1 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/01/12(木) 20:18:20
サタンの邪悪な野望を阻止するため、再び平和な世界を取り戻すため、
勇気ある騎士よ、今こそ立ち上がれ!!さあ、まずは自己紹介の紙に記入だ!!

【年齢】
【性別】
【職業】
【魔法・特技】
【装備・持ち物】
【身長・体重】
【容姿の特徴、風貌】
【性格】
【趣味】
【人生のモットー】
【自分の恋愛観】
【一言・その他】

※サタン側に参加する人も記入願います。



――――――騎士達の凄まじい戦いの過去だ!!――――――

騎士よ、今こそ立ち上がれ!!!α (実質5番目のスレ)
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1123051856/l50
騎士よ、今こそ立ち上がれ!!!!4
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1118044563/
騎士よ、今こそ立ち上がれ!!!3
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1105623580/
騎士よ、今こそ立ち上がれ!!
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1102512969/
騎士よ、今こそ立ちあがれ!
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1093884248/


2 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/01/12(木) 20:19:53
  騎士たちの奮闘空しくサタンの復活は成された
  魔王の率いる魔軍の攻勢にフレゼリアはおろかオーガスを含む周辺国すら陥落した

  一年後…

  旧オーガス皇国を中心に周辺の数カ国を領土として足場を固めた魔王軍
  それを囲むように周辺各国に結成された、動乱を生き延びた戦士たちを中心とした抵抗組織

  ――抗魔統一戦線同盟

  通称『同盟軍』の中にひときわ功績を挙げる戦士たちの姿があった
  ある者は黒衣黒髪の拳士
  ある者はいささか頭髪を気にしている、明朗快活な壮年の騎士
  ある者は精霊を操り万軍を薙ぎ
  またある者は闘気によって闇を払う
  そして……身の丈を超える七支の大剣を背負い戦場を駆ける者の姿もその中に在った

  かつて皇国と呼ばれた国の都、その玉座に座る魔王へ向け、彼らは刃を振るう
  あるいは汚名をそそぐため
  あるいは仇を討つため
  あるいはただ褒賞のため
  そして――――


  人の世の滅びを免れるために

3 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/01/13(金) 21:04:11
保守

4 名前:グレゴリー ◆QL2yDTT6cQ [sage] 投稿日:2006/01/14(土) 00:20:55
>478>481>488>492>494>498
このロリヲタ・・・魔力は高いが 正体が解らないな?魔王軍の刺客なのか?
「そう ならあげないけどさ」
我輩がそう言うのも聞こえぬかの様に ロリヲタは10人のショッカーもどきを召喚した
なんと ショッカーもどき共は我輩の意向に恐れを成したのか
わざわざ避けて他の者達を襲い始めたではないか
激しい物音が背後に鳴り響く やはりリアルは臨場感が違うな
「全く 時間稼ぎのつもりなのか知らないが 我輩を倒せないんじゃ意味無いぞ?・・・ん?」
?戦闘要員らしい者が入ってきた書庫の入口の方に 向かって行ったショッカーもどきがいるな
ただの時間稼ぎになら主であるロリヲタを守る筈だろ? 何でだ・・・もしや!
「説得を試みた我輩を攻撃をしない・・・こいつらは殺意や戦意に反応するのかもしれない」
我輩の声はロリヲタにしか聞こえなかっただろうな いや まあどうでもいいんだ
それなら都合が良いしね 誰かが後ろから殺気を溢れさせて迫ってくるがさせはしない
「・・・フフフ・・・バリアー!」

我輩は強力な結界を背後に張った これでこの結界には我輩とロリヲタしかいない
無論 美女騎士や美少女剣士達もこちらには来れないだろう
二人には悪いが 他の者にこいつに手を出させたくないからね
「これで邪魔は来ない・・・堀江!」
我輩の手から光輝く物が飛び ロリヲタの周りをくるくると回る
これに殺傷能力は「今の所は」無い
ロリヲタが今このまま逃げる準備を続ければ 簡単に逃げられるだろう

勿論 我輩の放った光と共にね

我輩もこれ以上手を出すつもりは無い だって まだ死んで貰っちゃあ困るから
「早く逃げな ロリヲタ」
ホント早くしろよ・・・詠唱省くと魂が削られるんだよ・・・ペナルティでさ

5 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/01/14(土) 00:27:06
前スレ503
>「ケッ!……御大将ノお気に入りや無ウたラ。即『晒し首』ニしとる所ジャノォ。」
今度こそのんびり見物と思ったら、辻斬りの悪態が届いたよ。
はぁあ・・・まったく図体ばかりでかいが中身は子供だねえ。何を拗ねているのか知らないが精一杯の悪態が可愛い
じゃないかえ。
直後に起こった文字通りの土砂降りが傘を叩き視界を防ぐ。
「辻斬りよぅ、今更廃る名もないだろうが言葉にゃ気をつけなよ?女々しい愚痴は漢を下げるからねえ。」
視界が僅かに開けた時に涼しげな笑みと共に応えてやったが、降り落ちる泥とその音で辻斬りまで届いたかどうかは
知ったこっちゃない。

前スレ504
降る泥も一通り落ち着いたかと思う間もなく、稲光と共に雷が落ちてきた。
勿論ラック坊やの仕業ってのは察しはつくが、またえらい大技繰り出してくれたもんだ。
雷の落ちた場所の泥は一瞬で蒸発し粉塵を巻き上げ、沼の水分を伝って電撃が走る。
「あれだねぇ、避雷符にしておくべきだったかねえ。」
思わずこんな呟きの一つや二つ漏れたって仕方がないってくらいの雷だ。
あたしの免雷符の結界も悲鳴あげるってもんだよ。こんなの何発も落とされたら結界が持たないからねえ。
これほど強力な雷を操るとは、こりゃもう坊やなんては言ってられないね。やるじゃないかえ、ラック。

前スレ509、510
もうもうと立ち上る粉塵の向こうでは氷を操る女剣士と最後の機械兵の戦いはまだ続いていた。
機械に氷、どっちも雷がよく通りそうだってのに元気に戦っているもんだから恐れ入ったよ。
だがそれももう幕引きって感じだねえ。
大きな水球。一種の結果医術とでも言うのか・・・どいつもこいつも派手な大技繰り出してくれるよ。
さて、終わったら会場の後始末もつけなきゃいけないし、ぼちぼち準備でもしながらくつろがせてもらうかね。


避雷符・雷属性の攻撃を止めるのではなく周りに分散させ受け流すもので符への負担は小さい。
免雷符・雷属性の攻撃を完全に止めるもので当然符への負担も大きい。

6 名前:レオナルド=ウォーベック ◆AS0RzMrA7E [sage] 投稿日:2006/01/14(土) 00:30:53
前スレ>481>488>492>493>494>495>498、本スレ>4
魔法陣が完成に近付いてきた頃、そろそろ活動可能な魔物の数が少なくなってきた。
そこに、先ほど書庫を出て行った少女が呼んできたものだろうか、増援が現われた。状況は悪くなるばかりだ。
それにしても、厄介な敵が現われたものだ。あの聖騎士は私が最も苦手とするタイプの相手だ。
部屋の入り口辺りでわだかまっている連中も、かなりの実力者と見た。
だが、逃げてしまえば、多少同盟軍の基地の警戒が厳しくなるというだけで、どうと言う事は無い。とりあえず命は助かると思う。

>体勢を低くしてそれをかわし、飛び退いて別の列へ駆け込み、改めてモノクルの男めがけて走った。
マントの内側に仕込んだ防御のルーンと簡易の障壁があれば、普通の武器での攻撃なら防げるだろうが、防御のルーンだけでは心もとない。
女騎士の攻撃に対応する術の準備をする間もなく、あの聖騎士がこちらに攻撃を仕掛けてきた。
だが、転移魔法のための魔法陣は間もなく完成する。

>踏み込みと共に右手から投げられた本は弾丸の様な速さで一直線に孤を描いて進み、
>その光の軌跡を残しながら、魔方陣を描いている男の胴体に向けての突撃を開始する。
「くっ!」
とっさに障壁を張るも、即席で張った障壁では効果は薄く、聖騎士の投げた本は障壁を突き破り、私の胸の辺りに書物が当たった。
障壁で威力を減らしたから致命傷にはならなかったものの、それでもかなりの衝撃で、私は体勢を崩した。
すると、指先から出していた光線の軌道がズレて、魔法陣が間違った形になり、効力を発揮しなくなった。
体勢を立て直そうとしている間に、女騎士に聖騎士、そして標的の少年は確実に距離を詰めてくる。
「……」
私は死を覚悟をしたが、無意識のうちに私の口がある呪文を呟きだしていた。
だがいずれにせよ、呪文を唱え終わる頃には私は命を落としているだろう。

>我輩の手から光輝く物が飛び ロリヲタの周りをくるくると回る
>「早く逃げな ロリヲタ」
だから私はロリコンではないぞ、と言いたかったが、たかだかその程度のことを言うためだけに呪文の詠唱を辞めるわけにはいかない。
あの光り輝く物体がどのような力を持っているかわからなかったが、今は呪文の詠唱をするしかない。

7 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/01/14(土) 16:22:20
>5
>「辻斬りよぅ、今更廃る名もないだろうが言葉にゃ気をつけなよ?女々しい愚痴は漢を下げるからねえ。」
大雨が降りしきる中、女の呟きが耳に入った。
…生憎ワシャァ地獄耳なンや、聞こえとランと思ウたか?
思いも寄らぬ反撃に思わず舌を巻く。さすが女、女々しい口喧嘩じゃあ勝てん
(だガ…)
しかし同時に。
(おもろい女ヤのォ…大抵のモンはァチィッと凄み利かせリャ黙るモンなンジャが。
 そコらの魔族ヨり肝がすわッとるわ。大した女ヤな…人間にしとくにャァ勿体無イでェ。)
あえてその事は口にはしなかったが、
ククッと先程の苦笑いではない含み笑いを漏らしシズネの方を見やった。

前スレ>504
>雲の様子が変わる。中で電気が発達していることが手に取るように解る。
「ヌぅ?…なんヤ、雲行きガ怪しュうなって来おッたワ。」
先程までは積雷雲など一つも無かった、それに先程までの土砂降りは止みつつあるのに…
鎧から雨粒を滴らせながら、空を見上げる。
状況はすぐ把握できた。どう見ても、自然に発生した積雷雲では無い。
「チッ・・・アカンでェ!」
思わず出た舌打ち、そして慌てたように手に持った愛刀を眼前の地面に突き刺し身構える。

襲い掛かってくる電流は突き刺した刀から地面に逃げていくが。
効果は微々たる物だ、恐らく半分ほどしか地面には逃げてくれないだろう。

その直後濡れた地面そして鎧を伝い体全体に電撃が走るが防御の体制から微動だにしなかった。
しばらくして防御の体制を解き、突き刺した刀を拾う。
肩や首を回しながら、体に異常が無いかをある程度調べフゥっと長い溜息を吐いた。
「・・・アアァ…流石ニチィトばかシ痺れタわァ。」
体からは煙が立ち込めているのに、何でもなさそうな間の抜けた声で呟いた。
「まったク、ツイとらんナぁ…イきなリ雷が落っこッて来ルとはなァ…」
惚けているのか本気なのかどうか分からないが、笑いながらラックを見る。

前スレ>509>510
目の前を向き直ると剣士と機械兵の戦いが平然と続いている事に多少驚く。
あの落雷の中平然と戦っているのだ。そりゃ誰でも驚くはずであろう。
よくよく見ると剣士の周りには巨大な水の玉が浮いていた。
「ほゥ…ドイツもコイツもケッタイな術ヲ使いおる…セヤが『術の使い方』ヲ分かッテおるわ。」
コイツだけじゃない、あの雷を使うガキもシズネとか言う女も相当腕が立つようだ。
腕を組み楽しそうに笑う。
「アカンなァ…ホンマにアカン……ホンマにおもろイ奴等ジャ。」
エヴァンスは【仲間】を殺してはならんと言った。
それでも…血は疼く。
「『我慢』出来なイかも知れんノォ…ゲヒャヒャッ。」

8 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/01/14(土) 17:22:07
訂正で。
大雨が降りしきる中、女の呟きが耳に入った。

自ら立てた泥の大飛沫が降り注ぐ中、女の呟きが耳に入った。

それに先程までの土砂降りは止みつつあるのに…

無し

鎧から雨粒を滴らせながら

鎧から水滴を滴らせながら

9 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/01/14(土) 18:43:54
>6
カイザーの放った攻撃は、相手に致命的なダメージを与えることは出来なかった。
だが、相手はバランスを崩し、描いている魔方陣を失敗したようだ。
(あの薄い障壁で耐えるとは、やはり普通の使い手じゃ無さそうだな。)
とっさに後方に跳ぶ。生半可な攻撃では敵を倒す事が出来ないと判断したのだ。

>4
>「・・・フフフ・・・バリアー!」
ボサボサ頭の男が強力な結界を張る。
(敵にバリアを張るとは、どうやら奴もサタン軍の一員のようだな。)
結界の中に居る二人を見ると、ボサボサ頭の男は何か行動を起こしている。
カイザーはそれを敵の新たな行動と判断し、対策を練り始める。
あの結界の前には、小手先の攻撃を加えても意味は無いだろう。
「何をするかはわざわざ敵の望んだ展開にさせはしない…!」
結界が張られている方向の奥にある壁を見つめる。
(確か、あの壁の向こうは外だったな。被害は少なくて済むだろう……さて、久々にやるか。)

両拳を硬く握り、力を込め始める。
「…ハアアアアアァッ!!」
叫び声と共に、地震が起きたかの様に図書室が揺れ、本棚から本が次々に落ちてゆく。
そして、地震が終えた時にはカイザーの身体から目も眩む様な激しい光が放たれていた。
その光は雄々しくも優しく、放つよりは包み込むという表現の方が正しいのかもしれない。
「久々に行くぞ、聖闘気よ…!!」
カイザーは水平方向に腕を伸ばし、人差し指をピンと張った。
そのまま腕を動かし始める。すると、人差し指に触れた部分の空間のみに淡い光が残る。
数秒で指に描かれた光は全てが繋がり、光の五芒星と成る。
「何を企ててるのか知らんが、結界ごと二人纏めて吹き飛ばしてやるぜ!!」

       ≪前に見るは我の正しき姿。後に見るは彼の正しき姿≫
              ≪上を見ればそれを証明できる≫ 
                ≪ならば我も天へと飛ぼう≫ 
            ≪天翔ける不死鳥の姿を見たならば≫ 

魔法の詠唱を開始する。
すると、五芒星は詠唱に呼応し、脈打つかの様に光の増減が繰り返される。
そして、光の増減が繰り返される度に、光は強く鋭い輝きへと変化してゆく。

10 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/01/14(土) 22:37:48
前スレ>504>510
>5>7
遠隔操作より魔力に牽引される機械兵の動作は細かな機微に欠き、突如出現する水球を避ける事ままならない。
氷の刃に刻まれ制御を失い、続けて放たれる氷柱が決定打となった。
女剣士から奪った大剣は、水球から弾き出されて宙を舞い、泥沼に突き刺さる。
「ん、終了」
エヴァンスが左手を下ろし、右手の指をパチンと鳴らすと、魔方陣のフィールドが消滅した。
槍持ちの兵隊どもが死体と怪我人を片付けるべく泥濘に踏み込み、見物を終えた他の入隊希望者はぞろぞろと中庭を出て行く。

残ったのは四人。シズネ、「辻斬り」、大剣の女剣士と雷小僧。兵士が四人へ駆け寄り、泥濘の外へ連れ出そうとする。
「大佐のご贔屓だけあって流石ですね」
「あれくらい、やってくれなきゃ困るさ。兵舎に案内して、連中に部屋を宛がって風呂でも浴びせろ。
少し休んだら広間へ来るよう言っておけ。中隊長は決まったから明日朝一に本部へ書類提出、と」
壇から降りて、一人兵舎へ歩くエヴァンス。ブレンゲンは「中隊長」たちを案内に向かった。
日はとうに沈み、丁度夕食時でもある。

11 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/01/15(日) 01:54:46
>前510>5>7>10
「うん、まぁ残ったのは予想通りかな」
少し経過してから周りを見渡し、立っている人物を確認。あの女、シズネ、辻斬り。残りは地に臥せっている。
立っていた三人がどのような方法で雷撃をいなしたのかを見ることができなかったことに少し残念さを感じながら呟き、
そしてそこまで言ってから突然の目眩。不意打ちすぎて思わず倒れ込みそうになる。なんとかこらえたが。
味方相手だけあってフルパワーではないとはいえ、『イリャパ』の体への負担はかなりのもの。動悸も激しくなる。
「もう、終わりみたいだけどね」
氷柱に貫かれて動かなくなったリーダー機に横目でチラリと視線を送った後、ゆっくりとため息をつく。
心配や失望ではない、疲労のため息を。

「あぅぁ…うぅ」
そして。案内され、あてがわれた部屋の中。唸り声は湯船に浸かっているから。すこし湯を熱くし過ぎた。
鼻歌を唄いながら思うことは今日のこと。昨日までは雑兵、今日からは中隊長。トントン拍子と言うと聞こえはいいが。
「なーんか上手くいきすぎてるなぁ」
そのうちしっぺ返しに遭うかもな、なんて呟きながら、湯の熱さに耐えられなくなり風呂から上がる。体は真っ赤。

体を乾かし、勝手に逆立つ髪にいつものようにイラつき、服を着て、ハンマーを背負って、いざ思うことは。
「あぁ…腹が減った」
腹から間の抜けた音が響き、胃の中が空っぽなのが自身で解る。今なら嫌いなしいたけも喜んで食べられそうだ。
「休んだら広間に、か。こんな時間に行かせるならば、当然…飯があるよなぁ」
しかも着任記念ということで豪華な料理がある可能性は大きい。ラックの期待も果てしなく大きい。
「よし、さっさと行こう」
鍵もかけずに部屋を飛び出し、広間へと向かって走り出したら人にぶつかって感電させてしまい平謝り。
そんなことがあったりしたものの無事広間にたどり着いて、ふぅ、と一息。なんだか緊張する。だが空腹には勝てない。
ノブに電気を流しつつドアを開き、いつもよりさらに姿勢を悪くしながら部屋に入る。
「し、失礼…します」
ボソボソと。

12 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/01/15(日) 07:32:16
前スレ498、>4>9
>何の魔方陣を描いてるのか〜〜突撃を開始する
後ろから光を纏った分厚い本が魔導師めがけて飛んでいく。
位置や声などから判断してカイザーの仕業だろう。それをどうにか
防いだ様子の魔導師、しかしそのせいで魔方陣の形成に失敗したようだ。
この距離でもう一度魔方陣を形成するのは無理だな・・・そう思った時だった。

>・・・フフフ・・・バリアー〜〜早く逃げな ロリヲタ
何を考えたか、あのトウヘンボクは!明らかに敵でしかない
魔導師を援護するような行動を取りやがった。実は魔王軍のスパイだったのか?
説得とかの類は時間の無駄と判断して、バリアーとやらに斬撃を放ったが・・・
弾かれた。見た目以上に強力らしい。

>とっさに障壁を張るも〜〜呪文の詠唱をするしかない
そんな中、当の魔導師は違う魔法を使うつもりのようだ。
追い詰められた状況で、なおも使おうと言うのだ。効果のほどは知らずとも、
起死回生を果たすつもりなのだと言う事は容易に想像できる。
「・・・させるか!」
居合の構えを取って精神を集中させる。神速の抜刀でバリアーの向こう側の空間を斬るために。
『悪魔』はこれをも容易にやってのけるが、俺の未熟な技量じゃ前後に長い予備動作が入る。
それに、確実に使えるものでもない・・・よほどの事がない限り使おうとも思わないのだが、
今相手の詠唱を止めるためにはこれしかない。だが、間に合うのかどうか?

>…ハアアアアアァッ!!〜〜輝きへと変化してゆく
途端、背後から大きな光の力を感じた。集中を解いて振り返ると、カイザーが
力を収束させていた。パッと見でも大技なのは明白、確かにこれなら撃ち抜けるだろう。
しかし・・・いくらムカツク奴と言っても知り合いに目の前で死なれたら夢見が悪くなる。
俺はとっさに、カイザーを止めるべく間合いを詰めてその腕を掴もうとした・・・
カイザーを包む、『聖闘気』に『悪魔』を宿した自分の体が焼かれていくのを感じながら。

13 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/01/15(日) 13:55:25
>5,7,10,11
「ふぅ・・・。」
白い肌の上をゆったりと水が流れる。
足元では無数の泡が全身を揉み解してくれていた。
今、冴波は中隊長にあてがわれた部屋で風呂に浸かっている。
水、広げれば液体まで操る彼女ならばどんな風呂であってもジャグジーと化すので非常に便利であった。

結局あの一撃によってリーダー機は沈み、冴波は中隊長への採用が確定したようだった。
それから、ブレンゲンと言っただろうか?その人物に案内されてこの部屋にたどり着き、休んだのだ。
「タコ部屋では無理だったからな。」
この待遇はいい方だろう。雑兵とされる者達には個室というものさえ殆どないのだから。

「そろそろ行くか。」
風呂から上がる。タオルなど必要も無く、体の周りの水滴は流れ落ちていった。
その胸や線の細さは『女』を主張しているが、普段の格好ではあまり分からない。

一休みしたら広間に出頭を命ぜられた。すぐさまに元の格好に着替え、広間へと向かった。大剣は部屋に置いてきていた。
と、前方にやたら低姿勢で広間へ入ろうとする金髪の青年が見えた。
そういえば、彼もあの場にいた気がする。

「まぁ、いいか。」
関わることになるならいずれそうなる。そう腹を括って広間のドアをノックしてから開いた。
「失礼する。」
そして、広間に入る。

14 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/01/15(日) 14:20:12
>前505>4>6>9
モノクルの男は書架の向こう側なので様子はわからないが、
あのペースではまだ魔方陣は完成していないはずだ。
召喚された魔物はだいぶ数を減らしている。これなら魔方陣を描き終える前に近づけるだろう。
最後の書架を走り抜けかけたところで前から敵が姿を現した。
しかしスピードをまったく緩めずに走る。敵がこちらに対処する前に走りより、
そのまま書架を斜めに駆け上って体を捻りながら頭上を飛び越えた。

眼下にはモノクルの男と蓬髪の男が見える。どういうわけか魔法陣を描くのは中断しているようだ。
セシリアはさらに体を捻って体勢を変えた。空中で剣を大上段に構える。
おそらく障壁が展開されているだろうが、それごと真っ向から切り捨てられる自信があった。
が、その時。
>「・・・フフフ・・・バリアー!」
「は?」


ごっ


間の抜けた声と共に、蓬髪の男が展開した魔力障壁に額から突っ込んだ。
その速度のまま少し角度を変えて、向こう側にあった書架にまた突っ込む。
「痛い痛い痛い鼻痛い鼻痛い……あの男、何を考えて――」
その時、書架の向こ側から声が聞こえた。

       ≪前に見るは我の正しき姿。後に見るは彼の正しき姿≫

「これは――っ」
紡ぎ出された文言。セシリアはそれを知っている。
自らの闘気を不死鳥と化し、阻むものすべてを貫き灼き尽くす英雄の奥義。
あわてて起き上がる。蓬髪の男の方を見た。結界の向こうにいられては、助けることも出来ない。
――であれば、カイザーを止めるしかない。
セシリアの肌が粟立っている。それは近づく間にも続くカイザーの詠唱のせいか、
それとも裏に聞こえた「アングロアングロ」と言う不気味な声のせいか。

15 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/01/15(日) 20:56:21
              ≪そなたの旅もここが終結の地≫ 
               ≪それを否と証明したくば≫ 
               ≪再び天へと飛ぶが良い≫

光の不死鳥を呼び出す為の詠唱は終わりを告げた。
魔方陣は太陽の様な光を放ち、呼び出される者の意思に呼応している。
「…こんな場所で好き勝手にはさせない……!!
 行くぞ!ブレンテル流、勇気の技!!……ッ!?」

>12
魔法が放たれる寸前に、カイザーは腕を何者かに掴まれた。
とっさに振り向くと、
そこには聖なる闘気によって自身の身が焼かれているのにも関わらず、カイザーの腕を掴んでいるアステラの姿があった。
「何を考えているんだ!?……くそっ!」
カイザーは、身体から放っている聖闘気の放出を止める。
同時に、不死鳥を呼び出す寸前だった魔方陣が放っていた光も止み、図書室は元の明るさに戻った。
そして、自分の腕を掴んでいるアステラの手を少しずつ離した。

>14
ふと、女騎士の方を見ると、彼女も険しい表情をしていた。
自分の行動が原因なのだろうとカイザーは判断し、足の向きを変える。
(誰が敵で、誰が味方か…見届ける必要がある。)
そう思い、入り口付近の壁まで移動し、壁を背に寄り掛かる。

16 名前:刺客[sageステヘン] 投稿日:2006/01/15(日) 21:02:53
┬┴┬┴┤_・)ノ ●~*
---------------------------------------------
┬┴┬┴┤ミ サッ ... ●*


17 名前:クスタファ・ヴァランドール ◆Ay57CrDuAQ [sage] 投稿日:2006/01/15(日) 21:53:07
【名前】クスタファ・ヴァランドール
【年齢】21歳
【性別】男
【職業】抜刀術師
【勢力】魔王軍
【魔法・特技】抜刀術、徒手空拳、忍術
【装備・持ち物】長刀、各種忍具、オーバーコート、包帯
【身長・体重】200cm・70kg
【容姿の特徴、風貌】
黒い帽子を目深に被り、膝下まで伸びる黒いオーバーコートを着込む長身痩躯の紳士。
顔ばかりではなく、全身を白い包帯で覆っている。素顔は不明。瞳の色は翡翠。隻眼。
【性格】物腰の柔らかい紳士
【趣味】刃物砥ぎ、紳士服の収集
【人生のモットー】思想は種子なり、脳髄は田地なり。
【自分の恋愛観】愛する女は一人で充分だ
【一言・その他】
「カイザー……貴様の御首(みしるし)、この私が貰い受ける」
元はカイザーと共に戦った男。しかし、現在は彼を憎悪している。
カイザーを殺すためならばヒトを苦しめる魔王の軍門に下るのも厭わない、復讐鬼と化している。
彼の翡翠色の隻眼に燃えるのは、復讐のどす黒い炎のみ。嘗ての彼の面影は何処にも無い。
しかし、卑怯な手段を好まず、正々堂々と決着をつけようとしている。

宜しくお願いします。

18 名前:クスタファ・ヴァランドール ◆Ay57CrDuAQ [sage顔見せという訳で…] 投稿日:2006/01/15(日) 22:00:27
>15
「カイザー…貴様は相変わらず間抜けな面をしているな」
唐突に図書館内に木霊する、男の静かな声音。
それに続く様にしてカイザーの目の前の床に召喚方陣が出現し、淡い光の粒子が徐々に集るにつれて
一人の男の姿を形作っていった。
程無くしてカイザーの目の前に忽然と姿を現したのは、全身黒尽くめの長身痩躯の男だった。
男は頭に黒いつばの広い帽子を目深に被り、無駄な筋肉を一切排した痩身を膝下まで伸びる黒いオーバーコートに包み、
帽子の下から僅かに覗く顔は、白い包帯で隙間無く覆われていた。
「久方振り…だな」
男の隻眼の翡翠の瞳が一瞬だけ懐かしそうに笑ったが、直ぐに研ぎ澄まされた刀の如く、尖鋭な色を浮かべた。
「早速だが、得物を構えろ。これから先は言葉は無粋。語りたくば剣で語れ」
腰に佩いていた人の背丈ほどもある刀身を持つ、長刀をするりと鞘から抜き放ち、切っ先をカイザーに突き付ける。
「ふん…鳩が豆鉄砲でも食らったような顔をしおって。分からんか?私は魔王の軍門に下ったんだよ」
嘲笑を包帯に覆われた口元に僅かに浮かべると、刀を鞘に納める…が、気合と共に居合いを繰り出していた。
一瞬だけ二人の間に煌いた鋼刃の輝き。当に電光石火の如くの一撃だった。
(さぁ、見せてくれカイザー!貴様は以前の貴様か!?それとも強くなったのか!?)
クスタファが放った居合いはカイザーの首を完全に捉えていた筈だった。
刀を納める頃には、首と胴体が泣き別れたカイザーの骸が転がっている筈だった。
クスタファとカイザーの距離は互いに一歩踏み込めば、相手の首を刎ね飛ばせるほどの近距離だ。
「……」
だが、放った居合いはカイザーの首を掠めてもいなかった。
精々、彼には目の前を鋼の輝きが一瞬通過したに過ぎなかっただろう。信じ難きミスである。
「…ふん。私の刀は曇っているようだな」
乾いた笑い声を上げると、クスタファは長刀を鞘に納めた。
「今はその時では無い様だ。だが、何れは貴様の御首を頂戴する…その時まで、暫しの別れだ」
コートを翻してカイザーに背を向けると、クスタファの姿は霞みの様に掻き消えてしまった。

19 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/01/15(日) 22:57:26
>10
どうやら試験も終了したようだね。
結局残ったのは四人かえ。まあ、妥当なところではあるが、他の奴らはふがいないこったねえ。
さて、終わったからには後始末をつけねばなるまいて。
誘脈旗を地面に突き刺し・・・沈んでいる奴はいないね・・・
「よっと・・・。ま、不細工な面だけど、一応は元通りって事で勘弁してもらいましょうか。」
地脈と水脈に働きかけて沼を元の硬い地面に戻した。綺麗に整地するなんて小器用な真似まではできないけど、これで
沈む事もないからかまやしないよねえ。

「流石に待遇が違うねえ。安宿暮らしから一転・・・。あたしも御大臣になったもんだよ。」
会場の後片付けが終わったところでブレンゲンの連中に案内された部屋は豪華だねえ。
まあ勿論、今までの安宿に比べて、って話しだけどね。
「さて、せっかくまともな塒に落ち着くんだし、時間もあるしでいろいろやらさせてもらおうかねい。」
誰に言うでもないけど、やっぱり掛け声があった方が気合が入るってもんさね。
家財道具収納符から久しぶりに家財道具を出してそれぞれ配置していく。
まずは鏡台はここ。テーブルなんてモンは符の中に叩き込んで代わりに畳に置き囲炉裏に脇息だ。座布団もここで・・・
はたおり機はこっちだね。
この壁が殺風景だし、この掛け軸が合うじゃないか。
ベッドなんて落ち着かないから引っ込んでもらって布団。衝立を置くほどの広さはないから衣桁で兼用してよしとしよう。

どったんばったんと何とか模様替えもすんで落ち着ける塒になったよ。
「ふう・・・流石に汗をかいちまったから湯浴みと洒落込むとするかねい。
こんな時にゃあ湯浴みしながら一献行きたいところだけど・・・。この後集合かかっているから、ま、お預けも仕方がないか
ねえ。」
時計を見ると集合時間まではもう暫くあるからゆったりと湯船につかる事にしたよ。


家財収納符:ご都合アイテムその一。四次元ポケット。本編ではとても出せないお遊びです。

20 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage] 投稿日:2006/01/15(日) 23:49:14
前スレ>495
「ん? FALCON? おかしいな、何時の間に抜かしたん……おい!」
マックスは後ろからの問いに振り返り、必殺技らしき構えをしているFALCONを見てギョッとする。
「ちょっと、待……あ」
FALCONは技をイルの手によって少しばかり乱暴に止められ、そのまま平謝りを続けている。
「すまんFALCON! 通ってくれ!俺は入口とこの二人を守る。中の事は任せた!」
半ば焦りの混じった様な声で早口にそう促し、道を開ける。

>497
そうだ、この子と傷ついた兵士をどうにかしなくちゃな、そう考えていた時だった。
少女が「私にお任せ下さい」と言い、兵士の傷口に手を当てた。
すると、その手から放たれた優しげな光が兵士を包み、その傷口が見る見る内に塞がっていった。
「ま、魔法? き、君は一体……?」
事が済み微笑む少女を見つめる目と、問いかける口調は戸惑いを隠せない様だ。
「い、いや、質問は後だ! ……おりゃあっ!」
マックスは未だ気絶した兵士に対し気付を施すと、目を覚ました兵士にこう言った。
「大丈夫か? 目覚めたばかりの所で悪いが、さっきアンタを襲ったらしい敵が、
まだ中に残っているらしいんだ。俺は中から来る奴が居たら止めるから、アンタは外を見張ってくれないか?」
兵士は一つ頷くと剣を構えて入口の前に立った。マックスはそれを見てから少女に顔を向けた。
「取り敢えず、君は絶対に守るから安心してくれ」
孤児院にも少女と同じ位の、血の繋がらない妹はは結構居る。家族を守り養ってきたマックスには、
どうしても妹を思い出してしまい、絶対に守ってあげなくては、と思ってしまうのだった。

21 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/01/16(月) 00:35:00
(失敗した)
緊張して広間に入ったのに。まだ早かったのか、中には誰もいなかった。もちろん食事もなし。緊張のし損ではないか。
わざわざ「失礼します」と言ったのに誰もいないというなんとも言えぬこの悔しさと憤り。空腹も相まって嫌な気分。
「ま、いっか。どこに座ろっかな」
聞きかじりだが偉い人は入り口から一番遠い椅子に座ると聞いたことがある。となるとラックはどこに座るべきか。
「最年少だろうし…いいか、ここで」
入り口に一番近い椅子に座る。頬杖をついた行儀の決してよろしくない格好で、誰かが来るのを、食事が来るのを待つ。

>13
>「失礼する。」
ラックが椅子に座ってすぐ、ドアをノックする音と開く音。そして声。ラックは反射的にそちらを見る。
室内には似つかわしくないコートに、長髪の、女。年は…ラックと同じぐらいか…やや上、といったところだろうか。
(あぁ…この人か)
先ほどの試験ではリーダー機を倒し、功績としては辻斬りと並んで一番なのではないだろうか。強い人は印象に残る。
(あの大剣は持ってないみたいだな…そうだよな、日常生活には武器は持ち歩かないよなぁ)
背負ったハンマーに振り返り、場違いかな、失敗したかな、となんとも心配になってくる。

ラックはかなり明るい人間であるが故に、沈黙というのがどうにも好きになれない。だから話しかけようとする。
だが、目の前の女は気軽に話しかけることができたシズネとはオーラが違い、なんとも話しかけづらい。
(だけど同じ中隊長になるんだし…この辺でフレンドリーになっとかないと…よぉし)
息を吸い、右手を少し上げて、笑顔で、響く声で。
「やっ」
そこで打ち止め。
しかし一度話しかけてしまえば、ラックの口からは堰を切ったように言葉が溢れ出る。
「人間…だよね?しかも女性、やるねぇ。あんなでっかい剣振り回してさ。魔法も使ってたみたいだしね。水の、かな?
 あ、俺の名前はラック。ラックっても幸運って意味のLUCKじゃなくて欠乏って意味のLACKなんだけどね。関係ないか。
 特技としては雷を少々。まだ17歳の若造だけど、これから同じ中隊長として、ま、よろしく!」
淀みなくつらつらと喋りぬいてから、握手を求めているかのように、右手を差し出す。
今はしっかりと、ゴム手袋を着けている。

22 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/01/16(月) 00:37:46
>10
あの剣士の一撃で赤い機械兵が崩れ落ちた。
そして消滅する魔方陣、どうやら試験が終わったらしい。
「あれまァ〜こンなんでシマいかイ。ぶッちャケ最後の雷様ダケやなァ効イたんは。」
まあ肩慣らし程度にはなったから、結果オーライだろう。
残った他の参加者を見ると…やはり注目された人間3人だけ。情け無い、実に情け無いぞ魔族共。

先程の事を思い出しながら、部屋の中央で胡坐を掻き自室で装備品の整備を行っていた。
指先に詰められた『隠し火筒』の入れ替え。手甲に仕込んだ『鉤爪』の錆落とし。愛刀の手入れ。鎧の泥落とし
大きな布袋から油や火薬を取り出し、骨になった手で、それらの手入れを始める。
体に身に付けているのはボロボロになった布切れのみだが、
元より体は腐り落ちているので、あまり気にならない。と言うか回りも気にしない
まあ日頃から斬れる準備をしといて損は無いだろうさ。そんな笑みを浮かべながら。

「そウ言ャァエヴァンスの大将も左腕ガ義手やッたなァ…へへっ案外ワシら気ィ会うかモ知れンなァ」

手入れを終えてふと思った事。
(あれ・・・そう言えば集合時間何時やったっけ?)
しかし次に思った事。
「まあ、エエわ。適当ニ廊下デ時間潰しトこか。荷物ハ後でエエ。」
風呂にも入らずに。(と言うより風呂に入る週間が無い)
手入れをした装備を全て身に付け廊下を徘徊する事に決めたようだ。

23 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/01/16(月) 01:23:06
>20
>「すまんFALCON! 通ってくれ!俺は入口とこの二人を守る。中の事は任せた!」
「おう、任せておけ!!!イルはここにいろよ!!」
マックスが道を開き、イルを外に待たせ、久々に入る戦場。
濃密な魔力の匂いが図書室に充満し、激戦が行われていたのが容易に解る。

死角から放たれる右顎を狙った拳撃。それを見もせずに右手で軽く受け止める。
相手の拳を握り締め、気合いを入れて振り回すように相手を投げ飛ばす。
投げ飛ばされた相手は激しい勢いで本棚に激突し、本棚がその衝撃で倒れ、倒れた謎の相手を潰す。
次に襲い来るは、別の相手が放った金的を狙った蹴り。
その蹴りを両腕を交差させた下段受けで防ぎ、お留守な相手の足下を左のローキックでへし折る。
足を折られて相手はうつ伏せに倒れた。
倒れて動けない相手の後頭部に、FALCONは右足を置き、力を込めて踏みつける。
相手の頭蓋は潰れ、血やら何やらが飛び散り、床や壁や本棚や机を汚した。
「もの足りない…もっと、楽しめる戦いは無いのかよ!!!」
FALCONは烈火の如き負のオーラを纏い、吠えた。

24 名前:レオナルド=ウォーベック ◆AS0RzMrA7E [sage] 投稿日:2006/01/16(月) 01:47:14
>9>12>14>15>18>23
敵はこの期に及んで内輪揉めを始めたようだ。それとも、彼らにとって新たな敵でも出てきたのだろうか?
精神を集中するために目を閉じて呪文を唱えているので、周りの詳しい状況はわからない。
どちらにせよ、これ幸いと急いで呪文を唱え終えた。
無我夢中で、と言うよりも何かに操られるようにして唱えた呪文は、効果が発揮されるまでは何の呪文だか思い出せなかった。
敵が私を見ているとするならば、きっとどす黒いオーラを放ってパワーアップしたように見えるだろう。
しかし、実のところ、気分が悪くて倒れそうなのだ。何せパワーが霊魂と一緒に流出してるだけだから。

そう、私が唱えた呪文は、幽体離脱の魔法だった。
私の魂が肉体から離れていく。私は自分の肉体が床に倒れ伏すのをこの目で見た。
一度肉体から魂を流出させると、それまでの不快感や苦痛などが嘘のように消え、浮遊感と開放感に満たされた。
だが、敵とて霊体に攻撃する術くらいあるだろう。早急に脱出せねばならぬ。
幽体となった私は、まず私を閉じ込めるため(だと思う)に張られた障壁を突き破るべく、バリアーに体当たりを繰り返した。
『ウオオオオオオオ!』
とりあえずその場のノリで雄叫びをあげながら三回ほど突進を繰り返し、バリアーを突き破った。
その際、かなりの魔力を消費したが、まあ何とかなるさ。
その後の活動と言えば、このまま魂だけ逃げた後はこの『レオナルド=ウォーベック』としての身体は使えない。
だがやむをえない。故に、どこかで新たな肉体を調達せねばならぬ。
新しい肉体が野望に近付くために有利なものであることを祈りつつ、私は壁をすり抜けて部屋を飛び出した。
ああ、それと、
『素晴らしい!君達のその力、気に入った!
 君達のその力を是非とも私のものにしたいところだが、こうも一箇所に集まってもらっては、誰から料理しようか迷ってしまうではないか。
 口惜しいが、今日のところは退かせてもらうとしよう。それと私はロリコンではない!』
捨てゼリフを残すのも忘れない。

25 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/01/16(月) 08:30:23
>20
兵士の傷を治し終わると

>「ま、魔法? き、君は一体……?」
先程の青年が質問をしてきた

魔法は初めて見るのだろうか?自分を見つめる目と話し掛ける口調は戸惑いがあるようにも見える


「い、いや、質問は後だ! ……おりゃあっ!」
どう答えようか考えていた矢先、青年は気絶していた兵士に対し気付を施す


「あ…」
傍から見ると痛そうであったが兵士は目を覚ます

>「大丈夫か?〜(中略)アンタは外を見張ってくれないか?」
青年に見張るよう言われた兵士は一つ頷くと剣を構えて入口の前に立った

次の瞬間、青年は自分の方に向きかえり
「取り敢えず、君は絶対に守るから安心してくれ」
青年がどんな事を思いながら言ったのか少女には分からなかったが、真剣な表情と優しい口調に

―この人と一緒にいると安心できる―

「はい」
そう思った少女は先程より嬉しそうな表情で青年に微笑みかけ

「不束者ですが、よろしくお願いしますわ」
誤解を招きかねない言葉を言いながら深々と頭を下げた

26 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/01/16(月) 17:36:41
>13>21
調理場へ続く扉からエヴァンスが、右手の指に付いたソースを舐めながら現れた。
開かれた扉の向こうより漂う料理の匂いからして、食事の準備は出来ているらしい。
「早いな」
敷き詰められた赤絨毯を横切って席に着き、金髪の少年と女剣士へ話し掛ける。

テーブルの下へやった右手をコートの裾で拭きながら、左手で銀の食器を弄びつつ、
「『ラック・ラック』と『ヒワタリ・サエナミ』だな? もうじき食事も届く、とりあえず待ってろ。
試験の話、中隊長就任についても色々聞きたいだろうが、詳しい事は後の二人が来てからだ」
そう言うと手を口に当てて一仕切り大欠伸し、それから頬杖ついて二人をじろじろと眺める。
卓上に上げられた義手は手袋を外したままで、指二本がナイフの刃を叩く度、微かに軋んだ音を立てる。
青い瞳がラックと冴波の顔を交互に行き来して、
「安心しろ、貴様等のポストは決定した。
訳の分からん上司の元で訳の分からん仕事をして、訳の分からん死に方をするかも分からん訳で
最低限、階級章と食事くらいはブタの餌よかマシな物を与えてやらねば割に合わんだろうからな。

二人は人間か。この国の生まれには見えん、何処の生まれだ?
人間だてらに魔王サタンの軍門へ下ろうと言うのだから、大方事情持ちだろうが」

27 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/01/16(月) 17:42:05
>21
広間に入っては見たものの、中には先ほどの青年しかいない。
こちらに気づくと、意を決したように近づいてきた。
・・・・・・別に猛獣に近づくわけでもあるまいに、それとも私はそんなに怖い顔をしているのか。
少しショックでもあった。
>「人間…だよね?しかも女性、やるねぇ。あんなでっかい剣振り回してさ。魔法も使ってたみたいだしね。水の、かな?
>あ、俺の名前はラック。ラックっても幸運って意味のLUCKじゃなくて欠乏って意味のLACKなんだけどね。関係ないか。
>特技としては雷を少々。まだ17歳の若造だけど、これから同じ中隊長として、ま、よろしく!」

「ん、あぁ。よろしく頼む。」
手を差し出そうとして、一瞬止まったが何事もなく握手する。
「そうか・・・そういえば、先ほどの雷は凄まじかったな。水鎧が無ければ感電していた。余程、珍しい体質なんだろうな。」
わずかに見せるアルカイック・スマイル。笑うより微笑むのが似合うような笑顔を見せる。

「すまないな、自己紹介を忘れていた。冴波 氷渡、いや、ヒワタリ=サエナミという。訂正すると、術は水〜氷、広くは液体だな。
年齢は19。性別は女だ。よく男かと思われたりもするが、な。」
確か、こちらでは姓名が逆なのだったな。
とりあえずあれこれとなく雑談をするとでもしようか。流石に黙り続けては彼の方が気詰まりだろう。

28 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage追加レスです。] 投稿日:2006/01/16(月) 20:05:04
>26
「早いな・・・・・・もうポストが決定したのか。」
猫のように手を舐める隊長をどう思ったかは分からない。

だが、質問に答えなくては多少心証に悪いだろう。
「生まれは試験管の中だ。もっとも、ここからでは転移呪文でも届かない程遠いところだが。
そうだな・・・・・・《世界》の壁を2,30枚程割れば行けるかもしれないな。行っても大した物はないが。」
アルカイックスマイルを浮かべたまま、瞳に暗い炎が点いた。
まるで、生まれた事を呪っているように。


「そして、ここに来た理由は二つ。自分が知りたい事の答えがあると思ったから。人間は往々にして答えをはぐらかす事が多い。
二つ目は、『かつて自分がやった事と同じ事をしてい』るものだから少し気になったから、かな。今の私ではもう出来ないが。」

29 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/01/16(月) 20:24:07
>27
>「そうか・・・そういえば、先ほどの雷は凄まじかったな。水鎧が無ければ感電していた。余程、珍しい体質なんだろうな。」
「いや別にね?ただ人よりちょっと電気が扱えるってだけだからさ。いっつも体に電気を帯びてるしね。
 だからこのゴム手袋。これのお陰で握手なんかできるんだよ。…ま、大量の電圧がかかれば絶縁体でも電気を通すけど」
ここまで言って、握った手を離す。少し不安にさせるようなことを言ってしまったような気がするが、特に気にはしない。
絶縁体の電子をも自由電子にしてしまうほど大量の電圧、ラックにもそうそう使えるものではないのだから。
(『チャンゴー』ぐらいだよな…そんなのは)
一つの雷術を思い出し、そして心の中でつぶやく。

>「すまないな、自己紹介を忘れていた。冴波 氷渡、いや、ヒワタリ=サエナミという。訂正すると、術は水〜氷、広くは液体だな。
>年齢は19。性別は女だ。よく男かと思われたりもするが、な。」
「19?やっぱ見た目通り若いね、俺が言えたセリフじゃないけどさ。とりあえず、ヒワタリさんね。うん、覚えた。
 あーだけどさん付けって性に合わないなぁ。年はあまり離れていないし、呼び捨てでも構わないかな?怒る?」
一度話しかけ、そしてその返答が予想よりかなり柔らかなものだったことから、ラックの口調は饒舌さを増す。
礼を失している、とも言える。そもそもラックには礼などあってないようなものではあるのだが。
ふう、と一息つき、返答も聞かずにまた口を開いて。
「ところでさ、たぶん今から食事だろうし、そんなコート脱いだ方が──」
入ってきたドアとは別方向のドアが開き、言い終わらぬまま思わずそちらを見やる。

>26>28
入ってきたのはあの師団長。名は…たしかエヴァンスだとか名乗っていたような気がする。
(やっぱりなんか、威圧感あるよなぁ)
外見上はラックよりも更に年下にしか見えないのに。雰囲気が、そうだと思わせない。
(ま、どうでもいい)
そんなことを考えるよりまず先にラックの思考を占拠したのは、ドアの向こうからした鼻孔をくすぐる芳しい料理の香り。
空きっ腹にその匂いはクリティカルヒットし、腹が鳴りそうに。いや、実際鳴ったかもしれない。聞こえなかっただけで。

エヴァンスの品定めをするような視線や貴様呼ばわりの高圧的な言葉に空腹のラックは少しだけ反感を買うが、
どうせこれからエヴァンスが上司になるのだし、ずっとこうなると思えば特に気にはならなくなってくる。
(こんなに早く中隊長になれただけでも、ラッキーだと思わないとな)
上司が誰だろうが同僚が誰だろうが正直なところどうでもいい。さっさと追い抜く。目指すは上へ、上へ。

>二人は人間か。この国の生まれには見えん、何処の生まれだ?
>人間だてらに魔王サタンの軍門へ下ろうと言うのだから、大方事情持ちだろうが」
出自を聞かれてラックは露骨に不機嫌な顔になる。思い出したくもない、厭な思い出なのだろう。
冴波の発言(ラックには何言っているのか全く解らなかったが)を聞き届けると、ゆっくり口を開く。
「…ベスラートという…辺鄙な村ですよ、極西の。外界から隔絶した、首長が絶対的な権力をもつ。
 …数年前に『原因不明の突発性集中的落雷』により壊滅的打撃を受けて、今はもう地図に名前は載ってないですけど」
そう淡々と話した後、また元のラックの明るく間の抜けた顔に戻り、徐に椅子に腰掛ける。
「別に事情なんてないですよ。…ただ、金や権力が欲しかっただけです」

30 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/01/16(月) 22:34:11
「い〜〜〜〜湯だったねぇ。」
こんなにゆったりと湯浴みをしたのも久方ぶりだったもんだから、ついつい口に出ちまうよ。
鏡台で化粧をして髪を結って上機嫌だ。
さ、て、そろそろ時間だし、何を着ていこうかね。
着物は数は持っているけれど、柄はどれも同じ。それでも何を着ていこうなんて迷っちまうのは相応の訳がある。
外に見える柄ではなく、見えない裏打ちにこそ気を使うってものが粋ってもんじゃないかねえ?

なんて言ってみたけれど、ブッチャけるとあたしの羽織る着物も一種の符なのさ。
裏打ちに呪式が刺繍で編みこんであるんだよ。

ちょいと迷った挙句一枚取り出して羽織って準備万端。
「支度はきっちりするが、時間内に終わらせるってのが粋な女の条件よ〜っと。」
おっと、湯浴みに気分よくなってたもんだから鼻歌が出ちまったよ。
三枚歯下駄を履いて番傘持てばいつものあたしの出来上がりだね。

>22
三枚歯下駄を履いているからそうそう早くも歩けないんだけど、時間にはきっちり間に合う計算さね。
広間に向かってゆったり歩いていたんだけどね、視界の隅に特徴のある姿が映っちまったよ。
気のせい気のせい、あたしゃなんにも見えていない・・・なんてごまかしが利くほどどこにでもある姿じゃあない。
あのどでかい身体に黒塗りの鎧武者姿。
試験では噂に違わず破壊衝動のみが行動原理じゃないかってくらいの姿を見せつけられたからねえ。
見ちまったからには仕方がない。それにやっぱり見て見ぬふりってのもあたしの性分に合わないしねえ。
「おぉーい、そこ行くは辻斬りだろぅ?」
まあ、パッと見で判りきった事だけどこれも礼儀さね。
それにしてもあれは何をしているんだか。広間とは真逆の方をうろついているじゃないかえ。
「ほれ、もう集合時間だというのに何をうろついてんだい。あたしも今行くところだからご一緒しようじゃないかえ?」
にっこり微笑みながら手招きをしたよ。広間の扉はすぐそこだ。

31 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/01/16(月) 22:58:14
>18
急に声が発せられ、カイザーはその方向を振り向く。そこには以前に共に戦った事のあるクスタファがいた。
>「ふん…鳩が豆鉄砲でも食らったような顔をしおって。分からんか?私は魔王の軍門に下ったんだよ」
(魔王…サタンの事か……何でここにいるんだ?)
クスタファは剣を振るうが、当たらず、そして去って行った。終始に渡り、カイザーの心の中には『?』が浮かんでいた。
(俺は特に何もしてないよな……何か勘違いしてないかアイツ?)

>24
>『ウオオオオオオオ!』
気を取られている内に紳士風の男は奇声を上げ、ボサボサ頭が作り出した結界を打ち破っていた。
(肉体を捨て、精神のみを逃す気か…?)
そして、紳士風の男は壁をすり抜け、捨て台詞を吐いて去って行った。
(奴の狙いは何だったんだ?…いや、俺が考えても答えは出ないだろうな。)
敵は去った、あのボサボサ男も皆の対応からすると敵では無いらしい、それを信じて出口へ向かう。

>23
>「もの足りない…もっと、楽しめる戦いは無いのかよ!!!」
「戦闘は終わりだ、敵は去って行ったぞ」
FALCONにそう伝え、カイザーは図書室から出て行った。
>20>25
図書室の外では、マックスと少女が何か話をしているようだった。
「敵は逃げた。俺は他の場所に被害が無いか見てくる。」
二人に言い、カイザーは廊下を進んで行くのであった。


人が多そうな場所を一通り回るが、大きな倒壊どころか少しの被害も出ていないのだ。
(…奴は始めから、図書室を狙っていた?……とにかく、残すはこの中庭だけか。)
廊下を進み、ドアを開く。

空には太陽の明かりが溢れ、それが濃緑の草が生い茂っている大地を暖かく照らしている。
(ここにも被害は無さそうだな。)
中庭には幅10メートル程の小さな池が設置されており、何匹かの鯉が所狭しと泳いでいる。
その近くには鯉の餌が小さい袋に入れられて、無料で置かれている。
カイザーはその鯉の餌の袋を一つ掴み、池の畔の白いベンチに腰を下ろした。
(…オーガス、フレゼリア……他の国々も半数以上が既にサタンの支配下に置かれている…今も何処かで誰かが戦っているだろう。)
袋の中の餌を手で掴み、池に向けて放り投げる。
鯉は、バシャン、と水を撒き散らして池の表面から飛び出し、器用に餌を口の中に放り込む。
(重大な事態なのに…先程の戦いでは、敵と味方の区別も付かず、何をやってるんだ俺は……)
「天聖騎士…か」
池に揺らいで反射する太陽を見ながら、小さく呟いた。

32 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/01/17(火) 00:50:39
廊下を見回しながら探索する事約数十分、いや数時間かも知れない
生憎と腹時計なる物は、遠い昔に腐り落ちてしまっている
「ホぅ…造り自体ハ、ボちボちッてとこヤなァ。」
しかし当然ながら自分の兵舎に比べ広く、清潔、
そして所々に装飾が張り巡らされ品を損なわない造りになっている。
それは『マナー』と言う言葉から掛け離れたワシにもよく分かった。
「…ン?」
壁に掛けられてる印章が目に入った。ふと足を止め印章を見つめる
「こラァ……オーガス帝国の印章トちャうンか?。」

>30
>「おぉーい、そこ行くは辻斬りだろぅ?」
その時後ろから不意に声を掛けられた。
「あァ〜ン?誰ヤ。」
気だるそうに振り返る…誰も居ない、そこからちょっと視線を下にずらす。あっいた。
綺麗な黒髪を簪で止め、着はだけた着物姿の美しい女。
その女がこちらに向かい微笑みながら手招きをしている

……どちら様やったっけ?ふとそんな疑問が頭を過ぎったが、すぐに思い出せたようだ。
ああ、確か試験じゃ地面を泥沼に変えた女か。
まあ邪魔をされたとは言え、あれ程に強大な術を使えるとは敵にしたら脅威だろう。
…それに試験で言われた『戯言』。
自分に向かいあそこまで凛として言われちゃ忘れるはずは無い

「ああ、アンタかイ。えッと確カ…名前ハ…」
頭に指を当て記憶を手繰り寄せる、
「あア…そうそウ……『シズネ』はんやッたっなァ。試験でハ世話ニなっタノォ」
頭を軽く下げながら、しゃがれた低い声で相手の名を呼ぶ。実に愉快そうな声だった

>何をうろついてんだい。あたしも今行くところだからご一緒しようじゃないかえ?
そんな事初めて言われ、ふと集会の事を思い出した。
「そうかイ、スッカリと忘れトッたデぇ。
ゲヒャハ…幸運やナァワシ見たいナ低級アンデットに、アンタみたいナ『べっぴんさん』のオ声ガ掛かとはのォ。」
相変わらず笑いながら嘘か本心か読み取れない口調で言い返すと、シズネの横について歩き出した。

33 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/01/17(火) 01:54:59
レオナルドが退却し、静寂化した室内。
パチパチパチと拍手の音が鳴り響く。
「いやぁ、君達。実に見事だったよ。一部に不届き者はいるがね。」
図書室に黙して状況を見据えていた壮年の騎士、ガーオス。
元フレゼリア聖王国の将軍として名を他国まで轟かせ、現在同盟軍の中枢を担う男だ。
「君達に話たいことがある、後で私の書斎まで来てもらいたい。場所はこの部屋の隣だ。
特にグレゴリウス君。君は絶対に来るんだよ。」
ガーオスは図書室から去り、自らの書斎に戻っていく。
彼の話たい事柄とは一体?

34 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/01/17(火) 07:47:37
>15>24>33
>魔法が放たれる〜〜少しずつ離した
とりあえずカイザーの行動を止める事はできた・・・が、
お陰で体の外側も内側もすっかり焼け爛れてしまった。
『悪魔』は普通の魔族よりも聖闘気などに対する耐性は高い方だが、
それでも大技発動の為に強烈に圧縮された聖闘気は堪えた様だった。
仕方無しに魔気を解放して傷を癒す事にした・・・回復魔法は、
ごく一部を除いてこの体には有害でしかない。自力で回復させる以外ないのだ。

>敵が私を見ていると〜〜捨てゼリフを残すのも忘れない
そこで思い出したのが魔導師の動向だった。急いで視線を向けると、
体から何かが噴出している・・・魂、そう理解するのに多少の時間を要した。
何しろこの状況で自分の体を捨てていくような行動に出るとは思ってなかったからだ。
どちらにせよ今は動けない、悔しいが黙って見ている事しかできない・・・
そんな時聞こえてきたのは魔導師の声。奴は力がお望みらしかった。

「・・・下らん・・・」

そんな事の為に飛び込んできて、最後は幽体離脱ときたもんだ。
あまりの下らなさに無性に腹が立ってきた。そのせいでこんな負わなくてもいい大怪我を負ったのだから!

>レオナルドが〜〜事柄とは一体?
いきなり拍手が聞こえてきた。音のした方を振り向くと、
どっかで見たような顔の男がいやがる。その男から後で自分の書斎に来るように
言われた・・・お説教なら真っ平ゴメンだ。そうでなくても今はイライラしてるのに
そこへもって神経を逆撫でするようなムカツクにやけ面を見せられて、怒りが頂点に達しかけた。
と、ざわりと心臓を鷲掴みにされるような感覚に襲われる。まずい、負の感情を膨らませすぎると
『悪魔』にコントロールを奪われる・・・心を落ち着けて、傷の回復に専念する事にした・・・



とりあえず、多少は戦える程度まで回復したところで
やる事もなし、さっきのお偉いさんらしき男の書斎の場所を聞いて行く事にした。

35 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/01/17(火) 07:50:50
>31
池の傍らで思索にふけるカイザーに一人の兵士が近づいてゆく。
兵士はカイザーのすぐ横まで来たところで足を止め、敬礼した。
「『聖騎士』カイザー様ですね?ガーオス将軍がお呼びです。
書庫の隣に将軍の書斎がございますので、そちらまでおいで願えますか」
用件を伝えると兵士はすぐに城砦の中へ戻っていった。

36 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/01/17(火) 10:17:12
>31>33
>「戦闘は終わりだ、敵は去って行ったぞ」
「本当なのかよ…もの足りなさ過ぎるぞ…」
すぐに終わった戦いに不満を感じながらも、FALCONは荒れ狂う気を静めた。

拍手の音が奥の方から聞こえる。
拍手の音の出場所を見ると、同盟軍の幹部、たぬき親父のガーオスがいた。
たぬき親父の愛称はイルが言ったガーオスの第一印象で、FALCONもよくたぬき親父と呼ばせてもらっている。

>「君達に話たいことがある、後で私の書斎まで来てもらいたい。場所はこの部屋の隣だ。
>特にグレゴリウス君。君は絶対に来るんだよ。」
(話たいこと?たぬき親父のことだ、良いことじゃなさそうだよな…)
嫌な顔をしながら図書室を出ると、イルが入口の横に立っていた。
「FALCON、戦いは楽しかった?」
「もの足りなかった。それと、ガーオスに部屋に来るように言われた」
「また何かやったの?私も行こうか?」
「何をやったかは心辺りは無いが…とりあえずイルは部屋に戻っていてくれ」
ガーオスが話をしている二人を横切り自分の書斎に入っていく。
「それじゃ、行ってくる…」
イルは同盟軍に与えられた部屋に戻り、FALCONはガーオスの書斎に向かう。

「失礼します」
ガーオスの書斎のドアを軽くノックして入る。
「FALCONです、呼ばれたようなので嫌々ながら来ました」
目前のガーオスに悪態を付きながら敬礼をした。

37 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/01/17(火) 11:13:17
>12>15>18>23>24>31>33>35
詠唱を完成させる最後の一語が耳に届くと同時に書架を回りこむ。カイザーの腕を掴むアステラの姿が目に入った。
カイザーは闘気の放出をやめ、焼け爛れたアステラの手を引き剥がす。
ちらとセシリアの方を見ると、踵を返して書庫の入り口へ退いた。
二人が止めに入った理由を察したのだろう。そのカイザーの前に、落ち着いた声と共に一人の男が姿を現す。
(……なんでこんな簡単に入られてるのよ)
最前線の出城にあるまじき防御体勢の甘さに少し嫌気がさす。
並外れた長身で並外れた痩身の男は、一方的にカイザーに斬りかかり、そのまま去っていった。
カイザーは無傷だった。

そちらに気をとられているうちに、モノクルの男が障壁を破る。
まさか霊体になって脱出を図るとは思わなかったので虚を突かれた形だ。
男はそのまま捨て台詞と主に飛び去ってゆく。残りは召喚された使い魔だが、
入り口のほうでも何体か倒しているようで、気付けばこちらも片付いていた。
周囲を見回すが、どうやらすべて終わりのようだ。
カイザーは見回りだといって書庫を後にした。
セシリアは剣をぶら下げたまま蓬髪の男に近づき、その喉に剣を突きつける。
「なぜあのタイミングであんな真似をしたか、答えてもらおうか……」
険しい表情を作ると額と鼻筋が少し痛んだ。

しかし、男からの返答が帰ってくる前に、口を開いたものがいた。
>「いやぁ、君達。実に見事だったよ。一部に不届き者はいるがね。」
同盟軍の将、ガーオスが手を打ち鳴らしながら歩み出て来る。
>「君達に話たいことがある、後で私の書斎まで来てもらいたい。場所はこの部屋の隣だ。
>特にグレゴリウス君。君は絶対に来るんだよ。」
それだけ言うとそそくさと書斎の方へ戻ってしまう。
(今まで高みの見物……ってこと?全く……)
「後で申し開きはしてもらうぞ」
セシリアは剣を収めて蓬髪の男に向かって言うと、書庫を出て書斎へ向かった。
いささか足早だったのは、蹴倒した書架のことを誰かに咎められたくなかったからだ。

書斎の前には既にアステラとFALCONがいた。FALCONがドアを叩き、中へ入る。セシリアも後へ続いた。
>「FALCONです、呼ばれたようなので嫌々ながら来ました」
(変わんないなぁ)
「直々のお呼び立て、如何なる御用かは存じませぬが、手短に済ませていただけますか?
なにぶん哨戒から帰ったばかりで騒ぎに巻き込まれましたゆえ。私のか細い神経では気が保ちませぬ」
セシリアもFALCONに負けず劣らずの、本当に神経が細い人間には出来ない不遜な態度でガーオスに接する。

38 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/01/17(火) 11:54:09
セシリア君、怒る気持ちは判るがそれを私にぶつけるのは筋違いであろう
キャラ的情報戦も地理的関係も無視して勝手に我を出すしかできない自由人相手に私に何ができるというのかね?
そういうことは細かく考えずに流すのがマナーではないかね

ガーオスは渋い顔をしながらセシリアをたしなめた
セシリアの気持ちは痛い程判る
ガーオスとて同じ気持ちだったからだ

全員揃ったら話すからもう少し待ってくれ給え

そう二人に声をかけた

39 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/01/17(火) 19:18:30
>35
>「『聖騎士』カイザー様ですね?ガーオス将軍がお呼びです。
>書庫の隣に将軍の書斎がございますので、そちらまでおいで願えますか」
「俺は天聖騎士なんだが……って、もう帰ってるし」
あまり気乗りしない呼び出しだった。
このまま無視しておこうとも思ったが、入隊初日からそれは控えておこう。
(…そもそも誰だよガーオスって、怪獣みたいな名前しやがって)
心の中で愚痴りながら、歩き出した。


>38
「失礼する」
ドアを開き、中に入る。
そこには先程、図書室の中に居たメンバーに加え、変なオヤジが一人混ざっていた。
(…さっきの戦闘について何か話でもあるのか?)
カイザーは、そのオヤジに話しかける。
「何か用事でもあるのか?何かあるなら、手っ取り早く頼むぞ。」

40 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/01/17(火) 21:21:00
>32
「・・・・・」
言葉が出ないのも無理ないやあねえ。
辻斬りに声をかけたら、妙にフレンドリーな言葉が返ってきたじゃないかえ。
下卑た悪態の一つや二つ返ってくると思っていたのに、想定外も良いところだよ。
「・・・辻斬り・・・?・・・あんた大丈夫かえ?なんか悪いもんでも拾って喰ったんじゃなかろうねえ?」
いや、もう自分でも何言っているんだか判らない事を口走りながら辻斬りの腹の辺りをペシペシ確認するように叩いちまったよ。
体格差がえらくあるから壁を叩いているような感じだけど、そんな間抜けな行動も自覚できないほど吃驚しちまったってこった。

でもまあ、よくよく考えてみれば同僚になるわけだし、噂や悪名が先行しているだけで実際に関わりあってみればこういったもの
なのかもしれないねえ。
ようやくそこに行き着いて頭が回りだしたよ。
馴れ合う気は更々ないが、かといってわざわざ殺伐とする事もなし。仲良く付き合っていけるのならそれに越したこたぁないやあね。
「いや、すっかり間抜けなところを見せちまったね。まさかあんたの口からそんな言葉が出てくるとは思ってなかったよ。」
本気か嘘か読み取れないが、どちらにしても別嬪さんなんて言われれば嬉しくなるのが愚かな女心ってもんさね。
ちょいとあたしもツンケンしてあたったところもあるしねぇ。
「ガラにもない世辞を言わせちまったねえ。これは駄賃だ。受け取っとくれヨ。
あたしの見立てじゃあ四人の中であんたが一番強い。だけど一番弱くもあるんだ。パッと見であんたは弱点がはっきりしている
からさぁ。
聖水ならあるいは躱せるかもしれないが、聖光の類にゃどうにもならないだろ。
お守り代わりにもっときなよ。アンデットにお守りってのも妙な話だけどねえ。」
コロコロ笑いながら鏡面装甲符を一枚書いて差し出してやったよ。符の効能も説明しながらね。

ちょいと気分がよくなったところで広間の扉の前まで来た。
「シズネ・ラ・ファウスティナ、只今参りました。」
時間ぴったし、扉を開けて中に入ったよ。


鏡面装甲符:胸に符を当てる事により対象者の装甲が鏡面装甲と化す。効能は一度だけ光属性の術を跳ね返す。
        ただし、初歩的な術でも上級な術でも一度は一度。耐久度ではなく回数で判断される。
        また、無制限に跳ね返せるわけでもなく、当然のように許容量もあり。上級光術だと完全には跳ね返す事が出来ず
        1/4くらいのダメージは被る。

41 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/01/17(火) 21:58:18
>28>29
「帰りたくはないようだな」
冴波の言葉に苦笑してみせるエヴァンス。
続く話には肩をすくめるばかりで、次いでラックがあからさまに不機嫌な顔をして喋り始めるのへ一通り耳を傾ける。

>「別に事情なんてないですよ。…ただ、金や権力が欲しかっただけです」

「金や権力……ね」
ぼそりと呟く。ナイフを掴み、刃の背でテーブルの縁を三、四回叩いた。厨房の扉を振り仰ぐと、
「遅い! いい加減、最初の方だけでも持って来れんのか!?
……ああ、食事ってヤツは本当に面倒だな。喰わなきゃ動けんが、喰うのも億劫な時は成る丈喰わん」
そう言って、首を回してラックに向き直る。

>32>40
扉が開いて、シズネが顔を出す。背後には「辻斬り」の姿も見える。上座のエヴァンスも片手を差し上げて応えた。

>「シズネ・ラ・ファウスティナ、只今参りました。」

「おう、適当に座れ。丁度飯時だ。
『辻』には面白くないかも知らんが、生きた人間は兎に角喰わねば死ぬものでな。
賑やかしに皿は置いとけ。大抵の物は揃うから、欲しい物があったら言ってくれれば用意するぞ。
吸血はやるかね――私はアレは駄目だな。鉄の味ばかりして、一杯も飲めば後で皆吐いちまう」
料理を乗せたワゴンがようやく広間へ運び込まれて、皿は一揃いテーブルに並べられる。

「席に着いたらヒワタリ、ラック、『辻斬り』、シズネの順で自己紹介でもしてやってくれ。
今夜からは同僚だ、お互いの名前と血の色くらいは知り合って構わん筈でな。
貴様等の話が終わったら、各員の配属を発表する。後は飯喰って勝手に喋れや。私に訊きたい事があれば聞くぞ」

42 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/01/18(水) 00:17:58
>40
(なンや…ワシが何カやかシたんカ?)
人がせっかく挨拶してみりゃこの女目を丸くして聞いていた。
その上意味不明なことを抜かし、自分の鎧をペチペチと叩くではないか。
何故かはよく分からん。思わず首を傾げる。
別に腹を叩くと言う事には特に頭には来なかった。それよりもその奇行の訳が気になったのだ。
まあ暫くして、ようやく事情が飲み込めたようだが。
>「いや、すっかり間抜けなところを見せちまったね。まさかあんたの口からそんな言葉が出てくるとは思ってなかったよ。」
なるほど、この女の中で自分はそう言うイメージだったのであろう。
強ち間違いではないが、それはさすがに膨張表現と言う物である。

「ゲハハッ!今日ハご機嫌ヤさかいニ、ワシとテいつも刀振り回シとル訳ャ無いワ。」
機嫌が良いからこそ、先程の試験の邪魔も気にならないのだ。
下衆な笑い声を発しながら相手の背中をポンポンと軽く叩く
「まア…機嫌が悪ウ日は何も言わズ。バッサリと斬捨てテまうやも知れへンなァ…」
小声でポロッと零した、相手に聞えたかどうかは分からん。

>これは駄賃だ。受け取っとくれヨ。
奇妙な物を差し出された。何やら文字が書かれた符。
まあ説明を聞いてる内に理解は出来た、
我が身アンデットには聖光魔法やら聖水はご法度なのだ。
一度聖魔法を掛けられて撤退した事があるが、お陰で左手は大部分が溶けて再生に数週間掛かった記憶がある。
それらを防ぐ符、何故こんなモンをくれるのだろうか…?
「女ッちゅーモンは、よゥ分からンのォ…」
頭をポリポリと掻きながら呟くが、すぐに嬉しそうな声で返した
「まァエエわ。オオキニ!『シズネ』はん。」

何か礼の品でも渡そうかと懐を探ってるうちに相手は部屋に入ってしまった。
どうやらここが広間らしい、女の後に続く。
「ほナ、邪魔すルでェ…」
いつもの低く重圧的な声が広間に響いた。

43 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/01/18(水) 04:39:37
>36-39
>FALCONはガーオス〜〜敬礼をした
書斎の前に行くと、明らかに人間でない存在が立っていた。
見た目は人間とほとんど変わらないが、『悪魔』の感覚は
その男を『魔族』と認識している。実際感じる気配からして間違いないだろう。
男は先に書斎に入った。俺も後に続く。男はFALCONと名乗った。

>書斎の前には〜〜ガーオスに接する
続いてさっきの女騎士が入ってきた。鼻が少し赤い。風邪でも引いたか?
お偉いさんらしき男に文句の一つも言いたそうな態度だ。そこだけは同感だった。
とりあえず話が終わるまでは我慢してやろうと、扉を開けた時に倒れたのだろう、
どこにでもある椅子を蹴って立たせ、そこに座り腕と足を組んだ。

>全員揃ったら話すからもう少し待ってくれ給え
あまりの頭の悪さに首を振った。全員揃うまで待てだと?この能天気め。
遅れた奴の事なんかほっといてとっとと話を始めろと言いたくなったが、
それで面倒事を増やすのもバカバカしい。仕方無しに男と女騎士を値踏みする事にした。

>失礼する〜〜手っ取り早く頼むぞ
そうしてる内にカイザーが来た。あからさまに乗り気じゃない顔だ。
その上手っ取り早く話せとまで言った。まったくだ、チンタラチンタラと。
これで下らない内容だったら、容赦なく斬る。

44 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/01/18(水) 14:50:18
>29>40-42
>「帰りたくはないようだな」
「帰っても『何もない』だけだ。信じる信じないは自由だ。」
そう・・・本当に『何もなくなった』のだから。

>「別に事情なんてないですよ。…ただ、金や権力が欲しかっただけです」
「・・・・・・。」
それも一つの理由になるだろうな。何かここに己の命を賭ける程の理由でも他にあるのだろうか。

・・・・・・と、ドアが開く。そちらを向くと和装の女性と鎧武者が見える。
どうやらあの試験での面子は皆揃ったようだ。

>「席に着いたらヒワタリ、ラック、『辻斬り』、シズネの順で自己紹介でもしてやってくれ。
>今夜からは同僚だ、お互いの名前と血の色くらいは知り合って構わん筈でな。
>貴様等の話が終わったら、各員の配属を発表する。後は飯喰って勝手に喋れや。私に訊きたい事があれば聞くぞ」
「では、私からだな。自己紹介させてもらおう。」
と言いながら立ち上がる。複数人に紹介する時は立ち上がるものだと教わった。
「名前はヒワタリ=サエナミ。性別は女、身長173cm、体重51kg。年齢は19歳、スリーサイズは秘匿。大剣と『液体』に関する術を使う。
 生まれは・・・・・・そうだな。陸海空の交通手段ではたどり着けないような場所だ。」

45 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/01/18(水) 16:36:43
>40-42>44
シズネと辻斬りが一緒に入ってきたのを見て、(何だこの組み合わせは)と思いつつ食事に思いを馳せる。
ラックが知る限りでは、これで全員だ。つまり食事が近い。それを考えると期待期待期待。唾が溜まってくる。
(だけどなんか忘れてる気がするんだよなぁ)
シズネの顔を見てふとそんなことを思う。今もなお、返すべき煙管は懐に入ったままなのだが。

ラックは腹が減っている。再確認。早く食いたいと心から願っている。ほかのことはこの際どうでもいいから。
目の前に料理が並んだ時には、もうそれしか目に入らない。さすがに、勝手に食い始めるほどではなかったのだが。
しかし食いたいことは食いたい。自己紹介が終わればきっと両の掌を合わせ自分への食事開始の号令をとれるはず。
そう考え、できるだけ早く簡潔に、自己紹介をしようと、決めた。

冴波の自己紹介が終わると、スッと立ち、一礼。明るい口調で、心持ち早口で。
「ども、ラックです。名字もラック、名前もラック。齢17になります。雷術が得意ってかそれしかできません。
 このハンマーばっかり使ってますが、一応剣の方もよく遣ります。知能は足りませんがよろしきゅ」
最後の最後で噛んだが、気にしない。さっさと座ってしまい、次の自己紹介を待つ。

46 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/01/18(水) 17:59:43
>41
広間へ入ると周囲を見回す、ハンマー背負ったガキに女かどうかも分からん剣士、
そしてエヴァンスの大将の小っこい体が見えた。既に他の面子は揃っている模様。
とりあえず適当な位置に腰掛ける。

「なンや・・・飯の時間やッたンかい。」
アンデットの自分には食事など不要なのだ、食べたとしても胃袋とか体の器官が無い為そのまま床へ落ちてしまう。
「人間ちューモんは、ホンマにケッタイやなァ…。」
思わず漏らす一言、事実この体になってから食欲性欲と言うものが馬鹿馬鹿しく思う。
食欲や性欲が欠落した我が身にとって、唯一の快楽が闘争なのだ。
「まア…ええ。ワシに構わズ。どうゾ気にせンと食ッてくンなはレや。」
どこか機嫌が悪そうにエヴァンスに返す。

おっと、その前にどうやら自己紹介らしい。
まったく御高く止まった奴等はこう言う所が無駄に律儀だから困る。
だが流石に今夜から同僚となる奴等である一応聞いておこう。それに試験から見ても決して弱くは無さそうだ。
自分としては食事よりも、こちらの方がまだ楽しいのだ。
だらしなく腰を掛けながらも他の奴等の自己紹介に耳を傾けた。

先ずはあの女かどうかすらも分からん剣士。名は冴波と言うらしい。
案の定女だった。ちっ…情けないぞ魔族!
試験の成績的には、リーダー機を壊したため一番壊したワシと同等か。
そして雷を使う小僧。名はラック…苗字もラック。それはひょっとしてギャグで…
思わず言いかけてしまったが慌てて口を噤む。

さて…次はワシの番か…席を立たず、(と言うより立たなくても十分高いのだ。)
辺りを見回してゆっくりと話した。
「どウも…ワシィ魔王軍直属特攻隊隊長張らシてもろうテましタ。『辻斬り』言いまんネン。
 歳はァ…昔すぎテ忘てしもうタ、好きナモンは『闘争』。以後宜しュウ頼ンます…」
やる気の無さそうな簡潔な文だった。…しかし忘れてたかのように付け足す。
「あァ言イ忘れトッたわ。一ツ注意しトクさかいニ、『ワシに油断』せンといテやァ。
 何故かハ、察しタってェな。じきニ分かルさかイ。」
どこか冗談半分に付け加えると、次であるシズネの自己紹介に耳を傾けた。

47 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/01/18(水) 21:50:54
自己紹介ってんで、食前酒の入ったグラスを傾けながら聞いていたよ。

>44
なんとなく毛色が違うように感じていたけれど、この世の人間じゃなかったんだねえ。
そう考えるとあの細身で馬鹿でかい剣を振り回せるってのも納得できるってものよねえ。こっちの人間とはつくりが違うん
だってことだろう。
にしてもヒワタリ=サエナミ・・・舌噛みそうな名前じゃないかえ。こんな発音しにくいのを名前にしちまうってのも世界の差
なんだろうねい。
>45
お次はラックかい。まあ見た通りだけど、随分と飢えてるねえ・・・見ていて涙が出てきちまうじゃないかい。
無所属から一転中隊長。それでもって目の前にこんなご馳走並べられてお預けじゃぁねえ、わからんでもないよ。
>46
ま、これに関しては今更って感じだねえ。まあ聞いていたよりは分別ついているし大人しいってのには驚きだけどね。

さて、お次はあたしかえ。
「シズネ・ラ・ファウスティナ。氏育ちはこの際関係ないがこの格好を見て察しがついている人もいましょう。タカマガハラの
生まれで。年はハタチとほんの40ヶ月ほどで。
符術などを使いまして粗方こなせますが器用貧乏ともいえますな。よろしゅうに。」
まあ自己紹介はこんなくらいで十分だろうね。一礼したあとは師団長さんに聞いておきたい事もあるからねえ。

「さて、この後配属発表だそうですがそれと一緒に二つ、聞いておきたい事があります。
一つは師団長さんの自己紹介がまだって事で。」
ここまではにっこり笑って歓談モードでいけるが次はそういうわけにはいかないねえ。
「この面々をざっと見回せば・・・あたしの旗で地下水汲み出し地震を起こして地盤沈下、そこでサエナミさんが汲み上げた
地下水を高圧巨大質量の塊としてぶつければ魔法防御システムが脆ければ城でも潰れるでしょう。
そこにラックの雷落とせば水浸しの瓦礫に埋まる奴なんぞほとんど殺せる。よしんばそれでも生き残るようなツワモノが居た
としたら辻斬りが直接引導渡すでしょう。
これだけの戦力を発掘し集め、それぞれに兵を与えなければいけないほどの相手・・・一体どんな化け物なんでしょうかねえ?」
ぜひとも戦う相手について知っておきたいからねえ。

タカマガハラ:舞台となっている大陸の東隅に浮かぶ小島。「堯禍祓」とかく。独自の文化を開花させ、陰陽術、武士道、忍術
       発祥の地として知られる。符術は陰陽術の傍流。
        国名は高位の禍祓い(=退魔師)を排出する事が由来。それは同時に高位の禍祓いが必要とされる程、妖魔の
       多い土地だという事をあらわしてもいる。
        ここ100年ほどは落ち着いた状態が続いており、大陸との交流も活発になっている。



48 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/01/19(木) 00:28:32
>44-47
中隊長たちの自己紹介を聞く間、ずっと押し黙っていたエヴァンス。
シズネが喋り終え、一礼をすると彼へも自己紹介が促され、ふと椅子の上で姿勢を正してから口を開く。
「まあ……私自身について大して言うべき事は無いし、当たり障りの無い程度で済ませておこう。
第○騎兵師団団長、ジャック・エヴァンス。性別は見ての通りだ、歳は……恐らく今年で二世紀半、て所か。
一年前まではオーガス皇国陸軍に居たが、ちょっとした行き掛かりで魔王軍にヤサを移した」

左腕を肘の付け根から、これ見よがしに360度回転させてみせた。モーターの回転音が低く唸る。
エヴァンスが義手の人差し指をピンと伸ばすと、テーブルの中央近くに置かれたワインのコルクが吹き飛んだ。
「得意はコイツさ、魔導兵器。技術の八割方は錬金術の古典と、残りはガストラの機械人形ではあるけど、な」
瓶口から血のように赤いワインの噴水が溢れ出すが、飛沫は席に着く四人や彼等の皿を汚す事無く、
広く空いたテーブル中央の白いクロスへ走って、やがて奇妙な絵を書き連ねた。
ワインの飛沫はエヴァンスの指の僅かな動きに連動し、幼い少女の髪、あどけない横顔、ドレスに小さな靴、か細い手で握られた銃剣を描く。
ライフルで武装した少女の絵を一人分描き終えると、最後にデフォルメされた人間の心臓とそれに突き立てられた十字架を描き、指を下ろす。
脈打つ心臓は少女の足下で十字架の尖った一端に貫かれ、ワインの血を流す。

テーブルクロスの上の真っ赤な絵を無表情でしばらく眺めて、
「嫌な絵だな」
呟いて、小指を立てた。三本蝋燭の台から火の粉が落ち、瞬く間にテーブルクロスへ燃え移る。
緩く広がる炎は描かれた絵の範囲を粗方焼き尽くし、大きな焦げ跡を残してすぐに消えた。

49 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/01/19(木) 00:29:24
「配属を発表する、『辻』! 貴様には重騎兵中隊100人を預ける、我が隊の切り込み隊長だ。
優秀な副官を付けてやるから、ある程度は好き勝手してくれて構わんぞ。
ヒワタリ。中騎中隊長、同じく100騎。ラックは軽騎隊長100騎、二隊の連携に期待する。
シズネは本部中隊副官、中隊長補佐――つまり私の補佐官。いざ交戦となれば、貴様が後方支援の要だ。

前者三人に言う。実質は騎馬歩兵としての機能が中心となるだろう、最低限は隊指揮のイロハと機動戦を教え込む。
始めの内は副官に頼って良いが、陣頭指揮の一つも出来んと示しがつかん。しっかり勉強しろ。
シズネに関しては言わずもがな、だ。支援を完璧に、いざとなれば本部中隊突撃に弾幕張りの仕事も入る。
この期に及んで、馬に乗れん奴は居らんだろうが……。

そして後者の質問、我々が対峙する事となる『強固な敵一部勢力』という奴についてだ。
先ずは選出試験の私的な感想になるが……腕は悪くない。ああ、凡百の兵を相手取るのならば全く問題の無い強さだ。
だが……今のままでは『敵』には勝てんな、我々の敵は一騎で万を狩る。
貴様らは確かに強い、強いが一時に万の兵を狩るには適わん。だが敵には、同盟軍には単騎で大軍を手玉に取る強者が存在する訳でな。
オーガス騎士だ。我が特戦科独立大隊は、対オーガス騎士残党を主軸として結成された。
連中と実際に刃を交える日はそう遠くない。それまでの僅かな期間、我々は徹底した部隊統制と連携を確立する! それが仕事だ。

貴様等には部隊指揮と同じく、白兵戦における貴様等四人、乃至は五人の連携を完全にしなければならない。
隊で抑え切れん時は……どうせそうなるだろうが、我々大将騎馬が奴等の相手をする。
敵単騎の力は貴様等一人一人に勝るだろう。しかし、奴等には致命的な弱点がある。集団戦における連携の不完全だ。
我々が奴等の少数部隊の統制不備を突く事が出来れば、条件は一変する。必要なのは、敵に勝る完璧な連携攻撃。
かつての猪武者剣法は忘れろ、死にたくなければ。言っておくが、連携を手加減の意と勘違いするな。

分かったら、とりあえず飯を喰って良い。文句があれば聞く。
ああ、それとだ! 隊にも通り名が要るな。隊名を募集する、要望・意見があったらこの場で言ってくれ」

50 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/01/19(木) 20:13:17
>45-49
「四者四様というところだな。」
一通り自己紹介が終わってから、配属の発表となった。

>ヒワタリ。中騎兵中隊長、同じく100騎。ラックは軽騎隊長100騎、二隊の連携に期待する。
「承知。」

>先ずは選出試験の私的な感想になるが……腕は悪くない。ああ、凡百の兵を相手取るのならば全く問題の無い強さだ。
>だが……今のままでは『敵』には勝てんな、我々の敵は一騎で万を狩る。
>貴様らは確かに強い、強いが一時に万の兵を狩るには適わん。だが敵には、同盟軍には単騎で大軍を手玉に取る強者が存在する訳でな。
>オーガス騎士だ。我が特戦科独立大隊は、対オーガス騎士残党を主軸として結成された。
>連中と実際に刃を交える日はそう遠くない。それまでの僅かな期間、我々は徹底した部隊統制と連携を確立する! それが仕事だ。
もしも、もしも私がその『敵』と一対一で闘うのなら、私の持っているはずの全ての力を取り戻さなくてはならない。
あるいは・・・『元の一人』に戻るのか。だが・・・・・・集団で挑むのなら、もしかしたらどうにかなるかもしれない。
勿論、相手の情報が分かっている事を前提にしなくてはならないが。

>貴様等には部隊指揮と同じく、白兵戦における貴様等四人、乃至は五人の連携を完全にしなければならない。
>隊で抑え切れん時は……どうせそうなるだろうが、我々大将騎馬が奴等の相手をする。
>敵単騎の力は貴様等一人一人に勝るだろう。しかし、奴等には致命的な弱点がある。集団戦における連携の不完全だ。
>我々が奴等の少数部隊の統制不備を突く事が出来れば、条件は一変する。必要なのは、敵に勝る完璧な連携攻撃。
>かつての猪武者剣法は忘れろ、死にたくなければ。言っておくが、連携を手加減の意と勘違いするな。
「あぁ・・・肝に銘じておこう。これからは勉強することになるな。特に、『連携』と指揮はな。」

>分かったら、とりあえず飯を喰って良い。文句があれば聞く。
>ああ、それとだ! 隊にも通り名が要るな。隊名を募集する、要望・意見があったらこの場で言ってくれ
「とりあえず・・・その『オーガス騎士の残党』については情報があるんだろうか。師団長殿?」
部隊名に関しては・・・・・・どうしたものか。私のネーミングセンスというのはどうにも不安だな。

「部隊名か、『エグリゴリ』というのはどうだろうか。ある神話において、様々な力を持っていた形而上存在の集団だったそうだが。」

51 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sageアームズに対抗してw] 投稿日:2006/01/19(木) 21:51:23
>48>49
へえ・・・成る程ねぇ。あれだけの雷を受けて機械兵が動いていたのはそういうわけだったのかね。
師団長さんの指の動きに連動して描かれていくのを見て納得したよ。
それにしても・・・一年前までオーガス所属だったとは・・・。因縁浅からぬようじゃないかえ。

>シズネは本部中隊副官、中隊長補佐――つまり私の補佐官。いざ交戦となれば、貴様が後方支援の要だ。
「承知しました。」
色々考えていたら配属が発表されたので了解の旨を伝えたけど、補佐かね。望みは叶えられたんだねえ。
ま、適材適所という言葉に当てはめれば妥当なところでしょ。
だが他の連中はどうなのかねえ。個人の戦闘力と指揮能力はまったく別物なわけなんだけど・・・

それにしても単騎で万を駆るってのは想像を超えた化け物だわね。そんなのを相手にするとは骨が折れるじゃないかえ。
しかし・・・個々の能力はあたし達を上回ると言い切っちまうとは・・・。他はさておき、辻斬りは大丈夫かねえ。
暴れだされたら敵わないし、そっと拘束用の符の位置を確かめちまったけど・・・大丈夫だよねえ。
「お話はよく判りましたよ。じゃあまあ、後は失礼ながら食べながらって事で。目の前にご馳走並べられてちゃあ集中も
できないんでねえ。」
話は聞いたんだし、あとは食わなきゃね。
食い物の味に薀蓄つけるほど頓着あるわけでもないが、旨いねえ。久しぶりだよ、こんな豪勢な飯にありつけるのも。
「ああ、そういえば。ラックは帯電体質で馬に乗れないんじゃないかえ?エヴァンスさん、電食鰻かその腸を50匹分も
もらえれば一週間で絶縁体の馬具一式繕いますよ。」
ちょいとフォークを下ろして一言進言しておいた。

>50
他にも聞いておきたい事があったが、サエナミさんが代弁してくれたんで食べるのを休まずにすんだよ。
己を知り敵を知れば百戦危うからず。って言うしねえ。良いところ質問してくれてありがたいことだ。
因縁浅からぬ身のようだし、詳しく話してくれるでしょ。
>「部隊名か、『エグリゴリ』というのはどうだろうか。ある神話において、様々な力を持っていた形而上存在の集団だった
そうだが。」
ああ、そういえばそうだねえ・・・私からも何か一つ出しておいた方が良い・・・かな?
「そうですねえ、私からも一つ二つ候補を出しましょうか。ま、騎兵中隊三つで切り込むわけですし、三叉矛・・・トライデント
なんていかがでしょうかね?それか単純に百鬼夜行でも・・・」

52 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/01/20(金) 00:17:51
>49
ほオ…ワシ何かの無法者に重騎兵中隊100人と来たか、随分と景気が言い話だ。
しかし自分にそんな大人数任せて、果たして何人戦場から無事帰還できルか心配だったが、エヴァンスの副官がいれば心配は無いだろう。
「了解しましたワ、マあ…お言葉に甘エワシはワシで好きニやらせて貰ウさかいに。」

「せやガ……ワシが『敵よか弱い』タァどないナ了見ジャぁ!!ワレェ!」
突然席を立ち腕を振りかぶると、拳を正拳突きの要領でテーブルに叩き付けた、派手に飛び散る料理。
拳はテーブルの一部を粉砕して床に届き大きなヒビを入れる。
まあ幸いな事に粉砕したのは自分の目の前だけで他の出席者の料理等には被害は無かったようだ。
「ワシャぁ、アンタに協力しとルだけヤ。その気ィなれバ、アンタの首ィ跳ね飛ばしニ斬り掛かってもエエんやデェ!?」
刀を抜き切っ先でエヴァンスの方を指した、怒鳴り散らすの見るとかなりご立腹のようだ。
いつ切掛ってもおかしくない状況。まさに一触即発。

「ただそりャァシナいだケや。」
しかし次に発された言葉はいつものどこか愉快そうな声だった。
「ワシャなぁ嬉しュうて堪らんワ…『オーガス騎士残党』とホンマモンのタマ張ったァ『殺し合い』ガ出来る…
 つまらん『狩り』やなイ『生きるか死ぬか』の博打…それさエ出来りャワシャ満足なんジャ…」
刀を鞘に収め、だらしなく着席。
嬉しそうに手の平を見つめ、子供のように無邪気な声で問いかけた。

「今ココで殺し合いヲ始めオッたら。流石のアンタも無傷ヤ済まなイやろ?無論ワシもヤ。
 無駄な運動ハしない主義ヤ…だから今ハ我慢すルさかイ。
 安心せイ、言われた通り『戦術の勉強』ハちャんトやる。そんデ…敵の首ィ綺麗ニこのテーブルに並べテやる。
 そンでアンタは満足ナンやろ…?なラそれでエエやないカい。」
そして最後はいつも通り明るい声で言い放った。本当に感情の突起が激しい奴である。
「アア…そうそウ、すんませンな。ご迷惑お掛けしましたワ。まア、こんな奴と言う事デどうか一つ頼んまス。」
食事中にも関わらず血生臭い話題を出してしまった事を悪びれてるのか頭を下げる。

>ああ、それとだ! 隊にも通り名が要るな。隊名を募集する、要望・意見があったらこの場で言ってくれ 。
まあ自分が今質問する事は無いだろう。冴波と言う女とシズネには感謝せねば。
そうこうしてる間にエヴァンスが部隊名を決めると言い出した。
ここは前者二人に続くべきであろう。
「ほナ…ワシモ言わせテ貰いますワ。『妖の刃』(およずれのやいば)
 何てどウでっしャろ?」
まるで先程は何も無かったかのように発言する当たり、かなり神経は図太いようだ。

53 名前:ガーオス[sage決定リールで殺しても構わんよ] 投稿日:2006/01/20(金) 00:19:09
さてと。みんな集まったようだね。
率直に言うとここにいる者達にチームを組んでもらいたい。
最近の魔族共は魔界とこの世界を繋ぐゲートを作り、魔界から魔素を取り寄せてパワーアップしている。
ゲートを維持するには魔法陣が必要。
その魔法陣を破壊するのが君達の役目だ。

そして、機会があるならばサタンを君達の手で討ってもらいたい。
そっちの方が実はメインかも知れないけどね…
君達がサタンの討伐に失敗しても大丈夫。
何故なら君達は同盟軍の厄介者だからね。
こっちとしては下手に武勲を立ててもらうよりも、とっとと相討ちになって死んでもらった方が嬉しいのだよ。
今後の私の地位の為にもね。

では、リーダーはマックス君だ。君の武器は魔法陣破壊に欠かせないからね。
それじゃ、うざったい君達。解散だ。目の前から消えてくれ。

54 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage] 投稿日:2006/01/20(金) 00:20:53
>23>25
イルを残し、待っていたとばかりに飛び出すFALCON。
それを見送るマックスの耳に、誰が聞いても誤解を招きそうな台詞が耳に入った。
照れくささと恥ずかしさに、マックスは顔から耳まで真っ赤にする。
「……(変な意味じゃない! 当たり前じゃないか! 何を考えているんだ俺は!!)」
ポカポカと自分の頭を何発か殴ると、マックスは笑顔の少女の方をチラリと見て口を開いた。
「……まかせとけ!」
彼に、より一層の力が籠もる。妹(ではないが)に頼られると力が湧くのが兄と言うもの。

>31
それから間もなく、カイザーが近付いてきて、戦闘が終わった事をマックス達に告げた。
そうして、被害が無いかどうかを調べてくると、マックス達の脇を抜けて、廊下を歩いていった。
>33
次に現れたのは壮年の騎士。見れば、武勇を讃える声が聞こえそうな程に、立派な姿であった。
「(……誰だ?こいつ)」

>35-37
FALCONが図書館から出てくると、イルと何やら話しながら行ってしまった。
次は中性的に顔の整った少年が通る。マックスの見た事の無い顔だった。次にセシリアが通った。
……先に通った少年もだが、二人とも不機嫌さを露わにしていて、とても話しかけられはしなかった。

「あー、何が有ったのか詳しくは解らないが……FALCON達はお呼ばれしたみたいだな」
と、マックスが一人で呟くと、兵士の方に向いて続けた。
「俺は直接は呼ばれなかったが、一応関係者として行っておいた方が良いよな」
そう言うと兵士は一つ頷き、では私も、と言ったがマックスは首を横に振った。
「アンタとこの子の事は黙っとくよ。巻き込んじまったのは俺だからな。なあに、上手く誤魔化すさ」
マックスは白い歯が良く見える様に笑い、廊下を歩き出す。
「じゃあな、お互い名前は知らないが同じ釜の飯食らう仲間だ。互いに縁があったら、また会おうぜ」
そう言って握手をすると、次は少女の方に顔を向けた。
良く見ると、妹達と違い気品に溢れた良家の娘といった感じがした。
「今さっき言った通り、君の事も誤魔化しとくから安心してくれ。巻き込まれて大変だったな。」
少女の頭を撫でてやりながら微笑み、更に続けた。
「それとな、今度からああいう台詞は好きな人に言うんだぜ? ……嬉しかったけど、さ……それじゃ」
そう言い終えると後ろを向き、セシリアの後を追いかける様に歩いていった。

書庫はもうすぐだ。

55 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/01/20(金) 00:38:31
「戦況はどうかね。」
「余り芳しくありませんな。」
「魔法陣の影響も強くなってきておる。魔素は濃くなる一方じゃ。」
「うむ、まさか防御結界をすり抜けられるほど影響が出ているとは・・・」
「もはや一刻の猶予もなりませんな!」
「うむ、それで侵入者を撃退した者達は?」
「ハッ。リストアップは既に完了しております。」
「ふむ・・・この者達を使えば・・・あるいは・・・」
「・・・・・・・重要な戦力ではあるが、仕方があるまい。」
「重要な戦力といえば確かにそうですが、かつての英雄、敗残兵、募集人員の中で多少異能のある者どもですよ。」
「左様、特にセシリアなどは一度暴走しており兵達とも溝がありますしな。
何より、兵員としたり兵を指揮するより、独立部隊として身軽に動く方に向いておる連中です。」
「最もだな。兵を任せ将軍となられるよりも英雄となってもらった方が後々扱いやすい・・・」
「しかしあれらをまとめるものはどうしますか?」
「カイザーは所詮他の大陸のものだ。戦闘力の高さから考えればFALCONなど・・・」
「馬鹿な!奴は魔界の住人ぞ!しかし・・・純白の戦乙女と謳われたセシリアも今では・・・」
「マックスウエルがよろしかろう。彼の持つヒチシがなくては魔法陣の破壊は叶わぬのですからな。」
「うむ。」
「ふむ・・・彼らに託すしかない現状であるしな。招集をかけたまえ。」
「ハッ、既にガーオス将軍が召集したようであります。」
「ほっほ・・・流石はガーオス君じゃ。手際がよい・・・では、私が彼らに直接伝える事にしよう。」
「法王様、あなたが行かれることなどありませぬ!」
「いや、彼らに我等の命運を託すのぢゃ。礼を失するわけにはいくまい。」
暗い会議室で同盟軍の将軍、参謀達が疲れた表情で一つの結論に辿り着いた。
そして法衣を纏った老人が会議室からガーオスの私室へと向かった。
「お待ちください。是非ご一緒させていただければ・・・」
法王の背中に声をかける壮年の騎士。
「おお、そうか。そうじゃな。直接彼の顔を見たかろう。では行くとするかの・・・」


56 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/01/20(金) 00:39:29
「戦闘の直後というのに集まってもらってスマンの。ガーオス君、手際よい処置に感謝するぞ。」
穏やかな声と共に部屋に入ってきたのは法王と猛禽の目を思わせる鋭い目つきをした壮年の騎士であった。

「さて、諸君に集まってもらったのはほかでもない。
戦況の苦しさは知っての通り。このまま消耗戦を続けていても勝つ事は難しいだろう。
そこで、諸君らは少数精鋭をもって魔王軍勢力地内に潜入し、各所に設けられた魔法陣を破壊してもらいたい。
奴らは秘密裏に複数の魔法陣を設け、その複合的効果で魔界との通路を開き無尽蔵の力を得ておるからだ。
また、魔法陣から流れ出る魔素はこの世界を徐々に侵し、ついにはこの城の防御結界に綻びを生じさせるまでになった。
もはや一刻の猶予もならんのだ・・・
魔法陣を破壊すれば奴らは弱体化する。そこを見て本隊が一気に攻勢に打って出る。
この秘密を突き止めるまでに二桁を越える同胞達が犠牲になっておる。
その犠牲を無駄にしないためにも、人間の世を取り戻すためにも・・・全ては諸君らの働き如何にかかっておる。
人員の選定ができれば増援を出せるかもしれん。だが、多人数で動いては即座に補足されるであろうから兵員は動員できん。
それでは、頼んだぞ。」
壮年の騎士が説明したあと、その後法王は一人一人の顔を見詰め祝福を施していく。

だが、アステラの前に来たとき、祝福の効力は消え形だけの祝福となる。そして誰にも聞こえないようにそっと耳元で囁く。
「アステラ君や。祝福は君の体を蝕んでしまうからの。気持ちだけだ。だが、嬉しい知らせをやろう。
この任務、君の人生を分かつ任務となる。件の魔法陣だが彼奴等は数年前から実験を繰り返していた。その一番最初の魔法陣は君の生まれ故郷に作られた。
判るかな?この意味が・・・。君の求めるものはこの任務の果てにあるのだよ・・・」
優しく諭すように、そう良い離れ、グレゴリウスへとうつる。
「グレゴリウス君、聖都アキハバラで発禁になった伝説の魔法書『テラモエス』シリーズ・・・・焚書令を出したのは我が法王庁ではあるが、元本も密かに我が法王庁が保管してある。
『テラモエス』シリーズだけではなく、『ハンケンニジサク』などの幻の書物もだ・・・君への報酬はその保管この鍵だ。だが、秘密ぢゃぞ?」
にっこり笑いながら同じように微笑み、離れる。

「それでは皆に神の加護をあらん事を・・・。」
「出発は7日後。各自準備を怠らぬように。マックス、そのヒチシで魔法陣を破壊してくれ。」
それだけ言うと二人は部屋から出て行った。


「すまんのう、本当ならこの任務、君が一番行きたかったであろうに。将軍などという役を押し付けられて窮屈な思いであろう・・
それで、どうだったね、彼は・・・?」
「いえ、これも私が託されたことです。彼とは役割が違ったというだけ。
・・・我が父が見込んだだけはあります。彼は、そして彼らは、きっとやり遂げてくれるでしょう。」
猛禽を思わせる鋭い目つきをした壮年の騎士。元フレゼリア国境警備隊長。元同盟軍将軍。オルトロス・ヘーデルホッヘは力強く答えた。


個人情報知っているのは入隊に際して裏ですんごい情報戦が繰り広げられているって事で。
参加者はここでは素直に従ってもらえると嬉しい。
反発や突っ込みいれられると対応できないからw
次のレスは準備かもう出発かくらいで。


57 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/01/20(金) 01:41:25
>53-56
>さてと〜〜消えてくれ
よくもまぁ厄介者と銘打った相手を前にこれだけずけずけと物を言えるものだ。
もはや怒りを通り越して呆れすら感じる。こんなバカが将軍とは、同盟軍も
高が知れてる・・・たとえサタンを倒しても、こんな男がいる限り争いは消えないな・・・
だが、言いたい放題言われてすっこんでるのも性に合わない。

椅子から立ち上がると右足の踵で椅子を蹴り上げる。椅子は山なりの軌道で
自分の前に落ちてきて、それを左足で目の前のバカに蹴り飛ばしてやる。
慌てて椅子から転げ落ちるようによけたバカの眼前に立ち、刀を突きつけてやる。

「こ、殺すのか?わ、私を、殺せば、兵士たちが、だ、黙って、ないぞ?」
こんな時まで偉そうな態度を崩さないのはある意味尊敬に値する。
その割には声が上ずってるし、呂律も回ってない、挙句に顔が引き攣ってるが。
小者はどこまで行っても小者だな・・・侮蔑の視線と共に言い放ってやった。

『・・・正直者は早死にする・・・ってな。』
その一言で血の気が完全に引いちまいやがった。救い様のない奴だ・・・
周りの奴らもあからさまに殺気だってやがるし、斬っちまうか。

>戦況はどうかね〜〜部屋から出て行った
そこに、まるで計ったかのように二人の男が現れた。
徳の高い聖職者っぽい爺さんと、怯えてるバカよりもはるかにできる気配を漂わせた
壮年の騎士の組み合わせだ。刃傷沙汰で聖職者に出られると俺には都合が悪い・・・
とりあえず刀を収めて話を聞く事にした。


内容はこのバカとほとんど同じだった。違ったのは、壮年の騎士の態度と
聖職者の爺さんの祝福付きってぐらいだ・・・勘弁してほしい。俺には必要ないと、
言おうとして爺さんが耳元で囁きかけてきた。俺はその内容を聞いて、大きな衝撃を受けた・・・!
聞かされた話が本当なら、この戦いは・・・そうこうする内に二人は出て行った。
俺はバカの事も忘れて、無意識に胸のロケットを握り締めていた・・・

58 名前: ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/01/20(金) 01:42:28
そして追加項目。これで打ち止め。

【装備・持ち物】 打刀、手甲、具足、コート、肖像画入りのロケット
【容姿の特徴、風貌】 黒髪(肩にかかる程度)青眼、女顔、変声期前
【性格】 無口、無愛想、後ろ向き、怒りっぽい、無礼、口が悪い、素直じゃない

59 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/01/20(金) 04:30:14
>46-50
「了解です」
全員の自己紹介が終わり、配属先の発表。それにはありがちなな了承の言葉を。
(俺に指揮とか出来んのかな…今更ながら心配だ)
どうしてもラックには自分が先陣切って敵陣に突っ込むようなイメージしか湧かない。しかしそれしゃ連携にならない。
(軽騎…ってことは軽装の部隊か。機動力生かして攪乱…とかかな?)
だが「けいき」と聞いても「ケーキ」が頭に浮かぶ今のラックの思考はかなり心許ない。
(統制と連携か…部下に舐められないようにしないとなぁ)
ラックはまだ若い。いくら兵員は中隊長試験を見ていたといえど、ラックが指揮をとることに対する反発はあるだろう。
それを力尽くで従わせては重要な時に役に立たず、ゆっくりと信頼を築き上げるには時間が足りない。バランスが。
(大将面子での連携も…)
正直あまりとれそうに思えない。むしろ、一人一人が十分強い、連携の必要すらないとも思えるのだが。
(あんなにはっきり『お前らより強い』と言われるとな…)
元オーガス国の軍人だったというエヴァンスの発言だ、その信憑性は高いと言える。強い相手が、実際にいる。
(部隊の指揮やら連携に隊長同士での連携…ハードスケジュールだなぁ)
心情とは裏腹に、顔は綻ぶ。──俺は今、重要なポストに付いているんだなぁ。

「いただきます」
やっと始まった食事に関しては。暴飲暴食という言葉がとてもよく似合う。もっしゃもっしゃ。

>51
>「ああ、そういえば。ラックは帯電体質で馬に乗れないんじゃないかえ?エヴァンスさん、電食鰻かその腸を50匹分も
>もらえれば一週間で絶縁体の馬具一式繕いますよ。」
(…やべ)
ラックは馬に乗れない。体質の問題から乗ったことがないのだから、当たり前だ。だから乗らなくても済むとばかり。
しかし。シズネの言葉で顔がひきつる。お誂え向きに絶縁体の鐙など。乗らなくてはならないではないか。
「あ、あの、姐さん、お気持ちはありがたいんですが」
しかし拒否の言葉が続かない。「普通」、「常識的」にあるべきで。ラック自身には得しかないのだから。
「その、別になくても、いいかなって…」
言い訳としては、かなり厳しい。

>52
(うわ)
驚いたのは辻斬りの剣幕にではない。料理の勿体なさにだ。コックが精魂込めて作った料理は哀れテーブルと机の汚れに。
しかし、状況は決して軽くはない。ここで戦闘にでもなってしまったら最悪中隊長が取り消されてしまう。
だから、多少緊張はしていたし、辻斬りの打って変わった態度にはかなりの安堵。
(なんだこの二重人格は)
と思わないでもなかったが。

そして。気が付けばラック以外の全員が部隊の名前の候補を挙げている。これはラックにはまずい。非常にまずい。
この流れで行くとラックだけ意見を出さないのは不道理。しかし、ラックには教養がない。すぐに思いつくはずがない。
しかもまた三人が妙にセンスある名前を言ったことによりラックは中途半端なことがなかなか言えない。
「部隊の名前でしたっけ?そうだなぁ…リヴァイアサンとか」
魔王サタン。七つの大罪での、憤怒のサタン。挙げたのは、嫉妬の、リヴァイアサンを。
ラックの知っている七つの大罪に結びつくデーモンはこの二種だけだったことがある。

60 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/01/20(金) 15:35:51
>39>53-57
しばらく待つとカイザーが書斎へ入ってきた。やはりガーオスに対してあまりいい感情はないようだが、
これほど会う人間会う人間に嫌悪されながらも将軍と言う地位にいるあたり、ガーオスの能力自体は優秀なのだろう。
それとも直属の部下には甘いところでもあるのだろうか。
とりあえずはこれで全員揃ったとの事で話が始まる。

――話を聴き終わったセシリアたちの心は間違いなく一つに結束していただろう。
「こいつ絶対ぇ殺す」と言う方向で。実際アステラなどは真っ先に抜いた。
セシリアはガーオスの眉間に刀を突きつけてすごむアステラに言う。
「やめておけ。面倒が増えるだけの話だ」
しかし、アステラと一緒に泥をかぶってやる覚悟はあるが、止めるつもりは実のところ全くない。
アステラの手が僅かに動いた。だが、刀が振られるより先に扉が開く。
入ってきたのは白髪の高僧とどこか見覚えのある目つきの騎士だった。
いや、僧侶の方にも見覚えがある。
「猊下……」
この大陸に広く教えの布かれた宗教、その最高位に位置する法王だった。

改めて騎士から事情の説明を受ける。ガーオスの言ったことと大筋では同じだが、
言葉遣いが違うだけでこうもすんなり脳に染み込んでいくものかと余計なところに感心してしまう。
さて、言葉遣いこそ丁寧で礼を失していないが、内容は有無を言わさぬものだ。
この人数で魔王軍領内へ赴き、複数存在する目標を潰して回れなど、
成し遂げられるとすれば確かに今ここにいる者達くらいだろう。
これはセシリアにとっても都合がいい。
半年前の戦闘で味方の兵数千を巻き込んで以来、大規模な戦闘へは随伴すら許されなくなったからだ。
回ってくるのは哨戒や輸送といった、重要なことは疑いようもないが地味な任務ばかりで、
功を成すなど夢のまた夢だ。なぜ功を成す必要があるかといえば、オーガス再興のためだ。

この戦争が同盟軍の勝利に終わったとする。
(もちろんセシリアは同盟の勝利を疑ってはいないのだが)
その場合、戦後処理が最後に残った問題になるだろう。
生き延びた者への論功行賞、魔王軍へ協力した者への追求、そして――領土の割譲。
つまり同盟に参加した国によってオーガスやフレゼリアが切り刻まれるのだ。
出来る限りそれを最小限にとどめるにはどうすれば良いか。まずオーガス自身の手で
サタンを討つのが最も効果的だ。戦後起こる各種の場面で発言力が増すはず。
しかしオーガスは現在同盟軍領内の城で、幽閉に近い扱いを受けているらしい。どこの城かも定かではない。
(もっともオーガス本人にその気があれば、無理にでも前線に出てくるのだろうが)
ならば出来る限りオーガスに縁のあるものの手で、皇国奪還を果たし、
『オーガス騎士団いまだ健在』と周囲の国へ示すのが次善だろう。
オーガスを大国たらしめたのは資源、食料の高い自給率、そして大陸一の軍事力なのだから。

法王から各員へ簡単な祝福が行われる。それが済むと法王と騎士は書斎を出て行った。
セシリアはマックスに向き直る。
「久しいな、マックス。気づくのが遅れてすまない。……よろしく頼むよ、隊長」
固く握手を交わす。マックスの手は硬くごつごつとしていて、
それが毎日数え切れないほど得物を振るい、自らを鍛えていたと言うことを物語っていた。
次いでカイザーの前に片膝をつき、胸に手を当てて礼をとる。
「カイザー殿、お久しゅうございます。と、いってもあなたは私のことなど覚えておいでではないでしょうが。
ガストラとの戦の折は私もまだ従卒でしたから。今こうして肩を並べて戦えることを光栄に思っております」
最後にガーオスへ向けて言葉を放つ。
「さて、早速旅支度をせねばなりませぬゆえ、これにて失礼いたす。
しかし我ら非才の身なれば、将軍の意には沿いかねるやも知れませぬなぁ」
言うだけ言って、サーコートの裾をばさりと翻して部屋を出た。
そして言葉通りあちこちに声をかけ、旅の支度を始める。

61 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/01/20(金) 16:14:05
>53-57
懐から黒爪という名の短刀を取り出す。勿論、あまりにも無礼なガーオスの喉を切り裂く為に。
FALCONが立ち上がるよりも前に立ち上がった者がいた。
誰だか分からない少年だ。
彼は椅子をガーオスに蹴り飛ばす。
少しスカッとしたが、まだ怒りは収まらない。

>「こ、殺すのか?わ、私を、殺せば、兵士たちが、だ、黙って、ないぞ?」
「ならば…その兵士もろとも皆殺しにしてやろうか…」
もし彼が昔のままだったら、髪の毛が金髪に逆立っていただろう。
FALCONがガーオスを殺しにかかる前に二人の男が部屋に入って来る。
法王とオルトロス将軍だ。
なにやら話があるようで、魔族の身ながら同盟軍に入れてもらった恩義が二人にはあるので、黙って話を聞くことにした。
内容は先のガーオスの話の内容と同様、魔法陣を部隊を組んで破壊するということ。
説明の後、法王は一人一人に祝福をする。
FALCONも祝福をしてもらう。
心が洗われるような感じがし、先程までの荒ぶる殺気が嘘のように収まる。
法王と将軍が部屋を出て行った後、椅子を蹴り飛ばした少年に怯えているガーオスに言う。
「貴様は俺に戦いを挑んだ。この戦いが終った後…必ず殺す…必ずだ!!!」
それだけを言い放って、FALCONは支度の為に部屋を退出した。

62 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/01/20(金) 18:30:45
>50>51>52>59
配属発表には、四者共に従順な返事を受け取る。
が、先のオーガス騎士に関した発言が「辻斬り」の逆鱗に触れたらしい。立ち上がり、テーブルを殴って料理を撒き散らす。

>「せやガ……ワシが『敵よか弱い』タァどないナ了見ジャぁ!!ワレェ!」

「私が両者の見立ての通りに、事を言ったまでだ」
長刀の切っ先を突き付けられるまま、椅子に背をもたれて微動だにしない。
無表情のままに流し目で、「辻斬り」が落ち着くのを待つ。やがて「辻」の声の調子が戻り、彼は結局大人しく席に着いた。

>「今ココで殺し合いヲ始めオッたら。流石のアンタも無傷ヤ済まなイやろ?無論ワシもヤ。
> 無駄な運動ハしない主義ヤ…だから今ハ我慢すルさかイ。
> 安心せイ、言われた通り『戦術の勉強』ハちャんトやる。そんデ…敵の首ィ綺麗ニこのテーブルに並べテやる。
> そンでアンタは満足ナンやろ…?なラそれでエエやないカい。」

「そういう事だ、貴様の当座の相手は私ではないからな。
貴様の豪腕や剣の冴えが如何程のものであっても、敵――オーガス騎士のように空を飛んだり光線は撃てんだろう。
詰まる所、喧嘩は手数とやり方だ。それが言いたかった、怒らせて済まない」
そう言って肩をすくめた。エヴァンスの頬も微かに緩み、口端の片一方が持ち上がる。

>「ああ、そういえば。ラックは帯電体質で馬に乗れないんじゃないかえ?エヴァンスさん、電食鰻かその腸を50匹分も
>もらえれば一週間で絶縁体の馬具一式繕いますよ。」
>「あ、あの、姐さん、お気持ちはありがたいんですが」

シズネの進言を、ラックがやんわり断ろうとする。エヴァンスも思い出したように、
「ラックは帯電体質か、ファイルの通りらしいな……
そいつは任せろ。急な異動で忙しくなるだろうシズネに余計な手間を掛けさせたくない。
私の得意は魔導兵器だと言ったばかりだろうが。実戦に間に合うよう、特製をあつらえてやるさ。
何、ガストラから輸送中のリーゼン艦砲に掛けた復元費と比べれば、大分安く上がるだろうよ」

>「とりあえず・・・その『オーガス騎士の残党』については情報があるんだろうか。師団長殿?」

「前大戦の英雄どもだ。フレゼリア攻勢からオーガス城陥落まで、殺害確認がなされなかったメンバーのリストを用意している。

皇帝騎士『オーガス』を筆頭に、有名所で言えば『FALCON』。
オーガス皇国騎士団・暗殺爆撃部隊長……仮にも武人を名乗るならば、知らぬ者は居るまい。
『カイザー』『クスタファ』。共に異国の剣士だが、前の戦争ではオーガス騎士団への所属が記録されている。
両者ここ数ヶ月の内に大陸入りし、その後の足取りは不明だが恐らく同盟軍への義勇軍参加が目的だろう。

又、先日の戦闘を受け、この基地からも程近い敵前線拠点に最低一名の騎士団員の存在を確認した。
シズネ、貴様が戦ったあの女騎士だ。『セシリア・ミディアリオ』。
今挙げた内の何人かは、私とも直接面識がある。彼等の技はこの眼で見た、それを踏まえての評価だ。
奴等が一人でも生きている内には魔王軍の勝利は保証されない」

>部隊名募集
「私からも一つ候補を出しておくとするか。『マグニフィカートの聖母子』騎士団……とか。
異界の宗教画だよ、聖母子と五人の天使……あまり真っ当な名前の似合う我々じゃないからな」
エヴァンスは頬を掻き、心無し恥ずかしそうに言う。
「ああ、部隊名候補は明日の招集時にでも発表して、隊員の投票で決めようか。と、兎に角保留だ……うん」

63 名前:レオナルド=ウォーベック ◆AS0RzMrA7E [sage] 投稿日:2006/01/20(金) 21:23:19
常人には見えないように、魔力の濃度を薄くするなどしながら、魔王軍の支配下になっている街で適当な肉体を捜す。
なるべく強靭な肉体が良い。そして、憑依の瞬間を見られないよう、人通りの少ない場所で事を運ばねばならない。
路地裏で新たな肉体を捜していると、都合良く体格の良い男が居た。
彼はマスクをしており、筋骨隆々とした体格、そしてパンツ一丁で、手には斧を持っていた。
うむ。良いごろつきだ。
私はこの男をとり殺すつもりで突進した。

「にゃー」
すると、突然舞い降りてきた猫にぶつかってしまい、気がついたらその猫に乗り移っていた。
何ということだ。私は猫よりも犬の方が好きなのに、猫の身体を乗っ取ってしまった。
いや、そういう問題ではない。まったく、最近は計画通りにいかない事が多い。
ふと見てみれば、先ほど乗っ取ろうとした男が奇異の眼差しでこちらを見ている。
『見られたからには生かしちゃおけん』
「うわ、猫が喋っ……たわっ!」
そういう訳なので、ごろつきを始末した。
しかし、困った。冷静になって考えてみれば、魔術で都合の良い傀儡にした方が良かったのに殺ってしまった。死体の処理はどうするべきか。
まあ殺ってしまったもんは仕方ないので、警察が来る前にここを立ち去ることにした。
ところで、猫には裁判を受ける権利はあるのだろうか。そうだ、来るとしたら警察じゃなくて保健所か。
肉体を捨てたあの時から、かつての地位と財産の全てを失うことは覚悟の上だったが、よもや畜生としての生を歩むことになろうとは。
一企業の経営者というかつての立場とは、また違った苦労を重ねることになりそうだ。

64 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/01/20(金) 21:40:49
>54少女が見てる前で突如耳まで真っ赤になった青年はポカポカと自身の頭を何発か殴った後、自分の方を見て口を開いた
「……まかせとけ!」
その様子が何ともおかしかったので、少女の笑顔は終始崩れなかった
>31 >33 >35 >36 >37
気付くと、書庫の方から先程の聡明そうな青年が自分達に近付いてきて
>「敵は逃げた。俺は他の場所に被害が無いか見てくる。」
そう言って廊下の方へ歩いていってしまった
「…」
声をかけようとしたがタイミングが合わなかったため、やや顔が曇る
次に聡明そうな青年の後から何やら偉そうな面構えの騎士が出てきた
その騎士への少女の感想は―恐い―そう思った少女は微妙に自位置をずらし、一緒にいる青年の陰になるようにした
…再度書庫の入り口に目を向けると、先程二人連れでいた男の人が書庫から出てきて、相棒らしき女の人と何やら話しを始めた
すると、女の人は何処ぞに去っていった
その様子をのんびり眺めていたが
「あ…」
先程自分に向かい怒声をあげた男女判別不能の人間が現れ、続けてあの女性も入り口から出てきた
生来からのんびりしている少女は二人が機嫌が悪そうなのは分からなかったので、声をかけようとした
しかし…タイミングが合わず不発に終わってしまった
>「あー、何が有ったのか詳しくは解らないが……FALCON達はお呼ばれしたみたいだな」
ちょうどその時…一緒にいた青年が呟き、先程の兵士と何やら会話を始めた
兵士が頷き青年が首を横に振る
「アンタとこの子の事は黙っとくよ。巻き込んじまったのは俺だからな。なあに、上手く誤魔化すさ」
言いながら青年は笑う
その時に健康的な白い歯が良く見えた。
そして兵士と固い握手をすると、次は自分の方に顔を向け
>「今さっき言った通り、君の事も誤魔化しとくから安心してくれ。巻き込まれて大変だったな。」
青年はそう話ながら自分の頭を撫で微笑む
マリスはその微笑みに答えるように笑顔になる
青年はその笑顔のまま
>「それとな、今度からああいう台詞は好きな人に言うんだぜ? ……嬉しかったけど、さ……それじゃ」 そう言い終えると後ろを向き、歩いていく…
「…?」
無知な少女は首を傾げていた…スキナヒト…?それは一体何なのか
厳格な女学校に通っていた少女には男女の関係等知る由も無かったが、とりあえず少女は行動を始める…そう、青年の後ろについていくのだ…
どうやら書庫の隣にある部屋に入るらしい
その部屋に(勝手に)入り、青年の隣で待機…周りには書庫内外で見かけた面々が揃っている
すると先程の偉そうな面構えの騎士が講釈を始めたと思ったら、何やら争い事のようになる…が、燻し銀の男と御老体が入ってきて騒ぎが治まり…その御老体が難しい事を話しだす
何だか目まぐるしい展開に目が回りそうになるが
やおら御老体がその場にいる一人一人に何やら施していく…マリスもついでに施してもらえた
どうやら祝福の類らしい。感想は…光が自分に溢れているような感覚に捉われ、心地よかった
>60燻し銀と御老体が部屋を出ていった後、不意に先程の女性が青年に近付いてきて
>「久しいな、マックス。気づくのが遅れてすまない。……よろしく頼むよ、隊長」
二人は固く握手を交わす
…マリスには嬉しい事があった
それは、青年の名前が判明したからだ…聞けば良かったのだろうが、それどころではなさそうだったので聞きそびれていた
そこにこの女性が青年の名前を呼んでくれたのだ…そうなると、他の人の名前も気になるところ…
どうやって聞き出そうか…少女は口に人差し指を当て、顔はやや俯き加減で考える…
表情は真剣そのものであったが…その様子はさながら、物欲しそうな表情をする子供のように見えてしまいそうな仕草だった…

65 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/01/20(金) 21:41:19
>52
ガッシャン!と音がしたと思ったら、目の前の皿の類が一斉に数センチ浮いたよ。
見るとやっぱり辻斬りが猛り狂ってるじゃないかえ。
辻斬りの前だけ粉砕しているのは、恐ろしく力が集約していた打撃だったからなんだねえ。
っと、感心している場合じゃないよ。
エヴァンスさんに刀を突きつけている今は下手に動けないが、その切先を振り上げた瞬間に拘束用の符を発動させるつもりで
指に符を挟む。
どんな奴だって攻撃する瞬間に隙ができるからねえ。
ジリジリとした緊張感が続いたが、その緊張感を作り出した辻斬り本人によってさらっと終わっちまったよ。
まったくひやひやさせるよ。でもこれでなんとなく判った。
破壊衝動で動いていると思っていたが、そうじゃない。闘争本能で動いているんだねえ。
それもただの闘いじゃない。『対等な』闘いのできる『敵』を求めているのかね。
やれやれ、死んでからも随分と難儀な生き方をするよ。でもそうなると扱い方も判ってくるもんさね。なんて思いつつ食事に勤しむよ。

>59>62
ラックに馬具を繕ってやるといったが、当のラックはなんだか困惑気味だよ。なんでだい?
多少は縁のある中なんだし、無所属からの中隊長への栄転祝いみたいなもんだ。遠慮するこたないのにねえ。
でもま、エヴァンスさんが専用騎乗を出すってのならそれはそれで良いか。

その後、敵情報が入ったよ。オーガス、FALCON、カイザー、クスタファ・・・名前だけは知っているがどうもピンと来ないよねえ。
特にFALCON。暗殺なのか爆撃なのかはっきりしない奴だ。
そいつらが空を飛び光線を出す・・・か・・・。
それに・・・
「・・・あの時の白い騎士。セシリア・ミディアリオ・・・てのかい・・・。因縁だねえ・・・。」
つい口に出ちまったよ。誘脈旗に抗ってみせ、見事な用兵術・・・。辻斬りの真似って訳じゃないが、笑みがこぼれるよ。楽しみじゃ
ないかえ。

さて、飯も食い終わったし・・・せっかくだから交遊を深めておこうかねえ。
辻斬りはさっき話したし、ラックは知らぬ仲でもない・・・後は、サエナミさんだね。
「サエナミさんや、ここの酒は上等なもんだねえ。一杯注がせておくれよ。」
ボトルとグラスを持ってサエナミさんの隣に席を移した。

66 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/01/20(金) 22:14:40
>53>57
(…一発、全力でぶん殴ってやろうか)
思った通りに行動しようと思ったが、それより先にアステラがオヤジを脅していた。
それを見て、自分が手を下すまでも無いと判断したカイザーはその場で考え事を始めていた。
(それにしても、入隊初日から厄介者か…まあ、3年前の俺の立場からすると厄介者にもされるかな。)
3年前のカイザーの立場、それはオーガス国皇帝の補佐であった。
戦時中に急に思い付いた様に皇帝のオーガスが勝手に決めた事であった上、
カイザーは最前線で戦う身であり、皇帝補佐の役目は余り全う出来ず、ガストラの一件が終わった後、そのまま大陸を去って行った。
だが、それでも周りからすると『皇帝補佐』という言葉だけが印象に残ってしまうのだろう。

>56
>「戦闘の直後というのに集まってもらってスマンの。ガーオス君、手際よい処置に感謝するぞ。」
オヤジの一件で騒々しい部屋内に声が入り込んできた。
入り口をのある方角向くと、そこには二人の男が立っていた。
一人は鋭い目付きの壮年の騎士、片方は白髭の見るからに重要な役割を担っていそうな男性だった。
鋭い目付きの男から自分達の目的の必要性を改めて的確に教えられ、最後に白髭の男性から祝福を施された。
そうして、二人は部屋から去って行った。
(魔方陣の破壊か…敵の戦力を魔方陣から引き離す必要がありそうだな。)

>60
>次いでカイザーの前に片膝をつき、胸に手を当てて礼をとる。
>「カイザー殿、お久しゅうございます。と、いってもあなたは私のことなど覚えておいでではないでしょうが。
>ガストラとの戦の折は私もまだ従卒でしたから。今こうして肩を並べて戦えることを光栄に思っております」

「やはりオーガス軍の騎士だったのか。これから宜しくな。
 それから、俺に敬語は使わなくてもいい。確かに、俺はオーガス軍では功績を残したのかもしれない。
 だが、今は同盟軍に入隊直後の新米騎士と同じ立場だし、情けない事にサタンの復活に関しては何の行動も出来なかったのだからな。」
そう言って、カイザーは旅の支度を整えるために部屋から出て行った。


中庭の白いベンチに戻ったカイザーは自身の聖剣を片手に持ち、見つめていた。
(皇帝、今はアンタがどこに居るのか知らない。もしかしたらもうこの世には居ないのかもしれない
 だが、これだけは約束する。アンタの…いや、俺達の城はサタンの手から奪い返す…必ずな!!)
誓いを胸に、聖剣の鞘をギュッと握り締めた。

67 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/01/20(金) 22:52:00
>52>59>62>65
どうにもてんやわんやの騒ぎの中で、冴波はただ黙々と食事を続けていた・・・・・・。
辻斬りがテーブルを殴った衝撃にさえ、動じる事無く黙々と・・・・・・もくもくもくもくもくもく。

と、その手がエヴァンスのセリフに一旦止まった。
最低5人、恐らくもっと人数は多い。空を飛んで光線を飛ばす・・・・・・荷電粒子砲でも持っているのか?
・・・・・・頭の中に浮かぶのは『自分達』の中の一人。アレを叩き落すというなら。
「津波・・・拘束技・・・最強の鎧での攻撃無効化・・・。」
冴波の周囲には少しずつ冷気が溢れ出していた。

>「サエナミさんや、ここの酒は上等なもんだねえ。一杯注がせておくれよ。」
冴波の方を見ると、周囲はややひんやりとした空気が漂っている。しかも腕を組んで何やら呟いている。思いっきりアブナイ人だ。
その横にいるウェイターがやや困惑した表情で冴波を見ている。
よーく見ると、ウェイターの手には皿が山積みになったトレイがある。他のメンバーの前の皿を片付けていないのにこの量。
・・・・・・大食らい。という言葉が頭をよぎったかもしれない。と、冴波が顔を上げた。

「ん・・・あぁ。酒も偶にはいいかもしれない。頼む。」
と、促す。気がつけば冷気は影も形も見せなくなっていた。

68 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/01/20(金) 23:13:38
 さて、ここは同盟軍本部からさほど遠くないあるの町の一角。
 決して規模は大きくないが、立派な流通の拠点として発展している――いや、していたというのが正しいのであろう。
 サタン一派襲来のせいで、商人たちが町に寄り付かないどころか、町から逃げ出す人が相次ぎ、町は明らかに閑散としていた。
 そんなテネシーの町にふらりと現れた一人の女性がいた。
 名をレナス、かつては戦乙女レナス=ヴァルキュリアと名乗っていた。
 かつては、かのガストラ帝をも討ち取ったものだが、その大戦で神力の元であるオーディーンを失ったため、その時の力はもはや薄い。
 そして、今はその仰々しい名は捨て、レナス=インフェリアと名乗っていた。

 その町で、彼女はこんな噂を耳にした。
 『なぁ、聞いたか?今度、魔王魔王討伐のために大規模な軍隊を出すらしいぞ。』
 『へぇ、それは初耳だなー。あんなバケモノを倒すんだ、よっぽど腕利きの奴らなんだろな。』
 『ああ、噂によるとあの聖天騎士カイザーとかFALCONまで一緒に行くらしい!』
 『うぉぉ!それなら魔王なんてイチコロだな!』

 そんな会話をこっそり聞いていたレナス。
 確かに以前から魔王サタンがオーガスの城を占拠した、という話は聞いていた。
 その話を聞く度に、レナスは何度城に乗り込もうと思ったか分からない。
 しかし、戦乙女としての力を失ってしまった今、単身城に乗り込むのは無謀この上ないというのは重々心得ていた。

 「でも、あの面々ならあるいは・・・」とつぶやく。

 いまのレナスの力では足手まといになってしまうのは避けられない。
 しかし、奇跡的に神剣は残っていたし、何よりも魔の者に帰るべき場所を奪われたままというのも目覚めが悪い。

 「まぁ、まともに頼んでも部隊には入れてもらえないだろうし・・・こっそりついて行こうかな。」

 そんな呑気な事を言いつつ、先ほどの貴重な情報をくれた二人の商人から買ったリンゴをサクリとかじった。
 部隊の出発に間に合えばいいのだが・・・・

69 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage 中の人情報に引っ掛りませんように。] 投稿日:2006/01/21(土) 01:05:21
>62
「アンタが詫び入れル必要は無イ。悪いンはお互イ様ヤからのォ〜ゲヒャハハ!」
先程の一騒動はどこへやら、豪快に笑い飛ばしながら答える鎧武者。
多少引っかかる部分はあるが、これ以上ゴタゴタを起こす必要も気分も失せたようだ。
正直反論次第では斬りかかるつもりが、相手の改まった態度で気が変わったらしい。

それに相手の言葉に多少同意できる所があったのも大きいであろう。【喧嘩は手数とやり方だ】
「まア、喧嘩にャ卑怯も糞もあらへン。ヤり方ァどうであれ勝ちャァ官軍ちュー事ヤなぁ。」
エヴァンスの大将とは、やはり気が合いそうだ。後ろから刺し殺しても前から斬殺しても【勝ちは勝ち】だ。

そうそう後面白い事を聞いた、敵さんの情報についてであった。
皇帝騎士『オーガス』、『カイザー』、『クスタファ』…武力のみで生きて来た自分にとっては知ってて当然の名である。
しかし『FALCON』と言う名を聞いたとき体がピクリと動いた。
「ホォ…かの有名な『魔族の恥曝し』が相手かイ…。」

FALCONと言えば魔族の間でも『武』に置いて名を成せる者である。
階級は違えど同じ魔族である。その魔族がサタンに刃を向けると言う事は親に刃を向けると同義。
「ワシも運ガええワ…サタンの親父ニ刃ァ向けた不届きモンの引導を渡せルとはのォ」
小声でぽろっと零す、しかし先程までとは違うのは、その言葉が氷のように冷たかった事である。
(おもろイわ、空ァ飛ぶンなら叩き落としたル。光線なぞ打とうモンなら受けきったるわ、)

>67>65>59
さてと思い周りの面子を見まわす。
自己紹介の時は興味が沸かなかったが、今改めて見ると中々面白そうな連中である。

水と氷の術を操りワシに負けん位の長刀振り回す女。名はヒワタリ=サエナミ
男と間違えていたがどうやら女らしい、おまけにけったいな名前である上に出身がまるで分からん。
まあ色々な事情があるのだろう、ワシにだって言えん事位はある。

続いては妖術の類を操るシズネ。試験の際ワシと一緒に名を呼ばれた女だ。
最初は邪魔をされ色々腹が立ったが、今は中々肝が据わっていて面白いと思える存在である。
話を思い出す限りタカマガハラの出身で間違いは無いだろう、その特徴は服装に色濃く出てる。
タカマガハラと言えば生前(と言う言い方も変か)何回か世話になった記憶が微かにある。

そして最後に…
「あのガキかァ…」
ハンマーを背負い目の前の食事にがっつく青年が目に付く。名は…確かラック
試験の時にはからかって見たりもしたが、雷術と言い力と言い中々の物であった
しかしどうしてであろう、言動を見ると、まだ青臭さが抜けん小僧であるのだ。
よもや元々【宿無し】(無所属)だった輩なのか?
「おイ、ガキィ。」
呼び掛けると同時にテーブルの粉砕して無い部分からパンを拾う。
そして相手が気付くかどうかのタイミングで…。
「キャッチボールや、【受け取って】みィ!」
ぽいっと試験の時見たく投げ渡す。どうやら、からかいたくなったようだ。
(まあ…話すきっかけ作れりゃそれでええやろ。)

70 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/01/21(土) 15:02:25
魔王軍領内に点在する魔法陣を破壊して回る。
一体、どれほどの行程になるかわからない旅だ。

というわけでセシリアはまず帳簿片手に走り回ることになる。旅支度だ。
こういったことに期待できそうなのはマックスやカイザーくらいだが、彼らは合流してから日が浅く、
勝手の解らないことも多いだろう。結果セシリアが一手に引き受ける形になった。別に頼まれたわけではないが。
長距離強行偵察隊の携行品をベースに6人分の物資を選定する。
長距離強行偵察隊とは文字通り敵陣を長距離に渡って踏破し、場合によっては戦闘も行いながら
各種情報の収集を行う部隊で、今回の魔法陣破壊部隊と性格は良く似ているだろう。
離れても会話をするための念話用銀盤、空気中の水分を集めて飲み水を確保するための結水符、
少量ながら腹持ちのいい携行食などが主な装備だ。

そう、携行品の中で特に心配なのが糧食だ。何せFALCONがいる。もっともセシリアも常人に比べれば遥かに大食だが。
「……入れた分は消費してるからいいんだ」
誰にともなくつぶやいて、作業に戻る。きっと他の隊員だって結構食べるに違いない。むしろ食え。
携行食ばかりでは味気ないのでドライフルーツや干し肉、黒パンなど多少なりとも変化をつけた食料を多めに用意させた。
ちなみに行くのは本来7人だが、グレゴリウスは書庫での戦闘時に利敵行為の嫌疑がかかり、
本人の釈明で刑罰は免れたものの謹慎処分を受けている。
後から出発するのであれば同じ装備を用意できるように話はつけておいた。

水、食料などの共通品のほか、個人的に持っていく装備として、短剣大小二振り、折りたためる半弓、矢筒、薬品など
すべての手配を終えたセシリアは最後に厩に訪れた。国境までは馬が必要になる。
飛べない隊員を抱えて飛ぶのはあまりにも目立つだろうし、間の抜けた光景だ。
セシリアはそこでの仕事も済ませ、出発の期日が来るまで主に魔導技術関係の本をひたすら読みあさって過ごした。

71 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage] 投稿日:2006/01/21(土) 17:11:22
>53
部屋に入った所で同盟軍の将らしき男に、これからの事を説明された。
「やっぱし俺がリーダー……か」
ぼうっと考えながらそう小声で呟くと、周りの人間から、その将らしき人物に対して殺意が放たれている。
「あれ? 皆どうした?」
最後の方が聞こえて居なかったマックスは、無論何が起こったのか解らず、騒動をただ呆然と眺めていた。

>56
更に二人の男が部屋に入ってくると、この騒動は収まり、部屋に静寂が戻る。
一人はマックスか書庫で合った騎士だ。一人は僧侶の様だが……位も徳も相当に高い事が伺える。
騎士が再度説明をした後、僧侶が一人一人に祝福を施していく。
そしてヒチシで魔法陣を破壊せよ、という命を騎士が与えると、二人は部屋から出ていった。
「何だ、この懐かしい感じは……それにヒチシが微妙に反応を……」
背中のヒチシが微かに震えたのは何故だろうか?マックスには解らなかった。
「頼むぜ、相棒達」
マックスは背に背負った三つの武器に、小声でそう呟いた。

>60
「お、セシリア」
マックスの方へ振り向き握手をする美しい女騎士。一年前に共に戦った仲間の一人で、
マックスが目標にしている人間の一人である。彼が無様に倒れる上を跳び越え、
強力な一撃でバルザイを倒した事は、まだ覚えている。
「気にしてない気にしてない。よせよ、ホントはリーダー何てガラじゃないんだからよー」
セシリアの手は自分より小さく柔らかいが、鍛えられている。
挨拶が終わるとセシリアはカイザーの方に向き、片膝を付いて礼をする。
その姿を見て微笑みながら目を瞑り下を向く。暫くして目を開け、周りを見回した。
「セシリア、カイザー、FALCON、さっきの少年、ボサボサ髪の男……それに、さっきの子?」
>64
マックスは何やら困っている様な顔をした、先程の少女の頭に左掌をポンと置いた。
「(やはりどう見ても、良家のお嬢様が鎧を着て、剣を携えている様にしか見えないぞ……。
いや、そんな事を言ったらセシリアもお姫様が鎧を着てる様なもんか。見掛けによらないって事か?
だが、流石にこの細腕で剣を振るっても……いや、案外怪力なのか? いやいや待てよ、
そういやこの子は魔法が使える様だけど……そうか、それで既に別の場所で呼ばれていたのか。)
そうだ、自己紹介がまだだったな。俺はマックスウェル、傭兵だ。これから宜しくな!えーと……
そういや君の名前は?」

72 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/01/21(土) 22:15:44
>67
酌をしに隣に席を移したんだけど、妙に冷えるねえ。
なにやらブツブツ言っているけど大丈夫かね、この人?
>「ん・・・あぁ。酒も偶にはいいかもしれない。頼む。」
ちょいとしてようやく返事が返ってきたと思ったら寒気も綺麗になくなっていたよ。
水や氷を扱うサエナミさんだ、考え事していて冷気が漏れ出ていたのかねえ。

にしても・・・どんだけ食うんだい?この枯れ枝のような身体のどこに入っているんだか聞いてみたくなったよ。
「どうしたんだい?何か考え事していたようだけど、早速戦闘シュミレーションでもしていたのかえ?」
酌をしたあと、こっちも手酌で一杯いかせて貰いながら聞いてみたよ。
流石にこんなところでダイエット談義を繰り広げる訳にもいかないしねえ。
ま、身体の構造が違うっぽいサエナミさんとじゃダイエット談義にもなりゃしないんだけどね。
「あんたとあたしは術の相性もよさげだしねえ。そこら辺ちょいと話さないかい?」
辻斬りがラックにちょっかいかけてんだか話しかけてんだかわからないような事しているのは見えない振りして、
もう一杯手酌で注ぎながらこっちの会話を続けたよ。

73 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/01/21(土) 22:41:33
>60-61>64>66>70-71
>やめておけ。面倒が増えるだけの話だ
女騎士が止めに入る。振り向くと、言葉だけなのが
手に取るように分かってしまった。顔や雰囲気はむしろ自分に賛同している。
『ふん・・・』

女騎士はカイザーとムキムキゴリラ・・・マックスと言うらしい男と話して、
最後にバカに皮肉と毒をたっぷり込めた言葉を残して部屋を出て行った。
準備と言っていたが、自分にはあまり関係ない。必要な物は常に持ち歩いている。
食糧とかは任せておけばいいだろう、わざわざ走り回る必要などどこにもない。

>ならば…その兵士もろとも皆殺しにしてやろうか…
>貴様は俺に戦いを挑んだ。この戦いが終った後…必ず殺す…必ずだ!!!
魔族の男が脅しとも本気とも取れる事を言っている。
声の調子などから多分本気だろう。だからこいつはバカなんだ。
止めに入った奴も同じ末路を辿る事を考えると、尚更バカとしか言えない。
その後、男も部屋を出て行った。居心地が悪いのは同感だ。

>表情は真剣そのもの〜〜見えてしまいそうな仕草だった…
ふと部屋を見回すと、あの時の女騎士がいた。しかも相当場違いな顔してやがる。
何でここにいるんだこの能天気は、と内心思ったがここにいる以上は見た目からは
想像できない力を持っているんだろう・・・そう、自分のように。
それでも胡散臭そうに一瞥すると、バカの蔵書を眺めてみる。

>暫くして目を開け、周りを見回した
あの女騎士とマックスと言う男は仲がいいらしい。傍から見ると兄妹と言った雰囲気だが。
傭兵なのにリーダーに選ばれたのは、やはり背中に背負った奇妙な剣の力の為か。
『悪魔』の感覚はあれに興味を示している。ひたすら力を求める、この『悪魔』の性だ。

妙なタイトルの本を見つけた。
『人の為に戦った悪魔』と言う、古ぼけた本だ。童話とかの類だろうと思ったが、
それにしては造りが子供向けじゃない。違和感を感じて手に取り、読もうと思って・・・
バカに蹴りつけた椅子を再び蹴り上げて立たせ、そこに座って読み始める。

74 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/01/22(日) 00:06:44
とりあえずラックは飯を食う。もしゃもしゃと。

>62
>「ラックは帯電体質か、ファイルの通りらしいな……
>そいつは任せろ。急な異動で忙しくなるだろうシズネに余計な手間を掛けさせたくない。
>私の得意は魔導兵器だと言ったばかりだろうが。実戦に間に合うよう、特製をあつらえてやるさ。
>何、ガストラから輸送中のリーゼン艦砲に掛けた復元費と比べれば、大分安く上がるだろうよ」
「あ…りがとうです」
(どうしょっか)
ラックの持つ運動神経ならば、たぶん乗れる。そういう自負はある。だが未知への恐怖は根強いものがあって。
(落馬とかしたら道化だよなぁ…実戦までに人並みには乗りこなせるようにしないと…)
しかし実戦はそう遠いことではないだろう。さしあたって馬具はいつ出来るのか。練習時間はあるのだろうか。
そんな不安はいくらでもあるが…実際、なんだか乗ってみたくもなってきた。気分も高揚しつつある。
(がーんばろー)

とりあえずラックは飯を食う。もしゃもしゃと。

同盟軍の面々についてのエヴァンスの発言。他の三者は多少の反応を見せたようだが、ラックは全く反応を示さず。
耳に入れてはいるようだが、しかしまるで興味がなさそうに。ただ口中の食物を咀嚼するだけ。
(俺よりも…弱いなら勝てる。強いなら負ける。そんだけだろ)
負けたとしても、ただ寿命がほんの少し縮まるだけ。あと三年あるとはいえ、『もって』三年なのだから。
明日にでも、死ぬかもしれない。それを考えると、将来的な勝ち負けなどどうでもよくなってくる。
勝ち負けがどうでもいいラックが、敵の情報に興味をもつことはなかった。きっと聞いた名前ももう覚えてはいない。

とりあえずラックは飯を食う。もしゃもしゃと。

>69
>「おイ、ガキィ。」
耳に入ってきた辻斬りの声。ここにいるガキは自分だけ、即ち呼びかけられているのが自分だと気づくのに一瞬の間。
まだ口の中に残っていた肉片をかみ砕いて飲み込みつつ、顔を上げる。
>「キャッチボールや、【受け取って】みィ!」
「は?」
そんな疑問の声が遅いか早いか、辻斬りの手から「何か」がラックの顔に向け飛んでくるのが解る。
(パン?)
それを理解した時には、既にラックの目の前にパンが肉薄していて。しかしラックの手にはナイフとフォーク。
なぜか手放そうという気が起きずに手が使えぬまま、ラックは辻斬りから投げられたパンをうまくキャッチした。
口で。

「ふぁひふんあ!」
口の中にパンが入っているので発音が出来ない。「何すんだ!」と言ったのだろう。その顔には驚きと怒りが半々に。
「はむはむはむはむ」
口の中のパンを咀嚼し、喉を経由して胃の中に収容する。十分に発声する準備が整ったので、また怒る。
「うぜーなちくしょー!何すんだ!」
同じ様な言葉をつい最近言ったような記憶が頭の中に去来しつつ、ナイフとフォークを揃えて皿の真ん中に向けて置く。

そしてラックは飯を食い終わる。爪楊枝が欲しい。

75 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/01/22(日) 11:42:27
>72
何か私が妙な事でもしただろうか。シズネの視線が痛い。
「あぁ、昔馴染みを思い出していた。空を飛んでいたから、あいつも。
 だから・・・どうやって叩き落して羽をもぎとる方法を考えていた。」

酒をクッと飲み干すと、体の内側が少し温まった。
「何を思っているのかは分からないが、私の体の構造は普通のヒトと一緒だ。」
と言いつつ、自分の頭を示す。
「ここだけが普通と違う位か。」
手酌で更に一杯注いでまた飲む。

「シズネにだけは教えておこうか・・・。今の私は全盛期の力を封印されている。
 時間経過で少しずつ解けるのだが、全ての技を『思い出す』までに少し時間がかかる。
 戦闘経験を積めばさらに早くなるのだろうが・・・。今は『津波』を起こす事も出来ないな。
 せいぜい『空断ちの水剣』ぐらいか。」
そう・・・水脈を引き寄せられるなら彼女との技の相性はいい。わざわざ、空気から水を作る必要もない。
「戦術というなら・・・水脈を引き寄せてから、拳大の雹の嵐か、巨大な水塊を叩きつけるか・・・。対集団用が主になりそうだな。
 勿論、方向を絞ればその限りではないが。・・・・・・普段対人の時は水の塊を作って窒息させていたからな。」

女二人の物騒な対談は続く・・・?

76 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/01/22(日) 14:07:31
>71 >73
どうやって名前を聞き出そうか考えている時に視線を感じた少女はその方向を見る
すると先の男女判別不明の人間がこちらを見ていた…しかし、少女と視線があうかあわないかの時に外方を向いてしまった…

首を傾げようとした時、不意に頭を触られる…顔を上げると青年―マックス―が自分の頭に手を置いており
「そうだ、自己紹介がまだだったな。俺はマックスウェル、傭兵だ。これから宜しくな!えーと……そういや君の名前は?」
と、話し掛けてきた

突然の出来事とマックスと呼ばれた青年が実はマックスウェルと言うのがフルネーム(?)だった事に驚きを隠せなかったが、自己紹介と言う言葉を思い出した少女はスカートの両裾をそれぞれ右手と左手で持ち
「私はガーナ家の次女、マリスと申します。…マックスウェル様…こちらこそよろしくお願いしますわ」
その言葉と共に膝を曲げ、上体はお辞儀をするように軽く傾ける…要は貴族の令嬢や身分の高い女性等が行なうお辞儀をした。
その際に普段はもっと長いスカートで行なっている少女
今履いているのが短いスカートなのに、普段どおり上げたために太股が見えてしまう
だが、少女は気にせず微笑みながら言葉を続ける
「私の特技は光と癒しの魔法ですわ…もしもお怪我をなされたら、遠慮無くお言い付けくださいね」
笑顔のままそう言う少女だが、ふと悲しそうな顔に変わり
「…もう少しマックスウェル様とお話をしていたいのですが…私には成さなければいけない事があるのです…」
深刻な顔をして大仰な事を言ってはいるが…他の人の名前を聞きに行くだけだったりもする。
スカートから手を離し、しばしマックスを見つめた後
「…それではまた後程…」
両手は上げずに体の前で重ね合わせ、おすましポーズをしながら深々とお辞儀。


顔を上げると名残惜しそうにしながらマックスの側から離れ、本を読んでいる少年少女のもとへ歩いていき…少し離れた場所で立ち止まり声をかける
「あ、あの…先程はありがとうございました…」
まずはお礼の言葉と共にお辞儀をし、顔を上げると同時に
「私はガーナ家の次女、マリスと申します。あの…よろしければ、貴方のお名前をお教えしていただけませんか…?」
小首を傾げて相手の名前を尋ねる

77 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/01/22(日) 15:49:20
旅立ちの朝、見送りに立ったのは三人だけだった。法王、オルトロス、そしてガーオス。

「本来なら盛大な式典を持って送り出してやりたいのだがこれも情報漏洩を防ぐ為じゃ。」
法王が力なく笑いながら一行に頭を下げる。
「では、ガーオス君・・・」
その後、法王に促されガーオスが一行には目も合わせずに丸められた羊皮紙を投げる。
「ふん、我が部下34名の命の代償だ。魔法陣はカモフラージュされている為、最低限の警備要員しか配備されておらん。
奴らにこちらの動きを察知される前に一つでも多く破壊し、そのまま討ち死にしろ。」
そっけなく背を向け、ぼそっと呟くように言葉を付け加える。
「数日前魔王軍に精鋭部隊が新設されたという情報を得た。まったく間の悪い、
お前達にとっては死神に等しい部隊だ。せいぜい遭遇しない事を祈るんだな。」
そのまま振り返る事無く、城へとその姿を消した。

「ふふふ・・・それでは、汝らに神の御加護があらん事を・・・」
苦笑を持ってガーオスを見送った後、法王は旅立つ一行に別れを告げた。
だが、出発する一行の最後尾を歩くマリスを呼び止める。
「君のような子をこの任務につける私をなじってくれて構わない。
だが、君の類稀なる癒しの力はきっとこの任務を成す為の大きな力になるだろう。
・・・君は知らないだろうが15年前、君の生まれた夜に祝福を施したのは
枢機卿であった私なのだよ・・・本当にすまない・・・せめてこれを・・・」
そう言うと首にかけていた聖印をマリスの首にかけ、一行と共に行くように促す。
法王の聖印・・・着用者の霊力を高め、一度だけ死に至る攻撃を身代わりとなって受ける聖なるアイテム。

その後、一行が見えなくなるまで二人はその場から動こうとしなかった。
オルトロスは終始無言で厳しい表情のままであった。

78 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/01/22(日) 20:10:41
>76-77
その古ぼけた本は、いわゆる「神話・伝説」の類を書き残した物だった。
書かれている事は、どれも信憑性にイマイチ欠けるとは言え、非常に
詳しく、また様々な横道に逸れるような話も数多くあった。読み解いていく内に
『悪魔』が騒ぎ出す・・・『人間の為に戦った悪魔』の名前や、その子供達の
名前、彼らの為した事などを頭に刷り込んで行く。その内容に覚えがあるようだ。
この『悪魔』はこの世界の魔界とは違うところから来た・・・なのにこちら側の
蔵書の内容を知っていると言うのだ。じゃあ、元はこちら側にいたのか?

>あ、あの…先程は〜〜名前を尋ねる
考えに耽ろうとした矢先、声をかけられた。顔を上げると、そこには
さっきの女騎士がいた。俺の顔を見て表情が曇る。そんなに俺は今怖い顔をしてたのかよ?
それでも、向こうは自己紹介らしき事を言った。マリス・ガーナと言うらしい・・・
これでいちいち女騎士なんてまだるっこしい言い方をしないで済む、のはいいのだが・・・
マリスはどうも俺の名前を知りたがっているようだ。そんなもの知ってどうしようってんだか。
もっとも、聞かれて答えないのは色々と問題がある。マリスの内包する聖と光の力に
顔をしかめながら、(もっとも顔を顰めた理由はそれだけじゃないんだがな・・・)俺は名乗った。

『・・・アステラ・リオーヌ・・・アステラでいい』
それだけ言うと本に視線を戻そうとした。


>旅立ちの朝〜〜ままであった
その間も色々あったが、今は端折ってだ・・・旅立ちの日。
あの時のバカ、ガーオスが相変わらずむかつく態度、むかつく声で
魔法陣を守る警備隊などの情報を伝える。案の定余計な捨て台詞を残しやがって。
FALCONじゃないが、帰ってきたら真っ先に斬ろう。生かしておく価値ない。
・・・精鋭部隊と聞いて、眉根を寄せる。こっちの動きが察知されてるんじゃないのかと。
存外横流ししてんのはガーオスかも知れないな・・・その後、法王の爺さんが
お決まりのセリフを言って俺達の戦いは始まった。そう、人知を超えた戦いが・・・

79 名前: ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/01/22(日) 20:56:06
やっぱり訂正

×俺の顔を見て表情が曇る。そんなに俺は今怖い顔をしてたのかよ?

○あまりの間の悪さにイライラしながら相手を見る。

80 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/01/22(日) 21:45:40
>74
「ホォ〜…さすがやのォ〜ナイスキャッチや。」
パンを口でキャッチした相手を見て、称えるか馬鹿にしてるのか分からない拍手をしながら席を隣に移す鎧武者。
近くでチラッと顔を覗いたが、本当に若い15、6程度であろうか…
こんな若造が中隊長か、ワシと言いエヴァンスの大将と言い世の中何が起こるか分からんな。
まあ、魔界とこっちの世界を傍若無人に暴れまわっていた自分が特攻隊長に抜擢されたのだ。やはり最終的には実力で決まるのだろう。
そんな事を思いながら相手に話しかける。

「試験の方、見とッたでェ。オマエ特攻隊長のワシを差置いテ最前線に立つたァエエ根性しトるやないカ。
ンなモン普通の輩ニャぁ中々出来へンモンや。イヤァ特攻隊向きノエエ度胸しとルわ〜。
それニなァ…そないナ小ッこい体のドコに、あなイな馬鹿デカイエモノを扱える力があルのか不思議ヤで。

そンでもって、あの雷術…『レシフ』やったっケ?あれモ大しタ雷術ヤないかイ。
でモなァ…最後に落ッこった、オテント様の雷の方ガ威力は上ヤなァ。
受け切る分にャア問題無いンやが…ほれ見てみィ。」
そう言いながら自分の手の平を見せる。
ただの大きな白骨なのだが、よく見ると指や甲に黒い焦げ目が付いていた。
「ナ?…ここまデ、焦付いてしもウたワ。いヤァオテント様は怖いでェ…。」
どうやら、その雷がラック自身の物だと気が付いていないらしい。
更に、ご機嫌なのか口調軽やかに身振り手振り大きくしながら。相手に問いかける。
しかしどこか嫌味のような感じが含まれている気がしないでもないが…
まあ死を恐れてないのか、或いは死にたいのかどうかは知らんが、度胸がある奴は嫌いではない。
もしや若さゆえなのか?

そこまで考えてやっと、相手が怒ってることに気が付いた。
ハッキリ言って遅い、素晴らしく遅い。
「オヤおヤ…まア、そんな怒らンといテや。
 そなイに怒っとッたラ、ワシみたいに【長生き】できへンデェ?
 人生気ままニ…ガキは笑っテいりャぁエエんじャ。」
サラリと、そんな事を言いながらラックのコップに茶を注いだ。

81 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage説明文長くてすいません。] 投稿日:2006/01/22(日) 22:06:58
>75
「津波とはまた豪気だねえ。封印されてアレ程の力とは頼もしいじゃないかい!」
正直な感想だよ。色々考えているようだしねえ。
誘脈旗でフィールドを完全な底なし沼にして足場を作るのは現場のサエナミさんに任せればと思っていたが、空を飛ばれるんじゃぁ
意味がない。重力強めても味方にまで影響しちまうしねえ。そうなるとこっちの出番かね・・・。

ほろ酔いになってきたところであたしもちょいと考えてね、つらつらと符を四枚書いて、各自の前に流す。
「ちょいとお立会い。せっかくの会食の席だ、あたしから一つ芸を見せよう。今あんたらの前にある符は指南符といいましてな、
まあ、それはとりあえずその場においておいて、ちょいと見ておくれよ?」
簪を一本抜いて旗に戻す。蚩尤旗だ。
「今宵あんたらの後方支援を仰せつかったんで見せておくよ。先の試験で使った旗は誘脈旗といって地脈と水脈を操りフィールド
状態を操る。まあ、他に地脈の力を注ぎ込んでパワーアップもできるのだけどね。
だがこっちはまた別物だ。いざサポートするにしても何が起こっているか判らないようじゃぁ逆に足をひっぱちまうことになるからよく
見ておいておくれよぅ。」
連携が必要だってのならよく知っておいて貰わないとね。余興代わりにお披露目だ。

旗から重く濃い赤い霧が出てきて部屋を満たす。
「どんな感じだい?この赤い霧が呪詛の具現でね、ほら、感覚が妙じゃないかえ?視界が鈍くなっただけでなく距離感や方向感覚、
それにお互いの気配も朧気になってきていないかえ?
腕が立つ奴ほど感覚や第六感は研ぎ澄まされているからね。そこに付け込む術さね。」
直接これで相手が倒れるわけでもないし、鈍らせるのはせいぜい三割ってトコさ。何らかの対抗手段を講じられれば軽減される
だろうが霧の中にいる以上戦力減はまのがれないし十分なサポートになるだろう。この霧の中では「空を飛ぶ」なんて三次元感覚の
集大成を使う大仕事はまともにやってられまいて。
さて、これだけでは使えない単なる混乱させる霧で終わっちまうからね、話すを続けるとするか。
「おっと、勿論言いたいことは判っているよ。そこで出番は目の前にある指南符さ。それを手にとって念じてみなよ。燃え出したか
らって慌てないどくれよ。熱くはないからさ。ほら、視界は開けて感覚が戻ってきただろう?目の前にあるのは単なる薄い霧だ。符の
効果は一時間。一度の戦闘には十分だろう?」
敵味方を判別する為の符でもある。使い捨てだから相手に逆用される心配もないしねえ。
ま、これで十分判っただろう。ただ、大所帯で動くんだ指南符もどれだけ書かなきゃいけないことだか・・・。腱鞘炎になっている自分が
目に浮かぶよ・・・はぁ・・・
「ま、こんなところだね。あたしが地の利は作る。呪的な霧だから風やら何やらにもそうそう影響されないからねえ。
ただしこの術をやっている以上あたしは一歩も動けない。ま、そこら辺はあんたらに任せても大丈夫だよねえ?
あたしの役割からして全員にかかわる事だからねえ。余興代わりに披露させてもらったよ。楽しんでもらえたかい?」
旗を簪に戻すと霧ははれ、元の部屋の風景へと戻る。

「どうだい?呪的な霧と言っても液体にも違いないからねえ。集めて圧力かけりゃ刃になるって寸法さ。
・・・それと、体の構造が一緒ならその細い体型維持方法、そっと教えて遅れでないかい?」
話が終わったあとサエナミさんだけにそっと呟いたよ。
あたしも艶ある体型には自信はあるが、気を使っているからねえ。アレだけ食べてこの細さの秘密は是非知っておきたいものさね。

【符のあれこれ】
結界・一枚もしくは数枚の符によって外部からの流入を防ぐ。固定式と対象者付随式がある。
封印・結界とはベクトルが逆のもの。内部からの流出を防ぐ。同じく固定式と対象者付随式がある。
発動1・符の発動と共に込められた術が具現化するもの。
発動2・符の発動と共に符が飛び、何かに触れた瞬間に術が具現化するもの。

82 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/01/22(日) 23:25:49
>77
七日後、払暁。
支度を終えたセシリアたちの前には三人の男が立っていた。オルトロス、ガーオスの両将軍と法王だ。
法王に促されたガーオスが羊皮紙を投げてよこす。口ぶりからすると魔法陣のありかを示す地図だろう。
しかしこの人物は何の理由があってこうまで一行を嫌悪するのだろうか。理由を問う機会など別になくてもよいが。
「見送りなどこれでも多いくらいです。……その分、凱旋の折は盛大に願いたいところですな」
セシリアは法王に対して小さく笑いかける。いつもの戦装束の上から羽織った灰色のマントのフードをかぶり、馬に飛び乗った。
マリスは法王に呼び止められて少し遅れたが、すぐに追いついて来るだろうとそのまま馬を出す。

一時間もかからずに旧オーガス領へ入る。ここからは歩きだ。
セシリアは馬から下りて、横面を撫でてやりながら声をかける。
「真っ直ぐ帰るんだよ?お前は文字通り道草を食ってばかりなんだから」
珠目上、後二長白、栗毛。一年前、オーガスから落ち延びる際にも乗っていたヴォーロスという名の駿馬だ。
もと来た道へ鼻先を向け、尻を軽く叩くと、駈歩で城へと戻っていった。
再びあの背に跨る事はあるだろうか。
「さて参りましょうか、隊長殿?」
いたずらっぽくマックスに言って、セシリアは歩き出した。

83 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/01/23(月) 00:28:42
>77
出発の日、自分達を見送るのは三人。ガーオス、オルトロス、法王。
正直に言うと、この三人よりも魔界に帰ったイルに父や母、師匠や知り合いの神様に見送られたかった。
(まぁ…魔界にいるから無理だよな…それに父さんと神様が出会ったら絶対に殺し合いに発展するだろうしな…)
その昔、FALCONの父と知り合いの神様とその仲間達は死闘を繰り広げていた。
その戦いは下手をすると、一つの惑星が破滅する程に激しかったものである。

他の面々が馬に乗って旅立って行く。しかし、FALCONは馬には乗らない。
代わりに宙に浮き、空を飛んで行く。

馬達の速度に合わせて軽く空を飛んで行き、オーガスの国の領地だった土地に着く。
他の面々は馬を下り、FALCONは地に足を着け、徒歩で魔法陣を目指す。

「そこの君達、俺はFALCONだ。これからよろしく頼む」
前を歩いているまだ名前が分からぬ少年少女、アステラとマリスに挨拶をする。

84 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/01/23(月) 01:46:46
>77
時は来た、入隊から一週間…今日が新たな旅立ちの日である。
見送りは3人、何れも一週間前に会った人物だ。
ガーオスが皮肉を言っている間、カイザーは鞘に入った自身の聖剣を手に取り、ずっと眺めていた。
(…戦友よ、俺達が無くした物を取り戻しに行こう。)
聖剣の宝玉が、一瞬だけキラリと光った気がした。

見送りは終わった、各人が馬に飛び乗る。ついに出発である。
「さてと…」
カイザーは息を軽く吸い込み、中指と人差し指の二本を利用して口笛を吹いた。
口笛の音色が途切れた瞬間、遥か上空から雲よりも白き翼の生えた馬が舞い降りてきた。
見るや、それはペガサスの様だが、一般に言われているペガサスとは違い額には一本の鋭い角が生えていた。
「久しぶりです、カイザーさん。」
白馬は口を開き、カイザーに話しかけた。
「ああ、久しぶりだな。
 …そう言えば、お前も3年振りか。…と、長話をしている場合じゃないな、行こう」
白馬に飛び乗り、若干遅れ気味に仲間の後を追った。

暫く走った後、仲間と共に馬足を止め、カイザーは白馬から飛び降りた。
「ありがとな…きっと、帰ってくる」
それだけ言い、振り返らずに進んでいった。

>82
先頭の方を歩く女騎士を見つけ、カイザーは声を掛けた。
「一週間ぶりだな。」
カイザーは地平線の彼方へと視線を向けた。
「オーガス城はあの先にある。きっと…俺達、元オーガス軍の騎士の手で取り戻そう。」
と、そこまで言ってカイザーは視線を戻した。
「…そういえば、自己紹介をしてなかったな。
 知ってるかもしれないが、俺の名はカイザー、職業は天聖騎士だ。よろしくな」
と、軽く自分の右手を差し出した。

85 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/01/23(月) 11:50:35
>>81
「そうだな・・・。」

一連の説明を心に留めておく。一応、赤い霧の中でも自分から見た方向でどちらにいるかはうっすらと理解していた。
『何かがいる』とさえ分かれば、後はそれだけで、『何がいるか』は敵味方を問わなければどちらでもいいだろう。

最も、符があれば便利なのは疑うべくもない。
自分に触れているだけの霧に干渉して手に少しだけ集める。
「・・・・・・参考にはなる。」
また霧散させて元に戻す。今ので多少は『学習』できただろう。

>「どうだい?呪的な霧と言っても液体にも違いないからねえ。集めて圧力かけりゃ刃になるって寸法さ。
>・・・それと、体の構造が一緒ならその細い体型維持方法、そっと教えて遅れでないかい?」
「そうだな・・・水剣は私もよく使う。鋼鉄位なら切断できるからな。
 あぁ、これは・・・。自分の頭を切り開いて脳を麻酔無しでシェイクされる覚悟があるなら・・・。
 いや、今の設備では難しいか。私は純粋な外科までしか出来ない。脳外科は無理だな。
 脳は体のほぼ全てを統括する。この脳を意識的に操作出来れば・・・というのがこの体型の種明かしだよ。」

・・・・・・デザートまで平然と3人前以上平らげてからシズネに向かって話す。
「こういうのは先天的にやるものだが、後天的な形でも前例が無くはない。・・・・・・ショック死率は99.98%だが。」
恐ろしい事を平然と言いながら、自分を振り返る・・・・・・。


透明なガラスの先に見える白衣の男達。快哉を上げる彼らの更に向こうで笑む法衣の男。
血まみれの『先生』。にやにやと笑う軍服、ケーブル、肉、肉、血・・・紅い世界、海も紅い、染めろ、染めろ、染め上げろ。
「ッ・・・!」

私は平常か?脈拍を強制的に戻す。貧血のような感覚が思考を取り戻させてくれる。
頭を振って思考を戻す。そうだ・・・シズネにも聞いてみようか。『私達の問い』を。

「シズネ・・・、同じ部隊になるからそう呼ばせてもらうが。貴女にとっての『ヒトの生きる意味』とは何だと思う?
 この世に生命が生まれ、ヒトが生きるその意味は・・・。『神』と呼ぶべき者がいるなら何故ソイツはヒトを作ったのか・・・。」

86 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/01/23(月) 22:14:02
>78声をかけると少年少女は顔を上げる。明らかに機嫌が悪そうだったが、顔をしかめながらも名乗ってくれた
『・・・アステラ・リオーヌ・・・アステラでいい』
それだけ言うとアステラは本に視線を戻していく
アステラが見ているかどうか分からないが少女は微笑み、お辞儀をしながら
「お名前をお教えいただきありがとうございます。…謎が一つ無くなりましたわ」
満足した様子の少女は
「それではアステラ様、失礼いたします…」
再度深々とお辞儀をしてから微笑んで、アステラから離れ部屋を出ていく…謎が一つ無くなって満足したから…

>77…先の部隊に配属された事を知らないマリスは(話を聞いてはいたが、自分が配属されるなんて思ってない)近くに(勝手に)建てた屋敷でメイド達とのんびり過ごしていた(訓練しろ)
…出発の前日…何気なく屋敷を抜け出して一人で散歩していた少女は法王の使いと名乗る者に呼び止められて、自分が明日出発する部隊に配属されている事を知る…そしてこうも言われた
「ずっと探していたんですよ?」
…屋敷に帰ったマリスは信頼できる影武者―自分と瓜二つの少女―に相談する。…影武者の少女は
「この遠征が法王様直々の命で秘密裏と言われたのなら、メイドやお母様達には内緒で出発をした方が良いですね…知られれば大事になります。
本当は危険なのであまり行ってほしくはありませんが…法王様の命は絶対です…」
そして作戦を提案される…作戦は至って簡単。マリスがメイド服に着替え、影武者がマリスの服に着替えておく
…そしてマリスが朝早くに屋敷を出れば良いだけ…着替えや荷物は途中に見える小屋に置いてあるので回収していけば良い
…出発の日、難なく屋敷を出た少女は荷物を回収して皆と合流……そこには書庫事件で見かけた面々、そしてあの恐い男に燻し銀の男と御老体…法王様らしい…もいた
>「本来なら盛大な式典を持って〜」
法王が力なく笑いながら一行に頭を下げる。
「では、ガーオス君・・・」
ガーオスと呼ばれた男が丸められた羊皮紙をこちら側に向けて投げる。そして最後に
「そのまま討ち死にしろ。」
マリスはびっくりして目を大きく開ける。彼はその後に何か言ったが少女には聞こえなかった…ガーオスはそのまま振り返る事無く城へと向かう

「ふふふ・・・それでは、汝らに神の御加護があらん事を・・・」
ガーオスがいなくなった後に法王は旅立つ一行に別れを告げる……マリスも最後尾から着いていくべく歩こうとした刹那、呼び止められ
「君のような子をこの任務につける私をなじってくれて構わない。〜・・・せめてこれを・・・」
マリスの頭の上にクエスチョンマークが浮かぶ…癒しの力を授けてくれた人を恨む?と言うか、恨む事自体知らないマリスは言葉を発さず微笑みで返す
…気持ちを察したかどうかは分からないが、法王は自身の首にかけていた物をマリスの首にかけ、一行と共に行くように促す
少女は微笑んでから深々とお辞儀をする…顔を上げると同時に踵を返して歩きだし馬のもとへ…そして、何やら馬に話し掛けてから乗り込む
マリスは手綱を持って馬にしがみついたままだが、馬は走りだす…馬を扱うのではなく、馬に任せるのだ
そんなこんなで目的地に着き、馬からおりる…少女は馬を撫でつつ馬に感謝の言葉を述べてから歩きだす

>83「そこの君達、俺はFALCONだ。これからよろしく頼む」
ふと後ろから声をかけられる…振り向くと、あの時女の人と一緒にいた男の人がいた。隣にはアステラがいるようだ
「私はガーナ家の次女、マリスと申します。FALCON様、こちらこそよろしくお願いしますわ」
自己紹介をされた少女は微笑みと共にスカートの裾を持ち、やり過ぎな貴族女性の挨拶をしながら自己紹介を返し、
「また謎が一つ無くなりましたわ」
そう言いながら嬉しそうに微笑み、心の中で…残るは二人のお名前ですわ♪と思っていたとか

87 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage] 投稿日:2006/01/24(火) 00:25:25
>76>78
「マリスってのか……改めて宜しくな! おう、用事があるのか。じゃ、またな!」
丁寧で気品溢れるマリスの礼に感心しつつ、手早く挨拶を済ませて彼女を見送る。
「(光と癒しの魔法か、頼りになりそうだな。……そういやぁ、マリスが今話している奴も今回の任務の一員か)」
さっきの少年は、相変わらず不機嫌そうな顔をしている。
マックスは少し昔を思い出した。彼が傭兵に志願したのは14歳の頃だった。
大人に囲まれて駆け回る戦場は、不思議と怖くは無かったのを覚えている。
「(だが何か……稼ぎ目的とかじゃ無さそうだな、アイツは)ん?」
少年がマリスに名を名乗ったのを聞いた。
アステラか、良い名だけど性格キツそうだな、と思いつつ、マックスは部屋を出て行った。

修行や丸薬作りで日は過ぎていき、一週間後。

>77
マックスはケロッとした様な顔で、渡された羊皮紙を眺めるが、良く見ると彼の額には青筋が浮かび、
羊皮紙を持つ手も怒りのせいか震えている。そして……
「わざわざご丁寧にありがてぇ事で御座いますよ!悪ぃが!アンタの思い通りにはならねぇからな!」
遂に我慢の限界とばかりに、ガーオスに向かって思い切り怒鳴ると、馬に勢い良く飛び乗った。
「テメェ!聞いてんのかコラ!帰ってきたら一発殴らせろ!つーか殴る!」
マックスを乗せた馬は、罵声を飛ばす彼などどうでも良さげに、さっさと先に歩きだした。

>82
オーガス領に差し掛かり、馬を降りる一行。
「こっから歩きか……さぁて、戦場の主役の活躍を……! っと、いけね!」
今回は好き勝手戦える立場では無い。彼はリーダーである事を、もう忘れかけていたのだった。
そして、そこにセシリアから声をかけられたのだから、内心ドキッとしていたのは言うまでも無いだろう。
「隊長ってガラじゃ……なんて言ってられねぇな、もう。やるっきゃねぇ、腹を括るぜ」
そう言って矛槍ケレンファを右手に持ちはしたが、殺気も放たず、特に警戒もせず、
のんびりとセシリアの後ろを歩き出した。

88 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/01/24(火) 02:02:48
>82-84>86-87
>…謎が一つ無くなりましたわ〜〜失礼いたします…
視線を落としかけて、聞こえた言葉に我が耳を疑う。謎?謎って言ったよな?
謎って何だ?まさか、名前が分からなかったのが謎とでも言うのかよ?
せっかく考え事を再開しようとしたのに、その一言に思考が掻き乱されて
結局その日はその謎の正体の考察に費やしてしまったのだった・・・その上、
人が呼び捨てでいいと言ったのに様付け。新手の嫌がらせか何かか?

馬に跨ってオーガス領へと向かう。
わざわざ手綱を引いてやる必要も感じなかったので放っておいた。
この馬、きちんと訓練されていたのかそれとも元々賢かったのか、
きちんと送り届けてくれた。ガーオスなんて言う俗物なんぞよりもよっぽど好感を持てる。
徒歩に移行する際、一撫でして感謝の意を表すとそれが通じたのか顔を摺り寄せてきた。
そのまま、反転して帰っていく。それを最後まで見届けずに、前を向いて歩き始める。

>代わりに宙に浮き〜〜これからよろしく頼む
後ろから声が聞こえてくる。
FALCONと言う男だ。こいつ、空を飛んでついて来たよな。
魔族の仲でも相当な実力者のようだが、そんな奴が同盟軍にいるとはね。
一枚岩じゃないのか、ただの気紛れか。まぁどうでもいい事なんだが・・・
自己紹介をして欲しいらしいが、いい加減面倒だ。FALCONの前にはマリスがいる。
立ち止まって振り向き、顎をしゃくってマリスに聞けと暗に伝える。さて、伝わるか?

>わざわざご丁寧に〜〜つーか殴る!
一週間前の通達の時はすっとぼけた顔をしていたが、別に鈍いわけじゃなかったんだな。
まぁあんな言われ方をして腹が立たない奴はある意味バカだから、こいつはそう言うバカじゃないらしい。
だがあそこまで露骨に怒りを剥き出しにしてどうする・・・これから戦う相手は、
お前が感じているその『怒り』、それを司る魔王サタンなんだぞ?大丈夫かよ?


人の後ろを歩くのは性に合わない。一番前に出る。

89 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/01/24(火) 22:49:17
「攻め手を考える暇も無かったか。流石はオーガス騎士、身が軽い」
ジェミニ・スパイからの報告書を脇へ放ると、念話装置からブレンゲンを呼び付ける。
エヴァンスの、正方形のミスリル銀板に刻印された術式を撫でる指は右手の指で、義手は調整中で肘の付け根から取り外されたまま。
コートの袖からちらと覗く、義手を外した腕の断面は真鍮色の金属盤で覆われていて、
所狭しと並んだルーン文字列、ペンタグラム彫刻は緻密を極め、念話装置のそれが気ままな落書きに思える程。

<<本部会議の出席代行頼む。俺は今夜、特戦科大隊を動かす――「百鬼夜行」だ>>

早々に用事を済ませて一方的に連絡を切り、念話装置をがっと掴んで、デスクに滑らせて脇へ追いやる。
雑然とした自室で一人机に向かうエヴァンスの表情は、心なしか薄笑いを浮かべていた。

ここ数日で相次いで破壊された魔方陣基地はいずれも前線への魔力素子供給を目的とし、オーガス城を中心に配備された六基の内二箇所。
同盟軍最大の前線防御拠点を指針する鋭角三角形の配置であったが二角は既に失われた。
魔方陣基地の機密性に起因した兵員少数、情報伝達の不便が仇となり反撃はほぼ不可、
第一撃から基地既存の戦力では敵強襲部隊の火砲に対処困難との判断が第○方面軍本部会議で為されるまでに約一週間が費やされた。
襲撃は抜かり無く行われ生存者は極僅か、当然の如く巨大魔方陣は完全に喪失し、
フレゼリア・オーガス国境付近の一基から二基目まで僅か二日足らずの電撃戦。
夜間攻撃の手法はかのオーガス騎士団暗殺爆撃部隊に酷似しており、
敵特殊工作員は少数の歩兵部隊で魔王軍領内を踏破し魔方陣基地へ到達、これを破壊したものと推測される。

90 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/01/24(火) 22:49:46
>魔王軍・「百鬼夜行」各中隊長
時同じくしてジェミニ隊より報告があった、敵前線拠点所在のオーガス騎士残党の任務出動は
書面では任務に関する情報不明と記されていたが、今となってはその目的も明らかだ。
本部決定を待たずの出動だが、ジェミニ・スパイの定時報告は騎士たちの足取りを捉えていた。
「……本隊は現時点で予測し得る敵進路に遡行。敵部隊と基地防御力との衝突を確認次第、追撃を開始する。
後の手筈は訓練通りだ、前衛重騎隊の突貫攻撃から軽騎突入を合図に円陣形、中騎は後詰。
散開した敵は軽騎で囲い、囲った敵は重騎分隊で潰す――が、深追いはさせるな。
攻撃第一波で少しでも相手が浮き足立ったら上等だ、後は各中隊長、つまり貴様等の仕事になる」
その夜兵舎前に招集された中隊長以下、特殊作戦科独立大隊「百鬼夜行」構成員560人余。
俄か軍隊にしてはまとまった集合を見せ、出立の準備は整っていた。
騎槍砲と鉄鎧の重騎兵、短槍の軽騎兵、短槍と騎兵銃の中騎兵。人妖交々、皆初陣に血気が逸り、目は凶暴な輝きを帯びる。
「『辻』、お前の得物は騎槍砲と違い再装填の必要が無い。今回は先頭切って敵を蹴散らせ、腕を見せ付けろ」
出発前の僅かな時間に中隊長を集めたエヴァンス。削り出しの紫水晶の指輪を一つずつ彼等へ手渡し、
「念話装置だ。通信距離こそ短いが、ジャミングや盗聴にはすこぶる強い。
コイツがあれば、魔力暴走の爆心地からだって殆どノイズ無しに会話出来る。指に嵌めるか、とりあえず手元に置いておけ。
それとラック、例のヤツを用意したぞ。ちょっと来い」

鎧を着込み、頭巾で顔を隠したジェミニ隊隊員が、一頭の馬を牽いて現れた。
馬は小振りの体格で、漆黒の肌は鈍い金属光沢を放つ。手綱の代わりに細い鎖を食み、足取りはぎこちない。
金メッキのたてがみは彫り飾り、瞼も彫り飾り。瞳に入ったちゃちな塗りは剥げかかり、首や間接部に接ぎ当てられた蛇腹は隙間だらけ。
馬具こそ本物だが、使い古された子供の玩具のような容姿の専用騎馬は、尻尾代わりの束ねた革紐を振ってラックの前まで歩み寄る。
「元はガストラ皇室貴族の玩具だ。急造仕様で外見までは手が回らなかったが、動力系は総取替えで全くの別物だから安心しろ。
ネジ駆動で、手綱に電気を流せばしっかり走る。走り方のクセはひどいが脚は速い……恐ろしく」
エヴァンスは注意深くも左手で、ラックの肩を叩く。
「まあ、その、何だ……頑張れ」

時間が来た。エヴァンスの騎馬を先頭に各隊兵舎から基地を出る。片手にサーベルを掲げたエヴァンスの掛け声。
「出立!」
基地の灯を背に「百鬼夜行」が練り歩く。一日掛けての行軍でオーガス騎士の次なる目標、魔方陣基地を目指す。
発足から二週間ばかりの新造部隊、初陣ながら隊列に一糸の乱れも無い……訳も無く。

>同盟軍
――三番基地は山岳地帯の谷底、とある寒村を一つ丸々潰して建設された。
細く延びた渓谷の奥深く、切り立つ崖は馬では下れず
更には無数のトラップとトーチカが設置されており、自ずと侵入経路は谷の川沿いに決まってしまう。
谷底とて完全な無防備ではないが、崖に隠れたトラップをやり過ごして山脈部を下るよりは遥かに困難が少ない。
破壊された二基目からは谷底へのルートがより近く、例え騎士たちが谷を下ったとしても、最終的な逃げ場は一本のみ。
敢えて崖を駆け登る愚を犯せば、捕捉は殊更容易くなる。

三番基地の防備は他二箇所と何ら変わりなく、ちゃちな砲台と雑兵揃いに過ぎない。
七体の巨大な石造りのゴーレムが、魔方陣を守る最後の盾となる。

91 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/01/24(火) 23:46:10
>85
蚩尤旗の披露が終わった後、サエナミさんとちょいと言葉を交わしたが・・・酔ってんのかね?それともからかわれてる?
ダイエット法についてよく判らない事を並べ立てられたよ。
「体型維持の為に0.02%の生存率に賭けるのはできないねえ。」
まあ、異世界での話しなんだろうけど返答に困っちまうじゃないかえ。

>「シズネ・・・、同じ部隊になるからそう呼ばせてもらうが。貴女にとっての『ヒトの生きる意味』とは何だと思う?
そうすると何を思ったのかまた深刻そうに聞かれちまったよ。
「・・・・何を深刻そうな顔で考え込んでいるのかと思ったら、そんなこと考えてたのかえ?ふふふ・・おっとごめんよ、大真面目
みたいだから応えようか。」
いや、笑っちゃ悪いんだけどさぁ・・・随分と自信のない事だもんでねえ。

ゆっくりと煙管を取り出してフーーっと一息して続けるよ。
「『人の生きる意味』とか『人の生きる理由』?ま、人じゃなくても生きているやつら全部に言えることだけどね・・・おっと、辻斬り
みたいなアンデットにも言える事だから意思あるもの全部か。
生き物作ったのが何であっても、そんなモノは埒外の話さね。
神にだろうが他のどなた様にだろうが、自分の生きる意味や理由を恵んでもらう程落ちぶれちゃいけないのよん?
そんなもんは自分で勝手に決めれば良いのさぁ。
いつ決めても、いくつ並べても、コロコロ変えちまっても、矛盾しててもかまわない。自分が決めたものならそれが答えなのさ。
矛盾を孕んでも生きていけるのが生き物の強さなんだからねえ。
だからあたしにとって、今あたしが生きる意味はこの酒を飲む為であり、あんたとこうやって話していることであり、明日からの
仕事に勤しむ事でありってわけさね。
ふふふ、酔いに任せて小難しい事言っちまって、意味がわかんないかもしれないけど気にしないどくれよ。」
思いつくまま口走っちまったけど頭使って考えてもそう違う事もでてこないだろうしね。
サエナミが納得しようがしまいが問題なし。私だけの答えだからねえ。

「さて、宴も酣。酔いも回ってきたので今宵はここらで失礼しますえ。」
一言挨拶して自室に戻ったよ。このまま気分よく寝床で横になりたいところだが・・・少しくらいは指南符書いておかなきゃねえ・・・

>90
ようやく腱鞘炎が治ってきた時に出撃命令が出たよ。
まあ何とか一回分の戦闘はできるように指南符560枚かきあげて配ってあるからねえ。間に合ってよかったよ。
さて、今回のお仕事の現場は・・・山岳地帯、渓谷、か・・・蚩尤旗の霧が充満しやすそうで何よりだ。
高レベルでの戦いにおいて、感覚の鈍りは致命的な隙になってくれるからねえ。
「さて、お馬さんや。よろしく頼むえ?」
着物に三枚歯下駄、片手に番傘とくれば馬に跨ってって訳にも行かないからねえ。横座りで楽させてもらうよ。
馬の額に貼った符で手綱捌きは不要だしね。

92 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/01/24(火) 23:58:26
>80
やっぱり食事というものは大事である。特にラックにとっては、その大事さは顕著に表れる。
あるかどうかもわからない将来よりも、とりあえずはまず間違いなく来たるべき目先の幸福。食事という、至極お手軽な。
だから、粗方食べ終わっていたとは言えど、それを邪魔されたのには怒りを覚えること多々あり。
>「試験の方、見とッたでェ。オマエ特攻隊長のワシを差置いテ最前線に立つたァエエ根性しトるやないカ。
>ンなモン普通の輩ニャぁ中々出来へンモンや。イヤァ特攻隊向きノエエ度胸しとルわ〜。
>それニなァ…そないナ小ッこい体のドコに、あなイな馬鹿デカイエモノを扱える力があルのか不思議ヤで。
「別に…大したことじゃないさ。死なないだろう、ってぐらいの軽いノリで突撃してっただけだし。
 あんなとこで死ぬようじゃほっといても将来死んじゃうだろうな、ってさ」
やや不機嫌な声。しかし聞かれたことにはしっかり応えようと。
「このハンマーだって…体質の問題ってやつ。人間の筋肉ってのは電気信号で動いているからね。
 それが関係あるのかないのかはともかく、この体を巡る電気が…普通の人間よりは強い力を齎してる。
 ま、いいことばかりじゃないし、このハンマーみたいに200kgぐらい、魔族なら軽々と操れる奴はいくらでもいるだろうね」
副作用、力の代償については、触れずに。不幸自慢は嫌いで。誰にも、教えるつもりはない。

>そンでもって、あの雷術…『レシフ』やったっケ?あれモ大しタ雷術ヤないかイ。
>でモなァ…最後に落ッこった、オテント様の雷の方ガ威力は上ヤなァ。
>受け切る分にャア問題無いンやが…ほれ見てみィ。」
>「ナ?…ここまデ、焦付いてしもウたワ。いヤァオテント様は怖いでェ…。」
「あ、それ俺」
あの落雷がラックの仕業であることを知りつつ皮肉を込めていったのか、本当に知らなかったのかどちらともとれたが、
ラックは前者ではないと受け取り、自分の仕業であることを表す。軽く、何でもないことのように、即答。
「あれだけでも、かなり威力強かったでしょ?フルスロットルでいけばホント『雷の柱』ってぐらいのも落とせるけど」
けど。逆接で止めたのは、そんなのを落としたらラックだって無事では済まないから。『チャンゴー』も同じだ。
「だけどあの落雷、『イリャパ』ってんだけどさ、使いづらいんだよ…洞窟とか屋内じゃ無理だし、
 都合よく空に雲が無くちゃなんない。さすがに雲を呼び出したりとかはできやしないしね」
しかし、それを補って余りあるほどの破壊力がある。技が気付かれにくいということとともに、ラックの技の主力だ。

>「オヤおヤ…まア、そんな怒らンといテや。
> そなイに怒っとッたラ、ワシみたいに【長生き】できへンデェ?
> 人生気ままニ…ガキは笑っテいりャぁエエんじャ。」
「別にいいさ。もう怒っちゃいないしね」
ラックは精神的に図に乗るタイプなので、褒められて機嫌がかなり治っている。何に怒っていたのか忘れるかのように。
「長生きも、別にね」
含みのある言葉。だが前述した通りラックは自分の運命を他者に語るつもりはないし、ここで止める。
この言葉に違和感を感じて問うたとしてもだ、きっとラックははぐらかすだけとなるだろう。

>81
「うわー!すげぇー!」
目の前に霧が出てきて何とも感覚が鈍った…だけでも驚きなのに、この符を手に取っただけで…視界がクリアー。
(確かに戦いには有利になるだろうし…ま、いっか)
自分の寿命を知った時に捨て去った、全力で戦いたい、という気持ちが胸から顔を出して。抑えて。胸にしこりが残る。
(敵を倒して俺が偉くなれりゃ御の字だなぁ)
そう、自分を納得させて。

「さて、腹一杯食ったし、寝よっと。
 お疲れさまでーす、おやすみでーす」
立ち上がり、一礼しつつ、ドアノブに手をかける。ただマイペースに。食い終わったら寝るつもりだったから。
だから、本能に応じて。部屋に戻り。鼾をかく。
蟹に襲われる夢を見た。

93 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/01/25(水) 00:05:01
「ラック隊長ー、今日こそは負け分取り返しますよ!」
「まだやんの?いくら負けりゃ気が済むわけ?」
「うっ…」
ラックは、訓練の後は毎夜、部下の宿舎に訪れ…麻雀をしていた。
『部下とある程度の仲が欲しかった』というのが理由らしいが、単にラックがしたかっただけなのかもしれない。
部下に『かなり変わった男』と思われてはいるが、当初予想していた反発や見下しは取り越し苦労に終わり、安心する。
そして、出立の朝を迎える。

>89-90
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
腹立たしい。何が?こんなものがこの世に存在しているということ。こんなものは、馬とは呼べない。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
しがみついているだけで精一杯。目まぐるしく変わる景色、を見る暇すらない。何なんだこれは。
「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
エヴァンスが『頑張れ』と言った意味。ちゃんと考えておけば良かった。もうラックの頭には後悔しかない。
「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ものの数分。ラックが試しにと乗ってみてから暴走する機械馬を無理矢理止めるまで。しかしラックには数時間にも感じた。
しかし、ラックは学んだ。手綱に電気が流れなければ、とりあえずゆっくり歩くぐらいならしてくれるようだ、これは。
もう一度乗って、進んでみる。よし、乗れる。ゴム手袋をしていれば。

>「出立!」
「応!」
呼び声に呼応するように大きく声を上げる。先を行くエヴァンスの姿を見失わないように…進む。
心は確かに…躍っていた。

94 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/01/25(水) 10:08:05
>>89-91
「あぁ・・・そうだな。そういう物なんだろうな。」

宴も終わりといった所で同様に立ち去る。
「例えば・・・『この世の全ての存在を破壊』する為に生まれたモノは、どうなるんだろうな。」
呟きは誰にも聞こえない程小さく、救いを求めていた。



訓練が始まってから間もない時に、出陣の運びとなった。
『百鬼夜行』という名のつけられた部隊は、『オーガス騎士残党』と思われる一派を駆逐するために動き出す。

冴波の部隊は後詰となっているが、当然その戦闘力は他に劣る事を許さない。
部下からの反発も受けた事があるが、それもやがて収まり僅かな『信頼』も見えていた。

「(ただ、女性魔族からの視線が熱い気がするのは気のせいか・・・・・・?)」
恋心に疎い冴波は女魔族(部隊でもごく少数だが)にすれば、ウブな生娘に映るのだろうか。

>「出立!」
部隊長であるエヴァンスの号令に従って、歩を進めていく。
装いは試験の時のままに、左腕には黒い宝玉のようなものがいくつも嵌った腕輪、さらに先ほどもらった紫水晶の指輪もつけている。

「僅かな期間ではあったが・・・いくつか力も思い出した。部隊には精密射撃も教えてある。後は・・・・・・相手の力次第だな。」
呟きつつも馬の歩を進めていく。巻いた布からかすかに見える大剣が鈍く輝いていた。

>93
ラック・・・が、暴れ馬と必死に戦っている。少し喜劇じみた面白さがあるが、実戦でこれでは困りそうだ。
「ラック・・・大丈夫か?」
一応話しかけてみることにした。

95 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/01/25(水) 10:44:57
>93の修正
出立の朝→出立の日

96 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/01/25(水) 22:34:14
>92
ラックの話は理解できない部分が多々あるが、同意できる部分がある。
【あんなとこで死ぬようじゃほっといても将来死んじゃうだろうな】
表情には変化はない、しかし声だけは上機嫌にラックの一言一言に相槌を打つ。
「そヤ、そうなンや。ワシもオマエと同じ考えジャ。確かニ脆い奴ァあの程度デ終イやナ。
 なぁに所詮は強いモンしカ生き残れン時代…そう言ウ考え方が出来る奴の方が利口ちゅー事ヤなァ。」
すると懐からサイコロを2つ出して手の中で転がし始めた。
一つは黒塗りのサイコロ、もう一つは白塗りのサイコロ、どちらも淡い感じがするシロモノである。
「所詮、世の中ァ運と実力や。勝負の世界、勉学の世界…なんだっテそうヤ。
 『先に手ェ出したモンの負け』たァ、よく言うが『最初の一撃で仕留めりャァ』それデ勝ち。
 なら運ガ良けりゃ『一撃デ仕留めれる』、ならァその運に掛ける奴の方が利巧やからノォ。」

いつもと違い低い声で告げるとサイコロをギュッと手の中で握り締めた。
しかし一瞬だけだったようだ、すぐに元の愉快そうなしゃがれた声に戻る。

「そんナ謙遜する事ァ無いデ。雷ぁワシの手ェ焦がしたンや、もっト誇るとエエ!
 たとえワシら魔族にしちャ軽いモンかも知れン…せやガオマエは人間の中ジャ『特別』なんヤ。
 体質やテ一つの才能、使ワなモッタナイわ…いやァオマエ恵まれトるナァ。」
だが…何故であろう、明るいガキなのにどこか暗い感じがするのは気のせいなのか…
それはあえて言葉には出さず飲み込むと、元の調子で一笑。
なぁに相手の運命なんてテンで興味がない、例え奴が明日死のうが、別にどうでも良いコトなのだ。
(それに…明日も『仲間』とはぁ限らんしのぉ…)

>81
「ほォ…これまたケッタイな、能力やのォ…。」
赤い霧に包まれつつも呟く…どこか不機嫌そうに。
ジッと手を見つめる、時経たずして視界がほんの少しだけ、ぶれ始めた。
そしてそのまま手を握り締め…
「フンっ!!」
自らの顔を殴りつける、ゴツと言う鈍い音がしたが回りに聞えたかどうかはどうでもいい。
「あァ……こらァケッタイや…ホンマにケッタイや…。」
視界のブレは一瞬で矯正されたが、すぐに元に戻る。
やがて諦めたのか符を手に取ると一瞬で、それらが吹き飛んでしまった。
「ツマランのォ…こんなンでメクラにしたモン斬ってモ、いつもの『狩り』と変わらンなァ。」
シズネに聞えるように不機嫌そうな声で呟きながら睨み付けるが…。
「まア、エエわ。」
すぐに視線を外し席を立つ。どうやら何人かも既に席を立っているらしい
「ほナ、ワシも部屋に戻るさかイ。後はよろしゅうニ。」

97 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sageなんとなく練兵風景いれてみました] 投稿日:2006/01/25(水) 23:01:40
会食の翌日、早速中隊員との顔合わせをしたんだけどねえ。どうにも空気が重いよ。
歴戦の魔族やはみ出し者どもが、自分達を差し置いて人間の女の下につかなきゃならない。とくれば剣呑な雰囲気のもなる
わいねえ。
エヴァンスさんに睨みを効かせてもらうってのも情けない話しだし、ちょいと親睦を深めておく事にしたよ。
って訳でちょいとエヴァンスさんには席を外してもらって・・・

「さて、今日からあたしはあんたらの上に立つ事になった。その上でお互いの理解の為にも話をさせてもらうよ?
まず最初に、戦場に死に場所求めている奴、前に出な。今すぐに辻斬りの部隊に転属させてやる。辻斬りの下につけば否が応
でも引導は渡してもらえるだろうからねえ。」
死にたがりがいても迷惑なだけだからさぁ。と言っても流石にここで前に出る奴はいないか。
辻斬りの悪名は流石だねい。
「次ぎ、正々堂々と力の限りを尽くして闘いたい奴、前に出な。そんな奴はとっとと除隊届けだして町道場にでもいきな。」
前に出る奴はいないがどいつもこいつも面を曇らせて。
さて、いよいよ本題だ。
「最後、あたしの下につくことに納得ができない奴、表に出な。遠慮するこたない。エヴァンスさんは一時間は戻ってこない。
エヴァンスさんのイロ(情婦)だからこの地位にいると思われちゃこっちもたまんないからねえ。
口で説得できるほど時間も根気もないから、身体で判らせてやるよ。安心しなよ、符も旗も使わないからさぁ。
表面上取り繕って腹に溜め込んでられるのもお互い気持ち悪いだろう?それとも影でうじうじ言ってるほど腐ってんのかい?」
流石にここまで言われると立ち上がる奴もいるね。十人程か。
きっちりあたしを身体に染みこませるとするかいねえ。
なんて思いながら帯を解いて着物を脱ぐと、慌てて立ち上がるやつが五人ほど。
まったく男ってやつあ仕方がないね。

三十分後・・・揃って打ち身と切り傷を全身につけてあたしの目の前に正座している。
ま、こんなところかいね。
「さて、お互い親睦が取れたところで、あんたらはあたしの部下だ。あたしの部下になったからには蛮勇や無駄死には許さない。
あたしの命令もなく勝手に死ぬんじゃないよ。
いいかい、単に最強の兵士が集まれば最強の部隊になるわけじゃない。一つの統率された意思の元それに対応できる判断力の
ある奴が集まって最強の部隊になるんだ。きっちりあたしの旗についてくるんだよ。」
襦袢についた埃を払って乱れた髪を整えて・・・帯を締めながら教え込む。やっぱり最初に締めておかないとやりにくいからね。
地の利を生かし効率よく人の和で相手を潰す。ま、辻斬りには通じない理屈だろうけどさ。

********************************************************************************************

馬に揺られてどれだけ経っただろうね。ちょいと打ち合わせをしておくかね。
「エヴァンスさんや。資料をざっと見たが相手は随分と少人数のようじゃないかえ。
最初は相手を視認できたら蚩尤旗を発動させて相手を見ながら臨機応変にやろうと思っていたが、余りに少人数だと視認して
いたら遅いかもしれない。
幸い地形は渓谷だって言うし、魔法陣まで1キロくらいのところで発動させようか?
蚩尤旗の効果範囲はざっと4キロだ。動けないから戦闘には一切関われないが、確実に効果範囲に敵をおさめるることだけは
できるけどどうするかえ?
護衛に五人も付けておいて貰えればあたしゃ置いていってもらってもかまわないよ?」
少人数でちょろちょろしているのを確認するより渓谷ごと霧で覆ってしまった方が確実だが臨機応変には動けない・・・
さて、どうしたものかねえ。

98 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/01/25(水) 23:24:14
>84>90
歩き出したセシリアの横にカイザーが並ぶ。
>「オーガス城はあの先にある。きっと…俺達、元オーガス軍の騎士の手で取り戻そう。」
その言葉に、セシリアは前を見据える。地平の向こう、今は魔都と化したオーガスが見える気がした。
>「…そういえば、自己紹介をしてなかったな。
> 知ってるかもしれないが、俺の名はカイザー、職業は天聖騎士だ。よろしくな」
「存じております。私はセシリア・ミディアリオ。……それと、『きっと』ではなく『必ず』です」
差し出された手を握りながら答える。敬語は使わなくて良いと言われたし年もセシリアの方が上なのだが、
どうも習慣というものは抜けないようだ。握っていた手を離し、改めて歩を進めた。

数日後。
セシリアは崖の上から谷底を見下ろしていた。
「さすがに前二つほど簡単じゃないかな……」
既に破壊した二箇所は魔力的、物理的に巧妙な偽装が施してあり、それに頼りきっていたせいか
戦力と呼べるほどの人員は配置されておらず容易に破壊出来たが、さすがにそろそろ対策をされてきたようだ。
眼下には亜人が数人、建物の中にはもっといるだろう。今立っているここに至るまでの経路は草木よりも罠の方が多い有様。
来るときは探り探り来られたが、こちらからの撤退はほぼ不可能だろう。
万一援軍を呼ばれた場合、逃げ場は空くらいなものだが、飛べない仲間を抱えてふらふら昇っていったところで
撃ち落されるのが関の山だ。電撃戦で片をつける必要がある。
セシリアは懐から銀盤を取り出した。障害が全く無ければ1km程度まで離れて会話が出来るアイテムで、
全員が同じものを持っているはずだ。
「では、手筈通りに」
それだけ言うと銀盤を仕舞い込み、崖からひょいと飛び降りた。

手筈といっても何のことは無い、前二箇所と同じで単独で空を飛べるものが先陣切って突っ込むだけだ。
亜人の一体を槍で地面に縫いとめながらふわりと地に降り立ち、抜きざまにもう一体を斬り捨てる。
槍はそのままで建物の中へ走りこんだ。呼べば飛んでくる。後から来た仲間が残りの亜人を背後から急襲する形になるが、
そこまでしなくても簡単にあしらえる相手だろう。建物内にいた亜人をさらに数体斬り倒しながら奥へと進む。
魔法陣の描かれた広間には七体のゴーレムが佇んでいた。
セシリアは端の一体へ向けて左拳を突きつける。右手を添えて衝撃に備え、腕輪に意識を集中する。
はめ込まれた石が小さく光り、大砲のような音があたりに響いた。
ほぼ同時にゴーレムの上半身が砕け飛ぶ。精霊の力で生み出された空気の塊が撃ち抜いた跡だ。
ゴーレムはそのまま崩れ落ちてただの石の山になった。
「……お人形遊びに使うには可愛げがなさすぎるよ」

99 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage 説明文スマソ] 投稿日:2006/01/25(水) 23:27:03
>90
さてさて日は進み。
エヴァンスの大将から一つの連絡が入った。
話の筋はエヴァンスの佐官を通して飲み込めたが、どうやら初陣らしい。

「ほォ…随分と早いモンやのォ。マだマだ『子』ォ、シゴき足りンでェ。」
「いや、十分だと思いますが…。既に訓練初日で重傷者が10人越えてますからね。」
この中隊長のせいで。

訳を話すと訓練一日目はとても酷かった、何せ悪名高き特攻隊の長である。
勿論恨みを持ち反発する者も数十人はいる訳である、特に上級魔族と人間の輩に。
長は、それらを一日目で全て『静粛』させたのだ。まあ医療技術で怪我人は事なきを得たが本当に殺しかねない状況であった。
その成果かかは解らぬが、三日目には反発は無くなり、呼称も『隊長』『兄貴』もしくは『親父』になっていた。
これも元特攻隊に所属していた者達の陰の努力があった様だが、あえて省略。

「まア、よう分かったワ!下がってエエで。」
嬉そうな声を上げ、部屋で装備を整えながら出撃云々の話を聞きいる。
目の前には並べられたのは装備品の数々、
火筒の玉、『炸裂球』と『毒球』と『煙球、閃光球』これだけあれば玉切れは無いだろう。
続いて鍛冶屋に赴き自らが手がけた鉤爪。どれも小太刀程度の長さである。
そしてシズネに貰った符と愛刀『陣刃交』と何故か白塗りの短刀、それらを全て左手、鎧にしまい部屋を出た。

> 今回は先頭切って敵を蹴散らせ、腕を見せ付けろ
「合点承知!!その為だケの特攻隊、華ァ持たせて貰います!」
前に出てぎこちなくスウッと頭を垂れた。
何、前に出れりゃ誰にも邪魔はされん、それだけで満足。いよいよオーガスの騎士と『殺し合い』が出来るのだ。
顔を抑え笑いを堪えながら馬に乗り出陣。

さてその前に…移動中身を翻すと部下、重騎隊100人に向き直り大声で叫んだ。
「オメェら!!エエかぁ、先にヤりゃァヤられねェ!!
 ワシやらぁ鉄砲の弾ジャ!!相手に向かって飛び込むだケ、後は野となれ華が咲くゥ!
 死にテェ奴ァ死ね、勝てる奴ァ勝つンや、行くデェワシらの戦場にィ!」

何て他の隊には迷惑にも聞えるほど馬鹿でかい声で叫び終わると、
部下からは津波のような怒声が返ってきた。ふん所詮、志は一緒『人が切りたい』だけか。

「それニしても『百鬼夜行』…エエ名やノォ。シズネはん…」
ポツリと漏らす小さな言葉、シズネは前のエヴァンスと作戦会議中…後ろからは冴波の声が聞える。

「さテ、ワシャ一人のんびりと行こウやないノ。」
その腰には先程の白塗りの綺麗な短刀とボロボロの愛刀。はっきり言って不釣合いこの上ない。

100 名前:スレ汚し[sage] 投稿日:2006/01/26(木) 00:22:22
デン!
   オリエンタルラジオデス!
オネガイシマス!
  _    _| ̄|
 (゚∀゚)   (ロ∀ロ)
  (∞)    ( >)
 < >    ||

  アッチャンイツモノヤッタゲテ!
  _    _| ̄|
 (゚∀゚)   (ロ∀ロ)
  (∞)   Σm9 )>
  < \   <<

ohキキタイカオレノブユウデン!!
 _    _| ̄|
(゚∀゚)   (ロ∀ロ)
(∞)    <( )>
/ >    < \

ソノスゴイブユウデンユッタゲテ!
  _    _| ̄|
 (゚∀゚)   (ロ∀ロ)
  (∞)   Σm9 )>
  < \   <<

オレノデンセツベストテン!!!
  _    _| ̄|
\(゚∀゚)   (ロ∀ロ)
  ( V)   <( )>
  < \   < \

101 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/01/26(木) 00:32:38
>86>88
>「また謎が一つ無くなりましたわ」
(謎ってなんなんだ…俺は謎めいているのか?
魔族なのに同盟軍側にいることか?
いや、それとも急に髪の毛を黒から銀にしたのが謎なのか?)
深く考えすぎているFALCON。とにかく現在の個人的事情を話そうとすると、少年がマリスの方に顎をしゃくり、一番前の方に出る。
「(とりあえず事情を話すか…)えっと…マリスちゃん。俺の髪の毛は人間から魔族になった時、色が黒から銀に変わったんだ。
後、さっきの少年は何者?
失敬なことに名前を聞きそびれてね。勿論、後で謝っておかないとな」
少年が名を名乗っていないのを、深く考えていたせいで知らないFALCONであった。


>90>98
時は流れて数日。
魔法陣を二ヶ所破壊した一行。
「今度はここか…」
三つ目の魔法陣基地は谷底に配置されている。
>「では、手筈通りに」
懐に入れている銀盤から伝わる念話。
この銀盤はセシリアから渡され、全員が保持している。
懐から取り出した銀盤を左手に、同じく取り出した黒爪を右手に持つ。
「了解!!!鶴仙流武術継承者FALCON!!景気よくぶっ殺しに突っ込んで行きます!!!」
大声で喋った後、銀盤を懐にしまう。
「行くぜ!!!」
仙人から習った宙を自在に駆け巡る技、舞空術。
この秘技により空を飛び、基地のある谷底に突っ込んで行く。
途中、FALCONの存在に気付いた亜人達が矢を射って来るが、矢を黒爪で弾き返す。
目指すは基地の真上。
基地の真上でストップすると、左手に溜めた緑色のエネルギーが凝縮された気弾を作る。
「喰らえっ!!!」
声と共に放った気弾で天井に穴を空けて侵入に成功。
侵入した際に亜人達に鉢合わせてしまう。
亜人は三名、三人とも槍を持っている。
「邪魔だ!!!」
相手の槍による突きを両手で掴み、右足で踏み潰し、余った口で強烈な気功波を放つ。
亜人を気功波で吹き飛ばし、気功波は壁を貫通する。
貫通した壁の先には当たりの部屋。魔法陣とそれを守護する七体のゴーレム…いや、六体と一つの残骸があった。
「すまない!!遅くなった!!」
先に突っ込んで行ったFALCONよりも早く、セシリアがゴーレムを一体倒している。
「では俺も…」
両手を歪な四角の形を作り、黒い気を集めて濃縮させる。
「気功砲!!!はっ!!!」
放たれた黒い気功砲は右端のゴーレム一体を完全に消滅させた。

102 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/01/26(木) 01:01:19
 そんな一行をレナスは偶然見つけた。
 日課の朝の散歩をしていると、鎧を着込んだ騎士風の風体の男・・・いや、男女がなにやら集まっている。
 馬にまたがり、どうやらどこかへ出陣するように見える。よく見ると法衣を着た高僧の姿もあった。
 その中に懐かしい顔を見つけた。
 ――カイザーとFALCONである。
 ふと、ここで前の町での商人の会話を思い出してみる。

 『――討伐部隊を結成するらしいぞ。』
 『その部隊にはカイザーやFALCONも参加するらしいぞ』

 もしその噂が正しいのであれば、あの一行はサタン討伐部隊ご一行様ということになる。
 (うわ、これはもしやすごいラッキー?)
 これは後をつけない訳にはいかないだろう。幸い散歩と同時に出かける予定だったので、身支度はできている。
 仮にも戦いのプロの集団をつけるなど、無謀な事この上ない気がするのだが・・・

 そんな事はさておき、レナスは影から一行の様子を伺っていた。
 確かにFALも居る、カイザーも居る。
 (なつかしいな・・・・)
 主に一人で行動したために彼らの印象には残っていないかも知れないが、実力ならある程度は把握できる。
 (他のメンバーは・・・と。)

 まずは齢20前後の男、身長は他のメンバーより大きい。
 決して見るからに逞しいというわけではないが、その顔つきや、かもしだす雰囲気が、決して彼が弱輩ではないことを物語っていた。
 彼の武器は・・・やはり剣であろうか。
 角度が悪くて獲物までは確認できない。
 (さすがに強そうだなー。魔法とか使えるのかな・・・)

 次に、黒髪の女騎士に目がいった。
 すぐにフードを被られてしまったため、細かいことまではわからない。
 ショートソード、マントの形がややいびつなのは鎧を着込んでいるからであろう。
 特筆すべき点があるとすれば、その兜に翼がついていることくらいであろうか。
 しかし彼女、いい家の出なのか、鼻筋が通ったえらい美人だ。とても最前線に出て戦うような騎士には見えない。
 その風貌も影響してか、やや冷たい印象を受けた。そして、常に回りの気配に気を配っている。
 もし私が見つかるとしたら、彼女の手によって発見されるかもしれない。
 (こっちの腕もよさそう。見つかったら問答無用で切られたりしないよね・・・・?)

 お次にやや小柄な騎士。顔つきがやや子供っぽい・・・ような気がする。身長が小さいのでそう見えただけかもしれない。
 武器は剣。しかし、その華奢な体からはとても魔王軍と対等に渡り合えるほどの力が秘められているようには見えない。
 まぁ、この場にいる以上、他のメンバーに負けないほどの”何か”を持っているのだろうが・・・
 このメンバーの中では一番正体が分かりにくく、恐ろしく感じた。
 (何か怖い感じがする。・・・まさか悪魔だったりして。いやいやそんなバカな。)

 最後に先ほどの騎士よりも更に小柄な女騎士(?)。
 マント、鎧、兜、全てが白一色に統一されていて、かの英雄、ジャンヌ・ダルクをも彷彿とする。(書物で読んだだけだけど)
 武器もレイピア一本と、やや決定力不足なのが否めない。
 このような取り合わせとなるのであれば、何らかの聖魔法、あるいは癒しの術を使うのかもしれない。
 (この中では一番話しやすそうかもしれないな。)

103 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/01/26(木) 04:01:56
「たいちょー」
「ん?」
「御飯食べてこなかったからおなか空いた」
「我慢しろよ」
「えー」
進軍中、部下の女との、非常に何でもない会話。この少女以外とも、大抵の部下とは軽い感じで喋りあうことができる。
少し、中隊長としての威厳は損なわれているのかもしれないが、決して悪いことではない、とラックは思っている。
「隊長」
「何?」
「勝てますかね?」
「勝てるかどうかじゃない、勝たなきゃならないんだよ」
「かっこいいこと言っといてそれ答えになってないスよね?」
「バレた?」
到底、中隊長と部下の会話とは思えない。たった二週間でここまで打ち解けるのは大したものと言えるのだろうか。
(思ったよりいい奴多いし)
魔族や亜人にだって、性格は千差万別。各々にいろいろな考えがあるし、それは人間と全く変わりはしない。
少しそういうのに偏見を持っていたラックだが、心境の変化が。

ふと馬上で振り向く。軽騎隊は妙に他と比べて和気藹々としているような気がするが…緊迫感が、どうも。
(そういや、中隊長としては一度もみんなに話したことなかったな)
何かを言って少しは緊迫感でも、と思ったが、言葉が見つからない。
「あーっと、みんな」
声をかける。響く声で。軽騎隊全員に注視される。ラックは脇に逸れ、馬のスピードを落とし、少しずつ後ろに。
「確か全員が麻雀で俺に負けてたよね?多い奴は三万ぐらい。取り返したいでしょ?」
下がりながらも言葉は続ける。馬に慣れていないラックはバランスを崩しがちだが。
「だから…死なないでくれよ。みんなで生きて帰ってこよう」
静かになる。きっと軽騎隊全員が、言ったラックでさえも、それが無理なことは既に理解しているが。それでも。
(仲間だもんなぁ)
少ししんみりした気持ちになりながら、軽騎隊の最後尾まで下がっていた。

>94
>「ラック・・・大丈夫か?」
突然話しかけられびっくりして危うく落馬しそうになる。振り向くとそこには冴波の姿が。
軽騎隊の最後尾ということは即ち中騎隊の最前列ということになるので、話しかけられるのも、至極自然な流れだろう。
「大丈夫って…これのこと?」
これ、と言いながら乗っている馬を指さす。
「ま、とりあえずは大丈夫だよ。手綱に電気通さない限りは暴走とかしないみたいだし」
しかし考えたくないが、いざ走らせるときには当然暴走させなくてはいけないわけで…それを考えると気が滅入る。
「訓練通りうまく進んでくれれば走らせる必要もないかもしれないしね」
そんなことはないことはまず間違いないと言っていいかもしれないが…、それを信じたいとは思う。

「あ、そうだ、指輪指輪」
エヴァンスから受け取った指輪を冴波が付けているのを見て、ラックは指に填めていなかったのを思い出す。
「これって電気で誤作動起こしたりするんかな…とりあえず手袋の上から付けよっと」
ぶつぶつとつぶやきながら、右手の人差し指に填める。ギラリと光る紫水晶。

104 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/01/26(木) 04:44:04
>90>98>101>102
>そんな一行をレナスは偶然見つけた
ふと誰かの視線を感じた。敵意などは感じないが、
確実に誰かに見られている。アステラは一応自覚している。
どのような理由があれ、注目を集めやすい事を。そのせいで視線には敏感だ。
目で左右を確認し、視線の気配を探る。それとおぼしき方向へと牽制の
魔力剣を放って、相手の出方を確認する事にした。


>――三番基地は〜〜最後の盾となる
>数日後〜〜なさすぎるよ
>時は流れて〜〜消滅させた
三つ目の魔法陣に向かって谷底を進み、所定の位置へついた。
指図を受けるのは癪だが、そんな事をいちいち言ってたら
連中を相手にするハメになりかねん。そんな面倒はご免とばかりに
作戦中に限らず平時もだんまりを通してきた。とにかく、
この数日で二つの魔法陣を破壊し、今また魔法陣破壊の為の戦いが始まろうとしているわけだ。

準備が整い、セシリアとFALCONが先陣をきって火蓋は落ちた。
瞬間的移動速度だけならトップクラスを自負する俺は、突然の空からの
敵襲に慌てふためく亜人共をすれ違い様に斬り捨て、そのまま建物へと突入する。


・・・ここは、俺の『故郷』だった場所。小さく貧しいながらも優秀な騎士を何人も輩出し、
『騎士の里』とまで言わしめた・・・俺の両親祖父母を始めとした先祖達、兄姉達も騎士だった。
下の弟妹達も俺と一緒に修行し、先祖に誇れるような騎士になろう・・・そう、話していた場所。
今のここに、その時の面影はない。5年前、俺が全て滅ぼしてしまったから・・・。
今あるのは、魔法陣から感じる魔界の魔気だけ。それを受けて『悪魔』が今まで以上に活性化する。
二つの魔法陣の時もそうだったが、ここは俺の感情を刺激しすぎる。それが余計に力を与えているようだ・・・!


一瞬の邂逅を終えて魔法陣のある部屋へと飛び込む。セシリアとFALCONが既に入り込んでいる上に
『悪魔』が魔素を取り込もうと感覚の食指を伸ばしているせいですぐに分かった。
ちょうどFALCONが二体目を消したところのようだ。残りは・・・5体。一人で斬れる数だが、
こちらが二体目に取り掛かる時間的余裕はないだろう。それだけ今のこちら側の戦力は飛び抜けている。
下手したら、一国を滅ぼせるほどに。ゴーレムの前に立つ。腕を振り上げて、叩き潰そうとしてきた。
ノロマだな・・・ゴーレムの一撃を飛んでその交わし様に二撃入れる。巨大なゴーレムの腕が
ばらばらになった。そのまま腕を足場に更に跳躍してゴーレムの顔の部分から落ち様に連撃を叩き込み
輪切りにしてやった。じきに他の連中も来るだろう。


105 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/01/26(木) 22:41:45
>90>98>101>104
旅立ちから数日が経過し、既に一向は2つの魔方陣を破壊していた。
現在は崖の上に立ち、3つ目の魔方陣の破壊に取り掛かるのである。
移動の早い仲間は、既に崖を飛び降り、かなり先の方へ進んでいる。
(…そろそろ敵も俺達の存在に気付いてもおかしく無い頃だ、少し急ぐか)
崖上から飛び降りる。
敵である亜人は突然の急襲に驚き、冷静な判断が出来なくなっている様であった。
カイザーはその隙を突き、亜人の首筋に手刀を打ち込む。
亜人は言葉を発することも無く地面に倒れた。
「悪いな、少しの間眠っててくれ。」
マントを翻し、仲間の後を追った。

(この邪気…こっちの方角だな)
自分の中に眠る聖なる力に導かれるままに進む、そして魔方陣の部屋へと辿り着く。
そこには4体のゴーレムが存在していた。
床にはゴーレムだった物と見れる破片が散っている為、正確には現在よりは多く存在していたのだろう。
ゴーレムの腕の太さは一般人の胴体程もあり、見るからに頑強だ。

カイザーは中央に位置するゴーレムに狙いを付け、ゆっくりと歩み寄る。
その様子を見たゴーレムは、右腕を最大限に後ろに引き、狙いを定める。
そして、自分の射程内に入った瞬間、勢いのままに豪腕が唸り、カイザーに向けて全体重が乗ったを拳を叩き付ける。
…が、カイザーはそれを左腕一本で受け止めていた。
「我、天聖騎士カイザーが命ずる…大地から生まれ出でし傀儡よ、母なる大地へと帰れ!」
右掌を開き、ゴーレムに向けて掌底を叩き付ける。
その直後、カイザーは後ろへ振り返り、歩き出した。

突如、部屋一帯に満ちた邪気を洗うかの様に光が溢れ出す。
その光の中心部に存在するのは、先程カイザーと戦っていたゴーレムだ。
掌底を受けた部分の内部を光が満ち溢れ、その身は光に裂かれ粉に成り、粉は軟らかな光を纏い消滅する。
数秒後―――そのゴーレムは破片すら残さず完全に地へと帰したのである。

106 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/01/27(金) 01:06:55
>目で左右を確認し、視線の気配を探る。それとおぼしき方向へと牽制の
魔力剣を放って、相手の出方を確認する事にした。
 様子をうかがっていたレナスに向かって、突然、あの小柄な騎士が剣を振るった。
 すると、彼の剣から生まれた一つの光弾が、レナスにまっすぐ向かってくる!
 (避けられないっ!)
 とっさにそう判断したレナスは、反射的に光弾に向かって手持ちの剣を振るう。
 しかし、剣をそのまま持ち歩くのに抵抗があったレナスは、剣を布に包んだままにしていた。

 ――それが災いした。
 剣は左の脇にかかえるようにして持っていたが、右手で剣を抜こうとした瞬間・・・包みごと抜けた。
 もちろん、そのままではものなど斬れるわけがない。
 レナスが被弾を覚悟し、目をかたくつむり衝撃を待った・・・が、
 『パァン!』
 あたかも風船が割れるような音がし、待てども待てども来るはずの衝撃が来ない。
 恐る恐る目を開けてみると、先ほどまで目の前にあったはずの、あの光弾が無かった。
 (・・・?)
 状況が分からず、一瞬思考が空白になるが、すぐに次を考え始める。
 
 あの小柄な騎士は、確かにこちら側のカイザーやFALCONと一緒にいたはずである。
 そして、私への中途半端な攻撃。どう見ても牽制。その割にはかなり正確な攻撃だった。
 つまり彼は、「味方なら出てこい、隠れているつもりなら殺す。」と言っているのだ。(おおげさ)
 そういえば、はるか東方の国のトクガワとかいう将軍が、あえて味方に攻撃を仕掛けて大勝利を挙げたという話を聞いたことがあった。
 (まぁ、顔見知りもいるし、いざとなったら説明してもらおう。)
 覚悟を決め、6人の前に歩み出る。

 しかし・・・>98>101>104>105
 そこには人の姿はもうない。
 「・・・もう居ないし。」と、不機嫌そうに呟いたレナスの前には、ただ大きな建物。
 そして、黒いオーラが漂っているだけであった。
 (ここに何かあるのかな・・・)
 少し怖いような気もするが、先ほどいきなり攻撃してきたアホウの正体も知りたい。

 ――そんなわけで、レナスはこの建物の中に入ってみることにした。 

107 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/01/27(金) 21:08:44
>101何やら深く考えているようなFALCONと言う男
「えっと…マリスちゃん。俺の髪の毛は〜
失敬なことに名前を聞きそびれてね。勿論、後で謝っておかないとな」
次に口を開いた時、髪の毛が人間から魔族になった時に色が変わった事。そしてアステラの名前を教えてほしいと語った…少女は興味深そうにFALCONの頭を見た後
「銀色の髪、綺麗ですわね……え〜と、あの御方の御名前ですか?…確か…アステラ・リオーヌ…と言う御名前でしたと思いますわ」
少女は微笑みながらアステラの名前を紹介する。…先日聞いた名前がうろ覚えなのは彼女が忘れやすいからだろうか…?何にせよ、間違えずに言えた事は奇跡だったのかもしれない

>102勘が鋭い人間なら気付くような視線が皆を捉えていた時、少女は警戒もせずに背伸びをしていた。…分かる事は、不意打ちされたら危ない事だ

>90〜魔法陣を破壊せよとの命を受けて幾日か過ぎ、今は3つめの魔法陣を壊しに向かっている
その間にセシリアとカイザーの名前を聞く事が出来たので、少女の謎は無くなっていた
…話に戻るが他の騎士達は鬼神の如き強さだった
マリスは隊の一番後ろ辺りからついていってはいるが、魔法陣に到達する頃には粗方終わっていたのだ…少女が出る幕など、殆ど無かった
なので、今回こそは皆様のお役に立ってみせますわ!…そう少女は誓っている
しかし、今回は魔法陣が谷底にあるらしい…お世辞にも運動が得意と言えない少女に、無事谷底へと行けるのかが最大の論点になる
「では、手筈通りに」
そんな事はお構いなしに持っていた銀盤から声がする…作戦開始の合図だ。セシリアとFALCONが特攻をかけに空を飛んで進んでいく
…他の皆に続き、マリスも続いて進む…何故か今回はすんなり降りる事が出来たが、降りた早々亜人に囲まれてしまった
「…」
亜人達はどう見ても弱そうなマリスを見つけ喜んでいるようで、一斉に持っている武器を振り上げ突進してくる…が、少女は武器も抜かずに亜人達に微笑みかけた
刹那、亜人達の動きが止まる。マリスの魅力なのか、魔力によって成しえたのかは不明だが…少女は一礼してからまるで像のように固まった亜人の間を擦り抜ける様にして通り過ぎ、建物の中へと入っていく
…建物の中では戦闘が始まっているようだった
どうやら今回は間に合ったらしいが、巨大なゴーレムが3体と土がいっぱいあった…マリスは不思議そうにゴーレムを見上げる
どうやって動いてるのかな?そう思った矢先、一体のゴーレムがマリス目がけて巨大な拳を振り下ろしてきた。少女はその拳におどろき、急いで後ろにさがる
いくら鈍感なマリスでも当たったら痛い事くらいは分かる…少女がどいた後、その場所がゴーレムの打撃により陥没する…
「…まあ…すごいですわ…」
感心してる場合でもないのに感心する少女。つづいてゴーレムの二撃目が遅いくる…
「…ライトウォール…ですわ」
無詠唱で魔法の名前を唱える少女…一瞬遅れて少女の周囲に文字通り光の壁が出現する
ゴーレムは構わず、そのままマリスを砕こうと拳を振り下ろす…しかし、砕かれたのはゴーレムの拳の方だった
「え…!?」
魔法を唱えた少女も驚きを隠せない。それもそのはず…光の壁は攻撃を防ぐ魔法。なのに、攻撃してきたゴーレムの方を砕いてしまったのだから
…その理由は簡単。法王からもらった聖印の効果で、マリスの魔力が桁違いに強化されているために威力も格段にアップしているのだ。先のストップ・ザ・亜人も少なからず影響しているのだろう

…光の壁により拳を砕かれたゴーレムは元の土くれに還っていく…後には目を丸くして座り込む少女が残されていた


108 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/01/28(土) 00:47:18
 もう町の中ではないので、剣を抜き身にしたまま注意深く建物の中に入るレナス。
 必要ない、かつ、足を引っ張る結果となってしまった剣を包んでいた布は外に置いてきた。
 建物の中に入り、すぐの所に扉がある。
 そこからこっそり中をのぞくと、今となっては分からないが、そこは小広いホールのような場所。
 そして、無残に輪切りにされてしまったゴーレムや、亜人達の残骸・・・。外にも相当の死体があったのを見かけた。
 これら全てを彼らがやったのだとすると、驚きを通り越して、恐怖さえ感じる。
 ごくりと唾を飲み込んだ瞬間・・・後ろから殺気を感じた。

 反射的に前に跳び、後ろを振り返る。
 そこには、2〜3体の亜人達の姿。狼や犬系のものや、鳥、果ては半漁人のようなものもいた。
 先ほど攻撃してきたのは狼の亜人。こちらを見ながら自分の爪をじゅるりとなめる。
 まるで「うまそう、引き裂いて喰ってやる」とでも言っているようだ。
 (残党・・・か。)
 しかし、これは少し困ったことになった。一体や二体であれば、片方をけん制しながら戦うこともできるだろうが、このくらいとなると、
 一人で相手をするのはいささか辛い。これは少し頭を使う必要があるようだ。
 まずは魔法の詠唱、これは簡単な衝撃を防ぐためのものである。
 そして、足元にあったゴーレムか何かの残骸を狼の顔面に向かって蹴りつける。反射的に狼はつぶてを手で叩き落す・・・が、一瞬視界が遮られたせいで、
そこに隙が生まれた。
 そこに抜け目なく狼を真っ二つにする。さすが神剣、切れ味は一級品である。
 そこへ、鳥の亜人が翼を打ちつけてくる。どうやら翼に刃物が仕込んであるようだ。
 そのタイミングに合わせて、唱えておいた障壁を展開する。目論み通りに鳥の攻撃は遮られた。魚も攻撃してくるかと思ったが、なぜか魂が抜けたように
動かない。
 なんにせよ、ラッキーというものである。鳥が障壁にひるんだのを見計らい、左右に真っ二つ。
 これであと一体。内心、「いける!」と考えた瞬間、魚の口からこちらに向かってくる・・・線?
 その線は、まっすぐレナスの方に向かい・・・頬をかすめた。
 (水鉄砲!?)
 一番ニブそうな奴だったから油断していたが、こんな技をもっていたとは・・・
 第二撃に備えてレナスが身構えていると・・・(ぱたり)魚が倒れた。
 事情が分からず、ゆっくりと近づいていくと・・・エラがぱくぱくしている。
 (エラ呼吸だったのね・・・)
 そう、魚はエラ呼吸のまま戦っていたのだ。そして力尽きた。
 (そういえば少し日差しが強くなってきたかな?)
 止めを刺すのもかわいそうな気がするので、そのまま放置していくことにする。

109 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/01/28(土) 01:13:26
 ――とにかく一刻も早く彼らに合流しなくては・・・
 レナスは内心焦っていた。
 マックスたちを見つけてほいほいついてきてしまったが、落ち着いて考えてみると、ここは敵の拠点の真っただ中。
 つまり敵がうじゃうじゃ。敵襲がさっきのだけであったのが不思議なくらいである。
 そしてもう一つ。
 装備が貧弱であるということ。
 これまたマックス一行に出会えるとは思ってもみなかったため、着ているのはただの服。
 防具とはお世辞にも言えない代物であった。

 (まずは装備を探そう。)
 レナスはそう思った。もし鎧が見つかれば掘り出し物だし、マックス達の捜索も平行できて、一石二鳥だ。
 そう思い、亜人の死骸に内心念仏を唱えつつ跨ぎ、廊下を過ぎ、やがて一つの部屋にたどりついた。
 ドアは少しさび付いているが、開けられないこともない。
 ギギギィィ〜と重い音を立てて開いた扉の奥に見えたのは・・・蒼い鎧。
 どこかで見覚えがあった。
 他でもない、レナスがガストラ戦の時に身に着けていた鎧、ロングスカート、そしてあの羽のついた髪飾り、その他一式。
 なぜここにあるのかはさておき、これは想像以上の掘り出し物である。
 さっそく身に着けてみる。
 さきほどの亜人との戦いで穴が開いてしまった外套を脱ぎ、鎧を着込む。
 本来なら鎧の重量で動きは鈍くなりそうなものだが、なんとなく体が軽くなった気がする。
 鎧といい、髪飾りといい、何もかもがなつかしい。
 しかし、あの戦いからかなりの年数がたっているのにも関わらず、これらが埃ひとつかぶっていなかったのはどういう事だろうか。
 レプリカの可能性もあったが、ここは敢えて気にしない。

 さて、装備も整ったことだし、捜索再開といってみようかな。

110 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/01/28(土) 01:16:41
デンデンデンデンデンデンデンデレッデレ♪
鎧は呪われている!

111 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/01/28(土) 01:21:59
ブュウデンブユウデン
初めての敵地で自分専用鎧発見!
スゴイ!願望幻術、裸デ戦闘開始
ブユウデンブユウデン

112 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/01/28(土) 18:08:51
>103
「そうか・・・ならばいいが。」
多分、彼は本番に強いタイプなんだろう。
あの電気で動く馬・・・意外と面白いかもしれない。

と、唐突に後ろから手が首元に伸びてきた。
「冴波隊長ーーーーーー?何やってるのかなぁーーーー?」

「うるさい、猫。」

「あたしが【ネコ】なら、隊長が【タチ】?なんてーー。」
気づけば馬を隣に寄せて、半猫の獣人がこちらに飛び乗り擦り寄ってきていた。
彼女もまた『困り者』の一人だ・・・。
「少しは緊張しろ、敵が近いというのに。」

「はーーーーい。」
ようやく離れていったのだが・・・・・・。同姓に抱きついて何が面白いのやら。

「さて、そろそろ【下準備】をしておくか。」
懐から深い青色の珠を4つ取り出し、一つを天へ、三つを地面に放る。
埋めた珠は馬の足で踏んでさらに地下へ。

一つ部隊にも呼びかけておくべきか。ラックを見習うとしよう。
「みんな・・・そろそろ目標にたどり着く頃だろう。後詰とは言っても一つの部隊も一つの兵も調和を乱してはならない。
 ・・・・・・気を引き締めろ!」

――――――――――
解説:冴波が放った4つの珠。
これは簡単に言えば【水が詰まっている】。本来、冴波が一定以上の技を繰り出すには手順を踏む必要がある。
が、この珠を使う事で動作を一段階省略することができる。その水の量はかなりのものであり、10km以内であれば冴波は干渉可能。
他の色の珠にも異なった力があるとかないとか。

ちなみに、天へ放った珠は上空で雨雲となり、地へ落とした珠は地面に影響を与えない程奥へ潜らせ冴波を追尾させている。

113 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/01/28(土) 22:22:06
>97
行軍の最中、シズネに声を掛けられる。彼女の旗について使い所を考えているらしい。
「例の赤い霧か? そうだな、早い方が良い。
最低限、砦を囲ってしまえるくらいの距離が稼げればそこで使ってしまおうか。
但し、旗の威力が如何程のものであろうといずれは攻略されてしまうだろうよ。戦線が延び切らないよう上手くやってくれ」
エヴァンスが二言三言答えて、再び元のだんまりに戻った。
他の隊はそれぞれに賑やかだが、本部中隊は中々どうして静かなもので
時折、思い出したように他愛の無い世間話が隊列の内側から聞こえてくるくらい。
先頭近く、エヴァンスの騎の周辺は特に皆通夜じみた静けさを保ちつつ馬を駆っていく。

>同盟軍・魔王軍「百鬼夜行」
隊はやがて、谷間に通じる秘密輸送路に馬を乗せる。
山の端を掘り進めた騎馬輸送用トンネルから谷底の通路へ抜け、舗装路は砂利で馬の足を取られる事も無い。
対航空偵察カモフラージュのため草木で覆われた通路は砦に直接通じている。
オーガス騎士たちも又、侵入の一部行程に秘密通路を利用したかも分からない。
「シズネ、通路の出口付近からなら旗の射程には充分だろう。例のヤツを頼む」
暖かな木漏れ日と緑の天井が途切れ、白光が開けた視界に眩しい。
出口は砦の背後、約一km。谷底へ飛び出す前に、広い通路の中でエヴァンスは隊を動かした。

「本部中隊は隊列末尾に移る。先頭から重騎中隊、軽騎中隊、中騎中隊。
『辻』! シズネの旗が効き始めたら、真っ直ぐ砦へ突っ込め。但し屋内へは立ち入るな、外を囲え。
軽騎は上に同じ。続いて重騎と連携し、建物の中からの攻撃や、脱出した敵にのみ応対しろ。
中騎隊は重・軽の後方に騎馬を固め、正面出口を押さえる。カービン銃を上手く利用する事だ。

敵はいずれ屋外への脱出を試みるだろう、そこをすかさず叩き落すんだ。
不用意に仕掛けるな、先手を取ったからと言って逸れば必要外の損失を出し兼ねん。
又、各隊は分隊区分で散開、最低限の人数だけ集中させ、なるべく固まらない事。
『壁』が薄いように思えても、無闇に兵を一箇所へ集めるのは自殺行為と思え。敵の飛び道具は強力だ。

無論、敵が屋内からの射撃に徹すればいずれ泥沼だ。屋内へも同時に仕掛ける――サエナミ、ラック!
シズネの作るチャンスを生かして、屋内の敵の混乱に相乗し上手く引き摺り出せ。やり方は……分かるな?
慌てて飛び出した敵は騎槍砲とライフルで撃ち落し、『辻』が仕留める。

歩・砲兵、本部中隊は貴様等の埒外を引き受ける。私も指示するから、昨晩渡した念話装置を忘れるな。
短い訓練期間ではあったが、実戦に勝る経験は無い。よし……出せ!」
自らも武器を構え、「辻斬り」以下重騎兵を先頭に出撃を促す。

114 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/01/28(土) 23:17:36
>113
砦まで約一キロというところでエヴァンスさんから指示が出たよ。
「了解です。術が破られるような事態になれば宿地符を使ってすぐに合流しますよ。」
あたしの術の粋を集めた旗の符術が破られる・・・想定するのも癪だけれどそれだけの相手って事だわいねえ。

隊列から離れて馬を下り、蚩尤旗を取り出す。
それと護衛に選んだ屈強な中級魔族五人に命令だ。
「さて、本隊から離れて不満だろうがこれも仕事だ。まずは三人。あたしを中心に三角形に位置を取って。
あんたらは防御に徹すれば良い。
残り二人、あたしの脇へ。前衛が止めたら確実に相手を倒しな。必要なら味方ごと切って捨てて良い。
ま、蚩尤旗の力で策敵感覚も乱反射するからまず見つかるこたないが、偶発的遭遇もありうるからね。
きっちりたのむよ!」
悲しいけどこれ戦いなのよね。きつい命令でも聞いてもらわなきゃならないよ。
移動できないってだけで行動不能なわけじゃないからそこまでする必要もないが、用心に越した事はないからね。

隊列の後姿を見送りながらこちらの準備も整った。
「シズネより各中隊長へ。これより蚩尤旗を発動させるよ。効果範囲は四キロ、すぐに渓谷を赤い霧が覆う。
各中隊、指南符を使用の事忘れるんじゃないえ。」
念話装置を介して連絡がすんだところで早速術を発動だ。
蚩尤旗から赤い霧があふれ出し、気付けば渓谷を覆いつくすだろうよ。

115 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage 文章に不備が有りません様に……。] 投稿日:2006/01/29(日) 02:13:05
>90
一行は既に二つの魔法陣を破壊し終え、三つ目の魔法陣の基地へと辿り着いた。


>98>101>104-107
「おうっ!」
銀盤を通して聞こえてきた、セシリアの合図に短く返事をすると、ケレンファを構えて気合いを入れる。
「おおりゃあっ!」
セシリアとFALCONが先陣を切り、カイザーとアステラが続き、更にマリスが続く。
マックスは気合いを入れている間に、皆に置いて行かれてしまったのだった。無様である。
ブスッとした顔で崖を飛び降り、下に居たホンワカとした雰囲気の亜人に強烈な蹴りを叩き込む。
顔面に直撃した亜人は、そのまま首の骨が折れ、地面に叩きつけられた。
「……何でこいつ笑ってんだろ」
そう、叩きつけられた亜人の顔は幸せそうであった。周りの亜人も幸せそうな表情で固まっている。
「? 何だか知らねえけど、運良いぜ」
全員に一撃ずつ叩き込んで倒すと、何かを感じて崖の上を見上げた。
「(さっきの奴、崖に近付いて来てるな……あっ、やべっ!)急がなきゃ!」
マックスは建物の方に向き直し、そのまま中に突入した。

入って早々、マックスの前に二体のゴーレムが現れた。彼の長身も、眼前の二体の前には低く見える。
「俺遅れてるんだから……放転掌!」
右側のゴーレムの顎に掌底を叩き込むと、ゴーレムは顔を砕かれ、放物線を描いて飛んでいく。
「続いてぇっ! 破砕撃!」
言葉通り、続けて左側のゴーレムを、ケレンファで豪快に凪ぎ払い、壁に叩きつける。
無論、二体とも後方(&後方の壁)に飛ばしたので、味方への被害は皆無である。
「手ぇ焼かせるんじゃねぇの。おっし、後は魔法陣か? それとも……」
溜め息を一つ付いて、ケレンファを左手に、ヒチシを右肩に担ぐ様に持ち、そのまま歩き始めた。
「おーい! 遅れてすまねぇーっ! もう魔法陣見つけたかー!?」
マックスは遠くから、先に着いていた五人に向かって大声で叫んだ。

近くに敵の気配は感じない。

116 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/01/29(日) 03:33:06
―――――――舐めトンのカ?
先程はめた指輪からエヴァンスの指令が、鎧武者に伝わってきた。
自分の仕事を内容を要約すると『無闇に突っ込むな外を囲え』、『出て来た奴を仕留めろ』
聞いて思わず苦笑が零れた。そして漏らす言葉。
「やれヤれ…エヴァンスの大将、アンタぁ何も分かっておらへンなァ。」

「辻の親父、どういう事ッスか?」
と話しかけてきたのは、特攻隊の元補佐官兼、舎弟でもある存在。
事実こちらの部隊に移ってきたときも、何度か世話になった。
「ワシの『本質』を完全に理解しとらんっちューことジャ。」
吐き捨てるように言ってやった、もちろん機嫌は最悪である。
部下は深くは聞かなかった………下手に喋ると殺されるからだ。

「あーあー…え〜『辻斬り』ヨり各中隊長殿へ、今かラ軍を進めさせてテ貰いますワ。
 風穴ブチ開けるさかイ、しっかり付いて来たっテェな。」
念話装置を介して連絡を入れておく、これで奴等も気付いてくれるだろう。

>114
じっくりと赤い霧が立ち込めてくる………まったく本当に余計なことしか出来ないオンナだ。
人の趣味ばかり奪う、いけすかねえ…しかし『まだ』斬らない。
それを我慢しての『楽しみ』だ、それを逃すほど愚かではないのだ。

先頭に立つと、馬を後ろに向け部下達にしゃがれた大声で叫んだ。
「オイ!野朗共ォ、『仕事』やデ!!
シズネはんの妙な霧を防ぐ符は忘れンな?
そんデ言わなキャならンのが、突っ込んだ後ヤ。
各自敵を方位。ンでもっテ、敵さんヲ『フクロ』にしたレ。

あとナァ、ワシの前だけにハ立つなヨ…
今日は蟲の居所が悪いさかい。相手と一緒に斬られとウなけりゃァ、すっこンでオれ。」
説明と警告。そして…

「キヒヒヒ…なァに、ワシらァ所詮は『鉄砲の玉』、敵さんの胸に穴あけりャ用済みジャ
だガ、戦デ死ぬんなラ相手ェに『風穴開けて』死ねヤ!!タマの意地ィ見せたレ!エエなァ?」
『うおおおおおお!!!』
特攻隊指揮の激励である、部下達の怒声が返ってくる。死ぬ気は十分、それでこそ我が部下だ。
ニヤリと笑うと馬を走らせた、各々が散り散りになり、砦へ向かう

辻斬りの後ろには黒塗りの軽装に身を包んだオークが10人
勿論、元々特攻隊に所属していた連中であった。
エヴァンスの粋な計らいか、特攻隊は連中は皆、辻斬りの元に集結させられたのだ。

武者の一団は砦正面に展開。そして、後の軍団は半円を描くように砦を包囲し始め、
赤い霧が漂う中、騎兵達の足音がノイズのように辺りに響いた。
「さア……ココからガ、正念場ヤのぉ……焦らさんトイてハヨ出て来イ
 生憎、長くハ、我慢が出来そうニないワ。…」
不安そうに笑いながら愛刀を引き抜く、紫色のオーラが漂う長刀。
【こいつもたまには『本気』出さなきゃ錆びてまうなぁ…】

しかし今は味方の進軍を待つのだ、『理性が残っているうちは』

117 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/01/29(日) 04:00:30
>112>113
(うわー)
よく分からないが、中騎隊も中騎隊でどうやら人間という負い目もなく仲睦まじくやっているようだ。
冴波に抱きついている獣人にドン引きしつつその場から離れ、再び軽騎隊の最前列に戻り、世間話でもしながら行軍。
とはいえ夜を徹した行軍な訳で、話も尽きて、口数は少なくなるのだが。

「たいちょー」
「どうした?」
「眠い」
「知るかよ」
そんな本気でどうでもいいような会話も、話が尽きた今なら仕方ないかもしれない。
とはいえそこまで緊張感がないのはラックを含めたほんの一握りであって、他の兵は皆、来るべき戦いに口は開かず。
もう少しで戦いが始まりうることを、全員が感づいているのだろうか。
そして、エヴァンスの声が聞こえる。

深呼吸。そして大きく息を吸い込み。
「じき戦いが始まる!それに伴いまずABCDEの五班に分かれる!行動は班ごとにまとまってろ!指示は出すから!
 とりあえず最初は重騎隊の後ろについて砦まで突っ込め!んでA班B班は右!D班E班は左に広がってけ!
 とはいえ俺たちは武器の関係上、重騎隊のサポートとして騎槍砲での打ち漏らしを叩くのが主だ!
 だけど!己が力を過信するな!一対一で勝てると思うな!必ず班20人一塊での全員突撃で潰せ!
 全ての敵を相手しようと思うな!後ろには中騎隊も本隊もいる!とりあえず数を減らすことに全精力を注げ!」
全員揃った「おう!」との声を耳に入れつつ、もう一つ考えること。効率よく砦から引きずり出すには。
いくらシズネのあの霧があるとはいえ、わざわざ中まで入っていっては本末転倒だ。遠距離攻撃で…揺さぶりをかける。
「雷、落としちゃうか」
あまり強くなくてもいい。とかく砦の真上で落雷があれば、出て来ざるを得ないだろう。あとは手筈通りだ。
「ヒワタリさんも、何かするだろうし」
二種類の攻撃をされ、そのまま屋内に留まっていようなどとはなかなか思えないのではないだろうか。
「じゃあ下準備だな」
雷の球を作り出し、空にある雲の中に…収納する。雲中の静電気に電圧は増幅され、突撃する頃には落とせるだろう。
「ふぅー」
あとは、シズネの赤い霧、ひいては辻斬りの出撃を待つだけだ。

>114
ラックが右手人差し指。そこから通信が入る。
>「シズネより各中隊長へ。これより蚩尤旗を発動させるよ。効果範囲は四キロ、すぐに渓谷を赤い霧が覆う。
>各中隊、指南符を使用の事忘れるんじゃないえ。」
「みんな、事前配布された指南符は持ってるだろうな?とりあえず手に持っとけ。
 やがて周囲に霧が立ちこめる。自分の感覚がおかしくなったな、と思ったら念じるんだ」
「たいちょー」
「何だよ?」
「何を念じればいいの?」
「…はぁ?」
あまりにも的外れな質問に、少しだけ笑いが起こる。期せずしてどうやら全員の緊張がほどよくほぐれたようだ。
「と、とりあえず適当に念じとけばいいから」
ラックも思わず苦笑。こんな女が他の軽騎兵よりも強い実力者だというのだから恐れ入る。バカなのに。
そして、突然の霧。視界が悪くなり五感が阻害されると同時に、符を持って、念じる。

「みんな、いいな?」
周りにあるのが只の薄い霧になった時に、確認をとるように皆を見つつ声をかける。
それ以降、もう、言葉はない。

118 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/01/29(日) 04:01:21
>116
「じゃあ…行くぞぉ!」
「「「「「「「おお!」」」」」」」
走り出した重騎隊を追うように、ラック先頭の軽騎隊も走り出す。班ごとに、それなりの体制を持って。

ラックの乗っている「あの」機械馬のせいで、止まれずに危うく砦に単独突入しそうになったりもしたが、
とりあえず今は軽騎隊も綺麗に散開し、重騎隊の後塵に陣取っている。
「じゃ、やっちまうか」
ラックは砦の正面に、C班と共にいる。さっきの雷はすでに、落雷へと昇華して待ちかまえている。
「ラックでーす。引きずり出すために、今から一発落としまーす」
通信装置でそう伝えた後、前を向き、人差し指を立てて右手を挙げる。
『イリャパ』
右手を降ろすと共に、雲から一筋の雷光が、直線上に、砦へと。

119 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/01/29(日) 10:55:12
>113
「了解。」

「全員!これより軽騎隊の後方に展開し、入り口を抑える。部隊は5人構成の分隊、常に別の一隊と連携を取れ。
 そのグループを構成して20人編成で独自の判断で行動しろ。相手はやがて砦から出てくるだろう!そこを叩き落すんだ!」

整然と部隊が動き出す。先ほどまでの妙な空気は微塵も無い。
冴波はそこで、また手元から青い封珠を地面へ2つ、天へ一つ放る。
「(これで水の珠は打ち止めだな・・・。)」

>114
やがて、赤い濃霧が覆ってくる。
「指南符を使え、狙いを乱すなよ!」

>116-118
「突撃するつもりか・・・。」
多分に特攻隊の血が騒ぐのだろう。それを止めるのはこちらからでは難しいか。

と、轟音と共に雷が砦に落ちるのが見えた。
「上手く雨雲を利用してくれるじゃないか・・・。」

>【百鬼夜行】へ
「各部隊長へ、これより砦を凍結させる。−30℃の環境下にして引きずり出す。」

「<戦闘モード起動。能力行使、[干渉:広域凍結]>」

砦の傍に控えさせた3つの水球を具現化させて砦を覆わせて凍結させる。勿論砦の内部のみだが。
最悪、辻斬り部隊が突撃するのを妨げないように入り口は氷で覆わないようにしておく。
雷によって生まれたエネルギーも逆方向に利用して大気の温度を低下させていく。

恐らく、砦内部の気温が氷点下30℃にまで達するのに5分は掛からないだろう。
「もしも出てこなければ・・・そのまま氷の彫像にするだけだ。」

上空では雲の中にごくごく微かな輝きがやどりつつあった。

―――――――――――――――――――
封球の水から生み出された氷は段々と凍てついていきます。
一気に全ての氷を融解させる熱量を放つか、独自に体温を保つ方法を内部の人間は取らないとまずいでしょう。
部分的に融解させても、その熱量の反作用を利用してまた凍らせるつもりです。

120 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/01/29(日) 12:41:13
>114
シズネは護衛の数騎を連れ立って隊列から離れ、魔法の旗を掲げた。
たちまち赤い霧が谷へ行き渡り、砦の方へも延びていく。
エヴァンスも渡されていた例の符を握り、動き出した隊の先鋒を見守る。

>116
「辻」の隊の、騎馬の足並みは流石に速い。
案の定、命令が不服であったらしい。後ろ姿に微かに彼の苛立ちを感じ取る。

>「あーあー…え〜『辻斬り』ヨり各中隊長殿へ、今かラ軍を進めさせてテ貰いますワ。
> 風穴ブチ開けるさかイ、しっかり付いて来たっテェな。」

「威勢は良いようだが」
重騎隊より僅かに先んじて、赤い霧が砦に到達する。指輪の念話装置を通じて「辻」を呼び出した。
「ご機嫌斜めなご様子だな。
まあ良いさ、こちらの要求する仕事さえこなしてくれれば、後は好きにやって構わんとは言ったしな。
私らみたく、なまじ肉の身体が残っていると、賢しい人間の心をどうにも忘れる事が出来ん。
その点は貴様に期待している。健闘を祈る」

>117>118
重騎に続き、軽騎隊も砦を囲うべく散開した。
ラックは上手くやっているようで、落雷は真っ直ぐに砦を捉えて、強烈な閃光と雷鳴が谷に響き渡る。
続いて冴波も、氷の魔法術式を展開する。
歩兵部隊も戦闘配備を終え、後は敵の動きを待つばかりとなる。
何匹かは「辻」が抑えるとして、飛び出して来る残り数人の顔ぶれが気懸かりだ。
念話装置を嵌めた指をゆっくりと口元にやり、

「全隊、聞こえるか?
今回の作戦行動はこの先何度あるやも分からぬ、我々日陰者が昼の世界へ飛び出すための第一頭のチャンスだ。
戦は明日にでも終わるかも知れん――同盟軍、魔王軍、或いは両者共倒れの、勝者無き戦争ってヤツかな?

俯瞰で見る戦争など単なる歴史に過ぎんよ。要は今という瞬間をどう使うか。
我々は太陽を追い落とす。天上で素知らぬ顔のクズ共を断罪するための、そいつが我々の戦争だ。
そして革命の英雄は必要最小限であるべきだ――余り者の英雄を今日、敵として殺しておこう。

これは真なる自由と名誉の問題だ。光を奪うぞ、ロックンロールだ、ブチ殺せ!」

121 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/01/29(日) 14:19:40
>105-109>115
>カイザーは〜〜帰したのである
ゴーレムを塵に変えた技を見て顔を顰める。
聖闘気と言う奴なんだろうが、どうにも慣れない。
加減の効かない所とか、聖なると言う言葉がついてるところとか。
光自体は『悪魔』が他の悪魔の力を奪って行使しえた事がある。
この手甲と具足はその時の名残だ。が、俺が未熟なのと『悪魔』が
力を取り戻していないせいでただの頑丈な防具以上の代物にはなり得ないでいる・・・。

>どうやら今回は〜〜少女が残されていた
それはそうと、こっちもこっちで光の壁を使ってゴーレムを砕いた。
予想していた以上の力だ、内心少し見直したが顔には出さない。
・・・光の壁を見た時、『悪魔』に揺らぎが見えた。かつて戦った相手、
そいつも似たような技を使ったと言うのだ。威力はともかく、範囲ははるかに狭かったが・・・。
『悪魔』自身は蹴り技を好んで用いるためか、その技は使えないらしい。どうでもいい事だ、
と言うか何故そんな事を語って聞かせるんだこいつは!一体何がしたい・・・!?

>もう町の中では〜〜いってみようかな
全員が基地内部に侵入し、魔法陣の間へ集結。
後はマックスのヒチシでまた魔法陣を破壊するだけ・・・だったが、
まだ敵とおぼしき気配をいくつか感じる。こちらに向かっている様子はないが、
何か仕掛けられている可能性は否定できない。文句を握りつぶす事を決めて、
俺は魔法陣の魔を出て内部及び外の様子を確かめる事にした。

>おーい! 遅れてすまねぇーっ! もう魔法陣見つけたかー!?
こっちが気を回しているってのに、でかい声を出しやがって。
大体揃いも揃ってなんでこいつ等はこうのん気なんだよ・・・!
少しは静かにしろ、誰とも分からない奴にわざわざ位置を知らせてやるな。
口に出かけた言葉を飲み込んで、出際にマックスに向かって岩を蹴り飛ばしてやった。


122 名前:アステラ(悪魔化) ◆r7kOcOEpyM [sage 残りは5分] 投稿日:2006/01/29(日) 14:21:26
>112-114>116-120
>隊はやがて〜〜隊を動かした
>隊列から離れて〜〜覆いつくすだろうよ
>じっくりと赤い霧が〜〜辺りに響いた
>深呼吸〜〜出撃を待つだけだ
>これより砦を凍結させる〜〜やどりつつあった
嫌な予感がする、それは時間と共にじわりと、ねっとりと自分の肉体、精神、魂までをも
絡め取るように広がっていく。こういう感覚が走る時、それはつまり自分にとって
物凄く悪い事が起こる前触れなのだ・・・始まりは『悪魔』の憑依、そこから自分の人生と言うやつは
音も無く崩れていって気付けば『故郷』を血生臭い戦場へと変えてしまったのだ。皮肉にも、
始まりの地で同じ感覚に襲われるとは・・・運命と言うやつにはつくづく反吐が出る!
不意に視界が赤い霧に遮られた。感覚に狂いが出始め、息が少し苦しくなる。おかしい、
赤い霧など自然的なものじゃ・・・!苦々しく呟いた。

『・・・敵か!』
急いで出口に向かって外の様子を窺う。視界が果てしなく悪く、また霧のせいなのだろう
知覚も抑え込まれてはっきりとは分からないが、かなりの数の存在がいる事だけは何とか―――
こんな所に同盟軍が来るわけがない、来たところで自分達がいる事は分かる筈・・・こんな事を
する理由は一切ない。ガーオスが裏切ったならまた話は別だが、それを放っておくほどジジイの傍にいた
騎士は抜けちゃいないだろう・・・導き出された答えは一つ、ガーオスの言っていた魔王軍の精鋭部隊に違いない。

『・・・くそっ・・・!』
来た道を引き返そうと思った矢先、基地に落雷が落ちる。これも敵の攻撃だろう。
雪こそ珍しくないとは言え、それ以外は天候は安定している地域なのだ。さっきまで
晴れていたってのにいきなり落雷などありえない。その上、体感温度が一気に低下していく。
思った以上に敵の能力は広範囲に亘る強力なものだった・・・こちらにこれほどの事が出来る奴などいない。
正直勝てる気がしなかったが、不思議と魔王軍に降る気持ちもなかった。ただ、何故だろうか・・・、
苦しいほどに高揚している自分がいる。今までのヌルイ戦いでは得られなかった物がここにある。
それが原因なのか、『悪魔』がひときわ大きく蠢く・・・。

『・・・5分、それだけあれば十分だな・・・いいだろう、暴れろ・・・!』
『悪魔』が蓄えた魔力を解放する。俺の体を包み込んで、着ている物や武具を取り込んで
鱗状に硬質化させ、人ならざる者へと変えていく。全身を狂おしいほどの力が満たし、
心もまた魔気に取り込まれて・・・その残忍にして冷徹な本性、真の『悪魔』を再びこの世に顕現させた。
超高濃度の魔気が冷気を防ぐ。霧の力も弾き、『悪魔』の強大な身体能力が知覚を今まで以上に
研ぎ澄まさせる。基地を囲む敵の数、その殺気をほぼ正確に感じ取れるまでに。
正面から表に出て、悠然と基地を囲む敵の方へ歩いていく。そしてコートの部分を払いながら挑発。
『貴様等では力不足だがな・・・遊んでやろう。』


123 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/01/29(日) 22:34:10
>116>118>119>120
念話装置と旗を通して大体の動きは把握していたけど・・・
辻斬りはあたしの理解を超えるよ。
戦いなんて理でつめて如何に効率よく相手を倒すかって言う力学なのに、それが不満らしいよ。
どんな手段使っても勝てば良いといってみたり、相手に全力を出させないのに不満を感じたりと。
まあ、あたしに言わせりゃ単なる苦労好きってだけさね。
ラックもサエナミさんもイキナリかましたようだし・・・
ここからでも雷が落ちたのが見えたよ。
エヴァンスさんなんていつも仏頂面してるけど、のっているじゃないかえ。
男の子達は楽しそうで良いねぇ。

「さて、向こうは始まったようだね。こちらは静かなもんだが気を抜けないでおくれよぅ?
あ、ちょいと火をおくれよ。あんたら信用してっからあたしはちょいと気を抜くからさ。」
術を使って周辺警戒までしてたら持たないからね。
任せるところは任せてあたしは煙管で一服だ。

「・・・!?おやま・・・煙草呑んでる場合じゃなかった、かねえ?」
一服した時点で旗を通して、嫌なものを感じ取っちまったよ。
なにやら正体はわからないが霧を弾くモノがいる・・・何かの装置じゃない・・・一『人』、カナ?
ホントに宿地符を使う羽目になるかもしれないとは・・・初仕事でイキナリ骨の折れる事だわいな。
煙管を吹かしながら旗から一キロ先の砦の状況を感じ取ろうと神経を集中させるよ。

124 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/01/29(日) 22:39:47
>107
>ゴーレムは構わず、そのままマリスを砕こうと拳を振り下ろす…しかし、砕かれたのはゴーレムの拳の方だった
(確か、マリスとか言っていたな……なるほど、思っていたよりやるな。)
過去の2つの魔方陣を破壊した時には、単なる聖騎士の見習いという半人前としてしか見ていなかったが、
あのゴーレムの攻撃を防ぐどころか、腕を破壊する程の光防御壁となると、一般の聖騎士でも難しいだろう。

>115>112>118
>「おーい! 遅れてすまねぇーっ! もう魔法陣見つけたかー!?」
マックスの声が聞こえ、カイザーはその方向へ顔を向けた。
(これで、あとはマックスの刀でここも終わりだな。)
「早く来………っ!?」
>右手を降ろすと共に、雲から一筋の雷光が、直線上に、砦へと。
突如、砦の天井に激しい衝撃音が鳴り響く。音から察するに落雷である。

>114
(おかしいな、雷が落ちるような天候じゃ無かった筈だが……という事は、敵の新手か。)
カイザーは、辺りを見回す。
「………これは一体…?」
赤い霧が辺りを覆っていた。今の所はまだ辺りは見通せるが、入口の方向からは次々に濃い赤い霧が入り込んできている。
このままでは視界状況は最悪になってしまうだろう。


カイザーは鎧の内側から銀盤を取り出し、それに声を掛ける
「聞こえるかマックス?どうやら新手が来たようだ、早い所ヒチシとやらで魔方陣を解除してくれ。」
マックスの返事を待たず銀盤を鎧の内側に入れ、今度は近くに居る他の仲間達に話し掛ける
「俺達は敵の迎撃に出るぞ。…だが忘れるな、俺達の目的はサタンの兵隊を倒すことじゃない。
 魔方陣を破壊してサタンを倒す事が俺達の勝利なんだ、だからこんな所で無茶な戦いはするな。
 兵隊など、幾ら倒してもキリが無い。無駄な消耗は出来る限り押さえたい。
 もしも不利な状況になったら迷わず撤退するぞ。
 逃げるが勝ちという訳ではないが、最終的に勝つ事こそが俺達の使命なんだからな。…それじゃ、行くぜ」
そう言って、カイザーは走り出した。


>122
砦から出た瞬間、カイザーの背筋に嫌な感覚が流れた。
>『貴様等では力不足だがな・・・遊んでやろう。』
嫌な感覚を流した主であろうその人物は、周りを見て挑発の格好をしていた。
(あの感覚…以前、アイツを初めて見た時に微かに感じた力だったな…
 それに…なるほどな、視界が悪くて分かりにくいが、かなりの敵がいるようだな。)
「…ハアアアアアッ!!」
叫び声と共に、地震が起きたかの様に辺りが揺れ、岩が崖上から転げ落ちた。
そして、揺れが収まった時にはカイザーの体を纏う様に光が放たれていた。
「何処に誰が居るか分からないしな。…少し威嚇でもさせてもらうか。」
足元の籠球程の大きさの岩を片手で掴む。
「…正面に向けてな!!」
カイザーの手から投げ飛ばされた岩は、光に包まれて放物線を描きながら正面の方向に飛んでゆく。
光に包まれた岩の威力は、重量に換算するならば300kgは軽く越えるであろうものだ。

125 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/01/29(日) 23:17:39
セシリアが砦に突入してほんの数分で広間にいた敵戦力は壊滅した。
全員が一撃で以ってゴーレムを破壊している。
(マリスですら、というのも失礼だがそれがセシリアにとって驚きだったのも事実だ)
あとは魔法陣を無効化して、できる限り早くここを立ち去るだけだ。
「魔法陣なら恐らくあの壇上に」
最後に広間に入ってきたマックスに奥を指し示し、入れ違いに広間を出ようとする。

>114>116-119>122
その時、視界が急に薄赤く霞み、それが急速に色を濃くしてゆく。
セシリアは耳に手をやり、ピアスを撫でた。『鬨鈴(ときすず)』という名の音の精霊が宿っており、
遠くの音を拾い、逆にこちらの声を遠くへ運ぶことも出来る。セシリアの耳に届いたのは幾重にも重なった足音だった。
「最低でも四百はいるな……ほとんどは騎馬か」
聞こえた音で相手の規模にあたりをつける。この砦があるのは狭い渓谷の奥だが、
狭いといっても騎馬の百や二百は自由に動き回ることが出来る。
おまけにこの霧だ。どうも呪的効果があるらしい。払っても動かず、視界を塞ぎ、感覚を鈍らせる。
どうも完全に動きを読まれていたらしい。最も国境から近い順に襲撃していたのだから当然といえば当然か。
(もう一つくらいいけると思ったんだけどな……まあ、馬鹿正直にここでやりあう必要はないけど)
まず魔法陣を破壊することが先決、局地的な勝利にはそれほど意味が無い。
ここが終われば次へ向かうだけだ。

『岩食み』を開放して地面を掘ろうとした矢先、アステラが飛び出してゆく。それを追ってカイザーも広間を出た。
セシリアはその場にとどまり、改めて指輪を床に向けた。その時、砦に雷が落ちる。
屋根の一部が吹き飛び、そこからまた赤い霧が入り込んできた。さらに吐く息がどんどん白くなっていく。
床の血溜まりの端が凍り始めている。招雷、気温の操作、霧の発生、まさか一人で全てやっているわけではないだろうが、
それぞれ別の術者がやっているにしてもかなりのレベルだ。
「やれ」
改めて指輪を床に向け、床に穴を穿つ。まず垂直に掘った穴に飛び降り、
そこから横に向けてさらに掘り進んだ。なんだか酷く情けないことをしているような気がしたが、
最終的に勝てば問題ないはずだ。きっと。

126 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/01/30(月) 00:18:10
 それにしてもこの鎧、一体誰が設置したものなのだろう。
 一番濃厚なのは、神界のトール神あたりが気を利かせて設置しておいてくれたという説だが、
それにしては一切念話などの話がない。
 「うーん・・・」
 眉間にシワを寄せ、本気で考え込んでいると、頭上からすさまじい轟音・・・そして部屋の窓から赤い霧のようなものが流れ込んでくる。
 慌てて廊下へ逃げ出す――が、今度は吐く息が白い。
 (なんだろ・・・敵襲?)
 ここで目に入ったのは、先ほど切り倒した亜人たちであった。
 様子がおかしい。さきほどより色が白っぽくなった気がする。
 表面を軽く手でさらってみると、雪・・・ではなく霜であった。
 それどころではない、霜を取ろうと、体を支えるために床についていた左手。これが床に張り付き始めていた。
 あわてて床から手を離すレナス。
 幸い、凍傷にはなっていなかったようだ。

 何にせよ、自然にここまでの冷気が発生するはずがない。敵による妨害と考えるのが妥当だろう。
 そして、ふと辺りを見回す。
 凍りついた椅子、装飾用の鎧、・・・魚。
 さっきまでと、凍り付いている以外はなんら変わりはない。――全てが赤く染まり始めている以外は。
 正体は分からないが、これも敵の妨害の一部だろう。なにやら体がだるい。
 紅はさらに強くなり、視界さえも奪う。
 (まずい・・・敵の手際が良すぎる・・・)
 こちらの動きが筒抜けになっていたのか、それとも敵によっぽど優秀な指揮官がいるのか。
 考えたくはないが――その両方か。

 とにかく、これでさらに一刻の猶予も無くなったことになる。
 合流を急がなければ・・・・
 
 

127 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/01/30(月) 00:25:21
>115>118>119>122
仲間達も次々に現れ、各個ゴーレムを破壊していく。
中でもマックスは今回の旅のリーダーに抜擢されて張り切っているためか、
ゴーレムを二体も簡単に倒した。

>「おーい! 遅れてすまねぇーっ! もう魔法陣見つけたかー!?」
「それほど遅れていないから気にするな。
魔法陣は向こうの壇上にある。早くやってくれ」

急に赤い霧が室内に漂う。
魔法陣を守る罠かと思いきや、基地の周りに大量の敵意のある気と一人の知り合いの気が感じられる。
(これはやばいな…魔王軍がこの魔法陣を捨てて俺らをハメたってところか…)
思考してる内に赤い霧が充満し、視界が悪くなるどころか五感全てに少し異常が発生してくる。
(この霧が発生する前は異常はなかったから、やっぱりこの霧のせいか…)
「魔功鎧!!!」
魔力による障壁を作り、それを全身に纏わせて、赤い霧による影響から身を守る。
赤い霧が防げたと思ったら、落雷が基地に落ちて壊れた天井を更に破壊する。
それと同時に異様な気温の低下も起き始める。
「これは俺達に完全に喧嘩を売ってやがるな…」
前を見ればキレたアステラが悪魔の本性を現し、一足先に敵陣に突っ込んで行く。
それに負けじとFALCONも全力の証、黒い翼をコートをぶち破って出し、気を高めていく。
「さて…ちょと遊んでやるか!!」
勢いよく空を目指して飛び、直ぐに天井を突き抜けて基地の真上に踊り出る。
「敵さんも本格的だな…辺り一体が赤い霧だらけだ…」
基地のあった渓谷一帯を赤い霧が覆っている。
気を探ってみると、赤い霧の中に敵達の気がある。
おそらくは霧に乗じてこちらを叩きのめすはずだったのだろう。
「とりあえずは警告しておくか…」
自分の喉に手を当てて、声を大きくする簡単な呪文を掛ける。
そして、呪文の効果で大きくなった声で…
「あーっあーっ。
えっーと、魔王軍の連中共、死にたくなければとっとと赤い霧を消して家でメシでも食ってろ。
こっちは重要な仕事中なんでな、邪魔するなら容赦はしない。俺が叩き潰してやる。

下手な挑発とも言える警告が渓谷全体に大声で響き渡る。
魔王軍側には囮とも思われるかもしれないが、何も考えなどはなかった。

128 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/01/30(月) 01:37:11
>120
さすがは百鬼夜行の盟主、カッコつけた言葉はお手の物なのか。
しかし、それでもって士気は上がるのだから、なんとも不思議なモノである。
大義名分抱えても所詮、殺しは殺し―――存在するは正義では無く痛みと殺しの快楽である。

「左舷!人数薄いンとちゃウか?もッと10人程で固まりヤ!。抜かれタら承知せえヘンでェ!」
しかし今の『仕事』は指揮である。エヴァンスの檄を聞き流し、自軍の布陣を整えるために馬上で声を張り上げた。
これで、10人一塊が半円を描くように布陣してる形になる、他の軍との連携もスムーズに行われるであろう。

すると突然、雷が落ち、続いて冴波いわく『砦を凍結』させる為の何たらかんたらが展開した。
ラック、冴波の手際の良い『大細工』である。
両者何だかんだ言ってよいチームワークだ、相性は抜群なのであろうか。
そんな事ぼんやりと思いながら自分の『仕事』を、ひたすらに待つ。
これで砦内で相手が全滅しているのであれば、味方でストレス解消を行うのも辞さないであろう。

129 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage 対戦拒否してもOKです] 投稿日:2006/01/30(月) 01:54:20
>122 >124
しかし突然中から石が投げつけられた。それは武者の兜を掠め後方にいた別部隊のオークの顔を吹き飛ばす。
「ヒュゥ♪やるヤないかい!」
掠れた口笛鳴らしながら、投げた相手に向かって賞賛の言葉を送ろうとしたが…残念ながら見えない。

さてどうやら仲間を斬らずに済みそうである。
砦からニンゲンではない何かが出てきたのである、しかもご丁寧に挑発までする始末。
間違いなく敵だ!それもかなりの上玉と見える。

「アンだとぉコラァ!」「ナマスにされたいのかテメェ!!」「兄貴ぃコイツ俺にやらせて下せぇ」
後ろから部下達の怒声が聞える、そりゃいきなり出てきて挑発である。
血の気の濃い我々にとって殺す理由には十分。

しかし武者は意気揚々に馬から下りて相手との距離を詰め初めた。片手には勿論刀。
「オウオウ!遅かッタのォ〜。」
至極楽しそうな声を出して問いかける。まるで古い親友と会ったかのような嬉しそうな声であった。
他の兵が攻撃する様子は無い、
全員が察していたのだ、攻撃したら殺されるという事、お前らのエモノは他の奴等という事。

「FALCONちゃんヤ無いが、ワシァ暇ァ持て余してタ所ヤ。
それにオマエ、中々ゴツソウやないかイ、戦わンでも分かるデェ、まとっとるモンが別モンやのォ」
相手が異形のモンか、そんな事はどうでも言い
ようやく自分の出番が来たことに意味がある。

そこまで言うと立ち止まり体制を低くして、弓を引くように片手で刀を構える。
刀に宿りし紫色の闘気が刀を通して体全体から放出され始めた。
殺る気満々、なぜかそんな言葉が一番に合う状態。

「さア!オマエが何やろうト関係なイ、血肉散らそうヤないか!!」

最早他の言葉は聞えない。今はただ目の前のエモノを斬り殺すだけ。―――ただそれだけ

130 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage] 投稿日:2006/01/30(月) 02:38:06
>114>116-119>121-122>124-125
ふと、マックスは背後を振り返る。彼の狩人の勘、そして経験が、途轍もない気配を感じ取った。
「(さっきまでは何も感じなかったのに)嫌な感じだぜ……ぐぉっ!」
油断していたマックスは、再び前を見た瞬間に、突然飛来した岩に顎を強打された。
数秒目を瞬きさせながら、上へ顔を仰け反らせていたが、暫くして顎を撫でながら、
岩の飛来してきた方向、へ首を向き直し、怒鳴る様に声をあげた。
「いってぇな! 敵か!?」
だが、その声は衝撃音によってかき消された。
「新手か! ん? 銀盤が……」
カイザーからの伝言に返事をするのも忘れ、武器を持ったまま広間へと駆け出した。

広間に近付いた時アステラが、続いてカイザーがマックスの横を抜ける様に走っていった。
外に出ようとしていたセシリアが、マックスに魔法陣が壇上に有る事を伝える。
「解った。」

ケレンファをしまい、ヒチシを両手で持ち、構えて念じると、ヒチシの刀身に水滴が浮かびあがった。
「フンバルトさん、力を貸して下さい。行くぜ!」
床を踏み抜くかの様に地面を蹴り、思い切り高く跳躍し、大上段からヒチシを振り下ろす様に一閃する。

壇上には傷一つ付いて居なかったが、魔法陣は綺麗に断たれ、間もなく静かに消えていった。
「クールに決まったな。次は新手とやらを……」
後ろを振り向くと、入り口が赤く霞んでいる。赤い霧と言って良い。
「……なんじゃこりゃ……」
赤い霧に包まれたマックスは、目を擦りながら右手でヒチシを背にしまい、両手で払うも効果はない。
「くそっ……まんまとやられちまったか……!」
乾いた布が水を良く吸う様に、魔力が皆無のマックスの体は魔力を良く吸収する。
それは術の(種類にもよるが)効果を、効率良く受けてしまうという事である。
「畜生! 前が見えねえし、気配も感じ取れやしねぇ! つうか寒ぃ!!」
マックスは、両手を前に出しながらよたよたと歩き出した。
その顔は悔しさに歯を食いしばり、鬼気迫る様な表情であった。
「(馬鹿力も自慢の五感も役に立たねえんじゃ……俺なんかただの歩兵だな)」
霧の正体に気付かぬマックスの頭には、ヒチシを利用するなんて事は思い付かない。
闇に閉ざされた雪山を歩くかの様に、手探りで歩かなくてはならない状況であった。

131 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [決定リール使っちゃいましたsage] 投稿日:2006/01/30(月) 21:41:25
>115
>「おーい! 遅れてすまねぇーっ! もう魔法陣見つけたかー!?」
放心していたマリスはその声で我に返り、頭を振る
落ち着いたところで辺りを見るとマックスが魔法陣を破壊するところを目撃

>124 >114 >130 >119
マックスが魔法陣を破壊する様をのんびり眺めていた時、カイザーの皆を励ます+無理はするな的言葉が銀盤から響く…少女は、カイザーは優しい人なんだな。と思う
刹那、異様な赤い霧が辺りを包みだした…マリスの体全体にまとわりつくだけでなく、すべてを包むように霧がかかり周囲が段々と赤くなっていく
それでもマリスの体を避けて霧が展開されている。霧の粒子がマリスの体内に入らないのは法王の聖印のおかげなのだろう
「これは何なのでしょう…?」
…赤い霧の術の効果も分からない少女が霧を払おうと手を振るが分散すらされない。ただ、少女の手を避けるように霧が動くだけだった
魔法か何かなのかな?そう思って不思議そうに首をかしげたその時、物凄い轟音と共に落雷が今いる建物に直撃して建物全体が揺れる
「きゃあっ!?」
少女は右手で頭を押さえ、左手でおへそを隠しながらしゃがみこむ。どこまでも緊張感が無い

>「畜生! 前が見えねえし、気配も感じ取れやしねぇ! つうか寒ぃ!!」
その時だろうか?マックスが叫ぶ、見ると鬼気迫る様な表情で両手を前に出しながら歩き出していた
寒い…?確かに先程より冷えてきたのは感じる…少女は落雷の事を忘れて立ち上がり、走ってマックスに近付く
「マックスウェル様、大丈夫ですか?」
見るからに平気そうでは無いが、少女はマックスに声をかけながら手を握る…
確かマックスは魔法に弱いと言う話を聞いた…もしこの霧が魔法なら何かマックスに対策をしなければ大変な事になる
…のはマリスにはいまいち分からないがマックスに魔法をかける事にした
「動かないでくださいね」
少女はそう言うとマックスに顔を近付けた…普通にかけると時間がかかるので手っ取り早くかける方法をとる事にする
☆…マリスはマックスの額にキスをした…これによりマリスの魔力がマックスの体内に直接送り込まれて魔除けになる…はず
とにかく、何もしないよりは大分良くなる。ような気もしないでもない
「これで良いですわ。直に良くなりますから辛抱なさいましね」
少女は微笑み、マックスの傍から離れる…今やった行為による効果も調べずに…

>122 >127
マックスの傍から離れた刹那、突如異様な雰囲気を感じたマリスが振り返るとアステラが『悪魔化』していく様が目に入った。着ている物や武具が硬質化して、人ならざる者へ体が変化していった
…その【アステラ】だった者が入り口より出ていく…異形な者になったアステラを見た少女は
「あんな特技を持っていらしたのね…」
…いや、特技じゃないから。そう突っ込まれそうな感想を呟いた
そうしているうちにFALCONが黒い翼を背中から出し
「さて…ちょと遊んでやるか!!」
そう言って先の落雷により壊されていた天井から出ていってしまった。マリスは空を飛んだFALCONを見て
「そう言えば先程は翼もなかったのに飛んでいらしたわね…不思議ですわ」
…もう何かが違うのは周知の事実だ

>125
マリスが素っ頓狂な感想を述べている時、セシリアが指輪を床に向ける仕草をする。少女はそれに気付いて興味深そうに見つめる
すると、地面が無くなっていくかのように穴が出来ていく。そして彼女…セシリアは出来たその穴に飛び降りていった
マリスはその穴を覗き込み
「落し穴ですわ〜」
…周りの空気がどんどん冷やされ寒くなっていくのに、いつまでも暢気な少女だった

132 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/01/30(月) 22:39:36
>127>131
・・・ったく。化け物揃いとは聞いていたけど、自信喪失させてくれるねい。
完全に弾いたのが三人もいて、おまけに一人は空を飛んでいるとは・・・。コリャ面目
丸潰れじゃないかえ。
ちょいと眉をしかめながら煙管を吹かしていたんだけれど、新たな霧の反応に意識を
集中させるよ。

>125
はて・・・秘密の抜け穴にしては変だねえ・・・これは・・・穴を掘っているのかえ?
なかなかどうして。敵襲を知った時点で退路を確保しようなんて頭良い奴もいるじゃな
いか。大局を見ているねえ。
この機転や手際のよさ、大地に干渉する力・・・因果から言うとあの白い騎士かねえ。
セシリアとかいったか・・・
戦士という人種の考えは理解できない事が多いけど、こっちならよく判る。
あたしの土俵は力比べなんかじゃない。相手の行動を読み一歩先を潰す事だからね。
これから忙しくなるよぉ。
「エヴァンスさんや。地下に穴掘って退路を作っている奴がいるんだ。
これより誘脈旗でそこら一帯の地下5メートルから下を沼にするよ。
柱は残すし岩盤一つ挟んでいるから地表には影響はないはずだ。
沼で死んでくれれば可愛いもんだが、そこらに顔を出すかもしれないからね。出たとこ
ろでしとめておくれ。」
万が一影響がでてもサエナミさんがいれば大丈夫だわいね。

報告が終わった事だし、こちらも大仕事だ。ラックが発達させた雷雲も気になるよ。
広域影響術の旗を二本同時に挿すのはしんどいからねえ。
「状況が変わった、あんたらの仕事も変わる。
前衛三人。防御だけなんて楽はさせてやれなくなった。あんたらが止めて倒すんだ。
後衛一人。雲行きが怪しい。傘を差して。それから念話装置もあんたの担当だ。
最後。あたしを支えな。だからって変なところ触るんじゃないよ。あたしが動かないように
気合入れな。
さて、あたしは二本挿しだ。女は度胸!いくよ!」
左手に蚩尤旗を持ったまま、右手に誘脈旗を持って地面に突き刺す。
二本同時に発動させるのは流石に力いる。霧の濃度は落とせないから地脈の力を味方
に注ぐなんてやってられない。
だが、地脈と水脈に干渉できればそれで十分だ。
穴掘っている奴と大地への干渉力で力比べなんてやってやらないさ。周りを全部液状化
して潰してやるんだよ。
こめかみに青筋立てて術を発動だ!

133 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/01/31(火) 00:17:05
 >130
 レナスは相もかわらずに捜索を続けていた。
 ただでさえ初めての場所で道がわからないのに、赤い霧のせいでさらに道に迷った。
 (どこ見ても真っ赤っかだしなぁ・・・・)
 そんな愚痴を垂れていると、さきほどまで立ち上っていた禍々しい空気が消え去ったのがはっきりとわかる。
 どうやら何か動きがあったようだ。
 それと連動するように、レナスの神剣が青白く光りはじめる。
 さっき消えた黒い気と何か関係があるのだろうか、しばらくすると光は収まった。
 「・・・なんだろ?」
 そうつぶやき、しばらく剣を見つめていると・・・懐かしい感覚が戻ってきた。
 あちこちに、様々な”雰囲気”を感じた。
 ――大きく力強いが、やや弱り始めている気配、それに寄り添うようにしている優しげな気配。
 ――有刺鉄線のように、下手に触れると怪我をしそうな気配、それよりもさらに危険な気配。
 ひときわ目を引いたのが・・・外にいると思われるとても大きく、野心を秘めた気配・・・
 一瞬、寒気がした。
 内心、味方であってほしいと願った。
 しかし、その希望は脆くも崩れ去る。

 >127
 >「あーっあーっ。
 >えっーと、魔王軍の連中共、死にたくなければとっとと赤い霧を消して家でメシでも食ってろ。
 >こっちは重要な仕事中なんでな、邪魔するなら容赦はしない。俺が叩き潰してやる。 」

 「ぅやかましい!!」、と思いっきり叫んでから我に返り、また考えてみる。
 騎士たちは皆建物の中に入っていった。そして寒気を感じたまではそれなりの距離がある。
 これらから導き出される答えは・・・・あれは敵である・・・と。
 「はぁ・・・。」
 思わずため息が漏れた。あんなバケモノみたいなのがいる敵、正直、経験が無かった。
 (とにかく、この霧をなんとかしないと・・・・)
 仮に、今合流を試みたとしてもこの視界の中では逆に斬られかねない。
 やはり霧を消すのが先決のようだ。
 この霧は、窓の外から入ってきた。そうなると、霧の発生装置のようなものは外にあるとみて間違いないだろう。
 しかし、いま外に出てしまうと危険なのは百も承知である・・・が。
 (虎穴に入らば虎子を得ん、ってね。)
 むしろ虎の穴どころか鬼の家に入るような心境なのだが・・・・

 正面は明らかに危険な気配が二つもあるので、とりあえず避けて通り、窓から出ることにする。
 建物の中の弱った気配も多少心配だが、二人寄り添ってることだし、問題ないだろう。
 外に出て、もう一度気配を探ってみる。
 すると・・・あることに気がついた。
 たくさんある気配の中で、ぽつりぽつりと、全く動かない気配があった。
 (・・・これは怪しいぞ、っと。)
 その中でもひときわ遠い、一つの気配に狙いをつけて走り出す。
 ――偶然にも、それはシズネの方向。
 しかし、かなりの距離がある上に、霧の妨害もある。
 彼女のもとにたどり着くには、相応の時間がかかるものと思われる。

134 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/01/31(火) 02:19:17
>119-120
「やるじゃん」
砦が見るからに寒くなっているのを見て、思わず賞賛の声を上げる。寒さに飛び出してくるのも時間の問題だろう。
「…これは、雷落とした意味あったんかなぁ?」
あの魔法があれば、ラックの落雷など全く意味がない気がする。つくづく無駄な行為をしてしまったものだ。
エヴァンスの煽りに少しではあるが気持ちを高揚させられながら、待つ。ただ、来たる戦いを、それを連れてくる敵を。

>122>127>128-129
「うわ…なんか変なの出てきたよ…」
同盟軍だと言うのだから、全員が人間だと思っていたのだが…どっからどう見てもあれは「ヒト」ではなく。
何か禍々しい雰囲気が取り巻いていて…どっちが魔王軍だよと問いつめたくなるほどに、その空気は重く、濁る。
生憎ラックはそういうのにプレッシャーを感じる人間ではないが、部下には気圧されている輩もちらほらと。
「あ、辻斬りだ」
そして「それ」に近づくのは見覚えのある鎧姿。それにしても、本当に、どっちが魔王軍やら。
「ま、辻斬りは奴相手で忙しくなるみたいだから…次に出てきた奴あたり、ややもすると俺らが相手するかもよ。
 あそこで空飛んで挑発なのかよくわからん演説してた奴とかな。…空から遠距離攻撃やられちゃ手も足も出ないし、
 警戒してもたかが知れてるけど…空飛んでるならここよりは本隊狙うだろうし、とりあえず警戒は怠らないでくれ」
C班の部下に声をかけつつ、しかし視線は真っ直ぐに前に。少しも逸らしはしようとしない。

「ねぇたいちょー」
「ん?」
「正直暇でしょ?」
「…ちょっとな」
待つというのはこれだけ面倒なものなのかと思いつつ、時間を浪費する。

135 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/01/31(火) 02:29:44
>131-133
剣からほとばしる炎が土壁を照らす。縦横およそ三m、長さは一気に数百mは掘っただろう。
もっとも指輪をかざして走っているだけなのでそれくらいの速度は出せて当然なのだが。
走りながら『鬨鈴』で音を拾う。マリスの間延びした声が真っ先に耳に届いた。
次いで砦の中で叫んでいる女性の声。仲間のうち女性はセシリアとマリスの二人だ。
すると既に外の敵が侵入してきたか、あるいは討ち漏らした者がいるか。セシリアは銀板を取り出した。
「マリス、マックスを連れて穴へ!気をつけて下りれば怪我もせん!外にいる者は適当に見切りをつけて戻られたし!」
拾った音からするとまだ本格的な戦闘には至っていないようだ。
彼らの性格からしてこのまま退くなどしないだろうが、一応釘は刺しておくほうがいい。
アステラの声の響きがいつもと違って聞こえるのは少し気になったが、彼自身腕は非常に立つし、
カイザー、FALCONもいる以上、敗走ということにはならないだろう。
(……今やってるのは転進だから退却じゃないもん)
口は重宝とはよく言ったものだ。

銀板を腰袋に押し込み、なお走る。その足元が急に沈むようになって来た。
「……水?」
呟いた瞬間、踏み出した足がすねの辺りまで埋もれ、体勢を崩す。そのままの勢いで地面に手を突き、
反動で体を前方へ回転させながら起き上がる。手は土ではなく泥に塗れていた。
「まずいっ……!」
声を上げたセシリアの前で掘りぬいたばかりのトンネルが崩れ始めた。咄嗟に『岩食み』への集中を切り、
鎧の胸元の石へ意識を切り替える。宿るのは氷湖の水霊、『揺らぐ者』。水と冷気に干渉することが出来る。
その力を使い、トンネル全体を凍らせ崩落を防いだ。そのまま『揺らぐ者』の力で付近の水脈を探る。
かなりの深度にある地下水脈から、何者かによって操作された水の流れをはっきりと感じられた。
(……これ以上は無理か)
このまま掘り進んでも包囲の外に出る前に次の手を打たれるだろう。
セシリアは踵を返して元来た方へ戻り始めた。

136 名前:アステラ(悪魔化) ◆r7kOcOEpyM [sage 残り4分] 投稿日:2006/01/31(火) 03:25:20
>123-135
>一服した時点で〜〜集中させるよ
『悪魔化』してから程なく霧が更に濃くなった。
力が及ばない相手の事を探るような、そんな思念を感じる。
魔力によって形成された霧、範囲内の気配を探れるらしい。

『・・・臆病者め。』
相手の向ける意識の触手を辿って方角を割り出しそっちに視線を向けるが、
すぐに正面に戻す。体一つで戦えないようなチキン相手に本気になる気など無いのだから。


>叫び声と共に〜〜越えるであろうものだ
俺の横を光に包まれた岩が通り過ぎていった。
本の次は岩か、あいつはつくづく物を投げるのが好きらしい。
投げた岩は敵の隊長格らしい鬼武者を掠めて後ろの奴に直撃した。
盛大に脳漿をぶちまけた所を見ると致命傷だな・・・愚かな。


>自分の喉に手を当てて〜〜何も考えなどはなかった
FALCONの奴が馬鹿でかい声で挑発してやがる。自分を囮にするつもりか、
それともただ腹立ち紛れにやった事か。どちらにせよ少しだけ注意を逸らす事ができた。
まぁ、目の前の鬼武者はこっちしか見てないから意味無いが。


>さてどうやら〜〜ただそれだけ
『ザコは黙ってろ・・・。』
外野が息巻いているが、所詮はただの取り巻き。守備の亜人共よりは腕が立つだろうが
それでも今の自分とは格段の開きがある。相手との実力の差を瞬時に察知できない奴は
肝心なところでミスをして死ぬ。それだけだ。この外野共がいい例と言えるだろう。
それを制するように隊長格の鬼武者が馬から降りて近づいてくる。他の奴等とは
比較するのがバカらしいほどの強敵、ところが。

『・・・詰まらん冗談だな。貴様のどこに血肉がある・・・?』
容赦ないツッコミ。事実『辻斬り』はアンデッドの分類で言えばスケルトン、
血も肉もとうの昔に畑の肥やしになってしまっている。そんな奴が血肉を散らそうなどと
ほざいているのだ、ツッコミ癖のあるアステラはつい乗せられてしまった。
だが、相手の言いたい事は分かる。殺し合い、ここまでやって無抵抗主義もない。

『まずは小手調べだ・・・俺を失望させるなよ・・・。』
重心を落として居合の構えを取る。そのままの位置で抜刀・納刀を5セット繰り返す。
抜刀する度に『辻斬り』の周囲の空間が歪み、剣閃が奔る。歪む位置は、

・アステラの正面一人分
・『辻斬り』の今いる位置、左右一人半分、正面斜め上

この5箇所となる。同時に魔力で剣を12本形成して周囲に纏い、守りを固める。


>すると既に〜〜戻り始めた
『・・・断る。』
一方的に銀盤の通信を切って相手を見据える。少なくとも、目の前の
悪鬼羅刹はそんな隙を見逃しもしなければ作らせてもくれない。そんな奴だ。
ならば押し通る方が最終的にどれだけの益となるか、セシリアにも考えろと言いたいところだ。
そんな事を悠長に話していられる場合ではないが・・・。

137 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/01/31(火) 10:13:34
>122>124>125>127>130
「奇妙なヒト」が出現し、また騎士らしき姿も現れた。どうやら読みどおりどんどん出てきてくれたようだ。

「・・・が、下手に動くという訳にもいかないか。」
辻斬りの活躍に期待しなくては行かないが、空にいる奴は放っておくわけにも行かない。

そして、凍結させようとしていた砦内部で巨大な構築式が瓦解したのを感知した。
「とうとう・・・3つ目が破壊されたか。」

どうやらこちらも少し本気で行かなくてはならないらしい。

「各分隊へ通達!一時的に指揮権を各分隊長へ委譲する!下手に攻撃をすれば無駄な被害がでる。
 極力、相手への牽制・あるいはトドメとしての攻撃に専念しろ!」

「・・・猫。」
[ん?なに?]
「こちらの馬に乗って私を支えていてくれ。」
といって、コートを脱いで猫に着せる
[隊長ー?そういうのはフラれた女の子にするもので]
「無駄口を叩いてる暇はない。私は無防備状態になる。そのとき、体を支えていてくれ。
 ・・・・・・それと、私の体温がお前程に近くなったら私の水筒の水を頭から掛けてくれ。」

水筒には0.1度にまで冷やされた水。能力を酷使すれば当然頭に熱が来る。
一応ヒトの身である以上、脳細胞には気を払う。

>132>134>135
と、地下でまだ水にしていない珠が以上を感知した。
「地下が泥沼と化した・・・?」

通信装置でシズネを呼び出す。地下から襲撃されれば・・・かなり危険だ。
「シズネ!地下に何かいるのか?」

一方、セシリアのいる地下では3つの直径1m程の球体型の[奇妙な魔力]が感知できるだろう。
まだ、何かといった破壊的な力を持っていないが、二つが地下をぐるぐると哨戒している。1つは少し離れた位置で動かない。
もしかしたら、セシリアに接触するかもしれない。
<操作:水珠による哨戒継続。異常を感知、警戒。>

エヴァンスに通信装置で話しかける。
「隊長、魔法陣が破壊されたのを確認しました。砦が無用と思われますが、破壊してもよろしいでしょうか。」
また、ラックを通信装置で呼び出す。
「ラック、これから砦の上にいるヤツを水塊で包む。攻撃が出来れば頼む。電気は通せるからな。」

「さぁ、正念場だ。」
馬の上で、親指と人差し指で四角形を作り、FALCONと砦を捉える。
冴波の瞳は既に人形のように何も移さず、意識は頭の中に没入していた。
体はバランスを崩して倒れこむ。
<脳内演算機関『未生天』全力起動。意識主体を移行。身体制御放棄、施行>

FALCONの頭上の雲から直径5mほどの球型水塊が降りていく。重力に導かれるような速度ではあるが、デカい。
天にはまだ雲が残っている。その中のきらめきが少しずつ数を増していく。それはFALCONへゆっくりと近づいてゆく。
<設定:対象物体を囲む形で停止。通電可能状態、追尾開始>
<凍結:雲内部に氷嵐を作成、対象へ接近開始>

砦の内部は天井に穴が開いた事で更に寒気が入り込む。その砦の外観にも変化が現れていた。
砦を覆う氷が剥離していき、一体の巨大な龍を生み出していた。冷気はやまず、砦の中の温度は下がっている。
<変化:氷龍作成。運動制御可能。攻撃態勢へ移行

[寒いにゃ・・・。]
冴波のすぐ近くの温度も下がっているのに、冴波の体温は上昇しはじめていた・・・・・・。
そんな冴波の倒れこむ体を支えながら猫の獣人は暢気なものであった。

138 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/01/31(火) 15:58:06
>127
落雷で破壊された基地から、曇天へ躍り出る黒い翼の男。
強大な魔力の反射が義手の掌に熱い。オーガス騎士筆頭、FALCON。
「……待っていた。相変わらずの馬鹿ヅラだが、帰省の噂は本当だったな」
純粋な魔族としての力、如何程に強大であろうとエヴァンスには尚都合が良い――「Calverinia」が在るからだ。

馬上で黒塗りの騎兵銃を肩から下ろし、銃の照門を跳ね上げ、構えて狙う。
ヒトの眼ならば遠過ぎるだろうが、魔力の眼は何キロ先でもネオンサインの輝きを充てにして狙いが定まる。
霧や砦周辺の術式による影響も義手の精度の前には然程も問題では無い。

>125>132
引き金に右手の指を掛け、引き絞る寸前に念話で呼び出された。不機嫌な表情をしながらも、直ぐに応える。
「どうした?」

>「エヴァンスさんや。地下に穴掘って退路を作っている奴がいるんだ。
>〜出たところでしとめておくれ。」

言われて義手を地面に向けると、成る程何かの動きを感じ取る事が出来た。
土中の気配に対しては感度が弱くなるため、FALCONの魔力に気を取られ察知が遅れた。
銃の狙いを地面の気配に移して待機、シズネの術式を待つ。

>135>137
術式が発動されたかと思うと敵はすかさず方向転換、元来た道を帰り始めている。
泥濘に慌てて飛び出す程、迂闊な相手では無かった訳だ。ライフルのクリップ弾倉を排出し、別のクリップと交換する。
続いて横倒しのレバーを起こして引き遊底を操作、薬室に特殊魔法弾を装填した。
銃床は肩に当て、銃身に左手を添え、慎重に狙いを定める。地下の気配には僅かながら心当たりが。

>「隊長、魔法陣が破壊されたのを確認しました。砦が無用と思われますが、破壊してもよろしいでしょうか。」

「構わん。が、味方に無用な損害を与えぬよう注意しろ」
冴波からの連絡に答え、改めて銃を構える。移動が思いの外速く、距離は魔力感知の射程ぎりぎり。
トリガーを引くと全金属製の騎兵銃が大きく打ち震えたが、狙いは正確。
銃口から迸る閃光は地表を貫き、熱に砂利が焼き付く。立ち昇る陽炎、焦げた臭い。
直撃成らずとも高温のガスが地下道へ流れ込めば、着弾点の近くに居た者はたちまち激しい熱傷を負うだろう。

139 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage三人称形式] 投稿日:2006/01/31(火) 23:10:56
>137
>「シズネ!地下に何かいるのか?」
サエナミから通信が入ったがシズネの返答はなかった。
シズネは術に集中し、耳に入らなかったのだ。

広域影響術を二つ同時に展開するという事は負担が大きく、必要機能である霧の濃度と
地脈と水脈への干渉を保つ事に全ての処理能力をまわしていたからだ。
故に蚩尤旗と誘脈旗の持つ効果範囲内の策敵機能が使えないのは勿論、部下に身体を
支えてもらっていなければ立っていることすら難しい状態だ。
その集中の余りこめかみや首筋に青筋が立ち、鼻からは血が流れている。

「中隊長シズネが術行使により通信不可能の為、護衛兵モルテが返答する。
地中に穴を掘り移動する「何か」を感知。誘脈旗により地下を沼にしてその行動の阻止を
図っている。
地下五メートルより下を沼としたが岩盤を挟み柱を残しているので地表には影響ないもの
と思われる。以上。」
シズネに傘を差し、念話装置を渡された護衛兵が冴波に答える。
雷雲は上空に広がっているが、まだ雨は降ってきていない。
にも拘らずシズネが傘を差させるのは、彼女自身の能力の大半が雨により封じられるから
だ。
豪雨が降れば符は濡れ使い物にならなくなり、霧は叩き落され効力を減ずる。
だが、それを教えられていない護衛兵は少々不満そうな顔で、しかし忠実に命令を守って
いた。

140 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/02/01(水) 01:07:16
 渓谷を怪しいと思われる方向(シズネね)へ走り続けていたレナスは、やがてあることに気がつく。
 ここまでの道は一本道で、そこを夢中で走り続けてきた。が、道がここで大きく曲がっている。
 道は怪しい気配の方向から大きくずれ・・・例の大きな野望を秘めた気配の元へ・・・
 
 >138
 (引き返そうか・・・)
 そう考えた瞬間、その気配からの激しい轟音・・・間髪入れずに――谷が燃えている。
 これもあの気配の主の仕業なのか。
 誰の仕業でもいいが、つまりは・・・退路を絶たれたということになる。
 (・・・行くしかないか)
 覚悟を決め、『その』気配の方向へ歩みを進める。
 近寄るにつれ、気配がはっきりとしてくる。
 ――なんとなく、その気配には覚えがあった。
 この能力が復活したのはたったさっきの事、ということはレナスが現役だった頃に出会った者ということになる。
 (そんなに身近な人じゃなかったと思ったけど・・・うーん・・・)

 渓谷から少し登ったせいか、少し霧が晴れてきている。
 ぼんやりと砦の輪郭が見え始めた。砦の上で羽を生やして飛んでいるのは・・・間違いない、FALCONだ。
 (あんなところから叫んでたんだね。)
 なんとかこちらの存在を知らせたいが、あいにく知らせる手段がない。
 彼が無差別広域攻撃を使わないことを祈ろう・・・

 一歩一歩、その気配に近づいていく。心臓の鼓動が早い。音も大きい気がする。思考が鈍る。
 無理もない。これは確実に命を賭した戦いになる、まぁ・・・単なる勘に過ぎないところもあるのだが。
 ――そしてついにお互いの顔が見えそうな所までたどりついた。
 目を凝らしてよく見てみる。
 不意に、一瞬だけ霧が薄くなり・・・顔が見えた。
 「エヴァンス坊や・・・・」

 その顔には見覚えがあった。
 かつてオーガスが健在であったころ、騎士団に所属していたのを見かけたことがあった。
 決して腕は悪くないのだが、「鬼子」と呼ばれ忌み嫌われていたようだ。
 そして、一年前のヴォルフ討伐に参加したのを最後に行方をくらませていた。
 そんないわくつきの人物をここで目にすることになろうとは・・・

 「さて、ボーヤ。たぶんアンタの目的はFALCONなんだろーけど、なんだか取り込み中みたいでね。
 代わりと言ったらつまらないだろうけど、私が相手してあげるよ。」
 そう言ってFALCONをちらりと見る。
 FALは・・・何か巨大なものに襲われているように見える。
 輪郭しか見えないので何とも言えないが・・・

 「大丈夫、安心しろ。私はボーヤよりも強いから。」
 痛烈な一言を言い放ち、レナスは神剣を鞘から抜き放った。

141 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage] 投稿日:2006/02/01(水) 04:05:29
「(意識が朦朧としてきた……感覚イカれてるうえに……この寒さだもんな……)」
マックスの両膝が地面に落ちる。前のめりに倒れるのを、何とか両手で支える。
「マリーさん……皆……くそ、負けてたまるか!」

>131
自分を呼ぶ声がした。朦朧とする意識に響く優しい声。誰の声かは解らないが……優しい声。
「天……使?」
小さな手がマックスの手を握り、彼の額に柔らかい物が当たる。そう、女性の唇の様な。
「天使の……キスってか……?お迎えなのか……」
そう弱々しく呟く彼の視界が少し開ける。それだけでは無い、身体の奥底から不思議な力が湧いてくる。
マックスの瞳にぼんやりと去っていく人影が見えた。付いていない筈の白い天使の羽も。
「ふぅ、天使も俺に死ぬなと仰る訳ですな。おっし、お任せあれっと……おわっ!」
天使……マリスの直接かけた魔法は、マックスの特性と相まって、効果はすぐに、そして増幅されて現れた。
赤い霧が弾かれる様に離れていき、身体の調子も殆ど今まで通りに戻っている。
だが、調子に乗って勢い良く立ち上がった所で、霜に足を滑らせてしまったのだった。

>135
起き上がる彼の耳に、マリスの暢気そうな声が聞こえた。暫くしてセシリアの妙に響く声。
「(マリスは近い……セシリアはこの階層に居ない? 上は有り得ないから、地下に居るのか?
方向はあっちで、近くに敵らしい気配は無い。よし!)」
視界は多少開けたが、赤い霧自体の存在で完全には見えない。頼りになるのは己の五感のみ。
そして彼は駆け出した。本来なら霜に足を滑らせる男では無い。
「! マリス!」
赤い霧の中に一人居るマリスの姿を見つけると、スピードを落として歩み寄っていく。
マリスの近くには穴がある。先程までは無かった筈だ。
「セシリアは中? それであの声なら、そりゃ納得なんだが……。
おい! セシリア! 無事か!?」
穴の中に声をかける。声が少し荒いのは寒さのせいだけでは無い。何か嫌な予感がするのだ。

>137
割れた屋根から巨大な氷の龍が姿を見せた。
「ハハッ……マジ?」
マックスはやや自嘲気味に笑いながら、ケレンファを構えて警戒する。
セシリアがもし穴から出てきたら……もしその時襲われたら……幾ら彼女とて危険だろう。
それだけは避けなくてはならない。そして、マリスを守らなくては。

温度も更に下がってきている。もう、長居は出来ない……。

142 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/02/01(水) 17:31:52
>137
>「ラック、これから砦の上にいるヤツを水塊で包む。攻撃が出来れば頼む。電気は通せるからな。」
「砦の上っつーと…あいつか。断る、とは言えんなぁ」
あまり乗り気でない理由は一つ。それは至極単純な理由。
(対空戦は、あまり経験はないんだよなぁ)
ハンマーも届かず、雷術で攻撃するしかないが、しかし大半の雷術は狙いが定まりにくい。結果、手が狭まる。
(それに体力もかなり使うし…やっぱハンマーが使える地上戦がいいなぁ)
ラックが視線を移したのは背中のトールハンマー、又の名をミョルニル。神界の、雷神トールが持つはずの鉄槌。
三年前の大戦では確かにトールが振るっていたハンマーを、なぜ現在はラックが所有しているのか。それは誰も。

すぐ視線を砦に戻し、意を決したように口を開く。
「ま、仕方ないよな」
本来は逡巡する必要すらないのだ。頭の中でゴタゴタと御託を並べただけで、実際は攻撃した方がいいに決まっている。
「了ー解。じゃ一発…」
指輪で冴波に声をかけ。
雲を見る。落雷を落としてやろうと思ったのだが、どうやらあの雲は攻撃の一種らしい。違う雷術を使うべきか。
砦を見る。なんだか凄いことになっている。龍の形にと、氷が変化している。中にはあと何人残っているのだろうか?
敵を見る。雲が降りてきて、浮いている相手を取り囲まんとしている。

ラックが手をかざし、力を込める。するとその手の上に、かなりの大きさの電気の塊が。
「そらよっ!」
その塊を力任せに思いっきりぶん投げると、それは空中で爆ぜ、30を越える小さな球体に分かたった。
そしてそれらは、浮いている敵の周りを取り囲み、静止する。そして。
「──万雷『ユピテル』」
その球一つ一つから、稲妻が、雷撃が、伸びてゆく。それは中心へ、倒すべき「相手」の元へ。

143 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/02/01(水) 20:02:48
闘う事は万物の宿命なのだろうか。
過去、人は幾度と無く戦いの歴史を刻み続けてきた。
その"敵″とは人、魔物、魔王…その時代によって異なる。
…そして、何の因果か、人は再び戦いの歴史を刻むことに成る。
この小さな村で勃発した戦いが元となり、後の時代に語り継がれる『抗魔戦争』は起きる。
その事実を知らないまま、人…いや、全ての生物は戦う。


戦場…爆音は鳴り響き、個々の私怨が燃え広がる紅蓮の地。
天聖騎士カイザーは赤き霧に包まれ、その身を戦場に置いていた。
「……なんなんだこの霧は…気持ち悪い…」
カイザーは高く聳える崖に背を預け、座り込んでいた。
敵が作り出した赤き霧の影響を、ある程度は自身の身を包む聖闘気によって緩和できた。
…だが、それも限界を越えて飽和状態になり、三半規管はもはや役立たずになり掛けているのだった。
更に、加えて視界の最悪さ。目を凝らしてようやく2、3メートル見渡せるぐらいだ。
敵の闘気を察知する力も、赤き霧に紛れてしまった敵全体の大まかな居場所程度しか分からない。
上空の気象の変化も、今の状態では気付きはしないだろう。
(敵もアステラやFALCON達に気を取られてるし……ここはあいつらに任せるか。
 濃霧で視界が悪いから、あいつらに俺の光魔法を誤射したら大変だしな)
幸か不幸か、自身が敵に狙われていない事を利用し、その場で待機を始めた。

144 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/02/02(木) 00:33:40
>137>142
(やっぱり…敵さんは撤退するつもりはないか…)
FALCONが警告をしたが、赤い霧を消す様子も撤退する様子もない。
「うぉっし!!なら…お望み通りにぶっ倒してやるぜ!!!」
渓谷中に魔法効果によって大きくなった声が響き渡る。
両手に気を集めて、軽くエネルギー弾を放とうとするが、
一つの巨大な水塊が空の上から舞い降り、FALCONを包み込む。
(これはただの水球?窒息死させるつもりか?)
ただの水球なら何の問題も無い。
気で吹き飛ばせば良いだけだ。
FALCONが気を込めた時、何かがやってくる。
それは巨大な雷の球。
それが無数に分裂し、空中でFALCONを囲うように止まる。
(まさか…嫌な予感が…)
FALCONにはこの後の展開が簡単に予想できる。
FALCONも似たような技をよく使用しているからだ。
回避は雷球が周りを囲んで不可能。
防御もこの技の特性を一見して見るからには無意味に近い。
そんなことを考えている内に雷球はFALCONに全部直撃。
水を伝わり、電撃は体の芯から痺れさせ、焼き付くす。
「グウォォォ!!!」
この渓谷に響く絶叫からして、多大なダメージを与えたのは誰しもが解るだろう。
雷撃が全て伝わり、溜めていた気も水球も全て吹き飛ばされる。
そのまま、意識も吹き飛び墜落していくように見えた。
「今のは中々良い攻撃だった…」
FALCONは無事だった。
外見からは無傷のように見えるが、体内は雷撃によってボロボロにされている。
「俺もお礼に面白い技を見せてやろう」
その技はかつてフェンリルやガストラ帝に放ち、多大なダメージを与えた技。
FALCONは両手を天に掲げ、呪文めいた言葉を言う。
「空よ…大地よ…海よ…そして、天高く昇る太陽よ!!俺に力を分けてくれ!!!」
FALCONの両手にこの渓谷から少しづつ分けてもらった気が集まってくる。
「できた…」
両手の気を全て右手に集中させ、精神を集中させる。
右掌に直径20cm位の気の塊が出現する。
「これが俺の…必殺技だぁ!!」
右掌の気の塊、元気玉を最初に巨大な雷球が飛んで来た方向に投げ飛ばした。



145 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/02/02(木) 00:34:38
>138>141
前方からマックスの声が聞こえる。セシリアは銀板を取り出した。
「大事無い。それと……銀板は持っているだろう?せっかくなんだから使ってくれ」
それだけいうと、穴でも開けて首から下げるようにでもするべきか、などと考えながら銀板を仕舞い、走り出す。
およそ半分ほどまで戻ったところで殺気を感じた。もしや敵が入り込んできたか、と足を一度止める。
その時、前方の空間を光が貫いた。同時に焦熱が洞穴の中を満たした。
眼球が乾き、肺が焼ける。セシリアは咄嗟に『揺らぐ者』の力で濃霧を発生させ、自分の周囲を冷やした。




「まぁ、こうなるわよね……」
セシリアは顔の半分を泥で汚しながら立ち上がり、呟く。
確かに霧は体を高熱から守ったがそれも一瞬のことで、熱せられた霧は瞬時に蒸気となり、
一気にその体積を膨れ上がらせた。つまり水蒸気爆発だ。セシリアはそれで吹き飛ばされた。
とはいえ、あのまま焼けた空気を吸うよりはまだましだろう。
熱で氷がだいぶ解けたので、改めて氷結させ、光が貫いた跡の側に立った。
穴は地表まで続いているらしい。セシリアはその穴に向けて剣を突き出した。
刀身から炎が立ち上る。その色がだんだんと青みがかった色へ変わっていく。
「突き通せ!」
収束した炎が刀身から伸びる。当然、向かう先は穴の向こう側、そこにいるであろう攻撃を仕掛けてきた何者かだ。

146 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage 長文失礼] 投稿日:2006/02/02(木) 01:26:03
>138>137>142>139
さて……もう何も聞えない筈であったが、前言は撤回された模様である。
指輪から様々な通信が耳に入ったのだ。
それは大将の冷たい声を筆頭に、ラックのヤル気の無い声、シズネ、冴波の切羽詰った声。
各々の頑張りは認めるが、こればかしは言いたい。
構えを崩さず眼前の相手を見据えたまま、指輪に口を当てた。
『アーアーアーッ、横から失礼。
 オマエ等よォ……もうチョい肩の力ァ抜いタ方がエエんとちゃうカぁ?
 長い人生そないニ急いデ何をするン、時間は仰山あるンや、もっとモット殺しヲ楽しめ!!ゲヒャハハ♪』
シャガレタ緊張感の無い声。
例え、それが本人に聞えてなくてもとりあえず伝えておく必要があったのだ
なぜなら、これ以上の戯言は『自分のヤル気』を下げかねないからである。

>127
戦場のあっちらこっちらでも様々な声が聞える。
その中で目立つのが、『人非ず者』の次に現れた『羽の生えた男』の声。
しかしヤツがエヴァンスの大将の言う所の『空を飛び光弾を飛ばす』存在なのであれば…
ここにいても感じる強者を求める『匂い』そして、魔界の懐かしい『匂い』。
確信は無い…あくまで予測だが、もしかしたらヤツが『魔族の恥曝し』なのかも知れぬ。
しかし――――――――今の相手はこちらか。

>136
「ゲヒャハッ!言葉のアヤっちュー奴ジャ、そないニ細かい事ァ気にセンとなァ!」
『人非ず者』の手厳しいツッコミを笑いながら弾き飛ばす鎧武者。
目の前の『人非ず者』、見た目からは、もちろん人間と言う雰囲気ではない。
しかし仕草、垂れ流す闘気は人間とソレと酷似していた。
まあ何であれ興味が沸くことは無いが……。

>『まずは小手調べだ・・・俺を失望させるなよ・・・。』
>周囲の空間が歪み、剣閃が奔る。〜12本形成して周囲に纏い、守りを固める
「戯言ォ!!」
一旦構えを崩し思い切り横一文字に振り切った。
美しい紫色のオーラが綺麗に横に残る。
ガシャンと割れるような音を出し、自身に飛んできた歪んだ空間が元に戻った。
何故このような芸当が出来るかと言うと、やはり『妖刀』の力である。
「オメェ・・・『戦ノ楽しみ』っちューモンを分かットらんなァ。」
ポツリと呟く言葉。多少は期待外れと言った感じの声。

※弓を引くような構えに戻すと、重心と体制を極限まで低く落とし
まるで地を這うが如く素早い動きで相手に突進を仕掛けた。
そして歪んだ空間の前に到達すると空間越しの相手目掛け…

「『守り』『小手先』に頼るダケじャァ、ワシャ楽しくないでェ!!」

叫びながら強烈な片手突きを繰り出した。
なにせ常人離れしている体格である、長身である上に、腕も地に付きそうなほどに長い。
このまま突き出せば、アステラには容易に届くだろう。
目標は相手の喉下…しかし例え剣に当たっても砕く自信はある。

※弓を引くような構えとは、左手を前に出し右手の刀の切先を相手に向けた片手突きに特化した構えッす

147 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage ごめんなさい。ラックさんに判定任せますOTL] 投稿日:2006/02/02(木) 11:13:43
>138>139>142>144
「りょう・・・かい。」
感覚が無いままに体を動かすのはあまりいいものではない。
シズネやラック、隊長の応答に一応返事を返す。

FALCONの苦痛の叫びによって辻斬りが何か言った言葉までは聞き取れなかった。
電撃によって水は全て弾かれて大気中にさまよっている。
「トドメにいけるか・・・?<報告:水珠破裂。再構築不可能、残存数6。>」

砦上空にいる氷龍をこちらへと移動させていく。が、

>FALCONの両手にこの渓谷から少しづつ分けてもらった気が集まってくる。
「<警告:巨大意思の収束を確認。推測爆撃予測地点・・・―――身体感覚急速復帰、思考ノイズ発生>」

その直後の行動は無我夢中だった。まさか、自分の行動が仲間を危険な目に合わせるとは。
相手は誰が水を操っているか把握していないはずだから、当然雷を狙うことになる。それは・・・・・・
「ラック!!<報告:広域凍結を保留、氷龍を移動、『氷盾』全力展開。>」

砦の上空から移動しようとしていた氷龍は更に速度を増して、光弾のコースへと身を割り込ませようとする。
恐らく、タメの時間の分間に合うと思いたいが、いかんせんただのー100℃の氷の塊である。
さらに、地中に潜んでいた残りの水の珠が大量の水を纏って浮上、軽騎隊の頭上に氷の盾を展開する。

「ダメージの軽減にでもなれば・・・!」
恐らく氷の龍も蒸発させ、巨大な氷の盾を作り出しても打ち破られるだろう。
光の弾が着弾せんとする・・・。

148 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/02/02(木) 13:50:32
>140>145
レバー操作で次弾を装填、地下の敵の出方を窺うその刹那、
薄い霧の彼方に味方ではない、新しいもう一人の気配を見出す。
「女……?」
霧のカーテンから顔を出す、銀髪の女性と目が合った。
魔力の眼は彼女が下げた長剣の輝きに視界を失い、エヴァンスは咄嗟に義手の感度を落とす。

>「エヴァンス坊や・・・・」

「オーガス騎士団第三遊撃隊のレナスか! 久しいな!
お互い直接口を聞いたのは今日が初めてだろうが……前大戦の英雄が、私を憶えておられるとは光栄な事だ。
神様の使い走りはクビか? 骨董品の剣は変わらずだが、貴様自身は随分と退化してる様子じゃないか。え?
良い機会だ、貴様も人間様の土俵に戻れよ。私と同じにな……!」

相手が剣の柄を掴むと同時に「Burning Chrome」の銃剣を叩き出し、馬上から銃口を向ける。
女は手練の剣士だが、かつての力は失われている、或いは隠されている。
身体から発する魔力はひとまず常人以上、と言った所か。
装備は剣を始め、かなり強力な魔武具らしいが、それらの威力は所持者にも相応の魔力、闘気、聖魔力を要求する。
彼女が当座の見立てのままの力でしか戦えないのなら――エヴァンスにとって、パワー・ゲームで負ける気はしなかった。

>「大丈夫、安心しろ。私はボーヤよりも強いから。」

「そうだと良いな」
気の無い返事。

>「突き通せ!」

地中から延びる、青い炎の切っ先がエヴァンスの騎馬を殺した。
瞬間、虹色の魔方陣が虚空へ出現し、彼の跳躍と共に掻き消える。
馬上の影は空を舞い、彼を覆い隠すように渦を巻いて吹き上がる大量の紙片は魔方陣を書き付けられたペンタグラム。
エヴァンスはレナスから遥か上空、コートをひるがえし、紙吹雪の内から五発の気弾を見舞った。
義手の掌から放たれる光弾は軍用コートと揃いの紫に輝いて、不規則な機動で展開しレナスを取り囲むように襲い掛かる。

>142>144
エヴァンスの身体が上昇を止め、自由落下を始める最中、膨大な魔力の集中を砦の方角に感じ取った。
冴波・ラックの連携か、FALCONか。渓谷に響き渡る声に、エヴァンスの表情が歪んだ。

>「空よ…大地よ…海よ…そして、天高く昇る太陽よ!!俺に力を分けてくれ!!!」

念話装置に向かって叫ぶ。
「ラック、避けろ! 砦へ逃げ込め! 後は私がやる、回避に専念しろ。
重・中・軽騎隊全隊、対ショック姿勢! 魔法の心得のある者は、分隊毎に防壁を張って仲間を守れ」
同時に懐から、先にばら撒いたものとは別のペンタグラムを取り出し、片手で千切って虚空に吹き流す。
「デイジー、ヘティ、ヴァイオレット……
ジェニー、ジョイス、アンジェリン、キャサリン! 出ろ!」
千切られた紙片は金色の光を放ち、やがて七枚の羽根へと変わる。
七枚の羽根はそれぞれ天使の翼へ、翼は五〜七歳ほどの可憐な少女の姿をした天使へ、変幻する。
少女たちは各々拳銃、手榴弾、マスケット銃を携え、白いドレスに身を包む。翼を撃ち振るい、エヴァンスの腕を支えて飛翔する。

年長の天使を一人、エヴァンスは見遣ると、うって変わって穏やかな声で喋り始めた。
「ヴァイオレット。私は貴様と貴様の神に忠誠を誓い、貴様は私と私の神に忠誠を誓った。忘れてはいないだろう――ならば、義務を果たせ」
天使は微笑み、他の天使たちを率いて散開すると、再び落下を始めるエヴァンスに連れられて地上へ急降下していく。

149 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/02/02(木) 21:09:59
>135 >137 >141
掘った穴を覗き込んでいた少女の耳にセシリアの声が聞こえてきた、マリスは覗くのを一旦やめて耳を傾ける。内容は
>「マリス、マックスを連れて穴へ!気をつけて下りれば怪我もせん!外にいる者は適当に見切りをつけて戻られたし!」
…自分の名前が呼ばれ、マックスを連れて穴のなかへ入れとの事。そしてキリの良いところで退却する命令(?)
少女はまた落し穴の中を見る…かなり深そうだ、気を付けて降りなければ足をくじくだろう。て言うか絶対に足を痛める…マックスに抱きかかえて降りると言う手もマリスは考える

>「! マリス!」
その時、マックスの声が聞こえた。振り向くとマックスが近づいてくる
>「セシリアは中? それであの声なら、そりゃ納得なんだが……。おい! セシリア! 無事か!?」
少女に続き、穴の中に声をかけるマックス…そこにマリスが声をかける

「セシリア様は中ですわ。…あの、マックスウェル様。セシリア様が貴方様を連れてこの中へ―」
マックスを見上げていたマリスは屋根の壊れた所から巨大な氷の龍が見えたので言葉が止まる。
>「ハハッ……マジ?」
マックスも龍の方角を見ており、笑いながら武器を構える……何だか段々戦局が悪化しているが、マリスはいたってマイペース
「大きいですわ〜…ですが、どうやって浮いているのでしょう?」
…ノリの良い関西人が隣にいたら頭をどつかれているだろう
しかし、氷の龍なぞ初めて見るマリスにはそれが精一杯だった

>138 >145
暢気に氷の龍を見つめていた矢先、空から何かが落ちてきてマリス達からそう遠くない地面を突き破り中へ…そして辺りの温度が上昇してく
何事だろう?と一瞬思うがそれよりも大事な事がある…マリスの記憶が正しければ、先程この落し穴(?)を覗き込んだ時に横穴が見えた。
そうすると未確認飛行物体が入ったのはその横穴の延長線上。つまりはセシリアがいるはず
あれが直撃したら無事ではすまない…と言うのは少女には勿論わからないが、マリスは銀盤を取り出し声を出す
「セシリア様…お怪我はありませんか?」
シンプルな言葉だが心配はしているようだ


…一時は上昇した気温も元に戻り、また寒くなっていく…そろそろ砦から出ないと凍えてしまうかもしれない
「寒いですわ〜…」
その割りには暢気なマリスであった…しかも銀盤を持ったままなので、のん気な声は皆に筒抜けである

150 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/02/02(木) 21:56:17
「はぁ・・はぁ・・・ああぁ・・・」
荒い息だけが精一杯だね、ホント。ちょいと頑張りすぎだよ。
いい加減、砦周辺の地下はきっちり沼になっただろうからもう良いだろ・・・
疲れたねえ・・・一旦誘脈旗の発動を止めて息をつく。
「さて、どうなったか確認するとするかいねえ。」
ポッソリ呟いて誘脈旗の策敵機能を発動。ソナーのように地下の反応を探ると・・・

>135
「ん・・・なんだってんだい???」
そりゃあ思わず声もでちまうってもんだよ。沼と化したはずの地下にトンネルの
反応があるじゃないかえ。しかも上に逃れたような形跡がない・・・
つくづくあたしの術の上を行ってくれるねえ。
「どこまでも手間をかけさせてくれるじゃないか。どんな面か見てもやりたいがそこ
まで余裕もないからね。
あんまり好きじゃないんだけど、もう力押しで行かせて貰うよ!」
こっちは鼻血を垂らしてまでやってるってのに、このままじゃ収まりがつかないじゃ
ないかえ。
いい加減疲れているのに、また二本挿しは辛い。霧の維持は必須なんだよねえ。
が、引けないからね、もう一度誘脈旗発動だ!
趣味じゃないけど地脈に干渉して押し潰してやるよ!

******************************************************************

地下に微震動が走ってトンネルを押しつぶそうと圧迫します。
周りを沼にしてしまっているので圧迫速度は遅めです。

151 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/02/03(金) 00:36:34
 >168
 >「オーガス騎士団第三遊撃隊のレナスか! 久しいな!
 >お互い直接口を聞いたのは今日が初めてだろうが……前大戦の英雄が、私を憶えておられるとは光栄な事だ。
 >神様の使い走りはクビか? 骨董品の剣は変わらずだが、貴様自身は随分と退化してる様子じゃないか。え?
 >良い機会だ、貴様も人間様の土俵に戻れよ。私と同じにな……!」

 「神様の使い走りも何も、雇い主が滅びちゃってねぇ・・・っと、これは余計な話かね。
  ボーヤもなかなか力をつけたみたいだけど・・・まだイマイチってところだ。」

 >「そうだと良いな」
  (なめられてるなぁ・・・・)

 まぁ、無理もない話である。今のレナスには、相手を萎縮させるほどの魔力も無ければ威圧感もない。
 負け惜しみのように聞こえなくもないが、期待はしていなかった。
 慣れない挑発のような事をしてみたが、やはり効果はなかったようだ。
 さすがは魔軍の将といったところか。

 >地中から延びる、青い炎の切っ先がエヴァンスの騎馬を殺した。
 >瞬間、虹色の魔方陣が虚空へ出現し、彼の跳躍と共に掻き消える。
 「突き通せ!」
 不意をついたつもりで、攻撃を仕掛けてみる・・・が残ったのは騎馬の断末魔の嘶きのみ。
 騎手は――遥か頭上、大量の紙ふぶきを巻き上げながら上昇していく。
 (霧が濃くて見えないっ!)

 >エヴァンスはレナスから遥か上空、コートをひるがえし、紙吹雪の内から五発の気弾を見舞った。
 >義手の掌から放たれる光弾は軍用コートと揃いの紫に輝いて、不規則な機動で展開しレナスを取り囲むように襲い掛かる。
 とっさに索敵範囲を限界まで縮め、相手の攻撃の軌跡を辿る。
 (弾は5つ。2つは・・・外れる。3つは叩き落す!)
 まず初弾と次弾が地面に着弾し、砂埃が舞い上がる。ここまでは計算通りだ。
 次、3発目を切り落とすべく、居合いの要領で素早く射抜く。
 4発目! 剣を振り直している暇などない。そこでレナスは左手で腰の鞘をつかんで同じく光弾をぶんなぐる!
 見事命中、光弾は一直線にエヴァンスの方向へ飛んでいく。ホームランだ。
 最後の一発は、剣を振るった勢いをそのままに、体ごと一回転し、横一文字に切断する。

 「そんな手抜きでは私は倒せないぞ。」
 まだ砂埃がもうもうと舞い上がるなか、エヴァンスに向かって高らかに宣言する。

 >同時に懐から、先にばら撒いたものとは別のペンタグラムを取り出し、片手で千切って虚空に吹き流す。
 >「デイジー、ヘティ、ヴァイオレット……
 >ジェニー、ジョイス、アンジェリン、キャサリン! 出ろ!」
 ――何かをエヴァンスが召還した。何なのかはここからではよく見えない。
 (私を無視して召還って・・・ほんとーになめられてるなぁ。)
 内心そんな事を考えながら、次の行動について考えを巡らせる。

    このままボーヤを追うのが良いのか。
      それとも霧の発生を止めるのが先なのか。

 とにかく今はボーヤが召還した”何か”と、跳ね返した光弾に注意しておこうかね?

152 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/02/03(金) 02:21:08
>144
「…逃げろ」
「え?」
「逃げろ!」

『ユピテル』で倒せるなどとは最初から思ってはいなかった。そもそもラックが自信を持って「一撃で倒せる」などと、
自信を持てる雷術自体、フルパワーの『イリャパ』か『チャンゴー』しかないのだから。実際に倒せるかはともかく。
そして、反撃。それも予想はついているはずだった。「何か」反撃が来ることは。その反撃を、受けきれると、思っていた。確証もなく。
だがラックは、その身体すべてから放たれたあの球体が危険なことを感じ取っていた。毛の先から終わりを示すような。
一言で言うなら…あれはヤバい。
だから、とりあえずC班を逃がす。逃げきれるかどうかも定かではないが…被害を最小限に留めるのも中隊長の役目だ。
ラック自身がその場から逃げていないのは、追尾型である可能性があるため。できるだけラック一人に引きつけ…そして?
(そして、どうするんだ?)
防御?どうやって?無理だ。甲羅に隠れる亀だって、甲羅ごと破壊されてはお終いだろう?自問に、答えはない。
しかし、時間は、無限ではない。
奇跡など、起こりはしない。

>147>148
冴波が操っているのだろう、氷の龍が気弾を阻まんと進路を妨害する。
だがそれは、気弾が当たると同時に虚空へと消え失せた。
冴波が作り出したのだろう、氷の盾が軽騎を守らんと頭上に展開する。
だがそれも、気弾が当たると同時に破砕音が響き割れた。
これではもはや気休めにもならない。少しの期待、そして過度の落胆。防げるのかも、なんて思わなければよかった。

>「ラック、避けろ! 砦へ逃げ込め! 後は私がやる、回避に専念しろ。
>重・中・軽騎隊全隊、対ショック姿勢! 魔法の心得のある者は、分隊毎に防壁を張って仲間を守れ」
「ああ、避けるさ、逃げるさ。それしか方法はないんだろう?」
しかし、既に気弾はすぐ近くまで肉薄している。今から逃げ出したとて、逃げきれるのか。解らない。解らなくても。
(やるしか、ないんだろ)
「なぁ、機械のお馬さんよ。お前がどこまでいけるのか解らないが…限界を、越えてみないか?」
言いながら、ゴム手袋を外し、ありったけの電気を込める。
機械仕掛けの動力部が、小さく、いなないた。

一瞬。その時から、気弾が、ラックに到達するまでは。
一瞬。その時から、馬が、超スピードで砦に到達するまでは。
一瞬>一瞬=一瞬≠一瞬<一瞬。
一瞬だって、その差は果てしない。その一瞬の差が、生死の境目だった。
まさに紙一重。紙一枚ラックが後ろにいたとしたら、きっとラックはもうこの世にはいないだろう。
だがそれでも、ラックは生きていた。それだけは、確固たる事実として。

ラックは砦の正面にいた。当然正面には入り口がある。上手い具合に入り口を通り抜け、砦内部の壁に、激突した。
馬はこの衝撃で大破。きっともう、この状態では動くことはないだろう。修理するかしないと、もうこれは、ガラクタだ。
「最後に…いい仕事…してくれたよ…」
だが当のラックもかなりの重傷。実際、床に突っ伏している。無理な電気の供給、更には壁への激突の衝撃。
これで無事だというのは、無理な話だ。
「早く…逃げないと…」
空を飛んでいた奴は当然戦場を見渡せる、ラックがここに入っていったのは見ていることだろう。
ラックだということは判らないかもしれないが、「超速度で何かが入ってきた」ことは、少なくとも気づいているだろう。
今はまだ上にいるとはいえ、すぐに降りてくることは容易に予想できる。早く、速く、逃げないと。
こんな状態のラックに、戦闘能力はない。

「だめだ…つかれた…つか…れた…」
体を引きずり移動するも入り口の手前で力つき、完全に気を失うラック。
真後ろで、足音が聞こえた、気がした。

153 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/02/03(金) 02:29:54
>148>149>150
手応えはあった。が、意趣返し程度に仕掛けただけなので、それがどの程度の打撃を与えたかは埒の外だ。
次の攻撃が来る前に洞穴を走りぬけようとした矢先、銀板から声がした。マリスの声だ。
>「セシリア様…お怪我はありませんか?」
(無事に済んだら絶対に紐つけよう)
セシリアは腰袋から銀板を取り出し、喋りかける。
「こちらは無事だ。それより穴には入るな。もう入っているならすぐ出てくれ。予定を変えざるを得なくなった」
言い終えて銀板を仕舞いこむ。なんだかずいぶんとこの動作を繰り返しているような気がする。

改めて走り出そうとしたところで、今度は洞穴が揺れ始めた。
ゆっくりとだが、穴の径が狭まっている。地霊に干渉できる術者がいるようだ。
ふと十日ほど前のことを思い出す。国境近辺の哨戒に出た帰途での、魔王軍の小部隊との戦闘だ。
あの時も地霊への干渉を行う術者がいた。あの場で見た奇妙な旗と、眼前の光景が頭の中でつながる。
(魔導具を使用しての術式展開……なるほど、別に武器や防具の形をしてなきゃいけないわけじゃない。
 それに、あの形だからこその利点もあるのかも)
考えている間にも洞窟は狭まってゆく。セシリアは傍らの穴と自分が戻ろうとしていた方を見比べる。
この穴を岩食みで広げつつ飛ぶのが早いか、素直に縦穴まで戻るのが早いか……。

セシリアは後者を選んだ。マントの留め金が光り、体がふわりと浮く。
そのまま文字どおり風の速さで飛び、ほんの瞬きするほどの間に縦穴へたどり着く。
スピードを落とすことなく上に方向を変え、穴を飛び出した。すっかり赤い霧が立ち込めて、ほとんど物が見えない。
ということは、スピードを出しすぎたために姿勢制御に失敗し、
側壁にこすって半身綺麗に泥だらけの今の状態を見られずに済む。


……セシリアはそう考えたが、マックスやマリスが既に霧を退けていることはまだ知らなかった。

154 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage] 投稿日:2006/02/03(金) 05:07:42
>138>145>149>153
「中か」
マリスからセシリアが中に居る事を聞くと、一つ返事をして再度空を見上げる。
「あの龍……どうやらこっちを狙ってる訳じゃ無いらしいな」
隣ではマリスが、どうやって浮いているのかと、疑問に思っているようだ。
マックスはマリスの頭をポンポンと軽く二回叩く。一応、ツッコミのつもりである。

穴と銀盤からセシリアの声が伝わってきた、マックスは頭を掻きながら銀盤に向かって喋った。
「すまねぇ、忘れてた。こういう高級な道具は使い馴れなくってよ……でも、無事で良かっ……!?」
そう言いかけた時、突然飛来する閃光が床を貫いた。轟音が響きわたり、熱気が沸き上がる。
「くっ、何が有ったんだ……セシリア、セシリアは無事なのか?」
横でマリスがすぐに銀盤で無事を確認する。どうやら無事な様だ。穴には入るなとも言っている。
「暫くセシリアを待とう。五分待って来なければ……仕方無い、外に出よう」

気温がまた下がってきた。チラリとマリスの方を向くと、暢気そうに寒いと言っている。
マックスは少しギョッとした様な顔をしたが、暫くして半笑いで肯きつつ、マリスの頭を撫でた。
「マリスは度胸が有るんだな。歴戦の勇士なんて言われてるオッサン傭兵共だって、
この状況でそうは言えねぇ……大したもんだ」
自分よりか弱そうな少女では有るが、自分より度胸が有るかもしれない。彼がそう思った、その時。
何かが穴の中から飛び出し、目の前に着地、マックスとマリスの前に立った。
その【何か】の正体は、半身が泥にまみれたセシリアだった。
「無事じゃ……無いみたいだな……はっ! そうだ! 早く顔を拭かなきゃ凍っちまうぞ!」
そう言って腰袋から布を出した。

「そうだ、これだ! あれが有ったじゃないか! すっかり忘れてたぜ!!」
マックスはまた腰袋に手を入れ、今度は赤い丸薬を出して飲み込む。
「……くぅっ!」
すると、寒さで微妙に悪くなっていた彼の肌の血色が、少しずつ良くなっていった。
「俺が薬草から作った奴だ。飲むと血がたぎってきてな、暫く体が暖まるんだ。
副作用は無いが、馴れるまで変な感じがするかもしれない……まあ、毒じゃない」
そう言ってセシリアとマリスに渡す。
これで暫く寒さが凌げるだろう、要らなかったら捨ててくれ。と、付け加えて。

155 名前:アステラ(悪魔化) ◆r7kOcOEpyM [sage 残り3分] 投稿日:2006/02/03(金) 05:54:45
>146
既に周りの雑音は耳に入らない。狙うは目の前の鬼ただ一騎。

>「ゲヒャハッ!言葉のアヤっちュー奴ジャ、そないニ細かい事ァ気にセンとなァ!」
『・・・脳みそまで蛆にくれてやる事もなかっただろうに。』
貴様は気にならなくても俺は気にするんだ。

>「オメェ・・・『戦ノ楽しみ』っちューモンを分かットらんなァ。」
>ポツリと呟く言葉。多少は期待外れと言った感じの声。
『抜刀を弾いたか、そうでなくてはな・・・』
かつて『悪魔』を打ち負かした
男は防ぎこそすれ弾く事はできなかった。それだけでも、今ここにいる価値はある。
口元が更に吊り上りかけたその時、呟きが聞こえた。雰囲気から少し落胆しているようだ。

>「『守り』『小手先』に頼るダケじャァ、ワシャ楽しくないでェ!!」
>叫びながら強烈な片手突きを繰り出した。
相手の凄まじい速度と威力を伴った突きを体を横に反らしてその軌跡から
逃がしつつ刃の側部を右手で殴りつける。そのまま一旦距離を取って話しかけた。
既に地面と水平に回転していた剣は砕かれている。

『ふん・・・守り、小手先、それらを合わせた全てが戦いだ。
 貴様はその馬鹿力で真正面から斬り合う事だけを戦いと思っているようだが・・・。
 それには賛同する部分もある・・・遠くからチマチマやるのは性に合わんからな。
 しかし、後の先や技(ぎ)を磨いた強者も数多くいる。それらがつまらんと?
 大体、小手先を否定するなら貴様のその仕込みは何だ?』

まるで鸚鵡返しでもしているかのように落胆の色を表しながら
『辻斬り』を指差しつつゆっくりと近づいていく。突如、構えを取り
ほぼ一瞬で『辻斬り』の眼前に迫って駆け抜け様の居合を放つ。狙うは胴。

156 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/02/03(金) 11:50:02
>151
光弾は回避、防御された。一発は弾き返されたが、大袈裟な飛距離が幸いした。
弾かれた気弾をエヴァンスの義手が捉える。掌の内で光は次第に弱まるが、消えてはいない。
着弾も、切り落とされたものも同じ、光の残滓がレナスの四方の地面に落ちる。
「ふん、最近の天使格は」
地響きを立てて着地するエヴァンス。彼の言葉と共に、義手が紫の光の奔流を解き放つ。
「結界さえ見破れぬのか……? ああ、レナス? 本当に鈍ってるな。貴様には向かない仕事だ」
レナスの四方とエヴァンスの掴まえた一つ、紫の光条が五点を結び、歪な五芒星を地表へ描いた。
完成した結界術に義手の魔力が流れ込むと、五芒星は瞬く間に魔法の金糸を紡ぎ、拘束術式を発動する。
魔力の糸がレナスを絡め取れば、彼女が結界術を上回る魔力の放出を行いレジストするまで、彼女を拘束しておく事が可能だ。

「一応教えておいてやるが結界は特別製だ。
貴様が武具の魔力を解き放てば解除は容易だが、術式は過剰な魔力流入を受けて別術式に変形する」
空を指差す。紙吹雪は風に乗って虚空をうつろい、落ちてくる様子が無い。
「移動呪文だよ、出口はあれさ。貴様が空を飛べるなら無用な心配だが」
念話装置を口元へ運び、
「逃げるなら早い方が良いぞ……砲兵部隊へ。敵攻撃目標を発見、要撃せよ。座標軸を転送する……それでは、また」
エヴァンスは再び虹色の魔方陣を残して、その場から姿を消した。
代わって、周辺に配備されていた砲兵部隊の小型魔導砲数門がレナスを仕留めるべく、砲口を向ける。
ルビーの赤に染め上がる光の砲弾が、五芒星を目印にして砲門より放たれた。

>152
「数年振りの本気だ! クソッタレに最高だな! 冗談じゃねえ!」
空中にばら撒かれたペンタグラム。移動術式の出口にして、エヴァンスの空中歩行の足場。
風に流された数枚の上を、飛び石の如く跳躍していく。召喚された七人の天使を伴い、砦へ向かう。
ペンタグラムに乗って俯瞰する、足下の「百鬼夜行」三百騎は蟻のようだ。
着弾の間近に、エヴァンスの怒声。天使は連れ立って砦へ飛び、FALCONが放った元気弾から上空で手を繋いで輪になる。
空を疾駆する最中も、エヴァンスの右手は魔法小銃を操作して、新しい魔法弾を準備していく。
クリップを排出し交換、レバーを起こして引いて装填。

「光が見える、我が想い人をこの腕に抱く時に。光が見える、日除けが下ろされている時も」

天使の輪の中心へエヴァンスがライフルを撃つ。雲が裂け、眩いばかりの陽光が砦に降り注ぐ。
やがて光は輪へ集束し、中心で炸裂した弾丸は魔法術式を発動、空間を切り裂き異界へのゲートを開いた。

「躊躇ってしまう、彼女を傷つけてしまうような気がして。
けれど、そんな気持ちは取り払ってしまおう。この感覚は、二人で分かち合えるものなのだから」

元気弾は着弾、炸裂するが、広がる光の半球は俄かに渦となって、天使の輪に吸い込まれていく。
二つの力の潮汐が砦の建材を剥がしていく。巻き上げられる砂埃、小石、地表の騎馬たちには突風に薙ぎ倒される者も。
エヴァンスは天使から退き、紫に強く輝く義手の左手を握り締め、唄う。

「そう、彼女は僕の心を捉えてしまった、虚空に……」

セラミックの外板にヒビが入り、エヴァンスは顔をしかめる。
異空間ゲートの引力が元気弾の力を奪う、その行き先は「Calverinia」だ。
義手のスペックを越えれば、吸収した力は終に放出されてしまう。限界を見取り、エヴァンスは指を開いた。
天使たちが輪を解き、ゲートが閉じた。吸収途中のエネルギーが砦の上部を完全に吹き飛ばし、巨大な光球が中空へ取り残される。
しかし力の大半が「Thin Air」に引き寄せられ、残り香は円状に広がり、爆発すると消えてしまった。
「各隊、被害報告を。敵はまだ残っている、助かった者も油断するな」
被害は決して軽微ではないが、全滅は免れた。義手は紫の輝きを次第に弱めていき、普段の通りに戻る。
蓄えた力は一時に多すぎて身に余るので、異界へ押しやられたのだ。
七人の天使と空中で静止したままのエヴァンス。敵味方の被害を推し量っていく必要がある。

157 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/02/03(金) 12:43:07
>152>156
上空にいるFALCONが放った光弾によって部隊自体にも損害を被った。
防御の為に展開した盾も、犠牲とした氷の龍さえも紙一枚の防御にもならなかった。
「<警告:情報構築式破綻、広域凍結:解除、水珠:残数1>」

失意は意識の空白を生み、砦の冷気は緩和された。勿論、風が吹かなければ冷気が留まるのだが。
その意識の空白・・・。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
【祭壇の四方を囲む4人の男女】
【大剣を掲げる長髪の女性】
【槍を掲げる少女】
【棍を掲げる巨漢】
【篭手に宿る爪を掲げる男】
『我らは・・・。』

そして、また歯車が噛み合う音がした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
意識を取り戻してみれば、辺りでは自分の部隊の者が呆然としていた。そうだ、呆けている場合ではない。
ここから彼らを退避させなければ。そして、馬から降りる。
「猫。」
[ん?]
「部隊を退避させろ、私の馬を使って少しばかり退いておけ。」
[隊長は?]
「仲間を弔うことにする。」

そこに入るエヴァンスからの通達。今はあまり考えていてはいけない。
「防御式を展開したものの被害は中騎隊の4割。被害拡大を防ぐために部隊を少し後退させます。」

そして、上空に浮かぶFALCONを見据える。
「人の事を女と侮る可愛くない連中だったが、それでも・・・・・・時間を共にした部下だ。」

大剣の布を取り払う。陽光を浴びた剣は鈍色を放つ。
上空に浮かんだ雲がFALCONを無視するようにゆっくりと降りていく。
地に手を着けていた冴波はゆっくりと面を上げて、天へ登る。
地の底から湧き上がる水は彼女の周囲を細い鞭となって旋回する。
冴波に近づいた雲は幾片もの氷の嵐となって冴波の周りを旋回する。
一歩、そしてまた一歩、氷で汲み上げた階段を登る。左腕に嵌った腕輪の黒い宝珠が一つ砕けた。
「<論理式、『綻びの呼び水』展開。強化式作動。身体能力制限解除予約。>」


――――――――――――――――――――――――――――――――――
黒い宝珠
左腕に嵌った宝珠が持つ力は『強化』。
氷や水であれば運動速度の強化・質量増大をもたらします。
重力の属性を持ち、単体で行使すれば限定範囲内での重力操作も可能です。

158 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/02/03(金) 23:36:53
>147>156
発射された元気玉は、砦からやってきた氷の龍を砕き、部隊に展開された氷の盾を砕き、進んでいく。
敵を討ち滅ぼさんとする元気玉の前に現れる者。七人の天使達。
七人の天使達は手を繋ぎ合って輪を作り、眩い陽光を放ち、異界ヘのゲートを作り出す。
「また俺が吸い込まれるのかー!!!!」
FALCONが叫ぶ意味不明の言葉。
事情を知る者がいれば、この状況を見て先の言葉の意味理解するだろう。
だが、吸い込まれそうになるのはFALCONの放った元気玉。
吸い込まれそうになる元気玉と異界に続くゲートがぶつかり、
その余波による突風に周りのものが薙ぎ倒されていく。
元気玉を吸収することができなかったのか、天使達は輪を解くと異界へのゲートを閉じる。
余ったエネルギーが暴れ狂い、砦の上部を完全に消しさり、空中で大爆発を起こす。
「うごぉぉ!!!」
砦のすぐ上にいたFALCONも元気玉の余波をまともに受ける。
「ちょっと痛すぎるぞ!!こんなのを俺はフェンリルやガストラにぶちかましたのか…」
元気玉について少し考えているFALCON。
そこに旧友エヴァンスと天使達の姿が見える。
FALCONは急降下してエヴァンスの元に直行。
「よぉ、久しぶりだな。元気にしていたか?
そこの美しい天使様達はエヴァンス君の伴侶かな?七股はいけないぞ!!」
まだ魔法効果が掛っている声で、敵と知ってか知らずか、親しみを込めて話しかけるFALCONであった。

159 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2006/02/04(土) 01:27:59
ha!

160 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/02/04(土) 02:31:16
>155
「ヌゥ!?」
自ら放った突進技が相手の胸を捕らえたかと思ったとき…
不意にその起動が大きくずれる。
どうやら刀を直接殴られたらしい、
よく思えば直線的な力は横からの力には弱い、そこを突かれた様だ。
弾かれた突きは起動を、変え周りの地面が大きくヒビを入れながら地に突き刺さる。

「ほゥ……大したモンやなァ。」
刀を地面から抜きつつも、口からが人事のような感想が毀れた。
何しろ長い『お預け』を喰らっていたのだ、これくらいの力量で無ければ張り合いが付かない。
それにしても相手には随分と距離を離されたものだ。
>『ふん・・・守り、小手先、それらを合わせた全てが戦いだ。
>(中略)
>大体、小手先を否定するなら貴様のその仕込みは何だ?』

「戯言抜かすナや大体なヤぁ!・・・戦いタァ所詮は『タマ』の取り合い。
 いつ自分が死ぬンか分からン場所デ、たとえ相手に斬られ様と腕落とされようト
 先に相手のタマを取ル、そう言う駆け引きヲ楽しむモンや。
 ただ守って、タダ遠くから攻めて
 自らの命、直接危険に晒す事も出来ヘン輩にャ、この痛みの快感ヤ殺しノ喜びヲ理解出来る筈が無いワ
 キヒヒ……オマエなら分かるヤろォ?、人を斬る時とは違う戦いノ『喜び』ヲなァ!!」

歯をカチカチと鳴らしながら相手の問いに嬉しそうに答える。
いつ相手が向かって来ても、おかしくない状況。
しかし、不意にその意識が一瞬だけ逸れた。
>152
何かが、自分達の横を凄まじい速度で通過し砦に突入したのだ。
普段ならば見向きもせず、『あっそうそれがどうした』程度で済ます問題だが、
乗っていた奴は恐らく……あのガキだ。
(せやが、何故抜け駆けを?)
そんな疑問が頭を過ぎるが、一瞬だけ後方の部下達を見やる。

『…!!』
『オイ!辻の親父から突撃命令が出たぞ!!』
その視線を察したか、正面に展開してた特攻隊のオークが叫ぶ。
【睨まれたら特攻しろ】そう言葉細かく教えられていたのだ。
それを合図に展開してた半数約50人の重騎兵が一斉に砦に雪崩れ込む。
しかし入り口正面に倒れていた誰かに気付くものは―――いなかった。

その動作が大きな隙を生んだ、相手は一気に間を詰めると胴に向けて強烈な居合いを放ってきたのだ。
――――避け切れん。そう思うや否や、腰を曲げ体制を低くし相手の剣激を肩当てを滑らせ多少軌道をずらすが。
相手の一閃はずらすと同時に、右の肩当を砕き散り、下の腕骨に大きなヒビを入れた。
体に走るは衝撃、痛み―――そしてそれ以上の快楽。
「ゲヒャ……ゲヒャッ!?ゲヒャハハハハハ!!!!!
 ゲヒャハッ!コレや!この痛みヤ!。ホンマ、こないニ楽しいンはいつ以来やろうナァ!!」
沈黙を破ったのは歓喜に震えた笑い。聞く者には不気味としか聞えないしゃがれた声。

「ヒャハハ!もット笑おウやないか!?そンでモット楽しもウや!!」
体勢を立て直すと、左手を広げ相手の喉元に掴みかかる!相手との距離はゼロ距離。
捕獲するには十分すぎる距離だ。
響くは高く耳を劈く愉快そうな笑い声

161 名前: ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/02/04(土) 18:39:40
コピペミスで丸々一文抜けてた為ちょっとだけ修正故orz

しかし入り口正面に倒れていた誰かに気付くものは―――いなかった。

各々が砦に突入し、倒れていたラックの横を通り砦深部へと駒を進ませる。
入った瞬間冷気が体を蝕むが、誰一人馬を止めるものはいない、
ただ必見必殺を目標に、広間へ魔方陣へ部隊を展開する。
奇跡に近い事であるが、誰一人としてラックを踏まなかった。

162 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/02/05(日) 01:27:13
 (っく・・・切れたかぁ。)
 正直、あの光弾が切れる自信など無かった。
 特に鞘で弾くなんて離れ業、とっさに思いついてやってみたが、ここまで見事に弾くことができるとは思わなかった。
 弾いた光弾は取り込まれてしまったが、やり過ごすことができただけ良しとしよう。
 足元には切り落とした光弾の欠片と、当たらずに地面に着弾した光弾。
 まだ魔力が残留しているらしく、ぼぅっと光を帯びている。

 >「ふん、最近の天使格は」
 「まだ言うか・・・。そんなに言うなら全力で来てみてはどーだい?」
 その言葉は届いたのだろうか、地響きを立ててエヴァンスが着地する。

 >「結界さえ見破れぬのか……? ああ、レナス? 本当に鈍ってるな。貴様には向かない仕事だ」
 「ボーヤ・・・、ボ−ヤはいろいろ勘違いしてるようだから一応訂正しとくけど・・・
  結界はわざと踏んでやった。どんな浅知恵を思いついたのは興味もあったしね。」
 この会話の最中も、エヴァンスの術は進行していく。
 しかし、レナスは何事もないように話を進めていく。
 「あと・・・私は別に戦いに向いてると思ってここに来てるわけじゃない。
  ・・・なんていうか・・・ボーヤのような阿呆に私の帰る場所を奪われるのが嫌だっただけ。
  たのしそーだったっていうのも否定しないけどな。」
  そう言うと、レナスは心底楽しそうに口の端を吊り上げた。

 その瞬間、エヴァンスの結界が完成する!
 会話に気をとられて気がつかなかったが、そういえば五芒星のようなものが出来ている。
 そこからいやらしく這い出してきたのは・・・大量の金色の糸。
 「へぇ、養蚕でも始める気?」

 >「一応教えておいてやるが結界は特別製だ。
   貴様が武具の魔力を解き放てば解除は容易だが、術式は過剰な魔力流入を受けて別術式に変形する」
 「いらん忠告をありがとう。おかげで解除の糸口が見つかったよ。」

 エヴァンスが空を指差し言った。
 >「移動呪文だよ、出口はあれさ。貴様が空を飛べるなら無用な心配だが」
 レナスは”やれやれ”のポーズをとって言う。
 「あいにく、私は生来のヘソ曲がりでね。人の言うことを聞くのが嫌いなんだ。
  ま、心配しなくとも一瞬で抜け出してあげるさ。」

 >「逃げるなら早い方が良いぞ……砲兵部隊へ。敵攻撃目標を発見、要撃せよ。座標軸を転送する……それでは、また」
 「そして遠くから狙撃かぁ・・・とことん下衆だな。」

163 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/02/05(日) 01:27:58
 >エヴァンスは再び虹色の魔方陣を残して、その場から姿を消した。
 >代わって、周辺に配備されていた砲兵部隊の小型魔導砲数門がレナスを仕留めるべく、砲口を向ける。
 >ルビーの赤に染め上がる光の砲弾が、五芒星を目印にして砲門より放たれた。

 もう狙撃が始まった。さすがに連携だけはいいな、と思わず感心してしまう。
 とにかく今やるべきことは、狙撃をかわすこと。これは”ある事”をすることで易々とかわせる。
 もう一つの課題、結界からの脱出も、レナスの勘が正しければ、その”ある事”をすることで解決できる。

 こちらはエヴァンスの命令を受けた砲撃手の一団。
 十人程度のグループで、一人だけ軍服が違う者がいる。恐らくは隊長格なのだろう。
 その隊長格以外の隊員が、レナスに狙いをつける。
 そして頃合を見計らい・・・隊長が発射命令を下した。

 「撃てぇぇ!」
 その声が辺りに木霊するより一瞬早く、隊員の全てが不思議な光景を目撃した。
  その光景に驚いた隊員の半数は、発射命令を聞き逃し、砲を撃ち損なった。
 レナスの方を見ず、発射命令のみを出した隊長は、その異変には気がつかずにいた。
 空しく弧を描いて飛んでいく赤の砲弾。
 しかし、砲弾の絶対数が足りないということにやっと気がつき、近くにいた隊員の胸倉を掴んだ。
 「どうした!なぜ撃たない!」
 胸倉を掴まれた隊員は、途切れ途切れに答える。
 「も・・・申し訳ありません。対象を消失しました・・・」
 それは到底信じられる報告ではなかった。
 隊長自身、レナスが拘束されようとするのを見ていたし、あの術式の特性も知っている。
 こうも簡単に抜けられるハズがない。
 懐から出した特製の望遠鏡を使って、レナスが居たハズの方向を調べてみる。
 ・・・やはり居ない・・・いや、いた!
 よく見て見ると、レナスの身長が半分程度まで下がっている。
 「腰を下ろしたのか!?ええい!馬鹿にしおって!第二弾用意!!」

 隊長が息巻いているのを知ってか知らずか、レナスは頭上を通り過ぎる砲弾を見上げていた。
 狙いは点でバラバラで、一つとしてこちらに向かってくるものはない。
 「・・・やれやれ、下衆な上に出来損ないか。ボーヤも救い様がないな。」
 ところでこのレナス、断じてここに腰を下ろしているわけではない。
 では、なぜレナスの身長は下がったのか。
 それはレナスの長旅の中にヒントがあった。
 海を越えたある島国で、レナスは一人の体術使いに会った。
 名は・・・異国の名で難しいので忘れてしまったが。
 とにかく、この体術使いが「自己鍛錬のため」と言って、身体を変化させていた。
 その変化というのが、己の身体を小さく、だいたい幼女と言われる程度まで縮めるものだった。
 今回、レナスが用いたのはそれであり、それは狙撃兵の目を眩ませた。

 そしてもう一つ、結界の解除だが・・・
 あの時、エヴァンスは「特別製」と言った。
 「特別製」ということものは、逆に「汎用性がない」とも言える。
 そこを逆手に取り、身体を変化させ、術式に破綻をきたす事ができれば・・・結界は無効化されたも同然である。

 砲弾が頭上を通りすぎるのを見届けたレナスは、易々と結界から這い出した。
 そのまま立ち止まらずに狙撃兵の死角に逃げ込んだ。
 潜んでいる方向さえ分かれば、狙撃を抑えるのは難しくない。
 死角に潜みながら歩みを進める。
 どうやらエヴァンスは他の場所に向かったようだ。
 と、なると当初の目的である怪しい気配を追うのが得策のようだ。
 ・・・服がぶかぶかだ。

164 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/02/05(日) 02:37:51
気弾がラックに向けられていた以上、当然ラックの周りにいた軽騎隊が、一番の被害を受けることになる。
エヴァンスの技により多少威力が軽減されたにも関わらず、しかしその威力は凄まじい。半端ではない。
半数が死亡。残りの半数も、その大部分が大なり小なりの傷を負っている。特にC班に至っては、一人を除いて全滅。
そう、一人を除いて。

女は気づいた。自分が死んでいないことを。女は分かった。何かが自分に覆い被さっていることを。
その「何か」は、もう原形を留めてはいなかったが…その身を挺して、自分を守ってくれたのだ、というのは理解できた。
女にとって、命を投げ出してまで自分を守ろうとする者など、一人しか思い当たらなかった。だがその結論を拒否する。
しかし現実は非常なもので。首があったはずの場所から、その魔族の男であることを示すネックレスが光る。

将来を誓い合った男だった。共に歩んでゆこうと。
魔族と人間のハーフという、どちらからも忌み嫌われる女を、その出自を知った上で、包み込んでくれた。
戦いは女より弱いくせに、戦わなくていい、などと常々言っていた。俺が守る、という恥ずかしい言葉を付けながら。
だから女はそれに応えた。新部隊に配属されたばかりだったが、離隊届を出すはずだった。そして、一緒に暮らそうと。
しかし、男はもう居ない。死んだ。死んでしまった。死んでしまったのだ。
「――――」
女は、泣いた。
――それは決して傷の痛みではなく――
声を上げて、啼いた。
――喪失の傷が、心に――
はばからず、哭いた。
そして、女は。

>160-161
ラックは気づかない。何も。
倒れている自分の横を、騎馬がわんさかと通り抜けていったことも、何も。
ラックは気づかない。何も。
その場に漂う冷気が少しずつ、だが着実に、体温を下げてきていることも、気づかない。
ただ、意識を闇の底へと落としているだけ。浮き上がる気配はない。
やがては危険な状態へと?

165 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/02/05(日) 11:47:03
>150>157>158
天使たちがゆっくりと旋回を始め、FALCONの周囲を固めた。
彼はエヴァンスを味方と勘違いしている、或いはそのフリか。
降り行く雲は冴波の術か、彼女自身の魔力反応も増大している。

>「よぉ、久しぶりだな。元気にしていたか?
>そこの美しい天使様達はエヴァンス君の伴侶かな?七股はいけないぞ!!」

相変わらずの間抜けた口調で、エヴァンスに話し掛ける。
しかし冴波は彼を殺る気だ。エヴァンスも先の結界術からレナスの気配が消えた事が気懸かりで、彼を相手にする余裕が無い。
念話装置を口元にやり、各隊に連絡を掛ける。尤も、実際に口に出して言う訳ではない。
義手の魔力を直接照射、記号音声での連絡だ。本部中隊の通信機経由で暗号化されているから、FALCONに気付かれはしないだろう。

「ヒワタリ、コイツを抑えられる――いや、殺れるか? 戦闘中の目標が一体、ロストした。
私はシズネの隊を守らねばならん。貴様はFALCONを、中騎隊は負傷者の救出と捜索に当たらせろ。
ラック! 聞こえるか!? ラック! 軽騎隊を集合、撤退準備だ! 聞こえてるのか、ラック!」
応答が無い。重騎隊は砦の内部へ先行しているが、この状況では好きにさせておくのが一番良い。
「辻斬り、重騎隊は一匹でも多く殺せ。ああ……但し、白ずくめの鎧に長い黒髪の女だけは可能ならば生きたまま捕縛しろ。
シズネ、蚩尤旗はもう止めて良い、別の術を準備しろ。成る丈派手なヤツで、砦を丸ごと打ち壊せるヤツ。
歩兵隊は前進、騎兵部隊を援護しろ。砲兵隊も右に同じ。味方を撃たんよう注意しろ。

さて、と。
FALCON、貴様の馬鹿面を久々に間近に見れて嬉しかったよ。いずれまた会う事になるだろうから、今日はまた……な」

指を鳴らすと、すかさず七人の天使がライフルの銃剣先を揃え、FALCONへ向き合う。
エヴァンスは空中に魔方陣を撃ち放ち、戦線の後方へ飛び去って行った。
時同じくして七人の天使はFALCONを囲う輪をそのままに上昇し、一斉に攻撃を開始した。
彼女らのライフルから放たれる青い光線、FALCONを外した一発は砦の壁を豆腐のように切り裂く。

166 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/02/05(日) 11:49:28
空中を後ろ向きのまま、猛スピードで移動するエヴァンス。念話装置を調整し、軽騎隊副隊長を呼び出す。
直接喋る事は無しにコールサインだけ入れておいて、まずは生存を確認する。応答があれば、ラックの捜索に差し向ける手筈だ。
ついでにと、冴波にも繋いでおく。風が耳元に煩いだろうが、仕方の無い事だ。

「ヒワタリ。貴様がFALCONの相手をするなら、話しておきたい事がある。
貴様の動きが少し、性急に見えたものでな。何、短い説教だよ。
貴様はいつか、『ヒトの生きる意味』とかそんな事をシズネに尋ねていたな。
余計な事だが私見を述べてやる。参考にしておくと良い――反面教師かも知れないが。

人生ってヤツは読んで字の如く、詰まる所『死んでねえ』って事だよ。色んな意味でさ。
『死ぬ』って事は『終わる』って事。死んだら終わり、逆に『生きてる』限り人間は終わっちゃいない。
人生なんてクソッタレだ、ロクな事無い。本当はさっさと終いにするのが賢い選択だろうよ。
けど俺には最後の意地がある、だから生きてる。神様の不当な審判に対する報いを、借りを返すのさ。
俺はな、ヒワタリ。天上で澄ましっ顔のクソッタレジーザス様の横面張って、恋人を奪い返しに行かなきゃならないんだ。
それまでは死ねない、終われない。早く終わりにしたい、面白い事なんか一つもありゃしないのによ。
でもまだ死んでないぜ。やらなきゃ逝けない事もある、ってよ。お前はどうだ? まだ借りが残っちゃいないか?
貴様にそいつが『向き』だと思ったなら、俺に剣を預けて欲しい。最低の人生をブチ殺しに行くんだ、自分の領分を取り戻すんだ。

さて……レナス嬢は上手い事逃げられたようだな。
四年前の彼女と同じ技を使うってのは、少々ケレンが効き過ぎた感もあったけどな」
砦から大分離れた所で、移動術式を発動する。レナスの姿は見えずとも、神剣は正しくネオン・サインだ。
レナスの頭上を浮遊するペンタグラムに片足の爪先を置いて、音も無く出現する。

>163
「さっきは失礼、野暮用でね」
風を巻いて、上空を漂っていたペンタグラムが一帯に集まり出す。
「若返りましたな、レナス殿……って一年前もこんなセリフ喋ったっけな」
原因は分からないが彼女の身長が著しく縮んでいて、そのために術式を破られたらしい。

ペンタグラムから足を離し、レナスから少し離れた地上へ急降下する。素早く低く身構え、義手の魔力を解放させた。
同時に右手の人差し指を犬歯で噛み切り、展開させた虹の魔法障壁に血の五芒星を書き付ける。
「『Huckebein』!」
紫電を纏った凶鳥の影が薄く伸び、羽を広げてレナスへ飛び掛かる。義手の掌を天上へ向け、
「流星の術、だったか? 違うか? まあ良いさ――『Dead Ray』!」
『Huckebein』と連動して、空の彼方から無数の紫の光線が降り注ぐ。着弾点は大きく抉れ、岩をも砕いた。

167 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage] 投稿日:2006/02/05(日) 14:36:56
>158>165>166
だんだんと氷の階段を作り登っていく冴波。
そこに、通信が入った。エヴァンスからだが・・・。

「了解。是が非でも。それと・・・いや、なんでもない。」
とだけ伝えて、通信を切る。眼下に広がる中騎隊の中で猫がこちらを見上げている。

(一騎打ちを行う。中騎隊は負傷者の捜索と手当てに当たれ。砦内部に突撃した重騎隊の援護を。
 冷気が解除されて、中に人がいれば動き出す頃だ。)
ハンドシグナルだけで指示を伝える。猫を傍にいさせたのは彼女の近接戦闘能力ではなく、その視力と読心術によってなのだ。

「さて・・・指示は終わった。後は、弔うだけだな・・・・・・。」
おそらく、FALCONの下からは猛烈な冷気が伝わってくるだろう。
やがて、彼と視線を合わせる位置に着く。

「初対面といったところか。名乗らせてもらおう、魔王軍・特戦科独立大隊『百鬼夜行』中騎隊隊長、ヒワタリ=サエナミだ。」
布を既に外した大剣は切っ先を天に向けるようにして逆手に構えて右手に持っている。
周囲を高速で飛び交う無数の氷の弾丸は、その速度を増してきている。
体を半身に開き、左手を開けて、FALCONに向けて突き出した姿勢を取る。

「戦の前には私は常に相手に聞いてきた。だから、アナタにも問おう。『この世に人間という種族が、生命が生まれた理由とは何か?』
 答えないならそれでもいい。それも一つの答えだ。」
左腕の腕輪の黒い宝玉がまた一つ砕け、破片が周囲を飛び交う氷の弾丸に混ざっていく。
「<綻びの呼び水:展開準備完了。対象存在情報の収集を要する。>」

「行くぞ・・・!」
また宝玉が一つ砕けて舞っていく。
気を感知できるならば、眼前の彼女の気が段々と増していくのが感じられるだろう。


一方、砦では・・・。既に冷気が解除された事で氷が日差しに溶け始めていた。
氷がうっすらと放つ冷気もやがては融解し、元に戻るだろう。

168 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/02/05(日) 16:01:52
>165
FALCONを警戒してか、七人の天使達が周りを囲んでいく。

>「FALCON、貴様の馬鹿面を久々に間近に見れて嬉しかったよ。いずれまた会う事になるだろうから、今日はまた……な」
「相変わらず口が悪いなぁ…んじゃあな、サタンの使いっぱしりさんよぉ…」
どうやら、FALCONはエヴァンスが魔王軍に在籍していると分かっていたようだ。

エヴァンスが指を鳴らすと同時にライフルを構える天使達。
天使達を囮にエヴァンスは魔法陣を使い、この戦場より後方へ下がっていった。
天使達はエヴァンスが下がると同時に上昇し、こちらに一斉にライフルから光線を放つ。
「このくらいの攻撃…」
FALCONは天使達の光線を、気で体全体を固めて堪える。
当たったのは六発。
残りの一発はFALCONから外れ、砦の壁をいとも容易く貫いた。
「今度はこっちの番かな?」
FALCONが放つは体の全身から放つ気による強烈な衝撃波。
若干威力を抑えてはいるが、七人の天使達を簡単に吹き飛ばす威力はある。
この衝撃波による砦への影響は無いようだ。
七人の天使達を吹き飛ばすと今度は下方から強烈な冷気が。
強烈な冷気の発生原は女性。
その氷を階段のようにして上る女性と目が合う。



169 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/02/05(日) 16:04:20
>167

>「初対面といったところか。名乗らせてもらおう、魔王軍・特戦科独立大隊『百鬼夜行』中騎隊隊長、ヒワタリ=サエナミだ。」
「ご丁寧にどうも。
俺は魔王軍…っていってもサタンの軍じゃなくて、俺の母上の軍だが…
魔王軍特別戦闘部隊隊長兼、
オーガス皇国暗殺爆撃部隊隊長兼、
同盟軍の一兵士兼、
武道家のFALCONだ」
敵の女性は右手に剣を逆手に持ち、身体中に冷気と氷の粒を纏って構える。
おそらく先程の元気玉が貫いた氷の龍は彼女が作り出したものだろう。

>「戦の前には私は常に相手に聞いてきた。だから、アナタにも問おう。『この世に人間という種族が、生命が生まれた理由とは何か?』
>答えないならそれでもいい。それも一つの答えだ。」
「いきなり難しいことを聞きやがるな…
俺は魔族だが、純粋な魔族になってからは日が浅い。
だから魔族が産まれてきた理由なんて分からない。
魔族だけでなく全ての生命が産まれてきた理由なんて、なおさら俺には分からないな。
だが…俺がまだ人間だった時の俺ならこう答えてるだろうな…
俺達サイヤ人は戦闘種族。戦うために産まれてきた者達だ。
産まれてきた理由などどうだって良い。
産まれたからには死ぬまで戦い続けること。
だから…さぁ!!!戦おうぜ!!!!」
眼前の女性も冷気と共に気を高めている。
「はぁぁぁぁ!!!」
FALCONも声と共に気を高め、体全体に炎のような荒々しい黒い気を纏わせる。
コートの内側から黒い短刀、黒爪を取り出し、刀身を30cm程から90cmぐらいまで伸ばす。
黒爪にも炎のような黒い気を纏わせて、FALCONも黒爪を両手で持ち中段に構える。

「行くぜ!!」
その場から上昇し、黒爪を大きく振り上げ、サエナミを一刀両断するべく、
上昇から一転した急激な下降の勢いを利用し、黒爪を猛烈な速度で振り下ろした。



170 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/02/05(日) 18:37:37
>153
「労働の汗は気持ちいいねぇ。ほれちょいと、ティッシュと煙管をおくれ。」
トンネルは完全に埋没。人が埋まっているような反応はなかったが上々な出来だろうて。
砦の方では閃光が走ったり、ここまで震動が来たりと大変そうだが、こちらはこちらの仕
事をするまでだよ。

>165
あとは蚩尤旗を維持していくだけで楽できると蚩尤旗片手に煙管を吹かしていたが、そう
は問屋が卸さないらしいよ。

さて、砦を壊す。それなら地下が沼と化している事だし、ちょいと地震を起こせば事足りる
だろう。だけどそれじゃあ余りにも華ってもんがないわいなぁ。となると・・・。
「お前さんたち、そろそろ仕事も大詰めだ。警戒の必要もないだろうからあたしを手伝って
おくれ?この符を額に貼るんだよ。」
この符、吸精符ってんだけど、符を貼られた対象の魔力気力精力って類のものを術者に
還元する代物よ。
派手なのを所望されちまったが、いい加減身一つでは持たないからね。補充する事にし
たって訳さ。
「そのまま干乾びるか生き残るかはあんたら次第だ。これも給料のうちと思って辛抱して
おくれよ。」
魔族ってのは絶対服従なのか健気なのか知らないが、黙って従う部下達に一言かけるよ。
でないとなんだかあたし一人悪い奴みたいだからねえ。
「さて、あんたらの力は無駄にしない。あたしもいかせて貰うよ!」
蚩尤旗と誘脈旗をまた二本挿しして術を発動する。
力を入れすぎてまた鼻時は出るは毛細血管が破れて目からも血が出るが構ってられない。

誘脈旗の力で地脈に干渉開始。
蚩尤旗の力で霧を操作。渓谷から霧が薄れ、完全になくなる。だが、消えたわけじゃない。
移動しただけさ。

術を発動させていると旗に異常が起きる。二本ともにだ。
柄の部分には大きく亀裂が走り、旗は織り込まれた刺繍が弾けるように所々破れていく。
二つ同時に術を展開している時に、注ぎ込まれる力にノイズが入っていたせいだろうね。
あたし専用にカスタマイズしておいたのが仇になったよ。
だが今更止めるわけにはいかない。このまま突っ切ってやる!

*************************************************************

蚩尤旗の効果は霧に包まれた時に発生しますので、ステータス異常はなくなります。
護衛兵は力を吸い取られていますので、遭遇しても動く事はないです。

171 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/02/05(日) 22:08:32
>154>170
セシリアが床に降り立ったところで地響きが止まる。穴から吹き込んでいた風も。
どうやら穴は完全に埋められたらしい。
>「無事じゃ……無いみたいだな……はっ! そうだ! 早く顔を拭かなきゃ凍っちまうぞ!」
霧の中からいきなり布が突き出された。
「ああ、すまない。……見えているのか」
受け取った布を鎧の石に当て、少し湿らせて顔を拭った。
次いで差し出された丸薬を口に放り込む。
「……違和感のある味というかなんというか」
しかし飲んですぐに頬に朱が差すのを自覚できた。
傭兵だけあってか実践的な知識は豊富なようだ。
破れた屋根からは喧騒と爆音と閃光が漏れている。
地下で右往左往してる間に戦局がだいぶ動いたらしい。

砦の中にも敵が入り込んできたらしく、足音や怒号が近づいてきている。
「地下が駄目というなら、天が下を堂々と歩いて行くさ。……来い!」
広間の入り口へ向けて手をかざし、槍を呼ぶ。旋風を纏った槍が壁を貫きながらセシリアの手元に戻る。
ただし霧のためセシリアにはそれが見えないので、破壊音がだんだん近づいてきて急に手に収まったように感じた。
「で、行け」
手に収まったばかりの槍を着たほうとは正反対に向けて放る。槍は来たときと同じように壁を砕きながら飛んでいき、
同じように途中にあるものを壊しながら戻って来た。
広間の入り口の反対に、新しく砦の裏側への出入り口が出来たことになる。
「尻まくって逃げる。意地なぞ張るだけ無駄だ」
マックスとマリスに言うと、壁の穴に向かって歩き出した。

ほんの数歩歩いたところで急速に霧が引いていき、さらに数歩で完全に視界が晴れた。
セシリアは穴とだいぶずれた方に歩き出していたのにようやく気づいたが、
何事も無かったように向きを変える。その足元に振動を感じた。外の戦闘の余波のように不規則なものではなく、
明らかに一定のリズムで鳴動をしている。
「急いで出るぞ!すぐにここは崩れる!」
振動を大地への干渉によるものだと判断し、二人に叫ぶ。ここまでの戦闘で建物はだいぶ傷んでいる。
これで地震の一つでも起きればあっさり倒壊しかねないだろう。

172 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/02/05(日) 22:29:16
「……なんか知らんが酷い目にあったな」
元気玉の余波によって凄まじい衝撃が発生し、カイザーは豪快に壁に叩き付けられた。
ほとんど無防備で喰らったにも関わらず、身体に大した傷を負わなかったのは幸いだっただろう。

>160
>それを合図に展開してた半数約50人の重騎兵が一斉に砦に雪崩れ込む。
視覚が封じられた今は聴覚に頼るしかない。
そして、その聴覚が一定の方向へ向かう多数の足音を認識した。
(何だ?…とりあえず、付いて行ってみるか)
カイザーはその場から立ち上がり、足音の後を追う。
長い間、霧を吸っていて耐性が付いたのか、それとも単に慣れたのか、少しフラついたが真っ直ぐ歩けた。
「もしかして、俺って影薄いのか…?」
戦場なのに、敵と相対してない自分の立場に少し疑問を持ったカイザーであった。

足音の後を追って進むと、ある場所から急激に気温が下がっている事に気付く。
そして、白い吐息(…と言っても霧で分からないが)を吐きながら辺りを目を凝らして見渡すと、その場所が砦である事に気付く。
(…そういえば、まだ砦に仲間が残っているのか?…いや、それなら何やってるんだ?)

>170
>蚩尤旗の力で霧を操作。渓谷から霧が薄れ、完全になくなる。だが、消えたわけじゃない。
「ん…視界が開いてゆく……そうか、霧が無くなったのか。」
自分の中に力が宿る感覚、それを実感しながら軽く身体を伸ばした。

>164
足音の主は砦の奥へ進んでいるらしく、ここからでは見付からない。
「…って、誰だアイツ?」
良好な視界に戻った砦内を見渡すと、地面に伏せている男の姿を確認できた。
(この村の住人か何かか?)
カイザーは倒れている男に近づき、その男の頬をペシと叩く。
「おい、だいじょ……うおっ!?」
男に触れた手に急激な痛みを感じ、とっさに手を離す。
「……?」
何が起きたか確かめる為、もう一度倒れている男の頬を触る。
「…痛っ!!」
先程と同じ様な痛みを感じ、再び手を離した。
(…なんか知らんが、コイツに触るのは危険だな……)

そのまま無視して奥へ進んだ多数の足音を確かめる事も出来たが、カイザーはその場で立ち止まった。
(誰だか知らんが、この寒さで放っておいたら死ぬだろうし…そしたら後味も悪いよな…
 まあ、やばかったら仲間から銀盤に連絡来るだろうしな。)

カイザーは鞘に入ったままの剣を手に取り、その剣を気絶してる男の衣服の裾に通す。
衣服が破れる可能性もあるので、男の下に剣を持ってゆく。
そして、その男の身体には剣の鞘だけが触れるようにして、気絶している男を持ち上げる。
「…ぐっ!…なんて重さだ…!!そうか、このハンマーが重いのか…
 ん…このハンマー、何処かで見た事が…気のせいか?…って、そんな事を気にしてる場合じゃない…!!」
全身に全力を込め、ゆっくりとだが着実に進み出口を抜け、異様な寒さを感じる場所から離れた。

「…ここでいい、な…!……ふぅ」
気絶している男を地面に寝かせ、溜め息を付いた。よほど重かったのだろう。
「身体も冷えてるだろうし…仕方ない、これをやるか」
自分の鎧に装着していた青いマントを引き剥がし、気絶している男の上に掛けた。

173 名前:アステラ(悪魔化) ◆r7kOcOEpyM [sage 残り2分] 投稿日:2006/02/05(日) 22:41:04
>160
>「戯言抜かすナや大体なヤぁ!〜〜戦いノ『喜び』ヲなァ!!」
『・・・貴様と俺とでは、『戦い』に対する考え方が根本的に違うようだな・・・。』
一切の感情を感じさせぬ声で返答する。
『悪魔』はある男を思い出していた・・・自分が人間に憑依する破目になった
原因である、自分を打ち負かした男・・・根底が似ていると感じた。

>「ヒャハハ!〜〜愉快そうな笑い声
胴を狙った斬撃は逸らされ、相手の肩当てに浅い傷をつけただけ。
しかも、すぐさま態勢を立て直してこちらに掴みかかってくる。
納刀までの隙に動かれたせいで、回避が遅れた・・・喉を締め上げられる。
『・・・!グゥゥゥゥッ・・・!』

息が出来ないのはどうでもいい、この姿なら気にする事ではないのだ。
むしろ、リミットが近い事の方が問題・・・首を掴まれたまま人間に戻ってしまったら、
為す術なく握り潰されるだろう。アンデッドである相手と違って、どこまで行っても生物。
アステラが死んだら、今度こそ『悪魔』は完全に消滅してしまう・・・首を掴む左腕の骨を
逆に握り潰そうとするが、骨とは思えないほど固いせいでそれもままならない。
仕方無しに、空いた左手に魔気を集めて魔弾を生成する。最大まで溜めれば、少しは効果があるかも知れん。

>170
>術を発動させていると〜〜このまま突っ切ってやる!
そんな状態になってすぐに、一帯に異変を感じる。
斬り合っている最中も足元に違和感を感じたが、これはその比ではない。
恐らく、天変地異クラスの何かが起ころうとしているのだ・・・そんなのに
巻き込まれるわけにはいかない。説得など聞き入れるわけがない目の前の骨をどうするか、
今はその事に腐心するしかない・・・!

174 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/02/06(月) 00:58:05
 結界を抜け、狙撃兵と自分との間にぶ厚い岩盤を挟めるポイントを発見し、「ふぅ。」と一息ついたレナス。
 エヴァンスの気配とFALCONの気配が相当接近したのを確認し、今度は狙撃兵の方向に意識を集中させつつ歩みを進める。
 一歩、そして二歩目を進めようとした瞬間、突如後ろから声が出現する。

 >「さっきは失礼、野暮用でね」
 てっきりFALCONと戦闘になると思い込んでいたので、こちらに帰ってくるとは少し想定外。
 「ああ、ボーヤか。」
 自分で言っておいてアレだが、こんな子供が実際にいたらすごく嫌だなぁ・・・と思った。
 「分かってるとは思うけど、あの程度で私をどうにかできると思ったら大間違いだぞ。
  私が今まで意味もなく旅をしていたと思うか?」

 彼女の言うとおり、レナスは海を越え山を越え、時空・・・はさすがに超えられなかったが、様々な体術と技を身につけた。
 食べ歩きと技の探求、どちらが優先かと聞かれると一瞬困るところもあるのだが・・・

 とにかく、レナスはエヴァンスの接近に全く気がついていなかった。
 やろうと思えば不意をうって勝負を決めることもできただろうに・・・
 それはエヴァンスも分かっていたはず、でも彼は敢えてレナスに声を掛けた。
 騎士としての誇りか、それともまだなめられているのか。

 >「若返りましたな、レナス殿……って一年前もこんなセリフ喋ったっけな」
 「一応質問。アンタ、ボーヤとか言いつつロリコンなんてことないよね?」
 そんな挑発以外の何物でない一言を聞いてか聞かずか、
 >紫電を纏った凶鳥の影が薄く伸び、羽を広げてレナスへ飛び掛かる。義手の掌を天上へ向け、
 >「流星の術、だったか? 違うか? まあ良いさ――『Dead Ray』!」
 >『Huckebein』と連動して、空の彼方から無数の紫の光線が降り注ぐ。着弾点は大きく抉れ、岩をも砕いた。
 (逃げられない・・・迎え撃つっ!)

 そう決心すると、レナスは剣以外の装備を脱ぎ捨て、一気にエヴァンスの方へ跳躍する!
 これもまた身につけた体術の一つである。
 「そろそろ潮時だよ・・・ボーヤ。」
 驚異的な跳躍力である・・・が、しかし、降り注ぐ紫の光線は如何ともしがたい。
 変身で身体自体は小さくなっているとはいえ、被弾は免れないだろう。
 しかし、エヴァンスがこちらが攻撃できる高度まで降りてくる機会が少ないのもまた真実。
 あとは・・・運と勘。

 「宿れ!戦乙女の名の下に!」
 ――神剣の強制開放、これは完全な賭け。
 エヴァンスが言った通り、これほどの宝具をまともに使いこなすには相当の魔力が要る。
 しかし、レナスにはその魔力が絶対的に欠けている。
 ”ことば”を唱えると同時に神剣の表面にルーン文字が浮かぶ。開放の証拠である。
 それと同時に襲ってくる、まるで全身の力が抜けるような感覚。
 魔力の少なさが悔やまれる。
 神剣開放と同時に着弾を始める紫の光線。
 しかし、レナスは神剣開放の干渉魔力により、光線からは守られている。
 さらにエヴァンスからは光線がカーテンになってこちらが確認できない!
 じわりじわりと魔力を・・・そして命の灯さえも吸い取ってしまいそうな魔力の消費量だ。
 一瞬がとてつもなく長い・・・まだ紫の雨は止まない。
 

 
 (やはり今のままでは神剣の開放は無理か?)
 しかし、今の状況ではそんな泣き言は通用しない。
 (今だけ・・・今の一瞬だけ持てば・・・)
 

175 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/02/06(月) 00:59:23
 意識が薄れていた。
 ”一瞬は永遠・・・永遠は・・・そんなものあり得ない。”
 ”紫のカーテンが・・・薄くなった。”
 ”向こう側が透けて見える・・・”
 ”そこにいたのは・・・やけに趣味のいい銃を持った男。”
 ”うまく不意はうてた・・・”
 ”ああ・・・ボーヤに不意打ちなんとか言っておいて・・・私が不意打ちするのか・・・”
 ”難しいことはない・・・この剣を上から振り下ろせば・・・あとは何とかなる・・・”

 降りしきる光る紫の雨、魔力の塊であるため、中の様子を伺い知ることはできない。
 その雨の中から・・・何かが飛び出してきた。
 身の丈以上ある神剣を携えた・・・戦乙女レナス。
 「”潮時”は、誰の潮時か・・・よく考えろ・・・」
 その神剣からは、今にも暴走せん勢いの魔力が秘められている。
 ――そして斬撃・・・切り上げから切り下ろし、合計二撃。
 今のレナスにとって、これが限界だった。

 (もう意識が・・・)
 遠のく意識を必死でつなぎ止める。
 敵の目の前で意識を失うのは、死に等しい行為だからだ。 

176 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/02/06(月) 01:14:28
>153 >154 >170
氷の龍を見ていた時にマックスに頭を軽く叩かれたが大して気にもしてなかった

通信を入れたすぐ後にセシリアの声が返ってくる。隣ではマックスも心配していた
>「こちらは無事だ。それより穴には入るな。もう入っているならすぐ出てくれ。予定を変えざるを得なくなった」
…マリスに予定の意味は分からないがとりあえず穴に入らなくて良い事は分かる
「わかりましたわ〜」
と返事を返していた。隣にいるマックスは

「暫くセシリアを待とう。五分待って来なければ……仕方無い、外に出よう」 そう言ったのをマリスは頷いて返事をする
…程なくしてマックスに頭を撫でられ
「マリスは度胸が有るんだな〜(中略)…大したもんだ」
…何故誉められたのかは分からないが微笑んで答える
その時だった。何かが穴の中から飛び出し、マックスとマリスの前に着地する…マリスは驚いた表情をするが、時間もかからずに飛び出してきた者がセシリアだと言う事がわかった
ちょっと違和感があったのは、半身が綺麗に泥だらけになっていた事だろうか
「汚れてますわ〜」
またしても暢気に感想を述べるマリス
反対にマックスは腰袋から布を出してセシリアに渡す
>「ああ、すまない。……見えているのか」
セシリアは布を受け取り顔を拭った。続けてマックスは
>「そうだ、これだ!〜(超中略)要らなかったら捨ててくれ」
そう言いながら赤い物体をセシリアとマリスに差し出してきた。マリスは
「ありがとうございますわ〜」
ためらう事無くそれを受け取り飲み込む…セシリアも飲み込んだみたいだ
「…あまりおいしくないですわ…ですけど、体がポカポカしてきましたわ〜」
微笑みながら正直な感想を言う…その時、何か騒音が近づいてきている。
>「地下が駄目というなら、天が下を堂々と歩いて行くさ。……来い!」
セシリアが何かを呼ぶと槍がセシリアの手元に。その槍で入り口とは反対の方向に出入口を作った
「尻まくって逃げる。意地なぞ張るだけ無駄だ」
セシリアはそう言うと、壁の穴に向かって歩き出す…ずれた方に歩き出していたのだが、すぐに向きを変える。
その後、何となく地面が揺れたかな?と思っていた時
>「急いで出るぞ!すぐにここは崩れる!」
切羽詰まった声でセシリアが呼び掛けてくる
「?」
マリスは首を傾げる…この時カイザーがいない事にマリスは気付くが、入り口の辺りにその聖なる気を感じたので安心した
同時に何か別の者の反応も感じられたが、とりあえず裏口(?)に向けて走りだす

177 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage] 投稿日:2006/02/06(月) 02:30:32
>160>170-171>176
セシリアが姿が見えているのかと確認され、マックスは一つ返事で肯定した。
しかし、先程よりも霧が身体に近付いてきている。効果を増幅した分、保てる時間が減っている。
効果が薄くなってきているのだ。完全に消えるまでは、そう時間はかからないだろう。
「(やべぇな……)」
二人が丸薬を飲んだのを確認すると、物音が響いてくる。そこでセシリアが槍を呼び、
それを放ち、人が余裕で通れる位の穴を裏側に作り上げた。セシリアは裏から脱出する様促す。
「そうだな、無駄に死ぬわけにゃいかねぇし(敵は数は百も居ないが……うげ、相当厳つい連中と見た)」
マックスもセシリアの後から歩き出すが、変な方向に歩き出すセシリアを見て不安を覚える。
「(そうか、セシリアは天使のキスを受けてないのか。俺もヤバくなってきたしな……どうするか)」
そう思っていた時、赤い霧が晴れ始めた。これでどうにかなるだろう、とマックスが安堵したその時、
今までとは違う振動が砦全体を襲った。マックスは砦を見回し、もう持たない……倒壊すると判断した。
「偶然じゃねぇよなぁ……ちっ、敵はマジで化け物みてぇだな!」
セシリアも気付いて居たらしく、急ぐように促されてマックスは肯いた。
「お、そうだ」
セシリアとマリスの後ろから走るが、穴の前まで行くとピタリと止まり、後ろを振り向いた。
そして、弓と矢を取り出して弓を引き絞ると、まだ朧気にしか見えない群の真中に矢を向ける。
「冥土の土産だぜぇ……破鎧閃」
改造した弓を異常な程に引き絞り、丹念に研ぎ手入れされた矢を放つ、鎧を破る銀色の閃光。
名前が非常にダサいが、威力は高い。鎧を破る等という大層な名を、彼は伊達では付けない。
先頭を一人倒せば多少は時間を稼げるだろう。穴から一緒に出てこられても困るし、
一度足止めさえ出来たなら、止めは建物の倒壊に任せればいいわな。それが彼の考えであった。
「くらえぇっ! (食らわなくてもいいからビビってくれよぉ!)」
マックスは矢を放つと、命中したかなど確かめずに急いで脱出をする。

178 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage 水脈探査後2ターン] 投稿日:2006/02/06(月) 09:13:52
>169
「闘うため、それも一つの理由か。」
もう聞くこともない。この男・・・ここで殺せるか?大技が必要になるな・・・。

「<戦闘起動:人形>」

>その場から上昇し、黒爪を大きく振り上げ、サエナミを一刀両断するべく、
>上昇から一転した急激な下降の勢いを利用し、黒爪を猛烈な速度で振り下ろした。

音速を超えるようなスピードで空間を引き裂く刀。それに対する冴波の反応といえば、『刮目』する事ぐらいであった。

『氷が砕けるような音』と共に、一瞬の反応程しかゆるさず額に突き立った刃は冴波を『砕いた』。
・・・『氷』?

「成程、純粋な身体能力では分が悪いな。」
砕けた氷の像の向こうから声がする。砕けた氷の像はすぐさま形を変え、氷の嵐と共にFALCONを取り囲もうとする。

「<罠起動:氷槍獄>・・・・・・串刺しだ。」
冷徹な声と共に、無数の氷の槍が弾丸の速度を以ってFALCONへと向かう!


「<水脈探査・・・・・・>」
その氷の向こうで冴波はあるモノを待っていた。

179 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/02/06(月) 14:02:38
>178
まさに必殺ともいえる斬撃は冴波をいとも簡単に砕いた。
高い音と共に割れる冴波を象った氷像。FALCONが砕いたのは氷像だったのだ。
砕けた氷の向こうから冴波の声がする。
一瞬で向こう側に待避したらしい。
「なるほど…残像拳の類のようだな…残像の代わりに氷像を身代わりにするか…
面白い技だな…」

砕いた冴波の氷像が形を変え、氷の嵐となってFALCONを取り囲む。
氷を思わせるような冷たい冴波の声と共に、弾丸のような速度で氷の槍がFALCONの体に突き刺さる。
腹部に三本、背中に四本、両手足合わせて六本、計十三本がFALCONの体に突き刺さった。
「今のは痛かった…だが…これぞ戦い…気持いいよな…」
FALCONは気を軽く放出させて、刺さった氷の槍を蒸発させる。
その顔ににこやかな表情が浮かぶ。
久々に骨のある敵でご満悦といったところか。

「じゃあ、あんたの番が終ったから…次は俺の番だよな!!」
冴波とは距離が離れているが、気弾を放つにはこのくらいの距離が望ましい。
逆に強力な気弾を放つには少し足りないくらいかも知れない。

FALCONは自らの左拳に緑色の超密度のエネルギーの塊を作り出す。
そのエネルギーの塊を右拳で殴りつけ、叫ぶ。
「抹消砲!!!!」
FALCONの父から習った必殺技。正確にはこの技を何回も喰らっている内に勝手に覚えたのだが。
その必殺技のエネルギーの弾が冴波に向かって、一直線に飛んでいった。

180 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage 水脈探査完了まであと1ターン] 投稿日:2006/02/06(月) 20:22:38
>179
「<高密度論理式感知。警告:回避不能>」

「っ!!」
>「抹消砲!!!!」

その叫びと共に飛んでくる緑色のエネルギーは避ける事を冴波にゆるさないだろう。
ならば・・・。

「破ァァッ!!」
左腕の黒い宝玉を一つ外し、それ越しに大剣をエネルギーへと叩きつける。
野球で言えばホームランスイングとなるが、ここは一種の鍔迫り合いのようになる。

「<論理干渉開始・・・警告:消去不能、目的変更:軌道変更>」
抹消砲と呼ばれたソレはその存在を剣から干渉することで消し去る事は到底出来ず、予定を変更する。
つまり・・・「直進する」という情報を書き換えて、『曲進する』ようにするのだ。

間一髪で冴波の顔の横を抜けていったエネルギーは天空へと飛んでいった・・・。
だが、代償としてそれを受け止めた大剣は砕け、柄もろともに大地へと落下していった。

「流石に・・・強い!・・・ならば!」
冴波の周囲を巡る氷の嵐が勢いを増してその勢力を拡大していく・・・。
全体的に壁としての厚さは薄れるが・・・FALCONがこれに巻き込まれればそれなりに痛手を負うだろう。
そして、先ほどの台詞から考えれば恐らくそれでも突っ込んでくる。来なくても同じこと、どこまでも付け狙うのみ。

「<論理式:告死鳥>」
『天にも地にも其を告げよ。我等は遂に現れた。』
氷の嵐の向こう、冴波は左手を前に出して何かを掴む仕草をし、右手はゆっくりと後ろに引く。
そこに・・・『氷の弓と矢』が現れた。今までのただの氷とは違い、そこには『何かが籠められている』。

『行き行きて、其の名を叫べ。我等の叫びを世に伝えよ!死を告げる鳥よ!』
引き絞った左手を解き放つ。放たれた針のような細い矢は鋭い眼を持った鳥へと姿を変えて、FALCONへと向かう。
恐らく、直感で理解できるだろう。[コレに触れたらマズイ]と。

「<特殊起動:複製>」
『其が旅は独りに非ず。供と行きて共に贄となれ!』
FALCONが先ほど氷の槍を蒸発させた熱・・・突発的に発動する熱には逆に冷やす働きを生む。
それを利用して5本の矢が複製され、一本目のコースをなぞるように飛んでいく。
いずれもが、鳥の姿となって計6本の矢が向かう!



冴波の手から落ちた大剣・・・それは空中で姿形を取り戻しながら大地へと突き立った。
「<水脈干渉・・・補助デバイス落下。処理加速に成功。>」
誘脈旗による地震以外の揺れが冴波の下方から起こり始めていた。

181 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/02/06(月) 20:26:06
>168>174-175
術式を放つ間に、天使たちの召喚術を解く。戦場を離しては、どの道FALCONの相手は出来ない。

>そう決心すると、レナスは剣以外の装備を脱ぎ捨て、一気にエヴァンスの方へ跳躍する!
>これもまた身につけた体術の一つである。
>「そろそろ潮時だよ・・・ボーヤ。」

「そう願いたいな」
レナスは跳躍で「Huckebein」を回避、エヴァンスへ飛び掛る。
無論、頭を抑えるための「Dead Ray」が発動し、空中では身動きの取れない筈。
下ろしていたライフルを掴み、彼女へ向けた。

>「宿れ!戦乙女の名の下に!」

神剣の魔力を呪文発動したのか、強力な魔法障壁が光線を退けた。
笑顔のつもりかエヴァンスの口の端が上がる。銃剣先は向けられているが、
「腐っても神剣か。面倒なこった」
光線の雨から抜け出すと同時の斬撃、エヴァンスは避ける代わりに身構え、数個の榴弾をコートの裾から落とす。
振り下ろされる刃が彼の右腕と頬を切り裂き、続く攻撃へは跳ねた血と土埃、コートの袖に包まれた片腕、爆弾が残るのみ。
瞬間的に発動された移動術式が二の太刀をかわし、空中のペンタグラムにエヴァンスが立った。

「惜しかったなレナス、私とてサタンのベッドで寝た事は無いのさ」

爆風を避けて更に上空のペンタグラムへ移る。
渓谷の一角が眩い閃光に照らされ、風を受けてはためく軍用コートから新たなペンタグラムの束がばら撒かれた。
転送出口の他にフェイクの魔力機雷や、魔法砲の術式が込められた紙片も含む。
内数枚がばたばたと音を立ててエヴァンスの右腕の断面に張り付き、止血する。腕は肘先少しを残して後は斬り落とされていた。
頬の傷も出血がひどいが、ペンタグラムで塞ぐ訳にも行かないので放置する。
痛みは無い。エヴァンスが、左腕と共に失った多くのものの一つが痛覚だ。銃をベルトで肩から吊り、
「片腕で……小銃を扱うのは……難しいな。ああ、そうだ!」
彼がふと義手をもたげると、爆発で砕け散った指輪の破片が吸い寄せられ、掌に収まった。扱いが少々不便だが通信回路は生きている。
「さて、レナス嬢は御存命かな」

182 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/02/06(月) 21:14:35
>173
「そウか……『楽しみ』ガ分かランか…そらァ残念ヤな。」
相手の無感情な返答とは正反対な哀れみをおびた声。

「安心せイ・・・オマエも、すぐに分かるようニしたるわ。
 一片死ネば、きっとオマエにも理解できる筈ヤからのォ!」
その言葉と同時に、長く巨大な腕が相手の首をギチギチと締め上げる。
何しろ自分よか体躯はかなり小さい相手である、こうなってしまえば余程の事がない限りは脱出は不可能だろう。

>『・・・!グゥゥゥゥッ・・・!』
「おうオう、案外可愛い声デ泣きおルのォ〜。ゲヒャハッ!」
相手が呻き声を上げた、それを聞いた鎧武者の声に再び狂笑が戻った。
その言葉、はたから見れば、感情の入れ替えが激しい奴と見えるであろう。

「ゲヒャ?」
ふと感じる、左手の違和感。
見ると相手が首を掴む左腕の骨を、逆に握り潰そうしてるではないか。
どこまでも足掻く奴だ。そんな事を思いながらもポツリと言葉が漏れた。

「ここまデ、骨がアる奴とハノぉ……正直見直したデ?」
嘘か真か分からぬ賞賛の言葉。

「だがナ…所詮は無駄ヤァ!!」
足掻く相手を尻目に、嬉しそうな声を出し、さらに左手に力を加えた。
さながら『玩具』で遊ぶ子供のようである。
しかし、どうしてであろうか。
相手は首を締め付けられた事よりも、もっと別な『何か』を気にしている気がするのだ。
そんな相手の焦りを察した。――――何故だ?何を感じた?自分の中で広がる疑問。

不審に思い、意識を『戦』から『周囲』へ帰す。
>170
なるほどな…、意識を周囲に集中させた途端、相手が感じていた力が何か一瞬で理解出来た。
それは、地上からを醸し出していた禍々しい力。
地上にいる自分にも感じ取れる程の巨大な力が地下に集まりつつある。
恐らく、ここら一体に『余り良くない事』が起こるのは、目に見えぬが動かぬ事実

まあ、その力が【楽しみ】の邪魔をしなければ、至って問題は無いのだが……
しかし、こんな芸当が出来るヤツは一人しかいない。
「アの、アマァ……何を考えとル?」
後方、丁度シズネがいる方向に首を傾け、少し考える鎧武者。
途中エヴァンスの指令が指輪から聞えた気がしたが、耳には届かない。

しかも、意識が『戦』から『周囲』へ向いたため、鎧武者は2つのミスを犯した
相手への注意が疎かになっていた事、
そして左手に溜められている【何か】にも気付かなかった事。

183 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/02/06(月) 21:24:00
>180
FALCONが自信を持って撃った必殺の抹消砲。
あのタイミングでは回避は不可能。
それを察したのか、冴波は剣にエネルギーを込め、抹消砲を弾き飛ばそうとする。
抹消砲と大剣のぶつかり合い。拮抗状態が何秒か続くが。
抹消砲は突然方向を変え、冴波の横を通りすぎ、空の彼方へと飛んでいった。
「また面白い技を使いやがったな…
あれを弾き跳ばすんじゃなく、方向を変えるとは…
魔術を新たに習い始めた俺にとっては、実に興味深い…」

冴波の周囲の冷気が更に激しさを増し、範囲を拡げていく。
冴波は激しい冷気の中で、弓矢を作り出し、矢を放つ。
その矢は飛んでいる最中に鳥に変わり、さらには六体に増え、FALCONに襲いかかる。
「面白い…受けて立とうではないか…」
あからさまに呪術などが掛っているのが分かる。
だが、FALCONは関係ないと言わんばかりに真っ向から受けて立つ。
「はあぁ!!!」
左手に気を込め、一匹目の呪いの鳥を殴りつける。
鳥は殴られた衝撃と気の力によって砕け散る。
そして、二匹目も殴る。
三匹目も殴る。
四匹目も、五匹目も、六匹目も、殴る殴る殴る。
鳥は全て砕け散り、その代償にFALCONの左手が徐々に氷に覆われていく。

「失敗したかもな…俺は解呪系の技を何も覚えていない…
ここはあのお方を呼ぶしかないな」
まだ凍っていない右手で黒爪を持ち、自らの魔力を用いて、宙に描く。
描くものは魔法陣。
それは神を呼ぶ、召喚の魔法陣。
「呪われし我に救いの翼を…その力にて全てを癒し、平穏な世界へと…
いでよ!!!神鳥!!!そして、呪われし我に救いの翼を与えたまえ!!!」
右手の黒爪に魔力を込め、完成した魔法陣の中心に黒爪を突き刺す。
魔法陣が紫色に光輝き、現れたのは魔界のFALCONの家の近くに住んでいる、癒しの神鳥近所の田中さん!!!!
しかし、近所の田中さんは所々焼け焦げている。
「田中さん!!どうして焼け焦げているんだ?」
「お前の親父に焼き鳥にされて食われそうになったんだよ…」
「すまない…」
FALCONと田中さんの間に微妙に不味い雰囲気が漂い出した。



184 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/02/06(月) 21:32:17
「地脈経由龍穴到達完了・・・。座標固定。焦点調整開始・・・」
いつ崩壊するかも判らない状態の旗。だが、もうあとには引けない。
かといって急ぐわけにも行かない。
自分の力でやるわけじゃない。天地自然の力が強大な効果を生み出す。
自分の力が必要なのは強大な力の方向性を揃えてやるだけだ。
慎重に。正しい手順を正しいリズムで踏む必要がある。

*ドサッ*
護衛兵の一人が倒れたようだ。魔力や精力を吸い尽くされてミイラのようになっている
だろうが、見てやることもできない。
見もしないがそのほんの一瞬の意識の乱れは確実に影響として出ちまう。
旗が大きな音を立てて軋む。
「こ・・・このシズネをナメるんじゃないよっっ!!!!」
今にも崩壊しそうな旗を強く握り気合を入れ術を続ける。

185 名前:辻斬り(中隊) ◆mN/RwaMSjw [sage 逃げ切ってもよろしいですw] 投稿日:2006/02/06(月) 22:03:40
>171>176>177
砦の中を縦横無尽に駆け回り相手を探す50の騎兵隊。
しかし所々からある疑問が聞えてきた。
『おい、あの辻斬りの隊長が先頭を譲るってどんな風の吹き回しだよ……』
『さぁな。もしかしたら大地震でも起こるんじゃねえの?』
思えばそうである、他の隊長ならまだしも、戦場では最前線に立つ事で生きる存在『辻斬り』…
それほどの男が自分達雑兵に先頭を託したのだ。
ただ今、戦っている男がべらぼうに強いのか、それかただの気紛れか。

どちらにせよ『奇跡』が起こっているのは間違いが無さそうだ。
心なしか先程までの身を裂きそうな寒さも収まりつつある。
『なあ?そう言えばよ…』
『ん?』
『ほら、隊長の直属の特攻隊の面々。見かけなくね?』
『そう言えば、そうだな……血の気が濃い奴等ばかりなのに。』
周りを見回しても特攻隊の目印でもある『黒の軽装鎧』は見かけなかった
見回せど見回せど、目に映るは重装備の騎兵のみ。

程なくして一団は魔方陣がある広間へ突入した。
しかし突入した途端、先頭のトロルの頭に矢が突き刺さる
叫び声は聞えない、そのまま騎馬から転げ落ち、後続の騎馬の大群に踏また。
そして騎馬が過ぎ去った時、元が何か解らないくらいに酷い有様になった死体が残された。

慌てて止まる騎兵団。
『ジョニーがやられた!?ちっ、クソッタレの人間ドモが!』
『畜生、ダニエルの仇を討つぞオメェら!いいかこのまま正面に突入するぞ!
 敵さん逃がすなよ!辻の隊長に殺されると思え!』
>176
そして前方の先頭を行くオークの目が微かだが人間の女の姿を捉えた。
『おい見つけたぞ!アイツだ!』
ふと嫌な予感を感じるが、しかし何が起こるかまでは解らない
間に合うか間に合わんか。全機武器を構えマリス目掛け前進した。

186 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage ] 投稿日:2006/02/06(月) 23:01:26
>183

凍りつくFALCONの拳・・・なんとなくだが、自身の『気』が食われているような違和感を感じるだろう。
「まさか・・食らいにいくとは。」

あまりにも予想外だった。対策が思いつかなかったのか?単にいわゆる単細胞型人間なのか?
そんな予測が頭を過ぎるが・・・。

「まぁ、どれであっても構わないか。」
相手が召還のモーションに入ったころ、地面の鳴動は更に激しくなっていた。
具体的には辻斬りよりも大分後方の一帯が揺れだしていた。そこは・・・大剣が刺さっている!

「<水脈干渉完了。CALL:氷龍乱舞>」
凄まじい轟音と共に大地が割れて大量の水が噴出し、すぐさま氷となって冴波の周囲へと向かう。
その水圧によって弾き出された大剣を手に持つ。

[クァァァァァァァァ・・・・・・]
やがて、氷は巨大な7体の氷龍となった。先ほどの氷龍と違うのは、その目に宿る紅の輝きだ。
まるで・・・生きているような。

「<統制完了:プロセス移行。〔ビリオン・ニードル〕装填開始。>」
ゆっくりと氷の龍が顎を開き、周囲の大気を吸い始めた・・・。
それはFALCONに威圧感を与えるのには十分な様相である。

冴波は・・・その内の一体の頭の上にいた。
「さぁ・・・どうする?爆撃隊長殿。」
決着が近い・・・かもしれない。

187 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/02/07(火) 00:35:38
>172
ラックは気が付く。だがまだ意識は朦朧。まさに右も左も分からないような状態で。ただ、虚空を眺めている。
次第に脳が活動を始めるにつれ、少しずつ周りの状況を肌で、目で、耳で、理解してゆく。
ここは外だ。空がある。倒れている。無理をすれば動けなくはないが…あくまで「無理をすれば」であって。
ラックは砦の中で倒れた、すなわち誰かがここに連れ出した。それは考えから抜け落ちていたのか。
近くに男がいることに気づき…半開きだったラックの瞳が一瞬、開く。

(運がいいのか、悪いのか…たぶん、悪いんだろうな)
高そうな鎧に身を包んでいる凛としたその姿、どう見ても魔王軍ではないし、ましてや通りすがりであろうはずもない。
(どっかの国の聖騎士って感じか…)
一瞬だけ目を皿のようにした時以外、ラックはこれといって意識を取り戻したとわかる行動はしていない。
つまり今はまだ、気絶している「フリ」をしている。これから自分がすべき行動を、ただひたすらに考えつつ。

(無理、だな)
半開きの目を精一杯動かして男の姿を捉え、そして嘆息する。
ラックはまだ若いとて、それなりに修羅場はくぐっている。相手との「格差」ぐらいは、容易に読みとれる自信はある。
そして、無理だと読みとったのだ。気絶していると思わせておいて、隙を付いて倒す…という行動は。
(これは、勝てねぇな)
今現在、ラックが重傷であることを差し引いてもだ。本調子でも、勝てない。違うのだ。根本的に何かが。
ならばどうするか。考えるまでもない。助けたということは、ラックが魔王軍であると気づいていない可能性が高い。
この辺りの人間だと嘘を付いて、適当に礼を言って立ち去ろう。仲間には申し訳ないことをするが、仕方ない。
敵と自分との差を知っていてそれでも戦う、なんて猪武者ではないし、なりたくもない。
はず、だった。

ラックは自分の身にかかっていた布を蹴り上げると、どこにそんな力が残っていたのか仰向けの状態からバク転を。
「せいっ」
その直後、ワンステップ踏んで男に近づきつつ背中からハンマーを取り出しそのまま振り抜いた。

ラック自身も、なぜ自分がこんな行動に移ったのか分からない。頭では逃げる手筈が整っていたのに。
自分の深層心理にそういった「モノ」はまだ残っていたのか。だが不思議と悲壮感は感じない。爽快感すら感じる。
しかしラックの体の状態から言えば、立ち上がるだけで精一杯のはずだ。こんなに動けるはずはなく。
だからラックはこうも思う。この攻撃が、最期の一撃になるのかもしれないな、と。

188 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/02/07(火) 00:40:23
>186
「おい、FALCON。あの女の子がなんか凄いことをやってるが」
「あれは敵さんだぜ」
「とするとサタンの野郎の仲間か。そういやサタンの野郎は元気にしてんのかよ?」
「俺が知るわけねえだろ!!母さんに聞け!!!」
こんなたわいもない会話をしている内に、敵の冴波は目に紅い輝きを宿す七体の氷の龍を作り出す。
「早く治療してくれ〜」
「ん、わかったぜい!!」
田中さんが大きな翼を広げる。
翼から神聖な光が放たれ、呪いに蝕まれて凍りついたFALCONの左腕を癒していく。
数秒もしない内に氷が溶け、元の状態に戻った。


氷の龍が威圧を与えるように、顎を開き大気を吸い込んでいく。
「なんかやばそうだな。俺はちょっと別次元に行ってくるけど……他に用事はあるか?」
「リクエスト頼む」
「何の?」
「氷の龍をぶっ倒す技のやつ」
「任せとけよ〜………お前の最強技でいけよ」
「了解!!じゃあ、またな」
「おう、じゃあな」
田中さんは別次元に通じる穴を作り、その穴へ入り込む。
入った後、すぐに穴は消えてしまった。

「じゃあ…行くか!!」
FALCONは黒い気を更に高めて、周りに小さい稲妻のようなものを纏わせる。
その直後、FALCONの体が消える。
いや、超スピードの速さにより消えたように見えたのだ。
その速さはまさに神速の域を越えているだろう。


「ヘルッ!!!」
突如、一匹の氷の龍の前にFALCONが現れる。
氷の龍の顎に強烈なアッパー繰り出し、氷の龍をここより更に高く跳ね上げる。


「メテオッ!!!」
氷の龍が上空に跳ね上がるスピードよりも、更に速く上空へ飛び、先回りするようにオーバーヘッドキック。
地面に叩き付けるように放ったオーバーヘッドキックを喰らった氷の龍は、
他の一匹の氷の龍を巻き込み、砦の前方辺りに墜落。


「バスタァァ!!!!!」
右足に全身の全ての気を集中させる。
黒い気に纏われた右足が軽く放電。
そして放たれるは全身全霊を込めた飛び蹴り。
FALCONはまさに弾丸のようなスピードで冴波が乗る氷の龍に飛び蹴りを放った。




189 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage ] 投稿日:2006/02/07(火) 10:03:24
>188
相手の傍に現れた鳥は一瞬で彼の傷を癒した。
「全く・・・驚くべきか呆れるべきか。」

と、眼前の彼がタメの動作に入った。
「来るっ・・・!」
脳内の機関は数百万分の一秒単位で周囲の状況を刻々と計り続けている。

が、それは肉体が反応出来る事と=ではない。
攻撃に移るのであれば、本体を叩くに決まっている。その予測による一瞬の跳躍が生死を分けた。
跳躍を行った冴波の目の前を黒い気と紫電が走る。
その凄まじい風圧と鎌鼬が冴波の強化された衣服さえ切り裂いた。


轟音と共に砕けていく3体の氷龍・・・そして、残りの4体の氷龍の頭がFALCONを狙っている!!
空中で作り出した氷の欠片に乗って、FALCONを見つめる冴波。
「少々・・・粗くはなったが。チェックメイトだ。」

「<情報構造式構築成功:万針陣・鮮血の華展開>」
顎を開いた7体の頭・・・とは言っても3体は距離が開く為に遅くなるが。
ともかく、7つの顎からまるで綿毛のように細い氷の針が大量に放たれた。

まるで太い光線のようなソレは触れれば怪我は免れない。
その針一本一本は中に極小の空間が空いており、刺さればその相手の血液を体外へ放出させる。
針全体に纏わり付く冷気は放出された血液の進路を止めない距離で赤いダイアモンドダストにする技だ。

そして・・・FALCONに砕かれた氷の破片が冴波の大剣に集いつつあった。
『呪われし大地に福音を、箱舟よ・・・我が生み出す海原を渡れ。我は地を割り海を放つ・・・・・・』

「<構築式・・・『空断つ水剣』起動開始。充填・・・。>」
下手な娼婦よりもいかがわしげな格好となった冴波は冷徹な目で大剣を構えている。

190 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/02/07(火) 14:01:43
>189
FALCONの蹴りは氷の龍を貫く。
貫いた時に発生した風圧により冴波は吹き飛んだが、華麗に氷の上に着地した。

「へへへ…こりゃやばいな…」
眼前には四体の氷の龍。
四体の氷の龍が顎を開き、遠くで倒した三体の龍の顎も開く。
龍の口から発射されるは太い光線のようなもの。
FALCONは気を練り上げで全身を強化し、両腕を眼前で交差させて防御態勢をとる。

「これは…」
光線ではなかった。
FALCONが受けたのは光線ではなく、無数の針。
無数の針は顔以外、体の前面全てに突き刺さる。

「へへへ…こりゃ俺の負けみたいだな…また…今度戦ってくれよ…楽しかったぜ…」
針の先からFALCONの蒼い血が吹き出し、針の周辺による冷気により瞬時に凍り、砕け散る。
それはまさに蒼いダイヤモンドダスト。
FALCONはうつ伏せに倒れる。
全身から血が全部出ても、命を失わないのはさすが魔族と言ったところか。
こうして今回の戦いは決着がついた。

191 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage ] 投稿日:2006/02/07(火) 16:52:19
>190
幾万の針に貫かれたFALCONは大地へと落下した。
そして・・・大剣に集っていた氷や水も落ちていく。
「勝った・・・いや、まだ死んでいないから・・・またの機会だな。」

・・・と、着地した氷の龍の様子がおかしい。いや、他の龍もすべてだ。
「!?」
脳内に走る警告文へと意識を向ける。

「<警告:情報過負荷。危険>」
「<警告:情報過負荷。危険>」
「<警告:情報過負荷。危険>」
「<警告:情報過負荷。危険>」
「<警告:情報過負荷。危険>」
「<警告:情報過負荷。危険>」
「<警告:情報過負荷。危険>」
「<警告:情報過負荷。危険>」

「・・・まずい!<警告:情報過負荷によるオーバーロード。機能停止、再起動には3600秒の休息を要する。>」
その警告文が発されると同時に氷の龍が瓦解した。身体能力が人並みとなって、抵抗も許されず落下していく。
この高さから落下していったら・・・能力の守りもない自分は全身の骨が砕けて・・・死ぬ!!

「これは・・・覚悟を決めるか。<特殊コード受領:強制再起動>」
自分の体の真下に幾枚もの氷を張って落下速度を落とそうとするが、それもどんどんと割られていく。
眼下には砦の裏から続く森がある。木の枝に引っかかればまだどうにか・・・。


「<警告:情報過負荷限界点到達。強制終了。再起動には14400秒の休息を要する。再起動不能。>」
凄まじい音と共に、砦の裏から続く森へと落下した。地面に叩きつけられた事で意識が一瞬飛ぶ。
やがて、戻った意識に痛みが流れ込む。今まで、痛みを情報として処理してきた分が一気に押し寄せてきたのだ。

「ぐああああああああっっ!・・・・・・ふううっ!・・・・・・・・・ぐああっ!」
左腕を半ばから折られたやどり木が貫いている。恐らく落下の衝撃で刺さったのだ。
まるで、不恰好な蝶のように地面に縫い付けられている。

「ふう・・・・はぁ・・・はぁ・・・あああぁぁぁぁっ!!・・・・あぅ・・・。」

やがて・・・・・・苦しみ喘ぐ事も出来なくなり・・・。
                              意識を・・・
                                        手放した・・・・・・

192 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/02/07(火) 18:47:15
森に響く馬の蹄の音。
そしてその蹄の音は無惨な姿になった冴波の前に止まった。
(…けが人?)
馬から降りる。身も顔も全て包帯巻きのその女は冴波に近づいた。
「あの…大丈夫ですか?…」
冴波の肩を揺さぶってみる。案の定冴波は起きない。
「…はは…大丈夫な訳ないか。」
そう言って笑うと、その女はさっき村で買った包帯と薬草を取り出し応急手当を始めた。
木の枝が突き刺さってる腕を持ち上げ止血し、包帯を巻き薬草を口の中に入れる。
「これで助かってくれるといいんだけど…。」
そう言ってポリポリとほを包帯の上から掻いた。馬が後ろから鼻面で突っつきせかす。
「あ〜…はいはい。ごめんよ。急がないといけないんだったね。」
そう言って馬の横面を一つ撫でると馬に跨った。
「…もう少し東に走ればきっと見えてくるから…だからもう少しだけ頑張ってください。」
そう馬に言うと手綱を再度握り走り出した。

――連合軍の基地がある東へ…。


193 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage 引き止めてもOK] 投稿日:2006/02/07(火) 19:19:14
(それにしても、大層な戦いになってるみたいだなぁ…)
カイザーは上空を見上げながら、そんな事を考えていた。

>187
>その直後、ワンステップ踏んで男に近づきつつ背中からハンマーを取り出しそのまま振り抜いた。
「……っ!!」
風を切る音、それを感じたカイザーが振り向いたの目の前にハンマーが迫っていた。
それは正に、強大な壁が倒れ込んでいる様でもあった。
(今さら避けるのは不可能…ならば!)
考えが纏まるか否かという合間に、カイザーは自分の顔面を守る為に左腕で顔をガードする。

コンマ2秒後、
―――メキイィィィィッ!!
乾いた竹を割るような音が頭の中に響き、足元が衝撃に耐え切れず吹っ飛ばされる。
このままでは聳え立つ崖に頭から突撃してしまうと思えた…が、カイザーはクルリと身体を反転させ、崖に対して垂直に着地する。
そして重力によって地面の上に落ちる。が、これも着地し、直ぐに自分の左腕の状態を確認する。
(くそっ…折れたか?…いや、なんとかヒビで済んだようだな。
 何れにせよ、あんなハンマーでぶん殴られて無事なだけでも幸運だったと思うべきか…どちらにしろ、左腕は使えそうにないな。)

カイザーは左腕を押さえながら、自分を殴った男を見て、言葉を発する。
「…命の恩人に対しては、酷い恩返しだな。」
同時にカイザーは、自分が攻撃された理由を考えていた。
(奴が俺に攻撃した理由…それは3つ考えられる。
 1つ、奴が俺をサタン軍と勘違いした説。
 2つ、奴がサタン軍の兵だという説。
 3つ、奴が馬鹿でとりあえずノリで俺を殴った説)
この中の答えが何であろうか、そんな事はカイザーには関係ない。
彼が現在の状況の中で取るべき道は唯一つなのだから。

カイザーは両手を軽く挙げる。
それだけでも左腕は激しい痛みを伴うが、それを表情には出さない。
「落ち着け。お前が誰であろうと、俺に敵意はない。…そんな半病人以下の状態のお前にはな。」
カイザーは自分の道を遮る者としか戦わない、それが己の信じる正義…聖騎士の姿なのだから。

身体を横に90度回転させ、遠方を見遣る。
「どうやら、向こうで知り合いが力尽きたようだ。
 俺はそいつの救出に向かわなければならないんでな、…じゃあな、それはやるよ。」
地面に落ちている自分のマントを指差し、そのまま駆け出した。

194 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/02/07(火) 21:00:32
「第二群形成、最終照準調整開始・・・これであとはもう・・・」
術式の展開も大詰め。あと少しで完成する・・・
気を緩めるわけではないけど、この状態でよくやれたもんだよ。

「エヴァンスさんや、ご所望の派手な奴、もう完成するよ。砦丸ごと大穴に変える代物
さ。
まだ戦りあっている奴らにそろそろ切りをつけて下がるか、敵が逃げられないように抱
きついて一緒に死ぬかするように言っておくれ?
術をぶちかましたら震動と熱による乱気流、降雨が予想される。
地下や空中なら回避できるような代物でもないよ。逃げるのなら最低でも砦から50m
は離れる事だね。」
ホンと言うとピンポイントで狙えないのはあたしの未熟って奴だがそれを言うのもコッパ
ズカシイからね。

護衛兵から流れ込んできていた魔力も結構前に打ち止めしてる。
あたしの魔力も殆ど残っていない。
旗は両方とも崩壊寸前。
一発限りの大花火だ。せいぜい派手に弾けて送れよぉ。

195 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/02/08(水) 06:20:20
>193
(俺は、カッコつけが嫌いだ)
手応えはあったのだ。例え振り切る力が少ないとしても200kgをゆうに越える塊。それがぶつかって無事であるものか。
実際に、当たった瞬間に多少なりとも吹き飛んだ。多かれ少なかれ、ダメージは与えたはず。痛みはあるはず。
なのに。目の前の男は、直撃した左の腕を押さえるぐらいで、これといって痛がる様子もない。これがラックの癪に障る。
あと二、三発、畳み掛けてやりたい、とも思う。だが、しない。できないのだ。ただハンマーを握りしめるだけで。

>「落ち着け。お前が誰であろうと、俺に敵意はない。…そんな半病人以下の状態のお前にはな。」
(甘い、な)
いくら怪我人とはいえ牙を向けてきた以上、禍をもたらす前に排除をすべきだ。
逆の立場であったなら、ラックは躊躇なく息の根を止める。非情だと他者に罵られても、それが戦いに生きる者としての。
(俺をここで見逃したこと、いつか後悔させてやるよ)
頭ではいろいろ考える。だが口に出すことはない。喋る体力すら、もう残っていないのかもしれない。

>「どうやら、向こうで知り合いが力尽きたようだ。
> 俺はそいつの救出に向かわなければならないんでな、…じゃあな、それはやるよ。」
男は走り出す。だがラックには追いかける力はない。気力もない。その場に、へたり込むように座る。
「いいとこなしかよ…俺」
絞り出すように漏れ出た声は不甲斐ない自分への呆れの言葉。憔悴しきったため息をオプションに。
結局、『イリャパ』と『ユピテル』を繰り出しただけで、戦闘には参加していない。それに、軽騎隊はほぼ壊滅状態だ。
この時点ではまだラックは軽騎隊が壊滅していることは知らないが…無事ではないことは感づいている。
処罰は避けられない。ただでさえ人間の若造が重要な地位についていたのだ、お咎めなしでは諸兵に示しがつかない。
「中隊長の地位を剥奪…だけで済めばいいけどな」
悲哀をこめた視線をそっと地に落とす。そこにはさっきラックが蹴り上げた布。あの男が「やる」といったものだが…。
「こんなんいらねぇっての!ちくしょー!」
座った状態のまま鞘に差してある剣を抜き放ち、その布をズタズタに切り刻む。愚かな自分への憂さ晴らしのために。
ジグソーパズル以下にまでバラバラになったその布は、やがて吹いた一陣の風に乗っていずこともなく飛んでいく。
どこまでも…飛んでいきそうに見えた。

ラックは横たわる。意識は明瞭だ、しかし体は動かない。体中の痛みがダイレクトに脳に伝わってショック死しそうだ。
(俺、これからどうなんのかな…)
これからの魔王軍での立ち回りの心配、だけではない。憂うことは、あるのだ。酷使しすぎた、自分の体を。
(動けるはずなかったのに…なんであんなに動けたんだろう…)
そしてそこで思考は中断する。
決して怪我などではない、胸の軋みが、襲った。

196 名前:アステラ(悪魔化) ◆r7kOcOEpyM [sage 残り1分] 投稿日:2006/02/08(水) 07:25:25
>182
>「安心せイ・・・〜〜筈ヤからのォ!」
『(・・・ふざけた事を・・・!)』
二つの意識が同じ事を考えた。『悪魔』は二度、同じ相手に負けて
命を落としている。アンデッドになっていないからなのか、『辻斬り』のセリフには
説得力など微塵も感じられない。そもそもそんな暴論、受け入れられる筈もないのだ。

>しかも、意識が〜〜気付かなかった事
そんな中、突如骨らしからぬ重大な隙、ミスを犯した。
相手がまだ生きているのに、動けるのに意識を逸らした。
意図はどうであれ、この隙を逃すほど余裕が無い。間もなく、基地周辺は
瓦礫の山と化す・・・圧倒的に時間の足りない今の自分が巻き込まれでもしたら
とても無事では済まないだろう。その前に、最低でもこの状態から脱出せねばならない。
ちょうど魔弾のチャージは終わった、後はこれをぶちかますだけ・・・場所は、
首を絞める左手を胴と繋ぐ肩の間接部。とりあえず結合を砕ければいい、
その状態でも自在に動かされたらチェック・メイトだが・・・。

『・・・ハァァァァッ!』
距離を離して減衰したら困る。左手の魔弾をゼロ距離で放ってやった・・・!

>194
とにかく時間がない。『悪魔化』した状態ならいざ知らず、
人間の状態に戻ったら果たしてこの人為的災害から逃げおおせるのか、
正直自信が無い・・・それほど色んな意味で時間がない。
舐められっ放しは性に合わないが、次があれば必ず思い知らせてやる・・・
災害の元凶に対し、そんな事を考えつつ―――

197 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/02/08(水) 09:19:01
>171 >177 >185
少女が走りだす間際かその前に、砦の中に何かが入ってきていたみたいだ
マックスが弓を引き絞り射ち放つ。破鎧閃と言う技名らしい
「格好良い名前ですわ〜」
…とにかくズレている
それはさて置き弓を射ったマックスは踵を返し穴の外へ走りだす。しかし、何故かマリスは砦の中にいた…入り口方面から入ってきた馬乗兵のトロル達が武器を構えながらマリス目掛けて突進をしてくる
「騎兵の皆さんですわ〜」
レイピアを抜きながら暢気な言葉を放つマリスに向けて一人のトロルの槍が迫る…【キィン!】剣と槍がぶつかり合った音がした後、マリスの手からレイピアが飛ばされ穴の外へ
「あら〜…?」
一体少女は何をしたかったのか、いつの間にかトロル達がマリスを取り囲み凝視している
「お強いですわ〜」
いや、お前が弱いだけだから。とトロル達にツッコミをもらいそうだったが少女は続けて
「ですが、私も負けませんわ〜」
微笑みながらそう言い放つ少女…いつのまにかトロルの周囲には無数の光の玉が浮かんでいた
「それはライト・クレイモアと言いますわ。触ったら爆発して怪我をしてしまいますわ〜」
あくまでも暢気に物を言う少女…セシリアが言うとおり、早く脱出するのを優先するためにこの魔法を選んだ
「それでは失礼しますわ〜」
定番のお嬢様お辞儀をしてから少女はトロル達の合間を縫ってセシリアが作った穴から出る。そのまま銀盤を取り出し皆に伝言
>171>177>190>193>196
「私達はこれから戦術的撤退をしますわ〜。それから皆様〜…お怪我をなされていたら私にお任せくださいですわ〜」
相変わらず口調が暢気であった

>194
…程なくして砦が崩壊をし始め大きな穴と化す。いや、たとえるなら局地的大災害だろう…マリスは間一髪で害の及ばぬ場所へ避難できた。
もう少し脱出が遅れてたら命を落としていたかもしれない
「すごい技ですわ〜…」
少女はその場に座り込み、まだ見ぬ旗使いを称賛していた



【魔法説明】ライト・クレイモア…意味合いは光の地雷
眼前にいる敵の周囲に、触ると爆発する光の玉を精製する魔法
アンデッドや悪魔等に効果が高いが、亜人や人間等には火傷程度の傷を負わせるだけだったりします

198 名前: ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/02/08(水) 14:56:39
>197を修正です


>194のシズネさんに対するレスを全部無かった事にしてください
ご迷惑をおかけします…

199 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/02/08(水) 20:48:26
カイザーは付近を見渡していた、先程の戦闘によって負傷した仲間が近くにいるのだ。
「…お、あれだな。」
地面には蒼い結晶が多数に散らばり、それに囲まれる様にFALCONは伏していた。
「ん、なんとか生きてるみたいだな。」
生死を確認し、針をFALCONを自分の右肩の上に担ぐ。
(…さてと、これからどうするべきかな)

>197
>「私達はこれから戦術的撤退をしますわ〜。それから皆様〜…お怪我をなされていたら私にお任せくださいですわ〜」

マリスからの通信が入った。
(あいつらの居場所は…ほとんど反対方向か)
自身の闘気を探る力を用いて、仲間が集まっている場所を特定する。
(…あの崖は低いな、あそこから行けば敵と遭遇せずに済みそうだな。)
カイザーは数歩下がり、走り出す。
崖のほんの少しの凹凸に足を掛け、小刻みなジャンプで一気に崖上に登る。
(サタン軍も、結構な被害を蒙ってるからな。追っては来れないだろう。)
そのまま駆け出した。

>171>177>197
走り出してから数分、砦からそう離れていない場所で仲間達の姿を崖下に発見した。
「どうやら無事だったようだな。」
アステラが居ない事が少し気がかりだったが、カイザーは崖上から飛び降りて仲間達の元へ合流する。
そしてすぐに肩に担いでいたFALCONを地面に寝かせ、マリスに話し掛ける。
「FALCONが先程の戦闘で怪我をしたみたいだ、直せるか?」

200 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/02/08(水) 23:36:37
>176>177>196>199
セシリアは二人より先に砦の外へ出、周囲の確認をする。やはりこちらには敵は来ていない。
振り向くとマックスが丁度引き絞った弓の弦を離すところだった。
一筋の銀光となった矢が広間に突入してきた敵の額を深々と射抜く。
マックスは矢を放った次の瞬間には踵を返して走り出していた。が、マリスはなぜか急ごうとしない。
倒れた仲間の屍を踏み越えて、騎兵が広間へなだれ込んできた。
鉄鎧鉄槍の重装騎兵だ。マリスの装備では太刀打ちするのは難しいだろう。
案の定、あっさり取り囲まれたマリスは一合で剣を跳ね飛ばされた。
「飛び道具」を使おうにもマックスが丁度射線に重なる位置にいる。そもそも間に合うかどうか。
だがマリスはあたりに光の玉をばら撒くと、動きを止めた騎兵の間をすり抜けてこちらへ走ってきた。

それを見たセシリアは砦の上空へ向けて飛び出した。
眼下の建物に向かって大きく槍を振るう。竜巻が巻き起こり、破れた屋根をさらに崩して広間を埋めていく。
そのまま砦の門に向かって飛びながら何度も槍を振るう。砦が崩れ、仲間達へ至る道を塞ぐ。
瓦礫の上を踏み越えてくる相手もいるだろうが、馬で真っ直ぐ突っ切られるよりは時間も稼げるはずだ。
途中、崖の上を走るカイザーが見えた。誰かを担いでいる。服装からするとFALCONのようだ。
セシリアは一気に速度を上げた。FALCONを倒すような相手だ。アステラ一人ではどこまで持つか不安があった。

砦の門前では巨体のアンデッドと魔族が掴み合いをしていた。脇を騎兵が駆け抜けていく。
その騎兵の群れに向かって、セシリアは剣を振り下ろし、返す動作で槍を突き出した。
炎の渦が騎兵を飲み込む。周りの木に燃え移らない程度の炎ではあるが、馬の足を止めるには十分だろう。

201 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/02/08(水) 23:50:39
 ――彼女の渾身の一撃は、エヴァンスの左腕を奪うのみという結果になった。
 その場の勢いで、何も考えていなかったから、着地できそうなポイントが谷だったなん
て考えもしなかった。
 もっとも、きれいに着地できる状態に無かったのも事実なんだけど。

 エヴァンスを斬りつけ、そのまま自由落下を始めるレナス。
 (あとは剣の赴くままに・・・ってね。)
 右手が痺れて、まだ剣が握れているのかも怪しい。
 現に、彼女の手には既に神剣は握られていない。神剣は彼女の手から離れてしまってい
たのだ。
 そして彼女の落ち込む先は・・・漆黒の闇の中にあった。
 程なく、『ドサリ』という重苦しい音・・・・そして舞い上がる土埃・・・
 音も無く・・・斬撃の音も無く・・・虫の声さえ聞こえない・・・そんな晩だった。

 >光線の雨から抜け出すと同時の斬撃、エヴァンスは避ける代わりに身構え、数個の榴
弾をコートの裾から落とす。
 容赦ない追撃、そして、猛烈な砂埃・・・それが止むと、仰向けに倒れているレナスの
姿が見えた。
 気は失っているように見え、衝撃で術が解けたのか、元の姿に戻っている。
 鎧を脱ぎ捨てていた今、先ほどの爆撃は致命傷となったことだろう。
 レナスは・・・気を失ってはいない。
 むしろ爆撃の衝撃と痛みで、逆に目が覚めたくらいだ。
 手にはへし折れた剣が握られている。

 ”ただし、神剣ではないのだが。”

 ――彼女が持っているのは落下地点にたまたま落ちていたへし折られた三日月刀。

 しかし、薄暗い谷底、照明弾でも上げない限りは判別はできないだろう。
 >「惜しかったなレナス、私とてサタンのベッドで寝た事は無いのさ」
 レナスは敢えて答えない。
 下手に答えればエヴァンスが高度を落とすのを止める恐れがある。
 >「片腕で……小銃を扱うのは……難しいな。ああ、そうだ!」
 (あと少し・・・)
 レナスはエヴァンスが”ある範囲”に到達するのを待っていた。
 >「さて、レナス嬢は御存命かな」
 (入った・・・!)
 そうレナスがそう感じ取った頃には、レナスとエヴァンスの距離は相当に近づいてい
た。
 ・・・レナスの剣が偽物だと気づかれん程に。
 数打ちの剣と神剣を比べる・・・明るい場所ならサルでも違いは分かるだろうさ。


202 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/02/08(水) 23:51:19
 エヴァンスがレナスの神剣が偽物だと気がついたかどうかはわからない。
 しかし、エヴァンスが”その範囲”に足を踏み入れた刹那。
 ――エヴァンスの頭上に大きな魔力の塊を感じた。
 その魔力は光を放ち、あたかも矢が獲物を打ち抜くが如く激しく降下を始める。
 その光は・・・まるで神の持つ後光のような光・・・

 ”矢”はエヴァンスの頭上から一直線に落下し、エヴァンスの鼻先をかすめ、真下の地
面に突き刺さる!
 その正体は、云うまでもなくレナスの神剣。
 レナスの手を離れ、一旦上空で待機した後、再び降下してきたというわけだ。
 不幸にも神剣の軌道上にあったペンタグラムは粉となった。
 それと同時に、突き刺さった神剣を中心に五個の光点が出現、それぞれが外側に移動を
始める。
そして、点と点が結ばれていき、出来上がったのは・・・エヴァンスがレナスにかけたも
のと同じ結界。
 しかし、それはエヴァンスのそれとは比べ物にならないほど――大きい。

 「――ひとつ、いい事を教えてあげよう。」
 倒れていたレナスがふらりと立ち上がって話し始める。
 「これはオーディーン様の闇だからあまり知られていないんだけど・・・数十年前のあ
る戦いでオーディーン様は敵に不覚をとって、グングニルを弾き飛ばされてしまった。」
 更に続ける。
 「当然、オーディーン様は窮地に立たされたのだけれど、そこからオーディーン様を
救ったのは・・・弾き飛ばされたグングニルだったそーだ。
  何でだと思う?
  それはね・・・持ち主の手から離れた種種の神器は、その主に危険が迫ると、単独で
戦うそうだよ。」
 その言葉の直後、結界が青白く輝き、金色の意図が吐き出され始める。
 その数は見る間に増えていき、あたかもそれは天を仰ぐ金色の龍のようである。
 その全てがエヴァンスを捕えようと向かってくるのである、たまったものではない。

 一方、レナスは・・・立ち上がってはいるものの、フラついていてダメージの大きさは
否めない。 「ちなみに。」
 しかし、レナスは続ける。
 「その結界、たぶんボーヤが私に使ったやつと同じだから、上はガラ空き。
  そこで提案なんだけど・・・私はもうふらふらだし、ボーヤもそんな状態。
  ここは一旦引いてもらえないでしょうか?
  ぽつぽつ決着も着き始めてるみたいだし、消耗戦は互いに望むところでもないで
しょ?」

 無茶にも程ある提案である。

 「最後に・・・その結界から抜けて、また私に危害を加えようとしたら・・・きっとあ
の剣が貴様の胸を貫くだろう!」

 ”龍”はエヴァンスに向かって昇り続ける。


203 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/02/09(木) 01:11:08
>194
既に体が発する闘気は収まりつつあった。
そんな事気にも留めず、鎧武者は魔力の発生源の方を向き、しばらくしてふと思う。
それは限りなく確信に近い事実である。
この辺りに集まりつつある禍々しい力が着実に高くなるのを感じるのだ。
恐らくはこの砦自体に『ヤバイ』事が起こる前触れ。
「糞ガ……ココでデカイモンかましおッタら、ワシらァどうなるンジャ阿呆!」
チッと舌打ちをしながら漏らす不満。
何よりも不満なのは――――相手との戦いが出来ぬ事。

しかし戦いとは不思議なものである。
殺しとは明らかに違う、それは楽しい、限りなく楽しいのだ。
だからこそ、相手の首を落とすまでは、退く気などは無いし、退く事はしない。それは揺ぎ無い事実
>196
(さてと…ちと、時間掛けすぎたかな?)
そんな事を思いながら手の中で苦しむ相手を見やった。

刹那、左肩に凄まじい衝撃が走る!
見ると、いつの間にか相手が左手に溜めた『何か』を自分の左肩にぶっ放したのだ。
「ッ!?」
衝撃は左腕の鎧を吹き飛ばし、下の左肩骨を露にした。左腕に残るは大きく長い骨と手甲のみ。
しかし、アンデット特有のバイタリティ、防御力の高さか下の左肩骨にはヒビ一つ入らず。
だが咄嗟の衝撃に耐え切れなかったのか、左手が相手の首から弾き飛ばされてしまった。

「!!」
直ぐに思考を『戦』に戻し、右手の刀で横薙ぎに振り切る。
しかし相手も力一杯弾いたため、衝撃で互いに凄まじい距離が開いた。

一番最初に来た感情…『痛み』でも『恐怖』でもない、それは『驚き』と『歓喜』である。
思わず弾き飛ばされた左手を見つめ、手の平を開閉し動作に異常は無いか確かめた。
うむ、問題なく動く。

「おウおウ、こりャ誤算やノぉ・・・。
 まさか首絞められテ飄々としトるとは、ワシも詰が甘かッタわァ・・・化けモンめ。」
お前も化け物だろと言うツッコミは無粋である。
ポリポリと頬を掻きながら相手に問いかけた。
しかし次の言葉
「なァ……そなイに、『この力』が怖いンか?」
確証はないが―――――あの焦りようから見て間違いはなさそうだ
この男焦る余り、『何か』から逃げようとしたのだ。
そんなつまらん奴とは思えんが……仕方ない。

「逃げルんか!?敵前逃亡?、こないナ天変地異ばかシに怯える腰抜けがァ!
 オマエはもう『勝負の相手』や無い、ただの『狩りの獲物』じャ!
 肝っ玉小させェ野朗にャ容赦ないワ、大人しゅウ『屍』晒せヤ!!」
口から出るは怒声と罵声。
そして、すばやく左指を『獲物』に向け、照準も定め指に軽く力を入れた
その瞬間である。
【ドドドン!!】――――よく響く5発の砲撃音と同時に、指先から仕込み火筒『炸裂球』が発射された。
勝負には使わず『つまらん奴』『逃げる奴』に使う奥の手
無論魔法詠唱などよりも、ずっと早い。
砲弾がアステラに向かっていく!

204 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/02/09(木) 15:29:51
>194>201>202
ペンタグラムに乗って空中に佇む内、シズネから術式の準備が整ったとの連絡を受けた。
「了解した、砦の部隊は引き揚げさせる。各隊伝令の後、術式を発動しろ。
あー、軽・中・重騎兵中隊。直ちに作戦行動を中止し、撤退せよ。
繰り返す、魔方陣基地から撤退せよ。基地を破壊する。撤退せよ。
各中隊、隊長が持ち場を離れている場合は補佐官が指揮を執れ。
全隊撤退完了を確認と同時に、砦は破壊される。もたつくな、早くしろ!」

命令を終えると、念話装置をコートのポケットに突っ込んで地上を見下げる。
地上から神剣の魔力が消えた。爆発によって弾き飛ばされたか――或いは自律攻撃か。
レナスの生死は不明だが、剣を確保しない限り安全ではない。
エヴァンスが辺りを見回したその瞬間、頭上に強大な魔力の集中を感じ取る。
「……!」
咄嗟に自らの上下左右に展開させた魔法障壁が、いとも簡単に打ち砕かれる。
が、刃はエヴァンスを直に狙う事無く剣は地面へ突き刺さり、巨大な結界術を発動。
拘束術式の金糸が、五芒星からエヴァンスの足下へ延びる。

爆発に乗じて神剣を手放し、自らを囮に剣の遠隔操作。所持者のキャパシティを侮っていた。
レナスが立ち上がる。足取りは覚束無いが、榴弾の爆発は致命傷を与えるには至らなかったようだ。

>「その結界、たぶんボーヤが私に使ったやつと同じだから、上はガラ空き。
> そこで提案なんだけど・・・私はもうふらふらだし、ボーヤもそんな状態。
> ここは一旦引いてもらえないでしょうか?
> ぽつぽつ決着も着き始めてるみたいだし、消耗戦は互いに望むところでもないでしょ?」

「仕方無い。その剣も貴様も、一先ず諦めるとしようか。壊さずに奪える程の準備も無いしな。
しかし因果な女だ。戦場の臭いを、火薬と血の臭気を、忘れられないからここに来たんだろう?
ヒトの世は退屈だからな。チェスゲームの駒を演じるのが苦痛なら、正義の色味付けで誤魔化してしまえよ。今みたいに。
運命と呼ばれる神の、ペットの猿に過ぎない俺たちが本当に守りたいモノを守ろうとするなら――
――どうして奴らと同じ舞台へ上がろうとしない、レナス! 貴様はかつて、そこに立っていた筈だろう?」

レジストしようとすれば神剣と「Calverinia」を直接対決させねばならない。が、生憎と義手に代えは無い。
無茶が出来ない以上は素直に逃げる。破壊されたペンタグラムとそのフェイクから魔力を抜き出し、義手へ集めた。
左腕が幾つかの鬼火を纏ったところで飛翔術を撃ち、同時に集中させた魔力を”龍”へぶつける。
鬼火は空中で新たな結界術を発動、神剣からの魔力を受け止め――高密下での急激な魔力集中が、魔力暴走を誘発した。

炸裂の瞬間の激しい閃光は榴弾のそれを遥かに勝り、地上の結界から巨大な光の柱が立ち昇った。
白色光は上空で三方へ伸び、あたかも巨大な十字架のよう。衝撃波が戦場一帯を揺るがし、振動はシズネの術に相乗する。

205 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage ] 投稿日:2006/02/09(木) 18:12:55
>192>204
―――――――――――――――夢を見た。


そして、覚醒――――――――――――――

>「了解した、砦の部隊は引き揚げさせる。各隊伝令の後、術式を発動しろ。
>あー、軽・中・重騎兵中隊。直ちに作戦行動を中止し、撤退せよ。
>繰り返す、魔方陣基地から撤退せよ。基地を破壊する。撤退せよ。
>各中隊、隊長が持ち場を離れている場合は補佐官が指揮を執れ。
>全隊撤退完了を確認と同時に、砦は破壊される。もたつくな、早くしろ!」

いきなりの大声に一瞬で意識が覚醒した。が、口の中が悲惨なまでに苦い。
「う・・・ゴホッゴホッ!」

手に吐き出して見れば、それは
「草・・・?薬草というやつか・・・?」

そして、傷も手当てされていた。どうやら人が通りかかったらしい。
いや、それを考えるよりも・・・砦を破壊する?と言ったか?
「了解。近くの森に落下したが、これより合流する。」

とりあえず、体を起こして本部中隊がある位置へ向かおう。
先ほど空中から見えた方向が合っている事を祈って。
頭の中では未だに機能停止を訴えているが、これは仕方ない。
鈍い痛みの走る頭で、大剣を引きずりながら歩く。

「結局、誰だったんだ・・・?」
謎の半端にやさしい人について考えつつ歩く、やがて本部中隊に着くだろう。

206 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/02/09(木) 19:48:08
>204
「了解。発動後のどさくさにまぎれて逃げる奴がいないよう、警戒線をはっとくれよ。」
全隊撤退完了を待ってやりたいのは山々だが、旗が持ちそうにない。それでも撤退命令が
出てから20秒くらいは待ったかねえ。さて・・・
準備は万端、ぐいっと力を入れるのはまずは誘脈旗だ。
「来たれ!冥界の槍ッ!!」
その言葉と共に術の発動。だが、同時にあたしの手に握られていた誘脈旗の柄は砕け旗は
破れ発火し、青白い炎に包まれる。
「まだまだぁ・・日輪砲ッッ!!」
もう一つの術の発動。そして蚩尤旗も誘脈旗と同じ運命を辿る。
違うのは包む炎が黒かったってだけさ。

***************************************************************
突然砦一帯に大きな振動が起こる。
まるで突き上げるような強い振動。その震動の正体はすぐに顕われた。
まずは砦を取り囲むように巨大な岩が大地を突き破って隆起する。
直径10m、高さ30mに及ぶ岩が八本。
だが、それだけでは終わらなかった。
直径3m、高さ10m規模の無数の岩が砦を貫くようにそこかしこに隆起する。
強い衝撃と共に岩の槍は砦を貫き、地下にあった泥と瓦礫と化した砦を盛大に巻き上げた。
だが、その泥と瓦礫は大地に落ちることはなかった。

砦一帯に低く重く立ち込める雲。
その遥か上空に『ソレ』はあった。
渓谷全体を包んでいた蚩尤旗の赤い霧は雲のはるか上で直径2キロのレンズを形作って
いた。
術の発動と共にその角度・密度を変え、太陽の光を凝縮していく。
光は屈折し、一点に集められた場所にあるのは直径200mの赤い霧で形作られた筒。
光は筒に集まり凝縮され、一気に真下にある砦であった物を貫く。
直視できぬ程の光の柱が立ち、なにもかもを飲み込んでいった。
地に降り注ぐ陽光も一点に集中すると、凄まじい破壊的エネルギーと化す。
圧倒的熱量を持つ光の柱は雲を貫き、舞い上がる泥や瓦礫、そして岩の槍を一瞬で蒸発さ
せた。
光の柱の寿命は数秒。
だが、その数秒で光に包まれたものは全て蒸発し、砦であった場所にはガラス質に変質した
大地と深々とした大きな穴が残るばかりであった。

大地の震動と天からの光の柱はすぐに消えたが、その影響は後まで続く。
圧倒的な熱量による乱気流が発生し、辺り一帯に吹き荒れる。空中や高い所に居ればモロ
にその影響を受けるだろう。
そして雲は活性化し、雷と大粒の雨を降らし始めていた。
***************************************************************

「ふふふ・・・どんなもんだい・・・」
遠くに見えた光の柱を見ながら笑みも浮かぶよ。
旗が壊れちまったから霧も消えてしまったし、またこの二本の旗を作るのにどれだけの月日が
必要かもわからない。
でも清々しいじゃないかえ。
形あるものはいつか壊れる。肝心なのは形を保つ事じゃなくって何を成したかって事だからね。

早速降ってきた大粒の雨に番傘を差して辺りを見回すと・・・護衛兵は全滅か。カラカラのミイラ
になって死んだから雨に打たれてもう形が崩れてきているよ。
おや、一人形が崩れない・・・。よく見ると生きているじゃないかえ。
「さて・・・お前さんたちは仕事をきっちりこなした。ありがとうよぅ。
何とか生き延びたはいいが、あたしには救う術も力も残っていない。・・・とどめ・・・欲しいかい?」


「さ、仕事は完了。もうここにいてもやるこたないからね。本隊に合流しましょうかねい。」
ポクポク馬に乗って本隊に合流すべく移動の開始だ。

207 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage 時間切れ] 投稿日:2006/02/10(金) 00:09:58
>203
>「おウおウ〜〜化けモンめ。」
『・・・!』
引き様に抜刀攻撃を放つ。化け物、と言う単語にアステラの意識が過敏に反応したのだ。
人間であろうとするアステラにとって、化け物扱いは耐えがたかったのだ。

>「逃げルんか!?〜〜『屍』晒せヤ!!」
『炸裂球』が迫る、がそれをランダム蛇行軌道で回避する。
一瞬姿を消し、次の瞬間には違う場所に姿を現す。この戦いで覚醒した
『悪魔の力』の一つだ。はるか遠くに逃げて、背を向けた・・・瞬間、
人間の姿に戻ってしまった。顔は見られていない、筈。

『・・・それもあるが、時間切れだ。』
声だけは『悪魔』を保って喋る。辛うじて届いているだろう・・・。

>206
その時ついに始まった、人為的災害なんて言う生易しいレベルの代物じゃないそれが。
まるでこの世の終わりの縮図の如き破壊が砦を中心に全てをなぎ払う。

歯軋りと共に様変わりしていく大地を駆け抜けていく。
範囲から完全に脱出した時、動けるだけの力は残っていなかった。
身を隠せる森に入り、木の上に上って気配を消す。
・・・頬を何かが伝った。涙だ・・・声一つ上げず、アステラは『泣いて』いた。
そして呟く。あらん限りの呪詛を、そして新たな復讐の誓いを。
『・・・これで、俺の過去は完全に消えた・・・。
 魔王軍・・・内なる『悪魔』共々、必ず、殺してやる・・・滅ぼしてやる・・・!』

208 名前:辻斬り(中隊) ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/02/10(金) 15:24:47
>197
(なんだこの小娘は・・・)
目の前の娘を囲いながら、中隊全員が同じ事を思い浮かべた。
どこかのんびりとしていて、とてもじゃないが戦場には場違いこの上ない。
「なぁ、こんなのがオーガスの騎士なのか?」「なんだ意外と可愛いじゃねえか。」「取って食っちまおうぜ!」
挙句そんな会話すら聞えてくる始末。思えばそうだ、ある意味想定外の出来事なのだ。

>「ですが、私も負けませんわ〜」
しかし少女は隊員たちの目の前に光の玉を浮かべると、笑顔で騎兵の間をすり抜けて穴から外へ出て行ってしまった。
それを慌てて止めようと一人オークが動いたが、光の玉に触れた瞬間大きく吹き飛んだ。
どうやら、この玉は間の悪いことに機雷的な役割を担っているらしい。
「クソッタレ、お前らこんな軽い爆発にビビるんじゃねえ!追うぞ!」
何人かが爆発を物ともせずに、穴へ馬を走らせた・・・その瞬間である。
続いて襲ってきたもの、それは『瓦礫』と『竜巻』。
先程の少女の仕業か?いや違うのか、砦内の中隊は瓦礫に当たりまたは吹き飛ばされ、とてもじゃないが進軍できる状況ではない。
少女が出て行った穴などは、とうに瓦礫で塞がれてしまった。
しかも撤退しようにも竜巻や瓦礫に足を取られ上手く進めないオマケ付きである

これがオーガスの騎士の力なのか・・・なんともピンからキリまで幅が広すぎる。
――――――――――――――――
>204
セシリアの術は炎の渦になり、外に待機していた騎兵達も薙倒す程に強力なものと化した。
隊長が持ち場を離れているため指揮を取るのは、エヴァンスの補佐官と特攻隊。
「おい!テメェら、あんま下手に突っ込むな!今は引き上げねえと死ぬぞコラァ!」
特攻隊が声を張り上げ外に待機していた40人の騎兵に撤退を促す、それでも被害は増え続ける状況。
空から爆撃を受けている状況では相手を迎撃するのは不可能と補佐官は判断したのだ。
何しろ炎の威力が弱くとも今となっては突撃するよりも、撤退した方が得策である。

それにエヴァンスの通信により、早く兵たちを引き上げさせなくては全滅の危険性すらあるのだ

209 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/02/11(土) 10:53:58
>208ふとマリスは穴から出る間際にオーク達の食っちまおうぜと言う言葉を思い出していた…私は美味しいのかしら〜?とこの非常時にのんびり考えていた

>190 >199 >200
マリスが銀盤を取り出した辺りだろうか?セシリアが上空高く舞い上がっていった
それを見上げながらマリスはつぶやく…
「私も飛んでみたいですわ〜」
…服装を考えような?とツッコミを受けそうなつぶやき…そのつぶやきが終わり、やや時が開いた後、カイザーが上空から飛来する
>「どうやら無事だったようだな。」
久しぶり(?)に見る天聖騎士の顔
「無事ですわ〜」
マリスは暢気に返事を返す…一瞬カイザーの表情が苦笑気味になったような気もするが、カイザーは肩に担いでいたFALCONを地面に寝かせてこう言った
>「FALCONが先程の戦闘で怪我をしたみたいだ、直せるか?」
怪我の治療の依頼だ
「任せてくださいですわ〜」
少女は微笑んだ後にFALCONの傍に移動、傷の状態を見る……かなりの重傷だ。血も抜けてるようなので普通の人間なら死んでいる。でもFALCONは生きていた
「これはひどいですわ〜」
人を不安にさせるようなことばをさらっと口にする。…だが、死んでいなければ回復する手段はいくらでもある…代わりに、術者に負担がかかるだけだ
「それでは治療を始めますわ〜……神様、この者の傷を治す力を授けてくださいですわ〜」
少女は両手を拡げ…色々と中途半端な詠唱をする
…詠唱の後マリスの体が淡い光に包まれ、続けてFALCONの体も光りだす
「……」
しばらくの間光っていたが、光が治まり…
「これで大丈夫ですわ〜」
暢気な言葉と共に治療が終わった事が告げられる…
FALCONの体にあった傷は無くなり、元どおりになっていた

>204>206
その時だった
突然一帯が大きな振動に包まれる…砦がある場所へは岩の隆起、光の柱、それに加え雨…いや激しい雷雨と乱気流が砦そのものを吹き飛ばし、言葉で言い表わせない天変地異
…いや、まさに地獄絵図とも言えるであろう…それが砦を飲み込んでいく
そして…大地に大きな穴が残った。
「すごい力ですわ〜…」
マリスは恐らくは魔王軍にいるだろう者、シズネの技を称賛した


時にマリス達は避難をしていて事無きをえたが、この場にいないアステラは無事なのだろうか
少女はあの砦の中にいたら怪我をしてしまいますわ。と考える…もし中にいたら確実に死んでいるが、とりあえずはアステラの心配をしていた
マリスは銀盤を取り出して呼び掛ける
>207
「アステラ様…御無事ですか〜?」
…単純な心配の言の葉。口調が暢気ではあるが心配はしていた


210 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/02/11(土) 14:32:41
>209
「うっ……」
マリスの治療術のおかげで意識が戻った。
その効果は凄まじく、全身の傷が消え失せており、
更には電撃を喰らった時に傷めた体内まで完治している。
ホントに見習いの聖騎士か、と疑うほどの凄まじい力である。

起き上がって辺りを伺うと、砦があった場所に何もなくなっている。
正確には巨大な穴と雷雲から降り注ぐ雷と豪雨があるのだが。

「みんな…どうなったんだ……?」
近くにいる仲間達に、余りにも変わった周りの様子を聞いてみることにした。

211 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/02/12(日) 00:23:41
>209
ひとしきり泣き、涙も枯れた頃に懐の銀盤から声が聞こえる。
マリス、あの何を考えてるのか、もしかしたら何も考えて無さそうな
お惚け女・・・内容は自分を心配するもの。連合軍に参加して初めて年頃らしい感情の渦の
真っ只中にいるアステラにとって、このタイミングで心配されると言うのは致命傷。
枯れた筈の涙が頬を伝い、押し殺した嗚咽が漏れる。気付かれるわけにはいかない、
と落ち着くまで返答できず。

それから数分後、どうにか落ち着いた。
そうして銀盤を取り出し口元に寄せていつもの声で一言。
『・・・俺の事は気にするな・・・。』

それだけ言って銀盤をしまい、辺りの様子を窺う。
生き物の気配はない、とりあえず魔王軍に見つかる心配も無さそうだ・・・。
精神的にボロボロではあるが、自分の目的を果たす為木から降りて歩き出す。
・・・場合によっては、あえて魔王軍に籍を移す必要もあるだろう・・・。

212 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/02/12(日) 01:42:15
>201-202>204
マリスにFALCONを託した直後、カイザーは離れた場所で力と力の衝突を感じ取っていた。
(遠くで誰かが戦っている…誰だ?)
同盟軍はアステラを抜かせば全員とも近くにいる。
そして、今発生している力はアステラの力とは気の性質が全く異なっている。
よって、共に同盟軍を出発した仲間ではない事は明らかだ。
(…俺達の他にサタン軍と戦っている者がいるのか?)
根拠の無い定説だが、カイザーはそれを信じたくなった。
人類は恐怖の軍門に下るべきではないのだから…

>209
>「それでは治療を始めますわ〜……神様、この者の傷を治す力を授けてくださいですわ〜」
マリスの身体は光に包まれ、その光が負傷者のFALCONをも包み込む。
(…やはり、凄い潜在能力だな。)
カイザーは感心していた。
自分は回復魔法は苦手な分野である、
だが、それを目の前の少女は自分の得意分野の様に披露していた。
(本当の聖騎士…か)
聖騎士の誓い、それは全ての人を救える騎士、
目の前の消え掛けている灯火を再び燃え盛る炎に再燃させる事ができる騎士
(…本当の聖騎士は俺みたいな騎士ではなく、マリスのような騎士を指すのかもな。)
癒しの力、それは人を救う力。
生物の未来の為とは言え、光を操り破壊を繰り返すカイザーにその光は通常以上に眩しく思えた。
>「これで大丈夫ですわ〜」
陽気で暢気な声より少し前に淡い光は姿を消した、その代わりに傷が癒えたFALCONの姿がそこにはあった。
「マリスは凄いな…将来は、きっと素晴らしい聖騎士に成れるだろう。」
カイザーは、半ば無意識に心の中で思った事を口に出していた。

ヒビの入った左腕はマリスに治療してもらう事も出来るが、いざという時の為に彼女の魔力は温存しておきたい。
(まあ、俺には聖なる力があるから数日間で回復してくれるだろう。)

>206
「……ッ!!」
突然の振動、突然の岩々の隆起…そして突然の激しい閃光が光の柱を創り、砦を此の世から葬り去る。
「…こんな事に…こんな事に、光は使うべきじゃ無いのに…!!」
カイザーは拳を握り締め、その光景を見つめていた…そして倒すべき敵を再認識していた。
上空から降り注ぐ雨の水滴を地面の土は弾き、それは繰り返された。

>210
光の柱が消え去った後も、カイザーは砦の跡地をずっと見詰めていた。
>「みんな…どうなったんだ……?」
その時、後ろからFALCONの声が聞こえた。気絶から回復したようだ。
カイザーは振り向き、簡単に今までの状況を話す。
「お前が向こうで気絶してたから、俺がここまで運んできてマリスに治療を頼んだ。
 それから暫くして、おそらく敵の仕業だろうが、上空から光の柱みたいなのが降ってきて砦を消滅させてしまったんだ。
 周りで上に伸びてる岩とか降ってる雨とかはその光の柱の影響らしい。…っと、今までの状況はこれぐらいかな。
 それで、これから撤退する予定なんだが何か良い方法とか無いか?来た道を戻ると罠がまだ残ってるだろうしな。」

>211
>『・・・俺の事は気にするな・・・。』
アステラの声がマリスの銀盤から響く。
声質に元気が感じられないのが気に掛かったが、無事なのは確認できた。後は撤退するだけだ。

213 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/02/12(日) 01:57:40
「運命と呼ばれる神の、ペットの猿に過ぎない俺たちが本当に守りたいモノを守ろうとするなら――
 ――どうして奴らと同じ舞台へ上がろうとしない、レナス! 貴様はかつて、そこに立っていた筈だろう?」

 「私だって別に戦いたいわけじゃない。
  ・・・でも、惚れた人の墓参りくらいはしたいわけ。それをボーヤ達一行が邪魔してるんじゃ、戦うしかないでしょ?
  あと、私はヒトに下ったことは後悔してないよ?
  下ったからこそあの人の気持ちも分かったし・・・何よりウマいもの巡りなんてできなかったしね。
  ・・・と、ゆーわけで、サタンによーく首洗っとくように伝えておいてね。」

 後ろを振り向き、ふらりとエヴァンスに向かって手を振る。
 剣は黙っていても手元に戻ってくるだろう。
 何より魔力同士の誘爆が怖かった。そして立っているのさえ辛い。
 ふらふらと歩みを進め、ある程度の距離がとれたところで――予想通り誘爆が起こった。

 >炸裂の瞬間の激しい閃光は榴弾のそれを遥かに勝り、地上の結界から巨大な光の柱が立ち昇った。
 >白色光は上空で三方へ伸び、あたかも巨大な十字架のよう。衝撃波が戦場一帯を揺るがし、振動はシズネの術に相乗する。

 轟音で耳が少しおかしくなったが、距離をとったお陰で小石が顔に当たる程度で済んだ。
 エヴァンスが退いたのか、剣が閃光の中から飛来、ざくりとレナスの足元に突き刺さる。
 (剣だけで戦った方が強いとはね・・・)
 そんな悲しい事実を脳裏に浮かべつつ、剣を引き抜く。
 その際に、剣に残留していた魔力がレナスに流れ込んできた。
 (どこまでもこの剣に助けられる・・・)
 とりあえずここから出るにはこの谷を登る必要がある。
 それなら・・・小さくなったほうが機動性が上がりそうな気がする。
 
 (――さてとりあえず谷は抜けられたけど・・・自力じゃ帰れそうにないなぁ。)
 それならば、とレナスは同盟軍と合流することにする。
 そもそもそれが目的だったのだが、いろいろ予想外のことがあっていまだ合流できていない。
 (鎧の回収も後だな・・・遠すぎる)
 気を集中してみると、FALCONとカイザーが合流しているのが感じられた。
 一緒にいるのは仲間だろう・・・
 恐らく彼らがいれば軍への受け入れもスムーズになると思う。

 ここで小さくなっていた事が仇となった。
 藪で向こうが見えないし、進みにくい。ちょっとした失策だったが大きな問題ではない。
 >「お前が向こうで気絶してたから〜。
 >それで、これから撤退する予定なんだが何か良い方法とか無いか?来た道を戻ると罠がまだ残ってるだろうしな。」
 ずるずると剣を引きずりながら先を進むと、やがて聞き覚えのある懐かしい声が聞こえた。
 カイザーである。
 藪の中を姿も見せずに(見せられないんだけど)進んでいたらいきなり切り捨てられそうだが、そんなこと気にしている余裕はない。
 でもせめて声は掛けよう。そう思った。
 藪の中からやっと顔が覗いたとき・・・

 「皆さん、おひさしぶ・・・り・・・」

 味方に出会えて気が緩んだせいか、そのまま気を失ってしまう。
 そういえば忘れていたけど、小さいままでレナスと理解してもらえるのだろうか?

214 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/02/12(日) 02:45:37
>206>208>211
炎に煽られた騎兵たちが退き始める。かと思われたが、セシリアには何か別のものに急き立てられているように見えた。
やはり砦そのものに対して何がしかの攻撃が加えられるということか。
眼下で繰り広げられていた悪魔とアンデッドの掴み合いはいつの間にか終わっていた。
アステラはどこにいるだろうか。セシリアは首を巡らせて探すが、ちょうど視線を砦に戻した瞬間、激しい振動が一帯を襲った。
岩が隆起し砦を突き破り、塵や土を巻き上げる。それが地面に落ちないうちに空から降りた光の柱がすべてを消し去る。

セシリアは光の柱が砦を直撃した瞬間に発生した爆風に巻き込まれ、崖に飛ばされた。
岩壁に叩きつけられる寸前で風を制御して崖の上に出たが、次の瞬間高熱のせいで発生した上昇気流が、
周囲の空気を吸い上げるのに巻き込まれそうになり、あわてて近くの木に剣を打ち込んでそれにつかまった。
「でたらめだわ……降星術並みじゃない」
家伝の秘術の名を口にする。今発動された敵の術はほぼ同等の威力があると見ていいだろう。
ことによればさらに威力を上げられるのかもしれない。
(勝てるかな……)
感じた不安を声に出さないのはせめてもの強がりだろうか。

大規模な術は敵の前線にも混乱をもたらしている。
セシリアは鬨鈴で周囲の音を聴く。かなり雑音が多いせいで頭痛がするが、
それでもなんとか聞き覚えのある声を拾い出すことが出来た。
>「アステラ様…御無事ですか〜?」
マリスの声だが、方角からするとアステラの銀板から聞こえてくるものだ。
崖の同じ側にいるらしい。そちらを目指して木立の間を走る。
程なくして梢の合間に見知った後姿を見つけ、小さな声で呼びかけた。
「アステラ、無事か?」
何とはなしに雰囲気が重たいのを感じたが、その理由は当然セシリアにはわからないことだ。

215 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/02/12(日) 03:28:01
胸が、軋む。軋む。軋むのだ。今まで経験したことのない、内側からの痛み。堪え切れずににその場にうずくまる。
しかしその痛みは抑えられるどころかますます酷くなるようで。呻き声が口から漏れるほど、強く、胸を締め上げる。
傷からくる痛みではない。どうしてこんな痛みが襲うのか、それには見当が付く。ラックは苦しみながら、思い出す。
忘れたこともない、戦いに身を落とすことを決意した、あの日の言葉を。

『心臓に?』
『そう。ビー玉ぐらいの大きさの球体が、心臓に埋まってるんだ。君の体に電気をもたらしているのもそれだろう』
『体に、影響はないんですか?』
『…ないわけではない』
『それは?』
『……』
『先生!教えてください!』
『君が初めてじゃないんだ、その症状は。そして発症者は、例に漏れず球体の暴走により若くして死んでしまっている』
『じゃ、じゃあ早いうちに取り除かないと』
『無駄だ。その球は君の心臓の奥深くに埋まっている。無理に摘出するのは、死を早めるだけだ』
『…俺は、どれぐらいもつんですか?』
『分からない。ただ…全員、二十歳の誕生日を迎える前に…』
『…死の前兆、みたいなのはあるんですか?』
『かなり強い胸の痛みを皮切りに、扱える雷の力や、単純な身体能力がさらに飛躍的に上昇する。
 それに、めっぽう打たれ強くなる。まるで消える直前に一番強くなる…蝋燭の灯のようにな。
 それからは、長くても――』

今、分かった。
これまでは漠然と「あと三年以内だよな」と思っていただけだった。今、それが肉付く。この胸の痛みとともに。
死を、受け止めていたのではなかったのか。諦めていたのではなかったのか。その運命を、受け入れていたのでは。
しかし今となっては、そうでなかったことに気づく。ただ逃げていただけだ、その現実から。怖くて。死ぬのが、恐くて。
それが証拠に、今、ラックの頬を流れる、大粒の涙。

>204
>「了解した、砦の部隊は引き揚げさせる。各隊伝令の後、術式を発動しろ。
>あー、軽・中・重騎兵中隊。直ちに作戦行動を中止し、撤退せよ。
>繰り返す、魔方陣基地から撤退せよ。基地を破壊する。撤退せよ。
>各中隊、隊長が持ち場を離れている場合は補佐官が指揮を執れ。
>全隊撤退完了を確認と同時に、砦は破壊される。もたつくな、早くしろ!」
ゴム手袋の上に付けていたため。はずしてポケットに入れていた指輪から、通信が入る。
その時にはもう涙すら涸れ果て…ただ呆けていただけだった。通信が入ってもしばらくは、微動だにせず。
やがて立ち上がり、覚束ない足取りのまま、歩く。「撤退」という言葉に反応しただけだ。
ただ、ラックにはもう魔王軍にいる必要も、義理もない。ただ、この場にいるべきではないことを、感じただけ。

>206
ラックの背後で、振動、地響き。誰だって振り返るであろう、そんな大仰な音にさえ、全く反応を示さず。
ただ、歩いてゆくだけ。降ってくる雨も、まるで気にせず。雨が降っていることに気づいてすらいないように。
正面から見たなら分かったろう、ラックの瞳に全く生気が宿っていないことを。

「あ、隊長、無事だったん」
ラックに駆け寄って声をかけてきたのは、ラックの部下だった者。
ハンマーにつぶされて肉塊と化したのは、ラックの部下だったモノ。
この部下に恨みがあったわけじゃない。ただウザかった。それだけのことだ。
そもそもこの程度の亜人が何もせずに自分より長生きできるということが、許せない。

(そうだ)
どうせ死ぬのだ、みんな道連れにしてやる。魔王軍も、同盟軍も、みんな。殺してやるさ。老若男女問わず皆殺しだ。
さっきから体にみなぎるこの力。どうやらこの「死の前兆」は、予想以上に力をもたらしてくれるようだ。
今なら、何でもできる気がする。なら壊してやる。すべてを。俺が。破壊してやる。
壊す。
壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す
壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す
壊してやる。

不適に笑うラックの瞳にはまだ、生気は戻っていない――。

216 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage] 投稿日:2006/02/12(日) 06:09:09
>185>197>208>204>206
後ろを振り向くとマリスがまだ砦の中に残っていた。
「ヤバ、速く戻らねえ……うぐっ!?」
戻ろうとした途端、突然、激しい頭痛が起こった。余りに突然の出来事であった。
身体が動かず、周りが見えず、声も聞こえず、考える事など出来はしない。
「がっ……!ぐわぁあああああああっ!!」
光の柱によって生まれた衝撃が、動けない彼を襲い、吹き飛ばす。
マックスは受け身も取れず、離れた場所に叩きつけられる様に落ちた。

彼の意識は急速に薄れていった。

>209-210>212
それから暫く経った。
「……」
マックスは何も言わずに立ち上がり、ぼうっと周りを見回した。砦は変わり果てた姿になっている。
「こんな所までとばされるとは……さっさと戻らなきゃな」
そう言って遠くに見える仲間達の方へ歩きだした。体中が軋む様に痛い。
「生きてんのが不思議だもんな……これ位は我慢すっか」

217 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage ] 投稿日:2006/02/12(日) 09:07:18
ややあって、冴波は自分の部下達と合流していた。

[隊長は何を無茶やって・・・・・・]
「悪いが、そう話してもいられない。結構、体にガタが来てしまった。」

>206
そんな頃に凄まじい光が空から落ちた。
咄嗟に自分の体を庇うが・・・砂塵が巻き上げて周囲の様子もあまり見えない。

「これは・・・誰の技だろうな。」
「<要休息時間10800秒超>」
未だに力が使えない状態の自分を鑑みると、随分非力なのだと思った。
コイツが活動していない自分など、少し強いだけの戦士にすぎないのだ。

>215
[・・・・・・?]
「どうかしたか?猫。」
[いや、なんとなーく嫌な感じがしただけですよー隊長。]
「・・・。そうか。」

「とりあえず、負傷者の捜索と手当てを続行してくれ。敵も目的を果たした以上、無駄に襲撃はしてこないだろう。」
[(今ここで、隊長その格好エロすぎとか言ったら・・・また氷にされる。)]

本隊と合流したことで、冴波は一息つくことにした。
どこかで起こっている惨劇を知る由もない。

218 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/02/12(日) 11:26:50
>212>213
>「お前が向こうで気絶してたから、俺がここまで運んできてマリスに治療を頼んだ。
>それから暫くして、おそらく敵の仕業だろうが、上空から光の柱みたいなのが降ってきて砦を消滅させてしまったんだ。
>周りで上に伸びてる岩とか降ってる雨とかはその光の柱の影響らしい。…っと、今までの状況はこれぐらいかな。
「そうか…そんなことがあったのか…とりあえずありがとうな、カイザーにマリスちゃん」
砦を跡形もなく消滅させる技。
この技の使い手はおそらく自分よりも実力は上だろう。
実際にFALCONはこんな天変地異が起こるような大技を使えない。
三年前の自分ならともかくとしてだが。
(こりゃ、俺ももっと強くならなきゃ駄目だな……)


>それで、これから撤退する予定なんだが何か良い方法とか無いか?来た道を戻ると罠がまだ残ってるだろうしな。」
「考えがあるってことはあるが……」
FALCONの考えは、自分の特性を生かした移動方。
自身の空間漂流の力を意図的に使い、故郷の魔界を経由して移動するのだが。
(この技、めっちゃエネルギー使うからな。
それに、下手に飛び出て魔界で危険な目にあう可能性もあるしな……)
思考を巡らせている時に近くの藪から声と何かが倒れる音が。
目を向けると少女が気絶してる。
「こんな所でお昼寝かよ……マリスちゃん、そこの女の子の治療を頼めるかな?」
近くにいるマリスに治療を促すと、カイザーの方に向き直す。
「俺に策があることはあるが、危険すぎる。
他の皆に何かいい方法が無かった時に説明する」



219 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/02/12(日) 14:49:46
>212
「マリスは凄いな…将来は、きっと素晴らしい聖騎士に成れるだろう。」
天変地異が起きる前に言ったカイザーの言葉…マリスは嬉しかったので微笑みで返した


>210>211>212>213>218
>「うっ……」
>「みんな…どうなったんだ……?」
傷が完治したFALCONが目を覚まし、問うてきた。
そこへカイザーが事情を話す…とても分かりやすい。…マリスでは分かりやすく説明できないと思うので、尊敬する
>「そうか…そんなことがあったのか…とりあえずありがとうな、カイザーにマリスちゃん」
事情を聞いたFALCONは二人にお礼を述べる…
「気にしないでくださいですわ〜」
マリスは微笑みながら言う

それと同じ頃、やや遅れてアステラから通信が入る
>『・・・俺の事は気にするな・・・。』
ぶっきらぼうだ。だがマリスはさして気にせず銀盤に向けて
「分かりましたわ〜。アステラ様もお気を付けてこちらに来てくださいですわ〜」
アステラへこちらに合流するように促す

その時だろうか、藪の中から声がした
>「皆さん、おひさしぶ・・・り・・・」
小さい女の子が現れ、そのまま気を失ってしまう
「可愛い女の子ですわ〜」
そう言いながらマリスは倒れている女の子に駆け寄る…自分より小さい。何故ここに?と思った刹那、FALCONが
>「こんな所でお昼寝かよ……マリスちゃん、そこの女の子の治療を頼めるかな?」
また治療の依頼だ
「分かりましたわ〜」
マリスはこの娘と面識は無いが、FALCONは知っているようなので言うとおりにする
「神様(以下略)ですわ〜」
…FALCONにしたのと同じように回復魔法を施す…
「終わりましたわ〜」
またもや暢気な終了の合図をし、ゆっくり立ち上がる

「…あら〜?」
ふとマリスはカイザーの左腕から【痛いですわオーラ】(マリス命名)を感じた
「ちょっと左腕を見せてくださいですわ〜」
そう言いながらFALCONと話をしているのも気にせずにカイザーににじり寄る
自分から怪我を治してと言わない人は、大した事はないと怪我を見せなかったり治療を拒む可能性があるのだが。
そう言われたとしたら、大事に至ってはいけないので少しの怪我でも治さなければならないのですわ。とマリスは持論を振りかざすつもりだ
カイザーが自分をいたわっている気持ちも考慮せずに…

220 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/02/12(日) 15:21:42
>207
放った炸裂球はアステラに掠りもしなかった…。
馬鹿な、打ち落とされたわけではない、と言っても相手が受けきった訳でもない。
見間違えでもなかった、一瞬『完全』に消えたのだ。
目標を失った炸裂球は、地面を穿ち爆音を立て穴を開けた、

>『・・・それもあるが、時間切れだ。』
「あ〜ア・・・そうカい。」
どこか呆れた様な言葉。
「まアどの道、
オマエとあの『アマ』のせいで、スッカリヤル気も冷めテしもうたかラのォ。」

「クックク……エエで逃がしタるわ
オマエにハ、いつかマタ合えそうナ気がするさかい。」
愉快そうに笑いながらどこか他人事のように言い放つ、とてもじゃないが戦場で言う事ではない
吐いた言葉も所詮は、確信は無い絵空事であったが、しかし…
(コイツならあるいは……)
そんな淡い期待を抱き、相手が消えていった方を見る、もう相手はどこ遠くに行ってしまったようだ。

「―――――そん時まデ死ぬンやないデ?」
そして最後に温かみを帯びた言の葉が口から零れた、相手には届くことは無いだろう、それでいい…それでいいのだ。
冷たい風が吹きぬける中、どこか楽しそうに鎧武者は相手のほうを見続けていた。

221 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/02/12(日) 15:34:21
>204
『辻の親父!!エヴァンス団長から撤退命令が出てますぜ、急ぎやしょう!』
「――――何やト!?、糞ガぁ!!フザケるンや無いワ!!」
不意に後ろから部下の声が掛かる、どうやらエヴァンスの大将はこの戦を諦めるらしい。
多大な被害を出しておきながら実にふざけた事だ。

勝負は邪魔され、挙句に撤退と言う辱めを晒さねばならない。
それが、どう言う事か後ろのモンは知らないようだ。

しかし地に集まりし力を見る限りでは、選択肢は無かった。
「ケッ!」
苦虫を噛み潰したように吐き棄てると、撤退のために馬を走らせ始めた。

『砦内の者達は……』
途中佐官が思い出したように横から質問をぶつけて来た、
そう言えば自分の横を何かが通過したような気がしないでもない…
だが、今更戻るのも面倒だし、時間も無いのだ。
「捨て置け、死ぬ準備は出来とルンやろ…ンなら助けるンは無粋ちューモンじャ」

「それニ、言うタやろォ?『死にとォ無いならワシの前にハ立つな』となァ、ゲヒャハ!」
冷たく笑いながら答えると、本隊へ合流すべく馬を更に加速させた
全員が無事に帰れるとは端から思っていない、なるべく遠く、なるべく安全なところへ…

>206
刹那背後の砦に閃光が走る、地面が揺れ、、砕け、辺りに吹き荒れるは砂塵と暴風そして豪雨。
この世の終わりとさえ思えるような天変地異が砦付近を襲った。
衝撃により、部隊の者の大半が地に投げ出され吹き飛ぶ、それでも立ち上がり足を止めない。
止まったらそこにあるのは死のみである、誰もが必死だった。
「始まりおッタか……あのアマ、大層な術ヲ使うヤないか!あのアバズレがァ!!。」
――――――――――――――――――――
どれくらい走ったか、10分?いや20分?3時間かもしれないし、30秒かも知れない
やっと本隊が見えてきた。辺りを見回すと皆酷い傷を負ってはいるが何とか無事らしい。
部隊の者から安堵の声が漏れる、しかし一人だけ

「クハハ……アカンなァエエ加減…我慢の限界ヤでェ…」
笑ってはいるが体は震えていた、勿論恐怖ではない。
――――――――体が……疼き問いかける、『斬らせろ!』『殺せ!』『壊せ!』
込上げるは、ただ『純粋な殺意』。

222 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/02/12(日) 21:27:16
>魔王軍・「百鬼夜行」
シズネの術が砦を消滅させた。吹き荒ぶ風と激しい雷雨の中、濡れ鼠のエヴァンスが本部中隊を招集する。
そこでふと、近付いて来るシズネの騎馬が視界に入り、軽く手を上げて合図した。
彼女に手招きし、また部下たちへと向き直る。

「各隊隊員の生存確認を取り、怪我人から優先してトンネルに移動させろ。
それと、中隊長を全員呼び出せ。何、どの道奴等に部下の頭数なんぞ数えてる余力は無い。
そうであって貰わねば困る。愚図ったり暴れたりするようなら私を呼べ。今回はこれで店仕舞いだ、追撃も止す」

基地からほうほうの体で逃げ出して来た騎兵たち、彼らを連れて輸送路へ隊を移す。
自分の騎馬は無くしてしまったので、本部中隊の適当な騎馬の尻に腰掛けて部下へ指示を与えた。
べったりと額に張り付いた前髪を、煩げにかき上げる。頬の出血は雨に流れて目立たない。
腕の切断面はペンタグラムがふやけて剥がれてしまっていたが、とりあえず血は止まった。
念話装置の破片を握る手は口元へ、中隊長に通信を試みる。

「戻ってるか? 言いたい事は山程あろうが、もう戦闘は終わった。追撃は無し、引き揚げる。
私の騎が見えてる頃だろう。隊は補佐官に預けて、こっちに集まれ。最早敵も仕掛けては来ない」

223 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/02/12(日) 22:03:35
>222
馬に腰掛けポクポクと、どれだけ経っただろうね。
とりあえず雨も降っているから、布を湿らせて鼻や目から流れた血を拭いたよ。
魔力の回復もしたいところだが、今の地脈の状態じゃあ無理ってもんだ。
しんどいがこのまま行くしかあるまいて。

本隊が見えてきたところで随分と混乱しているねえ。
単騎で万を狩るような奴らを相手にしたんだ、当然といえば当然だけどさ。
さて、あたしのアレをまともに喰らってまだ生きているようなら逃げ出させてもらうが、
どうなったんだか確認がしたいねえ。
警戒線張ったり捜索する様子がないのは仕留められたのか、エヴァンスさんに何
かがあって機能しないのか。
確認ができていないのなら軽・中騎は足を生かして広域警戒線をはって、重騎は
遊撃。歩兵を総動員して綿密捜索を行なって欲しいもんだ。
念のため結界用の符を八枚出しておくよ。
広域影響用の旗がなくなった今、手間を喰いながら結界を張らなきゃならないから
ねえ。

おや、あれに見えるはエヴァンスさんじゃないかえ。
片腕なくなっているのが痛々しいねえ。
>「戻ってるか? 言いたい事は山程あろうが、もう戦闘は終わった。追撃は無し、
引き揚げる。
>私の騎が見えてる頃だろう。隊は補佐官に預けて、こっちに集まれ。最早敵も仕
掛けては来ない」
雨が傘を叩く音がうるさいが、すぐ近くにきたものだから念話装置を通さなくても聞こ
える。が、ちょいと聞き捨てないねえ。
「もはや敵も仕掛けてこない」、って事はまだ敵が居るって事じゃないか。
ここまで来ておいて追撃なし?それじゃあ今まで死んで行った奴らはどうなるってん
だい。
「只今戻りましたえ。報告する事も受ける事も言いたいことも山ほど持ってね。
ま、それはまた後ほど落ち着いてからにしましょうか。お仕事続けてくださいな。」
とはいえここで喚いても仕方がないことだしね。
出ドコ引きドコを弁えるってのが粋な女ってもんだ。大人しく佇む事にするよ。

224 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/02/12(日) 22:51:19
>213
>「皆さん、おひさしぶ・・・り・・・」
カイザーは声の発せられた方向へと振り向く、そこには藪から半端に身体を出した少女がいた。
そして、その少女は安心感からかそのまま気を失ってしまう。
(皆さんって言ってたよな…誰かの知り合いか?)
考え込んだうちに、少女は治療を開始された。
その銀髪の少女が、まさか自分の知り合いだとは思ってもいないカイザーであった。

>218
>「俺に策があることはあるが、危険すぎる。
>他の皆に何かいい方法が無かった時に説明する」
退却方法に対するFALCONの返答、
「ああ、分かったぜ。(…それなら、素直に罠に特攻するべきかもな)」
口では了承したが、心の中では嫌な予感だらけのカイザーであった。

>219>216
>「ちょっと左腕を見せてくださいですわ〜」
銀髪の少女の治療を終えたマリスが、カイザーの左腕の異常に気付き近寄ってきた。
「……ん、俺の左腕がどうかしたのか?」
ここで左腕が負傷している事を悟られれば、自分がやせ我慢してきた意味が無い。
そう思ったカイザーは、敢えて知らないフリをする。
その時、カイザーは遠くからマックスの気が向かっているのを感じ、そちらへ振り向く。
マックスは目で確認出来る距離に位置し、ゆっくりとこちらに歩いている。
見た所、先程の光の柱の衝撃をその身に受けたらしく、負傷しているようだ。

カイザーはマリスの方へ振り向く。
「マリス、今お前が救うべき人間は俺ではない。
 他に、もっと救いを求めてる人物がいる筈だぜ?」
向かい来るマックスを目で追いながらそう告げた。

225 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/02/12(日) 23:12:22
>214
当て所もなく歩いてて、ふと気付いた事がある。
涙を、拭ってないのだ。顔にははっきりと跡がついているだろう。
こんな顔を見られた日には、一生表を歩けなくなる。
誰もいないのを確認し、袖で拭おうとしたその時・・・。

>「アステラ、無事か?」
後ろから突然名が呼ばれる。一切の挙動には表していないが、
内心とても驚いていた。下手に動けばばれるし、振り向くわけにもいかない・・・。
結局、首を動かす振りをして手でバリバリに貼り付いた涙の成れの果てを落としていく。
一通り落とし切れたとは思うが、用心に用心を重ねて振り向かず一言。
『・・・問題ない。』
再び歩いていく、方向は仲間のいる方とは真逆・・・。

>219
そんな時、またも銀盤からマリスの声が。
>「分かりましたわ〜。アステラ様もお気を付けてこちらに来てくださいですわ〜」

『・・・のん気者め・・・。』
合流する旨を伝えられ、小さくかぶりを振る。
女はまだ知らないのだろう、今まで隣にいた者が次の瞬間には敵になっているかも知れないと言う事を。
今はまだ違う、だが・・・。
『(・・・俺は、お前じゃない・・・!)』

>220
途中、『悪魔』と斬り合ったあの鬼の言葉を思い出していた・・・。
>「クックク……するさかい。」
『(・・・逃がす、か・・・その物言いが、貴様の命取りだ。)』
『悪魔』が疼く。今回の一件で、自分の体は思った以上に『悪魔』に
近しくなってしまった。後2、3回ほど『悪魔化』でもすれば・・・身も心も、
忌むべき者へと変質してしまうだろう。だが、戦い抜く為には『悪魔の力』が必要だ。
なければ自分などこの戦いに割って入る事も出来ない存在なのだから・・・。

226 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/02/13(月) 00:06:38
震える体を押さえつけながら、
刀は既に鞘に収められているのに、体からは紫色の闘気が溢れる。
おかしい、止まらない、いや止める事が出来ない。
『ドクン…ドクン……ドクン』
突然、胸の中で何かが蠢き脳裏の記憶を呼び起こし始める。
あの『第二の人生最良の日』の出来事を……
==============================
真っ二つに斬り裂かれるかつての仲間、
顔面から脳漿を撒き散らし倒れる敵兵。
我が手中で頭を握り潰される敵大将、
そして――――
==============================
>戻ってるか? 

不意にそれを遮るエヴァンスから入った通信、釣られる様に意識がそちらに逸れた。
幸いな事に、意識が逸れたことで、武者の膨れ上がった『殺意』を僅かだが抑える事が出来た。
エヴァンスの言葉通り、本人の意識も『戻った』のだ。
紫色の闘気もそれにつれ、徐々に収まっていく。これで今は『発狂』する事は無いだろう…

>222>223
しばらく歩くとエヴァンスとシズネが見えてきた
エヴァンスの体を見るが、酷い有様だ
雨に濡れていて表情は解らんが、片腕を落とされていたのだ。
誰にやられたかは知らんが、相当に腕が立つのだろう。

それに比べると自分は、思った以上に軽症の部類らしい、
両肩の鎧は粉砕され、体中は泥だらけにも関わらず、怪我と言えば右腕に大きなヒビが入った程度。
我ながら丈夫な体である、それか相手が弱すぎただけか。

「……戻っタで。」
抑えている殺意を悟られぬよう、短く冷たい言葉で告げる

あえてシズネは視線から外した。
今コイツの事を思うと、何を仕出かすか、自分にも解らない。コイツは神経を逆撫でし過ぎた
コイツは……それ程までに自分を『狂わす』存在だから。

227 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage ] 投稿日:2006/02/13(月) 13:24:24
>222>223>226
エヴァンス隊長からの呼び出しがある為に、そちらに向かう。
部隊には撤退への準備と、周辺の警戒に当たらせておく。
恐らく、3隊の中で被害が比較的少ないのは中騎隊だろうから。

そこで、一つ問題に気づいた・・・。馬は・・・?
[隊長、忘れ物。]
「ん?・・・あ、あぁ、馬か。助かる。」
[隊長が只の戦闘狂じゃ困りますからねー?]
「・・・・・・そうだな。」

戦闘狂のような人物もいるのだが。

ともあれ、どうにかエヴァンス隊長らのいる場所へと辿り着いた。
どうやらラック以外はもう着いているようだった。
「ヒワタリ=サエナミ。ただいま、参上しました。」

ふと・・・辻斬りを見た時に嫌な予感がした。
・・・・・・さっき、猫が感じ取っていたのはこっちか?それとも別の・・・?

「<活動可能時間まで8400秒強。・・・・・・コード受領、内部秘匿機関『輪廻』作動容易。ロック解除。>」
最悪の事態ともなれば、もう少し命を削る覚悟が必要になるかもしれない。
そう思いつつ、集合する。

228 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/02/13(月) 14:20:55
【軽騎隊、全滅】
軽騎隊のうち、生き残っていたのはおよそ半分。その半分の全てが、もう、いない。ラックの手によって。
負傷していたとはいえ、不意打ちに近かったとはいえ、歴戦の勇士たちが、ただの一撃の元に、その身から命を散らす。
想い人の死により復讐を誓っていたあの女でさえ、自慢の双槍に手をかける暇すらなく、光の煌めきが如き凶刃に倒れる。
ハンマーと剣を交互に使い、ラックのその体は返り血で赤く染まっている。雨が降り続けても、その赤は落ちない。
表情は真剣そのもの。狂気も、悦楽も、感じない。ただ生気の宿らぬ瞳で、義務のように、殺して殺して殺して。
軽騎隊を先に潰したのは特に理由があるわけではない。強いて言うなら『一番近かった』。それだけだ。
軽騎隊の最後の一人の頭蓋をハンマーで叩き潰すとほぼ同時に、ラックに通信が入る。

>222
>「戻ってるか? 言いたい事は山程あろうが、もう戦闘は終わった。追撃は無し、引き揚げる。
>私の騎が見えてる頃だろう。隊は補佐官に預けて、こっちに集まれ。最早敵も仕掛けては来ない」
何てことはない、中隊長全員に呼び出しがかかっただけだ。もう魔王軍にいる必要がないはずのラックだが。
しかしその足はしっかりと本部中隊に向かって歩を進めている。体中が血まみれである姿のままに。
一つだけ気にすべきことは、雷球を空漂う雲に入れたこと。これは、紛れもなく『イリャパ』の下準備。

>223>226>227
しばらく歩くと、エヴァンス、シズネ、辻斬り、冴波の4人の姿が見える。少しだけ歩みを早くする。
そろそろ雑魚を散らすにも飽きていたところだ。ここらで一発大物を仕留めておいてもいい頃合いだろう。
「中隊長は被殺願望がおありのようで」
表情を微塵も変えず、誰にも聞こえないような小さな声で、呟いた。その言葉には後悔も畏れも全く感じない。
あれほどまでの手練が4人。勝てるはずがないと思えるのに、ラックは敗北を考えない。勝つ気で、いるのだ。
自分の力を見誤ったか、そのような分別がとれる思考能力が欠如してしまっているのか、
あるいは――。

「…」
何も言わずに近づいてゆく。あちらもラックが現れたことに気づいていることだろう。
空を見る。まだだ、まだ足りない。威力を、もっと威力を。雲の中の電気エネルギーは貪欲に成長しているが、まだだ。
晴れているならいざ知らずこの雷雨、ラックが『イリャパ』を落とそうとしていることなど、気づくことはないだろう。

「ラック、ここに」
十分に近づいたところで、妙に低い声で到着を告げる。
相変わらず、瞳に生気は宿らない。

(もう、すぐだ)

229 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/02/13(月) 17:26:38
>223>226>227>228
三人の中隊長とシズネが集まり、エヴァンスは騎馬に後ろ向きに座りながら隊をトンネルへ移動させた。
自らは中隊長たちと共に部隊の最後尾に付く。馬を空けて怪我人を乗せる兵隊の顔は疲れ果て、ある者は血気を持て余して落ち着きが無い。
雨は一向に止む気配を見せず、雷鳴轟く中を粛々と、騎馬兵の列が歩き始める。

「私も貴様等も、随分と立派な格好になったな。
さあて、皆で今日一日の戦果を持ち寄ってみようじゃないか。何人殺した? 私は成果無し、だ」

悪趣味なアルカイック・スマイルで皮肉を吐くエヴァンス。
中隊長一人一人の顔を見比べながら、肩をすくめて

「まあ、実の所、最初から結果はこんなもんだろうと思ってたんだがな。
たった二つ三つのイレギュラーで、ここまで被害が拡大するとは酷い話だ。
敵状視察は如何なものかな? 山と死人を出しただけの価値はあっただろうか、な?
時にラック、軽騎隊はどうした? 全員死んだか? 一人残らず使い切っちまったのか?」

一番最後に戻ったラック、猫を被ってはいるが、彼の殺気が解ける様子が無い。
あの「辻斬り」ですら、それを押し殺そうとしているというのに。
当座「仲間」へ銃を向ける用意は無いが、義手の具合は密かに確かめておいた。
「Thin Air」でセラミック外板に入ったヒビは意外に深く、そこから魔力の光が漏れない程度に「Calverinia」を稼動させる。

230 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/02/13(月) 20:55:30
>226>227>228
他の三人か続々と帰ってくるが、まあ大変だったようだねえ。
辻斬りが悪態つくわけでもなく、機嫌よいわけでもなく、ぶっきらぼうにポツリと言う
言葉に粗方を察する事ができるってもんだ。
サエナミさんも随分と艶っぽい格好になっていたが、驚いたのはラックだよ。
遅れてきたから敵を殺してきたのかと思ったが、血が多すぎるし、どうにも雰囲気
が違いすぎる。

>229
エヴァンスさんの言葉を聞いてはっとなったよ。
なるほどね、あの明るいラックが生気なくすほど沈んでいるのは部下が全滅したか
らか・・・
まあ、そこは納得するが、戦果と言われれば応えなきゃならないだろうね。
言いたい事は山ほどあるんだしさ。
「戦果?戦果だったらわかりやすく大穴開けただろう?
言われた事は全てこなし、あたしの仕事は全うしたよ。
エヴァンスさん、あんたが片腕落とされているくらいだ。敵がどれだけのものかって
くらいは想像つく。が、納得は行かないねえ。
何故あたしらは今、撤退しているんだい?
敵を逃がさず殺す為に広域結界符も用意したってのに、無駄になっちまったよ。
それともなにかい?あのまま続けていれば全滅したとでも言ってくれるのかねえ。」

黙っていようと思っていたけど、口に出さずにはいられない性格だから仕方がない
やぁね。
結界用の符を八枚ピラピラ見せながら文句をつけた。
部下の前で上官に文句をつける。補佐官としては失格だね。ついでにように続けるよ。

「帰ってからと思ったけど、ここで言っとくよ。
ちょいと楽しようとしすぎてね、誘脈旗と蚩尤旗が喪失した。
これからはお手軽に広域影響術は使えないからね、配置換えを希望しとくよ。
なぁに、人を殺すのに砲が必要って訳でもないからね。殺すだけなら剣で十分って
奴さ。
本業の符術師として扱っておくれ。前線に出させとくれ。」
言うべきことだけ淡々といえばいいんだけど、この撤退にはちょいと納得いかないか
らねえ。語気も粗くなっちまうよ。
なんだか腹を立てていたから、傘を叩く雨音が耳障りで仕方がないよ。
落ち着くために煙管を取り出して吹かすよ。

広域結界符:その名の通り広い範囲を外界と物理的に分断する為の符。八枚セット。
        符を正確に八方に配置する必要があり、足の早い部下に持たせて走ら
        せるつもりであった。
        数キロ単位の効果範囲を誇るが広がればそれだけ文壇効果も薄れる。
        それでもどこで結界が破られたかは判るので、索敵用の使い方もできる。

231 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/02/14(火) 01:20:45
>227>229>230
刻経たずして冴波、ラックが揃い、部隊は撤退経路へ動き出す。
まあ、この二人は特に別段気にも掛けないのだが、ある事に首を傾げる、ラックから感じた妙に親しい『気』あれは何だ?
それを確かめに、近くに確認しようとした所、再びエヴァンスに遮られた、何とも間が悪い。
「………残念ヤが、一匹仕留め損ねテしもうた。確実に殺れタ勝負やッたンやけどな」

それだけを告げると再びダンマリ。先にシズネが言いたい事を先に吐いてくれたお陰で付け足す事も無い。
全く持って、こう言う所だけは、えらく気が利く女なのであるが…。
まあエヴァンスには、もうこれ以上の文句は無いのは確かだ。

だが……シズネの物言いに、いい加減トサカに来た
「痛みモ知らズ、飄々とヨウ喋る口やのォ。
言うデ、戦果言うテもオマエのやっタ事は、『味方殺し』と『勝負の妨害』。
その挙句が『追撃の不可』および『撤退』!」

「そないナ細い体で前線に出るンか?、ハッ!旗と符無しじャ何も出来ン輩がほざきおル!
身の程弁えてモノ言えヤ、アバズレぇ!」
手元を見ると、何かを押し殺すかのように左手が右手首を強く握り締めていた。
これはただの『怒り』だ、まだ『殺意』は表には帯びてはいない。
―――――押し殺せ、まだ我慢するのだ。今ここで『殺意』を開放したら間違いなく繰り返す。
『奴』を―――『檻』から出すな!!――――
その裏腹、胸中で繰り広げられていた死闘。再び膨れ上がった、自己の欲望を押さえつけるために……
>228
その時ようやくラックから感じた『親しい力』の正体を掴む事が出来た。
ラックから感じる力、それは仲間を失ったとか、そう言う生易しいモンじゃない。
限りなく『自分に近いモノ』、深く渦巻いた『死』を忘れた者の感情。
破壊と略奪しか知らぬ、『化け物』の心。

シズネから視線を外し、ラックを見つめる、瞬間それは確信へと変貌を遂げた。
やはりな……ククッと含み笑いがこぼれる。
「エエ目をしとる。まるデ昔のワシみたイや……。
 そうやなァ――――――『生きる事ヲ諦めた物』の目」
誰にも聞えぬ小言と共に、エヴァンスを見やった。既に空洞と化した瞳で問いかける。

『コイツもう『人』やない、ただの『死体』や』
ゆっくりと時が流れた気がした……。

232 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/02/14(火) 02:08:23
>225
>『・・・問題ない。』
アステラは背後から声をかけたセシリアに対し、全く振り向くことなく答えた。
言葉とは裏腹に声は硬かったが、見たところ足取りはしっかりしており、そこは言葉通り問題無いようだった。
とすると身体的なものではなく、精神的な問題だろうか。実際に魔王軍と戦ってみて、
自信を喪失したか。あるいは、もっと別の――。

セシリアは改めて鬨鈴で周囲の様子を窺った。だいぶ数の減った騎馬の蹄音が遠ざかりつつある。
撤退か、それとも谷の外へ誘い出すための罠か……。
(話し声聞こえるくらいまで解放してみようか……でも耳痛くなるしな)
考えている間にアステラはすたすたと歩き出している。
「待て、皆が居るのはそちらではない」
セシリアはその背に向けてもう一度声をかけた。

233 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/02/14(火) 07:25:40
>232
>「待て、皆が居るのはそちらではない」
『・・・俺は、こっちでいい・・・。』
『こいつはもう俺には無用だ・・・返しておくぞ。』
振り向いて銀盤をセシリアに放る。表情は、とても静かなもの。

『・・・短い間だったが、世話になった。』
そう言い残し踵を返して歩き出す。もう、振り向く気はない。
今の自分にとって、『護るもの』は枷にしかならないのだから。

234 名前:冴波 ◆QCuhq9l.Ig [sage ] 投稿日:2006/02/14(火) 09:43:26
>228>229>230>231
「あぁ・・・私の戦果と言えば、例の暗殺爆撃隊長とか言う奴ぐらいか。
 全身の血液が抜けたようだが、あれで死ぬとも思えない。」

辻斬りやシズネが、隊長に絡んでいるようだ。
しかし、冴波にとってはラックが妙に気にかかる。

先ほどの辻斬りからの不吉な気配はやや姿を隠している。
これは、多分経験的に抑える術をもっているということだろう。

けれど、ラックからもその気配を感じる。
そう・・・これは、多分同じ・・・・・・。

「<輪廻起動:対象→リエド。発動準備。>」

馬から降りて、ラックに声を掛ける。左腕の腕輪から残った2つの珠を取り出して、握りこんでおく。
「ラック、お前の方が消耗が激しそうだ。馬を貸すから乗っていけ。」

「(・・・万が一、だがそういった事は『起こる』から備えなくてはならない。特に・・・ココ[魔王軍]では。)」
密かに体がどこまで正常に動くか確かめる。[未生天]の加護が無い自分では些か心もとない。

誰が気づくだろうか、冴波の長髪に少し金色が混じり始めていることに・・・。

235 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/02/14(火) 15:40:34
ラックは待つ。その時を。

>229
>「まあ、実の所、最初から結果はこんなもんだろうと思ってたんだがな。
>たった二つ三つのイレギュラーで、ここまで被害が拡大するとは酷い話だ。
>敵状視察は如何なものかな? 山と死人を出しただけの価値はあっただろうか、な?
>時にラック、軽騎隊はどうした? 全員死んだか? 一人残らず使い切っちまったのか?」
「全員死亡…です」
相も変わらず妙に低い声。そしてそれ以上喋ろうとはしない。口を噤み続ける。饒舌になったとて何も利はないからだ。
だから当然、軽騎中隊が全員死んだその理由、それについても、触れることなく、無言で。
少なくとも、「準備」が整うまで、我慢。我慢だ。

そしてラックは待つ。その機会を。

>230>231
シズネはともかく、辻斬りは何か感づいているようだ。その態度から、それが分かる。
とはいえ、天を見る素振りも見せなかったことからすると、頭上の雲で何が起きているのかは気づいてはいないだろう。
(空を見たからって分かるもんじゃないけどな)
だからこそ、『イリャパ』は役立つのだ。あれほど威力が高いのに、気付かれにくいという利点。

そしてラックは知る。その時宜が近づいていることを。

>234
>「ラック、お前の方が消耗が激しそうだ。馬を貸すから乗っていけ。」
「あ…あぁ」
反射的に頷いてしまい、その後にとりあえず肯定の返事を返す。乗るつもりなどなかったのだが。
何より、この「死の前兆」により、ラックの体力がかなり大幅に強化されているため、見た目ほど疲れていない。
さっきまで瀕死だったのは超スピードで壁にぶつかったからだが、それはあくまでさっきのこと。今は違う。
そもそもラックは元より腕力や敏捷性に比べ体力に関しては人並み程度だった。それが強化された結果、
壁にぶつかったぐらいのダメージでは全く苦にしないほどになっているのだ。
しかし、馬に乗ることを肯定してしまった。仕方ないので乗ろうとして…、
ラックが触れるとその馬は感電し、その衝撃に驚いたのか何処かへ駆けていってしまった。

そしてラックは気づく。その砌が来たことを。

「そういえば、戦果の報告をまだしてなかったんで」
そう言いながら、エヴァンスに向き直る。向き直りつつ、中隊長達の真ん中辺りへと移動してゆく。
「47人、殺した。全員、軽騎中隊」
言いながら、人差し指を立てて右手を高々と上げる。天の雷雲の様子が、誰の目にもわかるほど、変わっている。
「で、あと、プラス4かな?」
いつもイリャパを繰り出す行動と同じように、右手を握り拳にして、下げる。
「落雷『イリャパ』、α」
天から、雷が――いや、もはやこんなものは雷とすら言えない。こんな雷は、この世に存在しない。
それは、言うなれば光の柱。雷の柱。電気エネルギーの柱。その直径は、そこにいる中隊長全員に被害を及ぼせるほど。
速さは雷そのままに、秒速100mの雷そのままに、ラックに向かって、その柱は、落ち、た。

落ちた直後ラックは飛び上がる。ラックはその体質上電気は全く感じない。だからこそ自分に落としたのだが。
ラックの人生でも一度しか落としたことのないフルパワーの『イリャパ』。その時は、三日間体が動かなかった。
しかし今は違う。すこし軋みは感じたがまだまだ動く。まだ、いくらでも全力は出せる。
だからラックは飛び上がった。確実に、相手を仕留めるために。倒せたとは、思わない。気を緩めては負けだ。
だからラックは飛び上がってハンマーを振り下ろす。さっきのイリャパによる砂塵で誰なのかは分からなかったが、

――影が、見えたから。

236 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/02/14(火) 20:53:27
>231
辻斬りの啖呵に思わず唖然としちまったよ。
そのなんとも無邪気な理屈に毒気を抜かれちまったって感じかねぇ。
どこまでも自分の土俵でしか測れないその単純明快さ。最後に吐き捨てるように言った
アバズレなんて言葉が妙に浮いちまって。
言ってみたかっただけなのか、ボキャブラリーが貧困なのか。どちらにしても辻斬りは
たまらなく可愛いじゃないか。
「ぷっく・・・くはっはっはっは。辻斬りよぅ、あんたはどこまでも辻斬りだねえ。
これを狙って言っているのならあんたに惚れちまうかもしれないよ?」
自分の煙管にむせながら思わず噴出しちまうよ。
これに応えないのは女が廃るってもんだ。

「辻斬りぃ。いくさばでたかが殺し合いごときにロマンを求めるっていう事がどういうことか
ちったあ考えなよ?
あたしゃ作戦と指示を全うしたまでさ。味方殺し?勝負の妨害?
戦いの愉悦ってのは敵の矢も、味方の砲も、全部踏みつけにして楽しめるだけの力が
あってそういうことを口走れるってもんだ。
それができもしない程弱いのを棚に上げて八つ当たりしないで欲しいね。
そんな泣き言ほざく程度なら戦場に立つのは諦めて闘技場にでもいきな。
さて、あたしゃ間違った事口走っているかねえ?間違っているのなら言っておくれ?」
言い終わった後、クックックとやっぱり笑みがこぼれちまうよ。
ある意味至福の時だぁねえ、このやり取りは。
「あんたは人間止めてから長いから忘れちまっているだろうから教えといてやるよ。
人間は屈辱を食って強くなるんだ。
あんたも強くなりな。全部踏みつけにできる程にね。でないと次は楽しむ間もなく仕留め損
ねた相手に潰されるからねえ。まあ楽しみを育てているのさ、あんたは。」
嬉しそうにこう付け加えてやったよ。

237 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/02/14(火) 20:54:06
>235
「ラック?」
辻斬りとのやり取りで思わぬ楽しみに浸っていると、ぽつりと言うラックの言葉に耳を疑っ
て聞き返したよ。
だけど、あたしが発せられた言葉はそこまでだったね。
尋常ならざる雷雲。ラックの変化。理解するより反射で身体が動いたよ。
懐に入れたばかりの広域結界符を発動。
直後、周囲は光に包まれる。慌てて放り出した煙管と傘が光に包まれ蒸発してしまう。
雷属性の攻撃に特化していないとはいえ、空間を物理的に分断する結界。効果範囲がキ
ロ単位のものを僅か数メートルに凝縮しての展開。
だが、それでも結界は耐え切れなかった。
符が焼ききれ弾け飛ぶ結界空間。雷の残滓と、結界破壊の衝撃が身を襲う。
鮮血と共に弾き飛ばされ、体勢を立て直した瞬間、反射的に頭に手が伸びる。

この瞬間から思考が回転し、時は間延びしていく。
これがラック!?試験の時とは比べ物にならないじゃないかえ。虚ろな目、強大な力・・・
対象のリミッターを外して力を増強させて操る術があったね・・・。それなら全てが納得行く。
リミッター外すから腱や骨が耐え切れずに時待たずに自滅するが・・・オーガス騎士もいい
趣味しているじゃないかえ!

絶望的な気持ちで簪を一本、制流旗を抜き振る。影しか見えながそれで十分だ。殺気の
篭った巨大な塊がベクトルを変えられ逸れていく。
ラックのハンマーがあたしのすぐ脇の大穴をあけて衝撃波を広げるよ。
その衝撃波に弾かれながらも、離れざまにラックのこめかみを狙って蹴りを放つ。
「これで正気にもどんな!」
厚さ20センチの三枚歯下駄だ。あたれば下手なメイスより効くだろう。
これがあたれば、単なる催眠術なら解除される事もあるだろうが、ある程度の術なら正式な
解呪を行なわないと無理だろう。
だが、それをやるほどの魔力はもう残っていない。
傘がないから雨に濡れちまって、符も巻もつかえるかどうか・・・いや、ガス欠同然の今の状
態ではどのみち無理だろうさ。
だったらこっから先は布術師としていかせて貰おうかねえ。
なんて考えつつ吹き飛んでいるんだな。

238 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage 決定リールゴメンナサイ] 投稿日:2006/02/15(水) 00:45:48
>236>235
シズネへの文句で帰ってきたのは相手の倍返し以上の反論。
思わず以前と同じく舌を巻いた、流石にここまでされちゃ敵う気がしない。
例えそれが、『正しく』なくても今は引くのだ。
何故ならばラック・・・いやかつて『ラックだったモノ』が動いたからである。

空が唸る、途端に感じた『アレ』が来ると
前回の時は電流を逃がす『出口』が足りなかった・・・もし今回同じ手を使っても、恐らくは『今は』耐え切れない。
それならば、今回は変えれば良い。そう思うや否や、湯気のように体から闘気が滲み出た。

「やはリ落ちても心は素直やなァ、同じ伝手踏む程、ワシャぁ甘クは無いデェ?」
思わず出た含み笑い、そして手に持った愛刀を眼前の地面に突き刺し身構える。
ここまでは前回の試験と同じ。
さらに左手が腰に挿したもう一つの刀、『白塗りの小太刀』に伸び
そしてそれを抜き取ると眼前の愛刀と同じく地面に突き刺した。

刹那襲い掛かってくる電撃。それは突き刺した両刀から地面に逃げていくが。
威力は前回よりも比べ物にならん位にアップしていたのだ。
電撃が体中を駆け巡る、頭を 腕を 足を 指を 体中余すところ無く。

しばし時間がたった、体中からは酷い煙と、何かが焦げたような臭いが漂ってきた。
しかし――――――それでも倒れず、ゆっくりと構えを解き刀を拾った。
「ゲヒャ・・・ガキィ腕上げよッたなァ。『殺意』に取り込まれおッて酷く無様やがノォ!」
楽しそうに笑った、心から嬉しそうに、口から煙が溢れる。

239 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/02/15(水) 00:47:12
>「これで正気にもどんな!」
砂塵と雨音でシズネが放った蹴りが当たったかどうかまでは確認は不可能だが、
それよりも先に体が、シズネが吹き飛ばされた方に向かい走り出した、
間に合うかな?いや間に合え!回り込みシズネを受け止めた。
―――あれ?なんでだろう。

「無駄やシズネ。奴ハ『自分の意思』でワシらに『刃』ァ向けたンや。
まったク……恐ろしいモンになッて帰って来よル」

丁寧にシズネを降ろしラックに近寄よる、面白そうに問いかけながら。
「正気の沙汰とハ思えんのォ……ガキィ。
オマエに何があったかハ、分かラん。分からンが、これだケは分かる。
オマエ先の戦で『負け』おッタな?そンで『諦め』たな。
結果オマエの心は『人間』であることヲ辞めンや。」

その言葉、嬉しそうに、そして楽しそうであったが、
それはアステラの時とは違う、どこか滑稽なモノを笑っているという嘲笑に近い物。
「カと言ッて、ワシらアンデットとは一つ違う。『オマエ』にャまだ戻れるチャンスがあるンや」

刀片手に持ち直し、立ち止まった。構えは取っていない。
「でもオマエ見たいな我慢できン『ガキ』をこれ以上『コッチ』にいさせるンはアカン。
 それデも、オマエがもし『人外』であり続けるンなら仕方ないのォ
 
 ―――――引導渡したル。四の五言わんト掛かってこンかい。」
体を纏うは『おぞましき殺意』、それは先程から勢いをあげている、
それは例えるならば、煙のように。
「『奴』ガ目覚めン内に始末付けナアカンのォ…」

240 名前:冴波(?) ◆QCuhq9l.Ig [sage ] 投稿日:2006/02/15(水) 10:31:28
>235-239
>「そういえば、戦果の報告をまだしてなかったんで」
「・・・!ラーーーーーック!!」

そのラックの言葉を聞いた瞬間に体が反応していた。
「<輪廻:全力起動、幻想構築式、対象→リエド。選択可能、状況開始>」

魔法には何が必要なのか?それは呪文であり身振りであり精神の集中である。
魔法を使う者が戦士と相対する時に不利となるのは、そのタイムラグ。
であるならば、もしもその手間を『省略』、いや『不要』とすればどうなるだろうか?
その為に魔術師はその年月を、その力を、『省略』や『効率化』に傾けてきた。
その成果の一部が、『呪符』や『アーティファクト』である。だが、それでもまだ足りない。
だからもしも、『認識の速度と同じ速度』で『魔法を発動出来る』のならば?

つまり、冴波が持つ力の利点はその速さと早さにこそある。
脳を蝕む程の負荷と引き替えに得る力・・・。
そして、ソレを司る機関が『未生天』、ならば『輪廻』とは・・・?

「<構築式:除禍天障壁。起動>」
「除禍!天障壁!」
頭に浮かぶメッセージと同時に叫ぶ言葉は・・・既に冴波のモノではない。
巻き上がる砂塵が冴波の姿を覆い、見えない。

豪光が世界を白く染め上げたが、その砂の覆いが壁となり電気はかろうじて届かない。
「・・・そう、確かアレは『ラック』と呼んでいたが相違ないな?」
砂の繭の中から野太い男の声がする。中にいるのは冴波の筈・・・?
「安心しろ、殺しはしない。殺せば後でアレが怒る。」

砂の繭が解かれ・・・その中から現れたのは2m程の巨漢であった。・・・・・・冴波の姿はない。彼女の大剣も。
そこに現れた彼は短く刈りそろえられた金色の髪に、その大柄な体躯を超える金属製の根を携えている。
もっとも、体躯でいえば辻斬りには劣るが・・・。
「私は・・・いや、今は名乗るべき時ではないな。」

根を携えた巨漢はその左手を開きラックに向ける。
「<構築式:夢幻の手檻>」

と、周囲の大地から8本の腕が現れ、ラックの足に掴みかかる。ラック自身を拘束するつもりだ。
「かつての『我ら』と同じことを行ったとて、何も答えは得られないぞ。若き雷神。」

241 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2006/02/15(水) 13:04:24
雷神!

242 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/02/15(水) 17:43:15
>235
辻斬りとシズネの「夫婦喧嘩」が収まる頃にも、ラックの殺気は衰えを見せない。
やがてラックが喋り始め、おもむろに立ち位置を移動させた瞬間、
エヴァンスの義手、白いセラミック外板の接合部に、微かな紫色の電流が走った。
馬の尻から降りて泥を跳ね、彼の前に立った。

>「で、あと、プラス4かな?」

「――腕白坊主め、連中に何を吹き込まれた」
雲を駆ける稲光が、眼にも眩しく煌めき出す。
凍える雨が途切れた刹那、エヴァンスの口端が歪む。代わって一直線に叩きつけるエネルギーの雨、
軍用コートの迷彩皮膜が虹色のフィルムとなって剥げ落ち、毒々しいライラック色から灰褐色へと装いを変えた。
銃を抱きかかえ、腰を落として低く身構え、
耳をつんざく轟音を合図に、義手はフルパワーで魔力を放出、展開された魔法障壁が雷撃を弾く。

魔方陣は雷に飲まれて破片すら掻き消され、しかし続けざまに次々と、大小の魔方陣が頭上へ出現する。
障壁に阻まれて溢れた光が、魔方陣の縁から滝のように流れ落ちる。
いよいよ雷は止み、砂塵が一帯を舞う。魔法障壁の連続発動を終えた時、義手の外板は焼け落ちていた。
剥き出しの鉄製フレームや配線、小型のリアクターも焦げた臭いを発し、外板を失った腕は一回り細く見える。

>236-240
雷を放ち終えたラックの攻撃はかわされ、衝撃波で吹き飛ばされたシズネの身体は「辻」が受け止めた。
そして冴波――の代理人、金髪の巨漢が拘束術式を走らせる。

「こんな時ばかりは見事なチームプレイだな。ヒワタリ……も器用なこった。召喚か?」
エヴァンスも彼らに続いてコートを翻し、カービン銃を左手で構えてラックを狙った。
ダメージは義手くらいで本体には目新しい傷も無く、頬の傷は既に塞がりかけている。
骨組みだけになった指が引き金をぐっと押さえ、発砲の機会を窺う。
拘束術がラックの足を一瞬でも止めれば、義手の魔力を弾丸に代えて撃つ。エヴァンスの眼に躊躇の色は無い。
「いい加減おいたは止しな、ジャリ餓鬼。今、武器を下ろさなければ殺す」

243 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/02/15(水) 20:16:30
>237>238-239
振り下ろしたハンマーは空振り。大きな音を響かせ地を抉る。ここには確かに影があったが…避けられたのだろうか。
そう考えるが早いか、ハンマーを素早く横に振り回そうとしたところでこめかみに衝撃が走る。
>「これで正気にもどんな!」
この声はシズネだ。声のした方へ向けてハンマーを叩きつけようとするが、どうやら吹き飛ばされたようだ。
「正気に…か。は、俺は元から正気だよ、何も変わっちゃいない。これは狂気でも、気の迷いでもない」
こめかみから血を流しながら相も変わらずの無表情で話す。かなり打たれ強くなっているので、それほどダメージはない。
辻斬りがシズネを受け止めるのを見て、思ったのは追い打ちをかけられないという残念な心。
思ってしまったのは、本当に小さな小さな、安堵。

>「正気の沙汰とハ思えんのォ……ガキィ。
>オマエに何があったかハ、分かラん。分からンが、これだケは分かる。
>オマエ先の戦で『負け』おッタな?そンで『諦め』たな。
>結果オマエの心は『人間』であることヲ辞めンや。」
ラックは何も言わない。こちらに歩いてくる辻斬りを生気のない瞳でじっと見据えるだけ。
ハンマーを握りしめ、射程圏内に入ったらいつでも振り抜けるように、精神を集中しつつ。

>「カと言ッて、ワシらアンデットとは一つ違う。『オマエ』にャまだ戻れるチャンスがあるンや」
その言葉を聞いたとたん、ラックの表情が変わる。無表情から…少しだけ、憤怒の表情が、目元と眉に。
「戻れるチャンス?てめぇに何が分かるってんだよ歩くカルシウムが」
ラックにはもう戻れない。なまじこの破壊行動を取りやめたとしても、この運命からは逃れられない。
ラックはまだ精神的に未熟だった。迫りくる未来にどうすることもできず、一瞬の衝動に身を任せ続けてしまう。ずっと。
そして、心の奥底にまだ残っている人の心は、理性で覆い尽くされていて…。

> ―――――引導渡したル。四の五言わんト掛かってこンかい。」
「あぁ、やってやるよ。言われずともな」
ハンマーを左手に持ち変え、右手で腰の剣の柄に手をかけた。

>240>242
瞬間、後ろから全く異質な気配がして、思わず辻斬りから距離をとり、振り返る。そこにいたのは、見たこともない男。
その場所は確かに冴波がいたはずの場所だ。だが冴波は影も形も見あたらず。大男だけがその存在感を露わにしている。
「召喚…?サモナーでもあったのか?」
そして冴波の姿が見当たらないことに、仕留められないことを悔いる思いと、ここでもやはり、小さな安堵が。

>「<構築式:夢幻の手檻>」
>と、周囲の大地から8本の腕が現れ、ラックの足に掴みかかる。ラック自身を拘束するつもりだ。
「ぐっ」
とりあえず飛び上がり、落ちざまにハンマーで腕に向かって思いっきり叩きつける。
掴まってはやばい。そう感じたラックは、跳ぶように、地に着地してはすぐにジャンプ、を繰り返す。
しかし、また別方向から殺気を感じる。跳びつつチラリと視線をそちらにやる。エヴァンスが、銃を構えている。
「おいおい…たった一人に何人がかりでやる気だよ」

>「いい加減おいたは止しな、ジャリ餓鬼。今、武器を下ろさなければ殺す」
「やだね。断…る!」
銃を構えている以上そのままにしておくのは危険。そう踏んだラックは手に持っていたハンマーをエヴァンスに投げつける。
それにしても、結局『イリャパ』では誰一人として倒すことが出来なかった。
ラックは少しだけ感嘆する。さすがだ、とも思う。そしてその思いを、すぐに封印する。今は敵なのだから。

(このままピョンピョン跳んでたって埒があかない)
しかしこの腕、土で出来ている以上潰したとしてもすぐに再生してしまうことは容易に想像できる。
「こういう時は…術者狙い!」
腰の剣を引き抜き、名も知らぬ大男に向かって飛び上がって斬りかかる。
問題は後ろにいるはずの辻斬りだが、しかし足元に手がたくさんある状態では分が悪くなることを考え。
先に、大男を倒すことに決めた。辻斬りは真後ろから切りつけるなどという「楽しくない」戦いはしないだろうという、
打算の上で。

244 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/02/15(水) 21:26:09
エヴァンス:義手から魔力を放出。連続魔法陣を構成して凌ぐ。→義手の外板が消失
シズネ:広域結界符を凝縮展開して防ぐ。→結界が耐え切れずに負傷。
辻斬り:小太刀と愛刀を二本地面に刺しアースにして凌ぐ。→煙を出して焦げ臭くなる
冴波:砂の眉で雷を防ぐ。→19歳のスレンダー美女がごっついおっさんになる

一番被害がでかいのは冴波だな・・・おっさんになってしまうとは・・・w

245 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/02/15(水) 22:46:00
>239
衝撃波で吹き飛ばされながら放った蹴りは確かに手ごたえがあった。
だけど代償は大きいね。無理な体勢から蹴ったもんだから受身が取れそうにない。
「辻・・・斬り・・・?」
受け止められた事もだけど、受け止めてくれた相手を見てキョトン、だよ。人間本当に
想定外の事に遭遇すると頭が真っ白になるもんだ。

ふっと我に返ると、辻斬りがラックは自分の意思でやったと言う。
あれなのかね、戦士同士だからこそ通じ合いわかるって奴なのかい?
「ありがとうよう、助かった。」
短く礼を言い、口を閉ざす。
ここで頭に血を上らせて、喚いて戦うのはあたしの役どころじゃない。ああ違うさ。
状況を的確に把握し、最善の一手を打つ。それがあたしの戦いだ。

まずは自分。衝撃波による全身の打ち身、裂傷、アバラが何本かイっている。
だけどそんなことは問題じゃない。問題は雷を食らったって事だ。
火傷もあるが、それより電流による筋肉の収縮。
これは気合や根性でどうこうなるものじゃない。生き物の構造的な問題だからね。
握力6割ってトコか・・。

>239>240>242
周りはダメージはあろうがあの落雷を凌ぎきったかね。流石だねえ。
って、あそこにはサエナミさんが居たはずなのにアレは誰だい?
いや、今はそんなこと問題じゃない。それぞれが警告なり拘束なりでラックを抑えよう
とする事にベクトルが統一している事が肝心だ。
喩え抑える事が殺す事に繋がっていたとしても・・・。

>243
そして肝心のラックだが・・・。
術に陥っているんじゃなくてもトチ狂っているのは確かだね。
狂っている奴ほど自分は正気だって言うんだ。

さて、この中で今のあたしができる事で最善の一手は・・・。
「程よく水も滴るいい女になった事だしねえ・・・。」
帯を解いて横に振り、伸びきったところで捻りを加えてやる。
ねじれる力は帯に凝縮され吸い込んだ水を弾きながら一本の槍となる。布槍術って奴だ。
そして着物を脱いで左手でかかげる。着物の裏打ちに刺繍されているのは吸精布だ。
戦闘準備を整えたところで移動を開始する。


布槍術・・・鉄の硬度で叩き、布の柔軟さで絡めとる布術。
符術の種類:基本的に長方形の紙。複数枚併用する事により威力や効果を上げる。
        複数枚併用の手間を省いたものが巻物による符術。
        さらに術式を立方的に組み立てることを可能にしたのが布に刺繍する符術。
        それを最も効果的な形として完成したのが旗の符術。
吸精布:シズネの着物の裏に刺繍された布術。>170に出たものの強化版。
     着物自体が局所結界になっており、放出された魔力や包まれた者の魔力を吸収し、
     術者に還元する。勿論吸収速度制限や許容量はあり。

246 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/02/15(水) 23:38:13
 「――うにゅ?」
 自分でもびっくりする程のマヌケな声だった。
 おぼろけな目をうっすら開けると、目の前には可愛げな女の子が一人。
 前に遠目には見ていたが、ここまで華奢な娘とは思わなかった。
 治癒術か何かを施されたのだろうか、気がつくと身体の痛みは消えていた。
 (えーと、確か・・・藪を抜けて・・・そこから先の記憶がないなぁ。)
 もう少し先には懐かしい顔ぶれ、カイザーとFALCONもいる。

 とりあえず起き上がって、目の前の少女にお礼を言う。
 「貴女が私に治癒を?ありがと。」
 うーん、我ながらこの姿で言うとどうも違和感が・・・
 そして自己紹介を続ける。
 「えと・・・お久しぶり、あと始めまして。って、分かってないね。
  私はレナス=インフェリアス・・・元・戦乙女です。」

 信じてない?信じてないかも。
 まぁ、それはさておき、説明説明っと。
 「ちょっと海山を越えて旅をしてたら、オーガス公が倒れたって話を聞いてね。
  それでせめて墓参りくらいと思って、はるばる尋ねてきたら、今度はサタンだそうじゃない。
  そして何となくついて来たら襲撃されて、挙句、エヴァンスのボーヤにも襲われるし。」

  「で、これから撤退でしょ?及ばずながら協力するよ〜。」
   ――だからとても戦力になりそうにないって。そうツッコミ。

247 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/02/16(木) 01:32:11
240>242>243>245
>「戻れるチャンス?てめぇに何が分かるってんだよ歩くカルシウムが」
豪雨が降りしきる中聞えてきたのは、微かに怒りを含んだラックの罵声。
「キヒヒ・・・分かるに決まッとるヤろォ?ワシャぁオマエと同じ『最低』ヲ知ッとるからのォ。
オマエみたいな奴――――何人も見て、何人も『消』しタ、もう『手遅れ』やッたからナ」

小太刀は鞘へ、右手には妖刀、構えは以前取らぬ状態。
相手が斬りかかって来るならば無防備といって言いだろう。
しかし相手は斬りかかっては来ない、
不思議に思うと砂塵が晴れた。
>240>242
疑問が解けた、ラックの向こうにいた存在。
一人は銃口をラックに向けたエヴァンス。しかも殺意が漲っていた。
そしてもう一人、自分ほどではないが、金髪の巨漢。
あれは……冴波なのか?
その巨漢が地に向かい拘束術式の類を走らせている。
どうやらラックもそれに手を焼いているらしい。まあ敵ではない事は確かか……
本能的には今すぐにでも斬捨てたいところだが、今回は違う。異常なほど心が穏やかなのだ。
ゆっくりと話続ける、まるで子供に言い聞かせるように…

「エエ……そレでええ!『怒れ』るンならなァまだ安心ヤ
本当に『落ちた』モンは心も『死』に、『怒る』事も『悲しむ』出来へン。
オマエはただ目の前の『何か』から逃げたくて、無理しトるだケとちャうんか?」
心に思う一言
ワシが―――――――そうやったからなぁ。
それは言の葉には出来なかったが……
「だガ、オマエは間違いなく『生き』トる、
ワシらの方へ落ちルはまだまだ早い
―――――限界まで足掻いて見ィ『人間』ならよォ!」

それが、聞えてるかどうかまではよく分からん、しかしこんなにも戦場で雄弁になったのは初めてである。
ただそれが、自分でも不思議なのだ。
少なくとも『仲間』の事を心配するなど自分にはありえぬのだ。

>245
後ろを見るとシズネが動き始めたらしい。
手に握られているのはどこから出したか、一本の槍。
何をするかは分からんが、ラックとの距離は十分、今ならば安全だろうさ。
「シズネェ!あんま無理スんや無い、オマエは『脆い』からノォ、
いざとなッたら逃げヤ。この場ァ、主にワシらの出番ヤかラなァ。オマエはオマエの『持ち味』活かしヤ」
声を張り上げた。助けた理由は今でも思い出せないが、この際オマケだ塩を送るなら盛大に送ってやろう。

「ヤレヤレ皆『殺ル気』ヤな……、
ガキィ、こンでも『戻れん』なら、『オマエ』は終いヤで……。」
他人事……の筈。それなのに、どこか寂しそうであり、どこか愉快そうな言葉。

248 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/02/16(木) 01:47:12
>233
声をかけられたアステラは、やはり振り向くことなくセシリアに言葉を返した。
>『・・・俺は、こっちでいい・・・。』
>『こいつはもう俺には無用だ・・・返しておくぞ。』
言い終わったところでアステラが振り向き、その動きの流れで何かを放ってよこす。
空中にかすかな銀行の軌跡を残してセシリアの手の平に納まったそれは、念話用の銀板だった。
>『・・・短い間だったが、世話になった。』
セシリアが銀板を受け取ったのをみると踵を返して歩き出す。
振り向く前の彼の目元が、少しだけ赤らんで見えたのはセシリアの気のせいだろうか?

セシリアはアステラの頭上を飛び越えて前に回り、槍を突きつけた。
「正式に入隊の手続きを済ませた以上、軍規には従う義務がある。敵前逃亡は許されんぞ」
軽く槍の先を揺らしながら言葉を続ける。
「……まさか寝返るつもりではあるまいな?」
もしその通りだとすれば、ここでアステラを討たねばならなくなる。
魔王軍に同盟側の情報が渡るのは好ましくない。
(もっとも、入隊して日が浅いアステラではそれほどの情報は持っていないだろうが)
「あるいは、もともと魔王の手の者か?……答えろ」
アステラを睨み付けながら、セシリアは言う。恐らくは違うだろう。
しかし、セシリアも『絶対に』と言い切れるほど相手のことを知っているわけではない。

249 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/02/16(木) 02:27:31
>248
>セシリアはアステラの頭上を飛び越えて前に回り、槍を突きつけた。
『・・・。』
セシリアの言っている事は至極当然、自分でも同じ事を言っただろうし
同じ行動に出ただろう・・・だが、今の自分は騎士ではなくただの復讐者だ。
共感は出来るが、それで引き下がるつもりもない。
その覚悟とも言うべきものを見せるため、一つの行動に出た。

セシリアの槍を掴んで、自分の心臓の上に先端を定めたのだ。
しかも、そのまま徐々に自分で突き立てていく・・・当然、血が流れる。
だが、その血の色は・・・まるで水の中に入れられたタールのような黒が混じっていた。
動脈と静脈で血の色は違うが、その色の違いとも明らかに違う完全な黒・・・。
それが服を、コートを、手を槍を汚していく。
『・・・俺にはやらなきゃいけない事がある・・・その為なら、俺は命など要らない・・・!』
痛みを感じている筈なのに、表情に変化はない。
一切の波紋も立っていない水面の如き冷静さで睨みつけるセシリアの目に視線を合わせた。

250 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage] 投稿日:2006/02/16(木) 03:40:08
マックスは気絶していた時に、声が聞こえた事を思い出しながら、歩いていた。
それは、以前にマックスの身体について調べた、宮廷魔術師が言っていた言葉だった。
魔力とは魔法が使えない人間でも、多少は持っている。
それどころか、木や草や火や水……道端の石ころにすら魔力は存在している。
森羅万象全てのものに有る力が無い、となれば、代わりに君にしか無い力が有るかも知れない。
恐らく、その見た目よりも強靱な肉体も、その内の一つだろう、と。
「なら……また別に有るかもって事か。 頭痛を起こす力なんていらねぇよ」
しかし、何故今更こんな言葉が、わざわざ気絶していた時に聞こえたのだろうか?
マックスは、疑問に思いながら、少し足早に歩を進めた。


>218-219>224
「わりぃ、少しドジっちまってよ」
カイザー、FALCON、マリスと合流するなり、申し訳無さそうに口を開いた。
セシリアとアステラが居ない事が、マックスには気になって仕方がないのだが……。
「さあて、これからどうする? 敵さんは退いちまった様だが……何か考えてる?」

251 名前:冴波(?) ◆QCuhq9l.Ig [sage ] 投稿日:2006/02/16(木) 10:30:46
>242>243>245>245
一斉に、『誰だあんたは?』という視線を浴びたが、一向に彼は気にした様子もない。
が、説明の必要があるのか、4人を見回して語った。
「別に、何かを召喚した訳ではない。『我ら』は常に『我ら』であり、いずれもがその側面に過ぎない。
 ・・・もっとも、4つに分けられた以上、この身の本質はアレである事は間違いないがな。
 元は一つであった『我が身』は4つに分割された。そしてそのいずれもが異なる世界をさまよう亡霊のようになった。
 ただ・・・『答え』を捜し求めて、な。本来ならばこの身もまたどこかにさまよい続けているのだろう。」

難解なのか単純なのか良く要領を得ない説明ではあるが、ニュアンスとしてはこの男の体の本質は冴波であること。
そして、その前提の上でこの男が『入れ替わっている』事だけは伝わっただろう。
・・・・・・やがて、巨漢はラックの方に視線を据えた。

「ラックで合っているかな。私は人の名前をあまり覚えていないものでな。」
棍の半ばより後ろを持ち、やや後ろに引いて体をひねる。そこから開いた左手越しにラックを見る。

>「こういう時は…術者狙い!」
「今なら謝れば許されるぞ、若気の至りというやつだ。それに・・・『例え数十億の命を奪ってみても、何も得られん』。そう言ったはずだ。
 お前は全ての人と獣と虫と樹と花と鳥等の血で赤く染まった海を見た事があるか?それでも、そこには何も見つからないのだ。」
「<構築式拡大:踊る人形・辣腕>」

飛び掛ってくるラックに向かって、巨漢が動いた。その動きは、防ぐでもなく打ち据えるでも無く。
捻った体を元に戻す勢いと右足の踏み込みを右腕に伝え、その右腕も捻って『突く』!
ただ単純な突きではあるが、『二重の捻り』と『強靭な踏み込み』が合わさった鉄棍の突きは下手な剣など容易にへし折る。

そして、それだけではない。その巨漢の背後から先ほどの数十倍はある、大人さえもその掌の内に納まる程の腕がラックへと向かう。
その数は一本。土くれで出来た腕であってもその重量、叩かれれば無事では済まない。
無論、その手は開かれており、ラックを拘束するつもりではあるが。

252 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/02/16(木) 15:18:03
>245>247>251
「…!?しまっ」
鈍い音がした。
繰り出される突き。飛び上がっていたので、避けることはどう足掻いても無理なこと。空中では横になど動けはしない。
だから剣で受けようとした。しかし剣は頭上に振りかぶっていたので、振り下ろして止めるには、時間がいる。
それが、間に合わなかった。腹部に、強い衝撃が。そして落下。

地に落ちたとはいえど、すぐに体勢を整え男を見据える。しかし無意識に左手は腹の辺りをさすっている。
「…今のは…結構効いたなぁ…」
あれほどの攻撃が見事にクリーンヒットしたのだ、今までの体だったら死に至らしめられていたかもしれない。
しかし、まだ、終われない。再び剣を構える。この男はラックを説得しようとしていたようだが。
「知ってるさ、こんなことやったってどうしようもないことは。解ってるさ、何にも残りはしないことは。
 でも、もう…止まれない。俺には終わりが近い。もう、戻れないんだ…」
初めて本心が出たその言葉は、後ろにいる辻斬りにも、伝えているのかもしれない。
まだ、今なら、もしや元の鞘に収まることはできるかもしれない。それも解っている。だが、それでも、何かが…。

小さく振り返る。シズネは槍みたいなものを握りしめてはいるが、肉弾戦ならばシズネには負ける気はしない。
怖いのは術だが、要はそれを使わせる暇もなく叩けばいい。少し希望的な考えではあるが、出来るという自信もある。
だから出来るだけシズネを最初に倒しておきたかったが、少し遠すぎる。あそこまで移動するには隙がでかすぎる。
辻斬りは…どうだ、いつでも臨戦態勢といったような風体だが、とりあえずまだ、こっちに斬りかかろうとはしていない。
ラックはさっき辻斬りに投げかけられた言葉を思い出す。そしてすぐにまた記憶の底に封印して…。

大男を見据える。そして、その背後から伸びてくる巨大な腕を、同様に見据える。こちらに向かってきている。
ラックは剣を振り上げる。そして待つ。体中の力をその手と腕に込めながら、ずっと、タイミングを待つ。
少しずつ剣が光を帯びてくる。パチパチ、との音も聞こえてくる。ラックが、雷の力を、剣に伝えている。
そして、伸びてくる土の腕がラックの制空圏に入ったとき。
「っだらぁ!」
一刀の元に、斬りつけた。
そして、その際に剣から放出された三日月状の電撃が、大男に向かって飛んでゆく。

253 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/02/16(木) 15:20:01
>252訂正
斬りつけた→斬りつける

254 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/02/16(木) 17:28:20
>243
ラックは土中から伸びる腕を跳躍で回避し、ハンマーを投げてエヴァンスを牽制した。
相当の重量を持つであろうハンマーは、風に唸りを上げて猛進する。
「裁判官の木槌が下ったな。判決の時間だ」
弾丸代わりに義手の魔力を銃へ込め、引き金を引いた。
銃身を紫の電光が走り、次いで銃口から放たれる光弾はエヴァンスの目前で炸裂、ラックのハンマーを撃ち落す。
「仲間殺しは絞首刑、自分の首は自分で縛れよ。ラック」
ハンマーが、鈍い音を立てて泥の地面にめり込む。

>245>247>251>252
ラックの狙いは別に移った。エヴァンスも歩きながら、片手でどうにかライフルのクリップを交換する。
金髪の巨漢へ襲い掛かるラックを追う内、空中にたなびくシズネの着物が視界の端に飛び込んで来た。
目線が反射的に本人から逸らされたため、彼女の新しい得物までは気が回らない。
はたまた、刀こそ抜いたものの一向に仕掛ける様子が無い「辻」。
ラックの背後へ回り込む隙で彼の横を通る時、銃を片手で支えながら、
レバーは口に咥えて起こして引き、薬室へ弾丸を装填した。
「ヤツの脇にどうにかして突っ込むから、それで止まらなければ私ごと斬れ」

右肩を突き出し低姿勢のまま、相手へ直進せず、大きく迂回路を取って走る。
巨漢の攻撃がラックを落とし、ラックもまた起き上がってからの反撃。こちらに気付いてはいないか。
相手の陰へ飛び込み、片手持ちの「Burning Chrome」で一息に上段の突きを繰り出した。

255 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage 長文ごめんなさい] 投稿日:2006/02/16(木) 17:44:13
のんびりと嵐の中で昼飯食べてたら谷出口付近から凄い悪鬼の気配と共に凄いエネルギーの固まりが落ちていくのを見る。
何かと思って悲鳴の超音波で見てみると相当な悪者強者生物発見。悲鳴に大量に含んだマイナスエネルギーがそこだけに凄く強く反応してる。
これはこれは…全く不愉快で恐ろしいもんだから同盟軍の基地行く前にぶっ殺しちゃおうと決意し、馬を渓谷出口に向かって走らせたつもりだったが…。

「迷いましたね。」

防衛砦裏付近であっさり迷った。馬が思わず地図を見て突っ立ってる誓音の後頭部を前足で殴る。
「いててて…だって超音波つかいぱなしは悲鳴の消費が激しいものですから。」
馬に話しかける誓音。あきらかに他人からして見れば、この姿は異様きわまりない。
が、誓音はそんな事お構いなしに馬に話しを続ける。
「…それにしてもそんな事言ってられる状況じゃありませんしね。」
そうぽつりと言うと誓音は首もとの横の包帯を掴み間を広げる。白い首筋に幅五ミリほどの楕円型の大きな黒い罅がでてくる。

―「見」の「壱」の波響歌

          『壱百の響鳴』

黒い罅から先ほど出した超音波より少し高性能の超音波が出てくる。これでもっと正確なルートが解る。
「…ん?」
しかし、正確なルートを探る前に超音波が自分の近くに他の強者人間達がいることを伝える。しかもその周りは随分悪意の籠もった発動前の罠だらけ。
急遽ルートを変更する事にする。変なのがあるとすぐつっつきたくなるのは悪い癖だ。

256 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/02/16(木) 17:46:09
ちゃうちゃう

257 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage ハリ忘れorz] 投稿日:2006/02/16(木) 17:57:09
罠のある所をよけたり壊したりしながら馬を暫く走らせると案の定人間に出くわした。
見た感じでは相当強い兵隊達だ。自分の肌にちょっぴし鳥肌が立つ。問題は魔王軍かどうかだが…。
刀に手を掛けつつ包帯の下で微笑みながら訪ねる。
「…えっと…魔王軍のお方がたでしょうか?」
超ストレートに聞く。自分でも改めて口べただな〜…と思う。

258 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/02/16(木) 20:13:22
>246>250>257
マックスが戻ってきた。
見たところ怪我もなく、体調も良さそうだ。

>「さあて、これからどうする? 敵さんは退いちまった様だが……何か考えてる?」
「退却をすることを考えている。
罠があって退却が困難になっているが、俺に考えがある。期待しないでくれ」
ホントに期待しないで欲しい。
失敗して変なところに行って帰れないということはないが、
父親という悪魔に遭遇する可能性がある。
そうなると危険だ、自分一人だけだが。


気絶していた少女が目覚めた。
「うにゅ?」と、可愛らしい声。この殺気渦巻く戦場では実に癒される。
イルに会って、食事をしたくなってきた。
そう考えると猛烈に腹が減ってきた。

>「えと・・・お久しぶり、あと始めまして。って、分かってないね。
>私はレナス=インフェリアス・・・元・戦乙女です。」
「あぁ……初めまして。俺は……?」
今、この少女は確かレナスと言った。
確かレナスはもっと年上の美人さんだったはず。こんなに小さかったはずはない。
気を探ってみると、確かに三年前のレナスと同質の気を感じる。
「……FALCONだけど……君はホントにレナスなのか?」
とりあえず、確認の為に聞いてみる。


>「で、これから撤退でしょ?及ばずながら協力するよ〜。」
「それは頼もしい。
俺一人じゃ魔界に空間漂流をした後に、パワー切れで帰ってこれない可能性があるからな」
つい、口が滑って計画の一端のぶっそうなことを漏らしてしまう。

>「…えっと…魔王軍のお方がたでしょうか?」
突然に掛けられる、聞きなれない声。
赤い派手な鎧の下に包帯を巻いている人。
「俺達は同盟軍だが……君は誰だ?同盟軍の援軍か?」
単刀直入に聞いてみることにした。

259 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/02/16(木) 21:54:18
布の槍と裏返し符と化した着物を持って移動するんだけれど、傷つき魔力も品切れ寸前
でしんどいよ。
そんな身体で三枚歯下駄履いて移動ってんだから、ガリガリ引き摺って地面を傷つけな
がらになっちまう。
だがこれでいい、距離をとりながら待つんだ。。

>247
耳を疑ったねえ。あの辻斬りがラックを説得しようとしているじゃないかえ。
しかもあたしにアドバイスまでしてくれちまって。
ラックの狂気に当てられて狂っちまったのかい?元々狂っていたから裏返ってまともに
なっちまったって感じだよ。
安心しなよ、辻斬り。あたしゃあんたと違って戦いが好きなわけじゃない。勝つのが好きな
んだ。より楽に、より効率的にネ。
分は弁えているし、勝算のないような事はしないさ。
口には出さないが流し目で辻斬りに応えるよ。

>251>252
サエナミさんだった男の説明は良くわからないが、ある童話を思い出したよ。
呪をかけられ、真実の愛を求めて永遠を彷徨うダッチマン・・・。
まあ身元がどうであれ、なんでもいいさ。
腕は確かだ。ラックにいい一撃を食らわしてくれる。が、ラックもどうしちまったんだか。アレ
を喰らってもすぐに体勢を立て直している。
恐ろしくタフになったもんだ。
アレじゃぁあたしが多少殴ったってダメージは与えられないだろうねえ。
にしても・・・どういうこった?やっぱり呪縛?ラックの言葉が引っかかるよ。

>254
エヴァンスさん、殺る気だねえ。指揮官としては当然の判断だ。
ラックが土の手を斬り、大柄の棍を持つ男に電撃を放つのと同時に飛び込んでくる。
自分と巨漢の男までの距離。ラックとの距離。エヴァンスさんの飛び込み。各自の行動予
測と移動可能距離。それらを瞬時に計算し、巨漢の男に目配せを送る。
「こういうのを待っていたのさ。」
三枚歯下駄を引き摺って地面を削りながらもラックの放った電撃と巨漢の男の間に割って
入る。くうぅ・・・飛び込み頑張りすぎてアバラが痛いのなんのって。
闘牛にかかげる赤い布のように吸精布を広げ、電撃の刃を受け止めた。
三日月状の電撃はスパークを放ちながらも吸精布に吸い込まれていく。
「じゃ、後は頼むよ。」
ポソっと巨漢の男に声をかけ、巨漢の男の後ろに下がる。
吸精布から魔力が流れ込んでくるのがわかるよ。
できれば治療に回したいところだが、そうも言ってられない状態だ。
相変わらず三枚歯下駄を引き摺りながら行ったり来たりの移動でジリジリと機会を窺うよ。
牽制代わりにもなるだろうからね。

260 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/02/16(木) 22:33:17
>246
怪我をしていた少女が起き上がり
>「貴女が私に治癒を?ありがと。」
見た目通りの可愛い声でマリスにお礼を言う
「気にしないでくださいですわ〜」
自己紹介をする
「えと・・・お久しぶり、あと始めまして。って、分かってないね。私はレナス=インフェリアス・・・元・戦乙女です。」
…戦乙女?…確か女学院で話題になった事がある。その話の通りだと、とても綺麗で格好良い女の人の事だったような気がする
しかし、目の前にいるのはどう見ても可愛い女の子だ…と言う事は…事実が湾曲して伝えられているのだろう
マリスはこの戦いが終わったら女学院に戻り、戦乙女は可愛い女の子だと伝える事にした

>「ちょっと海山を越えて旅をしてたら(中略)〜で、これから撤退でしょ?及ばずながら協力するよ〜。」
…マリスは長い会話が苦手でレナスが何をしてきたかはすでに分からなかったが、とりあえず撤退はするのだ。それは分かる

>224
>「……ん、俺の左腕がどうかしたのか?」
やはり知らないフリをするカイザー…少しの怪我でも放っておいたら駄目ですわ。と言おうとしたが、カイザーはマリスではなく違う方向を見ていた
ややあってカイザーはマリスの方へ振り向き
>「マリス、今お前が救うべき人間は俺ではない。 他に、もっと救いを求めてる人物がいる筈だぜ?」
そう言うカイザーの視線の先にはマックスがいた
>250
>「わりぃ、少しドジっちまってよ」
近づいてきたマックスは申し訳ないように謝ってきた…体からは【痛いですわオーラ】が出ている
「大丈夫ですか〜?今治療しますわ〜」
マリスはカイザーの怪我の事を忘れ、マックスに治療を施す
「神様(以下略)・・・これで大丈夫ですわ〜。ですが、怪我をしないに越した事はありませんわ…お気を付けくださいですわ〜」
治療が終わったと同時にマックスに怪我に気を付けるようことばをかける…その時、一瞬目まいを感じた気がした。ついでにカイザーの怪我も頭から忘れさっていた
>257
>「…えっと…魔王軍のお方がたでしょうか?」
突然後ろから声がした…振り返ると鎧に包帯の人。マリスは怪我をしているのでしょうか?と思った
>258
>「俺達は同盟軍だが……君は誰だ?同盟軍の援軍か?」
FALCONが包帯の人に話し掛ける…その言葉に続けてマリスは
「お怪我をしたなら治療しますわ〜」
と、いつもの暢気口調で敵とも味方ともわからない者に対して言葉をかけたが…話がややこしくなる可能性があった

261 名前:カイザー ◆OrJKdYNK3U [sage] 投稿日:2006/02/17(金) 00:20:16
>250
>「わりぃ、少しドジっちまってよ」
多少の傷は負っていたがマックスは戻った、
その傷もカイザーの合図に気付いたのかマリスによって治療を開始されている。
マックスは行く先の予定について尋ねてきたが、それはFALCONが答えてていた。
(…さて、これでアステラとセシリアが来れば全員集合だな)

>246
>「――うにゅ?」
声が聞こえ、カイザーはそちらへ振り向く。見ると先程の銀髪の少女が目を覚ましたようだ。
少女はマリスに礼を述べた後、自己紹介を始めた。
> 「えと・・・お久しぶり、あと始めまして。って、分かってないね。
>  私はレナス=インフェリアス・・・元・戦乙女です。」
そんな事よりも、何でこんな所にいたのか…と、問い掛けようとした時、カイザーの頭の中に引っ掛かる言葉があった。
(……レナス、だと?)
カイザーの記憶に残っているレナスという人物、
以前、共にオーガス軍として魔獣フェンリルや冥王ガストラと戦い、彼等を封印した人物…
…なのだが、目の前に存在している少女とは見た目の年齢が違いすぎる。
(…まさか、レナスファンの女の子とかじゃないよな)

> 「ちょっと海山を越えて旅をしてたら、オーガス公が倒れたって〜〜挙句、エヴァンスのボーヤにも襲われるし。」
>  「で、これから撤退でしょ?及ばずながら協力するよ〜。」
「ああ、分かったレナス。頼りにさせてもらうぜ」
目の前の少女に話しかけるカイザー、だが未だにその少女がレナス本人なのかは半信半疑だ。
(今は確かめる方法は無いに等しい。
 …だが、これからのあいつの動きを見れば、言っている事が嘘か本当かすぐに分かるだろう
 今やるべき事は協力しようとしている人物を疑う事ではない、先へ進もうとする事だからな。)

>260
(…よし、俺の怪我の事は忘れたようだな。)
カイザーは、マックスの治療を終えたマリスが左腕の事を気にしていないのを確認する。
(安全な場所に出るまでは無駄な消費は抑えたい…もっとも、ここから先に安全な場所は無いかもしれないが)
聖なる魔法は消耗が激しい場合が多い、あまり無茶すると倒れるのは昔からの経験で分かっているのだ。

>257
>「…えっと…魔王軍のお方がたでしょうか?」
何時の間にか、包帯グルグル巻きの女性であろう人物が近くに立っていた。
既にFALCONとマリスが対応に出ていたが、更にそれに続いてカイザーは問いかけた。
「君はサタンの軍勢に何か用事でもあるのか?」

FALCONの言った通りに同盟軍の援軍ならば、戦力は補強されて幾分か有利になるだろう。
だがサタン軍の兵ならば、この場で戦う可能性も否めない。

262 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/02/17(金) 01:04:07
>249
アステラはセシリアの問いには答えず、突き出された槍の穂先を掴む。
それを自分の胸に引き寄せ、ためらうことなく突き立てた。暗い色の血が服に染み出し、槍を伝って落ちていく。
>『・・・俺にはやらなきゃいけない事がある・・・その為なら、俺は命など要らない・・・!』
そう言い放つアステラの表情には気負いや焦燥、怒りや悲しみなどは見えず、いたって平静だ。
だからこそセシリアは余計に腹が立った。

槍を僅かに引きながら手首を捻り、穂先を握っていた手を外す。穂先を脇の下に抱え込むようにしながら石突を跳ね上げ、
そこから真っ直ぐ振り下ろしてアステラの額をぱんとひっぱたいた。
「このバカ!命がなくて何ができるのよ!」
地面に突いた石突をもう一度振り上げ、手首を返して槍を上下正しく持ちかえた。
セシリアにも何とはなしに『やらなきゃいけない事』の見当はつく。
だが、それをやめろと言うつもりは全くなかった。
「……復讐に生きるのは悪くないが、復讐のために死ぬのは馬鹿らしいだろう」
よく『復讐は何も生まない』などと言う台詞を聞くが、
そもそも復讐を誓った人間が何かを生み出したいと願うはずもない。言うだけ無駄なのだ。
だから、『終わった後のことも考えろ』と言うのがセシリアには精一杯だった。

「さて、答えをはぐらかされてしまったからもう一度問おう。魔王軍に下るつもりか?」
セシリアは改めて同じ質問をぶつける。今度は槍は構えなかった。
少なくともアステラが仲間の下を去ることだけは間違いのないことだ。
だが、どうせ別れる事になるなら、その旨はきちんと聞いておきたかった。


263 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/02/17(金) 01:20:06
>251
現れた巨漢の正体。正直説明だけでは解らんが、少なくともアレが冴波の『一人』だと言う事。
拘束術、高威力の突き、かなりの手垂と見える。
しかしそれに弾き飛ばされてもラックは三日月状の電撃を放ち、立ち向かっていく。
「アマイなァ兄さン、『狂気』覆すハ『それ以上の狂気』。『殺意』越えるハ『それ以上の殺意』
アンタにも解るやろォ、そらァワシのように長い間『狂ッテ』初めて悟るモンなンや。」
体で解らせるな『絶望』を心に与えてやれ――そんなアドバイス。

>259
その時シズネが巨漢の前に躍り出て、赤い布を広げた
思わず体が動きそうになったが、それは杞憂として消える。『電撃』が消えたのだ。
どうやら仕掛けは、シズネの布にあるようだ。ご自慢の術の類か、三日月状の電撃は上手く布に吸収された。
なるほど、どうやらシズネにはアドバイスは不用だった模様。
何せ狂気に満ちたラックの攻撃である、下手にシズネが受けたら『即死』であろうに。
奴は奴なりに自分が出来ることをやってる。『死』を恐れぬ心を持って

>252
その時ラックの口から言葉が聞えてきた。耳を傾ける
>「知ってるさ、(略)でも、もう…止まれない。俺には終わりが近い。もう、戻れないんだ…」

ラックが零した感情を込めた言葉、地獄耳のワシにはとてもよく聞えた。
誰に言ったかは分からん、だが奴の心に『入る穴』が確実に開いたのだ。

「ゲヒャハ……オマエはドコまで阿呆なンや、生きて諦めるンは『愚の骨頂ォ』。
誰ガ、オマエの終わりを決メた!?何を証拠ニほざク?終わりヲ決めルんはオマエの意思ヤ!」
あざけたように笑いながら問いかけた、そして静かに引き出す、何かに覆われた奴の本心を。

264 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage 空中で落としてもOK] 投稿日:2006/02/17(金) 01:24:06
>254
そうこうしてる内に、エヴァンスの大将も臨戦態勢に入った模様。
まったく、これではリンチと大して変わらんな。
いつもの軽快なジョークを忘れず、自分の脇を駆け抜け標的に向かっていく。
しかし洒落たこと言うのは構わないが、ミステイクがあるのは頂けない

―――『狂った奴』には『判決』下せない―――
先ず裁判以前に被告の『心』治さなければ……その事は心から外には出さぬ、あえて隙を晒す必要は無い。
「……御意。……手間の掛かる『ガキ』ヤな。」
短い返事、と短く付け加えた呆れたような一言。

ワシも――――動くか。奴の心を壊しに。
「口で言うテも分からん、ガキにャお仕置ガ必要ヤな……」
「アンタらにも耐え切れるか……ワシにも分からん。必要あッた逃げイ」
よし、ならば飛切りの『絶望』を見せよう。腰を落とし力を開放した、
前を見据える、周囲の空気が完全に沈み、刹那に心を支配する感情

――『殺す』『殺せ』『殺す』『殺す!』『ころせ』『ころす』『殺ス!!』
  『殺す』『殺す』『殺す!』――――『楽しい時間の始まりだ』

迸るは紫の闘気。そして他のものにも分かるであろう黒い『狂気』と『殺意』。
そしてエヴァンスが突きを繰り出す同時に走り出す巨体。
地に大きく踏み込み大きく飛び上がる、脚力に耐え切れずひび割れ、砕け弾け飛ぶ岩盤と地面。

この業、とある高尚な騎士が得意としていた業。
名は―――――――忘れた。

刀を振り上げ、力を溜める。
腰が限界まで反り返り、腰の骨にヒビが入ったが。それでも辞めず、最高点に到達を目指す。
限界の状態で振り下ろすと何が起こるかは想像できない。
『限界まで溜めた力』『妖刀』『落下速度』『怨念』『怪力』。
そして、それらを超越した『殺意』。…相手が戻れば、止まれば良いのだが

265 名前:誓音 ◆aGZ9OPSgQQ [sage] 投稿日:2006/02/17(金) 02:00:58
>258
>「俺達は同盟軍だが……君は誰だ?同盟軍の援軍か?」
「…私は誓音と申します。同盟軍基地へ名簿登録しようと向かってたんですがね。
超音波で探索してたらあなた方を見つけたもので、面白そうなので来てみました。」
そう言うにっこりと笑顔で言う。
(…へぇ…同盟軍にいる魔族なんているのか…てっきり魔王軍かと思った。)
なんてなんだか寂しいようなほっとしたような気持ちになりながら手を刀から離す。
「見たところ撤退しようとしているらしいですが…同盟軍にまだ入ってない私でよければ手伝いましょうか?この辺は罠も多いですし。」

>260
>「お怪我をしたなら治療しますわ〜」
(…。)
さっきまで笑っていた表情が一瞬暗くなった。
「…大丈夫ですよ。この包帯は鎧みたいな物ですから…。」
半分嘘で半分本当の発言をする。まだ会って間もない人間に自分のあの姿を晒すのは嫌だ。
「お気遣いわざわざありがとうございます。」
そう言うとさっきまで暗かった表情を無理矢理変えて再度笑顔を作る。

>261
>「君はサタンの軍勢に何か用事でもあるのか?」
「用事なんてありません。サタン軍だったらただ手首でもちょん切って殺すだけです。」
そう平然と笑顔のままで言うが、その笑顔はまるで冷たい雰囲気を出す。


266 名前:魔王サタン ◆DEADLYZjrA [sage] 投稿日:2006/02/17(金) 02:14:30
場面は変わり、とある城の中。玉座に深々と座り、
傍らの水晶から第三魔法陣の戦いの様子を眺めている一体の魔族。
眉間に皺を寄せ、全身から溢れる怒りのオーラを隠そうともしない。

魔族の名はサタン。七つの大罪が一つ『憤怒』を司るもの。
かつてオーガスに依り代を砕かれ、レナスによって封印された存在。
そのサタンは、かつてオーガスが鎮座していた
(と言っても行動派のオーガスはあまり使っていなかったらしいが)
オーガス城の玉座にいる。

エヴァンスにはある程度の権限を与えていた為、今回の作戦行動や
それに付随する徴兵、訓練などには一切干渉しなかった、と言うかする気がなかった。
しかし、エヴァンスが結成した精鋭部隊『百鬼夜行』が敵部隊にさしたる被害を
与える事もできず半壊状態になったのを見て、煮えたぎるマグマの如き怒りがこみ上げてくる。
だがそれはエヴァンスや『百鬼夜行』に対してのものではない……敵部隊に、である。
「……オーガス……!国を滅ぼされてなおも我が道を妨げるか……!」

セシリアのマントに刺繍されたオーガス国の紋章が神経を逆撫でしたのだ。
オーガス騎士であるセシリア、ベルゼバブを一方的に打ち倒しその後娘婿となったFALCON、
オーガスの傍で戦い続けたカイザー、いずれも忌々しい存在である。その他にも、魔力を中和する
特殊な剣を持つ男(ヒチシのせいで一時水晶の力も遮断されて見れなくなった)、魔族にとって
忌むべき聖なる力の加護を受けた小娘、魔を宿しながら魔族に敵対する小僧……!
サタンは怒りに震えていた。映し出された者達の首を全て我が前に並べねば、この怒りは収まらない。

憎悪にも似た怒りを辛うじて鎮め、『百鬼夜行』の方を映す。
中隊長の一人である、雷神トールの鎚を持つ男(ラック)が味方である筈の他の面々に攻撃を加えた。
強大な雷の力を操り、戦力的には圧倒的に有利である『百鬼夜行』相手に善戦しているようだ。
サタンは、ラックから放たれる力の源をどこかで感じた事があると思った。
己の感覚が間違っていなければ……果たして、ラックは彼の者の主に足る存在か否か。
「奴め……いまだ懲りずに器を探しているのか。クク、小僧……
 既に最終段階、乗り越えれば貴様の恐れるリミットはなくなるぞ……ククク。」

267 名前:冴波≒リエド ◆QCuhq9l.Ig [sage ] 投稿日:2006/02/17(金) 10:15:21
>252>254>259>263>264
準備は出来ていた。剣に宿る紫電はまるで『今から攻撃しかけます』と言っているようなものだった。
だというのに、飛び込んできた女・・・そう、『シズネ』だったか?・・・は、その進路に飛び込んで来て後ろに下がった。
「・・・別に殺すつもりなぞない。そして、前に出るなよ『シズネ』。危ない。」

ラックが振り下ろした剣はその人差し指と中指を砕く事に成功した。
まるで、その衝撃が伝わったかのようにその腕はすべて崩壊する。・・・のだが。
「手緩い・・・か?<伏線型構築式:砂の拘束衣、変則起動。>」

砕けた腕は砂塵と化して、ラックを包み込もうと襲い掛かる。
「まさか、4人に喧嘩を売って4対1が卑怯などとは言うまいな?」
その他の砂はラックから巨漢へと続く『道を撫でる』。

「・・・だが、その感情など一時に過ぎないだろう。お前が死んでも私が死んでも、世界は永遠に続く。
 ただ、『納得できない』のではないか?ただ、『我慢がならない』のではないか?その葛藤、全て呑み込んでやるから来るがいい。
 私はリエド、穢れた世界を支え、崩す柱。大地を司る4本の剣が一振り。雷神よ、その叫びは我が身へと届くかな?」
棍を携えたまま左手を突き出して、手招く。ラックへの明らかな挑発。
これで突っ込んでくるならもう詰み。だが、突っ込まなければ彼は両断されるかもしれない。

「(・・・許せ、水の剣。お前の体はよもや朽ち果てるやもしれぬ。)」
その挑発の裏で起こりつつある綻び。誰にも気づかれずに侵される苦しみ。
・・・・・・時は限られている。

268 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/02/17(金) 12:28:34
>254>259>263-264>267
せっかく放った電撃をシズネに邪魔されるというイレギュラーはあったものの、斬撃そのものは土の腕に食らわせた。が。
「…罠か」
その腕は砂と化し、ラックを包もうとしてくるのだ。留まっていては、拘束されるのか窒息死されるのか…。
「ちっ」
挑発を受けるように、もう一度剣を振り上げ、男に向かい突進しようとした。しかし、ラックは動かなかった。
動けなかったのだ。腹部から何かが生えていて。それが刃の切っ先だと気づくときには、力なく剣が手から抜け落ちた。

後ろにいたのは、エヴァンス。その手に持つは、銃剣。そして、それがラックの体をいとも容易く貫通して。
いくら体力が強化されたとて、これはどうにもならない。口からも血が流れ出る。刺され所は決して良くはない。
「こ…れは…キツいな…」
当然、腹からも血は大量に流れ出ている。放っておけばまず間違いなく出血多量で死に至ると思えるほどに。
トクトクトクトクトクトクと、
ドクドクドクドクドクドクと――。

そして終焉は不意に訪れる。ラックは「終わり」を感じた。凶々しい雰囲気を携えこちらへ走ってくる、辻斬りを見て。
辻斬りは高々と飛び上がった。そのままラックに向かって飛び降りつつ斬りつける、ということは容易に想像できる。
いや、斬りつけるという生易しいものではないのかもしれない。ぶった斬る。一刀両断にする。そんな言葉の方がいい。
今もなお、腹部には焼けるような痛み。こんな状態であの辻斬りの攻撃を避けられるとは、受けられるとは思えない。
だから「終わり」を感じる。あの攻撃を受け、生き残れるはずがないという思いから。

死を目の前にして、ラックは何を思うのか。
しかし、結局最後に思うのは、これも、安堵。

あぁ、やっと楽になれる――。

ラックは、無意識に瞳を閉じる。
死刑台の上で、裁きを待つ。

269 名前:エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 [sage] 投稿日:2006/02/17(金) 17:20:19
>264>267>268
銃剣が少年の脇腹を貫いた。鈍い感触の後、血が刃から義手へと伝う。
コートの袖に新しく染みを作る、ラックの鮮やかな紅色の血。銃剣を引き抜いて、吹き出す血。
彼の足下に、瞬く間に広がっていく血溜まりを、エヴァンスのブーツの爪先が引き摺って赤いラインを描く。
辻斬りの追撃を避けるためその場から後退り、

「残念だったと言うべきかな、ラック? あの世へ着いたら神様に宜しく」

コートの裾から零れる一枚のペンタグラムを銃剣で突き刺して、砂を被って乾いた地面に留める。
ペンタグラムにラックの血が滲み、緩やかに転送術式の魔力を蓄え始めた。
風に砂が巻き、ラックの傍を「辻」の影がさっと走る。

――今更助ける気は無い。自殺志願者を囲う余裕などありはしないからだ。
「辻」が止めを刺した後、死体くらいは片付けてやるつもりでペンタグラムを用意しただけ。
転送術式の出口は方面軍本部基地、騎兵師団兵舎、「ブレンゲン」に預ける。
バラしてしまえば只の肉、それでも使い勝手は「死にたがり」の今よりかは増すだろう。
同情こそすれ足を引っ張られては敵わない。自分には、まだやらなければならない事が残っている。

270 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/02/17(金) 21:25:54
>264>267>268>269
巨漢の男の言葉も、距離を置いたここに居ても当てられそうな辻斬りの殺気も、ラック
を止められなかった。
重なり合うラックとエヴァンスさんを見て、小さく舌打ちをしちまうよ。
止めたのは刃だ。そして幕を下ろすのも辻斬りの刃だろうね。
「ま、これも血塗られた道かねぇ。難儀な事だ。」

もう足を引き摺る必要はない。辻斬りが何を繰り出すかはわからないが、もう少し距離
をとっておいたほうがよさげだからねえ。
ふわりと羽の様に音もなく浮き上がり、後方に下がる。
「せっかく途中までやったのだから一応は・・・」
もう必要ないだろうけど、ね。ゆっくりとした滞空時間のうちに布の槍を投げつける。
いや、今更ラックに投げつけるわけじゃないさ。布の槍は見当違いのところに突き刺さっ
ている。
そうして距離を置いたところに着地する。
簪に戻していた制流旗を取り出し、吸精布と共に構えを取ってこれから起こることに備え
るよ。

271 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/02/17(金) 21:26:25
名前欄入れ忘れました。
>270は私です。

272 名前:辻斬り ◆mN/RwaMSjw [sage] 投稿日:2006/02/18(土) 00:49:25
>267>268>269>270
そして最高点に到達した。
チラリと下を見る、自分の行動に気が付きエヴァンスが後を譲り、シズネもそれに続く。
しかしラックを相手にしていた巨漢は動かずに、今だ説得を続けているではないか。
(避けヘンなら……死ぬナよ?)
二人に対しての最後の、思い。
――――――【ゴゾロの丁:大蛇落し】―――――――

始まる落下、落下速度、天候それらを全て味方につけ
手負いの標的の上に来ると、ラック目掛け袈裟斬りを繰り出した。

久方振りの手応え――――剣激は相手の右肩を捕らえ、肉に深く深く食い込む。
ザクリと肉を切り裂く音。刀の闘気が相手の傷口を愛しそうに撫でた
これぞ体が待ち望んだ感触。
―――どんな女を抱くよりも強力すぎる『快感』。この世の全ての美味を楽しむような『快楽』。
飛び散り体を打ち付けるは懐かしい『暖かい液体』。
そして、刀は左腹辺りを抜け地面に叩き付けられた。同時に肩膝で着地する

しかし衝撃は止まらない、地をも深く切り裂き、周囲に及ぼすは、中規模の振動と軽い地割れ。
泥と土の飛沫が天高く舞い上がり相手を包む。―――全てを隠すかのように。

「ゲヒャハ……様無いのォ!我侭なガキ。『人生を悩む』から気が狂うンや阿呆ゥ!
 久々にイイ獲物やッたわ!!気分がエエ、ご機嫌や!ゲヒャハハ!」
血で濡れた顔で豪快に笑い飛ばす。泥の飛沫で相手がどうなったかは見えない。
『真っ二つ』か『胸元抉られた』か……だがどうでも良い問題である。

笑いながら頬を何かが伝ったような気がした、雨ではない『何』か―――。
何故だこんなにも嬉しいはずなのに……どこか悔しい。

「怨ムなら怨め、ワシャぁオマエを……『戻す』事も『止める』事も出来ンかッた哀れナ屍ヤ。
なラばオマエに『安らぎ』ヲやる、それガ『仲間』とシての最後の仕事。
『ラック』―――――オマエも『運』が善けりャまた合えルかも知れへン。
ワシゃァ………そッチにャァ行けンからノォ。……」
零れた言葉、小さい、本当に小さい言葉、今にも消え去りそうな言葉。

273 名前:アステラ ◆r7kOcOEpyM [sage] 投稿日:2006/02/18(土) 02:09:09
>262
>「このバカ!命がなくて何ができるのよ!」
痛かった。身を切られるように痛かった。
槍で自分の胸を突いている時も痛かったが、それの比じゃなかった。
大人になると滅多にバカなんて言う単調な雑言は使わなくなる。
だから逆に使われると心に響く。容赦なく、抉ってくる。

『・・・そう言えるのは、復讐に生きていないからだ。』
復讐に生きる者は何も生み出さない、そして果たしてしまったらただの抜け殻に過ぎない。
それほどに、復讐とは人を呪縛する。誓って、初めて知った事だ。
だからこそ・・・巻き込めない。関われば片棒を担がせる事になる。
悲劇の主人公を気取るつもりはないが、苦しむのは一人でいい・・・故に、去る。

『・・・下るつもりはない・・・あんた等は方陣を潰せ。
 全部潰せば少しは隙が出来るだろ・・・そこを、斬る。』
もっともそうした青臭さを感づかれるのはあまりにも恥が過ぎる。
だから、咄嗟に思いついた稚拙な作戦とも言えないそれを返事の代わりにしたのだった。

『あんたに預けておく・・・取りに行くまでは生きているさ。』
首元に手を突っ込んでロケットを外し、セシリアに放る。肌身離さず身に着けていた
形見、家族がいた事を証明する唯一つの品。最近では思い出すのが辛くて手に取る事も
めっきり減ったそれを、初めて外したのだ。

274 名前:冴波≒リエド ◆QCuhq9l.Ig [sage ] 投稿日:2006/02/18(土) 08:45:55
>268-272
「・・・。かくも愚かな螺旋は続く。」
虚空を飛んだ辻斬りの断罪の一撃が大地を割り、衝撃波となってリエドへと突き進む。

「<伏線式開放:無間地獄:螺旋>」
先ほど砂が地を撫でた地点に到達した衝撃波はリエドの目の前で方向を変えて、円を描く。
その速度も、威力も変わらぬままに円を描く衝撃波は円を描きながら地面の奥底へ、黄泉へと沈む。
後に残るのはそこに到達するまでの軌跡のみ。眼前に血の華が咲く。

・・・・・・そこを『死の臭い』が通り過ぎた。『全ての生命の香り』を内包した風は正に『死の臭い』だろう。
「・・・。何故、踏みとどまろうとしなかったのか。踏みとどまれなかったとでも言うつもりか、雷神よ。」

リエドはラックのいる方へと歩を進める。
「<多重構築式:寿ぐ界円・・・構築不完全、強制終了>」
ラックの傷を癒さんとしたその力はラックへ触れて・・・、そして不完全に消えた。

・・・倒れ行くリエドの体はその金髪も長い黒髪となり冴波の姿へと戻り、崩れた。
倒れた体からは血液が大量に流れ出し、下手を打てば死にかねない。
いつの間にか傍らに寄り添うように倒れた鉄棍も大剣へと姿を変えている。
「<輪廻―幻想情報式:崩壊。未生天―本体付加甚大、生命構造維持を最優先。終了>」

「・・・・・・なぜ、過ちを繰り返す。私達もお前さえも。・・・何故。」
地に伏した冴波の顔を、一滴の涙が伝った。




・・・・・・そして、視界を暗闇が覆った。

275 名前:魔王サタン ◆DEADLYZjrA [sage 空気を読まずにテンプレ投下] 投稿日:2006/02/18(土) 11:53:40
【年齢】もはやないに等しい
【性別】精神は雄(時間さえかければ肉体はいくらでも構築し直せる為)
【職業】魔王、憤怒の化身
【魔法・特技】ほぼ全ての攻撃魔法、攻撃技
【装備・持ち物】魔王の錫杖(様々な武器に形状を変えられる)、魔王の鎧(魔力を消費して防盾を張れる)
【身長・体重】時々によって違う為不明
【容姿の特徴、風貌】現在は人型、金髪ロング、血よりも紅い眼、長身痩身、耽美系の服を好む
【性格】残忍にして冷酷
【趣味】戦い
【人生のモットー】この世にある全てを我が前に平伏させてくれる……!
【自分の恋愛観】従順なだけの雌など要らぬわ。
【一言・その他】
七つの大罪の一つ『憤怒』を司る七魔王の一角。
怒りと言う、当事者に絶大な力を与える感情を司るため魔王の中でも常に
1、2を争う存在である。その有り余る力故に怠惰を忌み嫌い、常に血で血を洗う地獄のような
永遠に戦いが止まない世界を欲した。それを果たす為、手始めとして与し易いだろう人間界に
侵攻したが、かつての戦いで不覚を取り一時は封印される。その屈辱が更に
サタンの怒りを増大させ、結果他の魔王ですら手がつけられないほどの力を宿してしまった。
『怠惰』のベルフェゴールの態度に怒りを通り越して憎しみを抱き、己の力と勢力を狙う
『強欲』のマモンと水面下で諍いが絶えない。また、FALCONとの関係上ベルゼバブとも敵対している。

276 名前:レナス ◆o2qKdFy2wA [sage] 投稿日:2006/02/18(土) 23:45:28
>258
 >「……FALCONだけど……君はホントにレナスなのか?」
 疑われてる。
 まぁ、無理もない話だけど、こっちはそれを証明する手段がない。
 無いこともないけれど、今は少しの魔力でも惜しい。
 「あい、レナスですとも!
  多少・・・というかかなり魔力の絶対量は減ってしまいましたけど・・・・
  小さくなってるのは、ボーヤとの戦いの時に戦略的に小さくなって、しかも戻るための魔力が足りない・・・と。
  でも、機動力は確実に上がってるから、メリットが無いわけじゃないのよ?」

 >265
 >「見たところ撤退しようとしているらしいですが…同盟軍にまだ入ってない私でよければ手伝いましょうか?この辺は罠も多いですし。」
 「私も正確に言うと同盟軍じゃないから、問題ないと思うけど・・・
  こういう時は部隊のリーダーに指示を仰げばいいのかな・・・と?
  ・・・ところでリーダーって誰なの?」

 ―-レナスは内心焦っていた。
 エヴァンスと戦ってみて自分の無力さが身に染みてわかったからだ。
 先の戦いとて最後は賭けであったし、魔力が少ないという所に油断が生じてくれたんだと思う。
 しかし、もし再戦するようなことになれば・・・とても勝ち目はない。
 やはり過去の力を、全てとは言わずとも、せめて半分程度は取り戻したいところだ。
 でも、彼女の力の源であるオーディンは滅びてしまっている。
 そうなると残された道は、オーディン以外の神からの力の搾取(言葉が悪いかな?)。
 周囲の状況が知りたければ、光の神であるヘイムダルから力を借りられれば良いことになる。
 問題は、レナスの体がどこまで耐えられるかどうかである。
 また、神々が快く力を貸してくれるかどうもかも、また疑問である。
 あとは馬。
 オーディン亡き今、スレイプニルはどうしているだろうか。

277 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2006/02/19(日) 02:49:38
次スレの季節です

278 名前:マックス ◆BsGlQvuzhQ [sage読みにくくてすみません] 投稿日:2006/02/19(日) 03:47:18
>258
マックスの問に返答したのはFALCONだった。退却をする予定で、案も有るらしい。
「しかし、期待するなって……なあ、誰かを危険に晒すようなのは勘弁だぜ?」
マックスは勿体ぶるFALCONに不安を隠せない。食堂の時の様な無茶をされかねないからだ。

>260
気が付くとマリスが近くに立っている。マリスは呪文を唱え、マックスに治療を施す。
「おおっ、すっげぇ! 悪いな、マリス。ありがとな!」
一度は見ている筈の呪文だが、いざ自分が受けてみると、また驚いてしまう。
マックスが礼を言いつつマリスの方を見た時、彼はマリスの様子が変だ、と感じた。
しかし何か声を掛けようと思った時には、マリスは何事も無かった様に誰かに話しかけていた。

「……誰だよ」
誰にも聞こえない位の小声で呟く。回復したおかげか、新たに二人の姿を確認出来た。
先程聞こえた可愛らしい声や、人を魔王軍扱いする無礼な発言は、どうやら幻聴では無かった様だ。
ただ、これほど近くに、これほどの存在感の二人が居たのに気が付かなかったのは、
思ったよりも余程に、先程のダメージが酷かったのだろうか?

>257>265
全身に包帯を巻き、派手な赤い鎧に身を包む少女。名は誓音というらしい。
誓音の話を聞いていると、魔王軍を倒そうという意志が、怖いほど伝わってくる。
性格が多少ヤバそうだが、魔王軍の手先では無い。マックスはそう思った。

>246>279
チラッともう一人の方を見る。子供。目を擦ってもう一度見る。やはり子供。
彼女の話を聞いている限りだと、名前はレナスといい、現在は自ら小さな姿になっている様だ。
レナスのリーダーは誰なのかという問に、マックスは自分の胸を親指で指しながら口を開く。
「あー……っと、信じられないだろうが、リーダーは俺だ。マックスウェルっていう。
まあ短くマックスとでも呼んでくれ。」
ただの傭兵だという事は言わない事にした。相手風変わりではあるが騎士と、少女ではあるが戦乙女だ。
傭兵がリーダーだと知ったら不満も出るかもしれない。

「誓音、レナス、俺達はこれから撤退をする予定だ……詳しい事はそこのFALCONに聞いてくれ。
考えが有るらしいが、まだ俺自身も詳しい事聞いてねぇんだ。」
そう言って、溜息を付いてから一言付け加えた。
「情けないリーダーですまねぇな」
やはり自分はリーダーという器では無い。つくづくそう思うマックスだった。

279 名前:ラック ◆UcRg1Bh7EI [sage] 投稿日:2006/02/19(日) 04:31:13
>269>270>272>274
右肩から侵食したその刃は、ラックの肉体を蹂躙し、その体に大きな刻印を残す。舞い上がるは血飛沫。
強化されていたせいか、二つに分かたった訳ではないにせよ、主要な内臓の幾つかに致命的なダメージは与えられて。
その常識外な血の量と共に、正に致命傷と言うべき、その傷。常人ならとっくに失血性ショックで死んでいる。
なまじ強くなっているからこそ、痛みが体中を駆け巡って…しかし、痛みを理解する思考能力すら、今のラックにはない。
支えをなくした人形のように、ゆっくりとうつぶせに倒れたラックを、雨が叩く。血溜まりを、雨が洗い流してゆく。
流されてもその「赤」に消える気配がないのは、それ以上に、血が流れているからなのか。

しかしその流血は止まる。傷が治った訳ではない。ただ止血された。止血だけだったのは、回復が不完全だったからか。
これほどの傷、止血だけではどうにもならない。既に致死量の血は流れ出ているはず。それでも、ラックは感じる。
――あったかい。
何も考えられないラックが感じた「感覚」。それを最後に、ラックの心臓は、停止し――

その時。天上の雲から一筋の稲光が、まっすぐ、下へと、落ちてきた。その着地点には、ラックの体が。
その反動で、ラックは少しだけ跳ねた。そして光に包まれる。その間コンマ数秒。その雷電はすぐに消え去る。

心臓は停まったはずだ。もう、ラックという生命体は終わりを迎えた。奇跡など、有り得ないのだ。そのはずなのだ。
しかし。
――誰が気づくだろうか、心臓が、小さく、微かに、脈打っているのを。
消え入りそうに、小さく…微かに。

280 名前:セシリア ◆TI6/2FuWqw [sage] 投稿日:2006/02/19(日) 05:49:03
>273
アステラは魔王軍に加担するつもりはないと明言した。これを信じるなら、つまるところ一人で敵を狙うということだ。
その敵とは誰か。サタンそのものかあるいは配下の高位魔族といったところだろう。
一人では荷が勝ちすぎる相手に思われる。
(頼ってくれてもいいのに……)
顔を合わせたばかりで共に死地に追いやられ、ここまでろくに話もせず来たが――それでも仲間ではないか。
セシリアはそう考える。とはいえ、あくまでこれはセシリアの価値観であり、
アステラの価値観とは違ったというだけの話だ。

>『あんたに預けておく・・・取りに行くまでは生きているさ。』
アステラが首元からペンダントを引っ張りだし、セシリアに投げ渡した。
手元に収まったところでセシリアはそれがロケットだと気づいた。
開けて中を見るようなことはしない。およそ家族か恋人かの肖像でも入っているのだろう。
セシリアはそれを首にかけ、鎧の中へ押し込んだ。

「確かに預かった。早く行け。どうやら内輪揉めがあるようだ、今なら抜けるのもたやすいだろう」
鬨鈴で聞いた音や、雷雲の状態などからあたりをつけた情報をアステラに伝える。
「これより先、万が一にも貴様が我らの前に立ちはだかることがあれば……その時は如何なる事情であれ槍は止めんぞ」
最後にそれだけ言い残してセシリアは地を蹴る。一度真っ直ぐ飛び上がり、
それから崖の際を掠めるように砦の裏手まで飛んだ。
見知らぬ人間がいるようだが、仲間の様子を見ると敵ではないらしい。
そのまま皆が集まっている側へ下りた。

281 名前:FALCON ◆uKCFwmtCP6 [sage] 投稿日:2006/02/19(日) 06:04:14
>265

>「…私は誓音と申します。同盟軍基地へ名簿登録しようと向かってたんですがね。
>超音波で探索してたらあなた方を見つけたもので、面白そうなので来てみました。」
「誓音ちゃんって言うのか……俺の名前はFALCON。武道家だ」
どうやら同盟軍に参加予定の味方らしい。
超音波を使って探索したというので、コウモリの亜人あたりかと思ったが、
翼が生えているようには見えないので、おそらくは違うのだろう。

>「見たところ撤退しようとしているらしいですが…
>同盟軍にまだ入ってない私でよければ手伝いましょうか?この辺は罠も多いですし。」
「そうしてくれると助かるよ。仲間は多いに越したことはないからな…」


これからの戦いについて、FALCONは考えた。
果たして魔族となった自分の力が、この先の敵に通用するのか?
純粋な魔族になってから感じた筋力の衰え、気の絶対量の低下。
代わりに魔力の絶対量は大幅に増えたが、筋力と気の低下は武道家の自分にとって大きな痛手である。
はっきり言うと、三年前の自分の力が非常に恋しい。
あの全てを圧倒するような赤い気の力が……


282 名前:マリス ◆MJk/w/YBy6 [sage] 投稿日:2006/02/19(日) 09:50:09
>278
「おおっ、すっげぇ! 悪いな、マリス。ありがとな!」
治療を施してお礼を言われるのは嬉しいものだ
マリスは微笑みで答えていた


>276
「あい、レナスですとも!(中略)ところでリーダーって誰なの?」
可愛い声でレナスがしゃべる…マリスは微笑んで話を聞いていたがリーダーと言う言葉に少し反応する
マックスが自分がリーダーだと言う…マリスは初めて知った。
リーダーさんはマックスウェル様だったのですね〜。と
…最初に来た時に話を聞いていなかったのかもしれない

>265>281
「…私は誓音と申します。(中略)見つけたもので、面白そうなので来てみました。」
包帯の女の人はそう言うとにっこりと笑顔で言う。罠も多いから撤退に力を貸してくれるようだ
FALCONが自己紹介をして話をしているが、誓音はマリスが治療をする旨を言った事に対して表情が暗くなりこう話す
>「…大丈夫ですよ。この包帯は鎧みたいな物ですから…。」
>「お気遣いわざわざありがとうございます。」
その言葉の後に誓音の暗い表情が笑顔になる
…普通ならその表情から何かを察するのだろうが、マリスは普通じゃないので分からない
「気にしないでくださいですわ〜。ですが、お怪我をしたらお言い付けくださいですわ〜」
微笑みながらそう言うだけだった

その後に誓音が冷たい言葉を言うがマリスは聞いていなかった。例え聞いていても何も変わらないけど…


>280
その時セシリアが上空から降りてくる…マリスはちょっとびっくりしたが
「セシリア様お帰りなさいですわ〜」
笑顔でそう言い
「お怪我はありませんか〜?」
とセシリアの体を気遣う

…しかし、その時ふと気付く
「私のレイピアがありませんわ〜」
先程飛ばされた武器を回収していないことに
「…それよりも撤退するのが先決ですわね〜」
でも、すぐに武器の事など忘れる。どうせあってもさして変わらない
と言うより使う事があまりないので空気みたいなものなのだ
それに市販の武器なのでまた買えば良い…お金持ち的な思考があるのはお金持ちだから

「撤退をするのは良いのですが、アステラ様はどこにいるのでしょうか〜?」
…武器よりもこちらの方が重要だ

283 名前:シズネ・ラ・ファウスティナ ◆Li6V5.OMz6 [sage] 投稿日:2006/02/19(日) 22:22:33
>272
辻斬りの斬撃はその構えに相応しい威力を放ったよ。
距離をとっているから巻き上がる土や泥ですぐに二人の姿は見えなくなったけれど、致
命傷を与えた事は直感的に理解できたね。理解したと同時に襲ってくる衝撃波。
制流旗で衝撃エネルギーの大半のベクトルをずらし、残りは吸精布で吸い取る。

>274>279
衝撃波が収まった頃、ラックはうつ伏せに倒れていた。もう動く事はないだろう。
それじゃあここからがあたしの仕事かね、なんて思っていたのに巨漢の男がラックに近寄っ
ていくじゃないかえ。どうやら回復術を施そうとして、力尽きて倒れたようだ。
いつの間にかサエナミさんに戻っている、か。
直後、ラックの身体に落雷が落ちる。ほんの一瞬の落雷。
何が起こったのかは判らないが、ラックから死の気配が消えた。
「仕方がないやあね。ついでだ、二人一緒に面倒を見てやるよ。目標追加っと。」
ラックが一命を取り留めて仕事が楽になったからサエナミさんまで手が回るってもんだ。
もう吸精布はいらないだろうからね。着物に戻してはおるとふわりと浮いて倒れているラック
とサエナミさん、それに辻斬りの頭上も通り越して元居た場所に着地するよ。
着地の衝撃で三枚歯下駄は地面にめり込み、これが最後の一文字だ。

あたしが今まで下駄を引き摺っていたのは何もだるくて歩けなかったって訳じゃない。
禹歩って言って、呪的な歩行方なんだ。
引き摺った跡は上空から見ると符にかかれる術式になっている寸法さ。
大地そのものを符として地脈の力を直接取り出して利用する。

念を込めるとあたしの歩いた跡が鈍く黒く光り、字が現れる。
辻斬りにえぐられた部分も既に地脈まで達しているからへこんではいるが、術式構築には影
響はない。
砦付近で地脈の力を使いすぎちまったから不安だったけどね、だいぶ離れていたからどうや
ら大丈夫のようだ。
今回あたしが禹歩で書いたのは回復術の符。地脈の力が二人に流れ込んで傷を癒すだろう。

地面に突き刺さったままの布の槍を帯に戻して、身繕いを整えながら二人の元へいくよ。
二人を寝顔を見てちょいと笑みが浮かんじまうよ。可愛いもんだ。
「あんたに預けた煙管、まだ返してもらってないからね・・・。」
また感電してはたまらないから符を飛ばしてラックの額に貼る。
お次はサエナミさんだ。
「やれやれ、全部一人で背負い込もうとするからぶっ倒れるんだよ。苦労性なこったねい。
よっと、軽いねえ。」
ラックは荷馬車にでも載せるとして、サエナミさんは運んでやる事にしたよ。
むさ苦しい男連中に気絶した女を運ばせるのも忍びないってもんだ。
さて、ここからが大変なこったが、もう一仕事だ。

「エヴァンスさんや。蛹の脱皮にしては大事だったが無事羽化したようでよかったねえ。
ラックとサエナミさんには地脈の精を流し込んだから死ぬこたないだろうよ。
ラックには符を貼ってあるからアレをとらない限りは動けないようにはしてある。
処分の方はお任せするけど、補佐官として意見を具申させてもらっていかえ?
あたしら四人を向こうに回して立ち回ったラックの力、このまま捨てるのは勿体無いとおも
うよ。
何しろ辻斬りのあの攻撃を受けても死んでいなかったんだから、さ。
何があってトチ狂ったかは知らないが、制御できるものなら強大な戦力になるだろうね。
以上で具申は終了。サエナミさんはあたしが連れてかえるよ。」
軍法上は処分は決まっているもんだがね、一応一言。これがエヴァンスさんの判断にどう
影響を与えるかは・・ま、流れに任せるさ。

「はぁ・・疲れちまったねえ。ハイハイ、もうじゃれあいは終わったよ。誰か馬を貸しとくれ。」
禹歩発動に吸収したエネルギーも残っていた魔力も使い終わっちまったからね、もうこれ
以上は何も起こらないで欲しいもんだ。
サエナミさんを肩に担いだまま人を呼ぶよ。

284 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2006/02/19(日) 22:41:11
           別離と出会い
        裏にあるのは信頼か打算か
   いずれにせよ流れる水を止める手立てはなく
     行く手にあるものは薄闇の彼方に霞み
       逆らって上るか 従って下るか
    選択を躊躇うだけの時も与えられはしない

       撒かれた血潮は緑の野を染め
           青き流れを濁し
          茜の空をなお翳らせ
           槍光すらも曇らせる    
               しかし
        足を止める者 一人として無し
          それを業と知るがゆえ

        負うた業の重さに背は曲がる
        なれど我らが意思 いまだ折れず
       鋼より強固に 星々よりも煌々と
         剣を掲げろ 足を踏み鳴らせ
            突き進むのだ
        阻む者全てを討ち滅ぼしてでも

 騎士よ、今こそ立ち上がれ!!〜重なる心と想い編〜
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1140352917/

騎士よ、今こそ立ち上がれ!〜サタン復活編〜

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