このページは、@wiki で 2019年02月12日 05:52:52 GMT に保存された http://web.archive.org/web/20080823164940/http://ame.x0.com/tentele/080427204237.html キャッシュです。
ユーザがarchive機能を用いた際、@wikiが対象サイトのrobots.txt,meta情報を考慮し、ページを保存したものです。
そのため、このページの最新版でない場合があります。 こちらから 最新のページを参照してください。
このキャッシュ ページにはすでに参照不可能な画像が使用されている可能性があります。
@wikiのarchve機能についてはこちらを参照ください

@wikiはこのページまたはページ内のコンテンツとは関連ありません。

このページをキャッシュしたwikiに戻る

●○●そんな日々を。○●
1●○●そんな日々を。○● 投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月27日(日)20時42分37秒

人生、何が起こるかわからない。なんて、
この歳で達観したようなことを言うのも、なんだかおかしいけど。
それでも、人生というやつは本当に
一体何処でどんな方向に転がるのか全く予想も出来ないのだ。

ただ、わたしの人生が大きく変ったのは、
突然父が失踪したことがきっかけであるのは間違いないだろう。

2投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月27日(日)20時43分35秒

小学校を卒業し、もうすぐ中学の入学式だという、春の日だった。
ほんの数日前会社が倒産してしまった父が、いなくなってしまった。
わけもわからないまま家は差し押さえられ、
私は途方にくれてしまった。
しかし、戸惑う私と違い母は強かった。
すぐに私と母二人分の家を確保した。と言うのも、
母はとある大きなお屋敷でお手伝いとして働いていたのだ。
長年務めているおかげでもあるのだろう、
頼み込んで私も一緒に住ませてもらえることになったらしい。

「でもね、条件があるのよ」
「条件?」


3投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月27日(日)20時44分41秒

そりゃあそうだ、物事なんでもそんなに上手くいくはずない。
働かざるもの食うべからず。私は恐る恐る母に聞いた。

「条件って、何をすればいいの?」
「そのお屋敷にはね、
今度小学六年生になる息子さんがいらっしゃるのよ」

突然母がまるで関係のないようなことを言ったので、私はぽかんとした。

「それが何?関係あることなの?」

私の言葉に母は力強く頷いた。

「その息子さんのお世話をあなたがすることが条件なのよ、千帆」
「え」

4投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月27日(日)20時45分15秒

思考が追いつきません。
理解度三十パーセント……
五十パーセント……
九十パーセント……
九十九パーセント……
思考追いつきました。理解、完了。

「えええええええええ!?」

本当、人生って何が起こるかわからない。

5投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月27日(日)20時47分34秒


今日からお世話になる、藤井千帆です。
よろしくお願いします、ご主人様。
何度も口の中で呟いて練習する。粗相があってはいけない。
“ご主人様”に嫌われてしまったら、私は生きてはいけないのだから。

母に連れられて着いたのは、
びっくりするほどの大きな大きなお屋敷だった。
大きいというのは知っていたけれど、これほどとは。
私は思わず口を閉じることを忘れていた。
6投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月27日(日)20時49分11秒

母はためらうことなく屋敷の中に入り、ずんずんと奥へ進んでいく。
母にとっては職場なのだからそれは普通のことなのかもしれないけど。
そうして到着した大きな扉を、母は上品に開いた。
中には一人の女性が高価そうなソファに座りニコニコと笑っていた。

「よく来たわね、藤井さん、千帆ちゃん。
 どうぞ、お掛けになって」

優しそうな微笑みに緊張が少し和らいだ私は、
促されるままソファに腰掛けた。

(うわあ、ふかふか。校長室のよりも高そう)

「大変だったわね、藤井さん。でも、ここにいる間は大丈夫よ」
「ありがとうございます」
「あ、ありがとうございますっ!」

母が頭を下げたので、私も勢いよく頭を下げる。

7投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月27日(日)20時50分32秒

「千帆ちゃん」
「は、はい!」

裏返った声が出てしまい、恥ずかしくて顔が熱くなってしまう。

「あなたには、息子の身の回りの世話をしてもらうわ。
勿論、学校へは行ってもらいます。息子の世話は放課後にね」
「不束者の娘ですがよろしくお願いします」
「頑張ります、よろしくお願いします」

再び頭を下げながら、私は胸を撫で下ろしていた。
よかった、学校に行ってもいいんだ。
8投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月27日(日)20時51分58秒

それから後は仕事の簡単な説明を受けて服を着替えた。
メイドさんみたいな服だけど、秋葉原とかで
女の人が着ているようなひらひらしているのじゃなくて、
もっとシンプルで上品そうな服。

真白いエプロンの紐を少し強めに結ぶと、
気持ちが引き締まるのと同時に、いよいよ後戻りできないのだと思った。
そして、先輩のお手伝いさんに連れられて、息子さんの部屋に向かった。
9投稿者:ごあいさつ。  投稿日:2008年04月27日(日)20時58分00秒

顆粒と申します。
スレ立てて真っ先に
荒らされることと叩かれることを心配するような
だめな人間です。
正直、今手が震えています。

よろしくお願いします。
10投稿者:すごいおもしろいです  投稿日:2008年04月27日(日)21時02分04秒
頑張ってください!更新楽しみにしています。
11投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月28日(月)17時41分08秒

落ち着いていた心臓が、またドキドキしてきた。緊張する。

「大丈夫よ、そんなに緊張しなくても。仕事も簡単なものばかりだし」
「はい……」

前を歩く中年の先輩が声を掛けてくれるが、曖昧な返事しか返せない。

とうとう、着いてしまった。

「坊ちゃま、先ほどお話した新しい子を連れてきました」

先輩はノックをした後、私の心の準備など気にせずにドアを開けた。

「失礼します」
「失礼、しますっ」

勉強机に向かっていた小さな背中がこちらを振り返る。
後はよろしくね、と先輩は自分の持ち場に帰ってしまった。
12投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月28日(月)17時42分58秒

「きょ、今日から、お世話になる、藤井千帆です、
よよよよろしくお願いします、ご主人様っ!」

頭を下げたまま一息に言う。


母と違って全然上品じゃないけど、緊張していたのだから仕方ない。

「あのう……」

まだ声変わりしていないボーイソプラノが降ってきた。

「顔、上げてください」
13投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月28日(月)17時43分46秒

戸惑ったような声に言われるがままに顔を上げる。
育ちのよい可愛らしい顔をした少年が、
声の通りに戸惑った様子で眉を下げていた。

「丸山瀬南です」

ぺこり、と可愛らしくお辞儀をされ、
先程済んだにも関わらず慌てて自己紹介する。

「藤井千帆です、よろしくお願いします、ご主人様!」
14投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月28日(月)17時45分21秒

「あの、藤井さん」
「はいっ!」

名前を呼ばれ反射的に顔を上げ、背筋を伸ばした。
ご主人様はやはり困った顔をしている。

「“ご主人様”は、やめてください」
「え?」

今度は私が困る番だった。
母や先輩達に指示されたことだったから、
急にそう言われても、どうしたらいいかわからない。

「でも、それじゃあなんて呼べば……」
「呼び捨てでいいです」
「呼び捨て!?」

それはできません、と勢いよく首を横に振る。
15投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月28日(月)17時47分49秒

ご主人様は、椅子を降りて私のすぐ前まで歩いてきた。

「だって、藤井さん年上じゃないですか」
「でも、私はあなたにお仕えする立場で、
 やっぱりそれはけじめをつけないといけないし、」

私がそこまで言うと、ご主人様は悲しそうに俯いた。
 
「僕、お父さんもお母さんも仕事ばかりしてあまり家にいないし、
 働いている人は大人ばかりだし。
 学校も、みんな他人行儀で、特別仲のいい子もいなくて……。
 藤井さんは一歳しか変らないから仲良くなりたいんです。
 “ご主人様”なんて呼び方じゃ、仲良くなれません」

少しだけ潤ませた大きな瞳をこちらへ向けられる。
16投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月28日(月)17時48分48秒

うう、卑怯だ。そんな雨に濡れた子犬みたいな目で見られたら、
無下には出来ないじゃない。

それに、彼に嫌われてしまえば私は生きてはいけない。
ここには寝る場所がある。
着る服がある。
食べるものがある。
それを取り上げられてしまうのは、すごく困る。
今の私の全てをこの小さなご主人様が握っていると言っても
過言ではないのだ。

結局、折れたのは私の方だった。

「それじゃあ、瀬南くん、で」
17投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月28日(月)17時49分28秒

>10さん
ありがとうございます。
頑張ります!
18投稿者:あげ  投稿日:2008年04月28日(月)18時04分45秒

19投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月29日(火)14時04分20秒

長く息を吐いてから言うと、ご主人様は
さっきまでの表情が嘘のように嬉しそうな顔をした。

「はい!それでもいいです!」

天使のような笑顔を浮かべたご主人様
――基、瀬南くんが右手を差し出してきた。

「よろしくお願いします、藤井さん」

私はその右手をとるのをためらった。
おずおずと小さい声を出す。
20投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月29日(火)14時05分07秒

「瀬南くん、あの、私が名前で呼んでるんだから、
瀬南くんも名前で呼んでほしいです」

瀬南くんはきょとんとしてから、にこりと笑ってもう一度言った。

「改めて、よろしくお願いします、千帆さん」
「よろしくお願いします、瀬南くん」

私は、まだ小さい瀬南くんの右手を、今度こそ握った。

21投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月29日(火)14時05分58秒

>18さん
あげありがとうございます!
22投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月29日(火)14時07分15秒

晴れた空に、素っ頓狂な声が響く。

「お父さんが失踪したぁああああ!?」
「ちょ、あかり、声大きいって」

無事に中学に進学した私は、
親友のあかりにだけはこのことを話すことにした。

「え、嘘、待って、どういうこと?」

あかりはかなり混乱しているようで、
眉を顰めて、考え込むように右手で顔を覆った。

「それって、何、大丈夫なの?」
23投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月29日(火)14時09分54秒

「うん、知り合いが家に置いてくれてるんだ。
 ただ、なんていうか放課後に仕事をしないといけなくなっちゃって。
 だから私、部活には入れないの」
「そっか、大丈夫なんだ、よかった」

ようやく落ち着いたらしいあかりは、私の手をぎゅっと握った。

「何か困ったことがあったら、遠慮なく言ってよね」
「うん、ありがとう」
 
「でも、仕事って?バイトってこと?
 中学生はバイト、出来ないんじゃないの?」
24投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月29日(火)14時11分45秒

わ、あかりにしては鋭い。
少々失礼なことを考えながら、簡単に説明をする。
 
「そのお世話になってる家の息子さんの
 お世話をするのが私の仕事なんだ。
 でも、バイトじゃなくてお手伝いって言うか、なんか、そんな感じ」

本当に簡単で曖昧な説明だったけど、
あかりはそれ以上突っ込んで聞いてはこなかった。

「それで、あかり……」

俯いてからゆっくりあかりと目を合わせると
まだ何も言っていないのに、あかりは頷いた。
25投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月29日(火)14時12分46秒
 
「うん、言わないよ、誰にも」
「……ありがとう。私、みんなと対等でいたいんだ。
 可哀相、とか言われたくない」
「ん、わかってる」
「うん」

まだ似合わないセーラー服。
ランドセルから変ったばかりで違和感のあるスクールバック。
だけど、中学生になってもあかりは変らないね。

「ありがとう」

そういうとこ、大好きだよ。
26投稿者: 投稿日:2008年04月29日(火)14時12分57秒
頑張って
27投稿者:あげ  投稿日:2008年04月30日(水)08時31分27秒
   
28投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月30日(水)23時19分20秒

少しずつ、今の生活にも慣れてきて。
いつの間にか私はこの日々が充実した毎日だと感じられるようになっていた。

「それで、今日は算数のテストが返ってきて」
「うん」
「でね、何点だったと思う?」
瀬南の髪の毛をドライヤーで乾かしながら、相槌を打つ。

あれほど拒んでいた呼び捨ても今では自然で、
それどころか口調も互いにため口になっていた。
二人きりのとき、限定だけど。
29投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月30日(水)23時20分33秒

「そうだなあ、瀬南はよくケアレスミスするから
 九十九点だったんじゃない?」
 
からかうように言うと、鏡の中の瀬南が可愛らしく口を尖らせる。

「違うよ、百点!千帆なら当ててくれると思ったのに」
「ごめんごめん、本当はわかってたよ。
 瀬南はいつも頑張ってるから」

しっかり乾かし終わると、櫛でそのさらさらの髪を撫で付ける。

この仕事は、私が一番好きな仕事。
だって、瀬南の髪、本当に綺麗だから。

「本当にそう思ってる?」
「思ってるよ」
30投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月30日(水)23時22分11秒

少しくすぐったそうにする瀬南の髪を整え終えて、
鏡で確認すると、瀬南と鏡越しに目が合う。
うーん、やっぱり整った顔してるなあ。
なんて必要以上にじっと見つめていると、鏡の瀬南が目を泳がせた。

「あんまり見ないで」

そう言う瀬南の顔が少し赤くなっているのを私は見逃さない。

全く、この瀬南という少年は本当に可愛くて仕方ない。
初めは緊張していたのか私の方が立場が下であるにも関わらず
敬語を使っていたが、慣れてくると何てことない、ごく普通の少年だった。

口数はあまり多くないけど、話すときは楽しそうな顔をして
聞いているだけでこっちも楽しくなってしまう。
笑顔が可愛くて、ああ、こんな弟欲しかったなあと思える。
31投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月30日(水)23時22分54秒

「それじゃあ、ご主人様、もうお休みの時間ですよ?」
「もう、そうやってすぐ子供扱いする。一歳しか変らないのに」
「そうやってすぐ拗ねる所は、まだまだ子供ね」

からかいながらベッドに促す。
大きなベッドに不釣合いな小さな体を沈めると、
瀬南はベッドの横の椅子に座った私の手を掴んだ。

「僕が寝るまで、ちゃんといてね?」

いつもより甘えん坊な瀬南に、掴まれていないほうの手を伸ばす。

「うん、いるよ」

頬に触れながらそう言うと、瀬南は安心したように目を瞑った。

本当はよくわからないけど、
こういうのを人は“幸せ”って、呼ぶのかな。
32投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月30日(水)23時23分37秒

>☆さん
はい、精一杯頑張ります!
ありがとうございます。
>27さん
あげありがとうございます!
33投稿者:なかなか  投稿日:2008年04月30日(水)23時28分39秒
おもしろいね

落ちる時は一言書いてね
34投稿者:顆粒  投稿日:2008年04月30日(水)23時31分38秒

>33さん
感想&ご指摘ありがとうございます。
助かります!
即レスすみません。
落ちます。
35投稿者:安田顕  投稿日:2008年04月30日(水)23時58分11秒
安田顕
36投稿者:あげ  投稿日:2008年05月01日(木)00時20分57秒
がんば
37投稿者:あげ  投稿日:2008年05月01日(木)05時47分01秒
   
38投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月01日(木)23時26分39秒

最近、瀬南がちょっと変だ。

明日の準備しておくねって私が瀬南の鞄を持つと、
あわてて私の手からそれを奪い取ったり。

「いい!自分でやる!」
「ええ?だって、私のお仕事だし……」
「いいから!」

着替えを出そうとしたときも。

「もう自分で出したから、千帆はしなくていいよ」
「ええ、どうして?」
「いいの、大丈夫だから!」
39投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月01日(木)23時27分20秒

部屋を掃除しようとしたときだって……。

「なんだか、今日は綺麗ね」
「今日は自分で掃除したから」
「ええ?私の仕事なのに」
「い・い・の!」

今じゃ私の仕事は、瀬南の髪を乾かすことくらい。
これじゃあ仕事がなくなっちゃうよ。

「瀬南ー、最近どうしたの?
何でそんなに一人でやっちゃうのよ」

直球で聞いてみても、返ってくる返事はいつも同じ。

「別に」
40投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月01日(木)23時28分23秒

もしかしてもしかして、これが噂の反抗期って奴?
瀬南にもそんなものがあるのかな、いや、あるのが普通なんだろうけど。

あまりにやることがなさすぎて自分の宿題をやっているけれど、
瀬南の態度が気になっていまいちはかどらない。
一体どうしたのかな。考えて考えて、一番嫌な可能性が頭をよぎった。

もしかして……――私、瀬南に、

「嫌われ、ちゃった?」

声に出してみて、急に鼻がツンとしてきた。
41投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月01日(木)23時29分17秒

(あれ?あれれ?何で私)

泣いてるんだろう?

嫌だな、おかしいなあ。
瀬南に嫌われたら住むところがなくなるって
不安になるんじゃなくて、どうしてこんなに悲しいの?

ひとしきり泣いて、気付いてしまった。

私は“世話係”として“ご主人様”に嫌われたくないんじゃない。
“藤井千帆”として“丸山瀬南”というひとに嫌われたくないんだ。
42投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月01日(木)23時29分55秒

(私)

ちっぽけなことを幸せだと感じられるくらい。


(瀬南が好きなんだ)


涙は、なかなか止まらなかった。
43投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月01日(木)23時31分48秒

>36さん
ありがとうございます、頑張ります!
>37さん
あげありがとうございます!

落ち!
44投稿者:あげ  投稿日:2008年05月02日(金)08時42分08秒
     
45投稿者:あげ  投稿日:2008年05月03日(土)08時04分29秒
   
46投稿者:あげ  投稿日:2008年05月03日(土)08時46分17秒


47投稿者:おもしろい  投稿日:2008年05月03日(土)08時57分21秒

48投稿者:あおい  投稿日:2008年05月03日(土)09時04分26秒
あげです
おもしろいです頑張って下さい
49投稿者:せなのしょうせつかかないで  投稿日:2008年05月03日(土)12時08分58秒
おねがいです
50投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月03日(土)18時01分55秒

>44さん・45さん・46さん
あげありがとうございます!
>47さん
本当ですか?ありがとうございます!
>あおいさん
あげありがとうございます!
頑張ります!

>49さん
貴重なご意見ありがとうございます。
ですが、小説のスレッドを立てた以上
私には最後まで書く義務があると思っています。
不愉快な思いをさせてしまって申し訳ありませんが、
中途半端に投げ出したくないんです。
ご理解いただければ幸いです。
51投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月03日(土)18時03分42秒

お風呂から上がって頬がほんのり赤くなった瀬南に声を掛ける。
また今日も断られてしまうのだろうか。

「瀬南、明日の準備、私がやるよ、仕事だし」
「いい、自分でやるから」

またしてもそう言う瀬南に、じわりと視界が滲む。
下唇を噛んで堪えようとしたけど、
とうとう私の気持ちは唇から零れてしまった。

「瀬南は、……たの?」
「え?」

小さくなってしまった私の言葉を聞き取れなかったらしい瀬南が首を傾げた。

「瀬南は、私のこと、嫌いなっちゃったの?」
52投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月03日(土)18時05分27秒

やはり小さな声だったが、今度は聞き取れたようだ。

「ど、どうして」

焦った様子なのは私の質問が予想外だったからか、
それとも私が泣きそうな顔をしていたからか。

「だって、瀬南最近変だもん。何でも自分でやろうとして。
 聞いたって、まともに返事、してくれないし……っ」

声まで湿ってきて、涙が出そうになったから、
そこで私の話は途切れた。代わりに瀬南が口を開く。
53投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月03日(土)18時06分17秒

「違うよ、嫌いになんかなってないよ」

瀬南は言い辛そうに口籠り、それからゆっくりと続けた。

「あのね、僕、自分で出来るようになりたいんだ。
だって、六年生だよ?いつまでも人にしてもらってたら、
大人になれないから。それに、」
「それ、に?」
「僕が自分のこと自分ですれば、千帆の時間が増えるでしょう?」
「!」
54投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月03日(土)18時06分44秒

驚いた。
瀬南がそんなことを考えてくれてるなんて、知らなかった。
嬉しさと同時に恥ずかしさが込み上げる。
馬鹿だなあ、私。

「嫌いになんかならないよ、千帆」

だから、泣かないで。
そう言って瀬南は私の頬に両手を伸ばした。暖かな感触に包まれる。

「うん、変なこと聞いてごめんね」

私が精一杯の笑顔を作ると、瀬南も安心したように微笑んだ。
55投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月03日(土)18時07分51秒


「でも、」

あの後、私はいつものように
瀬南の髪を乾かしながら、ふと思った。

「どうして髪の毛は自分で乾かさないの?」
「そ、それは」

鏡の瀬南が目を泳がせる。
からかいたくなって、私はわざと瀬南を鏡越しに見続けてみた。


「『それは』、何?」
56投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月03日(土)18時08分53秒

先を促すと、観念したのかようやく瀬南が口を開いた。


「千帆の手、すき、だから」


「え!?」

やだやだ、落ち着け、私!
“千帆”じゃなくて、“千帆の手”だってば。

頭では分かっているはずなのに、
“すき”という声がやけに耳に残って。
激しすぎる鼓動と朱くなった顔は、瀬南が眠った後も暫く直らなかった。
57投稿者:続き期待あり  投稿日:2008年05月03日(土)18時09分56秒

58投稿者:有海  投稿日:2008年05月03日(土)18時16分17秒
頑張れ!千帆×瀬南
59投稿者:あげ  投稿日:2008年05月03日(土)18時35分19秒

60投稿者:これいい!!!  投稿日:2008年05月03日(土)18時46分36秒
新鮮だし、面白い
61投稿者:あげ  投稿日:2008年05月04日(日)08時35分54秒
  
62投稿者:49  投稿日:2008年05月04日(日)10時46分19秒
わかりました
じゃあこの小説がおわったら
せなくんの小説をやめてくださるんですか?
63投稿者:瀬南  投稿日:2008年05月04日(日)10時50分12秒

64投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月04日(日)22時24分41秒

今の生活が当たり前なって、忘れていた。
私は元々今とは違う生活をしていたのだということを。

情けない声を出しながら、あかりがこちらに向かってくる。

「千帆ぉ」
「どうしたの?」
「数学の宿題がぁ〜……」

最後まで言わなくてもピンときた。
引き出しからノートを出しながら苦笑する。

「はいはい、今日当たるのね?」
65投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月04日(日)22時25分18秒

唯一打ち明けたあかりが
今までと変わらない態度なためでもあるのかもしれない。

「ありがと千帆!持つべきものはやっぱり友達よね」

調子いいんだから、と言いながらも
決して嫌な気持ちにならないのは、あかりの才能の一つだろう。

「あ、あかりズルい。千帆、僕も……」
「だーめ!」

私たちのやりとりを見ていたクラスメイトの拓巳が
横から手を伸ばすのを、制止したのは私じゃなくてあかりだ。

「なんであかりが決めてるの」

拓巳がブツブツと文句を言うのも、まあ、もっともだけど。
66投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月04日(日)22時26分30秒

「拓巳、自分の宿題は自分でやりなよ」

先程まで拓巳と話していた裕太が更に正論を被せてくる。

「そうそう、第一、千帆の答えが正しいとは限んねえし」

憎たらしいことを言ってくるのは、幼馴染みの一磨。

「な、なによ、バ一磨!」
「なんだよ、馬鹿はどっちだ」
「小三のときトイレの花子さんを信じてたのは、誰でしたっけ?」
「馬っ鹿、いいいつの話してんだよ!」
「そもそも花子さんが出るのは、女子トイレなのにねー」
「小五までイルカがでっかい魚だと思ってたお前に言われたくねえ!」
「や、やだ、うるさい馬鹿!」
67投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月04日(日)22時27分32秒

そんなやりとりが暫く続いている間、
あかりは宿題を写していて、
裕太は笑いながら私たちを見ていて、
拓巳はオロオロとしていた。

「ストーップ、そこまで!」
「樹音」

やはりクラスメイトの樹音が止めてくれて、
ようやくその馬鹿げた言い争いはおさまった。

「なにやってんの」

呆れた顔をした樹音の手には、本が数冊抱えられていた。
68投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月04日(日)22時28分04秒

「ほんと、仲良いね」

なんて裕太がニコニコとしながら言って、
あかりも手を止めて笑う。

「流石幼馴染み!って感じ」
「最早夫婦漫才だね」

拓巳までそんなことを言うので、ついムキになって言い返す。

「そんなのじゃないから!」
「そんなんじゃねえよ!」

ばっちり一磨の声と重なって、
皆が『ほらね』という目で見てきた。
69投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月04日(日)22時29分09秒

もう一度言い返そうとしたところでチャイムが鳴って、
皆慌てて席に着いた。

ああ、こんなだから、名前も知らない子に
『千葉くんと付き合ってるの?』なんて訊かれるんだ。
いちいち『ただの幼馴染み』『腐れ縁』
って返すの面倒なんだから。

なんだか恨めしくなって一磨を見ると、
隣の席の子となにやら話をしていた。
一瞬だけその子と目が合ったのは、私の気のせいだろうか。
70投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月04日(日)22時30分42秒

こんばんは。
ちょっと時間帯を失敗しました。

まず一つ訂正を。
51の最後の行の千帆の台詞です。
×瀬南は、私のこと、嫌いなっちゃったの?
○瀬南は、私のこと、嫌いになっちゃったの?
「に」が抜けていました。

>57さん
ありがとうございます!
ご期待に添えられたらいいのですが……。
>有海さん
頑張ります!
千帆と瀬南、私は好きなんですけど、需要はあるのでしょうかね?
>59さん
あげありがとうございます!
71投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月04日(日)22時32分06秒

>60さん
ありがとうございます。
結構ありきたりな話かなーと思っていたので
「新鮮」だなんて最高級の褒め言葉です!
>49さん
一応この小説が終わったら
瀬南の小説を書く予定はありません。
>62さん
あげてくださったと取ってよろしいんでしょうか?
ありがとうございます。

割と短いお話なので最後までもうちょっとだと思います。
実はもう折り返しを過ぎました。
よろしかったら是非お付き合い下さい。

落ちます。
72投稿者:有海  投稿日:2008年05月04日(日)22時38分45秒
嘘!!!瀬南と千帆の小説終り?
なんで…本当に
73投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月05日(月)00時00分06秒

あれ?すみませんフォローさせてください。
場面がいきなり変わったので混乱させてしまったのでしょうか。
終わってないですよ〜、
今ちょっと学校のシーンになっているだけです。
誤解を生むような書き方で申し訳ありません!>有海さん

今度こそ落ち!
74投稿者:あげ  投稿日:2008年05月05日(月)08時28分33秒
   
75投稿者:あげ  投稿日:2008年05月06日(火)07時51分06秒
  
76投稿者:あげ  投稿日:2008年05月06日(火)07時53分10秒


77投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月06日(火)11時15分58秒

放課後になって、急いで帰ろうとしているときだった。
急に一磨に腕を掴まれた。

「何、一磨。私用事が……」

あるんだけど、と続くはずだった言葉はそこで止まった。
一磨が怖い顔で私を見ていたからだ。

「ちょっと来い」
「や、何、一磨、痛い」

そう訴えるけど一磨は聞いてくれない。
そのまま引きずられるようにして体育館裏まで連れていかれた。

向かい合った一磨の顔はやっぱり怖くて。
私はとりあえず一磨が口を開くまで待った。
78投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月06日(火)11時19分01秒

一磨は長く息を吐いてからようやく話し始めた。

「お前、親父さんがいなくなったって本当か?」
 
びくり、と肩が揺れる。

「朝でっかい家から出てくるの見たとか、ちょっと噂になってる。
 あかりに聞いても千帆との約束だからって言って
 何も教えてくんねぇし」

別にやましいことをしているわけじゃない、
隠す必要だってないだろう。でも出来れば知られたくなかった。

「噂、本当なのか?なあ、千帆」

知られたくなかったけど、仕方ない。一磨に嘘なんてつけない。
私は小さく頷いた。そしてこれまでのことを大雑把に説明した。
79投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月06日(火)11時20分11秒

私の話が終わっても、一磨は不機嫌そうなままだった。

「なんで言ってくれなかったんだよ」
「それは、ごめん」

責めるような一磨の口調にしゅんとする。

「どうせお前のことだから、同情されたくなかったとか、
 心配かけたくなかったとか、思ったんだろうけど」

流石は幼馴染み、私のことをよく分かっている。でも、
次に発せられた一磨の言葉は全く予想できなかった。

「お前が世話になってる家、赤の他人なんだろ?信用できんのか?」

「なっ」
80投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月06日(火)11時21分47秒

「なんか、働かされてるとか聞いたんだけど。
 まさか怪しい商売じゃないだろうな」
「何それ、一磨、本気で言ってるの?」

私の声は、微かに怒りがこもっていた。
一磨はきっと気付いただろうけど、怯まず続ける。

「ああ、本気だよ。冗談でこんなこと言うわけないだろ」
「最低!」

思わず手が出てしまうが、一磨はそれを難無く避けた。

「最低?幼馴染みのことを心配して、何が悪いんだよ」
「怪しい商売って何よ、変なこと想像しないで!
 丸山さんは、恩人なんだから!
 丸山さんがいなかったら、
 私、きっと今頃公園で寝泊りしてたよ!」
81投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月06日(火)11時22分55秒

興奮してしまって、自分でも何を言っているのか分からなかった。
ただ、私と瀬南の関係をけなされたみたいで悔しかった。

「知らないのに、何にも知らないのになんでそんなこと言うのっ!」

自分が言わなかったくせに、矛盾している。
感情が抑えられなくて、私は泣いていた。

「一磨のばか!」

ポカポカと両手で一磨を殴る。
その攻撃はちっとも効いている風ではなかったけど。

不意に、殴っていた手を掴まれ、引っ張られた。

「……え?」

気が付くと私は、一磨の腕の中にいた。
82投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月06日(火)11時23分47秒

>74さん・75さん・76さん
あげありがとうございます!

落ちます。
83投稿者:きゃ〜!!  投稿日:2008年05月07日(水)01時03分16秒

84投稿者:あげ  投稿日:2008年05月07日(水)09時43分36秒
      
85投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月08日(木)00時25分32秒

「……ごめん」

それが何に対しての“ごめん”なのか、私は測れないでいた。

「離してよ」

腕の中でもがくが、一磨は一層強く私を抱き締めた。

「心配なんだ。幼馴染みなのに、
 千帆がそんなに大変なことになってるなんて、全然知らなかった。」

私は一磨の辛そうな声に何も返せないで、黙り込んだ。

「気付いてやれなかった。千帆からじゃなくて、
 噂で聞いて初めて知って、俺、情けなくて」

段々、小さくなる声。
私はなんだかとても申し訳ない気持ちになった。
86投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月08日(木)00時27分35秒

「一磨、ごめんなさい」

私がそう言うと、一磨はゆっくり腕をほどいた。
一磨の顔は今にも泣き出しそうだった。

「でも、本当に大丈夫だから。本当にいい人達なの。
 だから、心配しないで」

「千帆」

か細い声で一磨が言った。今度は優しく抱き寄せられる。

「好きだ」

一磨の声は震えていた。

「ずっと好きだった」

それでも私は、一磨を抱き締め返すことは、出来ない。
87投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月08日(木)00時31分28秒

そっと一磨の肩を押しやる。
目を合わせるのが辛くて俯いた。

「ごめん。好きな人、いるから」

少しだけ沈黙が流れる。

「ああ、分かってる」

言いながら、一磨は笑ってくれた。
それでもやっぱり辛そうな顔に何か言おうとして、一磨に制される。

「大丈夫、ほら、もう行けよ」
「うん、ごめんね、ありがとね」

私はそうして一磨に背を向けた。
靴を履き替えると、ひたすらに走った。
88投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月08日(木)00時32分30秒

走って。走って走って走って。
足が絡まりそうになって、ようやく止まった。

「はあ……はあ……は、っ、う」

きっと荒い息は走ってきたからで、
泣いているせいじゃない。
苦しいのは、嗚咽のせいなんかじゃない。

胸が張り裂けそうなほど痛かった。
私は馬鹿だ。一磨のことなんて何も分かっていなかった。
89投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月08日(木)00時33分01秒

あんなに心配してくれていた。
あんなに想ってくれていたのに。
気付けなかった自分が無性に腹立たしくて、
一磨の気持ちに答えられない自分が情けなくて仕方ない。

(最低だ最低だ最低だ)

傷つけて、何もしてあげられなくて。

一磨を好きになれば良かったのかもしれない。
こんな特殊な生活の中で
恋くらいは普通に出来ていたのかもしれない。
90投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月08日(木)00時33分37秒

だって私と瀬南はやっぱり不思議な関係で。
学校も違うし、年だって一つ下だし、
主人と世話係だし。
何もかも違う。

だけど。やっぱり一磨じゃ駄目なんだ。
私は、どうしても、どうしようもなく。

(瀬南が好き)

苦しくて、胸が張り裂けそうで、大切な幼馴染を傷つけて、
それでもこれだけは譲れない想いだった。
91投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月08日(木)00時34分50秒



どうか、どうか、明日は笑顔で一磨に会えますように。

それだけが私に出来る唯一のことだから。
92投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月08日(木)00時35分29秒

>83さん
一磨がむっつりでごめんなざい(笑)
>84さん
あげありがとうございます!

落ちます。
93投稿者:あーもう  投稿日:2008年05月08日(木)00時40分05秒
一磨めー

小説書いてくれてありがとう。
楽しいよ。
94投稿者:あげ  投稿日:2008年05月08日(木)07時23分06秒
   
95投稿者:あげ  投稿日:2008年05月08日(木)16時54分49秒
あげ
96投稿者:あげ  投稿日:2008年05月09日(金)08時11分43秒
   
97投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月09日(金)23時08分19秒

閑話   おれんじ


トボトボ、そう表現するのがまさにぴったりな
足取りでようやく教室に辿り着いた。
先程からの自己嫌悪で自然と足取りは重くなっていた。

(最悪だ)

おそらく自分をそんな風に意識したことなんて
ないであろう幼馴染みに告白して。
それどころか彼女に好きな人がいることを
感じとっていたにも関わらず、抱き締めたりして。

(しかも、泣かせたし)

盛大にため息を吐きながら、教室のドアに手をかけた。
98投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月09日(金)23時08分50秒

どうせ誰も残っていないだろうと思いながら
勢いよくドアを開けた後、すぐにそれが間違いだと分かる。

オレンジに染まる教室の窓際の席に、少年が一人。
ぼんやりと外を眺めていたのに、
俺が入ってきたことに気付き、気の抜けた声を出す。

「あ、一磨ぁ」

呆れながらも俺は級友であるそいつの名前を呼ぶ。

「何してんだ、裕太」
「一緒に帰ろうと思って、待ってた」
「一緒に、って、駅まで?近っ」

言いながら、自分の席に乱暴に座った。
そしてやはり乱暴に教科書を鞄に放り込んでいく。
99投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月09日(金)23時09分48秒

「いいじゃん、たまにはさ。
 あ、そうだ。コンビニ寄ろう、プリン食べたい」

裕太はニコニコと笑いながら俺の乱暴な様子を見ていた。

「お前」
「ん?」
「見てたな?」

裕太の笑顔が一瞬だけ引きつり、動きが止まったのを見逃さない。

「ばればれだよ」

そう付け足すと、裕太はうう、と奇妙な唸り声を上げた。

「気ィ使いすぎ。プリンって。お前、プリン好きじゃねえじゃん」
100投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月09日(金)23時10分59秒

俺が笑って言うと、逆に裕太が笑みを消した。

「だって、さ。何て言っていいか分かんないんだよ」
「別に、振られるのなんて分かってたし。
 お前の気にすることじゃないって」

ニカリと笑ってみせる。
それが強がりだということに、頼むから気付かないでくれ。

「……笑うなよ」

不満げに眉根を寄せた裕太が、言った。
静かな声に心の中で驚く。
なんだ、入ってきたときと、まるっきり反対になっているじゃないか。
101投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月09日(金)23時11分39秒

「辛いくせに。泣くの、我慢してるくせに」
「っ!」

裕太はそのままの調子で続ける。

「ばればれなのは、どっちだよ」
「うるさい」

僅かな抵抗は、あまりに虚しかった。

裕太がツカツカとこちらに近付いてきて、
俺の肩に手をかけた。
102投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月09日(金)23時12分12秒

そして何故か、

「いっ……!?」

頭突きした。

「は?待て、意味分かんねぇ!」
「泣いちゃえば?」

裕太は今度はコツン、と優しく額をぶつけた。

「……」
「泣き止むの待つくらい、どうってことないよ?」
「……誰にも、言うなよ?」

俺が言うと、裕太はようやく再び笑った。

「うん」
103投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月09日(金)23時13分36秒

大丈夫、ちょっと泣いたら、すぐ直る。
明日はちゃんと笑える。
無器用で、カッコ悪くて、だけど、それでもいい。
きっとまた、前を向いて歩けるから。

オレンジに染まった教室で、
ありがとうを言うのが照れくさくて。
とりあえず心の中で呟いた。
それで今は、勘弁。

(ありがとな、裕太)


閑話 おれんじ      おわり。
104投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月09日(金)23時15分36秒

>93さん
むしろ書かせていただいてありがとうございます!
楽しんで頂けているなら良かったです。
>94さん・95さん・96さん
あげありがとうございます!

自分で書いておいて何だけど、
92のごめんな「ざ」いってなんだろう

次の更新くらいで完結しそうです。
落ち!
105投稿者:あげ  投稿日:2008年05月10日(土)12時02分44秒

106投稿者:あげ  投稿日:2008年05月10日(土)14時04分35秒
もうすぐ完結しちゃうのですね・・。
顆粒さんの小説、心があったかくなってすごく好きです。
頑張ってください^^
107投稿者:っていうか、  投稿日:2008年05月10日(土)18時51分05秒
凄く上手い。
読みやすい^^
108投稿者:あげ  投稿日:2008年05月11日(日)05時41分18秒
   
109投稿者:あげ  投稿日:2008年05月11日(日)06時51分18秒
 
110投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月11日(日)13時34分50秒

>106さん
あげありがとうございます。
読んでもらえて感想まで頂けて、
わたしもあったかい気持ちになれました!
>107さん
ありがとうございます!
にやにやしてしまう自分が気持ち悪いです(笑)
>105さん・108さん・109さん
あげありがとうございます!

いつの間にか100超えてたんですね。
気付かなかった。
更新します。
111投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月11日(日)13時35分36秒

人生って、本当に先が読めない。
いきなり変わることもあれば、
じわじわと変化し続けていることだってある。
この日の出来事は、どっちなんだろう。


帰ってきたばかりで急いで着替えて、瀬南の部屋のドアをノックする。

「失礼します」
「千帆」

机に向かっていた瀬南がこちらを振り向いて
椅子からぴょんと飛び降りた。
駆け寄ってきて、私の手を引く。

「千帆、あのね、話があるんだ。」
「話?」

私は首を傾げた。
112投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月11日(日)13時37分19秒

瀬南に引っ張られながら部屋の奥へ連れていかれる。

「座って」

瀬南に促されるまま、示された椅子に座る。
瀬南は立ったままだ。

丁度視線の高さが同じくらいになった状態で見つめられて、
ドキドキと胸が高鳴ってしまう。顔も朱くなっているかもしれない。

「千帆、あのね。僕、千帆が来てくれてから、毎日幸せなんだ」

瀬南が微笑んだ後、そっと目を伏せる。

「ずっと独りだった。」

瀬南は少しだけ、淋しそうな目をした。
113投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月11日(日)13時37分43秒

「お父さんもお母さんも仕事だから仕方ないんだって
 自分に言い聞かせて。
 働いてる人達には我が儘言えなくて。
 学校では、僕を家柄なんて関係なく
 “僕”として見てくれてる人なんていなかった」

いいところのお坊っちゃんで
何一つ不自由していないのだろうと思っていた。
此処に来てすぐにそれは間違いだと分かったけど。

「でも、千帆は違った。」

噛み締めるように言う瀬南の言葉が擽ったかった。
114投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月11日(日)13時38分16秒

「最初はね、
 住むところが無くなるのが困るって考えてるのにも気付いてたよ。
 他の人と同じなんだろうなって思ったこともある。
 だけどいつの間にか、『瀬南』って呼んでくれるようになった。
 千帆は僕のことを“僕”として見てくれた」

瀬南の笑顔は本当に眩しい。

いつだって一生懸命で、優しくて、
だからこそ笑顔がこんなに輝いているんだね。
そんな瀬南だから、きっと私は貴方を好きになったんだ。

このまま側にいられるのなら、
私の気持ちなんて届かなくていいとさえ思える。
115投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月11日(日)13時39分00秒

「それでね、千帆」

瀬南の顔に朱が差す。

「あのね、今日クラスの子に聞いたんだ。
 すごく、すごーく、好きな人には
“きす”するんだって」

瀬南はそう言いながら、私の右手をそっと取った。

「僕……」

熱っぽい、真っ直ぐな視線を私に向けてくる。
逸らせない。


千帆が好き。
116投稿者:おもろい  投稿日:2008年05月11日(日)13時39分25秒

117投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月11日(日)13時40分41秒

一瞬何が何だか分からなくなって、
もう一瞬後には顔がカッと朱くなったのが自分でも分かった。

「ままま待ってよ、瀬南」

瀬南の手を振りほどこうとしたけど、
じっと見つめられてそれも出来なくなる。

「瀬南の“好き”はそういう“好き”とは違うんじゃない?
 だって、私達って姉弟みたいっていうか、
 あ、ホラ、ご主人様と世話係だし、」
「違う」

私が慌ててそう言うのを、瀬南は即座に否定した。
118投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月11日(日)13時41分32秒

「千帆といると、心が暖かくなる。
 千帆が笑うと、僕も嬉しくなる。
 ずーっと、千帆と一緒にいたいって、思う。
 それって、

 “好き”ってことでしょう?」

涙が、出そうになった。悲しかったわけじゃない。
嬉しかったのだ。瀬南も私と同じ気持ちだった。
好きと言ってくれた。

「千帆?」

私が瞳を潤ませていたものだから、
瀬南が心配そうな声を出して私の顔を覗き込んだ。

「私も」
「え?」
「瀬南が、好き」
119投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月11日(日)13時42分05秒

一瞬間を置いて聞こえてきたのは、
瀬南の驚きに満ちた声だった。

「本当に?」

私はこくりと頷く。瀬南の顔に、喜びの表情が広がってゆく。

「千帆」

瀬南がその場に跪いた。
そうしてずっと握っていた私の右手を、
自分の口許に運んでいく。

滑らかなその動作はまるで王子様のようで。
あまりに優雅な瀬南の動きを、私は何も言えずに見ていた。
きっと、物凄く間抜けな顔で。
120投稿者:えろある?  投稿日:2008年05月11日(日)13時42分34秒

121投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月11日(日)13時42分45秒

ゆっくり、
瀬南の唇が私の右手の甲にそっと触れて、
優しく離れた。

それは多分、
瀬南にとっての精一杯の“きす”。
精一杯の、愛情表現。

「ずっと、僕の側にいてくれる?」

何度も何度も頷きながら、
とうとう零れてしまった涙を、止めることはできなかった。
122投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月11日(日)13時44分02秒

人生って本当にどうなるかわからない。
だけど、だけどね。
貴方と出逢えたのだから、私はとても幸せ者だね。
人生、捨てたもんじゃない。

きっとくだらなくて、何てことない時が流れる。
苦しくて、辛いこともきっとある。
同じくらい、幸せなことだってあるはずだ。

私は、そんな日々を愛してゆこう。――貴方と二人で、ね。


                       ○●END○●○

123投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月11日(日)13時48分25秒

>116さん
ありがとうございます!
更新中にコメントがあるとは……嬉しいです。
>120さん
すみませんないです。
まあ、まだ小学生と中学生なんで、ねえ?

ってわけで、完結です。
読んでくださった皆さん、ありがとうございました!
124投稿者:早いなぁ。  投稿日:2008年05月11日(日)14時04分34秒
もう完結?
125投稿者:お疲れ様です  投稿日:2008年05月11日(日)14時14分54秒
良い小説でした。
126投稿者:あげ  投稿日:2008年05月12日(月)08時16分01秒
 
127投稿者:面白かったです!!  投稿日:2008年05月12日(月)17時59分25秒

128投稿者:麻佳  投稿日:2008年05月12日(月)19時38分13秒
今一気に全部読みました!!
面白いし、感動したし、戦士の性格とか上手く出てて、すごいよかったです★☆
特に閑話   おれんじはお気に入りです♪
お疲れ様でした☆
129投稿者:49  投稿日:2008年05月12日(月)21時07分30秒
終わったってことは
もうせなの小説かかないんですよね?
130投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月16日(金)21時10分38秒

感想を下さったみなさん
ありがとうございます!
温かいお言葉とかすごーく嬉しかったです!

これから短いですが
同じ舞台設定のお話を書いていきます。
131投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月16日(金)21時12分21秒
●○君がいること○●      そんな日々を。番外編

ひらりと舞った紙を拾い上げたのはあかりだ。

「樹音、落ちたよ」

言いながらもあかりはじっとその紙を見つめる。
樹音をはさんで二人の少年が写った写真。

「えっ、あ、ありがと」

本をぱらぱらとめくるが、確かにそこにはさんでいたものが無くなっている。
樹音はあかりの手から写真を受け取った。

「これ、いくつくらいのとき?」
「うーん、小五か、そのくらいかな」
「これは拓巳でしょ?」

あかりは写真の中の樹音の左隣でピースサインをしている少年を指差した。
132投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月16日(金)21時12分56秒

「うん、そう。今じゃ随分大きくなったよねえ」

近所のおばさんのように言いながら樹音が笑う。

「これが樹音で……この子は?」

あかりはそう言って今度は樹音の右側で人懐っこい顔で笑う少年を指す。

「ああ、この子も、あたしと拓巳の幼馴染だよ」
「そうなんだ、他のクラスの子?見たことないけど」

あかりが言うと、樹音は少しだけ淋しそうな顔をした。

「ううん、その子ね、お母さんがアメリカの人で、今は向こうの学校に通ってるんだ」
「えっ!アメリカの学校?ハーフなんだ、かっこいい!」

どうやらあかりの中では外国とかっこいいはイコールで繋がれているらしい。
単純な図式に樹音は苦笑した。
133投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月16日(金)21時14分11秒

「べつに、かっこよくなんかないって。
 軽いし、いっつもへらへらしてるし」

樹音の顔を見て、あかりがにやりと笑った。

「樹音、この子のことが好きなんだー」
「なっ!?ち、違うから!」
「ほらほら、顔赤いよ?」
「違うってば!」

ムキになるところが怪しいなー、などとからかわれるたび、
違うとしか言えずに樹音は目を泳がせた。

「あかり、樹音、何してるの?」

突然聞こえた声は、二年になってクラスが離れてしまった千帆のものだった。
廊下側の窓から顔を覗かせる千帆の後ろには千帆と同じクラスの拓巳と裕太もいる。
理科の教科書を抱えているので移動教室なのだろう。
134投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月16日(金)21時15分05秒

「あっ、千帆、聞いて!樹音の好きな人の話」
「え?樹音、好きな人いたの?」

千帆が驚いた声を上げる後ろで拓巳が一瞬目を見開いて、すぐに目を伏せた。
そんな拓巳を裕太だけがちらりと見る。

「違うって、幼馴染のこと!」
「幼馴染、って、拓巳のこと?」

顔を真っ赤にして言う樹音に、裕太が首を傾げた。

「じゃなくて、もう一人の」

苦笑いしながら言ったのは樹音ではなく拓巳だった。

「今、アメリカの学校に通ってるライアン、って子」
「へえ、アメリカ!すごいね、かっこいー!」

ここにも頭に単純な図式を持っている人間がいたようだ、と樹音がクスリと微笑む。
135投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月16日(金)21時15分54秒

「裕太、あかりと同じこと言ってる」
「え、あかりと?」
「何、その反応。文句でもあるの?」

あかりがジトリと裕太を見る。
裕太は顔を引きつらせて千帆の後ろに回った。

「千帆、拓巳、そろそろ行こう!」

裕太が二人の腕を引くのとほぼ同時にタイミングよく予鈴が鳴った。
千帆と拓巳は苦笑いしながら、裕太の後に続く。
千帆が振り返りながら小さく手を振った。

「じゃあね、あかり、樹音」
「うん。あっ、裕太、後で覚えてなさいよ」

笑顔で指をパキパキと鳴らすあかりに、裕太は自然に足の動きを早めたのだった。
裕太の背中を見るあかりが少しだけ目を細めたのを見て、樹音は小さく笑った。
136投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月16日(金)21時17分32秒

ごめん一磨、上手く登場させられなかった……。

落ちます。
137投稿者:楽しみにしてます  投稿日:2008年05月16日(金)21時18分13秒
顆粒さんの小説好きです(´`*)
138投稿者:あげ  投稿日:2008年05月16日(金)21時53分08秒
がんばってください!!
139投稿者: 投稿日:2008年05月16日(金)23時33分46秒

140投稿者:あげ  投稿日:2008年05月17日(土)08時09分35秒
          
141投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月17日(土)15時02分34秒

一年と少し前。
まだ肌寒さを感じる空気が頬を撫でる頃、
いつものように三人並んで帰路を歩いていた。

「もうすぐ卒業だね」

まだ蕾の桜を見上げながら拓巳が言った。

「……そうだね」

一拍置いて、ライアンが相槌を打つ。
樹音はライアンがしんみりとしている理由が分からず苦笑した。

「どうせ同じ中学じゃん」

ライアンは何も言わず曖昧に笑った。
そんなライアンを不思議そうに見る樹音の左で拓巳が不安そうな声を出す。

「でもさ、クラス離れるかもしれないし、知らない人も沢山いるじゃん」
142投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月17日(土)15時03分28秒

「あのねえ、拓巳、もうちょっとしっかりしなよ。
 新しい友達作るぞー、とか。あんたそういうキャラでしょ」

呆れながら樹音が言うと拓巳は頬を膨らませた。

「このキャラは身内限定なの!僕って人見知り激しいんだから」
「はいはい」

樹音はため息を吐いた。
そんな二人のやりとりを聞いていたライアンが、急に立ち止まった。
俯いて、鞄のベルトを握りしめている。
樹音と拓巳は振り返って怪訝な顔でライアンを見た。

「ごめん」

消えそうな声はライアンから発せられたものだ。
143投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月17日(土)15時04分03秒

「僕……」

ゆっくり上がったライアンの顔には、いつもの笑顔はなかった。
代わりにあったのは苦しそうな、淋しそうな、哀しそうな、顔。


「二人と同じ中学には、行かない」


それはいきなり投下された爆弾のような物だった。

「……は?」

意味を理解できなかった樹音が数秒の間の後にようやく口を開いた。

「なに言ってんの?ライアン、受験してないでしょ?」
「そ、そうだよ。同じ公立の中学、行くんでしょ?」

拓巳もはっとして言う。
144投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月17日(土)15時04分32秒

しかしその言葉にライアンはゆるゆると首を横に振った。
ライアンの唇から、二つ目の爆弾が、投下された。



「アメリカ、に、行くんだ。」



あめりかにいくんだ。

樹音にはまるでライアンの声がずっと遠くから聞こえているように感じられた。
145投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月17日(土)15時05分20秒

>137さん
ありがとうございます。
好きだなんて言って頂けて本当に嬉しいです!
>138さん
あげありがとうございます。
はい、頑張ります!
>140さん
あげありがとうございます!

落ちます。
146投稿者:あげ  投稿日:2008年05月17日(土)15時09分50秒
あげ
147投稿者:続き気になる  投稿日:2008年05月17日(土)15時12分10秒
がんばって
148投稿者:あげ  投稿日:2008年05月18日(日)08時51分45秒
   
149投稿者:らいあ〜ん  投稿日:2008年05月18日(日)13時16分46秒

150投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月18日(日)16時49分20秒

樹音は手の中でくしゃくしゃになったメモ用紙を見た。
丁寧に広げればアルファベットの羅列が覗く。
ライアンがアメリカに発つ日、拓巳から手渡されたものだった。

意地をはって見送りに行かなかったことを今でも少しだけ後悔している。
英語で書かれた住所とメールアドレス。
樹音が自分からそこに連絡をとったことはない。
いつもライアンから送られてくる手紙やメールにたまに返事をするだけだった。
ライアン自身忙しいらしく、そもそもの回数はあまり多くないのだが。

そう、メール。
151投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月18日(日)16時50分03秒

数日前に樹音の元へ届いたそれには、『近々日本に行く予定だ』と記されていた。
だが、具体的な内容は何も書かれていなかった。

一体いつ来るのだろうか。
そのメールにだけはすぐに返信したというのに、未だ返事はない。

(会いたい)

メモを横にずらせば現れる写真。
樹音はそこに写るまだ幼い三人をじっと見つめた。

(会いたい)

樹音の右にはライアン、左には拓巳。
並んで無邪気に笑う過去の自分が羨ましかった。
152投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月18日(日)16時50分51秒

「あいたいよお、ライアン……っ」

樹音は小さく呟いた。

ねえ、だって、貴方がいないと右側が淋しくて仕方ないよ。

ガラ、と。
教室のドアが開いたのはそんな時だった。



驚いて反射的に音の方を見ると、見慣れた顔があった。


「なんだ、拓巳か。驚かせないでよ」
「ごめん」
153投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月18日(日)16時51分24秒

申し訳なさげに樹音に近付いてきた拓巳がその手元を覗き込む。

「ライアンのこと、考えてたの?」
「ち、違うよ。ちょっと見てただけ」

赤いかもしれない目を見られないよう俯きながら樹音が立ち上がった。

「っていうか、拓巳が待っててって言うから待ってたのに、遅すぎだよ。ほら、帰ろ?」

そう言っても動こうとしない拓巳に、樹音は首を傾げた。

「どうしたの?」
「樹音は、いつまでライアンを好きでいるの?」

ドキリ、と樹音の胸がざわついた。
154投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月18日(日)16時53分22秒

>146さん・148さん
あげありがとうございます!
>147さん
コメントありがとうございます!頑張ります。
短編なので展開は速いと思います。
>150さん
ライアーン!!

落ちます。
155投稿者:あげ  投稿日:2008年05月18日(日)17時05分41秒

156投稿者:続き楽しみ  投稿日:2008年05月18日(日)17時10分37秒
ライアンくるのかな
157投稿者:これって小説なの?  投稿日:2008年05月18日(日)17時13分09秒
158投稿者:そうだよ  投稿日:2008年05月18日(日)17時19分39秒

159投稿者:あげ  投稿日:2008年05月19日(月)05時53分08秒
   
160投稿者:ガンバ  投稿日:2008年05月19日(月)15時55分16秒

161投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月19日(月)19時44分52秒

拓巳の声がやけに大きく、辺りは不自然なくらいシンとしている。

「もう、止めたらいいのに」
「忘れろ、ってこと?」

樹音の険しくなった顔に拓巳は首を横に振る。

「そうは言ってない。だけど……」
「だけど?」

口籠る拓巳に先を促す樹音。
その声には明らかな苛立ちが含まれている。

「ライアンは向こうで彼女作ってるかもよ?
 いつ帰ってくるかも分からない、ほとんど会えないような奴、
 ずっと想ってたって辛いのは樹音だよ?」
162投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月19日(月)19時45分29秒

意を決したように拓巳が言った。
樹音の目を真っ直ぐ見つめる。

逆に樹音の方がぐしゃりと顔を歪めた。

「そんなの、分かってる……っ!」

瞳にうっすら涙を浮かべて、絞りだすように言う。

「あたしだって、諦められたら、良かったって思ってるよ」
「樹音……」
「だけど、駄目なんだから、仕方ないじゃん」

とうとう、樹音の目から溜っていた涙が溢れだした。

「好きなんだよ、どうしようも、ないじゃん」
163投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月19日(月)19時45分47秒

拓巳はしゃくりあげる樹音を心配そうに見て、
それから困ったようにそっと樹音に近づいた。

「ごめん、樹音」

あやすように樹音の背中をゆっくりさする。
震える体はこんなにも小さくて。

「僕さあ、」

ようやく落ち着いてきた樹音に呟くように言った。

「樹音のこと、好きだった」
「え?」

樹音が驚いたような声を出したが、拓巳は構わず続ける。
164投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月19日(月)19時46分13秒

「樹音がライアンしか見てないことは一番よく知ってたから、
 諦めようって思ったこと、ある。
 だけどそんなの無理で、ダメ元で告白しようと思ったこともある。
 でも、今の関係が壊れるのが怖くて、結局何もしなかった」

背中に拓巳の熱を感じながらやはり樹音は困惑したままだった。

「ライアンがアメリカ行っちゃって、
 少しは僕を見てくれるかなって思ったりもしたけど、やっぱり無理だったね」

ゆっくりと腕をほどいて樹音の目を見つめる。

眉を下げている樹音に拓巳は笑いかけた。
笑顔になりきれない無器用な笑顔。
その笑顔を見て樹音は一層困っていた。
165投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月19日(月)19時46分56秒

「好きだけど、好きだから、樹音には笑っていてほしい。
 だから、」

不自然に言葉を切って、樹音から離れる。
拓巳が後ろを見るのにつられて、樹音も拓巳の背後に視線を向けた。

「……嘘……」

樹音の震える唇から、小さく声が零れた。




「らいあん?」


一日だって想わなかったことのないあの懐かしい笑顔が、あった。
166投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月19日(月)19時48分55秒

笑顔のまま、両腕を大きく広げる仕草に、今日だけは躊躇うことなく飛込んでいく。

「ライアン!」

確かめるようにその背中に手をまわすと、確かな感触。
樹音自身も痛いほど強く抱き締められる。

「樹音、会いたかった」
「あたしも、会いたかった」

会えないでいた時間を埋めるかのように、二人は強く、強く、抱き締めあった。
そんな二人を苦笑しながら見て、そっと出ていった拓巳に二人は気付かない。

(泣かせちゃったけど、ちょっとくらいの意地悪は許してよね)

拓巳は心の中でだけ小さく呟いた。
167投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月19日(月)19時49分17秒

>155さん・159さん
あげありがとうございます!
>156さん
楽しみにしてくださってありがとうございます!
ライアン参上!って、展開ばればれでしたね;
>157さん
タイトルに「小説」って入れなかったからでしょうか?
あるいはト書きが少ないからか……。
>158さん
代弁ありがとうございます!
>160さん
ありがとうございます!
あと少しですが頑張ります!

落ちます。
168投稿者:あげ  投稿日:2008年05月20日(火)05時49分59秒
   
169投稿者:あげ  投稿日:2008年05月21日(水)08時36分22秒
    
170投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月21日(水)23時26分03秒


ライアンが旅立つ日、意地っ張りな樹音は拓巳の予想通り見送りに来なかった。

「八時って言ったのに……」

肩を落とす拓巳にライアンはヘラリと笑いかける。

「大丈夫だって、一生の別れってわけじゃないんだし」

拓巳はそうだけど、と呟きながら納得していないように樹音の家のある方向を見た。

「アメリカは、遠いよ」

国内に引っ越すのとはわけが違う。
使っている言語も、文化も、何もかも違うのだ。
何よりも海を越えなければ行くことができない場所。
それは拓巳にとって未知の世界だった。
171投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月21日(水)23時27分27秒

しかしそんな拓巳と対照的にライアンの声は明るい。

「遠いって言ったって、飛行機でビューンで着いちゃうようなところだよ」
「っ、大体、もう少し早く教えてくれても良かったんじゃないの?」

少しムッとして拓巳が言うと、ライアンは少しだけ笑みを消した。

「本当は、もうずっと前から決まってたんだけどね。
 迷ってて、行くのちょっとやだなあ、とか、思っててさ。
 いざ決めたら言うタイミングが掴めなくて」

ごめんねと小さな声で言うライアンに、拓巳はようやくその笑顔が強がりだったことに気付く。
余計に視界が滲んできて、零れそうになった涙を手の甲で拭った。
だがもう手遅れだったのか、拭っても拭っても涙は止まらない。
172投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月21日(水)23時27分57秒

「拓巳、泣くなよー」
「な、泣いてないって」
「うっそだあ、泣いてるじゃん」
「泣いてない」
「泣いてる」
「泣いてない」
「泣いてる」

くだらない水掛け論がしばらく続いて、
いつの間にかどちらからともなく笑い出していた。

「あー、なにやってるんだろ」
「ほんと、もう少ししたら、ライアン、行っちゃうのにね」

二人で笑って、またどちらからともなく泣き出した。
173投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月21日(水)23時28分35秒

ぐずぐずと鼻をすすって何かを言おうとした拓巳は、上手く声が出ずに押し黙った。
ライアンも涙が頬を伝う前に掌で拭っている。

「っ、たくみの、馬鹿、泣かずに行こうって決めたのに……、
 笑顔でっ、またね、ってさあ……っ」

別れの時間はすぐそこで、言いたいことは山ほどあって。
だけど唇は動いてくれない。ただ震えるだけ。
それがもどかしくて、拓巳は浅く息を吐いた。

「ライアン、」

拓巳がやっと口を開いたのと、クラクションの音が鳴ったのはほぼ同時だった。

「ごめん、もう、行かなきゃ」

言いながら、ライアンは真っ赤な目をしながら必死に笑顔を作る。
174投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月21日(水)23時29分24秒

「樹音のこと、よろしくね」

そう言ってライアンが胸に押し付けた紙を拓巳は反射的に受け取った。
見ると書かれているのはアルファベットの羅列。
拓巳もライアンに赤い目で笑いかけた。

「うん」

もう一度急かすようにクラクションが鳴り、
ライアンは慌てた様子で車に向かった。


「じゃあ、またね」
「またね」
175投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月21日(水)23時30分04秒

名残惜しげに振り返るライアンに小さく手を振る。
その背中が遠ざかるにつれて自然と手の動きも大きくなった。
見えていないことは分かっていても、そうせずにはいられなかった。
もう涙も拭わないで、拓巳はただ手を振り続けた。

とうとう車も見えなくなった。



上を向いて歩こうか。
だけど、涙は零れるね。
大丈夫、またねって、その約束はいつか必ず叶うから。
**
176投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月21日(水)23時30分32秒

>168さん・169さん
あげありがとうございます!

落ちます。
177投稿者:あげ  投稿日:2008年05月22日(木)08時31分15秒
   
178投稿者:あげ  投稿日:2008年05月23日(金)05時53分39秒
     
179投稿者:続き楽しみ  投稿日:2008年05月24日(土)14時20分08秒
 
180投稿者:あげ  投稿日:2008年05月24日(土)16時11分05秒

181投稿者:頑張ってください^^  投稿日:2008年05月24日(土)19時33分44秒
 
182投稿者:あげ  投稿日:2008年05月25日(日)08時11分47秒
         
183投稿者:ガンバ  投稿日:2008年05月25日(日)09時25分04秒

184投稿者:あげ  投稿日:2008年05月25日(日)14時25分23秒

185投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月25日(日)14時47分06秒

>177さん・178さん・180さん・182さん・184さん
あげありがとうございます!
>179さん
ありがとうございます。
この更新で完結です。楽しんでいただけたら嬉しいです!
>181さん
応援ありがとうございます!
本当に励みになります。
>183さん
ありがとうございます。
最後なのでいつも以上に気合を入れます!

それでは、ラストの更新です!
186投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月25日(日)14時47分48秒

「ほんと、お人好しだな」

一磨に言われ、拓巳は曖昧に笑う。

「あんなサプライズやっちゃうなんて、確かにお人好しだね」

裕太にまでそう言われるが、拓巳にとって答えは一つしかない。

「いいの、僕は。樹音が幸せなのが一番だから」
「そういう所がお人好しなんだって」

間髪入れずに裕太が言う。
拓巳はうーん、と唸って、それから笑った。

「樹音の隣にライアンがいないのってなんか変だし。
 二人はやっぱり一緒にいないと」

この気持ちは、嘘偽りのない本心だった。
187投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月25日(日)14時48分17秒

どんな樹音でも好きだが、自分が一番好きなのは、ライアンといる樹音なのだ。
不思議と心は軽い。

「自分の気持ちも言えたし、なんか凄くすっきりしてるんだ」

胸に残る暖かな気持ち。
その暖かさは前に進もうとする拓巳を後押しするだろう。

急に扉が開けられて二つの顔がひょっこりと教室を覗き込む。
赤い目と赤い鼻、照れた顔をした樹音と、
いつも以上にニコニコとしているライアンだ。

「拓巳、一緒に帰ろ」
「へ?」

樹音の言葉に拓巳は気の抜けた声を出した。
188投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月25日(日)14時48分45秒

「三人で帰るの、久しぶりだね」

拓巳はまだ返事もしていないのにライアンが言う。

「いやぁ、ほら、僕お邪魔でしょ」

おどけて言ってみせる拓巳だが、二人はぴったり同じタイミングで、
そんなことない、と言った。

渋る拓巳の背中に、軽い衝撃。
振り向くと裕太と一磨が笑っていた。
その笑顔にようやく拓巳も笑う。

「……じゃあ、帰りますか!」

そうして拓巳は鞄をとって裕太と一磨に手を振った。
189投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月25日(日)14時49分14秒

右にライアン、左に拓巳、真ん中に樹音。
それは三人のいつの間にか決まっていた定位置だった。

「久しぶりだねぇ、三人で帰るの」
「そうだね」

ニコニコと笑顔で言うライアンに拓巳が相槌を打つ。
樹音が沈みかけた夕陽を見つめながらしみじみと言った。

「もう一年経っちゃったんだ」
「……うん」
「でもさあ、二人とも変わってなくて安心したよ」

つられてしみじみとしてしまった拓巳とは逆にライアンは笑みを崩さない。

「この一年は向こうに慣れるのが大変で、なかなか連絡できなかったから。
 これからはもっと手紙とかメールとか電話とか、するね」
190投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月25日(日)14時51分17秒

そこまで言うと、話題をガラリと変えた。

「ところで、拓巳って樹音が好きだったんだねー」
「ちょ、ちょっとライアン!」

気を使ってライアンを黙らせようとする樹音の顔はほんのり赤い。

「……ごめんね」
「なんで樹音が謝るの?」

ばつが悪そうに目を伏せた樹音に拓巳は苦笑する。
樹音はやはり申し訳なさげに言った。

「返事、してなかったでしょ?」
「わかってたから、気にしなくていいのに」

益々苦笑する拓巳だったが、急にライアンが腕を組んで偉そうに、

「まあ、拓巳にはお世話になったし、樹音を泣かせちゃったのは許してあげる」
191投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月25日(日)14時51分54秒

話に割り込んで来るのは空気が読めないのか空気を読まないのか。

樹音はなんであんたが許す許さないを決めるの、と頭を抱えていたが、
その表情は穏やかだった。

「あ、でも、僕は樹音を世界で一番愛してるんだから、
 向こうで彼女なんて絶対作りませんよーだ!」
「な、ば、馬っ鹿じゃない!?」
「はいはい」

ライアンの大胆な告白に樹音は顔を真っ赤にし、拓巳は慣れたように受け流す。

「でも、」

ふいに、ポツリと樹音が言った。
192投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月25日(日)14時52分35秒

「あたしは、ライアンが……好き、だけど。
右にはライアンがいないとやだし、あたしの左には、拓巳がいないと、嫌だ」

樹音の言葉にライアンと拓巳は顔を見合わせると、にっこりと笑い合った。
そうして、二人同時に樹音の手を握り締めた。

「仰せのままに、お姫様」
「ここは、樹音の指定席だね」

冗談のように気取って言うライアンと
真面目に考えると恥ずかしい台詞をさらりと言う拓巳。

それでも樹音は握られた手が嬉しくて、自分もギュ、と握り返した。
193投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月25日(日)14時53分44秒

右にライアン、左に拓巳、真ん中に樹音。
それは、これからも続く三人の幸せな関係。


掌に感じる温もりを

君がいてくれる幸せを

胸いっぱい感じよう。

                ○●END●○
 
194投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月25日(日)14時57分37秒

完結です。

感想をくださった皆さん
応援してくださった皆さん
読んでくださった皆さん
ありがとうございました!
195投稿者:あげ  投稿日:2008年05月25日(日)15時12分48秒
簡潔おめでとー!
面白かったよ^^
196投稿者:あげ  投稿日:2008年05月25日(日)15時25分58秒

197投稿者:えfcぺl  投稿日:2008年05月25日(日)15時50分06秒
23ml2mf2jf24いfg2いtgく3hd
198投稿者:ライ樹拓の3人の関係  投稿日:2008年05月25日(日)15時52分10秒
好きだったから良かった
話も読みやすかったしカプ小説って訳でもなくてなんか良かった
199投稿者:気が向いたら  投稿日:2008年05月25日(日)16時59分31秒
ぜひ続編書いてよ
全く違うストーリーでもかまわないから
200投稿者:名作  投稿日:2008年05月25日(日)21時24分47秒
 
201投稿者:しばらくしたらでいいから  投稿日:2008年05月25日(日)21時52分18秒
この3人の続編みたい
202投稿者:がんばれ  投稿日:2008年05月25日(日)21時52分55秒

203投稿者:あげる  投稿日:2008年05月25日(日)22時01分16秒

204投稿者:おつかれ  投稿日:2008年05月25日(日)23時51分30秒
拓巳切ないw
205投稿者:顆粒  投稿日:2008年05月26日(月)20時25分31秒

あげとかコメントとかありがとうございます!
完結したのにしつこくてすみません。
思ったより読んでくださっていた人がいたみたいで嬉しいです。

続編についてですが、今のところは考えていません。
というか、話が思いつきませんすみません……。
思いついたらいきなりスレッド立てるかもしれません。

しかし何故か私の書く中一男子はやたら可哀想ですね。
ごめんね拓巳。あと一磨も。

もう少ししたら新しいスレッドを立てようかなあと思っています。
予定は未定ですが。
もしも顆粒の作品を気に入っていただけたなら、
新しく書き始めたときは暇つぶしにでも見てやってください。

それでは、失礼いたします。
206投稿者:そうなんだ  投稿日:2008年05月26日(月)20時45分48秒
残念
207投稿者:あげ  投稿日:2008年08月22日(金)12時05分43秒

投稿者 メール