このページは、@wiki で 2019年02月12日 03:22:45 GMT に保存された http://web.archive.org/web/20100115012322/http://ame.x0.com/tentele/071225165216.html キャッシュです。
ユーザがarchive機能を用いた際、@wikiが対象サイトのrobots.txt,meta情報を考慮し、ページを保存したものです。
そのため、このページの最新版でない場合があります。 こちらから 最新のページを参照してください。
このキャッシュ ページにはすでに参照不可能な画像が使用されている可能性があります。
@wikiのarchve機能についてはこちらを参照ください

@wikiはこのページまたはページ内のコンテンツとは関連ありません。

このページをキャッシュしたwikiに戻る

+.*LastChristmas*.+
1+.*LastChristmas*.+ 投稿者:H×K  投稿日:2007年12月25日(火)16時52分16秒
2007年12月25日
今日は今年最後のイベント。そうクリスマス。
しかし、彼女達に休みなどない。
彼女達はこの毎日を慌しく。けれど楽しく過ごしている――

+.*Cast*.+

♂日向滉一♂   ♀豕瀬志穂♀

*木内梨生奈* *木村遼希* *ド・ランクザン望* *桜井結花*
2投稿者:H×K  投稿日:2007年12月25日(火)16時54分33秒
「梨生奈〜結花っ♪待たせちゃってごめん!」
「も〜!志穂遅かったじゃん!(笑)」
「ごめんごめんっ。じゃあ行こうかっ」

クリスマスと言えば、彼氏とラブラブに過ごすとか
家族と仲良く過ごすって人が多いと思う。
でも、私達に彼氏は居ないし…実家に帰る暇もない。
だから、今年のクリスマスも女3人...

「今日はドコ行く〜?」
「ん〜…そう言う結花はドコ行きたい?」

3人横一列に歩く。これが私達の決まり。
周りからすると大迷惑だと思うけど、この決まりが私達を変えた…

「痛っ…」 「ごめんっ大丈夫?」

そう、滉一との出会い。
3投稿者:H×K  投稿日:2007年12月25日(火)16時57分18秒
「志穂っ大丈夫?」 「ケガしてない?」

ちょっとボーッと歩いてたら滉一とぶつかった。
結花と梨生奈が心配して駆け寄る。
滉一も心配そうに私を見つめ手を差し伸べる。

「ちょっと友達との話に夢中になってて…ごめん。」
「大丈夫っ。アタシもボーッとしてたから…」

「まったく…滉一は(笑)すいませんね」

滉一は友達と一緒に歩いてたようだ。
友達の名前は遼希。意外とカッコ良い友達だ。

「だいじょ…」
「志穂は大丈夫だと思います!」

私が滉一の手を借りて立ち上がった時、
梨生奈はもう私の心配なんかまるでしてなかった。
どうやら梨生奈は…遼希が気に入ったみたいだ。
結花に目をやると結花も呆れた顔で私に視線を返す。
4投稿者:H×K  投稿日:2007年12月25日(火)16時59分52秒
「そう?…(笑)君、面白いね」
「そ、そうかな?(笑)」

意気投合してるし。
私達はどうすれば良いんだっての。
そんな事を考えてた時だった。

「あのさ…君、今日空いてる?」

滉一が私を見てそう言った。
誘ってるの...かな?

「…今日?」

結花と梨生奈に目で『どうすれば良いの?』と聞く。
すると梨生奈はニコッと微笑み

「良いじゃん〜!今からトリプルデートしない?」
「トリプルデート?!」
5投稿者:H×K  投稿日:2007年12月25日(火)17時01分01秒
トリプルデートって言っても…
結花はどうするの?それにデートって…

「良いよ♪じゃあ…結花は今から連絡するね!」
「うんっ。望に頼み込んでよねっ」
「了解っ」

望?結花っていつから望と付き合ってたの?
まったく…この2人にはついていけないよ…

6投稿者:H×K  投稿日:2007年12月25日(火)17時03分26秒
――30分後
「ごめんっ待った?」
「大丈夫♪いきなりごめんね?」

結花と望が隣に立つ。
それにしてもすごい身長差。これじゃ親子だよ。親子。
1人心の中で漫才をやっていると梨生奈と遼希の声が聞こえてきた。

「よぉし!メンバーはそろったねっ。で、ドコ行きますかぁ?」
「ん〜…女子はどういう所が好き?」

まったく…相変わらず君達はお似合いだよ。
と、反対を向けば身長差カップル結花と望が
仲良く盛り上がってるし…
ってか…私、望とは会いたくないんだよね。
あんな事があったし…(この話はいつかするけど)


7投稿者:H×K  投稿日:2007年12月25日(火)17時06分14秒
「ねぇ、志穂ちゃんはドコ行きたい?」
「えっ?」
「これから行く所。ドコか行きたい所ある?」

名前...呼ばれた?
何で最近の若者はこうすぐ意気投合したり、
仲良さ気に話せるの?私にはムリ…

「ん〜…ちょっと待ってて?梨生奈と相談してくるねっ」

私は最高の笑顔で嘘をつき梨生奈の元に行った。
そして遼希に軽く愛想笑いして、小声で問い詰めた

「梨生奈っ、まさか本気で行くつもり?」
「もっちろん♪だって、ウチ遼希君とメッチャ話合うんだもんっ」
「じゃあ、2人だけで行けば良いでしょ?」
「何でぇ?彼(滉一)だって志穂の事スキそうじゃ〜ん!」

8投稿者:H×K  投稿日:2007年12月25日(火)17時08分36秒
スキそうって…そんなの勘でしょ?
勘でモノを言うんじゃないよ。この子は…

「と…とにかくっ帰る!!」

私はそう言い残して駅の方に歩き出した。

「志穂っ!」 「あれ?志穂どうしたの?」

いつも梨生奈は名前を呼ぶだけで追いかけては来ない。
結花も今日は望が居るから来ないだろう。
もう、このまま友情が途絶えても…仕方ないな…

そんな寂しい事を考えながら足早に駅のホームに出る
振り向いたけど…誰も追いかけてこない。
当たり前だよね…こんな空気読めない女…
9投稿者:H×K  投稿日:2007年12月25日(火)17時10分09秒
『3番ホームに電車が参りますっ』

「はぁ…家に着いたら2人にメールで謝ろうっ…」

そう呟いて電車に足を踏み入れた。
その時――…

「…待って!」

いきなり何者かに腕を掴まれてホームに引っ張り出された。
いきなりの事に体がついて行けず、倒れそうになり
何かに包まれるように寄りかかる。

――あったかい…
10投稿者:H×K  投稿日:2007年12月25日(火)17時13分09秒
ドアが閉まり、電車が動き出す。
周りの人の視線が熱く、おもむろに顔を上げる

「滉一君…?」

肩で息をしながら、私を腕で受け止める滉一。
迷ったあげく、全力で走って来てくれたんだろう
手袋をつけていない手が赤く、冷たくなっていた

「…追いかけてきてくれたの?」
「さっきは慣れなれしく話しかけてごめんっ...
 ...でもっ、君には他の人違う何かを感じて…このまま別れたくないんだっ...」

呼吸が乱れながらも、真っ直ぐに私を見つめる滉一の瞳。
私はいつの間にか滉一への不信感が消えている事に気づいた。

11投稿者:H×K  投稿日:2007年12月25日(火)17時14分54秒
「だからっ...だからっ」

こんなに私を思ってくれる人は…もう居ない。
それに、こんな不器用な人。
私以外に受け止められる人なんて居ないだろう
そう思った時、私は滉一の冷え切った手を両手で包み込んだ

「寒かったでしょ?こんなに冷たくなっちゃってさっ…」
「あっ…」

滉一は今初めて気づいたと言うような顔をしている。
本当に、1つの事にしか集中できない純粋な人なんだなぁ
私は照れ隠しに両手にはめていた手袋を外して、
滉一の手にはめながら小声で言った

「…ありがとう。嬉しかったっ」
12投稿者:H×K  投稿日:2007年12月25日(火)17時16分35秒
滉一は目を丸くして私を見るといきなり笑顔になり
私を力強く抱きしめた

「…っ!?」
「良かった…やっと志穂ちゃんが笑った...」
「滉一君…」

私はこの時、本当に嬉しかった。
でも、ホームの端で梨生奈・遼希・結花・望が
微笑ましそうに私達を見ていた事に気づいてしまった。
『あっ!』と大声を出してムードを壊す事もできたけど…

何だか不思議だった。
もう少し。あと1分だけでも良い。
滉一の腕に抱かれていたいって思っていた。
13投稿者:あげ  投稿日:2007年12月25日(火)18時14分42秒
  
14投稿者:H×K  投稿日:2007年12月27日(木)15時06分50秒
それから私と滉一は“運命の出会い”をきっかけに
付き合う事になった
梨生奈も遼希と上手くいってるみたいだし、
結花と望も相変わらずラブラブで…

こんな毎日がずっと続けばって思う自分がココにいる。
こんな気持ち…初めて。
今まではこんな幸せが壊れてしまうのが怖くて…
自分でブレーキをかけてしまっていた
でも…『恐れてばかりじゃダメなんだ』って
滉一が教えてくれたから…

15投稿者:H×K  投稿日:2007年12月27日(木)15時08分11秒
2007年12月31日
「ね!今日は6人揃ったわけだし、ドコか遊びに行こうよ〜」
「また〜?(笑)梨生奈は好きだね〜」
「いいじゃ〜んっ。ね、志穂もさ!行こうよ〜!」

本当に梨生奈は6人で出掛けるのが好きなんだからっ
仕方ないっ。付き合ってあげるかっ

「ん〜…ま、良いよ♪滉一も今日大丈夫?」
「うっうん…でも…」
「でも…?どうしたの?顔色悪いよ…?」

いつもはのんきそうな顔している滉一が
この日は何だかいつもと違う顔をしていた。
16投稿者:つまんないwwwwwww  投稿日:2007年12月27日(木)15時09分48秒
まじキモい
一人で家に籠ってこんなことを考えてるの?
ひくわwww
17投稿者:H×K  投稿日:2007年12月27日(木)15時11分15秒
「今日は…行かない方が良いよ。行くのは今度にしない?」
「何で〜?大晦日なんだし行こうよ〜!」

梨生奈が滉一の肩に手を置いて滉一を揺さぶる
結花や望も梨生奈に賛成らしく、滉一を乗せようとしてる。
でも、滉一は下を向いて返事もしない。
今までに感じた事のない胸騒ぎを感じた…

「梨生奈待ってっ…」

梨生奈の手を掴んで下ろす
このまま梨生奈に揺さぶられていると、
滉一が壊れそうで怖かった…


「…ねえ、滉一?具合でも悪いの?」
「…。」
「ムリしなくて良いんだよ?アタシが傍に…」
「…今日は危ないんだ」
18投稿者:H×K  投稿日:2007年12月27日(木)15時12分46秒
さっきまで無反応だった滉一が私の腕を掴み、
必死に何かを訴えようとしてる。

「危…ない?何が?」
「今日出掛けたら…この中の誰かが…」

滉一がそこまで言ったその時、
今まで一言も話さなかった遼希が口を開いた

「――…死ぬ」

私達は今の状況を飲み込む事が出来ずに
立ち尽くしていた。
いつも元気な梨生奈すら言葉がでないみたい…

「死ぬ…?どういう事なの?」

19投稿者: 投稿日:2007年12月27日(木)15時13分12秒
20投稿者:H×K  投稿日:2007年12月27日(木)15時14分20秒
私が必死の思いで言葉を発する
遼希の話によると、滉一は幼い時から
ふとした瞬間に未来が見える時があるのだという。

「そんな話…誰が信じるんだよっな?」
「そ、そうだよっ未来なんて誰にも分かんないよ」

望と梨生奈は滉一の言葉を信じようとしなかった
結花も望に言われて「そうだよね」と言っている
私もこんな物語みたいな事信じられない。

でも…滉一の事は信じていたい…
滉一は不器用でこれといった特技もないけど
嘘をつくような人じゃないから…
21投稿者:H×K  投稿日:2007年12月27日(木)15時15分43秒
「だったら…出掛けてみようか。」

滉一が声を震わせながら言った。

「そうそう!そう来なくっちゃっ」
「じゃあ…近くの遊園地にでも行きますかっ♪」
「遊園地か〜。結花は観覧車に乗りたいなぁ〜」

もうすっかり乗り気の望と梨生奈と結花は、
私達に背を向けて歩き出した

「おい…本当に大丈夫なのか?」

遼希はいつにもまして不安げな顔で
滉一の顔を覗き込んでいた。
22投稿者:H×K  投稿日:2007年12月27日(木)15時17分16秒
私も心配になって、滉一の手を握る

「滉一…アタシは信じてるよ?だから…ムリはしないで」
「…大丈夫。いざと言う時は、俺が守るから。」

滉一はそういって私の手を握り返してくれた

「…うんっ♪」

私がニコッと微笑むと滉一もつられて微笑む
それを見た遼希も安心した顔をして滉一の肩を軽く叩き、
梨生奈達の方に走って行った

滉一もさっきより顔色が良くなって、
私達はすっかり滉一の予言を忘れていた。

まさか…こんな事になるなんて…
23投稿者:H×K  投稿日:2007年12月27日(木)15時18分59秒
2007年12月31日 PM 04:38
「お客さん。この渋滞じゃ歩いた方が早いよ。」

私達は3台のタクシーに分かれて乗っていた
だけど、渋滞に巻き込まれたみたいで
しかたなくタクシーを降りて歩き出した

「まあさっ、たまにはハイキングも良いよな?」

望がわざと明るい声で場の空気を和ませる
確かにたまにはこういうのも良いかもしれない
両側に大きな木が植えてある並木道を歩く
人通りは少なく、渋滞のため車は動かないから静か…

すっかりリラックス気分で
少し先に見える遊園地を目指す

24投稿者:H×K  投稿日:2007年12月27日(木)15時20分35秒
滉一も楽しそうにしてるし、良かったぁ...

でも、この幸せは一台のバイクによって
無残にも引き裂かれた…

「っ…志穂危ないっ」

――キイイィィッッ!

「痛っ…」

私は…思い切り突き飛ばされて...
最初、何が起きたか分からなかった

でも…すぐに察した滉一が…見当たらない。
25投稿者:H×K  投稿日:2007年12月27日(木)15時22分38秒
「滉一っっ!!」

遼希が少し遠くを見て叫びんだ
望達が駆け寄ろうとしたその時、
その横をすごい勢いで私が通り過ぎた

滉一が...滉一が私なんかのために…
死んじゃうかもしれない...

「滉一っ...何で…」

粉々になったバイクの隣で倒れている滉一の横に
崩れるように座り込む

「…っ約…束したからっ…」
「…約束?」
「いざと言う時は…守るって…」

26投稿者:H×K  投稿日:2007年12月27日(木)15時24分58秒
滉一はどんな時も私とした約束を守ってくれた。
だから今日も…

私は赤く染まった滉一の手をそっと握った。

「何でよ...こういう時くらい破って良いのに…
 アタシ...滉一が居ないと...」

何で?今、滉一に伝えたい事はたくさんあるのに…
声が震えて…上手く伝えられない…

「大…丈夫。志穂をおいてはっ…逝かないから…」

滉一が一語一句話すたびに、地面の染みが広がっていく

27投稿者:H×K  投稿日:2007年12月27日(木)15時27分14秒
滉一の手もさっきと比べて冷たくなってきた
滉一が消えちゃう…
そう思うと頭が混乱して、頭が真っ白になる

頭が真っ白で何も言えない…
こうしている間にも滉一は
どんどん冷たくなっていくのに...

「滉一…滉一っ…」
「志穂ちゃん、落ち着いて。」
「放といてよっ…!」

救急車を手配して戻って来た遼希の手を振りはらい
滉一の名前をひたすら呼ぶ
名前を呼ぶのをやめたら…
滉一が本当に居なくなっちゃう気がしたから…
28投稿者:age  投稿日:2007年12月27日(木)15時27分43秒
面白いww頑張れ
29投稿者:H×K  投稿日:2007年12月27日(木)15時29分06秒
この20分後、救急車が来て
滉一は近くの救急病棟に運ばれた。
私も突き飛ばされた時に手を擦りむいたから
処置室で手当てを受けた。

「他に痛い所はありませんか?」

看護婦さんが私に声をかける。
でも、頭の中は滉一一色でそんな声など
私の耳には届かなかった。
それは結花達の声も一緒だった

まるで音のない世界に迷い込んだみたい…
30投稿者:age  投稿日:2008年01月04日(金)14時02分48秒
 
31投稿者:あげ  投稿日:2008年01月05日(土)11時06分49秒
 
32投稿者:H×K  投稿日:2008年01月07日(月)12時51分52秒
「おいっ志穂!そんなに思い詰めるなってっ。
 あれは事故なんだしさっ…志穂のせいじゃないって」

――志穂のせいじゃない。

望は私の事をかばって言ってくれたんだろう
でも…今の私には逆効果だった

私のせいじゃないって言うなら
一体誰のせいで滉一がこんな目に…?
そう考えると…なぜだか怒りが込み上げてきた

「望に何がわかるの…?」
「えっ?」
「全部志穂のせいだよ…もっと滉一を信じてればこんな…」

自分でも何が言いたいのか分からない。
でも…思ってもないような事が次から次へと
滝のように溢れ出してくる
33投稿者:H×K  投稿日:2008年01月07日(月)12時53分24秒
「違う。あれは防ぎようのない事故だったんだって」

望の話し方がさっきと変わった
いつものふざけた感じはまったくなく、
いつにもまして真剣だった。

望は私の肩を軽く三回叩いた。
いつもの私ならここで冷静さを取り戻すだろう。
でも、今の私には…できなかった

「そんなの嘘!きれい事じゃん!」

私は勢いあまって望の手を振り払った
そして勢い良く立ち上がった

「志穂…」
「滉一は…滉一は予言してたじゃない。
誰かがこうなるって事を…それなのに…」
34投稿者:おもろ  投稿日:2008年01月07日(月)12時54分13秒
こういちと志穂トカなんかいいねえ
35投稿者:H×K  投稿日:2008年01月07日(月)12時55分27秒
何で信じてあげられなかったんだろう…
滉一はいつだって私を信じてくれてたのに…。
そう思うと涙が止まらなくなった
その時…

カチッ――

“手術中”のライトが消えた。
そして、執刀医の先生が出てくる

「先生っ…」

私達は一斉に執刀医の元に駆け寄った
先生はゆっくりとマスクを外し、重い口を開いた。

「手術は…無事に成功しましたよ。」

“大…丈夫。志穂をおいてはっ…逝かないから…”
滉一はまた約束を守ってくれた

「…しかし、意識が戻るまでは安心できません。」
36投稿者:H×K  投稿日:2008年01月07日(月)12時57分05秒
「それって…戻らないって事も?」

結花が私達を代表して聞く。
すると、執刀医は俯きぎみにコクリと頷いた

意識が戻らないかもしれないって…どういう事?
滉一は約束を守ってくれるんじゃなかったの?

重苦しい空気の中、手術室の中から
一台のストレッチャーが出てきた。
その上では酸素マスクをつけた滉一が横たわっていた

私は無意識のうちに滉一に歩み寄った
そして、滉一の頬を軽く撫でると…
良かったぁ...冷たくない…

「…ごめんね。」
37投稿者:H×K  投稿日:2008年01月07日(月)12時59分06秒
それだけしか言えなかった。
本当はもっとたくさん言いたい事があるのに…

ガラス張りの部屋でたくさんの...
たくさんの機械に囲まれて眠る滉一

私が身代わりになってあげられるのなら...
どれだけ気持ちが楽になるだろうか――

ガラス越しに滉一を見つめていると
どうしても胸がいっぱいになる。

「私が身代わりになれたら...って思ってる?」
「えっ...?」

まさに思ってた事を言われて振り返ると
遼希がベンチに腰掛けて私を見ていた。
気がついたら...梨生奈達はベンチの上で寝息をたてていた
もう夜中の2時だったんだ…
38投稿者:H×K  投稿日:2008年01月07日(月)13時00分37秒
「今すっごく苦しいとか、辛いって思わない?」

遼希はベンチから離れると私の横に立った
そして、寂しそうにガラスの向こうに居る滉一を見た。

「もし、あれが君なら...滉一がそういう思いをしてたんだ。」
「滉一が...?」
「そう。守ってやれなかったってね。」

遼希の言葉はなぜかわからないけど...
説得力があった。
何だか...滉一と同じ温かさを感じる…

「俺もそうだった。」
「...遼希も?」
「そう。俺らには2年前、千秋っていう友達が居たんだ…」
39投稿者:H×K  投稿日:2008年01月07日(月)13時02分06秒
遼希の話によると、千秋は友達思いの優しい性格で、
私達で言う望みたいな存在だった

でも…ある日、3人で海に行った時に
千秋の忠告を無視して、海に飛び込んだ遼希が
波に足をとられて溺れてしまった。

それを助けるために海に飛び込んだ千秋は、
遼希が海辺に引き上げられたの見届けると
波にさらわれて、見えなくなったんだとか...

「あの時...千秋の言う事を聞いてれば…
 そう思うと...悔やんでも悔やみきれなくってさっ...」

40投稿者:H×K  投稿日:2008年01月07日(月)13時05分10秒
遼希の目には涙が溜まっていた
だからあの時...遼希は最後まで滉一の心配をしてたんだ…

“おい…本当に大丈夫なのか?”

私はなんて言葉をかければ良いのか分からなかった
でも...滉一の事とは別に涙が溢れた

「だからっ…志穂ちゃん...?」

私が涙する話じゃないのは分かってる
でも…滉一と千秋、遼希と自分を重ね合わせちゃって…

「ご、ごめんねっ最近涙もろくって…」

遼希に心配かけないように笑わなくちゃ。
滉一が元気になれるように私は笑ってなくちゃ…

41投稿者:H×K  投稿日:2008年01月07日(月)13時07分06秒
その時、ふっと抱き寄せられた。
この感じ…どこかで…

“…待って!”

――滉一っ。滉一に似てる...

「俺は…滉一にはなれないけど
 アイツみたいにはなれるから…。」

この瞬間…初めて知った。
遊園地に行く前の滉一が予言をしたあの時、
滉一が遼希にメールで

“俺にもしもの事があったら…志穂を頼む”

そう頼んでいた事を…


42投稿者:H×K  投稿日:2008年01月07日(月)13時09分36秒
何で今なの?何で今分かってしまうんだろう...
もっと早くわかっていれば…

私は遼希の腕の中で泣いた。
泣いて、泣いて...強くならなきゃって思った
明日からは私が滉一を支えなくちゃだから…

ねえ、滉一...聞こえてる?
志穂はこのまま滉一を死なせたりしないよ
滉一には一生守ってもらうって
『約束』したんだから…

43投稿者:age  投稿日:2008年01月07日(月)13時13分45秒
滉一×志穂良い!
44投稿者: 投稿日:2008年01月07日(月)15時03分25秒

45投稿者:age  投稿日:2008年01月08日(火)19時42分21秒
 
46投稿者:あげ  投稿日:2008年01月12日(土)16時12分22秒
 
47投稿者:H×K  投稿日:2008年01月13日(日)17時46分28秒
2008年01月01日 AM 06:45
「志穂ちゃんっ...起きて」
「んっ...」

いつの間にか...私寝てたんだ…

「おはよう。さ、早く屋上に来て」
「あ、ちょっと...」

何だかわからないまま、遼希に連れられて屋上に出た。
屋上にはもうすでに志穂達が集まっていた

「志穂遅いじゃ〜ん!」
「ご…ごめん。こんな朝早くからどうしたの?」
「あれだよ。」
48投稿者:H×K  投稿日:2008年01月13日(日)17時47分46秒
望の指差す方を見ると、ビルとビルの境目から
キレイな初日の出が見えた

「キレイ...」

そう言えば今日は01月01日だった
私は屋上のフェンス越しに初日の出を見てふと思った

――滉一にも見せてあげたかったな…

いや、見せてあげたかったんじゃない
きっと...一緒に見たかったんだ
今の滉一には何が見えてるんだろう…

きっと...何も見えないんだろうな...
やっぱり私が…
49投稿者:H×K  投稿日:2008年01月13日(日)17時49分42秒
そう思ってフェンスをぎゅっと握りしめた
誰にも気づかれないように...
そして、ある決断をした。
もし、来年のクリスマスまでに滉一の意識が戻らなかったら...

私...もう一度ここに来て…――

「おいっ...何考えてるんだよ。」
「えっ…別に何も…キレイだなぁって」
「嘘だ。滉一が言ってた。
 志穂ちゃんは嘘をつく時、目を見ないってね。」

そんな事ない。そう言いたかったけど...
遼希の言う事は当たってた。
私はいつだって滉一に嘘をつくとバレちゃって...


50投稿者:H×K  投稿日:2008年01月13日(日)17時51分18秒
「死ぬとか...簡単に考えんなよ…」

遼希の声が震えていた。

「もう嫌だぜ?俺の周りの奴が消えるのは...」

遼希は梨生奈達に聞こえないようにそう言った
案の定、梨生奈達は初日の出に夢中で、
私達の話なんてまるで聞いていなかった。

それにしても...私は不思議で仕方なかった
何で遼希には、私の考えている事が分かるんだろう...


51投稿者:H×K  投稿日:2008年01月13日(日)17時52分50秒
それから私は毎日、滉一のお見舞いに行った。
私の家から滉一の病院までは2時間かかる
大変だったけど毎日通った。滉一が目覚めるのを信じて...

ガラス越しに滉一の姿を見る
こんなに近くに居るのに...何でこんなに遠いんだろう…
思わず涙が溢れそうになる。
でも、もう泣かない。強くならなきゃ...

「また明日...会いに来るね。」

そんな日が一ヶ月、二ヶ月、六ヶ月続いた
もうすっかり夏になった。
滉一は未だにたくさんの機械に囲まれている

――やっぱ…もう会えないのかな?

52投稿者:H×K  投稿日:2008年01月13日(日)17時54分31秒
病室の前に座り込んで考えてみる
滉一のためにもっと出来る事はないの...?

「志〜穂♪」
「結花…」
「どうしたの?そんなとこに座り込んでさっ」

結花は時々私の心配をして病院に立ち寄ってくれた
床に座り込んだままの私の横に座る

「ちょっとね…考え事!」

結花にはこれ以上心配かけられない
望みたいにわざと明るく答えて立ち上がる

「さぁてと!そろそろ帰らないとねっ」
「志穂...?」
「ん?」
「ムリに明るくしなくていいよ。座って?」

53投稿者:H×K  投稿日:2008年01月13日(日)17時56分34秒
別にムリなんか…そう言いかけてやめた
親友の結花には嘘なんてつけない...

「うん...。」
「あのね、志穂がそんなんだから望が心配してたよ?」
「えっ...望が?」

結花の話が嘘だとは思わないけど...
そんな事あるわけない。
だって私...前望にひどい事しちゃったから…

「志穂はいいよね〜皆に大事にされてっ
 もう…羨ましいよっ…」

結花が…あの元気な結花が…泣いてる

54投稿者:H×K  投稿日:2008年01月13日(日)17時58分38秒
「結花...?何があったの?」
「ううんっ…大した事じゃないよっ」

結花は少し上を向いて微笑んだ
結花...私に強がるなって言ったくせに
自分が一番強がってるじゃん…

「嘘!何があったか正直に言ってよ。親友でしょ...?」
「...望にフラれちゃった…」

望が志穂をフった...?
あんなに仲良かったのに...何で?

私は居ても立っても居られなくなって、
帰りがけに望の家に寄った。
もし、中途半端な理由で志穂と別れるなら...
私は絶対に許さない。
55投稿者:H×K  投稿日:2008年01月13日(日)18時00分53秒
インターホンを鳴らす。
ドンドンという足音と共に扉が開いた

「はい?どちらさっ...志穂?」
「...久しぶり。ちょっといいかな?」

望の家。久しぶりだなぁ...
小さい時は良くここで遊んだっけ

「汚いけど...ま、座れよ。」
「うん...ありがと」
「で、急にどうした?珍しいじゃん。そっちから来るとか...」
「あのね...結花の事なんだけど…」

“結花”そう言うと望は私から目を逸らした

56投稿者:H×K  投稿日:2008年01月13日(日)18時03分10秒
「結花には悪いと思ってるし
 結花が嫌いなわけじゃない。でも...」
「でも...?」
「もう放っておけないんだよ…お前の事!」

その言葉を聞いて...驚いた
望が本当に私の事を心配してたなんて...
そして、私のせいで望と結花が壊れようとしてる…

「私の...事?」
「滉一がああなってから...心配で仕方ないんだよ。
 志穂がその...死んじゃうんじゃないかって…」

私が死ぬ…望もそう思ってるんだ
私...そんなに思い詰めた表情してたのかな...



57投稿者:H×K  投稿日:2008年01月13日(日)18時06分04秒
私は望の目の前に座って、肩にそっと手を置いた。

「望...ありがと。でも、志穂は大丈夫。
 滉一が居るから…望は結花だけを見てて?」

自分でも何でこんな事が言えたのか分からない。
いつも泣いてばっかだった私が、
年上の望にこんな事を言うなんて…

でも...望を安心させてあげたかった
そして、結花にまた笑って欲しかった

「...そっか。志穂の気持ちは...わかった」
「うんっ結花を...もう泣かせないでね?」


58投稿者:H×K  投稿日:2008年01月13日(日)18時09分19秒
望の家を出て駅のホームに立つ。
私...こんなにも皆に心配かけてたんだ
そして、皆の運命を壊そうとしてたんだ...

結花と望の事。遼希の事。
そして何より...滉一の事…。
私がもっとしっかりしなきゃっ

私がしっかりして、滉一を...
皆を支えなきゃっ。


遼希...もう何も失わせないよ
結花...もう泣かなくていいよ
望...もう心配しなくていいよ


滉一...――信じてる。
59投稿者:あげ  投稿日:2008年01月14日(月)16時29分37秒
最高!
60投稿者:あげ  投稿日:2008年01月19日(土)16時26分12秒
 
61投稿者: 投稿日:2008年01月20日(日)22時39分34秒

62投稿者:あげ  投稿日:2008年01月23日(水)15時57分56秒
 
63投稿者:age  投稿日:2008年01月25日(金)16時49分59秒
 
64投稿者:あげ  投稿日:2008年01月27日(日)15時01分47秒

65投稿者:すげぇ  投稿日:2008年01月27日(日)21時02分08秒
超泣ける
66投稿者:あげ  投稿日:2008年01月28日(月)16時15分03秒
H×Kのこの作品大スキです!頑張って下さい!
67投稿者:age  投稿日:2008年02月06日(水)15時41分45秒
 
68投稿者:あげ  投稿日:2008年02月24日(日)11時42分27秒
 
69投稿者:あげw  投稿日:2008年02月27日(水)18時26分58秒
 
70投稿者:あげ  投稿日:2008年03月14日(金)18時25分30秒
 
71投稿者:あげ  投稿日:2008年03月24日(月)12時22分16秒
  
72投稿者:あげ  投稿日:2008年03月30日(日)15時35分07秒
 
73投稿者:かぶ  投稿日:2008年03月31日(月)12時30分14秒
続きないの〜?
74投稿者:かぶ死ね死ねバーカ  投稿日:2008年03月31日(月)12時34分24秒


75投稿者:かぶ  投稿日:2008年03月31日(月)21時51分03秒
嘘に決まってんじゃん!!別に興味ないww
76投稿者:バーァ  投稿日:2008年04月06日(日)20時47分47秒
嘘だよ・・・
志穂はィま光一とめちあとし離れてるんじゃん
ありえないU
77投稿者:はっ??  投稿日:2008年04月06日(日)20時51分17秒

78投稿者:としは  投稿日:2008年04月07日(月)10時07分04秒
志穂が中三でこういちが中二だよ
79投稿者:滉一と志穂  投稿日:2008年04月07日(月)10時08分19秒
お似合いじゃんww
80投稿者:あげ  投稿日:2008年04月27日(日)10時35分28秒
 
81投稿者:あげ  投稿日:2008年05月24日(土)18時38分56秒
  
82投稿者:あげ  投稿日:2008年07月09日(水)13時48分03秒
 
83投稿者:次回は何??  投稿日:2008年07月09日(水)20時18分31秒
  
84投稿者:あげ  投稿日:2008年08月10日(日)20時47分00秒
 
85投稿者:age  投稿日:2008年11月30日(日)23時05分43秒
 
86投稿者:あげ  投稿日:2008年12月10日(水)17時40分23秒
   
87投稿者:age  投稿日:2009年06月21日(日)09時10分21秒
 
88投稿者:あげ  投稿日:2009年07月11日(土)20時59分47秒
  
89投稿者:age  投稿日:2009年07月19日(日)19時18分18秒
 
90投稿者:未だに  投稿日:2009年10月11日(日)19時57分39秒
滉志ヲタから抜け出せない
91投稿者:未だに  投稿日:2009年10月11日(日)23時07分33秒
ageるバカが居たとは
投稿者 メール