やっつけ仕事###########################

127 名前:やっつけ仕事[sage] 本日のレス 投稿日:2008/10/02(木) 01:31:40 O
無限に広がる大宇宙。
使い古された表現ではあるが、事実を伝える歴史を超えた名言である。
そして、そんな大宇宙に輝く☆の周りを、宇宙遊泳で回っている金色の男が一人いた。
神魔小帝の仕掛けた【へ爆弾】で吹き飛ばされた怪人、スーパーアルミマンその人である。
ただし、スーパーアルミマンでは名前が長すぎるので、以後はアルミ怪人で統一する。
「はぁ‥‥オラはどうしたらいいだーよ‥‥」
思わず漏れた言葉からも分かるように、別にアルミ怪人は遊んでいるわけではない。
神魔大帝の技術は超技術であり、アルミ怪人も宇宙を泳いで☆に帰る程度は簡単にやってのける。
しかしである。アルミ怪人を正義に目覚めさせた男からの連絡がまだ無いのだ。
今その男はアルミ怪人と融合し、爆弾を解除するため奮闘している。
もしアルミ怪人が地上に帰っても、未処理の爆弾が爆発したら、他人に迷惑をかけてしまうのだ!

「待たせたなアルミ怪人!お前の体内にはもう爆弾は残っていないぜ!」
アルミ怪人が何度目のため息をついた時だろうか。
ついに正義の男、Mrアルティメイターの声が、アルミ怪人の頭脳チップに響いてきた。
「これでもう☆に帰っても大丈夫だ!さあ、速く帰って平和のために戦おう!」
「ついに‥‥ついにやってくれただか?!敵だったオラのためにこんなに時間をかけて‥‥」「気にするなアルミ怪人!オレたちはもう正義を愛する仲間じゃないか!
仲間のためならオレはどんな犠牲でも払ってやるぜ!」
感動的なシーンなので、アルティメイターが遅れたのは体内で道に迷っていただけであるのは忘れてほしい。
現にアルミ怪人もモーレツに感動し、正義のために侵略者と戦うことを再度心に誓っているのだから。
「わかっただよ!早速☆さ帰って神魔大帝と戦うだ!」
そう決めたアルミ怪人は平泳ぎで宇宙を☆目指して泳ぎ始めた。

悲劇が起こったのはその後、もうすぐ☆の大気圏に突入できる寸前の場所だった。
「どうした?!大丈夫かアルミ怪人?!」
アルミ怪人と融合していたアルティメイターは、アルミ怪人のパワーがどんどん減っていることに気づいた。
「だ‥‥大丈夫だよ‥‥。なんとしてもお前さんだけは☆に届けるだ‥‥」
返事をするアルミ怪人の声も、決意表明とは裏腹に弱々しいものだった。
長い宇宙漂流の間に、動力源であるアルミ分が尽きかけていたのだ。
このままでは大気圏に突入しても、アルミ怪人の体は衝撃に耐えきれず破壊されるだろう。

「無茶をするなアルミ怪人!今大気圏に突っ込んでも無駄死にするだけだ!
‥‥あ!あそこに何かあるぞ!もしかしたらアルミがあるかもしれない!」
アルミ怪人と融合しているアルティメイターは、宇宙空間にある不思議な物体に気づく。
2人が近づいてみると、それは自動販売機だった。
たぶん宇宙を旅する宇宙人達のために用意されたのだろう。
「やったぜアルミ怪人!缶ジュースを買えばアルミ缶が手に入る!」
「助かっただ!ちょうど小銭入りの財布も持ってるだよ!」
はやる気持ちを抑え、アルミ怪人は小銭を入れてボタンを押した。
ガタンと音がして、ゲルマニウムジュースの缶が転がり落ちてきた。
スチール缶だった。
「し、しまっただーよ!オラしてはいけないことをしてしまっただー!!」
「落ち着けアルミ怪人!残っている小銭で別のジュースを買うんだ!」
「それが残っているのは一円玉9枚だけなんだべ!もうおしまいだーよー!」
それを聞いたMrアルティメイターは叫んだ。
「それだ!!」

こうして、アルミ怪人とMrアルティメイターは無事に☆に帰ってきた。
一円玉はアルミでできていたのだ 。
だがゆっくりはしていられない。
神魔大帝の侵略の魔の手はすでに☆の各地に延びている。
戦えアルティメイター!
戦えアルミ怪人!
正義のために!!


お題:呉越同舟・ななし########################

170 名前:名無しになりきれ[sage] 投稿日:2008/10/23(木) 23:32:59 O
【お題:呉越同舟】


「くそッ!あの若造が!毎回毎回人を馬鹿にしおって!!」
☆の名物料理『焼きコカトリス』屋の一室で、神魔小帝は酒を飲みながら怒りをぶちまけていた。
(小帝様どうしたッスか?随分荒れてるッスけど。)
(なんでもまた中帝様に手柄を取られたらしいッスよ。)
ひそひそ話し合う子分たちを前にして、神魔小帝の愚痴は続く。
「ちょっと自分がジャニーズ系のイケメンで、女の子に人気があるからとでしゃばりおって!
何が『あの件は僕が処理しておきましたから大丈夫ですよ』だ!!」

「あの件って何ッスか?」
「ほら。ウルトラフォースのユートって犬に怪人が負けて‥‥」
「あ〜。ムカついたからってアジトで暴れ出した怪人がいたッスね。」
「本当は小帝様が処理を任されてたッスけど、手に負えなかったので中帝様が助けてくれたッスよ。」
「じゃあ中帝様にお礼を言わなきゃ駄目じゃないッスか。」

「うるさいうるさいうるさいうるさーーいッ!!誰があんな奴に頭を下げるか!!
おーいオヤジーッ!!酒が切れたぞ!もっとどんどん酒もってこいッ!!」
「小帝様ちょっと飲み過ぎじゃないッスか?」
「いいッスいいッス。どうせ明日には謝るんだし、今日は酔わせてあげるッスよ。」
「じゃあこっちも沢山飲むッスかね。どうせ小帝様のおごりだし。」
「オヤジさーーん!このメニューに書いてあるのを全部持ってきて欲しいッス!!」


「隣は随分盛り上がっているようだな」
その時同じ『焼きコカトリス屋』の隣の部屋では、ユートピアがハクイ兄ちゃんと一杯飲んでいた。
「班長の活躍のおかげで、神魔大帝の驚異もこの辺りまでは来ていませんからね。
班長がいる限り人々の笑顔と平和は消えませんよ。」
のんきに酒を楽しんでいるように見える一人と一匹だが、だまされてはいけない。
飲んでいる酒は世界最強の酒と名高いスピリタス。
アルコール度数は実に96を誇り、飲んでいる時は火気厳禁となる最狂の酒である。
そんな酒を平然と飲んでいるのだから、やはりユートもハクイもただものではなかった。
「いや、まだまだ神魔大帝に立ち向かうためには、強力な人材が必要だワン。」
「その強力な人材に誰か心当たりがあるようなお顔ですね?」
ニヤリと不敵に笑いあうユートとハクイ兄ちゃんだったが、シリアスシーンはあまり長く続かなかった。
「おう!なんだなんだシケた面しやがって!藻前らもこっちに来て飲め飲め!」
すっかり酔っ払いと化した神魔小帝が、松明(注:洞窟などで使うあれ)片手に乱入してきたからだ。

後日、ユートピアの娘アルカディアがウルトラフォース入隊試験に無事合格する。
アルカディアは、神魔大帝との戦いで一騎当千の活躍を見せるのだが、その話はまた別のスレで。
余談だが、神魔大帝軍の放火と見られる火災で全焼した『焼きコカトリス屋』は無事再建された。
当時の状況が保存された『神魔大帝焼き討ちの間』は、新たな観光名所として人々の人気を集めているという。