;四日目シーン3 葵と甲冑 ----- (合流後) 一樹「そ、そういえば明、この鉄板って何に使うの?」 場の空気に耐えかねて話を変えてみた。 明「おう、それは葵ちゃんに頼まれてたやつだよん」 水樹さんの……甲冑、か。 葵「最初に言っておく、葵はかーなーり、裁縫が苦手」 一樹「そ、そうなんだね」 例によって水樹さんが唐突に現れた。 改めて言われなくても得意そうには見えない……とこれは口に出して言わない方がいいだろう。 一樹「ところで甲冑って具体的にどんなデザインのにするの?色々あるよね甲冑にも」 葵「当世具足」 一樹「トーセイグソク?」 葵「そう。兜は長烏帽子形」 一樹「加藤清正ってまた微妙な知名度のところを……。」 葵「背が高く見えるからでは、ない」 一樹「そんなこと思ってないからね?!」 一樹「改めて言われたら逆にそういう理由だったのかって思えちゃうよ?」 葵「絵、描いてきた」 そういうと水樹さんは鞄からノートを取り出し、手書きの甲冑デザインを見せてくれた。 長烏帽子の兜に始まり袖、篭手、手甲、腰の周りのひらひらや具足まで、甲冑フルセットがきっちり描いてあった。 よくまあこんなに細かいパーツまで知ってるもんだなと関心する。 明「葵の甲冑へのこだわりは半端じゃねぇな!」 横からノートを覗き込んだ明が言った。 (選択肢) 1.こだわり過ぎじゃ…… 2.こだわるのはいいことだ (選択1) 一樹「こだわり過ぎじゃ……ないかなと思ってみたり」 言葉の途中で葵に見つめられたので語尾を濁してしまった。 でも、ただでさえ用意するのが難しそうな甲冑でこだわり過ぎると文化祭までに間に合わなくなってしまう可能性もあるんじゃないかと思う。 葵「当世具足、着たい」 一樹「でもこれ作るの大変じゃない?」 一樹「パーツ沢山あるし素材が揃わなさそうなところもありそう」 葵「むぅ……。」 ノートを見つめたまま水樹さんは固まってしまった。 明「いっそパーツ減らして素材がなさそうな部位は削って、可愛いのに変えちゃおうぜ」 明はそういって鉛筆を取り、先ほどのノートの隣のページにさらさらと絵を描き始めた。 (以下合流) (選択2) 一樹「こだわるのはいいことだよ思うよ」 水樹さんの顔がぱっと明るくなった。やっぱり甲冑にすごく思い入れがあるんだな、と思いつつ僕は言葉を続けた。 一樹「でもこれフルセット着たら、すごく重そうだね。何キロくらいになるんだろう」 葵「……25kg?」 一樹「25kgの甲冑着て、喫茶店の給仕って、無理じゃない?少しパーツ減らして軽くした方がいいんじゃないかと思う」 明「なるほど、じゃあこんな感じかな?」 明はそういって鉛筆を取り、先ほどのノートの隣のページにさらさらと絵を描き始めた。 (以下合流)