1 名前:名無しになりきれ[] 投稿日:2008/10/16(木) 11:41:37 0
人類の歴史は戦いと平和。発展と廃頽を繰り返し弛む事無く進んでいく。
その棲息範囲を宇宙にまで広げ、人型ロボットが当たり前になった頃、それは目覚めた。
今の人類がそれに追いついた為なのか、何か触れてはいけないものに触れた為なのか・・・。

最初に動いたのはイースター島、モアイ像。
超古代文明の巨大ロボが目を覚まし、一人の少年を乗り手として選んだ。
そのニュースが全世界に駆け巡るまでに、各地で同様の事件は相次いだ。
イギリスストーンヘンジで、南米アステカ遺跡で、太平洋では海中に沈んだムー大陸が。
遺跡だけではなく、神話・悪魔・伝承と思われていたもの達もその姿を巨大ロボとして現した。

超古代と現代最先端、両者の巨大ロボが闊歩する時代の到来であった。

それに呼応するかのように、月で異変が起こる。
月面都市ランペイアが一瞬にして消滅。
変りに現われたのはどこまでも深く、暗い穴。
そしてその穴は月内部を縦横に貫き中心へと向かう。
各国の軍はこぞって調査隊を派遣したが、誰も戻ってはこなかった。
遺跡内では特殊電波の為、外部との通信が出来ない上、超古代文明の罠や無人ロボがその行く手を塞いでいたのだ。

選ばれた・・・否、定められた者達は本能的に察していた。
それが月面遺跡ゴルディアスの入り口であり、その中心に何かが眠る、と。

人々は月へと集う。
超古代文明に導かれし者、現代科学の力を持って古代の力を解き明かさんとする者。
様々な思惑を秘め、集い、争い、協力し、戦い、そして最深部へと向かっていく。


前スレ:http://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1221136853/l50

2 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/10/16(木) 11:46:50 0


3 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/10/16(木) 12:57:35 O
TRPGまとめサイト「千夜万夜」
ttp://verger.sakura.ne.jp/
議論討論スレッド@千夜万夜
ttp://yy44.kakiko.com/test/read.cgi/figtree/1168343746/l50

4 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/10/16(木) 15:22:50 0
>>1
スレ番を入れろよゴミ虫クン

5 名前:ナグル・ファル ◆xK7dfy5P/g [sage] 投稿日:2008/10/16(木) 23:04:57 0
前スレ>394
>「いや、同族すら道具のように使い捨てるのが人の本性だ」
>「あれはニュートリノ・バーストを起こした。あの少年、生きてはいまい」
>そのままジェリドに下方から急接近し、逆袈裟に胴を薙ぐ。
インソムニアからの通信……過去数度の交戦時ですらうんともすんとも言わなかった
亡霊機が喋れるとは驚きだ。そんなどうでもいい事を頭に浮かべつつ、
こちらに向かって突進してくるインソムニアに言い返してやるのだった。
「ああ、そうさ。人間なんぞどこまで行ってもそんなもんだ。
 だがご大層なこと言ってる割には、てめぇらも似たようなもんじゃねぇか……!
 あいつが潰された時点でその辺はすっきり諦めたさ、ああ認めるよ俺は薄情者だ。
 ……確かに俺はあいつに言ったよ、お前が死んでも誰も悲しまないって……
 だがなぁ! お前が死んでいい気分になる奴もいやしねぇんだよ! バカヤロー!」
ライフルを手放し、逆袈裟を機体を回転させて避け、その遠心力を利用して
自由になった右腕部で思いっきりぶん殴ってやった。
衝撃で後ずさるインソムニアに、温存していたミサイルランチャー6発を
まとめて撃ちこみ、ライフルを回収してグレネードを発射する。
あんな無茶な回避は万全の状態だったらとてもできないもの。
左腕部と右脚部を損失して、機体バランスが傾いていた今だからこその奇策。
その代償は、通常時には想定されていないGの負荷による内臓ダメージ。
口から、鼻から、耳から血が流れ出し、ヘルメット内部を汚していく。

前スレ>395-397
>ついに星薙ぎの剣が外に出たのだが、今更クトウリュウが止まる事はない。
>流石は神を名乗れるだけはあった。オロチの巨体を一気にさっきの所まで押し戻す。
文明を、命を根こそぎ破壊する最後の審判者、クトウリュウ。
最終シーケンスに入り、地球へと打ち込まれる楔と化したそれを、
もう一つの主ゴルディカイザーが押し戻した。
「……止める。」
真の力と機能を取り戻したナグル・ファルはその無尽蔵にも等しいエネルギーで
手放して瓦礫の山に埋もれていたガレキオンをワイヤーで手繰り寄せ、
ガレキオンの外観を変化させる。それは古代エジプトの建造物、尖塔オベリスクを
模した巨大な槍。下半身を復活させ、倍以上のサイズになったナグル・ファルと
釣り合いの取れるモンスターウェポンだった。

>アタシは叫んだ、泣きながら叫んだ。
ナグル・ファルから全友軍へワイヤーが伸びる。それは、まるでへその緒のように
機体の中心部に何の抵抗もなく入り込み……次の瞬間、消費したエネルギーが
完全に回復する。ニュートリノ・バーストによって発生したエネルギーは
ナグルを完全に修復した程度では減っている様子は見受けられず、また
ナグル・ファル一機で消費しきれる量でもない。その余剰エネルギーを分けているのだ。
特に距離が近かったからなのか、ナグル・ファルとゴルディカイザーに何らかの関係が
秘められているからなのかは不明だが、エレクトラはその際もはや聞けるはずのない『声』を聞いた。

「すぐにカッとなる性格は相変わらずだな、エル。
 だが泣いちゃダメだ、それはあの坊やを侮辱することになるからな。」
エレクトラの脳に直響く声、それはかつてゴルディアスで死を迎え、
エルによってその機体を葬られたただ一人の肉親……カネスのものだった。
ナグル・ファルのコックピットには、うすぼんやりとだが確かにカネスがいた。
もっともその姿は、すぐに別の人物……アンジールへと変わってしまったのだが。

ナグル・ファルの、巨大化し数の増えたウィングバインダーから無数のワイヤーが伸びる。
その数、機体直結分を抜いて実に65535本! そのワイヤーの一つ一つが、
自身の立っている瓦礫の山から大小様々な残骸を引っ張り出し、一斉にオロチの首に
向かって残骸を投げつける。その中には、元ディープシーカーもあった。
「お粗末極まりないが、こちらも手段は選んでいられなくてな……。
 最大級の面倒、ここで片付けて休ませてもらおう。」
魂だけになっても相変わらずアンジールは面倒事が嫌いらしい……。

6 名前: ◆AGE0/R6Aiw [sage] 投稿日:2008/10/16(木) 23:49:08 0
質量、パワー、加速、どれをとってもクトウリュウはゴルディカイザーを超越していたはずだった。
お互い戦えない以上、このまま押し切り地球へと射出される。
疑いようもない事実。
だが、その事実を覆したのはエルの意志の強さ。
そしてナグル・ファルから送られる圧倒的なエネルギー。

最深部に押し戻されたクトウリュウに煌く星薙ぎの剣を手にした阿修羅が飛び込んでくる。
それを阻止する為に、残った二本の首が攻城槌と化し突き進む。
だが、それが阿修羅に触れる事はなかった。
あらゆるものを打ち砕くオロチの首が相次いで爆散し、塵となる。
それは下層より浮かび上がってきたナグル・ファルの力だった。
残骸にも凄まじいエネルギーが込められ、信じがたい破壊力が持たされていたのだ。
対古代文明ロボへの防御力は絶対を誇るオロチの銀鱗を神のように爆散させしめるその力。

ニュートリノバーストと言えどもこれほどの力はないはずだった。
それはまさに古代文明ロボを越えた神の力。
これこそがアルファルドが察した人類の進みすぎた力。
ノアが戦慄したクリスタルスカルの狙い。

ナグル・ファルにより迎撃能力を失い、ゴルディカイザーにより身動きの取れぬクトウリュウはもはやなす術がなかった。
阿修羅の一撃、星薙ぎの剣はついにクトウリュウの眉間に突きたてられた!


突き刺さった傷口から赤い光が漏れ出る。
その光は瞬く間に広がり、鎖の玉であるクトウリュウの隙間から噴出すかのように輝く。
煌きが最深部全体を覆った瞬間、クトウリュウを構成する鎖が解けだした。

ガラガラと轟音を上げながら崩れるクトウリュウ。
崩れ去った後には、直径100M程の赤い光の玉が浮いていた。
そしてその前に佇むのはクリスタルスカル。
「良くぞ資格なきまま封印を解いてくれた・・・!」
ノアと同様、エネルギー生命体としての本性を現し、50m程の大きさになっている。
クリスタルスカルは静かに口を言葉を紡ぎはじめる。


7 名前: ◆AGE0/R6Aiw [sage] 投稿日:2008/10/16(木) 23:52:12 0
その場の全員の脳裏にクリスタルスカルの思考が送り込まれる。
神々の文明、その衰退。
そしてその時、神々の取った選択を。

###############################################

遥か昔、遥か遠く。
惑星ルルイエで神々の文明は絶頂を極めていた。
現在の地球を遥かに凌ぐその文明は宇宙に広がり、隆盛を極めていく。
しかし、行過ぎた文明はやがて衰退し、滅亡をもたらす。
数多くの星星を滅ぼし、精神は退廃し、やがては消えてゆく。

避けられぬ滅亡の運命を悟った時、神々は自らその文明に幕を引き、その遺産を未来の知的生命体に託そうと宇宙へと旅にでた。
星を丸ごと宇宙船へと改造して。
宇宙を旅する途中、知的生命体となりうる生命体のいる星に箱舟を設置。
文明を与え、進化を促進させる。
同じ過ちを繰り返さぬ生命体となった時、自分達の文明を継がせる為に。

地球も火星も、数限りない後継者候補の一つだったのだ。

だが、どの星でもその資格を得ることは出来ず、滅ぼされていった。
火星も、地球も。
時を越え宇宙を彷徨う神々の遺産は誰にも手にされることはなかった。
だが、それでも構わないのだ。
資格無き者が遺産を継ぎ、自分達と同じ悲劇を繰り返すよりは、と神々は考えていたのだから。

しかし、神々と言えども必ずしも一枚岩ではない。
一部では、遺産を継がせるのではなく、自分達が再興する為に暗躍する一派もいた。
そう、既に滅びた神々の新たなる、そして、更なる進化をする器をとして。
その一派に属するのがクリスタルスカルなのだ。

クリスタルスカルの暗躍により、人類は主流は神々の設定を外れる大いなる進化をすることになる。
それが古代文明ロボと融合し、本来では有り得ぬ力を得たテセウスであり、コウキであった。
ミノタウロスも、ナグルもそれぞれに役目を負った超古代文明ロボであった。
だが、神々とノアの計算を越え、人は進められていたのだ。
器として相応しいように。

###############################################

「さあ、来るが良い。君達は神となって生きる資格を得たのだ。」
クリスタルスカルが手を翳すと、赤い光玉に浮かび上がる。
異なる文明の、神々の文明の姿が。
星霜の年月を重ねているはずなのに、全く朽ちたところのない物理法則を超越した建築物群。
しかし、その歳には全く生命の気配が感じられなかった。

「資格無き者が開けたゆえ、この門も長くは開いておらぬ。
共に行こうではないか!」
クリスタルスカルが再度全員を誘う。

8 名前:クラウス・M・ウェクマン ◆zZvc/OuSS2 [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 00:11:39 0
>前スレ394
>「人形。貴様は人として生きれるのか」
「もはや私は人間とはいえまい。以前のような人生を送れないのは百も承知だ」
肉体と共にクラウスが失ったものは多すぎた。美味い料理を楽しめなければ
好きだったウィスキーの芳醇な香りを楽しむ事も出来ない。肺で空気の粒子の
一粒一粒を感じる事も無ければ、そよぐ風の流れを肌で感じる事もない。それら
全ては機械で代用された感覚器官で代替され、脳に電気信号として送られる。
確かに、脳に電気信号を送るのに変わりはないが、それらは所詮はまやかしの
感覚だ。本物には程遠い。
人間らしい生活が人間の精神を保つ。
以前のような生活が送れなくなったクラウスから人間的な部分が欠落するのは
無理からぬ事だった。
「だからそれが何だ?何だという?」
失った物は多い。
だが、だからといっていつまでも悲しんで腐っていられるほど子供ではない。

>「“人間の真似事”をしたとて、誰も貴様を同族と認めまい」
「他人にどう思われようが知った事か。他人の視線に恐れて生きていくのは
よほどの臆病者か社会不適合者だけだ」

>瞬時にクラウスの前後を囲む、2つの子機。
>巧妙な時間差をつけ、レーザーが放たれる。
>火力を集中しない代わり、2つの子機は互いに
>発射間隔の隙を埋め、絶え間なく弾幕を張る。
戦闘AIが警報を発するよりも前に、クラウスは直感で回避不能と判断した。
バックパックから射出される煙幕弾。それは濃密な煙幕を瞬時に形成し、レーザーを
減衰させる。が、ほんの少しだ。しかしそのほんの少しが戦場で有利に働く事は
決して少なくはない。
ほんの少しだけ威力が減衰されたレーザーがグレイゴーストの装甲を溶かし、
貫き、機体に損傷を負わせる。だが微妙に致命傷を与えるには至ってはいない。
それに少し送れて前方の子機に向かって対装甲重剣を投げつけると同時に反転、
後方の子機に対しては突撃銃の空中炸裂砲弾を放つ。
光速で射出されるレーザーには如何したって対処が遅れてしまうのだ。
回転する剣が、信管を調節された砲弾が子機を粉微塵に吹き飛ばす。
(出力が34パーセント低下…だがまだ戦える)
子機のレーザーを受けたグレイゴーストは機体各所から紫電を飛び散らせているが
まだ戦える状態にあった。

>5
インソムニアにありったけの弾薬を叩きこまれたアルファルドへ向かって間を置かずして接近する。
立ち直る時間を与えてはならない。敵は訳の分からない古代兵器なのだから。
突撃銃の弾薬は既に尽きていた。予備弾倉は先程、シールドの裏面の携行ラックと一緒に
紛失している。だから未練なく捨て、代わりに、腰の装甲に収納されていた450口径拳銃を
取り出す。これは大して役に立たないが、近接戦闘では威力をそれなりに発揮する。
「貴様は私を否定する。だったら、私も貴様を否定する。それだけの事だ」
銃口をインソムニアのコクピットがあるとおぼしき部位に密着させ、躊躇う事無く引き金を引いた。
弾倉の弾薬が全て尽きるまで、ありったけの粘着榴弾を撃ち込み、止めと言わんばかりに
腕部に搭載されている100番径対装甲散弾銃をぶっ放した。

>6>7
インソムニアに弾薬を叩き込むと戦果を確認する事無く離脱したが、その途中で再び何かが直接脳内に入り込んできた。
「神?…ふん、そんなものに興味はないな」
脳裏に響く不快な声と映像をクラウスは無い鼻で笑った。
「神になったら何を得られる?元の肉体を取り戻せるのか?だが生憎と私はもう
そういったものに未練は無い。そういうのはもっと野心がある奴に言うんだな」

9 名前:クラウス・M・ウェクマン ◆zZvc/OuSS2 [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 00:21:14 0
訂正
(誤)インソムニアにありったけの弾薬を叩きこまれたアルファルド
(正)ハーディWにありったけの弾薬を叩きこまれたインソムニア

10 名前:UNKNOWN ◆tc7q3kPkZo [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 01:30:21 O
「それは闇だ。……所詮、神の理を解さぬ獣か。
 貴様らは、光を汚す闇だ。天の聖なる光から逃れる事はできんのだ」
光の刃が胴を寸断すると思われた瞬間、
ジェリドは機体を回転する事でアルファルドの剣撃を避け、
ライフルを手放しての遠心力を乗せたカウンターパンチを叩きつける。

装甲の大半を損失しているとは言え、機械の骨格は
マニピュレーターの拳で打ち抜ける物ではない。
アルファルドにはただ、その感情の爆発力が、
拳に込められた思いが理解できなかった。

飛来するミサイル群が、グレネードが、
アルファルドの脚部を右腕を砕き奪い去る。
クラウスが零距離からコアに拳銃弾を撃ち込む。
一発ごとに、アルファルドの思考に爆発が起こる。
「やめ…ろ!」
最後の散弾を受け、アルファルドの核に亀裂が走った。

同時に、ユーリの一撃を受けたクトウリュウが崩れてゆく。

嵐のような攻撃が去った時、最早アルファルドは原型を留めていなかった。
亀裂の入った核に、辛うじて機械の残骸が張り付いている状態。
最早、アルファルドに戦闘力は残されていないと見えた。

11 名前:UNKNOWN ◆tc7q3kPkZo [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 01:38:21 O
「……矮人よ…。終わ…り…なのだ……、どう…足掻こうと…」
アルファルドが唯一残った左手で、大回廊最深部を示す。

開放されていくハッチの下には、ゾンビロボ達と、雲霞のごとき“卵”。
半透明の殻の中には、ハチドリやミカエルの姿があった。
全てが孵化し、遺跡から溢れ出せば人類は滅びる。

「私も…オロチの一首…、アクセス権…は…私にも、ある……」
アルファルドは、破滅への起動コードを送信する。

「…何故だ」
制御装置からの応答は無かった。
今や、古代兵器を生み出す制御装置は停止していた。
別行動をとっていた、アルラウネの上陸部隊の制圧によって。

「笑わせる……終わるのは…我らの方か……」
ニュートリノ・バーストの余剰エネルギーが、
信号の途絶えた遺跡メカ達を分解、分子レベルに還元してゆく。

「レオナ」
アルファルドは、理解できなかった。次の瞬間の自分の行動が。
それは本体たるクトウリュウが滅びた故の、暴走か。…愛と言う物か。

光がゾンビロボ達を飲み込み、ガンオーへと届こうとした瞬間、
アルファルドは駆け、残された左手で胸の核“コルヒドレ”を掴み出す。
その最後の光が、ガンオーをニュートリノ・バーストの余波から防ぐ。

−−今思えば、クラウスの精神の実在を執拗に否定したのは、
自分と重ねていたからなのかもしれない。

その身に人を取り込んだ故か。
気付かぬ内に、芽生え始めた心をかみ殺していた。
それが正しいと、秩序の守護者たる責務だと。

−−虚空には、オロチの呪縛を解かれたガンオーが静かに漂っている。

レオナは、人の世界に戻れるのか。人間の生活に戻った時、
殺戮の記憶を、親殺しの事実を克服できるのか。人は愚かで脆く……強い。
(……信じるか、人の可能性とやらを)

「…………幸せに………」
その思いも、魂も、全ては来世への渡し舟の浄化の光に包まれて行く。
インソムニアの瞳に灯り続けていた光が、今ようやく消えた。
その最期は、眠るように静かだった。

12 名前:エル ◆GtzExfc62I [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 09:37:49 O
――トライアンフ本社ビル
「どうして貴様が此処にいる…とでも言いたそうな顔ですね、クライン会長殿。」
水晶髑髏がゆっくりとクラインに向かって歩く。
「貴方の力は強過ぎた、今やこの月を支配していると言っても過言ではない…」
月面独立政府は企業連合体を主軸とした組織だ。当然このトライアンフも関わりは深い。
トライアンフを切り離したら政府はその力の半分を失う程に。
リーベル=クラインも、企業の長であると同時に政府の重鎮であった。
「そこに目をつけたツクヨミを止められなかったのは私のミスでしたがね。」
とうとう水晶髑髏はクラインの正面にまで迫る。

「……そうか、貴様は“フォボス”のクリスタルスカルか…」
絞り出すようにクラインが呟いた。
「いかにも。自己紹介が遅れましたね、私はアマテラス。貴方の言う通りの存在です。
 今はこうして他人の身体を借りなければ、実体化すらままならない程に弱りましたがね。
 10年前に貴方がフォボスを破壊したおかげで、ツクヨミに逃げられたのがまずかった。
 貴方は彼が“本当にやろうとしている事”を知らない、知らなさ過ぎた。」
クラインが眉を寄せる。クリスタルスカルが本当にやろうとしている事とは何か?
疑問が生まれた。何故なら遺跡の機能には星の破壊と創造しか無かった筈だからだ。

現代人には遺産を継承する事が不可能である以上、あの遺跡には…
「……ッ!?バカなッ!そんな事があってたまるか!!」
「なるほど、流石に一度フォボスを調べて破壊しただけはありますね。」
予想外のきっかけから“真実”に辿り着いてしまった。
クラインは発狂するのではないかと思う程に取り乱した。無理もない。

辿り着いた“真実”と、それがもたらす“結末”を知って、平静を保てる人間はいない。
「会長殿、是非とも私に協力していただきたい。貴方にとっても不利益は無い筈ですのでね。」
(ツクヨミ、貴方は間違っている。人間に我々の代役が務まるとは思えない。)
アマテラスは開いた“扉”を睨み、魂の片割れたるツクヨミの行動を嘆いた。
(繰り返してはならないのです、我々と同じ過ちを…)
これから先の“後始末”について、アマテラスは思慮を巡らせた。


>>398-399
――再び大回廊
最初は押し返せた。でも次第にまたオロチが前進を始める。
オロチにはこの大回廊の内壁に張り巡らされた“射出用レール”の力があるんだ。
いかにゴルディカイザーが全力で止めようとしても、やがては押し負ける。
「ぐぅぅ……まだ…なの?」
結構キツいね、アタシの根性が燃え尽きるまでに頼むよ…メイドさん。

>『我が名は阿修羅、古代より剣の守護者と呼ばれる者!今こそ、その使命をはたさん!!」
>「いにしえの神より現代の地球に生まれし英雄に……神器たてまつる!!」

2つの声が重なって、遂に来た!!星薙の剣が…やっと現われた!!
これでケリ着けて、ようやく終わるんだ。

13 名前:エル ◆GtzExfc62I [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 09:38:36 O

>>5-7
>「すぐにカッとなる性格は相変わらずだな、エル。
>だが泣いちゃダメだ、それはあの坊やを侮辱することになるからな。」
兄さん?え!?どうなってんの!?
>「お粗末極まりないが、こちらも手段は選んでいられなくてな……。
>最大級の面倒、ここで片付けて休ませてもらおう。」
アンジール!?これって一体どうなってんのよ!?死んだ筈の2人がどうして…

「それはな、“絆”だからさ。俺やみんながあの光で繋がってるからなんだよ。」
ランディ!!ランディなの!?
「だから何も恐れる事はないんだ、エル…全ての魂は在るべき場所へと還る。
 お前には分かる筈だ。あの坊やの魂が、この遺跡に関わった全ての魂の鼓動が…」
『星を継ぐ者よ、ナグル・ファルの役割は死者の次なる旅立ちを促すこと也。
 送ってやるといい、それを許されるのは今を生きている者だけだ。』
兄さんとゴルディカイザーの言う通り、数え切れない数の魂がナグルと繋がっていく。

「コウキ…じゃないね。そっかキミがコウタだったんだ。」
ゴルディカイザーにも流れ込んでくるニュートリノバーストの輝き。
ようやくナグルが『コウタ』と名乗った少年の正体だった事に気付いた。
「みんなをよろしく、それとありがとう…もう一度会わせてくれて、ありがとう。」

>「良くぞ資格なきまま封印を解いてくれた・・・!」
阿修羅が星薙の剣をオロチに突き刺して、古代文明の遺産とやらが出て来た。
その前に立ち塞がるのは…クリスタルスカル!!
>「さあ、来るが良い。君達は神となって生きる資格を得たのだ。」
>「資格無き者が開けたゆえ、この門も長くは開いておらぬ。共に行こうではないか!」

「資格無き者が開けといて、カミサマになる資格があるって?矛盾してんじゃん!!」
コトの真相を知って、アタシは猛烈に腹が立った。やっぱ瞬間湯沸かし器なのね。
「人間にはちゃんと人間の生き方がある!バカにしてんじゃねーよ!!誰が行くか!!
 アンタらにとって間違った進化でもね…アタシ達には生きてきた“今まで”なんだ!!!」
『よくぞ言った!我も“人間の未来”を見届ける所存也!!星の調律者ツクヨミよ!!
 我は人間の歴史を見て思ったのだ。我々と同じ道を歩まずとも、未来を紡いでいけるとな!!!』

ゴルディカイザーの言葉が嬉しかった。
人間を信じてくれてる事が、本当に嬉しかったんだ。

14 名前:モエ ◆TnakibaQxg [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 13:15:01 0
>前スレ399
>『汝の猛々しい姿を見るとついつい昔に思いを馳せてしまうな。あの頃はよく暴れ回ったものよ』
ちなみにどんな姿かというと、装甲は胸元にフリルの着いた執事服。
ヘッドギアは赤い櫛で止めた狼耳。羽根ペン型ロッドと、仕上げにヒラヒラマントです。
>『よくぞ我がもとに!さあ、行くぞ!皆の者、力は揃った。いざ星の災厄を打ち払わん!』
星薙ぎの剣を手にした阿修羅くんとユーリくんを見て、疑うべくもありませんでした。
彼らなら、必ずやってくれます。
>5 >11
ナグル君からワイヤーが伸びてきて、毒が浄化されるのを感じました。
そして、救われる魂達の声を聞いたような気がしました。
あのインソムニアに取り込まれた者も最後に人間の心を取り戻したようです。
>6
レオ君とナグル君がクトウリュウを抑えている間に
阿修羅くんが星薙ぎの剣を突き立てます。その姿はまさに現代の英雄。
輝ける人の未来を予感させるような壮麗なるものでした。思わず見とれてしまうほどに。
(綺麗ですね……)
もはやわたくし達の出る幕はありません。ついに地球は救われました。
ご褒美に出てくるのは神の遺産。きっと金銀財宝ざっくざくです。
K(おいっ!?)
しかし、クトウリュウが崩れ去ったあとに出てきたのは赤い玉でした。
どこかへのゲート、でしょうか。
>「良くぞ資格なきまま封印を解いてくれた・・・!」
>7
クリスタルスカルから思考が送り込まれてきます。
わたくし達は地球では神話の人物になっていますが
あの者たちからみたらまだポッと出の若造というところでしょう。
地球は多くの候補のうちの一つにしか過ぎなかったのですから……。
でもわたくし達にとってはたった一つのかけがえの無い星です。
そこに住む人々は、最初は目が離せない子どもで
今では大切な親友で、導いてくれる親です。
>「さあ、来るが良い。君達は神となって生きる資格を得たのだ。」
赤い玉に、神々の文明の都市が映し出されます。
行った事はないのに、少しだけ懐かしいような気がします。
でも……残念だけどそれはダメです。わたくし達の故郷はあんな所ではありません。
地球に帰ったら、ユーリ君達と一緒に色んなところに行く予定なのです。
ミーちゃんとてっちゃんとそうしたように。
そして、わたくし達のこの時代での故郷で、ミーちゃん達と出会った場所を見せるのです。
今なら胸を張って言えます。『ここがモエ達の故郷だよ』って。
くだらなくて、バカみたいで、それでいて本当にキラキラしてステキなところです。
人間の不完全なるがゆえの夢見る力が生み出した聖地です。
それは、時にはある日突然美少女と同居するお話だったり
時には……未来を切り開く英雄の物語だったりします。
>「資格無き者が開けたゆえ、この門も長くは開いておらぬ。
共に行こうではないか!」
どうやらまだ一つやる事が残っていたようです。
>『よくぞ言った!我も“人間の未来”を見届ける所存也!!星の調律者ツクヨミよ!!
 我は人間の歴史を見て思ったのだ。我々と同じ道を歩まずとも、未来を紡いでいけるとな!!!』
ケイ君が星の調律者ツクヨミを見据えて言います。
『レオの言う通りだ……兄さん。いくら誘っても無駄だ。誰も行きはしない!』
その時、下に落ちている一本のハルバードが目に入りました。
見まごうはずも無い、ミーちゃんのハルバード。一目散にそれを拾います。
(ミーちゃん……力を貸して!)
複雑な動作は何もいらない、ただ振り下ろします。
込めるのはたった一つの単純な想いだから。
『「地球の守護者スサノオとクシナダが命ず! 閉じよ門!」』
巻き起こるは凄まじい力の波動。
込めた想いは、人間と共に歩んでいく決意。
それは、わたくし達を生み出した神の文明への本当の意味での訣別。

15 名前:コウタ ◆xK7dfy5P/g [sage] 投稿日:2008/10/17(金) 23:27:15 0
>6-14
>腕部に搭載されている100番径対装甲散弾銃をぶっ放した。
>インソムニアの瞳に灯り続けていた光が、今ようやく消えた。
感情に任せて実弾を全部使い果たしてしまったが、損失を埋めるだけの
収穫もあった。別段連携を取っていたわけではないが、生まれた隙を
きちんと活かしてインソムニアに止めを刺すグレイゴースト。
「あの機体のパイロットは確か機械同然のサイボーグだったな……。
 しかし、インソムニア、か……一寸の虫にも五分の魂ってことか?
 ……似合わねぇことしやがって……あばよ、亡霊。」
自分自身で決着をつけられなかったのは少し残念だが、
それ以上に今はなんだか妙に気分がいい。それに免じて許してやろう。
ヘルメットを外し、口の中の血反吐をエチケット袋に吐き捨てた。

>「コウキ…じゃないね。そっかキミがコウタだったんだ。」
>「みんなをよろしく、それとありがとう…もう一度会わせてくれて、ありがとう。」
ここにいたって、ようやくエルはコウタの正体に気づいた。
「正解だよ、姐さん。
 どういたしまして……と、言いたいところだけど、みんなに会えたのは
 僕の力だけじゃない……今回遺跡探索に潜ったみんなの力なんだ。
 こうして協力して目の前の脅威に立ち向かったり、他愛のない軽口を叩き合ったり……
 誰か一人でも欠けてたら、僕は今でもただの自律プログラムのままだった。
 みんなと、コウキと会えたからこそ僕は“コウタ”になれたんだよ。
 本当は礼を言うのは僕の方なんだよ……。
 ああ、僕の中に宿る魂は必ず輪廻の輪へと戻す。いつかまた、みんなに会う為に。」

そう言い、魂の輝きをあえて内に押し込める様に集約させ
ナグル・ファルをゲートの近くへと浮上させる。
穏やかな言葉を向けながらも、オベリスクを握る右腕部には自然と力が集まっていく。

>「さあ、来るが良い。君達は神となって生きる資格を得たのだ。」
>「資格無き者が開けといて、カミサマになる資格があるって?矛盾してんじゃん!!」
>『「地球の守護者スサノオとクシナダが命ず! 閉じよ門!」』
ジェリド「はっ、今まで生きてきてここまでうさんくせぇ話は初めて聞いたぜ。
     アホ抜かしてんじゃねぇよ、俺はごめんだね。行きたきゃ一人で行け。」

それぞれがそれぞれの思いの丈をぶつけ、髑髏を否定する。
無論コウタも、水晶髑髏……ツクヨミの誘いに乗ることはなかった。
「そういうわけだツクヨミ。あんたの誘いには誰も乗らない……
 人間は確かに過ちを繰り返す。僕ら古代文明の生き残りから見れば
 愚か極まりない存在かも知れない。だけどね、繰り返さなきゃいいってもんじゃない。
 僕らを生み出した古代文明もまた、間違っていたんだよ。
 それに、一回のミスで諦めてしまった古代の存在よりも今の人類のほうがよっぽど
 精神的に未熟でも、強い存在だ。あんた達と違って、たとえ誤ってもそこで膝を折る事無く、
 自分達の道を、自分達の手で障害を取り除き、自分達の足で前へと進んでいける、ね……。
 つまり、カイザー様の二番煎じだけど、僕も人類のこれからってやつに期待しているんだよ。
 ……そうそう、あんたには個人的な恨みもあったね。よくも不意討ちなんてふざけた真似をしてくれたな。
 その分のお返しも含めて、『門』は潜らせない! 大人しく、ここでっ、朽ち果てろぉっ!」
槍を逆手に持ち、全ての思いをその一投に込めて、エネルギーの充填が完了した
ガレキオン・オベリスクを力いっぱい投擲、先端が四つ又に開きそこからガレキオンの砲身が覗き、
そこから荷電粒子が発射され、槍の花道となりツクヨミへ、門へと飛んでいく。
ガレキオン・オベリスクの軌跡は未来を塞ぐ壁を打ち抜けるか!?

16 名前:ユーリ ◆5Kq11GJKws [sage] 投稿日:2008/10/18(土) 00:14:28 0
>>7
「さあ、来るが良い。君達は神となって生きる資格を得たのだ。」
これに対する皆の言葉

>「資格無き者が開けといて、カミサマになる資格があるって?矛盾してんじゃん!!」
>『よくぞ言った!我も“人間の未来”を見届ける所存也!!星の調律者ツクヨミよ!!
 我は人間の歴史を見て思ったのだ。我々と同じ道を歩まずとも、未来を紡いでいけるとな!!!』
>『「地球の守護者スサノオとクシナダが命ず! 閉じよ門!」』
>「はっ、今まで生きてきてここまでうさんくせぇ話は初めて聞いたぜ。
     アホ抜かしてんじゃねぇよ、俺はごめんだね。行きたきゃ一人で行け。」
「そういうわけだツクヨミ。あんたの誘いには誰も乗らない……
 人間は確かに過ちを繰り返す。僕ら古代文明の生き残りから見れば
 愚か極まりない存在かも知れない。だけどね、繰り返さなきゃいいってもんじゃない。
 僕らを生み出した古代文明もまた、間違っていたんだよ。
 それに、一回のミスで諦めてしまった古代の存在よりも今の人類のほうがよっぽど
 精神的に未熟でも、強い存在だ。あんた達と違って、たとえ誤ってもそこで膝を折る事無く、
 自分達の道を、自分達の手で障害を取り除き、自分達の足で前へと進んでいける、ね……。
 つまり、カイザー様の二番煎じだけど、僕も人類のこれからってやつに期待しているんだよ。
 ……そうそう、あんたには個人的な恨みもあったね。よくも不意討ちなんてふざけた真似をしてくれたな。
 その分のお返しも含めて、『門』は潜らせない! 大人しく、ここでっ、朽ち果てろぉっ!」

その通りだ。ユーリは本当に、本当にそう思った。散々、自分の手のひらの上で最後まで自らの我を通そうとする
「神ってのは自分の意見の押し付ける野郎のことを言うんだな、みんなも答えはNOだ
当然だよな。誰がお前の言葉なんか聞くはずがない!もちろん俺もNOだ!
みんながいろいろ言ってくれたからもう俺が言うこともないけど、一言だけ言ってやる!
ふざけるんジャァァァァァァァァァねェェェェェェェェェェ!」
ユーリの体全体から絞り出した魂の咆哮が周囲に響く
「すっきりした・・・さあ、門を閉めるには鍵が必要だ俺の手にはちょうどいい鍵がある
さあ、お前の悪事はここまでだ!!」
阿修羅も皆と一緒に門に切り掛かる

17 名前: ◆AGE0/R6Aiw [sage] 投稿日:2008/10/18(土) 21:48:45 0
ツクヨミの誘いをかけられる人間たちの返事は満場一致していた。
完全なる拒絶。
そして神々との決別を表する。
その言葉にツクヨミは素直に疑問に思っていた。
なぜ?と。
その疑問は人間以外から返る返事で解消される。

ゴルディカイザーが、ケイとモエが、そしてナグルファルが。
本来ならば有り得ない言葉を口走るのだから。

箱舟のシステムを含め、箱舟から地球に降り立った超古代文明ロボの役割ははっきりしている。
神の文明の【後継者】となるよう知的生命体の進化の促進。
そして資格を得られぬ時には滅亡を。
神々の主流派のプログラムは揺るぎがない。
少数派の神々が【後継者】ではなく【新たなる器】、即ち自分達が復活するための贄としようとした。
その端末がクリスタルスカルことツクヨミだったのだ。

しかし、彼らの出した答えはいずれにも属しはしない。
人間たちの独立と自立を支持したのだから。
ツクヨミ、引いては少数派の神々すらも想定しなかった事態。
それを引き起こしたのは・・・
「くっくっくっく・・・そうか。
計画を外し人類を育ててきたつもりだが、いつの間にか我らの計画すらも外れていたという事か。
神々の使わした末端たちを狂わすほどに・・・!」
そう・・・既に人類はあらゆる神々の手を離れ、独立を勝ち取っていたのだ。
それを促進したのがほかならぬツクヨミ自身とあっては、もはや自嘲の笑いしかでてこなかった。

迫るハルバード、ガレキオン・オベリスクの荷電粒子砲。
そして・・・鍵たる星薙ぎの剣・・・
全てが渾然一体となり、眩い光と化してツクヨミを【門】に押し込んでゆく。
「おおおお!!!人類よ!
我らが子等よ!努々忘れる事なかれ!お前達はどう足掻いても我に作られた存在!
神々の肉体となるべき贄である事を!
既に門は開き、そして自身で閉じる事を!
神々の力の片鱗を見て滅びるがいい!!!」
ツクヨミの絶叫を残し、光ははじけ飛んだ。
その弾け飛んだ光は最深部のみならず、一瞬ではあるが月全体を眩く輝かせた。

光が消えた後、もはやツクヨミも、門も存在していなかった。
ただそこに投げつけられたハルバードが残るのみ。
阿修羅の手には、切りつけたにも拘らず鍵をかけたような「カシャリ」という感触が残っているだろう。
それが完全に月面遺跡、そして箱舟ムーンの機能を完全に停止させた事を表していた。

・・・人類は神々の陰謀を退けたのだ。

だが、安心するのは早かった。
遺跡全体が鳴動を初め軋み、歪み始める。
星霜の月日を経て遺跡が今なお機能し、その使命を果たしていた。
本来ならば磨耗し、機能を失って当然の年月を耐えた理由。
それは遺跡全体の物質の時間軸が別次元にあったからに他ならない。

プログラム・ノアとクトウリュウが倒された時、その機能は停止した。
門を開け、更には閉じた事により箱舟の役割は終わった。
ここに箱舟は完全に停止したのだ。
時間軸をずらす機能すらも。

一気に遺跡に圧し掛かる時の流れは遺跡自体を朽ちさせ、自重を耐えることが出来なくなっているのだ。
そう、遺跡全体が崩壊し、潰れ始めているのだ。
折れる柱、割れる床、崩れる壁。
最深部にいる一同にも一斉に瓦礫・・・いや、遺跡自体が崩れかかってきた。

18 名前:奇跡の星へ ◆GtzExfc62I [sage] 投稿日:2008/10/18(土) 23:31:47 O
崩壊する遺跡、それは月の消滅と同義であった。
次々に崩れ、砕け、散り逝くゴルディアス。
神々の企みを撥ね除けた者達の前に現われたのは、先程消え去った筈の水晶髑髏。
「遅かったか…ツクヨミよ、貴方には分かっていた筈だ…人は人でしかないと…
 フォボスが何故“やり直せなかった”のか、貴方には分かっていた筈だろうに…」
そう呟き、永きに渡り追い続けた末、遺産と共に滅んだ愚弟を偲ぶ。

「人の子らよ、もうじきムーンは次元断層に飲み込まれます。この月に生きる全ての命と共に…」
水晶髑髏は全員を見回して、語り始めた。
「かつて地球と同じように火星にも人類は栄えました。我々の計画通りに、です。」


しかしながらフォボスのノアは火星文明を資格無きと判断したのです。
レヴィアタン…こちらではヤマタノオロチでしたね、それによって火星は滅びました。
本来ならば再び火星に生命を与える筈でした。計画をやり直す為に。
ですが、一部の機神達は気付いてしまったのです、人の本質が何であるのかを。

それは“可能性”です。

人は狭い鳥籠の中で一生を終えるような生物ではないのだと。
例え1人1人は小さな“羽根”でしかなくとも、それらを束ねれば“翼”になれる…
この無限の宇宙(そら)を羽ばたいて、どこまでも飛んで行けるのだと。
星王機神アルテラセイザーを始めとした人間を信じた機神達がノアに叛逆しました。
その結果、フォボスは役割を永遠に果たせぬまま、現代に至り…
10年前にツクヨミの企みによって完全に破壊されたのです。

我々フォボスの機神達が己の間違いを悔い改め、地球人類を守る為に活動を始めた矢先のことでした。
ツクヨミにとって地球人類は新たなる神々の器。
人を人として、この負の連鎖から解放しようとした我々が邪魔だったのでしょう。

しかし貴方達の意思は神々に打ち勝ちました。我々の役割も終わりです。


「これより残された力を使い切って、ムーンに“時の封印”を施し、私の最後の務めとしましょう。」

水晶髑髏の身体が色彩を失ったと同時に、遺跡の崩壊が停止する。
「さあ、行きなさい。未来を目指して…私は貴方達を…信じていますよ…」

大回廊からは地球が見える。
奇跡と希望と命が見える。

そして…無限に広がる未来が見える!!

19 名前:モエ ◆TnakibaQxg [sage] 投稿日:2008/10/19(日) 00:31:22 0
断末魔の絶叫と共にツクヨミは消え去り、門は永久に閉じました。
安堵すると同時に、なぜでしょう。少し哀しい気持ちになります。
K(これで……いいんだよね)
(ええ……)
人間を目的を達成するための道具としてしか見てなくて、
てっちゃん達を滅茶苦茶にした許せない奴だけど……絶対悪と言い切れるでしょうか。
古の栄華を取り戻す日を夢見て、悠久の孤独に耐えてきたのです。
いえ、古の栄華、などという大層なものではありません。
幸せだった日々を、かけがえの無い日常を取り戻したいという
他愛も無い、だからこそ切なる願いが生み出したプログラム……
それがツクヨミの正体でした。

役割を終え、崩壊を始める遺跡。それが意味するものは、月自体の消滅です。
せめて皆だけでも逃がさなければ……そう思っていた矢先でした。
ツクヨミと姿は同じ、似て非なる者が現れました。神話ではケイ君のお姉さんです。
>「遅かったか…ツクヨミよ、貴方には分かっていた筈だ…人は人でしかないと…
 フォボスが何故“やり直せなかった”のか、貴方には分かっていた筈だろうに…」
『姉さん……姉さんなの!?』
そっくりな上の二人はともかくケイ君だけ毛色が違いすぎますが
なぜ兄弟という事になっているのかは知りません。
でも嬉しかったです。火星に送られた者の中にも人間の可能性に気付いた者がいたこと。
その人は、最後の力を使って月の崩壊を止めてくれました。
>「さあ、行きなさい。未来を目指して…私は貴方達を…信じていますよ…」
『心配いらないよ。ちゃんと見届けるから。
それでいつか時の果てで……報告するんだ。姉さん達は正しかったよって!』
かくして、月の消滅は免れました。
役割を終えた箱舟は、わたくし達の愛する青き星を永久に見守り続ける事でしょう。
ユーリ君たちに声をかけます。
「いろいろあったけど……これにて一件落着ですね。
帰りましょう、わたくし達の星、地球へ……!」

20 名前:エピローグ ◆GtzExfc62I [sage] 投稿日:2008/10/19(日) 14:07:53 O
『エル………エル、聞こえますか?僕です、パトリックです。』
「え!?パトリック!?」
アタシは突然頭の中に響く声に仰天した。
まるであのノアやゴルディカイザーと同じような聞こえ方だったから。
『君との約束を守れなくなって、ごめんなさい。』
意味が分からない。いきなり何を言い出すの?全ッ然分からないんだけど!!
『実は…僕はもう生きていないんだ。今はアマテラスさんと融合してるから、
 こうして最後のお別れを言う事が出来てる。本当にごめんよ、エル…』

アマテラス?誰だよそいつ!!そんなの急に言われても…
「…そうか、あの水晶髑髏がアマテラスか…だったら!今すぐたす…」
『駄目だよエル!!この遺跡の崩壊が何を意味するか、君にも分かるだろう!?
 月に住む人達全てを巻き添えにしてしまったら、僕はこの命を懸けた意味が無いじゃないか。』
「じゃあどうすりゃいいのよ!?黙って見殺しにしろってワケ!?ふざけないで!!」

『エル、見てごらん。此処からは地球がよく見えるよ…』
アタシは振り返る。見えた地球は…青かった。
『僕はこれから先永遠に此処で地球を見守るんだ。もちろん君の事も。』
月面の総人口720万の命と、たった1人の命。
秤に掛けるにゃ残酷過ぎる。
『だから…少し離れてしまうけれども、僕は君を永遠に見守るよ。』

「行こう…ゴルディカイザー、地球へ。」
もうアタシは泣かなかった。だってさ、まだ近くに兄貴がいたら…笑われちまうだろ?


――15年後、地球
あれからいろんな事があった。
ゴルディカイザーは地球の自然環境を再生させた後、再び眠りについた。
アタシは両腕が生まれ育ったアメリカのコロラド州に住んでいる。
無事に娘も産まれて、アタシは母親になった。

「こらパティ!待ちなコラーッ!!」
「ママのバカ!分からず屋!!私は旅に出るんだもん!!」
農作業用の小型AMに飛び乗った娘のパトリシア目掛けてフライパンを投げる!
ごーん!!
見事に直撃、アタシの腕もまだまだ鈍っちゃいないね。
「ふえーん!!いった〜い!!」
「いい加減に諦めな。アンタまだ中学生でしょうが!旅なんて100年早い!!」
「ううぅ…100年とか私お婆ちゃんになってるぅ…」

たんこぶ撫でて涙ぐむパトリシアをコックピットから引きずり出して叱る。
ったくもう!誰に似たんだか。『旅に出たい』なんて言い出してさ。

この時アタシはまだ知らなかったんだよ。
パトリシアがこの日の夜中に家を抜け出して、父親探しの旅に出るなんて…
しかもその旅が地球と月を巻き込んでしまう、新しい戦いの始まりだったなんてさ!!

21 名前:ケイ ◆TnakibaQxg [sage] 投稿日:2008/10/19(日) 21:07:50 0
こうしてこの時代での、いや、製造されて以来で最大の冒険は幕を閉じた。
久しぶりにモエと二人で阿修羅の肩に座って、地球を見る。

父さん、兄さん、あなたたちは人間を道具としか見ていなかった。
何もかも思い通りにしようとした。姉さんは呆れてたよ。
でも僕はあなたたちが絶対間違っていたなんていえない。
誰もが正しくて、誰もが間違っていて、僕達は人間と歩む道を選んだ。ただそれだけのこと。
たとえどんな思惑があったとしても、父さんが命を与えて、兄さんが育てた星。
二人の自分勝手のおかげで、僕達の愛する奇跡の星は生まれたんだ。
だから、言う。許せないけど言うよ。ありがとう。

「ケイ君、何か言いますた?」
「なんでもないよ」
モエはあっという間にいつもの口調に戻ってしまった。どっちが素なのかは謎だけど。
「まあいいお。これから世界を救った英雄とめくるめく冒険だお!
ケイ君は別に着いてこなくてもいいです」
「そんな事を言ったら本当に着いてってやらないぞ!」
モエはまた小悪魔のような笑みを浮かべた。とてつもなく嫌な予感がする。
「フフフ……“僕は……キミがいなきゃ……”」
「ぎゃああ!! 忘れて! お願いだから忘れて!!」
阿修羅の肩から転げ落ちそうになった。

22 名前:エピローグ ◆TnakibaQxg [sage] 投稿日:2008/10/19(日) 21:10:32 0
その頃、地球の島国日本に存在するとある聖地にて。
人気歌手グループAKB31のリーダーがソロデビューを果たそうとしていた。
「リーダー! そろそろ時間です」
サブリーダーが呼びにいくと、若き歌姫は空に輝く月を見上げていた。
「……今すごく光ったような」
「気のせいですよ。みんな待ってますよ!」
「はい!」
宝石を散らしたような星空の元の、屋外ステージに歌姫は立つ。
空では、いつものように月が優しい光を放っていた。

CROSS AGE 〜奇跡の星〜

少年は 約束の剣を手に 古の楔 打ち砕く

満ちた月の描く 崇き理想
欠けた月の見る 切なる夢
二つの願い 交差した星で
ただひとつの奇跡が 始まりを告げた

青き恵みの海と 草木萌えいずる大地に
見守られいだかれて 育ちゆく魂
生まれては散りゆき 果てなく巡りくる
飛び立つ翼 手に入れる日まで

無垢なる想いは 解き放つ
怨嗟に捕らわれた 御霊たちを
聖女の祈りは 呼び覚ます
生きとし生ける 命の王

英雄は 誓いの鍵を手に 輝ける未来 切り開く
それは神代の終わり 新しき伝説の始まり――

23 名前:任務終了 ◆zZvc/OuSS2 [sage] 投稿日:2008/10/19(日) 21:35:32 0
地球は青かった。
その言葉は後世の歴史に名を刻んだ宇宙飛行士の言葉だ。
しかし、残念ながら地球は青くはない。本当は青く見えるのかもしれないが、月から見ると人間の
目には太陽の光の反射が眩し過ぎて青く見えない。月はよく光って見えるからさぞ太陽の光を反射
しているのだろうと思われがちだが、それでもおよそ6パーセント程度しか反射していない。
だが地球は、30から40パーセントも太陽の光を反射している。これでは明るすぎる。
クラウスは、月の衛星軌道を外れたグレイゴーストの機外から地球を眺めていた。ただし、彼の
電子の目は自動的に光の屈折率を変更しており、地球は写真と同じように青かった。
「まったく、私の柄じゃないな」
開け放したコクピットの上に佇み、心の中で嘆息する。
結果的に地球を救った事に違いはないが、別にクラウスはそんな事に興味はなかった。
世界を救う英雄になろうとは思わないし、また、何処かの誰かを救おうと思って戦った訳ではない。
与えられた仕事をこなす。それだけだ。それ以上でもそれ以下でもない。他に戦った連中が口に
していた勇気だの希望だのとはまったくの無縁だ。
だが、無縁である筈なのに、心に何かが引っかかっていた。
それが何であるかは分からない。分からないが、分からないままでも良い。
そう、世の中には、分からないままが良い時もある。
例えば、自分に与えられた本当の任務も、短い間だが共に戦った連中が知らなくて良い事だ。
「しかし、戦略核兵器を最深部で起爆させて月ごと破壊しようとはな…まったく、空恐ろしい」
クラウスに与えられた本当の任務。それは、グレイゴーストに搭載された戦略核兵器で月ごと
ゴルディアスを崩壊させようとするものだった。グレイゴーストの一番強固なコクピットブロックに
搭載された戦略核兵器、その威力は1000メガトン以上という代物である。遥か昔、ヒロシマに
投下された核兵器のおよそ3万3千倍の破壊力である。結果として使用する事はなかったが、
それを月の地中深くで炸裂させればどうなるかは想像に難くはない。
「いつの時代も滅亡とは紙一重にあるものだな」
これだけの機密事項を知った自分はただでは済まないかもしれない。良くて記憶の消去、悪くて
抹消だろう。尤も、そんなのは簡単だ。サイバネティクス化されたクラウスの肉体は遠隔操作が
可能であり、その気になればいつでも脳への酸素と栄養の供給を絶てる。上層部が不要と判断
すればクラウスなど使い捨てられるのだ。
「ただ、それは、まだ先の話のようだがな」
月面軍の救助艇が音もなく、宇宙空間を漂流するだけのグレイゴーストに近づいてくる。少なくとも
上層部はまだ自分を使う気でいるようだ。
「出来ればまたいつも通りの日常だといいんだがな」
実験機のテストパイロットを務める日々への帰還。
クラウスが戦う理由などそれだけで充分だった。

24 名前:ジェリド ◆xK7dfy5P/g [sage] 投稿日:2008/10/19(日) 22:48:25 0
ジェリド「やっと終わったか……シビアな仕事だったぜ。」
心身共に疲れ切ったジェリドがシートにもたれかかろうとした時、
通信が入った。第六基地からの物だ。今まで遺跡の機能の関係で
通信が不可能だったのが、今回の件でジャミングが消えて通信可能になったのだ。
ライラ「ジェリド、無事かい? ……ひどいザマだねぇ。」
カクリコン「こっちは滞りなく終わった……ついさっきな。
      追いかけると言っておきながらこのザマだ。人の事は言えんなぁ。」
ジェリド「いいさ、こっちもちょうど終わったばかりだしな。
     ……制圧チームを至急よこしてくれ。ゴルディアスを完全に封鎖する。
     この遺跡は、案の定人の手に余るもんだった。
     触らぬ神に祟りなし……俺もすぐに基地に帰る。
     空いてる機体を用意しといてくれ、陣頭指揮を執らにゃあいかんからな。」
一方的に通達して通信を切るジェリドは、再会時のエレクトラの言葉を思い浮かべていた。
『アンタは相変わらず苦労にまみれてんね』まったくその通りだった。
クソの役にも立たない上層部をクーデターで失脚させて、軍と企業の癒着を文字通り引っぺがして
クリーン化するまでは良かったが……ゴルディアスなんて厄介物まで抱える羽目になったのだから。
「あーあー、まったく。俺の人生に休息の二文字はないのかね!」
ぶつくさ言いながらも、ジェリドはふらつくハーディを制御して自力で基地に帰還した。

それから数日後、新体制を固めた月面軍は政府に今回の作戦によって判明した
遺跡の危険性および遺跡を封印・監視する必要性がある事を伝えた。
政府はそれを承認し、その結果ゴルディアスの一般開放は完全に禁止され
ネイアラの街並みも否応なしに変わる事となった。ジェリド少佐はあくまでも
現場指揮にこだわり、月面軍総司令の椅子を蹴って大佐に昇任する事で折り合いをつけ、
ライラ、カクリコン両名は司令補佐としてそんな勝手気ままなジェリドを
バックアップし、日々任務を遂行している。

25 名前:コウタ ◆xK7dfy5P/g [sage] 投稿日:2008/10/19(日) 22:50:10 0
―――一方、ナグル・ファルは遺跡に関わって命を落とした全ての魂を輪廻の輪、
宇宙に満ちる命の海に還し来世へと送り出した。その様子を見つつ、今はいない
新たな渡し守……コウキに語りかけていた。



終わったよ……ようやくね。
本来の役目とはかけ離れてしまったけど、それもまた一興さ。
……コウキ、君は最後の最後まで自分に自信が持てなかった。
気持ちは分かるさ。僕だって、生まれたばかりはそうだったんだから。

でもねコウキ、君はここに来てやっと自分で何とかしようって決めて、
それを行動に移した。結果はご覧のとおり……君の思いが、地球を救う一因となったんだ。
エル姐さんは君が消えてしまった事を知って泣いていたよ。
ジェリド少佐は簡単に死んじまいやがって、バカ野郎がって怒っていたよ。
……つまり、彼らは君は価値のない人間じゃないって言っているんだ。
君のやった事は無駄じゃない……それは、あの愛しい青い星が証明してくれている。

だけど、だけどだ……そこで終わりなんて言うのは僕は認めない。
君だって、色々やってみたい事があっただろう? ……だから僕は決めたよ。
こっそり確保しておいた、君の魂のかけらを君自身の魂の力である
ニュートリノ・バーストの余剰エネルギーで修復しようってね。
使っちゃった分の事もあるから、完璧にはならないけどそれでいいんだ。
この世に、完璧だとか完全なんて言うのはないんだから。文句は受け付けません。
……その為に、『アカシャ』に接触しないと。さぁ、長い長い旅の始まりだ。
今の僕なら、“ナグル・ファル”なら帰ってこようと思えばいつでも帰ってこれるんだしね。
だから、別れの挨拶はしない。僕たちは、刻を越えて繋がっているんだから……。


その後、ナグル・ファルの姿を見た者はいなかった。
役目を終えて再び眠りについたのだとか、魂の救済の為に新たな戦場へと
向かったのだとか、荒唐無稽な噂が一時流れてすぐに忘れ去られた。
だが、ごく少数の者は語らずとも聞かずとも、真実を知っている。
彼らはそれを誰に語るでもなく、そっと心に留め、今を生きているのだった―――

26 名前:ユーリ ◆5Kq11GJKws [sage] 本日のレス 投稿日:2008/10/20(月) 00:55:19 0
崩壊を始めたゴルディアスから命からがら脱出したユーリの眼に地球が映った
「『地球は青かった』か、いい言葉だな。流石は俺と同じ名前の持ち主、同感だな」
しみじみと思った。全部が終わった安堵感も同時にこみ上げてきた
「疲れたな・・・」
ユーリは阿修羅の中でへたり込み、そのまま寝息を立て始めた

〜2日後〜
ユーリの実家にケイとモエを招待して一日が過ぎた
『ユーリこれが約束の品だ』
そう言ってユーリに一振りの刀を渡した
『星薙ぎの剣の一部だ。これがあればいつでも私を呼び出せるし、いろいろな遺跡に干渉できる』

「そいつはすごいな。」

『・・・それともうひとつ、お主は不老不死になってしまった』

「へ・・・なんでだよ」
ユーリのこの間抜けな顔をモエあたりがみたらさぞかし爆笑するだろう
『どうも、こうもそう決まっておるのだ。我とお主がそろわなければ鍵は機能しないのじゃ
アマテラスがいなくなったいま、星薙ぎの剣が唯一の遺跡を止める手段になってしまったのだ
それとお主が大人になってしまっては我を動かせなくなってしまうからな。」
こうして鍵の持ち主になってしまったユーリは阿修羅の操者にあり続けるために死ねなくなってしまったのだ
「誰だよ!古代兵器に年齢制限なんか作ったやつは!!」
ユーリの叫びは悲しくこだました

こうしてユーリの新しい旅が始まったのだった
もちろん、ケイとモエも一緒にだ


27 名前: ◆AGE0/R6Aiw [sage] 本日のレス 投稿日:2008/10/20(月) 21:31:36 0
>「おおおお!!!人類よ!
>我らが子等よ!努々忘れる事なかれ!お前達はどう足掻いても我に作られた存在!
>神々の肉体となるべき贄である事を!
>既に門は開き、そして自身で閉じる事を!
>神々の力の片鱗を見て滅びるがいい!!!」

ツクヨミの最後の言葉の意味は誰にも理解される事なく宇宙へと消えていった。
月の大崩壊はアマテラスの最後の力と引き換えに回避された。
神々の陰謀は退けられ、人々は真の意味で独立し、自立した歴史を歩みだした。

・・・だ が !

短い間とはいえ、月は遥か彼方の宇宙を旅する神々の世界と確かに繋がったのだ。
それは新たなる器の出現を知らせる信号ともなる。
時間軸を別次元に移し、星霜の刻の中、宇宙を旅し続ける神々の世界。
時が止まり色の無い世界に急速に色彩と躍動が蘇り始める・・・

箱舟の母船が・・・!
しかし、それはまだ先の話。
遥か宇宙の彼方の話。
そのことを知る人類はいなかった。
いや、知る必要などないのだ。

勝ち得た人類の未来を、希望を・・・
人々は過ごしていくであろう。
変らぬ日常を繰り返しながら。
人類はおろかなことを繰り返し、学び、また同じ事を繰り返す。
しかしそれは作られた円環なる歴史ではない。
少しずつでも進んでいく人類自身が紡ぎだしていく螺旋なのだから。

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月の騒乱から俺はアルラウネに助けられ、何とか生還できた。
しかし、情けない話、肝心なところで俺は何も出来なかった。
だがそれでもいいさ。
若い奴らに任せられるなら。
自嘲なんかじゃない。本気でそう思う。

だからあの後、俺は傭兵家業も探索者も引退した。

あれから十五年。
俺もすっかり歳を食ってしまって今じゃ中年の域に足をかける26歳と280ヶ月だ。
今は月面都市でAM教習所教官の傍ら月面ガイドをやっている。
勿論ガイドの方はモグリだけどな。

生き死にの世界から離れて随分となるが、このごろ漸くこういった日々も悪く無いと思えるようになってきた。

こうやって夜空を見上げると見える76年に一度の天体ショー。
ハレー彗星を肴に一杯引っ掛けながらのんびりと・・・
15年前、神とやらの陰謀から人類を解き放ってからも変らぬ日常。
それこそが最も大切なものなんだって、な。

これからも色々あるんだろうが、そういったことも含めて、俺達人類は続いていく。
親から子へ、子から孫へ、孫から・・・・
限りなく続いていく命の連鎖に・・・乾杯・・・



     【月面遺跡】クロス・エイジ【ロボバトル】
               終劇

【月面遺跡】クロス・エイジ【ロボバトル】

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