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小説●○スカイグレー○●
1
小説●○スカイグレー○●
投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)15時21分16秒
■注意書き■
まず、このスレを開いてくださった皆様、
少しでもこのスレに興味を持っていただきありがとうございます。
以前、「存在理由」、「不器用なワルツ」、「リセットボタン」、「かくれんぼ」を、
書かせて頂いた悠衣です。(希望があればログを貼るので言ってくださいね)
余裕が出来たので、また書かせていただこうと思います。
この小説を読んでもらう前に、注意事項があります。
今回の小説は、あまり、楽しいお話ではありません。
(そういうこちらでは小説を書いたことありませんが;)
てれび戦士がひねくれているのは嫌だ、という方は、ご遠慮ください。
また、今回の話しは、叙事詩の伝説やギリシャ神話などをいくつか使用しています。
そういうものが苦手な方も、ご遠慮ください。
勿論、小説が嫌いな方や、どうしてもCASTが嫌な方なども、読まないでくださいね。
また、アドバイス・感想等は受け付けますが、
小説の内容に関しての苦情は一切受け付けませんので、ご了承ください。
では、更新が遅くなるかもしれませんが、よければお付き合い願います。
2投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)15時22分58秒
―――スカイブルー?悪いけど、そんな綺麗なものは似合わないから
■CAST■(変更の可能性有)
木村遼希
伊倉愛美
永島謙二郎
篠原愛実
木内梨生奈
高橋郁哉
前田公輝
etc…
3投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月17日(月)15時23分53秒
頑張って
4投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)15時27分42秒
1.
3時間目終了のチャイムの音が耳に痛いほど響いた。
「……遼希、次もサボるの?」
「うん。そっちは?」
「サボりたいけど、次は出ないとさ」
寝転んで空を見上げたままの俺の隣で、すっと立ち上がった彼女は、
紺の制服のスカートについた埃を軽く払って、屋上から出て行った。
可愛い、明るい、優しい、頭がいい、といった評価をもらう人気者も、
実際は相当の努力があっての人気者らしい。
どちらにせよ、彼女の苦労は俺には分からないものだった。
冷酷、暗い、冷たい人、といった評価を周りから得ている俺にとっては。
5投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)15時28分04秒
3さん>ありがとうございます。
6投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)15時30分18秒
いつも笑わない俺と、いつも笑うしか出来ない愛美は、全然違うようで、実はとても良く似ている。
愛美が出て行って、すぐのことだった。
また、誰かが屋上に入ってきた。
「あ、遼希見つけた」
すぐに聞こえた彼の声が、合図。
「……謙二郎?」
「俺も次サボろうと思ってさ」
俺に近づいてくる奴は、愛美か謙二郎ぐらいだ。
あと、しいていうなら、2年の篠原先輩。
7投稿者:
さげ
投稿日:2006年07月17日(月)15時30分48秒
http://support.trafficgate.net/cgi-bin/m/i1866.cgi?TG=5/1866/74719/
http://cart1.fc2.com/cart/southbird/
http://cart1.fc2.com/cart/southbird/?ca=5
8投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月17日(月)15時32分40秒
9投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月17日(月)15時33分41秒
ログ貼って欲しいよ!
10投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)15時34分09秒
謙二郎は、俺や愛美より、ずっと器用で上手に生きている気がする。
愛美みたいに、みんなの人気者でもなければ、
俺みたいに、みんなから嫌われているわけでもない。
一番普通で、一番標準的な、普通の子を精一杯に演じている。
上手に、上手に。
笑うところは笑って。
でも、ところどころで欠点なんかは作って。
勿論、笑うという点では愛美が一番上手い。
それは俺だけでなく、謙二郎だって認めていることだろう。
その笑顔には影が無いように、
その笑顔の裏でも、同じように笑っていますよっていうアピールが、
愛美の笑顔からはひしひしと伝わっている。
11投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)15時34分40秒
7さん>荒らしはご遠慮ください。
8さん>あげ、ありがとうございます。
9さん>分かりました!少々お待ちを!
12投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)15時37分15秒
過去に書かせてもらったものです。
小説●○存在理由○●
http://ame.dip.jp/log/tentele/050401131901.html
小説●○不器用なワルツ○●
http://ame.dip.jp/log/tentele/050404211352.html
小説●○リセットボタン○●
http://ame.dip.jp/log/tentele/051230165433a.html
小説●○かくれんぼ○●
http://ame.dip.jp/log/tentele/060128202430.html
以上です。
13投稿者:
9
投稿日:2006年07月17日(月)15時38分21秒
悠衣さん ありがとう!
14投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)15時40分02秒
それにまんまと乗せられているのが、クラスの大部分。
それを見破ってしまったのが、俺と謙二郎。
謙二郎は、俺と同じように寝転んだ。
でも俺の隣ではなく、少し離れたところで。
その距離が、やけに心地よかった。
「今日は晴天ってわけじゃあないな」
「多分、6限目終了間際から雨降るよ」
「そっか。遼希がそういうなら、9割の確立で降るな」
折り畳み傘持ってきて良かった、と謙二郎は付け足すように言った。
15投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)15時41分44秒
9さん>いいえ、気にしないでください!
16投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)15時43分53秒
何の力か知らないけれど、俺は昔からなんとなく、天気を予想することが出来た。
テレビやラジオだけでなく、携帯でも天気が分かる21世紀。
別にそこまで必要な力というわけでもない気がするけれど、
どんな理由があったとしても、せっかく授かった力だから、有効利用したほうがいい。
「……珍しくないか?おまえがサボるなんて」
「遼希は常連だもんな」
謙二郎はそう言って冗談っぽく笑った。
そのあと彼は、あっと何かを思い出し俺に笑ったまま話しかけた。
「あのさ、遼希にだけは先に言おうと思ってたことがあるんだ」
「何?」
多分、俺が返事をしてすぐだ。
謙二郎の顔から笑顔がなくなっていた。
そして、心底面倒くさそうな顔になる。
17投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)15時47分41秒
この時点で、なんとなく予想できている俺がいるのは、少し不思議なようで当たり前だ。
「俺さ、昨日、木内梨生奈に告白されたよ」
ああ、やっぱり。
予想が当たって、少し嬉しい気持ちとどうでもいい気持ちが自分の中で中和する。
「ふーん……、何て返事したの?」
「君が思ってるより僕はいい奴じゃないんだよ、って言ってニッコリ笑った後」
そこで、謙二郎は言葉を止めた。
その沈黙の間も、風はそよそよと止まることなく流れている。
続きはもう言わないつもりだろう。
18投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)15時49分31秒
どれくらい経っただろう。
感じた時間は30秒。
けれど実際は5分ぐらい経ったはず。
そんな気持ちいい沈黙の後、彼は分かりやすいほどの溜息を吐いた。
「全く、どいつもこいつも、分かってないね」
普通の子を精一杯演じる謙二郎が、俺と愛美にだけ見せる、素顔。
ねえ、木内梨生奈。
君はこの永島謙二郎を見ても、それでもまだ、まっすぐに好きと言えるかい?
それなら君と謙二郎は凄くお似合いになるだろうね。
それは俺が保障しよう。
19投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)15時51分07秒
だけど、
少しでも、愚かだと思うのであれば。
―――君は一生綺麗に生きたほうが君のためだよ、木内梨生奈。
絶対に、木内梨生奈に届くことのない忠告を心の中で言った後、
俺は見上げていた灰色の空にサヨナラするため、目を閉じた。
夢の中は、あまり、心地よくないということは知っているけれど。
20投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)15時53分44秒
今日は一旦これで落ちますね。
また、夜に書くつもりにしていますが…;
良ければ、感想、アドバイス等もらえれば嬉しいです。
では。
21投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月17日(月)16時01分21秒
あげ
22投稿者:
will
投稿日:2006年07月17日(月)16時35分15秒
こんにちは。初めまして!!willと申します。
悠衣san小説復活ですね☆
私も小説を書かせて頂いてるので、参考にさせてもらいます。
更新頑張って下さい。
23投稿者:
どんな展開?!
投稿日:2006年07月17日(月)16時55分22秒
遼梨?
遼謙?
24投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)23時18分36秒
21さん>あげ、ありがとうございます。
willさん>はじめまして。悠衣といいます。
willさんも小説を書いているんですか?
是非教えていただければ嬉しいですっ!
お互い頑張りましょうね^^
23さん>すいません;恋愛はあんまり絡まないです;;
25投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)23時22分44秒
2.
例えば君の友達が、他の子たちの前では自分とは友達でない振りをしたとして、
君はどれぐらい傷つく?
俺?
そんな質問、愚問だね。
だってさ。
僕に友達なんて呼べる人はきっといないんだから。
だから、俺は、予想通り6時間目終了間際から降り出した、雨の所為で、
下足で足止めされている愛美に、声もかけずに、素通りだ。
26投稿者:
ふわゎ
投稿日:2006年07月17日(月)23時26分22秒
悠衣サン、頑張ってください。
あの…ちなみに公輝はいつ出ますか?
お答えしたくなかったらいいですが……
27投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)23時27分44秒
愛美も、俺のことを知らない振り、見ない振り、何も無い振り。
振り?
違う。
愛美は、俺のことを知らない、見ない、何も無い。
これが正解。
俺だって、愛美のことを知らない、見ない、何も無い。
多分、こうやって世界は組み立てられている。
だからさ、この法則が無くなったら、世界がどうなるか、分かる?
28投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)23時29分51秒
ふわゎさん>ありがとうございます。
公輝は……最後のほうになると思います;
あんまり出ないです;;
29投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)23時31分30秒
愛美も、俺のことを知らない振り、見ない振り、何も無い振り。
振り?
違う。
愛美は、俺のことを知らない、見ない、何も無い。
これが正解。
俺だって、愛美のことを知らない、見ない、何も無い。
多分、こうやって世界は組み立てられている。
だからさ、この法則が無くなったら、世界がどうなるか、分かる?
30投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)23時31分47秒
すいません;同じのを二回書いてしまいました;;
31投稿者:
どんまい
投稿日:2006年07月17日(月)23時32分58秒
がんばって
32投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)23時36分51秒
―――例えばそれは夏の夕方6時に見える紅い夕陽のように綺麗に崩壊していく。
だから、油断できないんだ。
いつだって、気を張っていなければならないんだ。
ドイツのゲルマン伝説「ニーベルングの指輪」の英雄、ジークフリートは、
龍の血を浴びて不死の体を手に入れたにも関わらず、
油断していたがため、唯一龍の血を浴びていない部分を刺され、殺された。
俺がどれだけ笑わないでいようと、
愛美がどれだけ笑おうと、
謙二郎がどれだけ演じようと、
油断があれば、いつだって俺たちは殺される。
33投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)23時38分19秒
31さん>ありがとうございます。
34投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)23時39分40秒
そんな世界は、昔から、変わらない。
周りの人物が敵か味方か判断する前に、殺されてしまえばそこで終わり。
全てが、終わりなのだ。
だから、俺は、一時だって油断するものか。
判断する前に殺されてしまうのであれば、最初から敵と判断すればいい。
今すぐに傘を投げ捨てたい衝動を必死で抑えながら、
俺はぴちゃぴちゃと水音を立てて帰り道を歩く。
35投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)23時41分20秒
右。
左。
地下。
そして上空。
俺たちの周りは敵が多すぎた。
そんな世界も昔から変わらないと、
ずっと前から知っていたのは何故だろうか。
そんな答えのない質問、無意味とは知っているけれど。
けれど。
無意味なもの程、欲しくて堪らなくなるときもある。
36投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)23時46分02秒
一瞬浮かんだ、愛美の困った顔を2秒で消して、
俺は歩く足を速めた。
2秒だけしか残していない愛美の困った顔が。
これから何十年経っても忘れられない気がして、酷く怖かった。
だって、俺が笑わないのは、当たり前だけど、それはただの条件反射なのと同じように、
愛美が笑うのは、当たり前だけれど、それはただの条件反射なのだから。
―――俺だって、笑うときもある。
俺が俺のことを一番良く知らないからこそ、言えること。
37投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)23時47分40秒
昔、多分、小学校1年生ぐらいのころ。
誰だか忘れたけれど、多分凄く遠い親戚のおばさんに言われたことがある。
「遼希君は、笑うと笑窪が出来て、可愛いね」
そのおばさんの笑顔すら今は思い出せないし、
そう言われた俺の対応も思い出せない。
でも、そのとき確かに、俺は、何かを感じた。
その感じたものというのが、
喜びなのか、悲しみなのか、怒りなのか、それすら分からないけれど、
確かに何かを感じたはずなのだ。
だから、条件反射に騙されない俺でいようと決めた。
38投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)23時52分35秒
ねえ。
例えば君の友達が、他の子たちの前では自分とは友達でない振りをしたとして、
君が言葉で表現できないほど傷ついたとしても、
それは一瞬の条件反射なのかもしれないよ。
傷つかなきゃいけない。
泣かなきゃいけない。
そういう条件反射なのかもしれないよ。
だからさ、もう一度良く考えてみてよ。
例えば君の友達が、他の子たちの前では自分とは友達でない振りをしたとして、
君はどれぐらい傷つく?
39投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月17日(月)23時53分06秒
今日はこれで落ちます。
良ければ、感想、アドバイスなどもらえれば嬉しいです。
では。
40投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月18日(火)00時09分36秒
あげ
41投稿者:
age
投稿日:2006年07月18日(火)06時37分32秒
42投稿者:
がんばってね
投稿日:2006年07月18日(火)15時51分41秒
43投稿者:
age
投稿日:2006年07月18日(火)15時59分49秒
面白いですよ!頑張ってください
44投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月18日(火)19時19分32秒
あげてくれた皆様>あげ、ありがとうございます。
感想をくれた皆様>貴重なご意見、ありがとうございます。
45投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月18日(火)19時23分01秒
3.
「おはよう、遼希」
「……おはよ」
朝一で愛美が屋上に来た。
珍しい。
基本、鞄を教室においてすぐに屋上に来る俺。
後の授業に出るかどうかは気まぐれ。
けれど、愛美は基本的にサボらないし、朝だってクラスの女子達と談話している。
サボるとしても、昨日みたいに3限目か4限目に、
保健室に行ってくるとかいう上手い理由をつけて此処へ来るのだ。
まあ、これからまた、朝のSHRに間に合うように教室に戻るのかもしれないけれど。
46投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月18日(火)19時25分34秒
47投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月18日(火)19時28分48秒
俺はいつもみたく、寝転がっていて、
愛美はフェンスを挟んで遅刻間際を登校中の生徒の波を見ていた。
沈黙が続いたあと、話しかけて来たのは愛美のほうだった。
「ねえ、遼希」
「何?」
出来る限り素っ気無く返事を返したのは、自分を守るため。
「今日は……雨、降るかな?」
その声が、いつもよりもずっと優しい声で、少し驚いた。
けれど、そんな優しさに、惑わされるわけにはいかない。
48投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月18日(火)19時29分17秒
46さん>あげ、ありがとうございます。
49投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月18日(火)19時31分00秒
「………今日は、降らないよ。ずっと曇り」
「そっか、ずっと曇りか……嬉しいな」
愛美はそう言ったあと、急いで屋上から出て行った。
どれだけ急いでいたかは分からないけれど、荒々しくしまった扉の音を聞く限りでは、
精一杯、焦っていたのが良く分かった。
後3分ほどで朝のSHRが始まる。
それに間に合うように、走って教室に向かっているのだろう。
もう今日は戻ってこないだろう。
そう思って、俺が眠ろうとしたときだった。
屋上の扉が開く音が鈍く俺の耳に届いた。
50投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月18日(火)19時35分13秒
しばらくしても聞こえるのは足音だけで、声はない。
彼女の場合はそれが、合図。
「………おはようございます、篠原先輩」
目は閉じたまま、俺に近づく足音に向かってそう言った。
篠原先輩の楽しそうな顔が、目を閉じていても、分かった。
「おはよ、遼希君」
そっと目を開くと、寝転ぶ俺の顔を見下ろしている楽しそうな篠原先輩。
51投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月18日(火)19時38分28秒
「先輩がサボりですか?珍しいですね、あなたは真面目な方なのに」
「1時間目、自習」
「なるほど」
簡単な会話の後、
篠原先輩は俺の隣に腰をおろした。
篠原先輩は不思議な人だ。
いつだって、楽しそうに微笑んでいる。
俺のことも、きっと、楽しんでいるのだろう。
たまに思う。
何でも楽しみに変えられる能力は、悲しくないのだろうか?
52投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月18日(火)19時42分53秒
篠原先輩が、楽しくないと感じることはまるで無いように見えた。
きっと先輩は、どんないじめにあおうとも、どんな痛みが襲おうとも、
ずっと楽しそうに微笑んでいるに違いないから。
「そういえばさ、遼希君。ガイアって知ってる?」
眠ろうと閉じた目をまた開いて、篠原先輩の質問に答えた。
「ギリシャ神話に出てくる、大地の女神のことですか?」
「うん、そう。さすが、良く知ってるね」
例えば、家にいてもすることが無くなって、困ってしまったとき。
俺は歩いて15分の市立図書館に行って、神話や叙事詩を読んだ。
この前話したジークフリートも、数ヶ月前に読んだものだ。
53投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月18日(火)19時50分22秒
54投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月18日(火)19時57分30秒
「じゃあさ、ガイアが何から生まれたか、それも知ってる?」
「カオスですか?」
「当たり」
ギリシャ神話の創世記では、世界はカオスという、形無くドロドロした魂、
天も地もない状態が世界の始まりとされているのは、無名な話しではないと思う。
そのカオスから生まれたのが、ガイアという大地の象徴である女神。
55投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月18日(火)19時57分43秒
53さん>あげ、ありがとうございます。
56投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月18日(火)19時57分57秒
篠原先輩は楽しげに微笑んだままだった。
けれど。
「じゃあさ、今の世界がさ、そのカオスとやらに戻ったら、どうなるのかな?」
そういったときの篠原先輩の声は、どうやったって表されることは無いぐらい、冷たかった。
時間だけが無様に過ぎていき、俺は眠りに落ちないうちに1時間目が終わり、
篠原先輩は、1時間目終了のチャイムと同時に、屋上から出て行った。
昨日、考えたあの美しい世界の崩壊は、
もしかしたら、この世界がカオスに戻ることなのかもしれない。
57投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月18日(火)19時58分58秒
今日はこれでおちます。
良ければ、感想、アドバイス等もらえれば嬉しいです。
では。
58投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月18日(火)20時31分37秒
あげ
59投稿者:
age
投稿日:2006年07月18日(火)22時05分54秒
60投稿者:
age
投稿日:2006年07月19日(水)06時38分33秒
61投稿者:
ここの部分かっこいいage
投稿日:2006年07月19日(水)08時08分47秒
―――例えばそれは夏の夕方6時に見える紅い夕陽のように綺麗に崩壊していく。
62投稿者:
age
投稿日:2006年07月19日(水)21時17分30秒
age
63投稿者:
悠衣さん、かっこいー…
投稿日:2006年07月19日(水)21時56分49秒
なんかこの小説読んでると神話とか叙事詩とか読みたくなってくる
小説の参考にした本とか教えてもらえませんか?
64投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月20日(木)06時37分59秒
65投稿者:
gage
投稿日:2006年07月20日(木)15時47分00秒
age
66投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月20日(木)22時02分45秒
あげ
67投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月20日(木)22時08分39秒
68投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月20日(木)23時13分37秒
あげてくれた皆様>あげ、ありがとうございます。
感想をくれた皆様>貴重なご意見、ありがとうございます。
63さん>「私のギリシャ神話」などの本を参考にしていますよ。
市立図書館などに、ギリシャ神話や叙事詩の本は沢山あるので、
自分にあった読みやすいものを探すのが、いいのではないかな、と思いますよ^^
興味を持ってもらえて、とても嬉しいです。ありがとうございます。
69投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月20日(木)23時19分00秒
4.
「あのね……私、やっぱり、永島君のこと…諦められないの……」
厄日、とはこういう日を言うのだろう。
結局丸一日屋上にいた俺は、放課後、教室にもう人がいないと予想される時間に、
鞄を取るため、いったん教室に戻った。
そしたら、この有様だ。
「一昨日も言ったと思うけど、俺、木内が思ってるような人じゃないし、無理だから」
「でも…!どんな永島君でもっ…私、好きだよ!」
ああ、そういえば、昨日謙二郎が言ってたっけ。
木内梨生奈に告白されたって。
70投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月20日(木)23時21分15秒
謙二郎に2回目の断りの言葉を言われようとしている木内梨生奈より、
木内から2回目の告白を受けている謙二郎より、
教室に入りたいけど、入れないまま、ドアの前から動けない俺が一番可哀想だ。
「……どんな俺でもって…、おまえが知ってるのは、この俺だけだから言えるんだろ?」
「だからっ……これから知っていくから…!」
ふと気づいた。
謙二郎は、俺の存在に気づいているな、と。
だって、今、謙二郎の顔が、信じられない冷たくなったはず。
ドアをはさんで、此処まで寒気が襲うぐらいだから、相当。
71投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月20日(木)23時24分15秒
「可哀想だと思ったから言わなかったけどさあ
おまえがどんな俺を好きと言おうと、俺はどんな木内も嫌いだから」
バタバタという慌しい音が聞こえて、ガッと教室のドアが開いた。
ドアの目の前に居た俺にも気づかないほど、木内は慌てて教室から離れて行った。
「……な?嫌になる俺の気持ち、分かるだろう?」
教室の中から謙二郎の声が聞こえた。
やっぱり、謙二郎は俺に気づいていた。
72投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月20日(木)23時28分50秒
「いつから気づいた?」
「おまえの存在?そんなの勿論、最初から」
俺に返事をしながら、謙二郎は教室から出てきた。
自分の鞄と、俺の鞄を持って。
「ほら、コレだろ?おまえが用あったのは」
「大正解」
軽く投げ渡された鞄を、軽々キャッチした。
投げられたことで、今日は一度も出すことの中身が、ぐちゃぐちゃになっただろうけれど、
そんなの、気にすることのほどでもない。
73投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月20日(木)23時32分38秒
「サンキュ」
「別に。こっちこそ悪かったな」
「ああ、本当にな。とんだ足止めくらったよ」
「一日中サボった罰だと思えよ、サボり魔」
「それって、最高の褒め言葉」
なんとなく続ける会話。
一緒に帰ろう、なんて絶対言わないし、思ってもいない。
けれど、これは向かう方向は同じで、やっぱり会話はなんとなく繋がっている。
一緒に帰りたいわけでも、帰りたくないわけでもないけれど、
結局一緒に帰ることになりそうだ。
「……さっきの、ちょっとやりすぎたかな?」
子供っぽく笑う謙二郎。
木内梨生奈とのことを言っているのだろう。
74投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月20日(木)23時37分17秒
「今頃木内、泣いてんじゃない?」
表情は無表情のまま、
声だけで嘲笑って言ってやった。
「罪悪感は微塵も覚えないけどね」
その謙二郎の言葉が、楽しくて、久しぶりに作り物の笑顔で声を出して笑った。
勿論、無表情のまま。
「あははっ、ひっでぇー奴」
「そんな面白いか?」
謙二郎も笑っていた。
75投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月20日(木)23時42分04秒
「そりゃあ……、たった今、永島謙二郎は木内梨生奈に種明かししたんだから、
これ以上に面白いことって、無いんじゃない?」
だから、作り物で笑ってやるよ。
とびっきりの、作り物の笑い声でね。
でもさ、ほら、俺の目を見てごらん。
全然笑ってないだろう?
―――これって素敵じゃない?
76投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月20日(木)23時46分57秒
「俺は、木村遼希のその笑い声の仕掛けが知りたいね」
「あの世で会っても教えてやらない」
「生まれ変わったら?」
「教えるかもね」
また、俺は声だけで笑った。謙二郎はとびっきりの笑顔を作った。
だって、そうだろ?
永島謙二郎が俺の笑顔の仕掛けが知りたい、だなんて。
大爆笑モンのジョークだね。
朝、愛美に言ったとおり、その日は雨が降らないまま、ずっと曇り空だった。
77投稿者:
悠衣
投稿日:2006年07月20日(木)23時47分51秒
今日はこれで落ちます。
良ければ、感想、アドバイス等もらえれば嬉しいです。
では。
78投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月21日(金)00時14分35秒
あげ
79投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月21日(金)06時36分10秒
80投稿者:
age
投稿日:2006年07月21日(金)16時36分08秒
age
81投稿者:
age
投稿日:2006年07月21日(金)17時14分02秒
おもしろい!頑張れ
82投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月21日(金)18時53分48秒
あげ
83投稿者:
今までの
投稿日:2006年07月21日(金)21時19分35秒
作品も全部読ませてもらいました。他の方々が書かれている小説とは別の観点から書かれていて、どれも良いなぁと思いました。続きも楽しみにしています。
84投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月22日(土)04時21分09秒
85投稿者:
age
投稿日:2006年07月22日(土)18時49分54秒
age
86投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月23日(日)06時45分24秒
87投稿者:
63
投稿日:2006年07月23日(日)14時12分47秒
へぇー…そうなんですかぁ。
確かに神話とかっていっぱいありますもんね。
自分が読めそうな神話とか探してみます、ありがとうございましたw
88投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月23日(日)19時31分38秒
あげ
89投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月24日(月)06時39分17秒
90投稿者:
age
投稿日:2006年07月25日(火)06時35分46秒
91投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月26日(水)06時34分41秒
92投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月27日(木)06時32分37秒
93投稿者:
age
投稿日:2006年07月27日(木)22時11分29秒
age
94投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月28日(金)06時37分49秒
95投稿者:
あげ
投稿日:2006年07月29日(土)06時39分03秒
96投稿者:
age
投稿日:2006年07月30日(日)06時31分59秒
97投稿者:
a
投稿日:2006年07月30日(日)21時56分34秒
a
98投稿者:
age
投稿日:2006年07月31日(月)06時36分58秒
99投稿者:
age
投稿日:2006年08月01日(火)06時22分12秒
100投稿者:
あげ
投稿日:2006年08月02日(水)06時18分14秒
101投稿者:
s
投稿日:2006年08月02日(水)17時13分50秒
s
102投稿者:
age
投稿日:2006年08月03日(木)06時23分46秒
103投稿者:
あげ
投稿日:2006年08月04日(金)06時31分34秒
104投稿者:
age
投稿日:2006年08月05日(土)06時19分53秒
105投稿者:
あげ
投稿日:2006年08月06日(日)06時29分52秒
106投稿者:
a
投稿日:2006年08月06日(日)08時59分30秒
107投稿者:
あげ
投稿日:2006年08月07日(月)06時32分38秒
108投稿者:
age
投稿日:2006年08月07日(月)20時53分36秒
age
109投稿者:
あげ
投稿日:2006年08月07日(月)21時22分57秒
あげ
110投稿者:
あげ
投稿日:2006年08月09日(水)06時24分15秒
111投稿者:
あげ
投稿日:2006年08月09日(水)15時58分54秒
112投稿者:
age
投稿日:2006年08月09日(水)17時59分43秒
age
113投稿者:
age
投稿日:2006年08月11日(金)06時29分55秒
114投稿者:
あげ
投稿日:2006年08月12日(土)06時23分25秒
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