;5日目 シーン2 葵編 放課後美術部でウトウト ;3日目分岐の葵編を通って無くても来れるという前提 ;3日目分岐を通っていれば、クラウザーさんを探す際のカウンタ値判定が若干甘くなるようにする --- 一樹(放課後になった) 一樹(とりあえず文化祭準備もひと段落したけどどうしようか) (選択肢) 1.美術室に行く 2.屋上に行く 3.帰宅する (選択2) 一樹(屋上に行くか。夕涼みでもしてから帰ろう) (場面切り替え) 階段を上り切ったところで急に屋上へのドアが開いた。水樹さんだ。 目はせわしなくきょろきょろと泳ぎ、昼行灯でマイペースな普段の余裕が無い。 一樹「水樹さんも屋上……行ってたの?なにかあった?」 葵「……っ」 目に映っているはずの僕に気付かずきょろきょろしながら階段を下りようとする。 何か探し物だろうか。 一樹「水樹さん!」 葵「……!」 さっきより大きな声で呼びかけるとようやく僕に気付いたようだ。 一樹「何か探し物?……よければ手伝うけど?」 葵「……」 一瞬、ためらったが遠慮する余裕も無いのだろうか、すぐに事情を説明しだした。 葵「クラウザーさんが居ない」 一樹「クラウザーさん、というといつも連れてる亀のこと?」 葵「大事な友達」 葵「探さないと」 一樹「落ち着いて」 一樹「いつ居なくなったのに気付いたの?」 葵「放課後。甲冑作ってて帰ろうとしたら鞄が空で……」 一樹「えっ、鞄?」 葵「鞄。鞄の底」 そういって水樹さんは鞄を広げて見せてくれた。 こんなの一体誰が作ったんだろうか、鞄の底が二重底構造になっていて動物用のゲージが仕込んである。 なるほどクラウザーさんが急に現れたり居なくなったりしてたのかここに隠れていたからなのか。 ……などと関心している場合ではない。 一樹「で、屋上は居なかったんだね?」 葵「居ない。学校の中はあちこち探した」 葵「後探していないのは視聴覚室と美術室とプール」 一樹「なるほど。じゃあ順番に探して回ろうか」 水樹さんはうなずいてからこっちをジッと見ている。どうやら指示を待っている……ようだ。 ■(選択肢) ;3箇所一通り見て回った後に4を選択してシナリオ進行 ;一度選んだ場所も選択肢として残る ;無駄に回りすぎる、3箇所回る前に4を選択した場合に好感度ダウン ;回った回数をカウンタで記録する 1.視聴覚室 2.美術室 3.プール 4.そういえば! ・選択 1 (背景切り替え) ;カウンタ+1 (選択1回目の場合) 視聴覚室だ。覗いてみても誰も居ない。 終業時刻から結構経っているので誰も居なくて当然なんだけど。 しゃがんで全ての机の下を覗いて回ったが、人っ子一人亀一匹居なかった。 一樹「こっちは居ないみたい」 葵「こっちも居ない」 教壇の辺りを探していた水樹さんも空振りのようだ。 一樹「別の場所を探そうか……。」(→■へ) (選択2回目以降) 念のためもう一度視聴覚室に来た。 さっき探して扉を閉めてから誰かが開けていない限り、クラウザーさんが中に入れるはずはない。 一樹「やっぱり居ないね」 葵「別の場所」(→■へ) ・選択 2 ;カウンタ+1 (背景切り替え) (選択1回目の場合) 美術室には何人か学生が居て絵を描いていた。美術部だろう。 と、水樹さんと二人で恐縮しながら中を覗いていると不意に話しかけられた。 彩葉「おーふたーりさん。どうしたの?二人揃って入部希望……なわけないか」 一樹「ちょっと今は入部の話は遠慮しとくよ」 一樹「それより、クラウザーさん見なかった?」 手短に事情を話して聞いてみたが、彩葉の返事は期待したものではなかった。 彩葉「私もうちょっとここに残って描いてるから見かけたら捕まえて連絡するよ」 葵「ありがとう」 さて、他の場所を探すか。(→■へ) (選択2回目以降) 美術部をもう一度覗いてみた。 こちらに気付いた彩葉はその場で首を横に振っている。 ここには居ないみたいだ。 葵「ここは彩葉に任せた方がいい」(→■へ) ・選択 3 ;カウンタ+1 (背景切り替え) (選択1回目の場合) プールの水の中に潜られてたりしたらもうお手上げかもしれない。 そう思いながら探しに来てみたが、杞憂だったようだ。 七弓学園では水泳の授業は8月までで終わりなので、既にプールの水は抜かれて空っぽになっていた。 一樹「よかった。水の中に潜ってたとしたら、探しようがなくなるなって思ってたんだ」 葵「一樹。クラウザーさんはリクガメ。水浴びはするけど泳がない」 一樹「そうだったのか。じゃあどのみちプールには居る可能性は低いね」 一樹「他の場所探したほうがよさそうだね」(→■へ) (選択肢2回目の場合) 葵「クラウザーさんは泳がない……」 一樹「念のため、念のため、ね」 一樹「来るはずのないところに!?って展開かもしれ……ないわけもないか」 やはり、居ない。(→■へ) ・選択 4 (カウンタ値が3未満) 一樹「そういえば!」 葵「そういえば?」 一樹「えーっと……」 葵「そういえば?」 一樹「何か思いつくかと思って言ってみたけどダメでしたすいません」 葵「……。」 水樹さんはムッと黙ってしまった。ちゃんと探しに行かないと……。(→■へ) (1,2,3の選択肢を一回づつ選択し、かつカウンタ値が4未満) 一樹「そういえば!」 葵「?」 一樹「屋上から戻ってきたところだったから聞かなかったけど」 葵「うん、そう。屋上を探してたところだった」 一樹「隅々まで探した?」 葵「……?」 一樹「貯水タンクの裏に、一日中日陰の暗い場所があるんだ」 (→▲へ) (カウンタ値が4以上) (好感度ダウン) 一樹「そういえば!」 葵「そういえば……?」 一樹「隣のお爺さんは歯が無い。総入れ歯……」 葵「……。」 水樹さんがこれまでに見たこともない形相で僕を睨みつけている。 さすがに冗談が通じる状況ではないか。 葵「もういい。一樹はあてにならない」 葵「屋上をもう一度探す」 葵「隅の方は見逃していたかもしれない」 あてにならないと言われて、返す言葉も無かった。 全く無駄にあちこち振り回していたずらに時間を浪費させただけになってしまった。 一樹「屋上の隅といえば、貯水タンクの裏に、一日中日陰の暗い場所があるね」 (→▲へ) ▲ 葵「貯水タンクの裏……はみてない」 一樹「直射日光がダメだからさ、僕。屋上に出たらいつもそこに行くんだけど、めったに人が来ない穴場なんだ」 葵「行ってみる」 一樹「うん」 (背景切り替え 階段) 僕と水樹さんは早足で屋上に向かった。 もう心当たりは全て探したはずだ。 これで屋上に居ないのなら最悪の事態も――学外に出てしまっていて、探すあてが無くなってしまうかもしれない。 (背景切り替え 屋上) 屋上に出た。9月とは言えまだ日は長く赤く日が差している。 一樹「あっち」 貯水タンクの裏を指差して水樹さんを促す。 二人とも無言になるのは、心の中で祈っているからかもしれない。居てくれ、と。 一樹「ここを曲がれば……」 と覗いた先に、見慣れた亀が一匹、眠たそうに首を竦めながらこっちを見ている。 どうかしたの?と言わんばかりの顔だ。 葵&一樹「居た!!!」 思わず二人、手を握り合った。が、顔を見合わせてすぐにハッとなり手を引っ込めた。 水樹さんもちょっと赤い……なわけないか。 一樹「居たね。よかったあー」 一樹「ホントよかった。もしかして学外に出ちゃってたら、なんてことまで考えちゃったから不安で不安で」 葵「よかった……よかった……」 水樹さんはクラウザーさんを愛おしそうに抱き上げて頭をなでた。 少し目が潤んでいるようにも見える。 クラウザーさんも目を細めて気持ちよさそうだ。 一樹「よかったね。見つかって」 一樹「改めて、クラウザーさんはすごく大事なんだなって思ったよ」 葵「ありがとう」 一樹「いやいや、僕は大したことしていないよ」 葵「クラウザーさんは……大事な家族」 葵「一緒に居てくれる家族……」 少し引っかかる表現……のようだけど気のせいか。 確か葵さんはごく普通に両親も一緒に暮らしている、はずだけど。 葵「一樹も、一緒に居ると安心する。大事な友達」 一樹「そか」 一樹「そんないいものじゃないよ僕なんて」 大事な友達、と言われて悪い気はしない。 もしかしたら顔が赤くなっているかもしれない、そんな気分だ。 だけどなにか心の奥に物が挟まった感じがして、素直に喜べない。 一樹「とりあえず」 一樹「無事見つかったし、帰ろうか」 葵「そうする。私も帰る」 クラウザーさんに少し嫉妬しながら帰路に着いた。