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【TRPG】ギルドアドベンチャー【ファンタジー】

1 :メルティ:2014/03/21(金) 05:35:35.83 0
ジャンル:ファンタジー
コンセプト:何でも屋ギルドの一員となって冒険
期間(目安):シナリオによりけり
最低参加人数:3
GM:あり※シナリオを担当したい場合は交代します。
決定リール:あり
○日ルール:七日
版権・越境:ナシ
敵役参加:基本ナシ
避難所の有無:あり

この王国には金さえ払えば何でもやるギルドがある!
ベビーシッター!ハイッよろこんで!
輸送車の護衛!まかせとけ!
ダンジョン攻略!合点だ!
夕飯の支度!カレーでいいじゃん!
暗殺依頼!・・・そういうのはちょっと

とにかく、汚れ仕事以外なら何でもやるギルドが存在する。
その名も何でも屋ギルド「銀の杯団」!
ここで君は平凡からかけ離れた日常を送ることになるだろう

ギルドアドベンチャーここに開幕!

2 :名無しになりきれ:2014/03/21(金) 05:36:26.69 0
ギルドアドベンチャーの避難所
http://774san.sakura.ne.jp/test/read.cgi/hinanjo/1395328705/

3 :メルティ ◆kEgNZfTROQ :2014/03/21(金) 06:45:23.44 0
レギュレーション

種族について:特に制限は無し、ただし、あまりにも度が過ぎたものに関してはNGが出るかも
文明について:世界観的には中世に近い、科学技術と魔術もそれなりに発達し
       人が乗れるゴーレムやあまり浸透していないが銃火器のたぐいも存在している
ジョブについて:特に制限は無し、しかし、これも度が過ぎていた場合NGが出るかも
その他:細かい設定等々は各々で出しても問題ナシ、しかし、クエスト進行に関わる場合は応相談

設定
【銀の杯団本部】
ギルドの拠点、普段は「銀の杯亭」という酒場を営んでいる。
もちろん、従業員はギルドメンバーが当番制で働いている。
二階建てになっており、一階が酒場で二階にはギルドメンバーが経営している子店が集まっている。
敷地内には、ギルドメンバーの寄宿舎があり、そこで生活をしている。
【王国】
ルミエリア王国、海に面しており公益が盛ん
治安はほどほどによく、目立った不安もない。
ちなみに銀の杯団は王国の認可を受けているので、有事の場合は呼び出しがかかることもある。

4 :メルティ ◆kEgNZfTROQ :2014/03/21(金) 06:45:58.27 0
名前・メルティ=アイスマンテ
種族・ヒューマン
性別・女
年齢・28歳
ジョブ・【団長】戦士
性格・わがまま、いい加減
髪型・銀髪のショートヘア
容姿・サラシにホットパンツ、
   長身でバランスのとれた体系、褐色肌
装備・片刃のショートソード(刀身が分厚い)、スモールシールド
備考・普段はサンダルだが、仕事のときはグリーブを装着する。
好きなもの・お酒、冒険、イケメン、料理
苦手なもの・寒いところ、アンデッドの類
うわさ1・婚期を逃して少し焦っているらしい
うわさ2・若い頃、罰として闘技場で金稼ぎさせられていたらしい

5 :メルティ ◆kEgNZfTROQ :2014/03/21(金) 06:51:21.88 0
現在参加者募集中

参加表明等は>>2の避難所でお願いします。

6 :名無しになりきれ:2014/03/21(金) 18:45:41.71 0
盗賊が突如出現

3人はいると思われる

血に飢えた盗賊どもは下半身を露出しつつメルティに襲い掛かる
しかも全員イケメンだ
ちなみに下半身を露出した理由は倒した後すぐ犯すためである

どうするメルティ?!!!

7 :名無しになりきれ:2014/03/24(月) 09:05:58.90 0
>>6
キモッ

8 : ◆kEgNZfTROQ :2014/03/24(月) 22:22:49.14 0
〔銀の杯団寄宿舎〜大食堂にて〜〕
銀の杯団の朝は朝食前の朝礼から始まる。
これはギルドを立ち上げた先代の団長が始めた習慣で
乱れがちな団員の生活リズムの矯正と団員達の結束力を育むことを目的として行われているのだが…
団員の皆が席についている中、団長の席だけが未だにぽっかりと空いている。
その様を見て、副団長であるマックスは一つため息をもらしてから声をかけた
「これから朝礼を始める!諸君、おはよう!」
こうして団長のいないまま朝礼が始まる。
朝礼にて話すことは、前日の酒場の売り上げや依頼の結果報告
そして、新しく入った依頼の確認とその担当の割り振りが主だ。

淡々と副団長が朝礼を進めていく最中、勢いよく食堂の扉が開かれた。
「ごめ、また寝坊しちゃった・・・いやー商会の会長さんが帰してくれなくてさ」
特に悪びれもせず遅れてやってきたこの女こそ、現団長であるメルティ=アイスマンテその人である。
メルティはそそくさと自分の席に座ると、シブい表情を浮かべるマックスに視線を向ける。
「そんな怖い顔しないでよ…これでも仕事とってきたんだからさぁ」
そう言って依頼書を取り出して見せた。
「でさ、朝礼はどこまでいったの?」
「今担当の割り振りの最中ですよ」
「あら間が悪かったか・・・まぁいいや、えーっと会長さんからの依頼で
 隣国にいく荷馬車の護衛だってさ、ホラ最近あの辺で盗賊団が出るらしくてさ
 そろそろ依頼が来るかなーって話振ってみたらドンピシャよ」
ドヤ顔で語りながら、メルティは依頼書をマックスに渡した。
すぐにマックスは依頼書を確認すると、適当な担当を決めて発表した。

第一話「銀の杯団」

〔ラムレット商会〜応接室にて〜〕
商会の人間が貨物の用意をしている最中
銀の杯団は応接室でミーティングを行っていた。
「改めて今回の依頼内容を説明するよ」
テーブルに上に地図を広げ、メルティは話を続ける。
「今回の依頼は、荷馬車の護衛、荷馬車はこの後ここを出発して
 東の街道を通って隣の国へ行き、荷物を降ろした後、同じルートで戻る予定だ
 んで、このルートの場合、途中で見通しの悪い森を通りぬけなきゃいけないんだけど
 …どうやらこの辺りで盗賊に襲われているらしい
 ここまで何か質問ある?」
団員の様子を伺いながらメルティは尋ねた。

9 :ジャム ◆dEgS0EaW9zOd :2014/03/25(火) 03:39:01.92 0
団員が一堂に会する朝礼。日毎の習慣とはいえ自身の今日の仕事にも関わる。確り出席し話を聞くのがギルドの一員としての務めであろう。
が、必ずしもそうでない団員もいる。たとえば今日も遅刻している団長がそうであり、隅の席で机に突っ伏し寝息を立てている神官姿の男がそうだ。
名をジャムという。一応本職は教会に勤める神官の筈だが、何の因果かこのギルドに籍を置くこととなり、今に至る。
どうも朝が苦手なようで、朝礼の時間にこんなことになっているのは珍しいことではない。いつものことだから、副団長も何も言わないのだ。

やがて聞こえた慌ただしい音に睡眠を阻害され、薄目を開けたジャムの視界に飛び込んで来たのは団長の姿だった。
少しずつ意識がはっきりし、理解したのは団長が何らかの依頼を持ってきたということ。自分には関係ないとばかりにもう一度夢の世界に向かおうとしたところ、
副団長から呼ばれたのは自分の名前。その依頼の担当に、ジャムも含まれていたのである。
正直なところ面倒だ、やりたくない。だが特に理由もなく不参加など、繰り返しているとこちらの立場が危うい。
渋々ながら、ジャムも荷馬車の護衛に参加することに相成ったのである。

> ここまで何か質問ある?」
「……『襲われているらしい』ってぐらいだから数回は被害あってんだろ。盗賊の大体の人数ぐらいはわかってねぇのか? 得物は? 魔法使う奴とかはいるか?」
そもそも襲われることがわかっているのならば見通しの悪い森など通らずもう少し安全な経路を探せよと思わないでもないが、
迂回するのにかかる時間と護衛を雇う費用を秤にかけて、後者の方が軽かった。つまりそういうことなのだろう。なら何も言うことはあるまい。

ふと周りを見渡し、同じく荷馬車の護衛に向かう面子を確認する。一人一人顔を見た後、また視線を落として。
「まぁ団長とおっさんがいるならただの盗賊団ぐらいどうにでもなるだろ。俺がついてく必要なんか感じられねぇぐらいだ。
 そこのお嬢ちゃんもだけど、せいぜい積荷に累が及ばないように暴れてくれや。少しの傷ぐらいなら治してやっからさ」
そう言うと、まだ眠気が覚めていないとばかりに大きく欠ぶ。

10 :名無しになりきれ:2014/03/25(火) 20:41:55.33 0
そこに跳躍した盗賊が出現
お前らに襲い掛かる

メルティ半焼

11 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2014/03/26(水) 20:27:39.19 0
いつも通りの朝礼。団長の遅刻も見慣れたものだ、。
しかしそんな朝礼にいまだ慣れられず、そわそわとしている人物がいた。
フローラ・スマインターグ。入団三ヶ月目の新人である。
生まれ育ったのは放浪の民族。行く先さえ気ままな自由の風土だった。
そのため集団に抑えつけられることに不慣れで、周囲から落ち着きがないと評されることもしょっちゅうだ。
研修期間は終えたもののまだまだ半人前。宛がわれる依頼はせいぜい猫探し程度だろう。
そんな呑気な思考の前に現れたのは、彼女の歴史上初となる『人の身を預かる』依頼だった。

依頼主の応接室。フローラは緊張と張り切りからその体を震わせる。
今回のメンバーに選ばれたことは光栄で、できることなら何でも協力したいと息巻いてはいるつもりだ。
しかし新人の自分になぜこんな荷が重い依頼がと、わが身を嘆くような気持ちもあった。
そんな折にかけられた、「質問はないか」という問い。
急にかけられた声に気が動転し、ついつい声を張り上げてしまった。

「あ、あの、今のところ無いですっ!」

12 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2014/03/26(水) 20:33:18.18 0
一通りしゃべって首を項垂れてしまう。動転した自分をさらけ出したことがただただ恥ずかしかった。
説明の言葉は頭には入るが、それらがぐるぐるとまわって一向にまとまらない。
荷馬車の護送。森を抜ける必要がある。盗賊団に要警戒。
得られた情報のキーポイントを頭の中で反復し、落ち着きを得ようと躍起になった。

>そこのお嬢ちゃんもだけど

自分のことか。唐突な指名に肩をびくんと跳ねさせる。
過失があったわけではない。ただ会話のネタになっただけ。
少し時間をかけてそう状況を理解し、話題に乗ろうと声を上げた。

「は、はいぃ!大丈夫ですよぉ」

変な応答じゃなかったか?気にかかって仕方がない。
でも心のどこかでこれで大丈夫だという確信が不思議と確かに存在し、彼女の精神に行き渡った。
まだまだ続くミーティング。紡がれる言葉は須らく自分たちへの責任。
それでもその一言が生み出した安寧が、確かな自信を彼女にもたらしていた。

13 :名無しになりきれ:2014/03/26(水) 23:01:03.85 0
>>12
クラッシュバンディクー
がフローラにとび蹴り

14 :名無しになりきれ:2014/03/28(金) 21:37:36.83 0
ドシュッ・・・
(フローラ ◆CFwoAEJ66. が暗殺される)

15 :ライア=ワードレス ◆yCE/UC4zB2 :2014/03/30(日) 00:22:50.67 0
銀の杯団と呼ばれるギルドの食堂では、今日も朝の慣習である朝礼が行われていた
置かれた古臭い……よく言えば歴史を感じさせるテーブルにはギルドに所属する面々が座っており、
ある者は緊張した様子で、またある者は惰眠を貪りつつ、語られる内容を聞いたり聞き流したりしている
副団長であるマックスも慣れたもので、一同の様子をチラリと眺め見てから淡々と
前日の売り上げや依頼の進捗状況の確認を行っていた

変わらぬ朝、変わらぬ日常

>「ごめ、また寝坊しちゃった・・・いやー商会の会長さんが帰してくれなくてさ」

そしてそんな中、彼女が遅れてやってくるのも変わらない
メルティ=アイスマンテ……銀の杯団現団長
勢い良く扉を開き食堂へと入って来たギルド最高責任者であるメルティは、
悪びれる様子も無く自身の定位置……マックスが立っていた席の横に着座すると

>「そんな怖い顔しないでよ…これでも仕事とってきたんだからさぁ」

そう言って一枚の依頼書を取り出した
副団長のマックスは一度ため息をついてからそこに記されていた内容を確認すると
その場に居た面々から適当に……けれど、彼なりの判断基準は守りつつ依頼の担当を決めて発表した

ただ……その何時もの中に、今日は少しだけ変わった所があった

「何じゃ、ワシに護衛任務をやらせるのか?護衛ならば重戦士辺りを着けた方が安心じゃと思うがの」

それは、抜擢された人員の中に大きな灰色のローブを目深に着込んだ男……
少年の様に小柄で華奢な体格を持つ『魔術師』のライア=ワードレスが存在していたという事

・・・・

16 :ライア=ワードレス ◆yCE/UC4zB2 :2014/03/30(日) 00:26:17.94 0
呼び出された応接室
そこではメルティを中心として、ライアの他に数人の人員が依頼についての話し合いを行っている

>ここまで何か質問ある?」

メルティが受けてきた依頼の内容とは、噛み砕いて言えばいたって普通の護衛任務であった
道中の荷馬車の護衛と、襲撃を受けた場合の対処
どこにでもある、ギルドとしては標準的な依頼

神官のジャムは、そのだらしない態度とは裏腹に襲撃者人数や武装を確認し、
新入りのフローラは、特に質問が無いと言う答えなくても良い事を緊張からか大きな声で答えていた

そんな中、相も変わらずローブを着込んだままのライアは全員の質問がやんだのを見越してから口を開く

「メルティ嬢よ。ワシの記憶が確かなら、未だ達成報酬と特別報酬の話を聞いておらん気がするんじゃが」

メルティ嬢と、一見丁寧な呼び方に聞こえるが、ライアのその言葉からはメルティへの信頼など一切伝わってこない
ライアは、部屋の端に置かれていた木製の椅子に腰かけるとメルティの方を見る事も無く続ける

「仮に盗賊共と出会ったとして、一匹倒せば幾らの追加報酬があるのか。生死は問うのか
 依頼以外の余計な仕事を頼まれた時は、どれだけ金が貰えるのか……金にならんようならワシは依頼を降りるぞい。
 何せ、ワシは遅刻の常習をしても許されるダンチョウ殿と違って明日の生活をも知れぬ身じゃからの」

ライアが語る声は鈴の様に美しいのだが、語る内容は一から十まで金絡みと俗の極みであった
彼の人間性を知らない者がその語り口を聞けば、あまりのギャップに混乱する事請負いだろう

17 :名無しになりきれ:2014/03/30(日) 13:14:05.91 0
殺せんせー「オレオマエコロス」

ドシュ…
ライア=ワードレス ◆yCE/UC4zB2が頭から切り裂かれる…!
さらに2人の兵が飛び掛る

18 :名無しになりきれ:2014/03/31(月) 19:38:28.26 0
ライアはバラバラになった
そこに食人鬼

19 :シュレッド ◆yjsGG.N8rw :2014/04/01(火) 02:26:21.25 0
>「ここまで何か質問ある?」

「えっ?あ、えっと・・・」
団長の説明の後、副団長の鋭い視線が一瞬自分に来たのを感じ、竜のあごを模したような大きな頭が持ち上がる。
手元の薬瓶を弄るのに夢中だった彼は、意表を着かれたかのような頓狂な声を返した。
どうやら何も聞いていなかったらしい。

「えー・・・っと、とくになーし・・・」
聞いていませんでしたと言わんばかりの生返事を返し、そうしてこの竜人もどきはまた性懲りも無く手荷物の整理を始める。
シュレッド・ヘッド、竜人族(自称)。入団して間もない新人の「錬金術師(自称)」。
退屈な朝礼を終えていつもの子店巡りをしようとした矢先に召集が掛かり、突然の荷馬車の護衛の依頼である。
もちろん、彼はこういう荒事の絡む任務など経験皆無、加えて本人も戦闘スキルはゼロ。何故呼ばれたし。

「(ねぇねぇ、どういう依頼だっけ)」
「(盗賊からの護衛・・・?えー・・・そういうの始めてっすね・・・)」

ミーティングの内容に追いつこうと隣の人員に今更聞き返せない質問を小声で聞いていく。
森林に出没する盗賊と言ったらそれほど珍しい物でもないだろう。棍棒持った髭もじゃの大男達が金品を略奪するというよくある構図だ。
地図を開き、その森と目的地の場所、人員の特徴程度の簡単な情報をメモに書き込んでいく。
団長、副団長、目つきの悪い神官、新人臭半端無い女性、やたら態度のでかい魔術師・・・と、このあたりである事に疑問が浮かぶ。

「えっ、これで盗賊と対峙するんすか・・・?」

そう、盗賊相手にはどうもトリッキーな連中が多すぎる。
普通筋骨隆々の屈強な男衆で固めるのが護衛任務というものだろうが、神官、妖精使い、魔術師、そして錬金術師。まるで百鬼夜行である。
いや、この面子だと寄せ集めと言ったほうが近いかもしれない。辛うじて戦士やシーフがいるのを見るとレベル上げパーティのような編成だ。

まぁ、致死毒や属性魔法を使う特殊部隊のような連中が相手ならわからんでもない編成だが・・・

20 :名無しになりきれ:2014/04/01(火) 17:50:13.29 0
シュレッドに食人鬼が襲い掛かる


歯で噛まれてとうとう致死毒がまわる

21 :名無しになりきれ:2014/04/02(水) 23:28:23.54 0
痛い!痛い!やめて〜

22 :メルティ ◆kEgNZfTROQ :2014/04/04(金) 17:55:05.32 0
メルティの問いにいの一番で応えたのは新人のフローラだった。
「本当にぃ?」
表情、声その他諸々からフローラテンパっているのがよくわかる。
口では問題ないといっているが、本音は全くわからないのが実だ。
それぐらいのことはダメ団長のメルティでも察することが出来る。
だからこそ、メルティは意地悪そうに微笑んでそう聞き返す。
そこへ、フローラの返答よりも先に神官のジャムが尋ねてきた。
「さっすが先輩、中々鋭いこというじゃん
 フローラちゃんもこういうの見習わないとダメだよ
 周りに合わせるのは簡単だけどさ、多少煙たがられてもいいぐらいの気概でさ
 質問していったほうが自分の身になるしね」
フローラにそういいながら、メルティは憲兵団からもらってきた資料を広げた。
「話がそれたね、盗賊団の人数はおおよそ15名、主にナイフとか棍棒を持った奴が大半だが
 弓使いが少数とけっこうオーソドックスな盗賊だな
 手口としては、事前に木を倒して道を塞ぎ、立ち止まった瞬間に一気に襲い掛かる待ち伏せ型で
 無抵抗であっても殺しにくるそうだ
 …ただちょっとばかし気になることが一つ」
そう言ってメルティは資料の中から一枚の絵を取り出した。
これは複写術で描かれた現場の状況を切り取った一枚なのだが、
それには、丸太に串刺しにされた荷馬車が映し出されていた。
「…被害者の証言だと同じ盗賊団に襲われたらしいんだが、どう考えても人間業じゃない
 もしかすると、儲けで何かヤバイもんを手に入れた可能性があるから注意したほうがいいかも」
そう促して、メルティは座っていたソファーにもたれる。
「あと悪いジャム、重戦士のオッサンなんだがどうやら腰をやっちまったようでさ
 今日はこれない、一応マックスに増援で誰か送るよういったけど、期待しないほうがいいかもね」

23 :メルティ ◆kEgNZfTROQ :2014/04/04(金) 17:55:47.33 0
一通り質問に答えると背後から魔術師のライアが口をあける
「相変わらず爺は金に汚いな、本当にエルフなのか
 まぁいいや、とりあえず、基本報酬は金貨20枚
 襲撃があった場合、上乗せで10枚、そこから一人頭生死関係なく銀貨5枚ずつ上乗せってことになってる
 あと、金額はきまっていないけど、この盗賊団の首領に賞金がかけられるのが決まっててね
 大金にはなりはしないが、まぁそれなりの値段になるのは間違いないはずだよ
 あとは・・・まぁ追加の依頼があった場合はその時に決める形になるね
 それとも、そうなった時に報酬を吊り上げろってんじゃないよね
 だったら爺が交渉したら?私も文句言われずに済むし」
多少皮肉を混ぜつつも報酬の説明をすませ、話を進めようとした時、
不意に新人のシュレッドが本音を漏らした。
「いや、十分でしょ」
不安を浮かべるシュレッドに対し、メルティは不思議そうな顔で返す。
「近距離は私がいるし、遠、中距離はフローラと爺でなんとかなるし
 サポートにジャムもいる、まぁ欲をいえば、もう数名ほしいとこだけど
 バランスは最高にいいと断言できる!
 …もしかして、お前サボる気だったな
 そう易々とサボらせると思ったか、今回の荷馬車を引っ張るのは馬ではなく
 移送用のホースゴーレムだ。何かトラブルがあった場合はお前が修理を担当することになってる
 あとついでに戦闘用のゴーレムを用意しておいた、前線に出て戦えとは言わないが
 自分の身ぐらいはちゃんと守ってもらうぞ!」
シュレッドに指を突きつけながら、そう捲くし立てると
一度呼吸を整え、ミーティングを再開する。
「んじゃ、ミーティングを続きね
 荷馬車は全部で二台、うち一台はさっき言ったとおりうちのほうで用意したゴーレムがつけてある
 私らは二つに分かれて荷馬車に乗り込んで前方と後方の監視をする。
 んで、とりあえず、前の荷馬車には私とフローラが乗って、後ろは残りの皆が乗り込む形で行く
 とまぁそんなところかな」
あらかた話し終えたところで応接室の扉がノックされる。
どうやら出発の準備が整ったようだ。
「それじゃ出発するとしますか…おっと忘れてた」
メルティは立ち上がると、皆に腕章を配った。
「連絡用の腕章、組み込まれた術式でつけた者同士で連絡がとりあえるようになるから
 ちゃんとつけといてね」
新人の2人にそう説明して腕章を手渡した。
「さて、お仕事の時間だよーっと」

24 :メルティ ◆kEgNZfTROQ :2014/04/04(金) 17:57:31.91 0
〔東の街道〕
商会を出発してからしばらくして、特に目立ったトラブルもなく一行は順調に進む
「フローラちゃんさ、ギルドには慣れた?」
貨物の隣で寝転びながら、見張りを任せているフローラに声をかける。
別にメルティに深い考えは無い、なんとなく尋ねているだけだ
「そういや、こういうのは入団してから初めてだもんね
 まぁ緊張するなとは言わないけどね、言えば言っただけ緊張しちゃうし
 人の命だってかかっているわけだし、むしろ、それぐらいのほうがいい時だってあるよ」
言葉とは裏腹に、メルティは寝転んだまま気ままに話を続ける。
「たださ、依頼中ずっーとそのまんまっていうのは無理がある、人間だもの
 じゃあ、どうすりゃいいかっていうと必要なときにそうすればいいのさ
 そうすりゃ自然と余裕が出てくるよ」
なんとなくそうアドバイスするとメルティはさらに続ける
「だからさ、そろそろ見張りを交代する時間だけど、心の余裕がほしいから寝てていいかな」
どうやら、先程のアドバイスはサボるための口実だったようだ。
呆れるもよし、突っ込むもよし、さぁどうするフローラ
【商会を出発、ワンクッション置くための雑談タイム】

25 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2014/04/04(金) 21:08:01.79 0
時折車輪が石畳に引っかかり生じる揺れに身を任せながら流れる景色を見る。
監視自体は慣れたものだ。特に自然の中に暮らしていれば、機を待つケースなどいくらでもある。
ゴーレムといった魂のない魔法生物を妖精は嫌がるけれど、この程度なら差し支えない程度には制御できるようにもなった。
そうしてふわりとした風を浴びながら見張りをしていると、背後から団長の声が聞こえた。

「え......? はい。おかげさまで」

ギルドの仕事に慣れたか、といえば答えはNOだ。二ヶ月ぽっちで一人前になれるとはもとより思っていない。
けれども自然とは違う居住空間や往来する人々、そういった街としてのギルド。
前とは違う生活には確実に慣れていた。今はギルドのメンバーを仲間として、家族として、認識できる。

だから、いまだって団長の言葉は、すっと心に落ちてくる。

いつも朝礼には遅れてくる、いい加減なところもある人だけど。
30過ぎるまでに、なんて焦ってたりもする人だけど。
彼女の慈愛に包まれるような独特の雰囲気が、フローラはきっと好きだった。
緊張しきりの任務中でも、彼女の言葉が身体に染み込んでくるのがわかる。

そんな中で発せられたのは、寝ててもいいかなという提案だった。
...ついさっきまで、良い事言ってたのにな。若干の呆れと共に苦笑を浮かべる。
でも、いつもの団長だ。ふわふわしていて、それでいて優しくて。

「了解です!見張り番は任せちゃってください!!」

自然と声も大きくなる。肌に当たる風が心地いい。
やっぱり私は、このギルドが好きなんだな。初の護衛のフローラにまたひとつ、大きな心の支えが生まれた。

26 :名無しになりきれ:2014/04/05(土) 02:12:15.47 0
誰かが言った
「そのフローラ、返してくれ」
男はフローラに馬載りになると、腰を振った
「フローラってのは馬の名前なんだ」

27 :ジャム ◆dEgS0EaW9zOd :2014/04/05(土) 19:04:09.53 0
こっちの荷馬車にはギルド員はあと2人乗り込んでいるが、口数が多いわけではないジャムは自分の見張りの番が終わればそちらを見ようともせず。
貨物に凭れ掛りながら、足を組んで瞼を閉じる。傍目から見れば寝ているようにしか見えないが、意識ははっきりとしている。
嫌々ながら受けた面倒な依頼ではあるが、一度こちらの手に委ねられたのであれば確りと果たす。それが神に仕える身の務めである。

思い出すのは応接室での状況説明。15人程度ということだ、人数は盗賊団としては特筆することはないだろう。
とはいえ寡数というわけでもない。この人数を持ち出してせっかく奪った戦利品が夜の酒代に消える程度では話にならない。
何度も被害があるということは、何度も大きな荷物が通る算段がついているということだろう。商会からの情報の漏洩も疑って然るべきか。

得物はナイフ、棍棒。取り立てて何も言ってこなかった以上、衣服は軽装と考えて間違いはないのだろう。特にメイスが通らないこともあるまい。
強いて言うならばこちらが護衛を雇っているようにあちらも用心棒のような何かを連れてきている可能性ぐらいだが、
こればかりはいざ鉢合わせてみない限りはなんとも言いようがない。星の数ほどある可能性のひとつとして考える他はない。
寧ろ危険なのは弓使いの方か。こちらに向かう矢に関しては気をつければ良いだけだが、流れ矢が積荷や護衛対象に当たる可能性を留意。
(弓兵は最初になんとかする――ま、当たり前の話だよな)
遠距離相手はあのエルフ辺りが適当に魔法でやってくれりゃ楽かな、まぁなんとかなるだろう。その程度なら楽観的思考もある。

となると1番考えなくてはならないのはあの荷馬車を串刺しにする丸太であろう。射出する絡繰兵器か魔力兵器でも積んでいる、と見るべきか。
だが、ここまで大きい丸太で貫くのだ、精密動作が出来るとは考えにくい。積荷を駄目にしてしまっては元も子もないことを考えれば、
そう頻繁に打ってくることもないだろう。なんとか使われる前に盗賊団を片付けてしまえればそれが最善ではあるのだが。
何にせよ、「丸太が荷馬車を貫いている」という状況しか情報としてないのだ、それ以上を今考えるには些か材料が足りない。
何かがある可能性を常に頭の隅に起きながら、いざという時に臨機応変に対応していくしかないのだろう。

(団長、俺、あのエルフ、んでもって新人2人……)
応接室で新人の片方が言っていたが、あまり盗賊団の護衛に向いているような面子ではないのは確かな気はしないでもない。
新人2人とは特に会話したことなどないのでどんな風に戦うのかは知らないが、あまり近接戦闘に秀でているようには見えない。
とはいえ団長はわりと楽観視しているようだし、新人を2人も連れて行こうというのだ、副団長もそれほど不安視はしていないと思われる。
さすがにあのおっさんが直前になって不参加になってしまったのは少し想定外な要素ではあるが、補充がないなら、所詮その程度か。
まぁ戦闘用ゴーレムとかあるらしいしきっと強いんだろ。じゃあそれに任せりゃいいんじゃね。むしろ俺いらねぇんじゃねぇのやっぱり。

抔。色々考えた上でそれを払うように軽く頭を振り、薄目を開けてまた閉じた。
(抑も、襲われない可能性だってあるんだけどな)
そっちの方が楽だな、むしろそうあって欲しい。そんなことを考えながら、やがて本当に眠りの底へ落ちていった。
「例の森に近づいたぐらい……いや、なんかあったらでいいや。適当に起こしてくれ」
目を閉じているのだから本当にそこにいるかもわからないが。同行の輩にただ一言、それだけを残して。

28 :名無しになりきれ:2014/04/06(日) 00:23:07.83 0
パンパン!!
(ジャムが銃殺される)

29 :シュレッド:2014/04/07(月) 19:48:01.98 0
後方の荷馬車はただでさえ狭苦しく、僅かな心許無い空間すら主にシュレッドの大荷物で埋め尽くされている。
ジャムはこの窮屈な空間においてお構い無しに睡眠を開始していた。しかしまあよく寝るものである。普段から相当に脳を酷使しているのだろう。
シュレッドは見張りをしつつよくわからない何かの干物をむさぼり、毒々しい色彩の錬金物を研磨し、伝書鳩を飛ばしたりと忙しい。

「(入団2ヶ月もしないで戦闘経験ゼロなのに荷馬車護衛なうwwww)っと・・・」
「じゃ、次はヴ・ナードを渡ってグランドベウのいつもの鳥舎ね!はいお駄賃」

「ユウビン、タマワリマシタ!」
なお、伝書鳩と言っても鳥人や妖精が主に使われている。竜か猛禽類に食われでもしない限り容易く運んでくれるだろう。
彼らはいちいち鳩舎を介す必要が無く、配達量は多く、配送量も安い。非常に優秀な通信手段である。
最近は寄せ書き形式で大量に速達回覧を回すのが若者の間で流行っているのだがそれはまた別の話。

「いやーしかしいい天気っすねー、盗賊も寝てるんじゃないすかー?」
彼は非常に能天気であり、かつ警戒心もなく、お世辞にも盗賊と退治できるタマではないことは確定的に明らかである。
地平の果てから徐々に見えてくる大きな森は、この能天気な着ぐるみ竜人を飲み込まんとする緑黒い色を放ち、この阿呆はその禍々しさを全く感じ取れていない。
サボる所か、むしろ動くだけで文字通りの大荷物と化しかねない危うさ。ミーティングの丸太の件などとうに忘れてしまっているのか。

「んお?」

「ブシュー・・・ブシュー・・・」
ふと、馬もとい輸送ゴーレムの一匹が煙を出し、速度を落とし始めた。煙は独特の臭気を放ち、風下に向かって流れてくる。
シュレッドは持ち前の身軽さでゴ馬に飛び乗ると、ゴ馬を動かしたまま動力部を修理するという器用な芸当を見せてくれた。

「あー、んー、これは何やら妙に魔力干渉してるっすね・・・ライアさんの魔力が強すぎるのかな?」
確かに大魔導師レベルになると、ゴーレムが動作不良を起こすほどの魔力が溢れ出ている者もいるので考えられなくはない。特に木製は何かと干渉を受けやすいものだ。
最も、魔導機や水晶でもこういったことは起こるが、それほどの魔具であれば、大抵は厳重に管理されている。
「ここをこうしてそれから・・・うわっ品質悪い木だなー、ケチりやがったな」
数分もすると煙は収まり、ゴ馬は元の――いや、むしろ速度を上げて追いつこうとするかのように、少し歩幅を広げて動き出した。

30 :ライア=ワードレス ◆yCE/UC4zB2 :2014/04/07(月) 21:07:49.28 0
「ふん、金があれば大概の願いは叶う世界にしたのはお主ら人間じゃろうが
 ……ああ、値段の吊り上げに関しては勿論するつもりじゃぞ。ある所からは絞れるだけ絞らねばのぅ」

メルティの皮肉を交えた返答を聞いたライアは、フードに隠れて見えないだろうが
小ばかにする様な笑みを浮かべ返答を返す
エルフという種族の特性上、極めて美しい少女の様な外観をしているライアであるが、
その笑い方と深い隈が刻まれた悪すぎる目付きのせいで、神秘性は全く感じられない
……というか、どう見てもゲス顔であった

・・・

ゴトリゴトリと車輪を揺らしながら、二台の馬車は進む。
前方の馬車にはメルティと新人のフローラが乗り合わせ、
後方の馬車にはライアを含めた数人の男衆が乗っているのだが

「狭い上にむさ苦しいのぅ……ジャムの奴はよくここで眠れるものじゃ
 やはり神官なんていう碌でもない職に就く奴は、心も普通じゃないのかのぅ」
 
シュレッドによって持ち込まれた大量の荷物、我関せずと着いたら起こすように言って眠り始めたジャム
狭い空間に男衆が密集する事によって上昇を続けている不快指数
何より……そんな馬車の中でスペースを確保する為、荷物の上で荷物の様に寝そべる姿勢を強いられ、
不機嫌さを隠さず八つ当たりの様に毒を吐くライア

「そもそも、新人錬金術師も気を使って荷物を積まぬか
 後方の馬車は、ただでさえいざという時切り捨てられる位置じゃというのに……」

――――ぶっちゃけ、馬車の中の空気は最悪だった

と、そんな進行の最中で馬車を曳いていたゴーレムの一体が煙を出し始めた
同時に馬車の進行速度も急激に低下し始め……乗客達に牽引するゴーレムが故障したという嫌な事実が伝わる
ただでさえイライラしていた時に起きたこの災難に、依頼人に怒鳴りつけてやろうかと思い始めたライアであったが

>「あー、んー、これは何やら妙に魔力干渉してるっすね・・・ライアさんの魔力が強すぎるのかな?」

「なんじゃ、お主随分と器用じゃの……失礼な、無意味に魔力を垂れ流すのは二流魔術師だけじゃ」

驚いた事に、馬車の故障はシュレッドがものの数分で修理してしまった
移動しながらの修理と言う離れ業を眼にしたライアは一瞬驚いた表情を見せたが、
直ぐに不機嫌な表情に戻りフンと鼻を鳴らすが、そこで思い返した様に言葉を付け加える

「ああ……そういえば二流魔術師以外にも、魔物や魔道具も魔力を垂れ流すのぅ。一応、気を付けた方がいいかもしれんぞ」

速度を少し早めた馬車の中で呟かれたライアの言葉、
聞かれても聞かれなくてもどちらでもいいという気持ちで放たれた言葉であったが、
一応、ライアなりの忠告ではあった

31 :名無しになりきれ:2014/04/08(火) 07:52:13.07 0
跳躍する男…!!

煙を出したゴーレムがライアに襲い掛かり、爆発する・・・!

32 :コルガ・オラスミス ◆InntcJOaXE :2014/04/08(火) 22:18:18.91 0
ぽっくりぽっくり、速足のリズムながらもどこか長閑な蹄の音が東の街道に響く。
空は気持ちよく晴れ渡り、時折吹く柔らかな風に木々の緑が揺れる。
非常にうららかな風景ではあったものの、騾馬の背の上に座る人物はあまりそれを堪能してはいないようだった。

コルガの所属するギルドの団長が、懇意にしているラムレット商会から依頼を請け負ってきたのはつい先日の事。
しかし、その日の朝会のうちに選出されたメンバーの中にコルガの名前は入ってはいなかった。
選出されてもいない仕事について行くような性格のコルガではないので、彼女は自分に割り当てられた仕事
――予約客が入った銀の杯亭で料理を作る、をこなそうと厨房にて準備をしていたのだが……

「――……?」

ふいに団員からかけられた声にぱちくりと金の双眸を瞬かせ、まじまじと相手の瞳を見返す。
曰く、本日の商会の荷馬車護衛任務に増援として向かってくれないか、と伝言を受けたとのこと。
増援として向かうのには何の問題もない、問題はないのだが自分が抜ける分の料理はどうするのだろうか。
そんな疑問が相手に伝わったのだろう、コルガに声をかけてきた痩身の青年は料理担当は自分が引き受けたのだと笑った。
ならばもう考えることもない。
そもそもコルガは深く何かを考えるのには向いていない頭をしている。
適材適所、頭脳労働はそういうのが得意な輩に任せ、自分はこの頑丈な体で肉体労働するのみだ。
そして増援の依頼を受けた今、すべきことは戦いに向けぬかりなく準備をし一刻も早く仲間のいる荷馬車へ向かうことだった。
途中伝書鳩――もとい可憐な飾り羽を生やした鳥人から、今回の依頼の概要が記された紙と腕章を受け取り、
ついでにと渡された速達回覧に書かれた大量の伝言や絵をつらつらと流し見る。
【#憧れる理想の馬車ドン】やら【#馬車殴り代行】いう印がやたらと目に付いたが気にしないことにして回覧を鳥人に返した。

ぽっくりぽっくり、騾馬の背に揺られて街道を進むこと四半刻程、漸く前方に二台の荷馬車が見えてきた。
この道の先に広がるのは暗く見通しも良くない深緑の森地帯。
そこに近づくにつれ、うなじの毛を逆撫でる様ななんとも言えない不快感が強くなってくる。
生理的な嫌悪にも似たこれは間違いなく魔力の気配といえる。
生まれつき魔力との相性の良くないドワーフだったコルガだからこそ分かる、独特の感覚。

と、目の前の森の木々が震える様に動いた、気がした。
コルガはその様を見とめると短く声を上げ、速足の騾馬を急かす。
ぐんぐんと二台の荷馬車に近づいていき、連絡用の腕章に向かって声をかける。

「増援で来た、……わたし、コルガ。盗賊、来た?」

後続の荷馬車まであともう少し、しかし前方の馬車の前までは見通せずコルガはギリ、と奥歯を噛んだ。
背中に背負っている頑強でひたすら重そうな戦槌に手をやりながら、森の奥に視線を走らせる。

33 :名無しになりきれ:2014/04/09(水) 10:06:10.63 0
「コルガではない…私は、コウガだ…」

その女は言った

34 :名無しになりきれ:2014/04/11(金) 00:32:57.70 0
>>33
ウソダ!!!!!

35 :メルティ ◆kEgNZfTROQ :2014/04/12(土) 13:35:08.39 0
「え…あ…マジで?んじゃお言葉に甘えちゃおっかなー」
快諾されるとは思ってもいなかったメルティは動揺するそぶりをみせるが
依然変わらず、寝転がったままだった。
「いやー、フローラちゃんは良い子だねー、絶対良い奥さんになるよ」
などとそんなことを言いながら、何気なく視線を後方の馬車へと向けた。
ちょうど、そのタイミングでホースゴーレムが異常をきたした。
「あちゃー、こりゃ一度止まんなきゃ不味いかな」
そう言って、指示を出そうと思った瞬間、シュレッドが故障したホースゴーレムにまたがりすぐさま修理を始めた。
「動かしならが直すとかやるじゃん」
その手際の良さに感心しシュレッドにそう伝えると、メルティは馬車の速度を緩めるよう指示を出した。
森へはまだ幾許か時間はある。後方の馬車が追いつくには十分だろう。

しばらくして、一行は盗賊が潜んでいる森の目の前まで到達した。
「…うっし、休憩終了っと」
森の異様な気配を感じ取ったのか、メルティは立ち上がり目の前の森を睨んだ。
その表情はいつもの能天気さが嘘のように思えるほど真剣だった。
その時、増援のコルガの到着を確認する
「いや、まだだよ。そのまま、後方の馬車の前についてもらっていい?」
いよいよ、一行は森の中へ踏み入る。
「さて、そろそろ森に入るけど皆いつでも動けるよう準備しとくように」
こうして一行を乗せた馬車は森の中へ入っていった。

〔森〕
森の中は異常なまでの静けさと嫌な気配が立ち込めていた。
「静か過ぎる」
ポツリとマルティが呟く
「フローラちゃんさ、こういう森に入ったことある?」
周囲を警戒しながら、フローラに問いかける
「私は実際入ったことはないけど、話なら聞いたことがあるよ
 森がここまで静かな場合、二つ考えられることがあるんだって
 一つは、生態系が壊れて、生物がいなくなっているか、そして、もう一つは…ッ!!!」
それは、突然の出来事だった。
なんの前触れも無く、それは目の前に突き刺さった。
土煙が舞う中、それがなんだったか遅れて認識することになる。
それは、乱雑に抜かれた大木だ。
しかし、それに驚く時間も疑問を持つ時間は無い。
盗賊だ。間髪をいれずに盗賊たちがおそいかかってくる。
盗賊たちは前方と後方から挟み撃ちの形で迫ってくる。
「敵襲!!!」
メルティは叫びながら、剣を抜き馬車から躍り出る。
土煙を切り裂くように走りながら、敵の数を確認する。
「前方零時、敵を確認
 前方2、3時の方向、木陰に弓兵が数名、フローラそっちのほうは頼んだ
 後方そっちの状況を報告!」
団員に指示を出すと、メルティはそのまま敵の中へ向っていく
矢を紙一重で交わしながら、盗賊との距離をつめる。
お互いの間合いに入った瞬間、盗賊は自身の得物を振り下ろすが
「おせぇよ!」
盾を振るい、強引にそれを弾き飛ばす剣闘士特有のパリィで受け流すと
間を置かずに刃を振り下ろした。
盗賊は咄嗟に盾を構えるも、当った瞬間、たては真っ二つに折れ、剣の一閃が盗賊の首を刎ねる。
「そんなちゃちな盾で私の剛剣は防げないよ」
返り血に濡れながら、すぐさま次の得物に向かって奔る。
その姿はさながら血に飢えた獣だ。

【盗賊襲来、各人お好きなように暴れちゃってください。】

36 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2014/04/12(土) 20:03:56.71 0
「は、もうゆっくり休んじゃってください。ほらほら」

メルティに寝転がるように促そうと振り返るも、彼女はすでに横になっていた。
そもそも会話の間中メルティは横になっていたのだが、フローラにそれを知るすべはない。
すこし肩透かしを食らったように、あははと乾いた笑いをもらして誤魔化す。
気が楽になった余裕から少し鼻歌混じりに。それでも見張りはしっかりと。

>「いやー、フローラちゃんは良い子だねー、絶対良い奥さんになるよ」

聞こえたそんな声に鼻歌が一瞬裏返る。
だが次の瞬間には何事も無かったかのように先のメロディが流れていく。
......よく聴けばほんの少しだけ、テンポが歪んでいたりするのだが。
同様をメルティに悟られまいと、紅潮した顔を向けることもせず。
そうして街路を進むうち、件の森が広がってきた。

37 :フローラ ◆CFwoAEJ66. :2014/04/12(土) 20:48:02.14 0
「はい。静か過ぎます」

生まれ育ったのは放浪の民族。行く先さえ気ままな自由の風土。
湖を、草原を、森林を。あらゆる環境を糧とし暮らす、自然に生きる日々だった。
そんな彼女にはすぐに解った。今この場所が異常だということ。

「ありますよ。ええ、何度も」

背負ったコンポジットボウ。左手を背に回しゆっくりと取り外す。
紅蓮、蒼碧、新緑、黄金。四色の宝珠が僅かに顔を覗かせる。
周囲を回っていた一匹の妖精が少しだけいつもより小刻みに羽を震わせる。
フローラの肩にかかった髪が僅かにふわりと風を受ける。

>「私は実際入ったことはないけど、話なら聞いたことがあるよ
> 森がここまで静かな場合、二つ考えられることがあるんだって
> 一つは、生態系が壊れて、生物がいなくなっているか、そして、もう一つは…ッ!!!」

「人間...!」

ひときわ大きく髪が揺れ、次の瞬間には大木が刺さる。
右に大きく掲げた弓の緑の宝珠が光を放つ。羽を震わせていた妖精も淡い光を纏わせる。
剣でも振るうように弓で空間を薙ぐと、砂煙を切り裂くように風の剣閃が吹き荒ぶ。

「了解、弓兵を迎え撃ちます!」

フローラの的確な指示ですぐに弓兵の一団を発見する。遠距離武器の無力化は最優先だ。
首を回す、その間にポケットに手を入れるようにして腰に掛かった弓懸を装着する。
そのまま矢すら番えずに弓を引き絞り、口元で呪文を詠唱する。
木々が生い茂る森林地帯でも行動に支障が出ないように小型化されたその弓へと風が一点に寄り集まる。

「―――破ッ!!」

離した弓から不可視の一矢が一本の木に向けてまっすぐに放たれる。
目いっぱい引き絞り風の力を得た一撃は樹木にほんの小さな風穴を開けてその向こうの人間を射抜く。
それに気付いた弓兵たちは弾かれたように次々に矢を番え始める。
奇襲は成功、脅威も植えつけた。動物ならここで引き下がるが、人間は違う。
次は風を拡散させて、威力は小さくても広く当てに行く。こちら側が被る被害は出てくる前に潰してしまう。
少しずつ、じわじわと。風の力で届いてはいるものの決め手にかける射撃は、それえも確実に弓兵たちの戦力をそいでいく。

38 :シュレッド ◆yjsGG.N8rw :2014/04/12(土) 21:48:39.79 0
森の妖気は通常程度に魔力が感じられれば只ならぬ「雰囲気」として感じ取れるものである。
それはどこか退廃的で、何か負の感情を呼び起こすような黒魔術の気を感じさせるものだった。
さて、この竜人はいよいよ本番といったこの場面においても割と呑気・・・というより、妖気に反応した闇属性素材を、馬車を降りては拾い集めていた。

「うおおドクブタノフグリ!この時期に芽を出しているとわ!んっあれはマガタマダケでh」

完全に好奇心が彼の危機管理能力を相殺どころか消し飛ばしている。
最も、ドラゴンという種族自体自然界において殆ど敵無しな種族であるため、その名残としてシュレッドにも「ニブさ」がしっかり受け継がれているらしい。
とは言っても彼には飛竜のような強靭な翼もなければ東洋龍のような神懸り的な能力も、鋼鉄の如き鱗も見当たらないわけで・・・

「さて、そろそろ予備のポーチも埋まるしこのくらいに・・・」

パンパンになったポケットを見て流石のシュレッドも大きな頭を上げ―――その時だった。
鋭い風切り音を立てて馬車に突き刺さった矢。気づくと頬に走っていた切り傷、そして垂れる血。
直後、火薬詰めの大砲が着弾したような荒々しい衝突音が前方から響く。
<「敵襲!!!」
梢が引き裂かれ、何人もの足音・・・その辺りでシュレッドの思考は吹っ飛んだ。

39 :シュレッド ◆yjsGG.N8rw :2014/04/12(土) 21:50:01.62 0
「うわああああああ!うわあああああああああ!」

竜の咆哮とまでは言えないが耳をつんざく程度に大声は出せるようで。それは近くにいた弓兵をびびらせるという思いもよらぬ貢献をした。

前後の馬車への挟み撃ち。盗賊らしく全て林の死角から来る奇襲であった。
大きな苔むした岩の陰、道を挟んで一本だけ、異様に太い楠の木の枝にそれぞれ弓兵。
そして想像していたよりかなり立派な鉄槌を構えた槌棒兵が、左右の木の上から馬車に向かって飛び掛り、続いて長柄の鎌のような得物が伸びてくる。
普通の鎌なら農奴あたりの貧乏盗賊だろうが、農具にしてはやたらと歯が小さい。恐らく騎馬兵を引きずり下ろす強靭な物であり、積荷や馬車を壊すのも容易だろう。
ああ、そういえばこういう暖かい時期は麦含め多くの作物の植え込みが始まる。戦争が減り傭兵が暇になって傭兵崩れも起こる時期だ。

「(ザリッ・・・ガシャッ・・・ゴゴゴゴ・・・・)」

先程の大声で一瞬止んだ矢の攻撃。その間にすさまじい逃げ足で馬車に飛び乗り、幌を切り裂き、目にも留まらぬ早業で護衛用ゴーレムをチューニングし起動する。
ゴーレムは丁度、後方馬車の人員を弓兵から庇うように起き上がり、僅かながら男衆達に戦闘準備の余裕を与えた。
後続の弓がゴーレムにすっ飛んでくる。安価とはいえ泥岩と砂利を敷き固めた複合装甲はそれなりに硬く、突き刺さりはしても致命傷には全くなっていないようだ。
馬車を叩き割りにかかる槌棒兵の一人にラリアットを食らわせ、ゴーレムは積荷を守るような形で勇ましく陣取った。
見ると前方では巨大な大木が地面に突き刺さっている。伝書で見た絵と同じもの。これほどの大木を動かせる物と言えば――――
・・・尚、シュレッドはというと荷物の山に潜りしゃがみ込んでぶるぶる震えていた。

40 :名無しになりきれ:2014/04/13(日) 15:34:02.83 0
シュレッドがシュレッダーにかけられる

「うわぁあああああああ!!!!!!」

41 :名無しになりきれ:2014/04/14(月) 01:43:59.87 0
シュレッドってほぼ荒らしだな

42 :ジャム ◆dEgS0EaW9zOd :2014/04/14(月) 11:25:42.47 0
>「敵襲!!!」
>「うわああああああ!うわあああああああああ!」

団長からの号令、及び直後に聞こえた叫び声により、否が応でもジャムの意識は覚醒する。
すぐに馬車から飛び降り、状況を確認する。襲いかかってくる盗賊達。木々に隠れて弓兵が弓をつがえるのも確認できる。
前方馬車の近くには土煙もあがっている。ここからではよく見えずうまく判断は出来ないが、何かの足止めがあるのは想像に易い。
「こっちも弓兵が何人か、あと白兵の輩がひい、ふう……めんどくせぇ。それなり」
襲われている最中というのに、焦る様子もなく。団長に報告しろと言われたからであろう、悠長に腕章へと現状を告げる。

「さて、と」
今は戦闘用のゴーレムが守ってくれているとはいえ、動きはそこまで機敏ではないはず。盗賊退治より、とにかく馬車を守らねば。
「――」
口を動かす。見れば、何か詠唱しているのはすぐに分かるだろう。神に仕える者だけが行使することを許された、神の奇跡を用いた魔法。
しかし、神官姿の男が何か詠唱していることに気づいた盗賊の1人が、ジャムに向かってその得物を振り上げ襲いかかる。

その武器が当たらんとする、が空を切る。ただしゃがみ込んだだけだ。だが殺ったと思い切って振り込んだ盗賊は大きく平衡感覚を崩す。
あとはジャムは軽く足払いをするだけだ。軸足に軽く蹴りを入れるだけで、盗賊はものの見事にその場に転倒する。その背中を踏みつけて。
「あんまり戦いそうにない服装だし、しかも何かの詠唱中。楽勝とでも思ったか?頭わりーんじゃねぇのか」
このような荒事もこなすギルドの一員である。修羅場もいくつかくぐってきた。油断など、遠い何処かに置いてきた。
「少なくとも俺は殺しはしねぇから安心しろや。無駄な殺生は禁じられてるからな。かといって痛くしない訳にもいかねぇんだ。
 まぁアレだ――せいぜい神に懺悔しな」
神官がメイスなどの打撲武器を使う理由として、戒律によって刀剣を扱うのが禁じられているということが主たるものであろう。
しかし、打撲武器が斬撃武器に劣るという証左にはならない。振るうだけの筋力があれば、それは十分な凶器に他ならない。
力任せに振り下ろす。その重量を以って押し潰す。骨の砕ける音がした。

呻く盗賊を尻目に再びメイスを構えるも、ジャムは自分から敵に向かっていったりはしない。腕利きが揃っていることは分かっている。
とりあえずの処理は味方に任せる。相手が何をしてきても対応出来るよう、自分はこうして一歩下がって大局的見地から戦況を見守るのだ。
サボっている訳ではない、のだがそうにも見えるので。ジャムは弓矢を気にしつつ、先ほど阻害された魔法の詠唱を再び始めた。

43 :名無しになりきれ:2014/04/14(月) 20:45:44.82 0
>「敵襲!!!」
>「うわああああああ!うわあああああああああ!」

44 :ライア=ワードレス ◆yCE/UC4zB2 :2014/04/16(水) 01:55:20.54 0
「なんじゃ、コルガの奴まで呼ばれたのか?
 護衛依頼にあのドワーフまで寄越すとは、マックスの小僧も何を考えてお――――ぷぺっ!」

増援としてやってきたドワーフ族のコルガ
ギルドの中では中堅所であるその女の到着に怪訝な表情を浮かべるライアであったが、
直後に突如として起きた、まるで巨大な質量が地面に叩きつけられたかの如き揺れと、
ホースゴーレムが緊急停止した事により発生した慣性の力によって、その思考は強制的に中断される事となる

具体的には、シュレッドが待機状態であったゴーレムを起動させた事と、
先の揺れによって体制が不安定だった事が相まって、
ゴーレムの背に乗っていたライアは顔から馬車の床に落ちたのだ

「お、おのれ……シュレッドの坊主め、いきなりゴーレムを動かしおって。後で身体から色々剥がして売ってやるのじゃ」

その後、痛みと羞恥の為に暫くの間動けなかったライアであったが、
やがて赤くなった鼻の頭を手で摩りながら立ち上がる
そして、フラフラと馬車の外へ顔を出せば、直ぐ眼前に骨を叩き折られた盗賊と
何かの詠唱をする神官であるジャムの姿
奥には矢を番えるフローラと、盗賊の首を豪快に叩き斬るメルティ
……あと、ゴーレムを暴れさせつつ震えて荷物に頭を突っ込むシュレッド

(ほう……挟撃と言い、展開の速さと言い、盗賊にしては随分と練度が高いものじゃな)

ライアが馬車から出てくるまでの間に、戦闘は始まっていた
奇襲と挟撃を行い数で攻める盗賊と、それに対して技能で圧倒するギルドの面々
一見してギルド側に天秤が傾きつつある攻防。だが

「このままなら容易く勝てるじゃろうな……じゃが、何か嫌な予感もするのぅ」

ぽつりと呟くライア。それは、虫の知らせの様なものだった
果たして、数人の個人技で封殺される盗賊がどうしてこれまで退治されずにいられるものだろうか
或いは、先に投擲された巨木を『引き抜いた』のは何者なのか。
そういった疑問の積み重ね、それが齎す不安……様々な要素が、ライアの警戒心を刺激する。だが

「まあ、どんな策を弄していようと――――盗賊共を殲滅する事は変わらんがの
 一匹銀貨五枚。気合を入れて稼ぐとするのじゃ」

45 :ライア=ワードレス ◆yCE/UC4zB2 :2014/04/16(水) 01:56:18.11 0
ライアは、フードの下でニヤリと悪人じみた笑みを浮かべると、そんな不安など関係ないとでも言うかの様に
右手に持った杖……竜の骨で出来たとされるそれの先端を、後方から襲ってきた盗賊達に向ける

「盗賊共、貴様らにワシの魔法を見せてやるのじゃ。御代は貴様らの首にかかった賞金でいいぞい」

ライアがそう言い放った直後、杖の先端が置かれた中空に、青く光る円形の陣が浮かび上がる
ライア自身の魔力によって描かれた、古代文字と現代文字が混じり合い、複雑怪奇な数式が書き込まれた円形の陣
名を『魔法陣』というそれは……魔法というこの世の摂理を外れた異端の力を生み出す為の術式であった。

「『土蛇(アース・スネーク)』――――!」

そうして、ライアが構えた杖をほんの少し前に突き出すと、それは起きた
盗賊達の足元の地面が突如として変形し、それがまるで蛇の様な形を取り盗賊達に絡みついたのだ
突然の出来事に驚いた盗賊たちは蛇を振り解こうとするが、剣で切ろうと殴りつけようと
土で出来た蛇は即座に再生し、盗賊達を絡め取っていく。
やがてその土の拘束は首元までに達し、締め上げ、呼吸する機能をも奪い始め……徐々に盗賊たちが倒れていく。

「殺しはせんから安心するのじゃ。貴様らには後で、貴様らが溜めこんだ金品の所まで案内させねばならんからの」

そこまで言った時、ライアは自身の魔術範囲から逃れ、馬車の方へと向かっていく数人の盗賊を目撃した
本来であればその場で追いかけていき迎撃をしなければいけない状況ではあるが、
けれどライアは彼らを追いかける事はしなかった。何故ならば

「……よりにもよってあちらに向かうとは、運の無い連中じゃのぅ
 あちらには、コルガの奴がいるというのに」

盗賊達が向かった先には、褐色の肌を持つ少女の様な見た目の女――――コルガが居るからだ

46 :名無しになりきれ:2014/04/20(日) 01:02:53.83 0
その褐色の肌の少女は

跳ね飛ぶと血を噴出した

47 : ◆kEgNZfTROQ :2014/04/24(木) 00:20:58.77 0
〔森〜メルティ達から離れた小高い丘にて〜〕
「流石は商会といったところかな、そこそこの手練を雇ったみたいだね」
丘の上で優男が双眼鏡でメルティ達の様子を伺いながら喋る
「まぁこの程度のことなら十分予測の範囲内だ。問題はねぇさ」
その隣で同じく双眼鏡を覗いていた髭面の男は口元に笑みを浮かべてそう返す。
「にぃちゃん、オデも双眼鏡みてぇ」
オークと見間違えるほどの醜男が優男に詰め寄る
「仕方ないな…ホラ、壊すんじゃないぞ」
優男は醜男に双眼鏡を渡すと、腕を組み、考える素振りをみせながら髭面に尋ねる。
「ウォリアーが2人にアーチャーが1人、それにプリーストとウィザードとアルケミスト
 護衛向きじゃないメンツではあるけど、あの様子だと現場にいる連中じゃ太刀打ちは出来ないね
 どうする『頭』、行くなら僕は構わないよ、あのアーチャーの娘を狩ってみたいし、新しく買ったコイツを試したいからね」
優男の問いに、髭面もとい盗賊団の頭領は双眼鏡を外し、優男を一瞥して、答えた
「今はほっとけ、丁度選別したかったところだしな…
 生き残る奴は生き残るべくして生き残る、今死ぬようなクズは助けたってすぐ死ぬ
 それはお前らが一番わかっているだろう?」
「相変わらず子分には厳しいねぇ、まぁ否定はしないけどさ」
お互いに笑みを浮かべながら頭領は続ける
「それに…だ、商会の品よりも金になるモンを見つけ」
<ベキャ!>
話を遮るように異音が発せられる。
反射的に視線を向けた先には、見るも無残に握りつぶされた双眼鏡と
小刻みに震えながら呆然と立つ醜男の姿だった。
「…してぇ」
おもむろに醜男が呟く
「あの褐色女ぁオ…オデの嫁にして!」
醜男のいきなりの発言に、頭領と優男はポカンと口をあけた。
「…あぁそうだね…確かにお前ごのみだとは思ってたよ」
「気持ちはわかるが、逸るんじゃねぇぞ!会えない時間が愛を育てるって言うしな
 って話が逸れちまったな、連中が連れているあのドラゴニュートを攫うぞ!」
「オデの嫁は」
「そのへんは好きにしろ、とりあえず、一旦アジトに戻るぞガンス、ランス」
「現場の連中はどうする?」
「しばらくしたら撤退の狼煙をあげさせるさ
 次に連中を襲うのは、再び奴らがここを通るときにするからな」
双眼鏡をしまい、踵を返してアジトへ戻る頭領を追うように『ガンス』『ランス』と呼ばれた
優男と醜男はその場を後にした。

48 :メルティ ◆kEgNZfTROQ :2014/04/24(木) 00:27:36.23 0
〔森〜荷馬車付近〜〕
「クソッなんなんだあいつ等はよぉー!」
盗賊達は狼狽する。
「鎧ごとぶった切ってくる女戦士が出てきたと思ったら、木ごとぶち抜いてくる弓使いが後ろに居やがるし
 なんだよ、クソがたった2人しかいねぇのに近づけやしねぇ、こうなりゃ後ろの車両を狙うしか」
「だったらさっさと行ってこいよ!神官かゴーレムに殴り殺されるか、魔法で締め上げられるのがオチだぜ」
「こうなりゃ分断だ!奴らの間に分け入って分断すりゃその内ボロが出てくる」
前方、後方共に攻めるのが困難と見た盗賊たちは、君達を分断するために中央へよってくる
だが、しかし、そこで盗賊たちが見たのはまた別の地獄だった。
「なんだよ…こりゃ」
そこでは、コルガが自身の得物を振り回し、盗賊を次から次へとなぎ払っていた。
だが、彼らに茫然自失に浸れる時間はない。

「敵が中央に集まってきている!!!一気に畳み掛けるぞ」
メルティが腕章に向って叫び、盗賊たちに突っ込んでいく
「フローラ!私は右に集まっている連中をやるから、左側をお願い
シュレッド!ビビッてないで状況に慣れろ!
 爺!ケチらずに派手なのを一発よこせ!
 ジャム!フローラと一緒に左側の掃除!」
各々に付け加えると、メルティは目の前に迫っている盗賊を睨み、一閃、盗賊の腕が斬り飛ばされる
更に一閃、近くの盗賊の膝が割れる。次々と盗賊を切りつけていく、

49 :名無しになりきれ:2014/04/24(木) 00:34:00.45 0
更に一閃、近くの盗賊の膝が割れる。次々と盗賊を切りつけていく、
 ↑
これ文章としておかしいし物理的に色々破綻してる

50 :シュレッド ◆yjsGG.N8rw :2014/04/26(土) 01:13:07.96 0
>シュレッド!ビビッてないで状況に慣れろ!

やはり手馴れなのか引く様子を見せない盗賊の散撃。
既に馬車の幌は襤褸切れと化し、至る所に矢が刺さり最早戦場である。
振動と衝撃のたびに飛び上がっていたシュレッドの頭に、団長の声が響く。
その一種の叱責がエコーとなって頭に響き、それはどこか淡い昔の記憶を呼び起こしていた。
思えば、小さい頃からそうだった。

『やーいのろまー!デカ頭ー!』
同じ種族の若衆は、皆逞しい四肢や鋭い大顎を振るい、自分よりもずっと強くて早くて、華々しい凱旋を繰り返し故郷の礎となっていった。
『兵隊にも出ねえで毎日妙ちくりんな本ばっかり買ってきやがって!ボンクラ息子は家にゃあいらねえぞ!勘当だ!』
そうして近場の国を渡り歩き、偶然行き着いたこの生活。

>「お、おのれ……シュレッドの坊主め、いきなりゴーレムを動かしおって。後で身体から色々剥がして売ってやるのじゃ」

少なくともあの魔術師には隠し事がばれている。実際、その学を持っていれば牙、皮、角、自分の身体は全て希少素材のオンパレードだ。
現にそれを承知で雲海を降りてきたのだし、それは自分への試練であった。
ところがこの状況において、今こそ身を守るべき時において、自分はただ荷物に頭を突っ込んで震えている。
なんてザマだろうか。抵抗すらできない。そして役に立てていないんじゃないかという焦燥感が、

「ち・・・ちくしょう・・・・どいつもこいつも好き放題言いやがって・・・!やってやる・・・やってやるぞ・・・!」
そんな逆恨みにも似た衝動を生み、シュレッドは荷物の山の上に這い上がり、不釣合いに発達した頭の大顎を思いっきり開く。
髪のように見えていたその牙は、磨いだナイフより鋭く、太かった。またシュレッドの額から上が”全て”上顎となっている。
そのシルエットは正に「人外」であり、着ぐるみのような印象は一瞬で消え去ってしまう、異型の竜であった。

「Vedgragzyaaaaaaaaaaaaaaa!」

舐めんなこんちくしょう、の意。興奮からか思わず地元の竜語で叫んでいる。特定されたらどうするつもりだ。
馬車から飛び上がり、手近で様子を伺っていた盗賊へ、その巨大かつ凶悪な形状の上顎を全体重をかけて叩きつける。
威力は想像するに難くない。闇レートだが牙一本で金貨1枚はする天然の短刀がずらりと生え揃っているのだ。
頑丈な兜に刻まれた歯型と、色々とあらぬ方向に曲がって倒れた盗賊を見れば一目瞭然であった。

51 :シュレッド ◆yjsGG.N8rw :2014/04/26(土) 01:14:19.12 0
「おい、なんか見ねえ種族がいるぞ!」
「あの頭にぶら下げてる天秤みたいなの高そうだぞ!攫っちまえ!」

さて、幸か不幸かシュレッドの渾身の一撃を盗賊達は誰一人、見ても聞いてもいなかった。
それどころか、竜の髭にぶら下げた純銅製の魔力天秤に目をつけられてしまう。そういえばそれなりに高いものだった。
知らぬ間に盗賊は馬車と馬車の間に寄っており、シュレッドは混戦のど真ん中に丸腰で集中砲火を浴びながら逃げ回る格好となる。
先程の巨顎竜の片鱗は何処へ行ったのか、平時の丸っこい姿に戻り必死で跳ね回る。

「えっ!?いまのノーカン!?ちょっ!やめっ!ぎゃーーー!いやーーー!」

形勢が覆りつつあると見るや盗賊は岩を投げたり、砂を撒いたりととあらゆる手段を使い防御陣形を崩しに掛かってくる。
見ると辺りは存外豊富に岩が転がっており、投げるには丁度良い重さのようで、それが幾つも飛んでくる。
苔生してはいるが、色からして石灰岩。しっかり開発すれば良質な石灰が取れそうだが、今は投擲弾でしかない。

混戦の中で白兵はこれでもかと場を掻き乱し、砂塵が相俟って奥に構えた弓兵に照準が定めづらくなる。
最も相手方も同じなのか、時折突風に煽られた矢が予想外の方向に飛んでくる。
馬車に刺さった矢はかなりの量になっており、柔らかい場所にはそのまま撃ち返せそうな代物まである。

また長柄の一人は積荷に鎌を引っ掛け、抜け駆けをする様に積荷を引き摺り下ろそうとする。
何とも盗賊らしい浅ましさだが、こんな姑息な手段で貴重な商材を盗まれたのではたまったものではない。
ゴーレムが気づいて一人を跳ね飛ばすが、存外抜け駆けは多い。
そんな周囲の状況をシュレッドは知る由も無い・・・・と、どうも危うく捕まりかけている様子だが?

「おいそいつ押さえつけろ!すばしっこいったらありゃしねえ!」
「いでででで!離せ薄らハゲ!このっ!このっ!」
「ぐげっ!ごがっ!言ったなてめえ!身包み剥いだ金でルミエリアの育毛剤買い占めてやrぶべら」
「ハゲなんかに絶対負けないもん!」

52 :名無しになりきれ:2014/04/26(土) 01:31:43.74 0
凄いジャンプ!

シュレッドはシュレッダーによって死んだ

53 :名無しになりきれ:2014/04/30(水) 22:33:52.77 0
やるきがないならやめちまえ

54 :名無しになりきれ:2014/04/30(水) 22:45:31.78 0
現在の避難所はアクセスできない状況が長期続いてて、管理人も不在なので復帰が不透明
新しい避難所を検討した方が良い

55 :名無しになりきれ:2014/04/30(水) 23:34:47.95 0
避難所ないとロールの打ち合わせも出来ないからね

56 :メルティ ◆kEgNZfTROQ :2014/05/01(木) 00:01:17.97 0
なんか書き込みエラーが起こっているみたいなんで新しい避難所を設けました。
助言ありがとうございます。

http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/9925/1398870009/

57 :名無しになりきれ:2014/05/01(木) 00:48:02.37 0
>>55
ドス…

(メルティ ◆kEgNZfTROQ が追撃を受け暗殺される)

58 :名無しになりきれ:2014/05/21(水) 00:20:43.81 0
お前らとアナル開発したくてminecraft買ってきた

59 : ◆yjsGG.N8rw :2014/05/21(水) 20:35:26.28 0
毎度の朝礼はそりゃもううんざりするほど同じような依頼同じような日程同じようなメンバー同じような依頼・・・
ここんとこ大したキナ臭さも無い依頼ばかりを捌くこの状況にいい加減飽きるだろうとお思いの諸君、その通りである。
実に退屈な最早日常と化したその行為はたとい殺し合いだろうと全く以って張り合いがない。
だが安定した利益という尊い物の副産物ならいくらでも安いものである。それをどうかご理解いただこう。
で、そんな蟻の行列を延々と潰すが如き毎日にそれはそれで困った非日常が起きた・・・
事の始まりは会計の連中の騒ぎに遡る―――

「あぁぁあぁクソっ!また偽造硬貨だ!」
「今週四度目ですよ・・・自警団も一向に連絡寄越さないし、どうなってんですかねぇ」

寝なべで金属の塊を数えて量って何が楽しいんだか自分にはさっぱり理解できないが、とにかくその日の会計連中は騒がしかった。
見た感じ全く同じ形の硬貨を天秤に乗せてはぺちゃくり回り、半分笑ってはいるが半分憤っている。
銭ゲバ共が困窮するのは見てて面白いもんだがこれに関してはウチの金だから性質が悪い。
この世にはいさかいを生む物が三つある。飢餓、痴情、空の財布。中でも空の財布は飛びぬけて最悪だ。

「やれやれ、朝っぱらからご苦労な事ですね?両替商諸君」

「ひぇっ・・・」
「ヤクzっ・・・あ、副団長・・・」

「騒がしいところ申し訳ありませんが、そろそろ今週の誤差を纏めて提出してくれませんかね」

「は・・・はい・・・しかしその・・・」
「はい?何か問題でもございましょうか?」

「えーその会計作業の上で問題が発生いたしましてその・・・締め切りには間に合わせますんで・・・」

強面なのは自分でも解かっているのでなるべく穏便な言葉遣いをするようには気をつけている。
のだがそれでも鷲鼻の男は、いやこのゴブリンは自分の姿を見るやいなや体を飛び上がらせて震え声でそう言った。まったく失礼極まりない。
当然この程度で会話を詰まらせる必要など本来無い。特に会計の連中は後ろめたい奴が多すぎだ。一体どれほどの額をピンハネした?
というわけで恐らくは連中が一番うろたえているであろう事象にダイレクトアタックな質問を一切オブラートに包まずナイフと一緒に投げつける。
しみったれた色の柱に投げナイフが突き刺さり、鈍い音を響かせる。
こちらも、もちろん全力の笑顔で。

「今 週 詐 欺 ら れ た 額 は 幾 ら だ っ て 聞 い て ん だ よ 」

「「ひいいいいいい!」」

その悲鳴が少なからず今朝のギルド員の安眠を妨害した事は想像に難くない。

60 : ◆yjsGG.N8rw :2014/05/21(水) 20:36:06.57 0
―――ギルド寄宿舎、大食堂

ミーティングルームは今のところ差して重要でもない仕事の会議で埋まっている。なので急遽こちらでミーティングすることになった。
周りは伝書鳥が行きかったりウエイターが飯を運んだり、昼間っから酒で潰れているろくでなしがいたりと騒がしい。
奥では大量の食材が調理されており、空腹を誘う匂いがそこらじゅうを漂っているがマックスはそんな事には微塵も動揺する様子を見せない。

「というわけで仕事は次の通りです。
ごく最近此処ルミエリアへ流れてきた偽金貨はご周知の通りでしょう。
昨夜、ついに密書で王都グランヅヴェウから出てきているという情報が入ってきました。のでこの出所をいい加減に潰します。絶対に潰します。以上」

自慢ではないが自分は金銭絡みの事情にはめっぽう厳しい。それが原因で恋路に敗れたほどである。
だがこんな事で只でさえ不安定なギルドの収益を大幅に減らされる事などあってはならない。
そしてヒューマン史上最大の発明である貨幣を冒涜する輩など一秒たりとも存在を許してはならない。
可及的速やかにマフィアだろうが何であろうが乗り込んでひねり上げて粉微塵にしてくれる。
でもなければ何のためにこんな筋肉馬鹿ばかりを雇っているのか解からんではないか。

「もちろん目星など付いていませんが、出所の情報が来ただけで十分です。
まず王都市民のフリをして手当たり次第に怪しい取引を当たります。そこでこのルミエリア偽金貨。
これをグランヅヴェウの王都金貨とあえて交換させて商品を取引するんです。
まともな取引であれば両替の時点で取引が中止されるはずです。これでスムーズに交渉が進んでしまうならそれは偽通貨の回収、つまりグレーか黒。
拷問でも尋問でもしてやってください。相手がゲロればいいんですからね」

その淡々とし、かつ驚くほど流暢な説明と、時々見え隠れする不穏な語彙が既に少しキレ気味であることを伺わせていた。

「ある程度の目星をつけたらそいつの所属を徹底的に洗います。尾行で失敗するなどあってはなりませんからね。
 わざわざ向こうも商会を一つ寄越してくれるとの事ですから、報酬は期待していいですよ」

王都の商会のバックアップ。裏を返せばこの一連の流れが政治介入の種であるという事。
自身の都市が偽通貨を流通させていると知れれば王はたまった物ではない。そしてそれをひっ捕らえたとあらば尚更だ。
と言ってもこの情報を寄越してくれたのが向こうの商会とのことなので、流石にそちらの報酬は向こうに譲らなければならない。
それを差し引いても、王都の商会の報酬というのは魅力的な物なのである。

61 :シュレッド ◆yjsGG.N8rw :2014/05/21(水) 20:40:16.11 0
子供並みの体躯と子供のような顔に見たこともない竜の頭が乗っかったなんとも張り合いの無い姿。
傍目にはただの着ぐるみにしか見えないその自称竜人が真っ先に質問を返す。

>「もちろん目星など付いていませんが、出所の情報が来ただけで十分です。
>まず王都市民のフリをして手当たり次第に怪しい取引を当たります。そこでこのルミエリア偽金貨。これをグランドヴェウの王都金貨とあえて交換させます。
>まともな取引であれば両替の時点で取引が中止されるはずです。これでスムーズに交渉が進んでしまうならそれは偽通貨の回収、つまりグレーか黒。
>拷問でも尋問でもしてやってください。吐かせればいいんですから」

「はいはいしつもーん、怪しいとこなら買うものとか自由でいいんすか?
経費で落ちるならあれを当たるっす、ヘビネズミのミロ酒漬け!」

名の通りヘビのように長いそのネズミは丹念に小骨を取り除き、特殊な酒に砂糖を入れて漬けたものが非常に珍味で知られている。
しかしヘビネズミは取れる時期も生息地もやたらと偏在しており、時期が違うモノであればその漬かり具合や味や匂いで一発でバレる。
またこれを含めたミロ酒料理は結構な値段がするので、実はかなり贅沢品である。
そのためこれが異様に安値で売られていようものなら確かにそれはそれで怪しい。

だがもちろんシュレッドはそんな事など一分一厘も想定しておらず完全に食い意地から発生した思いつきを述べているだけであった。
文字通りに私腹を肥やす気満々である。あとで副団長に粕も残らないほど絞られるがよい。

>「ある程度の目星をつけたらそいつの所属を徹底的に洗います。尾行で失敗するなどあってはなりませんからね。
> わざわざ向こうも商会を一つ寄越してくれるとの事ですから、報酬は期待していいですよ」

「お、王都の商会・・・だと・・・」

此処ルミエリアも商業都市ゆえに商会の権力もそこそこ強いが、それはあくまで経済的なもので王都の商会とはベクトルが違う。
商材と資産で政治に介入するような連中の用意する報酬だ、骨付き肉を死ぬほど食えるくらいの相場はあって然るべき。
・・・と、世俗極まりない思考であからさまによだれを垂らしているその顔が物語っていた。

「あ、やっぱ偽造金貨ってんだから削ってくすねた金の欠片とか溜め込んでるんすかねぇ、
 ていうか何かしら奴さんの巻き上げたもんとか貰えるっすか?希少素材とか全力で行くっすよ、マジでブースト掛かるっすよ!」

今回の件は偽造通貨製造元を突き当て潰す、ほぼ武力行使確定のかなり大事かつ荒事極まりない仕事である。
故に報酬を期待していいと言われた以上は全力で期待させて頂こうじゃないか。

62 :フローラ ◆WavOJ.wdWQ :2014/05/23(金) 01:35:44.47 0
(うぅ、何だか今日の副団長さん怖いですよぉ...)

メルティの柔らかな雰囲気に誘われるようにギルド入りしたフローラにとって、彼の刺々しい空気はあまり好ましいものでは無かった。
金銭と言うものはこうも人を狂わせるのだろうか。自然に囲まれて育ったフローラの頭にはそんな的はずれな問答さえ浮かぶ。
時折零れる不穏な台詞、言葉の端々から伝わる怒気。心のなかで肩を震わせながら、今回の仕事のミーティングを聞いていた。

ここでふと、ある疑問が浮かんだ。
しかし口に出してもいいものだろうか。今聞くにはあまりにこの問は場違いすぎた。
森を草原を越え、その日のものをその日のうちに手に入れ使い暮らす毎日。そんな生活と貨幣は無縁だった。
隣の竜人くんが嬉々として語る『ヘビネズミのミロ酒漬け』なる代物の価値もまるで分かったものではない。

「あのー...... なんで私呼ばれたんでしょう...?」

聞きたいことは直ぐに聞いておく方がよい。尊敬する彼女が言っていた。
だからマックスのオーラは怖くても、恐る恐る手をあげて問うた。
言い切る前に少しずつ後悔し、語尾が徐々に小さくなっていく。
この仕事、大丈夫かなぁ。天性の野伏の血が首をかしげる、そんな場違いさに身を少しだけ縮めた。

63 :名無しになりきれ:2014/07/01(火) 20:11:01.97 0
ほぼ全滅

64 :名無しになりきれ:2014/07/02(水) 22:56:12.65 0
GMがいないんじゃあねぇ

65 :名無しになりきれ:2014/07/03(木) 23:52:37.50 0
くそう、面白そうだと見に来たら死んでたか

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