;5日目 シーン2 彩葉編 放課後美術部でウトウト ;3日目分岐の彩葉編を通って無くても来れるという前提なので先輩は一樹の事を覚えてないという設定 --- 一樹(放課後になった) 一樹(とりあえず文化祭準備もひと段落したけどどうしようか) (選択肢) 1.美術室に行く 2.屋上に行く 3.帰宅する (選択1) 一樹(美術室に行くか。彩葉は今日も頑張ってるみたいだし) (場面転換) 美術室の前まで来ると数人の部員らしき学生が美術室から出てきた。 部員の中の一人が僕に気付き、話しかけてきた。 ??「美術部に何か御用?」 一樹「えっと。橙ヶ崎、居ますか?」 ??「ああ、橙ヶ崎さんならまだもう少し描きたいって、一人で残ってるわよ」 一樹「そうですか」 ??「お友達……?前に来たことあったかしら?」 ??「まぁお友達でも彼氏さんでも、良かったら中に入って絵を見てあげてね」 と、ウインクして見せた。 僕と彩葉は、やっぱりそう見えるのだろうか。それとも他愛も無い冗談を、一々気にし過ぎなのだろうか。 彼氏という言葉がやけに耳に残る。 ??「私たちはもう帰るところだけど美術部は来るもの拒まずいつでも出入り自由ですので!」 せんぱぁーい、と先に帰りかけていた数人が声をかけた。 先輩「橙ヶ崎さんにも言ってあるけど、戸締りだけは忘れないようにしてね」 そこまで言うと、先輩は小走りに去って行った。 一人残って、か。ずいぶん熱心なんだな。 (背景転換) そっと美術室を覗いてみると、彩葉は確かに一人で残っていた。 キャンバスに向かって絵をじっと眺めたり、絵具を混ぜたり、筆を動かしたりとせわしなく、僕には気づきそうにない。 描いてる邪魔をするのも不本意なので、気づかれないようにそっと中に入った。 部屋の隅にある椅子に腰をおろし、しばらくは声もかけず描いている彩葉を眺めることにした。 9月とは言えまだまだ日は長く、窓際に差し込む光は机をオレンジに照らしている。 一樹(あったかいなぁ……) 壁際に椅子を寄せてもたれていると、程よい陽気にふわふわと心地のいい眠気に誘われた。 どうせ彩葉しか居ないしちょっとくらいなら寝ちゃってもいいか、と、睡眠欲に負けそうな意志の弱い脳が言い訳をする。 彩葉は……まだ気付いて……ない……な……。 ……熱中し……すぎ……だ……ろ……。 (なんかそれっぽい夢のシーン 伏線っぽくする?) 目が覚めるとそこは、相変わらず美術室だった。 どのくらい寝てしまったのだろうか、外はすっかり暗くなり、電灯のついてない部屋もまた、真っ暗だ。 真っ暗な中にすぅすぅと寝息だけが聞こえる。 この暖かくて重い肩は、彩葉が僕にもたれかかって寝ているから、だった。 一樹「彩葉……」 声をかけてみた。 改めてみると、すごく顔が近い。肩が暖かい。 こんなに近くで彩葉の顔を見たのははじめてかもしれない。 なんだかすごくドキドキする。 恥ずかしいのに目が離せない。 彩葉ってこんなに睫毛長かったのか、などと見つめているとふいに彩葉の眉間が動いた。 彩葉「ん……んんーっ」 彩葉はまぶたをこすりながらゆっくりと体をおこした。彩葉のもたれていた肩が、少しすーすーした。 一樹「おはよう。よく眠れた?」 彩葉「ん……?」 彩葉はまだ寝ぼけている。 一樹「まだ寝ぼけてる?って言っても僕も人のこと言えないけどね」 一樹「二人して寝ちゃってたみたいだよ」 彩葉「……あー、そうだ。うん。びっくりしたんだよーもう。来てるなら声かけてくれたらいいのに」 一樹「すごく集中してたから邪魔しちゃ悪いと思ったんだ」 彩葉「絵がひと段落ついたから帰ろうかなぁって、片付けてたら一樹が居て寝てるんだもん」 彩葉「気持ちよさそうだなって寝顔見てたら私も釣られて寝ちゃったみたい」 一樹「ミイラ取りがミイラ、だね」 くすっと彩葉が笑うと収まりかけたはずの動悸がまた少し高鳴った。 一樹「この場合はどっちがミイラ、なんだろう?」 照れ隠しに適当な言葉を続けた。 どっちがミイラかなんて、ホントはどうでもいいのに。 彩葉「でもこれって」 彩葉は立ち上がって続けた。 彩葉「早いか遅いかの違いで結局どっちもミイラだよね」 一樹「そっか、そういわれるとそうか」 二人で一緒に笑った。 一樹「帰ろっか」 彩葉「うん。そうだね♪」 鞄を持って立ち上がる。いつもとは逆の肩にかけて。 いつも鞄をかけている方の肩には、まだ少し彩葉の体温が残っていたから……。 それから二人で他愛もない話をしながら、少しだけ、いつもよりドキドキしながら帰った。 ---- ――真っ暗な中をふわふわと漂っている。体は動かない。 ――時折電波の悪いラジオのようにざざざとノイズが聞こえる。人の話し声……? ノイズはぐるぐると僕の周りを回るように発信位置を変えている。 ――動けないことに段々不安を覚え手を動かそうとする。が、動かない。 物理的に動かせないのか、動かそうとする意志が手に伝わっていないのか……。 ――ふとノイズの動きが止まった。 しばらく同じ位置で鳴っていたかと思うと今度は徐々にボリュームが大きくなって……近づいてきている?! ---- ふわふわと眠りの中を漂いながら夢を見ていた。 男の子が一人で積み木を前に広げながら座っている。 表情は呆然とした無表情のまま、積み木を触るでも見るでもなく動かない。 これは……僕? 隣には女の子が居る。