも会って間もないのだが
>ところでメラルさんは?」
「えっ…あ……知らないです」
>「まあいいわ…後でメラルさんもダンスに誘ってあげてね
「そ…それって…僕がですか?」
ただでさえ今リリアーナと手を繋いでいるだけで顔が真っ赤なのに、
自分から誘うなどは不可能だろう、多分
「…では先輩リリアーナから新入生のキサラ君に質問です。
この学園に来た感想は?
皆と上手くやっていけそう?」
「……まだ…よくわかりません」
暫く間を空けてから答えを言うキサラ
「…魔法とかも僕は全然わからないし……人間との付き合い方も…
何もかも、僕は初めてですから」
少し苦笑するキサラ
=========================
一段落して、キサラが学園長に呼ばれた
キサラはリリアーナに一言断ってからその方向へ向かい、二言三言話してからリリアーナの方へ帰ってきた
「…えっと…明日から早速魔法に関しての基礎知識の勉強とか…
初期研修みたいなのとか…色々あるみたいで
…リリアーナさんたちとは…暫く会えないかもしれないみたいです
…今からもいろんな検査とかあるみたいで……ここで失礼します」
ピョコンと小さくおじぎをするキサラ
大の男がやると正直キモいが、キサラがやるとどこかかわいらしい
「……ダンス…誘ってくれてありがとうございました
…他の皆さんにも…よろしく言っておいてください」
そう言って、キサラは学園長と共に行ってしまった

259 名前:ラルヴァ ◆sy1IQNBWp6 [sage] 投稿日:2007/09/08(土) 20:41:31 0
>256
>「…だから…私に出来る、手伝いをさせて欲しいの。」
「まぁ・・・餞別だと思ってありがたく、お願いするよ。」

メラルが取り出した指輪を預かり、占術の仕度の様子を眺める。

「じゃあ、ボクからは代わりにこれをあげるよ。」
と言って、ラルヴァは傍らに転がしてあった杖を差し出す。
黄色の植物の根が二本、透明な棒に絡みあったような杖だ。
実際は中が空洞になっているのだが。

「錬金術専攻の人が作った失敗作で《虚の杖》っていうんだよ。
 持ち主の意思に従って色々な形に姿を変える。体に纏うこともできるよ。
 特性は簡単に言えば、魔力を通しづらいってこと。」
つまり身に纏えば魔力から身を守る鎧となる。
代わりに自分が魔法を使う時は通常時の3倍位魔力を込めないと発動すらしないけれどね
と付け加える。

「占い、かぁ・・・。あ、杖はあげるからね。まぁ、これからの僕には持ってても無用だからね。」

260 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/09/09(日) 09:30:37 0
>257-258
>「…魔法とかも僕は全然わからないし……人間との付き合い方も… 
>何もかも、僕は初めてですから」 
リリアーナはああ、と頷くと軽やかに笑った。
「そうなの。んー。そうね。キサラは魔法の知識無いみたいだし、最初は幼年部の子と学ぶことになるかもね」
魔法だけでなく人との関わりあいを学ぶ上でも、キサラにとってはいい経験になるだろう。
だが幼年部と聞いたとたん、キサラの顔が曇った。
(相変わらずのポーカーフェイスだが、何とな〜く気配で喜怒哀楽が読めるようになった気がする)
「大丈夫大丈夫、そう長い期間にはならないと思うわ。
 自分じゃ気づいてないみたいだけど、キサラ結構素質あると思うのよ。
 だってマリアベルの魔法障壁をものともしないで接近戦に持ち込めたんだから。
 それに魔法が使えない以外の身体的技能は殆どクリア出来てるもの。
 魔法のコツさえ掴めれば後は早いんじゃないかな〜?」

余韻を残し、静かにワルツの旋律が止まった。リリアーナは優雅に礼をした。
「ま、何事も実践あるのみ、よ! ・・・頑張ってね」
ぽんと肩を叩いたリリアーナの言葉は、果たして何に対してだったのやら。

壁際に向かうリリアーナの背後では、ずっと遠巻きにしていた生徒達がキサラに声をかけていた。
リリアーナは心の中でガッツポーズをした。
「やった〜!皆もキサラに声をかけやすくなったみたいよね〜作戦大成功!」

しばらくすると学園長がやってきた。慌ててリリアーナが居住まいを正した。
てっきりカドゥケウスについて話があるのかと思ったのだが、どうやら用があるのはキサラらしい。

キサラの話だと、なんでも今から学園生活のための準備に掛かるらしい。
>「……ダンス…誘ってくれてありがとうございました 
>…他の皆さんにも…よろしく言っておいてください」 
リリアーナは残念そうに頷く。
「分かったわ、伝えておく。
 キサラ、学園生活で何か困ったことがあったらちゃんと言うのよ?私で良ければいつでも力になるからね!」
リリアーナはキサラの背をぽんと押すと、「またね」と送り出した。

「がんばるのよ、キサラ」
キサラは何も話さないが、彼がまっとうな人生を歩いていないことはリリアーナも薄々感じていた。
彼には人として、大きく欠落した影の部分がある。
学園生活で人とふれあう事で、彼の欠けたままの心のピースが少しでも満たされれば
――――そう、祈らずにはいられなかった。


さて。
このまま何事も無く終るとばかり思っていたパーティだが、生憎そうは問屋が卸さなかった。
そう、言わずと知れた『くろいあくま』(※リリアーナ談)の存在である。

261 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/09/09(日) 09:42:34 0
花火の音に紛れて、トトカルチョがどうとか司会者が叫んでいる。
(私は誰とも付き合い申し込まれてないし、賭けはとっくに無効でしょ)
などと軽く考えていたリリアーナは、認識が甘かったようだ。

>「じゃあアルナワーズ・アル・アジフ!あなたが私と付き合ってよ!!」
危うく飲んでいたフルーツパンチを噴きそうになった。
>「「「「うおおおおお!!!」」」
>『な・な・なあああんとぉおおお!
>大外も大外!まさに枠外のアルナワーズだああああ!

盛大にむせ続けるリリアーナを嘲笑うかのように、夜空のスクリーンは同じ映像をリプレイしつづける。
悪い夢なら今すぐ醒めて欲しい。
当然のように前後のやり取りは綺麗さっぱり編集で割愛されていた。
どう見ても愛の告白です本当に(ry

「ちゃんと忠告したのだけど、ちょっと遅かったわねぇ。」 
肩をすくめながらそっと囁き、アルが悪魔の笑みを浮かべた。
優しい微笑だが、リリアーナは全身が総毛だった。
(誰のせいよ、誰の!!!)
リリアーナは必死でアルの指輪を抜こうとしたが、なぜか呪いのアイテムのように指から離れない。
むせて涙目になりながらも、違う違うと全身で否定するリリアーナだったが――――。
>『な・な・なああんとぉ!既に指輪の交換まで完了済だぁ!! 
>この会場にいる全員が証人となりますっ! 
>リリアーナ=W=モントローズとアルナワーズ・アル・アジフは学園公認カップルとして認められますっ!
――――あいにく、誰も気づきもしなかった。

「違・・違う!これは誤解よ!アレはあくまで言葉のあやで・・・!
 そ、そうよ、フリージアなら証言してくれるわ、彼女ちゃんと見てたもん!
 指輪だって私がキサラに貸したものでアルが友達を通して届けてくれて・・・
 フリージア、フリージアー!!どこにいるの、お願いだから助けてよーっ!!!」

リリアーナの血の叫びは、照れ隠しとして華麗にスルーされた。
指輪まで既に交換済みなのだから当然である。
ちなみに、頼みの綱のフリージアは今眠っており、目覚めるのはもう少し後になる。

司会者は尚もハイテンションで叫びつづける。
ぱっとスクリーンの画面が切り替わった。
目の前にはある意味衝撃的な映像が広がっていた。
エスニック調の見慣れぬ家具に紛れて、浮きまくった家具や荷物。
どれも全部リリアーナの私物であった。
(っていうかどこかに隠し幻灯機無いの?ドッキリだって言ってよ!うわあぁぁああん!!!)
リリアーナの叫びも空しく、いつまで待ってもドッキリの看板も幻灯機も出てこなかった。
――――気づいたときにはチェックメイトというあたり、アルも策士である。
これでリリアーナがアルの本命なら、ある意味手回しのよさは感動的とも言えるのだが・・・。

262 名前:リリアーナ ◆7O/3IU/E7M [sage] 投稿日:2007/09/09(日) 09:43:53 0

「何でこんなことするのよ!アルだって好きな人の一人や二人いるんじゃないの?!
 その人に誤解されたら困るとか思わないの?!」
リリアーナが詰め寄るが、アルは相変わらず涼しい顔だ。
「それに何なのよ、あのこれでもかっ! ってばかりに厳重な封印術式や香炉や御札は?!
 ま・・・まさかとは思うけど、アル、部屋にお化け飼ってるわけ?!」
アルはネズミをいたぶる猫のように人の悪い笑みを浮かべると、リリアーナの耳元で何か囁いた。
リリアーナの顔が見る見る蒼白になっていった。

>『学園公認カップルの特典として、特別に相部屋を用意! 
>引越しにはアルナワーズと白百合騎士団、そして女子寮の皆さんに協力を頂きました。ありがとうございます! 
>勿論学園長の許可もとってあるので遠慮なく使ってください!おめでとう!!!』 

>そう締めくくり、空の映像はまたリリアーナの映像に切り替わった。 
リリアーナは真っ白な灰になっていた。
小刻みに震えながら涙を浮かべる彼女の姿は、一体どう解釈されたのだろう?

アルナワーズとリリアーナの元へ一斉に押し寄せる友人達。 
「私って弱い女だからぁ、あんなふうに迫られたら断れなかったのよ〜。ほほほ。」 
指輪をちらつかせながらアルナワーズの高笑いが響き渡る中、リリアーナはどん底であった。 

「まーリリアーナもさ、もっといろんな人と付き合って経験と見聞を広げてもいい頃じゃない?」
「そうそう!女同士だって別に差別したりしないわよ、友達だもん」
「今夜は二人で過ごす最初の夜なわけよね?あはは!頑張ってね〜!」
リリアーナを肴に皆妙にハイテンションで盛り上がっている。
ちなみに、リリアーナが誰をどう思っているかなど、友人達の間では公然の秘密である。
リリアーナは半分魂が抜けかけながら、一人ドナドナの歌を口ずさんでいた。

リリアーナの長い長い一日は、まだまだ終りそうにない。

263 名前:アルテリオン ◆xpIzi22gbg [sage] 投稿日:2007/09/10(月) 00:52:02 O
初めてのキスはなんというかその…甘くてでも少し苦くて切ない味がした。
レイドさんは私を抱き締めるとお返しに耳元で囁く。
キスの段階で私の脳は十分に蕩けているのに、その言葉を聞いた瞬間…私の目から涙が溢れる。
「…嬉しいです。」
震える声で囁き返し、泣き顔を見せまいと苦しまない程度に力を込めて抱き締める。
そして、私は言うつもりもないあの言葉を口にした。
「私…初めてですから…優しくして貰えますか?」


「………私…1週間後に転勤することになりました」
行為を終えた後、私は言わなくてはいけないことを話始めた。
もちろん、長期休暇のときは、帰ってくるとも伝えたし、手紙だって書くと伝えた。
レイドさんは、何も言わずただ黙って聞くだけだった。
「…五年…待ってもらえますか?帰ってきたら………いや、レイドさんからソレを聞きたいなぁ」

一週間後、猫耳の騎士の姿は消えた。

264 名前:レイド ◆/WMafRRMoA [sage] 投稿日:2007/09/10(月) 12:38:21 O
アルテリオンが居なくなってからというもの、俺は憂鬱な日常生活を送っていた。
「んじゃこれから授業を始めるぞ〜…。
えっと…今日は………自習で良いや。」
>「やったー!けど前の時間も、その前の時間も自習じゃありませんでしたっけ?」
「あれ?そうだっけ?
まあ、とりあえず今日は自習って事で。
あんまりうるさくしないでね。」
最近ずっとこんな調子だ。
授業すらマトモにする気が起きない。
>「レイド先生、最近ちょっと変ですよ?
前にも増してボ〜ッとしてるし、前よりタバコの本数増えてます。」
「うるへ〜。こっちは憂鬱で死にそうなんだよ。
毎日が憂鬱で、退屈だ…。
ハァ……。
長すぎるよなぁ…五年って。」
>「いいじゃないですか、手紙送ってくれるんでしょ?
それに長期休暇の時は帰って来るんだし…。
意外と寂しがり屋なんですねぇ…。」
「半年間くらいの長期休暇無いかな〜。」
「(駄目だこの人…。)」

楽しい時間というものはあっという間に過ぎてしまうが、退屈・憂鬱な時間はなかなか過ぎないものだ。
分かるだろ?この気持ち。
それと同じように、アルテリオンが転勤するまでの一週間は凄く短かった。
そして帰って来るまでの五年間はとてつもなく長いだろう。
アルテリオンから事情を聞いた時は流石にビビった。
しかし騒いだところで後の祭。
ここは男らしく黙って送り出してやろうじゃないか。
そんで五年して帰ってきたら、今度は俺が言うんだ。
「結婚しよう。」
ってな。

265 名前: ◆M07.CI9OF2 [sage] 投稿日:2007/09/10(月) 12:39:52 O
>264トリ間違えた
スマン

266 名前:メラル ◆1LtyyBHC/M [sage] 投稿日:2007/09/10(月) 15:41:52 0
「ありがとう。…大切にするわ。」
(…魔力を通し辛い…身を隠すのにも使えそうね。
…無用というのは引っかかるけど…それも…。)
メラルは、その杖の影響で占いに、魔力を過剰に裂く事にならないよう、
一度受け取ってから脇に置いた。

================================================================

占いを始めたメラルは…目を閉じて、何かの呪文を唱えながら
水晶球に魔力を送っているようだ。数分して、呪文の詠唱は止まったが、
まだメラルは目を閉じていて、魔力を送り続けている。

かなりの時間が経って…水晶球の上に、光球が現れ…それが十枚程の紙に姿を変える。
そして、メラルはそれに目も通さずにラルヴァに手渡した。
「…どんな結果が出たかはわからない。でも…それは、あくまで私の占いが無かった時に
 起こる可能性が最も高かった未来の一つに過ぎない。占いは万能の未来予知じゃないの。
 …例えよい結果だとしてもそれに安心し努力を怠れば悲劇を招くかもしれない。
 例え悪い結果だとしてもそれを見て行動を変え、一層の努力をすれば
 よい結果を導き出せるかもしれない。…占いというのは…そういうもの。」
メラルが虚の杖と…水晶球を接続しなおした元の杖を手に取り、立ち上がる。

「…ラルヴァ。また、あなたと会える事を祈ってるわ。…御武運を。」
そして、メラルは…飛行するわけではなく、徒歩でその場を去っていった。

================================================================


結局メラルはそれ以降、パーティー会場には顔を見せなかった。
一人、自室のベッドに体を落ち着かせて呟く。
「…想像もしなかったわね。たった二日で、ここまで状況が変わるなんて…。
 でも…大事なのはこれから。自分の力と本当に向き合わなきゃいけないのは
 これからだから。…私も。…そして、恐らく彼も。」
メラルが、壁に固定した三本の杖…つまり、元の杖、紫水晶の杖、虚の杖を眺めてから続けた。
そして、最後に元の杖から取り外されて枕元に置いてある水晶球を見る。
「…エミュー。これからも…お願いね。…おやすみなさい。」

そしてメラルは目を閉じた。…明日からは…今までよりも少し忙しい学園生活が始まる。


267 名前:ラルヴァ ◆sy1IQNBWp6 [sage] 投稿日:2007/09/10(月) 21:46:55 0
>266
メラルは自分に紙の束を渡すと、簡潔に去っていった。
ラルヴァはというと、寝転がったままそれをぺらりとめくって読んでいる。

「可能性は所詮可能性に過ぎないといっても・・・結局可能性が高いんならつまりはそういうことなんだよね。」
あまり感情を表に出さないクラスメートだけれど、心遣いはありがたい。

メラルが大分遠くへ行ったのを確かめてから、ようやく重い腰を上げる。
向かう先は花畑のそばの建物。自分がそこを発見して改修しておいた建物。
自分で実戦的な魔法を構築した時に、その実験のために作っていた場所だ。

そこにある装置を動かす。
今回だけ、という条件ですでに学園長の許可は得ている。
薄暗い部屋に紫電が走り、何も無かった壁の一角に『扉』が現れる。

一度だけ、窓から見える学園の影を見やる。
自分がここに戻ってくるのかはわからない。
また戻ってこなかったとしても、この学園ではまた魔法使い達が育っていくだろう。
ここはそういう場所だ。

――――扉を開ける。
純白の光がその向こう側から溢れてくる。
ここからは自分の戦いだ。でも自分だけの戦いでもないんだ。
一瞬だけ、振り返る。『また』があるか分からない・・・
だからこう言うのだ。

ラルヴァ「じゃあね―――」

扉は閉ざされ、何も無かった壁へと戻る。
紫電を放つ装置はすでに物言わぬがらくたと化した。
薄暗い室内の窓から見える学園。
満天の星空に、ひときわ大きな花火が輝き・・・・・・散った

この日を境に、ラルヴァは学園から姿を消した。
生徒の大半がその事実を知るのはあくる日の朝の事だった・・・・・・

268 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2007/09/12(水) 22:18:20 O
テスト

269 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2007/09/12(水) 22:26:17 O
その頃ネコミミのおっさんは

270 名前:マリアベル エビローグ ◆jWBUJ7IJ6Y [sage続く] 投稿日:2007/09/12(水) 22:31:29 O
マリアベルは今、一つの扉の前に立っていた。
(このドア…前に見たことあるな。)
マリアベルはいつどこで、この扉を見たか思い出そうとした。
(そうだ…竜の熱い息に焼かれた時、凍てついた海に落ちて内蔵が破裂した時、
雷に焦がされ、とめどなく血を噴き出した時、いつもこの扉の前に俺は立っていた。)
マリアベルはふっと笑った。
(でも、この扉が開いた事など、今まで一度もなかった。)
マリアベルは“開かずの扉”を指でなでながら、何故再びこの扉の前に立ったのか?
ここに来るまでに、誰かが側にいた気がしたが、それは誰なのか?と考えた。
結局、それらを思い出す事はマリアベルには出来なかった。
何故なら、間も無く彼を驚嘆させる出来事が起きたからだ。
開いている…開いているのだこの扉が!ほんの数センチの隙間であるが確かに開いている!
マリアベルが手で軽く押すと、扉は音も無く滑り、その先に広がる“光”をマリアベルに見せた。
(………綺麗だ。)
マリアベルは半世紀ぶりにそう思い、光の射す方へ歩き始めた。

誕生、母との別れ、養父との出会い、魔法の覚醒、悪魔との契り……
一歩一歩踏み出す度に、マリアベルの人生が、彼の頭の中で走馬灯のように流れた。
マリアベルはそれが自身の死を意味しているとわかっていた。
わかっていたが、どうしても歩みを止める事ができなかった。
前方の光があまりにも眩しくて、あまりにも気持ちがよかったからだ。
そして、マリアベルの体は…いや、彼が自分の体だと思いこんでいた物が今、光の中に入った。
「あぁ、そうか。そういうことだったのか。」
マリアベルは、死を忌み嫌い、生に執着したがためにわからなかった事をやっと悟ったのだ。
「いつも、俺の側にいたんだね、母さん。そんな簡単な事を今になってやっと気づいたよ。」
マリアベルを形作っていた悲しみの輪郭が徐々にぼやけていき、光の中に溶けていった。
そして、始まるのだ。マリアベルの新しい旅が。

ある時は雨となり、乾いた大地を潤した。
ある時は星となり、詩人に新しい物語を与えた。
またある時は、蛹からでたばかりの蝶が、空へ羽ばたくための力となった。
マリアベルは、かつて数多の先人達がそうであったように、
全ての世界を絶えず廻り続けるエネルギーになった。
マリアベルはもう、悲しいとも、寂しいとも感じなかった。
何故なら、彼は彼の母親と共に森羅万象と繋がっているからだ。
そして、今日もまた彼は廻り続ける。彼の魂が、天地と一つとなるように。


271 名前: ◆jWBUJ7IJ6Y [sageまだ続く] 本日のレス 投稿日:2007/09/13(木) 21:57:50 O
学園長は顔を上げて、自分を見つめているアンジェリーナの方へ顔を向けた。

ここは学園長室。アンジェリーナは来客用の椅子に浅く腰をかけていた。
そして、学園長は自分の椅子に深く腰をかけ、
羊皮紙三巻き半にもおよぶ物語をいっきに読んでいた。
その物語の名前は『魔法少女達の冒険・合わせ鏡の果てに』である。
これはアンジェリーナが、今回の一連の事件を書き記したものだ。
>「…誤字じゃ。」
学園長はそれだけ言って、羊皮紙を指差した。
見れば、『マリアベル エピローグ』となるべきところが、
『マリアベル エビローグ』と間違って書かれている。
「…うん。」
アンジェリーナはそう少し唸ってから、羊皮紙を受けとり、その部分を修正し始めた。
>「まずは誉めるべきじゃろうか?短い期間でよくまとめたものじゃ」
「昔から物語が好きでした。ページを開けば、好きな世界に飛んで行ける。
 例えば、大空を自由に飛ぶ事と似ているかもしれないわ。」
アンジェリーナは羊皮紙を愛しむように指で撫でた。
「これも、私の大切な物語。痛みを伴ったけど、最後は幸せな結末が待っててくれた。」
>「聞きたいのは、その最後のマリアベルの章の事じゃ。」
アンジェリーナは羊皮紙にふっと息を吹き、消しカスを飛ばしながら耳を傾けた。
>「それは君の推測かね?それとも希望かね?あるいは君の信仰では死者はこうあるべきなのかね?」
「その全てよ。」
アンジェリーナはあっさりとした口調で言った。
>「なるほど、ではもう一つ聞かせてほしい。これには登場人物のエピローグが丁寧に書かれておるが、
> アンジェリーナ、君のエピローグが無いのは何故かね?」
「それは私より、もっとふさわしい人間が書くからよ。私の結末を決めるのに、一番ふさわしい人間が。」
アンジェリーナはすっと立ち上がり、窓の前に立った。
夜明け前の空は、東の方がすでに暁色に染まりつつある。
「もう行くわ。」
そう学園長に言って、アンジェリーナは窓から外へ飛び出し………


272 名前: ◆jWBUJ7IJ6Y [sageさらに続く] 本日のレス 投稿日:2007/09/13(木) 22:33:45 O
アンジェリーナの旅は終わった。彼女が求め続けた彼女の父親、
マリアベルが、ついにその長い人生を終えたからだ。
アンジェリーナの愛も、憎しみも、義務も、執着も、全てマリアベルと共に死んだ。

現世に残っている、彼の魂の器…ロックは彼女の父親になろうとは思わなかった。
アンジェリーナもまた、特にそれを望まなかった。しかし、ただ一つ望んだことがある。
それはロックに、自分のエピローグを書いてもらう事だった。

ロックは手に巻いた羊皮紙を握り、夜明け前の空を窓から眺めていた。
ここは男子寮の69号室、ロックの部屋だ。太陽が昇る。
その眩しさに目を細めながらもロックは見た。こちらに飛んでくる者を。
雪のように白いフクロウ、その名はアウル。
ロックは何故アウルがこちらに来たかをちゃんとわかっていたし、
また予定通りの時間だったので、アウルのために角切りのリンゴを用意することができた。
「おかえり、アウル。」
ロックは白いフクロウを迎え入れた。

ほどなくして、ロックは羊皮紙をアウルに渡した。
>「ホー」
しかし、アウルは受け取らなかった。理由は簡単だ。ロックが持っていたこの羊皮紙、
これにはアンジェリーナのエピローグ、というより今後の生き方が書かれている筈だった。
ところが、ロックは羊皮紙に何も書かなかったのだ。
「アウル、アンジェリーナに言ってやれ。それは自分の手で書けとな。」
>「ホー」
それでも納得しないアウル。
「わからないか、アウル?」
ロックは白紙の羊皮紙を指して言った。
「これが人生だ。」
アウルはしばらくロックを見つめていたが、
ついに、やれやれとばかりに羊皮紙をくわえて飛び去った。


273 名前: ◆jWBUJ7IJ6Y [sage連投すまん、これで終わり] 本日のレス 投稿日:2007/09/13(木) 22:36:17 O
生きるとは何なのか?死ぬとは何なのか?
生きていさえすれば幸せなのか?死にも幸せは見いだせないのか?

マリアベルは、生きる事こそ至上であると考え、そのために、本来見つけられた筈の幸せを掴めなかった。
死を自分から遠ざけようとした代償に、人らしく生きる事を、放棄せざるおえなくなったのだ。

では、アンジェリーナはどうだろうか?彼女は自分の命を、いとも簡単に、他者のために捨てようとした。
それは、いかにも気高い行いのように見えるだろう。しかし、あまりに軽すぎる命ではあるまいか?
彼女が死ねば、少なくともロックは悲しむ。アンジェリーナは少しでもその事を考えただろうか?

生と死は、古来から哲学者や詩人が好んでテーマに選んだ通り、
難解であり、また魅力的な問題だ。さすれば、ここは学園長の言葉で締めくくりたいと思う。



「…それを理解するには、我々はまだ、あまりに幼すぎるのじゃよ。」


魔法少女と冒険するスレ 4thシーズン

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