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卓也少年の事件簿
1卓也少年の事件簿 投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月25日(月)12時28分24秒
本格ミステリに挑戦したいと思います。
金田一少年並みとは行きませんが、末永くお願いします
2投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月25日(月)12時30分54秒
主人公は卓也で、他は里穂、望、公輝、杏奈、幸生
その他のオリジナルキャラです
3投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月25日(月)12時35分21秒
〜七月二十四日・午後二時四十三分〜

 沖縄沖・大兜島(おおかぶとじま)行きフェリーの船上

 卓也、里穂、公輝、望、杏奈、ちひろ、幸生の七人が、夏のロケのため、
沖縄県・大兜島を目指していた。
 雲ひとつない快晴だが、少し日差しもキツイ。
 戦士たちは、船内でトランプをやっていた。
4投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月25日(月)12時40分20秒
「う〜ん…」
 里穂が考え込んでいる。
 みんながやっているのは、ジジ抜きだった。
 ジジ抜きとは、ババ抜きの変形で、ジョーカーを含めた五十四枚のカード
から、一枚を抜いて遊ぶゲームである。
 どれがジジであるかは、終盤まで分からないのがババ抜きとの違いである
 今は、その最後の最後、公輝の手元にニ枚、里穂の手元に一枚という状況
で、里穂はどちらをとろうか迷っていた。 
5投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月25日(月)12時44分48秒
 里穂の手元には、ハートの4がある。当然、公輝の手元にもあるはずだから
もう一方がジジである。
「う〜ん…」
 さらに、里穂がうなった。
 どちらをとるかで、勝負が決まるからだ。
 しかし、里穂はどちらにも決め切れない。どっちを引いてもジジがきそう
だと思った。
「ふふふ、里穂…」
 その時、後ろから見ていた卓也が、そっと里穂に耳打ちした。
「え!、ホント!」
 里穂が目を輝かせる。
 里穂は、公輝の出していた右側のカードを引いた。 
6投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月25日(月)12時48分28秒
「やったぁ!」
 引いたのは、スペードの4だった。
 二枚揃って、里穂があがった。
「卓也!、オマエ、里穂にオレのカード教えたろ!」
 ドンケになった公輝が、卓也に文句を言った。
「バカだな、オレはずっと里穂の後ろにいたんだ。オマエのカードは見えないよ」
 卓也が反論する。
「じゃあ、さっきはなんて里穂になんて言ったんだよ」
 公輝が、さらに追及する。
「別に、右を引いたらあがれるって言っただけさ」
 卓也が言った。
7投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月25日(月)12時51分08秒
「やっぱり、オレのカードをのぞいたんだろ!」
 公輝がさらに食い下がる、トランプで負けたくらいで、そこまでムキにな
らなくても…。
「チッチッチ、そんな卑怯なことをするかよ。ちゃんと、根拠があって、推理
したのさ」
 卓也が自信満々に言った。
「じゃあ、その根拠を言ってみろよ」
 公輝が、まだ食い下がる。
8投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月25日(月)13時15分23秒
「カンタンだよ、ジジがなんなのかは、捨てられたカードを見れば分かる
からな。
 オマエの手元に残ってるの、ハートの5だろ」
 卓也が指摘する。
 二枚ペアごとに捨てていくのだから、それを覚えていれば、ジジがなんな
のか分かる。
「それはいいよ、オレは、どうしてオレの右側のカードがハートの5だって
分かるのか聞いてるんだよ」
 すこし苛立ちながら、公輝が言った。
「だから、カンタンなんだって、オマエの手元に残ってたのは、スペードの
4と、ハートの5。
 この二枚のカードには、決定的な違いがあるんだよ」
9投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月25日(月)13時17分15秒
 みんなも、トランプがあったら考えてみよう。
 スペードの4と、ハートの5の、決定的な違いを。
「………?」
 みんなが、不思議そうに考え込む。
 どこにでもある、市販の紙製のトランプである。
 この二枚のカードに、どんな違いがあるのか…?
10投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月25日(月)13時18分21秒
今日は、ここで落ちます。二枚のカードの違い。考えて卓也がなんで分かった
のか、カキコしてみてね
11投稿者: 投稿日:2005年04月25日(月)15時18分59秒
 
12投稿者: 投稿日:2005年04月25日(月)15時43分26秒
 
13投稿者:あみ  投稿日:2005年04月25日(月)16時46分19秒
全然わかりません!!
教えてください
14投稿者:教えて  投稿日:2005年04月25日(月)17時38分10秒
 
15投稿者:早く  投稿日:2005年04月25日(月)21時39分57秒
 
16投稿者:スペードの4かハートの5のどちらかが逆さ向きだった  投稿日:2005年04月25日(月)21時50分54秒
んで実は卓也も参加してて、公輝に回すのが卓也だった。回ったカードの向きを覚えていたから〜とか
ごめん、意味わかんないかも
17投稿者:(´ー`)┌フッ  投稿日:2005年04月25日(月)21時52分34秒
僕の面前でシャーロック・ホームズ的な推理小説書こうとは
18投稿者:>17  投稿日:2005年04月26日(火)12時22分37秒
あなたは推理小説マニアなんですか?
19投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月26日(火)12時52分15秒
あんまり書けないけど、復活
20投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月26日(火)12時53分43秒
「………」
 みんな、真剣に考えている。そこまで考え込むことでもないのだが…。
「あ…!、分かった!」
 声をあげたのは、ちひろだった。
 みんながちひろを注目する。
21投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月26日(火)12時55分59秒
「2つのカードの違い。それは、上下があるのとないのだ」
 ちひろが言った。
 つまり、4のカードなら、上と下に2つずつスカート(マーク)がつくから
上下はない。しかし、5のカードは、中央のスカートの向きで上下ができる
のだ。
22投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月26日(火)12時59分17秒
「ちーちゃんが言ったので、ほぼ正解。
 公輝がそのカードを引いたとき…」

 公輝が引いた相手は、幸生だった。
 引いたカードを、自分のカードに入れるとき、公輝はわざわざ上下を正し
くなるように向きを変えた。
 卓也は、それを見ていたのだ。
「几帳面な性格が、災いしたね、前田君」
「うるせえ、チクショ〜!」
 公輝が残ったカードを放り投げる。
「お〜い、みんな、そろそろ大兜島に着くよ〜」
23投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月26日(火)13時05分49秒
 スタッフが戦士に声をかける。
 船に揺られること四時間半。ようやく、船が大兜島に到着しようとしていた。
「よ〜し、じゃあ、女の子から撮りに入るよ〜」
 プロデューサーの恩田が言った。
「はい、ちーちゃん、里穂、杏奈、手すりによってみて」
 カメラマンの土井が、三人の女の子を被写体にカメラをセットする。
「大下!、男子の立ち位置にバミ貼っとけ!」
「は〜い」
 恩田の命令で、ADの金井が忙しく動き回る。
「里穂の髪、乱れてるぞ、直して」
「はい」
 メイクの佐藤が、里穂の髪を直す。
 天てれのスタッフは、これで全員だ。

  
24投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月26日(火)13時07分05秒
ADの名前は、金井です。大下は関係ありません。
25投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月26日(火)13時09分24秒
「男の子達、こっちで台詞合わせしようか」
 恩田が卓也たちに声をかける。
「は〜い」
 男子たちが、甲板に出てくる。
「チッ…!」
「………?」
 不意に、背後から舌打ちが聞こえた。
 そこにいたのは、それはもう派手なオバハンだった。 
26投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月26日(火)13時12分25秒
 上下とも、真っ赤なスーツに、島に行くとは思えないピンヒール。
 なぜか、戦士たちに怒ってるようだが、そのまま何も言わずに引き返した。
「なんだ、あのオバサン?」
 卓也が訝しんでいるが、それより撮影が先だ。
 この他に、居眠りしているオッサンが一人。
 この船の乗客は、これで全部だ。

 
27投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月26日(火)13時13分00秒
 とりあえず、登場人物は全員出したので
落ちます。
28投稿者: 投稿日:2005年04月26日(火)16時11分17秒
 
29投稿者: 投稿日:2005年04月26日(火)16時11分48秒
 
30投稿者:age  投稿日:2005年04月26日(火)20時45分50秒
アゲ!!
もしろい〜ガンバ
31投稿者:ちょこ  投稿日:2005年04月27日(水)20時27分59秒
おもしろそぅですね
これからもがんばつて
32投稿者:w  投稿日:2005年04月29日(金)14時11分41秒
33投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)14時17分46秒
一応 登場人物

井出卓也 飯田里穂 村田ちひろ 白木杏奈 ド・ランクザン望 堀江幸生
前田公輝

プロデューサー・恩田
カメラマン・土井
AD・金井
メイク・佐藤
赤いスーツのオバサン・赤井
寝てるオッサン・久住
34投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)14時23分47秒
「ねえ卓也、私達がこれから行くアノ島、どうして大兜島っていうの?」
 カメラの前で、里穂が卓也に聞く。
「それはね…

 かつて、沖縄が島津氏に支配されていた頃、一人の王族がこの島に落ちの
びてきた。
 その王族は、この島で再起を図ろうとするが、それを果たせず、この島で
死んだ。
 その後、この島は無人島になり、地図にも載らなくなったけど、日本が
戦争に負けて、米軍が沖縄を占領したとき、この島を発見した。
 その時、死んだ王族のものと思われる兜が見つかったことから、この島を
大兜島と呼ぶようになった…

 …んだってさ」
 観光ガイドに書いてあることを、卓也が説明する。
35投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)14時27分17秒
 船での撮影を終え、いよいよ上陸である。
 しかし…
「あれ?、どうしてこんなところで止るんですか?」
 船は、島の沖合いで停泊してしまった。
「あそこは、岩礁が多くてね、潮の加減と船の喫水の関係で、この船では
接岸できないんだよ」
 船員が答えた。
 そんなわけで、ボートに荷物を詰めて運ぶことになった。 
36投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)14時30分37秒
〜大兜島〜
 
 とりあえず、戦士が先に砂浜へと降りた。
「うわぁ〜、スゴ〜イ!」
 珊瑚の死骸が創りだす砂浜は、まさに純白の砂浜だった。
 水は、限りなく透明に近い。澄んだ色をしている。  
37投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)14時34分04秒
「撮影は明日からだから、今日は遊んでていいよ」
 恩田が言った。
「やった〜!」
 戦士たちが、自分の荷物を掴んで走り出した。
 こんなこともあろうかと、すでに水着を着ていたのだ。
「やっほ〜!」
 望と幸生が、争うように海に飛び込んだ。
 ちーちゃんがビーチボールを膨らます。
「そ〜れ!」
 女の子が、ビーチボールで遊び始めた。
38投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)14時37分53秒
「なんでここで勝負なんだよ〜」
「いいから、絶対勝つね、オレ」
 卓也と公輝が、ならんでうつぶせになっている。
 ビーチフラッグで対決していた。
「よ〜い、ドン!」
 合図と共に、二人が立ち上がり、走り出す。
 公輝の方が反応は早かったが、卓也がそれに追いついた!
「どりゃああ!!!」
 二人が、同時に飛び込んだ!
「あれ?」
 二人がフラッグだと思って掴んだのは、里穂の足だった。
「もう、なにすんのよ!」
 里穂が二人にビーチボールを投げつける。
39投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)14時40分49秒
「みんなも、ビーチバレーやろうよ〜」
 ちーちゃんが、みんなを誘った。
「よっしゃ、やろう」
 公輝が、まっさきに名乗りを上げた。
「オレはプロだぞ、全国三位だ」
 望と幸生も参加する。
 女の子と公輝、望、幸生の三人で対決し、卓也は審判になる。
40投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)14時43分27秒
〜二時間後〜

 ひとしきり遊んだ後は、みんなでお世話になる村の人たちの所へ行った。
 この島の人口は、なんと十五人。
 海岸を伝っていくと、すぐに村に着いた。
「それじゃあ、お大事に…」
 村に着くと、一人の男性がいた。
 船の中で寝こけてたオッサンである。
 白衣を着たオッサンは、戦士たちに気付いたようだ。 
41投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)14時47分13秒
「やあ、船にいた子たちだね」
 オッサンが話しかけてきた。
「はい、お医者さんだったんですね」
 卓也が言った。
「ここは医者がいないからね、ときどき、私が来て見てるんだよ」
 オッサンが言った。
 中肉中背、普通の中年男性だが、医者と言われればエラくみえる。
「ここ、病院がないんですか?」
 ちーちゃんが聞いた。
「病院どころか、電気も電話もないよ、君たちのケイタイも繋がらないんじゃ
ないかな?」
 オッサンが言ったので、みんなが自分のケイタイを確かめる。
「あ、ほんとだ」
 みんなのケイタイが、圏外になっていた。 
42投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)14時51分15秒
「電気も電話もないなんて、なんかスゲェ」
 望が関心している。
 電気なんて、ほんとはなくても生活できるのに、人間の生活は電気に頼り
過ぎてる…。
 なんて、フランスの作家が言っていた。
「あ、あれ、プロパンガス?」
 幸生が、民家の外側に設置されたガスボンベに気付いた。
 どうやら、電気ではなくガスを使った生活をしているようだ。
43投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)14時55分33秒
「私は久住というんだよ、みんなハブに咬まれたりしないようにね」
 そういって、オッサンは去っていった。
 その後、お世話になる村の人に挨拶する為、村長さんの家を訪ねた。
「ごめんくださ〜い」
 杏奈が代表してノックする。
「………」
 しかし、返事がない…。
44投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)14時58分03秒
「変だな…返事がない」
 卓也が首をかしげる。
 この村の人は、ほとんどが老人なので、この時間には家にいるはずだが。
「まさか、中でたおれてるんじゃ…」
「え〜まさか…」
 里穂の言ったことを、杏奈が否定する。
45投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)15時01分28秒
「いや、わかんないよ、とにかく中の様子を…」
「あんた達、何やっとるがね」
 !!!!
 突然、背後から人の声がした。
 振り返ると、一人の老婆がいた。
「ま、まったく気配を感じなかった…」
 まるで忍者のような婆さんだが…。
「あんたら、誰だね?」
 婆さんがきいた。
「僕達、てれびの撮影でお世話になることになる、てれび戦士です」
 卓也が、みんなを成功する。
 卓也の経験からすると、こういうときは相手のほうが喜んだり、驚いたり
するものだが…
「ああ、そうかね…」
 老婆は、その一言で済ませた。
46投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)15時06分08秒
「あ、あの、よろしくお願いします…」
 みんながお辞儀をする。
「ああ、わかっとるよ…」
 老婆は、そう言っただけだった。
 普通は、老人はもっと丁寧に挨拶してくれるのだが…。
「それで、なんか用かね?」
 老婆が聞いてきた
「はい?」
 その意味を分かりかねて、卓也が聞き返す
「何か用事があって来たのかね?」
「い、いや、その、お世話になるからご挨拶をと…」
 卓也が、なんとか答える。
 どうも、付き合いにくい老婆だ。
「そうかい、用がないなら、あんまり村に近づかんどいてくれ」
「は、はぁ…」
 それだけ言うと、老婆は家に入ってしまった。
47投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)15時09分08秒
「しょうがない、キャンプの場所まで行こう…」
 みんなで、村の反対側にあるキャンプ地まで歩いていった。
「あれ…、そういえば…?」
 卓也が、村を振り返る。
 気になることがあったからだ。
「どうしたの?卓也」
 里穂が尋ねる。
「いや、…なんでもなぃ…」
 語尾が小さくなったが、卓也はそういった。
 しかし、まだそれが気になっているようだった。 
48投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)15時12分50秒
 戦士たちがキャンプをするのは、森を切り拓いて作ったキャンプ地だ。
「うわ、ヒドイ道!」
 しかし、切り拓いたとはいっても、木を何本か倒しただけで、道はデコボコ。
アスファルト舗装なんて、むろん、されていない。
 何度かコケそうになりながら、キャンプ地の中央の広場へと着いた。
49投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)15時15分25秒
 キャンプ地は、この拓けた広場から、放射状に伸びたそれぞれの道がコテージ
につながっている。
 広場には、一つの管理小屋と、炊事ようの釜などがある。
 お風呂は、もちろんない。
 言い忘れたが、この島には船は一週間に一度しか来ないため、戦士たちは
海水浴がお風呂代わりとなる。
50投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)15時18分55秒
「やあ、お疲れ様」
 打ち合わせをしていたスタッフが、戦士たちを迎える。
「撮影は明日からだから、みんな荷物をコテージにおいてきなよ」
「は〜い」
 みんなは、コテージの鍵をもらい、それぞれの部屋に向かった。
 コテージは全部で七つ。
 地図上で、右からA〜Gまでの名前がある。
 女の子三人がC。卓也と公輝がD、望と幸生がEのコテージに泊まる。
 
51投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)15時22分20秒
 スタッフは、恩田と土井と金井がF。Gには唯一の女性スタッフ佐藤が入る。
 Fは、コテージの中では一番デカイので、男三人でも大丈夫だ。
「あ〜あ、お風呂一週間もなしか…」
 荷物を置きにきた里穂が、少しグチる。
 年頃の娘が、こんなところで一週間もお風呂無し。これは確かにキビシイ。 
52投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)15時26分18秒
「そう言わないの、お仕事なんだから」
 杏奈が諭すように言った。
 もうすぐ、日が暮れる。
 初めての土地での夕暮れは、人を不安な気持ちにさせるらしい。
「ちょっと、地図みてみてよ」
 ちーちゃんが二人にいった。
 スタッフからもらった、この島の地図である。
 島の直径は、およそ五キロくらい。周囲が15キロ、村とキャンプ地までは
500mほど離れている。  
53投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)15時30分01秒
 ただ、問題は注意書きである。
 
1.ハブに注意
2.絶対にコテージまでの道の脇の森に入らない
3.夜中の外出はくれぐれも控えること

 …の三つだ。
 当たり前のようだが、この2が問題だ。 
 広場から、全部のコテージは一本道で、脇は深い森である。
 この森には、底なし沼や倒木がたくさんあるから、決して入ってはいけない
とかいてある。
「なんで、そんなとこにキャンプ場を作るのよ」 
54投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)15時31分55秒
 ちーちゃんの言い分も、もっともだ。
 はじめから、そんな危険な場所にキャンプ場を作らなければ、こんな注意
書きはいらないのに…。
「なんにしても、気をつけましょうね」
 杏奈が、二人に注意を促す。
 なんだか、大変なロケになりそうである。
55投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)15時32分33秒
もうそろそろ、事件が起きます。
だれが殺されるか、わかるかな?
56投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月29日(金)15時32分56秒
では、また今度
57投稿者:面白いし上手!  投稿日:2005年04月29日(金)19時10分12秒
頑張って完結させてね!
58投稿者:t  投稿日:2005年04月30日(土)10時31分41秒
t
59投稿者: 投稿日:2005年04月30日(土)11時49分39秒
 
60投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月30日(土)12時32分24秒
秋=イカ

こうなる暗号で

裏川島 はなんになるでしょう
61投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月30日(土)12時38分48秒
〜午後・六時三十分〜

 とりあえず、夕食をとることにした天てれスタッフと戦士たち
 今日は持ってきた材料で、バーべキュウをやる。
 洗い場で、女の子たちが材料をきり、男の子たちは火をおこす。
「幸生、ケムリが…」
 幸生が吹いたあとに、ケムリがもくもくと立ち込める。
「これくらいやった方が、雰囲気でるじゃん」
「やりすぎだっての…」
 男の子たちが、騒ぎながら火をおこしている。
 そのときだった。
「お〜い、みんな〜」
 村であった久住先生が、差し入れを持ってきてくれた。
 磯のほうでとれる、アワビやカニだった。
「やった〜、ありがとうございます!」
 久住も加わって、楽しい雰囲気でのバーベキュウになる。
 
62投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月30日(土)12時41分12秒
年齢は、戦士以外は恩田が40くらい、土井が30くらい
         金井と佐藤は20代です
         久住は50くらい、派手なオバサンは45くらいかな 
63投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月30日(土)12時45分12秒
「一応、私はこの島に慣れてますから、この広場の管理小屋で寝ています
なにかあったら、私に言ってください」
 久住がいった。
 普通、客が来たときの相手は、村のひとがやりそうだけど…
「それと、みなさん、くれぐれも道の脇の森へは入らないでくださいね
 あの森は、底なし沼なんかあって大変ですし、村の人でも無事にはで
られないんですから」
 地図の注意書きになったことを、久住は繰り返し戦士に伝えた。
 どうやら、本当に危険な森らしい。 
64投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月30日(土)12時49分17秒
 そんな事を話してるうちに、なんとなく盛り上がってきた。
 沖縄では、ミミガーを油で炒めて食べるとか、沖縄の話題で盛り上がる。
 久住は沖縄本島の出身だった。
 二、三ヶ月に一度、この島に来て村の人たちの健康診断をしているとか…
 くだらない話で盛り上がっていた、そのとき。
「ちょっと、よろしいかしら」
 突如、おんなの声がした。
 佐藤でも、女子戦士でもない。
 声の主は、船で見かけた、全身真っ赤なスーツのオバサンだった。
65投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月30日(土)12時55分07秒
「ワタクシのコテージの鍵、もらえるかしら?」
 どうやら、このオバサンも、コテージに泊まるようだ。
「あ、はい、赤井さんですね。ちょっとお待ちを…」
 久住が管理小屋に走っていった。
「あ、あの、どうもこんばんわ」
 卓也が挨拶する。しかし、赤井と呼ばれたオバサンは、一度戦士を見ただけ
で、すぐにそっぽを向いてしまった。
 こんな小さな島には似つかない、真っ赤なスーツに、高いピンヒール。
 美人といえそうな、いえないような、あまりイイ感じのしないオバサンだ。
「失礼しました。赤井さんのコテージはBのコテージになります」
 広場から七本あるコテージへの一本道。
 そのうち、Bコテージに通じる道を久住が指差す。
「どうも、ありがと」
 あんまり感謝していないような口ぶりで、赤いが言った。
66投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月30日(土)12時59分59秒
「それから…」
 コテージに向かおうとした赤井が、戦士たちのほうをみて言った。
「テレビだか、ビデオだか知らないけど、あんまり騒がないで頂戴ね」
 それだけ言うと、赤井はさっさとコテージへ向かってしまった。
「なんだ、あのオバサン。感じワル〜イ」
 戦士たちからは、非難ごうごうだ。
「久住さん、誰なんですか?あのひと?」
 望が聞いた。
「う〜ん、赤井さんといって、東京でブティックを経営してるらしいんだけど
詳しくは知らないよ」
 久住は、他に人がいないから管理小屋の鍵を任されているだけで、特に
客をチェックしているわけでもなかった。
 自分のコテージに消えていく赤井。卓也は、それをみてある疑問がよみがえった。
 村を訪れたときに感じた疑問を…
67投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月30日(土)13時05分06秒
〜午後九時〜

 そろそろ、寝る時間が近づいている。
 みんなで協力して、後片付けをやっている。
「あの…久住さん」
 卓也が、思い切って聞いてみた。
「なんだい?」
「オレ、村を訪れたときにきになったんですけど…」
 卓也が話し始めた。
 近くには、ちーちゃんと里穂、公輝がいる。
「この村、小さい村でお年寄りばっかりだってのは分かるんですけど…
 どうして、子供がいないんですか?」
 卓也が感じた疑問は、ソレだった。
 村を訪れたとき、出会ったのは老人や中高年の夫婦ばかり。
 卓也たちくらいの子供は、一人として見つけられなかった。

 
68投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月30日(土)13時10分39秒
「いくらなんでも、子供が一人もいないんじゃ…いつかこの村…
 なくなっちゃうんじゃないですか?」
 卓也の言うとおりだった。
 若い人が少ないのはともかく、どうして子供がいないのだろうか?
「そうか、気づいたか…」
 当然、久住もそのことはしっているはずである。
「君たちには難しいかもしれないけど、この村は戦後になって人が住み始めたんだ
 最初に来たのは、30人ほどの若い人だったよ
 でも、ここは台風が多いうえ、作物も実らない。
 潮も荒いから、漁は命がけだからね、少しずつ人は減って、最終的には
8人しか残らなかった。
 その八人が、この村の創始者なんだけど。その人たちはあまり外にでたがら
ないひとでね、ずっと島の中で暮らしてた。当然、結婚する相手も島の人さ…」 
69投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月30日(土)13時14分15秒
 一呼吸おいて、久住が続けた。
「…だから、この村の人は、ほとんど親戚関係になるんだ。これがどういう
ことかわかるかい?」
 少し難しいかもしれないが、これは遺伝子の問題である。
 それは、ある一定の遺伝子の交配を続けていくと、その刺激では新しい
命を作り出せなくなってしまうのである。
 古代エジプト王朝も、血族同士での結婚を繰り返したために、子孫が生まれ
なくなり、滅んだそうである。
70投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月30日(土)13時18分44秒
 ようするに、例えば兄弟同士で結婚してしまうと、その子にはなんらかの
障害が生まれる可能性が高くなり、さらにそれを続けると、いずれは子供が
生まれなくなってしまうのである。
「…そういうわけで、この島ではもうだいぶ前から子供がいないんだ…」
 久住は、そういってため息をついた。
「そ、それなら、本島にいってお嫁さん探しに行ったら…」
 里穂が言った。
 確かに、そうすれば新しい子供が生まれる可能性はグッと高くなる。
「いや、さっきも言ったとおり、この村の人は村の外にはでたがらないんだ。
 僕も、なんどか進めたんだけどね」
 そういうと、深い沈黙が続いた。
 つまり、この村は、そう遠くないうちに、再び無人島になってしまうのだ。
71投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月30日(土)13時25分28秒
「まあ、君たちのうち、だれかが結婚してこの島に来てくれるといいんだけど…」
 久住が、そんな冗談を言うのがやっとだった。
「じゃあ、もうずっと子供はいないんですか?」
 同じ事を、ちひろが聞いた。
「ああ、十二、三年前に一人だけ子供がいたんだけどね、でも…山で遊んでいる
うちに、傷口から破傷風にかかってね…」
「死んじゃったんですか?」
 目を丸くして、ちひろが言った。
 久住は、小さくうなずいた。
「生きていれば、君たちと同じくらいなんだけどね」
 結局、その子の両親は、その後、島を離れてしまったらしい。
 
72投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月30日(土)13時28分30秒
〜午後十時〜

 Dコテージ。
 卓也がベッドに寝ている。
 公輝は、靴についたドロを落としている。
 高かったマーチンだが、あの悪路のせいでボロボロだ。
「なあ、公輝、どう思う?」
 卓也が聞いた。
「何が?」
 公輝が聞き返す。
「村の人のことだよ、このまんまじゃ、無人島になっちゃうだろ」
 久住の話を聞いたあの場にも、公輝はいた。
 ただ、黙って話を聞いていただけだが。
73投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月30日(土)13時32分27秒
「さあね、オレにはわかんないよ」
 公輝は、サラリと言った。
「お前なあ、もし自分の生まれた町が、いつかなくなっちまうってなったら
どうすんだよ」
 公輝の生まれは、横浜のようだ。
 まあ、いきなりなくなってしまうなど、考えられないだろうが。
「知らねえよ、オレの生まれ故郷じゃないんだから」
 公輝は靴を放り出し、ジャージに着替えた。
 パジャマの代わりである。
「もう、寝ようぜ、おやすみ!」
 そういうと、公輝はベッドに潜り込んでしまった。
「まったく…」
 卓也は、考えていた。
 子供がいないことと、それと、もうひとつ…
74投稿者:ジョン  投稿日:2005年04月30日(土)13時32分55秒
次回、いよいよ最初の事件が起こります
お楽しみに
75投稿者: 投稿日:2005年04月30日(土)15時01分00秒
 
76投稿者:t  投稿日:2005年05月01日(日)11時25分05秒
77投稿者:e  投稿日:2005年05月02日(月)10時48分14秒
78投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)10時49分27秒
昨日はこれなくてゴメンサイ
今日から書きます
79投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)10時52分26秒
〜七月二十五日・午後12時〜

 一晩明け、今日から撮影に入る。
 村のばあちゃんに、この島の郷土料理を教えてもらうコーナーから撮影を
始めるのだが…
「…そこで、豚のバラ肉を入れます…」
 撮影は、あまり盛り上がってはいなかった。
 おばあちゃんは、料理の作り方を教えてくれるだけで、他の事は喋ろうと
しなかった。
80投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)10時57分28秒
 まあ、地方のロケに行くと、大概はこうだ。カメラに映るのが始めてとい
う人ばかりだから。
 しかし、それでも、もうちょっとは喋ってくれるのだが…
「え〜、じゃあ、これはこの島の人がかんがえたんですか〜?」
「すごいなぁ…、じゃあ、この島でしか食べられないんですね?」
 里穂とちーちゃんが、なんとか盛り上げようとする。
「そう…なるねぇ…」
 しかし、おばあちゃんは乗ってこない。
「こりゃあ、編集でなんとかするしかないな…」
 プロデューサーの恩田が言った。背の低い中年男性である。
 あんなに喋ってもらえないとなると、あとは関さんのMCに期待するしかない 
81投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)11時01分36秒
「じゃあ、食べるシーンに行こう、金井、準備しろ」
「は〜い」
 180cmくらいある長身のAD金井が、テーブルを出して盛り付けを直す。
 一番若くて下っ端の彼の仕事は多い。
「杏奈ちゃんの髪直して…」
「はい」
 小柄な女性の佐藤が、杏奈の髪をセットしなおす。
「どうよ、土井ちゃん」
「どうもね〜、おばあちゃんの表情が硬くて…」
 こっは175cmくらいのカメラマンの土井。
 カメラは、かなりデカくて重い。   
82投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)11時04分42秒
 順調とは言えないが、撮影は進んでいく。
 みんなで火を熾したり、釣りをして食料を調達したり、太陽がサンサンと
降り注ぐなか、撮影を続けた。

〜数時間後〜

「よっしゃ〜、バッチこ〜い!」
 撮影が終わり、休憩に入る戦士たち。
 男の子たちは、砂浜で野球に興じていた。
83投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)11時08分46秒
「いいねぇ、若いってのは…」
 炎天下のなか、けっこうハードな後なのに遊びまわる戦士たちを見て、疲
れはてた恩田が言った。
 四十過ぎの恩田には、さすがに一緒になって遊ぶ体力はなかった。
 カメラマンの土井が、その風景を撮影する。
「おい、あんまりフィルム使いすぎるなよ、あるだけしかないんだから」
 恩田が注意する。
 当たり前だが、この島にTVカメラ用のフィルムなど売ってるところはない
 フィルムは、持ってきただけしかないのである。
「大丈夫ですよ、かなり多めに持ってきましたから」
 土井はそういって、撮影を続けた。
  
84投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)11時12分03秒
「オラ、こ〜い!」
 バッター望に対して、ピッチャー卓也。
 カウントは2-1。
「うおおおお!!!!。
 ザトペック投法!!!!」
 ザトペック投法…。知ってる人いるかな?
 阪神ファンの知り合いがいたら聞いてみよう。
 とにかく、卓也が投げた!

 カキィィィィィーーーンンンン!!!!!

 …と、音だけはいいが、大きくそれてファウルとなる。
85投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)11時17分45秒
「おい、どうすんだよ、ボール一個しかないんだぞ」
 ボールが、林の中に入ってしまった。
 ボールは一個しかない為、みんなで探すことになった。
 土井は、そんなトコまでカメラを回している。
「土井さんも探してくださいよ〜」
 卓也が、林の奥の方へと進む。
 土井もそれを追っていく。
「う〜ん、ないな〜」
 卓也がボールが転がった方向をたどってみるが、一向に見つからない。
「う〜ん、確かにコッチに…」
 遠くのほうで、公輝が卓也のほうを見ている。
「イテ!!!!」
 そのとき、卓也の腕に鋭い痛みが走った。 
86投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)11時26分37秒
「イッテ〜、なんだコレ?」
 卓也が後ろを振り返ると、竹かなんかを針金で縛ったものが、延々と続いて
いた。
 飛び出た針金が、卓也の腕を引っかいたのだ。
「大丈夫かよ、卓也」
 近くにいた望が、卓也に駆け寄る。
「大丈夫だよ、引っかいただけだし、でも、なんでこんなところに…」
 よく見ると、立ち入り禁止と書いてある。
 この先は危険だから、こうやって竹の柵で区切ってあるのだ。
 卓也の背より、かなり高い。
「お〜い、ボール見つかったよ〜」
 幸生の声がした。
「わかってた…。どうします?、一応、消毒しといた方がいいと思いますけ
ど?」
 望が言った。
「そうだな…、お〜い、金井!、消毒薬持ってきてくれ!」
「は〜い」
 一番忙しい金井に、消毒薬を持ってこさせ、消毒した。
87投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)11時28分10秒
「じゃあ、行こうか」
 治療も終わり、望と卓也が砂浜に戻る。
「………?」
 ふいに、望が柵のほうを振り向いた。
「どうした…?」
 卓也が聞く。なにか変なものでも見つけたのだろうか?
「イヤ…。うん、なんでもねえよ」
 望が言った。なんだか嬉しそうだけど…
「変なの…」
 こうして、四人は砂浜に戻った。 
88投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)11時28分31秒
ここ、けっこう重要です。
89投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)11時31分09秒
〜午後七時四十分〜
  
 みんなが夕食を食べて、明日からのスケジュールを確認する。
 あと六日で帰るのだが、それまではみんなこの島にいる。
 当然、久住も、あの赤井とかいうオバサンも
90投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)11時36分40秒
 少ししてから、みんながそれぞれのステージに入った。
 
〜Cコテージ〜

 卓也と公輝が寝ているCコテージ。
「そういえば、今日はあのオバサン、見なかったな…」
 卓也が言った。
 今朝、朝食を取っているとき、広場を通り過ぎてどこかへ行っていたが、それっきり夕食のときも見ていない。
 村の方へ行ったようだが、いったい何をしに行ったのだろう。
 どう考えても、あの派手なオバサンは、この島には似合わない。
 浮いた存在なだけに気になる。
「知らね〜よ、明日も撮影あんだから、とっとと寝ようぜ」
 そういうと、公輝は眠りに入ったようだ。
「おやすみさん」
 卓也は、灯油ランプを消した。
 電気も電話もないここでは、唯一の明かりはこの灯油ランプだ。 
91投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)11時38分36秒
失礼、卓也と公輝はDコテージでした。
訂正します
92投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)11時42分49秒
〜Eコテージ〜

 望と幸生が寝ているEコテージである。
「やっべ〜、どうしよう!」
 望が、なにかに困っていた。
 灯油ランプの灯油が切れてしまったのだ。
 唯一の光源がなくなると、この島は完全に真っ暗で、ほんの1mも離れて
いない、幸生の顔も見えない。
 灯油は、広場の管理小屋にいる久住にもらってくるしかないのだが…
「もう、外真っ暗だよ、危なくねえ?」
 都会で暮らしている二人には、たとえ夜でもネオンサインやコンビニの
明かりがあるのが当たり前で、こんなに真っ暗なのは始めてである。
 いや、本当に真っ暗闇なのである。 
 
93投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)11時44分25秒
「いいよ、もう寝ようぜ、明日の朝にもらってくればいいじゃん」
 望が言った。
「そうだな…、もう寝よう…」
 そういって、二人はベッドに入った。

94投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)11時46分50秒
〜数時間後・Dコテージ〜

「………」
 寝ていた卓也が、急に便意を催し、起きてしまった。
 当然、となりのベッドでは公輝が寝ている。
 明かりをつけて、起こしちゃ悪い。
 卓也は、暗闇を手探りで広場にあるトイレへと向かった。
95投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)11時49分02秒
〜広場・トイレ〜

 管理小屋には、まだ明かりがついている。久住は起きているようだ。
「ふう…」
 和式の便所で、卓也が用を足し始める。
 一つしかないトイレだから、並ばなきゃならないのが、女の子には不評
だった。
96投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)11時52分15秒
「う〜ん、こんな真っ暗な中でトイレするのは、ちょっと複雑」
 卓也は、ポツリと呟いた。
 とにかく寂しい。
 こんな寂しいトイレは、初めてだ。
「さて、出るか…」
 用も終わり、後は拭くだけ…しかし…
「あ、あれ!」
 なんと、紙がないではないか!
 こんな暗く寂しいトイレで、紙がない。
 これは、チト厳しいぞ。
「久住さんは起きてるはずだ。久住さん!、久住さん!、紙ください!」
 卓也が、管理小屋に向かって叫んだ。
97投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)11時55分17秒
〜数分後〜

「ちゃんと確かめないとだめだよ…」
「すいません」
 久住に紙を持ってきてもらい、ことなきを得た。
「しかしまあ、こんなに暗いんじゃ、確かめようもないか」
「そうですよ、本当に真っ暗で…」
 卓也と久住が、しばらく話し込む。
98投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)12時01分44秒
〜Eコテージ〜

「………」
 こちらでは、幸生がトイレに起きだした。
 当然、トイレは広場にしかないから、そこまで行かなくてはならない。
 ついでに、灯油ももらっていけばいいのだが…。
「うわぁ…」
 望は、完全に熟睡状態だ。
 熟睡状態になれば、望は地震が来ても起きない。
 そとは、1mどころか50cm先も見えない暗闇である。
(どうしよう…)
 これだけ暗いと、広場へ行く15mほどの道だって怖くなる。
(いいや、その辺ですませちゃお)
 幸生は、外に出て道の脇の森に少しだけ入った。
 だれが見ているわけでもないが、とりあえずエチケットだ。
 しかし、その幸生が行った後に、一つの人影が入れ替わりにEコテージに
入っていったことを、幸生は気づかなかった!。
99投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)12時10分31秒
〜七月二十六日・午前二時・Eコテージ〜

 明かりもなく、完全に真っ暗なコテージ。
 望は、自分のコテージに人が入ってきたというのに、まったく気づかない
 その人影は、ゆっくりと望に近づいている。
(………)
 人影は、望の顔を覗き込むと、おもむろに二本の腕で望の首を絞めた!

「!!!!!!!!!!!!!!」

 寝ているところに、急に首を絞められた。
 いくら眠りの深い望でも、慌てて飛び起きる。
 しかし、その二本の腕は強力で、寝ている体勢の望では反撃もできない。
(こ、殺される…)
 望の意識が、朦朧としてきた。
 これ以上締められたら、望が死んでしまう
「誰だ!!!!」
 そのとき、トイレをしていた幸生が帰ってきた。
100投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)12時16分01秒
「!!!!」
 犯人は、驚いた。
 広場のトイレに行ったならまだ帰ってはこないだろうが、近くの森ので
済ませた幸生は、意外と早く戻ってきたのだ
(ッチ…)
 小さく舌打ちした犯人だが、このままでは幸生につかまる。
 望の首を絞めていた腕を放し、幸生を押しのけて逃げ出した。
「待て!」
 幸生が追いかけようとする…しかし…
「ゴホッゴホッ!!!」
 急に咳き込む望。犯人は暗闇の中、消えてしまった。
「クソ」
 幸生は追うのをあきらめ、望に駆け寄った。
101投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)12時19分18秒
「大丈夫か、望…」
 望を抱き起こす幸生。
 望の首には、ハッキリと扼痕があった。
「いったい、誰なんだ、顔は見てないのか?」
 この暗闇の中、幸生には犯人の顔は見えなかった。
「……、わかんねえ…、暗かったし、いきなりだったし…」
「とにかく、広場に行って、久住さんに伝えよう」
 望に肩を貸して立ち上がらせ、二人は広場へ向かった。
102投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)12時24分32秒
〜二分後・広場〜

「どうしたんだよ、望!」
 幸生に抱えられるような格好で広場までやってきた望。
 何があったのかわからない卓也が、驚いて二人に聞いた。
「望が誰かに襲われたんだ、俺がトイレに行ってるスキに」
「ええ!!!!」
 卓也にとっては、信じられないことである。
「誰なんだよ、犯人は!」
「わかんねえよ、暗かったし…」
 望は、気管支を痛めたのか、呼吸するのがキツイ。
 幸生が変わりに答える。
「でも、さっきからこの広場にいるけど、だれも来なかったぞ!」
 卓也の言う通りであった。
 どのコテージに向かうにしても、この広場を通らねばならない。
 卓也は、先刻から久住と話していたから、誰かが通れば、二人が気づく
はずなのだ。
103投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)12時28分06秒
「知らねえよ、とにかく久住先生、望を見てやってよ」
「わかった、とにかく管理小屋へ…」
 久住が、二人を管理小屋の中へ入れた。
「望が、襲われた…。いったい…?」
 卓也が考え込む。
 まさか、望を恨んだ誰かが…?
 いや、望は恨みを買うような人間じゃない。
 つまらないダジャレと、場の空気を読めない愛すべき戦士だ。
104投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)12時31分58秒
〜同時刻・Cコテージ〜

 ここは、女の子三人が寝ているCコテージであるが、女の子たちは寝ていな
かった。
 完全に真っ暗にするのが怖いから、灯油ランプをつけたまま、ずっとお話
をしていたのだ。
「ねえ、なんか広場のほうが騒がしくない?」
 杏奈が言った。
「確かに、様子が変だ」
 ちーちゃんも、広場のほうから卓也や幸生の声がするのに気づいた。
「行って…見る?」
 里穂が、恐る恐る言った。
 この暗闇の中、外に出るのはチト怖い。
「三人で行きましょう。手をつないで」
「そうだな、そうするしかない」
 三人は、ショールを羽織って外に出た。
105投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)12時36分49秒
〜広場〜

 パジャマ姿に、ショールを羽織った三人が広場についた。
 ちょうどそこにいた卓也に、なにがあったのか聞く。
「え〜!、望が襲われた!」
「いま、久住先生が治療してる。命に別状はないそうだ」
 命に別状はない…。
 医師がそういってくれれば安心だが、襲われた…と聞くと、やはり怖い
「犯人は誰なの?」
 杏奈が、一番気になることを聞いた。
「それが、捕まってなくて…、でも…」
「おい、何の騒ぎなんだよ!」
 卓也が喋っている途中で、ジャージ姿の公輝がやってきた。
 公輝も、騒ぎに気づいて起きてきたようだ。
「は!?、望が襲われた!」
 公輝も、かなり驚いている。
「誰に?」
「わからないんだ、オレ、ずっとここにいたけど、誰も見てないし…」
106投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)12時39分50秒
 いったい、犯人はどうやって望のコテージに侵入したのだろうか?
「とにかく、恩田さんたちに知らせないと!」
 公輝が言った。
「ああ、みんなはここで待ってて、動いちゃダメだよ」
 卓也と公輝が、恩田たちのコテージへと向かった。
「………。望が襲われるなんて…」
「なんか…怖い…」
 里穂が、ちーちゃんに寄り添う
107投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)12時43分47秒
〜数分後〜

「どうしてこんなことになるんだ!」
 恩田が、とにかく不満を撒き散らす。
 当たり前だが、このロケの責任者は恩田である。
 戦士にもしものことがあれば、クビではすまないかもしれない。
「でも、とりあえず、命は無事なんでしょう?」
 佐藤が言った。
 一人でコテージを使っている彼女は、心細さを感じた。
 とにかく、これでスタッフ全員がそろった。
 いないのは、あの派手なオバサンくらいだが…。 
108投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)12時46分40秒
「あ!、久住先生!」
 管理小屋から、久住が出てきた。
「先生、望は!?」
 みんなが久住に詰め寄る。
「大丈夫、命に別状はありません、少しショックを受けているのでこのまま
休ませてください」
「よ、よかった〜」
 恩田が、ヘタリ…と座り込む。
 これで死なれでもしたら、ローンも払いきれず、女房にも離婚届けをつき
つけられるところだった。
「彼には、幸生君が付き添ってますから、大丈夫です、コテージに戻って
ください」
 久住が言った。
109投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)12時49分53秒
「まったく、誰がこんなことを…」
 みんあが、くちぐちにうわさをする。
「二人は顔を見てないようですし、ただ、かなりの力で締め付けています
から、女性とは考えられないですね」
 久住が言った。
「女性といえば、あのオバサン、赤井さんでしたっけ?いませんね」
 女性が犯人でありえない以上、赤井は関係ないだろうが…
「一応、注意しといたほうがいいかもな、彼女も襲われるかもしれないし」
「そうですね…」
110投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)12時53分19秒
 フタッフ全員と、卓也、公輝、久住がBコテージへと向かう。
 女の子たちは、幸生と一緒に望を看病している。
 赤井というオバサンが泊まっているコテージである。
(そういえば、あのオバサン、なんでこの島に来てるんだろう…)
 コテージに向かう途中、卓也は考えていた。
 この島に所縁があるのなら、村の人の家に泊まるだろう。
 観光とも思えないし、あの年齢のオバサンが一人で旅をするなんて…
 そう考えているうちに、コテージに着いた。
111投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)12時58分53秒
「すいません、恩田さん!、起きてください!!」
 久住が、コテージのドアをノックする。が、返事はない。
「おかしいな、寝えるにしては…明かりが漏れてる…」
 嵌め殺しになってるマドからは、部屋の中に明かりがついているのがわかる。
「赤井さん、起きてください!。赤井さん!」
 さらに激しく、ノックする。しかし、やはり返事はなかった。
「おかしいなあ…。起きてる気配はないのに、明かりはあるし…」
 どうも、今夜は妙なことばかり起こる夜だ。
「あのマドから、中の様子がわかるんじゃないですか?」
 卓也が言った。
 少し高いところにある窓だが、中の様子を伺うにはそれしかない。
112投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)13時02分08秒
「あんまり、女性の部屋をのぞくのはいいこととは言えんけど」
 他に手がない以上、そうするしかなかった。
 卓也が、公輝に肩車をしてもらって、中の様子を覗き込む
「もうちょっと、もうちょっと右…。いや、やや左よりの右」
「わかりにくいよ!」
 微調整しながら、卓也は顔をマドに近づける。
「!!!!!!!!」
113投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)13時05分01秒
 卓也が、驚きのあまり倒れそうになる。
「イテテ、どうしたんだよ、卓也!」
 下になっていた公輝。卓也に思いっきり髪をつかまれる。
「し、しし、死んでる!。中で、血を流して…!」
「ええ!!!!!!」
 なんと、卓也が見たものは、血の海の中で喉にナイフを突き立てられた
赤井の死体だった!
114投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)13時07分50秒
「ど、どういうこと?」
 恩田が慌てて聞く。
「どういうことも、こういうこともないですよ、血を流して、死んでるんで
す!」
「!!!!!!」
 スタッフが、腰を抜かさんばかりに驚いている。
「と、とにかく、中に入ろう!。扉をコワして!」
「あ、薪割りようの斧があった!」
「よし、それで!」
 ADの金井が、斧を振りかざした。
「ドリャ!」
115投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)13時10分24秒
 斧で鍵を壊し、中に入った。
 鍵は確かにかかっていたようだ…。
「う…」
 そこで全員が目撃したのは、血に染まったシーツと、その中で横たわる
赤井の死体だった。
 喉に突き刺さったナイフ。
 それ以外に傷は見当たらない、コレが致命傷のようだ。
「いったい、どうなってるんだ…」
116投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月02日(月)13時11分03秒
はい、というわけで、第一の殺人が起きました
次回、推理編をお楽しみに
117投稿者: 投稿日:2005年05月02日(月)16時55分21秒
 
118投稿者:age  投稿日:2005年05月03日(火)12時27分39秒

119投稿者:ティンカーベル  投稿日:2005年05月03日(火)13時00分16秒
あげ!がωばれ☆彡
120投稿者:あげ  投稿日:2005年05月04日(水)11時34分46秒

121投稿者: 投稿日:2005年05月06日(金)11時55分35秒
 
122投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)13時05分24秒
殺されたのは、派手なオバサンこと赤井。
喉に突き立てられてナイフによる失血死。
コテージのドアは一つで、鍵が内側からかかっていた。
マドは嵌め殺しで、開けることはできない。

完全な密室殺人ですね〜
123投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)13時08分32秒
「ど、どうなってんだよ…」
 死体を目の当たりにした公輝が、ヘタリと座り込む。
 そんなもの、こっちが聞きたいくらいだ。
「ひょっとして、望を襲ったやつが…?」
 卓也が言った。
 確かに、そう考えるのが自然だが、しかし、望を襲ったやつが赤井を殺さ
なくてはならない理由は、なんだ?
124投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)13時13分23秒
「遺体が、まだ温かいが…死後硬直はすでに始まっている。
 死後一時間から二時間ってところかな…」
 久住が取敢えず、検死する。
「ってことは、犯人はまず、このオバサンを殺し、次に望を襲ったって事か」
 公輝が言った。
 確かに、望が襲われたのは三十分ほど前だから、時間的にはそうなる。
「しかし、どうしましょう。こ、こんなところで殺人なんて…」
 恩田があたふたしている。
 望も襲われてるし、撮影中止の可能性も…
「なんにしても、警察に届けないと…」
 そう、それはそうなんだが…
「困ったな…」
 久住が、困り果てた顔になる 
125投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)13時16分42秒
「この島には、電話がない。普段の通信は郵便のみなんだ…
 一応、緊急連絡用の無線機があるけど…」
 この島には、郵便以外に外部と連絡を取る手段がなかった。
 駐在員もいないし、警察にとどけようにも、あと五日またなくてはならない
のだ
126投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)13時21分09秒
「と、とりあえず、現場の保存ですよね…
 オレ、カメラ持ってきます」
 カメラマンの土井がコテージに戻っていった。
「久住さん、無線があるって言ってたけど…?」
 卓也が言った。
「ああ、一応ね…自家発電機能のついた奴だけど…調子が悪くて…」
 無線はあるが、村に使い方のわかる人がいないから、メンテもされず、ホコリを被っているらしい。
「でも、一応やってみないと…」
「うん、でも…明日にしよう…今日は色んなことがありすぎた…」
 久住が言った。
 土井のカメラで現場の写真を撮ったあとは、みんなで広場で過ごした。 
127投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)13時25分17秒
〜同日・午前七時半〜

「くそ!、やっぱりダメだ!」
 久住がドライバーを叩きつける。
 夜が明け始めたくらいから、ずっと機械と格闘している。
 土井や恩田も手伝っているが、いかんせん自家発電装置が動かない。
 電力を供給しないと、無線機も動かない。
「くそ〜、これじゃあ、次の船が来るまで死体と一緒かよ」
 土井が投げ出して寝っ転がる。
128投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)13時29分30秒
 ただでさえ、こんな事件が起こって気が重いというのに、警察も呼べない
なんて、地獄だ。
「ふう〜、仕方ない、なんとかロケをやろう」
 恩田が言った。
 赤井は関係者じゃないから、彼女が死んだからといって、撮影を中止には
できないのだ。
「でも、望君がまだ…」
 望は、ショックからか、まだ寝ていた
「望君、あれでけっこう繊細なところあるから」
129投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)13時55分36秒
 昔からイジられキャラを恣にしてきた望だが、その性質は繊細だった。
 その裏返しが、テレビの中でキャラクターを作っていた。
「ともかく…、どうにかして撮影に入ろう…」
 そういって、恩田は管理小屋をでた。
130投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)14時04分29秒
〜午前・八時〜

「え〜、撮影を続けるんですか?」
 戦士たちが言った。
「そりゃそうだよ、もう半分は撮り終わってるんだからね」
 恩田が言った。
 もう、村の人たちの協力を必要とするロケは終わり。
 あとは戦士たちの撮影だけである
「でも、望はまだ寝込んでますよ」
 公輝が言った。
 予定では、この後は洞窟探検をすることになっている。
 しかし、望がいないんでは、できなくなってしまう 
131投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)14時05分47秒
「待ってよ、なんか考えるから…」
 そういって、恩田が頭をひねりだした。
 とにかく、なにかアイディアを出さねば…
「みんなも考えてよ」
132投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)14時09分05秒
「う〜ん…」
 みんながアイディアを考える中、卓也だけが早朝におきた事件のことを
考えていた。
 事件がおきた時のみんなのアリバイ(現場不在証明)は…

 卓也と公輝は、同じコテージで寝ていた
 女の子たちは、三人ともずっと起きていた
 望と幸生も同様である
 大人たちも、コテージで寝ていたと言ってる
 唯一、一人でコテージにいる佐藤だけは、それが証明できないのだが… 
133投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)14時11分25秒
 だが、問題なのは望を襲った犯人である。
 望が襲われたとき、広場には卓也と久住がいて、ずっと話していた
 その間、誰も広場を通っていない。
 久住は、卓也が起きてくる以前から起きていたが、それでも誰も見ていない
という
 
 
134投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)14時13分44秒
 つまり、誰も望のコテージにいけた人間はいないのだ。
(いったい、どういうことなんだ…?)
 卓也が考え込んだ。
 犯人はまだ捕まっていない。
 望と赤井は、なんの関わりもない
 と、すれば、無差別殺人とも考えられる
 また、新たな犠牲者が出てくる可能性があるのだ
135投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)14時17分15秒
「そうだ!、MTKをやろう!」
 突然、恩田が思いついた。
「MTKって…どうやって…?」
 公輝が聞く。
「ふふん、実は音響のセットも持って来てたんだよ…。録音用のマイクも
あるからね」
 通常のロケに使うマイクと、音楽の録音に使うマイクは構造が違うが
ちょうど、それも持ってきていたのだ
136投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)14時20分36秒
「でも、MTKっていっても、ユニットが揃ってるのは『スピリチュアル』くら
いですよ」
 確かに、メンバーが完全に揃っているのは、ソロ以外ではそれくらいである
「ラジスタで行こう。勇気の代わりは卓也君で、ジョアンの代わりは里穂。
杏奈ちゃん、ダンスの振り付け、教えてあげてよ」
「ホントにやるんですか〜?」
 勝手に、ユニットをシャッフルしてよいものなのか…
 ともかく、恩田の一存でMTKをやることになった。 
137投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)14時24分20秒
〜午後十時・砂浜〜

           ラジオスターの悲劇

 里穂のトランジスタラジオから いつも流れた君はスーパースター
 かじりつくよに聞いたものさ  Oua Oua

 素晴らしかった君のシンフォニー それを葬る最新テクノロジー
 古くなっても素敵なのに    Oua Oua

 君の時代も これが最後

 ビデオが消したラジオスター ビデオが消したラジオスター

 戻れないあのときには この世界は進みすぎた
 
 Ah aaaAhー
138投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)14時25分53秒
「………」
 MTKの撮影の終わった四人である。
「なんか、歌詞がおかしくなかった?」
 卓也が言った
「え〜、普通だったよ〜」
 里穂が言うが、確かに歌詞がおかしかった
139投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)14時29分10秒
「あ〜あ、クツがボロボロだよ…」
 そういったのは、公輝だった
 公輝のマーチンは、悪路でボロボロになったうえ、砂浜でのダンスによって
とうとう穴が開いてしまった。
「どうしよう、もうビーサンしかないよ」
 公輝、クツはマーチンのほかはビーチサンダルしか持ってこなかった。
「クツのサイズは?」
 卓也が聞く
「二十五だけど…」
「じゃあ、里穂の入るんじゃない?」
 里穂のクツのサイズは、プロフでは24.5となっている
140投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)14時31分41秒
「入らねえって…女物じゃあ…」
 サイズが近くても、女物は男には入らない。
「もう、失礼ね!」
 里穂が怒っている
「お〜い、みんな〜」
 この声は、幸生だ…
「なんだ、あいつ、望に付き添ってたんじゃないのか?」
 みんなが不思議がるが、幸生のとなりには、望がいた。
141投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)14時36分12秒
「あ!、望!」
 みんなが望にかけよる。
 公輝も、ケンケンでみんなの後を追った。
「大丈夫なのか?起き上がって」
142投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)14時41分02秒
「なんだよ、大袈裟だな、大丈夫だって怪我はないんだから」
 望が、自分がピンピンしていることをアピールする
「だからもう、全然OK.さっさとロケを始めようぜ」
 みんなは、(少し無理してるかな…)を思いつつ。望が元気なので喜んだ
143投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)14時43分14秒
「ま、なんにしても元気でよかったじゃん」
 公輝がいった。
「そうだよ、なんか、あの変なオバサンは死んじゃうし、どうなるかと思った
んだから」
 里穂がいった。
144投稿者:ウンコがーーーしたい  投稿日:2005年05月06日(金)14時43分20秒

145投稿者:すれば?  投稿日:2005年05月06日(金)14時45分24秒
 
146投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月06日(金)14時45分46秒
とりあえず、落ちます
147投稿者: 投稿日:2005年05月06日(金)16時13分28秒
 
148投稿者:書いて  投稿日:2005年05月07日(土)10時42分38秒
早く!!
149投稿者:e  投稿日:2005年05月08日(日)10時16分44秒
150投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)10時23分36秒
「よかったよかった、よし、じゃあ洞窟探検のロケに行こう!」
 立ち上がった恩田が行った。
 なんとかロケを終えてしまえば、あとはこっちのもんだ。
「そりゃあ、ムリですよ」
 卓也が言った。
「なんで?」
「公輝のクツが穴開いて、ビーチサンダルしかない。あれでは洞窟探検は
できませんよ」
 そうだった。
 公輝のクツが壊れてしまった以上、危険な洞窟探検はできない。
「そんなぁ…」
 恩田ががっくりとうなだれる。
「なんだ、公輝、クツ壊れたの?」
 望みが言った。
「ああ…、買ったばっかなのに…」
 けっこうな値段がしたマーチンだが、足の指が全部見えてしまっている。
「馬鹿だなぁ、こんな島にマーチンなんて履いてくるからだよ」
 そういう望のクツは、ジャンプマンだった。
151投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)10時27分21秒
 ナイキのエアの入った、万能型のバっシュだった。
「これいいぜ、あんな悪路でも、ちっとも足に負担かからないもん」
 ナイキのスニーカーの技術は、世界トップクラス。
 あんな歩きにくい悪路でも、望の足は少しもくたびれてはいなかった。
「けっこう高いクツだな…」
 ジャンプマンは、クツの底にエアが入っている。
 その分、地面から2,3cmは高くなっている。
「まあね、これ履いたら180cmくらいになるよ」
 元から、戦士の中でも一番背の高い望である。
 ジャンプマンを履くと、かなり高くなる。
152投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)10時33分27秒
「仕方ない、休憩にしよう…」
 恩田が言った。
 なんにせよ、洞窟探検のロケはあきらめるしかなかった。
「………」
 卓也が、少し考えた。
 さっきの一連の会話の中に、気になる事があったからだ。
「卓也、どこ行くの?」
 広場の方に行こうとした卓也に、里穂が声をかけた。
「…ちょっと、現場に…気になる事があるんだ」
 卓也が、広場のほうへ歩き出す
「待って、私も行く」
 里穂も、卓也についてきた。
「…里穂はこない方がいいよ、死体は運んだけど、血の痕とか、そのまま
にしてるから…」
 里穂は、実際に現場は見ていない。
 今朝は望に付き添っていたからだ
「大丈夫だよ、女の子は、血は見慣れてるから」
 …確かに、女の子の方が血には強いかもしれない
「気絶しても知らないぞ…」
 結局、二人で現場に向かうことにした
153投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)10時45分16秒
〜同日・某時刻〜

Bコテージ・殺人現場

 死体は運び出した後だが、ベッドには生々しく血痕が残っている
「うわ…ヒドイ…」
 白いシーツの上に、びったりと血が広がっている。
 女の子のアノ日だって、ここまで酷くはならない
「ドアには、内側から鍵がかかっていた…。マドは嵌め殺しで開けられない
完全に密室状態だったんだ…」
 破壊されたドアを、卓也は確認する。
 今朝は、まだ暗かったが、明るい今になって見るとその現場は凄惨だった
 ドアは、鍵がかけられた状態のまま破壊されている
 あの時、キチンと鍵がかかっていたことは、卓也も確認している
 やっぱり、これは密室殺人なのだ…
154投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)10時51分31秒
「とにかく、気になったことを先に調べよう」
 そういって、卓也は赤井のキャリアケースに近づいた。
 彼女の荷物は、これ一つだ
「ねえ、卓也、何が気になるの?」
 里穂が聞いた。
「さっきの公輝たちの話、聞いてたろ。公輝のマーチンはボロボロだった」
「うん」
 公輝のマーチンがボロボロになったのを、里穂も見ている。
「あのオバサンの格好、見ただろ」
「うん、派手なスーツだったよね」
 確かに、この何にもない、半分は無人島みたいな島には似つかわしくない
派手なスーツだった。
「それもそうだけど、問題は履物だよ…。あのオバサン、いつもピンヒール
だったろ」
「あ!、そうか!」
 卓也が疑問に感じたのは、それだった。
 公輝のマーチンが、わずかの間にボロボロになったように、この島の道は
悪路で、そうとう歩きにくい
 当然、あんなピンヒールで歩き回れるはずはないのである
  
155投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)10時56分02秒
「やっぱり、他にクツは持ってきていない」
 卓也の思った通り、赤井は替えのクツを持ってきてはいなかった
 今朝、卓也は確認している、赤井の履いていたピンヒールには、折れた
痕や修理した痕がなかったことを
 あんな悪路を、ピンヒールで歩いて、ヒールが折れないはずはない
 これは、一体どういうことか…?
156投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)11時03分25秒
「他の荷物は…」
 里穂が、他の荷物を開けてみる

 着替え(派手はショッキングピンクのスーツ)と寝巻き、洗面道具に化粧品
それに、カロリーメイト(チョコ味)の空き箱が一つと、お〜いお茶が一本

 …だった
「そういえば、あのオバサン、広場では食事してなかったな…」
 カロリーメイトの空箱を見ながら、卓也が言った。
 てっきりコテージで食べているんだと思っていたが、しかし、妙だ…
「この島には、一週間に一度しか船は来ない。このことは、オバサンも知って
いるはず、それにしては、カロリーメイト一箱は少なすぎないか?」
 卓也が言った。
 幸生なら、餓死してしまいそうな内容である。
 しかし、他に食料品は見当たらない。
 捨てた形跡もない
 一週間を、カロリーメイト一箱と、お茶一本で済ませる気だったのか?
157投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)11時08分00秒
「どういうことだろう?」
 卓也が考え込む、里穂も一緒に考える
「う〜ん、私はチーズ味が好きだけど…」
 …あんまり里穂は参考にはならないようだが
「あ、でも、変だよ、お財布とか、スケジュール帳みたいなのがない!」
 里穂が発見した。
 久住が言うには、赤井は東京でブティックを経営しているとか言っていた
 それなら、財布や名刺入れ、スケジュール帳くらいはもっていそうなもの
である
「本当だ!」
 卓也も、これには気づかなかった。
 仕事がいっぱいで、スケジュール帳をいつも見ている里穂だからこれに
気づいたのだ
「…っていうことは、犯人はお金目当てなのかな?」
 里穂が言った。
 ブティックを経営していたなら、それなりのお金は持っていそうだが…
158投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)11時10分46秒
「…う〜ん、でも、わざわざこんな島まで、強盗しにくるかな?」
 まあ、確かにそうだ。この島には、お金を使うようなところはない
 村の人は自給自足の生活だから、お金なんてトイレットペーパーくらいの
価値しかないと久住が言っていた。
 それと、卓也にはもう一つ気になる事があった。
 凶器である…
159投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)11時16分38秒
 凶器のナイフは、刃渡り10cmほどで、隠して持てるくらいの物だった
 赤井の喉を貫き、犯人は相当の返り血を浴びているはずなのだ
 少なくとも、事件の前に血まみれになっていた人はいない
 なんらかのトリックを使って、広場を通らず彼女を殺せたとしても
血は誤魔化せないはずである
 それに、ナイフを持っていたなら、望を絞め殺さなくても、そのナイフで
刺せば良かったハズである
 相手が寝てるとはいえ、首を絞めて人を殺すのは大変である。
 ナイフの方が、確実に殺せるのだが…
 まあ、ナイフが一本しかなかったのかもしれないが、それなら赤井の首
からナイフを抜けばいいだけ
 これは、どうも整合しない
160投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)11時26分41秒
「しょうがない、密室のナゾでも解いてみるか」
 卓也が、突然立ち上がった。
 そして、コテージの外に出る。
「卓也、どうするの?」
 里穂が、それを追いかける。
 ここは、コテージのすぐ外の広場に続く道の脇にある森である。
 広場を通らずに、あのコテージに向かう一番簡単な方法は、この森を通る
ことである。
「あ、あぶないよ、久住先生も入るなって…」
「実際にやってみなけりゃ、本当に行けないのかわからないだろ。里穂は
そこで待っててくれ」
 そういうと、卓也は森への第一歩を踏み込んだ。
「ぬおおおおおお!!!!!!」
 …っと、いきなり卓也は絶叫した
 卓也の右足が、直径30cmほどの小さな沼にはまっていた
 ベトナム戦争で、米軍を苦しめたものの一つが、こういう小さな底なし沼
である。
 こういうものが、密林の中に無数に存在するのである。
161投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)11時27分15秒
「うお、うおうお!!!」
 卓也の体が、沈んでいく!
「うぬおおおうおうおおう!!!!!!」
 沈んでいく卓也の体、さらに卓也の首にツタが絡まって首が絞められる
「うぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!!」
 無理やりツタを引きちぎり、沼から這い出る
「ふう…」
 …と、一息つくまもなく
「うわわわわ!、ヒルだ!」
 沼につかっていた足に、吸血ヒルが無数についていた。
「ぎゃあああああ!!!!!」 
162投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)11時31分39秒
〜数分後〜

「はあ、はあ、はあ…」
 結局、卓也は五歩も歩かぬうちに引き返してきた。
「駄目だ、地元の人でも、こんな森は通れないよ」
 卓也は、身をもって証明した。
 こんな森は、藤岡弘でもなければ通れないだろう
「でも…そうなると…」
 卓也の頭に、一つの仮説が思い浮かぶ
 もしも、この仮説が正しいとすれば、さっきのコテージで調べたこととも
整合するのだが…
(しかし、だとすると望が襲われたことが分からなくなる…)
 卓也の頭が、混乱し始めた。
 これ以上を調べるには、情報が不足していた
163投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)11時32分56秒
頭がいい人なら、これだけで密室のナゾは解けるはずですよね
そして、そうなったときに起きる、新たな疑問にも
気づいちゃうよね
164投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)11時40分18秒
(だとすれば、後は望に話を聞くくらいしか…)
 卓也は、少し不安になった。
 望に話を聞いても、おそらく有力な情報は聞けないだろう、そうなれば
八方塞である
「痛い!」
 突然、里穂がずっこけた
「大丈夫か、里穂?」
 卓也が、里穂に手を差し伸べる
 何しろ、これだけの悪路である
 卓也自身も、この島に来て何度か転んでいる
「ん、もう!、どうしてここだけボコってなってるの!」
 立ち上がった里穂が、自分をコケさせた窪みに文句を言った
「ちょ、ちょっと待って、これ、誰かが地面を掘ったあとだぞ!!!」
 卓也が言った。
 そう、この窪みは、一度誰かが掘ったのを、また埋めたもので、まだ
新しい!
「誰が掘ったの?、こんな所に?」
「あのオバサンしかいないだろ!、こっちに来るのは、あのオバサンしか
いないんだから!」
 そうだった。この窪みは、赤井が掘ったとしか考えられない
165投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)11時47分57秒
「ちょっと、掘ってみよう!」
 卓也が、その窪みに埋められた土を掘り返していく
 やはり、最近掘られた物らしく、簡単に掘られていく
「何、コレ?灰?」
 穴から出てきたのは、真っ黒い灰のようなものだった
「何かを燃やしたんだ。紙みたいなものを…」
 卓也が、さらに掘っていく
「あ!、これ、あの人のお財布じゃない?」
 ブランド物らしい財布を、里穂が発見する。
 中身は抜き出され、焦げ目がついている
 中身らしいカードなどは、熱で変形していた。
「○○整形外科…、あんまり読めないよ…」
「こっちは、スケジュール帳か。ご丁寧に、一ページすつ燃やしたらしいな」
 スケジュール帳は、中身が破られ、内容は分からなかった
 なんにしても、赤井は自分で財布の中身とスケジュール帳、そして、何か
の書類らしきものをここで燃やしたのである。
 これで、強盗のセンは消えた
166投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)11時54分57秒
「あれ、もう一つ、なんかあるよ…」
 里穂が手を伸ばし、それを引っ張り出す
 それは、真っ黒になった小さな箱だった…
「ほとんど、薪みたいになってるけど…」
 卓也が、慎重に箱を開ける
 中には、真っ黒に変色した綿と、これまた真っ黒になった、ひょろっと
長い管状の物体が出てきた。
「なんだ、コレ?」
 卓也も、これがなんなのか、すぐには分からなかった?
「なんか、焼きすぎたスルメみたい」
 里穂が言った。
 長さは10cmくらい、確かにスルメのゲソみたいにも見える
「………!?。そうか!、この箱!。これは『へその緒』だ!」
「『へその緒』!!!?」
 へその緒は、母体と胎児を結ぶ、栄養と酸素を運ぶ為の管である
 出産したときに、母親に渡される
 親子を証明する為に! 
167投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)11時59分58秒
「な、なんでそんなモノが…?。あのオバサン、結婚してたの?」
 里穂が言った。
 どうみても、既婚者には見えない。結婚指輪もしてなかったし
「まてよ…。確か、久住先生が…」
 卓也が、初日の夜に久住が話していたことを思い出した。
 この島に、子供がいないという話と、十二、三年前に死んでしまった
島で唯一の子供の話。
 たしか、その子の母親は、その子が死んだ後に島を離れているはず…
「まさか、あのオバサンが…」
 新たなる疑惑、一体、この事件はどういう展開を見せるのか!
168投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)12時33分26秒
「お〜い!、大変だ!!!!」
 調査を終え、広場に向かおうとしていた二人に、公輝が走ってきて言った
「どうしたんだよ、慌てて」
 息を切らしている公輝、卓也が不思議そうに聞く
「ま、また、また人が殺されてる!」
「ええ!!!!!!」
 !!!!!!
 なんということだろう。今朝、人が死んだばかりだというのに!!!
「誰が、誰が殺されたんだ!!!」
 卓也が公輝の肩を揺さぶる
「ど、土井さんだよ…」
「土井さんが!!!!」
 カメラマンの土井が、殺された!?
169投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)12時37分50秒
〜Fコテージ〜

「…なんてこった…」
 その場で、恩田が崩れ去った。
 なんのかんの言っても、赤井は他人であった。
 それが、まさか仲間の土井まで殺されるとは…
「ど、土井さん…」
 コテージの中、床にうつぶせの状態で倒れた土井は、ピクリとも動かない
 それは、完全な死体となっていた。
「凶器はこの石か…、頭を叩き割られている」
 卓也が言った。
 死体のそばに転がった岩に、血がべっとりとついている
 おそらく、即死だろう
170投稿者:あげ  投稿日:2005年05月08日(日)12時39分56秒
 
171投稿者:かこ  投稿日:2005年05月08日(日)12時42分01秒
頑張れ!!
172投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)12時43分08秒
「死体もあったかいし、殺されたのは、ほんの十分前くらいだろう」
 久住が言った。
 女の子たちは泣き出し、望は顔から血の気が引いていた。
 一歩間違えば、望もこんな風になっていたかもしれないのだ
「あ!、フィルムが!」
 ADの金井が気づいた。
「あ、ああああああ!!!!!!」
 恩田が絶叫する。カメラのフィルムを保管していたケースが開けられているのだ
「フィルムが?、盗まれてるんですか?」
「ちょっと待って…」
 恩田が、すぐに確認する
「な、ない!。NO3のフィルムだけ、なくなっている!!!」
 恩田が言った。
 その言葉の通り、NO3のフィルムだけがなくなっている
 おそらく犯人が持ち去ったのだろう
「これが、土井さんが殺された理由なのか?。恩田さん、NO3のフィルムには
なにが映ってるんですか!」
 卓也が聞いた
「わ、わからない、フィルムの管理は、彼に任せていたから…」
173投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)12時48分44秒
「くそ…、どのシーンが映ってたのかさえ分かれば、大きな決め手になるの
のに!」
 卓也が悔しがる。
 ここには、モニターになるものがないから、前後のシーンを見て確かめる
ことはできない
「みんな、その時間はどこに?」
 卓也が、みんなのアリバイを確かめる
「わ、私は…、管理小屋でずっと、無線を修理してたよ…
 修理に集中してたから、広場のほうには注意してなかったから、誰が広場を通ったかは、分からないんだ…」
 久住が言った。
 他のスタッフも、戦士も、みんな一応は一緒にいたが、なんどか単独行動
している。
 つまり、犯行は、誰にでも可能な状況だったのだ 
174投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)12時54分38秒
 卓也と里穂は、ずっと一緒だったから、容疑者からは除外できるが…
「くそ、ちっとも範囲が狭まらない」
 卓也が、机を叩いた。
 ホコリが舞う。まるで、この場いる全員をあざ笑うように

〜午後七時〜

 なんとか、みんなが落ち着きを取り戻し、食事をとることができた

 夕食後、みんなでこれからのことを話し合った。
 ともかく、一人でいるのは危険なので、一人で佐藤は女の子のいるCコテージ
に移り、望と幸生も、Dコテージに移動することになった
 もう、撮影は中止にせざるを得なかった。カメラマンがいないと、撮影は
できないからだ
175投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)12時57分10秒
補足、これによって

Cコテージ(里穂・ちひろ・杏奈・佐藤)
Dコテージ(卓也・公輝・望・幸生)
殺人のあったコテージを保存する為、恩田と金井は望たちがいた
Eコテージに移動した

となりました
176投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)13時02分33秒
 それらのことを話し合った後、誰が犯人なのかという話になった
 望が襲われたとき、アリバイが不確かなのは、一人でコテージにいた佐藤
だが、望はこれを否定した

「首を絞められたとき、すっげえ力だった。あれは女の人の力じゃないよ」

 …という望の証言で、犯人は男であると思われた
「あ〜あ、望君がせめて犯人の顔をみていればねえ…」
 恩田が言った。
 確かに、そうすれば土井も殺されることはなかった
「すいません…」
 望と幸生が、情けなさそうに言った。
「仕方ないですよ、灯油ランプの灯油がきれてて、真っ暗だったんですから」
 公輝が、二人を弁護する。
「ま、まあ、そうだけど…」
 恩田が口ごもる
「そんなことより、やっぱり犯人は外部の人間なんじゃないかな?」
 さらに、公輝が言った  
177投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)13時09分35秒
「どういうこと?」
 里穂が聞く
「だって、望が襲われたとき、みんなアリバイもあるし、広場を通った人間
はいなんんだろ?。だったら外部犯がいるってしか考えられねえじゃん」
 確かに、公輝の言うとおりである。
 外部から来た何者かが、望を襲い、赤井と土井を殺した…
 それが自然な気がする。
「でも、フェリーには、私たちしかいなかったでしょ?」
 ちひろが言う通り、あの時、フェリーから降りたのは、天てれロケ班と、
久住、赤井だけである
 これは、全員が確認している
「でも、久住さんだって二、三ヶ月に一度しかこの島にこないんでしょう?
 だったら、その一つ前のフェリーでこの島に来た人がいるのかも!」
「あ!」
「そうか!」
 公輝の発言に、みんなが豆鉄砲食らった鳩になる
 この島には、村の人以外には、自分たちしかいない。
 そう思い込んでいたが、もう一週間前のフェリーで誰かが来ている可能性もあるのだ 
178投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)13時14分40秒
「盲点だった、そうとしか考えられない!」
 みんなが、一週間前にやってきた外部犯説に傾いていた
 そう考えれば、辻褄が合う
 しかし…
「残念だけど、それはないよ…」
 卓也が口を開き、それを否定した
「なんでだよ」
「そうだよ、他にどう考えられるんだよ」
 みんなが口々に質問する
「アレを見てみなよ」
 卓也が、ゴミの集積所を指差した
 まだ三日目だが、コレだけ人数がいるから、かなりの量になっている
「人間ってのは、生きてる限りゴミを出すんだ。人間がいれば、必ず生活
痕跡が残るんだ。この島には、オレ達以外の人がいた形跡はなかった」
 卓也が言う通り
 人間が生きていれば、そこには必ず痕跡が残る
 この島には、外部の人間が一週間以上暮らしていた形跡はなかった
179投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)13時20分25秒
「それに、この島を訪れる人なんか、僕を除けば、二、三人くらいだからね
変な人が来たんなら、船員が教えてくれるよ」
 久住がとどめをさした
 何年も通ってる久住は、船員とも親しかった。
 怪しい人間が乗れば、船員が教えてくれるはずである
「くそ〜、いいセンいってるって思ったのに」
 公輝が悔しがる
 反対に、みんなは暗くなる。
 せっかく、ナゾが解きかけたと思ったのに…
「望、お前を襲った犯人、なにかおかしな所はなかったか?」
 卓也が、望みに聞いた。
「変な事って?」
「何か、手に持ってたとか、血がついてたとか…」
 凶器の有無、返り血の有無を確かめる卓也
「いや、両手でオレの首を絞めてきたから、何も持ってなかったと思うよ」
「オレも、犯人とぶつかったけど、血はついてなかったよ」
 望、幸生の証言から、犯人は凶器も返り血もなかったことが判明した
180投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)13時25分03秒
「それで、卓也はどう思うの?」
 杏奈が聞いてきた
 卓也は、少し悩んだが
「実は、今日、里穂と現場を少し調べたんだ
 広場に向かう道の脇の森が通れないか調べてたんだけど、そのときに、こ
んなものを見つけたんだ
 卓也は、例の『へその緒』をみんなに見せた
「これは…、『へその緒』だね」
 さすがに、医師の久住には人目でこれが『へその緒』だと分かった
「でも、なんか燃やされたみたいだなあ…ところどころコゲてるし」
 このコゲた『へその緒』が、事件の重要な鍵になることを、卓也は確信
している
181投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)13時32分24秒
「そう、これは一度燃やされているんです。見つけたのはBコテージの近く
あのオバサンが燃やしたんだと思います」
「赤井さんが?、何のために?。『へその緒』なんて燃やしても…」
 久住が訝しんでいる。
『へその緒』を燃やしても、何の得にもならない
「ええ、そのとき、久住先生が最初の日に話してくださったことを思い出し
たんです。この島に十二、三年前までいた、唯一の子供の話を…」
「どういうことだい?」
 久住が聞いた。
 話した本人でも、なんとなく分かりづらい話だ
「その、死んだ女の子の母親が…、赤井さんなんじゃないかってことです!」
「!!!!!」
 一同が、目を丸くする
 つまり、この『へその緒』は、死んだ女の子のもので、赤井がその母親
なのではないか…?。ということである。   
182投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)13時37分09秒
「ちょ、ちょっと待ってよ、僕はその子の両親を知ってるけど、全然、顔が
違うよ!」
 久住が言った。
 その子の両親を知っているからこそ、卓也が『へその緒』を見せたとき、
ピンとこなかったのだろう
「おそらく、整形したんでしょう。一緒に、これが出てきました」
 卓也は、あの窪みから出てきた○○整形外科…と書かれたカードを見せた
病院名はハッキリしないが、整形外科の部分は確認できる
「つまり、こういう事かい?。十二、三年前、死んだ女の子の両親は島を
離れた後、顔と名前を変え、東京で暮らした…
 そのうちの母親が、この島に再びやってきて、『へその緒』を燃やした!」
「そういう事です」
183投稿者:アゲ  投稿日:2005年05月08日(日)13時45分07秒
頑張れ!
184投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)13時46分14秒
 そう考えれば、この島に不釣合いな彼女がこの島にきたことにも、なんと
なく納得できる。
 彼女がピンヒールを折らずに、この島を歩いていけたのは、この島に住んで
いたことがあるからだろう
「ううん、なんか、ややっこしい話になってきたね…」
 久住がいった。
 何もない、平和でのどかな島。久住のイメージは、長年の付き合いで培われた
ものだが、こんな複雑な問題がでてくるなんて…
「久住先生、死んだ女の子のことを調べたいんですけど、どうしたらいいか
教えてください」
 卓也が聞いた。
「ううむ、私が知らせを受けて駆けつけたときには、その子は息を引き取って
いたから…、詳しいことは村の人しか知らないけど…」
 久住が困った顔になる
185投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)13時46分33秒
「ただ…、村の人もこの事件のことを知ってるはずだから…。多分、協力
してくれないだろう…」
 確かに、閉鎖的な村で、こんな大きな事件は初めてだろう
 村の人が、話をしてくれるとは思えなかった
「とにかく、明日、村へ行ってみましょう…」
 結局、今日はこれで終わり…
 みんなが眠れない夜をすごす中、卓也は犯人が誰なのか
 それだけを考えていた…
186投稿者:ジョン  投稿日:2005年05月08日(日)13時48分40秒
今日は、重要な部分が多いッス

頭がいい人なら、犯人の目星がついてきた頃っすかね
十分、それを示すヒントは出してますよ
187投稿者:q  投稿日:2005年05月08日(日)14時59分39秒
188投稿者:この小説は  投稿日:2005年05月08日(日)15時23分19秒
「うまい」に認定されたので今度から小説板で書いてください
189投稿者:sunny  投稿日:2005年05月08日(日)20時54分55秒
うまいです。頑張って下さい。
あと60の答えが気になるのですが…。
190投稿者:60  投稿日:2005年05月09日(月)12時21分06秒
ヒント

AKI=IKA
191投稿者:q  投稿日:2005年05月09日(月)16時54分24秒
age
192投稿者: 投稿日:2005年05月09日(月)19時31分34秒
193投稿者:sunny  投稿日:2005年05月09日(月)21時32分33秒
ヒントありがとうございます。読み方は(うらかわじま)で良いのでしょうか?
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